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第12号 平成28年4月7日(木曜日)

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平成二十八年四月七日(木曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    井林 辰憲君

      池田 道孝君    大西 英男君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      川崎 二郎君    古賀  篤君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      瀬戸 隆一君    中村 裕之君

      中山 泰秀君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    比嘉奈津美君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    青柳陽一郎君

      小川 淳也君    郡  和子君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      渡辺  周君    輿水 恵一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

      長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣府副大臣       高鳥 修一君

   総務副大臣        松下 新平君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   防衛大臣政務官      藤丸  敏君

   国立国会図書館長     羽入佐和子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  芹澤  清君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中西 宏典君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           富永 昌彦君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  青木 信之君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   南  俊行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       福本 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中山 隆志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           前田 泰宏君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     瀬戸 隆一君

  橋本  岳君     比嘉奈津美君

  務台 俊介君     青山 周平君

  逢坂 誠二君     郡  和子君

  水戸 将史君     青柳陽一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     務台 俊介君

  瀬戸 隆一君     小林 史明君

  比嘉奈津美君     橋本  岳君

  青柳陽一郎君     水戸 将史君

  郡  和子君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官芹澤清君、内閣審議官向井治紀君、内閣審議官谷脇康彦君、内閣府大臣官房審議官中西宏典君、個人情報保護委員会事務局長其田真理君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房総括審議官富永昌彦君、行政管理局長上村進君、自治税務局長青木信之君、情報通信国際戦略局長山田真貴子君、総合通信基盤局長福岡徹君、政策統括官南俊行君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官福本浩樹君、大臣官房審議官谷内繁君、経済産業省大臣官房審議官中山隆志君、大臣官房審議官前田泰宏君、防衛省大臣官房審議官辰己昌良君及び防衛政策局長前田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘委員 おはようございます。

 質問の機会は大変ありがたいことであります。

 私は、万葉集を詠んで質問をするということにしておりますので、きょうは、大臣の御当地奈良、きょうは春雨が降っております、よって、春雨の歌を詠ませていただくということであります。

 万葉集巻八、一千四百四十番。

  春雨のしくしく降るに高円の山の桜はいかにかあるらむ

 それでは、よろしくお願いいたします。(拍手)

 このNICTさんのサイバー攻撃観測・分析・対策システム、nicterというわけでありますけれども、これはなかなかすぐれものであるというふうに拝見したことがございます。

 今回、サイバーセキュリティー演習の実施ということを機構の業務に追加するわけでありますが、サイバー攻撃関連の通信につきましては、平成二十六年には二百五十六億六千万件、二十七年には五百四十五億一千万件と大変増加しているわけであります。倍増しておるわけであります。

 この最近のサイバー攻撃の特徴、あるいはシステムを防護する面でどのあたりを留意しなければならないかをまずお伺いいたします。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のnicterで観測できる攻撃の数というのは、先生御指摘のとおり、大変ふえてございます。その中には、ウエブカメラでありますとか火災報知システムといった、いわゆるIoT機器を標的とする新たなサイバー攻撃が多数観測されるようになってございます。

 こうした新しい攻撃手法に対応するためには、システムの防護面におきましては、不審なプログラムの検出など内部に侵入されないための対策に加えまして、内部に侵入された後も機密情報にアクセスできない仕組みでありますとか、あるいは外部との不正通信をできるだけ早く検出してそれを撃退するというような仕組みなど、我々多層防御と申し上げておりますけれども、複数の対策を組み合わせてシステムを守るということが必要になってくるというふうに考えております。

 あわせて、迅速な初動対応を可能とするための実践力を身につけたセキュリティー人材の育成強化を図るということも重要になるというふうに考えているところでございます。

橘委員 いろいろなところから攻撃はやってくる、全部を防ぐということがなかなか難しくて、今、多層防御というお話もいただきましたが、やはり攻撃があるということを前提にしながら、その攻撃が発生した際にどう被害を最小化するかということを、特に対処方法を体得しなければならない。このあたりを今回の機構さんの演習の眼目とされている、このように伺っているわけでありますが、今ほどの統括官の御答弁を踏まえて、どのように演習の内容を工夫されるのか、お伺いいたします。

南政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在総務省が実施しております演習は、改正法案が施行されますと、NICTの方に移管をされまして、主体的に実施していただくことになります。

 これによりまして、NICTが蓄積しております技術的知見でありますとか大規模な設備をこれまで以上に最大限に活用することが可能になりまして、演習の規模ですとか対象を拡大することも可能になりますが、この分野は、先生御指摘のとおり、常に最新のシナリオを御用意して演習を実施しなければいけないということで、先ほど御説明申し上げましたとおり、IoTを標的としたような攻撃シナリオというものは今ございません。

 そうしたものを新たに御用意するでございますとか、これからNICTが実施するようになりますと、演習に係る知見ですとかノウハウがたくさん蓄積をされるようになると思いますので、それを通じまして演習の質の向上も図られるというふうに期待をしているところでございます。

 今後とも、NICTと連携して、常に最新のサイバー攻撃を想定した効果的な演習を実施できるように工夫してまいりたいというふうに考えております。

橘委員 IoTというお言葉も今いただいたわけでありますが、そういった最新の状況に即応していただくような準備をしていただく、大変いいことだと思っておりますが、この機構の演習については、対象を地方公共団体の職員まで広げていただいているわけで、やはり国、地方を通じてサイバー攻撃に備えていかなければいけないんだろうと思います。

 そこで、実は、内閣委員会の方では、昨年の日本年金機構への攻撃に鑑みまして、サイバーセキュリティ基本法改正、この審議が終わっていまして、その中で、内閣サイバーセキュリティセンター、いわゆるNISCの監視対象を国の独立行政法人等に拡大する、年金機構も対象にする、こういうことになっているわけであります。

 内閣委員会の質疑でもあったようでありますが、今、実は、マイナンバーカードに絡みまして、本委員会でも、地方公共団体情報システム機構、いわゆるJ―LISの問題がよく取り上げられるわけであります。このJ―LISもやはりそういったNISCの監視対象にしてはどうかということについて、総務省さんの見解をお伺いいたします。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございましたサイバーセキュリティ基本法の改正によりまして、国の不正な通信監視の対象となる特殊法人、認可法人につきましては、当該法人に係るサイバーセキュリティーが確保されない場合における国民生活や経済活動への影響を勘案してサイバーセキュリティ戦略本部が指定することとされていると承知をいたしているところでございます。

 地方公共団体情報システム機構、J―LISを内閣サイバーセキュリティセンター、NISCの監視対象とするか否かにつきましては、J―LIS自身の意向も踏まえまして、総務省といたしましてもNISCの検討に協力をしてまいりたいというふうに考えております。

橘委員 今、マイナンバーカードに係る業務というものが追加されている中で、やはりJ―LISの存在というものも随分変わってきているんだろうと思っております。ぜひまた御検討いただきたいなと思うわけであります。

 あわせて、マイナンバーカードの申請状況なり国民の皆さんへの交付状況につきましては、せんだっての委員会でも多くの委員からも質問等があったわけでありますけれども、改めて、今、自治体の方にかなりの枚数が配達されていて、交付がなかなか追いついていないというこの状況、これを大体いつごろに平準化できるといいますか、スムーズに交付できるようになるか、その辺の見通しについてお伺いしておきたいと思います。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のございましたように、マイナンバーカードの申請数に比較いたしまして、住民への交付数が伸びていない。こういった要因につきましては、さまざまなことが考えられるところでございます。

 交付までに、市区町村での事前の事務処理も一定の時間を要するということもございます。

 また、住民の方をお待たせしないようにということで、窓口混雑緩和のために交付通知書の送付を段階的に行っている、こういった市区町村もあるところでございまして、また、申請者の御都合によっては、来庁までなかなかいただけない、いろいろなことがあろうかと思います。

 また、住民異動が集中する時期とも重なることや、それに伴いまして、交付処理等にかかわります通信が集中いたしまして、J―LISのカード管理システムに接続しづらい、こういった状況が発生することも要因の一つと考えられるところでございます。その点につきましては、住民異動の繁忙期を過ぎましたら、通信集中の影響も緩和され、窓口における事務処理が平準化の方向に向かうのではないかというふうに見込んでおります。

 また、現在、一月からカードの交付がスタートしたばかりといいますか、そういう特別な状況の中で大量の申請がございます、住民への交付がされているわけでございます。そういった申請から交付までの期間が平準化していく時期ということにつきましては、これからの申請数でございますとか窓口の対応状況等の要因により変動するものでございますので、なかなかこれは一概には申し上げられないところでございます。

 まずは、何よりも既にマイナンバーカードの交付申請をされた住民の皆様にできるだけ早く交付できますよう、また、これから申請する住民の方につきましても申請から交付までの期間が短縮されますように、総務省といたしましても、J―LISや市区町村とも、関係者とも協力しながら鋭意取り組んでまいりたいというふうに考えております。

橘委員 なかなか一日二日ということはないにしても、梅雨どきぐらいなのか暑くなるころなのか、ぜひ頑張っていただいて、やはりこれを行き渡らせて、そしてマイナンバーカードはこういうふうに使えるんだという活用面ももう少し国民の皆様に早く感じていただけるように、関係者の御努力をお願いしたいと思います。

 さて、続きまして、今回の法改正の中では、インターネット・オブ・シングス、IoTというのが法文の中に出てくるわけであります。

 これは、総務省が推進してまいりました社会全体のICT化というのが新たな発展段階に到達したことに対応する概念というふうに理解をしております。随分、高市大臣の方も、ICTを社会全体に行き渡らせるということで、先頭に立って頑張ってきていただいたわけでありますが、今回のこの法文の中のIoTというのは、多様かつ多数のものが接続された、そういうシステムだ、このように書いてございます。

 具体的にどのようなものがネットワークに接続されて展開していくのか、大臣の御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 IoTの時代におきましては、これまではインターネットに接続されることを想定していなかったさまざまなものがインターネットに接続されて、そこで収集されたデータの利活用によって、新たなサービスの創出ですとか展開、それから国民生活の利便性の向上につながるということが期待されています。

 具体的には、自動車ですとかドローン、また、衣類、身体計測器、家電などの身の回りのもの、それから、道路、橋、街灯などの都市施設、農地また家庭に設置されるセンサー、こういったものの接続を想定しています。

 ですから、例えば、肌着にセンサーを組み込んで、心拍数や消費カロリーなどの情報をクラウド上に蓄積しまして体調管理をサポートするサービスですとか、田畑にセンサーを設置して、水位や水温、それから温度、湿度、日照量、生育情報、こういったものを計測して、水田管理の省力化ですとか農作業の品質管理、効率化に役立てるサービスなどが可能になります。

 これらはもう既に一部提供され始めております。

橘委員 さまざまなものとインターネットのネットワークがつながっていくことによって新たな価値が創造されるということでありまして、今まで総務省さんは、さまざまな分野掛けるICTということで、ICTを利用したいろいろな新しい革新、イノベーションということを進めてこられたと思います。そのときに、やはり今大臣お話あったとおり、何を接続するか、その接続するものがしっかり接続されていることが非常に大事ではないかと私は思っているわけであります。

 それで、幾つかお伺いしてまいりたいと思います。

 まず、医療掛けるICT、ここではやはり電子カルテというものがネットワークに接続していかなければ、医療情報連携基盤というのが全国展開できない、あるいは医療・介護連携がなかなかできないものと思っております。

 病院における電子カルテの普及状況と、政府の目標、取り組みをお伺いいたします。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 電子カルテの導入率に関しましては、四百床以上の一般病院、いわゆる大病院でございますけれども、平成二十六年度時点で七七・五%。これを平成三十二年度までに九〇%に引き上げていくという目標が掲げられているところでございます。

 他方、ここに含まれない、いわゆる小規模の中小クリニックの電子カルテの普及率につきましては、まだ三五%にとどまっているのが現状でございまして、御指摘のような医療情報連携基盤の全国展開を進めていく上に当たりましては、大きな病院のみならず、こういったクリニックあるいは薬局の参加を促していく仕組みがどうしても必要になるというふうに考えております。

 このため、総務省では、全ての診療所、薬局に既に導入されておりますいわゆるレセコンと言われているものをうまく活用して、これらの薬局や診療所からクラウド上に医療情報を集約することによりましてできるだけ安いコストで医療情報の連携を可能とするツールと言われるものの開発も行ったところでございまして、その成果はガイドという形で公表もさせていただいているところでございます。

 また、昨年厚労省さんと一緒に、共同で開催いたしました懇談会におきまして、モバイル端末と言われるものを活用した、もっと低廉でセキュアな新しい医療情報の連携のネットワークができないかといったような取り組みでございますとか、患者自身がデータを時系列的に管理して自分の望むさまざまなサービスに活用できるような、いわゆるPHRと言われているものの基盤構築に向けた提言もいただいたところでございまして、こういった提言を踏まえまして、電子カルテの普及促進でありますとか医療情報の効果的な連携促進に向けて貢献してまいりたいというふうに考えてございます。

橘委員 やはりローコストであるとか、標準化をするというか、それからまたクラウド等の最新技術を使う、いろいろな方法でぜひネットワークというものを実現していただきたいと思うわけであります。

 続いて、教育分野、教育掛けるICTであります。

 ここでは、電子黒板あるいはタブレットといったものが、教育現場にどんどん導入が進んでおりまして、さまざまな教材も開発されているわけであります。しかし、これまた、そういう電子黒板やタブレットが教室に行き渡らなければ、教育掛けるICTは実現していかないわけであります。

 これについても、普及状況とお取り組みをお伺いいたします。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 教育の情報化は、近年少しずつ進みつつはございますけれども、電子黒板につきましては約九万台ということで、一校当たりにしますと約二・六台、タブレットにつきましては十五万六千台ということで、一校当たりにするとまだ四・五台の整備にとどまっているのが現状でございます。

 整備の障壁になっているというのは何かということにつきまして、全国の教育委員会に聞き取り調査を行いました結果、やはり予算をとるのが難しい、あるいは効果的な活用法がわからないといったような声が寄せられているところでございます。

 このため、総務省では、文科省さんとも連携をしながら、どんな端末であっても、多種多様なデジタル教材を全国どこからでも利用できるようなオープンな教育、学習のためのクラウドプラットホームというものを構築できないかということの実証を進めさせていただいております。現在、世界六カ国で七十を超える学校の生徒さん約一万名の方々に現に御利用いただいているところでございまして、できるだけ多くの過疎地域あるいは海外の日本人学校といった多様な活用事例を蓄積、発信していっているところでございます。

 また、今年度より、プログラミング教育の全国展開に向けた取り組みにも一部着手する予定でございまして、引き続き、文科省と連携しながら、教育情報化の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。

橘委員 ICTのリテラシーということもありますし、また今ほど統括官からもお話のあった、過疎地における遠隔地教育といったようなことでも大変有効な手段だと思いますので、ぜひ引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つ、行政分野掛けるICTであります。

 ここは電子申請の問題とかさまざまあるんですが、職員の方々に一番身近なところでいうと、やはり電子決裁というのが一番身近かなと思っております。この普及に随分ここのところ各省庁挙げて取り組んでいらっしゃるということを伺っているわけですが、その普及率の伸び、またこれからどうしていくか、お伺いいたします。

上村政府参考人 お答えいたします。

 各府省におきます電子決裁につきましては、情報のデジタル化、ペーパーレス化等によりまして行政の生産性向上を図るために、電子決裁推進のためのアクションプランというものを策定いたしまして、政府全体で推進しております。

 各府省で積極的に取り組みを進めていただきました結果、平成二十六年度下半期でございますが、電子決裁率は政府全体で七二・六%となっております。これは平成二十五年度の五五・三%と比べまして着実に向上しておりまして、このアクションプランに定めます目標は平成二十七年度末までに政府全体で六〇%でございますが、これを達成したところでございます。

 これにつきます政府の取り組みといたしましては、これまでも、各府省におきまして決裁ルートを簡素化するなど決裁ルールの見直しを行ったほか、総務省行政管理局におきましても、職員研修を充実するなど、支援を行ってまいりました。

 また、閣僚懇談会、政務官会議とかにおきましても、大臣や政務官等から各府省に対しまして、電子決裁の推進につきまして積極的な対応をお願いしているところでございます。

 今後でございますが、さらに大臣等政務の決裁処理の電子化を推進するために、持ち運び可能なタブレット端末を利用いたしまして決裁を可能とするようなアプリケーション、こうしたものを開発するなど、さらなる電子決裁の推進を図ってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

橘委員 この分野については政務三役の皆さんの御協力がどうしても必要でありますので、総務省から皆さんにまた呼びかけていただきたいとも思うわけであります。

 さて、幾つか事例を聞かせていただきました。そして、インターネット・オブ・シングス、そのためのテストベッドの整備、そしてまたデータセンターの整備、こういったことに今回機構としていろいろな応援をしていくわけであります。

 このデータセンターでありますが、やはり省エネルギーの観点から、そしてまた首都圏からの機能分散、いろいろなことを考えますと、気候が冷涼な地域へデータセンターは分散することが期待されると思います。特に、例えば北海道のように、こういった場所が省エネルギーの面でもいいのではないかと私は思うわけですが、見解をお伺いいたします。

福岡政府参考人 お答え申し上げます。

 データセンターにおきましては、大量のサーバーを冷却するための空調設備が必要であるということで、大量の電力が必要となっているところでございます。一つのデータといたしましては、運用経費の四割から五割を電力使用料が占めるといったデータもあるところでございます。

 御指摘のとおり、気候が冷涼な地域におきましては、外気や雪を活用した冷房によりましてデータセンターの省電力化を図る取り組みが行われておりまして、実際に、御指摘のように北海道あるいは青森県などにおいては、そのようなデータセンターが運用されているということを承知しているところでございます。

 このような地域のメリット、特性、あるいはニーズに応じたデータセンターが整備されていくことは大変望ましいものと考えておりまして、本法案による支援あるいは税制支援を通じてデータセンターの地域分散化を図ってまいりたいと考えているところでございます。

橘委員 ぜひ、地方創生の観点からもよろしくお願いしたいと思うわけであります。

 こういうことで、税制とこの機構さんの支援措置での応援ということなんですが、これは法案を見ますと、この制度は平成三十三年度末までの時限ということになっております。これでいいのかなという気もするんですが、この辺の思いはどういうことでしょうか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 IoTを活用した新しいサービスの創出、展開というのは基本的には民主導で行われるべきものであるというふうに考えておりますが、IoTが特に未来の成長の鍵を握ります大変有望な分野であるということから、国としましても一定の期間に限っては集中的に支援を行うことが必要なのではないかというふうに考えたところでございます。

 具体的な期限に関しましては、実は、ドイツですとか韓国といった先行的に取り組んでいる諸外国におきましては、IoTに関しましてはいずれも二〇二〇年に向けた集中的な取り組みを進めているというところでございまして、我が国も、二〇二〇年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年であるということも踏まえまして、法律の施行から二〇二〇年を含みます五年間という切りのいいところの支援を可能とするために、平成三十三年度までの時限ということにさせていただきたいというふうに考えているものでございます。

橘委員 時限をある程度切って、積極的に、精力的に行うということというふうに理解しております。

 総務省さん、本当に、大臣を先頭に社会全体のICT化ということで、やはりネットワークにどういうものをつないでいくか、いろいろなことが考えられるわけでありまして、こういったことについては、今までも取り組んでおられること、あるいは取り組んでおられなくてもいろいろなところで起こっていること、そういったものをぜひ広く取り上げていただいて、情報通信白書とかいろいろな場面で、またぜひそういったことをより深めたり、あるいは提言をしていただきたいと思っております。

 例えば、交通ICカード、これはJR西日本のものですけれども、こういったものも大変今全国的に普及をし、かつ、JR各社全て相互乗り入れできるということで、物すごい、ある意味では、私的に言えばインターネット・オブ・シングスだと思います。こういったものについても、余り情報通信白書の中に直接出てこない感じもありますが、ぜひ目を向けていただいて、いろいろなシングスの方をこれから総務省さんとして積極的にお取り組みいただきたいなということは要望として申し上げておきたいと思います。

 それで、最後にあと二問、電気通信基盤充実臨時措置法の廃止に伴うことについて御質問をさせていただきたい。大臣の方に順番にお伺いしてまいりたいと思います。

 今回の法の廃止によりまして、光ファイバー等を民間で張りめぐらせていくということについては、大体、法の趣旨としては終わったと。しかし、あともうちょっと残っているところもあるということで、そこは今の考え方でいえば、公的な支援も含めて充実させていくことなのかな、このように思っています。

 我が国における光ファイバー等の固定系超高速ブロードバンドの利用環境でありますが、平成二十七年三月末時点では九九・〇%まで、これは世帯数ですけれども、進捗しているわけであります。

 しかし、まだ一%の世帯が残っている。これは山間部とか離島とか、やはりなかなか整備効率の上がらない分野でありますけれども、しかし、そういったところでも、インターネット、ブロードバンドへの欲求というのは非常に強いものがあるんだろうと思っております。

 こういったところにどのように取り組んでいかれるのか、大臣にお伺いいたします。

高市国務大臣 固定系超高速ブロードバンドの未整備地域の多くが、民間事業者による整備が見込まれない過疎地、離島などの条件不利地域でございます。

 総務省では、地方公共団体が条件不利地域において固定系超高速ブロードバンドを整備される場合に、事業費の一部を補助することでその整備を促進しているんですが、この取り組みを加速化させようと思っております。平成二十八年度から、財政基盤が脆弱な市町村につきまして補助率のかさ上げを行って、支援措置の拡充を図ってまいります。

橘委員 ありがとうございます。

 また、伊豆七島等、今一生懸命整備を進めていらっしゃるということは伺っております。

 さて、しかし、今支援をいただいているのは、イニシャルといいますか、最初にケーブルを張るときの支援は行っていただいているわけですが、そのケーブルを運用していくためのコストであったり、あるいは、やがては更新投資というような問題も出てくるわけであります。

 もちろん交付税措置とかいろいろな方法もあると思いますけれども、自治体にそこを任せていくということがなかなか大変かなという感じもないわけではありません。

 ユニバーサルサービスという言葉は、例えば郵便事業においても、あるいは放送の地デジ化においても、いろいろな場面で出てまいります。もちろん、電気も水道もある意味でユニバーサルサービスに近いものかと思っております。

 その中で、実は、通信の分野におけるユニバーサルサービスというのは、固定電話、昔でいう黒電話を全国どのお宅にもちゃんと配備していくということで進めてまいりましたし、今もそういったことで、皆さんの電話料金の中から一定の、二円というふうに伺いましたけれども、回線当たり二円ずつ拠出いただいて、そういった整備、ユニバーサルサービスを実現しているわけであります。

 しかし、これだけ通信の形態が変わってまいりまして、IP電話というようなことにもなってくるし、携帯電話も物すごく普及してくるし、LTEということもあるし、そうすると、これはやや将来に向けてのお話になりますが、そういったユニバーサルサービス、通信分野のユニバーサルサービスの対象というのは固定電話で本当にいいのか。あるいは携帯、電波でユニバーサルサービスをするのか。あるいは光ファイバーでそれだけの通信ができるブロードバンドでユニバーサルサービスをするのか。これはやはりなかなか大事な論点ではないかということを私は個人的には思っているわけであります。

 将来にわたるお話でありますが、そういう提案に対しての大臣の御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 先ほど御心配になっていた維持管理についても、交付税措置などしっかり対応してまいります。

 それから、ユニバーサルサービスの制度でございますけれども、都市部を中心にやはり競争が進展している中で、NTT東西による固定電話のユニバーサルサービスという法的義務を維持するために、今、赤字を補填する仕組みでございますけれども、やはり民間事業者の競争によって多様な通信手段が普及して、広く国民の皆様に御利用いただいていますので、NTT東西の固定電話の契約者数ですが、毎年一〇%程度減少という状況です。

 このために、情報通信審議会で御議論いただいて、一昨年に答申をいただいたんですが、やはり、固定電話の維持に特化した現行のユニバーサルサービス制度については、携帯電話やブロードバンドの未整備地域の解消やサービスの提供状況等を踏まえて、見直しの検討を行うということが適当だという御指摘をいただきました。

 ですから、先ほどお話をしましたような未整備地域の解消をしっかり推進すること、このユニバーサルサービス制度そのものについても、携帯電話ですとかブロードバンドの未整備地域の解消ですとかサービスの提供状況などを見きわめて、適切なタイミングで検討を行ってまいります。

橘委員 どうもありがとうございました。将来に向けてのいい御答弁もいただいたと思っております。

 こういうIoTとかそれから放送と通信の融合とか、総務省さんの特に通信分野というのはどんどん変化を来していくと思っております。ぜひ、こういった分野について引き続き前向きにお取り組みいただきますように。そしてまた、そういったものが、旧でいいますと総務庁系あるいは自治省系のいろいろな分野にも、マイナンバーカードとか電子政府とかいろいろな形でまた及んでまいります。ぜひ、総務省は一つということで、そういった分野についてもまたテレコムの知識をよく生かしていただいて、総務省としてさらに大臣を先頭に頑張っていただくことを、応援のメッセージを送らせていただいて、私、ちょっと早いですけれども、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民進党の小川淳也です。よろしくお願い申し上げます。

 情報通信研究機構法の改正を初めとして、今般の法案については、私ども野党もおおむね賛同の立場でございます。それを前提に、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、一つ目の大きなテーマでありますサイバーセキュリティーについて、最近の環境変化がどうなっているのか確認をしたいと思います。

 いただいた直近の資料ですと、特に、政府機関に対するサイバー脅威の件数が、一二年度が百八万件、一三年度が五百八万件、一四年度が三百九十九万件ということのようであります。一五年度、まだ明けて間もなくでありますが、直近の状況はどうなっているのか。

 あわせて、センサー監視で各省に対して通報した件数、一四年度は二百六十四件のようであります。あるいは、不審メールをキャッチして注意喚起した件数、一四年度は七百八十九件のようであります。

 この三つの数字について、直近の状況を確認させていただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣サイバーセキュリティセンター、NISCにおきましては、政府機関へのサイバー攻撃等につきまして、二十四時間体制で監視を行っております。

 今、委員御指摘のとおり、政府機関への脅威と認知された件数は、平成二十六年度三百九十九万件でございます。また、不審な通信を検知した場合の当該政府機関への通報につきましては、平成二十六年度が二百六十四件。さらには、不審メールの注意喚起につきましては、同じく平成二十六年度、七百八十九件の注意喚起を行っているところでございます。

 平成二十七年度の数字についてのお尋ねでございますが、現在なお数字については精査中でございますけれども、過去の数字に比べまして大幅にふえているという状況になっておりまして、政府に対するサイバー攻撃のリスクというものがより高まってきているというふうに認識をしているところでございます。

小川委員 大幅にふえているというお答えですが、もう少し、もちろん精査は後々よくしていただくとして、おおむねの傾向をつかみたいんですが、それ以上言えることはありませんか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年度の数字の中で、例えば先ほど申し上げました平成二十六年度における政府機関への脅威と認知された件数、これが三百九十九万件でございましたけれども、平成二十七年度におきましては、昨年の九月末現在で既に三百万件を超えているという状況でございますので、かなりの勢いでこの進行度というのは増しているということは言えるかと存じます。

小川委員 よくこの数字について精査いただきたいと思いますが、事務的にお聞きしたところですと、ざっと、先ほどおっしゃったように、上半期だけで前年並みということでありますので、恐らく二倍ないしはそれ以上の脅威、それから、感知をして注意喚起した件数も恐らく二倍近いペースだということのようであります。

 これは、検知をして注意喚起をすることも含めて既に終わったことでありますし、また、何かデータをひっくり返してよくよく計算し直すとかいうことでもないと思いますので、速やかにこの傾向については数字を洗い出していただきたい、そのこともお願い申し上げたいと思います。

 こういう脅威がどんどん高まっている中で、もう一つの本法案の大きなテーマが、先ほどの橘委員の御質疑にもございましたIoTです。

 IoT、これは、大臣、昔はITと言っていました。後にICTと言うようになって、今、IoT。必ずしも専門家でない立場からいうと、ついていくのに一生懸命なんですけれども、先ほどこのIoTに関して、大臣はどちらかというといい影響を及ぼす面について答弁の中でお触れになられたというふうに感じております。

 ただ、私自身、もちろんこれから、今は想像もつかないようなライフスタイルとか社会システムとかにつながる大いなる可能性があると期待する一方で、やはりこれまでもさまざま議論になっておりますが、AIという人工知能が、いわば心臓部、電脳空間としてこれからますます発展するんでしょう。それから、ネットワークは、恐らく、生き物に例えて言えば神経回路ですね。いよいよそれが物理的実体を持った、これは自動車であれ家電製品であれさまざまなシステムであれ、いよいよ電脳空間が肉体を持ち始めるのではないかという意味で、状況はさま変わりするのではないかと思っています。

 その意味でよく考えると、これは、いろいろな可能性を持っていることであると同時に、あるいはそれ以上に、もし、悪意を持ってこの物理的な設備なり施設を誤作動させる、あるいは悪用するという事例が仮に今後出てくるとすれば、これまでサイバーテロといえば情報漏えいなり個人情報の観点からよく議論されてきましたが、むしろ現実社会、現実の生活空間においてさまざまな危害を物理的、実体的に及ぼす可能性がこれからぐっと高まるという認識が一方で必要ではないかと思います。

 大臣、この点に関して少しコメントをいただきたいと思います。

高市国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 IoTは、先ほどは割と生活に身近な例を申し上げましたけれども、それでも、自動車ですとか医療機器、工場で使用される制御機器など、国民の命、安全にかかわるものが含まれますので、IoTのセキュリティー確保というのは本当に必要不可欠なものでございます。

 NICTで、先ほどお話が出ました、nicterを開発しまして、IoT機器を標的とした新たなサイバー攻撃を多数観測するとともに、攻撃の分析を実施しています。この観測結果を公表するとともに、研究成果を発展させて、自治体に注意喚起も実施しています。

 一方、総務省では、このIoT特有の性質ということに注目した総合的なセキュリティーガイドラインを策定しなきゃいけないと考えております。

 今、経済産業省と連携して、IoT推進コンソーシアムのもとに、平成二十八年、ことしの一月二十一日にIoTセキュリティワーキンググループを設置しました。

 具体的には、セキュリティーを考慮したIoT機器の設計ですとかネットワークへの接続方法などに関して議論を行いまして、ことしの五月を目途にガイドラインを取りまとめる予定です。

 まだまだ課題は多いと思います。IoTとAI、これはもう切り離せない問題になってきますので、人工知能につきましてもしっかりとセキュリティーを確保しつつ、より人の脳の働き、こういったものに着目をしながら、そしてまた大量の電力を消費する、こういった事象もございますので、また別途、NICTの中でも、その研究も進められているところです。

小川委員 折しも、月末は高松で、情報通信大臣会合でございます。ぜひ、こういった新しい局面展開についても、大臣がこの国際的な会議体の場をリードしていただけることを御期待申し上げたいと思います。

 その観点で、少し、昨日の事務的な説明の中で、私自身ちょっと不十分じゃないかと感じた点をお聞きしておきたいんです。

 いよいよ、今、リオ・オリンピックに向けて、選手選考の機運が高まりつつあります。それから、東京オリンピックまでもう四年余りということで、いろいろと準備も必要でしょう。

 この政府作成資料の中には、盛んに、オリンピック・パラリンピック・ロンドン大会では、二億件のサイバー攻撃が会期中二週間の間に発生しているということを、これは宣伝なのか、ちょっと場合によっては喧伝ともとられかねないほど大きく扱っています。それから、イギリス政府は六年前からサイバー攻撃対策を実施しているんだということもあわせて表明しておられる。

 これは、実際に二億件ですから、ちょっと想像に余る件数ですよね。どういう攻撃ですかとお聞きした、あるいは、それに対して実害はあったのかなかったのか、どういう対策によってそれは免れたのか、免れていないのか、そこら辺の分析はどうなっていますかというふうにお聞きしても、明快な回答が返ってこない。

 この辺、あわせてちょっとこの委員会の場でお聞きしたいと思いますが、これは、二億件とか六年前からとか、数を宣伝するのは結構ですが、中身の分析なり、対策で学ぶべきものがあるのかないのか。このあたり、どうなっていますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のロンドン大会におきましては、御指摘のとおり、二週間の大会中に約二億件の、大会公式ウエブページに対して悪意のある接続要求があったというふうに承知をしております。

 また、これ以外にも幾つかのサイバー攻撃がございまして、これに対して対処を行った結果、大会の運営には深刻な影響はなかったというふうに承知をしております。

 私ども、このロンドン大会の経験につきましては、日本と英国との間のサイバー協議などの場を通じまして、また、それ以外のさまざまなルートを通じまして、その知見というものを私どもも学び、そして、これを東京大会に向けた準備の中に生かしている、こういう状況でございます。

小川委員 もうあと四年でありますので、どういう知見を得たのか、そしてそれをどう生かすのかについては、政府としても、もう少し具体的に答えられるぐらい、その熟度を上げていただきたい。数を大きく表に出すのは結構なんですが、中身についてもう少し説明できるほどに、努力をぜひお願いしたいと思っております。

 その上で、今度は、NICT、情報通信研究機構において演習を実施していくということであります。ここらあたり、政府のサイバーセキュリティセンターと、それから情報通信研究機構がどう役割分担しているのかということも、極めて重要な議論だろうと思います。

 その前提で、二十七年度に実施した八十組織、二百人に対する演習を、今度は五百組織、千五百人に拡大するんですね。それはいいことだと思います。

 これはどういう狙いで、どの部分が拡充されるのか、そのあたりについて少し御説明いただきたいと思います。

南政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十七年度におきましては、実はこれは総務省が予算事業として実施した段階でございまして、先ほど御指摘がありましたとおり、八十組織、二百人ということで、国の行政機関、重要インフラ事業者を対象に行ったものでございます。

 今回、法律が改正いたしますれば、今後はその業務をNICTの方に移管しまして、本来業務に位置づけたことによって、NICTが主体的に実施していただくことになります。

 それに伴いまして、これまで十分生かし切れておりませんでしたNICTが有しておりますさまざまな技術的な知見、あるいは大規模なクラウド設備をもっと最大限に有効に活用させていただくことによりまして、演習の対象でありますとか規模を拡大できるというふうに考えております。

 今までは、どちらかといえば東京一カ所で、政府系機関あるいは独法、重要インフラ事業者のみを対象にしておりましたけれども、今後は、私ども総合通信局があります全国十一ブロックを対象にして、開催場所もふやしていきたいと思っておりますし、対象につきましても、地方自治体に対しても広く参加を呼びかけてまいりたいと考えておりまして、今までのシナリオにはなかったような自治体さんの実情に合ったシナリオ等も今後工夫をさせていただきまして、先ほど御説明がございました、五百組織、千五百名を対象に演習を拡大できるように用意してまいりたいというふうに考えております。

小川委員 これは、冒頭議論いたしました、攻撃が厚みを増してきているということからすれば、今回拡大するのは大いに結構なことだと思いますが、これでも十分と言えるかどうか。ますます充実していくという方向感なんだろうと思います。

 ただ、少し中身について気になるのは、例えば、最近よく言われている標的型メールについて、これは、大臣、誤って開封した後の善後策に関する訓練なんです。

 昨年、きょうも厚生労働省に御出席いただいていますが、特に年金機構の情報漏えいというのは大きな問題になりました。一番いいのは、開封した後の善後策も極めて重要なんですが、それ以上に、開封しないことが一番であります。

 その意味で、開封した後の演習効果を高めることもこれはこれで大いに結構として、そもそも開封しないための訓練を積み重ねていくということも必要だと思いますが、こうした訓練についても別途行っているはずですから、その訓練の概要なり実績について、ちょっとここで報告してほしいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもNISCにおきましては、各府省庁における職員のサイバー攻撃に対する意識を高めるため、平成二十三年度から二十五年度まで、標的型メール訓練をパイロット事業として実施したところでございます。こうした訓練の実施によりまして、多数の職員がサイバー攻撃のいわゆるヒヤリ・ハットの体験をすることができたものと承知しております。

 こうした過去三年間の実施経験を踏まえまして、平成二十六年度以降につきましては、各府省庁におきましてこうした訓練等を実施しているという状況でございます。

 サイバー攻撃の脅威が急速に深刻化している状況を踏まえまして、政府機関等のサイバーセキュリティー対策に係る対応能力を強化していくことが引き続き重要であるというふうに考えております。

 また、加えまして、平成二十六年度より、各府省庁のいわゆるインシデント対応組織であるCSIRT向けの演習も実施しているところでございまして、こうした取り組みを通じて、今後とも教育訓練の充実も図ってまいりたいと考えているところでございます。

小川委員 今の御報告なんですが、まさに二十三年とか四年とか五年とか、あるいは六年とかという報告はある一方で、二十七年度以降はこれはやっていないんですか。

 報告を実務的に拝見すると、標的メールの訓練における開封率、どうもこれは二回訓練したようなんですが、一回目の開封率が一〇・一%なんですね。二回目の訓練で一六・三%に上がっているんですよ。それ以降訓練を実施している形跡が、少なくとも資料からは見当たらないんですが、最近どうなっていますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の標的型メール訓練でございますけれども、私どもNISCにおきまして、平成二十三年度から二十五年度までの三年間にわたって実施をいたしました。

 今、委員から御指摘のメールの開封率でございますけれども、平成二十五年度の訓練の事例でございまして、メールの開封率が一回目が一〇・一%、二回目が一六・三%ということでございました。

 NISCとしては、これはパイロット事業として実施をいたしました。平成二十六年度以降につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、各府省庁においてこうした訓練を実施している、こういう状況でございます。

小川委員 それはまとまっているんですか。各府省に任せっきり。二十七年度、二十八年度もやるんですね。ちょっとその点だけ確認を。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 各府省のこうした標的型メール訓練の実施状況につきましては、私どもNISCにおきましても、その実施状況を取りまとめ、そしてこれの分析を行い、必要に応じて所要の対策を指示する、こうしたことを行っているところでございます。

小川委員 ということは、二十七年度の実施状況も把握しているということですね、確認ですが。

谷脇政府参考人 御指摘のとおりでございます。

小川委員 であれば、私が資料要求したら、直近の状況を知らせるようにしてください。

 それから、二十八年度以降も、この開封後の善後策の演習も大いに大事だと思いますが、申し上げたように、そもそも開封しないような、開封率を下げていく努力をするためには、この標的型メールに対する教育訓練、これがまさに最初の門前払いするための重要なガードだと思いますので、こちらの教育訓練こそ充実していただきたい。このこともあわせて申し上げたいと思います。

 参考までに、こうした議論をするに当たって、昨年はさんざん議論になりましたが、ことしに入って、あるいは昨年の後半以降余り議論になっていませんのでちょっと追いかけて、この年金機構の情報漏えいがその後どういう状況なのか、この場であわせて確認させていただきたいと思います。

 当時、百二十五万件の情報流出ということがよく言われておりました。大問題になりました。それから、情報流出したファイル件数は九百四十九ファイルということのようであります。

 その後、一定の善後策、改善策に対する報告、それから関係者の処分等々も発表されたわけですが、当時幾らお聞きしても返ってこなかったのが、流出が確認されたのは百二十五万件だけれども、当時サーバーの中にあったそもそものファイルは、どのぐらいあったんですか、調査中だから答えられないという答えが多かったわけです。

 それから一年たちます。一年たちますから、その後の状況変化、状況改善があればぜひここで報告していただきたい。この年金機構に係る情報流出で、百二十五万件の情報ファイルの追跡調査はどうなっているのか、そして、これ以外の流出はなかったというふうに一年たった今改めて確認できているのかどうか、この点、御答弁いただきたいと思います。

福本政府参考人 お答えいたします。

 日本年金機構、御指摘のとおり、昨年五月にいわゆる標的型メールによる不正アクセスを受けまして、百二十五万件の個人情報が流出をいたしました。この百二十五万件は、日本年金機構からの通報を受けた警察当局の捜査の結果確認されたものでございます。

 その後でございますけれども、この情報流出に関しましては、まず、政府全体としては、サイバーセキュリティ戦略本部、NISCでありますけれども、そこ。それから、厚生労働省にも外部有識者による検証委員会を設置いたしまして、調査、検証を行いました。さらに加えて、日本年金機構自身でありますけれども、ウイルス感染が疑われる端末やサーバーのデータやログ等から不正アクセス記録の収集、解析等を行う、いわゆるデジタル・フォレンジックという調査でありますけれども、それを、流出の可能性があるファイルなどを専門家の協力を得ながら調査したわけでございます。

 その結果、これらの調査あるいは検証においても、この百二十五万件以外の個人情報の流出というのは確認されなかったということでございます。

小川委員 そこは少し言葉として大事なところなんですが、百二十五万件以外の流出は確認はされていない、確認はされていませんね。しかし、ないとは言い切れないんですか。確認されているのは百二十五万件、それ以外にないとは言い切れないんですか、一年たった今も。

福本政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げたデジタル・フォレンジック調査でありますけれども、これは日本年金機構において外部の専門組織に委託をして行ったものでございまして、具体的には、端末とかサーバーのログあるいは不正アクセスの記録を収集、解析して、過去どういうことが行われたかというのを、残されているものを復元するような形で調べるということでございますけれども、そこにどれだけのものが残っているか、あるいは復元できるかというところで、技術的な限界があるということは事実でございます。

 ただ、そのフォレンジック調査の中で、感染が疑われる端末は大体三十一台ございました、サーバーが一台、共有ファイルサーバーが一台、これを調査したわけですけれども、その中で新たに流出した可能性のあるファイルというのも発見はされています。

 例えば、これは公表もしていますが、機構職員の個人の情報、機構職員に関するファイルがここにあった、あるいは業務マニュアルがアクセスされて出ている可能性があるというようなところがその解析の結果出ていますけれども、今先生が御指摘の、いわゆるお客様の情報というものについては、その解析の結果見当たらなかった、百二十五万件以外には見当たらなかったということでございます。

 一定の限界があるということでございますが、現在の技術を用いてできるだけのことをした結果、今こういう状況であるということでございます。

小川委員 世の中、常に、喉元過ぎればではありませんが、少し時間がたちますと、話そのものが話題に上らなくなりがちであります。しかし、一年たった今も、もちろんこれ以外にないことを期待したいと思いますが、なかなか、そうしたことの確認すらとるのが技術的には現実の問題としては難しいという状況があります。

 大臣、この年金機構の事例もそうでありましたし、また、これからますます厳しさを増していくサイバー環境の中で、恐らく、国民の政府に対する個人情報の取り扱いや、あるいは情報管理そのものに対する信頼感というのは必ずしも高くないということを前提に物事を考えていく必要があるんだと思います。

 それとの関連で、これもどうしても外せませんから、この場をおかりしてお聞きしたいと思います。

 鳴り物入りで始まったマイナンバー制度についても、年明け以降、トラブルが続出しているようであります。

 それから、大臣、暗証番号の設定に関連してトラブルが発生しており、そのシステム改修に乗り出している、一昨日ですか、そういったことについても会見の場でお認めになったというような報道もございます。

 このマイナンバーに関して、年明け以降起き続けたトラブル、それから、一昨日の会見でお認めになった暗証番号設定に係るトラブルでシステム改修に乗り出している、そこら辺の事実関係について少し御報告をいただきたいと思います。

稲山政府参考人 J―LISのシステムトラブルの状況でございます。

 一月中旬以降、地方公共団体情報システム機構、J―LISのカード管理システムが一時不安定な状況となりまして、多くの市区町村におきましてカードの交付等の業務が行えなかった、こうした事案が一月から二月にかけて七回発生をいたしております。

 このシステムトラブルにつきましては、J―LISにおきまして調査を進めております、中継サーバー内の暗号処理装置の動作に関する部分にあるものと現状考えているところでございまして、中継サーバーを二回にわたりまして改修いたしました。三月四日と三月十一日でございますが、その後、J―LISのシステムにおいて重大な障害は生じていないものと承知をいたしております。

 さらに、ただいまございましたICチップの関係で改修に乗り出しているという関係でございますけれども、これは、暗証番号登録時にシステム障害、通信集中が起こりますと、そのシステム障害を不正アクセスと誤認し、ICチップがみずからデータを壊してしまう、こういった報道もございますけれども、これは事実誤認でございます。

 事実といたしましては、カード交付時に暗証番号の設定が必要でございますが、その処理の際に過度に通信が集中いたしますと、市町村のコミュニケーションサーバーへの情報が到達する前に情報処理が中断される、こういった場合がございまして、こういったケースでは、市町村みずからが再設定ができないということになっておりますものですから、J―LISで速やかなカードの再発行をする対応をとっております。

 ただ、そういうことでございますので、そういった事案に対応いたしますために、J―LISにおきましてシステム改修を実施いたしまして、今週にも横浜市において運用を開始する予定でございます。そういった結果を踏まえまして、全国でも同様の対策を講じてまいりたいというふうに考えております。

小川委員 システム改修の件については、今御説明で、軌道修正されたということだと思いますが、それにしても、一月から七回にわたる、一時的とはいえシステムダウン、これは大変残念なことであります。

 大臣、これの受けとめについてもお聞きしたいですし、それから、大変重大な事案でしたけれども、年金機構においては、それぞれ担当理事の交代を含めて厳正な処分が行われているようです。

 マイナンバー導入期に当たって、私も、そういう意味では、個人的に敬愛する先輩方がいらっしゃる環境ですから、非常に申し上げにくい。申し上げにくいんですが、しかし、やはりこの導入期をめぐるこれだけのトラブルの多発ということについて、役員の任命も含めて、そのまま四月一日を素通りしたようであります。それで、これに対する批判も一部あるようです。

 大臣、これは一定処分なり、そういったことについても許認可権限者として御検討いただく必要があるのではないかと思いますが、この受けとめと、それから情報システム機構内部における担当役員等の処分について、その可能性について言及していただきたい。

高市国務大臣 七回にも及ぶシステム上のトラブルにつきましては、せっかく多くの先生方が御尽力をくださって制度設計してきたマイナンバー制度という制度の信頼そのものにかかわることですから、本当に大変残念に思い、J―LISに対しても、昨年来そしてまた最近も、理事長にしっかりとした対応を要請しているところです。

 J―LISは、御承知のとおり、地方公共団体情報システム機構法に基づいて、マイナンバー制度の基幹業務などを行うために地方公共団体が共同して運営する地方共同法人でございますから、その運営というのは、やはりこの機構法に基づいて、人事も含めて、地方三団体の御代表や有識者が参画される意思決定機関である代表者会議のガバナンスのもとに行われております。

 ですから、これも法律に基づいて、役員人事は、代表者会議が理事長及び監事を任命する、もしくは解任する、理事長は代表者会議の同意を得て副理事長や理事を任命する、解任するということになっておりますので、人事についてはJ―LIS自身によって主体的に御判断いただくほかはないと考えています。

 総務省は、マイナンバー制度の実施を担当する省庁ということになりましたので、今はまず、とにかくカードを円滑に、できるだけ早く国民の皆様にお届けするように、J―LIS、市町村、そしてまた事業者と緊密に連携するということをもって責任を果たしてまいりたいと思います。

 どうしても法的に人事への介入ができないことは御理解いただきたいと存じます。

小川委員 非常に申し上げにくいことではありますが、やはり大変お粗末だったと思います。それから、人事の法制上の面も含めて今大臣の御答弁がございましたが、全般的な監督権限、許認可権限等々を通して大臣の御意向というのは非常に大きな影響力もございますので、その限りにおける大臣の責任についてもぜひ御自覚をいただきたいと思います。

 残り二分です。

 かねてから何度もお尋ねしておりますが、ふるさと納税について。

 大臣、また今般、換金性の高い返礼品等について自粛要請をされた。これは相次ぐ要請ですよね。大臣御就任以降だけ数えても、二度目、三度目ですか。

 私は、被災地の寄附金が非常に減っている一方で、返礼品に力を入れている自治体については非常に増嵩しているという、この傾向そのものも危惧しています。

 ひとつ、もうお認めになった方がいいんじゃないかと思いますが、ふるさと納税はもはや割安な、安価な、手ごろな、お得なカタログショッピングと化している、だからこそ大臣は一度ならず二度までもこうした要請をせざるを得なかった。そのことをお認めいただければどうかと思います。

高市国務大臣 それでも、やはりふるさと納税の本来の趣旨、ふるさとへの思いや地方団体の取り組みを応援する気持ちを形にしておられる方がたくさんいらっしゃいます。昨年の豪雨の際にも、被災地に随分たくさんふるさと納税での御支援をいただきました。東日本大震災の発災直後も、随分たくさんの方が応援をしてくださいました。

 昨年の四月に、おっしゃるとおり、総務大臣通知で良識ある対応を要請いたしております。その結果、現在把握している限りでは、五百十二団体で改善をしていただきました。

 ところが、先般からまた、今度は返礼品が金券であったりパソコンであったりということで、これがネットオークションに出品されて転売されているというような事例がございましたので、やはりもう一回制度の趣旨に沿った運用を進めていただくという観点を徹底するために、金銭類似性の高いもの及び資産性の高いものについては返礼品としないように、少し去年よりは記述を明確化して、再度、四月一日に通知を発出いたしました。

 これは、税法上、返礼品の経済的な価値が一定金額を超えた場合には一時所得となりますから、一時所得として申告納税が必要となるものであり、やはり納税者の皆様にもそれを御理解いただきたいですし、特に、責任を持って対応されるべきは自治体であると思いますので、再度要請を行いました。

 しっかりと取り組んでいただくことを期待して、フォローしてまいります。

小川委員 追って議論したいと思います。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井でございます。

 きょうも、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 きょうは、NICTの法案、そしてNICTがサイバーセキュリティー演習を行うようになるという内容であります。

 このサイバーセキュリティーについては、去年の五月の末、日本年金機構の情報漏えい事件があって、恐らくそのすぐ、発覚して翌日の内閣委員会で、私、当時、質問通告を全部変えてこの質問をしたのを覚えております。それから、内閣委員会では実に八回、それからこの総務委員会でも二回、サイバーセキュリティーの強化の必要性について質問をしてまいりました。

 そのことが今回の法改正には一定程度反映されていると思いますので、評価はしたいと思いますけれども、幾つか課題もありますので、御質問をさせていただきます。

 まず、NICTに、サイバーセキュリティーに詳しい職員というのは何名いるんでしょうか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 NICTの全体の職員は四百十九名おるんですけれども、そのうち、サイバーセキュリティーを専門とする常勤の研究者というのは十五名でございます。そのほかにも、NICTでは、研究内容に合わせまして有期の契約を行っております職員も雇用しておりまして、それらを含めると三十三名という体制になっております。

 こういった体制で基礎的、基盤的なセキュリティー研究を推進していただくことになりますけれども、これから新しく追加される演習という業務につきましては、新たにNICTにおきまして、それを専門的に行う組織というものも新設をしていただいたところでございます。

 これから大事なのは、シナリオを幾つかつくっていくという過程におきましては、こういった研究者のみならず、学識経験者でありますとかベンダー、あるいはトップガンと言われるような卓越した知識を持っている専門家にもこのチームに参画をしていただいて、演習業務を円滑に遂行していけるような体制の確保というものに配慮してまいりたいと思っております。

高井委員 今、十五名という数ではやはりとても足りないと思うんですね。いろいろ手当ては講じているという御説明でありましたけれども。

 これはNICTに限らず、我が国全体のセキュリティー人材というのは、一月二十六日の日経新聞によると、二十四万人不足をしているという記事があります。

 我が国全体のセキュリティー人材をどうやって育成していくのかという点と、それから政府におけるサイバーセキュリティー人材、これも圧倒的に少ないと思いますけれども、こうした人材をどのように確保していくのかについて、内閣官房の見解をお聞かせください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバー攻撃が複雑、巧妙化する中、我が国のサイバーセキュリティーを確保するためには、委員御指摘のとおり、それを支える人材の育成確保というものは極めて重要であるというふうに認識しております。

 このため、ことしの三月、サイバーセキュリティ戦略本部で決定をいたしましたサイバーセキュリティ人材育成総合強化方針におきましては、人材の需要と供給の好循環を形成することとしており、この方針に基づきまして、産学官が連携した教育、演習環境の整備、資格制度の整備など、民間におけるセキュリティー人材の確保、育成に向けて、政府として積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、政府機関における人材の確保、育成につきましては、この方針におきまして、セキュリティー、ITに係る人材を育てるべく研修を実施いたしまして、その研修受講者数を今後四年間で千人を超える規模とすることを目指すとしているところでございます。

 今後とも、この方針に基づきまして、セキュリティー人材の確保、育成につきまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

高井委員 私、去年の内閣委員会で、菅官房長官がサイバーセキュリティ本部長でございますので、菅長官に同様の質問をしたところ、やはり、今の内閣のサイバーセキュリティセンター、NISCでありますけれども、このNISCの体制では全く足りないということも十分認識しておりますし、また、政府として、そうした人材を育成することも、日本には非常に少ないわけでありますのでと。そういう認識を去年の七月三日の時点では持たれていて、それに対して、今おっしゃっていただいたような取り組みが進んでいる。

 このことも評価はいたしますが、実は、先週、内閣委員会で、サイバーセキュリティ法の改正審議で私はお聞きをして、NISCの人員というのは、平成二十六年度が八十人、それから二十七年度、百二十名、二十八年度、今現在百六十人であって、さらに、遠藤担当大臣から、今年度中には百八十名までふやしたいということで、倍増しているわけであります。

 一方で、御紹介したんですが、実は、アメリカではNISCに相当するような機関に六千名のサイバーセキュリティーの専門家がいる、あるいは、フランスも五百人だったのを去年七百名まで増員をした、そういったような記事がございます。

 こうしたことを考えますと、まだまだ足りないわけでありまして、今の千人という御説明も、NISCに千人ならこれはすごいなと思ったんですけれども、政府全体で千人ですから、それは政府のいろいろな各省庁に分散をしているわけでありまして、やはり、それぞれ各省庁にいることも大事ですけれども、サイバーセキュリティーというのは非常に専門的な要素が必要で、それから、何か危機があったときには即時に対応しなきゃいけないということで、やはり中央のNISCにもっと人を集めておかなきゃいけないし、権限も集中させておかなきゃいけないと私は思っています。

 それで、今回、NICTがその一翼を担うわけですが、先週のサイバーセキュリティ法の改正では、IPAという経済産業省所管の情報処理推進機構も担う。あるいは、この委員会でも、J―LIS、地方公共システム機構、ここもセキュリティーをやっていますので、こういった分野の団体にも協力をしてもらって、私は、やはりNISCも、内閣のかなめである、サイバーセキュリティーのかなめであるここにもうちょっと権限を集めて、一体として一元化して取り組むべきだということを考えておりますけれども、そういうお考えはないでしょうか。

谷脇政府参考人 お答えを申し上げます。

 サイバーセキュリティー対策を進めるに当たりましては、各政府機関等において、セキュリティー人材の確保、育成に取り組むことが極めて重要だと考えております。

 それぞれの政府機関等におきましては、その業務の特性などに適したサイバーセキュリティー対策を実施することが必要であります。このためのセキュリティー人材につきましても、まずは、各機関において計画的に確保、育成していくことが重要だと考えております。

 なお、内閣官房におきましても、引き続き、各府省庁との連携強化を図りまして、政府一体となって、人材育成を含みますサイバーセキュリティーの確保に取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 ここはぜひ、連携するというだけじゃなくて、もう一段権限を持ったサイバーセキュリティセンター、NISCの機能強化というのを、あと、もちろん人数もふやさなきゃいけない。これは財務省との予算の問題、あるいは定員の問題があるので、一筋縄ではないと思いますけれども、しかし、これからオリンピック・パラリンピックもある、あるいはサミットもある、このサイバーテロというのは非常に脅威でありますから、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 また、この総務委員会では、地方自治体のサイバーセキュリティー、これはやはりJ―LISがしっかり担っていくべきで、今回、サイバーセキュリティ法の対象にJ―LISは入っていないわけでありますけれども、これは前回の内閣委員会で、今後、総務省と協議をしていきたい、相談していきたいということでありますので、ぜひ、J―LISをNISCの監査等の対象になるように検討もいただきたいと思っております。

 それでは、ちょっと次の話題でIoT、このIoTのテストベッドや研究開発といったことも今回のNICTの業務に追加されるわけですが、私は、このIoT政策というのは極めて重要な、日本の成長戦略の柱に据えなければならない政策だと思っています。

 ただ、このIoT政策というのは総務省と経済産業省、両省にまたがっていて、いろいろな政策の説明を聞くと、かなり、今年度の予算についても、何か似たような政策が多いなという印象を非常に受けるんですが、この両省はしっかりと連携しているんでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、IoTは社会経済の各分野を変革する大変重要な課題でございます。各省の垣根を越えて推進していくべきものであると考えております。

 特に経済産業省との関係では、総務省はIoT基盤整備やその利活用の推進、また、経済産業省は生産性向上、競争力の強化といった観点から、おのおの中心的な役割を担うものと認識をしております。

 昨年十月に設立されました産学官の推進体制、IoT推進コンソーシアムにおきましても、総務省と経産省が連携をいたしまして、研究開発や実証、事業化支援といった、さまざまな活動を行っているところでございます。

 引き続き、経済産業省も含め、産学官によるオール・ジャパンの体制を確保いたしまして、有機的に連携しながらIoT政策を推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

高井委員 連携はしておられるという説明なんですけれども、形上の連携というか、どの程度、やはりお互いが行き来をしたり、研究会なんかはお互いがオブザーバー参加とかしているという説明は聞いておりますし、昔、私も総務省の職員で、当時に比べると大分連携も進んだのかなという印象は受けますが、しかし、まだまだ不十分で、私は、もう一緒になった方がいいんじゃないかというのが持論であります。

 そういう意味でいうと、もう一つ大事なのは、IT総合戦略室という、内閣官房にIT戦略を担うセクションがありますが、ここが、ある意味、総務省、経産省からも人を出し、各省庁からも人が出ていて、ICTという非常に各省庁にまたがる横串の分野の総合調整を担っているんですが、ここの人数が、これも去年、委員会で私が質問したら、三十四人しかいない、民間からも三十五人来てもらっていて、計六十九名だと。多少、ことしふえているのかもしれませんが、そういう状態であります。

 このIT総合戦略室がICT、ITの総合調整を担うには人が非常に少な過ぎると思っておりまして、私は去年、実は内閣委員会で、総務省のICT、経産省のICT、それぞれ何名いますかと聞いたら、総務省は八百四名だ、それから経産省は百十名だと。これだけの、合わせると九百十四名でICT政策を担っている。しかし、内閣官房には三十四人しかいない。

 そして、総務省がやっている仕事も、かなり各省庁にまたがる、農業のIT化とか医療のIT化とかそういったことを一生懸命やっていて、もう本当にIT総合戦略室がやっているような仕事を今実態は総務省が担っていて、こういうことを考えると、私はもう一緒にやった方がいいんじゃないかと。

 去年七月三日の内閣委員会で菅長官に、というのは、内閣官房のスリム化というのが去年法律で成立をいたしました、内閣府と内閣官房のスリム化。だから、これ以上そこにふやすというよりも、内閣官房、内閣府にある機能を今後は各省庁に総合調整機能を付与した上で移すというのが去年成立いたしました。

 その国会審議のときに私は菅官房長官にお聞きをしたところ、もう両省を一緒にした方がいいんじゃないか、あるいはIT総合戦略室の機能を総務省に移管したらどうだという質問をしたら、菅長官の答えは、「どこに所属をさせることが一番仕事が効率的にできるかという、ここを考えるのがやはり私の仕事でもあるというふうに思っていますので、委員の提案も踏まえながら、そこは検討していきたいと思います。」そういう答弁をいただいたわけでございます。

 これは大臣にちょっとお聞きをしたいんですけれども、総務省がもう今既に大臣のもとでかなり各省庁の総合調整機能を担っておられますので、もうIT総合戦略室と一緒になる、すぐにそのIT総合戦略室の機能を全部総務省に移すのができないのであれば、私は、大臣の権限でできるのは、総務省からもっと人を送る、出すということもできると思いますし、やはりそのくらいの体制でこの仕事をやっていかないともう回らなくなっているというふうに思っておりますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

高市国務大臣 今、大変総務省に高い評価をいただきながらの御質問を賜ったと思って、感謝を申し上げております。

 このIT総合戦略室ですけれども、やはりこのIT総合戦略本部の事務局でもあります。ですから、政府全体のICT政策の司令塔でもございますから、総務省を含めた関係府省と連携して、総合調整機能を持っていただいていると思っております。

 そしてまた、IT総合戦略本部のメンバーとしては、当然、内閣総理大臣を筆頭に、私ども閣僚も、また有識者も入っておりますので、それはまた総務省が個別に進めている政策とは違って、もっと本当に日本政府全体、そしてまた日本国内全体を俯瞰した対応ができる場所だと思っております。

 総務省は、当然、農林水産業ですとか医療ですとか、あと教育、できるだけ生活に身近な分野で今ICTの利用を最大限に進めていくということで、各府省に対して積極的に提案はしておりますし、さまざまな会議に各府省から職員に来ていただいて同席もしていただき、取りまとめをしていっております。しかしながら、やはり総合調整機能を有するIT総合戦略室とはしっかり連携しながらやってまいりたいと思っております。

 どうしても、本当に、予算づけですとか、新たにその役所で新規の政策を立ち上げていただく、そして連携をする、そういう重要な場面におきましては、閣僚同士で話をしていくということが重要かと思います。やはり全体の総合調整機能と事務局というのは必要だと思っております。

 人の問題ですけれども、総務省の方でも、これから本法案を御審議いただいて、もしも成立しましたら、またさらに考えていくべきこと。

 それから、IoT社会を実現していくというと、けさからもいろいろ御指摘がありましたセキュリティーの問題ですとか、実際の実用化に向けた政策も構築していかなきゃいけません。G7の情報通信大臣会合でも、やはり各国と、セキュリティーの問題であったり国際標準化の問題であったり、さまざまな議論をしていかなきゃいけませんので、私どももいっぱいいっぱいの人員の中で精いっぱいの努力をしている、そういう現状でございます。

高井委員 まず、IT総合戦略室がそもそも今の三十四人という体制ではもう回らなくなっていると私は思っていまして、この後質問することにも絡んでくるんですけれども、IT総合戦略室でやってほしい仕事はいっぱいあるんですけれども、本当に今手いっぱいで、何かストップしちゃっているような感じがあります。総務省ももちろん忙しいのはよくわかっていますが、ただ、総務省がやっている仕事がかなり、IT総合戦略室が担うべき仕事も総務省が横串機能として今やっているという現状もありますから、ならば、もういっそ、そこを一緒にした方が、私は、よりうまく回るんだろうというふうに思っております。

 一番理想は、経済産業省も合わさって情報通信庁のようなものができて、そこが総合調整機能を発揮するのが理想だと思いますが、それが無理であれば、IT総合戦略室の機能を総務省に移すなり、それもなかなか難しければ、まずは、今、総務省の総合調整機能を、総務省の中で今各省の調整連携をやっている人たちを内閣官房に出すということによって、その総合調整機能がより発揮されるという面があると思いますので、ぜひそこは御検討いただけたらと思います。

 それでは、きょうは成長戦略を策定されている高鳥副大臣にお越しいただいています。

 私は、この日本再興戦略、毎年六月にできる、ことしも六月に向けて準備しているんだと思いますが、この成長戦略に、やはりICT、これも昔に比べれば、ことしの、今ある成長戦略には随分入った方だと思いますが、それでも六つ大きな項目のうちの一つであり、しかも四番目に書いているんですね。

 私は、アベノミクスがうまくいかない最大の理由は、やはり成長戦略が不十分で、成長戦略が不十分なのは、あれもこれもいろいろなことを書き過ぎるからだ。やはり何か集中して、この分野でやるんだと。例えばドイツは、インダストリー四・〇、第四次産業革命といって、製造業のIT化をとにかくやるんだといって、それでEUの中で今確固たる地位を占めている。あるいは、イギリスやアメリカは、金融業のIT化、フィンテック、これをとにかく力を入れてやるんだと。

 こういう、何かやはりめり張りというか、この分野をとにかくやるんだというメッセージがないと、いろいろな省庁がいろいろやりたいことをただ集めて成長戦略をつくっても、これは成長につながらないと思っておりますので、そういう意味では、この成長戦略の柱にIT、ICTを据えるべきだと考えますけれども、お考え、いかがでしょうか。

高鳥副大臣 高井委員にお答えをさせていただきます。

 大変貴重な御指摘をいただいたと受けとめさせていただきます。

 現在、成長戦略の進化に向けまして、生産性向上を実現するための規制改革、それから成長を支える人材の創出、そして成長市場の拡大、これは農業とか観光、ヘルスケア産業等でございますけれども、これについて、産業競争力会議や官民対話において検討や議論を行っているところでございます。

 本格的な人口減少社会の突入を前に、日本経済が持続的に発展をする、これを実現するために、議員御指摘のとおり、生産性の向上は必須であると考えております。そうした観点からも、ITあるいはICTの活用は大変重要であると認識をいたしております。

 こうした中、ITの利活用につきまして、情報産業に限らず、農業とか医療とか、それから教育、観光、サービス業など、これまでITとは無縁と思われていたような分野も含めて、あらゆる産業において進んでおりまして、取り組みを加速するための方策について、産業競争力会議等で今真剣に御議論をいただいているところでございます。

 引き続き具体の検討を進めてまいりまして、民間議員や有識者の意見、提言を踏まえまして、年央を目途に成長戦略を取りまとめる予定でございます。その検討方針の中の一つ目の柱、そこに、委員御指摘になられましたITあるいはICT、IoT、こういうものを一番最初に出てくる重要な柱として位置づけをさせていただいております。

 御意見をしっかりと受けとめて、頑張りたいと思います。

高井委員 今、そのたたき台にはICT、IoTが一番最初に出てきているということで、評価はしておりますので、これは本当に副大臣、次の成長戦略というのは極めて重要で、これがまた今までのように総花的な、各省庁が言ってきたことをでは全部入れましょうというのでは、これは成長戦略になりませんから、ぜひ副大臣それから大臣の権限で、この重要分野をしっかり特出ししてやっていただきたいと思います。

 ただ、IoTと並んで、フィンテックという今大変注目されている言葉が、金融、フィナンシャル、ファイナンシャルとテクノロジーを融合した造語なんですけれども、これは世界的にフィンテックという取り組みが進んでいます。ところが、昨年の日本再興戦略、これだけの厚さがあります成長戦略、きょう持ってきましたけれども、この中にフィンテックという言葉は出てきませんけれども、これはなぜなんでしょうか。

 それから、次の、今つくっている成長戦略にはフィンテックという言葉は入るんでしょうか。

高鳥副大臣 お答えをいたします。

 今委員御指摘になられました、ファイナンスとテクノロジーをかけ合わせた造語であるフィンテック、これについては、今のところ明確な定義がされていないということでありますが、広い意味で、金融とそれからITの融合による金融サービスとされているところでございます。近時、大変注目度を高めているところでございます。

 これを踏まえまして、「日本再興戦略」改訂二〇一五においても、金融業における戦略的なIT投資を促進する旨の記載は行っているということでございます。

 他方、IT企業によるモバイル決済やビットコイン等の金融サービスの提供といった新たな動きも見られているわけでありますが、これらを含め、フィンテックは、技術革新やデータ利活用を通じて、低コストで良質な金融サービスを利用者に提供できる点に意義があるものと考えております。こうした金融サービスの大きな変化の中で、新たな資金の流れや新しい市場の創出が期待されることから、フィンテックは成長戦略を進める上で将来有望な成長分野と期待が高まっていると認識をしております。

 こうした考えに基づきまして、去る一月の産業競争力会議において決定をいたしました成長戦略の進化のための今後の検討方針の中で、フィンテックに関し、検討、推進する旨を明確に位置づけたところでございます。

 いずれにいたしましても、年央に取りまとめを予定します次期成長戦略に、フィンテックの最近の動きや議論を適切に反映してまいりたいと考えております。

高井委員 おととい、超党派の国会議員に呼びかけて、それからフィンテック業界の方からも集まっていただいて、勉強会をやったんです。そのとき、フィンテック業界から五、六十人来ていただきましたけれども、やはり、フィンテックという言葉が明確に入っていないというのは非常に寂しい、何か日本国としては余り応援していないんじゃないかと捉えられます。やはりこういうのはイメージというか印象も大事なので、ぜひフィンテックという言葉を入れてほしいです。

 また、その中で非常に有益な意見も出ました。実は、フィンテックというのは、ロンドンとかニューヨークとか非常に金融の集積地でやっているんですけれども、そういった諸外国からも、実は日本の方が、東京の方がよりいい環境が整っていると。東京ほどいろいろなものが集中している町というのはなくて、ここに政府が後押しさえすれば、フィンテックが、東京という町が一躍世界の中心地になる可能性を十分秘めているという海外の方からの指摘も紹介されて、なるほどなと私は思いました。ぜひ、この分野、取り組んでいただきたいと思います。

 だんだん時間がなくなってきたんですけれども、きょう、せっかく金融庁とそれから経済産業省からも来ていただいていますので、それぞれフィンテックの取り組みと、それから今後フィンテックをどうしていきたいかということをできるだけ簡潔に、済みません、お答えください。

牧島大臣政務官 金融庁に対しての御質問でございます。お答えいたします。

 フィンテックの動きということにつきましては、もちろん、利用者の保護とか不正の防止などの観点も留意しなければなりませんが、金融機関の国際競争力を日本においても確保するということで、対応を図っていくことが重要だと考えております。

 金融審議会でも今後の制度のあり方について提言がまとめられましたし、法制面に係る対応については、国会に提出をさせていただいております、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案というものがございます。法制面以外でも、取り組みは官民連携して推進をしていきたいと考えています。

 金融庁としては、フィンテックの動きを日本の経済、金融の健全な発展につなげていけるよう、必要な環境整備など積極的に取り組んでまいります。

中山政府参考人 お答え申し上げます。

 フィンテックは、金融サービスのIT化を超えて社会に大きなインパクトを与えるものだと認識しております。

 経済産業省におきましても、昨年十月にフィンテック研究会を立ち上げまして、幅広く現状と課題、政策対応を考える検討を始めております。八十人を超える専門家の方々にお集まりいただきまして、さまざまな御議論をいただき、フィンテックが企業の経営それから家計の行動に与えるインパクト、あるいは新たなデータの活用、ITシステムの変革の可能性などについて、議論を重ねてきたところでございます。

 引き続き、金融庁を初め関係省庁の皆様方と連携し、フィンテック時代に対応するための具体的な取り組みを進めてまいりたい、かように考えております。

高井委員 フィンテック、金融業のIT化ですから、金融庁が一生懸命やるのは当然として、経済産業省が大変今力を入れて、研究会、ずっと私もフォローしていますけれども、大変すばらしい研究会だったと思っています。そういう意味では、私は、やはりICTを所管する総務省も、このフィンテック、もっと頑張っていただきたいなと思っております。

 あと、IT戦略本部、先ほど申しましたここも、というのは、このフィンテックというのは非常にいろいろな省庁にまたがって、この間もその勉強会で聞くと、例えば犯収法、犯罪収益移転防止法の本人確認が非常に厳しくて進まないんだとか、あるいは書類をつくるのに金融機関の本人確認法の問題があるんだとか、いろいろな多省庁に、さっきの犯収法だと警察が対象になるんですけれども、そういったいろいろな省庁に規制緩和なりを求めていかなきゃいけない。でも、そういったことを求めていくのは、やはりIT戦略本部であったり、あるいは私は総務省がそういう役割も担っていくべきだと思っているんです。

 大臣、成長戦略の中にこのICTをぜひ入れていただきたいという質問通告だったと思うんですけれども、それに加えて、このフィンテックということも含めて大臣のお考えをお聞かせください。

高市国務大臣 総務省のスタンスとしましては、IoTというものを、これから国民生活にできるだけ身近な場所で、よりセキュリティーを高めた上で、国民生活の利便性を高めるために使っていきたい、それも、いつまでも実証をしているというよりは、さらに事業化に向けても進めていきたい、そんな強い思いを持って取り組みをしております。さまざまな分野の洗い出し、それから実証への支援もしておりますけれども、フィンテックももちろんその中の重大な柱でございます。

 今後、やはり、先ほど自民党の委員が出しておりましたけれども、交通ICカードなども活用しながら、個人の属性というものに対応したサービス、おもてなしサービスというのも、これからラグビーワールドカップですとかオリンピック・パラリンピック東京大会に向けても実現をしていくんだろうと思います。

 それから、農業、畜産の分野でも、農家の方々の見回りの手間を減らしたり、特に子牛の出産で失敗が起こらないように、子牛一頭七十五万円はすると聞いておりますから、やはり母牛の体温が下がり始めたらそれを畜産農家の方に知らせられるサービスも、これだけでも死亡による損害は減る、また畜産農家の方々の労力も減っていく。

 それから、健康寿命、健康長寿ですね、これも日本だからこそとれるデータというのが非常に多いと聞いておりますので、多くの国民が健康に長生きできるように、さまざま身近な分野を中心に洗い出しもしながら、当然フィンテックも例外ではございませんので、しっかりとした取り組みをしてまいります。

高井委員 私は、フィンテックというのは金融業のIT化にとどまらないというのが持論で、社会変革だと思うんですね。もうお金を持たなくてもよくなる、あるいは、私は金融機関に言っていて、銀行はもう要らなくなりますよと。銀行は、実際、グーグルとかフェイスブックとか、日本でいえば楽天とかヤフーとか、そういったところが金融機関にかわり得る、そのくらい大きなインパクトを持った社会変革だと思っていますので、そういう意味で、私は、経済産業省であったり総務省、あるいはIT戦略本部がぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 もう時間がなくなりましたが、最後に、きょう国立国会図書館の館長にお越しいただいて、実は、MANGAナショナル・センターというのを、マンガ・アニメ・ゲーム議員連盟、古屋先生が会長ですけれども、これが提言をして、国立国会図書館の支部として設置すべきという提言を出して進んでおります。でも、恐らくこれは国立国会図書館では決められないというお答えだと思うので、ちょっときょうはもう時間がないので、館長にはぜひ前向きに、議運で決めることだと思いますから、それを踏まえて前向きに捉えていただきたいと思います。

 総務大臣に最後に、今度は、デジタルアーカイブ、このMANGAナショナル・センターというのはデジタルアーカイブの部門も置くんですね。これは私は、総務省がもっと中心になってやるべき分野だと。今、内閣官房に各省連携のチームがあるんですが、さっき言ったようにIT総合戦略室はもう人が足りませんから、ですからやはり、総務省、昔はやっていたんですね、もっと総務省が主導してやるべきだと考えますけれども、最後に大臣、お考えをお聞かせください。

遠山委員長 簡潔な御答弁でお願いします。

高市国務大臣 総務省でもワークショップを平成二十四年から毎年開催していることは、御承知いただいているかと思います。

 東日本大震災に関するデジタルアーカイブ構築を行う自治体への補助、国立国会図書館と連携しながら、そのデータを一元的に検索、活用できるアーカイブの構築にも取り組んでまいりました。

 それから、やはり関係省庁でしっかり連携するということで、平成二十七年九月には、知的財産権の扱いですとか、図書館、博物館などの既存施設の活用が鍵となりますので、この関係省庁連絡会議が発足しましたので、しっかりと連携をとってやってまいりたいと思っております。

高井委員 時間が来たから終わります。

 自動走行を聞けなくて申しわけありません。また今度聞こうと思います。

遠山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 国立研究開発法人情報通信研究機構法の改正案についてお尋ねしたいと思います。

 サイバーセキュリティー対策を進めていく中心はサイバーセキュリティ戦略本部であると認識しています。そして、戦略本部は、国家安全保障会議、NSCと密接な連携をとるとしています。

 では、日米同盟の強化を掲げる国家安全保障戦略には何と記されているでしょうか。

 「幅広い分野における日米間の安全保障・防衛協力の更なる強化」の項には、次の表記があります。事態対処や中長期的な戦略を含め、運用協力及び政策調整を緊密に行うとともに、弾道ミサイル防衛、海洋、宇宙空間、サイバー空間、大規模災害対応等の幅広い協力を強化し、日米同盟の抑止力及び対処力を向上させていく、このように述べられているわけであります。

 内閣官房、お越しでしょうか。以上の記述に間違いございませんか。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

芹澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりでございます。

田村(貴)委員 軍事戦略上にサイバー空間があるということ、それから日米の協力強化をここで述べているということであります。

 サイバーセキュリティーにおける日米間の連携、情報共有については、他の省庁についても行われています、内閣府であるとか、外務省であるとか、それから防衛省であるとか。ここでは総務省にお伺いしたいと思います。

 ことしの二月に行われた米国とのインターネットエコノミーに関する協力対話、その民間作業部会共同声明では次の方針が掲げられています。

 ちょっと読みます。「サイバー空間における国際的に自由な情報の流通を確保するために、日米両国政府はサイバーセキュリティに係る国際的な議論を主導し、官民を挙げた国際連携を推進すべきである。その際、安全保障分野における連携強化を基本とし、インターネットエコノミー政策協力対話やサイバー対話をさらに充実させ、官民における人材交流や、共同訓練、技術開発などに取り組むべきである。」このように述べているわけであります。

 これは、日米防衛協力の指針、そのガイドラインにサイバー防衛協力の推進が盛り込まれた、このことを受けての表記だというふうに思いますけれども、確認します。そういうことでしょうか。

南政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生がお触れいただきましたこの共同声明につきましては、御案内のとおり、日本の経済団体連合会、いわゆる経団連と在日米国商工会議所、いわゆる民間セクターにより取りまとめられたものでございますので、総務省におきましては、本文言がどういう意図なり経緯で記載されたかどうかについては、当事者ではございませんので承知をしていないところでございます。

田村(貴)委員 承知をしていないと言いますけれども、その文書の下の断りには、ガイドライン、サイバー防衛協力の推進、こうした注釈もあるわけなんですよね。そういうことだというふうに理解しております。

 この会議は、総務省情報通信国際戦略局長、これは総務省の局長さんですよね、情報通信国際戦略局長とアメリカの国務省大使との会議であります。しかし、日米軍事同盟のもと、ガイドラインまで民間の共同声明では掲げられるという事態にも至っているわけであります。

 我が国のサイバーセキュリティー対策が米国のサイバー戦略に組み込まれていってしまうのではないか、そういうおそれを抱かないわけでもありません。

 次の質問は、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインでは、日米両国政府は、自衛隊及び米軍が任務を達成する上で依拠する重要インフラ及びサービスを防衛するために協力すると書かれているわけであります。

 今のは、ガイドラインの「宇宙及びサイバー空間に関する協力」、この中に書かれているところなんですけれども、お尋ねします。

 重要インフラ及びサービスの防衛のためには、今回案件となっている情報通信研究機構、この機構のサイバーセキュリティー演習での知見もその協力から排除されないのではないかというふうに思うわけですけれども、確認したいと思います。いかがでしょうか。

前田(哲)政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、自衛隊や米軍の活動は、電力、交通あるいは通信といった社会インフラに依拠をしておりまして、防衛省といたしましては、こうした社会インフラに対するサイバー攻撃、これは自衛隊や米軍の任務遂行の上で大きな阻害要因となる可能性がある、このように考えているところでございます。

 こうした社会インフラのサイバーセキュリティーの確保は、自衛隊や米軍の任務をきちんとやっていく、任務保証でありますけれども、このことのために極めて重要だと認識をしておりまして、防衛省としては、内閣サイバーセキュリティセンターを初め関係府省庁、事業者等と連携して、社会インフラのサイバーセキュリティーの確保に向けた取り組みを講じながら、米国との協力も進めてまいりたい、このように考えております。

 御指摘の日米ガイドラインの記述は、このような協力の方向性についてお示しをしたものでございます。

 その上で、重要インフラ及びサービスの防護のために、情報通信研究機構が有する知見を活用することも排除されているものではない、このように考えてございます。

田村(貴)委員 今のは重要な答弁でありまして、安全保障それから防衛的なところに、やはりこの情報通信研究機構の演習の知見が、利用する、協力する、その範疇に含まれることは排除しないといったところでもあるわけであります。

 そこでお伺いしますけれども、総務大臣は、今度、法案に出ていますように、情報通信研究機構の中長期目標を許可する際には、サイバーセキュリティ戦略本部の意見を聞かなければならないというふうにしています。

 ところが、機構は、もう四月から新しい五カ年計画がスタートをしております。始まったばかりなんですけれども、この法案、総務大臣が意見を聞くといったところはどういうふうに理解すればよろしいんでしょうか。

高市国務大臣 まず、NICTの第四期中長期計画、五カ年ですが、これは平成二十八年三月三十日に認可をしました。

 仮に、この法案をお認めいただいた場合でございますが、法案に係る部分、すなわち、サイバーセキュリティーに関する演習業務の追加、それからIoTを活用したサービスの創出、展開のためのテストベッド事業やデータセンター事業への支援業務の追加に関する部分については、総務省において中長期目標を変更し、それに沿ってNICTから中長期計画変更の認可申請を受け、必要な審査の上、私が認可を行うということになっております。

 サイバーセキュリティ戦略本部に意見を聞く必要性に関することでございますが、これは、サイバーセキュリティ基本法並びにサイバーセキュリティ戦略を踏まえまして、計画的、効果的に演習が実行されなきゃなりませんので、演習の実施に当たっては、その対象や優先度、内容について、政府全体のサイバーセキュリティー関係施策の総合調整を行っておられるサイバーセキュリティ戦略本部に意見を聞くということにしたところであります。

田村(貴)委員 五カ年計画が機構において始まったばかりなんだけれども、すぐさま五月に計画の変更手続を行うということであります。直ちに機構がサイバーセキュリティ戦略本部に組み込まれていってしまうというふうにも思うわけであります。

 総務省においては、サイバーセキュリティ二〇一五、この文書の中で、米国との協力において、日米におけるサイバー攻撃に関するデータの共有、研究開発の協力を加速化させるとしています。

 るる述べてきましたように、こういう状況のもとで、国民やあるいは官庁、企業、それから研究機関等の日本の情報が、日米の緊密な連携の名のもとに、米国とも日本側の情報が共有されていくということになっていくんでしょうか。総務省、お伺いしたいと思います。

南政府参考人 御説明申し上げます。

 アメリカとの情報共有につきましては、今御指摘のありましたサイバーセキュリティ二〇一五に基づきまして、NICTにおいてサイバー攻撃観測・分析・対策システム、いわゆるnicterの仕組みを使いまして、アメリカの大学との間でサイバー攻撃に関する情報を共有しているところでございます。

 nicterというのは、御案内のとおり、ダークネットと呼ばれるいわゆる無差別攻撃の実態、使用されていないIPアドレスへの不正な通信の実態を観測しているものでございまして、地域別のさまざまな攻撃量と言われるものを観測してその情報を共有しているものでございまして、決して、官庁でありますとか企業、あるいは国民、研究機関といった個別の情報を共有しているものではございません。

田村(貴)委員 情報通信研究機構のサイバーセキュリティー演習が、アメリカのサイバー戦略と結びつくことにもつながりかねないのではないか。先ほどの議論をしていきますと、防衛省は、日本の重要なインフラ、これはやはり守らなければいけない、そして排除しないという答弁があったんですけれども。

 そうしたところから、やはり、アメリカのサイバー戦略に結びついていくことの懸念に対して、そうならないとおっしゃるんだったら、その根拠を示していただけないでしょうか。それから、改正案はそれを防ぐ規定は存在しているでしょうか。

南政府参考人 アメリカのサイバー戦略と結びつく、その戦略の全体を私どもは実は詳しく承知しているわけではないんですけれども、私どもが今回の改正法で想定しております実践的なサイバー防御演習と申しますのは、御案内のとおり、国内の政府機関、重要インフラ事業者、あるいは自治体といったようなことのシステム管理者を対象として実施をする、そういう性格のものでございます。

 ただ、先生御指摘のとおり、サイバーセキュリティーの対策と申しますのは、御案内のとおり、国境を越えてサイバー空間において行われるものでございますので、一般論として申し上げますと、先ほど来から御指摘がありますとおり、NISCという司令塔がございますので、その司令塔を中心に国際連携を進めていくということは非常に大事なことだと私どもも承知をしております。

 これは、必ずしもアメリカだけにとどまらないで、ASEAN諸国でありますとかヨーロッパ、そういった各国ともさまざまな形でこれから国際連携を強化していく必要があるというふうに思っております。

 現時点で何か、私どものサイバー防御演習の知見を活用したい、ノウハウを活用したいという具体的な申し出、御要望があるわけではございませんけれども、一般論として申し上げますと、NISCを中心として国際連携を進めていくに当たりまして、私どもとしても相応の貢献をしてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 貢献をしていきたいといったところも重要な答弁ではないかなというふうに思います。

 アメリカと日本のサイバーセキュリティーに関する考え方というのは、やはり大きな開きがあるというふうに思います。

 皆さんも御存じのように、アメリカというのは、サイバー戦略は、陸海空それから宇宙に続く第五の戦場というふうにも位置づけられているわけであります。私は、こうしたところを考えると非常に憂慮するところが多いんです。

 防衛省藤丸政務官、きょうはお越しいただいています。後でちょっと質問させていただきたいんですけれども、きょうは、私は今まで、サイバーセキュリティーの日本における研究機構の演習が、日米同盟のもとで、アメリカのサイバー戦略にひいては結びついていくことになるんじゃないかということで防衛省や総務省とお話をしてきたんです。例えば、こういう大学とか研究機関、機構などの演習やあるいはその知見などが、これは軍事的に、それから海を渡って他国の防衛戦略に組み込まれることが私はあってはならないというふうにも思うわけなんですけれども、先ほどから政務官はお聞きになっておられるので、最後に御所見があればお伺いしたいというふうにも思います。

 アメリカのサイバー戦略では、サイバー空間を新たな戦場と規定した、これは大きいですね。それから、サイバー兵器を持っている、既に活用したことがある。それから、軍事力を使った武力報復について、いわゆる実行ですね、実力行使、これについては、直接の言及はないものの、その可能性を排除していない。

 これは、日本の防衛省も総務省もそういう立場をとりませんね。サイバー攻撃、サイバー兵器を使ってサイバー攻撃をする、言ってみたら、目には目を、それ以上のものなんですけれども、サイバー兵器を使って粉砕する、そうしたアメリカの立場と日本の立場は異なると思いますけれども、これはどなたかお答えできますか。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

前田(哲)政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御説明しましたように、日米間においてサイバーセキュリティーの強化に必要な範囲で必要な情報共有を行っていく考えでございますけれども、米国はサイバー空間における敵対行動に対しましても、当然のことながら、国際法等々のルールにのっとって対処をすることになるもの、このように考えてございます。

田村(貴)委員 藤丸政務官、お越しいただいております。私、今ちょっと議論してきましたけれども、政務官の御所見があればお伺いしたいと思います。

藤丸大臣政務官 サイバーの問題は重要な問題であると認識しております。また御指導のほどをよろしくお願いします。

田村(貴)委員 研究機構のそうした知見などが利用されることが絶対ないといったところの答弁は、担保はなかったというふうにきょうは理解をいたしました。

 インターネットの通信機能を悪用して、コンピューターやあるいはネットワークに不正に侵入してのデータの破壊それから読み取りなどの攻撃活動というのは、これはもう全世界的に広がっているわけであります。国民が安心して暮らせる安全な社会を実現するためには、サイバーセキュリティー対策を重視し、それをちゃんと進めていく、これは本当に大事である、私もそういうふうに認識しております。

 しかし、日米軍事同盟のもとで、我が国のサイバーセキュリティー戦略がアメリカ側のサイバー戦略に組み込まれていくおそれがある、こうしたことはしっかりと見ておく必要があるのではないかなというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次に、IoTについて伺います。

 電気通信技術の開発実証施設、テストベッドやデータセンターの整備に情報通信研究機構が債務保証し助成するという中身でございます。

 単刀直入にお伺いします。このテストベッドを実際設置するのは、一体どういうところなんですか。どういう規模の事業所なんでしょうか。

南政府参考人 改正法におきまして助成金交付の対象と考えておりますテストベッド整備主体と申しますのは、あくまで民間の事業者でございますけれども、電気通信事業者でありますとか大手のICTベンダーなど比較的規模の大きな民間企業にとどまらないで、例えば、地方公共団体自身が設置される場合、あるいは一般社団法人、第三セクター等、さまざまな形態を想定しているところでございまして、これは整備主体ということでございます。

 利用する主体としては、できるだけ多種多様な、中小企業でありますとかベンチャー企業などが含まれてくるものというふうに想定しているところでございます。

田村(貴)委員 莫大な設備投資をしますので、これはやはり、今いろいろなパターンがあると言われましたけれども、民間大手それから大手ベンダーといったところで理解しておってよろしいですか。

南政府参考人 私どもが現在参考にしておりますのは、沖縄に一件だけ民間のテストベッド事業というのがございますが、これはまさに一般社団法人の形で、自治体さんも関与されたような形で運営をされている形態が一件ございますので、多分これからさまざまな形態、民間事業者が主導して行われるケース、あるいは自治体さんが関与されるケース、さまざまな形態が出てくるというふうに考えております。

田村(貴)委員 今、沖縄オープンラボラトリの話を聞きましたけれども、これから全国的に十カ所ほどつくっていかれる。その十カ所の地域も含めて、テストベッドを利用したい、そういう事業者の要望というのはどの程度上がっておられるんでしょうか。

南政府参考人 お答えを申し上げます。

 この民間テストベッドの整備に関するニーズとしましては、私どもが前例として参考にしております一般社団法人沖縄オープンラボラトリともいろいろお話し合いをさせていただいておりまして、沖縄の方でも、設備の更新ですとか増強というものについて助成が受けられないかという相談を実際にもいただいておりますほか、ICTのベンダーでありますとかセキュリティー関係の団体その他さまざまな団体から、具体的なお問い合わせ、御相談がもう既に寄せられているところでございます。

 情報通信審議会の中におきましても、多くの委員あるいは部外の有識者の方々から、整備、活用に対するさまざまな御意見、アイデアというものも寄せられているところでございまして、IoTが進んでいく中にありまして、できるだけ多くの仲間づくりをしていくための常設の場というものに対する潜在的ニーズというのは、これからさらに高まってくるというふうに考えているところでございます。

田村(貴)委員 どの程度需要があって、どの程度展開されるかというのは、未知数であるというふうなところだと思うんです。

 それから、データセンターも、設置していく、あるいは設備のインフラを整えていくのは大手通信事業者等々になってくるとは思うんですけれども、このデータセンターの分散促進では、既に地域分散化促進税制がありますよね。この実績というのはどうなっているんでしょうか。

福岡政府参考人 お答えをいたします。

 今御指摘のデータセンター地域分散化促進税制でございますが、平成二十五年度にこの税制を創設してございますが、平成二十七年度末までに当該税制の適用を受けましたのは一件でございます。

田村(貴)委員 そういう支援措置があったんだけれども、実績はわずか一件だったと。その検証もなく、新たにまた支援措置をつくるというのは、なかなか理解に苦しむところであります。

 本来、こうした施設の整備については、企業自身が進めていくべきではないでしょうか。テストベッド、データセンターともに、実際に行っていくのは、NTT、NTTコミュニケーションズ、NEC、日立製作所、富士通、ソフトバンクなど上場大手のITベンダーや通信事業者であります。

 この設備に対する機構の債務保証、助成金の交付は、機構の信用基金の余剰金約五億二千万円と運用益九千万円から行われるわけでありますけれども、信用基金というのは日本政策投資銀行からの出資金等々で構成されています。原資は、国民の税金によるところの基金であります。中小企業やベンチャーを支援するのではなくて、大企業へのまたさらなる支援であることの中身であるといったことも指摘せざるを得ません。

 そうしたことを指摘して、この法案についての質疑を終わりたいと思います。

 次に、オスプレイの配備と地方自治の問題について伺っていきたいと思います。

 アメリカ軍の輸送機オスプレイの配備及び飛行訓練については、全国多くの自治体、議会、住民を巻き込んで、大きな問題となっています。

 普天間基地への配備では、沖縄県の全ての自治体が反対決議を上げて、建白書が官邸に届けられました。飛行訓練下の全国多くの自治体の首長からも懸念の声が出され、多くの議会からは意見書や決議も上げられてまいりました。それは、横田であっても、木更津であっても、私の暮らす九州のイエロールート直下の自治体であっても、たくさんの懸念の声を自治体の首長あるいは議会、住民から聞いてまいりました。

 民間空港への配備が迫られている佐賀県では、佐賀空港問題等特別委員会が県議会に新たに設置されるという事態にもなっています。

 このように、オスプレイの配備、訓練は地方政治における重大な問題となっており、まさに地方自治の問題でもあります。

 こうした中で、三月二十八日、藤丸政務官が佐賀市で行った講演が大きな波紋を投げかけています。それで、私も同僚議員と、防衛省に対して、その政務官の発言の真意を確認させてくださいと言ったんですけれども、これは議員個人の御発言なので取り合ってくれませんでした。佐賀県の自治体側からの問い合わせに対しても、防衛省の回答はそうでありました。中谷防衛大臣は、政務官の発言を会見の中で打ち消されました。それから、講演から一週間以上たっても、佐賀県、佐賀県民に対して、防衛省からも、そして政務官自身からも説明がされていません。

 毎日、佐賀県ではこの問題が大きく報じられている中、防衛省と政務官、どれを信用したらいいのかと佐賀市長が不信感を表明した、こういったことも報道されています。

 佐賀県はこの問題で大きな騒動となっているわけですけれども、地方自治の大事な問題で、そして政府の考え方を緊急にただす必要性があると思い、ここであえて質問をさせていただきます。

 政務官、よろしくお願いします。

 最初に、基本的なことをお伺いします。

 防衛省が佐賀空港にオスプレイの配備を二年にわたって要請してきましたけれども、県民の同意は果たして得られているでしょうか。

 一月十九日、我が党の仁比聡平参議院議員が参議院予算委員会で安倍首相に尋ねました。安倍首相は、現時点において地元の理解は得られていないと認識していますと答弁されました。過去二回、同じ答弁をされています。

 政務官も同じ認識だと思いますけれども、いかがでしょうか。

藤丸大臣政務官 お答えいたします。

 三月の二十八日に講演をいたしました。その際の私の発言が、これまで防衛省から地元に説明させていただいている内容と異なった見解を示したものとして受け取られまして、地元をいたずらに混乱させてしまったことを深く反省しているところでございます。

 私の発言としては、あくまでも、佐賀空港とその周辺の地域の振興を切に希望する国会議員としての立場から希望を申し上げたものでありまして、地元への思いを発言したものでございます。

 防衛省の見解とは異なる内容の発言があり、いたしまして、佐賀県の関係者の方々をお騒がせし、御迷惑をおかけいたしまして、深くおわびを申し上げさせていただくとともに、今後、公の場における発言については厳に慎んでまいりたいと思います。

 先生からの、今、御理解をいただいているのかということでございますが、これから理解をしていただくことを努力したいと思っているところでございます。

田村(貴)委員 安倍総理は、現時点で地元の了解は得られていないと認識していますと。政務官も同じ認識ですかと私は尋ねたんですけれども、いかがですか。

藤丸大臣政務官 はい、同じでございます。

田村(貴)委員 そうだとおっしゃるんだったら、なぜ物議を醸す発言、講演をされたのか。みんな、県民の方は困っておられます。

 政務官は、概算要求の期限を理由に挙げて、概算要求が大体八月ですよね、それで、六月議会で決めてくださいとなると発言されています。いわゆる諾否判断の時期を特定されたというふうに講演会の参加者は受けとめています。これは防衛省の正式な考え方なのでしょうか。

 政務官、いかがですか。

辰己政府参考人 お答えをいたします。

 防衛省としては、期限を決めて地元調整を行っていく考えはございません。

田村(貴)委員 政務官、そうしたら、あの講演の発言は間違いでありますね。いかがですか。

藤丸大臣政務官 そのときの発言は、六月に決めてくださいとなるという、客観的に言わせていただいたんですが、希望を言わせていただきました。(田村(貴)委員「だから、間違い」と呼ぶ)国会議員としての希望を言わせていただきまして、防衛省の正式な見解ではございません。

田村(貴)委員 政務官、だめですよ。この商工会研修会の会場に掲げられた演目、大きな垂れ幕がありますけれども、オスプレイ配備計画に係る地域振興計画について、防衛大臣政務官藤丸敏、ちゃんと書いてあります。それから、その写真が大きく新聞に載っています、報道されています。

 そして、最後に政務官は、政務官であるが、国会議員として来た、やってきたと述べて、政務官であることを自認されているんですよね。ですから、一個人として要望を述べたというのは、これはちょっと通らない話であります。どうなんですかね。

 もう一つお伺いしたいと思います。環境アセスの発言であります。

 三十五ヘクタール以上だと環境影響評価をしなければいけない、僕は全部買えよと言っている、でも、全部買うと調査をしなければいけない、一部買って、また次考えるというふうにしていいんじゃないかと言っているわけです。

 これは重要問題ですよね。三十五ヘクタール以上だと佐賀県の環境アセスでアセスしないといけない、だから三十ヘクタールを買うんだと。その手のうちを見せたような考え方。

 防衛省は、佐賀県の条例に定められた環境アセスの抜け道を探していたんですか。一部を買って、追加して購入する計画なんですか。しかと答えていただきたいと思います。

辰己政府参考人 お答えいたします。

 防衛省としては、佐賀空港の西側に、駐機場や格納庫などを含む約三十ヘクタールの施設整備を念頭に置いて検討を進めているところであって、将来的な施設規模の拡大は考えておりません。

 環境影響評価の手続につきましても、当然その条例に従い、適切に進めていく考えでございます。

田村(貴)委員 それ以上の計画は考えていないと。しかし、政務官は、政務官として、それ以上、全部買えよ、そして、買ってまた次追加と言われているわけですよね。今の答弁とは全く食い違います。

 政務官、そのときの御発言、講演も、これは誤りですね、間違いですね。お答えください。

藤丸大臣政務官 そのときの講演では、まず初めに、きょうは防衛省を連れてこなかったのは、政務官ではありますが、国会議員として来ましたと。私は皆さんの味方で、佐賀県がよくなることを考えていますと。そういう上で、そのような発言は、私の隣ですから、地域が……(田村(貴)委員「私もそうなんです」と呼ぶ)はい。私の上も、福岡空港、飛行機いっぱい飛んでいきますので、いつも。そこで、そういう希望を、国会議員としての、地元を考えて希望を言わせていただきました。

 ですから、間違いです。

田村(貴)委員 佐賀新聞の論説記事があるんです。お読みになったと思うんです。大きいですよ、社説並みに書かれていました。議員の発言では通らぬ、発言の主は防衛省の政務官であり、大臣、副大臣に次ぐナンバースリーの立場だ、私的な発言だったらいいという言い逃れは全く通用しないと。

 これは県民の思いを代弁しているじゃないですか。この期に及んでまだ、個人的な見解、要望だとおっしゃるんですか。発言要旨は、地元紙それから全国紙の地方版にも全部紹介されています。後追いで載せている記事もあります。それをみんな読んでいるんですよ。

 私も防衛省に真意を確認したいと言ったら、それはもう藤丸議員の発言ですから一切お答えするわけにいかない、わざわざペーパーまで持ってこられたんです。佐賀県の自治体もこれで苦しんでおられるんですよ。だから、あのときの発言については、政務官としての発言だったら誤りだとお認めになるべきじゃないですか。

藤丸大臣政務官 申しわけありません。政務官としてうかつでございました。おわび申し上げます。

田村(貴)委員 これは本当の話なのかなといったことについてもお伺いしたいと思うんですけれども、防衛省の佐賀空港の施設整備費等関連予算というのがあります。総額で百五億八千万円でありますけれども、この内訳については、佐賀県側が幾ら求めても、詳細は明らかにされてきませんでした。

 政務官が行ったこの講演会では、スライドに投影されたというふうにも報道されているんですけれども、一覧表が出ております。そして、一覧表はもう発表されています。百五億八千万円の中に、用地取得費十四億円、それから移転等補償費一億九千万円、調査費二億四千万円、敷地造成費、一期工事七十五億九千万円、これは防衛省内の人じゃないとわからない話ですよ。しかも、三役クラスじゃないとこうした中身についてはわからないと思います。

 これはどうなんですか。正規の防衛省の内訳であるんですか。政務官、どうなんですか。

辰己政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としては、二十七年度に、今おっしゃった百六億円を計上しているところでございました。しかし、その内訳については、特に用地取得につきましては、地権者との交渉に支障を及ぼすおそれがあることから、その経費についてお答えすることは差し控えたいと思っております。

田村(貴)委員 差し控えたいと言うんですけれども、具体的に出ているわけですよ。私が今申しましたように、この内訳を足したら百五億八千万円。しかも、会場ではわざわざこの表が掲げられた。だから、みんなこれを知っておるわけですよ。びっくりしたわけですよね。

 だから、これは政務三役、政務官でないと知らないという情報ですよ。幾ら佐賀県側が求めても明らかにされなかったことを、政務官であるから知り得た情報だからおっしゃったわけなんですよね。これは一議員だったらわからない話ですよ。だから、これは本当のことなんだなというふうに私は思います。

 それから、政務官、私はもう本当にびっくりしたんですけれども、講演では有事のことまで言及されています。簡単に戦争にはならないし、最悪のことがあっても、ここは基地ではない、基本的に首都をたたくから、余りこちらには来ないだろう、危険度は増すことは多少あるかもしれないがと。

 びっくりしましたね。島嶼防衛じゃなかったんですか。

 戦争という言葉を出されています。佐賀空港にオスプレイを配備したら、これは戦争につながるんですか。最悪の事態が想定されるんですか。そして、危険度が増すことになるんですか。これは大事な問題です。政務官、お答えください。

藤丸大臣政務官 済みません。本当にうかつでございました。大変申しわけありません。関係県市に対して大変御迷惑をかけまして、申しわけないと思っているところでございます。

田村(貴)委員 それは、撤回されるんですね。今まで述べてきた発言についても撤回されるということでいいですか。政務官。

藤丸大臣政務官 はい、そのとおりでございます。(田村(貴)委員「撤回するんですね」と呼ぶ)はい。

田村(貴)委員 V22オスプレイが十七機に加えて、自衛隊目達原基地からのヘリコプター五十機を加えた七十機が配備される、それから七百名から八百名の隊員が来る、いきなりおととしの夏にこういったことが打診されたんです。それから、沖縄米海兵隊による訓練の一部まで移設する話が、この間まであったわけなんですよ。

 空港が接する有明海というのは、佐賀の名産、ノリの漁場でもあります。大臣、お詳しいですね。それから、デリケートな海の養殖には被害は出ては困ると漁民の方が本当に心配されている。それから、墜落の危険性はないのか、騒音による生活への影響は。佐賀県と地元の間では、自衛隊と共用しないという合意確認文書まである。それを知らずに防衛省は言ってきたんですよ。

 こうした佐賀県民の驚きと不安、戸惑いの声を政務官としてどう受けとめておられるでしょうか。

 三月二十八日の講演、発言以降、政務官はこの件について会見もなければ、それから佐賀に対して釈明したという話も聞いておりません。きょう初めて、御自身の言葉として私お伺いしました、この講演の内容が防衛省の考えであることではないと。その真偽はさておき、政務官としての発言を大臣が否定しました。政務官は大臣から注意をされています。事実です。防衛省は政務官の発言を省の考えとしていないといったことも、きょう明らかになりました。

 だとするならば、政務官、政務官自身の御発言に対して、その責任と見識が今問われていると私は考えます。佐賀県を初めとする自治体、関係団体、それから佐賀県民に対して、ちゃんと説明責任を果たすことが今求められているのではないでしょうか。いかがでしょうか。

藤丸大臣政務官 これから精進してまいりたいと思っているところでございます。きちんと説明したいと思っています。

田村(貴)委員 政務官、政治家として、やはり三役として、それはだめですよ。やはり、誤りは誤り、撤回するなら撤回する。

 それから、今からどうするのかといったことが求められているんです。真意が聞きたいんですよ。オスプレイが来る、どうするんだ、困ったと佐賀県民も自治体も議会も今大騒ぎですよ。答えられるんですかということをお伺いしているんですけれども、釈明されますか。みずからの言葉で説明されますか。それをもう一回確認します。お答えください。

遠山委員長 簡潔に御答弁をお願いします。

藤丸大臣政務官 誠意を持って答えていきたいと思っております。

田村(貴)委員 終わります。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 きょう、もう本当にびっくりしましたね。私、総務委員会はまだまだひよっこですので、余りわかったようなことは言えませんが、歌を歌う、歌を歌っていいということが、総務委員会は歌を歌っていいんだということがきょう一つわかりました。ありがとうございます。

 それからもう一つは、今、共産党の田村委員が、緊急性もない、地方自治と全く関係ないオスプレイのテーマを延々と質疑されました。これができるんだったら、国会というのはもう何でもありだなと。本当はありがたいことでありますが。

 ただ、委員長、私、遠山委員長には心から尊敬と敬意を、尊敬しておりますし、また、委員会運営について、遠山委員長は大変心を砕いて、最大の御努力をしていただいていること、敬意と感謝を申し上げたいと思いますが、少なくともここに並んでいる民進党と共産党と社民党、この三党は、国会はもう何でもあり、もう何でもありだということがよくわかりました。だから、今後、私が何をやっても、決して民進党の理事は、委員長に何か、立ち上がって駆け寄って何かおっしゃることがないようにぜひお願いをしたい。もう何も言えません、彼らは。

 特に、オスプレイの問題を共産党は取り上げられましたが、大体、この民進党、今、安保法案の廃止法案を出されていますね。きょうからTPPの特別委員会が始まりましたが、大体、この廃止法案が対案だというのがおかしいと、委員長、思いますよね。まあ、委員長に聞いてはいけませんね。

 大体、廃止法案が対案だと言って胸を張っている民進党というのは━━━━━━━と思いますね、本当に。━━━━━━(発言する者あり)━━━━━━━━では、うそつきと言ったらいいんですか。うそつき、うそつき、うそを重ねていると、山尾さんが、山尾政調会長が、何かきのう、本会議でうそつきと十回ぐらい言っていました。うそはいいんですか、うそは。━━━━━━━━━━

 委員長、ちょっと、これは理事会で検討してくださいよ。どういう言葉はいいか。

遠山委員長 足立委員に申し上げます。

 御発言につきましては、良識の範囲内で、また、議題に沿って質疑をお願いしたいと思います。

足立委員 本当に遠山委員長の御苦労は、心から敬意と感謝を表したいと思いますが、民進党の対案というのは、要すれば、安全保障法制、去年の安全保障法制に対する対案ですよ、廃止法案と言っているんです。

 ところが、本当に民進党というのはどういう政党かわかりますか、皆さん。

 彼らが野党のとき、〇九年に政権交代するまでに、もちろん、毎年のように自衛隊法改正はありました。でも、重要な安全保障に関する法案が大体二年に一度、自公政権で提出をされました。海賊対応だとかPKOだとかいろいろなものがありましたが、全て民進党は反対、全て反対したんです、共産党と一緒に。民進党と共産党は、全ての重要法案に反対したんですよ。

 その民進党が政権をとった。民主党と民進党はイコールですからくれぐれも誤解なきように。その民進党が〇九年に政権をとったときに、彼らはどうしたか。今まで反対していた法案全てをそのまま修正することなく執行したんですよ、三年間。その三年間の間、民進党は一切の修正法案は出しませんでした。前向きな法案も一切出さない、後ろ向きの法案も一切出さない。(発言する者あり)気持ちはわかるでしょう。

遠山委員長 静粛にお願いします。

足立委員 民進党は、そうやって反対をし続けた法案、法律に乗っかって三年間政権運営して失敗したんですよ。

 そして、去年の安保法制。去年の安保法制に、結局、採決に加わらないで暴力を振るって、そしてプラカードを掲げて邪魔ばかりした。特に、おおさか維新の会が対案を出して、日米同盟を基軸に抑止力を高めていくためには、政府・与党の法案がいいのか、おおさか維新の会の法案がいいのか、これをぜひ議論したいと言ったら、民進党と共産党が邪魔する邪魔する。そして、プラカードを掲げて一切の議論を前に進めなかったんですよ。

 その結果、今、しかし、政府・与党も御苦労があったわけですが、法案は成立した。でも、我々は今も対案を示しています。対案をしっかり議論しろと言っている。ところが、━━━━━━━━━━━━━━━━━━今何をしてきているか。廃止法案ですよ、廃止法案。立つなよ。邪魔だから。

 民進党というのは、結局、反対をして、反対をして、反対をした法案の上で三年間政権運営して、また反対をして、今度は廃止法案をもって対案だと言っているんですよ。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 この民進党と……(発言する者あり)いや、しかし、自民党の皆さん、この総務委員会、遠山委員長が中心になってこの総務委員会をしっかりと運営しようということで御努力をされてきているのを、その御努力をされてきているのに対して……(発言する者あり)

遠山委員長 御静粛に。御静粛にお願いいたします。

 足立委員、足立委員に申し上げます。

 質疑者は、まず、不規則発言に対して答えないようにしていただきたいと思います。また、足立委員には、先ほど申し上げましたとおり、国民の代表として、立法府の委員会にふさわしい良識の範囲内で、適切な表現に十分配慮して御発言をいただきたいと思います。

 また、議場内の委員の皆様におきましても、委員会運営につきまして御協力をいただきたいと思います。

足立委員 いや、私は、委員長、委員長のお考え、また御努力、よくわかります。しかし、それを破っているのは民進党と共産党なんです。それを放置することはあかんので、民主党と共産党が言っていることを放置すると何が起こるかというのを私が示してあげているだけなんですよ、こういうことになりますよと。民主党と共産党が言っていることを認めたら、日本の国会はむちゃくちゃになりますよ、日本の国もむちゃくちゃになりますよ。実際に、あの民主党政権の三年間で、福島も沖縄もむちゃくちゃになったでしょう。それを私は皆さんにわかるように言っているんです。それだけですよ。

 大体、歌を歌っていいんだったら、何でもいいでしょう。違いますか。だから、その辺をやはりみんなしっかりしましょうと言っているんです、僕は。いや、歌はいいですよ、まだ。歌はまだウイットというもので、私はそれはいいことだと思いますよ。むしろ積極的に評価しますよ。

 しかし、この民進党と共産党が、安全保障法案について、廃止法案を出してあたかも対案を出していると胸を張って、そしてこの大事なサイバーセキュリティーに関する議論、私も、これは、皆さん、私きょう五問通告しています、五問。サイバーセキュリティーに係る総務省の取り組みはどうなっているんだ、サイバーセキュリティーに係る業務を、NICTが一番それが適当なのかどうか、また、年金情報流出を背景に始まった個人情報の問題、マイナンバーの取り扱いを今、年金についてはおくらせている、これについてどうするべきか、また、年金だけじゃない、医療や介護といった社会保険に係るサイバーセキュリティーは大丈夫か、また、さらに言うと、私の事務所を含めて零細企業でもマイナンバーをこれから取り扱いますが、このセキュリティーどうなんだということを、きのうもみっちり事務方に通告をした上で準備をしてきていますよ。

 しかし、共産党、ふざけていますよね。だって、何問か法律の議論をしたのを言いわけにして、私たちは法律の議論をしましたよということを言いわけにして、緊急性もない、地方自治にも全く関係ないテーマを延々として、ここで政府の防衛政務官に頭を下げさせる。これは国会の規律ですか、それが。

 私は、共産党がきょう法案について質問したのは、単にそれは言い逃れをするための証拠づくりであって、本質的にきょう共産党は法案の審議したくなかったんです。共産党はきょう防衛政務官の追及をしたかったんです。でも、それは総務委員会の法案審議の場でやることですかと私は言いたいんですよ。

 もしこの委員会が、もし国会が、政府・与党が、こうした民進党や共産党のこういうふざけた取り組み、自分たちが反対をし続けた法案に乗っかって政権運営をして失敗した、自分たちがプラカードを掲げて反対した法案の廃止法案をつくる形で、それを対案だと言う、そういうことを、私が申し上げているのは、民進党や共産党が言っていることを国会が、この国権の最高機関である国会が受け流したら、私が今やっているようなこと、私が今やっているようなことは私も問題あると思いますよ、委員長。

遠山委員長 足立委員に申し上げます。

 足立委員におかれましても、足立委員の質疑の時間の中で、議題の範囲内で議論をしていただき、できれば、御通告をいただいている質疑を続行していただきたいと申し上げます。

足立委員 私は、きょうこのテーブルにお座りいただいている尊敬する先輩政治家の皆さん、委員の皆様、そして何よりも遠山委員長、そして政府の関係各位には、この場をおかりして心から謝ります。

 きょうは法案審議です。法案審議だけれども、法案審議をした証拠だけ一、二問つくった上で、全く関係ないオスプレイの問題をやったのは共産党ですよ。それを許してしまったんです、この国会は。

 私は、遠山委員長はもう一二〇%御努力されたと思いますよ。また坂本筆頭理事も一五〇%御努力されたと思いますよ。悪いのは民進党と共産党です。民進党と共産党のような取り組みをこの国権の最高機関が、国権の最高機関である国会が認め続けたら、この国はだめになります。私みたいな議員がいっぱい出てきますよ。

 だから、私は、私のやっていることがおかしいということはわかっています。わかっていますけれども、私がわからないのは、なぜ民進党や共産党のような取り組みが認められて、私が今やっていることは認められないのかわかりません。

 もし国会が、もし国民が、もし政治家の皆さんが、衆議院議員の皆さんがきょう民進党や共産党が手をつないでやっていることを看過したら、私みたいな、きょうみたいなことになりますよ。

 私、きょう二十分いただいています。まだ法案の質疑をしていません。一応しましょうか。

 しかし、私が皆さんに訴えたいことは……

遠山委員長 足立委員に申し上げます。

 質疑をぜひ行っていただきたいと思います。

足立委員 私は遠山委員長を尊敬していますので、やります。やりますが、皆さんにぜひ理解してほしいことは、民進党や共産党が手をつないでやっていることを看過したら、国権の最高機関、国会の規律はなくなります。それだけ申し上げておきます。

 さて、どなたに通告しているか、内閣府かな。

 マイナンバーが今動き出しています。マイナンバーが動き出している中で、年金だけとまっています。それは、去年、年金情報の流出があったからです。

 私は、なぜおくらせているかわからないんです。なぜおくらせているんですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 昨年の通常国会におきまして、個人情報保護法とマイナンバー法の一部改正法案が審議されていた際に発生した日本年金機構からの年金情報流出事案を受けまして、議員修正により、本年一月に予定されていた日本年金機構におけるマイナンバーの利用開始時期を政令の定める日まで延期する旨の規定が議員修正により置かれたものと承知しております。

足立委員 だから、自公政権はこんなことやりたくなかったんですよ。ところが、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━修正法案を出したんですよ、民進党が。

 内閣府、これは合理性はありますか。

向井政府参考人 先ほど申し上げましたように、議員修正でそういう修正がなされたということがございますが、一方で、特定個人情報の保護には万全を期しているところでございまして、マイナンバーが漏えいしたからといって、直ちにマイナンバー、個人の権利義務に関係するようなことはございません。

 ただ、マイナンバーが大量に漏えいすれば、制度に対する信頼が損なわれ、国民の方々にも不安が広まることから、日本年金機構における情報管理の安全性が確認されるまで、日本年金機構におけるマイナンバーの利用を延期するという御判断をいただいたものと考えております。

足立委員 だから、合理性があるのかと聞いているんです。私は合理性はないと思いますよ。合理性があるかどうか、イエスかノーか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 その当時の国会の議論、国民の、あるいは報道等を判断いたしまして、私どもとしては、国会の御趣旨に従って、そのときの議論に従って判断してまいりたいと思っております。

足立委員 年金だけおくらせることによって、国民には大変な負担を強いています。役所もそうです。

 しかし、これは何の意味もありません。また時間があったらゆっくりやりますよ。ただ、何も意味ありませんよ、これは。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━こういうことになっているんですよ。いいですか。

 とにかく、私が知る限り、民主党、民進党、共産党がやっている仕事で国益になっていることは一つもありません。

 大体、今、きょうからTPPの特別委員会が始まりました。それも、きのうから何か黒塗りの紙が、黒塗りの資料がどうだこうだということを民進党と共産党が騒いでいます。特に民進党だ、特に民進党が騒いでいますが、あれのてんまつを国民の皆さんはわかっていますかね。

 あれはこういうことですよ。民進党が、交渉が行われている最中に何も言わずに、普通はヨーロッパのいろいろな市民団体とかは交渉中に資料を出せと言うんですよ、議論をしたいから。でも、民進党は、交渉中はずっと黙っていて、交渉が終わって、いよいよテレビが入る、いよいよきょうテレビが入るとわかった途端に、その前日に黒塗りの紙を出させて、資料を出せと言った民進党が。ただ、政府は出せないと言ったんです。機密保持契約があるからですよ。政府は出せないと言った。それに対して、民進党は、何でもいいから出せと言ったんです。何でもいいから出せと言ったんです。仕方ないから全部真っ黒のものを出したんですよ。そうしたら、民進党が、出せばいいというものじゃないと言っているんですよ。

 おかしくないですか、民進党。こういうのを本当に何と言うか。揚げ足取り、レッテル張り、お芝居なんですよ、単なる。テレビが入る前日に騒ぎを立てて、カメラに映る黒塗りの紙を取り立てて、それをカメラに、きょうもこれから多分テレビで民主党は映しますよ、この黒塗りの紙を。これは民主党の、もう学芸会です、学芸会。国会の尊厳も、国会の規範も、国権の最高機関としての地位も全くないがしろにしているこうした民進党と共産党のばかばかしい行為については、看過してはいけない。

 きょう私の質疑も、一問しか質問していませんが、これも申しわけないと思います、国民の皆様、委員長に謝りますが、私がこうでもしないと民進党、共産党のばかばかしさを国民に御理解いただけないと思い、質問をさせていただきました。

 大変にありがとうございました。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 今回の法改正について、何点かお聞きをしたいと思います。

 いわゆるNICTの業務に、行政機関や重要インフラ事業者などの演習、訓練などを加えるというような施策が盛り込まれていると承知をしております。

 昨年は、既に話も出ましたけれども、日本年金機構に対する標的型攻撃によって約百二十五万件の個人情報が外部流出するといった大変大きな問題が起こりました。マイナンバー制度、大変今混乱をしておりますが、これもスタートしておりますし、それからビッグデータの活用、その是非は別としても、議論をされている中で、サイバーセキュリティーというものは、国、民間問わず対応が迫られている課題だというふうには承知をしております。

 そこで、最初に、政府機関についてのお話は先ほど質問の中でも出ましたので、いわゆる重要インフラを担う民間事業者へのサイバー攻撃の件数、どの程度あったのか、また、その結果としての情報流出などの被害が生じた件数はどの程度だったのか、御説明をお願いいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、通信、電力、鉄道等十三の分野を重要インフラ事業者等としておりますけれども、こうした事業者等から各所管省庁を通じてNISCに報告された情報連絡の件数でございますが、平成二十六年度は百二十四件でございます。

 このうち、実際に被害が生じたものといたしましては、情報の漏えいが九件、情報の破壊が十四件、ウエブサイトの閲覧障害等が三十八件となっておりまして、攻撃は一層深刻化、巧妙化をしてきているというふうに認識しているところでございます。

吉川(元)委員 通告していないんですが、ちょっとだけ確認させてほしいんですが、いわゆる大学等々というのはこの重要インフラというところに入るのか、それとも政府、行政機関の中に入るのか。その確認だけさせてください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 大学等につきましては、大学自治等との関係もございますので、今申し上げた重要インフラというところには入ってございません。

吉川(元)委員 それでは、新聞報道なんかを見ますと、NICTの調査で、国内外から日本のネットワークに向けられたサイバー攻撃の関連の通信が一五年には少なくとも五百四十五億に達した、過去最高だった二〇一四年の攻撃件数から倍増したというふうにも言われております。

 恐らくこれは氷山の一角なんだろうというふうに思いますし、コンピューターだけではなくて、最近は複合機も含めてIPアドレスが割り当てられたところもありますし、そういうことの攻撃の危険性も考える必要があるんだろうと思います。

 聞き及ぶ範囲でいえば、ネットワークやコンピューターに侵入できる欠陥、いわゆるソフトの脆弱性をついたものが大半と言われておりますが、中には、一度に大量のデータを送りつけてホームページをダウンさせる、これはよく、時々新聞なんかもにぎわせておりますけれども、DDoS攻撃も見落とせなくなっていると承知をしております。

 近年のサイバー攻撃の特徴というものがあれば、ぜひ教えていただければと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 最近のサイバー攻撃の特徴でございますけれども、委員御指摘のとおり、大量の通信を集中させてウエブサイト閲覧障害等を起こすいわゆるDDoS攻撃、それから、いわゆる特定の者に対してメールを送って、そしてマルウエアに感染させる標的型メール攻撃、こうしたものが非常に深刻化をしてきております。

 また、最近、諸外国も含めて起きておりますが、ランサムウエアによるものでございまして、いわばパソコンの中の情報を暗号化いたしまして、そして身の代金としてビットコイン等を要求する、こうしたものも最近は出てきている、こういう状況でございます。

吉川(元)委員 恐らく、どのようなネットワークも、それからコンピューター、それから複合機も含めて、攻撃の危険と隣り合わせという状態なんだろうというふうに思います。

 とりわけ、大量の個人情報を保有する行政機関や、それから、先ほど十三分野にわたる重要インフラということで、そうした民間の事業者、しっかりした防衛策を講じていく必要があるんだろうと思います。

 今回の法改正で、国の行政機関や重要インフラ事業者のサイバーセキュリティー演習をNICTの業務に追加することになるわけですけれども、これまで国の行政機関や重要インフラ事業者の演習はどのように行われてきたのか、そして、NICTは、恐らくそれぞれ事業者ごとにあるいは行政機関ごとに独自に行われてきた演習もあろうかと思いますけれども、これにどのように関与してきたのか、これについて御説明をいただきたいと思います。

南政府参考人 お答えを申し上げます。

 総務省の方で、試行的に予算事業として、CYDERという名前で実践的なサイバー防御演習を実施してまいりましたが、これは民間事業者に委託をして実施してきたところでございます。

 ただ、これを実施するに当たりまして、NICTが持っております特にハードウエア部分の演習基盤というものの提供をお願いしていたということでございますが、演習基盤の提供にこれまでの関与の仕方はとどまっておりまして、NICTの中に蓄積されていきましたさまざまなサイバーセキュリティーに関する攻撃情報に関する知見でありますとかノウハウというものを必ずしも十分に生かし切れていなかったということで、今回の改正法によりまして、そういった知見を十分に生かし切れるような体制に改めてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 これも通告していないんですけれども、ちょっと今お聞きしたいんですが、つまり、NICTが行う演習業務については、行政機関、それから重要インフラの事業者というのは必ず参加をしなければいけないということになるのか、また、非常に日々変化をしておりますから、どの程度の頻度で参加を望まれているのか。この点について、いかがでしょうか。

南政府参考人 お答えを申し上げます。

 実は、平成二十五年からこの実践的なサイバー防御演習を試行的にやってございまして、延べにいたしますと、中央省庁は全て、それから一部の自治体さん、それから重要インフラ事業者の方々、一部の独立行政法人を含めて百三十五の機関が参加をしていただいております。

 予算の範囲内で参加者を募るという形をとらせていただいておりますので、我々は強制することはありません。御要望を踏まえて予算の範囲内で実施をさせていただいていますので、最近は要望の方がふえておりまして、参加をお断りするというケースも出ているところでございます。

 今後、そういうことが起こらないように、安定的に、その対象規模も拡大できるように対策を講じてまいりたいというふうに考えているものでございます。

吉川(元)委員 昨年、先ほどもお話ししましたが、日本年金機構における情報流出案件ですけれども、大量の個人情報が流出をしてしまい、多くの方が非常に不安を感じて、また、直接ではないですけれども、これによって振り込め詐欺的なものが幾つか発生をしたというふうにも報道等でも報じられております。不審な電話があった等々が報じられております。

 この経過をたどると、厚労省に対して昨年四月二十二日に類似の標的型攻撃が行われ、百二十五万件の個人情報流出が判明した五月二十八日までの間、初動態勢はおろか、その一カ月余りの間の機構それから厚労省の双方の対応は大変ずさんだというふうに聞いております。年金という老後の生活を左右する貴重な個人情報を管理する機構、厚労省の個人情報保護に対する意識も希薄ではなかったのか、そういうふうにも感じております。

 そこで、今回のNICT、演習を実施するということでありますけれども、昨年日本年金機構を舞台にして起きた事案を例として取り上げた場合、どの程度、こうした事案に対して防衛効果といいますか、そういうものが上げられるというふうに考えておられるのか、この点についていかがでしょうか。

南政府参考人 年金機構の情報流出事案が起きました後に、実はサイバー防御演習に初めて年金機構さんも参加をしていただいたところでございます。その年金機構の事案がございましたものですから、私どもとしては、最新のサイバー攻撃の手法にのっとったできるだけ新しいシナリオを御用意するということにしておりまして、こういった年金機構の標的型攻撃というものを想定したシナリオを実は今年度は御用意して演習を実施させていただいたところでございます。

 今後とも、こういう最新シナリオを御用意して、できるだけ多くの方々に参加していただくことによりまして、何か事が起きた場合に非常に冷静にかつ適切に初動対応が行えるということで、被害の拡大を抑止できる効果というものが期待できるというふうに考えております。

 この私どもの演習に参加していただいた政府系機関、あるいは重要インフラ事業者の皆さんからの声としても、非常に実践力が身についた等々の、非常に効果的な演習だったという声が寄せられているところでございます。

吉川(元)委員 次に、年金機構のこの流出事案に関連してなんですけれども、昨年八月に検証委員会が報告を取りまとめられたということで、読ませていただきました。

 報告書の最後には再発防止の提言というものが記載されておりまして、そこで強調されているのは、人的体制の整備ということです。

 報告書を読ませていただきますと、日本年金機構においては、副理事長をトップとする形だけの情報セキュリティー体制があるだけで、全く機能していなかったことが指摘をされております。そして、判断力を持った責任者のもとにセキュリティー対策本部を設立すること、それから、緊急時に対応できるCSIRTというチームが必要だというふうにも提言がされております。

 また、厚労省の方でも、日本年金機構の業務を監督する年金局と、厚労省全体の情報セキュリティーを担当する政策統括官付情報政策担当参事官室が、非常に長ったらしい名前ですが、通称情参室というんですか、設けられています。しかし、そこのセキュリティー担当の係は、専門家でないばかりか実質一名で、事案が発生した当時はちょうどマイナンバーの制度施行のための業務も担っていたというふうにも報告されています。

 これが重要な個人情報を管理する厚労省のセキュリティー対策の実態かと思うと、ちょっとこれでは幾ら何でもというふうに思わざるを得ません。

 演習は、いずれ今回の法改正で充実はしていくんだろうと思います。ただ、同時に、行政組織においてはまず人的な体制というのを整備しないと、幾ら何でも一人で、しかも余り詳しくない人がやるなんということは、幾ら演習をしたとしても無理だというふうに思いますので、行政機関の各組織における情報セキュリティーの人的体制の整備というのが必要だと思いますし、そうしたことをきちんとリーダーシップを持ってやっていく司令塔としての役割、こうしたことはどの機関が担っていくのか、この点についていかがお考えでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の日本年金機構の事案でございますけれども、サイバーセキュリティ戦略本部におきましても昨年の八月に原因究明の調査報告書を公表させていただいておりまして、これに基づいて、政府機関における所要の措置を講じているところでございます。

 委員御指摘のとおり、政府機関におけるサイバーセキュリティー対策の強化を図るためには、そのための体制を各府省庁において整備していくことが重要だと考えております。

 このため、先月でございますけれども、サイバーセキュリティ戦略本部におきまして、サイバーセキュリティ人材育成総合強化方針というものを決定しております。

 この中で、各府省庁は、平成二十八年度に新設をいたしましたサイバーセキュリティ・情報化審議官等の主導のもと、セキュリティー、ITに係る体制の整備、あるいは人材の拡充等に取り組むこととしております。

 このように、サイバーセキュリティー政策の司令塔であるサイバーセキュリティ戦略本部のもとにおきまして、内閣官房においても、引き続き、各府省庁と連携の強化を図りながら、政府一体となってサイバーセキュリティー確保のための体制の充実に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

吉川(元)委員 ちょっとそれに関連してお聞きしたいんです。

 たくさんいろいろな組織があります。国の情報セキュリティーの取りまとめ役としては、サイバーセキュリティ戦略本部だろうと思います。個々の施策を進める機関というのが複数存在しておりまして、例えば、内閣官房が所管するNISC、内閣サイバーセキュリティセンター、それから経産省所管のIPA、独立行政法人情報処理推進機構、そして、今まさに議論しておりますNICT、これは総務省所管になっております。

 それぞれ、役割分担といいますか、あるいは各機関の連携の実態について、どういうふうになっていくのか、このあたりについての説明をお願いします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のサイバーセキュリティ戦略本部でございますけれども、サイバーセキュリティー政策の司令塔として、サイバーセキュリティ戦略の策定等、サイバーセキュリティーに関する施策の総合的かつ効果的な推進のための企画立案、総合調整を行っております。

 そして、NISCは、このサイバーセキュリティ戦略本部の事務局といたしまして、政府機関に係る不正な通信の監視、監査、原因究明調査等の事務を行っております。

 また、NISCにおきましては、IPAそれからNICTとの間において、それぞれの機関における専門的な知見の共有等の観点からパートナーシップを締結いたしまして、連携を図ってきているところでございます。

 さらに、IPAが持つインシデント対応等に係る知見を活用してサイバーセキュリティ戦略本部が行う監査、原因究明調査の事務の一部をIPAに委託することを内容とする、サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出して、御審議をいただいているところでございます。

 さらに、本日御審議をいただいておりますNICT法の改正案によりまして、NICTが行う行政機関、重要インフラ事業者等におけるサイバーセキュリティー演習について、NICTの有する演習基盤や、攻撃観測、分析で得られた技術的知見等を活用して、サイバーセキュリティ戦略本部と連携を図りつつ実施しようとするものでございます。

 今後とも、こうした関係機関と一層緊密に連携をして、我が国におけるサイバーセキュリティー対策の強化を図ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 非常に早口で、聞いていても、それぞれの組織がどういう関係を持つのかというのが非常にわかりにくいんですけれども、業務が重なったりですとか、重なる分はまだいいんですけれども、それはそっちでしょうということで、ぽこっとあいてしまうようなところが出てくるのではないかというような危惧を持ちましたので、しっかり情報共有あるいは連携を図っていただきたいというふうに思います。

 今回のサイバーセキュリティ基本法改正と並行して、情報処理促進法の改正案も審議されていると聞いております。そこでは、サイバーセキュリティーの専門家たる人材育成を目的に、サイバーセキュリティーに関する相談、情報提供、助言を行うことができる情報処理安全確保支援士という資格を創設するというふうにも聞いております。

 当面、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでの間に三万人の人材を確保したいということですけれども、この支援士というものはどういった役割を果たすことが期待をされているのか、また行政組織においてはどのように活用されていくことが想定されるのか、お答えください。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

前田(泰)政府参考人 お答え申し上げます。

 情報処理安全確保支援士でございますけれども、サイバーセキュリティーに関する高度でかつ実践的な知識あるいは技能、経験を持つ専門人材を想定しております。

 情報処理安全確保支援士は、政府機関あるいは情報インフラの事業者あるいは重要な情報を保有する企業のユーザー側及びこれらにサイバーセキュリティーサービスを提供するベンダー側、双方において活用が期待されているところでございます。

 行政機関におきましてどのようなサイバーセキュリティーの専門人材を活用するかにつきましては、先月取りまとめられましたサイバーセキュリティ人材育成総合強化方針において具体化されると思いますけれども、この支援士の積極的な活用も含めまして、ぜひお使いいただければというふうに思っております。

吉川(元)委員 そうしましたら、次に、NICTの業務体制について、ちょっと二点ほどまとめてお聞きしたいと思います。

 一つ目は、NICTというのは、ICT分野の基礎的、基盤的な分野の研究開発という役割を担っております。今回、演習というものがまた業務として加わっていくわけでありますから、そうなった場合の機構の人的体制やあるいは組織図はどういうふうに変わるのか、基礎的、基盤的な研究がおろそかになるということがあっては本末転倒だというふうに思いますので、この点をまず一点お聞きしたいということ。

 それから、NICTのホームページを見ますと、二〇一四年度事業報告書では五百七十七億円の繰越欠損金が計上されております。これは、中身はどういうものなのか。それから、中長期目標でも、「繰越欠損金の着実な縮減」、これは総務省と財務省でつくられた目標ということになるのかと思いますが、これは具体的にどのようにその計画を進めていくお考えなのか。

 この二点についてお聞きします。

南政府参考人 一問目の御指摘につきましてお答えをさせていただきます。

 今回、演習業務を追加するに当たりまして、ICT分野の基盤的、基礎的な研究開発を行うという機構本来の役割に支障を来すことがあってはならないというふうに考えておりますので、必要な財政措置を含めて、総務省として十分に留意しながら進めたいと思っておりますし、受け入れ体制の強化につきましても、今般の業務追加を受けまして、NICTの中にこの演習業務を専門的に行う組織を新たに整備するなど、具体的な準備を進めてまいりたいというふうに思っております。

富永政府参考人 御指摘の二点目についてお答え申し上げます。

 情報通信研究機構の民間基盤技術研究促進事業、これは、情報通信分野の基盤技術研究を促進するということで、広く民間企業から研究開発課題を公募いたしまして、研究開発を委託する事業でございまして、平成二十二年度からは新規案件の募集を停止しております。

 この事業では、研究開発委託費がまず一括して費用として計上されまして、繰越欠損金として累積されます。研究開発終了後に、研究開発の成果物である製品等に係る売り上げが生じた際に、その一部を納付してもらうスキームとなっております。

 しかしながら、企業を取り巻く事業環境の変化などによりまして、製品等の売り上げによる黒字化のめどが立たなくなったことなどから、平成二十六年度末時点では、繰越欠損金といたしまして累積された額が約五百七十四億円となっております。

 総務省では、今年度からの新たな中長期目標におきまして、NICTに対しまして、繰越欠損金の着実な縮減に向けた取り組みを指示してございます。

 NICTでは、この目標に基づきまして、今年度からの中長期計画におきまして、経営、知的財産等の各分野の外部専門家を活用して売り上げ向上に向けた課題を把握し、実効性ある改善策を助言するなど、繰越欠損金の縮減に向けた取り組みを着実かつ効率的、効果的に進めることとしております。

 総務省といたしましては、この取り組みが着実に実施されるよう、しっかり注視してまいります。

 以上でございます。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

遠山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 一言、委員長から、委員各位に申し上げます。

 本日の法案審議の委員会におきまして、委員会の品位を疑われるような発言があり、委員長としては遺憾に思います。今後は、委員会として充実した審議を行うよう、委員長として、委員各位に要請をいたします。

 お互いにそのことを認識した上で、討論、採決に移りたいと思います。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。梅村さえこ君。

梅村委員 私は、日本共産党を代表して、国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法等の改正案に反対の討論を行います。

 まず、円滑化法改正案についてです。

 本法案は、他者の利用を前提とするテストベッドの整備やデータセンターの地方分散化を施す支援、助成の業務をNICTの業務に追加するものです。

 名乗りを上げている多くは、大手のIT関連企業や通信事業者です。これは、設置を提供する事業者への支援であり、大企業支援にほかなりません。

 NICTの信用基金の剰余金の運用益で行うとしていますが、もともと、信用基金への出資金のうち、二十八億円は旧日本開発銀行時代のものであり、いわば国民の税金も原資にした基金であり、看過できません。

 次に、機構法改正案についてです。

 本法案は、NICTの業務に国の行政機関、重要インフラ事業者等におけるサイバーセキュリティー演習を追加します。

 国民のために安全で安心な情報通信ネットワーク環境を実現することは極めて重要です。

 しかし、この業務について、総務大臣がNICTの中長期目標の認可、変更をする際に、国家安全保障会議と密接に連携するサイバーセキュリティ戦略本部の意見を聞くとしています。

 新日米ガイドラインに、サイバー空間の安全保障分野の連携強化に取り組むと位置づけられています。研究開発機構であるNICTが安全保障上の役割も担わされることになりかねません。

 なお、電気通信基盤臨時措置法について、我が党は、事業で利益を上げる大企業への支援であると反対してきました。廃止は当然と考えます。

 以上、表明して、討論とします。(拍手)

遠山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより採決に入ります。

 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

遠山委員長 次回は、来る十二日火曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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