衆議院

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第11号 平成17年3月15日(火曜日)

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平成十七年三月十五日(火曜日)

    午後五時三十四分開議

 出席委員

   委員長 金田 英行君

   理事 江崎洋一郎君 理事 遠藤 利明君

   理事 竹本 直一君 理事 村井  仁君

   理事 中塚 一宏君 理事 原口 一博君

   理事 平岡 秀夫君 理事 谷口 隆義君

      小野 晋也君    岡本 芳郎君

      木村 太郎君    熊代 昭彦君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      鈴木 俊一君    砂田 圭佑君

      田中 和徳君    谷川 弥一君

      中村正三郎君    永岡 洋治君

      宮下 一郎君    森山  裕君

      山下 貴史君    渡辺 喜美君

      井上 和雄君    岩國 哲人君

      鮫島 宗明君    鈴木 克昌君

      田島 一成君    田村 謙治君

      津村 啓介君    中川 正春君

      野田 佳彦君    馬淵 澄夫君

      村井 宗明君    村越 祐民君

      吉田  泉君    石井 啓一君

      長沢 広明君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    木村 幸俊君

   政府参考人

   (国税庁徴収部長)    徳井  豊君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           高橋 直人君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           皆川 芳嗣君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  小林 憲司君     鮫島 宗明君

  村越 祐民君     村井 宗明君

同日

 辞任         補欠選任

  鮫島 宗明君     小林 憲司君

  村井 宗明君     村越 祐民君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、原口一博君外三名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鮫島宗明君。

    ―――――――――――――

 関税定率法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鮫島委員 ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨の説明をいたします。

 関税暫定措置法第七条の五第一項に定める措置、いわゆる牛肉の特別セーフガードを実施する本来の趣旨は、牛肉輸入の急増による国内の畜産業への重大な影響を避けることを目的とすることにあります。

 しかるに、政府提出の改正案では、この緊急措置の適用期限について、適用期限を平成十七年度末まで延長すると、ただ単純に延長するだけの内容になっているため、結果として、米国におけるBSE発生に伴う米国産牛肉禁輸措置を受けた、平成十六年度における米国産牛肉以外の輸入量が基準となってしまい、従前の水準より低い輸入水準で同措置が発動されることとなります。

 このような異常年を基準とするセーフガードの発動は、牛肉及び牛肉製品の価格の上昇をもたらし、牛肉消費の回復をおくらせる懸念があり、かえって国内畜産に対する懸念材料となりかねません。よって、平成十六年度における牛肉の輸入量は基準とせずに、制度の運用を図るのが適切であると考えるものであります。

 以上が、修正案を提出することとした趣旨です。

 次に、修正案の概要を御説明いたします。

 関税暫定措置法第七条の五第一項の適用については、平成十七年度に限り、同項中「当該年度の前年度」とあるのは「平成十五年度」とする旨の規定を新設することといたします。

 以上が、ここに修正案を提出する趣旨及びその概要であります。

 何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

金田委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

金田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省関税局長木村幸俊君、国税庁徴収部長徳井豊君、農林水産省大臣官房審議官高橋直人君、農林水産省大臣官房審議官皆川芳嗣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川弥一君。

谷川委員 自由民主党の谷川弥一です。

 関税定率法等の一部を改正する法律案について、例年行われてきたものと国際情勢から追加されたものについてお尋ねいたしますが、激変する社会では、それを乗り切る物差しとなる哲学が必要であります。

 そこで、最近の新聞記事の中から、三月十三日の日経「あとがきのあと」で井上荒野氏の「しかたのない水」と、B・S・フライ、A・スタッツァー著の「幸福の政治経済学」、二月十四日から連続掲載の「ゼミナール」で大和総研の「人口減少と経済」、それから「年金を問う」その三を読み、いろいろな人がそれぞれの生き方をしているが、その生活について触れてみたい、人間の幸福と経済はどうなのかということ。その国の力と社会福祉の限界に触れ、いかにリーダーに哲学、理念が必要かを考えていただきたいと思うのです。その物差しをもって、きょう関税についていろいろと質問をさせていただきます。

 それでは、読ませていただきます。

 「くるくると恋人を変えている男が、唯一長く文通を続けている女性との関係まで壊そうとする。かつての恋人を忘れられない主婦が、インターネットで浮気ごっこをする。夢だった古書店を開く中年男性は、売れない本ばかりを集めてしまう……。いずれも現状に違和感を抱き、何とかしようとするが、空回りしてしまう人たちだ。」「嫌な奴にも見えるけれど、私としては、彼らを肯定している。皆、ジタバタしながらどうにか生きていこうとしているから」。「自分が思う自分と、他人に映る自分とが大きく食い違うことが示される。」うそつきで有名だった作家の父、井上光晴と、「ウソにうすうす気づきながら付き合ってきた家族を見つめ直すことで、「父が特殊なのではなく、人は皆ゆがんだ部分を持ち、ウソをついている」ことを、肯定的に受け止めるようになった。人間の姿は見る視点により様々に変わる。」。これが一つです。

 もう一つは、「経済学の目的は人々を「幸せ」にすることに尽きる」「そのために「自らの最善の能力を進んで捧げようとする冷静な頭脳と温かい心情を持つ人々の数を、一人でも多くすることが念願」と語ったのは、ケンブリッジ大学の初代経済学教授に就任したアルフレッド・マーシャルだ。」「しかし、改めて幸福とは何か?と問われると、ほとんどの人は答えに窮してしまう。」「何が幸福かは「個人的な問題」であり、外部の観察者が判断するのは困難だ。」「「効用」という一見すると科学的な概念で、人々の「幸福」を捉えてきた。」「実際、AとBのどちらを選ぶかと聞かれ、Aと答えた人にとってはAのほうが「効用」、すなわち「幸福」度が高いと判断するのは合理的に見える。しかも、この発想を敷衍するかぎり、所得が高いほど選択の機会も広がるから、一人当たり実質国内総生産(GDP)の高い国で暮らすほうが「幸福」度も高くなると考えても不思議ではない。」「ところが統計的に両者の関係をみると、それほど単純ではない。一人当たりGDPが一万ドルを超えるぐらいから、逆に国民の「幸福」度が低下する国が増えはじめるからだ。その典型がアメリカである。そこには平均的な「所得」だけでは説明できない「幸福」の条件が潜んでいる。」

 次は、「利用者の急増で公費負担が膨張する一方、介護施設の供給不足が深刻になり、入所できた人とそうでない人の間で不公平が目立ってきた。」厚労省によると、「例えば二〇〇四年一月の一人当たりの保険給付額は、施設が在宅の三倍以上に達する。一方、自己負担は食住費を含めれば在宅の方が多い。」「利用者急増の理由として、要介護認定の甘さを指摘する声も少なくない。社会的入院を減らした効果ももう一つ明確でない。」

 厚労省によると「日本の国民医療費は一九七二年度の三・四兆円から二〇〇二年度には三十一・一兆円へと三十年で九倍超に膨張した。対国民所得比率は四・四%から八・六%へほぼ二倍に高まった。」国民医療費全体の四割近くは七十歳以上の老人医療費である。一人当たりでも、七十歳以上では七十三万円、平均は二十四万円。

 次が、人口減少、少子高齢化社会の流れに対応して、年金制度をスリム化するというのが世界的な改革の方向である。平均余命の延びをめぐっては、アメリカが年金受給開始年齢を引き上げ、ドイツは給付水準の引き下げと付加価値税の増税、スウェーデンとイタリアは掛金建て方式への切りかえなどで対応している。掛金建てとは、現役世代の掛金に応じて、その合計した額の範囲内で高齢世代に年金を支払うという制度である。福祉大国のスウェーデンでも日本の半分であるし、アメリカは日本の四分の三だ、年金は。

 それに対して、これが最後ですが、十三日の「年金を問う」その三ですが、「二月二十七日。都内の会議場には年金受給者二百二十人が集まった。「会社はわれわれの年金減額を撤回せよ」「約束破りは許せない」。呼び掛けたのは松下電器産業、NTT、KDDI、りそな銀行などのOB。かつて手厚い年金で知られた名だたる大企業の元社員たちが、改革反対ののろしを上げた。」「毎月の支給が少なくなれば、今の生活も将来設計も修正をせまられる。年金を減らされる高齢者が反発するのは当然である。とはいえ、制度をこれまでどおりに続けるのも難しい。」TBSの企業年金では年間百億円の損失が発生する。

 こういう記事です。

 これをずっとまとめて読んでいって、日本人の平均的な価値観、考え方があらわれていると思っているんですが、いろいろなことがいろいろと起こっております。

 しかし、それを見て、何かそこにぴしっとした、はかる物差しがなかったら、その場その場で、ああでもない、こうでもない、ああでもないとやってきて、いわば戦前のあの国家権力の圧殺による反省から、戦後は、自由だ、これでいいんだ、今ここでおれが幸せならそれでいいんだという国になってしまったと思っております。その結果、家庭が崩壊し、莫大な借金をつくり、少子高齢化は進み、またまた環境問題もごとごとごとごとやっている。どうしてもここ一番、各界のリーダーたる人は命をかけて、びしっとはかる信念、物差しを持たないと。そういう人がリーダーになっては困る。本当に迷惑します。そういう人が社長だったら社員が困る。そういう人たちが政治家だったら国民が困る。

 そういうことを前提に、関税の本質問に入る前に、一人の政治家として、日本の将来のリーダーとして、何か、こうだという物差しを示していただけませんか、大臣。

谷垣国務大臣 谷川委員の御質問が大変意表をついた御質問でしたので、しかし、伺っておりまして、大変、現在のいろいろな物事の本質をついた御指摘があったのではなかったかと思っております。

 今おっしゃったことの中で、恐らく、これは余り政治家が口に出してはいけないのかもしれませんが、私は、これは政治家としての気持ちというより個人としての気持ちの方が強うございますが、足るを知るというのが人間にとって必要なことじゃないかと前々から考えております。自分の身の丈に合わないようなことを幾らやったって長続きするはずはない。それは誠心誠意やって自分の限界を超えていくような努力も必要だけれども、やはり自分の身の丈に合って、いろいろな暮らし方も考えていこうということが必要なのではないかというふうに思います。

 特に、今お引きになった社会保障、これだけ高齢化が進んでき、人口も少なくなってきた中での社会保障のあり方をどうかという部分をお問いかけになったんだと思いますが、このことを考えていきますときには、やはり私は我々の身の丈に合ったものは何なんだということをとことん考え詰める必要があるんだと思います。それで、身の丈に合ったものにしていくにはいろいろなことが必要だと思います。身の丈に合ったものにしていくには、ただ身の丈に合ったものにしろと言うだけではなかなかできないんだろうと思います。多分、価値観の転換も必要なんだろうと思います。

 要するに、一つは、高齢者というのは弱者という前提で今まで制度がつくられてきた面がありますけれども、本当にそれでいいのかということもあると思います。この間の年金改正で大きく問題になりましたことは、子供の出生率が想像以上に落ちていくじゃないかというのが論点の一つでございました。社会保障を考えるときにも、我々は自分たちの子供を育てて、次世代の国民、市民として世の中に送り出していくのが本当に生きがいのあることだ、我々みんながそう感じ取って共感できるような社会をつくらなかったら、社会保障なんかなかなかうまくいかないぞということでもあったと思います。これも一種の価値観の転換ではないかと思います。

 その上で、自分一人でやるべきことと、国が制度をつくってみんなで助け合うという仕組みに持っていくものと、もう一回その仕分けをきちっとやらないと、なかなかいけないんじゃないかというふうに思います。

 谷川委員のお問いかけ、大変唐突でしたので、まとまらないことを申し上げて、余り答弁にならないかもしれませんが、こんなところでまずは御勘弁をいただきたいと思っております。

谷川委員 それでは、そういう物差しで、以下関係御当局にお尋ねします。

 知的財産権侵害物品等の水際取り締まりの強化についてですが、中国が世界の工場としての姿を鮮明にしてきた今、日本も、アメリカを追うように、付加価値の高い物の生産から、情報、サービス分野でも付加価値を追求せざるを得ません。そこで大切なことが、知的財産に対する考え方をどうするかであります。その歴史、経験から、このことに対する考え方が国によって違います。悪いことという理解のない国々もある。そういう中で、国際的取り決めをきちんとし、それを守る方向に日本がリードせざるを得ないと思っております。この現状、取り組みについてお示しください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 知的財産権の保護に関しましては、委員よく御承知のとおり、現在、日本は知的財産立国ということで官民挙げて取り組んでいるところでございます。財務省といたしましても、知的財産権侵害物品の水際取り締まりの強化につきましては積極的に取り組んでいるところでございます。

 具体的に少し申し上げますと、十五年度、十六年度と御審議いただきお認めいただきました制度改正でございますが、まず、特許権等につきまして輸入差しとめ申し立ての対象とし、また、育成者権侵害物品を輸入禁制品に追加する、さらに、十六年度関税改正におきましては、認定手続の開始時に、権利者、輸入者双方にそれぞれの相手方の名称、住所を通知する、そういった形で各種の制度改正を行っているところでございます。

 財務省といたしましては、これらの制度の円滑な実施に努めながら、今後とも、知的財産権侵害物品の水際取り締まりの強化に積極的に取り組み、その水際取り締まりには万全を期してまいりたい、このように考えているところでございます。

谷川委員 最後に、テロ対策等に係る水際取り締まりの強化と通関手続の迅速化についてです。

 この矛盾する二つのことを追求するのは極めて難しい。考え方を整理する必要があると思います。つまり、あくまでもテロ対策を徹底し、それを守れる範囲でしか通関手続の迅速化はしなくてよい。二つの矛盾することを選択する場合には、どれを優先するかは国民の多数の幸福で決めるしかないと思いますが、所見があったらお聞かせください。

 最後に、これは質問ではありません、答えは要りませんが、本日議題となっております関税定率法等の一部を改正する法律案に含まれる牛肉関税の緊急措置については、民主党より修正案が提示されておりますが、その内容は、アメリカ産牛肉の輸入急増を前提として、緊急措置を発動しにくくさせるという趣旨のものであると思います。

 ここで私は疑問に思うのですが、そもそも民主党はアメリカ産牛肉の輸入再開に慎重なスタンスではなかったのですか。これは一つの政党の方針として若干矛盾するのではないかと思いますが、一言感想を述べさせていただきまして、時間もありませんし、お答えください。

谷垣国務大臣 今谷川委員がおっしゃったグローバリズムとテロの横行、これはどちらも貫徹するのは矛盾したことでもありますが、要するに、グローバリズムがテロを生んでいるという面もあって、切り離せない状況なんじゃないかと思います。

 それで、テロ行為を未然に防止するためには、関係機関と密接な連携をやって通関検査体制を強化していかなきゃならない。それから、テロ対策と円滑な物流促進の両立を図るということになると、これは難しいわけですが、結局、この法律でやりましたことの一つは、信用できる事業者に対してはできるだけスムーズに通していろいろな輸出や通関の手間がかからないようにし、ある程度そうでないものについては少しきちっと見ていこうというようなことをして、何とかグローバリズムとテロ対策の両立を図ろうとしているわけでございますが、これは、結局これからの運用をよくよく工夫するということによって少しでも成果を上げていきたいと思っております。

谷川委員 終わります。

金田委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島でございます。

 予定時間よりも早かったものでちょっと戸惑いましたが、申しわけございません。

 今回の関税関係法の改正案に関しまして質問の機会をちょうだいいたしました。まず冒頭、税関の現場での適正な要員配置という点でちょっと見てみたいと思います。

 今日、社会経済のグローバル化、ボーダーレス化というのは、私が申し上げるまでもありません。一層拡大する人的交流、そして物流、このあたりは大きな波と申しますかこれまで以上の大きな動きがあることはどなたも御理解をし、こうしたことからの問題点も御理解をいただいていることと思います。

 昨今のこの状況、例えば輸出入の許可件数というものに目を向けますと、平成十五年のデータしか持ち合わせておりませんが、輸出入の合計が二千六百七十三万件と、十年前の約二倍に近い数字が出てきております。税関における業務の指標、これは着実に増大していることが御理解をいただいていることと思います。

 しかしながら、こうした増大する業務量の中から、実際に不正を発見し、さらには国内の安全、また国民の安心も確保するという税関における取り締まり業務、これは、平成十六年の税関における社会悪事犯のうち主要な不正薬物の密輸入事犯の摘発を見ましても、大幅に前年度を上回っている押収結果が出てきております。

 薬種別で申しますと、覚せい剤の押収件数がとりわけ増加をし、また大麻類やMDMAと言われている合成麻薬など、過去最高の押収量が記録されておりますし、この押収量の増加という点からいえば税関の活躍を評価する結果なのでしょうが、完全に押収し切れていない、今なお国内で薬物事犯の検挙数も依然減っていないという状況を考えると、国民の安心、安全というものを水際で今まで以上にしっかりと守っていただかなければならない、そんな思いを強くしているところであります。

 こうした状況にこたえるために、来年度の税関の関係予算の定員を拝見いたしますと、新規増員として二百十一人が認められております。この内訳を見ますと、テロ対策、密輸取り締まりの強化要員が百九十人、そして知的財産権の侵害物品の取り締まり強化要員が五人、FTA実施に伴う通関体制整備要員が十六人というふうになっております。この二百十一人から定数削減計画分、合理化減分等々を引いていきますと、純増となっているのは三十八人というふうに聞いておるんですけれども、果たしてこの三十八人の純増という数字、これが多いのか少ないのか。これを議論しても評価が分かれるところではあろうかと思いますけれども。

 まず、来年度のこの税関職員の要員配置について、政府としての基本的な姿勢、また、今ほど申し上げました来年度の新規増員の多くの部分を占めているテロ対策、密輸取り締まり要員の百九十人の具体的な配置についてのお考えを冒頭お聞かせいただけますでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 税関業務が増大かつ複雑困難化する中で、税関におきましては、不正薬物、銃砲等の社会悪物品、知的財産権侵害物品、それから他法令規制物品の水際取り締まりの一層の強化に努めているところでございます。

 このような中で、今お話ありましたように、十七年度予算におきましては、テロ対策、密輸取り締まりの強化等のための要員といたしまして、全体として二百十一人の増員が認められたところでございます。このうち百九十人がテロ対策、密輸取り締まり強化のための要員として認められておりますが、この具体的な配置先につきましては、日本海側を含む主要港湾、それから主要空港の官署、さらには各税関の密輸情報部門や犯則調査部門などに配置したいと考えております。

 いずれにいたしましても、今後とも、所要の定員確保につきましては、引き続き関係方面の理解は得られるよう私どもとして最大限努力してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 今回のこの予算定員の中では、テロ対策、密輸取り締まり要員以外にも、新規業務ということでFTAの推進に伴う原産地認定のための専門官、いわゆる原産地調査官の機構が認められております。関税率について特定国間での協定税率が設定される中で、原産地証明の真正をしっかりと見分けることが何よりも重要となってまいりますが、今回認められているこの十六人の要員でこうした業務の処理が十分に実施されるのだろうか、そんな疑問を持つわけですけれども、どのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

 それと、特に輸入貨物の原産地に関する確認については、輸入通関という入り口だけではなく、事後に輸入者への立入調査を実施した際に確認するということも必要であることは、事後調査の事務への要員配置について何らかの配慮というものが必要だというふうに考えるのですけれども、その点についてもどうお考えか、あわせてお尋ねをしたいと思います。

木村政府参考人 本年四月から日・メキシコ経済連携協定が発効することとなっておりまして、またさらに、今後、東アジア諸国との間で経済連携協定の締結が見込まれることを踏まえますと、税関における輸入貨物の原産地の確認につきましては、従来以上に力点を置く必要があると考えております。

 原産地の確認は、まず、輸入通関時点におきます審査における原産地証明書等の確認によって行うことになるわけでございますが、それのみでは万全となかなか言いがたいということから、御指摘のとおり、事後調査においても必要に応じまして契約書、稟議書等の関係書類の提示を求め、事後的な原産地の確認を行うことになろうかと思っております。

 平成十七年度におきましては、今お話にありましたように、FTAの実施に伴う通関体制等の整備のための増員といたしまして十六名が認められているところでございますが、これにつきましては、輸入通関における原産地に係る事前教示に加えまして、事後調査における原産地の確認等のために配置することを考えているわけでございます。

田島(一)委員 細かいことを聞いてもなんですが、政府におかれましては、こうした貴重な要員を本当に必要な業務にしっかりと適切に配置をされるようにまず強く要望しておきたいと思います。

 さて、本改正法案に関しての質問に入らせていただきたいと思います。

 知的財産権侵害物品の件ですけれども、本来、知的財産権の侵害物品の場合は一定の権利が存在をし、それに基づき権利者からの輸入差しとめが申し立てられたことを受けて税関が対応するというふうになっており、輸入差しとめの実績というのを見ますと、平成十四年からかなり増加をしております。一方、今回の改正案では、不正競争防止法で輸入が規制されている周知表示の混同を惹起するような製品、また、著名表示を冒用する製品及び形態模倣品を輸入禁制品として関税定率法第二十一条に追加することが提案をされているわけであります。

 この新たな措置では、従前の知的財産権の侵害物品の範疇を超えた極めて幅広いボリュームの商品が対象となるということは明らかでありますが、こうしたことに対しまして、税関の職員、特に空港の旅客の携帯品検査などで瞬時に判断をしなければならないという非常に専門性が高い業務というものが求められていきます。こうした物品が不正薬物であるとか銃砲と同じ条文の中の輸入禁制品として取り扱われることで、一層積極的な姿勢で取り締まっていただかなければならない。このことは当然でもあり、私どもも強く求めていきたいことではありますが、果たして現状の限られた税関職員の数の中で、こうした範疇の広がった取り締まり等が貫徹されていくのかどうか。さらには、政府として具体的にどのような措置を講じていこうというふうにお考えなのか、そのことによってこの問題、課題に当たっていこうとお考えなのか、そのあたりについてお答えをいただきたいと思います。

木村政府参考人 今般の関税改正におきましては、ただいま委員からお話がありましたように、新たに不正競争防止法違反物品というものを水際取り締まりの対象とすることとしているところでございます。

 まさに今までとの違いにつきまして委員から御指摘がございました。今回新たに追加する不正競争防止法違反物品というのは、例えば商標権のように保護される商標や権利者が登録されているものがないというところが非常に違っているわけでございます。

 したがいまして、今回、不正競争防止法違反物品につきまして輸入差しとめ申し立て対象といたしまして、輸入差しとめ申し立ての際には、その表示の周知性とか著名性等につきまして、まず経済産業大臣の意見書を提出していただく、一応そこで一回スクリーニングするという考え方をとっております。

 それと同時に、実際に不正競争防止法違反物品が輸入されようといたしますときには、侵害物品に該当するか否かを認定するための認定手続におきまして、税関が必要に応じまして経済産業大臣に意見照会をすることができることとし、輸入差しとめ申し立てをした者や輸入者から提出された証拠及び意見に加えまして、経済産業大臣の意見をもとに、その侵害の該否を認定するといった仕組みをあわせて導入することによりまして、実効的な水際取り締まりを確保するということにしているわけでございます。

 したがいまして、今申し上げましたとおり、制度面の整備を一応図っているわけでございますが、同時に、やはり税関職員に対する研修が必要と考えておりまして、今後、経済産業省とも連携しつつ、今お話のありました旅具通関、その担当職員も含めまして、税関職員に対し、新たな制度の内容、実際の侵害事例等につきまして十分な研修を実施することを考えているところでございます。

田島(一)委員 おっしゃっていただいたとおり、いかに税関職員が瞬時に判断をしていくことができるか、そのあたりに随分かかってくるんだろうと思います。スムーズな認定手続を進めていただく上でも、ぜひこうした現場での対応についての研修をさらに今まで以上に進めていただきたい、強くお願いをしたいと思います。

 さて、今回の改正案の中にも示されております輸入禁制品の中に追加される爆発物、火薬類等についての対応についてなんですけれども、万が一爆発物であるとか疑義物品というものが税関で発見された場合、これは押収したというだけでは済みません。さまざまな混乱であるとか危険というものが伴うわけでありますけれども、分析業務といった物品の特定、さらには保持、保管といった対処をどのように想定されているのか。さらには、私が思うに、統一したガイドラインといったものを作成するなど、何らかの手を打っていかなければならないというふうに考えるんですけれども、政府としてはどのようなお考えなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

木村政府参考人 これまでも、財務省、税関におきましては、テロ対策等の観点から、関係省庁と密接な連携のもとに通関検査体制の強化等の対策を実施してきたところでございます。また、昨年十二月の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部におきまして、爆発物等を輸入禁制品とすることによる輸入管理の強化等を盛り込んだ「テロの未然防止に関する行動計画」というものが決定されております。今回、御審議をお願いしております法案の中で、新たに輸入禁制品に爆発物、火薬類等を追加することとしているところでございます。

 税関業務の円滑な遂行にとりまして、これは改めて言うまでもないことと思いますが、安全な職場環境の保持というのは極めて重要なものでございます。したがいまして、今ガイドラインというようなお話もございましたけれども、爆発物と思われる不審物を発見した場合の対処方法、そういったものの対応マニュアルというものをつくっております。これは十三年の九月、まさに米国におきまして同時多発テロが発生した際、あわせて、同時多発テロの発生に伴います安全対策の強化ということでそういったマニュアル等も定めているわけでございますが、さらにはその連絡体制といったものも整備するなどいたしまして、従来から安全管理の充実に努めてきているところでございます。さらには、その安全管理の重要性につきましては、従前にも増して、いろいろな機会を通じまして注意喚起を行っているところでございます。今後とも、職員の安全体制につきましては、その徹底を図ってまいりたいと考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 この爆発物等に限らず、今回、模倣品、児童ポルノなども輸入禁制品として加えられることが提案をされておりますし、また、最近でも本当に大きな問題となっております偽造カード、それから育成者権侵害物品というものが対象に入ってきております。関税法での取り締まりというものを可能とするということでは、水際での税関の職員にとっても、それから、その姿勢が積極的な方向に向けられることとなり、その効果というものは私どもも強く期待をしていきたい、そんなふうに思っておりますが、この意味から申しますと、今回の措置を決して否定するものでもありませんし、これによって逆に生じる責任の重さ、言いかえれば現場での負担というものがかなり大きくなっていくのではないか、そんなふうに危惧するところでもあります。

 こうした国家公務員の定数事情というのが非常に厳しい中で、税関の現場での仕事の職責も高まってまいりますし、その中で処理すべき業務が増加をし、一方では人の配置が十分にされていかないことには水際でこの国の安全をしっかりと守っていく、そういうことが非常に難しいのではないかと不安さえ残る次第であります。

 ぜひ政府として責任を持って、こうした業務が貫徹されますように、要員の配置であるとか業務処理体制の確立というものをやっていただきたいというふうに思うんですけれども、おまとめ的な御意見でも結構です、ぜひお答えいただけますでしょうか。

木村政府参考人 先ほど来、十七年度予算におきますところの定員の増につきましては、委員からもお話があり、私からも触れさせていただいたところでございます。それを受けまして、具体的な要員配置につきましては、従来から、事務の重点化、機械化等によりまして事務の効率化を図りながら、毎年職務の実態を踏まえて見直しを行っているところでございます。当然、限られた人員のもとでございますので、各部門全体を通じた適正な要員配置に努めていくことが非常に重要なことでございますし、また、私どもとして努めてきたところだと考えております。

 今後とも、厳しい行財政事情のもとではございますが、税関業務の実態に即した要員配置に努めますとともに、所要の定員の確保には最大限努力してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、通関手続の迅速適正化についての質問をさせていただきたいと思います。

 今回のこの改正案の中では、仮装、隠ぺいによる関税逋脱に対して重加算税を導入するということになっておりますが、事後調査部門での業務処理において、科罰効果を高めるということは、携わっていく職員にとっても決してマイナスではないというふうに受けとめております。一方で、その影響として、具体的には重加算税を課した場合に、それを履行する側である輸入者からの何らかの不服の意思が示された場合について、その対応についてどういったことを政府は想定していらっしゃるのでしょうか。

 特に不服申し立てや審査請求、さらには裁判所の審理に結論をゆだねるようなケースが増加することについては、国税当局において、それを見た場合、十分に想定されることとなります。この国税当局での処理システムというものを見ますと、調査、審理の充実が図られています。すなわち、まずは審理部において納税者に対しての十分な説明が行われ、それが前提となって、それでもなお仮装、隠ぺいとの判断がされる悪質な事案について重加算税を課すかどうか検討するということになっています。そして、重加算税を課す場合の判断は、当然最終的には公判となることを意識して十分な証拠を備えた上で、調査担当者と審理担当部署での慎重な協議を経て判断が決定されると聞き及んでおります。また、不服申し立てや審査請求事案となった場合でも、国税不服審判所などの専門の担当部署が対応し、それでも解決しない場合、すなわち、司法の場に持ち込まれた際にも、国税当局には専門の訟務担当部署が設置され、対応されるというふうに聞いております。

 例えば、全国に国税管区というものは十二カ所あるんですけれども、そのうちの一つ、東京国税局はこの訟務担当部署に配置されているスタッフが約六十人いるというふうに聞いておるわけですが、現在、税関におけるこうした納税者への十分な案内もしくは不服申し立てに対する専門職員、さらには国税不服審判所に対応するような機構もしくは機関、あるいは訟務担当の専門部署のスタッフ、これは一体どれぐらいいらっしゃるのでしょうか、お聞かせいただけますでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 私も、前任が東京国税局におりましたので、国税局の感じはわかっているつもりでございます。

 今回の法改正によりまして重加算税を導入するということを提案させていただいたわけでございますが、これは十月一日の施行を予定しておりますが、もちろん、これによりまして不服申し立てや訴訟が増加する可能性は当然否定できないわけでございます。ただ、いずれにしても、どの程度出てくるかというのは今後見ていく必要があろうかと思っております。その上で、適切な人員等の配置につきまして考えていかなきゃいけないと思っております。

 今御質問がありました、現在どうなっているかということでございますが、現在の税関におきます訟務担当者は、全国九税関で二十一名配置しております。うち、専担者としては税関訟務官というのがおりまして、四名でございます。

田島(一)委員 九つの税関でたった二十一名。前任の、いらっしゃった東京の国税局は六十名。九つ足しても東京国税局に毛頭及ばないぐらいの数字しかいらっしゃらない。幸か不幸か、こうして国税局の方から今回関税局の方にお越しいただいたわけなんですけれども、この数字で本当に十分に防げるのかどうか私ども非常に不安に思うんですけれども、局長、どうですか。前任の国税局と比べてでも全然数字的に足りないわけですけれども、そのあたり、もう少し現状を踏まえての御意見をお聞かせください。

木村政府参考人 御承知のとおり、国税の職場というのはすべての納税者を対象としてやっておりまして、国税庁がまさに財務省の外局としてあるというのも、その事務が膨大であるということからきているものと、少なくともそれが一つの要因になっていると私は理解しております。また、別途、不服審査のための機関として国税不服審判所というのもございます。

 一方で、税関でございますが、ちなみに、税関長の処分につきましては、もちろん不服審査法の流れの中で異議申し立てや不服審査ができるわけでございますが、現在、例えば十五年度で見てみますと、異議申し立ての件数というのは全体で十三件、うち税関係が四件というふうになっておりまして、現状では今の体制で適切な対応ができているものと考えております。

 ただ、今回、まさに御指摘ございましたように重加算税を導入させていただこうと考えておりまして、それによりましてどういう形で影響が出てくるのか、それについては十分慎重に見てまいりたいと考えておりまして、その上で必要な人員等の配置については対応していきたいと考えております。

田島(一)委員 今までと全く変わらないんだったら、こんな問題は何も指摘する必要はなかったと思いますね。もうわかり切った、多分今後の展望だと思いますので、ぜひその点を十分に踏まえていただいて、こうした訟務部門への要員配置、もしくは例えば専門家育成ももちろん大切だというふうに思いますので、このあたりをしっかりと踏まえて対応していただくように強く要望しておきたいと思います。

 時間ももう限られてまいりましたので、最後に大臣の方にお考えをお聞かせいただきたいというふうに思うんです。

 今回、来年度の要員として二百十一名認められたわけなんですけれども、結果としては純増三十八名ということもあり、非常に限られた中で貴重な要員であることは間違いありませんし、その意味ではこうした要員を効果的また効率的に配置していく、このことが何より大切なポイントであろうかというふうにも思います。

 その観点では、今回指摘させていただいた知的財産権侵害物品の取り締まり、そして各種訴訟に対応できるスタッフの充実や新規業務への的確な対応など、高度な専門性や特殊性を有する業務や危険を伴う業務、こういったものについては、行政需要の変化に十分対応できる要員確保はもちろんですが、業務処理体制の確立、そして職員の育成というものが何より大切だというふうに私は思います。また、組織的な犯罪が増加している情勢の中では、関係の情報の収集強化という点もこれまで以上に求められていくというふうにも思います。

 さらに、最重要だというふうに思う点は、こうした高度な知識の教育、関連情報の収集、そして、こうした結果をしっかりと税関の現場で職員に有機的にフィードバックしていく、また、限られた数で効果的に期待できる業務処理体制というものを構築していくことではないかというふうにも思います。

 その意味では、こうした情報の収集、分析を核とした業務というものを専担的にかつ統括的に行える体制の整備もしくは機構の充実といったことを図っていかなければならないというふうに考えますが、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 国際的な相互依存がふえますと、どうしても税関の仕事はふえてまいります。そうしますと、難しい仕事、複雑な仕事もふえる。今までからあった覚せい剤とかあるいは密造品とか、そういうものに加えて、さっきおっしゃったように、爆発物をどうする、テロの対策をどうするというような仕事もふえてくる。そういったことに対応するためには、やはり効率的な業務をやらなきゃならないし、また、人のスキルも高めなきゃならないけれども、それだけじゃ対応に限りがありますから、今おっしゃいましたように、ことしは二百十一人、こういうことでございますけれども、多々ますます弁ずということではあるけれども、必要な人員の確保というのは私ども引き続き努力をしていかなきゃいかぬと思います。

 それから、そういうことに加えまして、情報収集能力、そういうものの、専担官と申しますか、きちっとやれる体制をつくるための機構、そういった情報収集・分析能力のスキルを高めていくためのいろいろ教育訓練、こういうようなところも意を用いなければならないところだろうと思っております。

 大事な水際でございますから、いろいろこういう厳しい定員管理体制の中で思うに任せないところはございますけれども、私もできる限りの努力をして、国民に無用な心配をかけないような税関体制をつくってまいりたいと思っております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、こうした社会悪物品であるとか不正商品等の水際防止の重要性、このことについて国民は理解をしてくれるものと私も思っております。

 ただ、本当に限られた公務員定数の状況の中では、適正な配置等々考えれば、機構の見直し等もメスを入れていかなければならない、そんな時期ではないかと思います。人員をふやせばそれだけで事足りるというわけではありません。当然、訓練もしなければならない、一定の専門的な知識も持たなければならない。しかし、それをしっかりとやっていただかなければ安心できる国民生活というものは到底望めない、そのことは今大臣もしっかりと御理解をいただいたことと思います。

 ぜひこうした背景というものを十分に御認識いただきまして、今後、ぜひ人員確保でありますとか機構の充実、こういうものに努めていただきますようにお願いを申し上げて、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

金田委員長 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 私は、昨年の十一月に繰り上げ当選をしてまだ四カ月、この通常国会からこの財務金融委員会に所属をさせていただいたばかりでございます。三週間前に予算委員会の分科会で初めて質問をさせていただきましたけれども、所属している委員会では初めてでございます。また、その分科会ではほとんど聴衆はおりませんでしたけれども、今回の委員会では、そちらの壁際に、私が三年前までおりました財務省の大先輩、同僚がたくさんいらっしゃいますので大変なプレッシャーでございますが、今の同僚の声援をいただきながら一生懸命頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 時間は限られておりますので、私は、今回の改正案の中でも通関手続の迅速化、適正化に係る措置について絞って、やや専門的になりますが、絞って御質問をさせていただきたいというふうに考えております。

 日本経済の国際競争力の強化を図るために、物流に係る高コスト、コストが非常にかかるという構造の是正というのがまさに喫緊な課題であるのは、ずっと前からそうなわけでございますけれども、そのために輸出入の諸手続の簡素化というものが引き続き大変重要なわけでございます。そして、それに対する早急な取り組みが必要なわけでございまして、今回のこの一部改正案もその一環なんだろうというふうに理解をしているわけでございます。

 中国、ASEANの台頭を初めとしまして、まさに世界じゅうの企業の大競争がますます激化をしている中で、日本の企業の物流戦略というものをどうするか。やはり、国内そして国際の輸送、あるいは在庫の負担、あるいはリードタイムといったようなもの、全体としての物流コストをどのように削っていくのか、低減をしていくのかというのも大きな課題だというのは、恐らく皆様に共通していただける認識なんだろうというふうに考えているわけでございます。

 そういった中で、今般、この輸出の通関手続について、コンプライアンスの高い輸出者に対してはこれまで以上に迅速かつ予見可能性の高い通関制度を提供する。より具体的に申し上げますと、一定の承認要件を満たしているコンプライアンスが優良な輸出者については、貨物を保税地域に入れずに輸出申告を行い、輸出の許可を受けることができる、そういった制度だと思いますけれども、そういった新しい制度が今回の改正案で導入をされるというわけでございます。

 今までは、輸出入の貨物、それは輸出貨物であっても、とにかくすべて保税地域に一たんは入れなければいけない、そういう原則を税関は徹底していらっしゃったんだと思いますけれども、その中で特例を設けるという意味では、ある意味画期的なものなんだろうというふうに私も理解しています。基本的に新しい制度を導入するのには非常に後ろ向きな政府の中で、今回のそういった改正というのは一定の評価ができるんだろうと私も考えている次第でございます。そういった意味では、まさに日本の通関制度の一つの大きな改革と言えるのかもしれない。

 ただし、その改革というのは、最近、小泉政権のもとでは中身がなくても改革と言いますので、まさにその改革に中身があるのか、あるいはそのタイミングがどうなのかといったことが非常に重要なんだろうと私は思っています。今回の改正については、今申し上げましたように、しっかりと中身はあるだろうというように思っていますけれども、まさにそのタイミングがどうなのか。さまざまな改革もありますが、それがタイミングを失してしまっては、その改革の効果あるいは意義というものは半減をしてしまうんだろうというふうに考えているんですけれども。

 例えば今回のこの改正案、今回導入する新しい制度につきましても、既に諸外国を見た場合に導入済みの国というのも幾つかあるというふうに私は理解しているんですが、日本において、あえて悪く申し上げると、ようやく今になって導入されることになった。逆に言いますと、今まで導入されていなかったその理由について、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

木村政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員は非常に税関の実態、関税制度にお詳しいので、なかなかお答えしづらいところがございますが、今お話にありましたように、まさに国際物流の高度化に対応した物流促進、迅速化を図っていくことは非常に重要なことでございます。ただ同時に、まさに二〇〇一年九月十一日の同時多発テロ以来、セキュリティー対策というのが非常に今重要になっているのも事実でございまして、現在、税関行政につきましては、その二つを同時に達成するということが求められている。

 これまでも、当然、委員も御承知のとおり、従来からその大きな流れは変わっていないわけでございますが、その流れの中で、輸出入者の申告実績等を勘案したリスクマネジメント手法に基づく重点的な審査、検査を行ってきているわけでございますが、恐らく、従来以上にセキュリティーに対する関係者の意識が高まっているのは事実でございます。同時に、まさに、政府だけじゃなくて、近年、民間企業におきましてもセキュリティー確保の必要性が広く認識されるようになってきているわけでございます。

 今回、本制度、今委員からお話があった制度につきまして、輸出者である民間企業のセキュリティー確保に向けた取り組み等を通じまして、セキュリティー対策の強化に資するように考えているわけでございますが、まさにセキュリティー確保の必要性の認識が民間企業におきまして広く浸透してきたということが、本制度を今回導入させていただきたいという一つの背景になっているところでございます。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 まさに関税局長がおっしゃるような部分は十分理解できるわけでございますけれども、セキュリティーというふうに関税局長はおっしゃっておられますが、そういった意味での取り締まりの強化、先ほどの田島委員との質疑応答でもそういう議論もございましたけれども、確かに、そこの取り締まりの強化という部分、ちょっとまた後で議論させていただきたいと思いますが。

 いずれにしましても、一般的に申し上げますと、とにかく新しい制度を導入する、実のある改革をするに当たって、さまざまな問題点があると。それは、もちろん問題点はちゃんとしっかり認識をしなければいけないわけですけれども、それがえてして、その新しい制度を、本来もっと早く導入するべきであったのがどうしても遅きに失してしまうというようなケースも多々見受けられるということは一言だけ申し上げさせていただいて、その議論はまた後でさせていただきたいというふうに思います。いずれにしても、そのタイミングはともかくといたしまして、私としては若干遅いんじゃないかなというふうに個人的に思っておりますけれども。

 とにかく、その新しい制度を、日本の税関制度においては画期的な新しい制度が導入をされて、それがいかに効果的に利用されるか。今回の新しい制度が導入されることによって、まさに企業の物流におけるスピードやコスト、そういった問題についての解決策とならなければいけない。まさに企業がちゃんと利用できるような制度でなければ、まさに利便性が高いものでなければ結局意味がないということにもなってしまうわけでございます。

 そういった意味で、今回の新しい制度がどのように運用されていくのか、どのように利用されるのかということが問題になってくるんだろう。政省令の詳細については、まさにこれから、今現在、当局の方で詰めていらっしゃるということだそうでございますけれども、とにかく、今回の新しい制度の利便性についてどうなのか、そのことについて若干お伺いをさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。

 今回の改正案においては、聞くところによりますと、輸送途上の申告は結局認められない。そして、輸出までの荷姿、荷物の姿が全く変わらない。さらに、施封されている、封をされている、シールをされている。さらには、その封をされたものの中にはほかの輸出者からの貨物というものは混載をされてはならない。そういったような要件が課されるという話も聞いているんですけれども。

 例えば海上貨物の場合に、輸送途上の申告が認められないということになった場合には、まさに荷主の施設に申告対象となる多数のコンテナ貨物をそろえなければならない。ただ、荷主の施設ではそのためのスペースがないということも結構あるというふうに聞いているわけでございます。結局は、荷主のところではコンテナをそろえ切れないので、今までと同じようにコンテナヤードに運んで、その後で申告をしなければならない。もしそういったケースになってしまうと、今までにも、例えば包括事前審査制度という制度があると思いますけれども、そういったものと実質的に変わらなくなってしまうのではないかというふうに思うんですが、新しい制度というのは実際ちゃんと利用されるのか、どのような者に対して利用されることを想定していらっしゃるんでしょうか、お伺いをいたします。

木村政府参考人 私ども、この制度を検討しております際に、昨年の十一月の八日から十一月十九日までホームページを通じまして、要するに意見募集というかパブリックオピニオンみたいな形で行っておりまして、そこでいろいろな意見が出てきております。今委員から御指摘のあった点につきましても、そういった意見が出ているところでございます。

 私ども、新しい制度をつくる以上、できるだけ多くの方に利用していただきたいというのは当然のことでございますが、ただ、同時に、先ほど申しましたように、今回の制度というのは、国際物流の高度化に対応した物流の促進を図りつつ、セキュリティー対策の強化にも資するということがあるわけでございます。一方で、物流の方だけ意見を聞きますと、今の状況で本当にセキュリティーは大丈夫なのかというところが出てくるわけでございますので、そこにおのずから限界があろうかと思っております。

 特に、本制度におきましては、税関は当然必要があれば検査を行うという場合がもちろんあるわけでございまして、そのため、輸出者があらかじめ申告する場所を特定いたしまして、その場所に貨物が所在することを前提に一応この制度というのを構想したわけでございます。したがいまして、輸送途上の貨物についての輸出申告というのは想定していないわけでございます。

 そこの御指摘にございます、そういったいろいろな問題が生ずるじゃないかという、確かにそういった、例えば一申告当たりの貨物が自社のスペースに対しまして多い一社の場合、仮にそのまま本制度を利用して自社施設で申告を行おうといたしますと、なかなか困難が生ずるということも、もちろん想定されないわけではありません。

 ただ、実際の申告は、コンテナ数本以下のものも多いとも想定されますし、この場合にはその輸出者の施設のスペースが大きな妨げになるとは考えられません。また、もし本当にスペースが十分にない場合には、スペースとの兼ね合いでその申告の範囲というものをお決めいただくということも一つ考えられるのではないかと考えております。

 いずれにいたしましても、一連の貨物の流れの中で、セキュリティーの観点から、必要があれば貨物が所在する場所で税関が直ちに検査を行える環境を確保しながら、その上で物流を極力阻害しないような実務上の取り扱いにつきましては、今後、関係者の意見も踏まえながら、実施までにその検討をすることとしているところでございます。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 詳細は、政省令が固まって実際に施行された後でないと、どの程度利用されるかというのは確かにわからない部分があるのは私も承知をしている次第でございますけれども、ただ、一方で、非常に使い勝手が悪いと、さまざまな制約がかかってしまうと、結局新しい制度の意義がなくなってしまうということも事実なんだろうというふうに思います。

 関税局長が何度もおっしゃっておられたセキュリティーの確保、そこはまさに取り締まりの強化、水際での取り締まりと、その一方で通関の迅速化、そのバランスをどうとるかというのは、日々、まさに当局の方々が悩んでいらっしゃるということは、私も重々承知をしておるわけでございますけれども、先ほどの田島議員の質疑応答の中で、まさに人員が非常に限られている、そこは国税と比べてはるかに少ないというのは言うまでもなく、確かに非常に限られている中で、貨物が非常にたくさんあって、その中でどれを検査するのか、そこはまさに先ほど局長がおっしゃったように、検査の重点化、検査の対象をどのように絞り込んでいくのかということが非常に重要なんだろうというふうに考えているわけでございます。

 その一方で、まさに今回のこの新しい制度、コンプライアンスのすぐれた輸出者に対して通関手続を迅速化するということは、ある意味でコンプライアンスの高い輸出者に関しては信頼をするということなんだろうと思います。そういった輸出者の扱っている貨物については、基本的には問題がないだろうと。確かに、あらゆる人を疑ってかかる場合には、当然、コンプライアンスが幾ら高かろうがたまにはぱっと貨物を一つ取り出して検査する、そういったことがいろいろな意味での抑制効果につながる。それはそうかもしれません。しかしながら、そこはまさに、先ほど議論がありましたように、人員が限られた中で、そこまでやって一体どれだけの効果があるんだろうかというのも一方であるんだろうというふうに私は思っている次第でございます。そこはやはりコンプライアンスの高い企業については信頼してもいいんじゃないか。それによってより迅速な通関も図られ、さらに検査対象の絞り込みも図られるという、両面もある程度考慮ができるんじゃないかなというふうに考えている次第でございます。

 若干細かい専門的な話になってしまっていますけれども、通常、私が聞いているところによりますと、貨物に輸出こん包がされると、その施された後は輸入者の手元に届くまではこん包が解かれることはない。そして、コンテナをそもそも施封しなければ、シールを張らなければ申告ができないというのはさすがに行き過ぎじゃないかといった声も私は聞いているわけでございます。やはりそこは、しっかりとした企業とは信頼関係を築く、そういった部分もあっていいのではないかなということを申し上げさせていただきたいと思います。

 さてそこで、そもそもの保税地域への搬入、輸出の貨物について、関税法の六十七条の二におきまして、まさにあらゆる貨物、当然それは輸出貨物も含むわけでございますけれども、一たんは保税地域に入れなければいけない、まさにコンテナヤードや保税倉庫に入れなければいけない、そういった義務があるわけでございます。そのことについて若干の議論をさせていただければと思います。

 先ほどと繰り返しになりますけれども、まさに日本の企業の国際競争力をどうやって強化していくか。その中で、物流に係るさまざまなコストを削減していかなければいけない。そういった観点から見ますと、まさに通関制度においても諸外国の制度がどうなっているかというのは非常に重要なんだろうというふうに思います。日本において通関で非常に時間がかかるあるいはコストがかかる、そういったことでは、それがひいては国際競争力の低下につながってしまう、そういった可能性もあるわけでございます。

 そこで、そもそもの輸出入貨物の保税地域への搬入について、諸外国、さまざまな国がございますけれども、例えばよく日本が制度を比較する際に真っ先に取り上げるアメリカにおきましてはどうなっているのかということをお伺いさせていただきます。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 米国におきましては、輸出手続は許可制ではなくて届け出制である、届け出制度。ということで、輸出貨物を保税地域に搬入する義務は課されておりません。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 まさにアメリカではそのような義務はない、輸出入貨物についてはすべての貨物を一々保税地域に入れる必要はない、そういう制度だというふうに私も聞いているわけでございます。

 アメリカ以外にも幾つかの国で同じような制度をとっているというふうに私も聞いているわけでございますけれども、それでは日本はどうなのか、日本でなぜそういう義務があるのかということになるわけでございますけれども、たくさんの輸出貨物があるわけですが、実際に輸出貨物というのは、まさに書類上の、最近ですと書類上よりもコンピューター上のということになるのかもしれませんけれども、そういったシステム上で許可がおりて、実際に検査対象となるものというのはごく一部だということなんだと思います。にもかかわらず、実際に検査も受けない大部分の輸出貨物についても、とにかく一たんは保税地域を経由させなければいけない。その制度自体をなぜ維持しなければいけないのか、そのことについてお伺いをさせていただきます。

木村政府参考人 税関は、国民の安全の確保、貿易秩序の維持、そういった観点から、輸出禁止・規制物品、例えば大量破壊兵器関連とか有害廃棄物とか、そういったものが不正に輸出されることのないよう、輸出通関時に必要な審査を行うとともに、効率的に貨物の検査を行う必要があると考えております。また、その輸出貨物が船積みされるまでの間にすりかえ等が行われる、そういったことがないように貨物の保全を図る必要もあります。こうした水際における輸出貨物の取り締まり等を効率的に行うために、原則として輸出貨物を保税地域に搬入することとしているところでございます。

 要するに、他法令という関税法七十条の関係がありますけれども、例えば輸出するに当たっていろいろ許可とかそういった書類、検査等必要なものがあるわけでございまして、そういったものの最終的なチェックは、税関が輸出許可を行うに当たってチェックしているということでございます。

 では、なぜ米国ではそんなことはないんだろうと私も疑問に思いまして、ちょっと私どもこれはどこまで正しいかわかりませんが、一つは、先ほど申しましたが、輸出は許可制ではなくて届け出制になっている。それから、武器とか薬物等の規制物品取り締まりを各所管省庁が行う。日本でも当然チェックは行っているわけですけれども、それを最終的に税関がチェックする。そういったところなんですが、日本のように輸出貨物につきまして一定の場所に搬入し、他の法令の規制を税関が一元的に最終的にチェックするという考え方がとられていない。どうもそのようでございます。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますけれども、とにかくすべての貨物を一たんは保税地域、コンテナヤードに持っていかなければいけない。そして、許可が出るまでコンテナヤードに留置をしておかなければいけない。そういったことが、まさに企業にとって大きな物流のコストあるいは時間がかかるというような負担になっているわけでございます。

 人によっては、とにかく保税制度は、輸出貨物については諸外国に例を見ないと。私もすべての国の制度を知っているわけではございませんので、その言葉が正しいかどうかわかりませんけれども、今局長から御説明がございましたように、アメリカにはない、まさに届け出制になっている。あるいは、イギリスや韓国でもそのような保税制度というものはない、輸出貨物についての保税地域への搬入義務といったような制度はないというふうに聞いているわけでございます。

 余り言葉のことを言ってもしようがありませんけれども、そもそも保税地域というのは、関税を払う前に荷物を保管しておくという、保と税ということでございまして、そもそも言葉自体も現在の趣旨からは離れてしまっているのかなと思いますけれども、えてして、何となく前からの制度を引きずっているんじゃないかな。

 そこは、繰り返しにはなりますが、確かにセキュリティーの確保、水際での取り締まりというのは非常に重要だということは、もちろん私も認識をしているわけでございます。この日本がまだまだ海外に比べて治安がいいというのも、それは水際でまさに少ない税関の方々が一生懸命頑張っていらっしゃる、それによって社会悪物品も流入がある程度阻止されているという部分はあるんだろうと思いますけれども、ただ、その両立を図るという中で、私はまだどうしてもセキュリティーの方に引っ張られ過ぎているんじゃないかなというふうに感じるわけでございます。

 また、そのセキュリティーを単に口実にして、実際にはすべての輸出貨物を、あくまでセキュリティーというのは非常に周りを説得しやすい言葉ではございますけれども、実際に輸出貨物をすべて保税地域に持っていく必要があるのかというのを再度考えた場合に、その実質的な意味については、先ほど局長からも御説明いただきましたけれども、具体的な説得性は私はまだ乏しいんじゃないかなというふうに考えている次第でございます。

 とにかく、通関の迅速化、円滑化、その一方で社会悪物品、そして今回取り上げられている輸入禁制品といったようなものをいかに水際で取り締まるか。まさに相反するようなものを両方とも達成すべく、今までの保税地域への搬入義務が輸出貨物にも適用されるということについて、また違った観点からもぜひとも考えていただきたいというふうに思うわけでございます。

 もちろん、さまざまな事情がほかにもあるというのは私も若干は聞いております。まさに業者の間でも、保税地域への搬入義務というものがあるがゆえに、より収益を上げているような流通業者ですとか倉庫業者というものがある。それが、どの程度そういった業者と行政が癒着しているのか。そこは、税関の場合には決してそういう癒着がないというふうに私は信じておりますけれども、いずれにしましても、そこはぜひともほかの国の制度を見ながら、新しい視点で取り組んでいただきたいということを改めてお願いをするわけでございます。

 そこでまた、繰り返しにはなりますけれども、今までずっと当局の方にだけお伺いしておりましたので、改めて、保税制度の重要性というものを本当にしっかりと認識した上で、今の現在の政権が、今後も輸出貨物についても必ず維持しなければいけないというふうに思っていらっしゃるのかどうか。結局、その保税制度について、輸出貨物における保税地域への搬入義務について、日本での本当の必然性、必要性というものを今度は副大臣の方にお伺いをさせていただきたいと思います。

田野瀬副大臣 私の方からお答え申し上げたいと思います。

 若干先ほどの局長の答弁と重複するところがあるかと思いますが、税関は、国民の安全の確保、貿易秩序の維持等の観点から、輸出禁止・規制物品が不正に輸出されないよう、輸出通関時に必要な審査を行うとともに、効率的に貨物の検査を行う必要があると考えておるところでございます。

 我が国においては、税関による輸出許可制を通じて、輸出貿易管理令等の他法令手続の履行を最終的に担保することが求められておるところでございます。したがいまして、このような輸出規制を効率的かつ集中的に行えるようにするためには、現行の保税制度を原則として維持する必要があると考えております。

 このような原則を維持しつつ、セキュリティー対策の強化と国際物流の高度化に対応した物流促進を同時に達成するため、今般、セキュリティー対策上問題がない、コンプライアンスのすぐれた輸出者については、保税地域に貨物を搬入することなく輸出申告及び輸出許可が可能となる制度を導入することといたしたところでございます。

田村(謙)委員 ありがとうございました。局長とほぼ答えが同じになるのは、同じ担当者がつくっている答弁でありますので、そこは当然なんだろうというふうに考えているわけでございますけれども、そこは、輸出貨物を必ず保税地域に入れなければいけない、ある意味でそれは一つの規制とも言えるものなんだろうというふうに考えるわけでございます。

 規制改革一般に広げて若干申し上げる際に、我々民主党は常に主張しているわけでございますけれども、とにかく従来の制度に縛られて、もちろん、繰り返しになりますが、セキュリティーの確保あるいは水際での取り締まりというのは非常に重要だというのは私も認識をしております。ただし、それをどうやって達成していくのか。まさに税関の人員が十分であるかという、例えば先ほどの田島議員の議論につきましては、確かに十分じゃないかもしれないけれども、それは警察と同じような議論で、もちろんふやせばふやすほどいいけれども、予算も含めさまざまな制約がある。現在の人員をいかに適正に配置をするか、そこはまさに当局の方が腐心をして、最適化に日々努めていらっしゃるんだろうと思います。

 そういった中で、とにかく全部の貨物を入れた方が検査もしやすいだろう、そういったような安易な発想ではなくて、今後、検査の重点化というのは、まさに一言で言うとIT化、ITという言葉も若干古くなっておりますけれども、今まさに輸出入や港湾の諸手続においてとにかく電子化を進めていく、そういったことが限られた人員の中でより検査を重点化していく、それが水際の取り締まりを強化していく、そういうことにつながっていくんだろうと思います。

 もちろん、そういったことについて当局が非常に精力的に取り組んでいらっしゃるのは私も重々承知をしておりますけれども、ただし、それが非常に進んでいる国、例えばアメリカですとか韓国といったような先進的な国よりはまだおくれている状況があるというふうに私は聞いているわけでございます。そのことについては、時間もありませんのでお伺いをしませんけれども、最後に……。済みません、もう時間もないので質問をやめまして、もう少しだけ今の延長で申し上げさせていただきたいと思います。

 今の関税局長の古巣でいらっしゃいます主税局に、私も、もう十年前ですけれども、十年前に主税局でまさに外国の制度を調査する担当をしておりました。その際、今はもう主税局も違うと思いますけれども、とにかく外国の制度を調べても、新しい制度について外国はどうなっているか、大体幾つかの国を調べれば、新しい制度を導入していない、改革をしていない国は必ずあるわけですね。そうすると、日本は、ほかの国もやっていないんだから日本もやらないと。そういう意味では消極的な理由に使うために海外の調査をしたという記憶が、当時、断片的にではありますが、残っております。

 とにかく、海外の制度、先進的な制度について、ぜひとも日本も、国際競争力だけではございませんが、そういった前向きな観点から海外の制度についても材料にしながら検討していただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金田委員長 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 初めに、谷川弥一先生が冒頭、そもそもアメリカの牛肉の輸入再開に反対している民主党が緊急措置の発動を心配するとはどういうことだ、おかしいのではないかという趣旨の御発言がありましたが、私どもはそれほど幼い政党ではなくて、拙速な米国産牛肉の輸入再開には一貫して反対している、しかし専門家の科学的判断に基づいてきちっとした手続で世論の意向も酌みながら物事を進める、そして、厳しい条件つきで輸入再開をするという結論が出れば、民主党はそれはそれで支持するというのが基本的な立場ですので、誤解のないようにお願いしたいと思います。

 BSEの発生というのは想定外の緊急事態で、各部門に大変大きな影響を与えて、みんな戸惑ったわけですが、そういう混乱の発生を受けて、しかし、多くの分野で懸命の調整努力を続けて、一定のおさまりを果たしてきたところです。

 例えば、かつて内閣府にいらした谷垣大臣が食品安全基本法をおつくりになり、また、かつて農水委員会の筆頭理事をやっていた金田先生は、家畜伝染病予防法の改正とか、あるいは牛海綿状脳症緊急措置法等々の立法措置でこの混乱を乗り切ってきたわけですが、一つこの財務金融委員会だけがいまだにBSE発生前の状況にある、大変おくれた状態にあることを私は指摘しておきたいと思います。

 BSEが発生する前と後では、この関税の扱いも当然変わってくるのが当たり前のことでして、前年に比べて輸入量がふえたか減ったかと言うときに、アメリカの禁輸措置がとられていて、昨年一年間ゼログラム、アメリカから全く一片の肉も入っていない、そういう異常年を基準にしてことしの輸入量がふえた減った、そこで緊急関税措置を発動するというようなこの仕組みそのものが、非常に時代おくれで現実に即していないということをよく御理解いただきたいと思います。

 私ども民主党の提案に反対することは、この委員会をBSE以前の状態に引き続き置くことになりますし、こういう火事場泥棒的な措置は米国に対し無用の不快感を与えるということをよく御判断の上で、我が党の修正案への賛否を決めていただきたい。法律が時代おくれでゆがんでいるときに、それを直すことができるのは、まさにこの立法府にいる先生方の良識だけが頼りですので、私は良識的な御判断を期待したいと思います。

 そうはいっても、そう簡単に輸入が再開されるわけではない。今、国内措置について食品安全委員会において議論が行われている。ところが、何だかこの永田町の場では、前のめりで、あたかも輸入再開条件について検討しているような状況になっていますが、事態はまだとてもそこまでいっていなくて、まずとりあえず、日本での検査を二十一カ月以上にするかどうか、この措置が妥当ですかということを専門家に問うているわけです。その結果が大体三月末ごろ出るだろうと言われていますが、それを受けて省令を改正して、その後アメリカとの輸入再開条件について一定の案を示し、そして数週間のリスクコミュニケーションを経て、食品安全委員会にこういう再開条件でよろしいかとまた諮問をかけて、その答申を受けて初めて輸入再開が現実化していくという意味では、今、余り前のめりに輸入再開のことについて興奮して議論するのもいかがなものかという気がいたします。

 私が言ったようなステップを踏んでいくと、最短でもどのぐらいは必要だという御判断は、今示せるでしょうか、農林水産省。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のアメリカ産牛肉の輸入再開に向けてのお話でございますが、ただいま委員の方から幾つかステップのお話がございました。

 まず、最初にお話しのように、現在は国内のBSE対策見直しを食品安全委員会において検討しております。これにつきまして、三月というお話がございましたが、ちょっといつになるか、私どもの口からは確定的には申し上げられませんが、いずれ答申は出るものと思われます。それを受けまして、それに沿ってアメリカからの牛肉の輸入条件について関係省令を詰めていく、さらに、消費者などとのリスクコミュニケーションを経て、輸入条件について食品安全委員会に諮問していく、さらに、食品安全委員会の中で御審議をいただいて輸入再開の条件についての答申をいただくというステップがあるわけでございますけれども、それぞれについてどれぐらいの時間がかかるかというのは、現段階ではちょっと確たるお答えは申し上げられないところでございます。

鮫島委員 恐らく、一番急いでも三カ月はかかると思いますね、これだけ必要な手続を踏んで。私どもはそういう、省略しないできちっとした手続を踏んでやるべきだというのが我が党の一貫した主張なわけです。

 とられているBSEの措置が妥当なものかどうかを判断するのは、四つの視点からの評価が必要だというふうに言われています。島村大臣はちゃんと全体をわかっていないで御発言されているので、この場で皆様方に御紹介しておきますが、四つの措置とは、一番目は、えさの規制がきいているかどうか。まさかえさの中に反すう動物由来の肉骨粉はまざっていませんねという、えさ規制が最初の評価です。

 それから第二番目が屠畜の方法、牛の殺し方が正しいかどうか。これは実は、アメリカやEUでは禁止されている屠畜方法が日本ではとられています。途中で息を吹き返さないように、スタンガンで気絶させた後ステンレスの長い棒で延髄を破壊する、このことによって最も危険な延髄の組織がほかの組織に付着するので、この措置はとってはいかぬというのが世界の常識になっていますが、日本は残念ながら、七割の屠畜場でこれが行われている。ですから、この屠畜方法が安全かどうかというのが二番目の指標。

 それから、危険部位の取り方が丁寧で十分に取られていますかというのが三番目です。この点についても、小腸の中の危険な部位というのは二メートルぐらいありますが、ヨーロッパでは、どこの部分が危険かと二メートルの中から選んでいられないものですから小腸を全部捨てていますが、日本人は割合危険部位周辺を食べるのが好きなものですから、控え目に取っておこうという方式で危険部位の取り方はやっています。タンについても、タンの根っこに扁桃組織がついているので、これの扱いをよほど丁寧にしないと危ないですねというのもありますが、ここまでで三つです。

 四番目に、脳組織の検査を全頭でやるのか、二十四カ月以上でやるのか、三十カ月以上でやるのか。

 ですから、えさの規制と屠畜方法、危険部位の除去、脳組織の検査、この四つのバランスで評価するのが科学的な評価だと思いますが、例えば、島村大臣は前の三つを省略して、四つ目の脳組織の検査がどのぐらい徹底しているか不徹底か、日本だけが全部やっているからこれは非常識だというようなことをおっしゃっていますが、本当は全体を見て評価をしなければ、それこそ非常識な結論になってしまう。

 ですから、アメリカとの輸入再開についても、こういう四方向からの評価が必要になりますからそう簡単にいかなくて、なかなか時間がかかる。今、専門家の先生方が時間がかかっているのは、こういうことを総合的に評価しているから時間がかかっているので、何も脳組織の検査の足切りをするのが妥当かどうか、その点だけを検討しているわけではない。特にピッシングがいまだに行われていることを大変心配している専門家の先生もおられます。

 また、きょうの毎日新聞の夕刊で、先ほど、アメリカの会計検査院が、アメリカの飼料検査を行ったところ肉骨粉の規制がきいていない、いろいろなところのえさに肉骨粉がまざっている危険性があるということを報告され、こういうこともある意味では輸入再開に向けての大きなハードルになるとは思います。

 いずれにせよ、こういう幾つかのハードルがあるわけですが、そういうものがクリアされて、アメリカの牛肉の輸入再開が行われた場合に、何しろ対前年度、去年と比較すると、オーストラリア、ニュージーランドからしか入っていませんから、アメリカから少し入っただけでいきなりセーフガードが発動される。私は、アメリカは怒ると思いますよ。七転八倒してやっと輸入が再開されたと思ったら、ペナルティーとしての緊急関税措置。もしこういう単純延長の措置をとった場合には、私は、非常に複雑なことになって、我が民主党は良好で対等な日米関係を望んでいますので、阻害的に働くんじゃないかと思って心配していますが。

 これはある程度想定して考えざるを得ないんですが、例えば七月から輸入再開した場合に、米国産牛肉の輸入量がどのぐらいになれば緊急関税措置が発動されるか。これは、緊急関税措置の発動は四月を基準にして、平成十六年度の四月一日から、それで平成十七年度の四月一日からずっと輸入量を比べて、四半期ごとに締めて、第一・四半期はことしは多分七月までだめですから、四―六の四半期は去年と同じでしょう。七月から始まって七―九の四半期で締めたときに去年の一一七%以上になっていれば、一カ月後の十一月一日から関税が三八・五から五〇%に上がりますという措置になるわけですが、その七―九の第二・四半期で締めたときに緊急措置が発動されるというには、アメリカからどのぐらいの量が入ると発動されるというふうに推定しておられるんでしょうか。

皆川政府参考人 お答えいたします。

 牛肉関税の緊急措置でございますけれども、委員御指摘のとおり、トリガー数量というのがございますが、これは前年度の対応する期間の累計輸入量の一一七%ということになってございますので、十七年度の第二・四半期ということになりますと、冷蔵牛肉について言いますと、これが十二万八千二百十七トン、それから冷凍牛肉につきましては十四万一千四十二トンということになってございます。

 ただ、仮に将来における米国産牛肉の輸入の再開というようなことを前提にしてどうかということでございますけれども、いずれにいたしましても、米国産牛肉の再開時期につきましてはいつごろになるかはわからない時点でございますし、輸入再開の条件がまたわからない。また現在、豪州等からの代替輸入によりまして、輸入停止前の八割程度の輸入量が確保されているなどの要因がございますので、現時点でそれをどういうことで超える云々ということについては、なかなか申し上げることが困難ということでございます。

鮫島委員 そんな意地悪な答弁しなくてもいいじゃないですか。今ここに電卓がないので言えませんが、ただ一一七を掛ければ、つまり、十二・二万トン、十四・〇万トンに対してコンマ一七を掛けて、要するにその量以上になったら発動されると。だから、冷蔵でいうと一万五千トンぐらい、冷凍でいうと一万八千トンぐらいですか、そのぐらいを超えたら緊急関税措置が発動になりますよということだと思いますが、じゃ、平年の、BSE発生前の四半期当たりの平均で、アメリカからの牛肉の輸入量はどのぐらいありましたか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 平年ということにつきましてもなかなか難しい点がございますけれども、十五年の四月から十二月ということで見ますと、その際の輸入量が、アメリカ産牛肉が二十万トンございました。それは総計の量でございます。

鮫島委員 まあ、らちが明かないから。

 要するに、七月から輸入再開条件が整いました、そこへ肉が入り始めて、通常ですと、大体一四半期で七万トンずつアメリカから入っている。年間、四、七、二十八万トン。だから七万トンずつぐらい入ってくるんですが、実は、冷凍、冷蔵、どっちで発動になるかわかりませんが、両方で合わせてみると、三万トンを超えると発動になるわけです。通常が七万トンですから、これは大いに超える可能性もある。アメリカからの出し方が、A40という怪しげなやり方でどこまでちゃんとまとめられるかわかりませんが、大いに発動される可能性があるんです。

 この緊急関税措置発動の最大の目的は何なのか。つまり、かつては六十万トン近くあった輸入量が、今アメリカがとまって、その分オーストラリアが大分頑張っていますが、まだ四十二万トンぐらいでとまっている。その条件の中で、あと三万トンふえただけで発動するという場合に、何の効果をねらって発動するんでしょうか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 本措置自体は、ウルグアイ・ラウンドにおきます牛肉の関税の自主的な引き下げ措置ということに伴って、パッケージとして導入されたものでございまして、そういった意味で、輸入の急増ということがありますと、その水準いかんはどこからスタートするかということはございますけれども、輸入の急増ということになった際に、輸入牛肉と品質的に競合する乳用種を中心といたしました牛肉価格の急落を招く、国内生産に深刻な影響を及ぼすということを懸念いたしまして、そのような輸入の絶対水準というよりは、輸入の急増という変化量に着目をいたしまして、国内生産への影響を緩和することを強く期待して導入した措置というふうに考えてございます。

鮫島委員 あなたの答弁は一貫して、BSE発生前の、平成十三年以前の公務員としての態度で答弁していて、甚だふまじめだと思いますよ。輸入量が通常時の、つまり六十万トンあるのが普通なのが四十二万トンに落ちていますと。そこで三万トンふえたら、何で国内の生産者に影響が出るんですか。そういう説明がちゃんとできないと本当はおかしいと思う。

 では、二〇〇三年の八月一日から十二月三十一日まで、この緊急関税措置を発動しましたね。これもおかしな話で、日本で平成十三年九月にBSEが発生して、肉の消費が四〇%まで落ちた。これは国内産も輸入も落ちた。それで一年たったら、一年半かかりましたけれども、やっと少し戻ってきました。そうしたら、戻りかけでまだ完全には戻らないんだけれども、前の年、異常に落ちた。したがって、一一七を超えたからということで、二〇〇三年の八月一日から十二月三十一日まで五〇%に関税を上げたわけですが、では、このときに牛肉の輸入は減りましたか、実測値として。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十五年八月一日から平成十六年三月三十一日までの間に、冷蔵牛肉につきまして、牛肉関税の緊急措置が発動されたわけでございます。米国産牛肉の輸入が停止するということがありましたので、十五年の十二月以前ということで発動の効果を見てみますと、輸入量でございますけれども、発動後、これは十五年の八月から十二月でございますが、発動前、四月から七月に比べまして低水準となってございます。冷蔵品の一カ月平均の輸入量でございますけれども、発動前が二万五千九百トン、月ベースであったわけでございますが、これが八月以降の十二月までの間の月平均が二万二百トンということで、減少をしているということでございます。

鮫島委員 二〇〇三年の八月一日から発動されたんですが、その直近の二カ月はどうなっているかというと、異常にふえているわけです。対前年の倍ぐらいふえている。それで、発動したら確かに今おっしゃったように落ちました。しかし、年間でくくってみれば、駆け込みで輸入が急増して、発動して高い関税を払いたくないから輸入を控えたというので、トータルで見たら変わっていない。二〇〇二年に比べて、二〇〇三年、このSSGの特別関税は、トータルとして見れば輸入の抑制にはきかなかったという結論になるんじゃないですか。

皆川政府参考人 お答えします。

 輸入に関しましては、数字自体は先ほど申し上げたとおりでございますが、それとあわせまして、私どもとしては、輸入牛肉と競合関係にございます国産の乳用種の牛肉の卸売価格の方も見ております。その面でいいますと、発動直後の十五年八月から輸入停止前の十一月までの間に、国産の乳用種の卸売価格自体は、BSE発生前に比べますとまだ八割の水準でございますけれども、約二割の上昇を見たということでございまして、そういう意味で、私どもとしては、やはり国内の生産者保護の観点で一定の効果があったというふうに理解をしております。

鮫島委員 今現状で、国内の生産者は、輸入牛肉の影響、つまり、今はオーストラリアが頑張って四十二万トンになっていますが、これに三万トンぐらい乗って四十五万トンになった場合に、生産者にマイナスの影響が出るというふうに予測しますか。

 つまり、特別関税を発動するのは、一にも二にも生産者の保護でしょう。そちらに不利益が及ばないように、輸入が急増して国産の消費が圧迫されて、そして国内の生産者に影響が及ばないようにというのがこの関税の一番の趣旨だと思いますが、四十二万トンが三万トンふえて四十五万トンになると、国内の生産者に負の影響があるというふうに予測されますか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 この措置自体は、先ほども申し上げましたとおり、牛肉関税の自主的な引き下げ措置とのパッケージで導入したということでございます。

 そこで、先ほども申し上げましたとおり、この発動要件の考え方でございますけれども、これはやはり、どこからスタートになるかという、その水準からのスタートという面ではなくて、変化量というものが急激にふえるということでございまして、そういった場合の影響を緩和するという考え方のもとにとられているというふうに理解をしております。

鮫島委員 ちょっと、私、そういう答えが出ると思っていなくて、前の議事録を全部持ってきていませんが、いや、これは国内生産者の保護だ、輸入急増によってマイナスの影響が出たら大変だから保護するんだというのが、関税局長も含めて、農林水産、財務当局の一貫した説明でしたよ。あなたのはただパッケージ、パッケージと言っているだけですが。

 生産者に対する輸入急増による具体的なマイナスの措置があるから、関税を上げて輸入を少しでも抑制してというのが本来のねらいですが、こういうBSEが発生してからの異常な事態の中でそんなことをやっても、全然効果の出方が違うじゃないですかということを私は言っているので、例えば、では、小売価格はどうでしたか。つまり、そのことによって小売の値段が上がって輸入牛肉の消費が抑制されて、それが国産牛肉にいい影響を与えるという効果はあったんですか。つまり、関税をかけたら小売価格が上がったということが。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 これも前回の十五年の発動状況を見てみたいと思います。輸入牛肉価格の影響でございますけれども、緊急措置の発動直後から米国産牛肉の輸入の停止によって価格が急上昇するまでの間の状況を見ますと、卸売価格、これは輸入牛肉の卸売価格でございますが、豪州産で一二%、それから米国産で一〇%上昇しておりまして、小売価格も五%の上昇ということになってございます。

鮫島委員 関税収入はどのぐらい入りましたか、二〇〇三年の八月一日から十二月三十一日までの間。それから今回、もし七―九で三万トン以上ふえて、発動するとすると、十二月三十一日まで関税収入の増加分はどのぐらいあるでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 関税収入につきましては、委員よく御承知のとおり、関税率だけではなくて輸入量、輸入価格等の動向で変動するものでございますので、今御質問のありました、この緊急措置を発動してそれによって幾らふえたかということは、なかなか確たることは申し上げられないわけでございます。

 ただ、そういった前提を置かせていただいた上で、仮に、単純、機械的に、平成十五年の八月一日から……(鮫島委員「年末」と呼ぶ)年末ですか、年末におきます輸入額、これは六百七億円でございます。それで、緊急措置によりまして三八・五%から五〇%になっておりますので、一一・五%が差額でございますので、それを掛けますと約七十億円という数字が出てまいります。

鮫島委員 ことしの場合は。もしことし九月一日からかけたら、これは全然想定できないですか。わかりました。

 もう時間もないので締めますけれども、要するに、こういう異常事態の中で、つまり、普通だったら六十万トンぐらい輸入肉がある中で、今アメリカからはとにかくゼロになっている、四十二万トンぐらいまで落ち込んでいる中で、アメリカから牛肉が輸入再開されて三万トンくらいいったところで、これは大変だ、国内の生産者に影響を与えるということで緊急関税措置を発動するというのは、国際的には非常識だというふうに言われると思います。

 これは、この前のときもそうでしたが、小売価格に余り転嫁されなかったです。それから一番泣いたのは末端の、流通と外食産業のところが、卸売価格が若干上がった、そこの価格の値上げを吸収して、一番苦労したのだと思います。生産者のところにも、そのことによって、七十億円程度がそれほど役に立ったわけではない。だれもこれは得しなかった。どこが得したかというと、悪名高き農畜産事業団にだけあぶく銭が入りました。今回も入ります。だから、こういう火事場泥棒的な措置はとるべきではないし、米国に対して無用な不快感を与えるというふうに私は思います。

 前回の附帯決議のときも、そういう異常な事態が発生したときは十分配慮するというのがありましたが、前回よりも今回の方が極端なのですよね。前回は、国内で発生して、牛肉の消費そのものが国内外ともに大幅に落ちた。それで両方がゆっくりと回復していく過程だったのですが、今回の場合は全くそれと違って、法律的な措置でアメリカからの輸入がゼロになっている。それが解除されて戻っていくときにこういう措置を発動すると、非常に禍根を残すというか、関税の極めて異常な適用の仕方ということになるのではないかと思います。それがこの修正案提案の趣旨ですので、よく御理解をいただければありがたいと思います。

 以上です。

金田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、関税定率法改正案についてお聞きをいたします。

 この中に、コンプライアンスのすぐれた者は、保税地域に入れる前に輸出申告を可能にするという改正が盛り込まれております。これは、保税地域の外の会社の中で検査し輸出が許可されるようになる、簡単に言うとそういうことですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 一定の要件を満たす、コンプライアンスのすぐれた輸出者につきまして、今回新たな制度が適用になるわけでございますけれども、そういった方につきましては保税地域外での通関を可能にする、そういうことを考えております。

佐々木(憲)委員 これは、いわば自社通関の流れを容認しまして、保税地域での管理、監督等の通関行政の弱体化を招くのではないかという危惧を抱かざるを得ません。

 そこで大臣にお聞きしますけれども、今回は輸出に関連をしてこういう改正案が盛り込まれているわけですが、輸入の場合は輸出と違うと思うのです。この自社通関の流れをどんどん輸入にまで広げるという考えがあるのかないのか、そこを聞かせていただきたい。

谷垣国務大臣 コンプライアンスのすぐれた者に対して迅速かつ予見可能な通関を行うという基本的な考え方、これ自体は、輸出、輸入で差別があるわけではないのですが、しかし、実際の貨物の管理の現状、実情を見てみますと、輸出と輸入とでは相当大きく違いがあると思います。

 輸出者は、要するにみずからの責任で貨物を適切に管理することができ得るわけですけれども、輸入の場合には、貨物管理を外国の輸出者等に依存せざるを得ない面が大きいですから、輸出と同程度の管理が必ずしも期待し得ないということが考えられると思います。

 それで今回、こういう輸出入の特徴を踏まえまして、セキュリティー対策の強化、国際物流の高度化に対応した物流を促進していこうという観点から、輸出についてだけこういうことを考えたわけでございまして、輸入については現在、委員がおっしゃったようなことは考えておりません。

佐々木(憲)委員 やはり輸入の際の水際チェックというのは極めて重要でありまして、輸出とは全く違うと思うのです。そういう認識を持たなければならないということを指摘しておきたいと思います。

 それで、提案されている関税定率法の改正案にはさまざまな内容が盛り込まれておりますが、この中に、WTO農業協定による例外なき関税化で米などが重大な打撃を受けている現状をそのまま延長するという内容が含まれておりまして、したがって、我々としては、これは反対であるという立場を表明しておきたいと思います。

 なお、民主党の修正案について申し上げますと、対日輸入の増減というのはさまざまな理由で生じるものでありまして、その都度法律を変えるとなりますと、実効税率三八・五%での輸入枠が毎年拡大していくことを事実上容認するということになりますので、国内の生産者を保護するという関税緊急措置制度の本来の趣旨をおろそかにしかねないという点で、賛成できません。この点を明らかにしておきたいと思います。

 さて、次に、税の徴収問題について話題を変えたいと思います。

 去る一月十五日、熱海市で、百五十万円の源泉所得税が払えず、五十四歳の鉄筋業の業者が自殺をいたしました。熱海税務署の徴税に問題があったのではないかと思いますが、いかがでしょう。

徳井政府参考人 お答え申し上げます。

 個別にわたる事項につきましては具体的に答弁をすることは差し控えさせていただきますが、一般論を申し上げますと、滞納整理に当たりましては、まず納付慫慂を行って滞納者の納付の意思を確認し、さらに滞納者の事業内容、事業継続等の実情に即しつつ、適切に行っているところでございます。

佐々木(憲)委員 この業者は、毎月五万円の分割納税をしたいということで税務署に要請をしていた。ところが、税務署の方は、今後消費税の滞納も考えられるということで、これを聞き入れず売掛金を差し押さえた。取引先にそのことが知られて取引停止になって、ついに自殺に追い込まれる、こういう状況だと聞いているわけであります。

 遺族に対して一体どのように対応するのか、この点を聞かせていただきたい。

徳井政府参考人 お答え申し上げます。

 滞納者の遺族の方から今後相談等が寄せられた場合には、その内容等を十分お聞きするなど、誠実に対応してまいりたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 国税庁は、中小業者が経営が苦しいので分割納税にしてほしいというふうに要請をした場合、分割納税を一切認めず差し押さえを実施する、そういうやり方を現場に指示しているんでしょうか。

徳井政府参考人 お答え申し上げます。

 滞納整理に当たりましては、納付慫慂を行って滞納者の納付の意思を確認するとともに、滞納者個々の実情を十分把握して、その実情に即しつつ、適切な処理に努めているところでございます。

 具体的には、滞納発生時点において明らかに納税に対する誠意が認められないといった場合を除きまして、通常は、督促後、生計の状況や事業の状況を聞くなどいたしまして滞納者の実情をよく把握した上で、分割納付などの自主的な納付を慫慂しております。そして、自主的な納付が見込まれない場合や、分割納付の約束が履行されないような場合には、差し押さえが必要かどうかを判断した上で、法令に沿った適切な処理に努めているところであります。

 今後の滞納整理に当たりましても、引き続き、滞納者個々の実情を十分踏まえた適切な処理に努めてまいりたいと考えております。

佐々木(憲)委員 納税に誠意のないというような言い方をしますけれども、現実に、経済全体としては、大手の方は景気が回復はしていますけれども、中小零細企業は非常に深刻な状況にあるわけです。したがって、本人は納税したいけれどもなかなかそういう状況が実態的には生まれてこない。そういうときに財産の差し押さえというようなことをいきなりやるというのは大変重大でありまして、今の答弁ですと、いきなりやるということはないというふうに言っていますけれども。

 例えば、これは昨年九月の「滞納整理事務の現状と今後の取組」という、全国国税局徴収部長会議というところで配付された資料ですけれども、これを見ますと、「財産の差押えに重点を置いた厳正な処分を実施していく必要があり、各局における積極的な取り組みによって、債権差押えや捜索等は、ここ数年、総じて増加傾向にあるが、引き続き、そのような滞納者に対しては適時的確に債権差押えや捜索等を実施していく。」こういう非常に強権的な書き方をしているわけであります。

 今後、例えば消費税の免税点の引き下げで約二百万者が新たな納税義務を負わされるわけです。政府の統計でも、七割が赤字企業、消費税を転嫁できていない企業は半数。これはこの場でも私は確認しました。このような状況で、消費税の新たな納税というのはなかなか大変なんです。当然滞納もふえる。

 この国税庁の文書には、そのことを念頭に置いて、「消費税免税点の引下げに伴い新たな消費税少額滞納事案の増加が懸念され、引き続き、その圧縮に向けた取組が必要である。」ということで、この圧縮というのは要するに徹底的な徴収を図るということであります。

 こうなると、債権差し押さえを乱発して、結果として倒産や自殺に追い込むということになるんじゃないか。まさに苛斂誅求だ。そういうことをやらないということは約束できますか。

徳井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、通常の場合は、督促後、生計の状況や事業の状況を聞くなどして納税者の実情をよく把握した上で、分割納付などの自主的な納付を慫慂いたしております。そして、そういった自主的な納付が見込まれない場合、あるいは分割納付の約束が履行されないような場合には、差し押さえが必要かどうかを判断した上で、法令に沿った適切な処理に努めるということでございます。

佐々木(憲)委員 同じことばかり言っているんですけれども。

 国税庁の昭和五十一年四月一日に出された税務運営方針というのがあります。それによると、「納税者と一体となって税務を運営していくには、税務官庁を納税者にとって近づきやすいところにしなければならない。そのためには、納税者に対して親切な態度で接し、不便を掛けないように努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない。また、納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるという批判を受けることがないよう、細心の注意を払わなければならない。」こう、いいことが書いてあるわけです。それから、「納税者と税務当局との関係の改善を図る広報としては、納税者にとって近づきやすく、また、納税者に信頼される税務署というイメージをつくることが特に必要である。」こういうことを現実にこの税務運営方針で書いているわけですが、これは過去のものとして、もう採用していないのか、それとも現在でもこの方針に変わりはないということが言えるのか、これはどちらですか。

徳井政府参考人 お答え申し上げます。

 国税庁といたしましては、現場の職員に対しまして、会議、研修等の場を通じまして、滞納者個々の実情を十分把握して、その実情に即しつつ、法令の規定に基づいた適切な滞納整理を行うよう指導しているところでございまして、今後とも、引き続きその徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 まだ質問に答えていないんです。この税務運営方針は今も採用しているんですか、それともこれはもうやめたんですかと聞いているんです。

徳井政府参考人 お答え申し上げます。

 税務運営方針は税務行政を遂行する上での原則論を示したものでありまして、今後とも、この運営方針の趣旨に即して税務行政を進めていく所存でございます。

佐々木(憲)委員 最後に大臣にお聞きします。

 税金の集め方というのは大変重要だと思うんです。税収をふやそうとしても、納税者である中小企業がつぶれてしまっては意味がない。やはり、納税者の状態をきちんと把握して、親切に相談に乗る。そして、生活と営業が継続するようにしていきながら、その納税の形態については、例えば分割納税ですとかいろいろな形が考えられると思うんです。そうしてこそ税収も確保され、バランスのとれた行政というものができると私は思いますけれども、大臣はどのような認識でしょうか。

谷垣国務大臣 さっき佐々木委員がおっしゃいましたように、消費税の免税点が引き下げになりますと、今までは納税義務がなかったけれども今度納税義務ができたというので、対応に迷われたり苦しまれたりする方というのは出てくると思うんですね。そういう新たに課税事業者になった方々に対してはやはり、委員がおっしゃったように、申告であるとかあるいは期限内納付といった御相談にはきめ細かく対応しないといけないんじゃないかと思います。

 仮に、こういう事業者について国税が滞納になったという場合があり得ると思いますが、これはやはり、滞納者個々の実情というものを十分につかんで、それでその実情に即しながら適切な処理を図っていくということじゃないかと思います。

 今もいろいろ委員との間でやりとりしていただいたわけですが、滞納者から分割納付等の申し出があるということもあり得ると思いますが、そういう場合も、十分相談の上、滞納者の実情に即した対応をとる、これは従来国税庁の方針だったと思いますが、今後ともそういう形で適切な処理を国税庁は図っていくというふうに承知しております。

佐々木(憲)委員 終わります。

金田委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 関税定率法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、原口一博君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、江崎洋一郎君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。谷口隆義君。

谷口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、国民経済的観点に立って国民生活の安定に寄与するよう努めること。

   なお、関税の執行に当たっては、適正・公平な課税の確保により一層努めること。

 一 高度情報化社会の急速な進展により、経済取引の国際化及び電子商取引等の拡大が進む状況下で、税関における事務の一層の情報化・機械化を図るとともに、従来にも増した執行体制の整備に特段の努力を行うこと。

 一 最近における国際化の著しい進展、相互依存等による貿易量、出入国者数の伸長等に伴う業務量の増大、銃砲、覚せい剤をはじめとする不正薬物、知的財産権侵害物品、ワシントン条約該当物品等の水際における取締りの国際的・社会的重要性、FTA(自由貿易協定)の進展による貿易形態の一層の複雑化の様相にかんがみ、高度の専門知識を要する税関業務の特殊性を考慮し、職務に従事する税関職員の定員の確保はもとより、その処遇改善並びに機構・職場環境の整備・充実、更には、より高度な専門性をめざした人材の育成等に特段の努力を行うこと。

   特に、国民の安心・安全の確保を目的とするテロ・治安維持対策の遂行や、知的財産権侵害物品、偽造通貨・偽造カード等不正商品の水際取締り、更には、通関手続きの適正化・迅速化を一層図っていく観点での所要の措置の実行に当たっては、その重要性を十分配慮した業務処理体制の実現に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

金田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣谷垣禎一君。

谷垣国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

金田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

金田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 金融に関する件調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明十六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時四十六分散会


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