衆議院

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第22号 平成17年4月27日(水曜日)

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平成十七年四月二十七日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 金田 英行君

   理事 江崎洋一郎君 理事 遠藤 利明君

   理事 竹本 直一君 理事 村井  仁君

   理事 中塚 一宏君 理事 原口 一博君

   理事 平岡 秀夫君 理事 谷口 隆義君

      岡本 芳郎君    木村 太郎君

      熊代 昭彦君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    鈴木 俊一君

      砂田 圭佑君    田中 和徳君

      永岡 洋治君    早川 忠孝君

      宮下 一郎君    森山  裕君

      山下 貴史君    吉野 正芳君

      渡辺 喜美君    井上 和雄君

      岩國 哲人君    小林 憲司君

      鈴木 克昌君    田島 一成君

      田村 謙治君    津村 啓介君

      中川 正春君    野田 佳彦君

      馬淵 澄夫君    村越 祐民君

      吉田  泉君    石井 啓一君

      長沢 広明君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   参考人

   (日本証券業協会会長)  越田 弘志君

   参考人

   (株式会社東京証券取引所代表取締役社長)     鶴島 琢夫君

   参考人

   (日本公認会計士協会会長)            藤沼 亜起君

   参考人

   (東京大学大学院法学政治学研究科教授)      神田 秀樹君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

四月二十七日

 消費税の大増税反対に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一〇四七号)

 庶民大増税反対に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一〇四八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇四九号)

 消費税の増税反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一一〇一号)

 庶民に対する課税強化の取りやめに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一一〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 証券取引に関する件


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ち、去る二十五日のJR福知山線の事故により亡くなられました多数の方々に哀悼の意を表し、心より御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立願います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

金田委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

金田委員長 証券取引に関する件について調査を進めます。

 本日は、参考人として、日本証券業協会会長越田弘志君、株式会社東京証券取引所代表取締役社長鶴島琢夫君、日本公認会計士協会会長藤沼亜起君、東京大学大学院法学政治学研究科教授神田秀樹君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、越田参考人、鶴島参考人、藤沼参考人、神田参考人の順序で、お一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。

 それでは、越田参考人、よろしくお願いいたします。

越田参考人 日本証券業協会の会長を務めております越田でございます。よろしくお願いいたします。

 常日ごろ、諸先生方には、証券市場、証券界に対して御理解、御支援をいただき、この場をかりまして厚く御礼申し上げます。

 株式市場は、一昨年の四月に日経平均株価が七千六百七円をつけ、バブル崩壊後の最安値をつけましたが、その後の日本経済、企業業績の回復、不良債権問題の処理による金融不安の回避などにより、その後の株価は上昇に転じております。最近は、アメリカの株式市場の下落や中国でのストにより外国人投資家の買いが減少し、相場は弱含みにありますものの、数年前の悲観的な状況からは抜け出し、景気の改善に支えられつつ、長期的には強気の見通しが多いように思われます。

 この間、国を挙げて、日本経済の再生に向けて、法令改正を含めさまざまな政策に取り組んでいただきました。特に、一昨年、昨年の証券税制の改正において、貯蓄から投資への政策を推進するため、株式売買益等に対する一〇%の軽減税率を初め種々の措置を講じていただきましたが、これらの措置は、諸先生方の多大なる御理解、御支援のたまものであり、この場をおかりして、重ねて御礼を申し上げます。

 私ども証券市場に携わる者といたしましては、かねてより、証券市場の活性化に心がけておりますが、この活性化は、証券市場に多様な投資家の参加があってこそ実現するものであります。そして、証券市場に多くの投資家に参加していただくためには、市場の透明性、公正性は欠かせないものであると認識しておりますが、残念なことに、企業買収と公開買い付けに伴う市場ルールのあり方や上場企業の継続開示の不備が問題となり、証券市場の透明性、公正性が改めて問われる事態が発生いたしました。

 企業買収という行為については、それ自体問題があるわけではなく、不公正、不適当な行為として実行されるところに問題があると考えます。本来ならTOBで行うべき取引が立ち会い外取引により行われ、一般株主が事情を知らないまま、取引にも参加する機会のない形で進められたことは、制度の趣旨から見て問題ではないかと考えます。

 また、投資家が株式投資を行う場合、発行会社の状況が適切に開示されていることが原則であり、発行会社に大きな影響を及ぼす親会社があれば、当該親会社の状況が開示されていない場合、投資家は目に見えない部分で常にリスクを負ってしまうことになります。申し上げるまでもなく、市場の透明性、公正性の確保は、発行会社の正しい開示が前提であります。

 これらの問題につきまして、今般の証券取引法改正により、公開買い付け、TOB規制の適用範囲の見直し、そして上場会社の親会社に対する情報開示の義務づけ、継続開示に対する課徴金制度の導入について速やかに御対応いただけることは、まことに時宜を得たものと存じております。

 さらに、日本語による要約等の添付を前提とした外国会社等の英文開示を認めていただくことにつきましても、我が国証券市場の国際化、競争力の向上の観点から重要であると存じます。

 最後に、私ども証券界といたしましても、さらなる証券市場の活性化に取り組むとともに、今般の証券取引法の改正が証券市場の信頼向上につながるよう努めてまいりたいと存じますので、諸先生方におかれましても、引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げます。私の冒頭陳述といたします。

 以上です。(拍手)

金田委員長 越田参考人、ありがとうございました。

 次に、鶴島参考人、よろしくお願いいたします。

鶴島参考人 東京証券取引所の鶴島でございます。

 本日は、当委員会におきまして意見を述べる機会を与えていただきまして、厚く御礼を申し上げます。

 御高承のとおり、証券市場は企業の長期資金調達の場であり、また国民の資産運用の場でございまして、それを通じ、国民経済の円滑な発展に寄与するという役割を担うものでございます。

 こうした証券市場が本来の機能を果たすためには、市場に対する信頼性を確保することが必要不可欠であると考えておりますが、そうした中で、昨年来、株式市場のあり方、あるいは市場での取引のあり方といった点でさまざまな事象が発生し、改めて市場の信頼性が問われていると認識をいたしております。

 昨年、市場で大きな注目を集めました西武鉄道の件などにつきましては、私どもも非常に重要な課題をちょうだいしたと受けとめ、上場制度の見直しを中心に、幾つかの施策を講じることで対応をさせていただきました。

 簡単に紹介をさせていただきますと、まず、上場会社が遵守すべき基本理念といたしまして、東証の適時開示規則の中に、上場有価証券の発行者は投資者への適時適切な会社情報の開示が健全な証券市場の根幹をなすものであるということを十分に認識し、常に投資者の視点に立った、迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を徹底するなど、誠実な業務遂行に努めなければならないということを明定いたしました。

 また、投資者への適時適切な情報開示につきまして真摯な姿勢で臨む旨を述べた宣誓書を上場会社に提出していただきますとともに、上場会社が有価証券報告書等を提出した場合、私どもに有価証券報告書等の記載内容の適正性に関する確認書を提出していただき、それぞれ東証ホームページを通じて一般の閲覧に供することといたしました。

 さらに、ことしに入りましてからは、ニッポン放送株式をめぐり、企業のMアンドAや敵対的買収防衛策につきまして、株式市場の制度がそれにどのように対処をするのかという点が課題となっております。

 この件につきましては、商法の改正を含めまして、これから各方面でまだ議論が進むものと考えておりますが、私どもでは、去る四月二十一日に、上場会社各位に対しまして、「敵対的買収防衛策の導入に際しての投資者保護上の留意事項について」と題しまして要請を行っておりますので、その内容につきまして簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。

 留意事項の内容は、大きく四点ございます。

 第一に、株主、投資者に対して十分な適時開示が行われるということであります。

 第二点目は、防衛策の発動、解除及び維持の条件が不透明でないことであります。

 三点目は、買収者以外の株主、投資者に不測の損害を与える要因を含むものでないことでございます。

 この点につきまして一言つけ加えさせていただきますと、例えば、買収者があらわれたことを行使の条件とする新株予約権を利用した防衛策、これはライツプランあるいはポイズンピルと呼ばれておりますけれども、こうした防衛策のうち、新株予約権を防衛策導入時点の株主等に割り当てておくといったスキームでは、防衛策が実際に発動されますと、新株予約権を保有していない株主、すなわち割り当て日の後に株主になった者は、買収者以外の株主であっても、保有している株式の価値が大きく希釈化をされ、著しい損失をこうむる可能性がございます。このように、買収者以外の株主、投資者に不測の損害を与える要因を含む防衛策の導入は、市場の混乱を招くものでありまして、投資者保護上適当でないと考えている次第でございます。

 四点目は、株主の意思表示が機能しない防衛策でないことであります。

 株主の意思に基づいて取締役が解任された場合においてもなお解除することができない防衛策、いわゆるデッドハンド型の防衛策と申しますが、このような防衛策が講じられておりますと、買収者の提案が株主総会で支持された場合でさえも買収が実現しないこととなりまして、議決権行使による株主の意思表示が機能しないということになるわけであります。このような防衛策を導入している会社が発行する上場株券は、他の一般の上場株券と比較をいたしまして重要な権利が十分に備わっていないものと言えるわけでありまして、証券市場において投資者に提供する上場物件としての適格性に欠けるというふうに考えられます。したがいまして、こうした状況を生じさせる防衛策の導入は、原則として投資者保護上適当でないと考えているところであります。

 この留意事項に掲げました考え方は、五月に公表をされる見込みの、経済産業省、法務省による企業価値防衛指針の内容や関係各方面の議論を踏まえて、将来の制度化を視野に入れておりますことから、この留意事項に沿わない内容の防衛策を導入した会社が仮にあった場合には、制度化後にスキームの見直しをお願いすることも考えられるわけでございます。そのため、上場会社各社には、明確でない場合にはあらかじめ私どもに御相談をいただくよう御案内を申し上げているところであります。

 次に、まとめといたしまして、最近の市場における投資環境につきまして、私どもが感じておりますところを簡単に述べさせていただきたいと存じます。

 取引所市場を中立公正に運営していく立場にある私どもといたしましては、各企業の個別具体的な戦略や行動につきましてはコメントをする立場ではございませんが、一般論として申し上げますれば、上場会社がさまざまな戦略を検討したり行動を起こしたりする際には、株主や投資者の視点に立って考えていただくことが必要となりますし、この戦略や行動に対する評価は基本的にはマーケットによって評価されるものであると考えております。

 また、上場株式の売買は、証券取引法を初めとするルールに基づいてだれでも自由に行えることでありますし、上場会社の企業活動も、商法を初めとするルールに基づいて自由に行えることが原則であると考えます。

 しかし、多くの投資者が集まります市場におきましては、その市場に参加する、あるいはその市場を利用するための前提があると考えております。それは、当たり前のことではありますが、株主や投資者の視点に立った行動をしていただくということではないかと考えております。売買をする場合もそうですし、上場会社がさまざまな企業行動をとられるときもそうであります。みずからの行動が株主の利益になるか、投資者にとって公平であるか、その行動に透明性があるか、こういうことだと思います。そうした基本的考え方に立って市場を利用するというのが、市場利用者に求められる資格要件ではないかと考えているところであります。

 そこで、こういった視点で市場を利用いただいたかということが最初にございます。また、私どもといたしましても、そういう市場利用の前提めいたものを御理解いただき、守っていただくための一層の努力が必要であり、そのための具体的対応も図らなければならないと考えているところでございます。

 それから現在の市場は、いわゆる金融ビッグバン以降導入されてきたさまざまな制度が、導入当初の趣旨とは異なる使われ方をしてきているということも感じております。本来の趣旨と異なる使われ方のすべてが問題ということではございませんが、よかれと思って導入した制度が、市場の信頼性を脅かしたり投資者にとっての透明性に欠けるということになれば、やはり市場の健全性という視点からはどうかという感覚もございますし、さまざまな制度本来の趣旨を十分に酌み取っていただく必要も感じているところでございます。

 ニッポン放送株式をめぐる一連の出来事は、社会的にも注目を集め、私どもが開設する市場がどのように利用されるのかという点も含めた、ルールと上場会社や投資者の経済活動の自由との関係につきまして、非常に幅広い関係者の方々に関心を持っていただく契機になったのではないかとも思います。もちろん私どもにとりましても、一連の出来事を通じて、さまざまな点から問題が提起されたものと受けとめております。

 提起された問題の中心は、やはり公開買い付け制度や敵対的買収に対する課題になるかと存じますが、会社支配権をめぐる問題以外にも、関連する課題といたしまして、株式分割や転換社債を使った資金調達などにつきましても、その制度本来の趣旨や市場のあり方との関係について指摘がなされているものと認識をしております。

 こうした問題提起を受けまして、私ども東証では幾つかの対応策を講じたところであります。一例を挙げますと、株式分割が、投資単位の引き下げを通じて、個人投資者層の市場参加を促す有効な手段であることを十分に認識した上で、極端に大幅な分割の場合は株価の急激な変動を招く事例が見受けられることから、上場会社へ向けて、この三月に「大幅な株式分割の実施に際してのお願い」と題する要請をした次第でございます。

 また、ToSTNeTを利用した、公開買い付け規制の趣旨に反するような取引への対応といたしましては、公開買い付け規制に係る改正証取法が施行されるまでの間に、公開買い付け制度の趣旨に照らして問題とされるような取引が行われないよう、ToSTNeT取引の受託については十分に注意していただくように市場参加者に対し要請を行ったところでございます。

 私どもといたしましては、今後とも、市場運営者として、投資者が安心して参加できる投資環境を提供できるよう、一層の努力を払ってまいる所存でございますが、当委員会及び委員の諸先生方におかれましても、今後とも証券市場の発展に御高配を賜りますようお願いを申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

金田委員長 鶴島参考人、ありがとうございました。

 次に、藤沼参考人、よろしくお願いいたします。

藤沼参考人 公認会計士協会の藤沼でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、参考人として意見を述べる機会が与えられましたことに対して、まことに感謝しております。私は、日本の消費者社会からという問題が、やはり銀行から証券へという流れをつくらなくてはいけないというふうに信じております。そういう面で、強固な信頼できる資本市場をつくるということは非常に大事なことであるというふうに私は思っております。

 特に、これは一部の分野の人だけが改善の努力をすればいいということではなくて、すべての資本市場の参加者、すなわち企業、それを監査する我々公認会計士、また基準の設定をする会計基準の委員会、あるいは監査基準、そういうような基準設定主体、あるいは証券アナリスト、格付機関、証券取引所、そういうようなすべての資本市場の参加者がきちっとした努力をすることが大事なのではないかというふうに思っております。

 公認会計士については、財務情報について、その適正性について信頼性を付与するという仕事でございますので、私どもはこの責任を重く受けとめ、きちっとした仕事をしていきたいというふうに思っております。

 きょうは証券取引に関する件ということで、法改正について、それとディスクロージャー制度の向上に向けての公認会計士協会の取り組みの問題、それと公認会計士協会の自主規制活動の充実策について御説明をさせていただきます。

 まず第一の、法改正についてでございますけれども、今回の法改正のポイントは、継続開示会社への課徴金の導入という修正案を含めて、四点あります。公認会計士協会としては、ディスクロージャー制度の改善に資する継続開示会社への課徴金制度の導入については、有価証券報告書の作成責任を有する企業にその適正開示を促すという観点から、賛成いたします。

 第二の、親会社等状況報告書制度については、自己責任でリスクを引き受ける投資家の投資判断情報の充実の観点からも必要であると考えております。

 第三に、外国会社等の英文による継続開示については、資本取引の国際化、グローバル化の観点から、時代にマッチしたものだと思っております。

 最後に、公開買い付け制度の見直しにつきましては、証券取引所における競争売買の方法以外の方法による取引ルールを明確化するという観点から、賛成しております。

 次に、ディスクロージャー制度の向上に向けての公認会計士協会の対応策についてでございます。

 今回、参考人として説明するせっかくの機会が与えられましたので、昨年秋に発覚いたしました西武鉄道の有価証券報告書の虚偽記載問題やIT関連業界の会計不祥事件等に関しまして、自主規制団体として、協会の対応状況を説明させていただきます。

 昨年末から協会が取り組んできた対応を集約したものとして、ことし三月に会長通牒「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けて(監査人の厳正な対応等について)」を発出し、今後同様な問題が再発することのないように、会員に強く注意を喚起いたしました。

 第一に、有価証券報告書等の不実記載への対応でございます。

 金融庁は、昨年十一月、有価証券報告書の虚偽記載問題を契機に公開会社約四千五百社に自主点検を指示いたしましたが、協会は、訂正報告書の訂正内容等について独自に集計、分析いたしました。その結果、約一四%強の会社で、名義株等に関する訂正のほか、多くは単純な掲載ミスでありましたが、そういうような訂正が発見されました。

 財務諸表を省く有価証券報告書の不実記載も、有価証券報告書の作成者である会社の責任であります。これらの不実記載は証券市場の不信感につながる可能性がありますので、監査人に対して、財務諸表以外の記載事項についても会社を指導するように注意を促しております。

 第二に、監査の品質管理レビューへの対応でございます。

 金融庁から公表されましたディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応において、個人会計士が行う監査の品質管理や、長期間監査を継続している監査人の独立性に重点を置いた品質管理レビューの実施が求められております。

 また、ことし二月九日には、協会は公認会計士・監査審査会から、品質管理レビューの向上に向けての提言を受け取っております。

 公認会計士協会は、レビュー体制の強化や監査事務所の品質管理の改善のために真摯な努力を行っております。そのために、レビュー体制を充実することから、レビュー員を十名から二十名に増員するとともに、ことしの三月には全国ベースで約五回の研修会を開催して、品質管理レビューの強化を会員に教育いたしました。

 あと、第三番目に、東京証券取引所との共同プロジェクトに関する件です。

 昨年十一月に東京証券取引所と公認会計士協会で共同プロジェクトを立ち上げ、対応策を検討しております。検討課題としては、東証と協会との横断的ホットラインの創設等前向きな案を取り上げ、今後とも検討作業を続けていく予定にしております。

 最後に、情報サービス産業の会計不祥事の対応です。

 これは、昨年情報産業の会計不祥事が多発したことから、昨年十二月にPTを結成し、本年三月にPT報告を公表いたしました。特に、情報産業が、ソフトウエアの取引等、無形資産、資産の実在性、収益の認識等の確認が極めて困難であるという特質を有しておりますことから、その辺の問題に取り組んだ注意喚起を会員に行っております。

 また、商社的取引、スルー取引、Uターン取引、クロス処理取引等、異常に入り組んだ売上計上基準で会計が行われておりますので、これは、企業会計基準委員会に収益認識基準の検討をお願いして、早急に検討されるということを聞いております。

 最後に、公認会計士協会の自主規制活動の充実についての取り組みでございますが、現在、JICPA、公認会計士協会の運営について、自主規制機能の充実と透明性の確保という観点から、総合的に検討しております。

 具体的には、品質管理レビュー体制の強化、各会員の監査の品質管理を強化するための体制を強化しております。あと、会員処分の公明性や透明性確保のために、綱紀事案処理体制の見直し、継続的専門教育、これはCPEと言っておりますが、その充実、あと、中小会計事務所の監査の充実のための支援策を検討するための常設委員会の設置等にも取り組んでおります。

 我が協会は、昨今の監査に対する社会の批判を真摯に受けとめ、自主規制機能を発揮し、監査の信頼性向上に精力的に取り組む所存でございます。

 以上でございます。(拍手)

金田委員長 藤沼参考人、ありがとうございました。

 次に、神田参考人、よろしくお願いいたします。

神田参考人 東京大学の神田と申します。

 本日は、本委員会におきまして意見を述べさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。さっそく私の意見を述べさせていただきたいと思います。

 お手元に一枚紙を配付させていただきましたが、私からは、投資サービス法の制定の必要性ということと、企業買収に関するインフラ整備ということの二つについて、お話をさせていただきます。

 まず、一番目の投資サービス法の制定についてでございます。

 本日、私は、投資サービス法という名前を使うことにいたしまして、金融サービス法という名前を使わないことにいたしますが、それには次のような二つの理由があります。

 すなわち、第一に、伝統的な銀行取引分野と保険取引分野についてはそれなりに業者ルールが整備されていますが、これらを除いた金融分野につきましては、これを投資サービス分野と呼びますけれども、横断的な業者ルールが不在でありまして、かつ、昨今のIT技術もあり、その不在の部分で多様な投資商品が続出してきています。したがって、そのような伝統的な銀行取引と保険取引を除く分野について、投資サービス法という投資家保護のための横断的な業者ルールの整備が急がれるということであります。

 第二に、投資サービス分野につきましては、市場の番人とでもいうべき強力な市場監視体制が必要でありまして、これを日本版SECなどと呼んだりいたしますが、これは伝統的な銀行取引や保険取引ではなくて、それらを除いた資本市場取引、すなわち投資サービス分野に必要なことであるからであります。

 そこで、(1)の投資サービス法の必要性についてであります。

 日本の金融資本市場は、伝統的な間接金融から直接金融へその軸足を移すべきことの重要性が叫ばれて久しいわけです。直接金融といいましても、個人の投資家と資金調達者との間には、年金ですとか投資信託ですとかそういった機関投資家が中に入る形も多いので、これを市場型間接金融と呼ぶ人もいます。近年は、企業再生ファンドからラーメンファンド、ワインファンドといったものに至るまで、次々とこのタイプの新しい金融の仕組みが登場し、将来はさらに一層多様な仕組みが日本に続々と登場することが予想されます。

 このような多様な投資商品の登場は、金融イノベーションを促進し資本市場を活性化するものでもありまして、いわゆる貯蓄から投資へという流れを後押しするものとして、歓迎すべきことです。また、多様な投資商品の登場は、投資家にとっても歓迎すべきことであります。それは、投資の対象が広がり、投資の選択肢が広がるからであります。

 しかし、このような投資商品が多様化すると必ず登場いたしますのが、投資家、特に個人投資家を欺くような詐欺的な販売、勧誘であります。したがって、投資商品の多様化を進めていくためには、制度的な基本インフラとしての投資家保護法制の整備が欠かせません。

 金融ビッグバンにもかかわらず、販売業者などを規律する業者ルールは、関係する業法も縦割りのままでありまして、横断的な法制が不在のままの状態です。

 現在の制度のもとで、資本市場の基本法と言われております証券取引法は、有価証券を対象としてディスクロージャー制度や業者ルールなどを定めていますが、そこでの有価証券概念は狭く定義されたままであります。平成四年の改正等で、それ以来、有価証券概念は少しずつ拡大されてはきておりますが、新しい動きには対応し切れておりませんで、最近の再生ファンドやラーメンファンドなどはそのほとんどが対象外となっています。

 このような現在の証券取引法は、次々と新しい投資商品が登場する結果として、その守備範囲が狭くなっていまして、図で申しますとすき間の部分が拡大しているということなんですけれども、こうした証券取引法の適用範囲の減少傾向が続いているわけであります。

 このような横断的な投資家保護法制が不備という状態では、投資商品によってはですが、業者を監督する官庁も不在で、被害をこうむった投資家は自分で損害賠償請求訴訟を起こすくらいしかないという投資商品が今後続々登場しかねないという状態にありまして、そのような資本市場が国民の信頼を得られるはずがなく、日本の資本市場の将来の発展は望めません。

 そこで、次に、投資サービス法の方向感でありますけれども、昨年六月の証券取引法改正では、組合形態の投資ファンドの持ち分を証券取引法の適用対象とするなど、その方向は正しい方向を向いていると思います。また、昨年十二月に成立いたしました金融先物取引法改正では、外為証拠金取引について、新しい投資家保護法制を導入しました。しかし、これらの改正は、これまでの法体系を大きく変えないでの緊急的な措置と理解すべきでありまして、近い将来には投資サービス法を構築することが急務であります。

 個々の投資商品ごとに現在の証券取引法や金融先物取引法の適用範囲を広げていくというやり方では限界があります。第一に、こういうやり方ですと、新しい商品が登場するたびごとに後から法改正をして対応するという後追いになってしまいます。第二に、現在の証券取引法は、伝統的な株や債券を念頭に置いておりますので、若干硬直的な構造になっています。

 したがいまして、現在の証券取引法を思い切って改組し、法律の名前も、この際、投資サービス法などと改称いたしまして、その中身のルールも柔軟化して、各種の投資商品あるいはその仕組みに応じた柔軟な規制構造をつくり上げる一方で、投資家への業者による投資商品の販売、勧誘につきましては横断的なルールを整備することがぜひとも必要であります。その目的は、資本市場分野における投資家保護ですけれども、同時に、金融イノベーションの促進を通じた日本の資本市場の活性化にあることを忘れてはならないと思います。

 そして三つ目に、市場の番人も必要ということでありまして、日本の資本市場は、市場の番人として知られるアメリカのSECのような強力な、日本版SECと呼ぶことができるような体制を樹立することが必要と思います。

 昨年の改正でも、一定の市場ルールに違反した者に課徴金を科す制度を新設するなど新しい取り組みが含まれており、また、昨日この衆議院で可決いただきました改正法案では、流通市場における虚偽開示の場合に課徴金制度を導入いただきましたことは大変重要なことでございます。今後は、資本市場への国民の信頼を確保するためにも、十分な予算と人員を擁した市場監視機能とその体制を強化するということが日本にとって不可欠の課題だと思います。

 以上をまとめますと、資本市場は特に自由度が高い市場であり、そうでなければ発展しません。しかし、自由と引きかえに、市場を悪用し投資家を欺く業者が後を絶ちません。したがいまして、資本市場を横断する業者ルールである投資サービス法を整備するとともに、市場の番人となる、日本版SECと呼ぶことができるような市場監視体制を樹立することが急務であると思います。

 次に、簡単に、二つ目の、企業買収についてのインフラ整備について申し上げます。

 最近のニッポン放送をめぐる裁判等は、日本でも企業買収本格化時代を一気に迎えたという感じを強く与え、そして、日本で企業買収本格化時代における法や裁判所の役割は何かということを考えさせるいい例になりました。企業価値とは何か、取締役会にはどういう権限があるのか、株主の利益とは何か、また上場会社はだれのものかといった問い、そして企業買収や買収防衛策について、いろいろと考えさせる論点を提供しました。

 この分野は、法律という観点から見ますと、商法、会社法、証券取引法、税制など、関連する制度も多岐にわたっています。また、これらについての先進諸外国の制度はばらばらに異なっていまして、難しい分野であります。しかし、考え方は単純でありまして、諸外国の制度とも、達成しようとしている目標は共通です。

 この分野は、日本ではまだまだ経験不足です。今は何か必要以上に慌てているような感じがいたします。敵対的買収、対象となる経営陣が賛同していない買収ですけれども、イコール悪というわけではありません。買収にはよい買収と悪い買収があります。よい、悪いとは社会から見てという意味でありまして、区別の基準になるのは企業価値あるいは会社の価値であります。つまり、企業価値を高める買収はよい買収で、実現されるべきでありまして、企業価値を損なう買収は悪い買収ですので、実現されるべきではないということであります。

 したがって、防衛策についていいますと、悪い買収はとめるべきですが、よい買収はとめるべきではありません。そのように作動するような防衛策が合理的な防衛策であるということになります。日本は、そのための経験と知恵を重ねていく必要があります。

 世界のお金の流れ方は、ここ十年くらいの間に急変しました。買収ファンドと呼ばれる仕組みが多数登場し、世界の金融市場において、企業買収のために巨額のお金がすぐ集まるようになりました。その結果、買収しようとする者は、自分に資金がなくてもすぐにお金を調達できるようになっているのが現状です。したがって、企業買収はいとも簡単になったわけです。つまり、今日では、上場会社であればどんな会社も瞬時のうちに買収の対象となり、その資金も集まるという現実があるということを直視すべきです。その上で、悪い買収はとめ、よい買収であれば実現させるという姿勢を持つことが重要です。その手段として、防衛策などが工夫されるべきであります。

 証券取引法による株式公開買い付け、TOB制度につきましては、昨日可決いただきました証取法改正でも、ToSTNeT等による立ち会い外取引についての重要な改正が含まれています。支配権争いが生じた場合に、一方が証券取引法に基づく公正な公開買い付け手続をしているのに、他方は立ち会い外取引で株式を買い集められるというのでは、市場で判断する株主や投資家にゆがみをもたらし、公平とは言えません。今回の改正はこの点を是正する緊急改正です。

 しかし、これ以外にも、企業買収についてのルールの整備を検討する必要があるように思います。例えば、現在の制度のもとでは、公開買い付けが開始した場合に、公開買い付け期間中に対象となる会社は株式分割ができます。そういうことが起きても、公開買い付けをしている者は公開買い付けの条件は変えられないと言われています。そういう状態では、公開買い付けをする者に致命的に不利であります。これは公開買い付けをする者にとっての不平等の是正という課題です。

 また、そのほかにも、公開買い付け者の情報開示の強化ですとか、アメリカのように公開買い付けについての開示、大量保有報告書等に不実開示があったような場合には対象会社からの公開買い付け差しとめ訴訟を認めるといった制度も検討に値するように思います。

 なお、この点に関連して、行政が投資家にかわって差しとめをするという現在の証券取引法百九十二条という条文がありますが、法律の制定以来、一度も使われていないというのも問題だと思います。一昨年十二月の金融審議会での提言にもかかわらず、この制度の改善が実現しないままであることは大変残念であります。

 なお、公開買い付け制度以外にも、大幅な株式分割を繰り返し、その間に株式を買い上げることで株価をつり上げるとか、資本市場において許されるべきではないようなやり方が日本では横行していると言ってもよい状況にあります。先ほどもお話がありましたが、東京証券取引所が、こうしたいわば資本市場のおきてに反するような取引をしないようにと、その自粛を上場会社に要請したことは、当然の措置であります。

 以上を要しますに、証券取引法の公開買い付け制度や、より広く、企業買収に関するルールのあり方につきましては、今後も引き続き本委員会において積極的な御検討を深めていただければ大変ありがたいと思います。

 以上で私の意見の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

金田委員長 神田参考人、ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。

谷口委員 公明党の谷口隆義でございます。

 四名の参考人の皆様には、御多用の中、当委員会に御出席を賜りましてありがとうございます。

 本日のテーマは証券取引についてということでございまして、今、基調になるお話を四名の参考人からいただいたわけでありますけれども、それをベースにお伺いをいたしたいと思います。

 まず初めに、先ほどの神田参考人のお話でございます。企業買収について先ほどお話をなさったわけでありますけれども、企業はいろいろなステークホルダーから成り立っておるわけでございます。それぞれのステークホルダーがそれぞれの目的を持っておるわけでありますけれども、今、神田参考人は企業価値という概念をお話しいただいたわけでございます。企業価値があれば企業買収はいい買収なんだ、また企業価値が下がるような買収は悪い買収なんだというようなことでございますが、そういうことでまいりますと、例えば大きな損失を受けるステークホルダーがおられて総体として企業価値が上がるといったような場合も、総体として企業価値が上がるという観点ではいい企業買収だというようなお話であるんだろうと思うわけでございます。

 それで、そもそも、今ちょうど会社法の審議が進んでおるわけでございますけれども、一つは企業価値の測定の尺度というのは非常に難しいところがございまして、例えば企業が抱えておる財務上のディスクロージャーされたところであれば非常に明確にわかるわけでありますけれども、非常に能力のある人材だとか企業の持っておる技術だとかそういうようなところで、株主が最終的にここは企業価値が高まるんだということで投資をするということで、最終的にはこのところは株主の判断になるのか、むしろ企業価値が高まるから株主がそれに投資するのか、そのあたりは非常に明確でないようなところもあるわけでございます。といいますのは、企業価値と申しますと、短期の利得を目的とした投資というところが私にいたしますと念頭に来るわけでございまして、むしろ投資のあり方は、短期の売買もそういう意味では非常に重要でありますけれども、中長期の投資ということも重要なんだろう。

 先ほど先生がおっしゃったように、企業というのはあらゆる利害関係者から成り立っておるわけで、そういう観点で企業価値と言ってしまうことについてどうなのかなというような疑問を私は感じるところでございます。先生の御見解をお話しいただきたいと思います。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 二、三申し上げたいと思います。

 まず、企業価値というのは会社の価値でありまして、短期か中長期かと言われれば、それは中長期だというふうに考えています。

 御質問の中で一番難しいのは、だれがそれを判断するのか、判断する人によって意見が異なり得るのではないかという重要な論点があると思います。株主がそれを判断するのがいいかというと、一定の前提条件が満たされていればそれはいいというふうに私は思います。

 ただ、市場で株主がいわば投票をする、これは株式を買ったり売ったりということになりますけれども、そういう形で株主が判断する場合には、まさにここの委員会で御審議いただきたい点なんですけれども、その市場の基本となるインフラとかルールが整っていることが前提でありまして、例えば、立ち会い外取引等で買い集めがある場合には、市場に、私どもは抑圧的効果と言っているんですけれども、早く売らないと損だというプレッシャーがかかっていますので、そういう状況の中で株主が市場における行動という形でその判断をするというのは、当然のことながら判断にもゆがみが生じます。したがって、市場インフラをまずきちんと整備して、その中で株主が市場において判断するということであれば、株主による判断というのも合理性が出てくるということだと思います。

 最後に、利害関係の対立ということをおっしゃいました。

 確かに、会社とか企業といいましても、ステークホルダーは複数います。私が一番申し上げたいことは、企業価値が高まる場合は通常はすべてのステークホルダーの利益になるということでありまして、ステークホルダーの間にいわば深刻な利害の対立、あるいはステークホルダーの間での財産、所得の移転というものがあるようなことはないわけではありませんで、そういう場合については、それはそれとしてひとつ考える必要があるというふうに思います。

谷口委員 わかりました。

 先ほどの東証の社長の鶴島参考人のお話にも、この五月に企業価値防衛指針の考え方というのが出て、それを非常に重要に受けとめて、それに沿わないような企業は問題ありだということで指導していきたいというようなお話でございまして、確かに、企業買収、特に敵対的な企業買収について、会社法の審議の折にかなりいろいろな意見が出まして、そういうこともあり、この審議の前にそういう意見も多かったものでありますので、対価の柔軟化、また三角合併といったところを一年おくらせるといったようなことにもなったわけでございます。

 この企業価値、今神田先生のおっしゃった企業価値は非常に重要なことなんだろうと思うわけでありますけれども、敵対的な企業買収について、先ほど鶴島参考人の方から、東京証券取引所として過剰な防衛策について自粛をお願いしたということでございました。先ほどその内容についてお話をいただいたわけでございます。私はまさにおっしゃるとおりなんだろうと思うわけでございます。

 その目的はいろいろなことがあるんだろうと思いますけれども、一つは株主の平等原則というのがありますから、一部の株主に過度に偏ったやりぶりというのは問題だということでまいりますと、例えば現行商法の中にも種類株という、数種の株式を発行している会社がございます。中には、数種の株式を発行している企業が、種類間の株主間でどうも株主平等の原則の観点から見て問題があるんじゃないかと言われるようなところもあるわけでございますけれども、東証として種類株間の株主平等の原則についてどのようにお考えなのか、御見解をお願いいたしたいと思います。

鶴島参考人 法律上の問題と私どもの預かる証券市場から見た問題と、大変難しいところがあろうかと思います。

 私ども、先ほども申し上げましたように、証券市場サイドから見て、投資者保護に欠けることのないような敵対的買収防衛策をお願いしたいということを申し上げたわけであります。

 種類株の問題につきましても、場合によりますと、例えば複数議決権株みたいなものは悪用をされますといわゆる黄金株と同じような効果になってしまいますので、そうしたものが流通市場に流通をするということになりますと、これは投資者保護にもとるようなことも十分に考えられます。したがって、流通市場サイドからすれば、投資者や株主が平等に同じ価値を持つ株式として流通が可能なような、そういう条件のものが上場物件としては適格性を持つ、こういうふうに考えております。

谷口委員 そうですね、今の質問はむしろ神田先生にお尋ねした方がよかったかもわかりませんが、東証の社長とすると、そのとおりだと思うわけでございます。ですから、投資家が安心して投資できるような市場環境をつくっていただくということが非常に重要でございますので、ぜひお願いをいたしたいと思います。

 その次にお聞きいたしたいのは、証券取引にはディスクロージャーが欠かすわけにはまいりません。ディスクロージャーが非常に重要になるわけでございまして、そういう意味においてディスクロージャー体制の信頼性の確保ということが非常に重要になってまいります。先ほど藤沼参考人のお話にもございましたが、このディスクロージャー制度の信頼性の確保ということは、一般的に、私、国会の審議を聞いておりますと、監査人の責任を問う声が非常に多いわけでありますけれども、一方で作成責任者、企業の責任というのも極めて重要なところであります。作成者であります企業のディスクロージャーの信頼性の確保のための対応体制、このようなことの整備が必要なんだろうと思うわけでありますけれども、そういう観点で藤沼参考人の御意見をお伺いいたしたいと思います。

藤沼参考人 藤沼でございます。

 ディスクロージャー制度の信頼性の確保には、監査人は当然ながら責任を負うわけでございますけれども、会社の責任ということがまず第一にあるのではないかと思っております。

 これは、二〇〇二年に改正された監査基準で二重責任の原則というものが紹介されております。そこでは、まず会社の責任者がディスクロージャーについて責任を負うということが第一でございます、適正な財務諸表を作成するということが第一でございます。次に、監査人はその財務諸表に対して監査意見をきちっと述べる、それが第二の責任でございます。

 今回、私どもがディスクロージャー制度をさらに改善するということで、どういうことがあるのかということを考えてみますと、私は二つあると思います。まず一つは、会社代表者の確認書、財務情報の適正性についての確認書の提出を義務化するということと、あと、内部統制についての報告書制度ということを制度化するということではないかと思います。

 第一の点は、会社の財務諸表というものは、先ほど申しましたように会社の経営者の第一の責任でございますので、経営者が適正な開示を行っている旨について自分でそれを確認するということが大事であると思います。アメリカでは、公開企業会計改革法で、会社代表者が有価証券報告書等の適正性について宣誓をして、その宣誓に従って、もし不実開示等があればかなり厳しい懲罰が待っているという形になっておりまして、相当厳しい緊張感を持って有価証券報告書等が作成されておると聞いております。我が国ではこの確認書の制度が任意制度なものでございますから、主要金融機関等を省いてほとんど提出されていないというのが現状でございます。

 次に、内部統制報告書制度の問題でございますけれども、会社経営者も確認上サインするということになりますと、当然ながら、その前提として会社内部の内部統制がきちっと構築されているかどうか、それを確認した上で初めてサインできるということでございますので、内部統制について経営者みずからがそれを構築し、それを評価し、外部監査人である会計士がその有効性評価が妥当なものかどうかを検証する、そういう制度の導入がぜひとも必要ではないのかなというふうに考えております。

 以上でございます。どうもありがとうございました。

谷口委員 ありがとうございました。

 公認会計士の立場から、やはりもっと社会にいろいろ訴えていくということも私は必要なんだろうと思うんです。

 次に参りまして、昨日、当委員会で審議をいたしました証券取引法の改正案が衆議院を可決いたしました。この中で議員修正で継続開示義務違反の課徴金の問題を取り上げまして、これが修正案としてこの法案に繰り入れられたわけでございます。従来からこの継続開示義務違反、特に典型的なのは、先ほど鶴島参考人もおっしゃいました西武鉄道のことでございます。この西武鉄道と同時期に日本テレビも同質の問題があったわけであります。そのときに、西武鉄道は上場廃止基準に抵触した、一方は上場廃止基準に抵触しなかったということで、西武鉄道は上場廃止になり、また、日本テレビの方は一時監理ポストに入ったんですけれども今やっていらっしゃる。これもやはりちょっとオール・オア・ナッシングというのは問題があるんじゃないか。そういう意味では、やはり課徴金を科すということも必要なのではないかというように思っておりましたので、私はこの修正案の提案者にもなっておるわけでございます。

 この課徴金の問題について、東京証券取引所社長の鶴島参考人の御意見をお伺いいたしたいと思います。

鶴島参考人 おっしゃられますように、投資判断のためのディスクロージャーは大変重要なものでございますし、その中でも有価証券報告書というのは大変その中心をなすものだと思います。したがいまして、継続開示義務違反に対します課徴金制度の導入というのは、会社情報の適正性に関する問題の再発を防止する、そして、有価証券報告書等の信頼性を担保する、確保するということを通じまして、証券市場に対する投資者の信頼をより高めるというために大変有効なものであろうというふうに私どもも考えております。

谷口委員 当面こういう形で入れさせていただいて、二年後にもう一度見直した形で、しっかりとした法体系の中で課徴金を入れていきたいというふうに思っておるわけでございます。

 最後に、本日、日本証券業協会の越田会長に来ていただいておりますが、従来から貯蓄から投資へということで、私も、与党の中で証券活性化プロジェクトチームというのがありまして、金庫株なんかのことが法案化されたそのメンバーの一人でありますけれども、最近の状況を聞いておりますと、東証第一部の個人売買代金が、二〇〇四年度、前年比三五%増ということで、百四十兆円ということのようでございます。これは一九八八年のピーク時に迫る高水準になっておるというような状況のようでございますが、越田参考人に、この証券市場の現状の報告と今後の対策等、具体的なことがあればおっしゃっていただければと思うわけでございます。

越田参考人 非常に貴重な質問をありがとうございます。

 最近、外国人投資家の売却といいますか売りがいささかふえておりまして、その点で株式市場が下がっております。当然のことながら、中国のデモあるいはアメリカでの株式市場の下げといったものが影響しておると思いますが、前々から申し上げておりますように、日本では、昨年、一昨年と合計いたしますと約十六兆から十七兆円の外人買いが入りましたが、そこに不足しておるのは、日本の国内の投資家、特に幅広い個人投資家の参加がまだ少ないということであります。

 この点に関しましては、日本ではすべての資産価値が下がっておる状況でありますので、株式だけがということを望むのも無理かもしれませんが、実はアメリカでも、一九八二年から、それまでの十七年間の千ドルのもち合いを離れて、株価が八二年から二〇〇〇年まで十八年上昇いたしました。そのきっかけは、当然のことながらキャピタルゲインの課税の下げだとかいうことがございますが、やはり日本の現状と同じで、当初の三年間はアメリカですら外人買いで上がったわけであります。現在、日本も同じように外人買いが入っております。その規模は、当時のアメリカに入った外人買いの規模とほぼ同じであります。

 そして、外人買いで三年間上げた後、八五年から、四〇一kであるとか年金の運用であるとかいったことを含めて、アメリカでも個人の投資家が株式市場に参入して二〇〇〇年までの相場が続いたということでありまして、日本の株式市場も、おととしに七千六百円の安値をつけて今二年経過したところでございまして、今後は幅広い個人投資家層の参入に向けて我々も努力していかなければならないと考えております。

 おかげさまで、先ほど報告いたしましたように、証券税制もいろいろ優遇措置を講じていただきましたし、国が貯蓄から投資へという大きな方向転換をしていただいておりますので、その御期待に沿って我々も努力したいと思います。

 それからもう一つ、日本で欠けておるのは、いろいろなアンケートをとりますと、株式投資に関してのアンケートで、一番目はお金がないから株式投資はできないということでありますが、それに次いでアンケートの答えとして高いのは、知識がないという答えであります。経済金融教育はもちろんのこと、投資教育も我々は力を入れております。その点で一番問題になるのは、やはり学校のカリキュラム。

 アメリカでは小学校からそういう教育が始まりますが、例えば高等学校で比較いたしましても、日本の場合は平均いたしますと四ページ、アメリカの八十四ページという差がございまして、文部科学省にもお願いしておりますが、ひとつ学校のカリキュラムにそういった面を入れていただくようにお願いしております。カリキュラムに入らないと、受験勉強には関係がないから勉強しない、先生の方も生徒が興味がないので教えないという悪循環を来しておりますので、その点を払拭したいと考えております。我々の努力もその点に傾注していきたいと考えております。

 以上でございます。

谷口委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

金田委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 参考人の皆さん、おはようございます。民主党衆議院議員の岩國哲人でございます。

 本日は、四人の参考人の皆様、大変御多忙な日程の中を本委員会に御出席いただきまして、心からお礼を申し上げます。また、四人の参考人の皆さんが、常日ごろ、それぞれのお立場で我が国の健全で信頼される資本市場の育成のために御努力いただいていることに感謝しながら、質問に入りたいと思います。

 最近のライブドア、フジテレビ、こういった一連のTOBの問題、あるいは負の面としては、陰の面としてはコクド、西武鉄道のああいった虚偽記載の問題、いろいろな点から株主を脅かす、株主の権利が無視されている。そういった面から国民の関心が非常に株式市場のあり方について集まっております。最近のいわゆるTOBという動きにつきましても、これからますます件数は多くなり、このうねりは高くなる一方だと思いますけれども、その場合に、お金の集め方はどうなっているのか、株の集め方はどうなっているのか、経営権の攻め方、守り方はどうなっているのか、こういったところに関心が集まっているようであります。

 戦後、我が国に近代的な資本市場が始まって、ようやくにして一つの転機を迎えているようにも思います。会社とは何か、株式とは何か、そして会社と株式のどちらを優先すべきか、こういった問題意識が持たれていることは、私は、大きい目で見てこれからの資本市場のパイを広げていく上で大変いいチャンスを迎えていると思います。

 本委員会におきましても、会社法、特に証取法の改正をめぐって毎日のように質疑を交わしておりますけれども、とりわけ証券の発行、それから流通市場における取引の問題、さらには議決権の所属と行使の問題、株主権の保護と平等性の問題、あるいは投資家に対する情報公開の問題、こういった点を主に議論の中心にしております。

 そこで、神田参考人にお伺いしたいんですけれども、企業の経営権を守るという観点から、日本の現状で、日本の企業は欧米の上場企業に比べて経営を防衛する防衛力は強いのか弱いのか、一般的な御印象で結構ですから、お答えいただけませんか。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 今の御質問については、私は、日本の企業は経験と知恵が不足しているというふうに考えております。

岩國委員 体力とフットワークはいいけれどもちょっとばかり頭の方がというふうな印象を持っていらっしゃるようですけれども、確かに日本の市場とか日本の企業というのは、私は決して防衛力が弱いとは思わないんです。例えば日本の企業は守らなければならない、たとえ悪い企業でも日本の会社だったら守りたいという政府と国民のメンタリティー、これが私は第一の防壁だと思うんですね。私はアメリカに十年、ヨーロッパで十年、日本で十年、三十年間、十年ずつ日米欧のマーケットでいろいろな企業のTOBにも従事し、また他社の案件も見てきましたけれども、これはどこの国にもない特異な一つの壁だと思うんです。

 例えば、ちょっとお見えにくいかもしれません、(資料を示す)「JAPAN」と書かれている。日本列島の上に旗が立っております。よく見てください。日本の旗とはちょっと違ったところがあるでしょう。運転免許証を持っていらっしゃる方ならどなたもおわかりのように、これは世界共通の道路標識、進入禁止の道路標識なんです。日本のマーケットというのは、入ってくるなとあの日の丸は言っているんですかと。これは私が勝手につくったんじゃなくて、イギリスの二百三十年の歴史を持っておった銀行の資料の表紙に使われている。これが外国の印象なんですね。言ってみれば、日本にはそういうメンタリティーがあるという、これが第一の防壁。

 さらには、ゼロ金利政策を初めとして、一連の大企業の優遇策。一般の投資家や納税者を犠牲にしてでも、とにかく大企業、上場会社を優遇しようと。それが企業の利益につながっている第二の防壁。

 三番目が、これが一番大きいんですけれども、神田参考人にさらにお伺いしたいと思いますが、日本の株式の持ち合い制度、これも外国にはない日本独特の城を守るための城壁として存在するわけです。議決権を行使しない株主が三〇%いる、経営者の周りに。常に経営者のためにイエスと賛同してくれる、そういう株主の議決権が三割、二割確保されている。これは世界のどこを探してもこんな城壁は見当たらないんです。

 この株式の持ち合い制度というものも含めて、ある意味ではこれは丸の内の経営者の間に存在する集団的安全保障体制だと思うんですね。こんな集団的安全保障体制を持っている企業が世界のどこにあるのか。私は、それから見ると、決して日本の企業の防衛力は弱くはないと思うわけです。

 さて、その中で、今、ポイズンピルとか黄金株といったようなことが言われております。この二点について、こうした防衛策はやはり今の日本のために必要だと思われるのかどうか、神田参考人の御意見と、東京証券取引所を代表して鶴島参考人の御意見をそれぞれお伺いしたいと思います。流通面において、あるいは発行面において、会社の防衛ということのためにここまでやる方がいいとお考えかどうか、お二人の御意見を聞かせていただけませんか。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、株式の持ち合いについてですが、日本のような持ち合いと全く同じものは外国にはございませんけれども、ヨーロッパ、ドイツとかフランスでは持ち合いは結構あります。

 それで、御質問なんですけれども、持ち合いについて一般論を言えば、持ち合いにもいい面もあると思います。それは、それぞれの企業の取引関係をスムーズにするですとか、その他いい面もあると思います。

 ただ、きょうの御質問の本題であります敵対的買収の防衛とか、その防衛という観点から見ますと、持ち合いには問題があると思います。それは、私の先ほどの言葉で申しますと、企業価値を損なう買収をとめるだけではなくて、あるいは防衛するだけではなくて、企業価値を高めるような買収に対しても防衛してしまうからであります。

 これに対してポイズンピルですとかライツプランと呼ばれているものは、その設計がケース・バイ・ケースでなかなか複雑ではあるんですけれども、アメリカなどで意図しようとしているところは、企業価値を高める買収はとめないで、企業価値を損なう買収はとめる、こういうふうに設計しよう、少なくともそういう工夫であります。

 黄金株なんですけれども、黄金株というのは、これはまた一律でありますので、企業価値を損なう買収だけではなくて、高めるような買収もとめてしまうおそれがあります。

 したがって、公開会社、上場会社の防衛ということで申しますと、ポイズンピルですとかライツプランというのがきちんと設計してあれば、私が申し上げた、よい買収は実現し、よくない買収は実現しない、そういうふうに作動するという意味でそれが一番すぐれており、黄金株ですとか持ち合いというのは、よい買収もとめてしまうという意味で、過剰防衛になるおそれがあるという意味で、それに対するさらなる対応がないと、ちょっと防衛としては強過ぎるということが言えると思います。

鶴島参考人 お答えさせていただきます。

 私どもの立場は証券市場を預かるという立場でございますので、大きなポイントが二つございます。

 今先生が御指摘のように、防衛策として何を認めるのか、どこまで許容するのかということは法律上の問題としても議論をされると思いますが、証券市場サイドからすれば、二つのポイントの一つは透明性に欠けることのないこと。つまり、防衛策をとるにしても、どういう防衛策であるか、何の目的でそういうものをしようとしているのか、その行使や解除についてどういう枠組みを設定しているのかということがあらかじめ投資者に開示されている、透明性が確保されているということが大きなポイントの一つであろうというふうに思います。

 それからもう一つのポイントは、投資家や株主に平等である。この扱いが不平等であって、一部の投資家が不利益をこうむるとか、一部の株主が損害をこうむるとか、こういうようなものである場合には証券市場サイドからは好ましくないと言わざるを得ない、こういうふうに思っております。

岩國委員 ありがとうございました。

 最近の日本のTOBで、それから私が外国にいたときのそういう場面で、一番の違いは、今鶴島参考人がおっしゃったように、一般株主に向けたキャンペーンがほとんど行われないんですね。何か、密室、赤坂のどこかで会ったの会わないのとか、テレビ画面で登場したのどうとかいうことはある。

 アメリカの場合には、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルに大きなスペースをとって、セイ・イエス、イエスと言ってくださいと。経営者の方からは、セイ・ノーと。ずらずらずらずらっと非常に迫力のあるキャンペーンが、株主、それから未来の株主である国民に対してキャンペーンを行う。私は、まさにこれは開かれた資本市場のあり方だと思うんですね。

 今度のライブドアにしても、一言も、国民にわかりやすい説明をしようとした人は、買う人も買われようとした人にもいない。そして、少々のお金を使って国民に自分の立場をキャンペーンするという姿勢も見られない。私は、この辺を非常に残念に思いましたし、また、鶴島参考人のおっしゃったような流通市場における株主の権利の平等性ということからも非常に問題だと思うんです。一部の株式を集めるための取引が仮に突発的に行われたとしても、それは意図は何だったのか、これから自分は何をするのか、それをしっかりと国民に訴え、また国民が耳を傾けるような言い分のないようなTOBは、これはだめなTOBだと私は思うんです。

 そういう点からさらにお伺いしたいんですけれども、投資サービス法に関連して、日本版SEC。

 これは、損失補てんの問題、越田さん御承知のように、一連の証券会社による損失補てんということが行われました、それから相場操縦もありました、リクルート株事件の問題もありました。その中で、日本では、SECをつくれということで今の証券取引等監視委員会ができたんです。日本版SECをつくれと言っているときに、できたのは日本的SECだったんですね、八条委員会。これに対して、最近、同友会からも提案が出ておりました。日本の資本市場育成のために八条委員会ではだめだ、こういう提言、個人投資家から真に信頼される資本市場の構築のためには八条委員会をやめなさいという意見が同友会から出ておりました。

 神田参考人にお伺いしたいんですけれども、具体的に、八条委員会ではだめなのは、どこがだめだとお感じになっていらっしゃいますか。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 私は八条委員会だとだめだとは考えておりませんで、今御指摘の言葉を使わせていただきますと、八条委員会であっても、国民の信頼にこたえられるような、強い、強力な番人としての監視機能を発揮できればそれでいいと思います。もし八条委員会でそういう機能が発揮できないということであれば、八条委員会ではだめだとなる、そういうことであります。

岩國委員 先ほど透明性という点について御指摘がございました。この透明性について、情報公開についてお伺いしたいんですけれども。

 こうしたTOBの案件を計画しようというときには、ウォール街ではそうした戦略を、ボタンを押す人は必ず三人集めるんですね。一人はCPAですよ、公認会計士。優秀な公認会計士を必ず味方につける、その時間をとって早く契約をしてしまう。そして、二番目は優秀なローヤー、弁護士。法律的に何が可能で、何ができないのか、法律的な戦略をつくる人。一番目は、信頼できる数字を提供してくれるあるいは吟味してくれる能力を持っている人。三番目、最後とは言いたくありませんけれども、それがバンカーです。マーケットの動きを見て、マーケットの中のリスクがあるのかないのか、そして、どういう戦略があるのか、マーケットはどういうニーズを持っているのか。この三人の中に必ず公認会計士事務所が入ってきます。

 その公認会計士というお立場から御意見を伺いたいんですけれども、情報公開について、いろんな会計審査をされるときに、会計の数字だけに限定しておられるのか。あるいは、財務制限というのがありますね、外国から、あるいは国内の転換社債、社債の発行等において配当制限がある、資産処分制限がある、子会社の株式売却制限がある、いろんな制限を受けていることがあれば、当然、会社経営に重大な影響を将来的にもたらすわけです。それと引きかえに資金を調達されるわけです。この点まで踏み込んで審査していらっしゃるかどうか、その点を端的にお答えいただけませんでしょうか。

藤沼参考人 藤沼でございます。質問ありがとうございました。

 財務諸表監査でございますので、基本は財務諸表の適正性ということなのでございますけれども、財務制限条項、フィナンシャルコビナント等のものがあれば、その適正な財務情報が本当に適正じゃないかもわからないということになりますので、それは契約等を吟味して、そういう制約条項等が、適正にディスクローズしているかどうかということは基本的にチェックして、それが適正に開示されるように監査する、そういう立場でございます。

岩國委員 以前、日本の公認会計士が行われる会計監査の基準というのは、日本の基準、外国の基準とは随分違った時代がございましたね。最近は、GAAPと言われるところにどんどん近づいております。かつては、日本の財務諸表の中で、偶発債務というものは必ずしも記載する必要はなかったり、退職給与引当金も必ずしも明示する必要はなかった。今はそれを公開するのは常識になってきております。

 その偶発債務にある程度相当するのは、こうした財務制限というものは、私は偶発債務と同じように一般投資家の利益に直結していると思うんです。それからもう一つ、株主の権利を希薄化させるような約束が入っているもの。一株当たりの価値ということ、参考人、きょうは何人もの方がおっしゃいましたけれども、将来的に株式をどんどん発行することを約束させられている、新株引受権の形で。特に転換社債の中で、転換価格を修正し、下へ下へと下げていくということは、発行される株数は上へ上へと上がっていくということ。価格が下がれば、発行株数は上がり、一株当たりの利益は下がっていく。下がれば上がり、上がれば一株当たりの株主の権利を希薄化させる。これも私は偶発債務の一種ではないかと思うんですね、オブリゲーションを負っているという点については。

 こうした財務制限及び将来的な希薄化の可能性について、会計士事務所としては一応そういったものをチェックしておられますか。

藤沼参考人 藤沼でございます。質問ありがとうございます。

 そういうような転換社債等を発行する場合には、希薄化に結びつくものについては、それは発行の条件等を見て、それが適正に財務諸表に開示される、それが重要だと思います。ですから、それが適正に開示されているかどうかということは、会計士はそれに関与いたします。

岩國委員 ありがとうございました。

 次に、鶴島参考人と藤沼参考人に短く質問させていただきたいのは、文書の保有期間ですね。

 文書、いろいろな届け出書、報告書がありますね。取引所に連絡して八年前のあの社債発行のときの条件とかそういったことを聞きましても、五年ぐらいしか保存していらっしゃらないんですか。東京証券取引所としては、文書というのはどれぐらい長期にわたって、転換社債にしてもワラント債にしても保存していらっしゃるか。

 また、藤沼参考人にお伺いしたいのは、会計監査という立場から、それぞれの企業は何年ぐらい書類を保存すべきだとお考えになっていらっしゃるか。この二つをお伺いしたいんです。

藤沼参考人 藤沼でございます。

 そういうような書類、文書類の保存は、我々の立場からすると、十年保存していただきたいというふうに思っておりますし、我々の監査調書も十年間保存しております。

鶴島参考人 お答えが遅くなって申しわけございません。

 法定帳簿、法定期間のあるものについてはおよそ五年ということになっておりますが、私ども上場会社から受けた報告は、上場会社である限り、上場会社原簿というのを私ども備えておりまして、そこに上場以来の記録はすべて保存をしております。

岩國委員 そうすると、有価証券報告書といったようなものも、東京証券取引所では、十五年前、二十年前、少なくともその有価証券が流通している期間中は、それに関する書類はきちんと取引所は保存されておりますね。確認だけ。

鶴島参考人 有価証券報告書については、そういう対象にはなっておりません。有価証券報告書は私どもに直接提出を受けるものではございません。法定のものでございますので、私どもの有価証券閲覧室というところにこれまで書類として置いておりましたけれども、それはたしか三年ないし五年だったと思います。

岩國委員 これは金融庁に尋ねても、取引所に尋ねても、そういったものは大体五年ぐらい保存していらっしゃる、有価証券報告書。まあ、証券のいろいろな条件を一番よくあらわしているのは有価証券報告書なんですね。そして、虚偽報告が行われるのもそこが舞台になるわけですから、有価証券報告書はもっと長期間保存すべきじゃないかと私は思うんです。

 例えば今度のコクドの問題も、何十年前からそんなことが行われておった。正確に何年前からおかしいのか我々が調べようとしても、なかなか資料が出てこない。もう一つ、カネボウの問題、これも九期連続何だかおかしなことが行われておったとか。本当に五年だけなのか、五年プラスアルファのどこまでさかのぼってそれが行われているのか。それが、発行の時点の金融庁、流通の中心の東京証券取引所において五年とか三年しか保存されていないのは、私は大変問題だと思うんですね。

 ですから、こういった点も、我々も努力いたしますけれども、直接流通の場を扱っておられるところとしては、たとえ法定期間が三年とか五年とかの義務があったとしても、こういう技術革新の時代ですから、できるだけそういう方向でしていただきたいと思います。

 質問を変えます。

 経営者が自分の会社の株式ぐらい持ちなさいと。これは外国ではある程度常識になっております。日本の会社でもそれを常識としておるところもあります。先ほど紹介しましたこの経済同友会の中にも、(資料を示す)役員は自己株を持つべきだという提言もなされております。これについて、証券業協会を代表して越田さん、それから流通の立場から鶴島参考人、それぞれこういう御意見に賛成されますか、役員である以上は一定の株式ぐらい持って、株主と同じ目線でマーケットに接するべきだと。短くお答えいただけませんか。

越田参考人 賛成いたします。

鶴島参考人 一般的に、自己の会社に経営責任を持つという意味で持つことは意義があると思っております。

岩國委員 次に、質問を変えまして、今度は外資による日本企業の取得ということについてもう一度返りたいと思います。

 証券業協会の会長及び神田参考人にお伺いしたいんですけれども、外資について、日本の投資家による企業のTOB以上に、外資に対する企業のTOBの壁は高くすべきだという御意見をお持ちですか、お持ちでないでしょうか。それが一点。

 二番目に、今の現状で、つまり、一九九一年、ニューヨーク取引所と東京取引所の時価総額が全く肩を並べた、それは十四年前の話。それからアメリカの株式は五〇%上がり、日本の株式は七〇%下がり、向こうは一五〇、こちらは三〇、つまり、一対一が五対一になってしまった。アメリカの値上がりした株式を使って、値下がりした日本の時価総額を買うという絶好のタイミングを今迎えている。がゆえに、三角買収といったようなことが、理論からいえば、私は、ああいうものをおくらせるべきではないと思います。しかし、日本の現状を考えると、余りにもタイミングが悪過ぎるという点では、一年延ばしたことはよかったというふうに私は判断しています。とはいいながら、いつまでも外資に対してだけそういう企業買収の手段の一つを封じるということはフェアではないと思うんですね、グローバルなマーケットの中で。

 この残されたあと一年の間に、日本の時価総額を上げていく方向で考えるべきじゃないかと思うんです。私は、三つの城壁と言いました。四番目の城壁は、時価総額をもっと高くすることです。それが日本の企業価値を高めること。個別企業の価値を上げるという方向で先ほど参考人の御意見を拝聴いたしましたけれども、私は日本全体の時価総額を大きくしていく、少なくともかさ上げするとか。特別なドーピングをやって筋肉増強剤で膨らませるということじゃありませんけれども、あるべき水準まで返していくためにはどういう方策があるか。

 越田参考人と神田参考人のお二人に、まず外資について高い壁を設けるべきか。二番目に、外資について、アンフェアではないけれども、フェアな城壁として当然あるべき水準まで時価総額を返していく、それから外資を歓迎する方向をとるべきではないか。それについて賛成か反対の御意見か、そういったことについてお伺いしたいと思うんです。

越田参考人 外資による日本企業の買収その他の話でございますが、まさにグローバルな時代で高い壁をつくるということは、国際的にもいろいろな議論が沸くことではないかと思われます。

 その中にあって、今回、三角合併といいますか、外国株式による日本企業の買収という点が一年繰り延べられたということは、ある意味では当を得た政策ではないかと考えております。

 日本全体の株式市場の時価総額を上げるということに関しましては、先生のおっしゃるとおりでございまして、日本では、今、株価純資産倍率を下回っている企業が四分の一に達しております。そういう意味では、先ほどおっしゃった、アメリカに比較して、一時は同等であったのが五分の一の水準になったということも、非常に低く評価されておるということでは、おっしゃるとおりでございます。

 今後とも時価総額を上げていくためには、今行っていただいている証券税制、これの一〇%の優遇税率を延長していただくとか、配当の二重課税の問題について検討していただくといった税制面、それから、経営者としてはやはり企業価値を高める、最近特にそういう意味では中期経営計画に時価総額を掲げておられる企業がふえてきておりますので、だんだん株価の時価を意識しておられるんじゃないかと考えております。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、外資による買収と日本国内の企業による買収は別か同じかということについては、私は、原則は同じに考えるべきであると思っています。

 ただ、例外として特定の業種、例えば放送とか、そういう業種、これは人によっては国益と言っていますけれども、そういうものにかかわる業種については別に考えるべき分野があるということだと思います。

 なお、外資というのはわかりやすいんですが、逆に日本企業というのは非常に定義しにくい状態になっていると私は思いまして、有名な幾つかの企業を見ても、一体、株主が日本人なら日本企業なのか、従業員がそうならそうなのか、経営者がそうならそうなのか、社長さんがそうならそうなのか、なかなか難しい問題になっていると思います。

 それから、御指摘の時価総額ですけれども、これは、御指摘のとおり時価総額というのは言ってみれば結果であって、上げようとして上がるようなものではないと思うんですね。顔色のようなもので、健康ならいい顔色をしていて、病気があると顔色もよくない。いい顔にしたいんですけれども、それはもとの健康を取り戻す必要がある、そういう話だと思いますので、それは、ぜひ日本企業も時価総額が結果として上がるような、そういういい経営をしてほしいですし、日本経済もそういう意味でよくなってほしいと思います。

 三角合併につきましては、御存じのように、これは日本企業も一年間は使えないということになりますし、それから、現在、既に経済産業省所管の特別法であるのですけれども、使われていない理由は税制にあります。したがいまして、三角合併というのは、いろいろ多面的に議論していく必要があると思いますけれども、買収という観点から見ますと、これは敵対的買収の手段ではありませんで、友好的な買収の手段ですので、外資が使う場合であれあるいは日本企業が使う場合であれ、買収をする人とその対象のされる方の経営陣とが合意した上で行う、そういう形態だということにも注意する必要があると思います。

岩國委員 ありがとうございました。

 決して私は時価総額を膨らませるとか、人為的にかさ上げするということで申し上げたのではなくて、日本の経済政策の大切な一環として株式市場に対してはキャピタルゲインをゼロにするとか、そういった形で、わかりやすい、個人投資家の、国民資産の形成にも役立ち、結果として日本の時価総額は大きく上昇する、そして、その結果として、日本の企業の価値が安い値段で買われてしまう、投げ売り、たたき売り、安売りといったような批判はしなくて済むような、受けなくて済むような、そういう政策が必要ではないかという気持ちで質問させていただきました。

 どうも長時間ありがとうございました。

金田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木克昌でございます。

 四名の参考人の皆様方、本当に御多用の中ありがとうございます。限られた時間でございますが、私から御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、東京大学の先生でもあり金融審議会委員でもあります神田参考人を中心に先にお伺いをして、後、時間の関係で、ほかの参考人の皆さんにもお伺いしたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。

 今の我が国には、少子高齢化や年金問題、凶悪犯罪による治安の悪化など、さまざまな不安要素が多数渦巻いております。こうした中で、市民を取り巻く金融資本市場環境は、資産を銀行に任せておけばよかった時代から、みずからがみずからの資産を運用する時代へ移りつつあります。

 ところが、現在の我が国の資本市場とそのシステムには、先ほど神田参考人もおっしゃったように、さまざまな構造上の問題が存在しております。

 我が国の金融資本市場は、依然として旧来のシステムの弊害が数多く残る、閉鎖的で不透明なものとなっています。具体的な弊害の例といたしましては、縦割り行政による業者規制などにより、それぞれの規制にすき間が生じ、裁量行政の余地が数多く存在しています。

 また、邦人株主中心の市場が長く続いた結果、個人に対する十分な情報提供や被害者救済制度が欠落していると言えます。昨今の法改正で改善した点も一部あるとはいえ、いまだ欧米諸国との差は縮まらず、そればかりか、その格差はさらに広がっているとすら言われています。そのおくれはいずれ、国際社会における我が国とアジア近隣の市場の影響力を弱め、金融業はもちろん、その他産業の国際競争力をも失わせることになりかねません。

 それでは、新たな資本市場システムに必要な二十一世紀型のガバナンスとは何なのかという点で、神田参考人からお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 まず第一番でございますが、日本経済の再生に向け、現在、銀行、証券、保険等金融サービスの総合化が進む中、よく現場の声として私が聞きますのは、我が国の金融資本市場に適用されるべき共通のルールあるいは原則というものがはっきりしていないために、日常的な取引業務の中で、どこまでが規制されておりどこから違反となるのかわからず、日々混乱している状態だ、こういう声が実はあるわけであります。

 そこで神田先生にお伺いをしたいわけでありますが、先生は、日本の金融市場の法制度における問題点はどこにあるとお考えになっておるのか、お教えをいただきたい。特に柔構造の法規制システムが重要であるとおっしゃっておるわけでありますが、このことにつきましてもあわせお教えをいただきたいと思います。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 御質問の前提で、基本認識として先生がおっしゃいました認識は、私も全く同じ認識を持っております。

 御質問ですけれども、ルールとしてどこが問題かと言われますと、やはりいろいろ課題はあるというふうに思いますけれども、私は、ルール自体の問題と、それからルールを適用する、当てはめというんでしょうか、エンフォースメントとも言っていますけれども、その両方に問題があると思います。御指摘の、ルールが明確でないという声が多いというのは、ルール自体の問題に多分に起因しています。

 ルールが明確でないというのは大変問題でありまして、ルールが明確でありませんとどう行動していいかわかりませんので、そういうことなんです。ちょっと抽象論にはなってしまいますけれども、ルールはできるだけ明確に書くべきであるということだと思います。

 しかし、どんなに明確に書いても全部書き切るということはできませんので、どうしても、そういう意味では不明確な分野、あるいは解釈の余地がある分野というのは、これは日本だけではありませんで、先進諸外国でも当然あるわけであります。

 したがいまして、そういう場合には、その不明確な分野が、私どもの言葉で法的不確実性とか言っていますけれども、そういうものをできるだけもたらさないように、あるいは普通の言葉で言えば、それが市場とか資本市場の発展、取引に混乱あるいは阻害要因にならないような工夫をしていく必要があると思います。

 その工夫の一つといたしましては、例えば、日本版ノーアクションレター制度というふうに呼んでおりますけれども、不明確な点等につきまして私人が担当の省庁に問い合わせをする、それに対して担当の役所が答える、こういう制度はもっと活用されてしかるべきだと思います。

 ルールの適用の方も問題でありまして、前の方からの御議論にも関係しますけれども、どうもルール違反がなされているのではないかと思われながら、それが結局制裁を受けないというのが日本の歴史でありました。

 証券取引法の分野では、刑事罰一本でやってきたと言っても言い過ぎではないと思います。これは、業者に違反があった場合には行政が出ていって行政処分ができますけれども、先ほどからも御指摘ありましたように、例えば上場会社に証券取引法違反があったような場合には、行政処分という方法はありませんので、刑事罰か民事責任ということになりますが、民事責任というのはほとんど使われてこなかったということがあります。がゆえに、今回課徴金というような制度の導入ということが行われたわけです。

 そういう意味で、抽象論にはなりますが、ルールはあったとしても守られなかった場合に、きちんとそれをエンフォースするということはまだまだ不足でして、先ほどの日本版SEC論にも関係しますけれども、ルールを実現する、そういう体制が資本市場についてはまだまだ不足していると思います。

 それで、あと柔構造ということですけれども、これは、投資分野といいますか資本市場分野を横断的にカバーする法律をつくりますと、伝統的な、株とか債券のように市場で非常に流通する、例えば上場株のように証券取引所で日々取引がされるというような商品のほかにも、余り流通はしないけれども売られるという投資商品もあります。例えば外為証拠金はその例かと思います。

 しかし、これは一般投資家から見れば同じことであって、要は、お金を出して幾ら返ってくるかという話なわけですから、同じ投資商品でありまして、横断的な投資サービス法の中で手当てがされるべきものと考えています。しかし、商品の性質は非常に違うわけですから、当然、高度の流通性を有する上場株式のようなものと、流通はしないけれども投資の対象になるような商品とでは、適用されるルールは違えてしかるべきだと思います。

 具体的に申しますと、例えばどこまで説明をするかですとか、証券取引法の中には、有価証券届け出書という発行開示が免除される募集の仕方として私募という概念がありますけれども、その私募という概念のつくり方、私募と公募の線引きと言っていますけれども、そういうものも、高度な流通性があるような商品の場合と、およそ流通性がないような商品の場合には違えて考えるべきだと思いますし、ディスクロージャー制度そのものをとっても、そういう高度の流通性があるものは、先ほどもお話がありました有価証券報告書ですとか届け出書とか、公衆縦覧型と言っていますけれども、そういうディスクロージャー制度になじむと思うんですけれども、余り流通性がなくて業者が個別に売っていくようなものの場合には、発行者が開示をしますという制度よりも、売っていくときに説明もきちんとします、そういう情報提供の制度の方がいいのではないかと考えられます。

 これらの話は、現在金融審議会でも大変議論していますけれども、要は、いろいろな商品があるわけですから、その特性に応じて、法体制というか法体系も柔構造にすべきだというのは、そういう意味でございます。

鈴木(克)委員 ありがとうございます。

 ただいまの先生のお話で、ルール自体に問題がある、それからまたルールの適用にも問題がある、こういうことが明らかにされておるわけでありますが、投資サービス法の制定ということをおっしゃっておるわけであります。一般大衆が我が国の新たな金融市場の形をつくる過程において、投資家の保護という観点のみならず、金融市場と金融業界の国際競争力を復活させるために、現在のこの時期は大変重要な時期であるということをおっしゃっておるわけですよね。

 ところが、いま一歩よく、大衆ではわからない部分があるわけですけれども、うまく説明できませんが、その辺をもう少しわかりやすく御説明をいただけたら、このように思います。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 私もよくわからないところが実はあるんですけれども、それは簡単に言うと次のようなことではないかと思います。

 銀行中心のシステムでお金を回してきた日本、高度経済成長に成功をし、しかし、その後大量の不良債権問題を抱えて、この十数年間というのは失われた十年と言われた。これは何なんだろうか。諸外国の経験等も見てみると、日本ほど経済が大きくなればどこの国でも、貯蓄から投資へではありませんが、銀行を使ったお金の回し方とあわせて資本市場を通したお金の流し方というのを行っている。したがって、日本も貯蓄から投資へというふうに軸足を移していくべきではないか、こういうふうにロジカルに考えていくわけです。そうすれば、リスクというものも銀行に集中するわけではありませんので、経済が悪くなり、貸し手、銀行から見れば貸し手ですが、企業が悪くなっても、全部そのリスクを銀行がとって結局銀行がつぶれる、破綻するということは起きずに済むということであります。これはロジックとか諸外国の経験からはかなり言えるんですけれども、いま一つ一般の国民に、日本ではなじまないというか、理解してもらえていないように思います。

 それはなぜかなんですけれども、二つぐらい理由があるのではないかと思います。自信は全くありませんけれども。一つは、やはり日本では銀行預金というものに対して信頼が高いというか、信頼はないのかもしれませんけれども、ほかのものに信頼がなさ過ぎるのか、相対的にしたがって銀行預金なのか、つまり、ゼロ金利になっても国民の個人金融資産の半分以上が預貯金にあるんですね。ですから、日本の国民は、ゼロ金利になっても銀行預金、郵便貯金を選んでいる、こういう実態があります。それが一つ。

 それからもう一つは、それを裏からいうことになるかもしれませんけれども、なぜ資本市場分野にお金が来ないのかということなんです。これは先ほどから、投資教育というんでしょうか、そういうお話もありましたけれども、残念ながら、やはりまだ投資とか資本市場という分野というのは日本の国民一般にとってなじみが薄い。ごく一部の人がかかわっている分野ではないか、そういう認識が強いように思います。

 したがいまして、じゃ、今後どうすべきかということですけれども、第一点の方については、資本市場、証券市場といったものの信頼というんでしょうか、それを高める、これが非常に必要なことであり、第二点につきましても、もっと証券市場あるいは広い意味での資本市場というものを国民にわかっていただくような努力をしなければいけない。さもなければ、選択するのは国民なわけでありますから、そういった努力をするためにも、ルール自体の整備、そしてそのエンフォースメントというものを確実なものとして整備していかなければいけない。今、私どもはそういうところにいるように思います。

鈴木(克)委員 ありがとうございます。

 もう一点だけ先生にお伺いをしたいわけでありますが、冒頭、先生は、投資サービス法の制定の必要性の中で、あえて金融サービス法と言わずに投資サービス法なんだと。それは要するに、伝統的な銀行、保険にはそれなりのルールができておるから、その部分を除いたいわゆる投資サービス法を制定するんだ、こういう御説明をいただいたわけであります。

 私は、以前、先生の御本やいろいろなことを聞いておりまして、銀行があり、証券があり、その他の投資物件があり、保険がある、結局、そのすき間を今の法体制が埋め切れていない、そこにいろいろな事件が発生するんだと。したがって、あくまでもそれを横断的にくし刺しにした、要するに金融サービス法、金融サービス市場法が必要だ、こういうふうに言われておるのを伺っておりまして、私も全くそのとおりだというふうに思っておったわけですが、今回あえて、金融サービス法とは言わないんだ、投資サービス法だというふうに言われた、そこのところの真意というのをぜひお聞かせいただきたいということが一つ。

 もう一つは、結局、くどい話になりますが、二〇〇〇年にイギリスで金融サービス法が制定された、あれに比べると、私は投資サービス法はその以前の一九八六年代の法律ではないのかなと。なぜあえて、二〇〇〇年にある意味では理想に近い形のものがあるにもかかわらず、そういう見本があるにもかかわらず、さらに、古いといいますか投資サービス法を出されておる、提唱されておる、そこのところがいま一つ私自身もよくわからないんですが、そのところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 私も、金融サービス法がだめだとか言っているのではありませんで、まず投資サービス法をつくりましょう、次に金融サービス法はどうかを考える、そういう手順でスピードアップしたらどうかというふうに申し上げているつもりです。

 ただ、観点が幾つかありまして、金融サービス法という観点は、どちらかというと投資家がお金を出す、そういう場合では、それは銀行取引をしようが保険取引をしようが証券取引、投資サービス取引をしようが同じなわけですね。投資家としては、要はお金を出してリスクのあるものに投資をし、そのリスクに応じたリターンを期待するということですから、そういう意味ではどの取引でも共通であります。したがって、投資家に対する例えば説明義務ですとか勧誘のルール、こういうものを議論するときには、全部横断的である方が望ましいわけであります。

 なぜ私が今回投資サービス法をまずやりましょうというふうに申し上げているかと申しますと、一つは、先生御指摘のようなすき間が生じている分野というのは銀行取引や保険取引だけではありませんで、若干保険には共済という問題がありましたけれども、今回の法改正で手当てがなされることが予定されていますけれども、すべて銀行取引、保険取引を除くところなんですね、何とかファンドですとかいろいろなものが起きていますのは。したがって、それは投資サービス法でカバーできるということがあります。

 もう一点、ここがなかなか難しくてよくわからないんですけれども、アメリカやイギリスその他先進諸外国の関係者と私よく国際会議で議論する機会がございます。簡単に言えば、アメリカのSECのような、先ほどから出ております強力な資本市場の番人、そういった機能が日本でも必要かどうかということに尽きると思います。

 イギリス型、全部横断的にしますと、一つの監督官庁が全部を所管するというのが普通の考え方だと思います。しかし、昨今、貯蓄から投資へという流れを後押しするという意味においても、そしてまた、資本市場に対する信頼というものがどうもいま一つなかったのではないか、したがってそこではルールをきちんとエンフォースする、そういう強力な監視体制、番人の機能が必要ではないかと言えるのは、資本市場の分野なんですね。したがいまして、そうだとしますと、アメリカのSECが所管しているような分野というのがまさに資本市場、投資サービスの分野でありまして、そういったSECが銀行取引や保険取引をも強力に監視するというのは、多分、税金の使い過ぎというか、必要のないことではないかと思うわけです。

 そういった二つの理由、すなわち、すき間が生じているのは投資サービスの分野である、それから、強力な番人がやはりぜひとも必要だ、そういう機能を強化する、課徴金もそうですけれども、これも資本市場の分野です、ということから、銀行取引と保険取引を除く分野についてまず投資サービスをつくる、これが急務だというふうに今申し上げているわけです。

 したがって、金融サービス法がだめだとかそういう趣旨で申し上げているわけではなくて、順番としてまず投資サービス法をきちんとつくる、これが今日本にとってぜひとも必要だというふうに考えるようになったということでございます。

    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕

鈴木(克)委員 ありがとうございます。

 今とりあえず投資サービス法なんだというお話については、ある一定の理解はさせていただくわけでありますが、果たして本当にそれで日本の国際市場としての価値が上がっていくのか、また、世界の信頼を得ることができるのかという点からいきますと、私はやはりイギリス型の金融サービス市場法を早期につくるべきだというふうに考えておるわけであります。

 また、ぜひそういう観点で御指導賜りたいというふうに思うんですが、同時に、これは御回答は結構ですけれども、前にも私この委員会でも申し上げたんですが、そういう法整備ができますと、非常にコストが削減されまして、経済的にも税収面からいっても非常にいいというデータが実は出ていますよね。

 ちなみに、もう一度申し上げますと、金融市場が高質化することによって、〇・二%の資金調達コストの引き下げができる。そして、これはGDPの〇・五五%高まる。そして二〇〇三年度のGDPで比較すると、二・九兆円なんだ。そしてそれが、税で換算をすると二千七百四十億だ。金融庁が今使っておる予算というのは百七十一億なんですね。したがって、もう本当にはるかに、経済的にも税収的にも、そういう規制をきちっとやることが今の日本にとって必要だ。だから、私はやはり金融面から日本の構造を改革していくことも十分可能なわけだというふうに思うんですね。

 したがって、投資サービス法からという先生のお話はよくわかりましたけれども、やはり我々の目指すところは、本当に党派を超えて国を挙げて、きちっとした金融サービス市場法を制定していくことが、日本を変えていく、そして世界の信頼を得ることになる、このことをぜひ申し上げさせていただきたいというふうに思う次第でございます。

 それでは、大変済みません、時間の関係もございますので、順次、越田会長に伺ってまいりたいと思います。

 先ほどのお話で、証券市場の活性化が必要なんだ、そして多くの投資家の参加が必要なんだ、それにはやはり透明性、公正性が大切だ、こういうお話をいただいたというふうに思うんです。

 そこで、そのお話の中には直接なかったわけでありますが、証券業協会では、昨年の夏、組織再編を行われて、会員証券会社を監督する自主規制部門の強化拡充を行われた、こういうお話でございます。これにつきまして、具体的にどのような組織再編を行われたのか、また、その後の一連の証券市場の動きをごらんになって、どういった効果があったのか、会長として総括をひとつお示しいただければ大変ありがたいというふうに思います。

越田参考人 証券業協会の組織の改組の件でございますが、御存じのとおり、証券業界も外国系証券会社、銀行系証券会社、あるいはオンライン中心の証券会社と、いろいろ業態が多岐になっております。そういったことを受けて、証券業協会として、まず業界活動の面でございますが、意見の統一を図るというのはなかなか難しいということになってまいりまして、そのおのおのの業態での評議会を設けて、おのおのの業態での意見をもっと活発に出していただくという組織に、業界活動の方ではまずそういう組織にいたしました。おかげさまで、かなり活発な意見が出てくるようになりまして、かなり活性化しておると考えております。

 次に、自主規制部門でありますが、金融審議会において、この自主規制と業界活動をもっと分離すべきであるという御提言をいただきまして、それを受けて、このたびの改組の一つの要因であるということでありますが、この自主規制部門の独立性ということから、この二つの部門のファイアウオールを厳しく設けるようにいたしまして、おのおのの議長、すなわち戦略会議の議長そして自主規制会議の議長を設けて、分離する方向で運用いたしております。

 しかもその自主規制の方には業界ではない外部の委員を導入し、半数が外部の委員になっております。そして、その上における理事会においても、やはり外部の方の理事を半分置くという形をとりまして、できる限り客観性といいますか第三者の意見を導入する方向で改組したということでございます。おかげさまで、今のところ非常に両部門とも円滑に運用されております。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 ありがとうございます。

 それでは、次に鶴島社長にお伺いをしたいわけでありますが、昨今のライブドア問題に関連をしまして、いわゆる村上ファンドの代表村上世彰さんが大阪証券取引所の株式の一〇%を取得されたという問題が非常に話題になっております。

 この村上さんが大阪証券取引所にあてた質問状の内容で、大証が決済事故の備えとして多額の内部留保金を持つ必要はない、株主の負担で取引の決済リスクを負うのはおかしいと指摘をしているという報道を拝見したわけであります。報道によりますと、大証は二百億円を超す利益剰余金を内部留保として保有されておる、そして、デリバティブ決済で債務不履行が起きた等の場合に、取引の安全確保のため一時的に肩がわりする資金として必要であると説明をされたということであります。

 そこでお伺いをするわけでありますが、東証でもこのような内部留保金あるいは違約損失準備金というものがございますでしょうか。もしあるとすれば、その金額、そしてまた、大証同様利益剰余金を充てているのかどうか。その点について、可能なところで結構でございますが、御意見を聞かせていただきたいと思います。

鶴島参考人 お答えいたします。

 私ども東京証券取引所にも、当然内部留保というのがございます。そしてまた、違約に備えた積立金もございます。額にいたしますと、内部留保では、今ちょっと正確な数字はあれですが、三百億円を超えております。それから、そのうちの違約の積立金というのが百七十億円強だったと思います。

 これについてちょっと御説明をさせていただきますと、この違約のための積立金というのは歴史がございまして、会員制時代に、取引所でそれぞれ、東証も大証もそうですけれども、行われた売買の決済を確保するために、違約が起きたときに積立金を充てようといって、違約損失補償準備金という名前で、各取引所が内部で会員のために、会員自身が出して積み立てた積立金があったわけです。

 これが、一昨年、日本証券クリアリング機構という清算機構を外につくりまして、ここにすべての市場の清算機能を移したわけです。その方が大変効率的であり、合理的であり、資金あるいは証券の決済のための節約ができる、こういうことからこのクリアリングハウスというのをつくったわけです。大変効率的に今機能しております。

 ただ、この機構は決済を全部保証するわけです。ですから、売買をする人たちは安心して売買ができる。今までは取引所の内部でそういう資金をつくって、取引所自身がその決済を保証していたんですが、今度、証券クリアリング機構というのをつくって事務の効率をやって、そこで決済そのものも保証すると。

 ところが、このクリアリング機構という清算機構はできたばかりですから、それを担保する積立金みたいなものがありません。そこで、会員制時代に積み立てたものを、万が一クリアリング機構で違約が起きたような場合には、契約をもって、今まで積み立てていた分をそこに充当しましょうと。いわば過渡期の知恵を働かせたわけですね。それによって決済の安全性を確保して、安心して売買に参加できる仕組みをつくった。

 したがって、私どもも、そのための積立金ですから、それ以外にはこれは使えません。だから、純然たる、何にでも使える内部留保というものとは性格が違うということを御理解いただければというふうに思います。

    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(克)委員 ありがとうございました。

 時間も参りました。以上で質問を終えさせていただきますが、それぞれ本当に御丁寧にお答えをいただきましたことをお礼申し上げ、何としても、おくれております日本の金融、証券もろもろの分野、本当に皆さん力を結集していただいて、国際的にも高いマーケットになるような御尽力をさらにお願い申し上げて、お礼とさせていただきます。ありがとうございました。

金田委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 民主党の中塚一宏でございます。

 参考人各位におかれましては、本日はまことに御苦労さまでございます。

 私は、まずはディスクロージャーの問題をお伺いし、その後は、時間があれば、TOBあるいは我が国の資本市場の公平性、透明性ということについてお伺いをしたいと思うわけなんです。

 まずは藤沼参考人にお伺いをしたいと思います。

 昨年のことになりますが、足利銀行の問題がございまして、この委員会でも参考人の質疑をさせていただきました。その際に、金融庁の検査と監査法人の監査の違いというのが問題になったことがございます。では、その違いが今日に至っていかに埋まったのか、加えて、公認会計士の皆さんと金融庁との関係はどうあるべきかということについてお伺いをしたいと思います。

 というのは、銀行も、そしてまた公認会計士の皆さんも、所管は同じ役所なわけですね。何もないのかもしれません。何もないのかもしれませんが、ただ、所管が同じだということになると、金融庁と公認会計士の方々の間に何か恣意的なものが働くんではないのかというふうな疑念を抱かざるを得ない部分というのもあると思うんです。やはり独立性を持ってお仕事をされるということだと思うのですけれども、そういった意味で、検査、監査の乖離をどのように埋めるのかということと、あと、金融庁との関係はどういうふうにあるべきかということについてお伺いをしたいと思います。

藤沼参考人 ありがとうございます。

 まず、監査と検査の違いということにつきましては、これは足利銀行のときに大きな問題になったわけなんでございますけれども、ここで私ども、たしか平成十六年の前半に調査をしまして、銀行の検査と会計監査とどうしてそんな違いがあるのか、それを調べた。これは、銀行にもいろいろアンケート調査をしましたし、かなり大がかりな調査だったんでございますけれども、そこでは、一つは、銀行法によって金融制度の安定化を目的とする金融庁による検査と、投資家保護を目的とした外部監査とでは目的が違うということがまず第一にありまして、二番目は、会計監査と、銀行の金融庁による金融検査では、実施時期にかなり差があるということで、我々の方は銀行の方の決算と一緒に同時監査を進めておりますけれども、銀行の金融庁の金融検査というのはそのかなり後で行われる、そういうような時間の違いということと、あと、これは実態面の問題なんですけれども、我々、外部監査を行っている債権についての実際のサンプル数の問題というか、実際監査する件数が、これは時間的制約等いろいろありましてかなりサンプル数に差異がある、そういうようなことから、会計の監査の結果と金融庁の検査の結果がかなり違ってきた、こういうようなことがあったわけです。

 それで、いずれにしても、こういうような差が出るというのは、やはり監査に対する信頼性の問題ということで、これは、金融庁の検査局と私どもの会計士協会で年二回ほど協議会と申しまして意見交換の場を持ちまして、その差がどうして発生するのか、その辺のところの差異の解消に向けての取り組みをしております。

 そこでいろいろと今議論を、昨年六月と十二月に協議会が設けられたわけなんですけれども、そこでは、実際に、実務上の問題、例えば貸出債権が資本劣後ローンに転換された場合の会計処理に対する対応、これはどうしたらいいのか。また、DESというものですけれども、DESというのはいわゆるデット・エクイティー・スワップ。この会計処理をどうしたらいいのか。その辺のところを、やはりお互いに意見が違うというわけにいきませんので、これは会計士協会が中心になって実務指針をつくった、そういうことをやっております。

 それと、あと、今議員の御質問のありました金融庁と公認会計士の関係ということなんですけれども、公認会計士は、御承知のように独立の外部の第三者ということで仕事をしておりますので、公認会計士は銀行からも独立しておりますし金融庁からも独立しているというのが私の考え方でございまして、ただ、必要な実務上の意見調整等は定期的にあって、意見調整するという立場でやっております。

 以上です。

中塚委員 報道によれば、関東つくば銀行と茨城銀行の合併について、監査法人と金融庁の検査官が意見交換をしたという話も聞くわけなんですね。今会長がおっしゃったとおりで、やはり二つは、検査と監査というのは目的からすると全然別のものということであって、それはもう私も重々理解をしているわけなんですが、会長が、そういった意味で、独立性、独立してやっているんだということであるならば、なおさら金融庁の所管にあるということについては、やはり私はこれを変えた方がいいんじゃないか、より独立が担保されるような形にされた方がいいんじゃないのか、そういう問題意識を持っているということをお伝えしておきたいと思います。

 お手元に資料をお配りいたしました。昨日、私、証取法に関連をしてカネボウの問題について質問をいたしました。これを見ていただくと、「監査法人に関するお尋ねについて」というのと「カネボウに関するお尋ねについて」というのがあります。

 「カネボウに関するお尋ねについて」という紙を見ていただくと、特に実体経済にかかわり動かしていらっしゃるお三方、これを見てどういうふうに思われるか。カネボウ自身が、経営浄化委員会をつくって粉飾決算であったということを言っているにもかかわらず、調査しているしていないということについても答えられないというようなことを行政というのは言うわけですね。

 もう一枚、「監査法人に関するお尋ねについて」ということですが、これについても、1のところで「関係者に予断を与えるほか、将来、関係者の協力が得られにくくなる」ということで、その関係者が一体だれなのかということについても全くもってわからないということで、行政の秘密体質、あともう一つは対応自体が遅いということだと思うんですけれども。

 ただ、公認会計士協会あるいは監査法人としてのみずからの説明責任というのはあるんではないかと私は思っておりまして、そういった意味でお伺いをいたしますけれども、このカネボウの粉飾決算の問題なんですが、これについての監査法人の責任ということをお伺いしたいと思います。

 債務超過も多年にわたってしまっていたということですけれども、責任というのは、行政に聞けば法律上の責任ということになるんですが、監査法人の責任というのを公認会計士協会の会長としてどのようにお考えになるのかということがまず第一点。第二点目に、なぜこういうことが起こってしまうのかということについてもお伺いをしたい。

 冒頭、内部監査の問題等々についてもお話がございましたけれども、こういった事態が起こってしまうのは、これは要は、今の制度上の問題なのか、それとも公認会計士あるいは監査法人としての能力の限界の問題なのか、それについてお答えをいただきたいと思います。

藤沼参考人 カネボウに行く前に、一つ、先ほどの、関東つくば銀行と茨城銀行の合併に関して監査法人が検査官と意見交換したということなんですけれども、これは別に不思議なことをやっているわけではありませんで、実は、金融検査マニュアルのもとで金融検査が適正に実施されるために、これは金融機関の役員の方の立ち会いのもとで会計監査人と金融庁の検査官との意見交換というものをした方がいいということで、これは業種別監査委員会報告第十八号という、会計監査と金融検査との連携に関するガイドラインというものができておりまして、ここで、私どもは、先ほど言った銀行の会計監査の結果と金融庁の検査の乖離をできるだけ少なくするように意見交換をすべきだということで、できれば三回ぐらい、なかなか実際には三回もできないんですけれども、そういう意見交換をすべきだというふうに言っておりまして、その一環としてあったのではないかというふうに想像しております。

 それと、カネボウのケースなんですけれども、私どもは、公認会計士協会として会員、監査法人、個人の公認会計士の業務の適正な運営を目的として、自主規制機関としていろいろな措置をとっておるわけですけれども、このカネボウの件につきましては、公認会計士協会としましては、これは監査業務審査会というものがありまして、その社会的な問題になった、これは新聞報道あるいはマスコミ等の情報に基づいて、どういうようなことがあったのか、会員等に質問等、文書でやる場合もあるし質問をする場合もある、そういう形で審査をしまして、その結果、何か問題がありそうであるならば綱紀委員会というところで具体的な自主規制機関としての綱紀案件に回す、こういう手続をとっております。この件につきましては、現在この監査業務審査会で、どういうことが起こったのかという事実把握ということをしているというふうに理解しております。これは一般論でございますから。

 それと、監査を長年やっていて、監査の過程でどうしていろいろな粉飾決算が見つからなかったのかと。実際にこれは日本だけの問題ではございませんで、エンロン、ワールドコムのアメリカでもそうですし、イタリアのパルマラットでもそうでございますけれども、やはり会社が、ある程度粉飾の目的で、特にトップの意思のもとに粉飾を指揮する、そういうことの場合には、公認会計士の監査といいますのは会社と私的契約に基づく監査でございますので、いわゆる国家権力でもって相手方の企業にもいろいろ資料の提出を命じたり、あるいはそれに関連する取引先だとかそういうところに立入検査ができないということがあります。そういう面では、基本的に相手の情報、協力をもとに監査をしているということでございまして、本格的にリハーサルまでして会計粉飾をやるというような会社もございますので、その辺のところは、なかなか言いづらい話なので、監査の限界もそれなりにあるのではないかというふうに思っています。

中塚委員 私は今の御答弁、大変残念に思います。

 その意見交換をしたということは不思議なことではないとおっしゃいますが、確かに不思議なことではないのかもしれませんけれども、まず、その意見交換をする前段に、検査と監査が食い違っていたという事実がある。それを起こさないために、では意見交換をするということに加えて、私が先ほど申し上げましたとおり、金融庁の所管のもとで公認会計士というお仕事をされているということになりますと、要は、国民から見てどういうふうに思うのかということ、その視点が大事だと思うんですね。

 正しい情報開示によって、公平な、公正な市場を維持するということが目標であるならば、私は、公認会計士の皆さんから、このカネボウの粉飾決算のようなことについても、制度上の問題があるんだったら、それは制度上の問題があるということを御指摘いただきたいし、公認会計士としてはもうここまでが限界なんだということであるんだったら、それはちゃんとおっしゃっていただきたい。また加えて、それをどういうふうに改善すればいいのかということについても、もうちょっと具体的な御意見をいただきたいと思うんです。そうでなければ、やはり投資家は皆、有価証券の報告書を見て投資をするわけですね、株を買ったりするわけなんですから、まさしくそれは公認会計士の皆さんの信頼そのものが問われているということだと私は思います。

 そういった意味で、公認会計士の監査審査会との関係についてお伺いをしたいんです。

 協会が品質管理レビューというものを行って、そのレビューの再チェックを審査会がするということでありますけれども、この審査会との関係ですね、そしてまた、審査会と協会とのあり方についてお伺いをしたいと思います。

藤沼参考人 金融庁との協議をしているということなんですけれども、金融検査との関係で、いわゆる金融の監督機関と外部監査人が検査するというのは、これは何も日本だけでありませんで、海外でも同じようにやっているわけでございまして、公認会計士の独立性がそれで損なわれるということではないというふうに思っております。

 それと、監査制度を強化するために何が必要かということなんですけれども、本日谷口議員の方の御質問でカバーしたことなんでございますけれども、やはり財務情報、開示情報の適正性というのはまず第一に会社に責任がある、それを認識してもらう。あと、当然ながら、外部監査人として、財務情報の妥当性については監査人は意見を出すことによって責任を負う、こういうことだと思います。そういう面で、経営者が財務諸表の適正性について宣誓をする、確認をする、こういうようなことの制度化が必要なのではないか。

 次に、制度化をした後、経営者としてむやみに判を押すわけにもいきませんから、やはり財務情報が正確であるということを担保するための内部統制のシステムを構築する、それを経営者みずからが評価して、監査人が経営者の評価が妥当かどうかを検証するというシステムが、制度化では求められるのではないかなというふうに思っております。

 次に、公認会計士協会が品質管理レビュー制度というものを、これは一九九九年から自主規制として、法律化される前にもう導入しているわけなんですけれども、実は昨年の四月から、公認会計士・監査審査会の活動がスタートいたしまして、公認会計士・監査審査会が公認会計士協会の品質管理レビューのモニタリングを実施する、こういうことになりました。公認会計士・監査審査会は、過去公認会計士協会が行っていた自主規制制度に基づいて行われた品質管理レビューが妥当なものだったかどうか、深度ある理解をするということでいろいろと検査をなさいまして、実はことしの二月に、公認会計士協会の品質管理レビューの一層の向上に向けてということで、実態把握の結果、提言をいただきました。

 それには、公認会計士協会が自主規制で行ってきた品質管理体制についていろいろと改善点があるということで、例えば、品質管理に使う人員リソースの問題で、これが不足しているのではないかとか、あるいは、品質管理レビューをやった、レビューアーという者がいるんですが、これのドキュメンテーションというか記録がきちっと整っていない、もうちょっと明確にしろとか、いろいろと御指摘をいただきまして、我々としてはそれを真摯に受けとめて、レビューアーも倍増する、会員についてはきちっと、先ほどお話ししましたけれども、三月には五回会合を、会員を集めまして教育をした、そういうことをやっております。

 以上です。

中塚委員 今のお答えで、では、その品質管理レビューというものについて、改善点が指摘をされ、その結果を反映して監査というものがより適正になっていくということを期待したい。本当に、証取法、あと今会社法も審議が行われているわけなんですけれども、やはり正しい情報開示こそ公平な資本市場の大もとだと思うんですね。それがもう信用できない、そういうふうな案件が今重なり過ぎているものですから、そういった意味で、そこのところはきっちりとお願いをしたいと思います。

 そして次に、鶴島参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、親子上場についてなんです。

 ライブドアとフジテレビのニッポン放送株の争奪戦、いろいろと問題点はあると思いますが、その問題点の一つに親子上場の問題があるのではないかというふうに私は考えているんです。

 というのは、ニッポン放送が後から上場をする、後から親の方が上場する、それで今度子が親にTOBをかけているさなかにああいう事態に立ち至ったということになるわけでありますが、そういった意味で、親子上場についてどういったお考えをお持ちか。いろいろ利益相反することなんかもあると思うんですね。端的にお願いできたらと思います。

鶴島参考人 お答え申し上げます。

 確かに、親子上場についていろいろな御意見があることは承知をしております。ただ、私どもは子会社上場について相応の意義があるというふうに認識をしておりまして、これは、上場することによって、子会社は独自の資金調達の道を有する、そして有能な人材を得やすくなるということが言われております。また、投資者にとりましても、多くの場合成長分野の投資対象が提供されるという点で、国民経済的に見れば資金の効率的な配分、証券市場にとっては市場の活性化につながるもの、こういう御指摘もあります。私どもは、こうした認識に立って、相応の意義があるというふうに考えております。

 ただ、委員御指摘のように、親子での利益相反、こういう問題は極力避けて上場をしなければならないというふうに思っております。

 したがって、審査の段階では、親から無理な取引を強要されていないかとか、あるいは正常な取引以外の取引が親子間で行われていないかとか、それから無用な圧力がかかっていないかとか、そういう、独立性についてほかの一般の会社とは違うかなり厳しい目を向けながら上場の審査に当たっている、こういうことでございます。

中塚委員 ありがとうございました。終わります。

金田委員長 次に、村越祐民君。

村越委員 民主党の村越祐民でございます。

 四人の参考人の皆様、本日はお忙しいところ御足労いただきまして、本当にありがとうございます。時間の許す限り、各参考人の皆様に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、神田秀樹先生に、今回の証券取引法の改正及びそこに付された修正に関してお伺いをしたいと思います。

 今回の修正の目玉というのは、継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入にあったかと思うんですが、この当該制度は、いわゆる二重処罰の禁止を回避する手段をとられているということからも、ペナルティーとしての趣旨と解するべきだと私は思っているんですけれども、果たしてこの制度に実効性があるとお考えになっているでしょうか。

 つまり、〇・〇〇三%という数字がありますけれども、例えば、非常にうがった見方をすれば、時価総額二千億円の企業が違反した場合、私の計算が正しければ六百万円の課徴金で済むという計算になると思うのですが、これは言ってみれば、これだけの資産を持っている大きな企業からすれば、小銭を払って虚偽記載をする、インチキをする免罪符を小銭で買えるような制度と言ってもいいのではないかと私は思えるのですけれども、その点、先生はいかがお考えでしょうか。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 私は二つ感想があるのですけれども、第一は、先ほどから申し上げていますように、ルールの違反があった場合にどういう制裁を設けるかということについては総合的に考えなければいけなくて、これまで課徴金という制度がなかったことがおかしい、課徴金という制度もぜひあってしかるべきだと思ってきました。そういう意味で、小さく産んで大きく育てるということで、最初は御不満かもしれませんが、まずとにかく導入してほしいというところがあります。それが第一点です。

 それから第二点は、おっしゃるように、これは違反をした方の受けとめ方にも大きく影響される話だと思います。つまり、御指摘のように六百万円払えばいいんだ、何遍でも違反するぞ、こういう態度に出られたのではどうしようもないわけでありまして、独占禁止法の分野でも、課徴金を受けながらも繰り返し違法行為を行うという事実もございます。もし、そういうことだとしますと、これは当然のことですけれども、法を無視しているわけですから、課徴金制度そのものも大きく見直す必要があるでしょうし、課徴金制度以外の方法でルールが守られるということを考えなければいけない。それは今後の経験次第によって、ひょっとすると大きく変えていかなければいけない、そういう制度だと思っております。

村越委員 ありがとうございます。

 あと三点、神田先生にお伺いをしたいと思っています。

 先ほど先生がお話しになっておりましたとおり、敵対的買収ばかりがクローズアップされていると思います。そして、反対に、友好的な買収に関して、果たして現行法上問題がないのでしょうか。考えられる法の不備があったら、ぜひ御教示いただきたいと思います。なければないで結構でございます。お願いします。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 友好的な買収について法の不備があるかというと、私は答えはないというふうに思います。ただ、細かい話を申し上げますと、一、二、さらに改善できれば考えた方がいいのではないかと思われる点があります。

 第一点は、友好的な買収の形態に応じて課税関係、税制が違っているという点です。これは、そういうことでいいのかというのは一度考える必要があるように思います。

 それから第二点は、国境を越えた友好的な買収ですね。今回、三角合併という手法が提案されていますけれども、国境を越えてAという国の会社とBという国の会社とが一緒になるときに、例えば合併でも直接合併できないのだろうか、そういうことを認めてもいいのではないか、そういったことが課題としては存在すると思います。

 もう一点だけ申させていただきますと、そういうふうに国を越えた統合とか買収があった後のその会社、これが大きな公開企業の場合には、例えばその会社の株式は複数の国の証券取引所に同時上場されて流通されるのがいいのかどうか、こういった問題も一応課題としては残されていると思います。

村越委員 企業価値向上につながる買収防止策のための整備として、一連の商法改正、そして、もう衆議院を通過しましたけれども証取法の改正がなされているという面があると思うんですが、一連の法改正でもし積み残しがあれば教えていただきたいと思います。これも、なければないで結構でございます。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 企業価値向上のために、今回の会社法案、及び証券取引法改正案で、衆議院では可決していただきましたけれども、まだ不足の部分があるかという御質問だと思うんですけれども、これは、私はそれほどはないと思うのですが、ないと思いますとは断言できません。

 なぜかといいますと、特に、敵対的買収とか防衛策ということにつきましては、日本はこれまで経験がほとんどないんですね。アメリカの例でいいますと、一九八〇年代に十年間の経験で、その経験の中から課題が出てきて、それに対して制度的な対応をしたという歴史があります。最初からわかっていてすべて制度を整えたということができたわけではありません。

 したがって、現時点では、私は、ほとんどないというふうには思っていますけれども、先ほどちょっと出ておりましたTOBの法制度の整備とかそういったことはする必要がありますし、そういう意味では、今後、経験を通じて、そして既にわかっている問題もあるのかもしれませんけれども、まだ幾つかの手当てはする必要が恐らく出てくるのではないかと思います。

村越委員 先生に最後にお伺いしたいんですけれども、いわゆるライブドア騒動、ニッポン放送株の買収問題に関して先生はどのような御感想をお持ちでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 いろいろな感想があるのですけれども、一つは企業価値、企業価値という言葉がおかげさまで人口に膾炙しまして、企業価値という言葉をみんなが語るようになった。しかし、それは何だかよくわからない。しかし、みんなで議論するそういういい機会を与えてくれたということがあると思います。

 それから、もう二点手短に申し上げますと、もう一点は、あの事件は、当然のことですけれども、ライブドアが登場してから防衛策と呼ばれる対策が打たれたものでありまして、それが裁判になったわけですけれども、一般に、買収の防衛策というのは平時導入と言っていますけれども、特定の買収者があらわれる前に導入しておいて、そして、平時導入、有事発動と言っていますけれども、特定の買収者があらわれたときに発動されるものであります。そこで難しい問題は、ライブドアのようなケースはちょっとそういう意味では例外的なケースでありまして、普通の防衛策を議論するときには平時に導入するものでありますので、その辺は、裁判ではライブドアのあの事件ではニッポン放送が導入した有事導入の防衛策はだめだというふうにされたわけですけれども、その考え方が平時導入の防衛策の場合にどこまで適用されるのかというのは、ちょっと狭い法律家だけがする議論かもしれませんけれども、関心があるところです。

 もう一点だけ申させていただきますけれども、私は、企業価値という言葉はあいまいだという御指摘もありますけれども、正しい考え方だと今でも思っているんです。あのニッポン放送の裁判では、裁判所は企業価値については、より具体的に言えば、ライブドアがニッポン放送を買収した場合に企業価値が高まるのか損なわれるのかということについては判断しませんと言っているんですね。裁判所が判断するのは、そこで問題になった商法上の法律問題です。裁判所は、そういう企業価値を損なうのか高めるのかというのは、株主、そして市場における判断にゆだねるのであって、判断しませんというふうに言っているんですけれども、私の希望としては、やはりそこは裁判所から見て、限られた時間ですので無理かもしれないんですけれども、損なう買収なのか高める買収なのか、どっちだと思うかぐらいは判断していただけるとありがたいと思います。といいますのは、結局、先ほどの御質問にもございましたように、だれが判断するのかということが問題になるわけですから、第一次的には会社の関係者、それは取締役会かもしれません、あるいは株主の一部かもしれません、それが判断したとしても、訴訟になったときに裁判所は判断しませんというのは、ちょっと残念なような気もします。

 ただ、仮処分の事件ですと、一週間とか時間も限られておりますので、あるいはそこは難しいのかもしれませんけれども、私の感想としては、企業価値を高めるのか損なうのかということについても、ぜひ当事者の判断を裁判所が後から見るというようなふうになっていった方が、一般論としてはいいように思います。

村越委員 神田先生、ありがとうございました。

 今のライブドアの話に関連して、越田日本証券業協会会長に一点だけお伺いをしたいと思います。

 このライブドア騒動の結果、実は一番得をしたのは、買収攻撃を恐れて三月期に増配をする企業がふえたため、一般の株主が一番得をしたんじゃないかというような論評をする向きがあるかと思うんですが、こういった考えに関して会長はどのようにお考えでしょうか。

越田参考人 確かにおっしゃるとおりでございまして、この三月期、五百九十二社の増復配、約三分の一の企業が増復配を実施する予定であるということであります。これもひとえに経営者が株主重視といいますか株主還元を重視した結果だろうと思います。それはひとえに我々が絶えず訴えていることでありまして、株主還元は大いにやっていただきたい。経営者の方々も、今回の事件を契機に、自社の防衛ないしは経営するに当たって非常に神経を使う必要性ということを痛切にお感じになっているのではないかと思っております。

 以上です。

村越委員 ありがとうございました。

 残りの時間で、藤沼参考人、鶴島参考人に御質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の十二月一日に、鶴島参考人に当委員会に参考人として御足労いただいた際に私は御質問させていただいたんですが、その際に、公認会計士協会と、証券市場の信頼性向上のための共同プロジェクトを立ち上げるという御答弁をいただきました。また、先ほど藤沼参考人からこのプロジェクトに関して論及があったかと思いますが、先日、東証の方から共同プロジェクトの中間報告という紙をいただきました。ありがとうございました。

 その中で、「終わりに」というところで、「東証及び協会の対策は相応の抑止機能を発揮するものと期待できるが、第一義的には、有価証券報告書等を作成・開示する企業の体制整備が何よりも重要である。」と書いてあるんですが、先ほど同じ趣旨のことを藤沼参考人が中塚委員の質問に対してお答えになっていました。これも非常にうがった見方をすれば、結局、監査を受ける会社がちゃんとしてくれよというふうに読めると思うんですね。つまり、企業が隠しちゃったら暴けないのが監査制度だと。差し当たって、確かにインチキをするのはその企業かもしれないですけれども、そういうふうに言い切ってしまわれると、一体何のために会計制度、会計士の方々がいるのかというふうにも思ってしまうんですね。言ってみれば、非常に僣越ですが、みずからを律する姿勢に若干欠けているんじゃないかというふうに私は思います。

 そのことをちょっと御指摘させていただいた上でお伺いをしますが、いろいろつまらない勉強をしましたが、公認会計士協会には会則というのがありまして、その中に懲戒の制度があるというのを承知しております。その懲戒の実態というのはどうなっているのか、教えていただきたいと思います。

藤沼参考人 御質問ありがとうございます。

 決して公認会計士は実態から目をそらして逃げ隠れしているわけではなくて、きちっとした監査をしようということで一生懸命日夜努力しております。ただ、申し上げたかったのは、エンロン事件のときもワールドコム事件もそうなんですけれども、経営者は、あれはCFOと監査人に任せていた、おれは知らなかったというのが今までのパターンでございまして、そういうことがないようにということであえて言及したということでございます。

 それで、公認会計士協会は、自主規制機関として会員のいわゆる監査実務その他倫理上の違反等について懲戒処分をする、こういうことをしております。これは実は、協会内の会員の利益というか、会員の権利にも関係するものですから慎重にしておりまして、監査業務審査会でまず実態把握をした後、問題がある場合には、さらに検討会で再チェックした上で監査の綱紀案件として出てくる、こういうことになっております。

 今ちょうど公認会計士協会のストラクチャーの見直しを行っておりまして、この綱紀案件の処理については、外部委員を入れた綱紀審査会というものをつくって、もっと透明性のある会員の処分ができるような形にしたいということで、実はこの七月に総会にかける予定にしております。

 あと、会員の、粉飾決算疑惑とかいろいろある案件について処理が遅いということなんでございますけれども、これは一生懸命今進めております。ただ、難しいのは、裁判中のものが結構多くなっておりまして、その辺のところについては、資料収集の問題だとか会員の権利の問題ということで、そのようなものが処理がちょっとおくれているという、これは事実でございまして、できるだけ速やかに処理をしたいというふうに思っております。

 どうもありがとうございました。

村越委員 ありがとうございました。

 顧問先の企業と公認会計士というのはあくまで私的な関係である、あるいは洋の東西を問わず不正が行われているというお話がありましたが、いずれにせよ、公認会計士の皆さんに期待されている職責と申しますか、公共性というものをまた認識していただいて、信頼回復に向けて努力をしていただきたいと思います。

 最後に、鶴島参考人にお伺いしたいと思います。

 今回の改正で外国企業について企業の情報開示を英文で提出できるようになった、英文で行えるようになったというのがありましたが、この点に関して、市場間競争の視点からどのようなメリットがあるのかということと、逆に言えば、今まで日本語による開示がどこまで外国企業の参入障壁になっていたのかということを教えていただきたいと思います。

鶴島参考人 お答えいたします。

 端的に申しまして、日本語に訳すことによって外国上場企業はどのぐらいの負担を負っていたかということでございますが、およそ日本で上場するのに一年間に外国企業がかかるコスト負担が千四百万円から千五百万円、こう言われております。そのうち七割前後のものが翻訳料及びそれに携わる弁護士の方の費用、こういうふうに承っております。

 したがって、最近、ピークは百二十七社まで上場会社がありましたけれども、現在は三十を切るという状況になっておりますが、この撤退の理由の多くが、日本にいる株主一人当たりにかかる株主管理コストと本国における株主管理コスト、これを比べると、圧倒的に日本にいる株主にかかるパーヘッドのコストが高い。これが本国の株主に説明がしにくいというようなことが、我々がヒアリングをしておりますと聞こえてまいります。したがって、ここの費用の削減というのは、そういう意味では今後それなりにきいてくるものだろう、こういうふうに思っております。

 ただ、現在、国内でもいろいろ英語で投資家保護に欠けないかというような議論があった末に金融審で一定の方向を出していただきましたので、今後、その方向に沿った形で我々もなお外国企業の上場維持あるいは新規上場というものに力を入れてまいりたい、こう思っております。

村越委員 ありがとうございました。終わります。

金田委員長 時間が押しておりますけれども、もう少しおつき合いいただきたいと思います。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。最後の質問者ですので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、証券業協会の越田参考人にお伺いします。

 先ほどの意見陳述で、市場の透明性、公正性が確保されることが重要である、私もそのとおりだと思います。そこで、取引の場を提供する証券取引所の問題についてお聞きをしたい。

 五年前に証券取引所を株式会社にすることを可能とする法改正が行われまして、その後、東京証券取引所、大阪証券取引所も株式会社になりました。その上で上場したのは大阪証券取引所であります。証券取引の場を提供する取引所が、自分の市場に自分を上場するということはいろいろな問題が発生すると私は思いますが、この点、どのようにごらんになっているのか、まず御意見を伺いたいと思います。

越田参考人 証券市場の上場に関しましては、最近ではニューヨーク証券取引所も上場の意向であるということが伝えられております。ヨーロッパの証券取引所も上場しております。そういった観点から、コンピューター投資その他上場の必要性は片やあるということは十分理解できるかと思います。

 今仰せのとおり、自主規制との関係においてでありますが、証券取引所自身が開設している市場に最も近い場所にいるわけでありますから、必要かつ十分な市場監視活動を行い、証券取引所における取引の公正性、透明性を確保していただくなど、市場運営が適切にかつ円滑に行われるような自主規制機能を発揮していただくのが望ましい。上場に当たってもこの点は十分勘案していただきたい、このように考えております。

佐々木(憲)委員 神田教授にお伺いします。

 一つは、今お話ありましたように、ヨーロッパなどでは取引所が既に上場されている。その場合、どのようなルールのもとで規制が行われているのか、御承知でしたら教えていただきたい。

 それからもう一つは、アメリカのニューヨーク証券取引所の場合、上場するという意向は伝えられていながら、なかなか、上場をすぐはせずに見送られているわけです。最近は、電子取引所との統合をめぐりましていろいろな議論があって、上場との関連でも議論されているようであります。このニューヨーク証券取引所の上場していない理由、何を危惧して上場していないのか、その点もぜひ教えていただければと思います。

神田参考人 御質問ありがとうございます。

 ヨーロッパの方ですけれども、証券取引所自体が株式会社形態になって、かつ、その株式は自分のところに上場するという制度につきましては、当然のことですけれども、一般には監督当局が承認をする。取引所の公益性その他が損なわれるおそれがないかどうかということをチェックする意味で、厳重な意味での承認制をとっています。それから、言うまでもありませんけれども、上場した後も証券取引所は必要な監督を受けますので、そういう意味においてはほかの一般の上場会社とは全然違うということが言えようかと思います。

 アメリカがどうかということにお答えするためには、一歩戻って、証券取引所が株式会社形態になることがなぜ今求められているのかということが一番重要だと思います。アメリカでは、長らく議論した結果、株式会社形態になること自体にストップをかけてきたという歴史があるからです。

 なぜ証券取引所が従来の会員組織から株式会社形態になってもいいとするか、これは、なる義務はありませんで、なりたくないところは会員組織でもいいので、株式会社形態になってもよろしいということなんですけれども、そういう制度改正をしたかについては、人によって意見は分かれますけれども、抽象的に言えば長所と短所、株式会社形態、会員形態それぞれ一長一短であって、当事者の選択にゆだねていいのではないか。とりわけ株式会社形態に移行することによって、より長所が発揮できるような、そういう取引所があるのではないかというのが株式会社形態への移行を認める議論です。

 株式会社形態の長所というのは、ちょっと時間がありませんので簡単に申し上げますと、意思決定の迅速、資金調達の多様性、そしていわゆるガバナンス、この三つにあると言われていますけれども、そういう意味で、私の理解では、東京証券取引所も大阪証券取引所も株式会社形態に移行されたんだと思います。もしそれが長所だということになれば、その資金調達の多様性を生かすためには自分の株も上場して公開する方がいいわけですね。

 したがいまして、ロジックだけを申し上げますと、株式会社形態になった理由のうちの資金調達というところを強調するのであれば、株を上場して資金調達の道を開いた方がいいわけですし、そうではなくて、ほかの長所というのでしょうか、意思決定の迅速あるいはガバナンスというふうに私申し上げましたけれども、これらの長所は別に上場までしなくても株式会社形態であれば達成できるわけですから、そちらを強調すれば上場までしなくていいということになります。

 アメリカは、その一歩手前で株式会社形態になること自体にストップをかけてきたわけですけれども、その理由は、私が理解するところによりますと、そもそも株式会社形態になった場合の長所と短所を比較しますと、先ほどから言葉が出ています公益性というのでしょうか、取引所の果たすべき役割、性格と相入れないところがあるのではないか、したがって、株式会社形態になることを認めることは長所よりも短所の方が大きいのではないか、そういう危惧があったからだと思います。そのほかにも政治的な理由等もありますけれども、おおむねそういうことだと思います。

佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

 東京証券取引所の鶴島参考人にお伺いをいたします。

 一般の株式会社と違いまして、証券取引所というのは、上場企業の内部情報に触れる機会というのが比較的多いと思うんですね。それから、上場を目指す企業の内部情報を上場前につかむということも可能になる。そういう意味で、証券取引所というのは特殊な株式会社だというふうに思うんです。

 東京証券取引所の場合は、取締役十人のうち五人が社外取締役で、大手企業のトップも就任されております。その場合、情報をより早くキャッチして、それをインサイダー取引に使い得る、そういう危険性というものもあると思うので、それを防止する手だてというものを一体どのように考えて、どのような措置をとっておられるのか、これをお聞かせいただきたい。

鶴島参考人 お答えいたします。

 まず初めに、御指摘のように、私どもの業務の性格上、ガバナンスの問題については大変慎重に考える必要があるということで、私ども、取締役会、今現在確かに社外が五、社内が五ということですが、枠組みとしては社外六、社内五、しかも、取締役会の下に指名・報酬委員会というのをつくっておりまして、この指名・報酬委員会も社内が二、社外が四ということで、透明性、公正性を確保していく、こういう枠組みで現在運用をしております。

 おっしゃられるように、この社外の六のうち、構成は、出身母体を見ますと、上場会社出身者が二、証券会社出身者が二、学識経験者、学者の方が一、そしてアナリストといいますか、あるいは機関投資家といいますか、この方が一、こういう構成になっております。おっしゃられるように、東証の業務がゆがめられないように、その構成につきましてもバランスをとった形で、一方に偏らないという形で配慮をしたつもりでございます。

 それから、今御懸念の、情報が早く入るではないかということについては、あらかじめ社外取締役の方にも、情報の窃用といいますかそういったものは行わないという確約をとって、そうしたことを防止しているということでございます。

 ただ、付言させていただきますと、御懸念のように上場会社あるいは証券会社出身の方がおられますので、できるだけ代表権を持ったような方は、同じ出身母体の方でも今後利益相反ということを、外から見てもそうした疑念を持たれないように配慮をして、改選時にはそういう配慮をしながら行ってまいりたい、こう考えております。

佐々木(憲)委員 株式会社になること自体にいろいろな問題もありますし、それから株式市場そのものにみずから上場するということになりますとさらに複雑な問題が発生するわけでありまして、例えば証券取引所の株、自身の株を買い占めるというようなケースも出てくる。

 現に、大阪証券取引所が上場した結果、村上ファンド、最近有名になりましたが、これが一〇%株を買い占めたということで、それをもとに六月の株主総会で村上世彰氏を社外取締役に迎えなさい、こういう提案をする、これに対して大証の側はそれを拒否したと言われていますけれども、さらに対抗策が出るのではないか。

 あるいは、きょうの日経新聞などを見ますと、村上氏はこう言っているんです。「合理的な戦略もなしに内部留保を積み上げていることを一番に問題視している。大証は内部留保を審議する諮問委員会を作るという。求められれば委員になる」というような発言をされている。それで、公益性の強い取引所に一般企業と同じように利益還元を求めることには異論もあるがという質問に対して、村上氏は「そもそも取引所の上場には反対だ。」みずから株を買い占めながらこうおっしゃっているわけです。「資金調達や投資計画もないのに上場すれば、取引所の公平性が損なわれる恐れがある。大証が非上場化するのなら賛成。」というような発言もされている。

 非常にさまざまな問題点が出てくるわけであります。こういうことに対応する手だてというものも大事だろうと思うんですが、東京証券取引所は、上場はこれからだと、されるのかされないのかというのはわかりませんけれども、こういう事態を想定して、あるいはニューヨーク証券取引所の実態もよく見て、やはり取引所としての公益性あるいは公明正大な取引が行われる機能の発揮といいますか、そういう点をより自覚してやらないと、いろいろな問題が、マイナス面が起こってくるんではないかと思いますので、その点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

鶴島参考人 御指摘の点は十分に心しなければならない問題だというふうに思っております。そして、業務の中立性、公正性をきちんと守っていくためには、やはりガバナンスにおいて、間違いのない、信頼性の持てるガバナンスをきちんとつくり上げる。先ほども申し上げましたように、現在もそういう目的意識を持ちながら現在のガバナンス体制というのをつくっております。この辺は、今後とも、十分心してまいらなければならないと思っております。

 それから、仮に上場したとした場合は、今御指摘のように、だれでも株式を取得することができる、こういうことになりますので、どういう方が株主として登場してくるか、これはわからないところがございます。法律的には五〇%以上は持てない、それから二〇%以上持とうとすれば認可が必要だ、こういう枠組みになっておりますが、その範囲内でもいろいろなことも予想されます。したがって、私どもは、基本的にはこの取引所の性格、特性、こういったものをよく理解していただける幅広い個人の株主に私どもの株式を保有していただく、そしてそのことが安定的かつ公正な運営のもとになる、こういう状態をつくることが最も肝要ではないかというふうに考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 上場した場合、情報の開示という問題でいろいろな問題がまた起こってくるわけであります。

 例えば、大阪証券取引所の事例で、最近起こりましたのが、これは三月十六日の午後三時五分に大阪証券取引所がみずからの業績予想を修正したものを発表しました。また、配当の予想を修正しました。その公表を三時五分に行ったんです。ところが、公表する二十八分も前に、配当予想の修正内容が特定の新聞のインターネットに載ってしまう、流れる。つまり、内部情報が漏えいした形になっているわけですね。その結果、大証の株価が、その情報が流れた直後に二万三千円ほど急上昇して、四十万八千円の終わり値をつけた、こういうことがありました。

 ですから、市場の公平、公正ということを基本に置いた運営をしなければならない証券取引所自身が、市場を逆にゆがめてしまったということでありまして、こういうことが起こらないような体制というものがどうしても必要だろう。私は、その上場すること自体にいろいろ問題があるので、慎重にといいますかやるべきじゃないと思っておりますが、この点についての見解。

 それから、越田参考人にこの点についてどのようにお考えか、お二人に御意見を伺いたいと思います。

鶴島参考人 御指摘はごもっともな点だと思います。十分心しなければいけないと思っております。

 具体的に、私ども、既に社内に情報管理に関する委員会というのを設けまして、社内で発生するあらゆる情報について、その情報が管理を要する情報なのか、そうでないのかというのをきちんと区分けして、この管理委員会で発表の内容、時期等についてもきちんと管理をした上でこの情報を取り扱うという体制を今つくっております。

 おっしゃられることは大変重要な御指摘でございますので、その点は今後とも我々十分頭に置きながら対応をしてまいりたいと思います。

越田参考人 事実関係はよく承知しておりませんので何とも言いがたいんですけれども、いずれにしましても、情報管理を徹底し、適切な情報開示を推し進めておられる取引所が、もしそのような事態があったとすれば非常に遺憾なことだと考えております。

 以上です。

佐々木(憲)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

金田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席の上、本当に貴重な意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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