衆議院

メインへスキップ



第1号 平成28年1月13日(水曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成二十八年一月四日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 山口 泰明君

   理事 奥野総一郎君 理事 水戸 将史君

   理事 稲津  久君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    川崎 二郎君

      小林 史明君    古賀  篤君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      橘 慶一郎君    中村 裕之君

      中山 泰秀君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    橋本  岳君

      原田 憲治君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      福田 昭夫君    升田世喜男君

      浜地 雅一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    ―――――――――――――

一月四日

 桝屋敬悟君委員長辞任につき、その補欠として遠山清彦君が議院において、委員長に選任された。

平成二十八年一月十三日(水曜日)

    午後四時開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 水戸 将史君

   理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    川崎 二郎君

      小林 史明君    古賀  篤君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      鈴木 隼人君    中村 裕之君

      中山 泰秀君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    橋本  岳君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    近藤 昭一君

      武正 公一君    渡辺  周君

      輿水 恵一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   総務副大臣        松下 新平君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    古賀  篤君

   財務大臣政務官      大岡 敏孝君

   文部科学大臣政務官    堂故  茂君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           末宗 徹郎君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田 昭典君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  青木 信之君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       武田 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会理事)   今井  純君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月四日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     小川 淳也君

  福田 昭夫君     渡辺  周君

  升田世喜男君     高井 崇志君

  稲津  久君     遠山 清彦君

  浜地 雅一君     輿水 恵一君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  山口 泰明君     鈴木 隼人君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     山口 泰明君

同日

 理事石田真敏君平成二十七年十二月二十四日委員辞任につき、その補欠として橘慶一郎君が理事に当選した。

同日

 理事稲津久君同月四日委員辞任につき、その補欠として桝屋敬悟君が理事に当選した。

同日

 理事山口泰明君及び水戸将史君同日理事辞任につき、その補欠として原田憲治君及び高井崇志君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月四日

 放送法の一部を改正する法律案(逢坂誠二君外二名提出、第百八十九回国会衆法第一〇号)

 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

同月十二日

 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 このたび、総務委員長の重責を担うことになりました遠山清彦と申します。

 本委員会は、行政の基本的制度、地方自治など国の基本的な仕組みにかかわる問題から、情報通信、郵政事業、消防など国民の社会経済を支える問題まで幅広く所管する委員会でございます。

 私は、その職責の重要性を認識するとともに、委員各位の御指導、御協力を賜りまして、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいりたいと思います。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

遠山委員長 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事山口泰明君及び水戸将史君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が四名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      橘 慶一郎君    原田 憲治君

      高井 崇志君 及び 桝屋 敬悟君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

遠山委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

遠山委員長 この際、総務大臣、総務副大臣及び総務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 総務大臣の高市早苗でございます。

 副大臣、大臣政務官とともに全力で働いてまいりますので、遠山委員長、理事、委員の先生方、皆様方の格別の御指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

遠山委員長 次に、松下総務副大臣。

松下副大臣 このたび総務副大臣を拝命いたしました松下新平です。

 皆様方の格段の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

遠山委員長 次に、土屋総務副大臣。

土屋副大臣 総務副大臣を拝命いたしました土屋正忠でございます。

 皆様方の御指導を心からお願い申し上げます。(拍手)

遠山委員長 次に、輿水総務大臣政務官。

輿水大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました輿水恵一でございます。

 皆様方の格段の御指導をお願い申し上げます。(拍手)

遠山委員長 次に、古賀総務大臣政務官。

古賀大臣政務官 このたび総務大臣政務官を拝命いたしました古賀篤でございます。

 御指導のほどよろしくお願いいたします。(拍手)

遠山委員長 次に、森屋総務大臣政務官。

森屋大臣政務官 このたび総務大臣政務官を拝命いたしました森屋宏でございます。

 皆様方の格段の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

遠山委員長 次に、内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災に係る復興事業等の実施状況等により、震災復興特別交付税に要する額を変更する必要があります。このため、平成二十五年度の当初予算及び補正予算で地方交付税の総額に加算し、平成二十六年度に繰り越した震災復興特別交付税のうち、同年度の決算において不用となった金額について、地方交付税の総額から減額することとしております。

 次に、今回の補正予算により、平成二十七年度分の地方交付税が一兆三千百十三億円増加することとなりますが、このうち普通交付税の調整額の復活に要する額四百六十九億円を追加交付することとし、残余の額一兆二千六百四十四億円を平成二十八年度分の地方交付税の総額に加算して、同年度に交付することができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

遠山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会会長籾井勝人君及び理事今井純君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、地方創生推進室次長末宗徹郎君、公正取引委員会事務総局審査局長山田昭典君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、自治行政局公務員部長北崎秀一君、自治財政局長安田充君、自治税務局長青木信之君、情報流通行政局郵政行政部長武田博之君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君及び社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民維クラブの奥野総一郎でございます。

 前国会に引き続きまして、野党筆頭理事を務めさせていただきます。皆さん、よろしくお願いいたします。

 本当に久しぶりの委員会でありまして、たしか法案が六月に上がって、その後一回、八月でしたかに開いていただいて、その後ですから、もう半年近くということになります。久々の国会で、非常に緊張いたします。また、新しい会派、トップバッターということで、なおさら緊張しておりますけれども、しっかり質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、地方交付税法の一部を改正する法律案でございます。

 今、大臣の方からの提案理由説明にもございましたけれども、平成二十七年度分の地方交付税について一兆三千百十三億円が増加することになった、これを平成二十八年度分の地方交付税の総額に加算する、調整額を除いた上で総額に加算するということであります。

 素朴な疑問として、二十七年度分の交付税であるならば二十七年度に交付すべきじゃないか、これは誰しも思うことなんですが、二十八年度に加算する理由というのをまず伺いたいと思いますが、いかがですか。

高市国務大臣 補正予算における国税の増収に伴う地方交付税の増収分につきましては、地方交付税法第六条の三第一項の規定では、当該年度の特別交付税の総額に加算するということになっておりますが、近年は、地方財政において巨額の財源不足が継続的に生じていることから、翌年度の地方交付税の財源として活用するために繰り越すことを基本としております。そのために必要な法律改正を行ってきているところでございます。

奥野(総)委員 ここのところずっと、毎年、私も総務委員会におりますが、こうした形で交付税法の改正をしているということなんですね。

 ということは、基本は今おっしゃられたように六条の三で特別交付税で配るのが基本だけれども、それをわざわざ法律改正して毎年翌年に繰り越しているということなんですが、これを繰り返しているということは、これは基本的なルールと考えてよろしいんでしょうか。

高市国務大臣 リーマン・ショック後において国税の増収に伴う地方交付税の増収が生じた平成二十二年度以降につきましては、毎年度普通交付税の調整額分の追加交付、それから平成二十二年度に経済対策に基づく普通交付税の追加交付、二十三年度に東日本大震災のための特別交付税の加算以外の残余の額につきましては、翌年度に繰り越し、交付税総額の確保及び臨時財政対策債の抑制に活用しています。

 いずれにしましても、国税の増収に伴う地方交付税の増収が生じた場合には、財源不足等の地方財政の状況等を踏まえまして、その時点において適切な措置を毎年度法律を改正して行ってきているという状況でございます。

奥野(総)委員 増額の場合はそうなんですが、最近は余りないと思いますが、減額補正、見積もりを下回った場合というのはどういう処理になるんでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 補正予算における国税の減収に伴いまして地方交付税が減額される場合でございますけれども、地方交付税法第十条第二項ただし書きの規定によりまして、普通交付税の所要額が減額後の普通交付税の総額を超える額を各地方公共団体の基準財政需要額で案分して減額するということにされているところでございます。

 この減額をする場合でございますけれども、既に決定した各地方公共団体の普通交付税の額を変更する必要がある場合、この場合には、地方交付税法第十条第三項ただし書きの規定によりまして、普通交付税の額を変更するということになります。

 さらに、既に交付した額が減額後の交付すべき額を超過する場合でございますけれども、この場合には、同法第十六条第三項の規定によりまして、当該超過額を国に還付するということにされているところでございます。

奥野(総)委員 今、それぞれ増額補正、減額補正の場合について原則をお話しいただきましたが、この原則どおりに行った例というのは近年あるんでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 平成以降の各年度におきまして、地方交付税法第六条の三第一項の規定どおり、当該年度の国税の増収に伴います地方交付税の増収分のうち、普通交付税の調整減額分を追加交付した残余の額につきまして、その全額を特別交付税の総額に加算したことはございませんけれども、災害対策等の地方負担に充当するために、増収分の一部につきまして特別交付税に加算したことはございます。

 また、平成以降の各年度におきまして、補正予算における国税の減収に伴いまして地方交付税に減額が生ずるような場合においても、一般会計からの加算、特別会計借入金等により対処することで、国税の減収前ベースの交付税額を確保しているところでございまして、平成以降の各年度においては、地方交付税が減額されたことはございません。

奥野(総)委員 念のためですが、減収の場合に、後で返しているということでよろしいんでしょうか。減額補正した場合に、交付税の削減はしない、ということは、後で戻すということになるんでしょうか。

安田政府参考人 失礼いたしました。

 過去の、補正予算において国税の減収に伴って地方交付税に減額が生じた場合でございますけれども、特別会計借入金等によって対処した場合におきましては、後年度において、国と地方が折半してそれを負担するというようなルールによって返還しているという形をとってきているところでございます。

奥野(総)委員 今の、増額の場合も減額の場合も、いずれも近年、平成以降というお話でしたけれども、原則どおり行った例はない、一部災害対策などで特別交付税で交付した例はありますが、原則にのっとって全部当該年度に交付した例はないということだと思います。また、減額の場合も、これは当然減額をすれば自治体は困るわけですから、減額をしていないということなんですね。そうすると、平成以降は、原則どおりにのっとって行われた例はないということだと思います。

 一方で、この交付税法の今回の法案のような、翌年度に回す、こういった特例が基本、常態化しているということなんです。

 重ねて伺いますが、原則どおり行えない理由というのをもう一度伺いたいと思います。

高市国務大臣 地方交付税法第六条の三第一項の規定では、国税の増収に伴い生ずる地方交付税の増収分について、当該年度の特別交付税の総額に加算することとされているんですが、これは、交付税総額とその所要額との差が引き続き著しく大きくなった場合に、第六条の三第二項の制度改正または率の変更を行うということとして、その他の場合は、その年度で完結するということを原則としたものでございます。

 ところが、近年は巨額の財源不足が継続していて、二十一年連続で地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する状況となっていることから、国税の増収に伴う地方交付税の増額が生じた場合には、同条第一項の規定によらず、その時点において適切と考えられる対応として、翌年度への繰り越し、特別会計の償還、経済対策が講じられた場合の地方負担に充当することなどの措置を毎年度法律を改正して行ってきております。

奥野(総)委員 わかるんですよ。本来はやはり、臨時財政対策債、いわゆる赤字公債ですね、これを減らす方向でお金を使っていかなきゃいけない。特別交付税でその年で使ってしまえば、翌年の臨財債の縮減には恐らくつながらないでしょうし、もう発行してしまっているでしょうから、年度内の縮減にもつながらないということで、この措置はやむを得ないのかなという気もいたします。

 また、減額について言えば、これは当然交付税が途中でカットされても自治体は困るわけですから、これも特例によるというのはよくわかります。

 しかし、これだけ特例がむしろルール化している、常態化しているということ自体がやはりおかしいんじゃないかと思うんです。

 これはなぜおかしいかといえば、この仕組みですね。基準財政需要額から基準財政収入額を引いたもの、要するに不足分の合計額と、それからいわゆる法定率分がきちんと合う。これはそもそも違うものですから、きちんと合う方がむしろおかしいんです。この仕組み自体、やはり弱点を抱えている。

 弱点を抱えているんだけれども、では、どうしてこういう仕組みになっているかというと、そもそも制度はそんなに乖離しない、自治体に交付すべき必要額と、今、交付四税ですか、四税の交付税額とが一致する、余り乖離しないというふうに制度が立っている理由というのは、恐らくこの二項で、著しく異なる、差が著しく開いた場合には法定率を見直しなさい、こう規定している、本来これによるべきだということだと思うんです。

 これだけずっと特例が常態化しているということになると、やはりもう一度この法定率のあり方を見直す必要がある。昨年ですか、悲願の法定率引き上げをやられたことはよく理解をしていますが、それでもなおこういった状態が続くということは、もう一度見直していくということが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 今委員がおっしゃっていただいたとおり、平成二十七年度、法定率の見直し、悲願がかないました。

 今のような巨額の財源不足を解消するためには、地方財政の健全な運営の観点からは、やはり法定率の引き上げによって地方交付税を安定的に確保するという方向が望ましいと私も考えております。

 国、地方ともやはり巨額の債務残高や財源不足というものを抱えていますから、昨年も大変苦労しましたけれども、その実現はなかなか容易なものではございません。しかしながら、今後とも、法定率の見直しという方法によって交付税総額の安定的確保をするということをしっかり目指して、政府部内で十分に議論を進めてまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 制度そのものに内在する問題だと思うんですね。ですから、この法案をとって反対ということはあえていたしませんが、やはりこの交付税制度自体についてもう一度見直すべき時期に来ているんじゃないかということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。

 次は、マイナンバーの通知についてでございます。

 まず、通知カードの配達状況、最初十一月末までと言っていて、年内、昨年十二月二十日ごろと言っていたんですが、今現状はどうなっていますか。全て通知カードは配達し終えたのでしょうか。

古賀大臣政務官 奥野委員の御質問にお答えいたします。

 通知カードの初回のお届けでございますが、日本郵便の配達計画に係る通知カードは、約五千六百八十五万通につきまして、昨年の十二月に初回のお届けを終えております。

 この通知カードについては、当初、おおむね十一月中に全世帯に初回のお届けができるよう、地方公共団体情報システム機構、J―LIS、国立印刷局、日本郵便、そして私たち総務省、関係四者間で協議を積み重ねまして、スケジュールを共有してきたところでございます。

 こうした中で、極めて短期間のうちにこの約五千六百八十五万通の大量のカードの印刷、配達を間違いなく確実に行う必要があったこと、そして初めての作業ということで各機関において多少の時間を要しましたこと等で、さまざま要因が重なった結果、一部初回のお届けについて十二月となったものでございます。

 以上です。

奥野(総)委員 実は、私の地元に千葉県の四街道市というところがありまして、これは名指しで新聞に出たんですね。十二月二十日、全国で最後に通知カードが行くのが私の選挙区の四街道市である、こう新聞に出ました。

 郵便局が頑張られて、十二月十三日ですか、一週間早く配り終えたとは聞いていますが、そこの話を伺うと、どうも外字登録というのがなされていなくて、恐らく常用漢字以外の外字登録がきちんとなされていなくてJ―LISではじかれてしまって、しかもその原因がなかなかわからなかったのでおくれたんだ、こういう説明があったんです。

 そこについてもう一度、そのとおりですかというお話と、あと、全国的にほかの理由、それはたまたま私の選挙区の市はそうなのですが、ほかにどういった事例でおくれたのかということを改めて伺いたいと思います。

稲山政府参考人 まず、四街道市の事例でございます。

 四街道市の通知カードのおくれについてでございますが、マイナンバー法におきましては、通知カードによるマイナンバーの通知義務が市区町村に課せられております。

 しかしながら、市区町村の事務の軽減等の観点から、総務省令におきまして、通知カードの作成、発送に係る業務につきましては、市区町村が地方公共団体情報システム機構、J―LISに委任できるといたしているところでございまして、その結果、全ての市区町村で委任がされているところでございます。

 こうしたことから、このJ―LISが通知カードを作成、発送するためには、必要な情報をまず市区町村がJ―LISに通知する必要がございます。

 四街道市におきましては、今御指摘がございましたように、一部住民の方、二十二世帯五十人分と聞いておりますけれども、いわゆる外字登録に何らかの問題があり正しく登録できていなかった、あるいは、登録されていたかもしれないが外字データが何らかの理由により壊れていた、こうしたことによりまして、結果といたしまして、四街道市よりJ―LISに対して正しい住民情報が通知できていなかった。

 この結果、通知カード作成のもととなる正確な情報の送信がおくれましたことから、この四街道市におきます通知カードの初回配達のおくれとなったものでございまして、当初、全国最後の十二月二十日の配達完了の予定でございましたけれども、国立印刷局あるいは日本郵便など関係者の御努力によりまして、御指摘ございましたように、十二月十三日に初回配達を完了させることができたところでございます。

 そのほかにも、自治体の事務処理等のミスによりまして、例えば、ただいま申し上げましたように、自治体よりJ―LISに送付先情報を送信いたしました後には、通信抑止ということで、いろいろな住基データの異動等を送ってはいけない、こういうルールにしておったわけでございますが、過って機構宛てに送信したといったような事例が全国で数カ所ございました。そういったようなものにつきまして、通知カードの作成がおくれ、カードの配達が遅くなったという事例がございます。

 より徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 そもそも、J―LISに渡すのが十月のたしか上旬という予定で、しかし、配達は十一月中に終えるということで、結構、五千六百万データでしたか、それだけのデータを打ち出して配達するにしては、どうも期間が素人目に見て短いというふうに感じます。

 そもそも、こういうスケジュール自体に無理があったんじゃないかと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 この情報の提供及び作成等に係る過程につきましては、自治体、そしてJ―LIS、いろいろな形で相談もしながらその日程等をつくったわけでございまして、見込んでいたこととは違う特殊な事情等があらわれたことはございますけれども、おおむねそういった形では適切な期間ではなかったかなというふうに思っております。

奥野(総)委員 時間がありませんので。

 結局、現場の郵便局の職員、労使一体となって配達し終えた、そこにしわ寄せが来て非常に苦労されたというふうに伺っています。一応これで配達はほぼ終わったということで、それはもう終わったので私はこれ以上言いませんけれども、もう少し期間に猶予があってもよかったんじゃないか、こういったトラブルは当然考えられたわけですから、もう少し猶予を持ってやった方がいいんじゃなかったかということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。

 順序を変えまして、籾井会長、お越しでございます。お久しぶりでございます。また今国会もおいでいただくことになると思いますけれども、よろしくお願いします。(発言する者あり)でも、不祥事の問題は、やはりここでタイムリーにきちんとやっておく必要があると思います。

 NHKのアナウンサーが危険ドラッグを所持していたと逮捕された事件、あるいは、子会社のアイテックですか、二億円を着服した事件、不祥事が相次いでいます。

 子会社のみならず本体にまで今回不祥事が起こったわけでありますが、子会社については、昨年、これは私も伺いましたけれども、ガバナンス委員会、小林委員会の方で、この調査委員会によってこれ以上の不正はないとはっきりしたと、はっきり会長はおっしゃっていますね。これは二十七年の四月七日。

 ガバナンス委員会は、前の年の夏、二十六年の八月二十六日に、会長が五千六百万円をかけて委託した報告書が上がってきている。それからさらに半年近くたって、国会で、これでもう明らかになったから不正はないんだとはっきりと答弁をされています。その後、六月にアイテックの着服が明らかになり、また今回二億円の着服ということなんです。

 このガバナンス委員会の調査報告はきちんと役に立っているのか、この報告書が出てからこの半年間あるいは一年間一体何をやっていたのかということなんですが、今回本体までも不祥事が起きてしまったわけですね。このあたりの責任について、会長、どうお考えでしょうか。

籾井参考人 NHKの信頼を損ねる事態が起きて、視聴者、関係者の皆さんに多大な御迷惑をおかけしていること、深くおわび申し上げたいと思います。

 子会社のNHKアイテックの社員による不祥事は、許しがたい犯罪的な不正であり、極めて残念に思っております。着服を六年間続けていた事案であり、NHKとしても徹底的に調査を行った上で厳正に対処したいというふうに思っております。

 アナウンサーが危険ドラッグを所持して逮捕されたということにつきましては、これはコンプライアンス以前に社会人としての常識の問題であり、事実関係を調べた上で厳正に対処していきたいと思っております。NHK職員としての自覚を全職員に強く求めていきたいというふうに思っております。

 小林委員会につきましては、今委員御指摘のとおり、昨年の夏に鋭意調査をしていただきました。そのときは、NHKの関連団体十七団体に対し網羅的に、緊急に行ったものであります。この調査で、共通する内部統制上の問題、各社固有の内部統制上の不備など、構造的な問題についてガバナンス調査委員会から具体的な御指摘をいただきました。

 このときの調査の過程で今回の事案について見抜くまでに至らなかったことは、そのとおりでございます。これにつきましては、大変残念に思っております。

 当時の調査で見抜けなかった点を十分に踏まえつつ、現在、根本原因の究明を進めておるところであり、しっかりとした再発防止につなげたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 今、昨年とおっしゃいましたが、これは一昨年なんですね。一昨年の夏に小林委員会の報告書が出ている。

 その後さらに、関連団体ガバナンス向上プロジェクトといって、子会社に入って全部中身を精査したはずなんですね。会長はとにかく答弁でもう全て大丈夫だとおっしゃったその後に、昨年六月にアイテックの第一弾が出たんです。そこでも再び精査するとおっしゃって、また見抜けなくて、この二億円の話が出ているわけです。

 アイテックについてはもうこれ以上ないということでよろしいですね。これ以上出てこない、これ以上不祥事はないということでよろしいでしょうか。

籾井参考人 昨年、小林委員会でいろいろ調査しました時点におきましてはこれが発見できなかったわけですが、実はこの事案は六年前から続いている案件でございまして、やはりいろいろ伝票を処理する、チェックするという段階では発見できなかったわけでございます。

 これについては、委員御指摘ありましたけれども、私としてもまことに申しわけなく思いますけれども、同時に、やはりそれぐらい巧妙にやっていたということで、これについては非常に残念に思っております。

 今後のことにつきましては、これは私がここでありませんと断言するわけにはまいりませんで、我々としましても、再発防止に向かって、いわゆる仕組みをいろいろつくっていくということから、実践的に、実際に、例えばお金が出ていくまでのチェックを厳格に、もっともっと厳格にやる。例えば、各社それぞれ、お金を出すときにはどういう過程で誰が照査して、最終的に誰が承認するんだという過程をもっと具体的に明確にしたいと思っております。

 出金伝票といいましょうか、支払い伝票のところできっちり押さえることで、私はかなり可能性が少なくなってくるのではないかというふうに考えております。

奥野(総)委員 ここに小林委員会の報告書、私が予算委員会で質問をして、その結果黒塗りが外れたものをいただいていますが、これを読むと、そんなことはとっくに書かれているわけですよ。子会社の内部統制ができていない、特にお金の管理ができていないということは、ここにちゃんと一昨年に書かれているわけです。今、会長、改めて気づいたようにおっしゃるけれども、民間企業として当たり前のことが子会社でできていないんだとこの五千六百万円をかけて一昨年にできた報告書に書かれている。

 しかも、去年の春の国会で、会長、これについてどのように使うんですか、五千六百万もかけたんだからどのように使うんですかとみんな何度も聞いたわけです。それに対して会長は、もう大丈夫だ、これで不正は一切なくなったんだ、こう答えておられるわけですね。

 これを受けて、では何もしてこなかったのかと改めて問いたいんです。今おっしゃっていることは、自分で、この報告書を受けてこの一年半何もしてこなかったと言っているに等しいんですよ。いかがですか。

今井参考人 お答え申し上げます。

 ガバナンス調査委員会後、どのようなことにコンプライアンス確保のために取り組んできたかというお尋ねだと思います。

 ガバナンス調査委員会の報告を受けまして、NHKは十五の関連団体の中の内部監査体制がございます、ここにさらにNHK内部監査連絡会を設けまして、さまざまな研修や情報交換などを行いましてレベルアップに努めているところでございます。

 また、NHKの主導のもとで、関連団体のガバナンス強化、あるいは内部統制体制の整備、コンプライアンスの徹底等に努めてきたところでございます。

 また、子会社等におきましても、取締役会の機能を強化するために取締役会付議の基準を拡充する、あるいは監査の有効性を高めるために監査役監査規程を整備する等々取り組んできたところでございます。

 しかしながら、今回の事案を防ぐことができなかった、あるいは発見することができなかったのは委員御指摘のとおりでございます。

 今、調査チームでは、どうしてこの問題が見抜けなかったのかということも含めまして、あるいは同種の事案がほかにないのかということも含めまして調査を継続しているところでございまして、まだ確定的な見解にまでは至っておりませんが……(奥野(総)委員「もういいです」と呼ぶ)調査をさらに継続しているという段階でございます。

奥野(総)委員 いや、今のは全然答えていなくて、会長はお金の流れをしっかり洗えばこういうことは起きないんじゃないかとおっしゃっているんですが、これはもう当たり前のことですよね。民間企業で金の流れをチェックしていないところなんかないわけです。これはこの小林報告書の中できちんと言っている。

 一年半も前に指摘を受けていて、今後不正はないんだと断言して、にもかかわらずこれが出てきている。今あたかも新しいことのように、お金の流れをチェックすればとおっしゃっているんですが、では、これを受けて何もしてこなかったんですか。今の答弁もそれについては触れていないわけです、監査体制と言っているだけで。そこについてもう一度、会長として、これを受けて何をしてきたんですかということ。

 それからもう一つ、ガバナンスという意味では、例の土地取引の関係ですが、こっちはNBCですね、NBCの関係。これは監査委員の報告書が出ていますが、買い受け申込書を提出したということなんです。これは、買い受け申込書はNBCが出しているはずなんですが、NBCとして意思決定をちゃんと取締役会を開いてやったんですか。こんな重要案件について、NBCは取締役会を開いて当然やったんでしょうね、ガバナンスとして。いかがですか。

籾井参考人 小林委員会の後、我々としましては、もう一度各社の体制についてチェックをいたしました。

 残念ながら、個々の伝票を一つ一つやったわけではないので、そのときは、六年前に始まった横領が発見できなかったということは本当に申しわけなく、残念に思っているわけでございます。

 ただ、今まで民間では当然のことだというふうにおっしゃっておりますが、私も全くそのとおりだというふうに思いますので、ここはひとつ、言葉ではなくて、本当の意味での実務的な段階において具体的に、要するに入金伝票をチェックしていこうということ、これがやはり一番、物すごく俗っぽいと思われるかもしれませんが、やはりこれに尽きるということであります。

 それからまた、あと、我々としましては、関連企業との間のなれ合いということもあるかもしれないし、こういうふうなことに対してやはり緊張ある関係を築いていきたいというふうに思っております。

 それから、グループ会社のいわゆる機能、これをもう一度再精査し、その中に、十七に上る関連団体があるということはやはり多過ぎるのではないかということも考えられますし、これをどういうふうに整理していくかということも今後やっていきたいというふうに思っております。

 それから、土地の問題でございますけれども、これは単に我々が優先交渉権を得たというところまででありまして、実は本当に、実務的にどんどん先に進むというのは、それから先の手続を経て進むことになっていたわけですが、十二月八日に新聞報道で、あたかも我々が落札したような、それから手続を欠いたような、そういう報道がなされて、大体、関係者に対して大いなる混乱を来した。

 そういう意味におきまして、我々が説明しても、なかなかそれが素直に受け取っていただかなかったというのが事実でありまして、したがいまして、我々としましては、そこで、そこから先具体的な取引に入っていく手続には入らないという決断をしたわけでございます。

 したがって、門の手前でストップしたということでございますので、我々としましては、具体的なことに入っていっておりませんし、監査委員会からも、何一つ手続並びに法的瑕疵はないということを委員会報告でいただいております。

奥野(総)委員 今の話は二つ問題があって、一つは、お金をチェックするのは当たり前のことだ、私もそう思います。それはそうでしょうが、そもそも、これはなぜこのガバナンス委員会が開かれたかといえば、もともと不祥事があって、それに向けての答えだったわけですね。その不祥事があったのは、さらに、この報告書が始まる、正確な時期はわかりませんけれども、少なくとも二年近く前には不祥事があって、会長が就任されて、この一年半何をしていたんですか。

 今初めて気づいたように言われても困るんですよ、こんな不祥事が起きてから。なぜチェックできなかったのか、ここをしっかり指摘しておきたい。それは私は会長の責任だと思います、この二年放置したことは。

 それからもう一点。今のNBCの話は、NHK本体じゃなくて、子会社のガバナンスの話について伺っているわけです。子会社のガバナンスとして、当然この申込書を出すにおいては取締役会を開いているんでしょうねという質問ですが、それについて最後にお答えいただいて、終わりにしたいと思います。

遠山委員長 時間が超過しておりますので、簡潔な御答弁をお願いします。

籾井参考人 土地の問題につきましては、手続に入る前に、我々はそこでストップしておりますので、我々も関連企業も、手続上何のそごもないというふうに理解しております。

 それから、不祥事につきましては、再発防止策をきちんと立て、実行していくことが何より重要であり、我々としましては、万全を期してまいりたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 以上で終わりたいと思いますが、手続上瑕疵がないということは、子会社においてきちんと意思決定をしているという理解でよろしいですね。

籾井参考人 何度も申しておりますように、手続には一切入っておりません。

奥野(総)委員 終わりにしたいと思いますが、申込書を出したということは手続に入ったということだということを指摘して、終わりたいと思います。

遠山委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井崇志でございます。

 先ほど奥野委員からも発言がありましたけれども、私も、この総務委員会がしばらく開かれていない。ちょっと調べたら、八月の二十七日に最後に質疑して以来、実に四カ月半開かれていないわけでございます。これはやはり、臨時国会を開かれなかったという大きな弊害だ。

 この総務委員会は、国民生活に大変密着したさまざまな、きょうも質問しますけれども、マイナンバーの問題でありますとか、あるいは、年金機構の情報漏えい問題があったときも、私は、地方自治体のセキュリティーは本当に大丈夫なのかということを聞きたかったんですけれども、なかなか総務委員会は開かれなかった。

 八月二十七日が最後なんですけれども、その前を見ると、今度はさらに三カ月前の五月二十八日に開かれて以来開かれていないということでございまして、ぜひ、今国会はこういうことがないように、総務省におかれましても説明をお願いしたいと思います。また、これは国会の中の話でもあります。ぜひ、委員長そして与野党の両筆頭理事には、しっかりとこの総務委員会の質疑、充実させていただきたいということをまず冒頭申し上げたいと思います。

 その上で、きょうは地方交付税の話が本題なんですが、今言った事情で、私も、四カ月半聞くに聞けなかったわけでございますので、幾つか重要な問題をまず聞かせていただきたいというふうに思っております。

 一つは、やはり今、もう国民的関心事になっておりますマイナンバーでございます。

 私は、マイナンバーというのは非常に必要な制度で推進していこうという立場でございますけれども、今回の配達のおくれ、混乱、ある意味、そのことによって国民の皆さんに結構マイナンバーという制度が知らしめられたという、ちょっと皮肉な面もございます。

 そういう面でいうと、せっかくいい制度なんだけれども、少しその負の側面というかトラブルの面が目立ってしまったというふうに思っておりまして、これについては、私は、十二月の三日に、総務委員会は閉会中審査はなかったんですけれども、内閣農水合同審査会がありましたので、総務大臣には別の委員会なので来ていただけませんでしたから、松下副大臣にお越しをいただいて、質問させていただきました。

 私から申し上げたのは、やはり今回のマイナンバーのスケジュールに無理があったのではないかと。

 先ほど奥野委員からも御指摘がありましたけれども、私は、郵便局は実によく頑張ったというふうに思います。もともと、簡易書留五千七百万通を一カ月で配るというのは相当無理な話で、郵便局は年間で約二億通の簡易書留を扱うわけでありますけれども、その約三割近くをたった一カ月で配達する。しかも、誤配が一通でもあれば幹部が謝罪会見をするという事態になって、配達員の皆さんはより慎重にならざるを得なかっただろうし、そしてまた、お歳暮と年賀状の時期に重なるということ。また、現場の話を聞くと、非常に文字のポイントが小さくて、たった七ポイントという文字で書かれていた。これが、もうこの時期ですから、夜暗くなりますと読むのも本当に苦労されたということで、現場の郵便局は本当に大変だったと思います。

 もともとこうしたスケジュールに無理があったのではないかというふうに思っております。しかし、私は、郵便局はよく頑張って配達をしたというふうに思っておりますが、総務大臣にこの点についてまずお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 まず、通知カードはマイナンバー法の施行日以降に順次配達されるものでございますけれども、その施行日、昨年の十月五日というものにつきましては、これは内閣府所管の施行日政令によって定められたものでございます。

 なぜ十月五日にしたか。その後、年末までには配達をしていただかなければならないわけでございますが、その理由に関しましては、やはり、税分野を初めマイナンバーの利用が始まる平成二十八年、ことしの一月までに余り間隔を置かないようにする方が適当だ、おおむね三カ月という見方。それから、転居、転入が多い時期を避けるべきだということ。それから、やはり、マイナンバー制度の導入に当たって、市区町村におけるシステム整備ですとか運用テストに要する期間を考慮する必要があったという理由だと伺っております。

 そして、委員がおっしゃっていただいたとおり、日本郵便の皆様には、約五千七百万通というかつてない規模の事業である通知カードの郵送について、本当にタイトなスケジュールで、また年末の年賀状やお歳暮の対応などの繁忙期と重なる中で、夜間、休日返上で作業に当たっていただきました。このおかげで年内に初回の配達を終えることができたということで、心から感謝を申し上げております。

 先ほど、文字が小さいということで御指摘がございましたけれども、私も、この宛名の文字、小さいなと思いました。特に夜間、在宅率の高い時間帯の配達の中でミスが起きるという一つの原因にもなったかと存じます。

 これは、外国人も含めた全ての住民の皆様にこのカードを送付できるようにということで、各市区町村の既存の住基システム上、登録可能な最大文字数を踏まえて、住所について二百文字、氏名については百文字の印字が可能となるように、文字の大きさを設定したということでございました。

 しかし、今後も、新たに生まれてくるお子さん、それから国外からの転入者などに対しまして通知カードを送付していくわけでございますので、その改善に向けて、J―LISや国立印刷局と協議をしてまいりたいと存じます。

高井委員 かなり細かい点まで御答弁ありがとうございます。本当に、ぜひ改善をしていただけるようにお願いをしたいと思います。

 私は、マイナンバーは非常に重要だと思っておりますので、少しその負の側面が強調された分、これからぜひそのイメージを取り返していただきたい。後で時間があれば質問しますけれども、ワンカード化、大臣が、年頭の仕事始めのときですか、職員に対して指示をしたと聞いておりますけれども、そういったこともぜひ進めていただきたいと思います。

 ただ、幾つか、このマイナンバーではほかにも問題がございまして、実は、東京都の葛飾区では五千世帯の分がそっくり抜けてしまっていた。これは実は、郵便局が気づいて、葛飾の郵便局が五千世帯もないけれどもどうなっているんだというふうに問い合わせがあって、そして、総務省なり地方公共団体情報システム機構、略称J―LISと呼ばれていますが、J―LISが対応したというふうに聞いております。

 ただ、その原因は、結局、J―LISのシステム故障だというふうに新聞などにも報道されていますが、なかなかその詳細が明らかになっていません。セキュリティー上もあってJ―LISは公表できないというふうに答えているようでありますけれども、総務省として、この原因はしっかり把握されているのか。そして、把握されているのであれば、ぜひその原因も教えていただきたいと思います。

古賀大臣政務官 今、高井委員から御質問のありました葛飾区の事案でございますが、御指摘のように、J―LISにおいて、葛飾区の一部エリアの通知カード約五千通が未作成となっていた原因につきましては、葛飾区から媒体で持ち込まれた通知カードを作成、送付するための情報をJ―LISにおいて処理する段階で、システム運用中にデータの取り込み処理が途中で停止して、その結果、約五千件のデータ処理がされなかったということでございます。

 このデータ取り込み処理が途中で停止した原因について、J―LISから報告を受けているところでありますが、J―LISのシステム運用上のセキュリティーの問題及び地方共同団体という性格を考慮して、総務省として、詳細についてお答えは差し控えさせていただきたいと考えております。

 なお、この媒体でのデータの持ち込み及び取り込みについては、マイナンバー法施行時においてのみ行うものでございまして、以後、葛飾区のような事案は生じ得ないものと認識しております。

 しかしながら、この事案を踏まえまして、J―LISに対して、マイナンバーに関する情報処理システムの再点検について改めて要請をしたところでございます。

高井委員 確かに、J―LISは地方自治体の統合した運営でやっているわけですけれども、しかし、このマイナンバーは、まさに国が責任を持って進めている制度であります。そして、それを運営している、根幹をなしているのがJ―LISでありますから、ぜひそこはしっかりと私は国会の場であれば御答弁いただきたいなと思いますが、時間がありませんので、この件についてはまた引き続きということにさせていただきます。

 ただ、このJ―LISがそれではどうなのかということを少し質問したいと思うんです。

 実は、このJ―LISという組織は、住基ネットについても運営をしてきた。そして、住基ネットのシステムと今回のマイナンバーのシステム、これを受注している企業というのが極めて似通っている。

 今回のマイナンバーシステムのメーンのシステムを受注している会社は五社です。これは五社のコンソーシアムによって行われていますが、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、NEC、富士通、日立という、まさに大手ITベンダー五社が、五社そろってコンソーシアムを組んで入札に応じて、もうほかに敵はありません、一者入札で決まったという経緯であります。さらに、住基ネットのときは、日立は入っていなかった四社で行われてきたということでございます。

 事務方で結構でございますのでお答えいただきたいんですが、J―LISの職員の数、このうち総務省出身の方の数、それから民間企業から出向されている方の数、そして、今申し上げたマイナンバーシステムを受注した五社からの出向者の数、それぞれお答えください。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体情報システム機構の常勤職員数でございます。平成二十八年一月一日現在で申し上げますと、役員五名、職員百七十八名、合計百八十三名でございます。このうち、総務省関係者は十八名、民間事業者からの出向者は三十八名、そのうち、御指摘のございましたマイナンバーシステム受注の五社からの出向者は二十五名でございます。

高井委員 今の数字でいきますと、約二割が民間企業からの出向者であり、そのうち大半がこの五社から占められており、また、総務省からも十八名ですから約一割が出向されているというのがこのJ―LISであります。

 それでは、もう一つ聞きたいんですが、マイナンバーの今回もろもろかかった予算総額と住基ネットにかかった予算総額、それぞれ、初期投資分幾ら、それから毎年の運営費幾らか、お答えください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバー制度の導入に伴うもろもろの初期費用につきましては、現時点で、総額おおむね三千二百億円程度を見込んでございます。

 具体的には、システム関係の経費といたしまして、マイナンバー制度の導入に伴い新規に必要な付番システム等のシステム整備費といたしまして約二百七十四億、国や地方公共団体の既存システムの改修費用として約二千六百億、それから、個人番号、法人番号の通知費用として約二百八十九億、それから、内閣官房、内閣府における政府広報やコールセンターの運営経費などの広報関係費用といたしまして、現時点で把握している分として二十二億円を見込んでいるところでございます。

 また、マイナンバー制度の導入に当たって、新規に構築する情報提供ネットワークシステム、マイナポータル及び個人情報保護委員会システムの維持、運用に係る費用につきましては、現時点では、平成二十七年度から平成三十一年度までの五年間で、単純な保守、運用経費にデータセンターや機器の借料、通信回線の費用等も加え、総額約四百十億円を見込んでいるところでございます。

稲山政府参考人 住基ネット分をお答えさせていただきます。

 住基ネットの初期投資額の合計でございます。これは平成十一年度から十五年度でございますけれども、約三百九十億円でございます。

 これまでの運用経費の合計額でございますが、これは平成十一年度から本年度までの合計でございますが、約二千百七十億円でございまして、足し合わせますと総額二千五百六十億円でございます。

 これは、地方財政措置ベースでお答えをさせていただいたものでございます。

高井委員 かなりの高額な金額が投資をされているわけでありますが、これ以外にも、いろいろな地方自治体や民間企業への波及効果なども合わせると、経団連の試算ではマイナンバーは三兆円の市場になるとも言われ、ITベンダー企業は空前のマイナンバー特需などとも言われているわけでありますが、これだけのマイナンバーシステムを先ほど申し上げたITベンダー大手五社に発注をしているということについては、これは問題はないんでしょうか。

古賀大臣政務官 今御質問がありました、マイナンバー制度の導入に伴い新たに整備することとなりました情報提供ネットワークシステムでありますが、御指摘のように、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、富士通、日本電気、日立製作所の五社から成るコンソーシアムが、共同提案により落札し、開発、構築を担っております。

 大規模または高度な技術者の配置等を必要とする案件におきましては、共同提案による入札参加を認めることが一般的ということでありまして、本件においても、適正な競争入札の結果、瑕疵なく落札したことから、この五社コンソーシアムが開発、構築することになったと認識しているところであります。

 なお、この五社がコンソーシアムを組んだ真意については承知をしていないところであります。

 また、この五社のコンソーシアムが受注したことの評価についてでありますけれども、情報提供ネットワークシステムについては多くの機関が接続することから、それぞれの接続機関のシステムの事情に精通したこの五社がそれぞれの強みを生かして協力することにより、円滑なシステム構築が可能になっていくものと考えております。

 さらに、今回の調達案件を通じまして、五社のノウハウが互いに共有されることによって、今後、政府調達がより開放的になるものと期待しているところであります。

高井委員 よさばかり強調されましたけれども、恐らくデメリットもあるんじゃないかと思います。

 それでは、きょう、公正取引委員会にも来ていただいていますので、こういったケース、まさにガリバーというか、大手ベンダー五社が占めているわけです。これは確かに、入札の手続上問題ないのかもしれませんが、結果として、これだけの市場支配力のある企業が供給をしているというケースは、これは談合に当たる可能性があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 ただいま、委員から、個別の事案に関してのお尋ねがございました。

 公正取引委員会は、独占禁止法の違反につながる情報に接しました場合には、同法に基づきまして適切に対処してきているところでございますけれども、ただいま個別の事案についてのお尋ねでございましたので、具体的なお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

高井委員 個別じゃなくても結構ですが、では、一般論として、そういう市場支配力のある五社が、結果としてそのシェアが例えば八割から九割を占めるというようなケースで、一者のコンソーシアムをつくって、建設会社でもいいですよ。例えば、今回、新国立競技場でいえば、大成建設グループと竹中、清水、大林組で争ったからいいわけですけれども、では、この大成建設もここに入って一者でコンソーシアムを組んで出してきたら、それは問題にはならないんですか。

 今のも具体例を言ってしまったので、一般論でお答えください。

山田政府参考人 お答えいたします。

 一般論ということで申し上げますと、独占禁止法では、事業者が相互に事業活動を拘束することによりまして、一定の取引分野における競争を実質的に制限するということになりますと、不当な取引制限として、独占禁止法上問題となります。

 個別の具体的な事案がそれに当たるかどうかという点につきましては、恐縮でございますけれども、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

高井委員 この問題は、マイナンバーに限らず、今、地方自治体で、これは内閣委員会で私は何度も取り上げているんですが、地方自治体の発注においてもこの大手五社が影響力を行使しているのではないかと思われるケースもあったり、あるいは、地方自治体のシステム、これをクラウド化すればもっともっと安く削減できるという政府の取り組みが阻害されるおそれがあるのではないかという事例もありますので、これについては、引き続きこの総務委員会でも取り上げさせていただきたいと思います。

 大分時間がなくなってきましたが、もう一つだけ聞きたいことがあります。それは、ゆうちょ、かんぽの限度額の見直しについてでございます。

 これは、十二月の二十五日に郵政民営化委員会の所見というものが出て、ゆうちょについては一千三百万、かんぽについては二千万。変更になったということについては、ごく一部でありますが評価いたしますが、しかし、もともと、自民党の皆さんも、郵政事業に関する特命委員会では、全然不十分だ、さらなる引き上げが必要だというふうに会ではおっしゃったと言われていますし、また、民主党の郵政議員連盟では総務省に対して撤廃を申し入れたというふうに聞いています。

 きょう、たまたまですけれども、郵便局長さんの新年会で自民党の谷垣幹事長それから公明党の井上幹事長が挨拶されておりましたけれども、まだまだ不十分だ、引き続きの見直しを求めるというふうにおっしゃっておりましたが、これについて総務大臣のお考えをお聞かせください。

高市国務大臣 私自身も以前から、とりわけゆうちょ銀行の限度額につきましては、高齢化が進行している地域ですとか過疎が著しく進行している地域において、徒歩圏内に郵便局以外ないといったところも散見できますことから、どうしても引き上げに向けた取り組みをしていただくことが住民に対する利便性確保のために必要だといったことは申し上げてまいりました。

 この郵政民営化委員会の所見では、郵政民営化の進捗に応じて段階的に緩和していくべきとした上で、特にゆうちょ銀行の預入限度額については、民営化後初の緩和であることなどから、まずは引き上げ額を三百万円程度とすること、特段の問題が生じないと確認できれば、必ずしも株式処分のタイミングにとらわれることなく、段階的に規制緩和することが妥当であると提起されています。

 この引き上げが実現しますと、ゆうちょ銀行に関しては二十五年ぶり、かんぽ生命保険については三十年ぶりの引き上げでございますので、まずは第一歩だと思っております。

 今後のさらなる引き上げについても、所見を踏まえて、同業他社との間の競争関係ですとか金融二社の経営状況に与える影響などを見きわめながら、利用者利便の向上に資するように、適切に対応してまいりたいと思っております。

高井委員 郵政民営化委員会でも一年後の見直しと言っておりますし、そもそも、郵政民営化法では郵政民営化委員会の意見を聴取するとはなっていますけれども、決めるのは大臣でございますので、これについては、まさに与野党ともにそういった強い声があるということでございますので、ぜひ前向きに考えていただきたいと思います。

 もう時間がなくなってしまいましたので、大変残念でありますけれども、質問を終わらせていただきます。

遠山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、自治体の子供の医療費助成制度とペナルティー問題について質問をします。

 この件については、さきの国会でもたびたび取り上げてまいりました。全国四十七都道府県を初め、多くの自治体が医療費助成制度を実施し、全国市長会はナショナルミニマムとして国が全国一律の無料化を行うべきだと要求していることについても指摘をしました。だからこそ、国民健康保険の国庫負担減額、いわゆるペナルティーについては行わないこと、そして、国の交付金を活用した分については、国民健康保険の事務費負担金等の交付額等の算定に関する省令に基づいて、減額してはならないと私は主張してまいりました。

 そこで、伺います。

 地域活性化交付金を活用して子供医療費助成制度を行った自治体数、それから事業額について説明してください。

末宗政府参考人 地方創生先行型交付金の基礎交付分のうち、子供医療費助成につきましては、交付決定ベースで申し上げますと、七十四の市町村におきまして、合計十三億円となっております。

田村(貴)委員 厚生労働省は、昨年の十二月十五日、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金を活用した地方単独事業による医療費助成の取り扱いについてと題する通知を地方自治体に発しました。これについても簡単に説明をしてください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘の通知でございますけれども、地方単独の医療費助成につきまして、地方創生先行型交付金の交付を受けまして、年齢要件や所得要件を緩和するなど対象者の拡大を行った場合等につきまして明らかにしたものでございまして、その通知では、その拡大分については減額調整措置の対象にしない旨をお示ししているところでございます。

田村(貴)委員 要するに、地域活性化交付金を使って新規で助成をする場合、あるいは上乗せで拡充する場合はペナルティーはかけない、調整はしないということでよろしいんでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘になりました、地方創生先行型交付金の交付を受けまして、新たに乳幼児等に対しまして地方単独の医療費助成を行った場合には、その事業の範囲内については減額調整の措置の対象にならないということでございますし、また、市町村が既に行っております医療費助成の年齢要件や所得要件を緩和するなど対象者の拡大を行った場合には、その拡大分につきまして減額調整措置の対象にはしないという扱いでございます。

田村(貴)委員 もう一つ。

 従来の助成措置の財源をそのままこの交付金に置きかえて実施した場合も、調整は適用外ということでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 地方創生先行型交付金につきましては、基本的には新規事業に充当されるものだというふうに聞いておりますけれども、議員御指摘のように、仮に市町村が既に実施していた子供の医療費助成事業につきまして、地方創生先行型交付金の交付を受けまして実施した場合には、その事業の範囲内につきましては減額調整措置の対象にはならない扱いになります。

田村(貴)委員 医療費助成制度は、子供医療以外に、障害者医療、あるいは一人親世帯医療、いろいろあると思うんですけれども、もし自治体がこれらの助成制度を活用した場合、考え方は同じということでよろしいんでしょうか。国費を充てたということでは調整はしないということでよろしいんでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘になりました、子供以外にも、例えば重度心身障害者や一人親世帯などにつきまして、この交付金の交付を受けまして新たに地方単独の医療費助成を行った場合につきましても、その事業の範囲につきましては減額調整措置の対象にはならない扱いになります。

田村(貴)委員 確認できました。

 医療費助成制度について、国がなぜ調整したりペナルティーをかけてくるのかといえば、それは、医療費の負担増が起こり、ほかの自治体との間に不均衡を生むという理由でありました。では、国費を充てた場合に、不均衡を生んだり、あるいは波及増が起こらないということなんですか。違いますよね。一緒じゃないですか。だから、これは論理の矛盾なんです。自治体の独自分についてはペナルティーをかける、国費分については調整の対象外、これはおかしいと思います。

 子供医療のあり方については、今政府内で検討されているということでありますけれども、この際、子供医療、障害者医療初め自治体の医療費助成に対しては国庫負担の減額措置をとらないことを強く要求するものであります。

 次に、地方交付税の一部改正案に関連して、二点尋ねたいと思います。

 一つは、公立学校の施設整備費についてであります。

 学校の耐震化、老朽化、エアコンの設置、トイレの改修などについて欠かせぬ国庫補助事業が公立学校施設整備費であります。

 私は、福岡県のある自治体関係者から、市長がエアコンの設置を決めたんだけれども、国に学校施設環境改善交付金の申請をしたら認められずに設置ができないという悩ましいお話を伺いました。文部科学省の担当に伺いますと、財源が確保されずに自治体の要望に応えられない、二〇一四年度ぐらいからとりわけ厳しくなっているとのことでありました。

 どのぐらい採択されていないのか。昨年九月二日、衆議院文部科学委員会で、我が党の大平喜信議員の質問に対して文部科学省は、未採択となった事業件数は今年度、二〇一五年度で二千件、二千事業ある、その中で、エアコンが千二百、トイレが七百、調理場整備が八十であると答弁をされています。これはすごい数であります。学校と自治体は今大変困っているという状況であります。

 お手元配付の資料は、公立学校施設整備費の予算額の推移であります。予算額全体に占める当初予算の割合は、この二十年間で三分の一までに削減されています。それは、義務的経費を除く裁量的経費が年度ごとに減らされてきているからであります。そして、その不足分を補正予算で措置するというやり方が常態化しています。

 ここ十年間は、グラフのとおり、学校耐震化が進み、二〇一五年度までに学校耐震化を基本的にやり上げるということで、復興特別会計からも、この赤のグラフです、予算に充てられてきました。それでも、概算要求費では、資料の二枚目に記していますように、二〇一四年度、平成二十六年度で約六割、それから二〇一五年度、平成二十七年度では約七割にすぎないという状況です。そして、来年度では三割にすぎないという状況にあります。

 そして、来年度は復興特会による耐震化事業への予算措置は廃止されます。七百九億円の当初予算政府案に二〇一五年度の補正額三百八十八億円を足したとしても一千九十七億円、これは資料の二枚目、平成二十八年度の(b)というところに書いてありますけれども、概算要求の二千八十九億円の約半分しかない。それしか確保されていないということであります。

 文部科学省にお尋ねします。

 学校の耐震化は全国的にまだ残されています。それから、校舎の補修など施設整備は子供たちが学校生活を送る上で欠くことのできないものであります。この状況は危機的状況と考えますけれども、いかがですか。学校、自治体の要求に応えていないこの状況をこれからどうやって打開されていくのか、教えていただきたいと思います。

堂故大臣政務官 お答えします。

 学校施設は、子供たちの学習、生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所にもなる施設であり、また、地域コミュニティーの拠点ともなる極めて重要な施設であります。

 御指摘の公立小中学校の耐震化については、平成二十七年度当初予算の執行後、約九八%まで進捗する予定であり、おおむね完了する見込みであります。対策未了の施設についても、今後適切に対応してまいりたいと思います。

 引き続き、大変厳しい財政状況ではありますが、耐震化や空調設置など、公立学校の施設整備にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

田村(貴)委員 しっかり取り組むためには、必要な予算が確保されなければならないんですよね。それはしっかりと財務省に要求してもらわなければいけないんです。

 下村前文科大臣は、昨年の文科委員会でこう答弁されています。地方公共団体の要望を踏まえ、二千八十九億円を要求したところであり、この要求額を確保できるようしっかり取り組んでいきたい。つまり、自治体が必要と判断した事業の積み上げ額が二千八十九億円ということなんです。これに対して、当初予算額は政府予算案七百九億円で、遠く及ばないんですよ。

 財務省にお伺いしたいと思います。

 なぜ当初予算で必要額を計上しないんですか。自治体の要望に応えていない現状をどう考えているんですか。子供たちの学びやにおいて緊急かつ重要な要望がかなえられていない、この現状をどう考えるのか、御所見を聞かせていただきたいと思います。

大岡大臣政務官 田村先生にお答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、学校施設は、子供たちの学習とそれから生活の場であるとともに、災害時には多くの避難の方々の避難場所になりますことから、安全性の確保は極めて重要だというふうに思っております。

 先ほど堂故政務官から御答弁ありましたとおり、公立学校の耐震化を進めてきておりまして、今年度終了時点では耐震化率は九八%に至る見込みとなっております。

 あわせて、現在御審議いただいております平成二十七年度補正予算におきましては、校舎だとかつり天井と言われる非構造部材、こちらの耐震化、それから災害対策用のトイレということで、三百八十八億円の予算をお願いしているところでございます。

 こうした中で、平成二十八年度予算でございますが、限られた財源の中で、子供たちの安全に関することでございますのでできる限りの予算措置をしたところでございまして、先生からお示しいただいた資料をおかりして御説明をさせていただきますと、二十七年度当初六百四十五億円から二十八年度は七百九億円でお願いをしておりますし、また、補正予算も含めましても、二十六年度補正プラス二十七年度当初と、今回お願いしております二十七年度補正プラス二十八年度当初で比べましても、いずれも増額でお願いをしております。

 全体のパイが少なく見えておりますことにつきましては、これは先ほど先生からも御指摘のありました復興特会の全国防災事業が期限切れを迎えたことに伴う減額でございまして、この点につきましては御理解をいただきたいと思います。

 いずれにしましても、今後とも、子供たちの安全、安心のためにも、限られた財源の中でできる限りの対応を、また地方自治体とも協議を進めながら進めてまいることとしたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

田村(貴)委員 耐震化事業は収束の方向にあるんですけれども、やはり新しく予算化していくものもふえてくるわけです。

 例えば、学校のエアコン、冷房です。普通教室で既に三〇%を超える状況にあります。私は九州ですけれども、九州市議会議長会は、気候の高温化は、特に空調施設のない学校施設で教育を受ける子供たちにとって、その学習環境を非常に厳しく過酷なものにしていると思われるとし、国に対して補助事業の充実等を求めているわけであります。

 自治体、学校からの希望額の積み上げの半分しかない。ここはしっかりと受けとめていただいて、当初予算でちゃんと措置していく、こういう方向に切りかえていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 社会福祉施設等施設整備費について質問します。

 障害者それから障害児の施設設置に国が二分の一の補助をする、この社会福祉施設整備費について、これは欠くことのできない制度であります。しかし、この整備費の予算計上のあり方も大変おかしなやり方です。当初予算で上げずに、大半を当該年度の補正で行う異常なものとなっています。

 例えば、二〇一五年度は、当初予算が二十五億六千百万円に対して、補正、今出ていますけれども、六十億四千百万円であります。なかなか補助申請しても認めてもらえないという声を九州の自治体関係者からも福祉の関係者からも聞きました。

 なぜこのような予算の計上をするんでしょうか。自治体、事業者の年度計画に合わせて予算を年度当初からつけるように転換すべきではないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 障害を有する方が地域で安心して生活を送れるよう、グループホームなどの居住の場、あるいは日中活動の場を確保することは、私どもといたしましても大変重要な施策であると考えております。

 先生御指摘の社会福祉施設等施設整備費補助金につきましては、障害福祉計画等に基づきまして各自治体が円滑に居住の場や日中活動の場等の整備を進められるように、できる限りの必要額を私ども当初予算で計上する一方で、補正予算におきましては、緊急的な対応が必要と判断するものを中心に、やはりできる限りの計上をしているところでございます。

 国の財政状況が厳しい中で、私どもといたしましては、それぞれに必要な予算の確保につきましてできる限り努力をしてございまして、平成二十八年度の当初予算案におきましては、対前年度で四十四億円増の七十億円を計上したところでございます。

 私どもといたしましては、今後とも必要な予算の確保ができるように、引き続き努めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 高市大臣、学校や社会福祉施設にやはり必要なお金が計上されていない、そして、これは国の歳出削減に地方自治体がまた追随しているというような中で、いろいろな要求が起こっています。議論をさせていただいたんですけれども、地方の一般財源を厳しく抑え込むやり方、これはやはりやめるべきじゃないかと思いますけれども、御所見を聞かせていただきたいと思います。

高市国務大臣 先ほどからの御議論を伺っておりましたけれども、やはり施設整備に真に必要な経費につきましては、これは、地方が計画的に事業を進めていただくためにも、本来でしたら当初予算に計上されるべきだと感じました。ただ、さまざまな予算調整の中で、そしてまた緊急を要する整備事業もあり、補正予算で対応しているものもあると思います。

 しかしながら、地方団体で真に必要な施設整備の経費につきましては、可能な限り地方の意見をしっかりと聞きながら、適切に必要額が措置されるべきだと考えます。

田村(貴)委員 終わります。

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 昨年九月の関東・東北豪雨被害について質問したいと思います。

 今回の災害では、八名の死者、住宅被害は二万件弱にも及ぶ大被害となりました。

 そこで確認させていただきたいと思いますが、災害救助法に基づく住宅の応急修理、これは住宅被害認定が半壊以上の世帯に対し適用され、年収要件などの問題点はありますけれども、上限五十六万七千円、被災世帯を応援するものとして活用されてきたものだと思います。これが栃木県においてはゼロになっていること、こういうことに間違いないでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございまして、災害救助法による住宅の応急修理につきましては、実施していない旨、栃木県から報告を受けております。

梅村委員 資料一にも出させていただきましたけれども、修理済み世帯で、茨城では千三百七十一、宮城でも六十九件あるのに、栃木ではゼロとなっております。

 栃木県も、全壊二十四棟、半壊二百二十五棟、床上浸水千九百六十七棟という大変甚大な被害が出ているわけで、それなのにどうして実績がゼロで、ましてや、そもそも、この表にありますけれども、修理受け付け世帯さえもゼロなのか、お聞かせいただきたいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年関東・東北豪雨災害におきましては、九月九日に栃木県は災害救助法の適用を決定いたしました。その後、栃木県におきましては、被災されました方々に対します災害救助法による救助に鋭意取り組んでいただいていたところでございまして、その実施状況につきましては、私どもといたしましても日々報告を受けていたところでございます。そして、県の方から、十月二十二日に、住宅の応急修理につきましては、その必要がない旨連絡を受けたところでございます。

 災害救助法による救助の実施主体につきましては都道府県知事でございまして、そのお立場から、県内の被災の状況をもとに、栃木県におきまして災害救助法による住宅の応急修理は不要と判断されたものと理解をいたしております。

梅村委員 県からそういう報告があったからしていないということだと思うんですけれども、実態を調べれば、余りにも冷酷だというふうに思います。安倍首相自身も被災地を直後に訪問されて、生活再建支援をしっかり進めるというふうに被災者の皆さんに約束されております。国は、自治事務ということで自治体に任せ切りになるべきではないのではないかなというふうに私は思います。

 今回、栃木県を改めて訪問させていただきました。二枚目の資料ですけれども、これは小山市の農家の方のお宅です。豊穂川という土手のすぐ下にありまして、激流が家を襲って土砂が入り込んで、寝室もめちゃめちゃ、お風呂も、これを見ていただくと、タイルが剥がれているというふうに思います。しかも、見ていただきたいのが、浸水がドアノブの上、一メートルなんですね。一メートルということになると、もうこれは大規模半壊の適用事例になってもおかしくないのではないか。

 そうなってきますと、生活再建支援法の適用も検討されるべきような事例なのではないかというふうに私は感じたんですけれども、このお宅は半壊認定にとどまっております。半壊認定で済まされるばかりか、半壊なら受けられるはずの住宅応急修理がこのお宅でも受けておられない。

 伺ってみると、支援は市の見舞金の二十万円だけで、あとは何もないというふうに悲鳴を上げられておりました。このお宅は、高齢の御両親が家を直すまでの四カ月間老人ホームに入居しなければならなくなって、それだけで百万円かかり、また、こういうものを直すのに材料費だけで四百万円かかったというふうに言っていました。こういう方々にもし住宅応急修理制度が届いていればどんなに助かったことかということで、現地に行き、大変心を痛めました。

 今からでも国として、住宅応急修理がなぜゼロなのか早急に調査をして、本来使えるべき人で使えなかった人にはふさわしい対応措置を講ずるべきではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 災害救助法によります住宅の応急修理の救助期間につきましては、一カ月というふうになっておりますが、国と協議の上、延長が可能というふうになっております。

 栃木県におきましては、国との協議の上、住宅の応急修理の期間を十月末まで延長いたしておりましたが、実際には応急修理を行うことなく、十月三十一日をもって全ての救助を終了したといった報告を受けておりまして、現時点で改めて災害救助法による救助を実施していくといったことはできないところでございます。

 なお、内閣府におきましては、今次の災害におきましても、発災直後の九月十七日に職員二名を栃木県に派遣いたしまして、県と共同で災害救助法の説明会を開催いたしまして、住宅の応急修理を初め、被災者の方々が利用可能な制度の周知を図っていくなど、被災者に対します応急救助が適切に実施されますように助言を行っております。

 また、救助期間が終了するまでの間におきましては、体制を組みまして、県や市町村からの問い合わせにも対応してまいったところでございます。

梅村委員 今の御答弁ですと、しっかりと説明した、適用できるようにいろいろな配慮を行ってきたということですけれども、私、小山市に行って何軒か被災者の方に聞いてみましたけれども、住宅の応急修理制度があることを知っている方は、私が会った限りでは一人もいらっしゃいませんでした。

 先ほどの農家の方ですけれども、市からの見舞金だけだ、ほかに制度はないですかと言ったら、紙は渡されたんですけれども、何にも説明はない。

 いろいろ調べていきますと、ある行政の方は、きょう資料の三枚目にありますけれども、避難所にいないとこの制度が適用できないと思っていたので、避難所にいる人には知らせたけれども、それ以外には知らせていないとか、二階建てのお宅には適用されないと思っていたというような回答もあるわけです。それはそんな認識では全然ないというふうに思います。

 ただ、どうしてそういうことが現場で起こっているかというと、この用紙が参考例として出されているわけですけれども、「現に、避難所、車等で避難生活を送っており、」というようなのが「全ての要件を満たす者」として必要だというふうに書かれていて、自治体の職員の皆さんはこれを見ながら対応しているので、必要な措置が被災者の人にとれていないということが一つ、いろいろ調べる中でわかってまいりました。

 そして、やはり役所の皆さんも、甚大な被害を目の前に、また、制度そのものを理解するだけでも大変なわけですから、ぜひ、内閣府、国としては、説明したから、あとは自治体でやってくれ、周知したはずだというような言葉で終わらせないでいただきたいと思うんです。

 なぜならば、被災者の皆さんは今でも苦しんで、新しい年を、まだ工事が終わらない、まだ借金を抱えている、そういった中で暮らしていらっしゃるわけですから、本来受けられるべき制度が、制度が周知されなかったために申請もせずに受けられていないわけですから、私は、これからでも必要なことを措置したり、また、まずは実態を調査すべきだ。やっているはずだではなくて、被災者の皆さんが四カ月たってどういうふうに置かれているかということをぜひ調べて検討していただきたいと思います。その点、いかがでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のあった資料に関しましても拝見いたしましたけれども、引き続き、私どもといたしまして、対自治体向けにわかりやすい説明に努めていきたいというふうに考えております。

 また、先ほど申し上げましたとおり、栃木県の方からは、応急修理を行うことなく十月三十一日をもって全ての救助を終了したといった報告を受けておりますので、災害救助法の適用につきましては現時点で改めて実施はできないということにつきましては御理解賜りたいと思います。

梅村委員 それは、理解賜りたいといっても、被災者の皆さんは知らなかったわけですから、やはりしっかりと調べて措置を考えていってほしいということを強く要望したいと思います。

 最後に、高市大臣も常総の方に行かれて、十八日の記者会見では、被災地方公共団体の実情を十分に伺いながら、特別交付税の措置を含めて、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じ、その財政運営に支障が生じないように適切に処理してまいりたいというふうに述べられております。

 今御紹介したような実態が現地ではあるわけでございます。今後、被災地の実情に応じて求められる支援を自治体が考えることがさらに必要になってくることもあろうかと思うんですけれども、その際、さまざまな経費の需要にしっかりと応えることが強く求められていると思いますが、その点、最後に伺って終わりたいと思います。

遠山委員長 時間が超過しておりますので、簡潔な御答弁でお願いします。

高市国務大臣 既に、被災地、特に栃木県につきましても、直接知事や市長さん、町長さんからも要望を大臣室で伺いまして、十二月に特別交付税を交付したところでございます。

 被災団体の実情を今後ともしっかりお伺いしながら、その財政運営に支障が生じることがないように適切に対処してまいります。

梅村委員 終わります。ありがとうございます。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 総務委員会は、初めて委員に就任をさせていただきまして、なかなかなじみのない委員会でございますが、しっかり勉強しまして頑張ってまいりますので、遠山委員長を初め委員の皆様、御指導のほどよろしくお願いしたいと存じます。

 それから、高市大臣、予算委員会でもお手を煩わせましたけれども、引き続きまた討議等させていただければと思います。

 きょうは、法案のこともございますが、補正予算の、私、予算委員でもございまして、予算委員会でも取り上げたテーマの若干続きというか、総務委員会に関連する部分を少し深掘りさせていただければなと思っております。

 まず、資料をちょっとお配りしております。これは、予算委員会でもお配りした資料と同じものを総務委員会にお出ししているものでございます。

 一枚目、これは臨財債の話を、従来からおおさか維新の会の議員が臨財債について取り上げさせていただいたことがございます。

 きょう、総務委員会には地元大阪府の各選挙区選出の先輩方も含めていらっしゃいますので、丁寧にというか、少し僣越な部分が出るかもしれませんが、これはどうしても大事なことだと思いますし、十一月の大阪ダブル選挙の後初めての国会の場でありますので、ちょっとダブル選挙でも議論になった点だけ再度確認を、国会の場をおかりして恐縮でございますが、確認をさせていただきたいと思います。

 お配りをしましたこの資料は、ダブル選挙で我が大阪維新の会が使ったパネルそのものであります。なぜこういうグラフをあえて出すかというと、水色とかピンクで描いてございます、いわゆる大阪府が努力してマネージできる地方財政、債務、地方債の問題と、それから黄緑の臨財債の部分、これはやはりちょっとよく整理しておかないと、国民の皆様はわかりません。特に、選挙とかそういう場でこういうものが使われると、有権者の御理解がなかなか及ばないということがございます。

 ダブル選挙では大体どういうことが起こったかというと、大阪維新の会は、まさにこの矢印がございますね、橋下府政、松井府政になって大阪府の財政はよくなったんだということを訴えたわけであります。それに対して、共産党さんとかが、この黄緑のラインで、いや、ふえているじゃないか、こうきたわけであります。

 ただ、私の理解では、臨財債というのは、地方公共団体の財政力に応じて、マクロで、国とは言いません、地方交付税の話ですから、国か地方かというのはなかなか言葉の問題というのがあるかもしれませんが、少なくとも、地方財政マクロで考えたときのテーマであって、決して大阪府の問題ではないというふうに私は思っています。

 予算委員会で高市大臣にこの点をお聞きしたらば、しかし、借金は借金だから、できるだけ使わない方がいいよねと。それはそうなんだけれども、では、大阪府がこの量をコントロールしているかというと、そうではなくて、やはり地方財政マクロで、大阪府の財政力に応じて、この部分は臨財債でよろしくということできているものだと理解をしていますので。

 こうやって言うとややこしいんですが、地方財政の財政健全化法で、いろいろな地方公共団体の財政健全化についての指標があります。例えば、将来負担比率とか、将来にどれだけ債務がのしかかっていくかということでいうと、大阪府は大変改善をしていて、その四年間、八年間での改善度合いは、ほかの地方公共団体に比べても、トップクラスの改善度合いになっていると私は理解しています。

 今、とうとうと申し上げました。こういう理解で大体よろしいかと思うんですけれども、大臣、よろしかったら、そごがなければ、ちょっと一言お願いできれば。大臣じゃない方がいいですか。いいですか。

高市国務大臣 一言で済みそうにないんですけれども。

 大阪府の将来負担比率の改善度合いは、確かに、平成二十年度決算と二十六年度決算を比べますと八〇・二ポイントの改善ということで、そこのところはそのとおりでございます。

 ただ、臨時財政対策債も地方債である以上、地方債残高には含まれます。地方債残高というのは、公債台帳に計上された全ての地方債の残高を指すものです。

 一方、将来負担比率の算定においては、臨時財政対策債は、後年度元利償還金の全額について交付税措置がなされるものですから、これは控除されているということでございます。

 ただ、借金は借金という言い方をしたかどうかは、そういうふうには言わなかったかとは思うんですが、実際に、地方の財源不足に対して、平成十二年度までは、交付税特別会計の借入金で対応して、その償還金を国、地方で折半して負担していた、いわゆる裏借金的なものでした。

 ところが、平成十三年度から、国と地方の責任分担の明確化、財政の透明化、こういう観点から、地方の財源不足に対して、国は一般会計から地方交付税の特例加算、地方の方は臨時財政対策債の発行で、折半して対応してきた、表借金化したということです。

 将来的には、元利償還金の全額を地方財政計画に計上するわけですから、将来負担比率というところからは控除されているんですけれども、ただし、やはり大阪府民の方々も含めた納税者の負担による借金ということには変わりございませんので、やはり一層、財政健全化に向けて御努力はいただきたいと思います。

足立委員 まさにおっしゃるとおりで、将来負担比率を初めとする健全化指標からは控除をされている、除外をされているということ、事務方の方も今うなずいていらっしゃいますが、これはもう明確でありまして、そういう意味では、個別自治体の健全化を評価するに当たってはそれはカウントしない、これが法律の趣旨であります。

 ただ、私はこれは、やはり地方財政を見るときに、交付税制度があるわけですから、地方公共団体の健全性というのを見るときに、個別の地方公共団体の健全性をミクロといい、もし地方財政全体の、今大臣がおっしゃったような問題、これを仮にマクロといえば、個別の大阪府が、マクロに、責任の一端は地方財政の一つの公共団体として持っていますよ、しかし、先ほど大臣からもあったように、大阪府の健全化指標は大幅に改善しているわけですから、少なくともこのグラフにあるように、悪化しているわけじゃない、そういうことでいいですね。事務方で結構です。

安田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、将来負担比率でございますとか実質公債費比率等の、いわゆる健全化判断比率の算定に当たりましては、臨時財政対策債というのは、後年度に元利償還金の全額について交付税措置がなされるということから、全て控除されているわけでございます。

 臨財債の各地方団体での発行可能枠でございますけれども、これは総務省においてその枠を示させていただいている、その中で発行していただいているというのが実情でございます。

足立委員 もう一言くださいよ。まさに総務省が決めているんですよ、そうでしょう。それはどういうふうにして決めているかというと、それぞれの地方公共団体の財政力に応じて決めているんでしょう。地方公共団体の健全化に係る努力と基本的には関係ないから、私は、それはマクロでしょう、ミクロについてはこの矢印のところで評価したらそれでいいんでしょう、こう言っているんですよ。いいですね。

安田政府参考人 臨時財政対策債の発行可能枠の算定の方法でございますけれども、これは交付税法の規定に基づきまして、まずは基準財政需要額を各団体ごとに算定いたしまして、これから基準財政収入額を差し引いて、財源不足額というものを算出いたします。基本的に、この財源不足額に一定の割合を乗じたものが、各団体が発行可能な臨時財政対策債の枠になります。

 ただ、この一定の割合といいますのは、団体ごとに一律ではございませんで、財政力に応じまして割合は異にすることにいたしておりまして、財政力の高い団体に、より大きな割合で臨財債を引き受けていただく、こういう形にさせていただいているわけでございます。

 以上でございます。

足立委員 私が先ほど申し上げたマクロという説明、ミクロという説明、これは総務省の事務方も一緒に私が議論するときには使っている言葉なんですが、私が先ほど申し上げたことは間違っていないですね。

安田政府参考人 先ほど申し上げましたように、各地方公共団体の財政の健全性を判断するために健全化指標というのを設けておりますが、そのさまざまな指標の算定に当たりましては、臨財債については控除するということでございまして、健全化指標の、健全化の度合いを判断する際には、これは除外して考えるということでございます。

足立委員 私が申し上げたことと同じことだと思うので結構ですが、何できょうこれを、大臣、こういう場をおかりして済みません。また、委員の皆様も御協力ありがとうございます。

 まさに、先ほど大臣が御答弁いただいたように、一連の総務省の行政の流れの中で、見える化をしたことは私はすばらしいことだと思うんです。こういうふうに地方財政が、今までは隠れていたものをしっかりと見えるようにされてきたわけだから。

 地方財政全体として負っている借金というものの大きさを、地方が深くそれを理解して、また住民が、有権者が理解をするということは大事だと思うからいいんですが、少なくとも、十一月には、そういう全く違う、減っているグラフとふえているグラフ、二つのグラフが飛び交って、いまだに有権者はどっちが本当だということをわからないでいる方が多いと有権者の方からよく聞くものですから、私がそれをやはり丁寧に総務省と御討議させていただく場はこの場かなと思って申し上げたわけでありまして、また委員会とは別の場で事務方の方とみっちりちょっと議論させていただいて、この場ではその結果だけをまた御報告に上がりたいと思います。

 もう時間ですね。あと一分ぐらいありますが、もう質問はしません。

 予算委員会で、資料の最後にある国家公務員の給与をやりましたが、総務委員会でぜひまた時間をいただければ、地方公務員の給与の問題、それから現業職の給与の問題、これはまさにおおさか維新の会がこの八年懸命に取り組んできたテーマでございますので、また先生方のいろいろ御指導を仰ぎながら討論をさせていただくことをお願い申し上げて、本日の私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 今回、法案、交付税法の改正ということであります。今回、大部分の額が次年度に持ち越されて加算されるということで、本来であれば交付税法の六条の三の第一項に基づいて処理されるべきですけれども、現在、非常に巨額の財源不足が発生しているということで、次善の策ということでそこは理解はいたしますが、やはり、先ほど指摘があったとおり、六条の三の二項に基づいてしっかりと法定率の引き上げに取り組んでいただきたいということをまず指摘させていただきたいと思います。

 その上で、質問に入らせていただきます。

 大臣は、昨年十一月六日の記者会見で、視覚障害者の方々へのマイナンバー通知について述べておられます。

 大臣の事務所にも問い合わせがあったということですけれども、実は、私の事務所にも地元の視覚障害者の方から電話がありました。今ここに、送られてきた見本ですけれども、封筒があります。裏側に確かに点字でマイナンバー通知というものが打たれているけれども、肝心の個人番号が点字になっていないのでは意味がない、あるいは点字による説明書も同封をされていないということで、大変お叱りを受けましたし、至極当然のお怒りだろうというふうに思います。国が大々的にその効果を宣伝し主導する政策でありながら、視覚障害者を置き去りにするようなこの通知の仕方については納得できないというふうにもおっしゃっておられました。

 大臣は、会見で、通知カードにマイナンバーを音声で聞くことができる音声コードを印刷しているということをおっしゃっております。確かに、これを見ますと、ここに音声コード、QRコードというんですか、ついています。だけれども、それ以外にも二つついています。しかも、ここに音声コードがついていますという通知は入っていないんです、この中に点字で。どうやってこれを見つけ出すのか。私は、これはもう音声コードがあるからいいんだという話では済まないだろうというふうに思います。

 また、高齢の障害者あるいは単身の障害者の方にスマホや音声読み取り装置を使いこなせというのも、これも大変難しい、無理難題ではないか。そして、家族やヘルパーさんにサポートしてもらえということも言われておりますけれども、これは、入っている通知、点字じゃないですけれども、この中には、「マイナンバーを、みだりに他人に知らせないようにしましょう。」こういう通知が入っているわけであります。

 これらを考えますと、今回の視覚障害者の方々への通知の方法、適切ではなかったのではないかと言わざるを得ません。

 そこで、まず、個人番号について、点字にしなかったその理由をお聞かせください。

高市国務大臣 今回のマイナンバー通知カードにつきまして、視覚障害者の方約三十六万人おられるうち、点字を識字することができる方の割合が約一〇%程度とされていること、それから、通知カードの一斉送付前に点字の希望を前もって伺うということが不可能ですので、全て点字を施すということにした場合には全国民のカードに対して行うということになってしまいますが、短期間で大量の点字印刷を行うためのシステム開発が必要となって、印刷コストが多額になってしまうといった理由から、点字による対応ではなく、音声コードを印刷するということになりました。

 簡易書留の封筒には、それが大事な郵便物であるということがわかるよう、マイナンバー通知という点字を施してあります。マイナンバーに関する簡単な案内を音声で聞くことができるように、これも封筒ですが、音声コードを印刷してあります。

 そして、御自身のマイナンバーについて、音声で聞くことができるように、封筒に入っている通知カード、個人番号カードの交付申請書と同じ紙に、マイナンバーに係る音声コードを印刷しています。それでも、他の方の助けをかりなきゃいけないという御指摘については確かなことでございます。

 この音声コードについては、ねんきん定期便などでも採用されているものでございます。専用の読み取り装置や携帯電話、スマートフォンで読み取っていただくということになるんですけれども、今回、先ほど来説明いたしましたような事情から、全ての通知カードに点字を施すことができなかったということであります。

吉川(元)委員 費用がかかるとか一〇%しかいないとか、それは、私、言いわけにはならないというふうに思います。

 せめて、この封筒、一緒にその中に点字で説明をつけないと、ここにも確かについています、こういうふうに。だけれども、視覚に障害を持たれている方はこんなものはわからないですよ、送られてきても。ここの点字のマイナンバーが入っていますというのはわかりますけれども、ここに音声コードがあるなんということは全くわかりませんし、それから、読み取れば見られるということはここにありますけれども、だとすれば、ここに切れ込みを入れて、ユニバーサルデザインというのがあるわけですから、ここにありますよというようなことをなぜ通知の中に入れていないのか。私は、非常に疑問だというふうに言わざるを得ません。

 なぜこういうふうになったのか。報道等によりますと、日本盲人会連合に当事者の方から今言ったような話がずっと問い合わせが相次いで、十二月に総務省に申し入れを行ったというふうに聞いております。マイナンバー通知の発送前に、日本盲人会連合やあるいは点字協会などの団体と通知方法について事前に協議を行ったのかどうか。行っていないとしたら、なぜ行っていないのかを尋ねます。

稲山政府参考人 お答えをさせていただきます。

 通知カードにおきます視覚障害者の皆様への対応でございます。

 お尋ねがございましたような団体との協議というものではございませんけれども、昨年度に、四月、十月、日本視覚障がい情報普及支援協会それから東京都盲人福祉協会及び日本盲人会連合から音声コードに関する具体の要望をいただいたところでございまして、これらを踏まえまして、ねんきん定期便等でも採用されております音声コードを印刷することによって一定の対応をすることといたしたところでございます。そして、そのための必要な開発等を行ったところでございます。

吉川(元)委員 お話を伺ったということですけれども、私が聞いた範囲では、ぜひ総務省の方にちょっと話を聞いてほしいという要請があっても、実際に会って話を聞いたということはしていないというようなことも聞いております。

 ことしの四月から、障害者差別解消法が施行されます。その中では、国の法的義務として、障害者に対して合理的配慮を行わなければならない、こういうふうに規定されております。

 「「合理的配慮」の具体的な例を教えてください。」これは内閣府が出している障害者差別解消法のパンフレットですけれども、そこには、合理的配慮の具体的な例として、典型的な例として、「窓口で障害のある方の障害の特性に応じたコミュニケーション手段(筆談、読み上げなど)で対応すること」、こうしたことが挙げられているわけです。

 確かに、これはまだ施行はされていませんけれども、この法律が施行された段階においてこういう通知をするということは、この差別解消法の精神に反しているというふうに思うんですけれども、この点をどういうふうに考えていますか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 通知カード送付後、十一月に総務省より、視覚障害者への対応につきまして要請をさせていただいたところでございます。

 マイナンバー法におきます通知カードの通知義務は市区町村に課せられているところでございまして、先ほど大臣が御答弁ございましたように、一定の音声コードという対応をさせていただいたところでございますが、マイナンバーの通知が市区町村の義務であるということを踏まえまして、通知カードや個人番号カードのケースに貼付する点字シールをそれぞれ自治体の方でつくっていただくとか、視覚障害者の方への配慮に積極的に努めていただくよう、各自治体に対して通知を行っているところでございます。

 さらに不足するような点がございましたら、いろいろとその実情等についてはよく伺ってまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 確かに、十一月十一日付で質疑応答集という形で出されております。発送されたのは十月ですよね。とすれば、事前にわかっている話であって、なぜ十一月にしかこれは出ていないのか。十分に当事者の間で、恐らく、こういうのを送りますよと見せられれば、これじゃだめだというふうに言われる、当事者の方が皆さんおっしゃっていますから明らかなわけで、これは明らかに、事前の協議等々が十分に行われていない証拠ではないかというふうに思います。

 今、通知のお話が出ました。これを読ませていただきますと、各自治体でそれぞれ対応するようにというふうに書かれています。こんなことをやれば、各自治体によって対応がばらばらになってしまうんじゃないんでしょうか。なおかつ、点字シール等々というふうにお話がありますけれども、これらの費用はどこが見ることになるのか。当然、これは国として見るべきことだと考えますけれども、いかがですか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、この通知カードにつきましては、マイナンバー法におきまして、その義務が市区町村に課せられているところでございます。その中で、視覚障害者の皆様に対する配慮につきましては、各自治体におきまして、番号担当部局とそれから福祉担当部局ともよく連携をとって、よりきめ細かな対応が求められているものと認識をいたしておりまして、こういったことから、自治体における積極的な取り組みについて、引き続き要請してまいりたいと思っております。

 費用等についてお話がございましたけれども、通知カードの作成等の費用については、国で十分の十の助成というものをいたしておりますが、こういったそれぞれの工夫につきましては、それぞれ自治体の経費の中でお願いしたいと思っております。過大な負担になるといったようなことがございましたら、その実情につきましてはよく伺ってまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 費用は自治体負担ということですが、これは明らかに国の、もともとこれ自体が十分な配慮がされていないわけでありまして、それを自治体が後で自分たちで努力して処理してくれというのは、これはやはりおかしい話ですし、少なくとも費用についてはしっかりと国が見るべきだということを申し上げたいと思います。

 時間がありませんので、次の質問に移らせていただきます。地方公務員の給与改定についてです。

 昨年八月の人勧に基づいて、政府は十二月四日に、国家公務員の給与改定について、給与法の閣議決定を行われました。きょう、ちょうどこの下で審議がされていると思います。秋の臨時国会が開催されなかったがゆえに五十三年ぶりに年明けになってしまうということで、これ自体、大変遺憾なことだというふうに思っております。

 あわせまして、さらに問題なのは、十二月四日の閣議決定に並行して、総務副大臣から、「本年の給与改定及び給与の適正化について」ということで、地方公共団体における職員の給与改定の実施は、国における給与法の改正の措置を待って行うべきであり、国に先行して行うことのないようにということが記されております。

 御存じのように、地方公務員の給与決定というのは、各人事委員会の勧告を経た上で、議会の議決で給与条例を改正することが必要になってまいります。なぜ地方が先行して給与改定を行ってはならないのか、その理由をお聞かせください。

高市国務大臣 地方公務員法上、地方公務員の給与決定に当たっては、民間事業の従業者の給与等とともに、国家公務員給与も考慮事項の一つとされております。

 国家公務員給与は法律で定められておりまして、国会における審議を経て、その取り扱いは定まるものでございます。

 ですから、総務省としましては、地方公共団体における給与改定の実施については、国における給与法改正の措置を待って行うように助言を行っております。

吉川(元)委員 確かに地公法の二十四条の三項には、国の給与なども考慮してというふうには書かれておりますけれども、他方で、地方の人事委員会は、人事院と合同で給与の実態調査を行っておりますし、人事院の勧告も十分勘案して人事委員会勧告を出しているわけですから、十二分に国家公務員の給与を考慮した上で勧告をしているわけです。それを地方議会が決める、これに国が決めるなということを言うのは、これは私は、地方自治法の本旨、地方自治の本旨に反しているというふうに思います。

 二〇〇〇年四月に施行されました改正地方自治法、この中では、国と地方の関係は上下主従ではなくて対等、協力の関係にあると書いてありますけれども、これではまるで大企業、元請と、中小、下請の関係のようになってしまっています。

 私は、もう時間がありませんのでこれで終わりますけれども、これは明らかにおかしいということを指摘させていただいて、私の質問とさせていただきます。

 以上です。

遠山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法改正案に対する反対討論を行います。

 現行の地方交付税法は、地方交付税が年度途中において増額となった場合は、その全額を速やかに特別交付税として地方自治体に配分すると定めています。

 ところが、歴代政府は、巨額な地方の財源不足が継続的に生じているとして、この十数年来、増額となった地方交付税を翌年度の地方交付税総額の財源として繰り越すことを基本としており、本法案は、従来と同様に地方交付税法を改正するものです。

 本法案には、以下の点から反対であります。

 第一に、地方から活力を奪い財源不足をもたらした自民党政治の地方政策を根本から改めるべきです。地方財源では、三位一体の改革によって地方交付税を大幅に削減し、消費税増税、社会保障の切り捨て路線と一体に地方行革と歳出削減を押しつけて、住民の暮らしを支えるための財源を抑制、削減してきたのであります。

 地方交付税の法定率の引き上げには背を向け、臨時財政対策債と国、地方の折半ルールで工面するやり方でなく、地方が必要とする財政需要をしっかりと見積もり、それに見合う地方交付税を確保するために法定率を抜本的に引き上げるべきであります。

 第二に、公立学校施設整備費や社会福祉施設等整備費など教育や福祉を支える役割を持つ事業への当初予算額が歳出削減のもとで大きく削られ、地方自治体の計画的な整備に大きな影響が出ています。

 こうした国の歳出削減と地方への押しつけはやめるべきです。

 同時に、地方交付税法に基づき、地方単独事業分を含め、必要な住民サービスの実施や頻発する各種災害への対応のための財政需要を算定し、増額となった地方交付税を特別交付税として配分すべきであります。

 最後に、安倍内閣の経済財政一体改革は、軍事費拡大のしわ寄せを、社会保障費と地方財源の抑制、削減に一層押しつけるものであります。

 年度途中で増額となった地方交付税を翌年度に繰り越すことを基本とし、当然のように踏襲するのではなく、軍事費や不要不急の大型開発事業などを削減して、地方交付税額の加算分、補填分として措置すべきであります。

 以上、反対討論とします。(拍手)

遠山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより採決に入ります。

 地方交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

遠山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.