衆議院

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第10号 平成28年3月22日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十八年三月二十二日(火曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      小田原 潔君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    小林 史明君

      古賀  篤君    白須賀貴樹君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      中村 裕之君    中山 泰秀君

      西銘恒三郎君    野中  厚君

      橋本  岳君    福山  守君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      宮川 典子君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    近藤 昭一君

      田嶋  要君    武正 公一君

      水戸 将史君    渡辺  周君

      輿水 恵一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        松下 新平君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   会計検査院事務総局第五局長            斎藤信一郎君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 磯谷 桂介君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   井上 樹彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   今井  純君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     赤枝 恒雄君

  金子めぐみ君     藤井比早之君

  長坂 康正君     青山 周平君

  山口 俊一君     福山  守君

  山口 泰明君     野中  厚君

  逢坂 誠二君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     宮川 典子君

  赤枝 恒雄君     白須賀貴樹君

  野中  厚君     山口 泰明君

  福山  守君     山口 俊一君

  藤井比早之君     金子めぐみ君

  田嶋  要君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     藤原  崇君

  宮川 典子君     小田原 潔君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     長坂 康正君

  藤原  崇君     大西 英男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信国際戦略局長山田真貴子君、情報流通行政局長今林顯一君及び文化庁長官官房審議官磯谷桂介君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長斎藤信一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、NHK籾井会長、昨年、積極的にマイナンバーを支払い率の向上のために活用したいというような御発言をされております。

 マイナンバーを利用していわゆる受信者の把握をして、NHKの受信料の支払いを向上させる、こういうことが検討されているというふうに考えますが、今どのような状況になっているのか、まずお尋ねいたします。

籾井参考人 お答えいたします。

 マイナンバー制度については、今後どのように具体的に活用されていくのかということを注視しながら、きちんと研究してまいりたいと思っています。

 現状は、まだまだ時期的に成熟しておりませんで、研究はしております、しかしながら、もうちょっと時間がかかると思います。

 ただ、我々としましては、受信料の公平負担、この問題は極めて重要であると思いますし、そのためにやはり支払い率の向上を図ることは極めて重要な課題だと思っていますし、三カ年経営計画にもこれを重要課題として取り組んでおります。

 そういう意味におきまして、もしマイナンバーが使えるようになれば、その分もあわせてよく検討していきたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 ここで、さらに伺いたいんですが、マイナンバーという国の基幹インフラを使いますと、ある意味政府と一体化をして、国と一体化をして、NHKの受信料の徴収ということが国のインフラを利用して捕捉、把握をしてできるとなれば、実質的にこれは国と一体化して、公共放送であるNHKが国営放送になってしまうのではないかというふうな懸念を持つわけなんですけれども、その点についてはどうお考えですか。

 そしてまた、今、検討されている、研究されていると言いますが、いつまでに結論を出されるんですか。その点について伺います。

籾井参考人 お答えいたします。

 もとよりシステムの問題でありますから、私は、徴収というものは国とは別にできるんじゃないかというふうに思っております。もちろん、これは非常に重要なポイントでありますので、当然、我々が実行する際には大きな検討ポイントになると思います。(渡辺(周)委員「時期です。いつまでにやるか」と呼ぶ)

 これは本当に、まだマイナンバー自体が我々が使えるという段階にもなっておりませんし、いわゆる今挙げておられる年金とか、そういうものの中にもNHKの受信料というのは入っておりませんので、まだまだこれが具体的な、いつまでと言うには、ちょっと時期尚早かと思います。

渡辺(周)委員 先ほど申し上げました、政府のこの基幹インフラを利用することになれば、政府に対して、これはもう一体化という形になる。ですから、公共放送じゃなくて国営放送になってしまうのではないかという懸念については、会長はいかがお考えでしょうか。

籾井参考人 今の段階では全くそういう懸念は持っておりませんし、もとより、我々が仮に実際に実行するということになった場合には、それが先ほど申しましたように重要なポイントになるということでございます。

渡辺(周)委員 その点について、やはり我々懸念をするわけですね。

 実際、NHKの内部の方からもいろいろ今回の質問に当たってヒアリングをさせていただきました。そのときやはり言っていたのが、国営放送になってしまうのではないか、政府に頭が上がらなくなるんじゃないか。つまり、そういうことを懸念されているわけですね。この点については、ぜひ会長、全く懸念はないと言いますけれども、そういう声があるということはしっかり受けとめて、これから検討されるのであれば、その都度我々は検討の経過についてもただしていきたいというふうに考えます。

 さて、質問を次に進めますけれども、既にワンセグは徴収対象となっているということですが、実際、ワンセグの徴収というのはなかなか難しい。実際、ワンセグの徴収をNHKに確認しましたら、把握はできていないということでございます。

 今後、端末、パソコンから徴収をするということも検討されておりますけれども、その場合は、あまねく受信ができるようにということになれば、将来もしそれを実現するということになれば、ネット環境の向上まで、あまねく受信のためにNHKが責任を持って整備するという一端を担うことになるのではないかと思いますけれども、その点についてはNHKは検討されていますでしょうか。

井上参考人 お答え申し上げます。

 パソコンやスマートフォンを使って番組を視聴するインターネットでのテレビ放送の同時配信と、受信料制度との関係につきましては、今後の重要課題であるというふうに認識しております。

 NHKでは、今の三カ年経営計画に基づきまして、放送と通信の連携など、メディア環境や放送、サービス展開を踏まえまして、受信料制度のあり方を研究しているところでございます。

 昨年の十月からことしの一月にかけまして、インターネットでの同時配信の検証実験を行いました。有識者の専門的な知見なども踏まえまして、こうした同時配信をどのように位置づけるべきか、丁寧に研究してまいりたいと存じております。

渡辺(周)委員 質問に答えてください。

 ネット環境の向上までNHKがその責任の一端を担うことになるのではないかと言っているんですが、そこはいかがなんですか。

井上参考人 将来のインターネットでの放送の同時配信については、先ほど申し上げましたとおり、検証実験を行いました。

 今、先生御指摘のような、通信でのテレビの同時配信がどれぐらいの負荷がかかるのか、どういった、どれぐらいの費用がかかるのかというところをまだ今検証しているところでありまして、そういったことを踏まえて、これからの同時配信の方向性あるいは可能性について検討していきたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 いや、インフラ整備についてですよ。つまり、まだ全国あまねくつながっていないところもある、当然そういうところも非常にあるわけですね、同時配信といいますけれども。

 その点については、将来的にはNHKもその負担をすることになるのかということを尋ねているんですが、いかがですか。(発言する者あり)

遠山委員長 静粛に願います。

井上参考人 NHKは、今、放送で、あまねく放送の義務を負っております。

 通信については、これからの通信での配信の需要だとかあるいは必要性等を踏まえて、どういったインフラ整備まで対応するのかといったところをこれから検討していくということになります。

渡辺(周)委員 この点について、また改めて質問を深めたいと思っています。

 受信料の支払いの向上、徴収の公平性ということについては私も異論はございません。その上で、やはり申し上げたいのは、税金と同じで、身を切る改革というものがあって初めて、視聴者の負担というものが、説得ではなくて納得という形で支払いをいただけると私は思うんですね。

 そこで、申し上げます。

 NHK本体と子会社の取引に占める随意契約率九二・五%。競争契約というのは七・五%しかないですね。これまでも、NHK予算に対する附帯決議では、子会社のあり方の効率化、透明化ということを何度も我々も主張してまいりました。今回の大臣意見にも、子会社のゼロベースでの見直しということが記されています。

 今申し上げたような随意契約率の高さ、かつての霞が関の官庁と、そして特殊法人や特殊会社があって、天下りをした方々が、そこと本体と随意契約を結んで、非常に高いものになって、高コストになった。何回も指摘をして改善をしてまいりました。まさにNHKが今その構造になっているわけであります。

 そうしますと、例えばNHKプロモーションとNHKサービスセンター、NHKビジネスクリエイトと日本放送協会共済会、やっていることの中身は、類似子会社があるわけですね。それを考えますと、こうした子会社のあり方について、いつまでにしっかりとした見直しをするのか、新放送センターが完成するまで手をつけないということなのか。

 子会社の整理統合は再三指摘をされてきました。この子会社の整理統合、そしてそれによる受信料のコスト引き下げ、その点については、今、どういう検討がされていますでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 現在、我々としましては、NHKグループ経営改革ということで、グループ会社全体の機能の再精査、それから再整理の検討に入っております。

 NHKの各機能に照らしまして、関連団体の委託業務や自主事業を精査しまして、統合、廃止も視野に再整理を行っていく、こういう不退転の決意でやっているわけでございます。したがいまして、この精査を踏まえまして、組織についても検討していきますし、もし重複しているような機能がありますと、こういうものは統合して合理化をしていくということでございます。

 我々としましては、受信料を無駄に使ってはならないという気持ちは非常に強く持っておりまして、今後とも、関連団体との取引の透明性、適正性、こういうものを高めていき、委託業務のさらなる適正化を推進してまいりたいと思っております。

 NHKと関連団体が一緒になりまして、業務の抜本的な見直しを行って、経営資源をコンテンツ制作力の強化などに重点的に再配置し、受信料の価値をさらに高めていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 もう時間もありませんので、あわせて最後に質問しますが、NHK会長への最後の質問。

 事業所割引、特に旅館であるとか民宿であるとか、これは、非常に稼働率が低くても各部屋にあって、非常に負担になっている。例えば、この旅館であるとか民宿であるとか、こうしたNHKの受像機を設置しているところの事業所割引について、もっと負担にならぬように見直しをすることはないのか、その点について伺いたいと思います。時間がありませんので、簡潔にお答えください。

遠山委員長 簡潔にお願いいたします。

福井参考人 現在、旅館、民宿の受信料につきましては、平成二十一年二月以降事業所割引を適用しまして、既に六五%の負担軽減を行っております。

 受信料体系につきましては、社会経済状況の変化に対応して、より公平で合理的なものとすることが必要でありまして、今後も不断に見直しを行っていきます。

 旅館、民宿の受信料の一層の割引は、公平負担や受信料収入への影響などを考慮しながら、慎重に研究していくことと考えております。

渡辺(周)委員 こういう声はたくさん寄せられていると思います。身を切る改革を進めながら、受信料の引き下げというものにぜひとも本気で取り組んでいただきたい、そのことをNHKに申し上げたいと思います。

 最後になりますが、総務大臣に伺います。

 これまでも議論されてきたいわゆる停波、放送法の中には停波という言葉はないんですけれども、いわゆるというふうに言わせていただきます、この際の手順はどうなっていますか。

 例えば、BPOならば、御意見をお寄せくださいといって視聴者からの意見を受け付ける窓口があるんですが、次のステップに行くために、こうしたBPOの判断というものは手続の中に位置づけられるのかどうなのか、その点をお答えいただきたいと思います。

遠山委員長 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

高市国務大臣 渡辺委員がおっしゃるいわゆる停波というのは、電波法第七十六条に規定している無線局の運用停止命令と理解しますが、これは、特定地上基幹放送事業者が電波法や放送法またはこれらの法律に基づく命令や処分に違反した場合、三カ月以内で無線局の運用停止を命じることができるものとするものです。

 その際、弁明の機会の付与などの行政手続法に基づく手続が求められます。

 この運用停止命令に対しては、放送事業者は異議申し立てを行うことが可能であり、その場合、総務大臣は電波監理審議会に付議しなければなりません。付議された事案について、電波監理審議会は異議申立人の意見陳述などを実施して審理した上で議決を行い、総務大臣はその議決により異議申し立てについての決定を行うということになっております。

 なお、BPOですが、これはNHK及び民放連によって設立されたものでございまして、放送法に位置づけられた組織ではございませんため、総務省がこうした対応を行う際に関与するということは想定されておりません。

渡辺(周)委員 これで終わりますけれども、あくまでも、私は、第一義的に、BPOが受けたことを、そのBPOからのまさに指摘を受けて総務省が判断すべきだと思います。BPOを越えて総務省が先に行うということはいかがなものか、このことを指摘して、また後日改めて質疑することを申し上げまして、交代させていただきます。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 恐らく、民主党という名前で質問するのは、きょう私は最後になろうかと思います。

 また、会長とは、この三年間、長いおつき合いでありまして、毎年予算を質問させていただいていますが、これも、会長に予算を質問するのはひょっとして最後になるかもしれません。三年任期ですから、最後になるかもしれません。しっかり質問していきたいと思います。

 思い起こせば、二〇一四年の就任会見での発言からそもそもマスコミをにぎわすことになったわけです。私はこの委員会で、会長に真意を説明してくださいと申し上げて、会長がそれを取り入れて、同じ番組、恐らく同じ「とっておきサンデー」で、一回目のおわびというか、説明の番組があったんですね。

 そして、今回、二回目です。「とっておきサンデー」の場をかりて、今回は不祥事についての謝罪をなされた。一人の会長がテレビの場で、二回も公共の電波を使っておわびをするというのは例がない、異例のことだと思います。

 今回は、再発防止ということで、アイテックの問題、危険薬物の問題、あるいはタクシーの不正使用の問題をおわびされたんですが、もう一度確認なんですが、二度目ですよね、おわびをして、視聴者に再発防止を誓ったわけですから、もうないんですね。

 というのは、去年国会審議の場で、いわゆる小林委員会、新たな事実としてあの報告書が出るのに一億円使ったということが判明したんですが、一億円使って小林委員会の調査報告書が出て、それに基づいて会長は、もう再発はないんだと国会の場でもたしか答弁されたと思うんです。

 ところが、ふたをあければ、一億円使ったのに、二億円の不正使用、これが出てきて、発見できなかったわけです。一回調査をして、お金をかけて、受信料でお金をかけて調査をして、再発防止策を出した。そのすぐ後に、またこうした二億円の不正使用が出てきたということなんです。

 もう一度確認ですが、今回は本当に大丈夫ですか。テレビの前で視聴者におわびをしたわけです。再発防止を誓ったわけですが、本当に大丈夫ですか。そして、再びこういった事態が起きたときにどう責任をとるのか。会長、まず伺いたいと思います。

籾井参考人 不祥事を受けまして、我々としましては、再発防止のため、ただいま全力で対応しているところでございます。

 もちろん、関連企業の業務内容の見直しであるとか、重複業務の発見であるとか、いろいろなものが入っているわけでございます。それに伴いまして、やはり組織の見直しということも十分考えております。

 そういう中で、では、再発は絶対にないかと言われると、これは何とも言いようがない部分もありますが、私としましては、再発しないように、今後とも、本体も含めまして、こういうことが起こらないように全力で対応していきたいというふうに思っている次第でございます。(奥野(総)委員「再発した場合の責任のとり方について」と呼ぶ)

遠山委員長 籾井参考人、再発した場合の責任についてもお答えをいただきたいと思います。

籾井参考人 ただいまも申し上げましたように、そういうことが再び起こらないように、我々としては最大の努力をしている最中でございます。

奥野(総)委員 持ち時間が少ないのでこれ以上繰り返すのはやめますが、やはり、もう絶対ないんだと言い切って、きちんとその場合は責任をとるんだと。別にやめてくださいと言っているわけじゃないですよ。いろいろな責任のとり方はあると思うんですよ。そのぐらいはきちんと、トップですから言及していただきたいんです。今、一切答えていないですよね。

 それで、中身に入っていきますが、おわびした中に、タクシーの不正利用の問題がありました。受信料の不正使用ということになるんでしょうが、埼玉県の三件の問題、懲戒処分に三名の方がなられたということなんです。

 ところが、これだけじゃない。あそこで会長はこの三件だけおわびされたんですが、ほかに懲戒になった事例があると伺っています。

 会長は、あの三件の不正使用を受けて、昨年一年間のタクシーの利用について全部調べた、新たに処分すべき事案はないというふうにはっきり公表しておられるんですが、ところが、その同じ期間中に、公表されていない懲戒処分の事例が二例あったと伺っています。

 では、これはどういった事案、この二例、処分の時期、それから幾らぐらいの不正使用、額ですね、不正使用額があったのか、伺いたいと思います。

籾井参考人 職員の懲戒処分につきましては、これは当然人事に関する情報でございますので個人情報に当たりますが、被害者、関係者のプライバシーや権利を侵害するおそれのある場合を除き、原則として次のケースについては処分内容、事由等を公表してまいりました。それは、懲戒免職、諭旨免職の処分、公判請求された刑事事件に関する処分、公金の着服などの不正に関する処分、これら以外でも重大なコンプライアンス違反に関する処分でございます。

 二件については、この公表基準には当てはまっておりませんので、公表しませんでした。

奥野(総)委員 今聞いたのは、公表基準について伺ったわけじゃなくて、うちの党の部会で、懲戒処分、二件ありますとテレビカメラの前で公表されているわけですね。その期間も伺っているわけですが、ではその額は幾らですかということを伺いたい。別に個人名を言ってくださいとか詳細に言ってくださいと言っているわけじゃなくて、額を聞いているわけです。処分の対象となったタクシーの利用についての金額を伺っているんです。

籾井参考人 ただいま申し上げましたように、これは我々の公表基準に該当しておりませんので、公表をいたしておりません。

奥野(総)委員 いや、既に公表したわけですよね。公の場で、マスコミオープンの場で二件ありますと、期間まで公表されているわけだから、額について答えていただきたいんです。

 そもそもおかしいのは、懲戒処分がなぜ公表されないんですかという、それもわからないです。非常にわかりにくい基準ですよ。懲戒処分したのにもかかわらず、それが重大なコンプライアンス違反に当たらないから公表できないというのは、これは視聴者の皆さん納得できますか。

 ちゃんと新聞にだって取り上げられているわけです。産経新聞が最初に取り上げたときに、三件の埼玉の不正使用、そして同じような手口で大阪でも一件あったんだと公表されているんですよ。

 これについて一切言及しない、ようやく部会の場で二件ほかにあるんだと認めたのにもかかわらず、今、額について言えない。何も名前を言ってくださいとか言っているわけじゃないわけです。懲戒処分になった事案について公表してください、額について教えてくださいと言っているんです。

籾井参考人 私は、金額につきましてもやはり、公表するかしないか、こういう点に当てはまると思います。そういう意味におきまして、こういう公表基準に基づき我々は厳正に判断しておりますが、この二件は公表基準に当てはまらないので、詳細についてはお答えを差し控えたいと思います。

奥野(総)委員 この間、部会の場で期間について説明いただきました。おおよそ一年近くもの間に、これは不適切使用という言い方になるらしいんですが、不正じゃない、業務に関連して一年間も使っていたということなんです。

 しかし、一年間も使い続けることが本当に業務に関連しているのか、非常に怪しいと思うんですね。そういうことになると、この間の会長の、おわびしたときにもうこれ以上ないと言ったこと自体が、非常に疑念を持たれるんですよ、そういう隠す態度をとられると。

 もう時間があれですけれども、会長自身の話に行きますが、昨年、ハイヤー問題、ここでさんざん取り上げられました。会長は、あのハイヤー問題は私的な使用だと認めておられるんですね。私的使用ですよね、あれは。

籾井参考人 何度も申しておりますとおり、私のハイヤーの問題は、最初から私的使用で、私は最初からお金を払うと申し上げておりました。

奥野(総)委員 この懲戒処分を受けた埼玉の方は三人いらっしゃって、一番額の少ない方で六千九百円、たしか記事によると六千九百円なんです。六千九百円一回不正使用しただけで、懲戒処分で公表されてしまっているんですね。

 これは、だから、私用目的に使ったから不正使用だということになって、六千九百円一回使っただけで、要するに受信料を使っただけです、当然返納もしているわけです。会長と全く同じなんですよ。会長も返納していますが、受信料はそもそも目的外に使っちゃいけない、当たり前ですよ、皆さんから集めているんだから。それは放送法にも、目的外使用はやっちゃいかぬと書かれている。だから、一時立てかえ払いにしたってだめなんですよね。

 職員の方が、六千九百円一回私用に使ったからといって、懲戒処分になっている。会長は何で懲戒処分にならないんですか、監査委員。

上田参考人 お答えいたします。

 御指摘の会長のハイヤー利用は、もともと私用の目的でみずから料金を負担することを前提にハイヤーを手配したのに、秘書室が業務目的で利用するハイヤー乗車券を安易に起票したことによるものです。

 今先生が話題にされましたタクシー券の不正使用は、当初から協会に負担させるつもりで業務と全く関係のない私的な用事に業務用タクシー券を使ってタクシーを利用したもので、会長のハイヤーのケースとは明らかに違う問題だと認識いたしております。

奥野(総)委員 外形的に見ると全く一緒なんです。私的にゴルフに、ゴルフと記事で伺っていますが、ゴルフに行って、それで、もし本当に払う気だったら、そこで自分で払えばいいんですよ。会長はそんな仕組みはないとおっしゃるけれども、一銭たりとて受信料をそういうところに立てかえちゃいけない。一般の職員の方は、わずかと言うと語弊があるけれども、六千九百円で懲戒になるわけです。外形的に見ると全く変わらないんですよ、受信料で立てかえさせて返納している。一時立てかえ払いだってだめなんですよ。それが、会長がなぜ許されるのか。ここは僕は非常におかしいと思います。

 去年いろいろあって、放送法違反じゃないかといって追及したところ、いや、違反にならない、業務に関連しているからいいんだということなので。なぜ業務に関連しているかというと、それは会長の身の安全の確保をするためだと。だとすれば、二十四時間ハイヤーを使っていいことになるわけです。非常に甘い、みずからに甘いから、こういったタクシーの不正利用のようなものがどんどん起きるわけです。

 それで、さっきの話に戻りますが、徹底的に公表すべきですよ。懲戒処分までしたのなら全部公表すべきです。ダブルスタンダードですよね。今、これはまた引き続き審議の場はあると思いますけれども、額については資料要求を求めていきたいと思いますし、ここは明らかにする必要がある。というのは、徹底的にうみを出していかないと不正というのはなくならないと思います。そこを指摘しておきます。

 時間がもうなくなってきたんですが、経営委員長に伺いたいんですが、このNHK予算、ことしも我々は反対になります。この後採決がありますが、反対をします。三年連続全会一致が崩れたということなんですね。

 その責任、会長の責任、三年連続慣例であった全会一致を崩した会長の責任について、どう思われるか。そして、それを阻止できなかった、要するに会長にきちんと説明責任を果たさせなかった経営委員会の責任について、どう思われますか。

浜田参考人 NHKは受信料で成り立っている公共放送でございます。放送法で定められた理念を実現するためにも、全会一致の御承認をあくまで追求すべきだと考えております。

 しかし、今は、皆様に信頼をいただきNHK予算を全会一致で御承認いただくためにも、執行部はこの場において御理解いただけるよう丁寧に御説明することが必要だと考えております。

 経営委員会も、今後もみずからの責任を自覚し、自律的な運営を行い、与えられた役割を果たしていきたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 最後に一問だけ。

 大臣に、通告していなかったんですが、今の議論を聞かれて、会長任期はこれで三年が来ますが、再任がふさわしいと思われますか、どうですか。大臣としていかがですか。

高市国務大臣 放送法に基づきまして、会長の任命そしてまた罷免につきましては経営委員会の任務でございます。経営委員会で適切に判断されるべきものだと考えます。

奥野(総)委員 以上で私の質問を終わります。

遠山委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 私からも籾井会長にぜひお聞きいただきたいのは、先般、逢坂委員が、二月九日の経営委員会の場で退任する塚田専務理事が述べられた言葉、これをもう一度改めて私からも紹介したいと思います。塚田専務理事はこう言って退任をされています。

 この二年間は一体何だったのでしょうか、という思いが募っております。会長の就任記者会見以来、相次いで発生する問題、課題への対応に追われ続け、どうしてもその場その場の対症療法的な対応を迫られました。その結果、経営として一致して目指す方向をなかなか打ち出すことができず、誰が責任を持って何を決めたのか、決めなかったのかがわかりにくい状況になってしまったと私は思っています。

  こうした経営の状況ですが、NHKは現場の力で何とか役割を果たしてきたと思います。しかし、そろそろ限界に近づいているのではないかと私は感じています。

 この言葉に対して会長は、一専務理事の言葉にコメントする立場にないというような答弁をされました。

 しかし、これは塚田専務理事だけの言葉じゃない。去年の経営委員会で退任する理事も、同じような趣旨の苦言を呈されました。

 そして、私はこれは本当に、NHKの現場の声、特に、受信料を苦しいこの危機的状況の中で集めている、集金を担われている、塚田専務理事は営業の担当の理事でもあったわけでありますから、そういった声を代弁しているものだと思っています。

 もう会長に聞いても同じ答えしか返ってこないでしょうから聞きませんが、会長、これはぜひ、現場の声だということで重く受けとめていただきたいと思います。

 去年から、NHKのさまざまな不祥事がこの総務委員会でも取り上げられました。しかし、ことしに入ってまた、このNHKの予算承認の審議に入る前に私も三、四回総務委員会で質問に立たざるを得ない、さまざまな不祥事が発覚をしている。報道されているものだけでも、アナウンサーの危険ドラッグ所持の件とか、さいたま放送局の記者三名のタクシー券の私的利用とか、あるいは子会社アイテックの出張旅費の不適切処理あるいは架空発注で二億円着服、こういったさまざまな問題が生じていますが、さらに、この総務委員会の中でも質疑の中で新たな問題が発覚をいたしました。

 それは、二〇一四年の三月から八月、子会社、関連団体を対象に行ったガバナンス調査委員会、通称小林調査会といって、昨年さんざんこの総務委員会で議論になった。それは、五千六百万円という金額が、余りにもその内容と比して高額じゃないかと。随意契約で行われ、そのことが議論になりました。

 ところが、そのことがあったにもかかわらず、ことしの二月二十四日の総務委員会で私から、このガバナンス調査会と同じような調査を同じ時期に別の監査法人に実は依頼したのじゃないかという質問に対して、会長は、承知していないと。そして、当時のコンプライアンス担当だった板野専務理事は、三回私が聞いたのに三回とも、記憶にございませんという答弁でありました。

 ところが、翌日の新聞報道でこれが事実であることが明るみに出ますと、二十六日の総務委員会で、会長そして専務理事両方、謝罪をされました。

 これは、昨年、五千六百万円でも高額だったのではないかという議論があったのに、さらに五千万円のお金を使って同じような調査をやっていた。合計一億円以上のお金を使って調査しながら、ほとんど成果が出ていないということであります。

 しかも、さらに問題なのは、この五千万円という新たに発覚した調査は、実はこれも随意契約で、しかも当初は千七百万円で契約をしていた、それがいつの間にかどんどん金額が膨らんで五千万円になった。これについても板野専務理事は、いや、自分は五千万円になったことは把握していなかったという答弁をされました。

 さらに、さらに驚くべきことに、三千万円以上の契約というのは会計検査院への報告義務があるんです。ところが、これをしていませんでした。私がこの委員会で質問をして明らかになったその五日後に、NHKは会計検査院に報告しています。本来であれば、一年半前、二〇一四年の十月には報告しておかなければいけなかったことを、私の質問で明らかになった後に報告をしていた。

 さらに驚くべきことに、この小林調査会についても、五千六百万円、会計検査院に報告をしていなかったということも明らかになりました。

 NHKの契約、三千万円以上の契約というのは年間千三百件近くあるそうです。これを会計検査院に報告しているのに、なぜかこの二件、この二件だけは報告していなくて、このことを担当の福井専務理事に問うたところ、失念をしていたという答弁でした。千三百件のうち二件だけを失念していたんですよ。これを会長にお聞きしたら、会長はこう答えました、本当に不思議なことでございますと。

 そんな人ごとのような答弁でありますが、会長、こういった調査をそもそも行ったということ自体、あるいはその金額について、これはやはり公表したくなかった、隠しておきたかった、そうとられても、私は多分、全国の皆さんそう思われると思いますけれども、違うんですか。違うなら明確に反論してください。会長、お願いします。

籾井参考人 これは、我々がわざと報告しなかったということではないわけでございまして、本当に失念だったと思います。

 なぜならば、我々が会計検査院にこれを隠したところで、何のプラスにもならないわけです。報告義務があるということを果たしていないというだけのことでございますから、我々はやはり、当然、これは報告すべきだったことであると私は思います。

高井委員 いや、これは私が指摘しなかったら報告をしなかった、たしか福井専務理事もそう答えましたよね、失念をしていたんだから。つまり、やはり、報告、明らかにしたくなかったということじゃないかとどう見ても推測されますよ。

 この国会、委員会で上田監査委員はこうおっしゃっています、この件については、誤解を招きかねず、大変遺憾に思いますと。それから、浜田経営委員長は、執行部として、きちっと説明責任を果たし、あわせて適切な対応をしていただきたいと答弁されています。

 この経営委員長と監査委員の御指摘に対して、会長、どうやって説明責任を果たされますか。

福井参考人 この二件につきましては本当に失念をしてございまして、監査法人の調査につきましては、当初が三千万以下ということで、把握しておりませんでしたので、漏れが生じました。

 基本的には、会計検査院には毎月適正に報告をしております。あくまでもこの二件は失念ということでございます。申しわけありません。

高井委員 会長、専務理事はそう答弁されていますけれども、要するに、失念をしたということの責任も含めて、説明責任がトップである会長にあると思うんですけれども、会長の御見解をお聞かせください。

籾井参考人 ただいま福井専務からも報告がありましたように、会計検査院への報告は、当初、監査法人との契約の見込み額が三千万円以下ということで、その時点で失念したわけでございます。そして、実務的にそのままになってしまった。これは、委員が御指摘になってから報告したんだろうということは、全くそのとおりだと思います。

高井委員 そもそも、三千万円という大きな金額、しかも、千七百万円で始まったものが五千万円に知らない間に膨れていた、しかも、当時発注をしたコンプライアンス担当の専務理事も知らなかったというような、こういう経営そのものにずさんなところがあるんじゃないかということの責任を聞いておりますが、このほかにも同じような問題がありますので、次の質問に移ります。

 これは、今この委員会でもさんざん議論になりましたけれども、子会社の今九百億円余りの利益剰余金がある。この利益剰余金を使って、子会社九社が今ばらばらに入居していますが、一つのビルに入ろうということで、三百五十億余りのお金を使って土地を購入しようという話が会長や一部の理事の間で水面下で進んでいた。

 ところが、去年の十二月八日の理事会の場で、突然理事から反対の意見が出される。しかし、その議論、どういう議論になったか全然明らかにされないままに、会長はその意見を押し切って、経営委員会に諮る。正式には諮っていないにしても、議論がされた。そして、そこの議論の場で経営委員からかなり否定的な反対意見が起こると、その後開かれた役員連絡会なるもので、きょうわかったところですが、五分の議論であっという間に断念をしたということであります。

 こういった三百五十億の利益剰余金をどう使うかとか、あるいは予算でいえば三十九億の特例配当をするかどうか、こういったものを出したり引っ込めたりということがわずか一日の間で行われ、しかも、その間の経緯、議論を出してくださいとさんざん言っても、出てこない。一部出てきたものもあるんですけども、一番肝心な、十二月八日の理事会の場で会長に対して専務理事や理事が反対の意見を述べた、それに対する議事録は、これも板野専務理事に再三聞いても、たしか三回、議事録のとおりですと。

 しかし、議事録のとおりとありますが、議事録には、一時間二十分の時間で議論をしていたにもかかわらず、わずか数行ですよ。この数行の議論で議事録のとおりということは、私は到底納得いたしかねるんですが、これは会長、改めてこの場で、理事あるいは専務理事からどういう意見があって、そして最終的に反対することに至ったのか、会長、お答えください。

籾井参考人 十二月八日の理事会の議事録は、規程に沿いまして、作成してホームページ上に公表しております。議事録としては、これが全てでございます。

 役員連絡会の内容については、院からお求めを受け、例外として、本日、理事会にお答えをいたしました。内容は次のとおりでございます。

 十二月八日の経営委員会終了後、私が、会長が役員連絡会を招集しました。そこでは、経営委員会で私会長と財務・経理統括理事が関連団体の土地購入計画について説明したこと、これに対して、経営委員からは慎重に対応するよう求める意見が多く、このまま進んでいいという雰囲気は感じられなかったことなどを役員に伝えました。理事会の審議や経営委員会の議論などを踏まえ、土地の取得について手続に入ることを取りやめる意向を伝えました。

 やはりこういう案件は、私はできるだけ早く私の意向を皆に伝え、皆の意見を聴取し、それで異存ないという確認をとりましたので、そういう手続に入ることをこの時点においてやめたということでございます。

高井委員 NHKは、受信料で成り立っている公共放送ですから、やはり情報公開義務があって、さまざまな法律でもそういう規定があるわけでございます。

 こういった問題になっている部分について、あの議事録で議事録が全てだとおっしゃるのは、極めて不誠実で、会長、これは何らかのことを隠しているんじゃないか、やはり国民はそう疑いたくなりますよ。

 それともう一つ、先週の党の部門会議の場で、あとこの委員会でも吉川委員が指摘されました、役員連絡会というのはそもそも正式な組織じゃないじゃないかと。なぜそこでこんな重要な議決が決まったのかということを問うたら、会長は、いや、自分は理事会にしたかったんだと。しかし、なぜか役員連絡会になってしまったんだというような。つまり、会長が指示したことを守らない理事や専務理事がいるんじゃないんですか。そういったことが、この十二月八日の理事会も公表できないようなことになっているんじゃないかと私たちは推測してしまうんですけれども、会長が理事会にしようと思ったのに、なぜ役員連絡会になったのか、会長、お答えください。

籾井参考人 それは事務的な手違いだと思います。

高井委員 事務的な手違いで、法律上の位置づけがない役員連絡会というところでこういう重要な決定が行われるということは、これは極めてやはり問題だ、ガバナンス上の問題があると思います。

 時間がありませんので、もう一つ聞きたいことがあります。「クローズアップ現代」の問題です。

 時間が夜十時に変更になった、あるいは国谷キャスターが降板になった、そして、かわりに七人のキャスターになるけれども、当初八人になる予定だったのが突然変わった。これは、現場に任せていて本当にそんなことになるのかということを取り上げました。

 実は、部門会議に法政大学の水島教授という方に来ていただいていろいろお話を伺ったところ、この方はいろいろNHKとかほかのニュース番組とかも研究で調査しているんですけれども、最近になって、NHKニュースで安倍総理が話す場面が異常に長くなった、各局のニュースと比べても突出しており、総理だからという理由では理解不能なほど長く、多い、また、番組全体から街頭インタビューが極端に減った、こういう指摘が研究者の法政大学の教授からされています。

 本当に現場に任せてこうなっているのか。会長は私の質問に、編集権は私にあるが、全部分掌されているし、分掌された総局長はさらに現場に基本的に任せているというふうに答弁していますが、本当にそうなんですか。もう一度確認します。

籾井参考人 そのとおりでございます。

高井委員 それでは、専務理事、放送総局長、分掌されていますが、その権限をさらに現場にも分掌しているという今の会長の答弁で間違いありませんか。

板野参考人 お答えいたします。

 今会長が申し上げたとおりでございます。

 「クローズアップ現代」のことにつきましては、取材、制作の過程のこともございますので原則的にはお答えを控えさせていただきますけれども、やはり一つの時代を画した報道番組ではございますけれども、世の中の変化が速く、視聴者の生活習慣も変わってきているところでございます。こうしたさまざまなことを勘案いたしまして、夜十時に移すとともに、演出などを含めて一新することといたしました。

高井委員 私は、この間の質疑を通じて、会長と専務理事あるいは理事との意思疎通がやはり十分じゃないんじゃないかと。会長のやろうとしていることが、そのまま実行されていないケースが多々見受けられると思うんですね。

 十二月二十二日の経営委員会で上田監査委員がこう指摘されています、重要な事項の検討や手順などについて十分な意思疎通が図られていない状況が見受けられましたと。それに対して経営委員長も、しっかり意思疎通を行ってほしいというようなことを言っています。

 私は、今のままのこの人事の体制では全くNHKの改革というものは、会長は意気込みを語られておりますが、今のこの体制では私はできないと思います。

 会長は理事の任免権を持っています。あるいは、みずからの進退は、これは経営委員が決めることですが、進退ですから、みずから身を引くということもあると思います。いずれかをしないと、少なくとも今のままの体制では私は改革は進まないと思いますが、会長、みずからの進退も含めて、人事を一新するという考えはありませんか。

籾井参考人 今の委員の御指摘を真摯に受けとめまして、しっかりと、御指摘のようなことがないように私としても全力を尽くしたいというふうに思っております。

高井委員 それでは、経営委員長に伺います。

 会長の任免権は経営委員会であります。また、理事の任免の同意権、これも経営委員会にございます。

 経営委員長として、今の執行部の体制でいいとお考えですか。人事刷新を求める考えはありませんか。

浜田参考人 経営委員会は、委員間の真摯な議論を重ねつつ、監査委員会とも連携し、放送法の定めに従って経営計画の策定や執行部の業務の監督を行っております。

 このたびの一連の不祥事に際しましても、抜本的な改革あるいは再発防止策の立案と実行を強く求め、経営委員会としても、内部統制関係議決を修正して議決し、グループのガバナンスを強化いたしました。

 今後も、与えられた責任を自覚し、自律的な運営を行い、与えられた役割を果たしてまいりたいというふうに思っております。

高井委員 時間が参りましたが、冒頭の塚田専務理事は、経営委員会、経営委員長に対しても厳しく注文をしておられます。

 経営委員長、真摯な姿勢は評価いたしますけれども、やはり決断も大事でございますので、ぜひしっかりと今の執行部に対して厳しく当たっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 民主・維新・無所属クラブの水戸将史でございます。

 時間が限られていますので、一点だけに絞ってお話をさせていただきたいと思います。

 これは昨年もやらせてもらいましたけれども、剰余金、いわゆるNHK子会社にたまりにたまった剰余金につきまして、ことしも再度これに対する見解を問いただしていきたいと思っているんです。

 まず、会計検査院もお越しいただいていますので、今からさかのぼること八年前なんですけれども、会計検査院も平成十九年の段階でNHKを会計検査し、その報告書を提出されております。

 その中で、会計検査院といたしましては、協会、NHKの子会社の配当及び関連団体の利益剰余金の状況について検査をしていく云々くんぬん、今後も多角的な観点から、引き続き検査していくこととするとされております。

 あれから八年間経過しておりますけれども、この後の検査の状況はいかがでしょうか、具体的にお答えください。

斎藤会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、会計検査院法第二十条及び放送法第七十九条の規定に基づき、日本放送協会の会計について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から検査を実施しております。

 また、会計検査院は、日本放送協会の関連団体に対しては直接の検査権限が及ばないところでありますが、これまで、協会に対する検査において、協会が関連団体と締結している契約の状況、関連団体の配当の状況、利益剰余金等の状況について毎年説明を受けるなどして、検査を実施しております。

 会計検査院としては、国会での御議論を踏まえて、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

水戸委員 昨今、放送センターの建てかえの問題や関連会社の不祥事がいろいろとございまして、それに鑑みまして、関連会社の剰余金のあり方につきましても、監査委員会から検討が必要と言われております。

 また、後ほど大臣からもコメントをいただきますけれども、やはり平成二十八年度予算に関する大臣意見におきましても、なお不祥事が続いていることに鑑みて、子会社のあり方そのものをゼロベースで見直す改革を早急に実施することを求めているんですね。

 こういうようないろいろな流れがありまして、結局いろいろな問題が露呈をしているという中において、会計検査院がもうちょっと突っ込んだ形でやはり検査に踏み込んだ方がいいと私は思っているんですけれども、その意思はありますか、ないですか、もう一度お答えください。

斎藤会計検査院当局者 お答えを申し上げます。

 本件につきましては、国民の関心あるいは国会での御議論を十分踏まえながら、事実関係をさらに精査するなどいたしまして、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

水戸委員 先ほど高井委員からもお話がありましたように、会計検査院に報告すべきことを報告していないということも鑑みて、別になめられているわけじゃないと思いますけれども、やはり会計検査院からしっかりとした形でNHKに対して、また関連会社に対して検査を徹底していただくことを、強く要望させていただきたいと思っております。

 それを踏まえて、大臣も先ほど若干触れましたけれども、平成二十八年度予算に対して大臣意見を付しているんですけれども、これは昨年私も指摘いたしました。今までの大臣は、子会社に関しても、剰余金のあり方、配当のあり方につきましても、最も適正なことを求めるということを具体的に、かつ列記して載せているわけでありますが、昨年度の大臣意見は、ほとんどそういう具体的なことには踏み込まないで、そして、ほんわりした形で、ガバナンス等々含めて子会社に対してNHKの本体としてしっかりとしなさいみたいな形の予算に対する大臣意見だったんですね。それはちょっと具体性に欠けるんじゃないかと私は指摘をしました。

 今回改めて大臣は、二十八年度では、「子会社改革の推進」という形で、具体的にこういうような幾つかの項目を盛り込んでやっていて、これはこれとして私はいいとは思っているんですけれども、しかし、昨年やらなかったのを、ことしあえてこういう形で言及したということは、やはり大臣みずからもこの剰余金のあり方、子会社の配当のあり方については問題意識を強く持っていらっしゃることのあらわれということでいいですか。

高市国務大臣 利益剰余金のあり方、大変強い問題意識を持っております。

 平成二十六年度末には、子会社十三社計で九百十六億円となっています。これは委員の配付資料のとおりでございます。やはりこの利益剰余金についてはNHK本体に適切に配当を行っていただくこと、また、NHK本体と違って、子会社の方は納税義務をしっかりと果たしていただくといった点を含めて問題意識を持っていることから、大臣意見に具体的に書かせていただきました。

 また、子会社の不祥事につきましても、非常に繰り返されている状況でございますので、一刻も早く適切な対応を、まさにゼロベースでの見直しをお願いしたいということで、今回はさらに具体化をさせていただきました。

水戸委員 では、NHKにお伺いします。

 今、いみじくも大臣が、ゼロベースで見直しなさいと苦言を呈している形になっておりますけれども、先ほど言った、監査委員会からも指摘をされております。

 大臣は今、ゼロベースで見直しなさいよという話をしているんですが、こういう監査委員会や大臣の意見を踏まえて、NHKみずから、今後、こうしたNHK本体と子会社の関係の、特にたまりにたまった剰余金、配当金のあり方の問題等々について、どのような形で踏み込んで改革をされようという意思があるのか、NHKから答えてください。

井上参考人 お答え申し上げます。

 子会社の利益剰余金は、ここ数年の地デジ関連業務の増加や各社の経費節減努力などによって増加しております。

 子会社に対してはNHKが融資や債務保証を行うことが法的に認められないということで、これまでは、現金支出等を伴う費用の三カ月分をめどといたしまして、必要運転資金を確保してまいりました。

 今後は、先ほどの会計検査院の御指摘も踏まえまして、それぞれの子会社の財務上の余力をしっかりと検証した上で、必要運転資金を減らすことなども含めまして、総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。

水戸委員 籾井会長も、三月三日の記者会見でも、会長みずからが剰余金の適正なレベル、通常のレベルという話もされていますし、適正な額ということに言及しているんですけれども、会長御自身は、この剰余金のあり方、通常のレベルとか適正な額というふうに言っていますが、どういうことをおっしゃりたいのか、具体的にお答えください。

籾井参考人 お答えいたします。

 特例配当は、各子会社の経営状況を見ながら年度ごとに判断しているわけでございますが、今までは、緊急の事態にも自己資金で対応できるようにということで、必要運転資金として、事業資金の三カ月分を目安として考えておりました。

 今後は、これを減らすことも含め、総合的に検討してまいりたいというふうに思っております。

水戸委員 そもそも、いわゆる本体から随意契約で子会社、関連会社に仕事が発注される。その発注額も、昨年も指摘しましたけれども、これは本当に適正な金額なのかどうか。随意契約ですから、なあなあな関係で、かなり高額な金額で発注させているんじゃないかという疑いを持たれかねない。そういうこともあるということを指摘させていただいております。

 そういう形で、子会社、関連会社にはこれだけの剰余金がたまってしまったというふうになってしまいましたけれども、そもそも、剰余金をどういう形で処理するか、配当として回すかに関しましては、これは関連団体運営基準というのがあるんですね。関連団体運営基準の中において、第十一条において「事前協議事項」という項目がありまして、NHKと関連会社が事前の協議において利益の処分または損失の処理を考えるというふうにあるんです。

 この運営基準なんですけれども、結局、例えば、剰余金がこういうような形でたまっている、それをいかに配当に回していくのか、また、先ほどちょっと会長も言った特例配当もあるんですけれども、こういうことを事前の協議としてやるということなんですが、これは、いつ、どういう段階で、誰がここに参加して、いわゆる事前協議の回数について、具体的にお答えできますか。

井上参考人 お答え申し上げます。

 関連団体運営基準における「事前協議事項」というのは、関連団体からNHKに事前に説明を行い、NHKとの協議、承諾を必要とする事項のことでございます。

 各団体が行う配当などの利益処分につきましてはこれに該当いたしますけれども、配当性向についての方針変更については、あくまで親会社であるNHK本体が決定するものであります。これは事前協議の対象にはなっておりません。

 なお、この事前協議については、文書でNHKに申請し、決裁を受けるということを基本にしております。

水戸委員 ちょっとわからない。事前協議、いつ、回数は何回ぐらい、どういうメンバーが参加するのか、もう一回具体的に答えてください。

井上参考人 事前協議は、関連団体と関連事業局の間で行うということになっております。

水戸委員 だから、開催回数とか、いつやるんですか。

井上参考人 これは、事前協議の事項が発生というか起きたとき、その都度、そういった事前協議を行うというふうにしております。

水戸委員 その都度。普通、剰余金ですから、大体、一年間にこのぐらいのものがたまったからこれを配当するというのは、その都度というよりも、具体的な日にちが決まっているに決まっているんじゃないですか。

 では、行きます。

 私がお配りをした一枚ペラの参考資料、ここの一番右下ですけれども、五十九億円というのがあるんですね。

 平成二十七年度の末に関して、NHKの受取額が五十九億円と、前年から、平成二十年度から比べて突出して、三倍以上、四倍ぐらい、今回はこれだけ突出して多いんですけれども、では、この五十九億円を決めたのはいつなんですか。これは事前協議で決めたんですか。

井上参考人 今御質問にありましたNHKの受取額の五十九億円というのは、二十八年度の受取額になるという見通しで、予算で計上しているという段階でございます。NHK側がNHKの予算額に計上しているということです。

水戸委員 では、もう一回聞くけれども、これは何で突出してこれだけ多いの、この二十八年度だけは。もう一度お答えください。

井上参考人 この特例配当の額については、各子会社の経営状況などを見ながら、その年度ごとに判断しております。この五十九億円は、二十八年度の受取額の見通しということになります。

 利益剰余金が、ここ数年、先ほども御説明しましたけれども、地デジ関連事業の増加あるいは各社の経費削減努力などによって増加していたというふうなこともありまして、NHK財政への貢献のために積極的な配当をお願いしたものでございます。

水戸委員 そんなことを言うのなら、過去三年間、特例配当は一銭も出ていないんですよね、これだけ剰余金がふえているにもかかわらず。では、この説明はどうするんですか。

井上参考人 その年度の特例配当を行うか、あるいはその額については、各子会社の経営状況を見ながら判断しているということで、この三カ年は、そういった見地から配当は行われなかったというふうに考えております。

水戸委員 具体的にいえば、子会社の経営状況がよくなかったということですね、過去三年間。そういうことですか。

井上参考人 これは、経営状況なども踏まえて、各社の判断をもとにこういうふうな対応をしたということでございます。

水戸委員 ですから、先ほど言ったように、そういう適正な値かどうかについての判断基準が全くないんですね。

 もう一度聞きます。

 では、この判断基準は何なんですか、これを配当する、しない。特例配当の場合は利益剰余金から取り崩して配当する特別な配当なんですけれども、過去三年間全くしていなかった。これは経営状況が悪いという話ではない。ことし、これは来年度の予算ですけれども、五十九億円、突出して多い。こういう出っ込み、引っ込みはどういう形で説明できるか、ちょっとこの一覧表を見てもよくわからないんですよ。

 どういう判断基準でこういう配当額が決められているのか、事前協議でどういうようなことで査定しているのかについて、具体的に説明してください。

井上参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、利益剰余金が先ほども申し上げましたような幾つかの理由によってかなり増加している、NHK財政への貢献をぜひお願いしたいというふうなことで、今回、二十八年度におきましては五十九億円のNHK受取額の特例配当をお願いしているということで、これは各団体とNHK側が協議してこういった数字を今想定しているということでございます。

水戸委員 こういう数字の話なので、では、数字を決める具体的な判断基準はないんですね。もう一回答えてください。

井上参考人 改めまして、NHK子会社からの配当の考え方でございますけれども、NHKは、制度上の制約等から、一般企業グループのように子会社に対する融資や債務保証などができないということで、子会社の経営を安定させるために、配当については抑制的にするように指導してまいりました。

 ただ、これについては、子会社の経営も安定してきたということもありまして、平成十七年度に配当の方針を転換しまして、財務状況に応じて積極的に配当するよう指導してまいりました。平成十八年度以降、一部の子会社が大型配当を実施して、NHK財政に貢献してきたということでございます。

 今後も、子会社等の財政状況を勘案しつつ、適切な配当を子会社に求めていくというふうに考えております。

水戸委員 最後になりますが、会長、先ほどあなたが発言されましたけれども、通常レベル、適正な額ということを本人みずからが記者会見でも言っていらっしゃるんですから、こういう一覧表を見ても、不可解、わかりづらいです、この出っ込み、引っ込みが。

 会長みずからこういう配当に対する基準をしっかりと、あなた自身が経営者のトップとして定めていただいて、説明できるように、誰が見ても、ああ、こういう基準で配当されているんだ、剰余金はこういう形で処分されているんだということがわかるような形で今後ルールをつくってください。

 どうですか。最後にお答えください。

遠山委員長 簡潔な御答弁をお願いいたします。

籾井参考人 委員の御意見を真摯に受けとめ、参考にさせていただき、今後の指針の参考にさせていただきたいと思います。

水戸委員 よろしくお願いいたします。

 終わります。ありがとうございました。

遠山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 本来ならば、NHKの予算審議というのは、国民・視聴者の知る権利あるいは要望がこの予算に反映されているのか、そして公共放送としてのNHKの発展がここにうかがえるかどうか、こうしたものを審査していくというものであると考えます。

 しかし、その審議の入り口に立てないというのが今のNHKの状態ではないでしょうか。

 視聴者の不信を買った籾井会長の数々の言動に加え、この間、NHKが明らかにしただけでも、協会職員による窃盗事件、危険ドラッグ使用、タクシー乗車券不正使用、はたまた子会社におけるずさんな経理、横領、売り上げ水増し請求、架空請求、犯罪に至る事件と、不祥事が絶えることがない、まさに異常とも言える事態にあると考えます。

 中でも、社員二人が実体のない会社に架空の工事を発注して約二億円着服したNHKアイテックの問題は、非常に重大だと考えます。

 事件の概要について、簡単でいいですから、説明をしていただきたいと思います。

今井参考人 お答え申し上げます。

 今回のアイテックの問題は、長年にわたって不正が見過ごされた、内部統制上極めて重大な問題だと受けとめております。

 発覚の経緯でございますが、東京国税局の税務調査の中で発覚したものでございまして、元社員二人が、去年十月までの六年間に、実体のない会社に工事や業務を架空に発注するなどの手口で、およそ二億円を不正に受領していたものでございます。

 アイテックにおきましては、工事の受注から支払いまでを管理するシステムを導入して、工程ごとに管理者がチェックすることになっておりましたけれども、実際には、管理者が証票類の確認をしないまま承認を繰り返し、必要な証票類が作成されないケースもございました。こうしたずさんな運用があったために、長年不正が見過ごされてしまったものというふうに承知をしております。

 アイテックでは、上司の処分にとどまらず、社長以下役員五人が辞任を申し出ております。また、アイテックを指導監督する立場のNHK本体も、社会的な責任があるとして、会長を初め執行部の全役員が報酬の一部の自主返納を決めたところでございます。

 現在、刑事告発に向けて準備をしているところでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 複数の監査システムがあるにもかかわらず、なぜ不正を見抜けなかったんでしょうか。

 籾井会長直轄の関連団体ガバナンス調査委員会は、過去の子会社の不正事業をもとに立ち上げたものであり、その調査期間中にあるにもかかわらず、こういう不正が起こったんです。一体何を調査しておられたんでしょうか。御説明いただきたいと思います。

今井参考人 御指摘のとおり、NHKアイテックに対しましては、この六年間に各種の監査や調査が行われておりました。結果として不正を見抜くことができなかったのは大変残念であるというふうに感じております。

 アイテックにおきましては、監査や調査に際して、チェックされる証票や資料を直前に作成するなどの妨害行為も行われていた例があるということが確認されております。

 こうしたこともあったとは思っておりますが、今回の不正を発見することができなかったのは、いずれにしましても、大変残念なことというふうに承知しております。

田村(貴)委員 監査法人による会計監査がある、監査役監査がある、自社の経理監査がある、ISOに基づく内部品質監査もある、NHK内部監査室による監査もある、そして、関連団体ガバナンス調査委員会による調査、これだけあって、見抜けなかった。結果として、東京国税局の調査によって発覚をした。全くお粗末としか言いようがないと思います。

 私は、非営利の協会が営利企業の業務を監督する、そのこと自体に無理があるのではないかと常々考えているんですけれども、会長、いかがでしょうか。

井上参考人 お答え申し上げます。

 NHKは、子会社など関連団体に対しまして、内部統制関係議決、そして関連団体運営基準に基づきまして指導監督を行っております。

 NHKは、今回の子会社、NHKアイテックの不祥事を受けて行いました構造的な原因の究明を踏まえまして、今月、関連団体運営基準を改正いたしました。今後NHKグループの経営改革に抜本的に取り組むための具体策を、ここで策定しております。

 この中では、指導監督機能の強化はもちろんですけれども、コンプライアンスの徹底、NHKグループの意識の醸成、そしてこのNHKグループの構造改革などに、既にできることから現在取り組んでいるところでございます。

田村(貴)委員 アイテックの調査報告書を読ませていただきました。

 取締役の言葉として、次のような言葉があります。見ていたのは赤字かどうかであった、赤字の物件についてはしっかり見ていたが、赤字が出ないとそうでもなかった。また、ある管理職は、赤字になっていないから大丈夫だと思い、発注を承認したとあります。

 今、九百億円を超すグループ会社の利益剰余金があります。そして、協会への配当が二〇一五年度予定では二十六億円となっています。アイテックからは三億三千万円であります。いわば、子会社にもうけさせて、そして貢献をさせる構図となっています。

 リスクマネジメントに対する関心が離れていっているのではありませんか。それから、協会も含めて、営利主義に立ってきているのではありませんか。どう考えておられますか。

井上参考人 お答え申し上げます。

 子会社からのNHKへの配当につきましては、財務面での健全性が高く、十分な財務上の余力があるかどうかを見きわめて求めております。配当を求めたために子会社が利益優先の体質になっているというふうなことはないと考えております。配当につきましては、今後も子会社の経営状況等を見ながら、その年度ごとに判断をしてまいります。

 それから、利益優先の体質がそういったリスクを見逃す温床になっていたのではないかというふうな御指摘をいただきました。

 実は、今回の中期計画、三カ年計画で、NHKグループ全体のコンテンツ力、制作力の強化などを掲げまして、NHKグループ全体でのより効率的な番組制作を最優先にしようということに加えまして、今回の事案を受けまして、先ほど申し上げましたコンプライアンスの徹底とか指導監督の機能の強化といったところも、今後、子会社の重要な施策として、NHK本体からの評価の基準の中心に据えたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 そうはいっても、監査がずぶずぶになっている、そして甘くなってきているということが今日の事態を招いているというふうにも思います。

 NHKは、何人からも干渉され、または規律されることがない、それは、受信料制度によって財政面からの自主性が保障されているからであります。しかし、ここにもかかわってくる問題ではないでしょうか。もうけ主義に走ったら、それは財政面での自主性、その土台も壊してしまうことにもなってしまいます。そのことを私は強く危惧するものであります。

 会長から御発言はありませんでした。残念です。

 高市総務大臣に伺います。

 NHKの子会社を含めての改革は、単に人事を刷新して役員を入れかえたり組織の体面を変えるだけでは、その改善は小手先のものになってしまうだろうと思います。

 大臣も、子会社改革についてはゼロベースという言葉を用いられて、そして意見を付されています。

 やはり私は、非営利のNHK、協会が営利を目的とする企業を監督する、この矛盾が根底にあるというふうに考えます。この検証と対応策を出していかなければならないと思います。

 公共放送というのは、国民そして視聴者の理解と信頼の上に成り立っています。だから、何といっても今はNHK自身がみずからの責任において国民に説明責任を果たすこと、打開策を提示することが緊急に求められているというふうに考えるわけでありますけれども、総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 NHKは、放送法第二十九条第一項に基づき定められた内部統制議決によりまして、子会社の業務運営について指導監督を行う立場にあります。

 NHKは国民・視聴者の受信料によって運営されている公共放送でございますので、その業務を総理する立場にあられます籾井会長を先頭に、子会社も含めたグループ全体の経営改革、ガバナンス強化を早急に進めていただきたいと存じます。また、できるものから着手をしていただきたいと考えています。このことは、一月十二日に籾井会長がNHK予算提出のために大臣室に来られたときにも、私から申し上げました。

 また、二十八年度NHK予算に付した大臣意見におきましても、NHKアイテックの横領事件を初め不祥事が後を絶たないという状況にあったことを踏まえまして、「子会社の業務範囲の適正化」「子会社における適正な経営及びコンプライアンスの確保」「協会と子会社との取引における透明性・適正性の確保」「子会社の利益剰余金の協会への適正な還元」の四つのポイントを挙げました。

 先ほど井上理事も答弁しておられましたが、三月八日には、NHK執行部において、関連団体運営基準の一部改正を行われたと聞いておりますし、また、三月八日の経営委員会でも、執行部に対しまして、しっかりとグループ経営改革の工程表を報告することや、グループ経営改革を着実に断行することなどを求められたということですので、籾井会長におかれましては、経営委員会からの指摘を真摯に受けとめながら、しっかりとその責務を果たしていただくということを期待します。

 また、三月十四日、籾井会長が国際放送の実施要請に係る通知交付式のために大臣室に来られた際にも、先ほど申し上げた四つのポイントのうち、二つ目については改革の方向性が示されたけれども、残る三つのポイントについても早急に具体的に進めていっていただきたい旨を申し上げました。

田村(貴)委員 NHKにおいては、あるいは関連企業、関連会社においては、公共放送を担っているという自覚をいま一度持っていただいて、そして、国民への説明責任を果たしていただく、必要な意識改革、必要な経営改革を進めていただきたいと心からお願いしたいと思います。

 次の質問に入りたいと思います。

 総務大臣の放送事業者に対する資料の提出権限について伺っていきたいと思います。

 これまで、放送事業者に対する政府の権限を強めようとして、放送法の改正論議が何度かなされてまいりました。

 二〇〇七年、このときは自民党政府でありますけれども、放送法の改正案を提案されました。

 その一つは、捏造番組を流した放送局に対して、総務大臣が再発防止計画の提出要求ができる行政処分を新設するとしたものであります。しかし、与野党の修正協議によって、その部分は削除となりました。

 総務省にお伺いします。

 提案の趣旨、削除に至った理由について御説明いただけるでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がお話しになりました放送法改正でございますが、平成十九年に発生をいたしました捏造番組の放送など、深刻な問題への対応として、視聴者保護を図る観点から、番組編集の自由に配慮した必要最小限の措置として、放送事業者に対しまして再発防止計画の提出を求め、大臣意見を付して公表する制度を導入する放送法の改正案を、平成十九年四月、第百六十六回国会に提出させていただきました。

 その後、NHK及び民放連におかれましては、自主的にBPOを設立され、その設立したBPOにおいて、捏造の疑いのある番組に対して、放送倫理上の問題を調査、審理し、勧告または見解を出し、必要に応じて再発防止策の提出を求める新たな取り組みを五月に開始されたところでございます。

 BPOは、放送事業者による自主的、自律的取り組みの一環として行われているものでございまして、放送法に位置づけられた組織ではございませんけれども、このようなBPOの新たな取り組みの運用状況も踏まえまして、同年十二月、再発防止計画の提出の求めに係る規定を削除した修正法案が衆議院総務委員会において提出されまして、同月、可決、成立したと承知しております。

田村(貴)委員 二〇一〇年、これは民主党政権時代でありますけれども、このときにも放送法の改正案が提出されました。

 その中で、電波監理審議会の機能を強化し、放送の不偏不党など放送法の根幹部分について、審議会がみずから審議して総務省に建議できるようにしたという案でありました。これも結局削除となりました。

 この点についても、提案の趣旨、削除に至った経過、理由について説明をしていただけますか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十二年三月、第百七十四回国会に提出を申し上げました法案で追加することとしておりました電波監理審議会の建議の規定は、無線による放送のみならず、有線による放送についても審議、答申する機能を担いまして、放送行政に関する知見が蓄積されることとなる電波監理審議会に、放送行政のあり方について大所高所から総務大臣に御建議いただく機能を負わせようとしたものでございます。

 こうした規定は、放送行政のあり方をチェックしていただく上で有益と考えておりましたけれども、このような規定の追加も、国民の皆様の御理解があって初めて成り立つものでございます。

 平成二十二年十月、第百七十六回国会への再提出に当たりましては、さきの通常国会での衆議院の御審議の中で、電波監理審議会の機能強化が国による番組への介入の隠れみのになるのではないか、あるいは、法案提出前に十分な議論がされていなかったのではないか、こういった御指摘を踏まえまして、当該規定を削除する修正が行われたことから、これを削除したものでございます。

田村(貴)委員 そういう懸念がいろいろ出されて削除に至ったということであります。結局、政府の権限を強めようとしてもそれはできなかった、やめようということになったのであります。それは、自民党政権下でも民主党政権下でも一緒でありました。

 こうした流れを見てくると、歴史の中で、放送法というものは、放送の自由を尊重する立場から極めて謙抑的に運用されてきたというふうに私は理解をしているんですけれども、総務省、いかがでしょうか。

今林政府参考人 大臣から何度もお答え申し上げておりますとおり、放送法につきましては、総務省は抑制的に運用してきたということだということで、御指摘のとおりと考えております。

 放送法では、表現の自由を保障する観点から、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」といたしまして、放送番組編集の自由を規定した上で、放送事業者の自主自律により、放送番組の適正を図る仕組みとなってございます。

 したがいまして、放送番組は、放送事業者がみずからの責任において編集するものでございまして、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくものと理解してございます。

田村(貴)委員 そこで、番組編集に関する国の判断、権限について伺いたいと思います。

 放送法第四条では、「放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。」として、四つの項目を記しています。「一 公安及び善良な風俗を害しないこと。」「二 政治的に公平であること。」「三 報道は事実をまげないですること。」「四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」

 もしこの番組編成の準則に照らして疑義が生じたと総務大臣が判断したときに、当然、番組制作における事実確認等が必要になってまいります。審査の過程で、放送局からの報告や資料の提出が不可避になってくると考えます。

 では、資料の提出にかかわる放送法の規定はどうなっているでしょうか。

 放送法百七十五条、総務大臣は、政令の定めるところにより、放送事業者に対しその業務に関して資料の提出を求めることができる。その政令とは、放送法施行令第七条で定められているところであります。

 そこで、伺います。

 放送法百七十五条と同法施行令七条によって、総務大臣は放送事業者にどういう資料の提出を求めることができるのか、条項に即して説明をしていただきたいと思います。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法第百七十五条と放送法施行令第七条の関係につきましては、先生ただいまお話しになったとおりでございまして、放送法第百七十五条が、総務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令の定めるところにより、その業務に関し資料の提出を求めることができると規定してございます。

 また、総務大臣が放送事業者に対して資料の提出を求めることができる事項は、放送法施行令第七条の各号に限定列挙されているところでございます。具体的に申しますと、放送番組関連では、同条第一号イ、ロ及びハということでそれぞれに掲げる事項、つまり、番組基準等に関する事項、放送番組審議機関に関する事項、訂正、取り消し放送に関する事項ということでございます。

 したがって、総務大臣は、これら列挙されたもののみについて資料の提出を求めることができるということでございます。

田村(貴)委員 そうすると、その資料の中で、放送番組、番組編成の準則にかかわるという点については、番組審議会あるいは訂正放送に関するところの資料というふうに捉えることができるんですけれども、それでよろしいでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の答弁で若干御説明不足の点がございまして、申しわけございませんでした。

 今先生がおっしゃいましたように、放送事業者が、例えば、仮に放送法第四条の規定に抵触して報道を行ったとして、放送事業者自身が真実でない事項の放送をしたと認識し、訂正放送を行った場合には、その訂正放送を行った事実について資料が提出されることになります。

 同様に、事実を曲げた放送につきましては、当該放送事業者の番組審議機関で議論がなされていた場合には、その議事概要が放送法第百七十五条の規定に基づく求めに応えて提出されることになります。

 このように、放送法第百七十五条の規定によりまして、放送事業者自身による自律的な検証の結果作成される資料が総務大臣に提出されることとなります。

 ただ、こういった放送法施行令第七条各号に掲げる事項を超えて、総務大臣が放送法第百七十五条の規定に基づきまして同法第四条の規定の抵触がないかを調査するための資料の提出を求めることはないということでございます。

田村(貴)委員 よくわかりました。

 そうすると、ある番組があって、それが四条の四項目に照らして疑義があった、放送事業者がそれを検証するといったときに、一つは、番組審議会とかで審議する、あるいは放送の訂正を行うといったところであります。

 それは、いずれにしても放送事業者が自主的そして自律的な検証を行った上で、行った後での資料ということになりますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のとおりでございます。番組審議会に関する資料や訂正放送に関する資料は、放送事業者さん自身による自律的な検証の結果作成することとなる資料でございます。

田村(貴)委員 政治的公平性の適合性の判断については、これまでは、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとされてきました。しかし、この間論議していますように、高市総務大臣は昨年五月の参議院総務委員会で、補充的な説明とした上で、一つの番組のみでも第四条の政治的公平性を確保されているとは認められない場合があるとされたわけであります。

 しかし、たとえ総務大臣が、どの政権であっても総務大臣が放送準則に照らして幾ら問題ありと認識しても、今議論してきましたように、検証のしようがないわけなんですね。なぜなら、番組編集における資料を提出させる権限が放送法で定められていない、与えられていない、このことが明らかになりました。

 挙証責任を果たしようにも果たせない、法律はそうなっているわけであります。それをあえて判断するとするならば、極めて主観的な判断になっていくわけであります。このことははっきり申し上げておきたいと思います。

 表現、言論の自由にかかわる放送行政の規制というのは、政府から独立した規制機関が行うのが世界の常識であります。総務大臣の監督ではなく、新たに放送委員会、独立行政委員会を設置して放送行政を規律するように、制度改正を我が党としては求めたいと思います。

 今国会で何度も求めてまいりましたけれども、高市総務大臣の一つの番組のみであってもの発言と、政府統一見解の撤回を重ねて要求して、きょうの質問を終えたいと思います。

 終わります。

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 日本共産党は、NHK予算の評価について、予算の内容とともに経営姿勢も問われると考えております。

 そこで、まず伺いたいと思います。

 籾井会長の現体制になっての不祥事の数々を、改めてここで確認させていただきたいと思います。

今井参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのNHK職員の不祥事案でございますが、横浜放送局の職員の職場内での窃盗事案、東京の記者がうその盗難被害の通報をした事案、放送文化研究所職員の酒気帯び運転、逮捕事案、旭川放送局の職員が窃盗容疑で逮捕された事案、平成二十六年五月に放送された「クローズアップ現代」で過剰な演出があったとされた事案、東京のアナウンサーが危険ドラッグの所持等で逮捕された事案、さいたま放送局の記者三人による業務用タクシー券の不正使用の事案。

 関連団体では、NHKアイテックの社員が出張旅費の不適切な経理処理をしていた事案、同じくNHKアイテックの社員二人が架空発注などの方法で約二億円を不正に受領していた事案、NHKインターナショナルの契約嘱託職員が危険ドラッグの輸入で逮捕された事案等でございます。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

梅村委員 この委員会でも繰り返し議論されてきましたけれども、やはり改めて、過去にないNHKをめぐる状況に今あるということだと思います。

 それで、籾井会長は先日の質疑で、不退転の決意で取り組んでまいりたいというふうに決意を表明されました。しかし、私は、この委員会で聞いておりましても、とりわけ視聴者の信頼という言葉、決意を繰り返し会長は述べられるわけですけれども、この点ではどのような改革をされていくのか、これがなかなか見えてこないのではないかと感じております。

 数々の不祥事を考えると、最も大切な一つは、役員の皆さんを先頭に全職員の皆さんが、視聴者・国民の受信料で支えられているという公共放送としてのNHKの重要な役割、とりわけ、ジャーナリストとしての自覚に立ち、視聴者・国民の皆さんとの関係で緊張感を持つ、ここが大きく問われていると思います。

 それでは、その自覚、緊張感は何が出発なのか。私は、やはり視聴者・国民の声が出発点だと考えます。

 過去、実際に不祥事が続いたときには、会長が責任をとって辞任されるとともに、同じように重きを置いて取り組まれたのが、視聴者・国民の皆さんとの直接対話だったというふうに思います。現在の視聴者のみなさまと語る会も、その中から生まれたものだと思います。

 繰り返しになりますけれども、視聴者の信頼、例えば、これまで、コールセンターへの声、この語る会、また受信料の徴収時の対話などが大変大事なツールだったと思いますけれども、今回のさまざまな不祥事を受けて、過去に例がないわけですから、この点での改革、視聴者の皆様の声を真っすぐ聞き、改革に生かす、この点ではどのようなことを考えていらっしゃるでしょうか、会長にお伺いしたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 一連の不祥事を私としては深刻に受けとめております。視聴者の皆様の信頼を取り戻すため、私が先頭に立って、不正を許さない意識改革、それからグループ全体の抜本的な経営改革に不退転の決意で取り組んでまいっております。

 今御指摘がありました、受信料でNHKは成り立っているんだということについては、もとより承知はいたしておりますが、改めて、私を初め役員並びに職員一同、加えて関連企業も含めまして、意識を新たに改革をしていきたいというふうに思います。

 それから、管理体制につきましても、通り一遍ではなく、複数の目でチェックをしていく。タクシー券の問題につきましても、複数の者が管理をしていくという体制をつくりたいと思いますし、それから、支払いにつきましても、従来、赤字でなければよかったというような意識があったというふうに思いますけれども、これにつきましては、一つ一つしっかり、伝票の裏づけとなる書類を一々チェックしてやっていきたいというふうに思っております。

 グループ全体の抜本的な経営改革としましては、今月、関連団体運営基準というものを改正しまして、具体策を策定いたしました。

 この中では、言うまでもないことですが、コンプライアンスの徹底をもう一度やっていく。それから、NHKグループ意識の醸成、これは、本体であるとか関連企業であるとか、そういうことを抜きにしまして、NHKグループ全体としてこういうコンプライアンス、ガバナンスに対応していきたい。それからまた、ゼロからの改革という意味で、構造改革などにも取り組んでいきたい。これにつきましては、まだ着手はしておりませんが、可及的速やかに着手するように今体制を構築中でございます。

 できることから着実に実行に移してまいりたいと思っております。

梅村委員 ですから、そういう御答弁がずっと続いたんですけれども、そういう中に、やはり公共放送としての緊張感、真っすぐに視聴者・国民の声を聞く、そこの改革がなかなか見えてこない。

 今、会長がおっしゃったことは、この委員会でもるる御答弁いただいたと思うんですけれども、私が聞く中では、視聴者・国民の声を聞く、この改革がどうなのかということを聞きましたので、ちょっと時間が余りありませんので、質問に基づいてお答え願えたらと思います。この改革はいかがでしょうか。

籾井参考人 お答えします。

 委員がおっしゃるとおり、やはり視聴者の声というものは非常に大事でありまして、我々も日々コールセンターに届く声をお聞きして、当然のことながら、一つ一つ私のところにも参るわけでございます。そういうわけで、私としては、視聴者の声ときちんと向き合うようにしておりますし、さらに今後ともこれをやっていきたい。

 それから、NHKや子会社の不祥事を受けまして、厳しいお叱りの声や、再発防止の徹底を求めるさまざまな御意見もいただいております。

 それぞれの意見を真摯に受けとめ、ただ声というだけではなく、具体的にそういう事柄に対応してまいって、視聴者の信頼や期待に応える改革を進めてまいりたいというふうに思っております。

梅村委員 それでは、昨年も聞きましたけれども、語る会、昨年も、例えば十一月には埼玉大学で、そして十月には仙台会場などで実際に行われていると思います。この中では、政権や国に左右されていない立場で本当に伝えるべき情報を伝えていくという目的の、地道に受信料制度を理解してもらう活動をしていくべきだとか、会長の数々の問題発言について視聴者の立場からの意見を言う場が欲しい、こういうことがアンケートにも書かれていたということが知らされております。

 こういうことはどのように受けとめ、また検討が行われているのか、経営委員長さんにお尋ねしたいと思います。

浜田参考人 視聴者のみなさまと語る会でいただいた御意見は、出席した経営委員の話や開催報告で情報共有をしております。

 経営委員会といたしましては、語る会開催直後の経営委員会で出席者が会合の模様を報告し、感想を述べております。

 この報告も受け、経営委員一人一人が視聴者の皆様からいただきました御意見や御要望を真摯に受けとめ、委員会で発言されているものと考えております。

梅村委員 重視をしていただきたいと思います。

 私、去年の予算質疑の中で、去年はとりわけ会長の発言への意見が語る会でも大変多かった、その数字も示させていただきましたけれども、どういうふうに会長はこういう声を承知されていますかという質問に対して、理事からの報告を受けても詳細を知っているわけではないというふうに籾井会長はお答えになったので、私は、あんなに重大な問題が起こっているのに、また会長自身への御意見が大変多い中で、その会長御自身にその意見が詳細に届いていないということ自身にびっくりいたしましたし、全国の視聴者の皆さんは、語る会で言ったことが籾井会長に詳細に届いているだろうと思って発言されてきたと思いますので、びっくりしたと同時に、ここへの改善を昨年要望いたしました。

 この一年は、そういう意味では、そういう声は詳細に籾井会長に届いて、検討されているかどうか、確認させていただきたいと思います。

籾井参考人 先ほどから申し上げておりますように、やはり視聴者の声というものは非常に我々にとって大事でございます。コールセンターに日々いろいろな御意見が直ちに入ってまいりますし、そういうものに対しては、我々は真摯に耳を傾け、また、個人的な問題についての御指摘についても、私自身、真摯に重く受けとめて、対応いたしております。

 今後とも、そういう視聴者の声というものを非常に大事に受けとめてやっていきたいというふうに思っております。

梅村委員 それで、一言で結構なんですけれども、十月の仙台会場で出た、会長に視聴者からの意見を言う場が欲しい、こういうような意見についてはどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

籾井参考人 私も本当に、視聴者の皆様に私のメッセージを直接伝える場というのはないのでございますけれども、今ございます視聴者と語る会というのは、とりあえず会長抜きということになっておりますので、会長は出ておりませんけれども、極力、さっきから言っておりますコールセンターとかそういうものを利用して、視聴者の皆様の声を酌み上げ、自分自身並びにNHKのために使わせていただければというふうに思っている次第でございます。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

梅村委員 公共放送としての緊張感を持つ、やはり命綱だと思いますので、ぜひ真っすぐ応えていただきたいというふうに思います。

 それでは、予算の方について伺いたいと思います。

 今度の予算は、過去最大の受信料収入となった結果、過去最高の予算規模になっていることが特徴だと思います。そして、その増収は、主に国内放送、国際放送の拡充などを進めるとされています。

 そこで、伺いたいと思いますけれども、収入増をよい番組づくりのために使うということについては大賛成でありますが、同時に、NHKは公共放送であり、営利を目的としているわけではありません。経営が安定している、さまざまな皆さんの努力のもとでの安定だとは思いますけれども、それは視聴者・国民の皆さんの御協力のもとでの安定だと思います。

 そういうときに立つならば、国民生活が苦しいわけですから、今回の予算、最大規模になることを踏まえて、値下げとか苦しい方々への軽減、こういうことが予算の審議の中では議論にならなかったのかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。時間がないので、やったかどうかでお答えいただきたいと思うんですけれども、お願いします。

籾井参考人 短くという要請なので、短く。

 今年度の予算については、事業計画の作成に当たっては、受信料の値下げは、検討しておりません。

 しかしながら、やはり我々は、前にも答弁したことがありますが、NHKというものは、公共放送としまして宿命的に、余裕があれば値段というものを調整していかなければならないというふうに思っておりますので、その辺の、NHKのセンターの建てかえとかいろいろな巨額の資金が要る中で、我々としては、だからできないということではなくて、真摯に、そういうことは常に考えていきたいというふうに思っております。

梅村委員 常に真摯に考えていきたいと言いながら、過去最大の受信料収入なのに検討すらされなかったというのは、私は、やはり検討をすべきだったのではないか、議論としてしっかりとすべきだったのではないかというふうに思います。

 それで、この増収の背景に、やはり契約の仕方についていろいろ国民の皆さんの中から批判が上がっているという問題について伺いたいと思います。

 私たちのところに来た生活相談ですけれども、例えば、大阪の寝屋川の団地、高齢者の多い公営団地ですけれども、衛星放送が見られるようにアンテナをつけたら、個別のお宅では、うちは高齢だから衛星放送は見ない、こういうお宅もあるわけですけれども、ここに契約切りかえの方がいらっしゃったら、払えないならこの部屋を出ていってもらうしかないと。大家さんでも何でもないのに、受信料を、契約を切りかえないなら部屋を出ていく、そこまで言う資格があるのかどうか、大変びっくりしました。

 また、昨年の十一月に、大分の方ですけれども、今書類を書いてください、その方が、書いて後で郵送しますと言うと、郵送には対応していないんです、だから今書いてください、ネットで手続をすることなども考えますと言うと、この書類を書いてもらうしか変更する方法はないんです、では、手続を拒否するということですかと。

 本来これはちょっとふさわしくないやり方だというふうに思うんですけれども、やはり業績を上げようとして、そういう事例が、私たちのところには相談がふえている。こういう事態をどういうふうに認識していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

籾井参考人 法人委託の訪問員などに対して、お客様から苦情が来ることもございます。一件一件について本当に、それはまことに申しわけないと思うんですが、そういうことがないように、そういう訪問員などに対しては、講習会を実施するとか、それから、苦情が寄せられたときには迅速に、お客様と対応した訪問員への指導を行っております。

 我々としても、公平負担の原則ということもありまして、何とか払っていただきたいという気持ちがそういう行き過ぎたことになっているんだろうと思いますので、その辺は十分注意しながら、そういうことが起こらないように最大の努力をしていきたいと思います。

 それから、先ほど宿命的な値下げと言いましたけれども、これは来年度の予算のことを言っているわけではないので、念のため、誤解はないと思いますけれども、申し述べさせていただきます。

梅村委員 国民生活センターへの相談は、NHKの受信契約に基づいては、二〇〇九年に三千百八十一件だったものが、今、倍以上にふえているんですね。やはり法人委託化の拡大の中で急速にふえている。

 今回の予算でも受信料の目標設置をされていますけれども、やはり手放しに収入がふえたということを喜ぶだけではなくて、その中ではこういう問題が内包されているということを真摯に受けとめていただいて、この点での改善を心より要望したいというふうに思います。

 最後に、ちょっと時間がなくなりましたので、予算の中で、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構に今回初めてNHKとして二億円を出資する問題について伺っていきたいと思います。

 これは、いわゆる官民ファンド、つまり、民間だけでは出資しづらい、政治リスク、需要リスク、海外でのリスクの高い案件を官民で支援するものであり、私も昨年、法案審査の際、この総務委員会で質問させていただきました。その際、政府参考人は、「そもそも、通信、放送、郵便事業につきましては、参入規制だとか料金規制という規制に大きく依存しておりますために、突然の規制の変更による事業見直しのリスク、あるいは、有限希少な電波を利用する事業も多いために、政府からの周波数の割り当ての着実な履行がないと事業展開が一切できなくなるというリスク、そういったものが想定されてございます。」というふうに御答弁をされました。

 これも時間の関係で大変申しわけないんですけれども、昨年確認させていただいたこういうリスクがあるのか、その点を、あるということだと思いますけれども、確認させていただきたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、通信、放送、郵便事業分野は規制分野でございますため、政治的影響を受けやすいなどのリスクがございます。

 そういったことから、公的性格を有する機構が資金供給や専門家派遣等を通じて支援を行って、こうしたリスクの軽減を図ることが必要であるというふうに考えております。

梅村委員 こうしたリスクが伴うということであります。

 そもそも、こういう官民ファンド、外国ではない。しかも、今回の二億円は、今回のファンドの中では最高の出資金額に並ぶ二億円という金額でもあるというふうにも聞いております。

 NHKがそういうリスクの高いところに行くのか。しかも、海外では余り事例がない。しかも、ほかの出資会社と並んで一番の出資金を出す。このような問題について、NHKとしてしっかりと、リスクや、NHKとしてしていいのかどうかということを議論されたのか。この点を、これも申しわけございません、時間の関係で、まとめて御答弁いただきたいと思います。

井上参考人 お答え申し上げます。

 実際に海外通信・放送・郵便事業支援機構への出資が行われるまでには、このNHK予算を御承認いただいた後、出資について経営委員会の議決を得た上で、総務大臣の認可を受けるといったプロセスを経ることが必要であります。

 今、予算編成に当たりましては、海外発信の強化等に協力するという観点から、二億円の出資金を計上しております。この際には、既に業務を行っているほかの官民ファンドの活動状況などを参考にして検討を行ったところでございます。

 まだ、JICTと申しますけれども、活動を始めた段階でありまして、今現在具体的に進行しているものはありませんけれども、NHKといたしましては、中長期的な視点から、コンテンツの海外展開等に当たってこの機構が活用できないか、その可能性を検討する意味はあるのではないかというふうに考えているところでございます。

梅村委員 リスクなどについての検討がどう具体的にされたのかというのは、今の御答弁では十分知ることはできませんでした。

 大臣意見では、「経済成長や国際社会における我が国のプレゼンス向上に資するため、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構の活用も含め」と述べていらっしゃいます。安倍政権の成長戦略、NHKの機構への出資、活用をこのもとでどのように位置づけているのか、もしございましたら、御答弁いただきたいというふうに思います。

高市国務大臣 放送法の第十五条でNHKの果たすべき役割、目的としまして、良質な放送番組の提供とともに、国際放送や放送及びその受信の進歩、発達に必要な業務を行うということを目的としています。

 NHKには、豊富な放送番組の蓄積ですとか、番組制作や放送技術に関する知識と経験が積み重ねられています。

 来年度のNHK予算では、NHKからJICTへの二億円の出資を盛り込んだんですけれども、NHKが、JICTと連携をしながら、みずから持っている放送番組や知識と経験を活用しながら、放送コンテンツの海外展開、放送制作、編成や送受信に必要な技術の提供、現地放送事業者の人材育成といった取り組みが海外で促進されると考えております。

 例えば、NHKの放送コンテンツの海外展開に関しましては、NHKの大河ドラマや連続テレビ小説などが東南アジアで放送されていて、JICTとの連携によりまして一層の展開が期待されます。そうなりますと、海外での取り組みが日本に対する魅力や理解を増進させるということで、訪日外国人の増加にもつながると思います。

梅村委員 NHKの国際的な技術提供や国際放送の強化は、何もこの官民ファンドに入らなくてもできるものだと思います。

 そもそも、昨年のこの支援機構の法案説明で、大臣は、我が国経済の持続的な成長のためには、海外における新たな事業機会を捉え、我が国の事業者の収益性の向上を図る必要があるとされました。

 そうした海外での収益性の向上、目的を持った機構、そしてそこにNHKが参加をするということは、NHKが経済成長のためのツール、道具にされようということではないかと思います。

 そもそも、NHKは、収益性を求める組織ではありません。公共放送として政府から独立し、商業主義にくみしない基本的立場を貫くことが何よりも大事だと思います。

 民間も参入に尻込みをするリスクの高いところに事業展開する官民ファンドなどにNHKは国民の受信料を使って出資すべきではない、これはNHKの商業主義への大きな転換への一歩であることを厳しく指摘し、質問を終わります。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 きょうはNHK予算の審議ということでありますが、先ほども委員の各位からお話がありましたように、この総務委員会、NHKの予算の中身に入る以前の入り口のところで多くの質疑が行われていることについては、私も大変遺憾に思うところでございます。

 加えて、この総務委員会のみならず、予算委員会等でも、総務大臣のさまざまな放送法にかかわる御発言、これについて野党五党、この委員会では四党、会派でいうと三会派になりますが、そこから、大変厳しいというか、大臣の御発言がNHKを含めた放送局を萎縮させているんじゃないかと。さまざまなキャスターの方々の入れかわりも、あたかもこの大臣の発言が契機になっているかのようなことを振りまいていらっしゃいます。

 私は、そうは思いません。放送局自身がこれはまさに自律的に判断せないかぬことであって、逆に、民主党政権時代もさまざまなプレッシャーがあったと思います。そうしたプレッシャーに左右されてはいけないのは放送局側でありまして、私は、逆に、政治がそれで萎縮してはいかぬ、こういうふうに思うわけであります。

 きょうはNHK予算の審議ということでありますが、私は驚きました。私は総務委員会は初めてなんですが、過去をさかのぼると、民主党が政権から落ちた、政権から外れて野党になってから、初年度はどうだったかちょっと忘れましたが、それから二回連続、この予算の審議で三回目でありますが、どうも仄聞するところによると、野党四党、三会派、これがNHK予算に反対すると。籾井会長、これは、三会派が予算を認めないと言っているわけです。予算を認めない。いろいろな理由があります。

 私は、総務大臣が、放送局の免許の問題とか電波の停波の問題、こうしたことについて法律の解説をされる、当たり前だと思いますね。まず、総務大臣の発言があります、もう一つ、なぜ野党三会派がNHKの予算に反対するんですかと聞くと、いや、法律にちゃんとこれを審議しろと書いてあるからだと。法律に書いてある、法律に国会でこれを審査しなさいと書いてあるから審査して、反対だから反対だと言うんですね。総務大臣も、法律に書いてあるからその解説をしていると。両方言っているわけです。

 私は、野党がこのNHKの予算に反対することも相当プレッシャーになっているんじゃないかなと思うんですよね。

 籾井会長、これはやはり、予算はずっと全会一致でやってきた。なぜ全会一致でやってきたかというと、これは公共放送の予算だからです。しっかりとこの場で審議しろと法律に書いてあるんだから、審議したらいいですよ。でも、最終的に反対をするというのは、要は、もうNHK、電波はとめろと言っているに等しいわけですが、籾井会長、そういうプレッシャーは感じませんか。どうですか。

籾井参考人 私どもは、あくまでも全会一致の賛成を望んでおるわけでございます。それに基づきまして、まず、この予算の時期のみならず、日ごろから、公平公正、不偏不党、何人からも規律されずという放送法の精神のもとに、いい番組をつくろうと努力いたしております。

 我々としましては、当然、全会一致は望むところでありますし、また、そのために最大限の努力をしているつもりでございますし、いまだに我々はその望みを捨てずに、こういう会でも誠心誠意対応しているつもりでございます。

足立委員 すると、籾井会長、プレッシャーに感じていないということですね。確認です。

籾井参考人 我々の予算が国会を通してもらわなければならないということは、これは大変なプレッシャーでございますし、我々も大変に緊張感を持ってやっております。

足立委員 これは私の私見ですけれども、結局、民主党が政権をとるまではずっと全会一致で来たんです。民主党が政権にあるときも、たしか全会一致だったと思います。自民党さんも賛成したと思います、たしか。でも、民主党が政権を味わって、これは大変な分野だなということで、今もう野党になったら反対だ反対だと。多分今回も反対されるのかもしれませんが、私は、NHKの予算、これは全会一致で本当はいくべきだ、問題があるならこの場でちゃんと解決をしておくべきだ、こう思うわけであります。

 大臣、放送法にちょっと移りますが、私、政治的公平というのはすごく本当に大事だと思いますよ。

 実はきょうも、ニコ生とかでごらんいただいている方もいらっしゃいますし、きょうの夜零時、あしたですね、あしたの零時十分からNHKできょうのこの様子が放映をされます。

 籾井会長、視聴率、去年の例でもいいですよ、あるいは前半の先週の木曜日でもいいですよ。NHKの総合テレビのこの番組、NHK予算の審議の放映、零時台、一時台、二時台、私の放映は今夜二時過ぎです。二時過ぎ、視聴率はどれぐらいですか。

板野参考人 お答えいたします。

 個別の番組の視聴率につきましては、私どもの契約をしております相手方の関係もございまして、私どもだけの判断ではお答えはしかねるところでございます。

足立委員 事前にいろいろやりましたけれども、とにかく出してくれないんですね。本当に、私さっきNHK予算は全会一致で賛成すべきだと言いましたが、こういう状況だと反対したくなりますよね。

 それはさておいて、これは総務省の情報通信白書の写しでございます。私のきょうの審議、これはNHKで放映されます。あしたの二時台です。ほとんど下に張りついていますよ。

 これは、籾井会長、やはり足立の質疑は国民に見せたくないということですか。ちょっとどうですか。

板野参考人 お答えいたします。

 衆議院と参議院で行われますNHK予算の審議の模様を漏れなくお伝えするために、夜の時間帯に録画と録音で、総合テレビとラジオ第一で放送をしております。

 この放送の時間帯につきましては、審議の模様を編集することなくノーカットで放送する、委員の皆様の御発言を漏れなくお伝えすることを最優先に検討した結果でございます。御理解をいただきたいと思います。

足立委員 もう本当に、僕はふざけていると思いますよ。大体、これから4K、8Kだと言って、場合によってはコピーネバーだと言っているんでしょう、皆さん。その中で、今、おかしいでしょう、もうみんな賛成だと。僕の尊敬する橋本先生は拍手してくれていますよ。これはおかしいですよ。今、御答弁ありました。録音、録画で見てくださいと言っているんですよ。録音、録画が前提ですか、これは。そうであればコピーフリーにすべきだと思いますよ。

 私は、先ほど民主党の委員のトップバッターの方が、いろいろ異論はあります、何度も言いますが、私は、これからの国会、野党に対しても質問できるようにしないとおかしいと言っています、いろいろなところで。これは総務委員会でも一緒ですよ。先ほど、民主党のトップバッターの方が身を切る改革と言った。もうちゃんちゃらおかしいですね。それから、ネット時代だということで、いろいろNHKに質問しました。では、民主党は、民進党は、放送と通信の融合について一体どう考えているんだ、そのときのNHKのあり方はどうだと思っているんだと全然言いません。言いません。

 私は、これからの時代、例えば民放は、きょう、民放連を呼びましたが、来ないと言われていますが、とにかく、映画とかそういう大事な、ちょっと質問が飛び散っていて申しわけありませんが、映画とか著作権の問題が大変厳しい分野については、それは例えば民放連が今努力をされているTVerとか、要は、ネットでちゃんと管理をして、そういうところで、CMを見なければ見れないようなシステムを今検討されています。そのときに乗せればいいんですよ。

 しかし、公共放送の雄たるこのNHK、特に報道番組、あるいは民放も報道等についてはコピーフリーでやりましょうよ。

 今、御答弁があったように、こういう大事な報道が、夜中の二時、視聴率ゼロに張りついていますよ。こういうときに、何でだと聞けば、それは録音、録画してくださいと言うわけですから。

 そうであれば、NHK、籾井会長、質問が飛び散っていて難しいと思いますが、要すれば、コピーフリー、特にNHKの報道番組、NHKの報道番組についてはコピー制御を外していく、コピーフリーにしていく、これが当然だと私は思いますが、ちょっと、会長の言葉でぜひお願いします。

籾井参考人 なかなか難しいんですが、NHKとしましては、やはり視聴者の利便性と適正なコンテンツ保護の両面がかなめであります。関係者の間で合意されることが望ましいと考えております。

 今の状況の中で、我々としても明確な方向性を出すのは極めて難しいんですが、やはり、いろいろな関係者がおられますので、関係当事者がいろいろお話し合いをされて合意されることが望ましいと考えております。

足立委員 会長、これは、法律面それから技術面、大変難しい。法律と技術が両方関係するテーマというのは、これは国会議員でも難しいんですね。だから、これは総務委員会でもなかなか取り上げられたことが余りないと聞いていますが、大変重要なテーマであります。

 これは、いろいろ、アナログテレビからデジタルテレビになる中で、コピーワンスが入ったり、いや、コピーワンスだと困るということでダビング10、九回プラス一回、そういうものが導入されています。

 何回もやっていますが、これは、NHKまで民放連についていって一緒にやっているわけですよ。私は、NHK、民放でも、報道番組は、こんな使いにくい、ユーザー利便性を阻害するようなものはやめた方がいい。4K、8Kになってもそうですよ。もし著作権上問題があるんだったら、別の方法を考えたらいいんですよ。TVerとかを考えたらいいんですよ。

 さて、きょうは文化庁にお越しいただいています。そもそもなぜコピー制御が入っているかというと、これは海賊版対策ですよ、一言で言うと。バランスですね、海賊版対策と視聴者、ユーザーの権利、知る権利、あるいは私的複製の権利。私的複製の権利を持っているんですよ、ユーザーは。ユーザーに権利があるんです。知る権利が、強い権利があるんです。

 ところが、文化庁とか総務省にいろいろな方が集まって、権利者さん、それから放送局が五局、それから民放連の代表も入って総務省で決めたんですよ。NHKも入っていますよね。なぜそんなことをするんですかね。

 今申し上げたように、二つのバランスなんです。知る権利と海賊版対策。文化庁、ダビング10を入れることによって、海賊版、とまっていますか。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のダビング10につきましては、放送番組に係る権利の保護の観点から、デジタル放送録画機器について、録画された放送番組を他の記録媒体にコピーできる回数等を制限する方式であるというふうに承知しております。

 このようなコピー制御を行うことによりまして、先生の御指摘にもありましたように、放送番組について複製物が大量に作成されることがないような仕組みとなっているというふうに認識をしております。

 また、ダビング10のような著作権等を侵害する行為を防止する技術的保護手段を回避し、権利者に無断で著作物の複製等を行う行為については、著作権侵害に該当いたします。さらに、このような手段を回避する装置の販売等も著作権法上刑事罰が科されておりますので、したがって、ダビング10のようなコピー制御は、海賊版対策を含め、権利者の利益を保護する上で一定の効果があるものと認識しているところでございます。

足立委員 ちょっときょう、政務もお越しいただいている、義家副大臣、お越しいただいています。これはなかなか事務方はうだうだ言うんですけれども、要は、大変なユーザー利便性を犠牲にしているんです。犠牲にするだけの効果がなければ、やめた方がいいんですよ。

 今、一定の効果とおっしゃいました。一定の効果というのはどういう効果ですか。

義家副大臣 お答えいたします。

 まさに一定の効果でありまして、そのほかにもあらゆる方法で海賊版というのは存在していることを認識しております。

 また、このダビング10を回避する装置等々の販売も行われております。それらをどのように取り締まっていくかということも含めて検討していかなければならない課題だと思っております。

足立委員 要は、さまざまな法令が、法律が制定されると承知しています。エンフォースメントをちゃんとやっているんですか、エンフォースメント。

 それで、事務方でもいいですよ。一定の効果、分析していないんですか。分析しているなら、その内容を教えてください。分析していないなら、していないとはっきり言ってください。

磯谷政府参考人 先生御指摘のダビング10についての一定の効果の詳細の分析はしておりませんが、侵害実態についてのさまざまな形での把握、それから、先ほど副大臣がお答え申し上げたような海賊版対策に関する取り組みについては進めております。

足立委員 もう一回言いますよ。日本じゅうのユーザーが、テレビを見ている人みんなですよ、B―CASカードを差して、それで、何回コピーだ、何回ムーブだとかいって苦労しているんですよ。テレビ、よくわからない、テレビの機械の使い方がよくわからないと言っているんです、みんな。

 特にNHKは、あまねく受信してもらう、そういうミッションがあるんでしょう。何で民放と一緒に横並びでやるんですか。籾井会長、NHKの使命に鑑みれば、こういう今文化庁から答弁があったような、政策効果もわからない、政策効果も分析していないような、そうであれば、きっと重要ではないんでしょう。

 海賊版対策の問題は、会長、これはぜひ知っておいてください。海賊版対策というのは、大体、自民党もあれですよ、ていたらくで、いや、申しわけない、本当によくないですよ。例えば映画盗撮防止法とか、要すれば、エンフォースメントを余りする気がないんですよ。要は、法律をつくって、アナウンスメント効果でユーザーを驚かす。ユーザーをおどしているわけですよ、君たち、コピーしたら犯罪だよと。知る権利、私的複製の権利を有しているユーザーを、政府・与党は、NHKは、民放はおどしているんですよ。

 問題は、これによって実際に放送文化というのがちゃんと回っていればいいですよ。放送文化というものが、ビジネスというものがしっかりと回っていればいいですよ。

 文化庁、分析していないんですか。

磯谷政府参考人 先生御指摘のように、著作権におきまして、権利者の保護と円滑な利用のバランスが大変重要だと思っておりますし……(足立委員「分析」と呼ぶ)はい。今手元に資料はございませんけれども……(足立委員「あるのかな」と呼ぶ)コンテンツについてのさまざまな活用についての把握はしておりますが、直接先生が……(足立委員「ダビング10」と呼ぶ)ダビング10自体については、先ほど申し上げたように、詳細の把握はしておりません。(足立委員「じゃ、簡単な把握はしているの」と呼ぶ)

遠山委員長 発言の場合は委員長を通してください。

足立委員 詳細な把握はしていないとか、もうそういうつまらぬことを言うなよ。いいか。

 どういう分析をしているんだよ。通告しているんだから、ちゃんと答弁してください。

磯谷政府参考人 先生の御指摘の趣旨での分析はしておりません。

足立委員 だから、さっき申し上げたように、大変な権利間の調整をしているんですよ、皆さんは、政府は。知る権利と著作権の調整をしているんでしょう。そのときに、国民全て、みんな、おじいちゃんも、おばあちゃんも、子供たちも、みんな見ているテレビ、このテレビに複雑なコピー制御を入れたのはNHKでしょう。NHKと民放はそれを認めた。それに道を開いたのは、情報通信審議会、総務大臣ですよ。

 総務大臣、ちょっとこれは何とかしてくださいよ。

高市国務大臣 放送事業者が質の高い豊かなコンテンツを継続的に提供するために、コンテンツを制作して放送する上で、必要な権利処理を円滑に行えるように権利保護の仕組みが必要だということで、地デジにおいてはダビング10が運用されております。

 そして、コピー制御を設けるということは、そういう意味からは、視聴者の一定の利益にかなうもので、国民の知る権利に反するとは考えていません。

 仮に、このコピー制御を行わないとした場合に、例えば、放送事業者と権利者との調整が折り合わなくて、無料放送でのコンテンツの制作や提供が困難になって、コンテンツの有料化ですとか視聴料金の高額化が進む、そういったことで結果的に視聴者利益の低下を招く可能性もあるという指摘もありますから、まだ慎重な議論は必要だと思います。

足立委員 まさに今大臣が御答弁されたように、慎重にこれは慎重に、慎重に分析したらわかるんですよ。ところが、今聞くと分析していないんです。そうでしょう、大臣。

 これは、ダビング10が海賊版対策に有効であったのかどうか、しっかり検証して、その上で、4K、8Kのコピー制御方式を議論する。いいですね、大臣。

高市国務大臣 現在、関係者間で議論が行われている最中ですから、その中で十分に検討されると思います。

足立委員 まさに、これは関係者間でやっているんです。でも、ダビング10のときは、関係者でまとまらないから、総務省が情報通信審議会にみんなを集めて決めたんですよ。総務大臣が介入したんですよ。僕はいいですよ。介入したらいいけれども、ちゃんと責任をとってください。

 ダビング10は総務大臣が関与して決めたんですよ。検証しないんですか。

今林政府参考人 大臣が御答弁申し上げましたとおり、ただいま議論が行われているところでございますので、まずは議論を注視するということでございますが、必要に応じて、関係者の皆さんと意見交換、あるいはオープンな場での情報提供の要請なども行ってまいりたいと思います。

 仮に、新しい方式の検討が本格化した場合には、総務省としても、オープンな場を設けまして、関係者、有識者の意見を伺ってまいりたいと存じます。

足立委員 もう時間がなくなってきましたが、これは全くだめですね。こんな重要な、保育園も重要ですよ。保育園の問題、これは重要です。しっかりきょうも馬場幹事長が記者会見で申し上げますが、我々、いろいろな政党にも先んじて、緊急対策は既に出しました。しかし、これは緊急対策なので、今週中にも長期政策、実際の制度も含めた保育のあり方、これはしっかりやりますが、保育も大事、でも、同じぐらいこれは大事ですよ。国民の知る権利と放送文化がどのように両立できるのか、これについて、ダビング10という、これは、総務大臣も介入する形でダビング10というものが今施行されているけれども、それがその施策の目的に対して有効であったのか、誰も分析していない。

 NHK会長、これは言っていても仕方ないんだけれども、会長にぜひ一つだけお願いがあるんです。

 皆さんは特別な使命を持っているんですよ。NHKというのは特別な使命を持っているんですよ。この重要な問題について、民放連についていくだけのつまらない、単に民放連が僕たちはこうしますからついてきてねということだけではなくて、NHKとして、そのミッションを果たすために、どういう技術的手法を採用し、NHKの番組についてどういう運用をすべきかということについて、しっかりと自律的にNHKとして判断し、意見を言っていく。いいですね。

籾井参考人 今の委員の御指摘を踏まえまして、我々としてもより積極的に議論に参加していきたいというふうに思います。

足立委員 きょうはいろいろなテーマをやりたかったわけですが、もう時間が二、三分になってきました。

 これは民放の話ですが、NHKも非常に関係がある。ここでもう余り細かいことはやらないので、気楽に聞いてください。

 僕は、やはりこの政治的公平というのはすごく重要だと思っています。例えば、去年の安保法制の審議のときに、(パネルを示す)これは、放送法遵守を求める視聴者の会という方々がチラシでPRをされておられる、民放のそれぞれの個別番組の賛否の放送時間です。これだけ偏りがあるんですね。

 それで、もちろん、放送局全体とか、番組全体とか、一つの番組とか、いろいろ論争があるのも承知をしていますが、僕らはやはり特定の番組を見ていますよ。いつも会社から帰って、僕はもう会社をやめましたけれども、会社から帰って、大体同じ時間に同じ番組を見ているんです。その番組が繰り返し繰り返し安保法制反対だと言えば、これはみんな誘導されちゃいますよね。

 総務大臣、これはどうですか。こういうのは、やはり政治的公平という、この数字を見てどうお感じになられますか。

高市国務大臣 特に放送時間によって公平性を確保するといった形式的な判断の枠組みを政府が示したことはございません。

 また、冒頭に委員もおっしゃっていただいたとおり、放送法は放送事業者の自主自律を基本とする枠組みですから、まずは、放送番組はそのもとで放送事業者がみずからの責任において編集され、また、四条に規定する政治的公平性というものを確保しているか否かも、まずは放送事業者がみずから判断され、放送法を遵守すべきものだと思っております。

足立委員 早くやめてほしい人がいっぱいいるのでもうやめますが、とにかく民進党は違憲の集団です。

 私は、政治的公平というのは本当に大事だと思いますよ。きょう冒頭、NHK会長に申し上げたように、夜中の二時、三時ですよ、私のきょうの放送、夜中の二時。誰も見ません。それで何か役割を果たしているかのように立ち振る舞うのは、それは詭弁だ、こう思いますし、NHK会長もちょっと、いや、NHKのそういう放送時間もおかしいと思うけれども、もっとおかしいのは民進党ですよ。

 きょうはもう一つ、あるパネルを用意していたんですが、理事会で却下をされました。これも、与党の皆様にはお世話になっていますが、与野党の五五年体制的な談合で、足立はちょっと抑えつけろということで、そのパネルは却下されました。

 民進党、衆議院議員二人の社民党よりも、衆議院議員十三人のおおさか維新の会の質問時間をより小さくハンドリングしている。野党第一党と言えません、これは。無責任野党第一党が民主党であると毎回申し上げるとお約束していましたので、このテレビの前でも申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日はNHKの予算案についての質問でありますが、質問に入る前に、まずNHKの経営陣の皆さんに一言申し上げたいというふうに思います。

 さまざまな不祥事、これによってNHKへの信頼というのは大きく損ねられているというふうに思っております。また、それ以上に問題なのは、さまざまな不祥事が起こった際、あるいはさまざまな課題についての経営の規律のなさ、ガバナンスの欠如、これが非常に大きな問題ではないかというふうに思います。

 先ほどの議論の中でも少し指摘をされていましたけれども、法律にも定款にも、そして内規にすら記載をされていない役員会やあるいは役員連絡会、非常に奇怪な会議、そのもとで予算にかかわる非常に重要な事項が判断をされ、決定をされている。こうしたNHKの今のガバナンスのあり方というのは、私は大変大きな問題だというふうに思っております。

 この点について、まず会長から一言お伺いをしたいと思います。

籾井参考人 不祥事が相次いでいることで、視聴者、関係者のNHKへの信頼が損なわれているということについては、私も十分に認識しております。まことに申しわけなく思っております。

 再発防止に向けた具体的な対策をできることから直ちに始めております。信頼回復につながるよう、全力で取り組んでまいります。

 透明性の問題については、受信料で支えられておりますNHK経営としましては、透明性を確保することを極めて重要だと考えておりますので、今後ともできる限り開示をしてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 私が指摘させていただいたのは、理事会あるいは経営委員会等々での議事録の作成ということだけではなくて、こういう会議を開くという定めのない会議の中で重要なことが決定をされているということが私は非常に重大な問題だということを指摘させていただきます。

 それでは次に、総務大臣にお聞きしたいと思います。

 NHKの来年度予算などに対する総務大臣意見について、拝見させていただきました。NHKをめぐっては、今ほどもお話があったとおり、不祥事が後を絶たず、公共放送としてその使命を的確に果たしているのかどうかという点、本委員会でも議論が重ねられてまいりました。大臣もさまざまな思いがあるんだろうということは理解できます。

 一方、政府の側が余りにも詳細にわたって意見を述べることについては、自律した公共放送としてのNHKのありようを損ねてしまうのではないかという危惧を一方で持ちます。

 ここ十年余りの総務大臣意見、目を通させていただきました。年を追うごとに分量がどんどんふえている。私が見たところでは、二ページで終わっている大臣意見もありましたが、今回四ページにわたって、文字の大きさ等々があるので一概には言えませんけれども、量もふえておりますし、また意見の内容も具体的なものになっているという印象を抱いております。

 そこで、何点かお尋ねをしたいと思います。

 まず、「国内放送番組の充実」の項目で、NHKの「クローズアップ現代」で生じた問題に対して、大臣が昨年の四月二十八日に行った行政指導を踏まえるよう求めています。

 一旦行政指導している案件について、具体的な番組名を出して重ねて意見を付した理由を聞かせてください。

高市国務大臣 NHK「クローズアップ現代」の問題は、昨年三月十八日の発覚直後から本総務委員会でも幾度となく御議論がありまして、社会的な反響が大きくて、国民・視聴者のNHKに対する信頼を大きく損なう事案でございました。

 昨年四月の本件に関する行政指導につきましては、NHKが総務省所管の特殊法人であるとともに、受信料で成り立つ公共放送であるということも踏まえ、所管する大臣としての責務を果たすために必要な対応を行いました。

 そして、四月二十八日にNHKの最終の調査報告書が公表されまして、私自身、隅から隅まで読みましたが、具体的な再発防止体制をいつ、具体的にどうするかという記述が抜け落ちておりましたことから、一刻も早く具体的な再発防止体制をつくっていただきたいという非常に強い思いから、早急に行政指導文書を作成いたしました。

 これに従いまして、NHKでは、五月二十九日に具体的な再発防止体制を公表され、以来、その防止に向けた取り組みは着実に進んでおられると思います。

 しかしながら、平成二十八年度収支予算の実施に当たりましては、再びみずからの番組基準に抵触する放送を行うようなことがないようにしていただきたいということも考えまして、総務大臣意見においては、総務大臣による行政指導を踏まえて、再発防止に向けた取り組みを引き続き着実に実施するとともに、放送番組審議機関の機能の発揮等により、さまざまな機会において放送番組に対する国民・視聴者の声に十分耳を傾けつつ、国民・視聴者の信頼回復に努めることという指摘をさせていただきました。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

吉川(元)委員 私が言いたいのは、わざわざ個別の番組名を大臣意見に付して、その中でさらに、行政指導を踏まえるという表現。行政指導というのは、権利を制限したり、あるいは法律上の拘束力はないということで、総務大臣御自身もBPOの意見について反論をされておられます。

 それで、ちなみに、過去十年余り大臣意見を見ておりますと、結論としては「おおむね妥当」というのが多いんですけれども、唯一、二〇〇六年の、当時竹中大臣だと思いますが、意見の中で「やむを得ない内容」という表現になっております。

 当時は、まさに大問題をNHKは抱えておりまして、紅白歌合戦の担当プロデューサーによる制作費の不正支出が明らかになり、当時の会長の参考人招致が行われ、しかも、それについてNHKが生放送をしなかったということで、それをきっかけにして受信料の不払いが拡大をいたしました。また、二〇〇五年には、「プロジェクトX」の番組で、放送内容に事実と異なる点が多数あることが指摘をされております。そういう中にあって、二〇〇六年の大臣意見は「やむを得ない内容」というふうに判断されたと思いますけれども、その際においても、個別の番組名については触れられておりません。

 この点について、やはり私は、個別の番組にまで踏み込むということは、放送法三条で保障された番組編集の自由に過度にかかわるような印象を受けざるを得ないということを指摘させていただきます。

 次に、大臣意見の「国際放送の充実等による総合的な海外情報発信の強化」の項目についてお尋ねいたします。

 その中では、「我が国の重要な政策及び国際問題に対する公的見解並びに我が国の経済・社会・地域及び文化の動向や実情を正しく伝えることがこれまで以上に重要になっている」と記述をされています。

 ここで言うところの公的見解というのはどういう意味なのか、お答えください。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法第八十一条第五項の規定に基づきまして、NHKの外国人向け国際放送の編集に当たりましては、我が国の文化、産業その他の事情を紹介して我が国に対する正しい認識を培い、及び普及すること等によりまして、国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するようにしなければならないとされております。

 また、NHKの国際番組基準におきましては、国際問題に対する公的見解を正しく伝えるとされております。

 国際問題につきましては、事案によりましては、我が国と他国等の間におきまして見解の相違が存在する場合もあり、この場合、対外的に、我が国の公的見解を正しく発信し、御理解をいただくための努力が重要になりますので、大臣意見の中でも言及をされたものでございます。

 このときの公的見解といいますと、例えば、国際問題に関する政府の見解、国際問題に関して国会で議決された見解などが該当するものと考えております。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 放送法の八十一条というのは、国際問題に関する事項という表現だと思います。公的見解というような表現は入っていないというふうに思います。

 これは初めて今回使われたわけではなくて、二〇一四年の大臣意見からこの言葉は使用され始めた表現だというふうに承知をしております。

 今お話しになったNHKの国際番組基準においても、公的見解という表現、これは確かに使われております。ただし、NHKの国際番組基準では、「内外のニュースを迅速かつ客観的に報道するとともに、わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解ならびにわが国の世論の動向を正しく伝える。」こういうふうに記述をされているわけであります。

 要するに、国際問題に対する政府の公式見解、これを伝えないということはないと思いますけれども、と同時に、世論の動向も正しく伝えるというふうになっているわけで、政府の公的見解だけを放送するというふうには書かれておりません。

 例えば、政府、一昨年ですか、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を行いました。これは公的見解ということになるんだろうと思いますけれども、同時に、世論の中にはこの解釈の変更についておかしいと言う方がたくさんいらっしゃいました。また、イラク戦争の際に、政府はアメリカの行動について支持を真っ先にしたわけですけれども、当時においても、国内においてはこのイラク戦争について反対をする声、多数存在しておりました。

 今回の大臣意見を見ますと、この世論という部分がすっぽりと抜け落ちているのではないか、いわゆる政府の見解のみを伝えればよいというふうにしているのではないかというふうに感じますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げましたとおり、公的見解と申しますと、国際問題に関する政府の見解、あるいはそういうことに関して国会で議決された見解というものが該当すると考えております。

 先生御指摘のとおり、確かに国際番組基準におきましては「公的見解ならびにわが国の世論の動向を」と書いておりますが、最終的に、この国際放送の番組編集あるいは放送をどのように行うかということにつきましては、放送法及びこの国際番組基準に基づきまして、NHKにおかれて、必ずしも公的見解だけでないものも含めて、自律的に行われるものと承知しております。

吉川(元)委員 NHKにおいて自律的に行われると言うのであれば、こんなことを書かなければいいわけで、余計なお世話だと私は言わざるを得ないというふうに思いますし、書くのであれば、国際番組基準の文言、「世論の動向」ということもきちんと書き加えるべきであろうということを指摘させていただきます。

 次に、大臣意見の「新放送センター整備」の項目ですけれども、新放送センターの整備に際し、「機能の地方分散についても積極的に検討すること。」とされております。

 このNHK機能の地方分散ですが、これはまち・ひと・しごと総合戦略の一環と考えてよろしいんでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 NHKの新放送センターの整備につきましては、昨年六月九日の経営委員会におきまして、二〇二五年、平成三十七年の一部運用開始を目標に、現在地で建てかえることが議決され、現在、NHKにおかれて建設基本計画の検討が進められているものと承知しております。

 総務省といたしましては、新放送センターの整備は、国民・視聴者の負担する受信料で賄われるものでございますので、NHK平成二十八年度予算に付する総務大臣意見におきましても、「国民・視聴者の理解が得られるよう、説明を尽くすこと。」と指摘したところでございます。

 他方、放送は、地域の情報を他の地域や世界に向かって発信する役割を果たしております。また、NHKはこれまでもみずから、放送番組の制作、イベントなどにおきまして、地域の自治体や地場の企業さんなどとさまざまな協力を行ってきておられます。

 また、放送法第八十一条第一項におきまして、NHKは、番組の編集に当たって、「地方向けの放送番組を有するようにすること。」また、「我が国の過去の優れた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つようにすること。」ということが義務づけられております。

 したがいまして、こうした役割を一層発揮していただきたいという観点から、新放送センターの整備に際しましては、現在の放送センターの機能を地方に分散させることも有効であると考えまして、「機能の地方分散についても積極的に検討すること。」という総務大臣意見をつけさせていただいたところでございます。

 NHKにおかれましては、現在でも、一部番組制作を地方局で実施するなどの取り組みをやっておられるというふうに承知しておりますけれども、こういった総務大臣意見も踏まえて、新放送センターの整備を契機にさらに取り組みを進め、こういった地方創生、地域の活性化に貢献していただきたいと考えているところでございます。

吉川(元)委員 私が尋ねたのは、まち・ひと・しごと創生総合戦略の一環として考えていいのかどうなのか、この点について聞いたわけでありますので、その点について答弁ください。

今林政府参考人 ただいま先生が御指摘になりました、まち・ひと・しごと総合戦略そのものに直接よって検討しているものでございません。

 まち・ひと・しごと総合戦略の中では、例えば、政府関係機関の地方移転というようなことがうたわれておりますし、例えば、地域の研究機関等との連携を図ることで、機能の移転によって、地方創生に役立ち、国の機関としての機能の向上を図る、こういったことが書かれておりますが、NHKさんは自律的に判断されるということでございますので、直接それに基づいて書かせていただいたわけではございませんが、地方創生総合戦略にも資するものというふうに考えてございます。

吉川(元)委員 大臣、二月の十五日の予算委員会でNHK機能の地方分散に関連して答弁をされております。その後、記者会見等でも再度触れられておりますが、地方創生に貢献していただくこともすごく大切だということを言われております。

 地方の活性化それ自体が大切なことは言うまでもないと思いますし、また、地方発の番組、今一生懸命NHKさんがつくられている番組、私も何度か見せていただきましたが、やられているというふうに思います。殊さら地方創生、これは地方創生というのは、普通名詞というよりも固有名詞に近いもの、一つの政策、政府の掲げる政策だというふうにも感じております。今、自律的に判断されると。私は当然だと思います、国の機関ではないわけですから。

 そういう意味でいいますと、今回の大臣の発言、政府の政策を推し進める観点というのが非常に読み取られかねない話だというふうに思いますし、そういうことを行えば、先ほど言いましたとおり、その自律性、どこにどういう機能を持っていくのかを、まるで政府が地方に持っていけとか、ここに持っていけとか、ここに持っていけというのはないと思いますけれども、そういうふうにも誤解されかねないのではないかということを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、在日米軍基地の内外に居住する米軍人軍属並びにその家族の方々のNHKの受信料についてお聞きをいたします。

 この問題につきましては、我が党の照屋寛徳衆議院議員がたびたび質問主意書を出しておりますし、NHK予算の内容を聞く際にも尋ねておりますので、初めてする質問ではありませんので、ぜひ誠実にお答えいただきたいと思います。

 まず、在日米軍の軍人軍属、家族、これらの方々も、NHKと受信契約を締結し、放送受信料を支払う義務がある者ということでよろしいのかどうかを確認させていただきたいと思います。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 NHKの受信料につきましては、政府といたしましては、在日米軍も、放送法第六十四条第一項及びNHKの放送受信規約の規定によりまして、受信契約を締結して放送受信料を支払う義務があると考えているところでございます。

 これに対して、在日米軍は、受信料は租税に該当し、免除されるというふうにして、支払いを拒否しているものでございます。

吉川(元)委員 ようでありますではなくて、それは非常に大きな問題だと思います。公租公課ではない、契約を結んで支払う義務があるということになっているわけでありますから。

 七八年以来、日米地位協定を理由に、受信料の支払いを米軍は拒否していると承知しております。受信料の徴収自体はNHKが行うものでありますけれども、アメリカ側が日米地位協定を盾に支払いを拒んでいる以上、これはNHKだけで何とかしろというのは非常に酷な話だというふうに思いますし、政府が責任を持って支払いを促すべき事案だとも考えます。

 政府は米軍に対して、NHK受信料支払いを促すためにこれまでどのような努力をしてきたのか、また、直近ではいつ、どのような話し合いを持たれたのか、それも含めて御説明を下さい。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、先生も御指摘のとおり、基本的には、在日米軍とNHKとの間の契約に係る事項ではございますけれども、日米地位協定にかかわる問題でもあることから、これまでも、重ねて、外務省さんやNHKさんとともに、在日米国大使館及び在日駐留米軍への説明や申し入れなどを行ってきたところでございます。

 直近といたしましては、例えばNHKさんから平成二十七年二月に、支払いに関する、文書により、会談の再開を要請しておられるところでございまして、現在のところ、私ども、外務省さんといろいろと内々の御相談をさせていただいているというところでございます。

吉川(元)委員 NHKさんが文書で再開を求めているというのは結構なんですが、政府としてどのように、直近、何を行われているのか。内部で話し合いをしているというのは結構ですけれども、直近でいうと、いつ、どういうことをやられたのかということをお聞かせください。

今林政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、いろいろと先方にはお話をさせていただいて、説明もさせていただいておりますが、詳細につきましては、相手との関係もありますので差し控えたいと存じます。

吉川(元)委員 それだったらすぐ答弁できるでしょう。わざわざメモをもらわなくたって答弁できるはずで、結局、ちゃんとやっていないんじゃないかという疑惑を持たざるを得ません。

 これは法律で決まっていることで、公租公課ではないとするならば、きちんと法律を守らせなければならないわけで、NHKが払ってくださいということを言うのは当然ですけれども、やはり政府としてもきちんと対応していただかなければ、これはおかしいということになりかねないと思います。

 次に、NHKにお聞きしたいと思います。

 これは、二〇一四年の十月十六日に我が党の照屋寛徳議員が質問主意書でも取り上げておりますけれども、防衛省が二〇一三年に発表している数字に基づくと、在日米軍人らの日本全国での居住者数は十万五千六百七十七人であります。そして、NHKの地上放送の受信料で、最も低額で済む口座、クレジットによる十二カ月前払いの料金が一万三千九百九十円。これは単純に掛け合わせることにはならないと思いますけれども、仮に単純に掛け合わせますと、十四億円を超える、十五億円近い金額になってしまいます。

 恐らく、テレビをどのくらい設置されているのか、その把握が非常に困難であるということは理解をいたしますが、NHKとしては、在日米軍人らが本来払うべき受信料、年額どの程度だというふうに見積もっておられるのでしょうか。

 また、事実上拒否をした七八年以来、累積でどの程度の額に達していると考えておられるのか、お聞きをします。

福井参考人 これまで在日アメリカ軍がNHKの基地内立ち入り等を認めておりませんために、契約の対象となる受信機の設置をしている世帯数等について、実態がつかめない状態であります。

 このために、在日アメリカ軍からの年間受信料額や滞納額については試算することができません。

吉川(元)委員 普通の家庭だと、アンテナが立っているか立っていないか、あるいはパラボラがあるかないか、そういうのを確認しながらやられているというふうに思います。入れるかどうかは別にしても、大体幾つぐらいあるのかということについて、それはやはり把握をすべきだというふうに私は思います。恐らく、累積にすれば、相当な額に上っているだろうと思います。

 NHKは、二〇〇六年から二〇〇八年の経営計画において、受信料の未払い者に対し、準備でき次第、民事手続による支払い督促の申し立てを行うことを盛り込み、実際に、二〇〇六年十一月から民事手続を始めております。以来、昨年末まで、受信料未払いの案件で訴訟に至った件数は三千三百八十五件、それから強制執行申し立て件数は七百六十件に達し、ある意味では非常に厳しい徴収が行われているわけです。

 また、大臣意見でも、NHKの経営計画に沿って、二〇一七年度中に受信料支払い率八〇%という数字を達成するように促しております。

 これを見ますと、受信料支払いについては、国内では非常に厳しい姿勢をとりながら、在日米軍についてはわからないとか話し合い中だとかいう、そういう意味でいえば、非常に緩過ぎるのではないかというふうにも思えて仕方がありません。

 NHKと政府、双方にお聞きいたしますけれども、今後、この在日米軍人らの受信料未払い問題、どのように対応していくおつもりなのか、お答えください。

福井参考人 先ほどもありましたように、最近では、平成二十七年二月に文書によりまして、状況打開に向けた関係者の会合の開催を求めておりますけれども、現時点では回答が得られておりません。

 今後、改めまして在日アメリカ軍に対しまして会合の開催を求める文書を送付する予定でありますが、引き続き、関係機関の協力を得ながら、在日アメリカ軍への働きかけに努めていきたいと考えております。

今林政府参考人 ただいまNHKさんから御答弁がございましたが、総務省としても、これまで繰り返しアメリカ側に要請してきたところではございますけれども、こういった新たなアクションをNHKさんが起こされる場合、そういった機会を捉えまして、引き続き、外務省さん、NHKさんと連携しつつ、アメリカ側に対して、受信契約に関する我が国の立場の説明というものにしっかりと努めてまいりたいと存じます。

吉川(元)委員 NHKに一つその点で確認させていただきたいんですが、いわゆる民事の手続、訴訟も含めて、それも検討の中に入っているという理解でよろしいんでしょうか。

福井参考人 民事につきましても、基地内の立ち入り等ができませんので、民事の前提となりますテレビの設置状況の把握ができない状況にあります。

 根本的な解決を目指して、まずは基地内への立ち入りの要請、関係機関の協力を得ながら、米軍側への働きかけに努めていきたいと考えております。

吉川(元)委員 国内においては、ある家ではテレビを設置しているでしょうと、先ほども少し指摘がありましたけれども、大変厳しい徴収あるいは契約を締結することをやっている一方で、米軍に対してはよくわからないからなかなかできないんだというのは、これは、私はどう聞いても、やはり視聴者の理解、受信料を払っている方々の公平負担の観点から見ても、理解を得るということは非常に難しいのではないかということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 次に、余り時間がありませんので、一点だけお聞きしたいと思います。

 今年度から二〇一七年度までの経営計画の重点方針の一つに、インターネットの活用が挙げられております。その際、受信料を主な収入源とするNHKにおいては、費用をどの程度予算として割くのか、許されるのか、これは大きな課題だというふうに思います。

 現状では、二号受信料財源業務の費用として、受信料収入の二・五%を上限値として設定されていると思いますけれども、本格実施を展望すれば、必要な費用も当然ふえるものと思います。

 本格実施に向けた再送信の財源のあり方について、現状どのような検討が進められているんでしょうか。

井上参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、現在、放送の補完という位置づけに鑑みまして、ネットの分野につきましては、各年度の受信料の収入の二・五%を上限にしております。

 スマートフォンそれからパソコンで番組を視聴する、インターネットでのテレビ放送の同時配信ということは、これから重要な研究課題だというふうに認識しております。

 昨年十月からことし一月にかけまして実施したインターネットでの同時配信の検証実験や、有識者の専門的な知見などを踏まえまして、実施のための費用も含めて丁寧に研究してまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

遠山委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 私は、民主・維新・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件、平成二十八年度NHK予算につきまして、承認しない立場から討論を行います。

 NHKは、政府から独立した公共放送事業体として、国民の皆さんからいただく受信料で成り立っており、「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」とされる放送法の目的を高く追求しなければなりません。

 しかしながら、籾井会長のハイヤー利用問題を初めとする不祥事の続発、退任する理事からNHKの現状を懸念する発言など、今の籾井会長体制のもと、ガバナンスが大きく低下しているという状況を憂慮せざるを得ません。国民の皆様に胸を張って公共放送の職責を果たしているとは、到底見えません。

 何点か指摘をします。

 子会社を通じた不明朗な土地取引問題は、特例配当をやめ、予算の減額を決めながら、その後撤回したという経緯の核心的な部分について、NHK理事会議事録などで追うことはできなくなっています。

 また、昨年、再三議論となったNHK関連団体ガバナンス調査委員会報告書の約五千万円の随意契約という不透明な会計処理を行う一方、同時並行的に約五千万円をかけて別の監査法人に随意契約していたことも、この審議の過程で明らかになりました。一億円もかけて二億円の不正を見逃していたことになります。これだけの費用をかける必要があったんでしょうか。

 さらに、タクシーチケットの不適切な使用についても、公表基準が不透明であります。

 都合の悪いことは報道されるまで説明しない、隠蔽体質そのものではないでしょうか。こうしたことを見ても、国民からの受信料を不明朗かつ放漫に扱っていることは明らかであります。

 我々は、受信料の使途が明確になるよう、審議を通じて、意思決定にかかわる議事録の公開、あるいは不祥事の内容などについて開示を求めてまいりました。これに十分応えていない現体制のNHKには、国民から自主的にいただいている受信料という公金を取り扱う資格はありません。

 以上が、平成二十八年度NHK予算について不承認とする理由であり、国民が支える公共放送として、国民からの期待には十分応えていないことを改めて指摘しまして、私の討論とさせていただきます。

 以上です。(拍手)

遠山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、NHK二〇一六年度予算の承認に反対の立場から討論を行います。

 NHK予算の承認に当たっては、予算の内容とともに、予算の立案、執行における経営姿勢が問われます。放送法に基づき、国家権力からの独立、放送における表現の自由を確保する基本が貫かれていること、視聴者・国民の信頼が得られていることが必要です。

 反対理由の第一は、籾井会長の発言への視聴者・国民の批判がますます強くなっていることです。

 籾井会長は、放送法に対する著しい不理解について国会で追及され、個人的な見解を放送に反映しないと弁明してきました。しかし、昨年二月、戦後七十年の節目に慰安婦問題を取り上げるかと問われ、政府のスタンスが見えないので慎重に考えると発言し、国会での弁明がごまかしであることが明白になりました。

 今日に至るまで、会長の辞任、罷免を求める声は大きなものがあり、NHKの放送姿勢への視聴者・国民の不満は深刻であります。

 反対理由の第二は、相次ぐ不祥事とNHKの対応であります。

 職員のタクシー券の私的利用、子会社における空出張や架空発注における着服、土地購入問題などの不祥事が繰り返され、後を絶ちません。こうした金銭的不明朗が疑われる行為が続けば、会計上の信頼も揺らいでしまいます。

 徹底的な全容と原因の解明、視聴者・国民への情報公開と説明は、到底し尽くされてはおらず、組織改編先にありきでは、根本的な解決にはつながりません。

 反対理由の第三は、海外通信・放送・郵便事業支援機構に対する二億円の出資です。

 同機構は、海外において電気通信事業、放送事業、郵便事業等を実施する現地事業を支援するもので、民間だけでは展開できない、高いリスクを抱えた事業を支援し、事業者の利益確保に寄与するものであります。受信料収入で成り立つNHKは、本来、営利目的の活動も、リスクの高い事業にかかわることもできないはずであります。

 公共放送として、政府の成長戦略や商業主義にくみしないという基本的立場を貫くべきです。

 以上で反対討論を終わります。(拍手)

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党・市民連合を代表して、議題となりました平成二十八年度NHK予算等について、不承認の立場から討論を行います。

 公共放送としてのNHKの予算については、全会一致での議決が望ましいことは言うまでもありません。

 しかしながら、NHKをめぐっては、昨年明らかになった放送番組の過剰演出に続き、その後も不祥事が後を絶たないのが現実です。また、関連会社の土地取得をめぐる案件では、その経過が極めて不透明と言わざるを得ませんでした。

 結果、三年連続で全会一致の議決が得られなかったことについて、会長以下役員全員重く受けとめ、公共放送としての使命を果たすことのできるNHKになっていただくことを切に望みます。

 来年度予算について、何点か指摘させていただきます。

 インターネット送配信を基軸とする通信と放送の融合では、その財源や視聴料のあり方など、本格実施前に解決しなければならない課題が山積していることも事実です。

 また、4K、8Kの開発、普及においては、財政力が大きく異なる民放事業者、とりわけ地方ローカル事業者に過大な負担を負わせることは避けなければなりません。

 さらに、在日米軍の軍人や家族らのNHK受信料が未払いの状態になっている案件につきましては、NHKのみならず、総務省、外務省など関係省庁においても、受信料が着実に払われるよう、責任を果たしていただくことを求めます。

 最後に一言、NHKの経営陣ではなく、現場で頑張っている記者、スタッフ、営業の皆さんに申し上げたいと思います。

 今、NHKは危機に直面をしています。そして、大きな岐路にも立っております。取材し事実を集め、その事実をもとにみずからが信じる真実を国民に知らせ、もって国民の知る権利に奉仕をするのか、それとも、権力の意向をそんたくし、中立の美名のもとバランスのみに腐心するのか、その岐路に立たされております。

 私は、現場の皆さんに、前者の道を選択すること強く希望します。そうでなければ、NHKに前途はないと思います。

 一昨日、NHKの番組で、アラブの春を取り上げた「新・映像の世紀」が流されました。そこでも、いみじくもそのことが伝えられております。

 政府に都合の悪いニュースを報じないテレビ、ところが、民衆は実際に起こっている事実をネットを通じて投稿し、それがアラブの春を生み出した。ネット隆盛の時代に真実を伝えなければ、報道機関は民衆に容易に乗り越えられることを自覚すべきです。アラブの春で放逐されたのは独裁者だけではありません。真実を伝えようとしなかった官製メディアもまた、民衆から見放されたのです。

 現場で頑張り続けている皆さんに心からエールを送り、私の討論といたします。(拍手)

遠山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより採決に入ります。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。

 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠山委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、坂本哲志君外六名から、自由民主党、民主・維新・無所属クラブ、公明党、おおさか維新の会及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小川淳也君。

小川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)

  政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 協会は、役員の言動及びNHKグループの一連の不祥事に対し多くの批判が寄せられている事態を重く受け止め、国民・視聴者の信頼回復に向けて、会長以下コンプライアンスの徹底、綱紀粛正に努めること。また、子会社を含むグループ全体としての経営改革に組織を挙げて迅速かつ確実に取り組むこと。

 二 協会は、放送番組の編集に当たっては、昨年明らかになった番組の過剰演出問題に対する再発防止策を徹底するとともに、事実に基づく報道に強い責任感を持ち、我が国の公共放送としての社会的使命を果たすこと。また、寄せられる様々な意見に対し、必要に応じ自律的に調査し、その結果を速やかに公表し、国民からの信頼の維持に努めること。

 三 政府は、日本国憲法で保障された表現の自由、放送法に定める放送の自律性に鑑み、放送事業者の番組編集については、引き続き事業者の自主・自律性を尊重すること。

 四 政府は、経営委員の任命に当たっては、社会に対する重大な職務の公共性を認識し、公正な判断をすることができる経験と見識を有する者を、教育、文化等の各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮して幅広く選任するよう努めること。

 五 経営委員会は、協会の経営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する最高意思決定機関であることを深く認識し、監督権限を行使すること。役員に不適切な行為がある場合、または、公共放送の倫理観にもとる行為がある場合には、監査委員会と十分連携しながら再発防止の観点から厳格に対処すること。また、会長が二度にわたりテレビ番組で謝罪した事態を受け、今後、一層実効ある監督を行うことにより、国民・視聴者の負託に応えること。以上を踏まえ、引き続き予算について全会一致の承認が得られるよう努めること。

 六 協会は、その事業運営が受信料により支えられていることを十分に自覚し、適正な執行を行うとともに、国民・視聴者に対するサービスの低下を招かないよう配慮しつつ、業務の確実な実施及び更なる効率化等の取組を適切に行い、収支予算、事業計画及び資金計画の確実な達成に努めること。また、子会社等との取引における透明性・適正性を確保し、適切な還元を推進すること。

   政府は、その取組が確実に実施されるよう配意すること。

 七 協会は、その運営が受信料を財源としていることを踏まえ、経営委員会及び理事会等における意思決定に至る過程や財政運営上の規律、不祥事に伴う処分、子会社等の運営の状況、調達に係る取引等のほか、新放送センターの建設計画について、国民・視聴者に対し、情報を十分に開示し、説明を尽くすこと。

   また、経営委員会及び協会は、議事録の作成に関し、議論や案件の経緯も含めた意思決定に至る過程並びに事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう努めること。

 八 協会は、公共放送の存在意義及び受信料制度に対する国民の理解の促進や信頼感の醸成に努めつつ、公平負担の観点から、受信料支払率の一層の向上に努めること。

 九 国際放送については、我が国の経済・社会・文化等の動向を正しく伝え、我が国に対する理解を促進すること。また、番組内容の充実、国内外における国際放送の認知度の向上等に努めること。

 十 協会は、通信と放送の融合が加速する世界的な流れを踏まえつつ、受信料で実施するインターネット活用業務について、公共放送としての先導的役割を果たしつつ、市場競争への影響、受信料負担の公平性及び透明性の確保に十分留意して実施すること。

 十一 東日本大震災から五年が経過し、震災と津波の記憶・教訓を風化させないために、協会は、保有する番組アーカイブの保存・活用に努めること。また、首都直下地震や南海トラフ地震等に備え、いかなる災害時にも放送・サービスを継続できるよう、放送設備と体制の強化を図ること。

 十二 協会は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成三十二年までの本格普及に向けたスーパーハイビジョンの実用化に積極的に取り組みつつ、その整備に当たっては、過剰投資、多重投資とならないよう十分な計画性を持って実施すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

遠山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠山委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、高市総務大臣及び日本放送協会会長籾井勝人君から発言を求められておりますので、順次これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいります。

遠山委員長 次に、日本放送協会会長籾井勝人君。

籾井参考人 日本放送協会の平成二十八年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御承認を賜り、厚く御礼申し上げます。

 本予算を執行するに当たりまして、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣意見の御趣旨を十分生かしてまいります。

 また、ただいまの附帯決議は、協会運営の根幹をなすものでございますので、これを十分踏まえて、業務執行に万全を期したいと考えております。

 本日は、ありがとうございました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

遠山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十二分散会


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