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第1号 平成14年1月25日(金曜日)

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本国会召集日(平成十四年一月二十一日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   委員長 山口 俊一君
   理事 根本  匠君 理事 海江田万里君
   理事 中川 正春君 理事 石井 啓一君
      岩倉 博文君    金子 一義君
      金子 恭之君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    坂本 剛二君
      七条  明君    砂田 圭佑君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中野  清君    中村正三郎君
      林田  彪君    増原 義剛君
      山本 明彦君    山本 幸三君
      吉田 幸弘君    渡辺 喜美君
      五十嵐文彦君    生方 幸夫君
      江崎洋一郎君    小泉 俊明君
      小林 憲司君    佐藤 観樹君
      永田 寿康君    長妻  昭君
      古川 元久君    上田  勇君
      遠藤 和良君    中塚 一宏君
      藤島 正之君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君
    ―――――――――――――
一月二十一日
 山口俊一君委員長辞任につき、その補欠として坂本剛二君が議院において、委員長に選任された。
平成十四年一月二十五日(金曜日)
    午後三時十九分開議
 出席委員
   委員長 坂本 剛二君
   理事 中野  清君 理事 根本  匠君
   理事 山口 俊一君 理事 山本 幸三君
   理事 海江田万里君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      岩倉 博文君    金子 一義君
      金子 恭之君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    小西  理君
      七条  明君    砂田 圭佑君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中村正三郎君    林田  彪君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      吉田 幸弘君    吉野 正芳君
      渡辺 博道君    五十嵐文彦君
      生方 幸夫君    江崎洋一郎君
      小泉 俊明君    小林 憲司君
      永田 寿康君    長妻  昭君
      長浜 博行君    上田  勇君
      遠藤 和良君    藤島 正之君
      佐々木憲昭君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    植田 至紀君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      砂田 圭佑君
   財務大臣政務官      吉田 幸弘君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   小平 信因君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    大武健一郎君
   政府参考人
   (国税庁次長)      福田  進君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十五日
 辞任         補欠選任
  竹本 直一君     渡辺 博道君
  山本 明彦君     吉野 正芳君
  渡辺 喜美君     小西  理君
  中川 正春君     長浜 博行君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     渡辺 喜美君
  吉野 正芳君     山本 明彦君
  渡辺 博道君     竹本 直一君
  長浜 博行君     中川 正春君
同日
 理事奥山茂彦君同月八日委員辞任につき、その補欠として山本幸三君が理事に当選した。
同日
 理事伊藤公介君、佐藤剛男君及び鈴木淑夫君同月十八日委員辞任につき、その補欠として山口俊一君、中野清君及び中塚一宏君が理事に当選した。
同日
 理事中川正春君同日理事辞任につき、その補欠として古川元久君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
一月二十一日
 証券取引委員会設置法案(海江田万里君外十名提出、第百五十一回国会衆法第三三号)
 日本銀行法の一部を改正する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第六一号)
同月二十四日
 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――
坂本委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび、財務金融委員長の重責を担うことになりました坂本剛二でございます。
 我が国の財政及び税制のあり方はもとより、内外の金融経済情勢に対し、国民の深い関心が寄せられておるところであり、また、特に長引く経済不況からどう脱却するか、その方策等について国民の各界各層から本委員会に大きな期待が寄せられております。その課せられた使命はまことに重大なものがあると存じております。
 甚だ微力ではございますが、委員各位の御指導、御協力をいただきまして、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいる所存でございます。
 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
坂本委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事中川正春君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任並びに委員異動に伴い、現在理事が五名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。
 よって
      中野  清君    山口 俊一君
      山本 幸三君    古川 元久君
   及び 中塚 一宏君
を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
坂本委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政に関する事項
 税制に関する事項
 関税に関する事項
 外国為替に関する事項
 国有財産に関する事項
 たばこ事業及び塩事業に関する事項
 印刷事業に関する事項
 造幣事業に関する事項
 金融に関する事項
 証券取引に関する事項
以上の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
坂本委員長 この際、谷口財務副大臣、砂田財務大臣政務官及び吉田財務大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。財務副大臣谷口隆義君。
谷口副大臣 このたび財務副大臣を命ぜられました谷口隆義でございます。
 もう今まさに、国家財政また景気も低迷をいたしておる、まさに国難とも言える大変重要なときでございます。塩川財務大臣を補佐し、我が国の再びの再生のために全力を傾注する所存でございます。
 財務金融委員会の諸先生におかれましては、これからも御指導、御鞭撻、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
坂本委員長 財務大臣政務官砂田圭佑君。
砂田大臣政務官 財務大臣政務官を拝命いたしました砂田圭佑でございます。
 吉田政務官ともどもに一生懸命努力をする決意でございます。よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
坂本委員長 同じく、財務大臣政務官吉田幸弘君。
吉田大臣政務官 このたび財務大臣政務官を拝命いたしました吉田幸弘でございます。
 砂田政務官とともに、大臣を補佐しつつ全力を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
坂本委員長 財政及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長大武健一郎君、国税庁次長福田進君及び中小企業庁長官杉山秀二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。
海江田委員 民主党の海江田でございます。
 これから、財務大臣を初めとした政府に、財政あるいは金融の問題で一般質疑を行いたいと思います。
 まず初めに、塩川財務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、元札幌国税局長の脱税の事件、これは逮捕されましたのが一月の十日でございまして、国会が閉会中ということもありまして、財務大臣のこの問題に関するコメント、私まだ直接聞いておりません。
 それから、今一月末でございますが、いよいよ二月に入ると確定申告の時期もスタートいたしまして、例えば、きょうの毎日新聞にも「国税OBの特権は見直し必要」というような投書、オピニオンの欄でございますが、そういうものも載っている。
 あるいは、大臣は当委員会で、前の国会でございましたけれども、当時のこの財務金融委員会の委員であります河村委員から、いわゆる国税庁のOBの税理士さんが関与先を、得意先をあっせんを受けているというような問題点の指摘があり、それについても大臣もやりとりをお聞きになっていたはずでございますから、そういうもろもろの点を考慮に入れて、今の時点でこの元札幌国税局長の脱税事件についてどういう考え方をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
塩川国務大臣 元札幌国税局長の浜田税理士でございますけれども、これが実は税務官僚であったことの名誉と体面を損なうような非常に卑劣な行為をいたしたことに対しまして、元職員であって現在は職員ではございませんけれども、やはり税務当局を預かります財務省として、また大臣として、非常に残念に思うておるところでございます。
 特に、おっしゃるように、三月十五日の確定申告日を目前に控えましてこういう事件が起こったということは、納税者にとりまして非常に大きい心理的な嫌悪感を与えると思っておりますし、また、これは税務執行上にも非常に支障があるのじゃないかと苦慮いたしておりました。
 そこで、税務関係省の者と相談いたしまして、早速、国税庁長官の手で全国の国税局長を招集いたしまして、これの善後処理並びに今後こういうことの事件の発生がないような厳しい監視体制等をしくようにということの指示を国税庁長官から直ちにいたしたところでございまして、また、これを受けて各国税局におきましては、各税務署単位に密接な指導をしておるというところでございまして、まことに残念で、私も遺憾に思っておるところでございます。
海江田委員 この浜田税理士の脱税の手口でございますが、これは極めて幼稚といいますか、雑誌などの中にはこれは野村沙知代以下だというような表現もあるわけでございます。これは所得の中からつまんで、そして、まさに公示の納税額一千万円以下になるように申告をしていたということなわけでございますが、やはりそれだけ手口が、幼稚というよりも大胆だというふうな指摘の方が正しいと思うのですが、そういう大胆な荒っぽい手口で脱税をしたという背景には、まさに、自分が国税局の局長までやったというようなことから、どうせおれのところには何をやったって調べなんか来ないだろう、そういうような意識があったのではないだろうかというふうに考えられるわけでございます。
 この余りにも大胆で余りにも稚拙で、こういう手口であるということについて、まさに自分が国税局長であったというそのおごりだとか特権意識だとか、そことの関連においてどういうような考え方をお持ちでしょうか。重ねてお尋ねをします。
塩川国務大臣 今、海江田さんがおっしゃったのは、もうそのとおりだと私も思っております。
 私も同様に思っておりますのは、自分が国税局長としてやってきた、まず、おれは偉いんだという意識、そして、おれの言うことはみんな、下に部下がたくさんおるんだぐらいの、そんな単純な意識だろうと思っておりまして、人間の卑劣さというものがそこに出ておるのではないかと思っております。そこにうぬぼれてやった事件であって、本当に幼稚なことで、何といいましょうか、論評のしようのない犯罪であると思っております。
海江田委員 それからもう一つ、先ほど私が指摘をさせていただきましたけれども、税理士を開業する、そこも一つ実は問題があるわけでございますが、それから、そうやって開業した税理士に対して、いわゆるあっせんを、関与先、顧問先をあっせんしているというこの事実があるわけでございまして、その点に関する反省などという、あるいはその点を改めようというようなお考えはないんでしょうか、どうなんでしょうか。
塩川国務大臣 この件につきましては私たちも非常に関心を持っておりまして、どこまでが職権の、いわば影響を及ぼす、職権の乱用とは言いませんけれども、職権との関係の再就職になるかということが非常に問題だと思っております。
 とはいえ、やはり退職した人はどこかへ就職したいという希望、これは人間社会におきますところの当然の要求でございますし、それを、同僚がいろいろな点であっせんしておるのか、あるいは情報提供だけに終わっておるのか、あるいは本人が積極的に開拓したものであるかどうかということはちょっとわかりかねるところが実はあると思っておりますことが一つ。
 それからもう一つは、私から実は閣議の席で提案したのでございますけれども、他の省庁においても、多くの公務員が定年退職いたしました後、社会へ再就職するときに、どの程度のことがいわばそういう職権との関係で問題になるんだろうかということにつきまして、法制局並びに人事院で研究をしてもらいたいということを提案いたしました。
 これは、一人一人のことでございますので、原則的な決め方というものがなかなか難しいけれども、類似企業に対するもの、あるいは影響力を残した企業に対するものというものについては、既にそういう制度的なものがございますので、それとの兼ね合いでもって考えてみたいということを言っておりまして、まだ最終的な法制局からの答弁はいただいておりません。けれども、鋭意研究しておることだと思っております。
海江田委員 この税理士の、まさに脱税の容疑で逮捕されました事実関係といいますか、これはまだ報道されている範囲でございますが、ここはやはり、まさに先ほど来お話をしておりますあっせんの問題があるんではないだろうか。問題性が浮き彫りになっているんじゃないだろうかと私は考えているわけです。
 といいますのは、もちろん税理士さんの仕事の中には、本当に企業の、あるいは関与先の税務の相談にいろいろ乗ったり、それから一番やる仕事というのは、先ほども大臣からお話ありましたけれども、三月十五日の確定申告へ向けて、スタートは二月のたしか十四日からですから、もう一月ないわけでございますが、そのときに申告書を作成して、そして税務署に届け出をするということでございます。
 ただ、この浜田容疑者の場合は、そういうような作業をするということではなしに、まさに立ち会いですね。調査に入ったり査察に入ったりするときに立ち会って、そして、こうじゃないか、ああじゃないかと。つまり、自分の後輩がそこへやってくるわけですから、そのときに、いわばOBとしての威光といいますか、そういうものをかざして、その調査に対して無言の圧力を加える。そういうことを企業の側も要求をしていて、そしてそれにまさに見事にこたえる形でそういう役割をしていたということがあるわけでございます。そこの点はどうでしょうか。
福田政府参考人 顧問税理士にどなたがついているのか、OB税理士がついているか否かということは、税務調査のあり方自体に何ら影響を与えるものではなく、いやしくもこれによって税務調査が甘くなるというようなことはあり得ないものと考えております。
 ただ、先生が今おっしゃいましたように、OB税理士を顧問としていれば税務調査等において有利な取り計らいがあるのではないかといった企業の誤った期待感を背景として、仮に、おっしゃいますように、元国税局長が多数の顧問先を確保できたんではないかといった点につきまして、こういう新聞報道等もございましたけれども、企業にそのような期待感を抱かれていること自体、私どもの税務行政に対する信頼を損ないかねないものであるとこれは重く受けとめているところでございます。
 先ほど大臣の方からお話がございましたように、先般の十六日に臨時の全国国税局長会議を開催いたしまして、適正な税務執行にいささかの疑問、疑念も生じないように、厳正な執行を行うことによりまして税務行政に対する国民の皆様の信頼の確保に全力を挙げて努力していくことを確認し、その旨を職員に周知徹底したところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、関与税理士がだれであれ、脱税等の端緒を把握した場合には厳正に対処しているところでございます。
海江田委員 今次長は誤った期待感があるんではないだろうかというお話がありましたけれども、その誤った期待感を助長するのが、あるいは、そういう誤った期待感を前提にして、まさにOBの税理士さんを企業にあっせんする。この誤った期待感が、まさに誤った期待感であるということであれば、それはやはりそういう国税局長までやったような人を、あるいは指定職のそういう方をあっせんするというようなことでなしにやればいい話であって、やはりここは、このあっせんの問題というのは、かなりこれからこの問題を――それでこの問題だけではありませんで、この問題は本当にことし起きたことでありますが、去年税理士法改正をやりましたけれども、去年だって大阪の国税局でありますとか方々でやはりこの問題は、大変多くOB税理士の脱税という問題は出ているわけでございますから、やはりそこはもう少し真剣に真摯にこの問題を、いわばこれは他山の石じゃないですけれども、やはりこの問題はまさに本当に教訓化をして、今後こういう問題が二度と出ないような措置をしっかりととるべきではないだろうかというふうに私は思うわけでございます。
 それと、あともう一つ。この浜田税理士は、去年の九月の十四日でございますが、東京国税局に嘆願書を出しているわけですね。これはできたら私はその嘆願書を一度見てみたいと思っています。このときは、まさにライジングプロという脱税をやった芸能プロダクションが、これが本当にもうその前から調査、査察に入っていて、脱税の事実というのは動かしがたい事実が判明をしていた時点に、去年の九月の十四日に、恐らく、これは私は中身を見ておりませんが、穏便な処置をという形で上申書を出しているという事実があるわけでございますので、その上申書をどういうふうに東京国税局は扱ったのか。
 あるいは、税理士さんがそういう上申書を出すということは間々あるようでございますが、査察絡みで上申書を出すというようなことはまれだというふうなことも聞いておりますので、やはりそういう元国税局OBである、国税局長であり重要なOBであるということをかさに着た行為というものが、税理士になってからも私はあったというふうに考えるわけでございますが、この点もどういうふうにお考えか、お答えいただきたいと思います。
福田政府参考人 御案内のように、株式会社ライジングプロダクションにつきましては、私どもの方で告発をしたところでございます。それがすべてでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
海江田委員 告発をしたことはよくわかっておるわけでありまして、やはりその告発に対して、まさに圧力をかけたというふうに思われるような一つの調査が、そういう、今私がお話をした九月の十四日の嘆願書であるというふうに思われるわけでございますから、そういうものが出ても、これはもちろん影響されなかったということなんでしょうけれども、だけれども、やはりそういうものが出てくるということ自体、まさに国税庁のOBという権威をかさに着た行為だったんじゃないですかと。その間の事情をもう少しつまびらかにしていただきたいということでございます。
福田政府参考人 査察調査の過程でございますので、どこまで詳しいことをお話しできるか、御理解願いたいと思いますが、いずれにいたしましても、厳正に法令にのっとって対処しているということでございまして、御指摘の本件につきましても法令にのっとって適正に対処したところでございます。
海江田委員 私は、一度この九月十四日の嘆願書がどういうものか見てみたいんで、それはぜひ資料として当委員会に提出をしていただけますよう、これはお計らいをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
坂本委員長 では、これは理事会協議でひとつ取り計らいさせていただきます。
福田政府参考人 大変恐縮でございますけれども、個別の調査過程の資料であろうかと思いますので、御提出はできないということを御理解願いたいと存じます。
海江田委員 今、委員長が理事会で協議をするということでございますので、これは協議をぜひしていただきたいということでよろしいかと思います。
 それから、あともう一つ問題になるのは、これも税理士法の改正のときに議論が出たわけでございますが、OBの方は実務経験二十三年間で税理士さんの資格が取れる。特認試験というんですか、資格が取れるわけですが、一応特認試験という試験を通さなければいけないということだろうと思うんですが、この特認試験で落ちる人というのはいるんですか、どうなんですか。それとも全員が合格をするんですか。
福田政府参考人 申しわけございません。今手持ちに資料がございませんので概数で恐縮でございますが、昨年度の例でいいますと、受験者の中で約六割が合格、裏返しますと四割が不合格ということでございます。
海江田委員 後で少し細かな、過去何年間かの資料を見せていただきたいと思います。
 それからもう一つ、実務経験二十三年というんですが、この浜田容疑者の経歴を見てみますと、果たして本当に実務経験が二十三年あったのかいなというのが、この実務経験というのをどこまで厳密にとらまえるかということでございますが、二十三年前に国税庁の長官の秘書になっておりまして、それからまた麻布税務署に行ったり、それから国税庁に入って、国税庁ではずっと人事畑を歩んでいるわけですよね。
 さっき私、極めてその手口が稚拙だったとか大胆だとかいうお話をしましたけれども、それと同時に、この人は案外、税法を知らぬのじゃないだろうかというような大きな疑問も出てきまして、税法というのは、御案内のように本当に毎年毎年変わるものでありまして、それこそもう、例えばこのいただいた資料で、平成二年から東京国税局の総務部人事第二課長になっておる、人事ばかりやっていたということですから、恐らく平成二年からの実際の税法の動きというものをほとんどわかっていないんじゃないだろうかというふうに思うわけです。
 そういうところをどういうふうに、ただ二十三年間いわば税務署に、国税庁に在職をすればいいという話なのか。その辺はきちっと、本当の実務の能力というもの、あるいは知識というものがあるのかどうなのかということ、そういうチェックというのはやっておられるんですか。
福田政府参考人 まず、お尋ねにございました元職員について申し上げますと、昭和三十一年に東京国税局採用でございまして、途中省略いたしますけれども、税務署あるいは研修所、それから国税局の調査部等で実務経験を積んでおります。
 それからもう一つは、これは毎年の税制改正等の御質問がございましたけれども、税制改正につきましては、幹部であろうとも、先生まさに御指摘のように、改正についていけないというようなことにいやしくもならないように勉強をさせているところでございます。
 それが一つと、もう一つは、今これは試みでやっておりますけれども、総合研修的なものを間にはめて、これはポジションのいかんにかかわらず、しかるべき人間につきましても受講をさせるようにしているところでございます。
海江田委員 この問題はまた同僚委員からも質問があると思いますので、きょうはもう時間も限られておりますのでここまでにいたしますが、まさに二月の十四日から確定申告がスタートをするわけでございますから、今大臣はいろいろ内部でやっておられるというようなことは承りましたけれども、一般の納税者には、そういう真摯な態度というか、そういう本当にしっかりとした態度でこれから臨むんだというようなことが伝わっておりませんので、これはやはりできるだけ早く、もちろん捜査当局の調べはあるわけでございますが、それとは別個に、やはり国税庁全体としてこの問題について早く決着をつける、もし改めるべき制度があればそういう点も改めるというふうな姿勢を、本当にこれは可及的速やかに、それこそ二月の十四日の確定申告がスタートするまでにやるべきだ、そういうふうに思うということを最後にこの問題ではお伝えをしておきたいと思います。
 続きまして、税制の話を少しさせていただきますが、いよいよ税制改革ということに着手をするということで、これまでは幾つか細かな改正もございました。これから法案になって当委員会でも議論するということでございますが、もう少し中長期的な税制改革ということで、小泉首相は所得税の各種の控除を抜本的に見直しをするというようなことをきのう経団連の会長らの席でお話をされているようでございますが、財務大臣はこの点について、特に所得税の控除、各種の控除ですね、これの見直しということにはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
塩川国務大臣 小泉首相がどういう趣旨で言ったのか、中身はどんな言葉で言ったのかということを私存じておりませんので、論評することはできませんが、マスコミの報道によりますと何かそのような趣旨のことを言ったと思っておりますが。
 しかし、所得税というのは税の根幹であると同時に、また一つ、一面、所得の再配分機能も持った、所得調整をする意味も持ったものであると思っております。そういう機能も備えておりますので、一概に全部をパアパアにしてもろうて、さらっぽにするということは、ちょっとこれは、何かほかのことを条件をつけての話であろうと思っておりまして、私はそのように解釈しております。
海江田委員 ちょっと今のはアバウトな御答弁じゃないかなというふうに思うわけでございますが。おっしゃる所得の再配分の話でいうと、これはまさに税率のところなわけでございますよね。
 恐らくここで言っておりますのは、各種の控除、とりわけ人的控除なんかが一番はっきりしているわけでございますが、人的控除、あるいは給与所得控除等の控除でもいいわけですが、それが積み重なることによって結果的に課税最低限が上の方に行っちゃうわけですよね、これは。そうすると、まず課税最低限をもう少し引き下げをやろうじゃないだろうかというのが一つの考え方としてあるわけですよ。課税最低限を引き下げをした上で、今度はまさに税率の問題が出てきて、それの税率を全体的に下げるのか。あるいはその税率は、まさに所得の再分配機能なんかを持たせるということで、ある程度の累進性をそこに持たせておくのか。こういう順序立てというか、こういう議論になっていくと私は思うんですね。
 総理が言っているのは、恐らく課税最低限の引き下げということを、各種の控除を整理していけば当然そういうふうになってくるわけでございますから、そういうことを考えているんだろうと思うわけでございますが、この課税最低限の引き下げということについては、どうお考えですか。
塩川国務大臣 今おっしゃったのは、いわゆる海江田流の所得均衡論ですね。しかし、そういう考えもあると思いますし、また別の考え方もございまして、我々としては、今、予見を持ってこの問題を考えたくないと思っておりますけれども。
 いずれにしても、課税最低限が世界でも最高に高い水準になってきておるということは、これは国民の皆さん御承知のことだと思っております。したがって、他の税との均衡をとるということがまず大事だと思いまして、その上でこの空洞化問題を処理すべきであると思っておりますので、今おっしゃったようなそういう地ならし的なことはあるかもしれませんけれども、今はそれを前提にして我々は考えているものではございませんで、他の税との均衡をあくまでも考えておる。そして、低所得者と一般のいわば高額所得者との間における調整機能の一つとして、やはり控除制も大事な一つの要件ではないかということは認識しております。
海江田委員 あるいは、ちょっと角度を変えてお尋ねをしますが、増税という言葉、課税最低限を引き下げをしてそのままにしておけば増税ということになるわけでございますが、増税なき財政再建という言葉が、最近は余り聞かれなくなりましたけれども、片一方であるわけですね。これについて、今現在の時点で大臣はどのようにお考えですか。
塩川国務大臣 増税なき財政再建というのはどの内閣でも言っておることでございまして、できるだけ財政構造との均衡をとるということが必要でございまして、ただ、財政構造を無視して一概に増税なき財政再建と言っておるものではないと思います。
 私たちの皆言っておりますのは、平成十四年度は増税はしない、十五年度以降については、増税あるいは減税ということは、全く中立的の意見でございまして、そのことについては言明をしておりません。でございますから、十四年度中に税制の検討をいたしまして、その結果として増税になるのか減税になるのかということは出てくると思いますけれども、いずれにしても、今回の税制改正を考えます場合は、構造改善的なものに役立つ、そして日本の経済の活性化を図るために必要な改正ということ、そしてあくまでも税の公平中立、公正な税制にするということ等を意識した改正でございますので、議論が始まってまだそこへかかっておりませんので、予見を持って申し上げることはできないということであります。
海江田委員 それではまた角度を変えますけれども、アメリカの財務長官のオニール氏が日本にやってまいりまして、大臣と会談をしておるわけでございますが、今の構造改革の話もそうですけれども、ディマンドサイド、需要サイドの何らかの形での構造改革につながる刺激策というようなことは、今度の会談でオニール長官から強く訴えられたというふうに私は聞いておるわけでございます。
 この問題、どうもややもすれば小泉内閣の構造改革というのはサプライサイドの方に偏り過ぎて、まさにディマンドのサイドの方の刺激策というのが大切なんじゃないだろうかという意見があるわけでございますから、その点は、オニール長官との話も踏まえて、現在どのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
塩川国務大臣 オニール長官の方からも、経済を活性化するという意味において、需要を増大するという考えが大事だということは言っておりました。これは我々も当然言っておることでございまして、今度の第一次、第二次補正はそういう趣旨におきまして編成されたものでございますし、その努力はいたしております。
 といって、一方におきましては、すべての分野において、供給過剰というものがある程度活力をそぎ取っておるということが実はございますので、需要、供給の調整をやはり経済政策の一環としてとっていくべきだと思います。
海江田委員 これで最後にしますけれども、今度の補正にも若干出てはいるんでしょうけれども需要刺激策、特に投資と消費に対する刺激策というのがやはり必要なわけでございまして、そのときに実は出てくるのが、まさに税制改正をやって、例えば課税最低限を引き下げをする。すると、ここは結構オーダーが大きいんですよ、税収が上がってくるのが。例えば人的控除だけでも、これはちょっと乱暴な話ですけれども、全部やめれば五兆円ぐらい出てくるとか、基礎控除で幾らかと。今実際その控除があることによって幾ら税収が抜け落ちているかという単純な計算でございますけれども、ここで出てきた余力というものをどういう形で投資と消費の方に向けていくのかということは、やはり税制改正の大きな柱になっていいんじゃないだろうかというふうに私は考えているわけですから、その辺も含めた税制改正というものをある程度考えるべきじゃないだろうかというのが、私の意見でございます。
 もう少し議論したいんですが、本当に時間がありませんので、その私の意見だけをお伝えしておきます。ありがとうございました。
坂本委員長 次に、古川元久君。
古川委員 民主党の古川元久でございます。
 まず、質問に先立ちまして、今、海江田議員からもお話のありました、元札幌国税局長によります脱税事件につきまして、こういうことがあると、やはり圧倒的多数のまじめに働いている国税の職員に対する一般の信頼というものが失われるわけですね。世間は、みんな同じようなことをやっているというふうに見ているわけです。
 私もかつて大蔵省にいて、ちょうどやめて一年ぐらいたったら例の大蔵スキャンダルというのが起こりましたら、私も同じようなことをやっていたんじゃないかと皆さんから言われました。多分あの当時も、見ていても、そういう問題を起こした人たちじゃない若い人たちとかそういう人たちも大変につらい思いをしたんじゃないかと思いますし、また、そういう状況の中では行政に対する信頼、信用というものも生まれてこないわけでございまして、先ほど来の大臣のお話を聞いておりますと、少しのんびりし過ぎているんじゃないかなと。
 先ほどのお話にもありましたように、二月には確定申告の時期が来るわけでありますし、やはりその時期までに、一般の納税者の皆さんが、まじめにやっている国税の職員の人たちの、ちゃんとそういう人たちに対する信頼が回復されるような、そういう毅然とした措置というものがとられなければ、この確定申告という時期にちゃんと国民の皆さんが納税をしていただけるようにもならないし、やはりそういう状況をとっていては、これは納税者にとっても、まじめな国税の職員にとっても好ましくない。ぜひとも、その点では早急な対応をとっていただいて、毅然とした措置というものを、国民のみんなが、なるほど、こういう形で国税もちゃんと身を正して、二度とこういうことがないような、そういう体制ができたんだな、そう思えるような状況をつくっていただきたいということを、まず質問に先立ちまして申し上げたいと思います。
 きょうは、今回の補正の前提になりました緊急対応プログラムの話から、少し質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この緊急対応プログラムなんですけれども、ここの最後のところに、このプログラムによります経済効果について、内閣府の経済モデルに基づいて試算を行ったところ、以下のとおりと見込まれる、今後一年間のGDPへの効果については、名目で一・二%増程度、実質で〇・九%増程度、こういう数字が出ているわけなんでありますけれども、そもそもこの内閣府の経済モデル、かなりこれは楽観的な見方じゃないのかな。
 私もかつて景気対策というのを、経済対策というのを自分でも役所のときに一番末端でやっておりましたけれども、そのときに使っていたモデルの予想どおりGDPがちゃんとふえているんだったら、今こんな状況にはなっていないわけですよね。それが何度やっても、予想ではこれだけの効果があると言いながら結果は出ていないということを考えますと、乗数を、この経済モデルの中にある公共事業の場合の乗数も含め、そもそもこの経済モデル自体に問題があるんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、この今回の試算をした経済モデルというのは従来と変わらないものなのか、あるいはまた変わっているんであればどのように変わったのか。変わっていないんだったらば、一体本当にこういう、これまでモデルで計算してほとんどそのとおりにもいっていないようなモデルを見直さなくていいのか、その辺について内閣府の方から御答弁をいただきたいと思います。
松下副大臣 古川先生の、専門家を前にしてお答えするのは恐縮でございますけれども、勉強したところで御説明したいと思います。
 昨年の十月に、短期日本経済マクロ計量モデル二〇〇一年暫定版というのを公表いたしました。これはお手元に古川先生も持っておられるのではないかと思いますけれども、これに基づきまして試算をいたしました。
 公共投資を名目GDPの一%相当額に追加したときにかかる乗数ということで、名目GDPが一・五〇、それから実質のGDPに一・〇九の効果をもたらすということで、それを乗数として今回の国費二兆五千億円、事業費四兆一千億円、これについての効果を試算している、こういうことでございます。
古川委員 副大臣、私が聞いているのは、この経済モデルが昔使ったのと変わっていないのか、乗数とかなんかはここ数年で、例えば特には今回の計算で変えているのかどうか、そういう変化があるのか。今のモデルがどうかというのについて、過去とどうなっているのかということを聞いているんです。
松下副大臣 従来はEPAという世界経済モデルで四半期ベースの形で推計していたというふうに聞いております。それを新しいモデル、方程式を百四十二本ほど入れてそしてつくり変えたということですから、今までのモデルとは違っているというふうに認識いただきたいと思います。
古川委員 公共事業の乗数はどうなっているんですか。
松下副大臣 公共事業の乗数は、名目の公的固定資本形成を名目GDPの一%相当額だけ継続的に拡大したということで、実質GDPは一年目には一・〇九、名目の方では一・五〇の要するに影響があるということで、二年目が実質では一・二四、三年目になりますと一・〇五ということで下がっていく、こういう乗数になっております。
古川委員 副大臣、私が聞いているのは、今掛けている乗数というものがそもそも大きく見積もってあるんじゃないか、だからそれが昔よりもある意味で乗数を小さくしているのかどうか、私はその辺の変化があったのかどうかというのを聞いているんです。今幾つかという話じゃないんです。
松下副大臣 前回より低下しております。
古川委員 どのぐらい低下しているの。
松下副大臣 たしか、前回は実質で一・二二ぐらいの数字でした。それが、今回は一・〇九になっております、実質ですけれども。
古川委員 最初にお話をしていただければそんなに長くならないということで、正確にお答えいただきたいと思います、端的に。
 それでも、私はちょっと、これを見ていると、かなり効果として大き過ぎる効果を見込んでいるんじゃないかなという感じがするんですね。今までの、過去のこれまでのこういう経済モデルで計算した効果はそんなに生まれていないということを考えると、もう少しやはり根本的に見直す必要性はあるんじゃないか、そのことを申し述べて、次の質問に行きたいと思います。
 今度のこの緊急対応プログラムでは、とにかく構造改革を加速させてデフレスパイラルを阻止するんだという話が、そのためにということでプログラムがあって今回の補正ということになっているわけなんですが、どこが構造改革を具体的に加速させていくのか。また、特にデフレスパイラルの阻止というのにどういうふうにこれがつながるのか。特にこのデフレスパイラルの阻止という部分ですけれども、これはどうもこのプログラムや予算を見てもそこのところがはっきりとわからないんですけれども、どういう形でこれはデフレスパイラルを阻止することにつながっていくのか、その点を御説明いただけますか。
松下副大臣 確かに大変難しい経済状況の中で現在の予算編成に取り組んでいるというのは、もう御承知のとおりでございます。小泉内閣になりましてから、六月に骨太の経済運営に関する方針を出して、そして改革工程表というものをつくりながら、やはり構造改革というものを柱に据えながら財政の規律も正していくという、大変狭い道での運営をせざるを得ないということになってきたわけですけれども、そういう中で、構造改革によってできるだけ早く持続的な需要をつくり出していく、経済を一刻も早く成長経路に戻す必要があるということは共通の認識だと思うんです。
 その重要な準備期間であります今後二年程度の集中調整期間は、これはデフレの克服が最重要課題だということでこれに取り組んでまいることにしております。集中調整期間においては、聖域なき構造改革を断行するという政策スタンスのもとで、経済の急激な悪化につながることのないよう十分な注意と、そして適切な政策対応が必要だというふうに考えておるわけであります。
 景気は、月例でも御承知のとおりに悪化を続けておるわけでありまして、デフレが進行している、今緩やかなデフレにあるというふうに認識をしておりますし、世界経済も同時的に減速していくということで、経済の先行きについて非常に懸念すべき点が見られることも承知をしております。
 そういう中で、この緊急対応プログラムというのは、経済環境の急激な変化への対応を念頭に置いたものでございまして、第一次補正は雇用、それからセーフティーネットということで対応してまいりましたけれども、第二次補正予算は、九月十一日以降のいろいろな状況に対応しながら、これらの着実な実施によって構造改革をさらに加速しながら、我が国経済がいわゆる物価も下落していく、生産活動の縮小とが相互的に落ち込んでいくというようなスパイラルをやはりとめていきたい、それを回避するんだということでの対応をしていくということで組んでいるわけでございます。
古川委員 私が先ほどから聞いているのは、どういう形でこのプログラム、そして今回の補正予算がデフレスパイラルの阻止につながっていくのか、それがどういう形になってくるのかというのを聞いているんですよ。もう、今のお話を聞いても、これ以上聞いても多分また棒読みされるだけでしょうから、もうやめますけれども。
 これは、構造改革の加速とデフレスパイラルの阻止だという、すべてのところにこれがまくら言葉のようにつながってこのプログラムはでき、そしてそれに基づいて、小泉さんの言葉でいえばへそくりだといいますけれども、我々からすればこれは隠れ借金だと思いますが、そういう形で第二次補正をやるわけですからね。
 やはりそれなりの、どういう形で、これがこういう形で経済効果として波及していってそれがデフレスパイラルを阻止していくんだ、そういうものがちゃんとこういう場で示されなければ、そのところを聞いているんです。それがあなた答えられないんであれば、先ほど理事会でも委員長を初め皆さんにお願いしましたけれども、やはりここに大臣が来てちゃんと説明してもらわなきゃいけない。そんな官僚が書いた答弁を棒読みしているだけで、しかも私が聞いていることに全然答えないのであれば、これは大臣に来てもらわなきゃいけない。ぜひそこは、委員長、また前向きに御検討いただきたいと思いますけれども。
 大臣がいらっしゃる財務省の方にもお伺いしたいんですが、今回のプログラムを受けてのこの補正によって、一体どんな形でデフレスパイラルが阻止されるんでしょうか。どういうふうに考えていらっしゃいますか。
塩川国務大臣 これは、従来のいわば景気対策というのは、あるいは補正予算によりますところの経済の基盤整備というようなものは、いわば大型の既定の公共事業を中心にして追加補正をやってきたという経過がございますし、また、本予算につきましてもどうしても大型の事業に集中してまいりました。しかし、このことは雇用の増強には余り役立たなかった。今問題となっておりますのは雇用の拡大でございまして、第一次補正ではそのセーフネットをやりましたが、第二次補正ではそれを実際に雇用の増大につながっていく事業をやっていきたい、これが一つのねらい。
 それからもう一つは、構造改革をやるについて先見的なプログラムというのをつくりまして、それは七分野を決めております。その七分野の中のさらに四つの分野について先行して改善しようということで、今度の第二次補正を四分野に重点を置いて配分したようなことであります。
 この四分野の中を見ますと、中小企業対策に資するところが多々あるということ。でございますから、従来型の公共事業ではない、いわば雇用をたくさん拡大する、そして中小企業に役立つようないわゆる公共事業に配分した。こういうことによりまして、いわばこれの消費がスパイラルの防止に役立っていくであろうということは当然でございまして、ほっておいたらスパイラルになるかもわからぬが、こういう第一次、第二次の補正を、突っかい棒を入れることによってそれを阻止するということでございまして、今その効果は出ませんでしょうが、配分してこれが支払いベースになってまいりました場合には、必ず私は効果は出てくると思っております。
古川委員 これは本来竹中大臣とやる話なのかもしれませんけれども。塩川大臣は今のこの日本が陥っているデフレという問題は、例えば中小企業とかなんかに仕事がない、そういうことが原因でデフレというのは起きているというふうに考えていらっしゃるんですか。
塩川国務大臣 それも大きい原因だと思います。
古川委員 それもということは、では、一番何がデフレの、私はもっと根本的な、このデフレというのはそんな需要だけの問題じゃないと思うんですけれども、これは、塩川大臣が今それもということであれば、では、ほかにはどんなことがあるんですか、デフレの原因。
塩川国務大臣 デフレのとり方というものがありましょうが、一応私たちは、デフレの根本の原因は物価の下落だと思っております。この物価の下落というものは、ただ一つの原因だけではなくして、いろいろな要素が、つまり、海外からの輸入品の価格破壊の圧力というものもあるし、あるいは経済の停滞に基づくところの需要の減少ということもあるだろうし、いろいろございます。けれども、総じて言うならば、不景気というものの一番の実態は、デフレ的な効果に出てきておるということだと私は認識する。
 そうであるとするならば、この環境を改善するのには、一つは需要をふやしていくということが何としても緊急の事態であろうし、また、物価を少し引き上げていくということも適切な対処であろうし、そういうようなものを総合的にやっていかなきゃならない。これをやったら病気が治るというようなものではない、総合的な体力をつけていくことだと思っております。
 その中にあって、やはり一番問題は、金融が金融機能をもう少し活発に発揮してくれることによって、おくれてきておるところの設備投資等をやはり振興していかなきゃならないのではないかと思ったりしておりまして、そう見ますと、経済全体の問題としてデフレ対策を考えてもらいたいと思っております。
古川委員 今大臣がおっしゃられたように、要は、デフレの原因というのは、相当複雑な、構造的な問題になっているのですね。今、不況になればデフレと言いましたけれども、日本経済は戦後何度も不況を経験しているわけですけれども、そんなデフレになっているようなことは不況下でもなかったわけです。不況下で、むしろインフレが起こったりしたわけですね。そういう意味では、今の起こっている状況というのは、これまでになかったような状況です。
 私が何でそんなことを、デフレスパイラルの阻止なんかにこだわるかといいますと、今回のを見てみると、本当にすべてのところに頭に構造改革の推進とデフレスパイラルの阻止と、何か魔法の言葉のようにこれが振りかけられて、それがあると何かすべてが正当化されるように見えてしまっている。
 ですから、そこまで言うのであれば、これがでは具体的にどういうふうな形でデフレスパイラルの阻止につながるのか、やはりそこを示してもらわないと理解がなかなかできないですよということでお伺いしたのですけれども、今の話を聞くと、これもやらないよりは、需要はないよりはあった方がいいけれども、今の話で、決してこれでもってデフレスパイラルが阻止できるというようなものではないということが、今の大臣のお話でもちょっと明らかになってきたのじゃないかと思うのです。
 もうちょっと話を具体的に見ていきたいと思うのですけれども、なぜ私がさっきから、今回の補正予算というものが構造改革の推進とデフレスパイラルの阻止というそういうマジックワードのようなもので振りかけられているというふうに言うかというと、中身を見ていくと、どこがこれが構造改革につながるものなのか、さっぱりよくわからないものがちらちら見受けられるのですね。この機会についでに入れてしまえといって入れたようなものとか、あるいは本来これは本予算でやるべきようなものが入っているというような気がするわけです。
 例えば、都市機能高度化等対策費という中で、公務員宿舎の施設費というのがありますね。公務員宿舎、私も入っていて、非常に古くて小さくて問題が大きい。これは建てかえをしなきゃいけないというのはわかりますけれども、しかし、ただ公務員宿舎を建てかえるだけでは、これでどこに構造改革の推進につながるのか、加速することにつながるのか。
 よほど、今までとは全く発想が違って、例えば公務員宿舎はよく都心の一等地にあったりしますから、これは二十階建て、三十階建てぐらいのを建てて、半分ぐらいを民間に開放するとか、いろいろ今までの公務員宿舎にない思い切ったことをやる、そういうのでどんどんとやっていくならわかるのですけれども、どうも何となく、これは私が知らないだけかもしれませんけれども、ただ古くなったものを建てかえていく、そうするとまた都心の真ん中の方に七階建てだとか十階建てぐらいの中層の、とても高層とは言えないような形の、周りはみんな億ションみたいな大きなものが建っているのに公務員宿舎のところだけは低い、そういうような宿舎の建てかえをやってしまうだけに終わってしまうのじゃないのかな、そんなような気がするわけですけれども。
 例えば、この公務員宿舎の建てかえみたいなことに関して言ったら、具体的に、なるほど、国民の我々が見て、ああこれは構造改革が進んでいく、都市機能高度化に資するものだなという、そういうような具体的な例というのはあるのですか。
谷口副大臣 古川委員の質問でございますが、先ほど構造改革とデフレスパイラルのことを大臣もおっしゃったわけでございますけれども、これは私の見解でございますけれども、デフレスパイラルに今陥る危険があるという観点もあって今回の二次補正を編成したわけでございますけれども、一方で、これはもう総理もおっしゃっておるように、この構造改革を進めていくという観点は極めて重要なことでございます。ですから、これらを両方やはりやっていかなきゃいかぬ、こういう観点での今回のこの二次補正でございます。
 ですから、そういう意味において、需要を喚起するというような観点もありますし、継続的な物価下落をとめるというような観点があるわけですけれども、今回のこの二次補正においては、民間投資の創出の機会を増大させるというような観点から、早期執行が可能で経済効率性の高いというようなもの、また緊急に実施の必要のあるもの、こういう観点で今回のこの二次補正が編成されたわけでございます。
 それで、今、古川委員の御質問でございますが、公務員宿舎の改修がどうして構造改革の加速に資するのかというようなことでございます。
 おっしゃるように、今回、緊急対応プログラムの一環として、都市機能高度化等対策の推進を図る観点から、公務員宿舎施設費を計上いたしておるところでございます。
 この内容は、老朽または狭くなった公務員宿舎の建てかえ整備に当たり、集約、高層化等を推進し、これによって不要になった土地を民間事業者に売却することを通じて地域の再開発を誘発する、そういうことによって都市再生に資するというような観点で、今回のこの公務員宿舎に関しては、需要喚起をする、都市再生に資するという観点から効果があるということを考えておるわけでございます。
古川委員 だから、そこに書いてあることは私もわかっているんです。では、具体的にこんなふうなものがありますというものがありますかという話なんですよね。
 私も、公務員宿舎はもう古いから建て直さなきゃいけないと思いますよ。しかし、建て直してしまったら、それは即効的に受注ができるからというのでやるのかもしれませんけれども、中途半端なのを建てたらまたそれを五年や十年で壊して周りと一体的に開発するとかそんなこともできないでしょうから、どうせ建てかえるのであれば、建てかえるときにちゃんと将来のことを見据えて、周りの再開発と一緒な形でやるような、そういうプランまで見えてきて初めて都市の再開発につながる公的施設整備だと思うんです。
 とにかく早くできるから、早く注文できるからといって、また途中半端な、建てて二十年も三十年もそれに公務員を住まわせるということをやっていたら、これは公務員も不幸だし、それに、都市の再開発を逆に妨げることになるんじゃないか、そういうふうに思っているわけですよ。
谷口副大臣 いや、だから、今申し上げておるように、この建てかえをすることによって余った土地を民間事業者に売却する、そういうことにより地域の都市再生に資する、こういうことでございまして、具体的に申し上げますと、神戸市、岡山市、熊本市及び福岡市の四カ所において五百四十戸の公務員宿舎を整備することになっておるわけでございます。これに伴い、十九カ所、約五万一千平米の宿舎、土地を民間事業者に売却するということになっておるわけでございます。
古川委員 これは、東京はやらないんですか。
谷口副大臣 首都圏におきましては、都内三住宅の建てかえをPFI方式により行うものとし、平成十四年度予算において、平成十六年度を歳出初年度とする国庫債務負担行為二百七億円を計上いたしておるところでございます。
古川委員 だから、今いみじくも十四年度予算でやると言ったでしょう。なぜここの補正にここを入れてくる必要があるのか。それだったら、それでちゃんと本予算に入れればいいじゃないですか。そこのところが、これは補正で本当にやるべきことなのかどうか、何か、とにかくひっつけられるものはひっつけるという姿勢が残念ながらこの補正を見ると見えるんですね。
 それで、ほかにもう一つ。十年前に私が景気対策というので補正のところで入れたような、十年前にもあったような、この中に書いてありますけれども、自然共生型公共事業等の推進というので、国立公園等の山岳地帯における自然環境保全対策を推進する観点から、排水、し尿処理施設を整備すると。これはトイレをきれいにするということ、これはいいことだと思いますよ。でも、十年前も、これも補正で何か入っていたんですね、景気対策の後に。
 十年たってこういうことがいいんだったら、ちゃんとそういうものは次には本予算の中に組み込むべきであって、毎年毎年そういうのを補正の中に潜り込ませてやっているというようなことをやっていては、やはりこれは、名前は何か小泉さんになって変わったように見えますけれども、実態的にはいつもやっている本予算と補正予算という関係に変わらないんじゃないか。
 時間がなくなっちゃいましたから、また詳しくは本予算の審議のときにさせていただくことになろうかと思いますけれども、皆さん、大臣も持っていらっしゃると思いますけれども、お配りしたと思いますが、本予算で見ても、公共事業関係費のシェアを見ていただくと、これは二〇〇〇年度小渕さん、二〇〇一年度森さん、二〇〇二年度小泉さんですけれども、確かに、総額でいいますと一割減らしたというのはわかります。でも、シェアはほとんど変わっていないわけですよね。
 そうなると、これは一律マイナスシーリングをやっているというのとどこが違うのか。結局そのくらいだったら、橋本改革と全く同じことをまた小泉改革は繰り返すとちまたで言われているわけでありますけれども、それと同じことじゃないか。額だけ下がっていれば、要は、構造改革というのは、額を小さくすれば構造改革という話じゃないはずですよ。やはりこれはシェアが変わらなきゃいけないと思うんですけれども、このシェアが変わっていない。
 やはりこういうところに、どうも小泉改革というのは、名前は今までとは違うと言われますけれども、中身を見ていくと結局昔と変わらないということが言えるんじゃないかと思いますけれども、大臣、最後に御答弁をお願いします。
塩川国務大臣 古川さん、ゆっくり見てもらったらよくわかると思うんですけれども、余り慌てて見るとちょっとわからぬようになってそうおっしゃいますけれども、事業別で推進率は随分違いますよ。
 例えば、今度の本予算で重点を置きましたのはエコタウンの事業でございますが、これは何と五倍半、半とは言いませんけれども、五百二十数%ふやしておりますし、保育所の関係は一一四%ふやしておる。こういうことで、一々言いますと時間がもったいないから言いませんけれども、そのようなことをやって、一方、工業用水なんかは約三〇%減らしていますね。それから国土総合開発調整費というのも二〇%減らしておるし、それから都市の幹線鉄道整備というのも、これは費用の節減をしている、箇所づけは減らさないでシェアを減らしましたのが、約一五%減らしております。
 そのようにして、やはりめり張りをつけた予算をしておるということは事実であります。
古川委員 大臣はそういう細かい話をするわけですけれども、この大枠のところで見てこれだけシェアがほとんど変わっていないというのは、やはり小泉さんの改革が、結局具体性が見えなくて、総枠だけ一律マイナスシーリングをやったということ以外には何とも言えないんじゃないか。詳しくはまた本予算の審議のときにお伺いしたいと思いますが、そのことを最後に申し述べて質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
坂本委員長 藤島正之君。
藤島委員 自由党の藤島正之でございます。
 まず最初に、アフガンの支援の関係についてちょっとお尋ねしたいと思います。
 御承知のように、さきの復興会議で主な国の支援が決まったわけですけれども、米国は一年目二億九千六百万ドル、欧州連合が一年目五・五億ユーロ、ドイツが〇一年度で五千万ユーロ、イギリスが五年間で二億ポンド、フランスが〇二年度で二千七百五十万ユーロ、それに対して日本は二年半で最大五億ドル、こういう支援を約束したわけです。
 この陰には、緒方議長が、やはり我が国で開催されているということで、できるだけ多くの支援をやることで我が国の存在を示したい、あるいは各国の支援を取りつけたい、こういうことがあったようですし、これに対して田中外務大臣は、途中、ほどほどに、我が国の能力に応じてというようなこともあったようですけれども。
 その五億ドルということは、かつて、バブル時代でしたらそれほどでもないのですけれども、今のようなとき、五億ドルといいますと約七百億円、大変な負担になっておると思うんですけれども、これに対して、財務大臣の評価といいますか、お伺いできればと思います。
塩川国務大臣 非常に私、聞こえにくかったので、ちょっと最初の方が声が低うて聞こえなかった。アフガンの復興の支援に対して五億ドル出した、この基準でございますか。どういうことの、もう一度、ちょっと声を大きくして言ってくれませんか。
藤島委員 要するに、私が申し上げたいのは、日本以外の国に比べて我が国の支援額がかなり大きいということなんですね。五億ドルということですので、これは今の我が国の財政事情からすると大変大きな負担があるということだと思うんですが、これについての大臣の評価を伺いたい。
塩川国務大臣 おっしゃるように、私もそういう感覚は持っております。
 しかしながら、これの配分を決めましたのは、国連におきまして、これは藤島さんよく御存じだと思うんですが、国連の、あるいは国際金融機関におきますところのそれぞれの分担のシェアですね、これに準拠したものであるということ。そこで、我々といたしましては、この分担を二年半で五億ドルにしてくれぬかということを、一つそれを言ったということと、それから、国際開発金融機関の中に信託預託してある一億ドルをこの中に入れて使わせてもらいたい、こういうことでして、できるだけ我が国の方の合理性、合理的な負担を考えたということでございます。
藤島委員 私は、この額が必ずしも大き過ぎるとは思っていないのですけれども、これからが問題なのは、これだけの我が国の負担、かなり世界的に評価されていると思うんですけれども、ついここのところ問題になっておりますNGOのこの会議に参加の問題。御承知のように、自由民主党の鈴木宗男氏がこれは入れるなというようなことを言った、外務省がそれを受けて排除した、参加させなかったということで、田中外務大臣と野上次官との関係でまたごたごたしておるわけですね。一方、鈴木さんは、そんな事実はない、こう言っておるわけですけれども、これに対して大西さんは、これは中立的な人なんでしょうけれども、けさのテレビですけれども、鈴木さんに対して謝るように言われたという事実を言っておるわけですね。
 こんなふうに、せっかく我が国が負担をしているのにもかかわらず、外務省の中でごたごたすることは、非常に、逆に足を引っ張るというか、評価を大変下げている。ということは、この内閣がどうもそういうものをはらんでいる。
 それで、総理のお話では、これは私の出番じゃないと言うし、福田官房長官は、田中外務大臣を呼んで、私の勘違いだったというふうに説得しようと、こういう、事実をきちっとしないまま、今までもいろいろ隠ぺいしようとする、こういう内閣なような気がするんですが、財務大臣は、御意見番といいますか、そういう立場から、この件についてどういうふうにお考えになりますか。
塩川国務大臣 私は当事者ではございませんし、また所管事項でもございませんので、この答弁はちょっと勘弁してもらいたいと思っております。
 しかしながら、他のNGO等も皆それぞれ一生懸命やっておりますしいたしますので、国際的な評価は、私は非常に高いものがあると思っております。
藤島委員 私は、外交問題に対しても、同じように金を出すのなら、やはり我が国はきちっとして対応しないと、本当にむだな部分が出るといいますか、そういう部分が出るんじゃないかなということからちょっと申し上げただけであります。
 次に、経済財政の中期展望の関係でございますけれども、不良債権の抜本処理などを進める集中期間という問題もあるわけですけれども、いろいろな取り組む問題として、デフレの克服の問題とか、あるいは構造改革を通じて投資などの民間需要を創出するとか、こう言っておるわけですけれども、具体的な点がないような気がするんですが、これについて財務大臣はどういうふうに感じておりますか。
塩川国務大臣 景気対策についていろいろな手法をとってきたわけですけれども、やはり従来型の補正予算のあり方というものでは効果が薄いと思いまして、要するに、構造改革に結びついていくような視点において、これが一つと、もう一つは、実施をすれば即効性のあるものを重点にするということ。それともう一つは、重点はやはり都市機能の回復ということでございますが、これは何も大都市、東京、大阪という大都市ではなくして、地方にもございます都市、都市機能の回復という、そういう点をねらった。そういうことをねらった一つの効果といたしまして、中小企業者に相当仕事が分配されていくのではないかという、この期待を込めて、いわば比較的小さい公共事業を重点にしております。
 しかも、地域性を持ったものを相当入れておりますので、例えば商店街の空洞化を除去するための方法だとか、あるいはまた養護施設、それに各地の公園の整備というような、地域性のものも相当含めたということでございますので、その点におきまして従来型の公共事業と違うということであります。
藤島委員 さらに、都市再生や不動産市場の改革で地価下落に歯どめをかけるとか、政府と日銀が連携し適切な金融政策を行うとか、あるいは構造改革の取り組みを継続することによってその効果は峠を越えるように加速的にあらわれるとか、そういうことを言っておるわけですけれども、非常に、現実にこうなるのかどうか、その具体性といいますか、結びつきといいますか、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
塩川国務大臣 具体的な問題となりますと、予算配分もございますので非常に細かい分野にわたりますけれども、要するに、なべてそれを演繹的に申しましたならばそういう表現になるということでございますので、御承知いただきたい。
藤島委員 プライマリーバランスの問題ですけれども、財務大臣は、二〇一〇年はちょっと早いかなと思っているというようなことをおっしゃっているわけですけれども、この数字を見ますと、そのトータルの数字としまして、三十兆円の国債発行が前提ではなくて、〇二年度は確かに三十兆円ですけれども、だんだんふえていって、〇六年度には三十五兆を前提としても、かつプライマリーバランスは一〇年度で〇・四のマイナス、こんな数字になっているわけですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
塩川国務大臣 国債発行額の問題からとらえてプライマリーバランスの問題を考えているというよりも、私は、では、経済の成長率をどのように見込むかというところと、それとあわせて国債の発行の制限をどうするかということを中心に考えたものでございまして、二〇一〇年を一つの目標とするということは、これはもう当然のことで、努力していかなきゃなりません。
 これに向かってやっていくためには、いろいろな計数の整理もいたしておりますけれども、それをやろうとすると、まず第一に、経済成長率を確実に確保していかなきゃならぬということと、やはりそれについての民間経済が活力を持ってくれなけりゃいかぬと思っておりまして、その意味において、活力をいかにして持たすかということを思う場合、なかなか、現在から馬力かけていっても、二〇一〇年というのは、目標としては一生懸命頑張らないかぬなという意味において申し上げたことであります。
藤島委員 確かに、国債発行額が直にプライマリーバランスに関係してくるわけではありません。もちろん、経済成長率がどうなるかというところからプライマリーバランスになってくるわけですけれども、私の申し上げたいのは、要するに、国債発行額をこんなにふやしていくという前提でさえも、成長率の関係でプライマリーバランスはやっと一〇年にまでいかざるを得ないのかということなんですね。
 そうなると、今考えている予算とか構造改革のようなことをやっておって、本当にこういう十年後の夢、十年というか七年後ぐらいの夢みたいなものなんですけれども、こういうふうにうまく結びつけ得るのかどうか、その辺が疑問があるということでお尋ねしているわけですが、その辺はいかがですか。
塩川国務大臣 今、日本の経済全体といいましょうか、政治も経済もテンポが遅いと思うのですね。例えば、金融のビッグバンと言われて十年になります。やっと金融機関が二、三年前からビッグバンに入ってきて、今それがいよいよ本物、本格化してきた。
 ですから、改革、構造改革と小泉内閣で提案いたしておりますのは、これをスピードアップしなきゃならぬ。今はなかなか、始まったところでございますので、その成果がなかなか見にくいところがございますけれども、これがスピードがついてまいりまして離陸してくるということになれば、案外早いのではないか。そうすれば、二〇一〇年のプライマリーバランスの黒字化ということも達成できるであろうということを、我々自信を持って進んでいこう、こういうことになっていくと思っておりまして、一にかかって民間と政府、行政側との協力した活性化が必要であろうと思います。
藤島委員 願望のような感じで持っておられるのは結構なんですけれども、本当に現実にそういうふうにいくのかどうかということになると、大変疑問がある。これはアメリカの経済がどういうふうに伸びていくかとかいろいろな要素があるので一概には言えないんですけれども、私は、我が国の経済の再生は、このような中期展望のような楽観的な、随所に楽観的なものが入っているわけですけれども、にあっても大変難しい問題が含まれておるということを申し上げたかったわけであります。
 そこで、予算委員会でも問題になっていたんですけれども、小泉政権、改革なくして経済回復なしということをおっしゃっているんですけれども、抽象的な議論ばかりで、例えばで結構なんですけれども、どういうことをやるとどういうふうになって経済の回復に結びつくんだというようなことが、幾つか挙げていただければわかりやすいかと思うのですけれども、お願いしたいと思うのですが。
塩川国務大臣 これは非常に多方面にわたっておりますので、全部列挙することは不可能かもわかりませんが、例えば予算の面につきましても、いかにして予算の効率化を図るかということのその一つとして、国債発行額を三十兆円に抑えて、予算を窮屈にさすことによって行政コストの見直しをさすという、何もこれは、不景気の対策には非常にマイナスであったと我々は思います、思いますけれども、一方から見て、これで行政コストを見直すということが国家にとっては非常に大きい効果であったと思っておりますし、これは大きい改革だったと思います。
 それからもう一つ、近く発足いたします、道路関係の公団とかあるいは高速道路の建設等に関しまして監理委員会をつくりまして、高速道路、いわゆる公社公団の一端として整理をどうするかということにかかっていまして、これと並行して郵政の問題も公社化していくことをいよいよ決めました。
 それと同時に、他の特殊法人につきましても鋭意、独立行政法人化するのか、あるいは民営化するのかということの議論をやっておりまして、こういうのは要するに、おくれてきておる、何にもやってなかった改革を、今から改革に手をつけてこれからやっていこう。ですから、私申しましたように、ビッグバンを叫ばれて十年の間、その間ちんたらちんたらと何にも進んでいなかったということが、これからきゅっと飛び出す。ですから、これは離陸をしてきたら案外早い成長に入っていくということでございまして、何としても皆様方の御協力を得て、この改革を離陸させていくようにひとつ御協力いただきたいと思っております。
藤島委員 今の例ですと、国民に余り説得力がないような感じがするのですね。確かに行政経費の削減というのを通じて効率化を迫られる部分はあると思いますけれども、これがどれだけ景気回復に役立つかというと、どうもぴんとこない。あるいは、道路公団の問題にしても、一たん整理がついたような感じでしたけれども、また凍結していた道路を道路公団が発注するんだというような話もあります。
 そのほかにしても、独立行政法人にするかどうかというような問題にしましても検討委員会でいろいろやるというようなことで、どうも、旗は大きく上げるけれども実際になると先送り先送りということで、こんなことをやっておっては、先ほどのような中期展望みたいなものとの関係もあって、今の政府のやり方ですと、とても構造改革をやったから日本の景気は完全に回復するというふうには私は見えないんですけれども、その辺どうお考えですか。
塩川国務大臣 構造改革をすることによって、部分的に規制解除という格好で構造改革が行われておるところもありましょうし、また、システムなりあるいは機構を変えることによって構造改革をやっていくところもありましょう。
 私申しましたように、今そのテンポがやっと始まったところでございまして、今までの間にそれが早く離陸しておれば、それだけの効果は出てきておったけれども、今やっとそれが入り口に立ったというような状態でございますので、これがもう少し具体化して構造改革の実態が進行いたしました場合、必ず成果は出てくるということでございまして、民営化の効果というものは、やはりしばらくの準備期間も必要でございましょうし、今直ちに出てまいりませんけれども、それは必ず私は効果を発揮してくれると信じております。
藤島委員 私は、この問題は時間をかけてやるべきじゃなくて、断固として短期間にやる、それでこそ効果が出るというふうに実は思っております。
 柳澤大臣にお見えいただいていますので、ちょっとお伺いしたいのですが、現在、不良債権処理は進んでいるのかどうか。なかなかよく目に見えないものですから、そこを御説明いただきたいと思います。
柳澤国務大臣 不良債権処理につきましては、私、昨年、正確に言えば一昨年の十二月に再度この金融の問題を担当するようになりまして、一、二カ月の準備期間を置いた後、私は、不良債権の処理というのは、単に引き当てをしておけば処理ができたというのではなくて、やはりバランスシートからその不良債権を切り離すということが大事だ、こういうことを呼びかけさせていただいたわけでございます。
 これをあるときには最終処理というような言い方で呼んでいただいたわけでございますけれども、これには私ども、ただ漠然とそういう心構えでというようなことではなくて、はっきりと期限をつけまして、今までの、既にその時点で発生した不良債権について、特に不良債権のうち破綻懸念先と言われる分類のものですけれども、それ以下の分類のものですが、それはもう二年で処理しなさい、それから、これから発生するものについては三年で処理しなさい、こういう大枠をつくったわけでございます。
 それじゃ具体的にそれをどういう形でやるかというと、最終処理の形としては、大きく分けて、売却というのがあります。これは、債権を売り払ってしまうというようなこともありますし、それからまた、その中にはRCCに売却するものも含めますけれども。
 それからもう一つは、もちろん回収があることは当然ですが、その売却と並んで、特に不良債権の先というのが、いい部分と悪い部分、グッドカンパニー、バッドカンパニーというふうに言ってもいいんですが、そういうものがある場合、全部がだめだといえばこれはもう処分をしてしまうしかないんですが、そうではなくて、いい部分があるものについては悪い部分と切り離して、悪い部分はもうこれは切り捨てる、金融機関の側もある程度の負担も負って切り捨てる、そしていい部分は、これはむしろ格上げをして、より一層融資をしていこう。こういうような形で最終処理をしていこうということでやっているわけでございます。
 それから一期、昨年の九月期が一つの決算期、初めての決算期であったわけですけれども、これはかなりそうしたことの進捗が見られるというふうに私ども思っておりまして、特にこの三月期の決算においては、そのあたりのことがはっきりとバランスシートの上にもあらわれてくるような状況になってくるのではないか、こういうように考えているわけでございます。
藤島委員 単純に見まして、これが進むと景気はよくなるのかどうか。
柳澤国務大臣 まず第一に、不良債権の処理が進むと景気あるいは経済の再生といったことについてどういう役割になるんだろうか。これは先ほど藤島委員がお触れになられた今度の改革と展望の中にも書いてあるわけですが、まず、不良債権処理が進むと、それ以後は、不良債権処理の負担というか収益面での負担というものが軽くなるということが、これは一般論ですが考えられます。そうしますと、やはり行員の士気とかその他、あるいは世間がその銀行を見る目、あるいはその銀行にさらに融資を頼んで自分のこうした事業を展開していこうというような意欲というものがわいてくるでしょう。こういう一種の心理的な側面も一つあります。
 それからもう一つは、売却については、余り個別の名前は挙げないことにしますけれども、例えば大きなリゾートがある。これは、その投下資本のことを考えると成り立っていかないけれども、売却をして簿価をぐっと下げてしまうと、そのリゾートが受け取ることのできるキャッシュフローとその簿価との関係で十分採算が合うようなものになる、これも明らかに経済の好転に資するわけでございます。
 それから、先ほど言った、貸し出し企業は今全体としてグレーあるいはもうブラックに近い状況にあるけれども、いい部分と悪い部分を分けて、そして悪い部分については双方が痛みを分かつ格好で処理をしてしまう、それで、いい部分については、これはもう債権としても格上げになりますので、融資も追い貸しができる。こういうようなことで、経済の活性化に資するというふうに私どもとしては考えているということでございます。
藤島委員 ところで、韓国はかなり景気回復に成功しているようでございますけれども、その一つはやはり金融機関の問題があるわけで、金融機関に韓国が投入した公的資金は百五十兆ウォン、約十五兆円、名目GDPでいいますと三割に相当している、国家予算では一・五倍に当たるものをやっている。我が国の場合は一割以下しかやっていない。
 要するに、かなり大胆にやらないと、じくじくじくじく少しずつやっておっても、また次、疑心暗鬼になって出てくるんじゃないかという、かつての銀行の債権放棄みたいなもので、いつまでたってもかえってうまくいかない。戦争でいうと兵力の逐次投入は負け戦のもとなんですけれども、まさにこういうのも、どんとやるという方が今おっしゃったような景気回復に対する国民の期待というか精神的な面にも非常に影響があるわけで、非常にいいんじゃないかと思うので、私は、こういう点はぜひ参考にすべきだ。いや、韓国は日本と違うし、規模も小さいし、それはよくわかるんですけれども、やはり一つのケースとして参考にすべきだ、こう思うんですが、いかがでございますか。
柳澤国務大臣 藤島委員、軍事の専門家でいらっしゃるものですから、兵力の逐次投入は失敗の原因、こういうことを引いてのお話で、私も十分参考にさせていただく点がある、こういうように思います。
 ただ、私どもがこれまでやってきたことはどういうことかというと、金融機関の安定化というものは、一時的に資本がふえて自己資本比率がもう安全圏に行ったからそれで安定したというふうにはなるんですけれども、それは一時的な現象にとどまってしまうということがあるわけです。そういう、一たん高まった自己資本比率が維持されていく、もう将来これが減少になるようなことはない、むしろ資本が積み上がっていく、そういうことのためには、絶対的に必要なのは収益なんです。それから、その収益を生む収益力なんです。
 そういうことを考えたときに、資本をたくさん入れるということは、収益にとってはある意味で足を引っ張る。というのは、ただじゃありません、この資本は。本当に自分が利益で積み立てたものじゃなくて、人からある意味でいうと借りたものですから、そこにある程度のリターンも払わなきゃいけない。そういうようなことが一つあるわけでございます。
 そういうようなことで、私どもとしては、本当に収益力を持つような機関にするにはどうしたらいいかということを考えまして、この間入れた資本金をとりあえずまずしっかり確保してもらって、これでもうできるだけのことを、体質を改善してみろ、こういうことを言ってきたというのがこれまでのところでございます。
 もう一つあえてつけ加えますと、資本をたくさん入れる、またさらに入れるということになりますと、これはもう当然公的資金ですから、官の介入、それからまた政治の関与あるいは関心、こういうようなものが強まるわけですね。そういうようなことが、本当に民間金融機関の創意工夫がなければ収益力を高めるということが期待されないはずですね、そういうようなことからいって、本当にプラスなんだろうかというようなことも頭に置きながら、今日までむしろ厳しい環境になっています、しかし、厳しい環境に置かれることによって彼らは死に物狂いの努力をするんです。死に物狂いの努力をしてもらいたいというのが、私どもがこれまでとってきた路線の背景にある気持ちだということを申し上げたいと思います。
藤島委員 まさに収益力の問題だろう、こう思うんですけれども、収益力を上げるには、一時的に公的資金を入れることによって、不採算の事業といいますか、そういうのを切っていくという作業がやはり必要なんだろうと思うんですね。そこをきちっとやらないと、確かに幾らつぎ込んでも本当に水をどんどん流すようなものであります。ただ、そういう手法が、私は財務大臣にも申し上げたように、先ほどの改革をやるんであれば、逐次ちくちくちくちく時間をかけてやったんでは非常に効果が薄いし、国民の心理にも余りいい影響がない。やはりやるときは大胆にきちっとやるべきだろう、こういうことを申し上げたかったわけであります。
 最後に、お答えいただけるかどうかわかりませんけれども、端的に、三月危機についてはどういうふうにお考えになっているか伺って、最後にします。
柳澤国務大臣 三月危機というものが世の中で言われているわけですけれども、私どもが承知しているところでは、むしろ不良債権の処理、大型の倒産が発生するとか大口の処理先が生ずるとかということとの関連で言われているわけでございます。
 これにつきましては、私ども、先般、昨年九月末、これが直近の決算期、中間決算だったんですが、そのときに、主要行に限って言わせていただきますが、主要行は三月期の処理損というのが六・四兆円だということを言っておりまして、これは、当初の計画からするとかなり大幅に不良債権の処理損というものを拡大して予想したというようなことがありまして、内々その中身についても、これは正確にはもちろん彼らといえども見通しの問題ですから別に確たることが言えるわけじゃないんですが、内々にいろいろなことをヒアリングすると、かなりのものを盛り込んでいるということでございますので、上振れというか下振れというかあれですけれども、これがあるとしても、それでもって何か金融機関が資本の面からおかしくなるというふうには我々は見ていない。
 問題は、私どもがそうした展望で前提にしているのが、株価は昨年の九月末と同水準と仮置きして資本の比率を見ているわけでございまして、これについては、私どもとしては不良債権の処理損よりもむしろ株価のレベルというものについて、何と申しますか、何とも言えない、それこそまあ何とか一万円もうちょっと上の方に行ってもらいたいなというのが正直なところです。
藤島委員 終わります。
坂本委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 景気対策として二次補正を出してこられたわけですが、帝国データバンクのレポートでも、〇一年の倒産件数、戦後二番目の一万九千四百四十一件、負債総額も二番目の十六兆二千百二十九億円など、本当に深刻な実態だということは各種のデータで示されておりますが、中でも中小企業の方は、本当に緊急にいろいろな対策をとっていかないと、深刻な事態に置かれているというのは、これは大方の見ているところだろうと思うんです。
 きょうは幾つかの角度から見ていきたいと思うんですが、この不況の中で、農水省の方が九六年のWHOの勧告を、専門家の意見無視で結局BSE問題を発生させたことによって、畜産農家も大変ですが、例えば大阪でいいますと、鶴橋では店を閉める焼き肉屋、精肉屋などがどんどんふえてきているわけですね。東大阪の焼き肉屋、精肉屋さんの方を回って独自に調べてもみたんですが、すべての店で二割から五割ぐらい客足とかあるいは売り上げが落ち込んできている、そういう実情にあります。
 BSE対策の大阪の特別保証融資は、申込件数に対して融資承諾は約五割、金額で四割余りという実態なんですが、問題は、やはりこの特別融資の審査基準とか、それから据置期間が従来型の不況型融資と同じだとか、また、無利子貸し付けにしないと、とにかく借りてもお客さんの回復まで長期を要するために金利の支払いも大変になってきているというのが実情であるわけです。
 そこで、最初に中小企業庁の方に伺っておきたいんですが、申し入れなども私たちも行ってきましたが、余り改善が進んでいないというところから、この不況の中で政府責任による被害のダブルパンチを受けているということがありますから、やはり特別の対策というのが必要だと思うんですね。これをどういうふうに進めていくのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
杉山政府参考人 BSEにかかわる御質問でございますが、昨年のBSEの患畜の確認に伴いまして、例えば焼き肉屋さんといった関連の中小企業の方々に売り上げの減少、こういった経済的な影響が出ているということでございまして、私ども、昨年の十月四日に、関連の中小企業対策といたしまして、相談窓口の設置とかあるいは運転資金融資、こういった措置を実施しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、政府系の中小企業金融機関あるいは信用保証協会などに相談窓口を設置するとともに、影響を受けます中小企業の方々に対しまして、政府系の三機関から運転資金を別枠でお貸しをいたしますいわゆるセーフティーネット貸付制度というものを実施いたしております。また、影響を受けます中小企業の方々に対しまして、これも別枠で信用保証をするといういわゆるセーフティーネット保証制度というものも適用いたしておりまして、現在までに、融資、保証合計いたしますと、件数で六千六百ほど、額で七百十億円ほどの融資、保証をいたしておるところでございます。
 私どもといたしましては、多大な影響を受けております関連中小企業の方々に対しまして、こういったセーフティーネット貸し付けあるいはセーフティーネット保証というものをできるだけ、できる限り現場できめ細やかな対応をしながら、セーフティーネット対策というものを引き続き万全を期していきたいというふうに考えているところでございます。
吉井委員 財務大臣も大阪の実態はよく御存じのことと思いますが、もちろん農家の方の問題もあるんですが、都市部ですと本当に深刻な事態で、これは、その損失をどう償っていくかということまで含めてやはり相当のことを考えないと、深刻な問題が出ておりますので、私は、これは政府として特別の取り組みというものを強めていただきたいというふうに思うわけです。
 大臣から何か一言あれば、伺っておきますが。
塩川国務大臣 中小企業対策の一環としての金融対策ですが、これはもうできるだけのことはやりたいと思っております。
 ところで、やはりもう中小企業の融資もある程度限界に来ておるような感じがしている。そのためには、何か展望をもう少し開かなければいけないのではないかなと思っておりまして、従来型の金融ではなかなか対応し切れない。やはり相当負債を皆背負っておりますしいたしますので、個々の企業についての個別指導というものをもっと強化して、金融のきめ細かい方法をとらざるを得ないのではないかと思っています。
吉井委員 とにかく、もともと不況の上にBSEの問題で、これは農水省の、やはりもともと九六年の段階での対応のおくれから随分本当に被害が広がっておりますから、今大臣おっしゃったように従来型ではもうあかんというところへ来ておりますから、これはやはり特別の取り組み、対策というものを政府としてきちんと強めていただきたいということを申し上げて、次に、信金、信組の破綻と地域経済の問題について伺っていきたいと思います。
 信金、信組の破綻に伴って、債務者区分では正常先債権でもRCC送りになった例というのがありますが、九九年度と〇〇年度、〇一年度で、信金、信組、それぞれ正常先企業数と、その中でRCC送りになったものは幾つあるのか、これをまず最初に伺っておきたいと思います。
柳澤国務大臣 正常先でRCCの買い取り対象になったものが、十三年度では全体で九千八百九十一件のうち五十二件、十二年度では九千百六十五件のうち三百四十件、こんなぐあいになっております。
吉井委員 今、信用組合の方でお聞かせいただきましたが、要するに、正常先であってもRCC送りになっているという例がまずあるということなんですね。
 それで、破綻金融機関の資産の中でRCCへ行った資産というのを金額ベースの方で見ていきますと、これは時間をとりますから私の方から、もう既に資料をいただいておりますから申し上げますが、金額ベースで見ても、信金で半分ぐらいなんですね。信組ではほとんどがRCCへ送られている。こういう事態にありますから、そこで、ペイオフ解禁前に、これは短期間に集中して、破綻した信金、信組のところで債務者区分の振り分け作業は今行われているわけですが、これは簡単にRCC送りになると大変なんですね。大体一月末から二月にかけて相当どっと中小業者の方に通知されると思いますが、それだけに今非常に重要な段階に来ております。
 中小企業の実情に合った振り分けがされるのか。あるいは、そこが問題なんですが、不況だから、利息だけでもとにかく払って、景気が回復したら返済できるという、これまでずっと健全であったところなんか、そういう業者は多いんです。しかし、そこがRCC送りとなりますと、取引先からまであの業者はだめだと見られてしまって、仕事を請け負うことも難しくなってくる。そういうことを非常に中小業者の皆さんは今心配していらっしゃるときなんです。
 例えば、私もせんだって、破綻信金調査で大分の中津信金を見てきましたが、整理管財人の方とお会いしたときに、債務者区分の振り分けは監査法人にお願いしているというわけですね。では、その監査法人の振り分けの基準、物差しは何ですかということになりますと、結局、金融庁の検査マニュアルだ、監査法人は機械的にこれで振り分けをしていくということで、現場の実情とか取引していた中小企業の実情というのは余り御存じありませんから、これでいくと、正常先でも破綻懸念先以下にされてRCC送りに次々なっていく。
 金融庁マニュアルで昨年一年間に五十近い信金、信組を破綻に追い込んできたわけですが、その議論は既にやってきましたからおいておきますが、今、この破綻した信金、信組と取引していた中小企業が、出資金が返らない、追加融資や新規融資が受けられないということで、事業の短期運転資金が回ってこないとか、あるいはRCC送りにされては死刑宣告だと非常に危機感が高まっているというのが、そういうそれぞれの地域での実情です。
 ですから、監査法人が実情を無視して一律機械的に破綻懸念先扱いなんかにすることで、中小企業を倒産させたり地域経済を崩壊させるようなことがあっちゃならないと思いますので、まず、今監査法人の段階にあるところについては、こうしたことにならないように、金融庁マニュアルを機械的に当てはめることは実態に合わないんだよときちんとやはり指示しておくということが必要と思うんですが、大臣、これは監査法人にそういうことはきちっと指示していかれますか。
柳澤国務大臣 吉井委員よく御存じのことのはずなんですが、今のお話は、破綻をした金融機関の処理の問題と、現に健全に活動をしている金融機関の資産の査定の問題、これを一緒くたにちょっと御議論になっているように思うんですね。
 まず第一に、健全な金融機関、これは信組も同じなんですが……(吉井委員「わかっているんですよ」と呼ぶ)わかっている。ああ、そう。(吉井委員「監査法人の方の物差しの話なんですよ」と呼ぶ)いやいや、それはちょっと説明させてください。
 これは、まず自分自身の査定、自己査定があって、恐らくこれは、内部監査のかわりに外部の監査法人を使っているか、あるいは、一千万円以上でしたかで外部監査が義務づけられているから外部監査の監査法人を使っているか、これはいろいろな扱い方はあろうと思うんですね。あろうと思うんですけれども、やはり義務づけられていれば、それはやっていただかなきゃなりません。それから、内部監査の一環として、いろいろ難しくて我々にはわからないから監査法人のお世話になっていますよというのもあり得ると思うんです。
 いずれにしても、まず基礎にあるのは自己査定ですから、そんなに丸投げで外部監査の監査法人にゆだねているということは、私はこれは経営自体としても問題だと思いますので、それはちょっと、そういうお話を聞いたときはむしろ御注意をいただいた方がよろしいんじゃないかと思いますね。それが第一点。
 それからもう一つは、RCC送りについてですけれども、これは吉井委員、あれなんでございます。このごろは、破綻をしている場合には、このごろというか実は制度でございますが、受け皿、救済金融機関が、どういうものを承継するか、引き受けるかということを決める最も大きな役者なんですね。ですから、そういう意味では、それを国が介入してどうこうということは、ちょっとこれは考えにくい。もちろん、金融整理管財人は頑張ってできるだけ承継をお願いするということはしているわけですけれども、最終的には、やはり救済金融機関の意向というものが強く働く、これはもうやむを得ない。
 それから、RCCに送られたものが死刑宣告だという話はちょっと昔の話でございまして、RCCは今回は、金融再生法を改正していただいて、再生のためにもRCCが機能するということになっておるわけですから、これも、むしろそういうお話を聞いたら、いや、そんなことないよ、RCCに行っても再生される可能性があるんだということで、ぜひ元気づけていただきたいし、またそういうことをPRしていただいて、取引先にも変なイメージを持たないように、するに当たってお力添えをお願いしたい、このように思います。
吉井委員 破綻した金融機関で整理管財人が入られて、そこがまず監査法人の方に振り分け等をお願いして、その報告書に基づいてもちろん整理管財人が振り分けをして、そして受け皿金融機関なんかとも話をしていかれるんです。それは大臣のおっしゃっているのを私もよくわかった上で聞いていますので。そのときに監査法人の方は、じゃ何を物差しにしてやりますかというときに、物差しがなかったらやりようがありませんから、金融庁のマニュアルで大体やっているわけなんです。
 それで、昨年十一月に岩手信組が金融庁マニュアルで破綻となったわけですが、ここでの債務者区分は、監査法人トーマツから社員が二十人ほど入ってきて、その債務者判断基準は借入金が返済できるかだけで、信用保証協会の保証がついていても債務者区分を下げている。これは関係者から伺っているんですが、大分県の信金破綻の調査に行ったときには、受け皿金融機関の幹部の方が、信金の人間というのは足で歩いて中小企業の実情をよく知っているんだ、しかし監査法人の人は何も知らないんだ、それで振り分けが機械的になっているという指摘もありました。
 ですから、実情を余りよく御存じないままに振り分けをしてしまって、整理管財人の方がそれを尊重するとしてそのまま受け入れたら、正常先でもこれまでからRCC送りになったりあるわけですから、やはり、そうならない、まずその段階での取り組み、それがまず大事ではないですかということを言っているんです。
 その後のことはまた順番にお聞きしようと思っているんですが、まず、そのことはそのこととして、やはり実情をよく見てやらないとうまくありませんよということを言っておく必要があるんじゃありませんか。
柳澤国務大臣 ちょっと先生の御質問のポイントが必ずしも私、把握できなかったんですけれども、金融整理管財人が、これは経営者にとりあえず一時的に取ってかわっているわけですから、彼が、彼らがまず自己査定をするということでございます。そのときに、どういう方を助っ人としてそこに助太刀をお願いするかというのは、それは私ども必ずしも、何もレギュレーションがあるわけではございませんので、ケース・バイ・ケースで適切に処理されていると思います。
 それから、その場合の債務者区分に当たって金融検査マニュアルを適用されているというのは、これはもう我々予想できることであります。金融検査マニュアルについては、もう吉井委員つとに御承知のとおり、中小金融機関についてはこのマニュアルを画一的に適用してはならないとか、あるいは中小の貸出先についてはよく見るようにというようなことは、もう随所に何回も何回もうたわれているところでありまして、したがって、金融整理管財人の方々がそのマニュアルを見ていただいて、あるいは助っ人の助太刀を得てやる場合にも、当然そこは配慮が行われているはずだというふうに我々は考えるわけでございます。
吉井委員 はずだというお考えも、そういうふうに見られるのもそうなのかもしれないけれども、実態としては、実際に短期間に振り分け作業をしなきゃいけない、物差しはあのマニュアルだ、そして、それでは個々の中小企業の実情については、これは本当に、地域の皆さん方が指摘していらっしゃるのは、これは受け皿金融機関の幹部の方も言っている話なんですが、信金、信組の場合はちゃんと中小企業を足で歩いて回っているからわかるんだが、東京の方から監査法人の方がぱっと行かれてわかるかといったら、そう簡単にいかないんです。だからそういうことを、大臣も念には念を入れて中小企業のことをよく考えろ、考えるようにという指示をしているとおっしゃるんだけれども、そこがなかなか徹底しないということや、そのことがあるから、実際に地域の皆さんがそこに危機感とか心配があるわけなんです。
 それで、整理管財人の方たちについても、監査法人がまずそういうのを振り分けされても、やはり業者の個別の実情をさらによく聞いて、簡単にRCC送りにならないように、そこは受け皿金融機関にやはりきちんと引き継いで面倒を見てあげてもらいたいということも。それで、RCC送りになったものについては、これはこの間も社長が来られて答弁としては言っておられますが、人間の尊厳の確保という方針、これを堅持して、借り手の立場を尊重した話し合いを基本として、そして、競売などのおどしだとか高圧的対応というのは現実にはいろいろあったんですから、ですからそういうことのないように。中小業者に対して、経営状況に合った返済条件の変更だとか運転資金の融資に応じることとか、やはりどうして生きていくか、生き返っていくかということに、現実にはまだつぶれてもいないのに、不況だから返済条件が変わっているだけで、簡単に切られたら大変なんですから、そこを整理管財人の方にも、受け皿金融機関の方にも、それからRCCにも、やはり大臣としてそこを本当に繰り返し繰り返し徹底をしていただくということが、私は今そのことが必要になっているんだということを申し上げているんですよ。
 そこのところは、よくわかってはると思うているんですが、いいですね。
柳澤国務大臣 たびたび同じような話をしているので恐縮でございますけれども、まず金融整理管財人、それから必要であるならば監査法人、それから受け皿金融機関、こういうようなところで資産の振り分けというものが行われるわけでございますけれども、まず、債務者区分については、景気が悪いから、ここしばらく赤字だというだけで破綻懸念先以下になるというようなことはないわけでございます。基本的に、破綻懸念先以下というのは、債務超過で、今後その債務超過が容易に直るような状況にないという判断、これが基本的なコンセプトだと私は思っているわけでございまして、今委員が御指摘になられたようなことでそういうことになるというふうには私は考えておりません。
 それからまたもう一つ、ちょっとさっき気にかかったことは、保証協会の保証がありながら債務者区分がというふうにおっしゃられたんですが、これは直接的には関係ありません。これは、信用保証協会の保証があるかどうかというのは、債務者区分が決まった後の債権の分類の問題なんですね。分類で一番最優良の分類ですから、これはいわゆる一分類にされる、つまり分類なしにされるというようなことでありまして、これは債務者区分と関係ありませんので、念のため申し添えておきます。
吉井委員 基本のコンセプトが徹底されるようにやってもらいたい、こういうことですから。
 それで、信組が破綻した後、いち早く自治体などが緊急融資を設けたりとか、あるいは自治体のその緊急融資の制度を利用しようとしても、今度は取り扱う銀行の方が、その破綻となった信用組合と取引していたというそのことを言うとなかなかうまく扱ってくれないとか、いろいろなことがあって、実際には、利用者がゼロに近い状態とかそういうところもあれば、大分に調査したときですが、信用保証協会の壁が厚くて制度融資が受けられないという声とか、政府系金融機関の壁も厚くて貸し渋りがあるという声とか、いろいろ実際にはありました。
 そこで、やはり信用保証協会を支援して、保証協会の保証つき融資でこういうケースを解決するというふうなことですね。これは直接的にはもちろん中小企業庁、通産大臣に属する部分があるんですが、私は、こういうときには、破綻した地域金融機関のところにある中小企業の皆さんの緊急の資金需要というものにこたえていくという点では、これは通産大臣などともよく協議、連携をとられて、やはりきちんとした対応というものを進めていくということを強めていっていただきたいことなんですが、同時に、国民生活金融公庫など政府系金融機関で、破綻した信金、信組の取引先中小企業が困らないような対応をやはり徹底するということで、この点は、金融の分野からも財務の分野からも、大臣の方にやはりそこをきちんと対応していただきたいという声が非常に強い部分ですから、これは伺っておきたいと思います。
柳澤国務大臣 まず、今の吉井委員の御指摘というか、お伝えいただいた現場の声というのは、私もよく受けとめさせていただきました。
 ただ、ちょっとあえて申し上げますと、受け皿だからこそ、つまり、北拓の破綻以後、緊急措置法で再生法をつくられたそもそもの理由は、そういうように破綻金融機関の取引先をいかに保護するかという考え方からつくられたことは御案内のとおりでありまして、今の破綻処理も、基本的には全部その考え方に従っているわけです。つまり、金融機関が破綻した、それに対して今まで取引していた善意かつ健全な債務者をどうやって保護するか。したがって、できるだけそれは受け皿に事業譲渡というか営業譲渡が行われるような、そういう形での破綻処理にしようということでありますので、受け皿金融機関がまずこの善意かつ健全な債務者については受け皿になるんだということでございます。
 しかし、中には、新規な取引をしたい、この際もう自分は、かつてあの受け皿になった金融機関と余りいい関係になかったので新しいところへ行きたいというようなことがあることもあろうかと思うのですが、そのことについては、今の委員の御指摘を私もちょっと気にとめて、どういうことが可能なんだろうかということは考えてみたいと思います。
 なお、政府系の、多分国民公庫、中小公庫のたぐいでございましょうけれども、これについてはまた今の一環で、少し今の御指摘を踏まえて検討したい、このように思います。
吉井委員 それは本当に強めていただかないと、地域の中小企業が疲弊し地域経済崩壊、そういう心配など各地にありますから、私はそういう対応というものを、特に破綻した場合の緊急の対応で、善意かつ健全といっても、善意なんだけれども不況の実態のもとで、この間まで健全だったのが、その状況だけ見れば、財務の中身そのものだけ見れば、非常に健全で善意の企業であってもそうでない場合もありますから、そこを緊急に対策をとるということをやってもらいたいというふうに思います。
 四月からペイオフ解禁を実施すると、本当は信用金庫の業界全体を合わせれば百兆円の預金高になって大手都銀並みなんですが、一つ一つで見れば信用金庫なんかは小さいわけですからね。ですから、誤解が生じるとこの信金、信組などから大手都銀に預金がシフトする。そうなると、地域金融機関が地域の中小企業に融資したくてもできないという事態が生じるわけですね。預金高との関係で、小さくなってきますと。それでも貸し付けをやったら、今度は金融庁の方からそれこそ指摘を受けるわけですから。
 ですから、本来、こういう事態に対する備えもなしにペイオフ解禁という条件にはないわけですが、実際には政府としてやるということですから、そうすると、金融庁としてはそれに対応して、そういうペイオフ解禁に伴う預金のシフト等で信金、信組等が破綻することにならないように、どういう対応をとっていこうとしておられるのか、これを伺っておきたいと思うのです。
柳澤国務大臣 これは私どもも、いろいろな機関が預金者の意向というものを調べたりしていただいていますので、それらをよく見て、現実の預金の動向も当然のことながら我々モニタリングをしているわけでございますけれども、今委員が御指摘になったような事態というのは現在生じていないわけでございます。
 意向についても、どちらかというと預金者はやはり分散ということを主に考えているということですし、また、これはわずかな例ですけれども、信用金庫などの皆さん方は、例えば二千万の預金があった場合には、いわば相互預け入れというのですか、そういうようなことで、Aという信用金庫に二千万あるのを一千万ずつAとBに分けて、それからBに来た二千万もまた一千万ずつAとBに分けるというようなことをむしろ勧めたりされているというような話も聞いて、基本的にはやはり分散というのが今現実にとられていることかな、これが我々が預金動向等から見て、またいろいろな機関の行っていただいている預金者の意向調査などから見て感じているところでございます。
 また、ちなみにもう一つ言い添えておきたいのは、何といっても地方の信用金庫あるいは信用組合というものの預貸率というのは非常に、どちらかというと低うございまして、そんなことを言うとまたちょっと差しさわりのある言い方かもしれませんが、少々の預金が抜けたからといってすぐ貸し出しに困るというような状況というのは、この預貸率からは少なくともあらわれていないということでございます。
吉井委員 今の預貸率のお話は、経済の実態が悪くなっているのでそれが関係しているという、おっしゃった部分、わかっているところがあるのです。
 それで、自治体とか管理組合とかそこの割合というものが非常に大きい地域もありますので、私は、今どんな対策を準備しているのかということについては、まあいろいろなお話があったけれども、結局今のところ対策としてはないわけですから、そのままではこれは本当に地域の経済にとっては深刻な問題を広げることになるだろうということを指摘しまして、時間が参りましたので終わりたいと思います。
坂本委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日が第百五十四通常国会の最初の財務金融委員会ですので、おのおの財政担当そして金融担当大臣に概略的な御質問をさせていただきます。
 まず、柳澤金融大臣にお願いいたします。
 昨年の暮れから今年の初頭にかけて、とりわけ年頭の小泉総理の御発言等々の中で、いわゆる金融危機を起こさないためにはあらゆる手段を講ずるという御発言が随所で見られております。
 もちろん、総理の御発言ですから、柳澤金融大臣にあっては私ではないとおっしゃられるかもしれませんが、一応全体の、内閣での受けとめ方ということにかんがみまして、まず、言葉だけではひとり歩きいたしますので、この金融危機と申しますのは、実際にはどのような事態、一つは言葉の定義、それから状況として何が生じた場合に金融危機というふうに認識いたしますものか。柳澤金融大臣のお考え、そしてもし小泉総理との間にそごがあれば、その点についてもお聞かせくださいませ。
柳澤国務大臣 金融危機というのはどういうものかということですが、これは法律の規定から我々これを読み取るわけでございますが、国及び地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障を生ずるおそれがあるという事態というふうに考えております。
 どういう状況かということでございますけれども、これについては、具体的にどういう状況だということを申し上げるということはこれまで差し控えさせていただいたわけでございます。ただ、そうはいっても何にも言わないということではやはり全然イメージもわかないじゃないかというお話に対して、これは従来から申させていただいているわけですけれども、やはり他の金融機関の連鎖的な破綻が発生するような場合、それからまた、他の金融機関の資金繰りが連鎖的に困難になる場合、さらに言えば、かなり程度のきつい貸し出し抑制とか回収というようなことを通じて資産の圧縮を進める動きが生じている、あるいは生ずるおそれがある場合といったようなことがその状況ということでございます。
阿部委員 昨日の予算委員会の中で柳澤金融大臣がお答えになっていたのは、もう一点、銀行が債務超過ということ、この中の、今のどれかに当たるといえば当たりますが、債務超過になった場合というのも挙げられておりましたが、一応それでは概略四点ほどだというふうに認識いたしまして、そして特に、先ほどの吉井委員の御質問にもございましたが、貸し出し抑制ということに関して、強い貸し出し抑制とは何を意味するのでしょうか。
 金融大臣の今の三番目のお答えでしたが、今中小企業等々はなかなか借りられないというふうに受けとめておられるわけですね。強い貸し出し抑制というのは、何でもそうですが、ある程度のやはり具体性がないと、何をして危機というか、何をして次の手が打たれるかというところの国民的合意は必要と思いますので、今の御答弁の中の、強い貸し出し抑制というあたりは何を意味しておられますでしょうか。
柳澤国務大臣 まず阿部委員に申しますが、私が債務超過ということを申したということで、先ほど私が言った三つの状況にさらに加えられたわけですが、これは破綻ということでございますので、それを言いかえたということでちょっと御理解をお願いしておきたいと思います。
 それから、どのくらいの貸し出し抑制かというようなことになりますと、これはもう私ども、もとに返らせていただくしかないわけでございまして、これについて、数字を挙げて云々するというようなことは非常にいい結果を生まないということで、かねてから申させていただいているように、ここはむしろ言わないということで、そういう事態に対して的確な対応ができるような状況にしておきたいということでございます。
阿部委員 金融は潤滑油のようなものですから、やはり貸し出し抑制という事態は地域経済にとっても深刻でございますし、そこをあえて言わない、内々の腹づもりをお持ちだということですので、そういうふうに本日は承っておきます。
 あともう一点、その危機という言葉の中に、いわゆる銀行の株価はいかがなものでしょうか。株価がある程度以上暴落する場合も危機というふうに認識されるのでしょうか。
柳澤国務大臣 銀行の株価ということを仰せられました。
 これは、保有株ではないという理解でお答え申させていただきますが、株価そのものが何か危機を生むというようなものではないというふうに認識しています。
阿部委員 では、一応取りまとめまして、いわゆる債務超過、それが経営破綻を来し、それが連鎖的になっていく場合に危機対応をなさるというふうに本日の御答弁は確認させていただきます。
 さて、その場合に、あらゆる手段を講ずると今度は小泉総理はおっしゃっておりますが、あらゆる手段とは何でしょうか。
柳澤国務大臣 だんだんと言いたくないというか、言わないようにしているところに踏み込まれた御質問をいただいているわけですけれども、基本的には、私ども行政というのは法律に基づいて仕事をさせていただいておりますので、法律の定める諸措置ということなのでございます。とりあえずそういうことでございます。
 だとすると、それは何かというと、一つは、預金保険法百二条に定めるあの三つの措置ということでありますし、また、これは財務大臣と内閣総理大臣が取り計らわれるわけでございますけれども、日本銀行における特融というようなことが総理の想定ではなかろうかと考えているわけでございます。
阿部委員 そのような、主には預金保険法の百二条に基づく十五兆円という形の出動をなさった場合には、担当の金融庁のいわゆる行政責任、並びに総理としての責任問題はどのようにお考えでしょうか。それはもう既に手のうちというか、そこまで認められたことというふうに御認識でしょうか。
柳澤国務大臣 ちょっとよく御質問の意味が判然としないようにも思いましたけれども、これは、責任の問題ということであれば、責任はいつでも感じながら仕事をしております。ですから、責任を全うすべく、全力を挙げてこの事態に対応しているわけでございまして、この点は御理解を賜りたいと思います。
阿部委員 政治家でありますから、責任を伴わないでやっていられる方はないと思いますので、それでもなおかつ責任問題というのはかぶってくると思うのです。
 私は、きょう、予算委員会で武部農水大臣にも同じことを伺いましたが、おのれの主観的な誠意と、政策的にしかしながらとらざるを得なかった国民負担に対しての、やはり政治家の誠意ある態度というのは、今の政治の中で非常に大事になってくると思うのです。それはもちろん、銀行の経営者が経営責任をとるというのが第一段ですが、引き続いて、これは公金投入も二度目になってまいりますし、そのことについて、やはり担当の大臣の覚悟のほど、そしておまけに言えば小泉総理の覚悟のほど。
 危機になったらこれをやるからいいんだという言い方は、一見、表面上聞こえはいいですが、それは自分の痛みを伴わないやり方でございます。この間一貫して国民に、痛いけれども我慢しなさい、もうすぐよくなるよということを言ってきたのが小泉内閣でございますから、しかるべく痛みを本当の意味で共有し、それは政治家にとっては責任をきちんとするということでもございますので、私の聞き方が大変抽象的に聞こえるとすれば、逆に、政治家としての責任の所在を柳澤金融大臣からお答えいただければ結構です。
柳澤国務大臣 ちょっと意味しているところがとらえかねているわけですけれども、そうすると、何でもイージーゴーイングにどんどんやることが痛みは何にもないですね。赤字国債も出す、それから資本が不足だといえば資本をどんどん入れる、これは何にも痛みは感じなくなるわけですけれども、そういうことではだめではないか、そういうことをしないでこの状況を乗り切ろうということでずっとやっているわけです。
 しかし、そういうことで済まない、もっと大事な問題が問題化するというようなときに対して、これは御審議いただいて成立した法律の運用なんですね、それをいかに的確にやるかということが私どもの責任だというふうに考えているわけです。
阿部委員 では、再度お伺いいたしますが、もし不良債権額が予測に反してというか、金融庁の予測に反して膨らんでおって、この預金保険法の十五兆を上回る何らかの不良債権処理をしなくてはならない場合は、その場合の行政責任はいかがでしょうか。
柳澤国務大臣 私どもは不良債権というものを、私の立場でいうと、不良債権というものが現にあるということで、その処理をするのに、我々いろいろな政策で一つの方針を決めさせていただいて、これでやってくれということを頼んでいるわけですが、それでもって何か金融機関の破綻が起こるなんというようなことは見込めませんということを言っているわけです。
 しかし、世の中にはいろいろな不安があるじゃないか、本当の経済の崩壊というようなことがあるのだけれども、そのときはどうするのだと。それはそのとき、我々はやはり厳しい見方をするわけだけれども、それが我々のコントロールのもとにあるということを申し上げているわけですね。ですから、今阿部委員はどんなことをお考えかわかりませんけれども、ビッグバンというか、もう全く日本国がなくなってしまうような、そこまで考えろと言われれば、私ども、もう答えようがないんですね、そういう御議論に対しては。
 ですから、我々は、通常予見される危機というものをどうやってコントロールするかということに対して、我々、責任を持って対処するつもりですということを申し上げているわけです。
阿部委員 私も、日本が消滅するようなことを想定しているわけではございませんで、例えばですが、ここにございます、一年前の査定で破綻懸念先とされたもの。いわゆる大手七行で、二〇〇〇年度上期に倒産した融資先のうち、一年前の査定で破綻懸念先とされたのは三〇%足らずで、残り七〇%以上は正常先であった。
 これはマイカルの破綻のときにも問題になっておりますが、国民のだれもが、このような事態があり得るから、現在の不良債権問題、ずっとこの委員会、そのことを論じてきたと思うのですが、そのことから銀行がまた破綻しかねない状況もあるのではないかということで御質問を申し上げています。そして、預金保険法百二条で定めた十五兆という手当てで果たして本当にそれがくりぬけられるのか否かというところでの質問でございます。もしくりぬけられなかった場合は何をなさいますでしょうか。そして、それをした場合の責任はどのようにとられますでしょうか。二点です。
柳澤国務大臣 今阿部委員が前段でお触れになられたその数字は、実は集計された数字なんですね。何行かの事例というか数字を集計された数字でございまして、その原資料によりますと、非常に銀行によってばらつきがありました。そういうものを集計して、それで何でばらつきが起こったかというと、ある大手の小売の破綻がその年に起こったということで、物すごいばらつきが起こったわけです。そういうものを集計して平均値であるかのように論議するというのは、ちょっと私ども本意でないというか、そういうことをちょっと申させていただきます。
 十五兆円でどうだろうかといいますと、これはもちろん、この十三年度予算でも十五兆円ということになっております。それから、十四年度も予算では十五兆円ということに保証枠をさせていただいておりますが、私どもとしては、これで考えられる事態に対して十分対応できるというふうに考えているわけでございます。
阿部委員 では、そのような公約をいただきましたこととして、なるべくやはり破綻というのは望まないものですから、そのようなうまい運営ができますようにお願い申し上げておきます。
 そして、質問通告をしてございませんが、柳澤金融大臣は何でもすぐお答えくださいますので、ペイオフ問題について少しだけ御答弁をお願いいたします。
 予算委員会でも問題になっておりましたし、小泉総理も予定どおり四月から行うということでございますので、その前提で、現下の銀行の情報公開の程度から見て、果たして国民にとって、ペイオフ解禁と、その後、銀行を選択することに足る十分な情報がおありと金融大臣はお考えか。また、そうでないとすれば、どのような点を、このペイオフという事態をきちんと国民が我が事として乗り切っていけるために何をすればよいのかということについて、銀行が何をすればよいのか、そのあたりのお考えをお願いします。
    〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
柳澤国務大臣 ペイオフを延期するとかしないとかということの議論、あるいはこれはペイオフを一回凍結すべきではないかというようなときになされた議論を思い出すわけですが、それは今阿部委員が御指摘になられたような情報公開の問題でございました。
 それを受けて、これは銀行法が改正されたり、あるいは金融再生法などにおいてもそうだったのでございますけれども、やはり不良債権の情報というものをもっときっちり公開しなければいけないということでリスク管理債権というものが公開され、あるいは再生法では再生法上の不良債権というようなものが開示されたということで、つまり、情報公開がされるべきだといって法律改正がなされたのはそういうものであったわけです。
 ですから、その法律が正しく履行されていれば、少なくとも国民代表の議員が論議をして、そしてこの情報公開でペイオフが求める情報公開というものの水準は一応満たされる、こういう考え方であったんだろうと私は法の運用に当たっては考えているわけでございます。
 そういう意味合いでは、今、法律で定められた情報公開というものについては条件が満たされている、これを国民の皆様によく知っていただくということが大事だろう、このようにお答え申し上げる次第です。
阿部委員 これも予算委員会での柳澤金融大臣のお答えの中に、ペイオフの対策として国民はどんな手だてがあるだろうかというと、先ほども御答弁でした、銀行を区分けして一千万円単位にやっていくような方法、あるいはもう一つは、定期じゃなくて普通預金にするような方法というふうなコメントでありましたが、それは素人の私でも考えつく知恵でございまして、ペイオフ問題が本当の意味で安心できる金融ということの背景には、例えば、大手銀行が過大な債務超過に陥らないで、そのためにはまず貸出先の企業等々が健全運営されていてという、逆に大もとの方のより積極的な対策ということも私はぜひとも求めたいと思いますが、恐縮ですが、お時間の関係で柳澤さんのお返事をいただかずに、また次回よろしくお願いいたします。
 次に、塩川財務大臣にお願いいたします。
 先ほどの予算委員会でも御質問させていただき、御答弁もいただきましたが、この財政演説の中で触れられているような、何度も申して恐縮ですが、「構造改革を推進しつつ、高い経済効果が期待できる施策について緊急実施するため」というこの中身を具体的に挙げてくださいませとお願い申しましたら、先ほど、教育分野、介護分野、あるいはIT関連分野等々、幾つかの例示を下さいました。
 そして、そういうお話を聞きながらも、例えば平成十三年度補正予算の当初のページを開けますと、いわゆる箱物のうちでも公務員の、先ほどもどなたかの御質問にありましたが、宿舎とか官庁の営繕費とか文化庁の施設費とか、そういうものが大変に目につくわけでございます。国民感情から申しましても、当然ですが、やはり公務員の方ばかり何らかの優遇があるんだな。
 この施設整備関連も非常に、こういう公務員宿舎を初めとして公の部分が多いように思いますが、これで果たして本当に、ここで述べる緊急の経済効果、構造改革を推進、高い効果が期待できるというふうになっております予算体系、補正予算でございましょうか。
塩川国務大臣 いろいろな細かいところを拾って質問されておられますね。
 確かに公務員宿舎もございますけれども、これは、総額の中に占める割合というのはごくわずかでございます。しかも、地方におきます公務員宿舎の改造を今回は積極的にやって進めていきたいと思っております。都会の方にあります公務員宿舎は、これは総合設計方式をとって多目的に使おうとするものでございますから、できればPFIというこの方式でやりたいということで、今度の予算にはごくわずかしかその準備資金をとっておりません。
 それよりも阿部さん、あなたに一番関係あるので、少子高齢化の中で小児施設の充実、これをやっているんですよ。それから、障害者施設の充実、放課後の児童クラブの子育て施設の整備、こういうようなのに重点を置いている。ここらをちょっと言うてくれぬと、住宅ばかり言うているんじゃなくて、こういうのをちゃんと書いていますから、ここはやはり見てほしいと思いますよね。
 そしてもう一つですが、環境に配慮した活力ある地域社会、ここにはエコタウンの事業があるんです。それからもう一つ、リサイクル施設があるんですね。こういうようなものが地方自治体との合同で、合同――補助事業としてやっていますので、制度的にそうなっていますので、なかなかそれが地方自治体の間で要件が出そろってこないんです。ですから、箇所づけからいったら非常に少なくなっちゃうんですね。これについて我々も、地方自治体がそういうようなことを受け入れしやすいように後年度負担について等、考えていきますので、こういうのは積極的にやっていきたいと思っております。
 それからもう一つ、何で構造改革に先行してやるんだということの一つの中に、電子カルテの、あなたの方がえらい関係のあるところですよ、これは。だから、電子カルテなどの医療分野の情報化推進。これなんかでいいますと、やはり構造改革につながるやつなんですね。それから、産学連帯によるところの技術開発の推進、それから国立大学の世界先端研究施設の整備、こういうようなのをやっているということ、それから地域のIT化の推進、公立学校における校内LANの整備。こういうようなのに金を今度配分しているということは、これは従来の補正予算のあり方と大分違うでしょう。これ、わかりますわね。そこらはやはりちゃんと認識していただいて、相変わらず相変わらずとばかり言わないで、ちょっと変わったところもありますなということはやはり言うてくれないかぬと思いますね。
    〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
阿部委員 そのように言いたいと思いますが、そういうのは本当に本予算できっちりした他のソフトの面の手当てもしていかないと、例えば小児医療施設も、施設だけあればいいのではなくて、今は小児科医が非常に足りないのでございます。このことは、本当に国が力を入れ、本腰を入れて計画立てていかないと、箱はできても中身がいないという体制にもなります。
 ですから、塩川財務大臣が今御指摘されたような、私は、この中に新しい芽はなしとはしません。ただし、こういうふうな緊急補正予算で組まれるような内容かというと、もっと本筋、本論、国の骨格に置いてほしいというのが私の見解でもございます。
 そして、あわせて、本当にこれが経済的に高い経済効果が期待云々というところは、やはりちょっと考え方の違いがある。本当に経済の効果という意味においてももっと、逆に言うと、今の高い失業率、失業保険の問題、雇用保険の問題、そうしたことの方がセーフティーネットの面で一番重要になろうかと思います。
 でも、その点に、塩川財務大臣が先ほどおっしゃいました学校のこと、保育所のこと、小児医療のこと、お心をお配りいただいているのは大変ありがたいと思いますから、本予算の折にしっかりと論議をさせていただきたいと思います。
 きょう私に与えられた時間がこれで終わりましたので、中途半端でございますが、以上、終わりにさせていただきます。
坂本委員長 以上で本日予定の両件に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
坂本委員長 次に、内閣提出、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣塩川正十郎君。
    ―――――――――――――
 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
塩川国務大臣 ただいま議題となりました日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 我が国の最近の経済情勢を見ますと、米国での同時多発テロ事件の発生を契機に世界経済が同時不況に陥るリスクが高まる中、景気が一段と悪化しております。
 こうした状況に対応し、構造改革をより一層推進しつつ、デフレの進行と相まって景気が加速度的に悪化することを回避するため、政府が先般策定いたしました緊急対応プログラムにおいては、構造改革に資する重点分野に注力して社会資本の整備を行い、民間投資の創出、就業機会の増大に資し、早期執行が可能で経済への即効性が高く、緊急に実施の必要のある事業を推進することといたしております。
 本法案は、これらの事業の実施により、社会資本の整備の促進を図るため、日本電信電話株式会社の株式の売払収入による国債整理基金の資金の一部を運用した国の無利子貸付制度の整備改善を図るとともに、これに伴う財源措置その他必要な事項を定める必要があることにかんがみ、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法その他関係法律について、所要の改正を行うものであります。
 具体的には、現行の無利子貸付制度につき、公共的建設事業のうち、当該事業により生ずる収益をもって当該事業に要する費用を支弁できると認められるものに対する無利子貸し付けについて、民間事業者が収益施設とあわせて街路、下水道等の公共施設を整備する事業等を貸付対象に追加すること、公共的建設事業のうち、貸付金の償還時に国の負担または補助を受けるものに対する無利子貸し付けについて、対象事業を民間投資の拡大または地域における就業機会の増大に寄与すると認められる社会資本を整備する事業であって、緊急に実施する必要のあるものに改めるとともに、国が実施する公共的建設事業も対象に追加すること、民間事業者の能力を活用して国民経済の基盤の充実に資する施設の整備を行う事業等に対する無利子貸し付けについて、平成十八年三月三十一日までを限り、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する選定事業を貸付対象に追加すること等の見直しを行うことといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官小平信因君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。増原義剛君。
増原委員 自由民主党の増原でございます。
 先ほど財務大臣よりお話ございました、締めて九十四本でございますか、社会資本整備特別措置法の一部改正を含めて九十四本の法案につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
 大きく分けて三点御質問をしたいと思います。第一点は、いわゆる二兆五千億を一般会計に繰り入れますところの国債整理基金特別会計の話。第二点が、いわゆる法案の話でございます。第三点目が、それと連動する予算案につきまして少し御質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一点でございますが、国債整理基金につきまして、このたびの平成十三年度の第二次補正予算で一般会計に二兆五千億繰り入れるということになっておりますが、その国債整理基金の資金残高と、それからその運用状況につきまして御答弁いただければと思います。
谷口副大臣 今増原委員の問いでございますが、まず初めに国債整理基金の資金残高についてということでございますが、平成十三年十二月末現在で約九兆円となっておるわけでございます。また、その運用につきましては、資金残高の大部分を、日本銀行との間での国債の現先取引でございますね、現先取引及び政府短期証券、FBでございますね、政府短期証券で短期の運用を行っておるところでございます。
増原委員 わかりました。ということは、約九兆円残高がある中で、長期国債あるいは政府短期証券でそれを現先で運用されているということでありますから、しかも日銀との間でやっていらっしゃるということですから、そういたしますと、一般の、いわゆる国債市場の方には直接的な影響はないというふうに考えてよろしいでしょうか。
谷口副大臣 増原委員はもうよくこのことについて知っていらっしゃって、釈迦に説法でございますが、債券市場の影響はないのかどうかということでございます。
 今申し上げましたように、この国債整理基金の資金残高の大部分は、日本銀行との間で国債の現先取引、これはいわば金融取引のようなものでございますね、現先取引及び政府短期証券で短期運用を行っておるところでございます。一般会計への繰り入れのためにそれらを現金化いたしましても、それが債券市場における売り圧力となるわけではありません。債券市場に影響を与えるものではないと考えておるところでございます。
増原委員 わかりました。そういう意味では直接的に金融市場に影響するものではない、あとはそれを引き受けた、買い取ったというのでしょうか、現先で買い取った日本銀行が、その時々の金融情勢を見計らいながらやっていくのだろうということだと思います。
 それでは第二点目、法案につきまして二点ばかり質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一点は、NTTの無利子貸し付けの財源、これが約十兆一千億あったと思います。これまで既に貸し付けをされていまして、その残が約二兆五千億あるということでございますが、これをこのたびすべて一般会計に繰り入れるということになりますと、もはやもう残はないということになろうと思います。
 そうした中で、このたびの社会資本整備特別措置法の改正案では、国の無利子貸し付け等を当分の間、例えば法第二条第一項などは「当分の間」というふうに置かれております、現行法がそうなっているからそれをそのまま踏襲するということなのか。あるいは、今NTT株を政府は幾ら、さらに株式ですね、株式の方を保有されているかもしれませんが、もし保有していれば、いずれそれを処分したときに再度こうした貸し付けができるようにするという意味で当分の間というふうにされているのか。そこらあたりのことにつきまして、少しお話をいただきたいと思います。
谷口副大臣 今おっしゃったような状況でございまして、十兆一千億で、今無利子貸付事業で七兆六千億行っておりますから、融資残高が二兆五千億、こういうような状況でございます。これで二兆五千億を繰り入れるということになってしまうと、もうなくなるのではないか、こういうようなお話でございました。
 社会資本整備特別措置法におきまして、NTT株式売払収入を活用して国が無利子貸し付けを行うためのスキームを整備するものであることにかんがみれば、同法における当分の間ということにつきましては、当該売払収入を活用することができる間というような趣旨と解されるわけでございます。
 第二次補正予算におきましては、既存のNTT株式売払収入のうち、本スキームの財源に充て得る残高の大半を用いることにいたしておるところでございます。
 しかしながら、将来、国債整理基金特別会計に帰属するNTT株式が売却された場合、今現在、この特別会計に二百十万株、未売却であるわけでございますけれども、これらのNTT株式が売却された場合にはその売払収入も本スキームの財源とし得るということ等から、今回の改正に際しましては、現行の社会資本整備特別措置法の規定における当分の間という表現を維持することにしたところでございます。
増原委員 当分の間、地方自治法なんかには五十年以上続いた当分の間というのもあるのでありますが。
 あと二百十万株持っていらっしゃるということであります。それをどういうふうに今後処理しようとされておるのか。あるいは、これは私まだ不勉強でよくわからないのですが、既にこれまで貸し付けた七兆六千億がございます。これは当然貸付金ですから順次返ってくる。その回収金といったものは再度貸し付けることができるのかどうか。そこら辺も含めまして、当分の間というのは大体どの程度の期間のことを想定していらっしゃるのか。そこら辺につきまして、御存念ございましたら、御答弁いただきたいと思います。
谷口副大臣 一たん返ってきたものをまた貸し出すということができるわけでございます。
 ですから、今回、まずは、先ほども申し上げたところでございますが、国債整理基金特別会計に帰属するNTT株が売却された場合にはその売払収入も本スキームの財源とし得るということで、当分の間という表現とさせていただいたわけでございます。
増原委員 ちょっと何となく期間の感じが出てこないのですけれどもね。
 昭和の六十年代も含めて貸し付けられた分は、たしか償還期限が二十年だったと思いますね。このたびの場合は大体五年という形でいかれております。ということは、五年の間に全部返ってくるという想定だと思うのですね。
 そうしましたときに、では、その当分の間というのはその五年ぐらいのことを考えていいのかどうか。ちょっとそこらあたりが、もっと柔軟に将来やらなくてはいかぬということが出てくるのかもしれませんけれども、どうもこの当分の間という言葉がくせ者だなというふうに思っているのでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
塩川国務大臣 これは一概に言えないところでございまして、御承知のように、地方負担がございますね。地方負担の分も今後の措置をしなきゃならぬし、そういたしますと、これの回収については、やはり特別な配慮を持った支給の仕方をしていかなきゃならぬと思いますので、あながち五年以内に全部回収してこうやるということの、なかなか実態は難しいような感じを私は持っておりまして、そこにはいろいろな方法、適時適切な措置を講じなきゃならぬと思っておりまして、これは後年度の負担とあわせて考えていきたいと思っております。
増原委員 わかりました。
 それでは、その次に、いわゆる関連法案と合わせて九十四本の一部改正法が出ておるわけでございますが、それでちょっと気になりましたのは、従来の国の無利子貸し付けの対象とされている事業、この関連で三十二本ございます。それから、対象とされていない事業で四十二本の一部改正法が出ておりますが、この両者の違いはどういうところにあるのでしょうか。
谷口副大臣 済みません、ちょっとおっしゃったことが理解できなかったわけでございますが。大きく二つの法案に分かれると。で、それぞれについて、対象とする事業のことをおっしゃったわけでございましょうか。
増原委員 いわゆる従来対象とされている事業は三十二本の法律、それを一部改正でまた拡大する。従来対象とされていない事業を入れる、新しく入れるのが四十二本あるはずなんですね。そこらあたりの違いというのでしょうか、何らかの基準で切っていって、先ほど大臣も申されておりましたが、四本の政策課題というので切った場合にそうなったとか、いろいろあるのだろうと思うのですね。法案の説明を、この分厚いものを読ませてもらいますと、そういうところが三十二本と四十二本に分かれているものですから、そこらあたりの違いがどういうものがあるのかなということであります。
谷口副大臣 今おっしゃったように、三十二本と四十二本に分かれておるわけでございます。これにつきましては、対象となる事業に相違点があるわけでございますけれども、従来の国の無利子貸し付けの対象とされている事業と対象とされていない事業という形で大きく二つに分かれるのであろうというように思うわけでございます。
 これについて申し上げますと、NTT無利子貸付制度が創設された昭和六十二年当時の経済情勢においては、国民のニーズに応じた社会資本の整備を図るということで内需拡大の要請にこたえる、また地域の活性化に資するというような喫緊の課題があったわけでございます。このために、償還時に補助金を交付する、Bタイプでございますけれども、地域の活性化に資する波及効果が大きい事業を行うという観点から、面的開発事業の一環として一体的、緊急の整備を要する公共的建設事業が無利子貸し付けの対象とされておったわけでございます。
 今回の見直しにおきまして、Bタイプ、補助金型でございますが、Bタイプ無利子貸付金につきまして、まず第一点は、構造改革を推進する観点から、対象事業を民間投資の創出、就業機会の増大に資するものに改めたところでございます。
 また、第二点といたしまして、公共事業関係費をこれに加えることで、施設費も対象とするということになったわけでございます。これに伴いまして、例えば施設費に該当する事業など従来Bタイプの対象とされておらなかった事業について、新たに無利子貸し付けの根拠規定を設けるための法改正を行うということになったわけでございます。
増原委員 もう少し私も勉強してみたいと思います。
 なお、その間で、日本政策投資銀行等への無利子貸し付けが平成十八年三月三十一日という期限がありますが、これにつきましてはどうでしょうか。
谷口副大臣 おっしゃるように、日本政策投資銀行等の無利子貸し付けの期限として平成十八年三月三十一日になっておるわけでございますが、これにつきましては、本来PFI事業は、民間資金を活用して公共施設等の建設を行うというものがこの本旨でございますけれども、PFI向けの無利子貸し付けは、PFI事業の円滑な導入を強力に促進するといった観点から、NTT株式売払収入を財源とした無利子貸付制度を設けることになったわけでございます。
 したがって、この趣旨にかんがみれば、一定の期間に限って無利子貸し付けを行うことが適当であると考えておるわけでございまして、PFIの普及促進効果を十分に発揮しつつ、民間資金の活用というPFI事業の本来の趣旨に抵触しない期間として三年が適当であるというように考えておるわけでございますが、しかし一方で、この事業の進捗状況によりますと最終年度に繰り越しを行わざるを得ないということも想定されるわけでございますから、法律上の無利子貸し付けの期限につきましては平成十八年三月三十一日までとしたわけでございます。ですから、おっしゃるように、三年ではなくて四年を設けておるわけでございます。実際は三年でありますが、繰り越しも考慮に入れた上で十八年の三月末としたわけでございます。
増原委員 わかりました。できるだけ即効性のあるということなものですから、恐らくそういうことでいいんだろうと思っております。
 それでは次に、第三点目、予算案につきまして少しちょっとお聞きしたいと思います。
 今回の無利子貸し付けでありますけれども、民間投資の拡大、それから、地域における就業機会の増大、これに寄与すると。当然、有効需要をつくればそういうものはある程度出てくるのは理の当然でありますが、そこで、かなり緊急に実施する必要があるものというふうに言われているんですね。この緊急性というところがやはりちょっとひっかかるところなんでありまして、先ほど来も質問が出ておりますが、それでは従来のいわゆる公共事業とどこがどう違うんだということについて、少し御答弁をいただけたらと思います。
塩川国務大臣 あなたは何でも知っているが、一言で言ってですよ、従来の公共事業というのは長期計画を持っている。十六本、七本ありますね、ああいうようなものが主体となっているのが従来の公共事業型、こう言っておるんですね。今回のやつは、それではない公共事業的なもの、そしてまた公共的な施設、こういうことに重点を置いたということであります。ですから、商店街の活性事業なんというのは、公共事業じゃないんですけれども今度入れておる。
 こういうことで、だから、従来型ではないということの一つの一番わかりやすいのは、そういうところを基準にしていただいたらいいと思っております。
増原委員 今、塩川大臣のお言葉ではございますが、確かに、従来型の公共事業というのは、道路五計をとりましても、五カ年計画なんかをつくってやっている。それはわかります。しかし、それだけじゃないわけですね、公共事業というのは。
 従来、建設国債の対象になっているものを見ていきますと、いわゆる施設だってなっているわけですね。公共の用に供するものだけじゃなくて、公用もあるわけですね。庁舎もあれば宿舎もあれば、全部入ってきてはいるわけであります。あるいは、幼稚園をつくるとかというのも当然これまで入ってきているわけでありますね。ですから、重点七分野でそれをさらに四つの政策課題で分類をし直してこういうふうになりました、こういう御説明になっておるんですが、では、緊急に実施する必要があるものというのは、これは法律にも書かれているわけですね、民間投資の拡大とかあるいは就業機会の増大に寄与すると。これは、やればある程度出てくるのは当たり前なんです。これは就業機会の分で十一万というふうに試算されていますけれどもね、内閣府は。後ほどお聞きしますけれども。
 しかし、緊急に実施する必要があるというこの法律の要件ですね、ここらあたりと、例えば、さっきも出ましたが、来年度の平成十四年度予算との関係、あるいは十三年度の本予算、当初予算との関係、ここらあたりをどういうふうに仕切られるのか。ちょっとそこらあたりの哲学をお願いいたします。
塩川国務大臣 そこを際限に、はっきりと定義づけたというものではございませんけれども、例えば、商店街の活性化とか、それから保育所の増設、それから特別養護老人ホームですか、それから小児病の施設、こういうようなものは緊急性を要するといって以前からの要望は高い。けれども、地方自治体との間でこういうようなものに対する施行についての問題がなかなか煮詰まっていなかった。それを、今回この予算をつけたら施行が可能になってきたということ等がございますので、この際、十四年度本予算を待たないで、早くこういうのも実施してもらおうということになった。
 それから、教育施設も従来から、国立大学の要請とか、改善等要求がございました。予算枠が足らなかったので本予算ではつかなかったものが残ってきたものがある。こういうのなんかをこの際に実施してもらおうというようなことをやってきたということ等ございまして、それから、IT関係の以前からの残りがございますこと、それからもう一つは、公立学校におきますLAN施設、これなんかは以前から文部省から要請があったけれども、予算上の割り当て等でできなかったものを、今回これに着手してもらおうということ等、そういうようなものを細かく拾い出してきたということであります。
増原委員 塩川大臣の御説明で、与党でございますので、わかりましたということにさせていただきたいと思います。
 次に、一つ内閣府の方に御質問をさせていただきたいと思います。
 この補正予算の経済効果、これが一年でGDPの名目で一・二、実質で〇・九%ありますよと言われているんですね。どういうモデルを使われたか知れませんが、名目で一・二で実質で〇・九と。ああ、もうデフレ解消だな、こういうふうにとってよろしいんでしょうか。
小平政府参考人 ただいま御指摘のございました緊急対応プログラムの経済効果の試算でございますけれども、これは、内閣府の短期モデルにおきます乗数を使いまして、補正予算の事業規模をもとにいたしまして機械的に計算したというものでございます。
 他方、十四年度の政府経済見通しにおきましては、十四年度の国内卸売物価、十三年度は一・一%の下落でございますけれども、十四年度は〇・八%の下落ということで、引き続き卸売物価は下落をする。ただ、下落幅が縮小するということでございまして、緊急対応プログラムの着実な実施によりまして、需給要因の改善を通じまして、デフレスパイラルの阻止ができるのではないかというふうに考えているところでございます。
 デフレからの脱却ということにつきましては、これから二年程度の集中調整期間における最も重要な政策課題というふうに考えておるところでございまして、本日、閣議決定をされました「構造改革と経済財政の中期展望」におきましても、この二年の集中調整期間後には構造改革の効果が顕在化をいたしまして、デフレが克服されて、物価上昇率はプラスに転じるものというふうに見込んでいるところでございます。
増原委員 これまでの短期モデルを回されたということなんですが、それは一体どういう、過去どのくらいのデータを入れてつくったモデルなのか。それは、物価が二%も三%も上がっている時代のデータを入れてつくったんではないか。
 それと、平成十四年度の経済見通しがありますね。それぞれ一%弱、卸売物価、消費者物価、恐らくデフレーターもそうでしょう、マイナスになっていますね。これは、短期なんですか、長期なんですか。それとの関係をもう一遍お願いします。
小平政府参考人 まず、モデルでございますけれども、御指摘のとおり、データにつきましては、一九八五年から一番最近までのデータをもとにつくりましたモデルというものでございまして、このモデルがつくられました構造に基づいて結果が出るという構造になっておりますので、あくまでも機械的な計算ということでございまして、これは、緊急対応プログラムが行われなかったときに比べまして、どの程度GDPがふえるのか、こういう計算を機械的にしているというものでございます。
 他方、十四年度見通しにおきます物価の見通しにつきましては、さまざまな要因を総合的に勘案をいたしまして見通しをいたしておりますので、先生もよく御存じのとおり、物価水準は単に需給要因以外のさまざまな要因によりましても影響されますので、そういう意味で、十四年度の物価の見通しは、総合的な観点から見通しますと引き続きマイナスである、こういうことであろうというふうに考えております。
増原委員 わかりました。非常に、何というんでしょうか、問題があるモデルだなということを感じました。
 ただ、そういうものを、ただ単にがらがら回して出しました、それで公表しましたと。そういうのは今の時期、ちょっと無責任なんじゃないですか、政府としては。名目で一・二で実質で〇・九ですと言ったら、これは物価は上がりますね、デフレはとまりますねと普通思うじゃないですか。そこらあたりは、もっと限定つきなり、しかもこういうときの補正予算ですよ、総理のお言葉をかりれば、もう本当に苦心に苦心を重ねたあげくの補正予算、知恵を出しまくっての補正予算なわけですね。そういうものを、機械的にがらがら回してどうですという議論はどうもいただけないなと。やはり十四年度の経済見通しとほぼ同じ時期に、来年度予算と同じ時期にこの補正予算はやるわけですから、そういうものをしっかり加味したことで、やはり出していただきたいというふうに思います。
 これは恐らくモデルの限界ですから、これ以上言っても仕方がないと思います。今後、十分にそこらあたりを配慮されて、国民的なレベルで誤解を生まないようにきちっとやっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を、ちょっと早いのでありますが、終わらせていただきます。
坂本委員長 次回は、来る二十八日月曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十五分散会


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