衆議院

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第12号 平成17年3月16日(水曜日)

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平成十七年三月十六日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 金田 英行君

   理事 江崎洋一郎君 理事 遠藤 利明君

   理事 竹本 直一君 理事 村井  仁君

   理事 中塚 一宏君 理事 原口 一博君

   理事 平岡 秀夫君 理事 谷口 隆義君

      小野 晋也君    岡本 芳郎君

      木村 太郎君    熊代 昭彦君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      鈴木 俊一君    砂田 圭佑君

      田中 和徳君    谷川 弥一君

      中村正三郎君    永岡 洋治君

      宮下 一郎君    山下 貴史君

      渡辺 喜美君    井上 和雄君

      岩國 哲人君    小林 憲司君

      鈴木 克昌君    津村 啓介君

      中川 正春君    中津川博郷君

      西村智奈美君    野田 佳彦君

      本多 平直君    村越 祐民君

      吉田  泉君    石井 啓一君

      長沢 広明君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   参考人

   (株式会社整理回収機構代表取締役社長)      奧野 善彦君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  田島 一成君     西村智奈美君

  田村 謙治君     中津川博郷君

  馬淵 澄夫君     本多 平直君

同日

 辞任         補欠選任

  中津川博郷君     田村 謙治君

  西村智奈美君     田島 一成君

  本多 平直君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 金融に関する件


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 本日は、参考人として株式会社整理回収機構代表取締役社長奧野善彦君に御出席をいただいております。

 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、奧野参考人に十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。

 それでは、奧野参考人、よろしくお願い申し上げます。

奧野参考人 株式会社整理回収機構社長の奧野でございます。

 それでは、早速でございますが、株式会社整理回収機構の業務の概要について御説明させていただきます。

 まず、組織につきましては、平成十一年四月一日に住管機構と整理回収銀行とが合併いたしまして、株式会社整理回収機構、以下RCCと呼びます、となったものでございます。

 RCCは、預金保険機構の一〇〇%の子会社でありまして、その預金保険機構と協定を結び、その委託を受けて、破綻金融機関等から譲り受けた債権の回収等の業務を行っております。

 それでは、お手元の資料一ページの一をごらんください。

 役職員数は、平成十七年一月現在、千七百三十八人、支店等の数は、二十六カ店、分室九カ店の合計三十五カ店であり、資本金は二千百二十億円となっております。

 次に、資料一ページの二をごらんください。

 RCCが保有しております譲り受け資産は三つの勘定に分かれておりまして、第一は住専勘定であります。第二はRCB勘定で、破綻金融機関から買い取った不良債権の管理勘定であります。第三は金融再生法五十三条勘定で、健全金融機関等から買い取った不良債権の管理勘定であります。

 これら三勘定の合計で、平成十六年十二月末での買い取り価額は九兆六千五百三十一億円、回収額は七兆七千五百十一億円、回収率は八〇・三%となっております。

 資料一ページの三をごらんください。

 このうち、金融再生法五十三条については、これまで百七十七の金融機関から、債権元本ベースで三兆九千三百五十六億円の不良債権を買い取っております。

 次に、回収についての考え方につきまして御説明申し上げます。

 RCCでは、回収に当たって、効率的な回収に努め、国民負担の最小化を図ることを基本理念として、次の三つの指針を設け、その周知徹底を図っております。

 第一は契約の拘束性の追求であり、第二は人間の尊厳の確保であり、第三は企業再生の追求であります。

 もとより、債務者において誠実な対応をしている限り、話し合いによる回収が原則であることは言うまでもありません。RCCに引き継がれたときに約定どおりの返済を続けていた債務者に対しては、引き続き約定どおりの返済を続けていただきますし、延滞している債権であっても、債務者と誠意ある話し合いを行い、返済計画を提出していただき、極力合意の上で回収を進めるよう努めているところであります。

 なお、私が社長に就任しましてからは、職員に対し機会あるごとに、債務者との話し合いにおいては信義誠実を旨とし、案件ごとに徹底した付加価値創造的提案、助言をするべき、またその一方では、凜とした姿勢を堅持して当たることが重要である旨、絶えず注意してまいりました。

 資料二ページの四及び五をごらんください。

 保有債権の処分の多様化といたしまして、流動化及び証券化についても積極的に実施してきておりまして、一括売却による流動化につきましては、平成十七年二月末で債権元本で一兆六千五百七十三億円、また証券化による保有債権の流動化は四千八百三十一億円になっております。

 次に、企業の再生について御説明させていただきます。

 RCCでは、従来から事業の存続が可能と見込まれる先については、回収極大化の延長線上で条件変更等の対応を行ってまいったわけでございますが、平成十三年六月、政府による骨太の方針を受け、再生の可能性のある債務者については速やかな再生に努めるとの政策的要請にこたえるべく、平成十三年十一月、企業再生本部を設置し、より組織的、より積極的に企業再生に取り組むことといたしました。

 企業再生は、債務者が現に保有している資産価値を上回る回収をもたらし、しかも、そこで働く従業員の雇用を継続し、取引債権者を保護する等、付加価値創出が大変大きいものがあります。

 資料三ページの六をごらんいただきます。

 平成十三年十一月の企業再生本部発足以来、平成十七年一月までの企業再生実績は三百六件で、これらの対象企業で働く従業員数は四万三千人を上回っており、売上高は一兆六千五百七十三億円の規模に達しております。

 なお、その八割強を中小企業が占めております。地域別では、関西が百十二件、関東が九十九件と、関東及び関西が多くなっておりますが、最近ではその他の地域においてもとみに相応の実績を上げてきております。

 また、先般の金融改革プログラムにおきまして、中小企業の集中的な再生に向けたRCCの再生機能の見直しを行うこととされているところであり、中小企業等の再生に向けて、民間では対応困難な再生分野においてその機能を発揮してまいりたいと考えております。

 個人的なことを申して恐縮でございますが、私は、整理回収機構の社長に就任する前は、RCCの債務者側の代理人として、あるいはRCCが債権者である会社更生事件の管財人といたしまして、RCCとたびたびにわたりまして交渉をしてまいりました。RCCの職員はいずれも使命感に燃えて非常に手ごわい交渉相手でありましたが、ほとんどの案件については、理を尽くし交渉した結果、合意を得ることができました。その努力によりまして、RCCに多額の弁済を済ませましたし、一方、債務者は現在復活しておりまして、経済活動にいそしんでおります。その社会的貢献はかなり大きいものと、私自身自負しているところでございます。

 これらの経験からして、私は、債権者、債務者間の話し合いは、債権者は債務者と同じ目線で誠実に対応するとともに、債務者も自分に都合のよい主張に終始することなく、誠実の限りを尽くすことが何よりも重要であると考えております。

 債権回収は、その性格上、債務者や関係者の方々の不満や苦情を招きやすく、また職員の精神的負担が重いなどと、種々の困難を伴う業務でありますが、当社としましては、引き続きその使命の達成に全力を尽くすとともに、企業再生等に対する地域金融機関のニーズにも的確に対応してまいりたいと考えております。

 どうか、よろしく御指導、御支援のほどをお願い申し上げまして、私の報告とさせていただきます。

 どうもありがとうございます。

金田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。きょう、私の持ち時間は十分でございますので、お答えの方も端的によろしくお願い申し上げます。

 きょうは、企業再生を中心にお話し申し上げたいと思います。

 今、社長の方からの説明で、企業再生案件、これまで三百六件取り組まれているということでございました。三年前に法改正をいたしました折に、私も提出者の一人として携わりましたけれども、RCCは回収だけでなく企業再生の方にしっかりと取り組むべきだということで、健全金融機関からの不良債権回収については時価で買い取りができるという形で法改正をさせていただいたわけであります。その折、期待しておりましたRCCへの企業再生の期待から比べると、この三百六件というのはいささかちょっと数が少ないんじゃないかという印象がございます。

 事前に資料を調べましたところ、健全金融機関からの買い取り、五十三条買い取りは、債務者数が一万二千先ですか、このうちほとんど価値のない、いわゆる一件当たり千円とも言われているそういう債権も六千ぐらいあるそうですが、残りを除いても六千先ぐらいございますね。それから破綻金融機関からの譲り受け、ここで言うとRCB勘定ですか、これも平成十四年一月以降だけで見ますとやはり四万一千先もある。合計いたしますと五万先ぐらいから、三百六件というのは、私はちょっと数として少な過ぎるんではないかという印象を持ちます。

 そこで、今社長からもお話がありましたけれども、現場の方針は、具体的にはどういう方針で企業再生に臨んでいるのか、企業再生案件になるかどうかという具体的な線引きの基準というのはどうなっているのか、この点について確認いたしたいと思います。

奧野参考人 まず、企業再生についての基本的理念について御説明申し上げます。

 ただいま再生の案件が少ないのではないかという御質問でございますけれども、RCCはいろいろな方法で再生に挑戦しておりまして、三百六件というのは厳格な意味での再生でございまして、その他、条件変更というようなことで事業継続を図っている案件が五千件ほどございますので、決して少ない数だとは私考えておりませんのです。

 まず、再生についての基本的な考え方をちょっと申し上げますと、再生は復活と同義でございまして、衰え死にかかった者が生気を取り戻すことでありますし、精神的に生まれ変わることでありますし、廃物と化したものを原材料として高付加価値のある商品につくりかえる、そういうものであると考えております。経済的には社会に活力を取り戻す要因となるものであり、法律的には、窮境にある状態から脱出させる機会付与の条件の整備ということになると思っております。

 したがって私どもは、経済の活性化のためにも、あるいは窮境にある状態で苦しんでいる債務者企業のためにも、可能な限り事業の継続を図り、あるいは金融機関がリファイナンスができる条件の整備をきちっと整えてやるためにこれまで努力をしてきたところでございまして、先生の御質問でございますけれども、私どもはその力を惜しんだというようなことはないというふうに考えております。

石井(啓)委員 今回の資料を見ますと、例えば金融再生法五十三条勘定については回収率が一〇〇%を超えていますね、一〇〇・八%。そうしますと、これ以上回収した分というのは預保の方に全部納付していくということになりますね。その納付した分は住専とかRCB勘定の方の穴埋めに使われるわけではありませんね。そうしますと、五十三条勘定についてはもう買い取り額を上回る回収をしておるわけです。さらにはRCB勘定についてももう回収率は九六%、一〇〇%近くいっているということでいきますと、国民負担を最小限にするという役割はもう十分果たされたんではないか。この上回収しようとすると、これはまた厳しい回収ということになるわけでありまして、私はこういう時点になりますと、その企業再生への考え方をもう一段取り組みを強めた方がいい段階に来ているのではないか、こういうふうに考えます。

 かつて、整理回収機構は血も涙もない回収だということで、怨嗟の声が満ちあふれていたわけでありまして、多少変わってきたのかなと思いましたら、まだそういう声が少し聞こえてきております。

 例えば、ビル賃貸業をやっていてキャッシュフローがあるところが、担保物件を処分して残りの残債を長期化、返済すればこれはもう十分再生できるという案件で、RCCが債権者として破産申し立てをしている、こういうケースもありまして、どうしてそういうことをやるんであろうか。十分生まれ変われる企業で、ちゃんとキャッシュフローもあるし、どうしてそんなことが起きるのか。どうも、そのプロセスにおいて担当者と債務者との間の感情的な行き違い等もあったような感じがいたしますけれども。

 私は、今後、全体的に見るともう回収は相当進んでおりますから、例えば残債の長期化というのも、今現在は最長でも十年から十五年ということでやっているようでありますが、民間の金融機関ですと十五年ないし二十五年という形で債務の返済を長期化して再生をさせるというケースもあるようでありますから、再生の条件をより緩和して、これからは回収よりむしろ再生に力を入れていくという方向に大きくかじをとるべきだと私は考えるわけでありますが、社長の御見解を伺いたいと思います。

奧野参考人 どうも大変ありがたい御意見をいただきました。再生のために最善の努力をしなければならないわけでございますが、資本主義の世の中におきまして、企業を再生するに当たっては、清算価値以上の付加価値を再生させることによって創出できる場合でないといけないという原則、清算価値保証原則というのがございますし、それから、事業を継続していくに当たりまして、再び関係者に迷惑をかけないような、そういう事業価値のある企業にならなければいけない。それから、やはり迷惑を受けた債権者の承諾がとれるかどうかということにかかってくるわけでございますので、そういうふるいにかけてなお存続価値がある、しかも、今RCCでも約六千億の正常に弁済を続けているまじめな債権者がおるわけでございますし、私どもの目線としてはそういう、まじめにこつこつと義務の履行を尽くしている一般国民を常に基準に置いてすべてのことを考えていかなければならない。そういう意味で、誠実ではないとか、資産をきちっと開示してくれていない、資産があるような、そういう人に対してはやはり多少制限しなければならない場合もあるということを御承知いただきたいと思うのでございます。

石井(啓)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、私は、回収の価値というものを、短期間ではなくてもう少し長期で見れば再生できる案件がより広がるのではないか、こういうことを申し上げているのでありまして、よく検討していただきたいと思います。

金田委員長 次に、中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。

 先般の予算委員会で、RCCそれからサービサーを取り上げまして、きょう、この大変貴重な時間をいただきまして、感謝を申し上げます。

 時間が短いものですから、まず最初、二つ、具体的なことについてお聞きします。

 RCCができてから現在まで、役員中に民間金融機関もしくは金融機関関連会社出身者は当然いるわけですね。その役員の名前と出身金融機関名とRCCの在職年月日をまず教えていただきたい。一点です。

 もう一つは、これまでにRCCが金融再生法の五十三条で債権を買い取ってきた先のうち、健全行の買い取り額上位十行の銀行名とそれぞれの件数を教えていただきたいと思います。

奧野参考人 まず、最初の御質問に対しましては、RCCはガバナンスを強化する、そういう関係から、中途で役員の数を商法上の役員から執行役員というふうに変更した歴史がございまして、したがいまして、先生の御質問が商法上の役員の数ということでありますと、計算の仕方が大変難しゅうございますので、後できちっと整理をいたしまして御報告をさせていただきたいと思います。

 それから、第二番目の御質問でございますけれども、この件につきましては、利害関係等いろいろ複雑な事情がございますので、今そのお答えをすることは難しいということを御理解いただきたいと思っております。

中津川委員 今じゃなくて結構ですよ。後で、今、最初の質問の資料が来ますね。一緒に持ってきてもらえますね。

奧野参考人 いろいろ難しいことがあろうかと思いますが、検討させていただきたいと思います。

中津川委員 いや、検討じゃなくて、それを持ってきてくださいね。RCCは今、情報の公開性、これが一番問われているんですよ。隠していてまずいことがあるんですかと疑われますよ。必ず持ってきてください。もう一回お願いします。

奧野参考人 検討させていただきたいと思います。

中津川委員 隠そう隠そうとか、そういう気持ちを、社長もぜひRCC社長になる前の気持ちを忘れないでもらいたいと思うんですよ。必ず持ってきてください。強く要望しておきます。

 さて、破綻先や健全先から債権を買い取るうちの健全先についてですが、五十三条によれば、健全先でも破綻懸念先や破綻先の債権しか買えない、こういうことでありますね。そこで、そういった健全先から買い取った債権なんですが、これがさらに民間の同業者であるサービサーに転売することもあるというふうに聞いております。ちょっと変だなと思うんですね。サービサーとは同業者で競争仲間でありまして、同じ土俵の上で競争している立場ですから、せっかく買い取った債権をなぜサービサーに売るのかな、これは率直な疑問なんですね。これに答えてください。

 それから、もし、例えば今のケースで、一千万円で買った債権を八百万円で売ったとしたら、税金を使ってむだな買い物をしたということになりますね。逆に、一千二百万円で売ったとしたら、銀行の不良債権を適正な価格より安く買いたたいたと言われかねないと思うんですが、この点についても説明してください。

奧野参考人 まず、債権を譲渡するというのは、債務者の再生にふさわしいという、これを特定のサービサーに売ることが、私どもが債務免除をしたりして条件を整備するよりも、そのままの債権でもって譲渡したことによって債務者が再生できる機会が与えられるのであれば、なお好ましいことだということで売却するような場合がございます。

 それで、私どもも、ある一定の期限の中で、先ほど言ったように、バルクで流動化させていかなければならないようなことがございますので、その数をできるだけ節約して効率的な仕事をするためにサービサーに簿価ゼロ債権等を売却する、そういう場合もございます。

 よろしゅうございますでしょうか。

中津川委員 後段の方、ちょっとお答えになっていないですね。安く売ったり高く売ったりしている、そういう場合はちゃんと説明できるんですかということであります。

奧野参考人 私、先生の国会における先回の質問を資料で拝見いたしまして、いろいろ思い当たる節があるかどうかということを検討してまいりましたけれども、全く不適切な価格で譲渡したりするようなことはございませんので、なるほど、取得価格以上の価格で物件を売却する、あるいは債権を回収するということがあろうかと思いますけれども、今、不動産の時価が著しく高騰しているというようなこともございまして、買い取り価格より少し割り増しの価格で債権の回収ができる、そういう現象が起こっていることも事実でございます。そこに不適切さは全くないと私は確信しております。

中津川委員 説得力、全くないですよ。私の予算委員会の質問、見ていただいたということでありますけれども、社長、認識が甘い。あの質疑が終わってから、函館から相談が来たり、やくざよりひどい取り立てをしているということがたくさん聞こえてくるんですよ。これは私たち民主党だけじゃないですよ。多分ほかの、私の知り合いの議員にもそういうのが来ている。実態調査をしっかりやってもらいたいと思うんですよ。

 いろいろなRCCの取り立てが想像を超える、今申し上げました、厳しいという。中津川先生、これは財務内容がかなり悪いんじゃないの、だから利益を出さないといけないから無理な取り立てに走っているんじゃないかなんという声を、言ってくる方もいるんですよ。

 それで、財務諸表、これを取り寄せまして、きのう説明していただきました。きょうも社長の話で、この資料の「業務の概況」も見させてもらったんですが、これだけじゃちょっと足りませんので、もっと詳しい資料をひとつ提示していただきたいと思うんですが、いかがですか。

奧野参考人 皆さんの調査活動は国政調査権に基づく活動だと思っておりますので、出せる資料は極力お出しして、私どもも皆さんの声を聞いて襟を正して活動していきたい、そのように考えております。

中津川委員 今、社長がお述べになったことは大変、それは全く社長の姿勢として正しいと思いますので。RCCの積極的な情報開示の姿勢、これが今一番問われておりますね。ぜひそれはお願いしたいと思うんです。

 あと一分少々でありますけれども、「RCCの概況」には、回収指針として、人間への尊厳を損なうことがあってはならないとうたっております。きょう、社長も毅然として堂々と、人間の尊厳の確保と、それから話し合いによる解決ということをこの委員会の場でおっしゃられました。それを貫いてもらいたいと思うんです。私たち議員のところにこういう苦情があるうちは、社長の理想としている会社の経営と、実際あなた方がやっている回収方法、これが大変離れているということを、社長、きょうこの場でしっかり認識してもらいたい。

 まだまだたくさん議論したいのでありますが、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

金田委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 委員長にお許しをいただいて、八枚の資料を配らせていただいています。

 きょうは、奧野社長、本当にありがとうございます。RCCを平成の適塾にしたいということで、企業倒産法制の権威であられます奧野社長がRCCの社長になられたことを私は大変喜んでおります。

 ただ、きょうここで明確にしておきたいのは、RCCのガバナンスです。そして、回収における実態です。かなりつらいものがあります。これは、もともとRCCができた経緯にもよる。

 あのころは、まさに国民負担をゼロにするという正義の御旗。しかし、現実に集まってこられた弁護士さんたちはどういう人たちだったのか。奧野先生と同じような、会社の倒産あるいは再生といったことを手がけてこられた方々なのか。いや、そうではなかったのではないか。そして、その弁護士さんが年収二千万円、顧問という形でですね、これは予算委員会でのお答えにありますから、約七十人の人たちが二千万円もの顧問料をもらう。その中で、現場でどういうことが起こったかということを、きょうは少し問題認識として共有化したいということで質問に立っています。

 まず質問でございますが、RCCが契約をされている弁護士の中で、金融整理管財人を務めてきた経験のある弁護士さんは何人おられますでしょうか。

奧野参考人 ただいま、破産している案件がかなり世の中に多うございますので、通常、弁護士は四年ほど経験いたしますと破産管財人の経験をされておりますので、私どもに勤務して顧問になっている、あるいはその他の弁護士も、ほとんどが管財人の経験を持っておられると思います。

原口委員 私どもの調べているものと違いますので、そこはまた少し詰めていきたいと思います。

 お手元の資料をごらんになってください。

 私は、きょう、社長がお見えになるからには、RCCの貸借対照表を示し、そして現在の経営の状況、それから御自身の会社のガバナンスについてお話をされると思っていました。短い時間ですから、運用の実態だけお話をされたわけですけれども、この資料の一をごらんになってください。驚くべきことが起こっているんですよ。

 RCCの社員、これは福岡支店に勤務をしていた人物でございますが、この人物が、事もあろうに、回収したお金を長年にわたって着服しているんです。今裁判になっていますけれども、RCCの債務者からの借金もかなりあった。これは山田さんという方がRCCに申告したことで発覚したんです。まじめに返している人のお金をこの人間はポーカーゲームやそういったものに使っていた。そして、私の調査では、平成八年、まさに立ち上がったときから、平成八年といったら中川さんや私たちが国会議員になった年です、これまでにずっと悪事を重ねているじゃありませんか。しかも、この人間はRCCのその支店の管理課長、つまり、債権回収の管理をやる人間なんです。管理をやる人間と取り立てをやる人間が同じなんですよ。

 社長、なぜ長期間この犯行がわからないんですか。発覚後の調査をどうされましたか。そして、被害弁済、つまり、まじめに返した人のお金を横領していますから、この人間はポーカーゲームですってすってすりまくっているから何の弁済能力もない、この弁済はだれがやるんですか。明確にお答えください。

奧野参考人 この犯罪がRCCにとってわからなかった、私が社長に就任する二日前の出来事でございますけれども、そのとき初めてわかったというような、そういうことでありましたことは、RCCの社長といたしましても大変遺憾に思っております。

 長くわからなかったのは、まず犯行の手口となりました債務者がいわゆる正常債権扱いになっておりました関係で、その後、そういう不正が行われているということがわかるきっかけが組織上できていなかった、そういうことで発覚がおくれたものと考えております。そういう意味で、要するに、管理に当たる者が回収にも当たっている。当時、福岡支店では、七つの住専関係の支店がございまして、破綻行からの債権の譲り受け業務と回収業務とが非常に混沌一体の関係となって紛れ込んできておりまして、その当座の処理に追われている余りに不正がわからないで昨年まで来たというのが実情でございます。

原口委員 弁済は国民のお金でやるんですよ。違いますか。違ったら違うとおっしゃってください。RCCは国民のお金でこの何千万という穴を埋めるんです。

 RCCがなぜ批判を浴びるかというのは、先ほど石井議員がお話しになった再生のところ、それから取り立てのところ、その案件そのものが大変争いのある案件である。この御苦労は大変わかります。しかし、一方で、国費に返るべきものについては強制調査権まである。国策会社、株式会社といいますけれども普通の会社じゃないんです、物すごく大きな権限を持った会社なんです。その権限を持った会社の課長が、先に弁済してくださいと言えば、債務者はもうひとたまりもないんです。ひとたまりもないものを着服する、そして八年間もそれが発覚をしないというのは、これから言いますような構造があるからです。

 その構造を正さない限り、この審議を何のためにやっているのか、RCCを本当に存続させた方がいいのか、そうじゃなくて早く整理をした方がいいのか。住専勘定というのは、十五年しないと国民の負担が確定しません。十五年後、つまりあと五年ぐらいですか、五年ぐらい後にふたをあけてみて。

 RCCの貸借対照表も資料の中にお示ししています。しかし、これを見れば、どう考えてみても、平成十四年、借用金が十六兆立っているんです。そして、有価証券を十兆七千億、資産の部で持っている。これが腐っていたら何が起こるか。国民負担は莫大なんです。だから、きょう来ていただいているということを、社長、御認識いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

奧野参考人 RCCは株式会社でございますが、通常の株式会社のような経理はできません。通常の株式会社と同じ経理の仕方をすれば、RCCは黒字会社でございます。本年度も、通常の株式会社であれば、税金とおぼしきお金を相当額納めることになるわけでございまして、そういう意味で、私は、究極のところ、国民負担はないというふうに考えておるわけでございます。

 ただ、住専勘定についてはやはり縦の勘定で、住専勘定なりの勘定をしなきゃいけないということがございますので、この点については引当金を積む等いたしまして、最終の出口に対しては国民負担を最小限にとどめるべく努力をしているということは御理解いただきたいと思っております。

原口委員 国民の負担で埋めるということも御否定なさらなかったので、そのとおりだというふうに解釈をしておきます。

 資料二をごらんになってください。三ページです。整理回収機構は、この案件でも金融庁から業務改善命令を受けて、行政処分を受けているんです。ここに書いてあることを一つ一つ見てみると、基本的な、一般的な会社としての体裁もなしていないということを金融庁が言っているわけであります。

 五ページ目をごらんになってください。これは、私が理事会で何回も皆さんにお願いをして、やっと出てきたものです。実は、あの外務省不祥事で裁判にかかっているところはごく一部なんです。私たちは、ODAルート、北方ルート、ロシアルート、いろいろなところの不正を国会で追及をしました。外務省や厚生労働省ですらそこで何が起こったかという報告書を出しています。しかし、皆さんが出されたこの鎮西容疑者にかかわるものはたったこれだけなんです。

 内部調査をされていると思います。社長にお願いします。時系列で、なぜこんなことが起こったか。こんなことが長年発覚しないわけないんです。これは今、久留米で、舞台は久留米なんです、私は佐賀ですから、あの閉じられた空間、人と人との距離の近い空間の中でこんなことが発覚しないわけないんです。発覚しなかったのは、見て見ぬふりをしてきた、そして組織的に隠ぺいをしてきた、その疑いが強いんです。

 社長がなられる前、五日前に発覚した事案ですね。ですから、ここで社長を厳しく問うのは大変気の毒なところがあります。しかし、起こったことは変えることはできないけれども、次、どうしたらこういうことが起こらないか。いや、ほかでも起こっているんです。社長の手元に、これは皆さんのお手元の一番最後のページに出しています。

 先日、朝銀について、私はこの委員会で預保に朝銀の回収案件について調査を要請しました。あの案件は驚きました。サバイという管理会社が管理している案件でございましたが、ミレ信用組合は何億というお金を債権放棄していました。債権放棄をした相手は元気で頑張っているパチンコ屋さんじゃないですか。そして、その案件は、一番最後に何がいっていたかというと、その人間がつくった別の会社に落とされていたんです。こんなことが普通できますか。こういうむちゃくちゃな不良債権の処理を正すためにRCCがあり、預保があるんだというふうに思います。

 この物件はまた別の物件ですが、サバイ総合管理というRCCの管理会社です。管理会社が管理している物件を、その詳細は、今社長のお手元にすべてお届けしていますが、これはRCCが出した資料ですから、これを競争入札ではなくて簡易入札方式で売却しているんです。資料をごらんになってください。八ページ目です。

 皆さんの八ページ目、入札期間、平成十四年二月二十七日から平成十四年三月二十二日、約二十三日間の短い期間で入札をしている。しかし、上の日付をごらんになってください。サバイ管理会社様の一番上のところです。平成十四年の二月二十六日という整理回収機構の日付があります。きょう通知をして、あしたから入札をしますよという入札がありますか。

 RCCは特殊な機構をしているんです。債権の回収の現場では、それぞれの社員の皆さんが一生懸命頑張っている。しかし、現実に実権を握っているのは弁護士なんです。弁護士と管理会社が握って、価格を自分たちのいいように決めれば、自己競落を繰り返し、そして競売を不調に終わらせて、そこで癒着を繰り返せば幾らでも意図的にできるような仕組みなんです。自分の管理会社が管理している物件を、落としたらどうですか、そして入札の公示もしないで、こういう形にするということがありとあらゆるところで起こっているじゃありませんか。

 ですから、今回、鎮西の問題も、私の聞き取り調査では、部下が悪いことをしていても、その上の弁護士も似たようなことをしている、後ろで大きなキックバックをもらっている、そのおそれがある、だからお目こぼしをするしかないんだ、隠すしかないんだ、臭い物にふたをするしかないんだということをやってきているんじゃありませんか。

 社長、この文書はRCCが出した文書です。このことについて御所見があればお伝えください。

奧野参考人 それでは、この一番最後の文書のことについてお答えいたします。

 入札期間がこの文書を出した翌日から始まるということで何か不正があるのではないかということでございますけれども、その入札期間は一カ月の期間が与えられているわけでございまして、こういう入札、簡易入札の方法は、RCCでは一般的に行われていることでございます。

 それで、ほとんどの案件は最終日に応札してくるという実態になっておりまして、十分な考慮期間を与えておりますし、その間に不正があるということは私は考えてございません。

原口委員 私はこの物件を落札したいと思っています、しかし、当該会社は管理している会社で、どういうデータを持っているかというのは、情報が非対称的ですね。私は、今、大変なことをおっしゃっていると思いますよ。私は、奧野先生であれば、お父様はあの寄附金裁判でも有名な先生だと承知をしていますが、まさに日本の正義を代弁してきた、日本のさまざまなやみと闘ってきた、理不尽と闘ってきた方であれば、私は、ここで調査をしてみますというお答えを期待していました。

 これが一般的であれば、あの北方領土をめぐる、佐々木さんがこの後質問をされますが、あれだって公示の三日後に入札していましたよ。あれだってと言ったら悪いけれども。それだって不正な入札ですよ。こういうことを繰り返していて、これが一般的でございますということであれば、私たちはRCCに対する法律をやはり変えなければいけないというふうに思います。

 七ページをごらんになってください。平成十六年度の担保物件の売却実績というものでございます。住専勘定とそうでない勘定で分かれています。任意売却をこれだけやって、競売をこれだけやりました。この数字についても一つ一つ追っかけていくと、先ほど中津川委員が指摘をいたしましたように、まじめに頑張っている人からは厳しい取り立てをし、先ほど私が指摘をした朝銀のようにこの物件についてはぜひ調査をRCCもやっていただきたい。いや、これは預保の問題だと逃げないでほしい。何となれば、皆さんには、たくさんの預金保険機構の枠を通した回収の義務が課されている。

 社長に改めてお願いします。さまざまな債権回収現場の実態をもう一回洗いざらい調査をしてください。少なくとも今私が指摘をした二つの案件については調査をしていただくように強く要請をしたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

奧野参考人 この八ページの資料の案件については、十二の業者に対して入札の誘いをかけておりまして、十二の業者を通じて広く買い主を募る、そういう働きかけを現実にしているわけでございます。

 それで、なぜサバイをその一つに選んだのかというと、その十二の中の四つの、できるだけ地元の業者から四つの仲介業者を選ぼうということでその中にサバイが入った、そして、サバイがそこの管理会社であったということでサバイを選んだという報告を私は聞きました。それで、現実にだれが落としたのかというと、これは一流の不動産業者のあっせんに係る民間の方がこの物件を落としているわけでございまして、サバイが応札しているわけではないということは知っていただきたい。

 それからもう一つ、先ほど先生が御指摘の、九州の案件などで何か隠ぺい工作があるのではないかという、そういうことは断じてないということは信じていただきたい、そのように私は思います。

原口委員 言葉で信じろと言われても、だったら信ずるに足る資料を、挙証責任はそちらにあると思います、その資料を出してください。皆さんは、九州のこの案件、鎮西の案件では聞き取り調査をされているはずです。その一片も出てこないわけです。

 RCCは、負債の部で十六兆の借用金を抱えています。有価証券も十兆円抱えています。債権回収の現場で起こっていることについて、これは委員長にお願いをいたしますが、当委員会で、このRCCの問題について、債権回収の問題について、集中的な審議をしていただきますようにお願いを申し上げます。

 社長には少し失礼なことがありましたかもわかりませんが、社長一人が頑張ってみても変わりません。現場から上がってくる報告が本当に正しいものとは私は思えないんです。すばらしい経験を生かしてRCCを立て直すか、それとも、それが無理だということであれば早く整理をする。RCC自体が整理の対象となっているのではないかという懸念を私たちは持っているということをお伝え申し上げまして、わざわざお忙しい中、お見えいただきましたことに対して謝辞を申し上げまして、質問にかえます。

 ありがとうございました。

金田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、私は、銀行からRCCに移される側の債務者といいますか中小企業の立場から考えてみたい、お聞きをしたいと思います。

 銀行から債権を譲り受ける場合、その債務者は、いつRCCに移るのか、それからどのような価格で売られたのか、そういうことについては当人に知らされるのでしょうか、事前には知らされるのでしょうか、あるいは事後にもどの程度の内容が知らされるのでしょうか。その点をお聞きしたいと思います。

奧野参考人 事前に知らされて了解をとる場合もありますし、知らされない場合もある。知らされない場合は、債権譲渡の場合は、やはり事前に告知をする必要がありますから、債権譲渡をしましたということの告知を銀行からされるという形で知らされる、そういうのが実態だと思います。

佐々木(憲)委員 事前に知らされる場合というのは、比率はどのくらいでしょうか。私は、ほとんど知らされていないんじゃないかと思います。それから、幾らであなたは売られたんですよなどということは知らされるんでしょうか。

奧野参考人 対抗要件の条件を具備するところの債権を譲渡しましたよということの通知は、これは一〇〇%なされるわけでございますが、その了解をとるような形で事前に話されるというようなことについての統計的な数字は、私、持ち合わせておりませんので、回答することはちょっとここではできませんのです。

佐々木(憲)委員 事前の了解はないと思います。つまり、銀行の判断、それからRCCとの協議、その中で買い取るということなのであって、本人の意思でRCCに行きたいという中小企業はほとんど私は聞いたことがございません。

 次に、整理回収機構の経営理念のところの「回収指針」というのを見せていただきましたが、契約の拘束性の追求、人間の尊厳の確保、それから企業再生の追求ということで、まず企業再生の追求ですが、三百六件という再生実績ということをお示しになりました。しかし、買い取られた、譲り受けた債権の件数というのは膨大なものだと思うんですね。例えば、住専勘定の場合は約十六万件、破綻金融機関の場合は十五万件、それから健全銀行の場合も一万二千件で、これを合わせますと約三十三万件になる。そういう中のわずか三百六件というわけでありますから、〇・〇九%ぐらいですか、本当に微々たるものでありまして、これは全体の、指針、方針の、三つ挙げていますけれども、再生という点に限りますと、まだまだこれはほとんど実績と言えるようなものでは私はないのではないかと。

 そこで問題は、それ以外の部分が一体どうなっているのかという点です。

 先ほど、条件変更で五千件ぐらいあるとおっしゃいました。そうしますと、五千三百件まだ企業としては生きていると。それ以外は一体企業としての存続というものがどうなっているのか。回収ですから、当然企業としては破綻するところが圧倒的だと思うんですが、いかがでしょうか。

奧野参考人 お答えいたします。

 まず、私どもが譲り受ける債権というのは、破綻、要するに実質破綻と破綻懸念先という、そういう先の債権を譲り受けるわけでございます。それから、御指摘の数の中にはいわゆる自然人、住宅ローン等の自然人の数も含んでおりますので、必ずしもそのすべてが企業であるというふうにはなっておらないわけです。

 そういう意味で、私どもは、すべての案件についてどういうふうに処理をしていくかということは非常に丁寧に当たっておりまして、そして、再生可能なもの、あるいは条件変更等で事業が生き延びるものについては積極的に拾い出せという作業をさせている。その結果、そういう数字になっているわけでございまして、冷たい対応をしているという先生の御指摘は、私の現場の感覚からすると決して当たらないな、そう思っているのでございます。

佐々木(憲)委員 それでは、回収をする場合の原理原則といいますか考え方ですけれども、契約の拘束性の追求というのと人間の尊厳の確保、この二つは、バランスということを言われますが、どちらに重点があるかという点を考えますと、これはやはり人間の尊厳の確保。つまり、その人が生活ができないような状況に追い込む、あるいは自殺に追い込むような過酷な回収というものはやってはならないと思うわけです。そういう意味で、人間の尊厳の確保というものが優先されるべきだと思いますけれども、社長はどういうお考えでしょうか。

奧野参考人 まず、対象となる破綻先というのは、自然人と法人というふうに二つに区別いたしますと、自然人の場合は、幸福追求権の保障というのがあるわけでございますので、可能な限りその人の人間を尊重した回収の仕方をしなきゃいけないということに努めておりまして、どちらが優先するのかというふうに聞かれるのであれば、それは人間を尊重するということを私どもは優先して考えております。

 ただ、正常債権の弁済をしている、正常にこつこつ弁済している人がたくさんいるわけでございまして、その人を基本原則とすると、私どもは、誠実に対応してこない、資産も開示しない、そういった人に対してはやはり正義の鉄槌を食らわさなきゃいけないというところもあるわけでございます。もう少しわかってもらえないか、まじめな人と比較してあなたは不誠実です、生きたいのであれば、事業を存続させたいのであれば、なぜもう少し誠実に対応してくださらないんですかという、そういうことで実はいろいろなもめごとが起こってまいりますのです。

佐々木(憲)委員 企業の場合、相手を見きわめるという今おっしゃったことは大事だと思いますけれども、問題は、経済状況が非常に今厳しい状況がありますので、本人が誠実ではありましても実際になかなか返済が計画どおりいかない、そういう場合には、当然、返済の条件を緩和するとか、つまり、その財産状況をよく把握をした上で相談に応じて誠実に対応するということが私は大変重要ではないかというふうに思います。

 それから、機能として一つ確認をしておきたいのは、返済の条件変更というのはあるとおっしゃいましたが、RCCには新規融資という機能はたしかなかったと思いますが、そういう場合、例えば事業の再建ということを考えた場合に、新しい融資というものは一体どういう手だてで行われるのか、その点を最後にお聞きをしておきたいと思います。

奧野参考人 破綻懸念先、実質破綻先を私どもは再生するわけでありますので、なかなかリファイナンスの機会にめぐり合わせられない、非常にそこのところ苦しむわけでございます。それが、最近、リレバン機能であるとか、中小企業再生支援協議会などと連絡をとりまして、私どもは、再生に必要な条件整備、インフラ整備をいたしまして、金融機関が安心してリファイナンスのできる条件を整えまして、そしてリファイナンスを受けるということにしているわけでございますが、最近、ようやく積極的にそういうリファイナンスを、応ずる企業がふえ始めまして、私どもは大変救いを与えられている、そういう思いは正直しております。

佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。

金田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人におかれましては、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございます。委員会を代表いたしまして、お礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二分散会


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