衆議院

メインへスキップ



第25号 平成17年7月22日(金曜日)

会議録本文へ
平成十七年七月二十二日(金曜日)

    午後零時十二分開議

 出席委員

   委員長 金田 英行君

   理事 江崎洋一郎君 理事 遠藤 利明君

   理事 竹本 直一君 理事 中塚 一宏君

   理事 原口 一博君 理事 平岡 秀夫君

      岡本 芳郎君    加藤 勝信君

      木村 太郎君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    小西  理君

      近藤 基彦君    砂田 圭佑君

      田中 和徳君    中村正三郎君

      永岡 洋治君    西村 明宏君

      早川 忠孝君    宮下 一郎君

      森山  裕君    山下 貴史君

      井上 和雄君    泉  房穂君

      岩國 哲人君    菊田まきこ君

      小林千代美君    鈴木 克昌君

      田島 一成君    田村 謙治君

      中川 正春君    野田 佳彦君

      馬淵 澄夫君    村越 祐民君

      石井 啓一君    長沢 広明君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   議員           江崎洋一郎君

   議員           菅原 一秀君

   議員           葉梨 康弘君

   議員           松島みどり君

   議員           泉  房穂君

   議員           中塚 一宏君

   議員           石井 啓一君

   議員           佐藤 茂樹君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十二日

 辞任         補欠選任

  小野 晋也君     西村 明宏君

  熊代 昭彦君     加藤 勝信君

  鈴木 俊一君     近藤 基彦君

  谷川 弥一君     早川 忠孝君

  渡辺 喜美君     小西  理君

  小林 憲司君     泉  房穂君

  津村 啓介君     菊田まきこ君

  吉田  泉君     小林千代美君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     熊代 昭彦君

  小西  理君     渡辺 喜美君

  近藤 基彦君     鈴木 俊一君

  西村 明宏君     小野 晋也君

  早川 忠孝君     谷川 弥一君

  泉  房穂君     小林 憲司君

  菊田まきこ君     津村 啓介君

  小林千代美君     吉田  泉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案(中塚一宏君外四名提出、衆法第一二号)

 偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案(江崎洋一郎君外五名提出、衆法第二三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 中塚一宏君外四名提出、無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案及び江崎洋一郎君外五名提出、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 両案に対する質疑は、去る十九日に終局いたしております。

 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。中塚一宏君。

中塚委員 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、民主党提案の無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案に賛成し、与党提案の偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案に反対する立場で討論を行います。

 近年、偽造・盗難カードや盗難通帳による預貯金の不正引き出し事件が急増をしております。このまま事態を放置すれば、預貯金の安全性、ひいては金融システムの安全性は大きく揺らぎ、国民生活は深刻な問題に直面いたします。

 こうした認識のもと、民主党は、三月二十五日、ただいま議題となりました無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案を提出し、速やかに成立させるべきだと主張をしてまいりました。しかしながら、金融庁の対応はいかにも消極的であり、与党の対案が提出されたのも会期延長後の六月二十一日というていたらくでありました。ましてや、金融機関に至っては、政治と行政の顔色をうかがうばかりで、やる気のないのが見え見えというありさまでありまして、関係者には猛省をしていただかなければなりません。

 さて、偽造・盗難カード、通帳、ATM、窓口、ネットバンキングというように、不正な預金の払い戻しにはさまざまな取引の手段、形態があります。しかしながら、問題の本質を突き詰めて考えると、そこにはおのずと一つの論点が浮き彫りになってきます。

 すなわち、金融機関には本人確認義務があるはずであるにもかかわらず、それがきちんと行われず、しかも、その結果生じた損失については全面的に預金者が負うという不合理な問題です。この背景に、金融機関が民法第四百七十八条の規定に安住し、より確実な本人確認システムを構築するという努力を怠ってきたことがあるのは疑いありません。

 民主党案は、まさに問題の本質をずばりととらえ、無権限預貯金取引自体を無効とするものです。したがって、偽造・盗難カード、通帳、ATM、窓口、ネットバンキングなど取引の手段、形態によらず、預金者の権利がしっかりと保障されるというものです。

 これに対し、与党案は、法案名のとおり、機械式の払い戻しに限定したものとなっています。しかも、偽造カードの場合は払い戻し自体を無効とする一方で、盗難カードの場合、払い戻し自体は有効だが、金融機関に対する請求権を認めるという法律構成になっておって、いかにもパッチワークという印象がぬぐえません。与党案では、偽造・盗難カードよりも大きな被害が生じている盗難通帳による対面取引は対象とならず、根本的解決にはほど遠いと言わざるを得ません。

 先日の本委員会における質疑には、多くの被害者の方が傍聴に訪れてくださいました。皆さんの切実な声は、与党案は不十分であり、民主党案を成立させてほしいというものであります。与党の委員の皆さんにもぜひ民主党案に賛成をしていただくようお願いを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

金田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより採決に入ります。

 中塚一宏君外四名提出、無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、江崎洋一郎君外五名提出、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、江崎洋一郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。江崎洋一郎君。

江崎(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府、金融機関その他の関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 金融機関の窓口における不正な預貯金の払戻しについて、速やかに、その防止策及び預貯金者の保護の在り方を検討し必要な措置を講ずること。

 一 インターネットバンキングに係る犯罪等については、速やかに、その実態の把握に努めその防止策及び預貯金者等の保護の在り方を検討し必要な措置を講ずること。

 一 金融機関は、盗難カード等を用いて行われた不正な機械式預貯金払戻し等に係る損害の補てん請求の要件とされる「十分な説明」とは、盗取に関する状況について一般的かつ客観的に十分な説明が行われることであり、また、その預金者が置かれた状況にかんがみて十分な対応、情報提供を行っているかどうかで判断されるものであることに留意して対応すべきものであること。

 一 金融機関は、預貯金者の過失の有無については、暗証番号を生年月日等の類推されやすいものとしていただけで直ちに過失があるものと判断してはならないこと、また、預貯金者の重大な過失の有無については、他人に暗証番号を知らせた場合、暗証番号をカード等の上に書き記した場合、カード等を安易に第三者に渡した場合その他これらと同等程度以上に注意義務違反が著しい場合に限られることに留意して対応すべきものであること。

 一 金融機関は、偽造カード等又は盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等の防止のための措置等を適切に講じ、この法律の施行後二年を目途として、強固なATMシステムを構築するよう努めること。また、これに要する費用について、安易に預貯金者への転嫁を行わないよう努めること。

 一 金融機関は、偽造カード等又は盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等の防止のために導入を進めているICカード化、生体認証等について、できるだけ早期に規格の統一又は互換性の確保を図り、預貯金者の利便に支障を生じないよう努めること。

 一 金融機関は、この法律に基づく預貯金者に対する補てん等に伴い生じる負担を回避するため、一方的な利用限度額の著しい引下げその他の利用の制限を行うことにより預貯金者へのサービスの低下を招くことがないよう努めること。

 一 金融機関及び捜査機関は、偽造カード等又は盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等の被害を擬装した犯罪を防止するための対策に関し連携を図ること。

以上であります。

 何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。

金田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣伊藤達也君。

伊藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

金田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

金田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.