衆議院

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第1号 平成16年8月4日(水曜日)

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本国会召集日(平成十六年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 田野瀬良太郎君

   理事 西野あきら君 理事 萩山 教嚴君

   理事 村井  仁君 理事 山本 明彦君

   理事 島   聡君 理事 中塚 一宏君

   理事 長妻  昭君 理事 上田  勇君

      江崎洋一郎君    久間 章生君

      熊代 昭彦君    小泉 龍司君

      河野 太郎君    七条  明君

      田中 英夫君    谷川 弥一君

      中村正三郎君    西田  猛君

      林田  彪君    原田 令嗣君

      増原 義剛君    宮下 一郎君

      森山  裕君    渡辺 喜美君

      五十嵐文彦君    小泉 俊明君

      鈴木 克昌君    武正 公一君

      津川 祥吾君    津村 啓介君

      野田 佳彦君    古川 元久君

      馬淵 澄夫君    松原  仁君

      村越 祐民君    吉田  泉君

      谷口 隆義君    長沢 広明君

      佐々木憲昭君

平成十六年八月四日(水曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 田野瀬良太郎君

   理事 西野あきら君 理事 萩山 教嚴君

   理事 村井  仁君 理事 山本 明彦君

   理事 島   聡君 理事 中塚 一宏君

   理事 長妻  昭君 理事 上田  勇君

      江崎洋一郎君    熊代 昭彦君

      小泉 龍司君    河野 太郎君

      佐藤  錬君    七条  明君

      鈴木 恒夫君    田中 英夫君

      谷川 弥一君    中村正三郎君

      西田  猛君    林田  彪君

      原田 令嗣君    増原 義剛君

      宮下 一郎君    森山  裕君

      渡辺 博道君    渡辺 喜美君

      五十嵐文彦君    小泉 俊明君

      鈴木 克昌君    武正 公一君

      津川 祥吾君    津村 啓介君

      野田 佳彦君    古川 元久君

      馬淵 澄夫君    松原  仁君

      村越 祐民君    吉田  泉君

      谷口 隆義君    長沢 広明君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   議員           五十嵐文彦君

   議員           平岡 秀夫君

   議員           古川 元久君

   議員           野田 佳彦君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国務大臣

   (金融担当)       竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   財務副大臣        山本 有二君

   財務大臣政務官      七条  明君

   会計検査院事務総局次長  重松 博之君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    西原 政雄君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (社会保険庁次長)    小林 和弘君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  久間 章生君     渡辺 博道君

  河野 太郎君     鈴木 恒夫君

  田中 英夫君     佐藤  錬君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     田中 英夫君

  鈴木 恒夫君     河野 太郎君

  渡辺 博道君     久間 章生君

    ―――――――――――――

七月三十日

 信託業法案(内閣提出、第百五十九回国会閣法第八五号)

八月二日

 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案(岡田克也君外十名提出、衆法第二号)

同月四日

 消費税の大増税反対に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三六号)

 消費税率引き上げ、増税反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第三七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案(岡田克也君外十名提出、衆法第二号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 財政に関する事項

 税制に関する事項

 関税に関する事項

 外国為替に関する事項

 国有財産に関する事項

 たばこ事業及び塩事業に関する事項

 印刷事業に関する事項

 造幣事業に関する事項

 金融に関する事項

 証券取引に関する事項

以上の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

田野瀬委員長 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長松元崇君、金融庁検査局長西原政雄君、金融庁監督局長佐藤隆文君、社会保険庁次長小林和弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、会計検査院事務総局次長重松博之君、会計検査院事務総局第二局長増田峯明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。久しぶりの国会でございますけれども、よろしくお願いを申し上げます。

 本日は一般質疑ということで、首をかしげるような公金の使われ方というのを取り上げさせていただいて、きょうは財務大臣もお出ましでありまして、会計検査院の方々もお出ましでございますので、皆様方に御判断と御意見を承りたい。

 一つの事例といたしまして、今話題にもなっておりますけれども、きょうは社会保険庁の小林次長にもお出ましをいただいておりますので、これは社会保険庁だけの問題ではないというのをまず前置きをしておきますけれども、非常に広くほかの省庁でも行われているんではないのか、こういうような問題提起でもございます。

 まず、皆様方にお配りをしております資料の一ページ目でございますけれども、これは社会保険庁が、購入図書ということで、仕事上必要だということで、管轄するいろいろな公益法人から図書を買っております。そして、その買った図書に関して、いろいろその図書の作成を社会保険庁の職員が手伝ったということで、社会保険庁の職員の方に監修料というような形で報酬が支払われている、こういうような事例の本の名前がこちらに書いてございます。

 これはすべてではなくて、私が指摘したものだけをお調べいただいたということで、ほかの部分は調べられないというような残念な御回答でございましたけれども、簡単に言いますと、例えば、この真ん中の財団法人社会保険協会という協会がございますけれども、これは社会保険庁の委託事業などもしておりますけれども、一番下に「社会保険関係者名録」というのがございます。これが実物でございます。これは社会保険庁の関係者とかいろいろな関係者の名簿でございますが、これを社会保険庁は五千五百部購入をして、購入金額が二千百六十五万三千円ということで、年金財源でいうと、厚生年金の掛金がこのうち一千八十二万六千円分がこれの購入に使われたということでございます。

 財団のお話を聞くと、これの報酬が大体三百万円。毎年毎年これは新しい本をつくっている。これは二〇〇四年版ですけれども、毎年毎年大体三百万円のお金が職員の方に払われているんではないのか、こういうような報酬でございます。

 これは売り上げの一〇%ということですけれども、私もかつて出版関係におりましたけれども、もう血のにじむような努力して本を一冊書いて、印税というか報酬が一〇%なんですね、御存じの方も多いと思いますけれども。ところが、これ、血のにじむような努力というか、毎年毎年、名簿の名前をちょっと変えて、それで売り上げの一〇%を社会保険庁の職員の方がもらっているとすればこれは問題でございますけれども。

 例えば実際に今まで、ここの表に出ているものに限ってでも結構ですけれども、それぞれ、社会保険庁の職員の皆さんというのは、合計で何人が公益法人から合計幾らぐらいもらっているのか、お教え願えればと思います。

小林政府参考人 今委員御質問の点につきましては、基本的に、私ども勤務時間外でこの種の業務に従事する、自分の自由時間を使って従事するという場合につきましては、国家公務員法等に照らしましても特段の問題は生じないという観点から、特別に、その監修を行った職員の数というようなものにつきまして、社会保険庁として把握するということは従来いたしておりません。

長妻委員 これ、連絡が本当に悪いと思うんですが、きのう、坂口大臣が閣議後の記者会見で、こういう監修料の調査をする、おかしなものは返却する、こういうふうに言ったばかりなのに、次長はかたくなに拒まれるということでありましょうか。

 この表の一番右側に、「監修料の有無」というところで「有」と書いてあるのが、社会保険庁の職員に監修料ということで現金が渡ったものでございます。これは、この左側に年金の保険料分の財源は幾ら使ったのかと書いてありますけれども、国民の皆様の厚生年金、国民年金の掛金で本を買って、そしてその売上金の中から職員に報酬が渡る。国民の皆様の年金の掛金が職員の個人のお金になるということで、適正かどうか、私は適正でないと思いますけれども、これからさらに質問を続けます。

 公益法人はやはり税の優遇も受けておりますし、もう一つは天下りですね。

 この二ページを見ていただきますと、今申し上げた公益法人ですね。例えば、この「社会保険関係者名録」をつくっているところは財団法人社会保険協会。役員の中で専任の役員は一人、その一人が天下りの方。職員が五十三人で、二十五人が天下りの方。そして、こういう月刊誌の「ねんきん」とか月刊誌の「社会保険」とか、そういうものをつくっている一番上の社団法人全国社会保険協会連合会、専任役員八人のうち三人が天下り、職員の二万一千人のうち百十五人が天下りの方。こういうことで、かつての部下に報酬を渡す、こういうような形にもなるのではないかというふうにも思います。

 そしてさらに、この報酬というのはどうやって決められるのかということを、この全社連と財団法人社会保険協会の方に聞きましたら、大体売上金の一〇%が報酬ですということなんです。ということは、社会保険庁が何冊買うかというのを決めておりますから、職員個人の報酬を上げるには、これはうがった見方かもしれませんけれども、購入の部数を、社会保険庁みずからいっぱい買えば、それだけぽっぽに入る報酬もふえていく。こういうような、非常に疑われても仕方のないような状況で、かつ、この名簿のような、先ほど申し上げましたけれども、これは知的な労働があるとは私は思えませんけれども、社会保険庁の中の個人情報を一公益法人に渡して、そして、かつ、その渡した職員が報酬をもらう。毎年毎年一〇%の報酬をもらう。

 では、この名簿に関して公益法人から報酬をもらっている、これに関して、次長はどう思われますか。おかしいと思われませんか。

小林政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、一般的な話といたしましては、書籍の作成につきまして職員が報酬を受けてかかわる行為につきまして、その作業が勤務時間外に行われており、国家公務員法百一条等の規定に反するものではないということであれば、職務専念義務などの服務規律の保持や職務の公正な執行の確保などとの関係で問題が生じるものではないということが従来からの整理でございます。

 ただ、委員御指摘のように、昨日厚生労働大臣の方から記者会見で発表がありましたとおり、厚生労働省といたしまして、監修料という形で職員が何らかの費用を受領しているというような場合につきましては、厚生労働審議官を主査とした、省内に関係部局の課長クラスをメンバーとする調査チームを設置いたしまして、全体的な調査を実施するということで臨もうと思っております。この調査結果を受けまして、私どもといたしましても、その調査の実態把握をさせていただきました上で、また私どもとしての対応を検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

長妻委員 次長個人のお考えとして、この名簿で一〇%の手数料三百万円をもらうというのは、これは金額はどう思いますか、適正だと思いますか。

小林政府参考人 正直申し上げまして、その種の書籍の監修料の世間相場と申しますか、どのぐらいが適正かということにつきまして、正直私、詳細な知識を持っておりません。コメントは控えさせていただきたいと思います。

長妻委員 名簿というのが必要だというのは私もわかりますよ。必要ですよ、職員の名簿というのは。もし職員の名簿が必要で、自分の役所の中でつくれない、もっと、アウトソーシングという言葉がありますけれども、するのであれば、やはり入札にしないとだめですよね。日本の会計法というのは原則一般競争入札を旨としておりまして、こういう名簿をつくる業者さん手を挙げてくださいと。これはつくれますよ、いろいろな出版社。それで一番安いところにお願いする。こういう形でやっていない。随契でずっとこういうことをやっている。だれでもつくれるような名簿を何で随契にしているんですか。

小林政府参考人 今御指摘の名簿につきましては私どもも利用させていただいておりますけれども、社会保険にかかわる、健康保険組合でありますとか厚生年金基金、そういうかなり多様な、広範な関係者の方々も御利用されるということから、一般の、一般といいますか、そういう出版元から出版をされておる、そういう形をとっております。

 私どもが業務上必要ということで、私どものためだけに使用するという形で仕様書をつくり入札をかけるという形も、形態としてはあり得る形でありますけれども、より広範の方が利用しているという実態を考慮いたしますと、今のような形で出版している書籍を必要な範囲で購入をさせていただくという方向も一つの道ではないかと考えております。

長妻委員 そしてもう一つ、この六法全書がございますけれども、これも、表の一番上の全社連がつくっている「社会保険六法」という、こういう大きい本でございますが、定価が一万五百円、これを社会保険庁は一万二千百五十部購入して、厚生年金の掛金を五千四百二十一万九千円分ここへ使っているわけですね。それと、もう一冊、こういう「社会保険小六法」というのも社会保険庁が購入をしておりまして、この小六法も九千四百部、年金の掛金で一千五百万円以上で購入しているということで、これは、実は社会保険庁の内部の職員の方が、職員に大体両方一冊ずつ机の上にあって、場所とっちゃって邪魔だ、何とかしてほしい、こんなむだなの、こういうのを言われている職員の方がおられるんですよ。

 これ、両方足し算すると二万一千四百部なんですよ。こっちは大体一〇%ですから、毎年毎年一千二百万円、ちょっと六法を変えるだけで一千二百万円の報酬を職員の方が、これは社会保険庁の職員だけでないというふうに聞いていますけれども、厚生労働省本省とかほかの役所の公務員の方合計で一千二百万円、毎年毎年これをつくるのにもらう。社会保険庁は両方合わせて二万一千四百部買っている。社会保険庁の職員の方の人数というのは一万七千人なんですね。そうすると、足し算すると職員の方よりも多い部数が購入をされているということで、どこでどう使っているのかよくわからないわけでございます。そして、一〇%ですから、買えば買うほど職員の方の報酬がふえていく。

 こういうことで、私自身は、職員の方も邪魔だと言われているもので、職員の方の数を上回るものを買うというのは、これは疑いの目を向けざるを得ないというふうに言わざるを得ないわけです。

 そして、職員の方の話だと、勤務時間外というふうに次長言われましたけれども、国会待機の時間、国会答弁なんかで役所で待機しているとき、そのときは勤務時間じゃない、こういう判断で、こういうものをつくるようなアルバイトをしているケースもあるというようなお話もいただいていますけれども、それも勤務時間外ということの解釈ですけれども、ちょっと民間の常識からいうと考えられないわけです。

 それと、お金のやりとりも、私もかつて出版社におりましたので、普通は銀行振り込みなんです。銀行振り込みで個人の口座に報酬を払うんですが、なぜか例外なくというか、この三つの表の団体は、社会保険庁の職員にお金を渡すときに、手渡しで現金を渡す、勤務時間中に。それも、真ん中の財団法人社会保険協会は、庶務係の人に一括してお金を渡して、その庶務係が職員の人にお金を振り分けて渡す。何で振り込みにしないのかというのが、裏金とは言いませんけれども、そういうものも最近よく言われておりまして、そういう疑いを受ける可能性のあるようなお金の渡し方というのも、これは私は問題があるというふうに考えております。

 こういう案件というのは社会保険庁だけではありませんで、例えば、これも私も悲しくなるわけですけれども、こういうものをきちっと監査する会計検査院もそういう監修料、原稿料というのをもらっていた、こういう事実もございます。「わかりやすい計算証明」あるいは「会計検査法規集」あるいは「会計検査事務必携」こういうもので、会計検査院が購入をしている。そしてその購入をしている本の報酬として会計検査院の職員がお金をもらう。その中には、官報に載る程度の情報を提供してお金をもらっている、こういうケースもあるということなんですけれども、会計検査院、本当でございますか。

重松会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 私ども会計検査院では、御指摘の、監修ということではございませんが、図書の執筆ということで職員が報酬を受領している例がございます。また、出版されました当該図書の一部を購入している例もございます。

 私どもの職員が執筆している図書は、検査を受ける会計事務職員の参考に資するためということで、計算証明規則の解説書等でございますが、ただいま挙げていただいたような本でございますけれども、担当課の職員が勤務時間外に執務等の作業を行っているところでございます。また、当該図書を私どもが購入しておりますのは、職員の職務遂行それから研修受講者への配付ということの必要のためでございます。

 それで、職員が著作に関係するこの行為は、時間外に上司の承認のもとで、報酬も定められた金額を超えていないということなど、国家公務員法、国家公務員倫理規程等に反することなく行われているものでございます。また、この購入というのは職務上の必要により行われていたものでございまして、妥当なものというふうに私どもは理解しておるところでございます。

長妻委員 いろいろきちっと会計を検査するような検査院、今の御答弁の中にちょっと間違いがあると私は思うんですが、原稿執筆じゃないんですね。会計検査法規集、これは、法律が変わった、いろいろな省令、政令などが変わったときにそれを載せるものですから、執筆じゃなくて、官報に載る前にその紙を渡すだけなんですよ。執筆じゃないんです。それで報酬をもらっておりまして、執筆じゃありませんね。どうですか。

重松会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の会計検査法規集でございますが、目次、これは編成、構成及び抄録法令の見直し、それから計算証明に関する指定等の改廃に関する原稿の提出ということで、その原稿料ということで職員が報酬をもらっているということでございます。

 ほかの、二つ御指摘ございましたけれども、これも、いずれも同様に原稿の提出に対する原稿料ということで報酬を得ているということでございます。

長妻委員 今のお話だと、何か目次を書いたのが原稿ということですか、目次。

 谷垣財務大臣にお伺いするんですが、これは一定の基準を、やはり財務省としても、いろいろな予算を査定する過程で、部数とか、あるいは監修料、原稿料等の受け渡しについて、査定時にきちっと基準を決めて厳しく取り組む必要があるというふうに思うんです。特に公益法人からの購入などについて、何らかの歯どめなり見直し等々、不適当な価格の報酬をもらっているものも含めて、何か基準を設けるということが必要だと思うんですが、大臣、いかがでございますか。

谷垣国務大臣 今、社会保険庁からいろいろ御答弁がありましたけれども、厚生労働大臣が記者会見されまして、調査チームをつくって早急に調査を遂げようということでやっておられると承知しておりますので、私ども、まず執行官庁である厚生労働省において実態をよく調査していただいて、それを踏まえて適切に我々も対処しなきゃならないと思っておりますので、その調査結果を我々はきちっとフォローしたいと思っております。

長妻委員 小林次長にお伺いします。

 昨日の坂口大臣の発言というのはちょっとあいまいでありまして、補助金が入ったこういう出版等の事業のみ調査するというようにもとれるような発言でもありましたけれども、これはもちろん、今お配りした資料の書籍というのは補助金が入っておりませんが、まさに社会保険庁そのものが買っている、そういう書籍でございますけれども、補助金が入っていない、社会保険庁そのものが購入している、こういう図書に関しても調査するということを明言いただければと思います。

小林政府参考人 昨日大臣が記者会見で公表いたしました調査の対象には、補助金が書籍の出版に支出をされているというものも当然含みますが、それ以外のものについてもその調査対象として、省としての調査をしっかりと行うということで大臣からの指示をいただいております。

長妻委員 そうすると、これは、例えばここの一覧表に出ているものに関して、何人の職員がそれぞれ幾らずつもらっている、こういうことも公表されるというふうに認識してよろしいですか。

小林政府参考人 先ほどお答え申し上げましたとおり、省内に、厚生労働審議官を主査として、関係局、これも相当、全局に近い局だろうと思いますけれども、そのチームにおきまして、調査の対象、調査の内容、それにつきましてもできるだけ早いところでまとめていくということで聞いておりますので、その調査チームでの検討結果によって我々は動いていきたいと思っております。

長妻委員 もちろん報酬もきちっと出していただきたいと思います。

 そしてもう一つは、この表でお示しをした一番上の全社連という連合会でございますが、四十七都道府県に傘下の社会保険協会があります。そこが会費を集めておりますけれども、その会費の集め方というのが非常に問題がある集め方だということでお尋ねをするんです。

 資料の四ページ、五ページ、六ページ、この三枚にプラスして、例えばこれは東京社会保険協会ですけれども、そういう協会の案内を入れて、新しく厚生年金に加入した事業者の説明会を社会保険庁がする際に、この法人も同席をして、事業者にこういう振り込み用紙をお配りしているんですね。それで、ここで会費を払っている会社の中には、これは義務として絶対払わなきゃいけないものだと錯覚して払っておられるという会社もあります。

 そういう意味では、これは、説明会で振り込み用紙をいきなり配られて、ここに任意という文字も書いてなくて、例えば健康づくり事業、テニス教室を開催するとかディズニーランド等の入場券の補助が出るとかボウリング大会とか、こういうものがあるということですけれども、任意とわからないで、払わないと延滞金がつくというふうに錯覚をして払ってしまうようなところもあるのでございます。

 それに関して、集め方に問題があるんではないかと思いますが、改善する予定というのはありませんか。

小林政府参考人 御指摘の都道府県の社会保険協会につきましては、健康保険あるいは厚生年金等の被保険者及びその被扶養者の健康並びに福祉の増進を図るということを目的に各都道府県に設立された公益法人でございます。社会保険の適用事業所の事業主の方々を中心として、社会保険制度の実務等に対する周知、協力、こういうような意義のある活動をしていただいているというふうに考えております。

 それで、この社会保険協会の事業に賛同する社会保険適用事業所の事業主の方が会員になる、御指摘のように、当然それは任意加入という形でございます。今御指摘いただきましたが、この社会保険協会への加入があたかも強制的であるかのような誤解を与えかねないという指摘も従来からございました。そのようなことから、平成十年六月、さらに平成十五年の五月に、私どもも社会保険事務所等において協会に対し便宜を図っているとの誤解を与えることのないように指導してまいったところでございます。

 今、委員が本日議場配付をしていただいておりますこの資料の五ページ目、これは、四ページ、五ページが東京の社会保険協会のつくったパンフレットでございますが、下に五ページと書いてあるものでありますけれども、この上から三行目、四行目あたりにおきましても、「経済状況が大変厳しい折ではございますが、当協会の趣旨をご理解いただきまして、会費納入につきまして、ご協力をお願い申し上げます。」これは、まさに「ご協力」ということで、任意である旨を書くように私どもも御指導させていただいているところであります。

 引き続き、誤解が生ずることのないような指導につきまして取り組んでいきたいと思っております。

長妻委員 社会保険庁が主催する説明会で振り込み用紙を渡されて、やはり誤解をするというのは、これは、任意というのは大きい文字で明記をしていないと、ちっちゃい文字で書いたから大丈夫だ、それはわかってくれるというのは、どこかの悪質商法のような発想では困るわけでありまして、きちっとわかりやすいように書いていただく。

 事実、東京では、厚生年金加入の事業所というのが二十四万三千件あるというふうに聞いておりますけれども、その半分以上がこれを払っているということで、任意にしては半分以上が払っているというのは、非常にその中には錯覚しておられる方もいるわけでありまして、きちっと対応をいただきたいと思います。

 そしてもう一つは、こういうような音楽ルームといいますか、これは、社会保険庁の職員が音楽同好会、音楽サークル活動をしている部屋です、防音室です。そして、ドラムセットとかキーボードとかアンプとかありますが、これは杉並区の高井戸にあります社会保険業務センター、社会保険庁の組織ですけれども、その地下一階にこういう部屋があったということで、この部屋自身も年金の掛金で建設されたということでございます。

 そして、これは谷垣大臣の所管の税金ですけれども、この二台のスピーカーもアンプも電子ピアノも、税金で音楽サークルの活動のために購入されたと。そして、こういう譜面台とか楽譜というのは年金の掛金で購入されたと。楽譜五冊が五千七百円、譜面台が一台八千円ということで。

 こういう職員のサークルのための防音室を年金の掛金財源でつくったというふうに社会保険庁は言われているわけですけれども、こういうのは何で必要なんですか。

小林政府参考人 ただいま御指摘のありましたものにつきましては、社会保険業務センターの高井戸庁舎、その地下に、職員専用の、福利厚生を目的とした、全職員が利用可能な厚生室というものを五室設置しております。そのうち一室に防音壁が設けられておりまして、そこに楽器や譜面台が置かれている。休憩時間において職員が利用する、こういう形でその利用が行われております。

 御指摘のように、これらは職員の福利厚生を目的としたものでありますが、建設費あるいは楽器等の費用につきまして、一部を除いて年金保険料が財源として充てられているということでございます。

 また、御指摘の厚生室につきましては、全職員が利用可能なものでございまして、同好会の専用というような形で使っているという利用形態ではございません。したがいまして、全職員が利用可能という形でやっているわけでありますけれども、この厳しい年金財政の状況を十分踏まえまして、その利用方法等につきまして、適切な使用についてさらに徹底していきたいというふうに思っております。

長妻委員 これは、財務省の話によりますと、国家公務員の方一人当たり年間六千円見合いの職員厚生経費という福利厚生の予算をつけている、こういう話でございますけれども、これはその厚生経費でこれを賄っているというふうに認識してよろしいですか。

小林政府参考人 楽譜とか譜面台についての購入の費用につきましては、同じ庁費の中ではございますが、職員厚生経費というものではなくて、職務能率向上に要する経費、そちらの方の費用を使って購入をしているというふうに聞いております。

長妻委員 谷垣大臣、そういうのは支出していいんですかね、そういう経費から。

谷垣国務大臣 今お話しのように、職務能率の向上のためにこういう福利厚生の備品等を購入していると。財務省としては、これが一般財源から、税から入っているものであろうと、あるいは年金の経費から行っているものであろうと、最終的には国民が負担するということでありますから、本来国民にとって必要なサービスが適切かつ効率的に提供されることにつながっているかどうかということが一番大事な視点なんじゃないかと思っております。

 それで、庁費ということになるのかどうか、そういう執行は本来そのそれぞれの官庁が責任を持って行っていただくべきものでありますけれども、それぞれの出費が、さっき申しましたような、本当に必要なサービスが提供されることにつながるかどうか、あるいは過大なものでないかどうかということはきちっとチェックをして、そしりを受けないようにしていただかなければいけないと私は思っております。

長妻委員 大臣が、何かこれが職務能率アップの経費であるというような、お認めになるようなお話がありましたけれども、これは……(谷垣国務大臣「委員長」と呼ぶ)いや、小林次長、では、この防音室自身は何の経費で、年金財源ですけれども、使っているんですか。

小林政府参考人 現在の社会保険業務センターは数年前に建てかえを行いまして、平成八年度から建てかえを行っております。その建物の整備の一環として、その厚生室も含めた建物が整備をされております。当初、当初と申しますか、御承知の財確法に基づく費用の財源の特例措置ということを受けまして、ほとんどの部分は保険料財源として支出しておるわけでございますが、その建築費でございますので、能率向上のための経費というところではなく、施設整備費の一環としてこの建物自身の建設は行っておるというところでございます。

長妻委員 趣味の部屋を施設整備費で支出していいんですか。同好会の部屋を施設整備費で支出してよろしいんですか。それは、大臣、よろしいわけですね。

小林政府参考人 国家公務員法あるいは人事院規則によりますれば、各省庁の長は、職員の能率向上、勤務能率の発揮でありますとか健康の保持増進のために必要な措置を行わなければならないという一般的な責務規定もあるところでございますし、基本的に、いろいろな庁舎の中に職員の休憩室でございますとか仮眠室というようなものも庁舎の一環として整備をするということは、これは通例でございますので、そういう延長上で理解をしていただくということではないかと思っております。

長妻委員 私も、仮眠室がどうだこうだと言っているわけじゃなくて、それはおのずから限度があるんじゃないかということを今申し上げているわけであります。

 職務能率向上で支出したというふうに先ほど言われましたけれども、どうしてこれで職務能率が向上するという理屈になるんですか。

小林政府参考人 本当にしっかりとした勤務をするための、いろいろな意味での気分転換でありますとかリフレッシュというようなことは、その非常に大きな要素ということで考えております。そういうような意味におきまして、こういう福利厚生的な施設というものも、いい仕事をしていただくための一つの重要な要素ではないかと考えております。

長妻委員 私、財務省にも福利厚生のこういうようなお話を聞きまして、財務省の言っていることが本当であればさすがだなと思ったんですね。財務省も職員のサークル、書道クラブ、お花、茶道、サッカー部、野球部等があるけれども、そこの活動に関しては公金は一円も支出していません、こういうような財務省のお答えでございまして、本当であればさすがだというふうに思いますけれども、こういう行き過ぎたものはきちっとやはり見なきゃいけない。

 会計検査院、こういうものはきちっと見ないんですか。

増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 私どもの検査におきましては、社会保険庁につきまして、従来から非常に重要な検査対象機関であるというふうに認識しておりまして、私どもの検査結果の実績といたしましては、年金の不適正な支給であるとかあるいは保険料の不適正な徴収、そういったものを毎年指摘しておりますし、それ以外にも、年金事業運営におけるさまざまな問題点につきまして、処置要求であるとかあるいは意見表示という形で指摘をしております。

 したがいまして、年金関係の保険料あるいは支給について、従来から重点を持って検査をしておりまして、今先生御指摘のような点につきましては、これまでなかなか手が回っていなかったということはございますけれども、ただいま先生がおっしゃいました点につきましては、私どもとしても、事実関係が十分まだ把握できておりませんけれども、仮に私的な一サークルのために使われているというようなことであればそれは問題であると思いますので、その辺は見ていきたいというふうに考えております。

長妻委員 私は本当に会計検査院に期待をしておりまして、会計検査院がどんどん仕事をしていただければ我々もこういう質問はもうしないで済むわけでございますので、ぜひよろしくお願いします。

 ただ、会計検査院で、いろいろな点で私も違和感を覚えますのは、例えば社会保険庁が、二十代の官僚が運転手つきの黒塗りの車に乗って仕事に出かけていく、そういう車も年金の掛金で購入した車だと。VIPに二十代からなっちゃっているわけでありまして、そういうのはどうですかとこの前会計検査院の方にお聞きしましたら、いや、会計検査院も二十代の官僚というか職員が乗っているから、ほかもやっていることですと。何かそんなようなお話でありまして、似たり寄ったりの話で、そういうことでは困るというふうに私は思います。

 その中で、この七ページでございますけれども、会計検査院の天下り、年金関係に天下りの方を調べていただきますと、今現在、年金施設のペアーレ新宿というところに会計検査院の審議官が天下りをされておられるということで、まさかこういう年金施設にいろいろの方がおられるから手心を加えたということはないと思いますけれども、監修料、原稿料も先ほどはきちっとしたものだというふうに言われましたけれども、そうであれば、この倫理法規定は課長補佐以上を公表するわけですけれども、係長以下も、原稿料をどういう仕事で何人もらっているというのを、会計検査院、堂々と公表すべきと思うんですが、いかがでございますか。

重松会計検査院当局者 お答えいたします。

 先ほど三点ほど、書籍についての原稿料の御説明をさせていただきましたけれども、それぞれ執筆者、報酬を受けた者の人数等については我々把握しておりまして、これについては、文書でもって先生にも御説明をしたとおりでございます。(長妻委員「いや、これは課長補佐以上です。係長以下もしますか」と呼ぶ)それはできると思いますが、ただ、名前については、従来、情報公開法の関係で出せないということになっておりますので。人数については公表はできると思います。

長妻委員 最後に、残念な記事が毎日新聞社会面に出ています。「検査院局長 接待漬け」という記事が平成十六年七月二十三日の毎日新聞に出ております。こういうことがないと信じておりますが、これは省内で調査をして、何か高級車を無償で提供されたとの情報もあるという記述もありますけれども、こういうことは一切ないということを確認しておられますか。

重松会計検査院当局者 お答えいたします。

 何分、新聞記事のことで、記事の内容には本人も特定されておりませんので、現在、その点については調査をしているというところでございます。

長妻委員 これで質問を終わりますけれども、調査結果をぜひ公表していただいて、何しろ、会計検査院とかあるいは財務省、予算の査定をする、監査をする、検査をする、そういうところがもうちょっときちっと、どこの役所もやっているからとか、そういう規定があるからといっても、おのずからこれは限度があるわけでありまして、そういう問題も厳しくメスを入れていただきたいということを強くお願い申し上げて、かつ、社会保険庁には、ほかの役所よりも突出していろいろな目に余ることがあるというふうに私は思いますので、きちっと是正をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、公的資金注入行の中小企業向け貸し出し目標達成問題、この点についてお聞きをしたいと思うんです。ことし三月の履行状況を見まして、まず、奇妙なことがありましたので、お聞きをしたい。

 この集計表によりますと、国内貸し出し状況、これは、みずほ、三井住友、三井トラスト、この三つのグループは貸出総額が大幅に減少しております。にもかかわらず、中小企業向けの貸し出しでは目標を超過達成しているわけです。例えば、みずほは一兆一千三百七億円のマイナスであります。これは、つまり貸出総額がマイナスになっている。しかし、中小企業向け貸し出しは三千二百七十九億円ふえております。三井住友は二兆八千二百十八億円総枠でマイナスでありますが、そのうち中小企業向けは二千六百十九億ふえている。それから、三井トラスト二行は八百十億円の総枠のマイナスですが、中小企業向けは百十億円プラスになっている、こういうことであります。

 ところが、UFJ、これだけが違うわけでありまして、国内の貸し出しは一兆一千四百八十二億円の増加でありますが、何と中小企業向け貸し出しは一千五百一億円のマイナスになっているんですね。

 常識的に考えますと、貸出総額がふえれば当然中小企業向け貸し出しもそれにつれてふえていくというのが常識だと思うんですけれども、どうも逆転現象が起きている。つまり、総額が減っているところは中小企業向けがふえている、総額がふえているところは中小企業向けが減っている、こういう関係になっているわけでありまして、どうしてこういうことになっているのか、説明していただきたい。

佐藤政府参考人 資本注入を受けました主要行における中小企業向け貸し出しの状況、御指摘のとおりでございます。

 中小企業向け貸し出しが増加いたしましたみずほ二行、三井住友、三井トラストにおきましては、先般提出されました履行状況報告によりますと、中小企業向け貸し出しにつきまして、本部、営業部店一体となった取り組みを強化した、あるいは無担保貸し出しへの積極的取り組みを行った、さらには本部によるきめ細かい進捗管理を行ったというようなことで中小企業向け貸し出しがふえているというふうに聞いております。

 それから、UFJでございますけれども、全体の貸し出しがふえている中で中小企業向け貸し出しが減っているという状況でございまして、ここの部分については、全体の貸し出しがふえたことについては住宅ローンの増加等が大きかったというふうに報告をしてきておりますけれども、いずれにせよ、中小企業向け貸し出しについて、増加を達成したほかの三グループに比べて必ずしも十分な取り組みが行われていなかった可能性がございますので、この辺はよく分析をしていく必要があろうかと思っております。

 いずれにせよ、この十六年三月期におきまして、UFJを含めて、中小企業向け貸し出しが減少した資本増強行に対しましては、銀行法に基づいて報告徴求をいたしておりまして、その中で、なぜ中小企業向け貸し出しが減少したのか、その理由、それから、今後の取り組みの状況等について報告を求めているところでございます。その報告が出てきたところで、それを精査いたしまして、より詳しい分析をしたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 特に、UFJが目標未達成だったという問題は大変重大でありまして、これは、昨年の九月の時点で既にその兆候が出ておりまして、金融庁の調査では、目標に対して七千九十七億円のマイナス、九月ですからまだ途中ですけれども、マイナスであった。このままでは達成できないのではないかと私はここで質問をいたしました。例えば、業務改善命令というものも出して改善をさせるというようなことをやらないと、これは達成できない危険性があるということを申し上げたわけであります。

 というのは、収益改善計画については業務改善命令を出したりしているわけであります。また、一昨年は、中小企業向け貸し出し未達問題で、九月期の状況を見て、例えばみずほに対して業務改善命令を出している。ですから、UFJのこういう貸し出し未達状況というのは、非常に深刻な数字が出ていたわけでありますから、当然改善命令を出すべきだと私は思って質問したわけですが、竹中大臣は、これは状況を見たい、こういう極めてのんびりした答弁でありましたので、何らの手も打たなかったのかと思うわけでありますが、この未達という事実をどういうふうに大臣は受けとめておられますか。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、公的資金の注入行、それはやはり中小企業貸し出しをふやすという約束事があるわけですから、それが未達になっているというのは、そのこと自体大変遺憾なことであると思っております。我々は、それに対してルールをしっかりとつくって対応しているつもりでございます。

 ことしの三月二日のこの委員会で、確かに委員から御質問を受けました。そのときも申し上げたのでございますけれども、基本的に目標というのは年度目標でありますので、年度として目標を達成してもらいたい、年度として目標を達成するというのがある意味での約束事でございます。それを、中間段階で、例えば命令を打つというようなことは、法律的な根拠からいっても、これは現実にはなかなか難しいのだと思います。

 ただし、これも委員御指摘になりましたように、その程度が余りにひどい場合には、これは我々も手をこまねいているわけにはいかないということで、みずほの例が挙げられましたけれども、その前の年に関して、九月期で何と五兆円の目標額からの未達があった、これは余りに程度が大きいということで、その時点で、先取りといいますか先行させる形で命令を発したという経緯がございます。

 我々としましては、それに当たりまして、十五年九月期のUFJに関しましても、直ちに銀行法第二十四条に基づきまして、減少した理由は何だったのだ、取り組み状況についてどうなのかというような報告を求めて、精査をして、ヒアリングを行ったところでございます。

 それによりますと、借入金圧縮の傾向なんかで、上期の貸出金は減少はしているんですけれども、営業店別の残高目標は設定している、組織面での取り組みを強化する、店舗ごと、人ごとの業績評価の重要項目としてこの貸し出しの達成度合い等を組み入れている、さらには、無担保貸し出し等の新商品を投入する等、計画達成に向けた努力、取り組みが認められることから、少なくともその時点においては、「自ら的確に履行しようとしていないと認められた場合」ということではないというふうに判断をしまして、下期における取り組み状況を引き続き注視していくというふうにしたところでございます。現実に、下期に関しては増加の数字がその後出ております。

 いずれにしましても、十六年三月期におきまして、中小企業向け貸し出しが前年比減少したこのUFJを含む資本増強行に対しましては、銀行法に基づきまして、中小企業向け貸し出しが減少した理由でありますとか、今後の取り組み状況について、これまた報告徴求をしたところでありまして、今後その精査をした上で、適切に我々としても対処をしてまいりたいと思っております。

佐々木(憲)委員 年度目標を達成するというのが目標、一つの眼目である、それはそうなんですが、年度目標を達成していないわけですから。したがいまして、その九月の時点で七千億というのは結構大きな金額であります。しかも、昨年からことしにかけまして検査に入っていたわけですね。さまざまな問題が起こって、今大変な問題が広がっておりますけれども、その過程で、当然目標達成が極めて困難であろうということは容易に把握できるはずでありまして、にもかかわらず具体的な手だてを講じていなかったということになるわけです。結果として達成できない。したがって、この責任をどう感じているかというのが重大ですが、どのようにお感じですか。

西原政府参考人 先生御指摘のように、その期間中といいますか、昨年のちょうど秋以降検査に入っておりました。それで、検査に入っている際にそういうのはちゃんとチェックできなかったのか、こういう御質問でございますが、我々、基本的に検査というのは事後チェック型でございます。したがって、進行中の今どういうような貸し出し態度で臨んでいるか、こういうことをチェックするために入っているわけではございません。したがいまして、今回実際に入ってチェックしましたのは、やはり中小貸し出しについてはチェックをしておりますけれども、二点指摘しております。

 その一つは、当局に対して十五年三月期にこの中小貸し出しについて報告を出しておりますが、この中小企業向け貸出実績に、これは中小企業とは思えないものが入っているということで、大企業等への貸し出しとか、あるいは個人の非事業性の資金に対する貸し出し、これがこの中小企業向け貸し出しの中に潜り込んでいるというようなことで、それが多額に入っているということを検査で検証いたしまして、そこで当局への報告がその実態と違うじゃないか、こういう不適切なものであるという指摘をしてございます。

 それからもう一点、これは、期末日を挟んだごく短期間で、その期間中の融資資金が使用されていないというような貸し出し等が、また多額に実行されている、こういうようなことがございまして、そういった実態を把握した上で検査で指摘しているところでございます。

 こうした検査の指摘に基づいて、あるいはそれの後に引き続いた二十四条報告をとって、六月の十八日に業務改善命令といったことに結びついてきたのかなというふうに理解をしております。

佐々木(憲)委員 昨年三月期については今おっしゃったような水増しの実態があったということですね。そういう点を指摘して推移をしたんだけれども、結果としてマイナスになった。そうしますと、逆に次の、貸し出しが減って、かつ中小企業向け目標が超過達成しているという、そちらの方に目が向くわけであります。

 三井住友、三井トラスト、みずほの三グループは、総額で貸し出し四兆円のマイナスになっているんですよ。にもかかわらず、六千億円の超過達成であります。中小企業向け貸し出しを特に重視したということでもあるのかもしれませんけれども、しかし、本当にそうだったのかと。

 私は、以前に公的資金を受けた銀行の関係者に聞いたことがありますが、年度末にさまざまな手段を講じて中小企業向け目標の達成を膨らませていた、いわば水増しをやっていたと。

 今UFJの事例を昨年について紹介されましたが、例えば、これはほかの事例ですけれども、銀行が自分の子会社、関連会社に大変な金額の貸し出しをやる。例えば、ノンバンクなどの子会社に中小企業扱いとして貸し出す。あるいは、銀行と非常に関係の深い優良中小企業に一時的に年末だけ借りてくれという形で数字を膨らます。そのためのリストをつくっていたという話もありました。さらに、大手企業に貸し出すときに、その企業の子会社に対して一時的に貸している形にして、一定期間後に親会社に振りかえる。ですから、三月末のこの数字自体が水増しになっている。こういう事例が多発していたわけで、若干の是正がありました。

 では、今回、この三つのグループにこういう事実は全くなかったのか、そういう調査はされたんでしょうか。

佐藤政府参考人 御指摘のような、早期健全化法の趣旨にそぐわないような、形だけの中小企業向け貸し出しというのは不適切であるということは、累次これまでに各資本注入行に対して強いメッセージを出してきているわけでございます。御指摘のような、期越えの短期の貸し出しであるとか、あるいは子会社向けの貸し出しであるとか、あるいは銀行関連会社への貸し出し、そういうことを除外するということをメッセージとして出してきているということでございます。

 これは累次にわたってやってきておりまして、今般の、UFJ銀行に対する六月十八日の行政処分といったようなこともございますように、不適切なものがあれば、我々としては厳正に対応するというスタンスで対応してきておりますので、今般報告のありました、目標を達成しているところについては、そういう累次の当局からのメッセージということを踏まえて対応してきているというふうに認識しております。

 各行は、履行状況報告におきまして、中小企業向け貸し出しの実績に同法の趣旨に反する貸し出しを含めていないという旨を明記してきているということでございます。

佐々木(憲)委員 まあ、明記はしているんでしょうけれども、実態がそうかということについては具体的な調査はされていないわけで、これはやはり調査をされることを期待しておきます。

 UFJの場合も、そういう報告を出していながら事実は違っていたわけでしょう。ですから、そういうことがあり得るので、これは実態調査を当然やるべきだということを言っておきたいと思います。やりますか。

佐藤政府参考人 主要行の場合には特にそうですけれども、年一回の非常に頻度の高い検査をやってきております。それで、立入検査を行いますと、非常に中身の濃い、深度のあるチェックができますので、単なる調査というよりは、毎年やっている検査というのでチェックをしていくというのが基本であろうかと思っております。

佐々木(憲)委員 地銀の未達行についても聞きたいんですけれども、今回は、北陸銀行、親和銀行、和歌山銀行の三行が未達成であります。ほくぎんは五億円の増加目標に対して七百八十九億円のマイナスであります。九州親和も五億円の目標に対して百二十八億円のマイナス、和歌山も十一億円増の計画に対して五十五億円の減。これはもう非常に地域密着型の銀行でありますから、ほとんどが中小企業向けの貸し出しのはずでありますけれども、これは、目標を達成できないとなりますと、その地域に対してその銀行が十分な役割を果たしていないということになるわけであります。

 例えば、中小企業向け融資を減らした地銀の中で、ほくぎんについて見ますと、これは利益はふえているんですね。業務純益、経常利益、当期利益ともに大幅に超過達成であります。自己資本比率も前年の七・五一から八・一〇へと大変大きな伸びを示しておりまして、不良債権も減っている。ところが、中小企業向けの融資が大幅にマイナスになっているわけですね。利益はふやしているけれども、貸し出しは減らしている。これは、貸しはがし、貸し渋りがかなり深刻なことをやりまして、強引な不良債権処理をやった、その結果利益をふやした、つまり犠牲の上にそういうことをやっているのではないかという疑いが極めて濃いわけでありますが、その状況をどのように把握されていますか。

佐藤政府参考人 資本注入を受けております地域銀行の状況は、御指摘のとおりでございます。

 それで、業務純益が上がっている、達成されているということと中小企業向け貸し出しが達成されていないということとの関係でございますけれども、いろんな要素が働いておりますので単純な因果関係というのは認めにくいわけでございます。

 例えば、北陸銀行について申しますと、先方が出してきました報告書によりますと、利益の要因として、事業性貸出残高の減少はあったわけでございますけれども、それを消費者ローンの増強でカバーしたとか、あるいは投資信託、個人年金保険等の窓販で役務収益が立ったとか、そういった要因が入っているようでございます。したがって、中小企業向け貸し出しが減っているということと利益を達成しているということで、直ちに貸しはがし、貸し渋りということには必ずしもならないと思いますけれども、いずれにいたしましても、この目標を達成しなかった公的資金注入行につきましては、銀行法二十四条に基づいて報告徴求を行っているところでございますので、その中でより詳しく分析をしていきたいというふうに思っております。そして、その中で貸し渋り、貸しはがしといった要素があるかないかについてもよく見ていきたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 私は、ほくぎんの貸し渋り、貸しはがしの実態についても、地元で具体的にその話を聞いておりますが、やはりこういう問題は、大銀行も中小金融機関も金融機能をしっかりと果たしていく、特に、地域経済、中小企業を支える、こういう役割というのは大変重要なわけでありまして、私は、当委員会に、UFJと、それからほくぎん、親和、和歌山、それぞれの銀行の代表を呼んで、経営の実態、経営方針の基本的な考え方について参考人として意見を聴取したいと思いますが、検討していただきたいと思います。

田野瀬委員長 理事会で協議させていただきます。

佐々木(憲)委員 終わります。

田野瀬委員長 次に、五十嵐文彦君。

五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。

 竹中大臣におかれましては、参議院選挙での御当選おめでとうございます。大物の一年生議員が誕生したわけでありますけれども、普通の候補者であれば私も問題にしようとは思わないんですが、現職大臣でありかつ候補者であった竹中さんが事実と違うことをあちこちで言われたとなると、やはり確かめておかなければならないな、こう思っている次第でございます。

 参議院選挙の最中に実にいろいろなことを景気よく竹中候補者は言われたわけですけれども、その言われている中身が、公党たる民主党に対する誹謗中傷に近い、かなり事実と違うことをあちこちでお話しになっているというのが報道であらわれてくるわけでございます。

 例えば、これは御出身地の和歌山ですか、朝日新聞が六月二十五日付で報道をしているわけですけれども、「民主党は不良債権を処理すれば経済ががたがたになると言ったが、景気はよくなったじゃないですか」こう言っているというふうに報道をされておりますが、民主党として、不良債権を処理すれば経済ががたがたになるから不良債権を処理するなと言ったことはありますか。これはどういう認識で言われているんでしょうか。私どもはむしろ不良債権の処理を促進しろということをかなりずうっと言ってきた。むしろ原理主義的に言ってきたのは我々でございまして、全く正反対じゃないですか。なぜこういうお言葉が出てくるんですか。

 それから、これも有名なジャーナリストの早野透さんが自分の耳で確かめたといって書いておられますから確かなんだろうと思いますが、六月の二十九日、わざわざ和歌山駅前で、追っかけていって竹中さんの演説を聞いたんだということの中に出てきますが、「不良債権は半年以内に四%台になる。財政を投じないと経済はよくならないとさんざん小泉改革を批判してきた人は経済がよくなったら口をつぐむ。野党は説明責任がある。どのツラさげて小泉改革を批判できるのか」と。これも財政出動を民主党が党全体で求めたかのように言っているわけですが、こんな事実は全くございません。むしろ、民主党は緊縮財政路線だといって批判を浴び続けてきたのがこの間でありますから、正反対じゃありませんか。どうしてこういう言葉が出てくるんですか。

 まだまだたくさんあるんですよ。人の悪口だけ、人の批判だけして飯を食っているとか、批判ばかりで揚げ足取りしかできない民主党だとか、年金問題で邪魔ばかりしている、抵抗勢力だというような公党批判をしています。それから、年金改革法案の政府案は千百何ページだけれども民主党案は二十一ページしかないからこんなものはだめだとかいうお話をされているわけです。

 選挙のときだから多少のことはいいというのは普通の皆さんのことですよ。現職の大臣なんだから。現職の大臣がうそを言って、それは現職大臣だからこそ報道されるんでしょう。報道されるんですよ、それは。あなたが普通の一般の候補者だったら、ここまで報道されないですよ。うそをついてはいけないということなんですね。うそをつくような人が私は国務大臣の職にあってはいけないと思います。釈明があったら伺います。

竹中国務大臣 うそは言っておりません。新聞報道でございますから、正確に報じられていないところがあるのかなというふうに思うんですけれども。

 例えば、民主党が財政出動を要求しているというようなことを、私、言った覚えは全くございません。財政出動をしないと景気がよくならないと言っていた人は党派を超えてたくさんおられます、経済評論家で私を批判している人もたくさんおられます、その人に説明責任があるのではないかということは言いましたが、民主党が党の公約等々で財政出動しろというようなことを私はどこかで言っておりますでしょうか。そんなことは言っておりません。

 かつ、冒頭で紹介された朝日新聞のこと、これも、正確には記憶しておりませんが、不良債権の処理をやめるべきだというのは、これは民主党の中でも随分いろいろな意見があるようでございますね。私のようなやり方だと経済ががたがたになるというふうに言った民主党の議員の方はいらっしゃったというふうに記憶しておりますが、その件につきましても、私は、民主党が、不良債権処理をすれば、不良債権処理に反対であるというようなことを言った覚えは一言もございません。

 ただ、金融再生プログラムに反対している、これは申し上げております。事実ではないでしょうか。これは、皆さんの文書の中にも、自分たちの改革案と金融再生プログラムは似て非なるものであるというようなことを書いておられます。

 そこは、私は選挙の間も、選挙ですから、言葉は、その時々に一生懸命こぶしを振り上げて暑い中いろいろ言わせていただきましたけれども、そのことに関してうそを言ったということはないと思っております。

五十嵐委員 そのときに言っていないんだったら、今うそをついているんですね、それは。

 いろいろな新聞なんです。今私が挙げたのは、西部読売新聞、毎日新聞、朝日新聞。いろいろな新聞が同様に、ほとんど同じ内容の、括弧つきで、クオートつきで、あなたの言葉を引用して書いているんですよ。民主党とはっきり言われていますよ。(竹中国務大臣「財政出動なんて言っていない」と呼ぶ)あなたが否定するんだったら、それはマスコミがうそを書いたと言っているわけですけれども、私どもは、マスコミがこれだけ口裏を合わせて、すべてのライバルの新聞が同じようにうそを書いたとは思えないわけで、どちらかといえば竹中さんが御都合よく今釈明をされたとしか思えないわけですね。そういうふうに思いますね。日にちもあれも書いてありますよ、これに。

 それからもう一つ、金融プログラムについて、私どもは、あなた方が提案をしているのは、当初の金融改革の目的である、護送船団方式をやめ、かつ、裁量行政をやめ、事後的なチェックに徹するという本来の金融行政の改革のあり方から離れてしまっているから、本筋に戻った改革をしなさいということをずっと言い続けて、提案をしているわけであります。あなたの揚げ足取りをしてきたつもりは我々は全くありません。見解の違いがあるからこれ以上はそこは言いませんけれども、人の意見をねじ曲げて批判をするというのはおやめになっていただきたい。

 特に私どもが問題にしているのは、金融機能強化法に我々が反対した、これはマスコミの中でも反対をしているところは非常に多いわけですね、これは、金融行政の恣意性を高めて、これを持ち込む、まさに裁量行政に逆戻りする、そういうモラルハザードをもたらすものであり、また、金融機関にとっても責任をとることなく公的資金をちょうだいできるという、金融機関のモラルハザードにも結びつくものであるから、これは賛成できませんということを申し上げていたわけですが、金融機能強化法に反対することをもって金融の構造改革路線そのものに反対なのだという決めつけ方をなさっている。

 そして、特に本会議で与党側が委員長に中間報告を求めて、わずか三時間程度の審議で強行採決をしたという異例の展開がありました。このことについて、与党側は、口をそろえて、野党の委員長で審議をサボタージュしているからやむを得ずこれをやったんだというふうに言われている。また、それをうのみにした新聞がそのように書かれているものもありました。

 しかし、あなた方はよく知っているはずであります。五月の二十八日まで、四月に衆議院を通過してから一カ月もこれがたなざらしに遭っていたのは、あるいは後から来た法案に飛び越えられたのは、民主党のせいではありません。与党の中に、この法案は問題があるから、いわゆる国会用語で言いますつるしにかけて、委員会におろさなかったという事実があったはずですが、そこのところは認識を間違えているというか、わざと、知らないはずがありませんから、政府側もあるいは与党側も口をそろえて野党のせいにするということをおやりになった。

 それに関連して、竹中大臣も金融機能強化法に反対するような野党にはがっかりしたとかいう発言をされているようですけれども、これについても改めて認識を伺いたいと思います。この金融機能強化法が審議にかからなかったのはだれのせいですか。あなたの現時点での認識で結構ですから、お話しください。

竹中国務大臣 報道が間違っているか私が違っているかという冒頭の御指摘がありましたけれども、五十嵐委員が例を挙げてくださったので……。

 私が申し上げたのは、民主党が財政拡大をしろというふうに私が言いましたか、そういうことは新聞に書いていますか、もちろん私は言っておりませんが、新聞にもそういうことは書いてないんじゃないでしょうか。財政拡大を主張した人たちはいるわけですよ、そういう人たちに対する批判は私はさせていただきましたが、民主党が財政拡大を主張したということは私は言っておりませんし、新聞にもそんなことは書いてないんじゃないですか。もし新聞に書いていたんだったら私は新聞に抗議をいたさなければいけないと思いますけれども、民主党が党として財政拡大を主張したという認識は私は持っておりませんし、中にはそういう方もいらっしゃると思っておりますけれども、そこは、私の見解は今申し上げたとおりでございます。

 それと、金融機能強化法に反対をしたので私はがっかりしたと。これは私の気持ちでありますから。金融機能強化法というような地域にとって大変重要な法律については御賛同をぜひいただきたいと思っておりましたけれども、それが私から見て必ずしも納得できないような理由で民主党が反対に回られたということは私は今でもがっかりしておりますし、それは私の見解でありますので。そこについては、さらに、これが必要なんだ、いや、悪いんだというようなことは、これは議論を通してしっかりとやっていくしかない問題なのだと思います。

 最後にお尋ねの国会運営の問題でございますけれども、私は国会運営に直接携わっているわけではございませんから、まさに、国対があり、委員会の理事の皆様方のいろいろなやりとりがあり、その中で、これは当然国会の運営でございますからいろいろな御議論があったというふうに思っておりますけれども、その国会運営についての評価をする立場には私はないと思っております。

 事実としては、繰り返し言いますが、金融機能強化法は大変私は重要な法案だと思っておりますし、それが八月一日から施行されて、ぜひしっかりと運営したいと思っておりますし、これを通して構造改革をさらに加速して日本の経済、地域をよくしたい、そのように強く思っております。

五十嵐委員 自民党の三役が野党のサボタージュでやむなく中間報告に追い込まれたんだというのは間違いだという私どもの認識にあなたはどう思うかということをまずお尋ねしたわけですが、お答えになりたくないということ。それは自民党の三役は知らないんですよ、そんな経緯は。つまり、役所側が、どなたかがそういうような説明をしたのではないかと疑われるので、私どもが申し上げているわけでありまして、それは全く事実に反する。報道も間違っているし、与党の発言もうそ偽りであるということを改めて申し上げておきたいと思います。見解の相違は仕方ありませんけれども、私どもは全く逆の、先ほど言いました立場に立っているということを改めて申し上げますけれども。

 事実関係については、あなた、先ほど私が出どころまではっきり言って読み上げたわけですから。一つは六月二十五日付朝日新聞朝刊で、「民主党は不良債権を処理すれば経済ががたがたになると言ったが、景気はよくなったじゃないですか」という発言をされている。その次が、これはロイター電ですかね、「野党は小泉・竹中改革をやったら日本はがたがたになると批判した。しかし、現実はどうか。自分たちが間違ったら」云々ということを言っております。

 それから、朝日新聞ですね、「不良債権は半年以内に四%台になる。財政を投じないと経済はよくならないとさんざん小泉改革を批判してきた人は経済がよくなったら口をつぐむ。野党は説明責任がある。どのツラさげて小泉改革を批判できるのか」と言っているのは、これはまさに民主党が財政を投じないと経済がよくならないと言っているのと同じじゃないですか。そうでしょう。この文章はどう読んだってそう読むんですよ、あなた。

 財政を投じないと経済はよくならないとさんざん小泉改革を批判してきた人たちは口をつぐんでいる、野党は説明責任がある、どの面下げて小泉改革を批判できるのかというのは、野党が財政の投入を求めてきたと言っているのと同じじゃないですか。こんなものは小学生でも国語力があればそのように読みますよ。何を言っているんですか。それはごまかし、それはまさに言葉の遊びというかデマゴーグですよ。これで言っていないと言い張るんだったら、それはまさに小泉さんと同じ体質だなと思わざるを得ない。だから仲いいのかなと思いますけれども。そういうふうに言わざるを得ないと思いますね。

 私どもは、そうした態度とは違って正統的に政策を論じてきた、そういうふうに思っておりますので、ぜひ謙虚に、とにかく結論は年金問題でも出ているんですから、謙虚に国民の声に耳を傾け、政策で自分たちが批判をされたと思ったら直すというのが本来のあり方、特に権力を持つ側のあり方だろうというふうに思います。

 選挙に絡んではもう一点だけお伺いをしておきたいと思いますが、いわゆるミサワホームホールディングスの子会社から、これはお兄様がその執行役員でおられるようですけれども、全面的な支援を受けたとされております。このミサワホームホールディングスはあのUFJの大口債務先でございます。これについて竹中大臣は問題がないかのような発言を報道機関に対してしているようですけれども、それはどういうことでございましょうか。

 私どもは、例えば公共事業の場合は、つまり、国から発注を受けている公共事業の建設会社、土木会社等については、例えば選挙での応援あるいは政治献金、陣中見舞いも含めて、それは違法ということになっているわけです。それは人的貢献であろうとお金そのものであろうと好ましいことではないという立場からそういう規定になっていると思うんですが、ミサワホームホールディングスの子会社というのは、やはりそれに近い関係にあると言わざるを得ないと思います。これについてなぜ問題がないとお思いになっているのか、お伺いをしておきたいと思います。

竹中国務大臣 今の五十嵐委員の御質問の言葉の中で、会社から全面的な支援を受けているという御表現がありましたけれども、会社から全面的な支援を受けているというような事実は全くありません。

 私の兄は、確かにその会社に働いております。私の兄は弟が立候補したと心配して、近所の方に弟が立候補したのでよろしくお願いしますというふうに言った、そして職場の関係者によろしくお願いしますというふうに言った、それだけでございます。肉親として弟をよろしくお願いしますというのはごく当然のことでありまして、会社が全面的な支援というのは事実ではございませんし、そういう話は私自身聞いたことがございません。

五十嵐委員 関連の会社にポスターが大量に送られてポスターが張りめぐらされた、それにはたくさんの社員が動かされたというふうに聞いていますが、一体ポスターはそのルートでは、細かいことは候補者自身は御存じないかもしれないですけれども、しかし、こういうふうに問題になった以上はお調べになるのはむしろ当然だと思いますが、どのぐらいお兄さんの会社のルートを通じてポスターが流され、どのぐらいの人が、ボランティアかどうか知りませんけれども動いたのか、御存じなんでしょうか。

竹中国務大臣 兄が個人的にお願いしたということでございますので、その話で尽きているというふうに思っております。

五十嵐委員 報道ではそのようにはなっておりません。調べればすぐわかることだろうと思いますので、個人的には全国的に人を動かすようなことは多分できないだろうと思いますので、それはお話が多分違うんだろうなというふうに推測をされます。

 それで、選挙の話はこれぐらいにいたしまして、UFJの問題に移らせていただきたいと思うんですが、竹中大臣は、メガバンクの数としては二、三行が適当だということを御発言されたというふうに報道をされておりますけれども、かつてそういう発言をされたことがあるのかどうか、今現在そのようなお考えを持っているのかどうかからお伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 私は、メガバンクは何行が望ましいというようなことは一切考えておりませんし、そういった旨の発言をしたこともございません。このことは、そういう発言はしていないということは何度も記者会見でも申し上げておりますが、依然として一部の方々がそのようなことを流布しておられるというのは大変遺憾であると思っております。

 金融機関の統合等は、おのおのの金融機関の経営判断により選択されるものでございます。金融機関の数はいわばその結果決まるものであるというふうに思っておりますので、メガバンクについてどの程度の数が望ましいかについて、私自身、特段の考えを持っているわけではございません。

五十嵐委員 それでは観点を変えて、日本はオーバーバンキング論というのが出ておりますけれども、日本の今の金融の状況についてオーバーバンキングとお考えになっているかどうか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 この委員会でも何度か御答弁をさせていただいていると思いますが、オーバーバンキング、数が多いかどうかというのは一概に判断できる問題ではないと思っております。企業の形態、組織の大きさ、統合するや否や、まさに経営判断の問題でございますので、そのような判断をかつての産業構造計画的な観点から政府がどうこう言う、どうこうするというような、そういう時代認識は私自身は持っておりません。

五十嵐委員 そうですと、三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループとの経営統合についてかなり積極的に歓迎をする旨のコメントを出されたかに伺っておりますけれども、これについての評価はどのような関係になるんでしょうか。

竹中国務大臣 積極的に評価するようなコメントをした覚えはございません。そのようなコメントがございましたでしょうか。記者会見等々で聞かれるたびに、これは経営の判断の問題である、しかも、統合というのは高度に経営の判断の問題である、よい経営を実現できるようにそれぞれの立場でしっかりと御判断いただきたい、まさに今申し上げたようなコメントをずっとさせていただいております。

五十嵐委員 私が一部の報道で伺った限りでは、かなり歓迎をするという発言をされているというふうに認識をしております。

 しかし、私どもは、今大臣がおっしゃったのと多分同じなんですけれども、体が大きければいいというものではない、むしろ日本の金融は質の問題であるというふうに考えておりました。

 今まででも十分、日本の銀行は、資産のランキングからいいますと、世界の銀行の相当上位にずらっと並ぶというような状況でありました。しかし、その収益力と申しますと、これは全然外国の金融グループ、金融機関にかなわないということでありまして、収益性において極めて劣る。

 そしてまた、さまざまな面で日本の金融機関は問題を抱えているわけでありまして、合併をして外資に買収されにくくなるというメリットはあるかもしれないけれども、一方では大きなリスクも合併によって抱え込む。特にリテールができない、中小企業への貸し出しが政府がしりをたたかないとできないというような状況の中では、大きくなって資金量がふえれば、その資金は国債等に回って、そこの国債保有リスクを高めるか、あるいは、前にも指摘をさせていただきましたけれども、いわばばくち的なデリバティブに向かって、日本は金融技術がそれほどすぐれているとも思えませんから、デリバティブによる今度は巨大損失のリスクを背負い込むことになるという意味で、大きくなればいいというものではないんだということを私どもは申し上げ続けてまいりました。

 そういう意味からいって、このUFJ、どちらに統合されるかわかりませんけれども、統合自体がいいということはないんだ、むしろそのリスクもあるんだということを認識すべきだと私どもは思いますけれども、今の私の話を聞いた上でどのようにお感じになるか、まず伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 経営というのは難しいものだと思います。規模だけで決まるものではもちろんありません。そうしたことを踏まえながら、経営者は極めて高度な判断を常に迫られているのであろうというふうに思っております。その意味でも、それぞれの規模が大きくなることのメリット、デメリット、収益力が高まるかどうか、そうしたことを非常にさまざまに総合的に考えて高度の経営判断をするということが、まさに経済の最前線に立っておられる経営者には求められているんだろうというふうに考えております。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

五十嵐委員 すぐ個々の経営の問題、経営政策の問題に竹中大臣は持っていかれるんですが、一方では、これは金融機関のルールの問題にも直結をしてくると思うんです。

 UFJ信託と住友信託とが、見解の相違はあるようですけれども、基本的に統合ということで一定の合意がなされたということは、もう報道されておりました。それを一方的に破棄してほかのグループと結びつくというのは、これは金融のルールという意味で、あるいは、金融だけではなくて、日本の契約社会、自由主義経済社会の中のルールという意味では、私は大変これは問題があると思うんですね。

 特に、信託というのは、先ほど言いましたけれども、それこそスケールメリットの世界でありまして、ほかの金融機関同士の合体とは意味が違うんですね。信託というのは利益率が低い業界でありまして、その大きさに応じて、例えば年金資金からの運用を任せられる割り当てが決められていくといった世界ですから、スケールメリットが生死を制するということですので、これは一番になるか二番になるかではえらい違いがあるわけです。ましてや、行って来いで、一番になると思ったのがずっと下になるというようなことがあるとすれば、それは大きな損失になるし、あるいは風評被害のもとにもなりかねないという話だろうと思います。

 という意味で、このUFJ信託が基本合意を翻し別のところと合併をすることになるということについて、これは単に経営政策の問題でない、市場のルールという意味で問題ありと思うわけですが、その辺についての大臣の見解を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 我々の複雑な経済社会を律するルールというのは極めて重要でありまして、ルールにのっとった行動がすべての経済主体に求められていると思います。信託という特異な業態に対する五十嵐委員の御見解、御見識に対しても、私自身、特別に異論はございません。その上で、今回の場合のように、個別の会社の係争は司法の場で争って政府が口出しをしないということも、これまた重要なルールであるというふうに思っております。

 いずれにしましても、責任ある立場の経営者、経営企業でいらっしゃいますから、その社会的な立場をしっかり御自覚の上、双方汗を流してしっかりとした解決を見出していっていただきたいと思っております。

五十嵐委員 いや、これからもこのようなことが行われる。例えば、合併を持ちかけておいて、つぶすことによってライバル企業に巨大な損害を与えるということも可能になってくるわけですね。これは、やはり個別の問題ではなくて、ルールとして考えるべき側面があるということはお考えになるべきだろうというふうに私は思います。

 このUFJというのは、私どもがかなり早い時点で、大臣御存じだろうと思いますけれども、さまざまな問題点をこの場で指摘させていただきました。特に検査忌避というのは、銀行免許の取り消しにも当たるような重大犯罪の疑惑ではないかというふうに申し上げました。

 はっきりしたことをずっとおっしゃってこなかったわけですね。検査忌避の刑事告発をちらつかせて自分の思うような方向に経営を誘導してきたんではないか、こういう疑惑がマスコミの世界ではささやかれているわけですし、私どもも、検査忌避の具体的な事実があったのであれば、最終的にそれを立件するのは検察当局の仕事でありますから、告発というのは早期にして、この問題には早く白黒をつけるべきではなかったのか、こう思うんですが。

 これをここまで長引かせたことが、そのような裁量行政の手段として検査忌避問題を使ったと言われる疑惑が生まれるもとになっている、こう思うわけですが、この間の事実関係の認識について、一体いつの時点で検査忌避の事実を確信し、どういう措置をとったのかということをお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 五十嵐委員の御指摘の中に、裁量の行政が問題であるという御指摘、頻繁にいただくわけでありますが、そういう裁量的な行政というのは、今はもうとれない仕組みになっております。我々はルールにのっとってしっかりと検査監督の行政をしております。

 この検査の結果について、検査忌避等々について事実を明らかにしてこなかったという御指摘がございましたけれども、個別の検査の結果については、これは風評等のことも考えて明らかにできないというのがこれまた我々のルールでございます。しかし、その上で、精査をした結果、我々は、今回、検査忌避があったと思料されるということで、行政の処分を行いました。これもルールにのっとって行っております。

 委員が、そうした刑事告発をちらつかせてUFJを誘導する、ちらつかせるという言葉と誘導するという言葉をお使いになりましたけれども、これも、そういった形での行政は我々はもうできない仕組みになっておりますし、やっておりません。ちらつかせる、誘導、まあ一九六〇年代ぐらいの行政については、私はよく存じ上げませんけれども、そういうようなイメージがあったのかもしれませんけれども、まさに、先ほど言ったように、経営統合するかどうかというのは極めて高度な民間経営者の判断という形でなされております。

 告発につきましては、これもルールがございます。我々としては検査忌避があったと思料せられるという立場に立っておりますけれども、これを告発するかどうかということに関しましては別の次元の判断が必要になってまいります。そのことについて、今、ルールにのっとって、しっかりと適正に対応すべく議論を詰めているところでございます。

五十嵐委員 告発するかどうかについては、どのような今判断基準をお持ちなんですか。現時点ではどういう方向性を持たれているんですか。

竹中国務大臣 告発を行うかどうかということについては、これは四つの点を総合的に勘案して検討する必要があるというふうに考えております。

 まず第一は、本件の検査忌避等の悪質性、どの程度悪質であったのかどうかという点でございます。第二は、これが今後の検査一般の実効性に与える影響でございます。これは、こういうことが日常化すると悪影響を与えるわけですので、一般の実効性に与える影響。第三番目は、金融行政の目的遂行の確保という観点からはどうか。第四番目は、一般国民または私企業の処罰を求めることの重要性。これは処罰を求めるわけでございますので、そのことの重要性。そういうことを総合的に勘案し検討する必要があると思っております。

 現時点でこれはその作業の段階でございますので、現時点での答弁は差し控えさせていただきます。いずれにしましても、これは法令にのっとってしっかりと対応をしていきたいと思っております。

五十嵐委員 どうもはっきりしないんですね。

 悪質性については、組織的であることを双方認定し、UFJ側も認めているわけですから、これは常識的に言えばかなり悪質です。隠ぺいもあったということですから、仮装、隠ぺいがあり、組織的に行われたということで、悪質であるということはもうはっきりしていると思います。金融行政の方も、目的遂行の確保とか検査の実効性への影響といった問題は、これは金融行政側の判断に影響する問題でありますけれども、刑事告発についてはむしろ種類が違うお話のように私どもは受け取れてならないわけですね。そうすると、それがどうして告発に影響するのかというのはよくわかりません、はっきり言って。

 むしろ、法律に決められた一種の犯罪でありますから、法に違法性があれば、その違法性の程度に応じて告発するかどうかというのは考えられるべきで、その悪質性については十分これは証明をされているわけですから、告発すべきものと私どもは思いますし、その他のものはむしろ付随的な、附属的なお話であり、それは金融行政側にとっては大事な話かもしれませんけれども、刑事問題とはおのずから別の世界の話のように受けとめられます。

 その意味からいって、悪質性は十分だという認識はお持ちだろうと思いますから、それについて告発すべしということにどうしてならないのか、もう一度伺いたいと思います。

竹中国務大臣 組織性の御指摘、隠ぺいの御指摘がございました。組織性、意図性があったということをUFJが認める立場に立ったというのも御指摘のとおりだと思います。

 ただ、その場合も、悪質性という観点からいいますと、同じ組織性といっても悪質性はいろいろあり得るということだと思います。隠ぺいについても、いろいろな形での隠ぺいがあり得るということだと思います。

 我々としては、繰り返し言いますが、どの程度悪質なのかということと、それによって我々がどの程度影響、被害を受けたのか、そういうことを総合的に勘案し、また、一般国民または私企業の処罰を求めることの重大性を考えて、やはり総合的に判断をしなければいけない、そういう性格の問題であると思っております。

五十嵐委員 それはおかしいと思うんですね。

 隣に、お待たせをして申しわけないんですが、谷垣大臣がおられますけれども、国税で悪質かどうかというのは、仮装、隠ぺいがあったかどうかということで第一義的に判断するんですよね。それは悪質かどうかというのは、そういう仮装、隠ぺいをしたかどうかによって悪質性は判断をされるのであって、自分の、監督側の心証をもって、これは悪質だから告発する、これは情状の余地があるから告発しないという問題ではないんです。やはり外形的に仮装、隠ぺいがあるかどうかで悪質性を判断するというのが国税の場合では当たり前の世界だろうと思いますし、そのほかの世界でもそうあるべきだというふうに思うわけでありますので、この点については先ほどの恣意性の問題とかかわってくるわけですけれども、なるべく恣意的な判断というのは排除する形で御判断をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 時間がありませんので、先を急ぎたいと思います。

 最近は経済財政担当大臣として竹中さんは郵政の民営化についてのコミットメントが非常に多いというふうに思いますが、郵政民営化の担当を引き受けるという御意思があって積極的に発言されているのかどうか。郵政民営化についての基本的なお考え方も手短に伺えたらありがたいと思います。

竹中国務大臣 担当大臣云々の問題は総理がお決めになることでございますので、私が申し上げる立場にはございません。

 ただ、私の今の仕事としましては、経済財政諮問会議でその民営化の基本方針を決定するという総理の御方針にのっとって、経済財政諮問会議の運営の責任ある立場にある者として、一生懸命、いろいろ勉強もしながら、御意見も伺いながら意見の取りまとめをしようというふうに努力をしている、そういうあくまで立場でございます。

 郵政民営化の基本的な立場を一言で述べろというのはなかなか難しい点でございますけれども、民間でできることは民間で、これはもう経済運営の大原則だと思います。郵政に関しましても、民間でできる、民間の活力を生かすことによって、郵便局の窓口がもっともっと国民にとって便利になる。さらには、今、郵便というシステムを通して日本じゅうのお金が公的な資金に傾くようなシステムがある。これについて、より民間の活力を生かしたお金の使い道が実現するような、そういうシステムをつくっていく。そういう点がとりわけ重要なのではないかというふうに思っております。

 郵政というのは、国民にとって極めて重大なネットワークとしての資産を持っております。これをさらに活用して国民のために生かして、郵政もよくなる、郵政で働いておられる方々もよくなる、そして国民も便利になる、さらには、結果的には財政にもよい結果が出てくる、そのような形をぜひ実現したいと思っております。

五十嵐委員 私は個人的には、かつて郵政民営化論者でありました。それは、特殊法人への蛇口論として、国民から預かったお金がむだ遣いをされる大もとになっているという観点、そして民業圧迫という観点から申し上げていたわけですけれども、ここまで国債依存度が高くなり、国債の発行残高が大きくなってくると、金融問題としての本質が非常に大きくなってきて、問題が変わってきている。しかも、資金運用部にお金を集めて流すという方式から変わってきたわけです。独立行政法人になり、財投機関債といったものを格付して発行するという状況になってきたわけですから、本質が少し、かつての単純な民営化論から変わってきているわけであります。そこをちゃんと認識して小泉さんがおやりになろうとしているのかどうかというのは非常に疑問であるわけで、そこを丁寧に御説明いただきたいというふうに思っているところであります。

 特に私どもが最近心配しているのは、一括して今度は郵政公社なり民営化されたところが引き受け義務なくして、財投債や国債の引き受け義務が外れるということになりますと、一体、ここまで膨らんできた国債等の緩衝材というかバッファー機能といいますか、そういうものがなくなるということについてのリスクをどう考えるかという非常に重大な問題が出てくるんです。

 これは一度住宅金融公庫についても申し上げました。住宅金融公庫というのは確かに民営圧迫ですし、非常に問題があるというわけですけれども、アメリカの例を見ても、ファニーメイというのがあるんですけれども、逆に、民間が金利の変動が激しくなったときに住宅ローンを引き受けられなくなるという事態が生じる、そのときに初めて、公的な役割としていわゆる日本の住宅金融公庫的なものが必要になってくるという経験をアメリカはしているわけですね。

 日本でも、住宅金融公庫をなくすのはいいんですけれども、逆の面で必要になったときに、民間が民間の役割を果たせなくなったときにどうするかという問題が出てくる。そのときにこそ公的な役割の出番が出てくるのであって、同じことが国債という、それ以上に大きな場面でこういったものが問題になり得る。それを考えずに、ただ昔のまま、民営化が善なんだ、民営化に反対するやつは悪なんだという話は通用しなくなってくる。私はもともとの民営化論者であるし、公的な役割は最小限にすべきだという立場ですけれども、それにしても、そういった懸念を十分にわかった上でやっていただかなければならないなというふうに思っているわけであります。

 そこで、お待たせをして申しわけないんですが、谷垣大臣にお伺いしたいんですが、国債の残高、今年度末では七百兆円を上回る長期債務というものがもう想定をされている。隠れ借金と言われるものまで入れると一体どのぐらいになるのかという大きな不安が出てきている。ここに来て長期金利も一・八九とか、二%を望むようなところまで上がる気配も出てきたということで、国債のリスクというのは非常に大きくなってきたと思うんですが、この問題について、例えば概算要求基準にどのように反映されているのか。極力抑制という言葉は聞いているわけですけれども、公債についてはこの概算要求の中でどの程度頭に入られているのか。

 特に、時間がありませんから、私、申し上げますけれども、今年度の、十六年度の予算編成に当たっては、全体の予算規模に占める税収割合が五〇%を割らないということを一応念頭に置かれたというふうに伺っています。五〇・一八%だったと思うんですが。これを割ると、金融サイドから、日本の国債の格付が暴落をする、格下げをされるというおそれがあるという指摘があったやに聞いております。

 公債の発行の上限というか、シーリングというものについてはどのようにお考えになっているのか。いわゆる各省の要求側の基準というのはわかりますけれども、それは公債の発行能力とのバランスもあると思いますので、その点についてはどうお考えになってシーリングを決められたのか、伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 ことしの概算要求の基準、先日閣議了解したものの中には、国債発行額についても極力抑制するという表現になっております。

 今、委員の御質問は、極力抑制はいいけれども、もう少し腹づもりというか、腹の中でどのぐらいのことを数値的目標で持っているんじゃないかと、多分そういうお心でお聞きになったと思いますが、今申し上げられるような数字を、私、頭の中ないしは腹の中で持っているわけではございません。

 一つは、一般会計歳出それから一般歳出を実質的に前年度以下にする、その歳出改革路線を堅持、強化していくということでありまして、そちらの方をぎりぎり絞っていく。それから、入ってくる方は、これはまたこれからしっかり見積もらなければならないわけでありますけれども、その関係で決まってきて、極力抑制するということは歳出改革路線を堅持、強化するということで果たそうというふうに考えているわけでございまして、私は、さつきのコイの吹き流しでございますから、腹の中に隠して申し上げているというわけではございません。

五十嵐委員 いや、隠しているんじゃなくて、持っていただきたいという観点から言っているわけですね。

 常識的に考えても、いわゆる安定収入の倍の生活を今日本はしているわけでありますけれども、安定収入が必要な歳出の、出す額の半分以下になるというのはやはり大変なことだと。これはプライマリーバランスの回復なんてとんでもないという話に当然なってくるわけですから、財政健全化の希望を見出すためにも、総予算額の半分を下回る税収しか見込めないという事態は避けたいというのは当然だと思うんです。そういうお気持ちもないということなんでしょうか。

谷垣国務大臣 これは、特に私が数値目標みたいなものは持っていないと申し上げましたのは、やはり税収というものが、今確かに景気がよくなってきまして明るい光が見えてきましたので、今までよりも若干足元ばかり見ないでも済むようになってきたという点はございますけれども、税収そのものもまだ景気の変動に伴いまして相当推移していくものでありますし、それから、そういう税収状況に合わせて余り固定的にしてしまいますとそのときそのときの機動的な経済運営も行えないということから、先ほど申し上げたようなことを申し上げているわけであります。

 ただ、委員がおっしゃいましたように、平成十六年度で八十二兆を超える一般会計の中で、税でいただいているのは五〇%をわずか超えるだけ、四四・六%を国債発行で賄っているという姿が正常なものである、健全なものであるというふうには毛頭思っていないわけでございまして、少しでもよい方向に向けたい、そういう意思、意欲は持っているつもりでございます。

五十嵐委員 私どもは、今税収見通しを、来年度の見通しが見通せるわけもないということはよくわかっているわけで、つまり、生活費の半分以下しか収入がないという事態を意識するか意識しないかという意味では、意識をしていただきたいということを言っているわけですから、これは当然のことだろうと思うんですね。それもお答えできないということはないと思うんですね。

 そういう苦しいやりくりの中でありますけれども、ごまかしはだめだと思うんですね。今春の通常国会の中で私が指摘をさせていただきましたけれども、年金保険料の年金事務費への流用については、今年度もこれを認めるという公債特例法をわざわざお出しになって強行採決をされた。これは、その後、与党が年金の審議の中で、あるいは参議院の選挙を通じて、今後は年金保険料の流用は認めないんだ、年金の給付に使う以外は認めないんだということを、与党の皆さん、かなり口をそろえてお話しになっておりました。それと矛盾するんですね。

 私どもは、公債特例法の強行採決の際に、どうなんですかと何度も谷垣さんにお尋ねをしたんですが、とにかく今年度は勘弁してください、来年度以降は検討しますというようなお話だったんですが、その後、政治の情勢からいっても、与党の皆さんの御発言からいっても、この執行を停止して、これから以降、年金保険料の年金事務費への流用を執行停止するか、あるいは法改正、改めて私どもは今ここで実は提案をさせていただいているんですが、この場にですね、改正案の中に含まれています、私どもの廃止案の中にはこの公債特例法の廃止というのを含んでいるわけですが、私どもの提案に与党の皆さんも賛成をされて、法そのものをやめてしまう、改正してしまうか、さもなければ、選挙中はいいかげんなことを言いました、私どもは今年度もずっと年金保険料の保険事務への流用はやらせていただきますと言うか、この三つのうちどれかしかないと思うんですが、どれをお選びになるんでしょうかね。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

谷垣国務大臣 親愛なる五十嵐委員の御質問ですが、特例公債法、強行採決とおっしゃいましたが、年金は確かに、私の口からは申し上げたくはございませんが、強行のような形があったと思いますが、特例公債法は必ずしもそういう形ではなく、円満に成立させていただいたというふうに私は理解しております。

 そこで、今、年金の事務費はどうするかというお話でしたけれども、与党議員の中にもいろいろなお考えがあろうかと思いますし、与党議員の中に福祉に関してはもう年金から使わないんだという御意見はいろいろあったと思いますが、じゃ、特例公債法のようなものはどうするか。平成十七年度においては、そのときにおいて厚生労働大臣としっかり協議をさせていただくというふうに私は五十嵐委員にもお答えをしたと記憶しております。私の気持ちはそれから変わっておりませんで、これから予算編成の過程に向けて、厚生労働大臣とよく議論をさせていただきたいと思っております。

五十嵐委員 今のはゼロ回答ということなんですね、要するに。執行の停止もしないし、今年度はそのままやっちゃいます、流用、むだ遣いも含めてしますよという宣言なわけですね。謝りもしません、それから、我々の法改正の要求も拒否します、こういうお話だと思うんです。これは、選挙を通じて皆さんの多くのお仲間がこれから年金はもう給付だけに使いますよと言ってきたことと全く正反対だということを改めて指摘をさせていただきたいと思います。

 それから、あの大騒ぎがあった年金問題なんですけれども、小泉総理が私も一元化は望ましいと思っているんだとはっきりと御発言をされました。年金の一元化が望ましいのであれば、国家公務員共済と地方公務員共済、国共済と地共済の財政の合体ぐらいはしていいはずなんですね。

 この春、今回もまた問題になっているわけですが、国共済と地共済、これは保険料率の一致はするわけなんですけれども、財布を一つにするということはしないんですね、拒否しているんですね。これは、財布を一つにするぐらいは一元化への一里塚としてはすべきだと思いますし、それから、私学共済だって同じ共済でありますから、これはやはり歩調を合わせるべきですね。給付水準と保険料率をシンクロさせて、一致させて、財布の合同まで持っていく、こういう案がなければならないと思うんですが、私学共済との一致なんというのは考えもしていませんという答弁を国共済の法案改正の審議の中では伺ったわけなんですね。

 これはどうも内閣を率いる最高責任者の総理の一元化は望ましい発言とは方向としては正反対に受け取るわけですけれども、これについては今後の方向性としてどういうようなことをお考えなのか、検討されるお気持ちがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

谷垣国務大臣 国共済と地方公務員共済、これは平成十三年度の閣議決定が、これはもう委員も御承知のとおりでありますけれども、これは「財政単位の一元化を図る。」ということになっておりまして、それを踏まえて保険料率の段階的一本化と財政調整の仕組みの導入をして、確かに委員のおっしゃるように、そこで委員の御表現によれば財布を一緒にするということにはなっていないわけですが、これは今までの制度の歴史とかそれぞれ制度の自助努力でどういう積み立てをしてきたかということに相当違いがありますので、今の段階で委員のおっしゃるような財布の一致というところまではちょっとまだ時期尚早であるなということではないかと思います。

 それで、私学共済を含む一体化につきましては、今申し上げた閣議決定の中でも「二十一世紀初頭の間に結論が得られるよう検討を急ぐ。」とされておりますので、今後の社会保障制度全般の議論の中で私どもも検討していかなきゃいけないと思っております。

五十嵐委員 今おっしゃっていることは、国共済や地共済は優等生もいるので、優等生でよくやってきた部分をとっちゃかわいそうだから、徐々に、慎重にやっていくんだという答弁に聞こえたわけですけれどもね。

 一方、厚生年金というのは、そういう意味では、国民年金と比べると優等生だったわけですけれども、実際には、いわゆる基礎年金という形で、厚生年金の保険料の一部が、これは定額部分ですけれども、国民年金の方に流出していって、国民年金の未納者の部分を補う形になっているという形から見て、優等生が優等生でない人たちを救済するという仕組みにそっちの方ではなっているんですね。

 ですから、優等生がいるからこれはそんな急速な合体は酷なんだという言い方は私は本来通用しない論理ではないかなと思いますので、一元化が理想だと総理がおっしゃるんでしたら、その積極的な検討をすべきだというふうに申し上げておきたいと思います。

 時間がありませんので、最後にUFJの問題に戻りますけれども、いろいろな問題が明らかになってまいりました。寺西前頭取、そして沖原新頭取、それからホールディングスの玉越社長さんですか、ここの委員会の場に再度、再度といいますか、初めての方もいますが、おいでをいただいて、事実関係を聞く必要があると思いますので、委員長においてお計らいをいただきたいというふうにお願いを申し上げます。

田野瀬委員長 理事会で引き続き協議をしてまいります。

五十嵐委員 それでは、時間が参りましたので、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

田野瀬委員長 次に、岡田克也君外十名提出、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。提出者野田佳彦君。

    ―――――――――――――

 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田(佳)議員 ただいま議題となりました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明いたします。

 さきの通常国会で成立した年金改正法に対して、国民は強い疑念を抱き、繰り返し不信感を表明してきました。成立前の世論調査ではおおむね六割が法案に反対し、この民意を踏みにじって衆参両院での強行採決という異例の国会運営を行った結果、成立後の世論調査では七割から八割の国民が成立を評価しないとしています。

 そして、最も鮮明に国民が年金改正法にノーを突きつけたのが、先月の参議院選挙です。この選挙では有権者は、どの世論調査を見ても、年金を最大の判断基準としていました。まさに年金選挙だったのであります。そして、その結果、与党は改選過半数を獲得することはできませんでした。自民党は第一党を滑り落ち、議席数、比例区得票数、選挙区得票数いずれでも民主党の後塵を拝したのです。これが民意です。国民は、改正年金法ではだめだということを、民主主義の最も重要な手続である選挙で、これ以上ないくらい明確に表明したのです。年金改革関連法の廃止は、我が国が民主主義国家である以上、余りにも当然のことであります。

 年金改革関連法を廃止する理由はほかにもあります。すなわち、この改革のいわゆる本体法は既に内容的に欠陥法となっているのです。政府は、通常国会の年金審議中からさまざまなまやかしを繰り返してきましたが、成立後最大のまやかしが判明しました。審議中に民主党議員が繰り返し求めてきた出生率が、法案成立後に公表されたのです。民主主義を支える情報公開や適正手続を怠ったことも極めて問題ですが、年金改革に限って言えば、事後的に公表されたこの数字こそ最大の問題です。政府が全く想定していない一・二九という出生率では、年金改正法の約束する負担上限、給付下限が実現できないのです。既に年金改正法は破綻しているのであります。

 今回の年金改革は明らかに破綻しています。そして、参議院選で示された民意は、年金を一から議論し直すことであったのは明らかです。これは与野党の違いを超えた受けとめ方だと考えます。一元化も含めて検討せよと国民は言っているのです。だからこそ、年金改革関連法の一つとして成立したこの国共済改正法も、一たん廃止して一から議論をすることが必要なのです。

 以下、本法律案の概要を申し上げます。

 第一に、さきに申し上げましたように、通常国会で成立した国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律を廃止することとしています。

 第二に、基礎年金拠出金の納付に要する費用にかかわる国等の負担の割合を平成二十年度末までに二分の一に引き上げることとしています。

 第三に、改正法に盛り込まれていた事項のうち、特に必要と認められる部分については、改めて国家公務員共済組合法の改正を行い、実施することとしています。具体的には、在職中の年金支給額の一律二割カット制度の廃止、育児休業をしている組合員に対する掛金の免除措置の拡充などであります。

 また、掛金を事務費に充当する特例制度を廃止するため、別途提出する国民年金法等改正法廃止法案における平成十六年度公債特例法の改正とあわせて、本法律案においても関連条項を削除することとしております。

 以上が法律案の概要であります。

 重ねて申し上げますが、参議院選挙で示された民意は、年金改革を一から議論し直せということでした。この民意を素直に受けとめれば、今回の一連の改正法廃止法案提出は余りにも当然の行為であります。憲法に規定されている国権の最高機関は、民意を代表してこそその権威が保たれるものであることを強く申し上げ、趣旨説明を終わります。

田野瀬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増原義剛君。

増原委員 自由民主党の増原でございます。

 与党を代表いたしまして、三十分の時間をいただきまして、民主党の出された廃止法案について、その御質問をしたいと思います。

 まずもって、先ほど財務大臣が親愛なると申されましたけれども、親愛なるまではいきませんが、民主党きっての論客の五十嵐議員がそこに座っておられますので、おもしろい、しっかり組み合った議論ができればというふうに思っております。

 さて、先ほど野田提案者の方から参議院選挙の話が出ました。民主党は多くの票、議席を伸ばされ、本当に大変な勢いを持っていらっしゃるなという感じがいたしますが、このたび出されました法案に対する質疑を通じて、民主党が責任政党になったのか、引き続き、責任政党ではない、やっとこさそれに向かって頑張っておるという政党なのかということが問われると思いますので、しっかりとした答弁をひとつお願いいたしたいというふうに思います。

 まず第一点でありますが、このたびの年金改正法廃止法案と前国会で民主党が出されました年金に関する法案との関係、関連や考え方につきまして、基本的なところをお聞きしたいと思います。

 とりわけ、年金目的消費税の問題とか、あるいは所得比例年金体系とか、あるいは納税者番号といったようなものがすべて欠落をしているわけであります。そこらあたりについてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、お聞かせいただきたい。ひとつよろしくお願いします。

五十嵐議員 お答えいたします。

 増原先生は、親愛というまでいかないと。私は親愛の情を持っておりますので、本当は増原先生は私の方の党に来ていただけるんじゃないかな、こう思っているところでございますが、お答えを申し上げます。

 私どもは、さきに提出をいたしました私どもの年金法案、全く変えておりません。今国会では改めて提出をしておりませんけれども、これは、今回の選挙結果を受けて、緊急に与党の改悪をストップしなければいけないというその緊急性にかんがみて、急遽その部分を法案にさせていただいた。とめるべきところはとめて、必要なところは復活をさせる。ただし、必要な部分でも、時間があるようなものは先送りさせていただいております。それは、与野党で協議をした上で改めて十分入れ直すだけの間に合う時間があるからだという考え方なんですね。基本的に、骨格になるものは全く変えていないということです。

 十月一日から施行されてしまいますから、政府の十四年連続引き上げがスタートしてしまってからでは、これはとめるのはなかなか大変ということになりますから、先にまず、とりあえずとめておかなきゃいけない部分はとめましょうというのが今回の法案の趣旨でございます。

増原委員 今申されましたけれども、我々としては、毎年約五兆円近い赤字が出るわけですから、その出血をいかにとめるかというので前回やったわけですね。今の民主党の案ですと、質問が若干前後になりますけれども、給付の増と負担の減になるものばかりが出ているんじゃないんですか。これで皆さん出血がとまるんですか。その点いかがでしょうか。

五十嵐議員 政府案でも、十四年連続引き上げても、年間にふえるのは一兆円程度なんですよ。そうでしょう。よく御存じだと思うんですね。

 私どもは、前倒しをして十八年度に準備をしますから消費税を引き上げる、こう言っているわけですから、そうすると、消費税一%で二兆八千億程度になるかと思いますが、積み上がってまいるわけですから、それはもう十分に間に合う話なんですね。当面、この一、二年の間は確かに、皆さんの方が先に一兆円ずつ取ると言っているわけですからあれですけれども、すぐにそれは追いつき追い越せる話でありまして、それは余り意味のない議論だと思いますよ。

 私どもは、そうではなくて、最初は積立金もあるわけですから、それを当然崩していくというのはこれはやむを得ない話。しかし、将来を考えて、私どもは皆さんより急なペースで積み上がっていくという案を実は出しているわけで、それよりも、抜本的な改正をする方が重要なのではないですか、本質的な議論をしていただきたいなというふうに思っております。

増原委員 私も本質的な議論をしているつもりなんですけれどもね。

 一兆円、二兆円、そんなものは小さいというような発想というのはそれはいかがなものかという感じがしますね。一兆円余りといったら、国民一人当たり一万円ですからね、そんなものは小さいという議論はいかがなものかという感じがしますね。それをやはり、しっかりそこは考えていただかなくちゃ困るというふうに思います。

 そして、今時期を繰り上げるとおっしゃっていますけれども、しかも前回の民主党が出した分の体系は変えていない、こうおっしゃっているわけですね。

 それでは、ちょっと附則の方に行ってみましょうかということなんですが、前国会で三党合意を踏まえまして、衆議院でその修正附則については民主党も賛成されましたよね、参議院は別として。それとの関係は一体どういうふうになっているんですか。

野田(佳)議員 実は、三党の幹事長が合意のサインを交わしたときに私も現場におりましたので、よく経緯は存じ上げているつもりでございますので、御説明をしたいと思います。

 三党合意はしましたけれども、私ども民主党は、さきの通常国会で成立した改正年金法の本体にはもともと反対でございました。だから、先ほど来議論になっている民主党案、対案を示したわけであります。その基本的な魂の部分では考え方が違うわけでありますけれども、今回の三党合意というのは、二〇〇七年の三月までに、年金制度を含めて社会保障制度の抜本改革をお互い与野党協議して議論をして成案をまとめていこう、平たく言えばそういうことでありまして、その部分の修正部分については、これはだれも反対をする話ではないというふうに思っています。したがって、附則部分には賛成をしたという経緯がございました。

 したがって、三党合意は基本的には大事だと思っているんですが、その議論の環境整備は、でも実はまだまだ足りなくて、年金の一元化を含むという文言が入っているんですが、その議論の過程でも、年金の一元化については、例えば与党の中でも全くお考えが違いました。例えば、被用者年金については一本化はいいけれども、これは国民年金とくっつけるのはどうかなとか、いろいろな御意見があって、与党の考え方はまとまっていなかったですね。

 我々は、二〇〇七年の三月までにこれは共済と厚生年金を一本化する、二〇〇九年までに国民年金も一本化すると、スケジュールを示して具体的な交渉をしたんですが、与党の案はなかったわけです。そういうものが出てくるまで、やはり本格的議論はまだまだちょっとできないんじゃないかな。合意をむしろ尊重してほしいなという思いでございます。

増原委員 合意を尊重してほしいということなんですが。

 附則の、これは今皆さんが出されている廃止法案ですよ、第二条になるんですか、第二条第一項で「政府は、」と書いてあるんですね。「政府は、」「国会の審議を踏まえ、社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合を図り、公的年金制度について必要な見直しを行うものとする。」こと。「これとの整合を図り、」という「これ」というのは何ですか。――すぐ御答弁が出ないようですので、とめるわけにはいかないものですから、それに加えて申し上げますが、その二条一項は、「政府は」。二項は、一項の公的年金制度について、それを受けているわけですわね。三項は、「国は、」となっているんですね。一項、二項の「政府は、」というのと三項の「国は、」というのはどこがどう違うんですか。――余り精査をされていないようですので、追って答弁くださいね。

 それで、三項なんですよ、問題は。「必要な整備を平成十八年度中に行う」と書いてあるんですね。「行う」と書いてある。ということは、このためには、シナリオですけれども、今の廃止法案に入っていない年金目的消費税とか、あるいは所得比例年金体系とか、あるいは納税者番号、こういうものも当然入れるんでしょうね。その点、どうでしょうか。

五十嵐議員 当然、最後の部分についてはそのとおりでございます。

 それから、必要な整備を十八年度中に行うというのは、主語は「国は、」ということです。(増原委員「「国は、」ですね」と呼ぶ)はい、ということです。

増原委員 極めて論客の五十嵐先生でございますから明快にお願いしたいんですが、一項、二項は「政府は、」なんですよ。いろいろな見直しを行うとかなんとか。そして、三項は「国は、」とあるから、当然我々も入ってくるんでしょう、入ってくるんでしょう。見直しを行うのは政府だけでいいんですか、こういうことを申し上げているんです、私は。やはり国会の中にちゃんと委員会を立ち上げて、与野党で議論をすべきじゃないですか。

五十嵐議員 見直しは与野党の協議機関で行うわけですから、これは与野党で行うということでございます。

 それから、「国は、」というのと「政府は、」というのは、「国は、」の中には、立法機関、要するに国会が入っているということでございます。

増原委員 だから、今私はそう申し上げたんですよね。しかし、これは一項にこう出てくる。「政府は、」だから、見直しなんか行うのは政府であって、立法府である我々は行わないということになるんじゃないですかということを言っているんですよ、五十嵐さん。ということになっちゃいますよ、この法案ではというふうなことなんですね。

野田(佳)議員 これ、恐らく一項、二項は、国民年金法の一部を改正する法律のときの附則の修正をしたときの文言をそのまま使って、「政府は、」なんですね。

 この三項のところは、今おっしゃったように、国会も含めて真剣に議論しようという意味合いから入っているということでございます。

増原委員 三項のところはね、「一項の公的年金制度についての見直しの結果に基づき」、政府が行った見直しの結果に基づいて、そして「公的年金制度の一元化を実施できるようにするために、必要な整備を平成十八年度中に行う」。これは立法府も入るでしょう。見直しは全然入っていないじゃないか、あなた方の案では。

 安易なこういう修正案ではいけないんじゃないか、こういうことを申し上げているんです。いいです。これはもう答弁要りません。

 そうしますと、平成十八年度中に行うということになれば、納税者番号、これはむしろ古川議員の方がいいかもしれませんけれども、納税者番号を入れるわけですね、入れるんでしょう。納税者番号を平成十八年度中に入れて。所得比例も含めてですよ、年金も含めて、あるいは年金目的消費税も含めて。じゃ、いつどういうふうなスケジュールでやるんですか、皆さん方の案ですと。平成十八年度中にやるんでしょう。どういうシナリオでこれができるんですか。そんなに早くできるんですか。(発言する者あり)一年違うでしょう。一年違うでしょう。一年早めている。早めればいいっていうもんじゃないんですよ。納税者番号だってどういうふうに、周知期間もどうするんですか。いつどういうふうにやるんですか。御答弁ください。

五十嵐議員 いやいや、与党の方が、総理の号令に従って一元化の基本的な考え方を早くまとめてくれれば、それはできますよ。改革というのは、ちょびちょびやるとできないんですけれども、一気にやれば大改革というのはかなり急速にできるものだと私どもは思っております。

増原委員 いいですか。住民番号もそうですけれども、一たんつくって、それがきちっと国民に理解されて周知徹底されるためには、一年以上の周知期間要るんですよ。いいですか、皆さん。そういうことを全く無視しているじゃないですか。だから、総理が号令かければできる、そういうものじゃないんです、これは。国民相手の話なんですよ。それを、総理がやれば、じゃ、それは十七年度に納税者番号を入れるんですか、来年度入れるんですか。

五十嵐議員 いや、政府の税制調査会でも、かなり早い時点で入れることを検討するような表現になっていたと思うんですけれどもね。準備は十分にしてこられているはずだと思いますよ。実施は十九年度からでもいいわけでしょう。それは話し合いで、いつ法を決定して、施行をいつにするかというのはこれは十分に決められる話ですし、私は、早急に準備をすればそれは周知期間も十分とれるというふうに思いますね。

増原委員 政府税調の話をされましたけれども、納税者番号は私が大蔵省の主税局の調査課長のときからずっとやっているんですよ。これをやるのはなかなか大変なんです。しかも、納税者番号をやれば所得が把握できるなんと思っているのは大きな間違いなんです。金融取引では有効なんですよ、ある意味では。普通の事業取引で、そんなもの、納税者番号なんか使えるわけないんですよ。そういう意味で、本当に納税者番号さえできれば所得が把握できるなんと思っていることは、まさにナンセンスだということをこの場で申し上げておきたいと思います。

 それから、次に移りますが、それは……(発言する者あり)失礼、今、雑音が入ったので、こらという雑音が入ったけれども、こらと言い返すのはこっちの方ですよ、君。そういう不規則発言で。

 むしろ、あれは、政府税調の場合は、金融取引にどうするかというところで言っているのであって、通常の事業取引なんかでそんなものできるものじゃないんです、これは。また、事業取引をきちっとつかまないと一般の自営業者の所得なんて把握できっこないんです、これは。

 それを申し上げておきまして、次に移ります。

 この廃止法案では、いろいろありますよ、給付の増と負担の減が。中でも、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に上げる、これも一年前倒しされていますけれども、その財源として歳出の抜本的見直しというわけですね。歳出の抜本的見直しは大事なことなんですよ。例えばどこをどういうふうに切って、六分の一上げるわけですね、三分の一から二分の一に、大体二兆七、八千億ですよ。どこをどういうふうに切ったらそういう財源が出るというふうにお思いなんですか。

五十嵐議員 我が党のマニフェストをよく読んでいただくとしっかりわかると思うんですが、かなり私どもは今までとは補助金の構造を変えるということを申し上げております。類型別に、農業環境分野は農業環境分野というようにまとめて一般交付金の形に変えて、奨励的な、今までばらまきの補助金と言われるようなものは大幅にカット、整理をしてまいりますので、根本的な、国の形も変わるほどの変化を遂げますので、十分にそこは、数字を入れた上で私どもは捻出できるということを証明させていただいたというふうに思っております。

 それから、その前に納番制の話がありましたけれども、それについても一言申し上げさせていただきたいと思うんです。

 私どもは、国民を税金をごまかす存在だというふうには思っておりません。制度をきちんとしていけば、日本の国民というのは正直に申告をしていただける民族だというふうに思っておりまして、今まで所得の低い方々には申告しなくていいんですよということをしてきたために、とらえがたい部分というのがあったわけですけれども、税の申告をきちんとしていただくことによって、私はかなり日本においては所得の把握というのはできると思っております。

 おっしゃるとおり、納番が入れられるから全部所得が把握できるんだとか、私どもは一言も言っておりません。それはやはり、金融所得等、足の速い所得においては、資産性の所得においては、これは納番制が有効であろうというのはおっしゃるとおりでございます。

増原委員 その点につきまして五十嵐議員と意見が一致しましたので、ほっといたしております、その点につきましては。

 それで、先ほど五十嵐議員の財務大臣への質問の中で、歳出を徹底的に見直す場合、まさにさっきはプライマリーバランスの話をされましたね。まずは歳出を徹底的に見直して、やるべきは、四十一兆円の税収で八十二兆円の生活をしているこの国のプライマリーバランスをどうするかということが極めて大きな課題なんですね。

 だから抜本的歳出の見直しをして、そして、その分を年金の方に充てるんですか。だったら、結局一般会計が発行するところの国債は減らないじゃないですか。その点をどういうふうに考えておられるんですか。あれだけ歯切れよく、財務大臣に対してプライマリーバランスをきちっとやるべきだと言われた五十嵐議員から、これはぜひお聞きしたい。

五十嵐議員 ですから、それは私どものマニフェストなり私どもの政策の内容をよく吟味いただければおわかりいただけると思うんですが、かなり私どもは歳出カットによって出るというふうに思っております。

 それから、私どもは皆さんと違って勇気があるといいますか、堂々と国民の前に、私どもは消費税を引き上げることによって年金の財源も最終的にはこれを充てるんだということを申し上げている。二分の一の話はあくまでも過渡的な話でありますから。私どもは、歳出カットの努力がそこで全部消えてなくなってしまってほかには回らないんだという発想には立っていないわけであります。

増原委員 私も個人的には、基礎年金部分についてはやはり消費税のようなものできちっと手当てをする、それをすれば未納、未加入というのは全くなくなりますからね、しかもいろいろな抜け道もなくなるという意味では、かなり公平なところがあるとは思います。我々の案でも、三分の一を二分の一に上げる、将来的にそれを三分の二、四分の三とやっていけば余り変わらないという話にもこれはなり得るわけですから、全く調整ができないというわけではないだろうと思っております。

 さて、時間の関係で次に行かせていただきますけれども、やはりもう少し、歳出の抜本的見直しとプライマリーバランスについて、本当はもっと突っ込みたいんですけれども、きょうはこのくらいにしておきます。

 次に、公的年金一元化というのはどういうふうに考えておられるのか。当然のことながら、厚生それから共済、それに今度は国民年金、この三つを合わせたということなんでしょうね。それでよろしいんでしょうか。

五十嵐議員 そのとおりでございます。

 すべての人が同じ割合で所得に応じて拠出をしたら、同じ割合で給付が返ってくる、そういう姿を一元化というふうに申し上げております。

増原委員 共済年金と厚生年金は、そこそこ一元化できる素地は十分に持っていると私は個人的には思っております。

 問題は国民年金なんですね。国民年金、月一万三千三百円、保険料を払っておりますね。言ってみれば、これは基礎年金部分ですよね。納税者番号を入れて所得比例年金体系をつくるとおっしゃっているけれども、その場合の自営業者の方は、使用者であると同時に被用者なんですね。その負担はどのように考えていらっしゃるんですか。

五十嵐議員 私どもの現時点では、例えば所得の大変多い事業者の場合は、多くの場合は法人成りもしていますけれども、当然法人の費用として落とすことができるわけですから、これは有効な、メリットのある話だと思いますので、雇い主負担分というのは負担をしていただいても十分間に合うだろうというふうに思います。所得のうんと低い事業者の場合は、今の定額の保険料部分がなくなるわけでありますから、それほど大きな負担にならないだろうと思っておりまして、これも、今のいわゆる国民年金部分以上に所得があって、保険料を払いさえすれば、ある意味で上乗せの年金額を給付いただける、もらえるということですから、これは大いに意味のあることだろうと思っておるし、十分機能する制度だろうというふうに思っております。

増原委員 ということは、自営業者の人は一三・五八ですか、それを丸ごと全部負担する、こういうことになるわけですね。

五十嵐議員 確定をしているわけではないんですけれども、私どもは現時点でそう考えております。

 いわゆる今の時点でも、今の法律のもとで、一体、事業主負担分というのはどういう意味を持つのかというのもまだ実は法的に確定をしたとは言いがたい状態だというふうに認識をしております。この、一三・五八の半分ですから六・七九ですね、六・七九%が雇用者の負担分、これはどういう、例えば福利厚生の経費なのか、あるいは給与の一部なのか、そういう法的な位置づけというものは必ずしも一致しておりません、すべての制度の中で。そうすると、それをどう解釈するかによってここは変わってくる余地があると思っていますが、基本的に私どもは、事業主にも負担をしていただくことはあり得べしというふうに思っています。

増原委員 その場合、当然のことながら、基礎年金、おっしゃるようにもちろん一万三千三百円はなくなりますけれども、基礎年金は税でやるわけですね、消費税なら消費税。大体、三分の一から二分の一に上げるということは六分の一上げるわけですが、これが二兆七、八千億ですね。これを全部やるということは、消費税でいえば約七%ぐらいになってくる。そうすると、今の五%に七%を乗っける、こう考えていいんですか。

五十嵐議員 いや、そういう計算にはならないというふうに思いますね。

増原委員 どうしてならないんですか。

五十嵐議員 今の計算は、だから全額税方式だとそうなるということでしょう。(増原委員「皆さんの案の場合です」と呼ぶ)いやいや、我々は最低保障年金ですよ。だから、それの部分については一定のところからは税は減額をしてまいりますし、必ずしもそうならないということだと思います。

増原委員 最低保障年金というものは、今の基礎年金よりも多いんですか、少ないんですか。

五十嵐議員 今、ほぼとんとんというところを考えております。

増原委員 だったら、消費税で約七%分じゃないですか。そういうことになりますよ。これまで確かに三分の一を国が負担していますけれどもね。そのプラス分だけを消費税という議論にはならない、そういうことになると思いますよ。さて……(発言する者あり)静かにしてください、提案者。かっかするんだったら退席しなさい。

 時間の関係がありますので、最後にもう一問だけ質問いたします。

 社保庁を廃止する、国税庁と統合するということですね。それでよろしいんでしょう、この案は。

五十嵐議員 歳入庁構想というのは、私、九年前に「大蔵省解体論」の中で主張させていただきました。そのときからこういうことは必要だというふうに思ってまいりましたけれども、基本的に社会保険庁が徴収事務まで行っている国は余りないと思います。社会保険庁に徴収義務まで負わせるというのは非常に難しい問題だ、それは徴収のプロである国税が担当するというのは、国の全体の社会保険税という考え方からしますと、効率的に徴収をすることができる仕組みだと思っておりまして、歳入庁構想というのは私どもの中には含まれております。

増原委員 社会保険庁の中は年金だけではなくて健保なんかもやっていますよね。そういうのはどうするんですか。

五十嵐議員 その他の事務というのもあると思います。そういう社会保険庁の、本来的というかいわゆる計算をする仕事などというのは、それは残ることはあるというふうに思います。

増原委員 最後になりますけれども、時間が参りましたので申し上げますが、例えば国税の場合、課税最低限以下の人に対しても保険料は取らなきゃいけませんね。地方税の場合と、なぜこれは考えないんですか、地方税当局とは。なぜ国税なのか、地方税でも十分いいんではないか、そこらあたりもいろいろ問題があるんですね、この法案は。国税当局は、課税最低限幾らというのはもう資料ないんですよ。そういう資料をどこからとってくるんですか、どういうふうにやるんですか。そんなの具体的に持っているのは地方税当局ですよ、課税最低限はもっと低いんだから。そういうこともやはりしっかり議論をしなくてはいけない。

 時間が参りましたので申し上げますが、本当にこの民主党が出された廃止法案を見ておりますと、とても責任政党になられた案とは思えない。しかも、民主党は、長期にわたって臨時国会の開催を要求されましたが、それだけ時間を割くだけの、私は値しないものだということを最後に申し上げて、質問を終わります。

田野瀬委員長 次に、村越祐民君。

村越委員 民主党の村越でございます。

 私の質問は雑音抜きでお送りできると思います。国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案について、提出者の方々に御質問をさせていただきます。

 まず、具体的な質問に入る前に、福島県、そして新潟県、両県で集中豪雨の被害に遭われた方々、また亡くなった方々への御冥福をお祈りするとともに、我々政治家がまさに政治主導で一日も早い復興に向けて取り組んでいかなくてはいけない、そのような決意を申し上げて、質問に入りたいと思います。

 まず、七月十一日に参議院議員の選挙がありました。先日、小泉首相が、勝ったとは言えない、言いかえれば負けたんだ、そういうような総括がなされたという報道がされましたが、私も今度の選挙、当選して初めて参議院の選挙があったわけですけれども、南は長崎県から北は秋田県まで、いろいろなところに行って選挙の応援演説をして回ってまいりました。その中で、たくさんの有権者の方々とお話をする機会に恵まれたわけですけれども、やはり市民の方々の声というものは、政府の年金改革関連法案が非常にけしからぬ、そのようなものであったと私は非常に考えております。

 そして、その選挙を終えて最初の臨時国会、まさに私ども民主党が今回この国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案、こういった年金改革関連法案を白紙に戻して一から年金の問題を議論し直そうというのは、民意、また時宜にかなったものだと私は考えております。

 つまり、有権者の方々は、政府・与党がつくり上げた年金改革関連法案というものが、給付と負担のバランスというものが全く確保されない、そして、ひいては年金の財政を悪化させるものだと判断したんだ、私は、市民の方々がそのように考えたんだと受け取っております。

 前置きはこのぐらいにしまして、以下、お手元に配られております法律案の要綱に沿っておおむね提出者の方々に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、総論として、提出理由についてお伺いをしたいと思います。そして、選挙の総括を私簡単にしてみましたが、ぜひ提出者の方々も、今回の法案を提出するに当たった経緯、また選挙の総括をどうされているのか、その辺のことも含めてお答えいただければと思います。

野田(佳)議員 総論的なお話だと思いますので、まず冒頭、私の方からお答えをしたいと思います。

 選挙結果は、やはり年金の改革関連法案にノーという意思表示が明確に示されたというふうに思っています。したがって、それを受けて、当然白紙に戻して議論をし直すというのが民意であった。これは与党や野党の別なく、国民のこういう真摯な声を受けとめるべきだと思っていまして、外ではセミがミンミンとにぎやかですが、民(みん)、民(みん)、民(たみ)の声が国会に届かないのではいけないというふうに思っています。白紙から戻そうということです。

 それは、当然一・二九ショックもありました。一・二九が、まだこれは谷底ではないということが明らかであって、今回の年金財政のつじつま合わせは、基本的には一・三二がボトムであって、これから少し上がっていくという計算であったはずですが、谷はもっと深いことも明らかになりましたし、こんなことは言いたくありませんけれども、法案にミスが四十カ所以上あった、完全に欠陥商品でありましたから、そういうことも含めまして、やはり一から出直すというのが民意であったというふうに受けとめております。

村越委員 私も選挙戦を戦っている中で、ミスがたくさんあった、それから合計特殊出生率、今回の年金改革に関して前提となるような数字にも大きな問題があった、そのことをお訴えしつつ各地を転戦したわけですけれども、こういった数字、ミスが多くあったということもそうなんですが、そもそもさきの国会で成立した年金改革関連法案にはほかにもいろいろな問題点があったと私は認識しているんですが、その点、何か特段提出者の方からお話があれば伺いたいと思います。

平岡議員 これも選挙の際にもいろいろと批判がありましたけれども、例えば、年金制度を考えるに当たって最も基礎となるべき出生率等についてもしっかりとした統計数値が既に出ていたんだろうと思いますけれども、そうしたものが法案成立後に明らかにされるといったようなことで、本当に国民の皆さんが正しい情報に基づいてこの法案が提案されたんだろうか、こういったことに対してもいろいろ問題があったんだろうと思います。

 さらに、年金の負担と給付の問題についても、例えば給付について言えば、標準世帯については確かに現役時代の所得の五〇%が確保されるという説明がされていましたけれども、ただそれだけを聞いたのでは、本当にこの制度の全体が示されてはいなかった。例えば、標準世帯でないところは最初から五〇%が確保されていない、あるいは、標準世帯であったとしても、その後五年、十年たつと五〇%を下回ってしまう。こういうような正しい情報がきちっと説明されていなかった、こんなこともあったんだろうと思います。

 さらに、負担の方についても、国民年金について月一万三千三百円が一万六千九百円になれば、これで負担は上限なんだといったような説明もされていましたけれども、それが実はそうではなかったというようなことで、さまざまなところに政府が提案した年金改革案についてはあったんではないかというふうに思っています。

 最終的には強行採決という形で成立してしまいましたけれども、そういう説明ぶり、それから、中身についても、百年安心というようなことが言われていましたけれども、実際には、いろいろな試算の結果としてみれば、もう数年しかもたないんじゃないかといったような内容になっていたというようなこともあったというふうに思っています。

村越委員 今回のこの法案は、政府に対する対案としての意味が非常に大きいと思うんですが、先ほど来、民主党は責任政党として政権をとるにはまだ早いんだというような御指摘があったかと思います。ですが、我々が責任政党として政権をとったときに、政権をとる準備ができているんだということを示す上で、やはり我々は対案をどんどん出していかなくてはいけない。そういう意味で、対案を出すことの意味ということに関して、ぜひ提出者の方にお伺いをしたいと思います。

野田(佳)議員 年金問題だけではなくて、これまでの国会で重要法案にかかわる問題については、例えば道路公団の民営化に対してでも、例えば産業再生機構についても、基本的な重要法案については民主党の対案をこれまでお示しをしながら、政府・与党案と比較検討していただきながら議論をしてまいりました。私は、基本的には、こういう姿勢はこれからも必要だろうと思っています。

 二大政党として定着をし、加えて民主党が政権交代をするためには、あらゆる問題について、特に重要問題についてどういう考え方を持っているのか、単に批判をするだけの従来型の野党、ステレオタイプに陥らないようにするためにも、やはりいろいろと私どもも、情報という意味では霞が関との御縁で与党の方がいろいろな情報を持っていることは間違いありませんが、その分、民意を踏まえたたたき台を、方向性をしっかり案として示すということは、我々の役割であろうと思っております。

村越委員 ちょっと言葉足らずでしたが、的確に答えていただいてありがとうございます。

 各論に関してちょっと質問させていただきたいと思います。

 この法案の二条に関連することですが、国庫負担分を二分の一に引き上げるという条項がございます。これは、もともとの改正案にもこういった条項があったと思います。異同は、私が見る限り、段階的に引き上げるというのを一年前倒ししているというところにあるのかと思いますが、それ以外に何かございましたらぜひお答えいただきたいと思います。また、この国庫負担引き上げに関してどういった眼目があるのか、その点に関してもお答えいただければと思います。

平岡議員 基礎年金の国庫負担の引き上げについては、今回私たちの案でも二分の一への引き上げということを提案させていただいておりますけれども、考えてみると、もともとこの措置というのは、平成十二年の年金法改正、前回の年金法改正で国民に約束していたことが実現されていなかった、本来なら平成十六年度には二分の一への国庫負担の引き上げは終わっていたはずだという状況があったわけであります。

 しかし、御案内のように、与党としては、この国民への約束を果たすための努力というものが必ずしも十分にできておらずに、放置されたままであったということでございまして、平成十二年の改正案については、民主党としては反対をしたという経緯もありますけれども、国会として法律を成立させ、そして国民に約束した以上は、これを果たしていくための立法行為というのはしっかりとやっていくのが立法府の義務である、このような考え方に立って、今回、私たちとしては、法律案の中にその実現年度も含めて立法措置をさせていただいたということでございます。

 また、将来的に公的年金制度を一元化した上で、所得比例年金と最低保障年金の組み合わせによる年金制度を構築することとしていますけれども、この際には、先ほども議論になりましたけれども、最低保障年金については、その財源をすべて税という形で賄うというふうにしています。

 これを支えるための財源というのは、現行制度から新しい制度へ移行する中で確保する必要があるわけでありますけれども、国庫負担二分の一に相当する財源というものを今回の法律改正によってしっかりと確保するとともに、将来必要となる最低保障年金の財源、これは先ほど来基礎年金の位置づけと最低保障年金の位置づけが必ずしも十分に理解されないままに質問がされていましたけれども、最低保障年金というのは、あくまでも所得比例年金が一定額に達しない人たちに対して、あるいは一定額に達した場合でも、さらにそれ以上になる場合には徐々に減額していくという、そういう仕組みの中でつくられている最低保障年金でございますので、現在の基礎年金の額、全額が税金で賄われなければならないという仕組みにはなっていないわけでありますけれども、いずれにしても、将来的には、この最低保障年金の財源の一部とするということも含めて、今回の二分の一の国庫負担の引き上げを法案に盛り込ませていただいた次第でございます。

村越委員 それから、次世代育成支援、とりわけ育児休業規定に関するものがいろいろと盛り込まれているかと思います。そのことの眼目と、もともとの改正法との異同についてお答えいただきたいと思います。

 恐らくこの点に関してはもともとの改正案のよいところはよいところとして私ども民主党が認めてこういう規定を設けたのではないかと私は考えているわけですけれども、その点に関してもお答えいただければと思います。

五十嵐議員 おっしゃるとおりでございまして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、まず改正法を廃止した上で、民主党の政策の方向性と合致するもの、それから、施行期日が平成十七年十月一日以前であって、今後の抜本改革協議では対応が間に合わないものについては、これはすくい上げるということになっておりまして、その基準に当てはまるのが特に育児休業関連ということでございます。

 女性と年金の問題などが言われていて、これも時宜にかなった方向のものもあるんですけれども、それらは施行期日が先に延びているものですから、この後抜本的に与野党協議をしてまとまれば、その時点で改めて盛り込むことで十分間に合うということで、それらについてはこの中では取り上げなかった。しかし、それは否定をしているものではないということでございます。

 国共済におきましては、国庫負担の引き上げ、在職中に受給する年金額の一律二割カットの廃止、育児をする組合員等に対する事項などについては復活をさせるということにしました。

村越委員 要は、私ども民主党は、さきの総選挙以来、年金は一元化するんだ、その一元化することが究極の目的としてあるわけですから、今回、この廃止の法案を出して、仮にこの法案が通った場合、速やかに我々は一元化に向けて努力をしなければいけないということになるかと思います。

 その際に、一元化するまでの国共済のあり方というものに関して若干ケアをする必要があるのかと思います。その点に関して特段何か方策があるのであればお答えいただきたいということと、私学共済の問題がまだ残っているのかと思いますが、この点に関しても民主党の提出者の方々は特段何かお考えがあればぜひお答えいただきたいと思います。

五十嵐議員 国共済については、先ほど優等生という話も前の私の質問の中でさせていただきましたけれども、優等生であるかそうでないかにかかわらず、やはり一元化するということが大事でありまして、年金制度の四年改正そのものにノーということを選挙民が参議院選挙で示したわけですから、これは厚生年金、国民年金の本体部分にかかわらず、関連法すべてを一度廃止してやり直す必要があるというふうに思っておりまして、今回、国共済について同様の廃止、改正部分の廃止というものを横並びでさせていただいた。

 それから、将来、私学共済との関係がありますけれども、私は段階的というよりはむしろ一挙に一元化を果たしていくべきだというふうに思っておりまして、政府に任せておいたのでは、先ほどの答弁でもありますように、国共済と地共済の財布の合一化すらなかなかできない。いわんや、私学共済との段階的な統一などというのは全く考えてもいないという状況でありますから、それに任せておいたのでは、いつまでたっても抜本的な改革にはならないと思っておりますので、私どもは、同時に、あわせて、私学共済も含めて、厚生年金も国民年金も三共済も一挙に一元化を果たすべきだというふうに思っている次第です。

村越委員 さきの国会でいろいろ国共済の話が出てまいりました。その中で、厚生年金と対比してみると、国共済というのは運用の面では非常に優秀だ。今、五十嵐さんからもお話がありましたが、そういう優秀なところがあるんだけれども、厚生年金と対比すると有利過ぎる、税の投入のぐあいも違う、いろいろ問題があるということで、最終的には全部一元化をしていくということが望ましい、そういうお話が今の答弁からはよくわかりました。

 先ほど来、責任政党云々というお話がありますが、そういう批判があってもなおきちっと対案を出していく、そして、選挙での民意を踏まえて、私たちは国民の皆様の負託にこたえるべく頑張っていく、そういったことを最後に私は宣言しまして、若干時間を余してしまいますが、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。

 先ほどの提案理由説明の中で、参議院選挙の結果は、政府・与党が強行した年金改悪法案に対して国民がノーという審判を示したものだという認識を示されましたけれども、我々もそのとおりだと思っております。また、選挙後の世論調査の中でも、約八割の国民の皆さんが、年金改革法について白紙に戻してやり直せ、こういう答えを出しているわけであります。

 今回、民主党から出された法案は、この改悪部分を廃止するというものでありまして、改めてここでお聞きをしたいのは、この廃止法案を提案するに至った経緯、それからこのねらいを説明していただきたいと思います。

野田(佳)議員 今委員からも御指摘がありましたとおり、選挙の結果というのは、今回の年金改革関連法についてノーという意思表示だったと思います。

 考えてみますと、昨年の十一月の総選挙のときに、各党が年金の抜本改革を公約として語りました。このとき私は、恐らく年金について余り絵そらごとを言っても通用しない時代になったんだろうと思ったんです。そして、給付がこれからべらぼうにふえるとか負担が軽くなるなんということを思っている人は多分余りいないはずであって、現実的に本当に持続可能な制度とは一体どんな制度なのかということを求めていたはずでありますけれども、中身あるいは経緯を含めて、今回の民意はそうではなかったという意思表示をされました。

 だから、これは白紙に戻して、特に改悪部分は廃止をして、御党もいろいろと年金の抜本制度改革のプランがあるかと思いますが、白紙に戻しながらちゃんと議論をしていこう、信頼にこたえていこうというのが趣旨でございます。

佐々木(憲)委員 今の説明で廃止法案のねらいということがわかりました。我々としては、いろいろな違いはありますけれども、廃止、こういう一点で、そこに着目をいたしまして賛成できると考えております。

 さきの国会で通されました国家公務員共済組合法について見ますと、国家公務員の負担増、それから給付の削減、これは大変な内容でありまして、到底賛成できるものではありませんでした。私は、この点について、この委員会の質問で、山本副大臣がこういうふうな答弁をされているのを非常に鮮明に記憶しております。

 二〇二五年における所得代替率を試算してみると、夫は四十年間国家公務員、妻は四十年間専業主婦の世帯、モデル世帯の場合、給付は四九・八%。国家公務員の場合は、最初から五〇%を切っているわけであります。夫、妻ともに国家公務員として四十年間共働きの世帯の場合は三九・一%、四十年間国家公務員である単身男子世帯の場合は三八%、四十年間国家公務員である単身女子世帯の場合は四〇・四%と。こういうふうに最初から五〇%を切りまして、家族構成によりましてもっと下がっていく、四割前後と。最初の出発点がそこである。

 そこで、さらに私聞いたんですね。その後もこれが維持されるという保証はあるのかというふうに聞きました。そうしましたら、山本副大臣は「その保証はございません。」と明確に答弁をされたわけです。つまり、五割、四割台というこの水準自体も、これは保証ではないんだ、さらに下がりますということなんですよ。

 では、どう下がるのかというのを聞きましたら、七十歳のときには四七・二%、八十歳のときには四二・三%、八十五歳になりますと四〇・一%と。つまり、モデル世帯の場合でも、五割弱ではなくて四割に下がるということなんですね。

 それから、負担の方はどうかということで聞きましたら、保険料率を毎年〇・三%ずつ上げていくという前提でやりますと、最終保険料率は二〇・三%、それから、毎年〇・三五四%ずつ引き上げる場合は一九・九%、そういうようなお答えだったわけです。

 大変負担がふえていく、毎年毎年ふえていく。これはやはり国民、公務員にとりまして大変厳しいものであって、改悪であるということで我々反対をいたしました。

 この政府の法案の給付の削減、負担増、この点について民主党はどのような認識を持っているか、改めてちょっとここでその認識を聞いておきたいと思います。

五十嵐議員 特に厚生年金においてあるいは国民年金において深刻だと思うんですが、十四年連続して保険料を引き上げるということは、これは資本の論理からいって、会社側はその負担が大変競争力の邪魔になるわけですから、できるだけ正社員を減らして社会保険料負担を減らそうとするだろう。これはある程度政府側の推計によりましても推計ができまして、これをやりますと、私どもの試算では、七十五万人以上の新たな失業者といいますか、正社員から追い出される人が新たに出てくるだろうというふうに推測をされます。

 そうすると、結果としてこの負担ではさらに済まなくなってくる。保険料を払う人たちが少なくなるわけですから、さらにまた保険料の引き上げか、あるいは給付率の削減をしなければいけなくなるというイタチごっこが起きてくると思います。

 ですから、政府の案は、机上の空論でありまして、特殊出生率のインチキだけではなくて、あらゆるところで数字が合わなくなってきて、百年安心どころか、二、三年のうちに数字的な破綻が明らかになってくるというふうに思います。まさに、過去に約束をした給付を一方的に削減し続け、保険料を一方的にただ上げ続けて、自分たちの過去の失敗や責任は問わないというその政府のやり方では、国民は到底納得しない、ますます年金不信というのが高まって、結果として年金制度は崩壊するだろうというふうに思っているところでございます。

佐々木(憲)委員 基本的な認識は共通をしていると思います。

 そこで、時間がもうありませんので余り議論できませんが、年金の一元化という議論ですね。これは、一元化といいましても、いろいろな内容、やり方というのはあり得ると思います。我々としても、年金制度の格差をなくす、国民から見て公平な制度を目指すというのは、これはそのとおりであるというふうに思うわけです。

 この一番具体的で現実的な方法は何かということなんですけれども、今の制度を前提として一元化というのは、なかなかこれは矛盾が出てきて大変難しい面がある。そこで、現実的な方法としては、例えば最低保障年金という制度を創設しまして、それを共通の土台として国民年金や厚生年金の低い部分の底上げを図っていく、全体として格差を縮小していく、そういうことが国民の生存権を保障する下支えの、安心できる年金制度への一歩になっていくのではないかというふうに思うわけです。

 今のこの議論がそういうことになっているのかどうか、我々は危惧を持っておりまして、どうもそうなっていないのではないか。年金制度を一本化するというのは、内容、制度を貧しくしてしまっては意味がないわけでありまして、本当に充実した内容にしていくということが必要だと思うので、詳しくはその後これからも大いに議論をしていきたいと思います。もう時間がなくなりましたので、もし何かコメントがあれば、簡単なコメントをいただければと思います。

五十嵐議員 私どもも、基本的には最低保障年金という考え方、それに所得比例年金をプラスするという考え方をとっているので、佐々木先生の御意見とほとんど違いはないだろうというふうに思っております。ただ、その水準についてはあるいは財源については御党とは考え方が違うかなというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 終わります。

田野瀬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 次回は、来る六日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会


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