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第8号 平成16年3月5日(金曜日)

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平成十六年三月五日(金曜日)

    午後二時五十六分開議

 出席委員

   委員長 田野瀬良太郎君

   理事 鈴木 俊一君 理事 萩山 教嚴君

   理事 村井  仁君 理事 山本 明彦君

   理事 島   聡君 理事 中塚 一宏君

   理事 長妻  昭君 理事 上田  勇君

      江崎洋一郎君    江藤  拓君

      木村 隆秀君    熊代 昭彦君

      小泉 龍司君    河野 太郎君

      七条  明君    田中 英夫君

      谷川 弥一君    中村正三郎君

      西田  猛君    林田  彪君

      原田 令嗣君    宮下 一郎君

      渡辺 喜美君    五十嵐文彦君

      楠田 大蔵君    小泉 俊明君

      鈴木 克昌君    武正 公一君

      津村 啓介君    永田 寿康君

      藤井 裕久君    馬淵 澄夫君

      松原  仁君    村越 祐民君

      吉田  泉君    笠  浩史君

      谷口 隆義君    長沢 広明君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   財務副大臣        山本 有二君

   財務大臣政務官      七条  明君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  佐藤 観樹君     笠  浩史君

  仙谷 由人君     楠田 大蔵君

同日

 辞任         補欠選任

  楠田 大蔵君     仙谷 由人君

  笠  浩史君     佐藤 観樹君

同日

 委員佐藤観樹君が退職された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案並びに五十嵐文彦君外一名提出の所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案を議題といたします。

 両案及び修正案につきましては、他に質疑の申し出もありませんので、これにて質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 この際、五十嵐文彦君外一名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。財務大臣谷垣禎一君。

谷垣国務大臣 ただいまの所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案については、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。馬淵澄夫君。

馬淵委員 私、馬淵澄夫は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の平成十六年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に反対し、民主党・無所属クラブ提出の所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成する立場で討論を行います。

 まず、特例公債法案に反対する理由を申し述べます。

 平成十六年度予算は、当初予算としての赤字国債の発行額は過去最悪、また、一般会計の歳入総額に占める国債発行の割合を示す国債依存度も過去最悪となっています。国債という形で巨額の負担を将来世代に押しつける一方で、財政は破綻への道を転げ落ち続けています。そして、それに対して、政府は何ら有効な手だてを打てないでいます。

 今こそ、安易な国債発行を戒め、そして、まずは族議員や霞が関の既得権益を排除し、徹底的な歳出の見直しを行うことが喫緊の課題であります。

 この法案には、歳出を切り詰めるどころか、年金事務費に係る国の負担の特例という悪法が隠されており、実態は、年金保険料ピンはね継続法とでもいうべきものであります。国民の多くが年金制度について大きな不安を抱いているときに、年金保険料の流用を行おうとする政府の神経は全く理解に苦しむものであり、到底認められるものではありません。

 以上のように、政府自身が身を削り徹底的な歳出削減に取り組むことなく、安易に将来世代や年金被保険者に負担を押しつける本法案に賛成をすることは断じてできません。

 次に、まず、所得税法等改正案について反対する理由を申し述べます。

 第一に、今回の税制改正案は、何らビジョンも理念もなく、つじつま合わせに終始した結果、国民に増税のツケを押しつけるものとなっています。

 第二に、年金課税強化の結果、国民保険料や介護保険料が上昇することになるため、特に年金受給者にとってはかなりの負担増となります。

 そして、第三に、不動産譲渡に係る損益通算廃止は不利益不遡及の原則に反するものであります。

 これに対して、民主党修正案は、第一に、国民の消費生活、消費活動全般に及ぶ新しいローン利子控除、この制度を創設するものであります。これは、我が国の長年の課題であります内需中心の経済構造、豊かさを実感できる生活、これらを実現しようとする極めて戦略的な政策でもあります。

 第二に、消費税の総額表示を定めた消費税法の規定を削除するものであります。民主党は昨年通常国会においても総額表示削除の修正案を提出しましたが、実施直前になっても事業者に大きな混乱があり、消費者への周知も徹底されていない総額表示義務づけについては、今からでも導入を見合わせるべきであります。

 第三に、不動産譲渡所得に係る損益通算の廃止については、二年間の周知期間を設けるとしています。政府案は損益通算廃止を本年一月にさかのぼって適用するとしていますが、これは不利益不遡及の原則に反するものであり、税制の信頼性を著しく損ねるものであるため、修正案では、その適用時期を十八年一月からとしています。

 小泉総理は、就任以来、国民に痛みを押しつけ続け、国民の我慢はもう限界に達しています。たび重なる個人の増税は、国民生活を破綻の瀬戸際へと追いやっています。

 民主党案は、この破綻を回避し、国民生活を守るために最低限必要かつ対応可能な項目を盛り込んでおります。

 修正案への委員各位の御賛同をお願い申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)

田野瀬委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表し、三案に対する討論を行います。

 まず、公債発行特例法案に反対する理由を述べます。

 本法案は、来年度予算で三十兆九百億円もの赤字国債を発行するためのものであります。これによって国債依存度は四四・六%となり、当初予算としては過去最悪を記録します。歳入のほぼ半分を借金で賄う異常な財政運営であるにもかかわらず、大型公共事業や軍事費を初め巨額の浪費の構造にはメスが入れられないままとなっております。このような政府の財政政策の根本的な転換が必要であります。

 同時に、本法案には、国民年金などの事務に対する国庫負担の停止を延長する特例が盛り込まれております。これは本来国が負担すべきものであり、年金加入者に負担を求めることは認められません。財政構造改革法が凍結されているもとで、年金事務費の国庫負担の停止だけが続けられるのは不当であります。

 以上の理由から、本法案には反対であります。

 次に、所得税法等一部改正案に反対する理由を述べます。

 本法案は、昨年度の税制改悪が決めた、ことしから本格的に始まる庶民増税に加えて、老年者控除の廃止など、一層の負担を国民に押しつけるものであります。社会保障等の改悪も合わせて総額七兆円に上る負担増は、家計消費を一層冷え込ませ、景気を後退させるものであり、認められません。

 本法案による老年者控除の廃止や公的年金等控除の縮小は、六十五歳以上の高齢者に、年間で約二千四百億円にも上る新たな負担を強いるものであります。公的年金等控除の縮小は、介護保険料や健康保険料の負担増に連動するなど、生活苦が拡大している高齢者に対して、雪だるま式に痛みを押しつけるものとなります。このような改悪は認められません。

 一方で、大企業向けには、欠損金の繰越控除の延長や、連結付加税廃止による法人税軽減など、減税の恩恵を与えています。昨年措置した一兆円を超える減税が続くもとで、さらに減税を上乗せする手厚さであります。土地取引や株式投資信託等の取引など、高額所得者向けの優遇策も盛り込まれています。

 大企業と高額所得者には減税を重ね、家計には増税を押しつける、小泉内閣の抜本的税制改革を推し進める本法案には断固反対であります。

 なお、民主党提出の修正案については、消費税の総額表示を廃止するなど、国民に対して一定の負担軽減となるものであり、賛成することを述べ、討論といたします。(拍手)

田野瀬委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより採決に入ります。

 平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、所得税法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、五十嵐文彦君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、鈴木俊一君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。村越祐民君。

村越委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 財政の持続可能性に対する懸念に対して、中長期的な財政構造健全化の必要性が一層増大していることにかんがみ、今後の経済動向にも留意しつつ、歳出の重点化に努めるとともに、歳入の根幹をなす税制に対する国民の理解と信頼、税負担の公平性を確保する観点から、課税のあり方についての抜本的見直しを行い、持続的経済社会の活性化を実現するための税制の構築に努めること。

 一 租税特別措置については、政策目的、政策効果、利用状況等を勘案しつつ、今後とも一層の整理・合理化を推進すること。

 一 納税者数・滞納状況等に見られる納税環境の変動、経済取引の国際化・高度情報化による業務の一層の複雑・困難化、更には滞納整理等に伴う事務量の増大にかんがみ、複雑・困難であり、かつ、高度の専門知識を要する職務に従事する国税職員について、税負担の公平を確保する税務執行の重要性を踏まえ、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配意し、今後とも処遇の改善、定員の確保、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を行うこと。

 一 高度情報化社会の急速な進展により、経済取引の広域化・複雑化及び電子化等の拡大が進む状況下で、従来にも増した税務執行体制の整備と、事務の機械化の充実に特段の努力を行うこと。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

田野瀬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣谷垣禎一君。

谷垣国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会


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