衆議院

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第13号 平成13年5月31日(木曜日)

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平成十三年五月三十一日(木曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 奥山 茂彦君

   理事 佐藤 剛男君 理事 根本  匠君

   理事 五十嵐文彦君 理事 海江田万里君

   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君

      小此木八郎君    大島 理森君

      大野 松茂君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    七条  明君

      砂田 圭佑君    竹下  亘君

      竹本 直一君    中野  清君

      中村正三郎君    林田  彪君

      牧野 隆守君    増原 義剛君

      山本 明彦君    山本 幸三君

      渡辺 喜美君    江崎洋一郎君

      岡田 克也君    河村たかし君

      小泉 俊明君    仙谷 由人君

      中川 正春君    長妻  昭君

      原口 一博君    日野 市朗君

      松本 剛明君    谷口 隆義君

      若松 謙維君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    植田 至紀君

    …………………………………

   議員           塩崎 恭久君

   議員           根本  匠君

   議員           谷口 隆義君

   議員           小池百合子君

   財務大臣         塩川正十郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       松下 忠洋君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   法務副大臣        横内 正明君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   財務大臣政務官      中野  清君

   財務大臣政務官      林田  彪君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  乾  文男君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 小池 信行君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    尾原 榮夫君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  松田  昇君

   財務金融委員会専門員   田頭 基典君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  牧野 隆守君     小此木八郎君

  増原 義剛君     大島 理森君

  岡田 克也君     仙谷 由人君

同日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     牧野 隆守君

  大島 理森君     増原 義剛君

  仙谷 由人君     岡田 克也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 短期社債等の振替に関する法律案(内閣提出第九六号)

 株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九七号)

 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第九九号)

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第二八号)




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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、短期社債等の振替に関する法律案、株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び塩崎恭久君外四名提出、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣柳澤伯夫君。

    ―――――――――――――

 短期社債等の振替に関する法律案

 株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柳澤国務大臣 ただいま議題となりました短期社債等の振替に関する法律案及び株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 まず、短期社債等の振替に関する法律案につき御説明申し上げます。

 政府は、短期社債等について、券面を必要としない新たな流通、振替制度を創設するため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、企業の短期資金調達手段であるコマーシャルペーパーについて、ペーパーレス化を図るため、これを短期社債として位置づけることとし、必要な商法の特例措置を設けることとしております。

 第二に、この短期社債に係る振替制度を創設することとし、券面の交付による権利移転の場合と同等の流通の保護を実現することとしております。

 第三に、短期社債の振替制度の担い手である振替機関について、監督等に係る所要の規定の整備を行うこととしております。

 第四に、この法律の制定に伴い必要となる関係法律の整備を図ることとしております。

 次に、株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。

 政府は、証券決済制度をより安全で効率性の高いものにしていくため、保管振替機関について、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、証券決済制度の担い手である保管振替機関の組織形態について、資金調達方法の多様化や競争可能性の確保による業務運営の効率化を実現するため、現行の公益法人形態を株式会社形態に改める措置を講ずることとしております。

 第二に、保管振替機関について、監督等に係る所要の規定の整備を図ることとしております。

 以上が、短期社債等の振替に関する法律案及び株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

山口委員長 財務大臣塩川正十郎君。

    ―――――――――――――

 租税特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩川国務大臣 租税特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。

 政府は、最近の経済情勢等を踏まえ、個人投資家の市場参加の促進等の観点から、個人の長期所有上場株式等に係る少額の譲渡益を非課税とする特例措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 個人が、平成十三年十月一日から平成十五年三月三十一日までの間に、所有期間が一年を超える長期所有上場株式等を譲渡した場合における申告分離課税の適用については、その年分の長期所有上場株式等の譲渡所得の金額から百万円の特別控除を行うこととしております。

 以上が、租税特別措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

山口委員長 提出者塩崎恭久君。

    ―――――――――――――

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩崎議員 ただいま議題となりました金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について、提案者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五十三条に規定する金融機関等からの資産の買い取りについては、平成十三年三月三十一日までに金融機関等から資産の買い取りの申し込みがなされた場合に限り、行うものとされております。

 最近の景気動向にかんがみると、金融機関の不良債権問題や企業の過剰債務問題の存在は、我が国の経済成長にとって大きなおもしであることから、その一体的解決を図るための施策の一つとして、整理回収機構による金融機関の不良債権買い取り業務の延長が必要であり、先般の緊急経済対策においても、その延長が盛り込まれたところでございます。

 ついては、同法第五十三条に規定する金融機関等からの資産の買い取りについて、当該金融機関等からの資産の買い取りの申込期限を改正して平成十六年三月三十一日までとしております。

 この措置により、金融機関等の不良債権の流動化等が図られることが期待されるところであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。

 以上です。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として財務省主税局長尾原榮夫君、金融庁総務企画局長乾文男君及び法務省大臣官房審議官小池信行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤公介君。

伊藤(公)委員 政治が今確実に変わり始めたという実感がいたします。小渕総理を初めとして各大臣が、官僚の答弁ではなくて、自分の言葉で政治を語る。しかも、本音でこの国の将来をどうするかということを、総理を初めそれぞれの大臣が率直に質疑をするあるいは答弁をするという姿が、国民の皆さんには、非常に政治がわかりやすい、そしてそれは本音だと。痛みの伴う改革にも国民の皆さんがそれなりの理解を示しつつある。

 昨今のテレビは、朝に夕に、国会のやりとりがこれまでのワイドショーよりもはるかに国民の関心を呼んでいる。これは、政治が確実に変わり始めた。そのことは、我々議員一人一人も、与党も野党も変わらなければならない。我々は、ひとえにグループとか政党の枠を超えて、我々の未来に、そして当面の困難な問題に本音で議論を進めていかなければならないというふうに思います。

 そんな中でも、小泉内閣の御意見番として、塩川財務大臣、最近テレビを見ていると、塩じいなどと言われて、大変、私のホームページにまで、全く知らない人から、塩川さんを応援してやってくださいというメールが入ってくる。私は、これもまた新しい現象だなというふうに思っております。それはひとえに、これまでの大蔵省をバックとした大蔵大臣の答弁とかそういうことではなくて、内閣の屋台骨として、また政治家として、塩川財務大臣のそうした本音の議論、答弁というものがそれなりに国民の皆さんに率直に受け入れられているのではないか、私自身はそう思います。

 本題の質疑に入る前に、こんな世の中の評価に対して、財務大臣は、もう一カ月がこの内閣は過ぎたわけでありますが、どんな感想を持っておられるか、一言伺いたいと思います。

塩川国務大臣 非常に答弁しにくい話でございますが、そういう評価は、私には全然関係ないような、イメージとは関係ないように思います。ただ、私は塩っぽい人間でございますので、だからそんなあだ名がつけられたのかなと思っております。

 しかし私は、就任いたしましたときに、新聞記者会見で冒頭に申しましたように、財政、金融とかそういう高度な技術的なことは知識がございませんし、なかなか勉強も及ばぬことでございますけれども、国民一般が常識として考えておる財政問題あるいは金融問題については、常識事としてはそれなりの判断ができるように思っておりますので、その範囲内において全力をもって、国民を中心とした財政問題、金融問題、そういう面に自分の努力をしてまいりたい、その気持ちは今も変わることがございませんで、委員の諸先生方の御指導をむしろ仰ぎたいと思ったりしております。

伊藤(公)委員 どんなにおいしいものも、ある程度の塩がきいていないと味もよくないわけでありますから、ひとつ小泉内閣にそれなりの塩をきかせて、これからも御活躍をいただきたいと思います。

 さてそこで、財政再建についてまず伺います。

 小泉内閣は、来年度の公債発行額を三十兆円以下に抑えるという目標を掲げました。実は、かつて橋本内閣の時代に、小泉総理は厚生大臣、亀井さんは建設大臣、それから麻生君が経済企画庁長官、そのとき私は国土庁の長官として一年弱、毎週の閣議に参加をさせていただいたわけであります。そのときに、橋本内閣も実は構造改革を掲げました。

 しかし、その中で、閣議で、私は今でも鮮やかに覚えているのでありますが、一律七%、聖域なしに削減しろと総理の指示があったわけであります。そのときに、小泉厚生大臣は、一律に七%ということは難しいと。年金、医療、介護、間違いなく、黙っていても、当時七千億、八千億、今日では毎年一兆円ずつ医療費でもふえていくという現状であります。そうではなくて、一律どうするということではなくて、削らなければならないところと削ることができないところのめり張りをつけて、構造を変えることではないかという議論がそのときありました。その中で、亀井建設大臣は公共事業をもっとやるべきだ、こういういろいろな主張がありました。

 期せずして、このときの橋本さん、小泉さん、麻生さん、亀井さんそれぞれが自由民主党の総裁選挙に相まみえるということになったわけであります。

 総裁選挙以来公約をしてきたことを、小泉内閣は今まさにその路線でこの内閣の方針を決めている。私はこの方向は非常に、今この六百六十六兆円にもなって、一日二百八十五億円、一時間我々がここで議論をしていると金利だけでも十二億円、一分千九百七十九万円も金利がどんどんかさんでいく、おちおち座ってもいられないような状況の中で、それぞれの御家庭では自分たちの子供たちや孫たちに借金だけは残すまいと、どんな家庭でも考えている。我々の国の財政や地方財政は、子供や孫の時代に借金を残していいはずがない。私は、政治家としてまた総理として、この決断は、まさに時代にこれから大きな評価をされる決断であろうというふうに思います。

 そこで問題は、その構造改革をどのようにしていくかということでありますが、既に今、総理を初め閣僚の皆さんがいろいろな構造改革の内容に少しずつ入りつつございます。それに対して既に、従来のことを継承していくべきだと、いろいろな声がございます。

 そんな中で、まず財務大臣が、特に日本の財政をこれからどうするかという一番の責任者にいるわけでありますから、どのような決意でこの構造改革を進めていくのか、まずその決意を伺いたいと思います。

塩川国務大臣 私は、今の財政構造の改革の一番基本的な考え方は、今までは右肩上がりの時代でございまして、その精神文化になれてしまって、その延長線ですべてのことをやはり考えておった。時代の変革のときだと言いながらも、どうもやはり右肩上がりの習慣なり慣行に引きずられて物を考えていく傾向があった。

 従来の景気回復で政府がとってまいりましたのは、まずは、とりあえず景気の落ち込みを防ぐために公共事業を中心とした補正予算でてこ入れしてまいりましたが、約百十兆円、この五年の間にそのぐらいの金額をつぎ込んできたと思っております。

 ここで考えなければなりませんのは、ただ、そういう需要を喚起して、需要を拡大していくのみで景気回復を図っていこうとしても、ここには限界があるということがわかりまして、そのためには、やはり規制を緩和して、右肩上がりから右肩水平の時代にふさわしい制度に変えなければならぬ。この制度改革がおくれてきておると思っておりまして、今そこに我々が懸命の努力をすべきだと思っております。それが、総理の言うところの構造改革なくして景気回復なしという根本精神かなと私は推測しておるのでございます。

 私は、財政の責任者といたしまして、そういう従来からやってまいりました路線の中で、改めるべき点、つまり、しっかりと今後とも継続して発展させなければならぬ路線と、もう既に政策的な用務というものがある程度達成されあるいは薄れてきたようなところ、そういうものに対しましては見直しをしていくというめり張りをつけなければ、この転換はできないのではないか。そういう考えで今いろいろなことを勉強しておる最中でございまして、成案を得ましたら逐次御報告申し上げ、御協議賜りたいと存じております。

伊藤(公)委員 ありがとうございました。

 それでは、経済対策のオフバランス化について伺いたいと思いますが、最近新聞紙上でも読ませていただきましたが、大手十六行の二〇〇一年三月期の決算が発表されました。大手行は下半期において四兆四千億円の不良債権を最終処理したわけでありますが、同時に三兆四千億円の不良債権が新たに発生したという発表を伺いました。今後三年間に最終処理を要する不良債権の残高は十一兆七千億近くあると言われているわけであります。

 これから三年間にこの最終処理を迫られるわけでありますが、不良債権を処理してもまた新しい不良債権が出る、こういう中で、政府が今掲げられました二年ないし三年以内にその処理を実際にできるのか。あわせて、全国銀行協会あるいは経団連、金融庁によります債権放棄の指針づくりがどうも難航していると言われているわけでありますが、その検討状況について伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 私ども、不良債権につきまして、とにかくその認識、レコグニションというんでしょうか、それを隠し立てとかあるいは間違った解釈をするとかということをまずやめよう、しっかり把握しよう、その上で必要な十分な引き当てをするということで金融機関の健全化というものを図ってまいったわけでありますが、ここへ来まして、やはりそういうことだけではなかなか日本経済が、バランスシート不況というか不良債権の桎梏から抜け出て新しい活力を取り戻すわけにはいかない、こういうようなことを考えるに至りまして、間接処理にとどまらないで、直接オフバランス化というか、小泉総理の言葉によれば最終処理をするということを決意して、そのスキームの作成に取り組んだわけでございます。そして、私ども、既往の分については原則として二年でこれを最終処理する、新規に発生する分については三事業年度間でこれを最終処理する、こういうスキームをつくったわけでございます。そのあたりのところまでは金融庁独自の作業でこれを運んできたわけでありますけれども、その他の問題を含めまして緊急経済対策にこれを盛り込んだということで、これが緊急経済対策に取り込まれたという経緯でございます。

 そこで、そういうことが緊急経済対策に盛り込まれたわけでございますけれども、一体それは可能なんだろうか、こういうお尋ねでございました。

 先ほど先生御指摘のとおり、主要十六行につきまして決算の状況が発表されまして、特に私ども、まずこの不良債権の最終処理に当たって現状がどういうことになっているかというものをしっかり把握しないといけない、土台を把握しないといけない、発射台を把握しないといけない、こういう考え方から特別の調査をいたしまして、これが明らかになったわけでございますけれども、私どもが考えているいわゆる破綻懸念先以下の債権というのは、十三年三月末で今先生御指摘のように十一兆六千億余り、こういうことになっているわけでございます。

 その前にちょっと申しますと、いわゆる不良債権、これは要管理先債権以下のものを不良債権というふうに申し上げるわけでございますけれども、これの推移を見ますとどうなっているかというと、十二年三月末、つまり一事業年度前と今回の年度末とを比較いたしますと、これは四千六百三十億ほど減っているわけでございます。減っているんでございますが、その中身を見ますと、我々が今回処理をするという破綻懸念先以下の債権では二兆一千九百四十億も減っているわけでございます。では、不良債権、四千六百三十億の減少にとどまったのは何かと申しますと、これは要管理債権が逆に一兆七千三百億ほどふえた、こういうことがあったおかげで、要管理債権までトータルしたところでは実は減少幅が非常に縮小した、こういう現象が今度見られたわけでございます。

 そういうことでございますが、では、まず第一に、十一兆六千億余りの既に発生した破綻懸念先以下の債権は今後二年間でこれを処理することができるだろうか、こういうことでございますけれども、私どもは、自然体でも半期で四兆円余りの処理をしているというような現象がありますので、これをアクセレレートすることによって、多分残っている部分というのはより難しい部分ではあろうけれども、不可能な数字ではない、このようにとらえているということであります。

 それでは、その次に、さらに悪化してくる、破綻懸念先以下に落ちてくる債権のテンポは一体どうなんだろうか、これが次の新規発生について三年以内にこれを処理するということに結びついていくわけでございますけれども、私ども、今度要管理債権がふえた、一兆七千三百億ほどふえているわけですが、その要因は、確かに景気の状況が悪いということによって要管理に落ちてきているものもあるんですけれども、もう一つは、より金融機関の資産の認識というか、債務者区分の認識というものが厳しくなって、特に、条件の変更に当たって、債務者の信用リスクに応じて本来上乗せすべき金利がとれていないということでもってこれを要管理にしてしまう、こういうことが厳しく行われました。そんなこともありまして少しふえておるというようなことを考えますと、これはいたずらにこれからどんどん破綻懸念先以下に落ちてくるということは考えなくていいのではないか、こんな面も率直に言ってございます。何とか私どもはこのスキームをやり遂げてまいりたい、このように思います。

 最後に、不良債権のオフバランス化について、銀行界、経済界等とガイドライン作成を政府の働きかけのもとで今やっていただいておるわけでございますけれども、これにつきましては、今般、関係者の精力的な御努力の結果合意に達しまして、近いうちに第一回会合が開かれる、こういうことを聞いております。

伊藤(公)委員 当面の最大のテーマでありますから、我が国の金融の一番、皆さんも期待しているし、力のある柳澤大臣がひとつしっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 さてそこで、最近、構造改革の中で、道路特定財源の問題が非常に大きなテーマになってまいりました。私は、方向は賛成であります。いろいろな法律を見ると、もう四十年、五十年前につくられた法律で、その目的税でずっと来ているということ自身をもう我々は見直していくべきときが来ているのではないかと率直に思います。

 そこで、この特定財源の見直しでありますけれども、法律は厳然としてあるわけでありまして、現在の道路整備五カ年計画は平成十四年で終了するということになりますと、十五年度からということになる。今、政治はスピードを求められています。私は、法律を変えなければならないということもあります。しかし、今の法律の中で、もうことしからできることもあると思います。来年もやれることがあると思います。大臣としてはどのように取り組まれていかれるのか。最近のニュースを見ておりますと、この道路財源を都市整備や鉄道事業などにも振り向けていくということで見直していったらどうかというような意見もあるようでありますが、どのように大臣は取り組んでいかれるのか、まず伺いたいと思います。

塩川国務大臣 私は、就任早々にこの特定財源の問題を改善すべきであるということを提案した一人でございますが、そのことを思いますと、さっき伊藤さんおっしゃいますように、この特定財源がつくられた一番最初の淵源を見ますと、もう既に五十年前になってまいりました。

 その当時は、日本の復興から経済成長への経済基盤の造成ということが主体なテーマでございました。そのためには、道路網の整備ということに特定財源を使って、それを整備に鋭意努力してまいりました。

 その一方においては、我々の生活の拠点でございます生活部面、あるいはまた流通あるいは金融とかを扱うところの都市問題、ここの解決の問題が少しおくれてまいりましたことは事実です。

 そういうこと等から見て、現在の国土の整備の状況は、そういう生活あるいはビジネスセンターの整備、そういうものを早急に急がなければならぬという事態になってまいりました。

 そういたしますと、このガソリン税あるいは重量税あるいは揮発油税等が制定されましたその当時の目的を逸脱しない範囲内において、都市整備の関係あるいは生活環境の改善のためにこの財源を使うということは当然の方向ではないか、こう思っております。

 したがって、とりあえず、法律の改正は必要でございますけれども、その間にでき得る限りのことについては、私たちは特定財源としての用途を拡大させてもらって、都市整備面と生活面、あるいは公害問題等における、要するに自動車等からきますところの都市的な諸問題等の解決のために利用させてもらいたいというのが念願であります。

伊藤(公)委員 道路特定財源の一般財源化の方向も今問われているわけでありますが、現行の特定財源は、今、当初の税率よりも暫定的に割り増し税率になっているわけですね。例えば、揮発油税は、本則ではリッター当たり二十四・三円、しかし現在では四十八・六円になっている。あるいは地方道路税では、本則では四円四十銭ですけれども、五円二十銭になっている。それから自動車重量税では、〇・五トン当たり二千五百円のものが、現在は六千三百円になっている。この割り増し税率の部分についてどうするかという議論もございます。

 これを環境税に転用する考え方はどうかということも今テーマに上ってきているようでありますが、この小泉内閣がいわゆる循環型社会というものを大きな政策の柱にされている。また、総裁選挙のときにも、環境を自分はこれからテーマにしていきたいということを総理はそのころから述べておられました。

 今、世界の趨勢も、環境はまさに地球規模で大きなテーマになりつつあります。今、炭素税のようなものを、オランダ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、いずれもそういう税制が設けられています。イタリアやイギリスやフランスでも、環境を考慮に入れた税というものを今考えられている。

 そういうことを考えますと、私は、二十一世紀の日本は、結論だけ申し上げれば、やはりこれからも科学技術創造立国だ。しかし、これまでの五十年と次の二十一世紀の違いは、私は、プラス環境だ。つまり、科学技術創造立国と環境先進国日本、これが私は二十一世紀のキーワードではないかというふうに思ってきまして、そういう意味では、この環境税というものも、日本の二十一世紀の方向を示す税という意味からも、非常に私はいいテーマではないかと思いますが、財務大臣のお考えを伺いたいと思います。

村上副大臣 伊藤筆頭理事の御質問にお答え申し上げます。

 道路特定財源の見直しについては、具体的内容、時期については、先ほど大臣が申し上げたように、これからの検討課題であると考えております。

 ただ、環境税の問題に対する税制面の対応というのは、非常に時代に合ったとらえ方、考え方だと思うのですが、四つポイントがあると思うのですね。

 一つは、これは特別税だけに、本当に国民の理解と協力が得られるかどうかということをきちっとまず確認しなければいけないと思うのですね。それから二番目に、環境問題に対する施策全体として、その中での税制の具体的な位置づけをどうするかということも、やはりきちっと踏まえなければいけないと思います。それから三番目は、国内外における議論の進展を見つつ、これはPPP、ポリューター・ペイズ・プリンシプルというふうに、環境汚染者の負担の原則というものもありますので、そういう問題もどうやってきちっとクリアするか。そういうことをきちっと考えた上で対応を図っていく必要があるのではないか、そういうふうに我々は考えております。

伊藤(公)委員 私は、この税財源を考えるときに、日本の行くべき道、環境循環型社会というものもきちっと考え方の中に入れてお考えをいただきたいということをこの機会に申し上げておきたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたけれども、さて、地方交付税の見直しについても昨今議論をされているようであります。

 私は、かつて自治省の政務次官として仕事を一年させていただいたことがございます。この地方交付税も、もう法律ができてから五十年、やはり地方と国との関係を見直さなければならないときが来た。この小泉内閣でも、私はこれから非常に大きなテーマになっていくだろうと思います。

 すなわち、国と地方の関係をどうするか。あるいは、地方分権が叫ばれていますが、税の流れをどうするかということがこの構造改革の根本ですから、底流ですから、私は、そういう意味で、今よく言われておりますように、例えば、ここはもうほとんど変わっておりませんけれども、平成十年度の国税と地方税の数字がございます。国税と地方税の比率は、歳入を見ますと五九対四一、それから歳出は三七対六三、これはパーセントですね。そうすると、丸く言えば、国と地方は、税は六対四、しかし、それが補助金や特別交付金になって逆に四対六になっている。

 こういうように、全部国が上げてきて、三千二百三十二市町村を平均化していこうという税のあり方ではなくて、これからは、ある一定の生活水準になってきたら、もっと個性的な地域づくり、町づくりをしていったらいい。人間の生き方も、今は、みんな平等になろうというのではなくて、みんな一人一人の個性を大事にしようという時代ですから、町づくりや地域づくりも私はその方向だと思います。そういう意味で、この地方交付税の見直しを抜本的にやっていくべきときが来たのではないかというふうに思います。

 また、塩川大臣は、約一%くらいはどうかという最近の御発言も伺っているわけでありますが、この地方と国との税のあり方をどのように大臣はお考えになるか、お伺いをさせてください。

塩川国務大臣 伊藤さんは税の面から国と地方の関係を言っておられますが、私は、この税の問題を、国と地方そして地方分権を議論する場合に、一番根本からやらなければならないと思っております。

 それは、先ほども言いました、右肩上がりのどんどん行こうというどんどん社会のときには、どんどんとシビルミニマムそれからナショナルミニマムというものも無限に伸びてまいりました。これが国の財政なりあるいは地方の財政に大きく影響してきておりますので、この際に、そういう地方と国との分権を見る場合に、仕事の分担というものを正確に考えなければならぬと思って、そこから地方の責任、国の責任というものを明確にして財源の問題等を考え、その中における交付税の問題というのを位置づけと同時に配分の問題を考えなければならぬ、そういうことを申しておるわけでございます。

 これには時間を要しますけれども、とりあえず十四年度予算編成に関しましては、地方財源の一部を何とか国並みに節約の方向を考えてくれないかということを申し上げておるということを申し上げて、終わりたいと思います。

伊藤(公)委員 幾つかの質問を残して、大変残念でありますが、まだ道路特定財源の問題がございましたが、私はこの財源というものを、例えば塩川大臣の大阪も千里ニュータウンがあります。あるいは、千葉ニュータウン、私のところの多摩ニュータウン、こういうところは三十数年前に公団がつくったそのままですよね。五階建てでエレベーターがない。当時五十歳、働き盛りだった人たちは今八十歳になっています。そこでは車いすで一階には自分の力ではおりられない。国が提供した住宅です。私は、都市に住んでいる人々の住宅政策は取り組まなければならない問題。今首都圏を車で走ると平均時速十七キロですよ。河野一郎さんが建設大臣のころつくった首都高速はそのままです。

 世界の人々が今二十四時間で飛び立っています。あの成田の国際空港は二十三時以降は一切離発着ができません。私は、今日本に来る外国のお客さんが減っている、ソウルよりも東京の国際会議が減っているという現状を見れば、都市再生本部ですか、これには、私は、税の点でも予算の財源の点でも、思い切って考えていただきたいということを強く大臣にお願いをして、質問を終わらせていただきます。

山口委員長 次に、谷口隆義君。

谷口委員 公明党の谷口隆義でございます。

 小泉内閣が発足をいたしまして、大変高い支持率で今やっていらっしゃるわけでございますけれども、小泉総理は構造改革なくして景気の回復なし、このように常々おっしゃっておるわけでございます。

 我が国戦後経済のあり方を振り返ってみますと、大変いろいろな問題があった。うまく経済が回っておるときにはよかったわけでございますけれども、例えば経済構造の中に株の持ち合いの制度等がございまして、機関投資家が上場しておる企業の株を所有しておる、そういう状況の中で、一般投資家が大変優遇されておらないような状況があったわけでございます。その持ち合いの結果、株主総会がいわば形骸化しておるというような状況がしばらく続いて、現在もそういうような傾向がまだあるわけでございますけれども、そういう状況をやはり改革をしていかなきゃいかぬ、まさにこの構造改革をやっていかなければならない、こういうことで今株の持ち合いが解消されつつあるわけでございますね。それは大変いい方向でございます。

 また、一般の投資家が株式市場に参入をする。我が国の経済構造を見ますと、主に間接金融が主体で戦後の経済が参ったわけでございますから、これを直接金融にシフトをしていくという意味においても、この個人投資家が株式市場に参入をする、個人投資家の割合がふえてくるというのは大変好ましいことでございます。

 今回、このような状況の中で、株式市場の状況等々を勘案して、緊急経済対策を与党三党で立ち上げ、答申を出したわけでございますけれども、私もそのメンバーとしていろいろ私自身の意見も申し上げたわけでございます。その中で、個人投資家が株式市場に参入をする際のいろいろな障害がある、その一つはやはり税の問題もあるだろう、こういうことでこの税の問題を検討いたしたわけでございます。

 それで、五月の二十八日に、予算委員会で私が塩川財務大臣にお聞きしたことがございます。それは、今回、最終的にこの緊急経済対策の中に盛り込まれたのは、一年以上所有しておる株式を売却して譲渡益が出た、この場合に百万までは非課税にしてあげようというような制度は、これは今回入れたわけでございますね。しかし、今現在、御存じのとおり、株式の譲渡益課税については申告分離方式と源泉分離方式と二本立てになっておるわけでございます。その二本立ての中で私どもは、この申告分離の税率が現在二六%でございますから、これを二〇%に引き下げる必要があるだろう、また、譲渡の損失が出た場合にこれを繰り越しをする制度をやはりつくる必要があるだろう、五年程度の繰り越しをすべきだというようなPTの中での議論もあったわけでございます。そういうことを含めて、この五月の二十八日に塩川財務大臣に私が質問をさせていただきました。

 そのときに大臣は、二本立ての期間が二年あるので、二年後、一本化した段階で税率の引き下げも考えておる、こういう御答弁をされたんですね。ところが、その日の午後に、また別の議員が質問をした折に、一歩踏み込んで、二年後ということではなくて、この会議録を見ましても、前倒しでこの税率の引き下げをしたい、こういうようにもおっしゃったわけでございますので、答弁が変わっておるわけでございます。

 まず初めに、財務大臣がどのようにお考えなのか、もう一度御答弁をお願い申し上げたいというふうに思います。

塩川国務大臣 谷口先生と同じ質問を小林さんがやったかと思っておりますが、そのときに、小林さんの質問の中では、できるだけ急ぐべきじゃないかというお話が結論であったと思っておりまして、それに対しまして、これは三党協議の問題でございますから、でき得れば私も早くやってもらった方がいいと思っておると申し上げておきました。この問題は谷口先生が直接関係しておられる三党協議の中で議論されておりまして、私の個人的な考えといいましょうか、財務省としては、できるだけ早く一本化してほしい、こう実は思うております。

 でございますから、一本化することによって損益計算のそういう手法も入れられるし、また、税率の改正というものもできると思っておりまして、私も同様にできるだけ早い時期にやってもらったらと思っておりますので、三党協議の方にも私の方からも申し入れていきたいと思っておりますので、その際はよろしくひとつお願いしたいと思います。

谷口委員 であれば、私の答弁のときにえらい消極的だなというように思ったわけですけれども、やはり私がPTの中でいろいろ発言し、言っておったわけでございますけれども、そういうことも考慮に入れていただいて、私のときにもそういうようにおっしゃっていただいたら、こういう再び繰り返すことはなかったわけでございます。ですから……(発言する者あり)それはそうじゃないじゃないですか。いや私の方は、最終的には与党の協議の中でやるのと政府とは別でございますから、政府の中でぜひそういう意見をまとめていただいて、一刻も早くやってもらいたい、こういうことを申し上げたわけでございます。

 ですから、ぜひそれはその観点で進めていただきたい、このように思うわけでございます。

 あと、また言いたいことは山ほどあるのですけれども、これはこのぐらいでおいておきまして、あと金庫株についてちょっとお聞きいたしたいわけでございます。

 この金庫株は、これは私もまたこの法案についてかかわっておりますけれども、御存じのとおり、現在、自己株の取得というのが限定的に認められておるわけですね。例えば自己株を消却する場合だとか、また、ストックオプションで自己株を得た場合だとか、合併をした場合に自己株を一時的に取得した場合だとか、これは限定的に自己株式を取得することを許されておるわけですけれども、これを原則自由化にしようという法案を今回提出することになっておるわけでございます。

 それで、この法案は、自由に取得し、保有し、これを処分できるということでございます。そういうことになりますと、一方で現在、自己株の、一般的に原則的に認められておらない状況の中でも、インサイダー取引だとかまた相場操縦というようなことがあるわけで、現に摘発をされておるわけでございますけれども、そのような可能性といいますか蓋然性が高くなってくる。こういうこともございまして、与党協議の中でも、現在の証券等監視委員会の体制を十分な体制にしていく必要がある、このようなことでほぼ意見の集約ができたわけでございます。

 そうなりますと、この人員の問題を、大幅に人員をふやしていくことが必要だ、このように私も申し上げたわけでございますが、予算上の措置も要るわけでございまして、柳澤金融大臣、このような状況の中で今回大幅に人員をふやすということに対してどのようにお考えなのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。

柳澤国務大臣 金庫株の制度を導入するということ、これは企業の資本政策というか、そういうものの自由度を高めるということで、それなりの意義のある制度だということで、与党の皆さんの御協議のもとでこれが導入をされることが決定を見たわけでございます。

 法務省も、これに協力する形で、少し前倒しで検討を進めた結果、今回こういう形になったわけでございますけれども、それに伴って、今先生御指摘のインサイダー取引であるとか相場操縦の問題がより多く出てくる可能性というか危険性がある、こういうことが当然考えられるわけでございます。そして、与党の協議の中でも、その手当てをするようにということで、法令上の手当ては行われることになっているわけでございますが、さて、その運用をする陣容、体制というものがどうなるか、これが課題として当然あるわけでございます。

 一般的に申して、私の感想を申しますと、今回の行政改革というのは、一つは、確かにむだなことをやっている公務員についてはこれを大幅に縮減するということが必要なんですが、他方において、事前的ないろいろな統制を行政の手法として用いてきた時代に比べて、今度のような事後チェック型の行政、つまり、できるだけ参入とか規制とかは自由にして、法律に違背するものについては事後的にこれをチェックしていこう、こういう場合には、この行政に必要な要員というのは、これはもうかつての参入規制型のクラブ的な行政の時代に比べてはるかに多くなるということがあるわけでございます。

 ですから、同じ行政改革の名のもとで、片方は公務員の数を減らせというようなことが要請としてあるし、同時に、事後チェック型ですから、これはいや応にもしっかりそのことを受けとめるためには増員が必要だということなんですが、世の中というか、なかなか国民の皆さんにそのことが截然とわかって御理解いただけない、いただくのに困難だというようなことが実はありまして、この点が、私どものように事後チェック型の行政に主として携わる役所としては非常に頭の痛い問題でございます。

 しかし、おいおいに、行管当局の御理解もいただいておりまして、証券取引等監視委員会の要員も充実を見ておりますけれども、今回の問題で、さらに我々は体制の強化のために要望すべきことはしっかり要望していかなきゃいけない、このように考えております。

谷口委員 まさにおっしゃるように、この人員の配置、充実というのは大変重要な問題でございます。自由にやっていただくわけでございますけれども、一方で、その監視をやっていかなければいけない、こういうことで、ぜひ要求していただいて、人員を十分な体制に持っていっていただきたいというように思うわけでございます。

 今後の金融全体のあり方の問題でございますが、戦後の金融の状況を見ますと、今までいわば業態的、業態にある種の規則性みたいな、整然と行われていて護送船団行政みたいな形になっておったわけでございます。銀行は銀行、また証券は証券、また保険は保険、このような状況になっておったわけでございますが、近ごろは、これも総合的に銀行が証券会社をやる、また保険をやるというようなことで、どんどん垣根がなくなってくる。そういうあらゆることを行えるというような状況に、これからはもっとひどくというか、もっと激しくなってくるんだろう。そのくらいのことをやっていかないと、海外で競争力のあるような企業になるということはなかなか難しいわけでございますから、国としてもまたそういうふうにやっていくべきだと思うわけでございます。

 そうなりますと、一部、日本版SECみたいな形で証券業務だけをチェックしたらどうか、そこを充実したらどうか、こういうような意見もあるようでございますが、私は、全体を包含した形で、保険も証券も銀行もチェックできる、こういうような体制を整えるべきではないか、このように思うわけでございますが、これについて御意見をお願い申し上げます。

柳澤国務大臣 我が党内にも、現在の金融行政の体制について、証券に焦点を当てまして、証券の行政体制は必ずしも強くないのじゃないかと。アメリカに目が行きまして、アメリカのSECは随分充実した活動をしているんだから、あれに倣ったらどうだというようなお話もあるわけでございますけれども、今先生のおっしゃるように、大体資金の調達というものがいろいろな形で行われる。

 ある資金が必要だというときに、これを一体、証書貸し付けでどのぐらい調達するんだ、あるいは債券の形でどのぐらい調達するんだ、あるいはエクイティーの形でどのぐらい調達するんだ、そのベストミックスというか、そういうものを相談しながら、それにこたえていくサービスを提供しなきゃいけない。

 こういうようなことを考えますと、私どもといたしましては、むしろ今先生が御提案になられたようなことで、ユニバーサル、金融のサービス全体を包括的に対象として、それぞれに向いた行政の体制というものを充実していくということが、これから先の将来を展望したときに、最もいい形ではないか、このように考えておるわけでございます。

 金融庁はまだ発足間もないものですから、なかなか思うように、陣容の点からも、またその陣容に制約されて体制が組織されなければならないというようなこともありまして、先生方から見てなかなか十全というふうには、御心配がある点が多かろうと思うんですが、ぜひ応援をいただいて、我々の体制の充実を図っていくことに御指導、御協力を賜りたい。考え方としては先生の考え方に全く賛同する次第でございます。

谷口委員 ぜひそういう考えのもとで、体制の充実を図っていただきたいというふうに思う次第でございます。

 次に、会計ビッグバンと申しますか、御存じのとおり、このところ企業の世界では、連結が入ったり、また時価会計が入ったり、また年金会計と申しまして、今まで各企業の積み立ての基準が不足しておった、これを積み増さなきゃいかぬということで、大変な状況のようでございます。

 この二〇〇一年三月期から、売買目的の有価証券の時価評価が始まりました。また、退職年金会計が導入されたわけでございます。二〇〇二年の三月期におきましては、投資目的の株にも適用される。ですからこの九月期に、例の金融機関の持っている株の評価の問題で、今大変議論を呼び起こしておるわけでございます。

 新光総合研究所という民間シンクタンクの報告によりますと、五月の二十八日までに集計した東証一部の三月期決算企業四百八十九社は、このような会計制度の変更によって合計五兆七千六百二億円の特別損失を計上した、これにより、経常利益の合計九兆一千三百八十八億円の六三%になっておる、昨年の四五%をかなり上回っている、こういうような報告があるようでございます。日本経済全体にも大変大きな影響を与える会計ビッグバンがもう既に始まっておるわけでございます。

 そこで、初めに一つお聞きしたいのは、連結が始まりましたので、連結に伴って、政府の方は税体系、連結納税を採用していこうということで、来年度から連結納税制度を採用する運びになっておるわけでございます。

 そこで、連結納税についての現在における考え方を大臣にお聞きいたしたいわけでございますが、実は、この連結納税には、大きくはアメリカ型とフランス型があるということになっておるようでございます。

 アメリカ型というのは、持ち株割合が八〇%以上の子会社を連結対象にして、内部利益、要するに、親会社、子会社間の取引がございますから、その内部損益をほぼ完全に調整し、一つのグループを単体の企業としてみなすようなやり方なんですね。ですから、計算は非常に複雑なやり方になってまいります。

 もう一つはフランス型と申しまして、持ち株割合が九五%以上の子会社を連結対象にし、それぞれの会社の課税所得をまず初めに計算して、それらを合算してグループの課税所得を計算する、こういうようなやり方があるわけで、フランス型は、一般的にアメリカ型に比べて簡便であるというように言われておるわけでございます。

 今大きくはこのような二つの方式があるわけでございますが、現在検討されておられる連結納税の制度は、我が国ではどういうような方式を採用されようと検討されておるのか、御見解をお聞きいたしたいというように思います。

尾原政府参考人 お答えいたします。

 企業関係税制、今年は分割の税制を御審議いただきました。これからの課題といたしまして連結納税制度が大変重要な課題でございまして、現在、既に政府税制調査会の法人課税小委員会において検討を再開してございます。既に、昨年にこの法人課税小委員会において検討すべき論点というのを公表してございまして、現在の状況は、その論点について一つ一つ御審議をいただくという状況にまずなっているわけでございます。

 その中で、採用すべき連結納税制度の仕組みといたしましては、先生は専門家でございますのであれでございますが、イギリス、ドイツのようないわゆる損益をつけかえるような方式ではなくて、アメリカやフランスのような本格的な連結納税制度を入れるべきである、そこも方向が出ているわけでございます。

 それで、確かに、アメリカとフランスの連結納税制度、どのような法人を対象にするのか、一回入った加入と脱退をどうするのか、投資修正をどうするのか、今言われましたお話でございますけれども、いわば納税義務をどのようにかけるかというところでいろいろ違ってまいります。

 私ども、そのような点を一つ一つ検討してまいりたいと思っておりますけれども、基本は、この制度は二十一世紀の我が国のインフラになる制度でございます。やはり、税の公平という立場からも、また我が国の実情に即したものはどういうものか、これから検討を進めてまいりたいと思っております。

谷口委員 余り企業に対して事務負担を押しつけるというのもよくないので、私は、やはりフランス型がいいのではないか。要するに、各企業で所得計算をした上で合算するというような形がいいと思いますが、大臣、一言。

塩川国務大臣 今主税局長答えましたように、検討中でございますので、とやかく言うほどのものでは、まだ私は申し上げられませんが、私個人としては、フランス型の方がわかりやすいと思うんですね。アメリカのようにごちゃごちゃにしてしもうてトータルでこうやというよりも、やはり、個々に業績をきちっと評価し、それを決算に出して統括するフランス式の方が日本人はわかりやすい。

 しかし、この成り行きを見ましたら、グローバリゼーションの世の中でございまして、アメリカと日本との企業の関係というものは非常に強いことございますので、成り行きにつきましてはいかんとも申し上げられぬと思うんでございますけれども、十分勉強いたしまして結論を出したいと思っております。

谷口委員 これも喫緊のことで大分検討されておると思いますけれども、ぜひ私自身の考え方も入れてやっていただきたいというふうに思う次第でございます。

尾原政府参考人 連結納税制度はそれぞれの国によって違って、アメリカ型、フランス型とはっきり分けられているものではないように思います。要は、我が国の実情に即し、課税の公平の観点からどういうものが望ましいのかという観点から、検討を進めさせていただきたいと思っております。

谷口委員 わかりました。そういうことでよろしくお願いいたします。

 それで、さっきの会計ビッグバンのことに戻るわけでございますが、今、連結だとか時価会計だとか、また年金会計だとかと、こういうように大きく企業経理が変わっておるわけで、日本経済全体に大きな影響を与えておるわけですけれども、このような会計ビッグバン全体について、柳澤大臣の御見解をお伺いいたしたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 経済社会がボーダーレス化しまして、物の移動のみならず、資本の移動、資金の移動というものが非常に盛んになってまいりましたので、勢い、信用度をはかるとか企業を評価するとかという指標としての会計基準、これが国際化するのは当然の成り行きか、このように考えております。

 基本的には、私は、フリー、フェアそれからワールドワイドというか、そういう観点から会計基準の国際化、つまり国際会計基準の導入というものが必要であるということを私自身も認める立場でございます。ただ、私、先生がそういうことをお聞きいただいたのであえて申し上げるんですが、そういう中でも、各国は、しっかりした説得力を持つ理由のある項目については、そういうグローバルスタンダードに対してローカルスタンダードというものを、はっきり根拠を挙げて主張するということをやっているわけでございます。

 そういうこともまた我が国の会計制度を考える場合には私は必要だというふうに思うわけでございまして、こういう点について、やはり日本の国民というか関係者は、もっと鋭い感覚を持って、言うべきことは言う、こういうことをやっていく必要があるんじゃないかということを、どの点かなんということは申しませんが、いささか感じているというのが私の率直な感想です。

谷口委員 実は、私も大臣の考え方に近いわけでございます。

 グローバリゼーションと申しますか、大きな一つの流れがあって、それをそのまま、いわば安易に受け入れるわけじゃなくて、我が国の置かれておる現状だとか、我が国の今までの慣習だとか、こういうことを念頭に入れて、こうあるべきだという意見をやはり持たなきゃいかぬ。この上で、国際的な大きな流れを受け入れるというような考え方に立つべきだと思っておるわけです。ですから、何でも受け入れるというような状況は、私は好ましくないなというふうに思っておるわけでございます。

 それで、今具体的に申し上げますと、今回の証券市場等活性化対策プロジェクトチームというのを与党三党でやりまして、そのときにも固定資産の減損会計の話が出てまいりました。これについて、この中間報告では、地価の動向だとか株式市場への影響だとか企業活動の実態等を踏まえ、その円滑な実施に十分配慮しながら整備を進めるというような書きぶりになったわけでございますが、我が国の置かれておる状況を勘案して、この固定資産の減損会計の導入について、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

村田副大臣 お答えをいたしたいと思います。

 この分野におきまして、谷口先生が大変経験も知識も深いということはよく存じているわけでございますが、固定資産を含みます、土地の、会計上どういうふうに取り扱うかにつきましては、今、企業会計審議会について議論が行われているというふうに存じております。こうした問題についての情報の開示のあり方についてでございますけれども、情報開示の方法とか情報の有用性とかあるいはコストというものを考えて審議をしていかなければいけない、こういうふうに考えます。

 不動産につきましては、金融商品等と異なりまして、客観的な時価を、価額がどうなんだということを把握するのが大変困難であるということ。それから、先生、注記をしたらどうかとかいう話を聞いておりますけれども、それにつきましても、今度は含みの方が、益の方はどう評価するかという問題もあるし、それからあと、情報開示のコストをどう考えていったらいいかというなかなか難しい問題があろうかと思いますが、審議会の審議の状況なんかを踏まえて、私どもも研究してまいりたいというふうに考えております。

谷口委員 時間が参りましたので終わりますが、一つ、販売不動産の時価評価の問題があります。この問題は、五〇%以上下落した場合について評価減をするということですから、あれは実は、底だまりのところで評価減されていないところが多いということを大臣に申し上げまして、終わりたいというふうに思います。

山口委員長 長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻でございます。

 本日は、民主党の金融問題監視委員のメンバーとしても発言をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、本日のテーマであります短期社債等の振替に関する法律案と株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案、この双方についてお尋ねします。

 両方とも、振替機関は株式会社でもいいというか、株式会社とするというふうになっておりますけれども、この株式会社には金融庁の職員だった方が就職されるというようなことがあると、昨今いろいろなことが、天下り等々の問題が指摘をされることもあるわけでございますので、ここでの法律でできる振替機関である株式会社には、金融庁の職員であられた方は再就職しないというふうにここで一言御答弁願いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、どちらかの院の本会議場でも御質疑をいただきました。

 私、そのときに申し上げたことは、公務員制度の改革を含む行政改革の趣旨を十分踏まえて、役員等の人材配置と申しますか、そういうことについては対処していきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。

 先生、今、より具体的に、金融庁OBの天下りはないということを確認しろ、こういう仰せでございますけれども、私、公務員制度の改革の中には当然天下りのことも入っておりますので、役所の権限をかさに着た押しつけであるとか、あるいは特別のコネクションを期待してどうのこうのというようなことは、これはもう公務員制度の改革の中身として排除されていると思います。

 しかし、やはりいろいろな意味での専門知識、今まだ日本は金融のビッグバンから幾ばくもありませんので、金融に携わって専門知識を持っていろいろな実務をこなしていく、あるいは、さらに言えば、もっとストラテジックに将来の展望を自分自身が考えていろいろやっていくというようなことを考え得る能力のある方というのは、やはり制約があるだろうと思うんです。

 ですから私は、そういう専門知識が買われてどうこうという問題については、だからやるというわけじゃないですよ、そうではなくて、そういうことについては、完全に扉を閉ざしてしまうことによって有為な人材を積極的に活用できないという弊害はやはり避けるべきだろう、このように考えておりまして、要は、行革それから公務員制度の改革、この精神を体してちゃんとした、しっかりした対応をしていく、こういうことを申し上げて御答弁にさせていただきます。

長妻委員 すっぱりと明言というのは、前回も天下りの禁止問題で質問させていただいたときに似たような、本当の単なる天下りは問題があるけれども、ヘッドハンティング的な、専門知識を生かすのはちょっと区別した方がいいんじゃないかというお話がありました。特に、金融庁というのは強大な権限を持つお役所でもありますので、そこら辺の切り分けのガイドライン的なものをぜひ御検討賜りたいということを前回の質問のときもお願い申し上げましたけれども、一言、御検討をしていただくというのをもし御答弁いただければありがたいんですが。

柳澤国務大臣 私、公務員制度改革の文言の確定版というのを私自身が今知っておりません。したがって、完成の暁にそれらを読み合わせて、必要であれば今先生仰せのガイドラインというようなものについても検討を及ぼすということを申し上げておきたい、このように思います。

長妻委員 本日議題となっている法律案というのは、緊急経済対策の一環というふうに聞いておりますけれども、本当は、緊急に経済対策というんであれば、緊急に抜本的な経済対策をするということも本当に必要だと思っておりまして、その観点から、かねてからも言われております不良債権の問題で、柳澤大臣にいろいろお尋ねしようと思うんです。

 東京三菱銀行ショック、こういうような業界の中で言われているショックという言葉があるんですけれども、これはことしの三月期末の決算で、私もちょっとびっくりしましたが、東京三菱銀行が、特に要管理債権がべらぼうにふえた。一兆六千億円が東京三菱銀行の要管理債権、これは前年同期比で一兆三千億円も要管理債権がふえた。すさまじいふえ方であります。そして、東京三菱銀行の不良債権残高ということで申しますと、金融再生法基準で三月期末三兆四千五百九十億円。前年同期比で一・九倍、約二倍東京三菱銀行の不良債権の額がふえた。これは、ほかの銀行では全然及びもつかないふえ方であります。

 私もびっくりいたしましたが、東京三菱銀行のお話を漏れ聞きますと、特に要管理債権の部分がふえたわけですけれども、何でふえたのかということに関して、貸出先の信用力に応じ、本来取るべき金利が取れていない貸出先を新たに要管理債権に算入した、だからふえたんです、こういうような説明を銀行側はしているようであります。

 そうすると、私はまた今までの疑問が出てきまして、本当に銀行がこれまできちんと要管理債権も含めた不良債権の査定をしてきたのか、これはしていなかったんじゃないのかなというような、また本当に懸念というか心配が出てきたわけであります。

 当然、その要管理債権というのは、金融マニュアルできちんと、こういう場合は要管理債権ですと、ある程度のものは検査官も含めて指導されていると思うんですが、急に、厳しくしたからこれだけふえたと。では今までは、東京三菱銀行にも金融検査が入っているわけなんですけれども、こういう現象を大臣はどう見られるか。銀行が厳しくしたからぱっとふえる、では、厳しくしていなければ、ほかの銀行はそれほどふえていない。何か裁量が非常に大き過ぎるような気がするのですが、どういうふうに見ておられましょうか。

柳澤国務大臣 この問題については、率直に言って、決算の発表があってからまだそう日がたっておりませんので、私ども、個別の金融機関の、特にこの場合、要管理債権の取り扱いなんですけれども、この詳細にわたる事実というものをまだ十分個別に聞いていないという状況でございます。したがって、ちょっとこの段階で私がコメントをするのはいかがなものかと。もちろん概略の報告は聞いておるのですけれども、私がここで担当大臣としてきちっとしたコメントをするだけの報告というわけでもないものですから、ややコメントをするのは差し控えるべきではないかという気がいたしております。

長妻委員 私、柳澤大臣には大変期待している立場だと思うんですが、ちょっと今がっかりするような御答弁なのでございますけれども。

 何しろ二〇〇〇年の三月期では要管理債権が三千億円しかなかったのが、今回一兆六千億円、こんなにふえた。それは、別に業容が、貸出先の企業が悪化したのではなくて、今までの査定をちょっと厳しくしたというふうに東京三菱銀行は言われているわけで、こんなに裁量の幅があっていいのかなと。

 これは、コメントをいたしかねるというのは、金融庁というのはやはりそういうところを指導するというのも重大な役割であるお役所であるというふうに考えておりまして、これは一つ推測でありますけれども、実は、東京三菱銀行には昨年の八月から十一月に金融庁の検査が入ったというふうに聞いておりますけれども、そこで何か指導をされて、本当に厳しく査定をしたのではないかというような推測もあるわけであります。

 であれば、ほかの金融機関にも、我々民主党は緊急一斉検査というのを申し上げておりますけれども、今、みずほなどには入っているようでありますが、再度入って、東京三菱並みに要管理債権を見直せ。並みというか、これが当たり前の解釈だと私は思っておるのですが、東京三菱の今回とったこの解釈が、これが普通だと大臣は思われますか。

柳澤国務大臣 要するに、条件変更債権というものがございます。この条件変更債権になりますと、これは要管理債権ということになるわけでございますけれども、それでは条件変更とは何ぞやということが問題になるわけでございます。

 今までは、それが条件変更の結果、条件変更と申しますか、条件を改定時に、決めるときに、その企業の経営を支援するような目的を持つものについては条件変更債権と認定する、こういうことであるわけでございます。

 私、聞くところによると、今度のこの条件変更債権というのは、変更しなくても条件変更債権とする。それはどうしてかというと、本来とるべき信用リスクを反映した金利水準というのがあって、それをとっていない。今までの金利水準と同じなんだけれども、本来、信用リスクを反映してこれだけ上げるべきじゃないか、そういうものが設定されなければこれを条件変更と見る、こういうような考え方、これは最近になってそういう考え方が欧米でも出てきているということですけれども、この東京三菱がそうだと言っているわけじゃなくて、そういうこととも関係がある、こういうことを聞いておるわけでございます。

 もしそういうことだとしたら、これは非常にポリシー的というか、政策的な分類、これはなかなか、私の立場で断定的なことを今ここでにわかに申し上げるのは、ちょっと私自身まだ、何も条件変更していないのにこれを条件変更というか、あるべき金利水準が実現されていないからこれは条件変更に入れてしまおうかというのを、それを要管理にするかというのは極めて厳しい問題なので、そういうことがあるようですということを申し上げておきたい、こう思います。

長妻委員 前半部分は非常に示唆に富むお話だったと思うのでございますが、今のお話を整理いたしますと、一つポイントとなるところがあると思うんです。

 条件変更をした場合、これは文書か口頭かわかりませんけれども、今まではそれが要管理だというような発想だったのが、条件を明確に変更したという明示的なことはなくても、東京三菱が言うように、本来とるべき金利がこの貸出先からはとれていない、それを要管理に含めるというような解釈だと私は考えておるのです。

 そうすると、三菱は当然それを要管理にして、これは要管理じゃない、けしからぬとは金融庁は言われないと思いますので、その意味では、いっそここで大臣が明言されて、要管理債権というのは、きちんと文書とかあるいは言葉で条件変更だと明示的にやらなくても、本来とるべき金利がとれていない貸出先は要管理なんだよ、これからはそういうふうにしましょうということを宣言していただければ、みんな東京三菱に合って、この不良債権の問題も一歩前進する、私は本当にそういうふうに思うんですが、大臣、思い切ってどうでしょうか。

柳澤国務大臣 これは自己査定なんですね。自己責任なんですね。自己査定というのは、自分がそう査定するということで、監督当局はそれをどう評価するか。間違っていれば間違いと言う、間違っていなければそれを認める、こういう立場ですね。

 もし、そうやっていないところが、条件変更していない、だから別に相手、貸出先に対しての支援目的も何も論ずる必要はないというものがある場合に、いや、おまえはとるべき金利水準がとれていないのだから、それは要管理だと言うかということなんですけれども、もしそれで、そういう査定をした貸出先に何か問題が生じたら、それは自己責任でとってくださいよということなんです、自己責任による自己査定というのは。

 ですから、私は今、自己査定、自己責任ということで各金融機関には処していただきたい、こういうことを申し述べるにとどめたい、こう思っているのです。

長妻委員 今のお話を聞くと、私が今まで考えていた金融庁の金融検査マニュアルとか不良債権の査定というのはもうちょっと厳格だと思ったのですが、何か、統計をとる意味もないような、銀行が自由にある程度決めればいい、それは銀行の自己責任だから。一生懸命頑張って金融再生法の不良債権の基準というのを決めたわけですけれども、別に、要管理がいろいろな解釈があっていい、それは余り金融庁は言わないんだ、どんなような査定でもまあいいでしょうというような発言に今ちょっと聞こえるんでございますけれども、柳澤大臣、再度、東京三菱並みに要管理を合わせていく、これによって、海外からの疑惑の目、日本の不良債権は隠されているんじゃないかという疑惑もちょっとは薄らいでいくんじゃないかなというふうに私は思うのですが、東京三菱並みに要管理はするべきだ、あれは立派だと、再度御答弁お願いいたします。

柳澤国務大臣 金融検査マニュアルでどう書いてあるかというのをちょっと御披露しますと、貸し出し条件緩和債権は、債務者の経営再建または支援を図ることを目的としてというふうに書いてございまして、債務者に有利となる取り決めを行った貸出金ということになっているわけでございます。それを前提にして……(発言する者あり)いや、これは要管理です。ですから、これは要管理になるべき貸し出し条件緩和債権です。それはもう当然なんですが、その中に、今言ったように、市場の状況と貸出先の状況からして、本来これだけの金利水準にすべきだということを考えて、別に変更しないんだけれども、改定期においてその金利が実現できなかったから要管理なんだということを金融検査の基準にしろと。これは私はやはりちょっと、東京三菱が問題提起してきましたから、したがって我々これから検討をすることになると思うのですが、今この段階で私に確定的な方針を申し述べろということは、若干もう少し時間的な余裕をいただきたいということでございます。

長妻委員 本来は、私は、東京三菱のこの英断を金融庁は褒めてやらなきゃいけないと思うのですが、何か余り東京三菱のあれがちょっと違うんじゃないのというように聞こえたのですけれども。

 今の御発言で要管理の定義を読まれたわけですけれども、企業に対する支援ということが言葉にありましたけれども、だからある意味では、本来取るべき金利を取っていない貸出先というのは、これは支援だと私は思うのです。もし支援でなければおかしい話になって、何か銀行とその企業が癒着をして、別に支援じゃなくて、何か本来取るべき金利じゃなくて安くサービスしているというような実態というのはあり得ないわけで、本来取るべき金利を取れていない、それで貸し続けているということは、支援以外に何か考えられるのでしょうか。

柳澤国務大臣 日本の金融というものが貸し出し条件、特に金利に信用リスクを反映する、そういうことであったかといえば、率直に言って、割とそうでない。それは、信用リスクはすべからく担保で保全されるべきだ、こういうのが今までの日本の金融のありようだったわけですね。それが最近に至って、担保よりもむしろ金利に信用リスクを反映すべきだ、そういう流れに変わってきておるわけでございまして、現在今まさにその過渡期と言ってよろしいかと思うのですね。

 そういうときに、一番ベストの形、私は東京三菱の方針というもの、ポリシーを十分評価するわけですけれども、それをゾルレンとするのかということについては、いま少しよく考えさせていただきたい。これは決して、そうしないとか言っているわけじゃないんです。そういうことではなくて、少し検討させていただきたいということを、大変恐縮ですが、重ねて申させていただきます。

長妻委員 検討というお話がありましたので、言葉だけではなくて、本当に検討をぜひいただいて、これはいろいろ海外も含めて国内の金融専門家、評論家の方からは、不良債権のことはいろいろまだあるんじゃないかということを言われているわけですので、これはぜひ強くお願いを申し上げます。

 そして、今のに関連してもう一つの数字でありますけれども、四大銀行グループの総資産に占める不良債権の割合というのは、今回三月期末が出ました。三菱東京グループが四・七%、UFJが二・九パー、みずほが二・八パー、三井住友が二・五パーということで、総資産、総貸し出しに占める不良債権の割合が、三菱銀行は五%近いけれども、ほかのグループはそれの半分ぐらいということで、三菱東京が今回非常に大きくなっている。これはまじめに要管理を出したからだと私は思っておりますけれども、その意味でUFJ、みずほ、三井住友はやはりもうちょっと厳格にする余地が大変あるんではないかというふうに私は思うのですが、柳澤大臣、この三つのほかのグループ、一言感想だけお願いいたします。

柳澤国務大臣 不良債権の全貸し出しに対する比率というのは、なかなか難しいです。率直に言って、例えばアメリカの九二年ごろはどうだったかというと、これはアメリカのFDIC加盟金融機関の平均でございますけれども、記憶では五・四七%ぐらいでございます。しかも、アメリカの場合、私、これは未確認なんですけれども、個別引き当て、引き当てをするとそれをもう残高から落としてしまう。そうなりますと、分母も分子もそれは落ちますけれども、断然もうききは分子の方にウエートが高いですから、不良債権比率というのは非常に低いレベルで出てくるわけでございます。したがって、日本のようにこれまで引き当てということで不良債権の処理をしてきたところでは、そういうやり方に比べれば、これは算術の問題ですけれども、高目に出るということは当然でございます。

 これから我々が不良債権のオフバランス化、最終処理をしていくということになりますと、勢いそういう傾向をこれからも持つであろうということを私は感じているわけでございまして、にわかに貸出債権に対するいわゆる不良債権の残高の比率で何かを論ずるということは、その中身をかなり見てみないと何とも言えないというふうに思います。

 ただ、私が申し上げたいのは、先生とは全然別の考え方、見方で、あるいは先生のお気にさわるかもしれませんけれども、四大グループにおいてはかなり低水準になってきたなというのを全体として感じております。

長妻委員 それに加えて、私もこの数字もちょっとびっくりした数字なんですが、三月期末の貸し倒れの引き当て率、例えば、三井住友銀行を見ますと、破綻懸念先という区分に対する引き当てが、旧さくらは七一・三%。旧住友銀行は五四・五%しか引き当てていない。破綻懸念先に対する引き当てが二〇パーも、片や七〇パーぐらい、片や五四パーぐらいの引き当て、非常に差がある。

 金融検査の一つの意味は、ある意味では行政としても政府としてもきちんと不良債権の額を把握し、それを解消することにあるわけでありますから、各行がこれほど違う、検査官が入っているのに、何でこれだけ引き当て率が変わってしまうのかなという疑問もあります。そして、今まで申し上げた疑問があって、いろいろな評論家の方も、私もそうでありますけれども、何か日本の不良債権の問題はちょっと裏があるんではないかなという懸念があるわけであります。

 そして、もう一つ観点を変えて申し上げますと、実際に大手銀行の不良債権の処理というのは、一体何年かかるのか。これはやはりある程度の年限のめどを政府として持たれるべきだというふうに思うのです。外資系の証券会社なんかが試算しておりますのは、大体年間三兆円強の業務純益を全部不良債権の処理に充てても八年ぐらいかかるんじゃないかという試算も出ておりまして、もっと長くかかるというところもあるんですけれども、まあ八年、私もこれ以上かかるというふうに考えておるんです。

 政府として、柳澤担当大臣としては、大体何年ぐらいで本当にめどがつくんだよ、終わるんだという青写真を持たれているのか、お教え願えればと思います。

柳澤国務大臣 まず、引き当てがこれだけ変わっているということでございますけれども、基本的に、破綻懸念先の三分類に対しては七割見当というのを私は言ったこともございますけれども、基本はやはり実績率、合理的なしっかりした根拠のある実績率をそこで引き当てるということであるわけでございます。それを、ある銀行は破綻懸念の三分類債権を一括して考える、ある銀行はもうちょっと幾つかにこれをまたさらに細分して考えるというようなことで、できるだけ貸し倒れの実績に接近していくというような引き当て政策というものがあるようでございまして、私どもがそれを別に否定する必要はない。その結果としての数字が今先生がおっしゃられたような差異になってあらわれているということであれば、それはもう合理的な説明がつくわけですから、これは問題にするに足りない問題だ、このように考えております。

 そこで、非常に基本的な問題を投げかけられたわけでございますけれども、一体、日本の不良債権問題というのはいつまでかかるんだ、いつ解決するんだということでございます。

 ちょっと申させていただきますと、今先生がお触れになられた、アメリカ系が主ですけれども、いわゆる証券会社のアナリストたちの分析というのは、私どものシステムではなくて、実はアメリカ的なプロジェクトローンのシステムというものを基礎に置いて分析されているということが、今までは、率直に申しますと、民間の人が適当なことを言っているのはやらせておけばいい、我が方は我が方できちっとなすべきことをやればいい、こういうふうに考えておったんですが、余りにも多くの人がアナリストの分析なるものに影響を受けられた言葉を口にされる、そして私自身もそれを耳にするということが多いものですから、最近になって、私はちょっと向こうのいろいろなデータをトレースしてみたんですね。そうすると、もうこれははっきりと彼らがプロジェクトローンのシステムを前提にした不良債権の見積もりもしているということが判明しまして、それは、我々の方の、事業単位ではなくて事業者単位、つまりコーポレートファイナンスのシステムのもとでの不良債権の考え方とは積算の仕方でおよそ変わってくる。そういうようなこともあります。

 我々は、今いろいろ彼らの積算にもある程度乗って考えているんですが、彼らも、要するに、一九九二年から二〇〇〇年までのところと二〇〇〇年以降のところを分けていらっしゃるわけです。前者は恐らくバブル期に発生した不良債権の処理の問題、それから二〇〇一年からはそれとは違う現在の経済状況を反映して発生している不良債権の問題というふうに分けられているんだろうと思います。

 大ざっぱにしか申し上げられませんけれども、いずれにしても、向こう側というかアナリストの皆さんもそうですし、我々も大体そういう感じを持っておりますけれども、バブル期に発生した不良債権の問題は、ほぼもう解決がついているか、あるいは本当にあと一年とかそのあたりで解決がつく。これからの問題は、むしろ二〇〇一年以降に新規に発生する不良債権と我々が取り組まなきゃいけない、そういう段階になっているというふうに分析できるわけでございます。

長妻委員 ちょっと何年ぐらいという青写真があいまいだったんですが、バブル期に発生した不良債権はあと一年ぐらいで全部処理できるのではないか、そして政府が出している二年ないし三年ということですから、これから三年以内には全部できるというふうに多分政府は考えておられるのでありましょう。それ、ではもう一回、三年と。

柳澤国務大臣 先生、不良債権の問題というのと破綻懸念先に対して二、三年でというのをちょっと分けてお考えいただければありがたいと思うわけでございます。

 いずれにせよ、バブル期に発生した不良債権の問題というのはほとんど処理の終えんの時期に近づいているということで、そして新規に発生する不良債権という場合の不良債権は、いわゆる要管理債権等を含んだ、我々が通常言っている不良債権の概念に従って物を言わせていただいておるわけですが、これは基本的に、さっきまさに東京三菱の問題で言われたように、不良債権の発生のテンポとこれからのいわゆる利ざや、つまり信用リスクに見合った金利水準をとっていくかどうかの競争関係にあるということであろうと思います。

長妻委員 次の問題に参ります。

 来年四月からペイオフが信用組合も当然実施されるわけでありますけれども、一つ私は信用組合に対して不安を持っておるんですが、今、一斉検査を昨年の七月からされて、立入検査を二百五十五の信用組合にされた。検査結果の通知が金融庁、地方の財務局も含めて二百十七出されて、出したその後十五の信用組合が破綻をされているというようなことでありますけれども、今まだ破綻をしていない信用組合で債務超過だというふうに認定をした信用組合というのは何行ぐらいありましょうか。

柳澤国務大臣 大変恐縮ですが、先生ちょっと事前にその数字をお問い合わせでなかったものですから、手元に資料を持ち合わせていません。

 しかし、余り少ない場合には、それをここで申すわけにもいかないという事情も出るかもしれません。

長妻委員 これは申し入れでありますけれども、私が聞いておりますのは、破綻をしていない信用組合のうち債務超過になっている信用組合があるというふうに聞いておりまして、ただ、債務超過になっても増資計画とかあるいは有価証券の含みがある場合は破綻認定しないというようなことも聞いております。

 債務超過であった場合、安易にそれをそのままにしておくというのは、来年の四月のペイオフを迎えて万々が一のいろいろなこともある危険性もゼロではないと私は思っておりますので、ぜひ厳しく検査なり認定をしていただきたいということと、債務超過になったらこれは商法上合併というのはできないわけでありますので、債務超過の前に合併等を促進するような、かなり手を突っ込んだような行政もここまで来たらするべきではないかというのを一点だけ申し入れさせていただきたいと思います。

村田副大臣 信用組合につきましては、委員御指摘のとおり数も多くて、その中には大変経営基盤が脆弱だ、そういう組合も御指摘のとおりあるわけでございます。かつまた、時々破綻を来す信用組合も散見されるという状況にあります。

 しかし、検査によって直ちに破綻処理というわけではなくて、地域の要請とかいろいろな状況がございますものですから、そういう意味では、検査の基準の後いろいろな計画が出てきたり、地域でまた守っていこうというようなことは尊重しなきゃいけないことだろう、こういうふうに思っております。

 いずれにしましても、ペイオフを控えているわけでございますから、こうした零細な信用組合がペイオフ実施後も地域の中小企業の信用供与を続けていただくという観点からも我々も適宜適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。

長妻委員 今おっしゃられたこと、私は一つちょっと見解が違うんですが、信用組合を守っていかなきゃいけないという地域の声を配慮するということは、逆に、債務超過で本当は破綻するところがあるところを何か地域の声によってそのまま存続させていく。しかし、それは問題を先送りしただけで、ペイオフを迎えて最悪の事態になったときに、むしろそれが地域のためにならないのではないかというふうに思いますので、地域の要請があるから安易にどんどん認定をおくらすというのはぜひ控えていただきたいということを一つ申し上げます。

 次の質問に移らせていただきますけれども、塩川大臣にお尋ねをいたしますが、今、経済財政諮問会議が大変活発な提言をされて、私は、それは本当にいいことだというふうに率直に思っております。

 その中で、公共事業の長期計画ということにも経済財政諮問会議は触れておられて、これは本当に私も同感なことでありまして、五カ年の道路整備計画とか特定交通安全施設等の整備計画とか治水の七カ年計画とか、いろいろな長期計画、長計と言われるものがあって、それがあらかじめ五年なら七十八兆円とか金額がついて、その後のいろいろなニーズに関してもそれほどの見直しがされないで、長期計画がどんどん続いてしまう。これは本当に問題だと思っております。民主党としても、長期計画をまとめて一本にしようというような法案の準備もしておるんです。

 塩川財務大臣にお尋ねしますけれども、そういうような問題意識、長期計画は大幅に見直すべきだということでどんどん発言をしていただきたいと思うんですが、実際、この会議でもそういう議題が上がっておられると思いますけれども、お立場としてはいかがでしょうか。

塩川国務大臣 御承知のように、長期計画というのは相当数皆それぞれの分野で持っております。そのうち、法律に裏づけられた長期計画と、そうではなくして、担当の主務大臣のもとにおいて将来計画を描いた長期計画とございます。

 私は、この際に、やはり全面的にそういうものは見直していく。そういうものというのは、要するに、主務官庁で設定しておりますところの長期計画はまず見直していく必要があるだろうと思っております。法律で決められてあるものは、国会で決められたことでございますので、その趣旨を尊重して、その後の処置についてはともに検討していかなきゃならないものだと思っております。

長妻委員 非常に前向きな答弁というふうに率直に受けとめさせていただきます。その意味で、主務官庁のもの、あるいは法律で規定されているものを見直していくということでありますけれども、それぞれを一本化、すべての長期計画を一つにまとめていくという御検討も一つの選択肢ですか。あと、プラス、ある長期計画はもう廃止をするというのも選択肢の一つというようなお考えもあられるんでしょうか。

塩川国務大臣 いろいろな事業を総括して一本にする、そしてそういう長期計画をつくる、これはちょっと不可能だと思いますね。国のビジョンとして提出していく、提示していく、そういうことはできるだろうと思いますけれども、各事業ごとに長期計画というような緻密な計画を組んでおりますから、そういう計画につきましては、一本化して計画し運営していくというのはなかなか難しい。

 それよりも、今現在進行しております、各省で考えておりますそれぞれの事業の中身を十分にまず主務官庁を中心として検討するということ。それに対しまして、我々財務省といたしましても、予算的な問題あるいは将来の資金問題についても、お互い検討した上で見直しを進めていくということを言っておるわけでございまして、御理解いただきたいと思います。

長妻委員 今の関連でもう一点ですけれども、今ある公共事業の長期計画を、我々は一本化と言っていますけれども一本化は無理にしても、何本かにまとめていくという御検討も選択肢でしょうか。

塩川国務大臣 将来において新しい計画を立てますときに、そのときには切り口を変えた計画で統合していくというやり方、それはあるかもわかりません。例えば下水道計画だとか道路整備計画だとかいろいろございますけれども、一つの面として、何々地域開発計画というようなやり方があるだろう。私が一つ経験いたしましたので琵琶湖総合開発計画というのがございました。約二十年かかりましたけれども、そのおかげで関西地域の水は全然心配ない、本当に用水については心配ない。現在非常に喜んでおりますが、ああいうようなものは私は総合計画の中で一つのやり方ではないかと思っておるものでございます。

 これはしかし、場所、問題点あるいは条件等、相当いろいろございますので一概には申し上げられませんが、そういう意味における総合計画を組めとおっしゃるならば、私は賛成だと思います。

長妻委員 今おっしゃられた、長期計画に根本的見直しというメスを入れていただくのであれば、本当にその部分では私は率直にすばらしいことだというふうに考えておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 そしてもう一つ、道路特定財源の問題でありますけれども、いろいろな説が飛び交っておりますけれども、そろそろどういう方向かというのをお尋ねしたいんです。

 一つ、平成十五年度からまた新たな五カ年計画というのが新規に始まります。そのときには道路整備緊急措置法という法律をまたつくるわけでありまして、その法律の今は第三条に道路整備費の財源という項目があって、揮発油税とか石油ガス税が道路特定財源だというこの条文で国費分は、国税分は規定をされておるんです。これは先の話でありますけれども、平成十五年から始まる道路五カ年計画の際には、道路整備緊急措置法の三条を削除して平成十五年からはやっていくという御決意をぜひ。

塩川国務大臣 今長妻さんがおっしゃったような、そういう具体的なところまでは実はまだ検討しておりませんけれども、いずれにいたしましても、道路の特定財源というものを時代に合ったものに変えていきたいという希望を申し上げたようなことであります。

長妻委員 前回私がこの委員会で御質問させていただいたときは、法改正も含めて必要があれば検討するということで、ちょっと後ろに下がってしまったような感じを受けるんですけれども、道路整備緊急措置法の第三条を削除する、こういう法改正も検討の一つではあるということでありますか、再度御答弁ください。

山口委員長 もう時間が終わっておりますので、簡潔に。

塩川国務大臣 私たちは別に後退したとは思っておりませんけれども、しかし、そういうようなものも全部含めての検討をしなければ、これだけ変えるんだということではいわば他との均衡がとれていきませんので、そういう意味で、おっしゃること全部をひっくるめての検討である、こういうことで御了解いただきたいと思います。

長妻委員 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

山口委員長 小泉俊明君。

小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。通告に従い御質問させていただきます。

 森総理から私と同じ名字であります小泉総理に、四月二十六日、大臣がかわりました。その結果、人がかわっただけで、何と支持率がゼロに近い一けたから八割を超えてしまった。これは、だれがポストにつくかということが極めて重要でありまして、国民の関心もまさに今ここにあると思います。宮澤財務大臣から塩川財務大臣に今かわられまして、特にこれは大変重要なポストでありますので、どんな認識を持った方が今このポストについているのか、これが非常に日本経済にとってもまた国民にとっても大きな関心事だと思います。

 そこでまず、塩川大臣は、今期十一期目という政治の大ベテランでありまして、今までの政治の流れをずっと見ていらっしゃったと思います。その中で、政治家として、今の日本の政治や経済、そしてまた社会全体を見据えた場合に、日本の抱える根本的な問題は一体これは何なのかということで、また、六百六十六兆円と言われる、宮澤前財務大臣の言葉をかりれば、もう破綻しているのではないかというような財政状況、このような重要なポストを担当する御決意をぜひともお聞かせいただきたいと思います。

塩川国務大臣 私は、戦後、二十二年に中国から復員してまいりました。その当時のことからずっと五十年見てまいりますと、日本の経済、社会の変わり方というのは余りにもスピードが速かったように思っております。特に、岸内閣のときに日米安保条約の改正がございまして、あれがきっかけとなりましてから日本は一挙に高度経済成長に入っていく基盤ができまして、そのために、その三十数年の間は、もうそれ行けどんどんの日本の社会経済状態でございました。ずっといまだに私はその精神文化が続いておるように思うのでございまして、これが二十一世紀になりましたときに、そのままでいけるのかどうかというその考え方が一番大事だと思っております。

 その四十年近くの間、高度経済成長で築かれてきたものは、すべてハードを中心とした経済であり社会であり、教育もまたそうであったようなことを思っておりますが、それを二十一世紀はソフト中心のものに変えていかなければならない、こう思っております。

 私は、たまたま財務省の責任者として就任いたしました。それは先ほども申しておりますように、私は、財政の問題、経済の問題、それから金融、そういうものについては詳しく知りません。しかし、この五十数年の間、戦後やってまいりましたこういう経験というものは、国民の常識と同じレベルで持っておるだろうと思っておりますので、私はそういうことを国民の常識のレベルで物を考えていきたい、こう思っております。

小泉(俊)委員 今回、閣法で緊急経済対策として三つの法律が提出されておりますけれども、いずれにしましても、さまざまな問題について有効な対策を立てるためには、何よりもまず現状を正確、的確に把握している、これが一番重要であります。

 そこで、塩川大臣の現状認識について少しお尋ねいたします。

 新聞報道によりますと、四月二十七日、ワシントンで、日本は二番底を打った、ここからはい上がる方向性は見えてきた、また、二十八日のG7後の会見では、日本経済の現状について、昨年秋から年末にかけて急激に下落したが、最近は底を打った感じがする、春から六月にかけて持ち直し、回復してくるのではないかとここで述べられています。今もこのような御認識でございましょうか。

塩川国務大臣 私は、大筋において余り認識は変わっておらないと思っております。

 私はアメリカへ行きまして、向こうの財務長官でございますオニール長官から日本の経済の現状をどう思うかというお話がございましたが、私は、余りいい状況ではないと。それは、短期的に見た場合に、IT産業あるいは電子取引、そういう分野がもっとスピーディーに発展、成長するであろうと思っておったことが、少し今停滞ぎみでございますので、アメリカもそうだろうし、アメリカも景気に足踏みが起きておる。日本もそれが起きておる。けれども、ここでそういう基盤ができてきたので、いずれはこの基盤の上で発展していくだろう、そういう意見交換をしたことは事実でございます。

 私は、二番底というのは、経済の専門家が言うような言葉でございますけれども、私の感覚で言ったら、十二月からずっとやってまいりました、物価の下がり方を見まして、ここで少しは固まってきたのではないかという感じがいたします。したがって、これ以上物価を下げるということのないようにして、ここで安定させて経済の回復へ向かってほしいと思っております。

小泉(俊)委員 月例経済報告を去年からずっと見てまいりまして、四月は景気は弱含んでいる。五月はかなり微妙な変化でございますが景気はさらに弱含んでいる。また、昨日発表されました完全失業者数は、直近でいいますと、何と三百四十八万人、また倒産数が、去年の秋口は大体千五百件を割りまして千四百件台を推移していたのですが、三月で何と千七百件を超える。先ほどの塩川大臣の、二番底を打ってこの春から六月にかけて持ち直し、回復してくるのではないのかというのは、やはり極めて希望的観測でありまして、私の持つデータから判断しますと、決してこれは、二番底どころか三番底に今向かっているというのが私の認識なのです。

 それで、大臣が何で、どのような根拠からG7におきまして四月の発言をなされたのかという、その先生の判断基準となった根拠というのはどういうところにあるのでございましょうか。

塩川国務大臣 先ほど申しましたように、私は、IT関係の、情報機器産業の企業活動というのは少し鈍ってきたように思っておりますけれども、しかし、最近見ますと、この部分における輸出が少し伸びておるように思っております。そういうところに若干の希望を持っておるわけでございまして、確かに六月の状況というのはさらに弱含みという方向が出ておりまして、私も実は非常に心配しておるような状況でございます。

小泉(俊)委員 大臣の御認識はわかったのですが、かなりやはり財務大臣の御発言は、例えば、後でも為替のお話もちょっと聞きますが、発言された後に急に一円も乱高下するというのは、極めて重いポストの発言でございますので、ぜひとも……(発言する者あり)

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 小泉君。

小泉(俊)委員 国会も立法府でございますから、議会の最低限のルールは守るように、委員長、次回以降ぜひともよろしくお願いいたします。

山口委員長 心得ました。

小泉(俊)委員 先ほどに引き続き、財務大臣というポストは極めて重要でありまして、財務大臣の一言によりまして円が一円近く乱高下するわけであります。そうした中で、先ほど財務大臣も、一番最初の御質問のときにお話ししていただきましたが、国民の常識と離れないということ、やはり私もこれが一番大切だと思います。

 その中でどうも、G7の四月二十七、二十八、二十九日における大臣の御発言は、私は、今国民が思っている常識の感覚とは、やはりちょっとずれているんじゃないか。希望的な観測は確かにそうあってほしいのですが、やはり現状を冷徹に見詰めるということ、それをやはり大臣のお言葉から、お口から話していただきたいというのが、私たち国民の願いでもありますし、衆議院も、そう思います。

 次に移ります。

 やはり国民の常識とずれない、これが大臣おっしゃるように大切だとすると、今もそうですが、自民党の大臣の方々の発言を聞いていますと、どうも何か国民の皮膚感覚とずれている、正直いつもそう思うわけであります。特に、今「北条時宗」をやっておりますが、あの中で京都のお公家様が出てきます。そういった感覚、国民と大分乖離している感覚がどうも感じられてしようがないのですね。

 その中で、聞かせていただきますが、前に宮澤さんにもお聞きしたのですけれども、本当にこれは基本的なことですからちょっとお聞きいたします。

 大臣、最近町へ出て、御自分の足で、自分の財布を使ってお買い物されたことというのはございますでしょうか。

塩川国務大臣 自分の金で買い物はしております。

小泉(俊)委員 どんなところで、どんなお買い物をされましたですか。

塩川国務大臣 きのうも、少し遅うなりましたから私の公用車を帰らせて、その後私はタクシーで息子と一緒に帰ってまいりました。お金は私が払いました。

小泉(俊)委員 最近百円ショップというのが非常にたくさんありまして、飛躍的に会社としては伸びているわけですね。また、ユニクロというのもありまして、これも大変飛躍的に伸びています。これは大臣、行かれたこととか、どういうものか内容を御存じですか。

塩川国務大臣 いずれも行ったことがございません。

小泉(俊)委員 これは実は、一般庶民がなぜ百円ショップにあれほど、一回行っていただければわかります、駐車場の整理係が出るほど、もう駐車場がいっぱいになるほど百円ショップに人があふれるわけです。その百円ショップが今企業としては急成長を遂げている。またユニクロも、大臣がきっとお召しになられているものとは大分違いますが、非常に安い価格で、かなりいいカジュアルウエアが本当に安い、千円、二千円で買えるわけですね。

 大臣、国民の常識とずれないということであれば、ぜひともそういうところをやはり御自分の目で見ていただかなければ、本当の今デフレだということが私は数字ではわからないと思います。やはり現場を見て、国民の行動を自分の目で確かめていただきたいと思うのであります。

 また、先ほどもお話ししましたが、完全失業者が直近で何と三百四十八万人ですね。こういう状況の中で、大臣、ハローワークとか旧職業安定所を最近御自分で見られたことがありますか。

塩川国務大臣 私は、去年の春だったか冬だったか、はっきりは忘れましたが、落選しておるときでございましたけれども、そのとき一度行ったことがございます。

小泉(俊)委員 中をごらんになられればどういう状況かわかると思うんですが、私は地元も、茨城も行っていますし、新宿も行っていますし、結構いろいろなところを機会があるたびに、やはり経済をやろうと思っている者は現場を見ないと私は本当のことがわからないと思います。これはどちらの、中はどんな状況でございましたか。

塩川国務大臣 ハローワークでは、待合のところにたくさんおられまして、やはりどの用件かといって聞きましたら、保険料をもらうというよりも、就職の相談に来ているんだといってカードを持っておられまして、私は今度で六回来ているんだとか言っておりましたね。そういうお話を聞いて、私は所長に事情等いろいろ聞いたことがございました。

小泉(俊)委員 実は、最近ハローワークも非常にIT化が進んでいまして、昔は先生がおっしゃっているように紙とかいろいろあったんですが、全部今はパソコンで見られるんですね。それで、新宿なんかも、地方もそうですけれども、何十台かあるパソコンがもうほとんどいっぱいです。

 前も委員会で私お話しさせていただきましたが、大臣がかわりましたのでもう一度、大臣にもぜひとも知っていただきたいんですが、かつては実は高齢の方が多かったんです。ところが、今、二十代、三十代、四十代、特に男性も女性も若い方たちがハローワークに物すごい人数来ています。ぜひとも今のそういった現状を、いずれにしろ、これは政府の経済的失政が原因でここまで失業がふえているわけですよね。かつて中国の古いことわざでは、民は食をもって天となすと。やはりちゃんと職につけて三食ちゃんと食べられる、これが私は政治の基本だと思いますので、それが今、どんどん実は毎月失業者がふえているような状況でございますので、ぜひともこれは自分の目でもう一度お確かめいただきたいと思います。

 次に、基本的なあれは最後になりますが、おとといも常磐線に乗っていまして、朝から不通なんですね。これは自殺者です。私は車じゃなくて毎日地下鉄とか電車でいつも通っていますので、本当に毎日のようにとまるんですね。ほとんど、偉い先生方は実は車しか使わないんで、何を話しているのか全然意味が通じないんですよね、いろいろな自民党の先生方とかと話していると。

 それでは、大臣、今一年間に自殺者がどのぐらいいるか御存じでしょうか。

塩川国務大臣 正確な数字は覚えておりません。

小泉(俊)委員 政治家というのは基本的に、やはり国民の生命身体を守る、これが最大の使命です。これは実はどの新聞でも毎年物すごい、一面か二面に大きく掲載されています。新聞発表によりますと、一年間に何と三万三千人、二年連続、死んでいます。ところが、これは表に出ている数字だけでありまして、実際はいろいろな事情で、自殺していても事故死という形で処理するケースが結構あるんです。実際は二年連続、十万人死んでいるだろうと言われています。

 最低限、やはり国民が今どんな思いで、これもすべて私は経済の失政が原因だと思っておりますので、その経済問題の最高責任者である財務大臣がそういう事実関係を認識しないというのは、私は大変遺憾であります。やはりきちっとそういった事実を見て、ぜひとも今後のいろいろな政策立案、企画とか政治決定に生かしていただきたいと思います。

 次に、実体経済について大きな影響力を持つのが株価の問題なんですけれども、実は前の財務大臣である宮澤先生にも、うちの民主党の仲間とか、私も何回もこれは株価について聞いています。ところが、お答えが、株は株ですからとか、株はああいうものですから何ともとか、非常に評論家のように無関心だったんですね。このメッセージが私は実はかなり株価に悪い影響を与えていたと思うんですね。

 そういった中で、具体論ではなくて一般論として、大臣は株価が日本経済に与える影響や重要度についてどのように御認識されていますでしょうか。

塩川国務大臣 私は毎日非常な関心を持っております。したがって、大臣室にボードがございまして、そこに電子表示がございますから、株価であるとか対ドルレートとか、ずっと並んでおりますが、もう部屋へ入るたびごとに見て一喜一憂しているようなところでございます。

小泉(俊)委員 大臣のように株をたくさん保有されている方はそうやって一喜一憂されるんでございますが、今質問の内容は、株価の上がり下がりというものが日本経済に具体的にどういうような影響を与えるか、どの程度重要性を持つものかということをちょっとお聞かせいただきたいんですが、特に、実は経済界、実業界の方たちといろいろお話ししますと、非常にナーバスになっています。その意味で、財務大臣が株価に対してしっかりとした御認識がないと、やはり市場に対する誤ったメッセージを出すと私は思いますので、もう一度お尋ねいたします。

塩川国務大臣 そのボードを見ておりまして、少し株が上がるということになったら本当に胸をなでおろすような感じがいたしまして、私は別に株をやっておりませんが、少しよくなったかということで安心し、連続数日続きますとやはりちょっと気分が明るくなります。

小泉(俊)委員 大臣、具体的にやはり株価の影響を国民にもう少しきちっと、はっきりと、どういう影響があるために非常にこれは重視している、重視しているということは、仮に株価が大きく動くような場合には、今回も閣法で、個人投資家に市場に来てもらうために出しているわけですから、そういった形はきちっととるというような意思の表明をやはり私はしていただきたい、そう思う次第でございます。

 次に、ちょっと為替の問題をお聞かせいただきたいんですが、四月二十六日、ちょうどG7、小泉内閣が発足した日でございますが、ワシントンで、為替は市場に任せるべきであり、操作し得るものではないと塩川大臣は御発言されているように新聞報道ではなっておりますが、それでは、また一般論として、為替の持つ重要性に関して大臣はどのような認識をお持ちでございましょうか。

塩川国務大臣 為替は、大きく変動すれば、それは私たちは財務省の責任としてそれにある程度対処するということは必要と思いますが、しかし、日常の変動というものに対しましては、とやかく我々は介入すべきものでもないし、また、それに対していろいろな注文をつけたりすることはない、やはり市場に任せておくべきです。しかし、激動があった場合は、それは格別に対処を関係筋と相談しながら講じていかなければならぬと思います。

小泉(俊)委員 データは若干古くなりますけれども、九五年で、企業の国内投資に対する海外投資の比率は、製造業全体で約三六%、自動車と電気機械では六割前後、工作機械は何と一二〇%。このまま今のような百二十円を推移している円高が続けば、製造業は国内に投資をしないでほとんど海外に出てしまう。産業の空洞化が進みまして、国内の雇用もどんどん減ってしまう。

 特に、最近実は某精密機械の役員の方とお会いしましたところ、かなりの超優良企業でありながら、今の国内に工場をつくられますかという話をしますと、いや、もう国内はやりません、海外に出ていくと。かなり超優良企業ですらそんな状況なのですね。

 そして、今いろいろ国債に関する本も出ていますけれども、このまま赤字国債がずっと行きまして、財政のサステーナビリティーが、持続可能性がなくなったと思われたときに、国債が暴落して、金利が高騰して、円が大幅に下落するようなときには、そのころには何ともう国内には輸出ができる製造業がないという最悪のシナリオも、私は全くの杞憂とも言えないような非常に危機感を感じながら毎日を送っているわけであります。

 私は、どうしても産業の空洞化を防いで、企業の国際競争力を保って、なおかつ今問題になっております雇用を確保するためには、どうしても為替の問題というのは極めて重要な問題ですので、私の個人的な意見でございますが、何しろ日本は輸出立国で、それでもっている国でありますから、私は、一ドル百三十円くらいのレート、それに緩やかなもう少し円安方向、いろいろ国際問題はありますけれども、それが適当であると思うわけですけれども、大臣、いかがですか。

塩川国務大臣 私は、先ほども申しましたように、レートであるとか相場であるというものに対しましては公式な立場でコメントすべきものではないと思いますので、御容赦願いたい。

小泉(俊)委員 お立場がありますのでわかりますが、これは、実は国が介入しなくても十分できるのですね。国民の金融資産が約一千四百兆円あると言われていますけれども、大体国民のお金がアメリカに十兆円投資されますと、約二十円円安になると言われています。ですから、何も急激な変動に介入するだけではなくて、常に五兆円から十兆円規模、五兆円ぐらいでいいのですけれども、アメリカに投資しやすい環境整備をしていく、そういうインセンティブを与えるだけで、自然にそれは私はある程度のレートが確保されると思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

塩川国務大臣 御意見として承っておきます。

小泉(俊)委員 もう一つ、その際、実は銀行は為替の売買に関しまして売買手数料を取っていますね。実は、一ドル三百六十円のときも一円、行って一円帰って一円ですから、二円ですね。ところが、これは、簡単な数字にしますと、一ドル百円のときも一円だったのですね。行って来いで二円ですね。

 最近少しそれが緩和されたというお話は聞いておるのですが、今、これだけ国内が極めて低金利で、その中で海外にリスクをとって投資しようという方にとっては二%というのはかなり大きな負担になりますので、こういうものに関しては、やはり私は何らかの形で、本来自由なはずですから、いろいろな銀行で差があっていいはずですけれども、全部同じなんですね。ですから、こういうのは、何とかより投資しやすいようにインセンティブを与えるべきだと思うのですが。

村田副大臣 先生がおっしゃるように、TTSとTTB、バイイングの中値から、ドルの場合には手数料が一%、こういうことになっているようでございます。

 これについては、特に規制をしているわけでもないし、こういう手数料がいいだろうということをしているわけではなくして、すべて金融機関の判断に基づいて行われている。だから、これも自由競争の世界でございまして、最近では多少手数料を下げていくという機関もあるやに聞いておりますので、できる限り顧客の要望に応じていくようなマーケットが形成されればいいなというふうに考えております。

小泉(俊)委員 護送船団方式をやめたわけでございますので、ぜひともそういった自由競争で手数料等も下げていただければと思います。

 また移りますが、小泉総理は所信表明で、構造改革なくして日本の再生と発展はないと、これを受けて財務大臣も、経済、財政の構造改革を断行するとこの前のごあいさつの中で述べられておりますが、こんな文脈の中で例えば今議論になっております道路特定財源の議論も出てきたのだと思うわけでありますが、私は、予算に関して、より根本的な問題があるのではないかと思います。

 すなわち、健全財政の確保の観点から、財政法十一条で単年度主義がとられています。財政法第十二条で会計年度独立の原則がとられているわけでありますが、どうしても、年末になりますと、予算を使い切るために、私が夜中に車で帰っていても、いつも同じ箇所を掘り返しているようなむだな工事、国民だれもが思っていると思うわけですね。

 特に、例えば、ここに実は先日のフライデー、五月二十五日、渋谷区初台の国道二十号線の真ん中に、国土交通省が、本来住民に事前説明が必要なのですが、全く説明もなしに遮音壁を百七十メートルで二億円かけてつくった。住民も全く聞いていない、区長も怒ってしまっている。こういうのも、私は、何とか期限内に予算を使い切らないと次の予算をつけてもらえない、こういうことのあらわれだと思うのですね。

 ですから、これは、本当に経済、財政の構造改革を断行するのであれば、私は、特定財源の問題も確かに重要ではありますが、予算を使い切らねば次年度に予算がつかないというこのシステム自体を抜本的に見直していかないと、いつまでたってもお金のむだ遣いは終わらないのではないかと思うのですが、財務大臣、いかがでございましょうか。

村上副大臣 小泉委員の御質問にお答えします。

 今委員のおっしゃるとおり、もちろん適切かつ効率的な予算の執行ということは当然のことであります。

 ただ、委員も御高承のように、現行法上は、ちゃんと、年度内に支出の終わらない見込みのある経費等については、あらかじめ国会の議決を経て認められる明許繰り越し、また避けがたい事故のために年度内の支出を終わらなかった事故繰り越しといった仕組みが現存していまして、それを有効に活用していくということが重要ではないかな、そういうふうに考えております。

 それから、もう一方の単年度主義については、委員御高承のように、憲法八十六条におきまして、国会のコントロールを保障する財政民主主義の観点がありますので、そこら辺をどういうふうに兼ね合わせていくか、一生懸命お互いに知恵を出していきたい、そういうふうに考えております。

小泉(俊)委員 今副大臣から御答弁いただきましたが、やはりここに切り込まない限り、事実上、そういう原則規定と例外規定があるわけですね。ところが、その例外規定が実際動いていなくて、ほとんど各部署でかなりの金額のむだ遣いがされている。結局、財務大臣が二、三年後、何か消費税を上げるみたいなお話をされていましたが、そういう発言をする前に、むだを切れば私はこれは幾らでも切れると思います。

 ですから、ぜひとも今の予算制度自体の根本的な見直しを、民間はみんなやっているのですよ。民間がやっていることが国ができないわけはありませんから、そろそろ、景気がよくて税収も潤沢なときはまだまだ大目に見られたことも、これほど、国民が年間十万人も自殺して、失業者が三百四十八万人もいて、はっきり言って、今国民の上に大きな寄生虫がいるのですよ。ここを切り込まないと根本的な解決はできないと私は思うのです。

 ですから、財務大臣、これは今内閣でぜひともやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。

塩川国務大臣 先ほど村上副大臣が答えましたように、予算の措置がそういうふうにとられておりますけれども、ちょうど三週間ほど前でございますか、私は主計局の当局に言いまして、現在の予算の執行が実際にどういうように使われておるか実態を、各地方の財務局がございます、財務局の中で主計の任務についておる者もございますので、それぞれの事業別に、何も公共事業だけじゃございませんで、予算の執行状態を抜き打ち的に一回抽出して調べてみろと言っておるんです。予算の執行状態が緩いようであればそれを督促するということも一つの手だ。特に平成十二年度予算はもう本当に使い切っておるかどうかということをきっちりと。

 ただ、その中にはいろいろな事情があると思うんです。先ほど副大臣言いましたように、手続をとってやっておるものもたくさんございます。その部分はそれなりの理由がある。例えば、用地の買収ができないからそうなっておるとかいうのがございます。そこなんかはそれなりに明確にすればいいわけでございます。とにかく督促していきたい。

小泉(俊)委員 ぜひとも英断をもって実行していただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次に、不良債権に関してなんですが、これは四月二十八日、ワシントンでの日米財務相会談で、大臣は大手銀行の不良債権を二、三年のうちに処理をし、銀行の体質を改善する方針を伝えたと新聞で報じられております。また、小泉総理もこれを受けて所信表明でもこれを明言しています。

 しかし、今まで我が国がとってきた不良債権処理のスキームというのは、これほど短期の処理を予定したものではないと私は思うんですね。本当にもし二年でこれを実行することになると、かなりの数の企業倒産が引き起こされ、失業者が今でも三百四十八万おるわけですが、これ、どうも最近のいろいろなところの試算によりますと、百万人とも百五十万人とも言われる失業が出てくるんじゃないか、そういうおそれが指摘されているわけですよね。この点について財務大臣はどのようにお考えでございましょうか。

塩川国務大臣 確かに古い不良債権については二年、新しく発生してきたものについては三年、こういうふうに解消するという方針を決めました。これは与党内の緊急対策の一つとして決めて、そして政府もこれに対しましては参画いたしまして、これの実行に協力するということに相なっておりまして、今回提出させていただいておりますところの緊急経済対策の中にもこの精神が盛り込まれておることは事実でございます。

 この不良債権の整理につきまして、銀行の自主的な判断も相当ございますので、したがって、今金融庁で懸命の努力をしておられると思うのでございますが、政府全体としてはその方針で取り組んでいきたいと思っております。

小泉(俊)委員 柳澤金融担当大臣はいかがでございましょうか。同じ質問でございます。

柳澤国務大臣 国民の皆さんの前で不良債権の処理という言葉を不用意にお使いになると、ますます混乱して、事態がわからなくなっちゃうということがありますので、ぜひ先生におかれましても、不良債権の最終処理ということでお願いを申し上げたいと思います。

 不良債権をオフバランス化するということのために、今言った年限で既往のものを、それからまた、これから発生してくるものについて最終処理をするということでございますけれども、これは私どもこれでやらせていただきたい、こう思っているわけでございます。

 ただ、倒産であるとかあるいは失業者が一体どのぐらい出るかというのは、これは私はにわかにはなかなか言いがたいことだろうと思うんですね。もちろん、過去のデータから、不良債権の直接処理をした場合に対応して失業者がどのぐらい出たかというようなことで、では、今度は十二兆七千億だからこれはこうだというように、一応の計算はできますけれども、実際、そのやり方がどのようなものになっていくかというようなこと、それからまた、対象になる業種がどんなものであるかによって非常に幅のある問題だろうと思っておりまして、なかなかにわかには言えないと思って、坂口大臣非常に気にされて、それをやると言われたものですから、私も少し事務当局の間で打ち合わせをさせたんですけれども、なかなかそこのところはうまく進まなかった中で、竹中大臣が先般の国会答弁のようなお答えを試算として申されたというところが実情です。

 そんなことで、セーフティーネットを張ってこれに対処しようというのが政府の方針だというふうに承知をしております。

小泉(俊)委員 バブル崩壊、約十年たちまして、国民はもう非常に痛むところまで痛んじゃっているんですね。ぜひともこれ以上の痛みを国民に与えないように配慮しながらおやりいただきたいということと、もしこれは、ここまで明確に――私ども民主党は五年でやろう、これはいろいろな意味を勘案して、不良債権の処理は五年ぐらいでやる方がいいんじゃないかということで民主党は申し上げておるわけでございますが、それをあえて二年でやった場合に、もし失業者とか倒産数が激増するような場合がありましたら、これは責任をきちっとおとりになりますか。大臣、両方お願いします。財務大臣、柳澤大臣、お願いします。

塩川国務大臣 不良債権の最終処理でございます。この問題については、銀行側等の経営の責任等もございますし、いろいろ非常に複雑な問題がございますが、政府としてはその方向で政策を進めていく。もちろん、おっしゃるように、セーフティーネットは絶えず準備しておかなきゃならぬということは当然でございますが、それと並行して、銀行の方にやはり最終処理がしやすいような環境をつくっていくということに努力をするということをやっております。

柳澤国務大臣 私の方は、不良債権の最終処理をすることによって経済の活性化にも役立ちたいということでございます。その間に摩擦的な事象が起こるということかと思うんですが、我々がこれまで経験してきたことは、不良債権をいつまでもオンバランスにしておくとなかなか経済の活力が生まれてこないということからやっているわけでございまして、マイナス面もあるかもしれませんが、それにすぐ雁行するような形でプラス面が生まれてくるというところに大いに期待をしているということでございます。

小泉(俊)委員 いずれにいたしましても、政治は結果責任でありますので、それをおやりになられたときはきちっと国民に責任をとっていただきたい。かなりナーバスな問題ですので、デリケートな問題でありますので、それぐらい真剣に、慎重におやりいただきますようぜひともお願い申し上げます。

 今回の緊急経済対策として、長期保有株式の少額譲渡益非課税制度にかかわる法案が提出されておりますが、大臣、これが景気対策としてどの程度の効果があるとお思いでございましょうか。

塩川国務大臣 景気対策というよりも、むしろ証券市場に対して個人が参画しやすいような状況をつくろう、それによっていわば経済に明るい雰囲気を醸成していこうということがねらいでございまして、その結果として経済の回復に寄与してくれれば結構だと思っております。

小泉(俊)委員 趣旨は非常にわかります。

 ただ、実は大臣、今回の緊急経済対策が、平成四年の宮澤内閣以来何と十四回目なんですよね。世界じゅうで、こんなに経済対策をやりながら一向に効果が上がっていない国はこの国だけだと思うんです。

 この原因はどこにあるかという話でございますが、実は自由民主党の水野清先生が、最近、「「官僚」と「権力」」という本を出されまして、その中で、アメリカにおいて日本とアメリカの問題を掲げたシンポジウムをやろうとすると人が一人も集まらない、これはやめておけ、日本はいつまでたっても変わらないんだから、やったら損するぞというような話で、よく言われているのは、これはオールウエーズ・ツーレート・ツーリトルですよね。これは余りにもやはり対応が遅過ぎる。前も委員会でずっと申し上げているんですが、やるべき時期が大体これは半年近く私はずれているんじゃないかと思います。このために、実行するときにはもう既に状況が変化してしまって、これは効果が出ない。

 例えば株価対策、株価の対策だけが今回問題ではないと思うんですけれども、これは実は一年前から言っているのですね。私は、当選した六月二十五日以降、委員会にずっと出ていますと、毎回毎回株価のことを言っているわけですね。ところが、今ごろになってようやく今回のあれが出てきまして、内容を見たら、本当にツーリトルというか、これで本当にインセンティブが働くのかな、個人投資家は市場に来るんだろうかという思いがするわけであります。

 なぜ、このように景気対策がおくれがちでタイムラグがあるかということなんですが、一つは、政策を決定する人たちの現状認識がちょっと甘いのじゃないか。特に、前に宮澤先生が財務大臣のときにいろいろこの点を指摘しましたら、事例を挙げて質問しましたら、日本経済の実態についての分析が今も十分でないと財務大臣自身が結構お認めになられたのですね。

 もう一つの構造的な原因が、私は、国内及び国外の経済とか金融などに関する情報の収集、分析そして報告が、どうもうまく機能していないのじゃないか、戦略的、集中的にこれを行う部署がないのじゃないかと思っているのですが、この点につきましてはいかがでございましょうか。

村上副大臣 小泉委員の指摘は非常に重要なところでありまして、私自身は、この十年近くなぜ我が国の経済がなかなか持ち上がらなかったか、私は三つの要素が絡んでいるのじゃないかと思うんですが、一つ目は、やはり……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。

 経済のボーダーレス化、グローバル化があって、一つには、社会主義国のような、中国とかロシアのようなところから十億人以上に近い労働力が資本主義経済に流れ込んできた、これが今我々に問題になっているセーフガードの問題、タオルやいろいろな問題、先ほど御指摘のあったユニクロの問題ですね。正直言って、いろいろな統計をとってみますと、ロットはふえているのですね、しかし単価が物すごく下がっている。例えば、私のはいている下着なんかは、夏用のパッチですけれども、普通日本ですと二千円ですけれども、安いと五百円なんですね。

 それからもう一つは、申し上げましたように、バブルの崩壊の、やはり不良債権の先送りですね。これは御高承のように、土地神話があったために、いつか必ず土地は上がるだろうと、それで先送りしたために、信用収縮と資産デフレがとまらない。

 それから三番目に、先ほど来言われていますように、不良債権の処理や景気対策のために思い切り財政出動をした。だから、委員御承知のように、平成六年まで国と地方の長期債務残高は大体三百六十八兆だったのですが、今は、平成十四年近くになっているのですが、大体六百六十兆、この七年間で一挙に三百兆近くふえてしまった。

 そのためには、簡単に申し上げれば、財政再建と構造改革と不良債権を、まさに一石三鳥じゃないけれども、同時的にやっていかなければいけない。だから、小泉総理が言っているように、構造改革なくして景気回復なしというのは、まさにその指摘だと思うんですね。

 ただ、委員御理解いただきたいのは、不良債権の処理も、確かにインセンティブをつくるのは我々政府、ガバメントかもしれませんが、私は大蔵委員長で何回も都市銀行のトップを集めて参考人招致をやりました。しかし、長銀にしても、日債銀にしても、結局本当のことを知っているのは当事者なんですね。

 それからもう一つは、株価の問題もそうですけれども、ソニーさんとかトヨタさんのように、海外に伍して闘える企業はいけると思うんですね。ただ、普通の一般の会社の生産性、効率性は、ある研究所の統計ですと、六三%ですね。今言ったように、経済がボーダーレス化、グローバル化した中で、そういう生産性において株価が安いか低いか、それは委員にもおわかりいただけるのじゃないか、そういうふうに考えております。

 ですから、私は、これからは政治、経済、行政が、もはや明治維新や太平洋戦争直後のように、一政治家や官僚ではどうにもならないと思うんですね。だから、もう一度明治維新や太平洋戦争直後のように全員で汗を流そうということしかないと思いますので、御理解をいただきたいと思います。

小泉(俊)委員 時間がありませんが、いつまでたっても景気対策にタイムラグがある。私は、最大の原因が、日銀短観とかGDP、鉱工業生産指数と四十ぐらい経済統計がありますけれども、政府の用い方や経済統計の判断にどうも誤りがある。民間企業なら、これはとっくに倒産しています。経済統計というのはあくまでも数カ月前の過去の事実なんですね。現場を知りながら、将来を、未来を予測しなきゃいけないのですけれども、どうもこの能力が日本の国のセクションにはないのじゃないかと私は思いますので、ぜひともこういう経済統計のスペシャリストをどこか国家の中に育てていただくとともに、民間企業の経営戦略を担当する統計面のスペシャリストをどんどん採用して、何とかこのタイムラグをなくしてほしい。時間がありませんので、これはお願いであります。

 最後に、意見がありましたら、どうぞ。よろしくお願いいたします。

塩川国務大臣 貴重な御提言だと思っておりまして、私たちも心得ていきたいと思います。

村田副大臣 先ほど小泉先生の御質問の中で、私は外国為替の手数料につきまして一円というふうに申し上げるところを一%と申しまして、そこは訂正して、おわびをいたします。

山口委員長 松下財務副大臣。簡潔に御答弁をお願いいたします。

松下副大臣 御指摘のことは大変大切なことだと思っておりますし、内閣府でも、いろいろな、経済月例報告でありますとかGDP速報値とか、工夫、改善を重ねてまいりたい、そう思っております。

小泉(俊)委員 終わります。

山口委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二十六分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。江崎洋一郎君。

江崎委員 民主党の江崎洋一郎でございます。

 本日は、冒頭、CP関連法案につきまして質問をさせていただきます。やや専門的また技術的な議論も多いかと思いますが、CPの市場参加者が非常に注目しているこの法案ということでもございますので、両大臣のぜひとも明快な御答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 今日の景気停滞の背景にはさまざまな要因が存在すると考えられるわけでございますが、その中でも、金融機関の不良債権問題はかなり大きなファクターになっていると思います。こうした不良債権問題、その背後にもまたさまざまな要因があろうかと思います。特に、企業金融が過度に銀行貸し出しに依存してきた、言いかえれば企業の姿がそのままマーケットにさらされるような直接金融のウエートが軽過ぎたということが、根本的な原因の一つにもなっているのではないかと思います。

 ここの、法人企業統計年報によりますと、九九年統計ですが、企業の外部資金調達に占める借り入れと株式、社債の比率というものがございます。借り入れの方は約七四%、一方で株式あるいは社債は二六%ということでございまして、間接金融が約七に対して、直接金融は三しかないという現状にございます。

 この点に注目しますと、我が国におきましては、社債、CP市場というものが健全で懐の深いものになっていく必要があるのではないか。また、実体経済の根幹をなす企業が、市場からダイレクトに、直接資金を調達するというパイプを太くしていくことが急務であるように感じられるわけでございます。こうしたパイプの存在が、単に企業の資金調達を円滑にしていくということだけではなく、同時に企業の信用状態というものも市場にさらされるわけですので、早い段階でチェックできるメカニズムというものももたらされるのではないかと考えております。

 こうした目で見まして、今回の法案は、今後におけるCPあるいは社債市場の姿に大きな影響を与える、極めて重要な内容を含んでいるわけであります。この法案が今申し上げた望ましい市場という姿につながっていくかどうかが審議のポイントだと考えております。そのような認識に立ちまして、この短期社債等の振替に関する法律案及び株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきます。

 まず、証券の決済システムについてなんでございますが、代表されるものとしては、日銀の国債決済サービスというものが挙げられると思います。これは、安全性、効率性の観点から国際的にも高い評価を得ている、一つのお手本ではないかと考えております。この日銀の国債の決済システムを見てみますと、そこは、投資家が証券の振替システムというものに直接参加をしなくても、参加している金融機関に証券を預けるということで安全に国債を保有できる仕組み、法的保護措置もとられているということでございます。

 証券の決済の専門家に言わせると、こういう仕組みを決済の階層構造が成立しているというふうに表現しているようでございますが、今回のこの法案につきましては、CPを金融機関に預けて保有する投資家であっても、みずからが振替決済を行う機構に、帳簿上の権利者にならなければ、その権利が保護されないという仕組みになっております。

 そこで、質問でございますが、このような法律であっても、本当に日本のCP市場を発展させることができるのか。柳澤大臣に御所見を伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 コマーシャルペーパーですけれども、これまでは、要するに約束手形ということで、券面が必要だということで、いろいろな意味で支障があったし、コストもかかる、またリスクもある、こういうようなことであったわけですけれども、今回、帳簿上の記帳でもってこれを代替させていく、流通もさせるし権利の発生、移転もさせる、こういうようなことになったわけでございます。

 これは、確かに今先生おっしゃったような、ちょっと変則的なと言うと立案者は不満になるかもしれませんけれども、そういう感じでありまして、本当にこれがワークするかということが先生からの御質問でございますけれども、これは十分な市場調査というものをやって、それぞれの当事者が、これでいける、これは活用できる、それでこれまでのCPからこれは全く転換できるということをはっきり明確にしているというようなことを踏まえまして、今回の措置がとられた、このようなことでございます。

江崎委員 ちょっとパネルを使って御説明申し上げたいと思うのです。

 大臣から見てこちらのケースですね、こちらのケースが今回の法案のケースでございます。ちょっと議員の皆さんは裏からごらんいただければと思うのですが、階層構造というのは、何層になっているかということを階層構造と言っております。今回、単層だということで、CPに市場参加するメンバーは、直接この振替決済機構に参加しなければいけない。これによって権利が保護されるという仕組みでございます。

 そして、この重層構造、いろいろつながっておりますが、これは振替決済機構に、いわゆるディーラーと称されるような、最終投資家の仲介をしていくような銀行あるいは証券が間に入りまして、そして、最終投資家の権利も、直接振替決済機構に参加しなくても保護されていくというケースでございまして、大体取引実態としてはこちらに近い姿になっている。しかし今回、CPにおきましては、今大口取引が多いということもあるとは思いますが、この単層構造でスタートしようというようなケースになっておる次第でございます。

 今申し上げた大口取引中心ということを考えれば、恐らく市場参加者も限られるという意味で、振替決済機構に直接参加しても数が知れているという意味では、この仕組みでも当面はもつと思います。しかし、現在の我が国のCPの発行残高というのは、平成十三年三月末で二十二兆円強なのですね。CP市場というものを非常に重視しておりますアメリカの市場におきましては、同じ十三年の三月末で百八十兆円、約八倍強の市場規模になっております。当然、この市場規模が広がれば市場参加者もふえるわけですから、そういった意味では、この形態というのは非常に苦しいかな。やはりあるべき姿に少しでも早く近づけていかないといけないのではないかというのが問題意識なのでございます。

 そして同時に、本件に内在している問題としましては、システム投資の問題があります。振替決済機構というのはすべて電子決済をするのですね。コンピューター投資に非常にお金がかかる。そういった意味で、単層と重層で同じコンピューターのシステムで、どちらも兼用できるよという設計をするのは恐らく大変難しい。したがって、当面、この単層スタイルで行くのだよということであれば、これに合ったコンピューター投資をする。万が一これから先があるとすれば、別のまたシステム投資というのがかかるわけでございます。

 御承知のとおり、コンピューターのシステム投資というのは大変膨大な金額がかかります。金融機関自体が今非常に不良債権を抱え、設備投資がしにくい環境にあるわけですので、市場にかかるインフラというものにシステムとしてお金をかけられるかどうかという瀬戸際に立たされている部分もあります。したがって、今回、市場参加者にとっては、ぜひとも、単層構造でスタートするのなら、単層構造でいくという政府の御覚悟を確認したいというところだと思いますし、他方で、先々この重層構造も発展的に考えるのだということであれば、やはり二重投資は避けたいという意味で、発展型に対応したようなシステムというものを考えていくのではないかと思います。

 そういった意味で、今CPの市場参加者にとっては大変迷いがある。来年の四月一日から施行される法律でもあります。五月に法案が提出され、先々システム投資といっても、それは一カ月や二カ月でコンピューターのプログラムを組めるわけではありませんので、そういった意味で、今計画を実行するのかしないのかというのは大変道が分かれるところでもありますので、そういった点も踏まえて、どうかCP市場参加者に明確なメッセージとして伝わるような柳澤大臣の御答弁をいただけないかというふうに思っております。

乾政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘になりましたように、国債でございますとか、社債でございますとか、有価証券を一般的に考えます場合にいろいろなレベルの投資家がいるわけでございまして、機関投資家に限らず、通常の企業あるいは個人の投資家がいます場合に、そうしたものにつきまして決済システムを考えますときには、これは多層構造というもので考えていくことが必要不可欠だというふうに認識をしているところでございます。

 また、これも先生今御指摘になったことでございますけれども、ただこのCPの場合には、大口の投資家のみでございますから、事実上、単層であっても十分回っていくということでございます。

 私ども、今回の検討を行ってまいりました過程におきまして、できる限り多層構造というものを展望して検討を行ってまいったわけでございますけれども、多層構造を今直ちに実現するためには、なお解決すべき法律的な問題があるということでございまして、実は、今回のCPをペーパーレスにする段階でも、券面を前提とする日本の民法、商法の中で、非常に検討を重ねまして、この短期社債という概念にたどり着きまして、ペーパーレスということにしたわけでございます。

 今後なお時間をかけて全体的にしてから、多層というめどをつけてからやるか、あるいは、証券決済の緊急性の中で、CPについてできるものからやるかということの選択でございましたけれども、私ども、このCPの場合が企業の短期の資金調達、また先ほどおっしゃいましたような短期の金融市場における重要な商品になるという性格、そしてこれが直接金融へのかけ橋となる、そういうことにかんがみまして、今回緊要なものからやるということで、CPのペーパーレス、単層ではございますけれども踏み切ったということでございます。

 その場合に、先ほど御指摘がございましたように、将来的にはこれは多層構造というものが望ましいわけでございますので、できる限り将来の多層構造を展望するという考え方に立ちまして、そうしたことから、先ほどの電子的な振替でございますとか、その振替が効力要件になるとか、そういうところは、将来多層構造になりました場合でも核となるところは、今回の中にできる限り盛り込んでやったところでございます。

 いずれにいたしましても、そうした多層構造の必要性の展望の中で、今後、法技術的な問題をさらに詰めて、できる限り早く実現をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

江崎委員 将来に対する展望はもう十分理解しているつもりではあるのですが、マーケットの参加者は、来年四月一日に迫っている施行日から実際にマーケットでこれを売り買いするということになった場合には、このシステムを立ち上げなければいかぬ。その展望というのが、果たして、一年後ということであれば少し待つと思うのですね。しかしこれが五年後という話だったら、当面のシステム対応をする。恐らくこれに、システム対応をすると、金額的には数十億から百億ぐらいかかる規模の仕事になると思われますので、将来展望というあいまいな表現ですと金融機関経営者も非常に迷うところだと思うのですね。

 そういった意味で、ぜひ柳澤大臣から、この展望というのはおよそこれぐらいであるという意気込みを御答弁いただけないかと思います。

柳澤国務大臣 本当は、今政府参考人から答弁いたしましたように、初めから多層構造というものを志してやったわけでございます。しかし、これは民商法との関係で非常に難しい。それで、では、できることから、もちろん将来の多層構造の基盤になるような、そういう単層構造のものをスタートさせよう、こういうことで今回の法律案の御審議をお願いしているわけでございます。

 もちろん我々としては、幾ら難しくてもほかの国は、特にフランスなどは先行して進歩した形でやっているというようなこともよく知っておりますので、これはできるだけ早く追いつかなければいけない、こういう気持ちでやりますが、それが逆に、今回お願いしているこの単層構造への参加をちゅうちょさせるというようなことがあっては、これは何のための法律改正かということに相なります。その辺は、実際上、コンピューター投資が余り重複部分のないように、心がけてもらうように私ども指導していきたいと思います。

 私どもとしては、多層構造の本格的なものへ可及的速やかに移行するということで頑張りますが、したがって、そういう一年とか二年とかというところでやらせるつもりでおりますけれども、これは法制局さんの仕事の御協力もいただかなくてはならないわけでございますけれども、そういうつもりでやらせます。しかし同時に、せっかく今回、そのスタートとして単層構造のCPの振替をやるわけでございますので、そちらの方にぜひ参加していただけるような、そういうインフラを整えるようにお願いしていきたい、このように思っております。

江崎委員 今、一、二年で何とかという御決意でございましたので、可及的速やかに、ぜひともお願いしたいと思いますし、また、そのプロセスと申しますか、どのぐらいまで山を登り詰めたのかということについても、ぜひ情報を開示していただければというふうに思います。

 次に、本法案に係る問題でございますが、今回のペーパーレスCPというのは、短期の社債に位置づけられたということで、従来の約束手形から変わったわけでございますが、ペーパーレスCPに在来のCPとなるべく変わらない商品性を持たせようとした結果として、ペーパーレスのCPは、社債であるにもかかわらず、発行に際して一々取締役決議を行わなくていいとか、あるいは社債原簿も社債権者集会も要らないというぐあいに、従来の社債とは随分異なる商品性を持たせたというのが特徴だと思います。

 そこで質問でございますが、ペーパーレスの短期社債がこのように自由に発行できるようになることは、今後、長期債を含む在来型の社債あるいはMTNと言われるような、ミッドタームノートですか、こういった債券につきましても、さまざまな制約、社債の発行要件というのは大変膨大でございますね、こういったものが取り除かれていく方向にあると考えてよいのかどうか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。これは法務省から、ディスクロージャーの点につきましては金融庁からお答えをお願いします。

小池政府参考人 今回、CPと同じ商品性を持つものにつきまして短期社債という法的な位置づけをいたしましたのは、今議員御指摘のとおりでございまして、そういたしますと、本法案における短期社債の権利者となるのは、通常は機関投資家等、これが主体になるだろうと思います。そういう方々につきましては、みずから社債を管理する能力が高いというふうに考えられるわけでございますので、今御指摘ありましたように、社債管理会社であるとかあるいは社債権者集会等につきまして、一般の社債と異なる取り扱いをしたということでございます。したがいまして、一般の、債権者の保護の必要がある、そういう性質の社債については、現在のところ短期社債と同じ取り扱いをすることは相当でないであろうというふうに考えております。

 それから、御指摘のMTNでございますが、私ども、この商品性について必ずしもつまびらかではございません。あるいは商品設計によりましては、この法律にいう短期社債と同じ性質のものもあるのかもしれません。そういうものであればこの法律に乗ってくるということになりますが、この法律が定めます短期社債の要件を満たさないものにつきましては、これは通常の、商法による取り扱いが依然として維持されることになるであろうというふうに思っております。

乾政府参考人 お答えいたします。

 ディスクロージャーの点につきましても、ただいまの法務省の答弁とほぼ共通の考え方でございますけれども、今回の短期社債は、基本的には機関投資家、大口のプロでございますけれども、証券取引知識を十分に有している者であるという前提のもとにこのディスクロージャーの特例を認めているわけでございます。

 御指摘のミディアムタームノートを含む、一般的な中長期の社債ということになりますと、これはその商品性によりまして、どのような方々がそれを保有しあるいは流通するのかということをも見まして、投資家保護の観点から、それを見きわめた上で慎重に検討する必要があるというふうに考えているところでございます。

江崎委員 また、この法律に基づいておりますCPにつきましては、まだ税制上の取り扱いというのが確定していないというふうに承知しております。証券市場が成長するかどうかは、安全な決済とともに、税制のあり方というものも大きく響いてくるというふうに考えております。

 そこで、具体的には、このペーパーレスCPの例えば利子あるいは償還差益というものについて、源泉徴収を行っていこうというお考えなのか。また他方で、従前は手形ということでございましたので、当然、これは印紙税は廃止という考えでよろしいのかどうか。こういった点があろうかと思いますが、両大臣からぜひ基本的なお考えをお聞かせいただければと思います。まず、塩川大臣からぜひお願いいたします。

乾政府参考人 今回の法案でお願いしております短期社債、ペーパーレスCPの税制上の取り扱いにつきましては、この制度の施行が来年四月一日ということで予定しておりますこと、それから税制上の取り扱いの前提となります短期社債の流通の仕組みにつきまして、まだ詳細までが確定していないことを踏まえまして、平成十四年度税制改正、ことしの年末の税制改正において検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 金融庁といたしましては、今回、CPのペーパーレス化を目的として、約束手形である現行のCPと同様の商品性を有するものとして短期社債の制度の創設をお願いしているところでございますので、税制上の措置につきましても現行のCPと同様の扱いがなされるよう、税務当局に要望してまいりたいと考えているところでございます。

尾原政府参考人 税制上の取り扱いでございますが、今金融庁の方からお話ございましたように、まだ具体的な仕組み、商品性、定かでないところがございます。このペーパーレスCPを含めて、適正な課税を行っていくということはもちろん必要なことでございまして、そういう中で、現在、源泉徴収というのは重要な役割を果たしていることも事実でございます。

 いずれにいたしましても、今お話ございましたように、具体的な仕組みの確定を待ちまして、十四年度税制改正の中で検討してまいりたいと考えてございます。

 印紙税の問題でございますが、印紙税は券面が作成されない場合には現行法では課税されないというような仕組みになっておりますが、いずれにいたしましても、ペーパーレスの動きというのはいろいろ進んでいるわけでございまして、このような法制度の整備やシステム開発、これに限らずよく勉強してまいりまして、課税の公平性、中立性を確保する観点から、何らかの対応が可能かどうか、印紙税の性格にも留意しながらさらに勉強していきたいなと考えているところでございます。

塩川国務大臣 私からのお答えといたしましては、先ほど乾局長並びに尾原局長の言ったとおりでございます。

江崎委員 いわゆるCPの市場参加者によって構成されますCP研究会におきましても、ペーパーレスにおきましても当然CPと同じような扱いを受けるという認識に立って一生懸命研究をしているようでございますので、どうかそのような方向で御検討をお願いしたいと思います。

 次に、振替決済機関、いわゆるペーパーレスCPを扱う担い手と申しますか、この点につきまして御質問を申し上げたいと思います。

 今回の法案につきましては、ペーパーレスCPを扱う振替決済機関につきましては株式会社でなくてはいかぬということがうたわれております。この趣旨でございますけれども、民間の決済機関が安全で効率的なサービスを提供するように、決済機関にも競争をさせようということだと私も理解しております。柳澤大臣、いかがでございましょうか。

 そしてまた、今回の証券決済改革議論の中で、しばしば決済機関の統一という言葉が散見をされます。この決済機関を人為的に統一するということは、市場原理あるいは競争による経済の効率化という考え方から見ますと反するものではないかなというふうに感じる次第でございます。この統一という言葉が、一つの決済機関が株、社債やCP等いろいろな証券を取り扱いますよということを意味しているのであれば問題ないと私は思いますが、日本の証券の決済機関は一つしか認めないよということだと、これは逆に競争政策上も大いに問題になろうかと思います。この統一という言葉につきまして、二番目の質問としてお願い申し上げます。

 冒頭、ちょっと柳澤大臣にお願い申し上げます。

柳澤国務大臣 統一的な証券決済というその統一は、まさかすべてを統一して一社に独占させるわけじゃありませんでしょうね、こういうお話でございますが、この統一的な証券決済というのは、証券の種類についての統一性というか、何でも扱えるというか、包括性という意味だということで御理解を賜りたいと思います。

 株式会社形態を今回とることになりましたのは、今先生御指摘の競争の中に置くということのほかに、資金の調達を容易にしてシステム投資等に十分対応できるようにしたいという気持ちの二つから出ているわけでございます。

 最近、これは証券取引所ですが、大証が、従来でしたら公益法人が当たり前というようなところでございましたけれども、それが株式会社化いたしましたし、東証においても、株式会社化に向けて転換しようというような意思統一がなされたというような報道にも接しているわけです。このごろは本当に、システム投資ということと同時に、競争をしていこうというようなことがあるわけでございまして、私は、少なくとも今のこの証券取引所のような状況を想定して、今回の株式会社化、株式会社形態を御提案させていただいておる、こういう次第でございます。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

江崎委員 今までCPの振替決済機関につきまして議論をしてまいりましたが、世界の金融市場を見渡しますと、このCPに限らず証券一般につきまして、今、振替決済機構について国を挙げて非常に力を入れているという感じがするわけでございます。

 先ほど柳澤大臣のお話の中にもフランスのお話がございましたが、私も最近いろいろ調べてみましたところ、米国ではこの証券一般につきまして、トレードをした後に決済期間を一日で済ませるという、俗に言うTプラス1、こういうことを近々実施していこうということもありますし、欧州では九九年の通貨統合をタイミングに、大陸における決済システムの統一、統合と申しますか、そういうことが非常に盛んに始まっている。とりわけ、フランスが最たるテクノロジーを使って、さらに中央銀行ともタイアップして欧州一の先進的な決済機構をつくり出していくというようなことが既に実現しているという状況にあるわけでございますが、いずれも、資本市場のインフラを整えて自国の資本市場を大きく育てていこうという考えに基づいているものだと思います。

 我が国におきましても、金融というと今までどちらかというと補完機能に位置づけていたと思いますが、世界の潮流からいくと、明らかにもう産業と位置づけているわけでございますね。そういった意味では、金融・資本市場のとりわけインフラ、それは例えば税制ですとか法制、あるいは決済機関そのものもそういうことになるかと思いますが、これらの整備というものが喫緊の課題ではないかと考えております。

 そういった意味で、金融を産業と位置づけて、どういう展望をお開きになっておられるのか、柳澤大臣にぜひ今後の展望をお聞かせいただきたいと思います。また塩川大臣にも、国のお立場として、個人的御見解でも結構でございますので、どうか展望をお聞かせ願いたいと思います。

柳澤国務大臣 金融・資本市場と言わせていただくわけでございますけれども、特に金融ビッグバンというものが行われまして、各国金融当局が、自分たちの国の金融についての規制をできるだけ排して国際的な取引についても自由化をする。そういうようなことの中で、できるだけ多くの取引を自分の、自国のお座敷を使ってもらおうというようなことでいわば競争をしておるということ、私どもも敏感に認識をしている次第でございます。

 特に、今先生おっしゃられたように、金融というものを一つの産業として考えるということはまさしくそうでして、イギリスがビッグバンの嚆矢の役を務めているわけですけれども、このイギリスのビッグバンについては、ウィンブルドン化などというようなことが言われて、特にマーチャントバンクは資本系列からいうとほとんど外国の手にゆだねてしまったわけだけれども、しかし、金融を産業として見る場合に、そのインフラを構成する法務であるとか会計であるとかというものが非常に大きなバックアップ体制になっておりまして、それも一つの産業というか、所得の機会にも、雇用の機会にもなっているわけでございます。

 そういう意味で、やはり先進国というのは、金融はもう明らかに産業ということで、専門であるとか技術であるとかというようなものも挙げて動員するような形の一つの分野ということで、この発展を図っていくというのは当然だろう、こういうように思っております。

 特に日本の場合は、非常に地の利を得ているということもあると私は思っておりまして、地球上の二十四時間をちょうどヨーロッパとアメリカと日本で八時間ずつうまく分担できるというようなこともありますので、これはうかうかしているわけにはいかない、この地の利を利用できないようでは、何のかんばせがあって先進国などと言ったんだということのそしりを免れない、こういうように私は思っております。

 いろいろ申し上げたいことはそれ以上ありますが、私ばかりべらべらしゃべっているわけにいきませんのでこれで終わりますけれども、とにかく、先生の御意見と同じ考え方で進んでいきたい、このように思っております。

塩川国務大臣 私も、先ほどおっしゃいました資本市場の育成というものはこれからの大きい問題であるし、また、これからのやはり先進国としてのその体制もとらざるを得ないと思っております。

 そこで、まず第一に考えられますことは、日本の個人の金融資産の中で、株式投資をしておる率が非常に低い。その率は大体三%前後などと言われておりますが、先日、ドイツの人に聞きましたら、ドイツでは一七、八%が株式投資に興味を持って投資しておる、ヨーロッパ全体でも一〇%超えていますよという話でございました。そういう意味において、もっと個人が株式市場に参加することを造成しなければいけないと思っております。

 そのためには、私は、やはり証券会社の努力ももっともっとすべきじゃないかな、そしてまた事業会社も、直接金融によるところの資本の増強を図るとするならば、配当の魅力というものもやはり一般市民の方に覚えていただくようにすべきではないかなと思って、双方の努力が必要だろうと思っておりますが、いずれにしても、税制の面とかいろいろな面で資本市場の育成について一層の努力をしてまいりたいと思っております。

江崎委員 それでは、CP関連の二法につきましては以上で終わらせていただきまして、次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回、個人投資家に対する株式優遇税制、申告分離のいわゆる特別控除というところにとどまったわけでございますが、四月二十日付の与党三党による「緊急経済対策に係る税制上の措置」におきましても、長期保有株式への優遇にとどまっておりまして、本法案と同じでございますが、申告分離への一本化を前提とした上で、税率引き下げと譲渡損の繰り越し控除は引き続き検討するということでお話はとどまっておるわけでございます。

 今後、申告分離への一本化については二年延長ということではございますが、しかしながら、個人の投資家が望んでいるのは一日も早い実現ということでございまして、とりわけこの譲渡損の繰り延べというものにつきましては、一日も早い実現を望んでいると考えられるわけでございます。

 そういった意味で、今後どのようなスケジュールをお考えなのか。具体的なスケジュール、案がございましたら、お知らせいただきたいと思います。

塩川国務大臣 この問題につきましては、まず、政府税調の中におきまして証券に関する小委員会が設置されました。そこで検討を秋から進めていただくことになっております。また、自由民主党並びに与党三党の協議におきましても、秋からこの検討に入ってもらうということになっておりまして、でき得れば十四年度の税制改正に間に合うようにしていただきたいと思っておりますけれども、その見通しはまだ定かではございませんので、そういう希望を申し上げておきたいと思っております。

江崎委員 それでは、申告分離のお話に戻らせていただきますが、今回、申告分離の特別控除につきまして、そもそもこの申告体制というのは、申告分離と源泉分離と分かれるわけでございます、現段階では。

 個人投資家でどういう形での申告の比率があるのか、現状をちょっと教えていただきたいと思います。

尾原政府参考人 現在の制度は、先生御承知のように、申告分離課税と源泉分離、取引の都度選択することになっております。

 源泉分離課税は、みなし利益率を五・二五%といたしまして売り値の一・〇五%という制度でございます。したがいまして、これは税制上の、かねて指摘されてきた問題でございますけれども、大層譲渡益が発生した場合には源泉分離で申告される。それで、その年分の損失は相殺されますので、少ない場合には申告分離というような形で、使い分けなさっている方が多いのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。(江崎委員「源泉分離の方が多いのですね」と呼ぶ)はい。源泉分離の方が取引の数としては多いだろう、こういうふうに考えております。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

江崎委員 そうしますと、今回は申告分離を選んだ方が税控除を実施されるわけでございますが、この控除によって申告分離を選択される方がふえていくという展望をお持ちになって今回特別控除をお考えになったのかどうかをちょっとお聞きしたいと思います。

 また、その効果を踏まえて、緊急経済対策という一つの大きなパッケージの中にあえてお載せになったのか。塩川大臣に伺いたいと思います。

塩川国務大臣 これは、二つの目的がございました。

 百万円の特別控除を設けることによって申告制になじんでいただく道をつくりたい、そういうインセンティブとして考えたということが一つでございますことと、それから、この制度を創設いたしましたことによって、いよいよ分離課税と申告制とを一本にして申告制に移していきますよというアナウンスをしたことの意味にもとってもらいたい、こう思っております。

江崎委員 この政策の目的として、申告分離を特別控除する、優遇するということですね。そういった意味では、誘導するという意味においてある程度展望をお持ちになっていたということでよろしいわけですか。

塩川国務大臣 やはり私は、その展望を、源泉を申告制に振りかえていただくような、そういうインセンティブになってくれたらと思うて期待しております。

江崎委員 現在、申告分離をやられた方々に伺うと、大変複雑な手続があるということでございます。

 そういった意味で、ぜひこの申告分離課税の手続に関しましても、やはり投資家が使い勝手がよくて、株式投資のインセンティブになるというような制度に早く改めていただいて、また早く源泉分離との一本化もしなければ、当面源泉分離という抜け穴がある以上は、申告分離を選択する人がますます少なくなってしまうのじゃないか。今回の特別控除というのも絵にかいたもちに終わらざるを得ない部分もあるという心配をしております。その点で、一日も早く申告分離そのものの使い勝手についても御検討いただきたいというふうに思います。

 今回の税制改正というのは、あくまで個人投資家が株式市場に参入しやすくなるということが目的じゃないかと私は思っております。一日も早くこの改正を望む次第でございます。

 さて、先ほどちょっと、前後してしまいましたが、株式の翌年度以降への譲渡損の繰り越しの問題にまた戻らせていただきます。

 これから検討するということではございましたけれども、何年ぐらいの期間を想定してこの譲渡損を繰り越してもいいというような大方針というのはお持ちでしょうか。御意見を賜りたいと思います。

尾原政府参考人 この証券税制の問題は、直接金融どうあるべきかということで、先ほど大臣からお話ございましたように、六月に入りましたら政府税制調査会の金融小委員会で検討が進められていくことになってまいります。その場合も、当然、一本化のもとで繰り越しの問題も検討されることになっております。

 ただ、どのぐらいの期間かということでございますけれども、執行上の問題、それからほかの制度とのバランスの観点も恐らくその際議論されるのではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、政府税制調査会での検討、それから与党三党でもこれから検討されることになっておりますので、それらの審議を見守りながら、適切に対応していきたいと思っております。

江崎委員 それでは、ぜひその議論の際の御参考になるようなお話を申し上げたいと思います。

 ここに、個人投資家に関する各国の税制を比較した表がございます。譲渡損の取り扱いの欄というものがございますが、米国、英国、ドイツ、三カ国とも譲渡損がなくなるまで無制限に繰り越し可能なんです。先進国はみんなそういうシステムをとっているわけですね。また、フランスは、最低でも五年間繰り越しということで、大変長期の繰り越しを認めております。

 この措置、各国とも、いわゆる個人投資家が株式市場に参入してほしいという、これも明快なメッセージのあらわれではないかというふうに思います。

 そういった意味で、我が国においても、個人投資家の利便性を高めるという意味では、できれば無制限、少なくとも長期にわたる譲渡損の繰り延べというものを実現していただきたいと思いますので、塩川大臣、ぜひともよろしくお願い申し上げます。よろしいですよね。

塩川国務大臣 十分その意向を尊重して、今後の審議に参加いたしたいと思います。

江崎委員 もう時間もなくなりますので、最後にさせていただきますが、個人投資家の株式市場への参入というのは、今後、直接参入以外にも、投資信託あるいは確定拠出型年金等々を通じて、量的にも、またツールも、いろいろふえていくのではないかと思います。また、直接参入にしましても、今後は、損益通算、とりわけ所得との損益通算というものが可能かどうかということも、課題は山積しておる次第でございます。

 いずれにしても、個人投資家が株式投資を通じてリスクマネーになれていくということが、我が国の経済の成熟化とか、急激な高齢化社会を迎える、その中で自己責任を前提とした確定拠出型年金の導入ということもあるわけでございます。大変重要なことだと思いますので、御認識をいただきたいと思います。そして、これらの動きが我が国の資本市場を充実させるという一助に必ずやなることは間違いないと思います。

 以上のことを踏まえて、両大臣には、小泉内閣らしく、よき改革に向け御奮闘願いたいというふうに思っております。私どもも、国民にとってよき改革にはともに歩みたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

山口委員長 中川正春君。

中川(正)委員 続きまして、民主党の中川正春でございます。

 通告に従って質問していきたいと思うのですが、その前に、午前中にもちょっとお話が出ていましたが、塩川大臣、非常に快調に飛ばしておられまして、なかなか思い切ったことをそれぞれ言っていただいておるということ、このことについて私も評価していきたいと思いますし、午前中に出ていた、塩じい人気というのですか、これもなかなかのものだと思うのですね。

 これを一回聞いてみたかったのですが、この塩じい人気はどこのところにあるのか、どこが今受けているのか、御本人はどうお考えでございますでしょうか。

塩川国務大臣 私は全くそういう意識はございませんし、そんなイメージもございません。ただ、人間、ちょっと塩辛いところがあるものだから、そういうのにぴったりとひっつけたんだろうと思っております。

中川(正)委員 私は、大臣に二面性があると思うのですね。片方、受けているところは、やはり本当に素直に自分の思っているところをぐっと出してもらう、あるいは具体的な政策まで踏み込んでこられる、そこがいいところだと思うのですね。

 しかし、もう一方で、忘れたとか、それから間違いだったとかというようなこと。これは、基本的には、内閣の姿勢として、今、官房機密費あるいは外務省の機密費なんというのを、それをどう対応するかというのは一つのメルクマール、踏み絵になっているような課題ですよね。そこについて、逃げちゃだめだ、これは。一番最初の素直な気持ち、あのときに、一番最初にテレビで語ったあの素直な気持ちというのが受けているのですから、そのつもりで、まだこの問題についてはどんどん進んでいくでしょうから、私は期待をしたいというふうに思うのです。

 これ、どうですか、心にしみるところはありませんか。

塩川国務大臣 別に何とも、私は申し上げることはございません。

中川(正)委員 そういう素直さを少し詰めてみたいというふうに思うのです。

 さっきの答弁は全然素直じゃないですよ。あれはもう全く、国民がこれから本当のところを知っていかなきゃいけない部分でありまして、それを一枚めくるとこうなんだというふうにならないように警告をしておきたいと思います。

 もう一方の、思い切った政策を打ち出していただいた中で、具体的に三つほど詰めていきたいというふうに思います。

 まず、道路特定財源の見直しなんですが、これは二つありまして、いわゆる税源の見直しと歳出の見直し、両方あると思うのですね。これは具体的に大臣の意図を確かめさせていただきたいのです。

 まず一つは、税源です。ガソリン税、自動車重量税、これは前からタックス・オン・タックスの議論がありまして、体系的に余りにも、重税感といいますか、偏った税になっているというふうな問題であるとか、それから、午前中にも問題が出ましたが、上乗せ税になっていますね。この上乗せ税について、この際どうするのかというふうな問題。こういうことも含めての財源の見直しということなのかどうか、具体的にひとつお答えいただきたいと思います。

塩川国務大臣 タックス・オン・タックスの問題は、消費税の制定のときにこれはもう大変問題になったものでございまして、タックス・オン・タックスの問題が、この石油関係だけではなくして他にもございますこと等あって、一応、諸外国、アメリカ等もそうなっておりますが、諸外国の例があって、そのまま現在に至っておるというところでございます。今度の見直しの際にこの問題を主体に見直すということはございませんが、あるいはまた議論の中に出てくるかもわかりませんが、今のところは、私たちの考えでは、このタックス・オン・タックスの解消に向かっての議論の中にひとつ入れていくという考え方はとっておりません。

中川(正)委員 もう一つ、今、税を基準よりも付加して取っていますね。これについてはどうなんですか。

塩川国務大臣 これは、できれば我々も暫定措置は、要するに国際並みに見て、あるいはまたこの十数年の間なじんでいただいておりますので、暫定税率、これも含んだ話として考えてもらいたいと思って、負担をしていただきたいと思っております。

中川(正)委員 ということは、ここで確認させていただいたのは、いわゆる税源、税を取る方、税の体系についてはなぶらないということですね。それでいいのですね。

塩川国務大臣 おおよそそのように見ていただいて結構です。

中川(正)委員 では、今度は歳出の方でありますが、今の歳出の大枠というのは道路五カ年計画に規定をされています。その目的で、道路として使いなさい、こういうことですね。これまでの発言の中では、小泉総理も含めて、例えばそれを、都市計画の方であるとかあるいは鉄道関連の運輸の方であるとかということに使っていってはどうかというお話がありました。

 そこで、二つお尋ねしたいのですが、そういうことになると、法律を変える、いわゆる使い道を変えるということですね。法律を変えるという前提で今考えられているんだろうというふうに思うのです。これは、いつこの法律を出してくるのですか。

塩川国務大臣 現在、平成十四年度までは、道路整備五カ年計画の裏づけ財源として法律で縛られております。が、しかし、その中で、道路財源以外にも使っておる点もございます。それは財源上のやりくりをしながら使っておるところもございます。

 したがいまして、十四年度中は、私は、法の根本的な改正ということが、五カ年計画に裏づけられておる以上はちょっと難しい問題ではないかと思っております。したがって、十四年度中におきましては、道路財源の中の一部を、この道路の財源の創設された趣旨を生かしながら拡大解釈をして、都市整備の問題とか生活道路の整備、あるいはまた公害問題等、それに関連する方向に拡大をし、公共事業の推進を拡大してもらいたい、こう思っております。

 そして、十五年以降、道路財源としての法律の裏づけが変わりますとき、そのときには、道路財源全般を法改正して、一般財源となるか、あるいはまた特定財源としての範囲を、何も道路に限らず、他の生活関係の分野、一般歳出の分野に関係することになるかということは議論し、検討していただいて、決定していただくことでありますけれども、我々財務省といたしましては、一般財源として新しく衣がえをして創設していただくことを願っておる、こういうことであります。

中川(正)委員 法で改正するときにはトータルで一般財源化していく、こういうことですね。

 そこで、十四年分、ことしの分なんですが、そういう形で関連の方にこれまで以上に回していく。逆に言えば、道路財源を減らしていくということになるわけですね。すると、五カ年計画自体が、またこれを破棄するといいますか、これを考えに入れていっては、そのことができないということにもつながるわけです。ということは、どっちにしたって、ことしその方向性をはっきりしないと、次の議論が進んでいかないということになると思うんです。

 今の腹づもりの中では、どの程度道路財源を削減して、都市計画その他、さっき言われました環境あるいは運送関連、これを見て振り分けていくのか。このオーダー、これによって本当に何を言わんとしているのかというのが決まってくると思うんです。何のことはない、一%だ、二%だというような話ではないと思うんですね。どれぐらいのオーダーの話で考えておられますか。

塩川国務大臣 それは非常に難しいことでございますので、我々慎重にその分量をはかることをいたしております。したがって、どの分野にそれを振り向けることが可能であるかといういわばリサーチを現在しておるところでございまして、相当な額を振り向けたいという希望は持っております。

中川(正)委員 相当な額とは、例えば半分ぐらいという意味ですか。

塩川国務大臣 そういう額についてはまだわかっておりませんが、気持ちとして、できるだけたくさんそっちに充当したいということであります。

中川(正)委員 そこのところをはっきりと、やはり大臣が指針を示すことだというふうに思うんですね。それでないと、恐らく次の議論に進まないだろうというふうに思うんです。

 いつそれをはっきりと打ち出すということでありますか。

塩川国務大臣 それは、経済諮問会議の基本的な骨太の方針が決まりまして、それをもとにして関係省庁と協議をし、でき得れば概算要求段階で決めていきたいと思っております。

中川(正)委員 きょうは本当は竹中さんもここに参加をしてもらうようにというふうにお願いをしたんですが、これまでの慣例の中でと、こんな慣例はないんですね。それぞれの関連する大臣というのは、ここでは特に経済諮問会議というのはこういう形で問題になってくるわけであります。これからぜひちょっと理事会の方でも御検討をいただきたいんですが、竹中大臣については一般的な形でここに参加をしてもらうという手だてをぜひ導いていただきたいというふうに思います。

 これは委員長に。

山口委員長 また理事会で議論させていただきます。

中川(正)委員 よろしくお願いします。

 次に、地方交付税、これも具体的に話をさせていただきたいというふうに思います。

 今のイメージでは、大臣の気持ちの中には、基準財政需要額をへこますということが、かつて話の出た地方交付税を減額するということの意図なんですか。そこは具体的には何を言わんとされているんですか。

塩川国務大臣 国の行政もそうでございますけれども、最近の地方行政の状況、趨勢を見ておりますと、要するにシビルミニマム、あるいはナショナルミニマムもそうでございますが、無限に拡大してきております。私は、行政の責任というものは、やはり負担と均衡をとったものでなければついていけないものになってしまうと思っております。

 したがいまして、地方行政だけをとって申しますならば、まず第一に、シビルミニマムはいかなるところで維持すべきかという基準をきっちり決めていくべきで、これはやはり住民参加のもとにおいて決めていくべきだ。それに対する負担はどのぐらいになるのかというのが地方財政計画になってくると思うのであります。それが決まりますと、そこで当然に基準財政需要額という考え方が決まってくる。その基準財政需要額を基礎にして交付税というものを組まれてきておる。この手順はやはり踏んでいくべきだと思っております。

 でございますから、交付税をどのぐらい削るんだというようなことは私は一つも言っておりません。そうではなくして地方財政、事実そう言っています。地方財政全体で一兆円程度の節約はしていただけぬか、こういうことは言っておるんであって、何も交付税で一兆円ということは私は言ったことはございません。

 ただし、よく考えていただいたら御存じだと思うんですが、地方交付税は決まった税源できちっと組まれております。それでもなお、基準財政需要額の算定が多いがために、その不足分は国と地方と半々の折半で負担するということにして特別会計が借り入れをしております。この借り入れのうち半分は国が負担しておりますが、この負担の分が、私はっきりとした数字は忘れましたが、平成十三年度で二兆二千億円になるだろうと思っております。これが来年も当然増でこのまま推移するとするならば、地方交付税の国の負担分はうんとまた膨らんでまいります。このことは、国として果たして地方交付税のそういう毎年、例年の増勢についていけるかというと、私はいけないと思うんです。

 そうすると、この際に、国の財政も考えるんだから、地方の財政も考えてくれぬかと。地方の財政は、全部で年間八十九兆円ございます。八十九兆円あるとするならば、そのうちの一%を何とかやりくりして節減を考えてくれるならば、国の負担も変わってくる、このことを全体として考えてくれぬか、こういうことを言っておるのでございます。

中川(正)委員 さっきのお話ですと、交付税に対するいわゆる国の負担分、これをこれ以上は持ち続けることができないから、この分に見合うものをやめる、いわゆる負担しないということなんですか。

塩川国務大臣 いや、それは議論がすり変わってしまいまして、私の言っていますのは、私、資料をちょっと持っておりませんが、ことしですら二兆二千億負担しておりますが、来年度、このままの状態でいきますと、地方交付税の国の負担分はさらに膨らんでくることは事実であります。その分はとてもじゃないが負担できない。

 ですから、ただ交付税の負担だけの問題ではなくして、地方財政計画そのものを見直してもらって、そして、いずれの面でも結構ですから、国の負担分を一兆円ほど見直してもらえないか、こういうことを言っておるのです。交付税で一兆削れということではございません。

中川(正)委員 そうすると、国の負担分を一兆円減らしていくということですね。国の負担分というのは、もっと言えば交付税と国庫負担金、それから補助金、この三つですね。この三つを合わせて、トータルで一兆円地方財政計画からマイナスします、こういう理解でいいのですね。

塩川国務大臣 おおよそそういうことになるだろうと思うております。

中川(正)委員 その後、大切なのは、全体の見直しの前提になる財源移譲だと思うのですよ。この財源移譲が基本にあって初めて、いろいろな意味での見直し、特に交付税はむだなところがたくさんあったという議論がかつてありましたが、そういうことになるというふうに思うのですね。

 そこで、実は総務省の片山大臣の方から、最終的に国と地方自治体の税源については今の三対五という比率を一対一に持っていく、これが正しい方向だということをこの間、私の委員会答弁ではっきり打ち出されました。このことについては財務大臣としてはどうお考えでしょうか。

塩川国務大臣 地方の行政能力と、それからもう一つは国と地方との役割分担が明確に分類されまして、それぞれの自主独立の方向と力を持つならば、税源配分は有効に効果をもたらすと私は思いますけれども、現在の状態で、府県並びに市町村と、地方自治が二重行政になっております。しかも、地方自治体の実情を見ますと、三千三百数十カ所の地方自治体があり、さらには一部事務組合等がございます。これを入れて、自治体そのものの数は相当大きい数になっております。そういたしますと、この自治体相互間における行政能力、そして地域の発展のあり方等において非常に格差がございますので、一律的な地方行政は行うことができなくなってくると思います。

 そこで今、合併促進の法律等もございますように、その趣旨をわきまえてもらって、地方自治体が単独で国の行政権限を全面的に移管を受けて実施し得る行政能力をまずつけてもらうことが前提となる、その上におきまして税源配分を決定すべきである、私の考えはそういうことであります。

中川(正)委員 私は順番が逆だと思うのですよ。

 さっきのお話だと、もう過疎地については、あるいは農村部については国が面倒を見ていけないよということですね。だから一緒になりなさい、いわゆる大きな自治体になっていきなさいよと。そうすると、そういう意味では、国のかわりに核になる、いわゆる中核都市が今度はそうした過疎地域に対してナショナルミニマムを保障していくような形で行政体制を組んでいくということにならざるを得ませんねという前提だと思うのです。

 しかし、それではその中核都市がうまくいっているかということになると、このシステムそのものが今問題視されているわけであります。逆に言えば、先に財源移譲というものがあって、その財源移譲に伴う中核都市のしっかりした財政基盤というものが前提になりながら周辺を包み込んでいくという説得をしないと、その逆の説得というのは、農村部に対してあるいは過疎地に対して、全面的に、あなたたちに対して国はナショナルミニマムは保障できないのですよということを言っているだけで、これはやはり非常に大きな政治問題化してくることだというふうに思うのですね。

 今、あるいはこの間から大臣の発言の中にあらわれているのはまさにそこでありまして、そこの矛盾に対して、やはり先に財源移譲を明確化する、国がそのプロセスをはっきりさせて説得をしていくということだと思うのですが、どういうふうにお考えですか。

塩川国務大臣 では、私はお聞きいたしたいのですが、財源配分ということはどういうことを考えておられるのか、ちょっと説明していただきたい。

中川(正)委員 例えば東京都の提言なり、あるいは今地方分権推進委員会の中で神野さんあたりが具体的に言っておられますが、所得税の何%か、神野さんは一〇%ということを言っていますが、これを住民税に置きかえていって、それで地方財源としていく、こういう形の財源強化、いわゆる地方財源を確立していくというような具体策が、それぞれ今、政府部内でも検討されているのです。そういう流れを具体的なものにした上で市町村合併というのを議論していかないとだめなんじゃないですかということなんですね。

塩川国務大臣 それは昔、国がやっておりました付加税のような考え方なんでしょうか、どういうことなんでしょうか。

 私は、そういう地方財源の分配とおっしゃいますけれども、どのように、しかもどのような税金を地方に分権するのかというその議論がまだ決まり切っておらない間に、その議論が先行してしまって、逆に合併を促進することがなかなか不可能になってくるという事態も実際は起こってきておるものでございますから、まず、地方の財源の確立ということはどのような手段と税目をもってやっていくのかということをきっちりしておかなければならぬ、このように思いますので、それで私、教えていただきたいとむしろ言っておるのです。

中川(正)委員 民主党としては具体的な政策をまとめつつございまして、さっき申し上げたように、最終的に税源の方では、所得税も含めてその他新しい税、それから消費税もその対象に含みながらこれを地方税源化していく、地方に移していく。だから、所得税を一〇%削って、それを地方の、所得税の場合であれば住民税に置きかえていくということ、これは住民税を倍にするわけですね。そういうようなことを前提にしながら、地方の財源というものをまずはっきりと確保していく。そして、自分の足で生きてくださいよと。特に地方の中核都市というのは、そういう意味ではこれから担っていく役割というのは大切なものじゃないですかというようなことでまとめている。

 そういうものがあって初めて、その周辺の過疎地がそれでは一緒になろうかという話になるのであって、今政府が具体的に、あるいは大臣初めそれぞれ関係者が具体的に市町村合併を進めていく、その中でむちを使って、そのままだったらあなたたち生きていけないよという、このむちだけでそういうことを進めていくということに対しては、火の手が上がっている。私たちもその行き方というのは反対ですということを申し上げているのです。

 そこで、大臣にもう一回尋ねますが、その財源移譲ということを具体的にまず詰めなければいけないと思いますが、詰めていくスケジュール、それから詰めていく意思、最終の落ちつきどころ、これをここではっきりさせてください。そこからすべてが始まってくるでしょうということであります。

塩川国務大臣 この問題につきましては、もっと根本的な住民意識の変革といいましょうか改革が並行して進まないと、なかなか実は結論が出ないのであります。

 といいますのは、たしか平成五年でございましたでしょうか、法律をもって地方分権推進委員会をつくりまして、それで、その委員会が七年間にわたりまして、いろいろな面から検討していただきました。とにかく、分権に対して五つの段階で提言されましたけれども、根本の問題が解決されておらなかった。そこに何があったのかといいますと、やはり地方におられる方々と都会におる方と、どんな税制を持っていきましても格差が出てまいります。その格差を税だけでは埋めることができない。そこに分権の問題が行き詰まってきたということを私たちは思っております。

 なお、おっしゃるように、この税源の問題をもっとやはり考えて、そこの結論を早く出していくということ、それが地方分権の推進になり、そして地方の独立ということにつながっていくと思うものでございますので、私たちも一生懸命その部分の勉強をさらに一層進めたいと思っております。

中川(正)委員 これは大臣、不一致ですね、片山総務大臣と。向こうの方は、もうはっきりと一対一にしますということを明言しているのですよ、総務相としては。どうなのですか。

塩川国務大臣 だから、その一対一にするのに、どうしたらなるのですかということを私たちは教えてほしいと言っておるのです。

中川(正)委員 そこがずるいところなのですよ、大臣の。そんな切り返しをしないで、まともにやりましょうよ、まともに。どうなのですか。

塩川国務大臣 それは、しょせんは財源調整の税、交付税ではございませんが、交付税にかわるような財源調整の機能を持った税源ができない限り、現在の地方自治体の格差がこんなにある間は、そういう制度が導入されてこない間は私は不可能だと思うのです。

 でございますから、ある程度地方税を高くする、そして国税を低くする、これはできると思います。これはできると思いますけれども、地方が独立した分権を維持して、独立した行政体として完全に自主財源で賄っていくということはなかなか難しい。そこにはどうしても財源調整の機能が必要になってくると思っております。

中川(正)委員 大臣、頼みますから勉強してください。さっきの議論の中で、独立した自主財源すべて一〇〇%で地方自治を運営するとだれも言っていませんよ。片山大臣でさえ一対一と言っているのですよ。国と地方自治が半分ずつだという話なのですよ。そこから始まっている。だから、当然それを調整する部分というのは、それは必要なのですよ。そんなこと前提なのです。一度頭の中を整理していただいた上で、またこの問題はやりましょう。

塩川国務大臣 大変なことをおっしゃいます。そうしたら、一対一にするためには、自主財源というものの中に調整も必要だということをおっしゃいましたね。そういうことを含んでの検討でございますね。それだったら私も賛成です。

中川(正)委員 それだったら賛成と。それでは、賛成していただいた上でもう一言、これはどうですか。税源移譲ということに対して、財務大臣としてはどういうスケジュールで、もう片山さんは一対一でやると言っているのですが、どういうスケジュールで財務大臣はやるのですか。

塩川国務大臣 私も、全体の足並みがそろったら一生懸命推進していきたいと思っております。

中川(正)委員 肝心なところになると、もうひとつぼけてしまうのでやりにくいところなのですが、どっちにしたって、もう一度議論を整理していただいて、閣内でまず整理していただいて、そのスケジュールを早く打ち立てていただくということ、これが大切なことであります。

 さらにこの議論を深めていきたいというふうに思います。どんな形で具体的に移譲していくのかというのは、民主党の政策を見てください。この中に一つ一つ具体的に私たちは提言をさせていただいております。

 それから次に、法務の方から来ていただいておりますね、副大臣。せっかく来ていただいていますので、ちょっと先にその方をさせていただきたいというふうに思います。

 金庫株でありますが、これは今の経済対策のいろいろな関連法案でも、筋のいいのと悪いのといろいろあります。これはもう中におっていただく皆さん方も、あるいは自民党の中でも、筋のいいのと悪いのとそれぞれ議論があります。概して悪いのは、株価対策で無理やり引き上げていくというようなもの、これが筋がよくない、こういうことだと思うのですね。そんな中で、金庫株の議論、直接は法務の方ですが、こちらでもひとつ大臣も交えて議論をしたいと思うのです。

 これは、まず入り口から、金庫株の目的を改めてちょっと説明してください。

横内副大臣 先生の御指摘のように、金庫株の解禁を内容とする商法の改正が議員提案で出されております。

 その目的あるいはねらいとするところでございますが、第一点は、近年、会社が競争力を強化するために、合併とか分割とかそういう組織の再編を盛んに行うわけでございますけれども、その組織の再編に、自己株式を活用することによって機動的な組織再編ができるという点があろうと思います。

 より具体的に申し上げますと、合併とか株式交換とか会社分割の場合に会社は新株を発行するわけでありますけれども、その新株の発行にかえて、自分が保有している自己株式を割り当てるということができるわけであります。それによって、新株を発行した場合には、将来の配当負担が増加したり一株当たりの株式の価値が低下したりというようなマイナス面が出てくるわけでありますけれども、自己株式を活用することによって、そういったマイナス面なしに組織の再編が機動的にできるというメリットが一つあるというふうに思います。

 それからもう一点は、自己株式の取得が原則として自由化されるわけでございますから、従来より活発に自己株式、株式の取得が行われる。その結果として、株式市場における株式の需給関係の適正化が図られるという期待もあるというふうに思います。

 そしてさらに、三点目として、これはアメリカなんかで非常に多いわけでありますけれども、ある会社が、敵対的な買収のおそれがあるというような場合に、それへの防衛策として自己株式を取得して保有をするというようなこともできる。そんな点が、おっしゃっている効果といいましょうか、ねらいということだと思います。

中川(正)委員 当初の話と大分変わってきているのですね。

 私たちがこの議論を始めたときには、株の持ち合い解消で株がたくさん出てくるから、それを自分で買い取って、それで株価の維持をしようじゃないかということ、これがそもそものこの議論の発端であったように思うのですが、このことをどうして言わないのですか。

横内副大臣 おっしゃる方によっていろいろな言い方があろうと思うのですけれども、今申し上げたつもりでございます。

 自己株式をかなり自由に取得ができるようになる、そのことによってそういったものが活発に行われて、その結果として、株式市場における株式の需給関係の適正化にも資するといいましょうか、期待できる、そういう効果はあるというふうに思います。

中川(正)委員 これもちょっと議論をしていこうと思ったのですけれども、もう時間がないので、私なりの所見といいますか、これを評価をしますと、結局、新株を発行していくというのと、持ち株で、いわゆる自己株でやっていくというのと、結果的には企業会計上は効果は同じなんです。

 ということは、片方、自己株はそのまま、今の法律の中身を見ているとこれは資本の方へマイナス計上されるわけですから、自己株を持つということは、資本がそれだけ一たんへこみますよということですし、現金は出ていくわけです。片方、資産の方の現金は出ていって、資本がへこむということで、企業会計上は、これを持つということのデメリットというのは非常に顕著なものになるということです。そういう前提から考えると、これは、一たん買い取ったものをこれまでどおり消却をするということと何ら変わりはない、消却してまた必要なときに新しい新株を発行するということ、このプロセスと企業会計上は違いがないということですよね。

 そうすると、問題になってくるのは、この自己株買い取り、こういう制度を入れることによって、マーケットの信認がどうなるかということ。マーケット自体の信頼性というんですか、いわゆるインサイダー取引等々に対してセーフ・ハーバー・ルールがどこまできいてくるか、あるいは、それにかわってちゃんとしたセーフティーネットが仕組まれるかどうかということによって、消却するよりも、自己株をもって作用する方が多少便利。便利にはなるけれども、効果は変わらないとすれば、これは悪い面だけが出てくるわけです。今セーフ・ハーバー・ルールや何かがはっきりしていないということになれば。だから、そういう流れの中で議論というのは進まないように思うんです。

 ここの点についてはどういう見解をお持ちですか。

横内副大臣 先生のおっしゃる点はわかります。確かに、会社の貸借対照表上は、結局、資本の部が減るわけですから、その意味においては同じということはあるんです。

 ただ、しかし、その会社にとってみれば、消却のための自己株取得ということになりますと、直ちにこれは株券失効の手続をとらなきゃならぬわけですけれども、金庫株として取得をして保有いたしますと、将来的には、それを保有しておいて、例えばストックオプションに使うとか、あるいは売却処分をしてそれでまた資金を調達することができるとか、あるいは将来また消却をするとか、保有しておくことによって会社としてはいろいろな選択肢があるわけです。そういう意味で、会社としてみれば、やはり消却のための自己株取得とは別な、会社の経営上のメリットがあるということだと思います。

中川(正)委員 ということは、緊急経済対策には、もともと目指していた株価を何とかしようということに対しては、これは余り効果がないということだと思うんです。そのところを、せっかく出てきたものだから何とか理屈を合わせて説明しようというその努力が見られたということだと思いますので、そのように理解をさせていただきたいというふうに思います。

 最後に、不良債権の問題です。柳澤大臣、大丈夫ですか。

 これもちょっと時間が、もう少し議論しようと思ったんですが、先ほど話が出ていましたように、今の不良債権のレベル、これが民間とこれまでの大本営発表とが違うじゃないか、民間はもっと深刻ですよということです。それを、先ほどといいますか午前中、プロジェクトファイナンスで説明をされていました。しかし、それはそれとして、ではマーケットはどっちで動いてくるかということになると、どうもこれまでの例からいくと、過去の例からいくと、これは民間が今見ているような形のことを前提にしながら動いているというのが事実なんだろうと思う。

 それだけ過去にいろいろ失敗をしてきた、いわゆる金融再生委員会のやり方も含めて。例えば九四年、そごうが債務超過があったということに対して、適資産と見て再建計画を承認して、そのままやってきたじゃないかというふうな問題とか、長銀の瑕疵担保特約、こんなようなものを許してしまいましたねというような話であるとか、あるいは、いわゆるモラルの意味で非常に崩れてきている、一言で言えばそういうことでしょうか。そんなようなこと、もうこれは本当に一つ、二つの例ですが、こういう積み重なった話が、結局は大本営発表なんだなという見方にさせているんだというふうに思うんです。

 そこで、今、我々議論がないのはというか、ないところをしっかり議論していかなければいけないと思うのは、まさかのときなんです。まさかのときにどうするか。今はまだ平時だという前提で、例えば不良債権の償却額も、どちらかというと各金融機関の利益幅に合わせて、その範疇の中で償却をしていこう、だから公的資金要りませんよ、こういう流れです。

 ところが、ずっと過去の経緯をたどっていけば、これは今回、例えばさっきお話があった十二兆円レベルの話が特別な話かといったら、過去八年間ずっと見ていると同じレベルなんです。何も特別な話が始まったことじゃない。しかも、それを、いわゆる準備金を積み上げるというだけじゃなくて、そうじゃなくて直接償却しようということで、きつくなりますよと言っているだけなんです。

 そうすると、全体の不良債権のレベルだとか中身だとかというのは、状況は全然変わらずに、さっきの直接償却の部分だけがきつく出てくる。だから、きつく出てくるのはだめだからといって今度何をし始めたかといったら、会社をつぶすのじゃなくて、これは民民で借金チャラにする話ですよということで、そのルールをつくりましょうと銀行に言っている、こういうことでしょう。

 そこで、私は二つ尋ねたいのですが、一つは、これをいわゆる危機管理という前提で想定しなくていいのか。この危機管理が起こるレベルというのは、実はこの間ちょっと勉強会をしたときに自民党の中のこの専門家、この人が言うのには、株価が千二百円ラインを下回るとき、あるいは長期金利が二・五%を超えるとき、あるいはペイオフ、時価会計、これが迫っていますね、このときにどうなるか。あるいは、今回、直接償却を言っていますが、この直接償却によって倒産の連鎖、これが起こる、このときにはシステミックリスクというのが起こってくる可能性がありますよ、そういう前提で政策というのは議論されるべきものなんじゃないでしょうかというのは、これは自民党のサイドからの危機意識でもあるんです。それが議論に上ってこないんです。

 この危機管理について、さらに悪いことには、危機管理をやるときには公的資金なんですね。公的資金は何が前提になるかといったら、国民と政府の間の信頼でしょう。ところが、そういう危機管理を将来しなければいけないのが見えているのに、今何をやっているかといったら……

山口委員長 中川委員、質問時間が終了しておりますので、簡潔に。

中川(正)委員 それぞれ民民で借金チャラにする話をしているんです。これは国民の信頼を全く崩しているんですよ、この公的資金の中で。だから、それに対して最終的にどう考えておられるのか。

山口委員長 柳澤大臣、簡潔に答弁をお願いします。

柳澤国務大臣 もう一度申しますと、先生が借金をチャラにするという債権放棄の話をされましたが、これは基本的に銀行の損益という面にかけては償却と同じなんです。同じように損失です。ですから、公的な整理による償却も損失ですし、それからまた私的整理による債権放棄も同じ効果を持つということでございまして、何も私的整理だからどうこうなるという問題では全くないということです。

 第二番目に、先ほども私答えましたけれども、いろいろ民で、特にアメリカ系の投資会社などでいろいろなことを言っておられますけれども、それは、大体バブルで発生したいわゆる不良債権というものは六十兆から六十五兆だ、こういうことを言っておられるわけです、大手行の問題なんですが。それに対して、九二年から我々が損失を処理してきた償却、引き当ての累計は、既に六十兆円に達しているということなんです。ですから、仮に多く六十五兆をとったとしても、あと五兆ぐらいしか残っていないという状況ですよと。これは、全く彼らの言い分をそのまま我々が認めたとしてもそういう状況だということを、さっきちょっと言わせていただいたということです。

 そういうことからして、私どもは現在、また新手の不良債権の損失見込み額を発表した方がいらっしゃるということをけさ新聞報道で見ましたけれども、次から次へとそういう話が起きてきまして、それがすべて、先ほど言ったようにプロジェクトファイナンス的にすぐに処理が必要だと。アメリカのプロジェクトファイナンスの場合には、損失の認識もすぐですから、これはそうなるのです。すぐに即座にやらなければいけない。ところが日本の場合には、他の部門の利益で補ったりしますから、だんだんその損失というのが薄らいでいく、それで長年かかって本当の損失になってくる。つまり、損失の事業が損失の債権になるまでに時間の経過が必要だというようなことがあるということも念頭に置いていただきたい。

 そういうようなことで、私どもは、危機というようなことを余り、我々準備はしてありますけれども、そういうことを軽々に言われること自体が、金融という信用秩序で成り立っているシステムに対してどういう影響があるだろうかということをひとつ御配慮いただければ大変ありがたい、このように思っております。

中川(正)委員 終わります。

山口委員長 仙谷由人君。

仙谷委員 質問の前に、ギャラリーが多いのはそれほど嫌ではないのですが、お呼びしていない方が随分いらっしゃるということで、財務金融委員会では、余りこの場の同席をお認めになっていないようでございますので、その点、委員長の方から御注意をいただければと思います。

山口委員長 日ごろ常に財務金融、当委員会で陪席しておられた政府参考人以外の方は退席してくれますか。

仙谷委員 塩川大臣にまずお伺いするのですが、先ほどもテレビでちょっと、我が中川委員の質問にお答えになっているのを聞いておりました。この間、随分と財政規律のために御奮闘されているな、私は小泉さんを上回る財政規律論者でございますから、塩川大臣が頑張っていらっしゃるのを横から見ておって、いや頼もしいなと拝見をしておるのです。

 ただ、三つか四つ大変重要なことを御発言なさっておるのですね。厚生年金の基礎年金部分に対する国費の繰り入れというのですか、約二兆五千億。それから地方交付税関連で、基準財政需要を一兆円減らしてくれないか。それから道路特定財源についてもおっしゃっている。これは塩川大臣の御発言ではないようでありますが、まだ確認をされていないわけでありますが、きょうの朝日新聞の一面トップでは、特殊法人の出資金等については、あるいは利子補給金等の補助金については一兆円ぐらい減らす、まことに大胆かつ鮮やかな方針が示されていると思うのです。

 果たして、これは塩川大臣の一つの政策的な方針、政治的な方針としておっしゃっているのですか、それとも単なる思いつきですか。どちらですか。

塩川国務大臣 特定財源の見直しについては、私はそれは信念として持っております。

 それから、厚生年金の二分の一につきましては、私はこういうことを言ったのはちょっと言葉足らずでございましたけれども、私は最初に、この二年で、これは法律が決まっておるからやりたいのだ、しかし、そのときに私すぐ言っておりますことは、財源をつかまえて、財源があればすぐやりたいのだ、こう言っておりました。

 そうしたら質問をされた方が、それは、すぐにやれるということは二年からやるのですかと言われて、国債発行の限度額三十兆円ということがあってもおやりになるのですかという質問がありまして、それは厳しいけれども努力してまいりますということを申し上げたのです。そのことについては三十兆円の中で厳しいということは、私は冒頭に言っていましたように、財源が確保できなければできないということを言っているのとあわせて考えていただいて、二年で財源がなければできないのだということでございまして、意欲はきちっと申し上げたつもりなのです。

 それから三番目の……(仙谷委員「特殊法人」と呼ぶ)それにつきましては、検討はいたしております。検討はいたしておりますけれども、数字の面につきましては、それはひとり走りしておることであって、私から言うたものでもなければ、それは恐らく、どこからもその数字は、一兆円というのは出ておらないと思います。

 交付税の問題についてでありますけれども、私は、交付税を一兆円削るということは言っておりません。先ほど来言っていますように、地方財政については、現在行われておる地方財政の計画の中でシビルミニマムがどんどんと膨れ上がっていって、当然増と合わせて膨大な金額になってきておる。そこで、まず地方行政として必要な行政の限界といいましょうか、必要性をちゃんと確かめてもらいたい、それは私からいうならば、シビルミニマムを一度見直してもらって確定してもらいたい。それに伴って基準財政需要額というものが算定されてくる。その基準財政需要額を基礎にして地方交付税の削減を考えていきたい。でございますから、私は、地方全体について一兆円ばかり節約することを考えてくれぬかと言っておるのであります。

 それから仙谷先生、ちょっと私、申し上げたい前提があります。

 削減削減と言っておりますけれども、これは、現在の予算から削減するとかは一言も言っていない。三十兆円が、自然増で、十四年度になってくると当然増で、三兆三千億円国債を増額せざるを得ないのです。この増額をしないようにして三十兆円でおさめたい。おさめたいとするならば、これからの自然増嵩にいくところの国と地方の負担を、それぞれ一兆円と二兆円程度縮めなければできないということを言っておるので、現在の予算を、現在を一兆円削る、二兆円削るということじゃないということの認識を持っていただいて、考えていただきたいと思います。

仙谷委員 おっしゃることを当然の前提として、財務省の財政の中期展望からすると三兆三千億、来年は三十兆円を上回る分があるから、だからここから一兆円、ここから一兆円というふうに削ってこようということをおっしゃっているわけでしょう。だから、その前提で言っているわけですよ。その意気やよしと言っているじゃないですか。

 ただ、それが単なるアドバルーンでは困るんですよということを私は申し上げているのです。あるいは人気取りのために新聞に言ってみたり、予算委員会で口走ってみたり、何ら実効性がない、あるいはそういうことが党内の議論はともかくとして政府部内で、内閣の中で決まっておるのであれば、あるいはそういう方向で努力しようということでも決まっておるのであれば、私だってそんなこと言いません。

 つまり、何でこんなことを言うかと申しますと、一たん打ち上げたのがつぶされたら、今度は反動の方が大きいんですよ。大合唱が起こってきたら、そんな厳しいことを言うのはけしからぬみたいなことで、これが打ち消されたときには反動が物すごく出ると私は思いますね。だから申し上げておるのです。だから、こういうときは、財政を担当する大臣が余り軽々に財政的検討を経ない方針を打ち上げられると、私はこれはいかがなものか、ゆゆしいことだというふうに思いますね。やはり財政的な検討をちゃんと経てから、基礎年金の問題にしても、それから基準財政需要額の一兆円減額にしてもおっしゃっていただきたいと思うんですね。

 話題をちょっと変えます。

 柳澤大臣、先ほど中川委員からもお伺いしましたが、資本注入は必要ないんだということを一生懸命言っていらっしゃいますよね。これも、政治的なプロパガンダなのか、むしろ、今の悲惨な金融機関の状況を知っているがゆえに、世間には心配ないんだよということを言うためにあなたがおっしゃっているのか、僕はようわからないんですよ。あれだけ、九八年に新しくできた金融再生委員会の委員長になられて、その後ある程度の期間見られて、それで、その間あきましたけれどもまた金融担当大臣になられている。

 例えば、ことしの一月、ダボスへ森さんが行って、不良債権処理にめどがついて日本は雄々しく再生しているんだ、こうおっしゃいましたよね。そんな状況ですか、今。

 きょうこれ、用意してきたのをごらんください。大手十六行、九グループの二〇〇一年三月期決算。一、二と出してあります。片一方は、業務純益、不良債権処理、有価証券含み益、二〇〇一年の三月と二〇〇〇年の三月、両方見やすいように対照表にしてあります。リスク管理債権の額がどうなっているのか、貸出金がどういうふうに動いているのか、こういうふうにしてある。

 ごらんいただくと、先ほど、きょうの日経新聞に載ったアトキンソンさんですか、何かそれは大げさ過ぎるからけしからぬ、こういう雰囲気のお話でございますけれども、これは深刻な状況は一目瞭然ではございませんか。つまり、はっきり申せば、業務純益は横ばいだけれども、不良債権処理も横ばいだ。つまり、先ほど中川委員が申し上げたように、業務純益プラス含み益を益出しした分で不良債権処理をしているにすぎないということがよくわかるじゃないですか、これを見ただけで。そうでしょう。そして、それだけ不良債権処理をしているのにリスク管理債権は依然として減らない、ややふえている。まず、こういうことが一目瞭然じゃないですか、こっちの方で。

 二枚目の方、決算二の方を見てください。この中で一番お気づきになって目につくのは、十六行だけで国債が何と三十二兆から五十二兆五千億になっているんですよ。一年ですよ。地方債はかえって減っている。株式保有はどうだ。一生懸命益出ししていますから、四十八兆から三十六兆に減っている。これは、ストックの方から見ても業務の方から見ても、もう苦しくて苦しくてしようがないと。有価証券の含み益に至っては七千五百八十一億円しかなくなっているじゃないですか。これがそんな楽観的な事態なのか。

 大臣、まさに大臣は、どういう表現をするかは別にして、九八年以降の金融健全化法による資本注入とその後の長銀処理を含めた処理の仕方が余りうまくいかなかったなという前提で金融機関に対するモニタリングを進めていただかなきゃいかぬ、私はこう思うんですけれども、いかがですか。

柳澤国務大臣 仙谷委員の方から、まず不良債権等の処理、それに動員される業務純益、有価証券の含み益、これの状況、さらに貸出金の中におけるリスク管理債権の状況、それから二ページ目については、現在の総資産の中におけるポートフォリオの内容についてのお話がございました。

 第一ページでいいますと、不良債権の処理をしたけれどもリスク管理債権が減っていないじゃないかということは、これはかねて私ども申し上げているとおり、引当金による間接処理ということをやりますと、残高は減らないわけでございます、残高は。したがって、この不良債権というかリスク管理債権の残高が減らないからといって不良債権の処理が進んでいないということにはなりません。これは引き当てが十分に行われればいいわけでございます。

 そこで、私どもは、さはさりながら、リスク管理債権をバランスシート上に残しておくことはいろいろな意味で銀行の収益その他にいい影響をもたらさない、あるいは金融機関の貸出先の活性化をもたらさない、ひいては日本経済の活性化をもたらさない、こういう観点から、このリスク管理債権の残高の縮減にこれから取り組もうということを考えているということでございます。

 それから、リスク管理債権は減っているわけでございまして、ちょっと先生、数字の面で我々の方と突合して一致しない面がありますが、いずれにしてもリスク管理債権がそんなに激減していないことは確かでして、そのことについては以上申し上げたとおりです。

 それから、二ページ目について言いますと、確かに、総資産の中におけるポートフォリオの内容、私も大変問題を含むということを感じておりますけれども、しかし、これについては各金融機関はそれぞれにリスク管理をしておるということでございまして、望むらくは、もちろんもっともっと貸し出しがふえること、そしてその貸し出しが、午前中の議論にもありましたけれども、信用リスクを十分上乗せした金利のもとにおいて行われるということが強く期待される、このようには思っております。

仙谷委員 もう一つ聞きますが、三菱東京フィナンシャル・グループが決算発表のときに記者会見をして、リスク管理債権の資産査定が甘くなかったとは言わないということで、二〇〇〇年三月期は二兆八千億の管理債権を計上した、ところが、二〇〇一年の三月期には四兆二千、リスク管理債権を計上している。この貸出金に占めるパーセンテージを見ていただいて、他の銀行と比べてみてください。それから格付を見てください。

 つまり、一番いい格付の銀行が突出したリスク管理債権の貸出金に対する割合を持っているのに、ほかの銀行は持っていない、そうはなっていないというところに、くめども尽きぬ不良債権みたいな、延々と果てしなく、これは旧大蔵省にとってはまさに九二年、九三年から始まっている話なんですよ、言っておきますけれども。ずっと続いてまだまだ続くということをこれは暗示しているじゃないですか。

 例えば、いいですか、具体的な金融機関の名前を出すと語弊があるので出しませんが、月、火、水曜日の証券市場の動向をどう見ていますか、金融機関に対する値のつき方、出来高。九八年の六月とほとんどよく似てきたと思いませんか。いかがですか。

柳澤国務大臣 不良債権の発生あるいは新規発生、これが年を追って大きく減少しているということは、総体の傾向として申し上げることができようかと思います。

 ただ、私ども、かねて申し上げておるのですけれども、新規発生額については、今までの統計では、実はいろいろ制約がありまして、推計が入りますものですから、新規発生額をもっとクリアカットに発表しろということを言われるのですが、それは私どもできないということを申し上げているのですが、私どもは私どもなりに推計をした数字でこれをモニターしています。それによりますと、不良債権の新規発生は年を追うごとに非常に減少しております。

 それでは、この三菱グループの状況はどうなんだということでございますけれども、これは私、立ち入って個別の銀行の内容にまで行くことに大変ちゅうちょを感じるのですが、この銀行のリスク管理債権の分類にはこれまでややほかの銀行と違う面があったということも一つございます。それに加えて、先ほど来議論がありましたように、条件変更債権というものの厳格な適用があったということが加わっているというやや特殊な事情が背景にあるということでありまして、これをもってくめども尽きぬ何とかというような表現でもってこれを一般化するのは、いささか失当である、このように申し上げます。

仙谷委員 失当とまで言われたら一言申し上げておかなきゃいけないのですが、つまり東京三菱は、ニューヨーク証券市場に上場しSEC基準でやらなければいけないという銀行なんですね。なぜそこが最も、この時点になって、バブル崩壊後八年、九年たった時点において、まだこんなに貸出金に占めるリスク管理債権が多いということを言わなければならないのか。ほかが甘いということ以外に何にもこれは物語っていないじゃないですか。

 それで、お答えがなかったけれども、では、マーケットは何か悪ふざけをして、この数日、特定の銀行グループ二つ、三つに対する出来高を三千万とか二千万とかふやして、ふえているのですか。値が全然上がらないじゃないですか、三千万株も二千万株も商いができて。どういう意味なんですか、これは。まさに九八年六月の長銀が撃たれたときと同じじゃないですか。

 そしてまた、話題をちょっと横へずらしますが、国債の保有なんです。

 日本銀行にお尋ねしたら、国内銀行の現在の国債保有、これが何とことしの三月末は七十三兆四千億になっているのですね。それから、日本銀行は、昨日の夕刊を見ておりましたら、五十九兆九千億になっているのですよ。

 みんな国債を持つことに何か値打ちがあるように思っている。銀行は、金融機関は、特に都銀を中心として、利率はそれほど高くないけれども、国債、とりわけ、リスキーな感覚を持ちながら、何とか稼がなきゃいかぬという横並び姿勢で短期国債にシフトして、短期国債を買っている。政府の方も、国債管理というふうないいお題目で、長期の国債、つまり十年物を、もっと短いのでいけば何とかおさまりがつくだろうと自転車操業を始めた。これは、手形のジャンプを短くしていかなければならないという、まさにサラ金借金財政方針みたいな感じになっているのですよ、僕に言わせれば。

 だって、そうでしょう、塩川大臣。金利が安いときに、今、長期固定の安い金利のお金を借りるのが常識なんじゃないですか。それを、何でこんなに短期を多く出して、それで都市銀行は短期をどんどん、年間二十兆円もふえるぐらいの国債を買い集めてやっているのですよ。

 これは、銀行においても政府の財政においても不均衡が拡大している、そういうふうにお思いになりませんか、お考えになりませんか。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

塩川国務大臣 国債の償還期間が、だんだんと期限が短くなってきておることは承知しております。

 この低金利の面において、長期の年限の国債の発行比率を相対的に高めることが長期的な財政負担の軽減につながる面がありますのは確かではございますが、将来の金利動向を正確に予測することは非常に難しい状態でございまして、その前提を置きますならば、特定年限に限った発行を行うことは不適当と考えられます。

 したがって、そもそも特定年限に限った発行は同年限における金利上昇を招くこととなり得ること等を踏まえまして、市場の動向とかニーズ等を十分にわきまえつつ、長期と短期のバランスをとりながら、現在慎重に発行をしておるということでございます。

仙谷委員 だけれども、持つ方も発行して支払う方も非常にリスキーな状況になっているということを、重々御認識いただきたいと思うのですね。

 そこで次に、二〇〇一年度において政府が調達しなければいけない資金というのをつくってみました。つまり、どのぐらいの金を政府は改めて国民やマーケットから調達しなければならないかということを計算してみたのですよ。拾い出しました。

 そうすると、借換債、財投債を含めると、これを全部国債というふうにいうと百三十七兆、地方債は十一・九兆、借入金が四十五兆八千億、政府短期証券六十兆。この政府短期証券はさておくというふうな計算にしてもいいけれども、それを含めると、何とGDPの半分の二百五十五兆が、何らかのことで政府が一遍調達してそれをマーケットや企業セクターに渡していくというふうな経済になっているということを言えないこともないのですよ。半社会主義、まさにちょうど半分政府が関与する資金循環になっているのですよ。

 幾ら民間の立ち上がりを期待するとかなんとかいっても、ここまでやればなかなかこれは元気になれませんよと私は思うのですね。こんな危ない状態になっているということも御認識をいただきたいと思うのです。

 感想、ございますか。

塩川国務大臣 まさに国債の発行が非常にシリアスな状態になっておることは、私たちも認識しております。

 そうであるだけに、ここから切りかえて、国債の発行を抑制したいというところに非常に苦しい転換を始めざるを得なくなって、これは必ず十四年度三十兆円内に抑制するということを私たちは実行してまいりますので、ぜひひとつ国会の方でも御協力賜りたい。

 ここでやはり切りかえなければいかぬという認識は一致しております。

仙谷委員 ナンバーツー実力者がそこまでおっしゃるのですから、我々も、放漫財政派の方々がおれば徹底的にやっつける議論をしますから、どうぞひとつその辺は頑張っていただきたいと思うのであります。

 ところが、そうは問屋が卸さないところがあるのですね。そこがこれからの問題であります。

 一つは地方債、地方財政です。国が、今おっしゃられたような大変な状況になっているけれども、地方も、平成十三年度は十四兆二千億の財源不足であるとか、地方債依存度が一五・八%とか、公債依存度が一八・一%とか、起債制限比率がどうの、あるいはだんだん二〇%に近づいてくるとか、経常収支比率が八七・五%とか、これは数え切れない悪材料というか、余りいい材料ではないところが出てきていますね。

 その上、個別名称を出して申しわけないのだけれども、大阪府までもがりんくうGTB、ゲートタワービルディングですか、ここの借入金利を、二・七の分を〇・五に引き下げをしてもらったというのがきのうの新聞に小さく載っていました。これはある種の、デフォルトとは言わぬけれども、モラトリアムみたいな話ですね。リスケか何か、いずれにしても信用失墜につながる話ですね。

 もっと小さいところでは、その他の、リゾート法施行以来の第三セクターのうみを抱えたままずるずると先送りしているところとか、一たんそこのふたをあけると大変な状況になっているところとか、地方の方も物すごいですね。現に、私どもも地元へ帰ってお話を伺っても、財政積立金を取り崩して、もうほとんどなくなりましたなんという町村まで出てきておるという、これは非常に厳しい状況です。

 そこでお伺いしたいのですが、きのうきょう、地方財政の自立といいましょうか、地方の自立という観点からの議論もなされておるようでありますが、この地方債というのは、我が国中央政府は、いわゆる法律上の保証、民法四百七十七条に言う補償あるいは財政法十五条に言う保証はしているのですか、していないのですか。

村上副大臣 仙谷委員の御質問にお答えしたいと思います。

 地方債は、御高承のように、地方各団体が、将来の歳入を返済のための原資として、みずからの責任において借り入れているものでありまして、国がかわってその債務不履行について返済するといったものではない、そういうふうに認識しております。

仙谷委員 そうすると、民法上、商法上、保証債務はない、こういうふうに明確にお聞きしていいんだろうと思うのですね。今うなずかれましたから。大臣も全く同じ答えでいいですね。

 現に、幾ら探しても、各自治体が期待されているし、言動としては、いやいや、そんなことを言っても全部最後には面倒見てくれるんですわというような、だから今借りておかなきゃ損ですわみたいな話が、いやいや、そんなことはないよ、法律上はそういう構造になっていないよと。

 現に、財政法十五条では、国の債務負担行為の一つとして保証というものも位置づけられておって、そして同時に、もしそういう保証をする場合には、限度額を定めて予算総則に書かなければいけない。その場合には、各個別の法律にもちゃんと政府保証の根拠が書かれておるというのが普通でございまして、現に、改めて私は予算総則を持ってまいりました。

 ことしの予算でございますと、第十一条に「次の表の左欄に掲げる法人及び地方公共団体が平成十三年度において負担する債務につき、中欄に掲げる法律の規定により政府が同年度において保証することができる金額の限度は、それぞれ右欄に掲げるとおりとする。ただし」云々かんぬんとあって、一項目から二十六項目までが書かれておる。現に、地方公共団体の発行する債券についても、神戸市だけが、要するに震災関連で、国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律第二条二項によって、神戸市がその震災関連で発行する債券については保証がなされるというふうに決められておるのですね。そうしないと、これは財政法上も、あるいは民法を準用するにせよ何にせよ、保証ということにはなりませんね。

 そうしますと、先ほどから少々問題にしております、小さい村や町やあるいは市や府というものがデフォルト状態になるということは、個別例外的かもわからないけれども、私はあると思いますね。そういう場合は、どうするのですか。国はもう何の責任もないということでいいのですか。

塩川国務大臣 その問題は深刻な問題でございまして、それだけに、実は自治省が絶えず交付税の配分とか、あるいは財政再建債とか起債の面で面倒を見てまいっております。そして、万一、さらにそれが深刻化してデフォルト状態になると、もしそういうことがあるといたしますならば、現在まだ私はそういうようなことは聞いておりませんけれども、なるとするならば、自治省が指定いたします財政再建団体に指定して、救済方法をいたしまして、そのときに財政当局である我々にも相談があるものと思っておりまして、そこへ行くまでに、自治省、現在の総務省の方で、財政の指導をしながら改善方をやっておる、そういうことになっておりますが、非常に深刻な状態があるということは事実でございます。

仙谷委員 ある助役さんが背任的、横領的行為で村の単年度予算に類する金額をどこかへ持っていってしまったとか、リゾート開発をして、あっと気がついたら、村の予算と同じぐらいの債務保証がそこに出現したとか、こういう新聞種になる極端な例がありますけれども、それだけじゃなくて、私も、それほどリゾート法をフォローしていなかったものですからもうひとつわかりませんけれども、何か四十一都道府県、四十二地域がリゾート法の指定を受けて、九千施設をつくったというのでしょう。まあゴルフ場に毛の生えたものか何か、いろいろなものがあると思いますが、ゴルフ場は、会員権の価格で見れば八〇年レベルの、八〇年のところへ返るきれいな富士山の状況に会員権価格から見れば行っているわけですね。

 これは一挙にどこかで地方レベルで発現したときには、今までの、財政再建団体に指定して、何とか年月をかけて、赤池町のように頑張っていただくというのは、多分、フローでできた累積債務を、皆さん方がむだ遣いされたんだから、我慢して、鉛筆一本まで自治省の許可をもらって返していきなさいというやり方が通用するけれども、何か本当にユーフォリアの中で浮かれた、債務が突如浮上した。我が地元にもそれに似た話はありますよ。あるいはこれからそうなりそうなところもありますよ、それは。その場合は、別途の解決方法、つまり自治体の破綻に関する法律をつくって、ある種これはこれでしようがないという割り切り方の中で、どういうことをすれば国が思い切って支援をするか。

 つまり、先般から、債権放棄とかいろいろなことを考えていらっしゃって、産業の再生と不良債権処理の一体的処理とおっしゃっていることを、自治体にも同様に当てはめなければ、今はじっと政治責任もあるものだからみんな抱えて黙っているみたいなところがありますけれども、この間シーガイアがどんといきましたけれども、この種の話は、これは九千施設もつくっていたら、一割で九百ですから、一%で九十ですから、九十のところがもし爆発したら九十の町村か市には影響がある。大きな影響がある。つまり、不動産価格が一〇%になっているところあるいは二〇%しか不動産価格がないというところ、そして変な施設をつくったために無用の長物、産業廃棄物になって、解体処理する方が金がかかるなんというところがあるわけですから、これは総務省の方とも協議を始めていただいて、合併の問題とあわせて自治体破綻処理をお進めにならなければいけないと思いますけれども、いかがですか。

塩川国務大臣 実情につきましては、総務省が来ておりますので後で説明があろうと思いますが、まさに指摘されておることは私たちの持っておる感覚と同じでございます。

 私は、地方自治体の仕事もやった経験がございますので、それで今でも思い出すんでございますが、自治体における行政能力というのはこんなに格差がある、この能力をある程度平準化していかなきゃならぬのは、その決め手はやはり合併にある、ある程度の規模にする必要があると思います。今仙谷さんが御指摘されたようなことは事実でございますから、そういう際にこそそういう市町村がある程度能力を持つために合併を促進していくいい機会になる、それに対しましては、国も自治省も懸命に応援をしていってそれのカバーをしていくということも一つの解決方法だと思っておりますが、総務省の方でどう考えているか、意見も聞いていただけたらと思います。

山名大臣政務官 総務大臣政務官を務めております山名でございます。よろしくお願いします。

 先ほどお尋ねの第三セクターの現状の問題でございますが、委員御指摘のように、一般論からいいますと、第三セクターは極めて厳しい状況にございます。総務省といたしましては、債務超過に陥っているというところもございますし、平成十一年の五月に第三セクターに関する指針というものを出しまして、各地方公共団体に対して十分な精査をするように、経営基盤、能力、こういったものをしっかり検討した上で、あえて事業継続をする場合におきましても、いわゆる経営責任、役職員の数の問題だとか、あるいは給与の見直しの問題だとか、あるいは組織体制のスリム化だとか、こういったことを十分精査しながら、その支援については慎重にやるべきである。

 ひとえに、各地方公共団体が、そのことによってみずからの体力が落ち、財政能力が落ちるようではこれは元も子もなくなるわけでございますから、そういったことで、現状の把握、これをしっかりすべしということで指針を出しました。それに基づきまして各地方公共団体も今的確な精査等を始めている、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。

仙谷委員 そこまでいきますと、今度また金融機関の問題にもう一遍ブーメランのように返ってくるんですね。つまり、地方債を都市銀行も地方銀行も、マーケットの格付のある地方債もありますし、全く格付のない地方債を縁故で受けているという構造もあるんですね。この地方債の要するにリスクウエートについて、今新しいBIS基準で検討が進められている。各国政府の裁量によって少々は動かせるということのようですけれども、ただ、新しい基準によると、未格付の債権はリスクウエートがやはり一〇〇だ。先ほどから、地方財政そのものも一般論としても苦しい、東京都や大阪府のように大きいところほど苦しい。神奈川県も愛知県も苦しいんですね。一方では、政府はこれは法律的にも保証がないんだとおっしゃる。さらに、かてて加えて地方交付税も、これは何とかお願いして縮減傾向に、基準財政需要をもう一遍見直して削減をする方向でやっていただかないと政府ももたない、こういう率直なお話を小泉内閣になってされておるわけでありますね。

 そうしますと、やはりOECDの各国のように、地方債のリスクウエートというのはしかるべきウエートをかける、現在であれば一〇%のウエートをかける、そして新基準になった場合には、格付をとれないところはしようがない、一〇〇%のリスクウエートをかけるぞ、こういうふうにしなければ国際的な金融マーケットの中では通用しないということになるんじゃないですか。どうですか、柳澤大臣。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

村田副大臣 地方債に対しますリスクウエートについては、現状、国債と同じようにゼロ%という形になっているわけでございまして、この件につきましては参議院の財政金融委員会でも御指摘がありました。

 BIS基準については、二〇〇四年から実施ということで、ただいまはパブリックコメントの手続が行われているわけでございますが、今仙谷委員も御指摘なされたように、最終的にはBIS基準の中で地方債についても各国の判断に任せる、そういう規定もあるわけでございまして、今後、いろいろな各国の状況、あるいは国内のいろいろな手続を経まして決めていくということになろうかというふうに思っております。

仙谷委員 これは、あちら立てればこちら立たずの話になるわけですよ。つまり、マーケット重視の経済政策をとるんであれば、これは銀行に対してリスクウエートがあるよということをちゃんと政府の方針あるいは政府の基準としてもやらなければ、マーケットにとってリスクがあるものを、いやいや、そんなものはリスクゼロ%でお持ちいただいても結構ですよ、どんどん買ってくださいという話では、今の国際金融業界では通用しないことは明らかだと思うんですね。

 私は、そろそろこの日本の二重構造みたいなものが、どこかではげ落ちるというか、撃たれる可能性も出てきたなという恐怖感を持って今ずっと見ているのですよ。

 だから、この問題は、地方自治体の出す地方債あるいは日本政府の出す国債が買われやすい、引き受けてもらいやすいというそこのところだけで考えると、つまりそのことはマーケットのシグナルを聞かないということを宣言することでありますから、マーケットなんか関係ないんだ、日本は個人預金が多い、名高い郵貯もある、心配ない、こういうやり方では不均衡が拡大するだけというふうに思いますので、どうぞひとつこのBIS基準については、真剣に、マーケットから見て金融機関というものがシステミックリスクを発現させないような、そういう監視とか資産査定とかそういうものはどういうものであるのかということをお考えいただきたいと思うのですね。

 お待たせいたしましたが、塩崎先生にRCCの資産買い取りについての改正法案についてお伺いをいたします。

 私は、この金融再生法あるいは預金保険法の改正に九八年に末端で関与したわけでありますが、その後どういう政令や告示が出ているのかというのを全然知らなかったのですね。ところが、先般、何でRCCの買い取り問題が出てくるのか、一方では、RCCの方からは、もっと自由にサービサーとして、ある意味で準公的サービサーとして活動できるようにしてくれというお話がございます。

 私も横から見ておりまして、これは、柳澤先生には今でも相当私自身も批判的なところでありますけれども、つまり、長銀の処理を見ておりましても、適債権にされた部分がそのすぐ後に債権放棄を要請したり倒産してしまったり、そういうのが相当あった。ここはなかなか難しいところでありますけれども、RCCに行けば死刑宣告で、新生銀行に行けば天国だ、あるいはもうちょっと、グレーゾーンというのは、第二分類あるいは非分類でもあるのかなと思ってずっとこの間見てきたわけであります。

 我々が金融再生法でRCCをつくろうというときに、RCCに、整理回収機構に金融機能も持たそうではないかという話が出まして、これはやはり取引をある程度は続けないと、さあきょうからは回収だみたいな話は実体経済との関係においてまずいのではないか、それではそういうふうにしましょうということで、整理回収機構は銀行業の認可も持っていますね。

 ところが、なぜRCCがもっと自由度をふやしてほしいというようなことを言うのか不思議でならなかったわけですが、何かこの「資産を買い取る場合の価格を定めるための基準及び資産の買取りの決定に係る承認を行うための基準を定める件」、平成十一年三月四日金融再生委員会告示第二号というふうなものがあって、結局もう回収専門、つまり生きていない債権しか買えないのだよみたいなことになっているということに気がついたわけでございます。

 今度はこの法律の期限を延ばすだけの法律改正のようでありますが、今度の改正案の提案者として、塩崎議員、この問題はどういうふうにお考えになっておるのでしょうか。

塩崎議員 九八年のいわゆる金融国会で、仙谷先生と一緒に私も再生法をつくる作業に携わったわけであります。

 振り返ってみると、あのときの市場というのは、そもそも不良債権の流通市場というのはまだなかった、何とかつくろうということでありました。サービサーも当然なくて、あの国会でつくった。もしマーケットで買うとすれば、いわゆるハゲタカファンドという、ディープディスカウントで買っていって、こんなものに持っていかれるのはだめだ、こういう意見があって、その一方で不良債権のオフバランス化を図ろうという中で、この整理回収機構に不良債権を買ってもらうということで、資産を買えるということで、一般銀行が買えるようにしたというのがこの法律改正だったわけですね。

 私も、今回の再生委員会告示というのが翌年の三月に出ておりまして、そこに、原則として破綻懸念先以下、なおかつ公的な性格のものはだめだとか、あるいは海外向けの債権はだめだとか、いろいろな規制が実はついておりまして、私も正直言ってちょっと思っていたイメージとは違ったなという感じがいたしました。

 私ども自民党でも、今回の改正案を通すときに、やはりこの告示というものをもう一回見直すべきではないかという意見が出て、それを条件にこれを通すということにしたわけでありますが、言外には、実はRCC、整理回収機構の役割というものを大きな意味で見直すべきときにもう来ているのではないだろうかということがございました。

 もうちょっと景気対策としてもやれることがあるのではないだろうか、あるいは不動産市場のためにできることもあるのではないだろうか、証券化もほとんどやっていない、こういうことで、そういった枠組みの中でこの再生委員会の告示というものも見直していくべきなのかなということを私は思っております。

仙谷委員 最後の質問でございますが、先ほどの件ですが、村上副大臣がお答えをいただいたわけですが、地方債について、国は、中央政府は法律的な債務保証をしていないということは、塩川大臣、そのとおりでよろしゅうございますね。ちょっと確認の答弁をしてください。

塩川国務大臣 地方債は、それぞれその地方の自主的判断と実行において募集するものでございまして、国は関与しておりません。

仙谷委員 総務省の政務官がいらっしゃっておるようでございますが、山名政務官も今の答弁と全く同じですね。

山名大臣政務官 今大臣がお答えになりましたように、地方債の債務につきましては、いわゆる政府保証債ではございませんで、法律によるところの債務保証はありません。

仙谷委員 終わります。

山口委員長 原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 民主党・無所属クラブを代表して、大臣そして政府参考人に通告に従い質問をいたします。

 また、提案者、まず御質問申し上げますが、先ほどのRCCによる健全銀行の不良債権買い取り業務延長法案についてでございますが、これは、議員立法で成立をさせていただいたものですから議員立法でやるのが筋だということなのか、今回閣法ではなく延長を議員立法で出されています。この理由についてお尋ねをします。

 また、あわせて、金融再生法第五十三条において不良債権スキームが決定されておりますが、そこで買い取り申し込みというのは平成十三年の三月三十一日で期限が来ています。日切れの処理をせずに衆法で提出する理由、これは一体どこにあるのか。

 緊急経済対策についても、塩崎代議士は非常に的確な批判を加えていらっしゃって、私もホームページを参考にしながら、バイブルのようにしながら見ておるわけでございますが、それは、一言で言うと経済における自由を取り戻そうということなんではないかと思います。

 先ほど仙谷委員の方から、国債を含めたいろいろな政府の借り入れの話がありましたが、一体政府の歳出というのはどれぐらいあるんだろう。一般会計を私たちは予算委員会で主にやっていますが、特別会計と一般会計、そして地方の政府歳出まで入れると三百兆を超える。GDPが五百兆のうちに三百兆を超える、そういう国というのは一体どういう国だと表現すればいいのか、私も表現に困るわけでございますが、今回、緊急経済対策で出てきたものは、まさに提案者がおっしゃっている自由な経済というものとは少し違うような気がいたします。その辺の整理をいただけないか。

 それから、RCCによる健全銀行の不良債権買い取りの実績、これでございます。今、仙谷委員の質問にお答えをいただきましたが、私自身も、今のようなRCCの形で本当にいいのか。これは後段でRCCの買い取りについてはまた質問しますが、以上四点について、まとめて質問させていただいて恐縮ですが、お答えいただけないかというふうに思います。

塩崎議員 ホームページを見ていただいてありがとうございます。

 まず、今回のこの法律改正について、なぜ議員立法なんだ、こういうお尋ねでございますが、もともとこれは再生法そのものが議員立法でございました。そして今回、緊急経済対策等々で議員が中心になって提案をした買い取りの延長ということでございましたので、これを議員立法で改正をする、こういうことだと思っております。

 それから、二番目でありますが、三月三十一日で切れちゃったじゃないか、おっしゃるとおりであります。再生法自体は何も切れているわけではございませんが、では、なぜそのまますぐに日切れ処理で延長しなかったのかということでございます。正直言って、私は、個人的にはそのまま延ばしてもらいたいなというふうに思っておりましたが、緊急経済対策は、議論がずっと続いていく中で、四月になってから決まったものでございました。

 そういうことで、この処理については一たん切れてしまったわけでありますけれども、改めてこれを通していただければ、公布即施行ということで、そこから平成十六年の三月三十一日までこの買い取りの申し込みをできるようにするということにさせていただいたということでございます。

 ただ一方で、どうも半期に一遍銀行が申し出てきて買ってきたというのがあるらしいんですね。だからゆっくりしていていいんだという話も伝わってくるんですが、私はそれはちょっとおかしいな、不良債権は本来できたらすぐに売っ払うというのがサウンドバンキングの原点だろうと思っております。

 それから、この緊急経済対策についての考え方でありますが、私は政府の立場ではございませんが、基本的に、小泉総理もおっしゃったように、いいものはとる、そして必要なものは足していくんだ、こういうお話がありました。私は、いささか哲学の面においてパワー不足であったなということを個人的に思ったからこそホームページにいろいろ書いたわけでございますし、物によっては非常に批判的なものもございます。ですから、私が批判的なものはなるべくやめていただいて、そして新たに加えるべきものを加えていって、ワンパッケージでやはり日本の経済を元気にしていくという政策にしていかなければならないのかなというふうに思っております。

 それから、四点目は買い取りのあり方でありますけれども、先ほど申し上げましたように、私ども自民党の中でも、RCCの位置づけというものをどうするんだということが大変今議論になっております。そして、RCCの中でも、今までのようなやり方でいいのかということもこれあり、非常にクローズドな、何をやっているかよくわからないところがたくさんあって、金融機関、銀行としての資格がありながら、例えばDIPファイナンスみたいなものもやっているふうもないということであって、やはり今後、買い取る債権の対象も含めて、大きな役割を考えていかなければいけないんじゃないだろうか。当時、九八年、我々が議論したときに、平成復興銀行にしようという案も実はありました。

 そのぐらい私ども、考えてみれば、これは一〇〇%預保がお金を出している、出資している会社でありますから、言ってみれば一〇〇%国民が株主の、言ってみれば政策の手段だ。それをどう有効に使いながら日本経済を元気にしていくのかということを考えていくべき。その中に、どういう債権をどういう買い方をし、そしてどういう回収並びに処分の仕方をするのかということを議論していかなければいけないんじゃないかな、こう思っております。

原口委員 ほぼ同じ認識だと思います。

 いいものはとる、必要なものは足すと小泉総理は思っていらっしゃるのかもわかりませんが、私は、いいものだけは少しとって、不必要なものはもう全然やらない、このことの方がはるかにいいというふうに思います。

 そこで、提案者から離れて、今度は政府の方にお尋ねしますが、RCCにおけるまさに不適切事案というのがございます。このことについてもただしておかなければいけない。

 ちょっとその前に、これはまた期限を切っていらっしゃるんですが、これで、もう時限で結構なんですか。それとも、また三年後にはこの法律は延長が必要だというふうにお考えでしょうか。そのことだけちょっと。

塩崎議員 基本的に、今政府としても、不良債権の最終処理を二、三年のうちに行うということを所信表明でも言ったわけであります。したがって、この申し込みについても三年ということで切って、不良債権処理はやり通すんだ、こういうことが柳澤大臣を含めて小泉総理の内閣の姿勢だということで、三年ということにしております。

 特に延長を前提に考えているわけではございません。

原口委員 私は不良債権の最終処理、柳澤大臣がおっしゃったように、随分注意してこの言葉は使わなきゃいけない。あるいは、直接償却という言葉も、一時予算委員会でも御指摘を申し上げましたけれども、きっちりオフバランス化という形で、そして細かく分けて検討をしなければいけない。それがひとり歩きをしたときに金融に与えるダメージというものを、これは与党であろうが野党であろうが、きっちり考えて物を言うべきだ、そのとおりだと思います。

 ただ、やはり今塩崎提案者がお話しになったように、本来の不良債権の最終処理、オフバランス化は、この制度をつくったときからすると、日切れであってはいけないわけですね。決算期に駆け込んでくるというような、そういう性質のものではなかったはずです。そういう意味で、私は政策が非常に細切れに出されている。大きなパースペクトを持たずに、戦略を持たずに、金融担当大臣がかわるたびに政策が揺れてくる、このことが我が国のこの数年にとって非常に大きなダメージを与えた、このように思います。

 そのことを指摘した上で、具体的な事案について御質問申し上げます。

 これはことしの五月十九日土曜日、朝日新聞に、「整理回収機構を批判」ということで、朝日住建の税の滞納事案について、大阪府の堺市、これが、自分たちに収税機会をRCCが失わせたんだと強い反発と批判をされていますが、この事実関係を問いたい。これは一体何の処理のことを言っているのか、預保の理事長にお見えいただいていますので、お答えをいただきたい。

松田参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の堺市との関係でございますけれども、そこはもともと当時の住管機構の大口の債務者であった朝日住建が所有している土地の問題でございまして、そこが二口ございましたので、一括譲渡して回収を図った事案でございます。

 その折に、RCCの、当時の住管機構の担当者が回収にはやって、同じくその土地に抵当権を持っていた二つの金融機関の関係者に十分な情報を提供しないで回収を図ってしまった事案が発端でございます。

 そのことがございまして、その後、回収をしました三十三億の土地代金相当の回収額の中の約八億ぐらいに相当するのですが、当時の住管機構の担当者が、二つの金融機関との話し合いの中で、自分たちも特別保有税の免税について努力もするから、それについては、免税がそのまま続くか、あるいは免税が取り消されて課税されるか、それはともかくとして、我々にその金額を回収金として与えてくれないか、こういうことを申し上げて、その了承を得て、そのまま過ぎていた。

 ところが、その後、朝日住建と三井建設、買うというゼネコンとの間で、買うというゼネコンの三井建設の方が約束違反をして民都公団に所有権を移転してしまった。そうしますと、特別保有税の免税の要件が外れて、市税としてそれを徴収すべき堺市が徴収にかかってきた。そこで、朝日住建と三井建設の間でどちらが負担するかという問題が起きまして、そこで、民事上の調停が行われて、そういう不始末を起こした三井建設の方が朝日住建に税金相当額を支払うという和解ができまして、それを朝日住建がそのまま守って堺市に納税すれば問題は起きなかったのですけれども、それが滞っているということで、堺市がそれを言っている、こういうことだと思います。

原口委員 事は私はそう簡単ではないというふうに思っています。

 住管ですから、これはRCCの方に移ってきたわけですね。この回収案件というのは社長案件じゃございませんか。

松田参考人 お答えいたします。

 当時、住管機構にとりましては、関西における三大債務者でございましたので、当然、当時の中坊社長の直轄案件でございました。

原口委員 その中で、この土地は二筆に分かれている。そして、広い方の土地の第一抵当権者はだれですか。

松田参考人 二つの金融機関、これははっきり申し上げまして横浜銀行と明治生命であります。

原口委員 ここにすべての資料を手にしています。

 国策会社であれば何をやってもいいのか。あるいは、それこそ国民の皆さんの税金を一円でも減らそう、その御負担を減らそうということでRCCが頑張ってこられたことは、私は評価をし、これも予算委員会でも申し上げているところであります。しかし、私に泣くようにしておっしゃった方は、そういう非常に大きなカリスマ、大きな正義の中で、それぞれの回収の一つ一つの事案で泣いている人がたくさんいるんだと。そして、この不適切な事案も、今不適切な事案ということをおっしゃいましたけれども、私はこれは一個一個の証拠を積み上げていくと、不適切で本当に済むのだろうかというふうに思います。

 今お話しになった朝日と三井に対してはほとんど情報を渡さない。債権者に対してはほとんど渡さない。債務者とはいろいろな情報を通じて、さまざまな債権の回収を図ろうとしている。何回も何回も、これは国土法の違反ではないかと思われるようなことも、そんなことまでして回収をしようとしている。

 あるいは、実際には、今お話しになりました三井には売買金額を四十三億円と指導しながら、朝日と三井とRCCとの間では四十三億円ということを言いながら、第一抵当権者には三十三億円ですということをはっきり言っているじゃないですか。これは不適切な事案というのじゃないのじゃないですか。国策会社を私たち国民の税金でつくって、そして法律ができて、そして特別の権利を与えられて、片っ方には三十三億円、片っ方には四十三億円。しかも、三十三億円と思っていたのは、明治生命と横浜銀行と今おっしゃいましたね。第一抵当権者は金融機関ですよ。整理回収機構に対して、そのときは住管ですけれども、立場的にはそんなに強くないですね。私は、このことは、これからの金融行政を考える上でとても大きなことだというふうに思っています。

 もう一度お尋ねをしますが、この事案は不適切な事案で済むのかどうか、預保はどのようにお考えになっているのか、お尋ねを申し上げます。

松田参考人 先生の御指摘はまことにそのとおりであろうと思いますけれども、それであるがゆえに、昨年の暮れからことしの初めにかけまして、現在のRCCでは、社内に本件と全く関係もしない副社長を中心に調査委員会をつくりまして、厳正な事実調査をして、みずから二回記者発表を行って国民に謝罪をし、今後こういう不適切なことはしない、このように申し上げているところでございます。

 いろいろ経緯がございまして、いろいろなことがございますが、やはり何といっても、住管機構の仕組みが、欠損が出ると税金半分それから金融界の拠出金から半分で補てんするということになっておりますので、当時の社是としては、国民負担をかけまい、何としても回収をはやろうということで、少し気持ちがはやって、それでこういう間違いを起こしてしまった。そこは痛切に反省をしております。

 RCCにおいても、すぐに回収責任者会議を催しまして、これは厳正に反省をいたしましたし、コンプライアンス室及びコンプライアンス委員会をつくりまして、また弁護士に対しても改めてコンプライアンス意識に目覚めた弁護士活動をするように徹底を図っている、こういうようなところでございます。

原口委員 国是は国民に負担をかけないということでしょう。しかし、そのことと虚偽のことを言っていいということは全然違うんですね。

 さっきの延長もそうですが、法律はつくったけれども外部に運用をチェックするものがなければ、それはその運用の中で多くの人たちが泣き寝入りをするということが起こるのじゃないでしょうかということを申し上げているわけです。

 きょうは限られた時間ですからこれ以上申し上げませんが、金融担当大臣に最後に御所見をお伺いしたい。

 私たちは、与野党の垣根を越えて、それこそきょうの提案者のような若い方、あるいは御経験のある方々と一緒に、日本を何とか再生させようとやってきた。しかし、それで終わりじゃないですね。やはり法律をつくった後の運用というものもきっちり目を光らせておかないと。どんなに人気があって、どんなに国是を背負っていようが、そこには必ず目を光らせておかなければいけない、このように考えるのですが、金融担当大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 整理回収銀行、RCCに対しては、私ども預保を通じて監督権を有しておるということでございまして、今回のいわば不適切事案の発生はまことに遺憾だというふうに考えております。この上は、預保を通じてではございますけれども、このようなことのないように、ただそのいきさつを考えると、頭をかしげざるを得ないのですけれども、できるだけ回収したいという思いがこういうことまでさせちゃったのかなという感を私自身は個人的に持ちましたけれども、そういうことのないように指導していかなければならない、このように考えております。

原口委員 大臣から御答弁をいただいたところできょうはとめ置きますが、私はもっと根の深いものがあるというふうに思っていますので、また別の機会で御質問申し上げます。

 提案者、ありがとうございました。

 続いて、今回の短期社債等の振替に関する法律案、私は基本的にこの法案の趣旨というのは大事だと思います。スピードを競う、あるいはシステムを競う、そして今まで遅過ぎたぐらい、後発の、新たにシステムをつくってくるところの方が逆にゼロからつくれるから、それは大きな経済を持ち、伝統を持っているところがおくれるというのは、そういうときがあるわけで、そのことをいろいろ言うつもりはございません。先ほど、多層のシステムをつくって、そして社債や国債あるいは株式といったものを一元的にトレードできるようなものをつくろう、私はそのとおりだというふうに思います。

 ただ、この法案の問題点は、本会議で私指摘をしましたが、やはり、新たな天下りと思われても仕方のないようなものだと私は思うんです。この法律をよくよく読んでみると、なぜ大臣がこれを指定しなきゃいけないのか。三条、「主務大臣は、次に掲げる要件を備える株式会社を、その申請により、この法律の定めるところにより」云々、「営む者として、指定することができる。」なぜ指定なんですか。なぜ届け出じゃだめなんでしょうか。お答えください。

乾政府参考人 お答えいたします。

 新たな振替機関におきましては、短期に決済を進めるという観点から、ペーパーレス、それからここでの振替の移転効果を与えるということにしておりますけれども、そうした私法上の効果を持つ措置をこの機関に与えておりますので、そうした観点から、ここにおける業務運営が適切に行われるよう、最小限でございますけれども、必要な監督を行うという必要からそうした規定を置いているところでございます。

原口委員 そこまでおっしゃるんだったら、株式会社化するのはおかしいんじゃないですか。公益法人でいいじゃないですか。そしてもう一方で、今の財団法人証券保管振替機構、これも株式会社にするわけですね。矛盾していませんか。

乾政府参考人 そうした権能を与えるわけでございますけれども、日本の今後の証券決済システムを展望いたしましたときに、国債、社債、株券あるいはCPというさまざまな種類の有価証券につきまして、振替決済システムが、先ほどおっしゃいましたような多層的な行動でできることが望ましいわけでございますけれども、その場合に、一つにはいろいろな振替機関が並立して競争し得る状態、あるいはそれが効率的に運用し得る状態が望ましいことから株式会社化としたものが一つの理由でございます。

 もう一つの理由は、先ほどの御議論でもございましたように、振替決済システムという場合には、迅速に行うために、やはりコンピューターを初めといたしまして多額のシステム投資を必要とするわけでございまして、そのための資金調達ということを考えますと株式会社が望ましいというふうに考えたわけでございます。

 そして、民間における効率的あるいは競争的な決済システムの構築と、先ほど申しましたそこでの振替に一定の法的効果を与えるということの調和を図るという観点から、指定制ということにしたわけでございます。

原口委員 納得いかないですね。さっき自由をということを申し上げたんですが、民であれば何でもいいというわけじゃないと思うんですよ。これほど重要な、今何でRCCの事案を申し上げたかというと、RCCという国策会社、これだって株式会社でしょう。違いますか。ではどうやってチェックできるんですか。私たち国民が税金を出して一〇〇%株式を出している、こういう会社であっても今申し上げたような事案がある。

 私は、今多くの改革論議の中で見落としているものは、官は間違いを犯して民であれば何でもいいというのは、これはやはり結構乱暴な議論だと思います。

 二百五十一兆もあるものを国民に開放していく、それを減らしていく、このことを私は反対しているんではない。しかし、今のような形でやればチェックがきかないんじゃないんですか。この株式会社、だれがチェックするんですか。

乾政府参考人 振替機関につきましては、主務大臣、これは金融担当大臣ということになろうと思いますけれども、この主務大臣が、振替の業務を始めるに当たりまして指定をいたしますほか、重要な業務につきまして報告を求めたり検査をしたりする権能を最終的には担保しておりまして、そうした権能の行使等によりまして、この振替機関における業務が適切に運営されるように努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

原口委員 役所とこれ以上質問と答弁をするのはもうやめようと思います。全然答えていらっしゃらない。

 もう一つの証券保管振替機構、この役員報酬、プライバシーの問題があるというので、本会議場では、年収三千万とか年収二千万とか、そういうお話をしましたが、これは天下りじゃないですか。これを株式会社にしたら、この方々の三千万の給料はそのまま移るわけでしょう。違いますか、金融担当大臣。

柳澤国務大臣 結局、株主がどういう役員を選任するか、それからまた役員報酬について取締役会でどういう配分にするかということになろうかと思います。我々の監督権というのは、よほど法外な、らち外なことでない限り、恐らくそこまでは至らない、株主あるいは株主から選ばれた取締役の意思を尊重することになろう、このように思います。

原口委員 やはり今の答弁が、それは正確な答弁ではありますが、実態的には、ここにお二人の天下りの方がいらして、短期社債の振替機関としてまたもう一つできる。だから私は、大臣がわざわざ指定される必要はない、届け出でいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

柳澤国務大臣 やはり、一般の株式会社のもとでの会社の行為と異なって、特別な民商法上の効力というものを与えるということですので、私も、今原口委員の御質問を聞きながら、聞きながら初めて考えたわけではありませんが、改めて考えておったんですけれども、免許なのかなという感じですね。恐らくそういうようなことを勘案して指定法人という形式をとったんだろうと思います。

 少なくとも、ちょっと登録には仕事の内容が身に余るというか、少し無理な面があるんじゃないか、このように考えております。

原口委員 そうですね。免許なのかな。私は、せめて、百歩下がって、届け出がいけなければ許可でいいんだと思うんですよ。わざわざ大臣が、これは基本的な理念の違いかな。

 私たちは、今、税の民営化、アメリカなんかNPOが二〇%あります。だから、中央省庁に国税として払うお金、あるいは寄附に払うお金、税が選択できる。その自由化というものが必要なんではないだろうか。何でもかんでも優秀な官庁の方々が、自分が配ってあげるよというようなシステムをもうとるべきじゃないと思っているんです。

 ですから、この十年間の緊急経済対策についても、市場は何を見るかというと、五百兆のうち二百五十一もあるから、あるいは三百十もあるから、そこの上がり下がりを見るんですよ。それぞれの緊急経済対策が必ず株価に連動した、的確に打てば株価が上がったということを堂々と言う人たちがいらっしゃいますが、それは、実体経済がよくなって株価が上がったのか、それとも、そうではなくて、日本の市場というのは政府が大きな力、大きな歳出を持っているから、そこの動向に余りにも過敏に反応しているのか、どっちなんだろうというふうに私はずっと思ってきました。

 私自身の考え方は、そういう政府の歳出にいつまでも、塩川大臣のお言葉をかりるわけじゃないですけれども、一喜一憂するような経済はできるだけ早く卒業すべきだというふうに考えているんですが、大臣の基本的なお考えをお尋ねしたい。そして、日本の今の政府歳出というのは、大きな政府なんだろうか。自分たちの体力に比して大きいのか小さいのか、ここの前提から議論をしていかないと後の改革は全部違ってきますので、お答えをいただきたいというふうに思います。

塩川国務大臣 ずっと一連の問答を聞いておりまして、私も判断を迷っておることでございますけれども、現在は相当規模が膨らんできておるような感じがいたしております。

原口委員 マーケットについては政治はなかなか言えないでしょうから。きょうも、もうマーケットは閉まっていますが、今もう一万三千円を切り込むような勢いで下がっていたというふうに私は聞いたんですが、やはりしっかりと私たちがメッセージを出すべきことは、政府がやるべきことはここですね、それ以外のことはやはりマーケットに任せるという態度が必要なんではないかというふうに思います。

 とはいえ、今までのようにサービサーもなければ、あるいは証券のシステムもない。証券のシステムというのは、やはり損失をうまく分配していく、そういうシステムだというふうに思いますが、そういったシステムをつくるのは私たち政治の役割、あるいは政府の役割。しかし、それから先のことはまた違うんじゃないかというふうに思っているんですが、金融担当大臣、非常に総論的な質問で恐縮なんですが、お尋ねを申し上げます。

柳澤国務大臣 私もほぼ、原則的な考え方については、今原口委員がおっしゃられたとおりの考え方を持っております。

 要するに、経済にはリスクはつきものです。そのリスクを、今の日本の金融システムのように、間接金融という形を通じてほとんど銀行が背負ってきた。これはやはり限界が来たということだろうと思うんです。もっと、仕事を分担するという形で、エクイティーというか、資本の形での資金の調達というものが行われて、そしてそういう形でリスクの分散が図られるということがどうしても必要だろう、このように考えておりまして、その点で委員のお考えと一致しているだろう、このように思っております。

原口委員 その前提の上で、先ほど仙谷委員にお話になりましたが、主要十六行の引き当て額は十分である、それから不良債権の新規発生は減っている、これは本当なんだろうか、あるいは何を根拠にされているんだろうか。

 不良債権の最終処理、それと外国資本の直接投資をブッシュ・森会談、共同コミュニケで出されたときに、私はワシントンにおりました。与野党の超党派の日米議員交流プログラムで、多くの上下院のリーダーあるいは政府のリーダーとお話をしてきた。

 その中で、不良債権の最終処理というのは、やはりデフレッシブですね。本気でやろうとすれば、それは経済に対してマイナスの負荷を与える。だけれども、腐ったミカンが残りのミカンを腐らせてしまう。不良債権を持っているだけで、そのコストによってまた新たなコストを生んでいく。だからここは絶対通らなければいけないところだ。通らなければいけないけれども、そのときに米国政府はどういう対応をされますかと。米国経済が今減速をしている。三月ぐらいは割とパニックのような、本当はV字で回復するだろうというような予測があったところが、もうとてもそうじゃない、L字でそのまま低迷するんじゃないかというような危惧のときでございましたので、私たちは正直にパートナーであるアメリカの友人たちに、これはデフレッシブである、それで耐え切れずに内需拡大やあるいはさまざまな財政出動を求めてくるということであれば、また、右手に不良債権の大変な大きな山、左手に過剰流動性を抱えて綱渡りしているのは抜けられない。抜けられないのは、申しわけないけれどもアメリカにも、これだけ経済が相互に連関してくると大変な御迷惑をかけるから、そこのところはしっかりと認識が一致できるんだろうかというお話をしました。

 あのときは、私たちがこの委員会で、あるいは予算委員会で聞いていた額は、十六行の不良債権、いわゆる十二・七兆という額を聞いていました。そして、引き当ては十一兆、業務純益があればこれは処理ができる額ですということでございましたが、今仙谷委員の方から出した資料を見ると、果たしてそれでいいんだろうか。引き当て額は十分だというその根拠は何なのか、あるいは不良債権の新規発生は減っているというその根拠は何なのか、それをぜひ大臣に御提示をいただきたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 まず、不良債権が減っているということにつきましては、これは金融再生法開示債権のベースでちょっと言わせていただくんですが、十一年の三月末は二十一兆九千、ほぼ二十二兆円でした。それが十二年三月末は十八・五兆円になりました。そして、十三年三月末は十八兆円になりましたということで、ちょっとここへ来まして、先ほど来大変な問題になりました要管理債権が急に膨らんでしまったということがありまして、それを反映して実はちょっと減少のテンポが緩くなっているわけです。それは、私は、余り愉快に感じないというようなことを記者諸君に対しても申し上げたわけでございます。

 そういうことで、これらの債権については、しっかりした認識のもとで、引き当てがそれぞれに、決められた規律のもとで相当行われているわけでございますので、私どもとしては、この引き当てが行われているということについて何の疑問も持っていないということでございます。

 そして現在、我々の最終処理の対象になるのは十二・七兆円だったんですが、これが減りまして十一・六兆円になったわけでございます。これが、では二年間で処理できるのかということが問題なわけですが、この十一・六兆円というのはもう既に引き当てが相当済んでいるわけでございますから、したがって、結局、オフバランス化というものの原資は、引き当てと担保等の処分による回収、それからその追加損失としての償却なんです。この三つでございますので、したがって、この三つ目の償却がどのくらいになるかということでございます。

 その三つ目の償却がどうなるかというのは、担保等の処理による回収がどのぐらいのウエートを占めるかによって決まってくるわけですけれども、それはそんなに多くなるわけではないということでございますから、もう十一・六兆円の我々が対象とする債権を二年間で処理することは、金額的にいうと十分私どもはこれを処理できる足場にいるんではないか、このように考えているということ。

 それから、またちょっとこの不良債権がふえてきた、ふえてというのは新規の発生があったということですが、これも今回発生したものについては今回の決算で手当てが済んでいるわけでございますから、それがために赤字になったりしているということでございますから、これ以上にさらに何か業況というか財務状況が悪くなるということはございません。

 それから、新規の発生額が減っているというのは本当かということなんですが、これは前から言っているように推計が入っておるわけでございまして、私、何ともこれは、数字をここに持っていますから言いたいのですけれども、事務当局からそれを議会で言うことはちょっと差し控えてくれということを言われていますので控えますけれども、もう趨勢としてはっきりこれは減少しているということを申し上げたいと思います。

原口委員 事務当局がどうしてそういういい数字を出さないのかよくわからない。

 地価が、上がるところは上がっているけれども、しかし土地本位と言われるような状況というのは、そう銀行のビヘービアは変わってもいないし、土地がそんなに劇的にも上がったとは思えない、むしろ下がっていると思いますよ。そういう中でデフレ傾向がずっと続いていけば、自然にまた新たな不良債権が積み増すんじゃないか。だから、いろいろなつらい思いをしながらも、また同じ目に遭うんじゃないかという心配をしている。ところが、今そうじゃないという数字をお持ちであるのであれば、私は、それこそ出していただければいいと思うのですが、いかがですか。

柳澤国務大臣 原口委員のようにいろいろなものに通じていらっしゃる方にこんなことを言うことは大変恐縮なんですが、例えば地価の下落というのは、既に引き当ての前提になっている担保価値の減少につながるわけでして、それは何を意味するかというと、不良債権の増嵩に結びつくのではなくて、所要引き当て額がふえるという形になるわけでございまして、地価が下落するから不良債権がふえるということではないというふうに私は理解しているわけでございます。

原口委員 私は、額自体は、今の銀行のビヘービアだとやはりふえていくと思うのですよ。

 非常に苦しい答弁で、何でそれが出てこないのかいよいよ怪しくなったのですが、だけれどもちょっと時間がございませんので、きょうはそこでとめ置きます。何でなのかというのは、今のこの私の反射神経ではわからない。どうしてそれが今のようなお答えになるのか。

 それで、ちょっと最後に。私、この四十五分間、かなり言葉に気をつけながら慎重に質問をしてまいりました。政治家の言葉というのはとても大事だと思います。塩川大臣が道路特定財源に踏み込んだお話をされた。大変な勇気だと思います。私たちはそのボールを今受けようということで、それこそ暴投かもわからない、本当の剛速球かもわからない。バックネットの上にまで上って捕まえなきゃということで、党内で一生懸命議論をしているのですが、一体、道路特定財源は国税としては三つございますが、そのどれをどのように変えようとお考えなのか、そしていつまでにそれを、私たちはこう変えるんだということを発表なさるというのか、お尋ねをしたい。

 これは私たちの政策にも、私は、中央のテクノクラートの数をもっともっと減らせばいいということは、ちょっとこれは今疑問に思っています。むしろそれよりも、公社、公団、特殊法人を含めた、あるいは地方にもさまざまな借金があるわけですが、そういったところに思い切りメスを入れなきゃいけない。そのためにも、この道路特定財源は恐らく避けて通れないだろうというふうに思っています。

 議論の前提となるものをぜひお示しいただきたいと思うのですが、いかがですか。

山口委員長 その前に。

 ちょっと乾局長、先ほどの発言の訂正を。

原口委員 いや、ちょっと時間がないから結構です。間違っているのはわかっています。どうぞ。

山口委員長 柳澤金融担当大臣。

柳澤国務大臣 間違っていると言われて、私は立場がありません。

 いいですか。どういうことかというと、不良債権額というのは、根っこからの金額なんです。ですから、もう一分類であっても不良債権とされるわけです、不良債権の金額の話としては。したがって、要するに、担保価値が下がるということは、その不良債権に対する要引き当て率が高まるということだけなんです。不良債権額全体がふえるわけではありません。

山口委員長 違う話なんで。

 乾局長、もう簡単に。

乾政府参考人 申しわけありません。

 先ほどの証券の振替決済機関のところの答弁で、私、主務大臣を金融担当大臣と間違って申し上げましたけれども、主務大臣は内閣総理大臣及び法務大臣でございまして、さらに、内閣総理大臣の権限は、政令で定めるものを除き金融庁長官に委任されることになっておりますので、訂正させていただきます。申しわけありませんでした。

塩川国務大臣 どの財源を充てるかということでございますけれども、まず、自動車重量税というのがございますね。あれが約一兆円近くございますが、あれは、国と地方と配分が決まっております。その国の配分の分については、その八割は道路財源相当と思うて道路関係に使うということになっておりまして、あとの一部は自由に使う、こういうぐあいになっておるのですけれども、その八割の分が、私は、都市開発の面に思い切り使えるのではないか、こう思っております。

原口委員 ありがとうございます。

 私は、道路特定財源そのものをもう見直しすべきときに来ている。今おっしゃった重量税についても、なぜこれほど多くの税を国民から、一般ユーザーから取っているのか、そういう疑問もあります。あるいは、タックス・オン・タックスということも言われている。これを抜本的に見直すということが必要だというふうに思います。

 もう一個、それをいつまでに具体的なものを出されますか。総理は、私が伺うところによると、参議院選挙前にしっかりとした方針を出すということをおっしゃっていると思いますが、いかがですか。

塩川国務大臣 内容につきまして、先ほど自動車税を申しました。そのほかに、それぞれ揮発油税だとか軽油引取税といろいろございますが、それに伴いまして、多少はその税源の趣旨に沿った面に活用もしていきたいと思っておりますので、自動車重量税だけではないということを御認識いただきたいと思っております。

 それで、いつまでということでございますけれども、私たちの今進めております作業からいいますと、最終的には概算要求のときに明確にいたしたいと思っておりますけれども、総理の言っておりますことは、特定財源も多様化していく、特定財源も変えたい、そして将来は一般財源化したいという方針を打ち出しておるのでございます。その中身については、総理の方でもまだ確かなものはございませんで、それの分につきましては財務省が担当いたしまして、各省と、そして各機関、政党等と協議した上で決めたい。その時期につきましては、私は少しおくれるのではないか、早急にはできないと思っておりますが、先ほども申しておりますように、概算要求までにはこれを皆さんに公示しなければならないと思っております。

 したがいまして、参議院選挙のときにはこういう財源の見直しを図って多様化していくということは申し上げたい、こういうことであります。

原口委員 本当に、恐れず、ひるまず、とらわれず、大事なところはきっちりやっていただきたい。

 ただ、私は、改革を見ていますと、やはりチームを持った人たちが改革しているんですよ。私は専門が心理学なんですが、小泉総理の一つの文章というのは五秒以内、とても短い。非常にテレビの時代に合っています。そして、その手法は、割とスケープゴートというか、明確な敵を目の前に提示して、それを打ち倒す。それが党内であろうが、連立与党内であろうが、野党であろうがお構いなし。そういうダイナミズムについては、私は率直に評価をしていいと思う。ただ、これを外交でやったときにはどうなるんだ、それはできないだろうというふうに思います。

 外交機密費のことを聞いたときに、福田官房長官は私に、各省庁が首脳外交のときには官房機密費からもお金をもらっているということをおっしゃった。それは今週の予算委員会でもそうおっしゃっている。

 これは、財政法上何になるんですか。移用になるんじゃないですか。予算の移しかえ、あるいは移用、それを官房長官が認めたことになるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

村上副大臣 原口委員の御質問にお答えしたいと思います。

 外務省の報償費については、外務省において、情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開する経費という目的に従って適正に使用されているというふうに聞いております。

 いずれにしても、外務省の報償費の具体的使途については承知していないため、財務省としては、御指摘のような仮定の御質問についてはお答えを差し控えさせていただきたい、そういうふうに考えております。

原口委員 全く違う答えを村上副大臣ともあろうものが、私は内閣官房費のことを言ったんですよ。福田官房長官がおっしゃったのは、内閣官房費を、各職員が外に外遊しますね、そのときの差額分に使っているということをおっしゃっているんですよ。別に仮定でも、僕がつくった話でも何でもない。

 それは移用になるんじゃないのか、あるいは移しかえになるんじゃないですか。財務大臣、もう副大臣は結構ですから、どうぞ。

塩川国務大臣 私、福田官房長官が言ったことは、そのときには立ち会っていなかったように思いますが、言ったというならば、福田官房長官がどう言ったかわかりません。私は、少なくともそんなことの記憶はございません。

原口委員 これはテレビにも出ているんですよ。あなたが立ち会っていないわけないじゃないですか。だって予算委員会ですよ、二十八日の。ちょっと今誤解して御答弁なさった。多分、御自身が十三年前かの官房長官のときのことに立ち会ったか、立ち会っていないかをおっしゃったんだ。

 ちょっと調子が狂いますけれども、私が質問しているのは、今週の二十八日の予算委員会の私の質問に対して、こうやって官房機密費に出していると。「各省庁も首脳外交で行っていただいた方にはすべて官房機密費で出している、こういう認識でおったわけです。」と言われているわけです。だから、これは財政法上何ですかということを伺っているわけです、財務大臣として。

塩川国務大臣 報償費の具体的な使用に当たっては、官房長官の責任と判断のもとでこうした報償費の目的のとおりに使っておりますので、総理が外国訪問の際の宿泊費の差額への充当等については、首脳外交を円滑、成功させるために外交団の活動条件を整えること等を目的として官房長官の責任と判断のもとで使用されたものと聞いており、財政法上の違法であるとは考えておらない、こういうことでございます。

原口委員 そんなふうにはなっていないんですよ。財政法を、財務大臣がそんなふうにおっしゃるんだったら、予算の移しかえですよ、これは。財政法上の第二十二条、あるいは移用だとする、予算の移用、これはいずれも国会の議決が必要なんですよ。

 これは、法的に言うと何があったかというと、流用しているんですよ。財政法の違反を犯しているんです。だから一年半ぐらい前にシステムを改めたんじゃないですか。答弁として正しいのは、それまでは流用していました、財政法の違反をしていましたということじゃないですか。私は、そういう野方図な財政のあり方、このことが今問われているというふうに思います。

 また、あのときは随分、塩川大臣御自身の御発言について、心理学的に言うと、忘れたという答弁はここではやはりもうできない。そして、錯誤であったというのは、錯誤というのは何かというと、AというものとBというもの、それを入れかえた。では、何と何を錯誤されたのか。

 新聞にはこういうふうに書いてある。「野党、スネに傷?」「二十八日の衆院予算委員会で追及したのは共産党だった。同党を除く各野党は、これまでも、この問題にほとんど触れておらず、「スネに傷があるからでは?」と国民から見られても仕方がないような状況になっている。」私、ちゃんと質問したんですけれどもね。えらい迷惑なんです。

 私は、この責任をおとりになるべきだと思う。予算委員会で忘れたとおっしゃった。あるいは、財務委員会ではこれは野党との勉強会費に使ったとおっしゃった。ちゃんと覚えていらっしゃるんです。

 大臣、私は、御自身の政治姿勢や政策、そういったことについて申し上げているのではありません。しかし、政治家たるもの、これほどのことを言うに当たってはやはり責任をとるべきだ。これを与党も野党も逃していたのでは、不問にしていたのでは、国会は何のためにあるのか、それが問われているんですよ。いかがですか。

塩川国務大臣 その面につきましては、二十八日の予算委員会で私自身が答弁しておりまして、錯誤であり、私も間違ったことを申し上げたかもわからぬので、反省をしておるということを申し上げた次第です。

原口委員 私は、反省で済むような話じゃないと思う。現ナマで配ったとおっしゃっているんですよ。それも、錯誤というのは、一回一回の新たな刺激が入ってきて、そしてそれが、ああ言い違えたと。言っちゃいけないけれども、さっきの副大臣のような答弁、これは錯誤でしょう。ごめんなさいね。

 そうじゃないんですよ。同じことを何回も何回も公共の電波で言うというのは、これは錯誤ですか。錯誤じゃない。それは、きっちりとしたことをおっしゃっているんですよ。正しいことをおっしゃっている。そうじゃないんだったら、ああいう公共の電波でこんなことを言っていいとはとても思えない。それを謝って済むような話じゃない。責任をとっていただきたいと思います。いかがですか。

塩川国務大臣 私は、だから二十八日のときにも予算委員会で、それを反省するということで取り消しております。

原口委員 この金融の問題で慎重に慎重に言ってきたことは、これもCSやBSか、テレビに出ていますよ。だから、柳澤大臣と答弁をしてきたことは、一言一句違わないように、そして無用な心配を起こさないように、慎重に慎重にやってきました。それが政治家としての務めじゃないでしょうか。

 内閣は国会と連帯して責任を持つ。私たちは皆さんと責任を持たなきゃいけない。それからすると、今のような答弁では絶対納得がいかない。もう一回お答えをいただきたい。

塩川国務大臣 先ほど申しましたように、二十八日の予算委員会におきまして、私は、そのことにつきまして弁明もいたし、反省をしておるということを申し上げた次第であります。

原口委員 終わります。

山口委員長 次回は、来る六月五日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十九分散会




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