衆議院

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第6号 平成16年2月27日(金曜日)

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平成十六年二月二十七日(金曜日)

    午後二時七分開議

 出席委員

   委員長 田野瀬良太郎君

   理事 鈴木 俊一君 理事 萩山 教嚴君

   理事 村井  仁君 理事 山本 明彦君

   理事 島   聡君 理事 中塚 一宏君

   理事 長妻  昭君 理事 上田  勇君

      江崎洋一郎君    江藤  拓君

      木村 隆秀君    熊代 昭彦君

      小泉 龍司君    河野 太郎君

      七条  明君    田中 英夫君

      谷川 弥一君    中村正三郎君

      西田  猛君    林田  彪君

      原田 令嗣君    宮下 一郎君

      渡辺 喜美君    五十嵐文彦君

      稲見 哲男君    小泉 俊明君

      鈴木 克昌君    武正 公一君

      津村 啓介君    永田 寿康君

      藤井 裕久君    馬淵 澄夫君

      松原  仁君    村越 祐民君

      吉田  泉君    谷口 隆義君

      長沢 広明君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   財務副大臣        山本 有二君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   財務大臣政務官      七条  明君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  梶田信一郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    大武健一郎君

   政府参考人

   (国税庁次長)      村上 喜堂君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  仙谷 由人君     稲見 哲男君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     仙谷 由人君

    ―――――――――――――

二月二十七日

 消費税などの大増税計画反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六一一号)

 同(石井郁子君紹介)(第六一二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六一三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六一四号)

 同(志位和夫君紹介)(第六一五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六一六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六一七号)

 同(山口富男君紹介)(第六一八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六一九号)

 消費税の増税反対に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六二〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六六〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第六六一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六六二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六六三号)

 同(志位和夫君紹介)(第六六四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六六五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六六六号)

 同(山口富男君紹介)(第六六七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六六八号)

 相続税法の緊急改正に関する請願(小泉龍司君紹介)(第六二一号)

 庶民に大増税をもたらす税制改革中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六五一号)

 同(石井郁子君紹介)(第六五二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六五三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六五四号)

 同(志位和夫君紹介)(第六五五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六五六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六五七号)

 同(山口富男君紹介)(第六五八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六五九号)

 消費税の改悪と大増税反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六八九号)

 同(松原仁君紹介)(第六九〇号)

 共済年金制度の堅持に関する請願(達増拓也君紹介)(第七四三号)

 消費税改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七四四号)

 同(石井郁子君紹介)(第七四五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七四六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第七四七号)

 同(志位和夫君紹介)(第七四八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七四九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七五〇号)

 同(山口富男君紹介)(第七五一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第七五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、ただいま議題となりました両案中、所得税法等の一部を改正する法律案に対し、五十嵐文彦君外一名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。五十嵐文彦君。

    ―――――――――――――

 所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

五十嵐委員 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由の説明をいたします。

 政府提案の税制改正案は、将来に対するビジョンや理念を何ら示さないまま、一方的に国民に対して負担増を押しつけるものであります。小泉政権成立以来、毎年度の税制改正において、個人に対する増税を重ねてきましたが、今後はさらなる大規模増税を予定しており、これでは国民生活は破綻しかねません。

 よって、民主党は、国民生活を守るために、今すぐ実現可能な最低限の修正を求めます。

 以下、修正案の概要を申し上げます。

 第一は、新しいタイプのローン控除制度の創設です。

 現在の住宅ローン減税を根本的に見直しつつ、減税対象を、住宅のみならず、自動車ローン、教育ローン等広範に拡充することによって、個人が借り入れるローンにかかわる金利分をおおむねすべて所得から控除することができるようにいたします。これによって、ここ十年間停滞し続けている個人消費を刺激し、長年の課題たる内需拡大を図るとともに、真に豊かさを実感できる国民生活を実現していこうというものです。

 第二は、消費税の総額表示の義務規定の削除です。

 昨年の税法改正案に際しても、民主党は本修正案を提出いたしましたが、与党はこれを拒否しました。しかし、その後、民主党が指摘した問題点はいよいよ明らかとなり、施行を目前とした現在に至っても、混乱は大きくなる一方であります。また、世論調査によれば、一般の国民に対する本改正の周知は全く行き渡っていません。過ちは改めるにしかずの教えのとおり、導入根拠も明らかでなく、十分な議論も行わないままに決定された総額表示の義務づけについては、今からでも導入を見合わせるべきと考えます。

 第三は、不動産譲渡所得に係る損益通算及び繰越控除制度の廃止時期の延期です。

 本改正案は、土地、建物の譲渡損と他の所得の損益通算を廃止するというものですが、このように納税者への不利益を課すような変更を実施する場合は、十分な周知期間を置くのが正道です。ところが、政府案は、十分な議論も踏まえない上に、施行を法成立以前の一月にさかのぼるという、不利益の不遡及原則に反したものとなっております。税制に対する信頼を維持するためにも、最低限十分な周知期間を設けるために、土地の損益通算に係る条項の施行期日を二年間延期することとします。

 これまでも、これからも毎年繰り返される個人に対する大増税は、国民生活を破壊し、ひいては我が国経済の破局を招きかねません。民主党は、このような事態を避けるために一刻も早い政権交代が必要と考えますが、それ以前であっても、最低限の措置を行うため、以上の修正を求めます。

 委員各位におかれましては、私たちの主張の真意を御理解いただき、何とぞ御賛同いただけますようお願い申し上げまして、趣旨の説明を終わります。

田野瀬委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長杉本和行君、財務省主税局長大武健一郎君、国税庁次長村上喜堂君、内閣法制局第三部長梶田信一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより両案及び修正案に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、民主党の次の内閣の五十嵐大臣、そして中塚副大臣もお出ましをいただいております。民主党の方からも所得税法等の一部を改正する法律案というのが出ておりますので、その部分につきまして、まずは質問をさせていただきたいと思います。

 この民主党の法律案、大きくは三つのポイントから成り立っていると思いますが、その三つの概要を、先ほどの提案理由と重ならない部分で御説明を賜ればと思います。

五十嵐委員 長妻委員にお答えを申し上げます。

 まず、ローン利子控除でございますが、我が国は、今、金利は実質ゼロ金利ということで低金利のままでありますけれども、これから景気の上昇の場面では、あるいは、景気が上昇しなくとも、長期金利については、国の財政赤字がさらに拡大し、公債の発行がますます大きくなるという場面では上昇することが予測をされます。そのときに、変動金利、金利の変動のリスクをどうするかという問題が出てまいります。これが行われなければ、変動リスクが吸収されなければ、人々は消費には走りません。かえって景気上昇を冷やしてしまう、そういうマイナスの効果を生むわけであります。そのことを我々は懸念をいたします。

 金利変動リスクを吸収して、安心して長期のローンを組んでいただく、住宅を買っていただく、住宅ローンを組んでいただくためにもローン利子控除が必要であり、また、このローン利子控除制度は、外国でも既に、アメリカでかつて行われておりましたし、ヨーロッパでは広く行われておりまして、これが、小さな所得でも大きな生活を享受できる、そういう一つのかぎになっている、消費を拡大する大きなかぎになっているというふうに思います。国民の富の拡大に役立ち、将来の不安を小さくする、そういう制度としてローン利子控除を提案させていただいている次第でございます。

 次に、先ほども申し述べましたけれども、消費税の総額表示につきましては、これは例えば本屋さん、書店などでは顕著なわけでありますけれども、長期間にわたって本が売られます。そこで本の表示は、今でもほとんど本体部分と税の部分に切り分けて表示がなされております。これを、総額表示を義務づけということになりますと、一軒の本屋さんで、私も本屋さんでアルバイトをしたことがあるんですが、たくさんの本が書店には並べられております、これを一々シールを使って張りかえるといったら、相当な手間、人件費がかかることになってしまいます。

 また、小さな商店などでは、一つ一つの値を張りかえる作業も大変なだけではなくて、値を固定しようとすれば中身を少なくしなければならないということも起きてまいります。そうすると、例えば漬物屋さんなどでは、大根の漬物の先だけカットして出すというわけにはいかなくなってくるというようなこともあって、いろいろな職種、いろいろな御商売でこれは都合が悪いということが出てくるわけでございます。

 こうした総額表示を義務づけるというようなことは、これは罰則はないということになっておりますけれども、義務づけるということはやはり問題が大きい。しかも、これは将来にわたって、内税化して痛税感を弱めようというこそくな手段として用いられているという疑いもございますので、この部分については削除をさせていただきたいということでございます。

 不動産譲渡所得の損益通算については、中塚提案者の方から御説明も後ほどあるかと思いますけれども、やはり、一月一日にさかのぼってこれを実施するというのは余りにも周知期間が短過ぎる。

 それでは、周知期間をなぜ十八年一月一日まで送るか。これは、逆に周知期間を例えば一年ぐらいに限ってしまいますと、その間に駆け込みというようなことが起きて、かえって経済の正常な取引等に影響を及ぼす。十分な周知期間を持つことが必要だということで、あえて二年間、十八年一月一日の施行期日とするということを定めさせていただきたいという趣旨でございます。

長妻委員 今、損益通算の廃止について、周知期間の話がありましたけれども、私もそのとおりだと思うのでございますが、これは谷垣大臣にお尋ねしますけれども、そうすると、今回政府はことしの一月一日からということになりますから、周知期間は、昨日も御答弁されましたけれども、一週間ぐらいだった、去年の十二月の何日かから。大体一週間が周知期間と見てよろしいんですか。

谷垣国務大臣 一週間が周知期間というよりは、一応、去年の十二月に発表をいたしまして、それである程度中身についての方向は出た。それはもちろん、国会へ出して御議論をいただくというような過程を通じてずっと周知をさせていくということだろうと思います。

長妻委員 谷垣大臣のきのうのお話だと、一週間程度、世間に発表されてから一月一日まで時間があるから、その間に何らかの措置をしたい人はすればいいじゃないかのような形に私は聞こえたものですから、そうであれば、政府が言うような駆け込みが、一週間か二週間、その間起こっていたのではないかというような懸念もありますので、そういう意味では、政府が言っている理屈がなかなか通らないのではないかというふうにも考えております。

 これに関して、谷垣大臣にお伺いしますが、この法案とは全く別の話ですけれども、不利益不遡及、こういう原則というのは谷垣大臣自身は御存じであったかどうか、税法に関して。これと離れてお伺いします。

谷垣国務大臣 そういう考え方があるということは承知しております。また、承知しておりました。

長妻委員 そういう考え方があるにもかかわらず、承知されているにもかかわらず、今回政府はその原則に反するようなことをしているというふうに私は思うんですが、これは民主党の法案提出者、次の内閣の五十嵐大臣、中塚副大臣が来られておりますけれども、この不利益不遡及の原則に政府案は反しているんだ、そういうふうに断言できますでしょうか。

中塚委員 まず、周知期間がそれだけ短いということになりますと、ひょっとしたら、与党の議員さんでもこの改正について御存じない方がいらっしゃるかもしれないということなわけです。当然ながら、税理士の先生方、また公認会計士の先生方からも大変に多くの御要望というのが寄せられているということだというふうに思います。やはり、十分な周知期間を置くということが何よりも重要であります。

 遡及適用ということですが、納税義務者の不利益に変更する遡及立法は許されない、これは租税法の規定の原則であります。国民は、その時点で法規に従って課税が行われることを信頼しておりまして、各種の取引というものを行っているわけですから、後からこの信頼を裏切るようなことは、やはり租税法律主義、租税法定主義のねらいである予測可能性や法的安定性を根底から揺るがすというふうに考えております。

長妻委員 そうすると、この民主党案というのは、損益通算廃止自体には、これ自体に反対なのかどうかというところも御説明ください。

中塚委員 民主党として、従来よりこの課税方式についてはいろいろな議論をしてまいりました。総合課税、分離課税、いろいろな考え方があったわけでありますけれども、根本的にはやはり総合課税を可とする、ずっと長い間そういうことで来たわけなんですが、最近になりまして、最適課税理論、そういうふうな学説も言われるようになった。足の速い資産とかは、やはりこれは別の課税体系が必要なんではないのかというふうなことで、二元的所得税でありますとか、資産課税一元化というふうな議論も進めてまいりました。

 そういうわけで、その意味では、今回の改正の考え方は、必ずしも私ども民主党の考え方と反するというわけではありません。

 ただ、財務省の説明なんかを聞いておりますと、金融商品とのイコールフッティングというふうなことを説明いたします。その場合においても、では金融商品と土地が果たして、資産性、資産譲渡所得という意味では同じかもしれませんが、例えば、土地の場合はまだ不動産取得税でありますとか登録免許税というふうな税も流通税としてかかっているわけですから、一概に全く同じものとして扱うのはいかがか、その辺の議論はまだこなれていないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、この分離課税ということ自体については、考え方は必ずしも反するものではないということを申し上げたいと思います。

長妻委員 谷垣大臣にお尋ねしますけれども、昨日のこの委員会で、今の消費税の表示、これがわかりにくいという声が多方面から寄せられて、集会などでもいっぱい来ている、ただし、具体的な数字はわかりません、こういうお話でしたけれども、いつの集会でございますか、それは。

山本副大臣 税の対話集会等々を、主税局または国税庁、たびたび各地域で実施しておりまして、そのときという意味で、特にここというところの意味でお伝えしたわけではございませんので、時間をおかしいただければ、その時と場所はわかると思います。

長妻委員 そうしたら、時間はありますので、ぜひ調べていただきたいと思います。

 それは、私自身はそういう声を聞いたことが、不勉強なのか、ないんですね。今の消費税も定着して、わかりにくいという声は聞いたことがないわけでございますが。当然、今の消費税を導入するときは、それはわかりにくくなるんじゃないか、こういう声は、これはあって当たり前だと思いますが、今のお話は、直近この一年間、一年前から今までの間にそういう話が出たということじゃないときのうの答弁は誇張になりますけれども、そういうことでよろしいですね。

山本副大臣 昨年の税の対話集会等でも具体的な課題として挙げられているわけでございます。

長妻委員 それはどういうところから、どなたからですか、何件ぐらいですか。たくさん寄せられているというお話でしたが。

山本副大臣 それにつきましては、私が出席しているわけではなかったものですから、いま少しこの委員会終了後、何日かお時間をいただきたいというように思います。

長妻委員 本当に私は今の消費税の表示方式というのはもう定着したと思うのでございますが、これに関して民主党の法案提出者は、この総額表示、政府案はやめるべしという御議論をいただいている、法案をいただいているわけですが、今の消費税の方式というのは、これは定着したと見てよろしいかどうか、お願いします。

五十嵐委員 もう既にいろいろなところで十分に周知されており、今の方式で特に問題があるというふうには考えておりません。

長妻委員 そして、民主党案では、この総額表示を削除ということがございますけれども、なぜ今の段階で見直すべきとされておられるのか、もう一度お願いいたします。

五十嵐委員 やはり中小零細企業者に相当な負担をかけるということが一つであります。

 それからもう一つは、基本的に、税というものは、私は痛税感があるからいいんだというふうに思っております。痛税感があるから税に関心を持ち、その税の支出される先、予算の歳出の方にも納税者の関心の目が行き届くということになるのであり、いつの間にか取られ、いつの間にか使われる税であるということは非常にその機能を衰えさせるという意味で、私はかえってよくない税だ。

 ですから、できるだけ私は申告納税をしていただくべきだし、あるいは、源泉徴収というのはよその国でもやっていますからいいんですけれども、いわゆる年末調整というようなものはできるだけ小さくしていった方がいいというのが基本的な考え方でございます。

長妻委員 そしてもう一つ、民主党案では、ローン利子の控除の考え方が盛り込まれておりますけれども、これは大体、減税の見込み額というのはどの程度を想定されておられるんでしょうか。

五十嵐委員 ローン利子控除の見込み額でございますが、日銀の統計によりますと、これは住宅を含んだ全銀ベースプラス公庫、そして信販も入っていますが、住宅プラス消費財のローンで、そして、これは三%の金利というのを想定いたしておりますが、減税見込み額がそれで千二百五十億円でございます。

 一方、政府の方の今行われている、既存の住宅ローン減税制度がございます。この新規の発生額は九百億円ですから、新規ベースでいいますと三百五十億円程度がこれによって減収になります。

 しかし、これは住宅向けだけではなく、我が方はいろいろな、例えば、教育ローンのようなサービス購入資金向け等もこれを計算しておりますので、これを全部適用したとしますと、百五十五兆円という数字が総額借入額として出てまいりますので、その減税額は九千三百億円ということになります。

 一方、現行住宅ローン減税による、初年度ではない総体の減収額は五千九百億円になりますので、初年度でいうと三百五十億円、先ほど言いました三百五十億円ですが、成熟時でこれを相殺してまいりますと、差し引き三千四百億円の大きな減税幅になる、その分だけ景気が私は喚起される、刺激されるというふうに考えております。

長妻委員 今景気が喚起されるというお話がありましたけれども、具体的にはどのぐらいの、実際、経済波及効果というのが考えられるのか、民主党案では。お尋ねをいたします。

五十嵐委員 今のお尋ねは……(長妻委員「経済効果」と呼ぶ)経済効果ですね、はい。失礼いたしました。

 これはいろいろな仮定を置かなければならないので大変その計算は難しいのでございますが、私どもは、一応、計算を、短期日本経済マクロ計量モデルを活用いたしましてやらせていただきました。その乗数分析に基づきまして分析をすると、おおむね〇・四%程度のGDPの引き上げ効果がある、そのように思っております。

長妻委員 そして、さらに損益通算廃止の件でございますけれども、政府は、ことしの一月一日までさかのぼる理由として、これは、もしさかのぼらないで来年一日とか再来年一日になると、その間駆け込みで、損売りがどんどん、土地が発生して、大変なことというか、地価がまた下がってしまって日本経済によくない、こういうようなお話をされているわけでありますけれども、そういう理由が一番大きいんですか。

谷垣国務大臣 それは一つの理由でございます。確かに、期間を区切りますと、その間に損を処理するための、要するに市場の、本来の土地使用収益を伴わない売り買いが多くなるというのは一つの理由でございますが、それと同時に、やはりパッケージで、二〇%に落とすというような政策のパッケージによって不動産取引を全体で活性化したいというねらいはあるわけであります。

長妻委員 民主党の法案提出者に聞きますけれども、今、谷垣大臣は、一つの理由だ、駆け込み損売りが、土地が出るというお話ですけれども、民主党案だと延ばすということで、そういう懸念というのは民主党はどう考えておられるんですか。

中塚委員 今回、修正案で、二年間の延期ということを提出させていただいております。

 土地の保有の目的はさまざまですけれども、ただ、資産運用とかいろいろな目的が考えられるというふうに思いますが、やはり土地を所有するからには、そこから上がる所得、あるいはそれを売買する所得、極めて長期的に予定を立てて行うのが実際であろうというふうにも思っています。そういう意味で、長く続いた損益通算可能という制度ですから、もうずっとそれが当たり前のこととして行われてきているわけですので、こういう制度を改めるときはやはり十分な期間を置かなければいけないだろうというふうに考えています。

 そういった意味で、そういう、今大臣が懸念をしておりました、開始時期の延期に伴う駆け込み的取引の増大による地価の下落、地価低下の加速化ということを、影響を緩和するためにも、二年間という延期幅というものを修正案では盛り込んであります。

長妻委員 ありがとうございました。それでは、民主党の法案提出者の方は御退席いただいて結構でございます。

 そして、政府が提出しております公債特例等の法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 この中には、年金の掛金を事務費に充てることができる、この特例措置、平成十六年度一年間ということでございますけれども。

 これは、今週の月曜日、衆議院の予算委員会で私質疑させていただいたときの発言でございますが、きょう森副大臣もお出ましいただいておりますけれども、社会保険庁の非常勤職員の件に関しまして、森副大臣は、私の質問にこういうようなことを言われております。非常勤はまさに文字どおり非常勤ですから、そういうことで、要するに、年金の行政としてのサービスを向上したり、そういった意味合いの、事務費の範囲内で、これは、それこそ財革法の趣旨にのっとって保険金で負担する、正規の職員の人件費については、給与ということで、これは国庫で負担ということで、非常勤は保険金で負担、正規の職員は国庫で負担、こういう御発言をされておられるんですが、実際、予算書を見ますと、この発言というのは間違っている。非常勤職員の人件費が国庫で負担をされている、国民年金特別会計で。こういう実態があるわけでございますが、これは、森副大臣、発言撤回をいたしますか。

森副大臣 私の発言のとおりでございます。

長妻委員 いや、ちょっとこれ、どうなっているんですか。

 私がお配りを申し上げました資料がございますが、この資料の六ページをごらんいただきたいと思います。これは、特別会計の平成十六年の予算書でございますが、この六ページに、左の上から三つ目、何か黒く太い線で囲ってございますが、これが国庫で負担をすると私は理解しております。非常勤職員手当、これが二千五百六十六人、六十四億円。これ、国庫負担と私は理解しておりますけれども、これは、じゃ、保険料負担ということでよろしいんですね。

森副大臣 委員が御指摘の費目につきましては、国民年金推進員のことでございますけれども、これは、平成十年度より、過年度保険料収納対策を目的といたしまして予算措置されてまいりましたが、平成十四年度に国民年金収納事務が市町村から国に移管されたことに伴いまして、保険料の収納強化対策、つまり、夜間や土日の戸別訪問などにより保険料収納を実施しておりますけれども、そういったことを目的として本格的な配置となったものでございます。

 本来、徴収事務は、国庫金の徴収についての信頼性を確保しなければならないこと、未納者から保険料を徴収する事務であり、高い職務能力が必要であることから、正規職員が本来実施すべきところでございますけれども、国の定員削減計画により増員が困難でありますことから、非常勤職員をもって対処しているところでございます。

 国民年金推進員は、歳入金の徴収事務に際し国庫金を扱うことが不可欠でございますので、会計法上の分任収入官吏として発令され、職員の身分を位置づける非常勤職員手当として給与の区分けを明確にしているところでございます。非常勤職員手当は人件費でありまして、一般職員と同様、国庫負担をもって措置をしております。

長妻委員 じゃ、さっきの発言、撤回してください。非常勤職員が保険料、正規職員が国庫負担、月曜日の予算委員会でも今ここでもそのとおりですと言われましたから、これは撤回して謝罪してください。こんないいかげんなことじゃ困ります。質問できませんよ、撤回しないと。国庫じゃないですか、非常勤職員。この二千五百人、国庫じゃないですか、国庫負担じゃないですか。

森副大臣 私が申し上げているのは、原則としてということで申し上げたのでございまして、特に、今申し上げたように、国民年金推進員につきましては……(長妻委員「原則なんか言ってないですよ、聞いてないですよ、原則という言葉は」と呼ぶ)いやいや、私の議事録見ていただければ、そのように申し上げております。

長妻委員 言ってないですよ。予算委員会の議事録ございますけれども、非常勤は、先ほどるる読み上げましたけれども、保険金で負担する、正規の職員の人件費については国庫で負担すると。先ほど冒頭にそういうふうに申し上げたら、そのとおりですと言われたじゃないですか、ここで。

 じゃ、ちょっとここの議事録を持ってきて、精査して、それを謝罪してください。そういういいかげんな答弁、困ります。質問できません。非常勤、国庫じゃないですか。保険料と国庫、両方の職員がいるんじゃないですか。

森副大臣 若干不正確なところがありましたら、そのように訂正をさせていただきます。(長妻委員「いや、だめです、ちゃんと謝罪して、謝罪しないんですか」と呼び、その他発言する者あり)

長妻委員 委員長、速記をとめてください。

田野瀬委員長 両者一致したらとめます。(長妻委員「協議中だから速記とめてくださいよ」と呼ぶ)いやいや、両者がとめろと言ったらとめますよ。(長妻委員「速記とめてくださいよ、協議中ですよ」と呼ぶ)いやいや、両筆頭が今協議して、とめるということであればとめますから。(長妻委員「とめてくださいよ、委員長の権限で、普通とめますよ、ちょっと委員長、こんなばかな運営どうしてしているんだよ、速記とめてください、協議中ですよ、協議中で速記とめない委員会どこにあるんですか、委員長、速記とめてくださいよ、こんな委員会ないよ、委員長、速記とめて」と呼ぶ)

森副大臣 やや、私のせんだっての発言に舌足らずのところがあったと思いますけれども、そういう意味でそのように訂正させていただきますと先ほど申し上げましたが、私の認識では、私が申し上げたその非常勤というのは、謝金職員や補助業務の賃金職員など、そういった業務に当たっている者のつもりでございまして、組織定員上認められている職員とは異なる性格を有しており、支出上の費目の謝金、諸謝金もしくは庁費を特例措置の対象として保険料負担としておりますので、そのように訂正をさせていただきます。

長妻委員 これは委員長にもちょっと注意しますけれども、こういう協議しているときは、私の質問はできないわけですから、質問時間としてカウントしないで、速記をとめる、こういうことをお約束いただきたいと思います。

田野瀬委員長 両筆頭で同意をしていただいて、そして私にとめろという両筆頭の合意があればすぐとめます。(長妻委員「そんな整理じゃ質問できません、そんな整理じゃできません」と呼び、その他発言する者あり)それは私の認識でございます。両筆頭の同意のもとで議事をとめるということで処理をさせていただきます。(長妻委員「とめてください、この委員会で質問できないですよ、そんなことじゃ、委員長、時計とめてください」と呼び、その他発言する者あり)

 ちょっとそっちで話してください。私の整理権の範囲で、両筆頭がとめろと言えばすぐとめます、与野党の理事の皆さんが。それは私の整理権の範囲内でございますので。――どうですか。

 それなら、今速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 それでは長妻君。

長妻委員 では、委員長、謝罪してください。――では、委員長の謝罪は理事会でぜひ御検討いただきたいと思いますが、わかりました。

田野瀬委員長 はい、了解しました。

 長妻君。

長妻委員 今の話は重大な話なんです、森副大臣。原則的にという話は後から、今つけ加えて答弁されましたけれども、これは人数を私調べてびっくりしましたよ。全然違うんですよ、森副大臣。

 非常勤職員が、基本的には非常勤職員六千五百六十六人ぐらいの方がおられるんですよ、社会保険庁に。そのうち四千人が、森副大臣が言われるように保険料でお給料を支払われているんですよ。ところが、原則的にという話、後からつけ加えましたけれども、一部じゃないんですよ、六千五百人のうち二千五百六十六人もが国庫でお給料をもらっているんですよ、非常勤職員なのに。予算委員会での答弁とここでの冒頭の答弁と全く違うじゃないですか。一人二人が国庫ならまだわかりますよ、非常勤職員のうち、たまたま。原則的にそうだと後からつけ加えられましたけれども。二千五百人じゃないですか、六千人の中で。それが国庫なんですよ。全く違うじゃないですか。謝罪して、きちっとこの予算を削ってください。

森副大臣 先ほど申し上げましたとおり、この国民年金推進員につきましては、まさに正規の職員に準ずる仕事をしておりますので、謝金等で賄っている賃金職員とは本質的に性格を異にしております。

長妻委員 そういうことは聞いていません。

 この職員も非常勤職員なんですから、国家公務員非常勤職員なんですから。非常勤は保険料と言ったじゃないですか。ですから、撤回して予算を削ってください。納得できませんよ。謝罪して、撤回して。

森副大臣 私の言い方が、表現ぶりが不正確であったならば、それは謹んで訂正をさせていただきます。

長妻委員 そうしたらば、はっきりと、ではこういうふうに訂正してください、自分の発言を撤回して、訂正すると。非常勤職員は、保険料だけではなくて、二千五百人は国庫ですと。そして、その上で謝罪してください。

谷垣国務大臣 森副大臣の御発言に私からちょっと補足をいたしますと、この特例公債をお願いして、本来は国庫で負担すべきものを年金の方でお願いをするときに、どういう基準でやるかということについてはいろいろ議論がございました。

 そこで、厚生労働省の方からは、国民年金でいいますと、国民年金事務を行う国の職員の基本給あるいは諸手当などの人件費については、これは国庫負担としてくれ、それから、人件費以外の事務費の範囲内で特例措置を講じる、こういう考え方を基本線としてくれというのが、当時、厚生労働省から私どもに示された考え方であります。

 ただ、その時点ですべて考え方が整理できたわけではありませんで、年度年度によって、実は予算編成のときで、かなり、財務大臣と厚生労働大臣が相談をしてつくって、かなり区々であったのは事実であります。それがだんだん、何回か重ねるに当たって、先ほど、原則としてということを副大臣おっしゃいましたけれども、おおむねそういう方向で、人件費と人件費以外のものということで整理をされてきたというのが現在の姿であります。

長妻委員 じゃ、森副大臣、どうですか、さっきの私の提案は。

森副大臣 繰り返し申し上げますけれども、私の表現に不正確な点があったことにつきましては、謹んで訂正いたします。

 しかしながら、その予算措置については、ただいま財務大臣から補足の御答弁があったとおりでございます。

長妻委員 ですから、これはいいかげんなんですよ。保険料を流用する、国庫を使う、原則があるんだと。人件費は国庫、それ以外は物件費と呼んで、保険料、こういう原則は全然違うじゃないですか。原則的という表現でも、二千五百人が国庫なんですよ。

 もう一つお伺いしますが、私がお配りした資料の七ページ、国民年金事務取扱交付金ということで、地方自治体に、国民年金の掛金、あるいは国庫負担で流れているお金でございます。七ページでございます。

 そうすると、今週の月曜日の予算委員会では、坂口大臣がこういう原則も言われているんです。平成十年以降、この財革法によりまして、人件費につきましては一般会計から、そして諸経費につきましてはそれぞれの財源の中から支給するということに振り分けがされたと。そして、森副大臣もこういう答弁を月曜日されておられます。人件費については国庫負担、それ以外は保険料というのは変わっておりません、十年度からと。こういう御答弁を明確にされておられるわけであります。

 この七ページを見ますと、そうすると、これは地方自治体に年金の事務をやってもらうために渡す交付金でありますけれども、これは、基本的にはこの範囲では何に使ってもいい金ですが、こういうふうに二つに分けているんですね、国庫負担と保険料と。この分けているのは、そうすると、国庫負担の部分は全部人件費、保険料財源は物件費、人件費以外、こういうことでよろしいんですか。

森副大臣 国民年金事務費につきましては、国民年金事務を行う国の職員の職員基本給、諸手当などの人件費については国庫負担とされ、人件費以外の事務費の範囲内で特例措置が講じられております。

長妻委員 そうすると、例えばこの七ページの表で、平成十六年度二百二十一億円という人件費というお話でしたけれども、この二百二十一億円は何人の人に、お給料として配られるということでよろしいんですか。

森副大臣 それは把握できません。

長妻委員 把握できないのであれば、これは人件費かどうかというのはわからないじゃないですか。いいかげんじゃないですか。また撤回してください、今の発言。把握できないというのはどういうことですか。

森副大臣 市町村交付金の国庫負担の額は、国民年金事務についての過去の実態調査を勘案し、毎年度、財務省と協議の上で予算措置がされているものでございます。

長妻委員 いや、だから、この二百二十一億円という、今予算の審議を予算委員会でやっているわけですよ。二百二十一億円、これは全額お給料ですね、地方自治体の人の。何人のお給料ですかと聞いているんです、さっきから。

森副大臣 市町村交付金は、人件費の費目ではありませんが、市町村職員の給与費を含む性格のものでありますので一部を国庫負担としており、その額は予算で決められてきております。

 人数はわかりません。

長妻委員 人数がわからないで、何で人件費なんですか。じゃ、これが全部人件費だと、お給料だと断言できるんですか。

森副大臣 ですから、何度も申し上げますように、市町村交付金については、その中に国費の負担分と保険料充当分があって、それは、実態調査に基づいて、財務省と協議の上で、毎年予算措置をしているところであります。

長妻委員 ですから、質問に全然答えていないですよ。

 二百二十一億円は森副大臣の仕分けだと国庫負担ですから、これは人件費じゃなきゃだめなんですよ。地方自治体の職員何人で、全額人件費なんですね、そういうことを聞いているんです。また答えられなければ、本当に質問できませんよ。

森副大臣 市町村交付金は人件費の費目ではありませんが、繰り返しになりますが、市町村職員の給与費を含む性格のものでありますので、一部を国庫負担としており、その額は予算で決められてきております。

長妻委員 ですから、一部を含むということは、じゃ、人件費は保険料でも賄っているということですか、百五十八億円の。どういうことですか。そうすると、さっきの原則、全然違うじゃないですか。一部負担というのは、二百二十一億円で人件費を賄って、これでも足りないから保険料でも人件費を賄っているということですか。そうであれば、幾らぐらい賄っているか、お教えください。

森副大臣 市町村交付金は、たびたび同じことを申し上げますが、人件費の費目ではありませんが、市町村職員の給与費を含む性格のものですので、一部を国庫負担としており、その額は予算で決められてきております。

長妻委員 この二百二十一億円は、人件費じゃなきゃだめなんですよ、百五十八億円は人件費以外の物件費じゃないとだめなんですよ、この原則では。

 そうすると、二百二十一億円は人件費だという証拠を出してください。何人にお給料を幾ら払うのか。ですから、二百二十一億円は、何人の地方自治体の職員に払う、全額がお給料なのかどうか。そんな当てずっぽうで二百二十一が人件費だと言われても、それは信用できないわけですよ。その資料を、あるいはその数字を出してください。あるいは、全額が、全部本当に二百二十一億円人件費だ、こういうこともきちっと言っていただきたいということなんです。

谷垣国務大臣 今おっしゃった二百二十一億は、これは市町村事務取扱交付金、これは平成十二年度から、地方分権一括法で国民年金事務の加入適用事務が国に移った、それから、平成十四年度から保険料収納事務が国に移管されたということによって、市町村の事務がそれで国庫負担ということになっているんですが、要するに、先ほど申しましたように、諸手当などの人件費については国庫負担とし、そして人件費以外の事務費の範囲内で特例措置を講ずる、つまり年金の方にお願いするという仕分けの中で、これは要するに交付金でありますから、地方にお渡しして、地方でこの年金事務に関して使っていただく、こういう趣旨のお金でございます。

長妻委員 ですから、何度も言うように、この二百二十一億円、人件費だということを、厚生労働省、人件費だということを示してください、何人のお給料なのか。それをさっきから言っているんですよ。

森副大臣 ですから、今大臣から御答弁もありましたけれども、これは交付金として、これまでの実態調査に基づいて、協議して、その割合を人件費見合いのものと物件費見合いのものということで交付しているわけでございますので、その先の何人だということは私どもでは把握をしておりません。

田野瀬委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 森副大臣。

森副大臣 市町村事務取扱交付金につきましては、人件費の費目ではありませんが、交付金は、市町村の職員が国民年金事務を行うための経費として交付するものであり、職員の給与費を含む性格のものです。このことから一部について国庫負担としており、具体的には予算措置で決められております。

長妻委員 さっきと同じじゃないですか。ですから、全額がお給料なのか、そういうことを言っているんですよ。給与費を含むじゃなくて、全額お給料なのか。ちゃんと確認しているんですか、決算。平成十四年度の決算はちゃんと確認しているんですか。

谷垣国務大臣 ちょっと議論を整理させていただきますと、先ほど私が申し上げたことは、仕分けをしますときに、厚生労働省からは、要するに人件費は国でもってくれ、それから人件費以外のものについては、それは年金の中から負担する。

 これは全部負担すると言っているんじゃないんです。負担する、つまりこの法律の仕組みが、年金の方に負担を求めることができるという仕組みで特例公債法はでき上がっておりますから、つまり、人件費以外のものについて年金の方で負担するということがある、そういうことで整理してくれということで、これも実はいろいろ紆余曲折があったわけでございますけれども、おおむねそういう形で整理をしてきた。ですから、人件費は国で見ておりますけれども、国で見ているものの中には人件費以外のものもあるんです。おおむね、だんだん整理されて、人件費、物件費ということですけれども、物件費が全部年金だというわけではないんです。

長妻委員 いや、森大臣が、人件費については国庫負担、それ以外は保険料というのは変わっていない、平成十年から、そういうふうに言われておられるからこれはお聞きしているわけですよ。ですから、厚生労働省がそういうふうに認識していれば、この二百二十一億円が全額お給料なのかと。

 じゃ、これだけ答えてください、二百二十一億円は全額お給料なんですね。それを答えればいいですよ。

森副大臣 給与の性格のある費用でございます。

長妻委員 給与の性格のある費用ってどういうことですか。だから、全額給料ですかと。給料ですと言えばいいんですよ。そうすれば次へ進めますから。二百二十一億円は全額給料ですと。そういうことですね。

森副大臣 本当に繰り返しになりますけれども、交付金でありますから、その使途は明確でありません。

田野瀬委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 森副大臣。

森副大臣 ただいまの、使途が明確でありませんというのは大変雑な表現でございまして、訂正させていただきますけれども、要するに、交付金の性格からして、私どもがその内訳を把握していないということを申し上げたつもりでございます。

 また、どうも話がかみ合っていないような気がいたしまして、私も長妻委員の御趣旨がよく理解できないんですけれども、いずれにしても、もう一度調べ直して報告をさせていただきたいと思います。

田野瀬委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 長妻議員の残余の時間は延期をいたしまして、次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 私は、今回のこのいわゆる所得税法等の一部改正の中で、特に土地等の譲渡損失、損益通算廃止が含まれている部分に関して質疑をしていきたいと思っております。

 このいわゆる法案でありますが、バブルが崩壊して、大変に土地の値段というのは下落をしてきているわけであります。それまで日本の経済は右肩上がりで来ていたわけでありますが、バブルが崩壊して土地神話というものも崩壊をしたわけでありまして、そのことによって今大変な社会的混乱が起こっているわけであります。もちろん、不良債権問題というものも、このバブルの崩壊によって発生して……(発言する者あり)ちょっと皆さん静かにしてもらえますか。バブルの崩壊によって起こったものであるというのは当然であります。

 こうした中で、今回提出されましたこの法案の中で、要するに利益を出しているところはいいわけでありますが、損失を出しているところ、例えば賃貸アパート等を経営していて、そういったものを売却して逆ざやが出た場合、それは損益通算ができないというふうなことが盛られているわけでありますが、考えてみると、担税力云々ということも今の法律の中では随分と議論をされているわけでありますが、逆ざやというんですか、土地の値段が目減りして売却した賃貸用の不動産が赤字であるというケースは、そういった意味で既に財政的にその持っている個人からすると極めて厳しい赤字の状況であって、そこにさらに追い打ちをかけるように損益通算をさせない、こういうふうな内容は、これは担税力を失ったところに課税することになるのではないか、このように思うわけですが、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 担税力のないところに税をかけるのは筋が違うという御批判ですけれども、やはり損益通算をするには、性質の共通なもののところで損益通算をしていくというのであれば、私はこれは合理的だと思います。

 しかし、これも何度か御答弁をしておりますが、土地の譲渡益というのは、これは取得のときから長い間かかって最終的に利益あるいは損失が確定するわけですけれども、いつその利益なり損失を確定しようかということは、その所有者の意思にかかっている。利益が出たり利益が出ない場合も、そういう性格がございますね。ところが、そのほかの所得、事業所得であるとかあるいは給与というものは、その年その年の、一生懸命働いた、それによってそういう所得がある。

 これは、性格が違うものを通算するというところに一つ問題があるということを私どもは申し上げているわけであります。

松原委員 質問の趣旨が違うので、そういった議論は後で、質問の後でそれはしていきたいと思っているんですが。

 私が今申し上げているのは、これは、担税力がない、税負担能力のないところに対して追い打ちをかけることにならないかということを聞いているわけであります。

谷垣国務大臣 担税力のないところにと松原委員おっしゃいますけれども、やはり利益が出たところに税をかけるというのは、これは課税の原則ですから。問題は、果たしてそれが通算できるかどうかというところに問題があるわけですから。

 先ほどちょっとすれ違っているという趣旨のことをおっしゃいましたけれども、私は、松原委員の問題意識に私なりの問題意識でお答えしていると思うんです。

松原委員 結局、不動産を売ったからとりあえずキャッシュフローが入るだろう、こういうことを今おっしゃっているんだと思うんですが、お金がそこにあるからそこに課税するという議論でいけば、極端なことを言えば、私がどこかから借金してきて、ここに金がある、そこに課税するという議論すら成り立つぐらいです。要するに、逆ざやで売っている場合というのは厳しい環境になっているわけですよ。

 それは基本的に、担税力の観点からいって、利益が上がって売っているところと、仕入れが合って売るところと一緒じゃないですか。仕入れよりも安い値段で売る場合は、それは利益が上がっていないんですよ、売ったことによってお金があったって。そんなのはだれが考えたって当たり前の議論です。

 私は、そういった意味で、このことは、担税力があるところに、短期で、例えば七、八年前に買ったとき一億円だった、それが今一億二千万で売れました、これだったらいいんですよ。そうじゃない、一億円で買ったものが八千万でしか売れない、下手したら五千万になってしまったと。五千万入ったから、お金があるから課税するということでは、私は、本質的議論にならないだろうと。

 私が冒頭申し上げたのは、担税力がないところに結果として課税されることになりませんかと。これは、現実になるというふうにお答えいただければいいわけですよ。

山本副大臣 先生おっしゃる意味での担税力、すなわち、応能課税の大原則の中で、個別に委員さんのおっしゃることを例に引けば、確かに収入がなくなるわけですから税負担にたえられない、その意味では担税力に欠けているだろうということは言えようかと思います。

 しかしながら、この応能課税の大原則というものについては、抽象的、一般的に、広く課税権を行使するという意味に使われる原則論でございますので、その意味からしますと、いわゆる政策的判断、そういったことの中で考えれば、そういったいわゆる個別担税力に欠けた人もいるかもしれませんけれども、逆に言えば、それを活用してあるいは利用して、節税効果、あるいはそれ以上に税を公平に分担していただけない人もまた出てくるという現実もあるわけでございます。

松原委員 今、私の大学の先輩でもあります山本副大臣から答弁があったわけですが、前段の部分が要するに私が言いたかったことですから、そういう事実がある、このことはやはり認めてもらわなきゃいかぬわけであります。

山本副大臣 せっかくの御質問でございますし、その前段部分ではそのとおりでございます。

松原委員 それでは次に、今回のいわゆるこの法案、損益通算が廃止される、こういったことでありますが、これに対して、東京税理士会もしくは公認会計士の会、こういったところから大変に強い懸念というものが表明されているわけであります。

 少し読ませていただきますと、税理士会の方は、ほとんど議論されておらず、納税者にとって唐突過ぎる改正であるということと、公認会計士の会の方には、個人所有の不動産の流動性を損なう要因ともなりかねず、国民経済に対する影響は大きいとか、地方経済を支える個人色の強い中小企業にとっては重要な社会問題に発展することも予想されるとか、個人所得として明らかに負の所得が実現しているにもかかわらず考慮されていないとか、こういうふうないろいろな緊急提言、このことは極めて今の国民経済にとってマイナスにぶれる可能性があるという緊急提言が税理士会や公認会計士の会から上がっているわけであります。

 このことについて、今若干申し上げましたが、特に彼らは具体的にどのような理由を付してこの問題に対して反対を表明しているかということを、これは事務方の方で結構ですから、お答えいただければと思います。

大武政府参考人 日本税理士会から出されたものを代表で読みますと、理由としてはこう書いてあります。

 昨年来の政府税調、自民党税調等においてほとんど議論されておらず、納税者にとっては唐突過ぎる改正、納税者の税負担について不利益を及ぼす遡及立法は本来行うべきでなく、特に今回の立法が今後の前例とならないようにすべきである、以上の税制改正について、その手続のあり方は問題というような提言になっております。

松原委員 税理士会や公認会計士会が、どのような理由をもって今回のこの事柄について反対をしているかというのは、そういったことを含めいろいろとあるわけであります。

 私が申し上げたいのは、彼らがこれに反対をしているということに対して、どのようにこれを解釈しているのか、このことをお伺いいたしたいと思います。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

谷垣国務大臣 税理士会の先生方にせよ、公認会計士の方々にせよ、税に関してはプロでいらっしゃいますから、我々にとっても大事なカウンターパートといいますか、いろいろなことを常に協議させていただかなきゃならない方々であることは事実でございます。

 先ほどのような御意見があることは承知しておりますけれども、評価というとちょっと難しいんですけれども、譲渡所得というものはどうあるべきかとか、それから、これもるる申し上げておりますけれども、損をどう埋めていくかというような観点ではなく、やはり適正な本来の土地の使用収益に見合った市場を形成していくとか、そういうような政策的判断をどちらかというと優先させていただいたということなんです。

 また先走って言ってしまったらお許しください。

松原委員 私も政治家として活動しておりますが、谷垣大臣もそういった意味では地域の政治家として活動しておられる。我々は、もちろんそういった学術的な内容というものも必要かもしれませんが、実体経済というんですか、現実がどのようにあるか、政治は理想を語り、それが正しいかどうかを議論していかなければいけないわけでありますが、現実がどうであるかということの認識が必要なわけであります。現実がどのような状況であるかという認識が必要であります。

 そういう意味において、今回のこの問題について、例えば税で一般の個人の皆さんが相談するのは税理士であったり、もしくは場合によったら公認会計士だったりする、本人が税の知識を非常に持っている人は極めてまれでありまして、つまり、税理士会や公認会計士会というのは、現実の納税者の実態に一番接している。それは、財務省の人や、そういった皆さんより、税理士会や公認会計士会の方の方がはるかに一人一人の納税者と接触をしているわけであります。理論、理屈がどうであるかという議論、それはそれで大事であります。しかしながら、政治家として、特に行政が判断する場合、特にリアリズムを重んずる与党の皆さんにおいてなぜこういう現実を認識できないのか。恐らく、後で聞いて、何だこれはと思った人がたくさんいると思うんですよ。これは何だと。

 簡単に言うと、わからない方がもしいたらいけないので、私も復習の意味で申し上げますが、例えばアパートを建てて、家賃収入をそれで得ていく、しかし、あるときアパートを手放そう、違う事業をやろうと思ったり、それはわかりません、アパートを手放した場合、従来はその損失はほかのものといわゆる損益通算ができた、それができなくなる、こういうふうな法律であります。

 これは確かに、これから議論しますが、いわゆる二元論、スウェーデンとかああいうところで盛んになってきているという話でありますが、そういう一つの理想、これについての是非もこの議論で私は問いたいと思いますよ、しかし、私が言いたいのは、そういうことと現実のリアリズムというのはあるだろうと。リアリズムを大事にするから、やはりそれは政治に対する信頼になるわけであります。

 私は、そういった意味において、公認会計士の方々や税理士の方々がこれだけ間髪入れず反対をするということは、それは理想はいいですよ、理想はどこがつくったかわかりません、財務省の一部がつくったのかどうかわかりません、しかし、この理想は云々としても、現実的にこれだけの拒否反応が起こっている、輸血した血が中で拒否反応が起こっている、こういうことについてどうお考えかということを聞いているんです。

谷垣国務大臣 リアリズムを強調されるお気持ちはよくわかります。私も、自分の丹波や丹後の地域に密着した政治家でありたい、こう思っておりますが、しかし、それをおっしゃるならば、先ほど山本副大臣がおっしゃった、これによってどういう方が便益を受けるかということを考えますと、やはり土地をたくさん持っていて、資産もたくさん持っていて、そうして通算をしてそれをやっていくことができる方、これは相当な資産家だと私は思いますね。やはり、広く、税率も下げて土地取引を活性化していくという大きな目標とどっちをとるかなということを判断しなきゃいけないわけですね。

 私は、今の言い方で言えば後者をとったということでございますので、リアリズムがない、こう言われてしまうとそれまでなんですが、そういうことではないかと思っているんです。

松原委員 私は、大地主だということは全然違うと思うんですよ、これ。昔からいる大地主は、むしろこれの損益で損しないケースが多いと思う、僕は。むしろ、例えばサラリーマンでも、将来独立をしようとか前向きに思っていて、とりあえずどこかにワンルームを買って、人に貸してというふうな人たちが逆ざやで困るわけですよ。つまり、個人の資格であるといえども、積極的に、日本の経済にアグレッシブにかかわっていこうという人たちがしゅんとするんですよ、これは。

 そして、仮にこうなれば、次からこういった、いわゆる不動産に対して、これは後に質問するわけですが、投資をして前向きにやっていこう、将来おれも脱サラして一発やってやろうか、こういう人たちは土地に対して投資をしなくなりますよ、恐らく。その辺は、私は、谷垣大臣は、特に東京とか首都圏においてはこういう事実はたくさんあると思うんだけれども、その辺の事実を本来であればもう少し御認識をいただきたいというふうに思うわけであります。

 質問を先に進めてまいります。

 今回の、税制調査会の答申がありました、この税制調査会の答申において、日本社会においてトレンドがある、こういうふうな話がありました。国から地方というトレンドであります。また、官から民へ、こういうトレンドが言われております。私は、こういった国から地方、また、官から民へというトレンドと同じように、私たちは日本の景気をだれが引っ張るのかという議論をした場合に、外需から内需というのが一つのトレンドになっていくだろう、そうせざるを得ないだろうと思っております。

 内需とした場合に、それはたくさんの要素があります、消費者といわゆる供給者という、こういったさまざまな議論がありますが、内需を引っ張っていくためには、今この損益通算ができなくなることによって大変な衝撃を受けるような、そういう一人一人の、かなり積極的に経済に対して参加する人間が日本の景気を本来引っ張っていくための大きな財産であろう、こういう認識を私は持っているわけであります。私の周辺にもそういう若い仲間がいますし、恐らくこのことで衝撃を受ける仲間はたくさんいるだろうというふうに思っております。

 そうしたときに、法人は、今、御案内のとおり、元気がない。法人というのは非常に元気がない。日本の場合は法人はみんな借金していますよね。国から始まって、国が一番借金している、こういうふうに思うわけでありますが、これは襟を正さなければいけないと思っております。借金している国が借金している企業を恫喝できるのかというのは、これは大きな問題でありまして、それは、言葉は悪いけれども、泥棒が泥棒に物を言えるのか、こういうふうな話になってくるわけでありますが、私はその議論はここでいたしません。結果として、元気なのは、一千二百兆なり個人資産があるという、その個人であります。

 結局法人は損益通算ができるわけでありますが、個人は損益通算ができない、今までできたのができなくなる、このことについてはどういう御所見をお考えでしょうか。

山本副大臣 法人の所得に対する実効税率は、国税、地方税合計で約四〇%でございます。個人の土地、建物等の長期譲渡所得に対する改正後の税率二〇%の約二倍である。そういうことを勘案しまして、もともと個人と法人とは、もとより税体系も異なっておりますし、損益通算だけをとらえて有利、不利を論ずることは少し適切でないような気がいたします。

松原委員 少なくとも、個人が今までそういったメリットがあったものがなくなってくる。私はなくなるということを見て、逆に、個人が今までそういうのはなかったけれども、そういうメリットをつくるというなら、個人の持っている一千二百兆、一千四百兆、これが機動的に出てくるぞと。今、日本は、確かに個人は持っている人いるんですよ、しかし、それが機能しないところに宝の持ちぐされというか問題がある。

 だから、それを機能させるためにむしろそういった部分を、極端に言えば、今まで損益通算できなかったものを損益通算しましょうというなら、個人がどんどんと経済市場に出てくる条件整備になるけれども、逆に、今まであったものを減らすというのは、私は逆行ではないかということを申し上げているわけであります。私は、この部分に関して――それは法体系の理論とか全体像の議論はあるでしょう。この個人において、その持っていた税財政上のメリットが、特典がなくなるという点においては、これは事実でありますから。特に、それは前向きに個人で事業をしようとしている人においては、そういう事実があるということを申し上げているわけであります。

 これは、そういうことですから、当然、今、山本副大臣も、谷垣さんはちょっとまだうなずいておりませんが、これでうなずいているということでありますから、そのように了解をしたいと思っております。

 そういう中で、今回、この損益通算をなくすという決断が一体何によってなされたのか。もちろん、法体系というのは、これは理屈としてある。しかし、私は、財務省側の持つニーズというんですか、意図というのはそこにあるだろうと思うんですよ、財務省側は。つまりは、それまでの長期譲渡所得が、結局二六パーから二〇に減額になるわけであります。これは、利益を出す側にとっては、不動産を売却して利益を持つところにおいては、プラスの判断材料であります。その部分の税の減収を補てんする意味で当然パッケージというふうにおっしゃっているわけですから、パッケージでこういったいわゆる通算、合算が行われなくなる、こういう理解でよろしいですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。財務省とありましたので、お答えさせていただきます。

 この改正案の主たる要望は、むしろ国土交通省サイドからであります。それと、我々から申しますと、先生が言われるとおり、土地はやはり公共性のある資産でありますから、我々としてもその公共性ということを認識せざるを得ないというのは、財務省もそのとおりであります。

 ただ、土地とか建物とかそういうものにつきましての譲渡損益というのは、以前から大臣がお答えされているように、一定の時間を経て生じた含み損益が納税者の任意に行われます譲渡の機会に一度に実現するという意味では、やはり分離した方がいい。これは長年政府税調からも言われております。

 そのような背景で申すれば、利益が出たときだけ分離で、売ったときに総合合算するというのは、やはり全体としてバランスがとれていない。そういう意味では、我々、今金融課税も検討しておりますが、株も土地も同調のことでございまして、そういう観点から、パッケージとして譲渡損と譲渡益それぞれを分離課税で流動化しやすいようにという、国土交通省の要望も受けて改正をさせていただいたというのが背景であります。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

松原委員 パッケージということでありますから、私の理解では、この二六%から二〇%になるというふうなことの埋め合わせという要素が恐らくあったのではないかというふうに思っているわけでありますが、ここで事業用の土地の譲渡損の問題をさらに議論していきたいと思っているわけであります。

 このいわゆる事業用の土地の譲渡損というものに関して、事業用不動産の譲渡損益は例えばその本人の勤労所得と合算するというのは、今言ったような意味でこれは考えていくべきだというふうな議論というのは、私は一つあるのかなというふうに率直に思っております。リアリズムからいったら今すぐやるのはどうかというのは別ですよ、しかし、そういった議論はあるだろうと。

 ただ、私が申し上げたいのは、事業用不動産の譲渡損益は事業収益と一体のものである。これは同じものですよね、明らかに。同じものですよね。例えばだれかが、自分の所得を持っていて、その所得は営々としてどこかの会社に行って働いてお金を得ています、月二十万か三十万か四十万、年間で幾らか稼いでいますと。その彼が一大発起して借金して、大体借金して買っていますからね、全額お金で買うなんということはないですから、借金してアパートを経営するなり、マンションの部屋を一室買うなり二室買うなり三室買うなりする。そして、その収益があると。それが例えばアパートを二棟持っていたというふうな場合に、一棟売ったら大きな損失が出た、一億円で買ったものが五千万円でしか売れなくて五千万損したと。それをこちら側の一棟の事業の収益と合算するのは当たり前ではないか、同じ事業用収益として。これは合算できるんですかどうですか、技術的に今回の法案で。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 本業が不動産というような方であれば、それは棚卸資産として回転する土地、建物でございますから、それは当然のことながら不動産業として合算されます。しかし、そうではない、いわゆる事業用で通常使っているような土地をたまたま売るというような場合には、それは業としてのいわば棚卸資産じゃありませんので、それはやはり別物かと思います。

 特に、先ほど政府税調のお話をさせていただきましたが、いわゆる譲渡所得というのは、損にしても利益を出すにしても、本人の選択でその時期を選べる。しかし、その値上がりとか値下がりというのは長年のいわば公共的な活動によって、利益が出たり、収益が上がったり下がったりする、いわば他人の行動によって動く、そういう性格のものをある一時期に実現することができる。

 それに対して、不動産所得のようなものは、いわば勤労所得とある意味では似ておりまして、継続的に実は所得が入ってくるものであります。したがいまして、本来的には、先ほど御答弁させていただいたとおり、分離課税という意味では、譲渡所得は分離課税で、それ以外の所得との通算を認めないというのが一つの政府税調の従来の考え方の流れにあるということだと存じます。

松原委員 政府税調ということですから、その質疑もしていきたいと思っているのでありますが。

 基本的に、このいわゆる譲渡所得、建物を売って損失が出た場合には、その個人がそれをなりわいとしていなくても、結果として、自分の副業と言っていいかどうかわからないけれども、そういうものをやっていたときに、それは当然同じたぐいの事業収入とは合算をするというのは、これは税の理屈からいって当たり前だというふうに私は思っております。

 不動産をなりわいとしている場合はそれはできるということでありましたが、不動産をなりわいとしていなくても、どっちが生業かというのは、非常に職業の概念がまた変わってきていますから、非常に難しい話でありますが、一日の時間のマジョリティーを使っているからそれが生業かどうかというのは、一人が複数の職業を持ったりするような時代でありますから、そういった意味で、その事業をやっている人間が、例えばマンションの一室を三つ持っているサラリーマンがいた、一室を売って損失が出た場合は、他の二室の利益と、利益が上がっているとすれば、合算するというのは僕は当然のことではないかと思うんですが、これは、大臣、いかがですか。

谷垣国務大臣 それはさっきから御答弁しておりますように、確かに事業として不動産業みたいなのをやっている場合にはそれは当然のことだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、やはり譲渡所得とほかの事業所得というのはちょっと性格が違うものではないかというふうに私は思うんです。委員は、そこは違わないとおっしゃっているわけですよね。

松原委員 同じことをやっているんだから。

 結局、不動産を買って、それは賃貸収入を得るために買うわけでありますよ。しかし、それは一体として理解しているわけですよ、それをやる側の個人にとっては。わかりますよね、言っている意味。

 それは、彼の勤労所得と合算しろと私は言っていませんよ、勤労所得と合算しろとは。そうじゃなくて、彼のそういった――そういったケースがどれぐらいあるかというのは別ですが、筋論として二元論というのがあるのはわかる、さっきリアリズムからいってそれはちょっと違うと思うけれどもと、譲歩して私は言っているんですよ、少なくとも譲渡所得にその損益は通算するのは当たり前じゃないですか。

大武政府参考人 恐縮でございますが、国税庁の実態を少しお話しさせていただきますと、実は、今先生が言われた不動産業をなりわいとするというふうに私も答弁させていただいたんですが、実質上、形式的には五棟十室以上持っているような方は、業としていなくても、これは事業、いわゆる本業として扱っています。それから、それ以外にも、もっと小さい範囲であったとしても、副業として、それが業として扱うものであれば、それはまさに不動産業と同じとみなされる場合には、そういう扱いになるということだと思います。

 ただ、今言われた二元的という意味では、これは恐縮ですが、今我々が一番議論している金融資産性所得についても、利子とか配当と譲渡益の合算というのはまだ一越え乗り越えなきゃならない実は壁がございます。いわゆる配当と利子というのは経常的に入ってくる所得でございます。それに対して、譲渡益とか譲渡損というのは、先ほど言ったように、一時的な所得でございます。これはやはり合算するのはどうかという議論は根強く実はありまして、これはまだ決着がついているわけではありません。

松原委員 何か先の質問の答弁まで出てきちゃったんですけれども、要するに、私が申し上げたいのは――それは後できちっと議論しようと思っているんですよ。五戸十室、それはいいんですよ、わかっていますよ。サラリーマンで、そんな五戸十室、そこまで一気にいかないですよ。

 そうじゃなくて、自分で本当に何か将来事業をやろうと、今までは日本は土地本位制だったんだから、そういう中で買ってきた人がいるわけですよ。十年、十五年前に。それは二戸かもしれない、三戸かもしれない。そういった人たちが、ある種日本の経済の動力源になる可能性が極めて大きいわけですよ、そういう個人が出てきて。そういった人たちは、今回のこのことによってチャンスを失う。初め彼らが二十年ローンでマンションの一室を買うときは、こういう議論はなかったですよ。また、なるとわかっていれば買わなかったかもしれない。しかし、それを買ったんですよ、彼は苦労してあれして。しかし、今資産デフレで厳しくなった。しかし、おれもそろそろ四十四歳だからここでやるしかねえなと。そうすると、損切りはできませんよ。こういう話だったらテークオフできないじゃないかということを私は言っているわけであります。

 私は、そういうことでは日本の経済の本当にフレキシブルな対応というのはなかなか難しいのではないかと思っているわけでありますが、この改正案は政府税調でどれぐらい議論されたのか。今政府税調、政府税調と言われましたが、今回の改正案について政府税調はどれぐらいこれを議論したのかということを私は聞きたいわけであります。

 実は、政府税調の委員の中で上月委員という方が質疑をしている。土地、建物の譲渡損失の損益通算を認めないということですね、これにつきましては政府税調に全く上がってこなかったと思いますと。政府税調に全く上がってこなかったと思います、税金を専門にしている者は政府税調の議論というのをかなりよく見ておりまして、いきなり出てきた、唐突に出てきたという感じをぬぐい切れないと。石会長がこの後言っているのは、政策税制のところが自民党税調の議論からつけ加わったわけですよねと。次が大事で、我々の守備範囲の外で議論が起こって、税制改正という形で一本化しましたというのを石さんが言っているんですよ。

 つまり、この議論というのは、政府税調で少なくとも議論されていなかった、こういうふうに読み取れるのでありますが、大武さんはその後若干答弁をここでもしています、そういった答弁を今するのかもしれませんが、お答えください。

大武政府参考人 恐縮でございます。

 そのときも答弁させていただきましたが、やはり土地問題については、もう長年、土地基本法ができて以来、政府税調でも随分御議論いただいてまいりまして、その基本方針もございますし、直近では十二年に中期答申というのをおまとめになっていて、それ以来ずっと議論をさせていただいてきたということをそこでは答弁させていただいています。

 特に、ことしの場合には、秋に政府税調のメンバーがかわりまして、任期が終わったものですから、したがって、開いてやれた回数が少ないということが一つ。それから、ことしの場合には、やはり党税調の始まったのも十一月の下旬からだったということもありまして、テーマとしてはかなり絞った議論をさせていただいていたということであります。

 そういう意味では、今国土交通省から出されたこのような要望に関しては、我々としては、長年の政府税調の考え方に沿った対応をさせていただいたということでございまして、その御説明をした後、政府税調ではある意味では違和感なく受けとめられたということかと存じます。

松原委員 それは違うと思うんですよね。政府税調で違和感なく受け取られているならば、そういう議論があったなら、それは税理士会だって会計士会だってわかっていますよ。

 十二年にやったと言うんですが、十二年にそういった議論がどこまで行われたのか。しかも、そのときにそれが出てこなくて、今出てきたという理由は何なのか。十二年に、それは当然かなり議論したのかもしれませんが、本来は、今出てくるんだったら、十二年じゃないでしょう。今十六年ですよ。十五年もしくは十四年――十五年に徹底的に議論したと、これだったらわかるけれども。そうすると、政府税調で議論したものが、その翌年とかそういうのは関係なく、突如として四年後に出てくるというのは、それは極めて自然な形なんだ、こういうことになるんですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 これは政府税調、去年の秋も非常に時間がなかったものですから、私からも、基礎小委の場でございますか、発言をさせていただきまして、まさに今までの線に沿って議論をさせていただくということと、必ずしもその場で、政府税調に出た以外の政策的要望が、当然のことながら、これは党の中あるいは各省から出てまいりますから、それはそれで議論をさせていただくというお断りは当然させていただいているところであります。

 しかも、それが全く違う方向であれば、それは我々としても石先生なりと御相談しながら進めますが、今申し上げた十二年七月の答申というのはまさに中期答申で、政府税調のいわば基本的な、三年に一回という任期における答申なので、その中でいわば土地譲渡益課税というものについての考え方の方向性が、適正な税率、分離課税の方式が現実に即したものだとか、あるいはもっと前でいえば、平成九年の十二月にも、申告分離の枠組みの中で、所得を生じた場合には他の所得と分離して課税する一方、損失のみを通算することには問題があるというような御答申もいただいてきたということが背景にあるということであります。

松原委員 結局、今回のこれが、不動産の場合に、消費者というか個人個人は経済の主体者ですよ、不動産というのはきょう売ってきょう売れるわけじゃないですよ、例えば中古のカラーテレビを友人に買ってくれ、三千円だと、これはきょうできょう売れるかもしれぬ、しかし、局長、不動産というのは簡単に売れないんですよ。簡単に売れないんですよ。そういうふうな極めてゆったりとした案件を、しかもこれは十二年に議論したと。では、今回は議論はどういうふうにしたんですか。今回議論していないわけじゃないでしょう、どれぐらいの時間、どういった形で議論して、これに対してどういう意見が上がったんですか。

大武政府参考人 まさに党税調の場では専らこの議論が多数交わされましたけれども、あるいは与党の税調でも多数交わされました。ただ、ちなみに、これにストレートかどうかわかりませんが、十五年の五月にも十一月にも、あるいは十六年の直近でも、言ってみますと、この損益通算をそもそも認めてきた意味ですとかそういう議論はさせていただいておりまして、奥野小委員長とかその他の先生からもこのような御議論が出てきていたということであります。

 ただ、申し上げたように、上月先生のお話に関して言いますと、任期がことしの九月まででございまして、その後上月先生は実は任命されたものですから、確かに先生が言われるように、先生方からとれば、このテーマで議論したということが余りないなというのは、そのとおりかと思います。

松原委員 ということは、やはり議論が不足しているということなんですよ。私は、これはよくまあ、何でこういうものを与党自民党が認めたのかと思うんですよ、率直に言って。こういう個人の、しかも前向きにやっていこうという人間が、同じ不動産の賃貸とすら合算ができないという、損益通算すらできないというものを。

 では、今、自民党の議論というのは、この委員会でどうかというのはわかりませんが、どれぐらい自民党の党税調で議論したんですか。そんな議論をしたんですか、時間をかけて。しかも、この政府税調で具体的にどれぐらい議論したんですか、今回。今回出そうというんだったら、当然、委員がかわったからそれは前の人は知らないという、そういう議論じゃないと思うんですよ。ちょっとお答えください。

大武政府参考人 これは例えば自民党でもあるいはそれこそ与党でも議論はさせていただきましたが、いずれにしても期間が短かったことは事実です。ただ、マル政項目と我々は言うんですが、こういう大きい項目については時間をかけて議論はさせていただいております。

 したがって、そこの分離課税、しかも二〇という、後で御議論になるのかもしれませんが、金融課税と同じような税率に合わせていく、そして、できるだけ、言ってみれば市場を乱さない形でという議論が国土交通省の側から提案されたものをその場で議論させていただいたということであります。

松原委員 十分な議論は行われていなかったということを今少しお認めになったけれども、これは極めて重要なことなんですよ。このことによって、どれほどの個人が、やる気のある人間が、経済に対してみずからが主体者として動くことに対して足どめになるか。そういうふうな議論がほとんど行われていなかったと。これは大変な問題ですよ。

 こういうことが何で、そんな――もう一回、具体的に余りこういうことを僕は聞きたくないけれども、これは一体何時間議論したんですか、そういったところで、政府税調で、今回。どういう議論が、そのときに全員がそれはそうだという議論でいったんですか、そんなことはあるはずがないと思うんですが、その辺お聞かせください。

大武政府参考人 マル政項目の一つとして、例えば自民党だけとりますと、十二日それから十六日というんでございましょうか、それは午前午後とかけてこういう議論をさせていただいているということであります。

松原委員 政府税調での議論はどのぐらい行われたんですか。

大武政府参考人 ただいま申し上げましたように、政府税調においては、これをテーマにした議論は、このメンバーにおいてはまだその時点ではされていなかったということです。ですから、上月先生がそう言われた。

 ただ、長年でいえば、金融小委でもあるいはその以前の政府税調総会でもこの問題は長年にかけて議論してきたことは、過去の答申をごらんになればわかるとおりであります。

松原委員 議論の中で例えば勤労所得とこれを合算というのは、これは北欧のあり方が正しいかどうかというのは別に議論があるんですよ、それが日本において実践されるべきモデルかどうかというのは、これは日本経済と北欧経済は違うから、何といったって日本は土地本位制ですから、鎌倉時代以降と言うと大げさだけれども、場所を確保して、それを陣地にしながらやっていくというのが日本のDNAの中に入っているんだから、スウェーデン方式がいいかどうかというのは僕は疑問だけれども、それにしても、それは百歩譲ってそうであるならば、勤労所得とこれは別だというのはわかるけれども、例えば譲渡所得と賃貸収入の合算ができないとかできるとか、そういう議論はどういうふうにやったんですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 ただいま申し上げましたように、いわゆる譲渡所得というのは、それこそ長年の経過を経て、しかも土地の場合には自分の努力ではなくてある意味で上がったものであるので、そうした損失とその他の所得、これは先生の言われている不動産所得も含めて、いわば合算するのは適当でないという議論をやってきた。その意味では、大分土地税制のときに、マンションなどはそれで実は先に損益通算を切っているわけでございます。

 それから、ちょっとさきの、私ちょっと謝らなきゃならないんですが、五戸十室の場合でも、当該資産がいわゆる事業用の棚卸資産になるわけではないので、そういう意味では、いろいろな経費は落とせることはできるんですが、合算の対象にはならない、それをちょっと間違えましたので、修正させていただきます。

松原委員 これは、今谷垣大臣も山本副大臣も政府の立場ですからあれですが、恐らくそんな議論はしていなかったというふうに僕は聞いているんです、率直に言うと。政府税調は、もちろん、今言ったように議論していないと、突然出てきて突然決まったというふうな認識を持っていると。

 それは、少なくとも、さっき言った公認会計士の方々や税理士の方々も、何だこれという世界ですよ。後ろから刃物で切りつけるみたいな話でして、これは、こういうことをやるというのは、著しく納税者というか一人一人の日本国民の、少なくともみずからがやる気を持っている人たちにとっては、日本の信頼性、これからこれで投資していいのか、二十年間のローンを組んで投資していいのかと。

 昔よくあったじゃないですか、マンションでも、そういうのを貸して、損益通算しながらやっていって云々かんぬんとあったけれども、そういったものが根本から、日本人的な資産蓄積の方程式が崩れるような議論が今回極めて安直に出てきた。少なくとも、二元論というならば、このいわゆる譲渡損失と一体であるところの賃貸収入は、私は合算ぐらい認めるべきだと思うんですが、どうですか。

大武政府参考人 何度も言うのは恐縮でございますが、利子配当といわゆる証券の譲渡益とを合算するか否かという、まさに間接金融から直接金融へやっていくための誘導税制ですら今議論しているところでありまして、むしろそういう切り方というよりは、世界の流れは、資産性所得というときは、そういう譲渡所得あるいは譲渡損失と他の所得をどう切り分けていくかということがやはり経済学的な理論の基本にある。したがって、不動産所得との合算というのは議論としては過去余りないということは事実だと思います。

松原委員 世界の潮流は世界の潮流で、世界の潮流を入れながら明治時代だって和魂洋才と言ったんですよ。日本人のDNAの中には、こういう不動産を、これも金融が変われば別でありますが、一つの担保にしながらやっていく、何かするときに。不動産というのは、日本人の頭の中では、一つの経済的な、やはり俗人的な極めて重要なとりでですよ、昔から。だから、少なくともそれに関して、譲渡所得と譲渡損益といわゆる賃貸収入の合算ぐらいはやっていくべきだということを私は言っている。

 これはこれ以上ここで議論しても、局長はそれ以上答えられないだろうし、大臣も出してきた側でしょうから、本音はどうあろうとなかなか答えられないと思っておりまして、本音はきっと私の言っていることを理解しているはずですよ。これは困った法律だなと思っていると思うんだ。しかし、建前しか言えないと思いますから、これは御質問いたしません、この部分は。

 それで、ちょっと続けてまいります。

 今話しましたように、いわゆるこの金融の方の課税一元化という議論が起こってきているというわけであります。この課税一元化というのは、要するに、個人消費者、個人投資家がリスクを分散し、リスクをある程度ヘッジしながら柔軟にこういった投資をする。個人投資家が投資をするというのは、日本の景気をこれから上方にするための絶対的な要件であると思っておりますが、そのためには、金融の一元化というのは私は大きな議論だと思っております。

 この金融の一元化は、今局長言ったように、なかなか暗礁に乗り上げている部分もありますが、本来は、経済産業省の産業資金課の目的としては、産業金融機能を抜本的に強化し、経済活性化を実現するための施策として、個人の金融資産を有効活用し、多様な資金云々と。そして、金融所得課税一元化を推進することは喫緊の課題であるということですよね。

 これは、要するに、この経済産業省の委員会の中ではこのことで議論をして、そして、言ってみれば、配当とその売ったときの損を合算するようなことを考えろということになっております。どっちにその結論が出るかというのは、今ちょうど綱引きの段階であるというのは局長がおっしゃったとおりでありますが、私は、少なくともそういう方向性ということが論議されるような時代のトレンドであるということを我々はきちっと押さえておかなければいけないというふうに思っているわけです。

 そういう中で、仮にこの検討小委員会において金融においては合算するという結論が出た場合、それは出た方が私個人は日本の経済にとってはいいと思うんですよ、いわゆる株式の配当利益とその損益が合算できる方が私はいいと思っているんですよ、それはいろいろな議論がありますが。そういう方向で本来この経済産業委員会の検討小委員会はつくられた。私が申し上げたいのは、そのときに、理屈として同じなんですよ、いわゆる土地において、家賃収入とその譲渡損益通算というのは同じ議論でありますから、これは一元化されたときは、この土地の方も当然一元化という議論が私は起こるんじゃないかと思うんですが、どうですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今言われた金融資産性所得に対する課税の一体化というのは、我々も、まさに金融商品に対する課税の中立性あるいは簡素性という観点から、非常に方向として正しいのだろうと思っています。

 ただ、その場合も、各種金融資産性所得間でどこまで税率をそろえるかとか、損益通算をどこまで広げられるか、まさに先生が言われたような議論もございます。そういう意味で言われているわけですが、ただ、その場合も、あくまでも金融資産性所得と、逆に給与所得とか事業所得といったような勤労性所得との損益通算を認めるという議論は、当然、先生も言われたように、ない。

 しかし、それでは、似たような類似の配当とか利子とはどうか、こういう御議論なんだろうと思うんですが、そこもはっきり言って、まだ全く、暗礁というより現実には答えが、経産省の方もそうですし、政府税調もことしの六月までにその方向性を出していこうと思っています。

 ただ、不動産の場合と金融というのはやはり違うと思います。これは、あくまでも不動産というのは、御存じのとおり固定資産税がかかっていたり、あるいは登録免許税がかかったり、ある意味で言えば公共性のあるものでありますので、不動産をどう扱うかは、さらにまた一歩進んだ議論を中で大いにしていただかなきゃならない、まさに合算ということに関してはそういうふうに思います。

松原委員 私は、今の局長の答弁、前向きに理解したいと思うんですよ。つまり、可能性はあると。

 それは不動産と金融は違いますよ、違うけれども、不動産こそ、すぐに金融商品のように売れるわけじゃないんだから、私は逆に言えば合算をするべきだと思うんですよ、理屈から言ったら。きょう結論が出て一週間後に売れるわけじゃないですよ、金融だったら売れますよ。だから、不動産の方こそ合算という、リスクをヘッジするようにするべきだと私は思っておりまして、これはこの議論の中でやはり金融の一元化ということが起こる可能性が高いし、その方向で経済産業省も議論をまとめられていることを考えれば、少なくともこの家賃収入との合算、損益通算というのは私は検討に値すると思うんですが、お答えいただけますか。副大臣でも結構でありますが。

山本副大臣 確かに、先生のおっしゃる、経済産業省の産業金融機能強化のための金融所得課税のあり方に関する検討小委員会の答申などを見ますと、方向性としてはそうなるような書き方もございますし、まさに委員のおっしゃる点に矛盾はありません。

 特に、そういう金融商品の多様化に向けて、住宅ローンの証券化だとかあるいは不動産の証券化だとかが進めば、混然一体として判然と区別がつかない部分も不動産、キャピタルゲインの中に出てくるだろうというように思います。そう考えれば、先生のようなお考えというのも一考に値することは間違いないだろうというように思っております。

松原委員 山本副大臣のその答弁、ぜひ真剣に御検討、御賢察を賜りたい。これは大事なことなんですよ。これはリアリズムを推し進める政治家は、いわゆる現実を見据える政治家は、当然この議論に立っていかなきゃいかぬというふうに思っておりまして、そのことをよろしくお願いしたいと思っております。

 時間が大分押し迫ってまいりまして、質問がまだたくさん残っているわけでありますが、そういった意味では、このことについて周知徹底が十分に行われていないのではないかということは既に税理士会等も指摘をしたわけであります。

 私はこのことと平仄をちょっとそろえて申し上げたいことは、いわゆる遡及しているのではないかという議論があるわけであります。

 このことが自民党税調で議論され、新聞に二行か三行載ったのが十二月の十七日というふうに聞いております。十二月の十七日にそれを聞いて、年内に売ろうといっても、二週間じゃ不動産はまず売れませんわね、常識的に。これは当たり前であります。そして、これを今こうやって議論している、政府税調での議論がどうかは別にして、議論している。そして、通ったものはことしの一月に遡及するわけであります。

 つまり、ことしの一月から今日の間売った人は、損益合算が今までできたけれども、ええっと。税理士のところへ持っていって、これはできませんみたいな話になる。これはどういうことかなと思うんですよね。これはやはり限りなく、ちょっと待ってくれよ、おかしいんじゃないかという議論になると思うんですが、率直な納税者の意識がどうかというのを、簡単で結構ですから、谷垣大臣、お答えください。

谷垣国務大臣 確かに、松原委員がおっしゃるように、一種の事実上の期待というものに反する面はあると思うんですね。

 ただ、不利益不遡及ということに反するんじゃないかと言われますけれども、これは刑事法なんかの場合と違いまして、やっぱり合理的な政策目的なりそういうものがきちっと説明できるものがあるなら、私は、税の場合にはそういう措置もあり得るんだ、こう思います。

松原委員 時間がないのでどんどん進めていきますが、私はそれは違うと。やはり、それなりに周知徹底するということは、当然、これは武士道の精神だ。それこそ島聡じゃないけれども、武士道の精神だと思います。それは、三十年間ローン組んでいる人間ですよ、一方は。少なくとも一年ぐらい猶予して当たり前じゃないかと私は思っております。

 申し上げたいのは、そのときにこの不動産の、従来議論があって、昔はアパートなんかをやった場合に、その土地部分と建物部分、土地部分のいわゆる負債に関しても利子を控除できたんですよ。それができなくなったんです。このときは、同じような議論だと私は思うんですよ。しかし、このときは政府税調で議論され、三月三十一日成立をして、施行をされたのは翌年の一月一日ですよ。何で今回は違うんですか。簡単に答えてください、時間がないから。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 このときは、平成三年度改正だったかと思いますけれども、実は、地価税の創設、それからまた土地譲渡益を、むしろ税率を当時バブル期で上げるというような改正でございました。特に地価税の創設という新しいものがありまして、それをパッケージとしてやるためには、平成四年からまとめてやるということになった。これも、やはりパッケージとしてやるために一年おくれたということであります。

松原委員 結論的には説明になっていないと思うんですよね。このときは猶予があった。今回なかったというのも、今、地価税云々の議論が言われているけれども、そのときの状況は説明しているけれども、私は説明になっていないと。

 むしろ、今回の方が、ある意味で税調での議論がなかったということを考えるならば、私は、このときより――このときは一応議論がされているんですよ、税調で。今回は議論されていないんですよ。これをやみ討ちと言わずして何をやみ討ちと言うか。私は、いろいろな議論がある、しかし、リアリズムからいってこんなばかな話はないと。こんなことを政府は、政府はあれかもしれない、よくぞ自民党の皆さんがこんなものをのんだなと不思議でしようがない。まさにやみ討ちであります。現実的ではない。

 私は、そういった意味で、非常にこの部分に関しては、まだまだ最終結論になっていないんで、先ほど山本副大臣の話もありましたが、もう一回、やっぱり日本のたゆまざる前向きな人たちのために再考を求めたいと思っております。

 最後に、法的な部分を私は法制局の方に聞きたいわけでありますが、これについて、租税法の専門家であります金子先生が時間的限界ということで言っていて、これは予算委員会でも質疑がありましたが、所得税や法人税の期間税について、これが年度の初めにさかのぼって適用されることがあるが、それが許されるかどうかは、そのような改正がなされることが、年度開始前に一般的にしかも十分に予測できたかと。そして、これは八十四条の租税法律主義とも絡んでくるわけでありますが、これは十分に予測できたというふうにお考えですか。まず、局長から答えてください。

大武政府参考人 国民に知らしめるという意味であれば、まさに年内にはもう既に世の中に出ているわけでありまして、多分、法的な意味での周知というのは、これは金子先生も御本に言っておられますが、それは十分であろうと思っております。

松原委員 それは詭弁というんでありまして、このことで今アンケートなんかとっていないけれども、恐らく訴訟だって起こりますよ、この問題については。だって、ことしの一月までさかのぼって課税する、課税というか損益通算できなくなるんですよ。

 十二月の十七日に自民党税調で出た、これが公のものというふうにはなかなか認められないだろう。どこで公とするかという議論でありますが、それは国会の審議の後出てきて公とするんだったら、これはまだですよ。これから。しかし、これ、一月にさかのぼってそれをだめにするというんですよ。こういう、いわゆる納税者の認識を、納税者の気持ちを踏みにじるようなこと、ちょっと法制局、これについて答えてください、もう時間が余りないんで。

梶田政府参考人 法律論としてお答えいたしたいと思います。

 憲法八十四条におきまして、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」こういう規定がございます。刑罰法規につきましては、憲法三十九条におきまして遡及適用あるいは事後法が絶対的に禁止されておりますのと異なりまして、憲法八十四条の場合には、いかなる場合においても納税者に不利益となる要素を含む法律は許されないというものではないというふうに考えられております。

 例えば、今の損益通算でございますが、損益通算のように個々の譲渡等があったときに法律の適用が行われるものではなくて、その年の終了によりまして納税義務が確定する、年間の所得金額を計算する際の計算の過程において適用が行われるというものにつきましては、既に成立した所得税の納税義務につきまして不利益な変更をするものではないということもございまして、過去におきましても、例えば一定の資産につきまして、その譲渡損失につきまして損益通算を廃止するという場合に本法案と同様の取り扱いが認められてきておりまして、こうした取り扱いが許されないというものではないというふうに考えてきているところでございます。

松原委員 時間がなくなりましたので、本当は今も、法制局、ちょっと議論したいんだけれども、これはいろいろとこれから議論になると思いますよ。

 最後に、こういった告知が今回のこういった経緯の中で十分にできているかどうか、このことを民主党の修正案を出した五十嵐さんにお伺いしておきます。告知は十分されているかどうかの認識をお願いします。

五十嵐委員 私どもは全く周知されていないというふうに思っております。

松原委員 以上であります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、谷垣財務大臣に最近の景気動向についてどう認識しているか、お聞きをしたいと思います。

 内閣府が発表した昨年十―十二月期のGDPは、実質で前期比一・七%増、年率換算では七%増、バブル後最高水準であった、こういうふうに発表されております。

 これは余りにも国民の実感からはかけ離れているように思うわけですね。内需が大幅に拡大しているというのではないと思うわけですけれども、谷垣大臣の見解をお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 確かに、佐々木委員が今おっしゃったQEは、私も、発表されたとき、私の予測よりもはるかに高い数値を示していたことは事実でございます。ただ、実質も今のような数字でございますけれども、名目も三期連続プラスであるということで、この名目がどちらかというと実感に近いんじゃないかなという気持ちは私の中にもございます。

 ただ、そういう数字の問題だけではなくて、私はこういう表現を使っているんですけれども、やっぱり閉塞感を打破するためにいろいろ工夫をしておられる方があちこちにあって、卵のひながかえるように中からつついている、それをやっぱり表からもつつこうという政策的ないろんなものもようやく実を結んできて、トップランナーはかなりのスピードで走れるようになったというふうに思いますが、問題は、それが地方にまで及んでいるか、大企業がリストラで相当元気になってきたけれども、それが家計まで及んでいるかということになりますと、まだまだ気を緩めるわけにはいかないと思っておりますが、全体、かなりよくはなってきたなと思います。

佐々木(憲)委員 実際、内容を見ますと、輸出で年率四・二%増、設備投資で五・一%増となっておりまして、輸出によって支えられているという面がかなりあると思います。これらの関連大手の企業業績もV字形回復、史上空前の利益を上げている企業が上場企業に続出している、こういうことでありますが、しかし、その利益の源泉、これはやはりリストラ効果というのが相当ありまして、労働者の人員削減、賃金の抑制、下請単価の切り下げ、こういう形で、労働者、勤労市民に対するしわ寄せ、それと裏腹の関係にあると私は思うわけであります。

 まだ波及していないというようなことではなくて、家計を犠牲にした形で回復しているというふうに思わざるを得ないわけですけれども、この家計収入でありますが、大臣はこの家計収入というものは、今ふえているというふうな認識なんでしょうか。

谷垣国務大臣 家計収入がどんどんふえているというような認識は持っておりません。

佐々木(憲)委員 確かに、家計収入はマイナスが続いておりまして、家計調査報告を見ましても、二〇〇〇年に勤労者世帯では六百七十三万円でした。しかし、昨年は六百二十九万円で、約四十四万円マイナスになっているわけでございます。明らかにこれは減少でございます。

 それから、貯蓄はどうかといいますと、日銀の「家計の金融資産に関する世論調査」というのがここにございますけれども、これを見ましても、これは非常に深刻な統計が出ておりまして、貯蓄を取り崩した理由で一番多いのが、定期的な収入が減ったからというのが大変多いわけでございます。約六割。貯蓄を取り崩したために貯蓄そのものが減少した世帯、これが五一%に上っております。貯蓄がどんどん減っているというのが半分以上です。この三年間で貯蓄を取り崩してしまって、貯蓄が全くなくなったという世帯は二二%、急増しているわけです。実に五件に一件が貯蓄ゼロという状況でありまして、しかも、借金が急増しているわけであります。その理由も、借金がふえている理由も、日常生活の生活資金、これが非常に深刻な状況にあって、そのために借金がふえている。ですから、国民の暮らしの面で申しますと、非常に厳しい状況というのが続いているわけであります。

 したがいまして、こういうときにどういう経済政策のかじ取りをするかということが今問われていると思うわけでありまして、私はやはり国民の暮らしをどう応援するかというのが政治の基本姿勢として大事だと思いますけれども、谷垣大臣はどのようにお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 今委員いろいろおっしゃいましたが、確かに今輸出に引っ張られている面とか、それから大企業はリストラして企業収益が上がってきた、そういうようなものに引っ張られる、あるいは設備投資がいいというようなことがありますけれども、そういうものが私は徐々に家計等にも及んでくるということが期待できるんじゃないかと思っております。

 したがいまして、家計を応援するという委員の御発想は、私もその限りにおいては賛成でございますけれども、そういうことが徐々に及んでいく状況ではないかというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 家計を応援するということに賛同していただいたんですけれども、それでは、今回提案されている所得税法の内容を見ますと、私は、かなりこれは逆行しているんじゃないかというふうに思うんです。

 法案では、六十五歳以上の高齢者に対しまして、老年者控除の廃止、それから公的年金等控除の縮小というものが行われることになっておりまして、まあ公的年金等控除は縮小ですね、こうなりますと、地方税を合わせて幾ら負担増になるのかということでありますが、個人住民税の見直しなど地方税の負担増も合わせますと、国民の負担増は幾らになるか、平年度ベースでお答えをいただきたいと思います。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 国が二千四百億、地方が千四百二十六億、合わせて約三千八百億でございます。

佐々木(憲)委員 それと、昨年決められて、ことしから実行される増税分というのがありますね。例えば配偶者特別控除の一部廃止、それから消費税の免税点引き下げなど中小企業特例の縮小、それから酒税、たばこ税、こういうものが増税になっているわけですけれども、この分は幾らになっていますでしょうか。

大武政府参考人 一方で減税もやっているわけでございますが、超過なんでございますが、十五年度の税制改正、今先生が言われたものを合わせますと、約一兆六千六百億円ということになります。

佐々木(憲)委員 平年度で約一・七兆円と言っていいと思うんですね。今回の、先ほど三千八百億円の負担増、さらにこれは個人住民税の見直しなど地方税の負担増も合わせますと、平年度ベースで四千三百六十五億円程度になると思うんですが、この数字に間違いありませんね。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 四千というのはちょっとわからなかったんですが、十五年度改正で一兆六千六百億、それから十六年度改正の、今、老年者控除と公的年金控除で三千八百億、単純に加えると二兆四百億になりますが。

佐々木(憲)委員 いずれにしましても、二兆円を超える大変莫大な負担増になるわけであります。国民一人当たりにしますと、大ざっぱに言って二万円ですね、赤ちゃんからお年寄りまで、一人当たり、そういうことになるわけでございます。

 大臣、こういう状況ですから、これは家計消費にとりましては、応援と先ほどおっしゃいましたけれども、実態的に言いますと、かなりこれは冷え込ませる方向に作用するのではないかと思うんですが、これはいかがでしょう。

谷垣国務大臣 公的年金等控除は、たしか私が当選してまだ余り間もないころに年金の抜本改正がありまして、昭和六十二年だったと思いますが、そのときに設けられたものであると承知しております。

 当時の、そのときの議論というものを少し調べてもらったんですが、公的年金等控除は、公的年金が通常経済的稼得能力が減退する局面にある者の生計手段とするため、公的な社会保険制度から給付される年金であること等を考慮して、他の所得との間の負担調整措置としてこういうものを設ける、当時はこういう議論がされていたようでございます。

 やはり今現在の局面を考えますと、年齢だけで画一的に高齢者だからという発想から脱却を求められている今日から見ますと、十数年の間に随分議論が変わったな、こう思うわけであります。

佐々木(憲)委員 私が質問したことと随分ずれた答弁でありまして、今の問題は、その次に質問しようと思ったその答弁でありますが、私が先ほど言いましたのは、家計消費を、一人二万円も負担させますと四人家族で八万円ですから、かなり冷え込ませる方向に作用するのではありませんかという質問をしたわけです。

谷垣国務大臣 まあ、現実に減るところでは確かに今おっしゃったようなことがあるかもしれませんが、今までかなり、個人の税負担というものは我が国は世界でも非常に低い段階に来ておりますし、去年、それからことし、いろいろな税制改正でネット減税をやっている等の効果も全体で見ていただきたいなと思います。

佐々木(憲)委員 世界で低いという話をされましたけれども、しかし、昨年よりもふえるわけですから。私は、昨年に比べてふえるから、その分家計に負担が重くなるのではないですか、こう聞いたわけですね。

 ネット減税という話もおっしゃいましたが、昨年先行減税がありましたが、それは家計に対する減税ではなくて、企業に対する減税ですから。そういう点で、丸々一人二万円の負担増ということは家計消費を冷え込ませるということになるわけでありまして、それは否定されなかったわけであります。

 次に、老年者控除の問題についてお聞きをしたいと思います。

 六十五歳以上の方々に対して行われている公的年金控除の上乗せ措置を廃止する、あるいは、老年者控除五十万円、これも廃止するということが今回の提案でありますけれども、これは年金だけで生計を立てておられる高齢者世帯にとってはかなり打撃になると私は思うんです。

 まず、この老年者控除の問題、そもそもこれがつくられましたのは、かなり古くて、昭和二十六年、一九五一年でありますが、この当時、どのような理由でこれが創設されたのか、この理由について示していただきたいと思います。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

谷垣国務大臣 これも当時の議論を調べてもらったんですが、昭和二十六年でございます。そのとき、この老年者控除というのは、納税義務者が老齢である場合は、精神的及び肉体能力において一般壮年者より劣っていると認められることから、その負担を軽減する社会政策上の措置、こういうふうに説明されていたようでございます。

佐々木(憲)委員 当時、予算委員会で大蔵省の主税局長の平田さんがこういう説明もされております。「社会政策的な点を考慮いたしまして、特に担税力の低い方面に対しまして、特別の控除を行おうという点でございます。すなわち」「六十五歳以上の老年者に対しまして、」「特別な控除制度を行いまして、それによりまして、比較的担税力の低いクラスの所得税を、一般の減税以上に軽減いたそうという考えでございます。」と。今大臣がおっしゃったように、精神的、肉体的に壮年者より劣っている、そういう方々に対して一定の措置を行う、そのためにこういう制度を設けたんだというわけであります。

 それからもう一つ、八七年にこれが拡充されまして、一九八七年にさらにその金額が上積みをされました。同時に、そのとき、公的年金等の控除制度、これもつくられたわけであります。

 公的年金等控除の創設というものがどのような理由でなされたかということについては、先ほど大臣が説明されましたように、経済的稼得力が減退する局面にある者の生計手段とするための公的な社会保険制度から給付される年金であること等を考慮すれば何らかの負担調整措置が必要だからだ、こういうふうに説明をされているわけです。つまり、この制度というのは、やはり高齢者が税の負担の点でその力が弱い、あるいは経済的な収入を得る力が弱まる、そのために負担の軽減を図るんだというのが理由だったと思うわけですね。

 ところが、今回提案されているのは、その本来の理由から見ますと全く逆の方向を向いているように思うわけです。本来の趣旨をこれは発展させるのではなくて、これを後退させ、かつ、これを破壊するという方向に行っているのではないかと思うわけです。

 例えば、税の負担能力が高まった、果たしてそういうことが言えるのかどうか。私はこれは全く逆ではないかと思うんですけれども、高齢者と壮年者を比べて、これは逆転している現象はありませんね。やはり高齢者は非常に経済的にも税負担能力も劣っている、こういう状況は変わらないと思うんですけれども、その現状の認識は、大臣はどのようにお考えでしょうか。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

谷垣国務大臣 そこのところは佐々木委員とちょっと認識が違うところでございまして、先ほど私が申し上げたり委員がお引きになった、前の、この制度ができたときの議論は先ほどのようなものでございましたけれども、むしろ今私たちが向かおうとしているのは、年齢だけで高齢者を別扱いする制度、発想を見直していかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えております。

 平成十三年の十二月に高齢社会対策大綱というのを閣議決定しておりますが、その中では、「高齢者は、全体としてみると健康で活動的であり、経済的にも豊かになっている。他方、高齢者の姿や状況は、性別、健康状態、経済力、家族構成、住居その他に応じて多様であり、ひとくくりに論ずることはできない。」というふうにされておりまして、画一的に考えるのはやめていこう、こういう発想でいろいろな施策を立てております。

 一方、少子高齢化の進展に伴って、今後、社会保障などの社会的サービスは当然急増が見込まれるわけですから、やはりこういった費用を現役世代に求めることとした場合には、将来の現役世代の負担が加重となってしまうという現実がございますので、一律に高齢者だから優遇していくというのは見直していこうと。

 そこで今回のような措置をとったわけですが、その際に、六十五歳以上の高齢者について公的年金等控除の最低保障額を加算するというような措置もあわせてとって、今のような方向に進んでいるわけでございます。

佐々木(憲)委員 今の大臣の御答弁は、高齢者だからという理由で別扱いはしないということでありますが、ということは、高齢者に対して壮年者並みの負担増を強いるんだ、こういうことと同じでありまして、非常に冷酷な、冷淡な発想ではないかと私は思うわけです。

 実際、例えば厚生労働省が国民生活基礎調査というのをやっておりまして、それを見ましても、六十五歳以上の世帯の場合、生活が苦しいと答えた世帯、これはふえているのか減っているのか。大臣、急な質問ですけれども、ふえていると思いますか、減っていると思いますか、苦しいと答えている世帯は。

谷垣国務大臣 突然のお問いかけで、資料等が今手元にございませんが、わざわざ委員がそういうお問いかけをなさるところから想像いたしますと、苦しいという方がふえているんでしょうか。

佐々木(憲)委員 大変正確な答弁だと思います。

 これは、苦しいという方が急増しておりまして、こういう統計なんです。つまり、こういう制度が拡充された一九八七年直後の一九八八年の統計で見ますと、二七・九%が苦しいと答えております。しかし、その後、一九九七年、約十年後ですけれども、これは大変大きくふえておりまして、苦しいと答えた人が四一・三%になっています。それから、一番新しい統計で見ますと、二〇〇二年、平成十四年ですけれども、四九・二%ですね。つまり、当時と比較いたしますと、倍近く苦しいという比率というのがふえているわけであります。

 ですから、大臣は先ほど、年齢だけで差別、別扱いするというようなことはしない、つまり高齢者も豊かになっているんだ、こうおっしゃいましたけれども、実際に今のお年寄りの世帯の家計というものは大変厳しい、しかも、その厳しさが増しているというのが実態であります。したがって、担税力が一層低下していると言わざるを得ないと私は思うわけですね。

 やはり、私は、この制度が創設された一九五〇年代の、老齢ということを考慮してそういう世帯を支えるんだ、あるいは八七年の改正で老年者に対する税制の措置として所得控除額を引き上げた、あるいは年金の課税を軽減するという制度をつくられた、この本来の趣旨に戻るべきだと思うんです。その立場から、やはり政策を根本的に転換するということが政治に求められていると思いますが、しかし、大臣は先ほど来、今までの政策は続けるんだ、あるいはもうお年寄りだからといって配慮はしないんだ、こういう立場に立たれているわけで、これが今の小泉内閣の政策かというのを大変改めて私は認識をしたところでございます。何か御答弁ありますか。

谷垣国務大臣 いや、先ほど委員がお挙げになりました調査、苦しい高齢者世帯はどのぐらいかという、ちょっと資料が手元に見つかりましたので拝見しますと、私は、今回の年金税制を考えましたとき、やはり世代間の公平ということも大事である、やはり若い次世代の負担が余り重く重圧感を与えるようではいけないというようなことが今回の改正の考え方の背後にあるわけでございます。

 これは引くのが私にとって有利かどうかはわからないんですけれども、全世帯で生活が苦しいというのが、先ほど委員がお挙げになった高齢者は四八・二%ですが、全世帯では五三・八%というふうになっておりまして、むしろ苦しいという感じが高齢者世帯の方が低いんじゃないかという感じはするわけでございます。もちろん、だからいいというようなことを申し上げているわけじゃありません。

 先ほど申し上げましたように、五十万加算をするというようなことによりまして、これはきのうも御議論がございましたけれども、二千万ほど適用対象者がおられる中で影響を受けるのは五百万ぐらい、それからいわゆるモデル年金を受給している夫婦世帯については税負担は生じないというような配慮もしながら、今回の改正を考えているということでございます。

佐々木(憲)委員 統計の見方ですけれども、高齢者の苦しいという方々がふえている、同時に、若い方々も苦しいという方々がふえているわけです。世代間という話がございましたけれども、しかし、全体として、若い方々も高齢者の方々も、負担をどんどんふやされて大変な生活難に陥っているというのが実態でございます。

 本来、年金のあり方というのはまた別の議論がありますけれども、私どもは、年金に対する国の支えをしっかり行う、そのためには、基礎年金に対する国庫負担、今三分の一を二分の一に直ちに引き上げるということを初め、年金全体を支えていく国の責任ということを明確にしていかなければならぬと思うんです。つまり、安心が持てるような年金になっていないというところに最大の問題がありまして、しかも、その上に負担だけがふやされていく、税金だけがふえていく。これは全世帯が大変な状況です。その中でも、高齢者はその経済的な力が弱いためにますます大変だという点を私は指摘をしているわけでございます。

 さて、そこで、この法案の高齢者負担というのは一体どうなるのかということなんですけれども、政府がモデルケースとして用いている六十五歳以上の夫婦、妻は基礎年金のみの、夫婦のみの世帯の場合ですね、夫の収入に対する課税最低限、これは一体どうなるんでしょうか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 夫が六十五歳以上の夫婦世帯につきましては、今改正案で二百五万三千円が課税最低限になります。

佐々木(憲)委員 今は二百八十五万五千円ですね。これが二百五万三千円ということになるわけでありまして、そうなりますと、税負担は具体的にどうなるのかということです。世帯年収で二百万、それから二百六十万、三百万、それぞれどのくらいの負担増になりますか。地方税分も含めてお答えいただきたい。

大武政府参考人 今いただいたので言いますと、夫の年金収入二百二十万の方ですと、一万一千円ふえまして、今まで非課税ですから一万一千円でございます。それから、夫が二百六十万の場合、妻は七十九万七千円というのが一つ課税最低限ですが、そのような場合ですと、これは六万六千円になります。それから、あと、三百万となりますと、現行一万七千円が十一万二千円、九万五千円となるということであります。

佐々木(憲)委員 これは非常に重い負担になっていくわけでございます。

 この上さらに与党が合意しております所得税の定率減税の廃止、これによって所得税の負担がさらにふえるわけでありまして、国民生活基礎調査、先ほど御紹介しましたけれども、これによりますと、世帯主が六十五歳以上が七百二十万世帯あるわけです、そのうちの約半分が単独世帯、このような一人で生活する高齢者というのは、世帯所得が一人分である上に、配偶者控除がないわけですから、さらに課税最低限が下がっていくわけであります。したがって、所得税の税負担というものは非常に、収入の低い家計に、高齢者家計に一層重くのしかかっていく、こういうことになるわけでございます。

 一定の緩和措置ということも先ほど大臣おっしゃいましたけれども、それをやっても、今よりも負担増になるんです、負担増になるわけですね。そういうことを私どもはやはり今の時期にやるべきではないというふうに思うわけであります。

 そこで、民主党の案について、この際関連でお聞きをしておきたいと思いますが、民主党の提案理由説明によりますと、小泉政権成立以来、毎年度の税制改正において、個人に対する増税を重ねてきましたが、今後はさらなる大規模増税を予定しており、これでは国民生活は破綻しかねませんというふうにおっしゃっておりまして、これは我々も同じ認識でございます。今度提案されております修正案、この修正案を実行いたしますと、一体減税効果というのはどのぐらいのものになるか、お示しいただきたいと思います。

中塚委員 今回、本法の修正に当たりましては、とりあえず実効性の高いものからということで、三点に絞って提案をさせていただいておりますが、その中でも特にこのローン利子控除制度の創設ということを提案させていただいております。佐々木委員が先ほどからお話しになっていらっしゃいますとおり、家計、特に消費をエンカレッジするということを目的にしておるものです。

 まず、初年度の減税額ですが、日本銀行の統計によりますと、年間の新規借り入れ実行額、二〇〇三年度が二十兆九千億円、これは住宅もすべて含んでおりますけれども、これを前提とし、金利を平均で三%というふうに見積もりますと、減税見込み額は千二百五十億円程度。今財務省資料では、現在の住宅ローン減税の新規の年間減税発生額が九百億ということでありますので、この差額である三百五十億が初年度の減税額ということになります。

 加えまして、平年度でありますが、現在の住宅向け、また消費財、サービス購入資金向け借り入れ、これが百五十五兆円あります。そのすべてが本制度を活用したと仮定をした場合、これらによる減税額が九千三百億円ということになります。この場合も現行の住宅ローン減税による減収額が五千九百億円ということでありますので、これを相殺した三千四百億円が平年度の減税額、減収額ということになります。

佐々木(憲)委員 減税規模はこのローンだけでしょうか。それ以外はありませんか。

中塚委員 このほかの部分につきましては、消費税の総額表示方式、これを削除するということと、あと損益通算期間の二年の延期ということになっておりますので、減税額という点ではこういうことになります。

佐々木(憲)委員 わかりました。

 今、国民の側の税負担の点について議論をしてまいりました。今回の提案というものは、お年寄りにも非常に厳しい状況をつくり出すものだというふうな感じを持ちました。

 さて、それでは、その反面で、今利益が急増しております大企業の場合は一体どうなるのか。利益がふえているわけですから、税負担もふえていくのかなというふうに思いましたら、どうも今回の改正でさらに減税が行われるということでありまして、例えば、欠損金の繰越期間の延長です。これは五年から七年に延長する。平年度ベースでこれは幾らの減税になるんでしょうか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 平年度減収額千二百七十億円と見積もっております。

佐々木(憲)委員 この法人税の欠損金繰越期間の延長というのは、財界の中でも特に大手銀行が、財政面で不良債権問題の解決を後押しする施策として強く要請したものでありまして、それを政府税調では銀行だけではなくてすべての業種に広げたということであります。

 この改正は、二〇〇一年四月一日以後に開始した事業年度において生じた欠損金額について適用する、したがいまして、小泉内閣の発足時にまでさかのぼって適用するということになると思いますが、そのとおりですか。

大武政府参考人 金融界、産業界それぞれがリストラというようなことを余儀なくされた、そういう状況を勘案して、平成十三年度からさかのぼるということにしてあります。

佐々木(憲)委員 さかのぼってこういうことをやると。最近、この繰越欠損金というのは、巨額な規模に上っておりまして、そのために収益を圧縮して法人税の減収に大きな影響を及ぼしていると思うんですが、そうではありませんか。

大武政府参考人 確かに、今申し上げましたように、千二百七十億円の減収が、五年を七年に延ばすことによりまして将来生じてくるということは事実であります。

 ただ、こういうことによって事業再生が行われて、そして雇用の場の確保なり行われてくれば、それによってまた税収も上がってくるということも他方では期待されるということかと存じます。

佐々木(憲)委員 雇用の場が確保されればとおっしゃいましたが、実際には企業は雇用をどんどん減らしておりまして、これは年金も支え手がなくて大変な事態になっているという状況であります。そういう企業がリストラ利益を上げている、さらにその上に減税を行う、国民の側は大変な生活難に陥る、この格差が今非常に拡大している。

 そこでもう一つ、連結納税制度の問題についてお聞きをしたい。

 二年前に導入されたわけですね。そのときに、減税分を一部補うということで連結付加税というものがつくられました。しかし、これが今回廃止をされる。連結納税制度が導入された当時は、減税額が余りにも大きいものですから財政に影響が出るんだということで、連結納税制度を選択した法人に対して、法人税の税率に付加的に二%上乗せして徴収するということでつくられたのが連結付加税であります。それを今回は廃止する。これによって減税は平年度ベースで幾らになりますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 なかなか推計が難しいのでございますが、現在の申告状況あるいは承認申請状況に基づいて試算いたしますと、約六百五十億円というふうに推計いたしております。

佐々木(憲)委員 結構な規模であります。

 それから、導入されて最初の昨年三月期、三月末でありますが、連結納税制度を選択したグループは何グループぐらいありましたでしょうか。それから、昨年の九月期は何グループあったでしょうか。

村上政府参考人 最初のお尋ねは、平成十五年三月三十一日決算期の連結申告書でございますが、これは百三十四グループから提出されております。なお、一番新しいデータ、これは平成十五年九月末の申請の累計でございますが、グループ数で三百八十四提出されております。

佐々木(憲)委員 選択するグループが急増しているわけであります。

 例えば、昨年三月期末の百三十四グループ、この中で黒字企業の申告所得金額の合計は九千二百八十七億円だったと思うんです。約一兆円近いわけですね。しかし、このような連結納税制度を採用いたしますと、赤字企業と損益が通算されますので、かなりこれは圧縮されるわけです。この約一兆円が幾らに圧縮されたんでしょうか。

村上政府参考人 お答えいたします。

 申告書の金額は三百二十五億となっております。

佐々木(憲)委員 結局、この企業の利益が三十分の一に圧縮されたということになるわけですね。そうなりますと、たった百三十四グループに対して二千七百億円ぐらいの減税が行われたということになるわけであります。

 その後も連結納税制度の申請はふえまして、昨年も、先ほど御紹介がありましたように三百八十四グループ、ますますその適用がふえているということになるわけでして、その上連結付加税を廃止する、これが加わるわけであります。そうなると、子会社を持つ大企業の連結納税制度をさらに導入するということで加速要因となりまして、極めて一部の大企業の多大な減税という事態を招くわけであります。

 例えば、日経が一月十四日にこういう報道をしております。ことし三月期から約百二十社の子会社を対象とし連結納税制度を導入する住友商事グループ、これはどのくらいの税負担軽減になるかといいますと、この住友商事グループだけで四十億円の軽減になる。ですから、今度の税制、法人税の改正というものは、本当に大企業にとってはよだれの出るような大変な有利な制度である。しかも、今回のこういう制度だけではなく、昨年は昨年でさまざまな減税措置が先行減税と称して行われました。しかも、この十年ぐらいを振り返ってみましても、法人税の税率の引き下げということも、これは何度も行われてきたわけであります。

 そういうことを考えますと、一方で国民の側、庶民、つまりお年寄り、こういうところには、本当にむしり取るような形で次々と増税が押しつけられる。その反面で、リストラを行い労働者あるいは下請にしわ寄せをしている大企業、この大企業が利益を上げれば上げるほど税金が取れない仕組みになっている。つまり、大企業向けには減税、庶民には大増税。こういう方向は、果たしてこれは政治としてとるべき姿なのか、あるべき姿なのか、私は、これは根本的に間違っているというふうに思うわけです。

 先ほど大臣は、やはり国民の暮らしというものを重視した経済運営というものが必要である、そういう答弁をされました。家計応援ということには賛成であると。しかし、実際に大臣がお出しになってきたこの法案は、それとは全く違う方向を向いているのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

谷垣国務大臣 先ほどから佐々木委員の御議論を伺っておりまして、いかにも佐々木委員らしい議論を展開していただいているなと思います。委員のお好きなマルクスの言葉をかりれば、初めから黒く塗っておいて、黒いじゃないかとしかられているような気がするわけでございますが。

 先ほどの欠損金の繰越期間の延長にせよ、やはり金融、それから産業の構造改革を進めなきゃいけないという中で、相当不良債権処理を加速してやってまいりました。これは金融機関もそうでございますし、再構築を進めた企業もそうでございますので、欠損金がたくさん出ている。そこがみんな元気がなくなってしまったら、やはり家計もまたおかしくなってしまうということでございますから、やはりこういう措置は私は必要なんだろうと思いますし、連結付加税にしても、こういう形で企業グループの一体的経営や企業グループ内の柔軟な組織再編を進めていくことが、今経済構造が変化していく中で、経済社会が活力を持っていく大事な要素なのではないかと私は思っております。

 先ほど委員と認識が若干違う御議論をしましたのは、委員は、そっちばっかり元気になって国民は元気じゃないじゃないか、こういうことですが、私は、元気が出てきたものが家計にだんだん浸透していくということを期待できる状況ではないかと考えております。

 それから、先ほど減税しても結局企業ばかりじゃないかと反論をされましたけれども、平成十一年以降、累次の個人所得課税の減税を行ってきておりまして、これは繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、主要国と比べて、個人の所得課税、租税負担率というのは極めて低い形になっている、そういうことも御承知おきいただきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 大企業の場合は元気をなくしたら大変だというお話ですけれども、大企業だけが今大変元気が出ておりまして、これは、庶民にしわ寄せをする結果、ごくごく一部の大企業がそういう形になっているわけであります。圧倒的多数の国民の側は、本当に元気がない、もう息も絶え絶え、こういう状況になっているわけで、そのときにどこに重点を置いて助けるのかということを私は言っているわけであります。

 やはり一番大変なところを助けていく、家計というものが日本経済の約六割を支えているわけでありまして、そこが元気にならない限りは、日本経済の成長はありません、日本経済、景気の回復はありません。やはり、経済全体の再建ということを考える場合にも、家計をどう支援するかということが大事だということを強調しておきたいと思います。

 では次に、この赤字国債の問題についてただしたいと思います。

 今回発行される赤字国債は、三十兆を超えております。国債依存度は四四・六%と、非常に高いものでありまして、当初予算として過去最高、最悪の事態であります。歳入のほぼ半分を借金で賄うというのは、これは極めて異常な財政運営だというふうに思うわけですけれども、国債発行残高というのは四百八十三兆、大きさはGDPの規模にほぼ匹敵するほどの規模になっております。

 来年度の、四月以後の国債発行額というものは、三十六・六兆円の新規発行のほかに、借換債、それから財投債というものも、大きく言えば広い意味での国債でありますが、これは合わせて幾らになるのか、その数字を示していただきたい。

山本副大臣 平成十六年度の国債発行額は約百六十二兆三千億円でございます。

佐々木(憲)委員 そのうち市中発行分はどのくらいになりますか。

山本副大臣 約百十四兆六千億円でございます。

佐々木(憲)委員 つまり、発行総額の約七割ですね。これが市中で消化しなけりゃならないという、非常な大変な規模であります。

 さらに、二〇〇五年度以降になりますと、過去の景気対策のために出した国債の借換債の発行、これが急増するわけですね。一方、郵貯、年金等の公的資金が財投資金の完全自主運用までの経過措置として財投債を引き受ける、これも大変な規模に上るわけであります。

 これらのことを考えますと、今後発行される大量国債の消化、これは大変厳しい状況になるのではないかと私は思いますけれども、今は確かに、潤沢な、史上空前の金融緩和という状況のもとで大量の国債を金融機関もある程度引き受けて、一応消化されているわけでありますが、仮に景気が回復に向かっていくということになりますと、結構これは厳しい局面が出てくる可能性もあると思うんですけれども、その辺の認識は、大臣はどのようにお持ちでしょうか。

谷垣国務大臣 確かに、国債をこれだけ発行しておりますと、金利の動向というのは、私にとりましても非常な関心事でございます。

 しかし、その金利が上がっていくのも、経済全体が元気が出てきて、緩やかに金利が上昇していくということであるならば、これはいろいろまた対応の仕方があるわけでございますけれども、そうではなくて、経済はちっとも元気にならないのに金利だけ上がっていくような状況が生じますと、これはもう非常に苦しい局面になるということは事実だろうと思います。

 そういうことにならないようにするためにはどうしたらいいかということでございますけれども、やはり国債に対する信認というものがなくなりますと、国債の価格はどんどん安くなっていく、それはすなわち国債の長期金利が上昇してしまう、こういうことでありますから、やはり国債に対する信認を確保する。これはいろいろな手を打たなきゃいかぬ、施策を講じなきゃいけないと思いますが、一番の根本は、やはり政府が財政規律というものをしっかりと大事に考えて、そのための努力を続けているということが私は一番大事じゃないかと思っております。プライマリーバランスの回復、二〇一〇年代初頭だというようなことばかり繰り返し申し上げて恐縮でございますが、それが一つの象徴でございます。

 しかし、それだけでいけるわけではございませんので、中長期的に見て、調達コストを抑制しながら確実かつ円滑な消化を図る。これは昨年、相当研究会なんかもやりまして、そのための施策をまとめました。市場のニーズとか動向を十分踏まえた国債発行を行うとかいうような、いろいろなことを議論しているわけでありますけれども、適切な国債管理政策に努めていかなければならないと強く思っております。

佐々木(憲)委員 大量に発行された国債の市中消化を支えているのはやはり日銀の超金融緩和政策でありまして、日銀は金融の量的緩和政策を行って、そのもとで長期国債の買い切り額をふやしております。現在、毎月一兆二千億円を買い取っている。大変な規模ですよね。二〇〇四年度の十年物国債の発行予定というものは二十二兆八千億円、つまり一月当たり一兆九千億円。こういうことになりますから、毎月の発行額の六割は日銀が吸収する、そういう極めて異常な状況になっているわけであります。

 しかも、今のところ、それをどんどん基準を緩和しまして、発行後二カ月経過すれば買い切りが可能となるということで、事実上の日銀引き受けに近い状況が進行しているわけです。その日銀も、いつまでもそういう状況ではない。

 やはりデフレが克服されていきますと、超低金利政策から脱却する、これは日銀自身が表明をしているわけであります。そうしますと、現在のような国債買い切りを続けるということは、永遠に続くということはあり得ないわけでありまして、政府もデフレ克服を言う、日銀も超低金利政策は転換をすると言う、そういうときに、この国債の大量発行というものがどういう事態をもたらすか、これは大変深刻な事態だと私は思うわけです。

 「改革と展望」で予定されておりますデフレからの脱却の時期が、先ほども言ったように二〇〇六年度、そういうふうにされているわけですね、そうなるかどうかは別としまして。その時期には、まさに国債の大量償還、借換債の増発の時期とちょうど重なるわけです。その状況のもとで、日銀が低金利政策をやめる、それから長期国債の買い切り額を減らす、そうなりますと、国債の暴落、長期金利の上昇、こういう危険性が生まれてくる可能性がある。そういう危険性を認識されているのかどうか、その辺の認識を伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 現在のところ、日銀は金融緩和、量的緩和に対するコミットメントをはっきり言っておられますので、委員のおっしゃるような、かなり眼を上げて遠くを見ますと、今おっしゃったようなことも全く考えなくていいというわけではないかもしれません。

 ただ、現在ではまだ仮定の議論でございますが、いずれにせよ、日銀と私ども財政当局がしっかりいろいろな意味で連携をとり合って、日銀はもちろん日銀として金融政策は独立性を持っておられるわけですが、大きな意味できちっと連絡をとり合って意思も疎通していくということが大事なことではないかと思っております。

佐々木(憲)委員 現在のところは大丈夫だということをおっしゃいましたが、しかし、これは、この二、三年というものは大変深刻な事態を招くおそれが強まっていくと思います。そういうときに一体どう対応するかということ、これは金融政策上の対応策はもちろんですけれども、同時にやはり財政そのもののあり方というものも根本的に考え直していく必要があるのではないか。

 やはり、むだ、浪費、こういうところを徹底的に削減していくということと、同時に、先ほどから私申し上げましたように、経済全体をどう活性化させるか、そのかぎになるのがやはり個人消費であり、家計であると思うわけです。そこをどう支えるかということに重点を置いた財政運営を考える必要がある、そのことによって全体として景気が回復していく。下から景気が回復し、経済が再建の軌道に乗っていく、そのことによってさらに税収が上がっていくということを考えていく必要があるのではないか。その点を最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

田野瀬委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 森副大臣、どうですか。

森副大臣 先ほど市町村事務取扱交付金の対象職員が何人いるのかというお尋ねがございましたが、市町村事務取扱交付金につきましては、職員の人数で積算しているものではなく、被保険者一人当たりの業務量をもとにしたコストと被保険者数をもとに必要額を見積もっているものでございます。

 先ほど調べ直して御報告しますと申し上げましたが、再度確認をさせていただいたところ、ただいま申し上げました仕組みでございますので、具体的に市町村に交付金の対象となる職員が何人いるのか、数が出てくるものではないということを御報告させていただきます。

長妻委員 いや、もう一つ私が聞いたのもありますよ、二百二十一億円が全額がお給料なんですかと。これもどうですか。

森副大臣 費目上は人件費ではございません。

長妻委員 いや、じゃ、人件費は税金、それ以外は年金の掛金、こういうのが証明できないじゃないですか。

 そうしたら、この保険料財源、下の百五十八億円、平成十六年度、これは過去ずっとありますね、もう決算も出ているところもあると思いますけれども、この保険料財源、百五十八億円の中には、そういう、さっき言われた、地方自治体が人件費として使うようなお金というのは一切ないということでいいんですか。

森副大臣 国民年金事務費につきましては、人件費は国庫負担とし、人件費以外の事務費の範囲内で特例措置を講じることとしてきたところでございます。

 こうした考え方を踏まえつつ、市町村事務取扱交付金については、費目としては人件費以外の事務費であり、その一部に特例措置を講じてきております。その具体的な予算額については毎年度の予算折衝で決めてきたものでございます。

長妻委員 ですから、谷垣大臣も言われておられるように、人件費は税金だと、物件費は税金もあるけれども、さっきの御答弁。税金もあるけれども、物件費は年金の掛金もあるよ、こういうことですよね。人件費は税金だと。こういうことだから今お伺いしているんですよ、森副大臣。

 この保険料財源、平成十六年度百五十八億円、さっきの資料の七ページでございますが、百五十八億円の中にはもちろん、そういう意味では、地方自治体が人件費として使う費用、これは一切含まれていないということでよろしいんですね。

森副大臣 それは、人件費以外の事務費ということで、市町村交付金として保険料と国庫負担と両方合わせて交付しているものでございますので、その中の仕分けについては、私どもでは明確に把握をしておりません。

長妻委員 いや、そうすると、人件費は保険料財源は使わない、人件費は税金というルールに反しているじゃないですか。

森副大臣 私が申し上げているのは、あくまでも原則としてはということで、その中身については、年々財務省との予算折衝で決めてきたところでございます。

長妻委員 ですから、そういうことを聞いているんではなくて、人件費は税金で賄うよ、人件費は全部税金で賄うと。これはもうそういうことなんですよ、月曜日の答弁でも今の答弁でも。ですから、この保険料財源の中、百五十八億円の中には人件費が入っていちゃだめなんですよ。ですから、百五十八億円の中に地方自治体の人件費は入っていないんですね、こういうことを聞いているんですよ。

森副大臣 人件費は入っておりません。

長妻委員 そうしましたら、百五十八億円の中の、交付金ですね、費目は。交付金の中から、地方自治体の職員のお給料として支払われる、あるいは人件費見合いで支払われるお金は一切ない、こういうことでよろしいんですね。

森副大臣 使途の限定はしておりませんし、また、繰り返し申し上げておりますように、予算費目上の人件費は入っておりません。

長妻委員 いや、ですから、さっきから言っているように、人件費は税金だ、これはもう鉄則なんだ、こういうふうに言っているわけですよ。ですから、百五十八億円の中、保険料財源の中に、費目はさっき言われたように、地方自治体への交付金ということで言われましたけれども、地方自治体の職員の人件費として使われるお金というのは一円も入っていないんですねということなんです。入っていなければいいんですよ。証明してください。

森副大臣 あくまでも予算費目上の人件費は入っておりません。(長妻委員「質問できませんよ、これは」と呼ぶ)

田野瀬委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 長妻君。

長妻委員 出ないということであります。百五十八億円が保険料財源、人件費あるかどうかわからぬということでありますので、実際、給料として支払われたかどうか。

 直近のそれでは決算、直近の決算、平成十四年度か十三年度か知りませんが、例えば十四年度だとしたら百九十億円、このうち実際に地方自治体に交付金として支払われて、地方自治体がお給料など、そういう人件費として使ったものが幾らあるのか、それをお出しをください。

 そして、もしそれが、お給料が入っていたとすれば、これはルールから違いますので、一応その調査を要請いたします。

森副大臣 人件費は税金、その他の範囲内で特例措置を適用するというときの人件費は、あくまで予算費目上の人件費のことでございますということをまず第一点申し上げておきます。

 また、今の御要請につきましては、初めて伺うことでございますし、調査する努力はしてみます。

長妻委員 いや、それは全然違いますよ。だって、人件費は税金、それ以外の物件費は年金の掛金、こういうことになっているわけで、そして、社会保険庁の説明では大体これは分かれていますよね。

 国庫負担と保険料財源、これは分かれているのは、上は人件費見合いです、だから国庫負担にしているんです、財務省にも予算要求を、だからこの部分は人件費見合いとして、地方自治体が最終的には人件費として支払うだろうということでやっているんですよと、こういう説明ですよ。下は、人件費じゃない、物件費、地方自治体が物件費として使うお金だから、こういうふうに分けているんですよと、こういう説明なわけですよ。

 ですから、直近の決算の中に、保険料財源で、最終的に地方自治体に渡ったときに、それをお給料とか人件費として使われていたとしたら、厚生労働省が財務省に説明していた話、あるいは厚生労働省、社会保険庁が私に説明していた話というのは、全くこれは違ってくる、原則も違ってくるということなんで、これは調査をしてください。だめです、調査しないと。

森副大臣 人件費は国庫負担とし、人件費以外の事務費の範囲内で特例措置を講じるということを繰り返し申し上げております。

 また、今のお尋ねの件につきましては、調査する努力をいたします。

長妻委員 だめですよ、調査してください。これは重大なことなんだから。さっきからもめているじゃないですか。だめですよ。調査してくださいよ。

田野瀬委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記をあけてください。

 森副大臣。

森副大臣 繰り返し申し上げます。調査する努力をいたします。

長妻委員 だめですよ。だから、同じじゃないですか。だめだ、だめだ。同じじゃないですか。ちょっと速記をとめてください。速記をとめてください。

森副大臣 調査いたします。

長妻委員 私がどうしてこういうことを言っているかというと、そういういいかげんな分かれ方なんですよ、年金の掛金を使った支出と、税金はこれにするというのがいいかげんなんですよ、これ。全然いいかげんなんですよ。

 ですから、我々は、私は、言っているのは、例えば社会保険庁の職員の方が入るマンションのようなものは、これは厳格に節約をした上で、もし必要があれば例えば税金でやるとか、あるいは延期をするとか凍結をするとか、そういう常識的な仕分けができるんですよ。ところが、それを皆さんに言うと、いや、宿舎は、これはもう保険料じゃないとだめなんです、こういう説明を頭からする。交際費は保険料じゃなきゃだめなんですと。

 ですから、それは谷垣大臣の理屈でいっても税金でもいいわけですよね。ですから、そういう説明を初めからされるということで、これ、世間の常識と離れていく根本的な問題を含んでいるわけでありますので、調査をされるということを言われましたので、それを速やかにしていただきたいというふうに思います。

 最後に、いつまで調査するか、来週中にできますか。

森副大臣 できるだけ速やかにするようにいたします。

長妻委員 それは、できるだけというのは、来週とかそのぐらいのスパンでよろしいんですね。これ、永遠になりますよ、この期限がないと。

 大体、じゃ言ってくださいよ、大体。大体時期を言ってくださいよ。どのくらいか、大体言ってくださいよ。この法律、通っちゃいますよ、そうしたら。

森副大臣 無責任なことは申し上げられませんから、できるだけ早く調査いたしますと申し上げます。

長妻委員 じゃ、この法律の採決までには、されますね。

森副大臣 極力、努力いたします。

長妻委員 極力というか、採決までに、じゃ、採決までに出すと、そういうふうにちょっと言ってください。

森副大臣 努力いたします。――誠意を持って努力いたします。

長妻委員 よろしくお願いします。

 質問を終わります。

田野瀬委員長 次回は、来る三月二日火曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十一分散会


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