衆議院

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第17号 平成28年5月24日(火曜日)

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平成二十八年五月二十四日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大西 英男君    大見  正君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      神山 佐市君    小林 史明君

      古賀  篤君    新谷 正義君

      鈴木 憲和君    中村 裕之君

      中山 泰秀君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    野中  厚君

      橋本  岳君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    近藤 昭一君

      武正 公一君    水戸 将史君

      渡辺  周君    輿水 恵一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      河野 正美君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           中村裕一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 掛江浩一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (消防庁次長)      西藤 公司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梅田 珠実君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田  学君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           持永 秀毅君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         清水喜代志君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省国土地理院長)            越智 繁雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  堂元  光君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 今井  純君

   参考人

   (日本放送協会理事)   坂本 忠宣君

   参考人

   (日本放送協会理事)   根本 佳則君

   参考人

   (日本放送協会理事)   黄木 紀之君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     井上 英孝君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 英孝君     足立 康史君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     新谷 正義君

  長坂 康正君     神山 佐市君

  足立 康史君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     大見  正君

  新谷 正義君     野中  厚君

  河野 正美君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     長坂 康正君

  野中  厚君     新藤 義孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会監査委員会委員上田良一君、日本放送協会会長籾井勝人君、副会長堂元光君、専務理事木田幸紀君、専務理事今井純君、理事坂本忠宣君、理事根本佳則君及び理事黄木紀之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官付参事官中村裕一郎君、警察庁長官官房審議官掛江浩一郎君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長安田充君、情報流通行政局長今林顯一君、総合通信基盤局長福岡徹君、消防庁次長西藤公司君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房審議官梅田珠実君、大臣官房審議官土屋喜久君、大臣官房審議官吉田学君、国土交通省大臣官房審議官持永秀毅君、大臣官房技術審議官清水喜代志君、水管理・国土保全局次長野村正史君、国土地理院長越智繁雄君及び環境省大臣官房審議官早水輝好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘委員 おはようございます。

 きょうの万葉集でありますが、きょうは、季節の歌ではなくて、自分の質問にかける思いで詠ませていただきたいと思います。

 大伴家持が詠んだ歌ですが、鮮やかな紅の衣よりも、つるばみという、木の実で染めた、これは焦げ茶色になるんですけれども、そういった衣の方が長く着ていったときは逆に味が出てくる、そういう衣の方がいいんだ、こういう歌であります。詠ませていただきます。

  紅はうつろふものぞ橡のなれにし衣になほしかめやも

 どうもありがとうございます。(拍手)

 では、きょうは、しっかり腰を落として質問をさせていただきたいと思います。

 NHKの質問が中心になりますが、まず、現下の熊本地震への対応についてお伺いをしたいと思います。二問、聞かせてください。

 強い地震が二回あったものですから、思いのほか被害が公共施設、住宅に多大に出ております。財政力の弱い自治体からは、この地方財政力の中では、通常の災害復旧の負担ルールではなかなか難しいなと、大変心配の声も出ているわけであります。

 総務省において、既に地方交付税の繰り上げ交付など、手続やいろいろな対策をとっていただいていることを評価しながら、なお一層、補助裏の財政措置など地方財政上の一段の措置の適用、配慮を含めまして総務大臣にお願いをしたいと思いまして、見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 総務省としましては、今おっしゃっていただきましたように、被災自治体における当面のさまざまな対応に係る資金繰りを円滑にするために、六月に定例交付する普通交付税の一部を繰り上げて、四月二十二日及び五月十六日に熊本県及び二十二市町村に交付をしました。

 さらに、四月二十六日に激甚災害の指定を行いまして、今後の公共施設等の復旧を行う際の国庫補助率のかさ上げなどが行われます。

 それに加えまして、財政面での支援として、先般成立した補正予算などによりまして、政府として当面の復旧対策に万全を期します。

 今後、個別具体的な被害状況や必要となる復旧事業等の内容を詳細に把握、精査した上で、各自治体の財政状況に目配りしながら、国庫補助制度を拡充強化して、これによってできる限り被災自治体の負担軽減を図ること、これに伴う地方負担に対する地方財政措置の充実などを図ることも含めて、さらにどのような財政支援が必要になるか、しっかりと検討してまいります。

橘委員 ありがとうございます。ぜひ、引き続ききめ細かく、また注意深くお願いをしたいと思います。

 続きまして、もう一問。

 今回、地震のいろいろな状況を見ていますと、耐震化に継続的に取り組んできた学校施設につきましては、いろいろな被害がないとは言えませんけれども、避難所等、うまく活用されている。やはり耐震化の果たした役割は大きいものがあるんじゃないかというふうに感じております。

 一方で、災害対策の司令塔となるべき自治体の庁舎が損壊、使用不能となる例が大きく報道されたりしているわけであります。どうしても本庁舎というのは、災害の際は、最後は対策は必要なんだけれども、平常時において、なかなか住民の皆さんの思いの中で、どうしても首長としてはその耐震化に踏み切れないといいますか、後回しになりがちなものがあると思っております。

 目標年次を切るというところまでは言いませんけれども、例えば、耐震状況の公表をしてそういった自治体の背中を押してあげるとか、あるいはさまざまなてこ入れということもあってもいいんじゃないかと思います。消防庁の方の見解をお伺いいたします。

西藤政府参考人 お答え申し上げます。

 防災拠点となる庁舎の耐震率は、平成二十六年度末時点で、全国で七四・八%、御指摘がありましたように、文教施設九四・六%でありますとか消防本部・署所の八六・一%に比べれば、低い状況となっております。

 しかしながら、地方公共団体の庁舎は災害発生直後からさまざまな支援活動や行政サービスを展開する拠点となりますことから、この庁舎の耐震化は極めて重要であると認識しております。

 総務省としては、従前から、防災拠点となる公共施設の耐震化を促進するため、耐震改修に活用できる起債充当率一〇〇%、交付税措置率七〇%の緊急防災・減災事業債などの地方財政措置を講じてきたところでございます。

 引き続き、こうした支援制度についてしっかり周知いたしますとともに、今ほど御指摘もございましたが、そういったことも踏まえ、耐震化状況調査について、これまで都道府県単位で公表してきておりましたが、今後新たに市町村別の結果も公表するなど、地方公共団体においてできるだけ早急な取り組みが進められるよう強力に働きかけてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

橘委員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 やはり背中を押してあげるということが非常に大事じゃないかということで、まさかのときには、やはり一〇〇%の耐震で迎えたいものだと思います。

 それでは、NHK再生の取り組みについて、きょうのメーンで質問させていただきます。

 せんだって年度末に、新年度予算の審議の際にも、この委員会でもさまざまな御意見がございました。子会社を含めたグループ経営の抜本的見直し、また役職員のコンプライアンス意識の徹底を求める声が非常に強く出まして、附帯決議にもそれが載っているところであります。

 私ども自由民主党といたしましても、こういった問題につきましては、党内の手続の中でも強い意見が総務会等を中心に出ましたし、やはりこういったことについてのNHKの皆さん側の真摯な対応なくしては、今これからやらなきゃいけない決算審議にも入りづらいなという環境があるわけであります。

 そこで、こういった問題についてのその後の取り組みの進捗状況について、きょうはまずお伺いしてまいります。

 まず、子会社改革の進捗状況についてお伺いいたします。

黄木参考人 NHKグループ全体で、不正を許さないという意識改革と抜本的な経営改革、これを目指して、できることから速やかに取り組みを進めております。

 実効性を持った規律ある経営の確立を目指すために、まず、関連団体運営基準、これを四月一日に改正いたしました。NHKと同一水準でグループ各社の管理を徹底し、さらに、各子会社を指導するNHK本体の部局を明確にすることによって、指導監督機能を強化いたしております。

 また、子会社の常勤監査役に外部人材を起用します。NHKアイテックで既に就任していただいているほか、六月の株主総会を経て、さらに六つの子会社で就任をしていただく予定でございます。

 このほか、NHK本体から派遣をいたします非常勤監査役につきましても、専門性のある内部監査室から人材を配置いたします。さらに、外部人材の経営陣への起用、NHKの若手幹部をキャリアパスとして子会社の経営部門へ出向させるなどの取り組みを順次進めております。

 また、先月四月一日には、初めて、NHKと関連団体が合同で入局・入社式を行いました。

 こうした取り組み、さらには研修を強化することなどによって、NHKのグループ意識の醸成に努めてまいりたいと考えております。

橘委員 一歩一歩前へ進んでいらっしゃるということで今お話ありましたが、六月の株主総会、そういったことでさらに人事も見えてくるんだと思います。さらに取り組みが間違いなく進められて、そのことが、また魂が入っていくことになっていくというところを注視させていただきたいと思います。

 そこで、今回この問題をつくづく考えますに、NHKのグループ経営の目的とは何だろうということであります。

 通常、上場会社の場合のグループ経営といえば、真ん中の会社も株式会社ですから、集団として営利を追求するということがグループ経営としての目的になるわけでありますが、NHK、日本放送協会の場合は、営利を目的とするわけではなくて、しっかりと放送を国民に届けていく、受信料でしっかりと運営をしていく、そういう目的なわけであります。

 となりますと、その周りにある子会社は、株式会社とはいいましても、通常の株式会社によるグループ経営とはおのずと、NHKグループとしてのグループ経営の目的や理念というのは違うのではないか、こういう問題意識に立ち至ったわけであります。

 この点について、籾井会長の見解をお伺いいたします。

籾井参考人 お答えいたします。

 公共放送NHKは、視聴者の皆様からいただいた受信料で事業を運営し、公平公正で正確な報道や、豊かで質の高い多彩なコンテンツをお届けして、健全な民主主義の発達や文化水準の向上に貢献する使命を担っております。

 NHKの関連団体は、NHKグループの一員であることをよく認識し、公共放送の使命達成に協力することを基本として、視聴者・国民の期待と信頼に応える事業活動を行うことが求められています。公共放送の事業を補完、支援することを基本としまして、NHKの業務の効率的推進、NHKの資産やノウハウの社会還元、これらを通じた経費削減等によるNHKへの財政的寄与を事業の目的といたしております。

 我々としましては、グループ全体のコンプライアンスの徹底やガバナンスの強化はもちろん、質の高い豊かな放送サービスの実現に向けて、効率的、効果的な事業運営を徹底し、コンテンツ制作力の強化を図りたいと思っております。

 それぞれの会社につきましては、現在、いろいろな形で精査中であり、今後とも、NHKグループ全体の、制作等々、視聴者の皆様にお役に立つような形で運営してまいりたいというふうに思っております。

橘委員 ありがとうございます。

 となると、余りNHKにかかわりのない分野で、得意だから、あるいは営利がさらに追求できるからといってだんだん仕事を広げるだけが子会社の役目ではないということになるんだろうと思います。ぜひ、そういった理念で、もう一度子会社の役割分担、やるべき範囲というものを見直していただきたい、このように思います。

 次は、コンプライアンスの問題であります。

 タクシーチケットの不適切使用、また職員の危険ドラッグ所持など、この春、NHK本体職員のコンプライアンスが問われる問題が続いたわけであります。これについて、いろいろ調査もし、把握をされ、再発防止について取り組んでこられたことと思います。

 やはり皆さんの気持ちが、全てのNHKの職員の方が、日本放送協会を愛し、そして頑張っていくということで、心一つになっていかなきゃいけない問題だと思っております。

 この間の取り組みについて、お伺いいたします。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 タクシーチケットの使用に関しましては、チケット使用後のチェック体制を強化するとともに、全国の部局で定期的にタクシーの使用状況を点検することとしております。また、全国各局で勉強会を開催しまして、チケットを使用する側、また管理する側の適正使用に向けた意識改革に取り組んできているところであります。タクシーの乗車記録が自動的に記録されますカード払いシステムについても、現在、報道局の一部と、問題が起きましたさいたま局で試験的に運用を始めているところであります。

 それから、職員の危険ドラッグの問題につきましては、放送局単位で緊急に職場討議を行いまして、改めて薬物の危険性、再発防止について話し合いを行いました。あわせて、法令遵守、コンプライアンスを徹底するための研修、それから一人一人の状況を把握する個人面談等を重ねまして、今取り組んでいるところであります。

 こうした一連の問題を受けまして、視聴者の皆様の信頼の上に公共放送が成り立っているということを改めて重く受けとめまして、再発防止に向けて、それぞれの現場で業務が適正に行われているかどうかをきちんと点検しながら、役職員一丸となって、コンプライアンスの意識を徹底させる取り組みを今進めているところであります。

 以上であります。

橘委員 カード払いシステムの導入等、やはりいろいろな形で知恵も出していただいて、タクシーチケットの問題にしても、そうやってぜひ改革を進めていただきたい、このように思うわけであります。

 この二つの問題、グループ経営の問題、コンプライアンスの問題、こういったことにつきまして私どもの党内手続でもかなり厳しい意見が出まして、籾井会長にも御苦労いただいたわけでありますが、その際、いろいろと悩まれた末、身を賭してこの改革に取り組んでいきますという御発言をいただいて私どもの党内手続が終わったという経緯もあるわけであります。

 それから三カ月くらいたちました。会長として、その後、今日までの取り組み、そしてまた改革の進捗の現状についての御認識をお伺いいたします。

籾井参考人 改めまして、NHKアイテック社員による不正行為や、職員によるタクシー券の不正使用などの事案が発生したことについては、極めて遺憾でございます。

 我々としましては、その発生以降、受信料で支えられているNHKということを改めて再認識いたしまして、視聴者の信頼を回復すべく全力を尽くしている最中でございます。私も、身を賭してという表現をいたしましたけれども、全くそのとおりの気持ちで相変わらず努力をしているつもりでございます。

 アイテックにつきましては、早速に十一月以降いろいろなことをやっておりまして、経営陣の刷新であるとか、それから常勤監査役の、もう既に着任されておりますが、そういうことを実際に行っております。

 グループ全体としましては、やはり規律ある経営の確立ということを目指すために、まず、四月一日に関連団体運営基準を改正いたしまして、子会社の常勤監査役に外部人材を起用するということで、アイテックはもう既にスタートしていますが、あと五名、もう既に名前も決まっておりますので、あとは株主総会を経まして正式に着任していただく予定になっております。

 先ほど黄木理事からも説明がありましたけれども、そのほかに、我々としましては、中堅幹部を関連企業に出しまして、そこでやはり外部の監査役と一緒になって外部の状況に熟知しながら、また戻ってきて中でもやる、それから次の人が行くという、ちょっと回り道になりますけれども、時間をかけてやっていきたいというふうに思っております。

 そういう意味で、再発防止と信頼回復に向けて、改めてNHKの役職員と関連団体の役員、社員に公共放送の使命を再認識させ、視聴者の皆さんの信頼を回復していきたいというふうに思っております。

橘委員 私にすれば、何合目とか、その辺もお答えいただければうれしかったというところでありますが、しかしまた、一歩でも前へ進むということは大きな一歩であり、しかし、九十九里をもって半ばとするというのも事実だと思っております。どうか不断にこの取り組みを進めていただきたい、このことを強く要望しておきます。

 放送センターの建てかえの問題について、二つお伺いします。

 この放送センター、渋谷の建てかえにつきまして、地方創生の観点で機能分散が求められております。例えば、朝ドラなども関東、関西で交互につくっているわけでありますが、こういうようなものを例えば九州でつくるとか、具体的に機能分散について取り組みを進めてはいかがかということを私どもは思っているわけでありますが、状況についてお伺いいたします。

木田参考人 お答えいたします。

 ドラマの中でも連続テレビ小説、いわゆる朝ドラとか大河ドラマを制作するには、十分な規模のスタジオに加えて、衣装やセットの準備スペースなど、さまざまな周辺設備が必要となってまいります。また、技術、美術などの協力会社の有無であるとか、職員以外のスタッフや出演者の集まりやすさなどを考慮した場合、新たに地方を拠点に制作することはやはり容易ではないんじゃないかと考えております。

 一方、これまで、連続テレビ小説は日本の各地を物語の舞台として制作してまいりました。その結果、地方の活性化に貢献してきたと考えております。今後も、舞台となる地域については十分に配慮しながら制作をしていきたいというふうに考えております。

 以上です。

橘委員 しかし、こういったところでできるだけいろいろな機能を分散いただいて、特に、放送センターでありますが、やはり可能な限り簡素なものとすべきであろう、そしていろいろな機能を活用すべきであろう、そのように思っております。

 現状について、会長にお伺いいたします。

籾井参考人 新センターにつきましては、ただいま基本計画というものを作成中でございますが、我々はもとより、新センターにつきましては、可能な限りコストを抑える、ただし、放送を続けるという意味からは頑丈なものをつくる必要があろうというふうには思っております。

 我々は、あくまでも放送を継続する、それから大災害時には正確、迅速に災害報道、防災・減災報道を行うために、非常に重要な拠点となるというふうに理解しております。新しい技術を使いまして、建てかえのコストを抑え、効率的、効果的に整備を進めてまいりたいというふうに思っております。

 センターの建てかえ時期の問題とか、万が一東京に何かあったときには、やはり大阪であるとか名古屋であるとか福岡であるとかいうことを使っていくということも我々の計画にも入っております。

 NHKは、現在五十三の放送局がございます。このネットワークを活用しながら、おっしゃるとおり、地方のより充実した放送ということに努力して、地方の活性化に貢献することを願っておる次第でございます。

橘委員 この問題、今会長からお話があった幾つかの観点があるわけでありまして、それを勘案され、かつ、やはり効率的に、受信料がいい形で生かされるように、ぜひ練りに練った検討をお願いしたいと思っております。

 一問飛ばさせていただきます。

 ことしは、4Kに続いて8Kにおいても、NHKにて八月から衛星放送で試験放送が開始されることとなっております。リオデジャネイロ・オリンピックに合わせての取り組みというふうに伺っております。

 パブリックビューイング等を通じ、国民へどのようにPRされていくのか、取り組みの状況についてお伺いいたします。

今井参考人 お答え申し上げます。

 NHKでは、ことし八月のスーパーハイビジョン試験放送開始に向けまして、今さまざまな準備を進めているところでございます。リオデジャネイロ・オリンピックにつきましても、開会式を初め幾つかの競技で、8Kで制作をいたしまして、試験放送でお届けをする予定にしております。

 また、詳細は検討中でございますが、日本国内では、大画面を使ったパブリックビューイングを数カ所で実施いたしますほか、全国各都道府県にございます各地のNHKの放送局に試験放送を受信できる設備を整備いたしまして、できるだけ多くの皆さんにスーパーハイビジョンの魅力をごらんいただき、あるいは聞いていただいて、体感していただきたいと考えているところでございます。

 また、リオデジャネイロ・オリンピックの終了後も、スポーツやコンサートなどで試験放送に合わせたパブリックビューイングを各地で実施し、引き続きスーパーハイビジョンのPRに努めていきたいと考えているところでございます。

橘委員 今の答弁をお伺いしますと、地方の放送局にみんな入るということであれば、札幌でも沖縄でも、もちろん私の富山でも、今回はパブリックビューイングで8Kの画像が見られるということで、以前は総務大臣のお部屋に行かないと見られないということもあったんですが、これ自体はやはり大変大事な取り組みだと思いますので、ぜひこういう機会に広めていただいて、また可能性も探っていただきたいと思います。

 さて、受信料の収納率が民間委託の進捗などによりまして向上していること自体は、私どもは評価するわけであります。

 そういったことを積み重ね、NHKの決算はずっと黒字が続いているわけであります。昔は放送債券を発行して投資をしておられたわけですが、その放送債券の償還も全て終わっております。

 NHKは、株式会社的にいうと、いわゆる無借金会社という状況になっております。また、放送センターの建てかえに関する積立金ということで、既に一千四百億円超の内部留保を抱えるような状況にもなっております。

 これは、これからの放送センターの形ということともかかわると思いますけれども、やはり心配するのは、金利感覚がなくなってきて、流動性面でもゆとりが出てくるということは、経営にとっては少し緩みが出るんじゃないか、こういう心配もするわけであります。

 この辺は、借金のある会社も経営された籾井会長に見解をお伺いいたします。

籾井参考人 おかげさまで、本当に好調な収入を背景に、我々の新センターの建てかえのための積立金も順調に積み上がってまいりました。

 こういう中で、無借金ということが悪いとは思いませんけれども、いつも、常時無借金で経営するということは現実からかなり遠い姿じゃないかというふうに思っております。私としましても、今後、建てかえ等々に巨額の金が要りますけれども、大体、今の積み立て、並びに関連企業の剰余金等々ありますので、積み立てはぼちぼちいいのではないか。

 ただ、実際に建設に入りました場合は、当然この積み立てだけでは足りませんので、そのときには放送債券なりあるいは何らかの形の借入金ということが必要になってまいりますが、私としてはやはり、将来、借入金があるから値段を上げるという、過去にあったような乱高下は避けたいというふうに思っています。

 いずれにしましても、今委員の御指摘の点はやはり経営者として十分理解できますし、また、全てを無借金で賄うということは不可能だということもわかっていますので、種々検討させていただきたいと思います。

橘委員 NHKについての質問をずっと続けてまいりました。最後に、まとめとしてもう一度お伺いしておきたいと思います。

 改革は実行しなければなりません。公共放送の担い手として、国民の期待に応え、会長以下役職員が心を一つに前へ進んでいただかなきゃいけない、そういう責務が会長にもおありだと思います。

 最後に、まずきょうのNHKの質問のまとめとして、籾井会長の覚悟ということで、ここでお伺いをしておきたいと思います。

籾井参考人 まず、不祥事につきましてでございますが、これについては、再発防止策をとっていくということは当然のことでございますが、スピード感を持って今現在実行に移しておるところでございますので、都度、いろいろな形で発表ができるのではないかというふうに思っております。

 それからまた、NHKを取り巻きます放送環境も激しく変化しております。我々としましては、技術的にも、やはり世界に伍して、我々NHKが引っ張っていけるような形でやっていきたい。その一つが、インターネットの活用であるとかスーパーハイビジョンなどの展開でございますけれども、これにつきましても、種々積極的に、意欲的に取り組んでいかなければならないというふうに思っています。

 役職員一丸となって、NHK、コンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化に取り組み、ぜひ、何が何でも視聴者の皆さんの信頼を回復させ、公共放送に期待される役割をしっかりと果たしてまいりたいというふうに思っております。

橘委員 ぜひ、一つ一つの取り組みを通じて、会長の人間力といいますか、組織全体の皆さんの人間力が出てきて国民の皆さんの信頼をかち得ていただくように、そういう形で進めていただくことを希望いたします。

 最後に一つ、電波利用料の問題についてお伺いしておきたいと思います。これは総務省にお伺いいたします。

 来年度は三年に一度の電波利用料の見直しの年になります。今まで電波利用料、地デジ対策にかなり効果的に使ってきたわけですが、いよいよまた新しい歳入歳出を立てていかなければいけません。

 これはどちらかというとスケジュール的な話になるかもしれませんが、現在どのような形で検討を進めておられ、どういう時期にまたまとめていかれるのか。この辺のスケジュール感等を含めてお伺いをいたします。

福岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、電波利用料制度は、電波法により少なくとも三年ごとに見直すこととされております。

 現行の電波利用料額は、平成二十八年度までが適用ということになってございます。このため、平成二十九年度から三十一年度まで適用する本制度のあり方について検討を行うことを一つの大きな目的といたしまして、ことしの一月から、電波政策二〇二〇懇談会というものを開催させていただいております。

 この懇談会におきましては、これも御指摘のとおり、地デジ対策に係る費用負担がほぼなくなるということを踏まえつつ、今後の無線システムの適正な利用をどう確保していくのかという観点、あるいは無線局免許人間の受益と負担の関係を踏まえまして、次の三年間におけます電波利用料で実施すべき具体的施策、それから歳出規模のあり方、そして電波利用料の負担のあり方などにつきまして、意見募集やヒアリングを幅広く行って、今精力的に御検討いただいているところでございます。ことしの夏までには、電波利用料の見直しに係る考え方を取りまとめていただく予定としてございます。

 その後、総務省といたしましては、この懇談会の報告を受けまして、平成二十九年度の予算概算要求案の取りまとめ、また平成二十九年通常国会での電波法改正案の提出に向けまして、次期電波利用料の見直しに取り組んでまいります。

橘委員 ありがとうございます。

 この問題も、大変、各関連業界さん皆さん関心もあり、また、歳入の面でも歳出の面でも関心のある問題でありますので、ぜひまた取りまとめていただいて、よく検討いただきたいと思います。

 あさってから伊勢志摩サミットということがありまして、またNHKの国際放送でのいろいろな企画も予定されているやに、ちょっとここは質問を飛ばしましたが、そういうことも伺っております。

 NHKさんの放送センターの問題、8Kの問題、前向きの問題もあり、国際放送も頑張っていただきたいし、そのためにもやはり役職員、コンプライアンスをしっかりやっていただいて、グループ経営もしっかりやっていただいてと、大事な時期であります。そのことを私どもはしっかり見せていただいて、また決算審議にも臨んでいきたいと思っております。

 では、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

遠山委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民進党の武正公一です。

 質疑を行わせていただきます。

 NHK会長には、昨年の三月十二日でしょうか、同様の御質問をいたしましたので、まずそちらから入らせていただきます。

 資料をごらんいただきますと、二〇一四年の衆議院選挙の公示日の夜の七時のニュース、翌朝七時のニュースの原稿を、テープ起こしというか、起こしたものを一枚目に、そしてまた、二〇〇五年の郵政解散の選挙時の公示日の夜のニュース、翌朝の朝七時のニュース、その原稿をもって、昨年の三月十二日、御質問をさせていただきました。ちょうど一年たっておりますが、御記憶だと思います。

 私の趣旨は、一年半前の衆議院解散・総選挙の夜のニュースで、NHKニュースが今回の解散・総選挙の最大の争点はアベノミクスであると言い切ったことを、候補者として非常に驚いた。当然、そのときには、憲法解釈変更などの安全保障関連の件、あるいはまた、ちょうど選挙中に施行された特定秘密保護法など、野党とすれば、あるいは当時民主党とすれば、アベノミクスの是非だけでなく野党として主張すべき争点があったにもかかわらずということであり、二〇〇五年の郵政解散のときには、二ページをごらんいただきますとおわかりのように、政府・与党、自民党、民主党が直接対決する中で、それぞれの政党の争点を、公示日の夜のニュース、翌朝の朝のニュースでもしっかりと報道していたといったことからいいますと、いかがなものかということを取り上げさせていただきました。

 間もなく参議院選挙も行われます。場合によっては解散・総選挙、同時選挙ということも喧伝をされております。こうした中で、改めてNHKとしての報道のあり方について御所見を伺いたいと思います。

籾井参考人 かねてから申し上げているとおり、NHKは、放送法にのっとり、事実に基づいて、公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的にお伝えしているということでございますけれども、さきの衆議院選挙におきましても、この原則について、選挙報道に当たったというふうに考えております。

 現場に確認しましたところ、さきの衆議院選挙では、安倍総理大臣が解散に当たりましての記者会見で、アベノミクス解散だとおっしゃったわけでございます。これに対しまして野党側は、格差が拡大しているといったアベノミクスへの批判を展開したということでありましたので、アベノミクスが最大の争点と報じたということでございました。

 また、野党側が、アベノミクスだけでなくて、集団的自衛権であるとか原発の再稼働、議員定数の削減などを争点に掲げられましたことも報じたということでございました。

 参議院選挙の報道でも、この原則に基づきまして、現場が適切に判断すると考えております。

武正委員 同じ答弁が繰り返されたわけですが、二〇〇五年のあれだけの郵政解散のときでも与党はこう、野党はこうという報道から比べますと、やはり変質をしたと言わざるを得ませんので、改めて、放送法にのっとって、多角的な角度からの放送そして報道に御留意をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、昨年大臣から、ちょうど小泉郵政大臣以来の行政指導がNHKに対して行われた、これを契機としてということで、「クローズアップ現代」という番組が、二十三年、午後七時半の時間帯から、「クローズアップ現代+」ということで、午後十時台に移ったわけでございます。

 私も一度拝見をいたしましたが、随分今までの「クローズアップ現代」とさま変わりしてしまったなということで、残念ながらなかなか、十時台、見ることができません。

 以前ですと、夜帰りますと、深夜に「クローズアップ現代」の再放送がありましたので、よくそれを見せていただきまして、なかなか国会ではうかがい知れない、さまざまな今社会に起きている事象を、また、それぞれの放送局の、地方の放送局も担当しながら番組を、月曜日から木曜日まで毎日、二十三年間、四千回近くの報道、放送があったわけでございます。

 残念ながらそういった放送に接していないんですが、「クローズアップ現代」のビフォー・アフターということで、視聴率は一体どういう変化をしているのかなども含めて述べていただければと思います。

籾井参考人 視聴率を単純に比較するというのはなかなか難しいんですが、同時にまた、視聴率そのものについてはビデオリサーチ社との契約で申し上げるわけにはいかないんですが、ただ、我々の思いは、やはりできるだけ多くの方に見ていただきたい。特に、現役世代の方にどうやって見ていただけるかということを、かなり重きを置いて考えました。その結果、やはり七時半では早過ぎるということで、皆さんが御帰宅された後に見ていただけるように、十時にしたわけでございます。

 四月からスタートしたばかりで、まだ番組そのものが落ちつきを見せていないのかもしれませんけれども、この時間帯としては結構皆さんに見ていただいております。

 それよりも何よりも、やはり、見てくださっている視聴者の皆さん、この年齢層が大分変わってきております。我々は、高齢者はどうでもいいなんて思っているわけではないのでございます。やはりこれを見ていただいている方は高齢者の方にも結構たくさんいらっしゃいますし、それから同時に、十時になりますと、現役、働いて帰ってこられた方が見ていただけるようになる。こういう意味においては、大分変化が見られているんじゃないかというふうに思っております。

武正委員 ビデオリサーチ社の許可をとれば視聴率は公表できるというふうに聞いておりまして、NHKであれば、紅白歌合戦の視聴率なんか、毎回発表していますよね。

 私、きのう、許可をとってくださいというふうに言ったので、きょうまだ許可をいただけなかったのかもしれませんが、ぜひ許可をとって、「クローズアップ現代」のビフォー・アフター、視聴率の変化を、これだけ大きな、本委員会で多くの同僚委員も取り上げている番組ですので、御報告をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 それと、事前の話では、七時半に比べると下がっているということも聞いておりますが、会長はそういったことを耳にされていないのか。

 それから、残念ながら、私なんかはなかなか十時台に見られないものですから、深夜のそうした再放送なんかがもうなくなっておりますので、やはりそういったことも影響が出ているということでありますので、改めてしっかりと検証をしていただきたいと思います。

 先ほどの件、許可をとって報告をいただくということについての御答弁と、そしてまた、NHKさんは、今、視聴率については、経営計画で、録画再生やネットも含め視聴者の番組への接触の全貌を把握するための評価手法、トータルリーチの開発を掲げているということでありますので、それにも触れていただければと思います。

籾井参考人 それについてはちょっと検討させていただきたいと思います。私、許可を得ればいいということを知りませんでしたものですから、申しわけないです。

 ただ、二十二時台の視聴率としては、従来の二十二時台の番組よりも視聴率が上がっているということは事実でございます。ただ、絶対的な数字として、ちょっと今手持ちに持っておりませんので、これはお待ちいただければと思います。

武正委員 先ほど触れたように、私、事前には、今までの七時半に比べると視聴率は落ちているというふうに聞いているんですが、会長にはそういった報告はないということでしょうか。

籾井参考人 私、ずっとNHKの番組を見ていますので、承知しております。

 ただ、私が申しましたように、この番組を十時台にしたということは、やはり現役世代の方に見ていただきたいという意味で番組の時間帯を変えたわけでございまして、そういう意味におきましては、その効果は十分出つつあるというか、出ているということは言えると思います。

武正委員 なかなか今テレビ離れで、特に若い世代などがテレビではなくてネットで見ているのも御存じのとおりでありまして、では、十時台になれば必ず現役世代が見るのかといったところも含めて検証をして、御報告をいただきたいとお願いを申し上げます。

 続いて、資料、これも三月の時点でお配りして、先ほど橘委員のときにも御答弁あったかと思いますが、NHK子会社の役員内訳でございます。常勤取締役が現在まで一人しか、NHKあるいはNHKOB以外は子会社では採用されていないということは既に指摘をし、その改善について求めてまいりました。

 常勤監査役については、アイテックさんがこの四月に、これは三月時点の資料ですので、一分の一が一分のゼロになるわけですね。つまり、NHK子会社役員内訳で、NHK関係者以外の出身者の割合ということでありますので、これが一人、なってくるということでございますが、依然、取締役はNHK関連の皆さんということでありまして、これについて再度、間もなくそれぞれ株主総会も開かれますので、先ほども触れていただきましたが、お取り組みを御披瀝いただきたいということ。

 次のページをめくっていただきますと、これは二月のときのNHKのグループ経営改革の方針でありまして、グループ全体について、今回のアイテックを契機に、なれ合い排除、あるいはNHKグループ会社の再精査、再整理、廃止も念頭にというようなこともアイテックについては書いてありましたが、こういった、果たして本当にこれだけ子会社が必要なのかということも含めて、あるいはコンプライアンスということで徹底をしておりますが、この間のグループ経営改革の取り組みについても触れていただければというふうに思います。

籾井参考人 NHKグループの経営改革方針でお示ししましたように、外部人材の登用につきましては、まず、子会社の常勤監査役にいわゆる知見を有する外部人材を起用すること。これは、先ほども言いましたけれども、既に人材は、個人的な名前も含めて決まっております。株主総会を経まして、順次着任していただけるというふうに思っております。それから、外部人材の子会社経営陣への積極起用、こういうことも今後進めていきたいというふうに思っているわけでございます。

 ただ、我々としましては、子会社という関連企業をきっちりとガバンするためには、やはり我々NHK本体の中で、いわゆる定年になったから行くという、こういう人材ではなくて、NHKの中堅の、言うならば、若手と言っていいかどうか、中堅の管理職をそういう関連企業に出していこうということで、これも実際に名前も決まって出す会社も決まって、いよいよ今月末になりますと人事が公になりますので、そのときに発表できると思いますが、もう既に具体的には進んでおります。

 いろいろな、この前、NHKグループ経営改革の方針としてお出ししました、言うならばワン、ツー、スリー、一、二、三として出しておりますけれども、一つ一つ着実に実行していっております。

武正委員 一つ一つ着実に実行ということで、今名前はもう挙がっているというお話なんですが、過日、私からは、特に常勤取締役、これをやはりグループ外でふやす必要があるということで、先日は弾力的になどといって明確な答弁をいただけなかったんですが、常勤取締役に社外からということでよろしいでしょうか。これを進めているということで、間もなく発表ということでよろしいですか。

籾井参考人 まずは常勤監査役という形で登用していきます。

 取締役につきましては、各子会社がそれぞれの業務運営状況に鑑み、ふさわしい人材がいれば、各子会社とNHKが協議し、任用することとしておりますし、今回もゼロではなくて何名か新たに登用する予定にいたしております。

武正委員 子会社との関係でいいますと、これはことし三月十五日にお聞きをしました、指摘をしましたが、平成二十六年度決算における売掛金総額は、子会社合わせた売掛金総額が四百五十六億円、そのうちNHKとの関係は二百十三億ということでありまして、子会社を含めた割合は多分七割、八割ということになろうかと思いますが、この割合についてはおわかりになりますでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 子会社の売掛金総額、今おっしゃった四百五十六億円のうち、NHKとの取引に関するものは二百十三億で、現在では五割を切っております。

武正委員 ですから、子会社を含めた、NHKだけじゃなくて、子会社間もありますからね。NHKは五割を切っていますが、子会社を含めると七割、八割ではないかという指摘があるので、子会社を含めて、この四百五十六億のうち何割ですか、お答えください。

籾井参考人 合わせても大体五割であります。

武正委員 大体五割じゃなくて、正確な数字がわかればお答えをいただきたいと思います。

籾井参考人 済みません、今手持ちで具体的な数字を持っていませんので、後刻御報告させてください。

武正委員 報道では七割、八割と言われておりまして、やはりこの子会社のあり方ですね。本来であればNHKで賄える業務を子会社化しているのではないのか。売掛金が七割、八割ということになってきますとそのようなこともやはり指摘をされるわけでありますので、NHK改革の中で取り組みをということでありますが、もっと大胆に、思い切って取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 そこで、きょう、総務委員会、一般質疑でありますので、総務大臣に伺いたいと思います。

 過日、公選法が改正をされまして、これは閣法でありますが、共通投票所、これが設置できることになりました。

 ただ、報道によりますと、今、市町村で手を挙げている共通投票所は四自治体にしかすぎないということでありまして、やはり投票日に決められた投票所以外に共通投票所があれば、今、過去最低を回を追うごとに記録している国政選挙、地方選挙の投票率向上につながるものと確信をいたしますが、この点についての取り組み、そして御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 共通投票所の設置というのは、今武正委員おっしゃっていただきましたとおり、選挙人が選挙当日に投票区にとらわれず投票に参加できるといった点で、有権者の皆様の投票機会の確保につながるものでございます。

 今回の調査では、参議院選挙で共通投票所を準備中または検討中としているのは四団体でございました。

 これは、原因でございますけれども、設置に当たりまして、二重投票を防止する観点から投票済み情報というのを共有する必要があり、そのためのオンラインシステムのセキュリティー水準の確保や構築に要する費用、それから準備期間などの観点から慎重に検討しておられるものと考えます。

 しかしながら、冒頭に申し上げましたような意義がございますので、ぜひ積極的に対応していただきたいと考えております。

武正委員 お話を伺いますと、選挙執行委託費についてということで、これは閣法でありまして、政府からも説明で、オンライン化をして二重投票を防ぐことができるということなんですが、このオンライン対照の整備及び運用に係る委託費については措置をするということが指示をされております。

 ただ、整備した設備のうち、地方選挙にも資するものについては、その整備に係る経費に九分の五を乗じた額を加算するということで、全額ではないということなんですが、投票率をさらに向上させるために、自治体が積極的に取り組むということは評価してしかるべきではないかということでありますので、やはりインセンティブが上がるようなやり方、これが必要ではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 国政選挙の選挙執行委託費に共通投票所経費という項目を新設しました。その要する経費を措置するということでございます。

 共通投票所の設置のために整備したオンラインシステムの設備が、今委員がおっしゃいましたように、国政選挙にのみ使われるものであれば、その設備に実際に要した額の全額を国費で措置することにしています。ただし、整備したオンラインシステムの設備が地方選挙にも使用できるという場合には、その経費についてはやはり当該地方公共団体も負担するべきものでありますために、整備に係る経費の一定の割合、九分の五を国費で措置するという形にいたしております。

 九分の五の内訳ですが、国費でというのは、衆議院の小選挙区、衆議院の比例代表、国民審査、参議院の選挙区、参議院の比例代表、ここまでが五です。都道府県知事選挙、都道府県議会選挙、市区町村長選挙、市区町村議会選挙が四となります。これは、国と地方の事務負担に応じて決めているものでございます。

 地方選挙に要する経費に関しても、地方財政措置、普通交付税措置はございます。ただ、投票所に関しまして、オンラインシステムを整備するということについては、私は、地方の選挙にも使うという場合には、地方公共団体にもやはり一定の負担をいただくということが筋だと考えております。

武正委員 それであると、四自治体しか手を挙げないわけなんですね。

 二百自治体ほど検討中という話もありますが、果たして、では本当にそれが検討から実施に移されるかといったところは、やはり工夫が必要ではないかというふうに思います。今の御答弁、事務方からもいただきましたが、工夫をしていかないと、なかなかこの投票率、特に今回十八歳選挙権も実施をされますので、さらなる工夫が必要ではないかと思っております。

 期日前投票についても、時間の拡大といったところも言われておりますが、なかなかこれも、拡大の自治体が、名乗りがそう多くないという報道にも接しております。

 総務大臣、これは何かお聞きになっていますでしょうか、期日前投票の投票時間の拡大の状況について。

高市国務大臣 期日前投票所につきましては、設置数がかなりふえる見込みではございます。そしてまた、繰り下げで時間を延ばしていただくということについても検討を進めていただいているということでございます。

 共通投票所の設置につきましては、先ほど申し上げましたような基本的な考え方がありますけれども、それでも設置しよう、この短期間の間に設置しようと考えていただいているところの取り組み事例の横展開も図り、また、個別の団体からの相談にも応じてまいります。

 期日前投票所についても同様でございます。しっかり周知をし、また個別の御相談に丁寧に応じながら、投票機会の拡大を図っていきたいと思っております。

武正委員 通告していませんが、期日前投票の投票時間の二時間前倒し、すなわち、午前六時半から、あるいは午後八時を十時までということの繰り下げというんでしょうか、これについて、もし数字が事務方からわかれば御答弁いただきたいと思います。大臣からで。

高市国務大臣 現段階でございますけれども、閉鎖時刻の繰り下げを行う予定の期日前投票所は八カ所でございます。

武正委員 これは、私の住んでいるさいたま市でも、やはり市議会で再三この期日前投票の投票時間の拡大をお願いしていますが、一カ所決められたところはそうなんですが、もう一カ所つくられた期日前投票の投票時間は今午前十一時から午後七時までなんですね。本当は朝八時半から夜八時までできるのに、今でも午前十一時から七時で、市議会で言ってもなかなかそれが改革できておりません。

 全額国庫補助負担にもかかわらず、現状でもそういう状況の自治体がございます中で、せっかく今回法改正で午前六時半から、ですから、これだとちょうど通勤通学のときに駅周辺にもし投票所があれば投票できるわけです。夜は十時ですから、これは首都圏や近畿圏など都市部でも、近郊の方が帰りがけに投票もできるということで法改正したはずなんですが、今のお話ではまだ八カ所ということなんです。

 改めて、これは参議院選挙もありますし、お取り組みを、やはり再度の徹底が必要ではないでしょうか。いかがでしょうか。

高市国務大臣 ちょっと先ほど御通告いただいていなかったので、数字を探すのに時間がかかって済みません。

 繰り下げを行うということを決めているのは八カ所でございますけれども、まだ検討中のところが随分たくさんございます。開始時刻の繰り上げまたは閉鎖時刻の繰り下げということを検討中であるところは百四十三カ所でございます。

 このほかにも、商業施設に期日前投票所を設置しようと今予定してくださっているところが百六十二カ所、駅構内では現在二十カ所、あと、大学にできるだけ設置してくださいという要請をしているんですが、これが現在八十五カ所という状況でございます。

 引き続き、働きかけを続けてまいります。

武正委員 先ほど、共通投票所は四カ所、それから期日前投票の投票時間の繰り上げ、繰り下げ、最大午前六時半から、あるいは夜十時まで、これについては八カ所ということで、検討中はあるにせよ、参議院選挙の告示は、報じられるところでは来月二十二日ということで、もう一カ月を切っているわけでありますので、検討中のところが検討中ではなく実施ができるように、ぜひ再度の徹底をお願いしたいというふうに思います。

 そこで、資料の方では、指定都市市長会の要望を一部持ってまいりました。五ページにありますのは大都市税源の拡充強化、それから六ページは地方拠点強化税制の見直しということでございます。

 それぞれ、大都市についての税源、財源、措置不足額の拡充、それから、特に東京二十三区から本社を移転した場合についての強化税制。ただ、その対象外地域ということで首都圏、中部圏、近畿圏が入っていることについて、政令市市長会から、これを二十三区に限定できないのかということの要望が出されております。

 七ページには、では実際どうなのかということで実例を挙げておりますが、東京二十三区から移転した例は移転型事業の五社にとどまっておりまして、なかなか地方創生の税制が実を上げているとは言えないといった状況もございます中で、やはり首都圏ということで、東京二十三区外の千葉、埼玉、神奈川、あるいはまた愛知県、あるいは近畿圏などの市長会からの要望も出されている。

 これは指摘に、また要望ということでお伝えをさせていただくところにとどめさせていただきたいと思います。

 せっかくですから、では、強化税制について、後段の方、大臣の方からちょっと御所見を伺えればと思います。

高市国務大臣 企業移転の税制の話かと存じますが、この税制は、内閣府まち・ひと・しごと創生本部の所管でございますので、基本的に内閣府にお尋ねをいただきたいんですが、その上で申し上げますと、この特例の対象地域につきましては、内閣府所管の地域再生法に定めるもので、三大都市圏は除かれています。

 地方創生、特に、税制の後押しがなくては地方移転が進まない、地方への応援という観点からこれが課されているというふうに私は承知をしています。その効果を見ながら、この特例の見直しをしていくのかどうかということについては内閣府で検討されると考えます。

武正委員 市長会からこうした要望が出ていることは、やはり市長会あるいは六団体所管の総務大臣としてしっかり踏まえて、創生大臣にも要望をお伝えいただければというふうに思います。

 そこで、二輪車の車両区分ごとの徴税率の把握について伺いたいと思います。

 これも昨年三月十二日に、すなわち、ことしの四月から、自動二輪あるいは原付バイクなどバイクが全て増税、千二百万台、中古車も含めて増税になるといったことについて、大臣とのやりとりをさせていただきました。

 私は、軽自動車は新車のみでありますので、中古も含めた千二百万台全部の増税はやはりやり過ぎではないかということで、一年は延期してことしの四月からにはなったにせよ、これは撤回をすべきであるということをやりとりさせていただいたときに、大臣の方から、「やはり今後、車両区分ごとの徴税率の把握をするということは有益だと考えておりますので、地方団体の実務上の負担も勘案しながら検討してまいります。」と御答弁をいただいたのは、前々年度、三月十二日の当委員会でございます。

 年度も二年度またがって、新々年度に入っているわけですが、例えば前年度どういうお取り組みをされたのか、そして今の御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 去年三月十二日に武正委員に答弁をさせていただきました。二輪車の税率引き上げに関して、地方団体から、特に原動機付自転車について徴税効率が低水準だという声が届いていまして、その実態把握の一助とするためにも二輪車の車両区分ごとの徴収率を把握するということが有益だという答弁を申し上げ、その考え方は今も変わっておりません。

 そして、その答弁後でございますけれども、国内で最も多い台数の二輪車に係る課税情報を税務システムによって管理している横浜市などの地方団体に対して、状況を確認してみました。そうすると、現在把握しているのは軽自動車税全体の徴収率のみで、軽自動車の車両区分ごとの徴収率は把握していないということ、そしてもう一つは、二輪車の車両区分ごとの徴収率を算出するためには既存の税務システムを改修する必要があるので直ちに実施することは困難である、こういった回答であったと聞いております。

 この軽自動車税について、税率の引き上げに伴うさまざまな実務的な準備を進めていく中で、市町村が二輪車の車両区分ごとの徴収率を把握する必要性というものを全ての市町村に理解していただいた上で新たな費用負担を伴う税務システムの改修を行うということが可能な状況には、残念ながらまだ至っていないというのが現実でございます。

 しかしながら、武正委員から御指摘をいただき、私自身も同じ考え方でございますので、地方側の御意見、それから現状の、かなり事務負担もある時期でございますので、こういったことも踏まえながら、引き続きさらに検討は続けてまいります。

武正委員 ちょうど四月に納付の時期を迎えておりますが、実際のところは五月末ということで、今それぞれ、例えば原動機付自転車でしょうか、原付バイク、これをお持ちの皆さんのところには納付の書類が送られて、五月末に納付するようになっておりますので、ぜひこの際お取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 最後に、庁舎の耐震化について伺いたいんです。

 総務省消防庁からの資料では、今、耐震化率は全国で八八・三%ということでございましたが、今回、残念ながら、熊本県では、被災自治体庁舎、八代市、人吉市、宇土市、大津町、益城町ということでありますが、これについては、例えば益城町については、総務省消防庁の資料では改修済みとなっているんですね。それが、耐震改修済みにもかかわらず被災をしている実態がございます。

 こうした点など、防災拠点となる庁舎の耐震化への取り組みについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 耐震化につきましては、もう従前からやっていることなんですが、総務省としては、防災拠点となる公共施設の耐震化を推進するために、耐震改修に活用できる起債充当率一〇〇%、交付税措置率七〇%の緊急防災・減災事業債の地方財政措置を講じてきました。

 こういう支援制度がありますよということは引き続きしっかりと周知をして、地方公共団体において早急に取り組みが進められるように働きかけてまいりたいと考えています。

 委員がおっしゃいましたとおり、益城町では本庁舎の耐震化はなされておりました。八代市、人吉市、宇土市、大津町の四市町では耐震化されていませんでした。ただ、万が一本庁舎が損壊した場合に代替となる庁舎については、四市町も耐震化されていました。

 全国的に見ましても、代替庁舎を含めると九一・三%が耐震化されているんですけれども、どうしてもほかの文教施設、また医療施設、消防本部などの耐震化が優先されてきた経緯がありますので、しっかりと庁舎の耐震化を進めるべく努力をしてまいります。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

遠山委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志です。

 きょうは、本来NHKの決算を審議する予定であったと思うんですが、諸般の事情により一般質疑となりましたが、NHKの決算はもう三年たまっております。これは速やかに次の国会では審議をしていただきたいということを強く要望させていただきます。

 きょうは、そういうことで、NHKに対する質問をたくさん用意していたんですが、その前に、どうしてもちょっと二点ほどお聞きをしたいテーマがありますので、そちらを先に質問させていただきます。会長にはしばらくお待ちいただきたいと思います。

 まず、マイナンバーの問題です。

 マイナンバーシステムの故障の問題、ことしの一月十三日から二十五日にかけて計六回の大きなシステム故障があり、その後も、この委員会でも私は何度も取り上げましたが、原因究明がなかなか、遅々として進まない。そして、その間、かなりの自治体に大きな影響が出ております。

 そういった中で、先般、四月の二十二日には、一応原因がわかって改修もした、修正をした。そして、二十七日の日に、地方公共団体情報システム機構、通称J―LISと呼んでいますが、このJ―LISの理事長が記者会見をして謝罪もしたということであります。

 その後、私もJ―LISの方からこの故障の原因をお聞きしました。大きく二つあるということなんですが、いずれも、私から見ると、あるいは専門家にも一緒に立ち会っていただいたんですが、なぜこの原因がそんなに三カ月もわからなかったのか、よくある原因の一つじゃないかというふうな感想を持ったわけです。これはなぜ三カ月間も原因究明ができなかったのか。

 私なりに考える原因は、説明を聞いていますと、今回、マイナンバーシステムというのは大手ベンダー五社のコンソーシアムでつくった。この決め方も、これは談合の可能性もあるんじゃないかということでこの委員会でも取り上げましたが、この五社がそれぞれの中継サーバーのシステムを、アプリケーションや装置や機器あるいは監視ツール、これをそれぞれ違うベンダーが担当していて、要は、お互いが責任をなすりつけ合ったというか、ここは自分の原因ではないと言ってきたことが、ここまで原因究明をおくらせた原因ではないかと私は考えますけれども、総務省の見解はいかがでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 J―LISのカード管理システムの障害の関係でございます。

 地方公共団体情報システム機構、J―LISにおきますカード管理システムの障害原因の究明につきましては、ログの取得や解析を繰り返し実施いたしました。それによりますと、根本原因の特定に至る情報を取得することができなかったところ、本番環境に極めて近い疑似環境の構築に時間を要したこと、さらに、障害の原因と考えられるさまざまな条件を設定の上、事象の再現テストを実施する、こういった必要もございましたことから、原因の究明に至るまでに時間を要したものと聞いているところでございます。

 いずれにいたしましても、原因究明に結果的に期間を要したことについては、大変残念なことというふうに受けとめております。

 また、カード管理システムを含むマイナンバーの付番等システムにつきましては、御指摘ございました五社コンソーシアムに発注したものでございます。それらのベンダー間の連携が十分であったかどうかにつきましては、現在、今回の障害の背景に係る原因究明についてのJ―LISと関係ベンダー間の協議の中でしっかりと検証をいただきまして、明らかにしていただきたいと考えております。

高井委員 このシステムは、一日おくれるごとに市町村も大変困り、さらには国民の皆さんが大変な不便をする、非常に一日を争う話でありますから、本当にこういったことが二度と起こってほしくないんです。

 今、審議官からも御説明ありましたし、また、J―LISの理事長も先般の記者会見でこう答えていますね。五社なのか一社なのか、細かく考えるところに至っていない、もっと詰めて検証しないといけないと答えたと新聞報道に出ていますが、では、いつ最終的な原因究明というのはされるんでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 カード管理システムの障害の原因につきましては、J―LISの調査におきまして、カード管理システムの中継サーバー内の二つの原因事象に起因する、こういったことが特定されたわけでございますけれども、その背景に係る原因につきましては、先ほど申し上げましたとおり、J―LISと関係ベンダーとの間で現在協議が行われているものと承知をいたしております。

 来月下旬に開催予定のJ―LISの代表者会議におきまして、その詳細が報告されるものと聞いているところでございます。

 また、関係ベンダー間による協議や、私どもからの要請を踏まえまして行われておりますJ―LIS全体のシステムの総点検、こういったことも行ってもらいたい。そういう中で、カード管理システムについて必要な改善策があれば、その点につきましては迅速に対応していただきたいというふうに考えております。

高井委員 来月下旬という答えでしたけれども、本当にそんな悠長なことでいいのかと思います。

 私は、J―LISの体制にも問題があるんじゃないかと思います。

 ベンダーが五社もいて、そこを統括するのがJ―LISでありますが、その職員数の内訳など聞いて、質問通告したんですけれども、事前に聞いていますので、時間短縮のためにちょっと申し上げると、百八十二名J―LISの職員がいて、うち出向者が六十九名、プロパーが百十三名。出向者のうち民間からの出向者が三十七名、このうち二十四名は今言った五社のコンソーシアムから出向している。そして、国からは十三名、これは総務省から十三名出向している。あと、自治体から十九名というふうに聞いています。

 さらに、では、百十三名いるJ―LISのプロパー職員のうち、どれだけITの資格を持っている人がいるのかという質問をしたところ、四十九名ですか、約四割程度であり、かつ、私が求めたPMPというプロジェクトマネジメントの国際資格であるとかCCNAとかについては把握できないということであり、CISAという高度な資格も二名しかいない。

 私は、J―LISの体制についてやはり問題があるんじゃないかと考えると同時に、ここはちょっと答えをいただいていないので総務省に聞きたいんですが、では、総務省は、マイナンバーを所管する職員が何名いて、そのうちこういった技術をわかっている人というのは何名いるんでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 総務省におきますマイナンバーを所管しております部署の職員数でございますが、五月二十三日現在で申し上げますと、大臣官房の個人番号企画室が十八名、自治行政局の住民制度課二十二名、自治税務局市町村税課五名、合計四十五名でございます。

 情報処理推進機構、IPAの資格試験の資格を持つ者で申し上げますと、このうち三名ということでございます。

高井委員 四十五名という数が多いか少ないかというところも議論がありますが、三名の技術者しかいない。そこがさらにJ―LISを監督し、そしてJ―LISが五社のベンダーを統括する。やはりそこに私は大きな問題があるんじゃないかと考えます。

 大臣にぜひお聞きをしたいんですが、ちょっと二つ通告したのを一つにまとめますが、一つは、今回のこの件、J―LISが責任を全く、理事長も役員も誰一人やめると言っていませんけれども、J―LISの責任というのはないのかということ。それからもう一つは、J―LISと総務省の体制ですね、技術者が十分いるのかどうか。人数も含めて、ここの部分を私は強化すべきではないかと考えますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

高市国務大臣 まず、J―LISの責任問題ということでございますけれども、J―LISは、地方公共団体が共同して運営する地方共同法人でございます。機構法に基づきまして、地方三団体の代表や有識者が参画する代表者会議のガバナンスのもとで運営されています。ですから、J―LISの責任というのは一義的にはJ―LIS自身のガバナンスに委ねられるというふうに考えています。

 ただし、マイナンバーカードの交付のおくれが出たということについて、やはりJ―LISのシステムの障害があった。そしてまた、マイナンバーカードの交付そのものは法律上は市区町村長の役目ですけれども、しかしながら、さまざまな要因がございました。住民異動の繁忙期にマイナンバーカード交付の時期が重なったということもあり、またJ―LISのシステム障害の影響もありましたので、私も、法的なたてつけは別として、これはやはりマイナンバー制度というものを所管する総務省としてはもっと前に出てしっかりと対応しなければ、結局迷惑をこうむるのは国民の皆様だという考えに至りました。

 マイナンバーカードの交付を大都市であるにもかかわらずかなり早くできている自治体の事例も伺い、また、各自治体ごとに、カードそのものはJ―LISからほとんど届いているんだけれども、各住民の皆様に、とりに来てくださいというお知らせがおくれてしまっているという問題がありますから、その場合、どういう課題があるのか、それも伺い、また専門家の方にも入っていただいて、急ピッチで今月検討を重ねております。

 今月末中には、早期交付に向けたマニュアルも作成をして、各市区町村にも周知をさせていただき、またさらに支援が必要であれば支援をしていく。それがやはり総務省のやるべきことだと考えて取り組んでいます。

 それから、体制強化ですけれども、J―LISでは、代表者会議の同意を得て、理事長によってことしの四月に任命された民間出身の技術担当理事をJ―LIS全体システム総括ということにして、この理事のもとで、今回発生した障害についても、システム開発運用上の課題を整理して、J―LISの全体システムの点検は行っていると聞いております。

 総務省としても、やはりこの理事を支えて、あとベンダーとの調整をしっかりと担えるような人材の確保が必要だと考えていますので、J―LISの全体システムの点検結果を踏まえながら、ここは適切に対応していただくように要請をしたいと存じます。

 それから、総務省自身の体制についても、マイナンバーカード交付促進支援チーム、先ほどお話ししたような検討を今しているんですけれども、やはり外部の専門的知見も有する方の御協力を引き続きいただきながら、しっかりと調整できる、専門的な知識を有する人材の確保というものが重要だと思っております。省内の人材育成、研修などを通した人材育成も含めて、しっかりと進めてまいります。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

高井委員 そもそもJ―LISがこのシステムを担うかどうかというのは、前国会というか、以前、法律審議のときに議論になったんですね。私はちょっと大丈夫かなと思ったわけですけれども。

 実は、例えばお隣韓国は、行政自治部という、これは総務省に相当する組織の配下に、情報化振興院という五百名のITの技術にたけたプロ集団がいて、ここの五百名が各省庁の情報化計画をつくったり、システムの発注のサポートをするという体制が整っていて、また、地域情報開発院という二百名ほどの、これもITのプロ集団がいて、行政自治部のもとでやっている。

 こういうことを考えると、やはり本当に、このマイナンバーというのは国として取り組む旗を掲げた政策でありますから、総務省としてしっかりとこれまで以上に力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、次の話に移りますが、携帯電話の料金引き下げの話です。

 これは、去年の九月に、安倍総理から突然、経済財政諮問会議で指示が出された。そのときから私は非常に違和感があって、ずっと質問したかったんですが、なかなか機会がありませんでした。きょう、恐らく今国会最後の機会だと思いますので、この点も取り上げたいと思います。

 総務省で検討をして、十二月に取り組みの指針をまとめ、それから三月二十五日にガイドラインを出して、それから先般、四月五日にはドコモとソフトバンクに行政指導もされた、そういう経過があるわけですが、私は、今回のこの総務省の方針というのが必ずしも実質的な料金値下げにつながっていないんじゃないかという指摘をよく聞きます。

 それは、まずは一つは、ライトユーザーという、少ない利用しかしない人のプランというのをつくったわけですけれども、これはしかし、動画を見たりSNSをやったり、今どんどん容量がふえていく中で、それで本当に意味があるのかという話。あるいは、携帯の端末の実質ゼロ円の撤廃ということもうたっていますが、これも、販売代理店にしわ寄せが行くだけではないか。

 こういったさまざまな問題が指摘をされておりますけれども、総務省として、今回のこの一連の取り組みについてどういった成果があると考えておられるんでしょうか。お聞きします。

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまで、携帯電話、特にスマートフォンの販売の実態ということでございますけれども、MNP、いわゆる携帯電話番号ポータビリティーによりまして事業者を変更する際などに端末を購入する一部の利用者が実質ゼロ円といった恩恵を受ける一方で、多くのライトユーザーの方あるいは長期利用者の通信料金の高どまりにつながるといったようなこと、また、これが利用者間の公平の観点で非常に問題があるということで、是正することが必要という認識のもと、対処をしてまいりました。

 まず、端末購入補助の適正化に関して若干申し上げますと、昨年十二月に総務大臣から、端末購入補助の適正化と通信料金の引き下げにつきまして要請を行いました。

 ことしの二月以降、端末購入補助の適正化に取り組んでいただいておりまして、それまで恒常的に行われておりました実質ゼロ円とか、それをさらに下回るキャッシュバックといったようなものなどは姿を消しつつございます。

 また、御指摘いただきましたように、四月以降のガイドラインの適用に当たって、一部のさらに極端なケースがございましたので、これの是正を要請したところ、是正がされているというところでございます。

 また、料金の関係でございます。

 これも、昨年十二月の要請を受けまして、三社とも、ことしの三月、四月にライトユーザー向けの料金プランを導入してございます。

 これまで、スマートフォンの利用者のデータ通信の契約容量の分布を見てみますと、契約の数としては七ギガまでというところにピークがあるということでございますが、実際の使用量は一ギガ未満という方が最も多いということでございます。したがいまして、必要以上の契約をして高い料金を支払っているケースがあったというように考えてございます。

 確かに、委員御指摘のとおり、スマートフォンをより使えばどんどん容量がふえていくわけでございます。ただ、現実には、例えばフィーチャーフォンからスマートフォンに乗りかえようといったことも考えていらっしゃる方もいらっしゃるわけですが、そういう方は割といきなり大きな容量を使わない。しかし、スマートフォンになりますと、最低の料金が二ギガバイトからしかなくて、結構、六千円以上、六千五百円といったような負担があるといったことで、ちゅうちょされる方もいらっしゃるということでございます。

 今回のライトプランの導入によりまして、三社とも、これまでの二割以上安い、五千円以下の水準といったようなものも提供されているというところでございます。

 いずれにいたしましても、これらの取り組みにつきましては、事業者において鋭意取り組んでいただいてございますけれども、引き続き、より多くの利用者がメリットを実感できるよう、端末購入補助の適正化とあわせて料金プランの見直しを進めていただきたいと考えているところでございます。

高井委員 これは二月十九日の朝日新聞の社説なんですけれども、「失策だった携帯値下げ指示」と題して、「首相指示という出発点が問題だ。「家計負担の軽減」との触れ込みだったが、あまりに唐突。「アベノミクスが陰る中での人気取り策?」と疑いたくもなる。」「三社の料金体系がほぼ横並びなことに不満はある。しかし、これとて競争の結果ともいえ、不当か否かは公正取引委員会が判断すべきことだ。個別の料金水準に政治が口を挟む行為は、よほどのことでもない限り慎むべきだろう。」私もこれは全く同感なんです。

 まさに今回、こういったことを大臣から、総理の要請から大臣が要請して行ったということはいかがなんでしょうか。私は、それよりも、やはり競争政策をもっと進めるMVNOのシェア拡大、こういったことをやるべきだと思います。

 あと、一部報道で、携帯三社の決算が好調だったことから、さらなる値下げを大臣は求めるんじゃないか、そういう報道もあるんですが、よもやそんなことはないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 人気取り政策どころか、販売店からは随分嫌われちゃっているんだろうと思いますが。

 総務省は、総務省設置法第四条に基づきまして、電気通信業の発達、改善及び調整ということを所管しています。それから、電気通信事業法第一条の「目的」に掲げられております公正な競争の促進ですとか利用者の利益の保護というのは極めて重要だと考えています。また、電気通信事業法第二十九条では、利用者の利益または公共の利益を確保するために業務改善命令を発動することができる旨規定されています。

 ですから、携帯電話の市場や料金に問題があるとすれば、それを解決するための方策を検討して必要な措置を講ずるということは、総務省の役割だと思っております。

 それで、今回のことだけではなくて、これまでも、SIMロック解除の推進ですとかMVNOの振興などによって競争を促進してまいりました。

 大手の携帯電話事業者によって行き過ぎた端末購入補助が、料金高どまりの原因となるということとともに、MVNOの成長を阻害するという指摘もされてきたわけですので、今回の取り組みを通じて、端末価格の値引き競争から料金とサービスを中心とした健全な競争への転換を期待したいと思っています。

 それから、携帯電話事業者の決算状況、かなりよいようでございますけれども、それによって総務省として対応を変えるとか、さらにすぐに引き下げをお願いするということはございません。

 ただ、五月二十六日に、ICTサービス安心・安全研究会と利用者視点からのサービス検証タスクフォースの合同会議を開催する予定です。ここに携帯電話事業者各社にお出ましいただきまして、スマートフォンの料金負担の軽減など、取り組み状況をヒアリングさせていただきます。

 そして、構成員の皆様から今後に向けた御意見もいただきますので、昨年十二月に要請させていただきました事項がどのように進展しているか、ここのところはしっかりと把握させていただき、また構成員から御意見をいただき、フォローアップもしたいと考えています。

 そして、ちょっとさっきの御質問に係るところなんですけれども、J―LIS、マイナンバーカードにつきましてJ―LISというものを使っているということなんですが、それについて批判的な御指摘でありました。

 これは、平成二十三年六月三十日に、民主党政権の折に、社会保障・税番号大綱において「住民基本台帳法に規定する指定情報処理機関を基礎とした地方共同法人とする。」ということで、機構法案はこれに基づいて提出されました。住基ネットを運用していた地方自治情報センターの権利義務の一切を、J―LISを設立して、その役割をJ―LISに担わせるということにしたというので、そこのところは、二重投資を避ける、早期に導入するという観点だったことを御理解いただきとうございます。

高井委員 携帯料金は、もともと認可だったのが届け出になって、今はもう届け出すらないということでありますから、やはり政府が不当に介入するということはくれぐれもないようにお願いしたいと思います。

 それでは、NHKの話に移ります。幾つか質問を用意したんですが、あと十分しかありませんので。

 先般、参議院の委員会でも話題になりました、また我が党の部会でも問題になりました、文芸春秋の六月号に、NHK解説委員の岩田明子解説委員が聞き手ということで、安倍総理のお母様、安倍洋子さんの「ロングインタビュー四時間半」というこの記事、きょう持ってきましたけれども、これが、休暇をとって行ったというふうに聞いておりますけれども、私は、これはやはり問題ではないか、二つの点で問題があると思っています。

 一つは、休暇をとって例えば講演に行ったりする、そういう例はあると聞いています。しかし、これはまさにインタビューという、岩田解説委員が長年NHKの政治記者として培ってきた、そういった人脈をもとに、かなり特だね的にインタビューに成功して出た記事だと思います、読んでみても。

 ですから、本来NHKの記者としての取材としてやるべきことを休暇をとって時間外に行っている、それを他のメディアに流すということで問題があるのではないかということが一点。

 それからもう一点は、これは雑誌だからいいということなのか。つまり、これがもし放送番組として流すということになれば、番組準則に照らして、政治的公平ということにもかかわってくる。

 これは、NHKのホームページに「放送倫理の確立に向けて」という、放送現場の倫理に関する委員会、この職員が守るべき倫理規範について書かれたものを見ていますけれども、放送は、公平公正を維持するために、視聴者にできる限り幅広い視点から情報を提供する、そして、意見の対立する問題を取り扱う番組では、個々の番組内、同一のシリーズ内または一定期間内の適切な場所でバランスをとる必要があると。この政治的なバランスという意味でも、この件は問題ではないか。

 この中には、さらにこう書いています。公私のけじめをつける、取材で得た情報を、私益のために利用することは許されないと。これは、私益、どれだけの益を得ているのかわかりませんけれども、少なくともNHKの記者として培った経験のもとでかなり特だね的に取材をした。そのことについて、私は、やはりNHKの中でこれは活用するべきであり、勤務時間外とはいえほかのメディアで公開するというのは、受信料から成り立つ公共放送の職員としてはいかがなものかと思いますが、会長、御見解はいかがですか。

籾井参考人 今、長い質問だったのでございますけれども、我々としましては、やはり今回の件は、職員が時間外に一人のジャーナリストとして対応したもので、なおかつ局内におけるいわゆる許可をちゃんととって、これが事前に出され、許可されて、それに基づいて行われたということでございますので、私は何ら問題はないというふうに思っております。

高井委員 許可を出したのは会長ではなく部下の方で、会長は知らなかったんですよね、許可した時点では。

 ですので、会長にこれ以上問いませんが、以降、今後こういったことが起こると、現場では今どういう気持ちというか意見かというと、こういうことが許されるのなら、では、自分たちも今まで取材をやってきて得たことを別のメディアで言ってもいいんだな、そういう職員が出てくる、そういう気持ちが起こってもしようがないという声を耳にします。

 こういうことを考えると、やはり今後の対応として、私は、こういうケース、もうちょっときめ細かく、どういう基準だったらこういったものに出てもいいのか、勤務時間外とはいえそこはしっかり会長の責任で決めていただいた方が公共放送を守るということになると思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 ちょっと時間がありませんので、次の質問に移りますが、今度は子会社の問題です。

 子会社、先ほど武正委員からもいろいろと質問がありました。私もNHKの子会社の出資比率とかいろいろ聞いたところ、職員数でいうと、子会社、全部で五千三百人のうち、OBが約千人いる、出向者が六百五十人いる、約三割がNHKの職員である。それから、NHKとの取引額、これは全体で、子会社合計で二千四百九十九億円のうち千五百七十四億、六三%がNHKとの取引で成り立っている。あるいは出資比率、これは各社いろいろあるんですが、例えば、NHK営業サービスは八三%、それからNHKエンタープライズは八二%。

 こういう非常にNHKとのかかわりが強い中で、私は一つちょっと提起したいんですが、これは私の知っている民間の映像制作会社のプロデューサーからの私に対する投稿というか、こんなメールをいただきました。

 これはNHKエンタープライズの話でありますが、エンタープライズというのは民間の放送制作会社と競合しているわけです。しかし、このエンタープライズは、世界じゅうのNHKのネットワークを使って、現地スタッフとか機材も安く使えるので、海外ロケは非常に安い値段で入札をしていく、つまり競合他社をどんどんそれで追い負かしていく。

 それから、NHKの素材の二次利用の問題です。

 これは、NHKが取材したり制作した映像素材をNHKエンタープライズが管理しています。しかし、これは本来、受信料でつくった映像ですから、無償で貸し出してもいいはずで、個人には実は一昨年から無償になっているそうですが、企業向けには有償であり、しかも、他社と比べたら非常に高額だ、それから、中には貸し出してくれない素材もあるそうです。

 それから、NHKが持っている素材を借りようと思うと、エンタープライズは非常に簡易な手続で、費用も安くできるけれども、民間企業、競合他社が借りるときは最低でも一週間かかる、NHKの関連会社だと一日、二日でできるということだそうです。

 あるいは、NHKが持っている機材、4K、8K、3Dカメラ、こうしたものの開発というのは、NHKが受信料を使って、かなり大きな金額を使って開発をして最先端のものをつくっているわけですが、しかし、今度それを使って利益を上げていくのはNHKの子会社である。こういったことからすると、まさに受信料を使ったもので子会社が利益を出している、そういう構図になっているというふうにこの方は指摘をしているわけです。

 なかなかこういう細かい話まで会長の耳に入っていないと思いますが、私はこれが実態なんだろうと思います。

 そういう意味でも、子会社改革というのは、先ほどOBの方の数を減らすとか、民間から入れるということも、もちろん、さはさることながら、こういった問題もぜひ、やはりこれは外から来た会長だからこそできることではないかなと思いますので、こういった面も含めた子会社改革について、会長のお考えをお聞かせください。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

籾井参考人 お答えします。

 まず、関連企業のOBの数ということでございますが、これは率直に申し上げて、今委員御指摘のとおり、多いんじゃないかと私も同様の感じを持っております。

 ただ、今までのNHKは、NHKの仕組みの中から、ある一定年次に達すると関連企業に転籍する、こういう仕組みになっていたわけです。したがいまして、最近、これをなくしまして、いわゆる一定年次に達したら転籍するという条項をなくしました。ですから、今後は、自動的に行くということはもうないわけです。

 ただ、人材ということでございますので、場合によっては人材を、こういう人が欲しいというときには出すことあり得べし、こういうことだろうと思います。

 それから、関連企業は、元来NHKの一部でございます。したがって、私としては、今おっしゃったような、外に対していろいろ問題があるようなことは、やはり基本的には避けなきゃいかぬのだろうと思います。

 では何ができるかということだろうと思いますけれども、もう一回、この辺は今見直しをしていますので、そういう中で、こういうふうな制作にかかわるような関連企業を今後どういうふうに変えていくかということは、おいおい形をはっきりさせねばならないと思います。

 それから、4K、8K等々の新しい技術でございますけれども、これは、我々は受信料をいただいておりますので、日本を代表してと言っては変ですが、やはりNHKが最新の技術をつくって、これでもって、口幅ったいですが、同業の他社を引っ張っていく、こういう役目もあるのではないかというふうに私は思っておりますので、技術の面については、まさしく今後とも開発を、技術的な新しいことはやっていきたいというふうに思っております。

 今、全部答えたかどうかちょっと自信がありませんが、委員のおっしゃったことについては、大体前向きに考えているつもりでございます。

高井委員 そういった視点も含めて、ぜひ子会社の見直しを行ってください。よろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございます。

遠山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民進党の奥野総一郎でございます。

 きょうは、本来、NHK決算という話でしたので、NHK決算は秋の臨時国会にということだと思いますが、NHKに絞ってお話を伺いたいと思います。

 その前に高市大臣にちょっと伺いたいんですが、舛添問題ですね。地方行政の所管大臣であり、また政治資金の所管大臣でもあるということで、伺わせていただきます。

 会見を見ても、いろいろな問題が出てきています。ヤフオクで美術品を購入したとか、あるいは似顔絵のおまんじゅう疑惑とか、政治資金の問題が出ています。

 それに対して、厳しい第三者の目で見てもらうんだ、こうおっしゃっていますが、ただ、厳しい第三者の目というのは、要するに、自分で弁護士を頼んで、顧問弁護士に、自分で依頼している弁護士に調査をしてもらう、逆に言えば弁護をしてもらうということだと思うんですね。だから、それをやっても、決して物が明らかになるとは思えません。その姿勢自体、いかがなものかと思います。

 また、公用車の使用問題。これは、公用車の使用状況が明らかにされていて、その中でいわゆる不適切使用というのが出てきているわけですね。

 道義的な問題なのかもしれませんが、政治資金の使い方、あるいは税金の使い方、そのあたりについて、大臣、舛添さんをどうお感じになられておられるでしょうか。

高市国務大臣 まず、今、舛添知事が東京都知事としての職務に専念できないような状況であるとしたら、それは、地方自治を所管する大臣として、大変残念なことだと思います。

 ただ、報道などで取り沙汰されていること、また舛添知事が記者会見でまだこれから調べてみるとおっしゃっていることも含めて、総務省は個別具体の事案について調査権を持ちませんので、事実関係についてはわかりません。

 政治資金の収支については、それぞれの政治団体の収支報告書の公開を通じて国民の監視のもとに置かれていますから、その是非など収支報告書の内容に対する判断は、国民の皆様に委ねられるべきだと考えております。

 また、公用車の使用の件等、さまざまな話が出ておりますけれども、これもまた、納税者である都民の皆さん、またそれを代表される都議会の皆様などによって、いろいろこれから明らかにされていく、監視をされていくものであるんだろうと思っております。

 もちろん、知事自身がしっかりと専門家を雇って明らかにしていくとおっしゃっているんですから、その状況を見守りたいと思っております。

奥野(総)委員 個人的意見でいいと思いますが、決して今の状況は、正常な状況である、あるいは都知事として職務をきっちり果たしているとは言えないと思いますが、もう一度、いかがですか。

高市国務大臣 定められた都知事としての職務は全て果たしておられるかどうか、それはわかりません。しっかりと都知事としてやるべきことはやった上で、その上で、やはりみずからの政治資金団体に係る問題でございますから、別途それに対応しておられるのかもしれません。そこのところは、私には断言はできません。

奥野(総)委員 なぜこの話を最初にしたかといいますと、NHKの籾井会長の昔のハイヤー利用問題とか受信料への考え方、これは舛添知事に私はどうも通じるところがあるように思ったので、質問をさせていただきました。会長、ちょっと嫌な顔をされていますけれども。そういった視点で、きょうは少し議論していきたいと思います。

 まず最初に、五月十九日の毎日新聞に、十日の経営委員会の全体会議への出席を急用で取りやめられたとわかった、こういう記事が出ていました。この記事によれば、役員の業績評価を経営委員側から提示された直後のことで、籾井会長以外の査定対象者は全員、報酬を増額するプラス査定だったが、会長だけは標準額に据え置く内容だったというというふうに書かれています。

 会長がいらっしゃらなかったので、これは堂元副会長が同席されていたんですか。まず、堂元副会長からこの記事の事実関係を伺いたいと思います。

堂元参考人 お答えをいたします。

 五月十日の経営委員会の全体会議、合同会議とも言うことがございますけれども、これにつきましては、会長御自身がその直前に、つまり合同会議に入る前に、急用で出席できないという意向が伝わりました。

 実は、経営委員会は、全体会議の前に幾つかの協議の場、意見交換の場というのがございまして、会長御自身は出席されております、私も同席した場面もございますけれども。それをこなした上で、合同会議の前に急用で出席できないということがございましたので、私どもは、執行部側でございますけれども、私を初めそれぞれの役員が当日議題となる案件について説明をし、議事は粛々と進んで終了をしたというふうなことが事実関係でございます。

 以上でございます。

奥野(総)委員 その懇談の場では、少なくともここに書かれているような、C査定ですか、業績評価の査定の内容については示されていて、会長はそれをその場では御存じだったのでしょうかということを伺いたいと思います。

 それからもう一つ、直前に、出席予定だったこうした経営委員会、最高意思決定機関の場ですよね、これを急用で欠席されたというようなことは過去にあるんでしょうか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 前段の部分については、私自身は把握をしておりません。これが事実でございます。内容についてですね。

 それから、全体会議に出席できなかったということでございますけれども、私がこういう立場になってからは、全てを把握しているわけではございませんので、ゼロかどうかはちょっと自信がございませんけれども、そういう認識でございます。

 ただ、いずれにしましても、この経営委員会の全体会議は、議題について会長御自身が発言をするという予定は当初段階ではございませんし、全体会議が始まっても、担当役員が説明をして、適切に対応できたというふうに思っておりますので、私どもとしては、会長がこの場にいなかったことでもって予定された議事が影響を受けたということはないというのが執行部の判断でございます。

奥野(総)委員 ちょっと聞き方を変えてみますが、経営委員会というのは、言うまでもなくNHKの最高意思決定機関の場ですよね。そこに会長が急用だと言って急遽、ドタキャンという言い方をあえてしますが、出られなくなる、そういうことは執行部として、あるいはNHKとして好ましいことだと思われますか。あるいは、副会長として、それをどういう案件かきちんと把握されておられたんでしょうか。

堂元参考人 経営委員会にかかわることでございますので、一義的と申しますか、経営委員会側の判断が一つあるだろうということは一つ申し上げておきたいというふうに思います。

 私の立場は会長を補佐する立場でございますので、会長がいかなる状況になったとしても、その職務を私がしっかりと行うというふうに常日ごろから考えておりますので、当日の経営委員会についても、結果として、私が発言をする場面とか、あるいは発言を求められる場面はございませんでしたけれども、それぞれの担当役員がしっかりと経営委員会の皆様に説明をし、予定されておった議事は終了したということでございます。

奥野(総)委員 今、いかなる事態とおっしゃいましたけれども、お答えいただいていないんですが、いかなる事態かというのは把握されていなかったということですか。

 そして、いかなる事態とは、どういう理由で今回経営委員会を欠席されたかということは、特にお尋ねにならなかったということですね。そこは、どんな理由であれ、会長が休むと言ったら、経営委員会というのは休んでいいものなんでしょうか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 まず、経営委員会のことについては、先ほど申し上げましたけれども、第一義的に経営委員会が判断をされるものだというふうに思っております。

 経営委員会というのは、今御指摘ございましたけれども、NHKにとって大変重要な会議でございますので、私どもとしては全員が出席するのが望ましいというふうには思いますけれども、今回の場合は会長が急用ということで出席を見合わされたということですので、私どもの役割としては、それにかわって私以下執行部が対応することが大事であろうということで、適切に対応した次第でございます。

奥野(総)委員 やはり出席なさるのが望ましいということだと思うんですね。

 今、やはりお答えにならない。急用というのは何かというのはお答えにならなかったわけですが、そこを御存じないまま補佐したということかもしれませんが、だとすれば、私は、むしろきちんと急用の中身をただして、内容によっては出席を求めていくのが副会長の役目だと思います。これは御指摘をさせていただきます。

 今度は経営委員長ですが、欠席されることについてどう思われるか。そして、急用と言いますが、その急用の中身は把握しておられますかというのが一問。

 それから、その急用の中身次第によっては、私は、欠席されたことについて、欠席の理由がある、正当な理由があると判断されたかどうかということを伺いたいと思います。

浜田参考人 その日は急用としかお聞きしておりませんでしたけれども、後日、会長から、やむを得ない急用についての詳細な説明を受けました。

 これ以上の内容については、私からのお答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

奥野(総)委員 それからもう一点、先ほどの件ですが、懇談の場、欠席なさる前に、少なくとも籾井会長御本人には業績評価の中身については伝わっていたんでしょうか。

浜田参考人 お伝えしてあります。

奥野(総)委員 だから、この記事に書いてあるように、業績、それが理由かどうかは定かではないけれども、業績評価の内容はきちんと伝わっていて、伝わった後に急遽欠席になったという事実はあるわけですよね。

 その上で、今度は会長に伺います。

 経営委員長は急用の中身について聞いたと言っていますが、その急用の具体的な中身について、公務なのか、あるいはプライベートなのか。プライベートだとすれば、公務を欠席するだけのきちんと正当な理由があるようなプライベートなことなのか。物によってはそういうのはあると思うんですね、身内の御不幸とかなんとかというのはあり得るかもしれませんが、やはり、先ほど副会長もおっしゃったように、最高意思決定機関ですから、それを急に欠席するというのは私は非常に重い決断だと思うんですね。いかがですか。

籾井参考人 私にも急用が起こるのでございまして、その急用も、やはり公の場で説明できないような急用というのはあるわけでございます。

 そういう意味におきまして、私としては、万やむを得ず、急用が起こったので失礼させていただいた。と同時に、あのとき、全体の会議が予定より大分おくれたんですね。そういう意味もありまして、私は、どうしても合同会議に出席することがかなわなかったということでございまして、奥野委員が考えておられるようなやましいことは何もなくて、純粋に個人的な急用、これは申し上げるわけにはいきませんけれども、そのために合同会議、二十分ぐらいの会議だったと思うんですが、それは欠席させていただいたということでございます。

奥野(総)委員 会見でたしかプライベートと言っておられると承知していますが、これはプライベートということなんですよね。

籾井参考人 英語で言うとプライベートになるのでございましょうか。個人的な急用、日本語で言えばそういうことでございます。

奥野(総)委員 本来、プライベートであっても、よほどの重要な事項がない限り、最高意思決定機関ですから、欠席すべきではない、先ほど堂元副会長のおっしゃられたとおりのことだと思うんですね。それほどの内容だったということでしょうね。

 もう少し具体的にお答えいただけるんだったら、答えてください。

籾井参考人 何度も申し上げておりますように、それほどの急用でございました。

 ただ、私が今ここで、それは何だということを申し上げるようなことではない。重要度を申し上げているんじゃなくて、私にとっては大変重要なことでございますが、パブリックに、私がここで、かくかくしかじかの理由によるということは言えない内容でございます。

奥野(総)委員 ちょっと違う質問をしてみますが、会長車というのは公務、公用にしか使わない、使ったことがないということでよろしいですか。

籾井参考人 公用車というのは基本的にはそういうことだと思いますが、ただ、やはり私の場合には、セキュリティーとかそういうこともいろいろございます。そういう場合にはやはり使わせていただいておりますが、ゴルフには一切使っておりません。そういうことでございます。

奥野(総)委員 今の話だと、もう一回聞きますが、公務以外、私用にも使われることがあるということですね。

籾井参考人 今、個人的な急用というのは個人的な問題だから公用車を使っちゃいけないということだったんですが、私は相当急いでおりましたので、使わせていただきました。

奥野(総)委員 これはやはり舛添問題と一緒だと思うんですよ。それを認めると、例えば、仕事が終わって、じゃ別荘にという話だって、同じような話なわけですよね。セキュリティー上問題があるというんだったら、じゃ、個人的な会食の席まで送らせるということだってあり得るわけですよ。

 今はっきり、個人的な、私の用のために、会長の会長車、公用車ですよね、会長車を使ったとはっきりお認めになられたと思います。

 ずっとこの問題、例のハイヤーの問題もそうなんですけれども、舛添知事だって、きちんと公用車の記録を開示しているわけですよ。何ゆえかといえば、それは税金で運営されているからですね。

 同じように、きょうは決算の場じゃありませんが、受信料で運用されているわけですよね、公用車、会長車というものは。それについては私は開示すべきだと思うんですよ。

 ここで開示を求めたいと思うんですが、会長就任以来の公用車、会長車の運行記録、これを出してください。

籾井参考人 私は、公用車は内規に従って使用しております。

 それから、会長車の運転記録については、やはり報道機関のトップとしまして安全を確保する必要もありますし、今後の事業運営にも支障が出かねませんので、公表することはできません。

 舛添知事のことを再三おっしゃっていますけれども、今の私の問題と舛添さんの問題は関係ないことだと思っております。

奥野(総)委員 いや、全く一緒ですよね。セキュリティーの問題があるといって公用車を使って、私用にも使っているわけでしょう。まさにそこを捉えられているわけですよ。

 舛添知事だって、問題ない、内規にのっとって、同じことを言っているじゃないですか。内規にのっとってやっているから問題ないんだと、同じことをおっしゃっていますよね。

 では、内規にのっとっているから本当に問題がないのか。そうじゃないですよね。やはり税金なり受信料でやっているわけだから、そこは私用には使っちゃいかぬ。少なくとも、不適切使用、例えば公務の先からプライベートに使っちゃいかぬ、そこが問われているわけですよね。ですから、全く違うとは思いません。

 そして、基本、公務とおっしゃいましたが、公務であるならば、相手方のこともおっしゃるけれども、出せるはずなんですよ。だって、現に都知事は出していますよね、運行記録。都知事が出せて、なぜ会長が出せないのか。もう一度伺いたいと思います。

籾井参考人 私は、内規に従って公用車を使っております。

奥野(総)委員 これは水かけ論になりますが、会長車の運行記録の提出を求めたいと思います。理事会で協議させてください。

遠山委員長 ただいまの奥野君の申し出につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

奥野(総)委員 あと、プライベートとおっしゃいましたが、公用車を使うに足る、しかも欠席するに足る、大事な最高意思決定機関を欠席するに足る理由があったかどうか、そこも改めて理事会で伺いたいと思います。

 公の場で言えないというのなら、理事会の場でお話しいただきたい。

遠山委員長 ただいまの件につきましても、後刻理事会で協議いたします。

奥野(総)委員 この問題はこのぐらいにしまして、またいろいろあるんですが、これは西日本新聞の記事なんですね。福岡県の嘉麻市というところがありまして、そこの十周年記念式典に会長が写っているんですね。三月の二十七日に式典が行われて、会長は旧山田市出身と書いていますね、旧山田市出身で、合併した嘉麻市の十周年、名誉市民ですか、特別表彰に行かれたということになっています。

 この記事によれば、旧山田市出身の籾井さんは、地元に帰ったときは今でも旧友と集まっていると明かし、幼少時に盆踊りで歌っていたという小唄を披露した、こう書かれていますが、このときも旧交を温められたんですか。(籾井参考人「何ですか」と呼ぶ)このときも幼なじみの皆さんと、地元の皆さんと集まって、食事とかされたんですか。

籾井参考人 嘉麻市の合併十周年記念に私は特別表彰を受けることになりまして、喜んでお受けさせていただきました。

 市から招待を受けて、私としては、非常にちっちゃな田舎の町ではございますけれども、私自身、やはり田舎の町がもう一度元気になるようにということで、長い間いろいろなことをやってまいりましたけれども、それについて多分表彰していただいたんだろうというふうに思っております。

奥野(総)委員 今お答えになられていませんが、もうちょっと言うと、これは泊まりで行かれたんですか。それから、いわゆる出張扱いで、受信料を使って行かれたんですか、往復。

籾井参考人 私、奥野委員からおめでとうと言っていただきたいくらいの気持ちでございます。こういう田舎の、本当に、炭鉱町で、寂れているところで、いろいろやはり、もう人口も大いに減り、そういうところで、みんな友達が努力しながら桜の木を植えて、毎年四十本、五十本と手作業で埋めてきて、今や何百本となったわけですよ。そういうので私は表彰を受けたので、それはやはり、いろいろ問い詰めるよりも、まずはおめでとうぐらい言っていただきたいと思いますが。

 これは、二十七日は日曜日でございますよね。私は、表彰を受けて、そのために嘉麻市から招待を受けましたと先ほど申し上げましたけれども、その招待に基づいて、お受けして、出張し、泊まり、翌日、表彰を受けてまいりました。

奥野(総)委員 いや、まことにめでたいことだと思います。立身出世されて故郷に錦を飾る、本当にすばらしいと思いますが、自分で、自費で行かれたのなら本当にすばらしい。出張じゃなくてですよ。お泊まりになられたと、ここに、今でも旧友と集まっていると、それもいいと思いますよ。昔の皆さんと思い出話に花を咲かす、それもすばらしいと思う。

 だけれども、ただ一点問題なのは、今、出張でとおっしゃったけれども、本当に出張でいいんですか、それ。

籾井参考人 明確に申し上げます。全部、市が負担していただきました。

奥野(総)委員 往復の新幹線も、それは向こうが払ったということでいいんですね。

籾井参考人 新幹線には乗っておりませんが、飛行機で参りましたけれども、飛行機代も宿賃も全部、嘉麻市が払ってくれました。

奥野(総)委員 公用車も使っていないということだと思いますが、そういうところをきちんとしてほしいんですよね。(発言する者あり)

遠山委員長 静粛にお願いいたします。

奥野(総)委員 それはまた後で嘉麻市の方に私も確認してみたいと思いますが、もし違っているということであれば、後日また問題にしたいと思います。

 時間もなくなってきましたが、経営委員長にちょっと伺いたいんです。

 先ほど、業績評価の話について、この記事のとおりだということになりましたが、例えば、次の会長の選任プロセスがあると思うんですね。経営委員会の側で推薦をして、そこで指名委員会でたしか検討するようなプロセスに前回はなっていたと思うんですが、それについて、その選定プロセスにこういう評価というのは影響するものでしょうか。

浜田参考人 それは、新体制の経営委員会が内規にのっとって粛々と進められることだというふうに思います。

奥野(総)委員 ただ、新体制といっても、多くの委員は残っているわけですし、それはそれなりの評価だというふうに思いますけれども。

 もう一度、業績評価をこういうふうにした理由というのを伺いたいと思います。査定の結果ですね。

浜田参考人 さまざまな議論を経て業績評価をいたしましたということ以上は、人事の中身でございますので、答弁については差し控えさせていただきたいというふうに思います。

奥野(総)委員 もう時間がなくなってしまって、最後に一点だけ。

 以前から要求しているタクシーの不適切使用の問題ですけれども、金額を出してくださいとお願いしていますが、なかなか出てきません。その理由は内規でと言っていますが、その内規というのはきちんと定められたものなんでしょうか。定められたものとすれば、一体いつ定まったのか。不正使用、不適切使用についての公表基準というのはどこに定められてあって、いつ定められたものか伺って、終わりにしたいと思います。

遠山委員長 簡潔に御答弁をお願いします。

根本参考人 お答え申し上げます。

 懲戒処分の公表基準につきましては、平成二十六年の六月に改定して定めております。

 それから、その不適切使用、それから不正使用といったところにつきましては、特段の定めはございません。

 以上でございます。

奥野(総)委員 これは、結局、何の定めもなく出さないと言っているわけ。ぜひこれは出していただきたいと思いますし、出さないということは、不適切使用なる区分をつくって隠蔽しようとしたというふうにしかとられませんので、改めてこれは決算のときにまたやりたいと思います。

 以上です。

遠山委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 本日は、同僚の足立議員にかわりまして質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 さて、平成二十七年度救急業務のあり方に関する検討会報告書によりますと、二〇一四年の救急車による救急出動件数は前年から一・二%増加の五百九十八万四千九百二十一件で、救急搬送人員は同じく一・一%増の五百四十万五千九百十七人と、過去最高を記録したということで、一一九番通報から病院に収容するまでに要した時間も過去最長の三十九・四分となっているということであります。

 通報から医療機関まで平均四十分もかかるという現実、しかもこれが平均値ということでありますから、これ以上にかかる例もあるということで、大変な問題ではないかなと思います。

 きょうは救急業務についてお聞きしたいと思っておりますけれども、この中で、全搬送件数の約一割を占め、一昨年は約五十万件に上ったと報告されている転院搬送について、全国消防長会が昨年六月、転院搬送の適正化を要望しており、患者等搬送事業者の患者搬送車や病院が保有する救急車などの活用を答申しております。

 また、消防庁と厚生労働省は、ことし三月三十一日、全国四十七都道府県に対して「転院搬送における救急車の適正利用の推進について」という文書を発出し、緊急治療の必要性が薄い患者が別の病院に移る際、救急車を利用しないよう求めておられます。

 しかし、救急搬送は実質上消防署の独占業務でもあり、医療機関や民間企業が今後転院搬送を担っていくためには、さまざまな課題が存在するのではないかというふうに考えております。

 まず、救急車の利用と患者等搬送事業についての考え方を伺いたいと思います。

 あわせて、例えば、患者等搬送事業者が搬送中に患者さんの容体が急変するなどして緊急性が高まった場合、途中で消防の救急車に乗せかえるのか、あるいは消防署に向かうのか、または一一九番を通報して、救急車を待って、乗せかえていくことになるのか。いずれにせよ、大きなタイムロスが生じてしまうという懸念もあります。どのように対応するのか、総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 患者等搬送事業は、御高齢の方などの入退院や転院や通院など、緊急性のない場合に事業者が搬送を行うものでございます。各消防本部において事業の実施基準を定めるよう、消防庁から通知をしています。

 その通知の中で、患者の方が搬送途上において緊急に医療機関に搬送する必要が生じた場合には、患者の状況や既往症などを消防機関に通報して、消防の救急車を要請するということにしています。

 ですから、緊急時におきましては、患者等搬送事業者と消防が適切に連携して対応するということになっております。

河野(正)委員 患者等搬送車は緊急車両として認められておりませんが、患者等搬送車を緊急車両として認めることに関して、政府の見解を伺いたいと思います。

掛江政府参考人 お答え申し上げます。

 道路交通法では、緊急走行が及ぼす一般交通への危険性との均衡を考慮した上で、緊急自動車については、一定の場合に車両の通行区分及び通行方法の原則の例外を認めているというところでございます。

 病院間の転院時の患者等の搬送につきましては、緊急性があれば消防機関等の救急用自動車が利用され、また、民間患者等搬送事業者の自動車等が用いられる場合でも、搬送途中に容体が急変した場合などには緊急に医療機関に搬送する必要があるということになりますので、消防機関が要請を受けて、緊急自動車であります救急用自動車が出動することとされているものと承知しております。

 以上のような状況でございますので、緊急走行の具体的な必要性、緊急走行が及ぼす一般交通への危険性との均衡等を考慮いたしますれば、消防機関や医療機関以外の者が使用する患者等搬送車については、緊急自動車として取り扱うのには適切ではないものと考えております。

河野(正)委員 現在、消防組織しか活用できない法令上の規制がある救命救急士を病院間搬送に活用することができないのかという意見がございます。

 患者等搬送事業者の車両は、救急救命士法第四十四条第二項に定める救急用自動車等には含まれておりません。したがいまして、救命救急士は、患者等搬送事業者の車両では、万が一のときに救急救命処置を行えないことになるかと思います。

 また、この法令のために、患者等搬送事業者に雇用されている救命救急士は救急救命士賠償責任保険に加入できないという問題点も生じております。一方で、同じ車両に乗務する場合でも、看護師であれば看護職の賠償責任保険に加入できるということになります。このため、万が一の事故が発生した際のリスクヘッジのために、救命救急士でなく看護師を雇用する企業が多いとも聞いております。

 そこで、お示ししたように、患者等搬送事業における救命救急士の活用に当たっての課題について、消防庁に伺いたいと思います。

 あわせて、救急救命士法で定める救急用自動車等に患者等搬送車を加えれば解消できるとも考えられますが、この点について、同法を所管する厚生労働省の見解を伺いたいと思います。

西藤政府参考人 委員御指摘のとおり、高齢化社会を背景に、救急出動件数は年々増加しておりまして、そのうち一割弱が転院搬送という状況でございます。この中には必ずしも緊急性が高い方ばかりではないという状況もございますので、患者等搬送事業者が病院間の搬送や緊急性が低い傷病者により積極的に活用されるということであれば、真に緊急性の高い傷病者の方々に消防の救急車をより効率的に利用していただくことができるようになるのではないかというふうに考えております。

 ただ、救急救命士法の問題等については、私ども所管外でございますので、答える立場ではございませんので、お答えを控えさせていただきます。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 救急救命士がその業務を行うことができる救急救命士法第四十四条第二項に規定する救急用自動車等でございますが、これは救急救命士法施行規則第二十二条におきまして、「重度傷病者の搬送のために使用する救急用自動車、船舶及び航空機であって、」「医師の指示を受けるために必要な通信設備その他の救急救命処置を適正に行うために必要な構造設備を有するもの」とされてございます。

 御指摘の患者等搬送車がこうした要件を満たすものかどうか、これにつきましては個別具体的な判断を要するものでございますが、仮に要件を満たしていれば救急用自動車等に該当すると考えております。

河野(正)委員 時間もありませんので、次に移りたいと思います。

 患者等搬送事業者を利用した場合の費用がどの程度で、搬送料金はタクシーのように明確に定められているのかどうか、そういったことをお聞きしたいと思います。

 昨今、規制緩和と過当競争の中で、格安バス事業者による事故が大きな問題となっております。患者等搬送事業者には、安全面について、患者さんを運ぶわけですから、より一層厳格な規制措置も必要だと考えます。

 現状はいかがなのか、国土交通省の見解を伺いたいと思います。

持永政府参考人 御説明申し上げます。

 患者等搬送事業、いわゆる民間救急事業でございますけれども、こちらにつきましては、道路運送法に基づく規制に係らしめております。

 安全管理についての御質問でございましたので、その点に限って申し上げますと、一般のタクシー事業と同様に、運行の管理でございますとか車両の整備といったことにつきましてしっかりとしたものを義務づけ、安全の確保を図っているところでございます。

河野(正)委員 あわせまして、患者等搬送事業が都道府県の消防から認定を受ける仕組みがあると思いますが、この制度については、消防庁の見解、御説明をいただきたいと思います。

西藤政府参考人 旅客運送事業等の手続、道路運送法等の手続については国土交通省の所管になりますが、消防機関としては一定の要件を満たす者について認定を行うということになってございます。

 例えば、乗務員については、一定の講習、二十四時間以上の講習を受けていただいた方を乗務員とするといったような資格はございますが、そういったものを受けた要件を満たす方について、各消防機関において認定をいただくということになっております。

河野(正)委員 患者等搬送事業者の搬送用車両というのは、医師、看護師、救急救命士、介護福祉士などの医療従事者が乗務しているのかどうか、また乗務した際の診療報酬等がどのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省としまして、診療報酬上の扱いというところについてお答えを申し上げたいと思います。

 診療報酬は、健康保険法に基づきまして、療養の給付に係る費用を定めるということでございますので、患者の搬送自体については療養の給付には当たらないと整理をしてございます。

 そういう意味では、今委員御指摘ございましたように、患者等搬送車であるかないかということでありますけれども、搬送そのものに診療報酬というものは今評価をしてございませんで、車にお医者さんが同乗して診療を行う場合、その診療について、診療報酬上、救急搬送診療料というものを、要件に従って、該当した場合にはお払いをするという仕組みにしてございます。

河野(正)委員 次に、病院所有の救急車等が病院間搬送を担う際の法令等について伺いたいと思います。

 まず、コストの関係で伺いたいのですが、例えば車両の購入、燃料費、人件費等、極めて高額になってくるわけですが、こういったことも踏まえて、消防の救急車の出動一回当たりのコストがおよそ幾らぐらいなのかを伺いたいと思います。

西藤政府参考人 お答え申し上げます。

 救急車の出動一回当たりのコストについて消防庁としては把握をしておりませんが、各自治体において独自に救急車の出動一回当たりのコストを算出しているところもございます。

 例えば、神戸市において、平成二十五年に作成した平成二十四年度事業別行政コスト計算書によりますと、救急隊出動件数一件当たりのコストは五万八千八十九円となっております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 先ほどもお話ありましたけれども、病院救急車で搬送した際の診療報酬はどのようになっているのか、現状について、もう一度伺いたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 現行の診療報酬におきましては、医師が救急用の自動車などに同乗して診療を行いながら移動した場合には、その診療について救急搬送診療料として評価をし、それに対しての医療費の支払いをさせていただいているところでございます。

河野(正)委員 救急救命士が搬送に従事した際は、救急救命士に救急救命処置の指示をした医師に対して救急救命管理料という項目が存在いたしますが、これが診療報酬上、五百点、五千円だというふうに聞いております。

 病院などの医療機関にとって、自前で救急車を用意しておくということに対してのインセンティブが低くなっているのが現状ではないかなと思います。

 今、診療報酬、伸び行く中で極めて厳しい問題ではありますけれども、このような診療報酬の現状について救急医療という立場からどのように考えているのか、厚生労働省の見解を伺いたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員、今、二つの視点、御指摘いただいたかというふうに思います。

 救命救急士の方に対する評価という意味では、保険医療機関の救命救急士さんが現場に赴いて、医師の指示に基づき必要な措置を行った場合ということで、先ほど御紹介いただきました救急救命管理料という形で診療報酬上の評価をさせていただいております。

 あともう一つ、保険医療機関が保有する緊急用の自動車で、例えば先ほど御指摘いただきましたような転院などをする際に、ドクター、医師が同乗して診察して行った場合というものが別に救急搬送診療料という形で評価をさせていただいております。

 特に、後者の救急搬送診療料につきましては、この四月からの二十八年度診療報酬改定におきましても、新生児とか乳幼児を搬送中に診察する場合、あるいは長時間にわたり診察をしていただいたという場合についての評価、点数を引き上げさせていただいたところでございます。

河野(正)委員 残り時間で、ちょっと話は前後いたしますけれども、看護師不足が叫ばれている中で、救急救命士ということについて、どのように活用していくのかという問題があるかと思います。

 今回の平成二十八年熊本地震においても、救急救命士の方の活躍が報道されているところであります。

 救急救命士の活動範囲について、厚生労働省の見解を伺いたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 救急救命士制度でございますが、もとは、消防職員である救急隊員が傷病者を搬送する途上で救急救命処置を行うことにより救命率を上げることが議論され創設されたという、そのような経緯の制度でございます。

 法律上、その処置は、病院または診療所に搬送されるまでの間に限って行うものとされているところです。

 仮に、救急救命士の職務内容や業務を行う場所を拡大しようとする場合、そもそもの救急救命士の位置づけ、また、医師、看護師との職務分担等について根本的な議論を要するため、有識者の意見を踏まえ、慎重に検討していくことが重要というふうに考えております。

 しかしながら、救急救命士が担う救急救命処置の範囲につきましては、これまでも有効性や安全性の評価を行った上で拡大をしてきておりまして、最近では、平成二十六年四月に、低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与等を救急救命処置の範囲に加えているところでございます。

河野(正)委員 医療従事者の資格と業務範囲につきましては、やはりカリキュラムの問題等々もありますので、慎重に検討をしていただきたいと思います。

 きょうは、救命救急医療の転送の話とかをさせていただいたわけですけれども、病院間の転送には安易に救急車を利用するなというふうに言われるわけですけれども、医療機関だけに責任があるわけではなくて、やはり、消防庁、厚生労働省、国土交通省といった関係省庁がしっかりと連携をして取り組んでいただかなければならないのかなというふうに思います。

 私も病院の理事長をしておりますので、救急車を持っておりますけれども、私どもは精神科ですので、本当に、救命救急処置をたくさんしながら搬送するわけではないんですが、それでも、点滴をつるす棒が必要であるとか、酸素を持っていなければいけないとか、カルテを書くような台を用意しろとか、さまざまな制約があって、かなり救急車というのは高額なものになっていきます。

 一台一台、これは検査を受けて認可を受けていくものでございますので、やはり、そういったことを考えると、こういった救急車の利用方法については、しっかりと検討をしていく課題が残っているのではないかなというふうに考えております。

 それでは、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

遠山委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

遠山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 熊本地震について質問をします。

 私は、今月十六日の予算委員会で、避難所の食事が余りにひどいことを取り上げました。来る日も来る日もレトルト食品、缶詰、パンと御飯、そしてミネラルウオーター。こうした状況が一カ月続いていて、被災者の健康を脅かす状態にあること、直ちに改善を図るべきだということを申し上げました。そして、二十日に内閣府から、「避難所における食生活の改善について」という通知が熊本県に対して出されました。

 そこで、内閣府にお尋ねします。

 どうしたらこの通知に沿った食事の改善ができると考えておられるんでしょうか。政府としてどのように対処されていきますか、お答えいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えをいたします。

 今般の地震によりまして、今もなお多くの方々が避難所等において不安で不自由な生活を余儀なくされておりまして、健康の悪化等も懸念される状況にあると認識をいたしております。

 こうした中、少しでも良好な生活環境のもとで生活していただけるような取り組みの一環といたしまして、内閣府におきましては、国会での御議論も踏まえまして、御指摘のとおり、五月二十日に熊本県に対し、食生活の改善についての通知をいたしまして、十分な配慮をするよう要請いたしました。

 また、この通知も含めまして、これまでに示してきた考え方を市町村の職員を初め現場の方々にしっかりと認識していただくということが重要と考えまして、これにあわせまして、現在も避難所を開設している二十四の市町村がございますけれども、これらに対しまして、これまでの通知文書等を一括して直接送付して周知を図るといった取り組みもいたしました。

 また、日々、熊本県の担当とは電話等でもやりとりをしておりますけれども、そうした中では、熊本県内の避難所におきましては弁当の支給を始めようとするですとか、大規模な避難所を中心に、管理栄養士などによる食事関係の調査ですとか栄養面における改善指導などを実施しようとする動きも出ているということを伺っております。

 内閣府といたしましては、このような動きを後押しし、地域の皆さんやボランティアの御協力も得ながら、食生活改善の取り組みが進み、良好な生活環境の確保された避難所の運営が図られるよう、一層の認識の向上や支援に取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 高市大臣にもお尋ねします。

 自治体の数にして二十一自治体、九千人近い方が避難生活を送っておられます。住む家を失い、そして余震におびえて避難生活をされている方に、やはり意欲の湧く食事というのは非常に大事だと思います。

 今のままだと、塩分過多、そして炭水化物ばかり、これはよくないですよね。よくないから通知を出されたと思うんです。毎日、そして毎食ちゃんと確かめて、検証して、そして場合によっては避難所も訪ねて、現場の自治体職員とも連携をとって、直ちに改善をとっていただきたい。

 私、この間、大臣がおられるところの予算委員会で質問させていただいたあの事態は、先週末も行ってきたんですけれども、大して変わっていません。対処をお願いしたいなと思います。いかがでしょうか。

高市国務大臣 避難所における食生活は、被災者の方々の健康に直結する問題でございますので、その改善は重要な課題だと考えております。

 本日の時点で、九百五十三名の自治体職員が全国から被災地に派遣されていて、避難所の運営支援も含めて対応に当たっていただいております。

 そこで、内閣府の出された通知の趣旨が現場できちっと実施されますように、応援職員の派遣調整を実施していただいております地方三団体に対しまして、総務省からこの通知の内容を周知いたしました。

田村(貴)委員 通知の徹底と通知どおりの実践に、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、熊本地震を引き起こした活断層、断層について伺いたいと思います。

 新たな断層、断層帯の発見が相次いで報告されています。広島大学の中田高名誉教授らの研究グループが、益城町中心部で新たな断層を発見したと報道されています。また、京都大学の林愛明教授らは、布田川断層帯が従来の認識よりも北東に七キロから八キロ長いことを突きとめたというふうにも報じられています。

 お手元配付の資料1でありますけれども、この資料は、国立研究開発法人産業技術総合研究所、産総研による熊本地震に伴う地表地震断層の調査結果であります。この産総研から観測データを受ける政府地震調査研究推進本部にお伺いします。

 この調査では、地表地震断層がたくさん確認されているわけですけれども、この点について御説明をいただけるでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました地震調査研究推進本部の、地震調査委員会においての評価についてのお尋ねでございます。

 まず、地表地震断層でございますけれども、地震の発生時に断層のずれが地表まで到達をして地表にずれが生じたものを言っておりますが、この分布を調べることで、断層運動が地表のごく浅いところまで達している範囲を知ることができるものでございます。

 この調査委員会におきましては、現地調査の結果によりまして、布田川断層帯の布田川区間沿いなどで長さ約二十八キロメートル、及び日奈久断層帯の高野―白旗区間沿いで長さ約六キロメートルにわたって地表地震断層が見つかっている、このように評価をされているところでございます。

田村(貴)委員 今まで私たちに知らされてきた活断層に加えて、新たな活断層がこれから発見される、それが確認されるという可能性もあるということでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 活断層の存在する可能性についてでございますけれども、活断層の可能性につきましては、過去の活動履歴の調査がさらに必要になってまいります。

 熊本地震後に地表地震断層が確認された範囲に新たに活断層が存在する可能性につきましては、過去の活動履歴の調査がさらに必要なことから、現時点で活断層であるか否かといった確定的なことを申し上げることはできないところでございます。

田村(貴)委員 今回の地震を踏まえて、政府地震調査委員会は、ことし予定していた調査を変更して、布田川それから日奈久断層について再調査を行うというふうにお伺いしました。

 その理由と調査の意義について御説明いただけるでしょうか。

白間政府参考人 地震調査委員会におきましては、全国の主要な活断層の調査をこれまでも行っておりまして、その調査結果などを活用して、長期的な地震の発生の確率、また規模などの評価を行ってきております。

 今回の熊本地震では、布田川断層帯と日奈久断層帯のそれぞれ一部の区間の活動によるものと評価をされておりますけれども、この一連の地震活動は、今回活動したと評価される区間の周辺の区間にも及んでおり、引き続き地震活動の推移を注視しなければならない、こういった状況にございます。

 こういったことから、今後の地震活動の長期評価に活用することを目的といたしまして、可能な限り早急に過去の地震活動などを調査して、改めて地震発生確率または規模の評価を行う必要がある。こういったことから、地震調査委員会におきましては、これらの断層帯について重点的な再調査を今年度から実施する予定にしているところでございます。

田村(貴)委員 非常に重要であるということがわかりました。再調査をしなければわからない、そして、調査をしないとその断層がどういう状態であるのかということも、わかりました。

 資料の2は、地理院地図にある航空写真判読による布田川断層帯周辺の地表の亀裂分布図から、南阿蘇村立野付近をとったものであります。

 国土地理院にお伺いをいたします。

 この赤いドットと線の状態になっているところの亀裂というのは、地表地震断層なのでしょうか。御説明いただけるでしょうか。

越智政府参考人 お答えいたします。

 国土地理院では、地震による被害規模の早期把握を行うため、地震の発生後に撮影しました地上解像度約二十センチの航空写真を用いまして、布田川断層帯の周辺を中心に、地震により生じたと推定されます地表の亀裂を判読したところでございます。

 その判読した亀裂には、今回の地震による断層のずれが地表にあらわれたものだけではなく、斜面の崩落等により生じたもの、地震の揺れや地盤の液状化によって生じたものなどがございます。

 そして、航空写真による判読は、発災状況の迅速な把握には有効であるものの、その精度には一定の限界があることや、詳細な現地踏査を行っていないことから、全ての亀裂について、それぞれを、断層のずれが地表にあらわれたものかどうかを明確に区別することは難しいものと考えているところでございます。

田村(貴)委員 それでは、こうした亀裂が地表地震断層であるのか、断層の種類はどう突きとめていくのか、今後これをどうやって判別していくのか、分析していくのかということについて教えていただきたいと思います。

越智政府参考人 お答えいたします。

 亀裂の判読につきましては、航空写真の活用に加えまして、無人航空機、いわゆるドローンでございますが、それが撮影した画像を用いることによりまして、さらに詳しく判読をすることができます。

 例えば、国土地理院が南阿蘇村河陽地区及び黒川地区において判読した事例では、亀裂が平たんな農地や道路を縦断して並んでいるもの、また道路や土手などで明らかに横ずれが起きているもの、あるいは亀裂が幾つも斜めに並んでいるものは斜面の崩落によって生じた亀裂ではないものと考え、地表にあらわれた断層のずれとして判断したところでございます。

 一方、平たんでない場所につきましては、判読されました亀裂が斜面崩壊によるものか地表にあらわれた断層のずれによるものかを見きわめることは容易ではなく、航空写真や無人航空機の画像などでこれらを明確に区別することは難しいと考えているところであります。

 また、その亀裂が活断層であるか否かは、今後、専門家による詳細な調査によって判断されるものと考えております。

田村(貴)委員 今後、専門家による詳細な調査が待たれるといったことが確認できました。

 震度七を二回記録して未曽有の被害が広がった熊本地震。今後の防災のためにも、地震のメカニズムの解明、原因となる活断層、断層群の調査はこれからだ、大変重要であることがよくわかりました。

 そこで、国土交通省に、国土交通省が建設を進めようとしている立野ダムとの関連でお伺いをいたします。

 新たな活断層の可能性が指摘される中で、国土交通省は、これまで、布田川断層帯は立野ダム建設予定地の近くまで連続していないとしてきました。熊本地震の後に活断層等々についての調査は行われたんでしょうか。いかがでしょうか。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 立野ダムにつきましては、まず、従前の現地調査などにより、いわゆる活断層を含めた約二百六十万年前以降に活動した根拠のある断層、すなわち第四紀断層がダム本体直下に通っていないことを確認しています。

 具体的には、布田川、日奈久断層帯の中で最もダム本体に近い北東部に位置する北向山断層がダム本体から約五百メートル離れた位置に存在しますが、しかしながらダム本体方面には向かっていないことを把握してございます。

 さらに、今先生お尋ねございましたとおり、今回の熊本地震の発生を受け、地震発生直後からこれまでに、ダムサイト及び周辺の目視による現地調査、さらにはドローンによる上空調査等を実施してきているところでございます。

 これらの調査によりまして、まず、ダム本体から上流側約五百メートル離れた位置で、既知の北向山断層に沿って、つまりダム本体には向かわない方向に約七十センチメートル程度のずれが生じている、ダム本体部分にはずれは生じていないとの状況を把握しておりますが、これらの状況は先ほど申し上げた従前の調査結果と矛盾するものではないと考えてございます。

田村(貴)委員 今、文科省それから地理院の方から御説明いただいたんですけれども、詳細な調査がやはり現地において行われる、それは一定の日数を要するものだということであります。

 被災後、地震後に、航空写真、それからドローン、目視、これで見た、大丈夫だったと。それで本当に私たちを説得し得ると言われるんでしょうか。納得できるでしょうか。

 資料3は、立野ダム建設現場付近の写真であります。ちょうど左下の部分、ここの部分にダムサイトが建設されるわけなんですけれども、この写真を見ていただいて、えらいことになっているなと。ここに本当にダムなんかつくって大丈夫なのかと、多くの方がこの地震後指摘されています。

 私も、現地まで、まだ下まで入り切れませんけれども、行って本当にびっくりしました。立野ダムの資材置き場や取りつけ道路は、土砂崩れで足を踏み入れることもできません。

 それから、仮排水路の出口付近の重機それから工事車両は土砂に押し潰されているんですよ。これは、あの二回の地震が昼間だったら、国交省の関係者、建設従業員の方、確実に犠牲者が出ていたという状況であります。

 ダムの貯水池を囲む右岸部の柱状節理が崩落しているのもうかがえます。表層の弱い部分を中心に崩落が発生していると国交省もこの間、大臣はお認めになりましたね。崩落している。

 平時でも落下している非常に脆弱な地盤です。この柱状節理に、脆弱だからコンクリートを流し込んでそして強度を高めるというんですけれども、そんなもので本当にコンクリートの塊のダムを両岸から支えられるのか。私は、これは無理ではないか。多くの県民の方がそうおっしゃっています。

 そこで、きょうは宮内国土交通大臣政務官にお越しいただいております。

 多くの科学者や研究機関が、震災後熊本に入って地質調査、断層調査を行っています。新たな活断層の発見も指摘し、そして報道もされています。こうした布田川断層帯の新しい解明が今から望まれるときに、国交省は、そうした知見を無視して、これから工事を続行していこうとするんでしょうか。

 ここは私は政治判断が求められると思うんですよ。ここはやはりじっくり調査をすべきだというふうに思いますけれども、政務官、いかがでしょうか。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 ダム建設に当たりましては、大規模な地震時にもダム本体直下の地盤に段差が生じるようなことがあってはならない、そういう観点から、ダム本体直下に、いわゆる活断層を含めた約二百六十万年以降に活動した根拠のある断層、すなわち第四紀断層が通っていないことを確認することといたしております。

 立野ダムにおきましては、従来の現地調査等によりまして、第四紀断層がダム本体直下に通っていないことを確認いたしております。

 さらに、地震発生後の調査により把握した状況は、従前の調査結果と矛盾するものではありませんでした。

 立野ダムの安全性に問題はないと考えておりますが、今回の熊本地震の規模が大きかったことを踏まえまして、今後、有識者を交えました詳細な調査を行うこととしております。その中で、第四紀断層がダム本体直下に通っていないことについても改めて確認することといたしております。

田村(貴)委員 今、政務官がおっしゃったことの、確認したことは、過去、地震前に確認したことを踏襲しているということと、それから、地震の直後にいわゆる簡単な調査によってまた確認できたというような状況であります。

 そして、今政務官がおっしゃったように、この地震を踏まえて、新たに断層について調査をされる。これは大いにやっていただきたい。しかも、第三者的に、あらゆる知見、それから調査機関をやはり委嘱もして、地震対策本部が委嘱をして、そして専門の調査機関によって調べていただく、これをやっていくべきだというふうに思います。

 それまでは、やはり一旦ダムの建設工事は凍結する、最低限凍結する、そういう立場で臨んでいただきたいと思いますけれども、工事は進めていくんですか。政務官、いかがなんですか。

宮内大臣政務官 立野ダムにおきましては、今後、有識者を交えた詳細な調査を行うこととしておりまして、先ほど申し上げましたように、この中で、第四紀断層がダム本体直下に通っていないことにつきましても改めて確認することといたしております。

 なお、地震調査研究推進本部による調査につきましては、結果が明らかになった時点で、その内容に応じまして適正に対応してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 産業技術総合研究所の吉見雅行主任研究員らの調査グループが、西原村の大切畑ダムとそれから阿蘇大橋との関係において、立野ダム近くに活断層がある可能性が高いといったことを指摘し、報道もされています。

 やはり日本を代表するこの知見にぜひとも耳を傾けていただきたい。そして、全ての事実が明らかになるまでは、こうした危険な建設はやめる、工事は凍結する、そして、ダムをつくるべきではないといったことを私は強く申し上げておきたいというふうに思います。

 時間がなくなりました。被災地におけるアスベストの飛散と暴露防止について質問を予定していますけれども、時間の範囲内でお答えいただきたいというふうに思います。

 壊れたビルとか家屋からのアスベストの飛散のおそれが各方面から指摘されています。

 環境省、厚労省、飛散の状況と暴露の可能性についての認識について、簡単で結構ですので、御説明いただけますか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 熊本地震の被災地におきましては、被災した建築物等の解体、補修工事や瓦れきの処理が行われる際などに、アスベストを初めとする粉じんの飛散、暴露のおそれがあり、対策を適切に行うことが重要でございます。

 このため、環境省では、厚生労働省とも連携いたしまして、ボランティアや住民などが用いる防じんマスクを被災地に送付するとともに、自治体を通しまして、粉じんが多い場所での着用を呼びかけております。

 また、解体工事等におけるアスベストの飛散防止対策の適切な実施につきまして業者を指導するよう、県、市に通知しております。

 今後も、県、市を通じ、暴露防止対策の徹底が図られるように周知していきたいと考えております。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 アスベストを初めとする粉じんの飛散、暴露のおそれがあり、対策を適切に行うことが重要であるというのは、環境省と同様の認識でございます。

 このため、厚生労働省では、当面の対応といたしまして、マスクメーカーの協力を得て、これまでに約八万枚のアスベスト用の防じんマスクを被災地に送付いたしまして、被災者、ボランティア、作業員の方々に配付するとともに、適切な着用を呼びかけておるところでございます。

 今後、解体工事等が本格化してまいりますので、石綿障害予防規則に基づきます事前調査の徹底であるとか、さらには、囲い込み、湿潤化、手作業での取り外しといった飛散防止措置が徹底されますように、解体工事の発注者を初め関係者に対策の徹底を求めていきたいと考えております。

田村(貴)委員 作業員や被災地における住民、ボランティア、全ての人がアスベストを吸い込まないように、暴露がないように、万全の体制と施策を推進していただきたいと思います。

 それから、何よりも調査が大事であります。大気調査を環境省は急いで進めていただきたいというふうに思います。

 それから、マスクの着用についても、徹底と、例えば子供向け、住民向け、こうしたところの改善も必要だというふうに、私この間思ってまいりました。

 必要な申し入れはさせていただいていますので、どうか万全の対策を進めていただきたいというふうに思います。

 以上できょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 きょうは、区画整理事業並びに地方財政について伺いたいと思います。

 住民合意があり、住民の皆さんがなるべく早くと願っている区画整理事業にもかかわらず、三十年、三十五年といった大変長い時間がかかる場合が生まれております。四半世紀にもわたる長期化によって、住民と地域に与える影響を深刻に受けとめていただきたいと思います。

 私の地元の埼玉県蕨市の錦町土地区画整理事業ですけれども、一九八三年に事業認可を受け、八六年から家屋移転が始まり、既に三十三年です。膨大な事業のため、一気に進めることができませんが、この間、一般会計からの繰り入れをふやすなど努力が行われ、道路整備も進んでまいりました。それでも、二〇一六年三月末現在の進捗率は、移転棟数ベースで五九・七%。近年の家屋移転は年当たり二十棟程度にとどまり、残り六百十九棟の移転完了まで三十年以上を要する事態となっています。

 先日、その地域を訪ねてみました。子供が中学生になり、子供部屋を欲しいのに増改築ができない、身体的にも、家計的にも、精神的にも、もう限界だ、うちの地域は最後の最後になりそう、三十年後とは考えられない、この中途半端のまま死んでいくしかないのか、こういう声が出されております。

 さらに、問題なのは、近所の家が古くなり倒れてくるのではないかと心配、行きどまりの道で消防車が入ってこられないのは不安だなど、地域の防災の観点からの不安もふえていることが特徴だと感じました。

 そこで、国交省に伺いますが、このような住民の皆さんの長期化に伴う声は、もちろん認識していらっしゃるということでよろしいのでしょうか。

清水政府参考人 土地区画整理事業についてお答えいたします。

 土地区画整理事業は、公共施設の整備改善と、それから宅地の利用増進、利便性の向上を図る事業でございまして、地域における生活環境の改善や利便性の向上、地域の活性化等に寄与するものと認識しております。

 ただ、このような住民の皆様の願いに対しまして、時間がかかり過ぎてしまいましてということは大変残念なことでございまして、事業がおくれることにより、事業の効果が早期に出せない、地域のニーズに応えられないということ、そういうふうな影響があると考えております。

 また、あわせて、土地区画整理事業は建物の移転や道路等の工事を伴うものでございますので、事業が長引くことにより、住民の皆様のふだんの生活等、そういったものにも影響が及ぶものと考えております。

 したがいまして、国土交通省といたしましても、可能な限り早く土地区画整理事業を進めていくということは非常に住民の皆様の生活にとっても大切なことだと考えております。

梅村委員 今後さらに三十年、四十年と長引かせてはならないという立場に立つということでよろしいでしょうか。確認させていただきたいと思います。

清水政府参考人 お話がございましたように、土地区画整理事業を住民の皆様のためにできるだけ早く進めていくということが非常に重要だと考えておりますので、本当に、一年でも二年でも縮めていけるように努力してまいりたいと考えております。

梅村委員 ところが、この数年、その進捗率が非常に落ちている、ペースが落ちているという不安の声、現状の声を聞いているんですけれども、その要因はどこにあるのでしょうか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 土地区画整理事業、現在、社会資本整備総合交付金という仕組みで国から支援をしてございます。この制度は、地方公共団体にとって自由度が高く、創意工夫を生かせる制度として平成二十二年度に創設されたものでございますけれども、この社会資本整備総合交付金、平成二十二年度からの二カ年、かなり減少いたしました後、現在のところは、予算額がほぼ横ばいで推移しております。

 ですから、区画整理に対します予算もそのような流れでございますけれども、その中で、中心市街地の活性化とか、あるいは公共交通の充実とか、景観とか観光への取り組み等、地域のニーズがさまざまに多様化いたしておりまして、全国的に非常に要望が増加しております。そういったことから、現在、地方公共団体からの要望全てにはお応えできていない状況にございます。

梅村委員 横ばい、要望が高いということですけれども、だからといって、この区画整理事業が、もう二十年、三十年、四十年と待っているわけですから、やはりその進捗がおくれてはいけない。もし足りないのであればやはり確保しなければ、住民の皆さんの人生や、そして地域の防災との関係でも、もう一歩も引けない状況にあるという認識にぜひ立っていただきたいというふうに思います。

 同時に、横ばいということでしたけれども、私が幾つかお話を伺った地元の自治体では、むしろ、この交付率というのが、額も率も下がっているという悲鳴を上げている自治体が大変たくさんありました。

 例えば、地元の蕨市なんですけれども、この交付金は、二〇一〇年度一億六千万円だったのが、二〇一三年度には一億二千二百万円、二〇一四年度には一億円、そして、二〇一五年度にはついに一億円を切って九千三百五十二万円、およそ四割の減少になってきているわけですね。そして、交付率で見てみましても、二〇一〇年度は九〇・三%だったのが、二〇一五年度には三二・七%まで落ち込んでいます。

 それは要求金額が高くなったというような事前のレクチャーでもありましたけれども、若干高くなっているかもしれませんけれども、ただ、実際の交付金そのものがもう一億円を切っているという状況です。それで、その結果、移転の戸数、二十五戸の予定が六戸縮小して十九棟。

 例えば、お隣の川口市なんかでも、里土地区画整理事業については、合併前の鳩ケ谷市時代、国が、県の補助金が減らされてきたことが大きな問題となって、そのおくれの要因だということが議会でも問題になっておりました。

 また、今回、さいたま市の区画整理事業も調べさせていただいたんですけれども、二〇一〇年、総事業費の二〇・七%あった国費が、二〇一四年度には一五・七%ということで、約五%、やはり事業費が減ってきているわけです。

 ですから、横ばいというようなことをおっしゃいましたけれども、もう待ちに待って待っている。特に目新しい、新しい重点施策については今回の交付金が投入されているのかもしれませんけれども、系統的に長年こつこつとやってきた事業こそなかなか交付金が回っていないということが、私は実際にはあるのではないかなというふうに思います。

 それで、全国市長会からも、こういう地方の計画的な事業執行に支障を来すことのないよう、社会資本整備交付金については十分な予算を確保し、適切に配分するよう提言が出されているかというふうに思います。

 それで、予算の限界があるというふうに言わずに、例えばリニア新幹線などは、いろいろな議論がありますけれども、約九兆円も予算がつけられていくということですので、そういう大型公共事業ではなくて、やはり密着型の、毎日の皆さんの暮らしにかかわるものについては本当に予算を確保して、予算のパイをふやして、あと二十年、三十年も待てなんということを住民の皆さんには言わないでほしいということをお願いしたいと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

清水政府参考人 先ほども少し触れさせていただきましたけれども、現在、都市整備に関しましては、中心市街地の活性化とか、それから公共交通、例えば鉄道駅をきれいにしたいとか、バス路線をスムーズにしたいとか、そういったこと、あるいは景観とか観光のためにそういった取り組みをしたいとか、さまざまなニーズがふえておりまして、そういう全体のニーズに対応するためにそれぞれの各事業におきましては交付する額が下がっているということで、地方公共団体の皆さんの要望にはお応えできていない状況にあるのではないかと思っております。

 ただ、先ほどから御指摘いただいておりますように、土地区画整理事業が住民の方の生活に密着した非常に重要な事業であることは認識いたしておりまして、我々もこういう重点的にやるべき事業ということの把握に加えまして、住民の皆様がどのように生活の上でお困りになっているか、あるいはどのようなニーズをお持ちになっているか、そういったこともよく自治体の皆様とともに把握いたしまして、予算等につきましても、そういったところに十分応援していけるように、そういうふうな工夫もしてまいりたいと考えております。

梅村委員 長期化している問題については、国交省としては、いろいろ現地に行って調べたりだとか対応とか、実際にどんなふうにされているのでしょうか。

清水政府参考人 全国、たくさん箇所がございますので、直接行くというのはなかなか難しいですけれども、自治体の皆様からよくお話を伺って把握に努めております。

 残念ながら、蕨の件につきましても、そういった努力が足りなかったのではないかと思っておりますので、今後、市の皆様、そういった方からも実情等をお伺いいたしまして、できるだけ住民の方のニーズ、それから生活への影響等が少なくなるように、我々の方もその支援を工夫していけるかと考えております。

梅村委員 これは、私の地元だけがよくなればいいとかということで質問しているわけではありませんけれども、努力が足りなかったということを今この場でおっしゃっていただいたわけですから、こんなに要求額に対して交付率だとか、金額ももう一億円を切っているという急激な予算の削減になっているわけですから、ぜひ改善を求めたいと思います。こういうことで悩んでいる自治体はたくさんあると思いますので、ぜひ実態を調べていただいて、改善を図っていただきたいというふうに思います。

 それで、この点は地方財政にとっても大変重要な問題になっているというふうに思います。全国市長会からも提言がありますし、先ほど御紹介したように、川口市、もと鳩ケ谷ですけれども、区画整理事業に約四割を一般財源から繰り入れてやってきた。蕨でも一億減ったわけですけれども、その分を丸々一般財源から出して補填をして、住民の皆さんに影響が出ないようにしてきている。

 そして、ある自治体の担当者の方に聞いたんですけれども、計画延長の際に国からは早く進めるようにというふうに指摘をされる、にもかかわらず、進捗を早めるにも見合う交付金がない、市の財政も楽ではない、そして事業が長引けば長引くほど、工事にかかる費用はともかく、人件費や土地や道路などの維持管理費なども余計かかっていってしまうわけで、やはりこういうやり方をしていれば、市の財政もこのままでは立ち行かなくなるという悲鳴がもう上がり始めてきているのではないかなというふうに思います。

 ですので、地方財政のあり方との関係でも、ぜひ総務大臣の方からもここの点での改善を図っていただきたいなというふうに思いますけれども、区画整理事業が大変長期化して四半世紀にもなっているという問題、まちづくりの問題、そして地方財政との関係での御認識をぜひ最後に伺いたいと思います。

高市国務大臣 一般的に申し上げましたら、地元の合意形成が必要な事業というものについては、その合意形成がなされた際には、やはり地方団体ができる限り事業を速やかに実施することができるように、国庫補助負担金などの予算が適切に確保されるということが望ましいと思います。

 今委員が御指摘のようなケースでは、お一人お一人の住民の方々の人生にかかわるような状況が生じているということですので、御質問の土地区画整理事業につきましても、やはりそういったさまざまな現場のニーズをしっかりと踏まえて、まずは国土交通省において社会資本整備総合交付金の所要額をしっかり確保していただくということが望ましいと考えております。

 総務省としましては、国庫補助負担金に伴う地方負担につきましては、適切に地方財政措置を講じることで、地方団体の財政運営や事業の進捗に支障を生じることがないように対応をしてまいります。

梅村委員 三十年、四十年と長引かせてはならないとの立場で、抜本的な交付金の拡充、改善を求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日はもともとNHK決算ということでありまして、NHKに関連しての質問を用意しておりました。ということで、本日はNHKについてお話を伺いたいというふうに思います。

 まず最初に、新しい役員の人事と任務分担についてお聞きします。

 二月にターゲット80だけを担当していた塚田、吉国両専務理事が退任をされ、その業務は、一旦副会長と福井前専務理事に引き継がれた上で、最新の役員担当では、坂本、松原両理事の任務となっております。

 塚田、吉国前専務理事にターゲット80の統括補佐の担当だけが割り当てられた際には、お二人のそれまでの担当業務が大きく変わり、他の理事と比較しても、担当業務が少ないのではないか、こうしたことが本委員会でも取り上げられました。その際、籾井会長は、仕事の量は減っていない、経験豊富な両専務理事に低い支払い率のところを活性化してもらうのだというふうな答弁がされております。

 ところが、お二人が専任で担当してきたターゲット80が、今度は他の業務と兼任という形で、別の理事に引き継がれております。この点について、二月九日の経営委員会でも委員のお一人から疑問が出されていますが、塚田、吉国前専務理事が専任で行っていた業務が今回はなぜ兼務となっているのか、その点について尋ねます。

籾井参考人 お答えいたします。

 支払い率につきましては順調に増加し、ことしはいわゆる三カ年計画の二年目に入るわけですけれども、おかげさまで、衛星割合は一年前倒しで五〇%の目標を達成する見通しになっております。非常に難しい最初のステップをしっかり進むことができたと考えております。

 今回の役員人事は、それぞれの能力や適性を考慮しながら、ターゲット80のことも当然のことながら念頭に置きながら、適材適所で行いました。

 平成二十七年度の地域別の支払い率は、きょう午後の経営委員会に報告した上で公表することにしていますけれども、御指摘の北海道、沖縄、首都圏、関西は、いずれも全国平均かそれ以上の伸びがあったというふうに聞いております。

吉川(元)委員 つまり、一番最初が難しい、だから専任で置いたんだという認識でよろしいんですね。それなりの成果が出ているという認識だということですね。

 では、続いて、木田理事の再任についてお聞きします。

 四月十二日の経営委員会で議論になったようでありますが、任期が来たからという理由で四人の理事が退任する一方、再任された木田理事は、昨年退任して、N響の理事長になられたばかり。その方を一年で再び理事に選任するということについては、普通は考えられないと本田経営委員長代行も意見を述べられております。私も同様の感想を持ちます。しかも、一年間、N響という関連団体でお仕事をされ、この間のアイテックなどの関連団体の不祥事を踏まえ、関連事業統括の担当をされるのかと思うと、放送を統括すると。会長自身も経営委員会の中で、関連事業、これがキーだ、だから呼び戻したんだというふうにおっしゃられましたけれども、実際、その担当にはなっていないわけです。

 会長自身、およそ四年で退任というふうにしてきた理事をわずか一年で今回呼び戻したわけですけれども、その理由について尋ねます。

籾井参考人 放送部門のトップである放送総局長、これにつきましては、今おっしゃったように、去年まで放送総局の理事を務めました木田氏が部内をまとめるのに適任と考えまして、関連団体から専務理事として呼び戻すことといたしました。

 今回の役員人事は、NHK本体と関連団体が一体となったグループ経営を強化するという狙いもありまして、関連団体との交流人事を含め、私としましては、熟慮に熟慮を重ねた上で行いました。

 それから、関連団体から戻ってくるという話につきましては、過去にも例は幾つかございます。

吉川(元)委員 会長が経営委員会の中で、今回、関連企業の強化ということが大きなポイントになっているというふうにおっしゃったんですけれども、それは、関連企業の中でいろいろ不祥事がありました、そういうのを踏まえて木田理事を再任された、関連企業との関係強化ということも含めて再任されたということであるとすれば、担当が違うのではないんですか。

籾井参考人 関連団体の役員人事まで見ていただいたかどうかわかりませんが、やはり私は、今回の人事では、関連団体をきっちりとマネージするということが、我々NHKも含めまして、また関連会社も含めまして、我々にとって喫緊の課題であり、最重要課題であります。そういう意味におきまして、私は、こちら側で、NHK本体で関連事業を担当いたしておりました井上理事をNHKアイテックに派遣したわけでございます。

 加えまして、やはり、放送総局の総局長をやっておりました板野専務理事をNEP、NHKエンタープライズの社長に任命したわけでございます。

吉川(元)委員 いや、私が言っているのは、木田専務理事については関連事業統括というふうになるのが普通なのではないんですかと聞いているんです。まあ、ちょっと時間がないので、もうこれはいいです。

 次に、これも既に当委員会で指摘されておられますけれども、今回、技師長だった浜田理事が退任をされました。その後任ということで、四月十二日の経営委員会の中でこれも議論をされておられます。

 今回の役員人事では、技術系の専門職のトップが技術系の出身者の方ではないということについてかなり異論が出されておられまして、企業でも研究機関でも、技術系の専門職のトップには大体技術系の人を充てている、そういう意見も出されております。これは、なぜ技術系の方をトップに据えなかったのか。経営委員会としては、どうも、会長、副会長に退席を願って、その中で議論した際に、理事の中に技術系出身者がいないことは問題というような結論に達したというふうにもなっております。

 これを受けて、会長は、いろいろ深く考え、善処したいというふうに述べられましたが、この点についてどのようにお考えなんでしょうか。

籾井参考人 委員御指摘の技師長につきましては、今おっしゃったことについて、私も、自然に考えるとそういうふうに考えられるということ、これに対して違和感はございませんが、やはり私は、技師長というのは技術者というよりはマネジメントだというふうに理解しております。

 したがいまして、放送法上、技師長は理事でなければならないという規定はございますけれども、技術職でなければならないという規定はございませんし、本当に、技術集団、数千人おりますけれども、このグループのマネジメントをやるのが技師長であるというふうに思っておりまして、そういう意味におきまして、私は、新しい、いわゆる技術職でない人の技師長というのは問題はない、マネジメントだというふうに思っております。

 加えて、確かに経営委員会で御指摘を受けましたので、私は、二人のいわゆる局長を副技師長にという発令を四月二十五日当日付で行っております。

吉川(元)委員 では、会長に伺いますが、いわゆる4K、8K、試験放送はいつからスタートしますか。

籾井参考人 済みません。技師長の規定は、放送法ではなくて、内規でございます。内規で、技師長は理事でなければならないということになっていますので、そういう意味では要件を満たしていると思っております。

 経営委員会でもいろいろ議論があったことは私も百も承知しておりますけれども、この担務につきましては会長が決めることでありまして、資料等々も事前に送っておりますし、経営委員会と打ち合わせた段取りで行っておりますので、経営委員会を軽視したとか、そういうことでは決してございません。(吉川(元)委員「質問に答えてください」と呼ぶ)

遠山委員長 吉川元君、再度質問してください。

吉川(元)委員 4K、8Kの試験放送はいつからNHKはスタートさせますかと聞いたんです。

籾井参考人 失礼いたしました。

 4K、8Kは八月一日から始めます。

吉川(元)委員 まさにスタートアップじゃないんですか。試験放送が衛星放送でスタートする八月一日、もう目前に迫っています。そのときになぜ技術系の方がトップではないのか。

 先ほど、ターゲット80のとき、立ち上げが非常に重要だというふうにおっしゃられました。今回も、これはまさに、今から試験放送をスタートさせると。そういう意味でいうと、立ち上げの一番重要な時期じゃないんですか。

籾井参考人 先ほど申しましたように、我がNHKには優秀な技術屋さんがたくさんおります。したがいまして、技師長はマネジメントでございます。副技師長二人おります。4K、8Kにも、専門家と言っていいと思いますが、でございますので、八月一日の試験放送開始には何ら問題はないと思っております。

吉川(元)委員 ですから、さっきのターゲット80のときには、立ち上げが非常に重要だから優秀な専務理事を二人つけたんだと、それぞれ担当として。だとするならば、今回だって同じでしょうと聞いているんです。

籾井参考人 営業と技術のことは違うと思います。

吉川(元)委員 まさに違います。だから、技術屋じゃなきゃだめなんだと言っているんです。技術なんです。技術の話をしているんです。技術のわからない人間がトップに立ったらだめでしょう、特に立ち上げのとき。営業と技術については違う、まさにそのとおりですよ。だからこそ必要なんじゃないんですかと聞いているんです。

籾井参考人 先ほども言いましたように、技師長は理事でなければならないという意味は、技師長はマネジメントであるということの言いかえと言ってもいいと思います。

 技術そのものにつきましては、二人の副技師長、これは4K、8Kについて、何ら前任者と遜色もなく、秀でた技術者であるというふうに私は認識しております。

吉川(元)委員 ちょっと時間がないので、次の質問に移らせていただきますけれども、やはり私は矛盾しているというふうに言わざるを得ないと思います。

 次に、原発の報道について、公式発表をベースに伝えることを続けてほしいというふうに述べられた。これも当委員会で以前議論になりました。一体、公式発表というのは何を指しているのか、どのような意図でこれを発言されたのか、尋ねます。

籾井参考人 まず、私の発言は、熊本の大震災のいわゆる災害対策本部での発言の話が、内部の話が外に出ているんだろうと思いますが、私は、そのときに、原発に対するスタンスについて話した覚えは全くありません。

 私は、熊本で起こった大震災、あれだけの大震災ですから、その南にある鹿児島県の川内にある原発について、やはり皆さん心配されるんじゃないかということで、心配をされないように、我々としては静かに事実を報道していこうということを申し上げたわけでございまして、そういうことでございます。

吉川(元)委員 心配しないように、心配しないように報道しているんですか。

籾井参考人 不必要な心配を起こさないように、事実を述べていくということでございます。これは、我々は、現実には、事実に基づいて我々は報道しておりますので、全く同じスタンスで報道しているわけでございます。

吉川(元)委員 心配しないように放送するというのは、それは事実とどのように関係があるんですか。事実に基づいて心配しなきゃいけない事態というのは起こり得るんですよ。福島の原発、まさにそうだったじゃないですか。

 公式見解というのは先ほど答弁されませんでしたけれども、原発事業者あるいは政府、そうした方々の発表が公式発表というふうに別なところで答弁されておられます。福島原発の際には、メルトダウンが起こっても、東京電力は二カ月間、その事実、把握していたにもかかわらず、発表しなかった。

 だとすれば、今、会長が言われるとおりであれば、たとえそれが事実だと思っても、公表しないということですか。

籾井参考人 あれだけ大きな揺れ、十四日、十六日と二回震度七がありました。そういう揺れがあった直後に、原発のことについて何も触れないということは私はだめだということで、原発の影響については、当然、視聴者・国民の関心がある中で、住民の不安をいたずらにあおらないよう、従来どおり、事実に基づいて正確な情報を伝えてほしいという趣旨で述べたものでございます。

吉川(元)委員 事実に基づいて報道するというのは、もちろんそのとおりであります。ところが、会長はそのように言われていないんです。公式発表をベースにしてというふうに言われているから、問題だと言っているんです。

 公式発表と事実、同じなんですか、会長の中では。

籾井参考人 私が申し上げましたのは、九電の発表であるとか、原子力規制委員会の発表であるとか、気象庁の発表であるとか、そういうことを公式発表という意味で申し上げたわけでございまして、何も政府の言っていることをそのまま発表すればいいということで申し上げたわけではございませんし、我々は、報道機関としての自主的な編集権に基づいて、その都度判断して伝えております。

吉川(元)委員 まさに今、政府の発表じゃないですか。違うんですか。原子力事業者はもちろん政府ではないかもわかりませんけれども、まさに政府の発表のとおりじゃないですか。

籾井参考人 先ほどから申しておりますように、九州電力とか、原子力規制委員会であるとか、そういうところの発表を伝えるということでございまして、これは政府でも何でもないと思います。政府がそもそも原発のことを発表するかどうか、ちょっと私は定かではありませんけれども、そういうふうに、その事実を把握している人たちのことを伝えるということです。

 もう一度申し上げますけれども、私は原発に対するスタンスを申し上げたわけではございませんので、この辺はよく御理解いただきたいと思います。

吉川(元)委員 時間がもうあとわずかしかありません。

 今言われていることは、ちょうど会長が就任したときの、右と言っているものを左とは言えないという、あれと全く何も変わっていない。二年半やってきてこれなのかというふうに、もう私は失望を感じざるを得ません。

 もう時間がありませんので、最後に、本当はJアラートの問題だとか、あと文芸春秋の問題もお聞きしようと思ったんですが、これは次回お聞きをしたいというふうに思います。

 最後に、経営委員長に伺いたいと思います。

 経営委員長、今回、経営委員長の職を退任されるということになりました。二〇一〇年に経営委員になられて六年、それから、委員長職務代行になってから委員長も含めて四年数カ月、長きにわたって重責を担ってこられたことについても心から敬意を表したいと思いますし、国会で何度も何度も答弁をされ、大変御苦労、特にこの二年半は御苦労されたことだろうと思います。私も、経営委員長に対していろいろと質問させていただきました。

 今回、退任をされるということで、ぜひ、恐らく衆議院はこれが最後だというふうに思いますし、参議院の方もあるのかないのかわかりませんが、最後に、国会のこの場において、経営委員としての六年、それから委員長職務代行も含めて四年数カ月、この任期、どのように感じておられるのか。

 そして、今後の経営委員、経営委員会、経営委員長、後任の方は恐らくこの後決まっていくんだろうというふうに思われます。経営委員はもう既に決まっておりますけれども。そういう方々に対して、NHKとはどういうものなのか、どういうことを考えていかなければ経営委員会としていけないのかということについて、最後、御発言をお願いしたいと思います。

浜田参考人 この六年間、私は、経営委員として、国会の同意を得て任命されたという重みを自覚しながら職務に当たってきたつもりでございます。特に、平成二十四年九月からは経営委員会委員長として、委員間の真摯な議論を重ねつつ、公平な委員会運営でNHKの諸課題に向き合ってきたつもりでございます。

 しかし、この三年間、NHKの予算が国会で全会一致の御承認をいただけなかったことは大変残念なことだったというふうに思っております。NHKが視聴者・国民の皆様からいただく受信料で成り立っていることを考えれば、この国会の場で厳しい御意見をいただき、予算を御審議、御承認いただくことは大変重要なことだというふうに思っております。

 一方で、通信と放送の融合時代を迎えた今、NHKの中長期的な将来のあり方については、考えなければならない課題がたくさん残っていると考えております。国会においても、そういった諸課題について議論を深めていただく機会があればありがたいというふうに思います。

 私は、御指摘のように六月をもって退任いたしますけれども、NHKには視聴者・国民のためにその役割を果たしていただきたいと思っておりますし、引き続き委員の皆様方の御指導を賜りたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

吉川(元)委員 浜田委員長、本当にお疲れさまでした。

 これで質問を終わります。

遠山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会


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