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第7号 平成14年3月8日(金曜日)

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平成十四年三月八日(金曜日)
    午後四時五十分開議
 出席委員
   委員長 坂本 剛二君
   理事 中野  清君 理事 根本  匠君
   理事 山口 俊一君 理事 山本 幸三君
   理事 海江田万里君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      小此木八郎君    金子 一義君
      金子 恭之君    倉田 雅年君
      七条  明君    砂田 圭佑君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中村正三郎君    西川 京子君
      林田  彪君    増原 義剛君
      松野 博一君    山本 明彦君
      吉田 幸弘君    渡辺 喜美君
      阿久津幸彦君    五十嵐文彦君
      江崎洋一郎君    小泉 俊明君
      小林 憲司君    佐藤 観樹君
      中川 正春君    永田 寿康君
      長妻  昭君    上田  勇君
      遠藤 和良君    藤島 正之君
      塩川 鉄也君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    植田 至紀君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      砂田 圭佑君
   財務大臣政務官      吉田 幸弘君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  原口 恒和君
   政府参考人
   (財務省関税局長)    田村 義雄君
   政府参考人
   (国税庁次長)      福田  進君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君
   参考人
   (日本銀行総裁)     速水  優君
   参考人
   (国際協力銀行総裁)   篠沢 恭助君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月八日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     松野 博一君
  小泉 龍司君     小此木八郎君
  増原 義剛君     西川 京子君
  生方 幸夫君     阿久津幸彦君
  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君
同日
 辞任         補欠選任
  小此木八郎君     小泉 龍司君
  西川 京子君     増原 義剛君
  松野 博一君     岩倉 博文君
  阿久津幸彦君     生方 幸夫君
  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)



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     ――――◇―――――
坂本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君及び国際協力銀行総裁篠沢恭助君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として財務省関税局長田村義雄君、国税庁次長福田進君、国税庁課税部長村上喜堂君及び金融庁総務企画局長原口恒和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林憲司君。
小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。
 まず、今回の議題であります関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
 昨年十二月、中国が百四十三番目のWTOの加盟国となったところでありますが、それに伴い導入される対中国経過的セーフガード制度について、本法案において国内法の整備を行うこととされております。これにより、我が国もこの対中国経過的セーフガード制度を利用することが可能となるわけでございますが、今後、この制度についてどのように運用していくべきだとお考えでしょうか、塩川財務大臣にお伺いいたします。
塩川国務大臣 中国では、ガットに加盟申請されましてから十五年の長い間にわたりまして、WTOの加盟についていろいろと協議をし、また各国からの要望がございまして、やっと国際的な枠組みの中に昨年の十二月、加盟されましたことを、我々は大いに歓迎をいたしております。
 ついては、他のWTO加盟国と共通の国際ルールに基づく貿易の促進、そして世界貿易、経済に発展される、そういうことを大いに期待しておるというところでございまして、特に我が国においてはその利害関係は、非常に密接に関係しておると思っておりまして、中国のより一層のWTO内におきますところの発展を期待しておるところであります。
小林(憲)委員 少し視点を変えまして、自由貿易の推進について目を向けますと、今回シンガポールとの間で、我が国として初めての自由貿易協定が締結されたわけでございますが、これは、我が国の貿易政策の大きな転換点とも評価すべきものではないでしょうか。今後さらに自由貿易協定に積極的に取り組んでいくべきと私は考えますが、塩川財務大臣はどうお考えでしょうか。
塩川国務大臣 私たちも、シンガポール同様に、せめてASEAN域内との関係は二国間協定に結びついてくれたらいいと思っております。幸いにいたしまして、為替のスワップがそれぞれの国と協定を結んでおりますので、それを土台にして発展したいと思うのでございます。
 今回、日本とシンガポールの間の自由貿易協定というのは、双方に、やはり経済力がある程度均衡しておるといいましょうか、相似しておるような、そしてまた貿易関係において大きい摩擦を起こさないような条件というものがある程度整っておりますので、ああいう、シンガポールとの間にスムーズにいったのだろうと思っております。
 ついては、ASEAN諸国との関係におきましても、そういう状況がお互いの間にできてくること速やかならんことを願っておるということでございます。ちょっと経済の差があることがやはり問題なのだろうと思っております。しかし、できるだけ好意的にこの問題を推進していきたいと思っております。
小林(憲)委員 今回の自由貿易協定の交渉を通じまして、その相手方であるシンガポールから学ぶところも大変多かったように私は思います。
 シンガポールでは、港湾が二十四時間オープンしているなど、非常に通関体制が充実していると聞いております。我が国も、競争力向上の観点から通関の迅速化が重要な課題だ、今まさにその課題に取り組むべきだと私は思いますが、どのような方策が考えられるのでしょうか。
 また、最近、塩川財務大臣のイニシアチブで、物流の改革へ向けたプランが策定されたというふうに聞いておりますが、その内容について、もしよろしければ教えていただけませんでしょうか。
塩川国務大臣 我が国は自由貿易を非常に積極的に進め、その恩恵を受けておるのでございますけれども、しかし、国際港湾の整備並びに通関関係におきましてはやや後進国的なことがございますので、これを改正しようということで、まず、港湾の整備にあわせましてシングルウインドー制度をとろうということであります。その中身は、もう御説明するまでもなく、よく小林さん御存じだと思うのですけれども、入港いたしますときにワンストップで全部の手続ができるような、そういうことをしようということにいたしました。
 それに伴いまして、検疫の面におきましても、電子機器等を使いまして速やかに貨物の実態が把握できるように、大型エックス線検査装置等を備えていたしました。
 それからなお、最近でございますけれども、通関に関しますところの経費でございますが、NACCS料金を大幅に引き下げまして国際的水準に持っていったということ等、努力いたしておりまして、これによって、貨物が近隣諸国でさばかれて日本に来るというのじゃなくて、日本に大型の貨物で受け入れてそれを整理する、いわば流通の近代化を図った、こういうことであります。
小林(憲)委員 通関の迅速化については、今いろいろと大臣からお伺いしまして、真に取り締まるべきところはきちんと取り締まる、これはスピードの問題だけではございませんで、昨今では社会悪物品の密輸が大きな問題となっております。その手口もますます巧妙化していると聞いておりますが、このような中で、税関の人員等、体制の整備強化を図るべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
谷口副大臣 小林委員がおっしゃっていただいた、税関の人事体制の整備強化を図るべきではないかというようなことでございます。
 現在、我が国では、第三次覚せい剤乱用期と言われておるわけでございますが、薬物の乱用が深刻化いたしておりまして、また銃器を使用した犯罪が多発傾向にあるというようなことでございまして、依然として大変厳しい状況にあるわけでございます。
 こういう中で、税関におきましては、覚せい剤、麻薬等の不正薬物及び銃砲の、いわゆる社会悪物品の密輸入阻止を最重要課題の一つとして位置づけ、積極的な取り締まりを実施いたしておるところでございます。その結果、不正薬物につきましては昨年の密輸押収量が、コンテナ貨物等の商業貨物を利用した大口事犯の摘発等により約一トン、うち覚せい剤約〇・二トン、大麻約〇・八トン、こういうようになっておるわけでございますが、三年連続で一トンを超える大量押収が続いておるわけでございます。
 税関といたしましては、密輸入事犯の続発やその手口の巧妙化に対応いたしまして、一つは、密輸に関する情報収集及び分析の強化、また、コンテナ貨物大型エックス線検査装置の増配備など取り締まり機器の増強、また警察、海上保安庁の関係取り締まり機関との連携強化等の対策を積極的に講じておるわけでございます。
 今後とも、厳しい行財政事情のもとではありますが、税関定員の確保及び取り締まり体制の整備強化に努めてまいる所存でございます。
小林(憲)委員 法案につきましては、以上の質問でございます。
 次に、我が国の経済の現状と求められる対応について御質問をさせていただきたいと思います。
 現在、我が国の経済の現状を見ますと、デフレの進行、そして景気の低迷、失業率の上昇など、極めて厳しい状況に置かれていることは事実でありますし、この委員会でも再三皆さんと討議がなされていることだと思います。しかしながら、私は思うのでありますが、その一方で、日本の対外純資産残高や外貨準備高は世界で第一位であるということも忘れてはならない事実であると思っております。
 私自身は、この我が国の経済の潜在的な成長力といいますかその力というものを、さほど悲観はしていないんです。この委員会で何時間もここに座っていろいろなお話を聞いていますと、この日本の国は本当にお先真っ暗なのか、本当にその状態なのかなといつも自問自答しておったわけですけれども、やはり我が国には長い歴史とそれに基づく民族の思想と哲学があって、それに基づいて、やはり経済もそのシナリオで動いておる、そう思っております。ですから、むしろ我が国経済の現状やそこに至った経緯などを踏まえた上で、現時点で適切な政策対応を講じることができれば、我が国経済は、その潜在的な成長力を発揮して、力強い回復軌道につながっていくものと考えている次第であります。
 したがって、まずは我が国経済が現状に至った経緯をきょうは少々お時間をいただいて分析してみたいと思っておりますが、九〇年代初頭にバブル経済が崩壊したのが発端となり景気が低迷、これについては、皆さん御承知のとおり、失われた十年とも言われておるわけでございます。しかし、よく分析いたしますと、九〇年代前半には、ストック調整などから景気が後退局面に入っていた。バブル経済の崩壊や円高などの影響もあって経済は厳しい状況に直面することとなりましたが、これに対し、財政、金融両面からの政策対応もあり、九五年から九六年にかけては、むしろ我が国の経済は、G7の中でも比較的高い成長を達成したと言えるのではないでしょうか。
 一方で、たび重なる財政出動などを原因として、我が国財政は主要先進国中最悪と言えるほどに危機的な状況に陥ったほか、バブル経済の発生と崩壊の過程の中で、長期化する景気の停滞と相まって、金融機関は多額の不良債権を抱えるに至ったわけでございます。九七年の秋以降は、これもまた皆さん、まだ記憶に新しいところでございますが、山一証券、三洋証券、そして北海道拓殖銀行など金融機関が次々と破綻したことにより、金融システム不安が生じ、企業や家計の景況感の悪化を通じて実体経済に深刻な影響を及ぼすことになりました。
 この経済の急速な悪化が、不良債権問題をより一層深刻なものとするとともに、金融機関の機能低下というものをもたらしたのではないでしょうか。さらに、経済構造の変化と相まって、これでデフレが発生し、その進行を招くに至っているというふうに私は思うのであります。
 そこで、このように現在の景気低迷は、金融機能の低下、デフレの進行という要因のほか、経済構造の変化という要因を抱えているために、これらに的確に対応した、政策パッケージといいましょうか、すべて同時に何か進行できて関連できるようなパッケージが必要ではないかと私は考えております。
 まずは、金融機能の回復のためには、御承知のとおり、不良債権問題の解決が不可欠ですが、政府としてどのような政策対応を行っているのか、これを改めて、きょうは大変多忙の中、委員会を重視して私の質問にわざわざ予定を変えて大臣、ありがとうございました。ぜひとも、今後の政策対応をどのように行っていくかということを、夢と希望を日本人が持てるようなビジョンを持って御説明いただきたいと思います。
柳澤国務大臣 不良債権の処理につきましては、昨年の四月ごろからいろいろな施策をさせていただいておるところでございます。
 その一つは、資産の査定と引き当てを的確なものにする、こういうことで、まず第一に、通常検査の強化をいたさせていただきました。これは、特に主要行と言われているメジャーバンクスに、一年一回必ず、特に信用リスクの面での検査に入るということ、それから、検査の結果が次の決算に本当に反映するかということについてフォローアップ検査というものをやること、これが通常検査の強化と言われるものの内容でございます。
 それから、特に十月の改革先行プログラムからの施策でございますけれども、市場の評価が著しく変動したような債務者等を中心として、債務者に着目した特別検査を行う、こういうことを改めてそれにつけ加えさせていただきまして、これらの施策は、前者につきましては昨年の九月末の決算から、また後者につきましては特に今度の三月末決算におきまして、その結果が反映するということになっております。
 それから他方、こういう資産の査定と引き当てということのほかに、不良債権の問題の処理のためには、やはりいつまでもそういう会計的な処理だけではだめだ、本当に不良債権をオフバランス化する必要がある、こういうことを私ども考えまして、これはもう当初の改革先行プログラムのころから言っておるわけでございますけれども、一つは、私的な整理についてのガイドラインというものをつくって、そして、これに沿ったような私的な整理をすることによって、信頼される再建計画による不良債権のオフバランス化、これを進めようということ。さらには、最近では、ずっと一連、作業をさせていただいて、施策として実現しているわけですけれども、RCCの買い取り機能を強化する、時価にする。あるいは、従来回収中心であったものを、企業再生もRCCのもとで行う。こういうような施策を展開することによって不良債権のオフバランス化を進める、こういうことをさせていただいております。
 そして、このようなことをこれから先二年間、二〇〇二年度、二〇〇三年度、二〇〇一年度も含めてですけれども、やることによって、二〇〇四年度には不良債権問題の正常化を図る。
 正常化とは何かといいますと、これはメルクマールを発表させていただいておりますけれども、不良債権比率というものを大体四%台以下にするということ、それからまた、与信費用比率というものを〇・三%ぐらいにする。これをもって不良債権の正常化のメルクマールということにしておりますけれども、この目標に向けて、これからさらに二年度間、今言ったような施策を強力に推進する、こういうことにいたしておるということでございます。
小林(憲)委員 今お答えいただいた対応策は、それ自体に大きな問題があるわけではございませんが、デフレ対策や経済構造の変化、それへの対応と整合的なものであるかどうかが一番問題になってくるのではないかなと思います。先ほどお話が出ました整理回収機構によります不良債権の買収なども、聞くところによりますと、その買収価格が不当に低い。その結果として、地価の低下、ひいてはデフレの進行をもたらすんではないかという批判もあります。
 それ自体を私は質問するわけではございませんで、そのような全体の整合性、これは前にありました長期信用銀行の瑕疵担保の件ですとか、これももうすぐその瑕疵担保のあれが来るわけですし、いろいろなことが今起こっていく中での不良債権の整理でございますので、その整合性を持った形での政策運営が肝要と考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
柳澤国務大臣 私も、その点は重々注意をしなければならない点である、このように考えているわけでございます。
 具体の例として挙げられました、RCCによる不良債権の買い取りが、値段が低過ぎるじゃないかということが挙げられたわけでございますけれども、これは、RCCといえども別に強制買い取りをしているわけじゃなくて、両者の合意によって買い取り価格が決められているということでございます。
 従前、RCCは、どちらかというと、単なる資産の機能的な価値に加えまして、いろいろな社会的な欠点があるものというようなものを中心に買い取った結果、そういった背景を知らない方からすると、安過ぎるじゃないかというようなことも声が出たんではなかろうか、このように思っております。
 なお、この点については、先ほどもちょっと触れましたけれども、最近におきまして、時価買い取りを行う、適正な時価買い取り、市場で成立する、まあマーケット・フェア・バリューというかそういうものでもって買い取りを進めていくということになりまして、今先生のおっしゃられたような懸念にこたえ、できるだけデフレ対策として整合性のとれたものにしていくということを考えているということでございまして、御理解を賜れればと思います。
小林(憲)委員 大臣、ありがとうございました。
 本日は、参考人の方で速水日銀総裁に、大変多忙な中、出席していただきましてありがとうございます。
 お時間が大分差し迫っているということで、ずばり質問させていただきますが、これまで、潜在的な成長力を発揮させ活性化を図ることが重要であるというようなことをお話しさせていただきまして、今、マクロ経済政策をあわせて講じることが必要と考えているわけでございます。しかしながら、これまでの累次の経済対策の結果、我が国の財政状況が極めて悪化していることを踏まえれば、現時点のマクロ経済政策として、財政の出動を求めるということが適切ではないのではないかと私は思います。
 したがって、今求められるマクロ経済政策は金融面での対応だと考えられますが、これまでも日銀は累次の金融政策を講じてきてはいますけれども、ゼロ金利のもとで実質金利は高どまりをしましたし、必ずしも意図した効果があらわれているとは言えない状況であると私は思っております。
 そこで、今後は、これまでの金融政策の延長線上にとどまることなくて、大胆な、本当に日本からマーケットインパクトがあるような動きをするべきではないかなと考えておりますが、日銀のお考えはいかがでしょうか。お願いいたします。
速水参考人 日本銀行は、昨年来、金利がゼロに達したもとで次のような、従来の政策の延長線上にない思い切った金融緩和を行っております。
 まず第一には、日銀当座預金というお金の量を大きく拡大させているということです。第二には、この政策を消費者物価上昇率が安定的にゼロ%以上になるまで続けるということを宣言いたしております。これらの措置は、金融市場に強力な緩和効果をもたらしていると思います。
 しかしながら、日本経済がさまざまな構造問題を抱えているもとで、金融緩和の効果が企業や家計の経済活動を十分活発化させるに至っていないということは認めざるを得ないように思います。日本銀行は、今後とも、金融市場の安定確保と緩和効果の浸透に全力を挙げていく方針であります。
 同時に、こうした金融緩和が力強い効果を発揮していくためには、金融システムの強化や経済、産業面での構造改革を進めて、民間需要を活性化して引き出していくということが不可欠ではないかと思っております。
 これは、二月二十八日にまた思い切った期末対策を考え、対応した政策、追加緩和策をとりましたけれども、おかげさまで、その後の動きを見ておりますと市場の方は非常に落ちついていて、この三月末の期末については今のところ比較的安定していけるんではないかなという感じがいたしております。株や為替やあるいは債券、いずれも、トリプル高に変わってきておりますし、アメリカの方がよくなってきたということも大きな背景だと思いますし、空売り等の規制が進んでいることもきいているんだと思いますけれども、当面のところは、私どもが心配した期末へ向かっての動きというのがかなり落ちついてきたように思っております。
小林(憲)委員 総裁、どうもありがとうございました。きょうは多忙な中、この後も公務ということで、どうぞ退席されて公務の方に戻っていただいて結構でございます。どうもありがとうございます。
 先ほど来、私何度も申し上げておりますように、整合性のとれた政策パッケージを構築し、先ほど日銀総裁からお話があったように時期を逃さず実行する。後手後手に回らないで、そしてまた総花的に打ち出されずに、整合性を持って政策を出していくことが今後強力なリーダーシップのもとで行われれば、必ずや成長力を発揮していく、潜在的な日本の民族の魂としての成長力を出していけると私は信じております。
 次に、この日本の国は国際経済社会の一員として、我が国の役割について御質問をさせていただきたいと思いますが、きょうはJBICの篠沢総裁に来ていただいておりますが、私、時間があと三分ほどになりましたので、もうまとめて質問させていただきます。
 いわゆるJBICを通じた経済協力ということで、国益をとにかく得なければ、これからは日本経済の立て直しは成らないと思っております。円を海外で働かせる、日本のお金が外で働いてお金をもうけて帰ってきてくれる。そして、そういうものに対してどんどん今、中が大変だからといって投資しないんではなくて、世界の一員としてもどんどん海外に投資していって、国益を得るためのJBICとしてのお仕事をしていっていただきたいと思っておるわけでございますが、そのJBIC、政府開発援助、いわゆるODA、経済協力でやはりこれまでの我が国の対外政策において重要な役割を果たしてきておられると思います。経済協力の重要な担い手として、国際協力銀行として、皆さんも御承知のとおりでございますが。
 昨今、特殊法人改革が声高に叫ばれておりますけれども、私としては、この特殊法人の事業を不断に見直していくことは当然と考えておりますが、同時に、その議論の際に、国益の実現手段をみずから危うくするのではなくて、逆に、より効果的なものとしていく観点も重要ではないかと思っております。
 それで、JBICの今の貸し付け及び返済、要するにJBICとして今機能しているかどうかということをお答えいただきまして、そして、今後もJBICとして国益についてどうお考えかということを私の最後の質問とさせていただきます。お願いいたします。
坂本委員長 時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
篠沢参考人 私ども、平成十一年の十月に、旧輸出入銀行と海外経済協力基金が統合をされて発足しておりますが、その旧組織から引き継ぎました二つの大きな仕事をしております。
 一つは、今おっしゃいましたODAでございます。もう一つは、資源小国、貿易立国としての日本の国際競争力あるいは資源確保のための、プラント輸出でありますとか、資源輸入でありますとか、投資金融でありますとか、いろいろやっております。
 仕事の規模でございますが、昨年度では融資承諾額が一年間に一兆七、八千億円の規模でございますが、かのアジア経済危機のときには平成九年で約三兆円、それから平成十年では四兆六千億円。当時はまだ統合前でございますが、両方合わせますと、そのくらいのかなり活発な機能は果たしてまいりました。
 私ども、特殊法人でございますし、我々が主導的にどうこうということはなかなか難しいのでございますが、日本の政府機関としてお使いいただく機能は十分に備えていると思いますので、各方面の御理解を得て、これからも開発途上国の支援と日本の国際競争力の強化、両方に役に立っていきたいと思っております。
 特殊法人でございますので、現在、特殊法人整理合理化の対象でございますから、その点は十分わきまえながら、かつ政府関係機関でございますので、政府との連携ということを重々肝に銘じまして活動させていただきたいと思っております。
小林(憲)委員 ありがとうございました。
 今のお話のとおり、まだ日本には国力が随分あります。そして、JBICさんも海外で活躍しておられるとのことですので、ぜひとも我々も胸を張って、必ずや近い将来には日本の経済は立ち直っていくということで、前進ある、未来のある、話し合いのある財務金融委員会になっていっていただきたいと個人的には思っております。
 どうもありがとうございました。
坂本委員長 次に、藤島正之君。
藤島委員 自由党の藤島正之でございます。
 通告をしておりました質問に入る前に、財務大臣の感触をお伺いしたいと思います。
 けさほど内閣府が国民所得統計速報を発表いたしまして、昨年の十―十二月期の国内総生産、GDPは、個人消費は若干ふえましたが、民間設備投資が前期比一二・〇%減と大幅に落ち込みまして、物価変動の影響を除いた実質で前期比一・二%減ということになったようでございます。従来の政府見通しは実質でマイナス一%ということだったわけですが、これを達成するには、ことしの一月から三月の実質成長率が一・六%になる必要があるということなので、かなり政府見通し達成は難しいと私は思っておりますが、財務大臣はどういうふうにお考えですか。
塩川国務大臣 今仰せのとおり、今回のQEで見ますと、通年で計算してマイナス一・二となる、こういう予測をされておりまして、これが当初の政府目標は通年でマイナス一でございますので、そうしようと思ったら、少し高目の成長を一―三月期でやらざるを得ないと思っておりますが、今回のこの第三・四半期を見ますと、民間設備投資が異常に落ちておるのですね。ここが問題だろうと思うのですけれども、これはどういうことになっておるのか、十分精査して判断をしてみたいと思っております。
 いずれにいたしましても、個人消費は堅調であるということがこれでわかりましたので、私は、需要面ではなくしてやはり供給面の構造を進めていくことが景気対策に必要だろう、そういう認識を持ってこれからも努力していきたい、こう思っております。
藤島委員 達成は、行けそうか行けないかという点はどうでしょうか。
塩川国務大臣 それはもう達成するように、あとわずか残っておりますから、まだ三週間あるのですから努力してまいります。
藤島委員 ちなみに、竹中大臣はもうだめだと言っておるのですけれどもね。
 次に、二月二十七日に税のあり方について質問させていただいて、各論に入る前に時間切れになりましたので、その続きを幾つかやらせていただきたいと思います。
 現行税制を全般的に例えると、よく旅館が、需要があってどんどん谷川に沿って増築に増築を重ねていっている、そんな感じがするのですけれども、そういう意味で、全体としてゆがんでいるというふうに思うわけですが、特にこれまでのやり方として、要するに現行の税制を前提として、財務省の考えとして単年度収支を非常に気にしてきておるわけですね。これは、大事だといえば大事なんですが、そのつじつま合わせを非常に無理をしてやっている、そんな感じがするのと、要するに既得権益、既得権の税制にとらわれ過ぎておるというようなことから、全体として非常にゆがんだ形になっているというふうに思いますが、財務大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
塩川国務大臣 それは、財政を預かる財務当局としては収支バランスをとることに懸命の努力をしておると思っております。
 税制への認識は、国民なり、特に私は国会で十分にこれは認識を高めてもらいたいと思いますことは、一たん減税しましたら、もうこれは既得権で絶対に守ってしまって、改正できませんね。増税すると言ったら物すごい抵抗に遭って、それでどこかで収支を合わさなければならぬということでございますから、ですから、そこを緩急自在に、やはり経済政策に合った判断で税制を考えてもらおうということ。
 これは、国民の皆さんもこういう訓練をしてもらわなければいかぬし、特に国会が、一回減税したら既得権でこびりついてしまいますので、これは租税特別措置一つをとってみましても、期限が来ましたら延長、延長で、暫定措置が二十年、二十五年続いたりするものがありますので、こういう認識を、やはり政府それから国会、国民、一体となって図っていかざるを得ない。それはやはり政府の責任にあると思っておりまして、そこは努力して、そういう努力を込めて今後の改正に努力したいと思っております。
藤島委員 お言葉ですけれども、責任は、やはり国会というよりは自民党政権下の政府にあって、今おっしゃったように、やはり一つずつ減税をやっていくと、なかなか権益があってもとへ戻せなくなる、こういうことの積み重ねだったのではないかな、こう思うわけでありまして、それを国民、国会のせいにするのはいかがなものでしょうか。
塩川国務大臣 いや、まあ税の問題は、与野党そんなに差はございませんな。どうしてもやはり税の問題は、緩い方がいいという認識に、どの政治家も、どの政党も傾いていく。その配分の問題を、どこに重点を置くかということはそれぞれ党によって違いますけれども、総額において税を引き下げていくという考え方については、各政党とも同じような思考方向であると私は思っております。
藤島委員 私は、必ずしも今のそういうお考えに賛同はできないんですけれども、過日、小泉総理は税制のあり方について、政府税調なり自民党の税調にも、どういうふうなのがいいか、もう全く白紙で丸投げをしているということでありますけれども、政府というのは本当にそんなことでいいのかどうか。やはり、こうあるべきだというその方向性なりを示して、そういう中で、具体的にそれぞれ個別の税制がどうあるべきかというのを検討してもらう、これが筋じゃないかと思うんですけれども、どうでしょう。
塩川国務大臣 こうあるべきだということを出すまでは白紙だ、こういうことを言っておるんです。こうあるべきだということは、四月、五月にみっちりと検討、研究し、六月をめどに大体結論を出したい、そういうことを言っておるのでございまして、それは議論を始めるまでは、最初に第一印象を持って印象づけた議論をするということは避けたい、そういう意味において現在は白紙だ、こう言っておるのでございまして、誤解のないようにひとつしてほしい。
藤島委員 誤解ではないのであって、やはり政府は責任を持っておるわけですから、こういう方向だという、何もなくて、単に検討してくれ、いい案があれば虫食い的にちょっといただこうか、そういうものじゃないんじゃないでしょうか。そういう意味で、白紙に検討してくれというのは全く理解に苦しむ。中長期的にはどう、あるいは短期的にはこう、そういう何か方向性を示して検討してもらうというのが筋じゃないんですか。
塩川国務大臣 基本的な方針といいましょうか、それは、構造改革に資する方向で税制の改正を今度はやはり取り組んでいきたいと。ただし、税はあくまでも国民平等、公平でなければならぬし、簡素でなければならぬので、この税の基本的な哲学をもゆだねることなく、構造改革並びに経済成長に資する税制に取り組んでほしい、これはもう前提でございますので、それは基本方針として持っておるのでございます。そこを起点にして、まだ現在は具体的な問題については白紙である、こういうことを言っておるところでございます。
藤島委員 その構造改革に資する税制というのはどういうものかというのは、大体、考えればほぼ見当がつくのは幾つかあるんだろうと思うんですけれども、それについて、全部白紙、白紙委任というのはいかがかなと私は思います。
 ところで、主なものについて幾つかちょっとお尋ねしたいんですが、これは財務大臣の考え方ですけれども、今、企業が国を選ぶ時代に入っていると思うんですね。そういう意味で、我が国は、企業から選ばれるような税制、これが非常に重要な意味があると思います。例えば、バイオだとかITとか、あるいは創業・ベンチャー、こういったものに対する税制のあり方、これについてはどういうふうにお考えになりますか。
谷口副大臣 藤島委員のお尋ねでございますが、おっしゃるように、ベンチャー企業にしっかりしてもらわなければ経済の活性化というのはないわけでございますので、今まで、税制におきましても、設立後間もない中小企業に対しましては、これらを支援するといった観点から、中小創造法、中小ベンチャー法とも言いますが、この対象中小法人が取得するような事業化設備にかかわる税額控除、これは七%でございますが、このような税額控除、また、特別償却でございますね、これは三〇%でございますが、特別償却の制度等を、これは租税特別措置でございますが、このようなことを講じてきたところでございます。
藤島委員 次に、我が国のような位置づけになりますと、常に新しい産業を起こし、新しい知識型の産業みたいなものをどんどんやっていく必要がある。それには、やはり研究開発投資、これは絶対必要だろうと思うんですね。これで開発したものを、ある程度我が国でその利益を享受した上で、いずれ開発途上国に持っていって、そこで大量生産するなり移っていくということで、私は、研究開発を促進する税制というのは大変重要だろうと思うんですけれども、これは、米国との比較なんかでは我が国は出おくれているんじゃないかなという感じがするんですが、御説明いただけますか。
谷口副大臣 まさにおっしゃるように、研究開発を促進するといったような税制については、大変重要なものだというように認識をいたしておるわけでございますが、現行の試験開発を促進する税制でございますが、増加試験研究費に対する税額控除制度というのがございまして、このような増加試験研究費の税額控除につきましても、創設以来、これを促進するという観点から、幾たびかの見直しをされてきたわけでございます。
 例えば、中小企業技術基盤強化税制を追加したり、経済対策として、中小企業技術基盤強化税制の税額控除率を一〇%に引き上げるとか、また、増加試験研究税制の改組を行うとか、その時々の社会経済情勢の変化に応じた見直しを行ってきたわけでございます。
 また、この増加試験研究費以外に、中小企業者に対しましては、試験研究費の支出額の一定割合の税額控除を認める制度、いわゆる中小企業技術基盤強化税制というのがございますが、このような措置も講じてきたところでございます。
藤島委員 アメリカとの比較ではどうなっていますか。
谷口副大臣 アメリカは、増加試験研究費の税額控除制度というのがございます。今申し上げたものでございますが、これがアメリカにおきましては、当期の試験研究費のうち、基準額というのがございまして、この基準額を超える額の二〇%を税額控除できる、また、大学や科学機関の基礎研究への支出額の二〇%を税額控除ができる、このようなアメリカの制度がございます。
 我が国の制度につきましては、今申し上げました増加試験研究費の制度がございまして、この制度は、申し上げますと、適用年度の試験研究費の額が、比較試験研究費の額、これは基準年度の研究費の額でございますが、これを超える場合に、その比較試験研究費を超える額の一五%の税額控除ができる。あと、若干この規定の中にいろいろ対応のしぶりがあるわけでございますが。また、中小企業者等につきましては、当期の試験研究費の額の六%の税額控除が行われることができる制度になっておるわけでございます。
藤島委員 今の二つについては、実は、中長期的な課題として、相当いい税制をしいておかないと恐らく先進諸国でおくれをとることになりかねない、こういう観点から申し上げたわけですけれども。
 ところで、景気の即効性という観点からいきますと、投資税制とか土地、不動産税制、特に土地、不動産税制はバブル期の抑制的なものをまだかなり引きずっております。そのせいか、不動産の流動化あるいは都市再生といったような面で、まだちょっと足かせになっている税制があるというふうに私は思っております。
 贈与税の基礎控除の引き上げについてはかなり前向きに検討されるようですけれども、これについては財務大臣はどういうふうにお考えですか。私、これはなぜそう言いますかというと、要するに、高齢者がたくさん今財産を持っているので、それを使われていないわけですね。それを私は、贈与税を安くすることによって若い人たちにおろしていくということで、現実に消費に回っていく、こういうことは、大変即効性もあるしいいことだと思うんですけれども、この点についてはどういうふうにお考えですか。
谷口副大臣 そういう議論もございまして、昨年の税制改正におきまして、五分五乗方式と申しますか、住宅資金につきましては五百五十万まで贈与ができるという形にさせていただいたわけでございます。
 今行われておりますこの抜本改正におきましては、今藤島委員がおっしゃったような観点も当然議論のところに出てくるんだろう。高齢者が多額の資金を、金融資産を持っていらっしゃって、これを消費に回すのにどのように対応していくべきかというような議論も行われるんだろうというふうに思っておりますが、現行はそのように、住宅資金につきましても五百五十万までは贈与ができるというような制度になっております。
藤島委員 五百五十万じゃ余りインセンティブにならないと思うんですよね。五百五十万で家がどれほどできるかわかりませんけれども、やはり、今でいえば三千万とか五千万、そういった単位が必要なんじゃないかなと思いまして、これからもそういう方向で検討をしていただきたいなと私は思います。
 それと……(発言する者あり)では、塩川大臣、どうですか。(塩川国務大臣「いやいや」と呼ぶ)いいですか。
 課税最低限の問題ですけれども、我が国は三百八十四万、アメリカが約三百万、イギリスが百三十万、ドイツが三百八十万、フランスが三百万。これは比べてみまして我が国は非常に高い。これはやはり、かなり大幅に下げて、納税者の皆さんに納税意識を持ってもらう、それで高い納税のものはそれに応じて若干下げる、こういうことが私は必要だと思いますけれども、財務大臣、どうでしょう。
塩川国務大臣 私は、それを税の空洞化と言っておるんでございますけれども、できるだけこれは、税が、広く薄く分担してもらうという趣旨にのっとって、今回のこれから始めようとする税制調査会の検討の非常に大きい要件の一つであると思っております。
藤島委員 まだいろいろ聞きたいんですけれども、ちょっと時間がなくなってきまして、もう一点だけ税の問題で、私は、早く検討をして、結論が出たのから、その年の、来年の途中でもいいんですけれども、どんどんやはり実行していくべきだろうと。今のように、六月にかけて方針を出して、それから具体的に行って、結局来年度予算にせいぜい間に合うかどうかというんじゃ、景気対策としては非常に遅い。中長期的に効果を目指す税制についてはそれでもいいんですけれども。
 財務大臣は、年度途中での税制改革について賛成だというようなことを記者会見か何かで言っておられるようですけれども、どうですか。
塩川国務大臣 私は、これはやはり、すべて法律になりますので、国会との十分な意思疎通を図って、そういう方向に持っていきたいと思うておりますけれども、国会の方の動きがどうなるかということはまた別。といいますのは、国会の側から見ますと、やはり朝令暮改は避けたいということがございますし、私は、財務当局としては、やはり税制というものは年度初年からスタートする方が、負担をされる方にも御迷惑をかけないし、また利用も活用もしやすいということから、朝令暮改を避けると同時に、区切りをもって税制を変えるというこの思想を根本的に持っておりますので。
 しかし、現在の経済状況において経済の活性化、刺激を与えるという意味において、臨時的な措置として、でき得れば年度にやるということも、国会との間で話ができればそういうこともとれるんじゃないかと思っております。
藤島委員 もう一問、今度は国税庁のOBの税理士の問題についてお伺いしたいと思います。
 国税庁の方に伺いたいと思いますけれども、税理士の試験、これは毎年かなり受けているわけですね。五万人受けて合格者が千人、大変厳しい試験なんですね。それで、五科目ありますよね、大変難しいわけですけれども、税理士の登録者数を見ますと、データとしていただいているのは十一年ですけれども登録者数が、試験合格者が二万七千人、これに対して、国税のOBで試験免除者が一万一千人、こんなに多いんですね。
 この制度の趣旨は、一部は、二十数年も税務担当をやっておったということで、知識も深いというのはわからないではないんですけれども、本当に知識があるんならば試験を受けて通ればいいんじゃないか、こう思うんですけれども、どうですか。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 国税職員が税理士となるために必要な学識及び応用能力を有していると認められまして税理士試験の試験科目の全科目を免除されるためには、国家公務員の採用試験に合格し、職員として採用された上、二十三年以上の実務経験、監督的職務への五年以上の在職並びに国税審議会の指定した高度の研修の修了の要件を満たすことが必要となります。
 このように、行政の専門実務家に対しまして、その実務経験を通じて得られる知識を尊重して、その分野における資格取得に必要な試験の免除を認めることは、我が国の他の公的資格、例えば弁理士、司法書士、行政書士といった他の公的資格、あるいは主要国の職業専門家にも見られるところでございまして、その考え方自体、十分な合理性があるというふうに認められていることを御理解願いたいと存じます。
藤島委員 さっき申し上げたように、大変な倍率なんですよね、試験自体は。五万人受けて千人しか入らないんですからね、最終合格は。合格者の年齢も、三十三歳から三十四歳ぐらいなんですよね。大変な負担なんですね。それを、税務行政に携わっていたというだけで資格を与えるというのは、さっき、ほかにもいろいろ例を挙げておられましたけれども、これも全部廃止すべきだ。ちゃんと試験を受けてやればいいんで、実力さえあれば何の問題もないわけですから。
 これはもう一回見直して、これは、昔つくった制度をそのまま、既得権益のまさに最たるものとして持っているわけですね。国税職員も、前線で税を本当に一生懸命勉強している方もいらっしゃいます。確かに、私も相談なんかに行くと、非常に知識があるなという人もいますけれども、もう途中管理職かなんかで余り税制もやっていないような人が、本当にそれだけの能力、知識があるかどうか非常に疑わしい。
 私は、この制度は全く廃止して、全部試験を受けるという方向で検討すべきだということを強く主張して、質問を終わります。
坂本委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 私は、きょうは、関税の問題と、もう一つ、ちょうど申告の時期でもありますので、今もお話ありました、国税庁幹部OB税理士の問題について質問をしたいと思います。
 それで、最初に国税庁のOB税理士の方から入りたいと思います。
 今から二十四年前になるんですが、二十四年前の七月に問題になったのが、大阪国税局の退職幹部ら、天下り顧問税理士の押し売り問題というのが問題になりました。退職直後から百社以上と契約し、年収で、二十四年前の当時で一千万円以上。大阪国税局幹部の話として、一流クラスの幹部の方だと大体平均五十社、超一流になりますと百社、これだけの顧問契約を結んで高額所得者になっているということを、当時、大阪国税局の幹部の話としてもマスコミ等で伝えられておりました。
 そこで、これはちょうど二十四年前の七八年の七月五日の参議院の決算委員会で、沓脱タケ子参議院議員という我が党の議員ですが、これを取り上げまして、当時の磯辺国税庁長官が答弁をしております。七八年四月七日付の「退職税務職員の税理士業務の制限等について」という、各部長それから税務署長あての通達が出されておりまして、それに基づいて、その後も通達を出しているわけですが、退職税務幹部が地位を利用して税理士業務の委嘱をあらかじめ要請したり、退職予定者のために税理士業務の関与先をあっせんする等の行為は、公務員としての品位を著しく損なうから慎め、こういうことが当時問題になった内容であり、国会でのやりとりであったと思うんですが、まず最初にこのことを、政府参考人の方でいいですから、確認をしておきたいと思います。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 当時、今吉井委員の御指摘のようなやりとりがあったのは承知しております。
吉井委員 それで、ところが、最近ずっと野党各党が今取り上げておりますが、二十四年たっても一向に改まっていないんですね。ことし一月十日のいわゆる浜常脱税逮捕の問題に至るまでずっと続いてきているわけですよ。
 私は、幾つか具体的に国税の方に問い合わせをしましても、個別の案件は明らかにできないということでなかなかお答えが難しいものですから、公知の事実となっているものぐらいはわかるだろうということで、あらかじめ昨日のうちにリストにしまして、それで国税の皆さんと突き合わせをして、国税の方ではどうもわからないとおっしゃる分を一件省いて、実際はもっとたくさんあるんですが、確実に突き合わせのできるもので十三件ほどリストアップしたんです。
 ことし一月十日の浜常脱税逮捕に至るまでの間に、例えば、七八年七月に問題になった以降、八七年七月には、東京国税局長が圧力かけて千数百万円受け取った容疑で東京地検に事情聴取を受けたりとか、九〇年八月には、大阪のにせ税理士事件で、脱税指南事件とも呼ばれますが、国税庁幹部五十八人の大量処分、九二年の六月には、元熊本国税局長から許永中被告の税務顧問としての問題での事情聴取が行われたり、九五年七月には、国税局OBと共謀して会社社長が五十二億の所得隠しを行っておった問題で、四年ほど後になりますが、神戸地裁判決で、これについては国税庁OB税理士に有罪判決が下ったこととか、九六年七月には、大阪国税局元上京税務署長の顧問税理士問題、富士住建の捜索に当たってさまざまな問題が出てきたこととか、九六年九月には、鹿児島の脱税請負グループ事件を摘発したところ、福岡の国税局OBが依頼者へ脱税請負グループを紹介しておった問題で、税理士五人が起訴されていることとか。
 九七年の秋から春にかけては、かなりの問題が一連の問題としてありましたが、東京地検が扱ったもので、OB税理士の脱税請負グループ問題がありました。ここには、芸能プロダクション社長らの所得税法違反事件もあれば、税の番人汚職連鎖、国税調査官また逮捕とマスコミにも書かれました。それから、別なマスコミには、わいろ三十年間も、調査官ら不正引き継ぐ、こういう指摘もありました。
 九八年十二月には、医療法人春秋会脱税事件で大阪国税局OB税理士が関与した問題で起訴されておりますが、九九年春から問題になったのでは、これは、税務署が天下り依頼をやっていると。国税庁OBを顧問にしてやってくれ、税理士の押しつけは二十年前からどこでもやっているという発言もありました。押しつけ契約書のひな形の作成も問題になりました。
 京都下京税務署の法人課税第一部門の職員が、優良申告法人に指定したい、優良法人になったら国税局OBを顧問税理士にしてもらうことになっていると実名を挙げて要請し、その後、署長と副署長も、再度受け入れを求めに会社へ行った問題。吹田税務署も同じ時期に、三人引き受けろと押し売りをやる。世話をしたら見返りを求めると。(発言する者あり)いや、文字どおりそうなんですよね。
 吉田国税局広報室長はこのとき、職員が逸脱したあっせん行為をするなど批判を招くことは残念だ、確認できれば厳正に対処するとあのとき言っていますね。それを言っている直後にも、東淀川の税務署では、更正処分した飲食業者にOB税理士を顧問として迎えろと言って迫って、これは断られたんですが、そうすると課税が倍増してしまった、そういう処分を科してくる。
 二〇〇〇年十月には、大阪国税局OB顧問税理士の訪問販売会社七千万円脱税事件で大阪地検特捜が動いて、脱税容疑で経営コンサルタント会社の社長が再逮捕されたりとか、一連のことがありました。また、二〇〇〇年十一月には、にせ税理士事件の当事者が、二億円の遺産相続に絡み脱税指南で大阪地検に逮捕されたという問題など、いっぱいあるわけです。
 今挙げたものについては、まず私は、こういう一連の事実を国税の皆さんと確認する、突き合わせをしておこうと思ったら、なかなかお話が、そうすんなりいかなかったものですから、あらかじめリストを出しておきました。一応これについて、まず、この一連の事実があったということについて、ここで確認をしておきたいと思います。
福田政府参考人 今先生御指摘の新聞記事のうち、脱税関連で報道された件のうち、三つを除きましては、国税当局において査察調査により告発の上、担当地方検察庁により起訴された脱税事件であるというふうに承知しております。
吉井委員 だから、みずから告発したものとそうでないものを含めて、これは全部、既に確認をしてもらっているものですが、こういうことがあったんですね。浜常問題までの、まさに二十四年前ですよ、七八年七月二十五日の参議院で答弁しても、同じことが続いてきているわけですね。なぜ続発するのか、なぜ是正されないのかということが私は非常に問題だと思うんですね。なぜこれが二十四年前に指摘されても、今日に至るも是正されないのか、なぜこういうことが起こってくるのか、なぜ浜常問題のようなことが起こるのか、聞かせてもらいたいと思います。
福田政府参考人 まず、私ども、税理士資格を有する職員につきまして、退職後の顧問先をあっせんすることは、職員の在職中の職務の適正な執行を確保する等の観点から、必要に応じ、やらせていただいているものであることを御理解願いたいと存じます。
 これまでも、納税者の皆様方から批判あるいは疑惑を招かないよう、退職職員に対する顧問先あっせんに当たりましては、いやしくも公権力を背景とした押しつけとなることのないように配意しているところでございまして、今後さらにこの点を指示、徹底させてまいりたいと考えております。
 なお、今御指摘のように、問題となる事実が把握されました場合には、これまでも個々に厳正に対処することとしているところでございまして、最近の事例で申し上げますと、今も出てまいりましたが、過去に調査を行った法人から相談を受けて接待を受けますとともに、既に退職していたOB税理士を私的にあっせんしたという場合、この場合には国公法上のいわゆる停職処分を行っております。また、十一年の四月でございますが、優良申告法人への上申を条件にあっせんを強要したのではないかと誤解されたとして訓告処分を受けた例等がございます。
吉井委員 先ほどの京都・下京の例なども紹介しましたけれども、これは税務調査をやる側なんですね。やる側が、あなたのところ、優良な法人にしてあげるから、だから退職するOB税理士を受け入れなさいと。これを言われたら、受け入れざるを得ないところへ追い込まれる。断ったら更正・決定で倍額になったところだってあるんですから、まさに力を背景にして、押しつけなんですよ。だから、二十四年前から押しつけだということが大問題になってきたんですよ。
 では伺いますが、国税庁長官の綱紀粛正通達とか国税庁長官の各国税局長あて通達、国税局長から部長や税務署長への通達というものは発せられたことはあるんですか。あれば全部出してもらいたいと思います。
福田政府参考人 国税庁長官からは、毎年定期的に開いております国税局長会議、あるいは臨時の国税局長会議において、それぞれ各局長に対しまして訓示を行っているところでございます。それから、国税局長から各税務署長あるいは関係者への通達等につきましては、大阪局につきましては、たしか既に先生に御提出していると存じます。
吉井委員 結局、訓示だけなんですよ、大臣。訓示だけで、通達というのは、今おっしゃったのは、私、持ってきてもらいたいと言ったら、わずかに大阪国税局長の分だけなんです。聞いてみたら、ほかはないと言うのですね。本当にあるのかないのか知りませんよ。あっても出さないなら出さないで、こんなもの秘密でも何でもないのに、出さない方がおかしいんですよ。
 これで、これは毎年の文、全部同文ばかりなんですけれども、こんなもの出したらいいんだし、求めても提出されないのか、あるいは、そもそも訓示だといって精神訓話みたいなこと一遍のことで済ませて、本格的に、本当に幹部OBの方の、顧問税理士として押しつけるのを、そういうやり方はここにだって書いてあるんですよ。「退職予定の職員が、在職中に自ら税理士関与先を打診、開拓することの決してないよう」に指導すると書いてあるのです。それから、「現職の職員が、その地位を利用して、退職予定者又は退職者のために、独自に税理士関与先をあっせんすることの決してないよう十分指導する」と。これは大阪国税局長の通達なんですよ。これは国税庁長官が通達を出して全然おかしくない。しかし一方では、先ほどの答弁にあったように、実は力を背景にして押し込みをどんどんやるわけですから、ですから浜常問題のようなものが出てくるわけですよ。
 これは大臣、訓示程度で済ませて全然改まらないということであれば、大臣としてやはりきちんと文書で指示をされる。当たり前のことだと思うんですよ。ここは一つ、塩川財務大臣に伺っておきたいと思います。
塩川国務大臣 具体的な通達ということはどういう形式で、どういう内容を含んだらいいか、これは検討いたしますけれども、しかし、直接担当の者を呼びつけて一つ一つ指示をしておるということは、これは私は、やはり上司の者として当然の行為であるし、これが一番オーソドックスなやり方ではないかと思っております。それがどこまで徹底しているかということの問題があるということを思っております。
 それともう一つ、この問題はまさに、一定の時期を置いて忘れかけた時分またぽこっと出てくる。それでまた問題になって、また忘れて、また何年かたって出てくるというようなことがございますが、だからといって、これは全部が税務職員がそういう傾向で自分のいいことをはかっておるかといったら、あながちそうばかりでもない。中にそういうのがありましたら、それが税務署全体の罪悪になってしまうというようなところがございます。
 ですから、こういうことのないように、やはり税務署の職員の中でそういう自意識をこれから強めていくということが必要だろうと思っておりますが、最近におきましては公務員の倫理というものが非常にきつく言われるようになりましたので、このことが、私はやはり、年を経て、公務員の倫理に、そういうこと、先ほどおっしゃったような問題は深く反省して、これからは少なくなってくるし、また絶滅させていかなければいかぬと思っております。それについては、事あるごとにこういうことの指示を絶えずしていくということが大事で、私ども、機会を見て改めてこういう指示を出したいと思っております。
 それと同時に、もう一つはやはり、こういう事件が起こりましたら厳罰をもって臨むということが必要だと思うんですね。公務員の倫理はきつくなりましたけれども、公務員に対する処分の仕方というものは、やはり、従来から見まして変わっていないというような感じがします。それは、公務員の事件がいろいろございますことと、それから、最近におきましてもある省でそういう問題が起こっておりますが、やはり、そこの規律というものが、罪悪というよりも規律というものをきっちりする必要があるだろう。これは、公務員全体についての問題として、今後我々も努力してまいりたいと思います。
吉井委員 それで、二十四年前に国会で問題になって、そして一応そのときの国税庁長官の答弁も、決してそんなにぴしっとやるというふうに、はっきりしたものになっていなかったけれども、しかしとにかくこんなことをやっておっちゃだめだということで、しかし、きちんとした通達等もなく、そしていつの間にかこれがあいまいにやられてしまって、繰り返し、繰り返しこういうことが起こってきた。これが今の現実の姿ですよ。
 そこで、私は、そうすると、先日もA勘定、B勘定、C勘定でどういうふうに紹介しているかという話もありましたが、私も、去る一月二十八日の財務金融委員会で取り上げた、札幌国税局長浜田常吉事件の調査報告書はあるんだろうと、調査するように求めました。塩川大臣の方からちゃんと調べるというお話もありましたが、それから支払い調書の名寄せによって、浜田常吉以外のOBの中で結局脱税につながる者、発覚した者もいるかどうか調査をするということを大臣も答弁されました。
 あれから一カ月以上経過しておりますから、まず浜常問題、そして浜常以外の、名寄せによってどういうことが明らかになってきたのか。これは、いずれにしても一カ月たっておりますから、中間報告にしても、どういう調査をしてきて現在どういうことがわかってきているのか、このことをまず伺っておきたいと思うんです。
村上政府参考人 浜田常吉以外の調査についての御質問がございましたが、個々の調査につきましては、これは個別事案でございますので、守秘義務が課されている関係上、具体的に答弁することは差し控えさせていただきたいと思いますが。
 前回先生からも国会で御質問がございました。支払い調書の御指摘もあったところでありますが、一般論として申し上げますと、国税当局といたしましては、限られた事務量ではありますが、今回の事件の不正形態などにも十分留意しつつ、資料情報の活用を図るなど、引き続き適正、公平な課税の実現に努めているところであります。
吉井委員 今のは報告でも何でもないんですね。聞いておって、さっぱり何をやらはったかようわからぬ。
 浜常問題もそうですが、支払い調書の名寄せによって、浜田常吉以外のOBの中で、名寄せしたらわかるでしょう。既に申告してあるものと比べてみれば、脱税になる者は一人もおりませんということになるのか、調べて、おりましたということになるのか、こんなもの、コンピューターの時代ですからすぐわかるわけで、御本人の分で支払い調書の名寄せなんですから。
 こんなことも答えられないということでは、これは、浜常逮捕の日に、きょう逮捕された佐藤については強制捜査をやって、そのことをマスコミにリークしたりとか、佐藤は査察から逮捕まで約三カ月間初の査察でマスコミが報じることはないのに、言ってみれば浜常隠しのリークじゃないかと言われてもいいような、そういうことをやりながら、何でこれぐらいの、名寄せによって調べるぐらいのことができないんですか。やっているんだから。全部できていないなら、五割なら五割やりました、その中で、おったならおった、おらなきゃおらないと、はっきりそれぐらいのことをするのは当たり前じゃないですか。
村上政府参考人 お答えいたします。
 浜常事件につきまして、御案内かと思いますが、今回の事件は東京国税局においてみずから査察調査を行い告発したものでございます。その査察調査の過程に支払い調書の名寄せが入ってくるというのは当然だと思います、個別のことですから詳しくは申し上げられませんが。
 それで、その後、全国にもちろん税理士というのは五万とか六万いらっしゃるわけですが、それらについてももちろん支払い調書は出されております。絶えずそれぞれについての支払い調書は資料情報の一つとして活用させていただいたところでございますが、個別にどこを調査しているとか何件調査しているかということについては、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
吉井委員 何万も、たくさんの人の、大層な話をしているんじゃないんです。
 この浜常と同様の幹部の方ですね、そのOBで、そして顧問をあっせんしてもらったのか押し売りしたのか知りませんが、そういう人たちというのは限られてくるわけですから、これは調べたらすぐわかるじゃないですか。三日もあれば調べられるような話が、もう一カ月たっているんだから、きちんとお答えいただきたい。
村上政府参考人 お答えいたします。
 繰り返しになるわけでございますが、だれを調査したとか、そういう点につきましては個別事案になりますので、件数につきましても、特定の件数を、何か特定のグループについての件数を申し上げるということはやはりプライバシーの侵害にもなりますし、やはりそういった計数についての取りまとめはいたしておりません。
 いずれにいたしましても、我々は、納税者が一体だれであるか、あるいは過去の経歴が何であるかにかかわらず、絶えず適正、公平な課税に努めているところでございます。
吉井委員 個人名を挙げて言えとまで言っていないんですよ。件数までプライバシーというのは全くふまじめだと思います。
 中小企業の税務調査の場合、どうですか。女性の下着までひっくり返して、プライバシー侵害もやっているじゃありませんか。昨年も私紹介しましたが、京都の事案、国税の敗訴した事案があるじゃありませんか。だから、国税庁は、一般市民の、中小業者の人にだったらそれぐらいのことやるのに、国税OBだったら調べられない、件数も言えないと。本当にふまじめな話だと思いますよ。
 東京国税局は、昨年十一月以来四カ月間、浜常との交流を持って収賄につながるおそれのある者、国家公務員倫理規程上問題のある者はいないか調査してきておられますね。その調査の結果はどうなっていますか。
福田政府参考人 私どもとしましては、常々、税務行政に対する納税者の信頼を損なうことのないように、各職員に対しまして指導を徹底しておるところでございまして、御指摘のような事実は承知しておりません。
吉井委員 隠そう隠そうというところはよくわかるんですがね。
 浜田氏は、東京国税局の中で、局長、総務部長に次ぐ権力者と言われている人事第一課長の経験がある人ですね。部下に大きな人脈を持って、退職後も、財務省職員を含めて、自分を囲む若あゆ会を組織していたということが言われておりますが、この組織はどういうものであったのか、どんなメンバーが参加していたのかなど、財務省の国税の方として調査して把握している内容というものを聞かせていただきたいと思います。何にも調べていない、何にもつかんでいないんですか。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 今吉井先生お話のございました若あゆ会なる会については承知しておりません。
吉井委員 東京国税局総務課、人事第一課などなどへ、浜常氏が幾らの現金、タクシー券、ビール券などの贈与があったのか。この件については、これは浜常問題に限らず、広くこういう顧問税理士の問題についての質問を他の同僚議員がされたときに、これは予算委員会でしたか、塩川大臣の方は、私もそういうことはあると思うというお話がありました。だから、現金、タクシー券、ビール券などの問題、私はこれは徹底して調べるのは当たり前だと思うんです。
 国税局からあっせんを受けた顧問税理士先を、通常の二年契約を過ぎても浜常氏は国税局から没収されずにずっと続けてきたという問題なども、タクシー券、ビール券とともにそういう事実もあるんじゃないですか。調べたんですか。
福田政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、私どもとしましては、常々、個々の職員につきまして、御指摘のような問題も含めまして常日ごろから問題行動の把握、非行の端緒があった場合の迅速な報告に努めるよう、管理者に対して厳しく指導しているところでございまして、御指摘のようなタクシー券あるいはビール券、現金云々の事実は承知しておりません。
 なお、御案内のとおり、国家公務員倫理法並びにそれに基づく倫理規程によりまして、利害関係者からの金品の受領、利害関係者と飲食をともにすること等については原則として禁止されているところでございます。
 国税庁といたしましては、それぞれの国税局並びに税務署の管内の納税義務者につきましては、基本的には税法上の質問検査権の相手方となり得ますことから、倫理法上の利害関係者ととらえまして、あわせて、これはOB、非OBを問わず、税理士につきましてもその納税義務者の代理人として利害関係者に当たり得ることとしているところでございまして、いやしくも納税者の不信を招くことのないように、機会あるごとに各職員に対しまして、これら国家公務員倫理法等の法令の遵守を初めといたしまして、綱紀の厳正な保持の徹底に努めているところでございます。
 先ほど五十三年のお話が出ましたけれども、あれを踏まえまして、あっせんにつきましても人事当局に一元化して、できるだけ自己でやることを禁止しているところでございます。
吉井委員 二十四年前から、それじゃ全然変わっていないね。そして、十年前にも、にせ税理士事件で五十八人大阪国税で処分したときだって問題になっているんですよ。企業に顧問税理士さん、ちゃんと実務でやれる人がいるのに、押しつけて、皆さんの方が。二人押しつけたら二階建て、三人押しつけたら三階建てですね。中には、九階建て、十階建てと言われているのがあるんですよ。これが現実の姿ですよ。みんなそういうことを知っているんですよ、我々。現実にいろいろなおつき合いがありますから。
 そして、若あゆ会の問題を初めとして、私は、プライバシーの問題だ何だで逃げるんじゃなくて、本当に正そうと思ったら、徹底的に調査するべきだと思うんです。
 最後に、塩川大臣のこの点についての、私は調査するという決意だけ聞いておきたいと思うんです。
塩川国務大臣 それは、事件の種類によりましょうけれども、刑事事件になっておるような問題につきましては、徹底的に調査さすようにいたします。
吉井委員 時間が参りましたので終わりますが、これは、プライバシーでごまかすのじゃなしに、徹底的にやるべきだ、このことだけ申し上げて、質問を終わります。
坂本委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 一昨日、本日と長い時間への御審議、皆様御苦労さまでございます。なるべく簡略にいたしたいと思いますので、いましばしおつき合いをお願いいたします。
 冒頭、まず塩川財務大臣にお伺いいたします。いつものごとく質問通告ございませんテーマですが、一昨日の我が党の植田至紀議員へのお答えを拝聴いたしましての御質問でございます。
 いわゆる三十兆円枠をめぐりまして、塩川財務大臣のお言葉を要約いたしますと、どういう効果をねらってどこにどれだけの金額を持っていくのかを見きわめて、枠の撤廃を考えるならば考えたらいい、大変よいお答えだと思います。国の予算も、五兆むだを削り、二兆重点分野にというお話もございますが、今私ども、特に社会保障政策、雇用政策、現状ではまだまだ不十分というか、全く今の小泉内閣においては切り捨てられていっているのではないかという危惧を抱いております。
 そこで、塩川財務大臣にお伺いいたしたいのは、特に私の医療関連分野のことで、簡単な質問でございますから、通告してございませんので、お答えのお願いできる範囲でお願いいたします。
 いわゆる経済産業省にございます医療問題研究会報告書概要というのが十三年の十二月に出されておりますが、要約いたしますと、医療産業というものがどういう位置を占めるかということを要約したもので、ある意味でよくできておると私は拝読いたしたものでございますが、塩川財務大臣は、この報告は御存じでありましょうか。
    〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
塩川国務大臣 私は、存じておりません。
阿部委員 先ほどの三十兆枠、よいところがあればそこに補てんして、この枠自身はある意味では変わるかもしれないとおっしゃったこととあわせて、ぜひお読みいただきたいのですが。
 実は、医療という分野は、費用対効果という言葉を使いますと、一兆円の投資をいたしました場合に、約五兆四千億の投資効果と五十八万三千人の雇用を生みます。対して、土木工事は、二兆八千億の投資効果と二十万六千人の雇用ということで、簡単に言えば、費用対効果が非常に高い分野でございます。そして、現在のデフレ、あるいは日本の経済の産業空洞化等々をかんがみましても、いわゆる高齢社会に真に必要なものは何か。やはり医療や介護や福祉という分野は、日ごろ何度も強調させていただきますが、必要とされ、なおかつ、費用対投資効果が高い分野でございます。
 私はぜひとも、さきの植田至紀への塩川財務大臣のお答えを受けて、この医療問題、今般の小泉内閣では削減ばかりが前面に出ておりますが、この経済産業省の報告でも、いたずらに、単に医療費を抑制するだけではかえって問題が生ずるという、一言で言えばそういうふうな内容でございますので、あわせて前向きに御検討いただきたく、一言お答えをお願いいたします。
塩川国務大臣 確かに、費用対効果の中で投資の重点を図れと仰せでございまして、これは私も結構な思想だと思いますけれども、医療は、ほとんどが公的医療になっております。私的医療というシェアが非常に小さいのでございまして、公的医療は全部保険とつながってきております。
 でございますから、そういう公的医療のいわば財政の中において、できるだけ効率ある投資をするという考え方をとって考えていきたいと思っております。
阿部委員 医療もある意味で道路等と同じ社会資本でございますから、社会資本の適正配分という意味で、公的医療分野の重要性もあり、なおかつ、発展する枝葉の部分としてのいわゆる私的な医療分野もあると私も存じますので、両方にわたっての御検討をよろしくお願い申し上げます。
 引き続いて、藤島委員の御質問に対しましての塩川財務大臣のお答えをもう一度反すうしながらお尋ねいたします。
 きょう皆様のお手元に「消費者物価の動向」という、こういう一枚のものを配らせていただいております。この中で特に、私もこのような分け方で拝見したのは初めてでしたのできょう皆様にもお伝えしようと思いましたが、輸入と輸入競合商品ということの下落度が、非常に物価下落が強うございます。もちろん全般的に、デフレはデフレ、下落は下落でございますが。
 このことは逆に、なかなか我が国が、今後、経済回復に本当の意味でしっかり腰を入れた改革をしていかないと、多難な局面を迎えているという認識を皆様もお持ちであろうと思いますが、それを数値化したものとして一点ここに出させていただきました上で、先ほどの、三月八日に発表されましたGDPに対して、経済財政諮問会議でのデフレスパイラルの定義として「物価の下落と実体経済の縮小が相互作用し、加速度的・継続的に進行する状況」というのを挙げてございますが、物価の下落、この表のごらんのようでございます。
 実体経済の縮小というところで、一つ、民間投資、設備投資が非常に今般落ち込んでおったと塩川財務大臣おっしゃいましたが、それらを勘案いたしまして、今の政府の認識は、デフレ状態にあるというところにとどまっておりますが、より事態はデフレスパイラルに、入り口をあけておるというふうに認識すべきではないかと思いますが、この点、再度塩川財務大臣の御見解をお願いいたします。
塩川国務大臣 これはどこの資料ですか。
阿部委員 私どもが日銀にお願いいたしまして策定いたしました。
塩川国務大臣 日銀でも、古い統計ですね。時々刻々変わって、今二〇〇二年なんですが、これは二〇〇一年のあれですね。
 これは、どうなっているんですかね、実は、今度の十月―十二月のQE、これが発表になりましたのは、物価は、対前期よりは上昇しておる状況なんですね、消費物価はですね。ですから、これはマイナス二・六って、どこのですかね。(発言する者あり)
阿部委員 塩川大臣、恐縮です。この件でお時間をとると、皆さんにも、帰りの時間が心配されますので。
 私が丁寧に言い直せば、日銀のデータを利用して、私どもでつくりました。日銀にお願いしてというと語弊がございますのと、対前年比でございまして、このデータ自身ここまでしかとれません、対前年比でございますから。ですから、今回はよくじっとごらんになっていただければ幸いと存じます。
 そして、私は、状況認識、先ほど塩川財務大臣、消費者の指数と申しますかについては、これがそう悪くはなかったからということで、デフレという、必ずしも物価状況、悪いものではないとおっしゃいましたが、私はその点に関しても問題があろうかと思います。確かに、データですので、一点のみで何かを言うというのは間違っておると存じますが、やはり長い傾向を見てみますと、日本の中でのさまざまな経済活動、消費活動、やはりフリーズした状態にあると思います。
 きょうは関税関係の法案ですので、そのことに関連しても少しデータを出させていただいたのがもう一つの「牛肉の輸入数量の推移」というものでございます。
 これは、簡単にどう見るかというと、いわゆる狂牛病、BSE問題が起こって以降、輸入牛肉の方が、例えばマクドナルドに行っても、安楽亭に行っても、吉野家に行っても、輸入牛肉を使っておるからということで、一見皆さんの中には輸入牛肉の方はふえているんではないかとお思いやもしれませんが、実は和牛も、これは表示のうそもございますが、それから輸入牛肉も、この黒三角はみんな減っておるわけです。
 前回、私が塩川財務大臣に去年お尋ね申し上げましたときに、肉がだめなら魚を食えばいいかなとおっしゃってはいただきましたんですが、やはり牛肉というのは、みんなの高級感というところでもっている食品で、それが廉価に入ってくる輸入牛肉の方も同時に減ってしまっているという現状は、やはり消費者マインドという意味では、財務大臣にはぜひとも御自覚していただきたい。
 きょうは何度も、私が一方通告だけで失礼ですが、お時間の関係でデータだけお示しさせていただきます。
 引き続いて、お引きとめいたしております柳澤金融大臣にお願いいたします。
 マクロの経済のことあるいは物価の下落等々のことは、本来は金融大臣の御専門のお仕事ではございませんが、金融大臣は常日ごろ、あらゆる事態に備えて、あらゆる経済状況をかんがみながら金融のシステムの安定ということを目指しておるとのお考えでした。
 私は、もう一問、いわゆる鉄鋼十四品目のアメリカのセーフガードということで三〇%関税をかけた問題もあわせて、輸出の問題でも影響がございましょうし、こういう狂牛病問題の消費マインド、そして先ほど塩川財務大臣もおっしゃいました民間設備投資の非常な低迷ということもあわせて、もちろんこのことに即どうこうせよという対応ではないのですが、柳澤金融大臣として、今回の揺れ動く経済状況に対しての一応御認識と、それからある程度今後のお考えをお聞かせくださいませ。
柳澤国務大臣 私どもの方は、かねて申し上げておりますように、マクロ経済の動き、あるいは今阿部委員がお触れになったような、いろいろな業種にわたる広範な資料というものを独自に収集、分析する、そういう担当の部局は実は欠いております。これは、私どもが新しく生まれた役所ということで、ちょっと困ったことなんですけれども。そういうことで、私どもとしては、政府部内のこれらのことを専門にしている当局の診断なり分析なりというものに依存せざるを得ないということでございます。
 そういう意味では、今回の十―十二月のQEも、非常に私どもにとっては厳しい状況だなということですが、唯一実質のGDPと名目のGDPの落ちというのが同じ数字でたまたまあったということで、そう強いデフレーターの影響はなかったのかしらんというようなことはありますものの、しかし、名目にしろ実質にしろ、やはりマイナスの一・二というのはかなりきつい下げというふうに見ざるを得ませんので、さらに我々にとっては厳しい状況が続いておるということでございます。
 加えまして、今委員がお触れになったような、個別の品目についての消費者の信頼性の問題、あるいは貿易相手国のいろいろな措置というようなことで、本当になかなか厳しい状況が続くんで、気を引き締めて、よく指標を見て、常にアラートの態勢でいなければいけない、このように考えている次第です。
    〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
阿部委員 十五四半期に及ぶいわゆるマイナスがずっと続いておりますし、GDPデフレーターも、今金融大臣少しお触れになりましたが、でも依然として下がりっ放しという状態でありますので、かなり私は事態、もちろんトリプル安の問題は、先ほど株価、債券、もう一つお触れになりました為替、それ自身は、ここのところ、空売りの規制問題もあって一応安定の方向にありますが、でもなお、私は、患者さんでもそうですが、ちょっとよくなったときにどんと悪くなるということがございますので、政府にあっては、気を引き締めて、そしてなおかつ、ぜひとも財務大臣にお願いでございますが、枠にとらわれることがかえって本当の再生を妨げるということもございますので、先ほど私のお願いいたしました点、御検討をいただきたいと思います。
 最後に、税関職員の定員増についてお伺いいたします。
 これも、さきに植田至紀委員が御質問したことをさらに詳しく言及させていただきますが、いわゆる大麻でございますね、大麻の密輸入。全体に今税関の職員が薬物の密輸入を一生懸命摘発しておられる現状というのは、非常に御苦労もあり、また我が国の安全にとって大事なことと思いますが、いわゆる大麻の押収量が八百十八キロ、〇・八トン。先ほどどなたかもお答えでしたが、史上最高に上っております。
 この大麻の押収ということに関して、どういうルートでの、どこでの押収が多いのかということについて、一点お伺いいたします。
田村政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま先生からお話ございましたように、昨年の税関におきます大麻、覚せい剤等の不正薬物の密輸押収量は、大麻が約〇・八トンとなっておりまして、全体でも三年連続して一トンを超える大量押収が続いているわけでございます。
 ルートということでございますと、我が国への大麻の主な密輸ルートは、フィリピン、タイ等のいわゆる東南アジア・ルート、ナイジェリア等のアフリカ・ルート、さらにはオランダ等のヨーロッパ・ルートからが中心でございます。
阿部委員 私の質問が少し不明瞭であったかもしれませんが、私が警視庁の方からちょうだいした資料によりますと、いわゆる地方港を通じて香港、中国と北朝鮮等からも来るいろいろな密輸物の問題、そしてこの大麻の問題、双方に非常に我が国の安全上問題がありというふうに私は麻薬関係で少し情報をいただきました。今おっしゃったようなルートも確かにございますと思いますが、今回特に定員増になりましたのは羽田空港をめぐる職員でございまして、地方の小さな港というところでの密輸問題はまだまだこれは不十分だと思いますが、その現状と御認識についてお聞かせください。
田村政府参考人 お答え申し上げます。
 先生おっしゃるように、確かに近年は地方港をねらいました密輸入事犯の摘発が相次いでいることは事実でございます。昨年も、これは新潟港でございます、もうかなり大口の大麻樹脂の密輸入が摘発されているところでございます。
 お話しの税関の人員配置につきましてでございますけれども、各事務部門全体につきまして、従来から、機械化あるいは重点化等によりまして事務の効率化を図りながら、毎年、業務量の推移や職場の実態等を踏まえ、見直しを行っているところでございまして、今御質問の地方官署につきましても、こうした見直しの中で、大麻等の不正薬物の密輸取り締まりといったことを見きわめながら、税関に課せられた使命の遂行に支障を来すことのないよう、体制の整備に努めているところでございます。
阿部委員 今は、密輸の手口も巧妙化しておりまして、加工品等々の形で出てくることもあるということで、税関職員の万全の布陣ということが、国の安全上極めて重要になると思います。なお担当部局でも適切な人員配置に向けて御努力いただきますように私の方からもお願い申し上げまして、最後に、今の点、財務大臣にも一点、税関職員の、特に地方の港等々、警備が薄くなりがちなところへの配置等についてもお心配りをいただくよう、御答弁をお願いいたします。
塩川国務大臣 私は、もうずっと何遍もこの委員会でも申し上げたと思うのですが、日本の今行政システムの中で、プラン・ドゥー・シーとございますが、仕事は、このシーの関係のところがどうも手不足になっておるということを私は痛感しております。
 その一つとして税関の問題もあると思っておりまして、これはよく政府部内で協議いたしまして、税関の対策なり、あるいは国税対策もそうだと思うのですね。やはり、そこらが不足しておると思っておりますので、十分な対策を講じていきたいと思っております。
阿部委員 前向きな御答弁をありがとうございます。
 これで終わらせていただきます。
坂本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。
吉井委員 私は、日本共産党を代表して、関税定率法案及び関税暫定措置法案に反対の討論を行います。
 反対する理由の第一は、加工再輸入減税制度の対象品目にニット製品を追加することですが、これは開発輸入等の一段の増加で産業空洞化を激しくし、国内地場産業が衰退し、国内ニット産業の倒産など深刻な影響を与え悪循環を深めることになるからであります。
 第二に、石油関係関税の還付制度は、大企業優遇の性格を有するものであり、その延長には反対です。
 なお、本法案には、精製塩の関税率の引き上げ、沖縄振興のための沖縄型特定免税店制度等の延長と拡充、少額輸入貨物の簡易税率引き下げ、中国、シンガポールとのそれぞれの関税緊急措置の導入等賛成できる点もありますが、前述した問題があり、全体としては反対です。
 以上、関税定率法及び関税暫定措置法案についての私の反対討論を終わります。(拍手)
坂本委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 これより採決に入ります。
 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
坂本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、山本幸三君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。中塚一宏君。
中塚委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、国民経済的観点に立って国民生活の安定に寄与するよう努めること。
   なお、関税の執行に当たっては、適正・公平な課税の確保により一層努めること。
 一 高度情報化社会の急速な進展により、経済取引の国際化及び電子商取引等の拡大が進む状況下で、税関における事務の一層の情報化・機械化を図るとともに、従来にも増した執行体制の整備に特段の努力を行うこと。
 一 最近における国際化の著しい進展、相互依存等による貿易量、出入国者数の伸長等に伴う業務量の増大、銃砲、覚せい剤をはじめとする不正薬物、知的財産権侵害物品、ワシントン条約該当物品等の水際における取締りの国際的・社会的重要性にかんがみ、高度の専門知識を要する税関業務の特殊性を考慮し、職務に従事する税関職員の定員確保はもとより、その処遇改善並びに機構・職場環境の充実等に特段の努力を行うこと。
以上であります。
 何とぞ御賛成賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
坂本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。
 本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣塩川正十郎君。
塩川国務大臣 ただいま御決議のございました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分に配意してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
坂本委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四十六分散会


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