衆議院

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第7号 平成14年11月15日(金曜日)

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平成十四年十一月十五日(金曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 林田  彪君 理事 渡辺 喜美君
   理事 江崎洋一郎君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      上川 陽子君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    坂本 剛二君
      田中 和徳君    竹下  亘君
      竹本 直一君    中村正三郎君
      萩山 教嚴君    増原 義剛君
      山本 明彦君    山本 幸三君
      吉田 幸弘君    五十嵐文彦君
      生方 幸夫君    海江田万里君
      小泉 俊明君    小林 憲司君
      佐藤 観樹君    中川 正春君
      永田 寿康君    長妻  昭君
      上田  勇君    遠藤 和良君
      達増 拓也君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君    小池百合子君
    …………………………………
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   参考人
   (株式会社みずほホールデ
   ィングス取締役社長)   前田 晃伸君
   参考人
   (株式会社三菱東京フィナ
   ンシャル・グループ取締役
   社長)          三木 繁光君
   参考人
   (株式会社UFJ銀行取締
   役頭取)         寺西 正司君
   参考人
   (株式会社三井住友銀行頭
   取)           西川 善文君
   参考人
   (社団法人全国地方銀行協
   会会長)         平澤 貞昭君
   参考人
   (社団法人第二地方銀行協
   会会長)         森本 弘道君
   参考人
   (社団法人全国信用金庫協
   会会長)         長野 幸彦君
   参考人
   (社団法人全国信用組合中
   央協会会長)       田附 良知君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
 金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案の両案を議題といたします。
 本日は、参考人に御出席をお願いいたしておりますが、午前の参考人として、株式会社みずほホールディングス取締役社長前田晃伸君、株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ取締役社長三木繁光君、株式会社UFJ銀行取締役頭取寺西正司君及び株式会社三井住友銀行頭取西川善文君の四名の方々に御出席をいただいております。
 参考人各位におかれましては、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉龍司君。
小泉(龍)委員 自由民主党の小泉龍司でございます。
 大変お忙しい中、きょうは、四人の参考人の方々にお越しをいただきました。心から御礼を申し上げます。
 この一カ月、我が国の金融行政は大きく変動いたしまして、まさに金融行政そのものの構造改革が行われたような感がございます。その中で、いろいろな問題に四人の参考人の方々は直面をしておられると思いますけれども、なかなか竹中大臣には十分話を聞いていただけなかったようでございまして、きょうは、そういう思いも含めて、忌憚のない率直な御意見を賜れればありがたいと存ずる次第でございます。
 今回の金融再生プログラムは、繰り延べ税金資産の取り扱いをどうするか、その帰趨に焦点が当たり過ぎて、金融の再生という観点から見た場合、本質的な問題に対する議論が欠落していたようにも私は思います。
 一つは、我が国の銀行業、金融業の体質、構造的な問題、あり方の問題、リスクテークができない体質、これが八〇年代から九〇年代にかけての不良債権処理の問題の根底にあると思うんですね。もう一つは、これはマクロ政策でございますから、きょうお聞きするのはどうかと思いますけれども、デフレが先か不良債権が先かという、極めて基本的な、根本的な問題。三番目に、中小企業への資金供給の確保。そして、きょうマスコミの方も大勢見えていますけれども、経営責任のとり方、特別支援に至った場合の経営責任のとり方、こういう問題があると思います。順次、私も簡潔に御質問申し上げますので、十七分でございますから、簡潔にお答えをいただければありがたいと思います。
 最初に、みずほホールディングスの前田社長にお伺いをいたしますけれども、私は、今日の不良債権問題の根本に、日本の銀行がリスクテークができない、全くしていないとは思いませんけれども、欧米の銀行に比べてその機能が弱い、したがって付加価値が足りない、付加価値が足りないから収益が上がらない、そういう基本的な問題があると思うんですね。
 一つは、マーケットにおいて十分な収益基盤を確保しなかった。アメリカの銀行は、不良債権処理の中で、マーケット部門が収益を上げて企業金融部門の不良債権を処理してきた、こういう経緯がございます。もう一つは、言うまでもなく、土地本位制のもとに組み立てられた与信制度、これを脱却できなかった。この二つの問題ですね。
 主要国の銀行はほぼ同じ時期に不良債権を抱えましたけれども、全部それが解決して、日本の金融機関だけ解決できない。それは、デフレの問題もありますけれども、金融構造、金融機関の付加価値、リスクテークの能力、ここに大きな問題があると思います。
 簡潔に、前田社長のお考えをお伺いしたいと思います。
前田参考人 みずほの前田でございます。
 ただいまの御質問でございますが、私ども、リスクテークができない、リスクテークをする能力が弱くなっているという御指摘は、確かにそのとおりだと思います。ただ、私どもは、不良債権処理を最大限加速しているということは事実でございまして、片方で、リスクテークができない一つの問題点は、やはり利ざやが日本の場合は非常に薄い、こういう構造的なものがございますので、その点、アメリカ、ヨーロッパと直接的な比較は余りふさわしくないと思います。
 ただ、私どもは、リスクテークをしないということではなくて、むしろバブル期の反省を踏まえまして、いかにしたらリスクテークができるかということを中心にビジネスモデルを変えてまいりました。そういう意味で、何とか積極的にリスクテークをしたいと考えておりますので、全力で努力したいと思います。
小泉(龍)委員 その取り組みがおくれているということは、間違いないと思います。
 次に、実体経済、そして金融仲介機能の関係につきまして、三菱東京フィナンシャル・グループの三木社長に、これはどういうお答えが出るか大体想像がつきますが、お伺いをしたいと思います。
 今回の金融再生プログラムは、大きなセーフティーネットを張るということを旨としておりますけれども、突き詰めていきますと、不良債権処理の加速、ハードランディングを日本経済再生への突破口にしよう、こういう考え方でございます。さらに申し上げれば、竹中大臣の言によれば、不良債権処理をすればデフレはとまると、はっきりこの委員会でもおっしゃっておられるわけでございますが、こういう議論は、実はこういうオープンな場で議論は十分にされてこなかった問題でございます。
 さまざまな議論があって、デフレ対策が先か不良債権処理が先か、因果関係はどうなんだという問題点があるにもかかわらず、十分な議論がなされていないという点を踏まえていただきまして、簡単に言いますと、不良債権があるからお金が出ないのか、デフレだから資金需要が乏しくてお金が出ないのか、これは両方あると思いますが、実務の実感に照らしてどういうふうにお感じになっておられるか、お伺いしたいと思います。
三木参考人 お答え申し上げます。
 金融システムに対します信頼を回復すべく不良債権の処理に全力を挙げるということは、私どもは最重要課題として自覚しております。また、取り組んでおるところでございます。
 しかしながら、先生御指摘のように、不良債権の処理はもちろん重要なことでございますけれども、不況でございますと、新たな不良債権が加わってくる、出てくるということがございましてなかなか量が減らない、こういう状況にございます。現在、バブルの後遺症としての不良債権の処理はほぼ終わっていると申し上げてよろしいかと思いますので、やはり中心になっておりますのは、新たな不良債権の発生ということかと思います。
 そういうことで、お尋ねの、不良債権処理が先かデフレの対策が先かということになりますと、これは両方ということでございますが、あえて言わせていただければ、やはりデフレ対策の方が先ではないかなと思っている次第でございます。
小泉(龍)委員 ありがとうございました。
 続きまして、UFJ銀行の寺西頭取にお伺いをしたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、日本の間接金融は、護送船団行政のもとで、とにかく安全確実にやりなさいという趣旨が徹底し過ぎて、一番安全確実なものは土地担保ですね、土地本位制と言われる経済のもとで、土地をとにかく担保にとれば貸す、土地がなければ貸さない。非常に単純な金融仲介機能であったと私は思います。
 アメリカでは、土地というものの価値がかなり変動いたしますから、中小企業金融のあり方を見ておりますと、与信リスク、経営能力あるいは収益構造、こういうものを深く審査いたしまして、格付をして、格付をするだけじゃなくてグループ化をして、同じ与信リスクの確率を持ったグループ企業をつくって、確率計算のもとで与信リスクを管理して、そのリスクに見合う貸出金利を使う、金利の差別化を行う、そういう形で過不足なく中小企業にお金が流れている。これは午後の議論もあるかと思いますけれども、約八千の中小金融機関が、そういう形でマネーセンターバンクと役割分担しながらお金を流しているんですね。
 寺西頭取にお伺いしたいのは、この十月に、中小企業向け貸し出しの目標額に達しなかったということで、金融庁の業務改善命令を受けられたばかりでございまして、恐らく今いろいろな考え方で、新しい、そういう取り組みを考えておられるのか、どういう取り組みをされておられるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
寺西参考人 お答えをいたします。
 先ほど先生からお話がございましたように、金融庁から中小企業貸し出しの残高未達、達成未達ということで業務改善命令を受けたことは、非常に重く受けとめてございます。ぜひ今年度は、何とか全力投球で頑張ってまいりたい、このように思っております。
 今御質問のあった点を少し具体的にお答えをしてまいりたい、このように思います。
 一つは、収益力の強化あるいは財務体質の改善の強化といったものに最も重要なのは、先生がおっしゃいましたように、リスクをきっちりとっていく、そのとったリスクをコントロールしていくということではないかな、我々もこういうことを考えておりまして、これを行内に浸透させているところでございます。
 具体的な商品といたしまして我々が力を入れておりますのは、ある意味で証券化の手法を使いまして、中小企業向けのローン、貸し出しでございますけれども、それを一つのパッケージにまとめまして、証券化して、一まとめで投資家に販売するような仕組み、我々はこれをCLOというような呼び方をしておりますけれども、そういったものを活用して、低金利の提供が可能な新しい形の融資をこの八月にスタートさせまして、上期には一千億円程度の中小企業向けの融資にこぎつけております。
 また、新規株式公開を展望するなど、ある意味で将来有望であるけれどもリスクが高いような事業を行っている成長会社に対しまして、なかなかこのリスク判断が難しいものですから、本部の専門セクションで事業力を評価して、貸し出しが実行できるような、そういった工夫もこの九月から行っております。
 さらには、これも先生おっしゃいましたけれども、貸し出しが小口分散しておればロスは一定の確率の範囲内におさまる、こういうことだろう、こう思っておりまして、こういった点に着目しまして、ある意味でポートフォリオ管理手法を活用した無担保のファンドを新設するよう今検討しておりまして、その際、また現場への権限委譲も思い切って行って、リスクテークの抜本的な強化を行い、中小企業の資金ニーズに一層こたえてまいりたい、このように考えております。
 今後とも、積極的なリスクテークと高度、多様な金融サービスの提供でお客様のニーズにこたえてまいりたい、このように考えております。
 以上でございます。
小泉(龍)委員 ありがとうございました。
 時間がありませんので次へ参りますが、三井住友銀行の西川頭取にお伺いしたいと思います。
 金融再生プログラムによれば、資産査定の厳格化と引当金の積み増し、これが求められます。新聞等の報道によれば、大手行は海外向け債権の削減とか、あるいは貸出債権の流動化、証券化、転売、こういうものを進めながらリストラ計画を前倒しする、こういう報道がございます。
 今までのリストラ計画というのは、給与あるいはボーナスの一律カット、人員の削減、そういう非常に機械的なやり方で考えてこられたわけでございますけれども、金融業という国際競争力が必要な分野で、年功制のようなそういう給与体系が本当に必要か。さらに言えば、民間企業の方々からは、銀行員の給与がとにかく高いと。貸し渋り、貸しはがし批判があるのも、その給与水準の問題というのが非常にベーシックに世論に影響を与えていると思いますね。
 年功制を抜本的に見直す、業務手法を考える、そういう踏み込んだリストラ対策、リストラ計画について、簡潔に、時間があと三分でございますから、一分以内でお答えいただければありがたいと思います。
西川参考人 お答えいたします。
 ただいま先生から年功制を廃止しろという御指摘がございましたが、私どもの給与体系は既に年功色を一掃いたしまして、職務内容に応じた成果主義というものを徹底いたしております。これによりまして、相当大きく変わりました。
 そしてまた、もちろん、人員削減あるいは店舗の削減といったことも合理化のために必要でございます。こういったことは、従業員につきましては、私ども昨年合併いたしまして一年半たつわけでございますが、合併の直前、しばらく前は四万人いたわけでございます。現在既に二万四千人台になっておりまして、約一年後には二万人という体制を目指しております。店舗にいたしましても、八百店舗あったものが、来年春には四百店舗ということになります。
 こういったように徹底したリストラをやっておりまして、総経費におきましても、ピークは年間八千億円でございましたが、それを二千億削減ということでございまして、リストラの効果は随分上げてきていると思います。この点はぜひ御理解をいただきたいと思います。
小泉(龍)委員 ありがとうございました。
 最後に、経営者の責任についてお伺いをしたいと思いますが、九九年の公的資金導入のときは、金融機能早期健全化法に基づく健全行への注入、告示に基づいて役職員の数だけ制限すればいいということで、経営者御本人、経営者そのものの責任は不問に付されたわけでございます。
 今回、どういう形で特別支援が行われるのか、公的資金が入るのか、スキームをつくるのか、預金保険法に基づくのかわかりませんけれども、いずれにせよ、早期健全化法に基づくものでないとすれば、経営者の責任についてはこれから深い議論が行われます。
 九九年に、三和銀行の佐伯頭取はこういうふうにおっしゃっております、公的資金が傷ついたら経営責任はあるだろう。また、旧富士銀行の山本頭取は、経営健全化計画が実行できない場合はトップが責任をとるのは当然と理解していると。
 この先輩の、二人の頭取の発言を踏まえられまして、前田社長それから寺西頭取に、経営者責任のとり方について、そのお覚悟をお聞かせいただきたいと思います。
前田参考人 私どもみずほグループといたしましては、この四月に、新しい経営陣のもとでより強い金融グループを目指しまして、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行を含むみずほ中核四社体制の特性を生かしたビジネスモデルを確立すると同時に、早期健全化法の目的にのっとり、不良債権処理を促進し、財務体質の強化に努め、公的資金の返済に全力で取り組んでいくことが私に課された責務と考えております。
寺西参考人 健全化計画をきっちりと遂行し、最終的に公的資金を毀損することなくお返しすることが経営者としての責務である、このように認識をいたしております。
 当時の頭取の佐伯は、万が一にも国民負担を発生させるようなことのないよう責任を持って経営をしていくという覚悟を示したものと私は理解しております。当然私も同様の覚悟でございます。
 以上でございます。
小泉(龍)委員 大変ありがとうございました。質問を終わります。
小坂委員長 次に、佐藤観樹君。
佐藤(観)委員 きょうは、参考人の皆さん方には、大変お忙しいところ御苦労さまでございます。
 傍聴席を見ていただきたいんですが、大体財務金融委員会が、こんなに傍聴席が込むということはめったにないことでございまして、それぐらい国民の皆さん方も大変関心が深いというあかしでございまして、ぜひ、一番注目のところでありますから、たびたびひとつお越しをいただくように冒頭お願いをしておきます。
 そこで、大変重大な時期に入ってきました。というのは、きのう、御承知のように、UFJさんとそれからみずほさんはストップ安、それから三井住友銀行さんもバブル以来最安値をつけるという状況になっております。
 それで、これはもちろん、日本経団連の会長がどう言ったとかいうことも直接的に市場を刺激したということもあるかと思いますけれども、竹中さんが改造内閣で金融担当を兼ねるようになってから、わずか一カ月半の間に皆さん方のところの株価が四分の一になっている。確かにきのうは、全体もバブル後最安値の八千三百三円でございましたか、つけるという、しかも二日連続最安値。全体的にも下がっておりますが、銀行株も大変下がっておるという状況で、これは、後から申しますが、銀行の今までのビヘービアというもののツケが来ているんじゃないか、後で具体的に申し上げますけれども、という感じがいたします。
 OECDの会議でも、日本の不良債権処理を速めるようにという督促が出ているわけでございますが、後の質問の関係から、三井住友の西川参考人に経済人として、一般論でいいんです、細かいことは。きのう、おたくの銀行の株価がさらに安くなっているということについて、経済人としてどういうふうにお考えになっているか、お答えをいただきたいと存じます。
西川参考人 お答えいたします。
 ただいま株式市場は大変不安心理に包まれておるように感じます。金融再生プログラムが先月末に発表されたわけでございますが、その内容につきまして、まだ、検討するとかあるいは要請するとかいったような表現にとどまっておりまして、具体的にどういうことになるんだということがはっきりとしない。今金融庁の方で金融再生プログラムに基づきまして工程表を策定中というふうにお聞きしておりますが、その具体的な内容がはっきりしない。
 したがって、我々銀行サイドも、どういうふうに対応するか、いろいろ対応策は我々としても考えておりますが、それをどう具体的に対応していくか、そしてそれをどう打ち出していくかといったところが今できない。したがって、まだマーケットにおける不安心理を払拭することができない状況であるというふうに私は認識をいたしております。
 早く我々の、再生プログラムに基づくメッセージをマーケットに発していきたいというふうに考えております。
佐藤(観)委員 ありがとうございました。
 確かに、産業再生機構というものが発足するのは来年の四月ということで、私たちもこれから、どういうものは再生して、どういうものはRCCに送るのか、どういう仕分けをするのか、その他の法案もいろいろありますから、確かにそういう意味での、西川参考人が言われましたように、いわば政府の対策の空白時間というのが今あるということで、それはなるべく縮めることを我々は求めていかなきゃならぬのじゃないかということは私も同感するところであります。
 次に、先ほども御質問ございましたけれども、UFJとあさひ銀行の、ちょうどきょうが十五日でございまして、業務改善命令が出されて、きょうまでに中小企業向けの融資につきまして改善案を出すことになっております。一々細かくは聞きませんけれども、しかしいずれにしろ、UFJの寺西参考人、二兆五千億中小企業向けが減った、本当は五百億ふやすという話が、減っている。あるいはあさひさんも一兆四千億と。ちょっと数字がこれは大き過ぎるんじゃないかという感じがします。
 僕は両方に聞きたいんですが、時間がありませんからUFJの寺西さんにお伺いしたいんですが、先ほども御質問ありましたけれども、週刊ダイヤモンドでは、いや、今は余り設備投資その他が停滞しているから求めが余りないんだというようなことも言っていらっしゃいます。それも一部正しいかもしれないけれども、それでは、今後、きょうで改善命令に基づいて出した皆さん方の改善案、これから三カ月に一回ずつ金融庁にチェックされるようになっておりますが、一体、中小企業向け貸し出しというのをどういうふうにふやしていこうとしているのか。
 帝国データバンクによりますと、半年で九千件の倒産、これが三年続いているんですね。九千件、半年ですよ。その中には、全部がおたくだとは申しませんけれども、かなりの部分、おたくもあるのではないか。こういうことを思いますと、これから中小企業向けに実際にどうやっていくのか。これからは支店にもちゃんとそのことを徹底して、本気になってやるのか。二兆五千億という数字を考えますと、ちょっと金融庁をなめているんではないか、本当にやる気だったんだろうかと言わざるを得ないのでありますが、きょうの出された改善命令に対する答えではどういうふうになっておりますか。
寺西参考人 お答えをいたします。
 今回の業務改善命令は、十三年度の中小企業向け貸し出しの計画未達などを理由にちょうだいしたということでございまして、このような処分に至ったことを極めて遺憾と考えておりますし、真摯に受けとめなければならない、このように考えております。先生御指摘のように、実績が目標を大きく下回ったことにつきましては、私どもの努力が不足していた、努力が至らなかったと大いに反省をしているところでございます。
 しからば、今年度どうやってやっていくのか、こういうことでございます。少し細かな話になりますけれども、具体的にお話をしてみたいと思います。
 一つは、健全な中小企業の資金需要によりきめ細かく対応できるように、本部によります営業店支援の強化を図っていくということとともに、新規専担というんでしょうか、新規獲得だけを組織の目標にしました専担部署といったものを首都圏に十一カ所設置いたしまして、行内の取り組みを本格化いたしております。
 また、先ほど少し申し上げました、証券化を用いた手法によりまして、金利の安いファンドが提供できるように新たな固定金利ファンドを創設するなど、サービスの面、商品の面の拡充にも努めております。先ほど申し上げましたように、我々、これをCLOと呼んでおりますけれども、前期で一千億程度の貸し出しができたということでございます。
 さらに、今後、高度なポートフォリオ管理を活用した無担保のファンド等を新設して、通常の本部への書類審査といったものを不要にするなど現場への大胆な権限委譲によりまして、中小企業の資金ニーズに的確に、迅速に対応できるような体制、さらにはリスクテークする力を抜本的に強化して何とか頑張ってまいりたい、こういうふうに思っております。
 こうした施策を切れ目なく行うことによりまして、経営者として責任を持ってこういう施策を展開してまいりまして、健全化計画の達成に向けて懸命の努力を重ねてまいりたい、このように考えております。
 以上でございます。
佐藤(観)委員 これからは三カ月に一遍ずつ金融庁から我々も、中小企業向けの融資につきまして知らせてくれることになりますから、ひとつ、今頭取が言われたことがそのとおりになっているかどうか、大変な金額ですからできるのかなというふうに思いますけれども、答弁は答弁として受けておきます。
 中小企業には貸し渋り、貸しはがしというのが大変激しいんですけれども、大手には気前がいいですね、銀行というのは。一番最近の藤和不動産の例、二千三百億円、エクイティーもありますけれども二千三百億円債権免除。要するに、徳政令と同じで、上げちゃうわけですよね。大変気前がいい。
 これは、実は頭取のものじゃなくて、本当は我々が全部金利をもらわなきゃいかぬお金なんですよね。しかも、この藤和不動産の場合には、三年前にもまけてあげているんですよね。合計五千百億円。五千百億円返さなくていいというんですから。借りている金額が、あなた、有利子負債額が六千何百億のところを五千億円返さなくていい。我々もひとつ、ローン、払うものがあったら、全部やってもらいたいですよね。ダイエーは、あなた、有利子負債額一兆七千億あったのを一兆二千億。それから、大京がほぼ五千百億。大きな企業には大盤振る舞いの債権放棄。
 きょう実は、この前の委員会で同僚委員が言いまして、五千百億円まけてあげるなら、中小企業に一億円ずつまけて、そして五千百の中小企業を救った方が雇用の安定につながりますよと。この藤和不動産なんというのは、藤和不動産の人には申しわけないが、五百人ちょっといるだけなんですよ。五千百の中小企業を救ってごらんなさいよ、どれだけ失業率が少なくなりますか。そうしたら、全部、議員の皆さん方、拍手喝采ですよ。そういう雰囲気なんですよ、今。(発言する者あり)出てくるでしょう、ほら。
 本当にこういうことでございまして、しかも三年前に出した再建計画がうまくいかなくて、また再建計画。一体、銀行の経営者というのはこういう再建計画というのは信じるんですか。信じる方が正しいのか、信じない方が正しいのか。だます方が悪いのか、だまされる方が悪いのかという論理ですよね。庶民の感覚からいうとそういう感覚であります。
 これは、細かく言えば、法的処理よりもこちらの方が安いんだとかいう、いろいろあるでしょうけれども、二度もこんなことをやっているから、銀行の資本はどんどん毀損して、そしてもう八%があるかないか、いろいろな問題がありますけれども、あるかないか、だんだん経営は悪くなってきて今の事態を招いたんじゃないですか。私は、ツケがここに回ってきたということを申しましたのはそのことでございまして、弁解がございましたら、簡単で結構でございますから、お伺いします。UFJの寺西さん。
寺西参考人 お答えをいたします。
 先生御指摘のように、二度目の金融支援が必要になったということは大変重く受けとめております。
 九九年には再建計画の妥当性を十分に吟味した上で必要かつ十分な金融支援を実施した、このように考えておりますけれども、その後、不動産価格の断続的な下落、あるいは減損会計の導入といったことによりまして、財務内容の抜本的な改善なくしては市場の信認が得られない、こういうふうに判断するに至り、今般、再度の支援要請があったものでございます。
 当行としても、この今般の新経営計画、きっちりと吟味して、その妥当性といったものも厳しくチェックしながら金融支援を検討していきたい、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
佐藤(観)委員 こういうものの経営責任はどういうふうにとられるのか、それから、救ってあげるところと救ってあげないところとはどういうことで仕分けをするのか、今度は産業再生法のときもそのことを問題にいたしますけれども、申し上げておきます。
 最後に、ペイオフがあったときには、全部、草木もなびく東京三菱銀行ということで、他の銀行から見ればうらやましくてしようがない銀行で、日本一いいというふうに国民の皆さんは思っているだろうけれども、ことしの四月の二十四日に、同僚の海江田議員が、三木社長に対しまして、変額保険の問題で被害者が大変出ている、これについて質疑がございまして、よく事情を勘案をいたしまして、相手方の事情も考えて、十分そういうふうに対応しますという答弁が三回されております。
 ところが、半年たちましたけれども、実際伺ったのはおたくの銀行の方じゃなくて代理人、いわば弁護士なんですね。弁護士ということは、要するに法律的にただ取るだけの話でございまして、これは、結局、ここで答弁したことは何にも意味がないということになるんじゃないですか。
 これは、私、質問者と東京三菱の問題というだけじゃなくて、委員会の質疑自体が大変むなしい、意味がない、議会侮辱罪というのがあったらそれに等しいようなことでございまして、海江田議員がかなり長い時間やっておりましたこの変額保険の問題、ちゃんとやってもらえますように、ちゃんと個々の、具体的に名前もございますけれども時間がございませんので、山田雅之さんほか、この変額保険の被害者の方が随分いますので、これはおたくが、銀行の方が誠意を持ってひとつ答えていただくように申し上げておきます。どうぞ。
三木参考人 お答え申し上げます。
 個人の方はお一人お一人が事情に差異がございますので、お話をよく伺うということで組織的に対応いたしております。また、案件によりまして、担当ラインを通じてそれは私のところへも届くようにはなっております。
 ただ、全部が全部おっしゃるとおりというわけにいかない場合もございますので、一生懸命お話し合いをさせていただいておりますが、さらにこれがなかなか難しい場合には、公正な第三者ということで、弁護士さんあるいは裁判所ということを通すということもございますが、おっしゃいましたようにすべて弁護士が対応しているということではございませんで、今後ともよく御事情を伺いまして対応してまいりたいと思います。
佐藤(観)委員 これで終わりますけれども、この前の答弁と同じですよ。
小坂委員長 時間が来ております。
佐藤(観)委員 その後、行われていることは、競売なり、保険の差し押さえなり、家賃の差し押さえなり、身ぐるみはいでいるというのが実態ですよ。
小坂委員長 佐藤君。
佐藤(観)委員 あなた、公正というけれども、あなた側の代理人というのは弁護士で、それは公正じゃないんですよ。そのことを申し上げて、終わります。
小坂委員長 次に、石井啓一君。
石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。
 まず、不良債権処理の加速化に伴う問題についてお伺いいたします。
 各参考人にお伺いいたしますけれども、今回の不良債権処理の加速化に伴いまして、中小企業の金融環境が著しく悪化するようなことがあってはならない、このように考えます。特に、公的資金注入行については、中小企業向け貸し出し目標を経営健全化計画の中できちんと位置づけられていらっしゃるわけでございますから、今回の不良債権処理の加速化に伴い、中小企業への貸し渋りや貸しはがしが行われるようなことはよもやあるまいというふうに考えますけれども、この点について確認をいたしたいと思います。
前田参考人 お答え申し上げます。
 不良債権処理の加速は、私どもは、経営の課題として最優先でもちろん行ってまいりますが、中小企業に対するお貸し出しも、これは銀行の使命そのものでございます。全力で取り組んでまいりたいと思います。
三木参考人 お答えいたします。
 今前田社長おっしゃったとおりでございますが、それに加えまして、私ども、ただいま貸し興し運動ということで、健全な中小企業に対しまして貸し出しを積極的にするよう進めております。
寺西参考人 お答えをいたします。
 私どもは、中小企業を含むミドル、リテールといった分野は最重要な顧客層、こう位置づけておりまして、従来よりも資産の積み上げに積極的に取り組んでおり、今後ともその方針に変わりはないということを申し添えたいと思います。
 以上でございます。
西川参考人 私どもにとりましても、中小企業向け貸し出しと申しますのは企業向け貸し出しの約七割を占める大変重要な部分でございます。この分野での積極的な貸し出しということに心がけてまいりたいと思いますし、そのために新商品の発売、さらに職員の教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
石井(啓)委員 今各参考人より大変前向きな答弁をいただきました。特に、貸し興しという新しい言葉もいただきまして、これはぜひ、言葉だけでなくて、行動を伴って実行していただきたい。いずれ結果が出るわけでございますから、改めてその結果についてはお尋ねをいたしたいと思っております。
 続きまして、今回、金融再生プログラムの中では、資産査定の厳格化、あるいは自己資本の充実、銀行のガバナンス、こういう三つの大きなテーマがあるわけでございますけれども、とかく自己資本比率を維持するために資産圧縮を行わなければならない、こういう発言がございましたですね、従前。
 私は、そういう後ろ向きの対応ではなくて、自己資本が少なくなるような事態があったとしてもそれは市場で自己増資できるような、そういう前向きの対応でなければならないというふうに思うんですね。
 すなわち、市場に信認を得られるような銀行の経営改革、具体的に申し上げれば、不良債権処理の具体的な処理計画なり、先ほども指摘がございましたけれども大胆なリストラの計画なり、あるいは収益力が低いといろいろなところから指摘されていますその収益力強化のためにどういう具体的な取り組みを行うのか。やはりこの際みずから銀行経営を改革していく、そういう前向きな対応で今回のこの金融再生プログラムにぜひ対応していただきたい、このように思いますが、この点について、各参考人からお聞きしたいと思います。
前田参考人 お答え申し上げます。
 私ども、資産の圧縮につきましては、これは資産全体のポートフォリオの入れかえをやるという意味で考えておりまして、ただ圧縮をしようということではございません。特に、流動化等をいたしまして、お貸し出しはしながら、かつ資産の回転性を上げる、そういう施策で行っておりますので、そういう意味では、ややマスコミ等で一方的に圧縮するとかそういうぐあいに書かれているのは、ちょっと私ども、そういうことではございませんということを申し上げたいと思います。
 それから、資本の調達でございますが、私どもことしに入りまして二回行っております。自力で、必要な場合には調達をしたいと思います。
 以上でございます。
三木参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、前向きな施策によりまして金融システム安定を図るべく努力するというのは、そのとおりだと思います。
 私どもといたしましては、資産を今圧縮するという、特にそういう計画はございません。やはり我々に課せられました課題は、不良債権の処理ということが一つと、それからもう一つは収益の増強ということでございまして、その一つとして貸出金利の適正化ということにも取り組んでおりますけれども、フィービジネスを上げる等々で収益力を上げる、一方で経費を削減するということで体力をつけて、産業のために役立ちたい、かように思っております。
寺西参考人 お答えをいたします。
 経営改革といったものをどうやって進めるんだという御質問の趣旨だろう、こう思っておりますが、私どもとしましても、リスクをきっちりとコントロールした上で積極的にとっていく、あるいは多様なサービスの提供によりまして収益源の増強、多様化を図っていくという観点で、前向きな経営改革に取り組んでございます。
 実際の成果としても、お取引先に対しまして行内格付を開示していくという新たな試みによりまして、リスクに応じました貸出金利の設定が着実に進んでおりますほか、法人部門におきまして、九九年では法人部門の収益に占める非金利収入の比率が一八%程度でございましたけれども、これが〇二年上期には二七%まで上がってきているというようなことで、改革のピッチの手ごたえを感じております。
 リストラにつきましても、経営健全化計画を上回るピッチで進めているところでございまして、ぜひ、市場の評価はなかなか厳しいものがございますけれども、不良債権の処理、こうした経営改革の取り組みを一段とスピードアップしてまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。
西川参考人 お答えいたします。
 私ども、先ほど小泉先生の御質問にお答えいたしましたように、リストラ効果によりまして収益の底上げを相当強くできるようになってまいりました。加えまして、各分野における業務改革を徹底いたしまして、ビジネスモデルそのものを転換していこうということで、ただいま努力をしておるところでございます。
 これらによりまして収益力はかなり上がってきておりますので、これを背景といたしまして、マーケットにおける資金調達というものをチャンスをとらえて進めてまいりたいと考えております。
石井(啓)委員 今回の法案では、ペイオフ解禁の二年間の延期と、それから決済性預金の全額保護という措置がとられたわけでございます。
 当初の金融庁の案では、二年間ということではなくて、決済性預金の保護ということで、ただし各銀行のシステム開発もあるだろうから数カ月程度の延期、五カ月程度というようなこともありましたけれども、そういうのが当初の案でありましたが、その後、不良債権処理の加速という新たな事態が出ましたので、不測の事態が起きないように二年間、こういうことになったわけでございます。
 そこで、一つは、二年間延期とはいえ、新たな決済性預金の提供ですね、当座預金を使いよくするか、あるいは金利ゼロの普通預金をつくるか。こういう新たな決済性預金については、二年間延長されたとはいえ、それは二年後ということではなくて、これはなるべく早くシステム開発も進めていただきまして預金者の皆様に御提供をいただきたいということと、今回、十六年度末までに不良債権の問題を終結させるということとこの決済性預金の保護ということがあれば、これ以上のペイオフ解禁は必要はない、こういうふうに考えますが、その二点について、各参考人から伺いたいと思います。
前田参考人 お答え申し上げます。
 ペイオフの二年延期ということにつきましては、これは政治的な御判断をされたんだと思います。私どもはそれに従いたいと思います。
 それから、決済性預金につきましては、これは法案等が通った後に、どういう詳細な、預金の中身がどうなるのかというのを拝見した上で準備をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
三木参考人 お答えいたします。
 私どもは、ペイオフ解禁は来年の四月から行われるという当初予定がございましたので、それに備えて実際には準備してまいりました。今、前田さんおっしゃいましたように、政治判断で延びたんだと思います。
 現在、法案がこれから審議されますので、内容がはっきりしません現在、まだ私ども、具体的に流動性預金についての取り上げについて決めてはおりませんけれども、これは大変、お客様への御理解をいただく、それからシステム面の問題がある、商品性をどうするか、そういうような問題がございますので、その辺十分御審議いただいて、決まりました上で判断したいと思います。
寺西参考人 お答えいたします。
 いずれにせよ、十七年四月までに利息のつかない普通預金の新設といったことが必要になってくるということでございますけれども、このためには、システム開発をきっちり間に合わすということが一つございますし、また、預金者の皆様への十分な告知といったものも必要だろう、こういうふうに思っておりますので、そういった意味で、きっちりとこの二年間を使って遺漏がないように取り組んでまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。
西川参考人 お答えします。
 私どもも、来年四月からペイオフが全面解禁されるということを前提に準備を進めてまいりました。二年延期ということになりましたが、決済性預金につきましてはただいま御審議中でございますので、その御審議の動向を拝見しながら、我々も対応を考えてまいりたいというふうに考えております。
 やはりシステムの問題、それからお客様に混乱が生じないように、わかりやすい格好で商品をつくっていかなきゃならない、告知をしていかなきゃならないというふうに考えております。
 以上です。
石井(啓)委員 それでは、最後の質問になりますが、今回、産業再生機構という新たな構想が提起をされました。この仕組みにつきましては、今後検討がなされるということでございますから、まだ詳細な、仕組みを踏まえた上での御答弁は期待はできないわけでございますけれども、少なくとも、政府が産業再生にいよいよ乗り出すということの構想に対しまする評価、あるいは、銀行としてこれに対する要望等があれば、この際お伺いをいたしたいと思います。
 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、代表して前田参考人それから寺西参考人、お二方に御答弁をいただきたいと思います。
前田参考人 お答え申し上げます。
 産業の再生に関する機構ができたということは、私どもは大変にいいことだと思っております。
 お願いしたいことは一点ございまして、再生の可能性を判断する過程で、企業間信用が収縮したり、また信用毀損が起きたりすることのないよう、格別な配慮が必要だと思います。
 以上です。
寺西参考人 お答えをいたします。
 具体的な業務内容を設立準備室で検討するということでございますので、今後の議論に注目をいたしたい、こう考えておりますけれども、聞き及びますと、個別企業の再生のみならず、産業の再生も視野に入れた企業の再生策を樹立、実行するということのようでございまして、資源の再配分を進め、経済の活性化に資する施策として高く評価したい、このように考えております。
 私どもも、まだ詳細が決まっておりませんので、具体的な要望をする段階にはございませんけれども、当初の政策目的が果たせるように、民間として建設的な提案を行ってまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。
石井(啓)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 自由党の中塚です。各位におかれましては、御苦労さまでございます。
 まず、再生プログラムについて伺いますが、きょうお越しの四方は、みずからの金融機関に、もちろん健全であるという自信をお持ちだろうというふうに思うんですね。きょう、竹中金融担当大臣は閣議後の会見で、金融機関の健全性に問題はないというふうにお答えになっているようです。
 東京三菱の三木社長に伺いますけれども、であるならば、なぜこういう金融再生プログラムというものが発表をされなければいけないのか。発表される、その背景となった事情について、御意見いかがでしょうか。
三木参考人 お答え申し上げます。
 背景についての御質問でございますけれども、我が国の、日本経済にとりまして重要なことは、やはり不良債権の早期処理ということと、それからデフレ対策、この二大案件だと思うわけでございます。
 その中の一つ、不良債権について加速するという重要性にかんがみ、また小泉首相が、十六年度までに不良債権問題を終結させるという意向を表明されました。そういうことを受けて、この問題は十月に論議されたものと思っております。
中塚委員 健全なら、別にこんなものは必要ないわけですよね。健全である、皆さんも健全であると言う、大臣も健全だと言う。前の柳澤担当大臣も、健全だ、問題ない、ペイオフ解禁するとおっしゃっていた。そういう中で、こういう金融再生プログラムというのがぼこっと出てきた背景。
 今お答えの中にも、不良債権の処理ということがありましたが、次に、UFJ銀行の寺西頭取にお伺いをいたしますけれども、こういうものが出てきた背景には、やはり過剰債務企業というものが大変に多いということが言われている。特に、銀行が取引先に過剰債務企業をたくさん抱えているというふうな事情がある。それが不良債権問題ということにもなるわけなんですけれども、UFJ銀行は、そういう過剰債務企業というのが多いというふうにお考えになっているのか、そしてそれを抱えて、やっていけるというふうにお考えになっているのか、いかがでしょうか。
寺西参考人 お答えをいたします。
 私どもグループで、昨年度、約二兆円に上る不良債権処理を行いました。過剰債務を抱えて経営に問題がある先に対しましては、そういった中で、再建計画を立て、金融支援を検討してきたわけでございまして、大口先に対する支援といったものはほぼめどをつけた、こういうふうに我々認識しております。
 以上でございます。
中塚委員 さて、その過剰債務企業というのを皆さん方が抱えて、やっていける、めどをつけたというふうにお話しになる。その一方で、今度、産業再生機構というものが金融再生プログラムの中に盛られているということですが、これは三井住友銀行の西川頭取にお伺いをしたいんです。
 私は、この産業再生というのは銀行の本来業務だと思うんですね。要は、貸した先にもうけてもらって、そこで利益を銀行としても得るということ、つまり、銀行の本来業務のはずなんですね。ところがそれが銀行にできないから、じゃ、国が引き取ってやりましょう。果たして、この産業再生機構というのは本当にうまくワークするのか、機能するのか、そこについてどういうお考えをお持ちでしょうか。
西川参考人 お答えします。
 企業再生と申しますのは、先生御指摘のように、これはやはり銀行並びに当該企業との間で自主的に、自己責任において進めていくというのが基本だと思います。したがって、公的関与というものがどういう形で行われるのか、ここのところが、自己責任でやるというその基本との関係において、どうクリアしていくのかというところがやはりポイントだろうと思います。
 端的に申しますと、まずは企業再生が可能かどうかの判断、これが出発点であるわけですが、これはなかなか一律的な基準に基づいて判断できるものではない。この点について公的関与が行われるということになりますと、ややもすれば、曲がった方向に行きかねないという危惧の念がございます。したがいまして、こういった点を、やはり機構設立に際して、十分な議論が行われるということが必要ではないかというふうに考えております。
中塚委員 曲がった方向というか、私は利権の温床にもなりかねないというふうに考えておりますけれども。
 次に、みずほホールディングスの前田社長にお伺いをいたします。
 共同記者会見の席上で、銀行みずから、この再生プログラムで貸し出しの圧縮が起きるというふうに発言したというふうな報道等ありましたが、再生プログラムに対する賛否はこの際別にして、このプログラムの中には、資本が不足するんだったら公的資金を使うという提案もあるわけですね。そういう提案もあるんだったら、資産圧縮しなきゃいけないんだったら公的資金を使えばいいんじゃないんでしょうか。それを、みずから、貸し出し圧縮するというふうに発言するという、その背景には、銀行の役割というのはどういうふうにお考えになっているのがあるんでしょうか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 この報道されておりました部分は、これは要するに、この当時は、ルールを見直して、繰り延べ税金資産の自己資本への算入を一割以内に制限するというような案が報道されておりまして、このようなことをいきなり、例えばこの三月末にするということになりますと、私どものグループでは、増資を二兆円するか、もしくは資産圧縮が三十兆円必要であるということを申し上げたわけでございまして、資産圧縮をしたいとか、そういうことではございません。
 それから先ほど申し上げましたとおり、私どもは資産の回転性を上げるとか資産の中身を入れかえるとか、こういうことは私ども経営の課題でございますが、圧縮をするのが目的ではございません。私どもは、お金をお貸し出しするのが金融業の本業だと考えております。
 以上でございます。
中塚委員 それでは、お金を貸し出すのは金融業の本業だというお話だったんですが、これは前田社長、もう一度、それとあとUFJの寺西頭取にも伺いたいんですが、そういうことであるならば、公的資金の活用というのはためらう理由はないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 私どもは、既に公的資金を注入いただいておりまして、これをいかに早く返すかというのは経営課題でございます。独力で自己資本の調達も行っておりますので、安易に公的資金に頼るような経営をしたくないということでございます。
 以上でございます。
寺西参考人 お答えをいたします。
 私どもは、現行ルールにのっとって厳格な資産査定、引き当てをした上で十分な自己資本比率を確保している、こういうふうに考えてございまして、一方で、健全な資金需要に対する対応といったものも行っておる、こういうふうに考えてございます。したがいまして、現時点で公的資金によるさらなる資本充実といったものは必要ない、このように考えております。
 以上でございます。
中塚委員 不良債権処理というのは本来金融機関が自分の収益でやるのが当然のことですから、不良債権処理の問題の本質というのは、やはり銀行の収益力回復ということになっていくはずなんですね。だから本来は、税金で埋めるとかいうこと自体おかしい、やはりちゃんと銀行がもうかるようになっていかなきゃいけないということなんだろうと思うんです。
 さて、今後の収益力の向上ということについて東京三菱の三木社長にお伺いをしますが、収益力の向上というのをどういうふうに達成されていかれるおつもりなのかということと、それを外部にはっきりと伝えることができるのかどうかということについてお伺いをします。
三木参考人 お答え申し上げます。
 収益力の向上というのは、先ほど申しましたように、不良債権処理と並んで二大課題というふうに強く認識しております。
 収益力の向上につきましては、私ども経営統合いたしまして、今、三菱信託銀行と東京三菱銀行が一つの経営統合しているわけでございますけれども、そのシナジー効果を発揮するということを一つは考えております。それから、やはり貸し出しの金利でございますけれども、これがリスクに応じた、信用力に応じた金利というものが今までなかなかちょうだいできなかったという点がございますので、その辺。それから、先ほど貸し興し、申しましたけれども、ボリューム面。それから、フィービジネス、こういったものの充実、こういったことでの収益向上。それから一方、コストの削減でございまして、種々リストラに努めているところでございます。
 そのようなことを外へ発表するかということでございますけれども、中期計画を作成いたしまして、こういったことはIR、それからその他外部へのそういう機会を設けまして、アナリストの方、株主の方に公表しているところでございます。
中塚委員 特に今リストラのお話なんかありましたけれども、今でも公的資金を活用になっていらっしゃるわけですが、そういう中にあって、やはり高い人件費を払っているんじゃないかという民間からは厳しい指摘、ほかの業種からは厳しい指摘があるわけで、IRというとそれは専門家向けの話なんですが、そうじゃなくて、普通の人にもわかりやすくきちっと伝えていくという努力が必要なんだろうというふうに思います。
 次に、三井住友の西川頭取に伺いたいんですが、今回の再生プログラムですけれども、主要行というか大手行向けの案になっておりますけれども、地方銀行以下は入っていないわけですね。金融システムというのが公的インフラである、だからこそ資本注入等も金融機関に限っては話題になる、政策の選択として上がってくるということになるんですが、そういう意味では、大手、主要であろうと、あるいは地銀、第二地銀、信金、信組であろうが、金融システムという意味では変わらない、私はそう思うんですが、この金融再生プログラムというものが主要行を対象に考えられているということについてはどういうふうにお考えでしょう。
西川参考人 お答えいたします。
 確かにこの金融再生プログラムは主要行が対象ということになっておりますが、これは当然他の金融機関にも同様に考えられるべきものであろうかと存じます。しかし、その間に中小企業への配慮ということもあって、恐らくただいまは主要行に限られておるということであろうかというふうに私は推察をいたしております。
中塚委員 それでは次に、みずほホールディングスの前田社長にお伺いをいたしますが、この金融再生プログラムで不良債権処理の目標というのが設定されていますですね、二年で半分と。これの妥当性ということと、加えまして、こういった目標を国が作成するということについての是非をお聞かせいただけますか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 こういう目標が作成されたということにつきましては、既に今までも二年、三年ルール等ございまして、私どもは不良債権を減らしたいという思いは強く持っておりますので、それ自体につきましては、最大限の努力をしていくということが私どもの経営課題だと思っております。
 以上でございます。
中塚委員 国が作成をすることの是非についてはいかがでしょうか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 これは、監督当局が当然あるわけでございまして、当局がいろいろな規制をする、もしくはガイドラインをつくる、こういうことにつきましては、私どもといたしましては、つくったものには従うというのが私どもの姿勢でございます。
 以上でございます。
中塚委員 これは四行の皆さんに対してなんですけれども、確かに、目標があるからそれに向けて頑張るというのはそのとおりであろうと思うんですけれども、三十兆円の国債発行枠にしたって、結局は税収が減ればもうそれは守れなくなってしまうということと同じで、そういう目標が設定をされても、やはり新規の発生分なんかがどんどん出てくれば結局その目標が達成をされないということだって出てくる、そういう事態だって起こり得るわけですね。ここまでわかりやすく二年で半分みたいな目標というものが設定をされてしまって、それが達成をできなかった場合のこと、それも考えなきゃ、頑張りましたけれどもだめでしたということでは、今度は逆に皆さん方もまたえらい目に遭うということになっていくんだろうというふうに思います。
 最後に、UFJの寺西頭取に伺いますが、貸し出しがなかなか、統計なんかを見ても伸びていかないですね、銀行全体ということですけれども。その伸びない理由。資金需要がないということなのか、あるいはそれとも、不良債権というものが銀行に重くのしかかっているために貸し出しが伸びないのか。両方ともという答えになるんだろうと思いますけれども、どちらがウエートが大きいというふうにお考えでしょうか。
寺西参考人 お答えをいたします。
 私ども、実務をやっておりましてお客様と日々接しておる者の感覚でお答えを申し上げますと、お客様とお話をさせていただきましても、なかなか、例えば新しい設備投資をやるというようなお話をお聞きする機会が本当に減ってきているというのを切実に感じております。そういった意味で、ぜひ、我々の感覚からすると、早く皆さんの資金需要が掘り起こされて経済全体が活性化する日を望みたいな、こういう気持ちでいっぱいでございます。
 以上でございます。
中塚委員 終わります。
小坂委員長 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 参考人の皆さん、御苦労さまです。
 政府が金融再生プランというのを発表しまして、不良債権処理を加速するという方針が出されたわけであります。
 私は、これは銀行の帳簿をきれいにするということが一つの目標になっているんだろうと思うのですが、他方では、倒産あるいは失業というものをつくり出す、デフレを加速する要因になる、これは政府自身も認めているわけであります。私は、これをやり過ぎると、結局経営基盤そのものを弱体化させるのではないかという認識を持っているわけでありまして、今銀行がやろうとしているのは二つあると思うのですよ。一つは、不良債権とみなされた債権について、これを切り離す、処理を加速するというのが一つと、二つは、収益力回復ということで、金利の引き上げということがかなり大きなウエートに位置づけられているように思うわけです。
 最近、東京商工会議所のアンケートによりますと、このところ金利引き上げを要請された企業が急増しておりまして、その結果、大変な事態になっている。つまり、要請を受けざるを得ない。なぜかというと、銀行が強くて、借りている方は弱い。したがって、融資を打ち切られるのではないかというおそれから、銀行の引き上げを受け入れざるを得ない、八割が受け入れている、こういう結果が出ているわけであります。竹中金融担当大臣によりますと、優越的地位を乱用してはならないということをおっしゃっているわけであります。
 そこで具体的にお聞きしますが、UFJは、格付開示マニュアルというものを行内でおつくりになっているようでありまして、私、これを手元に持っておりますが、ことし六月に改定されたものですけれども、この中で大変なことが書かれていまして、金利引き上げの交渉時の留意点というのがありまして、適正金利への引き上げに応じなければ取引解消も辞さない、あるいは、格付がよくなって、本来なら格付がよくなると金利を下げるということなんですけれども、どうなのかといいますと、これに対しては、日々変動しますので将来的な金利水準をお約束することはできかねますと。つまり、格付が上がっても金利は下げない、相手の経営が厳しいところは一層金利を上げる、これは中小企業にとっては大変な事態になるわけでありますが、UFJの寺西参考人、今でもこういう方針でやっているんでしょうか。
寺西参考人 お答えをいたします。
 私どもの格付開示マニュアルについての御質問だろうと思いますので、お答えをさせていただきたいと思いますけれども、私ども、この四月から銀行の行内格付を開示させていただいております。その心根は、お客様と私ども金融機関との間に、お客様の財務について共通の認識というのでしょうか、物差しを持ちたい、そういう中で、お客様とともにいろいろなことを考えながら財務をよくする、そのために何ができるんだろうかといったことをやるために、この開示ということを一つ行っているところでございます。
 一方で金利の引き上げといったものもお願いをするということもございますが、その中で、いろいろな、金利の引き上げということ、お客様の財務の内容に立ち入るということもございますので、なるたけ正確にお客様にお伝えをしないといけないという観点からマニュアルをつくらせていただきました。
 そこに先生おっしゃったようなことが書かれておるのでございますけれども、全体から見ていただきますと、私どもは営業店での交渉スタンスといったものについてお話をさせていただいておるわけでございまして、我々の意図は、継続的に粘り強く交渉をするという姿勢を示したものととらえておりまして、先生のおっしゃるように、一方的、高圧的に不当な金利引き上げを指示したというようなものではないというふうに認識をいたしております。
 ぜひ、全体を見ていただきますとおわかりいただける、我々の言葉足らずの点があるのかもしれませんけれども、我々の意図するところはそういうところでございますので、ぜひ御理解をちょうだいいただければと思います。
 以上でございます。
佐々木(憲)委員 引き上げに応じなければ取引解消も辞さないとこれは明確に書かれておりますし、将来的な格上げによる金利引き下げを約束することは厳禁、こういうふうに書かれているわけでありまして、これは余りにも一方的なものだと思います。この部分について訂正すべきだ。いかがですか。
寺西参考人 御指摘のように、表現がやや適切でないという観点で、独禁法上、優先的地位の乱用とかそういったものについては問題はないと認識しておりますけれども、誤解を与える懸念もある、こう考えます。そのようなことのないように、今担当部で改定を進めているところでございます。
 以上でございます。
佐々木(憲)委員 これは中小企業に対してもそうでありますが、個人に対しても、一方的に回収を最優先させて、大変な迷惑をかけるというようなことも大変私は耳にするわけでありまして、私、六月十二日のこの財務金融委員会で、寺西参考人に対しまして、バブル期の提案型融資に基づいて、一方的な競売の問題を取り上げました。回収のあり方について寺西参考人は、十分な話し合いを行いたい、債権回収に際して行き過ぎた行為とならないよう、引き続き指導の徹底をしてまいりたいというふうにお述べになっております。この方針は私は大事な点だと思いますが、この方針は変わりませんか。
寺西参考人 私もそういうお答えをしたことをきっちりと記憶をいたしておりまして、債権回収に際して行き過ぎた行為のないように、引き続ききっちり指導をしてまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。
佐々木(憲)委員 先ほど佐藤観樹議員が質問をしたことに関連しますが、東京三菱グループの三木社長にお伺いしますけれども、四月二十四日の当委員会で、海江田議員が質問されました。その点について、話し合いを進めながら、そういう問題については解決をしていきたいというふうにおっしゃいましたし、先ほどもそういうニュアンスの御答弁があったように思います。
 現に、実際に起きていることは、どうもここでおっしゃっていることと違うことが起こっているのではないか。この間、東京三菱銀行、その系列の信用保証会社から競売申し立てをされたという訴えが相次いでおりまして、その中には裁判でまだ係争中のものもある。つまり、裁判でまだ結論が出ていない。東京高裁で、例えば東京三菱銀行が部分的に敗訴をした、これは社長自身もお認めになっているわけですけれども、それが現在両方とも最高裁に上告をしておりまして、係争中であります。
 個々の事例によって違うというふうにおっしゃいましたので、具体的な事例で、では申し上げますけれども、田崎喜久二郎さんと田崎アイ子さんの自宅の競売問題でありますが、今私が申し上げましたのはその事例でございます。つまり、バブル期の過剰融資、これは銀行側にも行き過ぎがあったというふうに当委員会でも御答弁がありました。その銀行側の非をいわば棚上げにして、しかも、まだ争っているのに競売にかけてしまう。これは余りにも私は一方的だと思うわけであります。高裁の判決では勧誘行為に違法性があったということを認めているわけでありまして、それを一方的に競売にかける、これは社会的批判を浴びる行為だと思いますけれども、いかがでしょうか。
三木参考人 お答え申し上げます。
 まず、前半についてでございますけれども、先ほども申しましたとおり、また四月に答弁させていただきましたとおり、お客様の個別事情をよく伺って対応するようにしているつもりでございます。(発言する者あり)いや、しているつもりでございます。
 ただいま先生の方から御質問がありました案件は、個別の案件でございますので答弁は差し控えたいところでございますけれども、具体的におっしゃいましたので、これについてちょっと事情を簡単に御説明いたしますと、二審判決は、私どもの敗訴ということでなく一部敗訴ということでございます。(佐々木(憲)委員「だから一部敗訴と言っているでしょう」と呼ぶ)はい、さようでございます。
 これにつきましては、先生御指摘のとおり、両者納得できないということで、双方で上告という形に今なっております。その過程で、先方様が先に仮執行、一部勝訴で認められたことでありますけれども、これを、先に権利を行使されてまいったという事情がございます。私どもといたしましては、この二審の判決でも認められましたところの求償権、これに基づきまして関連会社が競売申請を行ったということではございます。
 しかしながら、私どもといたしましては、競売のみで解決するということをもちろん考えておるわけではございませんで、双方の弁護士同士の話し合い、既にこれは何回も行われておりまして、現に本日もまた行われているというふうに聞いております。可能であれば、双方の納得ができるような、そういった解決を私どもは望んでいるところでございます。
 以上でございます。
佐々木(憲)委員 この場合、具体的に申しますと、この方は被爆者の方でございまして、大変苦労されている方であります。家賃収入を既に押さえているでしょう。しかも、その上に競売手続を行っている。既に入札の期日が決まっておりまして、このままでは来年一月に家を追い出されてしまう。これはまさに冷酷なやり方だと思うわけであります。
 しかも、東京三菱は、変額保険のこの債務者に対しても保険を差し押さえる、解約して回収すると。つまり、満期まで待てば一定の金額が見込めるのに、回収最優先だと。取れるものも取れないじゃないですか。
 ですから、今係争中ですから、係争中の事例を、一方的に身ぐるみはいで路頭に迷わすようなやり方はやめるべきだ。係争中の場合、直ちに競売の手続、取りやめなさいよ。当たり前じゃないですか、これは。
小坂委員長 佐々木委員に申し上げます。
 本日は、参考人に法案に対する意見並びに業界の現状についての意見を聴取いたしております。したがいまして、余り個別具体的な事例に……(佐々木(憲)委員「具体的じゃないと答えできないでしょう」と呼ぶ)幾度も重なるような質問は、形を変えて質問されるようにお願いをいたします。
 三木参考人。
三木参考人 お答えいたします。
 先ほども申しましたように、私ども、銀行業務といたしまして、債権の回収に最大限の努力をするということは、当然させていただきたいと思うわけでございます。ただし、先ほども申し上げましたように、ただいま弁護士との間で数回にわたってもう話し合いが行われておりまして、その中で解決することを望んでおります。そのことはぜひ御承知いただきたいと思います。
佐々木(憲)委員 だから、要するに、弁護士の間の話し合いというだけでありまして、競売というものはどんどん進めているわけですよ。競売を進めるということは、債務者の土地あるいは家屋を、現に住んでいるところですよ、それを売り払ってしまうということなんですよ。まだ争っているわけなんですから。今話し合いをやっている途中でしょう。どうしてそれを一方的に身ぐるみはいでしまうんですか。これは余りにもちょっと、それを改めない、これはあくまでも身ぐるみはぐ、競売は取り下げない、そういう立場なんですか。これは変えるべきだと思います、再検討すべきだと思います。いかがでしょう。
三木参考人 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたことでございますが、第二審で一部敗訴になりましたけれども、一部勝訴といいますか勝訴の方が多いわけですけれども、それに対しまして、先方さんは仮執行されました。私どもといたしましても、第二審で認められましたところの求償権に基づいての競売申請ということでございまして、あくまでも話し合いを重ねまして解決したいという気持ちで一生懸命やっているところでございますので、以上で御容赦願いたいと思います。
佐々木(憲)委員 委員長、私は何も個別問題を揚げ足をとってやっているのではなくて、銀行の貸し出し姿勢について、回収の姿勢について基本的なことをお伺いしているわけです。つまり、個別の事情によって違うとおっしゃるわけですから、個々の事例で、こういう場合はどうなのかと。
 一方では、大企業に対して債権放棄ですよ、借金をチャラにしてやる。他方では、弱い者に対して路頭に迷わすような回収をやるなんというのは全く私は納得できませんので、その点を申し上げまして、終わらせていただきます。
小坂委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 ただいまの佐々木委員の御提起にありましたように、目下の金融行政というものは国民から見ましても非常にアンバランスであり、強い者に優しく弱い者に厳しいというところで、今の御質問があったと思います。
 そして、それがさらにこの間、竹中新金融担当大臣になられて不良債権処理を加速されるという方針が出た中で、きょう四人の参考人にはお運びでございます。何回かにわたる参考人の御出席は大変労をねぎらいたいと思いますが、だがしかし、国民の関心事は、一体本当に銀行はどのようになっており、何をやっておるのか。私はこの分野は専門ではございませんが、その分だけ一人のまた国民といたしまして、わかりやすい言葉で銀行の現状というものをお話しいただきたいということをまず申し上げて、以下質問に入らせていただきます。
 今、病んだ金融システムというものを患者さんに例えますれば、三回にわたる荒療治をいたしましたが、いまだによくなったのか悪くなったのかわからない、国民がこう思っている次第です。国民を家族と例えていただいてもいいです。そして、日本銀行の出されました不良債権処理の基本的な考え方、一文を読ませていただきますが、まず質問は、ただいまの三木三菱東京ファイナンシャルの社長にお願いいたします。
 ここに書いてございます、日銀のペーパーには、金融機関は過去約十年にわたり、九十兆円に上る巨額の不良債権処理を実施してきておるが、だがしかし、問題克服に向けての根本的なところでまだ問題がある、そして我が国の不良債権問題は、現状においてでございますが、金融機関の経営体力や収益力との対比では、むしろこれまで以上に厳しい状況に直面していると考えられると。
 すなわち、簡単に言えば、患者さんたちは悪くなっているよということの表現でございます。ここにはきちんとした言葉で、金融機関の経営体力や収益力との対比でむしろ厳しい状況に直面しているという指摘について、三木参考人にお伺いいたします。
三木参考人 お答え申し上げます。
 日銀のレポートは種々同感のところがございますけれども、金融機関の体力、それは全体のことにつきましてはちょっと私詳しくございませんけれども、私どものグループにおきましては、既に不良債権の残高が減少しております。
 それからまた、不良債権処理の額が業務純益の中に入ってきておりまして、この平成十六年度までの集中処理期間に向けて中期計画でこれを処理すべくやっておりまして、そういう意味では、私どもにとりましては、前より弱くなっているということはないと思います。
 なお、日銀が申されております中で、現在の不良債権は過去のバブルのときの問題よりは新しい不況から来るものが多いとか、それから、金融機関の利ざやが薄いことが非常にその収益上困ったことにしているとおっしゃっている指摘は、全くそのとおりだと思っております。
阿部委員 確かに東京三菱は、前回の公的資金注入では他の三行と違いまして注入されておりませんが、しかし今おっしゃったような認識というのは、先ほどのような取り立てをしながら成り立つものであれば、実は自己資本を損傷しないためにかなり強引な、そしてかつ、潤滑油としての金融、貸し出し機能をきちんと伴わない形で処理されていて、それが基本問題なんだという指摘がなされておるところと思います。
 そうした観点からも、やはりリーダーとしてのお考えをいま少し進めていただきまして、本当に国民の金融、役立つ金融ということで視点を据え直していただきたいと思います。
 そして、残る三行の御出席者に伺いますが、実は、一九九九年の三月の時点で約七・五兆円の公的資金の注入があり、ただし、そのときに各行の経営責任者の責任問題は、三年を見て著しく経営状況が改善しなかった場合に考えるというふうになっております。
 もちろんここに御出席のお三方は、当時の責任者、責任のトップのグループには属されたかもしれませんが、即同じ方ではないと思いますが、三年たった現在、公的資金の注入ということも含めて、よくなったのか、悪くなったのか。そして、前経営者からの、何を一番改善するように、患者さんでいえば申し送りと申します。この患者さんはこうであるから、金融システムは傷んでいるから、ここが一番大切で、努力せよというふうに聞かれているのか。各三行、恐縮ですが順次お願いいたします。
前田参考人 お答え申し上げます。
 私ども、九九年の三月からこの二〇〇二年の九月、直近の九月中間期でございますが、この間に向けまして、私どもが、新しい経営陣が引き継いだことは、リストラを強化するということと収益力の向上の二点でございます。
 コストの削減につきましては、従業員の数、約五千名を削減いたしております。それから国内外の支店網につきましては、約百カ店の削減を実施いたしております。また、取締役、監査役につきましては、その数、百十一名から二十九名に大きく削減をいたしております。また、役員報酬等につきましては、公的資金投入前の五割の水準までに削減を行っております。
 これから、私どもが引き継いだものといたしまして、さらに収益力の向上に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
寺西参考人 お答えを申し上げます。
 私、一月に就任をいたしましたけれども、私どもの銀行の最大の問題点というのは、一方で不良債権の処理といったものを早くやるということ、それから、それをなし遂げるために収益力の強化をやっていく、これが二つの大きな課題であったというふうに認識をいたしております。
 そういった観点から申し上げますと、まだ改革といったものは緒についたばかりでございますけれども、この九月末の決算では、私どもの不良債権額が、開示債権でございますけれども、減っていく傾向にございます。収益の範囲内に不良債権処理額もおさまり始めたということでございますので、このピッチで経営改革、それから我々のリストラの努力も含めて、懸命の努力を続けてまいりたい、かように考えているところでございます。
 以上でございます。
西川参考人 お答えいたします。
 私は、九九年三月に既に頭取を務めておりました。その当時と読み違えましたのは、不良債権の新規発生という問題、当然ゼロとは考えないわけでございますけれども、そのボリュームについて読み違えておったということ。それから、保有株式の含み損問題、当時は含み益でございましたが、株価の下落によりまして大きな含み損を抱えるということになった。この点が読み違えておったところでございます。
 一方におきまして、先ほど来お答えしておりますように、リストラ等によりましてコスト削減、これを二千億、合併後の銀行といたしまして二千億のコスト削減という目標で臨んでまいりまして、約六割既に達成をいたしております。そのほか、業務改革等によりまして収益力の増強を図りまして、業務純益におきましては、当時から見ますれば、おおよそ三千億見当の増益という格好にしてきておりまして、それによりまして、今年度あたりは不良債権処理も業務純益の範囲内に入ってくるというふうに見ておるわけでございます。
 以上でございます。
阿部委員 私が冒頭申し上げましたが、本当の本質的な部分でよくなったかどうかが極めて重要だと思います。
 例えば、今、各御意見いただきました前田参考人のお話の中では、確かにリストラを進めたと。しかしながら、どの企業でもそうですが、リストラを進めるということは本質的な解決ではございません。リストラは固定費を落としているだけで、それによって収益力を上げているうちはちっとも本質はよくなっていない、やらなきゃいけない最低限のことと思いますが。
 また、寺西参考人のお話にありました不良債権処理額の低下は、逆に不良債権処理をする能力すらなくなってきているというふうにもとられるわけです。不良債権処理額の低下によって、また本質的な改善が図られたとも思えません。
 そして、西川参考人には、私は失礼いたしました、当時からずっとかかわっていらしたということで、逆に言えば一番まとまったお話と思いますが、そうであれば、今回日銀が指摘されたような、先ほどの経営体力や収益力との対比では、むしろ今まで以上に厳しいと。これは本年三月から国際会計基準に基づく時価評価も入っておりますし、現状を直視してかじ取りを誤らないようにしなければ、結局国民が迷惑をすると私は思うわけです。
 そしてさらに、一つでもやれること、本当の意味で銀行が国民の信頼を得るために、最後の一問ずつを伺いたいと思います。
 実は、銀行、役員の皆さんは別として、五十五歳で定年の推奨と申しますか、異動が進められているようであります。しかし、その行く先が取引関連企業である場合を多く見聞しますし、特にその取引先が斜陽、多少傾いてきたりする場合に、銀行から斜陽の方に役員として送られてくる方がよくございます。皆さん経営責任者としては、御自分の銀行のいわゆる職員が、関連取引先にどのような数で、どのような割合で毎年異動されておられるか、御承知であればちょっとお教えください。
前田参考人 お答え申し上げます。
 ちょっと正確な数字、今手元にないんですが、毎年、定年で退職をする方の中に、一般のお取引先に行かれる方が、私の記憶では、みずほグループ全体で申し上げますと二百人ぐらい行かれたと思います。大体毎年、一年間でそれくらいの数だと思います。
 以上でございます。
三木参考人 お答えいたします。
 恐縮ながら、ちょっと人数の数字につきましては、今正確なあれがございません。お取引先の方から要請がございまして、そして派遣するという例はかなりございます。
 ただし、そういう先が非常に経営が不振になりましたときに、派遣者がいるからということで特別扱いをする、そういうようなことは全くいたしておりません。
 以上でございます。
寺西参考人 お答えをいたします。
 私も細かな数字を持ち合わせておりませんが、二百人ぐらいだったのかなという記憶でございます。これは確かでございませんので、御放念ください。
 確かに、御指摘のように、銀行から一般会社に出向するケースというのはたくさんございますし、それも五十歳前後で出るケースが大半でございますが、私どもが見てお聞きしている限り、これまでの業務知識だとか業務の経験だとかスキルといったものをお取引先から請われて出向するケースが多いんじゃないかな、こういうふうに思っておりますし、出向した行員も、そういった技能、技術を生かして、出向先の発展のために懸命に努力をしている、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
西川参考人 お答えいたします。
 私ども、取引先企業への出向者、これは在籍のまま出向しているというケースでございますが、これが約七百名おります。そのほか、既に退職をしたという方がやはりおられるわけでございますが、ちょっとこの数字は今記憶にございません。
 いずれも、お取引先からのニーズ、要請に基づきまして、それに適した人材を選別して派遣をさせていただいておるということでございまして、相手様に参りますれば、もう既にそれは銀行の人ではなくて、相手様の会社のために全力を尽くすというのが本来のあり方でございます。
 また、銀行も、先ほどもお話がありましたが、派遣をしているから融資の面あるいは不良債権処理等の面で特別な計らいをするということは全くございません。あくまでもコマーシャルベースでございます。
阿部委員 冒頭委員長からも申されましたので、個別のことには立ち入りませんが、ぜひ、現実にどれくらいの方が、先ほど、派遣ではなくて五十五歳早期退職勧告後関連の取引先に、これは極めて異例なことでございます、他の業種では。こうした銀行のいわば運営のあり方が、私は銀行の改革をもおくらせていると思いますので、きちんとした点検を行っていただきたい。そして、大胆に他の分野からも経営陣に人を導き入れて、本当にクリアでオープンな運営をしていただきたいということをお願い申し上げて、終わらせていただきます。
小坂委員長 次に、小池百合子君。
小池委員 保守党の小池百合子でございます。
 参考人各位におかれましては、まことに御苦労さまでございます。
 本来であるならば、国会のこのような場に銀行の皆様方をお呼びして、ああだこうだというのは私はやりたくない方でございます。自由な裁量を持って自由に活動していただくということでございますけれども、しかしながら、今そういう状況にはないというのが基本的な認識でありまして、また、今銀行の各位が置かれている立場というのは、我が国経済、金融、その一番大きなポイントを握っておられるということに対して、大変危機感を私自身抱いていると同時に、それを共有していただきたいと思っております。
 また、その点で申し上げれば、私はかつて、ある月刊誌に全銀協は解散せよという激しい論文を書いたことがございます。それはすなわち、護送船団方式をいかに早く卒業するかということのエールの意味でも書きつづったことを覚えているわけでございますが、先般、いわゆるハードランディングシナリオとも言われます竹中プランが発表されますと、皆さんおそろいで全銀協の場で、記者会見の場にお並びになったあの姿を見ておりますと、いや、まだ護送船団方式からは全く御卒業どころか、まだそれ自身もよくおわかりになっていないのではないか、そういう意味で私はその記者会見の模様を眺めさせていただいたということを、まず冒頭に申し上げておきたいと思っております。
 さてそこで、具体的にお伺いをしたいわけでございますが、自己資本比率の問題で、BISの八%という基準がございます。このBISの基準につきましても、例えばそこに株式の項目を入れる入れないで、当時、非常に飛ぶ鳥を落とすような、また国際銀行ランキングで上位をほとんどが日本の銀行が占めていたという時代に、勢い余ってこのBISの構成の中に株式の項目を入れたがために、今それでもって首を絞めている、そういう現実があるわけでございます。
 しかしながら、これは国際ルールということで、本来ならば、私は、日本がもっと金融の面でも戦略性を持って、このBISの基準を決める際にも、もっと当時以上の発言力こそ今求められているのではないかというふうに思いますが、現状を考えると、大変厳しい状況に置かれている。いわば金融のゲームで日本の金融は負けたというような実態があると思っております。
 さてそこで、ではどうするかということでございますが、昨今の金融界の再編によりまして、まずは自分たちの、自分の銀行を立て直すんだということで、国際業務からの撤退を既に決めておられるところも何行かあるわけでございます。
 かつて、バブルが本当にピークのころは、ある経済新聞、一つしかないのであれですけれども、その広告欄というのは、聞いたこともないような銀行までがニューヨーク支店を開きましたとか、そういった一面全面広告であるとか小さな広告であるとか、そういうのがにぎわっていたわけでございまして、そのころは、まさに競い合うようにオリンピックである国際業務にも乗り出された、もしくは支店を開設して、外向けにやっていますよということでPR、そして人材の確保にもお努めになった。
 しかし今、風向きは大きく違うわけでございます。ここは大きな転換点として、国際業務からの撤退を一時して、そして、この間はリハビリに努めて、まずは、日本の金融機関として国内を固めるということの御決意をなさった方がいいのではないかと思うわけでございます。
 もちろん、事務作業的、そしてまた為替の問題につきましては、日本の企業のみならず、世界の企業を相手にしていくわけでございまして、その間の空白というのは耐えがたいものがあるということはよく承知をいたしておりますけれども、現在の日本の金融機関の置かれている現状を考えますと、そういった国際業務からの一時撤退、こういったことも視野に当然入れておられると思いますので、各行に伺わせていただきます。
前田参考人 お答え申し上げます。
 私どもみずほグループは、国内の上場会社の七割のお取引をちょうだいいたしておりまして、そのうち四割が主力取引でございます。日本の多数のお取引先が海外で事業展開をされておられますので、私どもは、海外でもこの日系のお取引先にサービスを提供するのが私どもの務めだと考えております。
 以上でございます。
三木参考人 お答え申し上げます。
 私ども三菱東京フィナンシャル・グループ、これの強みの一つは海外ネットワークであると任じております。日本の企業が海外で雄飛され活躍される、それをサポートするというのは大変重要なことだと思います。また、私どもの強みでもあり、収益の一つでもあります。
 海外業務につきましては、縮小ないしは撤退のことは全くございません。
寺西参考人 お答えをいたします。
 私ども、海外業務といったものは基本的にいろいろな角度から見直してきてございまして、我々の体力、それからお客様のニーズに合った形、それからビジネスモデルに組みかえていこうということでございまして、不要な拠点等をここ縮小してまいっておりまして、私どもが標榜しておりますミドルマーケットというのを、我々はミドルとリテールのトップブランドを目指したい、こういうふうに標榜しておるわけでございますが、これに役立つ海外業務、これに資する海外業務といったものを中心に選択と集中を行って、その関連する業務、例えば日系業務、日系のお客様にサービスをしていくといったものを中心に残しておるということでございまして、それに関連した、例えば新しい金融技術を導入するような、技術を導入するようなものについても一部、我々としては必要だろう、こういうことで残しております。ただ、方向としては選択と集中を進めてまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。
西川参考人 お答えいたします。
 申すまでもないことでございますが、経済、産業がグローバル化いたしておりまして、特にその中における金融の世界はボーダーレスでございます。そういう状況でありますから、我々も海外業務というものをやはり国内同様やってまいらなきゃならないというふうに考えますが、その中において、いかに効率的にやっていくかという観点から判断をしていくべきものだと思います。
 何でもかんでもやるというわけではないということでございまして、我々も、拠点数もかつてに比べますれば三分の一に集約をいたしまして、効率化を図っております。これを続けてまいりたいということでございます。
小池委員 この問題は単なるリストラということではなくて、ある一定の期間のリハビリということで、戦略としてそういう項目もあるのではないかと思うわけでございます。果敢な決断も御必要になるときがあるのではないかと思ってお尋ねをした次第でございます。
 それから、ペイオフの問題でございますが、これにつきましては、政治の御判断ということで、この政治の判断がなかなか、皆さんにとりましては非常にお惑いになる点も多々あったというふうには思っております。
 私は、今回、このペイオフの全面解禁の二年延期ということにつきましては、むしろ単純に延期した方が、結局、今皆様方の体力が弱っているところにさらにこの機能を、新たな預金口座の方式を設けるというのは単にまた手間取るだけでございまして、むしろこれによって事務量がふえ、そしてまたそれに対する経費もふえということで、本当は単純延長の方がよかったのではないのかなと思いますが、いかがかと伺ってもなかなか答えにくいんでしょうか。どうぞ、各行。
前田参考人 お答え申し上げます。
 今法案が既に出されているようでございまして、二年間の延長、二年間延期につきましては政治的な御判断だと思いますが、決済性預金につきましても、詳細が固まったところで私どもは検討をしてまいりたいと思います。
三木参考人 お答え申し上げます。
 単純延長の方が手間がかからなかったのではないか、また、それでよかったのではないかという感じも確かにいたします。一方で、これからの御検討と思われますけれども、決済性預金、これの商品性によりましては、そういうニーズもあろうかな。したがいまして、決済性預金の商品性がどうできるか、また、これをお客様にどう説明できるか、システム的にどうか、その辺を判断したいと思います。
寺西参考人 お答えをいたします。
 ペイオフに関しましては、これまで来年の四月の解禁を前にいろいろな議論があったということだろうと思います。私どもといたしましては、今般の政府の方針を改めて重く受けとめ、ぜひ預金者の皆さん、それから市場からの信頼を早期に回復すべく、不良債権問題の克服に全力で取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
西川参考人 お答えいたします。
 もう既に皆さんから我々の考え方が出ておりますので、私も変わった点はございません。単純延長の方がよかったのかなという思いもございます。
 決済性預金につきましては、やはり商品性でございますとか、お客さんにとっての使い勝手のよさでございますとか、あるいはシステムにかかわる問題でありますとか、こういった点をよくやはり検討をしてかからなきゃならないなというふうに考えております。御審議の状況を伺いながら対応してまいりたいと思っております。
小池委員 さて、今回のこの金融再生プログラムとの抱き合わせと申しましょうか、産業再生機構の創設ということがうたわれているわけでございます。これまで、RCC送りというのは、これはもう終わりよというようなことで一般的に受けとめられているわけでございますが、そこで、この産業再生機構を通じることによって、例えばバブルのときに手を出さなくてもいいようなゴルフ場に手を出しちゃって、そしてそれがまさに不良債権となって、そしてそれがために本業がおかしくなっているといったような、非常にわかりやすい例で申し上げると、そういうところについては、産業そのもの、本業の部分を助けるという意味もあろうかと思います。
 ただ、ゴルフ場の数もたくさんありますけれども、それだけではないわけでございまして、やはりお引き取りいただく企業もそれはそれであると思うんですね。ところが、産業再生機構に送るよりも、何か目星のつくところは御自身でなさってしまう、再生させてしまうわけでありまして、わざわざそこに送る必要がなくなるんじゃないかと。
 だから、その辺の仕分けのところは大変難しい。かといって、これが一番おわかりになっているのはずっとおつき合いのある金融機関であるというところの若干ジレンマを感じているわけでございまして、あと、時間の関係もございますので、西川参考人と、それから前田参考人のお二方から御答弁をいただければと思います。
西川参考人 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたが、企業の再生と申しますのは、やはり当該企業とそれから取引銀行との間で自主的にその再生策を考え、実行をしていくべきものだ、これが基本であるというふうに私は考えております。
 したがって、産業再生機構の方は、大変難しい運営になるのではないかなという気はいたしますが、特に銀行それから債務者企業にとって本当に使い勝手のいい仕組みにしていただきたいなというふうに考えております。
 以上です。
前田参考人 お答え申し上げます。
 私どもみずほグループでは、みずほコーポレート銀行の方に企業再生のための企業部というのを、この秋に六つの部をつくりまして、百五十名の人員を投入いたしました。これは、主として企業再生のための部でございます。そういう意味で、基本的には我々民間で、関係者が集まって再生できるものは再生するというのが大原則だと思います。
 ただ、今般、機構ができますということで、検討されているということでございますが、先ほども申し上げましたとおり、選別の仕方それから運営の仕方、大変に難しいものがあると思います。ただ、これもふさわしい形で運営されれば、これはこれで意味があると考えております。
 以上でございます。
小池委員 ありがとうございました。
 時間がなくなりましたので、最後に、やはり私ども、お給料を下げれば偉いかといったらそうでもないわけで、しっかりその分働いていただければいいというふうに思います。ちなみに、私ども議員も一〇%の歳費削減というのでやっているんですが、だれも褒めてはくれません。
 それからまた、金融機関におかれましても、ようやく、いわゆる高給取りという部分のところに若干の修正が見られるようでございますが、多分、世間の相場からすれば、まだまだ高いというような思いがあることは事実でございます。
 また、先ほど冒頭に申し上げました護送船団方式からの決別をいち早くなさって、お互いの競争心をもっと高めていただきたい。今競争しているのは、都銀とか主要行ではなくて世界の金融との競争であるということから、そこで、全銀協の中で仲よくなんという時代はもう去ったということに早くお気づきいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
小坂委員長 これにて午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
小坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案の両案について、参考人として、社団法人全国地方銀行協会会長平澤貞昭君、社団法人第二地方銀行協会会長森本弘道君、社団法人全国信用金庫協会会長長野幸彦君及び社団法人全国信用組合中央協会会長田附良知君の四名の方々に御出席をいただいております。
 参考人各位におかれましては、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して心から御礼を申し上げます。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹下亘君。
竹下委員 自民党の竹下亘でございます。
 きょうは、平澤さん、森本さん、長野さん、田附さん、お忙しい中、おいでをいただきまして、大変ありがとうございました。
 冒頭に申し上げたいのは、皆さんに頑張ってもらわないと、今、日本の地方は大変なんです。ぜひ頑張っていただきたいということをまず申し上げさせていただく次第でございます。
 今、中小企業、午前中、大手の、四つのメガバンクの頭取が見えてお話を伺いましたが、貸しはがし等々、いろいろな局面の話が出てまいりました。皆さん方は、主としてというより中小企業オンリーという世界の、ほとんどその世界の中で金融の仕事に携わっていらっしゃいますが、皆さん方の業種でも、中小企業向けの貸し出しが伸びていない。聞くところによると、いや、実需がないんだというお話をされる方もございますが、実感として本当に実需がないのか、あるいは、中小企業への融資をふやすためにどんな努力をしていらっしゃるかといった点について、まずお伺いをさせていただきます。平澤さんからよろしくお願いをいたします。
平澤参考人 今お話がございましたように、私ども、地方銀行でございますけれども、特に地域金融、さらに言えば地域の中小企業に対するもろもろの金融サービス、これにつきましては一生懸命努力しているところでございます。それはなぜかといいますと、地域金融機関の場合は、地域との信頼関係がなくなれば金融機関として存在していけないということでございます。
 したがって、恐縮でございますが当行の場合を申し上げますと、十年ぐらい前まではミニ都銀ということで一生懸命やっていたわけでありますが、やはりそれではだめだということで、海外からも撤退いたしましたし、それから、神奈川県以外の、特に東京、大阪等の大企業融資も減らしてまいりまして、十年前は全体の四分の一が神奈川県以外でございましたが、現在はそれが半分近くになっております。その分、地元の企業、特に中小企業に一生懸命やっているということでございます。
 ただ、その一方で、先ほどもちょっとおっしゃっておりましたように、やはり景気の動向、これが微妙に影響しまして、一生懸命やっていますが融資が伸びない、そういう点もあるわけでございます。
 それからもう一つ、金融の場合は、実質ではなくて名目の経済成長でございますから、物価が三角になると、どうしても必要なお金も減ってくるということで、資金が伸びないという点もございますので、努力はしているが伸びがなかなか出ないという点は、おっしゃるとおりだろうかと思います。
森本参考人 森本でございます。
 私どもの本店は広島にございまして、主な営業地盤は、隣県の山口県、岡山県でございます。
 第二地方銀行協会加盟行五十六行ございますが、大体平均して、中小企業、個人に対する貸し金が九〇%以上ございます。私どもの場合は、中小企業、この際、資本金が三億円以下、従業員が三百人以下の中小企業でございますが、六五%、個人に対して二七%、あと大企業と地公体等々があるわけでございますが、なべて中国五県、現在の景気状況、数表を見ましても全国平均をそう下回っておりません。
 したがいまして、地方の経済は大変に厳しいものがあるわけでございますが、そういった新しいベンチャービジネスの芽も出ておりまして、産業構造は重厚長大に偏しておるところが広島県の場合は非常に多いのでございますけれども、やはりそういった元気のいい企業等に対しては、都市銀行、大手銀行を初め大変に競争が激化して金利も低下傾向にございますが、できるだけフェース・ツー・フェースと申しますか、中小企業に特化した、我々の金融機関としてはそういうところを訴えて、サービスを強化し、また合理化をやって、コストを下げて、競争力を高めて、もって地域経済の繁栄のために資するような商品の開発もいたしておるところでございます。
 以上でございます。
長野参考人 ただいま、実需があるのかないのか、こういうお話だったと思いますが、前向きの資金需要という意味合いでの実需ということはございません。新たに商品を仕入れて、あるいは増産体制をするための設備投資、そういうようなものは出てきておらないわけであります。
 ただし、一方で後ろ向き的な資金需要、現在、中小企業は、現在借りているものを早く返さないかぬ、返せ返せと一方で言われている、できるだけ借入金利負担も軽減したい、そういうようなことからずうっと返済をしているわけでありますが、そういう状況の中で、返したものをまた貸してもらわないとやっていけないんだ、こういうような意味での資金需要ということは確かにあるわけでございます。
 そういう後ろ向き的な資金需要に我々はどういうような形で対処、対応しているか、これが御質問の本題だろうという気がいたしております。
 以上であります。
田附参考人 信用組合中央協会の田附でございます。
 ただいまのお尋ねでございますが、私どもの業界、御承知のとおり、地域、業域、職域、外国とさまざまございますので、一様には申し上げられませんのですが、特に地域中心で申し上げますと、先ほどからもお話がございますように、廃業、あるいは売り上げの減退あるいは競争の激化等によりまして赤字経営、こういうふうなことでございまして、総じて各組合とも、融資が伸びないというよりも減少の傾向をたどっておるということでございます。この九月末現在での全体の数字でございますが、貸し出し九兆六千五百九億円でございますが、前年同月比で二四・八%の減でございます。
 したがいまして、少なくとも地域の活性化、あるいはそうしたさまざまな地域でいろいろな施策が打たれておるわけでございますが、なかなかそれが実際の活動となって結びつかない、したがって前向きの資金需要が非常に少ない、このような状況でございます。総じて申し上げると、地域につきましては、非常に衰退をいたしておるのではないかという懸念を持っております。
 以上でございます。
竹下委員 総じてお伺いをしておりまして、本当に今地方は大変だと。きのう出ました、GNP〇・七%の上昇というふうに出ておりますが、多少オーバーな言い方をしますと、東京のひとり勝ちで地方は今かなりがたがたになっているなという感じを、私ども毎週選挙区に帰っておる中でもひしひしと感じておるところでございます。でありますだけに、より一層皆さん方に頑張っていただかなければ地域は大変だなと改めて感じるような次第でございます。
 今回出ております法律の中で、中小の金融機関の合併がやりやすいような内容の法律がございます。ただ、地方で話を聞いてみますと、合併するのはいいけれども、例えば、一つの金融機関で三千万借りていた、もう一つのところで二千万借りていた、二つが一緒になったら減らされちゃうんじゃないかというのが中小企業の偽らざる心境であると私は思うわけでございます。
 そこで、あえてお伺いしますが、全信協の長野さん、そういう事態にはならないという、保証はないかもしれませんが、少なくとも業界のトップとしてそういう指導をぜひしていただきたいと思う次第でございますが、いかがでございますか。
長野参考人 合併問題でございますが、合併した方がいいかどうか、これはまさしく経営の判断するところでございまして、また、地域それぞれの事情によって違うだろうというふうに思っております。あくまで個々のケースである。
 ただ、一般的に言えば、地域の経済が疲弊している、狭い一つの地域だけだと、すべてその地域の経済が疲弊する、その地域の経済を再生しなくちゃいけない。あるいはもう少し地域がふえれば、全体として地域の再生を図ることができる。あるいは多少規模が大きくなれば、全体としての効率化が図れるんじゃないか。あるいは規模が多少大きくなれば、人材の獲得、育成、これもできるのではないか。規模が大きくなれば、貸出金利も安くすることができるのではなかろうか。こういう一般論からいいますと、合併ということについても十分その必要性、効果は理解できる、こういうことでございます。
 ただ、現実の問題としては、そういうようなことはケースとしては出てくるだろう。理論的に言えば、大きくなるわけですから、そして効率化を図っていけば、どんどん資金量もふえてくる、融資の需要にもこたえられる、貸出金利も下げられる、こういうことになるわけでありますけれども、合併というのはそう簡単に直ちに短期間に効果が出るというものだけでもないだろうということになりますと、多少の時間をかけなくちゃいけない、人的な交流も図らなくてはいけない。そうすると、先生おっしゃるような、一時的にはそういうようなことも出てくるのではなかろうか。
 したがって、それが、もし合併が本当に必要なんだという場合には、そういうことの問題が起きないように、それぞれの金庫の方で努力をする、あるいは我々の方はお願いをする、そういう形でやっていく必要があるだろうというふうに思っております。
 以上です。
竹下委員 ぜひそういうことが起きないようにしていただきたいと思います。
 今、竹中プランというものが出ておりまして、これは主として大手の銀行を対象にしたとりあえずの金融対策でありますが、これから地銀、第二地銀、全信協、信組協を対象にして、例えば繰り延べ税金資産の扱いをどうするかといったような問題、メガバンクと全く同じレベルで対応して果たしていいのだろうかなという疑問が私にもございますが、その点について、平澤参考人はどのようなお考えをお持ちでございますか。
平澤参考人 今おっしゃいました件につきましては、金融再生の例のプランの中に主要行、大手行と書いてございまして、いろいろ書いてありまして、最後のところにいわゆる地域金融機関、たしかリレーションシップバンキングにつきましては、英語で恐縮ですが、そう書いてありますので、これにつきましては、これからアクションプランを当局の方でお考えになってお出しになるということでございますので、この前も当局の方にも地方銀行として申し上げたんですが、その際には、やはり地域金融機関のいろいろな特性、特色、お願いもあろうかと思いますので、そういうことも十分申し上げますし、御配慮いただきたいということを申しておりますので、そういう方向でやっていただけるのではないかと期待しているところでございます。
竹下委員 これからそのリレーションシップバンキングという地方の問題について議論が深まっていくだろうと思います。
 ただ一方で、例えばここ十年を見ても、信金の場合はほぼ百ぐらい数が減っております。これは破綻と合併と両方でございます。信組の場合ですとここ十年でほぼ半分になっておりまして、本当に厳しい時代に皆さん方が立ち向かっていらっしゃるわけでございますが、ぜひダイナミックな金融というものを取り返していただきたい。
 今、金融監督庁のマニュアルというものが注目をされておりますが、金融庁の検査部というのはしっかりした組織でなきゃいけないと思いますが、ああいう組織が目立つ世の中は決していい世の中ではない、目立たないけれどもしっかりしているというのが金融の世界で一番大事なことではないかと思います。
 その意味で、それぞれに、例えばプロジェクトファイナンスといったような問題も含めて金融の質を高めていただきまして、皆さん方の力で地方の経済を支えていただきたいし、生き生きした社会を取り戻す努力をこれからも一層続けていただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
小坂委員長 次に、江崎洋一郎君。
江崎委員 民主党の江崎洋一郎でございます。
 きょうは本当に御多用の中、平澤会長、森本会長、長野会長、田附会長、お忙しいところ当委員会に参考人として御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 皆様はきょう、地域金融機関の代表としてお越しいただいたわけでございますが、今、日本経済が停滞する中で、地域経済の疲弊というのも大変深刻だと私は感じております。その中で、地域経済の担い手を支える皆さんの役割というのは大変重要であると認識しております。本日は、どうか忌憚のない御意見を御開陳いただきたいというふうに思います。
 まず最初に、総論としてお伺いしたいんですが、今回、十月三十日に金融再生プランというのが、政府のデフレ対応策ですね、そういうものが発表されたわけでございますが、この中には、金融再生あるいは産業再生というものがうたわれております。その観点から、今、地域金融機関の皆さんが政府に対して何を一番望んでおられるかを伺いたいと思います。そして、その御要望というものの背景として、皆様がこれから地域経済の中でどのような活動をされるのか、お伺いしたいと思います。
 具体的には、やはり今、日本経済、冒頭申し上げましたとおり、大変停滞をしているわけでございます。その中で、一方の地域経済、日本全体が景気がよくなればつられて景気もよくなるという地域もあろうかと思いますし、そうではないんだ、いろいろ構造的な問題で、日本全体の景気がよくなってもなかなか落ち込んだまま、そういう地域もあろうかと思います。そういった意味で、地域の皆さん、金融機関の皆さんがいろいろ知恵を出されてそれぞれの地域での活性化というのを行っていかなければいけないと思うんですが、そういった観点からも、ぜひ御意見を伺いたいと思います。
 各行の会長さんから、皆さんお願いいたします。
平澤参考人 今の御質問の御趣旨で、政府に対する要望ということにつきましては、恐らく今回の金融再生等の施策についてと理解いたしましてお話し申し上げますけれども、やはり、金融だけというのではなくて、経済を支えておりますのは金融、産業両方一緒に支えておるわけでございまして、言うならば二つの車輪でございます。したがって、片方がうまくいかないともう一つの産業の方もうまくいかない、産業がうまくいかないと金融の方もうまくいかないので、そういう意味で、今回の対応策の中に産業再生ということも大きなものとして入ってきたことについては、私たちもこれを高く評価しているわけでございます。したがって、その意味で、やはりそこのバランスを十分お考えいただきながら、全体としていい方向へ持っていっていただきたいなというのが一つでございます。
 それから、これは先ほど来の御議論の中にございましたように、私たちは地域金融機関として中小企業の皆さん等を主に取引先として金融サービスをやっているわけでございますから、そういう点についての当局等の御配慮、そして、我々は地域金融機関ですので、地域の経済と一心同体、一蓮託生でやっておりますので、そういう意味での役割を担っているということに対する点でも、いろいろ施策の上で政府においてお考えいただけたらなというふうに、これは強く思っているわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、今年度三月までに地域金融機関に対するいわゆるアクションプランをおつくりになるそうでありますので、そういう際はそういうことも十分含んだ上で案をつくっていただきたいな、そういうふうに思っている次第でございます。
森本参考人 森本でございます。
 政府に対して何を望むかということでございます。枚挙にいとまがないぐらいございますが、時間の関係で一つ二つ申しますと、不良債権の処理というのは避けて通れない問題であろうと思いますが、不良債権を処理すればぱっと夜が明けたように景気がよくなるということでもございません。平澤会長が今、申されましたように、産業の活性化ということが大切でございまして、金融機関が元気になることはもちろん大切でございますが、産業が活性化しないのに金融機関だけがよくなるということはあり得ないわけでございまして、通商産業省並びに国土交通省が管轄をされます各企業がやはり元気になるということではないかと思っております。
 我々金融機関としては、新しい起業家の芽を育てるように、ベンチャービジネスも含めて、地方経済の活性化のためにいろいろな勉強を我々も重ねておりまして、そういった意味で、中小企業の新しい芽が日本経済、地方経済を特に支えていくように努力をしておるつもりでございます。
 それと、当委員会の主題ではないのかもわかりませんが、税制の改正ということにおいて、やはり税制は国の柱でございますので、景気浮揚のための税制の改革ということを、これもスピードを持って御検討をいただきたいということを特に要望を申し上げまして、私のお答えといたします。
 ありがとうございました。
長野参考人 二点ほどお願い申し上げたいというふうに思っております。
 その第一点は、需要の創造、特に消費需要の喚起を財政、税制、金融、あらゆる面でぜひひとつお願い申し上げたいというふうに思っております。
 それとの関連において、いま一つは、私どもは信用金庫としての経営の健全性ということを強く強いられているわけでありますが、一方で中小企業金融の円滑化という使命もあるわけでございます。その二つのテーマを一致させるということは、言うなれば、私は、信用保証協会の保証づき融資、言うなれば先般、三年半前に実施されました中小企業経営安定化特別保証制度、いろいろな批判がございました。しかしながら、あれなくしては私はあの時点における中小企業の存続というものはあり得なかったというふうに思っております。もちろん批判等については正すべき点は正さなくてはいけないというふうに思いますが、いま一度そういうものをつくり上げていただきたい。単に保証づき融資の返済条件の緩和ということだけにとどまらず、新しい安定化資金というものも創造していただきたい。中小企業の方は、そのためには多少信用保証料のアップも結構だということを言ってくれております。
 また、我々金融機関といたしましても、ただ単にお国、保証協会にすべておんぶにだっこだということでは、これはなかなかいかがなものか。したがってリスクテークを、なかなかできないわけでありますけれども、我々もすべき、持つべきリスクテークというものは、多少のことであればしなくてはいけないんではなかろうかな。
 以上、二点のことをお願い申し上げたいというふうに思っております。
田附参考人 私どもの、非常に深いつながりを持っております中小零細事業者、また地域における生活者という方々、日々悪戦苦闘の連続である、こういうことでございます。また、そうした方々が、先ほどからお話のありますような、現実には日本経済の担い手でございますけれども、そういった大きな使命感を持って日々をやっておられるわけではございませんので、毎日、もう本当に大変な毎日であるというふうなことでございます。
 したがいまして、そうした方々との深いつながりを持っております我々といたしましても、日々の業務の展開におきましても、やはり将来に希望の持てる日々の業務の展開でありたい、このように思っております。
 そういう関係で、中小零細企業の皆さん方が生き生きと日々の業務を営業なされるような施策の問題につきまして格別の御配慮をお願いできれば、このように思っております。よろしくお願いを申し上げたいと思います。
江崎委員 今、さまざまな御要望があったわけでございますが、私ども政治に携わる者として、皆様の御要望が実現できるよう努力します。そしてまた、皆様におかれましては、中小企業が一日も早く元気になるように御努力をいただきたいというふうにお願い申し上げる次第でございます。
 続きまして、ペイオフにつきましてお伺いしたいと思います。
 今回、二年間の延期ということではあるわけでございますが、今後、万が一、みずから属する業態の金融機関が債務超過に陥ってしまった場合に、ペイオフ、現在ですと定期性預金に限られますが、ペイオフが実際行われても仕方がないというふうにお考えでしょうか。
 また、公的資金の注入が地域金融機関に対しても行われるということが必要というふうにお考えでしょうか。きょうの日経新聞の一面によりますと、これは記事ですから本当の話かどうかわかりませんが、地域金融機関についての公的資金投入は当面除外と書いてありますが、忌憚のない御意見をいただければと思います。
平澤参考人 ペイオフの問題につきましては、地方銀行界といたしましては、これまでも、来年の四月一日からこれが行われるということで、一生懸命努力してきたところでございます。
 しかし、それが二年、いろいろなことをお考えの上、延びたわけでございまして、それまでの御議論を伺っておりますと、それが実際延びるのか延びないのか、いろいろと変わってきておりますので、金融界としては、これに対してどう受けとめ、どう対応してきたらいいのかなということで、いろいろ悩みもあったわけでございますけれども、今回、これが実質上二年延期されて、たしか十七年四月一日からということになった。
 そういう意味で……(発言する者あり)失礼いたしました。二年延期ですね。そういうことでございますね。法案がまだ通っておりませんので、大変失礼しました。ただ、そういう案が出ているということにつきましては……(発言する者あり)はい、大変失礼いたしました。そういう意味で、法律が通れば時期が明確になるということで、我々としてもすっきりするという点はあるわけでございます。
 ただ、この二年延期につきましては、政府のお考えは、それまでに不良債権問題をきれいにして、したがって、そういう意味ではいろいろ問題を少なくして従来の方針であるペイオフということをお考えのようでございまして、その意味で、この問題は不良債権の処理とも非常に関係しているということは、今委員がおっしゃったようにあろうかと思います。
 したがって、我々といたしましても、この与えられた今後二年間に、ペイオフが実施されるというのを十分念頭に置きまして、それぞれの金融機関としてもできるだけ経営体質をきちっとし、それに対応できるようにしていきたいというふうに考えている次第でございます。
森本参考人 冒頭にございました、きょう現在金融機関が破綻した場合にペイオフが実施されても仕方ないかという問題につきましては、定期性預金のペイオフは実施をされておるわけでございますので、一千万を超える部分、その利息以外の部分はいたし方ないというふうに存じております。そのような質問であったように理解をいたしました。
 ただ、実情を申しますと、定期預金の、個人の一千万以上の預金というのは、私の知る限りほとんど分散をされております。あと、地公体であるとか学校法人、宗教法人のような、何十億、何百億という預金があるところについては、現在保護されております普通預金ほかの預金に、流動性預金にシフトをしておるというふうに承知をいたしております。
 それから、二番目にございました資本注入の問題については、私どもの銀行が、二〇〇〇年三月で期限切れになりました金融健全化法による資本注入を受けておる銀行でございますので、少しく承知をいたしておりますが、今度の合併促進特措法による資本注入とは違いますので、今回の合併促進特措法による資本注入につきましては、合併によって資本が劣化した場合に、それを補てんする、そして合併を促進させようという法律を今回御審議をいただいておるというふうに理解をいたしておりますが、それは非常に適当であるし、そういうニーズが多分あるだろうというふうに私は考えております。
 以上でございます。
小坂委員長 時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。
 長野参考人。
長野参考人 私どもも、ペイオフ問題について絶対反対だ、いつまでも反対だというスタンスはとっておりません。ただ、今の時点のような景気の状況、それから預金者の不安心理、さらには結果としての金融システムの不安定化、そういうような状況の中で、やったらえらいことになるだろう、大変なことになるだろう。保険法百二条を適用すればいいじゃないか、そんなものでは絶対ないという認識を持っております。
 以上でございます。
田附参考人 お答えいたします。
 私どもの業界といたしましては、基本的には、一日も早く景気の回復が確認をされまして、金融システムの安定に関する預金者の不安というものが払拭されるまでの間、現行の決済性預金の全額保護を続けていただくように要望してきた次第でございます。
 今回の改正法案でございますが、私どもといたしましては、二年間の延期ということがなされた場合は、評価をさせていただいております。法案の一日も早い実現をお願いする次第でございます。
 以上でございます。
江崎委員 まだまだお伺いしたいことがあったのですが、時間が来てしまいました。やはり、皆さんの金融機関が経営が安定化し、そして中小企業に大いなる支援をしていただくということが地域経済にとっては何よりだと思います。どうかよろしくお願いします。
 また、貸し渋り、貸しはがしのようなことがないようにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、遠藤和良君。
遠藤(和)委員 公明党の遠藤和良でございます。きょうは四人の参考人の皆さん、まことに御苦労さまでございます。
 私、手短にポイントだけお伺いしたいと思いますけれども、今、ペイオフの全面解禁を二年間延期する、この法案の審議をしているわけですけれども、このことにつきまして、それぞれ四人の方々はどのように考えていらっしゃるか、簡単にお答えください。
平澤参考人 本法案によりまして実施時期が二年後というふうに明確にされましたことにつきまして、やはり我々としては、そういう意味で準備もきちっと進めなきゃいかぬな、こういうことでやっていこうと。特に、中小企業金融に対していろいろ問題を生じることのないよう、経営体質もきちっとしていかにゃいかぬなということに決意を新たにすることができますので、そういう意味で、ぜひこの法案を成立させていただけたらな、そういうふうに思う次第でございます。
森本参考人 私が今の協会長を拝命しましたのがこの五月でございました。就任と同時に、ペイオフについて協会で議論をしようということを提議いたしました。
 御記憶かと思いますが、七月の十八日、ここに原文があるのですが、ペイオフに対する問題点について列挙をいたしまして、同日、日銀総裁並びに金融庁の高木長官の前で、全行の頭取、社長を従えつつというのは失礼かもわかりませんが、一緒に集まる会がございまして、その場所で、問題点について列挙したことを意見具申させていただきました。
 一つは企業活動について、二つ目は預金者について、三番目は地公体ですね、主に地方公共団体について、そして四番目に金融システムについてという、それぞれ、ペイオフが来年の四月から解禁をされるとこのような問題が起こると思うということを問題点を列挙いたしまして、結論でございますが、したがって、来年四月からのペイオフの全面解禁については、最近の経済金融情勢にかんがみ、特に中小零細企業経営への影響を考慮し、慎重に検討、対応することが必要と考えられるということで、ペイオフを延期してほしいという文言は使っておりませんけれども、この延長線上には、できれば延長してほしいという思いがあったわけでございます。
 そのちょうど十日後に、小泉総理大臣から金融庁の方へ、決済性預金の保護について検討したらどうかという発言があったようでございまして、今日の流れになってございますので、二年間ペイオフが実質的に延期をされたということは、我々業界五十六行にとりましては、非常に適宜適当な措置をとられたというふうに承知をいたしております。
 以上です。
長野参考人 ペイオフ問題について新聞報道が出された段階から、内外に対する預金のシフト、内というのは定期性から要求払い、外というのは他行へシフトするということでありますが、報道されてから、じわじわでありますけれども、あることはあるんですけれども、いっときに比べれば非常にスローダウンしております。
 したがいまして、今回のことにつきましては、ぜひともひとつ法案の成立をお願い申し上げたいというふうに思っております。
 以上です。
田附参考人 今回の改正法案につきましては、一日も早い成立を願っておる次第でございます。あくまでも、一日も早く景気の回復が確認をされまして、金融システムの安定に関する預金者等の不安心理が払拭されるまでの間は、現行の決済性預金の全額保護をよろしく重ねてお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
遠藤(和)委員 今回の法案は、ペイオフの全面解禁を二年間延長するだけではなくて、今回新しく決済用預金という新しい概念を入れまして、この預金は半ば恒久的に全額保護する、あるいは仕掛かり中の決済資金、これについても全額保護する、こういう仕組みを取り入れているわけですが、このことについてはどういう感想を持っていますか。
平澤参考人 預金保険法は、もう御存じのとおりでございますけれども、零細預金者の保護ということでこれまで来たわけでございますが、今回、いわゆる金融における決済機能の保護という観点で、今委員からお話がございました決済用預金、あるいは仕掛かり中のものの保護という点が入ったわけでございまして、やはり金融における非常に大きな守るべきもの、これは決済の機能をきちっとやるということでございますので、そういう意味で、この二つが今回の法案に入っておりますことにつきましては、我々としては、そういう意味では高く評価しているということでございます。
森本参考人 ほとんどの決済が金融機関の口座を通じて行われておりまして、企業にとりましても、一国民にとりましても、大変大切な社会的インフラというふうに承知をいたしております観点から、預金者の自己責任においてこれを、自分の預金が保護されないということになりますと、社会的にも大変に混乱をする、経済的にも混乱をするというふうに承知をいたしておりまして、決済用預金が仕掛かり預金も含めまして永久的に保護されるということは、大変に適当な原案ではないかというふうに思いますので、本案が原案どおり可決されるよう、私としては希望をいたしております。
 以上でございます。
長野参考人 今までお二人の参考人が申し上げたとおりでございます。
田附参考人 決済用預金につきましては、あくまでも利用者の御理解を十分に得る、これが一番必要かと存じております。このために、預金者への周知等につきまして懸命に努力をいたしたいと思っております。
 それから、仕掛かり中の決済の問題でございますが、これも非常に結構かと存じております。
 以上でございます。
遠藤(和)委員 今回、この法律とまたもう一つ別の法律として、金融機関の再編を促す、再編ができる、そういう仕組みをつくる法律を今審議しているわけですけれども、皆さん方の金融機関は、地域に密着をしている、地域金融機関といったらいいんでしょうか、お客さんとフェース・ツー・フェースでお話をして、その地域の中小企業の人たちと共存共栄、ある意味で運命共同体のような強いつながりを持っている機関だと思うんですけれども、それの各地域における将来像と申しますか、やはり健全でなければいけないという意味があります。
 かといって、それが、要するに、余り都市銀行のような論理で、強い者が淘汰するというふうな制度でもいけないのではないかなと思うわけでございますけれども、そうしたことから考えながら、この再編のあり方、そして、将来どういった形になることが地域金融機関としての役割を果たすことになるのか。
 その将来像について、再編の未来の姿ですけれども、そうしたものについてどのようにお考えであるのかということをお聞きしたいと思います。
平澤参考人 我々地域金融機関の役割は、やはり、限られた地域において、そこにおられる主として中小企業の皆さん、あるいは個人の皆さん方の金融ニーズに的確に対応していくということであるわけでございます。
 したがって、今申し上げたそういう役割が損なわれるような方向で、お話のような合併あるいは再編、さらに言えば、今申し上げた大切な業務以外にいろいろなことに手を出すことはやはり問題であるということを強く認識しておるところでございます。
 御存じのように、アメリカにおきましては、地域金融機関が次から次へ合併あるいは再編を行いまして、結果として、地域の人たちからだんだん、あの銀行はどうも大きい方をねらっているということで、そこの金融機関と取引が疎遠になってくるということになってまいりまして、そういう方向での統合再編はまずいんじゃないかという事例も起こっておりますように、やはり最初に申し上げました原点を常に忘れないように考え、そういう中で合併再編、そういうものがプラスになるなら、そこは個々の金融機関の経営者の御判断でおやりになるということではないか、そのように考えている次第でございます。
森本参考人 合併統合というのは、お互いの経営者の高度な経営判断の一つであるというふうに承知をいたしております。
 私どものことで大変恐縮でございますが、わかりやすい例でございますが、県内に三つの地方銀行がございまして、私どもと、呉市に本店があるせとうち銀行、規模からいうと私どもの二分の一弱ぐらいになるんですが、昨年の九月に持ち株会社方式で統合いたしまして、平成十六年の五月に合併を発表しておるようなことでございます。
 一県何行主義ということで、四行では多い、一行がいい、二行がいいということがひとり歩きして、大変に混乱をした時代がございますけれども、地方銀行というのは規模が大きくなればそれでいいということでもないと思います。問題は内容でございますし、お客様また株主からとってその方がいいか悪いかということが判断されるべきであると私は承知いたしております。
 我々のように、地域に根差す金融機関として、店舗が非常に重複しておるということがございまして、それがコストダウンの妨げになるならば、合併をすることによってコストを下げ、もって体力を強めて競争力を高め、広島県にございます旧地銀ともっと平等に競争ができるような体力をつけるということが合併の効果ではないかというふうに思います。そのことが、力をつけること、コストを下げることが競争力を高め、もって地域経済の繁栄に貢献するということでございますので、手前みそになりますが、私どものような合併は歓迎されるべきであろうというふうに思っております。
 そのための、この特措法について私も不勉強ではございますけれども、この法案が通過をいたしますと、合併がしやすくなる、また税法上もいろいろ優遇措置が受けられる部分もございますし、そういった意味での、法案によって新しい統合合併を考えようという経営者も数おられるのではないかというふうに想像するときに、この法案が原案どおり可決されることは適当であるというふうに私は考えております。
 以上です。
長野参考人 先ほどもちょっと申し上げましたように、その合併というものが地域経済の繁栄にとって、そしてそれぞれの金融機関の健全性あるいは信頼性、信用力の向上ということにプラスになるということであればよろしいんじゃないかというふうに思っておりまして、それを支援していただけるような策がいろいろ講じられるということは、前向きの合併ということがどんどん促進するだろうということで、大変結構なことだというふうに思っております。
 ただ、一言だけ付言しておきますと、同じ地域金融機関の中にもいろいろございまして、私どもは協同組織金融機関という考え方、建前をとっておりまして、要するに、今は力のない人、経済的、社会的な力のない人というのもそう存在しないかもしれませんが、弱い人がみんな集まって、知恵なり力を出し合ってお互いに助け合っていこうじゃないか、これが基本でございまして、先ほど先生方、どなたかおっしゃいましたけれども、リレーションシップバンキングというふうな言葉、まさしくあれは我々信用金庫、協同組織金融機関に匹敵した言葉ではなかろうかな、こんな感じがしているわけであります。
 地縁性、人縁性をたっとびながら、その地域それぞれの金融機関の繁栄、発展を図っていこう、こういうことでございます。よろしくお願いいたします。
田附参考人 私ども信用組合業界でございますが、基本的には、やはり地域あるいは周辺のいろいろな中小零細企業の方々、また生活者の方々、用があれば来てくださいではなくて、用があればこちらから出向いていくという、やはり見方によっては非効率な面を多々持っておるわけでございます。
 いわゆる再編促進法によりまして、合併の手助けをしていただくという点につきましては非常に結構かと思っておりますけれども、やはり合併につきましては、地域というものを中心に考えますと、あくまで、その金融機関の経営基盤の強化というものに真に必要であるかどうか、また健全性を維持する場合にそれもどうか、こういうことが一番の基本になろうかと思います。それで、あくまで個々のケースで経営者の判断によるというふうなことでございます。
 最終的には組合員に対する金融サービス、有効に働くかどうかというとこら辺でございますので、合併必ずしも有効ならずということも言えようか、このように考えております。
遠藤(和)委員 時間になりました。皆さんが地域から愛され、信頼される銀行、金融業として着実な発展をされますように祈りまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
小坂委員長 次に、達増拓也君。
達増委員 参考人の皆様、きょうはありがとうございます。
 まず、四人の参考人の皆さん全員に伺いたいのでありますが、それは、そもそも来年四月ペイオフ解禁ということが決まっていて、地域金融機関それぞれにかなりの努力をしてきたんじゃないか、また非常な努力を強いられたんじゃないかということであります。
 もともと、今この委員会にかかっておりますこの決済用預金、決済システム強化のための法案でありますけれども、これはことしの七月三十一日、金融庁「決済機能の保護に向けた検討について」というペーパーで、小泉総理大臣から、「ペイオフは実施すべきであるが、一方、決済機能の安定確保のための方策を検討し、必要な改革案をとりまとめるようにとの指示があった」という、そこからきている法案でありますが、七月三十一日のペーパー、これは前日に小泉総理がはっきりペイオフは実施すべきであると言ったことを受けているわけであります。
 それを敷衍しますと、こういう記録が残っております。小泉総理がおっしゃったのは、「ペイオフ解禁は構造政策の一環であり、その基本を揺るがしてはならず、予定通り実施すべきである。金融機関には、預金者の信頼が得られるよう、経営基盤の強化に向け、格段の努力を促すべきだ」ということだったわけであります。
 ところが、十月初めに小泉総理から竹中新金融大臣に指示があり、ペイオフについては平成十七年四月からというふうに突然変わってしまった。
 まるで、金融機関には預金者の信頼が得られるよう経営基盤の強化に向け格段の努力を促すべきだとしていたのに、その努力が足りないから、それがどうもうまくいかないからペイオフを延期せざるを得なくなったかのようなふうにも解釈できるのでありますけれども、この点、いかがでございましょうか。
 では、平澤参考人から順番に伺いたいと思います。
平澤参考人 先ほども御答弁申し上げましたが、地方銀行といたしましては、来年の四月一日からペイオフ解禁ということで一生懸命努力してまいったわけでございまして、それが二年さらに延びたということでございますが、もろもろの事情、経済の情勢その他考えますと、これはやはりやむを得ない措置ではないかな、そのように我々としては理解しているわけでございます。
 地方銀行といたしましては、これまでも準備を進めておりますので、さらに二年間、ペイオフになった場合に備えまして、先ほども、小泉総理のおっしゃった中に入っておりますように、経営基盤の強化とか、さらに言えば、理解していただくためにディスクロージャーも積極的にやっていくとか、もろもろの施策をとっていきたいな、そのように考えているところでございます。
森本参考人 達増先生おっしゃるように、経営者の努力の限界を超えておるのでペイオフは延期しないといけないのではないかというふうに総理が思われたかどうかという部分は、私は想像の外にございますことで存じませんが、少なくとも、私どもといたしましては、先ほど申しますように、ペイオフが来年の四月から実施された場合に起こるべき問題点を列挙して希望を申し上げておる点から申しますと、慎重に対応、検討された上でペイオフが四月から実施されるということもいたし方ないというふうな思いはございました。
 それがこういう結果になりまして、安堵しておる部分もございますが、預金者の側からいいますと、地公体の市長であるとか収入役さんあたりが、何十億という金をどうすればいいんだろうかということで大変な議論になっておったということを承知いたしておりました。
 我々としては、ひたすらリストラ計画を実行し、また、経営計画を再検討して、お客様から安心して信頼してお取引をいただけるような銀行をつくるしかない、それを天下にディスクローズして、私どもの銀行はこうです、我々の業界はこうですということをあからさまに皆さん方から御検討いただいて、この銀行は安心だという銀行をつくるしかないというふうに考えておりましたが、不良債権の問題、またデフレがこのように進行する中で、総理とすれば、やはりこの二年の間に不良債権の処理を済ませる、ということは不良債権比率を三%台に落とすということを目途にされて二年間の延長をされたということは、私どもの希望と非常に合致をするところでございまして、冒頭に申しましたように、経営者の判断で、これ以上ペイオフが実施されると銀行が全部破綻してしまうから延ばしたのかということでは少なくともないのではないかと、私の個人の想像でございますが、思っております。
 以上です。
長野参考人 特にことしに入りまして、三月、四月、特に四月以降、資金の移動というものが急激に激しくなりました。もとより私どもといたしましても、それまで日夜経営の健全性の維持確保、経営体力、体質の強化に努力をしている、そのことが一番のペイオフ対策であろうというふうに思いましてやってきていたわけでありますが、あのような形での資金シフトというものは、今もお話ございましたけれども、私どもの経営努力をオーバーした、超えた、何か違う次元の現象のような気がいたしておりまして、もとより私ども、これからも努力はやりますが、どうもそういうような力が作用している。
 ちょうど六月の二十一日に私どもの信用金庫大会がございましたので、そういう席上でペイオフについて考え直ししていただきたいということを言うことは、言うなれば私どもの業界の弱点を示すようなことにもなりかねませんし、いかがかと思ったわけでありますが、ああいう形で資金シフトが起こっていますと、もう私どもとしては、貸し出し原資がなくなるんじゃないか、特に定期性が要求払いにシフトするということは、中小企業が望んでいる長期資金需要に十分こたえられないというようなことで、このペイオフという問題についてはということでいろいろお願いをしてきたわけであります。そういうことでございます。
田附参考人 同じようなお答えになろうかと思いますが、三月を境に、四月以降、かなりの資金移動がございます。郵便局あるいは大手地元銀行筋への資金の流出が顕著に見られたわけでございます。そうした状況といわゆる全体の地域の状況等を総合的に考えまして、業界といたしまして、いわゆる景気の回復が確認されるまでというふうな抽象的な表現でございますけれども、そうしたことで延期をお願いしたような次第でございます。
 ありがとうございます。
達増委員 私も、地銀、第二地銀、信金、信組それぞれに、健全性を高める努力でありますとか、あるいは地域向けの新商品の開発、そういう経営努力を積極的にやるですとか、あるいは泣いて馬謖を切るようなことを決断を迫られたり、そういう実例を見聞しておりまして、その努力不足、経営努力の不足によってペイオフを延期しなきゃならない羽目になったということではないんだと思います。むしろ、ことし七月末の段階でまだペイオフ解禁は予定どおり実施と言っていた政府に根本的な間違いがあって、かつそれは、先ほどデフレの問題を答弁の中で指摘されましたが、そういう全体の経済政策の中でなすべきことをやらないでいて、最初から無理なペイオフ解禁ということを言い張っていたところに問題があるんだと思います。
 そこで、デフレ対策について、これも四人の参考人、皆さんに伺いたいと思います。
 突然補正予算の話が浮上してまいりました。出るべくして出てきたというか、ただ、これも朝令暮改のような感じもあって非常に唐突な印象も受けるのでありますけれども、他方、地方の疲弊、中小企業の困窮、これはもうほうっておけない事態なんだと思います。
 そこで、そういう地方の経済の疲弊状態ということを踏まえつつ、デフレ対策の必要性、あるいはデフレ対策として政府に求めたいこと、その辺について、平澤参考人から順に伺いたいと思います。
平澤参考人 一昨日でございますか、GDPが発表されましたが、数字を拝見しますとプラスで出てきて、それからその前の数字も上方修正されているということでございますけれども、地方銀行、きのう例会がございまして、各地方の経済の情勢について新聞発表したわけでございますが、やはり現在の足元の経済というのは、大変停滞基調に入ってきているのではないかなというのが各地方の状況でございます。地域によって、比較的いいところ、それから非常に苦しんでおられるところ、そういう点は分かれておりますけれども、一般論として申し上げると、今のような状況でございます。したがって、各地銀の頭取さん方も、何らかの施策を政府あるいは各方面においてデフレに対してとっていただけたらなという気持ちを強くは持っていることもまた事実でございます。
 しかし、いずれにしても、この問題は政府がお考えになることでございますので、我々としては、そういう気持ちは持っているということを申し上げるにとどめたいということでございます。
森本参考人 私の全く個人的な見解は少し違うのでございますが、今の達増先生の地方の経済はどうかという問題について、少し詳しくペーパーにおろしておるものがございます。冒頭の竹下先生の質問で、中国地方は元気がいいんですよという話もいたしましたが、中国各県、五県の状況をつぶさには数字で記憶をいたしておりませんので、これは地方の財務局で公式に発表された文章でございますが、ちょっと申しわけございません、読ませていただいてよろしいですか。
小坂委員長 手短にお願いいたします。
森本参考人 中国地区の経済指標を見ますと、輸出の増加を受けて鉱工業生産は持ち直しを見せており、また、企業収益も回復に転ずるなど、総じて見れば景気は下げどまりの方向に向かっている。しかしながら、一方で、公共投資、住宅投資、企業の設備投資等は引き続き低調に推移しており、雇用及び所得環境についても今なお大変厳しい状況が続いているのが現状である。また、世界経済の減速や株安をめぐる先行きの不透明感が依然として強く、まだまだ景気の回復を実感するにはほど遠い状況にあるというのが率直な実感でございますし、私も若干そう思うところがございます。
 ここ最近の企業倒産件数、負債金額とも依然として高い水準でございまして、私ども地域金融機関にとっても大変深刻な事態であるということも、一面事実であるというふうに思います。
 以上でございます。
長野参考人 現在のデフレの状況についてお話がございましたが、多少地方銀行さんと違うような感じを私は受けているわけであります。どうして違うかというと、取引対象が地方銀行さんの方は比較的中企業、そういうところもあるんじゃなかろうか。我々は、小零細企業、しかもその中でも、非製造業というものについては非常に大きなダメージを受けているわけであります。先ほどある先生が東京はよろしいというお話がございましたが、東京だって同じでございます。ひとり勝ちだという状況では決してないわけであります。まことに惨たんたる状況というのが現在の小零細企業の実態であろう。
 したがいまして、デフレ対応策につきましてはあらゆる方法、手段を講じていただいて、先ほども申し上げましたように、需要の喚起をぜひひとつお願い申し上げたい。そのための財政、金融、税制、あらゆる方策を駆使していただきたい、そういう気持ちでございます。
田附参考人 私は滋賀県でございますけれども、総じて製造業が多うございますので、法人関係の税に頼る率が非常に高いということでございます。したがいまして、地方の財政が非常に危機の状態にあるということを承っております。
 したがいまして、今後の問題といたしまして、地域、特に伝統産業でありますとか地場産業でありますとか、そうしたものに対する施策はどうか、この辺を非常に心配いたしております。特にまた、商店街の問題もございますが、総じて中小零細企業の方で、最近は、後継ぎがいないという問題よりも、息子がやると言ってもおれはやらさぬと。税金も高いし、いろいろな問題が多過ぎて、どうもやる気をなくしておる、こんなようなことも聞いたりいたしております。
 特に税制の問題につきましては、景気の振興の一つの切り口であろうか、我々申し上げるのは僣越でございますが、その辺とか、いろいろな土地の税制の問題でありますとか、その辺をひとつよろしく御支援を賜りたい、このように思っております。
達増委員 時間ですので終わりますが、改めて、ぶれない、効果的な経済政策を政府がきちんとやっていかないと、本当にとんでもないことになるということを感じましたことをつけ加えて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 参考人の皆さん、大変御苦労さまです。
 昨年来、金融検査マニュアルが適用されまして、一斉検査というのが行われまして、信金、信組を中心にかなり大変な破綻が続いたわけであります。不良債権の基準を厳しく検査でいたしまして、それに見合う引当金を積まなければならない。それができないところはこれは経営としてはだめな経営であるというようなことで、ついに五十幾つも破綻をした。私は、こういうやり方自体、極めて画一的なやり方でありまして、これは大変政策的には正しくないということを主張し続けているわけでありますが、現実にはそういうことが行われたわけであります。
 それが一巡しまして、今回提案されている法案は、地域金融機関を中心とした合併の促進ということでございます。
 そこで、合併ということになりますといろいろな意見がありまして、大きくすれば収益力が上がって強くなるからこれで地域に貢献できる、こういう議論があります。しかし一方では、合併をすることによって、リストラが行われ、そして今まで顔が見えるようなしっかりとした、相手の状況を把握した融資が行われていたのに、なかなか、大きくなってしまいますと顔の見えない状態になってしまうんじゃないか、こういう意見もありまして、私なんぞは、どちらかといいますと、顔の見えない方向に行く、そういうおそれを感じているわけであります。
 そこでお聞きしたいんですけれども、合併をすべきだという御意見の中で、例えばこういう基準を設けてはどうかという意見があるんです。預金量、これを、信金、信組の場合には八千億円が基準になる、地銀の場合には一兆円が基準になる、それ以下のところは合併をした方がよろしい、こういう意見があるんですけれども、私はかなり乱暴だと思っておるんですけれども、それぞれの御意見をお聞かせいただきたい。特に、小さな規模の組織を抱えておられる信用組合の中央協会の会長さんであります田附さんから、お一人ずつそれぞれ御意見を伺いたいと思います。
田附参考人 ただいまの八千億、一兆円というお話は、私も聞きましてびっくりいたしておりますけれども、特に八千億ということにつきましては、つい何年か前までは五百億円とか一千億とかいう話がありまして、それ自体、五百億とか一千億円ぐらいがミニマムではないかというふうな、これはあくまで地域ということを念頭に置いたものでございます。
 私どもの業界は、御承知の、いろいろございますので、二百、三百という組合もたくさんございます。したがいまして、量的なものでミニマムのラインをこしらえるということについては極めて問題がある、このように考えております。
 以上でございます。
長野参考人 今お話がございましたように、金融機関としての適正規模というものは、やはりその地域地域によって違ってくるだろうという気がいたしております。五百億、一千億、その地域によっては非常に大きな力、機能、役割を果たしている、そういうような金融機関もございますし、そういうようなことで、必ずしも一概に言えないのじゃなかろうか。
 ただ、一般論としては、スケールメリットというものも、あるかないかといえばないとは言えないよ、こういうようなこと等は言えるのじゃなかろうか、こういう気がいたしております。
 以上です。
森本参考人 先生がおっしゃる八千億、一兆円の話は初めて聞きました。
 手前ども、多分数字が間違っていないと思いますが、五十六行の会員、加盟行がございますが、一兆円以下の銀行が三十六行ございます。一兆円以下でも、非常に内容がよくて、地域のシェアも高くて、株主並びに顧客の信頼の非常に高い銀行もございます。
 先ほどの、どなたか先生の御指摘にありましたときにお答えいたしましたように、地方銀行というのは大きくなればいいというだけではございません。それは必要条件の一つでございます。もちろん、小さい方がいいという反比例はいたしておりませんが、内容がどうか、コストが幾らか、働いている行員の質がどうかというところが問題でございまして、それがお客の安心、信頼を得て整々と営業できるわけでございます。
 また手前みそになりますが、私どものように、広島県の中で重複店舗が百四、五十の中で四十近くあるというようなところは、合併をいたしましても最寄りの店舗が喪失する、なくなるということはないわけで、コストが下がり、また自然の人員減も創造されます。そういったことで顧客の信頼がより得られ、競争力を高めて、もって地域社会に貢献をできるというふうに考えておりますので、規模の大小で物差しを当てるということについては、私は、私個人の意見ではありますが、余り賛成できません。
 以上です。
平澤参考人 今もお話がございましたように、規模が大きくなれば効率性がよくなるという面もあるわけでございますが、しかし、それによっていろいろ失われる部分も、特に中小企業金融とか、地元ときちっと密着してフェース・ツー・フェースで相手の懐まで入って金融をやっていくという面等々で失われるものも大きいわけでございます。
 したがって、どちらがいいかというと、私は、やはり一番お客様のプラスになる観点から、しかし効率性よくやっていくという場合にどういう規模がいいかということでございまして、神奈川県の場合も、私どもの銀行のほかに、第二地銀さんもおられますし信用金庫さんもおられます、そして、それぞれが大変御立派な仕事をしておられるわけでございます、規模は随分違いますけれども。
 したがって、そういう意味で幾らの規模と言うのはやはり問題もあるのかなというふうに考えている次第です。
佐々木(憲)委員 どうもありがとうございました。
 大きくなればいいものではなくて、やはり地域に密着した、その地域の中小企業に役に立つといいますか、よく支援できる親切な金融機関というのが一番いいわけでありまして、ぜひそういう方向を追求していただきたいというふうに思います。
 それから、先ほどからも議論がありますが、協同組織金融機関、とりわけ信金、信組の場合ですね、この検査というものが、今までは都道府県単位でありましたけれども、現在は金融庁に一本化されまして、上から全国的な視野で一斉に行われるということがよく行われるわけであります。
 その場合、どうしても、これは私も検査マニュアルのときに、都市銀行と信用組合、信金に一律に当てはめるのはおかしいじゃないか、やはりそれぞれ性格が違う、したがって、違う物差しでやるべきだという主張をさせていただいたわけであります。やはりそういう点で、それぞれの地域に密着し、その地域の零細な中小零細企業に対して親切な融資を行うことが一番望ましいわけでありまして、そういう意味で、協同組織金融機関の役割というのは、今の深刻な経済状況のもとではますます大きくなるのではないか、なければならないというふうに思います。
 田附会長にお聞きしますけれども、貸し出す先が効率が悪い、非効率である、だからだめなんだ、こういう発想でいきますと、小さな町工場は本当に大変なことになると思うんですね。そういう地域の中小零細企業の経営を安定させるという意味で、一律に輪切りにするのではなくて、将来の展望、経営者の経営能力、それから技術の力、こういうものをやはりよく判断をして貸し出していく、これが大変重要だと思うわけです。
 そういう点で、合併をしてしまいますと、例えば五つ、四つが一つの組織になりますと、どれかの基準に合わせて、つまり五つのうちの一つの経営基準といいますか、貸出基準に合わせてやらざるを得ない。そうすると、今まで貸し出していた相手先が、基準が変わりますと今度は切り捨ての対象になるということをよく聞くわけであります。
 ですから、そういう角度でいいますと、単に合併をすればいい金融機関になるというふうには単純に言えないと思いますね。
 まず、その点で御意見を田附さんにお伺いしたい、それから長野さんにもお伺いをしたいと思います。いかがでしょうか。
田附参考人 ただいまの先生の御質問でございますが、まず、合併して大きくなればいいものではないという前提でまいりますと、一律に貸出先に対して全部同じ基準を適用してやるということについては、極めて逡巡するものがございます。ということは、一つの金融機関がAという取引先に対して接する接し方と、Bとは、当然違うはずだ、顔が違えばということでございますので。
 合併をいたしましても、両者の基本的な共通の理念があればこその合併でありますので、数の上で大きくなればいいというものではない。こういうことでございますので、ただいまおっしゃいましたように、いろいろ、企業の歴史、伝統とか、それからこれからの見込みあるいは可能性とか、そういうものを加味した上で十分な、適切な対応をする、こういうことでございますが、最終的にはやはりその経営者の将来に対するやる気の問題である、それにおこたえするのは金融機関として当然のことである、このように考えております。
長野参考人 先生がおっしゃいますように、合併については、メリットもございますし、またデメリットもあるというふうに思っております。
 先ほど来、合併そのものは経営者としての重要な選択肢であるということを申し上げているわけでありますが、我々は、合併に取り組む際は、例えば、その金融機関同士が歴史的な必然性があるか、あるいは地域のつながり、結びつきが果たしてあるのか。そのことはまさに、合併した場合、一つの金融機関になった場合の取引先の利便、あるいは不便にならないようにということを検討しているというようなことでありますので、悪い点というものも当然出てきていると思いますが、これは、そういうようなものは往々にして、悪い点があるから合併できないということになると、これまたできません。それから、いいからいいからと思っていい気になって合併したら、これまたえらいことになるだろうというふうに思いますので、そのメリットを生かしながらデメリットを改善していくということが必要だろうというふうに思っております。
佐々木(憲)委員 長野参考人にもう一点お伺いしますが、ペイオフとの関連で、保護限度額ですね、これは一千万円ということでありますけれども、これはこれで十分であるのか。長野参考人の御発言を、これはほかのところで拝見をさせていただいたんですが、三千万円ということもおっしゃっているようでありますが、一千万円ではなくてもう少し引き上げるべきだというその理由ですね、これはどのようにお考えなんでしょうか。
長野参考人 これは、ペイオフ問題について私ども業界が要望をしていたときのことであろうというふうに思っております。
 そこで、例えば三千万と申し上げたのは、中小企業の資金の決済、それを考えた場合に、それは多くとっておけばそれにこしたことはないわけでありますが、ずっと状況を見てみますと、例えば三千万の枠というものが設定されていれば、通常の中小企業の資金決済の枠としてはまずまずいけるんじゃないか。できれば五千万ということぐらいは言いたかったわけでありますけれども、そういうようなことで三千万ということを申し上げたわけであります。
佐々木(憲)委員 ありがとうございました。終わります。
小坂委員長 次に、植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 きょうは、本当にお忙しいところをありがとうございます。
 時間も、十七分というわずかな時間でございますので、きょうは四人の参考人の方すべてにお伺いすることはできません。冒頭、信金の長野参考人、そして信組の方の田附参考人、お二方におおむねお伺いしたいと思いますので、地銀さん、第二地銀さんの方、ちょっと今の間お休みいただければと思います。
 さて、まず、長野、田附両参考人に、ひとつ御所感というか、御感想ということでお伺いしたいんです。
 もう今はないんですけれども、永代信用組合というのが東京の江東にございました。これは、金融庁の破綻命令によって経営破綻しているわけですけれども、その中身とか内容の可否を云々しようというのではなくて、この組合がやっていた事業、俗に市民バンクという融資事業をやっておったわけですけれども、これは八九年から始まった事業だそうで、教育や福祉、環境保全等、そうした社会性のある市民事業を融資対象にしておった。
 ですから、そういう意味で、こういう先進的な取り組みをしておった信組が不幸な結果になったのは非常に残念だと思いますし、実際に、社会的に有益なそういう融資事業をやっておった地域金融機関が大手行と同じ破綻処理マニュアルで淡々と消えていくというのは、私は、実は社会にとって、とりわけ地域社会にとって不幸なことだなと思っておるわけですけれども、まず、導入として、その点について御所見を簡単にお伺いできればと思います。お願いいたします。
長野参考人 本件につきましては、私ども信用金庫でございまして、信用組合さんのことはよくわかりません。
 ただ、先生おっしゃった、非常にいいことをやっている、非常にいいことをやっているにもかかわらず、そういうところがなくなってしまうということはいかがなものか、こういうお話だろうというふうに思うわけでありますが、いいことをやっているということと、金融機関として存在するということは、私は多少内容が違う問題じゃないか、こういう気がいたしております。
田附参考人 永代信用組合さんの破綻につきましては、私どもといたしましても極めて残念なことと思っております。
 市民バンク制度につきましては、先ほどおっしゃいましたような経緯でできておりますが、参考までに申し上げますと、現在、数組合でその制度を一緒にやっておりまして、三十一件で一億六千百万円という実績を上げておるやに聞いております。永代信用組合の起こしましたこの制度というものを、ほかの組合が引き続いて継承して、なおかつ時代に合うような努力を重ねながら努力をしておる、このようなことに聞いております。
 私どもといたしましても、こういう制度を、こういう形でいろいろ組合員のためにサービスになるということは十分意義のあることだと承知をいたしております。
植田委員 いわばコミュニティービジネスへの萌芽がいろいろなところで生まれているわけですが、永代さんの話については導入部で、感想ということで伺った以上のあれはないので、信金さんの方も引き続きお伺いしたいんですが。
 いわゆる地域住民の手によるいわば地域を活性化する事業、NPO等も含むだろうと思いますが、そうしたコミュニティービジネス、こうしたものが、これは今、とりわけやはり協同組織金融機関がそうしたいろいろな制度を立ち上げる場合が多いかと思うんですけれども、こうしたさまざまな事業等への融資というものをこれから活発にやっていくということは、やはり、とりわけ地域のそうした信金さん、信組さんの地域における一つの社会的な役割だと思うわけですが、その点で二つ、これも長野、田附両参考人に伺いたいんですけれども、信組さんにせよ信金さんにせよ、それぞれの中央機関がそうした情報なりなんなりをサポートできる体制があればいいんじゃないか。
 例えば、具体的なそうした情報提供なり先進的な事例をそれぞれ知っていただくなり、啓発も含めたそうしたものを、やはり中央機関が地域のそれぞれの当該機関に対して、言ってみればハブセンター的な役割を果たしていくとか。
 それともう一つは、中央機関としても、これからのそういう市民事業に対する融資というものについて、これは海外でもさまざまな事例も、とりわけアメリカなんかの事例はあるわけですが、そうした市民事業等への融資についてのありよう、日本ではどうした形で、また、それぞれの地域事情にはどうしたありようがあるかということについて、やはり中央機関さんとしてもいろいろとそうしたものを研究、またスキルの開発等もやっていくということが、またそれが逆に今度、個別金融機関等にとって大いにプラスになるだろうというふうに思うわけです。そうした取り組みをやはり中央機関さんとしてはやってほしいなと思うわけですが、その点については、長野、田附両参考人、いかがでしょうか。
長野参考人 私どもが標榜しております私どもの仕事の中の大きなことの一つとして、地域社会に対する貢献ということを言っております。
 それから、先ほどどなたかが、運命共同体だというような表現がございました。私どもでは、現在、使命共同体という表現を使っているわけであります。これは、地域に住み、地域で仕事をしている者同士が、どうすれば地域の発展を図ることができるか、言うなれば、同じ志を持っている人たちが、ただ、こうしてくれ、ああしてくれということだけじゃなくて、自分みずからが努力をして地域の発展を図っていこうじゃないか、そういう共同体の、信用金庫はその中核となってその使命、責任を果たしていこう、こういうような考え方で現在進んできているわけであります。
 したがって、そういうような地域のいろいろな団体等に対する支援、そういうことはもう当然出てくるわけでございますし、できる限りバックアップしていこう。ただ、もとより、内容というようなものを十分承知した上ででございますけれども、気持ちの上では十分バックアップする、こういう気持ちでございます。
田附参考人 先生お説のとおりでございまして、情報化社会の中でいろいろな情報を会員組合に提供するということは当然必要でございまして、私どもの協会の内部におきましても、業界内部でございますがホームページを作成いたしまして、あらゆる情報を即時にわかるようにいたしております。
 また、系統機関でございます連合会にも組織がございまして、情報サービスの方でもネットを組んでおりまして、情報提供に努めております。
植田委員 わかりました。これからも積極的にそこのところ、既に取り組んでおられる事例も、先進的な事例もあるだろうとは思いますけれども、より積極的に取り組んでいただきたいと思うわけですが。
 こうした言ってみればコミュニティービジネス、NPO、こうした市民事業、広い意味ではとりあえず市民事業と言っておきますが、そうしたものへの融資等を考える場合に、私自身の問題意識として、やはりそうした活動の中身、活動の実態、また置かれているそうしたNPO等々の活動の条件、経済的な条件も含めて勘案したときに、担保に依存し過ぎる信用リスク管理になりますと、やはりなかなか間口が狭くなるんやないかなと思っておるわけです。
 実際、担保に依存しないそうしたノウハウの価値であるとか、これは企業に対しても、中小企業に対しても言えると思いますけれども、成長力なり社会的貢献度なり、そうしたものをやはり何らかの形で、そうした意味での観点を重視した信用リスクの管理体制というものを構築していく、そういう過程の中で、やはりそうした新たな地域におけるそうしたさまざまな社会セクターともいうべき活動に対する融資の間口がより広がってくるんじゃないかと思うんです。
 これから、地域のそうした協同組織の金融機関として、とりわけ担保に依存しない信用リスク管理について、いろいろな知恵があられるかと思いますけれども、どんなことを考えてはるかということについて、お二方にまたお伺いしたいと思います。
田附参考人 今のお話で、私ども、協同組織でございますので、地域とのつながりというのは非常に大切であるという認識のもとに、特に私ども、先ほどお話がございましたNPOの活動、それらに関連する資金調達をどのようにされるかということにつきましては大いに関心を持っておりますが、まだ具体的に、まだまだこれからということでございますので、体制としては組めていない、個々に御相談があれば積極的に取り組んでおるというのが現状でございます。特に、その場合は担保優先にならないように、事業の将来性あるいは継続性というところに重点を置きましていろいろと御協力をいたしておるということでございます。
長野参考人 ただいまの御説明されましたことともうほぼ同じでございます。
 ただ、あえて申し上げると、先生おっしゃった、担保がない場合に何に貸すんだ、こういうようなことでございますが、その事業の実態を把握して、そして、やはり人に貸すということと、それからやはり返済能力、貸せばいいというものじゃ決してございませんので、それではいろいろそういうような、御融資したものがどういうような計画に従って何年か以内に返ってくるか、こういうようなこともやはり見させていただかなくてはいけないというふうに思っております。
植田委員 NPO等々も、今八千を超えるNPOが活動しておりますけれども、ほとんどが小規模のNPO法人でございますから、そういう意味では、なかなか融資をするしないというところでのおつき合いが見えてくるというところまでまだまだ至っていないだろうとは思うんです。
 ただ、これからやはりそうしたNPO活動が活発化してくることは確実でございますし、今NPOの法律の使い勝手をよりよくする、そうした改正の作業もこれは超党派で進んでおるところでございます。そういう意味では、そういうNPO、地域で活動するNPOなりと一番トイメンに立つのはやはり地域のそうした協同組織金融機関だろうというふうに思いますので、できるだけそれはやはり先取りする形でそうしたニーズに応じた体制を、それがまた新たなビジネスモデルの構築につながるだろうというふうに思うわけです。
 といいますのは、いずれにしても、幾ら市場原理、市場原理といっても、これからはやはり分かち合う経済、共生の経済というのがとりわけ地域のそうした協同組織の金融機関に課されている課題だろうと思いますし、それこそ市場原理の権化ともいうべきアメリカなんかは、そうした活動というものは、NPOという非営利活動に対するそうした体制というのは、実は一番先進的な役割を一方で果たしているわけです。もちろん日本に比べると、そうした非営利活動がアメリカ社会に占めるまあ言ってみれば位置づけというのはまだまだ全然格段の差があるわけですけれども、アメリカにおけるコミュニティーバンクの発展というのは、やはりそういう土壌の中にあったんだろうと思います。
 そういう意味では、新たな地域社会を創成していく、創造していく一つのかなめの中にやはり信金さん、信組さんがいらっしゃるんだ。また、そういう自覚は当然お持ちだろうと思いますけれども。やはり、そこで収益原理ということではない別の原理、協同原理というものを常に根底に据えた活動をこれからも、もちろんつぶれてしまったらあきませんけれども、続けていきたいと思うわけなんですが。
 最後に一点、日本版CRAについてのお考えをお伺いして終わりたいと思うんですけれども。
 これは金融機関押しなべてそうですけれども、ほとんど自己資本比率で評価されておって、要するに地域貢献に対するやはり評価基準がない。これはアメリカなんかの場合ですと、釈迦に説法になりますけれども、例えば金融機関が持ち株会社をつくりたいということになると、もちろん自己資本比率もありますけれども、そうした地域社会に対する貢献、この二つをクリアしなきゃならないわけでございまして、そういう意味では、これは両方とも車の両輪だろうというふうに思うわけです。
 そういう意味で、車の両輪の片一方の大きな車輪、地域社会貢献という観点からした場合、既に中小企業団体を初めとしていわゆる日本版の地域再投資法を制定する動きというものは各地で起こっておりますし、とりわけ北海道なんかでは全市町村で意見書、決議が上がっている、そういう背景もあります。やはり、こうした動き等について敏感に反応しながら、積極的にそうした問題意識を持ちつつ、そこに向かっていただきたいという思いで、最後に長野参考人、田附参考人にお伺いしたいと思います。
長野参考人 よく研究させていただきたいというふうに思っております。
 先生おっしゃるように、金融機関の経営の健全性を、例えば自己資本比率、そういうようなものだけで判定していいのかどうか、もっとほかに要素があるんじゃないか、そういうような意味合いでの中で、その金融機関がどこまで地域に密着し、地域の産業、地域の発展のために努力をしているか、その内容を見て判定しようじゃないか、こういうお考えそのものには私は大賛成であります。
 ただ、法的な形として出た場合に、そういうことがいろいろ規制されたり法的に制約されたりするということについては、これはいかがなものかなというふうに思っているわけでございます。
 よくまた御研究いただきまして、お教えいただきたいと思います。
田附参考人 地域貢献という問題につきましては、結論から申し上げまして、数字であらわすことは非常に困難である。数字であらわす場合は、ある一定のものに対する数字は何%であるかとか、量はどれだけとか、それだけのことだけではなかなか評価を下しにくいと思いますので、その辺につきましては、地域貢献につきましては、理念と結果というものがなかなか直結しない、このような感じを持っておりますが、私どもとしては、力及ばずながら、地域貢献については自信を持っておる次第でございます。今後も努力いたしてまいりたい、このように思っております。
植田委員 もう時間が参りましたので、もう少しこの点はお伺いしたいところもあったんですけれども、後もつかえていますので、これで終わります。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、小池百合子君。
小池委員 保守党の小池百合子でございます。
 本日は、参考人の皆様、御多忙のところありがとうございます。最後の質問者でございます。
 今、前議員の方からNPOのお話もございましたけれども、考えてみれば、現在の日本の企業、そしてまた銀行も含めてでございますけれども、みんなノンプロフィットでございまして、みんなNPOと言えるような状況ではないかというふうに思います。
 ただ、特に、さまざまな数値を見ておりますと、地方経済の落ち込みがやはり極めて厳しい状況にある中で、一番企業にお近い距離におられる皆様方がどのようにしてバックアップをしていただくか。ましてや、貸しはがしなどというような状況をつくっていかれますと、これは本当に、いわゆる日本経済の末梢部分、実はここが一番重要なんですが、ここへ血が回らないということにもなりますので、皆様方の健全な御活動を心から期待を申し上げるということを、まず第一に申し上げておきたいと思います。
 さて、その上で、各金融機関、この辺が矛盾するところではあるのでございますけれども、収益力の向上ということも目指していかなければならない。そういった中で、どのような経営的な工夫を今後さらにしていかれるのか、お四方に伺わせていただきたいと思います。
平澤参考人 今、収益的な強化ということで御質問ございましたが、基本的なことは、やはり事業活動を行うに当たって、いかに効率的に経営を行い、低コストで仕事をしていくかということでございます。
 それから、もう一つは、やはり合理的な収入を上げていくということもあわせ考えなければいけないわけでございますけれども、しかし、御存じのように、金融機関は非常に公共的性格が強いわけでございますし、かつまた、地方銀行の場合は地元の中小企業なり個人との信頼関係というのが非常に重要でございまして、そういうものを損なってまで収益を上げていくということは、ひいては銀行自身の存立の基盤も危うくするということにもなるわけでございます。
 したがって、当行の場合ですが、一番、第一順位で力を入れていますのが経営の効率化ということでございます。
森本参考人 平澤会長と業界を同じくしておるわけでございますので、ほぼ同一の意見でございますが、地域銀行というのは一に地域の繁栄のために奉仕するというような姿勢を全会員行持ってございまして、そのためにはいかに健全に経営がなされておるか、もっと究極的には収益力の強化ということでございますが、そのためには、平澤会長がおっしゃったような、いかに効率経営をするかということでございます。
 コストをいかに下げるかというのは、銀行員の給与がどうだとかいうことが言われますが、我々としても本当に身を削って地域に奉仕しておるというような形になってございまして、収益を計上しながら、不良債権の前倒し処理をして、いかに健全な銀行であるかということを地域にアピールし、より多くの人たちに御利用いただけるように努力をするということであります。
 少し子細にわたりますが、高利回りの商品というものを我々も持っておりまして、信販、サラ金というような商品はございませんけれども、個人のローンにつきましても、スピーディーにこのニーズに対応できるように各種の商品をたくさん開発をいたしております。
 いかにコストを低く調達をして高利回りで運用して利ざやを稼ぐかというところでございまして、先ほど長野会長からもありましたが、運用というのは、ほぼ融資で運用して、一部有価証券でも運用しておりますが、お金を貸すということはだれでも簡単にできるわけですが、いかに返してもらうかということが本当の融資でございまして、返済能力がどうかということを問うときに、やはりこれは審査能力ということになるわけでございまして、銀行員の質、業界の動向を早く察知しながら、正確に察知しながら、中小企業、零細企業の皆さんの経営指導も行っていくというようなことで、私どもは経営のスタンスを守ってまいりたい、もって地域の繁栄に資する銀行でありたい、このように思っております。
 以上です。
長野参考人 私ども協同組織金融機関というものは、収益を上げる、収益そのものは決して目的ではないということでずっと来てまいりました。したがって、何十年来、八十年、九十年来、収益が上がった場合は利用する会員に、組合員にそれを全部還元していこうじゃないか、そして貸出金利はできるだけ安く、預金金利はできるだけ高くやっていこうや、これでずっと来たわけであります。
 さあ、その結果としてどういうことになるかというと、それでも十分その機能を発揮してきたわけでありますが、どうも自己資本があなたのところは少ないぞ、こういうことを言われるようになりました。そもそも、自己資本を厚くするという感覚なり、そういう考え方なりやり方というものが過去なかったわけでありまして、過去十五年ぐらいからそういうことがずっと出てきたわけであります。しかも、金融機関の経営の健全性を見る尺度、やれ自己資本比率である云々、あるいは不良債権の整理、これは収益が上がってこなくちゃいけないじゃないか、こういうようなことがずっと出てまいりました。
 私どもといたしましても、いかにしてこういう状況の中で収益を上げていくことが必要か、大切かということを改めて考えている、こういう状況でございます。
 ただ、その方法、手段というのは、私どもはお客様と相対ずくのビジネスをやっているわけでございますし、貸し出しと預金、この利ざやでもってどうにか収益を上げる、このほかに何も方法、手段はないわけで、そう方々に手を出していくわけにはいかないわけであります。先生の御指摘は多分こういうことだろう、こういう状況の中で収益を上げるためにお客様に対して高い貸出金利を要求しているんじゃないの、そういうことになるんじゃないの、多分そういうことになるんじゃなかろうかというふうに思っているわけでありますが、努めてそういうようなことのないように、身を削って頑張りたいというふうに思っております。
田附参考人 ただいまの長野会長さんと同じような話になろうかと思うんですが、やはり現在の私どもの業界で一番、将来にわたっての最大の経営課題というのは、収益性の問題でございます。
 そのことにつきましては、やはり、いろいろなことについて手数料とかそういうことを申し上げますと、いや、銀行と同じじゃないかということで、一挙に葬られるということと、貸し出しの面につきましても、量的な面はともかくといたしまして、金利は相対的に高いのが通常でございます、こうしたことで、競争という中では当然劣後していく、こういうことになってまいります。
 しかも、地域密着ということでは極めて非効率な面もたくさんございます。しかも、現在の金融機関に課されました基本的な問題として不良債権の処理の問題がございますが、これも、公的な資金は別といたしまして、やはり自力でやるとなりますと一挙にやれない、これは自己資本が不足しておるというのが一般的な状況でございます。
 そうしたいろいろな矛盾点を抱えながら、何とかして経営を維持する、さらに健全性を高めるということに苦心をいたしておるという状況でございます。
小池委員 それぞれお話を伺ったわけでございますけれども、収益性の向上という点で、合理的な収入で、高利回りで稼ぐ。一部有価証券にも投資をしているというお話がありましたけれども、実際には随分投信を、せっせと買い込んでおられまして、本来は投信は、売って手数料を稼ぐけれども、銀行そのものが投信を買っていてどうするんだというふうな思いがあるわけでございます。
 本来は、きちっとした審査も踏まえて融資をすべきことが金融機関としての活動ではないかと思っておりますので、ここで一々数字は挙げませんけれども、最近の営業といいましょうか業務の動きなどを見ておりますと、投信を買っていらっしゃるというその行為が非常にふえてきているというのは、本来の業務から遠ざかっておられるのではないかということで、指摘をさせていただきたいと思います。
 さて、金融マニュアルというのがございますね。それをベースにして日々の活動を枠、フレームとしてやっておられる。この辺、現場において、改善といいましょうか改正の必要性があるのではないかと思いますけれども、それぞれ、先ほどの投信の問題を含めて、全地銀そして第二地銀のそれぞれの会長からお答えといいましょうか、御感想を承りたいと思います。
平澤参考人 今、金融機関が投信を買い込んでいるというお話がございましたが、当行の場合はほとんどそういうことはしていないと思います。
 ただ、御存じのように、非常に流動性のある余裕資金がある場合に、一時的にそういうものに運用して、また流動性が少しきつくなってきたときにそれを市中に出して流動性を取り戻すという、余裕資金の運用として買っておられる場合もあるんじゃないかなと思います。
 ただ、運用先がだんだんなくなってきまして、余裕資金がどんどんふえてきたときに投資信託をお買いになっているところも、こういう金融情勢のもとでは出てきている可能性はあるかもしれません。
 それから、検査マニュアルの問題でございますが、やはり検査マニュアルは、昔と比べまして、微に入り細をうがって、非常に細かいもので、私も一生懸命読みましたが、なかなか理解が難しいぐらい立派なものでございます。結局問題は、言葉は悪いので御当局にしかられるかもしれませんが、しゃくし定規に、機械的にそれを適用するということが起こると非常に問題があるわけでございまして、検査マニュアルをごらんになると、十分相手先企業の、定量的よりもより定性的な部分も見ろよということも書いてございますので、その辺のところは、やはりそれぞれの検査をなさる方々の最後は常識的な御判断によるところもあるんじゃないかなというふうに思っている次第でございます。
 現在の検査マニュアルはかなり、大変厳しいので、私、いろいろ言いたいんですが、よくできていると思います。
森本参考人 検査マニュアルの方から先にお答えしたいと思いますが、先生御案内のように、別冊で中小企業融資編というのが作成をされました。私たち思いますのに、これは、具体的な事例に基づいて、債務者区分の判断における視点とか判断のポイント、判断基準等を解説してございます。企業の技術力、販売力や成長性の判断の仕方とか、それからもう一つは、経営改善計画が策定されていない場合の債務者区分の判断の仕方などが踏み込んで記載をしてございます。
 私どもの協会会員行としては、今回のマニュアルを参考に、企業が持っている技術力とか販売力、あるいは将来の成長性等の定性要因を的確に見きわめながら、資産査定の精度を一層高めてまいりたい、このように考えております。
 それから、投信の問題でございますが、確かに御指摘のとおりではないかと思います。会員行各行の数字は承知いたしておりませんが、私どもも、より有利に、安全に運用できる有価証券の方法で、株式の相場がこういう状況でございますので非常にナーバスにはなってございますが、運用をいたしております。
 ただ、自由化の中で投信の窓販も許可されておりまして、私どもの行員の大多数がその資格も取ってございますが、役務収益の確保ということにおいて、お客様に投信を正しく説明いたしませんと、これは元本割れの場合もなきにしもあらずでございますので、そういったことを注視しながら投信の販売をし、手数料の確保ということにも鋭意、収益力の強化のために努力をしておる昨今でございます。
 以上です。
小池委員 投信は、金融機関とすればやはり売る物であって、ただ自分のところが買っていては意味がない、意味がないといいましょうか、本来の姿ではないということを指摘させていただきます。
 最後に、全国信用組合中央協会の田附様に伺いたいんでございますが、中央協会で大変お悩みにもなったかと思いますけれども、いわゆる民族系の扱いをどうするかということだったと思います。まだまだ問題は多いと思いますし、また、借名、架空口座がいまだに改善されていないということがいろいろと現場からも聞こえているところでございます。中央協会としてはこういった問題にどのようにお取り組みになるのか、伺わせてください。
田附参考人 朝銀の関係でございますが、これらの組合につきましては、あくまで日本の法律に基づいての、在日朝鮮人の方々により設立された金融機関である、こういうことでございますので、あくまで経営責任に基づいて運用なさっておるというのが前提になっております。今の御指摘の問題につきましては詳しくは存じ上げておりませんので、あくまでその組合の私的な努力によって御解決をいただくということのほかお答えできないと思っております。
小池委員 やはり中央協会として、信用組合全体の信用に、まさに信用にかかわる問題だと思います。今御指摘ありましたように、日本の金融機関であるというのならば、私は、中央協会も責任を持ってこの問題をしっかりとチェックするべきだということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
 以上です。
小坂委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位におかれましては、御多用中のところ、長時間にわたりましてまことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時九分散会


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