衆議院

メインへスキップ



第2号 平成13年2月14日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年二月十四日(水曜日)

    午後五時四十五分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 佐藤 剛男君

   理事 根本  匠君 理事 林田  彪君

   理事 石井 啓一君

      大野 松茂君    岡下 信子君

      小泉 龍司君    七条  明君

      砂田 圭佑君    竹下  亘君

      谷田 武彦君    中村正三郎君

      萩山 教嚴君    林  幹雄君

      増原 義剛君    村田 吉隆君

      山本 明彦君    山本 幸三君

      渡辺 喜美君    福島  豊君

      若松 謙維君

    …………………………………

   財務大臣         宮澤 喜一君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       村井  仁君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   財務大臣政務官      大野 松茂君

   財務大臣政務官      砂田 圭佑君

   財務金融委員会専門員   田頭 基典君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  大木  浩君     谷田 武彦君

  倉田 雅年君     岡下 信子君

  中野  清君     林  幹雄君

  谷口 隆義君     福島  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 信子君     倉田 雅年君

  谷田 武彦君     大木  浩君

  林  幹雄君     中野  清君

  福島  豊君     谷口 隆義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 財政及び金融に関する件




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 財務大臣の所信を聴取をいたします。財務大臣宮澤喜一君。

宮澤国務大臣 今後の財政経済政策等の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信の一端として、今後取り組むべき課題等について申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 政府として取り組むべき第一の課題は、二十一世紀の新たな発展基盤を構築しつつ、景気を自律的回復軌道に乗せることであります。

 我が国経済の現状を見ますと、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが継続し、全体としては緩やかな改善が続いております。しかしながら、依然として雇用情勢は厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状態が続いており、公需から民需への円滑なバトンタッチに万全を尽くす必要があります。

 こうした認識のもと、まずは、さきの国会において成立した平成十二年度補正予算の円滑かつ着実な執行に努めております。

 また、平成十三年度予算においては、総額七千億円の日本新生特別枠を活用し、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の四分野を中心に、我が国の新たな発展基盤の構築に資する施策に重点的な予算配分を行いつつ、公共事業について、平成十一年度以降三年連続となる高水準の公共事業関係費を確保するとともに、公共事業等予備費三千億円を計上するなど、自律的な景気回復の実現に向けて十分な対応を行うことといたしました。

 税制については、我が国企業の経営環境の変化を踏まえ、企業組織再編成に係る税制を整備するほか、景気回復に配慮して、新たな住宅ローン減税制度を創設するとともに、中小企業投資促進税制を継続するなどの措置を講じております。また、株式等譲渡益についての申告分離課税への一本化を二年延期するほか、電子計算機の耐用年数の見直しや特定非営利活動法人を支援するための措置等を講ずることとしております。

 なお、一昨年から継続して実施している個人所得課税及び法人課税の減税は、景気の改善に寄与していると考えております。

 第二の課題は、財政の効率化と質的改善を進めることであります。

 平成十三年度予算においては、厳しさを増している財政状況にかんがみ、財政の効率化と質的改善を図るため、次のような措置を講じたところであります。

 まず、公共事業について、個々の事業の徹底した見直しにより、投資効率の乏しい事業を中止いたしました。また、地方財政対策において、新たに特例地方債を発行し、あわせて交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入額を増額する等の制度改正を行うことにより、国、地方を通ずる財政のさらなる透明化を推進することといたしました。さらに、中央省庁等改革を機に、施策の融合化と連携を図る等の取り組みを行ったところであります。

 また、公債発行額については、一方で金融破綻への備えのための国債償還費の手当てを行う必要がなくなったという減要因があり、他方でただいま申し述べました地方財政対策に伴う増要因がありますが、このような状況のもと、可能な限りの縮減を図ることといたしました。これらの結果、平成十三年度の公債発行額は前年度当初予算より四兆二千九百二十億円減額し、また、公債依存度は四・一ポイント減少して三四・三%となる見込みであります。

 しかしながら、平成十三年度末の国、地方の長期債務残高が六百六十六兆円に達する見込みであるなど、我が国財政は依然として極めて厳しい状況にあり、今後、我が国が安定的に発展するためには、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題であります。

 財政構造改革に当たっては、あるべき経済社会の姿を展望しつつ、望ましい税制の構築や社会保障制度改革、中央と地方との関係まで幅広く視野に入れて議論していく必要があると考えております。今後、経済財政諮問会議などの場において、ただいま申し述べました問題意識も念頭に置いて、経済、財政の構造改革に向けた諸課題について検討を行ってまいります。

 第三の課題は、世界経済の安定的発展に貢献することであります。

 経済のグローバル化が進む中で、自由かつ公正な国際経済社会の実現やその安定的発展に向けて、世界経済の中で大きな地位を占める我が国が主体的な役割を果たすことが求められていることは論をまちません。アジア通貨危機の経験から、我が国がアジア地域との連携を強化し、その経済安定に積極的に寄与していく必要性も一層高まっております。このような認識のもと、国際通貨システムの安定に取り組むとともに、昨年五月にASEAN諸国及び日本、中国、韓国の財務大臣間で合意されたチェンマイ・イニシアチブの推進等、アジアにおける地域協力の一層の強化に努力してまいります。

 また、多角的自由貿易体制の維持強化の観点から、我が国は、WTOにおける新ラウンドの早期立ち上げのため引き続き努力してまいる所存であります。あわせて、これを補完する観点から、二国間の自由貿易協定にも取り組むこととし、現在、シンガポールとの間で、本年末までの終了を目指して協定交渉を進めております。さらに、平成十三年度関税改正において、開発途上国からの輸入品に対して低い関税率を適用する特恵関税制度の改善等を行うこととしております。

 次に、今国会に提出しております平成十三年度予算の大要について御説明いたします。

 まず、歳出面については、一般歳出の規模は四十八兆六千五百八十九億円となり、前年度当初予算に対して一・二%の増加となっております。これに地方交付税交付金等及び国債費を加えた一般会計全体の予算規模は八十二兆六千五百二十四億円、前年度当初予算に対して二・七%の減少となっております。

 次に、歳入面のうち租税等については、さきに申し述べました税制改正を盛り込み、五十兆七千二百七十億円を見込んでおります。

 公債発行額は、前年度当初予算より四兆二千九百二十億円減額し、二十八兆三千百八十億円となっております。特例公債の発行については、別途所要の法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。

 財政投融資計画については、財政投融資改革の趣旨にのっとり、資金の重点的、効率的な配分を図ることとしたところであり、その規模は三十二兆五千四百七十二億円となり、前年度当初計画に対して一五%の減少となっております。

 以上、財政政策等に関する私の所信の一端を申し述べました。

 なお、既に本国会に提出したものを含め、今後御審議をお願いすることを予定しております財務省関係の法律案は、平成十三年度予算に関連するもの四件、その他一件、合計五件であります。また、その他に議決案件が一件ございます。今後、提出法律案等の内容につきましては、逐次御説明することとなりますが、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。(拍手)

山口委員長 次に、金融担当大臣の所信を聴取いたします。金融担当大臣柳澤伯夫君。

柳澤国務大臣 今般の中央省庁再編により、金融システム全体に対して一元的に責任を持つこととなりました金融担当大臣の柳澤でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 第百五十一回国会の冒頭に当たり、現下の金融行政について一言申し述べさせていただきたいと存じます。

 まず、我が国の金融システムの現状について申し上げます。

 金融再生法に基づく破綻金融機関の迅速な処理や早期健全化法に基づく公的資本増強の実施等に加え、金融機関に対する厳正な検査監督等により、不良債権の処理や金融機関の再編等も進んできていることから、我が国の金融システムは、一時期と比較して格段に安定性を取り戻してきております。景気回復の足取りがなお本格化しないこと等から、不良債権残高は横ばいで推移しておりますが、各金融機関は引き当てなど適切な処理を行っており、金融機関の健全性についてかつてのような問題があるわけではないと考えております。

 次に、当面の金融行政の課題についてでございますが、1平成十四年四月のペイオフ解禁を控え、さらに揺るぎのない金融システムの構築、2金融機関がみずからの経営判断により創意工夫を発揮し高収益を目指すことを可能とするための環境整備、3健全な中小企業や次代を担う新規産業等に対する円滑な資金供給を可能とする金融市場の多様化、活性化等、4国民が高度で多様な金融サービスの便益を安心して享受するための枠組みの整備等が重要であると考えております。

 このような課題を解決することによって、利用者にとって一層利便性が高く、かつ国際的にも重要かつ安定的な地位を保持し、新世紀の経済をリードする金融のインフラの整備を実現することが可能となると考えております。

 金融庁は、新しい行政手法の理念のもとで、市場規律と自己責任原則を基軸とした明確なルールに基づく透明かつ公正な行政を遂行してまいりました。私としては、今後とも、この方針を堅持するとともに、これまで金融再生委員会が積み重ねてきた実績や方針も引き継ぎ、また金融制度の企画立案機能を十分発揮することにより、我が国金融システムの安定と活性化に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

 最後に、本国会に提出を予定しております銀行法等の一部を改正する法律案のほか、証券決済システム改革に関して提出を検討しております二件の法律案につきまして、御説明させていただきます。

 前者は、異業種による銀行業等への参入など、我が国金融の新たな動きに対応するため、主要株主に関するルール整備を行うとともに、規制緩和等を行うものであり、後者は、社債等について、その決済の迅速化及び確実化を実現するため、効率的な振替決済制度の創設等を行うものであります。法律案の詳しい内容につきましては、今後、改めて御説明させていただきますが、当委員会の委員長及び委員の皆様におかれましては、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。(拍手)

山口委員長 以上で両大臣の所信表明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十八分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.