衆議院

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第22号 平成15年6月11日(水曜日)

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平成十五年六月十一日(水曜日)
    午前九時五十分開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 砂田 圭佑君 理事 林田  彪君
   理事 生方 幸夫君 理事 松本 剛明君
   理事 上田  勇君 理事 中塚 一宏君
      上川 陽子君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    坂本 剛二君
      田中 和徳君    竹下  亘君
      竹本 直一君    中村正三郎君
      永岡 洋治君    萩山 教嚴君
      林 省之介君    増原 義剛君
      山本 明彦君    山本 幸三君
      五十嵐文彦君    井上 和雄君
      上田 清司君    小泉 俊明君
      佐藤 観樹君    仙谷 由人君
      中津川博郷君    永田 寿康君
      平岡 秀夫君    石井 啓一君
      遠藤 和良君    東  祥三君
      佐々木憲昭君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    植田 至紀君
      江崎洋一郎君
    …………………………………
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    大武健一郎君
   参考人
   (株式会社りそな銀行前頭
   取)           勝田 泰久君
   参考人
   (新日本監査法人理事長) 竹山 健二君
   参考人
   (朝日監査法人理事長)  岩本  繁君
   参考人
   (全国銀行協会会長)   三木 繁光君
   参考人
   (株式会社整理回収機構代
   表取締役社長)      鬼追 明夫君
   参考人
   (日本銀行理事)     三谷 隆博君
   参考人
   (預金保険機構理事長)  松田  昇君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十一日
 辞任         補欠選任
  達増 拓也君     東  祥三君
同日
 辞任         補欠選任
  東  祥三君     達増 拓也君
    ―――――――――――――
六月十一日
 消費税率の引き上げ反対に関する請願(中林よし子君紹介)(第三五五〇号)
 同(松本善明君紹介)(第三五五一号)
 消費税の増税反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第三六五五号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三六五六号)
 同(藤村修君紹介)(第三六五七号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三六五八号)
 消費税率引き上げ反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三六五九号)
 島民の生活安定と産業の振興のために離島における揮発油税の軽減に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第三六六〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 金融に関する件


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。
 本日は、参考人として、株式会社りそな銀行前頭取勝田泰久君、新日本監査法人理事長竹山健二君、朝日監査法人理事長岩本繁君、全国銀行協会会長三木繁光君、株式会社整理回収機構代表取締役社長鬼追明夫君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の進め方といたしましては、初めに委員会を代表いたしまして委員長から総括的に質疑を行い、次いで委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、まず、委員長から質疑を行います。
 勝田参考人にお伺いいたします。
 公的資金導入に至るまでのりそな銀行の経営状況について御説明をお願いいたします。
勝田参考人 りそな銀行の前頭取の勝田泰久でございます。
 委員長の御質問にお答えする前に、一言だけおわびを申し述べさせていただきます。
 りそな銀行がこのような事態になり至ったことにつきまして、国民の皆様、お取引先の皆様、株主の皆様を初めとする関係者の方々に大変な御迷惑と御心配をおかけし、加えて多額の公的資金の注入をいただくことにつきまして、経営の責任を負う者として、深くおわび申し上げます。まことに申しわけございません。
 それでは、りそな銀行の経営の状態について御説明申し上げます。
 りそな銀行は、この三月一日に旧大和銀行と旧あさひ銀行の合併、分割により、埼玉りそな銀行とともに発足をいたしました。私どもは、地域に根差した中小企業と個人のお客様とのお取引が主体の銀行として新たなスタートを切り、りそな銀行の預金、貸出金につきましても順調な滑り出しをいたしておりました。
 しかし、十五年三月期決算において、りそな銀行は、業務純益一千二十八億円を計上したものの、不良債権処理、保有有価証券の含み損の処理、繰り延べ税金資産の取り崩しなどにより、当期純損失五千八百六億円、自己資本比率二・〇七%と国内基準行の自己資本比率規制を下回ることになりました。この結果、持ち株会社のりそなホールディングスにおいても、当期純損失八千三百七十六億円、自己資本比率が三・七八%となり、まことに遺憾ではございますが、公的資金にかかわる優先株式等の配当も見送ることとなりました。
 このような事態に当たり、みずからが金融システムの不安定要因になってはならないとの総合判断から、預金保険法百二条第一項第一号に基づく公的資金の注入をお願いさせていただいたわけでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。
小坂委員長 どうもありがとうございました。
 次に、竹山参考人及び岩本参考人にお伺いいたします。
 監査法人から見たりそな銀行の経営状態について御説明をお願いいたします。
竹山参考人 新日本監査法人理事長の竹山健二でございます。
 もともと我々監査法人の職務は、企業が公表なさいます財務諸表につきまして監査を実施させていただいて、その結果、適正であれば適正というふうに御報告申し上げる職務でございまして、りそな銀行さんの財務状況等につきまして、今の委員長の御質問に対しての答えですが、監査の中におきまして、特に今回の場合は繰り延べ税金資産というものの回収性という、この点におきましては、りそな銀行さんが基本的に、回収でき得る業務純益等を持っておられる。
 そういう意味では、将来性のものにつきまして、我々新日本監査法人としては、それだけの体力を持っておられる銀行であったというような、その点におきましては申し上げられますが、あとは、一般の方が我々が監査証明いたしました財務諸表に基づいて経営状態を御判断いただければ、そういうふうに思っております。
 以上、御回答申し上げたいと思います。
岩本参考人 朝日監査法人の岩本でございます。
 私ども朝日監査法人は、りそな銀行の、三月一日からスタートした銀行でございますが、株主総会で新日本監査法人と追加選任されて、共同監査人という株主総会の決議がございましたけれども、受嘱に当たって検討して、最終的に会計監査の職務についておりません。
 そういうことで、りそな銀行の財務内容についてコメントをする立場ではないと思われますので、お答えを保留させていただきたいというふうに考えております。
小坂委員長 どうもありがとうございました。
 以上をもちまして委員長からの質疑を終わります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。
山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。
 きょうは、りそな銀行関係の皆さん方に参考人でおいでいただきまして、ありがとうございます。
 私も日本銀行以外に質問するのは珍しいものですから、きょうは少しリズムが違うかもしれませんけれども、御質問申し上げたいと思います。勝田参考人と竹山参考人と岩本参考人にお伺いいたしますので、ほかのお二人は、申しわけありませんけれども、質問ないと思います。
 まず、勝田参考人にお伺いいたしますけれども、要するに、二兆円近くの公的資金を注入するに至ったというのは大変なことなんですね。それについて、経営者として、なぜこんなことになったのかということをしっかりと説明してもらわないと困る。
 今回の決算で、監査法人が繰り延べ税金資産を満額認めないということがあるということは全然予想しなかったのですか。
勝田参考人 お答えいたします。
 これまでに一兆一千六百八十億円の公的資金の注入を受けながら、このような事態を招いたことに責任を痛感いたしております。
 また、経営健全化計画に基づき収益力を高め、公的資金をお返ししなければならない立場にありながら、不良債権処理あるいは有価証券の含み損の拡大、収益力の低下を招き、三たび多額の公的資金をお願いすることになり、経営として十分対処できなかった責任を深く反省いたしております。
 御質問のありましたように、繰り延べ税金資産について、厳しい監査人の見解が出ることを予想しなかったのかということでございますが、昨年の金融再生プログラム、また二月に出状されました公認会計士協会長通牒等により、厳格な解釈が加わるということは予測をしており、また、三月に増資を行った際も、それに対応できるだけの増資をしたつもりでございますけれども、正直申し上げて、私どもは、将来の収益の見通しについて厳しい解釈がある、そういった点での今期の収益計画を厳しく見積もっておったわけでございますけれども、このような大きな減額を伴うということについては、恥ずかしながら予測をいたしておりませんでした。
 以上、お答え申し上げます。
山本(幸)委員 ということは、あなたは無能な経営者ということじゃないですか。増資を三月、やったんでしょう、一千二百億円。こんなふうな繰り延べ税金資産で厳しく見られるということが当然予想されたわけですよ、去年の、公認会計士協会から指針が出ているわけですから。それを予想もできなくて、増資額、そんなことを予想したら増資をふやせばいいんですよ。あなた、無能な経営者と認めるんですか。
勝田参考人 今委員から無能な経営者とおしかりを受けましたけれども、少なくとも、増資を決めるときにも、当然、監査人との間で三月の自己資本の状況等を予測しながら組み立てるわけでございまして、そのときは、株価の低下、あるいはさらなる不良債権の処理の加速、今回、DCF法等の引き当ての増強もございましたので、そういったものを予測いたしたわけでございますけれども、全体としては六%強の自己資本が確保できるという予測に基づいて増資も決め、決算を迎えたわけでございます。
 以上でございます。
山本(幸)委員 そうなると、今度は監査法人との関係が問題になるんですね。そもそも、おたくの銀行と新日本さんとの関係というのは、大体どういう関係だったんですか。増資のときも当然相談したと今おっしゃられましたね。通常の毎年の決算はこれまで認められてきたし、そして中間決算だってやったわけでしょう。増資のときも相談しているわけでしょう。
 大体、しょっちゅう相談しているんですよ。もともと新日本とおたくの関係はそんな浅い関係じゃないですよ。平成七年の大和銀行事件が起こったときだって、本来変わるべきときにそれでずっと維持されているんだから、よっぽど深い関係があるんですよ。癒着していると言えるかもしれぬ。そういう関係じゃないんですか。
勝田参考人 今先生から癒着の関係にあるというような御指摘がございましたけれども、ニューヨークの事件のときは、やはり現地におけるそういった監査法人の監査の限界を超えているというような判断をいたしまして、引き続き監査の継続をお願いしたわけでございまして、監査法人としての独立性が保たれ、私たちとの関係も、そういった意味ではきちっとした依頼者と監査人との関係というものは保たれていたと私は信じております。
 以上でございます。
山本(幸)委員 あなた、さっき増資のときには監査法人と相談して、そのときには自己資本比率は六%強維持できると判断したと言ったじゃないですか。それは監査法人と相談してそういう見込みをつくったんでしょう。そうじゃないんですか。
勝田参考人 特に今般の増資に当たりましては、金融再生プログラム、あるいはまた公認会計士会長の通牒等が背景にございましたので、増資に当たっても慎重な意見を求めて、特にそれについて意見書等を徴しているわけではございませんけれども、少なくともこの増資が三月末において自己資本が増加するという認識は監査法人も我々も持っておりましたので、そういった理解の中で進めさせていただきました。
 以上でございます。
山本(幸)委員 それじゃ、新日本監査法人さんに聞きますが、銀行と話し合って、そういうことを三月の増資のときには言っていたんですね。
竹山参考人 お答えします。
 まず、ちょっと誤解があったらいけませんので、私ども監査法人の中の組織の問題をちょっと申し上げたいんですが、私は理事長で代表的な立場にありますが、監査法人はもともと、それぞれの企業と関与社員、監査をする人間、その人間が最終的には責任を負って、個人として、監査法人の社員として監査証明する、そういうシステムになっております。
 もう一方で、当然ながら、その個々の関与社員の意見を審査する審査会というのは別に設けておりまして、いろいろなチェックポイントでそれぞれ関与社員が判断することについて間違っていないようにきちっとしたコントロールをする、そういうコーポレートガバナンスに似たものをやっております。
 したがって、私今お答えしますが、基本的には、理事長ですが、本件につきましては、その結果につきまして説明を受けておりますが、個々のことにつきましてはわかりませんが、基本的に、監査法人は、職務自体はそれぞれ発表される決算年度の監査証明を行うという業務でございまして、それ以外、証明しているようなことにつきましては、基本的にはそれぞれの立場でやっている、こういうことですから、今の御質問に対しては、特に問題ないんじゃないかと思っております。
山本(幸)委員 あなた、国会を侮辱するつもりですか。国会の権威をないがしろにして、何も答えられないなら、そんなことなら証人喚問だってやりますよ。そうしたら答えないことなんかできないんだよ。
 あなた、そんなことも調べてきてないんですか。三月の増資のときに相談を受けて、ちゃんと六%ぐらいできるということを監査法人も了解したんじゃないんですか。勝田さんはそう言っているじゃないですか。組織の話なんて、そんなものは要らないんだよ。そういうことをちゃんとやったのかどうか、そんなことも調べてきてないんですか。国会を侮辱するつもりですか。
竹山参考人 私が申し上げていますのは、誤解がないように、要するに、我々、こういう立場で、監査ということを御説明する機会が余りございません。したがいまして、皆様方が我々の監査をしている中身ということにつきまして余り御理解なく、いわゆる我々の基本的な職責ということを御理解なく、何か起こったようなことをおっしゃっている。
 例えば、今の増資等の問題でございますが、例えば目論見書を発行するとか、そしてそこに監査証明をつけるとか、そういう立場であれば我々は意見を申し上げられますが、それ以外のことにつきまして監査人が申し上げるということは、経営に介入するということになってしまいます。したがって、監査人は、それぞれなさっていることにつきまして、そういう経営に介入するようなことはできません。基本的には、なさることについて我々が法律で定められている職務を全うしていく、そういうことでございますから、言い逃れしているわけでもございませんし、誤解のないようにお聞き願いたいと思います。
山本(幸)委員 余りに国会をばかにしているとしか思えない。二兆円という国費が入っているんですよ、国民の税金が、あなた方の判断で。この繰り延べ税金資産を五月に変えるということがなければ、それは起こらなかった。だけれども、その前提は、三月の増資のときなんか、ちゃんとできるというふうにあなたのところが言ったんだよ。だから、無能か無策か知らぬが、勝田さんはもう大丈夫と思ってやってきたわけだ。そうしたら突然変えることになったわけでしょう。その変えたことによって二兆円の国税が投入されているんだ。それを、経営に介入するから何も言えませんなどと、そんなことが通ると思っているんですか、あなたは。
 委員長、次、証人喚問と、その担当者、要求しますよ、私は。
 もう一回、どうだったんだ、その三月のときにはできると言ったんですか、言わないんですか。
小坂委員長 竹山参考人、答弁できますか。
竹山参考人 何度も申していますように、それぞれ増資等をなさるものにつきまして、私たちが監査証明するとか、時期というのは基本的には三月末の決算でございますし、その増資等が、我々が意見表明でないもので行えるものをもし今おっしゃったようなことでするとしますと、いろいろな形で公認会計士が事後のチェックをする職務じゃなくて、それぞれ将来を予測して、いろいろなことを予測してそれぞれ行動を起こしていく、こういうことがもし起これば、どんなことになるでしょうか。
 今、このことに、私は、二兆円を投入されたということで、監査法人としては本当に真剣に対応しております。ですが、そのことの中において、そういう個々のことをおっしゃって、公認会計士のもともとの職責のことを超えたことをもし要求なさるような発言をなさった場合に、いろいろな形で日本の国の経営に、本当の意味で、公認会計士が、今後こんなことを動かしちゃいけない、どうだこうだとか、いろいろなことをしなきゃいけない、そういうことではないと私は言っているんです。
 公認会計士の職務というのは、基本的に、それぞれになさる財務諸表と監査証明というものに対して、適正意見かどうかということを発表申し上げるということにつきまして申し上げています。
山本(幸)委員 形式的に、財務諸表が出てから、見て何か言うだけだと言っていますが、そんなことじゃないというのはみんなわかっているんですよ。それは、増資のときには当然そういう相談をしているはずなんだよ。していなければ、監査法人として経営実態なんてわからないでしょう。
 しかも、「りそな」とあなたのところの関係は、そんな、財務諸表が出てきて、もうそれしか見ませんというような関係じゃないというのは、みんな知っているんですよ。それで、三月のときに勝田さんは相談して、そのときには六%強できるというふうに言ってもらったので、増資の規模はこれだけにしましたよと言っているじゃないですか。それをあくまでも認めないんですか、認めるんですか、どっちかを聞いているんですよ。そんな一々組織の説明なんか要らないんだ。
竹山参考人 先ほど申しましたように、私自体は本当に知りません。基本的に、理事長で、本件の三月末の監査のことにつきましては、相当大きな問題でございますから、先ほどの組織で、審査会でやっていますが、こういうことになりますというのは聞いておりますが、それぞれ、それ以外の場所で、監査証明が出される前の場所で起こっていることを本当に私は現実知っておりませんし、そういうことを申し上げています。もしそういうことをおっしゃるとしても、私が申し上げていることは、本当の意味でよくお考え願いたいと、こういう場で申し上げますけれども、ということで、事実関係は、私、立場上、そういうことでは知っておりません。
山本(幸)委員 知らないでこんな国会に出てくるなんて何事ですか。ちゃんと調べてくるのが当然でしょうが。自分のところの社員じゃないですか。何を考えているんですか。では、だれが知っているんですか、だれが。
竹山参考人 済みません、私の答弁の仕方があれなのでちょっと誤解を招いているようですが、基本的に、その二兆円とかのことにつきましては非常に大きな問題と思っておりますし、その御質問の件、その点につきましては、基本的には、私は、そのような状況で関与社員が行ったかどうかということにつきましては、多分関与社員の方も私と同じような答弁をするんじゃないかというふうに思います。
山本(幸)委員 勝田さんにもう一度お伺いしますが、先ほど、増資のときには監査法人とも相談して、六%ぐらい確保できると言ったということは、再確認できますね。
勝田参考人 先ほどもちょっと御説明をさせていただきましたが、今般のファイナンスは特に非常に微妙な問題を含んでいるという認識で、また金融庁監督局長からも、その増資のあり方、債務者に強圧的な地位を利用して集めてはいけないとか、いろいろな特別な御注意を受けた上での増資でございました。
 しかし、先ほど申し上げましたように、監査法人の承認を得なくてはならないといったような仕組みにはなっておりませんでしたけれども、少なくとも、ファイナンスを行う企画部長、財務部長等は、監査人に対して、これで私たちは増資を考えております、そして、大体六%から六%半ばを目指しておりますと。そのときに、例えば繰り延べ税金資産を厳しく見ます、取り崩しますというような話があれば、逆に私たちはファイナンスを考え直すというような状況でございましたので、そういった意味での、御説明をして御理解をいただいたという意味で申し上げたわけでございます。
 以上、お答え申し上げます。
山本(幸)委員 そうすると、その三月の段階、増資の段階で相談を受けた社員の方の話を聞かないとわからないですね。理事長は全然そんなことを知らないと無責任なことを言っているんですから。では、それはいずれ参考人ないし証人喚問を要求します。
 それから、朝日監査法人の岩本さんに聞きますが、辞退された。辞退されたときに、審査会を開いて「りそな」は債務超過銀行であるというように判断した。そういうふうに判断した根拠は何ですか。
岩本参考人 先ほども御説明いたしましたように、私ども株主総会では追加選任を受けていただいておりますけれども、実際に監査を受嘱するしないは社内のルールがございまして、内容を検討させていただいて最終的に御返事を申し上げるという段階で、予備調査をさせていただきました。
 私どもデータをいただいたのは、四月十六日の段階の、それもまだ銀行は確定決算ができていない仮の数値の段階の数字、それと後々の利益計画ですとか繰り延べ税金の考え方ですとか、まだ銀行の決算が固まる前の段階で、こういう感触で決算を組みたいというお話がございました。
 それについて、予備調査の資料の範囲で我々は検討させていただいて、当法人で考えている繰り延べ税金の考え方と大分大きな隔たりがあるので、その辺御説明を申し上げたんですけれども、なかなか銀行の考え方と歩み寄りというんですか、どうも整合ができない部分が、ちょっと差が大きくございまして、最終的に、銀行側も納得していただき、それから共同監査人である新日本さんも、私どもが監査をおりた場合、単独で後々監査を間違いなくやっていただくということを確認いたしましたので、四月三十日に、銀行それから新日本監査法人、私ども、三者合意の上で、受嘱しないという結論で御連絡をいたしました。
山本(幸)委員 ちょっと時間がないので詰め切れないので、これはいずれほかの方にもお願いしたいと思いますが、最後に竹山参考人、こういう……
小坂委員長 時間が終了しております。
山本(幸)委員 非常に不透明なことが監査人として起こっているんですよ。大体これだけの事件が起こったり、更生法になったり民事再生法になったりするときは、監査法人は辞退して全く新しい目で見直さないと、どれだけの癒着があったかというのはわからないんだ。そういう意味では、辞退される気持ちはありますか。
竹山参考人 お答えします。
 今回は、繰り延べ税金資産の計上という本当のごく会計の部分が、基本的には、銀行の場合は自己資本の比率の規制という問題に係るということで、大きな問題になるということで、監査法人挙げて慎重に対応させていただきました。
 基本的には、銀行との癒着とよくおっしゃられますが、監査人は、今現在の厳しい経済環境におきまして、私たちの職責を果たすということで、本当に真剣に必死に取り組んでおります。したがって、出した答えということにつきましては確信を持っておりますし、いろいろな御意見がございますが、監査法人としては、銀行との癒着とかそういう問題じゃなくて、独立した会計士としての職責を全うするということに、当然審査会等も入れて検討した結果でございまして、お答えに関しましては、我々はりそな銀行の再建のためにぜひお力を尽くしてやっていきたい、こう思っております。
小坂委員長 終了しております。
山本(幸)委員 全く納得できません。これはきちっと真相を明らかにして、そしてちゃんと辞退してもらってきちっとやらないと、私は、本当の意味で日本の金融の再生はできないと思います。
 以上で終わります。
小坂委員長 次に、佐藤観樹君。
佐藤(観)委員 参考人の皆さん方には、お忙しい中、まことに御苦労さまでございます。大変重要な問題でございますので、また限られた時間ですので、端的にお伺いをしたいと思います。
 それで、勝田参考人の陳述の中で一兆九千六百億円のお話がございましたが、実は、勝田さんには責任がないのかもしれないけれども、平成十年三月及び平成十一年三月、いわばあさひと大和が合併する前に、合計八千六百八十億円の公的資金が入っているわけです。それに、三度目の正直と言っていいのかどうかわかりませんが、今度の一兆九千六百億円が入るわけですから、この事の重大さを国民の一人としてまず認識をしていただきたいわけであります。
 この委員会でも問題になりましたけれども、この八千六百八十億も、これから本当に順調にいけばいいけれども、だめだった場合には、またこれは紙くずになってしまう可能性があるわけですから、当委員会としても非常に関心を持っているところでございます。
 そして、このあさひと大和の九月期決算というのは、単体で言うと、大和が七・五、あさひが八・〇という数字が金融庁の方から、あるいはこのもとはおたくからだと思いますけれども、出ているわけで、いわば合格ラインになっているわけであります。
 私は、非常に不思議に思うのは、これから申し上げますけれども、あなたも執行中の話でありましたから覚えていらっしゃると思いますが、こういう自己資本比率を持ちながら、三月一日に合併して「りそな」が発足する。そして、三月十一日に、今問題になった増資が一千二百億円行われたということであります。そして、その後、総理を入れた緊急会議で公的資本の注入というのが五月十七日でありますが、実は、岩本理事長からもお話がありましたように、朝日監査法人がおりることを決定したのが四月二十二日でございます。そのときには既に中身は大方見ているわけですね。
 つまり、何が言いたいのかというと、三月一日に合併して、増資をして、実際には、朝日さんがおりるときでもいいし、我々のこの委員会では、連休中に皆さん方が大変走り回っていたという話を聞いているわけですから、三月、四月末、つまり、合併して二カ月もたたないうちにこういう問題が起こっているということが不思議でならない。どうして、九月には大和で七・五、あさひで八・〇あったものがいわば公的資金を導入しなきゃいかぬというようなことになる、それが二・〇七というところまで資本が毀損をする、これは何だろうというのを私は非常に不思議に思っているんです。ここは、どこかの数字が違っているのか、どこかのことで何かがあるのかというふうに考えざるを得ないのであります。
 それで、りそなホールディングスの方の社長が、ホームページに入っておりますけれども、公的資金を入れざるを得なくなったのは、三月期決算において財務体質の健全化を大きく進めるために、オフバランスをしたことやら、あるいは株式等の含み損の抜本処理なり、それから繰り越し税金資金の取り崩し等、多額の損失を計上し、こうあるわけですね。
 このホールディングスの川田社長のお話を聞いていると、銀行の財務の健全化のために繰り税を入れ、あるいは株式等の含み損も処理をし、オフバランス化もした、財務体質をよくするはずなのに、財務体質をよくし過ぎちゃったのかどうかわからぬけれども、結局自己資本が二・〇七まで下がっちゃった、こういう理屈になるわけですね。
 どうもこれは、私たち扱っている者としては何ともよくわからない。わずか二カ月たつかたたないうちに、発足した「りそな」が資本不足だというんだから、どこかがこれはおかしい。今はまだ私は完全に調べ切れておりませんけれども、これは何が起こったんですか。
 繰り延べ税金資産の問題は後で二監査法人に一般論としてお伺いしますけれども、今の状態では何か、朝日監査法人が繰り税を認めなかったから「りそな」は公的資金を導入せざるを得なかったというふうに大体一般はとっているわけですが、そのことはまた後でお伺いするにいたしまして、発足してあなた、二カ月ちょっとで急激に公的資金を導入せざるを得ないような情勢になっちゃったというのは一体どういうことなのか、教えてもらいたいんです。
小坂委員長 佐藤君、答弁者を指定してください。(佐藤(観)委員「勝田参考人に」と呼ぶ)
 勝田参考人。
勝田参考人 今先生の御指摘の自己資本の問題についてお答えをさせていただきます。
 もともと旧大和銀行は、一九八五年、ニューヨークで多大のロスを発生いたしまして、それ以降、国内銀行として生きていこうという方針を立てまして、海外における銀行業務から撤退をいたしまして、これがBISの自己資本比率規制では国内基準ということになりました。これはもう御案内のとおりであります。
 一緒になりましたあさひ銀行も同様の方針をとりまして、少なくとも国内基準行である四%が最低の基準ということでやっていました。もちろん、四大メガバンクに次ぐ五番目の金融グループになっておりましたので、やはり目標は八%ぐらいはなければいけないというのが一つの考え方でやってまいりました。
 御案内のとおり、今御指摘のとおり、九月ではそこそこ高い水準であった。三月の増資を臨んでの自己資本比率そのものも六%台半ばということを公表させていただいて、増資に入ったわけでございます。
 自己資本が大きく低下したのは、今お話がありましたが、やはり繰り延べ税金資産の厳格化、これで二・六%強落ちたというふうに私は試算をいたしております。それから、不良債権処理と株式関係損益の悪化ということでございます。三月十一日の修正でございますので、使っている数字は二月の平均株式でございましたので、三月はさらに落ちたということで、これで〇・四%程度の影響を受けた。
 それから、やはり特別検査、あるいはDCF法が採用されるということで、予測していた数字よりもさらに膨らんで、これで〇・四%程度落ちた。それから、リスクアセットのコントロールが、多少我々のコントロールがきかなくて、三月は中小企業貸し出しが予定以上に伸びまして、これで〇・三%低下した。あと細かい要因が〇・三ございまして、これで六%台半ばから一挙に二・〇七%まで低下したということでございます。
 十三年の三月期から十五年の三月期にかけまして、りそな銀行、当時の大和銀行、あさひ銀行でございますが、これは今度の健全化計画にも出ているところでございますが、与信費用が約一兆八千億、これは全部引き当てたわけであります。その間の実勢業務純益が三年間で八千五百億円。だから、こういったところから資産を傷め、また資本を低くしてきたという一つの数字になろうかと思います。
 ちょっと答弁が長くなりましたけれども、御理解をいただきたいと思います。
佐藤(観)委員 繰り延べ税金資産について厳しく見なさいというのは、昨年の十月三十日に、いいか悪いかは別にいたしまして、竹中金融財政担当大臣が各主要行に、あるいは関係監査法人の方にも指示をしておることは、当然のことながらトップでありますから御存じだと思うので、そういうことを予想して合併をして、三カ月満たずで公的資金を注入しなきゃいかぬ状況というのは、ちょっと一般的にわからない、三年たってみたらというのならまだわかるけれども。
 そこで、繰り延べ税金資産の問題について、ちょうど、勝田参考人以下皆さん御存じないかと思いますが、この委員会で、生命保険の法案の前に公認会計士法の改正の問題をやったんです。ですから、公認会計士の問題というのは、非常に我々にとりましてはビビッドな問題でございまして、私も長いことやってきましたが、非常に困ったのは、問題になっております繰り税について、日本で四つメガ監査法人がある中の二つの見解が違っているということであります。
 それで、公認会計士協会が平成十一年にいわば指針をつくっていることは先ほどどなたかからお話があって、簡単に言えば、五分類あって、新日本監査法人さんはこれの四部分をとられたのかな、我々が読むところ。そして、朝日さんの方は、過去五年連続して「重要な税務上の欠損金を計上している会社」ということで「債務超過の状況にある会社や資本の欠損の状況が長期にわたっている」という、この長期というのは読み方が非常に難しい、なぜならば合併したからね。そこのところは難しいのでありますが、この場合には繰り税は全く認めないということで、公認会計士協会の、これは常務会か何かで、いずれにしろ六十六号というのが出ているわけです。
 これでもなかなかできないものですから、したがって奥山会長名で会長通牒がことしの二月二十四日に出て、さらに意見の統一といいましょうか見解の統一といいましょうか、繰り税についてはこうしなさいというのが出ているわけですね。
 二つの大きな監査法人が、この繰り税について、個々の細かいことはまた聞いていらっしゃる方によくわかるように、どうして片方の方はこれを認め、片方の方はこれを全く認めなかったのか、一般論で結構でございます。
 私は、特にこの繰り税の回収可能性の判断に関する監査上の取り扱いというのは、四段階目というのは五年となっているわけですね。だけれども、今度のように合併して三カ月満たずで全く見通しが狂ってしまうということになると、これは一体、この難しい経済情勢の中で、とても五年先まで、あるいは経営計画が出ているんだと思いますけれども、こんなのとてもじゃない、わからないじゃないかと。
 それで、言える範囲で結構でございますが、新日本と朝日さんの監査法人で、この繰り税の扱いについてどういうふうに、どこがどう違うから、片方はゼロ、それで監査法人をおりられた、片方は、恐らく私の見るところ四段階目だと思うんですが、そういうふうに入れられるというような状況になったか。個別の問題は細かくなりますから、一般論として両監査法人にお伺いをいたします。
竹山参考人 それではお答えいたします。
 繰り延べ税金資産というのは、議論されていますから御承知だと思いますから説明を省略しますが、基本的には、資産に上がった繰り延べ税金資産というものは、将来の収益によって課税される所得によって回収される、こういう仕組みになっております。したがって、繰り延べ税金資産が回収できるかどうかという問題につきましては、将来の収益計画、収益性があるかどうかということが一番ポイントになります。
 それで、今御説明ございましたように、会計士協会の方からは、そういう会計士基準が出ております。
 大きなポイントは、そういう予測することは非常に困難だ、客観性が難しい、そういう問題について、基本的には二つのアプローチがございまして、一つは、過去のその会社の業績の状況、今おっしゃった五つの方に分類している方法と、もう一つは、純粋に収益力を見ていく、それを総合判断する、こういう仕組みになっております。
 まず、私が理解しております新日本の方の見解を申し上げますが、基本的には、今、朝日監査法人と違っているようにおっしゃっていますが、私たちは監査証明をつけた法人でございますし、朝日さんは監査証明をつけておられませんから、基本的な専門家的な立場からいいますと、同じようなところでディスカッションして最後の答えにたどり着いたというわけではございません。基本的には、二つの監査法人が、同じすべての手法、監査をそれぞれ終了して、そして答えが違った、こういうことではないことだけは少し誤解を解くために、まず、多分朝日さんの方からもそういう御説明あると思います。
 新日本監査法人が判断いたしましたのは、りそな銀行さん自体合併されて間もないんですが、基本的には、私たちが判断したのは業務純利益といいますか、今非常に経済環境が厳しいものですから、株式が下落するとか、あるいはそれに伴う同じような担保価値が下落することによって不良債権の処理が増加する等厳しい状況にございますが、基本的には、業務純益でそこそこの業績を上げられる体力を持っておられる銀行であるというふうに我々は総合的に判断いたしております。
 ただ、客観性が非常に問われるものですから、五年間を認めるというのは、やはりいささかこういう状況ではまだ蓋然性といいますか確実性が薄いんじゃないかということで、今おっしゃいましたような、総合判断としては、会社が五年以内ということで提示された、基本的には私たちは三年という感じですが、それにつきまして、我々は同じような意見で、監査人として、これなら回収可能性が適正であるということで、結果として御意見申し上げた、こういうことでございます。
岩本参考人 私どもはりそなホールディング全体を共同監査の受嘱というお話ではなくて、その中の一〇〇%子会社のりそな銀行について、私ども受嘱するかしないかということで、りそな銀行の、先ほどお話ししましたように、四月十六日現在のところでいろいろな情報をいただきました。
 その情報をいただいた中で繰り延べ税金について考えたんですけれども、その段階で、これはどこもそうだと思うんですけれども、実際に、後々の収益力、利益計画それと短期間の資本増強があるかないか。というのは、いただいた資料で拝見すると、特に、繰り延べ税金を除いて非常に過少資本の状況にあるので、後々の収益力で資本充実をするには時間がかかり過ぎるので、短期間で資本充実、増資なり何なりの計画があるかないかということを十分お伺いしたんですけれども、その点では今のところ計画がないというお話をお伺いしましたので、そういうことだと繰り延べ税金についての計上を非常に厳しく見ざるを得ませんというふうに御説明をいたしました。
佐藤(観)委員 まだいろいろとお伺いしたいことがありますが、時間がありませんので、最後に、せっかくきょうは銀行協会の会長にお見えをいただいたんですが、この金融情勢につきまして、今問題になっているのは預金保険法の百二条の一という、公的な資金の予備注入の話ですよね。ところが、竹中プランの中には、いや、健全行でも資金を注入したらどうかというのが今金融審議会の方で出ているわけであります。
 たまたまおたくは一番最初だと思いましたけれども、あれは何カ月後だったか、一番最初に公的資金をお返しになっちゃったところが今会長をやっていらっしゃるわけでございますが、そのことは別にいたしましても、私は、健全行にあらかじめ公的資金を入れるということは、銀行の経営者のモラルハザードを起こすことになるし、そんなことをやっていたら金は幾らあっても足りないし、それから、そういうことにならないように銀行経営者が努力をしようということが欠如していくんじゃないか、経営責任というのは問われなくなっちゃうんじゃないかというふうに思っておるのでございますけれども、三木参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
三木参考人 全国銀行協会の会長をいたしております三木でございます。ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 公的資金の注入でございますけれども、これは個別銀行の救済のためであってはならない、金融システムを守るためのものでなければならないと思います。すなわち、公的資金は、国民負担につながる公算の大きいものでございますので、日本経済ないしは地域経済の基盤であります金融システム、これを守り、安定化させるためのものである、こういうふうにまず思いまして、個別銀行のための注入ということとは一線を画すべきものであろうと思っております。したがいまして、私ども金融機関にとりましては、自助努力で経営をいたしまして、公的資金に依存するような経営にならないように努力しなけりゃならないと思っております。
 ただいまお話ございましたように、現在、金融審議会の方でこの問題が最終段階を迎えているように伺っておりますが、先生がおっしゃるとおりでございまして、健全行に入れるということは、その必要性は何か、目的は何か、基準は何か、そういったことをきっちり討議いただきまして、方向性を見出していただくよう注目しているところでございます。
 以上でございます。
佐藤(観)委員 金融庁がいろいろと見張っている中を、なかなか会長として言いにくいことを言っていただいて、ありがとうございました。
 同僚の五十嵐委員にかわります。
小坂委員長 次に、五十嵐文彦君。
五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。
 最初に、各参考人に、私の持ち時間、限られているものですから、たくさんのお聞きをしたいことがございますので、簡潔にお答えをいただきたいということをお願い申し上げておきます。
 最初に、勝田参考人にお伺いをいたしたいと思うんですが、二〇〇三年三月期以前の大和銀行及び旧あさひ銀行の決算については、粉飾ではないんですか。粉飾をされておりませんか。イエス、ノーでお答えをいただきたいと思います。
勝田参考人 いたしておりません。
五十嵐委員 後で問題にさせていただきますので、それで結構でございます。
 イエス、ノーでお答えをいただきたいと思います。
 三月の増資は、事実上の債務超過を隠して増資を募った、収益の見通しがないのに増資を行ったということで、私は詐欺的なものではないかなというふうに思いますが、これも詐欺ではないのか、イエス、ノーで伺いたいと思います。
勝田参考人 そのように考えておりません。
五十嵐委員 次に、勝田参考人が、私もテレビで見ておりましたけれども、この問題が表面化したときに、監査法人に対して、背信行為だという言葉をはっきりと、私も耳にいたしましたが、この背信行為と言った真意を簡潔にお答えいただきたいと思います。
勝田参考人 私のかかる発言が、監査法人との関係で大変な誤解を招いてしまっている点については、素直におわび申し上げたいと思います。
 私の発言した意図は、新日本監査法人という一流の監査法人が、決算確定作業も最終段階となった五月に入ってから、そういった繰り延べ税金資産の計上についての方針を変えると言ってこられたわけでありますから、私は、その時期的なものに抗議をする意味で、そういった強い言葉を発したわけでございまして、決して、今誤解を受けているような意味での用語ではございませんので、素直におわびしたいと思います。
 以上でございます。
五十嵐委員 それについては後でちょっと話をさせていただきますが、まず勝田参考人に次々と申し上げますけれども、「りそな」発足当時に役員退職金は支払われているんでしょうか、どうでしょうか。
勝田参考人 この三月一日に、りそな銀行、埼玉りそな銀行が発足いたしておりますけれども、支払っておりません。
五十嵐委員 それは、すべての退職役員についてそうでございますか。
勝田参考人 そうでございます。
五十嵐委員 それから、勝田参考人と金融庁、特に森前長官、顧問は大変親しい仲にあると伺っております。そういう関係の中で、大変金融庁の覚えのめでたい銀行として有名でありますが、例えば夢の島銀行という悪口を言われております。内容の悪い銀行を押しつけられて、それをどんどん併合してきた、こういうことが言われているわけですね。
 ですから金融庁を信頼し信頼される関係になったと言われているんですが、特に、傘下におさめられました近畿大阪銀行、これは非常に問題のある債権、すなわちやみの世界の人たちに貸し出している債権が多くて、ブラックホールになっている。これが、実は、なぜ四%行なのに一二%もの資本注入を大幅にしなきゃいけないか、ここがどれだけこの先損失を出すかわからないから、その余裕を見て入れておかなきゃいけないんだという説がございます。
 近畿大阪銀行を併合された経緯、そして同行の資産状況はどうだったのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
勝田参考人 今最初の御質問で、近畿大阪銀行のいろいろな不良債権といいますか、大きな塊を持っているという御指摘でございますけれども、これは、合併に当たりまして、もともと大阪銀行と近畿銀行が合併いたしておりますけれども、そういったときにきちっとしたデューデリジェンスも行っておりますし、また金融庁の合併に当たっての検査も受けておりますので、今先生の御指摘のようなおかしな取引というものはございません。
 ただ、どこの銀行でもあったことでございますけれども、先輩が天下って経営していた子銀行といいますか、子会社の不良債権の塊が非常に多くて、この銀行を傷めてきたというふうに認識を持っております。
 資産状況そのものでございますけれども、確かに、現在の大阪の経済状況の中で、中小零細を相手にしている銀行でございますから、順調であるということはなかなか言えないわけでございますけれども、この三月期決算でも、我々大手銀行と同じような査定基準で厳しい検査を受けて、大幅な赤字を出したところでございますけれども、少なくとも、その有する基盤あるいは取引先、住宅ローンの伸びあるいは個人預金の伸びあるいは投資信託の伸び等々、基盤としてはしっかりしておりまして、重ねて申し上げますけれども、そのような反社会的勢力のようなお取引があって、この銀行の資産をどんどん傷めているということは全くございませんので、御認識を深めていただけたらと思います。
 以上でございます。
五十嵐委員 金融庁内部でも、この近畿大阪銀行分の扱いをどうするかというのは話題になっていると思いますので、その額面どおりには受け取れないということを申し上げておきます。
 次に、朝日監査法人にお伺いをしたいと思うんですが、監査をおりたんだから正式な監査人ではないんだと言うんですが、総会で選任されたままですから、商法上は監査人としての地位があるはずであるということ、それから、正式な会計監査人の辞退通知を送っているのかどうか、お伺いをいたします。
岩本参考人 四月三十日付で、監査の受嘱をしない旨の通知を送っております。
 それで、それについては、りそな銀行の取締役会それから監査役会が承認をしている旨を確認しておりますし、株主でありますりそなホールディングは、りそな銀行の取締役の方がりそなホールディングの役員も兼務された方が何人もおりますので、我々が受嘱をしなかったということは、株主であるりそなホールディングの方々も理解をしていただいているというふうに考えております。
五十嵐委員 さて、問題の繰り延べ税金資産でありますけれども、私もたびたびこの委員会で申し上げておりますが、公認会計士協会の実務指針では、非経常的な事項がなければ、これは一年分が原則であるということなんですね。
 非経常的な出来事、これは一説によれば、実は法的に問題もあるんですけれども、金融庁による特別検査は非経常的なものであると。なぜなら、それまでの各行別の検査と比べて視点が違っている、いわゆるマーケットに視点を置いた検査をするということで視点が違っていて、金融庁の各行検査と特別検査との乖離率が大きいものだから、これは一年非経常として、五年分まで認めるという実務指針の六十六号の例外規定を適用しようということになるんだろうと思いますが、この特別検査は、前年度、二〇〇二年度、続けて行われているわけですから、毎年やるようなものは非経常とは言えないということで、これは適用されないのではないか。
 それから、DCFが特別な事情だという言いわけもあるようですが、これも専門家に確かめました。東大の大学院の会計学の専門家に確かめたところ、DCFを適用したから直ちにこれが非経常だとは言えないということなんですね。
 そうすると、これは明らかに、経常的なもので言えば一年しか認められないというのが普通なのではありませんか。そういう基準を適用したというふうに考えていいでしょうか。朝日監査法人に伺いたいと思います。
岩本参考人 先ほどもお話ししましたように、繰り延べ税金については、その後の利益計画で回収が間違いなく確認できれば、最長五年まで計上しているケースもございます。後々の利益計画が一つのポイントになると思いますし、それともう一つは、その時点の自己資本の状況が、先ほど言ったように、自己資本の資本の充実状況と後々の利益計画、その二点で総合的に私どもは判断しております。
五十嵐委員 先ほども言いましたけれども、実は債務超過だったんだろうと思いますね。
 その傍証を一つ申し上げますけれども、二〇〇二年三月期末の決算なんですが、そのころはあさひ銀行と大和銀行です。繰り延べ税金資産があさひ銀行は四千六百二十一億円の計上、大和銀行は二千九百四億円の計上でありますが、その前五年間の平均の業務純益、これに課税相当分、繰り延べ税金資産ですから課税分しか意味がありませんので、課税所得を計算しまして、〇・四、四〇%とみなして、それで繰り延べ税金資産を割り込んでいくと一体何年かかるか。
 要するに、繰り延べ税金資産を五年分計上したとしても、本当はそれだけの繰り延べ税金資産は認められないんじゃないかというのを計算してみますと、あさひ銀行は六・七年分なんですよ。六・七年かからないと、この五年分の繰り延べ税金資産は回収できない。それから、大和銀行は八・九年分なんですね。これはもはや五年分を認めるということ自体が過大だ、過大な繰り延べ税金資産の見込みが前から行われていたんだということなんですね。
 それは収益だけから見てもそうなんですが、債務超過行についてはどうなんですか。債務超過行については、実際にはそれは適用されないですね。六十六号の五項会社であれば、債務超過行であれば、これは認められない。四項会社、一時的には債務超過だけれども、短期間で、多分一年ということでしょうが、回復できれば、これは四項のただし書きが生きてくるということになるんですが、このりそな銀行についてはどちらという判断をされているのか、朝日監査法人と新日本監査法人の両方から伺いたいと思います。
岩本参考人 繰り延べ税金の計上の是非については、すべての監査を行った上で、合理的な判断で繰り延べ税金を計上して、債務超過かどうかということは最終的には決算上で決まるわけですけれども、私ども、先ほど来お話ししているように、予備調査の段階でいただいた資料の中で検討しておりますので、その辺、債務超過であるかないかということについては、りそな銀行の監査をしておりませんので、答える立場にありませんので、御了解をいただきたいと思います。
竹山参考人 それでは、お答え申し上げます。
 まず、債務超過ということがよく言われていますが、基本的には、繰り延べ税金資産というのは、商法の配当可能利益にも上がる、回収可能性ということが確認できれば当然、現金、預金よりは換金性は低いかもしれませんが、商法上の資産でございます。したがいまして、世間でよく言われているような、まず繰り延べ税金資産があれば、なければ債務超過とかいうような議論は、ちょっと私はおかしいと思います。したがいまして、りそな銀行さんはかつて今まで、今回の決算発表を含めて、債務超過であったことはございません。
 ただ、今現在問題になっています繰り延べ税金資産が多いという御指摘でございますから、この繰り延べ税金資産が多いという判断につきましては、先ほど少し申し上げましたように、基本的には、客観性を求めるために、過去の業績に基づく方法、そしてもう一つは、大きく収益力を見るという方法です。
 今先生御指摘のように、銀行は今までの非常に大きな不良債権の処理及び株式が非常に下落している、そういう二つの要因、特に株式自体は銀行だけじゃなくて一般の経済情勢にも大きな影響で下がってきたということで、だんだん自己資本の部が当然減ってきているということは事実だと思います。しかし我々は、これから先の収益力を見ますときに、このままずっと未来、過去五年あったように、日本の経済がまた五年同じように最後まで行くかというような判断もしなきゃいけないわけです。そういう総合判断をしたときに、今現在の持っておられるりそな銀行さんの資産から見て、回収可能性ありということでお答えします。(五十嵐委員「時間がない」と呼ぶ)どうも……。
五十嵐委員 私どもは自民党さんと違って、基準を変えたとか見方を変えたことがけしからぬと言っているんじゃないんです。確かに、おっしゃるとおり、会計監査の責任は、有用な情報を開示するのを怠ったということについて責任を負うけれども、その結果の責任は会計が負う必要はないわけでありますから、それはそのとおりなんです。
 それから、朝日監査法人さんがいわば守秘義務を盾にとられましたけれども、会計士法第二十七条では、正当な理由なく開示しちゃいけない、示しちゃいけない、辞退した後もしてはいけないというので、国会での審議は、これは正当な理由です。ですから、言ってもらわなきゃならないということを申し上げなきゃいけない。
 肝心なことをお尋ねいたします。
 この監査の過程で、金融庁との間接的、直接的、あるいはそのような関係があったのかどうか、相談等あったのかどうか、両監査法人に、あるかないかだけでお伺いをしたいと思います。
竹山参考人 お答え申し上げます。
 全くございません。
岩本参考人 私どもも全くございません。
五十嵐委員 それでは平田さんがなぜ亡くなられたのかはわからないんです。監査法人としては、審査会で平田さんと同じ意見を監査法人として承認された。それなのに、なぜ悩んで亡くなられたのか理由がつかないというふうに思います。
 それから、奥山公認会計士協会会長との相談はあったのか。奥山会長を通じての何らかの意向があったのではないかということもあるわけですが、奥山公認会計士協会会長との相談があったかどうか、新日本監査法人に伺います。
竹山参考人 お答え申し上げます。
 我々がお答えを出したときに、冒頭に申し上げましたように、本件は、会計の一つの繰り延べ税金資産の計上というものが、片一方の自己資本比率の規制ということに係る。これは基本的には一般の会社にはないことですが、やはり本件につきましては会長通達等が出ておりますから、我々が意思決定したときに、会長に、基本的には監査法人としてはこういう意思決定をしております、意思は変えるつもりはございませんが、それで、会長が二月に出された会長通達の御精神から、今現在、経済状況等を見てお変わりないでしょうかということで、会社名は申し上げていませんが、自分たちの審査の過程においてそういうことが起こっているということは申し上げました。
五十嵐委員 終わりますが、会長は金融庁と相談をした気配があるし、金融担当大臣とお話をしたということは証明されていることでございます。
 終わります。
小坂委員長 次に、東祥三君。
東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。
 勝田前頭取初め五人の参考人の皆さん、大変お忙しいところ御出席賜りまして、ありがとうございます。
 まず初めに、「りそな」問題でございますが、昨日、閣議でもって、一兆九千六百億円という、だれも、多分この場にいらっしゃる方々は見たことのない額なんだろうと思うんです。一兆九千六百億円という、一万円札ピン札を積み重ねていけば一万九千六百メートルに達する、エベレストを二倍重ねても、それでも届かないお金を投入する。
 私はそもそも、今まさにこの問題を議論している中で、何でこんな早く政府は決定するのか、そこに私は疑問を持っているわけであります。もうちょっとちゃんと時間をかけて、今この場でも議論をされている問題でありますが、そもそも余りにも早い決定なのではないのか、ひょっとして何かがあるんではないのか、そういうふうに思っています。
 それを踏まえた上で、まず勝田前頭取にお聞きいたしますが、公的資金導入決定についての率直なお気持ちを聞かせていただければと思います。
勝田参考人 お答えいたします。
 先ほど一部述べましたけれども、五月の六日という時点で、経営の重大な指標であります自己資本低下を来すという報告を受けまして、当然、監査人との間で協議を続けたわけでございますが、商法上要求される、もし決算が修正されるんであれば修正発表を行わなきゃいけない。
 決算発表は二十六日に予定しておりましたので、非常に限られた時間の中で自己資本問題を解決しなければいけないということから、私自身は、この限られた中では、自己資本の充実あるいは自己資本算出に当たっての分母に当たりますリスクアセットの削減、住宅ローン債権の流動化とか、あるいはまた貸出金を落とすとか、いろいろな手法がございますけれども、もうそれもできないといったところから、改めて自己資本を増強する手段というものは、もう健全化法による注入もなくなっておりましたので、預金保険法の申請を考えなければいけないというふうに思い始めておりました。
 以上でございます。
東(祥)委員 さて、勝田前頭取、私はやはり心配するのは、金融機関が扱っている預金者あるいはまた取引先の諸企業、これから新たな「りそな」に変身していくわけでありますが、今までの取引先あるいはまた預金者に対する保護は万全であるのかどうなのか、いかがですか。
勝田参考人 現在、どういったことになるんだろうというのが、これは首都圏でも関西圏でも中小企業のお取引先が多いわけでございますから、大変な心配を持たれているように仄聞いたしております。また、私がかつて親しくしていたお取引先からもそういった御照会がございます。
 まず、貸出先については、今後の方針は新経営陣が決めていくものでございまして、発言は控えさせていただきますけれども、基本的には、「りそな」の基盤が中小企業あるいは小企業あるいは個人にある。比率にして七六・一%程度でございますので、そういった皆さん方に対する基本的な方針は変わりなく、大きな変化もないものというふうに考えています。また、そうあっていただかないと、お客様はこの銀行から逃げてしまうんではないかなというふうに考えております。
 預金者については、おかげさまで、現在、こういった資本注入が決定されまして、従来どおり安定したお取引をしていただいている。安定している、平穏であるというふうにお答えをさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
東(祥)委員 勝田参考人、最近、数日前のテレビ報道で、他行でありますけれども、外国人犯罪による盗難等で、通帳あるいはまた印鑑だけでもって、当人の確認なしで預金が全額引き出されている、こういう報道もあるわけであります。こういう問題に対しても、「りそな」は万全でありますね。
勝田参考人 預金者の確定、特に通帳と印鑑の照合ということは、銀行としての果たすべき最低のところと思っておりまして、今また、そういうことがあっては、これだけの貴重な国民の負担をいただく、注入をいただく銀行としては、逆に新たな信用を失うことになると思いますので、新経営陣はその辺についてもしっかりとやっていただけるものと思っております。
 以上でございます。
東(祥)委員 金融庁にも聞きたいんですが、いらっしゃらないんで監査法人の方に聞きますけれども、当然、監査法人の方々は、決算や、これまでの、過去から現在までの日常業務に対する厳正なる調査を行ってきて、いろいろな不正、そういうものは全くない、つまり、別の角度から言えば、それこそが預金者あるいはまた取引先の企業を保護するというところにつながっていくと思うんですが、この点についての、当然やられていると思うんですが、やっていますということであればそれで結構でありますが、いかがですか。
竹山参考人 お答えいたします。
 我々監査の過程で、基本的に、最終目標は財務諸表の適正性でございますが、今先生の御指摘のような、いわゆるコンプライアンス関係等もチェックしておりまして、もし改善事項等がありましたら、会社の方に申し上げております。
東(祥)委員 あと、残された時間の関係で、本日はRCCの鬼追社長にも御足労いただいております。御多忙のところ御出席賜りまして、本当にありがとうございます。
 金融機関というのはお金を扱うところなだけに、さまざまな情報が飛び交うものであります。その中には真実もあれば虚偽もあるでしょう。情報を流す者が何らかの意図を持っている場合もあれば、あるいはまた金融機関の側に何らかの落ち度がある場合もある。そして、自由主義経済体制のもとでは、そのような議論は民間同士の話として、最終的には訴訟等を通じて決着が図られるのが原則なんだろうと私は思います。
 しかし、りそな銀行にしても、また昨年まで破綻した多くの金融機関にしても、そこには国民の負担における公的資金が投入されるという事情があります。その意味で、このような情報にどのように対処していくべきかという観点からの議論も十分必要なんではないかと僕は思っているわけであります。
 そこで、これからRCCの鬼追社長に個々具体的な話、質問をします。
 疑義が提示されている永代信組の破綻処理についてお伺いしたいと思っているわけであります。
 RCCは、破綻金融機関から引き継いだ不良債権の回収を図ることを目的とすると伺っておりますが、そこでまず、RCCは、破綻金融機関からどのような資産をどのような手続で引き継ぎが行われるのか、このことを簡単に説明していただきたいというふうに思います。
鬼追参考人 整理回収機構の鬼追でございます。
 御質問にお答えをしたいと思います。
 私どもが破綻金融機関からどのような資産をどのような手続で引き継ぐのか、こういう御質問だと思っております。
 まず、金融機関が破綻いたしますと、預金保険法の七十四条に基づきまして、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が命じられるわけでございます。金融整理管財人は、監査法人など外部機関への委託も含めまして、当該破綻金融機関の資産の再査定を行うとともに、速やかに救済金融機関を確保し、円滑な事業譲渡を行うべく努力をされます。
 救済金融機関が決定した段階で事業譲渡に関する基本合意書が取り交わされるようでありまして、救済金融機関による調査も踏まえて事業譲渡対象資産が選定をされます。当該事業譲渡に係る金融庁長官による適格性の認定が行われまして、引き続いて、破綻金融機関及び救済金融機関連名で、預金保険機構あてに金銭の贈与及び当該破綻金融機関の保有する不良資産の買い取りの申し込みが行われます。
 預金保険機構は、当該資金援助がペイオフコストを超過する場合には、金融庁長官及び財務大臣に報告の上、資金援助の必要性の認定を受け、運営委員会の議決を経て資金援助を実行されます。
 RCCは、こういった手続を経ました上で、預金保険機構さんの委託を受けまして、救済金融機関へ譲渡されなかった不良資産、あるいは金融整理管財人が直接他に処分をされた資産を除く資産、そういったものを譲り受ける、こういうような結果になります。
 以上が御質問の経過でございます。
東(祥)委員 さて、今の答弁にもありました。それを踏まえた上で、より具体的に質問させていただきたいと思います。
 私の地元は江東区であります。江東区で昨年一月に破綻した永代信組においても、昨年の一月の十二日に破綻して、九月十七日に受け皿金融機関に永代信組の事業を譲渡するに当たって、お話がありました、金融整理管財人が不良債権の状況を詳細に調査したとしております。これは、管財人が金融庁に提出した報告書にも明らかなとおりであります。
 しかし、その調査結果が公的資金の額にかかわるのであれば、それをだれがどう確認していくのか、こういう視点が必要なのだと私は思っております。この点は、本日の午後、預保に対して改めて質問したいと考えているわけでありますが、RCCにも違った観点から具体的な例で質問をさせていただきたいと思うわけであります。
 平成十二年、破綻する前の段階でありますが、平成十二年三月末に、この永代信組が所有する銀座に所在するビルを、破綻前の永代信組が株式会社A、A社と名づけますが、A社に売却するとの約定を取り交わしました。これに基づいて、A社は三億円の手付金を支払ったといいます。その後約一年後、この契約はうまく履行されず、永代信組はA社を訴えた上で、A社への手形貸し付けとこの手付金を相殺すると通告したとのことであります。
 ところが、永代信組の金融整理管財人は、相殺されたはずのこの手形債権をRCCに譲渡したとA社に通知したというのであります。そこで、A社はRCCを相手取って債務不存在の確認訴訟を提起しましたけれども、RCCは裁判所に出頭せず、そのままA社の主張は認められたということであります。後日これは誤りであったとの話が管財人からあったようでありますけれども、しかし、管財人、RCCとも、その原因や経緯についてA社に何らの説明もしていない、こういう問題であります。巨額の血税を投入する話です、これは。預保、そしてまたRCCは、このような疑義が生じた場合、しっかりした説明をするべきだと思います。
 そこで、永代の所有不動産を買い取る契約に基づきA社から支払われた手付金が、永代のA社に対する手形債権と相殺されましたけれども、この相殺されたはずの手形債権が永代からRCCに譲渡された場合、RCCは資産買い取りの代金をその分だけ余計に支払っていることとなりますけれども、その金は一体どこに行ってしまったんでしょうか。鬼追社長、いかがですか。
鬼追参考人 個別の案件の御質問でありますが、当社の処理につきましての御質問でもありますので、お答えを申し上げたいと思います。
 確かに、議員御指摘のA社から当社に対しまして債務不存在確認訴訟が起こされました。それ以前に既に債権譲渡というのを私どもの方は受けておりまして、それを不審に思われたA社の方からは、この三億は一体どうなったんだというような御質問が当社にもございました。当社は、債権譲渡を受けるまではその間の状況はわかりません。したがいまして、その御質問を受けてから当社として調査に入ったわけでございます。
 その結果、十五年に入りまして、金融整理管財人の方からは、既にその三億円につきましては、金額的には細かな数字になっておりますけれども、約三億円と申し上げておきましょう。相殺通知をなさっておられます。かなり以前に、今御指摘の訴訟段階で相殺の意思表示をなさっているということが判明いたしました。したがって、私どもが譲り受けました債権譲渡のうち、相殺をなさいました三億については無効だということになるだろうと思います。
 したがって、私どもの方は、代金については、当然、それは払い過ぎてはいけませんので、預金保険機構さんとも協議の上で清算いたしております。したがいまして、私どもの方は、みすみすそういった損失をそのままかぶっているということはございません。
 さらにまた、相殺の結果、相殺通知の確認書が十五年の二月でしたでしょうか、金融整理管財人からA社の方に送達をされているわけであります。それより前に、既にA社の方から債務不存在確認訴訟が出ておりました。したがって、裁判の期日の前に、私どもは、こういう事態になっておりますので、その債務不存在確認訴訟については、争う意思はありません、したがって裁判にも出頭いたしませんということは御説明いたしております。
 以上です。
東(祥)委員 時間がなくなってきちゃったので、質問じゃないんですけれども、今鬼追社長からの説明を聞けばなるほどということになるんだろうと思うんですが、私は、A社からの通報によって間違いが判明したのであれば、ある意味ではRCCは、やるべき義務、責務はないのかわかりませんが、説明してあげればいいじゃないですか。それで事足れりの問題というのはたくさんあるんではないのかということを提言させていただきたいというふうに思っております。
 さて、金融整理管財人は、破綻金融機関の財産を処分する大きな裁量権を有している。このことは、先週三日の当委員会においても、竹中大臣は認めているところであります。竹中大臣は、管財人の職務というのは経営そのものであるとして、また、本来十億円で売れる資産を管財人が五億円で売却したならば、それは背任となるとの答弁もしているわけであります。
 そこで、ここからは、破綻金融機関の資産が不当に廉価で売却されたとの疑いが強く持たれている問題を、RCCとの間で質問させていただきたいと思うわけであります。
 永代信組の管財人は、受け皿に引き継がれない資産を順次処分したとのことであります。このとき、ある不動産について永代と第三者の間で所有権を争う争いがあったとすると、このような物件は、判決次第でその価格、所有権が左右されることになることから、RCCに移管されるのが通例ではないのか。今鬼追社長は、金融機関が破綻した、そして破綻した金融機関が新たな受け皿金融機関に譲渡されるまでの間、金融整理管財人がすべてやりますと。しかし、金融機関が破綻したときに、当然預保も、あるいはまたRCCも、関係者の方々からいろいろな事情を聴取しているんだろうというふうに私は思うわけであります。
 そこで、この係争中の物件に関しては、当然RCCに移管されるのが通例ではないのかと私は推察するんですが、この点についていかがですか。
鬼追参考人 破綻金融機関からの整理回収機構の資産の譲り受けというのは、全く受け身の状態で組み立てられております。したがいまして、私どもが、この資産をよこしなさいとか、この資産はもう結構ですとか、そういうような選択は原則として許されないと思っております。したがいまして、預金保険機構さんの御委託のもとに私どもは資産を買い受ける、こういうことでございます。
 ただ、今議員御質問の件については、一般論としてはおっしゃるとおりだと思いますが、私どもがそれについて、本件、この具体的なことについてはどうこう申し上げる立場にございませんので、意見としては差し控えさせていただきたい、このように思います。
東(祥)委員 事実の問題として確認させていただきたいんですが、この件に関しては、鬼追社長みずからが永代信組の金融整理管財人に対して、係争物件であり瑕疵物件だ、したがって慎重に取り扱え、こういう話をしたという情報があるわけでありますが、この点については事実なのか事実でないのか、おっしゃっていただけますか。
鬼追参考人 全く私の記憶にございませんので、事実ではないと思います。
東(祥)委員 私がここで申し上げたいことは、今のお話でもありますとおり、さきの財務金融委員会においてもお話がありましたとおり、物すごい大権が、裁量権が、破綻した金融機関の資産あるいはまた債権の処分に関してこの金融整理管財人に与えられている。そのことが当委員会においての議論を通じて明らかになってきているんだろうと僕は思うんです。金融機関、金融庁あるいはまた預保もRCCも金融整理管財人にすべての財産の処理を任せてしまっている。それに対して、出てきたものに対してただ追認していく以外にない、私はここに大きな疑義を感じざるを得ない。
 この国がある意味で持っている金融にかかわる問題に対して大きな欠点があるんだろうということを指摘させていただいて、また本日の午後、預保に対してこの点についてさらに質問させていただきたい。
 時間が参りましたので失礼させていただきます。五人の参考人の皆さん、ありがとうございました。
小坂委員長 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうは、五人の参考人の皆様、本当に御苦労さまでございます。
 まず、勝田参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 昨日、経営健全化計画というのが発表されまして、ここに持っておりますけれども、この中で「旧経営陣の対応」という部分がございまして、これは三ページですけれども、その1のところに「与信リスク等への不十分な対応」、こういうのがあります。その中で「与信費用の増大については、関連ノンバンクも含めた大口取引先への与信リスクの集中が迅速に解消できなかった」「経営不振企業に早期に経営改善・再生を促す取組が不足していた」、こういうようなことを「反省すべき点があった」というふうに書かれております。「また、大口取引先への与信リスクの集中を抑制するために導入していたクレジット・シーリング(与信上限規制)について、当面の収益の確保や顧客の信用面への配慮等から、結果として、制度の趣旨に沿った厳格な運用ができなかった」、こういうふうに書かれているわけです。
 これは、これまでの経営の一つの問題点としてこの経営健全化計画の中で取り上げられているわけですが、この具体的な内容、例えば大口取引先の会社の数ですとか債務者区分別の債権額ですとか不良債権に占める比率ですとか、そういうのがわかりましたらここで報告をしていただきたいと思います。
勝田参考人 お答えいたします。
 まず、今総論で、増大する与信リスクあるいは与信費用の増大に対する経営のコントロールができていなかった、あるいはまた、いわゆるクレジットシーリングといいますか、りそな銀行としての年間の業務純益あるいは収益から見て、一社当たりあるいは一グループ当たりに対する与信限度額というものを決めておるわけでございますけれども、私自身が、過去の大和銀行あるいは過去のあさひ銀行もそうでありますけれども、業務純益を超えるくらいの大口融資の破綻によって銀行を傷めてきたという認識を持っておりましたので、早急に切りかえるべく、例えば、一社に一千億を融資するんじゃなくて、一千社に一億ずつ一千億を貸そうというようなことを支店長会議等々で諮ってきたわけでございます。
 そういった意味での過去からの切りかえといいますか、そういうものが十分でなかったという認識で、新経営陣も、そういったところを旧経営陣の問題として指摘したんだろうというふうに理解をいたしております。
 今佐々木議員の質問の中で、関連ノンバンクも含めた大口取引先への与信リスクの集中の具体的内容ということでございますけれども、現在、手元にきちっとした資料を持っておりませんけれども、私の方で把握しているざくっとした数字で申しわけないんですが、該当する大口取引先の社数、債務者区分別の債権額等でございますが、要管理先以下が、一万一千九百社、これはちょっと数字がアバウトでございます、約二兆七千億。三十億円以上の与信先が、百一社で一兆五千億、比率は五五%でございます。
 それから、債務者区分別の件数、金額ということでございますけれども、これは破綻先、実質破綻先、破綻懸念先、要管理先、要注意先、正常先というふうに分かれるのでございますが、その全部を言えということでございますか。(佐々木(憲)委員「いや、この指摘されている中身について」と呼ぶ)
 それでは、破綻先ですと、約七百件で六百五十億程度、それから、実質破綻先で、二千六百件で千四百億程度、破綻懸念先で、五千百社で五千二百億程度、以上でございます。
佐々木(憲)委員 今のお答えではちょっと具体的な中身が、全体的な数字のお話でありまして……。
 関連ノンバンクも含めた大口取引先への与信リスクが集中したと。関連ノンバンクというのはたくさんありますね。具体的に言うとどんな業種で、典型的な事例で言うと何があったんですか。
勝田参考人 大体、三業種と言われます、ビル管理を含む不動産、それから建設、ノンバンク、こういったところが大口のところだと思います。
佐々木(憲)委員 その中で、特に特定の企業に集中しているということがここで指摘されているわけですね。
 皆さんからお出しいただいた資料を見ましても、件数と金額の関係で、例えば要管理先の数字を見ますと、中小企業の中で一件平均で八億三千万円というふうになっているんですね。要管理先の一件当たりの平均がですよ。
 こうなると、中小企業に平均で一件八億というのは非常に大きな金額になるわけです。これは常識ではちょっと考えられない金額でありまして、つまり、特定のところに巨額な金額が集中しているんじゃないか、それで平均してこうなってしまう、そういう事実があるということで理解してよろしいですね。
勝田参考人 そのように理解していただいて結構です。
佐々木(憲)委員 今、大変重大な経営の実態がわかったわけですけれども、そのほかの破綻懸念先などを見ましても、あるいは破綻先を見ましても、中小企業という概念のその中で、一件当たりで計算しても、平均して大変な巨額の金額になるわけです。
 今おっしゃったように、特定のところに異常に集中して、それが経営に非常にマイナスの影響を与えた。しかも、そこを是正できなかったということがこの経営健全化計画の中で指摘されているわけでありまして、この点は、金融庁との問題も午後の質疑の中で私は取り上げていきたいと思っております。
 さてそこで、今回の公的資金注入のきっかけになりました繰り延べ税金資産の評価の問題であります。
 この点につきまして、勝田参考人は、五月の十七日の記者会見で、五月に入って監査法人から突然厳しい言い渡しが行われて、非常に唐突な感じがあったけれども、大変厳しい交渉をやった、しかし、撤回が難しく、受け入れざるを得なかった、こういうふうにおっしゃっているわけです。
 そうしますと、四月の時点では、ある程度自己資本の水準は保てると考えていたというふうにおっしゃっているわけですから、四月までの監査法人からの話と五月になってからの話、これが大きく変わったというふうにおっしゃっているんだと思うんです。そういうことなんでしょうか。
勝田参考人 委員御指摘のとおりでございまして、私自身が繰り延べ税金資産についての考え方の変更というものをじきじきに聞いたのは、五月の六日の新日本監査法人の来訪によって聞いたわけでございます。正確には、前の晩に財務部長から電話があって、事態の深刻さを伝えられております。
 しかし、私自身は、四月中にそういった問題については何ら聞いておりませんでした。
 以上でございます。
佐々木(憲)委員 四月の時点で監査法人との話し合いというのはあったんでしょうか。
勝田参考人 私は、四月の三日に、このたび、監査人制度の変更といいますか強化といいますか、朝日監査法人、新日本監査法人の監査法人が約七名お越しになったと思いますが、私、経営者との懇談というのが四月三日にございました。これは、今後のホールディングスとしての業務運営、あるいはりそな銀行をどういうふうに運営するか、収益計画については預金の伸び、貸出金の伸びをどう考えるかというようなお話をさせていただいた記憶がございます。
 それ以外に、四月中、私は監査人との交渉は一切持っておりません。
 以上でございます。
佐々木(憲)委員 そうしますと、この繰り延べ税金資産の評価について、五月のゴールデンウイーク明けまでは全く知らされていなかったということであります。大変唐突な話だったと思うんですね、銀行側としては。
 個人的には、同じ会計年度でルールを変えるのはおかしいと思いますというふうに記者会見でおっしゃっています。物差しが変われば何を信用したらいいのかということになります、少なくとも変えるのであれば、理由と時期の明示と変えるまでの猶予期間が与えられないと事業が犠牲になりますというふうにもおっしゃっています。
 これは、つまり、従来の、昨年ぐらいまでの繰り延べ税金資産の評価の仕方と、いわば竹中プランが出されて、厳格な評価をすべきだという流れができて、公認会計士協会にそれが申し入れが行われ、それを受けて公認会計士協会としても対応する、そういう流れの中で出てきたというふうに思うんですが、私、不思議なのは、そういう状態でありながら、なぜ三月、四月の時点で話がなくて、いきなり五月のゴールデンウイーク明けになるのかというのが大変不思議に思うわけであります。
 そこで、竹山参考人にお伺いしますけれども、五月の時点で、ゴールデンウイーク明けにいきなりこういう形で出したというのが事の経過だというのはわかりました。なぜそういうふうになったんでしょうか。二月に既に公認会計士協会の会長の通牒というのが出されているわけでありますから、当然、それに沿って、こういう方向でいきますよ、従来どおりではありませんよというのは伝えてしかるべきでありますし、それがなぜ四月の末まで伝えられていなかったのか。
 その点についてお伺いしたいと思います。
竹山参考人 それでは、お答えいたします。
 御指摘の件でございますけれども、五月の五日は、あくまで新日本監査法人の最終結論を出した日でございまして、基本的には、正式に決算書を我々がいただいていますのは、四月の二十五日に、会社の方から決算案というのはいただきました。当然、四月の決算書の案をいただく前から、関与社員を含めて、あるいは審査会を含めて審査をずっと続けてきております。
 したがいまして、今おっしゃいました竹中プランでありますとか会長通達等、いわゆる繰り延べ税金資産自体の状況が、基本的に今の経済状況、何度か申し上げていますけれども、銀行を取り巻く経済状況が非常に厳しいので、それについて十分対応してほしいというようなメッセージでございまして、これは、会社であれ監査人であれ、両方に同じように共通に私は伝わっていたと思います。したがって、両者とも、監査法人も銀行も、この繰り延べ税金資産については相当な意識を持って臨まれたことだと私は思っております。
 私自身が、この結果、そして基本的な方法、今回言われておりますような方法でいくということを、責任者として、審査会から正式に私の耳に入ってきたのは五月一日の時点でございます。したがって、それまでの間、一番は、四月二十五日に決算書をいただきますから、それが最終的な銀行の決算の案でございますから、そこに繰り延べ税金資産の計上が具体的に出てくるということについて検討したということでございますから、唐突ということではなくて、むしろ慎重に決議した結果出した、こういうことでございます。
佐々木(憲)委員 勝田参考人にお伺いしますけれども、ゴールデンウイーク明けのこういう通知というのは、毎年こんなようなタイミングで行われるんでしょうか。昨年などはどうだったんでしょうか。
勝田参考人 頭取として監査人とお会いするケースというのはことしが全く初めてでございまして、私は、企画部長あるいは企画担当の専務あるいは副頭取のときに、大体五月の十五日前後に、監査人との間で監査報告会というのがございまして、そして決算承認をいただいて決算発表にまで行くわけでございまして、もう四月を超えて五月に入れば、通常であれば、私どもは、決算確定をして作業に入るというところでございます。
 以上、お答え申し上げます。
佐々木(憲)委員 そうすると、今回唐突だとおっしゃったのは、通常のタイミングの唐突というよりも、繰り延べ税金資産の評価を変えるといいますか、より厳格になるということを知らされたのが非常に唐突な感じがした、こういうことですね。
勝田参考人 そうでございます。
佐々木(憲)委員 そうしますと、繰り延べ税金資産の評価をより厳格にするという方向を、昨年の秋以来、金融庁それから監査法人の方もそういう方向を非常に強めてきている、すべての企業、銀行に対してそういう対応をしてもらう、こういう方針で監査法人は臨んできたと思うんです。
 竹山参考人は、そのことを「りそな」に対してどの程度伝えていたのか。内容については、五月に、ゴールデンウイーク明けに初めて伝えられたというふうに今勝田参考人はおっしゃっていますが、既に方針は二月の段階で皆さんのところに通達が出されているわけですから、これはもう確認、それを踏まえてやるということははっきりしているわけですね。
 なぜ四月までそういうことがきちっと伝わらなかったんでしょうか。
竹山参考人 基本的には、私たちの今回の意見の表明は、平成十五年三月末の決算の数字をもって意見表明するということでございまして、二月の時点に会長通達が出ておりますが、まだ我々自体は銀行の全体の財務内容はわかっておりませんし、したがって、それを銀行が固めて我々に御提示なさるものが四月二十五日であった。
 当然ながら、繰り延べ税金資産については、これは一般的によく言われていますように、不良債権の償却を加速すればするほど、日本の場合はそれがいわゆる損金算入にならないという仕組みがございまして、片一方でそれに見合う繰り延べ税金資産が膨れ上がるということで、特に金融機関を中心に、繰り延べ税金資産自体がこの二、三年、かなりの勢いでふえてきている。それは一方で言いますと、それだけ不良債権の償却が進んだ、こういう一体的な問題でございます。
 したがって、我々といたしましては、基本的には、決算数字をいただいて、そして、そこで申し上げる。
 ただ、それをつくり上げる段階において、関与社員と、あるいは会社とはそういう緊張感を持っていろいろな打ち合わせはなさったんじゃないかと私は思っていますが、私自身は、冒頭に申し上げましたように、責任者として、五月の一日にこういう決定になった、審査委員会、関与社員と十分煮詰めて答えを出しましたという報告を受けました。
佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。
小坂委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日は、週半ばにもかかわりませず、各参考人には大変御苦労さまです。
 そして、この「りそな」問題を中心に質疑をさせていただきますことは大変に貴重な機会と思いますが、だがしかし、一応方針も決定して、公的資金の注入ということも段取りされた後で、国民が、こういう国会の審議という場、委員会の参考人招致をいただくということは、私としては何だか手順が逆だと思います。
 一番必要なことは、いろいろとられる政策の透明性ということと説明責任、そして国民が十分に納得して、そしてこれで大丈夫だと思える確信というものがそろって初めて国の政策というのは賄われるべきと思いますが、そうしたことが全く逆さになった場できょう質疑をさせていただくということは、反面、残念でもあります。
 しかしながら、せっかくちょうだいいたしました機会ですので、より国民にとってよい方向に事が運ぶように、私なりに疑問の点を聞かせていただこうと思います。
 まず、勝田参考人にお願いいたします。
 きょう、これまで何人かの委員との質疑、やりとりをお聞きしておりますと、勝田参考人が、一応御自身で、三月の決算のプロセスまでは比較的、自己資本比率も六%から六・五%くらいあって、何とか経営、運営が続けられるものではないかと思っていらしたところが、その後の繰り延べ税金資産の評価の差をめぐって今回のような事態になったという御答弁でありました。
 私が一点目に伺いたいのは、朝日の監査法人の方が四月三十日に辞退されるという事態があったわけですが、その朝日の監査法人が、正式な証明書をつけた監査に入ってはおらないと思いますが、辞退されるきっかけとなったことが、やはりこの繰り延べ税金資産の取り扱いにおいて、将来の収益性等々の不透明性を見ると、繰り延べ税金資産の算定はなかなかに難しいのではないかという指摘は、既に勝田参考人のところにあったものと思われます。
 そういたしますと、その次の新日本監査法人とのやりとり以前に、その繰り延べ税金資産というところをめぐって、あるいは他の見方もあるかもしれない、要注意状態かもしれないということはアナウンスされたのではないかと思うのですが、その朝日の監査法人の辞退ということをめぐっては、勝田参考人は、自社の経営の健全性ということにかんがみて、どのようにお受けとめになったでしょう。一点目です。
勝田参考人 お答えいたします。
 朝日監査法人が不受嘱通知ということで、四月三十日付で文書をちょうだいしておりますが、私もその不受嘱ということは四月の末に聞いております。
 そこで一番疑問に思いましたのは、なぜかというよりも、やはり決算承認をいただく監査法人がなければ困りますので、それは新日本監査法人が単独でも決算承認をするという報告を受けましたので、そうかということで、そのままそれを聞いたわけでございます。
 以上でございます。
阿部委員 普通は一つの監査法人が、今まではお二つである程度この合併以降見ていくという形をとっておられたんだと思いますが、その一方が御辞退をされている。そうなれば、経営者としては当然に、なぜだろうと、自分の預かる銀行の万全な経営のためにあらゆる情報を得て判断なさるのが私は賢明と思いますが、そのなぜだろうということはお思いにならなかったのかということを、一点お願いいたします。
勝田参考人 先ほども経営者として無能だという御指摘をいただきました。今思えば、本当に、なぜだということをもう少し慎重に問えばよかったわけでありますけれども、少なくとも、繰り延べ税金資産についてそういった厳しい考え方があって不受嘱になったということではなくて、今回、新日本監査法人がちゃんとやっていただけるということの報告で、私もそのままそれを受けてしまいました。それは、今御指摘のとおり、反省をいたしているところでございます。
 以上でございます。
阿部委員 私は銀行という組織を存じませんが、やはり一つの企業体として見た場合に、もちろん勝田さんが直接じゃなくて、部下の人たちが渡り合い、やりとりし合ったものがきちんと上げられないシステムというのは、今後もやはり、例えば経営陣がかわったとしても体質は残りますから、国民にとっては大変に不安。何せ、二兆円お金を入れた後も続くかもしれないという不安があるわけです。
 その点についてはまた後ほど聞かせていただきますが、この監査にかかわられた二法人におのおの伺いたいと思いますが、先ほどの五十嵐委員の御質疑で御答弁があったかどうか、ちょっと私も聞き漏らしたのかもしれませんが、重なったらお許しください。
 まず、二〇〇二年三月期末の段階での繰り延べ税金資産の評価ということですが、あさひが四千六百一億で、これはもしかして六・七年分にかかわるのではないか、あるいは大和は二千九百四億円で、八・九年分ではないかと。私は、このおのおのの監査法人に伺いたいのですが、繰り延べ税金資産は非常にグレーゾーンになりやすくて、この何年分であるという大体の考え方、将来の収益性も見なきゃいけないわけですから概しては言えませんが、そこがころころ変わってしまっては論議の土台が本当にできないと思うのです。
 さっきの五十嵐委員の御指摘について、あさひと大和の繰り延べ税金資産評価、二〇〇二年三月期末についてお願いいたします。おのおの監査法人に。
竹山参考人 ちょっと御確認したいのですが、二〇〇二年三月期ですか。(阿部委員「そうです」と呼ぶ)それは一年前ということですか。
 一年前の繰り延べ税金資産自体は、りそな銀行さんは、大和銀行ですね、合併前は。大和ホールディングスさんの方では五年上げておりまして、今回は、多分御指摘は三年だというふうなことに変わっているんじゃないかという御指摘だと思うんですが、基本的には、こういう問題の前にまず申し上げなきゃいけないのは、繰り延べ税金資産自体は、一般的には、銀行業は特にそうなんですけれども、あくまで、将来の課税所得というものが約束されている、そういうときに会社の状態自体を判断しなきゃいけないということで、会社が本当に、本業も含めて、いろいろな形で、将来の収益を上げられないというようなケースが、分類でいえば五とおっしゃっています、五の方になり、だんだん番号が少なくなるほど普通に経営できているんだ、こういう理解でございます。
 そういうことから判断いたしまして、金融機関の場合は、特に本業的なものはどの銀行もきちっとしたコアの純利益を持っておられますが、一般的な経済的な環境で、基本的に、不良債権の処理あるいはいろいろないわゆる株式の下落で落ちたのであって、そういうことがなくなれば、そういう状況から脱却すれば、通常で言われているいわゆる五年というのは法人税法上の繰越欠損期間なんですね。期間で、ずっと循環すれば別段いいんだ、課税所得があるんだという通常の状態に戻るということで、二〇〇二年三月期までは自己資本の状況等を見て、大体その状況にあった。
 ただ、この一年の株式の下落等、不良債権の加速等によって、自己資本の毀損等を含めてそういう状態ではなくなった、こういうふうな経済環境の変化が答えが変わっているということでございます。
阿部委員 申しわけありません。朝日の方にもお答えいただく前に、質問を正しく理解していただきたいんですが、既に二〇〇二年三月期末で繰り延べ税金資産を評価されたときのあさひと大和がおのおの五年分以上計上しているんじゃないかという質問なんです、簡単に言えば。
 それだとやはり監査ということ自身の恣意性とか裁量性とかが加わって、国民としたら何を信じていいかわからない。ある日、何年分が何年分に変わってしまったり、そして、そうであると一体会計監査法人というもののいわゆる公共性といいますか、信頼性ということが揺らいでくるので、明確にお答えいただきたいんですが、二〇〇二年三月の期末のあさひ、大和のおのおのの監査においては、その監査されたおのおのの法人として非常に絶大な自信を持って、これがこの数値でよいと思っておられるのか。要するに、年数を数え過ぎなんじゃないかということなんです。今るるおっしゃったこととそのままです。
竹山参考人 それでは、大和銀行の方について、私の方から御説明申し上げます。
 二〇〇二年三月期におきまして、今の計算はあくまで過去の数字で計算されていますが、基本的には、収益力というのは、課税所得は将来に生まれるものでございます。したがって、その状況で計算するということでございますから、そこの過去で埋まった数字とはちょっと違うような感じで、もう一つは、繰り延べ税資産は、細かい説明しませんが、タックススケジュールと申しまして、一つ一つ消していく中で回転していくという計算がございまして、基本的にはその中におさまるという計算がございます。そういう中において五年でいけている、こういうことでございます。
岩本参考人 二〇〇二年三月期については、私ども埼玉銀行の監査を新日本監査法人と共同して監査をしております。
 二〇〇二年三月につきましては、私どもの本部審査、そういう社内の審査の手続があるんですけれども、その審査の段階で特に問題があったというふうな報告を受けておりませんので、二〇〇二年三月については問題があるというあれは感じておりません。
 それで、議員がおっしゃるように、繰り延べ税金について六年何カ月間の計上額じゃないかという御指摘があるんですけれども、この点については、当年度を含めた過去の利益で考える考え方も一つございますけれども、後々五年間の中期計画なり将来の収益計画を聞いた上で繰り延べ税金の回収の可能性を判断しておりますので、前三月期については、審査の段階でも、その辺、社内的に検討して特に問題等があったというふうには私は聞いておりません。
阿部委員 では、岩本参考人に引き続きお伺いいたしますが、例えば二〇〇二年三月の段階では、経済がV字回復すると思っていたかもしれない。なぜなら、先ほど岩本参考人はおっしゃいましたが、この繰り延べ税金資産の算定は後々の収益力を中心に見るので、いわゆる将来性について収益力ということを見るので、その収益力から見た場合、今回の「りそな」は全くゼロ査定しなきゃいけないし、一年前だったら、合併前ですけれども、埼玉銀行とおっしゃいましたが、その場合は、例えば、普通、私どもが考えたら六・七年分じゃないかと思うものでも三年分か五年分か、そのあたりだろうというふうに考えられた。
 では、今回、「りそな」の収益力について非常に低い評価をされた理由と、一年前、合併前、埼玉であったころに、収益力の健全性について、ある意味で過大評価されたところの差は何でありましょうか。
岩本参考人 まず、二〇〇二年三月の埼玉銀行、私ども埼玉銀行だけを共同監査していたんですけれども、それと、二〇〇三年三月末と、一つ経営形態が変わっていることがあります。それは、埼玉銀行の中から埼玉りそなという部分が二月末付で分離をされている。分離された後の埼玉銀行の部分と大和銀行が三月一日から合併されてりそな銀行になったわけですから、収益計画そのものが新しい組織体として当然我々に示されているわけですので、単純に前回のところと今回のところを比較するというわけにはいかないと思います。
阿部委員 ある意味で正直なお答えだと思うんです。
 要は、収益力が高い埼玉りそなと、ほかの、先ほど来大阪の何々とか全部抱え込んじゃったがゆえに、合併したところのりそなホールディングスという一つの、りそな銀行もありますが、中核にした全体が先行き不透明になってしまったと。私も、ある種その指摘は当たっていると思うのです。であれば、合併されたときの、そのときの監査というものも、そうした不安定要因をきちんと評価されて、監査法人として責任ある監査をなさるべきではなかったかと思うのですが、いかがでしょうか。岩本参考人でも、新日本の監査法人の方でも結構です。
 今おっしゃったことは、去年は埼玉だけだったから、これは収益力もまだいいだろう、今度合併したら、先行き不透明になっちゃった。そうしたら、合併の時点できちんとした監査をなさるべきじゃないですか。それができていないから、こんなわずか二カ月で自己資本比率が云々と。
 自己資本比率、逆に税の繰り延べ資産を入れられない理由は、収益が悪いからですよね。そうであれば、さきの段階の増資ということだって、もっと増資が必要だったかもしれないし、国民から見れば極めて納得できないわけです。合併して、すぐにまた公的資金を注入しなきゃやっていけないような状態になるなら、合併のときに何らかの問題があったのではないかと思うわけです。その点、監査法人として見られてどうか。
 そして最後に、勝田参考人に、合併時点で本当に企業体としてやっていけるだけの足腰があったと今でも思われているのか、おのおのお願いします。
竹山参考人 済みません。今の御指摘でございますが、私どもは、平成十五年三月期の決算で、御意見申し上げましたが、そのような、朝日さんとはちょっと違いまして、基本的にはそれぞれの時期で判断しています。したがって、我々が監査証明する時期において、今出した答えのように、経済環境の変化によってあくまで繰り延べ税金資産自体の回収可能性の答えが変わっただけでありまして、全体的なことについては変わっていないということは、これはやはりきちっと申し上げておかないと、そういうことが事実でございますから、そういうことでございます。
岩本参考人 私ども、あさひ銀行について共同監査をやっていたんですけれども、あさひ銀行は二月末日をもって消滅して、りそな銀行に合併をしたわけですけれども、こういうケースの場合、二月末で監査証明を出すということは、制度上行っておりません。それは受け入れ側のりそな銀行の二〇〇三年三月三十一日の監査証明の中に含んで監査意見を出すということで、制度がそうなっておりますので、私ども、監査人になっておりませんので、議員のお尋ねにお答えすることができません。
勝田参考人 お答えいたします。
 りそなホールディングスとして、まず、信託を分社したりそな信託というのがございます。ここは今でも、今ちょっと株が下がって預かり資産が減っておりますので、いわゆる業務収益は年間で二百億程度の、それでも業務純益ベースで二百億程度の、そして埼玉りそなは、不良債権そのものをりそな銀行が引き取って、優良ないわゆる地域銀行として、年間三百億の業務純益を上げる銀行としてつくり、先ほど申しました近畿大阪銀行は、まだ多少不良債権もあり、問題を持っておりますけれども、それでも一般貸し引きを差し引く前の業務純益は二百八十億。
 りそな銀行そのものも、大和とあさひの合併でございますから、総トータルで三千億を超える業務純益を上げる銀行であるという点で、また加えて、三月に向かっての、不良債権の大口の引き当て処理も済みましたので、私としては、今このような状況になってなかなか言いにくいところでありますけれども、苦労はしてきたけれども、これから将来に向かっていい明るさが出てくるかなと思いながら、四月、五月を経てまいりました。当時の、いわゆる地域銀行の連合体、そして信託をその一翼に担う、いいビジネスモデルができたというふうに考えて、指揮をとっておったわけでございます。
 以上でございます。
阿部委員 今のお三方の参考人のお話を伺いましたが、それではなかなか国民は納得できないなと思います。とにかく透明性がないということと、そして今後の収益力という、一番国民が知りたいところに、今勝田参考人、少しお述べくださいましたけれども、それでも、だがしかし、監査法人の方はだめだと言っていて、公的資金が出るわけですから。
 限られた時間で、私もほかに質問ありますが、一応、きょう伺ったことを参考に、午後、また質疑させていただきます。
 ありがとうございます。
小坂委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
小坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き、金融に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事三谷隆博君、預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省主税局長大武健一郎君、金融庁監督局長五味廣文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増原義剛君。
増原委員 自由民主党の増原でございます。
 本日の午前中に、「りそな」問題につきまして、前頭取、それから、それぞれ関係がありました二つの監査法人の理事長に来ていただきまして、質疑を聞いていたんでありますが、どうもすっきりしない、腑に落ちないというところが、これはこの席に列席された与野党議員ともども、皆思われたんではないかと思います。
 同僚議員からも発言がありましたように、証人喚問がいいかどうかは別としまして、ぜひとも、再度、もっと深めた議論ができるように、理事会の方でお取り計らいをいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
小坂委員長 理事会で協議いたします。
増原委員 それでは、次に、質問通告をしておりますことにつきまして、具体的に質問をさせていただきたいと思います。一つは「りそな」問題につきまして、そして二つ目は税収の問題につきまして、質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一点、「りそな」問題でありますけれども、午前中もいろいろ問題になっておりましたが、いわゆる繰り延べ税資産効果、その問題をどのように扱うのかということでありますが、そもそも、この制度は、どういう趣旨、またそれに沿った概要になっているのか、その考え方はどうなっているのか、これを基本的にお聞きしたいと思います。
 また、このたびの一兆九千六百億円に及ぶ公的資金の投入に当たりまして、「りそな」につきましては、一体、その原理原則とどのような点で乖離がある、あるいは特異な、配慮すべき事項があったのかということにつきまして、竹中金融担当大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
竹中国務大臣 繰り延べ税金資産に関する基本的な問題と、今回の「りそな」の決算及び公的資金注入との関連でございます。
 申すまでもございませんけれども、税務会計と財務会計の間にギャップがございます。現実には多額の有税償却を、これは銀行だけではありませんけれども、事業会社も含めて行うというような状況が続いております。
 そうした中で、いわば有税償却を行って、一種の税金の前払いのような状況が生じた場合に、これは一種の前払い金と同じなので、資産項目として立つ。いわばこれは、税務会計と財務会計の間の調整を行うための調整資産項目であるというふうに認識をしております。しかし、その調整資産項目が、現下のような状況の中で、額として大変大きくなっている。間違いなくこれは会計上は資産でございますが、市場からは、その資産の回収可能性をめぐって、いろいろな議論がなされてきたということも事実でございます。
 これについては、そもそものあり方について根本的な議論をしてみようということで、金融審議会の中にワーキンググループをつくりまして、これはまさに、税務、法務、会計、経済の専門家を集めて議論をしていただいております。今回、我々、問題意識、この繰り延べ税金資産については、会計上は大変重要な項目であるけれども、市場における資産性に対するいろいろな意見があるということを踏まえて、我々としては議論を進めているわけであります。
 しかし、今現に、公認会計士協会で平成十一年に実務指針がつくられまして、その実務指針にのっとって、監査法人がしっかりとこの資産性を見ることになっている、監査することになっております。この監査の実務指針、監査のルール等々を、我々、金融再生プログラム等々含めてでありますけれども、変えたという事実はございません。その意味では、監査法人に、資産を認定する非常に大きな権限が与えられているという格好になっております。
 今回の「りそな」における繰り延べ税金資産の査定は、まさに、これまでの、平成十一年以降続いてきた実務指針にのっとって、これまでのルールのもとで行われた。しかし、現下の状況下で、現実に監査を担当しました新日本監査法人が、将来収益をどう見込むかがポイントでございますが、その将来収益を従来よりも厳しく見込んだ。その結果、繰り延べ税金資産の計上額が従来よりは小さくなって、それが自己資本比率の低下につながった、そのように認識をしております。
増原委員 後ほどまた質問もいたしますけれども、将来の利益をどう見込むか、ここが大きなポイント、それを三年とか五年とかという年数の話がありますが、要は、今、大手のグループで四兆円前後の業務純益を上げている、これが続くのかどうか、とりわけ、そうした中にあって「りそな」はどうなんだ、こういうことなんだろうと私は思っております。
 とかく数字が先行しまして、五年を三年で切ったとか、まるでバナナのたたき売りをやったような感じでございまして、あるいは、聞くところによれば、裏切られたといったような発言も「りそな」の関係者からあったというふうにも聞いております。突然のルール変更はいかがなものかと私は思いますけれども、いずれにしても、実態がはっきりしない、そういう意味で、先ほど委員長に申し上げたようなわけでございます。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 りそなグループに対しまして一兆九千六百億円の公的資金を投入する。では、この件につきまして、大体一二%を目途にそれを注入することにしたというようなマスコミ報道がなされておりますけれども、これは一体、どうして一二%なのか。とりわけ、これまで、たびたび公的資金の注入はやってきているはずでございまして、そういうところに、じゃ、自己資本比率一二%、そこまで注入したことがあるのかどうか、私は、違うと思うんですね。では、一体、どういう考え方でこの一二%というのが出てくるのか、その点をぜひともお伺いしたいと思います。
伊藤副大臣 お答えさせていただきたいと思います。
 りそな銀行は、金融危機対応会議の答申におきまして、資本増強等の規模につきまして、「預金者、取引先、市場の不安を払拭する観点から、一〇%を十分上回る自己資本比率の確保が必要との意見を申し添える。」とされていることを受けて、今後、同行として、地域に根差した銀行を目指していくこと等を総合的に勘案した結果、地銀、第二地銀の自己資本比率の高い銀行並みの水準となるよう、所要額として一・九六兆円を申請したものと承知をいたしております。
 審査の結果、このような考え方のもとに算定された申請額は、同行の自己資本比率が四%を下回る二%程度に低下をした、このことによって信用が大きく傷ついております。そうした中で、預金者、取引先そして市場に不安を与えず、今後の市場や経済の動向といったものに対応できるよう、余裕を持って健全性の基準をクリアする必要があるとの答申の趣旨を適切に踏まえたものであると認めて、今般、申請どおり、一・九六兆円の資本増強額として決定したものでございます。
増原委員 このたびの公的資金の投入は預金保険法の百二条でいくわけですね。まさにシステミックリスクを生じると。それと一二%というのは何か関係があるんでしょうかね。
 これは、かなりきちんとしておかぬと大変なことになるという危機感が当局側にあったから一二%にしたんですか。一〇%を超える。しかし、国内基準は四%でいいわけですね。どうもそこが釈然としないんですよ。なぜ一二なんだ、なぜ一〇%を超えなくちゃいけないんだ、六%でもいいではないかと。そこのあたりがさっぱりわからないんですね。なぜ一二パーか。今極めて抽象的な事象を並べられましたけれども、何もその数字を導き出す根拠になっていないですよ、これは。
 ぜひもう一度お願いします。特に、預金保険法百二条、これは極めて危機的な状況に出すわけですよ。では、このたびはそういう状況なんですかと言うと、そういう状況ですとおっしゃるでしょう。それは水かけ論になるでしょう。そこらあたりがあるから一二%というきちっとした分にするんですよと言うのであればまだ話はわかりますよ。さっきの抽象的な文言では納得できないですね。お願いします。
伊藤副大臣 りそな銀行は、御承知のとおり、関西圏あるいは関東圏を中心に中小企業者に対する貸し出しも非常に高くて、顧客層の厚い銀行であります。グループ全体としても総資産四十四兆円を超える銀行であります。そうした銀行が健全性の指標である四%を割り込んで二%まで低下をして、ある意味では信頼が大きく傷ついてきた。そうした中で、取引先を守り、そして預金者を守っていくために、十分に健全性の指標を上回る資本の増強が必要であるというふうに考えたところでございます。
 こうした中で、十分な自己資本比率の一つの考え方でありますけれども、先ほどお話をさせていただいたように、地銀や第二地銀の中の自己資本比率の高い銀行並み、自己資本比率の上位の五行の平均をとりますと大体一二・二%になります。こうしたものを参考としながら一・九六兆円の申請がされたものというふうに承知をいたしておりまして、私どもも、先ほどお話をさせていただいたような観点で審査をした結果、こうしたものが妥当であるということを考え、そして申請どおりに一・九六兆円の資本増強額として決定をさせていただいたということでございます。
増原委員 相手側から申請があったということなんですが、この二兆円という数字はかなり前から新聞等でひとり歩きしておりましたね。出ているわけですよ。
 それと、さっき地銀や第二地銀の上位五行は一二%と言われましたけれども、静岡銀行、シブ銀とも言われていますけれども、ここらあたりは非常に自己資本比率が高いけれども、その中身は、株式なんかのように配当しなくちゃいけない有償資金じゃないんですよ。中身は、利益剰余金、いろいろ各種準備金を積んできていまして、無償の、コストのかからないお金で構成された一二%だったんですね。
 このたびの一二%は皆配当が要るわけですよ。だから、同じ一二%といいましても全く性質が違うんですね。いずれ返さなくちゃいけない話ですよ。ところが、上位を見てくださいよ。恐らく静岡銀行も入っていると思いますよ。そこらあたりの自己資本の一二%というのは全く性質が違う。そういうものと形式的に合わせたところで何の意味があるんでしょうかね。
 その点について、もう一度お願いします。
竹中国務大臣 今静岡銀行の例を挙げられましたが、本当に財務の健全な上位銀行というのはまさに自己資本です。まさに自己資本で、もちろん調達コスト、配当という形ないしは将来の配当という形で出てくるわけですけれども、定期的ないわゆる利払いのようなものはない。その意味では、内容が違うというのは先生の御指摘のとおりであろうかと思います。
 一一・八%でもなく一〇・五%でもなく、なぜ一二・二になったかということに関しましては、これは、我々としては、明確な基準を持ったつもりでございます。
 先ほど副大臣から答弁させていただきましたように、一度過少資本になって、信認等マーケットから非常に厳しい目を向けられた銀行が再出発するスタート台としては、その競争相手にもなるところの非常にいいところからの再出発をさせたい。
 こんな過少資本になったということは、やはり過少資本になった理由があるのだと思います。それはガバナンスの問題であり、いろいろな、収益構造の問題もあるでしょう、財務構造の問題もございますでしょう。そこを、それこそ再び過少資本に陥るようなことがないようにさまざまな手を尽くして、今度こそしっかりと再生してもらいたい、再生させねばならないという強い思いがございます。その意味で、上位五行の平均値と同じという数字を持ってきた。
 これが上位五行がよかったのか上位十行がよかったのか、いや平均でよかったのか、ここはいろいろなお考え方があるのかもしれません。しかし、我々としては、とにかく一度過少資本に陥った銀行にとって十分な発射台といいますか、自己資本の財務上の出発点を与えたい。
 同時に、しかしそれだけではだめなわけで、委員会等設置会社に象徴されるようなガバナンスの仕組み、思い切って経費を削減する、したがって、自己資本は一番高い部類になりますけれども、人件費は一番低い部類になります。そういうあらゆる手を尽くしてこの銀行を再生させて、地域に貢献させるような存在にしたい、そのような思いから今回このような措置をとったところでございます。
 その意味では、一つの基準があるといえばありますが、我々の判断もその中には入れさせていただいている、この点を御理解賜りたいというふうに思います。
増原委員 今大臣がいみじくも言われましたが、もう二度と過少資本に陥ることがないようにしたいというお言葉がございましたけれども、私は、多分にそれがあるんじゃないかと思うんですね。要すれば、まだまだりそなグループは償却すべき不良債権がたくさんあるということを暗にこれは意味しているんじゃないでしょうかね。そこで、思い切ってその不良資産をどんどん直接償却しても、一二%もあるんだから、少々落ちても八%ぐらいでとまるよとか、八パーだったらあっという間にまた四を切るかもしらぬ、こういうふうな配慮があっての一二%じゃないかと逆に勘ぐられてもおかしくないんだろうというふうに私は思いますね。このたびの三月決算で出すべきものを出しているというのであれば、何も一二%なんという必要はないわけですね。
 やはり、貸し渋りがないようにしながら思い切って不良資産を、これから将来に向けて、集中処理期間の間に、今期も来期もやってもらうんだ、そのためには相当な自己資本が必要だというような配慮も入っているんじゃないですか。その点、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 委員のお尋ねが、資産の査定が不十分でさらに多くの引き当て、まさに引き当て不足がたくさんあるということを見込んでこういうふうにしているのか、もし直接的なお尋ねがそういう点でございましたら、それはそう思っておりません。
 我々は、特別検査、さらには今度はディスカウントキャッシュフローも踏まえて、その資産査定については、検査体制の充実の中で極めてしっかりしたものになっているというふうに自負をしておりまして、その点については、直接償却不足を見込んで余分に自己資本を積んでいるというような思いは全くございません。この点はどうぞ御信任をいただきたいというふうに思います。
 ただ、例えばですけれども、株式を持っております。株式は一種の変動のリスクを抱えているということにもなります。今後、自己資本比率が一度非常に低下したという中から地域での信頼をかち得ていくということに関しては、これはさまざまな意味でのリスクは持っているということを認識して、その分経営陣に本当にしっかりとやっていただかなければいけないわけでありますけれども、将来のリスク分に対してはやはり厚めの自己資本を持っておいていただきたい、そういう思いは、一般的な意味としてはございます。この点は、資産の査定の問題と将来に対するリスクという点、ここは少しニュアンスの違う問題があるという点を御理解賜れれば幸いでございます。
増原委員 時間の関係もありますから次の質問に移りますが、今の大臣の言葉を敷衍すれば、そこそこの、四十七都道府県の重立った地方銀行は大体皆一二%ぐらいの自己資本比率を持つようにというようにもとれちゃうんですね、それは。だから、余りそこを強調されても、どうもすっきり腑に落ちないなという気がいたします。
 次の質問で、公的資金一兆九千六百億円ですが、その中身、普通株式と種類株式ですか、議決権のある優先株式、この組み合わせがきょうの新聞あたりに出ておりましたけれども、これはどういう考えなんですか。取締役の解任権もあるような三分の二を持つんだということと、一二%だと持ち過ぎだからやるのかという意味もありますが、先般も仙谷議員がおっしゃいましたように、全部普通株で買っちゃえばいいじゃないか、国有化しちゃえば自己資本比率もそういったことも関係ないじゃないか、そういう言われ方だってあるわけですよ、それは。何でこんなに多額のものを入れて、しかも、この組み合わせはよくわからないですよ。その中身と理由はどうなっているのか、御答弁いただきたいと思います。
五味政府参考人 お答えいたします。
 預金保険機構が引き受けますりそな銀行の株式は、株式交換でりそなホールディングスの株式に交換するということが予定されておりますが、この株式交換後の内容は、普通株式が五十七億株、金額が二千九百六十四億円、それから議決権つき優先株が八十三・二億株、金額で一兆六千六百三十六億円、この組み合わせになっております。
 こうした組み合わせといたします理由でございますが、ガバナンスの効果というのを考えますと、資本増強というのはできるだけ普通株で行うということが適当であると考えられますが、他方で、普通株による資本増強には、ダイリューションなどの市場に与える影響が大きい、あるいは配当などに対する優先権がないといったようなことがございまして、国民負担につながる可能性も否定できないという性格を持っております。こういうこともございますので、現在のりそなホールディングスの発行済みの普通株数と同等程度の規模の普通株を投入する、こういうことにしたわけでございます。
 なお、この優先株の商品性につきましても、ダイリューションの影響、あるいは国民負担の防止ということを図りつつも十分なガバナンスは確保するという観点から、普通株と同じ議決権を有する優先株、こうした性格のものを入れることにしたということでございます。
増原委員 どうもよくわからないなという感じがあります。恐らく私の勉強不足なんでしょう。もう少し私自身、勉強してみたいと思います。
 時間の関係もありますので次に移ります。
 このたびの経営健全化計画、これは旧経営陣でつくられて、一兆九千六百億円の公的資金をあわせて申請されたんだろうと思います。それから、先ほども質問申し上げましたように、地銀、第二地銀の上位五行、その自己資本比率一二%と言われましたけれども、中身が全く違っているわけですね。それを本当に今言われたように、地域からも預金者からも信頼されるような銀行になるためには、相当厳しい経営健全化計画を実行しないことにはそれはできないと思います。そういう意味で、経営健全化計画について、現在出されているものと、それから新たにこれから経営陣になる方々の関係はどういうふうになっていくのか、この件につきまして御答弁いただきたいと思います。
竹中国務大臣 今委員言われましたように、これだけの資本注入を行うわけでございます。今の置かれた状況を考えても、委員のお言葉を使えば、相当厳しい経営改革をしてもらわなければいけない。ここは、今回の措置が後々評価されるかどうかの、そのポイントになるというふうに思っております。特に、集中再生期間というふうに二年間を位置づけておりますけれども、これは、「りそな」自身が特にこの二年間が重要だということを認めている。
 今回の措置は、百二条の性格を考えて、迅速なる措置をとるということ、それによって資産の劣化を防ぐということで今回認可をしているわけでありますけれども、しかし、これはまだ新しい経営陣、特に、新しい会長が着任していない段階で、現「りそな」で考えられる、リストラ等で最大限のものを出させたつもりでございます。これは、経費率の削減等々、その点では評価できる面もある。
 しかし、本当に、新経営陣が着任して新たなビジネスモデル、新たな経営計画等々をこれから構築していくわけでありますから、その段階ではそれを速やかに計画の修正として出していただかなければいけないというふうに思っております。特に、委員会等設置会社のもとで、今までとは違う、厳しい、大胆で野心的な発想をしていただかなければいけないと思っておりますし、それについては我々としては、また厳しく、厳正に審査をしていくつもりでございます。
 時期については、できるだけ早い方が好ましいというふうに思っておりますが、新経営陣の着任、まだ月末でございますし、それからいろいろなことをやっていく過程でできるだけ速やかにそのような、より深掘りのした経営健全化計画にしていってほしいと思っております。
増原委員 まだお聞きしたいことがいろいろあるのでございますが、きょうは、税収についても質問をさせていただきたいと思っております。財務省の主税局の方にも連絡いたしております。
 この四月末の税収は、進捗率が八三・八%、前年が八六・八でございますから、三ポイントも既に下回っておる。そして、三月末のこの株価でございますから、相当な歳入欠陥が生じるんではないか、そういう懸念を持っておりますが、これについて、もちろん、株価が五割以上落ちた場合に、それを税制上損と見込むとか、いろいろ税法上の問題もありましょう。税務会計と企業会計の違いもあると思いますが、平成十四年度の税収見積もりにつきまして、財政当局の見解をお伺いしたいと思います。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 ただいま先生からお話がございましたとおり、四月分までの税収の動向はそうでございますが、御存じのとおり、残されております五月分税収が法人税で大体三、四割、消費税で二割強というような大きなウエートを占めているわけで、やはり三月決算法人に係りますこれらの税の確定申告の動向等によって左右されるということで、まだ確たることは申し上げられません。ただ、全般に申し上げれば、法人税以外の税目は、全体として、おおむね補正後予算額で見込んだ基調に沿っているということが言えるかと思います。
 ただ、今先生からお話がありました法人税については、上場企業の十五年三月決算の発表、今新聞で次々公表されてきておりますけれども、経常利益は相当増加しているんですが、一方、先生からもお話がありましたように、三月末あるいは三月期の株価の下落によります株式評価損等の特別損失がやはり多額に発生しているということなんで、そういう意味では補正後予算額の達成は相当厳しいのではないかというふうに思っているところです。
 ただ、いずれにしましても、現段階におきまして、十四年度税収、具体的に見通しを申し上げることは困難でございまして、五月分税収を注目していきたいというふうに思っているところでございます。
増原委員 今の御答弁でありましたけれども、相当やはり、三月末ないし三月期の株価というものが税収に大きな影響を与えてくる懸念があるということであろうと思います。
 そうした中で、一たん五割以上落ちまして、簿価がそこで修正をされる、含み損を出した。出した場合は、それが今度はベースになっていくわけでありまして、今度は、株価が上がった場合、これは含み益の場合はカウントされないと思うんですね、税務会計では。少々株式が上がったところで、まさに今年度予算、平成十五年度予算には余り影響がないのではないかというようなことから考えますと、平成十五年度の税収見積もりの中で、かつて予算編成時に見積もったものに比べまして、いろいろなベースが動いてきているんだろうと思うんですね。もちろん経済全体もそうでしょう。
 そういう意味で、平成十五年度の税収に対する見通し、もちろん前年度の税収見積もりもありますが、今年度の、平成十五年度の税収見積もりということについて、特段に懸念されることあるいは逆に楽観視されること、そういったものがあるのかないのか、その点につきましてお聞きしたいと思います。
 というのは、これはある意味では補正予算をどうするかという問題にも絡んでくるわけです。歳入欠陥が甚だしい、例えば平成十四年度ですよ、そうすると、ベースになるものが逆のげたを履いちゃうわけですから、十五年度の歳入も当然危ないということになるわけでありますので、その点について、各種要因の変動はないか、あるいはプラスマイナス大きく変動する要因はないかということにつきまして、御答弁をいただきたいと思います。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 ただいま先生からお話のありましたとおり、含み損は、そのように帳簿価額を修正することで五割以上下がり、それが今後も下がる状態が続くというときには税法上も損金で落とせるということですが、逆に、含み益があるという場合には課税にはなりません。そういう意味では、株価が上がったとしても、特別のいわば収益が上がるということではないわけであります。
 十五年度の税収見積もりにつきましては、確かに言われたとおり十四年度の補正後予算の税収を土台としているんですが、ただ、仮に十四年度の税収が補正後予算を下回ったとしても、例えば今お話のあったような株式評価損のような一時的なものである場合には、実はそれ自体は十五年度の税収の土台減とはならない可能性があります。
 それは、先ほど申しましたように、今後もこれが続くかどうかはわかりませんが、十四年度に関して言うと、企業のいわゆる収益はかなり高いレベルであった、それが一時的株価評価損で落ちるというような態勢があったわけですから、今後もどういうふうに経済状況が推移するかということが実は重要であります。特に、今後、実際に税収が判明したところで、この十四年度決算の判明後、もし落ちた場合は、さらに実際の落ち込みの中身を精査する必要があるんだろうと思います。
 それから、特に十五年度税収ということになりますと、今申したような一時的な要因が主であったとすれば、当然十五年度の経済動向あるいは企業収益の動向というのが一番重要であって、それは、まだ現時点では具体的に見込めるということではないものですから、今後、そういうものを見守っていきたいというふうに思っているところでございます。
増原委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わりますが、いろいろな意味で、今は確かに変動期であります。三月末決算法人を見ましても、業務純益は相当出てきている。これはリストラ効果が出てきたんだろうというふうに思いますが、一方で資産デフレといったものがそれを消しているという面も多々あろうと思います。いろいろな意味で、注意深く経済運営をやっていただくようお願いいたしまして、質問を終わります。
小坂委員長 次に、上田勇君。
上田(勇)委員 公明党の上田勇でございます。
 きょうは、大臣、副大臣に、りそな銀行の件を中心にいたしまして、何点か質問をさせていただきます。
 昨日、りそな銀行の経営健全化計画が発表されまして、私もその概要は見せていただきました。我々、その内容について十分知っているわけではないので、どういうように評価するかということは正直言ってわからない部分もあるんです。それで、きょうは最初に大臣に経営健全化計画に対する評価を伺おうというふうに思っていたんですが、先ほどの同僚議員の質問の中で、大臣の方から、旧経営陣が作成したものの中ではぎりぎりの努力のものではないか、また評価できるというような御答弁でありましたので、それ以上はお伺いをいたしません。
 また同時に、大臣の方からは今度の新経営陣に対する期待が述べられたところでございますけれども、この新しい経営陣について、いろいろなことがこの新経営陣に対しても報道等では言われておりますので、そこについて大臣の御見解を伺いたいというふうに思うんです。
 やはり、経営の再建を進めていくためには、過去の経営判断のしがらみにとらわれるのではなくて、過去の経営の失敗は失敗として受けとめて経営陣を刷新していくということが重要なんではないかというふうに私も考えております。今度のりそなホールディングスの新経営陣としては、JR東日本から新しい会長をお迎えした、また各界の非常に多様な方々を社外取締役として迎えているという意味では、経営陣が大いに刷新をされたというふうにも言えるんだと思います。
 ただ、一部に指摘されていることは、こうした外から迎え入れられた方は、りそな銀行、「りそな」の中核業務として考えているリテールバンキングについては必ずしも専門家ではないのではないか。そうすると、果たしてどこまでこれからの経営の実務について影響力を発揮することができるのかというようなことを危ぶむ声もございます。そして、実際に業務を執行していく、その担当する社長、副社長、こういう人たちは、「りそな」でこれまで役員も経験してきた人であったり出身者であるわけでありますので、そうすると、果たして、過去の経営の失敗とかから離れた自由な発想で思い切った経営が実現できるのか、そういったことを危ぶむ声もあるわけでありますけれども、こうした懸念につきまして、大臣、どのようにお考えか、お伺いをしたいというふうに思います。
竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、今回の新経営陣を中心とする新たなガバナンスの体制がどのように機能するかによって、今回の「りそな」に対する措置が後々評価されるかどうかが決定的に決まってくるというふうに私も思っております。
 そうした意味から、今回の経営健全化計画の中で、やはり一番の目玉になるポイントは、委員会等設置会社形式にしている、委員会等設置会社形式にして外部からはまさに取締役を迎える、それで執行役員との区別を明確にした上でしっかりと取り締まりを行ってもらう、そういう点に尽きていると思っております。
 今回の取締役、その意味での布陣でございますけれども、細谷会長、JRの民営化のときからの御功績が大変おありになって、経済同友会等でも、コーポレートガバナンスの強化という点で非常にいろいろな活動をなさってきた実績のある方だというふうに承知をしております。そのほかに、実は、法務の専門家、荒川弁護士、さらには経営の専門家ということで、花王の渡邉さん、それとトヨタの井上さん、そういう方に参加していただいて、まさに民間の活力といいますか、外から血を入れることによって、しっかりとしたガバナンスのシステム、この委員会等設置会社をうまく機能させてもらいたいというふうにまさしく考えているところでございます。
 一つ御懸念として、金融のことはわかるんだろうかというお話もございましたが、そうした点も踏まえて、金融面にお詳しい林野さんと箭内さんという方、箭内さんは前の長銀の取締役でもいらっしゃる、そういう方に入っていただいて、その意味では、まさにガバナンスをきかせる、バランスをとるということに関しては、一応の布陣が今回はできているのではないかというふうに思っております。
 しかし、これは一にも二にもその運用でございます。執行役員とこの取締役会との関係を非常に健全に持っていく、特に、今後は、ホールディング、持ち株会社がありますから、ホールディングスと、その下にある子銀行といいますか、銀行との関係等々についても、やはりしっかりとしたパターンをつくっていっていただかなければいけないと思っております。
 いずれにしましても、委員会等設置会社のもとで、外からいらっしゃる経営陣を中心に、今申し上げたような役割分担でしっかりとしたガバナンスのシステムをつくって、同時に、銀行の日々の業務の執行が円滑にいくような体制をつくってもらいたいと思っております。
上田(勇)委員 それで、今度の「りそな」にかかわる問題で一番心配している、一番困っているというのは、やはり取引先の中小企業だというふうに思います。特に、りそな銀行の場合には中小企業の取引先の割合が非常に高い。その中で、今後の推移がどうなるんだということが、本当に今大変な経済状況の中で、そうした中小企業の経営者の方々は非常に心配をしているわけであります。
 もちろん、これからこの「りそな」の経営を健全化していくためには債権の内容も健全にしていかなければいけないという点はもうそのとおりではありますけれども、そうした経営再建をしていく過程の中で、健全な経営を行っているような取引先の中小企業、こうしたところに資金が円滑に回らないようなことによって経営がだめになってしまうというようなことがあれば、これは翻ってみれば、長期的に見れば、「りそな」の経営を再生していく上でも大きな支障になるわけでありますし、その中小企業の経営はもちろんのこと、地域経済に与える影響というのも非常に大きいんではないかというふうに思います。
 そういう意味で、そうした事態とならないように、これは「りそな」の経営だけでできる範囲を超えるものもあるんだろうかというふうに思います。そういう意味では、経産省などの関係省庁とも十分連携をしていただいて、そういう中小企業に対する対策、これは各種施策が、いろいろな施策があるわけでありますので、それをフルに活用して、こうした取引先になります中小企業に対して十分な資金が供給できるような万全の対策を講じていただきたいというふうに思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
    〔委員長退席、七条委員長代理着席〕
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 今委員が御指摘になられたように、りそな銀行というのは大変地域に根差した金融機関として今日までも活動してきたわけでありまして、その中で中小企業に対する比重も非常に高い。中小企業を含む取引先の方々の多様な資金ニーズにこたえていくということが、「りそな」のやはり再建にも資することになっていくだろうというふうに思っております。
 こうした点も踏まえて、今般発表された経営健全化計画におきましては、十五年三月期に七六・六%の中小企業向け貸し出し比率を、十七年三月期には八〇%以上にするということが明らかにされているところでございまして、これを実現していくためにも、中小企業向けの貸し出しの推進体制というものを整備をし、さらに強化をしていく、あるいは、地域経済の発展を支援するための商品の提供もしていく、そうしたことも打ち出されているところでございます。
 私どもとしましては、こうした施策というものが着実に実行されて、そして、そのことによって「りそな」の経営というものが健全化していく、そのことを大きく期待をしているわけでありますし、また、委員御指摘のとおり、経済産業省等々とも十分に連携をして、中小企業に対する資金の円滑化が十分に確保できるように、私どもとしてもしっかりと対応していきたいというふうに考えております。
上田(勇)委員 今、大変前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。本当に、まさに今回の「りそな」の再建に当たりましては、そこの点が一番重要な点だろうというふうに思いますので、ぜひ、さらに注視していただきたいというふうに思うわけでございます。
 次に、先ほどから、今回の「りそな」の自己資本比率が非常に低くなる過程において、繰り延べ税金資産の問題についていろいろと議論が行われてきました。これまで「りそな」の問題について、どれが正しいかという話は、けさも参考人質疑を通じていろいろ議論があって、そこを云々しても仕方がないことだろうというふうには思いますが、私は、今回のこの問題を通じて、実に問題があるなと感じるのは、報道とかによりますと、監査法人によって将来の収益の予測が、同じ書類を見ながら随分と異なった結果が出てくる。けさの参考人質疑の中では、いや、同じ立場で見たわけでもないし、全部同じ資料を見たわけでもないんだから、必ずしも結論が異なっていたということも比較はできないんだというようなお話もありましたけれども、ただ、我が国の名高い監査法人が同じ内容のものを見て全く違う結果になってくるというようなことがあると、これは「りそな」だけの問題じゃなくて、ほかのたくさんの上場企業も監査法人がやはり監査をしているわけでありますので、一体全体どれが信用できるものなのか、今提出されている財務諸表というのは本当に信用できるものなのかというような、我が国全体の企業会計に対する不信になるのではないかと思うわけでございます。
 そういう意味で、信頼性が随分とこうした事態によって損なわれたのではないかというふうに思うんですが、大臣、御所見、またそれに対してどういうふうにすべきか、お考えがあれば伺いたいというふうに思います。
伊藤副大臣 これは言うまでもなく、まず銀行が、財務諸表の作成に当たっては適正に財務諸表をつくっていく、つくられた財務諸表に対して監査法人が厳格に監査をしていくということでございます。こうした決算作成の手続の中で、銀行と、外部の監査人であります新日本監査法人が議論を進めて、そして今回の、十五年三月期の決算がつくられたというふうに承知をしております。
 二つの監査法人の意見が違うというお話がございましたけれども、けさの参考人質疑でも明らかにされているように、朝日監査法人は、これはりそな銀行の外部監査人の立場にはない、このようにお話しになられていたというふうに思っておりますし、委員御指摘のとおり、やはりこれは一般論としても、監査法人というものは独立性の中で、真実性そして誠実性の中でしっかりとした監査をやっていくということが大変重要でありますので、決められたルールの中で信頼性、真実性に沿った形で監査を的確にやっていくということが大変大切なことではないかというふうに考えております。
上田(勇)委員 一般論としてはまさにそのとおりなんだと思うんですが、問題はやはり、では監査法人をかえると評価が変わるのかというようなことが、一般にそう思われちゃっている部分があるわけですね。実際はそうかどうかはわかりません。どこまで監査をしたのか、立場も違うと言っていたし、見た書類の範囲も違うというふうにはおっしゃっていたので、わからないんですが、そうすると、これは「りそな」だけの問題じゃなくて、どこの企業も、では監査法人をかえたら、今までどうも経営が悪いと言っていたところが急に経営がよくなるのか、あるいはその逆もあり得るのかというような、何となく不信があるんじゃないかというふうに思うんですね。こういう企業会計というのは、投資市場を健全にしていく意味でもやはり信頼性が一番大切なことだろうというふうに思いますので、その辺、ぜひ、こうした不信が払拭されるような対策をひとつお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 昨年の金融再生プログラムをつくる段階で、まさに繰り延べ税金資産の資産性をめぐっては、マーケットから見て非常にわかりにくいし問題点があるということを、我々自身、問題提起したつもりでございます。それを受けて、金融審のワーキンググループで、専門家で今議論をしております。経過報告をいただくことになっておりますので、その経過報告も見ながら、我々としても今後どのように対処していくか、しっかりと議論していきたいというふうに思っております。
上田(勇)委員 終わります。
七条委員長代理 次に、仙谷由人君。
仙谷委員 ついに一兆九千六百億円という大金が、三度目の資本注入として、りそな銀行という銀行にぶち込まれたわけでございますけれども、よくわからない。これはもう、さっきから与党の先生方が聞いても、なぜ約二兆円なのかわからない。
 それから、きょういただきました、この経営の健全化のための計画なるものを見ても、五年前から、この種の希望に満ち満ちた楽天的な計画でやってきて、どうにもならなくなって破綻をしたにもかかわらず、いまだにこんな、夢に二重丸をしたような計画を平気で書いてくる。少なくとも、私程度の素人ではわからない。よほどすぐれた頭脳が机上の空論をひねりにひねったらこんなものが出てくるのかと私は思っておるんでありますが。
 そこで、まず、この計画書によりますと、十九ページから書いてあります「りそなホールディングスの剰余金見込み」というところがございます。この剰余金なるもの、あるいは当期利益なるものは、平成十五年三月期末は幾らだったんですか。ここには十五年三月のことを書いていない。来年からのバラ色のことしか書いていないんだけれども、どうなっているんでしょうか。
五味政府参考人 平成十五年三月期末では、これは当期未処分利益ということで、未処分の損失になりますが、一兆一千四百三十九億円という数字になっております。
    〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
仙谷委員 私が聞いているのは、ここに書いてあるように、期末剰余金の話ですよ。
 我々がこれを見て計算すると、期末剰余金はマイナス六千三百二十九億円、当期利益はホールディングスでマイナス七千九百四億円。りそな銀行の当期剰余金マイナス五千八百二十七億円、当期利益はマイナス五千八百三十億円。こんなマイナスが剰余なり当期利益として計算できるじゃないですか、以前の決算書を見る限り。
 それがなぜ二〇〇四年の三月期末からこういうプラスの方に簡単に上がっていけるんですか。二〇〇二年三月、つまり昨年の三月末決算だって一兆円とか九千億円とかというマイナスの決算しか出ていないじゃないですか。それがなぜ来年からはこんなによくなるんですか。
五味政府参考人 今回の資本注入に伴いまして、減資による繰越損失の処理を行いますので、これによってバランスシートをきれいにした上で利益を上げていった分が計上されてくる、こういう形になります。
仙谷委員 そうすると、今回の資本注入というのは、そういう損失を消すために入れるということになるじゃないですか。今までおっしゃっていることと大分違ってくるんだけれども。
 そこで、もう一つ聞きたいんだけれども、剰余が出るか出ないかというふうな話は、これは不良債権処理あるいは株価がどうなるか、つまり、株式の売却損とか評価損、ここと深くかかわると思うんですが、集中再生期間、これはどなたかの好きなお言葉に似ておるわけでありますが、二年間の集中再生期間というのをとってある。不良債権比率を一〇%から五%にする。こういうふうにしてあるわけですね。
 不良債権は、きょうお出ししました、これは「りそな」単体でありますが、この間の三月期末決算、それ以前の決算書をもとにしてこういう表をつくってくれ。ようやく、本当はこういう合算した金額を書いてくれなかったので私が合算したのでありますが、十二年から十五年までをつくってみました。これを見てください。
 そうすると、不良債権の処理がこういう金額でずっと行われておるのですが、昨年九千二百七十一億円も不良債権を処理しているのに、ことしはなぜか、二千八十五億円しか処理していない。なぜなのかわかりませんが、いずれにしても、業務純益の範囲内でしかやっていないんだろう。
 業務純益をごらんいただきますと、これは十四年までは大和銀行とあさひ銀行の業務純益の合算であります。ことしは「りそな」単体の金額であります。なぜ合算の三千六十三億円から一千二十七億円へ三分の一になっているのか、これもよくわからないけれども、いずれにしても、業績というか純益計算の上では甚だ落ちておる、こういう事態があるわけですね。
 先ほどの話に戻りますと、不良債権残高が二兆三千百三十四億ある。したがって、これを二年間で半減するというのは、約一兆一千億の不良債権処理をしなきゃいかぬ。現時点までに、見合う引当金を積んであるのであれば、ほとんどそれは必要ないんでしょう。ないんでしょうけれども、どうもそうは思えない。そして、この二年間の与信費用というのをこの計画書で見ておりますと、一千七十九億円、これが十六年三末であります。十七年三末が七百十九億円。けたの違う金額しか書いていない。そうすると、この二兆三千億を一兆一千億にするために、この程度の与信費用で足りるのか。あるいは、新規発生額はないのか。現時点で不良債権の引き当てというのがそんなに膨大に積まれているのか。
 この辺、どうですか。どなたかお答えになれますか。
五味政府参考人 今回の決算、この三月期の決算におきまして、これは二度にわたる特別検査があったわけですが、この特別検査の結果、あるいは九月期を対象に行われました大和銀行に対する検査の結果、さらにはDCF法の採用に伴う引き当ての強化、こういったことを行いまして、この十五年三月期の決算におきまして引当金の大幅な積み増しを行っているということがございますので、不良債権処理を大きく行いましても、引き当ての厚みというものがございますので、不良債権の処分損の方はそれほど大きく出ない、こういう傾向になります。
仙谷委員 不良債権の処理のところが、ことしの「りそな」が二千八十五億円しかやっていなくて、引き当てをそんなに積んだ。ほとんど理解しがたいことをおっしゃるんですが、まあ、そこのところはいいでしょう。
 話題を少々変えます。
 いずれにしましても、この剰余金見込みのところの金額というのは、これは甚だ絵そらごとのような話になっておるんじゃないかと私は思います。今までの資本注入をした一兆一千六百八十億と同じように、どこかへ消えてしまうんではないかというおそれを持っておりまして、ここは厳格に、希望的観測の自乗みたいな話をしないで、ちゃんとした収益計画を厳しくてもやっていただかなければ、国民は、何年もたってから、まただまされた、こういう話になるんではないかと思います。
 いや、五年前に言ったことをちゃんと覚えていらっしゃるでしょう、五味さんも。ちゃんといい値段で売れるんだ。いい値段で売れますか、今。配当が辛うじて今まで入ってきただけで、ことしはゼロじゃないですか。
 それで、今から聞くわけですが、結局、一兆一千六百八十億円というのは、今回のこの資本注入の前後、あるいは資本注入後の自己資本との関係では、これはどこへ行っているんですか。消えたんですか。
 つまり、この計画書を皆さん方がこのままお認めになっているとすれば、りそな銀行の自己資本必要額という項目がございますね、これは二十三ページ、資本注入の金額について二十ページから始まっておるわけでありますが、一兆九千六百億円必要だというために、リスクアセットが二十四兆三千四百億円なんだ、だから一二・二%の自己資本比率の自己資本をつくろうと思えば二兆九千七百億円必要だ。
 十五年三月末の自己資本が四千七百七十六、ティア2が五千二百七十九、プラスしますと一兆五十五億円ですよ。ほうり込んだ従来の投入額が一兆一千六百八十億円ですよ。これだけでも足りない。つまり、従来、国民の税金を注入したものより少ない金額しかここにはカウントされていない。これをどう理解したらいいのか、我々素人が、国民がわかるように、どなたか説明できますか、これは。
五味政府参考人 投入されましたうち、株式で投入されましたものについては資本金と資本準備金の方に割り振られておりますけれども、この資本準備金の方を今後の収益で積んでいくということで、剰余金を十分に積み増していくことで、将来、投入された資本に見合うものを確保し、必要な期限までに返済をする、こういう仕組みになります。
仙谷委員 いやいや、ちゃんと答えてないじゃないですか。
 今のお答えは、私が理解すると、今はゼロになっているけれども、これからのもうけで、もうけから諸費用を引いて剰余金が出ればそれで払っていく、こういう話にしか聞こえないですよ。だから、今はゼロになっているんだったらゼロになっているということをちゃんと認めてくださいよ。僕にはそういう計算しかわからないんです。それほど企業会計詳しくないからわからぬ。
竹中国務大臣 細かい数字についての質問通告をいただいておりませんでしたので、すぐに対応できない部分があって申しわけございません。それで、仙谷委員、幾つかおっしゃった中で、ちょっと今お答えできるものを申し上げます。
 仙谷委員の御指摘は、これは本当に、この数字の根拠は何なのか、絵そらごとではないのかという言葉をおっしゃいましたですけれども、最後の質問はまた後で答えさせていただきますけれども、例えば、実質業務純益が十五年三月期にえらく少なくなっているじゃないかという御指摘がありました。これは、後で精査してまた御報告をいたしますが、これは合併しているからだと、合併してあさひ分を閉鎖決算をやっておりますので、その関係でこういう数字になっているんだと思われます。これは、御説明、必要であればまたさせていただきます。
 不良債権処理額が、十五年三月期、大幅に減っているではないか。これは、十四年三月期に初めて特別検査を行っていろいろ洗い出した。したがって、前回、その処分損等々が非常に大きくなっているということに関して、今回は、前回のこの資産査定によって洗い出された分があるから新たに発生したものが少なくなっているだろう、このように考えられます。これについても、いずれまた必要でありましたら詳しく御説明をさせていただきます。
 最後のお尋ねの、かつて入れた自己資本の、注入した自己資本の額と、それと今のバランスシート、注入前のバランスシートの純資産、ネットの資産が、比べるとこの方が少ないのではないだろうか。これも、ちょっと数字が手元にありませんので、厳密には、また必要であればお答えさせていただきますけれども、その意味では、バランスシートが悪化して、その部分は、今の時点で評価すれば毀損しているということになるのだと思います。
 局長が先ほど答弁をさせていただいたのは、そういうものも含めて、今回新たにガバナンスの体制をとって、しっかりとした収益力を回復して、過去の分も含めてしっかりとした利益剰余金を積んでいきたい、そのように申し上げたというふうに御理解いただきたいと思います。
仙谷委員 そういうふうに、数字は確認されていませんけれども、今大臣がおっしゃったように、自己資本が現時点では毀損されている、こういうふうにおっしゃられると、それではということになるわけですよ。つまり、今度は減資の問題になってくる、こざるを得ないわけであります。
 つまり、私が先ほど申し上げたのは、ここまで来ると、優先株として注入した一兆一千六百八十億円にも足らない自己資本しか立たない、そういう会計処理しかできない会社が、いいですか、なぜ現時点で既発行の普通株式五十六億株が減資をされないで、これも一株一票を持つ、こういうことになるのか。今回発行された普通株五十七億株、これは五十二円として、一株五十二円の計算で一株一票だ。優先株に至っては一株二百円の計算で八十三億二千万株ということになっておるわけですね。これはどう考えてもおかしい。
 先ほどから時価総額と株式の問題も議論に出ておりましたが、私が、今この計画書にも書いてございますように、四十四円、つまり優先株は四十四円でまずは発行されて、ホールディングスに行ったときに二百円になるんだ、こういう前提で計算しますと、全部で五百二十九億株ですよ。発行済み株式が五十六億株ですよ。つまり、簡単に言ってしまうと、一〇%ぐらいのものですよ。それを、あえて優先株を一株二百円にすることによって、それで何か二九%ですか、三割ぐらいは普通株の資本内でのシェアがあるみたいな格好をつくってやっておるんではないか。
 なぜに、こんなに自己資本が毀損をして、普通株式で支える資産部分というか、会社の価値部分が全くなくて、その上に国から注入した一兆円の部分もほとんどなくなっている、ほとんどなくなっているというのは言い過ぎか、一兆円で辛うじて支えているというふうな会社に、新たに今度は二兆円の資本を注入するのに、何で普通株に値打ちがあるかのごときこういう構成をとらなければならないのか、不思議で不思議でしようがない。
 この優先株については、これは転換をする前提になっていないんですね。何で二百円の株式も一票しか持てないんですか。これをちょっと答えてください。
五味政府参考人 りそな銀行は別に債務超過という状態ではございませんので、正常なバランスシートのもとで今後の運営を続けるわけでございますが、普通株式とそれから議決権付優先株との関係でございますが、これは企業のガバナンス効果ということを考えれば普通株が望ましいわけでございますが、他方で、後でこれを回収していくということを考えますときに、ダイリューションの懸念ですとか、あるいは配当に対する優先権がないというようなことから、これが国民負担という面から見るとそちらにつながっていく可能性もなしとしない、こういったことから、ガバナンスを十分確保しながら、しかしダイリューションの影響や国民負担の可能性の防止といったようなことを考えて普通株と同じ議決権を持つ優先株というものを導入している、こういう形をとったわけでございます。これは優先権を配当等について持っておりますので、その分普通株に比べれば高い価格がつく、こういう形になるわけでございます。
仙谷委員 いやいや、では、何で三倍から四倍の金額をつけているんですか。どういう根拠でこんな金額にするんですか。
 これは転換しないんでしょう。転換をするときに、転換時の下限価格を決めれば、今までほうり込んだ一兆一千六百八十億円ですか、これがたった三千億円ぐらいにしかなっていないと僕がこの間計算で示したけれども、それがすぐ暴露されるから今度は転換価格書いていない。転換しないんでしょう。
 何で二百円なんですか。四十四円のものが何で二百円になるのか私はわからない。百円でもいいじゃないですか、優先株だったら。七十円でもいいですよ。どういう根拠で二百円になっているんですか。それだけ教えてください。
五味政府参考人 これは商品性といたしましては、転換ができるようになっておるわけでございます。優先株から普通株への転換ができるようになっておりまして、それでこの価格が、大体四倍ぐらいの価格になっておりますけれども、これは優先株の価格を評価いたしますときのマーケットの慣行によって通常は普通株よりも数倍の高い値段がつきます。
 この価格の妥当性ということにつきましては、「りそな」側あるいは私どもの役所の側でフィナンシャルアドバイザーを雇いまして、条件の公正性ということについてのチェックをしておるところでございます。
仙谷委員 これは本当にあれですよ、我々が今いただいたものには、あるいはインターネットで探しても、転換条件とか転換価格とか転換の時期とか、一切書いてあるものがないですけれども、本当に転換できるんですか。転換価格幾らですか、これは。
五味政府参考人 申しわけございません。あるいはお手元に資料が届いておらないかもしれません。
 六月十日に、りそなホールディングスが発表いたしております株式交換契約の締結について、この中の資料で、ホールディングスの発行いたします優先株式についての転換の条件というものが述べられております。
 この転換の価格といいますのは、転換開始可能時期が三つの時期に分かれておりますので、それによって違っておるわけでございますが、この資料の中に、例えば、最も早く転換可能時期が到来いたします第一種第一回優先株式、これは「平成十八年七月一日以降下記の転換の条件で当社の普通株式に転換することができる。」といたしまして、当初転換価格につきましては、下限の転換価格が二十八円ということになっております。これが下限転換価格でございます。
 そういたしまして、以後、この転換価格につきましては、平成十八年八月一日以降毎年八月一日に修正を行う、これは修正日現在における時価、これをもとに修正を行うということになっております。おおむねこういったような条件がこの株式の性格として設定されております。
仙谷委員 二十八円。昔は三百何円台だったと思うんですが、これはマーケットの評価がそうなっているということで、涙がちょちょ切れるというか、もうどうにも情けない話を今聞きました。
 マーケットの現在の評価をそんなものだという前提で考えますと、営業余剰を上げて何年で、まずは何か四年ぐらいでお支払いになる、十九年の三月期には、早くも早期健全化法で注入された四千八十億円を返す、返済するというふうになっていますけれども、これは期待しないで待たなければしようがないのかな、そういうふうに思います。
 いずれにしても、資産査定と、それからこの営業余剰なんかの見方を、金融庁がちゃんと査定というか、見てやったとは私思えないんですね、今度のこの二兆円の注入についても。さらに本格的な査定というか、資産査定、それから営業的利潤といいましょうか剰余が生まれるようにするためにはどうしたらいいのか。しかし、さらに進んで、きょう私がつくってきたこの表を見ていただきましても、貸出金の残高がこんなに減って、国債はふえて、不良債権はどんどんふえてというふうなこの項目を見たら、とてもじゃないけれども、まともに金融仲介機能や信用創造機能を果たせる銀行に再生されるとはとても思えない。よほどの大手術、あるいは銀行経営陣の意識改革が必要なんだろうと思います。
 きょうは時間がございませんから、もう一点。
 昨日、この委員会で問題になっております、りそな銀行がいわゆる「面談メモ」について、作成人であることを記者会見で認めたということになっておるようであります。きのうそういうニュースが流れました。昨日私が竹中大臣に申し上げた、作成については、つまりこういう書類がつくられたということについては、つくった人もしくは団体といいましょうか、組織が認めたということになるわけであります。
 そうなりますと、書かれてある内容が果たして事実なのかどうなのか、真実なのかどうなのかということでございます。そこが問題になります。それは証明力といいましょうか、直ちにすべて証明力があるわけではないといえばそれはそのとおりかもわかりませんし、いや、大概こういうものは、このごろのことだから、テープをとってそれを起こす、概略、要旨だけを書き取ったか、あるいはほとんど同じように書いたか、どちらかだ、両方見方があると思います。
 そこで、ここで鈴木課長が、「その後監査法人の方は如何か、三年を説明するメモを見たが論理的ではないと思う」と。だから、これは、話の内容として、監査法人がつくったメモ、それは繰り延べ税金資産を三年間自己資本として繰り入れる、三年しか入れられない、五年間は入れられない、しかし、私のところは、ゼロとか一年とかそういうことは言っているんじゃなくて、三年間は繰り入れる、こういうふうに何か書いてあるんじゃないか。そういうふうに推論がされるわけであります。
 その点については、昨日、この「面談メモ」について「りそな」が認めた以降、大臣、要するに、ここに書かれてあることが、つまり詠み人知らずじゃなくて、詠み人存在するという前提での調査を行ったでしょうか。いかがですか。
竹中国務大臣 今の面談のお答えの前に一点。
 自己資本は毀損しておりませんので、先ほど私が申し上げたのは、現時点で優先株を転換すると仮定した場合には評価損が出るということを申し上げましたので、自己資本の毀損でありますとか債務超過、そういう点ではないということを、重要な点でありますので、あえて確認をさせていただきます。
 「面談メモ」でありますけれども、私たちの基本は変わっていないつもりであります。これは、作成者がだれかはちゃんとアイデンティファイできる、しっかりとした出所のわかるものであって、かつそこに、金融庁の行政に大いに疑義があると思われるようなことが記されているのであるならば、それはその当人に対して、やはり確認を含めたいろいろなことをやらなければいけないと思っております。
 その点、昨日でしたか、その出所をお認めになったということでありますので、これはどのように対応が可能かというのを少しこちらの方で考えてみたいと思います。
 同時に、監査法人のお二人、きょうの午前中のお話の中で、そういう圧力は直接、間接を問わず一切なかったとお答えになっているようでございます。しかし、ここは昨日の一点を踏まえて、これはコンプライアンス室等々を立ち上げますので、どのような対応をすべきかということをぜひ検討してみたいと思います。
仙谷委員 時間が参りましたので終わりますが、鈴木銀行一課長をこの委員会に呼んで、従前からお願いしてあるわけですが、参考人としてお呼びをして、ぜひ聞く機会をつくっていただきたい、改めてお願いしておきます。
小坂委員長 理事会において協議いたします。
 次に、五十嵐文彦君。
五十嵐委員 このところ、随分ひどい法案が次々出てきたり、ひどい措置が出てくるんですが、竹中大臣の発言というのは、限られた分野については小理屈ひね回してなるほどなということがあるんですが、全体的には全然整合性がとれていない。だからわけがわからなくなるんですね。
 私どもは、柳澤前大臣との質疑でも、これからは事後的な監督へ移行するんだ、事前に手とり足とりしたりしないんだということを言われてきた。今危機ではないんだということを強調されてきた。私どもは、むしろ危機だから民主党が主張した早期健全化法を復活させて、思い切って過少資本行には公的資金を注入して危機を回避しなさい、こう言ってきたら、そういう必要は全然ないんですということを言ってきたわけですね。もう事後的なものに変わったんだ、だから預保法を改正して、その中に皆さんの主張も含まれているし、危機はないわけだからこれで十分なんです、こういう説明を受けてきたわけです。
 ところが、今回の「りそな」の件を見ますと、これはシステムの危機じゃなくて個別救済に当たるわけですし、個別救済はしないんだと言っていた今までの説明とも違うし、あるいは事前救済はしないんだと言ってきたのとも反するわけですね。これは全く矛盾に満ち満ちている。最初から粉飾決算を前提にして、粉飾決算を認めてしまって、危機を否定するからこういうことになるのであって、私はおかしいと思う。
 一方では、例えば日銀の福井新総裁が、前から予防注入論者ではありましたけれども、ここへ来て急に予防注入が必要だということもさらに現実味を帯びて政府、日銀部内で語られているというところから見て、危機がないんだとかいうのは全くのフィクションではないかな。また、前日銀総裁速水さんは、正味自己資本比率の方が大事だ、実質的な自己資本比率の方が大事だということも言われてまいりました。
 日銀の方も考査をしているわけですから、「りそな」の財務内容をどう把握してきたか、日銀さんの方にまず伺いたいと思います。
三谷参考人 お答え申し上げます。
 日本銀行は、昨年の三月から七月にかけまして、大和銀行、あさひ銀行それぞれに対して考査を実施いたしました。その時点で、私どもの判断は、自己資本比率、余裕を持って規制水準四%を上回っているという判断でございました。
 ただし、その経営の内容等を見ますと、やはり中長期的に安定した経営基盤を整えていくためには、一層の不良債権処理に取り組むこと及び収益力の強化を図ること、これが必要であるといったことを確認した上で、両行にその旨伝達したところでございます。
五十嵐委員 日銀の考査というのは、そういう意味では、ある意味で距離を置いたものになるわけですから。一定の積み上げた監査法人の監査結果等を尊重しなきゃいけないということがあるわけですから。それにしても、一層の収益力強化とか経営基盤の強化というものを条件的に付さなければならないというような状況だったということは確認しておきたいと思います。
 そこで、「りそな」の状況を、本当にどうだったのかということを見なきゃいけないわけですが、先ほど大臣がお認めになりましたいわゆる「面談メモ」の中に、中原参事官が百二条の趣旨ということを盛んに有権的な解釈をされているので、いいかげんにでっち上げられたものではないということは明らかだと思うんですが、これはシステミックリスクが発生したときの危機対応だと言っているじゃありませんか。システミックリスクに近づいている、少なくとも、百歩譲っても近づいているんだ、前段階なんだという意識で。だから、さらに追加増資がないようにしたいと中江企画官もおっしゃっているようですし、そのような意味から見て、大変厳しいやり方をとらなければならないんだということを説明しているんですね。それで、これを回避できないのかということを鈴木課長がその前に言っている。こういう整合性のとれた構成になっているんですよ。
 これはやはり実質的な破綻に近い、あるいは、我々はもう実質破綻どころか本物の破綻だ、債務超過だと思っているわけですが、実質破綻だという認識を持っているという証拠じゃないですか。メモそのものは、「りそな」側が、つくったものということをお認めになった。そのメモの内容で、金融庁側が言われていることは、実質破綻の認識を示しているんです。お認めになりますか。
竹中国務大臣 五十嵐委員からいつも御批判をいただいておりますが、私は、金融の行政に関して、極めて整合的に、一貫した行政を行っているつもりでございます。
 委員の御表現の中に、今破綻という言葉がありましたし、その前には粉飾決算という言葉がありましたし、個別救済という言葉がございましたが、私は一切そのようには考えておりません。
 今の「面談メモ」については、「りそな」が、それは自分たちでつくったということは確認しておりますけれども、その個別の内容については、それぞれの中身については、私が参事官も含めて確認したところでは、趣旨として、預保法百二条の適用とする、これはコンティンジェンシープランの説明でありますから、それはやはり相当の厳しい覚悟を持ってやっていただかなければいけない、通常ではない、まさに例外的措置としてやるのであるからということの趣旨を説明したくだりであるというふうに理解をしております。
 いずれにしても、預金者がどこかに列をなしているわけでもない、「りそな」が資金手当てができないという状況でもない、預金の払い出しができないという状況ではない。その意味では破綻だとは思っておりませんし、ましてや粉飾決算だとも思っておりません。独立した監査法人が、最終的にさまざまな要因を考慮して今回のバランスシートをつくっているわけでございますので、そうした行政の基本的な姿勢を御理解いただきたいと思います。
五十嵐委員 これは、百二条そのものがシステミックリスクに対する対応なんだと説明しているじゃないですか。それで百二条を発動したのですから、簡単な三段論法ですよ、これは。百二条を発動したこと自体がシステミックリスクへの対応として考えているんだということなわけだと思いますね。水かけ論になりますから、たくさん聞きたいことがありますので先に進みますけれども。
 それでは、監査法人の判断というのは本当に正しかったのか。
 午前中、私の質疑をお聞きになっていたかどうかわかりませんけれども、事実上、旧大和、旧あさひというのは五年分の繰り延べ税金資産じゃなくて、あさひ銀行は実は六・七年分、それから大和銀行は八・九年分の計上をしたに等しいんですね。なぜなら、そんなに収益を上げていない、いわゆる課税所得がそんなにない。
 それが、これは過去の話だからという説明を皆さんするわけですね。過去五年間の平均で業務純益がそれしかなかったからといってこれから先ないとは言えませんと言うんですが、実は、業務純益は今下がりつつあるのであって、V字形に回復する根拠は何もないのに、何も示されていないのに実は六・七年分も八・九年分も事実上見込んだということですから、これは粉飾決算だということとイコールなんですよ。
 この、実際に皆さんが認めた大甘の、今回実質破綻をしてからの経営健全化計画を見たって、二〇〇四年の三月期で三期連続赤字からいきなり脱却し、二〇〇五年三月期以降の三年間で業務純益が六〇%もアップするという、そして剰余金が五千七百億円も積み上がるという、こんなV字回復が見込めるんですか、本当に。これはふざけた話ですよ。こんなものを見込めるはずがないじゃないですか。
 どうですか、この今私が申し上げた二点。過去の業務純益の実績に税率を掛ければわかるわけですから、それと比べた繰り延べ税金資産が過大であるということ、それから、今言った経営健全化計画は過大な見積もりではないかということについて、簡潔に、余計なことは言わなくて結構ですから、短く。
竹中国務大臣 けさの監査法人からの答弁にもあったと思いますし、これはもう委員御自身が大変御承知の上でお尋ねだと思いますが、何年分の利益、何年分を見積もるかというのは、これはまさに前向き、将来を見越すわけでございますから、それに根拠があるかないかというのは、まさにこれは判断の問題になろうかと思います。五十嵐委員は根拠がないじゃないかという御見解だと思いますが、監査をした監査法人は根拠があると判断してそれを計上している、これに尽きるのだと思います。
 そこは我々としても、今度の業務純益、経営健全化計画も含めてしっかりと見ていきたいというふうに思っておりますが、企業の自主的な会計、それでそれを独立した監査法人が監査をする、まさに冒頭で委員がおっしゃった、我々は事前に介入しないで事後的にそれをチェックするんだという立場で今の行政を行っているわけです。
五十嵐委員 十分にお答えになっていないですけれどもね。この見積もりは、今言った次の方ですね、経営健全化計画の方は皆さんが認めたのであって、監査法人は関係ないんですよ。この計画は、私どもは、この銀行についてはこんなV字形の回復はあり得ないだろうと。だからこそ皆さんも、一二・二%という自己資本を念のために、危ないからといって置いているんでしょう。そんな銀行がV字回復するはずがない、こう思っているわけですが、これをどうしてお認めになったのか、この計画が適正だとどうして言えるのかということをお伺いしたい。
竹中国務大臣 繰り返しになりますけれども、企業というのは自主的に決算を行うわけです。そのときに、公正なる会計慣行をしんしゃくして行う。その公正なる会計慣行に基づいて、職業監査人である監査法人がそれを独立して行う。これが、我々のルールでございます。そこで出てきたものが社会的に認知される会計の数字であるというのが、私たちの社会の仕組みであろうかと思います。
 もちろん、我々はそれを事後的にチェックする仕組みを持っております。それは検査です。検査は行います。検査はこれまでも行ってきて、特別検査も含めて、特別検査はもちろん繰り延べ税金資産は対象ではございませんが、資産査定についてはしっかりとやってきているつもりでございますが、これは、今までの検査のルールのとおりこれからも行っていく。金融再生プログラムの中には、繰り延べ税金資産の検査も行いますということを明記しております。そのルールにのっとって、まさにルールにのっとって、事後的にしっかりと検査監督をしていくつもりです。
五十嵐委員 ルールが今までまちまちに恣意的に解釈されてきたから、こんなに各銀行において繰り延べ税金資産の計算がまちまちだという事実があるし、今私は、先ほど、六・七年分、実質的には八・九年分まで認められてきたじゃないかと言ったけれども、ほかの銀行のもちゃんと調べているんですよ。ひどいです。専門家に聞きました、私は素人ですから。それはやはりひどいと。五年分だってひどいと思うんだけれども、それ以上認めているというのはやはりどう見てもひどいんだと会計の専門家は言っていますよ。
 それをお認めにならないで、監査法人が認めたら何でもそれは認めるんだというのは、それは、銀行を監査する監督庁の大臣としてはいいかもしれないけれども、同時に監査法人を監督する監督庁の大臣でもあるんですから、それはうのみにすればいいんだというのはおかしいということを申し上げておきます。
 それから、今デューデリに近いようなものをおやりになるということを言われたわけですが、もしその結果自己資本比率がさらに低下した場合、どうするんですか。やり直してみて債務超過にもし陥っていた場合は破綻処理に移行すべきだと私どもは思いますけれども、どうされますか。
竹中国務大臣 繰り返しになりますけれども、今の決算において債務超過ではございません。将来それで変化があったらどうするか、これは仮定の質問でありますので、ちょっとお答えすることはできませんですけれども、我々としては、ルールにのっとってしっかりと対応していきたいと思います。
五十嵐委員 いや、今までがルールにのっとっていたと思われないから申し上げているわけです。
 それから、私は、増資を安易に認めたのも大変おかしいと思います。増資をして二カ月後に実質破綻をするようなところに、それほどの収益増大の見通しがあるわけでもない、そこに増資をしかけるというのは詐欺的な増資ですよ。石川銀行と同じようなものじゃないか、こう思うわけです。
 私は、そういうことをした経営陣を遮断することが大事だと思うんですね。勝田前頭取が新経営陣人事に口を出した、こう巷間言われております。これは、事実でしょうか。それから、勝田前頭取の影響力を排除しなければならないという観点からいうと、同氏に近い人物は新経営陣から外すべきではないかと私は思うんですが、そういうお考えがあるかどうか伺います。
竹中国務大臣 御指摘のとおり、増資を行っております。増資を認めたのはいかぬのではないかという御指摘でございましたが、これはやや形式的な言い方になりますが、増資というのは認可事項ではございませんで、届け出事項でございます。これは委員は御承知のとおりだと思います。
 しかしながら、この増資が本当に利害関係者の立場に立って適切に行われたかどうか、これをチェックする責任は私たちにもございます。そのために第三者引き受けの場合のガイドラインを我々もつくった、これは御承知のとおりだと思います。それに基づいて、そのコンプライアンスの観点からの検査というのは行っていくわけでございます。
 直接お尋ねの、旧経営陣が人事に口を挟んだのかという点、この点につきましては、そういうことがないように実は経営監視チームというのをつくって、何のために経営監視チームをつくったかというと、これも金融再生プログラムの中に定めたルールどおりにやっているわけですけれども、これは、こういう過少資本というような状況が生じた場合に、特に経営者が入れかわる場合には、ガバナンスの空白が起こる可能性がある。そのガバナンスの空白を起こさせないために、我々の中で経営監視チームをつくって、取締役会にもこのチームの一員を派遣、陪席させております。
 そうした中で、旧経営陣が新たな経営陣の活動を阻害したり、懸念される問題としては、自分たちの影響力を不当に残そうとするとか、そういうことは極力排除しなければいけないというふうに私たちも考えました。そのような経営監視チームの取締役会への陪席等を通じて、そのような問題を我々としては一生懸命排除してきたつもりでございます。
 最後に、お尋ねのこの責任問題云々でありますが、今回の経営健全化計画の中に、どうして「りそな」がこのようになったのか、その原因究明も含めてしっかりとやっていくということが明記されております。この原因究明の中には、必要な場合には、そうした責任についても議論するという場合があり得るというふうに考えておりますので、引き続き、委員御指摘のような点も踏まえてしっかりと対応をさせたいと思いますし、我々も監督をしていきたいと思います。
五十嵐委員 増資は確かに報告事項なんですけれどもね。それはしかし、コンプライアンスという面からは、確かにインチキな増資というものもあり得るわけですから。しかも、それは前例が石川銀行であるわけですよ。ですから、これはきちっと監視するのは当たり前で、ただ黙認をすればいい、黙って看過すればいいという問題ではないということを、おわかりだと思いますけれども、御指摘をさせていただきます。
 それから、もう一部報道されているところでもあるんですが、朝日監査法人の五月二十日夕刻からの法人内マネジャーミーティングというのがありまして、その「会議用メモ」が出てきているわけです。りそな銀行の担当者等が集まってマネジャーたちに説明をしているんですが、これは真実だとしか思えないですね。平田さんの事故、自殺の件も書かれておりますし、かなり詳しい内容になっています。
 その中に、「新日本監査法人の監査チームは適正意見を出すことにしていたが、新日本の審査会が無理と判断し、今回の国家管理への移行となった。」という一文があります。それから、「大和銀行、大和HDと新日本監査法人とが握っており、朝日監査法人側にはなかなか決算の数字が出てこなかった。四月十四日に数字を出してくれるよう銀行側に強く依頼、四月十六日に収益計画が出てきた。それを受けた朝日監査法人側の検討結果として、四月二十二日には」「上級審査会で、「りそな」は六十六号五項の但書、即ち財政状態が債務超過の状況にある会社で、かつ短期間に当該状況の解消が見込まれない会社にあたるとの判断をした。この結果、繰延税金資産の計上は一切無理との判断をした。」そして、「朝日監査法人は一貫して上記規定に基づく繰延税金資産ゼロを主張したが、銀行側が金融庁に駆け込み、新日本監査法人が繰延税金資産の計上をOKしたとの情報を得たので、四月三十日付けで」「監査から降りた。」ということを書いてある。
 「今回のマネージャーミーティングの件は外に対しては漏らさないようにして下さい。」こういう付記があるんです。
 この内容は、作文ではつくれません。作文ではつくれません。これも私は真実だと思いますが、これについてどういう御感想を持つのか、調べる意思があるのか、お聞きしたいと思います。
竹中国務大臣 今の、御紹介いただいた、これは五月二十日とおっしゃったでしょうか、(五十嵐委員「そうです」と呼ぶ)メモについては、ちょっと私の方では確認ができませんので、具体的に中身についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、これもけさのここの場での御審議だったと聞いておりますが、朝日監査法人の岩本理事長も、これは、最後まで自分たちは監査をしていないので、債務超過だったかとか、そういうことを言える立場にはないというふうにおっしゃったというふうに聞いております。
 いずれにしましても、このメモの所在がちょっと確認されませんので、私たちとしては対応のしようがございませんが、これは、監査法人と企業のやりとりに関して、私たちがそれに対して口を出す立場にはないというふうに思っております。
五十嵐委員 それは重大な結果に結びついているんです。全く無関係の監査法人じゃないんですよ、これは一たんは株主総会で選出された監査人としての朝日監査法人の監査の意見なんですから。それを一方的に切り捨てるというのはおかしいんです。おかしいんです。
 監査法人が、日本の監査法人が信頼性を失うということは大変なことでしょう、日本の企業すべてが国際的な信任を得られなくなるかもしれないというもとになるわけですから。
 私の手元に、また別の方からの内部告発的な文書が来ておりまして、これは名前は申しません。某旧都銀なんですが、朝日監査法人と業務上密接な関係にある。銀行支店長経験クラスを、朝日監査法人のコンサルティング部門の営業部長として受け入れてきている。これは、営業力があるから、こういう銀行経験者を継続的に受け入れるメリットがあるんだけれども、監査法人はそれを、銀行に対して恩義を感じることになるということなんです。いわば一種の天下りですよ。こういう形で持ちつ持たれつの関係ができるということは、監査法人がクライアント企業に対して甘くなる大もとになってきている。
 ゴーイングコンサーンに関するものについては特記事項にちゃんと記さないと後で服務規律違反で処分されるということがこの三月期末から出てきたものですから、ここへ来て初めて、クライアント会社寄りになることと投資家寄りになることのバランスがとれてきたんですが、それまではとれてなかったということです、逆に言うと。
 だから、それまでの監査というのは、極めてバランスに欠けた、クライアント寄りの粉飾決算じみたことが行われてきた疑いが濃いということなんですよ。そうでしょう、今みたいな癒着が実際に起きてきているということが証明されているんですから。こういう事態をどうやるかということは、監査法人の監査のあり方についても厳しく見直すということがなければならないと私は思いますが、私が今申し上げました指摘についてどう思われますか。
竹中国務大臣 五十嵐委員御指摘の、監査法人はやはり独立性を保ってしっかりとやる大変重要な社会的役割を担っていて、その信頼性が崩れたら私たちの経済活動も成り立たない、監査法人の役割は重要である、しっかりしていただきたい、そのような点に関しては、私も全く同じ思いを持っております。先般御議論いただきました公認会計士法の改正に当たっても、そういった点を述べさせていただいたと記憶しております。
 今また、メモ、新しい情報について五十嵐委員から御紹介をいただきましたが、これまた、私の今の立場ではちょっと確認のしようがございません。
 先般から御答弁をさせていただいておりますけれども、正式に私の方に調査をしろという申し出があって、その人物が特定できるんであるならば、これはぜひお申し出をいただきたい。金融庁の中にコンプライアンス室をつくって、そこに弁護士を置いて、ヘルプラインも設けるつもりでございますので、そこら辺は、我々としてやるべきことはすべてやるという姿勢で臨みたいと思います。
 ただ、繰り返しになりますが、先ほどの岩本参考人は、次のようにけさおっしゃったと思います。「予備調査の段階でいただいた資料の中で検討しておりますので、その辺、債務超過であるかないかということについては、りそな銀行の監査をしておりませんので、答える立場にありませんので、御了解」願いますと。
 その意味では、正式に契約を結んで監査報告書を出す新日本監査法人の監査の結果、それに基づいて、我々としてはそれを基準にして、やはり行政をしっかりと進めていきたいと思っております。
五十嵐委員 それは間違っているんですよ。
 今のも、その告発人を連れてこなきゃ何にもやりませんよというふうに聞こえますけれども、これは一般的に言って、銀行の支店長経験者を何人コンサルティング部門に入れているかとかいうことは、調べて何にも悪いことはないわけですね。そうでしょう。だから、それをやりませんという話じゃないと思うんですよ。
 それから、確かに、直接的にはさすがに言いませんよ、監査法人だって、金融庁から圧力を受けたとか。金融庁も直接的にはやらないでしょう。だけれども、今回のキーパーソンは奥山公認会計士協会会長だと思うんですね。彼は、監査法人から、怖いから、きちんとした監査、厳格な監査をしたいんだけれども、金融庁やりそな銀行側から非常にそうでない話も来ている、思い余って、悩んだあげく、竹中さんに、だからこそ、本当に私らの方でやらせていただいていいんですかという確認をしたんじゃないですか。私はそこに問題があると思うんですね。
 この「面談メモ」を見ても、その奥山さんの行動を見ても、やはり金融庁側からの、銀行を通して、あるいは奥山さんを通しての圧力があったというふうに推認するのは、それこそ蓋然性があると思うわけですが、これについてはいかがでしょうか。それだけ伺って、時間が来そうですから、終わりにします。
竹中国務大臣 奥山会長は、我々のタスクフォースのメンバーとしていろいろ御指導も仰いでおりますが、この「りそな」の問題に関してお話をしたことは一切ございません。
五十嵐委員 なぜ、銀行だけがこれほど手厚く、あるいは生保だけが手厚くやられなければならないのかということを国民はみんな疑問に思っているわけですよ。一般の事業会社は、中小企業の社長さんたちは、厳しい環境、厳冬の、冬のさなかに裸で路上にほうり出されている。これに対して、銀行や金融機関は、それこそラクダの下着を着せられ、上着を着て、襟巻き、手袋をして、さらにミンクのコートを着て、さらにストーブまで背中にしょっているという状態で、いろいろな保護がされているわけですね。これはやはりおかしなことだと言わざるを得ないと思います。
 個別救済ではないんだと言うけれども、どの世界でも、債権放棄した方がつぶれちゃうより得でしょうという世界はどこにでもあるんですよ。だから、それが、例えば今回の生保でいえば生保を救う理由にはならないんです。やはりシステミック、連鎖倒産が起きることを防ぐということでなければならないはずで、その前提そのものを、生保全体の危機だ、それが銀行に波及するかもしれないということをお認めにならない中でのこのようなスキームというのはおかしいということを改めて申し上げまして、質問を終わります。
小坂委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後二時五十分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時三分開議
小坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。東祥三君。
東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。午前に引き続いて質問させていただきます。
 竹中大臣、私は素朴に、昨日「りそな」への一兆九千六百億円というこの巨額の資金投入を決定した、早過ぎるんじゃないのかというふうに思うんです。実際、きょうの日経の朝刊を見させていただきましたが、「りそな、貸出資産を再評価」。これから貸出資産を再評価していくんでしょう、その結果、一兆九千六百億円以上出さなくちゃいけなくなるのか、あるいはまたそれ以下なのかという話が出てくるんじゃないですか。いかがですか。
竹中国務大臣 今回資本注入を行うに当たって、そのよりどころとなっておりますのは、御承知のように預保法百二条でございます。これは、緊急の状況にかんがみて迅速に対応して、もってその信用秩序が乱れることを防いでいく、そういうような趣旨でありますので、いろいろなことを迅速に行わねばならないというのがこの法の基本的な考え方、趣旨であるというふうに思っております。
 我々は、これは、重ねて通年専担の検査を行って、さらに特別検査を行って、新たにディスカウントキャッシュフローの方式を採用して、その意味では、資産の査定、それに基づく決算の数値に関しては、しっかりとしたその数値を持っているというふうに認識をしています。それに基づいて、我々は過少資本と判断を行って、それによって今回の措置を決めた。
 繰り返し言いますが、資産の劣化を防ぐ、もってその借り入れをしている企業とか預金者の不安を払拭するためにも、やはり早期にこの措置を実行していかなければいけないというふうに思っております。
 その貸出資産の再評価云々、これは新聞記事でありますので、その中身を精査しなければいけませんが、基本的には新旧勘定の分離のことを言っているんだと思います。これはもう当初から、金融再生プログラムにのっとって、新しい経営者にその責任の範囲を明確にしてもらうという意味で、管理会計上の分離を行うということを決めているわけです。そのことをこの新聞、日経新聞だと思いますが、伝えているのだと思います。
 これは、新経営陣によって、ここからはしっかりと収益を上げてくださいよという新勘定と、これについてはしっかりと再生可能性を考えて再生させてくださいよという再生勘定に分けていく。そのプロセスは、新経営陣が着任してできる限り速やかにやっていただきたいというふうに思っておりますけれども、それと、決算に基づいて我々が今回の措置を決めたということは、これは少し切り離してお考えをいただかなければいけないと思っております。
 いずれにしましても、百二条の措置というのは、資産の劣化を防いで、その借り入れの企業等々の不安を払拭するためにもしっかりとした資本の充実を早期に行う、そういう趣旨にのっとって法を運用しているつもりでございます。
東(祥)委員 大臣、おかしいじゃないですか。大臣は、破綻する状況じゃないとこの委員会において数々言ってきました。しかし、百二条に基づいて、大変なことになっちゃいけないから事前にやっておくんだと。そこはまさに線を引くのは非常に難しい。
 一方において徹底的な調査をやっていると。しかし、それは一兆九千六百億円を投入するに当たっての一つの調査であって、これから細かい調査をやっていかなくちゃいけないという声にも聞こえます。
 逆に僕は申し上げますけれども、通り一遍の査定じゃないんですね。各支店における、預金者保護の観点からも厳しい徹底的な調査をした上でこの最終的な政府の判断をしたんですね。そういうふうに理解していいですか。
竹中国務大臣 調査というふうにおっしゃったのがちょっと何を意味しているかよくわからなかったのですが、基本的には、決算において資産の査定は十分に行われているというふうに考えているわけです。これは、繰り返し申し上げますが、通年専担の検査体制を持っておりまして、この検査体制を我々は続けます。その体制のもとでの検査は、引き続きしっかりと行ってまいります。
 今、新聞等々で、委員が御指摘になりましたのは、これは新旧の勘定分離、つまり、新勘定と再生勘定を分離して、管理会計上新たな経営者の責任を明確にするという意味で、こういう特別支援の銀行についてはこれをやってもらうということを再生プログラムに決めているわけであります。
 委員御指摘してくださいましたように、まだ今の時点で破綻だとはもちろん思っておりません。しかし、このままいくと信用秩序に重大な支障を及ぼす懸念があるということで、今回の百二条を適用して、それを早期に実行していきたいというふうに考えておりますわけで、それを実行しながら、通常のペースで検査はしっかりと行ってまいります。
 しかし、今回、公的資金を注入するに当たって、管理会計上その責任者の、経営者の責任を明確にする上で、金融再生プログラムにのっとって、このような新勘定と再生勘定への分離、それに関する評価は新経営陣のもとで行ってもらいたい。それに関しては、金融庁の対応としましては、経営監視チームが入っておりますので、その経営監視チームはそれをしっかりと見ていきたいというふうに思っております。
東(祥)委員 大臣、厳しい査定を行っているというんですが、本店だけじゃないんですか。本店に上がってくるデータを踏まえた上で、それを専門的に見ているということじゃないんですか。現場で、各支店においてどれほどのちゃんとした査定をやっているかというのも、それも全部含まれているというふうに理解していいんですね。
竹中国務大臣 これは本店にだけ行っているということではございませんで、もちろんすべての支店に行くということは不可能でございますけれども、必要に応じて出向いて検査をすることもございますし、これは、検査に関してはしっかりと行っているということでございます。
東(祥)委員 今の発言は極めて重要ですからね。きょうそういう発言をしているということを念頭に置いておいていただきたい。
 もう一つは、政府は十五年後に、この資金投入した公的資金の回収を方針とするというふうにきょうの新聞にも書いてあるのですが、そのときに、この資金注入を決定した閣議のメンバーだって、みんないなくなっちゃっているでしょう。多分、竹中大臣だっていないはずですよ。だれが責任とるんですか、これ。方針としてそれを明確にしているというふうに理解しているんですが、この点について、大臣、答弁していただきたい。
竹中国務大臣 今回の資本の注入の場合もそうでございますし、例えば長期のODAのような、長期の貸付金もそれに当たると思いますが、回収期間が長期に及ぶということは、政策上、幾つかの場面ではやはり出てくるのだというふうに思います。
 この回収の意味でありますけれども、剰余金が今後積み上がっていく、剰余金を積み上げるようなしっかりとした経営をとってもらいたい。その剰余金の積み上げ、剰余金の金額が注入額に相当するまでに十五年程度かかるというような、そういう再生計画になっているわけでございます。
 現実の資金の回収というのは、これは株式市場における売却等々、そのときの状況によっていろいろ違うと思いますので、それが現実に何年で回収されるというのとは少し違う概念ではございますが、いずれにしても、そういった長期は要するけれども、しっかりと経営のガバナンスをきかせてもらって、収益力を高めて、この資本注入という措置に対して金融機関の側ではこたえてもらいたいというふうに思っております。また、それを可能にするような検査や監督をしっかりと行っていきたいと思っております。
東(祥)委員 それができるようにするために自分が責任をとるということを言っているんですか。希望的なことを大臣はいつも言っているにすぎないんですよ。市場から高い評価を受けるような経営をしてほしい、十五年ぐらいの期間があるならば、市場から高い評価を得て、そして投入されているものも回収できるんではないのかと。それを方針にしているんですよ、政府は。では、それに対して最終的な責任をだれがとるんだ。だれもが思う疑問だと思うんですが、それは竹中大臣がとるということなんですか。だれがとるんですか。
竹中国務大臣 結果的にしっかりとした収益を上げて、再生するように、まあ責任をとるということの意味合いでありますけれども、担当大臣としては責任を持ってしっかりと検査監督をしていくということでございます。
東(祥)委員 わかりました。
 それでは、午前に引き続いてさらに、きょうは預金保険機構の松田理事長にも来ていただいているんですが、お忙しいところ済みません。先週、三日、この委員会におきまして、金融庁の伊藤副大臣にいろいろと伺いましたけれども、本日は、りそな銀行にしても、また昨年までの多くの破綻金融機関にしても、公的資金が投入されている、その投入を決定するのは預金保険機構ですので、預金保険機構にいろいろとお伺いしたいというふうに考えているわけであります。
 そこで、具体例がないと、みんな抽象論でかわしていくと何が何だかさっぱり問題の本質がわからなくなってしまう。そういうことで、本日午前中から、明確に個別具体的な案件として、疑義がいろいろな角度から提示されている永代信組の破綻処理についてお伺いしたい。またこの数カ月後、この問題についてもちゃんと出てくるんだろうと思います。
 まずそこで、預金保険機構というのは、破綻金融機関の事業を受け皿に譲渡するに際して資金援助を行うというふうに聞いているわけであります。預金保険機構、預保が資金援助をする際に、その額はどのようにして決定しているのか、まずこの点についてお伺いしたいというふうに思います。
松田参考人 お答えいたします。
 先生御案内のとおりでございますけれども、預金保険機構は、通常の場合、救済金融機関、受け皿と、破綻した金融機関と、連名で資金援助の申し込みを受け付けます。そのときに、預金等の負債を持っていただく救済金融機関、受け皿金融機関に対してどれだけの資金援助をするか、金銭の贈与を行うかという決定をいたします。と同時に、受け皿が引き取らず、また管財人が処分しないで残ってしまった資産につきましては、これも資金援助の一環ではございますけれども、預金保険機構への買い取り申請を受けて、それをRCCに委託で落としまして、RCCに買い取らせる、そういう決定をするということでございます。
 そこで、資金援助額、とりわけ金銭贈与額をどうやって決めているのかということになるわけでございますが、簡潔に申し上げますと、破綻金融機関の営業譲渡日の債務超過額、それに救済金融機関へ渡すときの営業譲渡コストを合算した額というのがお答えになるわけでございます。
 やや敷衍して申し上げますと、具体的に申し上げますと、受け皿金融機関とRCCに資産を譲渡しますけれども、そのときに譲渡価格と簿価との差額、これを埋めなきゃいけません。それについて、それを行います。これは譲渡損と申しておりますが、それを行います。同時に、その破綻した金融機関がこれまで引き継いできました資本勘定の累積の損失、これもカバーしないといけません。それから、営業譲渡まで事業をいたしておりますので、その決算損失も見ます。と同時に、例えばシステムを移行するとか登記費用がかかるとか、そういう営業譲渡に伴うコストがございます。そういうものを一切合財ひっくるめまして、その合計の費用ロス額から、破綻金融機関が従来から引当金等の財源を保有しております、それを引きまして、差し引いた残りの額を金銭贈与額ということで決定をしております。
東(祥)委員 永代信組においても、昨年九月十七日に受け皿金融機関に永代信組の事業を譲渡するに当たって、多額の資金援助が行われているわけでありますが、今お話がありました金融整理管財人は、不良債権の状況を詳細に調査したと金融庁に報告しているわけであります。また、ここにも資料があるわけでありますが。その額について、だれがどう確認するかということが重要なんだろうというふうに思うわけであります。
 金融整理管財人が金融庁に報告してきた、そして、それに基づいて、それをうのみにしてしまうのか、それともまた、それに対してのチェックがちゃんと入った上でやるのかという問題がこの中に潜んでいるわけであります。それでは、今松田理事長が言われた、預保が資金援助額を具体的に決定する際に、その額が必要最低限であることをどのように担保することができるのか、こういう問題であります。いかがですか。
松田参考人 私どもが資金援助の申し込みを受ける前の段階は、金融整理管財人が破綻金融機関の業務の執行をやっておられます。したがいまして、資金援助額の算出に当たりましては、例えば主要な資産でありますと貸出債権、融資の債権でございますけれども、その価額については、破綻金融機関の金融整理管財人が第三者の監査法人に依頼してチェックを受けるなど、改めて再査定をしておりますし、金融検査マニュアルに沿った債務者区分について厳格な自己査定も行っております。また、その間に、担保として不動産等があるときには、大口案件等を中心に外部の不動産鑑定士による鑑定評価も得ておりまして、その公平性、適正性を確保しながら、機構に対する申し込みを行っているというのが通例と認識をいたしております。これは、所有の不動産等についても同じように考えております。
 機構といたしましては、金融整理管財人それから救済金融機関、双方が審査をした上で資金援助の申し込みを行ってまいりますので、上記のような適正な手続によってそれらの資産査定が行われているのかについてチェックをしながら、価格の妥当性についても、破綻金融機関が作成してまいります資金援助額算出資料、例えば不動産鑑定書など、そういうものの内容を照合いたしまして、そういう機構のチェックによりまして、その後、預金保険法による運営委員会の審査を経て、各案件ごとに議決を経た上での資金援助を決定しているということでございます。
 ただ、さらに、資金援助の額を決定いたしまして、その後、実際の営業譲渡日までには相当の日時がかかります。そういたしますと、例えば債権があるというものが、債務者から弁済がありますと、それはそのような後発事象によりますと、それは我々の金銭贈与額を減額しなければなりません。当然起こる話です。中には、人間のことですから、手続上のミスもあるかもしれません。そこで、もう一回、事業譲渡を経た後で、事業譲渡を実際に行った後でもう一度再チェックをかけることになっています。そして、そのときに、それぞれ減額すべき事由がはっきりしたならば減額をして、そしてそういう一連の手続を踏むことによって、資金援助額が適切に、かつ必要最小限度で、国民負担の最小化を図るということに努めてきたということでございます。
東(祥)委員 松田理事長、さらにちょっと具体的に聞いていきたいんですけれども、午前中にもRCCに質問したことでありますが、平成十二年三月末に、銀座に所在するビルを、破綻前の永代信組がA社に売却するとの約定を取り交わして、これに基づいてA社は三億円の手付金を支払ったといいます。その後、約一年後、この契約がうまく履行されずに、永代信組はA社を訴えた上で、A社への手形貸し付けとこの手付金を相殺すると通告したとのことであります。ところが、永代信組の金融整理管財人は、相殺されたはずのこの手形債権をRCCに譲渡したとA社に通知したのです。
 ずさんなことをやっているんですよ。ちゃんと調べているというふうに言っておきながら、相殺されているものをRCCに不良債権として持っていってしまっている。
 そこで、A社は、RCCを相手取って債務不存在の確認訴訟を提起しましたけれども、RCCは裁判所に出頭せず、そのままA社の主張は認められたということであります。後日、これは誤りであったとの話が管財人からあったようですけれども、しかし、管財人からも、RCCとも、その原因や経緯についてA社に何らの説明もしていないわけであります。
 そして、本日午前中に、鬼追社長、これはまたぜひこの委員会で参考人として招致していただきたいんですが、明らかに間違った発言をされておりました。ここにいないので、再度理事会において検討していただいて呼んでいただきたいんですが、鬼追社長は、裁判前に管財人から誤記の通知があったため欠席したと答弁しているのでありますけれども、おかしな話であります。
 なぜならば、そのような通知が来たのは裁判前ではなくて、裁判中に誤記の通知があったわけであります。それも、管財人から来ているわけであります。ところが、このA社というのは、別に管財人を訴えているのではなくて、RCCを訴えているわけです。ところが、RCC側からその通知が来ているのではなくて、管財人から来ているわけであります。
 RCCとそして管財人が既にその時点において何らかの話し合いをしている、この問題を取り上げさせていただきますので、これは鬼追社長がいないと答えることができない問題だと思いますので、委員長、よろしくお願いいたします。
小坂委員長 理事会にて協議いたします。
東(祥)委員 そして、次の質問に移らせていただきますが、金融整理管財人の財産処分の強大な権限についてであります。
 先週三日、当委員会で、竹中大臣本人がおっしゃっておりました。本来十億円で売れる資産を管財人が五億円で売却したならば、それは背任となるとの答弁をしているわけであります。
 そこで、具体的に、永代信組の資産が不当に廉価で売却されたとの疑いが強く持たれている問題を指摘させていただきたいというふうに思うわけであります。
 永代信組が所有していた銀座にある不動産を金融整理管財人が売却したということですけれども、この価格が不当であったとの情報があります。そして、その情報によると、管財人が売却した先以外に三つから購入希望があって、そしてその購入希望者は、希望するのみならず、資金も資産も、ちゃんと買えるものを持っているという方々であります。しかも、その三つの購入希望者とも、実際の売却先よりも高値を提示したというのであります。
 そこで、破綻金融機関の資産を処分するとき、より高値での買い手があるにもかかわらず、管財人が安値で売却した場合であっても、預金保険機構は何の対応もできないんじゃないのか、もしそうであるとするならば、その分だけ余計な公的資金を使わなければならなくなるのではないのか、これが私の質問であります。どうですか。
松田参考人 先生御指摘の案件は非常に個別的で、なかなかお答えづらいんでございますけれども、ちょっと一般論的にお答えをさせていただきますが、実際に破綻した金融機関の資産をどう処分するかというのは、もう御案内のとおり、金融整理管財人の専権事項ということが法律でうたわれているわけでございます。
 預金保険機構としては、その管財人が公的な立場にあって、善管注意義務も法令上決められている、それから、場合によっては金融庁による解任権の発動もあるべし、こういう制約の中で動いている、また各業法による監督も受けている立場だ、そういう公的な方が行うことですから、まずは信頼性の高いものであろうというのが私にとってはとりあえず大前提になるわけでございます。
 そこで、今の先生の御指摘の案件でございますけれども、私どもが承知しておりますのは、最初、その案件はRCCに引き取ることになっていた、このような認識でございます。そのもとで資金援助の決定をしたわけでございますが、その後、事業譲渡、ことしに入ってからだったでしょうか、詳しいことはちょっとあれですが、その後、管財人の方からそれが売れたという話がございまして、それで、その売れた価格が、RCCに私どもが予定をしておりました価格よりも高い、それから、鑑定書を見ても相当な合理的な範囲の中にある、そうであるならば、我々は、従来決めた資金援助の額を減額することができるわけですから、そこはその申請を了として減額に応じた、それで私どもは減額をさせていただいた、国民負担の減少につながった、こういうことだと承知しております。
東(祥)委員 今、松田理事長、また重要なことを言われていると思うんですが、本来RCCに行く予定だった、ところが、管財人が売れたという、そういう情報が入ってきたのでと。
 だから、先ほど来、また前回の委員会でも言っているとおり、金融整理管財人には絶大な力が与えられているわけですよ。破綻した金融機関が有している資産並びに債権を自由裁量で処理できる。そこに本質的な問題があるのではないのか。松田理事長は、例えば不動産を処分するに当たっても、ちゃんとした第三者の機関を使って評価させると。出てきたその評価を見て判断しているにすぎないのではないのかということであります。
 本来RCCに持っていってもらうものを整理管財人がやる、その間、預保に、当然その購入希望者からも何らかの連絡が入っていたんだろうというふうに思いますけれども、もしそういうものが入っているとするならば、整理管財人から売却したという通知を得たとしても、当然、預保によって、購入希望者が、その人がどういう人なのか、どういう価格の提示をしているのか、そういうことがわかって、比べることだってできるはずじゃないですか。
 ところが、そういう権限も預保に与えられていないということなんですか。もしそうであるとするならば、整理管財人は自由に裁量することができる、そういう結論に達していってしまうわけでありますが、いかがですか。
松田参考人 先生、ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、金融整理管財人というのは、法令上非常に強い権限と同時に責任をお持ちになっている公的な機関であると承知しています。ですから、恣意的なことはしないようになっている仕組みになっております。
 預金保険機構では、そういう金融整理管財人がやった処分について、ただ何もせずにのんでいるのかという御質問であれば、それは先ほど申し上げましたように違いまして、私どもは、そういう減額をする申請があれば、そのときの価格が幾らであって、我々が入手している鑑定評価額に突き合わせて合理的な範囲のものであるかどうか、あるいはRCCに渡すとした価格よりもより高くて国民負担の減少に資するものであるかどうか、それはチェックをさせていただいております。
東(祥)委員 続いて質問させていただきますが、理事長、永代信用組合の管財人から、いわゆる業務及び財産の状況等に関する報告及び経営に関する計画についての報告書が出ているんです。そして、自分がいわゆる処理しているものをブレークダウンすることなくて、例えば事業用不動産十九件、所有不動産十、そして簿価取得価格五十八億四千百万円、評価額四十四億三千九百万、こういう形で出ているんです。
 理事長、永代信用組合というのは大正十五年につくられているんですよ。そして、この中には本店も入っているんですよ。大正十五年の簿価の取得価格というのは、今と比べるならば、ほぼゼロに近いはずですよね。ところが、ここに出ているのは十九件丸ごと出ていますから、その含み損が何と十四億二百万円出ているんですよ。これをブレークダウンしているものを全部あなた方は持っているんですか。個々を調べることができないというならば、ちゃんとそういうのを持って全部調べていると。
 そもそも簿価取得価格というのは、これはおかしいんじゃないのかと私は素朴に思うわけであります。大正十五年ですよ。バブルのときに買ったものではないんですよ。そういうものも含まれている。そういうものをあなた方はちゃんと調査しているのか、そのことを申し上げさせていただきたい。いかがですか。
松田参考人 それぞれ預金保険機構の担う職責の範囲というものがございますけれども、冒頭申し上げましたように、私どもは資金援助の申請があればその内容を審査する、合理性を確保する、こういうことでございまして、八十条報告だと思いますけれども、それは金融庁あてに出されているのでありまして、直接預金保険機構は承知いたしておりません。
 同時に、金融整理管財人は財産の管理処分は専権事項でございますから、それについて我々が横から口を入れて、管財人どうこうということはありません。結果をお聞きすることでございます。その結果の妥当性を審査させてもらう、こういうことでございます。
東(祥)委員 竹中大臣、金融庁に報告されるんですよ。金融庁は個々の問題だから答えることができないと答弁は決まっているんです。したがって、今聞いても無意味だ。
 大臣、ここで申し上げたいことは、皆さんがお認めになっているとおり、絶大なる権限が金融整理管財人に与えられているんです。いろいろな話がある。それに対して、本当に有能な善人がやっている限りにおいてはこれは問題ない。しかし、余りにも権限が付与されているんじゃないですか。チェックできないじゃないですか、金融庁にしても。
 普通に考えたとしても、本店を処理する、本店の不動産を処理するだとかそういうものは、別に急ぐ必要ないですよ、減価償却でほとんどゼロになっている問題ですから。それを何で任意売却で簡単にやってしまうんですか。どろどろしたものがここにあると言わざるを得ない。
 しかし、それが、ただ単に永代信組の問題だけについて僕は言っているんじゃないんです。金融整理管財人で、先ほど理事長が言われたとおり、絶大なる権限が与えられていて、そこから出てくる情報、それをただ表面的にさらっているにすぎない。それに対して介入していくことはできないんですよ。何らかのチェック体制というものをつくっていくことが必要なんじゃないのかと一貫して申し上げさせていただいているんです。
 問題は公的資金の導入という話です。大臣の答弁をいただいて、私の質問を終わります。
 ちょっと待ってくださいね。――あなたに責任が持てるならばいいよ。
伊藤副大臣 今大臣の答弁の前にお答えをさせていただきたいのは、委員から、同信組の本店が、大正時代に土地を取得しており、含み益があるはずじゃないか、そういったことをちゃんと踏まえてやっているのかという御質問がございました。この点だけお答えをさせていただきたいんです。
 私たちは基本的に個別的な案件についてはお答えできませんけれども、永代信組につきましては、平成十二年度にディスクロージャー誌というものを出しておりまして、ここにこの内容について記載がされております。永代信組は、土地の再評価に関する法律、これに基づいて、十一年三月三十一日に同組合の事業用の土地について再評価を実施しているわけであります。
 土地の再評価に関する法律の第十条では、同法の「規定により再評価を行った事業用土地の再評価後の決算期における時価の合計額が、当該事業用土地の再評価後の帳簿価額の合計額を下回った場合においては、当該時価の合計額と当該再評価後の帳簿価額の合計額との差額を貸借対照表に注記しなければならない。」このようにされているところでございます。
 ですから、その点少し誤解があるのではないかというふうに思います。
竹中国務大臣 委員の御懸念は、金融整理管財人が本当に正しく行動しているのか、そのチェックはちゃんとできるのかという点に集約されているんだと思います。
 この点については、先ほど松田理事長がおっしゃったことと重なるんですが、実は、今の制度においてもやはり三重のチェックができる制度にはなっているわけです。一つは預保法上の善良なる管理注意義務があるということ、第二番目として業法、金融業として金融庁の監督権限下に置かれるということ、それと、さらに預保法に基づいて、これは内閣総理大臣、具体的には金融庁長官は解任権を持っている。金融整理管財人の権限行使の適正性は制度としては担保されているのではないかというふうに私は思っております。
 しかし、これは、それぞれの法律をしっかりと執行していくということを、これまでもやってきたつもりでありますけれども、委員の御指摘のような点も踏まえて、我々、引き続きぜひしっかりとやっていかなければいけないと思っております。
東(祥)委員 時間が来ましたので、さらに続けさせていただきたいというふうに思います。
小坂委員長 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、りそな銀行の経営健全化計画の問題についてお伺いしたいと思います。
 昨日この計画が承認をされて、二兆円近い公的資金が承認をされる、こういうことになっておりますけれども、この健全化計画そのものの位置づけについて、まず高木金融庁長官が、六月九日、記者会見で、この経営健全化計画に対して、審査の中で手直しされているというふうに述べました。これ、案を手直ししたという事実はありますか。
五味政府参考人 申請をいただきました後で、私どもなりの、申請で示されました計画の内容なども審査をいたしまして、その過程で意見交換をいたしまして、「りそな」側で私どもの考え方なりを反映をしたもので、「りそな」として修正をした部分というのはあるというふうに承知しております。
佐々木(憲)委員 これは金融庁の意見に基づいて手直しをしたということでしょうか。
五味政府参考人 意見交換の中で「りそな」側が私どもの意見に同意をなさるような部分については、これが修正をされた部分があるということでございます。
佐々木(憲)委員 それはどういう部分でしょうか。
小坂委員長 五味監督局長、答弁できますか。
五味政府参考人 承認をいたしました計画が計画ということでございますので、これが「りそな」側の計画ということで、「りそな」からも公表されておりますので、その審査のプロセスで具体的にどこがということは、これはちょっと答弁を控えさせていただきたいと存じます。
佐々木(憲)委員 この経営健全化のための計画が承認をされたということでありますが、竹中大臣にお伺いしますけれども、大臣は、これは現経営陣が考えた計画である、新経営陣で新しいビジネスモデルに基づく計画は出してもらうと。つまり、一度承認した計画ではだめだ、もう一度出し直してもらう、こういう趣旨の発言をされていますけれども、そういうことでしょうか。
竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、今回適用している預金保険法百二条というのは、迅速に金融当局が対応することによって危機の到来を未然に防ぐ、そういう一つの、迅速な行動というのを建前としております。したがって、新経営陣がまだ着任しない段階で、現「りそな」として考えられる目いっぱいの、例えばコストの削減であるとか、そういったことについて計画を出してもらって、それを承認する形で我々としても今回の資本増強の決定を行っている。
 しかしながら、月末には取締役会が開かれて、今度はガバナンスの方式も一段と強化して、委員会等設置会社という形式のもとで、外から会長を迎えて、かつ社外取締役をたくさん、大勢迎え入れる形で新たな経営体制をつくっていただくことになっている。そのもとで、当然のことながら、新たなビジネスモデルの構築であるとか、より切り込んだ再建計画の議論というのがなされていく、これが自然であるというふうに思っております。そうした中では、その新たな経営陣によってそうしたものの見直しがなされれば、これは速やかに経営健全化計画という形で出していただくというのが自然なことであろうというふうに思っております。
佐々木(憲)委員 つまり、経営健全化計画、一度承認したものは不十分である、よりはっきり言えば欠陥計画である、こういう認識だと思うんですね。新しい計画を出してもらうと。
 一度承認したなら、この計画に基づいて新経営陣に頑張ってもらうというのが普通の言い方だと思うんですが、そうではなくて、この計画はまだ不十分である、新たな計画は出し直してもらう、こういうことでありますから、この計画は完璧ではないという認識なんですね、大臣は。
竹中国務大臣 計画が不十分であるとは思っておりません。現「りそな」で考えられる目いっぱいの計画が出されたというふうに私どもも承知をしております。
 しかし、新たに外部から経営者をお迎えするわけでありますから、その経営者には思う存分経営の手腕を発揮していただかなければいけない。その過程でビジネスモデルの抜本的な見直し等々議論されるようでありますから、その場合には、やはりそうしたものを経営健全化計画という形で、もう一度具体的な形にして出していただくのが自然なことであろうというふうに思います。
佐々木(憲)委員 二兆円のお金を出しているわけです、二兆円。それを、承認の前提としてこの計画はこれでよろしい、したがって二兆円承認しましょう、こういうことになったわけでありまして、その計画が、いや、これはまだ変わるんだと。これでは、いいかげんな計画を出してもらったけれども、二兆円だけは承認しましょう、こういうことになるわけでありまして、非常に私は、この決定の仕方というのは余りにも無責任だと言わざるを得ないと思います。
 この計画の内容について若干触れてみたいと思いますが、例えば、これまでの「りそな」の経営のあり方についてどのような反省をしているかという点で一つ挙げますと、「旧経営陣の対応」というところで、これは午前中の参考人のときにもお伺いした点なんですけれども、「関連ノンバンクも含めた大口取引先への与信リスクの集中が迅速に解消できなかった」「経営不振企業に早期に経営改善・再生を促す取組が不足していた」「与信リスクに見合った適正な利鞘確保に向けた取組が十分ではなかった」「反省すべき点があった」、こういうふうに書いてあります。あるいは「大口取引先への与信リスクの集中を抑制するために導入していたクレジット・シーリングについて、当面の収益の確保や顧客の信用面への配慮等から、結果として、制度の趣旨に沿った厳格な運用ができなかった」、こういうふうにこの中で書いているわけですね。つまり、今までの経営のあり方について、若干の反省がここに出ているわけです。
 そこで、私は、参考人質疑で、具体的なこの内容について聞いたわけであります。そうしますと、貸し出しの中で特定の企業にやはり異常に集中して貸し出している、それがいわば不良債権化したか、あるいはしつつある、こういうことになっているというのが、けさの参考人質疑で前社長が告白していました。
 例えば、中小企業向けの要管理先の部分だけ取り出してみますと、この中で、金額と件数を比較して一件当たり計算しますと、一件平均八億三千万円なんです。つまり、中小企業向け貸し出しの平均が、要管理先の部分だけ取り上げますと一件当たり八億を超えるんですね。これは極めて異常なんです。あるいは、例えば破綻先だけ取り上げますと、一件当たり一億を超えております。それから、破綻懸念先は一億七千二百万円という、一件当たりですよ、平均して。これは余りにも偏った部分にどかんと貸していて、中小企業には全体として平均的に貸していますけれども、そうすると、その部分が非常に問題がある。
 平均して見ますと、このりそな銀行の大口融資先の状況、どうなんですかとお聞きしました。参考人の勝田前社長はこう言っていました。要管理先以下の債権の合計、これは会社の数でいいますと一万一千九百社ある、金額では二兆七千億円だと。そのうちで三十億円以上の大口融資先、これが百一社、金額にして一兆五千億円。ですから、三十億円以上の大口融資先というものは全体の五五・六%を金額で占めているんです。しかし件数、社数で言いますと一%以下なんです、〇・八五%。非常に少数の会社に巨額の資金が貸し付けられていて、それが問題を起こしている。そのことを十分チェックできなかった、是正できなかったという反省の一端が、この計画の中に書かれているわけです。
 こういう事実について、一体これまで金融庁の検査では、その事実を掌握していたのかいなかったのか、まずこの点だけお聞きしておきたいと思います。
伊藤副大臣 「りそな」も、これは主要行と同じように、通年専担検査の体制の中で、私どもとしましては、自己査定の正確性、あるいは償却引き当ての適切性、自己資本の状況について、検査で検証を行っているところでございます。
 ただ、先生今具体的なお問い合わせでございますので、この点につきましては、検査の子細な内容でもあり、私どもとしては答弁ができないということについては御理解をいただきたいというふうに思っておりますが、私どもとして、一般論として、検査で問題点を指摘するということがあれば、それは当然、監督としても見ていくわけでありまして、そうした中で、銀行の健全性を確保していくために私たちとしても適宜適切にしっかり対応していきたいというふうに考えておりますし、今日まで対応してきたということでございます。
佐々木(憲)委員 今の答弁じゃ、さっぱり何が何だかよくわかりませんね。
 具体的に聞きましょう。
 直近の検査はいつ行われましたか、大和銀行、あさひに対して。
伊藤副大臣 旧大和銀行に対しては、十四年の十二月三日に立ち入りをさせていただいて、十五年の二月二十四日までの間検査を実施いたしております。
 そして、あさひ銀行につきましては、十四年の四月十八日から六月十四日まで検査の立ち入りを実施しております。
佐々木(憲)委員 昨年既に、春と冬に行われていたと。その段階で、当然これは、ずっと以前からもそうなんですけれども、こういう事態が生じていたということは把握していなければおかしいわけであります。当然、これを把握していればその是正措置を勧告しているというのが当たり前のことでありますが、そういうことをやっていたんですか、いなかったんですか。
伊藤副大臣 個別のお問い合わせでございますので、その内容については、大変申しわけございませんが、私どもとしてコメントさせていただくことについては御容赦をいただきたいというふうに思っております。
 なお、一般論といたしましては、検査結果の通知後において、事務ガイドラインに従って、指摘された事項の事実確認、そして発生の原因分析、改善対応策について、検査結果通知と同日付で、銀行法の第二十四条に基づく報告を求め、監督上適切なフォローアップを実施いたしているところでございます。
 その際に、それぞれの指摘の内容に応じ、例えば健全な融資制度というものを確立するための具体的な方策というものがとられているのかどうか、あるいは、不良債権の発生の未然の防止というものがしっかりなされているのかどうか、自己査定の実施の適正性あるいは資産の健全性に関する管理の状況にかかわる内部管理体制というものがしっかり確立されているのかどうか、そうした点について着眼の上、所要の監督を行っているところでございます。
佐々木(憲)委員 着眼の上、実際に監督し是正していれば、今までずっと検査というのは何度も行われてきたわけですから是正されていなければならぬのですけれども、最終的には是正できなかったというのがこの計画の中に書かれているわけです。つまり、金融庁の検査がまともに機能していなかった、このことをこれは結果として証明していると思うわけです。
 そういう点を一体どのように考えているのか。結果として是正されていなかったことはもう明確なわけですから、しかもそれがこの「りそな」の経営難の大変大きな要因としてここに指摘されているわけです。
 金融庁自身の反省というのがなければならない。これは反省はあるんですか、ないんですか。
伊藤副大臣 先ほどから御答弁をさせていただいているように、私どもとしては、先生御指摘の具体的な内容についてコメントすることはお許しをいただきたいというふうに思っております。
 先生御指摘の、この経営健全化計画に書かれている内容でございますが、これは公的資本増強の必要性の認定を受けるに至った原因についての分析が記載されておりまして、これは「りそな」として、今般の事態を招いた事実を重く受けとめて、これは法定記載事項ではございませんけれども、あえて記載を行ったものと承知をいたしております。
 いずれにいたしましても、本計画に記載されているとおり、新たな経営体制のもとでさらに原因等の究明が行われて今後の経営に反映されていくことが重要であるというふうに私どもは考えております。
佐々木(憲)委員 そんないいかげんな答弁じゃだめなんで、こういう結果を招いた原因についてこの計画の中で触れているわけですから、その原因について、金融庁として検査をやっていながら具体的な是正を行ってこなかった、これは結果としてそうなっているわけです。したがって、そこには反省がなければならない。今の答弁じゃ何も反省がない。今までもよくやってきた、これからもよくやっていきます、そういう話じゃ話にならないんですね。
 では、具体的な資料を出してください。ここで前社長が、三十億円以上の大口融資先というのは百一社ある、こういうふうに言っていました。この百一社のリスト、内容、これを提出していただきたい。
五味政府参考人 金融機関の取引先に関する具体的な情報でございますので、これは債務者にとってもあるいは銀行にとっても、その正常な企業活動を妨げるおそれがあります。したがいまして、これを御提出することはできません。
佐々木(憲)委員 それじゃ全然話にならないわけでありまして、一体、「りそな」のこういう、国民の税金二兆円を投入する結果となるかもしれないという極めて重大な決定を政府がやったわけであります。しかも、そういう結果を招いた銀行の中の、このような融資の極めて重大な問題点、これが明るみに出ている。その問題について、この委員会で、二兆円が正しかったのかどうかということがずっと議論されている。原因となった資料も出さない、政府の責任もはっきりしない、こういうのじゃ全然議論ができないじゃないですか。
 委員長、この資料提出について、理事会で検討していただきたい。
小坂委員長 理事会で協議いたします。
佐々木(憲)委員 今回もう一つの問題は、繰り延べ税金資産の評価の問題であります。
 お配りした資料を見ていただきたいんですけれども、繰り延べ税金資産は、「りそな」の前の大和銀行、あさひ銀行、上の段にありますように、平成十二年、二〇〇一年三月期でありますけれども、この時点では四千七百九十一億円、これが、平成十三年、二〇〇二年三月期では七千九十二億円と、約五割増になっているわけであります。右側の都市銀行の全体の合計金額を見ましても、四兆円から六兆円と、これも約五割増しであります。
 これはどうしてこんなにふえたのか、その理由について説明をしていただきたいと思います。
五味政府参考人 平成十三年度の決算における大幅な繰り延べ税金資産の増加につきましては、繰り延べ税金資産の計上額を公表資料で見てまいりますと、この増加の内容としては、不良債権処理に係る繰り延べ税金資産、これが前年度に比べて大幅に増加をしているというのが要因でございます。
 なお、もう一つ、この十四年三月期の特徴といたしましては、有価証券の償却損などに係る繰り延べ税金資産の増加というものもかなりのウエートを占めている、こういう状況でございます。
佐々木(憲)委員 結局、この二〇〇一年三月の直後に小泉内閣が発足しているわけであります。小泉内閣の構造改革の中心の柱は不良債権処理の加速である、こういうことでありました。つまり、不良債権処理を急げば急ぐほど繰り延べ税金資産というのは当然ふえていくわけです。
 例えば、その下にありますように、貸倒引当金が大幅に積み上がっている。この原因をつくったのも、不良債権処理のため、資産査定の厳格化、引当金を積み増す、したがって、当然繰り延べ税金資産というものがふえていくわけです。
 不良債権処理を進めることによってこれがふえてきた、この事実関係は大臣もお認めになりますね。
竹中国務大臣 不良債権処理を進めると繰り延べ税金資産がふえるというのは、理論的に間違っていると思います。
 これは、オフバランス化をどう進めるかということと絡むわけでありますから、例えば、オフバランス化を全部今進めたら繰り延べ税金資産は理論上ゼロになるわけですから、それは資産査定をどのように厳しく行っていくかということ、それとオフバランス化をどのように進めていくかということ、それをどのように各社が戦略上行っていくかによって、結果的にその途中でふえたり減ったりしていくものでありますから、一概に申し上げられるものではないと思います。
佐々木(憲)委員 先ほどの五味局長の答弁では、不良債権処理のために膨らんだ、こう言ったわけですね。これは違うじゃないですか、答弁。どうなっているんですか。
竹中国務大臣 ですから、例えば、短期的に資産査定を厳しくして、それによって引き当てを積んだといたします。それが有税償却でやったとします。その瞬間、オフバランス化が余り進まないといたします。そのような場合には、繰り延べ税金資産はふえます。しかし、例えば、もしオフバランス化を一気に進めれば、これは繰り延べ税金資産を立てる必要がないわけでありますから、それは減る場合もある。
 現実には、全体として、この期、繰り延べ税金資産はふえておりますが、減っている銀行もあります。
佐々木(憲)委員 引当金を積み増したり有税償却をすれば繰り延べ税金資産がふえるのは当たり前なんです。午前中の参考人質疑でも、新日本監査法人の竹山さんでしたか、そのようにおっしゃっていましたし、実際に、例えばりそなホールディングスの有価証券報告書、昨年三月期を見ますと、繰り延べ税金資産のうち、貸倒引当金及び貸出金等償却損金算入限度超過額、これが全体の繰り延べ税金資産の半分を占めているわけです。引当金が積み増しされる、有税償却を行う、このことによって、これが全体の繰り延べ税金資産の半分のウエートを占めているわけですね。つまり、これは膨れているわけです。
 何のためにこれをやるかといえば、小泉内閣になってから、不良債権処理をより一層進めていくんだ、そのためにこれは膨れているわけです。今も大臣も、一時的には積み増しされるとおっしゃいました。五味監督局長も、一時的と言わないけれども、先ほどの答弁でそのようにおっしゃいました。
 これは結局、繰り延べ税金資産がふえたのは政府の政策の結果じゃありませんか。
竹中国務大臣 不良債権処理の加速という場合に、いつも申し上げておりますけれども、やはり資産査定をきっちりとやらなければいけません。そのときに、資産査定をきっちりと行って、引き当て不足があれば引き当て不足は積んでいかなければいけない。同時に、我々はこれをしっかりとオフバランス化して、オフバランス化することによってしか不良債権比率は減りません、不良債権比率を今の二年間で半分にするということは、その間にしっかりとオフバランスを進めてくださいということを意味しているわけです。
 繰り返し申し上げますけれども、オフバランス化が進めば繰り延べ税金資産は減るわけです、当然のことながら。そういう観点からいうと、我々はそれを両方ともしっかりやっていこう。
 しかし、資産査定をいいかげんにしておきましょう、資産査定はいいかげんにしておいて、引き当て不足があっても引き当て不足を積まない方がいいじゃないですか、そんなことにはどう考えてもならないのではないでしょうか。そこはやはりしっかりしていかないと、銀行全体が世間から信用されない。その意味では、資産査定をしっかりとやっていく、それでオフバランスも進めていく。
 しかし、そこには税務会計と財務会計の間でのバランスの差はございますから、繰り延べ税金資産に関しては、税の繰り戻し還付も含めて、我々としては、税制上の措置はとっていただきたいということは繰り返し税務当局にはお願いをしているわけです。
佐々木(憲)委員 都市銀行全体で四兆円から六兆円へと繰り延べ税金資産がふえている、この原因は、不良債権処理を加速するという政府の政策が大変大きな要因として作用している、これは大臣だってお認めになるわけでありまして、最終的にオフバランス化ということをおっしゃいましたけれども、そういう問題を私は言っているわけじゃありません。オフバランス化して中小企業をつぶすのは我々は反対ですけれども。私はこの数字がふえた原因を聞いているわけです。
 資産査定の厳格化、そのことによって繰り延べ税金資産がふえるじゃないか、これは公認会計士協会の方もそう言っているし、それから五味局長も先ほどもそのように言って、大臣もそのとおりだ、短期的にはそうなると。
 そのことを確認いたしますと、繰り延べ税金資産が大きいのがけしからぬ、もっと厳しくすべきだ、こういうことを、一方で昨年の秋から竹中プランによって推進された。つまり、原因を政府の政策によってつくっておきながら、その原因によってつくられた結果がけしからぬと。自分でつくっておいて、それはけしからぬから厳しくするんだということで査定の厳格化というのが行われた。査定といいますか、繰り延べ税金資産の評価を厳正化する、それを申し入れて、結果的にこういう「りそな」の事態が生まれてきた。ですから、私は、そういう政府の政策そのものに根本的な問題点を感じるわけであります。
 繰り延べ税金資産の評価を厳正化しなさいといって、「りそな」そのものの経営の内容の問題点というのは、私、最初に指摘しました、内部における融資のあり方が根本的に問題点があるということ、それについて、政府も検査をしていながらまともに是正をさせてこなかったという責任がある。同時に、繰り延べ税金資産をふやす政策をやっていながら、大きいのはけしからぬからこれは厳正にして小さくしなきゃいかぬ、こう言って、内部から締め上げていく。結果としてこのような「りそな」の事態を招いたのは、どこから考えたって政府の政策によってこういう事態がつくられたと言わざるを得ないですよ。
 私は、そういう点で、政府の政策の根本的な転換、今までやってきたことがすべて正しかったなどという姿勢をとっている大臣はやはりやめてもらわなきゃならぬというふうに思います。最後にこの点を指摘して、終わります。
小坂委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 皆さんにも、長時間の審議、御苦労さまでございます。
 私の冒頭の質問は、先回私がこの委員会で、六月四日の日に竹中金融大臣にお願い申し上げました、金融庁と「りそな」の間の、今回の公的資金注入にかかわるやりとりのメモの提出の件についてお伺い申し上げます。
 まず、冒頭確認したいことですが、今回の「りそな」への公的資金の注入というのは、ある監査法人が銀行を監査して、その判断のいかんによっては、その銀行そのものが大変に経営上困難であるというふうにある日突然判断されて、その結果二兆円の公的資金の投入が決まるという、国民にしてみれば本当にある日突然という感じで、その前の段階が全く見えない中で一つの政策が決まったということだと思います。
 そこで、私が大臣にお願いいたしましたのは、かかる事態に至った、特にこれは金融庁が監督官庁ですから、その監督官庁からごらんになって、国民に納得してもらうためにも、「りそな」とのやりとりというものをきちんと明示していただきたい。
 特に、竹中大臣は、金融庁とのやりとりメモのうち、全部かどうかはちょっとよくわかりませんが、主要なものは一応見たと御答弁ですので、まず一問目、主要なものは一応見たの主要なというものを、ちょっと時系列をかけて御説明くださいますか。
竹中国務大臣 お尋ねは、主要なものは一応見たの主要なものとは何か。
 これは、それぞれ先方とのやりとりがございます。そのやりとりについて、係員レベルでやったこともあるかもしれませんし、局長レベルでやったこともあるかもしれません。その節目節目でいろいろな、これはこういう重要な知らせがあったとか、ないしは重要な用件を伝えたとか、そういうようなものについては一応議論を整理いたしまして、それで目を通したということでございます。
 もちろん、日々のいろいろな連絡、係員が何か連絡したとか、それをすべて見ているというわけではございません。
 そういう意味で申し上げました。
阿部委員 至極当然で、主要なものにお目通しをなさるわけです。この政策に至るやはり節目節目というものもございますでしょうし、そこで、大臣が主要と認識された、もちろん、出す方も、大臣、これが事の経過ですとか、ここまで来ておりますとかおっしゃって出されたんでしょうから、その主要なものの大きく記憶に残られる節目節目は何でございますかと伺っていますから、抽象的じゃなくて、何度も言いますが、この間、監査法人の手心一つでもしかしてこの「りそな」という銀行の評価が全く変わって、公的資金注入になったんだというこの事態が国民にはびっくりなわけです。監査法人の監査の仕方で結果が変わってしまうんだということは大きな衝撃ですから、これに至るまでの経緯が何段階かあると思うのです。そこで、主要なものの内容をお願いいたします。
竹中国務大臣 監査法人の手心一つでとおっしゃいましたが、決算というのは、監査法人がそのものの資産性を認定するか費用性を認定するか、それによって結果は違ってくるわけでありますから、決算というのはやはりそういうものだ、監査法人がいろいろなものについていろいろな判断をするということの積み重ねであるという点は、これは否定できないのだと思っております。
 主要なものとは何かということでありますが、これは前回も申し上げたつもりでありますけれども、監督のプロセスでいろいろなやりとりがございます。それを、きょうはこういうことがあった、ああいうことをやった、これを聞いた、これを申し上げるということは、これはやはり差し控えさせていただかなければいけないと思います。監督というのは、日々のやりとり、いろいろございますけれども、それを申し上げるというのはやはり限界がございます。その点は御理解をいただきたいと思います。
 ただ、いずれにしましても、繰り返し申し上げていますように、私のところには、五月の七日に、「りそな」と新日本監査法人の間でいろいろなやりとりがあるということが上がってまいりました。その後いろいろな議論を続けるということでありますから、そこは議論は続けてもらうようにということでありました。それで、その後のやりとりを、これは五月の十四日の朝にまとめて報告を受けて、考え方の整理についてもしっかりと報告を受けて議論をいたしました。その段階で、総理に対しても、いろいろな可能性を想定しておかなければいけないというような趣旨からお話を申し上げた、そのことは御答弁を今までさせていただいたとおりでございます。
阿部委員 私は、きょう午前中、参考人の、「りそな」の前責任者の勝田さんに来ていただきまして、また、両監査法人の方にも来ていただきましてお話を伺ったのですけれども、やはり、かなり事実認識にそごがある、食い違いがあると、今もって、現段階でも思ったわけです。
 ありていに言えば、勝田氏にあっては、いろいろな意味で、三月期に資本増強もした、それから、これから収益力を上げるべくいろいろな努力も、幾つも手を打っている。そして、もっと言えば、新日本監査法人とも、ある程度事前の、合意とは言いませんが、そのことに、自分たちの会社経営をめぐる健全性についてある程度共通認識にあったと思われたものがやはり変わってしまったと。それは今もって恐らく勝田氏の心の中でひっかかっていることのように、私はきょう午前中お聞きしたわけです。
 そこで、やはりそれは、私は一つの監査法人の手心次第でという言葉をあえて使いましたが、監査法人の判断いかんで一つの大きな銀行の将来見通しが変わってしまう。結果についてはそのようなことはあろうが、その過程が見えなければ国民は納得できないと、過程の透明性を求めているわけです。
 今、大臣は、五月七日並びに五月十四日、五月七日は監査法人の方の監査状況、そして、五月十四日はそれを受けて考え方の整理をしたようなもののメモを見たとおっしゃいましたから、私は、それは、事ここに至っては隠すべきことは何もないと思うのです。隠すべき秘密は国民に対してはないと思うのです。もう方針も決定されましたし。ですから、この段階でメモを資料としてお出しいただくことをお願いいたしましたが、まず、このことについて大臣のお考えを伺います。
竹中国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、監督上知り得ることというのは実はたくさんございます。これは、我々は監督権限を持っているわけで、いわばまさに当局でありますから、その監督権限、検査の権限、それに基づいていろいろなことを情報として知り得る立場にございます。しかし、その知り得ることをすべて外に対して出すということは、これはやはり監督行政の性格から考えて控えなければいけないと思っております。
 監督上知り得る情報については、例えばですけれども、銀行の財務の健全性とか銀行の経営戦略、これを公にすることによって競争上の地位とかその正当な利益を害する場合というのは、これは出てまいります。これは、行政機関の要請を受けて、公にしないという条件で任意に提供される情報もその中には含まれている。そうすると、自由な意見が妨げられて、今度は、当局に出したらこれは全部外に出てしまうぞということになったら、これは正確な事実の把握が困難になって監督ができなくなってしまいます。
 そういうことがありますから、監督上知り得たこと、個別の金融機関がみずから進んで既に発表していることはもう問題ないわけでありますが、当局として、監督当局として、その権限上知り得たことを明らかにするのは、これは差し控えなければいけないというふうに思っております。
 しかし、「りそな」に関して、必要なことを、公的注入の仕組みでありますとか経営健全化計画、そうしたものに関しては既に公にしているとおりでございます。
阿部委員 「りそな」が公的資金の注入前の段階であれば、今大臣のおっしゃったような一般論は私は成り立ち得ると思うのです。しかしながら、事二兆円近くの公的資金の注入が決まり、その経緯というものを国民は注視、注目しているわけです。その中で、最大限やはり国民への説明責任を果たすというのが、むしろ監督官庁として本当にきちんとした監督をしているんだということの私は証左になると思うのです。何から何まで隠した上で、そして、これがお上の決めた方針だからこのようでよしといって国民の金を使うことはまかりならぬのです、はっきり言えば。
 そして、私は、これは押し問答で、その次、大臣にはもうそれ以上いきませんでしょうから、再度、委員長にお願いいたします。私が要求した資料について、委員会で御討議いただいた結果はいかがであったでしょうか。
小坂委員長 理事会で協議をいたしましたが、意見調っておりませんので、資料要求には至っておりません。
阿部委員 では、さらにさらにお願い申し上げて、もう一点、資料要求の件がございます。
 実は、これは先回の委員会で海江田万里委員が請求されました、五月十七日の金融危機対応会議の議事録でございます。竹中大臣は公表なさるとおっしゃいましたが、いまだ私どもは見ておりません。一体いつ公表されるんでしょうか。
竹中国務大臣 御指摘の五月十七日の金融危機対応会議の議事内容、議事要旨につきましては、何とか今週中に公表する方向で作業を進めております。
阿部委員 私は、その公表も含めて、本日のこの委員会の基礎資料だと思うのです。竹中大臣は、個別のことは個別の企業秘密だから言えない。では、政策者判断として行った金融危機対応会議の議事録も出ない中で、私どもは抽象的論議をしなくてはならなくなります。これは、政府がした一つの判断をめぐって、その前提となる会議の議事録を要求いたしました。私は、かかる委員会が持たれる前に提出すべきと思いますが、政策、行政の責任者として、大臣はそこはいかにお考えですか。
竹中国務大臣 私としても、できるだけこの議事内容、議事要旨は公表したいと思っておりまして、事務局に対してはそのように指示をしてまいりました。もちろん、もっと早ければもっとよかったということかもしれません。ただ、我々としては、精いっぱいうんと早くして今週中にということで、これも私なりに事務局のしりをたたいて、事務局も頑張って準備をしておりますので、御理解を賜りたいと思います。
阿部委員 私は、そういう態度は国会審議の軽視だと思います。皆さんもこんなに遅くまで本当にお疲れの中、きょうなんか午前午後審議しているわけです。そして、どういう判断で、どういう方針でこのことが決まったかという骨格は、政府としての判断はこの五月十七日の金融危機対応会議できちんと示されるべきものであるはずで、そのことを踏まえてみんなが審議したいと思っているわけです。ただ時間つぶしのために、ただこまつぶしのためにやっているわけではないわけで、一回でも実り多くやっていくのが私は国会審議のありようだと思います。
 それに向けて、やはり事務方にむち打っても、本当に、まだまだなんだとおっしゃいますが、それは、政府の責任者としての大臣が本当の意味で国会をどう考えるか、政府はこの国会の委員会をどう考えるか、自分たちのとった方針に、国民の代表である私たちが国民にかわって質疑しているこの場をどう考えるかということであると思います。
 今週中にとおっしゃっても、それは今週の金曜日まででしょうか、明確な御答弁をお願いします。
竹中国務大臣 今週中にというのは、基本的にはウイークデーでありますから、週末ではなくて金曜日までに何とか間に合わせたいと思っております。(発言する者あり)
阿部委員 十三日の金曜日ではないかという声が聞こえたようですが。
 でも、私は、本当に遅過ぎると思います。そして、お金の投入だけが決まっていて、こういう国会審議が形式化、形骸化される、その大もとになっていると思いますので、重く受けとめていただきたいと思います。
 先ほど来、これは佐々木委員も聞かれたと思いますし他の委員も聞かれたと思いますが、実は、この「りそな」に合併する前の旧あさひ銀行と旧大和銀行に対しての通常検査は、あさひに対しては昨年四月十八日から六月十四日、大和に関しては十二月三日からことし二月二十四日までで行われております。そして、今回、その二つが合併して、さらに公的資金の注入というプロセスを踏んでおりますが、この間に金融庁は再査定、再検査はなぜなさらないのでしょうか。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 今回の処置は、りそなグループが総資産四十四兆円を超える銀行であり、そして大阪や埼玉に極めて厚い顧客基盤を抱えている、中小企業に対する貸し出しというものも非常に多い。そのりそな銀行が過少資本に陥ってしまった、健全性の指標の四%を割り込んで二%になってしまうということが十五年三月期の決算で明らかになったわけであります。この状況を放置しておけば信用秩序の維持に極めて重大な支障を生ずるおそれがある、その危機を未然に防止するために、危機対応として、緊急対応として今回の処置を、金融危機対応会議を開き、資本の増強の必要性を認定したところでございます。
 この資本増強の必要の認定の前提になったのが十五年三月期の決算でございまして、この決算に当たっては、委員御指摘のように、旧大和銀行に対して通常検査が入っているわけでありますし、またリアルタイム検査としての特別検査、あるいはDCFの手法、そうしたものが反映をされているわけであります。さらには、外部監査人である監査法人が厳格に監査をして、その上で過少資本に陥るという決算の内容が明らかになったということでございますので、私どもとしては、現時点において得られる最も確実性の高い情報ではないかと認識をいたしております。
 したがって、こうした認識をもとに、十五年三月期の決算をもとに資本増強を行うことが適当だというふうに考えたところでございます。
阿部委員 国民から見れば、これだけのお金を入れるのだから当然、十五年三月期の決算、そして、先ほど申しましたように、「りそな」は「りそな」として出発したそのときに、二つの、二つというか主な意味では二つですが、一緒になって、もっとより多くの地域銀行を集めて発足して、そして発足後わずか数カ月でこのような事態に至っているわけです。一体金融庁のこれまでの監督はどうなっていたのか、合併は果たして正しい判断だったのか、合併してやっていけたんだろうか。やっていけないからすぐこんな公的資金の注入になったわけです。
 今の副大臣の御発言というのは、自分たちが監督している銀行という企業体に対しての監督責任をまるで放棄したような答弁だと思います。なぜなら、監査法人がちゃんとやっているからよいのだというなら、本当に、監査法人間で今二つ大きな違いが生じたわけです、はっきり申しませば。その違いに目をつぶって、とにかくやったからいいんだというふうに強弁なさるなら、金融庁なんか要らないんです、本当に。(発言する者あり)皆さん方の方が詳しいからいろいろありますが、やはり、これからもこの百二条の適用に当たってこんなにルーズに勝手にやられるんだったら、だれも金融庁の行政姿勢というものは信頼しないと思いますが、逆にこれからする場合、しない場合、常に通常の検査しかしないのですか。大臣、いかがですか。
竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、この百二条の法律そのものが、信用秩序に対する重大な支障が生じないように迅速に行動するということを前提にしてつくられている。これは、私は、この法律の一つの建前であるというふうに思います。そうした中で、これは改めて、一種の、例えば買収か何かを行うときはいわゆるデューデリジェンスをやるわけですけれども、それも相当の時間をかけてこういうのをやるわけですけれども、そういうことを前提にはしていないというふうに私は思います。これをやっていると、本当にその間に資産が劣化したり、本来の百二条が持っている趣旨がやはり生かされないようになるというふうに考えるわけです。
 もちろん、その場合に、通常の決算のプロセスがきちっと行われているかどうかはしたがって大変重要になります。その点に関しては、先ほど伊藤副大臣から答弁がありましたように、我々は、そういう通常の決算がきちっと行われるように、通年専担検査の仕組みをずっとつくってきた。資産の査定に関しては特別検査を二年続けて行った。さらには、今回、これは一部には反対もあったわけですけれども、ディスカウントキャッシュフローという資産査定を厳しく、まさに市場価格に近い、マーク・ツー・ザ・マーケットで行えるような仕組みを取り入れて、できるだけそれが、特別検査の結果等々は今回の決算の中に反映されているわけで、まさにリアルタイム検査になっているわけでありますから、そうした意味でのしっかりとした決算の仕組みはつくってきたつもりでございます。
 百二条の意味と、検査の仕組み、これはあわせてやはり御理解をいただきたいと思います。
阿部委員 今の答弁では、例えば、私はすごく簡単なことを聞いたわけです。あさひと大和が合併して、発足したばかりなわけです。だれもこの私どもの市民社会の中で、発足したばかりの銀行がわずか数カ月で、その発足に対しては、恐らくそのことが、やはり多様な銀行の合体したものができるわけですから、経営的な困難、システムの混乱、そして逆に言えば、本当にうまく統合されていくだろうかという不安を抱えながらでも、監督官庁である金融庁がきちんと問題点をわきまえてこの合併に向かっていっただろうからという安心感を持っていたわけです。でも、やってみたら、ふたをあけたら、数カ月で公的資金の注入だとなったわけです。
 私は、そのときに、少なくとも金融庁として、では本当にこの合併判断はよかったのかどうか、そこまで立ち返って伺いたいですが、いかがですか。
五味政府参考人 合併の認可は、ことしの二月二十五日に行われておりますが、この合併並びに埼玉りそな銀行への再編の認可に際しましては、その時点までの私どもの監督上持っておりますさまざまなデータ、あるいは検査の結果、あるいは途中経過、こうしたものを総合的に勘案いたしまして、法令に定められております認可基準に沿っているかどうかということを審査し、その結果として、この法令の認可基準を満たしているというように認められましたので、この認可を行ったということでございます。
 ただ、その後、先ほど来御議論になっておりますけれども、監査法人の監査の過程で、三月期決算の繰り延べ税金資産計上の厳格化等が要因となって、自己資本比率が四%を下回ることになったという事情でございます。
阿部委員 私は、やはり政治は結果責任だと思うのです。どういうことかというと、合併のときに、金融庁としては、今るる述べられましたように、まあこれでいけるだろうと判断したと。ふたをあけたら、やれないから、そして、繰り延べ税金資産の計算方式が変わってしまえば、ごろりと変わって公的資金二兆円投入だと。逆に、こういう結果に至った責任は、監督省庁の金融庁はどうとるんですか、竹中大臣。
竹中国務大臣 基本的には、昨年の九月期の決算に基づいてその認可の議論は行われております。昨年の九月期の財務状態と、それとことし三月期の財務状態の間でやはり変化があったということに尽きるんだと思います。しかし、その変化の要因というのは、決してこれは、例えば一般的な資産の査定の問題等ではなくて、前に申し上げましたけれども、自己資本比率の下落のかなりの部分が実は繰り延べ税金資産に依存している、この繰り延べ税金資産についてのまさに査定が独立した監査法人によって今回厳しく行われた、その点に集約されているんだと思っております。(発言する者あり)
 今、席から議論がありましたけれども、これは確かに増資を行っているわけで、その増資が、まさにコンプライアンスの観点からガイドラインにのっとってて第三者増資が適切に行われたかどうか、これはきっちりと我々としては検査をしていくつもりでございます。
阿部委員 そんなことを後から言われたっていい迷惑なんです。どういうことかというと、九月から三月の間に変わったことは何かと今大臣おっしゃいました、財務諸表の中で。一つは合併があったということですよ。それから、自己資本比率について、特に繰り延べ税金資産について厳しく査定するように、二月二十五日でしたか、各監査法人に指令を出したと。しかし、そうであれば、既に増資の段階で、この九月から三月、三月に増資しているわけですから、増資の額、それから増資というものが、本当にこれでやっていけるのかどうか、そこできちんとした監督指導が行われれば今回のようなことにはならなかったと思うのです。そこの監督責任を私は今問うています。何か人ごとのように常に、こっちに「りそな」があって、こっちに監査法人があって、この間でやって、繰り延べ税金資産の見直しが違ってきたのでこうなりました、そして国民に二兆円ぶち込んでくださいとお願いします。しかし、そういうことがないように金融庁は監督しているのが役目じゃないですか。私は、そんな無責任な答弁、本当に金融などは全然知らない素人から見たってとても承服できませんし、納得できませんし、何のための金融庁かと思うわけです。
 そして、もう一つ伺いたいです。
 ここに二つの監査法人があって、そのおのおのの繰り延べ税金資産の評価において差があったように伺います。今後もこういうことはおありでしょう。その監査法人をまた監督しているのも金融庁ですが、こうした事態、差があり得る事態を踏まえて、監査法人と金融庁の関係というのは、今後どのように金融庁は行政的に取り組んでいかれるのでしょうか。いつも、自分たちには関係ない、関係ないという形でやらないでいただきたい。何が責任で、何が役割なのかをきちんと自覚された上での御答弁をお願いします。
竹中国務大臣 我々は、例えば今回の繰り延べ税金資産に関しても、我々が問題提起をしたわけです、昨年の秋に。それに基づいて我々が金融審の中にワーキンググループをつくって、今この難しい問題をどうしていくかということをずっと議論していこうとしているわけです。そのやさきに、非常に大きな判断をゆだねられた監査法人において、今回、新日本監査法人において厳しい見解が示されたというのが現状であります。
 お尋ねの件、繰り延べ税金資産、会計監査法人に関しては、これは監査法人の監査の内容について我々が圧力をかけちゃいかぬというのがまさに皆さんの御意見であって、そういったことに関して我々がコメントをする立場にはないと思っております。
 しかし、これは一方で、公認会計士法、ここの場でも御審議いただいた公認会計士法では、いわば公認会計士協会等々のクオリティーコントロールに関して、我々が、今度新たに行政がコミットするという形が出ている。これに関しては、公認会計士法をしっかりと運用していくという形で我々としても全力を尽くしたいというふうに思っております。
阿部委員 私は、最後にここで指摘しておきたいのは、やはり、合併という時点で既に金融庁はこの事態を正しく認識し、この合併自身が、本当にこれでやっていけるのかどうか、今の繰り延べ税金資産のお話もそうです、その判断をすべきであった。金融行政にもてあそばれた「りそな」もかわいそうですし、そして監査法人の、自分たちの査定問題においても、果たして本当に独立性が保たれたのか否か、疑義は山のように広がっていますので、資料の提出をお願いして、質疑を終えます。
小坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十六分散会


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