衆議院

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第7号 平成18年11月15日(水曜日)

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平成十八年十一月十五日(水曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 増原 義剛君

   理事 宮下 一郎君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      伊藤信太郎君    石原 宏高君

      江崎洋一郎君    小川 友一君

      小野 晋也君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    大野 功統君

      木原  稔君    関  芳弘君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中根 一幸君    萩山 教嚴君

      原田 憲治君    広津 素子君

      松本 洋平君    小沢 鋭仁君

      川内 博史君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    馬淵 澄夫君

      吉田  泉君    佐々木憲昭君

      野呂田芳成君    中村喜四郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   内閣府副大臣       渡辺 喜美君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           久保 信保君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          菊池 洋一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 香川 俊介君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局勤労者生活部長)      青木 直幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    加藤 文彦君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            近藤 賢二君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   大塚  拓君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     とかしきなおみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官刀禰俊哉君、内閣法制局第三部長外山秀行君、内閣府大臣官房審議官堀田繁君、警察庁長官官房審議官巽高英君、警察庁生活安全局長竹花豊君、金融庁総務企画局長三國谷勝範君、金融庁監督局長佐藤隆文君、総務省大臣官房総括審議官久保信保君、法務省大臣官房審議官深山卓也君、法務省大臣官房審議官三浦守君、法務省大臣官房司法法制部長菊池洋一君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、財務省大臣官房参事官香川俊介君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、厚生労働省労働基準局勤労者生活部長青木直幸君、厚生労働省社会・援護局長中村秀一君、中小企業庁次長加藤文彦君、中小企業庁事業環境部長近藤賢二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。

宮下委員 自由民主党の宮下一郎です。

 本日は、貸金業法改正案の審議入りに当たりまして、この法案の骨格となる部分を中心として御質問をさせていただきたいと考えております。

 我が国経済は、マクロ経済指標から見ますとイザナギ景気を超える息の長い景気回復を続けておりますけれども、一方で、多重債務問題が大きな社会問題となってきております。現在の消費者金融の利用者約一千四百万人の一六%、約二百三十万人が多重債務状態に陥っていると言われており、自己破産者も、平成六年の四万人から平成十七年には十八万人へと、大幅に増加しております。これはまさに異常な事態ともいうべき状態でございます。

 こうした事態を受けまして、自由民主党におきましては本年の五月に金融調査会のもとに、ここにいらっしゃいます増原先生を小委員長といたしまして貸金業制度等に関する小委員会を設置いたしまして、関係部会との合同部会を含めて約二十回にわたって真摯な議論を重ねて、本法案の骨子をまとめ上げたところでございます。

 多重債務問題は、金利の水準が高いことによる負担のほかに、返済能力を超える借り入れを行ってしまったことによるもの、また、リボルビング契約などの例にも見られるように、一たん利用し始めると利用が長期間にわたってしまうということによるものなど、さまざまな要因によるものと考えられますけれども、今回の法案はこうした点について総合的な対策を講じるものであると考えております。

 また、これまでの貸金業法等の関係法律につきましては、その時々の議員立法によって対処がなされてまいったわけでございますけれども、今回は、貸金業に関する制度全般にわたる改正となるために、政府・与党一体となりまして議論を行って、初めて政府提案による改正となりましたことも意義のあることと考えております。

 そこで、まず、この法案の全体的な評価、並びに、法案の主眼であります多重債務問題の解決の抜本的かつ総合的な対策として具体的にどのような対策が講じられているのか、金融担当大臣にお伺いをしたいと存じます。

山本国務大臣 御指摘のように、近年、貸金業者による高金利での過剰な貸し付け等により多重債務問題が深刻化しております。そして、その解決が重要な課題になっていると、委員と同様の認識がございます。

 今回の改正は、多重債務問題の解決のために有効と考えられるあらゆる施策を盛り込んだものでございまして、具体的には、まず、上限金利を引き下げる、二番目には、返済能力を超える借り入れを防ぐ総量規制の仕組みを導入する、三番目には、貸金業者の業務の適正化のために規制を強化するというような、抜本的かつ総合的な対策を講じているものでございます。

宮下委員 ただいまお話にありましたように、今回の改正における金利の引き下げによりまして出資法の上限金利二九・二%が二〇%まで引き下げられまして、いわゆるグレーゾーン金利が撤廃されることとなります。これによりまして、現在、消費者金融の大きな部分を占めますリボルビング契約につきましても、引き下げ以降は新たな貸し付けの金利が下がることになります。

 過去にも、出資法の上限金利は、昭和五十八年以来これまで数次にわたり引き下げられてまいりましたけれども、これまでの引き下げは、その時点での大手の貸金業者の実勢貸付金利を割り込まない程度にとどまるものでありました。これに対しまして、今回の引き下げは、ほとんどの貸し金において実質的な金利引き下げとなるという点で画期的なものになるのではないかと考えております。

 しかし、一方で、これまでの党内における議論におきましては、こうした金利引き下げによって、たとえ高金利であっても短期的に借り入れをしたい、そういう資金ニーズにこたえられなくなるのではないか、また借りかえに応じないということによって実質的な貸しはがしや金融排除が起こるのではないか、こういう懸念、いわゆるクレジットクランチに対する懸念が表明されたところがございました。

 こうした点につきましてはどのように対処していかれるお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

山本国務大臣 今回の改正は、多重債務問題の解決のため、抜本的かつ総合的な対策を講じるものであることは先ほども述べたとおりでございます。多くの債務者の金利負担を軽減するために、出資法の上限金利を二〇%まで引き下げることといたしました。検討の過程では、短期の資金ならば高金利での借り入れニーズにも対応すべきとの議論も御指摘のとおりございましたけれども、今回の改正案は、金利の特例は設けず、借り手保護の観点から金利負担の軽減をより重視したものであると考えております。

 また、今回の改正法の実施に当たりましては、貸し渋りや貸しはがしにより既存の債務者が急激に返済を迫られたり、かえって生活に悪影響が出る等の事態を招かないよう、借り手が無理のないペースで返済し債務残高を減らすために必要な期間として、上限金利引き下げまでおおむね三年程度の準備期間を設けることとしております。また、見直し規定等も有効に活用していただければというように思っております。

 以上です。

    〔委員長退席、増原委員長代理着席〕

宮下委員 今回の改正は、上限金利引き下げによる金利負担の軽減だけではなく、多重債務問題の要因と考えられます借り入れの額と期間についても抜本的な対策を講じている点が重要であると考えております。

 このうち、額につきましては、貸金業者に対しまして、自社からの借り入れが五十万円超となる貸し付け、または総借入残高が百万円超となる貸し付けについて、年収等、借り手の返済能力の調査を義務づけ、調査の結果、総借入残高が年収の三分の一を超える貸し付けなど、返済能力を超えた貸し付けが禁止されることとなります。

 この仕組みが実際に機能するためには、特に個人の総借入残高を把握する前提となります指定信用情報機関制度の構築が対策の成否を決めると考えております。

 現在、信用情報機関は、全国信用情報センター連合会、いわゆる全情連グループと、信販会社系のCIC、全銀協の全国銀行個人信用情報センター、それから業種横断型のCCBの四つがございます。当面、これらの機関が保有している顧客の残高情報の交換等を行うことによりまして額の管理を行うものとお聞きしておりますけれども、将来的にこの四つを一本化していくお考えがあるのかを、まずお聞きしたいと思います。

 また、さらに借り手の債務状況を的確に把握するためには、将来的な姿としては、銀行の住宅ローンでありますとか信販系の物販部門についても一本化していくことが望ましいのではないかと考えておりますけれども、御所見をお伺いしたいと存じます。

渡辺(喜)副大臣 宮下委員御案内のように、情報の管理というのは非常に大事でございます。

 御指摘の四つの信用情報機関がございまして、その中で、全情連系はリアルタイム更新を行っておるところであります。一方、クレジット、ショッピング系の情報機関においては月一更新という状況にございまして、きちんとした総量規制を行っていく上には、こうしたシステムのバージョンアップをしていただくことが大事であります。

 将来的にこうした情報機関を一つにまとめるべきではないかという意見は自民党内の議論でもあったと記憶いたしておりますが、当面、何を最優先にすべきかということを考えたとき、やはり多重債務者問題に早急に当たっていくという観点からいたしますと、今あるそれぞれの情報機関をバージョンアップしていただくことの方が手っ取り早いのではないかと考えまして、今回は一本化ということではなくて、複数の指定信用情報機関が併存するということを認めたところでございます。

 いずれにいたしましても、貸金業者に係る多重債務者問題の解決を最優先にして考えているところであります。

    〔増原委員長代理退席、委員長着席〕

宮下委員 次に、期間についての対策でございますけれども、これは特にリボルビング契約において必要とされていると考えます。それは、リボルビング方式におきましては、月ごとの最低返済額が比較的少額であるために返済期間が長期化して、その間に新たな借り入れを重ねることによって多重債務に陥る例があるからでございます。

 今回の法律では、こうした事態を防止するために、リボ契約の最低返済額等について業界が自主規制ルールを設けることとされておりますけれども、その具体的な内容をお教えいただきたいと思います。あわせて、自主規制ルールということで、本当に実効性が担保できるのかという懸念もございますけれども、この点についてもお伺いをしたいと存じます。

渡辺(喜)副大臣 御指摘のリボ払い契約というのが、言ってみれば借りているお金が預金感覚になってしまいかねない、そういう側面が指摘をされているところでございます。したがって、やはりこうした商品設計を、多重債務者をつくらないという観点からルール化を図っていくことが大事だと考えております。

 すべて法律で規制をしていくというやり方も世の中にはあるのでしょうが、日本は自由経済の社会を基本としておるわけでありますから、やはり、今回の法改正におきまして貸金業法上の認可法人として貸金業協会を位置づけておるわけであります。したがって、ここの自主規制というものは金融庁が認可をする仕組みとセットになっているわけでありますから、そういった意味で、業界の自主規制はきちんと担保があるとお考えをいただきたいと思います。

 リボ契約が返済に何年間もかかってしまう、こういうことが多重債務者の原因になっていることを踏まえれば、期間の商品設計に当たって、そういう多重債務者を出さない観点からの規制をきちんと強めていく必要があろうかと思います。

 現在、業界では五年の期間の取り組みなどが行われているようでございますが、今回の改正を受けまして、自主規制ルールを定めた定款等の変更命令などによって自主規制の実効性を担保していきたいと考えております。

宮下委員 今回の改正は、貸金業者の業務の適正化、レベルアップを図るためにもさまざまな措置が講じられておりまして、この点も特筆すべき点ではないかと考えております。

 業務の適正化としましては、例えば、これまで貸金業者が借り手の死亡を保険事故対象として生命保険契約を結んでいる実態が、いわば命を担保にとるものとして社会的な批判を浴びていることを踏まえまして、自殺を保険事故対象とする保険契約を貸金業者が締結することを禁止することになりましたことが一つ挙げられると思います。

 さらに、貸金業者の適正化の施策としましては、貸金業への参入条件を厳格化することが重要でございます。これによって不適正な業者を排除することが重要であると考えております。このため、今回は、純資産の要件を最終的に五千万円に引き上げるという施策がとられていると伺っておりますが、こうした措置によりまして、大幅な業界再編ということも予想されます。現在一万社以上とも言われます業者数でございますけれども、まず、大体のイメージとしてどれぐらいの規模になるか、お答えをいただけますでしょうか。

渡辺(喜)副大臣 今回、純資産の最低限五千万円を求めた場合に貸金業者が何社に集約されていくか。業界再編が行われていくことは予想されるところでございます。しかし、確固たる数字を挙げよということを言われてもなかなか難しいことがございまして、昨年度末の時点での登録貸金業者が約一万四千ございます。そのうち、純資産五千万円を満たしているものは約三千七百業者と見込まれております。

 いずれにいたしましても、協会への業者の加入ということを確保するため、非加入業者に対しては、協会の自主規制ルールと同等の社内規則の制定を義務づけ、その遵守状況を当局が直接監督する仕組みなどを導入することといたしております。

宮下委員 若干時間がございますので、少々細かいことで恐縮でございますけれども、今回は、貸金業務取扱主任制度、これを拡充して業者の適正化を図っていくということが決められております。この点について、どのような措置がとられているのか、お答えをいただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 これまでの法律におきましては、そういった主任者につきましては講習等が義務づけられておりましたが、今回の法律におきましては、主任者に対しましては試験制度というものを導入いたしまして、そういった、さらにこの業務に携わる皆様方の資質の向上を図って、業務全体の適正化を図っていくということで考えているところでございます。

宮下委員 それからまた、この貸金業者、いわゆるサラ金というところでよく問題になりますのが、テレビCMが過剰ではないかということでございます。国民生活センターが行った調査におきましても、消費者金融会社を選んだきっかけは、たまたま宣伝を見たからというものも多いというふうなデータも出ております。特に若い方々は、テレビCMに出ているというだけで安心できる会社だと思って、安易に借り入れを行ってしまっているのではないかという懸念もございます。

 こうした過剰なテレビCMが過剰貸し付けの要因の一つとなっているという面もあると思いますけれども、今回の改正ではどのような対応がなされているのか、お伺いをしたいと思います。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者金融会社によりますテレビコマーシャルを含めます過剰な広告、宣伝が、特に若い人たちを含めまして安易な借り入れを助長し、多重債務者問題の一因となっているとの指摘が強いことにつきましては十分に承知しておりますし、これまでの議論でもそういったことにつきまして議論が行われてまいりました。

 今回の法案では、その点を踏まえまして、これまでの自主規制を強化すべく、貸金業協会が広告の内容、方法、頻度及び審査に関する事項につきまして自主規制規則を策定し、これを当局が認可する、この枠組みを導入することとしているところでございます。こういった形によりまして広告の適正化を図ってまいりたいと考えているところでございます。

宮下委員 これまでの貸金業界は、高い貸し倒れ率を前提として高金利で貸し金を行うというビジネスモデルをとっておりましたために、必然的に一定割合の債務者が多重債務に陥るというような構造になっていたと考えます。

 これに対しまして、今回の改正は、信用情報機関制度を通じた総量規制によりまして、貸金業者が個々の借り手のリスクをきちんと判断することによって、貸し倒れに伴うコストを圧縮することができ、また、リスクに応じた金利を設定することが可能になるということによって健全な競争が促されまして、業界全体の体質改善にもつながると考えております。

 また同時に、現在、有担保で低金利のところと、またハイリスク、ハイレートのところ、こういったところに厚い市場になっておりまして、ミドルリスク、ミドルレートの部分が薄くなっている、こういう市場構造になっております。こうした市場のゆがみを正して、市場全体をきちんと整備するという意味でも意義が多いと考えますけれども、この点に対して、大臣の御見解を伺いたいと存じます。

    〔委員長退席、井上(信)委員長代理着席〕

山本国務大臣 御指摘のとおり、今回の改正は、多重債務問題の解決とあわせまして、貸金業者を消費者金融市場の重要な担い手としてきちんと位置づけるとともに、健全な競争を促進することによりましてリスクに応じた金利が設定されまして、市場メカニズムが十分に機能する消費者金融市場を目指すものであると考えております。

宮下委員 お話のように、今回の法改正が多重債務問題の解決に向けた大きな一歩になると同時に、リスクに応じて金利が決定される健全な市場が形成されて、それがひいては我が国の経済活性化にも資する、こういうことになるということを期待して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井上(信)委員長代理 次に、木原稔君。

木原(稔)委員 自由民主党の木原稔でございます。

 なるべく宮下委員の質問と重複しない部分での質問とさせていただきたいと思っております。

 まず前段として、今回の改正に伴ってやらなければいけないこと、目的というものは三つあるんだと思います。その一つは多重債務者問題の解決、二つ目は貸金業の適正化、そして三つ目はやみ金融の撲滅であろうと思います。

 多重債務者問題の解決については、消費者金融の利用者が一千四百万人、残高が十四・二兆、このうち借り入れ五件以上の債務者、これを多重債務者と言っていいと思うんですけれども、すなわち自己破産予備軍と言っていいかもしれません、その数は二百三十万人、これらの債務者の平均債務残高が二百三十万円。日本人の自殺者というのが年間三万人いるというふうに言われております。自殺と直接因果関係というのは明確ではないものの、その一万人前後、三分の一程度がやはり経済苦、借金苦で消費者金融から借り入れを行っているという、この現状を解決していかなければいけないということです。

 貸金業の適正化につきましては、貸金業自体が我が国の経済社会の発展において果たしてきた役割、また、これから果たしていく役割というものは大きいというふうに私は思いますけれども、大手金融機関から借り入れ困難な中小零細企業の存在、また、会社経営をしていれば、緊急に資金調達しなければならない、そういったこともあろうかと思います。無担保、無保証で、多少高金利でも借りたい需要というものはやはり存在をし、確実に返済をしながらこつこつと業績を伸ばしてきている経営者の存在も無視はできないというふうに思っております。

 しかしながら、現在、消費者金融においては、町を歩けば、例えば駅前には大げさな看板が立っていたり、テレビをつければ、かわいいマスコットとか、またはきれいな女性を使った行き過ぎたCM、余りにも過剰な貸し付けを誘発するようなそういった行為はやはり規制をして、日本の今の経済規模に見合った適正な業界にしていく、そういう必要性が今求められているのではないかなというふうに思います。

 また、やみ金の撲滅に関しては、利用者の弱みにつけ込んで出資法を上回る利息で貸し付ける、これは明らかな犯罪行為です。過剰な取り立ては必ずしもやみ金融ばかりではないようですが、利用者を追い詰め、犯罪組織が背後に存在をして、利益はその資金源になり得ることからも、やみ金融の取り締まりもこれは同時に行っていかなければなりません。

 それら三つの目的を念頭に置きまして、まず、改正後の、借り手に対する対策についてお伺いをいたします。

 今回の改正によって、新たな多重債務者を生まない枠組みが整備されることになりますが、一方で、特に多額の債務を抱える既存の債務者に対する配慮も必要となっていくと考えられます。こうした債務者に対する配慮としては、まず経過措置による対応が挙げられておりますが、今回の改正の中で、上限金利引き下げと総量規制についてはおおむね三年後の実施となっております。これは、急激な引き締めが現在の利用者に対する貸し渋りや貸しはがしを招くことへの懸念に配慮したものと推測されますが、実際のところ、そういった借り手の立場からの、公布からおおむね三年の準備期間、これを設けた考え方についてお尋ねします。

山本国務大臣 今回の改正は、改めて申し上げますと、近年の深刻さを増している多重債務問題の解決のため、上限金利を引き下げるとともに、返済能力を超える借り入れを防ぐため、新たな過剰貸し付け規制の仕組みを導入しまして、さらに貸金業者の参入規制、行為規制を強化するなど、抜本的、総合的な対策を講じるものでございます。このように、今回の改正は、現在の借り手に大きな影響を与える可能性があることを考えますと、改正法を実施する過程におきまして、まずは、現在貸金業者を利用している方々が急に返済を迫られまして、かえって生活に悪影響が出るような事態を招きかねないような事態もありますので、それに対処すること、二番目に、貸金業者の資質向上のための諸施策やシステム整備、これらのことのための時間も必要と考えております。

 こうした趣旨から、上限金利引き下げや新たな過剰貸し付け規制の導入まで、公布からおおむね三年の準備期間を設けることとしたところでございます。

 以上です。

木原(稔)委員 この三年の準備期間を待たずに、この三年の間に、さまざまな規制をクリアする見込みが立たずに廃業もしくは転業を強いられる業者が恐らくふえるものというふうに思われます。廃業や転業に当たって、貸付債権を悪質業者に譲渡し、違法な取り立てがなされるといった被害もまた予想されるところであります。

 こうした問題に対処するために、廃業に伴う届け出において、債権回収方法や債権譲渡先を記載させるなどの廃業対策を実施する予定だというふうにも聞いておりますが、そういった廃業の増加にどう対処していくのか、お願いいたします。

山本国務大臣 近時、営業実績のある中小貸金業者の廃業事例や債権譲渡に伴う相談事例等が見られる中で、廃業後の債権回収方針や債権譲渡の実態把握を強化するために、今般、内閣府令を改正しまして、廃業等の際における届け出内容を拡充することといたしました。あわせて、債権譲り受け人に対して監督権を有する都道府県等に債権譲渡や違法取り立てに係る苦情等の情報を集約するため、貸金業監督事務ガイドラインの改正も予定しております。

 このように、債権譲渡や廃業後の債権回収方法等につきまして実態把握を強化することは、今後廃業が増加した場合におきましても、悪質業者の参入や違法取り立てを未然に防止することに資するものと考えておりまして、当局としましては、これらの措置を含め、貸金業制度の見直しが円滑に実施されるよう努めてまいりたいと思っております。

木原(稔)委員 続きまして、カウンセリング体制強化の必要性についてお話をさせていただきたいと思います。

 カウンセリングというのは実は二種類あって、多重債務者、これを救済するためのカウンセリングと、もう一つは多重債務者にならないための、予防のためのカウンセリングというのがあるんだろうと思います。

 まずは救済のためのカウンセリングにつきまして、今回の改正によって、上限金利引き下げや過剰貸し付け規制の導入等によって多重債務者の発生を防止することとしておりますが、他方、こういった既に多重債務に陥った人たちを救済するためには、債務整理や家計管理指導を行うカウンセリング体制を充実させることが重要であって、この点については、内閣官房に設置される予定の多重債務者対策本部で必要な方策について議論することとしているようであります。多重債務者の救済策としてのカウンセリング体制の充実、こういったものを、どのような方策をお考えであるかというのを具体的にお教え願います。

山本国務大臣 多重債務者対策としまして、カウンセリング体制の充実は大変重要な課題であると考えております。

 今後は、既存のカウンセリング機関の拡充や関係機関の間のネットワークの構築によりまして、多重債務者に対するカウンセリング体制を整備していくことが必要だと考えております。こうした施策につきましては、関係省庁等の連絡が重要でございまして、今後内閣官房に設置される予定の多重債務者対策本部におきましてなお議論を行い、具体的な方策を検討、実施してまいりたいと存じております。

木原(稔)委員 多重債務者は二百万人以上にも上ると言われる中、カウンセリング体制を充実させるためには、やはり国民にとって最も身近な存在である地方公共団体が中心となって、先般開かれた日本司法支援センター、いわゆる法テラスの活用や、地元の弁護士さんまたは司法書士さんなどと連携しつつ、多重債務者が最も必要としているカウンセリングを適切なタイミングで受けられるようにする必要がある。その上で、やはり多重債務者対策本部というものが十分に機能するようにしていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。

 続きまして、そのカウンセリングの二番目で、予防のため、多重債務者を今後発生させないためのカウンセリングについてお尋ねをいたします。

 過剰な借り入れを行う二十代、三十代の若者、青年がふえているというデータが出ております。従来までは、何か物を買いたいと思ったときに、まず働いてためたお金で買っていた。それが昨今では、まず物を買ってから、その後、支払う方法を考えていく、みずからの収入とか返済能力を考えない、そういう世代の若者、青年がふえてきているように思います。特に、クレジットカードが世の中に普及をして、このクレジットカードで払った、そして買った商品というものは借金という形で返済しなければならない、債務が残っている、そういう意識がない人もふえてきているように思います。

 そういった観点で、学校教育において、会計管理や借り入れに関する教育、あるいは債務管理を含めた金融経済教育というものが今後ますます必要になってくるのではないかというふうに感じておりますが、文部科学省の見解をお聞かせください。

布村政府参考人 金融経済教育についてのお尋ねでございます。

 学校教育におきましては、児童生徒が金銭についての正しい理解を深める、それとともに、消費者として主体的に判断し、適切に行動できるようにすることは重要な課題と認識しております。そのため、小中高等学校を通じまして、学習指導要領に基づいて、社会科、家庭科などにおきまして児童生徒の発達段階に応じた指導に取り組んでおります。

 教科書で申し上げますと、中学校社会科では、収入をもとに予算を立て、予算に従って合理的な選択を行うのが望ましい消費者生活であること、また、高等学校の家庭科の家庭総合という科目では、クレジットカードなどの販売信用と消費者金融の仕組み、またその問題点、そして返済能力を超えた安易な利用によって多重債務や自己破産に陥る危険性があることなど、それら家計管理や借り入れについての具体的な取り上げをしているところでございます。

 このような取り組みを通じまして、金融庁を初め関係省庁あるいは関係団体との連携を深めながら、今後とも金融経済教育の推進に努めてまいりたいと考えております。

木原(稔)委員 本来、こういった教育というものは家庭教育の中で行われるべきなのかもしれません。しかしながら、今、若い親御さん自身がみずから自己破産をしたり、または多重債務に陥ってしまっている昨今、学校教育の現場におけるこういった金融経済教育というものが重要になってくるというふうに考えております。

 続きまして、信用情報機関について、多少先ほどと重複する部分もあるかもしれませんが、お尋ねいたします。

 過剰貸し付け規制においては、自社の部分においては貸付限度額、他社は実額で計算するということになっているために、事後的に他社の貸し付けが増額されると三分の一の基準に抵触する可能性があることについてどのように対処していくのか。また、大手の業者においては、日々の貸し付け登録の処理件数が膨大であるために、貸し付け直後に個々に登録するのではなく、つまり実質的なリアルタイムではなくて、夜から翌朝までにかけて集中的に登録事務を行っていく、バッチ処理というふうに聞きますけれども、その結果、翌日にならないと他社貸し付けが行われたことを認識することができない、そういった可能性があることにつき、どう対応していくのかということをお聞かせ願います。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、過剰貸し付け規制におきましては、リボルビング契約につきましては自社は貸付限度額、他社は借入残高で計算するため、契約締結時点では総量規制を満たしておりましても、その後他社が限度額の空枠を利用することによりまして、事後的に総量規制に抵触する可能性がございます。また、業者の登録事務のあり方いかんによりましては、御指摘のとおり、翌日に他社貸し付けが行われたことを認識する可能性がございます。

 このため、貸金業者に対しまして、一つは、リボルビング契約を締結している借り手につきましては、リボルビング貸し付けの状況を勘案し、または定期的に指定信用情報機関の信用情報を使用し、総量規制に抵触していないかを調査することを義務づけますとともに、二点目といたしまして、抵触している場合には、限度額の減額などリボルビング貸し付けを抑制するために必要な措置を講じることを義務づけることとしております。これらによりまして、過剰貸し付けの抑止が図られるものと考えております。

 また、貸金業者による与信審査の精度を上げるためには、借り手の借り入れ状況を的確に確認する必要がございます。このため、貸金業者に対しまして、貸し付けを行いましたときは遅滞なく指定信用情報機関への情報提供を義務づけることとしておりますが、なお、この具体的な内容につきましては、今後、実務も踏まえて詰めていくこととしたいと考えているところでございます。

木原(稔)委員 続きまして、日賦貸金業者及び電話担保金融の特例の廃止についてお伺いをいたします。

 現行法では、これら日賦貸金業、電話担保ローンというのは合法であります。また、今回、特例廃止の対象ではないですが、現在存在している質屋、その存在意義について、まず冒頭にお伺いします。

    〔井上(信)委員長代理退席、委員長着席〕

三浦政府参考人 いわゆる日賦貸金業者の特例といいますのは、主として物品販売業等を営む者で常時使用する従業員が五人以下のものを借り手とする貸し付けにつきまして、百日以上の返済期間で返済期間の五割以上の日数にわたり貸金業者が債務者の営業所等においてみずから集金する方法により取り立てるという日賦貸金業者に限ってのみ、特例金利といたしまして年五四・七五%の金利を認めるというものでございます。このような貸し付けにつきましては、回収コストがかさむことから、日賦貸金業者に対し特例金利を認めているというものと承知しております。

 また、電話担保金融の特例といいますのは、貸し付けの都度電話加入権に質権が設定されるものについて、年五四・七五%の金利を認めるというものでございます。電話担保金融の場合にこのような金利が認められた理由といたしましては、電話加入権を担保とする貸し付けにつきましては、当該融資に不可欠な初期費用といたしまして、質権原簿閲覧料あるいは電話加入権質権設定登録手数料等の費用がかかることに配慮されたものであると承知しております。

竹花政府参考人 質屋についてでございます。

 質屋の上限金利、一〇九・五%とされているところでございますけれども、これは、昭和二十九年に出資法が制定されました当時、この上限金利が一〇九・五%とされていたところ、その後、いわゆるサラ金問題等への対応として出資法の上限金利が引き下げられてきた中で、質屋につきましては、もともと質物を担保にとっているため、債務者に対する取り立てを行う必要がなく、過酷な取り立て等の社会問題が生じていないこと、一件当たりの平均貸付額が少額であるため多重債務が問題とならないことなど、その営業実態がいわゆる消費者金融業者と異なることにかんがみ、見直しの対象とされず、従来どおりの金利の特例が残されて現在に至っているものと承知をいたしております。

木原(稔)委員 日賦と電話担保ローンに限ってお話をしますけれども、従来まで、これまでは、この特例ができた当初は、日賦の役割はあったんだろうと私は思っております。金融機関から借り入れできない飲食業など日銭商売の営みを補完するものとして、その必要性はあったんだろうと思います。

 しかしながら、昨今では、私が調査したところによりますと、本来の目的を逸脱している業者が大半でありました。地域性にもよりますけれども、私の地元の熊本県では、本来の事業用のそういう日掛け金融が個人用に使われるケースがほとんどでありました。先ほどお話がありましたけれども、高い金利というものは毎日事業者のところに取り立てるためのコストであるはずなのに、週に一度の集金であったり、または月に一度であったり、悪いところはお客様に振り込ませたりというような実態がありました。五四・七五%という高い金利ばかりが使われて、これがまさに多重債務者の温床になっていたということも私は事実であろうというふうに思います。

 今回の改正について、こういった特例が廃止されること、私は大変高い評価をしたいと思いますけれども、ここに来てどうして、今のタイミングで日賦貸金業が撤廃されるのか、さらに、公布からおおむね三年後である必要があるのかということについて説明をいただきたいと思います。

三浦政府参考人 日賦貸金業者につきましては、今先生御指摘のとおり、サラリーマンでありますとか主婦に自営業者である旨の自己申告をさせて貸し付けをいたしましたり、数日分まとめて集金し、あるいは郵便口座振替による集金を行うといった事例が報告され、金利規制の潜脱として利用されやすいということが認められるところでございます。また、電話担保金融の特例金利につきましても、電話加入権の価格が大幅に引き下げられまして、その実数が減少傾向にあるということがございます。

 どちらにつきましても、費用がかさむといいましても、五四・七五%という高金利が債務者にとりまして過度の負担であるということから、これを廃止することとしたものでございます。

 その廃止を公布からおおむね三年後とした理由でございますが、これらの特例につきましては、なお現在も利用されているということがございまして、これらの特例金利を直ちに廃止いたしまして金利の引き下げを余り性急に行いますと、やはり市場が混乱し、貸し渋りや貸しはがしが行われるなど、かえって消費者が不利益をこうむるおそれもあると考えられるところでございます。

 そこで、出資法の上限金利を二〇%に引き下げる時期に合わせて、日賦貸金業者、電話担保金融の特例を廃止するということとしたものでございます。

木原(稔)委員 地域によっては、合法的にまじめに営業している業者と、また、恩恵を受けている借り手もあるということで理解をいたします。おおむね三年というそのことを信じて、体制が整えばなるべく短い期間での撤廃もあり得るということで、この件は理解いたしたいというふうに思います。

 続きまして、やみ金融への規制強化について質問をさせていただきます。

 今回上限金利が引き下がると、借りられなくなる顧客がやみ金融を利用する、そのような一部の指摘もございます。金利引き下げでやみ金融がふえるか否かについては、これはコンセンサスというのはないわけでありますけれども、今回の改正では、罰則の強化、無登録営業や超高金利貸し付けに対する罰則を懲役五年から十年に引き上げるなどの対策を図っておられますが、やみ金融撲滅のためにどのような対応を考えておられるのか、金融庁、お願いします。

山本国務大臣 政府としましては、借り手の保護のために、やみ金融の撲滅に向けてあらゆる対策を講じるべきであると考えております。

 御指摘のとおり、今回の改正におきましては、無登録営業、超高金利に対する罰則を大幅に引き上げることといたしました。懲役を五年から十年、罰金を一千万から三千万というぐあいでございます。また、多重債務問題の解決に向けまして、内閣官房に設置される予定の多重債務者対策本部におきましても、やみ金融の取り締まりを総合的、効果的に推進することとしておりまして、今後とも、やみ金融の撲滅のために政府を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

木原(稔)委員 やみ金融に対しては、私は、罰則の強化だけでは不十分であって、警察当局がこの問題の重要性を十分に認識して、徹底した取り締まりを行うことが必要であろうというふうに思っております。

 やみ金融事犯による検挙数は、平成十年では百六十五件、平成十七年では三百三十九件とふえております。平成十五年以降はやや減少しているようでありますけれども。

 今なお警察庁には十分力を入れてもらっているとは存じますけれども、今回の改正に伴って、警察庁のやみ金融取り締まり強化へ向けたさらなる決意をお聞かせ願いたいと思います。

竹花政府参考人 違法な取り立てや高金利貸し付け等、やみ金融事犯につきましては、警察としても、国民生活の安全を脅かす重要な問題と認識してこれまでも取り締まりを進めてきたところでございますけれども、今回の改正法が成立いたしました場合には、まず、警察職員に対してその趣旨、背景、改正された罰則を伴う規定の内容について周知徹底を図った上で、被害者からの相談に適切に対応し、関係機関との連携を密にするなどして違反情報の収集にこれまで以上に努めまして、幅広く罰則規定を適用し、また、暴力団が関与する事犯を初めとして悪質な違反を摘発するなどいたしまして、さらに取り締まりを強化してまいりたいと考えております。

木原(稔)委員 では、最後に、保証料、媒介手数料の制限等、利息制限法第八条関係についてお尋ねをいたします。

 現行出資法と利息制限法では、金利の概念が異なっております。利息制限法では、契約締結費用、債務弁済費用が利息に含まれておりません。今回の金利の一本化に際しまして、各種費用に加え、保証料、媒介手数料、ATM手数料、公租公課の取り扱いを明確にしておくべきでありますが、今回の改正において金利の概念というものはどのように変わったのか、法務省からの説明を求めます。

深山政府参考人 今お話に出ました、まず、みなし利息の点でございますけれども、現行の利息制限法では、貸し手が借り手から受け取る元本、利息以外の金銭を利息とみなして、つまりみなし利息として上限金利規制の対象としておりますが、御指摘のとおり、契約締結費用と債務弁済費用は明文でみなし利息から除外をしております。これに対して、現行の出資法では、貸し手が借り手から受け取る元本、利息以外の金銭をすべてみなし利息としておりますために、利息制限法と出資法との間でみなし利息の範囲が異なっております。

 今回、業者に対する出資法の上限金利を利息制限法と重なり合う二〇%にまで引き下げることに伴いまして、利息制限法及び出資法の改正案では、業者の貸し付けに関してみなし利息の範囲を統一することにしておりまして、みなし利息から除外される費用を公租公課、強制執行費用に充てられるものに限定するといった措置を講ずることとしているところです。

 次に、お話に出ました保証料ですけれども、現行の利息制限法には、保証料を規制する特別な規定はございません。しかし、近年、貸金業者と提携した保証業者に保証料を取得させる方法によりまして上限金利規制を潜脱するといった事例が見られるようになっておりまして、上限金利規制が強化された後は、このような潜脱が著しく増加するおそれがございます。

 また、そもそも利息と保証料といいますのは、いずれも借り手の信用リスクに応じて定まるもので、保証がされることによって、貸し手が単独で負担していた信用リスクの一部が保証に転嫁されるという関係にございますことから、保証料を利息と合算して規制すべき合理性があると考えられます。

 そこで、今回の利息制限法の改正案では、業者の貸し付けに関して、保証業者による保証が行われる場合に、保証業者の保証料が利息と合算して利息制限法所定の上限利率を超えるときには、その超過部分について保証料の契約を無効とするという措置を講じているところでございます。

木原(稔)委員 金利以外の費用等について、上限金利規制の潜脱とならない最善策がとられたものというふうに思いまして、私も、この部分に対しても高く評価をしたいというふうに思っております。

 全般的に、今回の改正は現時点において最善の策がとられたのではないかというふうに考えております。安倍首相が所信表明で述べられた、個人の保証に過度に依存しない融資を推進する、そういう方針もありますけれども、保証制度については、今後、個人保証にかわる機関保証というものが重要になるというふうに思われます。借り手側も業者側も安心して取引ができるような保証制度としての機関保証の今後のあり方を考えていく必要性を問題提起いたしまして、質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 先日の本会議の質問では大きな論点につきまして質問申し上げましたので、きょうは、法案の中身の細かい点について幾つか確認をさせていただきたいと思います。また、これまでの委員の質問と若干重複するところがございますが、御容赦いただきたいと思います。

 まず、貸金業の参入要件の厳格化について何点か確認をいたします。

 まず、純資産要件でございますが、現行の個人三百万円、法人五百万円から、最終的に五千万円まで引き上げられることになりますけれども、現状の約一万四千業者のうち、新たな純資産要件を満たすのはどの程度の業者数になると想定をされているのか、確認をいたしたいと思います。また、この業者数の減少によって、消費者金融の残高、あるいは借り手人数はどの程度影響するのか、この点についてまずお伺いをいたします。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、今回の改正におきましては、貸金業者の業務の適正かつ安定的な運営を確保する観点から、貸金業者の参入要件といたしまして五千万円以上の純資産を求めることとしているところでございます。

 純資産五千万円以上を求めることによる影響につきましては、業者の合併なども想定されますことから、現時点で確たることは申し上げられないことは御理解いただきたいと存じますが、業者数につきまして、単純な計算ということでございますが、この基準を現状に当てはめました場合に、例えば十七年三月末で約一万四千の登録業者中、純資産額五千万円以上のものは約三千七百業者と見込まれているところでございます。

 なお、借入人数につきましては直接のデータはございませんが、貸付規模につきましては、消費者向け無担保貸金業者の中で、基本的には純資産要件五千万円を充足している、貸付残高が十億円以上の業者の貸付残高の割合は、これは全体の九割以上を占めるものと承知しております。

石井(啓)委員 全体の九割以上ということですけれども、逆に言うと、一割弱は減るということになるのでしょうか。

 それで、二つ目の質問ですけれども、廃業する業者が出てくると。一万四千業者が約三千七百ぐらい。一万業者ぐらい廃業するということになろうかなと想定をされるわけですけれども、この廃業する貸金業者から借り入れている借り手が一括返済を求められたり、あるいは約定より早期の返済を求められたり、こういった不利な扱いをされることはないのか、また、廃業して債権が譲渡されて、その譲渡先から過酷な取り立てを受けるようなことはないのか、この点について確認をいたしたいと思います。

山本国務大臣 貸金業者が廃業等を理由といたしまして、債務者に対して一括返済、期限前弁済を強要することや、債権譲り受け人が貸金業規制法に違反する過酷な取り立てを行うことは禁じられております。

 しかし、御指摘のとおり、廃業後や債権譲渡後は当局による業務の実態把握が困難となるおそれがございます。このため、今般、内閣府令等を改正いたしまして、まず、廃業届け出時、このときに廃業後の債権回収方針や債権譲渡の実態把握を強化するということ、第二に、債権譲り受け人に対して監督権を有する都道府県等に違法取り立ての苦情等の情報を集約するなどの措置を講じております。

 当局といたしましては、このような措置を通じ、適切な実態把握と当局間の情報共有、さらに警察との連携強化、これらを含めまして、廃業後におきましても、悪質業者が参入したり、違法取り立てが横行することのないよう、利用者保護に努めてまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 今の点につきましては、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、ちなみに、この純資産要件につきましては、本体施行後一年半以内にまず二千万円まで引き上げます。さらに、二年半以内に五千万円と、段階的に引き上げることになっておるんですけれども、これはどういう趣旨でこういうことにされたのか、確認をいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 今般の改正は、純資産基準を大幅に引き上げるものでございます。このため、純資産基準を満たしていない業者が増資や合併などによりまして基準を満たすなどの対応を行う、そういった場合の準備期間といたしまして、施行から一年半以内に二千万円、施行から二年半以内に五千万円という、二段階の引き上げを行う経過措置を設けることとしたものでございます。

石井(啓)委員 それから、法案の第六条には、貸金業者の登録拒否要件が幾つか挙げられておるんですけれども、その中に、「他に営む業務が公益に反すると認められる者」というふうなことが挙げられておりますけれども、この「公益に反する」というのはどういう趣旨か、確認をしておきたいと思います。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、今回の改正におきまして、貸金業の適正化の観点から、貸金業の登録拒否要件といたしまして、「他に営む業務が公益に反すると認められる者」を追加しているところでございます。

 これは、現行の登録拒否要件になっております、暴力団員であることなどに加えまして、今回の規定によりまして、申請者が暴力団と同視し得る程度の団体である、そういった例外的な場合に貸金業者としての登録を拒否することができることとする趣旨でございます。

石井(啓)委員 続きまして、貸金業務取扱主任者資格試験でございますけれども、従来この取扱主任者というのは、研修を受けて主任者を置くということになっておりましたが、今回新たに資格試験をつくって、貸金業界もしっかりと資格を設けた人間を各営業所等に配置していくということで業界の適正化を図っていこう、こういうことになるわけですけれども、この取扱主任者資格試験というのはどういう知識を求める試験になるのか、また、どの程度の難しさにするのか、具体的に言えば、他の同様の資格試験と比較してどうなのかということについて確認をいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 今回の改正におきましては、これも貸金業者の業務の適正化の観点から、貸金業者の参入要件といたしまして、各営業所または事務所ごとに貸金業務取扱主任者資格試験の合格者の配置を求めることとしているところでございます。

 この資格試験につきましては、改正法におきまして、「貸金業に関して、必要な知識について行う。」こととされております。具体的には、貸金業法などの法令の内容に関する理解、コンプライアンス上の留意事項及び貸金業の業務に従事する際の実務上の知識などを中心に試験を行うことを想定しているところでございます。

 この試験は、貸金業者の業務の適正化の観点から導入するものでございまして、貸金業を適正に営むために必要な関係法令などの知識を求める、こういったことが基本的な考え方になると考えているところでございます。

石井(啓)委員 続いて、貸金業協会の自主規制機能強化でございますが、協会について、この法案では、内閣総理大臣の認可法人とする、さらに、強制加入規定こそ置かないものの、実質全業者加入を目指しております。そして、協会員に対しまして監査業務、過怠金等の処分業務を行う、また、新たにカウンセリング業務などを行いまして、いわば日本証券業協会並みの自主規制機能を持たせる、こういう案になっているわけですけれども、このためには、現行の貸金業協会を抜本的に改組して、必要な能力を持つ職員を多数採用する等、その体制整備が必要になるわけでございますけれども、公布後一年以内の施行までに十分な体制構築が可能なのかどうか、この点について確認をいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 全国貸金業協会連合会の役職員は、本年の六月一日現在で四十九人でございます。今後、自主規制機能を十分に果たすためには、御指摘のとおり、人員の充実などの体制整備が必要であると考えているところでございます。

 今回の改正は、法律の名前も規制法から貸金業法へと変更するものでございます。このため、自主規制機能につきましてはぜひとも充実強化を図らなければならない課題でありますことから、本件に関しまして、これから貸金業界などと具体的な対応について十分協議してまいりたいと考えているところでございます。

 御指摘のとおり、新貸金業協会におきましては、コンプライアンス部門、監査部門、相談部門などの機能につきましての整備が必要になると考えておりますが、このための人員確保につきましては、また多角的な検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

石井(啓)委員 続いて、過剰貸し付け規制につきまして確認いたします。

 先ほど宮下委員の質問の中でも同様の質問があったかと思いますが、今回、指定信用情報機関を指定しまして、貸金業者間で借り手の借入残高情報を流通させて総借入残高を把握できるようにするわけでございますけれども、将来的には、全銀協あるいはクレジット業界など、他業界との間の情報流通を進めていってはどうかなというふうに思っておりますが、この点について見解を伺いたいと思います。

渡辺(喜)副大臣 石井先生御案内のように、今、四つの信用情報機関がございます。リアルタイム更新で行っておりますのが全情連、一方、物販系のCICとか、それから銀行、クレジット会社などが入っておりますCCB、それから全銀協系のものもございます。

 全情連、CIC、全銀協系の間では、延滞情報の交換、いわゆるブラック情報と称しておりますが、こういうものの交換はもう既に行っております。今回の総量規制におきましては、ブラック情報だけではなくていわゆるホワイト情報、正常債権の情報も交換していくことになりますので、多重債務者をなくすという観点からいきますと、とりあえず今ある情報機関をバージョンアップしてもらうということが大事だと考えておるところでございます。

 将来一本化すべきかどうかにつきましては、法改正を行い、多重債務者がどれぐらいなくなったか、そういったことを見きわめた上での検討になろうかと存じます。

石井(啓)委員 といいますのは、今回、貸金業者からの総借入残高を把握しまして返済可能な範囲で貸し付けるということは、非常に大きな進歩といいますか大きな前進だと思いますけれども、やはり、将来的には、貸金業者からの借り入れだけでなく物販関係の借り入れとか住宅ローンだとか、そういったものを含めて把握して初めて返済可能かどうかというのがわかりますので、将来的にはやはりそういう方向に進めた方が望ましいというふうに考えますので、課題として申し上げておきたいと思います。

 それから、同様の過剰貸し付け規制についてですが、これは借入総額が年間収入の三分の一以内というふうにされていますけれども、この法案第十三条の二の第二項では、その例外規定としまして、当該個人顧客の利益の保護に支障が生じることがない契約として内閣府令で定めるものを除くと。原則は三分の一なんだけれども、例外規定を置いています。この内閣府令の中身を確認いたしたいと思います。

三國谷政府参考人 御指摘の点につきましては、借り手の健全な資金需要にこたえるという点、また多重債務の発生を防止する等、そういった観点から、借り入れの実態を踏まえながら、今後、適切な内容の内閣府令を策定してまいりたいと考えております。

 例えば、有価証券や近い将来に売却を予定している不動産などを保有しており、その売却収入を含めまして生活に特段の支障を来すことなく毎回の返済を行うことができると見込まれる場合などは、個人顧客の利益の保護に支障が生じることがない契約に該当する可能性があると考えているところでございます。

石井(啓)委員 今のお話、収入の三分の一以内なんだけれども、処分できる資産がある場合には例外になる可能性がある、こういうお話でありました。

 有価証券関係は換金性が高いから、それはそれで金融資産として持っているということから借入能力があるということだと思うんだけれども、不動産については、ちょっとこれはもう少し慎重にといいますか、売却予定かどうかというのはよくわからないことだし、売却を促しちゃって、不動産があるから資産があるのでたくさん借りられるということになっちゃうと、これはむしろ生活基盤を破壊するということになるから、この不動産の規定のあり方についてはよく工夫をしていただきたいと思うんですけれども、その点、どうですか。

三國谷政府参考人 例えば、通常の年収などによりますキャッシュフローを無視いたしまして、現実に売る意思がない家宅等を担保として貸し付けるといったようなことにつきましては、やはり、御指摘の趣旨を踏まえながら、いろいろなケースを想定しながら慎重に検討してまいりたいと考えているところでございます。

石井(啓)委員 その点、よろしくお願いを申し上げます。

 この法案全体で、上限金利の引き下げと過剰貸し付け規制により、やはり信用収縮はどうしてもある程度生じることになると思うんですが、どの程度の信用収縮が生じるというふうに想定をされていらっしゃるのか、またその影響をどういうふうに緩和されようとしていらっしゃるのか、この点についてお伺いをいたします。

山本国務大臣 今回の改正では、上限金利が引き下げられますとともに、新たな過剰貸し付け規制に伴いまして借り入れの際の審査が現状より厳しくなります。これまでの貸金業者からの借り入れが可能だった、リスクの高い借り手の一部が借りられなくなるという可能性は否定できません。その影響を定量的に予測することは大変困難でございまして、今のところお答えするところまではいっておりません。

 しかし、この改正は返済能力を超えた貸し付けを抑制するものでございまして、全体といたしまして借り手の保護に、むしろそのことの方が役に立つものである、こう考えているわけでございます。

 他方、指定信用情報機関制度を創設いたしまして貸金業者が借り手の総借入残高を把握することを通じまして、貸金業者の貸し倒れコストが低下し、健全な借り手のニーズに対応していくことが期待されております。

 また、直ちに上限金利を引き下げることにつきましては、急激な貸し渋り等を発生させる懸念もありますことから、今回の法改正におきましては、上限金利引き下げの実施までおおむね三年の準備期間を置くこととしております。

 さらに、借り手への影響という観点からはカウンセリング体制の充実等も重要と考えておりまして、これにつきましては、今後、内閣官房に設置されます予定の多重債務者対策本部において議論を行いまして、具体的な方策等を検討してまいりたいというように考えております。

石井(啓)委員 今ちょっと、大臣の御答弁の中でもカウンセリングについて御発言がございましたけれども、さきの本会議で官房長官にこの点につきまして質問いたしまして、「内閣官房に設置する予定の多重債務者対策本部において、関係省庁が連携して取り組んでいきたい」、こういう答弁を得ているところでありますが、具体的にどういう対策を講じていくのか、この点について確認をいたしたいと思います。

刀禰政府参考人 多重債務者対策といたしまして、御指摘のカウンセリング体制の充実は大変重要な課題であると考えております。今後、内閣官房に設置する予定の多重債務者対策本部におきまして、関係省庁が連携して取り組んでまいる所存でございます。

 カウンセリング体制の強化のための具体的な方策につきましては、関係省庁とともに議論を深めていきたいと考えておりますが、債務整理や家計管理指導を行えるカウンセリング機関の拡充、こうした機関と身近な相談窓口とのネットワークの構築などが重要な課題になると考えております。

石井(啓)委員 続いて、セーフティーネットでございますけれども、これも本会議で、官房長官の答弁では、緊急小口資金を初めとする生活福祉資金の貸し付けについて、制度のさらなる周知徹底と手続の迅速化に努めたいという答弁を得ております。これ自体は結構なんでありますけれども、周知徹底と手続の迅速化にとどまらず、生活福祉資金自体の貸し付け要件の緩和等、制度そのものの拡充も考えていくべきではないかと考えておりますが、厚生労働省に伺いたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 生活福祉資金貸付制度についてでございますが、この制度は、都道府県の社会福祉協議会が実施主体となりまして、低所得世帯等に対しまして一時的な生活経費や経済的自立を図るための経費などについて貸し付けるものでございます。

 拡充を図るべきではないかという委員の御指摘でございますが、資金の種類の充実や貸し付け条件の緩和などにつきましては、随時利用者のニーズに対応した制度改正に取り組んできておりまして、近年は、失業者に対しまして生活資金を貸し付ける離職者支援資金を平成十三年度に、また緊急かつ一時的に必要となる少額の資金を貸し付ける緊急小口資金を平成十四年度に創設してまいったところでございます。

 この資金につきましては、官房長官からもお答えいたしましたように、貸し付け要件についての見直し等々、制度が適切な役割を果たしていけるようさらに努めてまいりたいと思いますし、また、貸し付け決定まで時間がかかる場合もあるとの御指摘もいただいておりますので、都道府県社会福祉協議会に対して、本制度の積極的な広報、円滑な貸付審査を行うようにお願いしているところでもありますし、私どもといたしましても、周知徹底に努めてまいりたい、こう考えております。

石井(啓)委員 続いて、中小零細事業者へのセーフティーネットでございますが、これは、同様に、本会議での官房長官の答弁では、高金利による融資に頼らざるを得ない状況となる前の早期の再生や再チャレンジの支援が重要、こういう答弁がございますけれども、その具体的な方策につきまして、財務省と経済産業省からそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。

香川政府参考人 お答え申し上げます。

 中小零細事業者へのセーフティーネットにつきましては、高金利による融資に頼らざるを得ない状況となる前の早期の再生や再チャレンジの支援が重要であると認識しております。

 こうしたことを踏まえまして、国民生活金融公庫におきまして、再チャレンジする起業家の資金調達を支援するとともに、個人保証に過度に依存しない融資を推進する観点から、具体的には、再チャレンジする起業家の資金調達を支援するための融資制度の創設、創業者向けの無担保、無保証人制度である新創業融資制度の拡充、第三者保証人等を不要とする融資の拡充について検討し、これらに係る十九年度要求を行っているところでございます。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 中小企業庁といたしましては、今般の貸金業規制法の改正につきまして、全国商工会連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、商店街振興組合連合会等々、関係の団体でございますとか、中小企業診断士それから税理士、現場でこういう中小企業を支援していただいている方々から幅広く意見を聞いたところでございます。

 こういった方々からは、今先生御指摘のございましたように、貸金業の問題との関係で、高金利による融資によって債務が過剰なものとなる前に早目の事業再生を行うことの重要性などを指摘いただいているところでございます。

 こういった指摘も踏まえまして、私どもといたしましては、まず金融面での支援といたしまして、中小企業金融公庫や信用保証協会におきまして、再生や再チャレンジを支援するための政策融資、保証制度の拡充、創設に向けて、現在、財政当局と協議を行っているところでございます。

 また、中小企業者等の再生、再チャレンジをきめ細かく支援するために、再生支援協議会の活用でございますとか、また、再チャレンジのための相談窓口を、全国各県の商工会連合会でございますとか商工会議所でございますとかそういったところの、二百八十カ所ほどの場所で相談窓口を全国に設置するといったことも行ってまいりたい、こんな方向で今検討を重ねているところでございます。

石井(啓)委員 以上で質問を終わりたいと思いますが、この法案については、やはり早期の成立を社会的に非常に強く要請されていると思いますので、充実した審議の上で速やかな成立をぜひお願いいたしたいと思います。

 以上でございます。

伊藤委員長 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 貸金業法等の改正法案に関する質問をさせていただきます。

 まず、私も、民主党側といたしまして、ことしの春からノンバンクプロジェクトチームというチームを立ち上げて、民主党の中でも検討を進めてまいりました。貸金業制度全般を本当に抜本的に改革するにはどうするかという観点から、多岐にわたる論点についてそれぞれ検討を行って、民主党としての案をまとめたわけであります。

 その中でも、今の世論において、重要な論点というのは幾つもあると思いますけれども、特にクローズアップされているのがやはり金利の問題であるというのは皆さんも周知のとおりでございまして、例えば、民主党案におきましては、金利についてどうするか、やはりそこはしっかりと国民の意見を聞いて、世論をしっかりと受けとめて、我々民主党としては、出資法の金利を利息制限法にそのまま引き下げる。それは、一五、一八、二〇%というふうに、そのまま引き下げる。それも即刻、法施行直後に引き下げる。さらに、ちょっと後で議論をさせていただきますけれども、やはりさまざまな影響というものが予想されますので、一年後にはしっかりとその影響を踏まえて全般的な見直しを行うという案を、それは金利について、民主党は九月にまとめました。

 聞くところによりますと、与党におきましても鋭意検討をお進めになって、最初のうちは、三年後に引き下げる、そしてその後に、二年ほど少額短期の特例というものを設けるという案でほぼ固まったというふうに聞き及んでおりましたけれども、我々民主党が今申し上げたような案をまとめて、かなりそれが影響を及ぼしたのではないかというふうな評価も聞いておりますけれども、結局、特例、三年後から二年間の少額短期の特例というものはなくす、そしてさらに、二年半以内に見直しを行うという規定を明記なさった。ある意味、我々民主党の思い、案をかなり見ていただいて、その考えも酌んでいただいたんだろうという意味では、我々としても民主党案がいい影響を及ぼしたというふうには考えております。

 ただ、我々が今ベストと考えている我々の案とはやはりまだまだ違うところがあるわけでありますが、民主党が影響を与えたという話も聞いていますけれども、それ以外の部分も含めて、一たん三年後に、二年間の少額短期を含めてといったような案がもともとあったのが、また法案が出る段階でいろいろと変わったというその理由を教えていただけますでしょうか。

山本国務大臣 今回の改正は、多重債務問題の解決のため、抜本的かつ総合的な対策を講じるものでございます。多くの債務者の金利負担を軽減するために、出資法の上限金利を二〇%まで下げることといたしました。

 政府・与党における検討の過程では、短期の資金ならば高金利での借り入れニーズにも対応すべきというような議論、利息制限法の金利区分の見直しをすべきとの議論、こうした議論がございました。今回の改正案は、あくまで借り手保護のため、金利負担の軽減をより重視する観点から、そうした金利の特例等の措置は講じないことというようにしたものでございまして、いろいろな考え方のもとに与党の総意を得たというのがこの結論であったようでございます。

田村(謙)委員 理由は一言で、非常に簡単でありましたので、さまざまな総合的な判断だということだと思いますので、それ以上はそれについて聞くつもりはございませんけれども、重ねて申し上げますが、やはりそこは、多重債務者、現在既に多重債務に陥っている方をできるだけ早く救済する、そしてまた、利用者が今後多重債務者にならないように、多重債務に陥らないようにする、それが唯一最大の目標であるということは、もちろん我々はそうですし、そして与党としても、それを第一にお考えになっているというのは十分に理解をしているわけでありますけれども、やはり、そういった最大の目標を達成するためには、我々は、即刻金利を引き下げるべきである、それは利息制限法のレベルまですぐ引き下げるべきだというふうに考えて、案をまとめました。

 今回のこの法案は、結局それを三年後にする。先ほどからいろいろな理由もお話しになっていらっしゃいますけれども、三年間。結局、今までも大きな問題というのが、出資法の金利とそして利息制限法の金利の間のグレーゾーンというのが大変問題になっていて、そして、一月にも最高裁の判決も出た。結局、そのグレーゾーンというのがこれから三年間温存をされるということになると思うんですけれども、それについて、これから三年間、グレーゾーン金利での貸し出しというのは一体どのようにお考えになっているのか。今までのケースですと、まさに過払い請求があると返還をしなければいけないということになっているわけですけれども、これからこの法改正後三年間というのはグレーゾーンは残る、それについてはどのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

山本国務大臣 まず、今回の改正は、近年深刻さを増しております多重債務問題の解決のために、貸金業法四十三条を廃止しまして出資法の上限金利を二〇%まで引き下げるもの、言うまでもありませんが。

 このように、今回の改正は、現在の借り手に大きな影響を与える可能性があることを踏まえまして、改正法を実施する過程におきまして、現在貸金業者を利用している方々に、急に返済を迫られる、あるいはかえって生活に悪影響が出るというような事態を招かないようにするための時間も必要であろうというように考えた法案でございます。

 こういった趣旨から、上限金利引き下げまで、公布からおおむね三年の準備期間を設けておりまして、その間は、御指摘のグレーゾーン金利の貸金業法の四十三条、この解釈あるいは法適用をして、利用者保護の観点に立った処理をしていくということでございます。

田村(謙)委員 理由は非常にもっともらしいんですけれども、余り最高裁の判例の細かいところまで踏み込んでいくと、幾ら時間があっても足りませんので。ただ、ある意味で、一般の方にもわかりやすいようにお伺いをすると、最高裁の判例で、簡単に、グレーゾーン金利だともうだめだという受けとめ方というのはかなりあるわけですよね。

 ただ、一方で、利用者の方というのは、そこまで知らない方は多々いらっしゃるわけですので、今までどおりに、そもそもこの法改正が行われるということさえ知らずに利用する方というのは、今後三年間たくさんいらっしゃる、むしろお使いになる方だと知らない人の方が多いんじゃないかということも例えば想像できるわけですよね。

 そうした場合、グレーゾーンというのも知らず今までどおりに借りる、まさに新規で借りたりするということがあれば、そうすると、結局それが、今までと同じように多重債務者をふやしていくということにつながるということにならないんですか。

山本国務大臣 今回の改正におけますいわゆる世論の注目はかなりのものがありますし、また、この改正の二〇%上限金利というメッセージは、他の例外を認めていないという意味では、かなりメッセージ性に強いものがございます。

 そういった意味で、利用者の保護に資するところ大だろうというように思いますし、また、四十三条で、任意性、書面性を満たす場合の有効事例のこの解釈、最高裁判決というものも大切に、利用者保護の観点に立った運用がなされるだろうというように思っておりますので、その意味におきましては、新たな多重債務者をふやしていくという懸念は、現在よりもかなりの度合い少なくなるだろうというように期待しております。

田村(謙)委員 今のお答えでも、なかなかあいまいでわからないんですが、例えば、最高裁の判例が、より利用者保護の観点に立った運用がなされるというのは、具体的にどういうことですか。

山本国務大臣 この判決で、四十三条が無効というような判示はされておりません。したがいまして、あくまで、みなし弁済という考え方における原則論は、契約当事者の自由意思というものを守りながらも、貸し手と借り手の力関係、あるいは知識の専門性のありよう等々を勘案したところ、なお借り手の方にウエートをかけた意味、解釈というものを例外的にしているというようにこの判示を解釈すべきでありまして、そう考えますと、やはり、原則と例外の関係からすると、書面性や任意性というものを、事実認定というものを慎重にやっていくという考え方でございますので、四十三条は四十三条で有効というような考え方のもとにやっていく。

 それは、そういうような考え方の判例があるということを前提として世の中が動くだろうという期待感がありますので、田村委員十分おわかりの上でお聞きになっていらっしゃることだろうと思いますけれども、そういう意味では、判例があった後と判例がない前との関係、さらに、この法案が審議され、成立した前と後の考え方というのは、大分変化があるだろうと私は思っております。

田村(謙)委員 もちろん、私も、全く変わらないと申し上げているつもりはないので、何らかの変化はあるだろうとは思いますけれども。

 例えば、利用者側から見た場合に、大臣おっしゃったように、今回の貸金業の議論とかあるいは最高裁判例というのが、ある程度認知されているんじゃないかという状況、仮にそれが認知されていても、やはり、貸金業に借りる人あるいは多重債務に陥りやすいような人というのは、三年後はもうないんだろうけれども、今は借りられるんだということで、結局手を出してしまうという人は、余り三年後というのは関係ないですよね。今あれば、結局借りてしまう。もちろん、多重債務に陥る方はさまざまな理由があって、本当にお気の毒な例もあれば、あるいは、ついつい、もうそういう借金癖がついてしまっているような方もいるわけで、そういう後者のような方であれば、とにかくあるんだったら借りようということになりかねないわけですよね。

 そして、もちろん、さまざまほかの、先ほどから議論があるような総量規制とかありますけれども、ただ、それは今後、より徹底をしていくという話で、信用情報にしても三年間をめどにこれから整備をしていくという中で、総量規制というのもおよそ有効性というのは薄いだろうと。

 後でちょっとまたお伺いしますが、例えば、この法改正直後、その日でも翌月でも、まだまだほかの規制というものがなかなか効果を発揮しない中で、結局今と余り変わらないですよね。そういう中で、結局今の高い金利が続く。それで変化と言っても、もちろん、そもそもそういう法改正が行われるとか最高裁とか、そういうことを知っている人というのはある程度理性が働く人ですので、多重債務に陥る人、理性がちゃんとあっても、いろいろな生活苦でお気の毒な方ももちろんいらっしゃいます。ただ一方で、やはりついつい手を出してしまう、そしてそれがどうしようもなくなってしまうというようなケースも多々あるわけですよね。そういう人というのは、今は例えばの例で、もちろんほかにもいろいろなケースがありますから、そこは一つ一つ挙げたら切りがありませんけれども。

 結局、私が言いたいのは、大臣が、今後法改正で法律を変えたら、それから三年の間に変化があるだろうといっても、今こういうふうに多重債務者がどんどんふえている、その状況がどのように変化するんですか。要は、この法改正直後、ほかの規制がまだ効力を発揮しない中で、どれだけ多重債務者というのは減っていく、あるいは多重債務に陥る人が減っていくんですか。それをもっと具体的に、わかりやすく説明してください。

山本国務大臣 どれぐらいというのは、ちょっと私も予測しかねるわけでありますが、この四十三条、もう一切無効で、みなし弁済の規定もないというような形になった場合、劇的な変化としましては、やはりそこに貸し渋り、貸しはがし、さらに、継続的に貸せないというような、先ほど何度か御質問ありましたような、立場の弱い人の方が困るということも他方考え得る場合もありますし、そうしていきますと、社会変化についてドラスチックにやる方法もあろうと思います。

 革命的な変化を望む人もあろうと思いますが、しかし、社会変化というのは、できるだけなだらかに改正していくということの方が、ショックが少ないことはそれぞれの立場立場の人の生活にむしろ配慮するものではないかというような考え方もございまして、その意味では、貸し渋り、貸しはがしを極端にしないというような考え方のもとから考えれば、アナウンスメント効果というものに期待しつつ、また相互の互譲というものも期待しつつ、貸し手と借り手の公平さというものがやがてとられるだろう、そして市場、マーケットが健全になるだろうというような期待感の中に、三年の間に緩やかに変わっていくということを期待する立場も私は十分あり得るだろうというように思っております。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

田村(謙)委員 今後の影響全般、今大臣がちょっと触れたので、今回のこの改正法案での影響というのはさまざまな側面があるわけですけれども、では、まずこの三年間、金利を実際に引き下げる前の三年間はどうなっていくか。

 その中でも、私はむしろお伺いをしようと思っていたんですが、もう既に業者の中では、三年後までは今の金利というのではなくて、それはもっと前倒しで、もうそれこそ来年とか、引き下げる準備を今既に進めているという業者ももちろんあります。そういう業者、より前倒しで金利を引き下げようという業者の場合には、当然貸しはがし、貸し渋りというものが出てくる。その影響についても、より細かくお伺いを後でいたしますけれども。

 その一方で、それこそ例えば、いずれ廃業するんだ、先ほど話があった、財産要件も上げていくんだからいずれ廃業するよ、だけれども、その財産要件が五千万になるまではまだ大丈夫だからとりあえずやっていこうというところの場合は、とりあえず二、三年、もうけるだけもうけようとするわけですよね。そういう業者が、別に、より先を見越して金利を下げるはずはありませんので、結局グレーゾーン金利、今の金利のまま貸す業者もいるだろう。それは、大臣が先ほどおっしゃったのは、みんながだんだん先を見越して引き下げていく、ほかの業者みんながですよ。そうすると、貸し渋り、貸しはがしだけが問題になりますけれども、一方で、そうじゃない業者もいるだろうと。

 では、まずこの三年間、トータルでどのようになっていくのかという、その見通しはどうなんですか。今、貸し渋り、貸しはがしというふうにおっしゃったので、それがどの程度起きるのか、これからこの三年間で。

 あと一方で、今私が申し上げた、今からまさに三年後までの間に、結局グレーゾーン金利でも貸し続ける業者もいるだろう。そこは単純な数字で、財産要件を引き上げていくとこれだけ廃業しますねという数字はわかっていますが、それ以上に、それと連動する部分もあるかもしれませんけれども、今のグレーゾーン金利のまま貸し続ける業者がどれだけいるのかという見通しもしっかり考えていただかないと、まさに、今までどおりに多重債務者というのは結局この三年間放置しますよということに対する明確な反論をしていただきたいんですよ。

渡辺(喜)副大臣 田村委員御案内のように、今グレーゾーン金利で貸し付けを行っている業者さんは、過払い金返還請求を受けるリスクを伴って貸し付けをしているわけですね。したがって、そういうリスクを減らそうと考える業者は、当然グレーゾーンでない金利体系を考える人も、もう既に出てきていると聞いております。

 したがって、このグレーゾーンがなくなるまでの間、グレーゾーン金利をずっと続けるんだというところは、当然、消費者の選好が行われていくわけでありますから、理論的に言えば淘汰をされていくことになるのではないでしょうか。

 一方、こうした金利の競争が行われていく場合には、今グレーゾーンの中で高い金利を借りることによって逆にリスクをしょってしまう、そういう消費者もいるわけですね。したがって、こういう消費者は、金利が低くなれば、それだけリスクが下がるわけでありますから、業者にとっても、そういう真っ当な金利体系のもとで真っ当な消費者がふえるということは、大変結構なことなのではないでしょうか。

 いずれにいたしましても、日本の金利の体系というのが、御案内のように、非常にいびつなグラフになっております。ローン残高と金利をとってみますと、二%か三%ぐらいのところにでっかい巨大な山があって、その山が突然なくなっちゃって、二三から二五ぐらいのところに次の小さなこぶが出てくるというのが日本のいびつな金融構造でありますから、こういう法改正をすることによって、この金利の世界もより正常化していくことが我々としては希望しているところでございます。

 また、多重債務者の問題に限れば、金利だけの問題ではないということを田村委員も先ほどから御指摘のとおりでございまして、この多重債務者問題については、総量規制あるいはカウンセリング等々、ワンパッケージの総合戦略で進めていくことが、この三年間、大事なことではなかろうかと考えております。

田村(謙)委員 金融の本当に専門家でいらっしゃる副大臣からお話をいただいたのは感謝申し上げますけれども、ただ、結局、副大臣がおっしゃったような行動をとる業者というのは、先ほど私が申し上げたように、先も見越してずっと営業を続けていきたいという企業は、当然そのような、経済的に合理的な行動をとるだろうというのはそうだと思います、それは生き残るためにも。

 ちょうどわかりやすいので、例えばで申し上げますけれども、もうどうせ廃業しちゃう業者は、過払い返還請求のリスクなんかあっても、そんなの廃業した後知らないよという感覚で、例えばですよ、わかりやすいのでそれを出しただけですけれども、そうしたら、別に過払い返還請求のリスクがあるからグレーゾーン金利をやめようということにならないわけですよね。別にグレーゾーンといっても違法じゃないという中で、営業はできるわけですから、結局、廃業するような業者というのが、もう多分何千、一万近くあるんですかね、もっとあるのかもしれませんけれども、そういう業者がどういう行動をとるかというのは、どうですか。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺(喜)副大臣 そういう業者が、もしこの三年の間、行為規制等々、現行のコンプライアンスに違反をするようなことがあれば、これは当然のことながら、金融庁のみならず関係当局との連携によって、そういったコンプライアンス違反に対しては厳正に対処をしていく方針でございます。

田村(謙)委員 いや、もちろんそれはそうだと思いますけれども、例えば多重債務に陥る寸前の方が、どうしようという中で借り入れとなると、結局、それはもう高い金利のところしか貸してくれない。高いといっても違法ではなくて、グレーゾーンの金利で貸してくれる業者しか貸してくれない。そういうところに駆け込むというような今までの状況というのは変わらないですよね。別に、グレーゾーン金利で貸している業者は、それこそひどい取り立てをするとか、そういうことをしなければ、結局、今までと変わらないんじゃないですか。

渡辺(喜)副大臣 いずれにいたしましても、多重債務者の場合は、先ほどから御指摘のように、金利の問題だけではございません。したがって、そうした多重債務者に陥りそうな消費者のカウンセリングはもう既に行われておりますし、こうしたカウンセリングの体制、その他もろもろのワンパッケージの総合戦略を今考えているところでございますから、委員御指摘のように、多重債務者はこれからふえ続けるじゃないか、そういうことを考えて、見越した上で対策をとっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

田村(謙)委員 副大臣は最近副大臣に御就任になったので、副大臣を責めるわけではありませんけれども、カウンセリングの重要性を御指摘いただくのは、この政府案よりもよりしっかりしたカウンセリング機関の案をつくっている我々に対する評価の言葉と勝手に受けとめさせていただいて、後で議論させていただきます。

 話を戻しますと、そもそも、十五年に改正をして三年後に見直しだということで今慌ててやっているわけですよね。確かに、三年後というのと、あと、それに重なって最高裁の判決などもあった。そういう中で今慌ててやっている。多重債務者の悲鳴というのはもう昔からあって、自殺者もたくさんいる、多くの人が本当に大変な思いをしているという状況はずっと別に続いていた。それをある意味、ずっと放置なさっていたわけですよね。上の方はくるくるかわるから、金融庁の責任だということであれば、それは金融庁の責任もあるでしょうし、あるいは自民党政権の責任はもちろんありますよ。結局、それをずっと見逃してきた。

 それで、三年後。今一生懸命やっていらっしゃるのはもちろん当たり前のことですけれども、これから、例えばですよ、副大臣が今おっしゃった、カウンセリングとかトータルのプランだと。それはトータルのプランだとおっしゃっても、カウンセリング機関というのは今後徐々に整備していきましょう、あるいは信用情報に関しても、今後徐々に、二、三年かけてやっていきましょうと。

 結局私が今論点にしたいのは、またこれから一年、二年というのは今までと変わらないんですねと。多重債務者問題が、例えば去年、おととし急に出てきた問題だったら別なんですよ。ずっと続いてきた。社会問題としてずっと続いてきて、それはだれもが知っている話ですよね。そして、もういろいろな方が大変不幸な目に遭っている。それを今回見直す。

 そもそも、十五年に改正をして、三年後に見直しだからそれまでほっておくというのは理由が立ちませんけれども、今回、真剣にやっていらっしゃるんであれば、もうまさに、即刻、法改正というか、あしたからでも多重債務者がふえないような方策というのもしっかり考えないと、これから対策本部をつくって、やれ検討するんですと。それは今までのこのひどい状況を、では、そのトータルのプランができるまで、これから半年でも一年でもいいですよ、結局、放置するということなんですね。

渡辺(喜)副大臣 放置するなどということはとんでもないことでございまして、例えば今週、副大臣会議というのが行われました。先週でしたかね、ちょっと日付は忘れましたけれども。そこで私の方から、多重債務問題についてお願いの予告編をしたわけでございます。

 例えば、一番身近な相談窓口というのは市町村なんですね。市町村の窓口に駆け込めるようになれば、相当、この多重債務者問題というのが世の中に周知徹底をしていくことになるのではないでしょうか。残念ながら、まだそういった窓口が全国津々浦々あるという状況にはなっていないわけでございます。

 また、多重債務者にとってどうしても必要な債務整理という問題がございます。この債務整理については、既に御案内のように、いろいろな倒産法制の整備が行われてきております。私も議員立法でかかわった特定調停制度なんというのは、最初我々は、中小企業の事業再生でつくった制度ですよ。ところがこの特定調停が、まさに消費者金融あるいは商工ローンの借り手の債務整理で使われている現実があるんですね。最高裁に聞かないとわかりませんけれども、恐らく、この制度がスタートをしてまだ何年間かしかたっておりませんけれども、もう既に累計で百万件ぐらいは使われているんじゃないんでしょうか。

 したがって、この多重債務者の債務整理を、どういうダイバージョンをやっていくか。例えば自己破産をかける、一〇〇%免責にしちゃう、あるいは特定調停でやる。あるいは、個人再生制度というのがございます。民事再生法の個人版でございますが、残念ながらこれなどは余り使われてないんですね。借りた金は返すのがこの世のルールだ、しかし、借金ごときで首をくくる必要はないよという、これは私の言っているキャッチコピーなんでございますけれども。そういうことでつくった個人再生制度が残念ながら使われていない、こういうのはもっと使ってもらうべきではないか、そういったいろいろな倒産法制のダイバージョンも、まさにワンパッケージの総合戦略の中でもっと有機的に使っていくことは可能なのではないかと思うんですね。

 したがって、この三年間放置しておくなんてとんでもないことでございまして、まさに私も大臣も、こうした問題について今いろいろな角度から情報発信をしているわけでございますから、ぜひ田村先生にも御協力をお願いしたいと思います。

田村(謙)委員 先ほど最初に申し上げたように、最近副大臣に就任なさった渡辺先生を責めているわけでは私はありませんので、まさに今までの対応そして今回の法案について、与党案そして法案作成に当たって渡辺副大臣がどれだけかかわったか私は存じ上げませんけれども、いろいろな論点、いろいろな方策、それはちょっと後で、私もまだあとトータルで一時間、時間がございますので、それぞれ聞かせていただきます。

 そういう意味で、切り口として今金利を取り上げている。それはもちろん、金利だけではないというのは私が最初に申し上げたとおりでございます。ただ、やはりそういう意味で、金利に若干焦点を戻すと、先ほどから私が申し上げているのは、ただ、副大臣がおっしゃったように、いろいろな方策を考えているんだというのも、今既に多重債務者に陥っている方、その方をどのように救済するのか、それも後でまた若干細かく聞かせていただきますが、そのことに関しては、確かにすぐできることというのは幾つかあります。それはあると思います。

 それは民主党案でも示しているし、今かなり副大臣もおっしゃったと思いますけれども、今既に陥っている人ではなくて、グレーゾーン金利、その高い金利の貸金業者に結局駆け込むような人がいて、そしてそういう人たちがこれから多重債務に陥ってしまう、そういう悪循環が今あるわけですよね。その状況というのは、いろいろな方策が、カウンセリングとかそういう方策ができるまで、結局今までと変わらないんですねということを私は確認したいんですよ。それはどうですか。

渡辺(喜)副大臣 今までとは明らかに異なる段階にもう既に入っていると認識しております。

田村(謙)委員 それは、より具体的にどういったふうに変わってきているのか、御説明ください。

渡辺(喜)副大臣 先ほども申し上げましたように、多重債務者対策本部というものを近々つくることになっております。

 したがって、まだ具体的に何をやるというのは役所の立場では言えませんが、私、副大臣の立場で気楽に発言をさせていただきますと、先ほど申し上げましたように、市町村の窓口をつくっていただくとか、あるいは先ほども議論がございましたように、もう既に法テラスという制度、システムがスタートをしております。また、司法書士会の皆様方や消費者団体の皆様方にも内々お願いをしております。

 したがって、そういったことが有機的に動き始めるならば、まさしく債務整理の、先ほど申し上げたようなダイバージョンのいろいろな制度も伴って、この問題が本格的に動いていくことになるのではないでしょうか。

田村(謙)委員 結局、平行線で、私が申し上げているのは、そういった検討をして、では、市町村の窓口もあしたから機能するんですかというと、それは違いますよね。それは、数カ月後なのか一年後なのか、カウンセリングもそうですし、そういう先の、二、三年後はという話ではなくて、まさに来年、あしたでもあるいは来年でもいいですけれども、法施行直後、ちゃんと固まって実際にそれが機能、動き出すまでの間、その検討がまだ進んでいない。

 だから、債務整理という既に多重債務に陥っている人の話ではなくて、これから陥りそうな、まさに貸金業者を今既に幾つも利用して、ある程度債務を抱えていて、それでまたさらに別のところに手を出していく、それによって多重債務に陥るわけですよね。そういう人たちに対しては何らかの効果があるんですかということを聞いているんですよ。結局、今まで何のお答えもいただいていないと思います。もう一度お答えいただきますけれども。

 そういった中で、私は、私はというか民主党は、とにかく金利をもう即刻引き下げるというのが一番わかりやすい。それは、あらゆる人にとって、もし違法業者があれば、それは違法だというのがすぐわかる。もうとにかく利息制限法より下のものだけが正規の業者なんだという意味で一番わかりやすいわけですよね。結局、高い金利ではもう貸しちゃいけないということにすれば、もう高い金利に手を出す人というのは相当減るだろう。もちろんやみ金というのはゼロにはなりませんから、やみ金に手を出す人というのはまた別の対策が必要ですけれども。

 結局、今いろいろ伺って、グレーゾーンの三年間、その中でも特にまだこれからいろいろ対策を検討します、その検討期間中の一年間でもいいですよ、あるいはもうとにかく急ぐんだったら半年でもいいです。その間というのは、結局、今までの悪い状況というのはそのままにしてしまうんですねということを私は申し上げているんです、お伺いしているんですよ。いかがですか。

渡辺(喜)副大臣 まだ多重債務者にはなっていないけれども、なる可能性のある消費者というお尋ねだと思います。

 まさしくこうした議論が世の中にアピールしていくならば、当然のことながら消費者の方も、グレーゾーンの金利でお金を借りることがリスクを高めることなんだ、そういう御認識をお持ちになると思うんですね。そうすると、今まさしくこういう議論をやっておれば、貸金業者の間での金利競争というのはもう既に始まっているのではないでしょうか。

 要するに、今、消費者と貸金業者との間で情報がマッチングしやすいんですね。早い話が、情報は非対称じゃないんですよ。情報がマッチングしやすいがゆえに、多重債務者がどんどん出てきてしまう、そういう状況があるのではないでしょうか。

 しかし、改革の方向性はこういうことですよ、我々はこういう改革ビジョンを持っているんですよということが世の中に流布していくならば、まさしく消費者の方も、業者の方も、そのビジョンに合った行動をとっていくことになるのではないでしょうか。また、あなたはちょっと借り過ぎですよと、そういうことがいろいろな角度から消費者の耳に届いていくようになれば、まさにそれは、多重債務に陥ることがないよう気をつけて消費者が行動するようになるのではないでしょうか。

田村(謙)委員 消費者がそのように理性的な方ばかりであれば、そういう多重債務問題というのはもっと少ないんだろうなという気はするんですけれども、ちょっと逆に、裏返して質問をさせていただきます。

 我々の案のように、即刻引き下げるということになると、そういうのが我々は一番いいと思っているわけですけれども、それはどのような問題があるとお考えですか。要は、三年間の経過措置を設けるという理由と同じになるんでしょうけれども、あえて即刻引き下げるというのはどういう悪影響があるのかをお伺いします。

渡辺(喜)副大臣 今回の法体系の中では、もう先ほどから議論がございますように、総量規制ということを考えております。即刻引き下げという事態になりますと、こっちの総量規制の、例えば情報共有とか、そういったことが間に合わない。ITシステムの変換には、これは当然のことながら時間がかかりますので、そういったことが間に合わないということが出てまいります。

 そしてまた、日賦の議論も、先ほど同じ議論が行われたと思いますけれども、まさしく今現に借りている人がいる。この方々がスムーズに返済していけば、まさに多重債務者にならずに済むわけですね。一定の収入があれば返済というのは可能なわけであります。したがって、今即刻金利を下げるということが現実的かどうかという観点から、我々は議論をしてきたつもりでございます。

田村(謙)委員 結局、副大臣は、非現実的だ、即刻引き下げるのはというふうにおっしゃりたいんだと思いますけれども、三年間、例えば先ほどの財産要件でも、どんどん廃業しているわけですよね、廃業していく。そういう中で、あと副大臣が今おっしゃった、今まで既に借りている債務者というのがより返しやすいようにと。例えば、そうおっしゃるのであれば、百歩譲って、そういう人たちだけは特例にして、新規の人に対しては利息制限法の金利でしか貸せないようにするとかということもできなくはないような気がするんですけれども。結局、今の御説明でも、新規というのも、本当に貸金業から初めて借りる人もいれば、そういう人もそうですし、結局、総量規制がなかなかすぐにはできないというのは、それはそのとおりだと思いますよ。

 それはそうなんですけれども、その間はグレーゾーン金利もやむを得ないという理由が、今おっしゃった中ですと、結局、今までの債務者がより返しやすいようにする、そのことしかおっしゃっていないような気がするんですけれども、今まで既に借りている債務者がより返済をしやすいようにするということしか、グレーゾーン金利を三年間残す明確な理由が今私には理解できなかったんですが、あとは現実的、非現実的という言葉がありますけれども、理由はそれだけですか。

渡辺(喜)副大臣 いずれにしても、グレーゾーン金利を廃止するというのが今回の大きな柱の一つでございます。そのグレーゾーンの廃止に至る現実的なやり方は何なのか。また、多重債務者を出さないというのは、もう先ほど来御議論のあるように、金利だけの問題ではありませんので、まさに総量規制という大変ドラスチックな網を今回用意しているわけでございます。

 もう既に御案内のように、貸金業の消費者の方の情報は、一千万人を超える情報が先ほどから出ております全情連とかそういったところで共有をされているわけであります。物販系のCICなどは、これはお買い物情報がございますのでまた別でございますが、キャッシングについては、もう既にブラック情報の交換を行っているんですね。

 ですから、そういった現実を考えるならば、やはり今相当の数の消費者がこうしたキャッシング、あるいは貸金業の金融サービスを利用しているわけであります。そういう人たち、また新たなニーズを持って利用する人も出てくるでしょう。ですから、そういう人たちがスムーズにこのサービスを利用でき、なおかつ多重債務者に陥らずに、以降はきちんとグレーゾーンの世界がなくなる、こういうことを考えて我々はやっているわけでございます。

田村(謙)委員 一般の人にもわかりやすいような説得力のあるお答えではないなという感じはしますけれども、平行線になると思いますので。

 もちろん、おっしゃるように、それは金利だけではないですよ。ただ、我々民主党が申し上げているのは、いろいろなほかのトータルな制度、それこそカウンセリングを含め、そういったのは時間がかかる。そういう中で、金利というのは、ある意味唯一かもしれないですよね、もちろん取り締まりというのはありますが、それは別として、今回のこの法改正において、最大のすぐできるものだ、即効性がある、ほかにそれに匹敵するものはない。即効性があるのはやはり金利なんだということを我々は考えて、そして御提案をしています。

 若干話を広げてお伺いをしますけれども、先ほども別の委員から質問がありました。三年後以降、金利に限らず、金利だけじゃないですよ、この制度改革をすると全部でどのような影響があるのか。それは既に、この三年後より前、この法改正直後からいろいろと、先ほどの貸し渋り、貸しはがしという話がありましたけれども、まさに法改正後、三年後以降も含めて、どのような影響があるのかというのは、先ほどの別の委員にお答えの中で、なかなか定量的なものはわからないという、結局何もお答えになっていませんでした。

 当然、いろいろと情報は集めていらっしゃるだろうと思うんですね。諸外国の例を研究するのはもちろんのこと、あるいは、業界の方からも意見を聞いていらっしゃると思います。あと、公聴会が別にあるようですけれども。

 例えば、国内の話でいうと、私はちょっとうろ覚えですけれども、半年ぐらい前に、大手の貸金業者が、利息制限法まで引き下げると今の利用者の三割ぐらいにしか貸せないだろうと。そのときは、半年前ですから、かなりその大手の貸金業者も、いいかげんな数字かもしれないです。また、もちろんそういうこともいろいろ金融庁さんは聞いていらっしゃいますよね。定量的にわからないと。もちろん、今後の影響としての金融庁としての公式な見解というのはないにしても、全くわかりませんでは、全くわからないで、とりあえずやってみるんだという無責任な対応ではないだろうと私は思っていますので、ほかの意見の紹介でもいいですよ、あるいは韓国の例だっていいです。海外の例とか、あるいは業界はこう言っているとか、そこら辺だけでも御紹介いただけませんか。

三國谷政府参考人 消費者金融につきましては、各国それぞれお国柄というのもございますが、我が国の場合には、近年、消費者金融というのが量的にも拡大し、かつ多重債務問題というのもかなり社会的な問題になってきているということは御指摘のとおりかと思います。

 金利を引き下げた場合にどういった影響が出るかということにつきましては、これはさまざまな方によっていろいろな意見がございました。金利を引き下げることによって相当程度の方が借りられなくなるのではないかという御主張もあれば、しかしそれは、むしろ金利体系が正常化すればその中で健全な競争が行われるというような見方もございます。そういった意味で、さまざまな見方がある中で、これを私どもが、定量的にこうなる、こう申し上げることは困難でございます。

 しかしながら、全体といたしまして、これまで貸金業者からの借り入れが可能だったリスクの高い借り手の一部が借りられなくなる可能性というのは否定できませんが、しかし、この改正は、多重債務者問題の一因となっている、返済能力を超えた貸し付けを抑制するものでございまして、全体として借り手の保護に役立つ、こういう考え方に立ちまして、さまざまな議論を重ね、今御提案させていただいている次第でございます。

 今後、指定信用情報機関制度、これを創設いたしましたならば、貸金業者が借り手の総借入残高を把握することが可能になりまして、そうなりますと、また貸金業者の貸し倒れコストが低下する、また、そういった意味で借り手のニーズに対応していくといったことも期待されるわけでございます。

 なお、先ほど来御議論ございますが、直ちに上限金利を引き下げることにつきましては、急激な貸し渋りなどを発生させる懸念もあるということから、今回の法改正におきましては、上限金利引き下げの実施までおおむね三年の準備期間を置くこととさせていただいているところでございます。

 なお、借り手の影響という観点につきましては、これも議論ございましたが、カウンセリング体制の充実が重要と考えてございまして、こういったものにつきましては、今後内閣官房に設置される予定の多重債務者対策本部、こういったところで議論を一生懸命行いまして、対策を講じてまいりたいと考えているところでございます。

田村(謙)委員 確かに、影響についていろいろな見方というものがあって、それは人によっていろいろ分かれる、だからわからないというのは、別に学者とか一般の人やいろいろな人に意見を聞いたら意見が分かれるんだなと思うんだったらそれはいいですけれども、実際に、金利だけじゃなくて、抜本的とおっしゃる改革をやるんだと。それで、その影響というのはなかなか、もちろんその具体的な数字と私は申し上げているわけじゃないので、数字というのは細かい数字だと申し上げているわけじゃないですけれども、結局、何のイメージもなく、唯一、財産要件の話で、数千人業者は減るでしょうというのは非常にわかりやすいですけれども、結局、今まで利用していた人がどれだけ借りられなくなるのか、その人たちは結局どうなるのかというのは、今のお言葉よりはもうちょっと予測をしていただかないと、とりあえずやってみないとわからないということでは、いろいろな大きな影響というのは当然あると思いますので、もちろん明確にはないにしても、もうちょっと予測というものはできませんか。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正におきましては、一つは、上限金利が引き下げられるということでございます。また、新たな過剰貸し付け規制が導入されることに伴いまして、借り入れの際の審査が現状より厳しくなりまして、これまで貸金業者からの借り入れが可能だったリスクの高い借り手の一部が借りられなくなる可能性は否定できないと考えているところでございます。しかしながら、一方におきまして、指定信用情報機関の有効な活用を通じまして、より健全な需要と供給の出合いといったことも期待されるわけでございます。

 そういった意味におきまして、これまで二〇%以上で借りてこられた方の一部が借りることができなくなる、これは金利の面と量の面というのも両方ございますけれども、そういったことは可能性はあると考えておりますが、それを定量的に予測することは困難であるということを申し上げている次第でございます。

 しかしながら、これも繰り返しになりますが、この改正は、多重債務者問題の一因となっております返済能力を超えた貸し付けを抑制するということでございまして、全体として借り手の保護に役立つ、こういう考え方のもとに御提案させていただいている次第でございます。

田村(謙)委員 借り手の保護というのは、当然、我々民主党もそれは第一でありますので、別に強調していただく必要はないんですけれども、例えば、イギリスでもそういう貸金業についての議論があって、そのときには貿易省が、相当、たしか一年以上いろいろな議論、調査を重ねた上で、膨大な報告書をつくって、その上で結論を出したという話を聞いています。

 実際、国によって事情が違うんだからほかの国は関係ないんだといつも政府がおっしゃるのであればそれでいいんですけれども、大体、ほかの国はああだ、あの国はこうだ、いつも、いろいろな言いわけにもあるいは実際改正する理由にも、いろいろお使いになっていらっしゃるのは私も重々承知しておりますので、やはり今回のこれだけ大きな改正であれば、当然、ほかの諸外国の状況もしっかりと調査をした上で、もちろん日本はお国柄が違うからというのが最後にありますけれども、どうなんだろうというふうに予測するのがふだん政府がやっていらっしゃることでもあるし、今回もそうなのかな、そうあるべきだと思っております。

 その点、例えば韓国の件とか、韓国はちょうど規制を入れていろいろと出てきたという話もありますし、そこら辺は金融庁さんとしていかがお考えになりますか。

三國谷政府参考人 先生御案内でございますけれども、消費者金融に対する規制は各国によって異なっているところでございます。イギリスは自由金利でございますけれども、ドイツ、フランスは制限がございます。アメリカは、各州ごとに立法が異なりますが、金利の輸出理論というのがございまして、本拠地を持つ州の規制が適用される。実際には、自由金利の州に本拠地を持つ消費者金融が連邦各州に出ることによりまして、この辺、ある程度自由な金利で行われているということでございます。

 しかしながら、こういった金利の体系と、それではどのような多重債務問題が生じているかということは、文字どおり完全に一致しているわけではございませんでして、それぞれの国におきまして、例えばアメリカにおきましてはペイデーローンに伴う問題でございますとか、各国、それぞれ固有の事情があるわけでございます。

 日本におきましては、規制金利下ではございますけれども、一方で多重債務問題というのが近年特に問題になってきているということを踏まえまして、今回私どもが、単に金利のみならず、量的問題、さらに業界の自主規制機能の強化、こういったことを含めまして総合的な対策を講じておりますということも、日本の実情に応じていろいろ議論を重ねた上で、必要な施策ということでお願いしているものでございます。

田村(謙)委員 各国の状況、大体どういう制度かというのは皆さんは知っていらっしゃると思いますけれども、例えば、韓国ということまではちょっと通告はしていませんので。

 ただ、韓国で実際、規制緩和をした後で規制を強化してさまざまな影響があったというのは、私も大まかにしか知りませんが、そういった例というのも当然参考になると思うんですけれども、そういうところはしっかりと調査をしていらっしゃるんですか。

三國谷政府参考人 韓国につきましては、もし間違えがあればまた改めて御説明させていただきたいと思いますが、一たん規制を緩めた上でまた強化したというぐあいに承知しております。

田村(謙)委員 いや、ですから私がお伺いしているのは、規制を緩めた後強化をして、それによってどのような影響があったのかというのは、お国柄が違うけれども少なくとも参考にはなるだろうというふうに思うんですが、そういったこともしっかりと研究していらっしゃるんですかと聞いているんです。

三國谷政府参考人 韓国におきましてどういったことが生じたかということにつきましては、現在手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、そういった点につきましても、私どもも調べてみましてまた御報告させていただきたいと思います。

田村(謙)委員 私も細かい数字を聞いているわけではありませんので。

 今のお答えが非常に象徴的なように、別に、実際何人がどうなったとか、あるいはGDPがどうなった、そういう数字を今聞いているわけじゃありません。ただ、すぐ近くの韓国でも実際に、既に規制強化というのが行われて、それによってさまざまな影響が出ている。ですから、もし金融庁さんである程度研究をしていらっしゃったら、恐らく、今この場で少しでも御説明、要はうろ覚え、うろ覚えというか概要でも、それこそ一分の概要でも御説明できるんじゃないかなと思いますよ。

 また調べてという話ではなくて、私が申し上げたいのは、影響にしても、結局、国によって違いますねといって調査が余りに足りない。それは抜本的改革をする立場の政府としては非常に無責任じゃないかということを申し上げているんです。確かに、イギリスは金利を自由化しましたので、別にイギリスの結論がいいとは全く思っていないですよ、ですけれども、例えば、まさにイギリスのような国でそれだけしっかり調査研究を重ねた上でやっているわけですよ。それを、まさに与党さんや金融庁さんがどこまでいろいろと、しっかりと調査研究、分析を重ねたかというのは私もちゃんと把握をしていませんけれども、どうもそこが非常にいいかげんなんじゃないかと。

 影響というのも、ある程度貸しはがしがありますねとか、ある程度以上、結局何もお考えを持っていないんじゃないかというふうに私は印象を持っているんですよ。そこは、過去の話はしようがありませんので、ただ、今後いろいろと、対策本部をつくってしっかりとトータルなプランをつくるということですから、ぜひとも、別に外国だけじゃなくて、今後の影響についても、しっかりと調査研究を踏まえた分析をしていただきたいというのが私のお願いですけれども、大臣、いかがでしょうか。

山本国務大臣 先生の今回の法改正に対する熱意というものをひしひしと感じました。また、外国の例等わかりますれば、御報告いたしたいと思います。

伊藤委員長 田村君、時間が来ていますので、その辺でお願いします。

田村(謙)委員 時間が終わりですので、また午後にしますけれども、私は別に、韓国のことを知りたいと言っているのではなくて、改革案をやろうとしている立場の皆さんはちゃんとそういうことも踏まえた上で対策を考えなきゃいけないんじゃないですかと。ですから、諸外国だけじゃないですよ。例えばわかりやすいので言っただけですから、諸外国の例も含めて、しっかりと研究調査をこれからでもいいからやってくださいということが私のお願いで、午前中の質問を終わらせていただきます。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十七日金曜日及び二十一日火曜日の両日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田村謙治君。

田村(謙)委員 午前中の質疑に続きまして、午後三十分間だけでありますけれども、質問をさせていただきます。

 午前中いろいろ、金利を初めとする今回の改正法案が与える影響、それはその施行前、施行直後から、そしてさらに、金利を引き下げる三年後を含めてどうなるのかということを何度か質問をしてまいりました。結局、その影響についての明快な分析もしていらっしゃらない、極めて先行きがあいまいな中で、とりあえず踏み切るという印象がぬぐえないなというのが私の感想でございます。

 そしてさらに、先ほどから再三申し上げましたけれども、既に今多重債務に陥っている方、そしてまたこれからも陥る可能性がある方について、まさに法施行直後にどうしていくかという対策というものは今後検討していくということでありますので、少なくとも検討期間中、そして検討されたものが実施されるまでの間は結局放置をされてしまう、引き続きそういう多重債務者の悲劇というものが今後も続いていくということが明らかになったのではないかというふうに考えております。

 済みません、ちょっと私の時間の関係で、中小企業庁さんと厚生労働省さん、もしいらっしゃいましたら、もう質問しませんので、どうぞお帰りください。

 済みません。続けます。

 もうそれについてさらに議論はいたしませんけれども、我々民主党というのは、とにかく金利を即時に引き下げるということが今できる一番効果的で、ほかに有効な方策というものは見当たらないというふうに考えているわけでありまして、それを重ねて強調した上で、ただ、そうはいいましてもやはりなかなか影響が見えない、だからこそ、少なくとも一年以内にしっかりと見直しをするというのが我々の案としてあるわけでございます。

 与党案、この政府案は、もともと与党の中では見直しについては何ら考えていらっしゃらなかったのが、我々の案もごしんしゃくをいただいて、二年半以内に見直しをするという規定をお入れになったんだというふうに理解をしておりますけれども、先ほどから、結局さまざまな影響というものがなかなか見えない、そういう中で二年半、結局それをそのまま放置してしまうのかということに関してはいかがお考えになりますか。

三國谷政府参考人 御案内のとおり、本法案につきましては、公布後、施行まで一年でございますが、その後、段階的な施行を考えているわけでございまして、題名の改正、目的の改正、あるいは貸金業者の登録要件の強化、こういったものは公布後一年以内から施行する予定でございます。また、罰則の強化につきましては、公布後一月施行ということでございます。

 また、施行後一年半以内のものといたしましては、財産的基礎要件を二千万円に上げる、あるいは貸金業務取扱主任者資格試験制度の創設等々のことも行うわけでございます。

 私どもは、この法案の御審議をいただきまして、成立した後は、これから政省令の準備でございますとか、あるいはシステム整備、それから施行後もこういったもろもろのことを段階的に施行して、この対策の万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

田村(謙)委員 今度は大臣にお答えいただきたいんですけれども、結局、例えば金利は三年後だと、その間はしようがないんだというような説明を午前中にいろいろ聞きましたけれども、やはり二年半以内というのも結局二年半後になる可能性は高いわけですよね。それを、いろいろな影響というのはなかなかわからないし、その金利を引き下げる前から貸し渋り、貸しはがしといったような動きも既に出てきていて、そしてこれからもいろいろ出てくるだろう、それは当然その利用者あるいは多重債務者にさまざまな影響を及ぼしていくというのがもう既に起きてきているわけですよね。

 それを結局二年間以上放置するのかということなんですよ。もちろん、あしたの時点で今までの影響というのは、それはわからないと思いますよ。でも例えば、一年たてば相当な影響があるということが考えられる中で、二年半という、非常にそういう意味ではのんびりしたタイミングでいいのかというのは、大臣御自身のお考えをお聞かせください。

山本国務大臣 この種の契約というものを異常なマーケットだと考えるか、正常なマーケットだと考えるかということは、今でも大変な議論があるかもしれません。しかし、やはりそこに貸し手と借り手、必ずしも自由契約だという前提を置くことができないということを決断したわけでありまして、そういう考え方のもとに置けば、これは慎重かつ冷静に判断をし、また、改革をしていこうという、いわばソフトランディング的な政策アプローチであろうと思います。

 その意味において、貸しはがし、貸し渋り、さらに債権について、もし業者さんが、自分の会社を整理してもうおやめになるという、登録抹消というようなことを考えたときに、債権も片づけなきゃならぬけれども債務も片づけなきゃならぬ。そのときに、勢い、もう、えいやで債権譲渡。しかも債権譲渡も、いい仲間の貸金業者に譲渡じゃなくて、非常に取り立ての急な、そういう者に譲渡するなどの危険もあるわけでありまして、そんなことを総合勘案して三年という経過をとったということは、私は、必ずしも放置するという言葉とはちょっと違うような気がいたしております。

田村(謙)委員 私は、その三年の経過期間についてお伺いしたのではなくて、もちろん三年というのは、今回の法案はそうですけれども、いろいろ状況が変わってくるというのを、結局、二年半、見直しをするまで放置するんですかということをお伺いしたんですけれども、恐らく今お答えになった以上のお答えはないでしょうから、これ以上はもうお伺いをしませんが。

 我々民主党の主張として、とにかく金利を即刻引き下げるというのが最も有効な方策だ、そして、さまざまな影響というのを一年後にしっかりと見きわめて、また全体をさらに考えるというのが我々の考えでございます。

 そこはどうなるかわからない、そして、金利を引き下げるのは三年後だからそのちょっと前に検討すればいいというのは、先ほどから重ね重ね申し上げているように、例えばグレーゾーン金利というのをそのまま放置している、それを結局、二年半、ある意味、見直しするまでそのまま放置をしていくというのに近いものだ、それはそうとられてもやむを得ないというふうに私は思いますし、多くの方がそう思っているということを重ねて申し上げて、とにかく見直しというものはできるだけ早く、二年半以内というふうに規定をすると、事務方というのは二年半の間動きませんので、以内も二年半後も余り変わりませんから、そこは、政権を担っていらっしゃる大臣を初めとする皆様が、とにかくもっと早く、早くからしっかりと見直しをしていくんだということをお考えいただきたいというのは、私の要望として申し上げます。

 金利の話はもうこれぐらいにいたしまして、我々民主党はほかに幾つか独自の提案をしておりますけれども、その一つというのが無人契約機の禁止というものを提案しております。

 無人契約機も、機械の前とはいっても、もちろんオペレーターとやりとりをしているわけですけれども、やはり、直接実際に貸金業者の店舗に入ってそのお店の人とやりとりをしてというよりは、よほど心理的にハードルが低い。結局、ある意味で気軽に借りてしまう。それが借り過ぎ、業者側からいえば貸し過ぎにつながってしまう。そういったものを助長することになっているのではないかというふうに我々はとらえています。

 そこはもちろん利用者の利便性という部分はあるにはしても、やはりより気軽に借りられるということによって借り過ぎてしまって、それがひいては多重債務者になってしまうということにつながっているという判断のもとに、やはりそこは利用者の利便性よりも、とにかく多重債務者をふやさないという第一目標のもとに無人契約機を廃止するということを提案しております。綿密な調査というのはしておりませんけれども、海外にも余りそういうものはないという話も聞いています。

 そういう我々民主党の提案についてはいかがお考えになりますか。

渡辺(喜)副大臣 御案内のように、無人契約機における貸付契約というのは、対面による場合と同様の、法令上必要とされる書面の交付やオンラインによる説明が行われております。大体、お一人様三十分から四十分かかります。運転免許証などによる本人確認も無人契約機を通してスキャナーで読み取っているわけですね。オンラインを通じて、書面、例えば借入申込書などを書いて、それを提出いたします。当然、モニターを通じて、そのお客様の表情とか話しっぷりとか、そういうことも確認しながら実はやっているわけでございます。

 今度、御視察ツアーがあるそうでございますので、その場面で御確認をいただきたいと思いますが、そうしたことが行われておりまして、これを全部やめてしまえということが果たして妥当かどうかという問題であろうかと思います。

 いずれにしても、借り過ぎという問題の後ろ側には貸し過ぎという問題があるわけですよ。そういたしますと、借り過ぎを予防するのには貸し過ぎを防止することが非常に大切なことになるわけでありまして、今回の法案では、先ほど来申し上げておりますように、総量規制、お一人様百万円、年収の三分の一、こういうドラスチックな規制をかけているわけでございますから、借り過ぎ予防ということも貸し過ぎ予防を通じて行っていけるのではないでしょうか。

田村(謙)委員 まず、最初の方の、前半の副大臣のお話に関しまして申し上げると、私は、別に貸金業者の審査が甘くなっているというふうに申し上げているわけではありませんので、まさに心理的な抵抗感、ハードルが少ない。お店に入るというとためらっちゃう人が、機械であれば、あるいは、最近ドライブスルーとかいろいろありますよね、そういうのであれば、要はだれにも見られない。もちろんオペレーターにはモニターを通じて見られるわけですけれども、お店に入っていくというのよりもはるかに心理的な抵抗が薄いという部分があって、それをなくすということが借り過ぎの防止につながるんだという効果があるという判断のもとに我々は提案しているんです。

 もちろん貸し過ぎに対する対策をするのは当たり前のことで、それは、ただ、抜本的な制度全体の改革なわけですから、まさに将来の多重債務者を一人でもとにかく減らしていくというためにはあらゆる方策をとるというのは当然のことだろうというふうに思うんですけれども、いかがでございますか。

渡辺(喜)副大臣 あらゆる対策をとる必要があろうかと思います。まさにこういった多重債務者防止の一環としていろいろな方策を今回用意しているわけでございます。

 まあ、借り過ぎ対策というのも、先ほど来お話がありますように、コンサルティングとか家計管理教育とか債務管理教育とか、そういったことも借り過ぎ対策の一環として考えているわけでございます。

田村(謙)委員 トータルなお考えがきっちり頭に入っていらっしゃる副大臣ですと、ほかのいろいろな施策について御説明をいただくのは、ありがたい反面時間がかかってしまいますので、この件についてはこれ以上副大臣にはお伺いをしませんが、結局、この議論の核心は、無人契約機というのは利便性がある、まさに一般の消費者としての利用者の利便性、それについてお答えいただくのかなと思ったら、そういうお答えがありませんでしたので私の方から申し上げますけれども、その利便性を犠牲にしてまでもまさに多重債務者を救うのかと。我々はそういう判断をしたわけですね。

 例えば、無人契約機でも有人店舗でも心理的抵抗は変わらないんだということが、そういう証明ができるのであればまた話は違ってきますけれども、やはり機械であれば、よりそこに行きやすいというのは一般的に言われていることでありまして、それがもし一般的な事実なのであれば、あらゆる方策をとる一環として無人契約機もぜひとも廃止すべきだ。利用者の利便性という意味で、もしそれはあらゆる国でどこでもあるものだということであれば、日本人だけそういう不便なのはかわいそうだということになりますけれども、恐らくそういう反論も出てこないでしょうから、そこはやはり、我々の民主党案というのもしっかりとお考えをいただきたいなというのを重ねて主張を申し上げて、無人契約機の話はこれで終わりにいたします。

 次に、やみ金対策の話でございますけれども、そもそもやみ金というのは、今の法制度、現行の制度においても当然取り締まりをしなければいけない、そして、実際警察の方も御尽力をいただいているというのは私も十分に承知をしているところでございますけれども、やはり、まだまださまざまなやみ金というものがある。

 それは、もう登録もしていない、いわゆる存在自体が非合法のやみ金から、あるいは、広い意味では、登録をしていても、要は、違法な金利で貸し出しをしているような、そういうところまで含めた幅広いやみ金というものがあるわけですけれども、それについて警察の方では、その取り締まり、特に、その存在自体が違法なやみ金業者に関しては、やはり警察の取り締まりにすべてがかかっている、相当の部分がかかっていると思いますけれども、警察の方のお取り組みとその方針についてお伺いをいたします。

巽政府参考人 お答えいたします。

 違法な取り立てや高金利貸し付けなど、やみ金融事犯につきましては依然として深刻な被害が出ておりまして、警察としても国民生活の安全を脅かす重要な問題と認識いたしまして、これまでも取り締まりを強力に進めてまいりました。

 警察では、今回のこの貸金業規制法等の改正法が成立いたしました場合には、警察職員に対してその趣旨、背景、改正された罰則を伴う規定の内容等につきまして周知徹底を図った上で、被害者からの相談にはその心情に配意して適切に対応し、関係機関との連携を密にするなどして、違反情報の収集に一層努めます。また、幅広く罰則規定を適用し、暴力団が関与する事犯を初めといたしまして、悪質な違反を摘発するなど、警察の総合力を発揮いたしまして、さらに取り締まりを強化してまいる所存でございます。

田村(謙)委員 警察の方が今も頑張っていらっしゃる、ただ、やはりそこはさまざまな事件というもの、さまざまな警察の取り締まり対象というのがあるわけですから、限られたマンパワーの中で取り締まっているということだと思います。

 今度視察があるようですので、その現状をある程度また見る機会があると思いますけれども、ただ、やはりとても警察のカバーでは足りなくて、まだまだやみ金というものが普通にはびこっているという現状があるわけでありまして、もちろん今回の法改正によって、いわゆる罰則を引き上げれば、より警察が取り締まりに関して力を入れるだろうというのは確かにそのとおりだとは思いますけれども、そうはいっても、結局マンパワーが変わらなければ大変限界があるというのはあると思います。

 質問はいたしませんけれども、そういった中で、我々民主党としては、それこそ金融庁にも監督責任をより持ってもらって、ある意味で、別に警察だけではなくて、総動員でやっていくという体制をつくっていくべきだということを主張しています。

 さらに、警察に戻って言うなら、かねて、ずっと前から警察の捜査の人員増強というのは民主党が訴えていることでありますし、単に罰則を上げたらそれで警察も取り締まるだろう、後はよろしくねというような対応ではなくて、そこは取り締まりに関してもしっかりと、政権を担っている方々が日々認識をして、方策を考えていただきたい。それはある意味、今までずっとやみ金というのは放置されているわけですから、これからお考えになるというのがそもそも遅いと思いますけれども、お考えになるのであればトータルにしっかりと考えていただきたいというふうに民主党側としてお願いを申し上げるところであります。

 そういう中で、民主党の案の一つとして、今度神田に視察に行けばわかると思いますけれども、もうやみ金業者だけが入っているような、やみ金業者が幾つも入っているようなビルが幾つも存在をする。もちろん一般の人は正規の貸金業者とやみ金というのは区別がつかないとは思いますけれども、それこそ専門家、まさに正規の貸金業者から見れば、あれはやみ金だというのはある程度、今でもわかっていることだと思います。そしてまた今後、今回の法改正によって貸金業協会への加入というものを促進していけば、ますますやみ金、協会に入っていないところというのは怪しいな、やみ金の可能性があるなと非常に判別がしやすくなる。

 そういう状況の中で、我々民主党としては、やみ金業者を見つけた場合にはとにかくそれを通報するということを貸金業協会あるいは業者に義務づけるということを提案しております。そういった我々の提案についてはどのような、ぜひともそういった義務づけというものを導入していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

三國谷政府参考人 違法業者につきまして、貸金業者や貸金業協会に対しまして通報義務を課すとの御提案でございますが、現在でも行政当局に対しましては、違法な貸金業者等に係ります情報が数多く寄せられております。あえて貸金業者や貸金業協会に法律上の通報義務を課す必要性は乏しいと考えているところでございます。

田村(謙)委員 余り時間がありませんのでこれ以上突っ込んで聞きませんが、例えば、もちろんやみ金の情報もかなり来ているといっても、それがまさにやみ金すべてを網羅している情報、金融庁さんに来ている情報がもうやみ金をすべて網羅しているということであればいいですよ。ただ、それは決してそうではないだろう。まさに金融庁さんのところに来る情報には入っていないやみ金業者というのは、たくさんいろいろなところにはびこっているだろう。そういう前提のもとに、とにかくできるだけ多くの情報を集めるということが警察の取り締まりにもつながるんだというふうに考えて今回の提案をしているわけです。

 ちょっと通告はしていないかもしれませんけれども、警察の方でそのような義務づけについてはいかがお考えになりますか。いろいろな情報がより集まるという意味で警察さんにとってはいい話だと思うんですけれども。

巽政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、具体的な違反情報が数多く寄せられるということは取り締まりに資するものと考えるところでありますけれども、新たな義務を課するということとの兼ね合い等につきましては所管庁において判断されるべきものでありまして、お答えする立場にはないと考えているところでございます。

 警察といたしましては、やみ金事犯につきましては、これまでも警察本部や警察署の生活安全相談窓口に寄せられる被害者からの相談や訴えに対応して情報を入手し、また、関係機関や団体とも連携を図っているところでありまして、今後とも幅広く違反情報を入手して、違法行為に対しては厳正に対処してまいりたいと考えております。

田村(謙)委員 やはり警察さんから見れば、当然情報が多い方がありがたいわけですよね。そして、警察に取り締まりをより強化してもらうという場合に、もう貸金業以外の、ほかはいいから貸金業をやれという話ではないでしょうから、限られたマンパワーの中でも、とにかくより貸金業にも重点を置いてほしいということになるんだと思うんですね。そういう中で、情報をより多く提供するというのが、一番警察が取り締まりをより強化するには即効性があるだろうというふうに我々は判断をしています。

 先ほどの義務づけに関しては、警察さんが担当省庁の判断だと言うのはもちろんそうだと思いますので、そこはもちろん、金融庁さんが既に今十分な情報を得ていて、これ以上全く必要がないというふうに説得的にお考えがあるのであればまた別ですけれども、とにかく今でも結構来ているんだから、もう別に十分だというような御説明ではなくて、そこはより明確に、しっかりとそのことについても前向きに御検討いただきたい。それは官僚的な前向きではなくて、どれだけ効果があるのか、別にマイナスがなければ私はやるべきだと思います。あらゆる手だてを打つんだという一環として、ぜひとも積極的な検討をお願いしたいというふうに思います。

 さて、時間が限られてまいりましたが、最後にカウンセリングについてお伺いをいたします。

 午前中の質疑の中でも、副大臣もカウンセリングの重要性というのはお話をいただいておりますし、我々も大変それは重視をしているところであります。

 総量規制というのは、先ほど別の委員からも質問の中で指摘がありましたように、やはり住宅ローンですとかあるいは物販とか、まさに、返済能力を考える場合に、貸金業者からの債務だけでは返済能力は判断ができないというのは御異論がないところだというふうに思います。

 そういった中で、今回の百万円の総量規制というのは、結局貸金業からのだけですよね。それも一律百万円。人によっては、百万円借りたら既にもう多重債務一歩手前という人も中にはいると思います。また一方で、百万円ぐらいは、緊急事態で借りたけれども、しっかりとすぐに返せる人もいる。やはり、そこは人によって全然返済能力が変わってくるわけですよね。ですから、我々はよりカウンセリングを重視して、とにかく、おおよそ四件程度以上借り入れをする場合には必ずカウンセリングを義務づける。ただ、それはもちろん整備に時間がかかりますから、それまでの間には暫定措置として総量規制を使うという案を提案しています。

 そういった中で、ですから、我々の案としても、カウンセリング機関をしっかりと整備するまでの間は総量規制を使いながら、そしてまた、今の体制の中でできるだけカウンセリングの機能を強化していく。その方向性に関しては、我々においての暫定措置としての方向性と、あと、そもそも政府案の、何となくカウンセリングをとにかくこれから強化していくんだ、その意味の方向性は変わるところはないと思うんですけれども、政府案というのは、今回の法案は非常にあいまいな書き方をしているように思うんですね。必要と認められる場合にはカウンセリング機関を紹介するよう努めなければならないという条文も入っていますけれども、必要と認められるとか、あるいは努めなければいけないというその努めるというのは、より具体的にはどういったことを意味するんでしょうか。

山本国務大臣 今回の改正によりまして、貸金業者は、資金需要者等の利益の保護のために必要と認められる場合には、資金需要者等に対して、借り入れまたは返済に関する助言または相談等を適正かつ確実に実施することができるカウンセリング機関を紹介する努力義務が課せられております。

 この規定に基づいて、どのような場合に借り手の保護が必要となると認められることとなるかにつきましては、一概に申し上げることは困難でございますけれども、例えば借り手が既存債務を自発的かつ計画的に返済することが困難と認められる場合等が考えられると思います。

 また、今回の改正では努力義務とされておりますが、例えばカウンセリング機関の紹介を制度的に義務づけることにつきましては、債務整理と家計管理指導を組み合わせてカウンセリングを提供できる機関は、現状ではわずかしか存在しておりません。そうしたことから現実的でないと考えられております。

 いずれにせよ、多重債務者対策としてカウンセリング体制の充実は大変重要な課題であると考えておりまして、関係省庁等が連携しまして、内閣官房に設置される予定の多重債務者対策本部におきましても議論を尽くして、具体的な方策を検討、実施してまいりたいと考えております。

田村(謙)委員 もちろん、今そういうさまざまな機関がまだまだちゃんと機能ができないという大臣のお答えはそのとおりだというふうに理解していますので、我々民主党としても、全国にそういうカウンセリング窓口を張りめぐらせるというのは、ある意味、中期的な目標として、ただ、現在まさに、今すぐからでも、今ある機関も有効に活用していかなければいけない、そういう視点から考えているわけですけれども。

 それこそ午前中の質疑の中でも副大臣が、やはり地方自治体のいわゆる窓口とかそういった機能も大きいんだというふうにおっしゃっておられたと思います。それは確かにそのとおりだ、地方自治体やあるいはほかの委員の話にもあった法テラスとか、そういった機関をできる限り有効に利用していくというのが非常に大切なことだと思いますけれども、地方自治体の協力というのはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

久保政府参考人 地方公共団体、これまでも消費者行政などの一環として、現実に、既に多重債務者への相談といったようなことをやっているところもございます。

 先ほど来、多重債務者対策の本部を政府を挙げて設けていくというお話もございましたけれども、私どももそれに加わりまして、関係省庁とどういうことが可能なのか、特に地方公共団体の関係で申し上げますと、国と地方との役割分担というものもございますけれども、それを踏まえて努力をしてまいりたいと考えております。

田村(謙)委員 今回の質疑をするに当たって、その事前準備でも、金融庁さんはもちろんずっとやっていらっしゃるわけですけれども……

伊藤委員長 田村君、申し合わせの時間がもう過ぎておりますので、結論を急いでください。

田村(謙)委員 はい。

 ほかの省庁がまだまだ意識が薄い。ぜひとも対策本部を初めとして、今後早急に検討を進めて、カウンセリングを初めとした機能をしっかりと、一日も早く機能ができるように御検討くださいますことを重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 教育特の強行採決の動きがあるということでございまして、議運確認事項に、約束違反だということでございますので、当委員会も委員長にお諮りをいただきたい。冒頭申し上げたいと思います。

伊藤委員長 ちょっと理事の方々、集まっていただけますか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後一時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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