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第13号 平成15年5月7日(水曜日)

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平成十五年五月七日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 林田  彪君 理事 渡辺 喜美君
   理事 生方 幸夫君 理事 松本 剛明君
   理事 中塚 一宏君
      上川 陽子君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    坂本 剛二君
      田中 和徳君    竹下  亘君
      竹本 直一君    中村正三郎君
      萩山 教嚴君    林 省之介君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      山本 幸三君    五十嵐文彦君
      井上 和雄君    上田 清司君
      佐藤 観樹君    仙谷 由人君
      中津川博郷君    永田 寿康君
      平岡 秀夫君    松野 頼久君
      石井 啓一君    遠藤 和良君
      達増 拓也君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君    江崎洋一郎君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   国土交通大臣政務官    岩城 光英君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  藤原  隆君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (金融庁証券取引等監視委
   員会事務局長)      新原 芳明君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    大武健一郎君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君
   政府参考人
   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁次長) 肥塚 雅博君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   参考人
   (日本証券業協会会長)  奥本英一朗君
   参考人
   (株式会社東京証券取引所
   代表取締役社長)     土田 正顕君
   参考人
   (株式会社大阪証券取引所
   取締役社長)       巽  悟朗君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  小泉 俊明君     松野 頼久君
同日
 辞任         補欠選任
  松野 頼久君     小泉 俊明君
    ―――――――――――――
五月六日
 証券取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇五号)
同月七日
 消費税の大増税に反対、税率を三%に引き下げることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一九一八号)
は本委員会に付託された。
四月二十日
 個人消費を減退させ、景気回復を遅らせる大衆増税反対に関する請願(第七七九号)は「釘宮磐君紹介」を「三井辨雄君紹介」に訂正された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 証券取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇五号)


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、証券取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣竹中平蔵君。
    ―――――――――――――
 証券取引法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
竹中国務大臣 ただいま議題となりました証券取引法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、内外の金融情勢の変化に対応し、我が国の証券市場において、間接金融から直接金融へのシフトに向けて個人投資家の証券市場への参加を促進するためのインフラ整備など、構造改革の促進を図るため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、投資家が証券取引を行うことのできる店舗の拡充・多様化を図るため、証券会社等の委託を受けて証券取引の仲介を行う証券仲介業制度を創設するほか、協同組織金融機関が有価証券の売買等に係る書面取次業務を営むことができるよう所要の措置を講ずることとしております。
 第二に、証券会社や投資信託委託業者等の信頼性を向上させるため、これらの総株主の議決権の二〇%以上を保有している者に対し、その適格性を確認するための制度を導入することとしております。
 第三に、証券会社の資産管理・運用サービスの円滑な提供を可能とするため、証券会社による投資一任業務等の兼業に係る規制を適正化する措置を講ずることとしております。
 第四に、我が国取引所について、国際競争力を強化し、取引の流動性を向上させるため、取引所の持ち株会社制度を新設するとともに、外国の取引参加者が国内に支店を設けることなく取引所取引に参加できる制度の整備を図ることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
小坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日午後一時、参考人として日本証券業協会会長奥本英一朗君、株式会社東京証券取引所代表取締役社長土田正顕君、株式会社大阪証券取引所取締役社長巽悟朗君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として財務省主税局長大武健一郎君、国税庁課税部長村上喜堂君、金融庁総務企画局長藤原隆君、金融庁監督局長五味廣文君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長新原芳明君、厚生労働省年金局長吉武民樹君、資源エネルギー庁次長肥塚雅博君、国土交通省港湾局長金澤寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。七条明君。
七条委員 きょうは、証券取引法の一部を改正する法律案ということでございますが、今、やはり日本の経済が非常に低迷をしておる。ここ数年、金融庁も随分いろいろな形で手を打ってこられたことは事実でありますけれども、しかしながら今株価がこれだけ下がってしまった。日本の経済が今非常に逼迫状態にあったり、いわゆるデフレ回避をどういう形でやっていくかということがこれからますます問われてくる。そこにかけてまた、新型の肺炎SARSの影響がこれからも出てくるんじゃないか。こういうことを心配しますと、かなり活発に証券取引もどうやっていけばいいかということをやらなければなりません。
 その前に、私たち与党は、こういう時期であるからこそと、当面の緊急経済対策、これを今案として出させていただいておりますけれども、その中に出てきます証券、特に、証券市場の活性化というようなことも含めて、厚生年金基金の代行返上に伴い株式売却を行う場合には、市場の状況に十分配慮をして行うことを期待する、こういうような要請をいたしておるところであります。
 この問題、いろいろな考え方ができると思うのでありますが、与党の中で今検討をしておる中には、この代行返上の具体的改善策として、いわゆる物納条件、これを大幅に緩和できないかということと、これにあわせて、物納時期の前倒しの対応策というようなものをセットでやっていくことができないか、こういうようなことが今考えられているんじゃないか。需給の悪化要因になっていることを考え、懸念いたしますと、これを払拭するためにどういう形をとるか、こういうような考え方をしてはどうだ、こういうような話がありますけれども、金融庁として、金融大臣としてどういう見解を持っておられるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
竹中国務大臣 七条委員御指摘のように、経済が依然として厳しい状況の中にあって、特に株式の市場が大変不安定な動きをしている。昨日は大幅に上がったわけでありますけれども、先週は大幅に下落するという中で、株式市場の動向に対しては我々も大変大きな関心を持って、懸念もしながらそれを見ている状況でございます。
 言うまでもありませんけれども、これは市場の需給を反映している。ある意味で企業の価値でありますから将来の収益等々が反映されるはずだ、さはさりながら、現実の取引を見ますと、やはり短期的な売りと買いの圧力、いわゆる需給の特殊要因によって非常に大きな影響を受けているという点は否定できないというふうに思っております。
 その売りの要因として、これまでは株式持ち合いの解消というのが主たる要因であったというふうに考えられているわけですが、ここに来て、年金の代行返上の問題というのがやはり無視できないというような認識を私たちも持っております。この点については、まさに与党の方で大変大所高所からの御検討をいただいているというふうに認識しております。特に、御指摘のありました物納の条件でありますとか物納の時期について、金融庁としても大変大きな関心を有しているところでございます。
 こうした問題そのものについては、経済財政諮問会議でも、明日話し合うというふうに予定しておりますけれども、関心を持ちながら、これは基本的には厚生労働省の所管の問題ではございますけれども、我々としても注視をしていくということと、これは経済財政諮問会議等々で、どのような、抜本的な議論をしていきたいというふうに思っているところでございます。
七条委員 代行返上の要件の緩和、物納要件の緩和というような話のことを今申し上げておるわけでありますが、これは、TOPIX連動だとか、それからTOPIXの構成銘柄の九割、九〇%を含む、こういうことを緩和できないかとか、あるいは推定トラッキングエラー〇・二%以下、こういうことを緩和していく、設けないようにしていく、あるいは、物納できる有価証券の範囲にETFを初めとするような受益証券を加えることができないか、これが恐らくは物納要件の緩和という形になってくる。
 あるいは、納期時期の前倒しというのは、こういう厚生年金基金の代行返上決定時に、代行返上の前納分として、その時期の時点で時価による物納を認めることができないか、こういうような内容に具体的にはなっていくんだと思うんですね。
 これをどうするかということを、これは本来なら厚生省のかもいかもしれませんが、金融庁がはっきりとした形できちっと、もっとオープンに前へ出せないか、もう少しそれを内閣の中できちっと位置づけていけないかというような話をやはりしておかなきゃならないんだ、そういう意味も含めて、もっと踏み込んでお聞かせいただけませんか。
竹中国務大臣 具体的な物納の要件について今御指摘がありました。
 これは、今御指摘になりましたけれども、厚生労働省令で定めることになっているわけであります。ことしの二月には、厚生年金基金連合会等の関係者の意見も聴取した上でまとめられた概要案に関してパブリックコメントが実施されたというふうに承知をしております。そうした中に、今ありましたTOPIXの連動でありますとかトラッキングエラーをどうするかというような問題があったということは承知をしております。
 今委員の御指摘の中で、金融庁としてという御指摘がございましたが、ちょっとやや形式的な言い方にやはりなってしまいますが、これは厚生労働省令で定められているということであります。さはさりながら、マクロ経済的な観点から、こういったことも含めて日本経済全体の調和という問題の中で議論をしたいという思いはやはり政府、内閣の人間は持っておりまして、そうした点を踏まえて、経済財政諮問会議でマクロ的な観点からどうしたことが考えられるかということをぜひ議論を進めたい。したがって、これは金融庁としてということではなくて、経済財政全般のマクロ的な中でぜひ議論を深めたいというふうに思っております。
七条委員 金融庁として、こういうような表現を申し上げたのは、これは厚生労働省に対してやはり働きかけていく必要が、かなり強く働きかけていく必要があるんだろう、そういうことをやっておかなければ、今の株価、下がったり、いわゆる活性化をさせていったり将来の不安を一掃するというようなことになっていかない。これも一つのかなり大きな要因として加わってくる。ですから、そこだけ慎重にやっていただきたい。こういうお願いでありますから、金融庁としても厚生労働省によく働きかけをして頑張っていただきたい、こう要請いたしておきます。
 では、同じようにもう一つ、少し観点を変えてお聞かせをいただきたいのでありますが、銀行保有株制限法という法律があります。我々は、これは議員立法で出してきたかもいもありますけれども、この銀行保有株制限法の、平成十六年九月という時期を二年ぐらい延長できないか、こういうような話も今要請の中に出てきておりますが、これについては、金融庁の見解、どう思っておられるか。
竹中国務大臣 この株式保有制限の問題に当たっては、これは先生方も大変御尽力をいただいてきた問題でありますけれども、株価が変動することによって、株価の変動が銀行の財務に影響を与えてそれが貸し出しに影響を与える。株を保有していることによってむしろ経済が、貸し出しの増減が非常に振れることを通じて経済全体が不安定化する、そういうことをなくそう、ないしは減らそうということのもとに、世界の情勢も踏まえながら銀行等の株式保有に適正な規模の縮減を図るということで、一昨年の臨時国会において導入されたもので、これは先生方に大変御尽力をいただいたわけでございます。
 しかしながら、その後、新BIS規制の導入時期が、当初予定されていた時期から、平成十六年から平成十八年末に延期された。先ほど諸外国の情勢も踏まえながらと申し上げましたが、まさに外的な環境が少し変わったという状況があると思います。そうした点を踏まえて、まさにこれも与党の中で大所高所からの議論が進められている、これを二年程度延長する方向で御検討が進められているというふうに承知しております。
 政府としても、こうした状況については、与党の皆様方の議論をぜひ注視してまいりたいというふうに思っているところでございます。
七条委員 これは、今銀行が持っております株、いわゆる持ち合い株解消ということも含めていろいろなことをやってきました。ところが、今、日銀の方の株式購入額というのは三兆円枠持っていますけれども、この四月末でまだ一兆二千億少々しかやっていない。これは、まだまだ一・八兆円ぐらいあるわけですね。
 まだそこまでどんどん進んできているわけでもないし、銀行そのものが資本増強をしました。資本増強をしてきたけれども、今株価がどんどん下がってしまって、結果的に資本増強した分ぐらいは下がっちゃったんじゃないか、こう言われていまして、随分銀行も、また違う意味で今厳しいところがあるんだ。だから、今持っている株を、できるだけきちっとした形で負担を解消していきたいと思っているやさきなんだろうと思うんです。
 今、日銀に対しても私たちは、この三兆円を四兆円ぐらいの枠まで拡大できないかだとか、あるいは今言いましたように、保有株の制限法の中で、銀行保有株取得機構が持つ、一方で八%という基準が出てまいります、これなんかももう少し変えていけないか。いわゆる株式取得機構が持つ八%の拠出金を廃止するとかもう少し下げてくるとか、こういうようなこともやはりこのまま置いておいてはいけないのではないかというふうに考えなけりゃいけない。
 これなんかも、どうしたらいいかということで苦慮するところでありますが、大臣の見解いかんと思っております。
    〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
竹中国務大臣 株式の市場が、短期的な、やや特殊な株式の需給によって大変影響を受けている、そうした中で、日本銀行と、それと政府の株式買い取り機構が非常に補完的な役割を果たしながらその機能を全うしていくということは、今の局面において特に大変重要だと私も非常に強く思っております。
 そうした点から見ても、委員まさに御指摘のように、日銀の方は、枠も増大して、買い上げもそれなりに進んでいる。しかし、株式保有機構の方の買い取り額は少ないというのは現実でございます。
 これは、売り手の銀行の方が銘柄等を見ながらどちらを利用するかという選択の結果であるというふうにも言えるわけでございますけれども、これも与党の中では大所高所の立場から、その機能の強化、保有機構がもっと使い勝手のよいものになるような議論が進んでいるということを私たちももちろん注視、承知をしております。
 これはしかし、委員御自身も御指摘になりましたけれども、この場合に八%の拠出金の廃止云々になりますと、では、損失が生じた場合の国民負担をどうするのか。国民負担を最小限にするという観点から導入されたという一つの趣旨がございますので、そうした趣旨に基づいて八%の拠出金の制度が盛り込まれたということを考えますと、その廃止はある程度やはり慎重に検討する必要がある面もあるというふうに思っております。
 いずれにしましても、与党における議論は注視してまいりたいというふうに思っております。
七条委員 今の話、実によくわかるわけであります。
 当初、銀行が持っておる保有株、いわゆるティア1以上のもの、これが大体六兆円ぐらいあるだろう、それを二兆円、二兆円、二兆円に三つに割って、政府が何とか処理をする、日銀がやれないか、あるいは取得機構が二兆円ぐらいやれないか、それから市場で二兆円ぐらいやって、合計六兆円をうまく処理ができないか、こういうような動きをしてきたんじゃないかと思うんです。
 ところが、これが思惑どおりいかなくて、日銀の方がもっと踏み込んで三兆円まで上げてきた、あるいは四兆円にしなきゃいけない。一方のこの八%という条項があるものですから、取得機構の方がなかなかできてこない。そこにアンバランスが出てきて、当初の計画どおりいかなくなったということがあるんだと思うんです。
 ですから、この辺は、いわゆるティア1までできるだけ持ってくる、あるいは銀行は今ティア1よりもっと下げたいと思っているのかもしれませんけれども、できるだけそこらはこれから金融庁が的確な御指導をいただけるようなこともお願いをしておきたい、こういうふうに思っております。
 では、本来の証券取引法等の一部改正案についての方のお話に戻らせていただきますが、今、金融機関と比べて、証券会社は、全国的に見て、拠点、いわゆる支店というものが少ないように思うんですね。調べてみて、いろいろ聞いてみますと、金融機関は今二万四千支店ぐらい全国にあるけれども、証券の方の支店というのは二千百軒ぐらいしかない。なかなか窓口が少ないという形であるんじゃないか。ですから、市場へアクセスしやすい環境が重視されているとは言えない。
 今、もっといわゆる証券市場が発展していくために、市場そのものの機能とあわせて、市場へアクセスしやすい環境を重視するためにどうやっていったらいいかということを考える。恐らく、この取引法の一部改正はそこに力点を置いていると思うのであります。
 では、このアクセスの多様化といった観点から、いわゆる証券業者の最低資本金の引き下げ、これは一億円から五千万という形に引き下げをした。あるいは、証券仲介業者制度の導入をやる。これらを進めるに当たって投資家保護の観点が重要だ、こう考えるわけでありますが、信頼確保の手段やらコンプライアンスの点についてどのように考えるか、投資家保護ということをどういうふうに考えておられるか、これもお聞かせいただきたい。
伊藤副大臣 今、投資家保護についての御質問でございますが、この点につきましては、まず証券仲介業制度というものを導入させていただくわけでありますが、この証券仲介業者については、証券会社と同様に登録制として、法令遵守の観点からその適格性を確認する、使用人で証券取引の勧誘を行う者について、外務員登録を要件として、当該業務を適切に遂行するための一定の資質を求める、また、証券仲介業者及びその使用人の金銭、有価証券の取り扱いを禁止する等の措置を講ずることにより、投資家保護に支障が生じない仕組みとしているところでございます。
 また、先ほど先生から御指摘がございましたように、多様な主体の参入を促進するために、いわゆる最低資本金を現行の一億円から五千万円に平成十六年の四月から引き下げることとしているわけでありますが、同時に、証券会社については、その健全性を確保し、国民からの一層の信頼確保を図る観点から、今般の証券取引法の改正案において、議決権の二〇%以上の保有者の適格性を確認するルールを導入することとしております。
七条委員 これは、投資家保護ということをきちっと考えておかないと大変なことになる。むしろこういうふうに一部改正をしてしまうとおかしくなるんじゃないかという論議も出てくるんですね。
 もう一つ、この法案で出てくる証券仲介業者には、具体的にはどんなような人を充てていくのか、どんな形で活用の見込みをしているか。新聞で見ますと、個人が経営することができるだとか、あるいはOBの証券マンだとか、あるいはコンビニエンスストアでもやれるようになるとか、ファイナンシャルプランナーとか、こういろいろ名前が新聞に出てきたと、ちょっと今うろ覚えでありますが覚えておりましたけれども、ではどういう形で証券仲介業者というのはやらせていくんだと、もう少し具体的に言えますか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今般御提案申し上げています証券仲介業者でございますが、現行の外務員制度とは違いまして、証券会社からの委託を受けまして売買の媒介を行うということで、幅広く、法人、個人を問わず参加できるという形をとっております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、勧誘する場合は外務員資格を持っていただく、そういうことが条件でございますけれども、そういう形でやりますと、今先生御指摘のように、かなり広範な方が参加できる形がとれると思っております。まだ具体的にどういう形というのはやっておりませんが、むしろ不適格者としてどのようなものがあるかというような、逆の制限ということを考えておりまして、それ以外の方については幅広く参加いただけるということを考えております。
七条委員 今度の法律、いろいろ改正点があるのでありますけれども、資産管理とか運用サービスの円滑な提供を行うように、こういうこともやるんだと。特に、証券会社の資産管理サービス、ラップ口座です。ラップアカウントというのかもしれませんけれども、ラップ口座、これを円滑に実施する、可能とするような制度の整備をする、こういうことになっておるのでありますが、このような状況をしてしまいますと、顧客が一定額以上の投資資金を証券会社に預託をし、あるいは証券会社の裁量で運用をしてもらいたいといったニーズが出てくるわけであります。
 今回、このような観点から、投資顧問業法という法律がありますけれども、これについても一部改正してはどうだ、こういうような提案もなされるんではないか、これから考えていかなきゃいけないんではないか、こういうふうに思うわけですけれども、これらが認められることになった場合にはどのようなビジネス展開が予想されるのか、投資家ニーズにこたえるという意味で、どういうふうにこれは考えておられるかということもちょっと聞いておきたい。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 いわゆるラップ口座と申しますのは、米国で広く普及しておるところでございますが、投資家は自己の判断で取引を行うことも、あるいはその資金運用を投資顧問業者等に一任することも可能であるような仕組みでございまして、その際、報酬は売買高ではなく資産残高に応じて決定されるというようなものがラップ口座でございます。これは、かなり米国では広く普及しているところでございます。
 我が国におきましても、平成十年に行われました金融システム改革では、証券会社の手数料依存の経営体質からの脱却ということを図る観点から、ラップ口座など証券会社の資産管理型営業への移行を図ることとしまして、投資一任業務等の証券会社への兼業を解禁したところでございます。しかしながら、その後、証券会社の資産管理型営業への移行が余り進んでおりません。
 その一因といたしましては、一つには、証券会社にとりまして、自己売買に係る書面の顧客への交付義務が過大な負担となっている。もう一つは、証券会社は、専業義務を課されている投資一任業務を兼業することによりまして、金融先物取引業など証券業以外の兼業を営むためにはそのための兼業承認が必要となるというようなことがネックになっておったわけであります。
 今般、このような問題点に対応いたしまして、証券業を行う部門と投資一任業務を行う部門の間に厳格なファイアウオールを整備することを前提といたしまして、書面の開示義務を免除する、あるいは証券会社に自己資本規制が課せられているようなことを踏まえまして、届け出によりまして証券業以外の業務を兼業できるようにするというような所要の措置を講ずることといたしております。
 こういうことを講ずることによりまして、今までこういうラップ口座を利用できなかった、そういうような需要のある方に対しましてラップ口座が広く利用されることになる、そういうことが証券市場のすそ野を広げる、あるいは取引を活発にすることが期待されるところでございます。
七条委員 今回のこの法律改正もこういうようなことまで踏み込むと、いろいろな形でこれは投資家ニーズにこたえるという意味でやってこられますけれども、そこに来たときに、市場での信頼性だとかあるいは公平性とかいうものを確保していかなきゃいけない、こういうことが起こってきますね。
 次にお聞かせいただきたいのは、この今度の法案の中で、証券会社の信頼性の向上のためにどのような取り組みをしていくか、これはどうですか。
藤原政府参考人 今委員御指摘のように、証券取引の活性化を図るためには証券会社への信頼確保というのが不可欠でございます。そのために、今回、主要株主制度、先ほどもちょっと御答弁で申し上げましたが、主要株主制度の導入等、不適格な主要株主の排除、そういうものを導入することによりまして、証券会社の信頼性を確保するというようなことを中心にさまざまな手段を講ずることといたしております。
七条委員 さまざまなと、さまざまの中には随分さまざまなことがあるんでしょうから、さまざまやってくださいとしか言えないんですけれども、もっと具体的にお聞かせをいただこうと思っておりましたが、今いろいろ出てくることを考慮せよと言われても今の答弁ではちょっと考慮しにくいのでありますが、ではもう少し違う方向で聞いてみましょう。
 今回の法律案について、いわゆる取引所の持ち株会社制度の導入が要請されている。これらは、諸外国から見てみますと、取引所の戦略的な提携だとか合併だとかいうことを可能にする。そうすると、国際競争力の確保というのは、これはできてくるのかどうか、こういうようなこともやはり非常に心配になってくるわけでありますし、具体的なニーズがあるのか、また、そのような制度が導入されることによって我が国の取引所が外国の取引所に買収されてしまうようなことがないのかどうか、いわゆる国際競争力の確保という観点も含めてお聞かせいただきたいと思います。
    〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 先生御指摘のとおり、金融取引というもののグローバル化が進む中で、我が国の取引所の国際競争力というものを強化し、そして取引の流動性の向上を図っていくことは、これは大変重要なことであります。
 こうしたことにこたえていくために、まず、証券取引法等の改正において、取引所間同士の資本提携を可能とすべく、現行の株主ルールを見直すとともに、持ち株会社や親子会社形態による提携を可能とするための制度を整備することといたしております。現行法上は、証券取引所及び金融先物取引所の議決権については、五%を上回る取得、保有が一律に禁止されているため、持ち株会社等の統合を経営形態として選択することができないわけでありますけれども、これを改正していくということであります。
 あわせて、外国証券業者に関する法律等の改正を行い、不公正取引の防止に配慮しつつ、海外の証券業者が国内に支店を設置することなく我が国の取引市場の取引参加者となることができる制度を整備することにより、我が国の取引所が海外に端末を設置し、そして海外からの注文を直接受注することを可能とすることといたしております。
七条委員 これは、国際競争力を確保していくということが大事だ、あるいは逆に、日本の取引所が乗っ取られることのないようにするというようなことの基本的なこともきちっとやらなければならない、そういうこともきちっと配慮しておいていただきたいな、こういうことであります。
 では、時間が来ていますからもうこれは最後にいたしますが、今回の改正によって、国内に新たな支店が置かれた海外の証券業者による我が国取引所への発注行為を認めるに当たり、取引の公正の確保はどのように図っていくことができるのか、これだけ、最後、聞いておきたいと思っております。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の改正におきまして、国内に支店を設置することがなく我が国の取引所に発注を行うことが認められる海外の証券業者につきまして、不公正取引の防止の観点から、我が国取引所による自主規制に加えまして、当局の直接の監督、監視が及ぶ許可制のもとに置くことといたしております。取引所取引の状況等に関する定期的な報告義務を課しますとともに、当局による報告徴求や立入検査等の権限を定めることといたしております。
 具体的には、当該外国証券業者につきまして、国内に代表者を置くことをまず義務づけます。それから、当該外国証券会社を監督、監視する外国規制当局から必要な情報の提供が受けられる体制が整備されていることを求めることといたしております。さらに、当該外国証券会社が加入しております海外の証券取引所が情報提供等を通じまして我が国取引所による自主規制をサポートする仕組みが整備されていることを求めるというような仕組みを考えております。
竹中国務大臣 きょうは非常に細部にわたっていろいろ御指摘をいただきましたが、委員の御質問の問題意識で改めて我々が感じますのは、やはり、これは競争力を強めるために、ないしは消費者の利便を図るために、自由化できるところは自由化していかなければいけない、証券仲介業等々の新しい制度もつくって利便を供しましょう、しかし、それと裏腹に、必ず、投資家の保護とか、取引所等々についてもその公共性を確保できるかという、その問題は同時にバランスをとっていかなければいけない、その点がやはり重要なポイントであろうかと思っております。
 今回の法律改正では、その点について万全の注意を払ったつもりでございますけれども、これは運用の面もございますし、さらに不断の努力を、そうしたバランスをとっていくという観点から努めたいというふうに思っております。
七条委員 もう終わりますけれども、今証券市場を非常に活性化をさせなきゃならない、しかしながら、今株価が低迷をしておる。緊急的なことの中で、即やれるものをやる、即きちっとしたことの答えを出せるものは出す、そういう形で、できるだけ証券取引が活発になるような、そういう行為をしていただけるように要請して、終わっておきます。
小坂委員長 次に、中津川博郷君。
中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。
 私、今まで何度か当委員会あるいは経済産業委員会で経済の質問をさせていただくまず冒頭に、必ず株価の動向、それをいつも質問したんです。株価というのは、やはり政治家はもっともっと敏感にならなければいけないというふうに思っておるわけです。
 私も、かつて経営者でありましたから、株をやりました。売ったり買ったりして、いいときもあったし悪いときもあった。私、びっくりしたんですが、政治家になって、政治家の皆さんはみんな株をやっているかと思ったら、そうでもない人が結構いるんです。実体経済を知るには、やはり株というものを一株でもいいから買って、株式新聞を見たりして、それを政治の世界に生かしていくということが僕は大事だなというふうに痛感しております。
 政治家と株といえば、かつてリクルート事件とかインサイダー取引とか、何か株と政治家というのは余りいいイメージがないのが庶民の感情であるかもしれませんけれども、しかし実際は、株というのは毎日の庶民の暮らしに直接影響する大切なものなんだという共通認識を持ちたいなと思っておるところであります。
 株価は、実体経済の通信簿でありますし、それから、あしたの経済、特に半年先の経済、このしっかりとした指標なんですよ。そういうことで、きょうも、この株価について、まず冒頭、意見を申させていただきたいと思います。
 繰り返しますが、小泉内閣が発足したときの株価が一万四千五百二十九円、四月二十八日のバブル後最安値が七千六百七円八十八銭、きのうの終値が八千八十三円五十六銭。とにかく、小泉政権になってから百五十兆円すっ飛んだとよく言いますが、私、計算をさせてみたら、百七十兆円すっ飛んでいるんです、時価総額。
 ある雑誌の対談で、これは人災だと言う自民党の有力な議員がいましたけれども、私は、これは政治の犯罪だと言ったんですよ、政治の犯罪だと。これはもう経済有事、危機だと。この辺の認識を我々政治家はまず持たなければいけないと思っているんです。特に、今、イラクの問題それから北朝鮮の問題で、経済有事という、この株価の深刻な事情というものが隠されている、その分より深刻なんだというふうに私はだれよりも思っているつもりであります。
 報道によりますと、最近になって、小泉さん、経済の勉強をし始めたということで、いろいろな識者を呼んだりして、経済人にも意見を聞いたというのが読売新聞に載っかっておりましたが、遅いですよ。無責任だなと思います。
 前回の委員会でもお話ししましたけれども、三月になると、金融危機が起こるかどうか、そしてそのたびに株価対策をしようという、本当にけちな小手先なことをやっているわけでありますが、これは、竹中大臣それから塩川大臣、いらっしゃいますが、経済政策の失敗をまず認めることですよ、まず認めること。そして政策転換をしない限り株価は上がりっこない。これは、私、残念ながら、そう断言せざるを得ないですね。政府にそういう認識、全然ないですもの。
 今、ぐんぐん下がっているのは、これは、竹中大臣、前、需給関係ということも答弁でされましたけれども、それもないとは言えませんよ。ないとは言えないけれども、経済政策の失敗、これがすべてである。マーケットの評価、今の経済の評価が株価なんだ、それを認めることがまず株価対策だ。
 いかがですか。
竹中国務大臣 経済政策の問題に関しましては、かねてより中津川委員から大変厳しい御指摘をいただいている、私たちも大変重くその点は受けとめております。かつ、株価に関しては、これはもう本当に厳しい状況であるということはだれの目にも明らかなわけでありまして、その点に関しても、この問題を何とか解決したいということで、我々なりに知恵を絞っているところでございます。
 株価は将来を映す一つの鏡であり通信簿であるという点、確かにございます。その意味では、日本の将来に対してまだ明るい展望を市場が見出してくれていない。そういった面では、我々政策当局はもっと頑張らなきゃいけないということも、これは重要なメッセージとして受け取っているつもりでございます。しかし、同時に、今委員も御指摘くださいましたけれども、株価はやはり短期の需給によってバイアスがかかるという面もある。
 我々は、経済の根幹をしっかりとさせていって、将来に対して明るい期待を持てるような状況をつくっていくという問題と、株式市場そのものが、株価そのものがゆがまないように需給をしっかりさせていく、その両面をやはり必要としているというふうに考えております。
 それで、経済の政策そのものの転換が必要なのではないかという御指摘でありますが、この点はなかなか御意見が違うところだと思いますが、私は、今の経済政策の根幹というのは、これは構造改革四本柱である歳出改革、歳入改革、金融改革、規制改革、これはやはり必要であると思います。これは変えられないと思います。
 同時に、もう一つ、それを包むところのマクロ的な政策の枠組みでございますけれども、これは、ここまで財政赤字が拡大した中で、やはり我々として責任を持てる将来というのはせいぜい十年である。その十年の中で、これはどうしてもプライマリーバランスを回復させていかなければいけない。そうした観点からいうと、今日のように、歳出に緩やかなキャップをはめて、一般歳出の規模そのものをGDP比で大きくしないというぎりぎりの線を保ちながら、あとは税収の変動等々、ビルトインスタビライザーを活用していく。やはり、残念ながら、今の日本の経済にはそのような政策手段しかないのではないかというふうに考えているわけでございます。
 こうした政策をしっかりと運営する中で、民間部門が次第に自助努力し、活力を回復していって、日本経済を、狭い道ではあるけれども本来的な軌道に乗せていくということが我々の務めであるというふうに思っております。
中津川委員 その辺のところは、竹中さんと私とは、それから自民党の多くの人たちも、やはり違う意見を持っているわけでありまして、これは本当に尽きるところがないわけでありますが、とにかくプライマリーバランスとおっしゃるけれども、そのために、それはもう緊縮財政ですよ、ですから税収が減っちゃっているわけですから。だからその認識がこれはちょっと違う。
 政策転換ということになれば、皆さんたちもおやめにならなきゃいけないし、小泉内閣そのものの存在ということになってくるので、なかなかそれは言えない立場はわかりますけれども、不幸なのは国民ですよ。これだけ経済が、株価が半分になっちゃって、先行き見えないんですから。株なんかに投資しっこないですよ。
 そこで、今回の法改正ですが、竹中さん、本当に今回の改正によって個人投資家が株式市場に戻ってくるというふうに本気でお考えになっているのかどうか、聞きたいと思う。協同組織金融機関による有価証券売買の書面取次業務の解禁ということで、窓口を広げた。商工組合中央金庫初めたくさんの機関でできるということ、これはマイナスではない。マイナスではないけれども、そんなことで果たして個人投資家が市場へ参加するようになるかということ。
 官僚も政府・自民党も、こんな細かいところにエネルギーと時間を費やさないで、もっと本質的に、投資家をふやすためにはどうしたらいいか。私は経済をよくすることだ。あなた方、経済成長路線の政策を出していないからこうなっちゃう。しかし、ではこういう株式市場の中でどうやって個人を引っ張るか。株式の世界ではサプライズといいますが、何にも今回だって入っていないじゃないですか。どうしたら個人投資家が参加できると思いますか。
竹中国務大臣 まさに委員御指摘のように、個人投資家を市場に呼び込まない限り、日本の証券市場の成熟はあり得ませんし、したがって株式市場そのものの活性化はあり得ないのだと思っております。
 特に、株式取引の構成を見てみますと、かつては、株式取引の全体の二五%ぐらいを銀行が占めていた。今、銀行の保有株そのものを減らすという中で、そのウエートが一%ぐらいになっている。にもかかわらず、個人がなかなか出てきてくれない。貯蓄から投資への流れというキャッチフレーズがもう二十年ぐらいずっと言われているにもかかわらず、実態はなかなか進んでいない。
 今回の改正だけで本当にそんなことが起こるのかということに関しては、これは、これだけですべてが打ち出の小づちのようにうまくいくというふうには私たちももちろん全く思っておりません。
 税制は税制で、この四月から、我々としてはかなり画期的な一律一〇%という税制をしいたつもりでありますけれども、これを積極的にまず定着していきたい。株式投資、これを年金と絡めて、四〇一kの制度は導入されておりますけれども、四〇一kに関しては、なかなかこれが普及していない。そうした中で、自己株に対しての運用を対象とした、ESOPのような制度を今後どのようにしていくか。今申し上げたような問題は、これは厚生労働省で一義的にはお考えいただかなきゃいけない問題でありますけれども、税の問題、こうした年金等々の問題、非常に幅広く総合的にやっていかないと、これだけですべてがうまくいくというような政策は、これは残念ながらないというふうに思っております。
 我々としては、今回の改正に関しては、個人投資家ができるだけ市場に入ってきやすくなるように証券仲介業の制度を設けるとか、今回の証券取引法の範囲での努力は目いっぱいしたつもりでございますが、これはこれでしっかりとぜひやらせていただきたい。加えて、それぞれの関係部署としっかりと話し合いを持って、株式市場全体を、ありとあらゆる政策を活用することによって活性化していきたい、そのように思っているところでございます。
中津川委員 とにかく、株をやって夢を持てる、株はもうかる、株は楽しい、自己責任でやればリスクもあるけれども。郵便貯金、これも必要であるけれども、やはりそういう市場をつくらなきゃだめですよ。
 竹中さんも株をいろいろおやりになっているというふうにうわさで聞いていますけれども、もうかっているのかどうか、ここでは質問することではないと思いますけれども、今、株でもうかるにはどうしたらいいか。株をやらないことなんですよ、デフレだから。そんなふうに言う人がいっぱいいますよ。現金で持っていること、これが一番強い。竹中さんには僕は何も個人的な恨みはない、いつも強い質問をしていますけれども。ただ、国民のことを思って、今の経済がこれだけひどい中で、株価が千円上がるにはあなたがやめること、二千円上がるには小泉内閣総退陣、これは多くの人が言っております。
 そこで、厚生年金の代行返上について厚生労働省にお伺いしたいと思うんです。
 先ほども質問がありましたが、厚生年金基金からの厚生年金の代行返上、これが非常にふえているということであります。これは、一つの理由として、とにかく現物で返す場合の要件が厳しいということもあるんですが、十月までに、これはみんな、まだ株下がるだろう、経済よくならないだろうという、根本的なその思いがあるんですね。十月、九月末がピークでしょう。今、売り圧力、十月までに約四兆円の売り圧力があるという。ソニー、トヨタ、日立、松下、日本を代表する企業じゃないですか。
 この部分でいえば、これは需給関係ということでしょうけれども、これでは売り一色ですよ。経済はさらに今の内閣だと悪くなる。そしてさらに、この厚生年金の代行返上があって、さらに需給関係も悪くなる。これは最悪じゃないですか。
 厚生労働省、この代行返上について、新聞ではいろいろ載っかっておりますが、実態のところはどうなんですか。ちゃんとこの委員会で答弁してください。
吉武政府参考人 お答え申し上げます。
 代行返上につきましては、平成十三年の法律改正によりまして、確定給付企業年金法それから確定拠出企業年金法が成立をされまして、そのことによりまして代行を返上することが可能になりました。
 それによりまして、まず将来の期間につきまして代行返上するというのが第一弾でございます。それに引き続きまして、過去の、例えば今の年金受給者の受給しておられる代行部分につきまして政府に返還をするということで、私どもただいま予定しておりますのは、それを平成十五年の十月から実施をいたしたいというふうに考えております。
 これは、いわゆる責任準備金の社会保険庁、政府への移管とあわせまして、責任準備金を移管いたしますと、厚生年金基金側が必要な原資がなくなりますので、給付につきましては、移管の翌月から社会保険庁の方で給付をするという形になっております。そのシステムをこれまでずっとつくってきておりまして、それが実施可能なのが今のところ十月だというふうに考えております。
 それから、代行返上の際の現物納付でございますが、これは、十三年度の国会の御審議の際にもいろいろな御議論をしていただいておるわけでございますが、基本的な考えといたしましては、代行返上していただいた資産につきましては、今度は公的年金の積立金の運用資金というふうになってまいります。
 それで、自主運用基金の運用は今パッシブをメーンといたしておりますので、基本的にはパッシブの資産について、公的年金側の運用の効率性を阻害しないように移行するという形になっております。アクティブにつきましては、先生御案内のとおり、リスク、リターンのとり方が個別の基金の投資方針によって非常に違いますので、これをそのまま自主運用基金で引き継ぐのはいかがかということで、法律上の枠はそうなっております。
 その枠の中で、今、パブリックオピニオンということで、公表をし、御意見をお聞きしておりますが、TOPIX連動について現物移行をしようという形でございます。TOPIX連動は、実は基金で申しますと、パッシブを行っておりますところは九割以上の基金がTOPIX連動でございますので、そういう意味で、いわゆる市場連動型の移管についてはほぼスムーズにできるのではないかというふうに思っております。
 それで、いろいろ御議論がございまして、例えば、アクティブにつきましてもとりあえず自主運用基金がみんな引き取って、ここをバッファーとするというような御意見もあるわけですが、それは、逆に考えますと、公的年金自体の積立金の運用方針との間で整合性がとれるかという問題がございますし、何よりもまず法律改正を行わないとこれは実施ができないという問題でございます。
中津川委員 しっかりひとつやってもらいたいと思います。
 主税局にお聞きしたいんですが、投資家の購買意欲を刺激する税制について少しお聞きしたいと思っています。
 日本は今、一千四百兆円という個人資産があるんですが、将来不安があり、これをなかなか使ってこない。金融機関やたんすに眠ったままである。銀行に置いたって、これはゼロ金利で利子がつかないんだから、もうどうしようもない。特にお年寄り、おじいちゃん、おばあちゃんたちがもうほとんどそういう状態でありますから、これはもう明らかに、個人投資をもし阻害する要因があったらそれを取り除かなければいけない、こんなふうに思っているんです。
 おじいちゃん、おばあちゃんたちの贈与税や相続税、株式などの資産の場合には税制上の資産評価を半減する。これは経済三団体もそんなふうに申し入れているのを私読みましたけれども、このくらいのことをもう実施しなければだめなんじゃないか。現金から株式への転換が進む、もうそのぐらいのことをやらなきゃだめだと思っています。
 株価が上向けば、どんどんマーケットにも入ってくる。まあ主税局の立場としたら、これは目先の税収が減るから、とにかく取れるところから取ろうというのが一連のこの中の動きでありますが、しかし、一時的に減っても、税収全体にはこれはプラスになるわけでありますから、損して得とれじゃないけれども、これは頭を柔軟にしてもらって、発想をやわらかくして、このようなところにひとつ税務当局は取り組んでもらいたいと思うんですが、いかがですか。
谷口副大臣 中津川委員のお尋ねでございますが、御存じのとおり、この十五年度の税制改正におきまして、株式市場により一層参加してもらうといった観点から、大幅にこの軽減をし、また簡素化を図ったわけでございますけれども、その中で、今回、相続時精算課税というものを選択できるようにいたしました。従来のやり方もできるわけでございますが。
 この精算課税と申しますのは、相続税、贈与税の一体課税ともいいますが、生前贈与をやりやすくしたわけです。その税率も緩和をいたしたわけでございます。ですから、株式を相続する、贈与するといった場合に、株式市場の時価の動向を見ながらタイミングを見計らって次世代に移転をするといったことも今回できるようになったわけでございます。
 それで、先生のおっしゃることでございますけれども、そもそも相続税、贈与税というのは、資産移転課税、資産移転税といったような観点があるわけで、ですから相続の段階また贈与の段階で時価評価をして行う、こういうことでございまして、これを株式対策といったような形で果たしてやっていいのかどうかというようなことがまず一点あります。
 また、もう一つは、相続税をお支払いになる方が百人のうち大体五人程度でございまして、このような状況で果たして株式市場の活性化のためにインセンティブになり得るのかといったような観点も考えていく必要があるというように考えております。
中津川委員 今の政府のやり方というのは何でもありなんですから、主税局も頭をやわらかくして取り組んでもらいたいというふうに思いますし、お金を持っている人に株式市場にどんどん参加してもらうということは、これは必要ですよ。
 あと二点ほど、ちょっと専門的な話になるんですが、質問してみたいと思うんです。
 平成十六年一月より公募株式投資信託の株並み課税が始まる。税率が下がって、それはいいと思うのですが、せっかくのこの制度改正がその効果を発揮しにくいんではないか、個人投資家が投資信託から遠ざかってしまう、こんなようなおそれがあるんではないかというふうに一部懸念されております。
 問題なのは、投資信託の収益分配金に関して、株式配当金同様に、税務署に支払い調書が提出されるという点です。この点について今お聞きをしているわけでありますが、これまで調書の提出が不要であった公募株式投資信託に新たに支払い調書提出を義務づけるということの意味は一体何なのかな。収益分配金については、これは当然源泉課税されているので、調書は不要なんじゃないか。税務署に全部自分の財布状況を、懐状況を知られるというのはどうも余りいい気持ちはしないと思うんですね。
 投資信託というのは、ミドルリスク・ミドルリターンで、まず、いわゆる一般投資家の導入商品ですね。そういうふうに位置づけられているわけですから、今回の税制措置も、そういった投資信託を、税金も安いよと強くアピールして、この辺のところから入りやすくすることが必要なんではないかなと思っているわけです。経験の浅い投資家、あるいは初めてこれから市場に参加してくる人にはそういう配慮というのが必要なんではないかと思うわけでありますが、とにかく税務署に全部これを把握されちゃっているというようなことになると、何となく気味が悪い、参加しにくいというのが、これはもう人情だと思うわけであります。
 繰り返しますが、税金はもう源泉徴収で払っているわけでありますから、この辺のところを義務づける合理的理由は一体何なのか。この措置が本当に国民生活や国民経済にプラスになるかという、その辺の理屈もあわせてお聞きしたいと思います。
大武政府参考人 お答えをさせていただきます。
 ただいま先生からお話がありましたように、従来、公募株式投資信託の収益分配金というのは、利子並み課税ということで、源泉分離課税二〇%ということであったわけですが、来年の一月から株式並み課税が適用されるということになります。
 したがいまして、株式並み課税になるものですから、今回の改正によりまして、公募株式投資信託の収益分配金についても、源泉徴収後でも、申告を行いますと、これまで認められなかった配当控除が適用できることになります。したがいまして、払った源泉徴収税額の還付といいますことが行われることになる。それをいたしますには、やはり、執行当局、適用に当たって確認作業がその時点で必要になるものですから、他の株式配当同様、支払い調書を証券会社から御提出いただくということになっているわけです。
 ただ、この提出は、これは株の場合と同じですけれども、公募株式投資信託の収益分配金が一ファンド当たり少額の場合には、その支払い調書は証券会社が提出しなくていいということになっておりますから、一般の個人の方は、投資を行われる場合では、通常は支払い調書は余り提出されないケースが多いんじゃないだろうかというふうに思っているところであります。
中津川委員 その辺のところを、証券会社を初め、伝達をしっかりひとつやってもらいたいと思います。
 ちょっとより専門的な話なんですけれども、外国投資信託、この取り扱いについてお聞きしたいと思いますが、今回の株式投資信託に関する税制変更、特に外国投資信託について、これは個人の投資家の間で、何か不利になるんではないかというのを私も二、三聞いております。
 投資信託残高は二月末で、調べてみましたら、国内投資信託が三十五・二兆円ありまして、株式が十六・三兆円、公社債が十三・四兆円。それに対して、外国投資信託が四・九兆円で、七分の一の規模なんですね。これが大きいか小さいかはいずれにしましても、これだけある。
 これまでの外国投信の解約は譲渡として扱われた。公募投資信託の譲渡は非課税である、換金のときの利益は非課税の扱いがされてきた。しかし、今回は、税制変更で、外国投信が非上場の株式として同様に扱われると、換金どきの利益に二六%の課税がされるのではないかなということを聞いたわけでありますが、まず、これが事実であれば、ちょっと問題があるんじゃないか。投資家が不安になると思いますし、何か外国投信のみ差別的に扱うというふうにもとられかねない、こういう懸念があるんですが、これは実態はどうなんでしょうか。
大武政府参考人 お答えをさせていただきます。
 従来、先ほどお話ししたとおり、投資信託については利子並み課税ということでありました。したがいまして、国内投信は証券会社を通じて解約が行われて、その収益に二〇%の源泉分離課税がかかる。他方、外国の投信というのは証券会社自体が発行するものじゃないものですから、外国から証券会社へ一度譲渡した上でさらにファンドに譲渡するという扱いでありまして、実は譲渡益が逆に非課税になっていたわけであります。
 今回、十五年度税制改正で、貯蓄から投資ということで、国内投信あるいは外国投信を問わず、公募株式の投資信託については株式並み課税に移行する、こういうことになります。そこで、収益分配金は、まさに解約ということで一〇%。譲渡益については、上場なら一〇%なんですが、非上場だと二六%ということで、従来どおり、税法上は国内投信であれ外国投信であれ差別的取り扱いをしているわけじゃないわけですが、現状から考えると外国投信は二六%になるんじゃないか、こういう、今先生が言われたような話がされているわけでございます。
 ただ、いずれにしましても、外国投信に係る換金の取り扱いを、これまで同様に譲渡益として処理するとそうなるわけですけれども、しかし、現在証券業協会としては、国内投信と同様に、解約を行う、そういうスキームを検討しているということでございまして、そういうことになりますと、いわゆる収益分配金一〇%ということになるわけでして、その辺、今後執行部局とも協議が行われる、証券業協会と協議されるというふうに伺っているところでございます。
中津川委員 最後になりますが、たんす株について質問いたします。
 特定口座におけるたんす株の受け入れがこの四月から開始されていますが、受け入れに要する確認書類や受け入れ窓口における確認義務に関して国税庁にいろいろ問い合わせをしても、なかなか的確な回答が得られないと聞いております。結構頻発しているそうであります。
 既に受け入れは四月から始まっていますね。もう一カ月以上たっているわけでありますが、こういう事務手続に関する事項について税当局が明確な指示が出せないというのは、これはよろしくないと思います。
 確かに、たんす株というのはいろいろ種類があって、古くから持っているのからバブルのとき買ったのから、内容も違う、いろいろあるでしょう。しかし、それだからこそやはり、問い合わせが来たら的確に対応できるマニュアルをつくっておくべきだと思います。
 受け入れが平成十六年末まで認められているんですね。だからちょっと悠長に構えているんじゃないのか、そんな気もするんです。それは、もしそうだとしたら行政の怠慢だということになるんですが、その辺ちょっと説明してください。
村上政府参考人 お答えいたします。
 平成十五年度税制改正におきまして、今御指摘のとおり、平成十五年四月一日から平成十六年十二月三十一日までの間に、自宅に保管しておられる株券など、いわゆるたんす株の特定口座への受け入れができることになりました。このたんす株の特定口座への受け入れは、投資家が証券会社の窓口へ、株券と、受け入れ価額を決定するための一定の確認書類を添付した特例上場株式等保管委託依頼書を提出し、これを証券会社が確認するという形で行われます。
 この確認書類につきましては既に財務省令で明確にされておりまして、受け入れに特段支障はないと考えられますが、日本証券業協会では、法律施行直後から、実務的な細部の問題につきまして証券会社各社から問い合わせを受け、それを取りまとめた上で、四月中旬に国税庁に相談がございました。当庁といたしましては、この制度が早期円滑に運用されますように、早期に検討を行い、四月下旬に証券業協会に回答をいたしておるところであります。
 証券業協会では、これを受けて、昨日、証券各社に、いわゆるたんす株の特定口座への受け入れにかかわるQアンドAを、質問が四十六項目ぐらいあると思いますが、発出したと聞いております。(中津川委員「いつ」と呼ぶ)昨日です。
中津川委員 質問を終わります。
小坂委員長 次に、上田清司君。
上田(清)委員 上田清司でございます。御苦労さまです。
 早速ですが、資料の三と四を御配付いただきたいと思います。
 まず、担当大臣にお伺いいたしますが、今回の証券法の一部を改正する法案、これは、供給サイドをふやすというふうな認識で私はこれをとらえておりますが、具体的に、この改正によって日本の株価はどのくらい上がるかとか想定されたことはあるんでしょうか。そういう試算があるんでしょうか。
竹中国務大臣 今回の改正は必要な改正だというふうに思っておりますが、それによって直接需要がどれだけふえるか、結果としてそれが株価にどのような影響を与えるか、そういう試算はございません。これは、容易に御想像いただけると思いますが、技術的にそういう試算はなかなか困難、不可能ではないかというふうに思っております。
上田(清)委員 ここの連休前後で株価が五百円ほど上昇したわけでありますが、これはどのような原因というふうに思っておられるか、端的にお伺いしたいと思います。
竹中国務大臣 株価はさまざまな要因で変化いたします。市場のいろいろな需給要因もあれば、期待の変化、いろいろな思惑もございますでしょう。そうした一つの要因、短期の変動について私自身が何か申し上げるというのは大変困難であるというふうに思っております。
 基本的な一つの流れとして申し上げるならば、イラクの戦争が起こっている間、私の認識では、日本の株価はかなり、欧米の株価、特にアメリカの株価に連動していろいろ動いていた、まさに地政学的な不確実性に対して、そのニュースに非常に大きく反応していた面があったと思います。戦争の終結局面が近づくにつれて、欧米の方は不確実性が低まったということで少し上がってきた。しかし、四月に入ってから、日本の株価が非常に不確定、不確実なといいますか、不安定な要因をむしろ見せるようになった。ここは幾つかの解釈があろうかと思いますが、地政学的な不確実性に対して欧米の方がやはりより敏感であったという面が一つあるかと思います。したがって、下げも大きかったけれども上げも大きかったというのは欧米の株価。日本はむしろ逆であった。
 もう一つは、やはり、委員の図表の中にございますけれども、日本の市場がかつて非常に安定的な、機関投資家的な国内の買い手がいた。銀行、生保等々がその象徴でありますけれども、それが、ウエートが、先ほど申し上げましたように、本当に一%とかになった。そういう意味では、ちょっとした短期のニュース、情報に対して非常にマーケットが振れやすくなっている。御指摘のように、短期間の間に五百円とか上がったり下がったりする。そういう一つの何か脆弱性のようなものもこの市場は有しているのではないか。
 その意味からいきますと、先ほどからも議論させていただいておりますけれども、やはり、非常に安定的な個人の投資家を呼び込んでいくことが必要であって、これはなかなか、これをやればうまくいくという決め手がないわけでありますけれども、その一環として、今回の証券業法の改正等々も重要な一つの役割を果たすのではないだろうかというふうに考えているところでございます。
上田(清)委員 資料の三を見ていただきたいんですが、これは投資部門別の株式保有比率の推移ということで、御承知のとおり、個人部門が三〇%程度から二〇%程度に落ちている。そして、現在では、図表の四も見ていただければわかると思いますが、いわゆる外人買いが今の売り買いの比率の中で約半分を占めている。先ほど大臣も言われましたように、こういう海外の機関投資家の反応というのが日本の株式市場に大きな影響を与えているという御指摘もございました。
 今回のこの法案で、私は先ほども申し上げましたが、供給サイドで、いわば支店をふやすような話ですね。逆に証券会社は支店を閉鎖してきておりますから、そういう支店がわりになるようなものをつくって、そして身近に、消費者が、個人投資家がそこに参入できるように、参加できるようにというような仕組みをつくられたこと、このこと自体は決して評価しないわけではありません。
 しかし、需要サイドから、消費者サイドからどんな形で、本当に個人投資家が参加するにはどうすればいいのかということについてきちっとしたシグナルが政府として本当に出ているんでしょうか。私はそれを申し上げたい。
 これは確かに、証券会社あるいは証券会社にかわる窓口をふやした、そのことによってアクセスはより便利になる、それだけでありまして、自宅の近所にいろいろな商店ができた、スーパーができた、コンビニエンスがいろいろできた、アクセスは、近くなったから行きやすくはなった、しかし買い求める商品があるかどうかということに関して、なければ、幾ら近くたって行かないんで、個人投資家がこういう株式市場に参入できるような、需要を起こすような、どういうふうなものを政府として用意できるのかというのが私はむしろ重要じゃないか。大臣として、その点についてはどう考えていらっしゃるのか。
竹中国務大臣 上田委員の今の御指摘は大変重要で、理解できる点だと思っております。
 今回の措置は、御指摘のように、消費者がアクセスしやすくなるような措置はとっている。しかし、個人の投資家がもっと主体的に、お金をこれに使おうというようなインセンティブを高めるようなものというのは、これは、証取法ということではなくて、全体としてしっかりと考えていかなければいけない問題であろうかと思っております。
 この点、私たちももちろん大変大きな関心を持って重視をしているわけで、その一つが、先ほどからも少し申し上げましたけれども、平成十五年度の税制改正であったわけでございます。証券、株式等々の利益に関しては、配当、その譲渡益等々含めて、非常に簡素化して、一〇%という低い税率にした。我々としては、まずこれをしっかりと定着させるということが重要であろうかと思っております。
 それと、これは実は、アンケート調査を行うと、必ず投資家の皆さんは、収益性も大事だけれどもやはり安全性だとか、非常に投資マインドが縮こまっている。これは九〇年代の長期的な株価の低落の中でそういうマインドが形成されてしまったという問題が、これは無視できなくあるのだと思っております。
 そうした観点からいうと、投資知識の普及、情報の提供といったようなことは、これはこれで大変重要なことでありまして、小さな一例と言われるかもしれませんけれども、文部科学省に、学校における金融教育の一層の推進について要請をするとか、これは必要ないろいろなことをやっていかなければいけない問題であろうかと思っております。
 先ほど申し上げましたように、こうした問題全体について、これは、厚生労働省にお願いしなきゃいけないこと、文部科学省にお願いしなければいけないこと、また税当局で検討していただかなければいけないこと、いろいろな観点がございます。その意味では今回の証取法の外の部分が大変多いというふうにも思いますけれども、そうした点に関しては諮問会議等々で幅広く検討をしていっているところでございます。
上田(清)委員 やはり経済政策の大胆な転換というメッセージが市場に伝わらない。与党三党の方でもいろいろ御苦労された案が出ておりますが、あくまで一種のびほう策、ずるずると、パラサイトシングルなんという言葉が一時的に流行がありましたけれども、全部、オールパラサイトという形で、何でもかんでも政府が面倒を見る、日銀が面倒を見るというような形で、それも少しずつだ。だから、いつの間にかずるずるとお金を使い切っているけれども、しかし効果がない。そういう仕組みでいる限り、私は、この日本の経済の現状を打破することはできませんし、いわば供給サイドのアクセスをふやしても需要を起こすわけにはいかないというふうに思っているということをあえて申し上げます。
 最後に一つだけ。なぜこういう日本の現状の中で外人買いがあるんですか。これを教えていただけませんか。
竹中国務大臣 マーケットのプレーヤーがどのような意思で買っているかということ、私にわかる部門とわからない部門がございます。
 基本的には、やはり、日本の経済が持っている非常に大きな潜在力というのをそれなりに評価しているという面があるのだと思っております。これは特に物づくりに象徴されますけれども、日本がこれまで培ってきた技術力さらには人材等々、非常に経済が厳しい中でも国民がそれなりに生活水準を維持しながら次への段階を模索している、そういった、日本がこれまで示してきた、今も持っている、変化に対応する力というものに対する評価もあろうかと思います。
 そうした点をやはりしっかりと伸ばしていって形を示していくのが我々の重要な責務であるというふうに思います。
上田(清)委員 今の答えで、逆にまた、なぜ個人の投資家がこんなに減っていくんですか。
竹中国務大臣 株式等の投資行動に関して、なかなか理論的に、整合的に説明できる考え方がない、これは、この道の専門家は、きわめればきわめるほどそういう言い方をするわけであります。
 非常に複雑な心理的な要因、先ほど申し上げましたけれども、今のような状況でもっと収益性を重視したらどうだというふうに一般的には思うんだけれども、アンケートで返ってくるお答えは、収益性よりも安全性である。さまざまな過去の経験等々に影響されて、その意味では為替のマーケットもそうですけれども、為替のマーケットも非常に行き過ぎる。バブルのときは上がり過ぎるし、オーバーシュートする。山高ければ谷深しというような面もあろうかと思います。これまた一つの要因では説明し切れないと思います。
 我々としては、国民自身も、日本の将来に向かって明るい希望を持ちたい、持てるのではないかというふうに今思いつつあるというふうに思っております。その点をはっきりとした形にしていきたい、それを引き出していくのが我々の仕事だと思います。
上田(清)委員 それはやはり、先ほど中津川議員が言われましたように、株価は非常に正直だ、また個人の投資家もよく見ている、まさに政府の政策不信というのがこういう形になっているというふうに理解していただいて、反省していただいて、何らかの形で政策転換をする仕組みを考えていただかないと、今みたいに、何が何だかわからない、よくわからない、しょせん説明できない、こういう説明をされている限り株価はますます低下していくだろうと私は思っております。そのことだけ申し上げます。
 さて、予算委員会の方で、特別会計を中心にいろいろ私も調べておりまして、時間が足りませんので、この委員会を利用させていただきまして幾つか聞きます。
 まず、経済産業省の予算の中で、これは資料の一、二を配っていただきたいんですが、経済産業省の予算約八千億の中で、経済産業省そのもので使う金額はその中の約八百億、約十分の一でありまして、他の会計に半分繰り入れをいたします。そして、約八分の一は独立行政法人の方に流します。そして、三分の一弱の金額が、委託費、補助金、補給金、出資金、交付金、拠出金、分担金、貸付金という形で、二千五百億。繰り返しますが、経済産業省の予算は、約八千億、そのうちの二千五百億をさまざまな形で政策誘導のために使っているわけであります。
 この経済産業省所管の中小企業庁の部分、資料の二でありますけれども、この項目を一つ一つ私も少し調べさせていただきました。この中で、左の方の六番目であります、地域中小企業対策調査等委託費という項目、九千四百万出ておりますが、似たような名前がいろいろあるので、この中身は何ですかということを伺ったところが実は資料一でございます。九千四百万をどんな形で使っているんですかといったら、人権啓発のための普及啓発事業に三千万使っております、二十四の都道府県にそのお金を使っておる。そして、経営・技術等に関する巡回相談で十の都道府県に交付している、研修事業で八の都道府県等に交付している。
 この金額、例えば経営・技術等に関する巡回相談、十の都道府県に三百万出している。大体、三百万もらうために書類の手続で多分三分の一ぐらい使っちゃうだろう。とりわけ埼玉みたいに零細中小企業が多いところにもしこれが三百万配賦されているとすると、約三十万ぐらいの零細中小企業がありますので、一つの企業当たりに直すと十円だ。一体どうするんだろう、これは。
 こういうことを年々繰り返して、中小企業、零細企業が本当に日本企業の担い手になるのかということについて疑問を持っておりますので、まず、この予算の配賦、考え方について、省としての基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
西川副大臣 先生のお尋ねの中で、まず、私もにわか勉強で恐縮でございますが、勉強させていただいたんですけれども、やはりタイトルに問題がありますね、これは。おっしゃるとおり、何か羊頭を掲げて狗肉を売る感が、率直に言って感じました。
 ただ、さらに中を調べてみると、一つは、これは人権、同和対策が一般対策に変わったときに、そのままその精神を残しながらやっているものです。この問題については、例えば埼玉県は、先生の御地元ですから、私も調べてみましたけれども、自治体から要請がないんです。東京都の例なんかは、某新聞社の法務室長を講師に招いて、企業内における差別撤廃の映画を見せたり、それから取引先の大企業の人を集めて、こういうようなことが具体的に行われてはいけないという講習会を開いて、大体これが一回二十万程度の予算で済んでいるんです。したがって、こういう小さい金額で済んでいるという実態でございます。
 省として、基本的には、この問題は、平成八、九年から、閣議決定を経て定着をさせているものでございますから、今後もこの人権擁護はきちっとやっていきたいと思いますが、先生の御指摘のように、一般的な中小企業対策として、この程度の金額で済むなどという気持ちはございません。
 そういう中で、一括して御答弁を申し上げますと、例えば、今借りかえ融資の制度などはもっと大きな金額を使って、十兆円ほどのお金を用意して努力をしておりますし、それから、この金額の中に、先生お尋ねの中に中心市街地活性化対策とか、こういうものはかなりきちっと機能しておりますし、今後も充実していかなければいけない。
 省としての基本的な姿勢は、限られた予算の中でしっかりやっていきたいと思っております。
上田(清)委員 人権啓発の部分はそうした御説明でもわからないではありませんが、経営・技術等に関する巡回という形で一県当たり三百万という予算が、本当にこういうことでいいのかどうか、この点についてはどうですか。
西川副大臣 これは、従前は、商工会でありますとか商工会議所でありますとか、そういうところとタイアップをしながら、中小企業診断士でありますとか、そういう士稼業の方々にコンサルタント的な仕事をしていただいておりました。先生も私も、お互いこういうことには詳しいことでありますし、実態もよく承知をしておりますので、この程度のことでどのぐらいのことができるのかという御疑問はよくわかります。
 だからというわけではありませんが、このたび、中小企業再生のための支援センターを、これは補正予算も含めて二十億程度のお金を用意しまして、全国でもう三十数カ所立ち上げております。したがって、この予算の精神をそういう形で敷衍してまいりまして徹底していきたいと思っております。これは今までのことでございますが、中身をしっかり充実していきたい。御指摘の、先生の御教示はよく理解できますので、そんなふうにぜひ御理解いただきたいと思います。
上田(清)委員 言わずもがなのお話を承って、大変恐縮であります。
 いずれにしても、経済産業省は政策官庁としてさまざまな誘導を行っているわけですけれども、予算そのものが省全体で約八千七十億、そして省そのものが使っているのはそのうちの八百億、そして半分以上の四千四百億が特別会計の方に繰り入れをされている、そして約八分の一が独立行政法人の方に流れている、そして二千五百億が、今申し上げましたような委託金だ、調査費だとか補助金だ云々ということで政策誘導を行っているわけですが、項目が小さく分かれていて、小さな、少額の補助金等がどれほどの効果があるのかということについても、縄張り争いの中で、各課、局等で、とにかく係でばらばら出すのではなくて、きちっと民間の活力を育てるような仕組みに、ぜひメスを入れていただきたいということを重ねて申し上げて、この問題は終わります。どうもありがとうございます。
 それから、財務省の産業投資特別会計についてお伺いをいたします。
 これは、いろいろな問題点についてはまた違う観点から御指摘をしなくちゃいけませんが、私が気になるところでは、よく予算書を見ていますと、一般会計から受け入れをしながら、同時にまた一般会計に繰り入れをするという形で、差額が四百億ぐらい出るわけなんですが、これをまた戻すというような形になっているわけです。
 こんなことをやっているんであれば、会計操作上必要なことかもしれませんが、受け入れをしてまた繰り入れをするぐらいだったら、もともと、最初から必要な金額だけを受け入れした方がいいんじゃないかという事例として、私は、もうとにかく、特別会計の総額が三百七十兆だ、一般会計は八十二兆だ、そして一般会計八十二兆も、いきなり五十兆は特別会計に繰り入れされる、そして、入れたり出したりをそれぞれの特別会計でもやり、そして、特別会計の中のそれぞれの勘定でまた入れたり出したりをする、何がどうなっているのかわからない。結局、日本国の予算は二百三十二兆、足したり引いたりしながら、ダブルカウント、トリプルカウントを抜くと二百三十二兆だ、これが日本国の予算だというふうに私は理解しているんです。
 そういう点からも、私はぜひ、こうした、受け入れをする、そして、また繰り入れして返すという形で、入れたり出したりする部分の差額があるんであれば、最初からその差額だけを対象にすべきではないかということを、副大臣にぜひ、谷口副大臣、会計家としてもきちっとした方でございますので、ぜひ、国の会計も簡素にしていくという視点が必要ではないかという意味で、改めて問いただしたいと思います。よろしくお願いします。
谷口副大臣 上田委員が持っていらっしゃる問題意識はよく理解できるわけでございまして、財務省におきましても、今、一般会計と特別会計のありようだとか透明性だとか、こういうことを検討しておるところでございます。
 今おっしゃったことで申し上げさせていただきますと、そもそも特別会計が設けられた趣旨というのがやはりあるんだろうと思うんです。
 御存じのとおり、特別会計というのは、事業特別会計だとか、また資金運用特別会計だとか、また整理区分特別会計だとか、このようなものがあるわけでございますが、いずれにいたしましても、例えば事業特会で申し上げますと、その事業の収支が明らかになるといったこと、また、資金の運用の特別会計におきましたら、その収入の入り、出を明らかにするといったような観点があるわけでございまして、そういう観点で申し上げますと、むしろ、上田先生がおっしゃるようなネッティングで計上するというよりも、両立てで計上し、その特会の内容が明らかになるということが本来の趣旨でございますので、そのようなやり方がいいというように考えておるわけでございます。
上田(清)委員 そうじゃないんですね。特会が、そうした明朗な部分がきちっと出ればいいんですよ。
 例えば産業投資特別会計では、まず、国際協力銀行の納付金、電源開発株式の配当金、日本たばこ産業株式の配当金、NTTの配当金を一たんは一般会計に入れる、そして、その部分をまた産業投資の方に入れ直す、こういうことを行ったり来たりさせながらやっていて、何が明らかになるんですか。
谷口副大臣 今産業特会のことを先生おっしゃったわけでございますが、これは十五年度予算で、一般会計より受け入れが一千六百三十六億円、一般会計に繰り入れが一千二百六十六億円。先生がおっしゃるのは、この差額三百七十億円のみ計上したらどうか、こういう話でございます。
 この内訳は、平成十五年度予算におきましては、一般会計より、今申し上げましたように、一千六百三十六億円を受け入れまして、この一千二百六十六億円を一般会計に繰り入れておるわけでございますけれども、これはそれぞれ、無利子貸し付けの財源を一般会計から産業特会に繰り入れ、無利子貸し付けの償還金を産業特会から一般会計に繰り入れるというような、この内容を把握するというような観点で両立て経理をされておるわけでございまして、この結果、NTT無利子貸し付けにおける資金の流れがより一層明確になるという結果になるわけでございます。
 民間会計におきましても、先生、さっき私のことに言及していただいたわけでございますが、総額主義といったことで、この両立て経理が一般的でございます。おっしゃるようなネッティングで計上するといったことは特殊な場合にのみ認められているというようなこともあるわけで、この特別会計の趣旨をかんがみた結果このような処理になったということを御理解賜りたいと思うわけでございます。
上田(清)委員 ここで論争してもらちの明かない部分もございます。しかし、通常でいう、一般企業なんかの一般会計と特別会計とは、明らかに目的をきちっと持っていて、それでずっと積み立てているための特別会計であるとか特別の事業のための特別会計であるとか、そういう形ではっきりしているんですよ。
 例えば、産業特会でさまざまな貸し付けや融資、出資をしていきます。そういうことが、何で、これ、産業特会じゃないとだめなんだ、別に国際協力銀行から直接貸してもいいじゃないかという議論になりますよ。納付金を取って、そこから貸すんだったら、これ、一種の利権じゃないですか、私に言わせると。だってそうじゃないですか。日本たばこ産業からの納付金、そのまま国庫の中に入れておいて、そして経済産業省なら経済産業省から必要なところに出すのも一つの方法かもしれませんし、あるいは国際協力銀行あるいは日本政策投資銀行、そこが貸し付ければ済むことじゃないですか。それをわざわざ入れたり出したりしながら、よりわけのわからない形で、今話を聞いていてもわかる方はいないと思いますよ。
 だからもう少しこれは考え直した方がいい。単純に、事務方が用意した説明書で答弁されたら私は困る。もうちょっと踏み込んだ議論をしてもらわないと。
谷口副大臣 いや、これは事務方が用意したことだけを私申し上げているわけではありません。よく御理解賜りたいわけでございますけれども。
 先ほど、冒頭私申し上げたように、期間の経過、時間の経過とともに、本来透明性を確保するためにやった特会がむしろわかりにくくなっているといったような場合もおっしゃるようにあるわけで、それで、財務省の中で、一般会計と特別会計のあり方、透明性、アカウンタビリティーといったような観点で今検討しておるところでございます。先生のおっしゃったような観点も念頭に入れて、今後また検討させていただきたいというように思います。
上田(清)委員 大体産業投資特別会計なんていう中身がもう問われているんじゃないかなと思いますね。何か石炭から石油、石油から天然ガスへとか、そういうイメージだとか、そういう話ではもうないと私は思っているんです。いろいろな企業や団体にどんどん細かく貸し付けをしたり出資をして、それがどうなっているかよくわからない。会計検査院の対象にするにしても、数が多過ぎて、何年に一回しかとにかく回ってこないからわからない。こういうふうになっているわけですから、むしろ一般会計の中でどういう使われ方をしているかということを我々に見せていただいた方がよっぽどわかりやすい。
 あるいは国際協力銀行なら国際協力銀行、あるいは日本政策投資銀行なら日本政策投資銀行という枠の中で、あそこもきちっとしたバンカーですから、やはりいいものには貸すし、悪いものには貸せない。
 だけれども、政府がこれをやっているから、いい悪い関係ない、声の大きいところに出ちゃう。ものつくり大学、私は必要だと思いますけれども、なぜ雇用特会からお金が出るんだ。あれは大学ですよ。大学なのに、何で雇用特会から出るんだ。たまたま亀井さんだとか村上さんとか声の大きい人がいた、それで出たというのが実態じゃないですか。そういう話になりかねないんですね、この話は。
 だから、この特別会計のあり方について、三十二もあって、私は、運用の関係の特会なんかは比較的特会の性格を持っていると思いますが、産業政策上の特会は、いささかこれは伏魔殿になっているというふうに思っておりますので、ぜひ、明快なる谷口副大臣におかれましては、しっかり、徹底的に見ていただきたいというふうに思っております。後でまた、どのポジションで、どんなふうなプログラムでこの問題について取り組んでいただいているか、私の方にも教えていただきたいというふうに御要望しておきます。
 それから、一つまた気になるところが財務省関係でございました。特定国有財産整備特別会計でございますが、これは、これを取り扱っている職員がいるんですけれども、ここから人件費を出しておりません。例えば、外為などは、四十人の職員が外為特会の事務を所掌しているということで、人件費をそこから出したりしておりますが、この特定国有財産整備特会は人件費を出しておりません。
 にもかかわらず、省庁の庁費というものが十八億あって、後で私も調べましたら、解体費用だとかそういうのでお金がかかっているからその部分だということでありますが、大体、こういう庁費の内訳の中に諸謝金があったり研修費があったり。一般的には電気、ガス、水道、維持費、メンテナンスだと私は理解しておったんですけれども、どうもそうじゃなくて、各特別会計によってそれぞれ概念が違って、それぞれの使い方があるということですから、これは、財務省として、この庁費について、基本的な枠組みというんでしょうか、そういうのがガイドラインとしてあるのかどうかということをまずお伺いしたい。
 そして、この十八億について、年々、解体作業のときの費用をこういう形で見積もっているのかどうか、そのあり方がいいのかどうかということも含めて、谷口副大臣にお伺いしたいと思います。
谷口副大臣 今おっしゃった特定国有財産整備特別会計、特国特会と言われるものの御質問でございますけれども、これはそもそも、一般会計に所属しております庁舎、宿舎の移転、再配置のための事業に係る収入、支出の経理を一般会計と区分して行われる会計でございまして、一般会計から旧施設を受け入れまして、そこで、先ほども申し上げた移転、再配置を行って、旧敷地の売却を行い、この売却収入をもって新しい施設を整備するというような特会でございます。
 それで、今先生おっしゃったように、人件費が上がっておりません、これはまた後ほどお話をさせていただきますが。庁費が十五年度で十八億三千百四十六万円計上されておるわけでございます。これらの庁費は、当会計で整備を行った庁舎、宿舎等の財源になっている旧施設の処分を行うために必要な、建物の解体撤去費が約十一億円でございます。また、土地の評価等手数料、これが約三億円でございます。一般競争入札の新聞広告料約七千万円、これらが主なものでございます。
 それで、先ほどおっしゃった、人件費が計上されていないということにつきましては、先ほど申し上げたように、旧施設の処分と新施設の整備ということを特国特会でやっておるわけでございますけれども、旧施設の処分につきましては、一般会計所属の国有地処分を行っている財務省の職員のところで計上されるわけであります。また、新施設の整備につきましては、官庁営繕を行っております国土交通省の職員が担当いたしておりますので、それぞれの一般会計で計上されるといったようなことでございますので、特特会計の専担職員がおらないということで、この人件費がゼロになったということで御理解をいただきたいと思います。
上田(清)委員 それはそれでわかりましたので、庁費の内訳について、各特別会計ごとでどうも違うような感じがいたしますので、ぜひ整理をしていただきたいというふうに思います。
 西川副大臣、済みません。大丈夫ですので、御退室してください。言い忘れてどうも済みませんでした。
 国土交通関係でありますが、港湾整備特別会計において、十五年度の予算で港湾整備勘定について、いろいろな貸し付けとか事業の補助とかやっているんですが、この中身の部分についてお尋ねをしたら、こういう御回答をいただいております。平成十五年度予算について、実施計画が決定されていない状況であるため、予算の内訳及び予算の支出先については未確定であり、資料提出ができないものである、このような御回答を港湾局の計画からいただいておりますが、約六百五十億の予算で、予算の内訳及び予算の支出について回答ができないで、どういう積算根拠で予算を組み立てたのか不思議に思っておりますので、御回答いただきたいと思います。
金澤政府参考人 お答えを申し上げます。
 平成十五年度の港湾整備特別会計におきます港湾整備勘定について、二月に先生からお尋ねがございました。
 私ども、予算要求させていただきますが、満額いただけるわけではなくて、査定がございます。十二月末に政府の予算原案が確定いたしまして、額が減ります。それから、事項別にも査定がございまして、それぞれ変わってまいります。そのことにつきまして、実施計画協議、それから港湾整備事業の場合には、港が多うございますので、それぞれの港ごとにどれだけの予算を張りつけていくかというようなことについても再度検討する必要がございます。二月の時点ではそういうことをやっている最中の資料要求でございました。
 それから、その段階ではまだ実施協議の内容も調っておりませんで、それから、国会でも審議をしていただいている最中というようなこともありまして、それが三月の末に実施協議というのが調いまして、予算が確定すると同時に、いわゆる箇所別の内容、それから事業別の内容が固まります。
 そのことについて、ちょうど二月の段階だったので、そのようなお答えをさせていただきました。
 ただ、現時点におきますともちろんそういう内容は固まっておりますので、今、これから御説明を申し上げますが、港湾整備特別会計……(上田(清)委員「いや、時間がないですよ」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
上田(清)委員 時間が参りましたが、私がお聞きしたかったのは、六百五十億を計上する積算根拠をどうして出したんだ、そういうことを聞きたかったわけで、積算根拠もなしに出して、そのことを聞こうとしたら、内訳は決まっておらない、まだ事業も決まっておらぬと。そういうことで本当に予算ができるのかなというふうに私は非常に疑問を持っていますので、また場外で一回少し議論させてください。
 ありがとうございました。
小坂委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 提案理由説明にもありましたとおり、間接金融から直接金融へのシフトに向けてということ、個人投資家の証券市場への参加を促進するためのインフラ整備ということが、この法案の提案の目的だろうというふうに思います。そういう意味で、証券市場あるいは資本市場というものの活性化という観点で税等の問題、また、その後に法案の中身について伺いたいというふうに思います。
 こういう例えがいいかどうかはわかりませんが、証券市場とかを遊園地みたいなものだと例えれば、まず入園料というか、遊園地というのは入場料を払って、中で乗り物に乗るときまたお金を払うわけですね。そうすると、入場料というのが税で、中で何を買うか、それがおもしろければまた来るしということなんだろうと思うんです。
 税の方、証券をめぐる税についてもいろいろ議論がされている。ことしの四月に日本経団連が緊急株価対策というものを政府に対して提案をされたということですけれども、この経団連の緊急株価対策に対する評価といいますか見解というものを両大臣にお伺いをいたします。
塩川国務大臣 経団連、三団体から申し入れがございましたですが、あの件につきましては、私たちの方では、もう既に説明いたしておりますように、とりあえず、今回、大幅な税制改革の中で、証券税制に関しては最重点を置いた改正をしたことは事実でございまして、それの執行が本年一月一日から有効ということになって、しかも法律が成立いたしましたのは三月末でございますが、そのときにまた法律を変えるということは余りにも朝令暮改のそしりを受けるじゃないかということでございます。私は、あのときにちょっと、そういうことに手をつけると衝動買い的な行動になって税の信頼を失うということを申し上げたと思っております。
 でございますから、現在の時点においては、あの提案に対しまして私たちはノーと言わざるを得ない、こういうことであります。
竹中国務大臣 塩川大臣のおっしゃったとおりであろうかと思います。
 今回の税制改正、証券に関する税制改革は、かなり思い切った、今までなかなかできなかったことを我々としてはできたというふうに思っております。我々としては、それを何とかして定着をさせたい。しかし、税の話というのは、税率は下がれば下がるほどいいという無限の要求が実は出てくるわけで、しかし、今のタイミングでそのような議論をなさるのではなくて、我々としては、今の、せっかくできた、非常に我々としては頑張ってつくった税制をしっかりと定着させること、これがやはり政策としてはまずとるべき道筋であろうかというふうに思います。その意味で、塩川大臣のおっしゃったと同じ考えを私も持っております。
中塚委員 あすですか、また経済財政諮問会議でこの証券税制のお話が出るような、何かそんなことが奥田さんの記者会見の記事なんかに載っておりました。またどんなものが出てくるのかなというふうに思っています。
 先ほどの塩川大臣のお話だと、今の税制を仕組んだばかりだから、年中でまた変えるのかということは、まさにそのとおりだと思うんですね。また、税制自体も、やはり毎年毎年変わるというのも、逆に投資家の売買のタイミングを失するようなことにもなりかねないという意味で、やはり恒久でばちっと仕組んだ方が投資家なんかにもわかりやすい。税制自体もわかりやすいものにする必要があるというふうに思いますけれども、この経団連の提言なんかでも、例えば譲渡益の非課税なんかは私自身はやってもいいんじゃないかなというふうにも思っております。
 次に、今度、政府税制調査会が金融小委員会を開いて、預貯金の利子、株式の配当あるいは株式譲渡等の利益と損失を通算する、金融所得の一本化というのを検討することを決めたということなんですけれども、それが二年程度かけて議論をするというふうに報道で承知をしておるんです。これも方向性としてはやはり進めていくべきだろうと私どもは考えておりますけれども、二年と言わず、それこそ来年度というふうなものにはなりゃせぬかと思うんですが、そこは、財務大臣、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 できるだけ早くいろいろな意見をまとめて聞きたいと思っておりますけれども、御承知のように、税制というのはいろいろな分野に関係が多いことでございますし、やはりその中に共通の利益、利害というものをどうして見出していくかということが非常に難しい作業になってまいります。できるだけ公平というか公正を期したいと思っておりますので、いろいろな御意見を聞くのに時間もかかってくる。
 しかし、私も今までずっと思っていましたが、税制に限らず、法律の改正がちょっとスピードが遅過ぎる。ですから、タイミングを失ってしまうことが多いということがございますので、そういうことにならないようにできるだけ努めて、努力をしていきたいと思います。
中塚委員 今、いろいろな方の意見を聞かなきゃいけないというお話の中に、恐らく納税者番号制度の話というのが必然と入ってくるんだろうと思うんですね。住基ネットの問題なんかもありますけれども、ただ、住基ネットの番号を使うかどうかは別にして、納税者番号制度もやはり導入するべきときに来ているんじゃないかというふうに思います。
 結局、やはり、株式市場に個人の投資家が入るということは、余り言葉はよくありませんが、うさん臭さみたいなのを払拭しなきゃいけないわけで、ガラス張りにしていけば、そこからまた新しいものがスタートしていくんだろうというふうに思うんです。そういう意味で、いろいろもう長年言われ続けてきたことでもありますし、やはりそこのところは決断をしていただいた方が、かえって個人投資家、今までの人とは別なのかもしれませんが、新しい個人投資家なんかが入ってくる余地があるんじゃないかというふうに思っております。
 次に、提案理由説明にもありました、間接から直接という話になりますと、やはり、日本の公的金融の入り口といったら何なんですか、郵貯とか簡保とか、あるいは年金ということも含めてになると思います。特に郵政公社というのが四月一日からスタートしておりますけれども、いずれにしても、入り口で集めた、公的金融で集めたお金で国債を買っているというふうなことでは、なかなか証券市場の方にお金が流れていくことにはなりにくいということで、郵政公社完全民営化、特に郵貯、簡保の完全民営化ということも、ここまで提案理由でおっしゃっているのなら、やはり積極的に進めていくべきじゃないかというふうに思うんですが、そこのところを両大臣にお伺いをいたします。
    〔委員長退席、七条委員長代理着席〕
塩川国務大臣 私は、かねてから思っておりますのは、郵政事業はやはり民営化していくべきだと思っております。ただ、民営化するについて、信書というものを扱っておりますので、この問題をどうするかということは非常に重要な問題ではあります。しかし、一般金融関係の事業、あるいはセーフティーネットとしての保険とか年金の扱いもしておりますが、そういうものについてはやはり民営化していく方が、かえって業務の拡大が可能ではないかと私は思っております。
 けれども、長年、百十何年にわたりましてとってまいりました、現在のいわば官営としての郵便事業全体を一挙に民営化するということは、ちょっとステップを踏む必要があるんじゃないかということで、公社でまず発足したということは、私はこれは一つの賢明な選択であったと思っております。したがって、できるだけ早く民営化への努力をしていただきたい、こう思っております。
竹中国務大臣 小泉総理は、御承知のように、これは民営化が原則であって、公社は民営化への第一歩であるということを明言しておられるわけであります。特に、郵貯、簡保という資金の流れ等々から考えますと、そのような方向が当然のことながらやはり模索されなければならないというふうに思います。今までは政府の一部であった、それが、政府からは独立した法人になるけれども、しかし、民ではなくて公の法人であるというのが今の位置づけであります。
 翻って、資金の流れを見てみますと、確かに、政府の効率化ということを我々は一生懸命唱えるわけですけれども、お金の流れはどんどん実は公的な部分が吸い込んでいる。国債がどんどん発行されているということとこれも関係しますが、最終的な資金の取り手だけではなくて、そのプロセスにおいても公的な部分というのは非常に大きな存在になっている。それが、けさほどから随分と議論になっておりますが、リスクマネーにお金が回らないということを、結果的に見るとそれを助長しているということになっている。そうした観点からも、民営化ということを視点に入れて、公的な資金の流れを変えていく努力が今非常に強く求められているというふうに思っております。
中塚委員 財務大臣言われたように、信書の扱いというか郵便事業は国営でなきゃいけないんだ、できないんだろうなというふうに私は逆に思っていまして、それ以外の、金融ですね、貯金と保険の方は、例えば定額でも、あと保険でもそうですけれども、新規の契約をやめるとか新規の受け入れをやめていけば、まあ何年かすればなくなっちゃうわけですね。これは民営化じゃなくて廃止ということになるのかもしれませんけれども、そういうやり方でも減らしていける。要は、そういう決意というかステップを踏み出すということは、やはり間接から直接ということなら必要なんだろうというふうに思います。
 株価対策ということでいろいろな施策をとってこられたわけですけれども、ことしの三月にも対策をお出しになられた。去年は空売り規制というのをおやりになって、投機と投資ということも境目をつけるのはなかなか難しいのかもしれませんが、ただ、空売り規制をしたということで取引量が減少したということも、これまたある意味事実だろうと思うんですね。
 去年の空売り規制は確かに効果があった、株価に対してという意味では効果はあったわけですけれども、反面、取引量の減少を招いてしまっているという事実について、竹中大臣はどういう御見解をお持ちですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年の三月に、一部証券会社等によります、従前の価格規制を潜脱する形で証取法違反行為が行われましたことを踏まえまして、証券市場への信頼を確保するという観点から、米国のルールを参考に空売り規制を強化しているところでございますが、その後の株式売買動向等を見ますと、空売り規制の強化によって必ずしも市場の流動性が損なわれているという事実はないというふうに認識いたしております。
 例えば昨年の、空売り規制の前の二〇〇二年の一月、東証で一日当たり七・九億株の取引がございました。三月には十・六億株でございます。前年同月比で見てみまして、ことしの一月は九・一億株、それから三月が九・九億株ということでございまして、そのような顕著な動向はないというふうに認識いたしております。
中塚委員 空売り規制をしたということからちょっとずつ時間がたっていけば、それはもちろん戻ってくるとは思いますけれども、ただ、やはりその規制をした直後というのは取引量自体は減っているわけですね。
 そういった対策というのが、要は株価が上がるということと資本市場が活性化するということとの兼ね合いでいったときに、株価対策にはなったかもしれないけれども、資本市場が本当にそういう意味で活性化をしているのかどうか。規制が入るというのが、まあ欧米並みにしたというふうなことなのかもしれません。そういうふうな御答弁、説明を聞いたこともありますけれども、ただ、そういう規制をかけて、一時的にしろ取引量を減らしてしまったということが、証券市場の活性化というのにつながるのかどうかということだと思います。
 また、ことし三月ですか、対策の中で、自己売買業務のリスク管理を徹底しろということがありました。中小証券会社、株価が非常に低迷をしている、それで取引量も低調になる、手数料で食っているようなところは、そういう意味では証券会社の経営自体もなかなか大変な時期に入っているわけですけれども、そういうところは大体自己売買で今も利益を出しているようなところが多いわけですが、この自己売買の業務リスクの管理を徹底するということが中小の証券会社に与える影響ということについてはどういうふうにお考えですか。
五味政府参考人 お答えいたします。
 自己売買をいたしますと、株価の急激な変動などで財務の健全性に影響が直接的に出やすいということがございまして、特に最近では自己売買業務のウエートの高い証券会社が増加をしておりますので、そうした観点から、このリスク管理を徹底するということが必要だというふうに考えまして、三月二十八日に事務ガイドラインを改正したところでございます。
 このガイドラインでは、自己売買業務自体を規制しようということではありませんで、健全性に与える影響が非常に大きいということから、自己売買業務を行うのであれば、特に大きなウエートで行うのであれば、そのリスク管理というものを徹底するという観点からの留意点を示したというものでございます。したがいまして、新しく規制をするということではございませんので、大きなリスクのある取引はそれなりのリスク管理をしてどうぞ取り組んでください、こういうお話でございますので、これが直ちに中小証券会社の経営に大きな影響が出るようなものであるというふうには考えておりません。経営の判断でここはやっていただける話だと思います。
中塚委員 経営の判断は判断でしょうが、そういうリスク管理をするということになれば、新規に設備投資をしなければいけない証券会社なんかもあるわけですね。そうしますと、何で自己売買をしているかといえば、手数料なんかの収入が入らないから自己売買をしているわけで、要は、自己売買をしている中小証券がふえているということは、それだけもうからなくなっている。もうからなくなっているところに、リスク管理はしなきゃいかぬというのはもちろんそうだとしても、新しい設備投資というのはやはりかなり重荷になっていくはずです。
 そういう意味で、資本市場、証券市場の活性化ということが大変重要な課題になってくるわけなんですけれども、この自己売買のリスク管理というのが果たして本当に、そういう意味で、株価対策、資本市場対策になっていないんじゃないかというふうな思いがしているわけです。そういう意味で指摘をさせていただきました。
 ちょっと、株価対策の話をしていて、法案の中身の方が余り聞けなくなってしまったんですが、今回、取引所の連携のための改正というのがあります。
 金融審の議事録なんかを読んでいましても、取引所の国際競争力強化というふうなことが言われている。それで、その取引所の国際競争力というのは一体何なんだろうということなわけです。結合とか連携とかが本当にその国際競争力を高めることになるのかどうか。ヨーロッパなんかはどんどんとそういう意味で結合、連携している取引所が多いわけですけれども、果たして、では日本と、例えばアメリカあるいはアジアというようなところと提携をすることで取引所の国際競争力が高まるというのは、具体的にはどういうことなのか、どんなことをイメージされているのか、いかがでしょうか。
藤原政府参考人 お答えを申し上げます。
 取引所の国際競争力というのは、なかなか難しい問題もあるんですが、我々としましては、少なくとも市場における流動性が極めて大きい、そういうところで、我が国の投資家を初め内外の投資家が、資金調達の場でありますとか投資の場であるとか、そういうのに極めて使い勝手がいい、そういうポテンシャルを持った市場、こういうところがほかの市場との競争において発行体あるいは投資家を集める、そういうことをもって国際競争力が強い市場というふうに思っております。
 今回、海外から直接取引できるような仕組み、あるいは端末を置いてそういうことができるようにする、あるいはそのために海外の取引所と連携を図っていく、提携を図っていくというようなことをやりまして、さらにそういう流動性の厚みを増し、ポテンシャルを高めていく、こういうことがいわゆる取引所の国際競争力を強めるということだと認識いたしております。
    〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
中塚委員 何か今の答弁ではちょっとよくわからない。国際競争力を強化するとは言うものの、別に、外国部もあるわけですし、今、日本のマーケットでも外国の株は買おうと思えば買えるわけですね。海外の人だって、別に買おうと思えば買えるわけです。でも、それが、提携をすることによって、何がどうなればどう国際競争力がついていくのかということについて、ちょっといまいち明らかでないなというふうに思います。
 最後ですが、証券仲介業について伺います。
 証券仲介業を登録制度でお始めになるということですが、仲介業者が顧客に与えた損害というのは証券会社が責任を負うということになっているわけです。恐らく、仲介業というものが新しく始まるわけだから仲介業も育てにゃいかぬというふうなことがあるのかもしれませんけれども、ただ、やはり、仲介業者が顧客に与えた損害を証券会社が負うということになりますと、仲介業者の質の低下が起こるんじゃないかというふうに思うわけです。
 それはもちろん、証券会社がこの仲介業者と一緒にやっていこうというふうに判断をするというところで選別は働いていくんでしょうけれども、でも、本来、仲介業、ブローカーというのはそういうものではないはずで、やはりお客さんを見て仕事をするわけですね。それによっての損失というのも、やはり仲介業者が本来負担をするというのが筋なんだろう。また、そういうことによって仲介業者自身も淘汰をされていき、質が高まっていくんじゃないかというふうに思うんですが、そこはいかがでしょうか。
藤原政府参考人 お答えを申し上げます。
 先生御指摘のように、証券会社等が、業務委託を行いました証券仲介業者が顧客に与えた損失の損害賠償責任を法令上負うということにされておりまして、これは専ら投資家保護という観点からこういう仕組みをつくったわけでございます。
 そういう仕組みでございますので、証券会社が業務委託を証券仲介業者に行うに際しましては、先ほど先生御指摘のとおり、証券会社がその証券仲介業者の適格性に関しまして慎重な審査を行うことになりますし、また、委託を行う証券会社が指導監督を行うことが予想されておりまして、当然のことながら、そういうことを通じまして、法令遵守も図られることになるというふうに私ども思っております。
 したがいまして、御懸念のような、証券仲介業者の質が落ちるというようなことは恐らくないんだというふうに思っております。
中塚委員 投資家の保護ということを目的に今回こういう仕組みでスタートをするというお話ですが、投資家の保護というのなら、それは何よりも仲介業者の質を高めていくということだと思うし、その質を高めるために、どこが責任を持つのかというときには、やはりそれは仲介業者そのものに責任を持たせるような仕組みでなきゃいかぬのだというふうに思うんです。
 今回、この法律がまだ通っていない先から、気の早い話かもわかりませんが、次回改正をするようなときには、ぜひ仲介業者自身が責任を負うような仕組みに改正をするべきだということを申し上げまして、終わります。
小坂委員長 次に、植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。法案に即して何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、証券仲介業者の創設にかかわってでございますが、法案における証券仲介業というのは、金融審の報告「証券市場の改革促進」の中で、投資家の市場アクセスの拡充を図るために、証券会社と顧客の取引の仲介を行う証券代理店制度(仮称)とこの審議会段階ではなっていますが、それにおける基本的考え方が投影されたものだと当然基本的に理解するわけです。
 ちなみに、法案における証券仲介業が、いわゆる法律上の代理権が存しないというのは、金融審がいうところの証券代理店のスキームがそういうふうになっているので、金融審がいうところの代理店制度という言い方をするよりも、証券仲介業という方が実態に即したネーミングだというふうな御判断と、まず初歩的なところですけれども、その点まず確認をさせていただけますか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 金融審におきまして御検討いただきましたが、部会の下にワーキングというのをつくっておりまして、そのワーキングにおきまして詳細な検討をしていただいたわけでございます。
 そこのワーキングの検討におきましては、確かに証券代理業というようなネーミングを仮称で使っておったわけですが、そのワーキングの報告書の中におきまして、中身の記述におきましては、代理権は有さない、代理権はもともと有すことを予定しておらないというふうな報告書になっております。したがって、名前が適切であったかどうかわかりませんが、証券代理業(仮称)ということは使っておりましたが、意味するところは、もともと代理権は含まないということを念頭に、金融審におきましても御議論いただいたところでございます。
植田委員 質問を続けたいわけですが、気のせいでしょうか、定足数に足りていないように見受けられますが。
小坂委員長 今呼び出しておりますので、質問を続行してください。
植田委員 はい。
 それで、今のところ、まず初歩的なところを確認させていただいた上で幾つか伺いたいんです。
 この金融審の市場仲介者のあり方に関するワーキング・グループの報告の中で、とりわけこの仲介業の制度の「基本的考え方」として、「多様な投資家の幅広い市場参加を促進する」、そのために「証券会社の販売チャネル機能の拡充を図る」、そういう観点でこの仲介業というものを創設するんだという問題意識を持っておられるようです。そして、その結果どうなるか。まず「販売チャネルが量的に拡大」する、そして「顧客の証券会社へのアクセスが容易となる」、そしてそれとともに、「最低資本金の引下げと相まって競争を通じたサービスの多様化が期待できる。」こういうふうにワーキンググループでは報告しているわけです。
 当然この法案もそういう認識に立っておられるということを前提に伺いますが、「競争を通じたサービスの多様化が期待できる。」というのは、期待してはるだけですから、期待しているという以上、以下ではないでしょう。また、「販売チャネルが量的に拡大」するということは、実際にふえれば、物理的に量がふえれば拡大するんでしょうから、それも言えるかもしれない。ただし、「顧客の証券会社へのアクセスが容易となる」というのは、厳密な意味でいえば、アクセスの選択肢がふえるということすなわちアクセスが容易になるということにはならないと思うんですよ。
 もちろん選択肢がふえることもアクセスを容易にするための必要条件の一つかもしれない。しかし、この「基本的考え方」に立つならば、証券仲介業をこしらえて、要するに、アクセスの選択肢がふえるんですよという以上の意味は、このアクセスが容易になるというところには込められていないという理解でいいんでしょうか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の証券仲介業は、従来のパターンとは違う新たなツールと申しますか、そういうものをつくるものでございますが、特に議論の中でございましたのは、証券業の支店と申しますか本店と申しますか、証券業の国内における分布というのはかなり都市部に偏在しておる。例えば、各県におきましても、県庁所在地とあと一部の都市しかない、郡部の方に行きますとアクセス自体が容易ではないというような事態がかなり指摘されております。
 したがいまして、確かに、今回こういう証券仲介業のようなものが各郡部等地方を中心にもしできますれば、従来アクセスが非常に難しかった方にとりましても、アクセスが容易になり、したがって市場への参加が容易になるというような効果が期待されるところでございます。
植田委員 余り、お役人さんの答弁としてはちょっとねという気がするんですが。
 それは、投資家の立場からすると、顧客の立場からすると、ありていに言えば、従来の証券会社に属する外務員も仲介業者でも、トイメンに立つ相手が仲介業者であろうが仲介業者に属している外務員であろうが従来の証券会社の外務員であろうが、さして変わらないわけですね。確かに、人がふえた分、選択肢の幅がふえるという意味においての利便性というものは私は否定はしませんよ。否定はしませんけれども、現状でも、実際、証券会社が販路の拡大戦略の中で、例えば一人営業所を設置しているとか、顧客のニーズにこたえる体制は整備しているわけですよね。そしてまた、インターネット等普及しているわけですから、私は株はしませんけれども、実際、我がの口座をこしらえれば二、三週間ぐらいでできる。そして二十四時間、要するにパソコンを立ち上げてやればやれるわけですね。山の中におろうがどこにおろうができるわけです。
 そういう意味で、地方に住んでいるからといって、証券の世界に触れるぐらいの利便性というのは、これはそれぞれの証券会社の経営戦略とか販売戦略の中で位置づけられてきて、利便性は向上しているわけですよね。にもかかわらず、こういうチャンネルを拡大しなければならないほど株式投資のニーズがそんなにあるんですかということ。
 それと、都市圏に証券会社が偏在しておりますといっても、普通、外務員が、大名商売で証券会社の本社にでんと座って仕事しておるわけじゃないんですよ。きょうは腰痛いから奈良から大阪まで行くのちょっとしんどいんです、それじゃこっちが行きます、まあ待っといてください、私が行きますと言って外務員さんは普通来るものでしょう。そんな、電車に乗ってちょっと暇がかかるとかそういう話のことで、今回の容易になるということの意味を込められても、ちょっとお粗末ではないかと思うんです。
 こんな仲介業者が必要とされるほどのニーズがまず顧客の側にあるんでしょうか。そしてまた、実際、証券会社の側からすれば、こういうものを必然化しなければならないニーズというものがあるんでしょうか。それぞれいかがですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの答弁で若干舌足らずのところがございまして、確かにネット取引等であればどこからでもアクセスが可能なんですが、ただ、やはり根強く対面取引のニーズというのはありまして、顧客が外務員なりあるいはそういう方々と話をしながら取引をしていくというのが好まれているところもかなりあるわけでございます。一部のネット取引でやれる方とそういう方々はまた違う客層に属しているんだと思っております。
 そういうこともございまして、一人店舗というのもございますし、やっておるところもあるんですが、なかなかそういうのはコスト的にかなり難しい面は先生よく御案内のとおりだと思っております。そういうものを踏まえまして、今回の証券仲介業というのはいわば兼業としても成り立ち得るというような構成をとっておりますので、必ずしもこれだけで生計を立てなきゃいかぬということでもない。そうなりますと、かなりコスト的にも、従来の外務員、あるいは支店を置いての外務員というよりは可能性が出てくるというようなことも踏まえた上での施策でございます。
竹中国務大臣 植田委員の先ほどからの一連の御質問、そもそもニーズがないところにアクセスの可能性だけがふえていくということにならないのか、そういった意味でのマーケットというのを一体どのように見ているのかという基本的なお問いかけであろうかと思います。
 私は、あえて言えば、これは証券業法的というよりはマクロ的な説明になりますが、やはり掘り起こせるニーズというのはこの社会には非常にあるということなのだと思います。
 このニーズ、今までも、当然のことながら証券会社はさまざまな努力をして、先ほど言ったような一人の出張所のようなものとか、さらにはこちらから出張に出向きます、いろいろな努力は外務員のベースでしているわけであります。にもかかわらず、事後的に見ると、やはり日本の個人投資家というのは掘り起こされていない。
 そういうのを掘り起こすに当たって、例えば証券仲介業等々、これはいろいろな業態の方々に入っていただきたいと思っています。地域に密着して、既に、いろいろな情報、いろいろな人々の信頼感をかち得ているような人々、これは例えば公認会計士のような方が入ってくるかもしれませんし、損保の代理店のようなことかもしれませんし、そういう方々が入ってくることによって、今までとは質の違う、証券会社とは質の違うマーケットの開拓が可能になるのではないだろうか。それがまさに販売チャネルの拡充ということの意味であろうかと思っております。
 したがって、拡充というのは、窓口といいますか数もふえますよ、しかし、それだけではなくて、今までにはないような特色を持った、ニーズを掘り起こせる人たちが市場に入ってきて、さらにその人たちが競争をしていただく、競争をしていただくことによってサービスの質をさらに高めて、その需要を掘り起こしていく、そういうようなメカニズムを期待しているわけであります。
植田委員 今大臣がおっしゃったお話というのがまさに多様な投資家の幅広い市場参加をいかに促進するか、ここは私も決して否定するものではありません。
 ならばということで伺いたいわけなんですけれども、それやったらなおのこと、一番最初に伺ったように、あくまでもこの証券仲介業者というものは証券会社の言ってみれば媒介代理商になるわけですから、要するに、本来、本当に投資家の市場参加を促進するというふうに立てるのであれば、それこそ投資家のサイドに立った、言ってみれば投資家の代理人、括弧つきで代理人と言っておきましょう、例えば相談人、そういう制度設計をそもそも考えるべきではなかったのかと私は思うんですが、その点いかがでしょうか。
藤原政府参考人 今回の証券仲介人の話でございますが、現行の証券取引法のもとでは、対面販売を行う店舗を拡充するには、証券会社は支店を設置して、使用人と個別に雇用契約を結んでいく必要があるということでございますが、この点、証券仲介業制度につきましては、証券会社が証券仲介業者との間で契約を締結すれば、当該仲介業者の店舗やその使用人を活用して証券の対面販売が可能となる、そのために販売チャンネルの拡充が容易になるということで、証券界からも導入を求められて今回作成することにいたしたわけでございます。
 そういう観点からつくった制度でございまして、投資家の立場に配慮して、証券仲介業者を顧客からの委託を受ける制度ということも議論はされたわけでございますが、証券仲介業者は顧客に与えた損害の損害賠償をみずから負うことになる。したがいまして、投資家保護の観点から、営業保証金等一定の財務基盤を必要とせざるを得ない、あるいは証券仲介業者は証券会社の指導監督等のバックアップのない中でみずから法令遵守を確立する必要が出てくるというようなデメリットもあることから、今回そういう、先生の御主張のような制度を採用するには至らなかったところでございます。
植田委員 要するに、逆に証券代理店制度、金融審では仮称でそう呼んでいます、そこが投資家の代理人としての役割を果たすならば、むしろそれの方がリスクが大きい、そういうことなんですね。それの方が投資家保護の観点からすると危険度が高いというふうに判断をされたということですね。そういうことなんですよね、今の話は。
 すると、実際、ではこの証券仲介業というものの存在を考えたときに、とりわけ歩合制の外務員と非常に近似した存在ですね、これ。非常に性格が似ていますよね。それならば、新たに証券仲介業というものの制度を、新たにそういうものを別途こしらえるという選択肢よりは、外務員の制度のあり方というものを改革するということでも別に問題はなかったのではないか。なぜ証券仲介業というものをつくらなければならない、その積極的意義、積極的意義といったら茫漠とした答弁が返ってくるでしょうから、必然性は那辺にあったんですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども私あるいは大臣の方からも御答弁申し上げましたが、現在の証券会社制度、要するに、支店制度、そのもとでの外務員を使ってやる制度につきましては、二つの面から今限界がある。
 一つは、まさしく地方の偏在の問題、それから、先ほど大臣お答えいただきましたが、多様な新しい顧客を掘り起こすための多様な人材といいますか、そういう方々を活用したいという二つの目的があるわけでございます。外務員でありますと、あくまでもその証券会社に所属して、その使用人として、代理でやるわけでございますから、その辺に限界があるということを勘案して今回お願いしているわけでございます。
植田委員 そこのところは幾らお話をしても、それが政府の、提案者のお考えなんでしょうけれども、今の外務員のありようの限界といっても、その限界というものを、要するに、それは本来証券会社が、それぞれの販路を拡大するという戦略を持ってみずからクリアしていくべきものであって、わざわざ証券仲介業というツールを用意して問題を解決するということではないですね。その限界を突破するのは、法律で突破するというよりは、それぞれの民間の証券会社が、また外務員がそれぞれ自力更生でやるという分野に属すると私は思います。
 それだけ申し上げて、この証券仲介業制度が実際にどれぐれい広がるかどうかは別にして、この制度について引き続き伺いたいんですが、一つの証券仲介業者が複数の証券会社と業務委託ができるというふうな事前説明を聞いておりますけれども、そうなると、一社専属の場合よりも、法令遵守ということで、その責任の所在があいまいになりはしないか。この点については、仮に証券仲介業というのをどうしても今回やりたいんだというにしても、少なくとも、当面一社専属体制ということにしておいた方が、法令遵守ということにおいてはあいまいにならぬと思うんですけれども、その点について御所見、またどんなことをお考えですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の点につきましては、金融審議会でもかなり議論のあったところでございまして、一社専属の方がむしろ投資家保護の観点からいいのではないかという意見と、いや、そうではない、保険仲介業のように、幾つもの保険会社から仲介ができるような制度の方がいいという議論がかなりありましたが、結局、要するに、投資家保護がきちっとできておれば、それはやはり複数の選択肢を持たせて競争を促進するという方がよろしいんではないかというようなことになったわけであります。
 したがいまして、それでは投資家保護をどのように図るかということにつきましては、その取引に係る証券会社が責任を持ってそれをやる。もし両方とも、どちらかわからない場合については、あらかじめ、どちらの証券会社が負担するかというようなことについてまで取り決めを行っておくというようなことが確保できれば、そうすれば、むしろ複数の契約をした方が、競争が促進され、あるいはこういう制度が普及していくんじゃないかというようなことでございます。
植田委員 そこの、おっしゃる意味はわかりました。
 もう一つ、ちょっと心配している点、この仲介業制度にかかわって伺います。
 というのは、恐らく、証券仲介業に参入されるというか、実際そういう業をやられる方というのは、一つのパターンは、証券会社のOBとか外務員をやってはった人が自分で起業するケース、それと全く異業種からの参入ということになろうかと思います。それは、税理士さんとかもあるでしょうけれども。
 ただ、そもそも証券会社のOB等が言ってみれば独立して自分で仲介業を営むケースと、実際、異業種というものが参入する場合は、やはりこれは質的に違う面があるだろう。その点のいわばコンプライアンス面の検討はやはり慎重を期さなければならないと思うんです。
 といいますのは、例えば、あってはあかんことですけれども、逆に言うたら、暴力団なんかが、この商いがおいしいと思えば参入をしてくる可能性だってないとは言えないわけです。逆説的に言えば、それぐらい活発な証券仲介業になった方が法の趣旨に合致しているというのかもしれませんけれども、やはりこれを食いとめなきゃならない。
 しかし、今の法の枠組みでは、これは要するに証券会社に対する信頼というものが前提になっているわけですから、恐らくこれから質疑でも明らかにされるんでしょうけれども、その前提が揺らいでいる現状の中で、とりわけ異業種からの参入にかかわって慎重な検討なりが要されると思うんですけれども、その点、簡潔にお願いします。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 異業種からの参入といいますかエントリーにつきましては、今先生が御指摘のように、証券会社が損害賠償の責任を負うわけでございますから、その委託契約をする際に、証券会社においてきちっとチェックをする、あるいは、その後、ちゃんと指導監督を行うということが前提でございますが、そのほかに、証券仲介業につきましては、本人、法人登録をしている場合は役員を含むわけでございますが、本人が過去五年以内に一定の行政処分歴や犯罪歴を有する場合、あるいは、他に営んでいる業務が公益に反する場合には、登録の拒否、取り消し等の対象としておりまして、不適格者の参入を排除する仕組みを考案しているところでございます。
植田委員 実際、善良な市民という建前だけれどもそういう関係者というのはようけいらっしゃるわけですから、見てわかるような人は参入してこないということを前提で考えなきゃだめよということだけ申し上げておきます。
 時間がありません。金曜日にまた十五分立ちますので、そのときにも伺いますけれども、最後に一問だけ、その導入を伺って終わりにしたいんですが、株式会社たる証券取引所の議決権、百三条の条文、これは二〇〇〇年に改正されたわけです。そして、二〇〇〇年に改正されたときに、取引所の公正な運営に支障が生じるリスクを未然に防止するために、何人も議決権の百分の五を超える議決権を取得し保有してはならないとあったわけです。しかし、今回の改正で、これが百分の五十になっている。
 素朴に伺いますが、公正な運営に支障が生じるリスクを未然に防止するためには、百分の五よりも百分の五十に設定した方が公正な運営に資し、そしてまたリスクを未然に防止し得るというのは、どういう理由からでしょう。
 それだけ聞いて、きょうは終わります。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の取引所の株主ルールの変更につきましては、近年の国際的な市場間競争が激しさを増す中で、海外で取引所間の提携が急速に進められている、こういう状況を踏まえまして、我が国取引所の国際競争力の強化と取引の流動性の向上を図る観点から所要の見直しを行ったものでございます。
 具体的には、取引所間の資本提携を可能とするために、現行の、五%超の議決権の保有を一律に禁止する株式保有制限を廃止する一方で、取引所の経営に対する市場のチェックが一層有効に機能するために、過半数の議決権の保有を原則禁止するとともに、さらに、原則二〇%以上を保有している株主でございますが、主要株主に対する認可制度の導入等、新たな株主ルールを導入しているところでございます。
植田委員 引き続きこの点は伺いますので、私、きょうはコメントして終わりますけれども、今の説明は、二〇〇〇年の改正の百分の五にしておったときの使い勝手のよしあしの話を超えていないわけですよ。
 私が聞いているのは、百分の五よりも百分の五十の方が、特定の少数者に経営がゆだねられることなく、公正な運営がされ、リスクを未然に防止する、その理由を教えてくれと申し上げたのであって、金曜日、もう一度それについて答えていただきたいと思います。
 以上できょうは終わります。
小坂委員長 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 証券取引法の改正案が提案され、個人投資家を呼び込もうというわけでありますが、大事なことは、株式市場の信頼をどう取り戻すかということだと思います。
 今、証券市場では不祥事が多発しておりまして、今配付いたしました資料ですけれども、私は、この一覧表を見まして大変驚きました。本当に、毎月不祥事が発生しております。多いときは十件近くも発生している、こういう事態でありまして、現在の市場は極めて不正常な状況にあるのではないか。その不信が株取引にも反映をして、株価の下落にもつながっているのではないか。株価を決める要因は、そのほか大きな問題がありますけれども、一つの問題、こういう点が指摘されてもしようがないということだと思います。
 竹中大臣にお伺いしますけれども、こんなに不祥事が多発しているのはなぜなんでしょうか。
竹中国務大臣 証券市場の信頼、さらには証券会社そのものの信頼というものが非常に揺らいで、厳しい状況に置かれているというふうに私も思っております。私も、金融担当大臣になってから半年でありますけれども、そうした問題に対する処分というのをかなりたくさんせざるを得ない状況になりました。
 こういった法令違反の把握の場合、これは当然、我々としては厳しく対処をしているつもりでございますけれども、御質問の趣旨は、なぜこんなに多発しているのか、これはなかなか難しい御質問だと思います。
 恐らく、この市場というのは、リスクが高い反面リターンも高い、その意味では、若干なりともそこに透明性が欠ける部分があれば、そこにつけ込んで、変な話でありますけれども、悪事を働く一つのビジネスチャンスのようなものができてしまうという一つのリスクを持っているのだと思います。
 その意味では、我々としては、やはり透明性を高めて、そういったことが起こらないように、制度整備をしっかりとしていくということに尽きると思っております。同時に、多発を防ぐという意味でも、処分は、我々としてはぜひきっちりとやっていかなければいけない。この取引市場が大変、ある意味で夢を育てる市場であると同時に、そういったハイリスク・ハイリターンの市場であるがゆえの問題点があるということを認識して、しっかりと制度整備とその運用をしていかなければいけないと思っております。
佐々木(憲)委員 お配りした資料のもう一つの表を見ていただきたいんですけれども、内閣府の「証券投資に関する世論調査」というのがありまして、証券会社は信頼できるか、こういう問いがあります。それに対して、信頼できると思うと答えた人はわずか三・一%にすぎないわけですね。ある程度そう思う、九・一%、これは合わせてもわずか一二・二%であります。これに対して、信頼できるとは思わないと答えた人は二三・六%、余りそう思わないというのが一九・三、合わせて四二・九%、非常に高い比率であります。
 しかも、その下のグラフを見ていただきますと、「政府に対する要望」というのがありまして、一番多いのは「景気を回復させること」、これは株価を引き上げる要因になりますから当然だと思いますが、問題は、その次にあります「証券市場において不正な行為が行われないように厳しく規制、監視すること」というのが二番目に大変大きな比率で上がっております。四五・九%に上っているわけですね。不正行為の規制、監視、この要望にどうこたえるか。先ほども大臣、制度の整備が必要だとおっしゃいましたが、具体的にどういう対応が必要だというふうにお考えでしょうか。
竹中国務大臣 各国の例を見ましても、非常にやはり長い時間をかけて、不断の努力を重ねて、悪いところがあればそれを少しずつ変えていく、そういういわば努力の積み重ねがやはり健全で透明な市場をつくっていくということになるのかと思います。
 御承知のように、実は日本の証券取引等監視委員会そのものができたのが、これは大蔵省時代でありますけれども、約十年前。まだ実は、残念ながら、我々はそういった意味では十年の歴史しかそういうのを持っていない。そういうことの中で、我々としても努力を積み重ねてきたつもりでありますけれども、それがまだ本当にいわば一種の発育段階の非常に低いところにとどまっている、そういう認識を持って、あれでもかこれでもかという思いでいろいろなことをやはり整備していかなければいけない状況であろうかと思っております。
 我々としては、まず証券取引等監視委員会の機能を強化しなければいけない。
 人員もふやしてまいりました。これは、例えば十五年度だけでも、財務局の監視部門と合わせますと五十四名を増員しておりまして、そのための努力はしているつもりでございます。
 それと、やはり職員の質といいますか、いわばこれは、この間、特に十年間ぐらい、金融取引が非常に高度化している、その高度化している金融取引に対応できるような専門的な目をこの監視当局が持っていかなければいけないということであろうかと思います。日本では、この点でも、そもそも専門家の数そのものが非常に社会全体として多くないという問題がありますけれども、今実は、十五年五月一日現在で、この委員会の職員の二割超に当たります四十六名、公認会計士、弁護士、デリバティブの専門家等々の民間専門家を我々入れております。そういった民間専門家の積極的な登用なんかも一つのポイントにはなろうかというふうに思っております。
 さらには、これは国際的な監視体制でありますから、国際的な連携等々も必要である。やっていることは我々なりに随分と重ねているつもりでございますけれども、先ほど言いました、十年の歴史しかないわけでありますから、それを改良に改良を重ねる、不断の努力が必要であるというふうに思っております。
佐々木(憲)委員 監視委員会の人数をふやすとか、そういう量的な面ももちろん必要だと思いますが、私は、制度的に証券市場の信頼性を回復させていくという意味では、三つの問題が必要だろうと思います。
 一つは、包括的、横断的な金融消費者保護法制の整備であります。二つ目は、迅速な紛争処理を行う、そのための機関の設置。それから三つ目に、消費者の立場に立った補償制度。この三つが大変重要であるというふうに思っておりまして、これがやはりおくれているのではないかと思うわけです。
 例えば、包括的、横断的な金融消費者保護法でありますけれども、金融サービス法と言ってもいいんですが、本来、これは日本版ビッグバンに伴って市場整備をするという、その大前提だったはずなんですね。
 九八年の金融システム改革法の議決に際して、衆参両院で附帯決議が行われております。その中に、「いわゆる金融サービス法等の利用者の視点に立った横断的な法制について早急に検討を進めること。」という指摘があるわけです。しかし、その後五年間たちましたけれども、実際にはこの金融サービス法の制定というのは全く提案されてこない、動きが余り見られないわけです。金融商品販売法というのはできましたけれども、しかし、それではまだ不十分だと思うんですね。
 やはり横断的な消費者保護というのが大変重要でありまして、制度整備とおっしゃいましたけれども、こういう面の整備こそやはり大事なのではないかと思いますので、その点についての大臣の見解を聞きたいと思います。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 金融審議会、特に十年の後、平成十二年六月にも金融審議会答申が出ておりまして、二十一世紀を支える金融の新しい枠組みとしまして、縦割り規制から、機能別、横断的なルールに転換する等の観点に立って、金融サービスに関するルールの整備を進めていくことが重要であるというふうに私どもも考えております。
 このような考え方に立ちまして、先ほど先生も御指摘がございましたが、これまで幾つかの法律を整備しております。一つは、資産の流動化に関する法律、いわゆるSPC法でございまして、これを改正いたしまして、一般的な集団投資スキームの法制を整備いたしております。
 それから、先ほど先生からも御指摘がありました金融商品の販売等に関する法律、これを制定いたしまして、すべての金融商品を横断的に対象とする利用者保護の法制を整備いたしまして、平成十三年四月一日から施行しているところでございます。
 金融庁といたしましては、先ほどの金融審議会答申を踏まえまして、今後とも機能別、横断的ルールの整備を着実に進めていきたいと思っております。
竹中国務大臣 金融サービス法の議論は、私も以前から大変関心を持っていた分野であります。
 言うまでもありませんが、八六年にイギリスが、ビッグバン成ったときに、金融サービス法をほぼ同時にあわせて施行して自由化をする、自由化であるからこそ保護をしなければいけないという、それがコインの両面のように機能してきた、そういう精神は我々当然のことながら持っているわけであります。
 ただ、ここは、ある意味で法技術上の問題という面もあろうかと思います。一括した、アンブレラのような形の法律がよいのか、それとも、個別に日本には既に法律があるわけでありますから、それを体系的に整備していく方がよいのか。
 その意味では、私の理解では、取引に関して、例えば金販法ができている。いわゆる業者法そのものについても、その中にある消費者保護の部分を整備していく。そうしたことで、結果的に機能的、横断的なルールが整合的にできている、そのような姿を実は金融庁としては目指しているわけでありまして、ここは委員御指摘のような問題意識を持って、しっかりとやっていっているつもりでございます。
佐々木(憲)委員 しかし、実際には、初期の段階は、横断的な法制について早急に検討をするということになっていたわけです。ところが、それについては十分進まないままに、個別に幾つか改善があったとおっしゃいましたけれども、例えば金融商品販売法についていいますと、この中には、商品先物取引というのは対象にしていない、あるいは融資は対象にしていない、こういう形で、横断的とはいいながらも、実際にはそうなっていないわけであります。
 イギリスの場合には、八六年に金融サービス法の制定がありましたが、それにとどまらないわけでありまして、金融サービス機構の設置を行っている。それから、二〇〇〇年には金融サービス市場法というのを成立させているわけであります。
 銀行、証券、保険の壁がどんどん取り除かれている状況の中で、金融をめぐる紛争は非常に多発しているわけであります。従来の垣根ではとらえられないような事態になってきている。そういうときに、やはり全体に包括的な規制というルールが必要だと思うわけです。個別にやっていったらそのうち全体になるというようなものでもないと私は思いまして、やはりこれは独自のものが必要だというふうに思うわけです。
 残念ながら、今回出されている証券取引法の改正案を見ましても、その点は全く抜けたままで、販売チャネルを拡大するというような形だけだと、これはなかなか、いろいろな不祥事ですとかあるいは紛争の多発、こういう問題は防げないと思うわけです。そういう点で、やはり横断的な金融サービス法の制定にぜひ強力に取り組んでいただきたい。この点の認識、ぜひ大臣の見解、再度お聞きしたいと思います。
竹中国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、機能別、横断的なルールといいますか、そういうものを整備していくということは、これは大変重要な使命であるというふうに思っております。
 ただ、これは、いわば法技術論的な問題がここに絡んでくるというふうに理解をしておりますけれども、例えば紛争の問題等々については、これは法務省等々とどのような調整を行っていくかということも重要である。既に既存の法律がある中で、私としては、それとの整合性をとりながら、結果として機能別、横断的なルールが整備されているような状況をつくっていくというのが、今の現実的な手法ではないかというふうに思っているところでございます。
 問題意識は、機能別、横断的なルールでございますので、その辺は引き継いで、ぜひチェックをしていきたいというふうに思います。
佐々木(憲)委員 技術的問題というよりも、これは基本的姿勢の問題だと思いますので、ぜひその点はきちっとやっていただきたいと思います。
 法案の内容についてお聞きしますが、一つはラップ口座の問題であります。これは、顧客が一定額以上の投資資金を証券会社に預託をして運用して、口座残高に応じた手数料を払うという制度でありますが、証券会社が自分の売買を有利にするためにこの制度を利用して不正なやり方ができる、それを防ぐために、今の制度では、証券会社が投資一任業務を行う場合には、証券会社の自己勘定による売買の内容を書面により顧客に開示するという義務、これが課されているわけでありますが、今度の法案ではこの開示義務というのが一体どうなるのか。私は後退するんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十年に行われました、いわゆる金融システム改革の中で、証券会社の手数料依存の経営体質、これから脱却を図る等の観点から、ラップ口座など、証券会社の資産管理型営業への移行を図ることとしまして、その投資一任業務等との兼業を解禁したところでございます。これは既にその当時、手当てをしております。
 ところが、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、その後、証券会社の資産管理型営業への移行はほとんど進んでおりません。その一因としまして、証券会社にとりまして、先ほど先生御指摘の、自己売買に係る書面の顧客への交付義務が過大な負担となっているおそれがあるという指摘がなされております。それに加えまして、先ほどの兼業の問題、こういうものもございます。
 したがいまして、このような問題点に対応するために、証券業を行います部門と投資一任業務を行います部門、この間に厳格なファイアウォールを整備されている、そういうような一定の条件、すなわち不正行為が発生しないような体制が整備されていることにつきまして当局の承認を得た場合には、自己売買に係る顧客への書面開示義務を免除するということと今回いたしておりまして、これは証券会社の資産管理型営業への移行をスムーズに行わせると同時に顧客の保護を達成するということを念頭に置いた措置でございます。
佐々木(憲)委員 今の説明ですと、証券業界の過大な負担を軽減するためというのがどうも先行しておりまして、投資家の利益、この面が二の次、三の次になっているのではないかという感じが非常に強くいたします。こういう形で、むしろ、開示を義務づけていたものが後退するということになりますと、やはり信頼性というものが後退するということにならざるを得ないわけでありまして、その点で、私はこのやり方には賛成できません。
 次に、外務員の不祥事の問題ですが、先ほどお配りした資料で、不祥事がたくさん出ているというふうに申し上げましたが、この中で、外務員の不祥事が非常に多いわけであります。今回、仲介業というのが導入されるわけですが、外務員の範囲が非常に広がりますが、一体どうなるのか、大変不安が広がるというふうに思うわけです。
 金融庁にお聞きしますけれども、二〇〇一年七月から二〇〇二年六月までの一年間の勧告事案は二十六件あったということですが、その中で外務員に対する処分、これは何件ありましたでしょうか。
五味政府参考人 御指摘の期間、二十六件の勧告のうち、監視委員会から証券会社の外務員に対し、適切な措置を講ずるよう勧告を受けましたものは二十三件ございます。このすべての件につきまして、日本証券業協会によって行政処分が行われております。
佐々木(憲)委員 勧告された事案の実に九割近くが外務員の不正行為だった。ですから、証券会社が直接登録する証券外務員ですらこれだけの事件を起こしているわけでありまして、この法案によりますと、証券仲介業が新しく導入されますけれども、外務員については一応登録をする、そういうふうになっているんですけれども、不祥事を防ぐための新しい手だて、これは盛り込まれていないのではないか、極めて不十分だと私は思うわけです。
 やはりそういう点で、外務員に対して仲介業者が監督ができず、消費者に被害をもたらすというようなことが多発しかねないと私は思いますので、この点でもいろいろ問題があるというふうに感じております。
 それから次に、証券取引所というのはもともと自主規制機関でありまして、当然、公正中立な存在でなくてはならないと思うんですけれども、自主規制機関ではありながら株式会社化されているわけですね。株式会社になりますと、当然、株式会社としての会社の利益を拡大するということが大きな目的となってまいります。そうしますと、取引所の公正性ですとかあるいは公共性というのは弱まってしまうのではないか、こういう問題が起こると思うんです。
 私は昨年の五月にこの委員会で、大阪証券取引所の不正取引について質問をしたわけですが、架空売買といいますか、こういう問題について、金融庁は、こういう問題も含めて検査をする、こう言っておられたわけです。
 検査というのが実際行われて、一体どういう結果になっているのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
新原政府参考人 お答え申し上げます。
 大阪証券取引所に対しましては、私ども証券取引等監視委員会と金融庁とで合同の検査を実施しておりまして、現在、検査中でございます。
 個別の検査内容についてはコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。
佐々木(憲)委員 もう一年たつわけでありまして、いつその結果が出るのかということが注目されておりますけれども、まだ出ないというのは、これは一体どうなっているんでしょうか。
 大証の巽社長はこう言っているわけです。問題となっているロイトファクスとの取引ですが、ロイトファクスというのは一顧客であって、それと取引したんだ、こういう見方を表明しているわけですね。
 金融庁もそういう見方なんでしょうか。
新原政府参考人 証券取引等監視委員会といたしましては、個別の調査事案の内容につきましては、具体的な調査先、あるいは把握している事実などを含めまして、従来からお答えすることは差し控えさせていただいております。これは今後の委員会の活動を円滑に進めるためでございますので、御理解をいただきたいと存じます。(発言する者あり)
佐々木(憲)委員 何かやみの中だという発言もありましたが、実際に、これだけいろいろ問題になっておりまして、この委員会でも、この数年間、何度も取り上げられている事案でありまして、それについて全く何も言わないというのは、これはいかがなものかというふうに私は思います。
 昨年、光世証券とロイトファクスの間の仮装売買の疑いについて私は質問しましたけれども、最近、巽社長は記者会見で、そういう問題は一切ない、あるいは知らなかった、それから、参考人として聴取されたのではないかと聞かれて、いや、そういうことはない、金融庁を激励したんだ、こういう発言をしているわけであります。
 金融庁は、参考人として聞いたんでしょうか、あるいは激励されたんでしょうか。
新原政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになって大変恐縮でございますが、具体的内容については答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
佐々木(憲)委員 時間が参りましたが、この点は引き続き、一体どういう調査をされているのか、何が問題なのか、これだけ大きな問題になっているわけですから、しっかりと公表して対処してもらいたいというふうに思います。午後、参考人質疑がありますので、そこでも直接尋ねたいというふうに思っております。
 以上で終わります。
小坂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
小坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 証券取引法等の一部を改正する法律案審査のため、参考人として日本証券業協会会長奥本英一朗君、株式会社東京証券取引所代表取締役社長土田正顕君、株式会社大阪証券取引所取締役社長巽悟朗君の三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。委員の質疑に対して、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言はすべてその都度委員長の許可を得てから御発言いただきますようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑ができないこととなっておりますので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。
 また、当委員会は、暑い場合には上着を着用しないで結構だということにしておりますので、上着をお脱ぎいただいても結構でございますので、申し添えさせていただきます。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上川陽子君。
上川委員 自由民主党の上川陽子でございます。
 本日は、参考人の皆様には大変お忙しい中をお越しいただきまして、ありがとうございます。
 私は二十分の時間をいただいておりますので、質問は簡潔に、御答弁はまた簡潔にということで、よろしく御協力のほどお願いを申し上げます。
 まず、有価証券の販売経路の拡充、多様化に資するための証券仲介業制度ということで、今回の証取法改正の一番の柱の一つということで、日本証券業協会の奥本参考人にお尋ねをさせていただきます。
 今回の措置は、低迷する証券市場に個人投資家が参加しやすい仕組みづくりをということがねらいになっているわけでございます。現在、個人投資家の株式保有割合は全体の二割ということでございまして、目標といたしましてはこれを上げていくということで、チャネルを多様化する、こういうねらいがあるということでございますが、はっきり申し上げまして、この制度が導入されたときに、チャネルが広がって個人投資家の株式の所有がふえていくというような形での期待をどの程度お持ちでいらっしゃいますでしょうか。そして、こういう制度が導入されることによりまして、証券会社にとってのメリットあるいは効果、こういうことにつきましてもあわせてお答えをいただきます。お願いします。
奥本参考人 日本証券業協会の会長をしています奥本英一朗です。よろしくお願いいたします。
 ただいまの先生の御質問でございますけれども、証券仲介業に、証券会社のOBとかあるいはフィナンシャルプランナーであるとか、いろいろ資格を持った人がそういった業務に入ってくるということは、いわゆる販売チャネルを多様化することに大変意義があるものというふうに思っております。
 ただ、先生が今御質問ありましたように、それではそれがすぐ個人投資家の拡大にどのくらい寄与するのかということにつきましては、なかなか難しいといいますか、予測するのが困難な面があるのかもしれません。
 ただ、私どもとしまして、証券会社のいわゆる営業店舗数が総体的、絶対的にまだまだ少ないという現実がございます。また、残念ながら、昨今の証券市場の現況にかんがみまして、経営上の問題でなかなか新しい出店というのが証券会社自身できにくくなっているという点もありまして、そういう意味では、コストが余りかからないこういった証券仲介業のような制度でその辺のところが拡充できることは大変意味があるのかなというふうに思っております。
 また、投資家側からとりましても、フェース・ツー・フェースといいますか、対面の営業、対面の取引というのは、特に新しく参入するような投資家にとっては大変望まれる部分なので、この辺の拡充には大いに役立つものというふうに期待しておりますし、また、その実効も上がるものというふうに我々としては大いに期待しているところでございます。
上川委員 今のお話ですと、期待はするけれども、それがどのくらいというのはまだなかなか予測は難しい、こういうお話であります。
 もし仮に、市場が拡大しない、投資家の方でそういうふうなアクセスがあったとしても、なかなかそれに対して乗ってこないというようなことがあるとするならば、例えば、今証券会社も大体三百社近くあるということでありまして、大手から中小の地場のような証券会社もあるということなので、その幅が大変大きいということなわけです。今回、仲介制度ができまして、大手証券の方の営業展開というものが、地方まで参入してくる可能性が非常に高くなるのではないか。そうなってきますと、パイが大きくならなければ取り合いになるわけでありますので、その分中小の地場に対してマイナスの影響が及ぶということも予測されるわけであります。
 この点につきましては、協会の方での三百社、二百何十社の皆さんにとって、皆さんもろ手を挙げて賛成していらっしゃるのか、それとも、中で少しそういう違いによって御意見に差があるのか、この辺についてはどうでしょうか。
奥本参考人 今の先生の御質問でございますけれども、確かに、地方の地場証券、それぞれフェース・ツー・フェースの営業を中心に頑張ってやっているわけでございます。なかなか経営上は苦しい面もございます。ただ、地方の地場証券と申しましても、その地方全体に店舗網が行き渡っているわけではございませんで、どちらかといいますと、店舗展開には大変苦労されている証券会社も多いのではないかというふうに思います。
 また、フェース・ツー・フェースの営業を得意にしているために、各地方地方では、逆に大手よりか、信頼を受けている営業マンといいますか、そういう方たちがかえって地場証券の方が多くいるというのも一面現実としてあるわけでございまして、一つのこの種の仲介業の展開には、地場証券といいますか、地方の中小証券は中小証券なりに活用の道があるのではないかというふうに考えております。
上川委員 今の点のちょっと心配というのが一つ私の方であるんですけれども。
 もう一つの心配の点として、実は最近、証券不祥事、きょうも午前中の審議の中で随分リストに挙がっておりましたけれども、証券会社の営業マンが行っていたとしても不祥事が非常に多くなっているというような現実があります。ましてや、今回、仲介業がふえまして、証券会社の方から直接営業現場に入って監督がなかなかできにくくなるわけでありますので、そうなりますと、さらにトラブルが増してくる危険性が高まるのではないか。こんな点については、私は非常に心配している者の一人でございます。
 今回の制度改正の一つの条件として、投資家の保護という観点が言われているわけでありまして、法制度の中にも組み込まれているわけです。協会さんの方でも、自主ルールということでこれまでも鋭意頑張って取り組んでいらっしゃったということをお聞きしておりますけれども、この制度が導入されることによって、さらにそうした新しい課題に対してどのようなルールを自主的にお決めになろうと今考えていらっしゃるのか。先のことであるという御判断もあるかと思いますけれども、今の段階で、もし仮にこれが制度として導入された場合にはどうなのかということにつきまして、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
奥本参考人 確かに、証券事故といいますか、そういうことの防止といいますか、それの懸念といいますか心配といいますか、それは関係者一様に持つところでございます。
 御案内のように、この証券仲介業者というのは、投資家に対しての取引の勧誘は行いますけれども、いわゆる業務そのものは、裏にあります証券会社の代行をするということで、直接金銭とか証券の授受その他のことは仲介業者自身はやらない仕組みに今度の法律はなっているというふうに思っております。したがって、そういった意味では、仲介業者に仮に何か不測の事態が起こったときも、その裏にあります契約証券会社がすべての責任を持つというのが今回決めようとしているルールというふうに思っております。
 ただ、我々協会としまして、さはさりながら、仲介業者そのものが顧客との取引の勧誘をするわけでございますので、当然のことながら、その仲介業者自身に、証券会社に課しているのと同じようないわゆる規制といいますか、監督といいますか、指導といいますか、そういったことは当然やっていかなくてはならないことだと思っておりますし、そういった意味では、仲介業者そのものに営業免許といいますか営業の資格を取っていただくことは当然ですし、そのほかのもろもろの証券会社にお願いしていますいろいろなルール、それはすべて仲介業者にも、あるいは仲介業者に働く個人でも適用させていただきたいというふうに今は思っております。
上川委員 証券仲介業者として登録する場合の国の方のルールにおいては、個人、法人ともに資格があるということでありまして、そのときの一つの判断材料として、過去五年間に行政処分をしているようなこととか、いろいろなトラブルを起こしている人かどうかをチェックするというような規定もあるわけでありますが、業界の中での証券会社と仲介業者の間で業務委託契約を結ぶときの一つのルールとして、今その辺の具体的なお話はなかったんですが、今のような条件、そういうものとしてどういうものを考えなければならないとお考えなのか、もう少し具体的にわかればぜひ教えていただきたいと思います。
奥本参考人 今具体的に、先生御指摘のように、まだそういったことの細かいルールまで決めているわけじゃございませんけれども、当然その仲介業者の責任は証券会社が負うことになりますので、証券会社側が大変その辺のところはナーバスといいますか、シビアに物を考えることになってくると思います。当然のことながら、いわゆる非適格者、証券会社自身が判断する一つの非適格者を証券仲介業者として契約するようなことは、証券会社のコンプライアンスの面、あるいは自己保全の点から、まずないのかなというふうには思っておりますし、また、協会としましても、当然のことながら、先ほども申しましたけれども、もろもろなルール、例えば営業員資格の取得であるとか、あるいは研修であるとか、そういったものは同様に課していかなくちゃいけないんだというふうには思っております。
上川委員 仮に証券仲介業者が顧客に対して損害を与えるという場合には、証券会社が損害補償の責任を第一義的に負う。あとは、証券会社と当該の仲介業者との間の契約に基づいて民民の間でのトラブルの処理をする、こういう形になろうかと思うんですけれども、投資者保護という形で、セーフティーネットが基金ということで積まれているわけでありまして、今五百億ぐらいということでありますが、こうした新しい仲介制度が導入されると、これで十分かなというふうにも考えるわけであります。
 そして同時に、一つの適格要件を別の観点から担保する方法として、登録するときに、例えば供託金というか、自分でこれだけの責任を持ってやりますよというような資金を積んでいくというようなこともあり得るんじゃないかと思うわけであります。この点につきましては、個人、法人が自由に参入できるという面のメリットと、そしてそういう形で少し制約を課していくことのデメリットもあると思うんですが、この辺のバランスも含めまして、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
奥本参考人 今先生御指摘の投資者保護基金というのは、顧客が証券会社といろいろ取引をするときに、証券会社がその顧客の資産を分別して管理する、つまり、証券会社に万一のことがあっても、顧客の資産はその限りにおいてはすべて守られるという制度でございます。今度の仲介業者の制度も、仲介業者が直接商いするんじゃございませんで、証券会社が商いをするわけでございますので、当然、仲介業者を通した顧客もその証券の投資者保護基金の対象になるわけでございます。
 したがって、仲介業者を通した顧客が、仮に仲介業者がおかしくなっても、それは全然関係ございませんで、自分の財産は裏にあります証券会社が分別保管をしているということで、それは投資者保護基金によって守られているということでございますので、仲介業者を通したからといって、直接的に特別な不利益をお客様の方がこうむるということはないというふうに理解しております。
上川委員 時間もないものですから駆け足で恐縮でございましたけれども、ぜひ投資者保護という観点からの、証券業協会さんの中での自主ルールという形については万全の整備をしていただきまして、それがある意味では信頼の醸成につながるということでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、持ち株会社制度ということで、土田参考人と巽参考人にそれぞれ一問ずつお伺いさせていただきたいと思います。
 今回の制度の背景には、国際競争の大変な激化ということがあるということでございまして、一番の例としましては、ヨーロッパにおける状況というのが日本の中での議論の参考になるわけでございます。ロンドン、ユーロネクスト、それからドイツの取引所が三大拠点ということで、ヨーロッパをある意味では集約した形で今誕生しつつあるわけでありまして、それにアメリカも加わり、またアジア太平洋という地域の中で考えてみますと、大体二、三ぐらいの取引所が一つの核になって展開していくような将来イメージというものをどうも考えていらっしゃるんじゃないか、こんなふうに思うわけでございます。
 そういう中において、東アジアあるいはアジアあるいは太平洋地域の中での東京あるいは日本をハブ的な機能を持つような拠点に育てていきたい、こういう目標の中で、今回、ルールについて細大見直しをしていこうというような背景があったというふうに考えておりますけれども、この取引所の競争力というのはひとえに経済の競争力と直結しているわけでありまして、そういう意味では大変難しい解を解くわけでございます。
 今回の制度が導入されていった場合に、ハブの機能を持つような日本の拠点をイメージした場合に、この制度によってその競争力を高めることができるようなものであるのかどうか、そういう期待を持っていらっしゃるのかどうか。あるいは、もしこれが十分でないとするならば、それ以外に、あるいはそれに加えて、どういう条件あるいは制度の部分での改正というかそういうものをお求めになるのか、この辺の経営戦略の部分も含めて、どんな見通しを持っていらっしゃるのか、まず東京証券取引所の土田参考人にお伺いいたしたいと思います。
土田参考人 東京証券取引所の土田でございます。
 ただいま委員のお話にもございましたが、近年、証券市場のグローバル化、ボーダーレス化の進展によって、国際的な市場間競争はますます激しさを増してきております。それで、取引所のいわば合従連衡の動きは殊に欧州を中心に活発化しておりまして、アジアにも波及しつつあります。
 ただいまお話にもございましたが、取引所には多種多様な機能が要求されまして、それには多大な経営資源の投入を必要とするものでございます。したがいまして、国際的に見ましても、真に競争力のあるメジャーな市場というのはアジア、米州、欧州の各地域にそれぞれ二、三カ所しか生き残らないのではないかと思われます。
 そのような情勢にかんがみますと、日本の取引所の国際競争力をいかに高めていくかということは非常に重要でございまして、そのため、緊急に環境整備を図ることが必要でございます。
 この点、これまでも法的にいろいろ御対応をいただいておるところでございますが、今回さらに、日本の取引所が法的な制約によって後手を踏むことにならないように、早急に法的な取り組みを整備しておいていただきたいと考えておるわけでございまして、その点、今度の法案は、日本の取引所が持ち株会社制度を活用したり、海外に端末を設置して海外からの注文を直接受注したりという国際展開を図っていくための法制度の整備など、私どもにとりましても多様な選択肢を提供するものでありまして、大変時宜を得たものであると考えております。
 御指摘のように、確かに経済の競争力は大きく物を言います。それはもちろんでございます。しかし、例えば第二次大戦後のロンドンを見ましても、世界屈指の経済力はなくなったかもしれませんが、依然としてそのノウハウないしはサービスの集積というものがありまして、ロンドンは今でも世界屈指の金融センターとしての地位を維持しておるわけでございます。
 日本は、もちろん私ども経済的な発展を希望いたしますが、少なくとも金融・証券市場につきましては、このような環境整備を踏まえた私どもの努力によって、アジアでリーダーとしての旗を立てたいというふうに考えております。
 今後何か特別に要望することがあるかというお話もございましたが、まだよく考えているわけではございませんが、一つだけ申しますと、私ども、外国企業の日本上場を勧誘しているわけでございますが、実務上、有価証券届け出書とか目論見書、その他諸手続に要する時間が競争相手の海外市場に比べて長くかかるために、日本への誘致に困難を感じているというところはございます。それからもう一つは、日本の場合には、英語などで用意される書類を詳細かつ正確に日本語に翻訳する必要がありますので、その時間や費用などで不利になっている面もございます。
 そのような点、私どももよく考えたわけではございませんが、さらに工夫をいたしまして、何らかの国際競争上の配慮をお願いできないかと思うこともございます。なお今後よく勉強した上、あるいは法制度面においてお願いしなければならないことが出てくるかと思います。ひとつ、そのときはよろしくお願いを申し上げたいと思います。
上川委員 最後に、簡単に質問を一点だけさせていただきたいと思うんですけれども、大変恐縮でございますが、今、日本の市場が大きくなるということなんですけれども、中のマーケットは大変競争が激化すると思うんです。大阪の立場ではどうでしょうか。
巽参考人 持ち株会社ができましても、大阪は東京に合流するつもりは一切ありません。それで、国際の市場間競争という前に、国内の市場間競争があってしかるべきだと思います。
 ですから、大阪と東京の収益差なんかも見ていただいたらわかるように、これだけ風下に立ちながらいかに健闘しているか。それは一に投資家に帰するものでありまして、大阪はそういう努力を重ねていきたい。それがなければ、東京の高コスト体質に合わせますと、今度の統一清算機関を見ましても、結局それができたことにより、大阪は手数料を上げなければならないというような問題も出てきます。そういう問題を一つ、もっと言いたいことがありますけれども、ちょっと時間がないようでございますので。
上川委員 ありがとうございました。
小坂委員長 次に、生方幸夫君。
生方委員 民主党の生方でございます。
 参考人の皆さんには、お忙しい中、きょうはお越しいただきまして、ありがとうございました。
 まず最初に、お三人の方にお伺いしたいんですが、端的にお答えをいただきたいんですけれども、株価がきょうはまだ八千円台を保っているようでございますが、数日前には二十年前の水準に戻ったというような、非常に長期低落傾向を続けているわけでございます。
 日本経済そのものが悪いことは事実なんですけれども、日本経済の規模が二十年前に戻ったわけではもちろんないわけでございまして、株価がここまで下がっていくには、私はやはり市場の構造的な問題とか取引上の構造的な問題というのもあるのではないかというふうに思っておるんですが、経済状態全般を抜きにして、株価がここまで下がってしまっている、また反発して、上がっていく気配が何も見えない最大の原因は何だというふうにお考えになっているか。まことに難しい問題を端的にお答えいただくというのは難しいんですが、手短にお答えをいただきたいと思います。
奥本参考人 お答えします。
 いわゆる基本的な景気とか経済というものを抜きにして、では何かというお尋ねだというふうに理解します。
 端的に言って、現在、需給面のバランスが非常に狂ってしまっているということが言えるのではないかというふうに思っております。一つは銀行等の持ち株の売却、これが法律で決まっている中、いわゆる持ち合い解消というのが進んできている。それからもう一つ、ここへ来まして、年金の代行返上という問題に絡みます売却要請が必然的にどうしても出てきている。それに、そういうものをはやすような一つの動きとかいうようなことで、残念ながら需給面でのバランスが崩れているのが、目先、ここのところの株価の非常な低落の一番大きな原因だというふうに思っております。
土田参考人 ただいま証券業協会長からお話しになったことと趣旨は同じでございますが、このような非常に厳しい状況になっております背景の一つとして、例えば銀行への株式の保有制限とか厚生年金基金の代行返上など、いろいろな制度変更が一時期に集中したことに伴う需給環境の悪化による影響というものが大きいのではないかと思います。そのような株式の売りをどこで吸収するかについての検討も必要ではないかと思っております。
 その他、いろいろの問題といたしまして、ただいま関係者の中で対策を研究しておられるやに承っております。ぜひこの有効な対策をお考えいただきたいと期待しておるものでございます。
巽参考人 巽でございます。
 ちょっと観点が違いますけれども、日本の投資技術とか商品開発力というのは、これは、私は十年前から言っているわけですけれども、本当に草野球とプロ野球ぐらいの違いがあるわけです、欧米人と。
 なぜそうなったかということを考えますと、一九九〇年、一九九一年に大阪はデリバティブで世界一になったわけです。この事実を皆もうお忘れになっていると思うんですけれども、当時、東京一点集中で、現物は全部東京へ東京へと、これは合理的だと。それならば大阪は何で生きるか。これからデリバティブ時代に入るということで、デリバティブを大阪は導入したわけですが、非常な苦労をして導入をいたしました。私もそのときに新構想研究会会長で、トップに立っていました。
 ところが、世界で一位になったら、これは犬のしっぽが胴体を振り回すんだという東京証券取引所の理事長以下の意見が出まして、規制を加えられて、一位から三十三位にずり落ちたわけです。この事実を、私は毎年毎年海外へ行くが、海外へ行きますと、みんな、なぜあんなことをやるんだと。その間、ゼロだったドイツのユーレックスは世界一になったわけです。あの保守的なドイツがですよ。その会長のフランケというのは毎年来ますけれども、その規制が行われたときは、三日間神戸に滞在しまして、私の家にも来まして、なぜそういうことをやるんだ、わからぬと言うんだ、国際常識から考えて。こういうことで、せっかくの芽を摘んだわけですね。当時、シカゴなんかでは、主婦が買い物かごをぶら下げてオプション取引をやっていた時代なんです。
 そういうことを考えますと、あのとき失ったあれというのは、大証が何ぼ減ってシンガポールへ五〇%行ったとか三〇%行った、そんな議論と違うんです。国益として、国のそういうものが全部持っていかれた。それが今銀行なんかでも、いろいろなことで先行き不透明で経営できないということになっているのではないでしょうか。
 それは平成九年に、大証の、六月九日、いつも先物記念日というのをやるんですけれども、そのときに、ゴールドマン・サックスのアトキンソン以下全部が、日本の銀行はこうなるぞと。僕は、言い過ぎだからやめてくれ、こう言うたんですが、いや、これはやっておいた方がきれいになるという記念講演がございましたけれども、そういうことをやはり考えていかなあかんと思うんです。このまま行きますと大変なことになると思うんですよ。
 あのままやっていますと、国民そのものにもデリバティブというものは浸透してきたし、そして皆がそういう気持ちを持ったと思うんです。それを失ったということは、本当に機会を失って、そのまま棒立ちになっているという状態ではないかと思うんです。それが株価対策に一番大事だと思うんです。これだ、あれだという目先的なことを皆申されますけれども、一番大事なことはそういうことだというふうに思います。
生方委員 需給ギャップの問題とそれから商品開発力の問題、両方もちろんあると思うんですが、需給ギャップの解消については、日銀が株を三兆円買うとか、その枠を広げるとか、いろいろなことをやっているわけですね。それにもかかわらず株価が上がってこないというのは、株式市場そのものに魅力がないというか、もちろん使い勝手が悪いということもあって今度の証取法の改正というものにつながっているというふうに私は思うんですが、やはり証券取引所や証券業協会の方の努力も足りないんじゃないか。
 需給ギャップの問題が出てくる背景には、個人投資家が非常に少ないということがあるわけで、個人投資家の層を厚くするということが需給ギャップの解消にももちろんつながるわけで、そのための努力、今お二人の方が申し上げたのは、いずれにせよ、政府の政策が余りうまくいっていなかったから需給ギャップが広がってしまって、それが株価に反映しているというふうにも、受け取りようによっては受け取れるわけでございまして、私も政府の株価対策が必ずしもうまくいっているというふうには思わないので。
 ただ、さはさりながら、証券業協会あるいは取引所としての努力というのも当然していかなければいけないわけですが、残念ながら、私の方にはなかなかそういう努力が伝わってこないんでございますが、その辺はいかがでございましょうか。またお三人の方、お願いします。
奥本参考人 先生御指摘のとおり、個人投資家の参入といいますか、株式市場への参入というのが、これは喫緊の課題であることは論をまたないわけでございます。残念ながら、まだ全体の中に占める個人の出来高も大変少ないものがありますし、御案内のとおり、千四百兆と言われています国民金融資産の中に占める株式の割合も相変わらず低調な事実がございます。私どもとしまして、これをどうしてやるのかということについては大変大きな問題と思っておりまして、例えば一%動いても、十四兆の金が動くわけでございます。
 そういった中で、協会としてまずやらなくてはならないことは、今さらと言われるかもしれませんが、地道な啓蒙活動、啓発活動。個人に対する、いわゆる投資の啓発、啓蒙活動がどうしても必要だということがまず第一でございます。これにつきましては、先般来、もろもろな機会を通じてそういったものに取り組んできておりますし、あるいは、今般NPO法人になりますエイプロシスという、そういった個人株主をつくっていくためのNPO法人も協会がバックアップして発足いたしました。
 あるいは、当然のことながら、個人が株式に投資する魅力をどこに求めるかということがあると思います。当然のことながら、株に魅力を持つということは、各企業が企業努力によって企業収益を上げてくる、それが評価される、それが認知されるということが第一だと思います。
 先生御案内のとおり、最近のいろいろな数字だけで見ますと、企業収益というのは完全に回復といいますか、ある水準にまで来ておりまして、どちらかというと、株式の割安感が出ております。それが、先ほど私が申し上げた、需給関係の悪化ということを申し上げたことにつながるわけですけれども。
 では、こういった企業収益を背景に、個人投資家をどうやって誘導するのかということが一番大きな、今度、我々の宿題になっておると思っております。当然のことながら、いろいろ、先般来お願いしておりました税制というのも一つの必要な部分でございます。あるいは、景気対策に対する政治のアナウンスメントというのも、やはり個人投資家を株式市場に誘導する一つのきっかけになるのかというふうにも思っております。
 ただ、現在のような低金利の中、あるいはこういった企業収益の回復の中、何か一つのきっかけがあると個人が動き出す、その下地といいますか、その場面はできてきているのかなというふうに期待しているところでございます。
土田参考人 証券取引所というのは売買の場を提供するのが本業でございますので、余り個人投資家自体等の接点は多くございません。しかしながら、ただいま証券業協会長からのお話もございますが、私どもも近年、消費者教育ないしは学校教育に積極的に取り組んでおります。それから、証券知識の普及、さらには各種のセミナー、それに力を入れております。さらに、東証の中にアローズという施設がございます。これを利用いたしました説明会やセミナーをいろいろ開くようにお願いしておりまして、これは大変盛況を見ております。この点が一つでございます。
 それからもう一つ、これもやや構造的な問題であり、間遠な問題ではございますが、証券取引所は単に売買の場を提供するのみならず、その上場企業のレベルアップを図るという非常に大きな使命を近年持つに至りました。そこで、上場企業に対しまして、例えば企業情報の開示の促進ないしは投資単位の引き下げなどの面で要請を重ねてきております。
 その背景にありますのは、株価の水準、それはもちろん景気動向などによって左右されるものではありますし、そのほか、税制その他、いろいろな制度面の手当てにも影響されますが、基本的には、個別の上場企業の業績それから成長力、それを投資家がどのように評価するか、それによって決まるものでございます。したがいまして、すぐれた業績の企業、将来性に富む企業はそれなりの高い評価を得ておりますので、なるべくならばそういうものを中心として、いわば上場銘柄のレベルアップを図りたい、これは若干間遠のようでございますが、基本的には大事なことであると思って、その方面に努力をしております。
巽参考人 お二方が述べられましたけれども、そのほかに、やはり今五〇%のものが外人が取引しているわけですよ。この外人に不安を与えるということが株価にとっては一番のマイナスである。先ほど言いましたようなことも外人が不思議に思いますし、また、先送りなんかやりますと、一体何をやるのかわからぬという意見がある。
 そして、いろいろやりますけれども、外資が何か違反をした場合は処罰したらいいわけでありまして、何もかもそういう圧迫感に襲われているような感じがして、我々も外資と話し合ったときに常に思いますことは、大阪取引所が意見を吐いているから、ひとつ大阪取引所が代弁してくれないかというようなことまで言う始末であります。もちろん、デリバティブは国際商品でありますから、私たちはそういう意見を一つ一つ聞いて、何とか生かしていきたいというふうに努力しております。
 それから、証券市場というのは、まず第一に投資家のものでありまして、続いて発行会社のものである。今までの例からいいますと、第三番目に取引参加者である証券会社のものである。私はずっとその精神で来ております。でありますから、証券取引所というのは、とにかくコストを削減して、いかに安くして、そしてその余ったことを投資家に戻す。その中に投資家育成のセミナーなりなんなり、いろいろあるわけですけれども、そういう格好に持っていかなければいかぬ。
 ですから、先生御存じだと思いますけれども、今協会それから東証、大証というのはとにかく日本一、世界一になるのと違いますか、給料の高さというのは。一回も下げたことはない。私は、就任しまして三年になりますけれども、盆暮れ二回のあれも、給与体系も変えました。そして、盆暮れの二回のあれも、六回、一歩も譲らず、頑張りました。そういうところから生まれてくるのがリストラでありまして、そしてそれを提供せぬと、先ほど申しましたように、一番目の投資家に対しても申しわけない、第二番目の発行会社に対してはもう一つ申しわけない、それから証券会社にとっても申しわけないということであります。
生方委員 土田参考人にお伺いしたいんです。
 今度証券仲介業が導入されますと、新聞によれば、コンビニでも株が買えるようになるというようなことが報道されておりますが、そういうことになるのかどうかというのが一点。
 コンビニというのは、御承知のとおり、二十四時間営業しているわけで、今の証券取引所は三時には閉じてしまうわけで、一時、この取引時間を伸ばすべきだという論議もありましたけれども、株価がこういう状態なのでその論議も断ち切れになってしまったようなんですが、コンビニで広く売るということがあるというふうに想定をなさっているのか。それから、そういうふうになった場合に、今の証券取引所の開設時間、午後三時で閉めてしまうという状態のままでいくのか、あるいはそれは改める方向に行くのか。その二点をお伺いしたいと思います。
土田参考人 コンビニでどのような業務を扱うか云々につきましては、正直に申しまして、証券取引所の方の仕事ではないのでございます。しかしながら、一般論として申しますと、そのような販売チャンネルが広がりまして、だれもが投資しやすい市場の整備が進展するということは、個人投資者を中心に証券市場への参加を促すという点で一定の効果があるものと考えております。
 なお、取引所の取引時間の問題でございます。これにつきましては、現在でも、投資家は証券会社に対して、ある種の証券会社に対してですが、二十四時間注文を出すことは可能でございます。
 しかしながら、取引所といたしますと、取引所の取引には売買双方に大量の注文が集まることが望ましい。そして、豊かな流動性を持つ市場であってこそいわば適正な価格形成を期待できるというような考え方を持っておりまして、現在では、東証は、朝八時から証券会社からの注文を受け付けまして、九時の立ち会い開始のときにまとめて、板寄せ方式と言うんですが、まとめて取引を成立させる方法をとっております。このような方法で現段階においてはそのニーズにこたえることができておるのではないか。取引時間を延長してもらいたいという要望はさほど強くないと思っております。
 ただ、もちろんこのような市場の状況は刻々変わっていくものでございましょうから、今後とも外部環境、ニーズ、それについては十分注意していきたいと思っております。
生方委員 東証が株式会社になってから一年半ぐらいたちますか。株式会社になったことによって、もちろん人件費の削減とかそういうことはあったんでしょうけれども、今取引所そのものがどういうふうに変わったというふうに評価なさっているかをお伺いしたいと思います。
土田参考人 株式会社になりますということは、一面では、これは営利追求の組織ではないかというお話がすぐ先に立つわけでございますが、むしろ私どもとしては、株式会社制度というものを中心に現在の会社法とか企業会計制度が一番よく研究され、時代とともに進んでいっている。そのすぐれた制度を取り入れて、企業の運営に規律を持たせるというところが、一番株式会社化した結果の差し当たりのメリットではないかと考えております。
 人件費その他を初め、あらゆる方面でいわばリストラを東証は東証なりにやっておりまして、それで、苦しいながら、収入は減少しましたが、利益はふえるというような決算を何とか組めそうに思っておるのでございますが、そのようなことで企業経営に規律を持たせた上で、さらに今後、業務を国際的にも展開し、やがては株式を公開するということを目標にしたいと考えておるところでございます。
生方委員 土田社長は新聞のインタビュー等で、アジアでの生き残り戦略が非常に大事だというふうに繰り返し述べておられますが、具体的にはアジアの中で生き残りを図るためにどんなことをお考えになっているのか、今ある考えの中でお聞かせをいただきたいと思います。
土田参考人 これは多岐にわたるのでございますが、まず、なぜアジアでかということを一言だけ申しますと、やはり取引所には豊かな流動性というものが必要でございます。それをかき集めるためには、取引所の使い勝手のよさというものが必要でございます。その場合に、この競争におくれをとりますと、例えば東京とソウルでは時差はございません。それから、東京と上海、東京と香港は時差は一時間のみであります。そういうことで、競争に負けますと、途端に注文を他の取引所に奪われるおそれがございます。
 したがいまして、私どもは、アジアの有力取引所としての地位を確立したいというのを最優先にしているわけでございまして、いろいろ申し上げたいことはございますが、柱だけ申しますと、外国企業の上場を誘致したい、それから国際提携や市場間リンケージを推進したい、さらには海外PR、それから東証の株式公開に向けたIR活動を充実したいというような三点を当面の重点課題として掲げており、その方面で活動を推進しているところでございます。
生方委員 ありがとうございました。終わります。
小坂委員長 次に、松本剛明君。
松本(剛)委員 参考人の奥本会長、土田社長、巽社長には、お忙しいところ本当にありがとうございます。証券取引法の改正案に関連しておいでいただきまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 今回の証券取引法の改正案も、証券市場の発展を目指すものであるということは、おいでいただいた参考人の方々も、また委員各位も共通の認識だろうと思うわけでありますが、その市場の発展の課題ということでいきますと、一つはインセンティブ、これは先ほど競争力でコストを下げるということも恐らくそれに入るだろうと思いますし、午前中の議論でもありました税制の話などもそれに入るんだろうというふうに思います。もう一つは利便性、このことに関連して恐らく仲介業とかそういった話があるんだろうと思います。三つ目は透明性、公平性に基づく信頼を確保するということであろうというふうに思います。私自身は、その信頼の確保が実は今の市場の最大の課題ではなかろうか、このように思っておるわけであります。
 実は、昨年の金融庁の証券市場の改革促進プログラムでも、だれもが投資しやすい、投資家の信頼が得られる、効率的で競争力のあるというのが三本の柱になっております。ちょっと気になるのは、ここは金融庁と直接質疑をする場所でないからあれですが、金融庁が実は今回の証券取引法等の一部を改正する法律案の説明のペーパーで配った紙には、だれもが投資しやすい、効率的で競争力のある市場の構築のために本法案を改正する、なぜか信頼のためにという言葉がないんですね。金融庁さんも、実はこれでは信頼は取り戻せないということを図らずも自覚しておられるのかな、このように思うわけでありますが、しかし、先ほどの審議の中でもさんざんありましたように、実は信頼回復が一番大事なのではなかろうかな、このように思っております。
 そんな中で奥本会長にまずお伺いをさせていただきたいと思うんですが、つい先日も新聞の記事にもなっておりましたけれども、九〇年代以降、ずっと証券会社さんの自己売買が大変増加している。特に中堅、中小の証券会社さんはむしろそういったディーリングの部門を強化して取り組んでいる、こういうことが言われておりますし、事実そういった傾向が見られるようであります。現実に、ディーラーの数も随分と増員されていると言われていますし、自己売買の金額は、比率が、随分ウエートがふえてきていることも事実のようであります。
 ただ、この場合、自己売買がふえるということは、我々が証券市場の層を拡大する、個人投資家を拡大するということに一種逆行する部分があるのではないかと思います。あわせて、どうしても、証券会社さんが自己売買をされるということは、そこに仲介を依頼する投資家の側からした場合に、その証券会社を信用していいのかどうかといった部分の疑念を抱かせる材料になりかねないという部分があろうかというふうに思いますが、この点について、今の自己売買増加の傾向について、証券業協会の会長としてどのようにお考えになって、今後何らかのお取り組みをされるお考えがあるのか、お伺いをしたいと思います。
奥本参考人 御指摘のように、確かに自己売買の比率は上がってきております。東証の数字で見ましても、二〇〇〇年には三〇%の自己売買比率だったものが、昨年、二〇〇二年には三五・九%という数字になっております。三〇%という数字は、過去の十年をとりますと、三〇%を若干割った年が二回ぐらいあるだけで、大体三〇%ぐらいでこの十数年の間は推移してきたというふうにお考えいただいてよろしいかと思いますが、昨年の数字三五%、ことしになりましてからも大体そのぐらいの自己売買比率になっていることは事実でございます。
 先生の御指摘の点とちょっと外れるんですけれども、ただ、この自己売買比率がこういうふうに上がってきた最大の理由は、やはり全体の分母、出来高が減ってきているのが一番大きな原因。それから、昨今の商いの手法が、外人におきます機関投資家の商いが、いわゆるポートフォリオ売買といいますか、全体まとめてがらっと売ってきて、それを一遍自己が向かいながら処理するとかいう、自己の関与の度合いが大変大きくなってきている。それから、自己の関与の度合いが大きくなるという意味では、いわゆるデリバティブ等の昨今の商いもどうしても多くならざるを得ない。
 それから、最近の傾向としまして、いわゆる市場外分売と称します、大量の株券をマーケットで売るといろいろな影響があるために、市場外で広く分けて売るという証券会社の手法がございます。これも一遍自己が向かうという手法がございますので、最近の傾向としては、どうしても自己が多くならざるを得ないという部分があることは事実でございます。
 ただ、それと、自己売買が、先生の御指摘のような部分がふえてきているということとまた意味がちょっと違うと思うんですが、全体の傾向としての自己売買のふえというのは、今私が申し上げたような部分で、これは決してある意味では悪いわけじゃなくて、要するに全体の数字が大きくなることによっていい方に解決されていくという部分があるというふうに思っております。
 いわゆる中小証券を中心に自己売買というものが多いんじゃないかという御指摘については、一部の新聞等でも数字が出ておりますけれども、最近特に多くなったというわけでもないのかもしれませんが、多く見えることも事実でございます。全体の委託手数料をなかなか上げるのが難しい中で、証券会社の営業上、いろいろな動きが出てきているということだと思いますが、これにつきましては、適切なリスク管理が当然必要というふうに思っておりますし、金融庁からもその健全性について指導が出ているところでございます。
 また、個人投資家とのいわゆる利益相反みたいな意味ですけれども、自己売買とそれから顧客の委託部門、顧客の売買との間では、証券会社の中では完全なファイアウオールがつくられています。これはかなり厳しいファイアウオールでございますので、両部門の情報が伝達されるとか、あるいは顧客の注文に先駆けて自己が取引する、つまり、いわゆるフロントランニングと称するような商いが行われるとか、もちろんこれは法律上の禁止事項でございますが、あるいは職務上知り得た顧客の情報を自己売買が利用するとかというようなことはないような、それは禁止事項になっておりますし、その辺は厳重にチェックしてきているつもりでございます。
松本(剛)委員 やはり投資家の信頼を確保するという意味で、現状追認ということではなくて、協会としてもぜひ真剣にお取り組みをいただきたいということを御要請申し上げたいと思います。
 あらかじめ申し上げてなかったんですが、巽社長にも、先ほども、一に投資家、二に発行会社というお話がありましたが、光世証券をおつくりになって経営をされてこられたということからも、自己売買についてもし御所見がありましたら一言伺いたいと思います。
巽参考人 自己売買は市場の厚みをふやす一つの手段でありまして、私は、これは当然であるというふうに思っております。
 自己売買は、昔は現物に対当する自己売買というふうに限られてきたわけですね。こういう点が相場というものに接する証券マンの投資技術を非常におくらせたというふうにも思いますし、それから、自己売買が多いから一般投資家を失うということにはならないと思います。自己売買は、余り多いのはあれでしょうけれども、しかし、市場の厚みを増すという点では、これはもうあれで、すだれがどんどんふえていくというよりも、よその国にも全部そのスペシャリストというのはおってやっているわけですから、やはりマーケットにとっては必要なものであるというふうに考えております。
松本(剛)委員 少しずつ認識が違うなと思いますが、御意見は参考人の方から承って、時間も限られていますので、話を次へ進めさせていただきたいと思います。
 仲介業制度についてということで、既に先ほど上川委員と奥本会長との方でいろいろ御議論がなされたのを私も拝聴させていただいておりました。協会としては、チャンネルがふえるということで、いわばこの法案改正は歓迎されるということではなかろうかというふうに思います。地場証券との関係についても続いて御質問があったと思うんです。
 ただ、そんな中で、私としては、今申し上げたように、この証券市場、投資家にとっての信頼の回復ということから考えた場合には、一部質問が出ていましたけれども、仲介業者が存在することによって、非常に責任の関係が不分明、わかりにくくなるのではなかろうかということは、やはり懸念として持たざるを得ません。
 特に、今回の制度では、いわば複数の証券会社に所属する仲介業というのも制度としては予定をしているということであります。先ほどのお話で、これは最終的には契約する証券会社が責任を負うことになるだろう、こういうお話でありましたけれども、契約するまでの段階、もしくは契約する証券会社がはっきりするまでの段階でも、複数に所属する仲介業をやった場合、さまざまなトラブルが起こることも想定されるだろうというふうに思いますし、協会として、その辺のところ、この仲介業に対してどういうお取り組みをされるつもりなのか、整理をされていかれるつもりなのか、そういったことも含めて、この仲介業制度に対する御所見、お取り組みを伺いたいと思います。
奥本参考人 仲介業制度につきましては、先ほどもお話ししました、また先生からの御指摘にもありましたように、個人投資家にとりましていわゆるチャネルがふえるという意味、あるいは、証券会社にとりまして広くいろいろな展開ができるという意味で、基本的に賛成でございますが、今の仲介業者が複数の証券会社と契約できるという部分、これにつきましてもいろいろの意見があったことは承知しております。
 投資家にとりまして、一つの証券会社に限られた取引を強いられるよりか、複数あった方が利便性が高いんじゃないかということが一つ。例えば投資信託の例をとりますと、やはり複数の証券会社と取引があった方が投資家にとっていろいろ選択できる余地が残るというようなこともございます。それから、いわゆる責任の問題も、それぞれの証券会社と顧客との間で賠償責任が義務づけられるわけでございますけれども、投資家保護に支障がないような仕組み、つまり、複数の証券会社との取引があったときに、それぞれの証券会社がそれぞれの責任を連帯して負うというような意味の保護も必要であるというふうに思っておりますし、そのような手当てもされるように思っております。
 したがって、どちらかといいますと、単数で限られた、まあ仲介業のいろいろな種類といいますか、いろいろな出方にもよるわけですが、今回、この仲介業が進出していくにつきまして、いろいろなパターンのものが考えられる。その中で、仲介業者のバックにある証券会社が一つに限定されるよりかは複数であった方が投資家の利便性にもそぐうし、また、御指摘のあるいわゆる責任といいますか、その辺のところも、しっかりした手当てをすることによって十分保護できるのではなかろうかというふうに思っております。
松本(剛)委員 この仲介業制度が取り入れられることによって、いろいろ複雑なことも出てくるのではなかろうかというふうに思いますので、ぜひその辺のところはよく現場を見ていただいて、協会としてのお取り組みもお願いをさせていただきたいと思います。
 続いて、取引所の方について、土田社長、巽社長にお伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほども少し触れられましたが、持ち株会社制度が今度導入されるということになります。これから、法案が成立する中で、各取引所さんにおかれても、この制度をどう活用するかということの御検討が始まるのであろうというふうに思います。同時に、株主のルールも今回変更になるわけでありまして、具体的に、持ち株会社移行であるとか各市場間提携ということも先ほど土田社長のお言葉の中でありましたが、どんなイメージを想定されているのか、もし御意見があれば伺いたい。
 例えば、巽社長の話を伺っている限りはちょっとあり得そうにないのですが、土田社長の話を伺うと、ひょっとしたら東証、大証が資本提携するということも想定されておられたのか。特に、NTTさんのときにもありましたが、国際競争に目を向ければ国内を固めないかぬという話が出てきますが、国内の中での競争が必要だという意見があればそういう話にもなってくるわけでありまして、この持ち株会社制度を活用した中での市場間提携、国際提携といったことについて簡単に、土田社長、巽社長にもう一度御意見を伺いたいと思います。
土田参考人 私ども、持ち株会社制度の運用について具体的なイメージを今持っているわけではございませんが、どちらかというと、証券取引所間の国際的な市場間競争がますます激しさを増してきておる。これに対しまして、どのような方策でこの競争を乗り切っていくかというような観点から、この問題に非常に魅力を感じているわけでございます。
 すなわち、持ち株会社形態は、どこかと提携をいたしますときに、親子会社間に比べますと、兄弟会社間の関係はそれぞれの経営の状況が相互に直接的な影響を与えにくい、リスクの遮断の面ですぐれている、そういう仕組みでありまして、持ち株会社を通じた兄弟会社化による合併代替とか業務提携の強化も可能であるというふうに考えておるわけでございます。
 いろいろ具体的には御説明を申しませんが、近年、海外、殊にヨーロッパ及びアジアの主要取引所で、持ち株会社形態を採用するものがふえております。その中の一つの典型といたしまして、ユーロネクストというのがございますが、これは持ち株会社の親会社はオランダ法人でございますが、その傘下にパリ、ブラッセル、アムステルダム、それからリスボン、さらに先物取引所はロンドンのLIFFEという多国間の取引所を傘下におさめておるという非常に注目すべき発展形態を示しております。
 このようなものも見ておりますと、私どもは、取引所の業務全体が一つの持ち株会社形態で、どこかと手を組む、組み入れられるということは、それはさすがに当分はないだろうと思いますけれども、例えば、システムの共有とか情報データの配信とか、そういうものにつきましては、この持ち株会社制度も導入して、その下で他の取引所と合弁を組むというようなことはあるいは考えられるのではないか。もちろん、まだ具体的な構想を持っているわけではございませんが、今後の国際競争を乗り切るために、この法律にもございますような有効な選択肢について非常に関心を持っておるという状況でございます。
巽参考人 今後、戦略とか選択肢が非常にふえてくるという点では、私は非常に好感しております。
 それから、今土田さんも述べられましたけれども、私は、考えとしては、まずマーケットありき。まず提携ありきということで国際戦略を組んでおりません。まずマーケットありき、その後提携ということで、あらかじめそういう協定を結んで話し合っている国等もありますけれども、何しろ日本は今二つしか、二つ言うたら、札幌やら怒ると思いますけれども、ないわけですから、大阪がしっかりしなければならないというふうに思うんです。ドイツ圏でも三十ぐらい取引所があるわけですよ。だから、まず国内間競争に打ちかって、まずマーケットありき、その次に国際的な提携と思っています。
 先ほど言いましたような、一九九〇年の、トップになったときは、また違った戦略が立てられたと思いますけれども、今となっては、一から努力して積み上げて、またもとに戻さないかぬという状態でありますので、そういうことでございます。
 それから、こういう問題がありましても、やはり一番、何回も申しますけれども、市場のコストというものを安くしなければ国際間競争に敗れるということは当然のことでありまして、その点は、我が国は本当に根底から洗い直さなければならないというふうに思っております。
松本(剛)委員 お伺いしたいことはたくさんあるんですが、私の持ち時間もあるようですので、最後に御要請だけ申し上げて私の御質問を終わらせていただきたいと思います。
 今もお話がありました。利便性とか、またコストを下げるとか、そういう投資家にとっての環境を整えていただくことはもちろんですが、繰り返しになるようですが、信頼回復ということをぜひお進めいただきたいと思います。
 インターネット証券の関係者が、なぜインターネット証券がはやるかといったときに、残念ながら、証券会社さんで買うと損をさせられたと感じる、しかし、インターネット証券の場合は、多分損をしたと自分で思うのではないか、それがゆえに多少ははやるのではなかろうかと言われている方がいました。少なくとも、させられたと感じさせるものが残念ながらまだ残っているということは事実としてお認めをいただいて、改善に御努力をいただきたいと思います。
 私たちは、ぜひこれ、強力な監視体制という意味で、独立した証券取引委員会を設けるべきだということを申し上げてまいりましたし、竹中大臣も午前中の審議で、委員会の機能強化が必要だということをおっしゃっていました。私たちは立法の立場からいろいろ努力をしていきたいと思いますが、ぜひそちらの現場の関係者の皆さんにも御尽力をいただきたいというふうに思います。
 特に、後で質問があろうかと思いますが、持ち株会社に関連して、それぞれ子会社、関連会社からさまざまな話が出てきております。これは東証さん、大証さん、いずれもでございますが、そういった面に関する管理もしっかり見ていただく中での信頼回復にお努めいただくようにお願いを申し上げて、私の方の分担を終わらせていただきたいと思います。参考人の方々の御協力に感謝を申し上げます。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 お三人さんにはどうも御苦労さまでございます。
 資本市場、証券市場の活性化ということで、まず税の話から伺いたいんですが、日本経団連が四月中旬に「緊急株価対策として講ずべき税制措置について」というものを提言いたしておりますが、相続税評価二分の一、所得税、住民税の譲渡益、配当の非課税、譲渡損失について給与、事業所得を含む他所得との通算を可能とする等々提言をしておりますが、この考え方について、お三人さん、どのような御見解をお持ちか、お聞かせいただけますか。
奥本参考人 証券税制につきましては、平成十五年度改正におきまして、将来の金融所得課税の一本化というものを視野に入れた上で、株式譲渡益、それから配当、それに株式投資信託の分配金等の税率を引き下げ、一〇%になったわけでございます。また、もう一つ大きな課題でありました投資家の納税面での手続、これの簡素化というものにも配慮した改正が図られたところであります。
 先般、経済界三団体の要望も、こういった改善策はそれとして評価された上で、現在の経済情勢、いわゆる株価がバブル崩壊後の最安値を更新していくという状況にある、つまり、そのまさに危機的な状況にあるという認識の上に立ってこういった提案がなされたものというふうに理解しておりますし、私どもとしまして、その危機意識という点につきましては、全く私ども証券界も同じ立場でございますし、あるいはそれ以上に強い危機意識を持っております。
 証券市場の活性化につきまして、いろいろかねてよりお願い申し上げておりますとおり、税制が重要であることはそのとおりでありますが、証券界としましても、今後この証券税制がどうあるべきかといったことの議論、あるいはその必要性については十分認識しておりますし、これからもいろいろ先生方にもまたその議論をお願いしていかなくてはならないというふうに思っております。
 ただ、この四月一日から施行されました本年度の証券税制が画期的な一つの改革であったがゆえに、目下は、税制改正の内容を広く一般個人に浸透させることが大切でないかというふうには考えております。また、そのための努力を日ごろ積み重ねていっている所存でございます。
 何よりも大切なのは、当然のことながら経済の回復を図ることでありますし、また、株式市場そのものは、やはり、先ほど申しましたように、大きく崩れています需給の改善を図る必要があるというふうに思っています。そういった意味で、経済三団体が持ちました危機意識を共有しながら、いわゆる需給面での株式市場対策というものを目下お願いしているところでございます。
土田参考人 証券税制につきましては、どちらかというと証券業協会で最前線に立って運動をしていただいておりますので、私からはごく要点だけを申し上げます。
 ただいま証券業協会長からお話がありましたことと原則として同じでございます。財界その他で市場の活性化を真剣にお考えいただいている、そのために問題提起をしていただいているということはありがたいことであります。
 ただ、税制には専門家の検討がやはり必要であります。それからまた実務面の対応、国税、地方税当局及び会社の経理その他もろもろの多数の方々の実務面の対応は、現場での準備期間を必要といたします。ですから、当面は、今年度はかなり中身のある改正が実施されたところでもございますので、今年度に実施された改正の浸透策を優先するべきではないかと考えております。
巽参考人 証券税制に関しましては、長期的に個人投資家が証券市場に参入できるというようなことに資するべき税制であってほしいというふうに思っております。
中塚委員 次に、投資家の資本市場に対する信任を確保するという、これが本法案が提出された意図、趣旨であろうと思いますけれども、そういう意味で、取引所というものの果たす役割、もちろんディスクロージャー制度とか、あとコーポレートガバナンスの強化、企業の内部統制整備等々あると思いますが、それ以外に、証券取引所としてその責務をどのようにお考えか、土田参考人にお伺いをしたいと思います。
土田参考人 証券取引所の仕事についてでございますけれども、もちろん古典的には売買の場を提供するということが中心でございまして、それはそれで重要な機能を持っております。
 ただ、そのほかに、近年、業務はかなり多様化してまいりました。例えば、証券会社に対する自主規制機能をフルに発揮いたしまして、証券会社の取引の手口その他について、遺漏がないかどうか、これを現場に密着した立場から監視し、それから必要に応じて意見を言うという話がございます。これはまさに市場の品質保証の機能であると思っております。
 それからさらに、最近では、いわば上場会社の支援という部分が非常に大きく展開してきておりまして、上場会社の中のすぐれた企業を育て、これについて市場への情報提供を豊かならしめ、それからさらには、企業の取り組みの姿勢、経営姿勢というものをはっきりと開示をしていただく、それを促すというのも、取引所の任務の一つというふうになってまいりました。
 このようなもの全体を通じまして、取引所はいわば公共性、市場のインフラを支える公共的な使命というものをますます大きく持つようになっております。
 私どもは、東証市場の公正性、信頼性を訴えて、それについて投資者の信頼を得たいというふうに考えております。これは一朝一夕にできることではございませんが、何年間も通じての努力をもって、いわば東証への信頼を確保したいというふうに考えておるわけでございます。
中塚委員 次に、奥本参考人と巽参考人に伺いたいんです。
 ネット証券なんかがどんどん台頭している中で、中小地場証券というものの今後のあり方なんですけれども、先ほどから自己売買のお話もありました。商い自体がどんどんと下がっているということでもあるでしょうし、また手数料収入もどんどんと下がってきているということもあると思うんですが、そんな中で、三月に、株価対策ということで、自己売買業務のリスク管理の徹底というものがなされております。中小の中には、このリスク管理をしっかりするということになると新たな設備投資を迫られる、それが大変な負担になるというふうな話も聞いておりますけれども、この自己売買取引の規制というものが中小の地場証券に与える影響、そしてまたそれの打開策等ありましたら、お聞かせいただけますか。
奥本参考人 先生今御指摘の自己売買規制の問題ですけれども、既に実行されております。少なくとも、いわゆる細かい規制というよりか、そもそも規制の原点が、大量に売りまたは買いの自己玉が建って、それがアクシデントが起こったときに本当にそれで大丈夫かと。つまり、自分の体力にあった建て玉の絶対額であるべきだというのがその考え方の基本であります。それを逸脱するような規制ではございませんので、一応一つのルールといいますか、先ほど申しましたように、それを守るというようなことで既に行われております。
 特別なそれに対する新たな設備投資、つまりコンピューター投資等の必要があるというふうには理解しておりません。
巽参考人 私は、自由化に入る前に、どんとこい自由化委員会というものをつくりまして、中小証券全部集めましていろいろな検討を行ったわけでありますけれども、そのときに、一番冒頭に挙げましたのは、今まで証券業協会で、皆で連れ持っていこうというようなことは一切ない、そういう中小証券が同じような目的のために同じようなあれではない、自分の力によって経営していくということが最大の自由化に対する武器だということを申し合わせてきました。
 ほとんどそのときの証券会社もまたなくなりました。これはいたし方ないことでありまして、こういう変化の時代には、やはりみずからが変化して、そして先取りしてやっていくということでありまして、何か先生方も非常に温かいお言葉といいますか、これで中小証券は食っていけるだろうかとかいう御心配も中塚先生なんかあると思うんですけれども、もうそういうことを言っている時代は去ったのではないかというふうに考えています。
 それから、取引所は、やはり公平で透明な取引所をつくるのが一番大事であります。それには、我々は自主規制機関として、これをよそへ出すとかいう議論も世界では行われておりますけれども、自主規制の中において、そしてしっかりしたそういうあれのもとに運営していきたいというふうに考えています。
中塚委員 ありがとうございました。
 今回の法案で、取引所を結合、連携できるということになっているんです。それが取引所の国際競争力を高めるということなんですけれども、この結合、連携というのが本当に国際競争力を高めることになるのか。あるいは、そもそも国際競争力とは何かということについて、土田参考人と巽参考人の御意見をお聞かせください。
土田参考人 取引所の競争力を決定いたしますものは、一つには、取引所の使い勝手でございます。それを支えるものは、最新鋭のコンピューターシステムでございます。それからさらに、市場が適切に管理されておって、いわば公正な取引を期待できるというような意味でのいわば信頼性、それも取引所の評価を決めるわけでございます。
 そのような意味での競争ということになりますと、これはそれぞれの取引所が、殊に最新鋭のシステムを導入するとか、それから上場企業の管理のルールを強化するとか、一生懸命にこのアジアにおいても努力をしておるわけでございまして、日本は決してそれに負けてはならない。私ども東証は、顧みますと、システムの面では恐らく世界最高の水準の電子取引所としての性能を持っております。しかしながら、全体としての、背後の、決済その他バックオフィスまで全体を通しますと、なお、例えば上海なり近隣諸国に、部分的にではございますが、劣っている面もございます。そのような点を早急に挽回せねばいかぬと思います。
 それからさらに、使い勝手という点からいいますと、先ほど御質問もあったのでちょっと申し上げたのでございますが、外国企業の日本上場を誘致するときに、どうももう一つ不便なところがあって、誘致に成功していない。その点もなおいろいろ工夫をお願いせにゃいかぬかと思っておるわけでございます。
 そのようなことで、全体として競争力の強化を図ってまいりますが、そのときに、単独ではなくて、部分的にもせよ、他の取引所と提携をして、そしていわば共同活動をする。それにいろいろな方法はございますが、今度法律で認めていただくことになっておりますところの持ち株会社とか、ないしはクロスボーダー関係の端末の認知とか、そういうものが非常に選択肢を多様にするという点で期待できるんではないかと思っております。
巽参考人 取引所の提携につきましては、先ほども申しましたように、まずマーケットありきということで、それを充実した上でそういう話がある。これは今はやりでして、提携したといったら何かできたみたいに思いますけれども、弱い味方を持ちますとこれは悪い敵に変わるということは歴然としておりまして、海外でもそういった例がたくさんあります。そういったことも見越して、私たちは努力してまいりたいというふうに考えています。
中塚委員 それでは、奥本参考人に伺いますが、日本証券業協会のあり方、今後というか、業界団体でありますし、また自主規制の団体でもある、また、ジャスダックというものの運営主体ということなんですが、特にこのジャスダックの問題について、東証と対等の立場にお立ちになるようなことをお考えなのかどうか、そんなことを含めまして、証券業協会の今後の姿ということについて、いかがでしょう。
奥本参考人 ジャスダックは取引所というふうにはなっておりません。監視監督機関は証券業協会でございます。ただ、実際の運営につきましては、一昨年から株式会社ジャスダックとして、実際の運営面の仕事はジャスダック側に全部移行しているというのが実態でございます。
 これをどう今後やっていくかということは、これからいろいろな議論が行われる中で考えていかなくちゃならない問題だと思っておりますし、このままで安穏としていっていいというふうには思っておりませんが、いわゆる取引所としていくべきなのか、あるいはこういう格好での状態でいくのがいいのか、これからいろいろな議論を行いながら検討していくということだというふうに思っております。
中塚委員 それでは最後に、奥本参考人にお伺いをいたしますが、今、時価会計とか減損会計について、凍結という議論がよくされているわけなんですが、これについてどのような御見解をお持ちか、御意見を御披瀝いただけますか。
奥本参考人 証券業協会としてコメントする立場かどうかいささか疑問ではございますが、あえて言わせていただくと、もう既にスタートしているものにつきまして、それを変えるということに対するリアクションといいますか、もろもろのことは、マーケットを預かる者としましては、いろいろ注意しなくてはならないことなのかなというふうには思います。
中塚委員 どうもありがとうございました。
 これで終わります。
小坂委員長 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 参考人の皆さん、御苦労さまでございます。
 証券取引法改正案の法案審議に資するために、特に市場の信頼性の問題についてお聞きをしたいと思います。時間がありませんので、きょうは巽社長を中心にお聞きをしたいと思います。
 巽さんは、四月十七日に記者会見をされまして、「関連会社問題に対する本所の考え」というものを公表されております。今お配りした資料がそれでありますけれども、記者会見で発表された資料の中に、大証の元副理事長が無断で関連会社を設立し、関連会社を通じた仮装売買を行っていたこと、それが証取法百五十九条違反の疑いがある、こういうふうに述べられています。仮装売買とは、取引所資金を使って、十年十一月に証券会社を設立し、市場が商盛であることを見せるために、同社に対し発注を繰り返していた行為だ、こういうふうに書かれています。
 そこでお聞きしますけれども、ここで言う証券会社というのは日本電子証券のことだと思いますし、それから、発注していたのはロイトファクスだと思いますが、この点を確認したいと思います。
巽参考人 そのとおりでございます。
佐々木(憲)委員 このロイトファクスは大証が設立した関連会社の一つであります。巽社長は、大証理事の当時に、大証が不正取引疑惑解明のためにつくった調査委員会、これに加わっておられます。ここに大阪証券取引所関連会社に関する調査報告書というのがありますけれども、この中に、ペーパーカンパニー、ロイトファクスについてこういうふうに書かれております。ペーパーカンパニーであり、調査活動を行う人員もいないというふうに断定されていますけれども、これはそのとおりですね。
巽参考人 そのとおりでございます。
佐々木(憲)委員 配付した資料の三枚目に不正取引の関係図がありまして、この中に出ているロイトファクスと日本電子証券の取引が仮装売買であって、証取法百五十九条違反の疑いがあるということであります。一方で、このロイトファクスと取引のあった光世証券などは、一投資家からの通常の委託注文ということで、通常の取引であったというふうに説明がなされています。
 しかし、今確認いたしましたように、このロイトファクスというのは、大証の取引が商盛であることを見せかけるために大証がつくったペーパーカンパニーだ。そうしますと、光世証券や大和証券などに対する発注も、ロイトファクス側はそういう意図で行っていたのではないかと思われますが、これはいかがでしょうか。
巽参考人 先生にここではっきり申し上げますのは、電子証券ができるまでの間、こういう三社に発注していたわけでありまして、この三社の発注と電子証券に対する発注は全然違うわけであります。三社の発注は単なる顧客として、本当に実在の人間もおったわけですけれども、ペーパーカンパニーでありますけれども、これを運用する人間は元証券取引所の職員というのがおりまして、にせの名刺なんかも使っていた事実もありますけれども、そういうふうにして発注していたというわけであります。
 この間、参議院でも言われましたけれども、これは完全にそういうあれやないというのは今度の検査でもはっきりすると思いますけれども、一注文一注文、これは大引け関与になるとか、これは仮装売買であるとか、けっているわけですよ。その事実がちゃんと書類で残っているわけですよ。ですから、全然違う取引でありまして、その辺をしっかり認識してもらいたい。
 私を攻撃するために、そういう無断で、私も持っていないような資料を表に出されて、いろいろなことが思われているようですが、その点ははっきり申し上げておきます。
佐々木(憲)委員 その点を今いろいろと具体的に質問しているわけでありまして、巽社長は当時光世証券の社長でありました。日本証券業協会は、新しい顧客と取引を開始するに当たって各証券会社が遵守しなければならない事項を定めていると思うんですね。
 ここに公正慣習規則第九号「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」というのがございます。この中では、取引を行う顧客の顧客カードを整備して、住所、氏名、投資目的、資産の状況などの把握を義務づけております。さらにこの細則というのがありまして、その中には、顧客が法人の場合には、登記簿謄本または抄本などで本人確認を行うことを定めている。当然、光世証券はこれを遵守して、こういうことで取引を行ったと思うんですが、これにのっとってやったということですね。
巽参考人 当然であります。
佐々木(憲)委員 えらい早い答弁です。
 それならば、ロイトファクスの口座開設に当たりまして、当然、どういう会社かというのはこれに沿って調べていると思うんですが、ロイトファクスの代表者はだれでしょうか。また、取引開始に当たり、口座開設の手続に来られたのはどなたでしょうか。
巽参考人 私は社長でありまして、一々それは担当しておりませんけれども、八木という人物だったと思うんです。といいますのは、初め、野口から私に電話があって、顧客紹介というのがあったわけですけれども、それは電話番号と個人の名前だったと思います。それで、先ほども申されました登記簿謄本を全部そのときとりまして、それはまだ検査中ですので何も言えませんけれども、全部把握されていると思います。証券会社は、そんなことは当然なんですよ。
佐々木(憲)委員 登記簿謄本を私もここに今持っておりますけれども、役員は一人しかいないんですね、一人しかおりません。その役員は、最初は今言ったように八木二郎氏でありましたが、その後松原公一氏になっているわけですね。
 この八木さんと松原さんというのは、どういう人物なんでしょうか。
巽参考人 元証券取引所の職員と役員であります。
佐々木(憲)委員 そうしますと、この証券取引所の役員、八木さんというのは、九七年三月末まで大証の調査部長を務めてこられた方でございます。退職後は、大証が不正に設立した関連会社の役員を務めた、こういうことになるわけですね。その後交代して取締役についた松原氏も、大証の理事であったということであります。つまり、大証と人的つながりのある会社だとすぐわかるわけですね。しかも、この住所は日本郵船ビルの住所であります。大証の正規の関連会社である大証システムサービス、DSS株式会社の東京事務所があったビルであります。
 この証券業協会の規則どおりに取引先の身元確認をすれば、大証の関連会社であって、しかもペーパーカンパニーだ、しかもそのペーパーカンパニーの目的は、取引を商盛に見せるための会社である。こういうことを知っていて取引をされた、あるいは知らないで取引をした、どちらでしょうか。
巽参考人 申し上げましたとおり、一顧客として相対したのでありまして、取引を商盛に見せるためにというのは、私はずっと証券マンとしてやってきまして、今までのあれがありますけれども、そんなもので商盛になるはずがないわけですよ。
 それは全部今どこの記録にも残っていますけれども、私は常に、証券取引所というのは、そんなことで商盛に見せる――ですから、今のところそれしか考えられないということでそういうことをやっていますけれども、商盛に見せるためにやったという、大証に対してのプラスというのは何もありません。
佐々木(憲)委員 あなた自身が調査委員会を設置された中に入っておられて、その中で調査もした。それから、記者会見の中で、仮装取引をしていた会社である、ペーパーカンパニーである、こういうふうにお認めになっているわけですから、そういう会社と取引をされたわけでありまして、その取引をされたことは事実であります。つまり、そういうものと知っていて取引をした。一九九七年の七月から九九年一月まで取引をされている。
 これは社長自身が記者会見で配付された、お手元にある資料の四ページ目ですか、この中にあります。これは、発注の相手先というのはだれだったんでしょうか。
巽参考人 発注の相手先は、ロイトファクスですね。(発言する者あり)何ですか。(佐々木(憲)委員「取引所の人間ではないんですか」と呼ぶ)取引所の人間というのは全然知りません。東京で、大阪の証券取引所にどんなのが勤めているか知りません。私も全然知らなかったです、それは。
 ですから、調査委員会の中で名前が出た、ああ、そうか、どんなやと言ったら、こうやと。それですぐに私は会社へ言いまして、その書類を全部提供させて、そこで初めてそういうことがわかったわけです。一切知りません。
佐々木(憲)委員 いや、知らないといっても、最初に巽参考人は、調べた、登記簿も調べたと。それで、八木さんと松原さんが大証の幹部であった、これも認識をされていた、会社はペーパーカンパニーであった、こういうことでありまして、知らないというのはちょっとどうでしょうか。
 そこで、大和証券もこれは取引をされていたわけですが、大和証券は取引を途中で中止しているわけですね。なぜ中止したかといいますと、調査委員会の資料を拝見しますと、大和証券側の発言として、将来第三者の検査が入ったときに問題として指摘されるおそれがあると。それは、一つは、売り買い同数注文、クロス注文である。二つ目に、量的に大きく目立つ、関与率が高い。それから三つ目に、発注のタイミングが東西市場の売買高の拮抗しているときである。四番目に、代金が大阪から振り込まれる理由、これは、東京の会社なのになぜ大阪から手数料が振り込まれるか、こういう意味であります。それから五つ目に、損切りが多いが意図が不明である。つまり、ロイトファクスとの取引というのは通常の売買行為とは考えられないというふうに答えているわけですね。それで、大和証券は九八年八月以降取引を一切中止したわけであります。
 しかし、光世証券は取引を続けたんですが、これはなぜ続けたんでしょうか。
巽参考人 私は、申し上げていますように、光世証券には五つのルールがありまして、これは受けられぬ、これはだめだということで、一々その事実があるわけです、これは。ですから、大和証券さんはどうしてそのときに、社内検査が入ったのかどうかはわかりませんけれども、そういうことで、全部精査して注文を受けているわけです、一顧客として。
 それから、先ほど申されました、私は登記簿を見てというのは、それはずっと後の話でして、そのときは会社が所定の手続によって調べたということだけであります。
 それから、重ねて言いますけれども、光世証券は、そのことに対しましては、証券取引等監視委員会から十一月十日に検査がありました。それから、証券業協会も十一月二日がありました。全然、その問題は全部ごらんになりましたけれども、指摘を受けた事実はありません。
佐々木(憲)委員 そういう検査の中身のことを聞いているわけじゃないんですよ。私は、大和証券が、いろいろな問題がある、通常の取引じゃないということで中止しているのに、光世証券が続けていた、このことを聞いていたわけで、今の説明ではちょっと納得はできないんです。
 そもそもこのロイトファクスというのは、取引を商盛に見せるためにつくられたペーパーカンパニーである。先ほど示した三枚目の図を見ていただきたいんですけれども、ロイトファクスと日本電子証券の取引というのは証取法百五十九条違反の疑いがあるという、巽社長自身がそうおっしゃっているわけです。大和証券は通常の売買行為とは考えられないといって取引を中止した。なのに光世証券との取引だけが正常だというのは余りにも不自然だと私は思うんですね。
 しかも、光世証券の取引は、このロイトファクスの取引の三六・四%を占めておりまして、時期も、光世証券が終わってから日本電子証券と入れかわっていくわけで、新しく立ち上げた個別株オプション市場を商盛に見せかけるなら、市場のスタート時点というのは非常に重要でありまして、つまり、仮装売買の意図に照らすと、日本電子証券の取引よりも光世証券との取引の時期の方がより重要な時期であるということになるわけであります。
 そこで、重要なのは、この光世証券が九七年七月の株式オプション取引のスタート当時からロイトファクスと取引があった、その取引内容を社長自身が把握していたかどうかということであります。当然、取引状況、内容については、把握していたと思いますが、いかがでしょう。
巽参考人 所定の役員がおりますので、私は一切把握しておりません。それは、このたびの調査でも逐一お調べになっていると思います。
佐々木(憲)委員 ここに「投機」という、これは「新聞雑誌にみる巽悟朗と光世証券三十五年の歩み」という大変分厚い本があります。
 この中で、これは「巽悟朗と」と書いているぐらい、巽社長はオーナーとして相当強力な指導力を発揮されている会社だというのが想定されるわけですけれども、この中に、一九九五年の証券経済学会全国大会であなた自身が講演をされ、その講演の記録が載っておりまして、この中でこういうふうに言っているわけであります。
  リスク管理を行うにあたって、まず、経営者が先頭に立って、徹底的に管理することです。そして、それを会社全体で把握する。また、管理するだけでなく、そのリスクによって、どれだけの収益を計上しているのか。オーバーナイト・ポジションの変動リスクなど、デリバティブは、ありとあらゆるリスクを生み出しているが、それを的確に把握し、リスク区分までも万全にしておかなければならないのです。
「経営者が先頭に立って、」と。
 それから、
  私も年に数回、長期間に渡って海外に赴くことがありますが、必ず日々の取引内容や市場リスクの報告が直接入るシステムを確立しております。そして、どのような事態になれば、どのようにヘッジすればよいか、常に準備していますし、必要に応じて指示を出します。
  私がリスク管理にタッチし、それを部下に先導していく、
こういうふうにおっしゃっているわけでありまして、海外に行っても日々の取引内容をすべて報告させて、みずからつかむと言っているわけで、これでロイトファクスの取引は知らないというのは、これは通らないと私は思うんですね。
 四月十七日の新聞を見ますと、この問題で参考人として聴取をされたというふうに報じられていますけれども、これは事実でしょうか。
巽参考人 事実じゃありません。
 それから、先ほど申しましたように、光世証券は、社長がそんな百分の一か一%か〇・何%という商いまで、そんなものやっていたら、とにかく一日過ぎますよ。それはちゃんと係がおるわけですから、その結果問題点はない、こういうことなんですよ。
 それと、先生に申し上げますけれども、それを告発しているのは私ですよ。私が告発しているわけですよ。私は改革者として入ったわけですよ。全員、役員を、これはいかぬということで、途中で、その調査委員会もそうですが、事務局から全部手懐けられていたという連中なんですね。全部首にして改革しているわけです。なぜ、そのように執拗に私のことに迫るか。国政の場を利用して、国政を何と心得られるか、私はそれを言いたい。
小坂委員長 時間が終了しておりますので、手短にお願いします。
佐々木(憲)委員 余り興奮されないようにひとつお願いをしたいと思うんですが、一点の曇りもないとおっしゃっていますけれども、現在、金融庁の検査が続行中でして、自主規制機関である取引所のトップでありますので、トップの役割というのは、行政の調査に対して真摯に対応して、事実関係をすべて明らかにすることだと思うんです。
小坂委員長 時間が終了しておりますので、手短にお願いします。
佐々木(憲)委員 検査最中に、光世証券は無関係だというような主張を記者会見で行うというようなことは、光世証券の立場でしか振る舞っていないということでありまして、取引所の社長としてはふさわしくないなというのが私の実感でございます。
 きょうは法案の質疑でございますので、その法案の質疑に当たりまして、市場の信頼性ということについて、非常に具体的な話で恐縮でございますが、この件について質問させていただきました。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀でございます。
 本日は、それぞれ三参考人の皆様方、お忙しいところ長時間にわたりまして貴重ないろいろなお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。私で最後でございますので、いましばらく御辛抱いただきたいというふうに思います。
 では、早速、午前中も法案の質疑をさせていただいたわけですけれども、私の方からは、今回の証券取引法の一部改正案、法案に即して、それぞれの参考人の方にお伺いをさせていただきます。午前中のお役所との質疑、またこの参考人の質疑でも、証券仲介業者制度の創設、今回の法案の一つの目玉として位置づけられるんだろうと思いますが、やりとりがあったかと思います、私も聞かせていただきました。
 そこで、この点については奥本参考人に伺いたいわけですけれども、午前中の委員会質疑、政府とのやりとり、政府のお考えを聞いても、また先ほどのやりとりを聞いても、確かに、金融審が報告しておるように、実際、販売チャンネルは量的に拡大するということは、それは証券仲介業というのが新たにできれば拡大はするんでしょう。ふえればその分、拡大するんでしょう。ただ、いま一つ見えてこないのが、そもそもそうした販売の拡大等々は、やはりそれぞれの証券会社がそれぞれ創意工夫を凝らしながら、それぞれ自助努力でいろいろな販売戦略、経営戦略でやっているわけだと思うんですよ。
 それが現実に、その中で、当然、先ほど来問題になっているようなこともあるわけですけれども、例えばもう既にIT社会なわけですから、インターネットの取引も拡大普及をしている。ですから、証券会社は大都会にあっても田舎に住んでいても、利便性で地方にいる者と大都会にいる者とでそんなに格差が出ないような、そんな状況もあるわけですし、また、一人営業店舗、これは実際には二、三名いるということですけれども、母店がバックオフィス機能を持つというような、そうしたものも、それぞれ投資家のニーズに応じる、こたえ得る、自主的な努力をしてきていると思うんです。それは、私は経営努力として評価いたします。
 そこで、じゃ、今回証券仲介業制度を、これは私は午前中の質疑でも申し上げたのですが、顧客のニーズに沿った、顧客の代理人、相談人としての制度の構築ということであればわかるけれども、明らかにこれは証券会社に軸足を置いた、証券会社の代理人としての新たな証券仲介業者というものを創設するというわけですけれども、そうした証券仲介業者をこしらえなければ、今の経営努力では限界があるという証券会社の側の特段のニーズまたは要望というのがそもそも根底にあったのかなかったのか。
 結果論として、こういうのができたらお客さんの利便に資する、アクセスが容易になる、それは結果論です。要するに、現状においては、歩合の外務員も含めていらっしゃるわけですね、それでは限界があるので証券仲介業者制度というもの、金融審では証券代理店制度(仮称)となっていますが、それをつくらないことには立ち行かないという一番根本的な、本質的な理由というものはあるのか。それをちょっと伺いたいのです。
奥本参考人 御指摘のように、インターネットの普及も大変顕著でございます。事実、五割を超える商いがインターネットでできているというのが現状でございます。
 ただ、私、やはり証券市場の本当の活性化のためには、証券会社の活力が出てこないとだめだ、あるいは、顧客に対して証券会社自身がもうちょっと親切な応対ができなくちゃだめだというふうに常日ごろ思っているわけです。
 これは何かといいますと、フェース・ツー・フェース、やはり対面営業が一般的な顧客に対しては大変重要な部分だというふうに思っています。特に、新たにマーケットに参加していただくようなお客様にとりまして、証券会社のプロといいますか、そういった知識の豊富な方のいろいろな指導を仰ぐ、あるいはそういった知識を吸収するということは、証券投資にとって大変重要な部分であると思います。これは、インターネットがいかに今後普及しようとも、やはりこの部分というのは消える部分ではない。それから、これが基本的にしっかりしていないと、証券市場の本当の活性化にはならないというふうに思っております。
 先生御指摘のように、証券会社にとりまして、低コストでできるこういった仲介業というのは大変重要な部分だというふうには思っているわけですが、反面、顧客側から見ても、顧客に親切な応対ができる、顧客に対して親切な営業ができるという意味では、こういったチャネルを広げることは大変重要なのかなというふうに私は思っております。
植田委員 ごめんなさい。奥本参考人、しつこいようで申しわけないのですけれども、私が伺いたかったのは、証券仲介業者という制度が創設されることによってのメリットとか意義とかというものを伺ったわけじゃなくて、証券会社の側として、例えば、今いみじくもおっしゃったように、外務員の対面取引、そして顧客のそれぞれのニーズにそれぞれ個々の外務員が適切に対応する、やはりそれが一番基本形だろうと思うわけです。
 そうした今のあり方にもう限界が来ていて、いろいろな工夫をされている、私は評価すると言いました。そのさまざまな経営努力また販売戦略、それをそれぞれやられるのは評価すると申し上げた上で、そうしたものは既に限界点に達していて、新たに証券仲介業者制度というものをつくらなきゃならない必然性は証券会社の側にあったんですかということだけを聞いているんです。メリットの話は構わないんです、それはそれぞれの考え方があると思うので。
 その部分、もう一度、申しわけないですけれども。
奥本参考人 結論から言いますと、ございました。いろいろな形であると思います。
 例えば、証券会社にとりまして、証券会社のベテランの営業マンが定年で退職する後の活力といいますか、そういった仕事でそういったものを活用するとかいうようなことも一面のメリットだとも思いますし、また、現在のような手数料自由化の中で、低コストで運営できる拠点というのはどうしても必要な部分だというふうに思います。
 それでよろしいですか。ちょっと、まだ違いますか。
植田委員 済みません。時間がなかったので、ちょっと消化不良ですが、先に進みます。
 何回も言いますけれども、証券会社から見て、証券仲介業者制度ができることのメリットを聞いているのではなくて、要するに、歩合の外務員さんや外務員さんがいらっしゃる今の、せっかくいろいろな経営努力をしているわけだけれども、それが限界に来ていて、それにはもう限界が見えていて、新たな証券仲介業者制度というものをつくらなければならないところまで、いろいろな経営努力が限界に来ているのですかということを伺っていたわけです。要は、だから、仲介業者ができることは重要だとか、それにはこんなメリットがありますよということは、当然関係者の皆さんも入られて金融審の報告で書かれているわけですから、それを事細かに御説明を聞きたいということではなくて、そこにあったわけです。
 ただ、私の方で申し上げますけれども、実際この法案説明を金融庁さんから伺ったときに、さしてそんなニーズが証券会社の側にあるとかそういうことではなくて、言ってみれば、喫緊、当面する課題というよりは、将来のことを見越してインフラ整備をするんですというような、そんな話を金融庁さんから伺っております。
 だから、少なくともそういう説明からすれば、証券会社として、今にわかに証券仲介業制度というものを創設してもらわなきゃ我々立ち行かないんだという差し迫った問題意識はないのだろうと私は想像、推察しているわけですけれども、そこは、法案の審議に差しさわりがあるような答弁はしづらいと思いますので聞きませんが、私はそういうことを答えてほしかったということです。メリットの話は役所の方が何ぼでもおっしゃいますので。
 そこで、もう一点伺うわけですけれども、これは、株式会社証券取引所の、午前中も伺ったんですけれども、改正の百三条にかかわる部分です。
 これについては、本来的には、法案をつくったのは金融庁ですから政府にただすべきものだとは思いますが、東証さん、大証さんのそれぞれ社長さんにお伺いするわけですが、それぞれのしかるべき方が金融審の第一部会、そしてまたワーキンググループに当然メンバーとして入っておられますので、少なくとも東証なり大証なりの役員の名においてチームに加わっておりますので、この法案自体の政策決定過程に直接関与されたというお立場でお答えいただければと思うわけです。
 私は、非常にひっかかっておるのが、例えば、今申し上げました証券仲介業者の制度についても、要するに、そういうツールをふやして選択肢は広がるでしょうが、その分、顧客にとってみれば選択肢の幅が広がるとかという問題よりは、この間話題に上っております、少なくとも根源的には、いわば証券市場また証券会社等に対する信頼の回復というところが新たな個人投資家をもっと市場に受け入れる第一義だろうと思うわけです。
 にもかかわらず、例えばこの百三条というのは、二〇〇〇年の証券取引法改正に当たって、その当時、証券取引所の株式会社化をやる、その際に、株式会社にしても、公正、中立そして信頼をしっかり担保するために、議決権の百分の五を超える株を何人も所有してはなりませんよということになっていたわけです。これが基本原則です。それが、わずか三年を経て、百分の五が百分の五十を持ってはいけませんという原則の規定になった。
 ここは、二〇%の株主は主要株主にして、それは届け出ることになっていますから、それで大丈夫ですといっても、それでも五%と二〇%の差です。
 そこで、ずばり各参考人にお伺いをいたしますけれども、それぞれ証券会社としての立場、また証券取引所の立場として伺いますけれども、この百分の五のルールというものがあったことが何か、それぞれ株主の立場からも、また実際の株式会社、証券取引所の立場からも不都合な点がおありであったんでしょうか。お三方、それぞれお願いいたします。
土田参考人 現行法が証券取引所に五%を上限とする株式保有制限を課しておるというのは、その当時の御議論の結果、証券取引所の経営が特定少数者にゆだねられるおそれがある、これを封ずるため、それへの対応策として設けられたものであるというふうに了解をしております。
 私ども東京証券取引所は、株式会社に組織変更をしたばかりでございまして、原則として従来の会員に一会員当たり平等の株数を分けておりますので、株主は百名ちょっとでございますが、現在のところ、その五%云々に抵触するしないというような問題を生じたことはございません。この五%というチェックポイントは、ただいまお尋ねにもございましたが、届け出事項として残るわけでございます。
 ところで、それとは別の観点から、国際的な市場間競争が激化するときに、将来的に海外取引所との資本提携や合弁事業がしやすい環境を整備するというのが今度の法律案のねらいではないかと私どもは了解しておるわけでございまして、一例を申しますと、ドイツ取引所、株式会社でございますが、これはその下にスイス取引所と合弁の五〇対五〇でユーレックス・チューリッヒという会社を持っております。このユーレックス・チューリッヒは、それ自体が持ち株会社でございます。それで、その下にユーレックス・フランクフルトという先物取引所と、それからユーロピアン・エナジー・エクスチェンジという、これは他との合同保有ですが、そういう持ち合いの関係でそういう取引所もぶら下げておる。こういう重層的な関係というものは、今後、アジア、それから東京証券取引所の将来を考えるに当たっても、このようなものについての制約を取り除いておくということは非常に意味のあることではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
巽参考人 私は、この持ち株比率規制が緩和されたことは、市場チェック機能が非常にきくということと、連携を可能にするというような点で非常に有効じゃないかというふうに思いますし、海外では、五%というのは何だというような質問をよく受けるわけでありますけれども、株式総数二〇%以上の株主は内閣総理大臣の認可が必要であるとか、それから原則として五〇%以上の株は持てない、こういうチェックで、取引所の公正性とか中立性というような問題が発生することはないというふうに考えています。
奥本参考人 取引所の株主シェアにつきまして、特別、協会として申し上げる立場ではございませんが、それぞれの取引所間の資本提携を円滑にするためには、この改正は適宜なものだというふうに思っております。
植田委員 今それぞれ各参考人にお伺いしたのは、私自身はこの百三条の改正というのは当然納得ができていないわけですけれども、先ほど申し上げましたように、実際に商いをしてはる側からの本音を聞かせていただければいいと。だから、法律の専門家というよりは、実際に現場にいる者としては、今のお話を一通り伺っていますと、証券市場もグローバルスタンダードの中で、やはりそれにたえ得る、使い勝手のいい証券取引法であればありがたい、当座は五%であっても不都合があるというわけではないけれども、将来を見越したときに、今こうして改正してもらえるのは渡りに船の話です、そういうことだろうと思います。
 これが議事録に残りますんで、金曜日、政府とやりとりするわけですが、政府がこれは同じような説明をしたらあかんということで、それは現場の商いをしてはる人の声をそのまま敷衍するような話を午前中局長がやったものだから、それじゃあきませんよという一つの証拠品として今ちょっとそれぞれお手を煩わせたということでございます。
 それで、時間がありませんので、あと一問だけ、これもお三方に端的にお伺いして、終わりたいんですけれども。
 現実に、適正な投資の勧誘であるとか公正取引等の確保といったら、だれしもそんな否定はしない。大前提だと言えば、はい、そのとおりですという話ですが、実際には、犯則事件や検査結果の勧告事案、また勧告に至らへんでも法令違反の事件等々は、年に一回、二回、そんなものじゃないわけですね。佐々木先生が出された資料を見ても明らかなように、毎月のように起こっているわけです。
 その中で、実際この間、証券市場の規制緩和はしてきている。これは証券業の側からすればありがたい話でしょうけれども、その一方で、ルール遵守の監視体制というものがどれだけ拡充されてきたかというと、現状、証券取引等監視委員会があるわけですけれども、本当に公正で透明な、健全な証券市場を構築するためには、この委員会も充実、拡充していかなければならない。私自身、これはほかの各党の方にも同様のお考えがあるかもしれませんけれども、海外のルールに倣うんであれば、例えばアメリカの体制に倣って日本版SECのような、そういうものを設立するということをやはり将来的に展望すべきじゃないかと思うんです。というのは、金融庁から独立したそうした監視機関というものがあってしかるべきだろうと思うわけです。
 これは、東証、大証、証券業界それぞれのお立場でどうだろうかということで、端的にお答えいただければと思います。それをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
奥本参考人 御指摘のように、トータルとして証券市場全体を見る組織というのは、私どもとしても歓迎するものでございます。今般の組織改正で、金融庁の中に証券市場行政総括官という制度ができました。これは実は、新しくできた横断的に証券行政を見る組織でございますが、私ども、期待以上にいろいろ利用させていただいているというのが実態でございます。
 SECをどうすべきかということは、これからいろいろな議論を積み重ねていく必要があるというふうに思います。
土田参考人 市場の公正性、信頼性を高めていくために市場の監視機能を高い水準に維持する必要がある、まことに申すまでもないことでございまして、そのために、一つはこの証券取引等監視委員会のような行政当局の活動、それからもう一つは、実は私ども証券取引所が持っておりますところの自主規制機能というのがございまして、これは効率的なコストで実効的かつ適切な規制がある、それから現場に近いものですから迅速な対応ができる。何よりも、摘発型ではなくて、未然防止ができるという点で非常にすぐれた機能を持っておると思います。
 両々相まってということでございますが、端的に、このSECの問題については私はよく存じません。存じませんけれども、多少かねてから感じているところを率直に申しますと、よくアメリカの例が引き合いに出されるわけでございますが、アメリカでは、これは課税問題でもそうですけれども、挙証責任が日本の場合には当局側にございます。ところが、アメリカは、どちらかというと当局の調査する相手、調査対象者の方に挙証責任があるという取り扱いになっていることがあるようでございます。
 それからさらに、日本の場合は、実定法のルールがございまして、それに当たるか当たらないかという解釈論でございますが、アメリカの場合は、どちらかというと判例によって、割合チャレンジングな訴訟を提起して、判例の積み重ねによって当局の行動範囲を広げていくという、そういうやり方がアメリカの場合にはとりやすいように思えます。
 さらに、部分的な司法警察権みたいなものをアメリカのSECの職員が持っているように聞いたこともございますので、これは、実は単なる組織とか人員の問題だけではない、もう少し国情の違いみたいなものを考えないといかぬのではないかというふうに感じたことはございます。
 ただ、いずれにしましても、この点についてはなお皆様方で御検討なさるべき問題であろうと思います。
巽参考人 私は、お二方が申し上げたのに加えて、やはり人間の意識改革を徹底的にやらなきゃいかぬというのが証券界の現状だと思います。
 今から四、五年前でしたか、私も証券改革委員会というのをつくりまして、そういう案をどんどん出しましたけれども、それをやっていたら今こうなっていないというようなこともたくさんあるわけです。起こる原因になるのが、そんなかたいこと言うたら商売にならぬでという伝統の精神があるわけですけれども、私たち、私も若くて新世代ですから、そういうことはもう一切だめだと。それで、先ほども嫌みを大分言われましたけれども、先頭を切ってそれをやっております。
 これを言うと、会社の話や何や言われますけれども、私は、一回もそんな処分を受けたことないです。ああいう総会屋事件なんかでも、全部、うちの株を持っていると、断固として排除する。やはりトップがそういうあれをやらないかぬ。そして社員全部やらな。今度の取引所の検査においても、私は、職員に全部申し上げていることは、紙一枚隠すなということであります。
植田委員 どうもありがとうございました。終わります。
小坂委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位に申し上げます。
 御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
 次回は、来る九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十一分散会


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