衆議院

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第12号 平成13年5月25日(金曜日)

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平成十三年五月二十五日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 奥山 茂彦君

   理事 佐藤 剛男君 理事 根本  匠君

   理事 五十嵐文彦君 理事 海江田万里君

   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君

      大野 松茂君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    七条  明君

      砂田 圭佑君    竹下  亘君

      竹本 直一君    中野  清君

      中村正三郎君    林田  彪君

      牧野 隆守君    増原 義剛君

      山本 明彦君    山本 幸三君

      渡辺 喜美君    江崎洋一郎君

      岡田 克也君    河村たかし君

      小泉 俊明君    佐藤 観樹君

      中川 正春君    長妻  昭君

      原口 一博君    日野 市朗君

      松本 剛明君    谷口 隆義君

      若松 謙維君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    植田 至紀君

    …………………………………

   財務大臣         塩川正十郎君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   財務大臣政務官      中野  清君

   財務大臣政務官      林田  彪君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    尾原 榮夫君

   政府参考人

   (国税庁次長)      大武健一郎君

   財務金融委員会専門員   田頭 基典君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  岡田 克也君     佐藤 観樹君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 観樹君     岡田 克也君

    ―――――――――――――

五月二十五日

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第二八号)

 短期社債等の振替に関する法律案(内閣提出第九六号)

 株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九七号)

 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第九九号)

同日

 不良債権処理のルールの確立、金融トラブル解決の第三者機関設置の立法化に関する請願(石井紘基君紹介)(第二〇九七号)

 同(枝野幸男君紹介)(第二〇九八号)

 同(菅直人君紹介)(第二〇九九号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第二一〇〇号)

 同(萩山教嚴君紹介)(第二一〇一号)

 同(山口富男君紹介)(第二一〇二号)

 同(渡辺喜美君紹介)(第二一〇三号)

 同(砂田圭佑君紹介)(第二一四三号)

 同(徳田虎雄君紹介)(第二一四四号)

 同(松沢成文君紹介)(第二一四五号)

 同(大石尚子君紹介)(第二一六〇号)

 同(大谷信盛君紹介)(第二一六一号)

 同(熊代昭彦君紹介)(第二一六二号)

 同(小泉俊明君紹介)(第二一六三号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第二一六四号)

 同(城島正光君紹介)(第二一六五号)

 同(鈴木淑夫君紹介)(第二一六六号)

 同(石井一君紹介)(第二一七九号)

 同(石毛えい子君紹介)(第二一八〇号)

 同(宮澤喜一君紹介)(第二一九四号)

 同(横光克彦君紹介)(第二一九五号)

 納税者権利保護規定の法制化に関する請願(阿部知子君紹介)(第二一一六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二一一七号)

 同(五十嵐文彦君紹介)(第二一一八号)

 同(石井郁子君紹介)(第二一一九号)

 同(石井紘基君紹介)(第二一二〇号)

 同(小沢和秋君紹介)(第二一二一号)

 同(大幡基夫君紹介)(第二一二二号)

 同(大森猛君紹介)(第二一二三号)

 同(木島日出夫君紹介)(第二一二四号)

 同(小林守君紹介)(第二一二五号)

 同(児玉健次君紹介)(第二一二六号)

 同(五島正規君紹介)(第二一二七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一二八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二一二九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一三一号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第二一三二号)

 同(中林よし子君紹介)(第二一三三号)

 同(原口一博君紹介)(第二一三四号)

 同(春名直章君紹介)(第二一三五号)

 同(不破哲三君紹介)(第二一三六号)

 同(藤木洋子君紹介)(第二一三七号)

 同(松本善明君紹介)(第二一三八号)

 同(松本剛明君紹介)(第二一三九号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第二一四〇号)

 同(山口富男君紹介)(第二一四一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二一四二号)

 同(木島日出夫君紹介)(第二一五四号)

 同(小泉俊明君紹介)(第二一五五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二一五六号)

 同(春名直章君紹介)(第二一五七号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第二一五八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二一五九号)

 同(石井一君紹介)(第二一七七号)

 同(五島正規君紹介)(第二一七八号)

 同(中川正春君紹介)(第二一九二号)

 同(長妻昭君紹介)(第二二三四号)

 消費税の大増税に反対、税率を三%に引き下げることに関する請願(児玉健次君紹介)(第二一八九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一九〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二一九一号)

 消費税の大増税に反対、食料品の非課税に関する請願(大森猛君紹介)(第二一九三号)

 中小自営業の家族従業者等のための所得税法の改正等に関する請願(中川智子君紹介)(第二二三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 税理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)(参議院送付)




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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、税理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長尾原榮夫君及び国税庁次長大武健一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。

佐藤(観)委員 大変短い質問時間でありますので、経過はなるべく省いて質問をさせていただきたいと思いますので、答弁の方も、その点をよろしくお願いします。

 参議院の財政金融委員会におきましても、あるいは当委員会におきましても、委員の方からございました許可公認会計士制度の廃止の問題についてであります。

 これは私も五十五年の税理士法改正のときにタッチをしてきたわけでありますけれども、間を詰めて言えば、許可公認会計士制度を平成十七年の三月三十一日をもって廃止するというこの積極的な理由は何なんだろうか。これは単なる税理士会、公認会計士会の問題というよりも、どうも見ていますと、法体系自身がかなりぎくしゃくといいましょうか、乱れているんじゃないかという気が私もしてきたのであります。五十五年改正のときには随分テーマがいろいろありましたから、逐一私も見ていたわけじゃないんですけれども。

 そういう意味で、例えば、本年四月五日の参議院の財政金融委員会におきます大武次長の答弁では、いろいろなことを言っていらっしゃるけれども、尽きるところ、税理士の税務相談、これを税理士会を中心にして今一番忙しいときに御苦労をいただいているわけでありますけれども、ここのところが公認会計士の協会の方ではそういう対応になっておりませんので、強いて積極的に言えばそこなのかなと考えざるを得ないのでありますけれども、この許可公認会計士制度廃止を十七年にするという積極的な理由というのは何ですか。

大武政府参考人 それではお答えをさせていただきます。

 それこそ、先生が一番お詳しいように、税理士会の問題というのは、税理士の使命、職責、そういうものにかんがみまして、税理士の義務の遵守あるいは税理士業務の改善、推進に資するために、会員である税理士に対する指導監督に関する事務を行っておりまして、その目的を遂行するために、いわゆる登録即入会制度というのが採用されたわけでございます。

 こうした制度にかんがみますと、公認会計士さんも、税理士登録をすればいわゆる税理士業が当然のことにできるわけですが、逆に、税理士登録をいたさないということになりますと、実は税理士会が行います研修に参加できないという問題が一つはございます。やはりこれからは、企業会計含めて、極めて、あるいは税務も連結納税とかそういう話になってくる。研修にやはり参加いただきたいというのが一つ。

 それから、今先生も言われましたとおり、税理士がまさに無償独占でございますから、無料の税務相談等の税務援助事業に参加する義務がないという意味では、やはりこの際、使命、職責の遂行に欠けている面があるんじゃないか。あるいは、税理士会による監督等の権限が及ばないものですから、我々国税庁が名簿等を管理するというようなことになっている。

 こういうようなことから、我々としても、やはり登録即入会の実を上げるために、今回、当分の間というところを廃止させていただいて、先生言われた十七年の三月末で切るという形にさせていただいて御提案させていただいたということでございます。

佐藤(観)委員 結局、行政の効率化、簡素化、あるいは行政がなるべくそういった独自の会に対して規制を緩和していこうという全体的な流れからいいますと、どうも今、次長の話は、自分の懐の中に入れておきたいという感じがしてならないのであります。

 公認会計士は、税理士法において、その資格として税務もやれるということに、詰めて言えばそういうことになっているわけであります。これは、公認会計士の場合には、今でいえば金融庁が監督機関。そして弁護士さんも、当然のことながら税務ができますね。これは法務省の管轄ですよね。管轄といっては悪いか、監督官庁ですよね。

 そういうことからいいますと、今出てきたのは、結局、税務の研修の問題と税務相談の問題。じゃ、もし今次長が言うことならば、その協会におのおのやってもらえばいいんじゃないですか。どうもひとつ、国税庁の懐のもとに全部入れておこうというあり方、方向性というのは、今申しました行政によるところの監督というのはできるだけ少なくしていこう、そういう全体の流れからいうとおかしいのではないかというふうに私は思うのであります。

 このことは、別な言い方をすれば、税理士法の第三条で、税理士になる資格を持っている者の中に弁護士も入り、公認会計士も入るわけでありますから、したがって当然のことながらそこのところの税務はできるわけでありますので、本来なら、私は通知というのもおかしいと思うんですよね。資格を持っている者が、何で役所に通知をしなきゃいかぬのか。役所から資格をもらって、正確には資格じゃないけれども。

 業務をやることを許されている権限を持っているわけでありますから、本来なら私は通知というのもいかがなのかなと思いましたが、いろいろ経過を経て許可公認会計士制度ということになっているわけでありますけれども、もし、今次長が言うように、研修の問題と税務相談の問題ということのためにこの許可公認会計士制度というのを廃止するというんだったら、それは今度、おのおの協会があるんですから、そこに、協会で研修なりあるいは税務相談にも参加をしてもらうというふうにしていくのが、法の体系からいって私は極めて滑らかなんじゃないかというふうに思うのでありますが、その点、いかがでございますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今申された点で、まず、行政庁の立場からいたしますと、登録即入会ということから考えますと、公認会計士さんも許可公認会計士の場合も、実は、行政庁において名簿を管理するという意味では監督はさせていただくという形になっています。それから、弁護士さんも通知弁護士も、国税庁が監督はするという点では、今度の改正においてその点は変わっていないのでございます。むしろ、日本税理士会のいわば監督の中に入るというところが今回の改正の趣旨かと思います。

 そういう意味で、申しましたように、日本税理士会として自主的に税理士の使命というのを果たしていくためには、やはり日本税理士会の中で、自治といいますか、やっていくという観点でむしろ登録即入会という制度をおつくりになったということだと存じまして、その趣旨からいたしますと、我々国税庁という税理士さんというのを見る立場からは、むしろ弁護士さんについても税理士会に加入していただきたいというのが本旨でございます。

佐藤(観)委員 だから、私言いましたように、あなた方国税庁の立場から税理士業務ということをやる限りは、なるべく役所として一元化したいという気持ちはわからぬわけではない。しかし今、全体の流れは、なるべく自主的にやれるところはやっていこう、いわば行政によるところの規制緩和と申しましょうか、そういう流れの中にある。恐らく弁護士の方々も、今通知制度でありますけれども、通知した場合には、あるいはこれはその後許可ということになるのかどうか今次長の発言ではよくわかりませんけれども、おたくの方で管理をするというあり方自体は、行政の全体からいっておかしいのじゃないか。

 つまり、改めて言うまでもありませんけれども、公認会計士の方あるいは弁護士の方というのは、試験をせずに税理士になれるという資格を税理士法において法律上定めておるわけですね。そういったことからいいますと、何が何でも全部国税庁のもとで一元管理をするというあり方自体が私はおかしいのじゃないか。確かに三省にまたがり、名簿は、通知をした場合、あるいは許可をされている方々についてはあなたの方で管理をしておりますけれども、そのあたりは、私は、何でも国税庁のもとでなければいかぬというのはおかしいのじゃないか。

 ちょっと角度を変えて聞きますけれども、今の税理士法では、御承知のように弁護士は通知をして税務業務をやるということになっている、これは今度改正はありませんね。公認会計士のところだけ、今度は平成十七年の三月三十一日まででありますけれども、それ以降は許可公認会計士制度というのは廃止をするということになっている。ここで、弁護士と公認会計士、この二つがそういう差があるというのはどういうことでございますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御存じのとおり、弁護士に関しましては、弁護士法の第三条で、「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」と規定されております。それに対しまして、公認会計士につきましては、公認会計士法ではそのような規定はございません。むしろ、税理士法の中で、先生言われましたとおり、弁護士とか公認会計士さんは税理士業務ができる、こういう規定になっているという意味で、技術上の違いが一つございます。

 その背景をあえて考えてみますと、税理士の業務というのは、実は二つの資格で成り立っています。一つは法律、税法のプロである、もう一つが企業会計のプロである、いわゆる税務会計のプロである、こういう点なんだろうと存じます。ところが、税理士法上、無償独占はどこにあるかというと、税務会計のところはだれでもできる。これは御存じのとおり、計算センターとか、だれでもできる業務。どこが独占かというと、実は税法の解釈、そこのところだろうと存じます。

 そういう意味では、法的に、弁護士さんは法律家である以上、いわば税法も含めてそのプロであるという意味で、弁護士法の中で当然できるという御規定を置かれたのだと存じます。それに対して公認会計士さんの方は、監査という独占業務をお持ちでございますが、他方、今言った企業会計なり税務会計というのはだれでもできる業務なものですから、その部分は、公認会計士さんの法律の中では、税法といういわば無償独占のところは公認会計士さんの専門という意味では規定されていないものですから、そこで外されているのだろうと存じます。そういうことから、もともと両者の中に扱いの相違があったということだと存じます。

佐藤(観)委員 私も、その法律論の前提を知らぬわけではありません。しかし、実際には公認会計士さんも、現状においては、許可を求めれば税務ができることになっている。しかも、公認会計士になるには、税関係の法律もかなりいろいろとやっていらっしゃる。

 今の法律論を盾にいきますと、許可公認会計士が税務をやっているのはおかしいのではないか。あなたの言う今の法律論の延長からいうと、弁護士は弁護士法で定められているからできるのだ、公認会計士法では書いていない、税理士法で書いてあるからできるんだということになりますと、今そこに法律上の差異ということを認めるということになると、一体何人いらっしゃるか知らないけれども、税理士の業務を公認会計士に頼んでいるというのは、あなたの今の法理論の延長からいうとおかしなことになるのじゃないでしょうか。その理論をそのまま延長していくということになると。

 実態的には、戦後、二十三年ですから、二十三年からずっと公認会計士の方も税務業務をやっているわけですね。だから、むしろ、あなたの言うことを逆にとれば、公認会計士法の第二条の公認会計士の業務という中に税務ということもちゃんと書けば、一番法律体系自体がきれいになっていくのじゃないでしょうか。私は、むしろその方が法体系としては整ってくるというふうに思うのであります。

 業務の一元化をしたい立場からいいますと、いわば全部国税庁に集めたいということなのかもしれませんが、私はつくづく思ったのでありますけれども、いやしくも法律にやることが許可されているものを制限するのは、よっぽど積極的な何か理由がなければ、制限することじゃないと思うのです。してはいけないことだと思うのです。しかし、現実には、許可をとりなさい、あるいは法人の場合には二十件までですよ、個人の場合には十件までという量的制限もされているわけですね。

 なぜこういう量的制限ができたかというのは、私も、昭和五十五年の改正で、公認会計士の方で税務をやっていらっしゃる方がそんなにいなかったので、このあたりでひとつ、そういう方は許可でいいですよ、許可公認会計士でいいですよということになった経過は知っております。経過は知っておりますが、片方で許可公認会計士制度をなくすということになると、今度、法律論が、あなたの言った法律論のほかに、何で、自分たちは資格を持っているのに、二重に登録をしないと業務ができないのかという問題に入っていかざるを得ないわけであります。

 そういった意味では、むしろ私は、法律的に全体を整えるならば、公認会計士法の第二条の公認会計士の業務の中に、税務業務をできるということをちゃんと書いた方が全体が整う。資格を持っている者を制限するということは、よっぽど合理的な理由がなければやるべきではない、こう思いますが、いかがでございますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生も御存じのとおり、登録事務というのは、もともとは国税庁が行っていました。ところが、税理士会の自治ということで、登録事務は日本税理士会がやるということになりまして、そうなったときに、入会とが一緒になって、登録即入会になったという経緯がございます。

 したがいまして、今国税庁が名簿を持っていますのは許可公認会計士さんと通知弁護士さんの部分だけで、むしろ我々としては、日税連にお渡しするということは、監督としては間接になるということなんでございます。

 むしろ、今回の改正の趣旨というのは、日本税理士会の自治といいますか、それを考える観点からは、やはり税理士業をやる以上は全員日本税理士会に入っていただきたいというのが我々の思いではあります。それは、国税庁というより日本税理士会の自治という観点から必要なことだと考えています。

 しかし、先ほど申したような意味で、法律的な差異があるので、やはり今回公認会計士さんのところを、もともと公認会計士さんは日本税理士会に入れば税理士業ができるわけでございますから、従来の改正で当分の間認めた許可だけで済むというところは、むしろ御遠慮いただくというのが筋かなと思ったと。

 もう一つ背景として申し上げれば、実は、公認会計士さん、現在一万二千人ぐらいいらっしゃるのですが、御存じのとおり、そのうちの五千五百人の方は、税理士会に登録されて、いわゆる税理士としてやっておられるという実態もある。その一方で、弁護士さんというのは、今の現状では、実質上弁護士という業務から税理士をやっておられるのは三百人ぐらいしかいらっしゃらず、しかも、多分、本当の意味での税理士活動というよりは、ほとんど弁護士が主体でやっておられるという意味では、具体的な日税連としての障害も少ないということが改正の要望書をまとめる段階の背景にあったのかと存じます。

佐藤(観)委員 私が言っているのは、一つは、あなた答えていないけれども、公認会計士法を変える方が法全体は整うのじゃないかということ。

 それから、田舎のと言ってはいかぬのだけれども、地方の都市に行って、公認会計士の資格を取っても、仕事はありませんよ。監査なんかを求めるような企業がないところは全国幾らでもあるわけだから。そういう方は事実上税務はほとんどやっていらっしゃるわけでありまして、そういった方々が実態的には税理士会に入って活動をするということ、それはそれで、とりあえず今のところ、本人の選択なんだから別に構わないと思いますけれども、法全体からいいますと、資格があるのにもう一つ会に入ってやらなきゃいかぬという、そのことがおかしいのじゃないですかということを申し上げている。

 もう一つは、弁護士のことも言われましたが、今度の改正の中に、税務訴訟の場合の訴訟代理人に税理士さんを入れていらっしゃる。

 これは、ある意味では、あなたも言われたように、法律全般を弁護士は扱うから弁護士法でできるのだということを書いておる、こう言っておられましたが、実態的に、あなたが実態と言うから言うけれども、弁護士さんもいろいろ周辺にいらっしゃるから、どれだけかは税務業務をやるのは知っています。しかし、今お話があったように、法律全体を扱うといっても弁護士さんの場合には税務専門という方が、いないわけじゃないけれども、余りこれはいらっしゃらない。

 ところが、公認会計士の場合には、確かに法律全体ではないけれども、税務とか会計とか簿記とか会計学とか、こういった面では弁護士さんと公認会計士とどちらが近いかといえば、公認会計士の方がむしろ、その道で当然それなりの勉強もして試験も受けてこられているわけですから、プロなわけですよ。なるがゆえに、税理士法におきまして、税理士になる資格のところで、公認会計士、弁護士を特別に扱っているわけでしょう。

 そういったことからいうと、補佐人を今度の中で設ける、このこと自体は私はいいことだと思うのです。納税者にとりましていいことだと思うのでありますけれども、弁護士とて、法律全般を扱うといったって、こう言っては失礼ですが、形式上はできることになっているけれども実務的には、やはり実務の場合には余りありませんから、したがって補佐人をいざ裁判になればつけるということがされるということなのでありまして、何もすべてが完璧なわけじゃないですよ、実態的に言えば。法律の建前は別にいたしますが。だから補佐人ということが出てきたわけでしょう。

 そういうことからいいますと、公認会計士の方が実際に金銭にまつわる話というのははるかに近いわけでありまして、そういった意味で、弁護士法でそう書いてあるのだったらむしろ公認会計士法にも書く。登録するかしないかなんということの問題じゃなくて、法律で許し、かつ実態的に税務をやることも許しているわけでありますから。それを一元的に、管理という言葉がいいかどうかはわかりませんが、そういう方向に持っていくのはおかしいのではないか。

 私が何でこれにこだわるかというと、税理士会の問題とか公認会計士会の問題じゃないのですよ、これは。性格は全く違いますけれども、今度のハンセン病でも、国会のあり方、国会の法律に対する対応の仕方、このことが問われております。繰り返しますが、問題の性格は全く違いますけれども、今まで来た法律論の建前の延長線上だけでいいますと、私も、税務行政、税務が、納税者がどれだけ、どういう方々にかかわっているかというのも全体的に知らぬわけじゃありませんけれども、片方では廃止をすると言われますと、これは法全体の体系がおかしいのじゃないか。

 むしろこれは公認会計士法の、先ほど言いました第二条の業務の部分のところを書き直した方が、法律体系全体からいうと正しいあり方ではないか、こういうふうに勉強するごとに思いますので、ひとつ、三つ答えてください。今質問したことに、たしか三点ありますけれども、答弁を。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 ちょっと三点というのが明確に区分がわからなかったので、誤っておりましたらお願いしたいと存じます。

 税理士さんと公認会計士さんの基本的違いはどこにあるかと申しますと、実は公認会計士さんというのは監査が独占規定でございますから、基本的に情報公開のお仕事でございます。ですから、今回提案しています税理士法人というのは二人以上ですが、あちらは複数の、かなり、十人とかそういう単位で、以上というようなことになっている、五人とか。それはなぜかというと、多分、情報公開の世界でお仕事をしておられる。

 それに対して、税理士のお仕事というのは極めて、守秘義務といいますか、これはある意味で個人、企業のプライバシーにかかわる話でございますから、多分仕事としては正反対向きの、先生まさに言われるとおりお仕事としてはかなり共通点があることは私どもも会計という意味で認められるのですが、仕事の方向が逆だということだと存じます。

 ですから、多くの監査法人は、そこに働いておられる公認会計士の方に兼業禁止、いわゆる税理士業なりをするということを禁止をかけているところが多いのではないかと思います。

 そういう意味でも、実は公認会計士さんの仕事の中に、言ってみれば方向が逆であるがゆえにそういう規定の違いも設けられたのかなという印象を持っております。

佐藤(観)委員 あなた、そんな答弁をすると大変なことになるよ。それなら税理士法で何でここで特別な資格を、分離をして試験をやっているのですか。

 公開性の問題といったって、監査の対象になるもとをつくるときには、そんなもの、べらべらしゃべっていいわけじゃないでしょう。これだってちゃんと秘匿義務が当然かかっているわけだから。その部分で公開性の問題と守秘義務の問題とが一緒になっているから違いがしてあるんだというのだったら、あなた、今までこれだけ税理士法をずっと、税理士法の第三条でこういうことをずっとしてきたのがまことにおかしなことになるのですよ。大変な答弁ですよ、これは。

 しかも、第三条の問題については、五十五年の改正のときには、私の記憶では何ら問題になったためしがない。何かそのことが議題になったことはない。通知制度を許可公認会計士制度に変えるということは課題になりましたが。

 今のあなたのような答弁で、守秘義務の問題と公開性の問題とが一緒になっているから弁護士法と違うんだと。弁護士法だって、あなた、守秘義務のところがあれば秘匿しなきゃいかぬところがある。それはまことに珍妙な答弁、前代未聞だと私は思いますよ。

 残念ながら時間がないから、確認しておきますけれども、もし許可公認会計士制度が廃止をされますとすると、今量的な規制がございますね。つまり、法人二十社あるいは個人は十社というあれがありますが、今度は、もし許可公認会計士制度を外せば、それは税理士会に登録をして税務業務をやるわけでありますから、量的規制は当然なくなりますね。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 全くそのとおりでございます。

佐藤(観)委員 それから最後に、税務職員にも大変御苦労をいただいているのですけれども、この特別試験の問題から今の試験にずっとなってきたわけでありますが、今度第八条の十号のところで、前の方を略しますが、「国税審議会の指定した研修(財務省令で定める要件を満たす研修のうち、国税審議会が税理士試験の試験科目のうち会計学に属する科目について前条第一項に規定する成績を得た者が有する学識と同程度のものを習得することができるものと認めて指定したものをいう。)を修了した者については、会計学に属する科目」を免除する、こういうことになっています。

 もちろん、これは省令でということでありますから、法案が通ってからのことになるわけでありますけれども、これは、もう途中を省きますけれども、具体的にはどういうイメージでここのところの法律というのは書かれているのですか。

 今、課題を半年で十課題やり、スクーリングを六日間やり、その修了試験をやるということをやっておりますが、中で、税務大学校の本科と専科と通信研修会計学、自治大学で行う特別会計学等々、やっていますよね。ここにわざわざ新たに法律でこういうことが書いてあるのは、どういうイメージを考えておけばいいのですか。

尾原政府参考人 今回、今先生おっしゃられましたように、八条の指定研修に括弧書きをつけてございます。これは、信頼される税理士制度の確立ということを目指す観点から、税務職員について試験免除要件となる指定研修制度の要件を省令において定めることによりまして、これまでもいろいろな御指摘がございましたが、制度の公正性と透明性を確保したいということでございます。

 では、省令でどのようなイメージかという話になるわけでございますが、まず、所定の試験合格が研修修了の条件であるということなどの要件を明らかにしたいと考えております。また、国税審議会の方で指定した研修の実施状況、所定の試験のレベルが税理士としての必要な学識として十分なものであるか、これを審議会で検証し、その結果を公表するということを予定しているわけでございます。

 したがいまして、この指定研修の要件でございますが、研修の効果測定のために、試験に合格することが研修の修了要件であるということのほかに、この会計科目の研修内容、水準が制度の趣旨に沿うものであるということを明らかにしていきたいと思っております。

佐藤(観)委員 時間が来ましたので、終わります。

山口委員長 中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。おはようございます。

 きょうは税理士法の一部改正法案ということで、五十五年の改正のときにいろいろ大変なことがあったというか、我が党の先輩議員も大分そのとき活躍したというふうに聞いております。今回は、いろいろと関係各方面とちゃんとお話をされた上での法案化、また関係方面から私どももいろいろな意見を聞いておりますので、別に、特段異論があるわけではありません。ありませんが、私がちょっと個人的にお尋ねをしたいことが幾つかありますので、その点についてお伺いをしたいというふうに思います。

 それは報酬の最高限度額に関する規定ということなんですが、今回の改正で、会則の絶対的記載事項から税理士業務に対する報酬の最高限度額に関する規定がなくなるということですね。ぱっと考えただけだと、これで能力のある税理士さんはどんどんと報酬を得ることができるのかなというふうにも思えるわけなんですが、まずもって、何でそもそも報酬の最高限度額に関する規定というものが会則の絶対的記載事項として決められていたのかということについて御答弁いただけますか。これは政府参考人の方からお願いします。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 税理士の報酬につきまして最高限度額を設けてきましたのは、税理士の公共的使命と同時に、業務が独占であるということにかんがみまして、納税義務の適切な履行が期待されている納税者に対して不当に高額な報酬の要求をされることを防止しようという趣旨が背景にあったのかと存じます。

中塚委員 公共的使命ということなんでしょうね。確かに、税理士さんというお仕事は、恐らく成功報酬ということはなくて、ちゃんと納税を適正に行うということについてのお仕事なわけですから、成功報酬ということはないのかもしれません。これを今回、その規定を削除することになった経緯について、これも政府参考人の方から御説明いただけますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 十二年三月に閣議決定されました規制緩和三カ年計画におきまして、公正、有効な競争の確保それから合理性の観点から、法令により報酬規定を会則の記載事項としている各資格、これは税理士に限りません、各資格について、その報酬のあり方について検討を深めることというふうに指摘されました。

 そして、この規制改革についての見解というのが同じ十二年十二月に出されているのですが、そこで、資格者団体が個々の資格者の原価計算の要素を考慮せず一律の基準額を示すことが適切かどうか。各資格者が独自に報酬額を算定して事務所に掲示することによっても利用者の不安解消は可能ではないか。それから三点目は、報酬基準が報酬額の交渉の出発点となることもあるため、結果として廉価なサービスを提供するための真の努力が行われないことになるのではないかといったような理由から、税理士を含みます各資格業におきまして、報酬規定を会則記載事項から削除すべきということにされたわけでございます。

 そこで、今回の改正では、これら指摘を踏まえて、税理士会の会則の絶対的記載事項から最高報酬限度額規定というのを削除し、一方で、各税理士会が指針というようなものを定めて、納税者の利便にも資することというような対応になるのかと存じます。

中塚委員 規制緩和とかそういった流れの中でなくなっていく規定なのかもしれませんが、ただ、公共的使命ということについてはずっとこれは変わらないわけですね。公共的使命ということが変わらないにもかかわらず、今回、最高限度額に関する規定を削除するということで、今ちょっと最後の方でお話があったのですが、各税理士会の方でまたそういったメルクマールというか、ガイドラインみたいなものをお決めになるということですか。ちょっとそこをもう一度。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 当然、先生の言われたとおり、逆に納税者にとって不便になるということまで規制緩和の中で言っているわけじゃありませんで、むしろ、原価計算みたいなものをいたしまして、各税理士会が独自に、一応の目安というような指針をそれぞれ独自に各税理士会ごとにおつくりになる、それをもとに各先生方が納税者にお示しをする、こういう体系になるのかと存じます。

中塚委員 では、大臣にお伺いをしたいのですけれども、そういったことで最高限度額に関する規定が絶対的記載事項でなくなった税理士さんということについて、大臣の御所見で、これからの税理士さんというのは、最高限度額に関する規定がない中での税理士さんというのはどういう姿が望ましいというか、どういう姿を描いていらっしゃいますでしょうか。

塩川国務大臣 制限撤廃することによりまして、税理士さん相互の競争というものが相当激しくなってくると思っております。また、最近におきます税務行政は非常に複雑なものが絡んでおりますし、また税務の事務も非常に複雑化、難しく、しかも広範囲になっておりますので、税理士さんの一層の研修に役立つと思っておりまして、そのことを通じて、税理士の使命でございます公正中立な業務というものは確かに確約されていくように思っております。

中塚委員 ありがとうございました。

 税理士法の改正のお話をさせていただいたわけなんですが、その税理士法の、まさしく税理士さんがお扱いになる税制の話について、引き続いてちょっとお話をさせていただきたいなというふうに思います。

 六月に経済財政諮問会議の方で何か骨太の案が出てくるというふうに聞いておるんですけれども、その中に税制改革というのは入ってくるんでしょうか。大臣、いかがですか。

塩川国務大臣 経済財政諮問会議の中で、当面、経済対策といたしまして緊急経済対策を政府は発表いたしましたが、その緊急経済対策の中に実は税制改正の項目も出ておることは事実でございます。その中の一番中心となりますのは、証券に関する税制改正と、土地建物等不動産に関する税制改正の問題が出ておりますが、いずれにいたしましても、これから経済財政諮問会議の方針が決定いたしましたら、それを受けまして、秋に向かって政府税調等において検討を進めていきたいと思っております。

 ただし、緊急経済対策の中の証券税制の一部につきまして、すなわち過去におきます株券の少額売買利益、所得についてでございますが、特別控除として百万円まで課税対象から抜くということはもう既に決定しておりまして、法案としてこの国会に提出いたしております。

中塚委員 今大臣がおっしゃったのは、きのう閣議決定されて、きょう昼から本会議で議題になる緊急経済対策ですよね。緊急経済対策というのは、もうきのう提出されて、今、国会できょうから始まるということですが、私がお尋ねしたのは、経済財政諮問会議の骨太の案というものに、これからの税制の姿とかあるいは税制自体とか、そういったことは含まれるんですかというお尋ねなんですけれども。

塩川国務大臣 将来問題として、当然、税制の改正も含めて検討することになっております。

 中塚先生の御質問の本当の趣旨は、所得税の問題を検討するのかということだろうと思うんですが、その問題でございますね。

中塚委員 いや、税制全体です。

塩川国務大臣 税制一般についての検討はいたす予定であります。

中塚委員 先ほどの答弁の中で、方針が決まったら政府税調で話をして税制を決めていくというふうなお答えがありましたけれども、これは、要は経済財政諮問会議というのはあくまでも考え方で、具体的な税制改正というのは税調で話をして、それで来年度に間に合わせていくというふうな考え方でよろしいんでしょうか。

尾原政府参考人 税制の問題につきましては、同じ総理の諮問機関として税制調査会がございます。それぞれの今後の税制改正どうあるべきか、具体的に審議する場でございます。経済財政諮問会議との関係でございますが、これも総理の諮問機関でございまして、骨太の、今後の日本社会はどうあるべきかというような方針が示されまして、それに沿った税制改正を政府税制調査会で検討していくというようなことになるのではないかと思います。

 具体的に、今回経済財政諮問会議でどのような内容のものが、方針が示されるか、今審議中と聞いておりますので、私どもの方から今お答えできる段階にはないわけでございます。

中塚委員 政府参考人の方がそう言われるのは、それはそうなんでしょうけれども、大臣は実際、きのうの参議院の財務金融委員会ですか、そこでもプライマリーバランスを回復させるタイミングについてお話をされたり、あるいは、それに関連して消費税を上げなきゃいけないかもしれない、それも検討しなきゃいけないというふうに御発言をされたりしているわけですね。別にそれを批判しているわけじゃないですよ。それで経済財政諮問会議のメンバーでもいらっしゃるわけですよね。

 というわけで、経済財政諮問会議というのは、骨太の案ということについて税制に対する考え方が含まれるわけですね。そこで出た案について政府税調におりて、そこでさらに検討するということなんですか。大臣、いかがですか。

塩川国務大臣 御趣旨は十分わかりました。

 実は、経済財政諮問会議におきまして第六回目の会合がこの前ございました。その中で、骨太の方針というものと経済財政諮問会議において今後検討すべき問題というものとの区別が出てまいりました。一つは、当面の対策としての骨太の方針の中に税制の改正も入っておりますが、しかし、中期展望の中に、中長期展望の中にプライマリーバランスというのを入れまして、この実施によって財政の構造を変えていくということ、これを明記しております。ついては、プライマリーバランスをとる時期並びにその財源等について、まだこれは全く議論はされておりません。

 したがいまして、骨太の方針の中には、当面の問題としての、平成十四年度予算を中心とした当面の経済対策というものが中心になってくることは事実でございまして、それが終わりました後に、グローバルな計画として秋に向かって経済対策の中期展望に相当するものを策定されるようになっておりまして、その段階で税制改正を検討して、それは直ちにやるというものじゃございません。趣旨は、あくまでも経済の力が回復して、経済力が回復してきてからの税制改正になってくると思うのでございますが、中期展望の中に税制改正が入ってくるということは、これは私たち十分想像しておるところであります。

中塚委員 今、一番初めに、当面の方針の中に税制が入るとおっしゃいませんでしたか。中期展望の中にプライマリーバランスが含まれるということをおっしゃいましたよね。それは、そのプライマリーバランスをとる中で将来の税制のことも入ってくるということですか。経済財政諮問会議というのは、とりあえずは十四年中に対する対策のことを議論するということでよろしいんですか。

塩川国務大臣 中期展望は十五年以降の問題になってくると思います。

中塚委員 そうすると、十四年度、来年度は、国債の発行を三十兆円以内に抑える話があるでしょうし、あと、増税はしないというふうに総理はおっしゃっているわけですから、税制というのは来年度のことに関してはもうほとんど関係ないという理解でよろしいんでしょうか。

塩川国務大臣 来年度は、緊急経済対策に関するもので、先ほど言いましたように証券の一部のものだけはこの国会へ出しましたけれども、その残余の分が残っております。不動産の税制改正も残っております。そういうようなものは平成十四年度に、一部あるいは全面的になるか、それは税調の審議の結果でわかりませんが、その分についての改正は精力的にやっていきたいと思っております。

中塚委員 わかりました。

 それで、おととい決算行政監視委員会でも大臣にお伺いをしたんですけれども、きのうの参議院の財務金融委員会の方でプライマリーバランスのお話にお触れになられたのですが、三年後を目指していらっしゃるということですね。一、二年は、要は、来年度、再来年度は国債の増発の抑制に全力を挙げる、その間に景気が回復をして税収もふえてくるだろうから、三年後には収支均衡に入りたい、入るべきということでよろしいのでしょうか。

塩川国務大臣 プライマリーバランスというものが、一朝にして、この年度からきちっとやりますということはなかなか難しい。その実効を確保するためには、数年、何年かわかりませんけれども数年の経過を経て、努力を経て成るものだと思っております。

 私は、先ほど参議院の委員会で申しましたことは、とりあえず現在は景気を確実な自律的な回復に導くための努力に全力を挙げるべきであって、そのためには増税というものは実は考えておりません。当面は歳出の削減を通じて財政の健全化への努力をしてまいりますが、経済が回復してくるのに、一、二年でするであろう、またそうしなきゃなりませんので、その後において増税等もあり得るかもわからぬということで、増税するとは私申しておりませんが、そういうものも含めて財政の骨幹の改革に取り組んでいきたい。それを私は、プライマリーバランスの入り口に相当するものであって、それ以降何年かの計画でそれを実現していきたい、こういうことを申し上げた次第です。

中塚委員 今のお話ですと、増税しない、景気回復がやはり最優先という理解でよろしいのでしょうか。景気を回復させることが大事な課題で、だから増税はしないということですね。その間、財政を健全化させるために歳出を削減していくというお話だったのですけれども、それでよろしいのですね。

 そうすると、来年度、再来年度で国債増発を抑制すると景気が回復するものなんでしょうか。

塩川国務大臣 景気の回復というものは、やはり民間に活力をつくっていかなければ根本的な景気回復にならないと思っております。したがって、ただ財政力だけで現在の景気回復というのはなかなか難しいとは思うのですけれども、しかし、財政の出動によってそちらへ誘導するということは十分できると思っておりまして、またそれと並行して、根本的に……(発言する者あり)ちょっと聞いてください、私は答弁しておるのですから。

 規制緩和等をして、経済の構造改善をやっていくということを並行していかなきゃならぬと思っております。

 したがって、今までは需要拡大を通じて景気回復を図ろうということで橋本内閣そして小渕内閣、森内閣と努力してまいりました。私たちも当然需要の拡大ということは優先する政策であると思っておりますけれども、同時に、経済の構造を変えていくことによって新しい景気回復への刺激をつくっていくのではないか、それを私たちは構造改善と言っておる。それと同時に、景気の回復を図るために財政の問題も、支援も十分考えていかなきゃならぬ。このように併用して考えていきたいと考えておるところであります。

中塚委員 それでまた、おとといお話ししましたけれども、森前内閣というのは、景気、財政健全化、経済構造改革の三つに配慮をするというふうに言っていたわけですね。私は、小泉内閣になって変わったのじゃないのかなというふうに思っていたのですけれども、そういうふうに御質問しましたら、大臣がコインの裏表論を展開されましたね。

 では、その景気回復のためということでいきますと、財政支出の誘導も、そのこと自体は否定しないけれども、やはり重きは規制緩和とかそういったことに置いていくということでよろしいのでしょうか。

塩川国務大臣 当然、規制緩和、それから今までタブーとされておったもので、それを解除することによって新しい需要と活力が生まれてくるということも言えるのではないか。したがって、これからの景気回復の一つの有力な刺激剤として規制緩和を積極的にやっていきたい、こういうことです。

中塚委員 それで、プライマリーバランス回復との関係で消費税上げにも言及をされておられますね。一連の発言をちょっと並べてみると、一、二年は国債の増発の抑制に全力を挙げる、来年度、再来年度は国債の増発の抑制に全力を挙げると。その間、景気が回復してくるということですね。景気の回復のための手を打つ、財政出動によるのかどうかは別にしても、とにかく景気回復のための手を打つと。そうすると三年目ぐらいから景気がよくなってきて、そこで税収増を図る、三年後から収支均衡に入るということの中で、では、三年後から収支均衡に着手をする段階で、消費税を上げるということについて、それがテーマに上ってくるということなんですか。

塩川国務大臣 どうも消費税増税、そこへ誘導されるように聞こえてならぬのですけれども、そういうことは私は言っておりませんで、そういうことも視野に入れながら検討していかなければならぬと。

 これからの税制改正、中期展望の中でやっていきますものの大きいねらいは、直接税と間接税のバランスをとるということでございまして、そのために直接税をもう少し引き下げて、法人並びに個人が活力ある社会をつくっていただき、消費を増大してもらうためには、直接税を下げるということが根本であろう。そうしますと、それに相反するものとして、他の税収を考えなければならぬ。その中心は間接税にあろうと思っております。

 間接税の中で一番バランスをとっていかなければならぬのは、資産税と消費税とのこの関係をとらなければなりませんが、現在では若干、資産税も消費税もまだ増収にたえる力があるのではないかと思いますので、そちらの方とバランスをとりながらやっていく。こういうことでございますから、直ちにプライマリーバランスイコール消費税の増強だ、こういうことではないということで御承知いただきたいと思います。

中塚委員 一つ誤解があるといけないのですけれども、私は消費税を上げるのがけしからぬと言っているのではなくて、財政健全化だって大変大切なことだと思っていますから、そのための手順のお話として、いろいろな委員会でいろいろな御発言をされているので、ちょっとそれを整理してお伺いしているということなんですね。

 直間比率の是正とかそういった考え方については異論はありますけれども、私どもだって消費税は福祉目的税にするべきだということを言っていますし、上げる上げないじゃなくて、上がらざるを得ないのじゃないかというふうに考えているわけですから、何もそのこと自体を批判しているわけではありませんので、そこだけちょっと御承知おきいただきたいのです。

 それで、そうすると、国債発行抑制のためには増税はしないということなんですね、来年度、再来年度の。国債発行を来年度、再来年度は抑制するということですね、十四、十五と。そのためには増税はしないということでよろしいのでしょうか。

塩川国務大臣 国債を抑制するために増税しない、そういうことと関連して言っておりませんで、そうではなくて、今、日本の経済の状況を見ました場合に、増税する力がないということを申しておるのでございます。とはいえ財政の構造を改善しなければならぬ。そのためには何が一番優先するかといったら、国債発行を抑えて、当然増が起こってまいりまして国債が物すごく増大してまいりますけれども、これを抑制することによって当面の対策を講じていきたい、こういうことでございました。

中塚委員 国債発行を抑制するということについても、それは別に異論はないのですよ。ただ、その抑制をするということについて、増税はしないということもおっしゃっているわけですよね、一方で。そのプライマリーバランスを回復させるという話の中で、三年後から収支均衡に入るという前に、景気回復で税収増を図りというふうになっておるわけですが、それと関連して消費税を上げるという話もされているわけですね。

 私がお尋ねしたいのは、国債発行のためには増税はしないけれども、景気が回復をし始めたらやはり別なのですかということなのですけれども、そこについてはいかがでしょうか。

塩川国務大臣 もう一度申し上げますと、国債発行を抑えるために増税をしない、それは私の言っている趣旨とちょっと違うと思うのです。ここ一、二年増税しないというのは、あくまでも日本の現在の経済の状況を見まして、あるいは消費の落ち込み等を見ました場合には、増税をする力がわいてこない、増税は非常に難しいだろうということを言っておるのでございます。景気の回復を二、三年後に期待しておりますが、そのときに、プライマリーバランスの実行に入る段階として税制の改正をいたしたい、そのときには、そういう消費税の増税も視野に入れて、これはやるとかはまだわかりませんが、視野に入れて税制の改正をしたいということでございます。

 したがいまして、国債を抑えるために増税をしないということとはちょっと違うということであります。

中塚委員 要は、増税をしないというのは景気への配慮だということですね、そうすると。景気へ配慮して、増税を受け入れる体力がまだ日本経済にはないだろうから増税はしませんよと、一、二年の間は。それ以外に、規制の緩和なりなんなりということを行って、景気を回復させて、景気がよくなったら税制を改めて、そこから初めてプライマリーバランスの回復を図り出す、そういうことでよろしいのですか。

塩川国務大臣 よくわかっていただきました。

中塚委員 本当にいろいろとあちこちで御発言をされているものだから、整理をするのが難しいのですけれども、またたびたび御質問する機会があると思いますので、いろいろお話をしていきたいと思います。

 ただ、景気に配慮をして増税をしない、景気を失速させないために増税をしないということであれば、規制緩和やら不良債権の処理やらということだけで、果たしてそれでぱっと景気がよくなったりするものなのかなというふうに思うのですが、そこで何かもうちょっと具体的に考えていらっしゃる景気への配慮ということはないのですかね。

塩川国務大臣 景気回復はあらゆる面から努力してまいりたいと思っておりますが、ただこれは、政府の予算の支出あるいは税制の誘導ということのみではなかなか難しいのでございます。やはり民間の力というものの回復が重大だろう。特に、最近におきます日本とアメリカとの関係等もございますし、また東南アジアが活力をつけてくれなければ困るということもございます。あるいはまた、日本の企業が海外へ積極的な投資をしておりますが、その投資を通じて、例えば、日本のアセンブリー産業の振興であるとか、あるいはまた情報機器関係の新しい開発とか、そういうあらゆるものに努力していきたいと思っております。

 そのためには、やはり大事なのは、一つは規制緩和だと思うのです。都市再開発本部というものを今度つくりまして、政府は都市の再開発に乗り出すわけでございます。これの一番中心になりますのは、都市を構成するいろいろな条件がございますが、その中にある規制を緩和していくことが一番優先してくる政策ではないかと思っております。

 そういうものをあらゆる手法を総合して、経済の活性化、新しい経済のステップを踏み出していきたい、こういう予定であります。

中塚委員 おとといの十一年度の公共事業等予備費のときもお話をしたのですが、九年、十年とマイナス成長になりまして、それをプラスに引っ張り上げるというのは並大抵のことではなかったなというふうに思うのですね。公共事業等予備費についてもいろいろ御意見はあると思いますけれども、それでも、公共事業も対前年比で一〇%にして、九兆円規模の減税もしてやっとプラスに戻ったというような経緯もあるわけでございまして、規制緩和とおっしゃいますし、都市再生ですか、確かに重要なことだと思いますよ。けれども、そのことだけでぽこんと景気が本当によくなるのでしょうかねということはすごく疑問に思っているのですね。

 それと、あと、増税をしないのは景気に対する配慮であるというふうにおっしゃいました。確かにそういうこともあるのかもわかりませんが、総理は、本会議ではちょっと財務大臣とは違う意味でおっしゃっているのではないのですかね。国債発行を抑制するために増税はしないというふうにおっしゃっているのではないのでしょうか。そこのところは、増税しないということについては同じなのかもしれないけれども、ちょっと意味が違うような気がするのですけれども。

塩川国務大臣 総理は、所信表明ではこういうことを言っております。

 歳出面にむだはないか等について徹底的な見直しを行い、安易に増税に頼ることは考えておりません、こう言っております。したがいまして、まず、歳出の徹底した見直しを行います、その上で、公的サービスの水準とこれを賄うに足る国民負担の水準はどうあるべきかについて国民的な議論を必要としておりますと。この後半の部分はプライマリーバランスに入るときの心得を言っておるわけでございます。そしてさらに、平成十四年度予算では、財政健全化の第一歩として、国債発行を三十兆円以下に抑えることを目標とし、歳出の徹底した見直しに努めてまいります、こういうことを言っておるのでございまして、総理は増税の問題について踏み込んだ発言はしておらないと思っております。

中塚委員 それはたしか言い直されたときの答弁じゃなかったですかね。何かすごいオーバーアクションで、増税はいたしませんというふうに本会議で絶叫されていましたが、ただ、その次の日か何かには、確かに、歳出の見直しをすることなく安易な増税はしないというふうな御答弁をなさったというふうに覚えていますけれども。オーバーアクションで、増税はしないというふうに本会議場でおっしゃっていたことを私は覚えております。

 だから、結果として増税をしないということはよくわかりますけれども、景気に対して配慮をして増税をしないのか、あるいは、国債増発を抑制するためには増税をしないということは、ちょっと私はニュアンスが違うんじゃないかなと思っていまして、やはりすごく気になるのが、赤字を削減するという言葉なんですね。赤字を削減するというのは赤字を埋めるということですから、それは別に増税だって構わないわけです。

 そういう意味で、やらなきゃいけないのは支出の削減であって、それは確かに総理も支出を削減するというふうにおっしゃっているわけなんですが、そういった言葉のニュアンスという意味では、国債の増発を抑制するために増税はしないということをちゃんとおっしゃった方がいいんだろうと思うのですね。それはもちろん、増税しないというのは景気に対する配慮でもあるとは思うのですけれども。

 それで、おととい決算行政監視委員会でお聞きしたときに、宮澤前財務大臣の答弁の中で、景気が回復してから、税収増が見込めるようになってから財政改革に入りたいというふうに前の財務大臣はおっしゃっていたわけなんですけれども、ということで、プライマリーバランスを回復させるタイミングということについて塩川財務大臣がおっしゃったのは、やはり景気が回復をし出したら財政改革に入るということでよろしいんですか。

塩川国務大臣 大体おっしゃる趣旨はそういう趣旨でございまして、やはり財政の根本的な改革をしようといたしましたならば、景気の回復をしなきゃならぬだろうと思います。

 従来の景気回復は、やはり右肩上がりの延長線の中で、景気の下降を下支えていくということに重点を置いた需要喚起中心の経済対策がとられてまいりました。それはそれなりで、時代の進展に対して経済の落ち込みを防いだということにおいて十分な意義があったと思っております。

 しかし、この間に百数十兆円というものの多額の出費が需要喚起のために使われてきたということも事実でございまして、そこで、これからの需要喚起は、一層進めてはいきます、当然でございますけれども。同時に、右肩上がりのときにつくってきた諸制度、あるいはいろいろな規制あるいは慣習、タブーというようなものにこれから積極的に取り組んで、右肩下がり、少なくとも右肩平行時代にはどういう制度にするべきであるのか、規制を緩和してどういうふうに進める、そうすることによって、私は、経済に新しい刺激を与えていくであろう。その経済の刺激が景気回復につながっていく。

 そのためには、一、二年はどうしても必要ではないか、そういうことを見ておりまして、その間における経済の力をつけるためにも、増税は考えるべきではなく、そして、当然増が物すごくふえてまいりますが、それをそのまま必要なものとして国債に依存することはできないものですから、そこで国債も抑えながら財政のバランスをどうしてとるか。それはもう難しいかじ取りで、大変だろうと思うのですけれども、それは努力をし、同時に国民の皆さんも、特に政治家がやはり現状を認識していただいて、知恵も出していただいて、いい知恵、こんな知恵あるぞと言っていただいたら、私どもも十分考慮していきたいと思うております。

中塚委員 大分塩川スマイルが戻ってきましたね、初めのころは何か大分お疲れなのかなというふうに思っておりましたけれども。これからまたいろいろと御質問をしていく機会がありますので、そういう意味で、きょうのは本当に参考になりました。

 先ほど消費税の話が出ましたので、若干我が党の見解等をお話ししながら、また財務大臣の御意見も伺いたいと思うのです。

 総理の所信表明で社会保障のところを聞いていましたら、保険という言葉がなかったものですから、私はおっというふうに思ったんですね。ところが、五月の十四日月曜日の予算委員会では、保険方式はすばらしいみたいなことを総理がおっしゃっていて、ああやっぱりかと思ったのですが、財務大臣は、社会保障ということについて、社会保障を行っていく上で社会保険制度でなければならないというふうにお考えでしょうか。

塩川国務大臣 私は、現在政治家として、また現在の立場におきまして考えておることと、またそういう立場を離れて全く純個人として考える場合と、若干考えが違うので悩んではおります。おりますけれども、今やはり政治家として現在の立場に立って考えますと、保険制度で当分いかざるを得ないのではないかと思っております。

 それは、年金等にいたしましても、やはり保険は契約のもとにおいてやってまいりましたし、このことが将来の当然増を賄い切れるかどうかということについての検討は十分しなきゃならぬだろうと思いますけれども、現在の制度を今ここで抜本的に改革してということにはいかないように思っております。

 そのためには、補完する意味において、自助努力を導入するために四〇一kの年金等を積極的に導入してカバーしていく方法をとりながら、そして将来の高齢化社会の実態に合った制度にやはり改正するときに、そのときにこそ、保険なのか税なのかという根本問題に議論されていくのでございまして、その際には当然、税を含めまして国民負担全体をどうするのかということの中で、そういう社会保障の負担、そしてまた負担の仕方というものは同時に検討する問題だと思っております。

中塚委員 立場を離れるとお答えは変わるわけですか。政治家としてではなくて、立場が変わるとお答えが変わってくるんでしょうかね。

 大臣は、自民党の税調の会長をされていたというふうにお伺いしたんですけれども、税の方も大変御造詣が深いんだろうと思います。今、契約としてというふうなお話がありましたけれども、社会保険というものは、やはり契約という発想でこれからずっと推していくべきものというふうにお考えですか。

塩川国務大臣 これは、ある程度保険的な考え方は当然根本になければならぬと思います。これは受益と負担との関係ということを考えまして、そこにやはり自立の精神を中心とした社会保障を考えていかなければならぬと思いますし、そのためには、負担と受益、この関係は保険の思想に結びついてくるものだと思います。

中塚委員 ということは、やはり国が行う社会保険の制度の中で受益と負担ということを考えつつ、受益と負担という中で自己責任というものを徹底していくということでよろしいんでしょうか。

塩川国務大臣 大体私もそういう考えは肯定できることだと思います。

中塚委員 私は、自己責任というのを強調するのであれば、別にもう公的な社会保障制度なんて要らないんだろうというふうに思っているんですね。これからは、やはりそういった考え方じゃなくて、個人単位の契約というふうな保険制度であるということは突き抜けて、国が保障していくナショナルミニマムという考え方が必要なんだろうと思っているのです。

 というのは、例えば渋谷あたりで茶髪の人なんかがいっぱいいますね。ああいう人が国民年金の保険料を払っているのかどうかというのは、調べたことはないんですけれども、払っていない方が多いんでしょうね。そうすると、今から四十年ぐらいたったら、もう無年金の方が急増する。そうなったときに、我が国はすごい社会不安が起こってくるのではないかというようなこともあって、個人単位で受益と負担というものを徹底して、だから、あなたは保険料を払っているから年金はある、払っていないからありませんというような発想は突き抜けて、国がこれだけはちゃんと保障します、それ以外は自分の責任でやってくださいよという仕組みに改めていった方がいいのではないかなというふうに思っているのですが、財務大臣はいかがですか。

塩川国務大臣 中塚さんがおっしゃる考えも、若干そういう考えも私自身も考えたようなこともございますけれども、私は今個人の立場と言いました。現在の立場じゃございませんで、自由に個人の立場で言えというならば、あなたのおっしゃるのとよく似たような考えなんです。

 つまり、社会保障の、医療であれ介護であれあるいは年金であれ、いわゆるナショナルミニマムとしての基礎は、やはり政府の責任で、保険であれ契約であれ、政府が賄う。それ以上の保障については自己努力の成果をそこへ入れていくという制度をやる。今、松下幸之助さんのような金持ちも一般のサラリーマンも同じように扱っていくというところに私は社会保障の相互連帯という思想が生きていないように思うのでございまして、そういうものを生かしながら、社会保障制度を考えていけばいいのではないかと思っております。

 そういう時代が、これだけの高齢化が進んでまいりますと、負担というものもその層によって、いわばその力に応じた分の負担が違ってくる。当然あってもいい。そのかわり、給付においても若干の相違はあるということも、これはやむを得ない状況が起こってくるのではないかと思っております。

 しかし、あくまでもナショナルミニマムとしての必要な社会保障というものは、国民全体の責任において賄っていくのだ、こういう制度を考えております。

中塚委員 そこまでおっしゃっていただいているならという感じもしないでもないのですけれども。

 実際、無年金の方なんかが出ても国が見殺しにするわけじゃありませんよね。国というか、地方も含めてですけれども。そういった方についても見殺しにするわけではなくて、やはり生活保護なりなんなりということで、結局は財政というものが出ていってしまうわけですから、そういった意味では、全部突き抜けて、ナショナルミニマムを国がちゃんと保障する、そういった制度はこれからつくっていかなきゃならぬのじゃないか。そして、あと、報酬比例部分とかそういったものについては、それこそ民営化してもいいというふうに私は思っていまして、そういった方向で改めていく。それでまた税方式ということになったときに、では何が一番公平なのかという話になったら、やはり消費税だろうというふうに思っているのですね。

 先ほど大臣が直間比率というお話をされました。確かに、直間比率ということでいろいろ比べてみたら、日本はもうちょっと間接税の方の割合を上げていった方がいいのじゃないのという議論はあるとは思いますけれども、ただ、直間比率を是正するために消費税をいじくるということで、果たして国民の皆さんの、有権者の皆さんの理解が得られるのかなという気がしておるのですね。

 そういった意味において、消費税は、もともと福祉のためということで導入をしたわけですよね。そうであれば、消費税の使途は、基礎年金やら高齢者医療やら介護やら、その三つの部分だけに限定をする、そういうことにすれば、大きな意味で負担と給付というのは直結してしまうわけですよね。要は、個人の支払った保険料と個人の給付という意味ではなくて、国民全体のナショナルミニマムとしての消費税率と給付水準というのは直結させていくことができるわけですよね。だから、消費税を福祉目的税にした方がいいのじゃないかというふうなことを前々から御提言をさせていただいているのですが、いかがでございましょう。

塩川国務大臣 私は、消費税をそういう窮屈な面で考えないでいいのではないかと思っております。

 私は、先ほどもちょっと触れたと思うのですが、直間比率の改正をする、直に対する間、間の中には資産課税に類するものと消費税に類するものとございますしいたしますので、そのウエート、どちらもまだ多少とも税負担の、いわば負担の力があると思っております。ですから消費税と資産税、バランスをとりながら間接税全体のウエートを直接税に対して上げていくということは可能であろうと思っております。

中塚委員 今、資産税とおっしゃったのですか。

塩川国務大臣 資産に関する税金であります。

 資産の売買、所有あるいは利用、こういうものに対する税は、日本においてはまだ比較的低いように思います。この分について、資産に対する移動に対して税を取るのか、あるいは保有に対して取るのかということ、これは随分検討が要ります。要りますけれども、いずれにしても、今の日本全体の税体系で見ました場合に、消費税と資産税の、資産に関する税の分に対しては、まだ若干能力があるのではないか。しかし、これも、先ほど言いました景気の状況を見ていかなければ、一、二年の間の経済の変化を見なければ確定的なことは言えませんし、また、その間においての真剣な討議というものも当然必要だろうと思っております。

中塚委員 よそと比べて低いからとかそういう話をされるから、増税だというふうに言われてしまうのですよね。私が申し上げているのは、これから簡素で効率的な政府をつくっていかなきゃいかぬという話の中で、それこそ、受益と負担というのはちゃんと明らかにしていかなきゃいけないということをさっき大臣もおっしゃいましたよね。そういった中で、受益と負担というものが明確になる形のものを仕組んでいくことが逆に簡素で効率的な政府をつくることに資するのではないかというお話をさせていただいたのです。

 時間が来ましたので、終わります。

山口委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。私は最初に、書面添付と税理士への事前通知、意見聴取の制度について聞いていきたいと思います。

 昨日も、財務省の方のレクチャーを聞いておりまして、申告から要するに課税額の決定、それまでの間における書面添付を求めるのも、あるいは添付書面について税理士に事前通知を行い意見聴取を求めるのも、税務調査の全体の過程の中の一部なんだ、こういう考え方というものを伺っているのですが、まずこれはそのとおりでいいですね、最初に確認しておきたいと思います。

尾原政府参考人 先生から今お話がございました意見聴取制度に関する今回の改正でございますが、基本は、税務の専門家である税理士の立場をより尊重していくということでございまして、ひいては税務執行の一層の円滑化、簡素化にもつながるということから、現行制度を拡充するものでございます。

 御承知のように、従来の更正前の意見陳述ということでございますが、今回は税務代理を行う税理士が計算事項等を記載した書面を添付している場合において、納税者に税務調査の日時、場所をあらかじめ通知するときには、その通知前に添付された書面の記載事項について意見陳述の機会を与えるということになっているわけでございます。

吉井委員 長く説明いただいたのだけれども、要するに、申告から課税の決定までの間の、ですから、税務調査の全体の過程の中の一部だ、これはこういうことでいいのですね。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 調査の概念というのはいろいろあるわけですが、我々として、調査というのは、先生の言われたとおり、広い概念でとらえているところでございます。

吉井委員 次に、税理士法第三十四条で、国税庁は、税理士経由で申告された税務書類の調査に当たっては、納税者に事前通知するときには、税理士にも通知しなければならないとあるわけです。これは、納税者には事前通知しなくても税理士には事前通知しなければならないというものではないということが一つ。

 この事前通知は、課税庁側が任意に判断して行うものであり、これは、税理士法の解釈においては、これまで、事前通知するのだけれども、それは一律のものではないということを言ってこられたから、そういうことだと思うのです。ですから、税理士法改正によっても、税理士には必ず事前通知しなければならないという規定ではないということ。

 それから、書類添付すると税理士に事前通知するというわけですが、もともと、事前通知なしに、つまり無予告で、例えば外国法人に対して税務調査をやるということでいきますと、通例はねつけられてしまうものであって、ですから、書類添付があってもなくても、税務調査には事前通知が通常は当たり前のことである、こういうことではないかと思うのですが、これも確認的に聞いておきたいと思います。

大武政府参考人 先生言われるとおり、いわゆる税理士さんに必ず事前通知するというものではありません。あくまでも、こういう適正な書面添付をされた、しかも、いわばその代理権を持っておられる方に、事前通知なり、あるいは、今度の制度で言えばまさに事前に聴取するというような制度を設ける。いわゆる事前通知自体は、書面添付の方等にしてはいるわけでございますが、必ず税理士さんに事前通知するというわけではありません。

 それからまた、今お話のございました調査については、原則としては、我々としても、いわゆる事前通知をするという考え方で進めております。

吉井委員 三十五条の改正で意見聴取の機会を与えても、三十五条四項で、更正の効力に影響を及ぼすものではない、これはこういう立場ですね。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の改正の趣旨というのは、あくまでも税理士さんの権利の一つとして認めたものでございます。したがいまして、四項にありますように、当然、その間の瑕疵とかあった場合で、それが無効となるというようなものではないという趣旨かと存じます。

吉井委員 答弁の表現はともかくとして、要するに、意見聴取の機会を与えても、三十五条四項では、更正の効力に影響を及ぼすものではないということを示しているわけですから、今の答弁はそういう趣旨だと受けとめておいていいですね。

大武政府参考人 基本的には聴取をさせていただくということでございまして、それがもし誤っているというような場合には、当然、具体的な実地調査というか、帳簿書類の調査に入るということを書いているわけでございます。

吉井委員 次に、そういうことを確認させていただいた上でお聞きしておきたいのは、この書面添付したものあるいは添付しないもので、税務調査に当たって差別的扱いはしないということ、それから、税理士に事前通知して意見聴取したものあるいはしないもので差別的扱いはしないということ、それから、書面添付はなくても、したがって税理士への事前通知と意見聴取もないが差別的扱いはしない。

 これは、差別的扱いの問題は、実際には、零細な個人の場合などは、税務調査に当たって税理士さんにお願いするとか、もちろんそういうことも、多くの方、零細な方の場合ないわけです。ですから、税務行政において差別的扱いはしない、ここは非常に大事なところだと思うのですが、この点はいいですね。

大武政府参考人 それは、差別的扱いは当然しないということでございます。あくまでも、ただ税理士さんの権利として提出されたもの、それは税理士さんとして極めて自信を持ってお書きになっているということでございますから、それぞれ、税務調査においてというか、広い範囲での税務の調査の話ですが、その御意見は尊重するということかと存じます。

吉井委員 意見の尊重というのは、税理士さんに対しても、あるいは、零細な方で、本人が申告されて、意見を聞かれたら本人が述べたことについても、それはだれであっても意見を尊重する、これは当たり前のことかと思うのです。

 次に、税理士と国税庁の間で、書面添付と税理士に事前通知と意見聴取を行い、税務調査の全体の過程の中の一部の段階で調査終了ということにしてしまいますと、これは税理士を国税庁の下請機関にするということになりかねないといいますか、第一条、独立性を侵すという問題が一方では出てくるわけですね。

 ですから、書面添付と税理士に事前通知と意見聴取するということは、税務調査の全体の一部であって、その段階で税務調査を終了するか、その後も納税者に直接の税務調査を行うかは課税庁の判断であって、あらかじめ意見聴取で税務調査を終了すると確約するものではない、こういう立場に立っていらっしゃるのだなということを、参議院以来の審議の中で答弁を伺っておって思うのですが、それはそういうことでいいですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 言われるとおり、帳簿書類を調査するか否かは、調査選定を行った場合の、そこで気づいた問題点ですとか疑問点を税理士さんに確認して、その問題点、疑問点が解消した場合にはそれで終了し、なお解消しない場合には帳簿書類の調査に入るということになるわけでございまして、仰せのとおりでございます。

吉井委員 それで、税理士さんと課税庁との間で話をつける、つまり、納税者を越えて課税の決定ということになってきますと、これは課税処分権という問題が出てくるわけですね。課税庁は課税処分権を持つわけですが、税理士さんの場合は課税処分権を持たないわけです。ですから、納税者本人の不在のところで、税理士と課税庁の間で課税処分権の行使ができるのかという問題がそこには出てくる。

 今のお答えを聞いていて、書面添付と税理士に事前通知と意見聴取で税務調査は終了しないが、国税庁にとっては、国税庁自身の調査を省力化できるという点では、国税庁の下請機関の役割を税理士さんに代行してもらえるようになる、課税庁側からすると、こういうメリットといいますか、そういうことが出てこようかと思うのですが、基本は、これはあくまでも全体の税務調査の中の一部であって、そこで終わるというものじゃない。それは、先ほど御答弁いただいたところで、そういうところなんだと思うのです。しかし、意見聴取で終わる場合もあるということですから、そうすると、書面添付と税理士に事前通知と意見聴取で事実上の税務調査終了となる基準は何なのか。これは、基準というものを法律によって明らかにしておかないといろいろな不都合が出てくると思うのですが、その基準はどういうところに置くわけですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず最初に、本人の了解もなく税理士さんとの間で終わるという話が最初にございましたが、ここはあくまでも税理士の立場で意見を述べられるわけで、その場合、代理権限を有する、いわゆる書類を添付した税理士さん、それに限って、その場合には代理権限を有しておられるものですから、それをもっていわば意見の聴取なりで終わるということがあるということを申したわけでございます。

 その上、今言いました問題点は、先ほど言ったように、御本人の場合もそうですし、そういう書面添付した税理士さん以外の税理士さんの場合も同じでございますけれども、我々通常、情報をもとに調査をしておりまして、その情報との突合なりで疑問点が解消すれば、それでいわば調査が終わるということになるのかと存じます。

吉井委員 私は、その最後のところ、やはり書面添付とそして税理士さんに事前通知と意見聴取で税務調査を事実上終了とする、この基準というものは、もう少し、こういう場合、こういう場合ときちっと示しておかないと、これは課税庁側の非常に恣意的な判断、恣意的な扱いによってそこが非常に、よくわからない、そういう問題が出てこようかと思うのですが、その基準というものはあらかじめ何か、もう少しはっきりした基準というものをつくっておられるのですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 基準のようなものは、いろいろな種々雑多ないわば調査事案がございますものですから、一律にはつくることは困難かと存じます。

吉井委員 それでは、先ほどは税務行政の上で差別的扱いはしないとおっしゃったのだけれども、それは言葉では差別的扱いはしないのだけれども、しかし、こういう場合きちんとした明確な基準を示さなかったならば、東京の国税局、大阪の国税局、それぞれ基準が違う、こういう問題などがいろいろ出てくるわけですね。

 ですから、やはりそこは、基準はまだないという話ですが、私はそういうことでは通らない話だということを申し上げて、これは聞いたって、まだないわけですからそれ以上の答弁は出てこないみたいですから、やりようがないから、次の出廷陳述権と税理士さんの問題について伺いたいと思います。

 今度の法改正で、租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として弁護士、訴訟代理人とともに出頭して陳述できることとしているわけですが、この出廷陳述権というのは、納税者の権利擁護を保障するものとして大事な意味を持っていると思います。

 弁護士法では、納税者の権利擁護については、第一条一項で、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命ということと、第三条一項で、当事者その他関係人の依頼等によって法律事務を行うことを職務とする。つまり、弁護士の公益的役割と当事者の代理人としての役割が弁護士の二つの役割だというふうに、これは裁判官であった方の「弁護士役割論」その他でも、そういう規定といいますか、紹介されております。

 まず、弁護士さんについてはそういうものとして私は理解しているのですが、昨日もレクチャーいただいたときに、その点は大体そういう御趣旨だったように思いますが、この点はそれでいいですね。

尾原政府参考人 出廷陳述権と、その場合の税理士の立場の問題だと思います。

 先般、税理士の話として、専門家として報酬を得て納税義務者の信頼にこたえている、税法の適用解釈に当たりまして、納税者の立場がいたずらに害されぬよう最善の努力を行うべきであるということが大臣からお話がございました。

 一方で、また大臣から、税理士法第一条に定められているのが税理士の使命でございます。つまり、税理士は独立した公正な立場において国民の納税義務の適正な実現を図ることを使命とする、こういうふうに書いてございます。

 したがいまして、今回の税理士が補佐人として裁判所に出頭して陳述をする場合でございますけれども、税理士は、納税義務者あるいは税務当局のいずれにも偏しない独立した公正な立場に立って、専門家としての良識に基づき法廷での陳述を行うということになると考えております。

吉井委員 私が今、まずそういうお考えをお持ちだから伺っているのですが、弁護士の公益的役割と当事者の代理人としての役割というのが弁護士の二つの役割、これは弁護士法などでも示された考え方として、きのうもレクのときには大体そういう方向で言っておられたので、この点は最初にやはり弁護士さんの役割をどう認識するかということが、次の、今おっしゃっておられたような、まだ聞いていないところをしゃべってはるのですが、そこにつながるわけですからね。

 弁護士の役割というのはこういうことでいいのでしょう。

尾原政府参考人 弁護士の役割は、同じように弁護士の使命ということで弁護士法に書いてございまして、先生今お話ございましたように、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」第二項で、「弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」こういうふうに承知しております。

吉井委員 それでもう一つ、第三条一項を今お忘れなんですが、そこに、当事者その他関係人の依頼等によって法律事務を行うことを職務とするという、つまりここに、これは裁判官をされた方の「弁護士役割論」などでも整理して示されておりますが、弁護士の公益的役割と当事者の代理人としての役割と二つの役割がある。ここが弁護士さんの役割として示されているわけです。

 次に、それで、法廷で弁護士と税理士が共同して依頼者、納税者の権利擁護のために働くときに、弁護士さんの方は弁護士法第一条、納税者の基本的人権擁護の立場、第三条の当事者、納税者の依頼によって法律事務を行うという依頼者側の立場に立って、依頼人と信頼関係を持って法廷で争いに臨むわけですね。税理士さんも、弁護士と共同して事件に取り組むときに、やはり弁護士と同じように依頼人、納税者の利益擁護の立場で尽くすということがこの場合求められると思うのです。

 このとき、税理士は、税理士法第一条「独立した公正な立場」ということを課税庁からの独立した立場ととらえて、依頼人、納税者の利益擁護の立場で尽くすというふうに解していいのか、そこを伺っておきたいと思うのです。

 ちょっと先ほどの、大分先を走ってお答えいただいた、私は、その内容はやはり、それでは弁護士と税理士が共同して法廷に臨むというわけにいかないと思いますよ。

尾原政府参考人 今回の法廷陳述権でございますけれども、税務の専門家として裁判所の許可なく陳述権が認められることが納税者の便宜にも即することになるということで拡充することにしたわけでございます。

 それで、では、どういう立場でということになってまいりますと、これは税理士法の第一条に使命がございます、独立した公正な立場でということが税理士法に書いてあるわけでございます。したがいまして、委嘱者たる納税者の援助に当たりましては、納税義務者あるいは税務当局のいずれにも偏しない、要すれば、まさに税法の適正な課税ということに即した独立した公正な立場で、税務に関する専門家としての良識に基づいて行動していただく、こういうふうになると考えております。

 これは、今回裁判所の許可なく陳述人として出られることになるわけでございますけれども、従来許可があった場合の陳述をする場合も同じというふうに解しているわけでございます。

吉井委員 共同して法廷で争うときに、弁護士の方は納税者の利益擁護、その立場で頑張る。そのとき、共同するはずの税理士さんの方は、僕は専門家だが知らないよと。これは通る話じゃないですよ。

 それで、一昨日の当委員会で塩川大臣は、スタンスとしては納税者の側に立って、納税者に有利なように働くもの、できるだけ納税者の立場に立って働いてあげることが大事と思うと答弁されましたが、これはまだ二日ですから、忘れましたというお話じゃないと思うんですが、補佐人として弁護士とともに出廷して陳述するからには、私はこれは当然だと思うんです。

 大臣、先日の答弁、このとおりですね。

塩川国務大臣 私は、その答弁の中で、まず税理士は、法の第一条に書いてあることが、これが税理士としての基本的な使命であり、倫理観である、こう言っております。それが前提になっております。そしてなおかつ、税の解釈あるいは補佐をする場合に、できるだけ納税者の立場に立ったスタンスでと言っておるのでございまして、それは、公正中立的な意見をするのが前提であると第一条ではっきり書いてあるんですから、その立場に立ってやるが、しかし、その場合でも、やはり納税者の立場に立って有利に解釈してもいいのではないか。

 しかし、法廷におきます陳述というものは、法に宣誓をするとおり、公正であって、何人にも指さされることのない公正な証言をしなきゃならない。これは人間としてすべて、弁護士であろうが税理士であろうが同様でありますから、それは問題ないと思います。

吉井委員 大体、「独立した公正な立場」の「公正」という点では、弁護士さんも一緒なんですよ。例えば殺人事件があって、実際に殺人を犯した容疑者の弁護に当たる場合であっても、殺人を犯したというその事実を全部容疑者から聞いた上で、殺人をやっているんだが、殺人を犯していないという立場で弁護活動に当たるということはないわけなんです。やはり公正な立場に立って、しかし同時に、弁護人としてその依頼者にできるだけ権利を擁護してあげるようにということでやるわけです。

 ですから、「独立した公正な立場」といったって、その「公正な」というのは弁護士であれ税理士であれ当たり前の話であって、問題は、その「独立した」ということが課税庁から独立ということでなければ、先ほどのやはり書面添付のときにも申し上げましたけれども、課税庁の代行機関的な、そういうふうなものであっちゃならないし、そういうふうになると信頼が非常に著しく損なわれるわけです。ですから、この問題でも、やはり「独立した」というのは課税庁からの独立、こういうふうに解するのが本来の姿じゃありませんか。それをずっと税務当局の方は、両方から独立した、中立だ、真ん中だと言ってきているんですね。

 だけれども、本来、課税庁からも納税者からも独立した公正な立場ということをいうのだったら、それが強く求められるのは裁判所、裁判官の方の話であって、国税不服審判所やその審判官も本来そうでなきゃいけないでしょうが、これ自体が国税庁の内部組織ということになってくるわけですから、そこには課税庁からの独立というものはないわけですね。

 しかし、よく見ていますと、国税庁の方には、訴訟実務の訓練を受けた、税務に精通した現職の税務行政官が指定代理人として十二の国税局ごとに配置され、全国百二名というふうにきのうは伺いましたが、二百七十名ぐらいいるんじゃないかとも聞いていますが、訟務官がおられて、法廷内で訴訟活動に従事する体制をとっているんですね。裁判所にも、人的体制を見ると、税務訴訟の多い東京、大阪の地方裁判所には、裁判所の審理を補佐するために、国税庁から調査官が東京で三名、大阪で二名と派遣されていて、任期が終わったら国税庁に戻られるわけです。ですから、独立した公正な立場が求められる裁判所、あるいはそれが期待される国税不服審判所が、やはり課税庁側、権力の側に偏って存在している。

 そうすると、この独立した公正な立場の保障というものがあるのかどうかということが、そこにもある意味では疑問が呈せられるときに、圧倒的な力、国家権力の強大な力を持つ課税庁のもとで、税法や税務に明るくない納税者の権利を擁護して、対等な立場に近くして不服申し立てなりあるいは訴訟で争うというときに、税理士さんに課税庁からの独立は求めなきゃいけないと思うのですが、しかし、納税者とも中立ですということだけでは、私は、結局、せっかく出廷陳述権というものを考えるにしても、それは本来、納税者の権利を擁護していく、そういうことにはならないと思うのですね。

 私は、やはりこの第一条で、言葉としては、今ありました「独立した公正な立場」ということはあるんですけれども、この「独立した」という、ここはやはり課税庁からの独立、こういう考え方に立って、それとリンクした形での法廷陳述権というものが実現されるんだ、こういう立場にやはり国の側が、財務省として立たなきゃいけないと思うのですが、もう一度伺っておきたいと思います。

尾原政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになるわけでございますけれども、「独立した公正な立場」、これは、納税義務者、依頼者でございますね、税務当局、いずれにも偏しない独立した公正な立場でございます。したがいまして、この「税理士の使命」の第一条の最後の方にも、「申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」こういうふうに結んでございまして、それだけ、税理士の職務でございますけれども、大変公共的なものであるということが規定されていると思っております。

吉井委員 私は、課税する側がそういう解釈でもって、大体、今おっしゃったところは、塩川大臣もおっしゃったように、倫理的な性格を持っているんですよ。それを、課税庁側からの独立ということじゃなくて、そういうふうに解釈して求めていくこと自体、私はそれは大変おかしいと思います。

 弁護士の場合には、弁護士会自治が原則的に確立されていますね。税理士会の場合は、第四十九条の十六で、今度は役員の解任の部分は削除ですが、総会決議の取り消しということで、財務大臣、課税庁の管理監督のもとに置かれるということで、納税者が争う課税庁から独立した存在ではない。税理士会自治が制度的に保障されていないという問題があると思うんですね。

 私は、どうも、税理士さんたちを課税庁の意向に沿うように囲い込んで囲い込んでという御意向が、今の御答弁を聞いておっても非常に強く感じられるんですが、私は、こういう部分は削除して、やはり税理士会自治の尊重、そして税理士会自治と税理士の皆さんに課税庁からの独立というものをやはりきちんと保障していくのは当然のことだと思うのですが、これは大臣、やはりそういう方向へいかなきゃいけないんじゃないですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の改正は、やはり、先生言われますように、日本税理士会の自治ということを尊重するという視点ではございます。特に今回、日本税理士会及び各税理士会は、税理士の義務の遵守あるいは税理士業務の改善、進歩を図るために税理士に対する指導監督等を行うという目的で設立された、高い公共的使命を担っている、そういうことでございまして、税理士業務の適正な運営を確保するという行政責任も同時にその点から出てくる。したがって、必要な監督権限は維持していくことが必要だ。

 ただ、一方で、これまで日税連及び税理士会の運営状況を勘案いたしますと、この両会の自治権のもとで自発的是正が十分期待できるので、人事権の介入までは必要ではないと考えられるので、役員の解任規定、そういうものについては廃止するということにしたものでございます。

吉井委員 どうしても囲い込んでおきたい、そういう立場が非常に強烈ですね。

 弁護士過疎の地域では弁護士さんは非常に少ないわけですから、こういうところでは、本人訴訟に補佐人として出廷陳述権を認めるということも大事だと思うのですが、これは、そういう方向へ進もうという考えはあるのですか。

大武政府参考人 先ほど先生からお話ありました不服審判所の審査においては、税理士さんが当然立ち会う、代理するわけなんですが、現在は、裁判所が認めた以外は補佐人となることができなかった。その意味で、今回の改正によりまして、いわゆる訴訟代理人たる弁護士さんが同行する場合に、その補佐人として一緒に出るということでございます。

 ただ、そこはあくまでも補佐人となっておりますのも、当然いわゆる税務訴訟ということの専門家ではありませんので、訴訟代理人はあくまでも弁護士さんがいらっしゃって、それの補佐人である、本人の補佐人である、訴訟代理人とともに出廷するということになっているかと思います。

吉井委員 国税不服審判所というのは国税庁の組織ですから、そこは圧倒的に課税庁側の優位なところの話なんですね。そうでない裁判所において訴訟を起こして争うという場合、そのときに、弁護士過疎の地域で、要するに、そこで補佐人として出廷して陳述するというために、もちろん弁護士さんと同じように必要な修習を受けたりさまざまなことをやるということは当然の前提としてでも、やはり、方向としてはそういうことを考えていかないと、弁護士過疎の地域では、非常に不利益を受けている人がなかなか訴訟に踏み切ることができない、補佐人がいないという問題があるのですね。

 ですから、この法律改正でそこに入っていないのは私もわかって聞いているんですけれども、やはり、そういう方向というものを目指すんだとか進めていくんだとか、何かそういう考えを持っているのかどうかという点を聞いておきたいと思っているのです。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 現在の税理士法に基づきましては、やはり、先ほど申したように、税理士法の一条というところがございます。その解釈の問題も一つあるかと存じます。

 それからもう一つは、やはり、税務訴訟ということになりますと、いわゆる訴訟法なりの修得もございませんし、もし、そのような弁護士と同じ活動をして、いわゆる本人にいわば被害を与えるということも予想されるわけで、その意味では、やはり訴訟代理人と一緒に出廷、陳述するということが必要なのかなというふうに思っているわけでございます。

吉井委員 ですから、今もおっしゃった一条の解釈というのはあくまでも皆さんの解釈であって、その解釈そのものを、これは課税庁からの独立と、そこへきちっと変えていくべきだと私は思いますし、それをやらないと、これではやはり、弁護士の場合と違って、税理士というのは国税庁の下請機関というふうに見られてしまうという問題をずっと残してしまうと思いますよ。

 次に、課税権と法のもとの平等という観点から少し伺いたいと思うのですが、権力の行使というのは公平、公正でなければならない。とりわけ国税庁の場合、非常に強い課税権限というものを持っているわけですから、公平、公正でなければならないということ、これは当然のといいますか、自明のことだと思うのですが、これは大臣の方に確認しておきたいと思います。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 やはり税務当局の使命というのは適正、公平な課税の実現を図ることにあるわけでして、申告納税制度を基本とする現行税制のもとにおいて、税務行政に対する納税者の理解と協力を得ることが特に必要なことだという認識に立っているところでございます。

吉井委員 あなたも財務大臣になられてから答弁していただいた方が。私は財務大臣に聞いておりましたので。

 それで、昨日も資料を持ってきていただいて伺っておりますと、やはり権力の行使は公平、公正でなければならないのですが、例えば、かつて暴力団新法の審議をしたときなど国会で何度か取り上げられておりますが、暴力団関係者への税務調査の実態を伺ったら、九九事務年度で全国で二百五十七件、大体各県平均五件ぐらいだというのですね。

 だから、やはり、そもそも申告をしていないとかさまざまな問題があっても、ほとんどつかまれていない。零細な中小業者の皆さんは、もう皆さん、大きな国の権力ですから、おびえながらでも、こわごわにしろ何にしろ申告して納税するわけですが、そういうことが一方にある。これでは公平、公正ということにはなってこないと思うのですね。

 その話は、時間が大分たってまいりましたのでまた別な機会にやりたいと思いますが、塩川大臣、テレビ朝日のインタビューで、機密費を国会対策に使ったということを認めておられたわけですが、これは、十二年前の話を、四カ月前まではしっかり覚えていらっしゃったんだが、四カ月前の話になったら、忘れましたというお話ですが、実は、二月二十七日のこの委員会で、国税庁の村上課税部長は、この機密費が国会議員に渡った場合、相手は国ですから、こういう場合のせんべつというのは一時所得ということになりますから、百万円もらうと七万五千円、一千万円もらうと百四十九万九千円の所得税が課税ということになってくる、申告して納税していないからこれは脱税ということになるわけですが、本来の所得税と重加算税合わせると、百万円で十万円、一千万円なら二百二万一千円の税金がかかるという答弁がありました。

 庶民の場合には、機密費からもらうことはありませんから、個人から個人へと渡された金となりますと、贈与税の対象と見て、一千万円だったら三百九十六万二千円ということになるわけですね。

 小零細業者が扱う百万、一千万の金は、これは申告漏れなら脱税とされて、機密費だったら脱税として扱われてこなかった。これは、私はそのとき問題だということを指摘したのですが、まだ時効にならないものがあるわけですね。時効になっていないせんべつあるいは国会対策の金など、さまざまな名目で渡された金については、これは一時所得として申告されているのかどうか調べることとか、あるいは、なければ、税務申告を求め、申告されない場合は脱税として税務調査を行っていく、私はこういうことがやはり公正な権力の執行という点、公平、公正という点では大事だと思うのです。

 塩川さん自身は、機密費を配る大臣も務めてこられた、受け取った者が税務申告をするか脱税をするかを監督する立場の今大臣でいらっしゃるわけですから、大臣として、やはりまず税務調査を指示する、ここが出発点だと思うのですが、どうですか。

塩川国務大臣 私は、その委員会でも申しておりますが、私自身はもらったこともないし、渡したこともありませんので、そういうことは全く想像しがたい事案でございます。

吉井委員 あなたが渡したことももらったことも仮になかったとしても、とにかくテレビでもおっしゃったし、あなただけじゃなしに、これは関係する方々、たくさんの方が、野坂浩賢さんもそうですし、田村元さん、元衆議院議長ですね。この方は、鈴木善幸内閣時代の国対委員長を務められた方が、何人かの野党の方に個人に渡したとか、僕のときは百万円単位だったとか、これは大分古くなりますが、九三年三月のテレビ朝日の番組で登場して語っておられるということですが、ですから、そういうのが渡されておった。

 それで、あなたは渡したことはない、もらったこともないということにしても、それが今大問題になっているときなんですから、ですから一昨日の国税庁の方の答弁でも、国税庁が資料を集めて、その資料によって判断して税務調査を行うということを言ったわけですね。国税庁がまず、官房機密費より、いつ、だれに、幾らせんべつあるいは国会対策の名目で支出したかの資料を求めれば、税務申告がされているか無申告かはすぐわかるわけですね。こういうことはやはり指示をして、今一番監督する担当の大臣ですから、そういうことをやはり指示して進められるということが私は必要だと思うのですが、大臣、どうですか。

塩川国務大臣 報償費の件につきましては、取り扱い上これは公表をしないということになっておりますので、そのことはでき得ないのではないかと思っております。

吉井委員 国会議員の申告について、反面調査ということで内閣官房会計課に資料の提出を求めていけば、そういう申告書と照らせば、無申告なのか申告されているのかということはわかりますし、無申告なら修正申告を求めて、過少申告加算税なり重加算税などをあわせて追徴するということになっていくと思うのですね。それに応じなければ、脱税として重加算税を課す。そういうことをやはりきちっとやらないと、零細な国民であれば、もう少額のものであってもそれは贈与税だ、申告していないのは脱税だ、こう来るわけですが、しかし、これだけ問題になっている、金が出されたことはわかっているということになっているこの機密費によるせんべつあるいは国会対策の名目によるお金について、百万もらおうが一千万もらおうがこれはもう全くお構いなし。これでは私は、国民の納得が得られる話じゃないと思うのです。

 ですから、申告書が全国会議員から出ているわけですから、その申告書に照らして、反面調査ということで内閣官房にきちっと調査をされる。私はそういうことを、塩川大臣の方でそれを指示されるということが必要だと思うのですよ。大臣、どうですか。

塩川国務大臣 私は、今財務省の大臣をやっておりますが、政府の一員といたしまして、先ほど申しましたように、報償費の内容につきましては公表することができません。

吉井委員 いや、国民みんなに公表せいと言っているのじゃないのですよ。反面調査を受けたときには、内閣官房の方が国税当局に協力すればいいわけなんですから。もちろん国税の皆さんは守秘義務ということで縛られているわけですから、それは、問題はやる気があればやれるのですよ。それを調べた結果、これは申告漏れということになれば、きちんと修正申告を求めていくという通常の手続に入ると思うのですね。それは内閣方針だ何だということと関係なしに、私は、あなたは担当の大臣としてそれをするべきだと思うのですね。どうですか、大臣。

塩川国務大臣 一般論の理論として、吉井さんの言っていることは吉井さんの理論として申し上げられますけれども、私は、先ほど言っていますように、報償費というものは政府においては公表しないという建前を、きちっとそれを保証しておりますので、そういう公表がない以上は個人の調査ということは難しいのではないか、こういうことを言っておるのであります。

吉井委員 私は先ほど、時間がないから暴力団のことも、各県平均五件ぐらいの税務調査しか実際に行われていないと。新宿であれどこであれ、いっぱいそういう人たちがいるわけですが、多くが申告もなく納税もない。そして、これは昨日資料をと言ったのですが、大阪府同和地区企業連合会と大阪国税局の七項目の合意による、解同と国税庁の不正事件ということで新聞でも取り上げられた脱税コンサルタント事件とか、あるいは、浜田卓二郎さんが自分の本で書いておられますが、青色申告は特別扱いで、自分が二十八歳、現場の税務署長だった時代に、不正申告があったので青色を取り消したら、上の方からの圧力で、取り消したことを取り消さされたという話まで、みずからの若い税務署長時代の体験を語っておられるのがあります。

 そして、今回のこの機密費の問題ですね。こういう問題になってくると、一切公表しないのだということでもって、税務調査もやらせない、反面調査ももちろん、税務調査全体をやらせないし、これは一時所得として入っておっても一切、課税すること自体を考えない。私は、そういうふうなやり方で余りに恣意的な扱い、法のもとの平等に反するこういうやり方というのは、権力の行使は公平公正でなければならないと思うのですが、そういうやり方というのは、とても国民の信頼を得られるようなものじゃないと思いますよ。

 ですから、今あなたは昔の自治大臣じゃありませんから、国家公安委員長でもありませんから、暴力団相手の話は、直接暴力団の方に対する対策はとれないにしても、しかし課税庁として、もっと体制を強化して進めるということとか、それももちろんできるわけですが、しかし何よりも直接自分の手でできるのが、これは機密費の問題。そこの問題について、私はきちんと税の面からも解明する、そういうことでないと、官房機密費というのは脱税天国を奨励しているようなものだということになってきてしまいますよ。

 私は、そこは大臣としてきちんと対応するということをやはりおっしゃらないと、ここは大臣の姿勢が問われてくると思うのです。どうですか、大臣。

塩川国務大臣 当然、そういう事実が出てまいりましたら、ちゃんとそれは調査しなければならぬと思っております。

吉井委員 当然事実が出てくればって、その事実を明らかにしようとしないで事実が出てくればといってもそれはむちゃな話で、だからあなたが指示をされて、反面調査として内閣官房の方の会計課にきちんと、いつ、幾ら、だれに機密費を渡したのか、そのデータを得て、それで税務申告はきちんとされているのかどうか、それをあなたが指示すればできるわけですから、私は、それをやはりするべきだと思うのです。

 あれだけ改革を口にしてきた小泉内閣なんですが、正面から官房機密費の解明をしようとしないだけじゃなくて、税務調査によって解明するということについてもやらない。機密費をもらった国会議員の脱税の摘発も行わない。庶民には事前通知なしの税務調査もやるし反面調査もやる。今非常に問題になっていますのは、不況の中で納税分を資金繰りや返済に回さざるを得ない、本当に苦しい中小業者がたくさん、本当にたくさんいらっしゃるわけですよ。そういう中小業者にも厳しい徴税はやるのだけれども、しかし機密費による脱税は大っぴらにまかり通る。これじゃ、これは何にも改革していないことになると思いますよ。

 だから、やはり私は、改革というからには、この際大臣として、そこは決断して進めるべきだと思うのですが、最後にその点を改めて、重ねて伺っておきたいと思います。

山口委員長 時間ですので簡潔に。

塩川国務大臣 吉井さんの意見は意見として承っておきます。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

山口委員長 植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀でございます。

 最後の質疑になりますので、法案に沿いながら幾つかの点についてお伺いしたいと思います。

 ただ、先ほどの共産党の吉井委員の方の御質問とややかぶる部分もあるかとは思いますが、やや切り口を変えながら、またできるだけ重複を避けながら御質問させていただきたいと思います。

 まず、財務大臣の方に、税理士制度全般にかかわる問題意識、基本認識について何点かお伺いしたいわけでございますが、私自身、税の素人でございますが、いろいろにわか勉強させていただきまして、やはり日本の税制の一つの大きな契機になったのが、戦後のシャウプ勧告があるというようなことを勉強させていただきました。

 一九四九年のシャウプ税制視察団の第一次税制報告書の中でこういう文言があるわけでございますが、「もし、単にえこひいきまたは寛大を得るために交渉するのではなくて、納税者の代理を立派につとめ、税務官吏をして法律に従つて行動することを助ける積極的で見聞の広い職業群が存在すれば適正な税務行政はより容易に生れるであろう」、そういう文言があるわけでございます。

 また、歴史をひもとけば、今の税理士法の原型といいますのが、そもそも税務代理士として法制化されたというふうにも伺っておるわけでございますが、こういうふうに歴史的な経緯をひもといてみますと、我が国の税理士制度というのは、そもそもは納税者の代理人制度として発展してきた、そういう経緯があろうかというふうに思うわけです。

 そのことを踏まえて、当然これは税理士法第一条の使命ともかかわってくるかと思いますけれども、まず税理士制度にかかわる基本的な御認識について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

塩川国務大臣 御承知のように、昭和二十六年、税理士法が制定されました。その間、精神は一貫して第一条にうたわれております。すなわち、税理士は、税務の専門家として受託報酬を得、納税義務者の信頼にこたえておりますので、税法の適用、解釈に当たり、納税者の立場がいたずらに害されぬよう最善の努力を行うということは、先般私申し上げたとおりでございますが、一方で、税理士法第一条に定められておりますとおり、税理士は、独立した公正な立場において、国民の納税義務の適正な実現を図ることを使命としておることは当然でございます。この点も再度申し上げておるところでございます。

 このように、制度の沿革及び税理士の高い公共的使命にかんがみますと、納税者が納税義務を適正に実現し、申告納税制度の円滑、適正な運用に資するよう信頼される税理士制度を確立していくということは、極めて大事な意義のあることでございまして、財務省といたしましては、その精神に沿って税理士諸氏との交渉に当たっておるということでございます。

植田委員 ここでの、特に、独立した公正な立場というところをどういうふうに認識するかというところでやや議論が分かれるところもあるかとは思うのですけれども、今のお話だけ伺っていますと、税理士さんというのは、何か相撲で言うたら行司みたいな感じに受けとめてしまうところがあるわけでございます。式守伊之助や木村庄之助ではございませんで、やはりある意味では、先日、おとつい塩川財務大臣おっしゃった、先ほども吉井委員の質疑の中でもそれを取り上げられていましたが、税理士のスタンスとしては、納税者の側に立って納税者に有利にというふうな趣旨でおっしゃられたと思うのです。

 その前に、ちょっとそのときの後段で、いわば独立した公正な立場という意味において、税理士さんと弁護士さん、要するに共通しているところがあるんだよという御趣旨だったんだろうと恐らく思うのですが、私、おとついの質疑を聞いておりましたら、弁護士が被告に有利になるのと同様な趣旨で引き合いに出されていましたので、少なくとも納税者は被告ではございませんから、趣旨は理解できなくはないのですが、その辺、もし御記憶であれば、ちょっとそこの例えは訂正しておいていただきたいと思うのですが、まずその点だけお願いします。

塩川国務大臣 官僚的発想からいいましたら、まさにおっしゃるとおりだと思うのです。しかし、現実の社会におきまして見ました場合、納税者と税務当局とはこんなに知識の差がございます。それはどうしてもそのときやはり納税者というものはだれかに知恵をかりなきゃならぬ、その知恵をかしてくれていろいろと補佐をしてくれるのは税理士さんではないか。そのために税理士制度というのはできておる。

 しかしながら、その税理士が精神状態としては独立した公正な判断で税の執行をする、これはもう当然でございまして、何も税をゆがめて補佐しろということは言っていない。知識の差がございますから、それに対する知識の付与をして、税務署と同等の知識を持って納税者が納税義務を果たしていくということが一番望ましい。けれども、そうはならないから、補佐をしてあげるのが税理士だと私は思うのです。

 けれども、くどいようでございますが、税理士の精神というものは、倫理観というものは第一条に書いたとおりでございまして、独立して公正で厳正な判断をするということは当然であるということであります。

植田委員 私が申し上げたいのは、要は、やはり税理士の最大の使命、今力強く大臣の方からおっしゃっていただきましたが、やはりそういう意味で、納税者がそれぞれ税について詳細に知識があるわけではないわけですから、それについて適切なアドバイスなりなんなりすることを通して税理士というものは納税者の権利擁護に資するというのがまず第一義としての使命としてあるんじゃないでしょうかということを私聞きたかったわけなんです。

 そして、その脈絡の中で、塩川大臣も、一昨日、税理士のスタンスとしては今私が申し上げたことと恐らくそんなに認識は違わないと思うのです、思うのですが、弁護士が被告に有利になるようにというところが私ひっかかったものですから、納税者はそういう被告の立場ではないでしょうということだけ今まず聞きたかったわけなんです。

 だから、今まさにおっしゃったことは非常にわかるのですが、だからその点もう一度と、少なくとも、そういう意味では、まさに今大臣おっしゃったようなことが、まさに納税者の権利擁護という大きな使命を税理士がまず第一義的に持っているんだというふうに認識していいのかということについては、もう一度ちょっとお願いいたします。

塩川国務大臣 やはり納税者の補佐として使命を持っておるということは当然であります。

植田委員 余りそこのところだけであれしませんが、だから、納税者だって権利主体ですので、これはもう答弁求めませんが、やはりいわゆる裁判における被告との例えというのは私はちょっとひっかかったということなんです。それは御理解ください。納税者も権利主体である。その権利主体たる納税者を擁護するのが税理士の任務だ、そのことについてはお答えいただきましたのは、そこは繰り返しません。

 今の答弁の中で、税理士の制度の公益性についても当然入ってきたと思いますけれども、おっしゃるように、当然税理士が公益性の高い仕事をされておるということは、これは言うまでもないことでございます。そして、税理士制度が税務代理士として、職業専門家として税務行政にも貢献されてきたという中で、そうした背景の中で、先ほども議論にありましたが、そろそろ税理士会に自治権をちゃんと付与すればどうかというふうに私は思っているわけです。

 例えば海外の事例、詳細はちょっと調べたわけじゃないのですが、例えばドイツですと、昨年の七月の改正税理士法で、税理士資格の付与、撤回、税理法人の承認、撤回が税理士会の権限になったそうです。また、税理士の租税に対する訴訟代理権も認められている。もちろん現在でも日本における税理士の社会的地位は当然高いわけですけれども、こういう形でドイツでもそうした自治権を認めているというのが先行事例としてあるわけです。

 その中で、当然それぞれの国情は違うわけですけれども、既に制度ができて半世紀以上もたっているわけですし、またこの間の、そういう意味では税理士制度等のありようを考えた場合、私としては、税理士に自治権を付与しない理由というものがよく理解できません。その点についてはいかがでございますでしょうか。

大武政府参考人 先生、お答えさせていただきます。

 今回、日税連等の創設ちょうど五十年余の歴史というのを踏まえ、かつ自主的に運営できるだけの実績、能力もあり、現在我々国税庁と日税連等の信頼関係にかんがみますと、ある意味で、今後の相互信頼の確立という観点からも、人事権の介入というようなことは必要ないんじゃないかということで、先生御存じのとおり、大臣による役員の解任規定は削除させていただくことにいたしました。

 ただ、行政の監督権限が定められている理由というのは、先ほども先生のお話にあった憲法の納税義務の適正な実現を図るという税理士の役割、その無償独占という権利まで与えられた役割を指導監督する権限が日税連にあるわけで、その日税連の高い公共性にかんがみまして、やはり、税理士業務の適正な運営の確保という国税庁としての国民に対する責任という観点からは、総会決議の取り消し権の廃止までは適切ではないのではないかと考えた次第でございます。

 なお、他の公認会計士とか社会保険労務士とか弁理士などは、御存じのとおり、総会決議の取り消しに加え、役員の解任規定の権限まで持っているという実情にあるわけでございます。

植田委員 今既に御説明いただきましたように、税理士の自主性の確立の観点からすれば、今回の役員の解任規定がなくなったということは評価はしたいわけです。

 ただ、「総会の決議についてはこれを取り消すべきことを命じ」というところも、今も御説明ありましたけれども、別に、これも今回の改正で外したって、そんなに不都合があったんでしょうか。そこをもう一度ちょっと詳しくお話しいただけますか。さして不都合はなかったと思うんですが。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど来申しましたように、日本税理士会には大変強い公共性を付与されているわけでございまして、その日本税理士会を、当然、長年の経緯から強い信頼関係を我々持っておりますけれども、しかし、最後のところで、総会決議について取り消し権まで廃止してしまいますと、我々に与えられた国民に対する責任という観点からいかがなものか。そういう意味では、規定としては置かせていただいている、こういうことでございます。

植田委員 当然、税理士制度の公益性と、そしてまた、それが独立した公正な立場ということを最大限やはり担保するという意味においては、そもそも税理士会というものは主務官庁があるような仕組みというもの自体、やはりそういう意味ではそこを阻害している要因なんじゃないかというふうに私は思いますということだけ申し上げまして、次に進みます。

 次に、試験科目の免除等の規定の見直しにかかわってですけれども、この間、税理士法の一部改正にとどまらず、他の士業も含めて、行革、規制緩和の流れを受けてさまざまな提言はされてきただろうというふうに、まあ、その流れの中での改正だろうと思うわけですけれども、税理士試験の受験資格緩和及び試験免除規定についても、一昨年、規制改革についての第二次見解がなされておりますし、また、規制緩和推進三カ年計画でも、分野別の措置事項としての見直しが決まっているというふうなところでございます。

 その辺のところの動きも含めて今回の改正に当たって議論がなされたかと思うわけですが、その背景及び、具体的に、じゃ、どういうふうに変更されたのか、緩和されたのかということを含めて御説明いただけますでしょうか。

尾原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話がございましたように、税理士試験制度につきましては、一つは規制緩和の要請、もう一つは信頼される税理士制度の確立という観点からの見直しが行われております。

 まず、第一点目の規制緩和推進三カ年計画では、公的資格制度の受験資格の見直し、つまり規制緩和の要請がございます。つまり、より多くの方に受験の門戸を開くということが計画の精神になっておりまして、今回、職歴、学歴による受験資格の要件を緩和するということにしてございます。

 具体的に申し上げさせていただきますと、今まで、職務の種類によって三年から十年という差がございました。これを一律に最も短い三年にさせていただく。

 また、学歴による受験資格でございますが、いわゆる大学編入が認められている専門学校の修了者の方がおられます。こういう方の中で、法律学、経済学を修められた方について新たに受験資格を認めるという改正を行うこととしているわけでございます。

 それから、もう一つは税理士制度の信頼性ということでございましょうか、いろいろの御指摘もございます。よく合理性、公平性さらには透明性の観点から今回検討してございます。

 具体的な内容でございますが、一つは、修士、博士の学位取得の問題でございますが、現行の法律でございますと、学位取得、例えば法律学なら何でもいい、財政学なら何でもいいというふうになっていたわけでございますが、これを試験科目に相応するものに限定させていただくということでございます。

 それから、修士の取得につきましては、特に教育の自由化といいましょうか、弾力化に伴いましての事象かと思いますが、それぞれの試験免除制度については、いわゆるダブルマスター問題として批判もあったわけでございまして、試験分野ごとに一科目の試験で一定の成績を得ることを条件にする、また、その研究分野もふさわしいものにしていくという改正にし、信頼ある制度にしていくわけでございます。

植田委員 今の御説明の中でありました、特にダブルマスターの問題についてはもうちょっと聞きたいわけですけれども、改正によってかなり適正なものになったと評価はしているわけです。

 この改正後、修士の学位取得による税法科目及び会計科目の試験免除は、それぞれ当該科目のうち一科目の試験に合格することを条件とするということになったわけですから、今の御説明のように非常に適正化が図られていると思うわけですけれども、この審議の過程の中でその辺のところの特に具体的な論議、どんな論議があったのかということをちょっと教えておいていただけますでしょうか。

尾原政府参考人 お答えいたします。

 今のダブルマスターの件について、もう少しお話しせよということでございました。

 御承知のように、先ほど教育の自由化とか申させていただきましたが、これは、大学院の修士課程につきましても、修業年限が短くなる、あるいは弾力的に受けられるということで、年々、そういう意味では学位の取得が容易になる。これは教育の面からは大変結構なことかと思いますけれども、そういうこともあって免除制度の利用者が年々増加していた。

 一方におきまして、この科目が、例えば法律学あるいは財政学あるいは商学というような書き方でございますので、税法とは余り関係のない分野のものでも二つ取ればそこの分野が試験を受けなくてもいいというようなことで、これはもういろいろな方から、この修士課程というのは税理士試験の回避目的に使われているんではないかという御指摘があったわけでございます。

 やはり、信頼のある税理士制度にしていくということは私どもに課せられた大きな課題でございまして、今回、先ほど説明したような改正を行わせていただいたということでございます。

植田委員 改正によりまして、いずれか一科目の合格でいいわけですけれども、特にちょっとお伺いしたいのは税法科目にかかわってなんです。

 税法に属する科目の研究で修士をもらった人の場合も、これはいずれかの一科目の合格が必要になるわけですけれども、税法科目、たくさん科目はございますけれども、所得税法、法人税法はいずれか必修となっていますよね。でしたら、やはりできる限り、一般の試験との均衡を図る観点からすれば、必修は受けさすべきなんじゃないかというふうに私は思うわけです。

 私も税理士の試験を受けたことはありませんけれども、国税科目五科目、地方税科目二科目とありますけれども、試験勉強をしたら、どこの科目が受かりやすいとか、どこがねらい目だとか、恐らくそんなのもあるだろうと私も推察するわけですが、やはり、受けさすんだったら必修科目を受けなさいというふうに本来すべきなんだと私は思うわけですが、その点についてはいかがでしょうか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 検討過程の中での議論も、先生のような御意見もございました。

 ただ、今回の改正の趣旨というのは、ただいま尾原局長が答弁させていただきましたとおり、いわゆる現在のダブルマスターなり大学院制度というものの運用が必ずしも十分に機能していないというのは、典型的には、インターネットで修士論文代行業というのが実はあって、百数十万円で論文が買えるという事態がある。そういう点に着目いたしますと、そうした不正は省かなければならない。一方で、しかし、先ほど来のお話にありましたように、規制緩和という流れの中で、垣根を高くするのはいかがかという議論が当然ございました。

 そういう中で、そうした不正を排除するという観点であるならば、現在の修士学位取得者そのものの意義は認めつつも、そうしたものを排除しようということになると、そうした方の資質をチェックすればいいのではないかという結論になりまして、結論的には、いわば一科目、どういう科目でも資質を調べるという意味ではできるだろうということで、一科目の試験合格というふうにさせていただいた経緯でございます。

植田委員 恐らく、少数意見として、今私が申し上げたようなこともあっただろうと思います。今回の改正の趣旨は理解しているつもりなんですが、今私が申し上げたのは、一般試験との均衡を保ちましょうよというときに、少なくとも、資質を見るという場合、必修で見てあげなさいよというふうに私は思っておる。そういう趣旨の御議論もあったと思いますので、引き続きこれは検討課題ということにさせていただきたいと思います。

 あと、試験免除の対象となる学問領域を限定するということで、税法に属する科目その他財務省令で定めるものというふうにしていますけれども、これについての省令は、どのような方向で、どういうふうな形で領域の限定がなされるのかについて、お答えできる範囲で結構でございますが、若干お伺いしたいと思います。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 学問領域につきましては、個別の税法あるいは簿記、財務諸表論などの税理士試験の試験科目に属する科目のほか、例えば、税法分野に関しては、税法の全部または一部の分野を横断的に研究する租税法あるいは国際課税など、あるいは会計学の方では、簿記、財務諸表論を基礎とする会計監査あるいは原価計算等、それぞれ省令で列挙する方向で検討中という状況にございます。

 その結果、現行制度のもとで免除制度の適用が認められておりました、例えば刑法ですとかあるいは市場調査論といった税法や会計学固有の問題以外を主な研究対象とする学問については、今後は免除制度の対象から除外されることになるのではないだろうかと思う次第です。

 ただ、具体的には、国税庁に置かれております国税審議会、そこに、税理士試験委員という方々を中心に制度が的確に実施されるようお願いしていきたいと思っております。

植田委員 引き続き、特に試験にかかわる話についてお伺いしたいわけです。

 私も、この種の資格試験というのは、一律で一つの試験があって、本来は余計な特例がなくて、試験でばちっとやるというのが本筋だと思うわけです。例えば、私なんか、政党職員を九年やって議員をやりましたので、政党職員をもう一年やっていたら、政党の機関紙にぴょっぴょと文章を書いていれば政策秘書の資格がもらえるわけなんですね。でも、実際に本当に試験を受けようと思ったら、相当難しいわけでございます。

 そういう意味では、そういう一般試験、きちっと試験を受けて合格をされる方で不公平感を感じる方々はたくさんいらっしゃると思うわけです。ただ、さまざまな固有の仕事をなさっている中で、さまざまな幾ばくかの特例が仮にあったとしても、それが適正に運用される限りにおいては、そういう特例も私はあっていいだろうというふうに考えています。

 そういう意味で、税務の職員さんが長年職場で培われた知識や能力を発揮していくということでは、退職した後、税理士をなさって、言ってみれば、第二の人生をそれで歩まれていくということは、税務職員が定年後も社会的に貢献をしていくという意味で、あり得ると私は思います。また、国税の職員の方々が、少なくとも税理士の資格を持っているぐらいの水準を持っている人でなければ、税務署の職員としての信用にもかかわるだろうと思います。そういう意味で、これから、税務職員の方々が、定年後そうしたいろいろな形で社会的に貢献されるという道をしっかりと確保しておくということは私は大切だと思うわけです。

 ただ、そこで、やはりそれについての適正、公正さが確保されていなければならないと思いますから、現状において、それについては大丈夫ですねということだけ、まず確認をさせていただきたいと思います。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生言われましたとおり、税務職員は、その全員が、国税専門官試験または国家公務員の第三種試験等に合格して採用された後、それから税務調査、滞納処分等実務経験を積み、かつ税務大学校における各種の研修で一定の要件を満たした場合に、税理士試験において試験科目の免除が認められるという姿になっております。

 これは、先生も言われたとおり、税理士業務が、納税者を支援し、国民の納税義務の適正な実現を図るための税務に関する専門家としての業務でございますから、税務職員で、十分実務経験を有する者が資格者になること自体は、税理士制度の運営上実情に沿うものと考えられますし、かつ、税理士試験に限らず、専門分野における実務経験年数に基づいて、公務員に一定の試験免除を認めることは、例えば弁理士等々公的資格にもございますし、諸外国でも多く見られるところだと存じます。

 そういう意味で、我々としても、職員の研修とかそういうものに全力を尽くして、かつ公正な試験にするように努めているところでございます。

植田委員 そういう意味で、国税の職員さんが、将来のことも考えながら、自負とまた励みを持ちながら仕事に邁進できるという意味において、その制度の適正が確保されている限りにおいて、やはりそういう形でこれからも引き続きやっていただきたいと思います。そういう制度があるがゆえに、逆に言えば、国税の職員の皆さん方の資質の向上にもつながっているというふうに私は理解しますので、その辺は、適正の確保に努めながら、そういう意味で励みのある職場をつくっていただければいいかと思うのです。

 というのは、いずれにいたしましても、調査をする側の国税職員が税理士と同等または同等以上の知識がなければ要するに務まらぬわけですから、そういう意味では、そもそも、試験を受けなくても、その業務の中で二十何年やっていれば、かなりの水準に達するだろうと思うのです。

 また、今回税理士法人制度というのができるわけですが、例えば、試験合格の税理士の方と、そういう国税の職員だった方々、試験免除税理士が、それぞれの得手不得手もあるでしょうから、両者が税理士法人を設立して共同に事業をやっていく、そういう機会もあっていいのじゃないかなと思うのですよ。だから、不得意な分野、得意な分野、融合させながら、そうした法人が組織されていけば、納税者の側からすれば非常にありがたいなというふうに思うわけです。

 ただ、そういう中で、そうした変化に的確に対応もしていかなければならないわけですが、そこで、研修規定の整備及び改正を盛り込んだと思われるわけですけれども、もう一度、その趣旨と概要についてお願いできますでしょうか。

尾原政府参考人 先ほど申し上げましたように、信頼される税理士制度の確立を目指すという観点から、ダブルマスター等の要件を的確なものにさせていただく、他方、税務職員の今の試験免除制度についても、制度の公正性、透明性を確保していくという観点から、指定研修の要件を今回新たに省令において定めていくということにしてございます。

 その省令での今考えている内容でございますけれども、まず、具体的な指定研修といたしまして、この研修の効果測定のための試験に合格することが研修の修了要件であるということを明らかにする。また、この会計科目の研修内容、水準が制度の趣旨に沿うものであるということを確認する。それで、この研修の実施状況あるいは試験のレベルが十分なものであるかどうか、これにつきましては、国税審議会が継続的に検証し、その結果を公表する。こういう形で、さらなる公正性、透明性を確保していきたいと考えております。

植田委員 これに関連して、もう一点だけ。

 私は、適正に行われておればそういうことでいいと思っておりますので、そのことを踏まえて定めていただけばいいわけですけれども、情報公開法もできましたことですから、そうした関連の事項の情報開示、例えば研修の中身や修了試験、内容、その結果等々、やはりそれは求めがあれば公開するということをしっかり担保することによって、制度がいかに適正であるか、その信頼をしっかり確保しておくということは重要だと思います。その点はちゃんとやっていただけるのでしょうか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさに先生御指摘のとおりでございまして、まさに情報公開、透明性を確保するべく努めていきたいと思っております。

植田委員 続いて、時間が少しずつ押してまいりましたが、税理士の補佐人の制度にかかわってお伺いしたいわけです。

 私思いますのは、行政訴訟で弁護士を採用せぬと本人訴訟でやる、裁判を受ける権利が認められているわけですから、訴訟の場で、そういう本人訴訟も税理士が税の専門家として登場する場面があっていいじゃないか。だから、訴訟の場で税理士が納税者の援助をする制度をつくるのやったら、本人訴訟も含めてやってあげた方がええのと違うかと思うわけですけれども、その点はまず基本的な御見解をお伺いできますか。

尾原政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正では、税理士が税務訴訟等におきまして裁判所の許可を要することなく弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭し陳述をすることができる、こういうことにしているわけでございます。したがいまして、本人訴訟の場合、裁判所の許可を要することなく補佐人となるということはできないわけでございます。

 それでは、なぜ訴訟代理人とともに出頭するということに限定しているか、規制緩和の関係からいかがなものかというお尋ねであったわけでございますけれども、やはり、税理士の場合でございますが、訴訟手続に関する専門的知識を十分に備えているとは言いがたいわけでございまして、訴訟手続の専門家でございます弁護士がいない場合にも裁判所の許可を要することなく補佐人となれるという地位を与えるということは、納税者に不測の損害を与える可能性もあるのではないか、そういうことから今回の改正では本人訴訟の場合にまでは拡大していないものでございます。

植田委員 次の質問の答弁までしていただいたようでございますが、私、次に聞きたかったのはそこやった。

 要するに、規制改革委員会の第二次見解、三カ年計画及び司法制度改革審議会の議論等々で、いわゆる周辺法律業務について緩和の方向性で検討しようということが合意されているわけです。司法制度改革審議会は、六月の十二日に答申が出るわけですから、今審議中ということになろうかと思いますけれども。

 また、そうした要請も、せっかく納税者を援助する制度をつくっているのだったら、やはりそこの部分も踏み込むべきなのじゃないか。少なくとも、今回の制度と規制改革委員会等々の指摘との整合性はとれているのかどうかについて、改めてちょっと教えていただけますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の改正と並行して、司法制度改革審議会、先生が言われたように御審議を進めておられまして、まだ最終答申までいかない中間答申という段階になるわけでございます。

 その中間答申の中では、税理士を含む法律専門職種が今後の司法においてどのような役割を担っていくかは、今後の司法制度改革が現実化した将来において各専門制度の趣旨等を踏まえ総合的に検討していくべきとされているわけでございまして、今回の改正自体は、当然司法制度改革審議会の方でも了解をいただいている、規制緩和に沿って改正という位置づけになっていますが、先生の言われたお話については、むしろその中で今後の課題と書かれていることかと存じます。

植田委員 だから、とりあえず今回一段ロケットで、引き続き審議会の答申を踏まえながら、この今私が質問した点についても検討するということですね。そういう理解でいいわけですね。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 それは一つの立法論ではあると思っていますが、ただ、先ほど尾原主税局長も言われましたとおり、やはりそこは訴訟手続に関する専門的知識の部分をどういうふうに考えていくかという点は残るのかと存じます。

植田委員 次に、先ほども議論にありました、書面添付に係る意見聴取制度の拡充にかかわる話をお伺いしたいわけですけれども、先ほどの御議論も聞いていますと、どうもこの書面添付制度というのが余り使い勝手がよろしくないのかなという気がしているわけです。

 少なくとも今回、調査の通知、更正前の意見の聴取プラス調査前の意見の聴取ということになるわけですけれども、現在この意見聴取の制度というのはどんなふうに活用されているのか、そして今回のこの制度改正でどんな効果を期待しているのかについてお伺いいたします。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 国税当局では、現在、計算事項を記載したいわゆる書面添付、三十三条の二に基づく書面添付割合の統計をとっておりませんので、確たることは申せないのですが、平成四年度、かなり古くて申しわけないのですが、〇・六%と極めて低い状況にあり、現在もなおごく少数にとどまっているのではないかと考えます。

 ただ、今回の改正によりまして、現行制度を拡充して、従来の更正前の意見陳述に加えて、税務代理を行う税理士が計算事項等を記載した書面を添付している場合には、納税者に税務調査の日時、場所をあらかじめ通知するときは、その通知前に添付された書面の記載事項について意見陳述の機会を与えるということをしていること、それから、税務の専門家である、まさに税理士さんの立場を尊重することを考えているわけでございます。

 またさらに、この今ある書面添付の様式そのものもやはり見直しを図りまして、税理士さんの方々が活用しやすいものとなるように現在税理士会との間でも検討作業をしているところでございまして、今後普及率が向上することを期待しておりますし、実際にも向上していくのではないだろうかと思っております。

植田委員 要は、今後、今回の改正を契機に、添付書面の内容であるとか制度の運用指針等々については、今当事者団体とも協議をしているところでございますということでいいわけですね。わかりました。

 あと、これにかかわってですけれども、法によれば、税務署長または地方公共団体の長は当該税理士に対し意見を述べる機会を与えなければならないということになっているのですが、いわゆる宥恕規定があるわけですね。

 その点について、これがあったら少なくとも今回こういう形で改正をしても余り実効性が上がらへんのやないのかなというふうに思うわけですが、その点と、仮に書面添付を行っておった場合、ちゃんと事前に話がいくのですよ、いきなり税務調査ということにならないのですよというところがないことには、税理士さんかてそんな下手に書面添付なんかしたら逆にやぶ蛇になるやないかということにもなりかねぬと思うのですが、その辺のところはどういうふうになっているのでしょうか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生御指摘になられましたこの法三十五条の四というのは、実は従来から置かれていた規定でございまして、条ずれでございます。今回の改正で、意見陳述の機会の付与に関する手続上に瑕疵が何らかあった場合でも、同様にその調査に関する処分等の効力に影響を及ぼさないということを確認的に規定しただけのものでございます。

 なお、今回の改正によりまして、税務の専門家である税理士の立場をより尊重するということによりまして、税務執行の一層の円滑化が図られると期待しておりまして、書面添付制度の運営に当たっては意見陳述の機会を与えるという制度本来の趣旨を踏まえて適切に執行してまいりたいと考えているところでございます。

植田委員 時間ありませんので、あと一点、二点お伺いしたいのですけれども。二点ぐらいいけるかもしれませんが、一点、二点、簡単な話です。

 といいますのは、一昨日もたしか自民党の先生だったかと思いますが、お話しされていたと思うのですが、税理士法人ができることによって寡占化されてしまうのではないか、いわゆる小規模の事務所がどんどん駆逐されてしまうのではないかという、その点についてどういうふうに対応をしていくのかということでございます。

 そういう意味で、寡占化の防止という観点から、例えばもう余り事務所を増設するのはあかんでとか、例えばそういう制限をするとか、社員の上限値を決めてあげるとか、そういう必要はないのかなと私は思うわけですが、少なくとも、また大きな税理士事務所ができますと、特に指導監督面で特別に配慮しなければならないようなことも出てくると思います。

 そういう点で、この改正案ではそういうことは余り触れられていませんけれども、支障を生ずるおそれがないのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。まず最後、おしりから二個目の質問でございます。

大武政府参考人 先生の御指摘の点は我々も一番懸念したところで、今回の改正案を考えるに際していろいろと検討させていただいたところでございます。そういう意味では、御指摘のように寡占化が起きる可能性も否定はできないと思います。

 ただ、税理士法人の社員の場合には、他の社員の行為によって委嘱者たる納税者に与えた損害に基づく債務についても連帯無限責任を負っている、これは合名会社の規定をとっておりますのでそういうことになっております。したがって、ある意味で言いますと、見ず知らずの税理士さんと組んで、その犯した、いわば損害を自分も一緒に受けてしまうということになるわけでございますから、むやみな拡大というのは起きるかなというのが一点。

 もう一つ。そもそも税理士業務というのは、納税者との信頼関係といいますか、言ってみれば納税者にとっては極めてプライバシーに係る事項を多くお仕事とされるわけでございまして、そういう意味では納税者との強い信頼関係が重要な要素となっている。そういう意味では、信頼関係のない第三者に、ほかの税理士さんに広く情報がとられるということを期待している方というのは、期待というか、むしろそれを望んでいない、そういうことを考えますと、やはり多数の税理士を社員とする大規模な税理士法人が出現して寡占化が進むことというのは、想定は相当ないのかなというふうには思っております。

 ただ、いずれにしても、先生の御指摘のとおり、制度創設後の実態も十分注視してまいりたいと思っているところでございます。

植田委員 最後もう一問、時間があるかと思います。それだけ聞いて終わります。

 そういう意味で、法人制度が、単に経営面のメリットだけではなくて、やはり税理士と顧客とのトイメンに立ってやるあれですから、そこのところが十分担保されるように私は思っておるわけです。

 最後、財務大臣に一言だけお伺いして終わりますが、少なくとも税理士が、主権者であるところの納税者の立場に立ち、国民、主権者の立場に立ち、だから冒頭私は被告と対比されたことについてちょっと言うたわけなのですけれども、あくまで権利主体だ。そういう意味で、依頼者の代理人として税法を解釈して運用することが求められるわけです。

 そういう意味で、単なる税の専門家ということだけではなしに、この間、先ほどの話でもありましたけれども、周辺の法律業務についても、どちらにしても緩和の方向では結論が出されるだろうというか、そういう方向で議論がなされるであろうというふうに思うわけですから、そういう意味で、納税者の権利擁護のために業を行う専門家、法律家としての、もう一度のステップアップというものが必要になってくると思います。その点についてだけ御見解をお伺いして終わります。

塩川国務大臣 先ほど申しましたように、第一条の精神にのっとって、それで納税者のよき相談役として、またこれの保護者としての役目を果たしていただくことを我々は念願いたしております。

植田委員 終わります。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、税理士法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案が、これまでも大きな問題を抱えていた書面添付制度をさらに拡充することにより、税理士を税務当局の下請機関としてより巧妙に組み込もうとしていることです。それは、本日の本法案審査の中で国税庁が、通知前の意見陳述で疑義が生じなかった場合、調査を終了すると答えたように、調査の終了というあめを与えて制度を利用する税理士をふやそうとしていることからも明らかです。

 本来、税理士は納税者の権利を擁護する立場に立つべきであり、国税庁や税務署の側に税理士をいや応なしに立たせようとする本法案は、税理士制度の根幹をゆがめるものであります。

 第二の理由は、本法案が、納税者の中に税務行政上の不平等を拡大させる問題を含んでいることです。

 この書面添付制度には、税理士に頼んで書面を添付した納税者と、経済的理由などで税理士に頼めなかった納税者の間に、税務行政上の不平等、不公平をもたらすという問題があります。調査前の意見聴取に応じることで実地調査を省略することを示唆した今回の改正案は、税理士への依頼の有無によって調査の省略を左右することにもなりかねず、納税者の間に手続上の不平等をさらに拡大するものです。

 本法案には受験資格要件の緩和、補佐人制度の創設と税理士の出廷陳述権、試験制度の見直しなど、個々には一定の改善が見られますが、以上述べた理由から、全体として反対であります。

 最後に、しばしば納税者の権利が侵害される権力的な税務行政が行われている中で、税理士が課税庁から独立して納税者の生活と権利を守って活動できるようにすること、並びに我が党が以前から提案してきた納税者憲章の速やかな制定を求めて、私の討論を終わります。(拍手)

山口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより採決に入ります。

 税理士法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、佐藤剛男君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。石井啓一君。

石井(啓)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    税理士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 経済社会情勢の変化等に対応して高度化・複雑化する税理士業務の実態にかんがみ、その資質の維持・向上のため、研修制度の一層の充実を図り、その受講率の向上に努めるとともに、税理士の懲戒処分の実効性を確保するよう努めること。

 一 税務官公署職員の試験免除に係る指定研修については、一般試験との均衡に配意しつつ、その指定、運営、実施、全般にわたって適正性・公正性を確保すること。

 一 会員の業務に係る紛議についての税理士会の調停に関する規定が新設されることにかんがみ、紛争解決の機能を充実する観点から、調停に際して適用されるルールの明確化を図ること。

 一 税理士業務に係る報酬の最高限度額に関する規定が撤廃されることに伴い、規制改革委員会の指摘を踏まえつつ、不適切な報酬設定が行われることのないよう特段の努力を払うこと。

以上であります。

 何とぞ御賛成賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣塩川正十郎君。

塩川国務大臣 ただいま御決議いただきました事項につきましては、政府としては、御趣旨に沿って十分配慮してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

山口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会




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