衆議院

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第15号 平成28年4月21日(木曜日)

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平成二十八年四月二十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      池田 道孝君    大西 英男君

      大見  正君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    川崎 二郎君

      小林 史明君    古賀  篤君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      瀬戸 隆一君    田畑 裕明君

      武井 俊輔君    中谷 真一君

      中山 泰秀君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    橋本  岳君

      福山  守君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      小川 淳也君    郡  和子君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      水戸 将史君    渡辺  周君

      輿水 恵一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   防衛大臣政務官      藤丸  敏君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 磯谷 桂介君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官)  安藤 英作君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     武井 俊輔君

  中村 裕之君     瀬戸 隆一君

  中山 泰秀君     福山  守君

  山口 泰明君     中谷 真一君

  逢坂 誠二君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     大見  正君

  武井 俊輔君     小林 史明君

  中谷 真一君     山口 泰明君

  福山  守君     田畑 裕明君

  郡  和子君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     井上 貴博君

  田畑 裕明君     中山 泰秀君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     中村 裕之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として個人情報保護委員会事務局長其田真理君、総務省大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、行政管理局長上村進君、情報流通行政局長今林顯一君、文化庁長官官房審議官磯谷桂介君及び厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官安藤英作君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 きょうは、法案の審議に入ります前に、昨日夜戻られたとお聞きをしておりますが、防災担当の松本副大臣に、大変お疲れのところとは思いますが、お越しをいただきました。

 この場は、震災対応について、たくさん聞きたいことはあるんですけれども、しかし、副大臣もすぐに陣頭指揮に立たなければならないだろうと思いますし、またそういう場でもないと思っておりますので、二、三点に絞ってのみお聞かせをいただきたいと思います。

 まず、けさの朝日新聞の記事に出ております、「テレビ会議で差し入れ要請」。

  熊本地震の現地対策本部長を交代した松本文明・内閣府副大臣が、熊本県庁で政府との調整を行っている際、テレビ会議で河野太郎防災相に対し、自分たちへの食事の差し入れを要請していたと明らかにした。首相官邸で二十日夜、記者団に語った。

  松本氏は、十六日の「本震」の後、政府と県を結ぶテレビ会議で河野氏に「食べるものがない。これでは戦えない。近くの先生(国会議員)に差し入れをお願いして欲しい」と要請。河野氏が手配し、熊本県関係の議員四人の事務所からおにぎりが届けられたという。本来は県側の要請と政府の対応を調整する場であるテレビ会議を使って、自身への差し入れを求めたことは批判を招きそうだ。

とあります。

 記者団に語ったということですから事実なんだろうと思いますが、この新聞にも書いていますように、やはりテレビ会議を使ってみずからへの差し入れを求めたことは批判を招くんじゃないか。現に、SNSなどでもかなり批判の声が上がっていますが、こうした国民の批判の声に対して、副大臣はどのようにお答えになりますでしょうか。

松本副大臣 大変申しわけないという思いも一方であります。

 十五日の昼、私どもは着任をいたしました。十六日の朝早く、未明に二度目の地震がやってまいりました。大変大きな揺れでありまして、夜のたしか二時には現対本部にほとんどが参集をいたしました。そして、懸命に、みんな夜を徹してずっと働きっ放しであります。

 ところが、前日まで開いていた県の職員食堂というのでしょうか、それが二度目の震災の日はもう営業ができない状態で、ストップしておりました。そして、水がストップをして、電気がストップをして、ガスがストップをしているという状況ですから、各職員が持ってきている自前の食料、カップラーメン等々が全くできないという状況でありました。

 私は、一日、職員の肩をたたきながら、食事はできているかい、大丈夫か、頑張れよ、こういうような声をかけてきました。ほとんどの現対本部の人たちは、その日は水とお茶、それから缶コーヒー、ありがたいことに県の庁舎の中にある自動販売機、これが生きておりました、これを飲みながら一日を過ごしております。

 したがいまして、二度目の震災が、被害が起こった日は、全く口の中に、ほとんど食料らしい固形物は入っていないという状況で働いたわけであります。

 そして、あすはどうなるんだろうということが、全く見通しが立たない中でありました。そうかといって、私たちは、当然のことながら、避難者の方に配られる支援物資、これをお願いすることもできません。

 そういう状況の中で、テレビ会議は、もちろんその日の出来事、国に対する要請、県の意見、県の要請をしっかり大臣に伝えた後に、何かほかに困っていることはないかいという大臣からの優しい問いかけに対して、実はこういう状況であります、現対本部の人間がきょう一日何にも口にできない状態です、あしたの状況もこのままでいくとどうにもなりません、コンビニを早く開いていただくことは県民にとって大切なことであるし、私たちにとっても、何とか自分で食料を手当てできる、そういう環境にしてほしい、大臣、甘えるんですけれども、ここの現対本部の食事を、全部とは言いませんから、何でもいいですから、バナナでもおにぎりでもいいです、一口でもいいですから、何とか差し入れをお願いできませんでしょうかというお願いをしたことは事実であります。

 私は、現地対策本部長として、私の部屋の中で働き、懸命に夜を徹して働いている人たちの健康管理、これもまた私の大きな責任の一つだ、こう考えております。

 以上です。

高井委員 るる御説明がありましたけれども、いずれも、被災者の皆さん、避難されている皆さんも、全く同じ気持ちだと思うんですね。(発言する者あり)

遠山委員長 御静粛にお願いします。

高井委員 そういう中で、もう一つ、週刊文春、本日発売の記事にこういうことがあります。

  現地対策本部に詰めている松本副大臣には、批判が高まっている。県庁関係者が怒りを込めて語る。

  「「救援物資は足りているんだから文句は言わせない」と周囲に、居丈高に語っていました。また会議で、他県から職員を二百五十人派遣してもらうという話が出たとき「ゼロがひとつ足りない。十倍必要だ」と言い出し、職員から「各部署にすり合わせをして必要な人数を派遣してもらっているんです」とたしなめられていました。さらに、「こんなメシで闘えるか」と食事に文句をつけることもありました」

 これは週刊誌の記事でございますので、副大臣が語ったわけではありませんが、まず、この記事は事実なんでしょうか。

松本副大臣 全く事実無根でありまして、私たちは、食事の提供を受けたことは一度もありません。きょうも、現対本部のみんなは、食うや食わずで働いております。提供を受けたことはありませんから、当然、こんな食事で働けるかなんという話は一切ありません。事実無根であります。

 それと、あと一点は、どんな質問だったですか。

高井委員 救援物資は足りているんだから文句は言わせないと居丈高に語った、それから、職員を二百五十人派遣してもらうという話に、ゼロが一つ足りない、十倍必要だと言った、そういう記事ですが、これは事実でしょうか。

松本副大臣 現地対策本部では、支援物資が十分足りているかどうかということに対して最も不安でありまして、実際に、七百を超える避難所が開設をされております。まだ把握できていない自主避難所のようなところがどこにあるのかということも、完全に把握し切れていない状況の中にあります。

 そこに支援物資をどれだけ早く届けるかということに対して腐心をしていたわけでありまして、きょうも支援物資が間違いなく届いているか、支援物資、着いたものがきちっと時間どおり回っているかということに腐心をしているさなかであります。

 支援物資が十分届けられているという実感をつかめない、そういう中で、とにかく回せ、こういうことを言っているわけでありまして、支援物資が十分送られているという実感を、報告では受けるんだけれども、避難場所にきちっとそれが届いているのかどうなのか、避難者の方が御納得いただける状況になっているのかどうか、こういうことが心配でありまして、そういう発言はしたことが、私は全く記憶の中にありません。

 それから、あと、二点目の質問でありますが、毎朝、夕方、県と国と支援関係者全員出席をいただいて、連絡会議、調整会議というのをやっております。そこには、メディアはオープンであります。

 その席で、二回目の震災、地震が起きた後だと思いますが、知事会への支援要請、二百五十名程度だったと思いますが、二百五十名程度の応援体制を組んでいただきましたというお礼の言葉がありました。そこで私は、全ての報告が終わった後で、知事会の事務局さんはこちらに出席をいただいていますかと伺って、はいと手を挙げていただきました。今、二百五十名と言われたけれども、これはゼロが一つ足りないと思いますと。

 今回の震災規模は、阪神・淡路大震災、中越地震、そして東日本大震災、これにまさるとも劣らない被害が発生している、規模感からいって二百人、三百人というような支援体制だけでは足りないと私自身が思いましたから、事務局の方に、とにかくゼロが足りない、自分は一つ足りない規模だと思っているので、いつでも支援体制を組めるように知事会の方で準備を進めていただきたいというお願いをしました。事務局の方は、わかりました、こういうお話でございました。

 今現在、もう既に二百五十名の枠を超えて、たしか、きょう現在でしたら七百名を超える知事会からの支援が現地に入っていると思います。

 これからいよいよ復興に向かっていく中で、きょうからボランティアが入るということになっておりまして、各家庭の中のごみが道路に出てまいります、こうしたことを早くに片づける。衛生上の問題もあります。こうしたことを考えたときに、さらに支援要請、知事会の皆様方にお願いをしなきゃならぬ部分はふえてくる、こう考えております。

 以上です。

高井委員 もう一点、これはもう各種報道されていますし、別の委員会でも総理や河野大臣にも質問をされていることなんですが、住民が避難所でなく屋外に寝泊まりしている状況を見て、副大臣は、蒲島熊本県知事に対して、青空避難の状況を早く解消してほしいと要請したと報道されていますが、そうした要請をしたという事実はあるのか。事実だとすれば、その意図は一体何だったのかということ。

 それから、あわせて、そのとき蒲島知事は、現場の気持ちを全くわかっていないと不快感を示していますけれども、この話は、松本副大臣に直接そういう話があったのか。また、この知事のコメントを聞いて副大臣はどのように……(発言する者あり)

遠山委員長 御静粛にお願いいたします。

高井委員 受けとめておられるか、お聞かせください。

松本副大臣 ここを出発して向こうに着いたときに、河野大臣から一番最初に私に指示されたことは、松本さん、避難者の皆さんを、青空といいましょうか、外で寝かせるようなそういう冷たいことではなくて、ちゃんと、温かい、屋根のついたところで寝られるように、避難所をしっかり開設するようにという指示がありました。

 そして、連絡会議には私も知事も並んでいつも出席をしているわけでありますが、河野大臣から、青空避難所というのは早期に解消して、しっかりした避難所を用意するようにという大臣の強い意向があります、何とかきょうじゅうにも避難場所をきちっと確保してほしいという要請を、その連絡会議の席上で私が発言したことは事実です。

 そして、担当部長さん、県の部長さんの方から、避難場所は確保してあります、しかし、避難場所も揺れるものですから、皆さん怖がって、避難場所の前の広場に夜出てくるんです、こういうお話がありました。

 隣にお座りだった知事さんが、いや、松本さん、やはり現地と離れていると現場感覚がこういうふうに違うんですよねと、にこやかに私に、にこやかにと言うとおかしいんですが、けんつくばっての話ではなくて、こういうことなんですよね、みんな怖いんですよ、こう言われました。そのときに、わかりました、きょうテレビ会議で大臣にそのことを報告しておきます、こう答えました。

 それが全てであります。

 以上です。

高井委員 今、三つほどお聞きしましたけれども、るる長く説明をされましたけれども、今、被災地は、報道によれば、おにぎり一個もらうのに二時間並ぶ……(発言する者あり)

遠山委員長 御静粛にお願いいたします。

高井委員 そんな状況が聞こえています。

 また、今、車の中で寝ざるを得ないという方がたくさんいて、エコノミークラス症候群にもなって、亡くなる方もいらっしゃる。

 そういう事態を聞くと、やはり、今の御答弁で、私は本当に副大臣が被災者の皆さんに寄り添った対応をされていたのかということが、大変疑問に感じます。(発言する者あり)

遠山委員長 御静粛にお願いいたします。

高井委員 これは最後の質問にしますけれども、副大臣は、なぜ今回戻ってこられたんですか。自主的な判断で戻ってこられたのか、あるいは河野大臣や総理からの指示で戻ってこられたのか。失礼ながら、一部では事実上の更迭じゃないか、そういう声も上がっていますけれども、なぜ今回戻ってこられたのか、最後にお答えください。

松本副大臣 一昨日の夜、夕方だったかと思いますが、河野大臣から電話がかかってまいりまして、総理が視察に行きたいとおっしゃっているんだけれども、今、その日程が、直ちにということが立たない、総理が現地の報告を直接聞きたいとおっしゃっているから一度報告に帰ってくださいという指示を受けて、きのう帰ってきたところであります。総理にお会いをして、ねぎらいの言葉をかけていただきました。

 こちらでの調整事務といいましょうか、現地との連絡をしっかりとりながら、こちらでのそうした対応が終われば直ちにまた現地に復帰したい、こう考えております。

 更迭などということは一切考えておりません。

高井委員 はい、わかりました。

 副大臣はこれから仕事に戻っていただいて結構でございます。ありがとうございます。(発言する者あり)

遠山委員長 委員各位に委員長から一言申し上げます。

 不規則発言が多数続いております。(発言する者あり)足立委員、委員長の発言中は静粛にお願いいたします。

 不規則発言がたび重なっておりますので、議院の品位を保つためにも、ぜひ謹んで御対応をいただきたいということを申し上げさせていただきます。

 高井崇志君、質疑を続行してください。

高井委員 それでは、今度は高市大臣にお聞きをしたいと思います。

 昨日の毎日新聞の二面、与良正男さんという編集委員の、副大臣、退席していただいて結構です。済みません。どうぞ御退席ください。ありがとうございました。

 それでは、この記事をちょっと読ませていただきます。

  安倍晋三首相が録画出演して十七日に予定していたフジテレビのバラエティー番組「ワイドナショー」の放映が、熊本地震の深刻な事態を受けて取りやめとなった。今回はこの話について考えたい。

  結論から言えば、私は首相が特定の番組を選んで出演するのがいけないというつもりはない。

 選ばれた放送局がどんな番組にするのかも各局の自由だと思っている。

  ただし今回は多くの問題をはらんでいる。地震がなければ北海道と京都で衆院補選が行われている最中に放映される予定だったからだ。

  放送局に対する電波停止命令に言及した高市早苗総務相の発言を機に、政府は放送法に関して統一見解を示している。そこでは一つの番組だけを取り上げて停止命令を出す可能性がある事例として「選挙期間中やそれに近接する期間に、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼす放送」を挙げている。では今回はそれに当たらないのか。バラエティー番組なら許されるというのか。

  むしろ私は選挙中でも放送局の責任で自由に報道できるようにすべきだと思っているのだ。だが、今度の一件で改めて明らかになったのは、要するに安倍政権が放送法を盾にやり玉に挙げる「不公平」とは、政権に批判的な放送を指すのであり、政権に都合がいい放送であればいくらでも一方的に流してもらっても構わないということではなかろうか。

  公平とは何か。その判断を政権がいかようにでもできてしまうことが問題なのだ。

 こういう、社説というか、「与良政談」ということで記事が出ておりますが、この記事に対して、総務大臣、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 まず、この「与良政談」、毎日新聞でございますね。これは、きのう私も拝読をいたしました。

 誤りがございます。「一つの番組だけを取り上げて停止命令を出す可能性がある事例として」と書いてありますけれども、一つの番組だけを取り上げて停止命令を出すということについて、その可能性も含めて、私はこれまでの国会審議で答弁をしておりません。

 例えば電波法第七十六条ですとか放送法百七十四条、前者は無線局の運用停止命令、そして後者は業務停止命令ということになりますが、それらを適用する場合にどれだけ厳格な要件があり、そしてまた非常に極端なケース、何度も何度もそれが繰り返され、放送事業者の自主自律によってその行為をやめていただけないような、過去にも民主党政権時代に平野副大臣が答弁をしてくださったような内容のものは今逐条解説集にも書かれておりますので、そのとおりの要件も私は繰り返し国会で答弁しております。

 この政府統一見解というのは、「「番組全体」を見て判断するとしても、「番組全体」は「一つ一つの番組の集合体」であり、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然のことである。」と書かせていただいた上で、一つの番組を見る場合のことを書いてあります。「選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合」といった極端な場合の一般論として、この場合には政治的に公平であることを確保しているとは認められないという考え方を示した統一見解でございますけれども、しかしながら、これが停止命令を出す可能性がある事例ということで統一見解をまとめたわけではございません。

 本当に委員も十分御承知のとおり、これまで電波法七十六条や放送法百七十四条のいわゆる命令が放送法第四条違反ということで適用された事例がないということは御承知のことだと思います。そして、非常に厳格な要件が運用上も課されるということでございます。

 それで、与良さんの記事にはその部分が抜けていて、「選挙期間中やそれに近接する期間に、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼす放送」と括弧書きで引用しているように書いてありますけれども、先ほど私が申し上げましたように、「殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、」ということ、これがすとんと抜けているんですね。これは記事の書き方としては私は大変残念に感じたところでございます。

 そして、今委員がおっしゃいましたフジテレビの番組、安倍総理が出演を予定していたと言われるフジテレビの番組のことですが、実際に放送されておらず、また、私自身はその内容も全く承知しておりませんので、放送もされていない、内容も承知していないものについてお答えをすることはできません。

高井委員 あわせて、もう一問だけお聞きしたいと思います。

 きのう、時事通信によれば、国際ジャーナリスト団体、国境なき記者団、本部がパリだそうですが、ここの発表で、各国の報道の自由度に関する二〇一六年の調査結果が発表されました。

 日本は、百八十カ国中七十二位、昨年の六十一位から順位を落とした。ちなみに、二〇一〇年は十一位だったそうですが、一気に七十二位まで順位を落としたということで、報告書によれば、日本の報道の現状について、放送局に電波停止を命令する可能性に触れた高市総務大臣の発言などを念頭に、公共放送を含む多くのメディアが首相の意向を推しはかり、自主規制に甘んじていると指摘されたというふうにあります。

 これについても、大臣、どうお考えかということをお聞きしたいのと、あわせて、一昨日の外国特派員協会での記者会見で、国連人権理事会の特別報告者であるデビッド・ケイ氏が一週間来日をされていた。去年の秋に来る予定だったのが、政府からなかなか対応が難しいと言われて、この春になって、一週間来日して、その記者会見の場でこう述べています。事前調査した上で来日したが、実際にジャーナリストや官僚にヒアリングをして、日本メディアの独立性についてむしろ懸念が強まったと指摘、そして、高市総務大臣に対しても何度も会いたいと申し入れたが、国会会期中などを理由に断られたと発言をされています。

 実は、昨夜の「報道ステーション」を見ておりましたら、コメンテーターの後藤謙次氏も、高市大臣は幾ら忙しくても会うべきだったのではないかとコメントしていますが、高市大臣、なぜ会わなかったのでしょうか。日本の立場を説明するいい、絶好のチャンスだったと私は思いますけれども、なぜ会わなかったんでしょうか。

高市国務大臣 私は会いたかったです。はっきり自分の言葉で、皆様が誤解されているんだということをお伝えしたかったです。

 そもそも、日本のジャーナリストの方々が外国人記者クラブで会見を開かれ、私自身が国会で何を答弁したのか、正確に把握しておられるとは思えない内容で会見をされました、国際社会に発信をされましたよ。

 私は、私が電波をとめると言ったことは一回もございませんし、これまで、民主党政権時代に大改正をした平成二十二年の放送法改正の審議の際にきちっと示されたことに従って、行政の継続性の観点から、同様の答弁を何度も何度も衆参の予算委員会や総務委員会でさせていただいています。

 ですから、日本は法治国家ですから法律のたてつけはこうなっていますということについては申し上げたかったし、それから、電波法の適用、つまり、無線局の運用停止命令が放送法第四条を理由に今まで出されていないということについても説明をしたかったです。私の本意を説明したかったです。

 ところが、このケイさんについてでございますけれども、日時を指定して私に面談の申し込みをしてこられました。ちょうどその日は、私は参議院の決算委員会の省庁別審査で座っていた日です、答弁をずっと続けていた日です。それで、予備として何とかと提示していただいた日は、衆議院本会議とそして総務委員会に出席をしていた日です。こちらからは、委員会答弁のために国会に行っているからこの日は無理だということで、理由もきっちり申し上げております。

 それから、「報道ステーション」につきましても、総務省の記者クラブ、テレビ朝日の記者が、「報道ステーション」の制作者に対して、高市大臣はケイ教授から申し込まれた面談の日は国会、委員会対応で、それで面談できなかったということをちゃんと伝えたということでございました。ですから、番組側は、私が委員会で国会にいたことを御承知の上で、なぜあのようなコメント、何で会われなかったんでしょうかねというコメントをされたのか、私は理解ができません。

 とにかく、ケイ氏がいろいろな方にお会いされたということです。さまざまな捉え方があるでしょう。

 それでも、今の放送法、つまり二十二年の抜本的改正のときに、第四条は番組準則が法規範性を有すること、番組準則に違反した場合には総務大臣は放送法第百七十四条に基づく業務停止命令や電波法第七十六条に基づく無線局運用停止命令ができること、それらの命令については極めて限定的な状況のみに行うこととするなど、慎重な配慮のもと運用すべきであることについては、二十二年の改正のまさに採決のその日に参議院総務委員会で当時の政府答弁があり、そしてその上で、日本共産党以外の全ての会派が賛成をされて改正放送法案がこのとき可決して、成立をしたわけでございます。

 どれだけ慎重な運用をしなきゃいけないかということについても、これも何度も何度も私は国会で答弁をしております。その内容について、ケイさんにきちっと議事録もお示ししながら説明をしたかったのですが、面談できなかった事情は、以上のような理由によるものでございます。

 そのかわり、総務省としては、局長や副大臣が私のかわりに面談をして、誠実に対応をさせていただいております。

高井委員 今、国境なき記者団の、順位が七十二位になったということについてのコメントはなかったんですが、法案審議の時間がなくなりますので、次の質問に移りたいと思います。

 それでは、行政機関個人情報保護法の質問をいたします。

 この間、私は、参考人質疑にも立たせていただき、また一般質疑のときにもこの問題を取り上げて、この法案の、特に、何度も参考人質疑でも議論になった、匿名加工情報という言葉が非識別加工情報という言葉に途中から変わった。研究会の議論でも一回も出てこなかった言葉。私が調べたところでは、法制局から閣議決定の一週間ほど前に指摘をされて変わった。そして、そのことがいろいろこの法律の矛盾が出てきてしまっている原因になっているということを何度も指摘してまいりました。

 大臣にぜひお聞きいたしたいんですが、この法律の施行状況とか、あるいは、今回、ビッグデータ、オープンデータに資する法律でありますので、私は、趣旨としてはぜひ賛成をしたいわけでありますけれども、そうしたメリットを受ける民間事業者の声も聞いていただいて、今回、法律がかなり急ごしらえでできた印象もあります。また、個人情報保護法制との整合性ということも、参考人質疑で随分意見が出ました。

 こういったことを踏まえて、近い将来、この法律上の文言を統一するということも検討すべきだと思いますけれども、総務省において、この施行状況とか、あるいはそういったニーズの把握、そして法改正も含めて、今後見直しを行うという考えはあるかどうか、お聞かせください。

高市国務大臣 昨年の通常国会の個人情報保護法、民間部門の改正、それ以降、約一年かけて議論をしてきた結果でございます。この改正案につきましては、政府として、文言も含めて十分考え、問題がないものという認識のもと、御審議をお願いしております。

 非識別加工情報に係る法の施行状況の把握というものにつきましては、本法案の成立をいただきましたら、個人情報保護委員会において行うこととなってまいります。

 非識別加工情報の利用者であられる民間事業者の方々やまた国民の皆様の声をしっかりと聞いて、本制度について不断の検討を加え、また、技術の革新というのも出てきます、そういった課題もあるでしょうから、常に不断に検討を加えて、よりよいものとしていくということは当然の政府の責務だと考えております。

高井委員 それでは、ちょっと具体的な質問にさらに入りますが、一昨日の参考人質疑で、鈴木参考人、新潟大の教授からの提案がありました。二条八項の定義のところの「他の情報」というところの括弧書き、これを削除して、そして、これに容易にという言葉を加えるという具体的な修正案が示されたわけですけれども、これについて、総務省としてはどういう見解をお持ちでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 四月十九日の参考人質疑におきまして、おっしゃるとおり、鈴木参考人からそのような御意見がありましたことは承知しております。

 それで、現在の同項についてもう一度御説明をさせていただきたいと思いますが、ここでは非識別加工情報の定義につきまして、まず、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元できないようにしたもの、こう規定した上で、もとの個人情報を保有する行政機関内部におきましては、非識別加工情報ともとの個人情報あるいはこれに準ずる情報、これと照合することで特定の個人を識別することができるから、個人情報に該当することを規定している。これは御説明してまいったとおりでございます。

 それで、御指摘の、条文中の「他の情報」に係る括弧書きでございますが、その点を明確にしたものでございます。

 このように明確化を図ることで、行政機関の内部におきましては、非識別加工情報が個人情報に当たるということを、職員も含めまして、不当な目的で利用することは許されないなど、法律上厳格な取り扱いを求めることとしたということでございます。

 参考人の御意見は大変貴重なものだと思いますが、行政機関個人情報保護法は行政機関内部での厳格な規律を定めるものでございまして、このような観点から、政府としては、お示ししている今の定義が最適なものと考えております。御理解を賜りたいと思います。

高井委員 きょうは政務官にもお越しいただいておりますので、ちょっとどの質問をしようかと迷うんですけれども、二千個問題というのが参考人質疑で鈴木参考人から提言をされました。日本のオープンデータというのは、地方自治体ごとに、クローズドなオープンデータを志向していくという方向になるのではないかと。これは、地方自治体に任せれば、個人情報の概念のように、複数の定義のパターンが登場しかねないという問題があります。

 これは、今回、スモールスタートということかもしれませんけれども、この二千個問題を背景に、今後の我が国のオープンデータ戦略というものをどのように描かれようとしているのか、お聞かせください。

古賀大臣政務官 今、高井委員から御質問がありましたオープンデータについてであります。

 我が国の今後のオープンデータ戦略につきましては、昨年、平成二十七年の六月にIT戦略本部で決定した事項、「新たなオープンデータの展開に向けて」というところにおきまして、「課題解決型のオープンデータの推進」など目指すべき方向性が明らかになっておりまして、これに沿った取り組みが展開されることになるというふうに認識をしているところであります。

 こうした中で、我が国における個人情報保護法制について、民間部門は個人情報保護法制により、国の行政部門は行政機関個人情報保護法等により、そして地方公共団体においては条例により規律されておりまして、現在、この枠組みでの対応が基本となっているところであります。

 したがいまして、地方公共団体が保有している個人情報の取り扱いについては、それぞれ条例で規定する必要があるところ、政府としましては、関係機関が密接に連携し、地方公共団体に対しまして、今回の法案や改正個人情報保護法の趣旨等を丁寧に情報提供し、非識別加工情報の活用に関する地方の理解を深めてまいりたい、そのように考えております。

 以上です。

高井委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

遠山委員長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民進党の武正公一でございます。

 まず、このたびの平成二十八年熊本地震でお亡くなりになられた皆様に心から哀悼の意を表し、被災をされた皆様にお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧のために民進党も全力を挙げて政府に対してサポートをするということで、昨日も民進党代表が総理にお会いをして、そのことを申し上げたところでございます。

 さて、行政機関の個人情報保護法の改正案の質疑をこの後行わせていただきますが、やはりその前提というものは国家公務員の守秘義務、ましてや、政務三役にあってはその国家公務員の指揮監督を行う立場ということで、それが厳しく求められようかというふうに思っております。

 特に、外交防衛上の守秘義務については特定秘密保護法との関連もあるということもございますので、きょう、防衛大臣政務官、まずお見えをいただきました。

 昨日、TPP特委でも質疑で御答弁されておりますが、三月二十八日、佐賀市内での講演、これについては、北朝鮮へのミサイル発射への対応について言及をされたときのうも答弁をされておりますし、また、放物線のグラフをプロジェクターに映しまして、イージス艦SM3で撃つ、そしてパトリオットという話をさせていただきましたというような言及もございます。

 こうした点について、御答弁、御説明をいただければと存じます。

藤丸大臣政務官 答弁をさせていただきます。

 講演におきまして、我が国周辺の安全保障環境の厳しさと自衛隊の活動を紹介する中で、北朝鮮によるミサイル発射への対応について言及しております。

 さきの指摘の講演における私の発言は、北朝鮮によるミサイル発射の対応をわかりやすく御説明しようと申し上げたものでありまして、よくなかったところがあったと思っております。

 講演における私の発言が防衛省の見解とは異なる内容もある上、国の防衛の任に当たる者として不適切な発言をいたしました。

 佐賀県、佐賀市、漁協を初め、関係者の方々をお騒がせいたしました。大変反省しているところでございます。深くおわびを申し上げたいと思います。

 そこで、そのミサイルの話でございますが、防衛省では、弾道ミサイル対処を含め、自衛隊の活動に関する情報については、必要に応じて、自衛隊の部隊の運用に支障のない範囲で公表する一方で、我が方の手のうちを明らかにするおそれのある場合には秘密に指定する等により情報の保全を図っております。

 私が発言した内容について、正確に覚えているわけではございませんが、レーダーで捉えた時間を三十二分と言ったような気がしております。他方、公表では、二月の七日、午前九時三十一分ごろ、北朝鮮西岸の東倉里の付近から南方に向けて人工衛星と称する弾道ミサイルが発射され、防衛省としては、九時三十三分ごろにレーダー情報を入手し、官邸危機管理センターに連絡したと公表をしております。したがいまして、私は講演の場で表現や時間を間違えて発言してしまったものではないかと思っております。

 また、自衛隊は早期警戒情報を米国から受領しており、我が国の方向へ発射される弾道ミサイル等に関するデータを、発射直後、短時間のうちに米軍が解析して自衛隊に伝達することとなっており、発射地域、発射時刻、落下予想地域、落下予想時刻等が伝達されることは平成八年から公表しておりまして、したがいまして、自衛隊の各種レーダーとあわせ、短時間のうちに落下物情報等を入手していることは周知の事実でありました。

 そして、今、さらに、SM3搭載イージス艦、これは、上層において弾道ミサイルの迎撃を行うことにより、広い範囲を防護することが可能であり、SM3搭載イージス艦二隻から三隻の活動により我が国全域を防衛することが可能であることは、国会等の場で答弁しております。

 防衛大綱、中期防においても、弾道ミサイルの脅威の深刻化に対処するため、二隻のイージス艦について、弾道ミサイル対処能力付与のための改修を実施中であることに加え、二隻の追加建造を計画し、最終的には八隻体制にすることを公表しております。

 以上のように、私の発言内容は特定秘密に該当するとは考えられません。

 よろしくお願いします。

武正委員 幾つかのことをお答えになられたので、ちょっと一つ一つ伺いたいんです。

 まず、当時は防衛政務官という肩書で御講演されたということでよろしいでしょうか。

藤丸大臣政務官 そのときも発言しておりますが、防衛政務官という立場でございますが、私一人で伺いまして、隣の国会議員として、地域の発展、佐賀の発展のことを考えてまいりましたという、政務として伺ったつもりでございます。

武正委員 防衛大臣政務官ということで、そういう肩書でお話しになられたということであります。

 また、防衛大臣からは、オスプレイ、佐賀空港についての言及で、四月一日、注意がされたというふうに、これは記者会見で防衛大臣が述べております。

 そしてまた、今、北朝鮮のミサイル発射への対応についての時間的な御説明がございました。これまでの防衛省が発出しているメッセージだというお話なんですが、私も、聞くところでは、防衛省内での対応、現場での対応、そしてまた、今言及をされたレーダーについての付言、こうしたところはやはり防衛秘密、特定秘密保護法違反ではないかという疑念が大変強いわけでございます。

 防衛大臣も、二月七日の記者会見でこう述べています。九時三十一分にSEW、早期警戒情報を入感いたしました、このほか、自衛隊の各レーダーによりまして必要な情報収集も行っておりまして、速やかに官邸の方に通報、連絡をいたしました、どのアセットで探知したのかにつきましては、具体的な探知状況について、我が方の手のうちを明らかにするおそれがあることによって、お答えの方は差し控えさせていただきたいと思いますというふうに言っておられますので、私からは、先ほどの、時間を間違えた等について、やはり防衛大臣が言われたような、手のうちを明かすところの講演をされたのではないのかという疑念を持ちます。

 重ねて伺いますが、いわゆる部外秘あるいは秘とされた資料をもって講演をされた、あるいはまたそうした映像を流されたということではないでしょうか。

藤丸大臣政務官 先般の講演において、これまで防衛省から佐賀県等の地域に対して、地元に対して説明した資料や、一般的な対外説明に使用する資料を中心に、これらの資料をプロジェクターに投影することにより説明を行ったところです。

 本件の講演の依頼は、藤丸事務所に宛てて行われたものであり、衆議院議員藤丸敏として対応すべきものと判断しておりまして、これらの資料については、私自身が取りまとめたものであります。

 また、これらの資料を講演において使用することについては、防衛大臣の許可を得たものではございませんでした。

武正委員 先ほど、防衛大臣政務官として講演をされた、そういう肩書でということを述べておられますので、私は、先ほどのレーダーの件も含めてそうした対応についても、明らかにしてはならないところを明らかにされて、資料などについても、あわせて特定秘密保護法違反の疑い、また、それよりも何よりも、やはり守秘義務として、外交、安全保障のそうしたやりとりについては明らかにしないというのが、これまで、政務三役としてあるべき当然のことだというふうに思うんです。

 昨日は陳謝もされておりますが、今、そういったお話はまだいただいていませんが、そのこととあわせてお答えをいただければと思います。

藤丸大臣政務官 お答えします。

 講演において、我が国周辺の安全保障環境の厳しさと自衛隊の活動を紹介する中で、北朝鮮によるミサイル発射等の言及をいたしております。

 御指摘の講演における私の発言が、北朝鮮等によるミサイル発射の対応をわかりやすく説明しようと申し上げたんですが、よくなかったと考えておりまして、講演における私の発言は、防衛省の見解とは異なる内容である上、国の防衛の任に当たる者として不適切な発言をいたしました。

 関係者の方々をお騒がせして御迷惑をおかけしたことについて、大変反省しているところでございます。深くおわび申し上げる次第でございます。

武正委員 今、自衛隊員の方も、現地で大変御苦労を終日いただいているわけでありますので、それを指揮監督する政務三役としてあってはならないということでありまして、昨日も、責任を問う、そうした求めもTPPの特別委員会で同僚委員からあったわけでありますが、藤丸大臣政務官としての責任の所在、これについてはどうお考えでしょうか。

藤丸大臣政務官 大変申しわけございません。不徳のいたすところでございます。

 職務を懸命に精進して全うしていきたいと覚悟している所存でございます。

武正委員 それでとても納得できないところがありますし、先ほど、防衛秘密ではないという、昨日も副大臣が述べておられますが、この防衛秘密、特定秘密保護の指定は大臣が行うことになっているので、防衛省がそうじゃないと言うと、それに対してこちらがそれを解明する手だてというのはなかなか難しいわけですが、国会には特定秘密保護法に関する審査会もありますので、民進党としてもしっかりとこの点についてまた求めてまいりたいというふうに思っております。

 次は法案の方に移りたいと思いますので、どうぞ、政務官、お引き取りください。

遠山委員長 では、政務官、どうぞ御退室ください。

武正委員 それでは、行政機関の個人情報保護法改正案について質疑を行いたいと思います。

 お手元の方に資料をお配りしておりますので、こちらの資料にのっとって質疑を行いたいと思います。

 高市総務大臣はマイナンバーの方も担当大臣ということで、きょうは、政府、内閣官房が示しておりますマイナンバー制度導入後のロードマップの案、これについてまず御質問をさせていただきたいと思います。

 ことしの一月からマイナンバーの利用が始まり、また、個人番号カードの交付も行われていると承知をしております。ただ、マイナンバーがまだ手元に届いていない方がかなりの数いるということなども含めて、かねてよりこの委員会でも、その対応などまだまだ十分でないという指摘があるわけでございます。

 また、昨年の個人情報保護法改正案の質疑の中で、日本年金機構からの情報漏えいがあったことで、このマイナンバーのところに書いてありますように、日本年金機構への相談、照会は延期となり、国の機関での情報連携も延期となったわけでございます。

 まずは、この全体像の中で、昨年、個人情報保護法の審議でもきっかけとなりましたこの法改正、日本年金機構への相談、照会の延期について、これがどういう見通しなのかお答えいただければというふうに思います。

高市国務大臣 昨年の年金情報流出といったことがございまして、ことし一月に予定されておりました日本年金機構におけるマイナンバーの利用開始時期を政令で定める日まで延期する旨の規定が議員修正によって置かれました。

 この政令で定める日をいつにするかということですが、まずは、日本年金機構において必要な体制が整備されているかどうか、これを監督官庁の厚生労働省が検証された上で、マイナンバー法の監視、監督の権限を有する個人情報保護委員会が確認するということが必要でございます。その結果、安全であるということが確認されましたら、これは適切に判断をしていくということになります。

 また、通知カードでございます。マイナンバーカード以前に御自身の番号を知っていただく通知カードでございますが、これは三月三十一日時点の数字になりますが、約五千八百八十五万通の通知カードが郵送され、その後、市区町村における窓口での交付や再送などを通じて、未交付となっている状態のものが約二百十一万件、約三・六%でございます。

 これも市区町村でも随分御努力をしていただいているわけでございますけれども、ことしの一月からマイナンバーというものが税や社会保障の手続に必要なものとなっておりますので、ぜひとも住民の皆様にもできるだけ早く確実に受け取りに来ていただくこと、また、各市区町村において、まだ通知カードを受け取っておられない方に来庁を促していただくなど、こういった措置をとっていただくことをお願いいたしております。

 ロードマップにつきましては、先ほど申し上げましたような、特に日本年金機構の情報流出事案によるおくれということが、このようなことになっているわけでございます。

 もともとのロードマップよりもずれてしまったということになっていますが、何といっても、これは公正で公平な社会をつくる、そして国民の利便性を確保する、また行政の効率化を進めていくという大変大切な制度でございますので、国民の皆様に安心していただける状況がしっかりと確立した後に、マイナポータルも含めて、そしてまた地方公共団体との情報連携も含めて、スタートしてまいりたいと思っております。

武正委員 きょう、資料二ページ以降は、世界最先端IT国家創造宣言、そして同じく創造宣言の見直し、そしてさらなる見直し。

 これは資料としてお配りをしておりますが、八ページ、「日本再興戦略」改訂二〇一四、一昨年の六月のものでございます。(3)の一番下段、左側の一番下段ですが、「「世界最先端IT国家創造宣言」を精力的に推進し、以下の施策を講ずる。」ということで、右側の六項目、八ページ、九ページということでございますが、「3マイナンバー制度の積極的活用等」ということで、平成二十六年度のうちに、下から三段目に当たりますが、「金融、医療・介護・健康、戸籍、旅券、自動車登録などの公共性の高い分野を中心に、個人情報の保護に配慮しつつ、マイナンバー利用の在り方やメリット・課題等について検討を進め、今年度中にマイナンバーの利用範囲拡大の方向性を明らかにする。」

 これを踏まえてこの一ページのロードマップ案ができているというふうに承知をしております。

 今、マイナンバーのところでいいますと、「二〇一九年通常国会(目途)に向けて検討」という中には、今触れられた自動車登録はここには入っておりませんが、「戸籍事務、旅券事務、在外邦人の情報管理業務、証券分野等において公共性の高い業務への拡大について検討し法制上の措置」をとる。あるいは、その右下には「二〇一八年から段階的運用開始 医療等分野における番号」というようなことが書かれておりますが、これらをそれぞれ進めていくということでよろしいんでしょうか。

高市国務大臣 まず、マイナンバー制度でございますが、昨年十月に施行し、今まで約九六%以上の住民の方にマイナンバーを通知し、本年一月から社会保障、税、災害対策の各分野において順次マイナンバーの利用を開始しております。

 そして、平成二十九年以降は、行政機関間で法令に基づきマイナンバーとひもづいた個人情報連携、そして先ほど申し上げましたマイナポータルの運用によってプッシュ型のサービスを、これも順次開始をしていく予定でございます。

 ですから、今、平成二十九年からの情報連携及びマイナポータルの運用開始に向けまして、内閣官房及び各行政機関におきまして必要なシステム整備を進めているところでございます。これも先ほど申し上げましたが、年金機構事案もありました、当初予定より若干遅延が発生しているところもございますが、内閣官房及び各行政機関の必要な対応、システム整備の作業についてはおおむね順調に推移しています。

 それで、さらに利用範囲、どのように便利なものにしていくかということなんですけれども、マイナンバーそのものの利活用と、それからマイキー部分ですね、個人番号カードを活用したマイナポータルの利活用ですとか、それから公的個人認証の活用、こういったものは分けて考えていかなきゃいけないと思います。

 法改正を伴うマイナンバーそのものの利用拡大、これは石原大臣の担当でございます。マイナンバーカードの発行ですとかマイナンバーの通知でございますとか、それからさらに、受け取っていただいたマイナンバーカードより、法改正を伴わずにできる、民間でできる利用拡大など、そういったものを推進していくのが私の立場でございますので、具体的には、マイナンバーカードのキャッシュカードやデビットカード、クレジットカードとしての利用ができないか、またコンビニのATMなどからマイナポータルへのアクセスの実現をしていけないか、そして、マイナポータルを利用した医療費の控除の申告手続の簡素化、こういったものの実現に向けた検討を進めているところでございます。

 そして、法改正の必要なマイナンバーそのものの利用拡大、石原大臣の方の担当ですが、これも、マイナンバー法の附則で、法律の施行後三年を目途として、法律の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずることとされていますので、戸籍事務ですとか旅券事務などでのマイナンバーの利用については、政府内で検討を始めているという状況だと承知しています。

 また、昨年のマイナンバー法改正によりまして実施することとなった預貯金口座とのマイナンバーのひもづけというのは、平成三十年より、預貯金者にマイナンバーの提供義務は課さないという形で開始されるということでございます。

武正委員 今、大臣付言されましたように、やはり国民の理解、これが前提だというお話、まさにそのとおりであります。まだまだやはり、同僚委員の皆さんもお感じだと思いますが、マイナンバーカード、あるいはマイナンバーについて心配なところが、個人情報が漏えいするんじゃないのか、そういったところがあるわけでありまして、この国民の理解というのが大前提だというふうに考えます。

 今、カードについては所掌だというお話なので、このロードマップでいうと、個人番号カードの一番下の段、「二〇一七年七月目途 医療保険のオンライン資格確認システム整備」、そして「二〇一七年七月以降(二〇一八年四月目途) 健康保険証としての利用」というのがロードマップに書かれておりますが、今、こういったことで番号カードについては検討が行われているということでよろしいでしょうか。

高市国務大臣 健康保険証とマイナンバーカードの一体化につきましては、平成二十七年六月に閣議決定された日本再興戦略において、平成二十九年七月以降の早期に可能とするということになっています。

 今、厚生労働省を中心に、マイナンバーカードの公的個人認証を活用した被保険者資格をリアルタイムでオンライン確認することでマイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みというものが検討されている、その最中であると承知をしています。

 健康保険証とマイナンバーカードの一体化は、お使いになる方の利便性に資するものでありますので、引き続き検討は進めてまいりたいと思います。

 なお、医療IDにつきましては、これは厚労省において検討中で、まだ結論を得ているとは伺っておりません。

武正委員 おととい、参考人質疑では、医療IDとマイナンバーを分けたことは評価するということが鈴木参考人から指摘があったというふうに承知をしております。

 このマイナンバーについて、先ほど触れましたように、国民の理解ということが大前提で、今厚労省にも付言がありましたが、進めていただきたいというふうに思っております。

 特に、おとといの参考人質疑でも、この後触れる行政機関の個人情報保護法改正の非識別加工情報の対象としての拡大範囲、これについては、特に医療情報それから観光情報、これがやはり十六回の研究会でも一番上がったテーマだということでありますので、マイナンバーと、それからマイナンバーカードと、それから行政機関の個人情報保護法の非識別加工情報、特に医療、これが非常にリンクをしてくる、あるいはリンクをしてくる可能性があるということで、きょう、厚生労働省もお見えをいただいているところでございます。

 そこで、大臣に改めて、先ほど指摘をした二ページ以降、世界最先端IT国家創造宣言いずれにも、オープンデータ、ビッグデータの活用推進については、パーソナルデータの利用を促進するための環境整備等を図る、しかし、やはりその前提として、個人情報及びプライバシーの保護との両立に配慮したデータ利活用ルール、これが必要なんだということが、いずれの宣言、見直しでも記載があるわけでございます。

 それについては、おとといの参考人質疑やこれまでの質疑の間でも、個人情報保護委員会の関与が緩い、各所管大臣の権限が残されていることや、そしてまた総務省行政管理局にその権限が残されていることであって、このいずれの文書でも出ているプライバシーコミッショナー的な個人情報保護委員会、第三者機関のあり方が必要だという指摘が再三出され、これは法案の修正も必要なんじゃないかということも、参考人から、スモールスタートであるけれどもということで付言があったわけでございます。

 これは引き続き、この委員会の質疑はきょうで終わってしまいますが、総務委員会としても、傾聴に値するし、取り組む必要があるというふうに思うわけでございます。

 そこで、改めて、ビッグデータ、パーソナルデータ利用の目的について、大臣に御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 ビッグデータとしてのパーソナルデータの利用目的ということでございます。

 やはり近年の情報通信技術の進展によりまして、いわゆるビッグデータの収集と分析が可能となる中で、特に利用価値が高いとされるパーソナルデータを、適正かつ効果的にその利活用を進めていくということは、新たな産業の創出や活力ある経済社会や豊かな国民生活の実現に資するものであるということで、官民を通じた重要な課題でございます。

 このような認識がありましたものですから、昨年の通常国会において、民間部門における個人情報保護法が改正され、これを踏まえまして、行政機関等の保有する個人情報についても、個人の権利利益の保護に支障を生じないということを前提として、有用な利活用の仕組みを設けることにしたわけでございます。

武正委員 ビッグデータ、パーソナルデータ利用について、成長戦略ということで、今回も法案の中に、経済成長に資するというような形で目的に明記がされているわけであります。それが、ビッグデータ、パーソナルデータの活用と、先ほど言った個人情報の保護、鈴木参考人の言葉をかりれば、情報公開と、個人情報保護と、ビッグデータ、パーソナルデータの活用、この三つのバランスをとらなければならないんだということがやはり指摘をされております。

 そういった意味では、今国会では、例えばTPPの審議でのあのノリ弁当の情報しか政府から開示されない点、あるいは、先ほど防衛大臣政務官が来られておりましたが、我々外務委員会でもそうですが、外交交渉の機微のやりとりは公表できません、こういう大臣の答弁がありながら、防衛大臣政務官は、特定秘密保護法違反の疑いのある講演をやってしまう。

 こういったところが、やはり情報公開という前提があっての、これはなかなか難しいです、情報公開と個人情報保護の兼ね合いというのは。ただ、先ほど、参考人が言った三位一体の取り組みが必要なんだということで、政府には特に、情報開示について、説明責任について取り組みを求めるところであります。

 あわせて、これはロバート・ライシュ米元労働長官が指摘をしておりますが、今アメリカでは、四百人の資産家が一億五千万人の米国民の資産を上回る資産を保有ということで、やはり資産、所得の格差拡大が著しいということでございます。

 これをなした背景は、金融工学の著しい発展と金融政策の規制緩和、これがあったわけでありまして、今日本もそれを追随しているのではないのか。アベノミクス三本の矢といいながら、一本、金融政策のみ。しかも今回はマイナス金利という、私からすれば、奥の手ではなく禁じ手であるというふうに感じるわけでございます。

 こういった中で、成長戦略だ、経済成長だ、そのためのビッグデータ、パーソナルデータだといったところに余りにも過度に偏り過ぎることは、バランスを欠くのではないかというふうに考えるわけでございます。

 この点について、大臣、御所見を伺えればと思います。

高市国務大臣 先ほども答弁申し上げましたけれども、情報通信技術が発展する中で、世界各国、新しいサービスを打ち出していく、そしてまた、国民の皆様の豊かな生活、こういったものを実現していくために、どうやってビッグデータを活用し、また新たな産業を生み出していくか、ここで大変熾烈な競争が繰り広げられ、また知恵を絞っている状況だと思います。

 あくまでも、個人の権利利益の保護、これは大変大切なものですから、本法案の重要な目的でございますけれども、やはり民間の情報とともに行政機関が保有するものも、個人が特定できない形で、一つのビッグデータとして活用も進めていただき、そしてまた新たなイノベーションを生み出していく、こういった取り組みというのは今の日本にとって大変重要なことだと私は考えております。

武正委員 鈴木参考人が指摘した、個人情報保護と、ビッグデータ、パーソナルデータの利活用と、もう一つ、情報公開あるいは政府のそうした説明責任、やはりこれが三位一体なんだということについては、大臣としての御所見はいかがでしょうか。

高市国務大臣 さまざまな法制がございます。個人情報保護法制があり、また情報公開法制もあり。行政機関が保有する情報に関して、これらの法制というのは、個人の権利利益の保護であり、国民への説明責任であり、行政の適正な運営などの目的のためにそれぞれ制定されて、これまで必要な改正ですとか見直しが行われてきております。我が国の法的基盤として機能してきていると思います。

 法律は本当にいろいろありますけれども、行政機関個人情報保護法、独立行政法人個人情報保護法、これは改正案として今回お示しをしておりますが、このほかにも、行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法、また公文書管理法といったものもございます。

 しかしながら、それぞれその時期時期に応じて、時代が動く、また技術が変わっていくという中で、必要な改正や見直しはこれからも行われていくものだと思っております。

 そして、やはりICTそれからデータの利活用というのは、私はグローバルな競争を勝ち抜く鍵であると思いますし、その戦略的な利活用をとにかく図っていくということで、政府で、IT国家創造宣言を踏まえて、オープンデータの推進、それから個人情報に係る方策というのを体系的に整合性を持って推進してきている、そのようなつもりでおります。

 ぜひとも御理解をいただきまして、やはり国民の権利利益というのは絶対保護しなきゃいけない、しかしながら、日本の成長の大きな鍵となる分野についてはしっかりと育てていかなきゃいけない、その両立に向けてしっかり頑張っていくということで御理解を賜れたらと思います。

武正委員 最後に、厚生労働政務官もお見えでございます。次世代医療ICT基盤協議会で今進めておられます二〇二〇年に向けた医療情報のデジタルデータ化などについてお触れをいただければと思います。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 広い視野からの御質問でございますけれども、厚生労働省では、先ほど来、健康保険証についてマイナンバーカードが利用できないかというような観点や、あるいは、各保険者に蓄積されておりますビッグデータがデータヘルスに活用できないかとか、医療全体の効率化とともに日本全体の医療関連産業の発展のためにこうしたビッグデータが広く活用できないかどうか、利活用できるかどうかという点について、個人情報保護とのバランスも考えながらこれを進めているところでございます。

 今回の改正法案につきましては、今大臣からるる御説明ございましたように、適切に活用ができれば医学研究や医療の高度化など社会全体の利益につながるものでございますから、こういう観点を大事にしながら、行政機関のトップとしての厚生労働大臣の的確な判断が導かれるように検討をしてまいりたいと思っておりますが、とにもかくにもこの法案では要件がございますので、その要件に照らして、情報を保有する庁として、適切な判断を行っていきたいと考えております。

武正委員 時間が参りましたので終わりますが、次世代医療ICT基盤協議会では、今のこの法改正ではグレーゾーンとされるカルテ情報、あるいは個人の機微のセンシティブな病気の履歴などについても、さらに行政機関の個人情報保護法の対象範囲としての検討をされているように報告を受けております。こうした点についてもしっかりと個人情報保護の観点を踏まえて臨むことを求め、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 早速、法案について伺いたいと思います。

 まず、法案の目的についてです。

 非識別加工情報の導入について、この委員会でも繰り返し、新たな産業の創出並びに活力ある社会の実現に資することが強調されております。

 しかし、この間の質疑や参考人質疑を通じ、まず強く感じることは、国の行政機関等が保有する個人情報を第三者、民間に提供するというリスク、不安を背負ってまでしようとする割には、本当にこの民間への個人情報の提供が、新たな産業の創出、活力ある社会の実現につながるものになるのかという疑問です。

 私の一昨日の質疑でも、政府参考人からは、法案成立後、各行政機関で提案募集の対象となる個人情報ファイルを特定して募集をする、現時点で、民間事業者から具体的なデータ名を挙げて要望いただくことは困難との答弁でありました。

 また、一昨日の参考人質疑でも、藤原参考人からも、具体的な可能性や効果について、検討会でも民間事業者へのヒアリングでも、これといってたくさん具体的な提案が現段階で出されたわけではない、医療、観光等で今後使えるのではないか、そういうものが想定される議論だったとありました。

 そこで、本当に高いリスクを背負ってまでやることか。経済成長、新産業の創出の切り札となるようなイメージは、これまでとても持ててきておりません。仮に、述べられていた観光や医療分野を挙げるなら、何より大きな個人情報のリスクを考え、国や独立行政法人の全ての個人情報を民間への提供対象とするのではなく、観光や医療など分野ごとに、あくまでも公益性を踏まえながら新産業の創出を進めるやり方もあろうかというふうに思います。

 大臣に改めて確認いたしますが、本法案は、個人情報保護への不安、リスクを抱えてまでして新産業の創出に本当につながるものなのか、具体的にお答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 この法律案は、行政機関などが民間事業者からの提案を受けて非識別加工情報を提供する仕組みを導入するものでございます。ですから、民間事業者が創意工夫により、新たなサービスや事業を創出しようとする取り組みを後押ししようとするものでございます。

 この法案に言います新産業というのは、ビッグデータとしての匿名加工情報の利活用を通じて、現在では想像できないような産業の進展が起こり得ることを念頭に置いて述べたものです。これは、昨年の個人情報保護法案の審議の中でも政府から答弁がございましたけれども、やはり、今普通にある、すぐに想定できる産業ではなくて、ビッグデータを活用したらこんな思いも寄らなかったイノベーションが起きてくるんだよ、こういう姿を期待しております。

 では、新産業の創出に実際に資するのかどうかということを審査するのに当たりましては、非識別加工情報の利用目的及び利用に供される事業の内容が記載された提案書、それから、新たな産業の創出等に資するものであるということを明らかにする書面を提出していただくということにしております。あわせて、具体的な説明を求めるということでございます。

 今回の法律案、お認めいただきましたなら、産業界への丁寧な説明を行いまして、非識別加工情報の提供によって実際に新たな産業が生まれてくるという状況ができるように取り組んでまいります。

梅村委員 ただ、新産業の創出、これまでも考えていなかったようなことが生まれるかもしれないということですけれども、同時に、国や独立行政法人の公的データを提供していくということでいえば、また考えられないようなリスクも、そういうことでいえば起こりかねないというふうにも思うわけです。やはり私は、そこをもっと慎重にしっかりと、国民皆さんの個人情報に関することですから、慎重審議、しっかりと個人情報について、前提といいますけれども、本当にそれが担保されるのか、その議論が足りないのではないかということを指摘させていただきたいというふうに思うわけなんです。

 そして、この点にかかわって、これももう一度大臣にも確認したいと思います。

 参考人質疑の中で、坂本参考人から、商業目的あるいは営利目的で利活用するのは、本人の予測の範囲を逸脱した目的外利用であって、プライバシーの侵害のおそれがあるという御指摘がありました。

 これにかかわって、藤原参考人からは、公的部門の利活用を例えば商業目的と言ってしまうと、それは語感で反発をする、あるいは、公的なデータをビジネスということで考えていいのか、その一点張りで考えていいのかという御疑問があるのは私は無理からぬことであると思う、新産業の新たな創設等は、商業目的よりは、もう少し一段次元の高いといいますか、その結果公益にも資するというものですので、その観点から、民間部門の提案を受けるときに、まず対象情報を絞る、何でもかんでもいいということにはしないというふうに御指摘もありました。

 この点で、商業目的、営利目的や公的なデータをビジネスで考えていいのかという意見について、いかがお考えでしょうか。そして、具体化する際に、商業主義に陥らないことや公益に資するということを認定の重要な基準などにやはりするおつもりなのかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。

上村政府参考人 お答えをさせていただきます。

 今般、御提案申し上げております非識別加工情報、これは確かに民間事業者による利用を予定しているものではございますけれども、単なる商業利用ではなくて、もう少し概念の広い、新たな産業の創出、こうしたものを法律の目的として掲げているということでございます。

 したがって、このような言い方が適切かどうかわかりませんが、一企業の利益ということだけにとどまらず、このビッグデータを活用いたしましたイノベーションを通じまして、社会全体の経済成長、活性化、そういったものが実現する、その果実が社会全体にもたらされる、そうした効果を想定しているというものでございます。

 また、イノベーションの結果、いろいろな企業の創意工夫、御努力によりまして、従来存在しなかったような、考えられなかったような商品それからサービスが生まれる、そうしたことは、国民生活にとりましても、利便が向上する、それから快適性が向上する、より安全なものになる、豊かな国民生活の実現にも寄与するということでございますので、単なるビジネス利用とかそういうものより、もう少し広い概念で御理解をいただければ幸いだと思います。

梅村委員 ただ、今回の法案の、現段階ではそういう基準についての具体的な問題はないわけで、今の御答弁で確認させていただきたいんですけれども、商業主義に陥らない、単なるビジネスではない、公益性をしっかりと認定の際には基準にしていくということでよろしいんでしょうか。

上村政府参考人 法律上の審査の要件では、そういうふうな新産業の創出に資するものであるか、見ることになってございます。

 ただ、具体的にどうやってそれを見ていくかということは、これから、個人情報委員会等の規則その他いろいろな形で決めていくということになりますが、基本的な法律の目的は今申し上げたとおりでございまして、それに沿った検討がなされていくものだというふうに考えております。

梅村委員 公的データであるということをしっかりと踏まえる必要があるというふうに思います。

 そして、同時に、そもそも国の行政機関等には、前回も質問させていただきましたけれども、その機関の性格や業務上、多くの個人情報が集まり、保有、管理をされている。つまり、行政目的として権力的に国民から提供を受けている個人情報である。だからこそ、行政機関には、個人の権利利益を保護するための適正な取り扱い、その保護を厳格に履行する責任と義務が課せられているというふうに思います。

 これまでの議論、今御答弁いただきましたけれども、民間企業の提案で個人の情報を利活用していこうとすれば、しっかりとここら辺は監視、そして慎重にしていかなければ、行政機関等がみずから個人情報の保護規制を緩める方向に走る危険がある法案だということを十分に認識して当たる、また、私たちは、そもそもそういうことで公的データを提供するということについては、やはりやるべきではないというふうに考えているところであります。

 続いて、国民の利益、権利について伺っていきたいと思います。

 先日、私の質問に対して高市大臣は、公的データの民間業者への提供について、今のやりとりでもございましたけれども、あくまで個人の権利利益の保護ということを前提に進めるということをおっしゃいました。つまり、今回そういうことを前提としているので大丈夫だということでもあろうかというふうに思いますけれども、その前提に進めるという点について、二つの御答弁があったかというふうに思います。

 一つは、対象となる個人情報を限定する、だから前提としている。また二つ目に、提案者において適切な安全管理措置が講じられているといったことについてきちんと審査を行った上で提供する仕組みをつくるということが、前回の御答弁でも挙げられております。

 しかし、私は、先日の参考人質疑も含めまして、こうした二点をもって個人の権利利益の保護がされるということでいえば、余りにもやはり不安が大きいのではないか。国民の皆さんに、これだから皆さんの権利利益の保護がされますよと言っても、なかなか不安は大きいのではないかというふうに、この間聞いていて思うわけです。

 そこで、この前提に進めるという点で幾つか確認したいんですけれども、一つは、要配慮規定について確認させていただきたいというふうに思います。

 この法案では、昨年の個人情報保護法の改正との並びで、行政機関等にも要配慮規定を設けました。法案には、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」というふうに規定しているかと思います。

 しかし、ここで確認させていただきたいのは、やはりこれらは、そもそも、国等の行政機関が集めてはいけないような、本来制限されるべきような個人情報ではないかなと。実際、重大な案件がこの間少なくなくあるというふうに思います。特に、個人情報の保護といった場合、民間だけではなく、そもそも、この間の事案でいえば、公的機関が重大な事案を生んできているという点は、私は軽視はできないというふうに思います。

 例えば、二〇〇二年、先ほども少し触れられましたけれども、防衛庁の情報公開請求者の個人情報リスト、二〇〇七年の自衛隊の情報保全隊が市民運動等の情報収集を行っていた問題、また、二〇一〇年のインターネットへの流出で発覚した警視庁公安部のテロ捜査資料など、国が集めていたことが明るみに出て、この間、是非が問われてきたのではないかというふうに思います。

 こうした事例を見てみますと、要配慮規定があるから大丈夫では説明がつかないのではないかというふうに思います。集められるということが前提となっていることが重大であり、つまり、行政機関が把握できる情報として定義するには、この点、そもそも問題があるのではないかというふうに思いますけれども、この間の事例との関係も含めてお答えいただきたいというふうに思います。

上村政府参考人 お答えをいたします。

 要配慮個人情報、委員も御指摘のとおり、これが一旦不用意な使用等をされますと、本人に対する差別行為その他を助長するものでございますので、ほかの個人情報にも増して慎重な取り扱いが求められる、これはそのとおりでございます。

 ただ、その上で、行政機関、御承知のようにさまざまな所掌事務を遂行しております。その各般の所掌事務遂行の中で、どうしてもこうした要配慮個人情報に当たる、こうした情報を取得しなければならない場合はあるんだろうと思います。

 ちょっとそういう例を今申し上げるのがいいかどうかわかりませんけれども、犯罪の被害情報というものも、その先の犯罪予防のための施策のために収集するですとか、病歴情報でありましても、公衆衛生施策といいますか、疾病予防等のための施策、それからいろいろな企画立案のために必要な場合等ございます。そういう面、企画面、執行面、いろいろあると思っております。

 そういう意味では、行政機関の責務としてそうしたものを集めざるを得ない、それは従来と変わることがなく、今後とも同じであろうかと思っております。

梅村委員 行政機関の責務として集める必要がある問題だということでしたけれども、逆に言えば、そういうものを使って国民が監視をされ、いろいろな問題で情報収集されるという事態がやはりこの間もあるわけですよね。そういうこととの関係でどうなのかということを聞いているわけで、お答えいただきたいというふうに思います。

上村政府参考人 従来から、まず、これは個人情報一般でございますけれども、そもそも行政機関等におきましては、個人情報取り扱いというものについて、そういう意味では厳しく規制をかけておりまして、まず、所掌事務の遂行に必要な範囲でしか保有してはならないということになってございます。それから、目的外利用も原則として禁止でございます。それから、情報の御本人から何らかの開示請求あるいは訂正請求、利用停止請求があれば、これに応答する義務がございますし、さらに、不服申し立てということになりますれば、情報公開・個人情報保護審査会への諮問、こういう手続も定められております。非常に厳格な規律を設けた上で、適切に運用しているわけでございます。

 今回の法案の措置でございますけれども、今申しました規律に加えまして、御指摘の要配慮個人情報につきましては、本人が自己に関する情報の利用の実態をより的確に認識し得るようにするために、こうした要配慮個人情報が含まれている場合には、個人情報ファイル簿にその旨を記載し公表をする義務、これを行政機関等に新たに課すことにしたものでございます。

 これによりまして、透明性を確保いたしますとともに、行政機関の現場におきましても、要配慮個人情報が含まれる、そうしたことを明確にそれぞれの職員が意識した上で、より適切な取り扱いがなされることにつながるものだと考えております。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

梅村委員 質問に対して、ちょっと答えていただいていないというふうに思うんですね。

 適切に処理をしていると言われながら、この間、相次いで、国のデータを使って市民活動への監視だとか、そういう問題があるわけで、やはり今でもそういう問題が起こっているから、国民は不安に思っている。それが解決もしていないのに、公的データが民間に提供されていくことが進んでしまっていいのかということを、私は繰り返し質問をし、ぜひ御答弁いただきたいなというふうに思っていたわけなんですね。

 そもそも、行政が情報を集めていいか、これについても国民的な議論が残されています。不安も今述べたようにあるわけであります。私は、このような状況のまま、徹底審議をしないで、この法案が国民に十分知らされないまま決められていくというのは、信頼を得なきゃいけないのに、逆に、個人情報をめぐって国への信頼をなくしていくことになるのではないかというふうにも思い、やはり強引なやり方はやめるべきではないかなというふうに思うわけなんです。

 この点でさらに伺いますけれども、この要配慮個人情報と定義された情報が記載されたファイル簿がどのように扱われていくのか、これから今までとは変化があるのかを御確認させていただきたいと思います。

上村政府参考人 個人情報ファイル簿と申しますのは、各省庁がそれぞれ自分の持っている個人情報の取得目的、概要等を、それからどういう項目が含まれているかというのを一覧性を持ってお示しした、ある種の表のようなものでございますけれども、その中に、要配慮個人情報がこの中には含まれているということを何らかの形で記載する、そういうことを今考えているところでございます。

 この個人情報ファイル簿というのは公表されるということになっております。

梅村委員 ファイル簿にその旨を明記していくということですので、これから具体化ということですけれども、それが記載されてどんなふうにもしかしたら使われるのか、そういうことについてもやはり国民的には不安な一つだというふうに思います。

 そこで、次に伺いたいというふうに思います。

 非識別加工情報についてですけれども、先ほど、要配慮との関係では、ファイル簿に記載されるということは今御答弁でわかりましたけれども、法改正の非識別加工情報の対象とならないもの、法案はどのような扱いになっているのかを御答弁いただきたいと思います。

上村政府参考人 まず、行政機関の保有している個人情報であるということから始まります。その上で、たった今も申し上げました個人情報ファイル簿、これが公表されているものが対象となります。

 逆に言いますと、公表されていないものは加工対象にならない。例えば、国の安全、外交上の秘密等々を記録する個人情報ファイル、また、犯罪捜査等のファイルはこうした対象になりません。

 それから、その次の条件といたしまして、情報公開請求があったならば部分開示はされるものであるということでございます。

 これは、当然個人の識別性をなくした上で、そのなくした残りの部分に個人の権利利益を場合によって侵害のおそれがあるというふうなものについては、それを除く。あるいは、やはり先ほどの個人情報ファイル簿の不公表と似てくるところがあるわけですが、国の安全、犯罪予防、それから事務事業への支障、そういった情報につきましては、今でも部分開示もされない、全面不開示という扱いになっているものにつきましては、今回の加工の対象にはならない、こういうことになってございます。

梅村委員 そういうことを各省庁の判断でこれから具体化していく、そして法律ではなく、施行令や運用に今後はどの適用をされるかということは委ねられていくということかというふうに思いますけれども、それでよろしいんでしょうか。

上村政府参考人 法律上の要件は、それぞれの行政機関個人情報保護法及び情報公開法に記載をしてございます。情報公開法でございましたら五条に第一号から第六号までそれぞれ記載がございますし、行政機関個人情報保護法は十条二項に一号から十号までございます。

 それに当たるかどうかという具体的な判断は、委員おっしゃるとおり、それぞれの行政機関が個々に判断していくという部分はあると思います。それの具体的な決め方等々につきましては、そういう意味では運用の部分というのもあるというふうには考えております。

梅村委員 ですので、これからがまだまだ、国民の個人情報との関係では慎重にしていかなければいけない部分が大変多い法案だというふうに思います。

 さらに、非識別加工情報をめぐってちょっとお伺いしたいというふうに思います。

 行政の機関内では個人情報として取り扱われるが、非識別加工を施した情報は、個人情報ではない、安全な情報として民間事業者に提供されるという点もやはり深められなければいけないというふうに思います。

 だから提供可能との説明ですけれども、そもそもこの点では、個人情報保護に基づき匿名加工情報として照合できない情報として扱われるというふうに思いますけれども、裏を返せば、照合すれば大変危険であるということを法案そのものがおっしゃっている。

 照合を特別な措置として禁止する契約を事業者にするということだというふうに思いますけれども、もしそれを守らなかった事業者が出たらどうするのか。また、やはり最初から危険性を前提とした法案になっているのではないか。その点はいかがでしょうか。

上村政府参考人 基本的には、非識別加工情報、民間事業者に渡れば匿名加工情報というふうになりますが、他の情報と照合をして識別ができないように、そういう加工をするということではございますけれども、いろいろな現在の情報処理技術の進展とか、そういうのを考え合わせますと、全くこれがどんな手段を用いても復元ないし照合が不可能であるということまでは言えないということでございます。

 そこを担保するためと申しましょうか、照合禁止義務をかけている、こういうふうに理解しておりまして、基本的には安全なものでありますが、念のためこういう規制をかけて、そこを担保しているというふうに御理解をいただければと思います。

梅村委員 安全なものだけれども念のため担保してということも、やはりここもなかなか、個人情報の保護という点では十分理解されるんだろうかという点だというふうに思います。

 実は昨年六月の参議院の内閣委員会で、私たち日本共産党の山下芳生参議院議員が、個人情報とマイナンバーをめぐって、四つのリスクという問題を提案させていただきました。

 一つは、一〇〇%情報漏えいを防ぐ完全なシステム構築は不可能ではないか。二番目が、意図的に情報を盗み、売る人間がいる。三番目に、一度漏れた情報は流通、売買され、取り返しがつかなくなる。四番目は、情報は集積されるほど利用価値が高まり、攻撃されやすくなる。こういう提案をさせていただいて、政府などもこれを認めるような、論戦の中で、いろいろ御議論させていただいた経過があるというふうに思います。

 まさにこの四つのリスクということを踏まえた場合に、照合を禁止する契約をするでは、余りにも危機意識がどうなのか、対策となっていないような気もいたしますけれども、その点、いかがでしょうか。

上村政府参考人 安全性ということでございますけれども、先ほどお答えしたとおりであるのですが、通常の技法、技術におきましては、これは識別はできないというものでございますので、繰り返しになりますが、これは基本的には、安全なものとして取り扱っていただけるというものだと思っております。

 それから、どういう表現をしたらよろしいのか、悪意がある、あるいは意図を持ってそれを復元する、識別をしようとする者に対する対策ということでございますが、基本的には、私どもの今御提案している法案では、まず一つには、これは何度も御説明をしておりますけれども、提案者の欠格条項というものを定めております。

 過去、この法律の違反があった方あるいは刑罰を受けた方、その他いろいろございますが、そうした者をまず一次的には欠格条項として提案者から排除をする。その上で、これまた何回か答弁はさせていただいたところでございますが、利用目的、それから安全管理体制、その他いろいろ、契約を結ぶに当たりまして、提案の審査をさせていただくということになっております。

 先ほど大臣からも答弁がありましたように、事業の計画書でありますとか、どのようにイノベーションに結びつくのか、これを審査した上でお渡しするということでございまして、そういう意味では、当然のことながら、興味本位の利用でありますとか、場合によっては反社会的な利用というのは、もう当然、審査の過程ではねられるということになります。

 その上で、さらに契約内容におきまして、適切な使用、あるいは不正な使用をした場合の措置等々を盛り込むことがこれから考えられるわけでございまして、こうした手だてを通じて、私どもの法律の方では、そういう意図ある方への対策ということを考えているところでございます。

 それから、これも繰り返しになりますが、一旦、民間に出たこの情報は、個人情報保護法の匿名加工情報として個人情報保護委員会の監督を受けることになります。こちらの委員会は、これも御承知のとおりでございますが、資料、説明の聴取、それから立入調査、勧告、命令、命令違反の罰則までかかっております。

 そうした、いわば二重、官民からの監督、監視という措置がかかっているものだと思っております。

 それから、一度出てしまった情報というのは、これは情報の性質上、そうなんでございますが、基本的に、私どもの今御提案している法案では、契約を結んで、お渡しをし、手数料をいただき、目的を審査し、欠格条項を見てということでございますので、基本的に、その契約いただいた相手、提案事業者にのみ使っていただく。さらにそこからどこかほかへ出ていくということは極めて例外的な、しかも、事前に中身をお聞きして、契約条項にそれを盛り込むというふうにしてございます。

 したがいまして、転々流通するということは当然のことながら考えていない、こういう仕組みにさせていただいているということでございます。

梅村委員 四つのリスクということで御紹介させていただきましたけれども、その点、やはり非常に危機意識がいかがなのかなというふうに思わざるを得ません。

 そして、今御答弁がありましたけれども、今回の法案に基づいては、かなり各省庁が今後行う仕事が、しかも、個人情報をめぐって重たい仕事が課せられていくというふうに、今の御答弁でも改めて思いました。

 事前のレクチャーでは、いわゆる提案してもらったのを認定していく作業も含めて、ふだんの行政運営に支障が生じないことを前提にしていくというふうになっていますけれども、ふだんでも各省庁の皆さん、忙しく、さまざまお仕事をされているというふうに思うんです。

 本当に、国民の公的データを、一旦漏れてしまったら重大な人権侵害にもなるというような重い仕事を現在の体制の中でやっていく、そういう担保があるのかどうか。また、そういうことができるのかどうか。苦情の処理なんかも行っていくということもお仕事の一つとなっておりますね。本当にやっていけるものなんでしょうか。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

上村政府参考人 今回、この法案を御成立いただきましたら、これも繰り返しになりますけれども、法律の目的であります新産業の創出、活力ある経済社会、それから豊かな国民生活の実現、こういう大きな目的に向かった政策として実施していくものでございますので、そこは、各省庁いろいろ、おっしゃるように人員その他の資源の制約はございますけれども、これは全力を尽くして取り組んでいくということになる、当然そういうことになるものだと考えております。

 付言をいたしますれば、私どもの所管している法律でも、情報公開、それから行政不服審査、あるいは個人情報保護に関するいろいろなお申し立てもございます。それは、一々、そういう言い方もあれではございますけれども、労力、時間、経費もかかる作業をやっているわけでございます。それは、私どもの通常の業務をやっていく中で真摯に対応しているつもりでございますので、そうした姿勢あるいはやり方というのはこの法律においても同じでございますので、そこは変わることがないのであろうと思っております。

梅村委員 そうしますと、今までと比べて、今度の法案に基づくリスクというようなものはそんなに高くないという御認識ですか。リスクはやはり高くなっていくという御認識なんでしょうか。

上村政府参考人 リスクが高くなるかという御質問でございますか。ちょっと済みません、よく御質問の御趣旨があれでございましたけれども、こういうことをやることによりまして行政の扱ういろいろなリスクが高くなるか、こういう御質問でございましょうか。

 済みません、ちょっと申しわけございません、よく御趣旨を理解しておりませんでしたので、もしよろしければもう一度お願いをできますでしょうか。

梅村委員 今までにはない、公的データを民間に提供していくという、新しい、今までやったことがないことに今後踏み出そうとしているわけですよね。ですから、個人情報をめぐって、やはり今回の措置によって、今まで聞いていると、大丈夫だ、安全だ、そういう感じの御答弁が多いわけです。しかし、新しい分野に今後踏み出そうとしているわけですから、そのもとで新たなリスクが生まれるという認識はないのですかということを確認させていただきたかったんです。

上村政府参考人 質問の御趣旨をちょっと正確に理解しているかあれでございますけれども、二つのことをおっしゃっているのかなと。全く新しい分野に乗り出すことによるいろいろな情報処理上のリスク、それから事務運営上のリスクということかと思います。

 二つあわせてお答えするならば、まず、先ほどからもお答えしていますように、提案対象となる個人情報の範囲、これは限定をするわけでございます。したがいまして、そこが個人情報保護法の規定それから情報公開法の条件と完全に一致するわけではございませんが、非常に機微な情報それから秘匿性の高い情報というのが全て加工されるというわけではございません。そこはある程度のスクリーニングがかかる。

 それから、これも繰り返しになりますけれども、どんな方でも提案できるというわけではございません。それは、欠格条項、プラス、しっかりしたビジネスプランをお持ちの提案者の方に提案をしていただくということでございます。

 そういう意味では、まず、情報の性質、それから、これはもうるるここで繰り返しませんけれども、各種講じておる安全管理措置、それからそういった情報の対象となる情報の範囲の質的、量的な制約、あるいはそのビジネスプランを具体的に提出いただける方といいますか、企業の方がどのぐらいのものであるかというものを総合的に予測しませんと一概には言えませんけれども、当然、私どもとしては、通常の業務をこなしつつも、これはやっていかなくてはならない仕事でございますし、そのリスクにつきましては、今申し上げたようなことで十分対処ができる、当然そういうことの前提のもとに御提案をしている、こういう法案でございます。

梅村委員 そうしますと、国民にとってはやはり今までにないリスクは考えられる、しかし、十分な体制をとっていきたいという御答弁だったというふうに思います。

 しかし、今回の法案を見ておりますと、そこら辺が、十分体制としてもやっていけるのか、後で第三者委員会の問題も触れさせていただきますけれども、その体制も含めて、やはり非常に不安が多く残る分野だというふうに思うわけなんですね。

 次に移りたいというふうに思います。

 それで、今後の地方公共団体がこの法案をもとにしてどうなっていくのかという問題について、確認をさせていただきたいというふうに思います。

 事前のレクチャーの段階でも、これから省令などを決めていくというようなことも伺いましたけれども、また、今の地方自治体での個人情報の保護の行政と、今後、この法案に基づいて地方公共団体などがどのような流れになっていくのかというのをお伺いしたいと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の個人情報保護法制におきましては、地方自治体は条例により規律がされておるところでございます。

 個人情報保護法におきましては、地方公共団体の責務としまして、この法律の趣旨にのっとり、その地方公共団体の区域の特性に応じた個人情報の適正な取り扱いを確保するための施策の策定、実施を規定する。あわせまして、その具体化としまして、地方公共団体が保有する個人情報の性質、保有目的を勘案した適正な取り扱いが確保されるよう必要な措置を講ずることに努めなければならないと規定されているところでございます。

 今回の法案が成立した暁には、地方公共団体は、今回の法案、また改正個人情報保護法の趣旨を踏まえまして、地域の特性に応じた個人情報の適正な取り扱いを確保すべく、条例の見直しなど、必要な措置を検討することとなると考えております。

梅村委員 そうしますと、この法案の趣旨に基づき、各自治体の判断だとしつつも、今でも一〇〇%の地方公共団体でこうした個人情報の条例がつくられているというふうに事前に聞いておりますし、こういう趣旨に基づいたことをしていく。

 具体的に言えば、非識別化をして、地方公共団体が持っている個人情報のファイルなどに基づいて民間事業者にも提供していく、そういう取り組みが進むということでよろしいんでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたように、個人情報保護法におきましては、法律の趣旨にのっとり、区域の特性に応じた適正な取り扱いを確保するための施策の策定、実施を規定しておりますので、地方公共団体は、今回の法案が成立した暁には、この法案の趣旨、また改正個人情報保護法の趣旨というものを十分に踏まえていただきまして、それぞれがこの制度の具体的な内容等々につきましても十分理解した上で、適切な対応をとっていただけるものと思っております。

 私どもは、そのために、関係機関とも緊密に連携をしまして、制度の仕組み、またその細かい細部の具体的な内容、また運用方法などにつきましても、丁寧に情報提供をしてまいりたいと考えております。

梅村委員 参考人質疑でも、ビッグデータという観点でいえば、もちろん、国や独立行政法人の情報もそういう対象であるけれども、より地方自治体が持っている情報が大変膨大で、しかも住民に密着をしている、よりいわゆる個人情報の保護が求められるような情報も多いという指摘もあったかというふうに思います。

 そこで、確認させていただきたいんですけれども、附則の四条では、今回、「一体的に利用されること」という記述があり、これまでの条文にはなかった記述かというふうに思います。これは、今回の法案における国、独立行政法人の保有する個人情報を、今後は地方公共団体も一体的に利用されるよう、その促進のための措置を講じるというような認識でいいのかどうか。

 また、違うのであれば、この「一体的」というのが新しく入り、どういうことなのかということを御説明いただきたいと思います。

上村政府参考人 御指摘をいただきました附則四条は、個人情報の取扱事業者、それから国の機関、地方公共団体等が保有する個人情報につきまして、一体的に利用されることが公共の利益の増進及び豊かな国民生活の実現に特に資する分野につきまして、個人情報の一体的な利用の促進のための措置を講ずることを定める、こういうものでございます。

梅村委員 事前のレクでは、そういうことじゃないんじゃないかということですけれども、やはり今の説明だと、一体的に今後活用を促進していくという御答弁だったというふうに思います。

 ただ、それにしては、事前に、地方公共団体などで例えば情報漏えいがどれぐらいあるのか調べていらっしゃいますかというふうに聞きましたら、総務省としてはそういうことは、収集というか集めていないというような御答弁もあったんですね。

 前回、私の質問で、国レベルでも、行政機関が五百三件だとか、独立行政法人などが五百七十二件の案件があると、情報漏えいなどの実態が。国でもこれだけあるわけで、私は、地方の方が、体制がよりない、専門家がいない、そういうような御苦労もあると思うので、いろいろな問題が、住民の皆さんとの関係では本当は慎重にならないといけない問題がより一層あると思うんです。

 そこら辺は、こういう一体ということを言うのであれば、まずは現状をつかんで、必要なことは何かということをやるのが前提じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 いずれにしましても、地方公共団体におきましては、このパーソナルデータの活用に関しまして、今回の法案、また改正個人情報保護法の趣旨を踏まえて、地域の特性に応じて必要な措置を検討することになるということでございますので、私どもとしましては、地方公共団体のこの趣旨についての理解が深まるよう、関係機関と密接に連携をして、適切に情報提供することによりまして、個人情報の適正な取り扱いが確保されることを期待しているところでございますし、地方公共団体から御相談があれば、必要な情報提供も行うなど、丁寧に対応してまいりたいと思っております。

 また、附則四条に関しましては、またそれは別の観点からの検討であろうというふうに理解をしております。

梅村委員 そうしますと、地方公共団体は、この法案のもとでは、今後、匿名加工情報の作成も含めた作業も必要になっていくんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういった体制がそもそもあるのか、セキュリティーは大丈夫なのか、また、自治体の新たな財政負担は生まれないのか、この点はいかがでしょうか。

原田政府参考人 繰り返しになりますけれども、いずれにいたしましても、地方公共団体は、今回の法案、改正個人情報保護法の趣旨を踏まえて、地域の特性に応じて必要な措置を検討することになります。

 今後、今回、国の公的部門における匿名加工情報制度の仕組み、こういうものの詳細が決まってまいることとなろうと思っておりますし、運用なども出てくると思われますので、そういうことについても地方公共団体に対しまして逐次丁寧に情報提供してまいることで、地方公共団体の理解を深め、その中で検討していただくことになろうと思います。

梅村委員 では、そういう検討の中で、例えば、自治体の判断で、自分のところはまだまだ体制もないし、管理、セキュリティーが不安だということで、今回の公的データの提供などしない、そういう判断をするということもありということでよろしいんでしょうか。支障はないということでよろしいんでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、地方公共団体は、個人情報保護法制の中で、その趣旨にのっとり個人情報の保護の確保をしていくことが求められておりますので、そういう法の精神、趣旨にのっとって対応していくものと考えております。

梅村委員 自治体の意見は、不安とか、できないといった場合にどのような対応をされるんでしょうか。

原田政府参考人 繰り返しになりますけれども、関係機関と十分連携をした上で、丁寧に情報提供をしてまいりたいと考えております。

梅村委員 個人情報、とりわけ、今も申しましたように、国以上に、本当に地域住民に密着する情報をたくさん持っているのが地方公共団体だというふうに思いますので、より慎重に、そして、先ほどもお話ししましたけれども、実態をつかんでいないということでしたので、やはりしっかりと総務省としても実態を把握し、自治体の困っていることなどもつかみながら、打開しながらやる、そういうことも必要ではないかというふうに思います。

 時間の関係で、最後になります。

 先ほども第三者委員会についてありました。公聴会でもこれについて厳しい指摘がありました。最初、全てをこの第三者委員会、個人情報保護委員会でというような話もあったかというふうに思いますけれども、途中からそうではなくなっていったというような経過も聞きました。

 この点、いかがでしょうか。しっかりと個人情報保護委員会の方で行っていくという点、なぜしなかったのか、御答弁いただきたいと思います。

古賀大臣政務官 今の御指摘の点、個人情報保護委員会についてでありますが、今回の改正は、非識別加工情報が行政機関等から民間事業者に提供されるものでありまして、国の行政部門と民間部門の監視、監督を同じ機関が行うことが合理的であるという判断で、個人情報保護委員会に一元化したものであります。

 一方、行政機関等における個人情報の取り扱いにつきましては、今回の改正は、法の基本的な構造を変更するものでないことから、現行の体制を変更することとはしていないところであります。

 なお、個人情報の保護に関する法制のあり方につきまして、今回の改正法の施行状況等を踏まえて検討することとなっておりまして、監督体制についてもこの検討を踏まえて対応していくことになる、そのように承知しております。

梅村委員 身内との批判もありますので、やはりしっかり独立した機関を個人情報をめぐっては設けるべきだというふうに私は思いますし、しっかりとした体制をつくることを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 きょうは法案審議でありますが、今、こうして我々が委員会審議を進めている間も、被災地九州では、本当に大変な思いで被災者の皆様が御苦労をされておられます。心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、今こそ我々は党派を超えて九州の支援に力を尽くしてまいりたい、こう思います。

 きょう、私どもの代表の松井一郎大阪府知事も会見で申しておりましたが、九州も当然ですが、東北の皆様も頑張っていらっしゃいます。また、今、東北、そして足元で九州の皆様が本当に御苦労されているということで、日本じゅうの国民、皆様がそういう思いで被災地に寄り添って今頑張っている、このことを私は承知しているつもりであるし、我々国会議員はその先頭を切ってそのために働いていかなあかん、こう思っておるところであります。

 そういう観点から、きのう、おおさか維新の会として、安倍総理に提言をお持ちしています。

 高市総務大臣、通告していないんですが、その総理への提言というのはまだ大臣のところには届いていないですね。またちゃんと大臣にもお届けしますので、ごらんをいただきたいと思います。

 きのう、片山共同代表から安倍総理に直接お出しをした緊急提言があります。九州の皆様にはもう今の体制でやるしかないというか、今ある力を全て出し切るしかないわけでありますが、その提言の中に、大臣、一つ消防の話が入っています。

 結局、消防というのは、釈迦に説法でありますが、自治体消防ということで、市町村がやる。これはGHQがつくった枠組みなわけですが、しかしこれだけ、あるいは被災地に対してプル型からプッシュ型という議論もあって、市町村が全て防災、消防をやる今の体制が本当に十分なのかという議論があると私は思っています。

 きのう、おおさか維新の会が、片山共同代表が安倍総理にお出しした提言の中の一つの項目に、大阪消防庁の提案があります。

 市町村消防の中で、東京は、法令のちょっと複雑な規定なんですが、消防組織法という法律で、東京については特別区を基本としつつも、知事が指揮権をある程度持てるような特別の体系ができているんですね。でも、それは東京だけです。

 やはり西日本は、例えば、大阪の消防の力を、大阪消防庁というような形で強化していく、いざというときのために、今回のような震災、九州ですから、これは大阪にもしっかりそういう消防の拠点をつくっていく、これが大事だということで提言をさせていただきました。

 これは通告はないんですが、大臣、もし、見てからということでも結構ですが、見て検討するだけでも結構ですので、一言いただければと思います。

高市国務大臣 まだ御提言書、私のところには来ておりませんので、きょう午後からまた官邸で会議がありますので、そのときにいただけるんじゃないかなと思っております。

 このたびの熊本地震におきましては、大阪府からも緊急消防援助隊で隊員の皆様にいち早く出動していただき、大変な御苦労をいただいておりまして、感謝を申し上げております。

 広域の応援というのは物すごく重要ですので、広域化を進めているところです。そして、今回、大阪府を初めとして各府県から派遣していただいた緊急消防援助隊でございますが、これも、県知事に要請をいたしまして、県知事が取りまとめて、派遣を判断して、派遣をしてくださったものでございます。

 ということを考えますと、今は十分に機能していると考えております。

足立委員 我々は、この消防の体制、もっともっと強化していく必要がある、こういう観点で御提言申し上げていまして、引き続き御検討いただければと思います。

 それから、今大臣から御紹介いただきましたように、私たちの地元、先生方の地元、皆さんそう、日本じゅうの消防が今動いてくれています。

 私の地元でも、例えば、箕面市、茨木市、池田市、豊能町、能勢町、みんなそうですが、市民の皆さんに、例えば箕面市だったら倉田市長が、もともと総務省の方ですよね、自分たちのつくっている消防が今被災地に行っているよということを情報発信しながら、国民を挙げて九州を支援する、そういう体制というものをつくっていることについて御承知おきを当然いただいていると思いますが、私、この場でも、全国の皆様に感謝を申し上げたい、消防の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 ちょっときょうは上品に入っていますが、けさ出てくるときに、きょう朝、妻からメールが来まして、ちょっと趣向をたまには変えて上品にやりなさい、そういう妻からの指令も出ていまして上品にやっていますが、ただ、言わねばならないことは言わねばならない。

 きょうは、高井さんが、ああ、いらっしゃいました。高井委員が、冒頭、時間をとられました。私はこれは問題だと思います。

 何かテレビカメラも呼んで、内閣府の松本副大臣を呼びつけて、松本副大臣は被災地で頑張ってきて、官邸にそれを報告して、今やっているわけですよ。呼んで何を言うかといったら、週刊誌を読み上げて、おまえ、けしからぬと言うわけですよ。━━━━━━━━━━━━━

遠山委員長 足立委員に申し上げます。

 足立委員、ちょっと着席してください。

 足立委員に申し上げます。

 足立君の民進党に関する━━という発言は、これは、国会法第百十九条、各議院において、無礼の言を用いてはならないという規定に照らし合わせまして不適切だと思われますので、その━━という部分については、この場で取り消しをしていただきたいと思います。

足立委員 私は、遠山委員長の御差配も敬意を表していますので、もちろん訂正をさせていただいて、削除を私の方からも申し上げたいと思います。

 では、言いかえると、━━というのはいかぬということであれば、まあ、いろいろ言いたいことはありますよ、日本死ねはいいのかとか、言いたいことはありますが、遠山委員長がおっしゃることですから、訂正して、また、おわびをして削除に応じたいと思いますが、━━━━━━━━━それから、うそつきです、うそつき、うそつき。

 僕らは国会議員なんです。国会議員というのは言うべきことを言うんです。

 大体、民進党からおかしいんですよ。自民党の皆さん、きょう、私は二十五分いただいているんです、二十五分。不思議ですよね、皆さん。二十五分。委員長、これはありがたいんですよ。ありがたいけれども、これは誰が決めたか。今立ち上がった人ですよ。

 自分の党、奥野さんというんですけれども、彼は野党筆頭という何かふりをしていますけれども、民進党の筆頭であるのは認めますよ、でも我々を代表していません。

 なぜしていないか。時間配分をするときに、足立さんが民進党の批判をし出したら、時間を減らして十八分ですよ、十八分。衆議院に二人しかいない社民党が二十分で、僕は十八分ですよ。ふだんは二十分です。減らす。きょうはふえているんですよ。何でかわかりますか。きょうは法案審議だから、つまらないから時間を減らしているわけです、自分たちの時間を。自分たちが質問したくないときは、はい、足立さん、やってくださいといって時間をふやしてくるわけですよ。

 十八分にしたり、二十分にしたり、二十五分にしたりする。おかしくないですかね、この人。

 だから、私は、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━と思いますよ。(発言する者あり)ああ、わかった、わかった。委員長、じゃ、今のを削除、削除、削除、訂正しますよ。

遠山委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

遠山委員長 速記を起こしてください。

 足立委員に申し上げます。

 ただいまの足立委員の発言中に極めて不適当な言辞があったように思われますので、後刻速記録を調査の上、措置することといたしますが、先ほど御本人が発言の途中で、即刻、訂正します、削除しますというお話がございました。

 委員長として、速記録を見ておりませんので、正確に発言を記憶しているか、私自身、自信がないところがございますけれども、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━というような趣旨の表現があったかと思いますが、これは先ほど申し上げました国会法に照らしましても無礼な言に当たるというふうに委員長として判断をいたしますので、もしこの場で即刻削除をすることに同意をされるならば、その旨、明確に発言をしていただき、また、この後の発言については議題に沿ってお願いをしたいと思います。

足立委員 私は、委員長の御差配、全て従いますし、先ほど奥野委員に申し上げた私の言葉については、おわびをし、削除をさせていただきますが、国会はやはり国権の最高機関です。私は、この委員会は、遠山委員長の御差配は問題ないと思いますが、やはり二重基準だと思うんですね、二重基準。

 なぜ一国の総理大臣にヒトラーとかナチスとかそういうことを言うことが……(発言する者あり)ちょっと、発言する権利があるんです。そういうことが認められて、━━━━━━━━というのは、別に人間であることは否定していないですよ。普通の一般人であることは否定していないですよ。でも、国会議員というのは、やはり国民の負託を受けて仕事をしているんです。そのときに、一国の総理大臣にヒトラーと言ったり、あるいはうそつきと何回も言ったり、あるいは日本国を取り上げて死ねと言うのは、死ねという言葉を紹介するのは、それは私は、絶対にもうやめた方がいい。この委員会じゃないですよ。予算委員会ですよ、テレビ入りの。本会議場ですよ、本会議場。

 だから、私は、この国会、ぜひ与党の皆様にもお願いをしたいのは、規範をもう一回つくり直しましょう、規範を。国会全体の規範を。ダブルスタンダードはやめましょう。

 今、国会で何がダブル、委員長、もうやめますよ。何が今、国会でダブルスタンダードかというと、与党と野党なんですよ。与党は我慢する。野党は何を言っても許される。おかしいですよ。議院内閣制の弊害です。議院内閣制の悪いところだけが今も受け継がれているんです。国会改革をするべきだとお訴えをして、質問に移りたいと思います。

 法案審議ですから、二千個問題とかいろいろ質問したいことはありますが、大体もう私わかっていますから、御答弁。わかっていることは質問しません。

 大体、ここでやられている質問の多くは、ここでやらなくてもわかっていることなんですよ。だから、もうちょっと大事な質問をみんなしましょう。与党の皆さんも退屈しちゃうと思います。よく週刊誌が、与党の議員が寝ている写真を撮りますね。あれは野党が悪いんですよ。野党がつまらない質問をしているから、与党の皆さんは寝るわけですよ。まあいいや、ちょっとやめておきましょう。

 今回の法案で一番僕が大事だと思っているのは、何度も言っていますが、医療です、医療。厚生省、ちゃんとやってください、ちゃんと。

 きのうも事務方に聞いていたら、法案ができたら考えますと言うんですよ。あかんでしょう、それは。議院内閣制なんだから、法案は通るんですよ、絶対。安全保障法制は法案が成立する前から準備する、僕は、当たり前ですよ。それをまた民進党とか共産党は、何を準備しているんだと怒るけれども、準備するのは当たり前じゃないですか。

 この法案はまだ通っていません。準備をちゃんとしてくださいよ。ちょっと、どうですか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 行政機関や独法等が保有しております個人情報につきましては、個人の権利利益に支障が生じない範囲内で、民間事業者への利活用を進め、豊かな国民生活の実現につなげていくことが重要だと私どもは考えてございます。

 また、医療情報につきましては、適切な、適正な保護が求められる一方で、適切に活用することを通じまして、医学研究や医療の高度化など、社会全体の利益につながるものであると考えてございます。

 厚生労働省や所管法人等で保有します医療情報につきましては、民間事業者の提案を受けまして、今回の法改正の趣旨や要件に照らしまして、厚生労働省あるいは独法等で適切に判断をいたしまして、行政機関非識別加工情報を作成いたしまして、医療情報の適切な利活用につなげていきたいと考えてございます。

足立委員 今御答弁いただいたのは、厚生省でいうと官房なんですよ、多分。官房ですよね、官房。こういう一般的な質問をすると、官房がお答えになるんですよ。いいですよ、全然。

 それで、本当は、大事なのは、医療の保険者たちが情報を持っているわけです。保険者の質問をしようと思うんだけれども、保険局はなかなか、現場を持っていて、答えられないんですよ、重たくて。

 だから、僕は、本当に今、行政というのは難しい時代ですけれども、保険局と官房、官房の思いを、原局である保険局とかとちゃんと連携して、現場が重たいのはわかるし、医師会とか、いろいろ四の五の言ってくるところはあると思いますが、大体、医療等IDをつくったのも合理性はないんですよ。医師会の肩をもむためにつくったんですよ。まあいいけれども、とにかく合理的にやってください。

 あと五分程度だと思いますが、あと、どうしてもちょっと、あ、法案審議、もう一問やっておいた方がいいですね。

 二千個問題。これは、この間の参考人質疑、大変すばらしい参考人質疑だったと思います。三先生ともすばらしい意見を、陳述を下さいました。質疑も大変、私、当時の議事録、今速記録をとっていますが、すごく中身があります。皆さん、ぜひ参考人質疑は改めて読んでいただきたいと思います。

 鈴木先生が、二千個問題、問題だとおっしゃいました。二千個問題というのは、どうですか、問題だと、事務方で結構です、二千個問題というのは問題なんですか、問題じゃないんですか、どっちですか。

上村政府参考人 まず、二千個のうちの大宗を占めるのは自治体だろうと思います。その自治体における個人情報の取り扱いの基本的な考え方、それから今後どうしていくかというのは、原田地域力創造審議官がお答えしたとおりでございます。そういう意味では、今回御提案をしている行政機関個人情報保護法、これは国だけでございますが、それぞれの機関と提案者がそれぞれやるというたてつけになっております。

 他方で、これも別途御説明を申し上げました附則四条、これは、分野によりましては、一体的に取り扱う方が公共的に見て効果があるという分野につきましては、今後検討しまして、そうした措置ができるようにしていくということも考えているということでございます。

 少し抽象的なお答えでございますが、分野に応じて取り扱いを考えていくという部分が今後出てくる問題であろうと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 持ち時間はもう少しありますが、民進党から分けてもらった時間を余り使いたくないので早目に終わりますが、懲罰の話があります。

 遠山委員長を初め総務委員会の先輩諸氏には、心から改めておわびをいたしますし、きょうの度を過ぎた発言については、おわびをして削除いたしますが、しかし、よく民進党の方は反論権と言うんですよ。でも、反論権より発言権の方が大事なので、反論権がないから言うなとか、そういう議論は、私は、それだったら反論できる場をつくればいいんですよ。国権の最高機関だから、自分たちでつくればいいんですよ。

 それから最後に、もうやめますが、私がきょういろいろ口を荒立てて大変失礼なことを申し上げましたが、きょうの高井委員の質疑については問題あると思います。テレビを呼んで、被災地で頑張ってきた副大臣を呼びつけて、週刊誌をもとに誹謗する。

 私は、民進党という政党が、今、東北のため、九州のために全力を尽くしているのは、自民党、公明党がつくった政権です。我々おおさかも、我々は大阪では与党ですから、おおさか維新の会も全力で今、九州に人を送ってやっています。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(発言する者あり)あ、ちょっと、やめておきます。

遠山委員長 足立委員、━━━━━という御発言についても削除いただきたいと思いますが、よろしいですか。

足立委員 はい、結構です。(発言する者あり)謝罪をし、削除をいたします。

 懲罰委員会という議論がありますが、私、懲罰委員会、もうかけていただいてもいいかと思うんですよね。

 国対の皆様、我が党の国対、与党の国対の皆様には心からおわびをしますが、━━━━発言で地元の票も大分減っています。きょうは原田先生もいらっしゃいますから、地元は原田先生にお任せをして、今期限りで。挑戦はしますよ、挑戦はしますが、難しいと思うんですよ、次は。だから、言いたいことだけ言っておきたいと思いますので。

 とにかく、民進党が被災地の足を引っ張っていることだけは許せない、これだけは申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 早速でありますが、質問に入らせていただきたいと思います。

 今回、個人情報保護法、今回の法改正でも、照合の容易性の部分を除き個人情報の定義づけに変更が行われております。いずれ個人識別符号が個人情報として取り扱われるということになるのかなというふうにも思います。

 この個人識別符号ですが、何が該当するのか、詳細については、個人情報保護委員会で検討が行われ、最終的に政令で定められることになるのかというふうに思います。

 これまでの国会審議では、マイナンバー、運転免許証の番号、パスポート番号、基礎年金番号それから保険証番号、これらが該当するというふうにも聞いております。

 ただ、携帯電話番号については、一概に個人情報に該当するとは言えないというようなことも言われておりますが、なぜ携帯電話の番号は個人情報に該当しないのか、その理由をお聞かせください。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯番号につきましては、個人情報保護法改正案の国会審議の際に政府側から答弁も申し上げておりますけれども、例えば、プリペイド式のものや法人契約のものなど、さまざまな契約形態や運用実態があることから、一概に個人識別符号に該当するとは言えないというふうに申し上げてきたところでございます。

 現在、個人情報保護委員会におきまして、これまでの国会での御議論、利用実態などを踏まえつつ、各方面の御意見を伺いながら政令の検討を行っているところでございます。

吉川(元)委員 あわせて、関連ですけれども、端末ID、これについてはどうなんでしょうか。この点についても同様の質問です。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 この点につきましても、国会の審議の中で政府から御答弁申し上げておりますけれども、単に機器に付番される端末IDにつきましては、個人識別符号に該当しないと考えられるというふうに申し上げてきたところでございます。

吉川(元)委員 ちょっとそれは私は非常に疑問を感じるんです。

 といいますのは、参考人質疑の際にも紹介させていただきましたが、一般社団法人インターネット広告推進協議会、JIAAというところが、これは内閣府の方ですか、パーソナルデータに関する検討会の中で資料として出しているものを見せていただきました。

 その中では、「個人情報以外の情報も含めてガイドラインの対象とする」。その中で、インフォマティブデータを定義するというふうになっております。

 このインフォマティブデータというものの中には、今ほども言いましたID、それ以外にも、メールアドレスやIPアドレス、クッキー情報、こうしたものがインフォマティブデータに含まれるとした上で、「単体では個人識別性を有しないが他の情報と容易に照合し、個人識別性を獲得する場合があり、個人情報に準ずる扱いとすべきである。」こういうガイドラインを策定しております。

 ですから、端末IDについては、これも十分に個人識別符号に含まれる、業界がそういうふうにガイドラインをつくっているにもかかわらず、そうではないというのは、これはおかしいんじゃないでしょうか。この点、いかがですか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護法は、営利、非営利、業種、取り扱う個人の情報の種類を問わず、民間部門の個人情報を用いて事業活動を行う事業者にひとしく適用される法律でございますが、業界の特性に応じてより細やかな自主的なルールが定められることについては、個人情報や消費者の安心につながるものというふうに認識をしてございます。

 こうした自主的なルールにつきましては、より適切な扱いを行うためのものとして、これは、法令という共通のルールを前提とした上で、さらに適切な取り扱いを行うということでございますが、あくまで業界の特性に応じたルールであるというふうに認識をしてございます。

吉川(元)委員 はっきりと個人が識別できるというふうにJIAAは言っているわけですよ。これは大丈夫なんだ、それは業界によってそれぞれやってくれというのは、おかしな話ではないかというふうに私は言わざるを得ません。

 私の知る限り、端末IDについては、EUそれから米国ともに、一部個人情報保護の対象としていると聞いております。過去ですけれども、政府自身も、携帯番号については個人情報に含めるというふうな説明を一時していた報道もあり、そうすると、当初はそう考えていたんだけれども、いろいろなところから声を聞いたところ、恐らく経済界等々からだと思いますが、規制が緩くなってしまったのではないかというふうにも思います。

 そこで、尋ねますけれども、端末IDも含めて、個人情報保護の対象範囲、日本とEU、米国との間でどういった差異があるのか、簡単に教えてください。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 EUにおきましては、保護対象として、個人データというもので規定をしてございます。

 個人データとは、識別されたまたは識別され得る自然人に関する全ての情報をいい、識別され得る個人情報とは、特に個人識別番号、または肉体的、生理的、精神的、経済的、文化的並びに社会的アイデンティティー等に特有な一つまたはそれ以上の要素を参照することによって直接的または間接的に識別されるものをいうというふうにされております。

 米国におきましては、平成二十七年二月に大統領府が公表いたしました消費者プライバシー権利章典法案というものがございますが、こちらはまだ成立をしておりませんので、日本の個人情報保護法に相当する包括的な法体系はないというふうに承知をしてございます。

 我が国の現行の個人情報保護法におきまして、個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの、他の情報と容易に照合することができることとなるものを含むというふうに規定をしておりまして、改正後もこの部分は変更がございませんで、委員会が検討しております政令における個人識別符号の定めにかかわらず、事業者の内部において容易に照合ができて、特定の個人を識別することができるものは個人情報に該当することとなります。

 このように、諸外国の定義を単純に比較することはできませんけれども、保護されるべき個人情報の範囲の概念は大きく変わっていないのではないかというふうに認識をしております。

吉川(元)委員 明らかにEUとは基準が私は違うと思います。

 これは後ほど大臣にお聞きをしようと思っていますので、また戻ってまいりますけれども、EUの基準と日本の基準、正直、今のお話を伺っても、やはりEUの方が厳しい、より厳しい基準になっている。ということは、後々、EUとの十分性の問題、私はこれも出てくるのではないかということを指摘させていただきます。

 次に、今回の法改正について伺います。

 今回、行政機関が保有する個人情報ファイルから、個人の特定ができず、なおかつデータを復元できないように加工した情報を提供できるというふうになっております。ただし、法案の第二条九項三号では、行政の適正かつ円滑な運営に支障を来さない範囲で非識別加工情報を作成することができるものと規定をしております。ということは、行政の適正かつ円滑な運営に支障を来す情報については非識別加工情報にはできないということになると考えます。

 そこで、業務の運営に支障を来すものとして、加工が不可能な個人情報、情報ファイルがあって、なおかつ、一部または全部が情報公開によって開示されているにもかかわらず業務の運営に支障を来すというものは、一体具体的にどういうものを想定されているのか、尋ねます。

上村政府参考人 お答えいたします。

 行政の適正かつ円滑な運営に支障を及ぼす場合でございますが、例えば、行政機関の人員等の制約から電算処理されていないようなファイル、これはいわゆるマニュアルファイルと申しますが、紙ベースの情報が大量にある場合、これを加工してビッグデータの形にしていくということは多大な作業が必要となりますので、こうしたものは一例となろうと思っております。

 それから、電子計算機処理されているものでありましても、電子計算機の仕様上、情報を加工するためには一旦稼働中のシステムを運用停止させてデータを引き出す等々、それをやることによりまして日常運用されています円滑な業務運営に支障が生じる場合、こうした場合も考えられます。

 それから、これはもう少し厳しいケースになりますが、システム外への情報持ち出しが仕様上できないというふうな、これは事実上対応困難でございますので、こういったケースは代表的事例に当たろうかと思っております。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

吉川(元)委員 今のお話を聞くと、非常に技術的なところのお話でした。

 ちょっと関連してお伺いしたいんですけれども、いわゆる加工が不適当といいますか、今の二条九項三号の規定によって、これはだめですよ、できませんよというその認定というのはどなたが行うものなんでしょうか。所管する行政機関の長なのか、それとも個人情報保護委員会が判断をするのか、この点についてはいかがでしょうか。

上村政府参考人 それは行政機関の長になります。

吉川(元)委員 では、その判断が適正なものなのかどうなのかというのは、長が判断をして、これはだめだということでその判断をされるわけですけれども、それについて、いや、そんなことはないでしょうということ、異議申し立てといいますか、そういうことはできるのか、また、できるとすれば、それは誰にすればよろしいんでしょうか。

上村政府参考人 一つは、各行政機関におきまして非識別加工情報の取り扱いに関する苦情の体制を整備することにしておりますので、そこに申し出ていただくということはあると思います。

 それから、もう委員も御指摘になりました個人情報保護委員会でございますが、これは成立をいただきましたら、各行政機関におきます非識別加工情報の取り扱いの施行状況、この報告徴収その他をすることになってございます。そういう方面からのチェックあるいは指導というのも考えられると思っております。

吉川(元)委員 では、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 法案を見ておりますと、非識別加工情報の提供について、いつでもやるというわけではどうもないようで、改正案の第四十四条の四では、定期的に民間業者からの提案を募集するというふうになっております。

 この募集の期間、どの程度の期間を指すのか。例えば、年一回、四月から六月の間とかそういう感じで決めるのか。これらについてはどういうふうになっているんでしょうか。

上村政府参考人 御指摘のとおり、御提案しております法案第四十四条の四におきましては、定期的に実施することとしているところでございます。これから詳細は決定していくことになると思いますが、毎年度募集を行うというようなことを考えておりまして、年度ごとに募集期間を設定する、こういうことが制度の円滑な運営に資するということだろうと思っております。

 具体的には、繰り返しになりますけれども、法律の成立をいただきましてから検討しますけれども、毎年度一カ月から二カ月程度、こうした募集期間を設定するということを想定しております。

吉川(元)委員 もう一つ、関連なんですが、その募集期間というのは、全ての省庁そろってやるということでよろしいんでしょうか。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

上村政府参考人 その点につきましては、今後検討の課題になってくると思っております。

吉川(元)委員 次に、行政機関非識別加工情報を取り扱う提案が許可されて、契約を結んだ、情報を受けた民間業者というのは、四十四条の七の第一項五号において、その利用期間は個人情報保護委員会で定める期間を超えないものとされております。

 この利用期間、おおむねどのぐらいの期間を想定されているのかということが一点目。

 それから、利用期間が終了した際、民間事業者には匿名加工情報としてあるわけですけれども、この情報はどのようにその後処理をされることになるのか。また、当然、利用期間が終われば利用してはいけないということになろうかと思うんですけれども、利用期間後も利用してしまった場合、それを防止する手だてというのは講じられているんでしょうか。

上村政府参考人 まず、利用できる期間でございますけれども、具体的には、提案者のニーズそれから適正管理の面、こうしたものを踏まえまして行政機関と提案者との間で利用契約を締結するわけでありますが、その契約の中でそれぞれ定めることになろうと思っております。

 それから、その利用期間を超えてしまった場合、行政機関非識別加工情報をどうするかということでございますが、この取り扱いも基本的には契約において定めることとなると思いますが、具体的には、それは廃棄ないしは返却ということを定めるということになるんだろうと思っております。

 その契約条項を守らなかった場合どうするかということでございますけれども、行政機関といたしましては、契約、一旦結びましたものの履行状況を適切にフォローアップしてまいりますし、法律上も、例えば、偽りその他不正な手段により契約を締結した、それから、契約事項について重大な違反があったというときには当然契約を解除することができますし、その段階で利用は停止になります。解除に際しましては、民間事業者に対しまして、提供された情報の廃棄義務を課すことも考えられるわけでございます。

 こうした契約に違反をいたしますと、当然契約解除になりますが、その先、また、この法律の欠格条項に該当いたしまして、新たな提案もできなくなるというようなことになっております。

吉川(元)委員 今、ちょっと答弁の中で一点気になる言葉があったんですが、利用期間が終わった非識別加工情報については廃棄または返却ということですけれども、これは、民間の事業者にある間は非識別加工情報じゃないんじゃないですか。匿名加工情報じゃないんですか。

上村政府参考人 おっしゃるとおり、それは匿名加工情報でございます。

吉川(元)委員 もう局長からして、非識別加工情報と匿名加工情報、答弁で混乱しちゃっているじゃないですか。

 先日の参考人との質疑の際にも、この非識別加工情報という新たな概念が非常に不明確で、しかも匿名加工情報とイコールではないのではないか、その点が参考人からも指摘されておりました。

 今の局長の答弁を聞いておりますと、役所自体が、これは答弁ですからね、そこで混乱をするというのはちょっと考えがたいんですけれども、これは一体どうなっているんですか。もう一度。

上村政府参考人 大変不適切な答弁だったかと思いますが、私が申し上げたかったのは、要するに契約をした側の行政機関から見れば非識別加工情報、それをフォローアップする、解除するということでございまして、これは民間事業者から見たらどうなるのかというふうな御質問でございましたので、それは民間事業者から見れば匿名加工情報であるとお答えをしたということでございます。

吉川(元)委員 ちょっとよくわからないんです。

 非識別加工情報は民間に渡した瞬間に匿名加工情報になるんですよね。それがなぜ非識別加工情報だというふうに、それは非識別加工情報でもあるんですか。両方持っているということなんですか、民間にある間も。

上村政府参考人 少し、どういうふうに御説明したらあれかわかりませんが、要するに法律の適用関係でございまして、契約の締結、解除というものは行政機関の個人情報保護法で決まっているわけでございます。この法律の中では当該情報を非識別加工情報と呼びますので、そう申し上げているわけでございます。

吉川(元)委員 官僚の皆さんのというか、局長の答弁が明らかにおかしないわゆる名称を使うということであるので、あえて指摘をさせていただきました。

 次に、加工作業の業務委託ということですけれども、四十四条の十の一項、二項において、個人情報保護委員会の規則でその基準というのが定められるというふうになっております。読みますと、情報加工を委託できるというふうにも書かれております。

 外部委託、生データを渡すわけですから、漏れると大変なことになるわけで、具体的には情報加工の委託を請け負う事業者について何らかの基準を設けているのか。また、具体的にはどのような事業者を想定しているのか。

 それから、全ての情報について非識別加工情報にするわけではないと思いますけれども、膨大な、行政機関で六万四千、独法で一万五千の個人情報ファイルが存在しますから、進んでいくと外部委託のケースが多くなるのではないかと思いますけれども、この点についてどのように考えているのか。

上村政府参考人 個人情報の取り扱いに係る業務を外部に委託する場合でございますが、既に現行制度のもとで、個人情報そのものの委託に関しまして、行政機関の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針という指針を定めております。

 この中で幾つか要件を定めておりますが、主なものといたしましては、個人情報の適切な管理を行う能力を有しない者を委託業者に選定することがないよう必要な措置を講ずること、あるいは、契約書に秘密保持義務、複製制限、情報漏えい時の措置等を明記すること、それから、委託する個人情報の内容等に応じまして個人情報の管理状況につきまして年一回以上定期検査等により確認することなどとしているところでございます。

 今回の行政機関非識別加工情報の加工に係る委託につきましても、この指針などを踏まえまして、問題が生じないように対処してまいりたいと思っております。

 それから、もう一つの御質問で、具体的にどの程度の作業が業務委託されるかという点につきましては、法が成立しておりませんので一概にお答えすることが難しいところでございます。今後、提案に係る情報のデータの量、情報項目それから加工方法などを踏まえて適切に判断されることになると考えられております。

吉川(元)委員 例えば今回の件でいうと、オプトアウトも含めて本人の関与が必要ではないか、なぜ関与がないのか、あるいは、個人情報保護委員会の関与が民間と行政でかなり差があるというようなことも質問したかったんですけれども、時間がありませんので、最後に大臣に二点ほどお尋ねしたいと思います。

 一つ目は、今回、プライバシーコミッショナーというものが、この間総務省の研究会報告書でも検討が必要であるということは言われておりましたし、プライバシーコミッショナー制度の創設、常々必要性が指摘をされております。また、これは内閣府の方ですか、検討会の方でも、プライバシーコミッショナーの整備を、今後、法的措置を講ずべきだというふうに掲げられております。

 このプライバシーコミッショナー制度、これは一体どうなったのかということが一点目。

 それからもう一つ。今回の法改正、民間部門の個人情報と行政機関の個人情報について、個人情報保護委員会のかかわり方、あるいはその権限、差異がありますが、とりわけ行政機関については、個人情報の管理は、これは先日の参考人の際にも二千個問題等と言われましたけれども、所管省庁に委ねられたままです。

 このままでは、行政機関の保有する個人情報について、先ほど、後ほど質問すると言いましたけれども、EUの十分性認定、これを取得するのは困難ではないのか。参考人もそうした指摘をされておりました。

 この二点についてどのようにお考えなのか、尋ねます。

高市国務大臣 まず、プライバシーコミッショナー制度でございますが、過去に行われてきた検討では、主に民間分野についての監督機関について議論が行われてきたと考えております。

 プライバシーコミッショナーは、パーソナルデータの保護のための独立した第三者機関のことを指すと理解しておりますけれども、我が国におきましては、民間部門につきましては個人情報保護委員会がこれに当たるのだろうと思います。

 今回の改正では、行政機関等における非識別加工情報の取り扱いにつきましては、個人情報保護委員会に一元化していますけれども、個人情報そのものにつきましては、法の基本的な構造を変更するというものではございませんので、国の行政部門の個人情報の取り扱いにつきましては、総務大臣による所管のところは変更していないということでございます。

 それから、EUの十分性認定の基準でございますが、これも明確に示されたものが存在しないと承知していますので、今後のEU側との十分性認定取得に向けた取り組みの中で明らかになっていくと考えています。

 EUの関心事項であると推測される点につきましては、例えば今回の法案では、新たに要配慮個人情報の規定を設けるといった形で対応を図っております。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

遠山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、行政機関等個人情報保護法等の改正案について、反対討論を行います。

 反対理由の第一は、法の目的の中に、新たな産業の創出並びに活力ある社会の実現に資することを書き込むなど、国の行政機関等が保有する個人情報の保護が後退させられかねません。

 国の行政機関等には、その機関の性格や業務上、多くの個人情報が集まり、保有、管理されています。だからこそ、行政機関には、個人の権利利益を保護するための適正な取り扱い、その保護を厳格に履行する責任と義務が課せられています。

 民間企業の提案に応えて、個人情報を利活用していこうとするならば、行政機関等がみずから、個人情報の保護規制を緩める方向に走らざるを得ません。

 また、どんな個人情報を何のために利活用するかについても、説得力ある具体例は示されませんでした。本改正案の必要性の根本にかかわる問題です。

 第二は、非識別加工情報についてです。

 そもそも、非識別加工情報の作成と提供については、匿名加工が施されたとしても、個人情報が本人が想定しない民間事業者に提供されるという問題があります。

 識別行為の禁止が定められていますが、これは再識別化のリスクを前提にしているものです。万が一、識別行為が行われ、個人情報の不適切な流出、漏えいが発生した場合、情報を提供した側の行政機関等がどのような権限を行使できるのか、漏えいした情報をどのように保護していくかなどの点は極めて曖昧です。

 匿名加工情報は、原則的に、行政機関等が作成するとされています。しかし、情報の匿名加工を外部の民間事業者に委託することも排除されていません。不適切な個人情報の流出、漏えいに対する懸念は拭い切れません。

 さらに、個人情報の利活用を提案することができる民間事業者の欠格事由の規定についても極めて不十分であります。

 最後に、個人情報保護委員会の役割は非常に重要です。しかし、個人情報保護委員会が、個人情報の保護を貫きながら、官民の膨大な量の個人情報を適正に処理していくにふさわしい体制を確保する担保は措置されていません。

 以上を述べて、討論とします。(拍手)

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党・市民連合を代表し、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の一部改正案、独立行政法人の保有する個人情報の保護に関する法律の一部改正案に反対の立場から討論を行います。

 反対の第一の理由は、民間事業者からの具体的な要望、すなわち立法事実が希薄なまま、法案の目的に、新たな産業の創出や活力ある経済社会の実現に向けて、行政機関等が保有する個人情報を利活用することが盛り込まれた点です。

 民間部門、行政機関問わず、その個人情報の利活用自体を否定するものではありません。しかし、昨年の改正個人情報保護法と今回の法改正、余りにも利活用に傾斜している懸念を払拭できません。

 反対の第二は、民間の個人情報は、オプトアウト制度を初め、他者への提供を前提とする場合には本人の関与を必要としていますが、行政機関等の保有する個人情報は国が半ば強制的に情報を取得することを前提にしており、この手続がありません。幾ら個人が特定できないように情報を加工したとしても、商業目的に利用する場合には、本人の関与を必要とする何らかの仕組みが不可欠と考えますが、改正案で欠落していることは問題と考えます。

 また、参考人からも指摘されたように、そもそも非識別加工情報と匿名加工情報は対象とする事象の範囲が異なるにもかかわらず、非識別加工情報が民間事業者の手に移った段階で匿名加工情報になるという政府の説明にも無理があります。

 反対の最後の理由は、今回の法改正をもってしても、EUとの十分性が確保できるというふうな確信に至らなかった点です。

 個人情報を利活用しようとするのであれば、まず、個人情報保護においてグローバルスタンダードを達成すべきです。

 以上の理由から、本改正案に反対することとし、討論といたします。

遠山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより採決に入ります。

 行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、坂本哲志君外三名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。橘慶一郎君。

橘委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、本法が個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益の保護を目的としていることを踏まえ、行政の適正かつ円滑な運営を図りながら、個人情報の適正かつ効果的な利活用が進み、活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するよう、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。

 一 個人情報の定義等を政令等で定めるに当たっては、国民及び事業者等に分かりやすいものとなるよう、これらの者から幅広く丁寧に意見を聴取するとともに、保護対象を可能な限り明確化すること。

 二 非識別加工情報の規定の趣旨が個人情報の利活用を促進するものであることに鑑み、行政機関非識別加工情報等を活用する者が個人情報保護法に基づく匿名加工情報と同様に取り扱うことができることについて、十分な周知を行うこと。

 三 個人情報保護委員会は、行政機関非識別加工情報等の作成に係る基準を策定するに当たっては、行政機関及び独立行政法人等の保有する個人情報の特質に十分に配慮するとともに、情報通信分野において日々進展する技術革新に伴って、特定の個人を識別される危険性を排除するために、当該基準に関し、適宜必要な見直しを行うこと。

 四 個人情報保護委員会は、本法を含む個人情報保護法制及び個人情報保護委員会規則の適切な運用に努めるとともに、事業者や関係団体に対し、利活用に資する情報を提供する等、必要な支援を行うこと。

   また、そのために、個人情報保護委員会の委員、専門委員及び事務局においては、行政機関及び独立行政法人等における個人情報保護制度及び民間における個人情報の利活用の実務について十分な知見を有する者のほか、個人情報が収集され、提供される国民の権利利益の保護に精通する者などを適切に登用すること。

 五 今後、各地方公共団体において、地方公共団体が策定し、又は実施する個人情報の保護に関する施策の見直しに向けた検討が行われることが想定されることから、その円滑な検討に資するよう、速やかに相談窓口を設け、必要な情報提供を行うなど国が地方公共団体に対して協力を行うための体制整備に努めること。

 六 我が国の個人情報の保護水準が国際的に十分なものであることを、行政機関非識別加工情報等の制度的な導入も含め、諸外国に積極的に周知し、相互理解を十分に深めること。

 七 行政機関等の保有する個人情報には、当該個人情報の取得プロセスにおける義務性・権力性が高いものや、本人にとって秘匿性が高いものが多いことに鑑み、行政に対する国民の信頼を確保する観点から、行政機関等は、保有する個人情報の保護に係る実効性ある情報セキュリティ対策の在り方について不断の検討を行い、必要な対策を遺漏なく確実に実施すること。

 八 行政機関及び独立行政法人等においては、非識別加工情報が行政機関等の内部においては個人情報に該当することを十分に認識し、個人情報を取り扱う業務に従事する者のICTの知識とモラルの向上、法令・情報セキュリティポリシーの遵守の徹底を図るための研修実施など、継続的な人材育成に必要な措置を講ずるとともに、非識別加工情報と他の情報との照合は、所掌事務の遂行に必要であり、かつ、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合に限る等、個人情報の保護に万全の体制を構築すること。

 九 本法の適正な運用を確保するため、責任者を定めて責任の所在を明確にするなどの管理体制の整備、指針の作成、研修の実施等による指導の徹底を図ること。

 十 教育、広報その他の継続的な活動を通じて、個人情報及び非識別加工情報の適正な取扱いの下での利活用の推進に関する国民の理解と信頼を深めるよう努めること。

 十一 附則第四条に規定する「個人情報の一体的な利用の促進のための措置」を講ずるに際しては、「法制上の措置」も含めて検討するなど、以上の諸点を踏まえ、必要な見直しを行うこと。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

遠山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠山委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたく存じます。

    ―――――――――――――

遠山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

遠山委員長 次回は、来る二十六日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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