衆議院

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第16号 平成28年4月26日(火曜日)

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平成二十八年四月二十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    大西 英男君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      小林 史明君    古賀  篤君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      武井 俊輔君    中村 裕之君

      中山 泰秀君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    橋本  岳君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      八木 哲也君    山口 俊一君

      山口 泰明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    近藤 昭一君

      武正 公一君    水戸 将史君

      渡辺  周君    輿水 恵一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      木下 智彦君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣府副大臣       福岡 資麿君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           林  俊行君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (消防庁次長)      西藤 公司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳田 正一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           杉藤  崇君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           高橋 憲一君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     八木 哲也君

  金子万寿夫君     武井 俊輔君

  足立 康史君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     金子万寿夫君

  八木 哲也君     池田 道孝君

  木下 智彦君     足立 康史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会会長籾井勝人君及び専務理事木田幸紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官付参事官林俊行君、子ども・子育て本部審議官中島誠君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房審議官宮地毅君、行政管理局長上村進君、自治行政局長渕上俊則君、自治行政局公務員部長北崎秀一君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長安田充君、情報流通行政局長今林顯一君、総合通信基盤局長福岡徹君、消防庁次長西藤公司君、文部科学省大臣官房審議官徳田正一君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君、国土交通省大臣官房審議官杉藤崇君及び防衛省統合幕僚監部総括官高橋憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎徹君。

石崎委員 おはようございます。

 本日、質問のお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。持ち時間十五分ということで、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、十四日以降、熊本を中心に九州で地震が続いております。今回、一連の地震で犠牲になられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災し、不自由な生活を余儀なくされておられる方々にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、その対応につきましてでありますが、二十二日には、熊本県と県内十六市町村に六月分の普通交付税四百二十一億円の繰り上げ交付が実施されました。また、二十四日には、総理が現地に実際に入られまして、平成二十八年度補正予算の編成を指示されたのに続きまして、昨日二十五日には、激甚災害に指定することが閣議決定されたところでございます。

 発災から二週間のうちにこうした素早い対応が次々となされていることに心から敬意を表したいと思いますし、引き続き、しっかりとした災害対応を政府に求めたいというふうに思っております。

 今回の地震におきましては、広範囲にわたってインフラが打撃を受けております。一連の地震で震度七を複数回記録したというのは今回が初めてと伺っておりますし、道路や橋梁、学校施設などの被害状況を早急に確認して、補修ないし再建していただければと思います。

 そこで、総務省にお伺いしたいと思います。

 被災自治体につきましては、今後、復旧事業のために多額の費用が必要となります。各省庁の国庫補助金による最大限の対応が必要ではありますけれども、総務省といたしましても、災害復旧事業に充てる地方債や、元利償還金の普通交付税措置、あるいは特別交付税などの支援策というのが考えられるかと思います。

 被災自治体をしっかり支援していただければと思いますが、高市総務大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 四月二十四日に開催されました地震非常災害対策本部の会議において、総理から、平成二十八年度補正予算編成の指示がございました。

 具体的な補正予算の内容としましては、熊本地震に関して、住居の確保や生活再建支援金の支給など被災者支援に要する経費に対応するほか、熊本地震復旧等予備費を創設しまして、今後、被災者の方々の事業再建、道路、施設などのインフラ復旧や災害廃棄物の処理などを迅速に進めていくための十二分の備えを整えると承知をしています。

 総務省としましては、先ほど委員がおっしゃっていただいたとおり、六月に定例交付すべき普通交付税の一部、四百二十一億円を繰り上げして、四月二十二日に交付をいたしました。

 今後でございますけれども、もう既に、熊本県知事また副知事、そして熊本市長や町村会長、また議長会の会長様など、さまざまな方と連絡をとり、またお会いをしながら現地の状況を聞いておりますので、これからも地方交付税や地方債による地方財政措置を講じまして、その財政運営には支障が出ないようにしっかりと適切に対処してまいります。

石崎委員 ありがとうございます。引き続きしっかりとした対応をお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、政府機関の移転につきましてお伺いしたいと思います。

 私、自民党の地方居住推進議員連盟の事務局長を今務めさせていただいておりますが、昨年末に、議連として提言を行いました。この中で、民間企業に本社機能ですとかあるいは工場の一部移転、こういったものをお願いしていこうということも盛り込まれておりますが、地方への政府機関の移転というものもこの提言に盛り込まれているところでございます。

 この点につきまして、今年度から、地方拠点強化税制ということで、いろいろと企業の地方移転を促すものもございますけれども、やはり政府機関を地方に移転していくということを政府が率先してやっていくことで、こうした民間企業のいろいろな動きが加速につながっていくんじゃないかと考えております。

 そういった意味で、地方創生への政府の本気度を示す上でも、この政府機関の移転というのが非常に重要だというふうに考えております。

 先般、まち・ひと・しごと創生本部におきまして、東京一極集中を是正するという観点から、政府関係機関移転基本方針というのが決定をされたところであります。この方針におきましては、研究機関、研修機関等については五十の提案、中央省庁については七局庁の提案に関して、今後取り組みが進められていくということが決まったところであります。

 ただ、去年三月から道府県からの提案募集が開始されまして、昨年八月までの募集期間に二百余りの提案があった中でのこうした結果というところでございます。私の地元でも手を挙げたというところもございましたが、いろいろな関係者間でもいろいろな議論を経て決定に至ったものと理解しておりますけれども、今回は第一弾ということで、今後また第二弾、第三弾に期待している自治体というのも非常にあるんじゃないかというふうに考えております。

 今回決定されましたこの基本方針につきまして、今後の政府としての決意を含めて、きょうわざわざお越しいただきました福岡副大臣にお伺いできればと思います。

福岡副大臣 お答え申し上げます。

 今回の政府機関の移転の取り組みにつきましては、地方の自主的な取り組みを基本としつつ、国はこれを支援するという地方創生の基本方針にのっとりまして、国と地方の双方にとってメリットをもたらすかの観点から検討を行ってきたものでございます。

 その際に、仕事と人の好循環につながるかといった観点であったり、また、国の機関としての機能の維持向上が期待できるかという観点、また、国が新たに財政負担をしたりとか組織の肥大化ということが抑制されたものになるかどうか、こういったものについて有識者の意見を聞きながら検討を行ってまいったところでございます。

 委員御指摘のとおり、研究機関、研修機関については、地方創生に役立ち、かつ研究機関等としての機能の維持向上が期待されるものとして、二十三機関を対象に五十件の移転案件を決定させていただいております。また、中央省庁につきましても、国の機能としての機能が毀損することのないように意を用いながら、文化庁の京都への全面的な移転、また消費者庁や総務省の統計局については一部機能の移転に向けて、これから実証を行っていこうというようなことを取りまとめまして、国と地方の双方にとってメリットの見込める一定の成案が得られたものというふうに考えております。

 ただ、委員御指摘のとおり、これがゴールということではございませんで、これの取り組みをスタートという観点に立ちまして、今後も取り組みを進めてまいりたいと考えております。

石崎委員 ありがとうございます。

 例えば、ドイツにおきましては、地方における中小企業の研究開発力が高い。そのゆえんといたしまして、フラウンホーファーなどを中心としているような、企業と研究機関という産学連携が非常に効果的に行われていると聞いているところでございます。

 我が国におきまして、地方において稼ぐ力を高め、地方創生の果実をしっかり実らせるためには、こうした地方の特性を踏まえた上での産業と研究の連携、さらには、官である国と地方の連携を強化していくことが重要であると考えております。

 そういう意味で考えますと、今回の研究機関等の移転の取り組みをいかに実効たらしめるかが地方創生の成功の大きな鍵とも考えられます。地方の産学官も含め、関係者間でしっかり協議し、真に意味のある取り組みを行うことが次のステージとして重要になってくると思いますが、こうした成功事例をしっかりと各地につくっていく。先ほど副大臣の御発言の中でも、今回はゴールではないという御答弁をいただきましたので、引き続き、今後の進め方につきまして、内閣府としても強力に後押しをお願い申し上げたいというふうに思っております。

 地方には、役所を含めて、非常にあいているスペースがあるといろいろと聞いております、役所の中にですね。こうしたところにこうした機関の移転というのも考えることができるんじゃないかなというふうに思っております。

 ただ、移転と申し上げますと、物理的な距離というのが出てきているところでございますが、意思疎通の問題をカバーするものといたしまして、ICT技術というのが活用できるかと聞いております。

 消費者庁につきましては、先般、三月十四日から一週間のお試し移転というのを行いまして、板東長官と河野大臣のテレビ会議の様子が報道されていたところでございます。

 私は、このICT技術を活用していけば、省庁ごとの移転というのもそうでございますし、局ごとの移転、あるいは移転した省庁が数年置きに各地で持ち回りで移転するということも、こうした技術を使って可能ではないかと思っておりますが、こうしたテレビ会議やICT技術の利活用を推進していく上で、政府機関の移転の後押しとして、総務大臣として、これからの御決意というものもお伺いできればと思います。

高市国務大臣 政府関係機関の地方移転は、地域に仕事、人の好循環を生み出す、地域の発展にもつながる方策だと思います。

 ICTの利活用につきましては、これまでも総務省はテレワーク、またふるさとテレワークを推進してまいりましたので、御提案のようなことも含めて、地方における働き方としてさまざまな可能性は広がると思います。

 一方で、各機関の地方移転を進めるに当たっては、先ほど内閣府から御答弁がありましたことに加えて、全国の中でなぜそこかについて移転先以外を含めて理解が得られるかということや、地元の自治体、民間の御協力、受け入れ体制はどうかといったような点について、幅広い観点からの検討も不可欠だと思っております。

石崎委員 ありがとうございます。

 去年、二百の提案があったということでございますので、引き続き、各自治体のこうしたやる気をどうか酌み取っていただければというふうに思います。

 続きまして、今度はNHKの方にこの地方移転に関連して御質問させていただきたいと思います。

 籾井会長にもお越しいただきまして、まことにありがとうございます。

 先般のNHKの新年度予算に対しての高市総務大臣の御意見の中で、渋谷の放送センターの建てかえについて触れられまして、「機能の地方分散についても積極的に検討すること。」これは初めてじゃないかと思いますが、こう明記されたと伺っております。私は、地方創生、地域の活性化を考えていく上でも、NHKの機能の地方分散は非常に有意義なことだと思います。

 まず、大臣にお伺いいたします。

 こうした文言をこのたび入れられた理由、あるいはNHKに期待することにつきましてお伺いできればと思います。

高市国務大臣 NHKは、放送法第八十一条一項におきまして、放送番組の編集及び放送に当たって、地方向けの放送番組を有するようにすること、我が国の過去のすぐれた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つようにすることが義務づけられています。

 NHKでは、これまでも、これを踏まえて、放送番組の制作やイベントを地方局で実施してくださいました。また、NHKを初めとします放送事業者は、災害時における情報提供主体として極めて重要な役割を担っておりますので、NHKは、大規模災害に備えて緊急報道体制を強化するという観点から、例えば、首都直下型の地震などの大規模災害で万が一渋谷の放送センターから放送できなくなるような事態も想定して、大阪放送局から全国にニュースを放送できるようにするといった取り組みを進めておられます。

 ですから、私としては、こうした役割を一層発揮していただきたいという観点から、新放送センターの整備に際して、現在の放送センターの機能を地方に分散させるということが有効だと考えました。

 新放送センターの整備の項目に記載をさせていただきました理由は、機能を地方に分散するとしましたら、ネットワークですとか番組制作、取引、あと要員配置の見直し、それから新しい放送センターのネットワーク設備ですとか番組制作設備、事務スペース、こういったものに少なからず影響を与えるという観点からここに記載させていただきました。

石崎委員 ありがとうございます。

 防災の観点からも、NHKの機能分散というのは非常に重要なことだというふうに思っております。

 最後に、籾井会長にお伺いをいたします。

 NHKは、放送事業者として、地域の情報を全国や全世界に発信することを通しても地域の活性化に貢献していただいているところでございますが、これまで東京で制作されておりました放送番組につきまして、もっと地方局で積極的に制作すべきではないかと考えております。

 地方の新聞社とコラボをしながら、さまざま取り組みを進めているというふうに伺っております。私の地元、新潟の新潟日報社は、スーパーハイビジョンのパブリックビューイングというものをNHKと一緒に取り組んでおられまして、大盛況だったというふうに聞いているところでございます。

 この点、NHKの放送センター、今大臣から御指摘ございました、今、建てかえというものを決めて、この夏に建設基本計画を取りまとめるとお聞きしておりますけれども、こうした大臣の御意見を踏まえて、放送センターの建てかえに係る費用をできるだけ圧縮して、可能な限りこうした地方局の強化に充てるべきではないかと考えておりますけれども、御見解をいただければと思います。

籾井参考人 ただいま御指摘のように、NHKとしましても、地域の活性化に積極的に取り組むということがいかに大事かということをよく認識しております。

 さらに、今御指摘がありましたように、各地域の地方紙とタイアップしまして、その地域の魅力などをさらに深く発掘し、その地方の局で番組を制作して、全世界、あるいはもちろん日本全国に発信していこうというふうに今実行している最中でございます。

 それから、東京の機能を分散するという意味におきまして、先ほど大臣からも御指摘がありましたけれども、やはり首都直下型地震とかそういう場合に備えまして、大阪をバックアップにし、さらに福岡にもそういう機能を持たせるということが一つ。

 それから、制作面におきましては、現在既に朝ドラも半年ごとに大阪でつくっておりますし、それから、名古屋においても「凄ワザ!」等々をやっているんですが、さらにこういうことを地域にも拡大していけば、さらに活性化していくのではないかというふうに考えております。

 よろしくお願いします。

石崎委員 ありがとうございます。

 朝ドラを全都道府県の地方局でつくるんだということもぜひ御検討いただければと思います。

 本日は、政府機関の移転等を含めて御質問させていただきました。引き続き、東京一極集中是正のためにまた頑張らせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、井林辰憲君。

井林委員 ありがとうございます。自由民主党の井林でございます。

 きょうは、総務委員会で初めて質問をさせていただきます。

 まず初めに、私からも、熊本、大分の地震を含め、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、今なお避難生活をされている方々の御支援に全力で当たっていただきたいというふうに思ってございます。

 その中で、こうした震災などもありますと、よく、地元の自治体の人手が足りないというような報道もなされていて、こういう震災になりますと、現場も混乱をしながら、全国から人も応援に来るんですけれども、なかなか地理も不案内ということで、現場でもいろいろ苦労があるというふうに思うんですが、それはそれといたしまして、やはり国、地方を問わず、行政改革というのは、不断の取り組みをこれまでもしてきましたし、これからもしていかなければいけないというふうに思ってございます。

 そんな中で、必要な行政サービスをどうやって確保するのかということで、こうした震災対応ですとか、また、国家公務員ですと、先般成立をしました所得税法等の一部を改正する法律の附帯決議でも、国税庁の職員の定数確保については十分な配慮をしてほしいというような附帯決議が、これは毎年なされていたりしてございます。

 また、最近では、私の地元でもそうなんですが、橋が通行どめになっていたり、何かちょっとぽろぽろと石がこぼれてきたりするんですが、職員の方が非常に足りないということで、なかなか手が回らないということでございます。

 そうした厳しい現場、重要なところには人を入れなきゃいけないということも、大臣初め総務省の皆さんにも御理解をいただいているところではありますけれども、まず、行政改革ということでございますので、地方公共団体に限ってですけれども、公務員数の推移について、総務省の方から御説明をお願いします。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の地方公共団体の総職員数は、平成二十七年四月一日現在の数字で申し上げますと、二百七十三万八千三百三十七人となっております。平成十七年からの十年間で、三十万三千七百八十五人、一〇%の減少、平成二十二年からの五年間で見ますと、七万五千五百三十八人、二・七%の減少となっております。

 団体の具体的な例を申し上げますと、委員の御地元の静岡県藤枝市の職員数は、平成二十七年で千四百九十八人でございます。平成十七年からの十年間で、百七十七人、一〇・六%の減少、平成二十二年からの五年間で、四十五人、二・九%の減少となっております。

井林委員 ありがとうございます。

 国のみならず地方でも、地方分権と言われて業務がふえながらも、工夫をして、行政改革というか、定員削減を進めていただいているということがよくわかりました。

 しかしながら、一部の自治体ですとか市民の皆様方からは、こういう言い方はよくないんですけれども、交付税で見てもらえるんだから公務員は減らさなくてもいいんじゃないかというようなこともあります。そういうことはないよということは私も言っているんですけれども、これは総務省さんの方からもしっかりといろいろな市民の皆様方に御説明を申し上げていただきたいというふうに思っております。

 さらにお伺いをさせていただきますけれども、地方自治体の行革努力が交付税に反映をされて地域活性化に取り組むことができる、地域の元気創造事業費ということがあるというふうに伺っておりますけれども、まずその説明をお願い申し上げます。

安田政府参考人 お答えいたします。

 地域の元気創造事業費についてでございますが、地域経済活性化の取り組みに必要な財政需要を算定するため、人口を基本とした上で、各地方団体の行革努力や地域経済活性化の成果を反映しているところでございます。

 このうち、行革努力分でございます。これは、二十八年度で三千億円程度を予定しておりますが、これにつきましては、各地方団体が行政改革により捻出した財源を活用しまして地域経済活性化の取り組みを行っていると考えられることを踏まえまして、職員数削減率や経常的経費削減率などの行革努力に応じまして交付税額を割り増す算定を行っているところでございます。

井林委員 ありがとうございます。

 行革努力が逆に交付税に反映されるということは、大変ありがたいことだというふうに思っております。特に、こういう言い方がたまに、よく報道でも出るんですが、市役所の人が減ると近くの飲食店などが寂れる、寂しくなるというような話も聞いてございます。その分を、しっかり地域活性化に取り組むようなインセンティブをやっていただければ、そうした問題も解消されるのではないかなというふうに思っています。

 しかし、先ほど申し上げましたように、インフラの維持管理の重要性ですとか人手不足の問題、さらには、地方の公立病院では医師、看護師不足、さらには地方の公立保育園でも保育士さんの不足などが言われております。こうした状況で、私の地元なんかからも、公立病院で医師を確保すると、先ほどの地域の元気創造事業費では逆に交付税が減額されてしまう、やはりこれは医師不足という問題と行政改革というところの難しい課題だというような声をいただいております。

 ぜひそういうところも考えていただきたいと思うんですけれども、そういうところについては、この制度、ちょっと中身が詳しくなってきますけれども、どのような工夫がされているか、御説明をお願いします。

安田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁したとおり、地域の元気創造事業費の算定に当たりましては、行革努力分を反映するための指標の一つといたしまして、職員数削減率を用いているところでございます。これまで、病院等公営企業の職員数もこれに含めて算定してきたところでございます。

 委員御指摘の点につきましては、地方団体からも、職員数をふやしてサービス向上や経営改善を図ることが考えられる病院等の職員については特例を設けてほしい、こういう意見が寄せられてきたところでございます。

 このため、今年度より、職員数削減率を算出する際におきまして、病院等の公営企業会計の職員数につきましては、料金収入割合に応じた職員数を除外するよう見直しを行うということにしているところでございます。これによりまして、例えば、公立病院において医師確保などに取り組んだ結果職員数が増加したといたしましても、料金収入で賄われている場合には職員数増としてカウントしない仕組みになるということになります。

 今後も、地方団体の意見も踏まえながら適切な算定に努めてまいりたいと考えております。

井林委員 ありがとうございます。

 公営企業ということで努力をいただいているということで、画一的な行政改革や公務員削減ではないということで、一歩前進ということで御礼を申し上げたいと思います。

 私が申し上げたいのは、病院であっても、やはりお医者さんとか看護師さんの確保はしっかりやらなきゃいけないんですけれども、内部管理業務については、さらなる行政改革、不断の行政改革というのはやはりそれぞれの自治体でやっていかなければいけない。逆に言えば、企業会計でなくても、現場で一生懸命働いていただいている例えば保育園の保育士さんとかこういう方々はやはりもっともっと充実をしていかなければいけませんし、地方都市でも、まだ保育園で困っているところ、公立の保育園の増設が求められているところ、保育士さんの定員が足りなくてなかなか子供が受け入れられないところもあるというふうに私は聞いております。

 公営企業ということで、今まで総務省さんからもいろいろお話を聞いてきました。行政的な切り分けというのが非常に難しいというのも十二分にわかっておりますけれども、現場で頑張る職員ということは、やはり公営企業であるなしにかかわらずしっかりと手当てができるような、そしてそれが、行革努力が交付税とかさらなるほかの措置でちゃんと措置できるような努力というのを、この地域の元気創造事業費でも努力をしていただきたいというふうに思ってございます。

 最後になりますけれども、先ほど申し上げましたように、国税庁の職員であったり国土交通省でインフラを管理する現場の職員であったり、さらには、これから外国人観光客がふえてまいりますと法務省の入管職員もふやしていかなければいけません。

 こういうニーズに対応しながら、国は国でやはり国家公務員の定数削減というのはしっかり進めていく。地方は地方で、現場のニーズに対応しながら、しっかりと定数削減をしながらも現場の職員を手厚く配置していかなければいけないし、今まさにそうして手厚く配置をしなければいけない職員こそが、私は、今熊本や大分の現場で一生懸命汗を流して働いてくれている地方の公務員、国の公務員だというふうに思ってございます。

 ですので、最後に高市大臣にお伺いを申し上げますけれども、現場で本当に頑張っている職員の不足の解消については、行革努力の取り組みの中でも、定数削減を一くくりに議論できないというふうに思います。そんなところの御所見を最後にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 委員がおっしゃるとおりだと思います。

 特に、既に東日本大震災の被災地に対しても全国の各自治体から職員を送っていただいておりますし、今般の熊本地震に際しましても、本日現在で千九名の地方自治体の職員の方々が応援に入ってくださっています。

 また、それぞれの地方公共団体において、ICTの徹底的な活用ですとか民間委託の推進など、業務改革を進めていただくこともこれは大切なんですけれども、総職員数を抑制する一方で、行政需要の変化というものがございますから、現在では、防災対策に携わる職員また福祉事務所、児童相談所などの職員数を増加させるなど、地域の実情に応じてめり張りのある人員配置を行っていただいていると承知しています。

 各団体におきまして、やはり地域の実情に応じて自主的に適正な定員管理を推進しながら、めり張りのある人員配置を行っていただくということが大切だと思います。

井林委員 ありがとうございます。

 総務省さんは、国の定員管理も地方の定員管理も行う一つの役所として統合されて発足をいたしました。これからも、ぜひ現場で頑張る職員の目線に立って行政改革また定数管理というものも進めていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民進党の渡辺でございます。

 まず冒頭、今般の熊本地震におきまして亡くなられた方々に心から哀悼の意を表し、また、今も不自由な暮らしを強いられている被災をされた方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上で、質問に入らせていただきます。

 本日も既に言及されておりますけれども、この熊本地震において大変な被害があり、しかも、いつ終息するかということがわからない状況でございます。そんな中で、第一義的に、まず被災者支援、そして住民に対するさまざまな行政サービスに当たるべき地元自治体すらも被災をして、今まさに行政の低迷も生まれているということでございます。

 例えば、例を挙げますと、宇土市役所が倒壊のおそれ、八代市役所も倒壊のおそれということで立入禁止になっている。そしてまた、最近では、人吉市が余震で倒壊するおそれがあるとして本庁舎を閉鎖したというふうに発表がされております。

 今後長期化するであろう被災者支援に対して、本来なら前線に立つべき自治体が、まさに司令塔、司令機能が発揮できないという中で、今現状、地方自治体の損壊状況はどうなっているかということにつきまして、まず総務省に確認をしたいと思います。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 現在、私どもで把握しておりますのは、八代市、宇土市、大津町、益城町におきまして、庁舎が使用できないために庁舎外へ機能を既に移転しているということでございまして、また、御指摘のありましたように、人吉市におきましては庁舎外への機能の移転を今後予定しているというふうに聞いております。

渡辺(周)委員 もう庁舎外で機能を移転しているということなんですが、実際問題、本庁舎が使われるということでは、あとどれぐらいの日数がかかる、どう把握していますか。

渕上政府参考人 これらの市町村におきましては、庁舎が損壊をしていたり、危険度判定の結果、使用にたえないということでございますので、何らかの形で庁舎機能、例えばプレハブですとかそういったものを建てて、そして順次機能を再開する必要があるというふうに思いますので、相当な期間を要するというふうに思っております。

渡辺(周)委員 相当な期間というのは月単位ですか、年単位ですか、どういうことですか。

渕上政府参考人 住民サービスに極めて重要なサービスがありますので、当面の対応と恒久的な対応が必要だというふうに思っております。

 当面の対応につきましては、現在でも例えば住民票の関係ですとかの機能は行っておりますので、そういう意味では、順次、サービスの内容に応じて月単位のものもあれば、例えば庁舎の建てかえといった数年を有する期間を想定されるものもあるというふうに思っております。

渡辺(周)委員 それは、私たち、東日本大震災を経験しまして、県をまたいださまざまな自治体から行政の応援があって、さまざま代行できた部分もあると思います、補完をできた部分もあると思います。ぜひそこは、もう既にたくさんの自治体から協力の申し出があると思いますので、そうした、本当に困ったときはお互いさまでございます。

 静岡県も、私たちもずっと、南海トラフ、その前は東海地震と言いましたけれども、いつ来るだろうかと、本当にもう四十年前から備えをしてきたわけです。幸いにしていまだそのことには当たっておりませんが、しかし、予期せぬところでまさにこのような理不尽なことが起きた、不幸な震災に見舞われたという自治体が、お互いさまでございまして、自治体同士でやはり協力をし合う。それがひいては、自身がもし被災した場合には、何が足りて何が足りなかったのか、何ができたのか、できなかったのかということの積み重ねになると思いますので、ぜひそこは国を挙げて、もちろん国の機関もそうですけれども、各自治体からもぜひ要請を受け入れて、何とか行政機能が回復するように努力をしなければいけないと思っております。

 それで、今答弁にありましたけれども、いわゆる危険度判定ですね、応急危険度判定。そもそも建物自体がどうなのかということがわからないでいて、あわせて、今後、住民に対する生活再建支援金であるとかあるいは災害復興住宅融資だとかいろいろな形で、住宅の場合に適用されるのが罹災証明、住宅以外で、例えば家屋以外で被災証明、こういうものが出せるのかどうなのか。

 そもそも、全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊等々いろいろカテゴリー、被害の等級がありますけれども、こういうものは間に合っているんでしょうか。自分たちの庁舎もままならないところでどれだけ、被災をされた方々に対して、今後例えば仮設住宅の建設についてもこうした判定が必要になってくると思うんですが、今これはどうなっていますでしょうか。その点についても御答弁いただきたいと思います。

林政府参考人 罹災証明についてお尋ねがありました。お答えをいたします。

 今回の熊本地震で被災をされました市町村の中には、罹災証明の発行の事務が滞っているというところもあると承知をしております。

 内閣府におきましては、発災後、罹災証明書の交付の迅速化のために、職員を現地に派遣いたしまして、熊本県、大分県にそれぞれ四月二十日、四月二十一日に、罹災証明交付の前提となります被害認定調査につきまして説明会を開催いたしました。

 また、職員が足りていないということも承知しておりますので、熊本県を通じまして県下の市町村に対しまして、必要となる応援職員数の確認をお願いしております。県で取りまとめていただいた後、国の職員、財務局の職員などを速やかに投入させていただきますと同時に、九州地方知事会などとも調整をさせていただきまして、応援職員の追加派遣を行うことにしております。

 罹災証明書につきましては、先生御指摘のとおり、さまざまな被災者支援策の判断基準となっておりますので、総務省とも連携しながら、迅速に交付されるように引き続き支援をしてまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 当面の危機がまだ去っておりませんけれども、これから非常に厳しい生活を強いられる方々に対して、とにかく今被災をされた方々に、いろいろな行政の手続も含めてストレスもたまっていると思います、そんな中で、迅速に対応できるように、ぜひとも各省庁が被災をされた方々に最優先で対応できるように、もうこれ以上のストレスをどうぞ与えないような対応をお願いしたいと思います。

 そこで、あわせて伺うんですけれども、七月二十五日に、今の参議院議員、今度改選を迎える方々の任期が切れます。そうしますと、参議院選挙が当然それまでに行われることになろうと思いますが、これまで、東日本大震災のときは、統一地方選挙がございましたけれども、これは法律を改正して先送りすることができました。その前の阪神・淡路大震災においても、一月でございましたので、四月に行われる地方選がやはり先送りされた。

 さて、今回のこの国政選挙でございますので、これは当然、熊本の皆さんにとっては非常に厳しい状況の中でも参議院選挙は実施されるわけでございます。

 そこで、今ここで果たして三カ月後までに行われるであろう参議院議員選挙の対応がこの熊本県の被災されたエリアでできるのだろうかということについても伺いたいと思います。

 今、当然投票所として使えないところも出てくれば、当然のことながらお宅がなくなってしまった方々もいらっしゃる。当然、有権者の把握もしなければいけないし、投票所も今避難所になっているところもあるわけですから、その点について、対応はどうなっているのか、本当に参議院選挙ができるのかどうか、今の現状を教えていただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 被災地におきましては、今災害対応を優先させておるところでございますので、参議院選挙への対応につきましては、今後具体的な被災の状況等も踏まえて対応することとなると思います。

 その上で、総務省といたしましては、現時点で参議院選挙の執行ができないというところまでは考えておりません。

 今御指摘がございました、例えば避難所として使用されている体育館等でございますけれども、これも、今後の避難の状況等によってどういうふうになっていくかということでございます。今後の使用状況などを踏まえて、投票所の確保等が検討されていくものではないかと思います。

 選挙におきましては、一つは、投票所、開票所等の物的なもの、投票箱などの資材も含めまして物的なもの、それから、それを管理、執行する人的なもの、それから、投票していただく有権者の方々にどうやってお知らせしていくか、特に避難された方々にどのようにお知らせしていくかというような課題が多く出てくると思います。それらにつきましても、過去の災害における取り組み事例などもありますので、これらを紹介する、あるいはそれらでの教訓を踏まえまして、被災地の選挙管理委員会などと連絡を密にして、適切に対応してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 東日本大震災のときは、庁舎が全壊した陸前高田や大槌町、あるいは宮城県の南三陸、女川町においては、住民基本台帳システムから選挙人名簿を復元したりして、それで選挙人名簿の調製を行ったということでございました。

 今回、そこまで流出をしたりあるいは全壊したということで、まあ、庁舎には立ち入ることはできないけれども、しかし、庁舎に残っているものについてはしっかり管理をして、ただ、そこで、被災をされた方が今どこにいらっしゃるか、どの避難所にいるかということは、これは当然今もやっていることではあろうと思いますけれども、いずれにしても、選挙に当たって、当然、各当該する、熊本県もそうでありますし、自治体の選挙管理委員会とこれから連携をしながら、その点についてはいろいろな助言やらも行うと思うんです。

 その点について、何か地元から選挙について問い合わせであるとか、あるいはさまざまな相談といいましょうか、そういうことはあるんでしょうか。今のところはいかがですか。来るべき参議院選挙に向けて、自治体として対応できるかできないかということについてはどういうやりとりをされているのか。もしありましたら、ぜひちょっとここで言及していただければと思います。

大泉政府参考人 現在のところ、県の選挙管理委員会とは連絡をとり合っておりますが、市町村の選挙管理委員会、市町村の役場自体が災害対応をしているということでございますので、そういう意味では、今後、具体的な被災状況も踏まえて検討がなされて、また協議をしていきたいと考えております。

渡辺(周)委員 ぜひとも、私どもも許されれば現地に行きまして、復興復旧に当たっている方々の邪魔にならないように現地のニーズなどを把握していきたいなというふうに考えております。

 そこで、出てきた案の中に、防災省というのをつくってはどうかと石破地方創生担当大臣が御自身の会の中で御発言をされました。防災省というのは、かつてより、危機管理庁というのか、日本版FEMAというのか、何らかのときにやはり一元的にやるというものに対してこれまでもいろいろなシミュレーションをされた、検討もされたことは、それぞれの政党や政治家の中でもあろうと思います。

 この防災省という考え方につきまして、政府の中でもいろいろ意見もあるようですが、消防庁を所管する総務省として、高市大臣はこの構想についていかがお考えですか。

高市国務大臣 まず、政府としての考え方ですが、関係省庁の副大臣会合で危機管理体制のあり方を議論して、昨年三月に報告がまとめられています。この中で、初動対応は内閣官房が一元的に総合調整を行うなど、内閣官房と内閣府を中心に省庁横断的な対応がされてきていて、平時から大きな組織を設ける積極的な必要性は直ちに見出しがたいという方向性が出ています。

 同時に、大規模災害時に、今回もそうだったんですが、やはり国と地方公共団体、そして民間事業者も含めて、関係者が持てる力を最大限に発揮するということが重要でございます。

 消防庁を所管している総務省としては、やはり内閣官房の取りまとめのもとに、内閣府とも、関係省ともさまざまな連携協力をし合っておりますので、今回の地震もそうでございますが、地方公共団体、全国の消防本部それから消防団などと力を合わせて、引き続き国民の命を守るために最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

 特に、各府省が持っている政策資源、これまでのネットワークというのは、災害時に物すごく重要だということを今回も痛感しました。

 総務省では、地方公共団体や消防団また消防本部との連携に加えまして、やはり情報通信関係、放送事業者とも、それから携帯電話事業者などとも連携をとりながら、さまざまな御支援をいただきました。

 また、行政評価局などで、これまでの災害で蓄積された情報、とにかく住民の方が、印鑑をなくした、通帳をなくした、いろいろなことでお困りだ、罹災証明書はどうやったら出るのか、そんなことを一覧的に整理したものもございましたので、フルで活用させていただいております。

 各省がそれぞれの対応を内閣官房、内閣府と連携しながらやっているというのが現状でございます。

渡辺(周)委員 たくさん御答弁いただきましたけれども、要するに、今は必要ないと考えているということでよろしいですか。

高市国務大臣 今は、直ちに大きな独立した組織の必要性は感じておりません。

渡辺(周)委員 例えば、これは内閣府、これは警察庁、これは総務省、それぞれやはり縦割りが、ここへ来て、今までも言われてきました。

 ですから、私は、先ほど、それぞれの省庁が持っている政策資源というのがうまく機能すればいいんですけれども、やはりそこは国があって、県があって、市町村がある、そしてまたその国にはいろいろな省庁があって、結果、縦割りと言われる中で、ニーズの把握であるとか、あるいは機動的な対応ができないということにならないように、そこは今、当面は取り組んでいただきたいと思いますが、しかし、一つの問題提起として石破さんがそういうふうにおっしゃったんだろうと思うんです。

 そこで、きょうは防衛省にも来てもらっていますが、ちょっとお尋ねをします。

 私ども与党のときに、私が防衛省で副大臣をしておった二〇一二年に、総務省の当時の大島副大臣のもとへ行きまして、実は話をしたんですね。

 自衛隊も、当然今も大変な活躍をされております。その姿には本当に心から敬意を表するところであります。その自衛隊ですら、被災があった、地震が発災した、しかし、そこで、では行くといっても、どこにどういうヘリコプターが離発着できる、当然、ヘリコプターも大中小いろいろございます、おりられる環境も違います。そして、当然のことながら、そこにヘリコプターが離発着できるどれだけの敷地があるのか。学校のグラウンドにしても、野球場にしても、運動場にしたって、例えば高圧鉄塔があるとか、野球のフェンスの高い金網が、フェンスがあるとか、それによっても、当然目視で離発着することなどできない。

 だから、その基礎的なデータを自治体が防衛省と共有して、つまり、うちの町にはCH47の一番でかいヘリコプターがおりることができる敷地がこことここにあります、あるいは、うちの町にはない、だけれども港はある、港の水深はこれぐらいで、港に入るには、どれぐらいの大きさの艦艇なら入れるとか、入れないから沖合に輸送艦が来てそこからLCACのような、例えば乗り上げられる砂浜がある、海水浴場がある、そういうもののデータをやはり総務省が、自治体が提供する。

 自衛隊も万能じゃありませんから、突然行って何とかしろと言われても、初めて行くところでは対応できない。だからこそ、そうしたデータをインプットしておくべきだということでやったんですが、それは今も生きているんでしょうか。例えば、今回、活用されたんですか。その点はどうなっていますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 防衛省・自衛隊といたしましては、災害派遣時の活動をより効果的に行えるよう、災害派遣部隊の宿営地や災害救援活動に使用するヘリコプターの離発着場所の確保、自衛隊艦艇が展開するための港湾等の調査などの取り組みを平素から行っておくことは重要だと考えております。

 先生御指摘のように、このため、総務省消防庁にも御協力いただきまして、平成二十四年に、同庁から全国の市町村に対し、災害時に自衛隊のヘリコプターの離発着が可能な場所の把握と使用の可否等につきまして、各県の災害派遣窓口となっている自衛隊部隊との調整を依頼する通知を出していただきました。

 また、自衛隊艦艇が接岸可能な港湾の調査等につきましても、訓練等で入港した機会などを活用し、岸壁の長さ、水深、気象特性など、入港時に必要となるデータを収集し、データベース化しております。

 その結果、平成二十七年度までの段階で、ヘリコプターの場外離発着場所については約二千三百四十件、自衛隊艦艇の接続可能港湾等については約三百カ所をデータベース化いたしました。また、先ほど御質問がありましたエアクッション艇の適地につきましても、約四百六十カ所選定をしてございます。

 このようなデータベース化したヘリコプターの離発着場所につきましては、今回の災害時にも、ヘリコプター等の利用をしております。

 これらのデータベースにつきましては、実際の災害派遣活動を迅速かつ効果的に行う上で役立っておりまして、例えば、平成二十五年十月に伊豆大島で発生した土砂災害につきましては、自衛隊の輸送に際して艦艇等を活用いたしましたが、この際、接岸可能港湾等のデータベースをもとに、派遣艦艇の選択を行いました。

 また、今回の平成二十八年熊本地震におきましても、データベースをもとに、救援物資の積載地点等としてヘリコプターの場外離発着場の選択を行いまして、活用されたところでございます。

 今後とも、これらのデータベースを整備いたしまして必要に応じて消防庁等防災関係省庁間で共有するとともに、また、南海トラフ地震を初め今後発生が懸念される大規模災害発生時に効果的な救援活動を行うことができるよう、データベースの整備に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

渡辺(周)委員 私どもも取り組んだかいがあったというふうに、今答弁を聞いていて思うわけでございます。

 今回は、中央構造線と言われる上で、この間も、つい数日前、愛知県の東部、静岡県の西の方で、震度二か三でして小さい地震ですが、ありました。何となくこの一連の動きが、九州から四国であるとか、あるいは、四月の一日だったでしょうか、三重県の沖でも地震がありまして、何かこのベルトの上で、あるいはベルトの中といいましょうか、非常に気持ちの悪い、不気味な感じがする。

 もちろん、南海トラフと直結するかどうかということについては、いろいろ言う方もいます。しかし、最近、活性期に入っている中で、やはり何となく皆さんが不気味に思っている中で、ぜひ自衛隊のそうしたデータ、総務省と協力し、消防庁とも協力をして、とにかく一分でも一秒でも早く現地に駆けつけて効率的な支援ができるようにしていただきたいと思います。

 さて、そういう中で、今申し上げましたが、ネット上ではいろいろなことが言われるわけです。ただ、これはほとんど根拠のない話。そもそも、人類が太陽系を突き抜けて宇宙の果てまで行って、ほかの惑星の探査をしようといっても、我々が住んでいるこの地球の足元で起きていることの正確な予見、予知はできないわけです。人類が宇宙に何度行こうとも、これはなかなかできない。地震予知というのが非常にまだ難しいという中で、しかし、いろいろ関連づけて、いろいろな報道がされます。

 その中で、NHKの籾井会長、私は、やはり正しい情報という意味で、NHKの果たす役割はとても大きいと思いますが、先般、NHKの放送センターにおいて、震災対策本部で会議が行われました。そこには理事、局長、百人ほどが集まられた中で、籾井会長が、原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないように、公式発表をベースに伝えることをしてほしいんだというふうに御発言されましたか。それは事実でしょうか。

籾井参考人 我々、ニュースや番組の内容につきましては、報道機関としての自主的な編集権に基づいて、都度判断して伝えております。

 今回の地震に関しましては、原発につきましては、自治体で観測された震度や原発の運転への影響、それから周辺の放射線量を測定しているモニタリングポストの数値、それに、原子力規制委員会の見解や、原発の運転に反対している団体の動きなども伝えていると承知しております。

 NHKは、放送ガイドラインで、災害や非常事態、こういうものが起きた際は、視聴者の期待に応え、正確でわかりやすい情報をより早く伝えるため、取材と報道に全力を挙げるとともに、災害、非常事態の報道に当たっても、放送の自主、自律を貫くとしております。この姿勢には今後も変わりはありません。

渡辺(周)委員 姿勢はわかります。ですから、この発言をされたことは事実ですかということを伺いましたので、事実か否かということを、報道されていることについてお答えください。

籾井参考人 NHKの内部の会議に関することでありますので、具体的な内容についてはお答えを控えさせていただきますが、災害報道に当たっては、視聴者の疑問や不安などに応えるため、事実に基づいて、迅速、正確な情報発信に努めるよう、節目ごとに伝えております。

渡辺(周)委員 これまでも会長は、さまざまな発言で国会でも取り上げられて、正直、言葉を選ばずに言えば、物議を醸してきたことが何回もあります。

 今回も、このような、公式発表をベースにということで、もちろん、数値等の発表された事実は事実として出どころがちゃんとしたところで伝えていただかなければ、いたずらに不安をあおり立てます、それは当然です。ただし、公式な発表だけをベースにして、それだけを伝えると、これは報道じゃなくて広報になってしまうんですね。その意図は何でしょうか。

 そこについて、例えば、川内原発があり、伊方原発も近い。こうした中で、いろいろな不安を指摘する声もある。そして、未知の断層が今回も発見されましたけれども、断層が近いということで、原発に対する影響はということをおっしゃる専門家も当然いるんですけれども、そうした声はこれからも取り上げるということですか。それとも、そういうものは取り上げないということですか。いかがですか。

籾井参考人 今回は、熊本の地震というものに対する災害対策本部、こういう中において、我々はどういうふうに対応していくかという中での話でございます。

 したがって、我々としては、本筋を外さずに報道していこうと、いわゆる地震に対する報道を正確に伝えるということに主眼を置いたということでございまして、原発をどうするこうするということを議論しようとか、それを議論しないとか、そういう類いの話ではないんです。

 したがいまして、ぜひおわかりいただきたいのは、私どもとしては、いわゆるニュースの番組は、ごらんになっておわかりと思いますけれども、報道機関としての自主的な編集権に基づいておりまして、その内容については、都度判断して伝えておりますので、原発に対して、ある先入観を持って対応していくということはございませんので、この辺はよろしく御理解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 これまでもNHKは、東日本、その後の福島の事故を受けて、さまざまな検証番組をやってきました。それは当然、いろいろ、時の政府に対して批判的な、否定的な見解もあるし、今後のあり方についても、いろいろな識者の多様な意見を反映させてきたと思います。

 そこで、もう交代時間ですから、最後に確認しますけれども、現場の記者の方々、あるいは、取材をする記者もそうですし、番組をつくる方々が萎縮するのではないかという指摘がありますが、それについては、ない、萎縮させることはないということでよろしいですか。

籾井参考人 本当に全くありませんので、御安心いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 では、済みません、あと、続きをお願いします。

遠山委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 民進党の水戸将史であります。

 時間がかなり限られていますので、一点だけのテーマで、まず、総務大臣にお尋ねしたいと思います。

 宝くじという制度は、私もいささか興味がありましたものですから、特に収益金というものは、地方財政にも寄与するということでありますし、また幅広く事業にも使われておりますから、この視点からぜひ御見識を問いただしていきたいと思っております。

 御案内のとおり、宝くじ制度というのはもう長い長い歴史がありまして、昭和二十三年、これが法制化され、刑法で禁じる富くじの例外として認められたという制度でありました。今申し上げましたとおり、この主たる目的というのは、地方公共団体の貴重な自主財源の一部として使うとか、また収益金を幅広くいろいろな公共的な事業にも充当していこうという形で、この制度がスタートしたんですね。いろいろな紆余曲折がありました。確かに、長い長い歴史を持っているわけでありますから。

 そういう中において、これは民主党政権下で、宝くじ問題検討会というのを平成二十二年の七月の段階で設置いたしまして、そして、改革をしていこうという形で、国民の信頼を確保するとともに、宝くじの健全な発展とか地方財政資金の調達を図ることを前提として、ガバナンスの強化、わかりやすさ、そして効率化を基本的な視点に検討しましょうという形で、一定の、宝くじ問題検討会を開催して、報告書を出しています。

 しかしながら、その後なんですけれども、やはりどうしても売り上げが低迷している状況に加えて、平成二十三年、翌年の東日本大震災のときの復興宝くじも発売しているんですけれども、社会的な貢献を明確にしたにもかかわらず、利益はいまいちぱっとしなかったということなんですね。

 だから、あの手この手を尽くして今までもやってきたわけでありますけれども、なかなか売り上げにこれは寄与していかないという形で、またさらに、これは平成二十三年の十月の段階で宝くじ活性化検討会というのを立ち上げまして、そして、この検討会では、消費者の目線に立った宝くじ運営の改革を進め、宝くじの売り上げの増加とか、地方財政資金の確保を図るためというような目的を含めて検討していこうという形で、これもまた報告書を出しております。

 この報告書に基づいていろいろな形で制度の変更等々ありましたけれども、総務大臣、この過去の経過を踏まえて、宝くじ改革につきましてはどのような御感想を持っていらっしゃるでしょうか。

高市国務大臣 宝くじにつきましては、平成十七年度をピークに売り上げが逓減傾向にあったこともありまして、委員がおっしゃっていただいたとおり、これは民主党政権下で、宝くじ活性化検討会で提言をつくっていただきました。

 私どもも、この提言を踏まえまして、消費者目線に立った抜本的な改革に取り組むということにしまして、既に、当せん金付証票法について、インターネット販売の導入や当せん金の最高倍率の引き上げを可能とする、こういう改正が行われております。

 これを踏まえて、発売団体において、消費者の利便性の向上ですとか、あと、販売チャネルの充実、宝くじの魅力の向上などに向けたさまざまな取り組みが講じられてきておりますので、私は、現状、消費者目線に立った改革が一歩一歩前進してきているものと思います。

 またこれから、引き続き、若い世代にも宝くじをもっと受け入れていただけるような改革に取り組んでまいりたいと存じます。

水戸委員 ありがとうございました。

 ちょっと興味本位で大変恐縮でありますけれども、総務大臣みずから、この宝くじ制度を所管する最高責任者というか、個人的でもそうかもしれませんが、宝くじというのはお買いになって、その経験があるのか。常習的に買っていらっしゃるのなら、今、どういうようなお立場で、どんな形でこの宝くじに対しては個人的に取り組んでいらっしゃるか、ちょっとお聞かせいただけますか。

高市国務大臣 毎度買わせていただいております。

水戸委員 それは本当に結構なことだと思っています。

 そういう形で、今お聞きしたのは、これから、買う目線の、購入者の立場としてどうかということが非常に問われてくるわけでありますし、先ほど大臣からも若干ありました改革の一つの中では、いかに買いやすいか、購入者の立場からこの宝くじというのはどうあるべきかということは、もちろんこの検討委員会でも話をされていますので、その点につきまして、後ほどお聞きしたいと思うんです。

 そして、皆さんにお配りをいたしました資料にも、確かに、総務大臣がお触れになったように、宝くじの売り上げの推移というのはだんだん、これはどちらかといえば、ちょっと出っ込み、引っ込みはありますけれども、低下傾向にある、売り上げが伸び悩み傾向にあるということは一目瞭然なんですね。

 結局、低迷が続く理由ということを当局としてはどのように分析されているのか。一生懸命、先ほど言った問題検討委員会とか活性化検討委員会等々、いろいろな形で取り組んでいるにもかかわらず、なかなか売り上げに寄与していかないというこの現状について、どのような形で分析をされているのか。それと同時に、具体的に、それに対してどのように取り組んできたのかについて、簡潔にお答えください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 宝くじの年間売上高でございますけれども、平成十七年度の一兆一千四十七億円をピークに、近年は逓減傾向にございまして、平成二十六年度には、委員御指摘のように、九千七億円にまで減少したわけでございますが、平成二十七年度には九千百五十億円程度に改善する見込みでございます。

 このように、売り上げが近年逓減してきた理由でございますけれども、購入者にとって宝くじ以外の選択肢が広がったことのほか、インターネット販売の本格導入がおくれるなど販売方法が時代に十分マッチしていなかったこと、消費者目線に立った商品開発、販売戦略が必ずしも十分ではなかったことなどが一因だと考えております。

 二十七年度、若干でございますけれども改善したということでございますけれども、年末ジャンボ宝くじにおきまして、一等前後賞合わせて十億円という高額賞金を導入するということで、魅力向上に努めたことの一つの結果だったというふうに考えておりまして、今後もこうした改革を進めていく必要があるというふうに考えております。

水戸委員 今のお話でも最後の方に若干触れていただきましたけれども、要するに、買う側に、売り上げというのはやはり買う方の単価も上がる必要もありますし、また、購入者の数もふやす必要がある。魅力ある宝くじというものを、これを商品としてますますアプローチしていかなきゃいけないということなんですね。

 今、若干お触れいただきましたけれども、いわゆる高額賞金の期待に応えるように、年末ジャンボ宝くじの一等前後賞を合わせて十億円に引き上げたんですね。一等賞の賞金金額を十億円に引き上げたところ、久々に売り上げが増加したと。

 しかし、そうはいうものの、それまで一等が出る確率は一千万分の一だったんですけれども、十億円に引き上げたことによって二千万分の一になってしまったんですね。結局、確率が非常に半減してしまったという話であって、気の遠くなるような確率の低さなんですけれども、これに対しての、一等が当たるという期待感は非常に低くなっていくんじゃないかということは否めないと思うんですね。

 結局、平成二十五年に宝くじ協会が行った調査によると、当せん確率が低いが一等賞金が高額な宝くじと、一等の賞金は低いけれども当せん確率が高い宝くじのどちらに魅力を感じるか、購入者の立場からそういうことを調査した結果、聞いたところ、やはり後者ですね。一等賞金が低いけれども当せん確率が高い方がいいなということを選んだ購入者、後者の方が六一・一%、前者が二〇・九%という形で、やはり確率が高い方がいい、賞金金額が高いよりも確率が高い方がいいというような調査結果になっているんですね。

 結局、年末ジャンボ宝くじは高額にして、そういう形でやっているわけでありますけれども、今後、いわゆる確率と当せんの賞金の金額との兼ね合い。

 さらには、もっと言うならば、収益金の半分を超えてはならない、要するに、購入者に還元するのはやはり半分以下ということで、一つの制約がある。これは地方財政に回すという意味もありますから、そういう兼ね合いもあるんでしょうけれども、購入者への還元という意味を考えるのならば、この還元率、いわゆる収益金に対しての還元率をどの程度高めるか、現状なのか、またはこれを低くするのか、いろいろな選択肢はあると思いますけれども、どういう形でこれから取り組んでいかれるか。

 これは、購入者の目線からの形でお答えいただきたいと思うんです。

安田政府参考人 お答えいたします。

 現在の宝くじの商品の中には、昨年末に販売された年末ジャンボ宝くじのように、一等前後賞合わせて十億円という高額賞金を設定しているものもあれば、今年度販売予定のスクラッチくじのように、一等賞金を五万円と少額に設定いたしまして、当せん確率を約千分の一とするなど、比較的当たりやすい商品設計にしているものもございます。

 このように、多様な商品設計により宝くじの魅力向上を図ることは重要でございまして、今後とも、発売団体におかれましては、消費者ニーズを十分踏まえまして、宝くじの魅力向上に努めていただきたいと考えております。

 その上で、当せん金の比率の上限を五〇%を超えるようにしてはどうかという御提言がございましたけれども、この場合には、地方団体の収益金の減少を招くものでございまして、宝くじの販売が刑法の特例として地方財政資金の調達を目的として認められているという趣旨に反しかねないものであるということ、そして、その収益金は公益的事業の財源として活用されていること等を踏まえますと、私どもといたしましては、現行の五〇%を上限とする取り扱いを維持することが適当だというふうに考えているところでございます。

水戸委員 明確なコメントで、すっきりわかりました。

 確かに、当せん確率と賞金額の兼ね合いというのは非常に、どちらをとればどちらになるかという、そんな明確にこれを区分けすることができないわけでありますし、また、それがどれだけ総合的な売り上げに寄与するかということについても、やはりやってみなきゃわからないということで、私は、今の話で、いろいろな試みをした方がいいと思うんですね。たくさん当たる確率が高ければ、当然そういう賞金金額は下げなきゃいけないわけでありますから、そういうことは試行錯誤して、やはりある程度、購入者にとって買いやすいというか、当たりやすいというか、買ってみようという気になるような、そういうようなことをもっともっと模索をすべきだと私は思っていますから、これからの結果については、またいろいろな形でこれはまた検証を私自身もしていきたいと思っております。

 そういう中で、またお配りをしております資料にも二ページ目に、いわゆるスポーツ振興くじ、totoというものですね。これも今まで紆余曲折がありました。平成十三年からこういう形でやって、かなり売り上げが低迷してくるので、最初はよかったけれども、やはりどんどんとみんなの関心が薄れてしまいまして、売り上げがもろに下がってくるわけですね。

 しかし、反転攻勢、平成十八年を契機にして、ここから売り上げががんと伸びるんですね。これの一つの伸びた要因というのは、もう釈迦に説法でありますけれども、平成十七年にインターネット販売を開始したことによる。この後、拡大を図りまして、販売チャンネル別の売り上げシェアは、結局、インターネット販売をすることによって全体の七割近くに達し、かなりインターネットというもののツールが非常にtotoの売り上げに貢献したということが一目瞭然でございまして、何と、平成二十七年の恐らく集計が出ていると思いますけれども、恐らく一千百億円を上回るような、そうした結果になっているのではないかとこれは推測されます。

 こういうようなことを横に見ながら、やはりtotoはもちろん文科省が所管していますから、これはこれとして頑張っていただいている部分でありますけれども、宝くじを所管する総務省といたしましては、活性化検討会の報告事項でも、インターネット販売を早期に導入すべきということが提言されております。

 これについて、いろいろ受けとめて、インターネット販売するかどうかについてのいろいろな検討をしたと思って、今もう既に実施済みでありますけれども、今までの検討結果をどういう形でこれから生かしていくのかということについて御見識を求めて聞きたいと思いますが、よろしくお願いします。

安田政府参考人 お答えいたします。

 宝くじのインターネット販売についてでございますけれども、平成二十六年一月から、数字選択式宝くじの一部につきまして試行的に販売を行いました。その上で、本年一月から、全ての数字選択式宝くじを対象に本格的にインターネット販売を開始したところでございまして、さらに今後も販売取扱金融機関を拡大していく予定だというふうに聞いているところでございます。

 今後とも、発売団体におきましては、宝くじを購入される方の利便性の向上及び販売チャンネルの拡充の観点から、積極的な取り組みを進めていただきたいと考えているところでございます。

水戸委員 これからの、期待値でいいんですよ、期待として、totoみたく、こういう感じでぐわっと伸びていくことを当局としては期待をされているかどうか、ちょっと感想を。思いというよりも、決意でもいいです。

安田政府参考人 お答えいたします。

 やはりtotoの売り上げの増を見ましても、インターネット販売の有効性というのはこれで見てとれるというふうに考えてございまして、先ほど申し上げましたような形で、宝くじのインターネット販売もこれからより促進することによりまして、売り上げの改善につなげていただきたいというふうに考えているところでございます。

水戸委員 ぜひ、やはりこういう時代であればこそ、totoの一つの成功事例もありますから、それをある程度うまく活用させていただいて、これが宝くじの売り上げ向上に寄与することを私は心から期待を申し上げます。

 そういう中において、ことしの二月一日なんですけれども、これは一つの報道の記事でありますけれども、地方債課長さんが、地方の財源である宝くじについて、全国の都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議においてこのような発言をされているんですね。売り上げ向上に向け必死に取り組んでいる方がどれほどいるか、心もとない、知恵を絞った取り組みが展開されるよう皆さんの奮起、底力に期待すると、強目のトーンでハッパをかけていらっしゃるんですね。

 これは、本当に切実な思いなのかという、もうこれ以上売り上げの低迷を招いてはいけないという、どういう思いでこういう発言をされたのか。そして、それに対して各地方自治体の人たちはどういう形で受けとめたのかということをどう感じていらっしゃいますか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のございました地方債課長の発言でございますけれども、本年一月二十五日の全国都道府県財政課長・市町村担当課長会議において発言されたものでございます。

 この発言でございますけれども、地方財政を取り巻く厳しい環境のもとでの財源確保努力の一環として、地方の貴重な自主財源でございます宝くじの売り上げが逓減傾向にある状況を放置せず、地方団体みずからその売り上げ向上に一層の努力を傾けていただきたいという趣旨で言及したものでございまして、地方債課長としての強い熱意で発言されたものと考えてございます。

水戸委員 私は、課長の発言が不穏当だとか、そういうことを申し上げるつもりは全くありません。もちろん、ハッパをかけて、より一層奮起していただいて、やはりこれはもちろん地方財政に寄与する話でありますから、その主体であるそういう地方からいろいろな形で発信力を増して、そして購入者が買いやすいようなものを、地方も、また国も、いろいろな関係機関がタイアップをして、そして新たなものを展開することを私も求めていきたいと思いますから、もっともっと実効性があるように、やはり一発言にとどまらないように、やはりこの発言が、非常に重みがある発言として、そしてこれを地方の人たちも受けとめて、そして奮起をして、またそれを実際のアクションとして起こしていただくことを強く私も期待し、要請したいと思っていますよ。

 そういう中で、先ほど言ったように、平成二十三年の十二月に総務大臣に提出した宝くじ活性化検討会の検討結果を踏まえて、平成二十四年では改正法案が出されておりまして、いろいろな形で宝くじの制度の改正に至っています。インターネットも一つの方法かもしれませんけれども、そうはいうものの、積み残しの課題というのはやはりまだあると思っているんですね。全てのものをやれという話ではありませんけれども、しかし、この活性化検討会では非常に提言をされていますから、今後の中において、これをどういう形で織りまぜていくのかもやはり大きな大きな検討課題だと思っております。

 これについてどうなのかと具体的に聞きますけれども、例えば、収益金の使途の不透明さが取り沙汰されてきた、今までも収益金がどういうふうに使われているのかということが非常に不透明であった。しかし、それを明確にしようということで、それはもちろん購入者にも世間にも一般的にもこれをよりわかりやすくするということで、透明性を増そうという形で、子育てドリームチケットなどのそうした採用拡大をまたまた図っていこうということもしているんです。

 こういうような、いわゆる収益金の透明性をより高めるような商品というんですか、そういうものについては、どういう形で開発をされ、これをどういう形で展開していこうとするつもりなのか、ちょっとそれをお聞かせいただけませんか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 宝くじの販売に当たりまして、地方財政、さまざまな需要がございます。例えて言いますと、オリンピック・パラリンピック関係、ラグビーワールドカップ、あるいはまた震災の関係等ございまして、こういうものにつきましては、その状況を踏まえながら、それを協賛する宝くじ、あるいはその財源に充てるための宝くじというものの発売についても的確に許可をしていく、こういう方針で臨んでいるところでございます。

水戸委員 本当に、やはりどうしても購入者は、世間も、この収益金がどういうように使われているのか、また、先ほど言ったように、当せん確率等の問題等ありますけれども、もっともっと透明性を高めることはやはり購入者をふやす一つのきっかけになりますから、この収益金の不透明さ、使途の不透明さと言われているものに対しては、もっともっとこれは開示をしていくということは、ぜひ積極的に取り組んでいきたいと思っていますよ。

 それからまた、マーケティング戦略なんというものがあるんですね。これは幅広い形で考えるということならば、例えば、ここにも、活性化検討会でも議論をされておりますけれども、マーケティング、いかに周知徹底を図っていくのかとか、宝くじの魅力をPRするかというマーケティング戦略の強化として、民間人や専門家を活用した方がいいとか、企画競争入札をした方がいいとか、広告メディアを多様化するとか、いろいろな提言がされていますけれども、今までこれに対してはどのような取り組みをしてきたのか。また、これからどのような取り組みをする予定なのかということについて、ありますか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 宝くじ活性化検討会での議論を踏まえての今後の課題でございますけれども、発売団体におかれましては、今後は、数字選択式宝くじ以外のくじへのインターネット販売の全面展開や、インターネット専用新商品の開発、コンビニエンスストア販売の実施など、さらなる販売チャンネルの拡充、スマートフォンで気軽に楽しめるくじの開発などの魅力的なくじの提供や、マーケティング戦略の強化等に積極的に取り組み、宝くじの魅力を高めていく努力を重ねていただきたいと考えてございます。

 御指摘の点も踏まえて、発売団体において十分な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。

水戸委員 もう一つ具体的なことをお示しいただきたいんです。

 検討中なら検討中で構わないんですけれども、例えば、ここにも、宝くじファンの会員制度の創設と書いてあるんですね。宝くじファンを会員制度として、会員を募って、そして常時ファンの方々にいろいろなことをPRする、いろいろな形で協力をいただくとか、そしてまた購入していただくとかいう、そういう制度だとありますけれども、そもそも、宝くじファンの会員制度ということを創設するに当たって、どの程度、潜在的ないわゆる宝くじファンというものを見込んでいらっしゃるのか。そして、どういう形でこの会員制度を運用するというおつもりなのか。ちょっとお聞かせください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 宝くじの販売促進を図るために、いわゆる宝くじファンという方々を掘り起こして、こうした方々に宝くじを今後も引き続き積極的に購入していただくということは大変重要なことだというふうに考えている次第でございます。

 具体的な内容につきましては、発売団体において、この提言を受けまして、今後検討されるべきものというふうに考えている次第でございます。

水戸委員 もっと具体的に、より明確に、時間がないからこれ以上突っ込みませんけれども、やはり総務省がある程度音頭をとって、この制度のさらなる推進に向けて尽力していただきたいと思います。

 最後に、総務大臣、今までいろいろとお話をお聞きとめいただいて、これからの宝くじの、もちろん売り上げ向上というのが第一の目的でありますでしょうけれども、これに向けて、また、そうした購入者の魅力ある商品開発に向けて、どんな形で総務大臣としてこれから取り組んでいかれるということであるのか、その決意の一端を、ぜひこの場をおかりしてお述べいただきたいと思います。

高市国務大臣 まず、水戸委員には、宝くじの応援団としてさまざまな御指摘もいただき、ありがとうございました。

 例えば、全面的なインターネット販売の導入によって消費者の方々の利便性を向上するということ、それから、その際に、例えば新しい顧客層の獲得に向けて、スマートフォンなどで購入される若い方々向けにインターネット専用の新商品を開発するといった形、全く新しい宝くじの可能性を考えるということも重要かと思います。そのようなことで、地方財源も一層充実するように必要な助言は行ってまいりたいと思います。

 なお、委員が応援していただいていることに甘えて一言つけ加えますと、来月から発売予定のドリームジャンボ宝くじ、熊本地震の被災地の緊急支援を行うこととなりましたので、総務委員会の先生方にも応援をよろしくお願いいたします。

水戸委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。

遠山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 改めまして、熊本、大分の被災地の皆様にお見舞いを申し上げて、質問を始めたいと思います。

 籾井会長、お疲れさまでございます。それでは、まず籾井会長から伺いたいんですが、先日、会長が理事の人事を断行されましたけれども、会長、理事の人事について、二期目に向けてNHKをどう変えていこうとされているのか、伺いたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 適材適所であるということは言うまでもないのでございますけれども、基本的に、今国会の中で随分と我々の関連企業について議論をしていただきました。やはり、我々としましても、関連企業の体質を変えていく、つまり、不正を許さない意識改革とか抜本的な経営改革とか、こういうことを徹底するということがまず一つの大きなポイントでございました。

 それからもう一つ、NHKの伝統的ないわゆる縦割り主義というものを、もう少し幅広く横断的に議論できるような会社にしたい。これによりまして、新しい時代に対してうまく適応できるような体制をつくるというのが私の大きな眼目でございます。

奥野(総)委員 今、私、あえて二期目に向けてと申し上げたんですが、会長はこれを全く否定されなかったんですけれども、二期目に向けてと今あえて申し上げたんですが、二期目への意欲を示されたということでよろしいんですか。

籾井参考人 済みません。二期目に向けてというのを聞き漏らしておりまして、全くそれとは関連ございません。

奥野(総)委員 しかし、この時期これだけ大胆な人事をされるということは、当然、将来に向けて、今、認識を変えていこうということで、続けていこうという意欲はおありになるわけですよね。

 それを伺いたいのと、今、適材適所とおっしゃいましたけれども、技術系の方が役員からいなくなったということなんですね。よく人事交流とかというと、技術系の人を事務系のポストにつけたりして交流するというのがあるんですが、今回、技術系の方が一切いなくなる。

 4K、8Kの問題がございますけれども、東京オリンピックに向けて進めていかなきゃならないところに技術系の役員がいないというのはいかがなものかという声がありますが、その点はどういう意図でやられているんでしょうか。

籾井参考人 続ける意欲があるかどうかということでございますけれども、私のタームは来年の一月二十五日で終わるということ、それが唯一決まっている事実でございまして、その先どうするとかこうするとかいうことに対しては、私は全く自分のオプションを持っておりませんので、これについてはお答えする状況にはないんじゃないかというふうに思います。

 それから、人事の面で、技術系、技師長の話をされているんだと思うんですが、先ほども言いましたように、やはり、いろいろなリシャッフルを行うことによって横断的な体制をつくるということで、委員御懸念のように、こういう技術集団の中で非技術系の人間が技師長をやるということのユニークさといいましょうか、若干の懸念といいましょうか、こういうことについては、私もよくわかるつもりではおります。

 ただ、実際に技術面においては、4Kであろうが8Kであろうが、技術局長とか研究所長とかおりますので十分に対応できるというふうに思っていますが、同時に、やはり新技師長を助けるという意味で、きのう付で二人の副技師長というものをつくりました。これによりまして、非技術系の技師長を助ける体制もできたというふうに考えております。

奥野(総)委員 もう一点だけ伺いたいんです。

 従来、二期、二年というのが基本だというようなことをおっしゃったと思いますが、技師長も含めて理事の方二人は一期で退任されるわけですが、この狙いはいかがですか。

籾井参考人 お答えします。

 特に二期四年と決まっているわけではないんですが、我々理事は十名しかおりません。そういう中で、四年を越しますと、あと六年しかないわけです。そうすると、六年やりますと相当ローテーションが狂ってくるということで、現実的にも、来年を見渡しても、非常に閉塞的な構造になってしまうということでございますので、四年で回すということが一番ローテーションとしてもいいんじゃないかというふうに思っているだけでございます。そうでなきゃいかぬということでもないんですが、過去も全部大体四年でおさまってきているということです。

 本当を言うと、実際に経験豊かな理事にもう少しやってもらいたいというのはあるんですが、それだと回らないという我々も非常に大きな悩みがあるので、ぜひ考えていただきたいと思います。

奥野(総)委員 専務理事も全部かわって、技師長もかわって、普通は、人事の継続性という意味で主要なメンバー一人ぐらいは残しておくということだと思うんですが、会長がかわるつもりがないからそうされたのかなというふうにも勘ぐりますが。あえてこれ以上言いませんけれども。

 経営委員長、せっかくお越しですから。

 今回、人事については同意意見がございますよね、理事の人事について。反対はなかったのか、この役員人事の評価について伺いたいと思います。

浜田参考人 お答えいたします。

 今回の理事の任命については、賛成多数で同意をいたしました。

 同意に否定的な意見もございました。主な理由は、技術出身の役員がいないということでありました。それで、この点につきましては、委員会を中断して、私の方から会長に申し入れ、会長から善処するとの回答を得た上で採決を行いました。

 経営委員会といたしましては、今後の執行部の業務執行の監督の中で、この点についても注意をしてまいりたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 経営委員会としては、三年連続全会一致が崩れたということを、苦言を呈しておられたと思うんですね。先ほど来、会長の続投の話を私が持ち出しているのは、やはりハードルは私自身は高いと思うんです。もちろん、それは経営委員会がお決めになることだと思うんですけれども、ハードルは高いと思うんですよ。

 ちょっとさっきの渡辺先生の質問に戻りますが、災害対策会議の場に会長が出ておられて、さっきの話の流れを伺うと、何らかの指示はされたというふうに発言されていますが、そういうことでよろしいんですか。

籾井参考人 先ほども渡辺委員にお答えいたしましたけれども、我々としましては、ニュースや番組の内容は我々の自主的な編集権に基づいて都度判断して伝えております。

 今回の、いわゆる災害対策本部における、やはり私なりの気持ちを伝えたつもりでございます。とにかく、この本部は、熊本、大分の地震に対する対策本部でございますので、それに集中していこうと。

 それから、原発は鹿児島の川内にあるわけでございますから、人々の興味も、興味と言ったらちょっと問題がありますけれども、関心もあるだろうというところで、ただ、原発に関しては、いわゆる周辺の放射線量を測定しますモニタリングポスト、そこの数字、それから原子力規制委員会の見解等々を伝えていこうと。もちろん、実際の報道においては、原発の運転に反対している団体の動きなども伝えておるというふうに承知いたしております。

奥野(総)委員 それは、会長御自身がそういうことを皆さんに指示されたという理解でいいんですね。会長御自身の言葉で、それを会議の場で皆さんに伝えた、指示されたということでよろしいですね。

籾井参考人 そのとおりでございます。不必要な混乱を避けるという意味で、不必要な不安や心配を周りの人に根拠もなしに出していくのはちょっと変ではないかと。

 ちょっと普通の報道とこれは違いますので、事実に基づいた報道を心がける、これがやはり住民の皆さんとかに一番安心感を与える、こういうことでございます。

奥野(総)委員 そうすると、おおむね、この毎日新聞の報道のようなことを、細部にわたって合っているかどうかはともかく、おっしゃられたというふうに、毎日新聞の書かれている細かいワーディングはともかくも、そういった種のことを今おっしゃられたというふうに理解しました。

 そこで、ひっかかる点が二つありまして、一つは、今、会長、そこは触れませんでしたが、「不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに」、こう書かれているんですが、この公式発表というのは一体どういうものなんですか。

籾井参考人 要するに、事実に基づいて、さっき言いましたモニタリングポストの数値であるとか、こういうことを伝えていく。我々がいろいろなコメントを加味せずに伝えていく。原子力規制委員会が、これは安全である、あるいは続けていいということであれば、それはそのコメントを伝えていくということでございまして、決して、我々としては、大本営発表みたいなことを伝えていくということではないんですが、数値については、多分、委員も御理解をしていただけるんじゃないかというふうに思っております。

奥野(総)委員 そうすると、公式発表というのは、政府が発表している公式の数字あるいは公式の事柄ということでいいんですか。

籾井参考人 いわゆる公式的なものといいますと、気象庁が出していることとか、原子力規制委員会とか、それから九州電力とか、こういうところが出しているものを我々はそのように認識して、お伝えしているわけでございます。

奥野(総)委員 そうすると、公式ということをおっしゃり、それはそういう機関なりが発表したものだ、主として政府機関が発表したものについて伝えていきなさい、こう指示されたということになりますよね、今の話だと。

 そこで、放送法上、「事実をまげないで」ということがあるんですが、この「事実をまげない」というのは、真実を伝える、真実の保障というのが、放送法上、第一条に書かれていますが、それというのは、公式な発表だけでなく、いろいろな角度から取材をして応えろというふうなことだと思うんですが、そこはいかがですか。

籾井参考人 今回は、熊本、大分の地震に対する災害対策本部でございます。したがいまして、我々としましては、そこを中心として発表なり報道を行ってきているわけでございます。

 先ほど言いましたように、公式のものというと、基本的には数字でございまして、それから、やはり現地、川内の発電所において異常な放射能値があるとかないとかいうことでございますので、そういうのは全て客観的事実に基づいてお伝え申し上げているということでございます。

奥野(総)委員 就任時に問題になったときに、番組編成の自由というのがあって、会長は個別の番組には指示をしないんだ、こういうことでこの発言は取り消しておられるんですけれども、今の話は、総合すると、対策会議の場で、公式報道、政府を中心とした公式の数字について伝えなさいという指示をしたというふうに今の流れは捉えることができるわけですね。だから、会長がみずから報道を指示したというふうに捉えられるという答弁になると思います。

 最後、もう時間がないので経営委員長に伺いたいんですが、次は再任にならないということが報道されています。この任期の間、随分いろいろなことがあったと思いますが、会長の言動も含めて、思い出に残ること、印象に残ること、あるいはNHKへの思いを語っていただきたいと思います。

浜田参考人 私といたしましては、国会で同意を得て任命された経営委員という重い職責を自覚して、職務に当たってきたつもりでございます。

 特に、平成二十四年九月からは経営委員会委員長として、NHKの諸課題に対して経営委員会の真摯な議論を重ねつつ向き合ってまいりました。この三年間、NHKの予算が国会の全会一致の承認をいただけなかったということは大変残念に思っております。

 そこで痛感したことは、受信料で成り立つNHKにはやはり強い説明責任があるということ、そして、NHKがその使命を果たしていくため、また、視聴者の皆様から御理解、御支援をいただくためには、よい放送、よい報道、あわせてよい経営を行うことが大切であるということを痛感いたしました。

 いずれにしましても、まだあと二カ月弱の任期がございます。一生懸命やっていきたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 今の会長の発言を聞いても、やはり放送法を余り理解していないと思うんですよね。最後、任期二カ月間、経営委員長、しっかりNHKを指導して、頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

遠山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 冒頭、熊本地震に対して、高市大臣に要望し、一問質問をさせていただきたいというふうに思います。

 熊本県等を震源とする地震被害に対して、政府は激甚災害の指定をしました。また、安倍総理は、地震被害に対応するために補正予算を編成することを表明されています。

 熊本県は、二十三日、十項目にわたる政府への緊急要望を提出しました。

 大臣、私は、土曜日に、三度目になりますけれども、被災地を訪ねてまいりました。住家、公共土木施設、農業施設等々、全県で甚大な被害が生じています。そして、宇土市、八代市、大津町、益城町などでは、災害対応の拠点というべき役所の庁舎が被害に遭っています。

 被災自治体やあるいは避難住民の実態と要望に即して、政府として、必要な財政措置、財政支援を思い切ってとっていただきたいと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

高市国務大臣 委員にはもう数回にわたって被災地にお入りいただいたということですが、私自身も、被災地の首長また議長などの方々から被害状況、その対応状況についてお話を伺い、十項目の県からの要望も含めて、直接お話を伺っております。

 今回の平成二十八年熊本地震によって被災された地方公共団体におかれては、応急対策に加え、復旧対応などに相当な財政負担が生じることが見込まれます。

 このため、当面のさまざまな対応に係る資金繰りを円滑にするために、六月に定例交付すべき普通交付税の一部、四百二十一億円を繰り上げて四月二十二日に交付いたしました。

 今後も、被災地方公共団体の実情を踏まえながら、関係省庁と連携をして、特別交付税を含めて、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じ、その財政運営に支障が生じることがないように適切に対応をしてまいります。

田村(貴)委員 思い切った措置をお願いしたいと思います。

 それでは次に、図書館における指定管理者制度について質問をしていきたいと思います。

 まず最初に、総務省にお尋ねします。

 二〇一二年十一月六日に、公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果というのが出されています。

 自治体の指定管理者制度の導入率は対象施設によってばらつきがありますけれども、導入率が共通して低い施設として図書館が挙げられます。都道府県、政令指定都市、市区町村のそれぞれの図書館の指定管理の導入率は何%になっているでしょうか、説明していただけますでしょうか。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 地方行政サービス改革の取組状況等に関する調査におきまして、平成二十七年四月一日時点での結果についてお答えいたします。

 図書館の指定管理者制度の導入状況につきましては、都道府県で九・五%、指定都市で二一・五%、市区町村で一四・七%となってございます。

田村(貴)委員 新しい平成二十七年度の数字を今説明していただきました。都道府県で九・五%、指定都市で二一・五%、市区町村で一四・七%といったところで、これは施設の中では一番低い方だというふうになります。

 体育館や宿泊休養施設などが八割、九割の導入率であるのに対して、図書館は低い。その理由をどのように考えておられるでしょうか。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 図書館などの社会教育施設につきましては、地方公共団体からは、教育機関、調査研究機関としての重要性に鑑み、司書、学芸員等を地方団体の職員として配置しているなどの意見がございまして、これも要因の一つではないかと考えております。

田村(貴)委員 教育機関であることや専門職の配置などの理由から、なかなか指定管理にはなじまない、難しいというような見方であろうかというふうに思います。

 そこで、総務省が二〇一〇年十二月に出した通知、「指定管理者制度の運用について」について尋ねたいと思います。

 通知の一項目め、「指定管理者制度については、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに活用できる制度」とあります。

 では、お尋ねしますけれども、効果的に達成するために必要がない場合、また、そもそも効果的に達成できない場合には活用できないということなんでしょうか。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました平成二十二年十二月の指定管理者制度についての通知でございますが、まず、公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるときに活用できる制度であること、二つ目に、公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を議会の議決を経て指定するものであって、単なる価格競争による入札とは異なるものである、こういった基本認識に立っております。

 こういう観点から、各地方公共団体におきましては、質の高い行政サービスを効率的、効果的に提供するという観点から、当該施設の設置目的や地域の実情に応じて、指定管理者制度を導入するかしないか、また導入するに当たっての業務の範囲について、適切に選択していただきたいと考えております。

田村(貴)委員 今のお答えは、留意事項についての説明だったと思うんです。

 もう一度、尋ねます。

 指定管理者制度については、今御説明があったんですけれども、効果的に達成するために必要がない場合、それから効果的に達成できない場合、活用できないということだと私は読んでいるんですけれども、それでいいんでしょうか。

渕上政府参考人 お答え申し上げます。

 指定管理者制度が公共サービスの水準の確保という要請を満たすものであること、そして公の施設を最も効率的、効果的に管理できる主体が何であるかということを、それぞれの地方公共団体が地域の実情に応じて自主的に判断いただくものということでございます。

田村(貴)委員 質問を続けたいと思います。

 しかし、今説明していただいた、とりわけ、その留意事項に、「単なる価格競争による入札とは異なるものである」と。言ってみたら、営利施設にしてはならないというようなところの見解だと思うんですけれども、ここに照らして、管理者の決定や施設の管理運営が留意事項を無視した形で行われているところがあります。

 例えば、佐賀県の武雄市立図書館であります。

 これは、蔦屋書店を運営するCCC、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が管理者となっています。このCCCによる武雄市立図書館の管理運営については、これまでいろいろな問題が生じております。

 例えば、管理者がみずから出資していた企業から追加の蔵書を中古本で購入したり、貴重な郷土資料を廃棄してしまったとか、ほかにもあるんですけれども、文部科学省はこうした事態、問題については掌握されているでしょうか。

徳田政府参考人 お答えいたします。

 公立図書館の管理運営につきましては、設置者である各自治体において責任を持って対応すべきものであります。

 言及されました図書館につきましては、指定管理者制度により問題が指摘されていることは報道等から承知しているところでございます。

田村(貴)委員 私、九州なので、この佐賀県の武雄市に行って図書館を実際に見てまいりました。

 改めてその実態に驚いたわけなんですけれども、雑誌の種類がふえたとか、コーヒーを飲みながら本を読めるとか、一見おしゃれでよさそうに見えるんですけれども、子供からお年寄りまで誰もが利用しやすい、あるいは地域の知の拠点という図書館本来の役割を重視した仕組みにはなっていない、そのことが確認されました。

 現状の一部について御紹介したいと思います。

 配付資料の1をごらんいただきたいと思います。

 右上の写真であります。奥に写っているのがスターバックス、コーヒー店です。実はここが図書館の出入り口になっております。そこから、見えるんですけれども、窓際、テラス、明るくて一番いいところは、これはスターバックスの座席になっています。コーヒーとかケーキを買わないとここの席には座れないという仕組みになっています。

 かつてここは、この左の写真にあるように子供の書棚コーナーだったんですね。入れかわってしまいました。

 館内に入ると、蔦屋書店がまずあります。つまり、販売のコーナーであります。そこを通らないと従来持っていた図書館の蔵書の書架に行けない構造になっています。売り物と蔵書の境界が非常にわかりにくい、こういう図書館です。専門書などの蔵書は、さらにその奥の書架にあります。

 つまり、この目的外使用部分、喫茶であるとか、あるいは販売コーナーであるとか、ここが前面に出ているのがこの武雄図書館の特徴となっています。この指定管理者制度になってしまったということです。

 インテリアとして導入された背の高い書架が遮って、レファレンスカウンターが見えません。見通しが非常に悪くなっています。写真のとおりです。

 それから、背の高い書架が多くて、児童や車椅子の利用者が一人で手にとることができない本のエリアが広がっています。この下の写真であります。二階の部分の書架は、上層部分は利用者がみずから本を手にとることはできません。この一番上に新聞の年鑑があるんです。普通、図書館とか大学図書館に行ったら、年鑑は重たいですから一番下にあるわけですね。これはとることができないんです。これをどうしても読みたいという人は、図書館の係の人に言って、脚立を持ってきてとってもらわなければいけない、そういうことになっています。

 閉架をなくして開架式になったという売り込みなんですけれども、実質的には、この二階の部分を見ても、飾り棚と化しているようなところもあるわけであります。

 そして、蔵書購入費を管理者が流用し、書架の安全対策の費用が増加したために蔵書購入費をそちらの方に流用してしまって、これは住民訴訟に発展している、こんな問題まで生じているわけであります。

 きわめつけは、子供のためのスペースが縮小されて、移動させられたということであります。

 配付資料の2をごらんいただければと思います。

 先ほど言いましたように、外が見えて、図書館の一番いいところの場所は、スターバックスにとって置かれました。そして、移動した児童書のコーナーはどうなったんでしょうかということで、ここに写真があります。子供用の、丈の低い書架や机や椅子は、配置が一変しました。児童書コーナーは、書架の一部が大人用と同じになっています。これはもう一目瞭然ですけれども、絵本がこんな高いところに置かれています。とって見たいなと思うんですけれども、これは大人だってとることができませんよね。

 子供のための読み聞かせを行うお話の部屋、それから子供のトイレや授乳室があったところも、今は、窓際の最奥に、申しわけ程度のカーペットが置かれている、そうしたコーナーになってしまいました。子供の居場所が狭められたことに対しては、利用している市民から大変な不満の声が上がっております。

 どうなるかといいますと、この間聞いてびっくりしたんですけれども、武雄市は、現在の図書館の隣に新たに子供用の図書館を建設すると言っているわけであります。

 では、これは何のための指定管理方式なのか。いわば合理化ですよね、歳出削減。その流れの中によって、サービスが後退してしまった。同時に、結局、お金がまたかかってしまう。本末転倒な結果だと言わざるを得ません。

 子供やお年寄り、それから障害を持った人への設備上の配慮や、郷土資料の収集、これらは全て、図書館の役割の中でも、基本中の基本として配慮を求められる部分であります。

 そこで、文部科学省に伺います。

 文部科学省告示第百七十二号、図書館の設置及び運営上の望ましい基準についてであります。

 当該図書館をほかの者に行わせる場合には、当該図書館の継続的かつ安定的な実施の確保等が定められています。また、「市町村立図書館は、高齢者、障害者、乳幼児とその保護者及び外国人その他特に配慮を必要とする者が図書館施設を円滑に利用できるよう、」として、必要な機器の整備についても求めているところであります。

 この基準は、指定管理者であっても、あるいは民間事業者が運営しても準拠することを定めたものでしょうか。それについてお答えいただきたいと思います。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

徳田政府参考人 お答えします。

 先生御指摘いただきました、図書館法に基づく、図書館の設置及び運営上の望ましい基準においては、図書館の運営等に必要な基本的な内容を示しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、指定管理者においても、この基準によって、公立図書館の設置者である各自治体の自主的な判断により、公立図書館が、地域の要請や住民のニーズ等を踏まえつつ適切に運営されることが望ましいと考えております。

田村(貴)委員 今、武雄の事例を紹介しましたように、図書館本来の利用という側面で見ると、不利益が増大しています。それは各方面からも指摘されています。裁判も起こっています。

 文部科学省として、この実態をつかみ、そして、設置者からも必要な聞き取りを行っていただき、基準に照らした対処が今必要であると考えますけれども、いかがでしょうか。

徳田政府参考人 お答えします。

 当該図書館においては、その運営にかかわって裁判が進行しており、個別の事例についてはコメントを差し控えたいと思いますが、公立図書館は地域の実情に応じて運営されるものであり、設置主体である自治体において、具体的な運営の適否を適切に判断していただくことが必要と考えております。

田村(貴)委員 文部科学省はどうするんですか。

徳田政府参考人 私ども文部科学省といたしましては、設置主体であります自治体の対応を見守ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 図書館の望ましいあり方からいっても、その姿勢は非常に後退的だと言わざるを得ません。関心を持って実態掌握に努めていただきたいと要求したいと思います。

 大臣にお伺いします。

 冒頭申しましたように、図書館は、指定管理者制度からいっても、導入率が低く、なじまないという問題があります。それから、この実態に照らしても、また図書館の望ましいあり方からいっても、武雄市立図書館、いろいろと問題があります。

 このような状況について、今議論させていただきましたけれども、大臣、どのように受けとめておられるでしょうか。

高市国務大臣 佐賀県武雄市の図書館の事例については、やはり具体的な裁判中の事例ですから、コメントは差し控えさせていただきます。

 しかし、外部資源を活用して運営するという場合でありましても、委託した事務事業についての責任は行政に帰属するものでございます。ですから、地方公共団体においても、適切に事業の執行管理に努めていただかなければなりません。

 こうした観点から、昨年八月に助言通知を発出いたしました。その中で、行政としての責任を果たし得るよう、適切に評価、管理を行うことができるような措置を講ずるよう要請をいたしております。

 地域の実情に応じた自主的な判断のもと、適切な事業手法を選択していただき、質の高い行政サービスを効率的また効果的に提供していただくということが地方公共団体に求められていることだと考えております。

田村(貴)委員 やはり適切に管理していくといった立場では、総務省についても、それから文部科学省についても、そこはしっかりと踏まえていただきたいというふうに思います。

 公立図書館は、図書館法で利用料金の徴収が禁じられています。民間事業者が収益を上げるような施設ではありません。利益を得ようとすれば、人件費などのコストカットや、本の流通や実施事業による収入の拡大に頼るほかないんです。にぎわい創出、それは大切かもわかりませんけれども、それによって図書館の役割が変質してしまったり住民サービスが後退するようなことがあってはなりません。問題が生じれば、やはり基準に照らして是正すべきではないかと思います。

 直営か、あるいは指定管理は、自治体の任意。自治体にとってみたら、指定管理をするのも直営にするのも、これは自治体が決めることであります。そして、導入率は低い。だとするならば、大臣、この間所信質疑の中でトップランナーの論議をさせていただいたんですけれども、トップランナーの検討リストから図書館は外すことも求めたい、そしてこのような指定管理のあり方は即刻是正をしていただきたい、そのことを強く申し上げて、きょうの質問を終わります。

 終わります。

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 本日は、保育園の待機児童問題と保育士の待遇問題について質問させていただきます。

 事態は極めて深刻になっております。既に他の委員会でも、さまざまこの問題は議論をされております。

 私も本委員会で昨年取り上げさせていただいたときに、既に昨年の段階でも、申込者の四割、五割が入所できない自治体がある、また二十九園も申し込んだが不承諾などの大変な実態から、非常事態だということで待機児童問題について質問させていただきました。

 その際、高市大臣は、新制度のもとで総務省としても関係省庁と連携して取り組んでいきたいと答弁されておりますが、この一年、実際総務省としてはこの分野の対策をどのように進めてきたか、お願いしたいと思います。

高市国務大臣 昨年四月から施行されました子ども・子育て支援新制度では、消費税財源を活用して、子ども・子育て支援の拡充が図られています。

 この拡充分も含めまして、待機児童対策などの保育施策に係る地方負担について、平成二十八年度の地方財政計画に計上し、適切に地方財政措置を講じております。

 さらに、平成二十八年一月発出の通知の中で、子ども・子育て支援新制度における量的拡充及び質の改善について地方交付税措置を講じることとしていること、当該措置については地方単独事業である公立施設分も含まれているものであることという旨を明記しまして、全国の自治体に情報提供を行っています。

 また、厚生労働省におかれまして、本年三月二十八日に「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について」を公表し、対策を打ち出されました。

 ですから、総務省としましては、財政措置を中心に適切に対応しているということでございますけれども、引き続き、厚生労働省など関係省庁ともよく相談しながら、待機児童対策の課題には取り組んでまいります。

梅村委員 また後で御質問させていただきますけれども、やはり、一般財源化したもとで、なかなかそれを保育園の方に使っていけていないという実情も、実際にはいまだあろうかというふうに思います。

 それで、子育て新制度が出発するときにリーフレットなども出ておりますけれども、そこでは、全ての家庭の保育を支えていくということがありましたけれども、ことしの四月のお母さんたちの悲鳴に見られるように、新制度が始まったにもかかわらず、実際には待機がさらにふえているという事態、やはりこれは大変深刻になっていると感じております。

 私の事務所等で、地元の埼玉県における保育所の入所内定者、未定者の数などを調査いたしました。六十三市町村中、四十をただいま集約した段階でありますけれども、四月一日の段階で不承諾数は五千八百九十五人でした。それだけの人が実に四月一日で不承諾になったということは、私も働きながら子育てをしてまいりましたけれども、どうやって職場復帰するのか、どうやって子育てするのか、本当に先行きが見えないという不安で、たくさんの父母の皆さんがいらっしゃることを思うと、本当に心が、胸が痛む事態だというふうに思います。

 埼玉では、昨年の待機児童数は千九十七人でしたので、不承諾数と単純に比較はできませんけれども、それでも大変な数になっているというふうに思います。川口では三六・二、朝霞では三五・七、さいたま市では三〇・一と、三割、四割が不承諾。こういう自治体が大変たくさんあるという事態をぜひお伝えしたいと思います。

 そもそも、児童福祉法二十四条一項では、市町村は、保護者から申し込みがあった場合は、それらの児童を保育所において保育しなければならないと定められているわけです。ですから、保育の実施義務は市町村にあり、本来、待機児童を一人でも生んでしまえば、それは法律が遵守されていないことになるのではないかというふうに思います。住民の福祉の増進を図る地方公共団体を管轄する総務省としては、私は、この問題、もっと積極的な、また、現状を認識して役割を発揮していただきたいなと思います。

 その点で、三月二十八日に、安倍政権は、保育の待機児童について緊急対策を発表されていると思います。この対策を踏まえて、どのように総務省としては積極的な対策を打っていく予定なのかをお伺いしたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、財政措置を中心に適切に対応しているところでございます。引き続きまして、厚生労働省など関係省庁とよく相談しながら取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

 公立保育所については、交付税措置ということで一般財源化されておりますので、ここでしっかり財源を見ておりますし、また、私立の方についても、一定額の所要額を地財措置として計上しているところでございます。

梅村委員 それは基本的な対策だと思うんですけれども、今回、緊急提言との関係では、何か総務省としては財政措置などは新たに考えているんでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 今回の提言を受けまして、厚生労働省さんの方と事務的にお話はさせていただいてございますが、現段階でまだ具体的なものがあるわけではございません。

梅村委員 また後ほど述べますけれども、やはり自治体からは財政措置を大変強く求められていると思いますので、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 そこで、少し戻るんですけれども、緊急対策そのものについて伺いたいと思います。

 今回、緊急対策で、今までよりもより進んだ点というのはどういう点なのか、それについて簡潔にお答えいただきたいと思います。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 三月二十八日に、今お話のございました緊急対策をまとめさせていただきました。これは、お子様を預けたくても保育の受け皿がないという実態に鑑みまして、早急に対応したいということで、質の確保を図りつつ量の拡大を図る、短期間で実効性のあるものを取りまとめたということでございます。

 中身といたしましては、多岐にわたっております。

 既存の基準の運用の弾力化、それによりまして、国の基準を上回る基準によってお子さんを保育されているような自治体にさらなる受け入れの可能性がないかどうかといったことを御要望することもあります。

 また、特に都市部におきましては、保育所整備のための用地でありますとか建物でありますとか、そうしたことがなかなか確保できないということがございますので、そうした物件の賃貸、あるいはそれに対する改修等に関する補助の支援の率を厚くするといったような内容を盛り込んでいるところでございます。

梅村委員 さまざま積極的に使えるものもあるかとも思うんですけれども、ただ、中心的には、今さらりと御説明いただきましたけれども、弾力化、基準を上回るということでいえば、例えば、小規模保育所の定員上限を十九人から二十二人にするという問題。

 そもそも、十九人の小規模化ということもいろいろな議論があったと思うんですけれども、二十二人にして果たして小規模化、小規模保育と言えるのか、やはり詰め込みになってしまうのではないかというようなお声がお母さんたちの中からたくさんあります。

 また、そもそも、よりよい保育環境の中で成長させていきたいということで、長年の父母や保育士たちの運動の中で、それぞれの地域で基準を独自に設けてきたのを、今回の待機児童問題の対策で、施設をつくらずして長年の運動を逆に後退させるようにして、そこにもっと入れなさい、基準を国基準に下げなさいというのは、非常に父母の皆さんにとっては、やはり安心した保育園を拡充してほしい、認可保育園をつくってほしいという声からは、私は、逆行する事態なのではないか。そこに皆さん危惧を抱いていらっしゃいますけれども、その点はいかがでしょうか。

吉本政府参考人 各自治体におかれまして、保育の施設、また量の確保については、さまざま工夫され、努力されているというふうに承知をしております。

 その中にあって、繰り返しになりますが、この四月一日からの保育に困っておられる方々のために緊急的にとれる対応ということで、あくまで国の定めている基準を揺るがすものではございませんが、それを上回る範囲での弾力化。

 先ほどの小規模保育につきましても、同様に基準を揺るがすものではありません。その基準を確保した上での定員の弾力化ということでお願いをしているところでございます。

梅村委員 私、先日、「ママ・パパ・保育士国会へ!有志」という院内集会に参加をさせていただきました。保育所で子供を亡くされたお母さんが実際参加をしていて、また、最近も保育所での死亡事故が相次いでいるかというふうにも思います。

 やはり本当に安心、安全なところでおなかを痛めて産んだ我が子を預けたい、それは当たり前の願いだと思います。ですから、緊急的にやる場合はあるかもしれませんが、ただ、今、詰め込みだけで、大幅増設していくという対策がやはりないというところが問題なのではないかなというふうに思っているところです。

 私たち日本共産党は、四月五日に待機児童問題の解決に向けた緊急保育提言を発表させていただき、三十万人分の認可保育所の増設、月十万円の保育士の賃上げなど労働条件の改善という大きな二本柱で、根本的な対策を緊急に行う提起をさせていただきました。

 そこで、伺います。

 やはり、緊急な対策はもちろん必要かもしれませんけれども、長い間、規制緩和で詰め込みの保育、待機児童対策をしてきたために、今、そのしわ寄せが今のお母さんや子供たちに来ているわけですね。待機児童問題というのは十年以上にわたって、私もそうでしたけれども、預けたくても預けられないという状況で、長年お母さんたちは声を上げ続けているわけです。ここまで来たら、やはり詰め込みではなくて、しっかりと、ふさわしい認可保育園を大量につくっていく、子供たちの未来のためには、国が責任を持ってここに踏み出すべきではないかなというふうに私は思っております。

 認可保育園を大幅に増設していくこと、また保育士の賃上げを行っていくこと、保育士については政府の緊急対策にも今回入っていないわけですけれども、この二点について、いかがお考えでしょうか。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、保育所や認可保育所を初めとした受け皿を拡大させていくということが何よりも大事なことだというふうに考えております。

 御案内のとおりだと思いますけれども、国におきましても、待機児童解消加速化プランに基づきまして、二十五年度以降、当初は四十万人という目標でやっておりましたところを、今回五十万人まで上積みを予定いたしまして、その整備の加速化を図るということにしているところでございます。

 これまでも加速化プランで掲げました目標を上回る形で整備を進めてきているところでございまして、引き続き、自治体の取り組みをさらに支援して、整備を加速させていきたいというふうに考えております。

梅村委員 いろいろな施策はあると思いますけれども、ただ、新制度のもとでは、認可保育園を大幅につくっていくというよりは、やはり小規模保育を中心とした施策にとどまってきている。にもかかわらず、十九人を今度二十二人にしていく。やはりこの間のこういう施策について、非常に不安に思っているお母さんたちがたくさんいらっしゃるということだというふうに思うわけなんですね。

 一九七〇年代には、十年間で八千カ所の認可保育所を建設してきております。私たちが今回提案している三十万人分、約三千カ所の認可保育所を緊急に増設することは、例えば、政党助成金の廃止だとか無駄な公共事業の無駄遣いや、これまでで最高の五兆円の軍事費の一部などを削減して、やはり国がその気になればというか、私は、子供たちのために、このお金はどこかから捻出をして、しっかりと、緊急に、安全な保育所の整備に足を踏み出さなければいけないというふうに思っているところです。

 そういう点でいうと、認可保育園の中でも、やはり国、自治体が先頭になってできる施策としては、公立保育所、縮減の流れになってきているんですけれども、こういう待機児童をめぐる状況の中で、公立保育所をふやしていく、こういうふうに転換していくときではないかと思いますが、いかがでしょうか。

吉本政府参考人 保育の受け皿の確保につきましては、各自治体におかれまして、その地域の実情に応じて、公立保育所、私立の保育所、また、今回の新制度で新たにできましたさまざまな多様な保育、それらを組み合わせて対応するべきものだというふうに考えております。

梅村委員 地域の実情に応じてということをいつも言われるわけですけれども、私たち、今回いろいろな調査をさせていただいたときに、自治体レベルで見ても、お母さんや保育士さんからやはり拡充の要望が出ているわけで、埼玉県内の調査でも、幾つかの自治体で、認可保育園、本当は公立をふやしたいんだけれども財源がない、財源ができるよう要望していきたいというふうな回答もいただいているところです。

 市長会からも、保育所待機解消のために、地域の実情を十分に踏まえとしながらも、財政措置の拡充を図るなど必要な措置をという提言が、昨年十二月にも出されているかというふうに思います。

 ですから、自治体が地域の皆さんの実情に合わせた施策をすればいいと言っているんですけれども、そういう財政的にできないという状況があるわけで、国庫負担金の一般財源化など、廃止したということも大変大きくあったかと思いますけれども、そこら辺の抜本的な対策が必要ではないでしょうか。

吉本政府参考人 私ども、先ほど申しましたように、加速化プランに基づきまして、各自治体が把握されているニーズ、それをきちんと確保できるような予算的な補助については、予算上も確保して進めているところでございます。

梅村委員 公立保育所は、二〇〇五年には一万二千九十カ所あったのが二〇一四年には九千六百四十四カ所、この十年間で二千四百四十六カ所も減少してきております。これについては、やはり皆さんが、二〇〇四年に運営費、二〇〇六年に施設整備費の国庫負担金を一般財源化したということを強く挙げられております。

 私たちはこの復活を提案しておりますけれども、この点はいかがでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 公立保育所に係ります施設整備費及び運営費につきましては、三位一体改革による税源移譲にあわせまして、地方公共団体がみずからその責任に基づき設置しているということに鑑みまして一般財源化されているわけでございますけれども、一般財源化による影響が生じないよう、適切に地方財政措置を講じているところでございます。

 施設整備費につきましては、一般財源化に係る地方債や社会福祉施設整備事業債の対象としているわけでございます。具体的には、従来の国庫補助金の補助率が二分の一であったことに鑑みまして、事業費のうち五〇%を一般財源化に係る地方債の対象といたしまして、その元利償還金について、事業費補正により七〇%、単位費用により三〇%、合わせて一〇〇%を地方交付税で措置しております。残り五〇%につきましては、その八〇%を社会福祉施設整備事業債の対象としているところでございます。

 また、運営費につきましては、地方交付税の算定に当たりまして、地方負担の全額につきまして基準財政需要額に適切に措置されるよう補正を行っているところでございます。

 その上で、保育の供給体制整備につきましては、各市町村において、民間の事業者を活用するか、みずから直接運営するか等を含めて、それぞれの地域の実情等を踏まえて判断がなされるものというふうに考えている次第でございます。

梅村委員 時間が来ましたので終わりますが、やはり安心して預けられる認可保育園の大幅増設というものが基本だという御答弁は先ほどいただいたというふうに思います。

 子どもの権利条約には、子供には発達、成長する権利があることを強くうたっております。それを保障する責任が国にはあると私は思います。子供たちを詰め込むのではなく、認可保育園の大幅増設を最後に重ねて強く求めて、質問を終わりたいと思います。

遠山委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 本日はお時間いただきまして、ありがとうございます。ふだんより刺激に欠けるかもしれませんけれども、お行儀よく質疑させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今回の熊本それから大分地方の地震に関しましては、本当にもう重ねてでございますが、被災された方々にはお悔やみを申し上げたいというふうに思っているんですけれども、今回の地震に際して、ちょっと、消防防災といった件についていろいろと調べてみました。その件について、きょうはお話をさせていただきたいと思います。

 まさしく、こういうふうな言い方をしたらあれですが、天災は忘れたころにやってくるというふうな、熊本地方の方々なんかはそういう状況であったのではないかなと。ほとんど今まで大きな地震が余りなかった、そういった中で、防災に対する、地震に対する考え方というのは、やはり余り、関東地方、それから阪神大震災なんかで被災した私も、関西の方々とはやはり少し意識が違ったかなと。そうなると、防災グッズであるとか避難用のグッズであるとか、そういったものが家庭にやはり常備されていなかったりとか、家具などが金具でとめられていなかったりだとか、そういった基本的な補強なんかも少なかったんだというふうに聞いております。

 そういった中で、ワイドショーの街頭インタビューなんかでも言われていたんですけれども、やはり関東大震災とか阪神大震災であるとか、東日本の今回の震災もそうですけれども、そういったところを経験したところ以外の方々は、なかなか、飲料水だとか防災グッズだとか、そういったものが家庭にない状況が多いんだというふうにレポートされておりました。

 そういった中で、そうはいいながら、最低限の避難用のグッズ、各家庭だとかそれから職場へ常備するように法的に義務づけるようなことも少し考えていかないといけないんじゃないかなというふうな、そういう感じもちょっと今しているんですけれども、消防庁の方では、こういう普及率というような調査というのは実際されているんでしょうか。その辺についてお話しいただけますか。

西藤政府参考人 お答え申し上げます。

 防災グッズの普及率そのものについて、消防庁の方で調査をしているものはございませんが、内閣府におきまして平成二十五年度に防災に関する世論調査というものを実施されておりまして、そこの回答を見ますと、防災ラジオ、懐中電灯、医薬品などを準備していると回答した者が全体の六二・二%、それから、食料や飲料水を準備していると回答した者が四六・六%などとなっております。

木下委員 六二%、それで飲料水なんかは四〇、まあ半分ぐらいということで、やはりこの数値、もう少し高めていく必要があるのかなと。

 それからやはり、今言われていましたけれども、内閣府ですか、アンケートをやられたということですけれども、やはり消防庁としてもそういったことをもう少し強化してやっていただきたいなというふうに思っております。

 それからもう一つは、自治体の方なんですね。地方自治体についても、そういったものを場所によっては無償で配付されたりだとか、ある程度補助をしているというようなことも聞いているんですけれども、この実態、どうなっているのかということ。こういった実態というのは、啓蒙活動、どういう形でやられているか。

 それから、そういうものに対する予算というのはどういう形でついているのか。その辺の実態を教えていただけますでしょうか。

西藤政府参考人 お答え申し上げます。

 啓発活動の実態につきまして、私どもの方で調査をしているものはございます。震災対策啓発事業の実施状況というもので、例えば、広報誌によるものでございますが、地方公共団体で延べ約二千七百回でありますとか、講演会、研修会が延べ約三千六百回行われたとか、あるいは起震車等による地震体験を行っているようなコーナーがあったりしますが、そこで体験された方が約百六十万人といったような状況となっております。

 予算につきましては、消防費全体の予算でありますから、人件費や普通建設事業費といった区分での調査はしておりますが、さらにそれ以上の細かな事業の予算については把握をいたしていないところでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 もう少し、今回の件でよくわかったと思うんですけれども、防災に対する考え方、特に地震に対する考え方というのはしっかりと強化をしていかなければならないというふうに思いますので、新たに今回起こったことを教訓としながら、どういうふうな対処をしていくのかということを考えていっていただきたいなというふうに思う次第です。

 そこで、今、消防費の件、お話がありました。この消防費というのは、こちらで調べさせていただいたら、地方交付税の中から算定されて、それで各自治体の方に行っているという状態だということなんですけれども、この消防費の算定に関してなんです。

 一般財源の中で、消防費、組み込まれているというふうに聞いています。その中で、実際に基準財政需要額なんかで消防費は計算されているというふうに思うんですけれども、この辺、少し、どういうメカニズムなのかということを教えていただきたいんです。

安田政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税の基準財政需要額における消防費でございますが、常備消防に関する経費、救急業務に要する経費、非常備消防に要する経費、こういうものを算定してございます。

 これは、単位費用に人口を乗じまして、それに補正係数を乗ずるという形で算定するものでございます。補正係数もいろいろございまして、段階補正でございますとか、密度補正、態容補正などございまして、いろいろな要素をこれで勘案しているということでございます。

木下委員 では、そこで聞きたいんですけれども、ということは、実質的には消防費というふうにして計算されていながら、一般で、自治体が自由にその辺を差配できるということになる。そうなると、地方自治体は、計算された消防費をそのまま各市町村の消防防災に関して使っているかというと、そうではないということなんですよね。

 そこが、実際、満額、その計算された金額をそのまま使っているわけではないということでよろしいんですか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税というのはあくまで一般財源でございますので、これをどのような使途に使うか、これは地方団体が自由に決定するべきものでございます。

 ただ、実際に基準財政需要額に算入された額と決算額を対比して見ますと、二十六年度で見ますと、算定額が一兆五千百二十二億円、一方で、決算額が一兆五千七百五十八億円ということで、おおむね同じような額になっているということでございます。

木下委員 おおむねなのであれなんですけれども、基本的に、地域によってばらつきがあるんだというふうに思います。

 常々私どもも言っているんですけれども、地方交付税、地域に使い方を任せてくださいという部分は多いと思うんですけれども、事この消防費に関して、今回の震災なんかもあわせて考えると、これは大臣にちょっと見解を聞きたいんですけれども、消防費に関してそういうやり方でいいのかどうかというところ、ここは結構難しいところだと思うんですね。

 やはり満額使ってもらいたいような話なんじゃないかなと思うんです。今の話を聞いていると、実質的に使っているのは、全体ではそれ以上になっているということですけれども、地域によってそこはばらつきがある。ここの辺をどういうふうに大臣は思っていらっしゃるかということなんですね。

 ここは難しいところなんですけれども、ではどうだという話はありますけれども、やはり満額使うべきだと私は思っているんです。大臣はどう思われているんでしょうか。

高市国務大臣 地方交付税につきましては、それぞれの地域が自主的に使われる地方の財源ということになりますけれども、先ほど局長から答弁させていただきましたとおり、決算に対する交付税の算定額は九六%になっている。だから、どこの地方にとっても、まずこれでいっぱいいっぱい、十分に使っていただいている。そして、やはりそれぞれ首長さんがいらっしゃり、また、議会がチェックをし、住民の方々の命を守る、安全を守るというのは、どこの地域にとってもこれは、これ以上のことはない重要な課題である、そういう認識が浸透していると思います。

 ですから、むしろ私たちがやるべきは防災教育、現在でも総務省でも取り組んでおりますけれども、そういった教育も充実させ、意識を十分に高めていただく、しっかりとまた議会が使い道をチェックしていただくということだと思います。

 算定の方法については、各自治体、十分御承知でございますので、消防にはしっかりと対応していただいていると思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 では、ちょっと話をかえますが、今回見ていてわかるとおり、災害が大規模化する、広域化するというふうになったときに、今の話で、消防というのは、実質的には各地方自治体、地方公共団体にその統括が任されている状態なんですけれども、大規模災害になったときに、やはりそれだけでいいのかどうかというところなんですね。

 実際に、そういった市町村の消防というのを基本にされている中で、管轄人口が十万人未満の小規模な消防本部が全国でいっても六割を占めているという中で、大規模災害が発生したときに、組織立った救命だとか救助活動を行うことというのがなかなか難しいという状態になっていると思うんです。

 警察なんかは、そういうところは都道府県警察がやっていて、通信指令センターであるとか指示命令系統、これがある程度統括されているんだと思うんですけれども、この辺、やはり、地域に根差している部分で必要な消防というのはあるんだと思うんですけれども、事この大規模災害それから地震などに関して見たときには、もう少し都道府県でというのか、広域でやる部分というのを権限も含めて強めていく必要があるんじゃないかなというふうに思っているんです。

 その辺で、消防庁として、どういう感じでそういうことを捉えられているか、それから取り組みなんかもやられているのかということをちょっと聞かせていただきたいんです。

西藤政府参考人 お答えを申します。

 消防の対応としては、災害の規模に応じて、地元の消防本部で対応できる場合は地元消防、それで対応できない場合は県内の応援、さらに、今回のようにそれだけでは十分でないという場合には緊急消防援助隊ということで、全国の消防本部から救助、救急あるいは消火の応援に来ていただくという仕組みができております。

 委員御指摘のように、そもそも地元消防の力を高めるべきであるということはそのとおりでございまして、私どもも、消防の広域化を進めるということで、平成十八年に消防組織法の改正をしておりますが、それ以降、四十八地域で広域化が実施されまして、消防本部の数でありますが、改正前、八百十一でございましたが、現在、二十八年四月時点で七百三十三になるなんということでございます。

 御指摘がございましたが、広域化をするということによって、まず、災害対応に初動部隊を投入できる、現場到着時間が短くなるといったメリット、あるいは予防、救急分野で専門職員が確保できるといったメリットがございますので、そういうメリットがあると思っております。

 一方で、御指摘のとおり、十万人未満の小規模の本部がまだ人口ベースでいうと六割を占めているということでございますので、消防庁といたしましては、国が基本指針を定めておりますが、それにおいて広域化の推進期限、平成三十年四月一日といたしておりますが、それに向けまして、都道府県に対し消防広域化重点地域のさらなる指定を促すこと、あるいは指定された重点地域への集中的な支援を実施する、消防広域化のアドバイザーを派遣する、そういった取り組みによりまして、引き続き広域化を着実に推進してまいりたいというふうに考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 基本的にはそういう広域的な動きもやられていると。

 ただ、組織として結構難しいところがあるというふうに聞いております。例えば東京消防庁なんかも、実質的に東京消防庁の本来の管轄というのは東京二十三区、それ以外の東京都の都内については委託事業という形で、その他周辺市から委託を受けてやっている、そういう状態だと聞いているんです。ただ、今すごくうまく回っているんだろうなというふうに思うんですけれども。他の都道府県については、やはりそういった連携というのが組織としてまだやり切れていない。

 消防組織法の中で、先ほどから言っている地方公共団体の方に委ねられている部分が大きいということでは、いざ災害が起こったときに、では、指示、どうやってやるか、命令、どういうふうな形でやっていくか。誰かに依頼して、誰かに要請をして、それで初めて動くというような状態では、いざ本当に何かが起こったときに迅速に対応するというのはなかなか、今思い描いて御説明されたような形のことは、まだまだ不十分な部分が多いんじゃないかなというふうに思うんです。

 そこの中で挙げるわけではないんですけれども、大阪で、私たちおおさか維新の会では、大阪消防庁という形で、大阪市の消防局であるとかその他周辺も含めて何とか、これは二重行政の解消という部分の思いもあってそういう形をしているんですけれども、そこで出てくるのが今の消防費の委託金の話。委託金というのは、東京消防庁の場合は、ほかの市から委託を受けて、委託金をもらってやっている。

 聞いていると、どういうことかというと、今の地方交付税の財源、それの基準財政需要額、標準で計算されたもの、その金額と委託金の中身というのが、例えば、交付税と同じ金額を委託金としてもらうというんだったら普通はいいと思うんですけれども、各地域によって、それを全部消防に使っていないところもあった場合、自分たちでやる方がほかに財源を使えると思って、入ってこないという可能性も出てくると思うんですね。それで、ちょっと私、先ほどのお話を聞かせていただいたんですよ。

 やはり満額使うべきだと思いますし、それは現象面の話というのか、実際にそういうことが起こったときの話ですけれども、そういうことも含めて、これからどういうふうに消防費を考えていくかというのは非常に重要なんじゃないかなと思いました。

 もう時間がないので、もう一つお話をさせていただきます。

 消防の話をずっと聞いていて、いろいろ調べていて思ったんですけれども、自治体に任されていると同時に、例えば、消防団であるとかそれから自治会に、防災の一次的な部分というのを任されている部分が相当大きい。消火器を配備したり、その他の防災の機器を配備したりということを、補助金もしくは地方独特の交付金という形でやられている。そういう意味でいうと、地域サービスそれから行政サービスの一端を消防団であるとか自治会というのは任されている部分は大きいと思うんです。

 そこでちょっと思ったのが、これは全然違う話なんですけれども、では、消防団とか自治会、政治活動というのはどういうふうに制限されているのかという部分をお聞かせ願えますか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 非常勤であります消防団員は、地方公務員ではございますが、常日ごろはそれぞれの方の社会生活をなさっており、その生業に携わりながら、必要の都度、災害が起きたときでありますとか、その都度招集されて消防活動に従事する方でございます。

 私ども、専らその仕事に従事する職ではないという意味におきまして、地方公務員法の第三条三項五号において特別職として位置づけて、政治行為の制限も含め、地方公務員法の規定を適用していない状態でございます。

 以上であります。

木下委員 最後にしますけれども、大臣、ちょっと今の話で、どうしても、そうはいいながら、地域によって、政治活動を制限したり、規則で決めているところはあるらしいんですね。自治会とか、それから消防団なんかの中で規則で決められている。

 やはりそうするべきなんじゃないかなと私は思うんですよ。特に、政治活動自体はあれかもしれないけれども、選挙運動なんかについては、特にそこをもうちょっと考えるべきなんじゃないかなと。この辺がクリアになっていないから、現場でいろいろ混乱が起こって、規則のあるところ、ないところというのが出ていると思うので。

 この辺、これからの行く末も含めて、大臣、コメントだけで結構なので、お願いいたします。

遠山委員長 簡潔な御答弁をお願いします。

高市国務大臣 条例で、服務について定めているところはありますけれども、一般的に政治的な行為を制限することは規定されておりません。

 非常勤の消防団といえども、消防団の名において、その名前を使って政治的行為を行うとか、消防団の活動を利用して政治的手段の一つとするというのは、望ましくないと考えます。

木下委員 望ましくないという言葉があったので、ありがとうございます。

 地域の防災、それからそういった消防を含めて、これからも強化していくようにお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございます。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、携帯電話の問題についてお聞きしようと思っておりますが、その前に、少し確認をさせていただきたいことがあります。

 先般の当委員会で、採決は終わりましたけれども、行政機関等が保有する個人情報保護に関する法律の一部改正で、二十一日の日に質疑を行ったんですけれども、やはりどうしても腑に落ちない点が一点ございましたので、これについてちょっと質問させていただきたいと思います。

 二十一日の本委員会で、民間事業者に提供された非識別加工情報の利用期間と、利用期間終了後の処理の仕方について尋ねさせていただきました。その際に、上村行政管理局長の方から、利用期間を超えてしまった場合、行政機関非識別加工情報をどうするかということでございますが、この取り扱いも基本的には契約において定めることとなると思いますが、具体的には、それは廃棄ないしは返却ということを定めることになるんだろうと思っておりますという答弁がございました。

 その場でも少し確認したんですけれども、改めて確認させていただきます。非識別加工情報というものは、これは民間の事業者に提供された時点から匿名加工情報になるということなんでしょうか。

 その答弁、その後も何回かやりとりさせていただきましたけれども、それは匿名加工情報だと言ってみたり、いや、契約上は非識別加工情報だというような答弁もございましたので、これは匿名加工情報なのか、それとも非識別加工情報と匿名加工情報の二つの性質を持ったものなのか、これについて再度御説明をお願いしたいと思います。

上村政府参考人 お答えをいたします。

 まず、非識別加工情報と申しますのは、行政機関の個人情報保護法で民間事業者に提供する場合、契約で提供するわけであります。この契約というのは、まさにこの行政機関個人情報保護法に基づいておりますので、そこで非識別加工情報というふうに呼んでおりますので、この契約上もこれは非識別加工情報として取り扱うということになります。

 ただ、個人情報保護法の世界でございますが、提供を受けた方の民間事業者につきましては、これは個人情報保護法の規律がかかります。したがいまして、そこは個人情報保護法上の匿名加工情報と呼んでおりまして、個人情報保護法に係る規律がかかる、こういうことでございます。

吉川(元)委員 それはつまり、契約上は、民間の事業者にあったとしても、引き続き非識別加工情報であるということの理解でよろしいんでしょうか。

上村政府参考人 契約上そういうふうに取り扱っているということでございまして、民間事業者の方にとりましては、これは個人情報保護法に基づく匿名加工情報として取り扱っていただくということになります。

吉川(元)委員 参考人の質疑の際にもこの点はまさに問題になっていまして、一義的にその規定がないと。

 四月五日の一般質疑の際に、局長はやはり、非識別加工情報が匿名加工情報になるんだというふうに言われているんですけれども、今の説明だと、契約上は引き続き非識別加工情報のままであるということでよろしいんですね。

上村政府参考人 要するに、どちらの側から見るかという話なのでございますが、個人情報保護法の世界、つまり、民間事業者から見た場合はこれは匿名加工情報ということでございますけれども、あくまでもこの契約は行政機関個人情報保護法に基づいて決められているものでございますので、その規定が、行政機関の側から見ればと申しますか、そちらの法律の世界から見ればそういうふうに取り扱っているというふうに御理解をいただければと思います。

吉川(元)委員 だとすれば、それをつなぐものはどこにあるんですか。法律上、つなぐものはあるんですか。

遠山委員長 上村行政管理局長、わかりやすく。

上村政府参考人 まさに契約で提供しているということでございまして、個人情報保護法の世界で、民間事業者の方はこの契約に従ってまず利用していただきますし、個人情報保護法に基づいて利用していただく、取り扱っていただくということになるということでございます。

吉川(元)委員 私が確認したいのは、契約上はそうなろうというふうに思いますけれども、法律の中、例えばこの条文に基づいてこれは匿名加工情報になる、民間事業者はそのように扱わなければいけないというふうになっているんですかと聞いているんです。

上村政府参考人 個人情報保護法上の匿名加工情報の定義でございますが、これに提供された情報が該当しますので、その規定が適用されるということでございます。

吉川(元)委員 それは答弁の中でそうやって言われているだけで、条文上そうなるというふうにはなっていないと思うんですよね。

 また、個人情報保護法の方の側も、これについて、非識別加工情報を受け取った場合にはこれは匿名加工情報とするというような条文もないというふうに思いますので、結局、私の疑問自身は何となくまだ残ったまま、一体どっちなんだと。

 といいますのも、非識別加工情報は個人情報で、匿名加工情報は個人情報ではない、ただし、匿名加工情報についてはいわゆる識別行為の禁止がかかる、非識別の方はかからないという形になっていますので、これは、民間に提供された一つのものが非識別なのかあるいは匿名なのかというのは非常に重要な問題だというふうに私は思いますし、そこで誤解等々が、契約には書いてあるけれども、法令上、法律上は何の規定も置かれていないとなると、やはりこれは大きな問題だろうというふうに思います。

 もう一点、ちょっと確認だけさせていただきたいんですけれども、前回、利用期間が終了した後に廃棄ないしは返却というお話がございました。利用期間が過ぎた段階で、速やかに恐らく廃棄ないしは返却ということになろうかと思いますけれども、当然そこにはタイムラグがあると思うんですよね。例えば、今月の四月三十日まで利用期間である、五月一日の夜の零時を過ぎた瞬間に廃棄、返却というのは、これは物理的にもなかなか難しいし、実際でも不可能だろうというふうに思います。

 利用期間が過ぎた後については、契約期間が終了、先ほど、契約に基づいて、これは匿名加工情報だというお話ですけれども、契約期間が過ぎた後のこの情報というのは、これは一体、匿名加工情報のままなんですか。契約期間が過ぎていますけれども、これはどうなるんでしょうか。

上村政府参考人 御指摘いただきましたように、利用期間が終了した場合、行政機関非識別加工情報の取り扱いは、基本的に契約で定めることになりますが、廃棄ないし返却ということを考えているわけでございまして、利用期間を超えて当該情報が民間事業者の手元にあるということは、基本的には想定していません。

 ただ、万が一、そういうことがあった場合、その場合にありましても、この事業者については個人情報保護法の規定がかかるわけでございまして、これにかわって、先生御指摘のような行政機関非識別加工情報の取り扱いに係る規律が適用される、そういうことはございません。

吉川(元)委員 そうすると、それも含めて契約の中で定めるということなんですか。利用期間を過ぎたとしても、これは匿名加工情報であるというふうな形の契約になるということなんですか。

上村政府参考人 民間事業者には個人情報保護法の規律がかかるということでございますので、利用期間が過ぎましても、それは法律の適用関係は変わりません。

 したがいまして、個人情報保護法でかけられている識別行為の禁止とかいうのは、引き続きかかるということでございます。

吉川(元)委員 これ以上やってもしようがないので、ここでやめますけれども、ちょっとやはり、審議の中で、あるいは参考人等々が指摘されていた非識別と匿名との関係、また法令上どういうふうにこれは定義をされるのかを含めて、曖昧なままになっているんじゃないか。今、参議院で恐らく審議されると思いますので、またその中でしっかり議論していただければというふうに思います。

 続いて、スマートフォンの端末の購入について伺います。

 四月一日から、スマートフォン端末購入補助の適正化に関するガイドラインが適用されました。四月五日には、ドコモとソフトバンクですけれども、通信事業者に対して、端末購入補助の適正化を求める要請が総合通信基盤局長名で行われております。

 最初に、この二社は何が不適正と判断されたのか、それを簡単に説明してください。

福岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のスマートフォンの端末購入補助に関するガイドラインにおきましては、事業者は、利用者間で各種料金等の負担における著しい不公平を生じないよう、端末の購入者に対して、端末の調達費用に応じ、合理的な額の負担を求めることが適当であるとしているところでございます。

 このガイドラインが適用された四月一日現在の端末購入補助の状況につきまして、各社に報告を求めました。その結果、ソフトバンクにおきましては、MNP、いわゆる利用者が事業者を、電話番号を変えずに乗りかえる場合でございますが、多くの機種で実質ゼロ円以下となる行き過ぎた端末購入補助が行われていたということ、それからNTTドコモにおきましては、家族で複数台を購入するなどの条件によっては実質価格が数百円となるような端末購入補助が行われているということが認められたところでございます。

 このように、端末価格の負担を実質ゼロ円に近い水準にしたり、さらに実質ゼロ円以下とすることは行き過ぎでありまして、ガイドラインで規定する合理的な額の負担とは言えないものでございます。

 このため、両社に対しまして、局長名で、御指摘のとおり、端末購入補助の適正化を図るよう是正の要請を行ったところでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、関連してちょっとKDDIについてもお聞きしたいんですけれども、これは報道ベースでしかちょっとわからなかったんですが、KDDI、ブランド名はauですけれども、auも総務省から注意を受けたというようなことが報じられておりました。NTTドコモとソフトバンクは恐らく行政指導ということだというふうに思いますが、auの場合はどうも行政指導ではなさそうな感じがするんです。

 お聞きしたいのは、auが注意を受けた内容と、それから、いわゆるNTTドコモやソフトバンクで行政指導を行ったわけですけれども、何が異なってその対応が違っていたのかについて教えてください。

福岡政府参考人 総務省におきましては、各社が利用者に対して直接提供する端末購入補助、例えば通信料金を割り引くとかといったものでございますが、これに加えまして、各社が販売店に支払います販売奨励金、これは、要は、販売店によるスマートフォンの販売等に応じて各社が販売店に支払う金銭という意味の販売奨励金でございます。これにつきましても各社に報告を求めたところでございます。

 各社からの報告を精査いたしましたところ、KDDIにおきまして、端末販売を条件とする販売奨励金まで含めると端末価格が実質ゼロ円になるケースが発生したということが判明をいたしました。

 KDDIからは、販売奨励金に関する報告があった時点、四月八日でございましたが、この時点で、実質ゼロ円になるような販売奨励金については自主的に是正すると、報告の段階で同じ日に報告があったことから、文書による是正の要請を行う必要まではないだろうと判断いたしまして、担当課の方から口頭で、再発しないよう伝えたといった事態でございました。

吉川(元)委員 それは、自主的に是正をするということを言ったのでしなかったということなのか。それとも、奨励金という形で、直接割引ではなくて、迂回じゃないけれども、変な言い方になりますが、奨励金という形でなっていたから、直接ではないから文書によるものではなかったという、どちらの方なんでしょうか。

福岡政府参考人 販売奨励金によりましても、やはり結果的に実質ゼロ円になるという意味においては同様でございます。

 したがいまして、差が設けられましたのは、むしろ、報告の段階におきまして自主的に是正するといったことがあったからということでございます。

 なお、口頭によるものではございますが、これも講学上は行政指導に当たるものでございます。

吉川(元)委員 失礼しました。

 そうしますと、先ほどからずっと合理的という言葉が使われております。端末の代金が合理的な額になるようにということですけれども、購入補助、ゼロ円になるようならもちろんだめだし、それから、NTTドコモだと六百幾らだとか、あと家族だと云々というようなお話がありました。

 何を基準にして合理的な額というものがあるのか。どこら辺までだと合理的で、ここから先は、まあ明確な線があるのかないのかわかりませんが、これについてはどういうふうに考えておられるんでしょうか。

福岡政府参考人 お答えをいたします。

 ガイドラインにおきましては、著しく高額な端末購入補助は、MNPで端末を買いかえられるといった数少ない一部の利用者が恩恵を受ける一方で、多くのライトユーザー、データ通信の利用が少ない方々ですとか、同じ端末を使い続ける長期利用者の通信料金の高どまりにつながるということから、利用者間の公平の観点から不適切でありまして、端末の購入者には、調達費用に応じて、原価が高い端末は高く、安い端末は安く、ある程度の負担を求めるべきであるという、合理的な額についての基本的な考え方をお示ししておりますが、具体的には、一部例外がございます。

 例えば、古い機種などで在庫の端末の円滑な販売を図ることが必要な場合ですとか、もともとが相当安い端末でございますとか、こういったものは除きまして、端末価格の負担を実質ゼロ円に近い水準にしたり、また、全ての場合において実質ゼロ円以下とすることは行き過ぎであって、利用者間の公平を著しく損なうから適当ではないとしております。

 なお、具体的に、例えば何万円以下ならだめでといったことにつきましては、これを行政が示すことにつきましては、独占禁止法上の関係において、法の関係において問題があることから控えさせていただいております。それは、携帯電話事業者それぞれが個別に検討していただくべきものだと考えているところでございます。

吉川(元)委員 独禁法上の問題もあるということですけれども、正直言って、非常にわかりにくい。六百円はだめで、千円だとどうなのか、千五百円だとどうなのか、なかなかこのあたりは判断が非常に難しいところだと思います。

 関連してですけれども、要請を受けた二社のうちの一社、ソフトバンクですけれども、そのホームページに、要請に対する受けとめというのが記載をされております。

 速やかに端末購入補助の適正化を図っていく考えだということは述べられているんですが、一方で、競合事業者との価格バランスということで、ちょっと非常にわかりにくいんですけれども、簡単に僕自身が解釈したところでは、やはり競争の中にあって、他社との価格差を設けない限りなかなか消費者の利益にならないというような、そのためには、乗りかえ時の購入補助は一定必要だというような内容だと私は理解するんですけれども、そういうことが書かれております。

 これは、ガイドラインの趣旨と一致したものなのかどうなのか。ガイドラインの中でも、これは十分一致をしているというふうに思われているのか。そもそも、ガイドラインというのは事業者の方々と合意を得て設定したものなのか、それとも、総務省がいろいろ聞きながら総務省の判断として設定されたものなのか、お聞かせください。

福岡政府参考人 ガイドラインの策定過程でございますけれども、昨年、総務省で開催いたしました携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォースにおける関係事業者の御意見も踏まえて検討をし、そして具体的には、このガイドライン案につきまして、本年の二月二日から三月三日までのパブリックコメントを付したところでございます。このパブリックコメントに対しまして、関係事業者から御意見を頂戴しております。事業者間で利害が対立することがございますので、全ての事業者の全ての御意見を取り入れることは不可能でございますが、できる限りの御意見は取り入れて、一部を修正した上で策定したものでございます。

吉川(元)委員 最後に、大臣に一点お聞きしたいと思います。

 今、独禁法の話も出てまいりました。もし不当廉売や排他的な条件つき取引の疑いがあるとすれば、これは、基本的には公正かつ自由な競争が阻害をされている可能性が高いわけでありまして、そうなりますと、総務省が扱う案件ではなくて、独禁法、そして公正取引委員会が扱う案件になるのではないかというふうに思います。

 この点について、総務省はどのようにお考えなのか。なぜ公正取引委員会ではなくて、総務省としてこういうことをやられているのか。

高市国務大臣 総務省は、総務省設置法第四条に基づいて、電気通信業の発達、改善及び調整を所管しております。

 特に、電気通信事業法第一条の「目的」におきまして、公正な競争の促進や利用者の利益の保護が規定されておりまして、これは極めて重要だと思っております。また、これを担保するために、第二十九条の規定もございます。

 ですから、携帯電話の市場や料金に問題があるとすれば、それを解決するための方策を検討して必要な措置を講ずるというのは総務省の役割だと考えております。

 ただ、公正取引委員会の役割との御指摘がありましたが、スマートフォンの端末購入補助に関するガイドラインを策定するに当たりましては、公正取引委員会とも調整を行いました。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

遠山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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