衆議院

メインへスキップ



第11号 平成13年11月28日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年十一月二十八日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 奥山 茂彦君

   理事 佐藤 剛男君 理事 根本  匠君

   理事 海江田万里君 理事 中川 正春君

   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君

      大野 松茂君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    七条  明君

      砂田 圭佑君    竹下  亘君

      竹本 直一君    中野  清君

      中村正三郎君    林田  彪君

      牧野 隆守君    増原 義剛君

      山本 明彦君    山本 幸三君

      渡辺 喜美君    五十嵐文彦君

      生方 幸夫君    江崎洋一郎君

      河村たかし君    小泉 俊明君

      佐藤 観樹君    末松 義規君

      永田 寿康君    長妻  昭君

      牧野 聖修君    青山 二三君

      久保 哲司君    斉藤 鉄夫君

      白保 台一君    谷口 隆義君

      東  順治君    若松 謙維君

      中塚 一宏君    佐々木憲昭君

      吉井 英勝君    阿部 知子君

      植田 至紀君

    …………………………………

   議員           相沢 英之君

   議員           津島 雄二君

   議員           金子 一義君

   議員           塩崎 恭久君

   議員           根本  匠君

   議員           谷口 隆義君

   議員           石井 啓一君

   議員           小池百合子君

   財務大臣         塩川正十郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   財務大臣政務官      中野  清君

   財務大臣政務官      林田  彪君

   参考人

   (株式会社富士銀行頭取) 山本 惠朗君

   参考人

   (株式会社三和銀行頭取) 室町 鐘緒君

   参考人

   (弁護士)        椎名麻紗枝君

   参考人

   (獨協大学法学部教授)  高木新二郎君

   参考人

   (株式会社整理回収機構代

   表取締役社長)      鬼追 明夫君

   参考人

   (日本銀行総裁)     速水  優君

   財務金融委員会専門員   白須 光美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  佐藤 観樹君     牧野 聖修君

  谷口 隆義君     久保 哲司君

  若松 謙維君     青山 二三君

同日

 辞任         補欠選任

  牧野 聖修君     佐藤 観樹君

  青山 二三君     若松 謙維君

  久保 哲司君     白保 台一君

同日

 辞任         補欠選任

  白保 台一君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  斉藤 鉄夫君     東  順治君

同日

 辞任         補欠選任

  東  順治君     谷口 隆義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(相沢英之君外七名提出、衆法第四号)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 相沢英之君外七名提出、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、参考人として、株式会社富士銀行頭取山本惠朗君、株式会社三和銀行頭取室町鐘緒君、弁護士椎名麻紗枝君及び獨協大学法学部教授高木新二郎君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、大変御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場からどうか忌憚のない御意見をお述べいただきますように、心からお願いを申し上げる次第でございます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、山本参考人、室町参考人、椎名参考人、高木参考人の順序で、お一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。

 それでは、まず山本参考人からお願いいたします。

山本参考人 御紹介いただきました富士銀行の山本でございます。

 本日は、私ども銀行が不良債権を処理する際に活用させていただいております整理回収機構に関する審議にお招きをいただきまして、当機構の機能拡充について意見を申し述べる機会をちょうだいいたしましたことに対しまして、まずもってお礼を申し上げたいと思います。

 それでは、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案につきまして、私の意見を申し述べさせていただきます。

 まず、いわゆるRCCに対する不良債権売却の現状について、御説明申し上げます。

 私ども金融機関が不良債権をRCCに対して売却しておりますのは金融再生法第五十三条に基づくものでございまして、売却に関する手続や条件等につきましては、同法並びに金融庁の告示により定められております。

 枠組みについて申し上げますと、買い取り方式については金融機関からの申し込みによる相対方式となっておりまして、入札方式は現在は認められておりません。買い取り債権につきましては、債権残高が一千万円未満の先や医療法人等の公的性格を有する先は対象外となっておりまして、買い取り頻度につきましても、毎年三月と九月の二回に限られております。また、申し込み受け付けから買い取り実施までが四カ月から五カ月程度かかっているのが現状でございます。

 このような枠組みの中で、私ども銀行は、権利関係の複雑な先など一般の投資家にとっては入札に参加することが難しい債権を中心に買い取りの申し込みを行っております。

 また、当行の持ち込み実績について申し上げますと、平成十一年上期から平成十三年上期の間、二年半になりますが、この間に約五千億円の不良債権を売却いたしておりますが、そのおよそ一割に当たる五百六十億円がRCCへの売却というふうになっております。

 一方、債権売却の具体的手法について見ますと、通常は複数の不良債権をまとめて売却するいわゆるバルクセールという形態をとることが多く、また、入札方式による売却が大宗であります。

 例えば私ども銀行の場合、不良債権売却のうちRCC以外への売却はほとんどすべて時価ベースでの入札方式により行っており、入札時には複数の民間投資家、サービサーに声をかけ、最高値をつけたところに債権を売却いたしております。また、買い取りの申し込みから実施までの期間についても、RCCが先ほど申し上げましたように四カ月から五カ月程度かかるのに対しまして、民間投資家の場合は三カ月程度で対応できているのが実態でございます。

 このように、不良債権売却の現状を見ますと、現在のRCC五十三条買い取りの枠組みは改善の余地が残っており、私どもとしてはRCCを活用しようにも実際のところ限界があると申し上げざるを得ない状況であります。結果としまして、不良債権の売却額に占めるRCCへの売却額が、先ほど申し上げましたとおり、全体の一割程度と限定的なものになっているのが現状であります。

 こうした実態を改善すべく今回の法改正の御審議が行われているものと認識しておりますが、まず入札への参加を可能とする買い取り方式の多様化に関しまして、意見を申し上げます。

 本改正案は、RCCが我々金融機関から不良債権を入札方式でも買い取ることができるよう手当てするものでございまして、これまで申し上げましたとおり、不良債権売却の現実に照らして考えますと、RCCのユーザーとして歓迎すべきものと考えております。

 次は、売却価格を時価とする価格決定方式の弾力化ということについて意見を申し上げます。

 現状、RCCの買い取り価格は、担保の処分価格をベースとした水準に設定されておりまして、実態として市場で取引されている売却価格よりかなり低い水準となっております。我々ユーザーとしましては、経済合理性の面から、より高い価格をつける投資家やサービサーに不良債権を売却するというケースが一般的になりますが、こうした価格水準の低さがRCCの活用を権利関係の複雑な債権など限られたケースの不良債権処理方法にとどめている主な原因の一つとなっていると考えております。

 こうした実態の中、法案が可決され、RCCが民間投資家並みの入札価格を提示できるようになりますと、不良債権をRCCに売却する機会が増加するのではないかと考えております。

 以上、法案の項目のそれぞれについて私の意見を申し述べさせていただきましたが、入札への参加を可能とする買い取り方式の多様化及び買い取り価格を時価とする価格決定方式の弾力化、この二つが実現いたしますと、RCCを不良債権処理に一層活用できるようになるのではないかと期待しているものであります。今後、RCCを不良債権売却の入札に招聘するなど、積極的に活用していきたいと考えております。

 最後に、債権売却時の判断基準について、一言申し添えます。

 私どもとして、不良債権をどのような方法で処理するかは、個別債務者ごとに十分な見きわめを行い、最も適切と判断した方法をとるものでございまして、重要なポイントの一つは経済合理性があるかどうかということでございます。これはRCCへの売却についても同様でございます。したがいまして、今後RCCが活用されるかどうかは、いかにプライシング能力を高めていくか、信託業務や企業再生業務といった新機能を円滑に立ち上げていくか等にかかってくると考えております。

 私どもといたしましても、従来よりRCCに対して人材派遣等を通じて全面的な支援協力体制をとっているところでございますが、今後とも、こうした協力体制を堅持してまいりたいと考えております。

 いずれにせよ、今回のRCCの機能拡充によって、不良債権を最終処理する手段が拡充することになると期待しております。

 簡単ではございますが、以上でございます。ありがとうございました。

山口委員長 どうもありがとうございました。

 それでは次に、室町参考人にお願いいたします。

室町参考人 ただいま御紹介いただきました三和銀行の室町でございます。

 衆議院財務金融委員会に参考人としてお招きいただき、意見を述べる機会をちょうだいいたしましたことにつきまして、まず厚く御礼申し上げます。

 本日は、金融再生法の改正の御審議に際し、民間金融機関の経営に携わる者として考えるところを述べさせていただきます。

 その前に、先般の対外発表で既に御高承のとおり、私どものグループの今年度決算が、抜本的な不良債権処理を主因として大幅な赤字の見通しとなりましたことを、まことに申しわけなく思っております。

 不良債権問題につきましては、私どもといたしましても、まさしく最大の経営課題と認識し、積極的に処理を進めてまいったつもりではございますが、なお甘いとのおしかりを各方面からちょうだいし、また先生方に大変な御心配をおかけいたしておりますことを深くおわび申し上げる次第でございます。公的資金をお借りしている立場といたしまして、不退転の覚悟で不良債権処理の完了に邁進してまいる所存でございます。

 さて、本日は、その不良債権処理の促進に向けた整理回収機構、いわゆるRCCの機能強化に関する法案審議ということでございますので、まず私どもの不良債権処理への取り組みについて申し述べさせていただき、しかる後に、法案に対する私見を申し述べたいと存じます。

 初めに、企業向け債権が不良化した場合、私どもがどのように対処しているのか、簡単に申し上げたいと思います。

 通常は、第一に、当該企業の事業内容と業況を正確に把握した上で、その企業とともに合理化、リストラ策、再建に向けた事業計画、借入金の返済計画等を策定いたします。企業がそうした諸施策を履行し、収益力を高めてまいる過程で貸出金を返済いただくというのが最も典型的な処理方法でございます。過去数年にわたり、私どもといたしましても、このような方法で相当数の企業の再建を支援しつつ、不良債権の減少に努めてまいりました。

 最近では、私ども銀行側の主導のもと、不振企業の有望な一部門を分離、戦略的パートナーから出資を仰いだ上でジョイントベンチャー化し、再生の大きな柱にするといった手法も用いております。非常に大きな将来性がありながら、不振企業の内部にあってはなかなか収益ビジネスに育成し得なかった事業に焦点を当て、銀行の情報力も活用しながら、パートナーとのシナジー効果によって高収益化を図ろうとするもので、いわゆる選択と集中という再生ビジョンの好事例であると申せましょう。

 また、企業の再建計画を策定する際、優良事業と不採算事業とを峻別することで、会社を優良会社と清算会社とに分離するという新たな手法も取り入れております。優良会社に対する債権を正常化させる一方で、清算会社につきましては、保有する資産の処分を行った上で清算手続をとるといったプロセスを踏むことになりますが、こうした手法による再建予備軍も次々と控えております。

 さらに、債務過多の企業の再建に際し、私どもが保有する債権額の一部を当該企業の株式に転換するデット・エクイティー・スワップ等、欧米スタイルの高度な金融技術についても研究を重ねてきておりまして、これらを活用した企業再建が間もなく実現を迎えようとしております。

 一方、不良債権のオフバランス化につきましては、債権を塊としてまとめて外資等に売却するバルクセール、不良債権を資産担保証券に組成し投資家に販売する証券化、こういったものを実行しております。本日の御審議の対象となっておりますRCCへの売却も、オフバランス化の一つの方法と理解いたしております。

 さらには、こうした銀行本体での対応はもちろんのこと、私どもでは独自にサービサー会社や不振企業再生のための会社などを設立し、効率的な債権回収、企業再生に向けて、グループ一体となって取り組んでいるところでございます。先日発表いたしました、外資との提携による不良債権処理アドバイザリー会社の設立なども、早期に抜本処理するための新たな取り組みでございます。

 一方、RCCを活用した不良債権処理につきましては、私ども三和銀行の利用実績はこれまで低調にとどまっております。

 この最大の理由は、何と申しましても買い取り価格が低過ぎるためであります。具体的に申し上げれば、一般的なケースでは、買い取り価格は担保評価額から一律四〇%減価されます上に、残額の一五%を経費として差し引かれます。さらに、権利関係の複雑さの度合い等、案件ごとの個別事情も勘案されます結果、平均的な買い取り価格は当初債権額の数%になっているようでございます。

 このように、いきなり大幅な減価が確定するRCCの利用は、他の手法に比してどうしても優先度が下がらざるを得ないというのが実情でございます。また、買い取りが年二回に限定されておりましたことなど、手続面での使い勝手の悪さも利用が広がらない一因となっておりました。

 こうした現状を踏まえまして、今回の法改正に関する私どもの見方を申し述べたいと存じます。

 まず、今回のRCCの機能強化に向けた改正法案は、日本経済の喫緊の課題である不良債権の早期処理と経済再生という目的にかんがみますれば、まさしく時宜にかなったものであると存じます。先生方を初めといたしまして関係の方々のお取り組みに、まずもって感謝の意を表する次第であります。

 次に、個別の内容について何点か申し上げたいと思います。

 まず第一は、買い取り価格面についてでございます。先ほど、最大のポイントは価格であると申し上げましたが、今回の改正案で買い取り価格が時価とされましたことは、RCCへの不良債権売却の可能性を大きく広げたものと考えます。

 次に手続面についてですが、買い取り対象債権の拡大、RCCの入札参加等は、いずれも金融機関側からの使い勝手がよくなるものでございます。既に、買い取り頻度の増加あるいは提出書類の簡素化につきましても別途措置がなされましたので、今回の法改正とあわせまして、実務面でも大きな前進が見られたと申せましょう。

 また、今回の措置におきましては、企業の再建もRCCの機能の一つとされており、企業再建ファンドの組成も視野に入っておりますが、こうした機能が付与されることは大変意義のあることと存じます。今後の具体的なスキームの確定を待ちまして、民間金融機関としてどのような形で参加できるのか、検討させていただきたいと思っております。

 以上、金融再生法改正法案の御審議に際し、私どもの考えを述べさせていただきました。

 不良債権処理につきましては、今後、私的整理も含めた自力の回収、再生と、法的整理による処理、RCCを利用した処理という三つの柱で進めていくことになると思われます。どのスキームを利用するかにつきましては、債務者の状況、回収の可能性等、個別の事情を総合的に勘案いたしまして、最も効果的な方法を選択していくことになろうかと存じます。

 私どもは、これまで金融機関に向けられてきたさまざまな御批判や御意見を改めて謙虚に受けとめ、不良債権を積極的かつスピーディーに処理することにより、一刻も早く経営健全化を完了できますよう全力で取り組んでまいる覚悟でございます。

 以上をもちまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。先生方におかれましては、今後とも御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。

山口委員長 どうもありがとうございました。

 次に、椎名参考人にお願いいたします。参考人、どうぞ。

椎名参考人 ただいま御紹介いただきました弁護士の椎名でございます。

 今お二人の参考人は不良債権を回収する債権者の側で御意見を述べられたわけでございますが、私は不良債権の回収を受ける債務者の側から、この法案についての若干の意見を述べさせていただきたいと思います。

 それから、こういう機会に私をお招きいただきまして、参考人として意見を述べさせていただく機会をいただきましたことに対して、本当に心から感謝申し上げます。ちょっと一言、忘れてしまいました。

 私の方は不良債権の回収を受ける個人債務者の立場ということで、今回問題になっております金融再生法の改正法案を見させていただきますと、五十四条一の二に、当該資産に係る債務者の可能性を早期に見きわめ、その可能性のある債務者については速やかな再生に努めるという債務者についての文言がありますけれども、これはいろいろ調べてみますと、あくまでもこれは企業再建ということが主体であって、年金暮らしの、本当に生活、その日に追われているという高齢の個人債務者については想定されていないということのようでございます。

 そういう意味では、私は、若干この法案の趣旨には外れるかもしれませんけれども、今不良債権の処理の現場で、一番にひどい、つらい思いをしているのは個人債務者の側でございますので、そのことについて意見を述べさせていただきまして、こういう銀行被害者の存在について認識していただきまして、被害者が存在するのであれば、ぜひ国会としてはこの救済に手助けをしていただくということで、法案の御準備もしていただきたいということでお願いしたいと思って私の意見を述べさせていただきます。

 今本当に、不良債権の処理ということで、ここ数年競売事件は大変ふえております。その中の多くは、個人債務者に対する競売ということになっております。ほとんどの方が御高齢で、自宅を競売にされて、自宅を追われて住む家がなくなってホームレスになる、あるいは一家離散する、あるいは自殺せざるを得ないという状況に追い込まれているのが実態です。

 先日も、私が御相談を受けている方が、九十三歳の御高齢になるお年寄りのお母さんがいらっしゃって、病気で寝たっきりなんですけれども、銀行の方は、ともかく強制執行で明け渡しを求めるんだからということで、救急車とそれから医者まで手配して強制執行を強行しようということをされました。そういうことが本当に日常茶飯に全国各地で起きているわけです。

 私は、これが本当に個人の自己責任であれば、これはあるいはいたし方ないというふうにも思うのです。ですけれども、私が知っている御相談を受けている方たちのほとんどは、本当にこれが個人債務者の自己責任だというには余りにもひど過ぎるというのが実態なんです。

 それはどういうことかと申しますと、御承知のように、きょう両銀行の頭取がいらっしゃっていますけれども、バブルのときに、銀行がお金が余っているということで、本当に借金の必要のなかった人にいろいろさまざまな提案融資をして、中には変額保険、不動産共同投資、立体駐車場とかクラシックカー、本当によく考えたと思うような提案を、銀行がみずから率先して、借金の必要のなかった人に押しつけて融資しているというのがたくさんありました。

 私はそういうことについて御相談を受けてもう十年ぐらいになりますけれども、いろいろ調べてみると、それは本当に大変な数に上るということがわかりました。この変額保険とかそういったことで貸し出ししているローンというのは大型フリーローンなんですね。大型フリーローンというのは、調べてみますと、百万件売られているということがわかりました。百万件というのは本当に大変な数だと思うのです。

 そういうことで、私どもは、個人の弁護士や個人の被害者が裁判所とかそういったところに訴えてもとても解決できる問題ではないということから、九六年に銀行の貸し手責任を問う会を発足させました。私どもは、これは本当に大変な被害になるから、私は、恐らくこれは銀行だって大変な問題を抱えているんだ、やはり銀行が体力のあるうちにこの問題を解決しなかったら弱い人にしわ寄せが来るんじゃないかということを実感として感じました。

 ですから、九六年に発足したときに、私どもは大蔵省に対して、不良債権の、とりわけ個人債務者の不良債権の実態を明らかにしていただきたいということを何度も何度も要請いたしました。しかし、大蔵省の方は一顧だにしなかったんですね。

 九九年に、海江田先生を中心として四十四名の衆議院の先生方が、銀行被害の実態を解明しようということで予備的調査に立ち上がっていただきました。ですけれども、銀行も大蔵省も金融庁も、それについて本当に誠意のない回答だったと私は思います。地銀についてはきちんと回答しているわけですから、大手都銀が回答できないはずはないと私は思うんですけれども、大手都銀からはデータがないからということで回答を拒否されました。

 ですけれども、その中で明らかになったことは、まだ六十万件からの大型フリーローンの債務が残っているという現実なんです。そういう人たちに対して、今銀行は、不動産を担保にとっていれば自宅等について競売をかけてきている。それで、私のところに手紙が来ている方の中には、本当に、御夫妻で薬を飲みながら、競売にかけられて、もう生きている勇気がないということで、薬を持ってさまよったという手紙もありました。

 本当に人生をまじめに働いて、一生懸命日本の社会に尽くしてきた人たちなんです。それを老後になって、本当に人生の最後になって、競売にかけて自宅もなくしてしまうなんというのが、日本の社会がこういった人たちに対する報いるやり方なのか、本当に怒りを覚えます。そういう実態をぜひ国会の方では明らかにしていただきたい。この被害の人たちに対して、ぜひ救済の手を差し伸べていただきたいというふうに思うのです。

 それについては、私は、金融ビッグバンの先進国、モデルケースであるイギリスでは、実際にはいわゆる年金についてのミスセリングの問題で百五十万からの被害者がいたわけですけれども、その被害者の人たちを丹念に追跡して、その救済の、解明に当たられたんですね。どうして日本がそれをできないのかと私は思います。イギリスができたことが、なぜ日本にできないのかと思います。イギリスでは、そういう百五十万人の被害者の人たちを克明に調査して、その人たちに対して調査しなかった企業に対しては罰則を科すという厳しいことをやっているわけですね。それをぜひ日本でもやっていただきたいというふうに思います。

 それで、この年金ミスセリングについては、補償コストだけでも四十億ポンド、あるいはその二倍にも上るコストがかかっているということですけれども、それをイギリスはやはり果敢にやり通したわけです。その反省に立って金融市場法の改正に至ったというふうに聞いておりますけれども、やはりそういったことも、金融ビッグバンを見習うのであれば、そういった被害者の救済に対して率先してやっているイギリスのやり方も見習っていただきたいというふうに思います。

 それからもう一つですけれども、こういう被害者の人たちに対して、文句があるんだったら裁判に訴えればいいじゃないかとよく金融庁や大蔵省から言われます。でも、それは裁判の現状を知らないからそんなことを言っているんだと思います。裁判の現状ではどうしてそれが難しいかといいますと、全部、銀行被害者の側が立証しなければいけないんですね。銀行被害者の側には証拠も何もないわけです。銀行が持っている証拠を出してくださいというふうに言っても、銀行は出してくれない。裁判所は、それを出さなくてもいいと言うわけです。武器は全然対等じゃないんです。こんな裁判だったら、本当に被害者が勝てる事件だって勝てないというのが現実なんですね。

 それから、山本幸三先生などが一生懸命やられた特定調停制度につきましても、実際は、特定調停制度は個人の債権を更生するということでつくられた法律ですけれども、あくまでも金融機関の合意がないと調停がまとまらないということになっているものですから、非常に金融機関はかたくなな対応をして、調停成立件数は二割ぐらいになっているというのが現状なのですね。

 そういう意味でいえば、私は、やはりこれもまたイギリスになりますけれども、イギリスのようなオンブズマンということをぜひつくっていただいて、このオンブズマンというのは、公平で中立な第三者機関が、いろいろな情報を銀行や金融機関から提供させて、その中で公平な妥当な解決を図るというものです。オンブズマンのなされた決定に対しましては、消費者の側がそれを合意する、納得したということで意思表示をした場合には、金融機関はそれに対して不満であっても合意をしなければならないという片面的拘束性を持たせた制度なんですね。これは、金融機関と消費者の側では、情報の格差において、力の格差において大変な大きな違いがあるからということで、そういった片面的拘束性を持たせて実質的な平等を図ろうというものです。

 ですから、ぜひ財務金融委員会でも、この個人被害者が、今、本当に家もなくなるという方たちが、きょうも傍聴にたくさんおいでになっています。そういう人たちを救済していただくということがやはり国会の本当のお仕事ではないかというふうに思いますので、ぜひ、実態の調査とあわせて、救済のための制度を考えていただきたいということを切に切にお願いいたします。

 ありがとうございました。

山口委員長 どうもありがとうございました。

 次に、高木参考人にお願いいたします。

高木参考人 金融再生改正案は、特定協定銀行は、当該資産に係る債務者企業の再生の可能性を早期に見きわめ、その可能性のある債務者については速やかな再生に努めることと定める五十四条一項一号の二を付加することを提案しておりますが、これに賛成いたします。

 赤字を垂れ流しております不採算企業を整理しなければ日本の経済の再生は望めませんが、その一方で、過剰債務の負担に苦しんでおる企業でも、適切な再建策を講ずれば再び活力を回復させることができることがあります。その収益性を回復させることによって、日本経済再生の一端を担わせることができます。

 破産的清算による倒産処理をするたびに、何とかして救えなかったのかと胸が痛みます。解体清算はむだが多いからでございます。何億円も、何十億円もかけた工場や機械設備がスクラップになって社会資本がむだになりますし、雇用が失われます。従業員一万人の企業が再起不能となったとしますと、従業員の家族が平均三人といたしますと、三万人を路頭に迷わせることになります。さらに、下請企業や取引先企業が連鎖倒産しますと、その数は何倍にも膨れ上がります。従業員一万人の企業倒産は、数万人の生活を脅かすことになります。

 窮状にある企業を再建するには、その企業が収益性を回復できるように事業再構築をすることが必要になります。それと、負債規模を資産規模に見合うように圧縮すること、この二面からの対策が必要でございますが、その前提として、どの企業が再建可能かということを見きわめなければなりません。また、その前に、その業界が過当競争に陥っているときは、適正な競争が行われるような規模になるまで業界全体を縮小することも考えなければならないでございましょう。

 それでは、どうやって再建するのかという問題でございますが、企業の再建は病気と同じでございます。早期発見、早期治療、特に外科手術が必要になります。手形不渡りの直前になってから再建策を考えても手おくれでございまして、危険な兆候を早く読み取りまして、早目に対策を立てなければなりません。治療は大胆に早くやることでございまして、ちゅうちょして手術に時間をかけますと、それだけ体力は衰え、回復に要する時間が幾何級数的にふえてまいります。

 再建可能かどうかを判断するには、まず、窮境に至った原因を正確に把握しなければなりません。対象企業の経営者や経理担当者から事情を聴取しますが、企業の経営者は、自分が窮境に陥った原因を正確に認識していないか誤解していることがありますし、本当の原因を隠すこともありますので、過去十年くらいの比較財務諸表をつくって、数字の変化などの原因を問いただして、財務分析の手法も使いながら、数字の裏にある隠れた真実を探ります。

 簡単な例を挙げますと、売り上げに比べて在庫品がふえたのは、デッドストックが多くなったからでございますし、売掛金や受取手形が多くなっていれば、回収不能の不良債権が含まれていることが疑われます。また、粗利益が悪くないのに下請や取引先に対する仮払金などが多くなっているときは、コスト隠しが行われていることがあります。下請代金や買い受け代金を支払うかわりにお金を貸した形にして損を隠す、そういうようなことも行われます。

 窮境に至った原因がわかれば、治療方法を見つけることができます。損益分岐点までコストを削減できない不採算部門は閉鎖します。そのために痛みを伴うのもやむを得ません。採算がとれる適正規模にまで圧縮できれば、再び利益を生むことができます。

 確実に再建するには、経営者を入れかえることも必要です。終身雇用制が残っている日本では、長い間その企業の経営手法に手なれた経営者にやり方を変えることを求めるのは無理でございます。窮境に陥ったのは、経営者の体質によることが多いからでございます。七転び八起きで、またもう一回転ぶことになります。経営者責任をとらせるためというよりは、再建のためには首をすげかえる必要があります。そのためには、MアンドA、合併、新資本の投入、営業譲渡などが効果的でございます。

 過剰債務に苦しむ企業を救済するためには、負債総額を資産に比べて適正な金額まで減らさなければなりません。それが債権放棄でございます。しかし、債務を減らしても、事業再構築をして利益を生むように体質改善をしなければ、またすぐ債務がふえ始めます。資産、負債のつじつまを合わせただけの債務整理を、傷口にばんそうこうを張るだけのバンドエイドプランといいます。それでは活力は回復しません。再度の債権放棄がまた必要になります。痛みを伴うリストラプランが必要です。抜本的なリストラ計画とともに、債務を必要なだけ削減して、早く活力を回復させ、その利益をとることを楽しみにできるような、そういった計画が必要です。

 そのためには、債務の株式化であるデット・エクイティー・スワップが有効でございます。債権放棄だけですと残った債権しか回収できませんが、将来のアップサイドもとれますし、対象債務者企業もやる気が出てきます。

 欧米では、早目に不振になった原因を調べて再建策を立てるファイナンシャルアドバイザーの活躍が盛んでございます。また、企業再生のための資金や人材を供給するファンドも、大切な役目を果たしております。ファンドは、民間投資家などから資金を集めます。ターン・アラウンド・スペシャリストと呼ばれる再建の専門家が職業として成り立っておりまして、ファンドと連携して企業を再建します。日産のゴーンさんのような方が次々と企業を再建することを御想像いただければ、おわかりと思います。前歴は、企業経営者、会計士、弁護士などさまざまでございます。ファンドは、大企業だけでなく中小企業なども再建して、利益を生む体質に戻してから株式を売却したりして、投資家に還元します。こうした専門家の活用も必要になってまいります。

 欧米では、こうした手法を駆使して企業の活力を回復させ、景気の回復を助けて、経済を再生させました。我が国でも、先ごろできましたガイドラインによる私的整理により、デット・エクイティー・スワップで取得した株式を現物出資して、このようなファンドを設立する新たな動きも見られます。

 これまで企業を再建する方法といたしましては、法的再建手続、会社更生、民事再生、法的再生手続でございましたが、それにガイドラインの私的整理が加わりました。今回の再生法の改正によりまして、さらに整理回収機構がこれに加わっていただけるということは、大変結構なことでございます。日本の窮境企業のあるいは破綻企業の処理、この手法は、欧米の影響を受けて、また外資の影響を受けて、どんどんと急速に最近変化しておりまして、合理化しております。そのことによって、また整理回収機構がこれに加わることによって、一層企業の再生が促進されます。病人がどんどん治療されている、これがどんどん治るということになりますと、世の中の雰囲気が変わってきて、日本の経済の再生が一層早められるのではないかと信じております。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

山口委員長 どうもありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。

竹本委員 自由民主党の竹本直一でございます。

 本日は、参考人の先生方、本当にお忙しいところを御苦労さまでございます。まず冒頭、私から質問をさせていただきたいと思います。

 この金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案でございますけれども、先般決定されました政府の改革先行プログラム、この中でも指摘されておるわけでございますけれども、不良債権処理への取り組みについての新たな施策の一つとして、整理回収機構による不良債権の買い取りについて、買い取り価格や買い取り方法、さらには買い取った後の不良債権の処理について、所要の改正を行い、不良債権の処理を一層促進する観点から重要な意義を有するものと私は考えておるわけでございます。

 また、RCCが公的サービサーとして市場に参加することは、不良債権の市場の厚みを増すことにつながりますとともに、市場の成熟化に寄与するという効果も期待できます。また、RCCによる不良債権の買い取り価格決定方式の弾力化は、国民負担の増加や民業の圧迫のおそれもあることから、時価による買い取りは恐らく当を得たものだろうと考えております。

 ただいま山本参考人からお話がありましたとおり、今までの制度ですと、今申し上げましたとおり、対象範囲にいろいろな限定がある。例えば、債務残高が一千万円未満のものはだめだとか、そういう制約があった。あるいは、公的性格を有するものはだめだ、こういう制約もあったということでございますし、また、この買い取りの行為自身も年二回に限られておった、こういうような制約がありました。ところが、実際は一割ぐらいしか利用されていないということが実態でございます。

 それで、これではいけないということで、我々も非常に議論をしたわけでございますけれども、銀行が不良債権をできるだけ早く処理するためにはどうすればいいか。ある意見では、時価で買えというのと、二次損失を生じてはだめだから今までの規定のようにもう少し安く買えという、あるいは逆に、より高く買ってやれば早く処理できるのではないかと。それは、政府の負担イコール国民の負担となるわけでございますけれども、それよりも、早く不良債権を処理することの方が全体的な国民の利益につながる。こういう三つの立場からの議論がありまして、我々自由民主党の関係の方でもさんざん議論したものでございますが、今回、言ってみればその中庸をとったような形で、時価で買い取るということを決めたわけでございます。

 ところで、先ほど山本参考人のお話にもございましたけれども、およそ全銀協加盟の銀行に限っていただいて結構でございますけれども、今、不良債権と称するものは概略どれぐらいあって、今年度どれぐらい処理をして、そして今回のRCCの機構が改正して取り組まれれば、機能が盛り込まれれば、大体どれぐらいで処理できるというような印象をお持ちか、その辺をまずお聞きいたしたいと思います。

山本参考人 ただいま、不良債権の総額がどれぐらいあって、今回のRCCの機能拡充を通じてどれぐらいの期間で完了するのか、こういう御質問と思いますが、不良債権の定義というのはさまざまでございまして、明確な数字を私は持ち合わせておりませんが、金融庁から発表されている数字、監督官庁の数字でございますので最も正しい数字かと思いますが、数字を手元に持ち合わせてございませんので、私からちょっと申し上げられないわけでございます。

 処理の期間がどれぐらいかかるかということでございますが、昨今の状況を申し上げますと、私どもの最終処理をしている金額とほぼ同額程度の新しい不良債権が発生をしておりまして、現在のような景気の低迷下では、不良債権の処理が明確にいつになるかということは、ちょっと申し上げにくい状況にございます。

 ただ、今回の中間決算の結果を見ておりますと、主要銀行において、将来のリスクに備えて多額の引当金を積むという動きをしておりまして、銀行における財務面の手当てというものは、将来のリスクを展望して相当のものが進んだというふうに私は見ております。

 以上でございます。

竹本委員 ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、今お話がありましたように、新しい不良債権がまた発生する、そういう事態だけは、我々、政府としても、あらゆる施策をフルに活用して生じないように努力をしなければいけないなというふうに思っておる次第でございます。ありがとうございました。

 次に、室町参考人にお尋ねしたいと思います。

 全銀協加盟の金融機関は、今お話のありましたようにたくさんの不良債権を抱えているわけでございますけれども、その具体的な処理方法について先ほどいろいろお話がありましたけれども、まず合理化をするとか、リストラをするとか、再建計画を立てるということから始まるというお話でございました。それで、選択と集中でシナジー効果を出すという話も伺いました。

 それで、デット・エクイティー・スワップ等の新しい金融技術もフルに活用する、こういうことでございますけれども、その一つの手段として、みずから設立したサービサーをも活用しながら不良債権の処理に当たっていきたいというお話でございましたけれども、そういたしますと、不良債権をセールに出した場合に、例えば入札に参加するのに、そこに公的サービサーであるRCCも参加いたします。それから、御行の、例えば三和銀行の系列のサービサーも参加する。競合関係に立つケースが論理的には考えられるわけですけれども、そのことについてはどのように考えておられるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

室町参考人 今回の改正で、いわゆるRCCの入札参加ということが新たに取り入れられているわけでございますが、この入札参加というのは、まさに、ある意味で時価というものを決めていく一つの方法であろうかと思うわけでございます。

 そういう意味で、参加者が多いということは、最終的に時価が何かという非常に難しい問題ではございますが、いわゆる単なる清算価値というものではなくて、やはりキャッシュフローのあるものはキャッシュフローに基づいた、場合によってはゴーイングコンサーンとしての価値もあるわけでございまして、そういったものとの勘案した中で時価が決定されていくであろう。それは、一番透明な方法というのは、やはり入札あるいは市場での、そういったことで決まっていくのであろう。そういう意味で、参加者が多いということについては問題はない、私はこういうふうに考えております。

 以上でございます。

竹本委員 それで、結局、今、法務省の資料によりますと、サービサーというのは五十四社ですか、それで取扱高約三十六兆円を対象にして、幾らで買っているのか、ちょっとわかりませんけれども、数十社というふうに聞いておるのですけれども、そういう民間のサービサーと公的サービサーのRCCが競合するわけですよね。そうしますと、これからどんどんそのサービサーがまたふえて、こういうマーケットが拡大するというような見通しをお持ちか、あるいはそうでもないというふうな見通しなのか。その辺の感触をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

室町参考人 サービサーの数がふえるかどうか、この辺のところにつきましては、私も現段階でどちらであるかという予測を申し上げるのは大変難しいと思っております。

 ただ、私どもの現実に活動しておりますサービサー会社につきましては、規模は、今現在のところは、やはり不良債権全体の数も多い、ふえているということもございまして、拡大をしているという状況でございます。

 以上でございます。

竹本委員 時間が余りありませんので、その次に、高木参考人にお尋ねいたしたいと思います。

 今般の金融再生法の改正案におきましては、RCCが金融機関から買い取った不良債権、それから、その後の処理に関する規定が設けられているわけでございますけれども、その中で、「債務者の再生の可能性を早期に見極め、その可能性のある債務者については速やかな再生に努める」といった規定がありますけれども、今後、企業再生をどう成功させるか、極めて重要なポイントだと思うわけでございます。

 先ほど、先生のお話によると、病気と一緒で、早期発見、早期治療、外科手術も必要だ、こういうお話でございますけれども、先生が入っておられました、主宰しておられましたのでしょうか、私的整理に関するガイドライン研究会、たしかこの座長を務めておられたと思います。企業再生の御経験を恐らくたくさんお持ちだと思いますけれども、たしか協栄生命の再建にも携わられたとも聞いております。そういういろいろな経験をお持ちなんですけれども、私は、お話がありましたように、せっかくあった企業なんだからできるだけつぶさない方がいいというのは、まさにそのとおりだと思うんです。

 ただ、不良債権を早期に処理する、二年以内に処理をして、三年以内に処理するというふうになると、どうしてもそれを急がなきゃいけない。そうしますと、せっかく接ぎ木をして伸びるかもしれない木まで全部枯らしてしまって、先ほどのお話のようにむだにしてしまう。これは大きい国家的損失であるのではないかというふうに思うわけでありまして、政府の方は、早期の処理ということに非常に重点を置いておるわけでございますけれども、再生可能なものをなおできるだけ残しながら、資産を滅失させないような、そういう工夫もまた国としては必要な体制ではないかというふうに私は思っておるんですけれども、そういった考え方に対する先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

高木参考人 おっしゃるとおりでございまして、早期、先ほど申し上げましたように迅速処理ということが必要になります。今あります方法では、おっしゃいましたガイドラインによる私的整理、それから会社更生法、民事再生法、これによる法的再建手続というような方法で企業を再建いたします。これをスピードアップで処理しなきゃいけません。

 私的整理では、債務者企業が主要銀行と相談しながら、専門家の力をかりながら再建計画というものをつくります。それが受け入れられそうだということになりますと、債務者と主要銀行が他の銀行に諮って、個別的回収を差し控えていただくという一時停止の通知をいたします。それから、第三者機関である会計士や弁護士などの専門家に、再建できるかどうか、再建案が妥当かどうか、これを調査させまして、これを参考に、債権者、債務者で協議を重ねて、再建計画について合意に達したときに私的整理が成立する。それで、計画案に記載されたとおりの債権放棄が実行されて、債務者はリストラ計画などを実行に移します。一時停止を発してから三カ月以内に終わるということを予定しております。

 民事再生と会社更生、これも、これは裁判所に申し立てることによって始まるのでございまして、まず、保全処分で個別的権利行使を禁止してパニックを静める。それから、財務内容などを調査して、再建可能な再生計画、更生計画をつくって提案して、債権者集会で多数決で承認されるということになりますと、裁判所が認可して、それに従って債務の減免猶予がとられる。民事再生では債務者が自分で経営を続けますけれども、会社更生では管財人がやるということになっておりまして、会社更生は大企業、民事再生は中小企業といった手続になっておりますが、民事再生では六カ月、会社更生では大体一年かかっておりますが、近ごろでは半年で終わったものもございます。

 そういったわけで、スピードアップが早められておりますし、迅速処理が早められておりますし、その再建可能性の判断というのも早められておりますので、これからはそういったことで処理が進んでいくと思います。

 言及してくださいました協栄生命の事件でございますが、これも実は法律どおりではございませんで、果たして、数千億円に上る資金援助、公的援助が必要かどうかということが問題になりました。まず、プルデンシャルに資金援助を求めないということを約束していただくことが大変な問題になりました。それを処理、解決して、再建いたしました。

 それから、ごく最近の問題では、大成火災、これの申し立て代理もいたしました。これは米国の同時多発テロが引き金になったわけでございますが、法律では、自動車保険や火災保険の九〇%までしか保障してくださらない。ところが、例えば、交通事故でお医者さんをひいたりいたしますと二億円の損害賠償が発生してくる。その一〇%を保険契約者が、本当は今まで無制限に全部払ってもらうことになっていたのが、大成が倒産いたしますと、その一〇%、二千万円は自分で払わなきゃいけないというようなことになりますと、大変なことになります。

 そこで、法律ではそこまでしか保障していただいていないんですが、まずやりましたことは、安田火災さんが引き受けてくださいましたが、安田火災さんに、その差額の一〇%は法律で書いていないけれども無条件に保障していただけますか、これを保障していただけるのだったら安田さん引き受けてくださいということで、申し立て前にその問題を解決した。そういうことで、スムーズにこれから再建が進むだろう。そういったような手法が、いろいろなことが必要になります。そういったことをやる専門家がどんどんふえています。

 近ごろは、今までは倒産処理というと弁護士が専門でございましたが、それだけではなくて、公認会計士、それから今外資系の方々がアメリカで鍛えられていっぱい戻ってきてやっています、ファイナンシャルアドバイザーで。むしろ弁護士よりそういった再建の専門家、リストラの専門家というのがどんどんふえています。これを活用していただきまして、どんどん再生のために使っていただきたい。今までそういう方の活躍の場が少なかった、ここで一層にRCCのこの法案でその活躍の場がふえるだろうと期待しております。よろしくお願いいたします。

竹本委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、きょうは参考人の先生方、いろいろ御意見を聞かせていただきましたけれども、要は、こういう法律をつくって、銀行の不良債権の早期処理を進め、銀行ができるだけ健全な形で国民の期待にこたえられるような行動を起こすことを我々は期待しているわけでありまして、民間といえどもそういった公的責務を私は負っていると考えるわけであります。銀行法では直接預金者保護のことしか書いてございませんけれども、かつて、ガルブレイスの新産業国家論という本を読んだことがあるんですけれども、大企業もまた公的責務を負っているということをはっきり書いております。

 そういう時代であると思いますので、ぜひこの制度を活用されまして、しっかりとした不良債権処理に努められ、一日も早く国民の期待にこたえていただくようお願い申し上げまして、これで質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 参考人の皆様方には本当にお忙しいところをお集まりをいただきまして、ありがとうございました。幾つか質問させていただきますが、まず、富士銀行の山本参考人にお尋ねをします。

 今回の法案は、もちろん企業再生を主な目的にしているわけでございますが、今椎名参考人からもお話がございました個人の債務者ですね。御行が抱えております不良債権、破綻懸念先以下でよろしいわけでございますが、その中で、個人債務者が不良債権化しておるというのは、どのくらいのパーセンテージがありますでしょうか。

山本参考人 RCCに売却をしているものの個人の比率ということでございますが、正確な数字を持ち合わせておりませんが、相当数ございます。

海江田委員 相当数というのは、三〇%、四〇%、その程度、あるいはもっと多くということですか。

山本参考人 破綻懸念先以下の債務者の件数ということで申し上げますと、現在の破綻懸念先以下の債務者数の多くのものが個人でございます。件数にしますと、正確な数は、個人の企業も入っているので、個人ということで正確にくくれないんですが、五割を超えているだろうというふうに思います。

海江田委員 今五割を超えているというお話、件数でとらえて、それからRCCに対しても五割を超えているだろうということですが、念のため、室町参考人にも同じ質問で、いかがでしょうか、大ざっぱな数字でよろしゅうございますが。

室町参考人 ここでちょっと数字を持ち合わせておりません。それから、全体のどうかというのはあれでございますが、いわゆる個人の皆様へのローンで、先ほどの定義で破綻懸念先ということになりますと、数%の方になろうかと思います。そのほかに、要注意とか、いろいろ御相談を申し上げている個人の方というのは、もっと、数がもう少しあると思います。

海江田委員 そこで……(山本参考人「訂正したいんですが」と呼ぶ)訂正ですか、ではどうぞ。

山本参考人 先ほどの個人の比率で、RCCの買い取ったものの件数ということで、私、全体と勘違いいたしまして、RCCの買い取りの個人の件数は非常に少ないということです。先ほど申し上げましたのは、破綻懸念先以下に分類されている貸し出しの件数の半分程度が個人であるということでございます。

海江田委員 わかりました。

 では、山本参考人に重ねてお尋ねをしますが、そのうち、先ほど提案型融資というお話がありましたけれども、銀行の側が持ちかけて、これくらいのお金を借りてはいかがですかというような形でお話をした向きというのは、その割合の中のどのくらいを占めていますか。

山本参考人 提案型融資というものが、実際の営業の現場に戻りませんとわかりませんので、件数としてどれくらいかというのは正確につかんでおりません。

海江田委員 私は山本頭取にお尋ねをしているので、一々後ろの補助人の方が、補助人の方にお尋ねしているんじゃありませんので、山本頭取がどういう認識でいらっしゃるかということをお尋ねしているんです。

 実は、私の例ですが、私はもちろん富士銀行とつき合いがあります。私も実際、九〇年ですけれども、富士銀行の方から、金額は何千万ですけれども、借りてくださいということを言われまして、実際借りました。勧業角丸証券というのが当時ありまして、御行の関係の証券会社ですが、そこで私の知らぬ間に全部いろいろ運用しまして、最後、もうやめてくださいということを言ってやめて、そんなに損は出なかったんですが、実際そういう例があるんです。そういう例は全然お聞きになっていませんか。

山本参考人 大変恐縮ですが、今、後ろに個別の数字がないかどうかを確認しただけでございますので、御了解いただきたいと思います。

 今の御質問のようなケースがないかということでございますが、恐らく御融資をしたその資金が証券投資に回っていったというケースがあるというふうに思います。

海江田委員 ですから、これは別に私だけの例ではありませんで、あの時期は広範にあったわけですよ。それは御存じですよね、提案型の融資があったことは。

山本参考人 当時の営業状態で、お客様にそういう御提案をして融資を実際に行ったということはあります。

海江田委員 そうしますと、企業の側に対してもそういう提案もあったわけでございますが、そういう場合、どうなんですか、普通考えますと、やはりそれは銀行の、いわゆる貸した側の責任というのもあるんじゃないだろうかと私は思うんですけれども、そういう銀行の、貸した側の責任というのをどういうふうにお考えになっているかということをお聞かせいただきたいと思います。

山本参考人 貸し手責任ということでございますが、私ども営業活動の中では、お客様の御意向を踏まえて融資をしております。これは個人、企業全く同様でございまして、そういう意味で、私ども御提案を申し上げて、お客様がお決めになって融資を申し上げているという意味では、私どもの営業は通常の営業活動をしてきたというふうに考えております。

海江田委員 それじゃまた話はもとへ戻っちゃうわけですね。

 それは、銀行がお金を貸してくれますよということを言えば、まあ十人いれば九人ぐらいまでは結構ですよということは言わないと思うので、別に私の方から、お願いをします、幾らぐらい貸してくださいということをお願いをしたわけじゃなく、向こう側から、銀行の側が、どうですか、借りてくれませんかという話で持ちかけたわけです。これははっきりしているんですよ、これは。私自身、記憶をしていますから。

 それについて、やはり話を持ちかけた、最後にゴーサインを出すのはもちろん本人ですから、その責任はもちろん全くないということを言っているんじゃなくて、ここのところは大事なところですから、もちろん借りた側にも責任はありますけれども、貸した側にも責任があるんじゃないですかということをお尋ねしているんですが、いかがですか。

山本参考人 貸し手側の責任というのはどういうものかということでございますが、営業でございますので、私どもは貸し出しについてもお勧めをいたします。預金についてもお勧めをしますし、昨今では投資信託についてもお勧めしております。そういう意味で、売る側に一般的に存在する責任ということであれば、そういうものは存在するかなというふうに思います。

海江田委員 いや、さっきせっかく、それはやはり貸した側にも責任があってと、私は貸し手責任という言葉は使わなかったわけです、貸した側の責任ということを言ったわけですけれども、それが行き過ぎた面もあるというようなことはさっきお認めいただいたと思うんですけれども、それも全然お認めにならないわけですか。

山本参考人 行き過ぎた例がないのかという御質問でございますが、営業活動の中でございますので詳細はわかりませんが、そういうことが問題になった場合は、個別に誠心誠意私どもはお話し合いをし、公正な第三者を介して責任の所在を明らかにするということで、裁判所あるいは弁護士間の話し合いなどで問題を解決するという対応をしております。

海江田委員 もう何度も言いませんけれども、やはりそういう形で、これはもう頭取はよく御存じですよ。それはやはり、特に八〇年代のバブルの時期があって、それからそれが終わって、そのバブルの過程で、不動産だとかゼネコンだとかに対する融資が絞られたわけですから、金融機関としても貸出先がなかったわけですから、個人に大量に向かっていったのは、それはよくわかっている話であります。

 そういう必要のないところに貸し出しをして、そしてそれを本当に、証券でやったり、それからさっき椎名参考人からお話があったようにビルでやったりとか、いろいろなことをやっているので、それがやはりこういう経済情勢の変化で大変大きな被害を受けているということは事実ですから、やはりそれに対してもう少し、そういう人たちの声に耳を傾けて、もちろんちゃんとした裁判の手続もあるし、だけれども、なるべくそういうところはやはりきちっとした話し合いの姿勢というんですか、そういうことがもっとたくさんあって私はいいと思うんですけれども。

 具体例で、別に御行だけということではないわけですけれども、本当に御行で、九十幾つの方だとかそういう方が、それこそ頭取に会ってぜひお話を聞きたい、自分の話を聞いてもらいたいというようなことがたくさんあったはずなんです。山本さんの前の方もそうですけれども、そういう方たちのお話というのは、一度か二度ぐらいはお聞きになったことがありますか。

山本参考人 私ども、個別の案件で、確かに御指摘のとおり、資産価値が暴落をした過程で、当初の計画どおりいかなかったと大変お困りになっていらっしゃる借り主の方がいらっしゃるということはよく知っておりますし、個別に私のところにも重い案件については報告が上がってきております。存じております。

 私どもとしましても、これも我々の、個別のそうしたお困りになっていらっしゃる方の問題を直ちに法的処理とかいうような形でやっているわけではございませんで、何とかやれる余地がないものだろうか。企業であれば再生ということでございますが、そういう観点で、長期にわたっていろいろな再建策といいますか、企業であれば再建策ですが、これについてはお話し合いをさせていただいております。

 ただ、中には意に添えないケースもございまして、やむを得ず競売に至るとか、あるいは裁判所に持ち込んで裁判所の判断をもらうというようなこともございます。これは、私ども特別のグループを設けまして、ここ数年、誠心誠意きめ細かく対応をしているところでございます。

海江田委員 私は今、そういう方の声を直接お聞きになったことがありますかということをお尋ねしたのですが、報告は聞いていると。直接お会いになってお聞きになったことはないですね。

山本参考人 細部にわたってのことでございますが、私は直接お目にかかったケースはございません。

海江田委員 やはりそれは、一番のトップでございますので、ぜひ直接耳を傾けていただければ、また一番の現場でやっている方とそれは違う判断もできるわけでございますから、ぜひやはり一度そういう方に耳を傾けていただきたいですし、今度のRCCの法案というのは、これはもう言うまでもなく企業再生ですけれども、やはり肝心の個人再生というところが、今山本参考人からもお話ありましたけれども、抜け落ちているんじゃないかなと。

 それは私どもの責任でもあるわけですけれども、どうかそれぞれの金融機関の方でも、できるだけ個人再生ということ、特に日本の場合は、やはり個人保証というものがついていまして、これは日本の金融機関の融資の特殊性でございますけれども、やはりこれから、それは私どもがやる仕事でもありますけれども、どうやって個人再生ができるかということに少し意を砕いていただいて、これまで以上に意を砕いていただいて、そして本当に悲惨な話のないように、今椎名参考人から百万人とか六十万人とかいう話もありました。それから、山本参考人からは、やはりRCCには少ないんですけれども、件数だけ言うと、破綻懸念先以下の不良債権の中で個人の占める割合が五割を超えている。確かに額は小さくても、件数が多いですからね。そういう状況だったら、ここのところが全く手つかずなんですね、これは。

 だから、ぜひそういう形でやっていただきたいと思いますので、山本参考人、それから室町参考人にも、その辺のお気持ちというか、トップの一つの姿勢というものを当委員会でお示しをいただきたいと思います。

山本参考人 私どもの中小企業、個人というのは、我々の、間接金融を担う者の一番大事な顧客基盤でございます。この皆様の信頼なくしては銀行は成り立ちません。そういう意味で、特に個人の皆様の分野については専門部署を設け、丁寧に個別に御相談をさせていただくということで、今後も一層気を配ってまいりたいというふうに思っております。

室町参考人 ただいま先生から御指摘ございましたように、当時のバブルの時期、その時期に私どもの営業活動というもので行き過ぎがなかったかと言われますと、やはり率直に申し上げまして、いろいろ御批判を受けているケースはございます。中には、お客様とのいわゆるトラブルという形、あるいは訴訟という問題もございます。

 いずれにいたしましても、その前に融資の延滞という事態が発生いたしますが、この時点で私どもも、貸し出し要件の変更といいますか、金利の減免あるいは期間の延長とか、あらゆる御相談をお客様とさせていただいております。そういう意味では、誠意を持ってお話をさせていただいている。何が何でも回収一本やりということではなく、そういった努力はさせていただいているということでございます。

 そういう意味では、私ども自身も、そういった行き過ぎがないように、行内のコンプライアンス体制をきちっとする、あるいは行員の指導をきちっとする、そういうことをやっているつもりでございますが、今後も引き続きそういった点を強調してまいりたいと思います。

 以上でございます。

海江田委員 特に、今変額保険という話も出たわけですけれども、お年寄りも大変多いわけですから、専門の分野をつくっているのはよくわかるんですけれども、それはもうトップの姿勢で、このRCCの法案自体についても大変問題があるわけですけれども、これは先ほど来お話を聞いていると、銀行の皆さん方からすれば、大変使い勝手のいい制度ができるということに、お話がありますから、そういう制度がやはり片一方では整って、個人のところの債務者、しかも、先ほども指摘をしましたけれども、やはり個人については銀行側の、特に変額保険なんかそうですけれども、融資の態度というのがやはりこれはあるわけですよ。

 ですから、そこについては、本当にトップの責任でもって、これからはこの問題にやはり重点的に取り組んでいく。そうすることによって、本当に銀行の、先ほどこれは室町頭取からも批判に謙虚に耳を傾けるというようなお話がありましたけれども、耳を傾けて、やはりこれから全力を挙げて、トップの判断でここのところの問題を解決していくんだというような姿勢をぜひ私はお示しをいただきたいと思うのですね。

 最後に、その決意のほどをそれぞれお話しをいただきたいと思います。もう時間が過ぎておりますので、短くで結構でございますので。

山本参考人 先ほども申し上げましたように、私どもの銀行のお客様の一番大事な基盤、中小企業、個人でございます。個人の皆様の信頼を失わないように、従来同様、誠心誠意この問題については対応してまいりたい。

 以上でございます。

室町参考人 先ほども申し上げましたように、いわゆる行き過ぎた営業を行わないよう、これは今後もさらに徹底をしてまいりたいと思います。

 一つだけお断りしておかなきゃいけませんのは、本当にその過程で銀行に非があるものは、これはやはり銀行が責任をとらなきゃいけないと思いますが、やはりそこのところは、そうは言いながら、やはりきちっと話し合いの中で議論をさせていただく、これは最低限必要なことだと思っております。しかし、その上で本当に銀行に非のあるものというものが、これはある意味で第三者の判定になると思いますが、そういうものがある場合は、それは責任をとっていかなければいけない、そんなふうに思っております。

 以上でございます。

海江田委員 どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、若松謙維君。

若松委員 公明党の若松謙維です。参考人の皆様、本当に御苦労さまです。

 実は、質問通告していないのですが、椎名参考人と、あと高木参考人にちょっとお聞きしたいのですが、ちょうどおとといですか、私、アメリカのいわゆるワインのビジネスをやっている方、この方はシュバリエ、そしてジェラードという大変なステータスを持っている方なんですけれども、その方にリッチという説明を聞きました。リッチを訳しますと、日本ではいわゆるお金持ちというのですか。ところが、どうも欧米のリッチというのはそういうお金じゃなくて、やはり豊饒さとか豊かさ、こういう認識で、私はリッチになりたいと。彼らの認識は、お金を稼ぐんじゃなくて、それを使ってどう人生の豊かさを、豊饒さを実現するか、こんなお話を聞きました。

 そこで、ちょっと質問に移るんですが、いろいろとお話を聞いてみて、やはりあのバブルの時代、私も九〇年前後のバブルのピークに家を買って、一年半ぐらいしか住まないで、二千万損して、そしてまた小選挙区になりまして、また強制引っ越しで、また二千万損しまして、そのときに、やはり金融機関の、貸してくれるときの対応と返さなくちゃいけないときの対応というものの急変というものも見ております。

 そういう中、あのバブル時代のいわゆる貸し手責任ですか、そして借り手責任、双方があろうと思います。そこで、いわゆるその中で一つの規律ということの自己責任ということがあるわけですが、こういった概念というのは日本では今でも混乱していると思います。

 そこで、この問題、この自己責任という一つの概念から、貸し手責任、借り手責任、これは今後、一つの、債権回収なり企業再建なりするに当たって何がポイントなんでしょうかね。ちょっと、質問通告していないんですけれども、椎名参考人と高木参考人、ちょっと時間の関係上なるべく簡潔にお願いします。

    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕

椎名参考人 自己責任というのは、私はやはり自己決定権が保障されるような判断材料を提供されているということだと思うんです。例えば病院でのインフォームド・コンセントというのがありますけれども、やはり医療のプロは患者に対して十分説明して、手術を選択するのか、投薬にするのか、あるいは自然治癒にするのか、いろいろな選択を患者自身に決めさせるということだと思うんですね。ですから、金融取引もやはり金融のプロがちゃんと説明して、情報を提供して、それで自己決定権がきちんと保障された形で判断したのであれば自己責任だと思うんですけれども、バブルのときに行われた問題融資というのは、ほとんどその判断材料を過つような判断材料を与えられて、それで自己責任だけ問われているというのが実態だと思いますので、そういう意味では自己決定権が保障されていなかったという意味で、私は自己責任は必ずしも借り手の側にあるというふうに言えないということで申し上げたんです。

高木参考人 ただいまの御質問と、それから先ほど海江田先生の御質問を聞いておりまして、私自身は二十五年弁護士をやりまして、昭和六十三年に裁判官になりました。裁判官になってから、私の取引銀行が、二億円でございましたか、土地を買わないかということをおっしゃった。裁判官になって、収入が、年収が十分の一に減りました。年俸一千何百万かでございましたが、十分の一に減りました。私はもう金もうけやめたからということを申し上げまして、おかげさまで裁判官を十一年半続けていることができまして、昨年、任意退官したわけでございます。

 この自己責任との関係、おっしゃるとおりでございますが、やはり大衆というものは必ずしも情報を十分持っていない。そのために、その権利保護には特別のやはり手当てが必要である。例えば、今回、マイカルの倒産で三千五百億という社債の被害が発生しております。この社債の投資家に自己判断しろといっても、これはなかなか難しい。一般の債権者と同じようなことはできない。保険でもそうでございます。私がやりました協栄生命、六百万人保険契約者がありました。これに商取引債権者や金融債権者と同じように再建計画について的確な判断をしろといっても、これは無理でございます。それなりの手当てが必要。

 それで、先ほど、個人につきましては、これは私の方の専門で言いますと個人再生法というようなことで、住宅ローンについてもかなりの配慮をした法律がおかげさまでできまして、施行されております。ことしからでしたか、施行されております。

 先ほど、海江田先生の御指摘がありました。大変な問題でございますが、ただ、私が申し上げたいことは、件数は大変に多いんでございます。件数はそれこそ、東京地裁の民事再生部でやっております件数の九〇%以上が個人でございます。ただ金額的には、企業の不良債権と比べますと大変、金額として占める割合は大きくないということでございます。

 ですから、今、日本経済の再生に必要なのは、この事業の再生の方であるということ。ただ、あわせて、個人の問題も考えていかなきゃいけないということはおっしゃるとおりでございますが、一番大切なのはそっちだ、ボリュームからもそっちだということでございます。

若松委員 ありがとうございます。

 それでは、質問通告したところに移りたいわけですが、率直に、山本参考人と室町参考人の答弁について、ちょっと感想を申し上げさせていただきますと、私は、三和銀行さんは、非常に日本の銀行の中でもかなりいい状況であると理解しております。そのかわり、かなりドライな銀行とも理解しております。そしてきめ細やかな事業戦略を行っているということなんですけれども、室町参考人の、やはりいわゆる貸し手側の責任ということを実感していらっしゃることがこちらには伝わってまいりました。一方、富士銀行の山本参考人ですが、ちょっと、かなりバリアばかり張って、貸し手の責任というのは伝わってまいりませんでした。これが率直な私の意見です。

 それを申し上げさせていただいて、先ほどの、貸し手というか経営者ですけれども、いわゆるかなり公的な要素を持つ金融機関の頭取という、経営者の心が、さっきのいわゆる西洋のリッチという観点から、借り手側も本当に配慮した経営ということに心がけていけば、先ほど御両人が言ったような、やはり個人のどうしても情報入手のハンディがある、それをしっかり配慮するような指示を現場に与えて、そこで、そうすれば、やはり納得した貸し手と借り手のお互いの一つの契約というのが実現するのかなと。

 そこが、恐らくこれからこういう制度ができても、その現場での、今言ったような改善がなされなければ、私はまた同じような、自己責任とは何なのか、貸し手責任とは何なのか、借り手責任とは何なのか、やはりこういった議論を相変わらず日本はしなければいけないのかな、そう思っておりますので、二人の頭取の参考人には、ぜひとも、さっきの、まさに豊かさ、豊饒、心を持つ貸し手側としての経営者の責任をしっかり自覚しながら、これからも、一つのRCC、法律が改正されまして、新しい一つの取引形態ができるわけですが、心してやっていただきたいと思います。

 そこで、ちょっと具体的な質問に移りますが、まず、室町参考人には、この法案が可決した場合、このRCCを活用されようとする意思があるのか、そして、その場合に、このRCCに持ち込む貸し手先はどういったところなのか。

 時間の関係上、ちょっと質問を続けさせていただきますが、山本参考人には、RCCに対して、現在、銀行業界から約百人ぐらい人を出向して、もうこれ以上送れないという声も聞かれるわけですが、ただ、どうしてもこのRCC、アメリカのRTCの例ですと八千人から九千人、ピークとして人がいたわけですから、かなり銀行側も人材供給をしていただかないといけないのかなと。そういう観点から、銀行界としての協力の意思をここで聞きたいと思います。

室町参考人 今回御提案いただいております法改正によりましては、買い取りに際しての価格決定並びに手続の見直しが行われておるというふうに認識いたしておりまして、これによりまして、従来よりやはり規模的にはより利用しやすいものになる、こういうふうに考えております。

 また、我々自身、お取引先の再生支援というものに懸命の努力をいたしておるわけでございますが、RCCにもそういった機能が付与されるということも今回の大きなポイントだと理解いたしております。

 御質問の、どういう使い方かということでありますが、RCCは一つの選択肢であると思いますので、引き続き私的整理によるいわゆる自力での回収、再生あるいは法的整理、そしてこのRCCの利用、こういったものによりまして不良債権の最終処理をしていくということになると思うわけでございますが、その場合、どういう先かということについては、こういう先という定義はなかなか難しゅうございまして、債務者の状況あるいは回収の可能性、そういった個別の事情を総合判断いたしまして、どういう方法が最も有効か、これを考えて進めていくことになる、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

山本参考人 RCCへの人材面での協力体制のことでございますが、現在、百三十人程度の出向をしております。追加的に、企業再生その他で要望が具体的にあれば対応してまいりたい、これは全銀協としてそういうことを決定しております。

若松委員 ぜひ今の質問の点、私どもの御要望ということで、人材供給の面、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、高木参考人にお聞きしたいんですが、私的整理ガイドライン、これがいわゆる全銀協を中心として民間ベースで立ち上がりました。やはりこれをうまく活用すれば、私は、いわゆる債権回収にしろ債権処理にしろ、かつ関係者の一つの債権債務の整理ということが急速に進むと思うんですが、このガイドラインの今の使用状況というんですか、さらに今後の利用の見込みというんですか、それについてちょっと御説明いただけますか。

高木参考人 ただいま東京の一部上場の会社一件、これが進行中でございます。既に私的整理手続が開始されました。それから第二件目は、やはりこれは地方の一部上場でございますが、この会社が準備中でございます。それから、昨日私のところに電話がありまして、関西の方で二件ぐらい、これもかなりの企業でございますが、準備中でございます。

 ということで、これは、本当は最初はかなり窓口が厳しいなということで評判がちょっとよくなかったのでございますが、どうやらかなり利用されるようになるかな。私としては、柔軟に運用していきたい。私は、何件か、当初、専門家アドバイザーを引き受けまして、柔軟な運用を定着させたい、こう考えております。

若松委員 もう時間が一分しかありませんので、最後に、再度私の感想並びに要望を述べて終わりたいと思います。

 やはり、このいわゆる私的整理ガイドラインにしろ、ちょうど今カルロス・ゴーンですか、日産の再建をやっている方がおりますが、あの方はかなり現場を、いろいろな現場を歩き回ってみずからの性格を現場に知ってもらう、こういう非常に人間性を前面に出したいわゆる企業再建をやりまして、今のところうまくいっているということです。

 私は、いわゆる日本の銀行の経営者の失敗は、銀行員が、皆さん銀行員になって新入社員で入られるわけですが、結局、頭取になることがやはり銀行員になることの目的じゃなかったかと思うんですね。やはり、本来は、頭取になってどういい仕事をしていくかという、その先ですよね。そこに私はちょっと心がなかったのかなというのを改めて強く認識しております。ですから、これからも本当に、さっきのリッチですね、豊かさ、豊饒さ、それを再度認識していただきたい。

 私自身は、先ほど言いましたように、この四年間で二軒、家を売却して、今資産ゼロです。家はありません。賃貸の生活で甘んじております。これは私の自己責任ですから、しようがないと思っております。

 いずれにしても、今大変な日本の状況でありますので、参考人の皆さん、それぞれそれぞれの立場で、大変優秀な方がここにお集まりですので、意見交換をしながら、先ほどの貸し手責任、借り手責任、そして自己責任、ひとついい形での整理をこれからも御指導いただくことを御要請いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

奥山委員長代理 次に、中塚一宏君に質問を許します。

中塚委員 自由党の中塚でございます。参考人各位におかれましては、大変御苦労さまでございます。

 金融再生法の一部改正ということで、特に山本頭取と室町頭取、お二方を中心にお伺いをしていきたいというふうに思います。

 金融再生法を改正して、RCCの役割というものを新たにしていくということになるわけですけれども、その前提として、改革先行プログラムの中に盛り込まれていた特別検査ということがあると思うんですが、この特別検査、もちろん今お二方の銀行二行に検査が入っているのかどうかわかりませんけれども、この特別検査が行われた結果、その結果を受けて債務者区分が変更になって追加引き当て等を行うような事態があり得るのかどうかということについて、まず山本参考人の御意見をお願いします。

山本参考人 特別検査というのは、できるだけ直近のマーケットの情報あるいは格付の変化などを銀行の中の債務者格付に反映させる、それが的確に行われているかということを検査するという趣旨だと理解しております。

 特別検査の結果、債務者区分が変わりますと、当然に追加引き当てを行うわけでございまして、そういったケースでは追加引き当てが起こるということでございますし、私どももそうしたルールは、従来からやっておりますとおり、整々とやってまいりたいというふうに考えております。

    〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕

中塚委員 室町頭取、いかがですか。

室町参考人 私どもは、特にこの夏場以降、景況が非常に悪くなってまいりましたということもございまして、このたびの、これは通期の見通しでございますが、大幅な引き当て増を積んだわけでございます。同時に、そういう意味では、特別検査でこれが一気にふえる、そういうことはないと考えております。

中塚委員 ということは、室町頭取、三和銀行としては、特別検査等の結果を受けても追加の引き当て等は必要ないということになるだろうというふうにお考えなんですか。

室町参考人 私どもは、先般発表いたしました見通しでございますが、そこで大幅な引き当て増をやっております。これは、特に昨年末も、年度末も償却をふやしておりますが、この夏場以降、特に状況が悪く、業況の悪化が厳しく、その影響を厳しく、これが当分しばらく続くであろうという前提のもとに、思い切った引き当てをしたということでございます。その中には、やはり個々に、これから再建、再生をしていくためにどういったコストが必要かということも見込んでやったつもりでございます。

中塚委員 ということは、この特別検査ということがあって、それによってRCCに資産が売却されたりするというふうな前提がもう改革先行プログラムの中に書かれていたわけなんですけれども、今の三和銀行の室町頭取のお話だと、もう引き当て等は十分だから、そうなると、特別検査結果によって、例えば債務者区分が変わる、あるいはまた貸した先が破綻をしてしまうということであっても、三和銀行としての財務内容には変更はないということでよろしいわけですか。

室町参考人 結果論としてはそういうことでございます。

中塚委員 それでは次に、RCCの方のお話を伺いますが、RCCは時価による不良債権買い取りということを行うというふうになるわけですけれども、私どもとしては、何でRCCがそういう仕事をしなきゃいけないのか、いまいちよく理解できないところがありまして、その辺についてお二人の意見を聞きたいわけです。

 お二方、民間金融機関の経営の責任者として、例えば郵便貯金であるとか住宅金融公庫であるとか、いわゆる官業ですね、そういう官業というものが民業を圧迫しているというようなことをお考えになっていると思いますけれども、今回RCCが時価で不良債権買い取りを行うということになるわけですが、別に現状だって民間サービサーに売ろうとすれば売れるわけですね。ということで、RCCというのがこの新しい債権回収のビジネスに参入をする、規模も拡大されるということになるのですが、こういったことは、民間サービサー、債権回収のそういうマーケットの中で、新しい民業の圧迫になるというふうにはお考えになりませんか。

 山本頭取、いかがでしょうか。

山本参考人 現在のこうした不良債権の買い取りについての民間の投資家というのは、十分に厚みがあると言えない状況でございます。政府の方針によりまして、二年、三年ルールで最終処理を急ぐという前提でありますと、現状では市場の厚みにおいて不十分かなというふうに思います。時限を限っての国の施策としてRCCがこのマーケットで役割を果たすということは意味があることだというふうに考えております。

中塚委員 それでは、三和銀行の室町頭取に同じ趣旨でお伺いをいたしますが、先ほど冒頭の御意見の中でもありましたが、独自にサービサー会社をつくったり不振企業再生のための会社をおつくりになっているわけですね。そういう立場からして、RCCがこのような形で参入してくるということについては、自分の、自前でつくったサービサー会社なんかの営業の妨げになるというか、そういうふうにはお考えになりませんか。

室町参考人 その観点につきましては、先ほども申し上げましたが、やはり全体のマーケットも残念ながら大きくなっておりますし、そういう中でプレーヤーがふえていくということで、より流動性も高まるとか、いろいろな形でプラスが働くだろうと私は思っております。

 先ほどの、民業の圧迫というお話がございましたが、そもそもRCCというもの自体は、これまでも民間も人の派遣とかいろいろな形で協力しながら、不良債権問題に共同して取り組んできたプロジェクトの側面も持っているのではないかというふうに思うわけでございます。こういった一体として取り組んできた、その点は郵貯とかあるいは住宅金融公庫といったものとちょっと違った側面がございまして、これは今後引き続き、両者の持つノウハウ、ネットワークを共同して使っていくという一つのモデルになるのではないか、そんなふうに考える次第でございます。

中塚委員 自前のサービサー会社がもうからなくて、このRCCがもうかるということが構わないというふうにお考えなら、それはそれで構わないのですけれども。

 ところで、山本頭取、先ほど冒頭の意見陳述の中で、RCCへの売却額は全体の一割程度と限定的なものになっておりますというふうにお話しになっていますが、この言い回しでいくと、一割というのは少ないというふうにお考えですね。

山本参考人 現在の状況では、RCCの機能の拡大によってこのウエートが上がること、それは、先ほど申し上げましたように、市場の厚みという点で意味があるというふうに考えております。

中塚委員 それでは、このRCCが不良債権を買い取った後に、企業再生のスキームというのも同時に検討されているようなんですが、企業再建ファンドというのが設立をされるように聞いていますけれども、この企業再建ファンドに対して出資をするおつもりはあるかどうか、出資をする意欲がおありかどうかをお二方にお聞きしたいと思います。

山本参考人 企業再建ファンド、具体的な内容が知らされていないのでなかなかお話を申し上げられないのですが、一般的に申し上げますと、こうした企業再生ビジネスに、先生先ほども御指摘がありましたように、いろいろな民間の投資家、あるいはRCCを含めて、こういうものが参入することによって市場の厚みが増してまいりますことから、不良債権処理を急ぐという立場からしますと、こういうものも歓迎できるということでございます。

中塚委員 済みません、室町頭取に伺う前に。歓迎できるというか、それがつくられることを歓迎するというのとは別に、富士銀行としてこれに出資なり投資なりをするおつもりがあるかということなんですが、いかがでしょうか。

山本参考人 先ほど申し上げましたように、ファンドの中身がよくまだ開示されておりませんので、現時点で確定的なことは申し上げられませんが、我々のような者が投資ができるようなファンドができることを期待しておりますので、そういうものができれば当然投資をしてまいりたいというふうに考えております。

中塚委員 同様の趣旨ですが、室町頭取、いかがですか。

室町参考人 再建ファンドというものが詳細どういう内容になるか、これは私も承知いたしておりません。そういう意味で、今後RCCの中でいろいろ検討が進む過程で、具体的にどんな形で参加できるのかは検討してまいりたいと思います。

 ただ、これは私の想像といいますか、例えば、我々のお取引先が、我々が債権を持っているお取引先ですね、デット・エクイティー・スワップなどで我々が取得した場合、それを現物出資するとか、結果的にファンドの一部を持ち分を持つというような形もあるのではないか。この辺は大変な想像でございますが、この辺は詳細が固まった段階でいろいろまた検討させていただきたい、そんなふうに思っております。

中塚委員 まだ詳細はお知りにならないということなんですが、いろいろなところからもらっているこういう紙には、ちゃんと民間投資家というところが書いてあって、ぴゅっと矢印も出ているわけですね。それこそ全銀協の会長と次期会長ということですので、当然内容はお知りになっているし、御出資になるつもりなのかなというふうに考えていたのですが、そうでない、中身はよく御存じないということが今わかりましたので、また今後の審議に役立たせていただきたいというふうに思います。

 それでもう一つ、この再生ファンドというのは、政策投資銀行が出資なり投資なりするということになっているんですが、これも要は特殊法人なわけですね。こういった特殊法人が企業再生ということでお金を出していくということについて、やはりこれも民業の圧迫じゃないかなというふうに思うのですが、山本頭取、御意見いかがですか。

山本参考人 こうしたものが政策銀行の機能として民業圧迫になるのではないかという御質問でございますが、確かに、具体的な案のスキームのようなもので議論をされているということは私も承知しておりますが、ファンドの運営など詳細がわかりません。そういう段階で、政策銀行が入ってくることが民業圧迫など政府の過剰な参入ではないかということにつきまして、ちょっと現時点でコメントを申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。

中塚委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。本日は、四人の参考人の皆さん、大変お忙しいところ、どうもありがとうございます。

 私、最初に富士銀行の方に、昨日お話をしておきました日新舗道建設にかかわって伺いたいと思うのですが、これは内容は、何を聞くかというお話もしてありますし、それから財務金融委員会の皆さんには以前質問等を通じて紹介しておりますので、要するに、RCCが企業再建をやるのか、銀行が企業再建を受けて努力をするのかという、そこにかかわって伺っておきたいと思うのです。

 この日新舗道建設という、富士銀行がみずから役員を送り込んでいらっしゃった企業から債権回収がされたのですが、企業再建についてどういうことを本来するべきであったのか、あるいは何をやってこられたのかということが問題なんです。実は、国土交通省の工事を請け負った代金の支払いは契約者の日新舗道建設に対してであるわけですが、ただ、請負代金債権を譲渡するという担保設定して登記をして、六十億円の債権枠を設定して、貸し付ける約束をしながら、貸付残高がゼロになっている時点でも担保とした債権譲渡の登記を抹消しないで、それでいて、債権回収をする一方で、この枠組みはあったのですが一億円の貸し付けを拒否された、それが倒産に追い込んだという問題でした。

 国土交通省の岩村敬総合政策局長は、国会で、工事請負契約により支払われるべき国の債権を富士銀行がとっていってしまうという債権譲渡というのは法律違反だということを明言、国会答弁でしております。富士銀行からこの会社に送られていた役員の方が、会社の印鑑、封筒などを使って、役所に工事代金は会社へ入金しないで富士銀行へ入金せよという文書まで送りつけたことについて、こういう偽計を用いてとかモラルに反したことをやるということは適切ではないというのが柳澤大臣の国会の答弁の中でありました。

 企業再建というのは、本来、RCCではなくてやはり銀行がなすべきことではないかと思うのです。役員まで送り込んで、銀行の債権回収だけ考えて、法律違反や偽計を用いてモラルに反したことを行うとなると、これは銀行法に定める公共性にも反するということになります。

 そこで、山本参考人に一言伺っておきたいのですが、一つは、銀行としてモラルに反することはしてはならないということが一つ。それから、先ほど室町参考人の陳述にもありましたが、企業の立て直しをする、そこに力を注ぐことで返済もしてもらうというのが、これが銀行本来の役割やあり方ではないかと思うのですが、この二点について、山本参考人のお考えというものを伺っておきたいというふうに思います。

山本参考人 まず第一点の、モラルに反する行動をしないということについていかがかということでございます。

 私どもは、常に金融機関の社会的な使命というものを自覚しながら個別の判断をする。その際に、御指摘のとおり、モラルの問題、それからコンプライアンス、法律遵守の問題、この点については日ごろから力点を置いて判断の基準に据えているということでございます。

 それから二番目の、企業再建で回収をするのが本筋だと考えるがという点でございますが、まさにそのとおりでございまして、私どもは、最大限企業の再建にアドバイスをし、サポートをして再建の道を探るというのがまず第一の我々の手段でございます。その上で、なおどうにもならない場合については、被害の波及などについて十分配慮しながら適切な対応をする、例えば法的処理をするというようなことでございます。

 以上でございます。

吉井委員 いずれにしても、この日新舗道建設の問題は国会でも、衆参でも取り上げた事例でありますが、やはり役員も送り込んでいらっしゃった会社について、自分のところの債権の回収に走るだけで、その企業自体が利益も出している会社で、常時百億ぐらいの仕事が転がっているような会社です。公の仕事もやっているところですが、そこの企業をどう立て直すかという立場で取り組んでいくということがなかったならば、日本じゅうの企業はどんどんつぶれるばかりということになりますから、その点は、まずそういう立場で企業の再建に力を尽くすということで取り組まれることを求めておきたいと思います。

 次に、私、「金融被害者の怒りの手記」というのもたくさん出ておりますが、これを読ませていただきまして、本当に涙なしには読むことができません。三和銀行の室町参考人にも来ていただいておりますが、「三和銀行の私文書偽造で夫は自殺」という事例もこの中には紹介されております。自宅店舗を増改築しよう、大手銀行に任せれば安心だというお話でやってこられて、最後は結局、家族は散り散りになり、自宅店舗もマンションも競売にかけられ、そして夫は自宅で自殺をされた、本当に痛ましい事態です。

 それから、「不法登記で財産を欺し取った富士銀行」という手記もありますが、これは、自宅増改築ローンの借りかえをしてもらいたい、こういうところから、借りかえをしてもらいたいというふうに銀行の方が勧誘にやってきて、そしてその途中で、富士銀行の事務処理上のミスを補いたいだけだから判こをついてくださいと。最後の結末はどうなったかといったら、自宅を競売されてしまい、その結果、私と娘は自宅を失いホームレスになってしまいましたと。

 私、こういうふうな問題というのは、本当にこういう社会的な問題になっていることがたくさんあります。海江田委員からも先ほど来お話ありましたけれども、銀行の提案融資のやり方で、富士銀行はFラインとセットで変額保険を売りまくる、三和銀行はフォーチュンワンというハワイの不動産共同投資への融資をセットにした金融商品を売りまくって、たくさんの被害者を生み出したわけです。銀行が百万とも言われる破滅に追い込んだたくさんの自殺者、一家離散も生み出したわけですが、これはきょう来ていただいている二つの銀行にかかわらず、全部の都銀にこれがかかわってくるわけですが、この被害を出した責任、貸し手責任というものについて全銀協会長、次期会長のお二人から、全く責任というものはないと考えていらっしゃるのかどうか、そこのところを一言ずつ伺っておきたいと思います。

山本参考人 貸し手責任一般ということではなくて、今のようなケースについてどう考えるかということかと思いますが、具体的に、案件についてお客様とお話し合いをし、場合によっては第三者を入れて解決をしているケースで、銀行側に非のあるものもございます。そういう点で、あの段階で、幾つかの場面でそうした行き過ぎた提案融資というものがあったということは、そのとおりだと思います。

 その後、我々はいろいろな新しい商品の販売を始めております。例えば、投資信託というものについて販売を始めておりますが、金融商品販売法に基づいて、先ほど来いろいろ御指摘がありますように、個人の情報と銀行側の情報のギャップの問題、これらにつきまして最大限、法律に基づいて、お客様に御納得いただきながらお買いいただくというような努力をし、そうしたことが起こらないような態勢を心がけている、そういう営業姿勢を心がけているというのが昨今の状況でございます。

室町参考人 ただいま御指摘いただきましたポイントにつきましては、先ほど、別の御質問の際にもお答え申し上げたことに重なるかもわかりませんが、行き過ぎた営業行為がないように日ごろ指導はしてきたわけでありますが、一部でそういう事件が、そういう批判を受けておるということは承知しているということでございます。その場合には、これも先ほども申し上げましたが、やはりお客様とよくお話をし、誠意を持って解決に努めるということでございます。

 その過程で、当然のことながら、本当に銀行に非がある場合は、これはやはり第三者の御判断をいただかなければいかぬケースでございますが、銀行に非がある場合は、それは銀行として責任をとらなければいけないだろう、こんなふうには思うわけでございます。それ以後、いろいろコンプライアンス体制の強化あるいは行員の指導、行内の指導、そんなことを行っておりますが、今後とも、そういったことは力を入れてやっていきたいと思っております。

 そんなところでございます。

吉井委員 新しい商品の開発とか、これからどうするかということも当然あるわけですが、しかし何といっても、百万近い被害者を出してしまっている、その被害者の救済をどうするのか、そこが非常に大事なところだと思うのです。

 椎名麻紗枝参考人に伺いたいのですが、金融商品の被害者を救済するためにどういう法律や制度の確立が必要か、また、金融商品の被害者をこれ以上出さないためにどういう法律や制度の確立が必要かということについて、先ほど十分お時間もなくて陳述し切れていないかと思いますので、そこのところを詳しく伺いたいというふうに思います。

椎名参考人 私は、貸し手責任を問う会の事務局長をしておりますけれども、借り手が全く責任がゼロだということを申し上げているわけではなくて、借り手責任がゼロのケースもあれば、借り手責任が三割、四割、五割ある、それは具体的ケースで、ケース・バイ・ケースだというふうに思っております。

 ですけれども、今の裁判所の現状は、債務者の方が全部立証しなければいけないというシステムになっているのですね。銀行のことを当時信用していましたから、当然、そのとき銀行とのやりとりをテープにとっているとか、そういうことをしておりません。そうしますと、いつ、どんなことを言われたのかということも忘れている。資料も何もない。そういったところで裁判を起こして、あなたの方が立証責任があるのだから、あなたの方で立証しなさいと言われるわけですね。立証するものは何もない。

 銀行の方はもちろんプロですから、業務日報もあれば稟議書もあるわけです。ただ、銀行の持っている資料を出してくださいということを裁判所にお願いしても、申し立てをしましても、最高裁判所はそういったものについて、文書提出命令に応ずる義務はないのだ、それは銀行の内部文書だから出す必要はないというのが裁判所の対応なのです。

 そうしますと、結局、債務者の側は何も証拠が出せない、証拠を出せないし立証もできない、それで負けるというのが現状なのです。しかも、裁判所の場合はオール・オア・ナッシングですから、責任があるかないかということになるわけですね。

 私どもは、全部責任が銀行にある、こちらには責任がないということを申し上げているわけでは全然ないのです。ただ問題は、銀行の方の貸し手責任だってあるじゃないか、そこのところをちゃんと認めて、合理的にリーズナブルな解決をしてほしいというのが被害者の人たちの共通な認識なのです。そういった解決のためには、イギリスのような、オンブズマンのような妥当な調整機関をつくって、そこで解決を図るということが一番望ましいのではないかというふうに私は思っております。

 今、調停制度というのはもちろん裁判所の中にございますけれども、先ほども申し上げましたように、債務者、債権者、どちらも合意しなければ調停はまとまらないという仕組みになっているわけですね。そうしますと、金融機関の方は、裁判をやれば結局は自分たちが勝つのだからということが頭にあるものですから、幾ら裁判所の方が、裁判官の方が提案を出しましても、裁判をやったらもっと有利な解決が図れるというふうに考えたら、絶対調停に応じないのです。ですから結局、調停の成立件数は二割ぐらいという非常に惨たんたる状況です。裁判官は、非常に自分は非力であるということを裁判所で嘆いているのが現状なのです。

 そういう現状を踏まえて私たちがお願いしたいのは、ぜひ、イギリスのようなオンブズマン、債務者の側が合意した場合には、金融機関の方は多少不満であってもそれに対して承服させられる、そういう片面的拘束性を持たせるような、イギリスのようなオンブズマンをつくっていただきたいということをお願いしたいと思っております。

吉井委員 それから、諸外国によっては、情報公開の中で銀行の資料が被害者の側あるいは弁護士さんの側に提示される例もあるやに伺っておりますが、そういう実例など、椎名弁護士、参考人のかかわってこられたものの中で、御経験などおありであれば聞かせていただきたいと思います。

椎名参考人 これはアメリカの裁判所で、鑑定人に呼ばれたときに経験したことなのですけれども、アメリカの場合はディスカバリーが非常に徹底しておりまして、裁判というか、そういう手続というのはフェアにやらなければいけないということを大変重く見るわけですね。ですから、不利益な証拠もやはり敵の相手に見せる、開示する、それで正々堂々と戦おうという精神があるのです。

 ですから、ハワイの裁判所に行って驚きましたことは、これは住友銀行との裁判の件で鑑定証人に呼ばれたのですけれども、住友銀行が持っていた資料が業務日報を含め全部出てきたのです。それでは提案融資ということがもろに出てきまして、この人にいかに融資を押しつけるか、プッシュするかとか、この人に不動産を買わせたら幾ら手数料が入るかとか、そういったことも全部書いてあるわけですね。そういったことが出てくれば、日本の裁判制度だって、裁判官だってやはり違う見方をすると思うのですけれども、そういった資料は全然出てこないのです。

 だからそういう意味では、裁判というのは、スポーツもそうだと思うのですけれども、武器対等にして戦うというのが基本だと思うのです。レスリングの選手とフェンシングを持って戦うなんというのはやはり武器対等ではありませんし、体だけが武器だという場合には、やはり同等の体重で戦うということが基本だと思うのですけれども、日本の裁判制度は全く違うのです。武器対等ではなくて、債務者の側は何も証拠がない。証拠を出せと言われても、ないのですね。では、銀行が持っている資料を出してくださいと言っても、裁判所が出す必要はないと言うのです。こんな不公平な裁判はないと私は思っています。

 以上です。

吉井委員 時間が参りましたので、高木参考人にはせっかく来ていただきながら質問できなかったことをおわびして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子と申します。

 四人の参考人の方には、お昼も過ぎましたのに、大変に長時間で御苦労さまでございますが、私の質問で一区切りですので、よろしく御協力をお願いいたします。

 まず、山本頭取にお伺いいたします。

 今、山本頭取は日本の銀行界のトップとして、現下、大変厳しい経済情勢下の我が国の経済状況、そして次の産業が何であるのか、例えばITにいたしましても、アメリカで昨今とんざいたしております中で、主たる産業の先行きということも大変厳しい中で、現下の状況下のいわゆる銀行の社会的任務とは何であるとお考えなのか。

 これは先ほど若松委員が、豊饒というとてもすばらしい言葉でおっしゃいました。私はとってもすばらしい言葉と伺いましたが、それではやや抽象的過ぎますし、もう一歩踏み込んで、金融ということに責任を持たれる立場から現下の経済状況下での銀行の社会的任務ということについて、なるべく短目にお願いいたします。

山本参考人 まとまりがないかもしれませんが、日ごろ考えていることを申し上げたいと思います。

 現下のということで申しますと、現時点で一つ大きな問題は、金融システムの安定化の問題であります。そのためには、個別の銀行が財務体質を強くし収益力をつけていく、これに尽きます。

 それからもう一つは、金融サービスについて万全を期していくということでございます。銀行は免許業でございまして、この意味するところを踏まえて、金融の円滑化、決済の正確さあるいは決済の確実性というような、我々の果たすべき経済のインフラたる金融システムを支えることをきちんとやっていくということが基本だというふうに考えております。

阿部委員 私がぜひこの場でもう一点お伺いしたかったのは、山本頭取のお言葉の中に何回か出ておりましたが、一応不良債権処理についての会計処理は引当金を積むという形である程度各都市銀行は終了しておると見てよいということと、もう一歩さらに最終処理を急ぐのであれば、今回のこのRCC等の買い取り機構の活用も考えたいというお言葉であったと思います。

 私が逆に一番ここでお聞かせいただきたいのは、いわゆる最終処理と申しましても、やはり企業が生きる道、企業の再生ということも、私は、現下の経済情勢下では、これは銀行の三大業務の一つと考えなくてはいけない、とにかく日本の産業をつぶしてしまったのでは次に再生も何もできなくなるだろうと思うわけです。もちろん、さまざまな意味で最終オフバランスを図らなきゃいけない企業もあることは存じておりますが、そうであったとしても、やはりなるべく最大限各企業の生き残れる道ということを図らなきゃいけない。

 そして、その中にあって、例えば山本頭取の御提示いただきました、まだ未定稿という文書でございますが、きょうお話しの原稿になりました、最終六ページに書かれておりますが、私どもといたしましても、従来よりRCCに対し人材派遣を通じて全面的な支援協力体制をとっておりますがという一文はございますが、私は、今回の法案がいわゆる企業再生ということを目標につくられたということは、逆に言えば、銀行の企業再生能力ということについて、ある程度見限られた、見くびられたと見るのが銀行側の、これはいわゆる自分が体を張って仕事をしてきたものであれば私にしてみれば当然の感覚ではないかと思うのであります。

 そして、いま一方、いわゆる回収あるいは再生にかかりますコスト、きのうも弁護士のRCCの顧問料二千百万、高いな、医師の給与より高いなと思って聞いておりましたが、回収コストも再生にはかかっていく。そうしたときに、今、いわゆる例えば都市銀行各位が再生ということに全力、企業再生にかなりの力点を割くべきところを、RCCへの支援体制ということで、ある意味でお任せしてしまうような腰の引けたことでは、恐らく日本の金融としての一つの理念を失うのではないかと思っております。ちょっと長い質問で恐縮でしたが、この点、山本頭取はいかがお考えでしょうか。

山本参考人 RCCが企業再建を行うということの一つの特徴は、破綻懸念先あるいは破綻先について複数の金融機関がここに買い取りを求めた場合に、RCCは、複数の金融機関ではなくて単一の金融機関としてこの企業に立ち向かうことができます。そういう観点で、再生を容易にするということが可能になるというメリットを持っております。

 最初の御質問に戻りますが、企業の再生は本来銀行の仕事ではないかということでございます。企業の再生そのものは、第一義的に企業の努力によるものであるというふうに思います。その上で金融機関がなすべきことは、例えば、金融機関として持っているいろいろな情報、ノウハウ、こういったものでアドバイスをする、また再生の過程で必要な金融サービスを行っていくということで、企業と銀行が一体となって再生をする以外再生の方法はないわけであります。

 それから、最終処理と再生の関係でございますが、これは私的整理のガイドラインでも議論されているものでございますが、企業を残すのか、事業を残すのかということでございます。もし企業の中に現在の経済にとってあるいは社会にとって必要な事業があれば、そういうものを残して残りのものを整理するという考え方で再生を図るということもございますので、企業という会社が再生するという、丸ごと再生できれば一番いいわけですが、そうではなくて、ある必要な事業あるいは将来性のある事業を残して残りの部分を整理するというような考え方が私的整理ガイドラインにもあるわけでございまして、そういう意味では、銀行は最近、MアンドAとかMBOとか、多様な手法を開発し、例えば欧米でそういった経験をしてきたものを日本で使うというようなこともやっておりまして、我々の仕事として十分自覚をしてやっていこうということでございます。これは主要銀行共通の考え方でございます。

阿部委員 私は、そうした複数の債権者がおられるときの音頭取りを公的なものにゆだねようという姿勢自身をやはり非常に問題と思っております。

 そして、次に室町参考人にお伺いいたしますが、参考人からいただきましたさまざまな資料で、少なくとも私が拝見いたしました限り、富士銀行の山本頭取がお出しいただいたものよりは、再生努力ということについての銀行の取り組みということが詳細に書かれておったと思うのですが、今度この法案でできます企業再生本部、十一月一日にRCC内に設けられましたが、まだどのようなものになるやも実はわかっておりません。これは私もきのういろいろ伺いましたが、具体像は出ておらない。

 そういたしますと、先ほどの最後の高木参考人のお話にもありましたが、今銀行の方で一生懸命さまざまな欧米のような手法を用いての再生にも取り組んでいる中で、再度、重ねての質問ですが、あえて銀行の再生の取り組み以上のものをこのRCCの再生に期待されるところの真意は何か、何を期待されておるのかということをお聞かせください。

室町参考人 議員御指摘のように、銀行といたしましては、企業の再生にこれまでも最大限の努力を払ってきておりますし、また、冒頭陳述で申し上げましたように、今後ともいろいろな手法も開発しながら努力をしていく、これは銀行本来の仕事であるというふうに心得ております。

 一方、RCCに何を期待するかということでございますが、これは、ある意味で、今後詳細が詰められていくことであろうと私は思いますが、それは同時に、我々もそういう中でどういうふうにこれを利用していくかということを、率直に言いまして、これから考えていかなきゃ、検討していかなきゃいけない状況だろうと思います。

 ただ、この予想される企業再生本部には、結果として、先ほど山本頭取からもございましたように、いろいろなケースが持ち込まれてくること、いろいろな銀行のものが持ち込まれてくる、そういうことの中から、取引先を一元的に、あるいは業界を横断的に見るとか、そういった何か再生のノウハウが生まれてくるのではないか、我々だけではできないものが生まれてくるのではないか、もう一つのプラスがあるのではないか、そんなふうに期待をしているところでございます。

 以上でございます。

阿部委員 取引先の一元化ということは、富士銀行の頭取からも、今の室町参考人からもお話でございましたが、いわゆる回収にコストがかかるようなもの、特に大手の債務者ではなくて中小、中堅のいろいろな問題をはらんだものがそこに行き、かえって最終処理に至らなくなることも考え得る、これは二重のリスクをはらんだものでございます。

 私は、本来は、何度も申し上げますが、何かあるのではないかという期待で銀行業界が臨むような非主体的な態度ではなく、やはりみずからが、本当に今の日本の経済状況下で、日本の金融が果たすべき役割ということを主体的にお出しいただきたいと思います。

 最後でございますが、きょう、欧米での事例、たくさんに御紹介いただきました高木先生にお伺いいたします。

 私が今お二方にあえて伺いましたのは、では日本の銀行はそこまで力のないものであるのかと。私は実は医者でございますが、私の患者をよそに紹介するときは、私でできないと思うからであります。今、RCCに御紹介というか送るということは、うちの銀行ではできない、うちではできない、だめだ、ギブアップ、判断を私は安易にし過ぎると思うのですね。

 その点で、日本の銀行というのは欧米と比較してさほど能力のないものであるのか、あるいはまた能力があってもこれは必要なのか、お伺いいたしたいと思います。

高木参考人 日本の銀行でも、例えばある銀行でアウトオブコート・ワークアウト・アドバイザリー室というようなものを設けたり、いろいろな企業再生の部門を今設け始めてきております。外国の支店などに出張せられた方、この方が現地で企業再生の方法を学んでこられまして、そういう部門を担当してということが今始まっております。また、固有名詞を申しますと、モルガン・スタンレーですとかメリルリンチ、こういったところはもう既に、民間でございますが、そういう事業再生ビジネスに参加しておられます。ですから、外資系、国内系、そういうものがだんだんふえてまいりました。

 ただ、残念ながらファンドはまだ余りできておりません。今、先ほど申し上げましたように私的整理で一つつくろうとしております。これは民間でつくろうとしております。そこで私的整理で、デット・エクイティー・スワップで取得した株を現物出資してファンドをつくる、これは単数の会社が相手でございますが、これができる準備をしております。つくる準備をしております。

 そういったものにこれが一つ加わると、またこれはそういった雰囲気がずっと広がってくるかな、そういうものがたくさんできてくるかな。残念ながら日本の場合には、多少やはり官が動いていただかないと、呼び水としてちょっと不足していたかな、ここでこれが呼び水として働けば、今そういう動きがあるのがまたずっとふえてくるかなと期待しております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕

阿部委員 日本の銀行がそこまでひ弱なものであるという認識は大変残念ではございますが、重ねて、きょうの椎名参考人のいろいろな御教示にもございましたが、やはり信頼とそして自負を持って銀行業界、もっとしっかりと取り組んでいただきたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

奥山委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、相沢英之君外七名提出、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。

 この際、お諮りをいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として株式会社整理回収機構代表取締役社長鬼追明夫君及び日本銀行総裁速水優君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江崎洋一郎君。

江崎委員 民主党の江崎洋一郎でございます。

 昨日に続きまして、また質問を再開させていただきます。

 昨日の御回答で、金融再生法策定当時もRCCの回収機能については議論があったとのことでありました。しかし、今回問題になっているのは、単純な回収業務だけではなく高度な企業再生ビジネスでありまして、RCCの役割には、私の率直な意見としては、ますます疑問を感じざるを得ないというのが率直な気持ちでございます。

 企業再生ビジネスには、倒産法の専門家や経営コンサルタント、アドバイザーといった専門性の高い人材を大量に確保する必要があると考えておりますけれども、RCCがこうした人材を短期間のうちに集めるということは大変難しいのではないかというふうに考えております。

 いずれにしても、RCCに企業再生のための中心的な機能を担わせることが現実的でないとすれば、民間サービサーや投資ファンドをフル活用すべきではないかというふうに感じております。その際、RCCには市場を補完する機能を担わせるべきではないかというふうに考えております。例えば、外資系の投資ファンドが不良債権を買いたたいているというような意見も聞かれております。RCCがこうした先と競争することによって、法外な買いたたきを防いでいくというのも一つの役割ではないかというふうに感じている次第でございます。

 企業再生がもうかるビジネスであれば、RCCよりも高い価格でも不良債権を買い取ろうとする投資家が出てくる可能性も否定できないわけですし、また、RCCが民間の投資家を押しのけてまで不良債権を買い取る必要はないのではないか、市場が納得する客観的な算出方法で、きのうもありましたが、買い取り価格、これをマーケットメーカー的な機能を果たしていくということでも、このRCCの役割というのはこういった法外な買いたたきとか、そういうものを牽制できるのではないかというふうに感じます。その結果、収益性の高い案件が民間に流れ込んでいってRCCには不良債権が集まらなかったり、あるいは再生する見込みの低い債権しか集まらなかったとしても、それはそれでRCCの必要な機能だというふうには言えるのではないかと感じます。

 何でもRCCにやらせようという発想ではなく、このような発想の転換というものが必要なのではないかと思いますが、柳澤大臣、いかがでございましょうか。

柳澤国務大臣 今回の法案は与党三党の専門的な知見を有する先生方によりまして練り上げられたものでございまして、これについて私が先んじて何かコメントをするというのはこれは差し控えなければいけないというように思いますが、正直申して、このスキームというかこういう構想を聞いたときには、確かに私の頭の中に、今先生がまさにおっしゃったように、外資系の方々の買いたたきというようなものには随分牽制の機能があり得るなというふうに思ったことは確かでございます。

江崎委員 RCCがありきで不良債権問題が解決するとはとても思えません。

 そういった意味で、補完的機能だという位置づけで、ぜひとも政府また御提案者の皆さんもお考えいただければというふうに考えております。

 そこで、補完的な役割に徹するということであれば、再生見込みのある優良な債権は民間のサービサーや投資ファンドに引き継がれる一方で、RCCには比較的再生が困難な案件が集中してくるのではないかと考えられます。換言すれば、RCCは民間のプレーヤーでは抱えることのできない、リスクの高い案件を引き取るというような位置づけになるのではないかと思います。その分だけ、一方で二次ロスというものを考えていかなければいけないのではないかというふうに考えております。

 RCCの二次ロスに関しては、国民負担の観点からは批判が多いわけです。しかし、不良債権の価格が変動してロスが発生するリスクは、不良債権売買を手がける以上、RCCであれ民間プレーヤーであれ、必ずひとしく負わなければいけないリスクだというふうに考えます。そのリスクを負わない限り、不良債権売買には参加できないということも言い切れるのではないかというふうに思います。市場では何が何でも二次ロスを出してはならないという考え方ならば、RCCが不良債権市場に参加する意義がないのではないかという声もあります。

 それを踏まえてお尋ねしますが、RCCに二次ロスが発生することはちゃんと想定した上であえてRCCを活用する御覚悟があるのか、また、二次ロスというものがいざ発生してしまった場合には公的資金を投入する、そういった手段もお考えなのか、柳澤大臣に伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 三党の専門家の方々が練りに練っていただいたスキームでございますので、私ども、これは預保それからRCCともに慎重に、また効果的に運用していかなければならない、このように考えているわけでございます。

 今先生が言われたことの中で、RCCが引き取るものは、市場が非常に困難視するものではないかというようなお話があったようにお聞きいたしましたけれども、これはそういった傾向もあるかもしれませんが、それ以外に、RCCは民間の株式会社の形はとっておりますけれどもやはり公的な性格を有するというのは、これはもう周知の事実でございます。そういう立場で考えますと、A銀行から債権が持ち込まれたときに、RCCならばより、B銀行の同じ会社に対する債権もどうですか、C銀行についてもどうですかというような話を実際することができて、その当該の企業に対する債権の大部分を集約して話を進められるという可能性は、民間のサービサーなんかに比べると高いというような、そういう長所もあるのではないか。

 そういうことができれば、これは企業の再生というようなこと、それからまた、債権の回収極大化というようなことにも資することは明白だというふうに思っております。

 そういうようなことを前提にして、さて二次ロスについてどう考えるかということでございますけれども、今回こういう改正をしていただくことによって、これまでの、RCCがやってきたような一本一本について絶対にロス、二次ロスを出さないというような形での買い方というのは、そこからはかなり解放されるということがまず言えるでしょうし、それで最終的には、結局、金融再生勘定にいろいろな業務をやった後でさてどういう決算じりが生まれるか、そこでマイナスが出るというようなことであれば、それは政府保証が機能して実際の損失の補てんが行われるというようなことに多分なるんだろう、こう思います。

 そういう意味で、一つ一つの案件の処理についてロスを出さないように気をつけていかなきゃいけないということで、それを実際実行していただきたいと我々思いますけれども、同時に、現実の処理を考えた場合には、かなり集計的な、アグリゲートされた結果の決算じりということになるんだろうというふうに思いまして、それはある意味で政府保証というものをつけていただいている趣旨だというふうに思います。もちろん、保証をつけていただいたから保証債務の履行を求めるのは当たり前だなんというような気持ちは毫もありませんけれども、仕組み的にはそういう仕組みのもとにあるということだと考えております。

江崎委員 そうしますと、二次ロスが発生した場合には公的資金を投入するお考えがあるのかどうかということについてはいかがでしょうか。先ほどちょっと御質問申し上げましたが。

柳澤国務大臣 再生勘定を終結するに当たって、その帳じりは、全体として借入金に対して政府保証がつけられておりますから、財政的な支援が行われるという仕組みになっているということを今私申し上げた次第でございます。

江崎委員 それと関連するわけですが、今回の改正法の中に、RCCの機能強化とあわせて、民間投資家や政策投資銀行などの出資により企業再建ファンドというものを設立するという話もございます。報道では、日本政策投資銀行が約一千億円、民間が少なくとも一千億円を出資して約二千億円規模のファンドを設立しようというお考えもあるようでございます。

 その中で企業再生ファンドというものが創設されるというお話であるが、一方でこのファンドの機能とか役割というものが見えてこないということもあります。現実に、RCCに発生したロスを隠すような、隠れみのになるようなファンドになってしまっては全く意味がないわけでございまして、このファンド自体の扱いというのはどういうふうにお考えなのか。また、報道による約一千億規模の民間からの出資者ということが想定されているようでございますが、果たしてこういうものに民間が本当に出資をしようという意思があるのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 今江崎委員のお話を聞いていますと、何となく、何かファンドというものがRCCの出先にもう一つできる。金融庁の先に預保があって、預保の先にRCCがあって、RCCの先にまたファンドがあるというような、ちょっとそういうニュアンスでお聞きしたんですが、そうではなくて、この企業再建ファンドというのは、RCCが具体の債権それから債権にかかわる企業というものを考えて、それでこの債権については再生の方向で考えることができるな、それからそれがまた適切である、こういうような判断をしたときに動き出す話で、その動き出す場合でも、RCCが直接にいろいろやることも可能なわけですけれども、まあしかしこれはむしろファンドをつくって投資家も他から呼び集めて再建をした方が適当だ、こういうようなことを考えた場合に、個々に、その企業ごとにというか、そういうことでファンドをつくるということでして、この企業の再建をするので、この企業はこういうメリット、いい点がありますから、これは再生がうまくいったら大変利益が上がるプロジェクトですよというようなことで、そこで投資家を集める。集めるというか、そういうような話が発生してくれば、利益動機でそこに一口話を聞かせてくれというようなことが出てきますから、そういうことでファンドが組成されるということでございまして、何か固定的な一つの組織として組成されるというようなことではないということをちょっと御理解いただければと思っております。

江崎委員 今、提案者の代表の方がまだ御到着じゃないようですので、ちょっとここで審議をストップさせていただいてよろしいでしょうか。

山口委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕

    〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 暫時休憩をいたします。

    午後二時四十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、相沢英之君から発言を求められておりますので、これを許します。相沢英之君。

相沢議員 提案者を代表し趣旨説明をいたしました私が、委員会に無断で、委員会審議の冒頭に出席していなかったことを、委員各位に深くおわび申し上げます。

 議員立法であることを十分踏まえ、今後このようなことはないようにいたしますので、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山口委員長 この際、私からも申し上げますが、今もお話がありましたように、与党の皆さん方の提案の議員立法でありますので、緊張感が欠けておるのではないかと私も思いますので、そこら辺は十二分に注意をして、審議に支障のないように厳重に注意をさせていただきます。

 質疑を続行いたします。江崎洋一郎君。

江崎委員 今、提案者を代表して相沢議員からもございましたが、これはあくまで与党からの議員立法ということでございます。ぜひとも、審議に際して皆様がきちっとそこで質疑に応答していただけるという前提で委員会が開かれているわけでございます。そういった意味で、今後この審議に関しましては心してぜひともお願いをしたいというふうに思っております。

 そして、委員長、一つ申し入れがございます。昨日来、私の質問、大分ぶつ切りになっておるのが正直なところでございまして、昨日は約二十分、またきょうも十分、またそれで残りが十分という大変流れが壊れるような形での質疑になっております。そこで御検討いただきたいのですが、もう一度最初からお時間をいただけないか、御検討いただければと思っております。

山口委員長 その件は、先ほど、実は理事会でも出たのですけれども、江崎委員、政府の方からの答弁をということで質問をお進めになっておられましたので、まことに御迷惑をおかけいたしますが、引き続いてということでお願いをさせていただきたいと思います。若干考えて、運営をいたします。

江崎委員 それでは、質疑を続けさせていただきます。

 先ほど、柳澤大臣に企業再生ファンドの件でお答えをいただいたんですが、ちょっと誤解がなきように、私は、あくまでRCCの外にあるという認識で質問させていただいたわけでございます。

 そこで、ちょっと先ほどお伺いできなかったんですが、この二千億に上る投資ファンドに際して、民間が約一千億、少なくとも一千億ということでの出資を募るということでございますが、具体的にどういった民間の方々を指してこの一千億にも上るファンドを期待されているのか、御見解をお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 先ほど申しましたように、旧日本開発銀行、現在の政策投資銀行が自己資金五百億、それから政府の産投拠出が五百億で一千億の資金を確保したわけでございますけれども、これが一括してどこどこに出るということを、当然もう先生御案内のとおりでございますが、想定しているわけではございません。結局、RCCも債権を買い取って、そしてさらにその場合に、それをデット・エクイティー・スワップで株式化して、それを出資するというようなことを、まずRCCの関係では予定しているわけでございます。典型的なスキームということで申させていただきますと、そういうふうに予定しているわけです。

 それに対して政策投資銀行も、どのような形かはケース・バイ・ケースでしょうけれども、投資あるいは融資というような形でお金をそこへ出捐することが予定されている。それに民間の投資家がまたそれに参加するということで、その当該の企業の再生に向けた全体のファンドが成り立つということになるわけでございまして、それが一体、一つ一つの個別のファンドが幾らの規模になるかということは、まさにケース・バイ・ケースということになるというふうに考えているわけでございます。

 投資家はどういうようなものを予定しているかということでございますが、これはもう、内外ともに、外からの投資家もあるでしょうし、それから国内の投資家もあるでしょうということでございますし、また、もう一つの区分としては、スポンサー的な方が出資をして、同時にマネジメントについても、そこに人材を供給するというような人もいるし、そうではなくて、全く一種のポートフォリオインベストメントということで、出資した資金から相応のリターンを期待してということで考えて投資する人もいるだろう。そういういろいろな形での投資を我々としては想定しているということでございます。

江崎委員 それでは、RCCの具体的な役割については以上で質問を終わらせていただきまして、今度は、不良債権処理が国民経済に与える影響という問題につきましてお聞かせいただきたいと思っております。

 まず、金融機関のロス負担についてでありますが、今後どの程度金融機関でロスが発生するか、これは、今客観的に評価を行うというのは大変難しいのではないかと思いますが、一方で、金融機関の役割として、経営難に陥った借り手であっても将来業績が回復するという見込みがあれば、金融機関が支援をし続ける限りは、そうそう急に破綻するということではないと思います。反対に、比較的健全な借り手であっても、金融機関が支援を打ち切ってしまえば、たちまち破綻してしまうということも想定されるわけでございます。そうした意味で、特別検査などでどれだけ徹底的に債務者区分の見直しを迫るかによっても、銀行のロスというものの金額の増減が随分幅があるのではないかと考えられます。

 そこでお伺いしますが、金融庁では特別検査において市場のシグナルを反映した適正な債務者区分を確保することとしておりますが、目先の市場の動向に余り左右され過ぎると査定が極端になりはしないのかというのを心配をしております。その結果、企業の資金調達が困難になったり、それにつれて市場が反応し、株がどんと下がるというようなことも起こり得る、非常に悪循環があり得るわけでございますが、今度、特別検査によって必要以上に不良債権をふやしてしまうという、そういうおそれがないのでしょうか。

 また一方で、このような方針を掲げた以上、余り市場の動向をないがしろにして、お手盛り査定みたいな批判が出てきてしまっては元も子もないわけでございますので、そういった意味で、この点どうやってバランスをとっていかれる方針であられるのか。その辺につきまして柳澤大臣にお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 我々、骨太の方針以来、資産の査定というものを厳格化するということを打ち出させていただいておるわけでございます。その一つは、通常検査の方にあるわけですが、通常検査を頻度を高めるということのほかに、通常検査で指摘したことが実際の次年度の決算に備えた自己査定にちゃんと反映されているか、いわば検査結果の趣旨の確保というか、そういうことを一つやらせていただいているわけです。

 それからもう一つは、最近、いわゆる改革先行プログラムにのせた今先生御指摘の特別検査、こういうことをやらせていただいて、より査定の的確性を期するということをさせていただいたわけです。これは、市場のシグナルが急変したもの等の債務者に着目した検査なのでございますが、御指摘のとおり、市場も常に正しいというわけではなくて、市場も間違うこともあり得ないわけではない、こういう御指摘でございますが、私どももそう考えております。

 そこで特別検査ですけれども、特別検査の対象、この基準は、風評被害等を起こさないということのために私ども開示を差し控えさせていただいておるわけですけれども、この特別検査に当たっては、対象をそういった市場シグナルを十分勘案して選ぶわけですけれども、その後どのように査定をして債務者区分を行うか、あるいは、その場合どのような引き当てをするかというようなことについては、従来の検査マニュアルに従って行うということを考えているわけでございます。

 ただ、このときに、蛇足かもしれませんが申し上げたいのは、検査マニュアルによる今言ったような債務者区分あるいは引き当てについても、財務状況とかそういう基本的な要素とともに、市場のいろいろなシグナルも同時に勘案することになっておりますので、そういう意味で、バランスのとれたものを私どもとしては検査マニュアルの基準にのっとることによって実現できる、このように考えているということを申し上げます。

江崎委員 今のような御見解でございますが、特別検査に加え、不良債権の売却などによって、これから金融機関は相当額の追加償却あるいは引き当てというものが必要になってくるのではないかと思います。それによって過少資本に陥った金融機関に対して、今後どのような対策をお考えなのかを伺いたいと思います。いわゆる金融システム不安を起こさないためにも、必要であれば速やかに公的資本の再注入を行うという考えもあろうかと思いますが、過少資本に陥った銀行に対する対応というものを、御見解をいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 今回、中間決算が発表をされておりますが、その際、同時に各行においては通期での見通しを発表していること、御案内のとおりでございます。

 それを見ますと、どなたか委員の方も既にお触れになられたかと思いますけれども、六兆円を超える不良債権の処理損を通期では計上するというような、集計するとそういう見通しを発表しておるということが言えようかと思うのですけれども、これは従前と申しますか、十三年三月期にいかがであったかというと四兆三千億弱、こういうことになっておりますので、それと比較しますと二兆円ぐらいの増加になるということでございます。

 そういうことでございまして、見通しの問題ですから我々今ここでコメントをするのは尚早と思いますけれども、あえて申し上げれば、かなりの処理損を見込んでいるなという感じがいたすわけでございますけれども、そのもとでの自己資本比率というものを、まさに大観するというか、そういうことをいたしてみましても、一〇%台というか、そういう自己資本比率が確保されるというふうに我々見ておりまして、今すぐ過少資本云々ということまで思いをいたさなくてもよろしいというように考えておるわけでございます。

 では、それはそれとして、もし過少資本に陥った銀行が出た場合はどうするかといえば、これはもう、今決められたルールとしては早期是正措置の枠に入ってくるわけでございまして、その処置について、改善の方法についていろいろ手当てを要請していく、こういうことになるわけでございます。もし万が一、今先生がお触れになられたように、それが金融危機というかシステム全体の危機につながるようなおそれというか、そういうようなものがあった場合どうするかといえば、それはまた別の危機対応のシステムが動き出す、こういうふうになっておるということを申し添えます。

江崎委員 最後に、私見になりますが、現在の不良債権問題というのは、やはり右肩上がりの成長と護送船団方式を前提とした金融機関の無秩序な貸し出し競争によりまして、貸し出しが金融機関の審査部門の管理可能な範囲を超えてしまった。そこにまた、金融機関は審査を通じて企業の業績を細かくモニタリングしていく役割を担っているのですが、貸出規模が肥大化してしまい、十分なリスク管理や経営指導ができない。そのまま、またバブルもはじけたということが今日の不良債権問題の根底にあるのではないかと私は考えております。

 金融機関の企業に対するモニタリング機能が不足している状況においては、管理できていない貸し出しを金融機関から切り離し、金融機関にかわって経営資源やリスクキャピタルを提供してくれる新たな投資家に再配分するということは理にかなっているんだと思うのです。しかし、我が国の産業構造改革を進めていくためにも、企業の統廃合や合理化、経営陣の刷新また経営戦略の転換といった形で、経営資源が効率的に再配分される市場のメカニズムというものを十分に構築していく必要があるのではないかと感じております。

 いろいろ幅広い視点からRCCの機能拡充策というものを見ますと、今回の改正というのは、残念ながら極めて限定された技術的なものではないかなと感じております。また、不良債権の売買市場、そこの機能をゆがめないためにも、RCCがそんなことに容易になってしまわないようにしなければいけないというふうに私は考えておりまして、ちょっと今回の法改正は甚だ疑問に感じている次第でございます。

 私からの質問は以上で終わらせていただきます。

山口委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松でございます。

 一応、この法案に入る前にちょっと、ただいまニュースがございまして、アメリカの格付会社のスタンダード・アンド・プアーズが、きょう日本政府が発行する国債をダブルAプラスからダブルAに一段階引き下げると発表した。それで、小泉政権が進める構造改革のおくれとか、あるいは第二次補正予算などによって政府の債務負担の増加などを理由に、さらに格付が起こるんじゃないかというふうなことをニュースで伝えたということなんですけれども、これに対しまして、金融大臣の方から感想等ございましたら、ちょっと通告はしておりませんでしたけれども、まず御感想をいただければと思います。

柳澤国務大臣 これは、国債を所掌している役所というのは財務省理財局でございますので、私の立場からこのことを云々するのはちょっと筋違いかと思いますが、せっかくの御質問でございますので、個人的なことを申しますれば、やや形式論の強い思考の上に立った御判断というか評価というか、そういう感じがいたします。

末松委員 これで日本の国債の格付が、G7の中で最低水準と言われるイタリアと一緒になってしまった。これはまだ下がるかもしれない。

 私が大臣に対して質問したのは、その理由として大きく挙げられているのは、脆弱な金融部門だということを明示されているがゆえに、そこで大臣の感想と言ったわけなんですけれども、これは、今大臣がおっしゃられたように、ちょっとこれは形式的に過ぎる、実はもっと強いんだ、そういうふうにおっしゃりたいということですか。もう一度お願いします。

柳澤国務大臣 私が申し上げましたのは、例えば個人金融資産千四百兆、あるいは対外債権、純資産、こういうものが世界で冠たる、数字はちょっと私つまびらかに記憶しておりませんので申しませんが、冠たる資産を持っているというようなことにあらわれるように、私どもの今の経済、確かに変調を来しているという面も当然あるわけですけれども、特に今言ったようなストックに着目する限り、そうしたことをフローの不振というようなものだけで論じるのは、私としてはちょっと全面的にがえんじ得ない気持ちを持つということを申し上げたわけであります。

 それからもう一つ、その理由として金融システムの脆弱性というものが挙げられているということでございますけれども、この点は、金融システムが万全であるというふうなことは申せなくて、傷ついている、少なくとも公的資本も入っているというようなことにあらわれておりますように、そうした十全なものでないということは認めざるを得ないわけですけれども、この改善のために今官民を挙げて一生懸命努力をしておるわけです。

 問題は、経済を議論するときに、レベルの問題と方向性の問題、これを分けて考えることは私は非常に大事なことだと思っておりますけれども、どっちの方向に行っているんだと言えば、私は、むしろ上向きの方向、改善の方向に進んでいるというふうに考えているわけであります。

末松委員 先ほど言われたように、国民資産千四百兆、また世界に冠たる対外資産、ずっと日本は千数百兆の資産を持っていてという話を言われてきたわけですよ。でも、それがどんどんどんどん格付が落ちていく。今言われたように、方向性と現在のレベルといいますか、それは違うんだ、今いい方向に行っているじゃないかと言われて、言われ続けてきたんですよ。それで、まだ不良資産がどうだこうだ、一番の不良資産がきちんと償却されていないじゃないかと言われて、国債というのは格付が落ちてきたということを、やはり率直に認めなきゃいけないんじゃないでしょうかね。

 金融大臣がそういった形で否定なさるのはよくわかる、まあ立場上はよくわかるんですけれども、でも、そういう形で日本がどんどんここで弱くなってきたということを、やはりそういうことになるんじゃないですかね。

 大臣は大臣のお立場であるから正直にそこは言えないのかもしれません。ということであれば、今度のこの法案について、提案者の方々おられますから、提案者の方々の御認識も伺いたいと思います。

 特に私、この不良債権の問題がこの日本をかなり大きくここまで厳しくさせたということであるし、その中で一番やはり問題というのは、この委員会でもたびたび御指摘ありました、間接償却は終わっていない、つまり資産査定と引き当てというものが不十分じゃないか、そういうことを、私も実は本当にそうだなと思うわけです。

 そういった観点から、塩崎議員の方にお伺いをいたしたいと思いますけれども、塩崎議員の書かれた、例えば十月に書かれた週刊東洋経済とか、あるいは朝日新聞とか、いろいろな記事を私も読ませていただければ、非常に私もそうだなと共感するような御認識なんだと思うんです。

 そういう点を踏まえて、ちょっと塩崎議員の方にこのお話をお聞きしたいと思います。週刊東洋経済の中で塩崎議員の方が言われているのは、三年前の資本注入というのは国家的フィクションだったというお話がございます。この御発言について真意をお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いします。

塩崎議員 まず第一に、私の拙文を読んでいただきましてまことにありがとうございます。そして、自由民主党は大変懐の深い政党で、いろいろな考えの人を包含しているものですから、私の考え、個人的な意見ということで申し上げたいと思います。

 その東洋経済にも書きましたけれども、ちょうど三年前、金融国会があって、いろいろなことがございましたけれども、今、この一年ぐらい私もずっと思い続けてきたのは、あのとき立っていた分かれ道と今の分かれ道と同じなんだろうなというふうに思いました。それは、結局最後は貸出資産をどう厳格に正しく評価するのかということに尽きるわけだと思います。

 ここで国家的フィクションというのは、要は、健全な銀行に資本注入をしようとするということとを指して言っているわけでありますけれども、平たく考えてみると、我々、病院に行って注射をしてもらうときに、元気な人はまず大体病院には行きませんし、注射をしてもらう必要もない。さらに元気になりたいという人も中にはいるかもわかりませんが、やはり資本注入をするということは、元気じゃないからするんだろう。

 そういう意味で、健全な銀行かどうかは、先ほど来お話があったように、今の日本の金融システムが完全に健全だと思っている人は、国内の人たち、柳澤大臣も含めてだろうと思いますが、まずいないと思うんです。これは、三年間ほとんど変わっていない不良債権の規模がずっと続いている。今が健全じゃないとすれば、やはり三年前も健全ではなかった。だからこそ、言ってみれば注射をしていったわけであって、資本注入したわけでございます。

 したがって、あのときに健全行に資本注入をするということをやったことによって、私は、資産の評価が十分深掘りがされていなかったんではないだろうかというふうに思っていましたし、思い続けておりますし、今そういう形で、柳澤大臣を先頭にだんだんとそういう方向に今急速に進みつつあるということで、方向性としては私はいいと思いますが、あのときに、健全行に資本注入をするということで、結局だれも責任をとらないでよかった。健全なんですから責任をとる必要がないということであって、私は、やはりあそこできちっとした総括をして、正直にバランスシートを見て、そして、それにのっとって資本を注入するかどうかということを決めるべきではなかったかというふうに思っていたので、こういうふうに書きました。

末松委員 私も全く同じ認識なんですよ。

 先ほど塩崎議員が、同じ分かれ道がまだ続いているということは、厳しい言い方をすれば先送りされてきたということだったと思うんですね。そのときにちょっと私が思ったのは、じゃ、なぜ健全銀行に資本注入をするか。今言われましたよね、病気じゃない人は病院に行かないよ、注射も打たれないよねということであれば、やはり不健全だったから注入をしたんですよね。では、なぜ健全と言わざるを得なかったかというと、私の解釈では、不健全と言われれば、だれも資本注入、どの銀行も資本注入に前向きにならなかった、要らないよということで協力してもらえない、そういうふうなことがあったやに聞いているんですね。

 その辺は、当時、責任者は柳澤大臣でいらしたんですかね、その辺ちょっと事情を、私の解釈が全く間違っているのか、そこをちょっとお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 我々が依拠した法律は早期健全化法という法律でございますけれども、これには、八%以上の、俗な言葉で言う健全行、こういうものについても資本注入が行われることが予定されておるわけでありまして、私どもとしては法律にのっとってそういうところからの申請に基づいて審査を行って資本注入を行った、こういうことでございます。

 つまり、八%を切っていなければ入れてはいけないということにはなっていないということで、さらに御理解をいただきたいと思います。

末松委員 余り議論になりませんね。立場があるということで、一切言えないのかもしれません。本当にそういった意味でちょっと残念でありますけれども。

 この資産の査定とその引き当てというのが、本当に先延ばしすればするほどまた大きくなってきた。そういうことがもっともっと、本当に深刻になってきて今日を迎えているわけでありますが、先延ばしということなんでしょうけれども、私の言葉で言えばそう言うんですけれども、では、なぜ適正に行われなかったのか。

 これは個人的な考えで結構です。例えば、塩崎議員、これはあなたの口からは言いにくいかもしれない、責任というのは銀行自身にあったのか、それとも指導監督する金融庁にあったのか、あるいはマスコミ等がいいかげんな報道をした、そういうふうなことにあったのか。その原因についてはどういうふうにお考えになりますか。

塩崎議員 責任論ということになると、まず第一に責任があるんだという前提からいかなきゃいけないわけでありますが、仮に、先ほど申し上げたようなことであるとするならば、まず第一に、銀行は企業でありますから、銀行自身がみずからの貸し出し、つまりバランスシートを正しく評価するということを、コーポレートガバナンスとしてもやらなきゃいけない、あるいは株主に対する責任としてやらなきゃいけない。ですから、一番、一義的な責任は銀行そのものにあると私は思います。

 そして、そこにはちゃんと監査が入っていて、公認会計士が監査をして適正だと監査証明をしているわけでありますから、この方たちにも責任を感じてもらわなければいけないと思っております。

 そして、当然、公的な検査もありますから、監督当局も、あるいはまたそのもう一歩手前に、やはり資本市場関係者というのがみんないるわけであります。東証に上場している、株式会社ですから、みんな銀行は。そういう財務諸表のものを投資家に、どうぞ買ってください、こう言ってきたわけでありますから、そういう人たちも責任を感じなきゃいけない。当然、監督当局も同じだと思うわけであります。今日本では、個人投資家に株を買え買えということを言っております。しかし、どういうものを売ろうとしているのか、買ってもらおうと思っているのかというのを考えると、ちょっと怖いものがあるなというふうに思います。

 ですから、あと、銀行の検査監督をする当局も、当然それはしっかり見ないといけないし、今改めて特別検査という形で入っていったということは、三年前のことを振り返ってみれば必ずしも十分じゃなかったと私は個人的には思っております。

 それからもう一つは、しかし、そう言いながら、私たちは銀行法という法律はこの国会で通しているわけでありますから、こういう状態を言ってみれば放置した我々立法府の人間も、チェックが十分入っていなかったということを、一緒に責任を感じなければいけないのではないかと私は思っております。

末松委員 何か非常に、やや玉虫の、みんなが責任を感じなきゃねという話なんでしょう。昔、日本軍が、一億総火の玉と言い、そして敗戦になると一億総玉砕と言い、そして一億総ざんげと言った。本来だれが責任をとるべきかというのは、やはりきちんとこの国で総括しなきゃいけないんだろうと思うのです。それが政策をやる人たちのやはり本来の責任でしょう。さっき言われたように、銀行の関係者もいれば、監査というのもいる。でも、基本的にどうも、ほとんどだれ一人責任をとっていない、そういうふうに私には思えるわけであります。

 やはり責任論という話になればなかなか話が進まないと思いますので、では、どうすれば本当にこの検査等で銀行がきちんとした引き当てあるいは資産査定を行えるのかということについて、塩崎議員が考えておられること、RCC、これも一つの解決なんでしょう、でも、この塩崎議員の論文で言っておられる中の一番ポイントといいますか、主要なポイントというのをちょっとお話しください。

塩崎議員 先ほどの責任論のことでもう一回ちょっと申し上げると、フィクションをつくったわけですから、責任はだれもとらないということになったということを明確にしておかないといけないと思うんですね。

 それで、何が一番問題なのかといえば、RCCは、確かに今回こうやってお願いをして、一つの有効な手だてとして持たせていろいろ準備したいということでありますけれども、一番はやはり、今御指摘のとおり、厳格な資産査定をするかどうかということが一番大事であって、そして、それにのっとってどれだけ資本が毀損されていくのかということを見きわめていくというのが一番大事で、これをだれがやるのか。

 もちろん、先ほど申し上げたように、銀行そのものがやらなきゃいけないことは事実でもありますが、しかし、銀行法で免許を付与しているのは政府でありますから、当然金融当局がこれをしっかりとやるというのが一番大事なことであって、そもそも、RCCをどういじろうとも、そちらの方がなければ何も機能しない。

 不良債権の問題というのはやはりそこがスタートであり、また、極端なことを言えば、一つしかない、唯一の、本当に有効に動かせるのは、銀行法をバックとした金融庁による、裁量行政という言葉は昔は悪い言葉で使われましたが、今まさにそこを、国益という観点から、そして日本経済を救うという意味から、ここをしっかりとやるというのが一番大事なことではないかというふうに私は思っております。

末松委員 今言われたこと、本当に私もそう思いますね。一番印象的なのは、フィクションをつくったことそのものによって、だれも責任をとらない構造であったと。そこは、私も名言であろうと思います。

 その観点から柳澤大臣に、この今の塩崎議員の御認識が一方であり、そして、当局の立場として、今までまたこういった形で何回も何回もこの仕組みを更改しなきゃいけない、そういうふうなことの反省といいますか、あるいはなぜそこまで不良債権が進まなかったのか、あるいは金融当局としてどうすればもっとよかったのかということについて、先ほど方向性については正しいとおっしゃられたんですけれども、そのペースについて、その持っていくペース、これについてはどういうふうにお考えになっていますか。

柳澤国務大臣 私は、塩崎議員など、きょうここにお並びの金融問題の専門的なエキスパートというような、同僚議員を含めて、いろいろな方の御意見あるいは観察、こういったものについては、できるだけこれを参考にさせていただくということを心がけているわけでございます。

 そういう中で、健全化法の仕組み、これは、先ほどもちょっと申しましたように、第七条の第二項で、健全な自己資本の状況にある銀行に対しても資本を注入するということの道を開いているわけですが、健全行に資本注入するというのはフィクションだ、こういうふうにおっしゃると、この法律がフィクションの部分を持つ、こういうことになるのかなと思って聞いておったわけですけれども、そのことが、立法府と行政府の関係で、私どもは、特に金融再生委員会は立法の権限などはなくて、この委員会というのは、この法律を執行しなさい、こういうように命じられたものでございまして、それを忠実に、先ほど来申しておるように執行した、こういうことでございます。だから、委員会は私以外にも四名おったわけでございまして、その依拠していた法律がフィクションであったというふうに言われてしまうと、ちょっとこれは酷だなという感じを持つわけでございます。

 それからもう一つ、この資本注入に当たっての検査は一斉検査であったわけですが、この一斉検査は、発足直後の金融監督庁の検査部と、日本銀行の考査部とがそれぞれ手分けをしてやったものでございました。それに基づいてやったわけですが、その検査というのはある種、私はあるところで検査改革という言葉を使わせていただいたのですが、それまでの大蔵省の検査というのは、検査に入ったときが基準日なんです。そこで大蔵省が資産の査定をするということの仕組みのもとで行われていたのが、旧大蔵省時代の検査なんですね。

 ところが、金融監督庁になっての最初の検査でもあったし一斉検査でもあったその検査は、検査改革後の検査でして、これは事後チェック型の行政として、つまり、過去の決算を基準日にして、その決算が適正に行われているかということを検査するという仕組みの中で行われる検査。すべからくそれは、自己査定、大蔵省が資産の査定をするんじゃない、そうではなくて銀行が自己査定しているものが、それが適正に行われているかということをチェックする、こういう検査ということに、もうそこで改革がなされたわけですね。

 したがって、事後的なチェックだし、自己査定の結果が適正であるかということの検査ということで、かつての検査のように、入ったときが基準日で、その資産の査定をするのが主体的には大蔵省というのとは、これはもう本当に百八十度転換したような検査が行われ始めたということであります。

 それをやってきましたのが今日までの検査なんですが、ここで、この前、特別検査のことも今御言及になられたわけですが、これが事後的な決算の検査ということになると、タイムラグが非常に生ずるというある種の弱点を持っているということが非常に鋭く問題提起をされまして、これに一体どういうふうに対応したらいいかということを考えて、私どもは今度こうしたものを考えたわけです。

 しかし、これには、本当のことを言うと、ややじくじたるものを持っている。それはなぜか。それは、事前チェックになっちゃうんじゃないか、こういう問題意識も我々は持ちながら、できるだけ事前チェックにならないような、事後チェック型の行政ということを、基本を守りながらどうやって即時的な評価という、あるいは検査というものの適切さを確保していくかということが我々に問題として投げかけられている。それにこたえなきゃいけない、こういうことで今これを始めているということでございます。

末松委員 二点ありまして、一点、行政府だったから立法府がお決めになったことを粛々とやっただけだと。これも大臣、大臣は立法府のメンバーでもあるわけですから、それの一番専門家と目されている方で、ですから、そういう答弁はちょっとやめていただきたいと思うのですよ。

 二点目が、検査の改革を一生懸命やりました、事後的なものをやった、そしていろいろとやったら、それで銀行の検査が本当に適正だったかどうか、それをきちんとチェックできるような体制をつくったと言われましたね。でも、本当にこの検査が適正であったのかどうかというのを、どうやって知るんですか。本当の姿を知らなくて、それが適正かどうかということがわかるんですか。ちょっとその点について言ってくださいよ。

柳澤国務大臣 後半の部分は、ちょっと質問の趣旨がわかりかねましたので、再質問をお願いしたいのですが、前半の部分で、私が言ったのは、行政府というのは、一般的に言うと、これはいわば議院内閣制のもとで立法の提案権も持っているというものなんですね。ところが、この法律の執行に当たった金融再生委員会というのは、文字どおりの執行機関なんですよ、文字どおりの執行機関。そのためにだけあった機関なんだということを先ほど強調したということです。

末松委員 私の後者についてコメントすれば、言いたかったのは、本当に銀行の実態を知っていたのか。つまり、銀行が、ある意味では余り正直にやられると健全銀行じゃないというふうにとられるのが嫌で、かなり不良債権にしても本当に低く低く見積もる、そういうふうなこともきちんと踏まえて、検査改革というならば、それもずばりと指摘できるような検査改革じゃなければならなかったんじゃないか。そういうことだったと思うんですよ。もしその検査改革がきちんとしていれば、何でまた特別検査なんかやる必要があるんだということなんですね。

 タイムラグという話がありましたけれども、そんなの、タイムラグだけなんですか、そこの。事後的にやった、本当にそう言えるんですかね。そこのところ、もう一回言ってくださいよ。そうしたら、なぜ特別検査の必要性があるんですか。

柳澤国務大臣 私の説明は、やや、検査の体制の、あるいは検査というもののいわば考え方が転換しているということが、正直言ってとかくこの議論の中で見逃されがちだということを申し上げたかったわけで、そこに明白な改革が行われたという前提で議論をお願いしたいということを申し上げた。

 特に、何がゆえに申し上げたかといえば、ちょっと塩崎議員の議論というのが、そのあたりのことがやや不明確な感じを前提にされた議論のように思われましたので、そこのところを、より私としては、非常に大きな改革が、転換が行われたんですよということをちょっと備忘的に申し上げたということでございます。

 もう一つ、金融検査は、さらに検査マニュアルの制定というのが九九年の七月にありまして、もう一度いわば改革が行われた。非常に不良債権問題に取り組んでいる真っ最中にそういう二次にわたる検査の改革が行われたということがありまして、そういうことをしっかり御認識いただいてひとつ議論をいただかないとならないのではないかということを、大変恐縮な、政府側の答弁としては恐縮なんですが、申させていただいたということでございます。

末松委員 何か今、黙示的な御答弁がありました。この二次にわたる改革を私自身が、あなた知らないんじゃないか、無知な者がそんなことを質問していいのというようなニュアンスに私には受け取れるのですよ。

 ただ、私が申し上げたいのは、いいのですよ、何次改革かどうか知りませんけれども、本当に効果的だったのかどうかということを私は問いたいわけです。効果的じゃなかったから特別検査というのがまた必要だと言っているわけでしょう。

 私は、ちょっと特別検査について、塩崎議員の御認識も何か疑うような御発言だったので、ちょっと私は塩崎議員の方にお伺いしますけれども、今度の特別検査で、塩崎さんが言われるように厳格な資産査定と引き当てというのが行われると考えておられますでしょうか。

塩崎議員 それは厳格にぜひやってもらいたいと思っておりますし、方向としては行っているのだろうと思いますが、まだ結論も出ておりませんし、二段にわたってやるというお話も伝わってきているわけでありますから、それを祈っているというのが私の気持ちであります。

末松委員 そこの結論が出ないと何も言えないという話なのかもしれません。

 金融システムの健全性について、さらにちょっと塩崎議員にまたお伺いいたします。

 きのう、主要行の中間決算の結果が出たわけですけれども、どうもこれを見ていると、結論的に言うと、自己資本比率が八%を割らない範囲で不良債権の処理額をふやした、そういうふうに私にはちょっと見えるのですね。というか、本当の意味できちんとした厳格な資産査定と引き当てをやっていないように見えるのですけれども、その辺の御認識はいかがですか、塩崎議員。

塩崎議員 これは銀行側が発表した数字でございますから、これから特別検査が行われて、さらに本決算のときに最終的な形が出てくるのだろうと思うので、どういう操作をしたかというのは、それは銀行経営者の問題であって、私個人としては、今回の数字を見てみるとトータルで一〇・四、五%ぐらいの自己資本比率になっておりますが、我々にとって大事なことは銀行が健全化するということであって、この数字には、当然かつての公的資金のげたも履いているし、それから資産査定についても特別検査もまだ完全になされていない。

 聞くところによりますと、今のところまだ大企業の、新聞報道では何か百億以上の貸し出しとか、そういうようなことでやっているわけでありますから、全部をそういう厳しい目で見直して、正直に見直したときにどうなるのかというのはこれからであろうし、それについてはまだこれ以上に深掘りがあるのだろうなと私は個人的に思っております。

末松委員 例えば、要注意先の大口債権と言われる、例えばいわゆる三十社、そういうところの有利子負債額の合計が二十兆円近くあるという中で、主要行の貸出金額からの借り入れがその中で約八兆円。そして、ただ主要行の業務純益は三兆四千億円程度しかないと言われるのですね。どこで要注意先の引き当てが純利益の中からなされるのかなと。

 非常にちょっと、僕はこの不良債権額についても本当にもっともっと厳しい形にならざるを得ないと思うし、これは塩崎議員御自身も指摘しているわけですよ。つまり、この論文の中で、「すべての出発点は「貸出資産の厳格な評価」であり、行き着くところは「資本不足」だ」と。だから、本当にまじめに資産をきちんと確定をさせれば、これは資本不足だというあなたのおっしゃる結論というのは、本当に私も同感なんです。

 ただ、それを本当にそこでやっちゃうと、日本の銀行自体がほとんど信用をなくしてしまいますね、だから、ある程度げたを履かせて、その数字だけはつじつまを合わせなきゃいけませんね、そういうバランスが今の行政の一番難しいところなんだろうと私も感じるわけなんですけれども、ただ、そこのうみはきちんとやはり開示しないと、あなたが言われたように、また同じ分かれ道、これが何回も繰り返して、最後は日本経済がどつぼにはまるんじゃないか、そういう危惧を抱くのですけれども、その辺はいかがですか。

塩崎議員 今申し上げましたように、今回の数字はあくまでも銀行が出してきたものであって、そして資本不足の問題については、自己資本比率の中に、みずからが市場から調達してくる資本というのも多分カウントしているんだろうなと思うのですが、私は、個人的にはそれは大変いい方向で、自分で、自賄いで資本調達するというのは結構だろうと思いますが、しかし、トータルの不良債権の規模、全体的な規模を見てみると、そこでとどまるという自信は私には個人的にはありません。

 しかし、これはやはり銀行自身とそれから監督当局しか中を見れないわけでありますから、私は個人的にはそう思っておりますが、最終的には責任は、免許付与者たる政府がそれをしっかり中を見て、そして来年の四月からペイオフでありますから、国民に対してきちっとしたことを三月末までにやって、ペイオフを実施、解禁するという責任においても、来年の三月期の決算というのが非常に重要だと思いますし、柳澤大臣もそういう方向で頑張っておられるんではないかと私は期待をしているところでありますが、結果はおのずとそのうち出てくる、こういうことだろうと思います。

末松委員 私もこの質問をまた柳澤大臣にもぶつけようとしたのですが、先ほどの御答弁を見ると大体結果がわかるのでそれはやめますが。

 では、塩崎議員、公的資金の追加投入もあり得べしということも、ここでそういう覚悟で臨むしかないということですけれども、そういった意味でもう少し、結果は出てくるということでありますけれども、例えばもしそこで資本が非常に厳しいということであれば、さらなる公的資本の注入に対して、御認識としてそこは必要だということでしょうか。

塩崎議員 これはもう厳格な資産評価にかかっているわけでありまして、私自身は実際見れないわけでありますが、私は個人的にはそういう方向だと思っております。

末松委員 次に、この不良債権処理をいつまでに終わらせるのかということについて、質問したいと思います。

 この法案では、「可能な限り三年を目途として回収又は譲渡その他の処分を行うよう努める」ということが書いてありますけれども、塩崎さんのこの議論では、五年で終わらせるべきじゃないかというように、そうですね、書いてあるのですけれども、RCCの役割です。これが、一応五年ですか、この趣旨は法律には盛り込まれなかったのですね。そこはどうしてなんですか。どうしてなんですかという聞き方よりも、その主張の趣旨はどういうことだったのですか。

塩崎議員 末松議員がおっしゃっているのは、RCC自体を組織としてサンセットしたらどうだ、こういう御質問ではないかと思います。

 私は初めからそう思っておりますし、今もそう思っておりますが、議論が調わずということもあり、今回は金融再生法の改正ということになっているわけでありまして、実際、RCCをサンセットするということになれば、当然かかわってくるのが預金保険法、住専法、それと金融再生法、この三つの法律を変えなければいけないものですから、時間的にちょっとできなかったわけであります。

 しかし、私は、今回のRCCを活用しようというときの哲学の大きな転換は、今までRCCには現金の回収というものを頑張ってくださいといって、国民負担を軽くしていただく努力をしてきてもらったわけであります。しかし、どうもこの間のあれを見てみると、経済政策的にはいささか力不足だったろう。

 今、一番日本にとって大事なのは、不良債権の経済価値を上げるということではないか。だからこそ企業の再生であり、そして担保不動産の価値を上げて、そのことによって回収をふやすということでありますから、時間をかけて回収するというよりも、もっと経済価値を上げて、そして場合によっては、RCCは一たんは買ったとしても売却したり、いろいろな形で回収をすることが、あるいは処分をすることによって、言ってみれば民間でやれば売り抜けるということでありますが、価値を高めた上で売り抜ければ、結果としての国民負担も減ってくるだろう。

 この経済価値を高めるためには、英知を結集して、きのうも御質問にありましたけれども、いろいろな形の手法というのがあり得ると思いますし、日本ではなかなかやったことがなかった。そういう意味では、長々と持っておく必要はなくて、もっと短期間のうちに経済価値を高める手法を言ってみれば開発し、そしてまた経験も、RTCであるし、あるいはスウェーデンでもあるし、タイでも実はアセット・マネジメント・カンパニーというのをもうやっています。こういう形で、世界にはいっぱいあるわけですから、これをひとつ結集して、早く不良債権問題から足を洗って、そして日本経済を元気にしたいな、こういうことであります。そして、そのときにはもうRCCという後ろ向きの組織は要らないということだと思って、私はサンセットすべきだと言っているのです。

 しかし住専で、十五年スキームで回収しようというのがあるようでありますが、すべてそういうものは本来は預金保険がやることでありますから、預保に持っていけばいいだけだと私は思っておりますので、組織として五年で切ってやっていく方が、皆さんも我々も、期末試験の日が決まらないとなかなか勉強しないようなものであって、本気でやるためにも五年で切って、そのかわり、その間に英知を結集して、新しい手法も含めてどんどんやっていく。こういうことが大事じゃないかと思って、私はサンセットすべきではないかと言っておりますし、この問題から足を洗うということを世界にはっきり宣言するためにも、そうすることが意味があるのじゃないかなというふうに思っております。

末松委員 今、極めて重要なことだと思うし、これがゆえに、RCCの中に資金の回収というのと、あと再生というような機能が与えられたのだろうと思うのですけれども、きのうからるる、本当にRCCに企業再生というそんな能力があるのかと。そういったことについて塩崎議員がどれだけお答えしたか、私はちょっと存じ上げませんけれども、RCCに本当にそういった能力を付加することが、あるいは日本では初めてだという話でしたね、そういうことが本当に、すぐに専門家を集めて、そしてそれがテークオフできるような状況というのはできるのですか。

塩崎議員 当然、今まではそういうことはやったことがなかったので、現金回収ばかりやっておられたものですから、なかなかありませんでしたが、既にもう再生本部もできて、いろいろな人たちからヒアリングをやっているというふうに聞いておりますし、我々自身も一緒に、一緒にというのは並行して勉強しているわけでありますが、そういうノウハウを持った人が、実は日本人でもたくさんもういるのですね。

 残念ながら外資系の金融機関とかそういうところに多いのですが、しっかり日本人がそういうことのノウハウを身につけているし、たまたまRTCがやっているときにアメリカにいた日本の金融機関の方々も、日本にもう戻っているという方がたくさんいて、そういう人たちを集めていこう。何も組織の中に入ってもらわなくたって、契約でもいいし、アドバイザーとしてやってもらってもいい。この値決めのときにも、出口、つまりRCCが今度三年をめどに何らかの形で処分をするときの出口まで考えた上で入り口で買うためには、やはりそういうことが、その過程で何をするのかということがわかっている人でなければできないわけでありますから、そこは一緒にやろう。

 RTCでは約七千人余りの人たちがかかわって、民間の人がかかわってやった。正式なRTCの職員は千人未満だというふうに聞いておりますけれども、そういう形でひとつ知恵を集めてこの問題を乗り切っていこうということで、預保も、RCCも、それから金融庁も一緒に今考えつつあるということでありますし、政策投資銀行、私自身は余り政府系金融機関を絡ます必要はないと個人的には思っておりますが、しかしコーディネート機能という意味では、政策投資銀行が音頭取りになってみんなに声をかけて、そのファンドのことを議論するというような形は意味があるというふうに思っております。

 いずれにしても、ここはいろいろな人の英知を結集するということが大事なのだろうなというふうに思いますし、できないから、では初めから何もやらないかといったら、それは今まで三年間、民民に任せておいてうまくいかないということが事実上証明されているわけですから、ここではもうそろそろ、本気でみんなが固まってやるべきではないか、こういうふうに思っております。

末松委員 それができれば、それはまことにいいのかもしれません。

 ただ逆に、アメリカとかほかの国が、日本のそういった不良資産の中でうまいものを、全部すべて解体して、腑分けして、いいところをとってそれを安く買いたたいて、そして資産にしていこうというビジネスが、例えばハゲタカファンド的なところをばんばんやっていくようなノウハウも非常にあるのですね。そういったものが、ちょっと目先を変えてもし海外から逆に日本を、僕も別にそういった意味でのナショナリストではないのですが、日本をとにかく買いたたいて、そして買ってしまおうじゃないか、そういうふうなややおそれといいますか、一般にもよくあると思うのですよ。そういうことについて塩崎議員はどういうふうにお考えですか。

塩崎議員 そういうふうにならないためにも、RCCに言ってみれば再生本部、司令塔のようなものを持って、国益としてマイナスにならないような作戦というものをつくっていくということが大事で、私は、実はRCCである必要はないと初めは思っていました。アセット・マネジメント・カンパニーというのは、どこの国でも今までは外に、民間が出資してつくったりしておりますが、ここは、たまたまRCCは一〇〇%預金保険機構が出資をしている株式会社でありますから、預金保険はほとんど国が出しているわけですから、これは言ってみれば結局、国民が株主のRCCに国益のために頑張ってもらうということをやってもらおうじゃないか。

 そして、たまたまこれも銀行でありますから、フルバンキング、いろいろなことがやろうと思えばできる。そして、これは柳澤大臣もおっしゃっておりましたけれども、債権を集めることによって、債権者としてのパワーをもって民間の人たちにリストラを促進してもらう圧力をかけることができるというようなことでありますから、そこで、ただハゲタカが食いちぎっていくようなことをやってもらわないで、企業の再生であり、経済の再生であり、また不動産の市場の再生ということを、やはりきちっと絵をかいた上でやっていくということを我が国としてもやらなければ、まさにこれは国のガバナンスの問題ではないかと私は個人的には思っておりますので、ここのところはしっかり作戦を、戦略を持ってやらなければいけないことだと思っております。

末松委員 発想的には私も非常に共感するところがありますので、そういったことが本当にRCCで実際にできるかどうか、そこをちょっと見きわめていかなければいけないと思うのです。

 そういった意味で、ぜひ塩崎議員には、私も共感する範囲で頑張っていただきたいと思いますし、そういった意味で、責任を本当に担うようなときが早く来ればいいと思います。

 どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻でございます。よろしくお願いいたします。

 大変恐縮でございますけれども、御答弁は端的に、手短にぜひお願いしたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 再生法改正で、新しいRCCという御提案でございますけれども、この新しいRCCで二次ロスが発生した場合はどなたが責任をおとりになるんでしょうか。

塩崎議員 もちろん、二次ロスを出す前提で仕事をしてはいけないわけでありますが、最終的に、これはさっき柳澤大臣も御答弁されておりましたけれども、再生勘定でこれを行っていくわけでありますから、最後、再生勘定を閉じるときに不足があれば、これは政府保証をしているという範囲内で、税で賄われるということです。

長妻委員 委員長、今冒頭私が申し上げましたように、御答弁は手短にというのは、今手短だったんですけれども、質問に答えるように。前の質問者の対応もそうだったんですが、私の今の質問はそうではありませんので。

山口委員長 再度質問ですか。

 提出者塩崎君。

塩崎議員 二次ロスはだれが責任をとるのかということですね。ですから、税で払うということは、それは国民の負担になるという意味です。

長妻委員 だから、質問にぜひ、大変恐縮でございますけれども答えていただきたいと思うのは、負担は国民というのはわかりましたけれども、では、責任ですね、責任はだれがとるのか。

塩崎議員 長妻議員は、個人の特定のポストとか、そういうことをおっしゃっておられるのかなと思いますが、最終的に政府保証を履行するということでありますから、国会でこれを通さないといけないということになるんだと思います。

長妻委員 大変恐縮なんですが、ちょっと、ちゃんと答えてください。

山口委員長 質問者、もう少し質問の趣旨が答弁者にわかりやすいように御質問いただきたいと思います。

 再度答弁してください。提出者塩崎君。

塩崎議員 あらかじめだれが責任をとるということを私たちが考えているわけではありませんので、国民負担になって、国会が、我々が責任をとらなきゃいけないということだと思っております。(発言する者あり)

長妻委員 いろいろやじが飛びましたけれども、私が今ちょっと質問させていただきましたのは、塩崎議員が今言われたように、最終的に、可能性として、絶対あるとは私も申し上げませんけれども、税金が、国民負担ということになる可能性もあるということでありまして、やはり、国民の皆さんの税金でありますから、そうなった場合にきちんとどなたかが責任をとる。例えばRCCの社長なのか、あるいはこの法律を所管というか、金融庁の長官なのか、あるいは金融担当大臣なのか。

 なぜ私がこういう質問をしているかといいますと、二次ロスは絶対起こさない方向でやる必要があると私は思うんですね、二次ロスを出すということは。では、だれか責任者がいないと、二次ロスを出したときに、ちゃんとあなたが締めてくださいね、最終的に二次ロスが出たらあなたの責任なんですからきちんとやってくださいという、まとめる責任者がいないと二次ロスがどんどん出ちゃう、私はこういうことが起こるんじゃないかという気がするんですね。

 今まで、日本の国会といいますか行政も、だれも最終責任があらかじめ決まっていないから何かどんどん野方図になっちゃうという意識を持っておりますので、だれか責任者を決めていただきたいと思うんですが。

相沢議員 二次ロスがどのようにして発生するかということを考えてみなきゃいけないと思うんですが、もとより、あなたのおっしゃりたいのは、制度改正をする、時価で買うということになれば今までよりも高く買うんだろう、そうなれば二次ロスができる可能性がふえるじゃないか、どうしてくれるんだ、こういうことをお聞きになりたいわけでしょう。

 ですけれども、長くなって済みません、二次ロスが発生する原因はいろいろあると思うんです、経済情勢の変化その他もありますね。これに従事している者は、無論、二次ロスが発生しないような努力を一生懸命やっていることは間違いないと思うので、そこはひとつ御信頼をいただかなきゃならぬと思うんですが、それも怪しいとおっしゃれば、ちょっとこれは話は別なんですけれども。

 ですから、そういうことをやった結果、ロスが発生することもあり得る。あり得るからこそ、この金融再生勘定において十兆円の政府保証をつけているわけです。ですから、そのときにだれがどうしてこうしたという責任をとれ、こういうふうにおっしゃっても、それはちょっと無理なんじゃないでしょうか。

長妻委員 私も別に、何かためにする議論で本当に言っているわけではありません。

 基本的に、例えば企業であれば、赤字を垂れ流す、債務超過になっちゃう、これは倒産ということで責任ですね、倒産して社長は当然首になるわけですから。そうすると、例えばRCCというものを法律改正して新しいものをつくる、そうしたときに、倒産しないでしょうから、だから責任者を決めておかないと、野方図というか歯どめがないというか、ああ、では二次ロスを出しても後は野となれ山となれというような雰囲気が、今は国会でこう審議していますから、お話を聞いていると、それは出さないように細心の注意と言ったって、立法から手が離れたら、やはり責任者がいないと、私は絶対そういう野となれ山となれ方式になる可能性があるという思いでこういう質問をしているので、ぜひ御理解いただきたいと思うんですね。

 ですから、責任者を決めていただきたいと思うんですよ、倒産しないわけですから。

津島議員 再生法が提出をされたときにも若干議論がございましたが、私どもにとって一つ参考になるのは、アメリカのRTCであります。

 RTCは、資産の処理は時価で行えということで、時価の定義をきちっと法律に設けてあり、そして損失を最小限にする、できるだけいい取引をやるようにということを執行委員会で方針を決めて、そしてその結果を国会に報告するように、こういうことになっています。

 つまり、この仕事のやり方は、そのような仕組みの中で、だれが責任ある執行をしたかどうか、いわゆる善管義務を果たしているかどうか、それを法律に照らしてきちっと見詰めていく以外にはない。それは日本の場合もそうでございまして、ですから、最初からある特定の人に全部責任をかぶせられるという種類の仕事ではございません。

長妻委員 その善管義務がどの方にあるのかということを、ケースケースで、特定の人にかぶせない。善管義務がだれにあるかを、まあケース・バイ・ケースみたいな話ですよね。例えばどういう人ですか。

塩崎議員 RCCは、御案内のように、預金保険機構の協定銀行として位置づけられているわけであります。したがって、協定を結んだ預金保険がまず一義的に責任を負う。そして、預金保険機構は、財務省とそして金融庁が共管で見ているわけですね。したがって、そこのトップは責任がある。さらに、これは内閣として責任をとらないといけない。最終的には総理大臣が責任をとる。

 ここで大事なことは、今までRCCも、やっていることがようわからないというのは皆さん同じ気持ちだったと思うんですね。アカウンタビリティーに欠けていた。我々がこれからRCCを使うに当たって、ぜひとも、きょう鬼追さんも、社長もおいででございますが、ここのアカウンタビリティー、透明性というものをどれだけ高めてやるのか。RTCの場合は、どういう取引でどういう利益を出して、どのくらいのお金を補助金で出して、事細かに出しております。今まだ、RCCのホームページをごらんになったらわかりますけれども、あれだけ見ても何をやっているのかさっぱりわからない。

 しかし、これではいけないわけであって、我々は、公器としてこのRCCを使って、不良債権問題を解決する一助にして、そして責任を果たしていこう、こういうことでありますから、今の責任論からいけばこういう体系であるし、そこをちゃんと、それぞれが監督、権限を持って、監督責任を持っているわけでありますから、そこがちゃんと責任を見ているかどうかというのは、あと政治的に責任が追及されるという体系になっているんだと私は思っております。

長妻委員 今の御答弁は一歩前進といいますか、御答弁だと思います。

 今のお話ですと、二次ロスを、それは出そうと思って出すと私も思っていないですよ。それはいろいろなケースがあって、やはり責任が明確になると、その出さない努力度というか、それは違ってくると思うんですね。

 今のお話だと、まずは一義的には預保のトップ、その次には、それを見る……(塩崎議員「まずRCCですよ。まずはRCC」と呼ぶ)まずはRCCのトップ、一義的にはRCCのトップに責任がある。二次的には預保のトップがある。その次には、上には金融庁のトップ、まあ金融庁長官あるいは金融担当大臣。そして、財務省もかなりかかわっていますから、財務大臣。そして、総理大臣。それで、言われたのは、政治的責任もあるというお話がありました。

 そこで、もう一点確認したいんですけれども、これは本当に二次ロスを出さないという決意を、きちんと締めるためにも重要なことだと思うんですが、そうすると、今申し上げた中で、政治家は、基本的には金融担当大臣ですね、財務大臣、まあ総理もおられますけれども。そうすると、まずは金融担当大臣、今塩崎さんが政治的責任とありましたけれども、二次ロスを出したときに金融担当大臣が政治的責任を負う、こういうことでよろしいんですね。

塩崎議員 それはそのときに国会で議論もあり、そのときに決めることだと思います。

長妻委員 いや、だからそれは、私は、恐縮なんですが、よくないと思うんですよね。

 では、結局ケース・バイ・ケースで、国会の、まあ力関係と言ったら変ですけれども、そういうところで責任が、とるかとらないか、とらないかもしれないしとるかもしれないしということですと、本当に二次ロスを出さないようにいろいろ目配り、気配りをして、直接やられるわけじゃないですけれども、部下にいろいろ目配りするというようなことが起きてこないと思うんですね。

 その意味で、では直接御本人に、柳澤金融担当大臣に、政治的責任をとる御決意を一言お願いします。

柳澤国務大臣 今、塩崎提案者が言われたとおり、まずそれぞれの担当者、それからその監督責任を負う監督者、その頂点は、RCCの場合にはRCCの理事長というようなことになるわけですが、この方々というのは、基本的に、まさに善良なる管理者の注意義務に反したかどうかという問題だと私は思っております。そういう意味で、過失がある、あるいは故意があれば当然ですけれども、そういうようなことで、責任をそれぞれに果たしていくということになるわけですね。

 それに対して、私どもが負っている責任というのは、やはり、もちろん善良なる管理者の注意義務に反するようなことがあれば、それはまたそういう範囲での責任の追及というのはあり得ますけれども、基本的には政治上の責任ですね。政治的な責任ですね。

 この政治的な責任をどういうふうに果たすかというのは、今長妻議員からこうやって質問をされる、それに対して答える、それを国民の皆さんが批判し、また選挙区の皆さんが批判するというようなことで責任がとられる。その場合、もちろん大きな誤りをすれば、それはもう内閣総理大臣が罷免権を行使することもあろうかと思うんですけれども。そういう、政治的責任のとり方というのは、これはもう非常に多様だというふうに考えています。

長妻委員 まあ明快ではないと私は思うんですが、基本的には……(発言する者あり)そうですか。ということは、自民党の皆さんは、今の発言というのは、本当にロスシェア、二次ロスが出ると、本当に政治的責任をとられるというようなお話だというふうに、私も承っていいんですかね。

 もう一つ。今過失というお話がありましたけれども、もう一点申し上げますと、企業は、例えば一般企業ですね、過失がなくても、悪気がなくても倒産するときはあるんですよ、もちろん。景気が悪かったり、まじめに製品をつくったけれども製品が売れなかったり。

 だから、何かそういう、落ち度があった場合は責任をとるというんじゃなくて、そういう意味では、別に落ち度がなくても二次ロスが出るということはあるわけですから、基本的には政治的責任ということを、ぜひ重みを感じていただいて、本当に国民の血税でロスを出さない、こういうような御自覚をぜひ持っていただきたいと思うんですが、同じ質問を塩川財務大臣にもさせていただきたいと思うんです。

塩川国務大臣 すべてその担当しております責任者は善意なる管理者としての責任を果たしていく、それに終始しなければならぬと思いますし、そういう意味において、我々もそういう責任を痛感しながら、あらゆる部分に担当していくであろうと思って、またそのように臨むものであります。

長妻委員 もう一つ。一義的管理責任といいますか、そういうものを負うということのRCCの社長、鬼追社長も来られておられますので、鬼追社長からも、本当に二次ロスは出さないように、そういう御決意を、あるいは責任、このお考えを一言お願いします。

鬼追参考人 私自身、現場を預かる者といたしまして、日々業務には、大げさではありません、身命を賭してやっているつもりでございます。

 したがいまして、RCCに与えられた使命として、国民費用の最小化、あるいは二次ロスの発生防止、あるいは二次負担をかけないということについては、会社の基本的な理念として考えておりますし、私自身の職務の最大の原理として考えて、日々の業務に取り組んでいるつもりでございます。よろしくお願い申し上げます。

長妻委員 私は、まだ明快ではないと思うのですが、いや、ここで何でそういう議論をするかといいますと、国民の皆さんの税金なんですよ。企業はつぶれるんですよ、それで責任ということが厳しいのですよ、企業は。だから、私が申し上げているのは、RCCも絶対に国民の税金をそこにつぎ込むことがないように、あらかじめ責任をきちんと明確にしておくという意味で質問をしておりまして、本当に今の答弁は私は不十分だと思うんですが、首をかけて、二次ロスを出さないように細心の気配り、目配りをしていただきたいというふうに私は思うのです。

 その意味では、私自身はこの金融再生法改正案は反対でございます。その意味で、今現行のRCCのまま、これは本当に国民負担を今も出していないと私は思いますので、五十三条買い取りの場合は。だから、今のままでいいというふうに私は思いますので、ぜひ考え直していただければ幸いでございます。

 次に質問を移らせていただきますが、日銀総裁にもお出ましいただきまして、ありがとうございます。ペイオフ解禁を延期する、そういう御発言をしたという報道がありましたが、そうでございますか。

速水参考人 先日の定例記者会見で、私がペイオフの解禁に関して申し述べたことを御質問になっていると思います。その席で、私は四つの点を申しました。

 まず第一に、ペイオフ解禁については、国において適切に判断されるべきものであるということ。

 第二には、その上で私どもとしての意見を申し上げると、この問題の大きなポイントは、金融システムの安定度合いをどう見るかということであると思います。この点、私どもとしては、今後システム全体の安定が直ちに損なわれるといった事態になるとは考えておりません。

 第三に、ただ、各金融機関とも不良債権問題を初め克服すべき重要な経営課題をお抱えになっていることも事実であります。

 そして第四に、円滑にペイオフ解禁を実施していくためには、各金融機関が今年度末までにこうした課題を克服する道筋を明確にして市場などの信認を十分に回復することではないか、そのことが不可欠であるということであります。

 以上の四点を記者会見で説明をいたしまして、最後に締めくくりとして、来年四月のペイオフ解禁まで残された時間は多くはないけれども、各金融機関が各種経営課題への取り組みをさらにここでスピードアップさせて、円滑にペイオフ解禁に移行することを強く期待している。解禁時期をずるずると先延ばししていくことは不信認につながりかねないと思うので、予定どおり進められていくことができればよいと思っておると申し上げた次第でございます。

長妻委員 ペイオフ解禁を延期すべきである、こういうような議論が一部出ているやに聞いておるのですが、これも責任という観点で御確認をしたいのですが、ペイオフ解禁来年四月、万々が一、これが延期になるというようなことがあった場合、どなたが責任をとられますか。

柳澤国務大臣 ペイオフの解禁というのは、私なぞは、構造改革の一環だと。ペイオフの解禁をするということを考えて、今、日銀総裁が言ったように、各金融機関が自分自身の体質を強くするという努力を死に物狂いでやる、それがまさに構造改革だ、こういうふうに考えております。そういうことで、私どもは、そのことをやらせて、四月一日には予定どおりペイオフの解禁をいたしたい、こういうことを考えているわけでございます。

 その場合に、もしできなかったら、それはもう、もしできなかったらというようなことを私は考えていないわけですが、仮に万々が一そういうようなことがありますれば、それは、それにふさわしい政治的な責めを私は負うべきものだ、このように考えています。

長妻委員 もう何か、政府広報のテレビでも、ペイオフ、四月から解禁をやりますよ、こういうテレビの番組もされておられますし、銀行の窓口なんかでもそういうパンフレット、あるいは行政としてもそういうビラをわあっといろいろなところにお配りされておられまして、四月ということでありますので、私は、いま一度、もうちょっと明確に言っていただきたいのですね。

 私は、これは本当に重要なことだと思うのですね、ペイオフ。絶対に来年四月にペイオフは解除する、凍結解除する、これが私は不良債権を処理する一つ大きい手法だと思うのです。その意味で、本当に体を張って、首をかけてやりますと、一言。

柳澤国務大臣 言うまでもなく、私、そのような気持ちでおります。

長妻委員 今、言うまでもないというお話がありまして、これはあっぱれな御答弁だというふうに本当に思います。ぜひ首をかけて、今の御答弁に反しないように、そういう流れが少しでも起こったら体を張ってとめていただきたい。私ども野党としても、民主党としても、それは協力しますから、絶対に来年四月、やりましょう。

 もう一つの質問でございますが、公的資金の再注入ということがいろいろ言われておりますけれども、これは百二条で書いてございますけれども、「内閣総理大臣は、次の各号に掲げる金融機関について当該各号に定める措置が講ぜられなければ」ということで、俗に金融危機対応勘定というのですか、その法文がここにございますけれども、二つケースがあるというふうに書いてあると思うのですね、私の理解では。これはちょっと日銀総裁にも御質問させていただきますので。

 二つ書いてあると思うのですが、一つは我が国、「我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある」ということと、もう一点は「当該金融機関が業務を行つている地域」、地域ですね、「地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある」、こういう二つの書き方があるのですが、この地域というのはどういう概念なのかというのをお伺いしたいのです。

 例えば県、○○県、都道府県がありますけれども、そういう県。今は地銀なんかのいろいろ問題もありましょうけれども、一つの県の中での話でも、ある意味では、時と場合によってはこの百二条になってくるのか。これはまず日銀総裁の御見解をお願いします。総裁も、この金融危機対応会議のメンバーでおられる。

速水参考人 預金保険法百二条によりますと、いわゆるシステミックリスクとアメリカなどでは言っているようですけれども、これについての規定が書かれていると思います。

 システミックリスクというのは、個別の金融機関の破綻、特定の市場または決済システムの動揺が、他の金融機関、他の金融市場または金融システム全体に波及するリスクを言う。このような事態が生じるおそれがある場合には、法律の定めに基づいて、金融危機対応会議の議を経て内閣総理大臣が必要な認定を行うこととされている。

 もう一つは、今御質問にありました、地域の信用秩序の維持に支障が生ずる。この規定は、今申しました、個別の金融機関の破綻等の波及のリスクが、全国に及ぶとまでは言えないものの、その地域での信用秩序の維持に極めて重大な問題を生じる場合を想定したものと思います。直ちに具体的なイメージを申し上げることは困難であると思います。(長妻委員「県、県単位」と呼ぶ)それは、どこを区切っているのかはちょっと何とも……(長妻委員「地域というのはどういう地域」と呼ぶ)それは何とも申し上げかねると思います。

 いずれにしましても、他の金融機関、金融市場、金融システム全体へ波及するおそれの度合いにつきましては、その時々の金融システム全体に対する信認の状況、それから、市場や経済の一般的状況などによって大きく影響されるものだと思います。したがいまして、対象となる金融機関の規模や業務内容につきまして、あらかじめ一定の枠にはめて判断するということは困難でありますし、また、適当でないのではないかと私は考えます。

長妻委員 ここの百二条の法律といいますのは、余り細かいことが書いてないのでございまして、基本的には金融危機対応会議で決めるということでありまして、そのメンバーでおられる。もう一つ、柳澤金融担当大臣もそのメンバーでおられるわけでございますが、もうちょっと、その地域というのは、だから、地銀といいますか、そういうところは入らないのか、都銀だけなのか、いろいろなことが考えられてしまうんですが、例えば、一つの県、県単位も、時と場合によってはここで言う地域なんだよ、そういう概念なんですか。

柳澤国務大臣 百二条、金融危機に対応するための措置が発動される場合の要件が書いてありますけれども、仰せのとおり二つありまして、その片方、一つに、「地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずる」ということが定められておりますけれども、この地域ということが県単位なのかどうかということについては、むしろ私どもは、やはり地域的な経済圏と。行政区画というような考え方をしないのが解釈として適当なのではないか、このように考えております。

長妻委員 地域的な経済圏という言葉でございますが、もうちょっとわかりやすくとは思うのでございますけれども。

 そしてもう一つ、また同じですけれども、責任の観点から質問させていただきます。これは本当に重要だと思います、責任というのは。

 例えば、こういう金融危機対応勘定で公的資金が入っていくということは、法律でこれは措置されておるわけでございますけれども、万が一こういう事態になったときには公的資金がまた入るということになりますので、これは金融担当大臣、責任というのはどういうふうにおとりになりますか。

柳澤国務大臣 金融危機を克服するというのは、これは国民全体の利益に資することだと思います。そういう側面もあるし、また、公的な支援をする、これは別に公的資本注入だけでは御存じのようにないわけでございますけれども、公的支援をするということについては異例のこと、民間の企業にそういう公的支援をしなきゃならなくなったというのは異例なことだということも言えようかと思いますけれども、こういう危機対応をするということについての責任ということについては、なかなか一概に論じられない面があるだろう、こういうように思います。

 と申しますのは、やはり経済状況でございますから、例えば世界的な同時不況の中であるいはそういうようなことが生ずるというようなときに、その責任をどこへ持っていくかというようなことについてはなかなか答えが出しにくいというようにも思いますので、この一例だけをもって一概に論じられないということが全部説明し得ているとは私も思いませんが例えばそういうようなことで、この問題について一概に責任をどこどこ、だれだれというふうには論じられない性格の事態ではないか、このように考えます。

長妻委員 先ほど塩崎議員が、フィクションというお話があって、一回目の公的資金の注入のお話がございましたけれども、だから、そのときはそれでもう金融は大丈夫というようなお話で、今度またこういう事態になれば、ある意味では二度目の公的資金、そういうことになるわけでありまして、それは、だからどう考えても国民の皆さんの立場からすると腑に落ちない、納得できないということでございます。

 それと、金融担当大臣の責務としては、再三再四国会でも御答弁されておられますように、金融危機を起こさない、こういうことがやはり最大の仕事、大きな仕事のうちの一つだというふうに私も思っております。ですから、その意味では、本当に体を張ってそういう決意なんだということを、本当にそういう決意なんだ、それで、そういうことがあったら、二度目のこういう公的資金注入があったら大臣をやめる、このぐらいの決意を持っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 私が大臣をやめる、やめないなんというのは、全くもってそんなことで論じるようなウエートの話ではないというように思います。私がやめるぐらいのことは造作ないことであるということを申し上げておきます。

長妻委員 次に、質問の観点を変えます。

 特別検査に関する質問をさせていただきますけれども、今、特別検査が主要行に入っていると思うんですが、基本的に、複数の銀行が同一の債務者に融資をしているというようなケースがあるわけでございますけれども、その場合、それぞれの複数の銀行の自己査定が同じ債務者にもかかわらずばらつきがある、こういうケースが過去あったやに聞いておるんですが、これは、ばらつきは特別検査では一切なくす、こういうことでよろしいんですか。

柳澤国務大臣 先ほども申し上げましたが、査定は、自己責任のもとにおける自己査定がまずベースにあるわけです。そういうことでございまして、それはまた我々としては正しいことだというふうに思っているわけです。

 つまり、区々になることについては、ある意味で当然と思われるケースもある、そういう事態だ、こういうように思っておりまして、ある銀行がこういう債務者区分をすれば他の銀行も絶対そうでなきゃならないというものではないというふうに考えております。それはもう前から御説明したことでありまして、それは、持っている情報、それからまた債務者のその銀行に対する態度、こういうようなものを反映するのはある意味で当然ですから、そういうことがあっても不思議はない、こういうように思っております。

 そこで今回、特別検査の結果、特別検査が行われている債務者についてはA、B、C、Dすべての金融機関が同じような債務者区分になるように検査をするのか、こういうことでございますが、私どもとして、システム的にそういうことを前提にした検査というふうにはなっておりません。

 ただ、先ほども申したように、私どもはこの自己査定についてフォローアップ、このフォローアップも、ちょっと中身を言えば、必ずしも特別検査とリンクしたというよりも、むしろ通常検査とリンクしたフォローアップ作業でございますけれども、そういうようなフォローアップを通じて、結果としては、検査官が特別検査の結果を知っているということを前提にすれば、フォローアップ検査が行われるところについては、今委員が指摘されたようなことになる可能性が強い、こういうようにお答え申し上げます。

長妻委員 ちょっとよくわからない答弁だったんでございますけれども、何でこういうことをお聞きするかといいますと、基本的に、一つの債務者があって複数の銀行が融資している、そのメーンバンクはやはり自己査定を甘くしがちだというような傾向に私はあると思うんですね。だから、この前流出した資料なんかも、本物かどうかというのはわかりませんけれども、そういう傾向が出ていたんではないかという気はするんでございますけれども、その意味で、メーンバンクは自己査定を甘くしがちだ、これをきちんと見ていただいて是正をしていく、基本的にはそろえていくということでよろしいんでございますか。

柳澤国務大臣 特別検査はメーンバンクを中心として行われることになろう、こういうように思います。

 全部そろえるのか、システム的にそういうふうになっているのかといえば、先ほど来申し上げているように、結果として、多分フォローアップ検査等を通じて、つまり他のシステムのもとにおける検査業務を通じてそういうことが実現される可能性が高いということですが、システム的にそうなっているかといえば、そうはなっていないということでございます。

長妻委員 そして、日銀総裁にも特別検査の件をお伺いしたいんでございますけれども、特別検査によって不良債権は何年ぐらいでなくなると思われますか。

速水参考人 不良貸し出しがいつになればなくなるかというのは、これはやはりこれからの景気の情勢もありますし、それから金融機関の立ち上がりの早さにもよると思います。今回の九月決算について、三月決算にこれぐらいのものを、六兆四千億ですか、大手だけで、それだけの不良貸し出しの整理をするといったような決意を表明されたことは、私は高く評価していいと思います。

 この勢いでいけばそんなに時間はかからないと思います。(長妻委員「めど、何年」と呼ぶ)金融庁のあれでは三年以内にはなくなるということで、諮問会議でもそういう方向で考えておる次第でございます。

長妻委員 次に、質問を、角度を変えさせていただきますと、塩川財務大臣に御質問させていただくんですが、経済財政諮問会議で特別検査後の不良債権処理の議論というのを今後も定期的にやられていく予定でございますか。

塩川国務大臣 経済財政諮問会議におきましては、不良債権の整理を急げという議論はございます。同時に、特別検査に対します関心は持っておりますけれども、具体的な議論は、一切この特別検査に対しましては議論しておりません。

長妻委員 議論する予定はありますか。

塩川国務大臣 これは金融庁の所管事項でございますし、また、金融というのは非常に特異な業務になっておりまして、一般に守秘義務の強い業務でございますので、公開の場で議論するということは十分慎重に行わなければならないと思っております。

長妻委員 非公開で財政諮問会議で議論する御予定はないですか。

塩川国務大臣 現在、経済財政諮問会議は全部公開討論になっておりますので、メンバーは規定しておりますけれども、議事録は全部公開しておりますので、秘密会議とかあるいは特定会議でやるという考え方は現在ございません。

長妻委員 そうすると、ちょっと変な話になると思うんですけれども、経済財政諮問会議は、特別検査等々、不良債権処理というのは工程表でも出ているわけで、やはりそれをチェックするということが必要になってくると思うんです。そうしましたら、国会の場だって、法律で秘密会議というのはできるような条文もあるわけでありまして、例えば、経済財政諮問会議で、秘密会議でも何でも、そういう形が表に出ない形での議論というのはしないと、じゃどうやって不良債権の問題をフォローアップしていくのかということは、ちょっとわからないんでございますけれども、じゃ、どういうふうに経済財政諮問会議は不良債権の問題、特別検査の問題、フォローアップしていくんでございますか。

塩川国務大臣 経済財政諮問会議におきまして特別検査の中身、これを公開し議論する、あるいはまたこの取り扱いについて一つの方向を示す、そういうことはいたしません。あくまでも、経済財政諮問会議におきましては、不良債権の整理を急ぐということと、それに対する政治的に可能な範囲においてのサポートをどうするかということと、そしてその進行についてある一定の規制をする場合があるかもわからぬが、その場合はどういうふうにするかというようなことは議論いたしますけれども、金融庁が行っております個々の検査並びに検査のやり方等につきましての個々の問題については、諮問会議の所管外のことになってくると思っております。

長妻委員 ぜひ委員長にもお願いしたいのは、竹中大臣も、不良債権処理の問題で、経済財政諮問会議でもやられて、積極的に御発言されておられますので、やはり竹中大臣が一度も来られない、我が党も要請はしていると思うのでございますけれども。参議院の方では、財政金融委員会には竹中大臣が出席されたということも聞いておりますので、ぜひ当委員会でも、委員長のお力で竹中大臣、呼んでいただきたいと思うんですが。

山口委員長 余り私も力はありませんが、理事会で継続協議にそれはしておりまして、また協議して、結論を出していきたいと思っております。

長妻委員 本当に、竹中大臣と柳澤大臣が何か方向性が違うんじゃないかなと思うような発言も結構ある感じなんですね。だから、ぜひ、これは財務金融委員会のところで、全然竹中さんが来られないと、全く不良債権の話なんて国会での議論がかみ合ってこない。それが一つ、今内閣の中でも、何か違う方向なのかどうなのかということがすり合わせできない大きい理由だと思うんです。ぜひこの委員会で竹中大臣を呼んでいただいて、不良債権の問題の議論をぜひしていただきたいということを、ぜひ塩川さんも、お会いしたときに働きかけていただきたいというふうに本当に思うんです。

 そして、もう一点塩川財務大臣にお聞きしたいんですが、私は、不良債権問題を議論するときには、やはりかなり踏み込んだデータを見ながら議論をするというのが重要だと思うのですよ。

 私なんかは、当然公表されたデータしか見ていない立場でございますけれども、塩川財務大臣は、公表されている、いわゆる世間一般どなたでも手に入る、私なんかも手に入る資料じゃない、それよりももっと深い、突っ込んだ不良債権処理の資料というのを持って議論されておられるんでしょうか。

塩川国務大臣 私たちは所管事項が違いますので、そういう細かい、また細密によった金融庁特有の情報というものは、私どものところには公開されておりません。

 したがいまして、私は、皆さんが持っておられる資料と同様の資料によって判断をしておるということは間違いございません。

長妻委員 これはちょっと、本当に私は驚きなんですよ。本当に驚くんですよ。

 というのは、本当に不良債権処理をきちんと進めていただきたいから申し上げているんですけれども、私というか普通の一般の方、私もそうですけれども、公表された資料しか見ていないで不良債権の問題を経済財政諮問会議で議論しているというのは、ちょっと本当にびっくりするんです。それでは不良債権の問題の奥深さ、実態というのが、では判断する方が全然その実態がわかっていない段階で、皆さんがああでもない、こうでもない、特別検査しよう、何検査しよう、フォローアップ何とか、そういう議論になってはいけないと私思いますので、ぜひ、公表されていない資料というのは金融庁の中に埋もれています。柳澤大臣にも見せられていない資料というのはいっぱいあるんです。

 だから、そういう資料をぜひ持ってこさせて、別に世間に公表しろなんて私全然言っていませんから、ぜひ塩川大臣、見ていただいて、総理にも見せて、こういう実態なんだというのを、本当に実態を把握した上で不良債権の問題に取り組んでいただきたいと本当に思うのですが、いかがですか。ぜひそういう行動をしていただきたい。

塩川国務大臣 それは、私たちは閣僚でございますから、一般論といたしましての不良債権の実態というものは承知いたしておりますし、また、金融庁の方からも、それについての詳細な説明はございます。

 あくまでも全体としての、不良債権の全体としての話でございまして、この銀行の不良債権はどう、あるいはこの銀行が抱えておるところの企業の不良債権はどういうこと、そういう個別の問題につきましては、これは厳重な守秘義務がございますので、私たちのところにはそういう情報は入ってきておりません。

 しかし、再度申しますと、不良債権の全体としての状況、これは私たち十分に承知いたしておるつもりであります。

長妻委員 やはり公表資料だけだと、不良債権の全体というのがなかなかそれは本当にはわからないと思うのです。

 来年三月期の見込みの不良債権処分損が、大手行で六兆円ぐらいだと。それもその六兆円で本当にいいのかな、私なんかは、十二兆円以上やはり出てこないとおかしいんじゃないかというふうに感じておるのでございますけれども、そういうことなんですよね、六兆円という処分損。だけれども、本当にそれでいいのかねということが、データがあるわけですから、中に。

 それで、私も、単に一つの役所の所轄のことを全部事細かに見なきゃいけないとか、そういうことを申し上げておるわけではございませんで、今、国家的課題だと思うのです。特に、国家的というんじゃなくて世界的、日本の不良債権の問題というのは世界的課題だと思うのでありまして、内閣一丸となって取り組むというのであれば、私、さっきの、本当に実態で率直に言われたのでございましょうけれども、塩川財務大臣も、では多分小泉総理も、一般に公表されている資料だけ見て不良債権を処理していた。内閣一丸となって取り組むというときに、ああ、そういうことだから不良債権の処理というのはきちんと本質的なところで進んでいかないんだなというふうに今改めて思いましたので、ぜひ塩川大臣、一言だけ、もうちょっと踏み込んだ、そういう資料をとって、個別銀行と言っているのではありません、実態の資料。

塩川国務大臣 長妻さん、もう非常に熱意を込めて不良債権問題を検討しておられます、議論しておられます。私たちも同様でございまして、申しますことは、再三言っておりますことは、守秘義務の限度というものがどうしてもございますので、その面については、金融庁はこれは死守するであろうと思います。でございますから、それ以外のいわば不良債権の全体、あるいはその動いていく、変化していく状況、こういうものについては、私たちも逐一説明はございます。

 また、その不良債権の処理をしていく方法についてのなには金融庁対金融機関の間で話をされておりますけれども、それに対しましては、私たちは、一々それを情報をとり指示する、あるいは議論するということはいたしておりません。

長妻委員 ぜひ深いお取り組みをしていただきたい。もう国家的じゃなくて国際、世界的問題に日本の不良債権問題、とうとうなってしまいましたので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、もう一点でございますけれども、連結納税の話を塩川大臣にちょっとお伺いしたいのでございますけれども、これは来年の四月から開始ということで、これは各企業、一生懸命この連結納税に備えてグループ再編等々をやってきたわけでありまして、国際競争力を本当につけていく一つ大きなツールといいますか仕掛けだと私は思っております。今まで、塩川大臣、政治歴がもう私の何十倍でございますので、事務方が作業できないということで決まっていることを延期したという例はありますか。特に、こういう法律的措置であって、閣議でもある程度決まっていることに関して、過去の例はありますか。

塩川国務大臣 この案件は、閣議でいつまでどうするということは決めたことはございません。しかし、政府としての方針は申し上げたことがございます。その方針に沿いまして、実際、鋭意努力しておるというところであります。(長妻委員「過去、そういうことがあるか」と呼ぶ)過去において、私はつまびらかにしておりませんが、恐らく何かの事情でそういうことがあったかもしらぬ、私、はっきり覚えておりません。

長妻委員 私がある財務省の方に聞くと、いや、こういうことは、その方御本人が、前代未聞のことですというふうに財務省の方が言われておるような状況でありまして、これは大臣、ぜひ来年の四月に導入ということで、来年の国会冒頭に法案出していただきたいと強くお願いをするのですが。

 これは、一つは、やはり事務方がなかなかできにくくなるというのは、それをやはり事前にトップの大臣等はある程度察知をして、人の配置とかいろいろ前倒しをしていくとか作業とか、いろいろな配慮をしていくのがやはり責任者としての一つの行動だと思いますので、来年の四月に導入していくという御決意をぜひお聞かせいただきたい。

塩川国務大臣 来年の四月という日を切られますと私も確答しにくいところでございますが、しかし、これはいろいろ言われておりますけれども、私が正確に申し上げますので、ぜひ御理解いただきたいと思っておるのでございますが、この連結納税の制度を実施しようということになりましたのは、確かに昨年のときに決定したことは事実でございます。そして、昨年におきまして作業を進めましたとき、いわゆる会社分割法というのを法案を出して、先生方の御承認をいただいたのでございますが、この会社分割法が従来の法人税法の改正でやってまいりましたこととは手法が非常に違う、ここは私も認識実はございませんでした。同じような法案の修正であろうと思うておった。

 ところが、会社分割法をつくりましたときには、非常に精細な、もう本当に従来の法案の作成と違う手法でもって細かくつくりまして、そういうもとにおいてできた法律でございます。したがって、これと一体となりますところの連結納税法をつくりますときには、その作業、つまり会社分割法に関係して作業してきた者が、それが連続してやらざるを得ないような、いわゆる非常に専門的な状況でございます。したがって、人数が制限されてきたということが一つでございました。

 そこで、作業を進めましたところが、外資の問題だとかいろいろな他の要件が出てまいりましたので、会社分割法当時よりもさらに精細な法案の条文をしなきゃならぬ、そういうことから、作業量が物すごいふえた。そこで、健康状態の問題等がございまして、おくれてきたということでございまして、私もその実情を知っておるだけに、一応この際の余裕をとらすことが必要だと思っております。

 したがって、通常国会冒頭に提出することは非常に困難なことになりましたけれども、できれば五月ごろには提出いたしまして御審議願いたいと思って、鋭意努力させておるところであります。

長妻委員 やはり本当に、ちょっとがっかりいたしますのは、事務方の言っていることをそのままここで言われているような感じがありまして、やはり過労で倒れられる前に手当てをいろいろしていくというのがトップではないかというふうに感じておりまして、来年四月という政府方針が実施できない場合に、これは、塩川大臣、責任はどうとられますか。

塩川国務大臣 もちろん、十分責任を感じてやります。

長妻委員 そして、今こちらに相沢税調会長もおられますので、これは私見で結構でございますので、やはり連結納税は国際競争力を高めるために、本当に私、必要な制度で、先進国は入っているわけでありますので、来年四月というのをしかっていただきたいんですが。

相沢議員 ここで党の税制調査会長としての答弁はいかがかと思いますけれども、あえて私見をというお話でありますのでお答え申し上げますが、実は、それは目下検討の最中でございます。

 御案内のように、連結納税につきましては、正確なことは忘れましたけれども大きな減収が生じますので、その減収の財源措置というものを考えながら十四年度中に実現を図るというのが、一応基本的な考え方になったわけであります。そういう考え方に沿いまして今検討をしているということでありまして、もうしばらくお待ち願いたいと思います。

長妻委員 ぜひ来年四月ということをお守りいただきたいと思います。

 これで質問を終了します。ありがとうございました。

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十四分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.