衆議院

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第6号 平成28年3月1日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十八年三月一日(火曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      赤枝 恒雄君    安藤  裕君

      池田 道孝君    大西 英男君

      金子万寿夫君    川崎 二郎君

      小林 史明君    古賀  篤君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      中村 裕之君    中山 泰秀君

      長坂 康正君    西銘恒三郎君

      橋本  岳君    福山  守君

      宮川 典子君    宮崎 政久君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      小川 淳也君    大島  敦君

      逢坂 誠二君    近藤 昭一君

      武正 公一君    水戸 将史君

      渡辺  周君    輿水 恵一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

      長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 浜田 省司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      岩田 一彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐伯 修司君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  青木 信之君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官)  安藤 英作君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     宮川 典子君

  金子めぐみ君     赤枝 恒雄君

  長坂 康正君     福山  守君

  橋本  岳君     宮崎 政久君

  武正 公一君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     安藤  裕君

  福山  守君     長坂 康正君

  宮川 典子君     井林 辰憲君

  宮崎 政久君     橋本  岳君

  大島  敦君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     金子めぐみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、まち・ひと・しごと創生本部事務局次長末宗徹郎君、内閣府大臣官房審議官浜田省司君、大臣官房公益法人行政担当室長岩田一彦君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、大臣官房審議官佐伯修司君、自治行政局長渕上俊則君、自治財政局長安田充君、自治税務局長青木信之君、情報流通行政局長今林顯一君、厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官安藤英作君及び大臣官房審議官大西康之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也です。

 大臣、体調の方はいかがですか。ちょっと私も、けさから少し頭がぼうっとしておりまして、きょうは精いっぱい頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、長時間の予算審議、大変お疲れさまでございました。関連法案について最後の質疑ということでございまして、交付税に関してお尋ねいたします。

 本年度の補正予算におきまして、地方財源は、国の三兆円の税収増に伴い、一・三兆円収入増がございました。これは交付税の財源として繰り越した。その補正予算に、私ども賛成いたしました。

 しかし、来年度の交付税交付額を拝見しますと、今年度の十六・八兆円から十六・七兆円に、一千億円減になっています。

 一・三兆円、財源を繰り越して確保したにもかかわらず、出口ベースで交付額が前年比で一千億円減少する、この意味なり意義について、まずお尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

高市国務大臣 平成二十七年度の補正予算における国税の増収に伴い生ずる地方交付税の増収分は、今おっしゃっていただいたとおり一兆三千百十三億円でございますが、これらについては、平成二十八年度においても地方の巨額の財源不足が生じることが見込まれたということから、平成二十七年度における普通交付税の調整減額分四百六十九億円を追加交付した上で、残余の額一兆二千六百四十四億円について、平成二十八年度に繰り越して、交付税総額の確保及び臨時財政対策債の抑制に活用するということにいたしました。

 具体的には、今回の繰り越し措置によりまして、平成二十八年度の折半対象財源不足が繰越相当額の一・二六兆円縮減し、これに伴い、国からの地方交付税の特例加算及び地方の臨時財政対策債の発行額が、その二分の一に当たる〇・六三兆円ずつ縮減しています。トータルでは、平成二十八年度の地方交付税が〇・六三兆円増額し、臨時財政対策債の発行が〇・六三兆円減額しています。

 このような措置も含めまして、二十八年度の地方財政対策においては、地方交付税総額について、前年度とほぼ同程度と言わせていただいていいかと思いますが、十六・七兆円を確保しながら、赤字地方債であります臨時財政対策債の発行を〇・七兆円減額して、大幅に抑制するということにいたしました。

小川委員 地方の赤字地方債である臨時財政対策債を相当額減少させたということに関しては私も同意をいたしますし、また評価をするところなんです。

 ところが、一・三兆円繰越財源を確保したはずなのに、実際の手取りベースでは交付税は前年より減っているということに関しては、自治体の思いとしては複雑ではないかと思います。

 これは、実際国もそうでして、やはり税収が上がった分、赤字国債を減らす形で歳出を抑制している。ですから、国も地方も大変厳しい財政状況下にあるということはそのとおりだと思うんですね。

 しかし、事前年の税収増あるいは当該年度の税収増、当初よりも税収増が見込まれた部分については、例えば国であれば、今回の補正予算、三兆円の見込み違い、見込みよりも三兆円の増収があった分について、例えば三万円の給付金を創設しているわけでしょう。これは大いに問題のある政策だと野党の立場から議論してきました。特に、七月の参議院選挙を前に、六月の段階に現金給付するなんというのは、あらぬ疑念を招きかねない政策だと私も思います。しかし、そういうことも含めて、国は税収増分をそのまま大盤振る舞いできるわけです、特に補正財源については。

 しかし、地方財政は、この補正財源分も含めて、当該年度の歳出抑制、財源抑制、赤字は減らしたとしても、赤字地方債は減らしたとしても、そういう形で極めて、地方自治体だって社会保障やあるいは福祉や子育て、教育、さまざまなものに、ふえ続ける財政需要に応えようと努力しています。そういう中にあって、一般財源全体として、ですから交付税と地方税ですね、一般財源全体として前年並みを維持しているという理屈のもとに、全く伸長性がなくなっている。このことに対しては、地方財政に責任を持つ総務大臣として、両手を振って、何か自慢するような状況ではない。

 むしろ、税収があったにもかかわらず地方には依然として我慢をお願いせざるを得ない状況にあるということについては率直にお認めをいただいて、交付税が総額として、マクロで地方財政の調整弁になっている、本来自主財源、独自財源、共有財源といいながら、地方財政全体を操る調整弁になっている、そういう指摘に対して、大臣、どうお答えになられますか。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

高市国務大臣 地方財政計画でございますが、これは、国として地方団体が標準的な行政水準を確保できるように地方財源を保障する、そういう役割を持つものでございます。このような役割を踏まえまして、二十八年度の地方財政計画においても、必要な経費を適切に歳出に計上し、これに必要な財源を確保しております。

 このことを前提にして、国税の増収に伴って生ずる地方交付税の増収分につきましては、平成二十八年度の交付税総額の確保及び臨時財政対策債の抑制に活用することによって、地方交付税総額について前年度とほぼ同程度の額を確保しながら、臨時財政対策債の発行を大幅に抑制して、地方の一般財源の質を改善しております。

 したがって、国の補正予算に伴う地方交付税の繰り越し措置に伴って、その分歳出が増加するといった類いのものではないと考えております。

小川委員 税収増があったにもかかわらず交付税が抑制されていることで、実際に地方財政の伸長性がなくなっているということを指摘しています。その点については、ぜひ率直にお認めをいただきたい。

 ですから、繰り返しますが、自主財源、独自財源だといいながら、実際は地方交付税がマクロでの地方財政の調整弁に成り下がっている。そういう点については厳しく指摘をしたいと思います。

 あわせて、このマクロの面の限界に関連して、ミクロでも少し首をかしげるようなことがございますので、お尋ねさせていただきます。

 総額調整をする中で、これまで地域経済・雇用対策費として組まれていた需要額について、二千億円程度減額しているようであります。

 この交付基準は人口なんですね。ちょっと電卓をたたきました。人口一人当たりでいうと、一般市町村については、これまで千四百十円交付されていました。それが、どうもこの減額に伴って七百四十円になっているようであります。交付基準の話です。

 ところが、この地域経済基盤強化・雇用対策費を減額した分、今度は、さんざん大臣がPRなさっているとおり、自治体情報システム構造改革費、高齢者の生活支援、地域の暮らしを支える仕組みづくりの推進費等々として新たな費目をつけ加えましたということをPRされているんです。

 それで、減額していた地域経済基盤強化・雇用対策費は、申し上げたとおり、人口一人当たりで大体千四百円から七百円ですから、七百円の減になっています。それはどういう理由なのか。

 加えて、上がった分、自治体情報システム構造改革費、人口一人当たり百六十円、そのうち包括算定経費分として恐らく四百八十円、さらに高齢者生活支援の仕組みづくりに人口一人当たり七十円つけ加えているんです。

 ちょっと複雑ですから、大臣、もう一回頭を整理します。

 減らした額は、人口一人当たりざっと七百円減らしているんですね。ふやした方は、情報システム改革だとか高齢者の生活支援だとかいいながら、大体、人口一人当たり七百円ふやしているんですよ。これは単なる数字遊びではありませんか。交付税に関して、ミクロの基準についてです。

安田政府参考人 お答えいたします。

 来年度の地方財政計画についてでございますが、リーマン・ショック後に設けられました歳出特別枠の扱い、これが一つの問題になったわけでございます。

 これにつきましては、危機対応モードから平時モードへの切りかえを進めるという観点で、四千億円減額いたしました。普通交付税の算定におきましても、これに対応して、人口を測定単位とする地域経済・雇用対策費及びその他の既存経費の単位費用を減額するということにいたしたところでございます。

 また一方で、地方財政計画には、地方の重点課題に対応する経費及び公共施設の老朽化対策について、この歳出特別枠の減額幅と同額を計上しているところでございます。

 地方公共団体の財政需要を的確に捕捉するために、それぞれの歳出にふさわしい測定単位を用いつつ、必要に応じて補正措置を講ずること等によって適切に算定しているところでございます。

小川委員 局長、適切に算定と口ではおっしゃいますが、申し上げたとおり、大臣、これはぜひよく頭に入れていただきたいと思う点なんですが、いろいろ名目はつくんですよ、交付税の配分基準というのは。

 しかし、それは、実際には人口一人当たり幾らで計算している例が多いんですね。ほかにも、世帯数、一世帯当たりとか、物によっては、今回ですと、例えば林野面積とか林野従業者数とかいうよりミクロな指標が立つこともあります。しかし、人口や面積を指標にしているものは多い。

 これは、一方で望ましいことなんです。できるだけ客観化をし、自治体に予測可能性を持たせるという意味では、望ましいことなんです。ですから、それはそれで、むしろ包括算定経費、今回大分減額しているようなんですよ。理由を聞くと、経費の節減合理化だという紙が出てきたんですね。根拠が全くわかりません。

 つまり、申し上げたいのは、ミクロでいろいろと大義名分をつけつつも、中身の数字遊び、操作によって、総額から逆算することしかできていないということなんです。総額で幾ら払えそうだ、したがってどういう指標に単価当たり幾らつければいいのか、単位指標当たり幾らつければいいのかという電卓の話にしかなっていないわけです。

 ですから、今回、二点ちょっと問題点を指摘したいわけなんです。

 まず、交付総額においては、全体の地方財政の調整弁に成り下がっているということ。

 そして、個別の算定指標においては、あたかも客観性を装いながらも、その実態においては、極めて恣意的な、客観性を揺るがす、自治体から見れば予測可能性のない形で、恣意的な操作が行われているというふうに言わざるを得ない。そういう調整が行われている。

 率直に申し上げて、正直、私どもも余り大きなことを言えた義理ではないんです。政権時代の三年間、こういった問題にも思い切って取り組みたいという思いはありました。しかし、現実の壁は非常に厚いし、高い。そのことはよく理解しています。しかし、改めて野党の立場から、筋論といいますか、客観的な議論をこの場でさせていただくことも重要なことでございます。

 今、二点申し上げました。総額が地方財政の調整弁に成り下がっているのではないかという点、そして、個別の算定基準が、大義名分を装いつつ、数字の単なる操作、数字遊びに成り下がってはいませんかというこの二点、改めて大臣から御答弁いただきたいと思います。

高市国務大臣 まず、地方財政計画でございますが、多くの行政分野で国と地方の役割分担などを法令等に定めて、地方に支出を義務づけていますので、国として地方団体が標準的な行政水準を確保できるよう地方財源を保障すること、国の予算に計上された施策や事業を盛り込んで、これらが着実に実施できるようにしているといった役割を持つものでございます。

 こうした地方財政計画の役割のもとで、骨太方針二〇一五で示された方針を踏まえて、地方財政計画の歳出において、国の制度などの見直しや国の一般歳出の計上の動向、社会保障・税一体改革における社会保障充実分などを適切に反映させて、その上で所要の一般財源総額を確保するということにしております。

 二十八年度の地方財政対策におきましても、地方団体が自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組めますように、まち・ひと・しごと創生事業費について、前年度同額の一兆円を計上するということにした上で、地方の一般財源総額について、前年度を〇・一兆円上回る六十一・七兆円を確保したものでございますので、調整弁にというお話もございましたけれども、地方が自由に使える一般財源総額をしっかり確保できたと思っておりますし、今回の地方財政対策についても、地方六団体から御評価をいただいております。

 二点目でございますけれども、先ほど少し局長からもお話をしましたが、危機対応モードから平時モードへの切りかえを進める観点から、歳出特別枠を四千億円減額し、普通交付税においては、人口を測定単位とする地域経済・雇用対策費などの単位費用を減額しています。

 一方で、地方の重点課題に対応するための経費及び公共施設の老朽化対策を重点的に地方財政計画の歳出に計上した上で、普通交付税においては、人口だけではなく、それぞれの事業にふさわしい指標を用いて適正に算定することとしています。

 ですから、地方財政計画において、めり張りをきかせて歳出の重点化、効率化を行いながら、一般財源総額を確保するということに対応して、普通交付税においては、地方団体の財政需要を合理的に算定しているところであります。

小川委員 名目は変わっても、同じ人口単位で計算して、百円乗せたり百円引いたりしているだけですから、おっしゃるめり張りというのは余り実効的になっていないんですよ。

 この質問を機に、ぜひ大臣、そういう形で配られているんだということを頭の片隅のどこかに置いていただいて、今後の制度改革の議論等に当たってはリーダーシップを発揮していただきたい。改めて指摘をいたします。

 ちょっと地方税についてもお聞きしたかったんですが、時間の都合もありますので、気になる点の指摘にとどめます。

 今回、大臣が再三PRされている地方税の増収についてでありますが、全体一・二兆円です。しかし、地方消費税が約三千億、法人事業税の制度改革分が約六千億ですから、合わせて九千億程度は制度改革に伴うものであって、いわゆるアベノミクスが地方に行き渡ったものとは評価しかねる部分があります。

 一方で、所得割はほとんど横ばい。個人の所得に係る所得割が横ばいである中にもかかわらず、配当課税分が一千二百億円増になっています。それから、株式譲渡分がこれも一千二百億円分ぐらい増になっている。ですから、制度改革分を除けば、ほとんどが株の売買と株から受けた配当による地方税増収なんですね。これは恐らくですが、都会に集中しているでしょう、都会の富裕層のみでしょう。

 この地方税収をもって税収が十分だから交付税額を抑えるということになりますと、都会の税源は潤うが地方には十分お金が回らないということになりかねません。

 それから、経済構造からいってもこれは格差の増長であり、地方財政の安定運営に貢献するものとは必ずしも言いがたい。株式の売買益や配当課税分のみが伸びるような現在の地方税収状況については、バランスのとれたものとは言いがたい。この点、指摘をいたします。

 加えてもう一点、地方税に関してこれから心配なのは、ふるさと納税の企業に対する拡充についてであります。

 いかがでしょうか、いただいた資料によると、ふるさと納税の実績額が、去年の上半期だけで前年を上回る数字、四百五十億円を超えているようです。そうすると、いよいよ昨年あるいはことしは一千億オーダーになってくる、ふるさと納税が。

 そうしますと、今までは二百億、三百億のかわいらしい話だったんですが、一千億オーダーになってきますと、これは一つの税目に匹敵する税、例えば自動車取得税とか、一千億オーダーの地方税の税目というのは複数あります。

 こういうことを考えますと、かなり、返礼品等の問題も含めて説明責任はより加重されてくるというふうに認識をしていただく必要がありますし、これを企業に拡大するということになりますと、各企業は地元自治体との間で入札やあるいは取引関係、場合によっては電源対策等も含めて、企業にはさまざまな思惑があります。この思惑に従って自治体に寄附をし、その寄附の六割が還元されるという仕組み。さらに、企業に対してはどういう恩恵をもたらすのか、それは返礼品なのか、あるいは取引や入札、契約上の有利な計らいなのか。こういったことについても十分注意をしなければなりません。

 地方税について極めて憂慮すべき点、二点指摘をし、大臣からコメントがあればいただきたいと思います。

高市国務大臣 まず、個人住民税のお話がございました。

 二十八年度の地方財政計画では、地方税収は一・二兆円の増加を見込んでおりますが、そのうち配当割で千二百五十五億円の増、株式等譲渡所得割で千百九十億円の増をそれぞれ見込んでいます。これは、好調な企業業績により配当が伸びていることや、株価の推移などを踏まえて見込んだものでございます。

 一方で、給与所得者に係る収入が大宗を占める所得割も、県民税、市民税合わせて千二百八十億円の増を見込んでおります。政権交代前の平成二十四年度と比較しますと、所得割は〇・四兆円増加しております。給与所得も確実に増加していると考えられますので、今後は、やはりローカルアベノミクスの全国展開によって、地方でも雇用や所得の拡大というのがしっかりと波及して、そして景気回復の実感を皆さんに感じていただけるように、総務省としても頑張ってまいるということでございます。

 それから、ふるさと納税でございます。

 まず、企業版のお話でございますけれども、これは、入札などに例えば特別な対応をするということは明確に禁止をされると承知をしております。

 それから、ふるさと納税制度なんですけれども、これも、二十七年度の税制改正で、寄附枠を拡大する、それから郵便局の活用などを含めた利便性向上もあって、先ほど小川委員が言ってくださったとおり、かなり大きく実績を伸ばしています。

 一方で、やはり総務省としては、地方への応援が継続的に得られるように、地方団体で、ふるさと納税を活用する施策の明確化ですとか、活用実績のわかりやすいPRをするなど、使途を評価してもらう、ここに力点を置いた取り組みが広がっていくという方向でさらに活用を図っていきたいと思います。

 また、返礼品も、既に昨年四月の大臣通知で良識ある対応をお願いしているんですが、これも、税法上、行き過ぎてしまうと一時所得に該当しますので、引き続きしっかりと良識のある対応をしていただいて、せっかくのいい制度だと思いますので、健全に発展するように努力を続けてまいります。

小川委員 都市部なり富裕層に恩恵が行き過ぎる環境については、地方税制、地方財政上は必ずしも望ましいとは言い切れない。その点と、それから、確かにいい面もあるでしょう、ふるさと納税については。しかし、弊害も大いに議論されている制度であるということについては、改めて指摘をしたいと思います。

 後半なんですが、大臣、これはちょっと触れないわけにいきませんので、放送法の関連についてお尋ねします。

 昨日、折しも、メディアの世界での重鎮、論客六名が集合されて、田原総一朗さん、岸井成格さん、青木理さん、大谷昭宏さん、鳥越俊太郎さん、金平茂紀さんですか、かなり強い表現もあります。これは政治権力とメディアの戦争である、ここまで露骨にメディアをチェックし、牽制してきた政権はなかった。田原さんなんかは、高市氏の発言は非常に恥ずかしいというようなことまで指摘されています。

 「私たちは怒っている」という緊急声明でありますが、大臣、どういうふうにきのうの意見表明を受けとめておられるか、まずお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 きのう、午後は私も委員会に出ておりましたので、会見そのものは夜のニュースにちらっと映ったものを見たのと、あと、声明文は拝読をいたしました。いろいろな御意見があるのだなと感じさせていただきました。

小川委員 この議論、大変尾を引いているわけです。

 先般の私自身の質疑の中で、大臣、総務大臣として、中立公正に職務を遂行することに心を砕きたいという御答弁がございました。そういう努力目標としては受けとめたわけですが、そう答弁せざるを得ないこと自体が、本質的に政治家は、あるいは政党は政治的中立ではあり得ないということを事実上吐露していただいたというふうに私は受けとめています。

 この間の答弁の中で、大臣も、再三の撤回を私どもとしてはお勧めする中で、常に拒否をされていますので、ちょっと私自身の納得のいかない点を御答弁いただきたいと思うんです。

 まず一点目。大臣は、私が総務大臣のときにこんなことをするとは思わないが、将来の可能性は排除できないという言い方をされています。しかし、この国は法治国家ですので、大臣御在任中であっても、該当の案件、該当するような事態に至れば電波停止命令権限は行使する、みずから行使するということをまずお認めいただきたいと思うんです。

高市国務大臣 ここで答弁をしますと、今まで、私が大臣であるときに、正確に言いますと電波法第七十六条に規定をされている無線局の運用停止命令ということになりますが、それを行使することは私が大臣である間はないだろうというふうに申し上げてまいりました。

 現在、電波法の対象事業者及び放送法百七十四条の対象事業者、それぞれ種類が違うんですけれども、しかしながら、合計をいたしますと千三百七事業者ございます。それでも、免許をしているわけでございますし、それぞれ現在のところ問題も起こらず、電波法七十六条ですとか放送法百七十四条の適用ということになりますと、それは非常に極端な場合でございますので、そういったことが起こらないような状況で、それぞれの放送事業者が自律的に法を守っていただいている。

 このように考えておりますので、まず私が大臣である間はそのような心配はないのであろうということを申し上げてまいりました。

小川委員 大臣、希望的観測をお聞きしていません。法的環境について聞いています。

 今、現に大臣が心配されているような事態が起きれば、大臣御自身がこの権限を行使されますね。

高市国務大臣 内閣は、憲法第五章において行政権の主体としての地位を認められております。また、憲法の条文には、内閣の職務として法律を誠実に執行するという規定がございます。

 そういう意味でございますので、ここは法治国家でございますから、法律に規定されたものにつきましては、放送法や電波法に限らず、必要があれば誠実に執行するというのが内閣の役割であると思います。

小川委員 事と次第によっては大臣みずから行使されるという御答弁と受けとめました。

 つまり、これはそのぐらい腹をくくって言わなきゃいけないことなんですよ、大臣。法的環境次第ではあり得るが私のときはやりませんなんという答弁は許されない、そもそもです。それぐらい覚悟を持って言わなければならなかった答弁だということを重ねて指摘し、そして、今の御答弁を重く受けとめたいと思います。

 そういう中で、きのうメディアの有識者の方々がいろいろと強い言葉を使って御発言いただく中で、非常に気になる発言のくだりがありましたので、紹介かたがた、国会の議事録に残させていただきたいと思っています。

 これは全て匿名でありますが、一つは、在京キー局報道番組ディレクターの方の意見です。

 高市大臣発言を含めて一連の安倍政権下の動きで、実際の報道現場に影響が出ているのは確かです。最も顕著にあらわれているのが、番組内の決定権者らの自粛です。それはやりたいのはわかるが我慢してくれ、そこまでは突っ込めないなどと言われることは何度もあります。これまでなら当然指摘してきた問題の掘り下げなどについてです。政権批判ととられるのではないかと恐れ、自粛しています。これは報道側の情けなさではありますが、実際にある圧力によって影響を受けています。

 これがお一人。

 もう一人、在京キー局報道局の中堅社員の方からだそうです。

 報道現場に充満する自粛の空気というのは……(発言する者あり)

遠山委員長 御静粛に願います。

小川委員 皆さんが想像する以上の深刻な域に達しています。我々は、今、伝えるべきことを伝えられていないという自責の念に日々駆られています。表向き、各局の記者やコメンテーター、経営陣が恥ずかしくて認めないため、多くの国民の知るところとなっていませんが、現場には明らかに大きな影響が出ています。街頭録音を削りました。デモの批判的な映像も自粛しています。デモは市民の意思をあらわす動きですが、デモを警戒している官邸に気を使ったのです。ニュースの選択の段階で気を使い、なくなったニュース項目は山ほどあり、数を挙げたら切りがないほど気を使っています。

 最後にお一人、在京キー局の報道局の若手社員だそうです。

 報道現場の萎縮とは、意識して始まるものではなく、現場の人間でさえわからない間に侵食されてしまうものだと感じている。気づけば、争点となる政策課題、例えば原発、安保を取り上げにくくなっている。気づけば、街頭録音で政権と同じ考えを話してくれる人を何時間でもかけて探し回って、探しまくって放送している。気づけば、政権批判の強い評論家を出演させなくなっている。

 一連の、これは匿名ですから真偽についてさまざま確認の必要はあるでしょう、しかし、それなりに責任のある方が公の場で表明された、こうした……(発言する者あり)

遠山委員長 御静粛に願います。

小川委員 報道機関内部でのこうした自粛なり萎縮の動きについて、放送免許を所管される総務大臣として、極めて繊細な危機感を抱くべきだと私は思いますが、大臣、この点いかがですか。

高市国務大臣 きょうの予算委員会でも、会派を同じくされる柿沢未途議員が、NHKのテレビ中継が入っているところで一方的に、高市大臣が電波を停止すると言った、停止すると言ったと言い続けましたよ。とんでもない話です。私は、まず、電波を停止すると言ったことはございません。法律、現行法の内容について聞かれたから、説明はいたしました。

 それから、まず私自身がメディアによる政権批判について何かコメントをしたことはございません。全く、国会の場でそれを大臣として申し上げたことは一度もないはずです。議事録をごらんいただけたらと思います。

 そして、その匿名の方々による制作現場の萎縮という話なんですが、先般来、各放送局の社長さんたちが会見を開かれた中でいろいろ発言をしておられますけれども、萎縮をしているという発言をされた方もいらっしゃいませんし、まず自律的にしっかりと報道の自由を確保していかれる旨を発言しておられると思います。これは、各社社長様のインタビューが出たときに、新聞にも出ておりますので私も目を通しておりますけれども、そのようにちゃんと矜持を持って報道をされる、そして自律的に放送事業者が表現の自由を確保するために放送法を守っていかれる、その趣旨の御発言であると考えております。

 そしてまた、きのうもテレビを見ておりましたけれども、私に対して、何ら手心は加えていただいていないどころか、大変厳しい報道をしていただいております。とても萎縮はしておられないと思います。

小川委員 放送局、経営層の方々との接触の方が、大臣、多いと思うんですね。ここで言われている懸念は、報道の現場です。取材の現場であり、制作の現場です。ここが経営層の意思をそんたく、おもんぱかって、現場が萎縮することに対しての危機感が表明されているわけです。

 これは仮にとしか言いようがありませんが、仮にこういうことが報道現場で起きているとすれば、それはゆゆしきことであるということを、大臣、ぜひ認めてください。

 もう一点、基本的な認識ですが、マスコミの役割について、大臣の御認識を最後に聞いて、終わりたいと思います。

 政治的に中立公平というのがこの間さんざん話題になっていますが、客観的に中立とか客観的に公平というのはあり得ないんですね、そもそも。それが私の立場です。

 したがって、政権はある一定の政治的立場をとります。それは、安全保障政策にせよ、経済政策にせよ、社会保障政策にせよ、政権はある一定の政治的立場をとります。これに対して、メディアは第四の権力と言われます。むしろ政権に対して批判的に、政治権力に対して批判的立場から検証を重ねるのが私はメディアの本来的な役割だと思います。

 ですから、メディアに対して中立公正を求めることそのものがこの本質的な議論を履き違えたものであって、政治的立場を一定明確にする政府、広く言えば野党議員も含まれますが、国会、こうした政治権力に対して批判的立場から検証を加え、ひいては、多様でそして自由な言論空間、日本の民主主義の発展に貢献していくのがメディアの役割である。

 この認識二点について、大臣の御見識をお聞きして終わりたいと思います。一点目。現場で萎縮が起きていることは危機ですよね。そして、マスコミの役割は、政治権力、政府に対して批判的立場をとることがむしろ健全な役割である。この二点について、大臣の御見識をお聞きして、終わりたいと思います。(発言する者あり)

遠山委員長 御静粛にお願いいたします。

高市国務大臣 私も、さまざまなテレビの番組の制作会社の方々、そしてまた放送事業者内の本社に勤務されている方の中で制作部門におられる方々、お会いしてまいりましたけれども、それはやはり報道マンとしての矜持を持って制作をされていると思いますよ。決して現場が萎縮するということはあってはならないと思います。メディアは伝えるべきことを伝えるべき存在です。

 必ず政権をたたかなきゃいけないかといったら、それはまた違うと思います。野党であれ与党であれ、また内閣であれ、何か批判されるべきことがあれば、それはしっかりとお伝えされているんだろうと思っております。

 放送法の第一条でございますけれども、放送の不偏不党、真実、自律を保障することによって放送による表現の自由を確保するとございます。第四条も、放送事業者は、放送番組の編集にあっては次の各号の定めるところによらなければならないとして、政治的に公平であることや、報道は事実を曲げないですること、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることということでございます。

 放送法につきましては、民主党政権時代、平成二十二年に大きな改正をされました。これが現在の条文でございます。

小川委員 また追って議論したいと思います。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 この間、私も、NHKの問題、NHKの誠実な回答が得られないことで、本題である地方税、地方交付税の議論がなかなかできませんでしたが、きょうは最後でございますので、二十五分間、地方税、地方交付税の議論をさせていただきたいと思います。

 まず、先週の金曜日に、私、時間がない中で最後に高市大臣に質問いたしました。地方交付税を廃止、もしくは抜本的な見直しをすべきではないかと。

 済みません、きょうの通告をしていませんけれども、先週の議論の続きでありますし、細かいことは聞きません。大臣としての大きなお考えをお聞かせいただければ結構でございます。

 というのは、私が先週金曜日に質問した、地方交付税を廃止しよう、あるいは抜本的に見直ししようというのは、私はやはり総務省の役所の方からは絶対出てこない発想だろうなと思います。それは、私も総務省の職員でした、旧郵政省だったんですけれども、当時、私、岡山県庁に出向をしておりまして、そのときの上司が今、安田局長がいらっしゃるので、ちょっとやりにくい面はあるのでございますが。

 しかし、今、多くの総務省、特に旧自治省の方というのは、結局、人生の半分を地方自治体で過ごすんですね。採用をしているキャリアの数が今何人、私のときは平成五年入省なんですけれども、二十人ぐらいいましたけれども、その二十人が課長ぐらいに上がったときに、旧自治省に課長ポストというのはそんなにないんですね。つまり、地方自治体に皆さん行って働く。地方自治体を見ると、副知事、総務部長、財政課長、主要ポストはほとんど総務省、旧自治省の方が占めているということでありまして、私は、そういう状況からすると、なかなか、総務省の事務方から地方交付税を見直そうという発想はやはり出てこないんだろうと思います。

 ですから、私がこの間お聞きしたのは、すぐに見直しは難しいけれども、せめて検討ぐらいは、でもこれは事務方からは絶対上がってきませんから、大臣のリーダーシップで、審議会とか検討会とか公にできれば一番いいですけれども、せめて省内ではディスカッションや勉強の場を、これはやはり政務が主導してやらないと絶対できないことだと私は思っているんですけれども、大臣、お考えはいかがですか。

高市国務大臣 現段階におきましては、現実問題としまして、地方交付税が、地方団体の安定的な運営のための財源保障機能、そしてまた財源調整機能を持っていると思います。

 また、普通交付税につきましてそういった機能がありますし、特別交付税につきましては、これは最近、災害が多発している中で本当にお困りの市町村は大変多うございます。災害ですとか、あと路線バス、地方バスですね、本当に欠かせないものに対する切実な御希望、需要というものがございますので、やはりこの地方交付税の制度というのは、現在の日本の税財政の中では必要なものであると思います。

 将来的に、これはやはり税制が大きく変わって、そしてまた地方の格差が、団体間での格差が縮小されて、みずから稼ぎ出して、みずから自由に使えるよ、十分な税収が入ってくるよ、そういった理想的な状況になれば別でございますけれども、現段階ではやはり、日本全国どこに住んでも安全に暮らせること、そして質の高い教育や必要な行政サービスを受けられること、そしてまたあわせて働く場所もある、こういう姿を目指して進んでまいりたいと思っております。

高井委員 こういう公の場での答弁はそこまでしかだとは思うんですけれども、さっき申し上げましたとおり、省内の中だけで、総務省の方と議論してもこの問題は構造的には前に進まないと思っています。

 ですから、やはり思考停止はよくないと思うので、いろいろな可能性、いろいろな意見が、特にやはり外の方から、有識者の方とかそういった方を大臣が個別にお話しされるのでも結構ですので、やはり思考停止はよくないということで、ぜひ気にとめていただけたらなと思います。

 あと、同じような話でもう一つ。

 道州制、これは我が党、維新の党がずっと公約に掲げてきているテーマでありますけれども、これについては、先日、ちょっとこんな記事がありました。

 二月の十八日に、自民党道州制推進本部、原田義昭さんが本部長だそうでございますけれども、そこの方々に、道州制を目指す知事指定都市連合、これは宮城県の村井知事とそれから浜松市の鈴木市長が共同座長ということでございますけれども、道州制をぜひやるべきだという提言で、その中で村井知事がこうおっしゃっています。

 さきの衆議院選で自民、公明が道州制推進を掲げたことに関し、ここからがかぎ括弧で、にもかかわらず法案提出しないことは非常に問題がある、国民に対する約束違反だ、村井知事がそういうふうに批判をしたと。それに対して原田本部長は、道州制が行き着くべき方向だが、ここ二、三年、道州制の議論が下火になっている、基本法はできているが国会で扱うまでには至っていないと述べるとともに、一歩でも二歩でも前に進める、参議院選挙でもしっかり取り組んでいく、こう答えている。それに対して村井知事は、やはりここはもう総理の腹一つ、本当に総理がやろうと思えばやれるし、本気にならなければできない、選挙目当てで公約に入れとけぐらいのことだったら実現できない、総理のリーダーシップ、指導力に期待したいと。これに対して原田自民党本部長が、最後は強力なトップの指導力が必要と認識を示したと。

 私は、総理に行くまでもなく、総務大臣の強いリーダーシップがあればこの問題は前に進むのではないかと思います。これも通告していなくて申しわけありませんが、総務大臣のお考えをお聞かせください。

高市国務大臣 先ほど、地方交付税につきまして思考停止という御指摘がありましたけれども、残念ながら、経済財政諮問会議に行きますと、総務省は、ほぼ袋だたきの中で、さまざまな議論もし、反論すべきところは反論しながら、しっかりと改革に向けて歩みを進めているつもりでございます。

 また、総務省の中にも、有識者の方々に来ていただきまして、さまざまな議論をしたり、私にも御意見を賜ったりしております。

 それから、道州制でございますけれども、村井知事からもたしかメールが来ていましたし、鈴木市長とも時々お目にかかったり、電話でお話をしております。

 道州制を今、政府の、大臣の立場で申し上げるのはどうかと思うんですが、自民党内の道州制の本部で議論されているところだと思います。

 では、総務省、総務大臣が決断すれば道州制になるじゃないかという先ほどの御指摘ですけれども、これは相当大きな、本当に大きな変革でございます。やはり広域化の中で、規模のメリットというものを十分に生かしながら経済の活性化をしていくという、一つの大きなメリットもございます。割と前向きに議論は進んできたと思います。

 他方で、市町村合併などでも、ちょっと市の遠隔部、離れた地域、旧村部、ここの声がなかなか届きにくくなった、こういった課題も実はまだ残っております。

 道州制ということになると、要は、都道府県がなくなって州、そして次は基礎自治体、市町村ということになるんだろうと思うんですけれども、その中で、やはり地域のアイデンティティーですとか歴史ですとか、さまざまなものがございましょう。また、どのようにして広域圏を形成していくのか。いろいろな経緯があるかと思いますので、これは、総務大臣が一人で考えるとか、総務省が勝手に法律案を出してというような類いのものではなくて、やはり各党各会派でも存分に御議論をいただくべきものだろうと思っております。

 自民党では、私自身も政調会長のとき、たしか、道州制については議論を今後党内で進めていくということで整理をしていた記憶がございます。現在の党内の状況については、また各党間でお話をいただければと思います。

高井委員 おっしゃるとおり、大変大きな変革なので、賛否両論あると思います。しかし、やはり世の中を動かしていく、変革しようと思ったら、誰かがリーダーシップをとらなきゃいけない。私は、これは総務大臣がリーダーシップを発揮すべき問題だと思っていますので、きょうはそこでとどめますけれども、ぜひお考えをいただけたらと思います。

 それでは、きょうは地方財政計画についても議題であるわけでありますけれども、その中でマイナンバーも大きな位置を占めておりますが、マイナンバー、最近事故が多発しております。

 これは二月の二十三日の新聞ですけれども、個人番号カードの作成を担う地方公共団体情報システム機構、略称J―LISと呼んでいますけれども、このJ―LISは、二十二日、カード情報の管理システムに障害が生じ、少なくとも二百自治体の交付業務がおくれたと発表した。今回を含めて七回のふぐあいが生じており、機構は原因究明を進めている。このカードの交付作業がおくれた二百自治体には、札幌、千葉、横浜、名古屋、熊本の五政令市が含まれる。

 人口からすると相当大きな影響が出ていると思いますが、これはどういう原因で起こったのか、原因はしっかり究明されておられますでしょうか。

稲山政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のございましたとおり、先般、数回にわたりまして、地方公共団体情報システム機構、J―LISのカード管理システムが一時不安定な状況となり、多くの市区町村におきまして、その間、マイナンバーカードの交付等の業務が行えなくなったものでございます。

 その原因につきましては、J―LISにおきまして詳細を調査中でございます。障害の事象といたしましては、カード管理システムの中継サーバーや業務サーバーにふぐあいが発生しているものと考えられるものでございます。

 なお、詳細は調査中でございますが、当面の対応といたしまして、住民の方に御迷惑をおかけすることのないよう、J―LISにおきまして、カード管理システムの中継サーバーを増設するとともに、サーバーの状況を常時監視いたしまして、事象が発生した場合には迅速に再起動などを可能とする即応体制を構築しているところでございます。

高井委員 二月二十二日からもう八日たっていますね。まだ原因究明中だそうですね。その前の、過去六回あったと申し上げましたけれども、きのう事務方に聞いたら、一月の十三、十八、十九、二十一、二十二、二十五、これだけのふぐあいがあったそうですが、その原因もはっきりと明確にはまだわかっていない。

 マイナンバー、非常に国民の皆さんは期待も半分、不安も半分。私は、いい制度で、進めてほしいと思っているんですけれども、こういうふぐあいが起きると、どうしても国民の皆さんはやはり不安になると思うんです。これは私は、やはりJ―LISの体制に問題があるんじゃないかと。

 J―LISは、地方自治体がお金を出し合ってつくっている。国の下部機関ではありませんけれども、しかし、マイナンバーをJ―LISにお願いして発注しているわけで、マイナンバーの所管は総務省でありますから、やはりここはJ―LISにもっと指導をすべきだと思います。

 加えて言うと、先般この委員会でも取り上げましたこのマイナンバーシステムというのは、大手ベンダー五社が一者コンソーシアムで受注をしていて、そしてマイナンバー関連システムのシェアは実に九九・二%、これは談合じゃないか。公正取引委員会も、はっきりは答弁しませんでしたけれども、明確に否定もしなかったということになっています。

 恐らくJ―LISにすれば、このシステムを発注した、今回もこの五社が請け負っているわけですから、そこに問題があったと。つまり、この構造そのものに私は大きな問題があるんじゃないかと思いますが、これは、マイナンバーを、特に地方自治体で交付することを所管する総務大臣としては、どのようにお考えなのでしょうか。

高市国務大臣 J―LISの理事長に対しましては、昨年の十二月十一日に、まず、私から直接、適切な事務処理の実施について要請をしました。また、ことしに入りましてからも、J―LISの役員、それから今委員が御指摘の関係事業者に対しまして、自治行政局長から、マイナンバーに関する情報処理システムの再点検について要請を行っております。

 それから、総務省から委託を受けてJ―LISが実施した個人番号の付番等システムの開発でございますけれども、確かに、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、富士通、日立製作所、日本電気の五社によるコンソーシアムが受注しています。

 これらの業務ですけれども、J―LISが一般競争入札を行い、事業者の決定に当たりましては、学識経験者と地方公共団体関係者から成る調達評価委員会で検討し、決定をされたものです。高度に専門的で特殊な能力を要するものだということで、結果的に五社が受注したものだと思っております。また、J―LISの会計手続というのがございますが、これにのっとって適切に調達が行われたと承知をいたしております。

 しかしながら、いずれにしても、今回のカードの発行事務そのものにおくれが生じるということになりますと、多くの方々が不安になってしまう重大な案件であると思いますので、引き続き、J―LISにも事業者にも緊張感を持って取り組んでいただきたいと思いますし、一刻も早くやはり原因を解明して改善していかなきゃいけない、再発防止に努めていただかなきゃいけないと考えております。

高井委員 マイナンバーは、本当に国民の皆さん、過敏だと思うんですね。私からすると過敏、過剰なぐらい、ちょっとあると非常に拒否反応というか、心配をするということでありますので。

 しかし、さはさりながら、これだけ大きな事業で、総務省としても最も力を入れる何本かの事業の一つだと思いますので、ぜひ体制の強化。

 実は、このマイナンバーとあわせてこの後質問する情報セキュリティー、これも、去年、日本年金機構がセキュリティーの漏えいがあって、私はそのときから内閣委員だったんですが、これは厚労省、年金機構の問題じゃない、地方自治体こそ最も危ないんだ、だから、何としても自治体のセキュリティー対策を万全にしてほしいとずっと申し上げておりまして、そのかいあってか、今回の地方財政計画でも四百億が計上され、また、補正予算で二百五十五億という金額がセキュリティーに積まれています。

 しかし、私はこれでもまだ不十分じゃないかと思っていまして、金額、予算の方もさることながら、もっと総務省の中で、実はこれも内閣委員会で取り上げたんですけれども、当時、情報政策室というところには七名の職員で、しかもセキュリティーの専門家がいるわけじゃない、そこが担当なんだというお答えでした。その後、私がもっと強化すべきと言ったら、今回四名ふえたというふうに聞きましたけれども、しかし、そういうレベルじゃない、もっと十分な体制をつくるべきだ。

 また、総務省だけじゃなくて、本当に専門家集団であるNISC、内閣官房にサイバーセキュリティセンターがあります。ここはかなり人数を増強していますので、ここのNISCともっと緊密に連携をする。あるいは、J―LISにもセキュリティーに詳しい、情報化に詳しい人が集まっているわけですから、そこを、連携だけじゃなくて、J―LIS自体も強化する。

 そういったことを行って、つけ焼き刃じゃない、抜本的な対策が必要だと思っていますけれども、これもお考えをお聞きいたします。

高市国務大臣 昨年の日本年金機構の事案を踏まえまして、自治体における情報セキュリティー対策の抜本的強化に取り組んでいます。

 まず、NISCとの連携、しっかり行っています。特に、インシデント連絡ルートの多重化など即応体制を強化するということ、それから、セキュリティー対策に係る演習に自治体に参加していただくということによって、セキュリティー人材の育成促進など情報セキュリティー確保体制の強化を図っています。

 先ほど、人材のお話がございました。確かに四名増というのも事実でございますが、事務官がおりまして、自治体情報セキュリティー係長がおりまして、課長補佐がおりまして、そしてさらに企画官、これが自治体情報セキュリティー担当ということで、四名増になるんですけれども、この企画官を外部の人材の方に来ていただくということで、専門家の方にも助けていただきながら、しっかりと強化をしていきたいと思っております。

 また、専門家等から構成される自治体情報セキュリティ対策検討チームの報告を踏まえまして、三層から成る対策を全国の自治体にお願いしました。ここで必要な経費についても、補助金などで支援をしています。それについては、委員が十分御承知の内容であるかと思います。貴重な時間ですので、割愛をいたしますけれども。規模別の必要コストをちゃんと勘案しながら、できるだけ自治体の負担のないように措置をしております。

 また、別途、平成二十八年度の地方財政計画にも、先ほどおっしゃっていただいた、情報セキュリティーに係る四百億円を含む自治体情報システム構造改革推進事業費という枠で千五百億円を計上しておりまして、各自治体で、とにかくこれらの措置を活用していただいて、必要な対策を講じていただきたいと思っております。

高井委員 今、情報セキュリティー対策の補助金、二百五十五億出していただいたのはいいんですけれども、これは金曜日もちょっと質問したんですけれども、自治体では、非常に今、コスト高、大手ベンダーが人手不足でコスト高になっていて、この補助金だけでは十分足りないという声が上がっています。

 それから、もう一つ問題なのは、セキュリティーを万全にするのはいいんですけれども、余りやり過ぎると、今度、職員が、自分のパソコンというか、机に置いてあるパソコンからインターネットを見ることができないという、インターネットを見る場合は、課に一つか二つあるパソコンまでわざわざ行って見るとか、あるいはパソコンを机に二台置くとか、こういうことになりかねないということで、一体何年前にさかのぼるんだろうかみたいな、非常に不安の声が上がっています。

 これは、仮想化という技術によって、一台のパソコンでもインターネットとそれからほかのマイナンバーとか行政情報を切り分けることができるんですが、この仮想化をやることができる企業というのが二社しかないと言われていて、この金額が高くて、とてもこの二百五十五億の補助金では対応できない、そういう声が地方自治体あちこちから上がっているんですけれども、こういった声は大臣のお耳には届いていますでしょうか。

高市国務大臣 それらのお声については承知をいたしております。

 補助金の上限額を設定しましたので、自治体独自に、より高度な情報セキュリティー対策を実施されるような場合には、一定の自治体負担が発生する場合も想定されます。それから、見積もりの方法ですとか対象経費の捉え方によって、また見積金額が変わる場合もございます。

 それと、確かに面倒な作業もございます。インターネットリスクにこれは対応しなきゃいけませんから、ウエブ閲覧や外部とのメールのやりとりに一定の制限が生じるという場合もあります。しかし、内部への対応には、やはり端末からの情報持ち出し不可設定ですとかアクセス要件の強化などが求められるという場合がございます。

 情報セキュリティー対策の強化、構築というものと円滑な業務プロセスの確保との両立というのは、自治体情報セキュリティ対策検討チームにおいても、補助金の水準とあわせて、全国の自治体の御意見もいただきながら検討を続けてまいりまして、その結論について、自治体にお願いをし、そして財政的な支援も行うということにしました。ですから、自治体の方は、このような自治体の御意見も聞きながらつくり上げたセキュリティー対策だという経緯も御承知いただいておりますので、ぜひとも必要な対策を打っていただきたいと思います。

 各自治体の補助金の個別の執行につきましては、十分に御意見を伺いながら、見積もりの際に必要な協力を行ってまいりたいと存じます。

高井委員 時間が来ましたので終わりますが、この問題、マイナンバー、それからセキュリティー、地方情報化、これは実は一千五百億円も年間で削減できるという効果がありますので、また改めて質問いたしますけれども、ぜひ、総務省の中で、ITの情報セキュリティー、地域情報化の体制強化、これをともかく人数をふやすことだと思います。ぜひ御検討いただけたらと思います。

 以上で終わります。

遠山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭でございます。

 東京圏一極集中の問題について質問をします。

 先週二十六日の総理質疑のときにもこの問題を取り上げました。総理から明確なお答えがなかったことについて、引き続き質問をしたいというふうに思います。

 先週と同じ資料をお配りさせていただいています。住民基本台帳に基づいた東京圏転出入の推移について描いたグラフであります。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略では、東京圏の転入超過数を減らしていく、転入を六万人減らして、転出を四万人ふやしていくということで、二〇一三年を起点に二〇二〇年まで、この赤の破線のカーブを描くという計画であります。ところが、現実はそうはいっていなくて、二〇一三年、二〇一四年、転入超過が進んでいるということにあります。

 そこで、お伺いしたいわけなんですけれども、この政府の計画はかなり厳しい状況にあるのではないかというふうに思いますけれども、どう認識されておられますか。

牧島大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘ございましたとおり、東京の一極集中を是正するということは、人口減少を克服し、地方創生をなし遂げるために大変重要であると考えております。

 今お話がございましたものはKPIでございまして、私どもとしては、東京圏から地方への転出を四万人増加するという目標を立てております。そのために、何としても、実現に向け、あらゆる施策をとってまいりたいと考えております。

 仕事と人の好循環を確立するために、地域しごと創生会議を開き、分析を行っております。地方の移住希望者の支援や、企業の地方拠点機能強化や政府関係機関の移転などにより、地方への新しい人の流れをつくる施策を強力に推進してまいります。

 また、より具体的にお話をさせていただきますと、私どもの内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局におきましては、地方移住のガイドブック「いなか暮らしはじめませんか?」というものを作成させていただいております。ここでは、私たちも地方移住を応援しますというコンセプトのもと、移住・交流情報ガーデン、NPO法人ふるさと回帰支援センター、一般社団法人移住・交流推進機構、JOIN、ニッポン移住・交流ナビなどの御案内もさせていただいておりますし、移住ナビのホームページの活用なども皆様にお図りをいただいているところでございます。

田村(貴)委員 政務官、いろいろおっしゃいました。しかし、この転出入を均衡化させるというのは、これは閣議決定なんですよね。

 そして、このグラフでありますように、今、ここまで来ています。そして、二〇一六年もまた上昇するでしょう。そうすると、二〇二〇年までにどうやって均衡させていくのか。KPIといみじくもおっしゃられました。そのKPIは、今聞いておったら、四万人、六万人。これはもう三カ年は無理ですよ。そうすると、もっと厳しいカーブになっていく。

 この厳しい状況について御認識がありますかと、私は総理にも聞いているんです。達成は難しいんじゃないですかと聞いているんですけれども、その見通しはどうなんでしょうか。

牧島大臣政務官 目標達成に向けて全力を挙げてまいりたいというふうに申しております。

 そして、地方へ新しい人の流れをつくるという点では、地方移住を希望する国民の方々は多くなってきていると私どもは実感しておりますし、さまざまなニーズも出てきております。例えば、お試し居住ですとか二地域の居住なども一つのライフスタイルとして出てきております。

 年間移住あっせん件数は一万一千件という目標を立て、さらに、お試し居住に取り組む市町村の数を二〇一四年に比べて倍増していきたいと思っております。都市と農山漁村の交流人口一千三百万人、地域おこし協力隊四千人など、目標を掲げ、確実に進めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 二〇二〇年といえば、東京オリンピック・パラリンピックの開催であります。それとこの方針というのは重なってまいります。さらに人が集まり、そして人が住んでいくんじゃないかというふうに私は思うわけです。国の人口長期ビジョンも、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催は人口流入を増幅させる可能性が高いというふうにしています。

 オリパラ開催による人口増を政府としてどう見ておられるのか、これに対する何らかの対策というのがあるのか、それについてもお聞きしたいと思います。

牧島大臣政務官 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、この競技大会は、東京一極集中を加速させるものではなく、日本全体を元気にし、さらなる発展を目指すための大きなチャンスと捉えることが重要だと私たちは考えております。(発言する者あり)ありがとうございます。

 既に第一次のホストタウンなどがございますが、こちらの全国の分布を拝見いたしますと、現状、第一次におきましては、北海道から九州まで、四十の地域が世界各国のホストタウンとして名乗りを上げ、決まってきております。

 こうした行事を通じて、オリンピアン、パラリンピアン、世界各国の方々とそれぞれの地方の地域の方が交流をされることになりますし、事前合宿の受け入れの準備も始まり、さらに、日本の伝統文化を伝える文化プログラムなどは全国各地で地方において行われるものと思っております。

 これが、東京オリンピック・パラリンピック、東京大会は東京だけではなく日本全体の活気につながると私たちが考えているゆえんでございます。

田村(貴)委員 人口の転出入の関係でもっと具体的に指標を持ち、KPIを持っておられるのかなと思ったんですけれども。

 もう一問尋ねたいと思います。

 安倍政権は、東京圏を、世界から人材、資本、技術が集まる国際ビジネスやイノベーションの拠点として位置づけておられます。まち・ひと・しごと創生総合戦略の二〇二〇年までの転出入均衡という方針について、これは住民基本台帳をもとにして試算されてきていると思いますけれども、では、外国人労働者の数、あるいはこれからふえるであろう外国人居住者の数というのは、政府の一極集中是正のこの中に位置づけておられるんでしょうか、カウントされているんでしょうか。

牧島大臣政務官 今御質問がありました総合戦略や基本方針において、外国人であるか日本人であるかということを東京一極集中において決めていくという、基づく取り組みというものは具体的に行っておりません。長期的、継続的に総合戦略や基本方針に基づいて東京一極集中を是正して図ってまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 政務官、私がなぜきょうこの質問をするかといいますと、ふえる要素があるじゃないかという話をしているわけなんですよね。

 一つは、オリンピック・パラリンピック。これはにぎわいがあり、人と物と金が集中すれば、そこにやはり人は住み、人はふえていく。これは自明の理だと思うんですよ。

 それから、国際ビジネス都市東京などの位置づけであります。東京の経済的あるいは文化的な力が強くなればより人口がふえる、これは異論がないところだというふうに思います。そして、これは歴史が証明し、現に東京圏への転出超過は二十年連続であります。

 東京の人口は十年後も二十年後ももっと増加していくのではないか、こんな民間のシンクタンクの調査結果も明らかにされています。

 私は、東京圏が発展すること、オリパラが開催されること、そのことを取り上げているわけじゃないんですよね。一方で、政府は、地方創生で、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンと総合戦略の中で東京一極集中の是正を掲げておられるんですよ。だから、このことをずっと取り上げているんですね。

 総理質問でも申しましたけれども、人口流入増がわかっているんです、わかっているんだけれども、その影響予測が詳細にされていない。それから、天井知らずの開発計画がわんさかある。そして、ビル群の集積がこれからどんどん計画されている。そうしたら、やはり人はついてくるじゃないですか、居住人口はふえてくるじゃないですか。これは、地方創生の一極集中の是正と私は矛盾すると思うんですよ。だから、具体的な手だてが必要じゃないか。

 安倍総理には、これまでのやり方、見直した方がいいんじゃないですか、もっと地方を大切にして地方の地場の経済を温める、住民の社会保障を改善していく、何よりも最低賃金なんかを全国一律水準にして、そして雇用を充実させていく、そんなことを提案させていただいたわけなんです。

 ここをしっかりとわきまえていかないと、一極集中も是正されないし、地方が一極集中の是正を前提に人口ビジョンを策定し、そして総合戦略をつくっているわけです。ここに大きな影響が出てくるんです。その戦略もビジョンも達成できないじゃないですかということを聞いているんですけれども。

 私は、今の段階では矛盾だというふうに思います。政務官、いかがでしょうか。

牧島大臣政務官 地方創生を進めなければならないという委員の御指摘は、私たちの思いと同じでございます。

 その中で、矛盾するものではなくて、東京の国際化、イノベーション化、もちろん国際都市として進めなければならないもの、ただ、それは、東京と地方を対立事項としてパイを奪い合うというものではなくて、東京圏と地方とそれぞれの強みを生かして全体的にプラスになっていくようにしていこうということは、総理もこの間の答弁でもお話をさせていただいたとおりでございます。

 また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックだけではなく、これから海外の多くのスポーツイベント、大会が日本で開催されますが、二〇一七年のアジア冬季競技大会は札幌市、帯広市で開催されますし、ラグビーワールドカップは全国で十二都市でございます。二〇二一年のワールドマスターズゲームズ二〇二一は関西圏、さらに福岡市でも二〇二一年には世界水泳選手権大会ということで、こうしたスポーツ行事を通じて、国内外から日本各地、地方も含めて全国に来られる方たちがいる。そうすると、日本人とはまた違う観点で意外な観光地が育っていくということは、私たちも実感として感じております。

 これを一つ、ローカルブランディングと呼ばせていただいておりますが……(田村(貴)委員「もういいです」と呼ぶ)はい。のみならず、ローカルイノベーションも東京だけではなく地方からも進めさせていただいておりますことをつけ加えさせていただきます。

田村(貴)委員 政務官、いろいろおっしゃいました。しかし、二〇一四年に計画をつくって、三年がかりになっているけれども、東京への人口流入増はすごい勢いで上がっている。シビアな現実をやはり見きわめる必要があると思います。また議論させていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 マイナンバー制度についてお尋ねします。

 先ほども議論があったんですけれども、番号通知カードの交付状況についてお尋ねいたしたいと思います。

 私も資料をいただいたんですけれども、数字の確認です。二月二十三日現在で、合計五千五百九十五万九千四通が交付された、未交付数は二百四十四万九千九百十通、未交付率は四・二%というふうにお伺いしていますけれども、間違いありませんか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 二月二十三日時点での当省の調査では、ただいま御指摘のございました数値のとおりでございます。

田村(貴)委員 議案でも出されています。地方税の改正案についても、マイナンバーに関連した部分が盛り込まれております。

 それから、一月からマイナンバーカード、個人番号カードの交付も既に始まっております。そんな中で、自治体の窓口を初め、国民生活のさまざまな場面において混乱とトラブルが発生しております。私に寄せられた事例を中心に紹介して、政府の見解を求めたいというふうに思います。

 まず最初に、住民生活の中で、自治体の窓口における各種申請手続がございます。例えばの話でいいますと、保育所の入所申請をしたいとします。そのときに、役所の方から、個人番号の提示がなかったということで受け付けてもらえなかったという例がありました。これはよろしいんでしょうか、お尋ねします。

安藤政府参考人 御指摘の保育所の入所の手続も含めましてでございますが、申請書等にマイナンバーを記載することとされているものにつきましては、申請者等にマイナンバーを記載していただく必要があるのは当然でございます。ただし、こうした申請等におきまして、申請者等がマイナンバーの記載がないことをもちまして、市町村等で直ちに当該申請書を受け付けないという取り扱いにはしてございません。

田村(貴)委員 はい、わかりました。

 人によっては、番号通知カードを携行したくない、あるいは番号を告げたくない、役所はいいけれどもその先が心配だという方もおられます。番号通知カードそのものの受け取りを拒否して、役所の方に送り返した方もおられるというふうに聞いております。

 役所に行きますと、住民基本台帳がありまして、住民票コードとマイナンバーというのはリンクしています。住民票コードを変換してマイナンバーはつくられています。ですから、各種申請手続において、役所の方で番号確認はできるというふうに伺っております。そうであるならば、今答弁ありましたように、各種申請において、個人番号の提示はなくても、そのことがないことをもって申請を阻害するものではないということであります。

 もう一度確認させていただきますけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございます。

田村(貴)委員 次の例であります。

 医療機関の窓口でマイナンバーカードの提示を求められたと。必要はありませんよね。いかがでしょうか。

安藤政府参考人 私どもといたしましては、医療機関の窓口でマイナンバーの提示を求めることはないと承知しております。

田村(貴)委員 これはあってはならないんですよね。カルテにマイナンバーが書かれたら、これは大変な問題になってまいります。

 それから、次の事例です。

 一般的な契約についてお伺いします。

 例えば、レンタルビデオ店で会員登録をしたいとする、あるいはクレジットカードを作成したいとする。そのときにマイナンバーの提示、記載は、もちろん必要はないと思いますけれども、これを求められる例もあるやに聞いております。このことについてはいかがでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 一般的な民間同士の契約で、原則、マイナンバーの提示を求められることはございませんが、一方で、契約の相手先が、税法あるいは社会保険に関する法令に基づきまして調書を出すということがございます。例えば、雇用契約の賃金の支払いですとか、あるいは報酬の支払い、そういうふうなものがございますので、そういう場合に限りましてマイナンバーの提示が求められるということでございます。

田村(貴)委員 雇用関係にあるときの書類の条件によって提示を求められる、そういうことはわかります。

 そのほかに、マイナンバーの提示が必須となる、そういうものについて、国税庁の方から、マル優制度、非課税貯蓄制度を活用したい、あるいは証券会社における口座開設の際には、マイナンバーカード、マイナンバーの提示は必須だというふうにお伺いしています。この二つを除けば、国民の一般的な生活においては、雇用関係を除いてマイナンバーカードの提示は必要ないというふうに私は理解しているんですけれども、基本的にそういうことでよろしいでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる少額預金におきます障害者等のマル優制度、それからNISA、特定口座、それからあと年間収入が十五万円を超える法人または不動産事業者との不動産賃貸契約につきましても、これは調書が出ます。それから、税務署への法定調書の提出対象となります一定金額以上の報酬を支払う弁護士、税理士、ホステス、あるいは原稿料、講演料の類いもございます。

 こういう場合につきましては、税法の規定に基づき、マイナンバーを求められるところでございます。

田村(貴)委員 次、ちょっと就職のことについてお伺いします。

 就職の面接において、面接官からマイナンバーを尋ねられました。これは雇用契約締結前であります。必要はないと思いますけれども、いかがでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる雇用契約に基づきまして賃金を支払う場合のマイナンバーの取得時期という問題かと承知いたします。

 これにつきましては、賃金の支払い時というのが通常でございますけれども、個人情報保護委員会のガイドラインによりまして、そういう賃金の支払いが予想されるような契約が結ばれたときから可能であるというふうに解されてございます。したがいまして、雇用契約を締結したときから可能になるというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 続けてお伺いします。

 就職が内定しましたという事例です。

 事業主からマイナンバーの提示を求められ、提供を拒否される場合は貴殿を雇用できませんと文書で告げられた例が報告されています。この場合はどう見たらいいんでしょうか。

大西政府参考人 今委員御指摘の採用内定時の紛争につきましては、個々の事案ごとに最終的には司法において判断されるものではございますけれども、私ども厚生労働省といたしましては、都道府県労働局あるいは総合労働相談コーナーにおきまして、マイナンバーをめぐる事業主の方あるいは労働者の方からの相談について、きめ細かく対応してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。

田村(貴)委員 細かくはまた見ていきたいと思います。

 このほか、たくさんの事例が寄せられました。議員の皆さんも、地元でいろいろな問い合わせがあっているんじゃないかなというふうに思います。

 国民の毎日の生活において、誤解と混乱が多く生じています。役所の窓口で個人番号の提示を迫られて、その場で申請に至らなかったケースもたくさんあります。

 最後に、高市大臣にお伺いしたいと思います。

 全国の自治体や事業所に対して、こうした混乱が起きないように周知徹底を図る必要があるんじゃないかと思います。とりわけ、自治体における対応というのは住民の権利と暮らしに直面することにつながります。

 内閣府はもとより、総務省、厚生労働省、それから国税庁、各省が連携して、国民にとって無用な混乱とそして誤解が生じないように、内閣として特段の配慮、対策が必要ではないか。今の時点で私はそう思うんですけれども、いかがでしょうか。

高市国務大臣 私もそう思います。

 マイナンバー制度の円滑な導入、定着に当たっては、地方公共団体の職員や民間事業者の担当者を含めて、広く国民の皆様に制度を正しく理解していただく、それが重要だということで、これまでも周知広報には努めてまいりました。

 マイナンバーの提供ですとか利用が禁止されている場面において提供や利用が行われないように、また、マイナンバーの提供や利用が必要な社会保障や税の手続においては御協力をいただけるように、そのメリットも含めて、より一層広報周知に注力をしてまいります。

 現在、総務省、内閣官房、J―LISのホームページにもさまざま掲載しておりますし、あと市町村の窓口に備えていただきたいということで、先般、QアンドAも作成をいたしました。また、市町村の広報紙などでも制度について正しくお伝えいただくようにお願いをして、文例案、ひな形など、各自治体に提示をさせていただいたところです。

田村(貴)委員 ぜひ、自治体、それから事業主、事業者に対しては周知徹底、とりわけ急いで図っていただきたいというふうに思います。

 私たちは、そもそもマイナンバー制度には反対であります。情報そのものの漏えいを絶対に防ぐ手だてがないからであります。それから、それを防ぐ完全なシステムを構築することが不可能であります。そして、一度漏れた情報は、流通、売買され、取り返しがつかない。また、情報は、集積されるほど利用価値が高まり、攻撃されやすくなる。こんなリスクを抱えているわけです。

 年金情報漏れの問題が去年ありました。こうしたことで国民の皆さんは大きな不安を抱いておられます。

 こうしたことも、これからまたただしていきたいというふうに思いますが、きょうは時間が来ました。これにて終わります。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 きょうは……(発言する者あり)質問いたします。

 私は予算委員でもございまして、午前中の予算委員会、あるいはきのうも集中審議があって、その集中審議の場で馬場幹事長がパネルをお示しして、法案への賛否を、我が党、予算はもう予算委員会で決しましたが、この委員会の法案についてもその賛否をもうテレビで言っちゃいましたので、我が党が地方税法あるいは地方交付税法については賛成するということについては、既にテレビで幹事長から申し上げているところであります。

 ほかの野党の方がどういう対応をされるかは承知していますが、ここで言うことではないのであれですが、いずれにせよ、国会のあり方についてちょっと一言申し上げるところですが、その前に。もちろん、質問もしますよ。

 その前に、まず、遠山委員長。遠山委員長から、議題に沿ってしっかり質疑するようにということを、ここでこういうことを言うようにとは言われていないんですよ、言われていないが、遠山委員長を私は大変尊敬いたしておりますので、遠山委員長から、ちょっと紙を持ってくるのを忘れましたが、対総理質疑のときに、しっかり議題に沿って質問するようにという改めてのお話もありました。その点、そこから若干外れることがあったことについては、心から、特に委員長に陳謝をいたしたいと思います。

 それから、田村貴昭委員についても、いつも私、田村先生が隣で、大変近しく御指導いただいているわけでありますが、これもあわせて、この間の対総理質疑のときに、時間が来ていることをお気づきかなという、若干そういう思いだったんですが、委員長職権にかかわる時間、そういう委員長職権にかかわるような言動があったということで、これも心から、国会議員として恥ずかしいことでありますので、二度とそういうことのないようにいたしたいと思います。これも別に、こういうことを議事録に残る形で言えとは言われていませんが、そう思っていますので、これはしっかり議事録に残していただきたい、こう思っているところでございます。

 ただ、民主党さんについては、私いろいろ、民主党さんがおっしゃっていることの一部、反省するところがないわけではありませんが、民主党に言われたくないよなというのが、これは率直なところであります。もちろん、遠山委員長のいろいろな御努力には心から感謝をいたすわけでありますが、特に、民主党が何をおっしゃっているかよくわかりません。

 例えば、私に対する懲罰動議が二十六日に、これは予算委員会の話でありますが、きょうは予算の最終日でありますので、この場をおかりして一言申し上げると、山井委員と柿沢委員の名前、提出者となって、これは、憲政史上、恐らく野党同士の懲罰動議は初めてだと思います。野党から与党、与党から野党への懲罰動議は、私、ちょっと調べてみたんですけれども、少なくとも平成に入ってからはありません、野党同士の懲罰動議は初めてなわけでありますが、私、これは国会の仕組みに若干問題があると思うんです。

 これは行政府はちょっと関係ないので、ゆっくり聞いておいていただいたらいいと思うんですが、委員の皆さん、大体、日本はすごい特殊な形なんです。議員の皆さんが一つになって、与野党を超えて一つのテーブルに座って、これは一つのテーブルですね、一つのテーブルに座って政府と向き合うのは、これは非常にまれです。例えばアメリカ議会……

遠山委員長 足立君に申し上げます。

 質疑はなるべく議題の範囲内でお願いいたします。

足立委員 わかりました。

 もう少しで終わりますが、では、まずやりましょう、しっかり、法案の話。

 私は、地方財政の話で最も重要な話は、我々ずっと申し上げている、地方が本当に悩んでいるのは臨財債の話なんです。

 臨財債については、既に二十六日の午前中、それから午後、総理のときはやっていないですね、やっていないから怒られているわけですけれども、午前中に高市大臣に御質問申し上げました。

 これについては、私が、臨財債の償還責任はどうなっているかという観点で、当然、これは地方債ですから、償還の責任は地方にある。一方で、償還財源については交付税措置で担保されていることが国の法律で決まっている。こういう今のたてつけは、国と地方の責任関係が曖昧ではないかと御質問しました。

 これに対して高市大臣の方から、その前に安田政府参考人の方から、私が、法改正でその責任を地方に、償還財源の担保を国が手放す、これは大変なことを言っているわけですけれども、地方にとってはあり得ないことが法技術的にはあり得ますかと申し上げたら、安田政府参考人の方から、それは可能ですねという御答弁があって、それを受けて高市大臣に御質問したら、しっかり、そもそも臨財債のような制度自体を減らしていく必要があるが、臨財債がある限り一応担保していくんだと思っていますよ、ただ、臨財債の制度そのものが、将来、足立が大臣になったときに議論したいならしてもいいよ、そういう御指導があったわけであります。

 これは大臣、要すれば制度を変えられるわけでありますが、少なくとも大臣が在任中はこういう法改正はしない、これでいいですね。

高市国務大臣 これもどこかで聞いたような議論でありますが、各地方団体が臨時財政対策債を確実に償還できるようにする財源保障については、今後とも、地方財政計画の策定、地方交付税の算定を通じ確実に対応していくということにしておりますので、現段階でこれを改めるような制度改正は考えておりません。

足立委員 もう一つだけ大臣に同じテーマで更問いを申し上げたいのですが、大臣は本当に、閣僚の中でも総務大臣というのは大変重たい責任で、重鎮中の重鎮であられるし、党のサイドでも、各種の党の重い役職を持ってこられます。

 自民党という政党がしっかりと政権をグリップしている間は、そういうことを私はさせないよと、ちょっと一言。

高市国務大臣 現在閣僚の立場でありますので、閣議決定をするにしても、全て与党の政調会、総務会と、それから与党政策責任者会議等を経て御了解をいただいてから、その後閣議決定をするということでございますので、現在の私は、法律案一本出すにしても与党の皆様の御議論にまず委ねなければならないという状況でございます。

足立委員 私は、自由民主党という政党、特に公明党さんもついていらっしゃいますので、全く実は心配をしておりません。

 ただ、私が臨財債についてこういう質問をするのは、今の与党、自民党、公明党のことを心配しているんじゃないんです。野党が、我々以外の野党がもし政権に関与することが将来、まあないと思いますが、あったときには、代替基地の問題とか原発の問題とか、あらゆる問題を取り上げて、私は、本当に痛恨のきわみというか、民主党政権さえなければ今の日本は、福島も沖縄も、もっともっとよくなってきていたと本当に思っているんです。大臣もそう思っていらっしゃると思いますが。

 したがって、民主党あるいは元民主党、民主党が名前を変えて、何か新しい看板をかけかえる予定が、今その看板に何を書くかでもめているようでありますが、そういう政党が政権を担うことがあったら、まさに地方財政、国と地方の関係さえ、そういう過去の経緯を十分に勉強もせずに、過去の経緯を全くわきまえずに、国のあり方、国の進路を混乱させる可能性がある、このように危惧をしてのこの質問であることを補足しておきたいと思います。

 大臣、何か。いいですね。

 もう二、三分で終わりますが、大臣、もう御答弁は求めませんが、この話はとても大事な話なんです。

 なぜかといえば、私が今申し上げたようなことを大臣には聞けますね、大臣、これはどう思いますかと。答弁してくださいます。でも、与党のほかの議員には御質問できない。まあ、でも、自公政権は余り心配していません。

 問題は民主党。民主党に質問したいんですよ、民主党は一体何を考えているんだと。どうして企業・団体献金をもらいながら企業・団体献金を廃止すると言えるのか、どうして公務員の給料を上げながら公務員の人件費二割削減という旗を振れるのか、全くわかりません。それから、ここに座っている野党第一党、野党第一党の役割を果たしていません。野理懇にも私は呼ばれません。おかしいですよね。日本の憲政史上、始まって以来、初めてですよ、こんな野党第一党。

 できるだけ早く、我々は今、きょうも予算委員会で、まあ、予算委員会の話は、委員長、やめておきましょう。皆さん、自民党の皆さん、私がこの話をしているのは、地方財政のためなんですよ。

 また立つでしょう。山井さんみたいですよね。もうやめてほしいですよね。とにかく、こうやって野党筆頭がうろうろするのは厚生労働委員会だけにしておきましょう。いいですか。

 そして、私が申し上げたいことは、これからの国会は、国会議員と、国会と政府の対話の場だけではなくて、国会議員同士の、与野党の、そしてできれば野党同士の討論、もし自公が一極、民主と共産が二極、我々が三極だとすれば、その三者で向き合って議論していけるようなものが本来の国会。

 実は、アメリカは当然大統領制だからそうなっているが、イギリスでも同じなんですよ。イギリスというのは与野党が向き合って、同じテーブルじゃないんです、分かれて座って、その与党の側に政府が座っているんです。

 国会というのは討議の場ですよね。皆さん、この総務委員会というのは行政のあり方を、全体を仕切っている大変重要な委員会でありますが、きょうこうして国会議員の皆様に、予算の最終日、ぜひ政党間、三極の間で、特に私は皆さんに、与党に質問したいことは余りありません。おおさか維新の会が、共産党と一緒に何かやらかそうとしている、それも看板に何を書くかわからないような、そういう━━政治グループに対してしっかりと追及していける、そういう国会をつくり上げていただきたい。また、私もそのために努力をしていくことを……

遠山委員長 足立君に申し上げます。申し合わせの時間が経過しております。

足立委員 お誓い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、まずふるさと納税についてお聞きをしたいと思います。

 昨年の税制改正でワンストップ特例が設けられると同時に、上限額が二倍に引き上げられました。昨年の当委員会でも質問させていただきましたが、非常に危惧する事態が起こっているのではないかというふうにも思っております。

 これにより、今年度の寄附額は大幅にふえており、先ほど他の委員からもお話ありましたけれども、半期で、昨年の四月から九月で総額で四百五十三億五千五百万円、これが寄附されております。同年同時期を比較すると四倍、これは先ほども指摘があったとおりだと思います。

 まずお聞きしたいのは、十月以降の実績、大体、これを見ておりますと、年末に向けて非常にふるさと納税はふえるそうでありますから、その後どういうふうに変わっていくのか、今年度の最終実績はどの程度になると予想しているのかをまずお聞きしたいと思います。

 それから、これは非常に急激に制度利用が増加をしております。この点について、大臣、どのように評価していらっしゃるのか。

 それぞれお答えをください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税の実績でございますけれども、お話にもありましたように、平成二十七年度上半期において約四百五十三億円、これは受取額ベースでございますが、そうなっております。

 二十六年度でございますけれども、下半期は同年度の上半期と比較しますと二・三倍の実績になっておりますので、この数値をそのまま当てはめますと、千五百億という計算にはなります。

 計算にはなりますが、平成二十六年度は日に日にふるさと納税の認知度が高まるという状況でもあったようなこと、また、平成二十七年四月から制度が拡充されているといったようなことを考えますと、二十六年度と同じように伸びるかというところは、これから様子を見なければわからないところもありますが、いずれにしましても、今年度の実績は一千億円を超える金額になるのではないかと考えております。

高市国務大臣 ふるさと納税の実績が大幅に伸びている現状についての私の考えでございますが、ふるさと納税制度は、ふるさとへの思いですとか地方団体のさまざまな取り組みを応援する気持ちを寄附金税制を通じて形にするという仕組みでございまして、昨年の平成二十七年度税制改正で、寄附枠を拡大するといった制度拡充の効果ですとか、郵便局を活用するといったことの利便性向上策もあって、大きく実績を伸ばしたんだと思っております。

 このように、国民の皆様に広く認識していただいて活用が進んでいるということは、地方創生を進める視点からも心強く感じております。

 今後、地方への応援が継続的に得られますように、地方団体において、ふるさと納税を活用する施策の明確化ですとか、活用実績のわかりやすいPRというふうに、使途を評価してもらうことに力点を置いた取り組みが広がっていく方向で、さらなる活用の促進を図っていきたいと考えております。

吉川(元)委員 大臣がお答えになられました、ふるさとへの思いでありますとか、自治体が進めるさまざまな施策について応援したいという思いで寄附をする、私は、それはすばらしいことだろうというふうにも思います。

 ただ、一方で、現実はなかなかそうなっていないという側面もあります。

 確かに、寄附がふえれば地方財政、自治体の財政が改善をいたしますし、今から少し問題にしなければいけないところでありますが、返礼品についても、特産品の需要がふえて町おこしにつながる、あるいは自治体のPRにもなるということも十分承知はしております。

 一方で、見ておりますと、寄附額が地方税収額を上回る自治体も出始めておりますし、それから、これは既に当委員会で質疑されましたけれども、自分の自治体に寄附してほしいというようなことも進められているということも聞いております。

 きょう、ちょっとこういう雑誌を持ってきたんですけれども、これは実はコンビニに普通に売っている雑誌であります。「二〇一六年最新版 ふるさと納税完全ガイド」。この中を読みますと、先ほど大臣の言われた、ふるさとへの思いだとか応援したい思いということとはちょっとかけ離れていて、どこに寄附すると何がもらえるのか、どういうふうにすると一番お得なのかということが延々と実は書かれています。

 大臣は去年の答弁の中で、還元率的なものがあることはよくないと言われましたけれども、自治体はもうやっていないと思います。こういうところが、還元率がここは高いですよというようなことも実はやり始めているわけです。余りにも過熱し過ぎているのではないかというふうにも私は感じざるを得ません。

 そういう面でいいますと、税制あるいは寄附制度をゆがめていくことのないように、適宜、制度をその都度都度検証しながら、変更も含めて見直しをぜひ検討していただきたいと思います。

 そこで、ちょっと昨年の質問との関連ですけれども、ふるさと納税の懸念の一つとして、ふるさと納税が進むとほかの寄附に回らないのではないかというふうなこともお話をさせていただきました。その際、大臣からは、ふるさと納税の拡充というのは政府の最重要課題となっている地方創生の推進を図る観点から必要と述べた上で、NPO法人等への寄附に対しては中立的であるから、悪い影響を与えるものではない、そして、ふるさと納税を通じて、NPO法人などへの寄附も含めた寄附文化の醸成にもつながるというふうにも答弁をされております。

 そこで、お聞きしたいんですが、余り詳しい数字じゃなくても結構ですけれども、NPO法人や公益社団法人などを対象にした寄附件数、寄附総額、現状どのような状況になっているのかをお聞きしたいと思います。

浜田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定非営利活動法人、いわゆるNPO法人に対します寄附の状況についてのお尋ねでございますが、いわゆるNPO法人は全国に五万団体余りございまして、小規模なものも多うございます。

 したがいまして、その総額につきまして、我々の方で漏れなく把握するということはいたしておりませんけれども、一方で、このNPO法人以外にも、例えば学校法人でございますとか社会福祉法人、こういったところも含めました個人寄附の総額につきましては、民間の団体での調査、推計が行われております。その数字が公表されておりますので、それをお答えさせていただきたいと思います。

 この調査は、日本ファンドレイジング協会という民間団体が平成二十一年から行われておる調査でございますが、それによりますと、最新の調査結果は、平成二十六年の個人寄附の総額が示されております。これによりますと、七千四百九億円となっておりまして、平成二十一年に調査を始めましたとき、これがちょうどふるさと納税の導入直後でございますが、この時期と比べまして、五年間で約三五・八%増加をしているというような数値となっております。

 また、件数というのが公表されておりませんけれども、寄附者数の推計もあわせて公表がされておりまして、これによりますと、平成二十六年の寄附者総数は四千四百十万人というような数字が公表されております。これも、五年前と比べまして一七・一%増加というようなデータが示されておるところでございます。

 以上でございます。

岩田政府参考人 公益法人についてのお尋ねがございましたので、お答えいたします。

 ふるさと納税が導入され、拡充された時期が、ちょうど公益法人制度改革に伴いまして旧民法法人から新公益法人への移行が順次行われた過渡期と重なっております。このため、お求めのような、ふるさと納税の導入と公益法人に対する寄附件数や総額の関係ないし影響を示すデータを把握してはございません。

 ただ、当方で把握可能な数値としまして、公益法人の事業報告に基づきまして集計した、平成二十四年十二月から翌年の十一月まで、二十五年十二月から翌年の十一月までの二カ年分の寄附金総額の数値を把握してございます。これによりますと、各年に公益法人が受け取りました寄附金総額は約二千百五十七億円及び約一千八百十七億円となってございます。

 この変動につきましては、新公益法人への移行に伴いまして、特定の年に、一口数百億円単位の大口の寄附が行われることがございます。それによって、寄附金総額全体として大きく変動することがございますので、この二カ年の差もそのようなものだと理解してございます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 ちょっと時間がなくてあれなんですが。

 実は、今、政府肝いりで、子供の未来応援基金というのがつくられております、子供の貧困の連鎖を断つということで。大々的に国民運動として取り組むと言われておりますけれども、ちょっと調べますと、ことしの一月末段階で、募金件数が四百十八件、それから募金総額が一千六百万円であります。非常に小さい。

 私は、応援基金という、こういうやり方というのは余りよくないと思います。本来であれば、政府がきちんと子供の貧困の対策をすべきであって、民間の寄附に頼るというやり方自体には反対ではありますけれども、やはりなかなかこうしたところにもお金が来ていないということを指摘させていただきたいと思います。

 それで、ちょっと順番を飛ばしまして、人口減少等特別対策事業費についてお伺いをしたいと思います。

 昨年十二月に策定をされました経済・財政再生計画改革工程表を見ますと、この人口減少等特別対策事業費の成果配分の割合について、来年度から二〇一八年度までの集中改革期間を経て、その成果配分の割合五割以上を目指す。今、今年度でいえば、六千億のうち、その六分の一、一千億が成果配分ですけれども、これを今の三倍の三千億円以上にするというふうにしております。

 まずお聞きしたいんですけれども、この人口減少等特別対策事業費、これは必要度と、それから結果、成果についてお金を配分するということですけれども、政府としては、三年後、つまり二〇一八年度にこれを、逆に言うと、金額的にいえば、必要度は三分の一に減るわけであります。そういう認識で、この成果配分というものに傾斜をしていくというふうに考えておられるんでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 昨年の十二月に経済財政諮問会議で決定されました経済・財政再生計画改革工程表におきましては、「取組の成果の実現具合等に応じ、「成果」を反映した配分を集中改革期間の後は、五割以上とすることを目指す」ということで、「後は、」という時間的な限定になっているということでございます。

吉川(元)委員 お聞きしたいのは、では、人口減少の対策というのは三年で完了するんですか。あるいは、必要度というのは三分の一ぐらいしか、不要になる、その時点では、人口減少については、今まで三千億使ってやってきたけれども、もう必要度は三分の一に減ったんだという認識ということですか。

安田政府参考人 先ほど申し上げました工程表においては、「後は、五割以上とすることを目指す」ということでございまして、集中改革期間が終わった後に直ちにそうなるとまで記述されているものではございませんで、「後は、五割以上とすることを目指す」という記述でございます。

吉川(元)委員 人口減少の対策というのは、二、三年で何らかの結果が、結果が出ること自体はいいことですけれども、必要度が低下するというふうにはとても思えませんし、三年後以降を目指して、そういう方向で行くんだということですけれども、これは、正直言って、二年や三年のスパンでは考えられない。

 もっと長期にわたって必要度に応じた配分というのが必要だと私は思いますし、そのうち成果が出てきたとするならば、今六千億の部分を例えば九千億にふやして、必要は三千億、結果は六千億というふうにするのであればまだわかりますけれども、必要度に合わせて出している部分を減らすということについては、余りに実態と乖離をしているのではないかというふうに思います。

 もう時間が来てしまいましたので、以上で終わりたいと思います。

遠山委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘委員 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、自由民主党及び公明党を代表し、賛成の立場から討論を行います。

 まず、地方税法等の一部を改正する等の法律案に賛成する理由を申し述べます。

 今回の法案には、経済の好循環の確立に向けた法人税改革の一環として、法人事業税所得割の税率の引き下げと外形標準課税の拡大の措置が盛り込まれております。このことは、税収の安定性の確保や応益課税の強化など、地方税制にとっても大変意義のある改革であります。

 また、法人住民税法人税割の税率の引き下げ等を行う地方法人課税の偏在是正については、税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図ることにより地方税財源の充実確保を行うものであり、今後の地方創生の推進に大きく貢献する措置であります。

 さらに、自動車取得税の廃止及び自動車税等における環境性能割の創設などの車体課税の見直しは、環境性能にすぐれた自動車の普及等を促す税制上の仕組みを構築するものであり、地方税のグリーン化の推進と安定的な地方財源の確保を図るものであります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成する理由を申し述べます。

 地方団体の安定的な財政運営のためには、一般財源総額の確保が大変重要です。今回の法案においては、地方税が増収となる中で、地方交付税について前年度とほぼ同程度となる十六・七兆円を確保しており、地方からも評価の声が上がっております。また、赤字地方債である臨時財政対策債の発行を大幅に抑制し、経済再生と財政健全化の両立という要請にも対応しております。

 さらに、地方団体が地方創生に取り組めるよう、まち・ひと・しごと創生事業費について前年度と同額の一兆円が確保されており、地方団体を力強く支援する内容になっております。

 加えて、来年度は復興・創生期間の初年度に当たり、東日本大震災からの復興も新たな段階に入ります。この法案においては、震災復興特別交付税について、被災団体が復旧復興事業を行うために十分な額が確保されており、復興の観点からもこの法案を成立させる必要があります。

 急速に進行する少子高齢化、人口減少を克服し、地域経済の縮小に歯どめをかけるためには、地方創生を推進することが喫緊の重要課題であります。議題となっております両法案には、地方創生を推進する上で必要不可欠な措置が数多く盛り込まれておりますとともに、東日本大震災からの復興、国民生活や地方団体の財政運営に直結するものでありますことから、速やかに両法案を成立させるべきであることを申し上げて、私からの討論といたします。(拍手)

遠山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 私は、民主・維新・無所属クラブを代表して、地方税法等の一部を改正する等の法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対する立場から討論を行います。

 まず、地方税法改正案について申し述べます。

 民主党、維新の党統一会派は、格差是正と経済成長のため、講ずべき税制上の措置を定めた格差是正等税制措置法案を提出いたしました。そこでは、平成二十六年法改正で実施された軽自動車税の増税については反対し、引き下げを行うこととしております。軽自動車は、特に地方の皆さんにとっては貴重かつ重要な移動手段であり、軽自動車の増税については、かねてから反対しており、もとの税額に戻すことを求めております。

 また、外形標準課税の拡大等を財源として法人実効税率を引き下げる手法は、地方の税収は変わらないといっても、外形標準課税により負担増となる法人がふえることは事実であり、成長戦略に反する形となることは間違いありません。

 今回の地方税法改正案で盛り込まれている遊休農地に対する課税強化については、もともと収益性が低いなど、通常の農地より価値の低い資産であることが多く、それに絞ってペナルティー的に課税することには疑問があります。

 そして、消費税の軽減税率導入による影響は、地方消費税収に大きな穴をあけることにつながるのにもかかわらず、代替財源についてはいまだ明示されていません。地方税の根幹にかかわることであり、到底容認できません。

 次に、地方交付税法等改正案の反対理由について申し上げます。

 地方交付税の算定基盤となる地方財政計画については、臨時財政対策債について発行額を圧縮する等、地方財政基盤の安定と健全化に努力を行っていることについては評価したいと思います。しかし、地方交付税については、五百四十六億円の微減とはいえ、純減しているのが本法案の柱の一つとなっております。これは、地方交付税に向き合う姿勢としては容認しがたいものがあります。

 また、行革努力に応じて重点配分を行ったり、業務改革で他団体のモデルとなるようなものを地方交付税の基準財政需要額の算定に反映させるトップランナー方式の導入は、交付税措置というお金の配分と引きかえに地方の行革を進めようとする方策であり、地方交付税法の目的に照らして、大いに疑問が残ります。

 さらに、今回の消費税の軽減税率導入の影響により、地方消費税と同様に、地方交付税に充てる消費税の法定率分は減収となります。社会保障の安定と充実のための地方財源の確保が大きく揺らいでいることは間違いなく、安定した地方交付税の基礎を大きく損なうもので、地方財政、住民福祉への責任放棄であり、地方交付税の将来を鑑み、明確に反対することを申し上げ、私の討論を終わります。

 以上です。(拍手)

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法改正案並びに地方交付税法改正案に反対の討論を行います。

 まず、地方交付税法についてです。

 交付税の算定へのトップランナー方式の導入は、民間委託などによって削減した経費水準を標準として単位費用に反映するものであり、地方自治体に一層のアウトソーシング化を押しつけ、地方交付税の削減を狙うものです。地方交付税の性格をゆがめるものであり、反対です。アウトソーシングが公的業務になじむのか、その検証こそ求められています。

 また、基準財政収入額の算定にこの方式を導入することは、徴収率の向上が主な目的となって、住民の担税力を育てることを置き去りにし、強引な徴収のやり方が一層広がりかねません。

 地方の財源不足は二十一年連続となっています。臨時財政対策債の発行と国、地方の折半ルールによる地方負担ではなく、地方交付税の法定率の抜本的な引き上げを行うべきであります。

 次に、地方税法です。

 外形標準課税の拡大は、赤字法人などに過大な税負担をもたらし、地方経済と雇用に重大な影響を与えかねないもので、反対です。また、中小企業への拡大は行うべきではありません。

 自治体間の税収格差の是正措置は、本来、地方交付税制度の拡充によって行うべきであります。消費税の一〇%への増税と一体に、法人住民税の法人割を引き下げ、一方で、地方法人税、国税を創設して地方交付税の原資とすることは、地方税を国税化することであり、反対です。

 遊休農地への課税強化は、所有者に農地の処分を強いるものです。

 また、個人住民税の徴収引き継ぎ特例の拡大は、市町村が実施する上で困難があるならば、市町村の税務体制の拡充や研修の充実などを行って改善すべきものであり、反対です。

 最後に、一つの番組のみでも放送法第四条の政治的公平性が確保されていないと認められる場合があるとした高市大臣の発言は、政権による放送番組へのチェックを常態化させ、放送事業者への事実上の圧力にもなりかねず、重大です。発言と政府統一見解の撤回を強く求め、討論を終わります。(拍手)

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党を代表し、地方税法等の一部を改正する等の法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 二〇一八年度まで一般財源の水準を実質的に確保するとした閣議決定によって、来年度の一般財源は今年度の水準を維持しています。しかし、二〇一七年度以降は、消費増税を受け、地方消費税分の増収を反映し、その規模は同水準ではなく、拡大しなければならないはずです。軽減税率による地方の減収分の財源手当てを含め、地方財政に支障を来すことのないよう、適切な対応をすべきと指摘しておきます。

 さて、地方税法、交付税法の両案に反対する理由は、税のあり方を大きく揺るがしかねない改正措置が盛り込まれている点にあります。

 地方税法の改正では、法人住民税の法人税割の税率が大幅に引き下げられます。偏在是正がその目的とされていますが、そもそも、自主財源である地方税を召し上げる形で交付税の財源に充てることは、国が財政調整、財政保障の責任を放棄することになりかねません。

 また、遊休農地に対する課税の変更では、農地集積バンクを利用するか否かによって農地保有者に差別的な課税を行い、政策誘導を図るものです。このような手法は、税の中立公正原則に反します。

 交付税法の改正では、民間委託など、合理化を自治体に強制するトップランナー方式が導入されます。地方創生事業では、行革努力分や取り組み成果分が今年度同様に交付税で措置され、人口減少等特別対策事業費では、今後、取り組み成果分を事業費全体の五割以上にすることが方針化されています。

 これら競争的な要素を交付税配分の基準に据えることは、財源の均衡と安定を図るという交付税の目的に反し、交付に当たっては使途を制限してはならないとする交付税の趣旨をゆるがせにするものと言わざるを得ません。

 以上を主な理由として、両改正案に反対します。

 最後になりますが、地方財源の充実と財政力格差の是正には財源移譲が不可欠であり、それなくして分権もありません。地方財政を安定させるため、一層の努力を政府に求め、私の討論といたします。(拍手)

遠山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、地方税法等の一部を改正する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

遠山委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、原田憲治君外六名から、自由民主党、民主・維新・無所属クラブ、公明党、日本共産党、おおさか維新の会及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。原田憲治君。

原田(憲)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件(案)

  厳しい地方財政の現状を踏まえ、地方公共団体が、必要な行政サービスを安定的かつ効果的に提供していくためには、持続的な地方税財政基盤の確立が不可欠であることに鑑み、政府は次の諸点について措置すべきである。

 一 地方公共団体が、人口減少の克服及び地域経済の活性化等といった重要課題に取り組んでいくためには、地域の実情に応じた自主的かつ主体的な取組を長期間にわたって実施していく必要があることに鑑み、安定した恒久的な財源を確保すること。

 二 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ地方公共団体の安定的な財政運営に必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含めた抜本的な見直しを検討し、特例措置に依存しない持続的な制度の確立を目指すこと。また、特別交付税については、多発、多様化する自然災害に対応を迫られる地方公共団体の財政需要などを今後とも的確に反映しつつ、算定方法の透明化の取組を一層推進するとともに、基準財政需要額の算定は、地域の実情を十分に踏まえたものとすること。

 三 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。また、減収が生ずる地方税制の見直しを行う場合には、代替の税源の確保等の措置を講ずるほか、税負担軽減措置等の創設や拡充に当たっては、真に地域経済や住民生活に寄与するものに限られるよう、慎重な対処を行うこと。

 四 巨額の借入金に係る元利償還が地方公共団体の財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることも踏まえ、地域経済の再生に向けた取組を一層推進するとともに、臨時財政対策債を始め、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう、万全の財源措置を講ずること。

 五 地方債については、財政力の弱い市町村が円滑に資金を調達できるよう、地方公共団体金融機構の機動的な活用を含め、公的資金の確保と適切な配分に最大限の配慮を行うなど円滑な起債と流通、保有の安全性の確保を図ること。また、地方債の発行に関する国等の関与の在り方については、協議不要基準の緩和等による地方財政の健全性への影響に留意しつつ、地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から、運用を含め、更なる検討を進めること。

 六 東日本大震災に係る復旧・復興に当たっては、平成二十八年度からの復興・創生期間においても、引き続き、所要の震災復興特別交付税額を確保するなど、万全な支援措置を講ずるとともに、平成二十八年度以降、新たに生じることとなる被災地方公共団体の実質的な負担額については、当該被災地方公共団体の財政状況等を踏まえつつ、適切な財政措置を講ずること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

遠山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠山委員長 起立総員。よって、本動議のとおり、地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重させていただきたく存じます。

遠山委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十分散会


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