衆議院

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第26号 平成15年7月16日(水曜日)

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平成十五年七月十六日(水曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 砂田 圭佑君 理事 林田  彪君
   理事 生方 幸夫君 理事 松本 剛明君
   理事 上田  勇君 理事 中塚 一宏君
      上川 陽子君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    左藤  章君
      坂本 剛二君    田中 和徳君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中村正三郎君    永岡 洋治君
      林 省之介君    増原 義剛君
      水野 賢一君    山本 明彦君
      山本 幸三君    五十嵐文彦君
      井上 和雄君    小泉 俊明君
      五島 正規君    佐藤 観樹君
      中津川博郷君    永田 寿康君
      長妻  昭君    石井 啓一君
      遠藤 和良君    達増 拓也君
      山田 正彦君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君    江崎洋一郎君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 堀内 文隆君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  瀬川 勝久君
   政府参考人
   (警察庁刑事局暴力団対策
   部長)          近石 康宏君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  藤原  隆君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (総務省大臣官房長)   瀧野 欣彌君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長
   )            大道 正夫君
   参考人
   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君
   参考人
   (日本銀行副総裁)    武藤 敏郎君
   参考人
   (日本銀行理事)     三谷 隆博君
   参考人
   (日本銀行理事)     白川 方明君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月六日
 委員日野市朗君が死去された。
同月十六日
            補欠選任
             田名部匡代君
同日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     左藤  章君
  萩山 教嚴君     水野 賢一君
  上田 清司君     長妻  昭君
  仙谷 由人君     五島 正規君
  田名部匡代君     平岡 秀夫君
  達増 拓也君     山田 正彦君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     上川 陽子君
  水野 賢一君     萩山 教嚴君
  五島 正規君     仙谷 由人君
  長妻  昭君     上田 清司君
  山田 正彦君     達増 拓也君
    ―――――――――――――
七月六日
 証券取引委員会設置法案(第百五十一回国会衆法第三三号)の提出者「海江田万里君外十名」は「海江田万里君外九名」に訂正された。
同月十五日
 消費税の大増税に反対、税率を三%に引き下げることに関する請願(中林よし子君紹介)(第四一六四号)
 同(石井郁子君紹介)(第四二九八号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第四二九九号)
 同(中林よし子君紹介)(第四三〇〇号)
 同(藤木洋子君紹介)(第四三〇一号)
 消費税の大増税計画反対、食料品など日常用品の非課税に関する請願(児玉健次君紹介)(第四一九七号)
 同(児玉健次君紹介)(第四二二六号)
 出資法の上限金利の引き下げ等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四一九八号)
は本委員会に付託された。
七月六日
 個人消費を減退させ、景気回復を遅らせる大衆増税反対に関する請願(第八〇一号)は「日野市朗君紹介」を「今野東君紹介」に訂正された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 財政及び金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)
 財政及び金融に関する件
 貸金業の規制等に関する法律及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案起草の件
 貸金業制度等の見直し等に関する件


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 財政及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君、日本銀行副総裁武藤敏郎君、日本銀行理事三谷隆博君、日本銀行理事白川方明君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局長藤原隆君、金融庁監督局長五味廣文君、警察庁長官官房審議官堀内文隆君、警察庁生活安全局長瀬川勝久君、警察庁刑事局暴力団対策部長近石康宏君、総務省行政管理局長松田隆利君、総務省自治財政局長林省吾君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長樋渡利秋君、中小企業庁事業環境部長大道正夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 この際、去る六月六日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁福井俊彦君。
福井参考人 日本銀行の福井でございます。
 ただいま委員長からお話ございましたとおり、日本銀行は、先月、平成十四年度下期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出させていただきました。今回、日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をちょうだいいたしまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 本日は、最近の経済金融情勢や金融政策の運営につきまして、日本銀行の考え方を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず、最近の経済金融情勢について御説明を申し上げます。
 日本の経済は、横ばい圏内の動きを続けております。個人消費は、厳しい雇用、所得環境のもとで弱目の動きを続けておりますが、設備投資は、企業収益の改善を背景に、多少振れを伴いつつも、緩やかな持ち直し傾向にございます。また、輸出は横ばい圏内で推移しております。
 先行きにつきましては、輸出や生産が次第に増加基調に戻って、前向きの循環が働き始めるものと考えられます。その背景として、イラク情勢や新型肺炎をめぐる不確実性の低下などから、ことしの後半には海外経済の成長率が高まるとの見方があるということでございます。
 七月初めに公表されました日本銀行の短観を見ましても、企業収益は増益基調を維持する見込みでございます。設備投資の持ち直し傾向も確認されたところでございます。もっとも、過剰雇用、過剰債務の調整圧力がなお根強い中にございまして、当面、内需の回復は緩やかなものにとどまる可能性が高いと考えられます。また、輸出環境につきましても、米国経済の回復力などをめぐってなお不透明感の強い状況が続いております。国内面でも、金融システム情勢や金融資本市場の動向などについて引き続き注視していく必要があると考えております。
 この間、物価面を見ますと、消費者物価は、需要の弱さや技術進歩、流通合理化といった要因が引き続き物価を押し下げる方向に働いておりますほか、海外からの値段の安い、安価な消費財の輸入もごく緩やかながらも増加傾向を続けておりますことなどから、当面、現状程度の小幅下落が続くと見られます。
 金融面では、日本銀行の潤沢な資金供給のもと、金融市場は総じて落ちついた推移をたどってまいりました。また、資本市場におきましては、このところ、世界的に、景気や物価の先行きに対する悲観的な見方が若干後退している、その中で、株価が大幅に上昇し、長期金利も上昇しております。
 企業金融をめぐっては、全体として緩和的な環境が維持されております。ただ、相対的に信用度の低い企業の資金調達は、なお厳しい状況にあるものと認識いたしております。
 次に、最近の金融政策の運営について申し述べさせていただきます。
 前回御説明させていただいてから約三カ月が経過いたしましたが、この間、日本銀行は、経済の先行き不透明感が高まる中、金融政策面での対応を機動的に講じてまいったつもりでございます。
 すなわち、四月三十日の金融政策決定会合では、日銀当座預金残高の目標額を五兆円引き上げました。この時期、欧米諸国の景気回復力については依然不確実性が高く、東アジア経済についてもSARSの影響が懸念されておりました。金融面でも、銀行株を初めとして、株価が不安定な動きを示しておりました。このような経済金融情勢に関する不確実性の高まりを踏まえて、金融市場の安定確保に万全を期し、景気回復を支援する効果をより確実なものとするために実施いたしたものでございます。
 また、五月の半ばには、りそな銀行の問題が生じたのを機会に、金融面からの対応措置を強化いたしました。日本銀行は、まず、りそな銀行に対して、必要が生じた場合直ちに、日本銀行法第三十八条に基づく無担保の貸し出しを含め、所要の資金を供給する方針を決定いたしました。また、金融調節の面でも、当座預金残高の目標をさらに三兆円引き上げ、十分な資金を供給することといたしました。このころは、海外経済をめぐる不確実性に加えまして、株価や為替相場の不安定な動きなどから、景気の先行き不透明感が強まっておりました。それだけに、金融市場で不安定性が高まるような事態になれば、実体経済活動にも一層悪影響が及ぶ懸念がございました。このような対応もあって、りそな銀行の資金繰りには幸い問題は生じず、金融市場もおおむね安定を維持してまいっております。
 その後の状況を見ますと、日本経済をめぐる先行き不透明感は多少後退しているというようにうかがえます。
 まず、輸出を左右する海外経済につきましては、米国経済の不透明感はやや緩和され、東アジアにおきましてもSARSの問題が終息に向かっております。これを受けて、国内の資本市場では、経済や物価に対する悲観的な見方が若干後退いたしまして、株価は上昇いたしました。銀行株価も大幅に反発しております。こうした状況のもと、長期金利は、〇・四%台の史上最低水準まで一たん低下しました後、最近のところで若干上昇しているというところでございます。
 このように、全体として幾分明るい動きが見られるということでございますが、日本経済が引き続きさまざまな構造問題を抱えていることには変わりはございません。日本銀行といたしましては、引き続き、海外経済の回復力や金融システムの状況、金融資本市場の動向などに十分注意を払いながら、機動的な金融政策の運営に努めてまいりたいと存じます。
 この間、日本銀行は、金融緩和の効果が経済全体に行き渡るよう、波及メカニズムの強化に取り組んできております。その一環として、今月二十九日より、資産担保証券の買い入れが可能となるよう準備を進めております。中央銀行が民間の信用リスクを直接負担することは全く異例のことでございますけれども、我が国の金融機関の信用仲介機能が万全とは言えない現状においては、資産担保証券市場の発展を支援することは意義があると考えている次第でございます。
 具体的な実施の細目を決定する際には、中堅・中小企業金融の円滑化に資するよう最大限の配慮をいたしました。まず、裏づけとなる資産は、売り掛け債権や貸付債権、リース債権など幅広い資産を対象とすることといたしました。また、信用力の低い債券に対する投資家が現状では不足しているということも考慮いたしまして、つまり、投資家が不足していることも市場拡大を阻害する一因となっているということにかんがみまして、BB格相当の債券まで買い入れることといたしました。買い入れ総額については、当面一兆円に設定いたしております。
 資産担保証券市場は、将来日本の金融市場にとって非常に重要な市場になると考えております。日本銀行の買い入れも契機となりまして、市場が自律的に発展していくことを期待しております。
 なお、日本銀行は、株価の変動が金融機関経営、ひいては金融システム全般に及ぼすリスクを緩和する趣旨から、昨年十一月以降、銀行保有株式の買い入れを実施いたしております。本年七月十日時点の買い入れ額は一兆四千九百八十一億円に上っております。
 以上申し上げましたように、日本銀行は、厳しい経済情勢に対応するため、必要と考えられる政策は、中央銀行としては異例の対応も含めて、果敢に実施してまいったつもりでございます。同時に、新たな資産を保有することに伴うリスクを適切に把握し、財務の健全性確保にも努めております。財務の健全性は、将来にわたる日本銀行の政策運営能力を維持し、通貨の信認を支える重要な基盤であると認識しているからでございます。
 日本経済は、八〇年代後半から生じましたグローバル化、情報通信革命、少子高齢化などの大きな潮流変化に対して、新たな経済の仕組みを構築すべく苦闘を続けております。さまざまな制約のもとで、これは決して容易なことではございませんが、日本企業の持つ高い技術力や知識創造力を生かしていけば必ずや実を結ぶものと信じております。
 日本銀行といたしましては、こうした民間の努力も踏まえながら、デフレ克服と持続的な成長軌道への復帰に向けて、今後とも全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 御清聴、まことにありがとうございました。
小坂委員長 これにて概要の説明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 ただいま日銀総裁の御報告、そして日々の金融政策運営の御尽力、大変御苦労さまです。私は、福井総裁が御就任されてからきょうが初めて質疑の時間をいただきますので、極めて骨格的なことを質疑させていただこうかと思います。
 まず第一点でございますが、いわゆる国債についてでございます。
 国債は、この間、潤沢な資金供給という形でさまざまに、発行額は全体として増加しております。例えば、一九九八年度総額三百三十八兆円、現在、二〇〇二年度速報値で五百三十八兆円と、二百兆ほどの増額がございますが、その国債が一体どこに保有されているかという保有別の主体の分析をいたしますと、いわゆる銀行の保有が二〇〇三年三月末で二三・九%となっております。これは、私が先ほど申し述べました五年前に比べますと、五・八ポイントの比率の上昇でございます。
 この間、銀行は、株価が極めて低迷する、あるいは下落するという中で、より安全な国債へとシフトしてきて、一方での国債発行も、総額が極めて多く出されてきたという、双方が関係していると思いますが、逆に、このことによって、国債の価格の下落、すなわち金利の上昇等々が起こると、今度は銀行が逆にそれで含み損をする。今のように株価が上昇して国債の下落の損を代償しているうちはよろしゅうございますが、なかなかに不安定は増しているのではないかというところからお伺い申し上げます。
 二〇〇三年三月末の大手金融グループの国債保有残高は五十三兆三千億円で、株式の二・九倍になってございます。地銀に至っては十八兆九千億円で株式の四・八倍、第二地銀が四兆七千億で五・七倍と、株式よりも国債にというのがあらゆるレベルで、特に地銀、第二地銀になるほどにその比率が高いという様相を呈しております。
 総裁は、この中で一部お触れでございますが、この間の株高、債券安という構造についてはどのように見ておられますでしょう。一問目です。
福井参考人 お答えを申し上げます。
 ただいま阿部委員から、最も基本的な金融システムあるいは今後の金融政策運営上の難しい問題点を御指摘いただいたというふうに思っております。
 最近の、不況色が強く、デフレ傾向が長引いている経済環境のもとで、金融機関の資金配分がどうしても国債に偏りがちであるという傾向が続いている。結果として、御指摘のとおり、金融機関のバランスシートの中身を見ますと、資産サイドで、貸し出しの残高に対比いたしますと、あるいはほかの株式等の資産と対比いたしますと、国債の残高のウエートがかなり急激に上昇してきているというふうに思います。
 もとより、金融機関のバランスシートというのは、さまざまな形でリスクが分散されて形成されるべきだというのが大原則でございます。
 リスクと申し上げました場合には、例えば貸し出しの場合には、貸出先の信用度による信用リスク、国の信用、つまり国債の場合には、そういう信用リスクが一番低い、信用度が一番高いというふうに言われております。一方、資産が価格変動する、もう一方のリスクがございます。マーケット価格が変動いたしますと、信用リスクが万全であっても、市場変動リスク、つまりマーケットリスクが大きく金融機関のバランスシートにかぶってくるという危険があるわけです。
 したがいまして、信用リスクとマーケットリスク、あるいはその他のリスクもございますが、大きくは信用リスクとマーケットリスクを広く分散する形で金融機関のバランスシートが形成されていくというのが一番望ましい本来の姿だと思います。
 現在は、経済環境が大変厳しい状況が続いているというもとで、結果として金融機関のバランスシートに国債の残高が非常にふえてきておりまして、これが、経済がむしろ我々の望むいい方向に変わっていく段階で、債券というのは値段が下がり金利が上がるという形で、マーケットの変動のリスクが金融機関のバランスシートの上で顕現化してくるリスクをはらんでいる、そういう点は、私どもも、今後の政策運営上一つの非常に大きな関心事項。しかし同時に、これは個々の金融機関の経営者にとられましても、この問題の所在ははっきり認識しておられることでございまして、期間構成その他リスク管理の体制を、従来よりはさらに濃密に工夫を凝らしながら対応処理を進めておられる。
 将来、どのような問題が起こってくるかわからない点はもちろんございますけれども、十分事前に我々はこの問題を予知しながら対応していかなければならないというふうに考えております。
阿部委員 次は、金融庁に、数値の上でのお尋ねをいたします。
 三月末、国債の長期金利が〇・七%前後でございましたときに、銀行、すなわち大手、地銀、第二地銀の中で、含み損を抱えている銀行というのは一体どのくらいございましたでしょうか。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 直近の計数であります、十五年三月期決算における都市銀行、地方銀行、第二地方銀行の国債の評価損益は、都市銀行が三千三百七十八億円、地方銀行が二千八百八十四億円、第二地方銀行が六百十八億円の評価益となっております。
 なお、十五年三月期決算において国債の評価損を抱えている銀行数は、地方銀行が十行、そして第二地方銀行が七行でございまして、都市銀行については、評価損を抱えている銀行はございません。
阿部委員 再び福井総裁にお伺いいたします。
 そうすると、現在のところ金利は一%、今後これが上昇に向かう、すなわち国債の下落に向かうのかどうかということは、先ほど御答弁にございましたように、市場経済の全体の動向とかとも関係して、不透明というか、予測は十分にはしがたいと思いますが、逆に、金利が〇・七%だったときで既に、地銀で十行、第二地銀で七行の、国債の含み損によるいわゆる赤字という形が出ておりまして、これが一%という現段階で、逆にどのようにお考えになるのか。あるいは、今後、上昇ということで、これは、株価があくまでもリスクを吸収してくれればよいですが、その辺の見通しというか、リスクについてのお考えをお教えください。
福井参考人 まず、個々の金融機関の経営者におかれましては、今おっしゃいましたとおり、銀行ごとに差はあるとはいっても、やはり国債そのものの持っている潜在的リスクがいつ何どき顕現化するかもしれないという前提のもとに、国債そのもののリスク管理をさらに強めておいていただく必要がある。この点は、私どもも、考査を通じて、金融機関の経営者の方々に我々の持っている知識は差し上げながら、やはり金融機関の努力を促していきたいと思っております。
 経済全般がよくなりますときに、経済のよくなる度合いに見合って金利が上がっていくということであれば、まだ相対的に問題が少ないだろうと思います。しかし、市場の中でさまざまな期待、憶測が生じて、それ以上に金利がはね上がるというふうな危険がやはり将来はあるわけでありまして、その点に対して、つまりリスクプレミアムが過度に市場の中で大きく出てくる、結果として金利が経済の実態以上にはね上がるというふうなことを極力防ぐような知恵を出していかなければいけない、これは我々の仕事でございます。
 一方、金融機関の経営者としては、今株価の上昇によって打ち消される部分があるとおっしゃいましたが、基本的には、貸し出しを、景気がよくなってまいりますと資金需要もふえてまいりますので、本来の貸出業務で収益をきちんと上げていく努力をさらに強めていただく、そのこととの兼ね合いで国債のリスクを打ち消していくという努力が非常に大事じゃないかというふうに考えております。
阿部委員 銀行は本来貸し出すのが仕事で、今は、金庫のようになって、貸し出しの目詰まりが起きている状況下ですので、その点に関しては、日銀としても、先般来、どのように貸し出しが円滑に行われるのかについての、銀行とのお互いの、指導なり行政監督なりをなさっておられる、行政監督というか、そのような向きにお話を進められていると思います。
 一方でまた、日銀自身も大量に発行された国債を銀行から買うということで、現在、日銀の資産等々を拝見させていただきますと、量的緩和政策に伴って、二〇〇一年三月では、国債保有の中で日銀が持っておられる分が一一・六%だったものが、二〇〇三年三月では一七・五%。すなわち、国債については、銀行か日銀かで、双方合わせれば四〇%余りを持っておられるわけです。
 ここまでやってまいりますと、先ほど言いました、国債の金利が実体経済の好転に伴って上がればいいですが、いろいろなリスクはそこに含まれている、そのときにこれ以上の金融緩和政策をとるということは、日銀の国債保有の現状から見ても、これは数値を拝見していると、とにかくどんどん、年々比率が上がっていくのですね。特に二〇〇一年度から、日銀の国債保有比率一六・六、二〇〇二年度一七・五となってまいりまして、逆に、国債が我が国の金融のアキレス腱になりかねないという不安も抱くものですが、今後の量的緩和政策とも連動しておりますので、そこのお考えをお教えください。
福井参考人 日本銀行自身も、民間金融機関のことばかり述べて自分たちのことを忘れてはならない、おっしゃるとおりだと思います。
 私どものバランスシートの中にも国債の保有残高が急激にふえてきて、現在、非常に大きなウエートを既に占めるに至っているということは事実でございます。
 ただ、私どもは、金融調節を通じて日本経済を元気よくする、つまり、不況から、あるいはデフレから早く脱却するために仕事をしているという点がございまして、市場の中に存在する何がしかの資産を日本銀行が購入しながら流動性を供給していくということが基本のメカニズムになっております。したがいまして、経済の状況が厳しくて、資金を借り入れる主体が民間ではなくて政府にウエートがかかっている状況にありましては、結果として、日本銀行が買い入れる対象とする資産の中身が国の債務に比重がかかってくることはある程度避けられないということはまず御理解いただきたいと思います。
 それでも、日本銀行が野方図に国債を買い入れるということは正しくないと私どももやはり思っておりまして、あくまで目的を、円滑な資金供給、つまり金融政策の目的の範囲内にきちんとおさめる、それからさらに、日本銀行の国債保有額が銀行券の発行残高を超えない、そういう歯どめをもう一つ設けて行っているということでございます。銀行券の発行残高は、御承知のとおり、今、大体七十兆円ぐらいでございます。日銀の長期国債の保有残高が六十兆円ということで、一応その範囲内で現在運営を行わせていただいているというところでございます。
 なお、市中銀行もそうですが、私どもにおきましても、国債保有に伴うリスクをバランスシートの上できちんと把握する、そして必要な引き当てを行うということで、財務の健全性確保にも努力をいたしております。
阿部委員 総裁の報告書の中にもございますように、まだまだ我が国の市場というか経済の動向は、過剰雇用、過剰債務の調整圧力が強くて、なかなか本格的に立ち上がってきていない。全体七十兆を上限とするんだといっても、もう六十兆まで来ていて、微妙な幅の中で、国民にとりましては余りに国債が多く発行されていくことに、もうそろそろ危険シグナルが出ているのではないかという認識を持つものでもありますから、この時期の微妙な運営と思いますが、なおお取り組みをよろしくお願い申し上げます。
 私は、残余の時間は、本日午後委員長提案になるやみ金融のことについて、若干現状認識をお伺いしたいと思います。金融庁にお願い申し上げます。
 きょう、私はたまたま日経新聞を通勤途上で見ておりましたところ、UFJ銀行が、都内七十二支店の百六十六に上る普通預金口座を強制解約したと。強制解約をした理由は、それがやみ金の口座として利用されていた疑いもあるということでこのような強制解約をなさったということで、また、強制解約ということは前例を見ないということでございます。
 所轄の官庁の金融庁といたしまして、やみ金融問題は、被害者は一般の弱い庶民、でも、一体だれがどのように、どういう手だてをすれば本当の解決がつくのか。すなわち、やみ金融の口座は実は銀行にあったりする、一番信用を看板に掲げた銀行にやみ金融の口座がある。銀行の管轄は当然金融庁である。こうしたUFJに見られたような動きと同じような動きが、各銀行、自律的に行われているのかどうか。監督省庁の金融庁、実際にデータがおありであれば教えていただきたいし、今後の指導姿勢についても、竹中大臣が来られましたので、しょっぱなで申しわけございませんが、よろしゅうございますでしょうか。
五味政府参考人 事実関係だけ、私から簡潔に申し上げます。
 UFJ銀行によりますと、この銀行の都内の七十二支店、百六十六の普通預金口座に、口座開設時における本人確認の際に提示を受けた健康保険証に架空の被保険者番号が記載されていたというようなことが判明しましたので、口座名義人に対して、再度の本人確認のため来店を求めるという文書を発送しましたが、応答がなかったということで、UFJ銀行といたしましては、預金規定に定める「預金口座の名義人が存在しないことがあきらかになったとき、」というのに該当するものとして、口座を解約したというふうに聞いております。
 やみ金業者の手口の一つといたしまして、例えば、悪質なやみ金業者が、クレジット会社とか大手の消費者金融会社から貸付債権を譲り受けたというような偽りを述べまして、顧客に対して執拗なあるいは脅迫的な支払い請求を行って、金融機関の、銀行の口座に振り込みを強要する、こういったような事例が社会問題化しているというようなことがございます。
 これを踏まえまして、私ども、各金融機関との意見交換会などの場におきまして、本人確認法や組織犯罪処罰法上の対応、これを、こうした法律の趣旨にかんがみて、健全かつ適切な業務運営という観点からきちんと適切な対応をとるようにということで従来から要請しておりまして、つい先月、六月も中旬と下旬に、主要行、地銀、第二地銀の各団体に対しまして、意見交換会の場で改めてこの要請をいたしました。
 このUFJ銀行のような口座の解約ということは、これはちょっと取り急ぎの聞き取りではございますけれども、やみ金業者などに対する口座の解約というのは、他の主要行においても基本的に、数の大小がございますけれども、対応して行っているということでございます。
阿部委員 やみ金融被害の実態を知るためにも、どのくらいの数の口座が現状そこにあり、また解約の必要があるものなのか、それはぜひとも、データとして、金融庁としてきちんと数値把握もしていただきたいと思います。それを大臣にひとつお願いしたい。
 あわせて、午後法案が提出されますが、担当大臣として、こうしたやみ金融におけるどういう点に今後、やはり本当に、やみ金融被害者が自殺なさった、六月十四日、大阪でのことですが、そのことを契機に超党派で法案ができるわけですが、何度も申しますが、金融庁というところもそのことと不可分のところに位置しておったわけで、今後、どのような取り組みをお考えであるのか。
 大臣、せっかくお越しくださいましたので、今の二点にわたって、解約口座数の数値をきちんと挙げていただくということと、それから今後の取り組みについて、お願いいたします。
竹中国務大臣 二点御指摘をいただきました。
 最初の問題に関しては、これは、本人確認を本当にきっちりとやっていくということに尽きていると思います。これは監督局長が答弁させていただいたとおりであります。その数値をきっちりと確認しろということの御趣旨は、本人確認をきっちりやる中で、そういった悪用されている口座がないかどうかをきちっと把握しろということに尽きるのだと思います。数字の把握ということになりますと、どういう方法が可能かというのは、ちょっと今すぐはなかなかお答えできない面もあるんですが、いずれにしても、本人確認はきっちりとやっていただく、この点はそのようにきちっと指示をしたいと思っております。
 二点目の、やみ金融対策に対して、これの実効性を確保するために金融庁として一体どのように取り組んでいくのかという一般的な姿勢の問題でございますが、これはこれまでも金融庁としても努力はしてきたつもりでございます。
 まず、これは大変深刻な問題だという問題認識を持っております。その上で、貸金業登録の審査を強化する等々の監督、これは行ってきた、政府広報等を通じた国民への周知等々も行ってきた、さらには、まさに捜査当局との連携強化を図る、それと、被害者からの相談のシステム、こうした四点についてはこれまでも努力を行ってきたつもりでありますが、今般のいわゆるやみ金融対策の検討の過程における先生方の非常に深い御議論を踏まえて、我々もやはり一層強化しなければいけないというふうに思っております。
 まずは、やはり監督部局間の連携、それと相談体制の一層の強化というのが必要だと思います。これは、一部の県には、財務局、警察当局等、関係団体から成るやみ金融対策の防止対策会議のようなものが設置されておりますけれども、さらには相談窓口、こうしたものについてやはり都道府県に指示、要請を行うとともに、広告関係団体に対しても、広告掲載などの適正化について要請を行っていく必要があると思っております。今までの政策をさらにしっかりと強化するような方向で努めたいと思います。
阿部委員 まずは怪しい口座が閉じられるということが大きな一歩ですし、あと、諸般、財務省や警察庁ともかかわっていますので、大臣並びに金融庁のリーダーシップで、実際の被害者が減るようなお取り組みをよろしくお願いいたします。
 終わらせていただきます。
小坂委員長 次に、井上和雄君。
井上(和)委員 おはようございます。本日は一般質疑ということでございますが、私、実は民主党のヤミ金融対策プロジェクトチームの事務局長ということで、昨年来、このやみ金融対策、午後に委員長提案ということで採決されます貸金業の一部改正の法律案、民主党案をずっと作成してきた責任者として、この問題に関して、政府に対して質問させていただきたいと思います。
 実は、この問題に取り組み出す契機というのは、昨年の夏ごろから、私の友人の弁護士たちから、やみ金融の問題が今大変深刻な問題になっている、そういう話を聞きまして、とにかく国会としても一刻も早く取り組むべきだ、そういうアドバイスを受けまして、自民党の金融関係の先生たちとも私もいろいろ御相談もしたんです。そういうわけで、昨年の秋後半ぐらいから民主党としてプロジェクトチームを立ち上げまして、そのときには警察当局にも、とにかく一刻も早く取り締まりを強化してくれということをお願いいたしました。
 その後、警察の方も、年が明けたころから対策本部をつくっていただいて一生懸命取り締まっていただいてはいるんですが、残念ながら、この前の八尾市で起きたような本当に悲惨な事件が相変わらず続いているという状況にあって、今回、全与野党一致して、貸金業を規制するやみ金対策法を国会で決議することができる状況ができたということを本当にうれしく思います。
 冒頭、塩川財務大臣に、これは質問というよりお願いなんですけれども、やはり今、治安対策というのが、国民の本当に非常に大きな関心というか、心配している問題である。私も、このやみ金対策というものに取り組み出して、警察当局で何とか取り締まりをしてくれということをいろいろお願いしているんですが、やはりなかなか、一つは、いや、これは民事の問題ですとか、そういうこともあるし、凶悪事件も本当に多いですからなかなかそこまで手が回らないというふうな状況があるようでした。
 実は私、交通事故の防止の問題にもこれまでずっと取り組んでいるんです。今回、小泉総理が、十年間で交通事故を半減させるということもおっしゃっている。それ以外にやはり、外国人犯罪等、警察当局の抱える問題というのは非常に今広範囲だし、現在の警察の体制というのをもっともっと今後強化していかなきゃいけないというふうに思うんですね。
 また、検察の方もあわせてやはり強化していく必要があると思うんです。これは、やみ金融の問題でも、現実に起訴に持ち込むというのがなかなか難しい、やはり捜査に非常に時間がかかる、そういう状況もあると思います。
 同様に、先ほど申し上げたように、私、交通事故の問題に取り組んでいるんですけれども、実際に交通事故で家族を亡くされた方がよく言われてくるんですけれども、やはり、死亡事故でも起訴に持ち込めない、起訴猶予になるケースが幾つかあるんです。それは、一つは、警察の実況見分の問題とか証拠の問題。そしてまた、検察側も、交通事故、死亡事故だけでも一年間に一万件あるわけです。その一件一件に関して精査して起訴に持ち込む、これは大変な作業で、現在は検察では副検事の人が実際に交通事故の案件を担当しているんですけれども、それこそ数百件もあって手が回らない。そういう現状が、実際に交通事故の起訴猶予率が上がってしまう。そしてまた、そういうことによって、ドライバーのモラルも、要するに事故を起こしても余り責任を問われないという現状がこれまであったということで、モラルが低下するという実情があると思います。
 そういった意味で、治安対策、特に警察、検察、これは入国管理も関係してくるとは思うんですけれども、こういった分野にやはり国の予算をぜひしっかりと、重点というか最重点に振り向けていく必要があると思うんですけれども、財務大臣、きょうはこの一問だけなんですけれども、御答弁いただければと思います。
塩川国務大臣 現在、治安対策は、政府の方針といたしましても最重要項目に入れておるところでございまして、与党の方からも、来年度予算に向かって特別の配慮をせよという要望もございまして、十分いたしたいと思っております。
 現在まで、十五年度までに、十五、十四、十三、この三カ年間で警察官を一万人ふやすという予定で要求がございまして、三年間で一万一千人ぐらいになるだろうと思っておりますが、増員計画をいたしまして、着実にその推進を図っておるというところでございまして、なおまだ部門的に治安対策上の必要なところがあれば、そこの補給もしていきたいと思っております。
 ついては、経済事案でございますけれども、最近非常に悪質なものが出てまいりましたので、私は、この問題については、防犯関係にも十分な配慮をした、そういう治安対策上の警察官要員等の関係について相談もしてみたいと思っております。
井上(和)委員 警察も、あと検察の方もぜひよろしくお願いいたしまして、私の財務大臣に対する質問は終わらせていただきます。どうぞ御退席くださって結構でございます。
 それでは、やみ金が起こる原因というのは、やはりいろいろな意味で、個人、中小企業が、金融機関から借りられないということでやみ金に行かざるを得ないという状況があると思うんです。そこでまず冒頭なんですけれども、竹中大臣に、現在、金融機関の貸し渋り、貸しはがし状況はどうなっているのか。
 実は私、ことしの六月の日本商工会議所、全国の商工会議所の景気動向調査の結果を見ているんですけれども、やはり、業況DIのマイナス幅が五カ月ぶりに拡大、株は上がっているけれども、どうも実体経済、特に中小企業はもう非常に厳しい状況で、停滞感が続く、そういう調査結果も出ているわけですね。そういった意味で、中小企業の状況は引き続き非常に厳しいものがある。
 特に、私の選挙区は東京の墨田区と荒川区で、繊維、あと鉄鋼関係、シャーリングとか金型とか、中小企業の町で、本当に大変厳しい状況にあるわけです。時々お話を伺って、例えば、工場を畳んで、そこに今度はではマンションを建てよう、そう思うんだけれども、銀行が金を貸してくれない、そういうようなことを言われます。これはもう、結局は担保価値がないから貸してくれない、相変わらずの担保主義で、私、従来から、ノンリコースのプロジェクトローンをもっと日本でも普及させなきゃいけない、大体、担保とか保証人なんというのは日本だけのものですから、そういうふうにいつも思っているんです。
 そういう意味で、現在の中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしに関してはどういう状況なんでしょうか、お伺いいたします。
竹中国務大臣 委員の御指摘にもありましたように、さまざまな指標で見る限りも、銀行、企業部門全体のバランスシート調整が依然進行している中で、企業の借り入れ環境はやはり厳しいというふうに認識をしております。短観等々いろいろな指標で見る限り、少しよくなっているという短期的な変化はあるにしても、全体としては大変厳しいという認識を持っております。
 これに対して、我々としても、さまざまな、できるだけ総合的な形で、銀行も健全化してもらいたいし企業も健全化してもらいたいという措置はとっているつもりなんですが、基本的には、金融庁としては、これまでも四つの方面で、できるだけこの問題を緩和していきたいというふうに考えてきたところであります。
 一つには、こうしたことに対して、事あるごとに金融機関に対して、実態に合わせて、貸せるところにはしっかりと貸してほしいんだということに対する要請、これは年末、年度末、さまざまな機会で行っておりますし、金融庁で行うものもあれば地方の財務局で行うものもある、そういうことは引き続き繰り返していきたいと思っております。
 また、地方、特に中小金融機関、いわゆるリレーションシップバンキングについては、アクションプログラムをつくりまして、地域の企業の再生と金融機関の再生がコインの両面のような形で進行するような、そのような形での政策を進めております。
 さらには、早期健全化法に基づく資本増強行に関しては中小企業貸し出しの目標を立てておりますが、これに対しては従来以上にむしろ厳しく、業務改善命令が必要な場合は発出するというような形で、その取り組みに努力をしているところでございます。
 四点目としては、貸し渋り・貸し剥がしホットラインを設けまして、これを実際の政策に活用する段階に今進めておりますので、そうした四点、引き続きしっかりとぜひやっていきたい。
 現状は大変まだ厳しいというふうに認識しておりますので、企業と銀行のバランスシートの調整がとにかく円滑に進むように努力をしたいと思っております。
井上(和)委員 私の手元に、東京商工会議所が行った、最近の企業間信用等の変化に関する調査結果というアンケート結果があるんですけれども、これは新たな貸し渋りじゃないかという感じがするんですが、つまり、手形決済について金融機関から拒絶されるとか割引率引き上げを要求されたというようなことがふえているんです。要するに、金融庁が中小企業への貸し出しに関してはうるさいことを言う、では今度は別の方向で少し何とか逃げていこうというようなことがこういう現象にあらわれているんじゃないかと思うので、その辺もぜひ調べていただきたいと思います。
 やみ金融の問題ですけれども、今回の法案では、とにかく我々も、取り締まり当局が使いやすく、少しでも検挙率を上げるとか起訴に持ち込めるような法律にしたつもりでございます。
 そういった意味で、また金融庁の方にお伺いしたいんですけれども、一つは、やみ金業者というのは、半分ぐらいは登録業者でも高金利でやっているものもあるし、逆に非登録業者もやっているわけです。だから、登録業者か非登録業者かということが一目瞭然でわかるようなシステムにしていかないと、なかなか消費者の方もわかりにくいし、取り締まり当局もすぐ手が出せないという状況にあると思います。
 そういった意味で、今回、貸し金登録名簿をまず充実させるということ、あと、登録の際にいろいろな要件を設けました。とにかく暴力団関係者が入っていないとか、それ以外にも、登録の際に営業所等の電話番号も全部登録させるとか、インターネットのホームページのアドレスまできちっと登録させることによって、要するに、違法な業者か違法じゃない業者か、判別を非常に易しくしようということを私たちは法律に盛り込んだんです。
 そういった意味で、きょう、インターネットの金融庁のホームページを見ましたけれども、まだまだこれは改良の点が多いと思うんです。ぜひ、ホームページで、捜査当局も見てぱっとわかる、金融庁のホームページには今都道府県の方はリンクが全部なされていないですし、その辺をちょっと充実させていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
五味政府参考人 ただいまの登録貸金業者の検索の点でございますけれども、五月二十九日から、金融庁のホームページで、財務局、都道府県に登録されております貸金業者についての登録内容を検索するシステムというのをサービス開始したところで、それを今ごらんになったということだろうと思いますが、このシステムですと、登録貸金業者の商号・名称、登録番号、あるいは登録日、代表者氏名、本店の所在地、電話番号、こういったものが情報として入力されておりますので、本店の電話番号から登録業者を検索するというのは可能なようになっているんですが、本店だけでございます。
 そこで、今回与野党で合意なさっておられますやみ金対策法案では、貸金業者が広告等を行う際、営業所などの電話番号について、これは貸金業者登録簿に記載されたもの以外の番号を表示してはならない、こういうような規定が入っていると承知しておりますので、この法案の趣旨を踏まえますと、本店以外の電話番号についても情報入力を行いまして、その電話番号から登録業者を検索可能とする、こういうシステムが必要になってくるという認識でおります。
 これを実現いたしますためには、それぞれ登録を受けております財務局あるいは都道府県の協力が必要でございまして、こうした都道府県の協力、財務局の協力も得ながら、今申しましたような手法での検索が可能になるようなシステムを充実させるように検討していきたいと考えております。
井上(和)委員 つまり、交番にインターネットが入っているか知りませんけれども、何か問題があったときに、すぐその業者が登録業者か非登録業者かがわかるような総合的なのをつくらないと、現場の警察官が、どこでもいいですが、どこかの県で調べていて、これは県なのか財務省かと一々調べているような手間のかからない、本当に使いやすいホームページをつくっていただければこれはかなり役に立つと思うんですよ。そういう意味で、ぜひそこをよろしくお願いいたします。
 あとは、やはり金融庁の方と警察の連携をしっかりしていただいて、無登録業者に関して、そちらの方で情報等入った場合にすぐ警察の方に連絡して、連携をとってやっていくということをぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、今度、警察の方にちょっとお伺いしたいんですけれども、先月、八尾市で、三人の方が自殺するという本当に悲惨な事件がありました。借りた金額というのは一万五千円ぐらい、本当に自殺されるような金額じゃなかったのが、大変な高金利で、最終的にはもうそれこそ一家自殺に追い込まれる。本当に、今のやみ金融のいかに悲惨な取り立てが行われているかということをよくあらわしたような事件だと思うんです。
 こういったやみ金融を本当に今回の法案によって減らすことができるのか、一網打尽にできるのか。私たちとしては、そういうふうにできると思って法律をつくってまいったんですが、そのことに関して警察の方にお伺いいたします。警察庁。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 大阪の八尾市の事案にお触れいただきましたけれども、この亡くなられた方から、大阪府警は五月の中旬ごろから実は相談を受けておりまして、その関係する業者へ警察として警告を行ったり、あるいは本人へのいろいろな助言も何度も行ってきたという経緯がございます。しかし、こういった対応にもかかわらず自殺されるという事態に至ったことを、大変私どもとしても残念に思っているところでございます。
 それから、今回、御議論を今いただいております改正法案でございますが、一つは、暴力団排除条項など、登録要件を厳格化されることになる、それから、無登録業者に対しても、例えば広告、勧誘の問題等、規制を強化されることになる、それから、取り立て行為規制を具体的に挙げていただいて、これを具体化、強化されることになる、あるいは、無登録、高金利等の罰則の引き上げが図られるという内容になっておるということで、私どもから見まして、やみ金融対策を進める上で大変大きな効果があるものというふうに考えております。私どもとしましては、こういったものを大いに活用させていただきまして、徹底した摘発をしてまいりたいと考えております。
 さらに、被害者に対する広報啓発活動といったことも大変重要でありますし、金融庁を初めとする関係機関、団体との連携も一層進めるなどして、やみ金融の撲滅を目指して努力してまいりたいと考えております。
井上(和)委員 今回、今局長がおっしゃったように、広告、勧誘に関して、無登録業者もきちっと禁止するというふうに法案に入れました。この趣旨は、要するに、東京の新橋とかあの辺でも、電話ボックスに行けば、もうやみ金融の、〇九〇金融のチラシが幾らでもまかれているわけですね。それを見て電話をして被害に遭う方が非常に多いというわけで、そこをやはり取り締まれば被害者を減らすことが、未然に被害者を減らすことができるという観点からそういうふうにした。
 だから、被害者から告発されるんじゃなくて、逆にこちらから、広告、勧誘規制の条項を使ってもうどんどん、そういうチラシとかダイレクトメールを集めていただいて、積極的に取り締まりをやっていただきたいと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 まさに御指摘ございましたように、広告、勧誘規制につきまして、無登録業者まで拡大をし、罰則を設けていただくということになりましたので、積極的にこれを活用、運用してまいりたいと考えております。
井上(和)委員 被害者を出さないためにはそれが一番効果的だと私は思っているので、ぜひそれをよろしくお願いいたします。
 あと、実際に現場の警察官が、そういう取り立てに来た人が何かいろいろ問題を起こしているという場合に、これまではなかなか、まず一つは民事不介入だとか、あと、ではそれが要するにやみ金融か、それとも違法な金利を要求しているのかどうか、なかなか立件できないということで、なかなか警察の方も捜査が難しいという現状があったと思います。例えば、現場の警察官が高金利を実際に立証する、しなきゃいけないという場合において、立証困難というのがこれまであったんですが、今回、それに関しては少しはよくなっていますか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 現在、高金利事犯の取り締まりにつきましては、出資法の五条二項の高金利受領罪、これを適用して検挙するというのが現実にそのほとんどの例でございます。
 ただ、これを立証するためには金利の算出ということが不可欠でございまして、金利を算出するためには、貸付時期でありますとか貸付額、それから返済時期、それから返済額、こういったものを証拠で明らかにしなきゃいけないということになっておりまして、また、こういったことを業として行っていることを立証しなきゃいけないというようなことで、借りた方も、いつ、どれだけ返したかよくわからないというのが現実の例でございます。そういう意味で、立証上、大変私どもとしても苦労をしているところでございます。
 今回の改正法案におきましてもこの点については特に変更はないものと承知をしておりますので、高金利受領罪そのものについて直ちに立証が容易になることはないというふうに考えます。
 しかしながら、一つ、今回、高金利要求行為の処罰というものが盛り込まれるということでございますので、こうなりますと、返済時期、返済額が明らかでなくても、要求行為、要求額という点が明らかになればこれも処罰対象になるということで、高金利事犯のいわば可罰範囲が広がるということになるものというふうに考えております。
 また、先ほど来御質問にありました、広告禁止でございますとかあるいは取り立ての規制について具体化していただいたということで、こういった事犯の捜査から高金利事犯そのものの証拠が得られることになることも考えられまして、こういったものを総合的に考えますと、高金利事犯についての捜査は進めやすくなるものというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、犯罪の立証でございますので、これは証拠に基づき、厳格に行われるべきものでございまして、安易な推測といいますか見方は慎まなければいけないというふうに思いますけれども、この法案が施行されましたら、適切に運用して、強力な取り締まりを進めていきたいと考えておるところでございます。
井上(和)委員 最後に、また局長にお伺いしたいんですけれども、最近、お子さんが通っている、子供が通っている学校に、両親がやみ金業者から金を借りた際に、何かいろいろ、脅迫とか催促の電話をかけてくる、そういう例が幾つか出ているんです。私は、これは本当に厳罰に、徹底的に取り締まってもらいたいと思うんですよ。お子さんは関係ないわけですから。そういうところにまで脅迫電話をかけたりすることに関しては、別にこれは質問通告していないですからいいですよ、一般的に答えていただければ。要するに、しっかりと、ぜひ徹底的にやってもらいたいんですよ。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 やみ金融の悪質性の本質というのは、やはり、取り立て行為が極めて悪質であったりあるいは乱暴であったり、非常に他人を畏怖させたり困惑させたり、そういうところにある。まさに取り立て行為のあり方というものがやみ金融の悪質性の本質であるというふうに私どもも考えております。
 犯罪として立件できるものは立件をし、また、そうでないものにつきましても、警察として、あらゆる手段を講じまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
井上(和)委員 警察も本当に仕事が多くて大変だと思うんですけれども、国会の方でもとにかく体制を強化するように一生懸命頑張りますので、ぜひ現場の取り締まりもしっかりよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
小坂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
小坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房長瀧野欣彌君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 質疑を続行いたします。江崎洋一郎君。
江崎委員 保守新党の江崎洋一郎でございます。
 まず最初に、貸金業法につきまして、竹中金融大臣に冒頭御質問申し上げます。
 やみ金対策は、当然、一刻も早く進める必要があるということでございます。一方で、これとは別に、健全な消費者金融及び事業者金融を育成して、ニーズやリスクの異なる借り手に円滑に資金が行き渡るような金融制度のあり方を検討していくことも必要だと考えております。この検討に当たっては、現在の制度が抱えている問題点や金融市場の実態等を十分踏まえて、貸金業のみならず金融制度全般にわたって幅広く検討を進める必要があるというふうに考えております。
 具体的には、現在の貸金業の一つの問題点として、事業者向けの大口の融資を行う業者と小口の消費者ローンを主体とする業者、あるいは大手消費者金融四社のような、融資残高が一兆円も超えてしまうというような上場大企業と個人営業の金融業者、かつまたリース、信販を本業とする業者など、営業形態、対象顧客、営業規模等が大変異なる業者が一律の規制を課せられているというような状況にあるわけでございます。
 資金需要者の保護という法律の目的からは一定の規制は必要かというふうに考えておりますが、これから将来的な制度のあり方を検討する際には、もっと貸金業の実態に応じて規制の内容について差をつけるとか、より的確な規制体系を構築する必要があると感じておりますが、竹中大臣、どのようにお考えでございましょうか。
竹中国務大臣 江崎委員御指摘の問題意識は大変重要であるというふうに思っております。
 もう言うまでもありませんけれども、今の貸金業規制法というのは、その時々でやはりいわゆる社会的な問題がそれなりに存在していて、それを解決するために法律の整備が進んできた。しかし、気がついてみると、非常に大口の事業者向けの融資を行う業者と小口の消費者ローンを主体とする業者、あるいは上場企業と個人営業、そうしたところが実態が大きく異なるにもかかわらず、基本的に一律の法規が課されている、そういうような状況になっているというふうに思っております。
 これは、金融の中身がどんどん高度化して多様化していく中で、このままで本当にいいのかという基本的な問題があると思っております。もちろん、その中でも、例えばノンバンク社債法のように、ディスクロージャー規制等を課すかわりに、一般の貸金業者には禁止されている社債を特別に認めるとか、そういう措置も一部にはできておりますけれども、これはやはりまだ一部であろうというふうに思っています。
 ノンバンクに関しては、我々の金融再生プログラムの中でも、やはり、これを重視していこう、制度整備をしていこう、そういう意思表明はしております。これは幾つかの省庁にまたがる問題でもありますし、また時間がかかる問題でもあるというふうには思いますが、私なりに、何らかの形でそれを検討する場、勉強する場を設けて、これはどのような形がいいかはちょっと考えさせていただきますが、ぜひ前向きにノンバンク全体の体系整備について取り組みたいと思っております。
江崎委員 ぜひとも、市場というか環境整備を急いでいただきたいというふうに感じている次第でございます。
 加えて、貸金業の金利規制のあり方について、続けて質問させていただきます。
 当然、弱い立場の借り手が不当に不利益をこうむらないという意味においては最小限の規制は必要なんでありますが、貸付金利の本来のあり方としては、借り手のリスクに見合った金利設定が市場原理に従ってなされるべきというふうに考えております。将来的には、今のような、規制金利というか、やや固定に近いような金利体系ではなく、市場の調達金利に対してどういう形での借り手の金利が決まっているかというようなことも含めて検討をしていく必要があるというふうに感じております。
 現在は、その中で、出資法の上限金利、これは年利二九・二、それと利息制限法の規制金利、これが年利一五から二〇というふうに、これらが別々に存在しているという問題があると思います。また、それに加えて、この間のグレーゾーンというのが存在しておりまして、その利息の支払いが有効かどうかをめぐっていつも訴訟になったりというようなことがあります。これは金融制度のあり方としてやはり不自然であると思います。そういった意味では、今後見直す必要があると思いますが、竹中大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
竹中国務大臣 これもまさに御指摘のとおりでありまして、本来、貸付金利、それは借り手のリスクであるとかさまざまな需給関係を反映して任意で決まってくるべきものであるわけですが、現行法では、これはあくまで債務者保護の観点から、利息制限法の規定によって、金額に応じて年一五%から二〇%を超過する部分については原則として無効である。その一方で、債務者が任意に弁済を行って、かつその貸付行為が一定の要件を満たしている場合には、出資法の上限金利である二九・二%まで有効な利息の弁済とみなす規定がある。まさにその意味では、グレーゾーンが存在しているということになります。
 このグレーゾーンの問題については、出資法の上限金利の見直しに関する議論ともこれは関連しまして、与野党各党においてさまざまな御議論があったというふうに承知をしております。また、実務におきましても、このグレーゾーン金利の支払いの有効性に関してさまざまな問題も見られるということで、各方面から御要望があることも承知しておりまして、検討の必要性は十分に認識をしているところであります。今後の問題でありますけれども、貸金業者に対する金利規制のあり方につきましては、これは各党の皆さんとぜひ十分御相談をさせていただきながら、検討及び必要な見直しが行われるよう最善の努力を尽くしていきたいと思います。
 また、その際は、資金需要者の保護を図りながら、幅広く金融市場全体にわたって借り手のリスクに応じた金利設定が行われて、結果的に健全で効率的な金融市場が形成されて、貸し手の法的地位の安定も確保されている、そういった姿を想定して、制度のあり方を整備していきたいというふうに思っております。
江崎委員 今回、この貸金業の法律の改正という点に関しましては、今社会問題化しているやみ金融業の排除ということが主眼に置かれているわけですが、加えて、今後さらにこの体系整備ということをお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、塩川財務大臣に、このところの長期金利の上昇につきましてお伺いをしたいと思います。
 株価がこのところ急激に上昇した、一方で債券価格が下落して、その結果長期金利が上昇しているという環境にあるわけでございます。
 この上昇自身は、これまで急ピッチで下がり過ぎた部分における反動、異常な低金利から正常なレベルに水準訂正だという見方もあるわけでございます。
 しかしながら、今回、マーケットの中では、本来売らないと思っていた銀行が長期債を売ってきた。その背景というのは、バリュー・アト・リスクというリスク管理手法、これは過去のボラティリティー、価格変動の大きさによってリスク総量が大きくなると、それに応じて、リスク量を減らすために、それぞれ抱えているポートフォリオから商品を市場に売っていくという手法なんですが、こういったことから、かなり大量に保有している国債を一部減らさなきゃいかぬということで銀行が売ってきたということで、これは新しい経験ではなかったかと思います。
 そういった意味で、単に水準訂正というだけではなくて、市場参加者のそれぞれの理由からやはり価格が変動し得るんだという新しい経験を持ったという意味では、今回の事象、政府の皆さんもぜひ危機意識を持ってお考えいただきたいと思っております。
 その中で、今の景気の回復テンポというか、まだまだ景気が低迷する中では、今後さらに金利がどんどん上がっていってしまうというふうには私個人としては思っておりませんが、まず、財務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
塩川国務大臣 結論でおっしゃいました、これから無制限に上がっていくとは思わないという江崎さんのお考えですが、私も大体そのような感じを持っておるんです。
 突然的ないわば金利修正が行われました。これは、いろいろと私も尋ねて、探索させてみますと、一つは、アメリカのファンドが、一定の、決算期、仮決算期になって、国債を売って日本の国内株式投資に振り向けよう、そういう動きがあったことも一つ大きい要因にあるんじゃないかということがありますこと。それから、最初におっしゃいましたように、余りにも長期金利が低過ぎた、これを是正するという意味であったということでございますので、そういう要因を私たちも是認しておるものでございます。
 とはいって、警戒を怠ることのないように、十分に将来の動き方を監視していきたいと思っております。
江崎委員 取引参加者の取引動向というものについても十分これからは研究いただいて、また金利について十分ウオッチをしていただきたいというふうに思っております。
 先ほど申しましたとおり、景気あるいは物価の先行きということ以外にも金利変動リスクというのはあるわけであります。それはまさしく、長期の資金需給の状況ということからも市場は影響を受けてくるんだと思っております。今後国がさらに大量の長期債を発行して、それに対して、市場としてそんなにたくさんの長期国債を引き受けられないよ、市場がそういう感覚になっていった場合にも、もちろん長期金利が需給要因として上がっていく可能性があるわけでございます。
 そして、今企業が、業績に反映させた形で、例えば設備投資ということについてもそろそろうかがわれ始めているのかなというふうに考える次第でございます。こういう大事な時期に、政府が大量に国債発行して、結果として長期金利が上昇し、民間の長期資金需要がクラウディングアウトされてしまうというような状況も大変懸念されるわけであります。
 そういった意味で、今後、国の資金調達のあり方につきまして、やはり多様性を求めていく必要があるんではないかな。今のような低金利下では長期で固定で調達して、その上で財政を少しでも助けていくという考え方は当然かと思いますが、今、十年債が中心ですね。例えば超長期の三十年債を発行してみる、これは既に発行市場があるわけですが、まだまだマーケットが小さいということもあります。そして、これから、例えば十年債にかわって、逆に短期債で多様な資金調達をしていくということも、市場ニーズによっては多様化していくということも十分考えられるわけです。そういった意味で、いろいろなバリエーションの中で、考えられるのは、ウエートを高めるのは恐らく短期国債の方が三十年債よりは可能性は高いんだと思いますが、そういった点につきまして、財務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
塩川国務大臣 御指摘のように、国債の多様化、発行の多様化を図っておることは事実でございまして、今度も、最近におきましても、この一年間で、二十年債で大体六千億円ぐらいふやす、三十年債で一兆円ぐらいふやそうということをしまして、大分、量においてはふやしていっております。
 そして、平均の年数は、今大体五年と十カ月ぐらいになっていますが、このペースを維持していきたいと思っておりまして、長短まぜ合わせて多様化した発行形態をとっていきたい、十分注意してやっていきたいと思っております。
江崎委員 大臣のお考えになる、例えば十年債、御就任のころと比べて今はさらに下がっているとは思うんですけれども、水準として、これは実は通告をしていないんですが、日本の今の経済の実力としては、どのぐらいが金利水準としては理想とお考えですか。
塩川国務大臣 これはまさに市場が決定することだと思いますので、何とも申しませんが、今の長期金利の水準では、ちょうど昨年の十月ごろの水準だから、そんなに私は心配するような状況にはないように思っておりますけれども、何としても、急激に上がったり下がったりするということが非常に危険だと思って注意をしておるところであります。
 なお、先ほど、国債の発行の平均年限が、私、五年十カ月と申しましたけれども、正式に言いまして五年と八カ月だそうでございまして、ちょっと訂正いたします。
江崎委員 長期金利、上がると困るのは、先ほど企業の設備投資と申し上げましたが、もう一方で、個人の住宅ローンにも大変影響を受けるわけであります。そういった意味で、この長期金利の動きはこれから政府としても十分ウオッチをしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
 やはり景気対策という意味で、今まで住宅ローン減税というものをやってまいりました。私は、引き続きこの住宅ローン減税を延長する必要があるんではないかなと。ことしいっぱいでこれは切れるわけですね。この延長論というものが、さきの予算委員会でしたか、小泉総理が前向きな御発言をされていたと思いますが、政府として、この住宅ローン減税の延長に関してはどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
塩川国務大臣 住宅減税全体につきまして現在六千億円の租税特別措置が講じられておりますが、この問題につきましては、昨年の税制改正のときに、政府税調の中で、特別配偶者控除を今度撤廃することになりましたね、あれに伴って考えてみると、ちょっと不公平感があるんじゃないか。もう住宅減税も、ある程度、相続税の枠組みをふやすとかいろいろやっておるからして、低金利の時代でもあるから、住宅減税について見直したらどうだ、こういうことが主流的な意見となってまいりました。
 私は、総理なんかと相談いたしまして、とはいえ、住宅は、自民党の政権として持ち家政策を進めていく一つの柱でもあるということと、もう一つは、景気対策上見て、やはり住宅の振興というものを図っていかなきゃならぬということであるので、この住宅減税についての年限の到来に伴って、一遍に切ってしまって制限をとるということは、これは慎むべきではないか、段階的に考えてもいいんじゃないかな、あるいはまた、それにかわるような措置を講じながら緩やかにやっていく方がいいんではないかなという意見が実は私と話していて、ありました。
 それを受けて、私は、増税に踏み切ることはいいんですけれども、しかし、そうはいっても、住宅はそういう事情があるから慎重に考えていこうというところでございまして、今現在、これを撤廃するということは考えておるということじゃございません。しかし、政府税調の方では基本的な考え方としてそういうことが出てまいりましたので、私たちはそれを受けて、現実の社会にどのように適用するかということは、今後の動向を見て決めていきたいと思っております。
江崎委員 住宅は一生のうちに何回も買い物するわけじゃないですね。大体の方が一回買えばいいところかなと思っております。そういった意味で、ちょうど住宅を買う年齢に当たっている人たちが、減税がなくなっちゃったというと、大変その人たちの購入意欲のブレーキにもつながるわけですので、ぜひ延長の方をここで御検討いただきたいというふうに思っております。
 塩川大臣、この後は竹中大臣に御質問させていただきますので、どうぞお休みください。
 そこで、長期金利の話なんでございますが、先ほど、金融機関が国債を大量に保有しているというお話を申し上げましたが、長期金利が上昇するということは価格が低下するということで、金融機関の損益、ひいては自己資本にも大きな影響が及ぶ可能性があるわけです。そういった意味で、今後、金融機関はこうした金利変動リスクというものに十分注意して対応を強化すべきだとは思っておりますが、一方で、相場における値動きということを考えると、今、金融機関自身は、リスクヘッジ率が非常に下がっているというふうにも聞いております。恐らくほとんどオープンで持っているんじゃないかというふうにも聞いております。
 そういった意味で、金利変動リスクが金融機関に与える影響というものをどのようにお考えか、竹中大臣にお伺いしたいと思います。
竹中国務大臣 銀行は、当然のことながら、非常に戦略的に資産のポートフォリオを考えている。それは貸付債権の場合もあるし、株式、国債もある。株式に関しては、その変動要因が非常に財務内容に直接影響して、貸し付けそのものにも影響を与えるということで、御承知のような保有制限を課す中でのポートフォリオになっている。国債に関しても、それとの対応で、当然のことながら、各社、戦略的にさまざまなリスク管理を行っているのが現状だと思っております。
 現状、先ほど財務大臣の答弁にもありましたが、昨今の金利上昇は、我々としては、一応想定の範囲の中であるというふうには思っております。しかし、これが、国債に対する信認が揺らいで、それでいわゆるよくない金利上昇に結びつかないように、政府としてはしっかりとコントロールをしたいというふうに思っておりますし、銀行については、一律にこのようなリスク状況になっているということを申し上げるのはその性格上困難でございますけれども、今申し上げたような観点からのリスク管理、これは経営戦略の中核としてしっかりと行われている。
 金利上昇に関しては、一応現状は想定の範囲内である、そのように認識をしています。
江崎委員 株の変動で痛みを伴い、また今度国債の変動で痛みを伴うということでは、なかなか金融機関の経営健全化というものもおぼつかないと思いますので、ぜひそういった意味での強化をお願いしたいと思います。
 ここで、不良債権処理と、このところ話題となっております繰り延べ税金資産の問題につきまして、私見を一言述べさせていただきたいと思います。
 先般のりそな銀行への公的資本注入をきっかけに、繰り延べ税金資産の資本性というものにつきましてまたクローズアップされているわけでありますが、この繰り延べ税金資産の問題の本質は何かと申し上げますと、繰り延べ税金資産の多い少ないという問題よりは、むしろ金融機関が将来どれだけ収益を稼ぎ出せるのかという問題にあるように思います。繰り延べ税金資産自体は、過去にその金融機関がどれだけ有税で不良債権処理を行ったかという、経営努力の結果を示すものとも言えるのではないかというふうに思います。そういった意味で、必ずしも多いからといって問題視する必要はないんじゃないかというふうに考えております。
 仮に、不良債権を徹底的に処理したために、繰り延べ税金資産が自己資本の大半を占める、あるいは自己資本を上回るという結果になったとしても、その結果きちっと不良債権問題に決着がついたのであれば、今後は毎期十分な利益が上げられるはずであります。そういった意味では、繰り延べ税金資産の資本性を殊さら疑問視する必要はないのではないかということを感じております。
 ただ、問題なのは、実は処理していない不良債権がまだまだたくさんあって、今後、毎期多額の不良債権処理損が発生する結果、十分な利益を上げられない、そういった銀行もあるはずです。その場合、将来の利益で過去及び今後の繰り延べ税金資産を資本化していくということは当然困難なわけです。当然、そこによって繰り延べ税資産の資本性というのは否定されるわけですね。恐らく、「りそな」の外部監査法人が同行の繰り延べ税金資産の計上を一部否定したという事情も、実はそういうことだったのではないかなというふうに私は推察しております。
 そうであるとすると、公的資本の注入を受けたりそな銀行には、今後も処理すべき不良債権がまだまだたくさんあるのではないかというふうに私は見ておりますが、りそな銀行においては今後数カ月かけて、資産の精査、デューデリジェンスというものを行うというふうに聞いております。金融当局としては、その結果、不良債権が追加的にふえてくる、処理が必要になってくるというふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
竹中国務大臣 繰り延べ税金資産の問題に関しましては、この委員会でも随分といろいろと幅広く御議論をいただきました。
 御指摘のとおり、これは税務会計と財務会計の調整項目として出てまいりますけれども、その資産性が非常に脆弱であるというふうに御指摘を受ける背景には、将来の収益見込み、まさに回収可能性がどうなのかというところにやはり一点大きな焦点が集まっているということだと思います。その意味では、やはりガバナンスを強化して収益力を高めるということが繰り延べ税金資産の資産性をしっかりとさせるという最大の道であろうかと思っております。
 お尋ねの、「りそな」の今後の資産再査定の問題、その結果一体何が生じてくるだろうか、これは今の状況で予測できるものでは必ずしもございませんが、新しい経営者がみずからの経営責任を明確にしていくという意味と、それと自社の資産内容を確実に評価しておくという観点から、この作業はやはりぜひともしっかりと行ってもらいたいというふうに思っております。その中で、それを今後の決算にも反映させていく。
 その中で、資産の再評価ですから、どういうことが起こるか。これはもう非常に着々と堅実にやっていただきたいというふうに思っておりますが、我々としては、これまでの特別検査を含むさまざまな資産査定の厳格化の中で、かなりその基盤は進んできているというふうに思っておりますので、あと、それを受けて、責任の明確化とともに、その中で引き当て不足を積む必要があれば積む、さらにはオフバランス化をしていくということがまさに不良債権の処理になるわけでありますから、そこは本当に粛々と新経営陣にしっかりと行ってもらいたいというふうに思っているところでございます。
江崎委員 これから不良債権処理がどれぐらいにふえるかについては、検査をしてみなければ、精査してみなきゃわからぬということであると思いますが、もうここの委員会でも何度も確認があったかと思うんですが、「りそな」に公的資本注入した一兆九千六百億、これは大変な大きな金額であるわけでございます。その金額に対して、いわゆる自己資本比率が一二%まで水準を上げるんだとか、いろいろな理由が挙げられていますが、しかし明確な根拠というのはまだ示されていないように思います。
 やはり大変大きな金額でもあります。そういった意味で、言葉の上で、十分健全でいられる金額が約二兆円なんだよというのはちょっと漠然とし過ぎているんじゃないかな、やはり国民に、この金額の根拠については明確に示していく必要があるのではないかと感じておるわけでございますが、大臣いかがでございましょうか。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 りそな銀行につきましては、金融危機対応会議の答申において「資本増強の規模等については、預金者、取引先、市場の不安を払拭する観点から、一〇%を十分上回る自己資本比率の確保が必要との意見を申し添える。」とされていることを受けて、今後、中小企業向けの貸出比率を高めていく、あるいは地域に根差した銀行を目指していく、そういったことを総合的に勘案した結果、自己資本比率が、地銀、第二地銀の自己資本比率の高い銀行並みの水準となるよう、所要の金額を申請したものと承知をいたしているところでございます。
 私どもも、審査の結果、やはりグループとして総資産が四十兆円を超える銀行であります。そうした銀行が自己資本比率が二%程度まで低下するということは、これは信用が大変傷ついた状態にあります。こうした中で、預金者やあるいは取引先、市場に不安を与えず、今後の市場や経済の動向、新たな経営展開に対応できるよう余裕を持って健全性の基準をクリアする必要があるとの金融危機対応会議の答申の趣旨を踏まえ、そして、今回の申請どおりの資本増強としての決定をさせていただいたということでございます。
江崎委員 今お答えいただいた御答弁というのはやはりまだまだ、今まで言われてきた部分というふうに解釈する次第でございます。ぜひまた深堀りした議論を新たに御開示願いたいというふうに思っている次第でございます。
 それで、私が申し上げたいのは、「りそな」への公的資本注入自体はだめだと言っているのではなくて、むしろ、この場合やむを得ない選択だったのではないかな、しかし、それに対する明確な根拠がやはり必要だというふうに感じているわけであります。
 先ほど申し上げました繰り延べ税金資産につきましても、いわゆる、これまで金融機関が不良債権処理にかけた経営努力を適切に評価してやるということも必要だと思います。そういった意味で、今制度にはありませんけれども、繰り延べ税金資産に見合う現金を例えば金融機関に還付してやるとか、そういう形で資本を手助けしてやるというような手法もあり得るのではないか、将来払わなくていい税金ということではなくて。そういう手法というものも一つあるのではないかということを提言させていただきたいと思います。
 ちょっと時間もなくなりましたので、最後に金融大臣に御質問申し上げますが、先ほど来申し上げている、繰り延べ税金資産が多過ぎるといって、これをむやみに否認すれば、金融機関は不良債権の処理を先送りする、サボるようなことにもなりかねないわけです。それでは本末転倒でありますので、この点に関して金融大臣どういうふうにお考えか、最後お伺いして、質問を終わりたいと思います。
竹中国務大臣 言うまでもありませんが、繰り延べ税金資産というのは、いわば税金の前払い資産という意味での重要な資産項目でございます。その意味では、その資産性を頭から否定するというのは、これは確かに問題があるわけです。ただし、将来の回収可能性は、これはしっかりと見ていただかなければいけないということだと思っております。
 もう一つ、これは確かに、引き当てをふやして、それによって繰り延べ税金資産がふえるという面はあるわけですが、これをオフバランス化したら、オフバランス化に関してはルールをつくっておりますが、その段階で実は繰り延べ税金資産が少なくなっていくというのも、これまた事実でございます。
 我々としては、今ワーキンググループでいろいろな議論をしていただいておりますけれども、それも見ながら、同時に、銀行に対しては、しっかりとした資産査定とともにオフバランス化を早く進めていただく、すべてを動員することによって、できるだけ安定的に金融機関の不良債権問題が解決できるように努力をしたいと思っております。
江崎委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 きょうは、出資法の改正についてお聞きしたい、そう思いますが、この今回の改正案なんですが、一〇九・五%で、いわゆるやみ金、無登録業者が金を貸した場合、この契約そのものは有効なのか。有効であるとして、利息だけは払わなくていいけれども元本は払うという改正なのか、その辺で、イエスかノーかでお答えいただければと思います。
房村政府参考人 今回の法案を拝見いたしますと、貸金業を営む者が業として年一〇九・五%を超える割合による利息の契約をしたときには、その当該消費貸借契約を無効とするということになっておりますので、契約は無効になります。したがいまして、利息については、これはおよそ請求することができません。ただ、元本部分については、契約が無効になった場合、既にお金が動いていれば不当利得を生じますので、不当利得としての返還義務を負うというのは、また別途そういう効果は生ずるということでございます。
山田(正)委員 局長は私の質問をよく聞いていなかったようで、私が言っているのは、いわゆる一〇九・五%を超えるじゃなくて、その範囲内で、一〇九・五%で貸した場合はどうなるのかと言ったので、もう簡単に答えていただければ。
房村政府参考人 失礼いたしました。
 一〇九・五%を超えないものについては従来と変わりがないということでございます。
山田(正)委員 従来と変わりがないというのではわからないんですが、有効なのか無効なのか、元本契約。
房村政府参考人 例えば、他の貸し付けの態様その他で公序良俗に反するというような判断がされない限りは有効ということでございます。
山田(正)委員 私は弁護士事務所をやっておるわけですが、このサラ金の問題、やみ金の問題、システム金融の問題、〇九〇の問題、いろいろ、非常に相談も多いし、大変な問題なんです。我々は、そういう暴利と言えるようなものに対しては、すべて公序良俗に反して無効である、そういう主張をし、そしてまた、不法原因給付で、払う必要はない、さらにまた、やみ金業者に支払った分については不当利得の返還請求ができる、この主張を通して、ほとんどの弁護士事務所は現場でやってきたわけです。
 ところが、今度の改正になりますと、一〇九・五%の範囲内での金利、いわゆる暴利、それの貸付行為は、いわゆるやみ金業者は貸してはならない、人に金を貸して業とすることは許されない、刑罰で禁止されている、それなのに、その契約そのものは有効で元本は返さなきゃいけないというのは、今まで我々が実務上やっていたことに大きく反することであって、これは明らかに改悪になるんじゃないですか。
 大臣、話を聞いておられたと思いますが、いかが思いますか。
竹中国務大臣 法務の現場についての観点から先生御指摘になられました。
 これはまさに、公序良俗に反するものについては、従来と同じようにやはりそれは無効になるということでございましょうから、一概に申し上げる立場にはありませんが、公序良俗に反するかどうか、そういった実態判断でやはりしっかりと法を運用していくことが重要なのではないかというふうに思っております。
山田(正)委員 いわゆるやみ金業者、登録のない業者はやっちゃならない、貸してはならない、刑罰に処せられる、それが貸したものについて、これは当然無効だと、我々現場の法律家の世界ではそう思うのですが、民事局長は一〇九・五%の範囲内であれば契約は有効である。これはおかしい。もし今度の法律改正でもってこれが有効だとなるんだったらまさに改悪である。これは大臣もぜひよく御承知いただきたい、そう思います。
 次に行きますが、実はこのところ、この数カ月、大変取り立てが厳しい。先般大阪の八尾市で、一万五千円借りた、それが十万円一月で返済したにもかかわらず、警察に相談に行ったにもかかわらず、相変わらず取り立てが厳しくて、そして三人で心中せざるを得なかったということは、だれでも新聞、テレビで御承知かと思います。まさに今そういうことががんがんなされておって、特にこの四、五カ月は非常に目に余るものがあるわけです。
 この中で、実は、お悔やみ電報等々、私の事務所の依頼者のところからあったものをいろいろ取りそろえてみましたが、その中でも決定通知というものを一つ示させていただきたいと思います。
 これは〇〇総業といって、いかにもやくざ風の、こういう事柄の書面なんですが、これが来た相手方というのは私のところで破産手続をしている、いわゆる裁判所にその旨の手続をしているところにこういう通知が堂々と来るわけです。この中にはこういうことを書いてあります。いわゆる債権回収の専門家である当社は、あなた様がいかなる状況、例えば、自己破産、弁護士介入の通知等々がなされておろうとも関係ありません、当社としては回収を断固としていたします、さらに、血縁関係、それに会社上司、友人等に回収作業を始めますと。
 法治国家で、今我々が破産手続をしている債務者のところにこういう通知が堂々と、しかも何通も何通も来るわけです。これが現場の実態なんです。そして、まさしく今自殺者が三万人を超えるというところに至っているわけなんですが、こういうものが来た場合の取り締まりです。
 実は、これは今までも、そして今度の法改正でも明文化されましたが、弁護士とか裁判所から通知が行った場合には、一切、本人のところにすら債権の回収をしてはならないというふうになっているわけです。ところが、これを犯している。我々としては、当然のことながら警察に連絡する。これは取り締まってほしい、これは無登録業者だ、そう言って警察に電話するのですが、警察は動いてくれない。あの八尾の三人の亡くなった件もそうですが、警察は民事不介入だといって、この種の案件に対して動かない。
 ひとつ、なぜ動かないのか、なぜ動けないのか、警察庁に、だれか答弁いただきたいと思います。
堀内政府参考人 お答えいたします。
 やみ金融事犯の被害につきましては、現下の社会経済情勢を背景に、事業者だけではなくて、一般市民に拡大をしております。
 昨年の被害規模は、検挙事件に係るものだけで、貸付人員等が約十二万人、貸付総額が約百六十億円に上っており、貸付人員数は、統計を開始いたしました平成八年以降最多となっております。
 一方、やみ金融事犯の検挙事件数と人員数も年々増加する傾向にありまして、昨年は二百三十八事件、四百四十六人でありまして、検挙事件数は、統計を開始いたしました平成二年以降最多というふうになっております。
 警察といたしましては、やみ金融に対する強力な取り組みを行う必要があると考えております。各都道府県警察における集中的な取り締まり体制の確立、捜査員に対する教養の充実等を急ぐとともに、行政当局や民間団体と連携いたしまして、相談の充実あるいは広報啓発の強化を図りまして、被害そのものを減らしていくことが重要であるというふうに考えております。いずれにいたしましても、やみ金融事犯に対しては、現下の厳しい情勢を警察組織の末端まで徹底いたしまして、真摯に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
山田(正)委員 国会答弁では優等生みたいな、そういう答弁をされますが、実務においては一切動いていない、警察は。ほとんどの場合に、ただ事情を聞いて、そして単なる相談で済ませておる。本当に、そういうやみ金の業者に対して直接に電話したり、調べたり、当たったりということが全くなされていないのが現状です。
 二百三十何件摘発したと言いましたが、去年一年間で弁護士会が五千件のやみ業者を刑事告発している、それについて捜査がどれだけなされたか、それを明らかにしていただきたい。
堀内政府参考人 例えば昨年九月に行われました一斉告発の状況を見ますと、全国十七都県におきまして、やみ金融の問題に取り組む司法書士、弁護士の団体等二十八の民間団体から、延べ約二千五百社の貸金業者に対する告発が提出されております。
 これら団体から提示された案件につきましては、各都道府県警察において、内容を確認の上、幾つかの業者については既に捜査に着手をしておりまして、これまでの検挙事件につきましては計四十八事件というふうに承知をしております。
山田(正)委員 弁護士会、延べて合わせると、各個人がやっているのも含めて五千件は少なくとも正式に刑事告発している。刑事訴訟法上、必ず調べなきゃいけない。ところが、今、調べたのはわずかに四十八件と言いましたか、これくらいのことしかやっていない。これで、日本が法治国家として、いかに今回のような改正案を出そうとも、やはりあの八尾市の三人のように、きょう今現在でも次々に自殺している人が出ていっているんじゃないか。それが現状なんです。
 今の警察庁の審議官の話を聞いて、財務大臣、どう考えますか。
塩川国務大臣 警察もいろいろと実態を踏んまえて捜査に入っておるんだと思うのですが、私は、正直に言って、今、警察の態度は民事不介入の原則に余りに重点を置き過ぎておるような感じがするんですね。だから、そういう告発があっても、民事事件に直接介入はという心が多少、今までの警察の教養がそうでございましたから、そういう点が後遺症としてやはりあるんじゃないかと思っております。したがって、もう少し積極的に警察の方もこれに対して取り組んでくれることを私たちも要望したいと思っております。
山田(正)委員 私が財務大臣にあえて聞いたのは、警察の立場で、私も何度もいろいろ相談したけれども、最後に言ってくるのは、人手が足りない、調べようにも人手が足りませんと。人の命にかかわる大事なことを調べるのに警察官が不足だと。ところが、確かに今いろいろな犯罪が増発している。留置場も拘置所も満杯である。そういう状況の中で一番大事なのは、財務大臣、そういうところに手厚く予算措置をし、そして、本当に毎日毎日死ぬような苦しみを受けているような庶民、いわゆる金融業者から金を借りている連中、そういう連中に手厚く政治が行き渡るようにしなければいけない。
 これだけやみ金がふえたのも、財務大臣の財政上、金融大臣の金融政策の失敗によってこうなっている。銀行は金を貸さない、やむを得ず、いわゆる貸金業者そしてやみ金業者が横行するという事態。これはぜひ金融大臣も財務大臣もしっかり考えていただきたい、そう思います。
 さらに、実はその犯罪のほとんどが、いわゆる電話の取り立てが一番厳しい。殺すぞ、おまえの子供はどこどこの学校に通っているな、そういった激しい口調でそれこそ大変な取り立てをやる。そして、〇九〇金融というのは全部プリペイドの電話。プリペイドの電話というのは、先般名古屋で会社役員の殺害事件もありましたが、まさにプリペイドそのものは、デート商法とかあらゆる面で犯罪の温床になっている。
 実際に今私どもは携帯電話を持っているわけですが、プリペイドの電話を犯罪あるいは何かに利用しようと思って使おうとすると、三千円か五千円で簡単に手に入って、それで使い捨て。これを放置していること自体おかしいんじゃないか。当然もうプリペイド携帯電話は要らない、廃止すべきである。これが犯罪の温床である。
 きょうは総務省から副大臣が来ていると思いますが、お答えいただきたい。
加藤副大臣 プリペイド式の携帯電話は、御承知のとおり、利用者にとりまして、料金先払いでありますから使い過ぎるおそれがないとか、また基本料金も不要のために少時間利用する人にとっては適しているといったようなところから、親御さんが子供に使わせるのに適しているじゃないかというメリットがございます。
 一方、今お話ありましたように、かつては契約時に本人確認の手続がありませんでしたので、契約者が特定できずに、御指摘されましたような事件があり、社会的にも指弾、指摘されたわけでありますが、総務省といたしましては、平成十二年の一月に、プリペイド式携帯電話の悪用防止について検討を行うように携帯電話会社各社に要請いたしました。それを受けて、平成十二年の七月に、プリペイド式携帯電話の申し込みの際に、運転免許証とかパスポートとか、また保険証の提示を求めて本人確認を実施いたしているところであります。
 総務省といたしましては、引き続いてプリペイド式携帯電話の新規販売時での本人確認の徹底について適切に対応するように要請をいたしてまいりたいと考えております。
山田(正)委員 確認を徹底してしたいとか、そういうことはもう聞き飽きましたが、実際において、ではプリペイド携帯電話を買ってみるとすると、保険証があれば、だれかの保険証を借りてくれば簡単にできる。あるいは、貸金業者は自分が金を貸している債務者を連れていって、おまえプリペイド携帯電話を買えと、そして買わせる、あるいはそのプリペイド式携帯電話を、譲渡を受けて、使用させて使用する。そういうことが頻繁にというか、今恐らくやみ金融業者は何万軒とあるんでしょうが、そういうものが使われているという現実、これは総務副大臣、認識しておられますか。あるかないかだけで結構です。
加藤副大臣 今委員御指摘のような事象といいますか、あるという認識はさせていただいております。
山田(正)委員 認識しているんであれば、本人確認を徹底させようとしておりますだけじゃ足りないじゃありませんか。当然のことながら、そういう人にプリペイド式携帯電話を使用させたり、あるいは譲渡したり、そういったものを法律でもって取り締まるとか、あるいは、もういっそのこと、プリペイド携帯電話は、実際に、一時使用といっても要らない。例えば、外国から日本に来た場合にそれを使いたいという人があっても、今はレンタルで十分通用する。犯罪の温床である、これを何とか廃止に向けて、これがなければ、携帯電話のプリペイド式がなければ、あの電話の取り立てもほとんどないはずです。厳しい金融業者からのあの暴言、これもないはずです、ほとんど消えるはずです。
 これについて前向きに、副大臣、考える気持ちはありませんか。
加藤副大臣 総務省といたしましては、大変難しい問題ではありますが、本人確認の精度を上げる方法についてどういったやり方があるか、前向きに検討してまいりたいと思います。
山田(正)委員 少なくとも、使用、譲渡、それらに対しては刑罰に処するぐらいの厳しい姿勢で臨まなければ、この犯罪というのは消えないんじゃないか。あらゆる犯罪の温床になっているということは、ぜひしっかりと前向きな取り組みをお願いしたい、そう思います。
 それからもう一つ、これはちょっと質問事項になかったんですが、いわゆるシステム金融というのは、あの暴利、何百%、何千%取っているところですが、これはほとんどが郵便局の私書箱を利用しています、私書箱。これについて、私書箱が安易につくられ過ぎる。これに対する規制とか見直しとか、そういったことは今までなかったのかどうか。ただ、質問通告していなかったので、なければないで結構です。
加藤副大臣 済みません、突然の御質問でありまして、ちょっと詳細は把握しておりませんので、後ほど答えさせていただきたいと思います。
山田(正)委員 次に質問を移りたいと思いますが、ほとんどの場合に、電話金融とかシステム金融とか、やみ金融業者は、必ずほとんどが東京とか大阪とか大都市に集中しておって、それが、いろいろな田舎、例えば島、九州でも壱岐とか対馬とか五島列島まで、どんどんやっているわけですが、そういった場合の口座振り込み、いわゆる大銀行とかがほとんどなんですが、その口座が余りにも安易につくられ過ぎているんじゃないのか。国際的にも、いわゆる地下経済の中で、マネーロンダリング、そういった厳しい条約もあり規制もある。そんな中で、欧米では預金口座をつくるのは大変厳しい、なかなかつくれない、そういったものを聞いておりますが、日本では安易に銀行の口座がつくられ過ぎる。これが、このいわゆるやみ金がのさばるところになっているんじゃないか。
 ひとつ、竹中大臣、その辺はいかがなっていますか。
竹中国務大臣 銀行口座というのは利用者から見ると大変便利なものでありますが、その分、確かに、そういったものがさまざまな形で悪用される危険にさらされているんだと思います。アメリカ等々で私が口座を設けるときはかなり大変でありました、いろいろな証明書等。それに比べて、日本の方が比較的簡単であったというのは事実だと思います。
 それに対して、御承知のように、ことし一月六日から例の本人確認法が施行された。開設を行う場合に、銀行等は、顧客の氏名、住所、生年月日等を運転免許証等の公的証明書によって確認することが義務づけられるということになりました。銀行等は、口座開設者と実際に口座を利用する人が異なる疑いがある場合には本人確認を行うことがこれまた施行令で義務づけられた、そのような制度整備は進んできたのではないかと思っております。
 もう一つ御指摘になりましたマネーロンダリング等々の疑いがある取引について、銀行等は、金融庁に対して、疑わしい取引の届け出を提出するということになっている。
 やみ金融業者による預金口座の悪用については、今申し上げたような本人確認及び疑わしい取引の届け出に係る制度が整備されておりますので、そういうのをぜひしっかりと活用して、捜査機関と連携をとりながら、適切な運用が行われるように努めていくのが私たちの務めであるというふうに思っております。
山田(正)委員 やっと日本でもこの金融口座の開設について少し規制ができた。ところが、これでいくと、保険証が一枚あれば口座は簡単につくれる。いわゆる本人確認といっても、保険証はどこからでも借りてくることができる。運転免許証とかパスポートだと写真が載っているから、本人がいるかどうかというのは確認できる。そういう意味では、実際に口座をつくるのは、業者から聞いてみると、そんなのたやすい御用だと。この金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律、これは何の意味も今なしていない。
 実際にこの条文をよく読んでみると、仮にこういう口座をつくったとしても、口座をつくった銀行の窓口の本人は何の刑罰にも処せられない。ただ、いわゆる改善命令が出されて、その改善命令を聞かなかった場合に処罰されるだけで、当の口座をつくる銀行の責任者に直接的に何らの刑罰も科せられない。こういう法律をつくっても何にもなっていない。大臣、どう思われますか。
竹中国務大臣 そこはまさしく先ほどのプリペイドの電話と同じで、大変難しいところなんだと思います。非常に厳密に、例えば写真つきのIDということになると、パスポートと免許しかない、それを持っていない人はどうなるのかという問題も出てくる。私の知る限り、アメリカ等々でも、これはソーシャルセキュリティーカードでつくるということになっておりますから、写真なしでつくるということは一般的にはやはり諸外国でもあるのではないかと思います。
 御指摘の、もう一つ、金融機関に対する罰則でありますけれども、これは、金融監督の立場からいいますと、金融機関等に対する是正命令等に違反した場合、これは罰則が当然のことながらある。報告を拒否したり虚偽の報告をしたりした場合はそれらの罰則もある。これはあくまで金融行政、金融の監督としての立場でございますけれども、そうした枠組みをできるだけ有効に活用して問題の発生を最小化していくのがやはり我々の務めであるというふうに思っております。
山田(正)委員 ぜひ、その改善命令の前に、窓口がきちんとしたことをしない場合には銀行の責任者も刑罰に処する。そしてまた、マネーロンダリングでおかしいと思う場合の任意の届け出、そういったものも、やみ金融業者が口座として使っているなというのは銀行窓口としてわかるはず。わかれば当然それを届け出させる、法的義務として。あるいは、口座を持っている人がやみ金業者に使用もしくは口座を譲渡する、これも十分考えられる。これも刑罰で処する。そういう不法な口座ができなければ、やみ金業者も商売ができない、何万軒もあるであろうと思われるやみ金業者も何とか水際でとめることができるので、大臣、それはぜひ検討していただきたい、そう思います。
 財務大臣、その件に関してはどう思われますか。
    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕
塩川国務大臣 その点については、金融庁も大変に意識を持っておると思います。改善されていくのではないかと思っております。
山田(正)委員 頼りない答弁でしたが、それはそれで。
 財務大臣にちょっとお聞きしたいと思ったんですが、財務省も、大変高利金融、高利業者に負けないぐらいの高利金融を、大臣、やっているんじゃないか。実は予定納税なんですが、このシステムを簡単にひとつ、まず一分か二分でお聞かせいただければと思います。
塩川国務大臣 予定納税と分割納税とはちょっと違いまして、世間では分割納税のような認識を持って見られておるというところ、ちょっとそこが違いますので、一言御説明いたしますと、この予定納税というのは、所得税法の中に明記されてある納税のいわゆる義務的形態の一つでございます。たしか五月と十一月でございますが、分割して予定納税をしてもらう。
 これはなぜ設けたかといいますと、やはり納税をスムーズにしていただくということと、納税に意識を絶えず払っていただくということから、それともう一つは、サラリーマンは毎月源泉徴収しておりますので、これも分割納税みたいなことでございますね、これも一種の予定納税でございます。そういう趣旨において予定納税制度というものを設けたということでございまして、やはりこの制度を普及することによって納税者は納税意識を確実にして納税しやすくなると思っております。その点、御理解いただきたいと思います。
山田(正)委員 大臣、間違えましたね。五月じゃなくて七月と十一月。それで、大体法人税等と所得税が確定するのは三月三十一日ですよね、申告の後で。ところが、確定しない前に、昨年度の納税額を三分の一、七月末までに払いなさい、十一月末までに三分の一払いなさい、それを払わなかったら延滞金利を一四・六%いただきますと。
 これは、財務大臣は、やみ金融業者に負けないぐらいの、そういう取り立てをしているのじゃないか。税は確定したときに当然払うわけで、その前に三分の一払うのは金利をつけてはいけない、どう考えても。しかも、それに一四・六%の金利をつけるということは、これは金融業者も顔負けだ。
 ここは私もいろいろ調べてみましたが、財務大臣、これは憲法二十九条のいわゆる財産権を侵してはならないということに明らかに違反するんじゃないか。大臣、いかがですか。
塩川国務大臣 私は、これは憲法違反ではないと思っております。
 もし憲法違反であるとするならば、所得税法第百四条そのものが憲法違反ということになってまいりまして、これは法律をおつくりになった国会の責任にもなってくるのじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
山田(正)委員 大臣、しかり。まさにこの所得税法の百四条は憲法違反である、よって、無効である、したがって予定納税は皆さんしないでよろしい。大臣、そうなりませんか。
 これは、我々よく考えてみても、去年の所得でもってことし前もって予定納税しなさい、そこまでは、任意に払う分は構わないと思うんですが、それに一四・六%の金利をつけて義務づけするということ。税金が実際に確定するのは三月三十一日なんですよ。ところが、その前に金利をつけてまで税金を取るというのは、どう考えたってこれは憲法違反じゃないか。
 竹中金融大臣、どう思われますか。
竹中国務大臣 担当ではありませんのでちょっとお答えする立場にはございませんが、私の知識が間違っていなければ、これは、実情に合わせていろいろな例外措置、つまり損失が出ることが確実である場合はそれを免除するようなシステムもあったというふうに認識をしておりますし、そこは実態としてそれなりに調和的な運用がなされるようなシステムになっているのではないかなというふうに推察をいたします。
山田(正)委員 ひとつ財務大臣も、この問題は、いわゆるやみ金融業者が顔負けするぐらいの暴利をむさぼっている財務省、その責任者である財務大臣にぜひ御考慮いただいて、そしてもう一つだけ総務副大臣にお聞きしたいと思っておりますが、それで私の質問は終わらせていただきたいと思います。
 いわゆる電報、お悔やみ電報、これは私も破産の事件をやっていて、何十通も私の事務所に実際に来ているわけなんですが、こういったお悔やみ電報等々が来るのは――済みません。総務省の副大臣じゃなくて、法務省、ちょっとお聞きしたいんですが、いわゆる破産宣告をする人は、私どもに相談に来るのは、弁護士のところに相談に来るのは、もうこれ以上いろいろなところから金を借りてもらっては困る、だから破産の申し立てをして破産宣告して、もうこれ以上金が借りられないようにしてほしいということが大半なんです。
 ところが、実際には、破産者に対して、破産宣告を受けた人に対して、やみ金とか正規の金融業者から、金を借りてくださいという通知が、借りませんかという通知がどんどん来るんです。例えば今破産手続の申し立てをしている最中に来るわけです。
 これは、何で来るのかと思って調べてみましたら、この官報に、自己破産者の住所と氏名がこうしてきちんと載っている。金融業者、やみ金業者、登録業者みんながここに金を貸そうとしているわけです。この官報に記載がなければそんなことはない。
 しかも、もう一つ。政府刊行物官報掲載料支払い通知書といって、破産法第一章総則の第百十五条の規定に基づき、官報への掲載による公示が義務づけられております、つきましては官報掲載手続費用として、本通知到着後五日以内に、下記指定銀行口座へお振り込みくださいという仰々しい通知が債務者のところに行くわけです。三千六百七十五円。
 官報掲載にお金は要らないはずですね。ところが、金融業者が官報掲載の手数料をこの官報の名簿から見て請求しているわけです。私どものところにたまたま相談があったんです。みんな払っているんです、自己破産者は。三千六百七十五円。もっともな通知なんです。振り込み先は、これはみずほ銀行となっているんです。
    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕
小坂委員長 質問時間が終了しております。手短にお願いします。
山田(正)委員 はい。
 ということで、ぜひ官報の掲載そのものをもうやめていただきたい。私の質問は、その答弁を聞いて終わらせていただきます。
房村政府参考人 破産宣告がされますと、破産者は、その財産の管理処分権を失います。また、破産債権者は、破産債権の届け出が必要になる。こういうことから、破産宣告がされたとの事実は、破産債権者等不特定多数の利害関係人に重大な影響を及ぼす事実である。こういうことから、破産法では、破産宣告について広く公示するために官報に掲載することとしておりますので、御指摘のような問題はあろうかと思いますが、破産宣告に、破産者の住所、氏名等を官報公告するということを見直すことについては、慎重な検討が必要だ、こういうぐあいに考えております。
山田(正)委員 犯罪の温床にこれがなっておりますので、ぜひ改めていただきたいとお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、五十嵐文彦君。
五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。
 最初に、やみ金の問題をやらせていただきますが、六月に大阪の八尾市で大変悲惨な事件が起きました。当初は一万五千円借りただけで、相当な額を返したにもかかわらず厳しい取り立てが続いて、最後は自殺に追い込まれてしまった。警察にも相談したけれども、警察は相手の業者に問い合わせてくれた。問い合わせたら、もうお払いいただいていますという答えがあったので、ああ、それでもう一件落着だなということで手を放してしまった。その後も厳しい取り立てが続いて、一家が三人自殺してしまったということでございました。
 私どもは大変ショックを受けておりまして、その前から当然ながら与野党でこのやみ金対策法案の協議を続けていたわけですけれども、一日も早く成立をさせなければいけない。というのは、この私どもがつくりました法案ですが、罰則規定、それからやみ金業者にとっては一番痛いと思われる広告や勧誘をしてはいけない、そういう規制を公布の日から一カ月後にこれを施行する、そういう大変重要な条項、また、一〇九・五%を超える高金利については契約無効にするという、この項目についても、公布の日から一カ月後に実施をするという項目を入れていたわけですから、早く成立すればするほどこれは効果があるということになっていたわけであります。
 ところが、先週の火曜日にも、国会議員は働かなきゃいけませんから、定例日で、ほかに案件がないわけですし、本来ならばこの案件を優先して審議すべきところを、一週間以上実は放置されたということで、委員長と与党側の理事さんに、なぜこういうことをされたのか私どもは理解に苦しむわけですから、改めて、もっと早期にこの法案を審議入りすべきだったということを、抗議を最初に申し上げておきます。これは当然ながら御答弁は要りません。
 次に、この法案についてですが、私どもは、先ほどから同僚議員のいろいろ指摘もありましたけれども、大変効果のある厳しい内容だと承知をしております。
 特に今までと考え方が違うのは、入り口で全部シャットアウトしよう、今まで効果がなかったじゃないかというけれども、入り口で悪い業者、怪しい業者はシャットアウトしよう、そういう仕組みに変えているわけなんですね。今までは、先ほど来お話がありますように、警察が行っても、契約の内容まで立ち入って事実を認定しないとなかなかワルだ、犯罪だというようなことは認定できなかった。今度は、外形的に、無登録で営業したら即だめと。ですから、今までは専門家でない警察官が行ってもなかなか対処できなかったんですね。今度はそうではないんだということが一番違うわけであります。
 すなわち、警察庁でいえば経済対策室、各県警でいえば生活経済課あるいは生活保安課といったところの専門の刑事さん、警察官が行かないとなかなか対応ができなかったのを、今度は現場の、交番にいるお巡りさんでも、やみ金融業者だ、登録していない業者が宣伝をしている、勧誘をしているというだけで逮捕できるんですよ。ここが大きく違う。外形だけで取り締まれるという状況。しかも、併科、併科で、取り立て規制だとか、ほかの悪いことをすれば一緒に罪になって、大変重い罪になる。
 そういう仕組みになっているわけですから、今までは専門の経済警察がやっていたわけですが、今度はオール警察でこれに対処できるというところが違うわけですが、オール警察で対処する、そういう仕組みや体制ができるかというところが実は問題なわけでありまして、警察庁にお伺いをしたいわけですが、そういう基本姿勢、いわゆるオール警察で対応するんだ、そして怪しい業者は全部ひっくくるんだという姿勢でやれるか。
 あるいは、暴力団の影がちらつく、やみ金融の多くが、システム金融はほとんど全部そうですけれども、暴力団関係者です。そういう暴力団関係者の影が少しでもちらつくような業者は参入段階でブロックする、そういう姿勢に警察が協力できるかどうかということをお伺いしたいと思います。
堀内政府参考人 お答えいたします。
 高金利の貸し付けや無登録の営業など、やみ金融事犯については、現下の社会経済情勢のもと、深刻な被害が広範囲に及んでいるものと認識をしております。
 今回与野党間で合意した案につきましては、貸金業の登録要件の厳格化、無登録業者に対する取り締まり強化、取り立て行為規制の強化、罰則の強化など、無登録業者を含めたやみ金融業者に対する各種の規制を強化することとされておりまして、やみ金融対策を進める上で大きな効果があるというふうに考えております。
 こうした状況を踏まえますと、御指摘のように、やみ金融事犯は、生活安全部門のみで対処すべき問題ではなく、暴力団取り締まりを担当する暴力団対策部門、あるいは取り立て現場に最初に臨場する地域部門を初めといたしまして、警察全体で取り組むべき重要課題であるというふうに考えております。
 そこで、今後、全都道府県警察に部門の枠を超えた集中取り締まり本部を設置しまして、取り締まりの中核として活動させるほか、警察官全体への教養の徹底によるやみ金融事犯への基本的な対応能力の向上、各種会議での指示等を通じた情報、関心の高揚等によりまして、警察の総合力を発揮した取り組みがなされるように努めてまいりたいというふうに考えております。
五十嵐委員 ありがとうございます。
 もう少し具体的に言いますと、例えば、今度は登録要件が大変厳しくなります。暴力団のいわゆるリストに載っている、公表されているメンバーだけではなくて、その事務所に出入りしているような人、あるいはその予備軍、暴走族のような予備軍まで、そうした事業にかかわれないようにするということが大事なわけでありまして、そういうおそれのある者までシャットアウトしようというのは、今回、私どもは事実上の許可制と言っておりますけれども、大変厳しい登録要件を課している。
 ただし、その登録要件を課すのは都道府県あるいは財務局なわけですが、担当者が、これはそういうおそれのある者かどうかというのはわからないわけですね。ですから、そういう申請が来たときに警察に問い合わせると思うんです。警察に問い合わせたときに、警察があらゆる情報を駆使して、これは正式な暴力団何々組何々一家の構成正メンバーには入っていないかもしれないけれども、その下の準構成員、あるいはさらにその下のメンバーであるかもしれないというようなのは犯歴等でわかる、あるいは警察の判断でわかる人もいると思うんですね。そのときにちゃんと対応して、その人物は怪しいなということが言えるかどうかというのが大事なんですね。
 そういう体制を実はとっていただけるかどうかというのが問題になってくるわけですが、今の体制では数が足りないかなという気もするわけですが、その辺の対応をとれるような状況にあるのか、あるいはないのかということをもう一度お伺いしたいと思います。
近石政府参考人 このたび提案されることとなります改正法案におきまして、暴力団が貸金業に参入することを厳に防止するため、貸金業の登録等に際しまして、警察庁長官または警視総監もしくは道府県本部長が内閣総理大臣または都道府県知事に対しまして、暴力団排除の観点から意見を述べることとされているというふうに承知しております。
 警察は、この改正法案の趣旨を踏まえまして、暴力団員等やそれらが事業活動を支配している者が貸金業の登録を受けることのないよう、内閣総理大臣または都道府県知事に対しまして、警察が各種活動を通じて収集している暴力団に関するあらゆる情報に基づいて適切に意見を述べ、貸金業からの暴力団の排除を万全なものとしてまいりたいというふうに考えております。
五十嵐委員 ぜひ本腰を入れて、中身を充実させて、この法案の有効な運用に当たっていただきたいと思うわけですが、それにはやはり予算と定員面での配慮が必要なんだろう。
 東京都が、最初数名だったのを十数名、そして二十名へとその担当の人数をふやしたことによって摘発件数がふえて、かなり大きな前進を見た、こういう例があるわけですが、やはり人員が十分にないと、こうした暴力団を初めとする悪質なやみ金業者の摘発は難しいというふうに思いますので、その体制整備について、私どもの法案の趣旨に合った対応をしていただけるかどうか、それぞれ、定員管理面から総務省、そして財政面から財務省にお伺いをしたいと思います。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 国家公務員の定員でございますが、行政需要の消長を踏まえまして、政府全体としてスリム化を進めるということで、この間、厳しい行財政事情のもと、全体としてはかなり大幅な純減ということでやってきているところでございます。
 しかしながら、金融行政に関しましては、現下の金融行政を取り巻く非常に厳しい状況にかんがみまして、この間、大規模な増員を行ってきているところでございまして、金融庁の定員で申しますと、この五年間で四百四十人程度から千百人ということで二・五倍、それから金融行政のいわば現場を引き受けます財務局におきましても、この五年間で千八十人から千四百人ということで一・三倍、合わせまして千五百人から二千五百人ということで、この五年間で一・六倍の増員を行ってきているところでございます。
 今問題になっております貸金業の監督体制、国と、それから多くは都道府県で行われるわけでありますが、国における体制につきましては、金融行政全体としては体制整備が進んでいるところでございますが、今後とも、所管省庁とも十分協議しながら、また所管省庁における定員再配置等の努力もお願いしつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。
谷口副大臣 やみ金融対策を含む経済犯罪等に係る警察庁の経費につきましては、近年、増額を図っておるところでございます。また、一般的に、警察官の増員を初めとした人的体制の一層の強化を図り、犯罪の抑止力の向上に努めているところでございます。また、金融検査監督を担当する財務局の職員につきましても所要の措置を講じております。
 平成十六年度の予算におきましても、警察庁を初めとする関係官庁の要求を踏まえまして、十分な検討を行ってまいりたいと考えております。
五十嵐委員 ぜひ、検討にとどまらないで、実際に予算をつけ、定員をつけていただきたいということを強く要望いたしておきます。
 それから、これまでの当委員会での同僚議員の審議を伺っていまして、ちょっと誤解があるのかなと思うんですが、いわゆる一〇九・五%を超える高金利について契約無効とするというのは、大体、判例上は今まで一〇〇〇%以上なんですよ、契約無効になっているのは。ですから、それをどんな人でも、業としない人でも、一〇九・五を超えて貸してはいけないというレベルまで実は下げて、拡大したわけでありまして、これは逆方向だという御指摘は全く事実を誤認していると私は思うわけであります。
 それから、逆に、元本まで返さなくていいというのを、二九・二以上にしろという御要望があるんですが、これは実は大変危険なんですね。どういうふうに危険かというと、まとまったお金を長期間借りる人はなかなかいないわけなんですね。例えば、十日後に五百万なり三百万なり入金の予定があるんだけれども、あした、とにかくあと足りない百万円分を調達しないと、小切手が不渡りになってしまって、本当に自殺しなければならなくなるという人も中小零細企業の皆さんの中にはたくさんいるわけですね。これは珍しい例ではなくて、当たり前の例なんですよ。
 そういうときに、この十日間百万円を調達するのに、例えば一万円利子をつけるから貸してくださいと知り合いに頼むということは、それは大変珍しいことではない、ごく当たり前にこれもあると思う。だけれども、十日間一万円の利子というのは、計算すると三六・五%ですよ。これは二九・二の出資法を上回ります。
 ですから、こういうところまで、元金まで返さなくていいということになったら、貸してくれる人は、知り合いだろうとだれだろうと、一人もいなくなっちゃうわけですよ、元金まで戻ってこないわけですから。それはまさに中小零細企業者にみんな自殺しなさいと言っているのと同じことになってくるんですよ。ですから、そういう乱暴な議論はできないんです。
 二〇%だろうと一〇%だろうと、無理に押し貸ししたり、貸してくれと言っていないのに振り込んできちゃったり、あるいは、ひどい取り立ての仕方をしたり、無理やりだまして貸したりするというようなことがあれば、これは何%だろうと不法原因給付なんですから。民法の七百八条で不法原因給付で、これは元金まで返さなくていいんですよ。
 ですから、ちゃんと分けて論理的に考えていただいて、間違った使い方がされないようにしなければいけない。二九・二を超えたら、全部、元金まで返さなくていいような法律をつくれといったって、それは逆に多くの中小企業者を困らせるだけに終わってしまうということを私は強く申し上げておきたいんですが、感想ありますか、金融担当大臣。
竹中国務大臣 こういった制限を議論するときには、モラルハザードが起きないように留意すること、それと、ある意味で自由な契約の可能性を阻害してしまわないようにすること、やはりこの両点が大変重要かと思われます。五十嵐委員の御指摘は、大変重要な御指摘だと思います。
五十嵐委員 私どもはよく考えてこの法案をつくったのであり、先ほど警察からも有効であろうという言葉があったわけですが、この法案、きちんと運用すればやみ金業者は根絶できる、大変厳しい内容になっています。今までの法律のトレンドでは考えられないような、法人は一億円の罰金というようなものまで含まれているわけですし、併科、併科でいったら相当な重い罪になるんです。そのことを考えれば、私は、この法案を早く成立させていただいて、与党の皆さんにも、欲張らないで、筋悪の法案を先に参議院で上げるということは考えないで、その法案を飛び越えてこのやみ金法案を先に成立させるということをお考えいただきたいと思う次第でございます。
 次に移らせていただきます。
 せっかく日銀副総裁がおいででございますので、日銀報告がきょうのテーマの一つでもございますので、質問をさせていただきます。
 今、株価は戻りぎみのところにあるわけですが、早速、株価が戻りぎみになったら、債券の、国債の長期金利が上昇したということになっているわけであります。私は、今の株価の上昇、必ずしも質のいい株価の上昇、要するに、実体経済につれて必然的に上がってきたものとは必ずしも言えないと思っております。
 実は、四月中旬以降の外国人投資家の買い越し、買い越しがかなり来ておりまして、特にここは激しくなって、あのバブルのときより大きな買いが入っているわけですが、その外国人買い越しの半分がヘッジファンドによるものと見られております。一兆五百億円程度はヘッジファンドが買い越してきたもの、こう見られていて、もう一部売りにかかっているところもあるようでありますが、こうした状況の中で、日銀が一方では銀行保有株の買い取りを進めておりまして、今一兆五千億近くになっていると思うんです。日銀が、株のリスクを民間から日銀に移すという形でリスクテークをしているわけでありますが、株高がこうやって起きると債券安で、債券の方のリスクが高まるという関係にあるわけであります。
 それに慌てて日銀が、それでは、国債の金利が上がったら大変だ、国がもたなくなるということで、国債の買いオペをふやして、国債のリスクをバランスをとろうとして買うと、今度は逆に、いややはり国債の方が有利だということで、株に移ろうとしていたお金が国債に移るということで、そういう株安リスクが生まれかねないという構図がこのところの状況で明らかになってきたんだと思うんです。
 それは必ずしもまだ危険水域まで行っているわけではありませんけれども、そういうことになってくると、日銀が交互に株だ、国債だ、株だ、国債だ、こうやっていたら、結局は、モラルハザードが日銀のところに一方的にたまって、まさにモラルハザード相場を助長して、最後は日銀に対する市場の国際的な信認が低下するということになるんだろうと思うんですね。
 そういうことをちゃんと意識して日銀政策をおやりになるかどうかということをお伺いしたいと思うんです。私は、やるべきではない、慌てて国債を買い増しするというようなことはすべきでないと思うんですが、いかがでしょうか。
武藤参考人 ただいま御指摘がありましたとおり、最近の株価の状況それから長期国債の状況、そのとおりであると思います。
 日本銀行といたしまして、銀行が保有する株式を買い取るということを昨年の秋から始めましたけれども、この趣旨は、御承知のとおり、株価変動が金融機関経営、ひいては金融システムに及ぼすリスクを緩和するという趣旨から実施しておるものでございまして、もちろん株価の維持そのものを目的としたものではございません。
 リスク資産でありますから、日本銀行が買い取るに当たっては、まず総額を三兆円以内、今一兆五千億ほど保有しておりますけれども、総額は三兆円以内としているほかに、一定の格付を有する発行体が発行した株式に限定するとか銘柄の分散を図るとか、いろいろリスク管理に努めております。また、当然、適正な引き当てを行うなど、財務の健全性にも配慮しておるわけでございます。
 また、長期国債の日銀の買い入れというお話がございましたけれども、御承知のような量的緩和政策を遂行する上で必要な資金供給を円滑に行うためという観点から実施しておるものでございます。ここにつきましても、当然リスクの管理という、日本銀行のリスクの問題がございますので、財務の健全性に努めるということは当然だと思っております。
 先ほど日銀の信認あるいは通貨の信認というお話がございましたけれども、財務の健全性というものが、日本銀行の将来にわたる政策運営能力を維持して、通貨の信認を支える重要な基盤というふうに認識をしておりまして、今後ともそういう観点からその維持に努めていきたいというふうに考えております。
五十嵐委員 要するに、私が言いたいことは、慌てて、ここで金利がちょっと上昇したからといって、国債のPKOをするというふうなことに手を出してはいけないということなんですが、予算上は毎年国債の金利支払い分、利払い分は二%分を計上していると思うんですが、この間の十年債の上昇でも、三十年債もですか、そこまではいっていないんですね。そうすると、二%までは、二%といっても、五年債から十五年債から、いろいろあるわけですが、平均二%にいくまでは財務省も特に何か手を考えるということはないということでよろしゅうございますか。
谷口副大臣 今、五十嵐委員、積算金利のことをおっしゃったと思うんです。それは必ずしも二%ではありませんで、十一年度は二・一、十二年度二・三、十三年度が二・四、十四、十五が二%でございます。これは、予算編成時の経済金融状況を勘案しまして、それで過去の実勢金利に基づいて出したものでございます。
 それで、この二%が、今委員がおっしゃったのは、ほぼ許される範囲内にあるのではないか、ですから、財務省としてこの範囲であればいいのではないか、こういうお話でございました。
 委員がおっしゃったように、長期金利は六月十一日の日に〇・四三%という形のボトムをつけたわけでございます。当時、金融機関を中心として、かなり国債を集中的に買う、安全資産選好があったわけで、そのボトムを中心にして、そのあたりからポートフォリオリバランス効果といったようなものが働いてきたんだろうというように見ておるわけでございます。
 それで、そういう状況の中で、現在一%前後というような長期金利の動向にあるわけでありますけれども、考えてみますと、十五年度予算の国債の発行予定が百四十一兆円余りでございます。このうち、十年物国債が大体七分の一でございます。三十四兆円余りの短期国債はほぼゼロ近傍でございます。
 そんなことを考えますと、今回の金利上昇が、今おっしゃるような予算で計上されております十五年度の国債の利払いの費用を超えるというようなことはなくて、十分これに対応できる予算の計上額だ、このように思っておるわけであります。
五十嵐委員 ただ、前年度も途中で国税の税収を補正して、大幅な減額補正したのに、なおかつ税収欠陥が出る。その税収欠陥は、むしろ利払い費が安く済んだということで埋められるということで、ここが活用されているものですから、ここが余裕がなくなると、逆に財務省は慌てふためいて国債のPKOに走るんじゃないか、こういうおそれがあるものですから、国債の金利を巡航速度でどの程度まで見守るのかというのを確かめておきたいなと。
 十四年、十五年度は二%だったということなので、二%ぐらいまでは何もしないんだろうなと思っているんですが、念のために、慌てることがないようにということを申し上げておきたかったわけであります。明らかにヘッジファンドは、株はロング、国債はショート、すなわち、日本株は買い、国債は売りというポジションを今とっているわけですから、下手に動くと、それを逆に利用されて、結局は損をするのは日本人投資家と日本国のみということになるおそれがあるということを申し上げておきたいと思います。
 それに関連して、日銀の銀行保有株買いも、私は先ほど言ったように、これは異常な政策だ。もともと、そういうことをやるからこういうことが起きてくるんだというふうに思うわけですが、さらに、最近、日銀の銀行保有株買い取りの額が、ペースが鈍ってきたということで、さらに購入条件の緩和を求める声が強くなっている、こういうふうに伺っているんですが、私は、この戻り相場で、逆に市場で売れる分もふえてきたと思いますし、あるいはティア1以上の保有制限がかかるのが延びたわけですから、その分、日銀は逆に控えていいんだと思う。あるいは、日銀の買い取りのペースが落ちてもいいんだと思うんですが、逆に、下がってきたからもっと緩和しろ、もっと格付の低い株まで買えというのは私は暴論だと思うんですが、その基本認識を武藤さんに伺いたいと思います。
武藤参考人 先ほどもお答えいたしましたとおり、日本銀行による銀行保有株式の買い取りの目的が、あくまでも、銀行が株を保有することによって株価の変動のリスクをかぶって、本業の方はきちっと収益を上げておるにもかかわらず、それが経営上問題を生ずる、ひいては金融システムに不安定な影響を及ぼすということがないように、日本銀行として、銀行が売るという場合にはそれを買い取る、こういう姿勢でいるわけでございます。したがいまして、銀行が株を保有し続けるということについては、やはり長い目で見ますと、銀行経営を不安定化させるという問題は基本的にはあるように思います。
 ただ、日本銀行として、今御指摘になるように、条件を緩和して格付の低いものを買うとか、そういうようなことは現時点では全く考えておりません。
五十嵐委員 もう一つ、銀行株そのものは今買わないようにしているはずなんですが、それについても緩和を検討する、あるいは生保保有株をどうするかという問題もあるんですが、それについても現時点では考えていないということでよろしゅうございますか。
武藤参考人 そのとおり考えております。
 一言だけ申し添えますと、今申し上げたような趣旨から日本銀行が買うとすれば、銀行株そのものは、日本銀行は銀行の、さまざまな形で政策運営上の相手方でございますので、むしろそういうものを買い入れるのは適切でないというふうに考えているわけでございます。
五十嵐委員 私も終始申し上げていますように、実体経済を強くする、特に実際の企業に、事業会社にちゃんと必要なお金が回るようにする政策を考えるのが本来であって、日銀から銀行に対してお金をじゃぶじゃぶ出すことが私は対策ではないということを終始申し上げておりますので、念のため申し上げておきたいと思います。
 以上で、やみ金関係それから日銀関係の方は結構でございますので、どうぞお引き取りください。ありがとうございました。財務大臣も結構でございますので、ありがとうございました。
 それでは、私は、金融庁とミレアグループとの問題についてこれから御質問をしたいと思うんですが、なぜ高木長官は来られていないんでしょうかね。私どもは強く求めました。参議院には来られました。それから、過去にも、私が、森長官時代、森長官がプレーヤーとなった、すなわち実際に発言が問題となった件についてはお呼びをして来ていただいた実績も経験もございます。
 御本人が当事者となった問題について、これは非常に重大な問題であるんですね。私は、行政手続法を実態的に空洞化してしまう、極めて多くの民間企業が、官は何でもできるんだ、役所は何でもできるんだという恐怖を抱かせるに足りる非常に重大な問題だと思っておりますので、その問題について弁明する気がないというのは、衆議院をばかにしているということになるんじゃないかと思うんですが、なぜ高木長官をお出しになるのを拒否したのか、私は、担当の大臣である竹中さんから伺いたいと思います。
竹中国務大臣 私ども、委員会の御要請、理事会の御要請等々がある場合には、真摯に対応させていただいているつもりでございます。委員会の運営につきまして、私の方から申し上げる立場ではないと思います。委員会等々の要請がございましたら、真摯に対応させていただきたいと思います。
五十嵐委員 そういうのを実は詭弁というんですね。形式論なんですね。実際、出たくないから出なくていいようにしてくれと頼んでいるんじゃないですか。だめですよ、そんなことじゃ。では、なぜ与党の筆頭は拒否したんですか。それは、金融庁が出したくない、本人が出たくないと言っているからと言っているじゃないですか。そうでしょう。理由がないですよ、出てこない理由が。常識的に考えてくださいよ。常識的に考えて、出るべきではありませんか。
 では、問い直しますよ。常識的に見て、こういう問題では、実は大変大きな行政指導の権限等を持っている方は、国民の前にきちんと出てきて説明すべきではありませんか。
竹中国務大臣 委員会の御要請、御指示に従いたいと思います。
五十嵐委員 いや、伺ったのは、べきかどうかという話をしたわけですから、答えになっていないんですね。そこも不誠実な、最初は竹中さんというのは誠実な人なのかなと思っていたけれども、実は全然そうじゃないなということが最近よくわかってきたんですね。特に、高木長官をかばう姿勢からは、もう改革派のカの字も見えないというふうに思うわけであります。
 特に、この弁明書、二回、回答を大塚議員に対して出されているわけですが、ひどい内容ですね。私は、事実もごまかされているし、めちゃくちゃだと思うんですね。例えば、弁明書の中にあるのは……(発言する者あり)そうですよね。私どもはそう思うんですよ。いや、まずなぜ出てこなきゃいけないかということを証明するために言いますよ。
 弁明書の中に「第六に、」というところがあるんです。「第六に、」というところに、「民商法上の企業の責任と行政の裁量権、業法上の権限との限界点如何という点ですが、仮に、経営統合の合意を短期間のうちに撤回するという同社の一連の行為が市場に重大な影響を及ぼすこととなり、」云々とあるんです。
 「仮に、」というのは「市場に重大な影響を及ぼす」というところに係る言葉なんですが、これは非常に悪文だからわかりにくいんですが、ここでごまかしていることは、「経営統合の合意を短期間のうちに撤回するという」、東京海上の行為をそういう行為だというふうにして、決めつけて認定しているんですね、この言葉の中には。
 だけれども、そうなんですか。これは、行政指導で行ったと言っているんですが、明らかにミレアグループの経営政策への指導助言なんですよ。
 ミレアグループに朝日生命が入るということ、そういうことは決まっているわけですが、ミレアグループの生損保を早期に統合するというのは別に合意でも何でもないですね。それを検討しますという発表はあったけれども、合意じゃないんですよ。ほかの会社との間の合意を、「経営統合の合意を短期間のうちに撤回する」という事実関係にすり変わっているんですね、ここは。
 私は、これは非常にひきょうな話だと思うんですよ。公式文書でしょう、国会へ出してきた。その中で、事実でないことをあなたは認定しているんですね。私は、そこは高木さんに確かめなきゃいけないことだと思うんです、一つは。私自身も確かめたいと思いますよ。合意の撤回ということを東京海上側が認めたんですかということを、私はそこで問わなきゃいけない。
 あの会談記録を見たら、認めていないんですね。そんな合意はそもそもありませんということを東京海上側は言っているんですが、東京海上側がそういう合意はしていないということを言っているのに、合意を撤回したんだというふうに認定したのは、おかしいじゃありませんか。それは十分に説明できるんですか、竹中さんで。高木さんにそのときの状況を確かめなきゃ、私は、これ以上質問を続けられないということになるじゃないですか。
竹中国務大臣 御指摘の箇所でありますけれども、事実関係からいいますと、東京海上は、平成十三年の一月に個別の生命保険会社と経営統合を目指すことについて合意した。それを公表した。同年十一月には当該経営統合の早期実現に向け検討に入ることに合意の上、これを公表した。その後、平成十四年一月になって、同社は十三年十一月の合意を撤回して、これを公表するということに至っているわけであります。
 事実関係は、そういうことであるというふうに認識をしております。
 こうした過程で本件の会談が持たれているわけですけれども、当時の高木局長は、統合に係る合意及びその撤回という同社の一連の行為が、同社の調査の不十分性に起因しているとすれば、仮に、当該一連の行為の結果、取引市場に重大な影響を及ぼすこととなれば保険業法に基づく行政処分の可能性があることを、保険業法に基づく法律論としていろいろ議論してきたということでありますから、この点は、報告書に尽くして書かせていただいたとおりでございます。
 この点は、前の報告書とあわせてお読みいただければ、御理解いただけるのではないかと思います。
 なお、あの報告書そのものは、コンプライアンス、法令遵守の日本を代表する法律論の専門家でいらっしゃる久保利弁護士、野村教授にヒアリングにも立ち会っていただいた。法令解釈については、まさに専門家の立場から御意見をいただいた。その上で、私と副大臣が責任を持って取りまとめたものでありますので、我々としては、意を尽くして、しっかりと調査して、御報告をさせていただいたつもりでございます。
五十嵐委員 違いますよ。検討の合意と早期統合の合意とは違うでしょうが。ごまかしがありますよ、そんなものは。それはね、どんな偉い弁護士が相談相手になったかどうか知らないけれども、そんなことは関係ないですよ。検討の合意と、早期統合を完全にしますということとは全く意味が違うじゃないですか。あくまでも検討するんですから、検討の結果、それがそうではなくなったとしたって何のおかしくもない。まさに経営政策の問題じゃないですか。そんなものは自由ですよ、はっきり言って。
 その自由な経営政策を縛られ、威迫されたことはないと言うけれども、それは、強い監督権限を持った監督官庁から、威迫じゃないよな、脅迫じゃないよなと言われたら、そうじゃありませんと言うに決まっているんですよ。そういうことを避けるために行政手続法があるんじゃないですか。法律の本旨というのはそうなっているんですよ。力関係で優越的な地位にある官庁側が自分の政策を民間企業に押しつけることがないように、行政手続法は規定されているんじゃないですか。その本旨に全く離れているじゃないですか。
 最初から、おどし半分でと言ったけれども、それ以上に強い言葉で言っているじゃないか、どういうことなんだというふうに東京海上側は迫っているわけでしょう。それを否定していますけれども、そういうふうに受け取ったことは確かですから、おどし半分以上、おどし全部だと言っているのと同じなんですよ、これは。だから脅迫に近いじゃないですか。威迫ですよ、これは。それを、正面切って、その言った相手の官庁から、おどしてはいませんよね、おどしと受け取っていませんよねと言われたら、そうは受け取っていませんと言うに決まっているんですよ。
 これはまさに、それを言ったからといって、金科玉条のごとく振りかざして、相手は威迫と受け取っていないんだから問題ないんだというのは行政のあるべき立場じゃないんですよ。
 私は、行政手続法をよく読みましたけれども、本来的に、念には念を入れてそれを書いてあるということを前回も指摘したじゃないですか。念には念を入れて書いてあるんですよ。とにかく、行政指導というのは、あくまでも相手の協力を得られた上でやるものですよと。そして、それによって不利益な取り扱いをしてはいけないと書いてある。いわゆる不利益処分をしたかどうかじゃないんですよ。不利益な取り扱いをしてはいけないと書いてあるんですよ。不利益処分をしてはいけないとは書いていないんですよ。不利益な取り扱いをするだけでだめなんですよ、法の精神は。
 しかも、そういう処分をするときは、あらかじめ処分の基準を定めて公にしておくように努めなければならないと、行政手続法の三章の十二条にちゃんと規定されているじゃないですか。それを、個別業法に書いてあるかもしれないけれども、公益という概念を物すごく拡大解釈して、その優先的解釈権は我々の方にあるんだから、これで何でもひっくくれるんだ、一番厳しい行政処分である免許の取り消しや商品認可の取り消しだってできるんだと言うのは、おどし以外の何物でもないし、これだったら怖くて怖くて、一般の企業の経営者はやっていられないですよ。
 まさに恐怖体制、独裁体制ですよ、これは。そうじゃないですか、自由な行為ができないじゃないですか。そう思いませんか。行政手続法の法の精神という立場から見て、今度の行為は許容範囲の中で許されるべき正当な行為だと、そんなに言い張られるわけですか。
竹中国務大臣 委員いろいろな御指摘をされましたが、前の報告書と今回の報告書をあわせ読んでいただければ、その誤解は全部解いていただけるのではないかというふうに私は思います。
 まず、統合の合意でありますけれども、これは正確には、統合に係る合意。
 これは、最初の報告書には「統合に係る合意」というふうに書いております。統合に係る合意という意味は、統合を目指すことについての合意、検討に入ることの合意、そういうことを一括して言っているわけでありますので、第二の文章では「統合の合意」というふうに書いておりますが、第二の文章は第一の文章を補うものであります。第一の文章では「統合に係る」ということですので、そのようにお読みいただきたいということであります。
 一番の委員の御指摘、私は、その御指摘はそれで重要だと思います。監督官庁でありますから、監督する立場は強い。先方が本当にどのようにそれを感じたかということが重要なのであって、こちらの意図ではなくて先方の意図である、私もそのように思います。
 でありますから、これは最初の報告書に書かせていただきましたように、先方の、当時の森副社長からヒアリング、聞き取りを行うときは、金融庁関係者が一切入らないような形で、弁護士さんと私と副大臣だけで調査をさせていただいております。私と副大臣がいるから悪いということになれば、これはちょっと話が別でありますけれども、これは委員会の方から、参議院の委員会ではありますけれども、私と副大臣が責任を持って調査してくれというふうに言われましたので、弁護士の力もかりてそれはきっちりと行いました。
 そのとき、金融庁の関係者はここにはいないわけでありますから、しっかりと本当のことを私たちも聞きたいんだということでお話をいただきました。
 先ほど紹介しました久保利弁護士、野村教授は、行政手続法にのっとっていたかどうかを考えるに当たって、非常に明快に四つの論点があるということを主張している。その第一の論点は、これも委員が少しお触れになりましたけれども、まさに権限の範囲内であったかどうか。第二の点が、特に重要な、行政指導を行うに当たっても相手の任意にゆだねていたかどうか。結果は、何度聞いても、これは任意にゆだねられていた、別に脅迫を受けたことはないと先方がはっきりとおっしゃっているということはやはり大事だと思いますし、先方の経営の最高責任者である石原社長も同じような意見をおっしゃっておられる。
 行政手続法、それと行政の指導の問題は、ルールに基づく行政を前提としながらも、いざという場合は、我々としては行政指導をしなければいけないことがある。そのルールづくりについてはしっかりとやらなきゃいけないというのも先生方から御指摘を受けておりますので、その点については、私も今回の点を踏まえてしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
五十嵐委員 まず、大臣、副大臣がお聞きになる前に監督官庁側から、そういう調査があるけれども威迫はなかったと答えろよと言っているに決まっているんですよ、そんなものは。そんなこと言ったってだめですよ。だって、なぜ私がそういうことを言うかというと、この文書、面談記録が出てきたこと自体が威迫を受けたということなんですよ、そこにははっきり書いてあるんだから。威迫と受け取っているからこういう表現になっている、こういう記録が残っている、こういう出方をしているんですよ。
 それから、論理がめちゃくちゃじゃないですか、高木当時の監督局長が言っているのは。風評被害をもたらすことになると言っているんですが、政策決定をしたからといって、どうしてそれが風評被害をみずからまき散らしたことになるんですか。経営政策の実行という事実の公表によって、企業がその結果責任を負うのはおかしいんですよ。これは風評とは言わないし、風評を流布する行為にも当たらないんですよ。それを、風評を流布して損害を与えたことになると決めつけること自体がある意味で威迫行為なんですよ。
 肝心なところになると、そこまで厳しくは言っていないとか、みんな言い逃れを高木さんはしているようですが、そこを一つ一つ詰めなきゃいけないから高木さんを呼んできなさいと言っているんですよ。私に詰めさせていただければもっときっちり詰めますよ、事実関係。竹中さんの調査よりきちんと調査してみせますから、ぜひ呼んできてくださいよ。委員長、お願いします。ぜひ必要です、これは。
小坂委員長 委員長に対する御要望であれば、理事会で協議をいたします。
五十嵐委員 理事会で逃げられるといけませんので、私の時間があと十分残っていますが、十分を次に残して、その時間も含めて、高木さんのこの財務金融委員会の場への出席を要求し、そこで私のこの十分も足して議論をしたいと思いますが、いかがですか。そういう一般質疑の場を保証していただけますか。
小坂委員長 理事会で日程については協議が済んでおりますので、質問を続行してください。
五十嵐委員 いや、出てこない理由をちゃんと説明できないじゃないですか。では、委員長からお答えになられますか、どういう理由で、なぜ出てこられないんですか。
小坂委員長 当件については理事会で協議が済んでおります。
五十嵐委員 これは全く横暴というんです。民主的な運営とは言えないんですよ。全然民主的ではないですよ。だって、何の理屈もないじゃないですか。
 では、どういう理由で出てこられないんですか。事務次官級だからですか。事務次官級は幾らでも出てきていますよ。先例もありますよ。参議院に出てきて衆議院に出られない理由は何ですか。でたらめなことを言っちゃだめですよ。(発言する者あり)いやいや、理事会は数の論理でやられるから、論理的でないでしょう。
 議会というのは、論理の応酬があって、それでやるわけですよ。(発言する者あり)いや、選挙でやってやるんだったら議会なんか要らないじゃないですか。そうでしょう。選挙の結果で全部最初から決まってしまうなら議論する必要はないということになっちゃうじゃないですか。そうじゃないでしょうよ。選挙の結果があっても、我々も選ばれた人間なんですから、ちゃんと話を聞くのは当然でしょう。今までも、名委員長とか名議長と言われる人は、むしろ野党側の意見に、六分四分だったら、六分耳を傾けるというのが民主的な運営だと。そういうことじゃないんですか、委員長、違いますか。
小坂委員長 委員長としては公正に行っているつもりでございますし、また、委員会の理事会におきまして公正な協議が行われた結果でありまして、その結果等につきましては、御党の理事に意見を聴取していただくようにお願いをいたします。
五十嵐委員 そこには論理的な理由の開示がなきゃいけないと言っているんでしょう。論理的な理由の開示も何もなければ、それは民主的で公正なる運営が行われたとは言えないと言っているんですよ。論理が通用する場でなきゃだめでしょうが、議会というところは。何を言っているんですか。(発言する者あり)何を言っているじゃないよ。ちゃんと論理的に言っているじゃないですか。(発言する者あり)だから言っているじゃないですか、必要だということを。何回も参議院の……(発言する者あり)余計なことを言うんじゃないよ。私どもは論理的に話をしているでしょう。(発言する者あり)あなたに言っているんじゃないんだよ。余計なことを言うな。
 私どもは、出てこないという論理的な理由がない、今事実関係を把握しなければ審議ができないじゃありませんかということを論理的に説明しているじゃないですか。そのこと自体をやじでかき消そうというのはとんでもない話なんだと思うんですよ。
 それから……(発言する者あり)しつこいね、君は。私はきちんと話をしているんですからちゃんと聞いてください。行政手続法の本旨は、私が先ほど言ったようなことで、不明瞭な不利益処分あるいは不利益な取り扱いというのは徹底的に排除しなきゃいけないというのが目的なんですよ。それを、行政の期待に反したからといって不利益な取り扱いができるということはないんです。行政に対して期待を抱かせて、それに反したことは問題だというふうに言っているんです。言っていなければ、こういうとっぴな考えは作文ではつくれないですよ。署名までした会議録ですから、これは言っているんです。そういう認定もしなきゃいけない。本当に言ったのかどうかという事実の認定もしなきゃいけない。
 まさに、行政に期待を抱かせて、それに反したから不利益処分をしても当然なんだという言い方は、一般論としても個別具体論としても許されざる行為で、行政手続法の意味自体がなくなってしまう、私はこう思うんです。行政手続法を所管する旧行政管理庁になるんですか、総務省、どういうふうにお考えになるか、伺いたいと思います。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもは、保険業法等の個別の法令の規定について解釈する立場ではございませんし、また実態を承知しておりませんので、あくまで一般論ということになるわけでございます。
 先生御承知のように、行政手続法におきましては、行政指導について、「一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの」、すなわち、権利の行使を制限したりあるいは義務を課したりするような、そういうものでない指導、勧告、助言その他の行為、こういうことでございまして、一定の行政目的を実現するためそういう行為が認められているわけでございます。
 ただ、制限がございまして、「行政指導の一般原則」ということで、三十二条におきまして、「当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならない」、それから「行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであること」、これに留意して行わないといけないということになっているわけでございます。また、そういう任意性を担保するために、いろいろな、例えば不利益な取り扱いをしてはいけないというようなことですとか、その他の規制がかかっているわけでございます。このような規制にのっとって行われる行政指導であれば、問題はないのではないかと考えておるところでございます。
五十嵐委員 ところが、肝心なところは、公益という言葉が入っていたら業法の目的を超えて処分ができるんだと言っているんでしょう。それは非常に問題なんですよ。業法の目的を超えてできるかできないかということがこの論争の一つの中心になっているんですから、そんなことは言っていないというのは通らないんですよ。一つの論争の中心なんですから、業法の目的を超えてそういう処分ができるかどうかというのは。
 これを言っている言っていないはまたそこでごまかすんですが、私は、高木さんの方がうそを言っているんだと思うんですね。業法の目的を超えてできるんだということを言っている、それがこの面談録の一つの大焦点になっているんです。やりとりがそれを中心に何回も行われているんです。
 それから、任意性の担保が大事だと今総務省がおっしゃられましたね。処分をちらつかせて迫ることが任意性の担保に当たるんですか。それは違うでしょう。全く行政手続法を空洞化するものなんですよ。業法の目的を超えて、公益という概念を勝手に有権的解釈ができて、処分できるんだと。その処分をちらつかせて、言うとおりに従えと言うことが、どうして相手の任意の同意を得てやる行政指導なんですか。かつ、任意性を担保するその規定を守ったことになるんですか。めちゃくちゃじゃないですか。
 大体、高木さんは森さんに完全に論破されちゃっているじゃないですか、これを見たら。論理的にむちゃくちゃですよ。ある意味では能力がない、一監督企業の経営者を説得するだけの論理的な展開力を持たないということで、私は、高木さんはこの地位にあることはむしろふさわしくない、こう思いますね。
 今までの指摘はどうですか。
竹中国務大臣 既に御答弁させていただいたことも多いかと思いますが、まず、行政に期待を抱かせた云々というのは、これはそういうことは言っていないのではないか。それは保険契約者の間違いではないだろうかというふうに高木さん本人は言っておられる。それと、裁量権に関しましても、我々は行政訴訟のリスクを負っているわけで、自由にできるものではないということも高木長官は言っておられる。
 全体を通して言うならば、先方の森副社長も、これは全体として議論をしたという、法律論をしたという状況なのであって、議論のような状況、ディベートのような状況なのであって、そうした意味での処分をちらつかせて、相手の任意にゆだねないようなそういう議論では全くなかったと先方も繰り返しおっしゃっておられます。
 公益の問題そのものについては、これは幅があります。一概に申し上げることはできないんでありますが、我々としては、先ほど申し上げましたように、そこの明確化には努めなければいけないというふうに思っておりますので、そのルール化、事例の積み重ね、そういう点に関しては、金融庁全体としてぜひ努力をしていきたいと思っております。
五十嵐委員 議論の発端がそういうことじゃないじゃないですか。おどし半分に言われたけれども、本気でやるようなことを言っているじゃないですかというところから始まっているんですから、議論の発端そのものが、そんな穏やかな話ではなくて、相当きついやりとりになっているじゃありませんか。これは常識的に考えてみればわかる話なんですよ。幾ら口のうまい竹中さんと、うそのうまい高木さんが言ったって、この記録を見たらみんな素直にはそうとらないですよ。
 そのことを申し上げて、ぜひ次回、高木長官をここへ参考人として呼んでいただきたいということを強く求めまして、終わります。
小坂委員長 次に、佐藤観樹君。
佐藤(観)委員 私は、きょうは、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、六月の二十六日に経済財政諮問会議で決まったものについて、特に俗に言う三位一体の問題につきまして、極めて重要な問題でございますので、財務大臣、そして竹中さんは経済財政諮問会議の座長になっているのでしょうか、そういう立場で、極めて重要な地方分権に関係する問題でございますので、その点についてのみじっくりと聞かせていただきたいと思います。
 そもそも、これは私たちが社会党の時代からも言ってきたことでありますが、もう少し地方自治体に自主権なり、あるいは国からのお仕着せの財政的な援助というのじゃなくて、もっと地方自治体がやりやすい方向、やりやすい制度に国と地方のあり方を変えるべきではないかということは、かねてから言ってきたことであります。小泉内閣になってからは、その方向性を特に打ち出し、その点については、打ち出したこと自体は、私は賛成であります。その方向性はいいけれども、最後にじっくり聞きますが、問題はこれが実行できるかどうか。
 後で触れますように、金額だけのことからいえば三年間に四兆円を国から地方に移す、そういうことが本当にできるかどうかということが、今度のいわゆる三位一体論と言われるものの第三弾が出たことが、実は、第一弾はかなり意欲的だったけれども、二弾目になると大分薄くなって、第三弾目は、骨太の方針と言うけれどもどこにも骨がないのではないか、骨なしではないかというふうに新聞にあるいはマスコミにやゆされるようなことなのかどうなのか、この点を逐一聞いていきたいのであります。
 特に、とりあえず今は、予算編成権を持っております財務大臣の役割というのは大変大きいと思います。そしてまた、竹中大臣の指導性というのも大変責任も大きいと思います。
 そこでお伺いしたいんでありますが、まず、この第三弾が具体性が極めて薄い。例えば三年間に四兆円といっても、どういうふうにやっていくのか、どういう基本税を移していくのか、国庫補助金、負担金というものをどういう形でどこの部分を減らしていくのかということについては、減らすということが書いてあるだけであって、減らしていこう、そして地方になるべくそれを移していこうということだけは書いてあるけれども、どういうやり方でやっていこうかということについては具体的なものがさっぱり見えない。
 そこで、今度の第三弾というのは骨太どころか骨なしだというふうに評価されているわけでありますが、本人たちにとってみれば一生懸命やったのにそれどころではないというふうに思われると思いますが、どちらからでも結構でございます。塩川大臣なり竹中大臣なり、総論として、まず国と地方のあり方というのは、そもそもこの三位一体論というのは、なるべく地方自治体が縛られずに、国がやるべきことは国がやる、地方でできることは地方でやるという方針ということであり、またその評価についてどういうふうに考えておられるか、その二点について、まず冒頭お伺いしたいと思います。
塩川国務大臣 私は、三位一体論、よく質問していただいたと思って喜んでおるんです。
 今までこれだけの問題が、なかなか国会で議論が本当にされていなかったということを私もどうかなと思うておったんですが、きょうこの問題をとっくりと質問していただくので私たちも準備をしてまいりました。
 そこで、まず冒頭に申し上げたいと思いますことは、おっしゃるように、政治的な問題としては、分権を進めて財源も移していこうという基本的な問題はこれでできたんです。あとは、行政的にどう分権していくかということと財源を移していくか、そういう技術的な問題がこれからの重要な中身になってくるわけでございます。
 その中で一番問題は、本当に中央集権の中で持っておる、分権として移譲していかなければならないものがどれだけのものかということの算定が難しかった。そこで、分権推進委員会の方で、とりあえず十一事業について先行してやってみられたらどうでしょうかということが示されてまいりました。それが金額の面に直しますと四兆足らずでございますが、三兆六千数百億円ということになってきて、まずこれだけのものをやってみようというのが一つの考え方なんです。これを三年間でやってみよう。その三年間の仕組みはもうできておるのかといったらまだできていない、そこが問題ですけれども、これだけを三年間でやろう。
 その後、公共事業の方もありますし、それから社会福祉事業の関係もあります。そういったものを全部絡めて、第二次、第三次分権推進問題というのが起こってくると思っておりますけれども、とりあえずその四兆の分についてやろうということでございまして、その中身につきましては、また御質問に応じて答えていきたいと思っております。
竹中国務大臣 今、塩川大臣の御答弁のとおりであると思います。
 一点、一部の報道が、骨太ではなくて骨なしだというような、やゆする表現がありましたが、今回の三位一体に関しては、私の知る限り、地方の首長さん、皆さん、よくここまで決めてくれたという御評価を間違いなくいただいていると私は思います。
 これはまさに骨太でありますから、枠組みを決めたわけで、その中身をこれから予算編成に向けてやっていくという段階であります。具体策がないという御批判はあるようでありますが、これはまさに骨太の枠組みを決めたというのが現状でありますので、この枠組みを大事にして、枠組みを決めることがまず大変大きな第一の関門でありましたから、ここを総理のリーダーシップで枠組みを決めましたので、後、本当にしっかりと制度設計をしていく、それを予算編成に向けてやっていくというのが今の段階ではないかというふうに思っております。
佐藤(観)委員 一つは、塩川大臣言われましたように、質問していただいてまことに喜んでいるという御表現がありましたが、いわば、財源的には財務省は出し手であります。したがって、財務省からの予算が各自治体に行くわけでありますから、あるいは旧自治省と言った方がいいんでしょうか、その方がはっきりわかりやすいと思いますが、出し手ということで、古い話でありますが、塩川さんも助役をやられたことがある、地方自治体をよくわかっていらっしゃいますので、その意味では大変前進だと思うのであります。
 それと、今竹中さんが言われている中で、地方の首長は大変評価しているといいますけれども、今の五十嵐さんとの論争じゃないけれども、いいことだけしかあなたの耳に入っていないので、一体これは食い逃げではないかと。負担金なり補助金というものを減らすのは減らすけれども、やる仕事だけは地方自治体に残すんじゃないか、きょうその質問をしますが、残していくんじゃないかということで、食い逃げされてしまうんじゃないかということを大変心配しております。したがって、もしあなたのところにそういう評価が入っているとすれば、それはあなたにはいい声しか入らないのであって、よくその点は考えていただきたいと思います。
 それから、もう一つ言っておかなきゃいかぬのは、地方の自主性を高めると同時に、国なり地方なりの総体としての財政再建と申しましょうか、このこと自体もあわせてこの改革の中にやっていなきゃいかぬし、小泉総理が言うように、地方でやれることは地方でやる、国がやるべきことは国がやる。極端な話、国は外交と防衛と度量衡とか裁判とか、いろいろありますけれども、基本的には、我々の身の回りの問題は地方自治体に移していこう、そういう国の成り立ちそのものを変えていこうという極めて重大な要素が入っているということも、私も含めて申し上げておきたいと思うのであります。
 そこで、地方自治体から見れば、補助金、負担金その他いろいろ国から来ますが、どうしても使い勝手が悪い。地方自治体の裁量権がない、そして仕事は三対五、その差額は地方交付税ほかで来るわけでありますけれども、地方から見ると、メニューというものを国が非常に固定的に考えているというところに問題があると思うんであります。
 最近、特に言われましたけれども、どこの過疎的なところでもどうしても二車線要るのかねと。一車線にどこか退避するところをつくればそれで十分じゃないかということを言われて、国土交通省の方も今度の十五年度の中には、俗に言う一・五道路と言われるような、そういうものをつくるようになってきたわけであります。
 ただ、問題は、それでもなお、選択権なり箇所づけというのは国土交通省が持っているんですね。地方自治体が望むのは、そういうものはひとつ地方自治体の方で選ばせてくださいよと。道路がいいのか、福祉がいいのか、橋がいいのか、こういうことは、後からどこをどう削るか少しお伺いしますが、一括補助金として、その選択権というのは地方自治体にやらせてくださいよと。
 何も国土交通省が、一・五の道路をつくるように、今度、これは道路構造令の運用の改正なんですね。したがって、一・五道路でも補助金なりを出すことになっていますけれども、この問題の本質はそういう問題じゃないと思うんですね。
 そういう、一番詳しい地方自治体の首長が、しかも財政的に道路がいいのか、道路をどうしても二車線つくらなきゃいかぬのか、それを一・五でいいのか、福祉の方がその地方自治体には大事なのか、あるいは港湾が大事なのか、ところによっては農業が大事なところもあるでしょう。その選択権を一括交付金としてください、渡しなさいということが大事なのであって、国土交通省が一・五の道路でもいいですよと構造令を改正することがこの問題の解決ではない、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。
    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕
塩川国務大臣 今、佐藤さんのお話ございました。まさに、どんずばりの話が実はございまして、それは、つい一カ月前でございましたけれども、長野県の知事が来ましたときに、田舎の道路というものを一回見直してくれ、田舎の河川の修繕というものを見直してくれということを言いましたので、私のところの香川という主計官が、先日、泊まり込みで現地へ二、三カ所行ってまいりました。
 そうしましたら、長野県の一番山奥の方に栄村というのがある。今まさにおっしゃった問題がありまして、田舎の中の道路で、四メートルないと道路対象にならないから、補助金が出ない、こう言うのです。村は三メートルでいいわけなんです。何で三メートルかといったら、除雪をするのにこれが一番効率的で、そんなに高速で道路を行き交う車がないんだから、それをやっているんだけれども補助金対象にならない。だったら、地方道路整備臨時交付金の中から、一般財源というか、あるいは交付金でもいいから分けてくれた方が我々は使いやすい、こういうことを言っていまして、私は、そういうことを実際に積み重ねてみて、これから主務官庁と主計局の間で個々の話として煮詰めていかせたいと思っております。
 施設等につきましてもそういう問題がありまして、必置義務等につきまして、田舎の方へ行きましたら、そんなことは必要ないものが無理やり上から押しつけられてきておって、かなりそれが財源のむだになっておるということがございますので、十分に実態に合うた対策をとりたいと思っております。
    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕
佐藤(観)委員 私は、塩川大臣の答弁は、半分はよくわかっていらっしゃると思うんです。私が申し上げたいのは、主計官ではなくて、そういうものは全部、もう少し含めて、一括補助金にして地方に移すべきではないか。これが、いわゆる自主権の回復なり改革なり、本来あるべき姿なのではないか。塩川さんの半分まではいいんですが。
 竹中さん、これからさらに細かく聞いていきますが、今申しましたようなことは、結局は、国土交通省に申請をして、そして箇所づけをもらってやる話で、やっと一・五の車線のものができる。除雪の雪のあれになると一・五でいいかどうかは別にいたしまして。
 問題は、繰り返しになりますが、そこのところは、今は塩川大臣は道のことを言われたけれども、むしろ、高齢化して福祉の方が重要なのかもしれない。あるいは橋をかけなきゃいかぬ、そうしたら、もっと住民の方が便利になるかもしれない。そういう選択というのは、地方自治体に移していくことによって、本来のあるべき地方自治体というものになっていくんじゃないだろうか。一括補助金にそういうものをしていくこと自体が重要な改革なんじゃないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、例えば補助金、助成金、非常に細かく区切って縛らないで、それも含めて一括化して、プールして、使い道を自由に任せることによって地方の自主的な意思決定ができるはずだと。考え方は非常に理解できると思います。したがって、補助金をできるだけ区切らないで一括化するというような議論は、確かに諮問会議の中でも意見としては出てまいります。
 ただ、三位一体の改革でぜひ強調させていただきたいのは、三位一体は、みずからが支出を決定する。同時に、みずからが課税して自分で使える財源を持つということが重要ですから、一括交付金というのは、その意味では、これは下手をすると第二交付金のようなことになってしまわないかという懸念はあるのだと思います。
 その意味では、究極的には、これはやはり三位一体を目指す必要があって、しかし、一括化してできるだけ自由を与えるというような精神は、今後の制度設計の中で、さらには税源移譲できるまで、まとまらないとなかなか税源移譲できないかもしれませんから、その過程では、御指摘のようなさまざまな工夫が必要になってくるのではないかと私は思います。
佐藤(観)委員 課税自主権の問題は、後で別の角度でちょっと触れさせていただきます。
 そこで、いわゆる三位一体論の部分を読んでみますと、本来、予算でいくと、補助金、負担金、交付金、補給金、助成金、委託費というのが予算上の問題ですね。ところが、この三位一体論の中に出てくるものは国庫補助負担金、こういうことで書いてあるわけです。
 これは、私が主計局に聞いたところ、正確な意味での、本当の意味での予算上の言葉ではなくて、今申しましたそのほかの交付金、補給金、助成金、委託費まで含めた、いわゆる国から地方に仕事をやるためのお金であるという、まさに幅広の言葉である、こういうふうにお聞きしたんです。細かいことを言って恐縮ですが、それを確認していかないと、その他はどうなるんだという話になりますから、ちょっとそれを確認しておきます。そういうことでよろしゅうございますね。
塩川国務大臣 そういう国と地方とのかかわり合いで出すお金全般を我々は対象としておりまして、交付金、あるいは補助金とか負担金とか、何もそういう名目にこだわることはないと思っております。
佐藤(観)委員 それを前提にして、具体的にちょっとお伺いしたいのでありますけれども、国庫補助負担金というのはたくさんあるわけでありますけれども、地方自治体が一番欲しがるという言い方がいいかどうかわかりませんが、必要とするお金というのは、一番大きいものは、何といっても社会保障に関係するもの、文教、科学に関係するものが一番多い。なるがゆえに、今まででも大体そういう格好で、四分の三以上が地方自治体向けに出ているわけですね。
 そうすると、例えば在宅福祉事業補助金というのが市町村に出ている、あるいは県に対しましては介護保険事業補助金というのが出ている。こういうものを、義務的経費は一〇〇%、それから奨励的というんでしょうか、そういうものについては八割地方に渡すんだということがこれには書いてありますね。
 それで問題なのは、義務的経費というのはどういうものをどこまで言うんだろうか。これはまさに塩川さんが言うように、ちょっと技術的なことになりますけれども、義務的経費、言葉は使ってありますよ、旧自治省のいろいろな文書にも出ていますけれども、このことは総務大臣とも、合意を見たからこれは書いてあるんだと思うんですが、合意を見たわけですが、義務的経費というのはどういう範囲までを言っておるんでしょうか。
谷口副大臣 今佐藤先生おっしゃったように、この基本方針二〇〇三では、廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で、義務的な事業、こういうふうに言っているわけですけれども、これは徹底的な効率化を図った上で全額を移譲するということになっております。義務的な事業につきましては、その廃止また縮減に当たりましては、根拠となる法律がございますから、このような法律の改正を行うということが必要でございます。
 このような内容を踏まえまして、個別事業でこれを判断していくということになるわけでございます。
佐藤(観)委員 法律の改正が必要だというのはよくわからない。法律で決められた補助金というのは当然あるし、予算措置をしているものもあります。
 ちょっと林局長にお伺いしますが、旧自治省内で扱うところの義務的補助金というのは、いわゆる長い慣例で一定の概念が、さっき申しましたような社会福祉関係あるいは介護保険関係についてはどこまでが義務的でどこまでが奨励的だというのは決まっておるんじゃないでしょうか。
 今副大臣から言われるように、法律改正して何とかというと、だんだんやっているうちに塩川財務大臣みたいにほっそりしちゃって、結局ほとんどないというようなことになったのではいかぬで、三年間でほぼ四兆円程度いくということなんですから、やはりある程度、従来の概念規定で義務的というのはどういうものへいくんだろうか。
 私は、概念としてはそのとおりだと思うんです。義務的なものは何も国がやらなくても、全部地方自治体に移してやるべき性格のものだと思うんですが、そもそも義務的経費というのはどういうものを言うのか。それは、いろいろな助成金、補助金その他たくさんありますから、物によって随分違うと思うんだけれども、やはり何か概念がないと、うまいこと財務省に言われて、だんだん少なくなってしまうんじゃないかというふうに思うんでありますが、それは必ずしも塩川さんでなくても、主計官が大体うまいこといろいろ考えて、だんだん少なくなっていくというのが大体私の経験ですから、そこのところは林さん、どうですか。
林政府参考人 義務的な事業につきまして、公定的な解釈を私ども持っているわけではありませんが、一般的に、私どもが義務的な事業と申します場合は、法令により地方団体が事業の実施に必要な経費を支出することが義務づけられているものでありまして、支出の必要性や額等につきまして地方団体が自主的に決定することが困難なものをいう、こういうふうに理解いたしております。
佐藤(観)委員 そこで、副大臣にお伺いしたいんですが、よく精査をして法律を改正してするというのはどういうことですか、法律を改正してというのは。
 僕も大体概念的には林局長が言うことでわかるんですけれども、法律を改正してするというのが出てくるから、それで私はあれっと思ったのでありますが、どういうことですか。
谷口副大臣 今、林さんがお答えになったわけでありますけれども、まさに法律によって決められているものでございますので、法律の改正が必要だ、こういうことを申し上げたわけでございます。
佐藤(観)委員 地方自治体に交付するに当たって法律改正が必要だということであって、法律の中身、まさに林局長が言われたように、法律によって義務づけられている、つまり、地方自治体ではその金額は、一言で言えばいじれない、そういうものを交付するために、これだけの金額を交付するんだけれども、法律の部分を抜き書きをして、それを地方自治体に移す、交付するにはそういう法律手続が要る、こういう意味ですか。
塩川国務大臣 今、林さんが言っているし、谷口副大臣が言っておりますのは、法律で国が負担しなきゃならないことを決められておるということでございまして、それじゃ、その国と地方との負担の率をどうするかという問題について、一つは法律に書いてあるものもあります。法律でなくて、ただ、そういう国が負担しなければならないという義務があって、その義務に基づいて政令で決めるものもあります。政令で決めるだけではなくて、さらに省令でも決める。省令というのは、主務官庁と財政当局との間で予算の折衝の中で決めて、それを政令にするということもある。それから、予算総則の中にうたって固定化しておるということもありますし、多様性があると私は見ておるんです。
 ですけれども、それなら何で国がそれだけの負担をしなきゃならないのかというと、根本となります根拠法に、国は負担をしなければならない、応分の負担をしなければならないとか、いろいろな方法、あるいは何%、三分の一補助せいというようなことが書いてある場合、そういうことがあるということで、だから、法的な処理ということになっておりまして、一方、予算上だけでやっておる政策的補助金、負担金というのもございますので、そこらを区別して言っておるということであります。
佐藤(観)委員 そうしますと、今、法律で義務的に国が出さなければならないと決められている、法律で書いてあるものは、そのまま法律として生き、今大臣が言われたように、政令、省令等々で出す、あるいは、全く別の概念で予算補助がありますよね。法律補助じゃなくて予算補助で出しているものについてはちょっと別枠にして、いずれにしろ、何分の一出さなきゃいかぬという、法律で書いてあるものはそのまま国から地方に移管をする、そのほか、政令、省令等のものは精査をして移管をする、こういうふうに理解していいんですか。
塩川国務大臣 法律で書いてあるものではありますけれども、それの行政的事務あるいは行政的事業として見ました場合に、その単価が、あるいは事業のスケールがそれでいいかどうかということはやはり厳しく査定する必要がある。これは税金を使うんですから、できるだけ合理的な、合法的な経費に直さなければならぬ。節約して、見直して、その結果として、どうしてもこれだけのものは必要であるというならば、その分については国が全額負担していこうということでございまして、まず、国が負担しなければならない事業の事業量の問題、もっと言えばミニマムの問題もあるかもしれませんけれども、そういうようなものを含めて、この際に事業量をもう一度きちっと査定するということが大事。
 そのことについて、私は、二割ぐらいはこの際に節約してもらえぬだろうか、そして、その結果として事業量が決定したら、その分は全額国の負担として対処していこうということを言っておるのでございまして、誤解のないように願いたいと思います。
佐藤(観)委員 いや、誤解をしているつもりはないのですけれども、聞けば聞くほどよくわからなくなってくる説明で。
 例えば介護保険事業費補助金、これは十億円しか出ていない国庫補助負担金でありますけれども、ちょっと法律見てきていないんですが、このうち、国が出さなきゃいかぬもの、それから予算補助になっているもの、あるいは政令、省令で決めてあるもの等々ありますね。そのうち、この例がよかったかどうかわかりませんが、例えば在宅福祉事業費補助金というようなものは市町村に五十億出すとなっているわけです。
 これは、予算補助か法律補助かにいたしましても、いずれにしろ、義務的経費というのは、従来、財務省と総務省、つまり旧自治省とで話をしてきた、そういう慣例によるところの、法律に書いてあるところの金額をそのまま総務省の方に移管をする。もちろん、幾らか、ある意味では縮減するにいたしましても、「精査」と書いてあるわけですから、よく精査をするにいたしましても、法律で書いてあるものについては、そのまま総務省の方に移管をする。それから、奨励的な補助金については、よく精査をして、総務省におおむね八割移管をする、こういうふうに理解をしているのですが、違うんでしょうか。
塩川国務大臣 それは、例えば補助率が法律に書いてあるものでございましても、その法律の補助率をさわれと私は言っていないんです。
 それよりも、法律に基づいてやっております行政事務なり行政事業というものが、それのコストが本当にそれだけなのか。今、最初におっしゃいました介護保険がありますね。介護保険の中の各サービスが、本当にこれが社会的通念として妥当なコストであるのかどうかということを見直してもらいたいということを言っておる。そして、そのコストに合ったものを、私たちはそれを対象にするということでございますので、何も補助率を削減することを見直すということ、直にそういうことだけをやろうというものではないということなんです。
佐藤(観)委員 非常に重要な点で、冒頭言いましたように、竹中さんが各首長、評価していると言われるけれども、この辺がはっきりしないものですから、削るだけ削られて、残るところは塩川さんみたいにほっそりしかくれない、出さないというようなことではいかぬので、実は、本当はもう少し詰めなきゃいかぬのですが、まだちょっと先があるものですから、そこにいたしまして。
 その次に、移管する財源移譲の問題であります。
 これは基幹税が望ましいと言いますけれども、これはちょっと塩川大臣に聞くのも失礼なんですが、基幹税と言っている場合には、国でいえばどこまでを基幹税と言うんでしょうか。ちょっと塩川大臣に聞くのも失礼だから、林さん、ちょっと、副大臣でもいいです。基幹税という言葉、例えば、地方税の基幹税というのは何を言い、それから国の基幹税というのは、国でいえば、所得税、法人税、あるいは――酒税、たばこ税は入らぬと思う。そこのところはどういうふうになっていますか。
塩川国務大臣 基幹税というのは地方交付税のときにはやってきた言葉でして、地方交付税は、以前は、佐藤さんなんか当選したときだから、三つだったでしょう。これが基幹税、基幹税と言っていたんです。国の財政の基幹となるものは、やはり所得税、法人税を中心とした直接税ですね、大体。それと、酒、たばこが入っておった、こういうことですけれども、これは法律的にどうという言葉じゃございません。
佐藤(観)委員 金額からいって、ここで言うところの基幹税というのは、やはり所得税、それから消費税を言っているんだと。酒税といっても、約一兆七千、たばこ税はもう少し少ない。
 そういうことからいいますと、交付税の三税は知っていますけれども、それが五税になっているのは知っていますが、なぜこのことを聞くかというと、塩川さんが、たばこ税ならどうだということも言われた。たばこ税は、確かに、自分の町でたばこを買いましょうといって、自分の町でたばこを買った方がたばこ税があるんですね。今は、地方自治体、法人税が非常に悪いものですから、法人税三億に対してたばこ税三億収入だという、あるいは、逆にたばこ税の方が多い地方自治体もあるくらいですよね。
 しかし、ここで言う基幹税というのは、私も、各県別に、あるいは業種別に、営業所得、農業所得、その他の所得、サラリーマン等、各自治体、あるいは税務署ごとにどのぐらい上がっているかというのを調べてみて、あるいは歴年的に、あるいは地域的に一人当たりの金額がどのぐらいになるかということも調べてみたのでありますが、移譲する以上、安定的に、余り変動のないものが好ましいというふうにこれに書いてあります。私もそう思うが、そうすると、やはり所得税と消費税が一番わかりやすいんじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
塩川国務大臣 基幹税と言いましたのは、これは実は、総務省の方から、それと同時に知事会なんかが、同じ譲るんだったら基幹税を移譲してくれということを言ってきたので、ああ、そうか、おまえらがそっちの方が欲しい、基幹税でそれが欲しいんやったらそうしようやないかと言っているのであって、私は、今考えておるのは、地方税として受け入れやすい、地方が一番適合しておる、受けやすいという部分であれば、そちらの税金にしてあげたらいいんじゃないか、こう思っておるんです。何も、こんな税目で争う必要は何にもないです。
 それよりも、地方自治体がどのように受け入れるのかということが大事なんです。例えば、所得税、法人税を国の方で二兆円削れと。削りもしましょう。そうしたら、その部分を地方税で受ける場合、それを地方はどうして受けるのか、これがまず、受け方が大事ですよ。ここがまだ全然議論されていない。だから、これはきちっと真剣に議論して、私たち地方はこのような形態で受けますから、国税のこの分を移譲してください、これをやはり話をすべきだと思うんです。
 もう一つは、先ほど、個々の、一人当たりの納税額をお調べになったと。物すごく違うでしょう。そうすると、消費税というものも考えられぬこともないと私も思ったんですけれども、消費税をとってみましたら、いわば農村地帯的な地方と、東京、大阪というようなところは全然違ってくるんですね。消費税の大部分というものが、東京、大阪、名古屋という都市だけで納められておる場合が多い。そうしますと、消費税が本当に公平に地方財政を潤すんだろうかということも、ここも問題だと思うんです。
 ですから、そういう問題がありますことと、それから、地方交付税の問題も、それをいわば過疎地帯の府県の自治体に対してはどのようにして残していくのかということと、これと税の移譲とは物すごく関係があると思いますので、そういうのを総合的にやっていって、そこらは非常に技術的な問題なんで、私たちは、政治的にはそういう方向へ持っていこうとしますけれども、中身については、技術的な問題として、早急に役所の方同士で交渉して煮詰めていかせたい、こう思っております。
佐藤(観)委員 徴税権の問題、課税権の問題がありましたけれども、私が今消費税と言っているのは、地方消費税のように、私もそれをあれするまで中でタッチしました。それで、いろいろな議論があって、出荷の問題から何からいろいろ議論があって、結局、今、五%のうちの一%を地方自治体に出しているわけですね。それをただ二%にするだけでいいのではないか、もっと本当は考えれば、課税権、徴税権の問題とどうリンクさせるかとかなんとかあると思いますけれども。
 そのあたりで、地方自治体が受け入れやすいもの、それでええじゃないかと塩川大臣が言われたので、それでは、ここで言うところの基幹税というのは、塩川大臣はこれから調整するんでしょうからあれですが、基幹税というのは、所得税と消費税……(塩川国務大臣「法人税」と呼ぶ)法人税を僕は言っていないんです。所得税と消費税だというふうに私は理解をしますが、今度、受ける側の旧自治省側はどういうふうに考えているんですか。
林政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、基幹税とは何を指すのかという点についてでありますが、私ども、基幹税とは、一般的には、税源が普遍的に存在し、国や地方の税収におきまして中核的な役割を果たしている税、こういうふうに考えておりまして、そういう観点からすると、一般的には、個人所得課税、法人所得課税、消費課税等が挙げられると思っております。
 ただ、今回の三位一体の改革におきましては、地方税財政基盤を安定化し、自主的な財政運営が可能となるような方向に向けて地方税の充実を図ろう、こういう趣旨でございますので、今回閣議決定をされました基本方針二〇〇三の中におきましても、今後、地方税の充実に当たりましては、「基幹税の充実を基本に、税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系を構築する。」というふうに書かれているわけであります。
 なお、地方団体におきましては、この税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系を構築するための基幹税といたしましては、個人所得課税とあわせて、消費課税について要望がなされているところであります。
佐藤(観)委員 それからもう一つ、課税権の問題を申し上げておきたいんですが、例えば、一番近くは山梨県とどこかでしたか、産廃税をつくるということでおおむね賛成だというようなことが出ていましたが、それは別といたしまして、何か地方自治体が新しい財源を見つけて努力をすることは非常に重要だと私も思っています。
 ただ、今の交付税のあり方、つまり、基準財政需要額から基準財政支出額、逆の場合もありますけれども、それを引くというこの交付税の基本をこのままにしておくと、新しい税を課せば、基準財政収入額が多いんだから、交付税を減らされる。そんな、自分で努力しても交付税を減らされるというんだったら課税権を発揮しなくてもいいやということに、これも問題なんです。
 そこで、いみじくも竹中大臣が言われた課税自主権の問題の中で、このことを一つ銘記しておいてもらいたい、後の交付税と一緒に聞きますけれども。自分のところで努力したら、交付税にはさわらず、自分たちの収入になるというふうにしないと、自分たちで課税をしようという気にはだれでもなりませんね。ですから、自分のところで新しい税をつくって新しいものをやる、それは基準財政収入額に入れない。努力をすればその分だけ収入がふえるというふうにしていかないと、それを収入に入れたら、その分だけ交付税が減らされるというような今の制度では、課税自主権というのは全然出てこないので。
 塩川大臣、何かありますか。
塩川国務大臣 佐藤さんの話を聞いていますと、まさにポピュリズムの世の中なんですね。これでは地方の自主独立ということは果たせないと思うんです。
 私たちは地方交付税を全面的に否定していません。必要であるということはよくわかっています。その機能はあるんですけれども、現在の状況を見ますと、市町村は専ら地方交付税に頼り切ってしまって、そこを自立してもらうために地方交付税のあり方というものを変えていかなきゃならぬ。それにはやはり自主財源の確保ということを真剣に考えてもらわないかぬので、そのために課税自主権の確立ということを竹中大臣が言っておるわけですから、そこは、何も削るために課税自主権の確立をやっているんだという意味ではございませんで、趣旨はひとつ間違えないようにしていただきたい。
佐藤(観)委員 私の質問の趣旨もよく間違えないように聞いてもらいたいんですよ。
 だって、交付税を幾らと計算する今のシステムからいって、新しい財源をつくれば基準財政収入額に入るわけですから、需要額との差で、新しいものをつくったらその分だけ交付税を減らされるんだったらやらないですよと。それから、大臣が冒頭に言われたように、交付税に頼らないようにする、そのために税源移譲をどうするか、もう一つ聞きますけれども。今のように、新しいものを見つけても、いや、あなたのところは新しい財源ができたから、今度その分だけ交付税が減らされると。そういうシステムになっているでしょう。だから余りやらない。ちょっと林さん、答えてください。
林政府参考人 失礼します。交付税の制度についての御議論でございますので、ちょっと私の方から補足をさせていただきます。
 課税自主権は、確かに地方税の充実確保を図る上で重要な課題でありますが、今御議論されましたいわゆる標準税率を超える部分、あるいは地方団体が法定外の普通税を起こす場合は、現在の交付税制度上、基準財政収入額には算入しないことにいたしております。
佐藤(観)委員 それでは私の錯覚ですので、それはそういうことで結構です。
 それで、一番問題の税源移譲、本三位一体論は、私は塩川さんを高く評価しているのは、どこからこの三位一体の突破口をつくっていくかといえば、税源移譲をするということから突破しないと、これはもちろん補助金、助成金等を、削減を通じて地方に移譲することも大事だけれども、何せそれだけではなくて、地方に自主権を持ってもらうには税源移譲ということをしなきゃならない。そうすると、税源移譲は二つ種類があるんだと私は思うんです。
 一つは、補助金、交付金等の国でやっていた分をそのまま、もちろんいろいろ整理することがあっても、国が支出していた分を地方自治体に移す分と、それから、基本方針二〇〇三では地方税に入れなさいというふうに書いてありますから、そういう税源移譲もあるわけですね。地方税に入れれば当然のことながら交付税は減ります。そういう交付税を改革していこうということにもつながるわけで、そういう意味では、私はこの税源移譲を、思い切った、三年間でほぼ四兆円、そこを突破口にしていこうということについてはそのとおりだと思うのであります。
 そこで、税源移譲についてお伺いしておきます。
 これには、地方財政上十七兆円足りないと書いてある、おたくの方で書いてある。とりあえず三年間で四兆円程度移そうということになっているわけでありますが、三年間で四兆円やるには、まずとりあえず概算要求あり、ことしの予算があります。選挙がどうなるかわかりませんが、あります。平均して一兆幾ら、平成十六年度では税源移譲をその二つの形、つまり、整理縮小、国庫の助成金等々で減らしてその分だけ地方に移す分と、それから、地方税に入れなさいということでありますから、その分だけ交付税が減るということになってまいりますが、いずれにしろ、三年間でほぼ四兆円、十七兆地方財政足りませんよと書いてある。一年間に一兆三、四千億やらなきゃいかぬ。十七兆やろうと思えば、十何年続けてもそれだけやらなきゃいかぬことになりますね。これはゆっくり過ぎるんじゃないかと思うんです。
 冒頭の大臣のお答えの中に、とりあえず三年間で四兆円程度やってみて、その先はまた考えるんだというお話があったんですけれども、そういうことなんですか。その手法を使って、今事業量が三対五になっているものを、五が地方でありますが、それを正常な形にしていくためには十七兆を国から地方に移せ、こういうことなんじゃないかというふうに私は理解したんですが、そういうことじゃないんですか。三年間で四兆円やるだけ、これも大変ですからまた聞きますが、そういうことじゃないんですか。
塩川国務大臣 十七兆円というのがどこからひとり歩きしてきているのかちょっと私はわからないんですが、私たちは、国と地方との関係で、金のやりとりがあります総額は約二十兆円なんです。そのうち、社会保障費等が約十一兆円ほどありまして、あと九兆円が公共事業といろいろな義務的経費ということになっておるわけでございます。ですから、国と地方とのあり方を全部直していこうとするならば、約二十兆円のスケールになってくるということなんです。十七兆円というのはそういう趣旨だろうと思っておりますが、ちょっと数字のとり方が違うなと思っております。
 うちの方で四兆円というのをとりましたのも、民主党の方では五兆五千億とっていますね。何かちょっととり方が違うなと思っておるんですけれども、これはお互いに議論のあるところだと思うんです。
 とりあえず四兆円に絞りまして対象にしておるんですが、その中で、こういうスケジュールができて、三年間ですけれども、まず、平成十六年度は、新しい児童育成の体制整備を三年間で充実していって、これを一般財源に渡す。この中身は何か。保育所の運営とか幼稚園対策費とか、あるいは施設の補助金、こういうようなものを三年度にわたって一般財源化への移行を果たしていくということはやります。
 それから、社会保障関係のサービス関係でございますが、これも三年かかって一般財源化していこうというスケジュール。
 それからもう一つ、義務教育の関係で、一般退職金の中の一般財源化していくものはやっていこうということがあります。
 それから、公共事業の中でも、先ほど申しました地方道路整備臨時交付金の運用、これは大体十六年度中に一般財源化にしていきたいという予定を持っておりまして、これを一般財源にするのか、あるいは交付金にするのかということは、これは主務官庁と相談しなきゃなりません。
 それから、農業委員会、農業関係の改良普及事業等は、これはスリム化を進め、そして必置規制の緩和等をひっくるめまして、大幅に減額をして、交付金として交付していくという予定であります。
 それから、交通安全対策特別交付金でございますが、これは、国の関与を縮減して、一括して交付金にかえていこうということ、これを十六年度にやろう、こういう予定を立てておりまして、これらが、先ほど言った、これから技術的に詰めなきゃならぬことであって、スケジュールだけのことでございますので、御了承いただきたい。
佐藤(観)委員 ちょっと申し上げておきますけれども、要するに、基本方針二〇〇三の二十ページの上から五行目に「地方財政においては、現在、約十七兆円を上回る財源不足が生じている。」云々、こう書いてあるので、いやいや、いいんですよ、二十兆円なら二十兆円でいいんですけれども、おたくのつくった文書にそう書いてあるから、私は十七兆円、十七兆円と言っているのであります。
 それからもう一つ。ちょっと塩川大臣、今、平成十六年度にはと、こう言われたんですが、次の予算からという意味ですね。
 細かい数字だから、別に、十七兆が二十兆地方に移管するなら、それはそれでいいんですけれども、しかし、全体像として、とりあえず三年間で四兆円ということが書いてあるので、その後はどういうふうに、その手法でずっとやっていくという意味で理解していいんですか。竹中さん。
竹中国務大臣 ちょっと時間があれかもしれませんが、十七兆円というのは、これはまさに地方の財源不足であります。ちょっと誤解があるといけませんが、三兆円の税源移譲、四兆円の税源移譲をしても、この三位一体の改革をやる限り、これとは別に十七兆円の財源不足というのは残ります。
 だから、これは我々は、当面四兆円を目標にして、補助金を削減して財源移譲をやりますが、この十七兆円の財源不足を解消するというのは、これはいろいろな要因から生じておりますけれども、それは別途解消の努力をしていかなければいけない、そこは少し今回の問題とは切り離してお考えをいただきたいと思います。
佐藤(観)委員 最後に、もう時間が来ましたから終えますけれども、いずれにしろ、今まで言われておったけれどもなかなかできなかったことを、塩川大臣のもとで、失礼ながらやれるかどうか。これはまさに内閣挙げての重要な課題、まさに私が冒頭言ったように、これはもう国のあり方、国を成り立っている地方自治体のあり方のトータルをどうするかという問題でありますから、極めて重要な問題でありますので、そういう意味では、竹中大臣、あなたのところの財政諮問会議でかなりこれは支えるというか、あるいはあなたが主導的役割を任ずるか、もっとも、あなたも大分風当たり強いから、そうなるかどうかわかりませんが、塩川大臣を支えて、このことが実現をさせていかないといかぬ。
 冒頭言ったように、各県知事なんかは、これは、結局は仕事だけは地方自治体に押しつけていく案ではないか、六月の初め出たものはそんなものでしたよね。そんなことでは、まさに骨太じゃなくて骨抜きになっちゃうから、それじゃだめなので、しっかりやってもらいたいということを申させていただき、何か一言あればいただいて、終わります。
塩川国務大臣 これは、国のあり方をまさに変える重要なことでございます。一生懸命やっていきたい。拙速に走ることなく、やはり地方も国も納得してやっていかないかぬと思います。そのように努力していきたいと思います。
佐藤(観)委員 終わります。
小坂委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 きょうは、最初に、やみ金対策について伺いたいと思います。
 大阪の八尾市、もともと中選挙区制時代の私の地元になるんですが、ここでの三人の方の心中という非常に痛ましい出来事が、やみ金対策法の成立を促すということになりました。遺書では、苦しみ抜いたあげく死を選びましたと書き残し、悪徳業者のために死ぬのは悔しいと訴えが残されました。
 八尾警察署の方で、五月の十日、十二日、二十日の三回相談を受けておられて、大阪府警本部では、六月五日、六日、九日、十一日の四回、大体朝から夕刻まで事情聴取もしてこられた。警察の方へは、地元八尾警察と大阪府警、合わせて七回相談し、接触してこられた。あらかじめレクのときにこの日付等伺ったんですが、それで、なぜ心中される事態を食いとめることにならなかったのか、やみ金業者のおどしでなぜ犠牲が出てしまうことになったのか、この点について、政府参考人の方に伺っておきたいと思います。
瀬川政府参考人 御指摘の事案でございますが、やみ金業者からの借金を苦にして、大阪府八尾市に居住される方から、五月中旬以降、大阪府警に相談があり、警察としては真摯に対応していたものでございます。
 警察といたしましては、特に、相談を踏まえまして、悪質な業者、四つの業者でありますが、これに対する警告を行い、また、御本人に対してもいろいろな助言等を行うなどの対応をとっていたところでございますが、こうした対応にもかかわらず、六月十四日の深夜、八尾市内の踏切において電車にはねられ自殺をされたという事態に至りました。警察としてもまことに残念なところでございます。
 亡くなられた方の相談に対しましては、本当に真摯に対応していたものと聞いておりますし、その業者に対するいろいろな捜査等の措置も継続中であったところであります。
 警察といたしましては、今後とも、やみ金融に対する一層強力な取り締まりを推進してまいりたいと考えておりますし、また、やみ金融の被害者の方がこういった大変追い詰められた心情にあるということを十分に配慮したきめ細かな対応を行っていくことが、こうした事案の防止に必要なことだと考えておるところでございます。
吉井委員 五月の二十日には、八尾警察の方へ兄弟で行かれたときに、その相談者が、取り立てが執拗で警察から電話してほしいと訴えられて、係長さんが業者に電話をした。相手の方は、この方が完済している、何かの間違いではないでしょうか、払い込む必要はありませんと答えたというのが先日いただいた説明でした。しかし、これはいつも業者の手口で、警察にはこういうふうに言っておいて、被害者の方には業者から頻繁に電話が入る状態が続いて、周辺までいろいろ嫌がらせその他がある。
 八尾警察の段階で解決しないで、六月に大阪府警にも行っておられるんですが、その段階では、被害者に業者の電話がとまらないことなどはずっと事情聴取しておられてわかっていたわけですね。だから、八尾が十分でなかったにしても、大阪府警本部の方で朝から晩までずっとお聞きになっていて、四回接触しておられて、なぜ心中に至ったのか、今のお話ではよくわからないですね。
 私は、なぜこれを言っているかといいますと、現行法でどれだけきちっと対応してきたかということが新しい法律をつくったときにどれだけ生きたものになるかということにつながるから、大阪府警本部の方で対策をとらないで心中に至ってしまったことをもう少しきちんと説明していただきたい。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 いろいろ警察に相談に来られたときに、警察としてもその段階で必要な助言等はしているものというふうに聞いております。
 今の業者への警告で、業者側が既に完済しているという説明をしたということでございますが、こういった内容も御本人によく伝えました。また、御本人の借り受けの状況等も事情を聞きました。もうこれ以上返済する必要はありませんよということも御本人に警察からもアドバイスをしております。請求があっても支払う必要はない、業者からまたいろいろな動きがあれば警察の方にぜひまた連絡をしてくださいということも申し上げているさなかのことでございました。
 警察としても真剣に対応してきたものと考えております。
吉井委員 八尾警察では目の前で電話をされたということですから、当然この方が完済したという話も皆聞いておられるんですが、それでもしつこくやってくるわけですね。だから、警察にはもういいんですと言いながら、被害者の方たちにはそれからも執拗にやるというのがやみ金業者の実態だということが非常によく出ているんですね。
 しかも、それが、八尾警察は五月二十日なんですが、その後の六月五日、六日、九日、十一日と、ずっと大阪府警の方も事情聴取ということで話を聞きながらですから、私は、今の話ではきちんと説明いただいたということにはならない、わからないと。
 こういうことは、被害者の方たちとも懇談したときに、松山市でも自殺をされた方がいらっしゃった例など、全国で本当に被害がたくさん出ているわけですね。
 そこで、今度政府参考人に伺っておきたいのは、検挙したやみ金業者数と、その中で、暴力団経営業者数、それから暴力団にみかじめ料を支払うなど暴力団と関与していた業者はそれぞれどれだけありますか。
瀬川政府参考人 平成十四年中におけるやみ金融事犯の検挙でございますが、二百三十八事件検挙しております。暴力団が関係している事件は七十八事件ございまして、全体の三三%を占めているというふうに見ております。
 重複計上でございますが、内容をちょっと分析いたしますと、暴力団がやみ金融を経営していたという事件が四十四事件、暴力団がやみ金融の業務に協力をしていたというものが十八事件、それから暴力団がやみ金融に資金提供していた事件が十事件ということでございます。
 ことしに入りましてからも、警視庁、福島県警など一都五県警察から成ります合同捜査本部を設置しておりまして、非常に典型的な事案でございますが、広域暴力団、五代目山口組五菱会幹部らが全国の多重債務者を対象に組織的に高金利貸し付けを行う、これはシステム金融と言われる大変悪質な手口でありますけれども、こういった事件を検挙しております。暴力団がやみ金融に非常に深くかかわっているというふうに私どもは見ております。
 先ほど申し上げた事例以外にも、逆に、やみ金融側がいわばみかじめ料として暴力団に金銭を払うという事件も、これも重複計上でございますが、明らかになっているだけで先ほどの七十八事件中十事件ございます。恐らく、これは明らかになっていないものも含めますと、暴力団に対するみかじめ料の支払いというようなことも相当数に上るのではないかというふうに見ているところでございます。
 やみ金融は暴力団の大きな資金源になっているということでございまして、私どもとしましては、やみ金融対策は暴力団の資金源対策という観点からも極めて重要な問題であると考えておりまして、関係部門が一体となって積極的な取り締まりを推進しているところでございます。
吉井委員 実際に相談件数全体が、金融庁それから警察庁などからいただいているのを見ても、苦情の訴えが昨年度で六万七千七百七十二件ですね。ところが、それだけ相談を受けながら、金融庁から捜査当局に通告したとか告発したというのはわずか三百八件と本当に少なくて、検挙事件が二百三十八件。
 だから、財務局や都道府県で六万七千七百七十二件も相談を、苦情を受けながら、実態は、金融庁にしても都道府県にしても、本当に捜査当局にも連絡してきちっと対応しようということもしていないし、さっきも出ておりましたが、二千五百社の刑事告発があっても検挙したり起訴に至っているのは非常に少ない。だから、こういう中でやみ金業者がのさばっているというのが実態だと思うんです。
 しかも、財務局の方の検査というのは、これだけ苦情が出ている事案でありながら、二千五百社の刑事告発もあったという話ですが、これはダブルカウント分があるにしても、昨年度で財務局の検査はわずか百八十四件ですね。それで、登録取り消しが一業者しかない。業務停止が四業者、三十八条取り消しに至ってはゼロ業者。だから、検査したけれどもほとんど何にもないというのがこういうやみ金業者がのさばる根底にあるというふうに私は思うんです。
 あわせて、警察の方の政府参考人に伺いますが、警察は相談を受けても民事不介入として動かないことが実は多いんですよ、今のお話では大分やってもらえそうな話なんですが。
 今のお話にありましたように、多くは相手が暴力団ですね。しかし、捕まえてみないとそれは暴力団かどうかわからないということがあるんですが、本来、現行法のもとでも、登録外業者と、登録しても法定外利息を取る業者は多くが暴力団にかかわっているわけですが、捕まえた後でないとわからないということがあるかもしれませんが、捕まえたら暴力団なら暴力団対策法をあわせて対処できるわけですね。暴力団でなければ現行法の無登録営業に対する刑罰、それから出資法で金銭貸し付けを行う者が二九・二%を超える金利でやっておればこれも刑罰。
 私たちが、あれは九一年だったと思うんですが、暴力団対策法を警察庁の方から提起されて、私も当時地方行政委員をやっておりましたが、暴対法を通しました。その暴対法九条六号には、利息制限法の利息を超える利息を要求し、債務者に粗野、乱暴な言動を交え、迷惑を覚えさせる方法で訪問しもしくは電話をかけ、履行を要求すること、これは暴力的要求行為の禁止なんですね、命令を出し、四十六条で罰則もついているんですね。
 だから、本当に徹底的に現行法でもやるという姿勢が私は非常に大事であると。これを本当にびしびしやればもっと効果が上がるはずなのに、現行法も十分活用されていないのではないか。登録業者か否かというのは、貸金業規制法の九条、登録簿の閲覧により直ちに調べられるわけですね。今では金融庁の照会システムでもわかる。
 昨年四月二十四日の内閣委員会で、佐々木憲昭議員の質問に黒澤生活安全局長は、法と証拠に基づいて罰則法令を適用する、罰則に抵触しない場合でも、指導、警告、適切な措置を講じるよう指導していくという御答弁がありました。しかし、現実にはやみ金への対処が甘かった。それが八尾の悲劇など全国で多くの被害を生んでいるのではないかと思うのです。どうですか。
小坂委員長 質問に適切に答弁してください。
近石政府参考人 暴力団が関与するやみ金融に対しては、彼らの資金源の封圧という観点からも、あらゆる刑罰法令を適用して違法事案の摘発に努めているところであります。
 また、やみ金融業者等からの債務者に対する不当な債権取り立て行為に対して、暴力団対策法第九条六号を根拠として、昨年は一年間で二十九件の中止命令を発出するなど、暴力団対策法の規定を活用して、不当な要求行為に対する規制も行ってきているところであります。今回の改正法案には、取り立て行為の規制に具体的な規定が盛り込まれるなど、所要の強化がなされるものと承知しております。
 警察といたしましては、今後とも、これらの刑罰法令の積極的な適用に加えて、引き続き暴力団対策法の規定も積極的に活用して、徹底した取り締まりと暴力団対策法による規制を一層強化していく所存であります。
吉井委員 今度、貸金業規制法の附則十一条で「検討」の規定が入りますね。現在、警察がやみ金被害者に対して敏速に対応していないということが国民の間でも問題になっているわけですが、しかし、警察庁は国会ではそれなりの答弁をしてきておられるわけです。だけれども、現場では、民事不介入と言ったり、借りたものは返すべきだということで、被害者が警察へ訴えに行っても、すぐに親切に対応していない事例が非常に多いというのが各地で報告され、そして、さきの八尾の方の場合も、心中される前に七回も警察へ行っておられるのですから、だから、この法案が成立したら、八月の施行日までにどのような点を附則十一条の「検討」に基づいて検討されるのか、伺っておきたいと思います。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 やみ金融の検挙事件について、二百三十八事件というのは非常に少ないのではないかというような御指摘もあったかと思いますが、この検挙事件数といいますのは、私どもの統計を開始して以来、最多の数でございます。また、昨年一年間に検挙した事件で分析をしてみますと、被害に遭った方が十二万人、貸し付け総額は百六十億円ということでございまして、一つの業者が大勢の方をターゲットにしているということで、かなり広範な範囲に及ぶ事案を検挙しているものということで、警察としても精いっぱい取り組んでいるという状況にあることを御理解いただきたいと思います。
 改正法附則十一条でございますが、これで警察が関係する事項としては、私どもは二点あるのかというふうに見ております。
 一点目は、違法な貸金業を営む者に対する警察の取り締まりの強化という御指摘がございます。それから、違法な貸金業を営む者による被害の防止及び救済に関する相談等についての関係当局及び関係団体等の体制の強化及び充実、これも警察の施策と非常に深い関係があるものというふうに考えております。私どもといたしましては、今回の改正法案が成立したときには、これをしっかり踏まえた体制を構築していきたいと思います。
 一つは、集中取り締まり本部等を関係都道府県警察に設置して、しっかりとした取り締まり体制を整えるという問題。
 それから二つ目は、やみ金業者の貸し付けというのは県境を越えて行われているという実態がございます。したがいまして、各都道府県警察相互間の連携をしっかり図っていくということが必要だと思います。
 それから三つ目には、御質問にもありました、やはり各県の担当の捜査員が一つ一つの事例に的確に対応していくということが重要でございますので、会議あるいはいろいろな研修の場等を設けまして、しっかりとした教養をし、改正法の内容についても徹底をしてまいりたいと思います。
 それから、第一線の警察官が取り扱うということが非常に多いわけでございます。トラブル等の発生で緊急に一一〇番等で対応するというようなこともございます。そういった第一線に対してもしっかり教養をしてまいりたいと思います。
 それから最後に、やはり被害者対策の適切な推進ということが重要だと思います。先ほども御答弁申し上げましたように、被害に遭っている方の心情ということをしっかり私どもとしても理解をして、適切に対応するように、これも一線を指導してまいりたいと考えております。
吉井委員 ふえているというお話は、私も統計資料をいただいて見ていますが、しかし、全体からすると、それはやはり絶対数の面では少ない。だから、そこに、せっかく改正法をつくるんですから、現行法でも十分もっとやってもらいたいということがあるのですが、しかし、それをさらに改正法で皆さんも使いやすいようにするわけですから、幾ら法律が通ったって、警察と、それから金融庁の監督当局の方がきちんと取り組まなかったら法律というのは生きてきませんから、その点を私は強く求めておきたいというふうに思います。
 次に、貸金業規制法四十二条の二で定めた「高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効」について伺いたいと思うのです。
 私たち日本共産党は、もともと、一〇九・五%を超える金利でなく、二九・二%を超える金利を根っこから無効にすべきだと考えてまいりました。それは、貸し金を業とする者の場合の上限金利はもともと二九・二%だからです。また、元金も無効にすべきだと考えておりますが、残念ながら、法律をつくるときは意見が一致した部分で進めますから、法案化としてはこういう形になりました。
 そこで、大事な点の幾つかについて法務省に聞いておきますが、改正法案は、一〇九・五%を超える場合、全体の金利契約を無効とし、その消費貸借契約を無効としたものですが、改正法が成立した場合も、金銭消費貸借契約に当たって、利息制限法一条の超過部分につき無効とする規定にはこれは何ら影響を与えるものではない、このことを確認しておきたいと思います。
房村政府参考人 お答えします。
 御指摘のとおり、今回の立法がなされても、利息制限法の制限利息超過部分を無効とするという解釈には何らの影響を及ぼすものではございません。
吉井委員 それから、貸金業規制法四十二条の二の規定は金利を支払う必要がないことを明確にしたものですが、元金については、民法七百八条による不法原因給付が認められれば元金の返還も必要がなくなることもあり得る、これはそのとおりだと思うのですが、このことを確認しておきたいのと、この点では法改正前とは変わらないのですが、一〇〇〇%など無法な業者、こういう者に対しては、法改正全体のやみ金融取り締まり強化の方向からすると、元金も無効となる道は、どちらかというと拡大された方向へ行っている、こういうふうに理解していいと思うのですが、確認しておきます。
房村政府参考人 御指摘のように、不法原因給付となる場合には、元金についても返済の必要がなくなる場合があり得るということはそのとおりでございます。
 また、全体としてどうなるかというのは、これは裁判所の御判断に係るわけでございますが、今回の立法の動向も踏まえて、裁判所において、全体として悪質なものについては、全体として無効あるいは不法原因給付に当たるということは十分あり得るだろうとは思います。
吉井委員 それから、二九・二%を超える割合の金利を要求、契約を強要するような貸金業者はいわゆるやみ金業者、従来からその契約は無効ということですが、やみ金業者がこうした超高金利を要求した場合に、法的には刑事罰は科せられるわけですね。しかし、民事上は調停の場もしくは裁判で争う場合もある仕組みになっていました。
 今回の法改正では、年金利が一〇九・五%を超えておれば、それは調停の場や法廷で争うまでもなく消費貸借契約は無効で、その金利は根っこから支払わなくてよいということになります。ただ、やみ金業者というのは、現実には、一〇九・五%どころか、トゴ、十日で五割ですから年一八二五%とか、トハチで二九二〇%とかいう超高金利で貸し付けておりますので、今回の法改正は現在のやみ金取り締まりには相当な効果があるというふうに思うんですね。
 この四十二条の二の規定はやみ金業者に対する抑止力として働く、このように理解しているんですが、法務省の方の認識というものを改めて伺っておきたいと思います。
房村政府参考人 まず、民事面についてお答えいたしますが、御指摘のように、一〇九・五%を超しておりますと一律に契約そのものが無効とされるということでございますので、非常に高金利で貸している者に対してはそれなりの抑止的効果が民事面で見ても働くのではないか、こう考えております。
吉井委員 今回の法案が一〇九・五%を超える金利を根っこから無効としたことによって、二九・二を超え一〇九・五を超えない金利で営業する、貸金業者の仮面をかぶったやみ金業者が出現するかどうかという問題について伺っておきたいと思うんです。
 そもそも、無登録業者の場合、これは貸金業規制法でも出資法違反でも刑事罰になり、かつ、これは併科されるわけですね。次に、登録業者の場合、出資法五条二項で、業として貸し付けを行い、二九・二%を超える利息を受領すると刑事罰。刑事罰を受ける者は貸金業規制法六条一項五号の登録拒否の要件に当たり、したがって、法三十七条一項一号の登録取り消しの要件に当たるわけですね。つまり、登録業者であっても、二九・二%を超える利息を要求する者は無登録業者への転落を覚悟しなければならない。転落すると貸金業そのものが違法になる。やりますと十一条違反で刑事罰となります。
 つまり、整理すると、年利二九・二%を超える金利で貸し付けるということは明確な出資法違反で、五年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金または併科、法人の場合は三千万円以下の罰金というのが今度の法改正案ですから、したがって、二九・二%を超える金利で貸す場合は、それだけのリスクを考えた上で高金利で貸すということになってくる、これは非常に重い意味を持つと思います。
 出資法違反の罪を犯すと貸金業務の停止、三十六条、貸金業登録の取り消し、三十七条、再登録は簡単にできない、これは六条、再登録の拒否がありますから。したがって、契約の無効は一〇九・五%を超える利息契約となっていますが、一〇九・五%を超えなくても、二九・二%を超える金利による貸し付けに対しては、法改正前よりも罰則強化によって相当のリスクを負うということになってくる。
 今回の法改正がやみ金業者に対する抑止力を強めることになるというふうに私は考えるんですが、法務省の方の考えも聞いておきたいと思います。
樋渡政府参考人 お尋ねのいわゆるやみ金融対策法案は、近時、やみ金融問題が大きな社会問題となっていることを踏まえまして、貸金業規制法及び出資法を改正しようとするものでございまして、罰則の関係では、貸金業規制法上の無登録営業等の罪や、出資法五条の高金利の罪等の法定刑を引き上げるとともに、出資法五条の高金利の罪について、従前の契約罪及び受領罪に加えて、高金利の要求罪を新設することなどを内容としていることを承知しております。
 このような内容の法改正が実現しました場合には、罰則の新設等により、高金利の要求等、従来、それ自体は処罰の対象となっていなかった悪質な行為についても処罰が可能になりますほか、罰則の法定刑の引き上げによる抑止力も期待できるものというふうに考えております。
吉井委員 重くなった刑事罰を科せられるリスクを負って、また貸金業者としてやっていけなくなるリスクを負って、しかし、民事上は有効だとして高金利を稼ごうとする者がおったとしても、これはいわば刑務所に入りながら金利だけは稼ごうとするもので、しかもその金利も、仮に貸金業規制法四十三条を主張しても、利息制限法に引き戻して利息を計算し直すことになるリスクも負うことになります。
 したがって、私、冒頭に言ったように、警察も金融庁も本気でこの法律でやろうということで動くとなりますと、二九・二%を超え一〇九・五%を超えない金利で貸金業を営むということは、これは理屈上はあり得るわけなんですが、現実に起こるケースとしては限りなくゼロに近づけることができるというふうに思うんですが、法務省と金融庁の見解を聞いておきたいと思います。
房村政府参考人 先ほども申し上げましたような、一〇九・五%を超えた場合、契約そのものが無効になるという民事上の効果、それから、ただいま御指摘のありました罰則の強化、こういう点を考えますと、確かに年二九・二%を超えて一〇九・五%までの間で、なおかつ違法な行為を行う人たちは今後は相当減るのではないかということは想像ができるだろうと思います。
吉井委員 竹中大臣に伺っておきたいんですけれども、改正貸金業規制法第四十二条の二の規定について、いろいろ私、今聞いてきたわけですが、しかし、この表現は、一般にはなかなか難しい表現なんですね。
 したがって、国民の皆さんにわかりやすく知らせる必要があると思うんです。一〇九・五%を超える高金利で金銭消費貸借契約をしたときは、その消費貸借の契約は無効で、その金利は根っこから一切支払う必要がありません、このことを十分周知していただきたいと思うんです。
 やみ金業者に対する抑止力を高めるこうした取り組み、金融分野での大臣であるとともに、国家公安委員長を含めた内閣のメンバーであるわけですから、私は、この点では大臣として、警察も金融庁も挙げて十分周知徹底することとともに、本当にこの法律に基づいて、悪質なものはびしびし取り締まる、抑止力を高める、この取り組みについて大臣の決意というものを聞いておきたいと思います。
竹中国務大臣 極めて強力な枠組みを新たにつくっていただいた、私は本当にそのように思っております。先ほどから警察関係からの答弁もありましたが、これは本当に内閣を挙げてしっかりと実行に移せるように努力をしたいと思います。
 当面、何ができるか。我々としては、捜査当局、関係団体等との連絡をとにかく密にするということと、今御指摘のあったような点について広く周知徹底を図るということが重要であると思います。政府広報の活用も考えられると思います。具体策を我々なりにしっかりとこれからつくっていきたいと思っております。
吉井委員 さっきも紹介しましたけれども、一九九一年の国会だったと思いますが、暴対法をつくるときも、警察庁長官より、暴力団は壊滅させるんだ、当時の自治大臣からも同様の決意を伺って、それで暴力団対策法をつくったわけです。
 しかし、さっきも御紹介しましたように、暴対法の中でも、九条六号で、利息制限法の利息を超えるような利息を要求し、粗野、乱暴な言動を交え、迷惑をかけるような方法で訪問したりする、あるいは履行を要求する行為については、暴力的要求行為は規制できるんです。しかし、これは必ずしも使われてきたわけでもない。
 つまり、法律というのは、言葉の中に幾らいいことが入っても、こういう法律ができたときに、執行する側の政府を挙げてPRもすれば、本格的に取り組むということをやらない限り、法律は生きてこない。そういう点で、私は、PRの話はありましたが、それだけにとどまらないでやってもらいたいと思うんです。
 ほかのテーマを予定していたんですが、それに入ると少し時間が半端になりますので、この法案の、レクチャーをいただいたからよく皆さん知っている話なので、ただ、これは質問するからと言っていなかった分ですが、伺っておきたいのは、この法案で出資法を改正し、出資法で定められた上限金利を超える契約、金利の受領、それはもとより、支払い要求すること自体を刑事罰の対象にしたわけですね。これは出資法五条三項です。
 これは一歩前進なんですが、やみ金業者というのは、登録業者も無登録業者も、広告している金利よりも実際ははるかに高利で貸し付けている。しかも、貸付金の金利を文書で示していない場合が多い。そうすると、証拠がないということで、この出資法五条三項を実効あらしめる上でどうするのかということを今からきちっと考えて臨まなきゃいけないと思うんですが、これは、金融庁なり警察庁の方の考えを伺っておきたいと思います。
五味政府参考人 法案が成立いたしましたらば、御指摘の点につきましても十分に検討いたしまして、実効のあるような運用ができるようにいたしたいと思っております。
瀬川政府参考人 高金利事犯の立証の問題ということのお尋ねかと思いますけれども、今御質問にもありましたとおり、高金利受領罪というのが現在あるわけでございます。ただ、これを立証するためには、例えば、貸し付けの時期ですとか貸し付けの額、それから返済の時期ですとか返済の額ということを証拠をもって明らかにしていかなきゃいけないということでございまして、現実問題として、今御質問にもありましたとおり、幾ら借りて、いつ幾ら返したのかということがなかなか証拠上明らかになりにくいというのが現実の実態でございまして、捜査上、これが非常に重要なポイントになっているわけでございます。
 この点につきましては、今回の改正法案でも特に変わらないわけでございますけれども、ただ、先ほど来御議論にあります、例えば高金利の要求行為についても処罰できるようになるわけでございまして、返済の時期と返済額というものが明らかにならない場合でも、要求行為や要求額が判明する場合には罰則が適用できるということになります。また、広告禁止でありますとか取り立て規制の点についても重要な改正がなされますので、こういったものを活用することによって、高金利事犯の捜査のための証拠が得られるというようなことも考えられるわけであります。
 こういったものを総合する形で、こういった高金利事犯に対する捜査も鋭意進めてまいることとしたいと考えております。
吉井委員 もともと、登録業者の場合でしたら、書類等を皆そろえておかなきゃいけない。財務局の方の検査できちっと調べることができる体制が必要なんですから、そうすると、幾ら入金したとか全部出させるということをすれば、本来、できるはずであります。
 最後に、法二十条の白紙委任状について、無登録で貸金業を営む者にも今度適用するとしたわけですが、白紙委任状を暴力的、強制的に取得して、やみ金業者が記載して、これを使ってやるというのはなかなか立証が難しいということもこれまであって、占有屋と言われるような連中がのさばったりして、警察が行かれても、そういう紙を出しよると、警察がすぐ引き揚げてしまう、これがやみ金業者をのさばらせるということもありましたので、今回の貸金業規制法が改正されたら、このような白紙委任状、そして占有屋がやみ金業者とつるんでやるような事態に対してどう対応していくのか。この点、最後に警察庁の対応について伺って、時間が大体参りましたので、終わりにしたいと思います。
瀬川政府参考人 いろいろな犯行形態といいますか手口があるわけでございますけれども、白紙委任状の問題等につきましても、無登録業者にも適用されることになるものというふうに理解をしておりますし、そういった規定を十分に活用して、いろいろな事態に対処してまいりたいと考えております。
吉井委員 今回の法改正案は、やみ金を取り締まり、やみ金のない社会をつくる上で相当効果を上げるであろうと期待しています。実効を上げるためには、やはり本気で取り組むという、その姿勢が必要ですから、そのことを重ねて申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
小坂委員長 次に、植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 本日の一般質疑では、私の方からは、先日、六月六日にもお伺いしたわけですが、無認可共済にかかわる今後の対応方にかかわって幾つかお伺いをしていきたいと思います。
 まず、六月三十日に金融庁さんの方が、「根拠法のない共済について」ということで、ホームページの中に、いわばそうした周知を図るためのコーナーを設けられて掲載されています。「問い合わせリンク先」なんというのを親切に書いてあるわけです。これは、私、非常に評価するわけなんです。
 というのは、金融庁さんがホームページに「根拠法のない共済について」というコーナーを設けないからといって、別に怒られる筋合いでもほんまはないわけです、監督しているわけじゃないので。にもかかわらず、金融庁さんとして、ささやかだけれども、こういう形で掲載をされたというのは、やはりそこにそれなりの前向きな意思というものを私はいい意味で感じているわけです。
 そのことを前提にして、まず、この「根拠法のない共済について」というところの最初の前文のところで、「最近、当庁に対して、根拠法のない共済(いわゆる無認可共済)についてのお問い合わせがありますが、」云々ということがあります。
 やはりそれなりに、こういう形で周知啓発をせないかぬだろうと判断せざるを得ないような問い合わせが幾つも来たんだろうと思います。具体的にどういう中身であったのかということと、それなりに、これは金融庁さんなりのメッセージだろうと思いますから、言ってみれば、こうしたものをホームページに掲載するに当たっての経緯、背景についてお話しいただければと思います。
伊藤副大臣 この問題については、先生からもさまざまな御指摘をいただき、大臣を初め、私どもとしても問題意識を持っております。
 そうした、先生を初めとした国会での御指摘も踏まえて、ホームページへの掲載ということをさせていただいたわけでありますが、お尋ねのありました問い合わせにつきましては、具体的な共済名を挙げて、当該共済が金融庁で免許を受けている業者であるか否か、あるいは、保険と根拠法のない共済との制度の違いについての問い合わせが大勢を占めるものでございます。
 私どもは、保険業法に抵触すると認められる事例が生じた場合には、当然捜査当局に通報するなど、厳正に対応を行っているところでございます。また、関係団体である生命保険協会及び日本損害保険協会にも協力を要請いたしまして、私どものホームページの掲載にあわせて、各自のホームページにおいても、根拠法のない共済についての記載の充実が行われているところでございます。
植田委員 その話はいいんです。ただ、重要な話は、その問い合わせの中で、具体的な無認可共済を明示的に示して、これはどうなんだという問い合わせが割かし来ている、それが大勢を占めている。それともう一つ、制度の違いについての問い合わせがあるということですけれども。前者については、現段階で監督しているわけじゃないですから、今おっしゃったように、警察に、本当にこれは悪質だな、現状においても違法だということは捜査当局に通報するというような話でしたけれども。
 これは、先日も私、総理にもこの点を伺いました。無認可共済については一概に悪いとは言えぬと。一概に悪いと言えぬということ自体は間違いじゃないんです。ただし、このことについては、損保協会の新会長がこの言葉をとらえてやはり重大な指摘も行っておられるわけです。
 その中で、では、今までどおり、仮に六月六日の伊藤副大臣の答弁からすれば、捜査当局に連絡をして適切に対応していくことが重要という段階にとどまらない事態が既に起こっているんじゃないかということで、恐らく金融庁さん御承知だろうと思いますけれども、イギリスの保険会社のロイズの問題提起というものについて、若干お伺いしたいわけです。
 保険毎日新聞の六月五日付で、任意共済の再保険、ロイズが引き受け拒否というような記事がありました。これは記事でしたので、とりあえず一次資料を取り寄せまして、私、訳できませんので、事務所のスタッフに頼んでちょっと訳してもらったわけです。誤訳があれば御指摘いただければいいんですが、背景として、こういうことをこのロイズのマーケット報告の中で触れられているんです。
 多数の無認可共済は、商品を一般社会に向けて取引し、一般の保険会社のように振る舞っている、これは、組合員の利益のためだけに役立つ小さな相互援助組織であるという共済のもともとの役割に反していると。また、ロイズ社が要求した独自の法的アドバイスでは、状況によっては無認可共済は保険業法に違反しているおそれがあると指摘されている。また、一般の人々に営業を行い、十分な利益を伴った商品を提供することは、保険業法のもと保険業を運営するという許可を持っていないことで、法律違反である可能性があると指摘しているというようなことで、このアドバイスによれば、その業務が日本の保険業法の範囲外にあれば、どのような存在であっても、日本の法律の目的に合致した保険業者ではないし、それ自体では再保険を買うことはできないと示しています。そういうことがあるわけです。
 ですから、この保険毎日の記事は正確に記事として記述されていると思うわけですけれども、これを踏まえていただいて、こうした問題提起を受けとめたときに、無認可共済が一概に悪いとは言えないということでとどめおいていいのか、そういう段階ではないということを示しているのではないのかと思うわけです。
 というのは、少なくともロイズ社のこうした対応というものは、実態と、そして将来どんな不測の事態が起こるかという、その事態の蓋然性についても指摘しているではないかと私は思われるわけでございますけれども、その点の認識について、そしてまた、現段階で監督していないわけですから、このことが無認可共済に与える影響については答えるのがなかなかつらかろうと思いますけれども、想定される範囲で結構ですので、御答弁いただけますか。
竹中国務大臣 ロイズの件は承知しております。
 そもそも、根拠法のない共済に係る法的な論点等について、我々も以前から、例えば外国損害保険協会、ロイズもそこに入っているわけですけれども、そういうところなど関係団体に対して周知を図っていった。その中で、ロイズがそのような公表を行ったということは承知しているわけであります。これは個社の経営判断の問題でありますので、そのこと自体に対してコメントできる立場にはありません。
 一方で、委員御指摘のように、そもそも共済というのは互助のものですから、非常に小さくきちっとした共済もあることはあるわけでありますから、それを一概にいろいろな制度から排除していくということに関しては、多分問題があるんだと思います。
 ただ、まさに保険業法に違反する可能性があるというような現状認識、これはロイズの文書の中にある表現でありますけれども、そうした観点から、まさに個社として、一種の経営判断として、リスクを避けるという観点からこのような判断を今回行ったものであるというふうに認識をしております。
 我々としては、互助の基本はきちっと認めながら、さらにその上で制度としてどのようなことを考えていく必要があるのかということを問われているんだと思います。
植田委員 そこで、まさに特定の相互の互助という関係での共済、本来そういうありようでおれば何も問題にならなかったわけですが、現状において、まさに悪貨が良貨を駆逐しているような状況があるわけですね。とすれば、例えば今回、ロイズ社のこうしたことが他の保険会社等々にも広がっていった場合どうなるのかといった場合、いいか悪いかグレーゾーンにあるか、それは別にいたしまして、そもそもセーフティーネットがない共済にとってみれば、再保険というのがある意味では唯一のセーフティーネットでありますね。
 現実に、無認可共済というのは、監督官庁はない、免許制度もない、商品審査制度もない、責任準備金制度もない、資産運用規制もない、ディスクロージャー制度もない、公的なセーフティーネットもない、募集人登録制度もない、要するにないない尽くしなわけです。だから、このないない尽くしの中で、いいといったらあれですけれども、健全に本来の共済の基本を守った共済もあるでしょうし、そうではない存在も、そうではないと現段階で断定するのはあれかもしれませんが、少なくとも問題として指摘されているような事例もあるわけです。
 要は、金融庁さんとしてホームページにこうした周知をせぬといかぬような実態はあるわけですから、具体的な対応を行わなければならない段階に来ている、問われていると今竹中大臣おっしゃいましたけれども、具体的な対応、その具体的な対応の中身については後で伺いますが、そうした段階に来ているという問題意識は共有できますね。これは確認だけです。
竹中国務大臣 基本的には、共済という互助の問題がありますから、そこはまさに、そういった小さな集団の意思というものは常に尊重しておかなければいけない。しかし、一方で、社会的な現象としては、本来免許を受けていないのにもかかわらず、不特定の者を対象にしてそうした引き受けを行うというような問題が見られているということなんだと思います。そういう問題意識は我々はもちろん持っております。
 ただ、これは金融庁だけではなくて、他省庁にもかかわる問題であります。我々としては、問題意識を持って、その上でどのような対応が可能かということを少し勉強しなければいけないというふうに思っているところでございます。
植田委員 たくさん勉強して、検討してもらわなあかんと思うんです。
 というのは、ここで細々したことを聞くのがちょっとまだはばかられるわけです。というのは、例えば幾つかの事例、僕は固有名詞はこういう場で挙げませんが、実際、場合によっては、やり方によっては、業法違反のケースとか業法違反になりかねぬケースというのは現段階でもいろいろ指摘されています。
 例えば、ある共済は加入勧奨のダイレクトメールを不特定多数にメールで送っているわけです。こういうケースどうなんだという場合、ここで私は答弁を求めたいわけじゃないんです。ここでこれがマルでこれがペケなんと言ったら、なおさら無認可共済が知恵をつけるだろう。不特定多数でやってはるようなところが知恵がついちゃうので、余りそうしたことについては答弁は聞きたくないんです。例えばこういう問題どうなんですということをやはり聞かれるわけです。
 また、ある共済はホームページを開設している。そこで加入方法が掲載されているわけですけれども、だれもがアクセスできる、しかもパスワードも必要としないということになれば、これは特定者を対象としているというふうには言えないんじゃないかというケースもあるでしょう。ここは恐らく、答弁を求めれば、個々のケースごとによって、問題のケースがあれば捜査当局に通報しますという御答弁でしょうから聞きません。そういうのが恐らくペーパーに書いてあるでしょうから。
 そういう事例があることを考えたときに、端的に言えば、特定といいながら、実際マルチが成り立つということ自体が、要するに、不特定多数を対象としている実態にあるという現状認識を持つべきじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
伊藤副大臣 マルチについてのお尋ねもございましたが、これは、募集において特定商取引に関する法律に違反するおそれがある事例を了知した場合には、当然、関係金融機関への情報提供、適切な対応を私どもとしても行っていかなければいけないわけでありまして、この特定商取引に関する法律においては、マルチ商法は、連鎖販売取引として、不実告知や威迫、困惑行為の禁止等が規定されているところでございますので、こうした法令に照らして、私どもとして適切に対応をしていきたいというふうに思っております。
植田委員 現状で対応できるかどうかということが今回の私の質問の問題意識でありまして、現状で対応できるんであれば、監督官庁でもない金融庁さんがわざわざ「根拠法のない共済について」なんという、そんな周知や啓発活動を行わぬでもいいんですよ。だから、そこはもうちょっと踏み込んでいただかないと私も満足できないんです。
 というのは、例えばロイズがこういう提起をしちゃったということは、無認可共済の中で、そういうあくどいものがそれで淘汰されるということではなしに、本当に、いわば自発的な、助け合う互助組織だって網がかかってくるわけです。これは無認可であるということによって、そういう危険もあるわけですよ。ということになれば、言ってみれば、ある種、下品な言い方をすれば、詐欺まがいのような無認可共済も横行している。そうなってくれば、本来の目的に沿った事業を行っているところだって迷惑をこうむるだろうし、実際、制度共済だっていい迷惑だろうと思うんですよ。
 となると、では、どこで線引きするかなんということは現状ではわからへんから、とりあえず現行法で悪いなと思ったら、それは通報しますという認識のままではもはや遅くさいと。もうちょい前向いて行かぬといかぬということで、少なくとも何らかの、いい共済というものが本来の共済の精神にのっとって運営できる条件をつくる意味でも、また、迷惑をこうむっている保険業界にとって、健全な保険市場をしっかりと、信頼ある保険市場をつくる上でも、言ってみれば、適切な監督、アドバイスなり、適切なルールというものがこれから必要になってくるやもしれないなというところぐらいは共有できませんか。
竹中国務大臣 これは前回、実は、植田委員に一度この問題をお尋ねいただいたときに、どのように進めるかということを勉強したいということは、私明確に申し上げたつもりでございます。
 ロイズの話については、これは個社の判断でありますから、みずからのリスクを避けるためにそういう経営上の意思決定をしたということだと思いますが、社会的な制度そのものになりますと、とりあえず自分たちのリスクだけというわけにはいきませんので、やはり厳密な検討も必要になってくると思います。
 先ほどから、やみ金に関して、現行法で何ができるんだ、そのこともきちっと踏まえなければ、新しい枠組みに意味がないだろうというような御指摘がありましたが、そのような点からいきますと、先ほどの副大臣の答弁にもありましたように、今の制度の中でできることというのはあるでしょう。これは、まさに不特定多数の募集を行っているところに対しては、我々としては、捜査当局と連携しながら、本当にこれはしっかりやっていくつもりでおります。
 それと、問題提起という意味で、これはまさに、ホームページに載せたのは、植田委員から御指摘いただいたのが間違いなく重要なきっかけになっている。そういう、できることはまずやってみたいというふうに思っている。その上で、繰り返して言いますが、難しいのは他省庁との関連等もありますから、どのような対応が可能か、これは私なりに少し勉強をしてみたいというふうに思っているわけでございます。
植田委員 少しずつ前向きにやっておられることは評価するんですが、ただ、これは伊藤副大臣の答弁だったんですけれども、六月六日のときに、今の同趣旨で伺ったときに、「無認可共済の問題についても、これはさまざまな問題がございまして、これは、私ども金融庁だけではなくて、関係の省庁と緊密に連携をとりながら対応していかなければいけないというふうに思っております。」という御答弁があるんです。ですから、きょうは、では具体的にどういうことが考えられるのかということを最後に伺いたいんです。
 少なくとも、まず問題事例が指摘されているわけですから、窓口あけています、問い合わせがあればそれぞれ相談を受け付けますじゃなしに、業界団体だってあるわけですし、また実際の、例えば保険の営業職員さんなどの団体もあるわけです。そういう人たちが、現場で、こうした無認可共済のさまざまな営業手法なりなんなりに、現実に非常な迷惑をこうむっていることは事実なんですね。
 実際、問題事例が指摘されているんですから、それを積極的にまず聴取するということ、これをちゃんとやりますねということ。まず聴取するということ。現行法でできるか、新たな仕組みをつくるかという以前の問題で。
 二つ目には、関係省庁と緊密に連携をとりながらということですから、まず関係省庁間で、この無認可共済の実態にかかわっての認識を共有化させる、このことが必要だろうと思います。
 そして三点目に、では、その問題を共有化したときに、その解決に当たって、現行法の適切な運用によってできる部分もあるのか、それともそれだけでは足りないのかどうなのかということについて、個々の事例ごとにひっぺ返しながら検証していかなければならないと思うんです。その論点を、少なくともこの関係省庁と緊密に連携をとる、対応するという中にきちっとやはり包摂されなければならない。
 私は、そこから先まではきょうは申し上げるつもりはありませんが、こうした、少なくとも今後無認可共済問題についてどうすべきかという課題設定をするところまでは、もう早急にやらなきゃならない喫緊の課題じゃないかと思います。
 この点について、最後、御決意なり、どんなスピードでやるのか、これを確認させていただいて終わりたいと思います。
伊藤副大臣 今委員から大変重要な御指摘が三点ございました。
 まず第一に、現状をしっかり把握して、その中にどういう問題があるのかということを十分理解しなければいけない、さらに、関係省庁とどのような形で連携を図っていくのか、そして現在の枠組みの中でさまざまな問題に十分対応できるのかということでございまして、私どもとしても同じ認識を持っているわけであります。
 ただ一方で、今までここでお話をさせていただいているように、共済は共済としての意味がございます。また、金融庁としてやれる範囲の問題もございますので、私も消費者問題にずっと取り組んでまいっておりますし、また、大臣を初め、私どもの庁としても大変深い問題意識を持っておりますので、先生の御指摘も踏まえて、こうした三つの点の重要性ということを認識しながら、しかるべき対応をやっていきたいというふうに考えているところでございます。
植田委員 時間が来たので終わりますけれども、しかるべき対応を可及的速やかにやっていただきたいということを申し上げて、きょうのところは終わります。
     ――――◇―――――
小坂委員長 貸金業の規制等に関する法律及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。
 まず、本起草案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 本起草案は、貸金業において無登録営業、異常な高金利による貸し付け、悪質な取り立て等の違法行為が多発し、その被害が深刻化している現状にかんがみ、貸金業の適正な運営を確保し、資金需要者の利益の保護を図るため、次の措置を講ずるものであります。
 第一に、貸金業の登録時の本人確認等を強化することといたしております。
 また、登録拒否事由として、暴力団員等、不正または不誠実な行為をするおそれのある者及び一定の財産的基礎を有しない者等を追加する等、登録要件の見直しを行うことといたしております。
 第二に、無登録業者による広告、勧誘等を禁止し、違反した場合には罰則の対象とする等、無登録業者に対する取り締まりを強化することといたしております。
 第三に、貸金業者等による債権の取り立てに当たっての禁止行為につき、正当な理由がなく、勤務先等に電話をかけまたは訪問すること、債務者以外の者に対し、債務を弁済することをみだりに要求すること等、具体的な行為類型を挙げて規定することとするとともに、貸金業者による暴力団員等への債権譲渡を禁止する等の規制の強化を図ることといたしております。
 第四に、貸金業者は、営業所等ごとに貸金業務取扱主任者を選任し、従業者への助言または指導を行わせなければならないこととするとともに、同主任者につき所定の研修の受講を義務づける等、適正な営業体制の確立を図ることといたしております。
 第五に、無登録営業、出資法の上限金利違反の際の罰則等を強化するほか、貸金業者が、金銭消費貸借契約において、年一〇九・五%を超える利息の契約をしたときは、当該契約は無効とすることといたしております。
 以上が、本起草案の趣旨及び概要であります。
    ―――――――――――――
 貸金業の規制等に関する法律及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
小坂委員長 お諮りいたします。
 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小坂委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出法律案とするに決しました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 この際、林田彪君外六名より、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、保守新党の共同提案による貸金業制度等の見直し等に関する件について本委員会の決議を行うべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。林田彪君。
林田委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    貸金業制度等の見直し等に関する件(案)
  本委員会は、貸金業の規制等に関する法律及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案を提出することに決した。本案は、深刻化するヤミ金融の被害を未然に防止するとともに、被害者の救済に資するため、所要の制度改正を行うものである。
  ヤミ金融の撲滅を実現していくためには、国及び都道府県の関係当局において、体制及び連携を強化・充実して関係法令に基づく徹底した取締りを行い、厳正かつ的確に法令を適用していくことが求められる。また、関係機関及び民間団体においては、被害者のための相談体制を整備・拡充し、相互の連携を一層強化するよう努めていく必要がある。
  今後、貸金業に関する制度のあり方について、実態に即したより的確な規制体系の構築及び適切な金利規制のあり方につき検討することが必要である。
  右決議する。
以上であります。
 何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)
小坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 林田彪君外六名提出の動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小坂委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣竹中平蔵君。
竹中国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
小坂委員長 お諮りいたします。
 本決議に関する議長に対する報告及び関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十五分散会


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