衆議院

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第12号 平成18年11月29日(水曜日)

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平成十八年十一月二十九日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 増原 義剛君

   理事 宮下 一郎君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      井澤 京子君    伊藤信太郎君

      石原 宏高君    宇野  治君

      江崎洋一郎君    小川 友一君

      小野 晋也君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    木原 誠二君

      木原  稔君    佐藤ゆかり君

      篠田 陽介君    鈴木 馨祐君

      関  芳弘君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    中根 一幸君

      長崎幸太郎君    原田 憲治君

      広津 素子君    松本 洋平君

      山本ともひろ君    小沢 鋭仁君

      逢坂 誠二君    川内 博史君

      鈴木 克昌君    田村 謙治君

      寺田  学君    馬淵 澄夫君

      吉田  泉君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    野呂田芳成君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   内閣府副大臣       渡辺 喜美君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          中江 公人君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    西原 政雄君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          菊池 洋一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中田  徹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           村田 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森山  寛君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     大塚  拓君

  越智 隆雄君     木原 誠二君

  大野 功統君     篠田 陽介君

  関  芳弘君     鈴木 馨祐君

  萩山 教嚴君     宇野  治君

  北橋 健治君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君    山本ともひろ君

  大塚  拓君     井澤 京子君

  木原 誠二君     越智 隆雄君

  篠田 陽介君     大野 功統君

  鈴木 馨祐君     関  芳弘君

  逢坂 誠二君     北橋 健治君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    萩山 教嚴君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する古本伸一郎君外三名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官堀田繁君、警察庁生活安全局長竹花豊君、金融庁総務企画局長三國谷勝範君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君、金融庁検査局長西原政雄君、金融庁監督局長佐藤隆文君、法務省大臣官房審議官深山卓也君、法務省大臣官房審議官三浦守君、法務省大臣官房司法法制部長菊池洋一君、文部科学省大臣官房審議官中田徹君、文部科学省大臣官房審議官村田直樹君、厚生労働省大臣官房審議官森山寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増原義剛君。

増原委員 自由民主党の増原でございます。

 この貸金業に関する法律につきまして、これまで、参考人との質疑も含め、また現地視察も含め、非常に多くの時間を割いて慎重に審議をしてまいりました。そういう意味で、大体多くの点については既に当委員会において質疑が終わっているのではないかというふうに思っておりますけれども、本日は、私の方からさらにもう少し、議論を深めることになるのかあるいは混迷を招くことになるかわかりませんけれども、質問をいたしたいというふうに思っております。

 まず第一問でありますけれども、野党の方から、本政府原案につきまして、法案につきまして修正法案の要求が出されております。本日、そこに提案者に座っていただいておりますけれども、いわゆる出資法の上限金利、それから規制法の四十三条のみなし弁済規定、これを公布後一年以内に直ちに引き下げるべきというふうな修正案が出ております。

 皆様御承知のように、十数年前は貸金業者は三万数千軒おられました。その当時の与信残高が数兆円であったわけであります。しかし、それ以降、貸金業者はどんどん減るけれども、既にこの三月末で一万四千社余りになっておりますが、貸し金残高は既に十五兆、あるいは周辺も入れて二十兆円に達するという市場規模になっております。

 現在の多重債務者問題、自殺も含めて、これは非常に大きな社会問題であります。これをぜひとも解決しなければなりませんが、一方において、十五兆円あるいは二十兆円という大きな規模を持つ経済問題でもあるわけであります。そういうところに意を払いながら、これから質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 これまでの累次にわたる出資法の上限金利の引き下げ、このときは、大体、大手の貸金業者の場合は既に二〇%台で営業されていたわけでありますので、引き下げても、中小の貸金業者の方が廃業されても十分に大手の方でカバーをできる、こういう構図があったんだろうというふうに思います。しかし、御承知のように、今現在におきましては、大手も含めて大体二〇%台の後半というような実態になっております。

 そこで、昨今の状況を見ますと、毎年、数千社ベースで貸金業者の方々が廃業をされております。そういう意味で、これを公布後一年という形で野党の修正案のようにやりますと、例えば、いわゆる過払い金の問題があります。大手だけで一兆円の引当金、企業会計原則に乗っかって一兆円を超える引当金を積まれたわけでありますが、また、中堅などはそれがもっと多いんだろうというふうに思っております。そうした中で、数千社ベースというのは、恐らく三千社を超えるような、そのベースで年々これから減っていくのではないかと思います。三年間と我々は言っておりますけれども、三年で約九千社が仮に減るというような状況なんだろうと思いますけれども、もし一年でこれをやるとなれば、一万四千社、事業報告書を提出しているところは約一万社でございますが、これが一挙に千社というふうに減ってくるというふうに思います。

 そうした場合に、よく言われますが、クレジットクランチ、大規模な貸し渋り、貸しはがしが生じるのではないか。いわゆる貸し渋りというのは、廃業すると決めた事業者は新たなニューマネーを貸しません。自分が貸金業者であれば、皆さんおわかりのとおりであります。そして、加えて、今度は貸しはがしですけれども、当然、期限の利益はもちろんありますが、今の実態は、履行遅滞が大体約三カ月、三回履行遅滞を起こせば、こんにちはと取り立てに行く、こういう構図になっていると聞いております。もし廃業すると決めれば、一月でも履行遅滞が起これば、当然、貸出先が複数社あるわけですから、それに先んじて自分たちの債権を確保しようという行動に出ることは目に見えているわけでございます。

 そういう意味での貸し渋り、貸しはがしというものが大規模に起こってくるというふうに私は思うのでありますけれども、修正法案提出者はどのようにお考えでしょうか。

田村(謙)委員 混迷を深めないような答弁に努めてまいりたいと思います。

 今の御質問でございますけれども、まず最初に、即刻引き下げて、そして一年後に見直しを開始するという考えを簡単に申し上げますと、我々民主党は、金利の引き下げというのはかねて九九年以来主張していたところでもございまして、そういった中で、とにかくこの貸金業、サラ金問題というのは、まさに多重債務者が続出をしてずっと顕在化している中で放置をされてきた、それを今ようやく着手した、着手はしないよりはましですけれども、だからといって、三年間はグレーゾーンを放置して引き続き多重債務者がまたふえていく、そういうことがあってはならないという考えに基づいております。そういった中で、とにかく少しでも早く、そういったグレーゾーンといったような、多重債務者がよりふえるような状況はなくさなければいけないというのが最初の考えであります。

 そして、二つ目といたしましては、昨日も申し上げましたように、例えば貸し渋り。実際、それで借りられなくなってしまう人がいる。そしてまた困る人がいる。確かにそういった人は出てくるとは思われますけれども、それは貸金業者がどうこうしなければいけないという範囲を超えていて、やはり公的な融資ですとか、あるいは、それこそ生活保護も含めたような社会保障制度全般をしっかりと手当てしなければいけない。その検討も早急に急いだ上でしっかりと体制を整備するということを我々は提案しているわけでございます。

 そしてまた、我々の民主党案につきましても、とにかく、グレーゾーン、多重債務者がふえていく、そういう状況をなくした上で、さらには一年後には見直しに着手をする。やはり影響というものは、結局、そこは政府側も全く見通しが立たないというようなことをおっしゃっておられますので、まずは金利を引き下げた上で、要は不断の見直しを行っていくということでありまして、とりあえず法律を通した後は二年半は放置をしておくという状態がそもそもおかしい。さらに申し上げると、三年後に引き下げをするのに、その前に見直しをする。結局、その引き下げるという法案というのが意味自体がよくわからない部分もある。そういったところがないような明確な法案にしたいという趣旨でございます。

    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕

増原委員 やはり、民主党の答弁は社会問題に偏った答弁だなというふうに私は思います。もう少し経済というものをしっかり見なくてはいけない。

 さきの金融システム危機のときに、いろいろな貸し渋り、貸しはがしが各地で横行したことは、皆さん御承知のとおりであります。そういう点にどういうふうに思いをいたすかということが責任ある態度ではないかというふうに私は思っております。

 社会福祉とか小口の何とか、いろいろありますよ。では、それを具体的に、それをセットで本来は提案すべきではないかというふうに思います。一年にして、そのときにまた見直せばいい、そういう議論ではないわけでありまして、我々が二年半以内に見直し規定を置くべしというふうに思っておりますのは、本当に注意深くこれをソフトランディングさせていくというところにポイントがあるわけであります。

 加えて、既に生じている多重債務者の方々、こういう方々は新法によって救済されるものではありません。現在の出資法や利息制限法、そして判決、そしてまた司法、弁護士等の方々の活躍によってそれが解決されるわけでありまして、内閣としても、内閣官房のもとに多重債務者対策本部、これを早急に立ち上げて、それに対応していこうというふうにしているわけであります。

 時間の関係がありますので、次に移らせていただきます。

 いわゆるNPOバンクの話ですね。今回の改正で、二千万、最終的には五千万に純資産要件を引き上げていくということになっているわけでございますが、我々与党の中でも、既にこの問題についてはいろいろ議論をいたしました。そして、それに十分対応できるような法案にすべしというような申し入れも政府にいたしておりまして、政府はそれにこたえてくれている。第六条の一項十四号のところに書いてございますが、適格でない、登録拒否の理由にそれを挙げておるわけでございます。

 そういうものに対して十分に配慮しているわけでありますが、まず、今のところ、政府案はどういうふうになっておりますか。

山本国務大臣 現在、貸金業法上の貸金業者の中には、環境や福祉等の分野におきまして非営利の事業等に対する貸し付けを行っている団体が存在しております。今後ともこうした団体は、貸金業者として適正に業務運営を行いつつ、一定の社会的役割をぜひ果たしていただきたいと思っております。

 今回の政府が提出している法案におきましては、貸金業者の登録要件として、五千万円以上の純資産額を求めることとしておりますけれども、一定の要件を満たす業者につきましては、この純資産基準を適用除外にできることになっております。

 御指摘のNPOバンクを含め、非営利の事業等に対する貸し付けを行っている団体等には多種多様な活動形態がありますけれども、まずはそれらの実態把握を十分に行った上で、改正法案の条文に則して、規制の潜脱を防ぐための要件も念頭に置きながら、十分に配慮してまいりたいと思っております。

増原委員 いわゆるNPO法人でありますが、皆様御承知のように、今非常に活発に活動されておりますが、その中において、いわゆる暴力団等も含めて、それを隠れみのにしたといいましょうか、そういうことでもっていろいろと違法な行為をしているケースも多々あるわけでございます。そういう意味で、実態調査をきちっとしなくてはいけないというふうに思っております。

 民主党の修正法案ではそれを出されてきているわけでありますが、当然、それを出してこられる以上は、現在活動しているNPOバンクと言われているものがどのくらいあるかについては把握なさっていると思いますが、提案者、いかがですか。

田村(謙)委員 NPOバンクの状況に対する御質問でございますけれども、現在全国に九つあるというふうに聞いております。

増原委員 その九つですけれども、要するに、金融庁所管なのか、あるいは都道府県所管なのか、おわかりになりますか。

田村(謙)委員 NPOバンクそれぞれによって異なってくるようでありますけれども、金融庁ではないというふうに理解をしております。

増原委員 金融庁所管であれば、それはそれで直ちに政府の方も答弁できるんだろうと思います。しかし、今提案者からいみじくも御指摘がありましたように、各都道府県の方にある小さいもの、もちろんそれが連合して協議会をつくってというのもあるんだろうと思いますが、そこらあたりについてやはりきちんと実態調査をする必要があると思います。実態調査をして、適正に行われている活動にそごを来さないように、ぜひともそこは適切に対応すべきであると思っておりますので、政府の方はその点を踏まえて対応をしていただきたいというふうに申し入れをいたしておきます。

 それでは、次に、出資法の上限金利と利息制限法の上限金利、これを完全に一致させるというふうに修正法案ではなっておりますが、それでは、貸金業規制法四十三条のみなし弁済規定を廃止した場合の、利息制限法、これを超える金利の取り扱いにつきまして、これまで当然、それを廃止すれば、利息制限法第一条第二項、任意に払ったものは返還請求ができないというふうな規定になっておると思いますが、この取り扱いについて、これまでの司法当局における判例も含めて、その経緯について法務省にお伺いいたしたいと思います。

深山政府参考人 御指摘のとおり、現行の利息制限法第一条は、第一項各号に定める上限金利を超える利息の契約は無効であるとしつつ、二項において、債務者がその超過利息を任意に支払った場合には返還請求ができない旨を規定しております。この第二項の規定は、文言だけを見ますと、制限超過利息を任意に支払った場合には有効な利息の支払いとして取り扱いを受け得るという解釈を十分導き得るものですけれども、この点について、かつての最高裁の判例はそのように解しておりましたが、判例変更がございました。

 まず、昭和三十九年の最高裁判決によりまして、超過利息の支払いがあった場合、その支払い分は元本に充当される、つまり元本の支払いに充てられるということとされました。さらに、昭和四十三年と四十四年の最高裁判決によりまして、超過利息の支払い分が元本に充当されます、支払いに充てられていって、計算上元本が完済となったときには、その超過利息は不当利得として返還請求ができるということにされました。これによりまして、利息制限法一条二項の規定は実質上空文化しているという状態にございました。

 ところで、貸金業規制法第四十三条のみなし弁済規定は、いわゆる任意性と書面性の要件を満たす場合には、利息制限法一条一項の上限金利を超える利息の支払いであっても、年二九・二%の利率を超えなければ有効な利息債務の弁済とみなしております。したがいまして、その限りで、判例理論によって空文化された利息制限法一条二項を復活させるという機能を実質的に果たしてきたものでございます。

 今般の改正では、貸金業法四十三条のみなし弁済規定を廃止するとともに、判例理論によって既に空文化しております利息制限法一条二項も削除することとしておりますけれども、その結果、利息制限法一条一項所定の上限金利を超える利息の契約は無効で、債務者がこれを超える超過利息を支払ったときは、元本が存在するのであればこれに充当され、元本が完済されているときは返還請求をするという取り扱いが常に行われる、こういうことになります。

増原委員 これまでの累次にわたる野党議員からの御質問に、出資法二〇%では不十分だ、一八、一五、利息制限法に合わせるべし、さもなければ、そのすき間がいわゆるグレーゾーンとして残るではないかというふうに言われてきておりますが、ただいまの法務省の答弁から見ても、これはグレーゾーンではないのでありまして、その二〇と一八、二〇と一五の間はブラックになるんですね、無効になるんです。グレーではないんですよ。しかも四十三条がなくなるんですから、四十三条が。この点についてどうも混乱を招いた議論があったようでありますので、それをしっかり申し上げておきたい。グレーではない、無効のブラックだ、新法ではこういうことになるということであります。

 とりわけ、出資法は刑事罰を科する法律であります。我々も党内でいろいろ議論をいたしました。要は、可罰的違法性と言われているものですね。刑罰を科するに値するほどの罪かどうか。利息を毎年一〇〇%以上、二〇〇%というふうな、やみ金融業者がやっているような、これはもちろんあります。ところが、一八%のときに一九%だったと。例えば、保証料なんかも合わせて、利息は一七、保証料が二パーで、結果として一九になった、当然これも、新しい改正法ではその一%は無効になるんですね。なるんですけれども、では、そういったものについて刑罰を科するのか。

 野党の提案者の方々はそうしろということなんでしょう。二〇、一八、一五に出資法も合わせろということはそういうことなんでしょう。それを刑罰をもって罰するほどの可罰的違法性があるのかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。

古本委員 お答えいたします。

 まず、先ほど法務省のお話はよく聞きました。その意味で増原委員がおっしゃることもよくわかります。これは恐らく、民事でそもそも問われない話をさらに刑事で問うほどの話になるんだろうか、グレーゾーンだと言っていた話が、今やこの四十三条がなくなることによってブラックゾーンになるんだ、そこにわざわざ手を突っ込むような人がいたならば、これは当然処罰されるわけでありますし、その懸念には当たらないということをおっしゃっていただいているんだと思いますが、二点ほど整理させていただきたいと思います。

 一点目でありますが、そもそも、私どもの考えておりますグレーゾーンという概念は、みなし弁済規定をなくせば済むという問題ではなくて、出資法の上限金利、それといわゆるこの二〇、一五、一八、この間の、そこにゾーンが存することが問題であるということ。一致していない、これが結果として今日的な多重債務問題を引き起こす遠因になっている、これがまず第一点、考え方のずれがあります。これは見解の相違でありますので、恐らくこの溝は、それこそいつまでもグレーのまま埋まらないと思います。

 二点目でありますが、あくまでもプロとして、業として営む方が決められたルールを守らなかったときには、これはきちっと処罰されるべきである。可罰的な問題があるという御懸念も今、党内にあるという御党のお話、拝聴いたしましたが、プロであればぜひ守っていただきたい、そう思うわけでありまして、これは何らの懸念も当たらないと思っております。

増原委員 どうも今の答弁、まあ、最後は見解の相違と言われましたので、それはそうかなと思いますけれども、民事上の有効、無効の話と、刑事上の刑罰に値するかどうかというのとはおのずと違うんですね。これは法律をかじっていればすぐわかる話で、イロハですよ、これはイロハ。刑事と民事の違いというのはあるんです。

 グレーじゃなくてブラックですよ、はっきり言って。グレーじゃないんですよ、ブラックですよ、その間は。何度も言いますけれども、グレーじゃないんです。グレーはもうないんですよ、なくするんですから。そこらあたりの部分について、それはあとは、まさに業者なんですから、やるべき善管注意義務なり、あるいはあるでしょう、そういう義務は。それは行政罰でもって、行政処分でもって対応すれば済むことであって、刑事罰を求める、しかも、皆さん御承知のように、刑事罰の構成要件、刑法も含めてこれは極めて厳格に解されているわけであります、せんだって法務省からもその挙証責任の問題が言われましたが、そういう点が十分にあることを念頭に置いて頭の整理をしていただきたいなというふうに思っております。

 次に、第四点でありますけれども、よく、貸金業協会が本当にカウンセリングできるのかという話がございます。確かに、これまでの各都道府県単位の貸金業協会、社団法人ですか、そしてその連合としての連合会、これについてはいろいろ、きのう佐々木議員のおっしゃったようなこともあったと思います。これを実は、公布後一年をもって認可法人にして、各種の自主規制ルールをつくらせる、こういう極めて公共性の高い、そういう機関にするわけです。いわゆる認可法人なんですね。そして、各都道府県の協会は全部支部になっていく。そして、ガバナンスをきちっときかせていくということなんですね、コンプライアンスも含めて。そういう体制にする、これは抜本的な改正であると私は思っております。

 この点で、そこにおけるカウンセリングについてやはり問題があるではないかという議論は、余りにもこれまでの過去に引きずられた、そういう議論ではないかというふうに思っております。きちっとそうした協会が、証券業協会などもありますように、いわゆる適正な自主規制機関として確立をさせるということがこの法律、法案の趣旨なんですね。これを認可法人にする、その点について、やはりきちっとした考えを金融担当大臣の方から、確認も込めて御答弁を賜りたいというふうに思います。

山本国務大臣 今回の改正では、貸金業協会の自主規制ルールとして、カウンセリングに関する事項を規定させております。これを当局の認可対象とすることによって、貸金業協会にもカウンセリングの一翼を担わせることとしております。

 また、今回の改正で、御指摘のように、貸金業協会を、資金需要者等の保護を図り貸金業の適正な運営に資することを目的とする認可法人として的確に位置づけ、その目的に沿って、自律性を確保するため、当局による定款等の変更命令、法令違反等による認可取り消し、業務停止、役員の解任、これらの規定を整備しております。

 これまでは自主規制という概念がなかったものを、自主規制ルールをみずから策定するという意味におきましては、単に貸金業の当事者という立場を超えて、貸金業そのものを高めていく、いわば指導的な役割を果たし、大所高所に立った立場に当然位置づけられるわけでありまして、そういう意味では、今と全く違う考え方のもとにこの貸金業協会が存するというように考えております。

増原委員 大臣、どうもありがとうございました。

 同じような貸金業協会という名前なものですから、これまでの分ととかく間違えられそうになりますけれども、その中身は全く変わってくるんだということを、佐々木議員、ぜひ御理解を賜りたいというふうに思っております。

 時間の関係もありますので、最後の質問に入りたいというふうに思います。

 冒頭申し上げましたように、本法案につきましては、いわゆる多重債務者問題という大きな社会問題、これにできるだけきちっと対応していく、新たな多重債務者はもう出さない、こういうふうなことを考えておるわけでございますが、あわせまして、先ほど大きな経済問題でもあると申し上げましたのは、十五兆あるいは二十兆と言われている与信市場を、利息制限法の二〇%以下のいわゆるミドルリスクのところに三年以内にそれを押し込んでいく、こういう大きな意味を持っているわけであります。

 今現在の個人に対する与信の状況を見ますと、大体三%前後のところに大きな山があるんですね。これは有担保の住宅ローンを中心に百二十兆ぐらいのトップ、山があって、X軸が利率、Y軸が残高としますと、それからだんだんこうなってきておりまして、それが、普通であればすっと正規分布を描いて減っていくわけであります。ところが、我が国の市場はそれが減らないで、二〇%を超えたところに、またここで十兆、二十兆のこぶがあるんです、山が。ということは、これは信用情報がきちっと共有されていない、そこに適正な、競争的な市場原理が働いていないという典型なのであります。これを、このたびの改正でもってミドルリスクの二〇%以下のところに押し込んで、銀行も貸金業者もそれぞれ競争して適正なサービスをしていく、こういうふうにしようというふうに我々は思っているわけであります。

 これにつきましては、ここに一家言を持たれている渡辺副大臣がおられますので、ぜひ御答弁を賜りたいと思います。

渡辺(喜)副大臣 自民党貸金小委員会、増原小委員長のもとに、小委員長の御性格を反映した理路整然とした議論が半年間にわたって行われたこと、私もよく覚えております。

 まさに、増原先生御指摘のような金利市場のゆがみの体系があるわけでございますから、きちんと貸金業の方は信用情報を一元化して、信用リスクに見合ったプレミアムの世界に入っていっていただきたいと思うのでございます。

 一方、銀行業の方は、デフレが続いておりますと、なかなかリスクに見合ったプレミアムということができないのが実情なんだろうと思います。

 いずれにしても、デフレから脱却できた日本経済のもとでリスクに見合ったプレミアムの世界が展開されることを、我々も何よりも望むものでございます。

増原委員 所要時間が参りましたので、もうこれ以上申し上げることはございませんが、これまで本当に累次にわたっていろいろな議論をしてまいりました。いよいよ終局を迎える、こういうときに、野党議員の方々が極めて少ないのは極めて残念でございますが、よく同僚の議員の方々にお伝えを賜り、御理解を賜り、そして速やかな採決をして、また参議院でも十分な議論をしていただきたいなという希望を申し上げまして、私の質問を終わります。

竹本委員長代理 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 貸金業法の審議も進んでまいりまして、増原理事が先ほどおっしゃっておられたように、速やかに成立をしていただくように強く念願する次第であります。

 それで、私は、前回質問をしようと思ってキャリーオーバーしたのが一つありましたので、法案ではありませんが、法案以外のことで、まず初めに山本大臣にお伺いをいたしたいと思うわけであります。

 ここに、銀行の中間決算がずっと報告されておるわけでありますが、この報告をしておる状況の中で、二十一日の閣議後の記者会見で山本大臣は、銀行決算は非常に利益が好調で、新聞報道によりますと過去最高益だというような報道が出ておりますが、これは過去に不良債権を処理した引当金の戻り益など特殊要因が寄与しておって、本業の利益は大したことないんだというような御発言があったとお聞きいたしておるわけでございます。

 それで、新聞報道を見ますと、大臣が記者会見をされる前には、みずほ最高益三千九百二十三億円だとか、信託二行も最高益だとか、みずほ過去最高益だとか、こういう報道が出ておったわけです。それで、二十二日の大手金融機関の中間決算の報告後、新聞報道を見ますと、大手銀行、中間益最高にという見出しの横に、本業は振るわずということ、大手銀行、張り子の最高益、このような表現ぶりになっているわけですね。

 それで、確かに、実質業務純益ですか、金融機関の預貸のところの収益構造を見ると、余り大きな収益状況の改善にはなっておらないということのようでありますけれども、しかし、状況を見ると、不良債権処理が順調に進んでおりますし、公的資金の返済も順調に進んでおるようでありまして、収益構造がかなり改善されたのではないかというように思うわけで、大臣がどういうようなお考えのもとで記者会見されたのか私はわかりませんが、もう一度、御自身が考えていらっしゃることをお述べいただきたいと思います。

山本国務大臣 主要九行の十八年九月期決算の一般的な傾向を申し上げます。

 これまでの財務内容改善に向けた取り組みや好景気に伴う債務者企業の業況改善等を背景に、不良債権比率が引き続き低下するとともに、三メガバンクが公的資金を完済する等、各行の財務内容は健全なものとなっております。これは谷口委員と同様な認識を、共通していることをまず申し上げます。

 それから、収益面でありますが、貸出金からの収入であります資金利益の減少等から、本業のもうけをあらわす実質業務純益が少し低下をしております。その一方、引当金の戻り益等の特殊要因によりまして、当期利益は前年とほぼ同水準に戻っておりますというように特徴づけをしておりまして、今後、各行が適切なリスクテークを通じて金融機関本来の役割でございます金融仲介機能を十分に発揮して、利用者に質の高いサービスを提供していただくことを期待しておりまして、いわば激励のコメントをしたというように認識しております。

谷口(隆)委員 まず初めにこの新聞報道を見ましたときに、私は違和感を感じたものですから、きょう大臣にどういうお考えなのかということを聞いたわけであります。

 大手金融機関は最高益を出しながら税金も払っておらない、こういうようなことで、国民の方からは批判もされたりしておるわけでありますが、収益構造が、表から見るとなかなかわかりにくいんですが、やはりこのところ変わってきたということもあるんだろうと思うんですね。ですから、表面的に見るということではなくて、収益構造の改善が今銀行にどういう変化をもたらしておるかということも含めて、ぜひ大臣に見ていただきたいと思う次第であります。

 それで、この法案についてお尋ねをいたしたいわけでありますが、クレジット業界のリボルビング払い、リボ払い、これについてお伺いをいたしたいと思います。

 キャッシングの方は貸金業界に含まれるわけでありますが、物販の方、クレジット業界のファイナンスの方は貸金業界ではないということで、今回の法案の適用外になっておるわけであります。

 それで、先日、新聞報道を見ますと、こういう事件があったようであります。大手クレジット会社と加盟店契約を結ぶデパートのショッピングカードを利用した北海道の女性が、リボルビング払い契約で五十万円の買い物をしたところ、約二十四年間で百二十五万円以上払わなければならない状態に陥った。リボ払いは借金漬けを生みやすいとの批判があり、消費者金融大手はこの七月から返済期限を五年以内とするような自主規制を始めておる。しかし、クレジット業界ではほとんど対策を講じておらない。こういうような状況があるようでございます。

 リボ払いというのは、当面負担が非常に少ないということ、また、金利払いが長期化し、一般的に根雪化する傾向があるわけで、このようなリボ払いについて、今回のこの政府案でどのような対応をしようとしているのか、まず初めにそのことをお伺いいたしたいと思います。

    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕

山本国務大臣 リボルビング契約は、月々の返済額が少額にとどまる場合が多いと言われております。特に、返済期間が長期にわたる場合は、当面の負担感が極めて少なく、返済能力を超えた過剰な借り入れの温床となっている事例が大変多く見られるものと認識しております。

 今回の改正では、まず、リボルビング契約を含めた個人契約につきまして、返済能力を超えた過剰な貸し付けを行わないよう総量規制を導入することとしておりますし、さらに、リボルビング契約につきましては、新たに設立される貸金業協会の自主規制ルールにおいて最低返済額等を定めまして、それを当局が認可する枠組みを導入することとしております。

谷口(隆)委員 今大臣がおっしゃったのは、貸金業界の中での自主規制のことをおっしゃったんだろうと思いますが、私が冒頭申し上げたように、クレジット業界の、物販というんですか、クレジットの部分は入っておらないわけでありますね。

 それで、先ほどの報道を見ますと、毎月五千円をお支払いになって二十四年間かかったというんですね。手数料の総額は七十五万円で、買い物が五十万ですから、買い物金額の一・五倍の手数料を払っている、こういうような状況のようであります。それで、この新聞報道では、大手信販五社のうち、ショッピングでリボ払いをする利用者に対し支払い総額また返済回数を明示しているのは一社しかないというんですよ。

 これは、先ほど、消費者金融のところはもう既に返済総額だとか支払い総額だとか返済回数を明示しておると聞いておりますが、このような状況の中で、今回のこの法案は、キャッシングは適用されるけれども、物販は割賦販売法の適用ということでありますので、今回のこの法律の範疇ではないということになります。このような観点で見たときに、多重債務対策、これで完璧なのか、完全なのかというような声があるんですが、このことについてお考えをいただきたいと思います。

山本国務大臣 谷口委員御指摘のとおり、借り手側からすれば、銀行であろうがあるいはクレジット会社であろうが、家計における負担感というものは当然あろうと思います。将来的には、今般の施策による多重債務問題の状況等も踏まえまして、銀行等の金融機関の貸し付けやクレジット会社の販売信用も含めた規制の枠組みにつきまして、改めて検討を加えていきたいと思っております。

谷口(隆)委員 きょうは経済産業省は私呼んでおりませんが、所管は経産省になるわけです。いわば同じような問題、同質の問題がこの法律の範囲外のところで起こっているということを踏まえまして、今大臣がおっしゃったようなことはあるんだろうと思いますが、早急の対策として一体どういうようなことが具体的にでき得るのかというようなことを、大臣の方からお考えをお示しいただければというように思っております。

山本国務大臣 昨日も議論がありましたように、カウンセリングシステムの中で、法的整理プラス家計管理という面から、当然、貸金業だけにとらわれず、すべての家計負担についての指導というものがなされる時期が来ているのではないかと思います。

 その意味では、谷口委員の御指摘のような、知識を持った方、横断的なネットワークを持った方々をぜひこれから育成、強化、拡大させていただいて、だれもが通常、普通の、常識的に解決できるような社会的な基盤をつくっていくということに多重債務者対策本部が取り組んでいくということが喫緊の課題じゃないかというように思っております。

谷口(隆)委員 後ほどまた申し上げたいと思いますが、これは前回申し上げたんですが、今回のこの貸金業法は金融業界全体の中でどういう立場を占めておるのかというようなことも含めまして、これは所管外だからこの法律の対象外だといったようなことにならないようなこともやはり考えていかなあかん。これはすぐにできるわけじゃありませんので、いろいろな今までの経緯があるんだろうと思いますが、そのような経緯も含めて考えていく必要があるんだろうと思うわけであります。

 それで、次は貸金業協会の自主規制についてお伺いをいたしたいと思います。

 本法案は、公布後一年以内に貸金業協会の自主規制機能強化のため規定を整備するということになっておるわけであります。現状は、協会の加入率が極めて低くて、自主規制機関として機能が十分発揮されておらないというような状況であります。

 それで、協会員の業務の適正運営の観点から、自主規制規則を作成し、運用を行いたいというような方向のようでありまして、その内容としては、例えば広告内容、方法及びその頻度だとか、また先ほども申し上げたようなリボルビング契約に係る各回の最低返済額や返済期間、また債権取り立ての方法など、このようなことを自主規制規則を作成してやっていくというようなことのようであります。

 今回のこの政府案において、自主規制機関への、協会への加入率が極めて低いというのがあります、これは強制加入というわけにはまいりませんので、この加入率を高めていくのにどのような具体的な方法を考えておられるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正におきましては、貸金業協会を認可法人といたしまして、新たな自主規制機関として位置づけることとしているところでございます。

 御指摘のとおり、貸金業者の貸金業協会への加入は強制とはなっておりませんが、貸金業者の加入を確保するため、加入をしていない業者に対しましては、貸金業協会の自主規制ルールと同等の社内規則の制定を義務づけまして、その遵守状況を当局が直接監督する仕組みなどを導入することとしております。こういった仕組みは、金融商品取引法上の認可金融商品取引業協会、これは現行の証券業協会でございますが、こういったものも同様の仕組みをとっているところでございます。

 こういった形によりまして、自主規制機関の実効を高めていきたいと考えているところでございます。

谷口(隆)委員 今答弁されたわけでありますが、貸金業協会は、法律上は直接強制加入を義務づけられておらない、また複数の設立が可能であるというようなことでありますが、やはり、でき得る限りすべての業者に加入を促す必要があるということで、そのことによって一元的な管理が可能になるわけでありますので、加入を促すということについてもう一度、どういう方法で行い得るのかということを大臣にお伺いいたしたいと思います。

山本国務大臣 今回の改正におきましては、貸金業者の業務の適正化の観点から、業界の自主規制機能を抜本的に強化するために貸金業協会を貸金業法上の認可法人として位置づけました。新たな自主規制機関として全国組織の協会を設立することとなったわけであります。

 新たな協会が全国規模の自主規制機関として効率的かつ効果的に機能していくためには、一定以上の規模が必要であろうと考えております。また、自主規制ルールは貸金業者の業務内容に大きく影響を与えることを踏まえて考えれば、業者ごとに異なる自主規制ルールに服する状態は、顧客の利便性、予測可能性を害するおそれがあるというように考えております。

 こうしたことにかんがみまして、今回の改正におきまして複数の貸金業協会を認めることは考えておりません。

谷口(隆)委員 複数の貸金業協会は考えておらないということのようでありますが、強制加入にはできませんので、加入の促進をより一層進めていただきたいというように思う次第であります。

 それで、先ほど申し上げたクレジット業界のことにも関するわけでありますが、私が前回に申し上げた、それの延長線上での質問をさせていただきたいわけであります。

 今回のこの法案は、貸金業法、こういうような題名になったわけでありまして、この目的規定に「貸金業が我が国の経済社会において果たす役割にかんがみ、」をつけ加えてあるわけであります。多重債務問題の抜本的な解決のための包括的な施策を講じるというようなことのようでありますし、与党の考え方も、銀行や信販も含めた我が国の適切かつ合理的な信用供与の体制の整備を引き続き求めていく必要がある、今回の改革では貸金業者がその重要な一翼を担うよう適正化されることを促すものであると。こういうようなことでまいりますと、最終的な地点にたどり着くいわば一歩踏み出したところが今回の法案だという位置づけなんだろう、私はそういうふうに感じておるわけでございます。

 金融商品取引法でいわば業界に横ぐしを刺すといったようなことをやったわけでありますが、金融業界全体の中で、信用供与体系の横断化を図っていくというか、横ぐしを刺すというか、こういう位置づけが大きな最終目標といいますか、地点のイメージがあってこの法案があるんだというようなことですね。先ほどの、金融の全体の中の仕組みなんだけれども、信販のところは経産所管だからこの法案の対象外だと言ってしまいますと、またそこに潜脱行為も出てくるだろうし、いろいろ問題も起こる可能性があるわけでございますが、そういう観点で大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。

山本国務大臣 委員御指摘のとおり、今回の改正は、多重債務問題の解決を図るとともに、貸金業者を消費者金融市場の重要な担い手としてきちんと位置づけて、健全な競争の促進を通じて、リスクに応じた金利が設定され、市場メカニズムが十分に機能する消費者金融市場を目指すものでございます。

 また、御指摘のとおり、銀行等の金融機関や信販会社等を含めた消費者信用全体のルールがどうあるべきかという点については今後検討していく必要がありますが、将来的には信販や銀行も含めた統一的な信用供与法を策定し、かつ均質、同一なマーケットの中で、良貨が悪貨を駆逐する的な市場メカニズムの中から健全性が見出されるような、そんなふうな将来像を考えていくというのは御指摘のとおりだと思っております。

谷口(隆)委員 具体的に、どういうスケジュール観を持って、最終的にすべてを包含したような金融業界全体の法律をつくるのかといったところまでは、大臣の頭の中にはまだ今のところはないんだろうと思うんですが、これはまた金融庁内で、そういうような総合的な法案を目指すような、例えば審議会をつくっていただくか、金融審議会の中でそういう議論をしていただくか、そういうことをやっていただいて、そんなに遠くない先を目指してやっていくというようなことをぜひ進めていただきたいと私は考えておるわけでありますが、大臣の今のそのお考えですね。

 これはなかなか難しいんだろうと思います、いろいろな問題がありますから。今まではいわば縦割りで、ずっと業界ごとのコントロールといいますか、所管が分かれておって、横のつながりというのはなかなかなかったわけでありますけれども、今言っているのは、銀行業界も含めて、貸金業界も含めて、クレジット業界も含めて、全体の中のその法体系のあり方、このようなことをやはり目指していかないと、いろいろなところに不都合も起こってまいりますし、先ほど申し上げましたような潜脱行為も出てくる可能性があるわけで、そういう観点で、どのようにお考えなのか、もう一度。

山本国務大臣 先進諸国の金融マーケットの中でフタコブラクダ的なところはありませんし、おっしゃるとおり、銀行業務がまた、消費者金融的な仕組みの中に銀行経営をやっているというのが普通の状態であるということを考えましたときに、日本の特殊性ということもあります。

 そんな意味を含めて、全体的な金融機関等々についての大くくりな考え方でどこまでできるかということは、先生とともに一緒に考えてみたいというように思っておりますので、よろしくお願いします。

谷口(隆)委員 今大臣がおっしゃったようなフタコブラクダ。前に申し上げましたけれども、やはり金利の状況が、先ほど増原理事の方もそんなお話をされておられたようでありますが、いわゆる銀行業界の金利体系と、高金利な体系、今の二〇%の後半の体系と分かれておって、間がぽこっと抜けているというようなことだとか。

 金融業界全体を見渡すと、あのビッグバンのときに、いわば我が国は金融鎖国の状態であったと言われておるわけであります。それを諸外国に開放しまして、海外の金融機関も我が国の中に入ってき、生損保も入ってき、今、そういう意味では国際的な競争が我が国の国内で行われておるわけであります。これは業界の立場でも強くなっていただかなければなりませんし、競争をすることを通じて国民に利益が還元されるということが起こってこなければなりません。

 しかし、そういう観点でいきますと、やはり昔と違って規制を緩和するわけでありますからいろいろな問題も起こってくるわけで、それも事後チェックということで、金融庁の方でしっかり見ていただかなきゃいかぬわけでありますが、そういうところの一番根本のところが、よって立つ法律体系が一体どういうようになっておるのかということになるわけであります。

 ですから、今大臣の方からは、金融審議会で一度これを検討しよう、そこまではおっしゃらなかったんだけれども、それはどういうようにお考えなのか。

山本国務大臣 また、万般いろいろ考慮させていただきまして、谷口委員と御相談させていただきたいと思っております。

谷口(隆)委員 なかなかすぐには言えないだろうと思いますが、これは大臣、非常に重要なことですから、山本大臣のときに、では、こんな法律をつくろうよと言ったら、後世に残るような大臣になると思いますよ。そういうような大くくりのしっかりとした、この国の金融が国民の皆さんから見ておかしくならないような、消費者金融のいろいろな問題がありますので、こういう問題も起こらないように、かつ、金融業界全体の健全化のためにもこのような法律をつくる必要があるというように思っておりますので、ぜひその御検討をいただくようにお願いをいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。

伊藤委員長 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 民主党として出しております修正案のそれぞれの論点につきましては、私も今までの機会に考えを申し上げておりますので、この時間は、私が余り質問させていただいていないカウンセリングについて御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今回、修正案としてはお出ししませんでしたけれども、我々民主党としては、カウンセリング機関というのが非常に重要だ、そういう考えのもとに、民主党のトータルの貸金業制度改革案というものを取りまとめをいたしました。

 その民主党案におきましては、カウンセリング機関というのは、貸金業協会とは切り離して、金融庁の監督のもとに独立したカウンセリング機関をつくって、さらには、カウンセラーという公的な資格制度を設けて、その育成を図っていく。そして、カウンセリング機関の窓口については、全国あまねくということになりますと、最終的には何百カ所という数になると思います。そういった整備を目標にして、資金面におきましては、もちろん貸金業者か協会からは拠出はしてもらうとは思いますけれども、それだけではなくて、公的な資金、場合によっては地方自治体なども含めて財源については手当てをするという提案をしております。

 そういった考えを持っているわけですけれども、そういったことについて関連して御質問したいんですが、まず、今回の政府案というのは、百万円とか年収の三分の一という制限を設けるという総量規制を導入しているわけでありますけれども、やはりカウンセリングというのは非常に重要だと。その理由は多々ございますが、昨日も少し議論ありましたけれども、とにかく、金額だけではなくて、借り手個人の収入だけではなくて、性格的な問題とか、それこそ人によっては浪費癖がある、あるいは人によっては、まさに性格的な部分も含め、その人のさまざまなバックグラウンドがある中で、単に金額だけで縛っても、やはりそこは限界がある。

 我々の提案というのは、カウンセリングというのを、おおむね四件以上借りる場合にはカウンセリングを義務づけるという提案をしております。ただ、もちろん、先日も大臣からもお話がありましたように、現在、カウンセリング機関はそれほど整備されておりませんので、それは金利の引き下げと違って、即刻そうするという話ではございませんで、現状においては総量規制というのを用いて、カウンセリング機関をしっかりと整備をしたら、四件目以上借りる場合にはカウンセリングを受けなければいけない、そういうような提案をしているわけでございます。

 総量規制というのは、今もちょっと申し上げたように、そもそも金額だけでは、その個人個人、借り手の正確な状況というのは把握できないのではないか。さらに、今回の政府案の総量規制というのは、結局、貸金業者から借りた金額だけで百万円とか、要は、銀行とかほかから借りている、場合によっては教育ローンのような無担保のものもあります、さらに言えば、担保があるからいいじゃないかという議論はありますけれども、住宅ローンなどもあった場合に、住宅をすぐ手放せばいいじゃないかという議論にならない場合もある、さまざまなそういう貸金業以外から借りているものがあった上でさらにサラ金に手を出して、そして多重債務に陥って、もう首が回らなくなってしまう事例というのは多々あるわけでございます。

 そういった中で、貸金業から借りている金額だけという総量規制は非常にもろいものがあると思うんですけれども、そこはいかがでございましょうか。

山本国務大臣 田村委員の御指摘は大変重要でありまして、ここがこれからのカウンセリングのテーマになるだろうというようにも思っております。

 特に、今回の改正で導入するいわゆる総量規制は、御指摘のとおり、貸金業者に係る多重債務問題が深刻化している現状に対応するための、貸金業者からの借り入れのみを対象としてございます。

 今後、例えば銀行の住宅ローンや物販も含めて貸金業者以外を総量規制の対象とすることについて、まずは今回の改正後の多重債務問題の状況を見きわめていく必要があると考えております。

 また、貸金業の多重債務者が片づきましても、さらにクレジットあるいは住宅ローン、ひいては家計管理等々、指導を考えていきますときにはどうしても避けて通れない部門でありますので、多重債務者対策本部において関係省庁との連携を議論していき、さらに具体的な方策を検討、実施してまいりたいというように思っております。

田村(謙)委員 民主党の考えは重要だというふうに御評価をいただいたことはありがたいと思いますけれども、ただ、重要だという認識の度合いが、貸金業というのはほかの国にもどこにでもあって、実際、ほかの先進国においては、かなりカウンセリング体制というのは整備をされている、そしてそれによって多重債務を防ぐ、まさに多重債務者がふえるのを防ぐ非常に重要な手段としてカウンセリング機関というものが用いられてきているというのは、幾ら各国によって国の事情が違うからといって、恐らくカウンセリング機関の重要性を否定する方はいらっしゃらないだろうというふうに考えます。

 そういった中で、ほかの国ではそういうことをやっていながら、結局、日本では今まで何もやってこなかった、政府として真剣にカウンセリング体制を整備するということを全くしてこなかったということに関して、私は大きな憤りを感じるわけでありますけれども、今、重要性を認識なさった、おくればせながら認識なさったのは、それはそれでいいことだと思います。

 ただ、結局、今回の法案においても、世論でも非常に言われていた金利については、三年後に引き下げるんだという、ある意味しっかりとした方向性を示して、ただ、その前に見直すというのが意味がよくわからないということはかねて申し上げておりますけれども、そう示しておきながら、今大臣がおっしゃったように、それだけ重要なカウンセリング体制に対しては、結局努力規定ですよね、努めると。

 努めるというのは、頑張っていますと言えばある意味済む。明確な目標も何もなく、これから検討しますと、その程度で、とても重要だというふうな認識をしているとは私には思えないんですけれども。各国の状況なども十分に把握していらっしゃると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

三國谷政府参考人 私どもも、カウンセリングの重要性については十分認識しているつもりでございまして、今後さらに内閣に設置される予定の多重債務者対策本部、ここにおきまして、関係省庁とも十分に連携しながら対応策を講じてまいりたいと考えているところでございます。

 御指摘の諸外国の件でございますけれども、諸外国におきましても、債務者に対するカウンセリングはさまざまな形態で行われているものと承知しております。例えば、イギリスにおきましては、地方自治体からの助成金で賄われる独立した組織でございますCAB、シチズン・アドバイス・ビューローというのがボランティアとして低所得者層の相談を行っている例でございますとか、あるいはアメリカにおきましては、非営利組織でありますCCCS、コンシューマー・クレジット・カウンセリング・サービスが相談者の家計の健全化や家計管理指導の活動を行っている例があるものと承知をしております。

 私ども、こういった取り組みにつきまして、貸金業制度等に関する懇談会等におきましていろいろな意見を聞きますなど、今回の制度改正に当たっていろいろ参考にさせていただいているところでございます。引き続き、カウンセリング体制の充実につきましては、重要な課題と認識しながら取り組んでまいりたいと考えております。

田村(謙)委員 重要だと認識をして今後検討していくと。ぜひそこは検討していただきたいわけですけれども、先ほどの、結局今まで放置をしてきて、それでこれだけ抜本的な貸金業制度全体の見直しを行うという中で、このカウンセリング体制についてはこれから検討すればいいということ自体が重要性の認識が足りないというふうに民主党側としては考えておるわけであります。

 例えばカウンセリング機関についても、貸金業協会が頑張っていくんだ、整備に努めていくんだと、ある意味、業界任せであるのかなと。もちろん、今さまざまな窓口があって、それをより強化していくというのはわかりますけれども、基本的に、貸金業におけるカウンセリング機関ということについては貸金業協会の努力にゆだねてしまおうというような姿勢が今回の法案に見えているというふうに私は考えているわけであります。

 より具体的に御質問を申し上げますと、例えば、今後の方針として、日本クレジットカウンセリング協会の強化ということで、事務所というのが東京、名古屋、福岡の三カ所、そして現在は弁護士が三十九人、消費生活アドバイザー二十二人というふうになっているわけでありますけれども、それをどのように強化していくのかということをお答えください。

三國谷政府参考人 私どもといたしましても、カウンセリングにつきましてはさまざまな立場の方がそれぞれ連携し合いながら対応していくということが大事と考えておりまして、このことは、多重債務者対策本部でこのカウンセリング対策も一つのイシューとして取り上げるということにあらわれていると認識しているところでございます。

 御指摘のクレジットカウンセリング協会でございますけれども、まずもって、多重債務者に対するカウンセリングにつきましては、返済負担軽減のための債務整理とそれから再発防止のための家計管理指導、これを組み合わせることが望ましいと考えられております。御指摘の日本クレジットカウンセリング協会は両者を組み合わせたカウンセリングサービスを提供しているものと承知しておりますが、これも御指摘のとおり、この日本クレジットカウンセリング協会は、現在、東京、名古屋、福岡の三カ所にカウンセリングセンターを持ち、弁護士が三十九名、消費生活アドバイザー二十二名でございまして、体制につきましては必ずしも現段階で十分ということではなくて、年間の相談件数も一千四百件程度となっているところでございます。

 今後、この多重債務者対策といたしまして、このカウンセリング体制の充実の中で、日本クレジットカウンセリング協会につきましては体制の拡充を促してまいりたいと思っております。具体的な方策につきましては今後関係者と調整してまいりたいと考えておりますが、将来的には、全国的にサービスが行き渡ることを目標とすべきものと考えているところでございます。

田村(謙)委員 昨日も議論がありましたように、そして今私も申し上げたように、結局業界任せだなという感がぬぐえないわけですね。もちろん多重債務者対策本部においてさまざまな議論をする、結局どういう議論をするのかはこれからでしょうからわかりませんけれども、全国あまねくちゃんと整備をされるカウンセリング機関というのは、結局もう協会任せにしてしまう、協会にあくまで頑張れ頑張れと言うだけだというのは、私はいかがなものかというふうに考えています。

 今までも何人もの委員が指摘を申し上げましたように、やはり業者だけでやる場合には、そのカウンセリング自体が業者寄りになる危険性があるというのも一つですし、さらに私が申し上げたいのは、今後まさに金利を引き下げていく中で、どんどん貸金業者というのも非常に経営が厳しくなってくるわけですよね。そういう中で、あくまで努力規定であれば、貸金業者それぞれから見れば、協会にお金を出して体制を整備していくというのが余計な出費になるわけですから、そこは、それこそ貸し渋りじゃなくて、そういう資金を出し渋って、なかなか結局整備がおくれてしまうんじゃないか、私はそういう危険性も十分にあるというふうに思っています。それについては、とにかく整備に努めるんだという規定だけでとても十分だとは思えないんですけれども、いかがですか。

三國谷政府参考人 このカウンセリング体制の充実につきましては、さまざまな立場の方々がさまざまな立場からより積極的に参加していくことが望ましいと考えているわけでございます。したがいまして、私どもは、貸金業協会にも相応の役割を担ってもらい、そしてまた法テラス、あるいはクレジットカウンセリング協会、こういったそれぞれの立場の方々がそれぞれこの問題に前向きに取り組みながら互いに連携していくということが重要と考えておりまして、そういった意味で、内閣官房に多重債務者対策本部というのもこしらえる、そういった意欲が示されているわけでございます。

 こういったところで、本当に、先生の御指摘を踏まえながら、私どもとしても十分この問題に前向きに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

田村(謙)委員 何か、さまざまな立場の方がいるということを強調なさると、責任は金融庁だけではないからそれはいろいろな省庁を巻き込んでやらないと無理なんだと。もちろんそういう面もあるとは思います。

 ただ、私が重ねて申し上げたいのは、今回の法案において、確かに金融庁だけではできない部分もあるかもしれないけれども、ただ、業者お任せではやはりカウンセリング体制の整備はままならないというふうに民主党としては考えております。そういった中で、単に頑張ってくださいというのは極めていいかげんだな、どうなるかわからない。

 昨日の議論におきましても、寺田委員が、一体いつみんながカウンセリングを受けられるような体制を整備するんだという質問、追及をしていましたけれども、そういったことを含め、カウンセリング機関についてもちゃんと明確に規定すべきだったんじゃないかというふうに我々は考えておりますし、とにかく業者任せで、頑張ってくださいと言うようでは、いつになってもしっかりとした、だれもがカウンセリングを受けられるような体制というのはなかなかできないだろうというふうに私は考えております。

 ただ、そういった中でも、現状、実際民主党案におけるカウンセリング機関というのもすぐに整備されるわけではありませんので、やはりまずは今ある枠組み、機関をいかに有効に活用していくか、いかにそういうカウンセリング体制を強化していくかというのが非常に重要だというふうに思います。そういった中で、三國谷参考人がおっしゃったように、さまざまな立場の方々の連携が非常に重要だというふうに考えておりまして、例えば日本クレジットカウンセリング協会の体制整備におきましても、弁護士会の協力というのが不十分な地域もあるという話も私は聞いたことがございます。

 今後、そのカウンセリング体制の構築に当たっては、弁護士や弁護士会の協力というのがやはり非常に重要だというふうに考えているわけでありますけれども、それにおきまして、例えば法務省のリーダーシップというのは重要なんじゃないかなと考えますが、その点はいかがでしょうか。

菊池政府参考人 お答え申し上げます。

 多重債務問題の解決に当たりましては、御指摘のとおり、法律の専門家である弁護士が適切な役割を果たすということが重要であると私どもも認識をいたしております。また、弁護士会でも、多重債務問題の重要性や深刻性を認識しておられまして、相談支援体制をつくるなど、借り手保護の見地から自主的な取り組みを行っているというふうにお聞きをしております。

 委員御指摘の点でございますが、弁護士につきましては、弁護士法の定めによりましていわゆる弁護士自治というものが認められておりまして、個々の弁護士に対する指導監督は専ら弁護士会が権限を持っておりまして、法務省には法律上監督等の権限はございませんが、委員御指摘の点は多重債務問題の解決にとって非常に重要な点であろうと思いますので、私どもの方から日本弁護士連合会に御指摘の点をお伝えさせていただきたいと思います。

田村(謙)委員 ぜひ、重要性を御認識いただいたということでありますので、弁護士会、そしてまた、今後設置をされる対策本部において、金融庁、さまざまな立場のいろいろな方々と緊密な連携協力関係を築いていただいて、取り組んでいただきたいというのは重ねてお願いを申し上げます。

 そしてまた、別の機関として、法テラスというものが最近設立をされて、法で社会を明るく照らすということで大々的に広報がなされておりますけれども、その相談というのが、圧倒的に借金に関するものが多いというふうに聞いております。

 今後、その法テラスというものが、各地域の債務者に対するカウンセリングの実施、紹介に積極的に取り組んでいくべきだというのは、やはり多重債務者を救うためにも大変重要なことだというふうに考えておりますけれども、今後、カウンセリング機関としての法テラスの機能強化というのをどのように図っていくかというお考えはございますでしょうか。

菊池政府参考人 日本司法支援センター、いわゆる法テラスについてのお尋ねでございますが、法テラスは、十月二日に業務を開始いたしました。法テラス自身がカウンセリング業務を実施するわけではございませんが、さまざまなトラブルを抱えた方から御相談を受けて、適切な相談機関、相談窓口を御紹介するという、いわゆる情報提供業務というものが重要な業務の一つでございまして、これまで電話等でたくさんのお問い合わせをいただいております。その中で一番多いのは、委員御指摘のとおり、多重債務問題を含む金銭の借り入れに関するものでございます。

    〔委員長退席、増原委員長代理着席〕

 法テラスは、適切な相談窓口を紹介するという業務でございますので、できるだけ多くの相談窓口と協力関係を築いて、相談者の方のお話や御希望をお聞きして、適切な相談機関を御紹介する、そして、紹介された先としては直ちに適切な対応をしていただく、そういう協力関係をなお一層図っていくということが大切であるというふうに認識をいたしております。

 今後、法テラスは、多重債務問題が一番問い合わせの中で多いわけでございますので、この問題が重要であるということは十分認識していると思いますので、多重債務問題につきましても、関係機関あるいは適切な相談窓口との協力関係、連携を一層深めていくものというふうに考えているところでございます。

田村(謙)委員 ぜひとも、今お答えいただいたような方向で早急に連携を強化して、真剣に取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げる次第であります。

 さて、冒頭に申し上げましたように、民主党案としては、カウンセリング機関をしっかりと整備する、そして、やはりカウンセラーというものの育成を図っていく、それに当たってカウンセラーの公的な資格を創設して、その資格を取るカウンセラーを育成していくということを提案しているわけであります。

 やはり今までも、今回、貸金業は金銭面でありますけれども、あと幾らぐらいは借りても大丈夫じゃないかとか、そういったカウンセリングというのは、弁護士さんを初めさまざまな方がなさっているのは十分承知をしておりますけれども、多重債務においては、まさに借り手の心理面が、それこそ性格的な問題も含め非常に大きいという話も聞いておりまして、それこそ心理カウンセリングというものも非常に重要だというのは、ほかの国にも例があるというふうに聞いております。

 そういった意味で、我々民主党の提案のように、公的な資格としてしっかりとカウンセラーというものを育成する、ですから、公的資格を創設する、そのカウンセラーというのは心理面も含めしっかりと債務者に対してカウンセリングをする、そういう資格を創設するという我々の提案については、いかが評価なさるでしょうか。

山本国務大臣 心理面について注目された御提案でありますし、金銭カウンセリングのみならず、法律アドバイスと並んでこうした心理カウンセラーというものの重要性、私どもも十分認識しているつもりでありますし、むしろ最も大事なカウンセリングの中身、内容なのかもしれません。また、その延長上で、公的資格を設けてという御提案がございました。一つの物の考え方であろうとは思います。

 しかし、現在あるカウンセリング体制の充実、拡充、そういったことをまず現実的に図って、さらに、借り手が必要に応じて日常的に手の届く範囲の中で、それぞれの専門能力を有する者と相談できる体制を整備していくことが喫緊の課題であろうと思っております。

 そんな意味で、また推移を見ながら、内閣におけます多重債務者対策本部等の議論を通じまして検討させていただきたいというように思っております。

田村(謙)委員 今ある枠組みを使って、とにかくできる限りしっかりとカウンセリングができるような体制にしていくというのは、もうすぐにでも始めていただきたいと思っております。我々民主党案としても、カウンセリング体制というのが整備されていない中で、いかに現状の、今あるさまざまな機関や枠組みを使っていくかというのは、もちろん重要であることは十分認識をしております。

 ただ、ちょっとまた話を戻して、結局、全国にしっかりとカウンセリング体制を整備するよう努めるという努力規定になってしまっているわけですね。我々は、そこはしっかりとカウンセリング体制を整備するということを宣言すべきだと。

 それは、業者に頑張ってくださいという努力規定では、結局、努力はしていますと業者あるいは協会が言えば、もうそれで済んでしまうわけですよね。もちろん、それで罰則をどうこうしようとかいう話ではこの件はありませんけれども、結局なかなか、例えば三年間じゃ無理だ、四年間じゃ無理だ、あるいは、そもそもそういう資金的な余裕がないということになってしまうと、カウンセリング体制の整備というものはどんどん先延ばしになっておくれてしまうんじゃないか。それは、単なる努力規定では非常に弱いというふうに考えているんですけれども、その点はいかがでしょうか。

山本国務大臣 参考人である宇都宮弁護士の御指摘、多重債務者二百三十万人で、カウンセリングにたどり着く方が三十万人ぐらいと言われただろうと思いますが、そういった現状のカウンセリング体制の強化には限界があるということも私ども認識しております。

 さらに重要なことは、ありとあらゆることを駆使してこの多重債務者問題に取りかかっていかなきゃなりませんし、また、おっしゃることに加えて、例えば学校教育の面でそうした教育を施していただいて、例えば友達に相談する、先輩に相談する、また仲間といろいろ話しておった中に気がついていくというような、日常的な話から気がついていくというカウンセリングシステムも当然考えられるわけでありますし、今後検討を重ねてまいりたいと思っておりますので、御協力よろしくお願いいたします。

田村(謙)委員 カウンセリング体制を整備するという方向性についてはもともと同じでありますので、当然それは、協力しないとか考え方が対立をしているという話ではないわけでありまして、今大臣が途中でおっしゃった、いわゆる消費者教育、学校教育のようなもの、もちろんそれは別問題として大変重要な課題だというふうに思いますし、その点についても民主党提案でもちゃんと書いてあります。

 重ねてお伺いしますけれども、まさに今大臣おっしゃいましたよね、なかなかカウンセリング機関というのは不十分だと。現状、不十分ですよ。今後努力規定というものを設けるぐらいでは、何も変わらないとは言わないけれども、要するに、全国の利用者がちゃんとカウンセリングを受けられるような体制ということになりますと、まさに何百カ所必要だと思いますよ。それはもちろん、すべて明確なカウンセリング機関じゃなくて、場合によっては、本当に小さな地域においては、例えば消費生活センターとかそういうところがカバーするものがあってもいいと思いますけれども、とにかく全国どこでもちゃんと受けられるという体制をつくるために、努力規定では結局今不十分だ。今後も不十分で、繰り返しになりますけれども、かつ、貸金業者もなかなかそんな資金的余裕もない、頑張ってはいますと言えば結局それで逃げられてしまって、いつになっても体制は整備されないんじゃないか。ほかの国では本当に、国によってもちろん差はあるにしても、日本とは比べ物にならないぐらいちゃんと整備されていますよね、欧米では。そういう中で日本は極めておくれをとっているわけです。

 それを、今後頑張ってくださいと言うだけでは、とても本当に重要だというふうに思えないということを重ねて申し上げたいわけでありますけれども、その点、本当に業者任せでいいのかということを重ねてお伺い申し上げます。

    〔増原委員長代理退席、委員長着席〕

三國谷政府参考人 決して業者任せということではございませんでして、業者の方にもさらに改善してもらいますし、それ以外の、例えばクレジットカウンセリング協会、あるいはそれぞれ公的なところで持っております機関でございますとか、あるいはさまざまな方々と連携してこの問題に前向きに対応してまいりたいということを私どもは考えているところでございます。

田村(謙)委員 連携をしてカウンセリング体制を強化する、その方向性はそのとおりですので、それについて異議を唱えるつもりは毛頭ありません。

 ただ、もちろん、今あるさまざまな機関をより有効に活用する、それぞれの今ある機関のカウンセリング機能をより強化するということも重要でありますけれども、それが、ほかのケースでもいろいろありますように、結局、それこそ担当省庁が違う、それがばらばらになってなかなかちゃんと連携がとれないとか、そういったケースというのは、具体的な例は今挙げませんが、ほかにも幾つもあるわけですよ。そこは、この貸金業において多重債務者問題というのは本当に非常に大きな問題だ、それを一刻も早く解決するためには全国一元的な機関というものをちゃんと整備することを最終目標にするべきだというのが我々民主党としての強い主張でありまして、今後、その対策本部におきましてもそういったこともぜひとも検討いただきたいというのが我々民主党としてのお願いでございます。

 そしてまた、努力規定では、結局そのまま、単なる努力をしていますというだけで逃げられてしまって、現状はほとんど変わらない状態にもなりかねないという危惧を重ねて指摘をさせていただいて、カウンセリングについての質問はこれで終わりにいたします。

 もう一点、貸金業協会についての質問をさせていただきたいと思います。

 今回、貸金業協会というものを強化する、そしてその自主規制機能というものを強化していく、その方向性は我々も賛同するところでありますし、ぜひとも強化をしていただきたいというふうに思っているわけでありますけれども、より具体的に、貸金業協会の自主規制というのはどのような機能が強化をされるのか、お答えください。

三國谷政府参考人 今回の改正におきましては、現在社団法人であります全国貸金業協会連合会及び各都道府県の貸金業協会を組織として一体的に機能させ、強い自主規制機能を持たせる観点から、全国団体としての貸金業協会を認可法人として設立し、各都道府県ごとに支部を設けることとしております。その上で、自主規制機能強化の観点から、貸金業協会に、法令や自主規制ルールに違反した協会員に対します除名や過怠金等の強い制裁権限を付与することとしているところでございます。

 なお、貸金業協会の業務規程でございますけれども、ここにおいて、これは法律の三十二条でございますけれども、定める事項といたしまして、例えば、過剰貸し付けの防止に関する事項、それからリボルビング等におきます最低の返済額その他の返済に関する事項、あるいは広告の内容、方法、頻度及び審査に関する事項、それから勧誘に関する事項、債権の取り立てに関する事項、監査に関する事項、苦情の解決に関する事項、相談または助言その他の支援に関する事項等々の業務規程を定めることを、ここに法律で規定しているところでございます。

田村(謙)委員 ぜひそういった自主規制の機能というものをしっかりと、それがまさにちゃんと効力を発するような協会にしていただきたいと思うわけでありますけれども、今回のこの法改正において、貸金業登録というものが強制ではないということを聞いております。我々民主党としては、とにかく貸金業業者は必ず貸金業協会に加盟するということを義務づけるということを提案しているわけでありますけれども、貸金業者といっても、結局いろいろな業者、いわゆる貸金業専業の業者以外にも、信販ですとか、信販ですと全国信販協会というのがありますよね、あるいは日本クレジット産業協会に加盟をしているクレジット会社とか、さまざまな会社というものがあるわけでありますけれども、そういった業者に限らず、とにかく加入が強制でないと、要は加入をしない業者というのが出てくるおそれというのはないのでしょうか。

三國谷政府参考人 貸金業者の貸金業協会への加入は強制とはなってございませんが、貸金業者の加入を確保するために、加入をしていない業者に対しましては、貸金業協会の自主規制ルールと同等の社内規則の制定を義務づけまして、その遵守状況を当局が直接監督する仕組みなどを導入することとしているところでございます。この仕組みは、金融商品取引法上の認可金融商品取引業協会、これは現行の証券業協会も同様の仕組みとなっているところでございます。

 私どもといたしましては、こういった形で貸金業協会がその役割を十全に発揮できるような、そういうことを制度的にも考えているところでございます。

田村(謙)委員 今証券業協会の話が出ましたけれども、同じような枠組みで、ここは通告はしていないので、もしおわかりになったらで結構なんですが、証券業協会の場合、実際加盟していない業者というのは結局どれぐらいあるんですか。

三國谷政府参考人 証券業協会、現在はたしか、加入していないところは、証券会社では、ないと承知しております。

田村(謙)委員 今回の法律の枠組みで、結局事実上は全部加盟することになるということであれば、それはそれでいいんですけれども、ただ、そこは本当にどうですか。実際、もちろん金融庁が直接監督をするといっても、例えば本当に非常に多くの業者というものが加盟をしないという場合に、結局、もちろん監督はするといっても、要はちゃんとチェックできないんじゃないかという懸念を持つのですけれども、その点はいかがですか。

三國谷政府参考人 これは制度論一般になるわけでございますけれども、現在、法令で加入が義務づけられている団体は、弁護士会、税理士会あるいは日本公認会計士協会などのいわゆる士業団体、こういうことに限られている状態でございます。

 そういった中で、私どもといたしましては、貸金業協会への加入の促進ということは重要なことと考えているわけでございまして、加入をしなければ、みずからが社内規則を策定し、また私どもがそれを直接監督する、こういった仕組みを導入するわけでございます。その意味で、こういった協会に加入した方がはるかに効率的な仕事の運営というのができるような状態にもなるわけでございまして、こういった形で協会が実質的に機能するような仕組みを考えているところでございます。

田村(謙)委員 実際にはやってみないとわからない部分はあるんだと思いますけれども、そこは強制加入にしてしまえばよりわかりやすいような気がするんですが、いずれにしても、協会に入らないような社が出てこないように、金融庁さんとしてしっかりと運用していただきたいなというふうに思います。

 あと、もう一つ。貸金業協会、そういう、ある意味で全く衣がえをする新しい協会になるわけだと思いますけれども、そういう協会ができるということになりますと、やはり、いろいろな協会とかでありますけれども、天下りというのが我々民主党としては大変気になるところでありまして、その点、それこそ、そういう大きな貸金業協会ができる、そこに対して、金融庁さんを初めとする省庁のOBが結局そこの役員になるといったようなことがないと言い切れますでしょうか。そこが非常に心配なところなんですけれども。

山本国務大臣 国家公務員の再就職につきまして、いわゆる天下り問題として議論があることを真摯に受けとめております。そこで権限を背景とした押しつけ的な再就職のあっせんは行うべきではないと考えております。

 いずれにいたしましても、金融庁職員の再就職につきましては、今後とも、国家公務員法の趣旨にのっとり、適正に対応してまいりたいと考えております。

田村(謙)委員 天下りの話になりますと、いつもそういう適正なというのが、結局、適正なというのが今の自民党ですと非常に緩くなっているというのは、今回のこの件に限らず一般論として、天下りに対する規制の一般論としてあるのではないかというふうに我々は考えておりまして、その点は、この貸金業協会に限らないわけですけれども、適正というのは、より厳しくしっかりと制限をしていただきたいというふうに考えるわけでございます。

 貸金業協会については、今回の方向性というのは我々も同じでありますし、大変いいことだというふうに評価をしているわけでありまして、もう前回質問しましたので今回は質問いたしませんけれども、自主規制に限らず、例えばそれこそ通報義務、やはり金融庁の監督にしても警察の取り締まりにしても、あらゆるやみ金を全部排除できるわけではありませんから、そこは、貸金業協会をより機能を強化するのであれば、その機能の一環として、それこそやみ金を発見したら単に情報提供をするというのは、別にそんなに大変なことではないと私は考えますので、そういった機能もぜひ協会に持たせるべきじゃないかというのをまた重ねて申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。民主党の川内博史でございます。

 昨日に引き続き質疑をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、昨日の朝日新聞の夕刊に出ておりました記事に関連をして質問をさせていただきたいと思います。

 消費者金融の大手五社がつくる任意団体、消費者金融連絡会が、高校や大学に講師を派遣して消費者教育をしている、消費者金融会社が消費者教育をしている、そこで流れているビデオが文部科学省選定ビデオであると。最近、文部科学省は何をやっているのかさっぱりわかりませんが、文部科学省選定ビデオだという記事でございます。

 文部科学省が消費者金融、サラ金の営業活動にお墨つきを与えて、学校教育の現場でそれが使用されている。私は、ちょっと信じられないことだなというふうに思うんですけれども、昨日、金融庁を通じてそのビデオを、「カード社会をどう生きる!? 信用と自己責任」と題する十六分物のビデオでございますが、見せていただきました。

 象徴的だったのは、欲しいものがあるとき、皆さん、どうしますかということをビデオの中で問いかける。選択肢が三つございまして、一、お金をためる、二、消費者金融から借りる、三、あきらめる。リサイクルショップに行くとか、友達に相談するとか、人生にはさまざまな選択肢があると思うんですが、消費者金融から借りる、その次はあきらめるになっているわけですね。こういうビデオは明らかに消費者金融のPRビデオであると私は思います。しかも、このビデオには、金利のこと、あるいは出資法や利息制限法のことは全く出てまいりません。このビデオは、高等学校家庭科の教材として文部科学省に申請をされて、文部科学省選定ビデオになっています。

 そこで、きょうは文部科学省に来ていただいておりますので、まず質問させていただきますが、このビデオは、平成十三年に株式会社毎日EVRシステムというところが文科省に申請をしているわけでありますが、企画、制作、費用もすべて消費者金融連絡会、当時は大手六社でございますが、出していたわけでございます。この消費者金融連絡会がサラ金、消費者金融大手六社の集まりであるということを当時文部科学省は知っていたのかということからまずお答えいただきたいと思います。

中田政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の教育映像等審査制度は、昭和二十九年度からやっている制度でございますが、教育上の価値が高く、学校教育または社会教育に広く利用されることが適当と認められるもの、そういう映画その他の映像作品を選定いたしまして、あわせて教育に利用される映像作品等の質的向上に寄与することを目的とした制度でございます。

 今議員お尋ねのビデオにつきましては、御指摘のとおり、平成十三年四月に株式会社毎日EVRシステムから申請がございまして、同年十二月に文部科学省選定として選定したものでございます。

 申請者は毎日EVRでございまして、この会社はビデオ作成会社でございますが、その裏でこのビデオを企画し発注したという者がいたわけでございますが、私どもの審査制度としましては、申請者以外、その裏にどういう団体がいるかについては知り得る立場にはない、そういう制度でございます。したがいまして、今回、このEVRに発注したのが消費者金融の関係の団体だったということが判明いたしましたが、制度上知り得る立場にはなかったので、これを選定した際には、私ども文部科学省としては存在を知らなかったということでございます。

川内委員 文部科学省選定ビデオ、文部科学省が、文部科学大臣が選定するビデオを一体だれがつくらせているのかということを知らなかったという、驚くべき実態が今明らかになったわけでございますが、知ったのは、要するに、では、つい最近だということですね。

中田政府参考人 御指摘のとおりでございます。今回御指摘があって調べたところ、そういうことが判明したということでございます。

 この制度はもともと、芸術作品もそうでございますけれども、背景にどういうものがあるかということではなくて、作品そのものを見て評価するという制度でございます。

川内委員 最近、文部科学省の言うことはにわかには信じられませんので。

 ビデオを審査するに当たって、そのビデオはパッケージに入ってまいりますよね。パッケージに入ってきますでしょう。そのパッケージには「消費者金融連絡会とは」ということで、武富士、アコム、プロミス、アイフル、レイク、三洋信販と社名が出ていますよ。それでも、知らなかったと言うんですか。

中田政府参考人 お答えいたします。

 映像審査に各申請者からビデオ等が持ち込まれる段階では、まだ販売する前の段階でございますので、いろいろな形で持ってまいります。十六ミリフィルムでありますとか、その生の形で持ってまいりますので、その段階では、今議員が御指摘になったような、製品化された段階で、販売するときにつくっているパッケージというのはまだできておりませんので、私どもにそういう情報があるということではございません。

川内委員 どうも信じられない気がいたします。

 それでは、この文部科学省選定ビデオに文部科学省関係者はかかわっていますか。

中田政府参考人 お答えいたします。

 この審査は、私ども、教育映像等審査規程という省令に基づきまして審査してございますが、その中で、学識経験者の意見を聞いて審査を行うということでございまして、外部の各分野におきまして委員をお願いしまして、その方の御意見を聞いてございます。それに加えまして、私ども文部科学省の関係者、これは家庭科の教科ということでございますので、そういう教育課程を専門にしている文部科学省の人間も、あわせて審査をしてございます。

川内委員 いや、私がお聞きしているのは、このビデオの制作に文部科学省関係者がかかわっているかということを聞いております。

中田政府参考人 制作には全くかかわってございません。申請が出たものに対して審査をしているということでございます。

川内委員 いや、文部科学省関係者という言葉は、文部科学省にいた人も含みますよ。

中田政府参考人 先ほどお答えしましたように、申請者の背景にどういう団体がいるかについて私ども知り得る立場にございませんので、本件につきまして文部科学省の人間が実際に関与したかどうかについては、承知しておりません。

 一般的には、こういうことについて文部科学省関係者が関係しているということについては想像がつきませんけれども、本件について背景にどういうことがあったかということについては、私ども、現段階では調査しておりません、判明しておりません。ないと思います。

川内委員 いや、調査するも何も、委員長、実は私、きのう、このビデオをどうしても見たい、どうしても見たい、金融庁の方に御無理を申し上げて、見せていただいたんですが、すぐ返してくれと言われたんですよ。見た後すぐ返してくれと。それで、何でかなと思って、よくよくパッケージを見ましたら、「指導」というところに、このビデオの制作の指導に当たった方々の中に大学の先生とか高校の先生が入っているんですが、その大学の先生の方は、このパッケージに……。これは調べているんでしょう、文部科学省は。私が言ってもいいんですけれども。指導に当たっている大学の先生は文部科学省出身者ですか。

中田政府参考人 お答えいたします。

 今、先生の御指摘で、もう一度販売資料を見ましたところ、「指導」というところに、推薦の言葉を書いている大学教授が元文部科学省の職員だったと書いてございます。

 済みません、本当にこのとおりであるかどうかは、ちょっと今断言はできませんけれども、そういう事実がございました。その意味で、ちょっと訂正させていただきます。

川内委員 全部ちゃんと読んだ方がいいですよ。元文部科学省の何と書いてあるか。ちょっと、ちゃんと言ってくださいよ。

中田政府参考人 この毎日ビデオライブラリーの資料によりますと、この大学教授は元文部科学省主任視学官だというふうに書いてございます。

川内委員 これは大変な問題で、私もこの主任視学官のことを調べましたが、家庭科の主任視学官なんですね。視学官というのは、その教科について全国の学校に対して指導助言を行う立場、指導する立場の方です、家庭科について。その家庭科の主任視学官であった方が家庭科のビデオの推薦の言葉というか、指導をし、そしてまた、それが消費者金融大手六社が金を出したビデオであり、消費者金融の宣伝ビデオであるにもかかわらず、学校でそれが教材として使われる、文部科学省選定ビデオとして使われる。これはゆゆしき問題であるというふうに思います。

 昨日いただいた文部科学省の教育映像等審査規程の第五条には、映像作品等の審査に当たっては、次の各号に掲げる事項についても留意するものとすると書いてあります。風教上好ましくないものではないか。二、商業的または政治的な宣伝意図の顕著なものではないか。三、安易な模倣を誘発し、社会的悪影響を及ぼすおそれのあるものではないか。四、その他中立公正を欠く意図が感じられるものではないかと。

 私は、このビデオは、実体がはっきりした今、四項目にいずれも該当する、文部科学省選定ビデオとしては好ましくないビデオであるというふうに思いますが、どう思われますか。

中田政府参考人 このビデオを審査した段階で、この映像作品が、例えば今御指摘がございました商業的な宣伝意図が顕著なものであるかどうかとか、中正を欠いているかどうかということについて判断したわけでございますが、明らかに、テレビコマーシャルのように、商品とか企業の宣伝意図が認められ、その程度が著しいというようなものに該当するわけではない、消費者教育として必要なことについて意識啓発を図っているという判断を当時いたしまして、その他審査基準に適合しているということで選定したものでございまして、現段階で、私どもとして、この選定が間違っていたというふうには考えてございません。

川内委員 いや、選定が間違っていたなんと言っていないじゃないですか。知らなかったんでしょう。消費者金融連絡会がつくらせている、文部科学省元主任視学官もそれに加わって手をかしていたということも知らなかった、今初めて知ったと。知った段階でどう思うんですかということを聞いているんですよ。

中田政府参考人 先ほどから御答弁申し上げていますように、私ども、この審査は作品自体を見るということでございまして、その背景について関与してございません。

 今御指摘のように、かつて文部科学省の職員であった、責任ある立場であった者が関与していた可能性は強いわけでございますが、そのことをもって、この作品自体の公正性、内容の正確性等について大きな影響があるというふうに直ちには考えていないところでございます。

川内委員 では、審査をやり直す気はないと。このビデオは学校の家庭科の教材として、文部科学省選定ビデオとして適していると判断するということですか。

中田政府参考人 私ども、この選定で、その内容が時代の変化によって変わって、選定の理由がなくなるような事態も一般的には考えられるわけでございますが、今までこの選定を見直したという実例はございません。

 今回のこの件につきましても、ただいま御指摘いただいた件のみをもってこの選定の適正性についてもう一度審査をするということは、今考えてございません。

川内委員 この消費者金融の問題というのは、自殺あるいは夜逃げあるいは一家離散という大変な社会問題を引き起こしている問題なんですよね。だからこそ、政府も、多重債務者の発生増大を防止するという観点から、今般、貸金業規制法の抜本的、総合的見直しを行って、法案が国会に提出をされたということは文部科学省も御存じだというふうに思います。

 そういう大変大きな社会問題になっている中で、文部科学省が選定をしたビデオの、文部科学大臣が選定するとこの規程には書いてありますが、文部科学大臣が選定をしたビデオが、消費者金融の会社がバックにいてお金を出している、そしてまた、それに元文部科学省主任視学官がちょうちんをつけているということをもって、商業的意図、政治的な宣伝意図というものが私は顕著であるというふうに思いますけれども、それはあくまでもそうじゃないと。当時は知らなかったと。当時は知らなかったから選定してしまったと。今それを知った段階でも全く当時と同じ考えであると。

 いいですか。先ほど文部科学省は、パッケージは見ていないとおっしゃった。しかし、ビデオはパッケージと一体で売られるわけです。その中に入っているパンフレットと一緒に学校の教材として使われるわけです。一体ですよ。一体のものです。ビデオの中身しか見ていないとさっきおっしゃった。しかし、パッケージは、その中にパンフレットも入っている。新たな要素が加わっているんですよ。それにもかかわらず、前と変わらないんだと言えるんですか。前と変わっていないんですか。変わっているでしょう。

 もう一回答弁してください。

中田政府参考人 それぞれの申請されたビデオがどういう背景をもって作成されたかということも、ビデオあるいは映像作品の内容を審査する上での重要な要素であるという先生の御指摘、ごもっともでございますが、今までそういうことは遮断をしまして、例えば宗教団体であれ政治団体であれそういう背景があっても、でき上がって持ってきたビデオ自体がそういう特定の目的の宣伝等になっていないという判断をすれば、それは背景を遮断してそれ自体を評価するという考え方をずっととってまいりました。

 今回、消費者金融の関係でこのビデオの妥当性が今問題にされているわけでございまして、今まで私ども、そういう考え方でやってきたこの選定制度が、それでいいのか考えていきたいと思います。

川内委員 ビデオの選定制度自体をそれでいいのか考えるということでございますが、私は、喫緊の課題として、大臣、これはこういういろいろなパッケージとかパンフレットがビデオの中に入って配られているわけですよ。それで、ビデオの中では、契約どおりに金を返さなきゃだめだ、信用を失う、契約が大事だ、契約、契約、契約と、とにかく金を返すことが大事なんだと繰り返し繰り返し言うんですよ。利息制限法のことなんか一つも言いませんよ。そのビデオが果たして公正なビデオなんですか。学校教育の、消費者教育、消費者を賢く育てるビデオと言えますか。

 これは大臣としても、文部科学省に対して、そのビデオはちょっと文部科学省、それは消費者金融の会社がつくってそれをばらまくのは勝手ですよ、それは消費者金融の立場として勝手です、それは自由におやりになられたらいい、しかしそれを文部科学省選定ビデオにするのはいかにも公正さを欠く、当不当でいえば不当であるということを、大臣は文部科学大臣に言わなきゃいかぬと思いますが、どうですか。

山本国務大臣 その現物のビデオをまだ拝見しておりませんし、そのビデオの内容自体の芸術性やあるいは優良で判断したのでありましても、つくられた方の意図が、例えば消費者金融への将来の顧客としての教育を逆にしておるというようなことであるならば少し適切性を欠いていることは間違いないわけでありますし、そんなことを総合判断して、また別途関係機関と協議して、それから判断したいと思っています。

川内委員 ぜひパッケージつきの、パンフレットつきのものを見ていただきたい。そのビデオと一緒についてくるパンフレットには、金利は出資法で決まりますと書いてありますから。金利は出資法で決まりますと書いてあります。学校教育の現場ですよ。学校教育の現場でそういうことが、消費者金融の社員が出かけていって、子供たちに、欲しいものがあったらお金を借りて買いなさいと。それで、借りたお金は必ず返しなさい、金利は出資法で決まっています、返さないと皆さん信用を失いますよというふうな教育をしている。それを文部科学大臣が選定しているんですよ、ビデオを。それを、全く知りませんでした、私たちは知りませんでした、文部科学省の主任視学官がそれにかかわっていることも知りませんでしたと。だけれども問題ないですとここで言い張る文部科学省の問題意識のなさというのには、僕はもうあいた口がふさがらないですよ。

 今大臣も、適切に関係機関と協議するというふうにおっしゃられた。文部科学省としても、このビデオの内容、パッケージあるいはそのパンフレット等が適切な内容であるのかどうか関係機関と協議をして判断したいというぐらいはここで答弁しないと、もう教育基本法の成立にだって影響出ますよ。ちゃんと言ってくださいよ。

中田政府参考人 今大臣からも、関係機関と協議されるというふうに御答弁ございましたので、私どもとしても、関係機関と協議をして対応したいと思います。

川内委員 ぜひ、さまざまなことをしっかり協議していただいて、私は、この選定ビデオについては選定を取り消すというふうな方向で進めていただくのが妥当な判断ではないかというふうに思います。大臣には信頼してお任せをしたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 昨日の我が党の長妻議員の質問に関連いたしますが、自殺率の問題でございます。自殺を原因とする保険金受け取り件数の死因等判明件数に占める割合が二三・九%であり、最大の社が三三・三%であったと。この三三・三%の最大の社の名前を公表すべきであると長妻議員は質問させていただいたわけでございますが、渡辺副大臣は、情報公開法の不開示情報に当たるので公表できないというふうに御答弁をされたと思います。山本大臣も同じお考えでございましたら、情報公開法の不開示情報のどの部分に当たるのかということを御答弁いただきたいと存じます。

佐藤政府参考人 情報公開法の第五条でございますが、「行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。」というふうになっておりまして、その第二号でございますが、「法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」とございます。

 具体的な項目でございますけれども、イといたしまして、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」、これが一つは該当するものでございます。

 それから、もう一つでございますけれども、これはロとして掲げられてございますが、「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」、この条項でございます。

川内委員 今、情報公開法五条の二の部分の御説明があったわけでございますが、このイ、ロのどちらに該当するということですか。

佐藤政府参考人 私どもとしては、両方に該当するというふうに思っております。

川内委員 公にしないとの条件で情報の提供を求めたんですか。

佐藤政府参考人 業者から任意のヒアリングないし情報提供を要請するという形でやっておりまして、その共通的な認識として、公開しないという共通の認識のもとでやっている作業ということでございます。法律に基づく権限を行使しての情報徴求ではなかったということでございます。

川内委員 公にしないという共通の認識があって、あったかもしれないが、公にしないということを言ってはいないということですね。

佐藤政府参考人 明示的に、絶対にどんなことがあっても公開しないというような条件を付してとっているというものでは必ずしもございません。

川内委員 そうすると、この法律上、「公にしないとの条件で」と。公にしないとの共通認識でとは書いてないので、「公にしないとの条件」というところには当てはまらないと私は思います、条件にしていないわけですから。明示的に条件にしていない。となると、あとはイですね。「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」、ここだと思います。それは、山本大臣も渡辺副大臣も、きのうおっしゃったことです。きのうは、ロについてはだれ一人言っていないわけですから、ここでロを持ち出されたのは、ちょっとどうかなというふうに思います。

 しかし、競争上の地位を保護するために公にできない情報はあるでしょう。しかし、例外規定として先ほどお読みになられた、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」は公開していいというふうに、この情報公開法は例外を規定しています。消費者金融に係る信用団体生命保険によって、昨日、金融担当大臣、山本大臣の御答弁をかりれば、厳しい取り立てがあったのかもしれないということをおっしゃられた。そういう中で、厳しい取り立てがあったのかもしれない中で自殺をされた方々が率としてどのくらいいらっしゃったのかということについては、まさしく生命、健康、生活または財産の保護という意味において公開すべき情報であると思いますが、いかがですか。

佐藤政府参考人 一般的に、自殺をされた方が自殺に至った理由というのはさまざまであると考えられます。その要因は必ずしも一概に特定するのは困難でございます。また、統計上も、自殺が死因判明件数に占める割合、これは業者の側での死因判明の状況といった要因にも左右されるということでございまして、御指摘いただきましたようなデータというものが、必ずしも当該特定の業者の取り立て行為の適不適に直接に反映するとは限らないというふうに思います。

 ただ、もちろん、ある業者でこの自殺の率が一貫して他よりも際立って高いというようなことが継続しているような場合には、取り立てのあり方に問題があるのではないか、その端緒にはなり得ると思います。思いますけれども、一般的には直ちに反映するとは限らないというふうに思われます。

 このため、いわゆる自殺率が高いことのみを取り上げて、国民の生命、健康等にかかわる不開示の例外事項とすることは困難ではないかというふうに考えておるところでございます。

 先ほど来申し上げておりますように、これを公表した場合には、該当する社の権利、競争上の地位、その他正当な利害を害するおそれが極めて高いと考えられますことから、この団信で自殺率最大の三三%の会社、この会社の名前を公表することについては差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、当局としては、消費者団信に係る種々の御指摘も踏まえ、万が一にも債権回収のために保険が不当に利用されるということがないようにしなければならないという認識は強く持っておるところでございます。ガイドラインの改正をいたしまして、保険金による債務の弁済を強要するということはもちろんでございますけれども、示唆するような言動も含めて、貸金業規制法二十一条によって禁止される威迫に該当するということについて明確化を図ったところでございまして、この適切な運用を図ってまいりたいというふうに思っております。

川内委員 今の御答弁は少しごまかしがあると私は思います。

 というのは、団信に係る意思確認の問題にしても、あるいは厳しい取り立てがあったかもしれないという大臣の御答弁もあったわけですが、そういう取り立ての手法などにいたしましても、金融庁としてそういう部分を検査していたのかというと、検査はしていないわけでございまして、検査マニュアルの中にそういう項目が恐らく入っていなかったんであろうというふうに思います。そういう中で、こういう大変に高い、死因が判明している中では異様に高い自殺率であるということだと思うんですね。

 そういう中で、今、継続的に高ければ、それは何か問題が生じるかもしれないというふうに御答弁をされたわけでありますが、継続的に調べていないでしょう。自殺率がどういうふうな推移をしているのかということについて、年を追って資料を提出してくれというようなことをされていらっしゃいますか。

佐藤政府参考人 先般の私どもで行いました調査では、過去三年分ぐらいについてヒアリングをしておりますので、それくらいの期間についてはフォローすることができるということでございます。

川内委員 過去三年分の期間についてフォローをできると。では、この三三・三%の社というのは、過去三年のトータルが三三・三%ということですか。

佐藤政府参考人 平成十七年度、すなわち十八年三月期の一年間の数字でございます。

川内委員 過去三年分についてフォローできるのであれば、十六年三月期、十七年三月期についてもわかるわけですよね。その三三・三%の十八年三月期に最大であった社は、十六年三月期、十七年三月期の率というのはどのような数字になっているんでしょうか。

佐藤政府参考人 各社から取り寄せましたデータを確認してみる必要がございます。今ちょっと手元にはございませんので、お答えできません。

川内委員 今、御答弁としては、継続的に自殺率が高ければ、それは問題になるであろう、この情報公開法の例外事由に当たるかもしれないということをおっしゃられた。それで私は、では、どのくらいを推移していますかということを申し上げました。

 今、数字はありませんということですが、恐らく電話をすればすぐわかると思いますので、今、後ろで金融会社室長が電話されていらっしゃったので、もうわかったと思いますから、その数字をお答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 各社から提出されましたデータを慎重に精査する必要がございますので、今すぐにはちょっとお答えできません。

 先ほど、継続的に自殺率が高いところは情報公開法の例外事項に当たり得るという論法でお話しいただきましたけれども、私が申し上げましたのは、情報公開法との関係で申し上げたわけではございませんで、継続的に非常に高い自殺率が続いているという社は、取り立ての手法あるいは経営の体制等について相当問題がある可能性があるということを申し上げたわけでございまして、そのことが直ちに情報公開法の例外の例外に、不開示の例外に該当するという意味で申し上げたわけではございません。

 いずれにせよ、自殺率が継続的に非常に高いという社につきましては、私どもも注意して見なくてはいけないというふうに存じておりますし、この辺につきましては、個社名を付して、直接貸金業者を監督する財務局なり都道府県なりに情報を提供して、ウオッチをしてもらうように対応をしているということでございます。

川内委員 委員長、今の御答弁は、私は極めて不誠実な答弁だというふうに思います。

 なぜかならば、自殺率が継続的に高い社については、その経営の体制や取り立ての手法に問題があるのではないかということで、金融庁としてもしっかりと対応をしていきたいと考えているし、今までもそうしてきたつもりであるという趣旨の御答弁であったわけです。しかし、その継続的な自殺率について、では数字を教えてくださいと言うと、今すぐはわからないと。今すぐはわからない、要するに、継続的な年間の推移については精査をしていないということを今ここでおっしゃられたわけでございまして、私は非常に答弁としては丁寧だけれども、相変わらず内容は不誠実だなと思わざるを得ないんですね。

 だって、数字がわかっていなければ、継続的に高いところについては我々は注意を持って監督していますということなんか言えるわけないじゃないですか。今の答弁、おかしくないですか。委員長、思いませんか。いや、よかった、今の答弁はよかったということですかね。それはちょっと、数字は多分わかっているんですよ。だって、わかっているからこそ、三年間のことはわかっているとおっしゃったんですから、それを言わないというのはおかしいですよ。言わせてくださいよ。

佐藤政府参考人 データについて隠しているという趣旨では全くございませんで、本当に今手元にございませんので、各社から上がってきたデータをきちんと確認した上でお答えをする必要があるということでございます。

川内委員 各社から上がってきたデータを確認して、もう数字はできているんでしょう。要するに今聞けないということですか。今聞けないからわからないのか、まだ全然精査していないのか、どっちですか。

佐藤政府参考人 個社から上がってきたデータは役所の方にございます。それを統一的にきちんと分析をし整理をしという作業ができていないということでございます。(発言する者あり)

川内委員 そうですね。今小沢先生から大変有益なアドバイスをいただきまして、個社から上がってきたデータについては持っている、それを金融庁として精査をまだしていないということです。では、個社から上がってきたデータで結構ですよ。その個社から上がってきたあらあらの、これは金融庁としての数字ではございませんと断りを入れた上で、個社から上がってきたデータでは、十六年がこう、十七年がこう、そして十八年は金融庁が精査をした数字として三三・三%でございますという答弁で結構ですから、今すぐ聞いて、ここで答えてください。

佐藤政府参考人 今、ただいま持っておりませんので、御勘弁いただきたいと思います。

川内委員 いやいや、私は、まだあと時間が二十五分以上ありますから、電話をそこでかけていただいて、ここで待っていますから。一分や二分時計を回して結構ですから。委員長は多分とめてくれないので。ここは数字をおっしゃっていただく、それを国民の皆さんは待っているわけですよ。なぜかならば、消費者金融というものが、実態がまだまだ国民の皆さんに伝わっていない、これからしっかりした業界になっていくためにも、過去にこういうことがあった、こうであったというようなことはすべて情報をしっかり公開して、それで前に進んでいくということが必要だと思うからこれだけしつこく申し上げているわけで、どうぞ一、二分時計を回していただいて結構です、私待っていますから、ここで。

佐藤政府参考人 ただいま電話で確認するようにいたします。

川内委員 はい。

伊藤委員長 質問を続けていただいて、それで答えが出ましたら回答いただくというのはいかがですか。

川内委員 全く違うことに行っちゃうんですけれども。

伊藤委員長 貴重な質問時間ですから。

川内委員 一、二分でしょう。

伊藤委員長 質問を続けていただいて、それで回答が出て御報告をいただければと思いますので、質問をお続けいただけないでしょうか。(発言する者あり)ちょっと、場外でやめてください。

 質問を続けてください。

川内委員 私が申し上げているのは、十八年三月期に自殺率が最大であった三三・三%の社が十六年三月期、十七年三月期について自殺率が幾らであったのか、そしてまたその数字については、個社から上がってきた数字についてはあるということでございますが、金融庁はまだ精査はしていない。だから、その個社から上がってきた生数字はこうですということで結構ですということですから。

伊藤委員長 答えられますか。

 佐藤監督局長。

佐藤政府参考人 ただいま電話で取り急ぎ確認したところでございますので、ひょっとすると先般のような手違いがある可能性はございますけれども、そういう前提で申し上げますと、十八年三月期三三%となっていた会社の自殺率、一年さかのぼる十七年三月期は二八・六%、そして十六年三月期は二八・一%ということでございました。

川内委員 今、個社から上がってきたデータとしては二八・一、二八・六、そして金融庁が精査した十八年三月期の数字は三三・三%ということで、これは大臣、自殺率としては、先ほど局長さんは、高い数字が継続しているとすればそれは何か問題があるのかもしれないということをおっしゃられた。これはまだ精査されていないので確定的なことは言えないかもしれませんが、高い数字で推移をしていると言わざるを得ないんじゃないかなというふうに思います。

 大臣は、今数字をお聞きになられて、どのような御所見をお持ちになられますか。

山本国務大臣 十七社のうち最小が一三・三%でありますから、低くはないわけであります。それが著しく他を圧して高いかどうかにつきまして、しかも継続という二つの要件を重ねて考えたときに、まだ十分、私はこれで判断するには少し早急かなと思っております。

川内委員 今、個社からの数字を発表していただきましたが、ぜひ金融庁としての数字をしっかり出していただきたい。

 その上で私はお尋ねいたしますが、情報公開法五条の、人の生命、健康、生活または財産の保護という観点から、私は、十七社すべての自殺率について会社名を付して公表をすべきではないか、それが情報公開法の精神に、趣旨に合致するのではないかなというふうに思うわけです。

 大臣にちょっとこの件について最後にお尋ねしたいんですけれども、人の生命、健康、生活または財産の保護よりも、消費者金融会社の競争的地位の保護の方が政府としては優先するというふうにお考えになられますか。

山本国務大臣 この五条の意味での「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」という、いわゆる例外規定のまたその例外との関係で公表すべきかどうか、こう聞かれたら、私は、いまだ公表すべきではないという立場に立たせてもらっております。

 佐藤局長がイ及びロに両方該当するということも、私もそういう立場にも立っております。また、その競争上の地位というものが十七社同士の競争なのか、すべて登録会社あるいは実営業会社とも競争しているのかどうか、そういうような万般のことを考えた場合、直ちにこのことの結論を急ぐことは私はできないというように思っております。

川内委員 多重債務者の発生増大を防止するという政府の認識、観点、目標、我々も全く同じ認識でございます。

 多重債務に追い込まれた人、苦しんでいる方が、はあ、もう死にたい、もう死んでしまいたいというような心境に陥られたときに、大臣の言葉をかりれば、厳しい取り立てがあったのかもしれない。そういう厳しい取り立てがあったのかもしれない中で、はあ、もう死んでしまいたいと思ったときに、例えば、その方が借りている会社が自殺率が高い会社なんだということが情報としてきちっとインプットされていれば、ここで、こんなことで死んじゃだめだと思うかもしれない、また、思えるんだろうと思いますね。だから、情報を公開するというのはそういう効果があるのではないかというふうに私は思います。

 また、消費者金融のお会社も、そういうことが公開をされることによって、厳しい取り立てについて、法令にのっとって制御をきちんとされるようになるであろうという効果も予想されるし、私は、こういう情報については政府として前向きに公開をしていくということが、あるべき政府の姿、多重債務者を救っていく、発生増大を防止するという観点で非常に重要ではないかというふうに思います。

 後ろで金融会社室長が、ううん、いや、それは違うみたいに首を振っていらっしゃるんですが、それは川内さんの言うことは違う、そんなことを言っちゃ絶対だめだみたいな、首を振っていらっしゃるんですが、しかし、国民の皆さんや多重債務者の皆さんは、そういう情報がしっかりあることによって自分の行動というものが定まってくるということは確かにあるわけですから、自分もそうなっちゃいけないということを思っていただくためにも、十六年、十七年の数字についてもしっかり、個社からのデータはもう既に持っていらっしゃるわけですから、それを金融庁として精査して、ああ、これはいかぬなと思うところがあれば、ぜひ会社名を明かしていただきたいというふうに思いますが、佐藤局長、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 自殺率が最大の会社を特定して公表することにつきましては、慎重でなければならないという気持ちに変わりはございませんけれども、今般の調査結果、十月六日に公表をし、昨日訂正をさせていただきましたこの調査結果につきましては、各委員から再三の御質問をいただいておりまして、当局としても、さらなる御議論に資するような開示ができないかどうかということは検討してみたいというふうに思います。

 その際に、やはり個社名を伏せるということは大前提であろうかというふうに私ども思っておりまして、また、その場合であっても、仮に口座数であるとか、保険金の受取金額といったような実額を掲げますと、個社名の特定につながり得るということでございますので、そんなことも勘案しながら、どういった形でお示しできるかどうかということを検討してまいりたいと思います。

川内委員 ぜひ、十八年三月期の消費者信用団体生命保険実績、十七社個社のそれぞれの数字、それから十六年、十七年のそれぞれの個社の数字、それは政府が決めることですから、会社名は黒塗りになるであろうというふうに思いますが、その数字とパーセンテージの一覧表をつくって資料としていただきたいというふうに、委員長、理事会にお諮りをいただきたいというふうに思います。

伊藤委員長 ただいまの要求につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

川内委員 さらに、昨日、十一月二十二日本委員会提出資料が訂正をされたわけでございますが、この訂正の理由、誤りについて、この過ちを犯した会社は、昨日は個社名が出なかったんですが、新聞報道では、プロミスさんであるということが報道をされています。これは金融庁として確認をしていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 先ほども申し上げましたように、今般の調査は個社名を出さない前提でございますけれども、当社からは了解を得ておりますので、あえて申し上げます。

 当社はプロミスでございます。

川内委員 そうですね、了解を得れば出してもいいわけですから。こういう消費者信用団体生命保険の実績についても、十七社に、出しますよ、いいですねとお願いしてくださいよ、局長。

佐藤政府参考人 先ほども申しましたように、不開示理由といたしましては、当事者の了解ということ以外に、競争上の地位、競争的環境において営業を行っている企業の権利といったことも勘案する必要がございますので、当局からそういうことを公表するということは不適切であろうかと思います。

川内委員 ちょっと時間もなくなったので、次に行きます。

 さて、さらに、昨日私は、約定契約書に利息制限法の上限を超えるいわゆるグレーゾーン金利が明記されていたとしても、債務者にとって利息制限法の上限を超える超過金利分は無効なので支払う義務はないですよねということを確認させていただきました。

 この利息制限法の上限を超える金利分については債務者は支払う義務はないということを、法務省に確認していただきたいと思います。

深山政府参考人 御指摘のとおり、金銭消費貸借における利息の契約は、その利息が利息制限法一条一項に定める利率により計算した額を超えるときは、その超過部分について無効でございます。

 したがって、この超過部分の利息については、債務者は支払い義務を負っておりません。

川内委員 今、利息制限法を所管する法務省から、利息制限法を超える金利分については支払い義務はないということをおっしゃっていただきましたが、金融庁の三國谷局長に、きのうはちょっといろいろ注釈がつきましたので、今の法務省の、法を所管する法務省としての政府の見解はそのとおりでございます、支払い義務はございませんということをおっしゃってください。

三國谷政府参考人 この法律の所管は法務省さんでございまして、今法務省さんがおっしゃったとおりかと思います。

川内委員 それでは、山本大臣、利息制限法を超える超過金利分については、債務者は支払い義務はないということをここで御答弁いただけますか。

山本国務大臣 民事上無効でありますから、不当利得返還請求ができると思います。

川内委員 いや、不当利得返還請求ができると、専門用語を使われると、国民の皆さんはよくわからないので、支払い義務はないのだというふうに言ってください。

山本国務大臣 支払い義務はありません。

川内委員 そこで、三國谷局長、きのう、約定書にこの支払い義務はないということを明記させるべきであると私は申し上げたんですが、局長は、任意に支払う利息は有効である、あるいは任意に支払った場合は有効であるというような表現を使うというふうなことをおっしゃられたんですが、それでは、任意という言葉が消費者に物すごくわかりにくいし、裁判でも任意という言葉をめぐってその解釈がさまざまに分かれるわけでございまして、任意に支払った場合は有効になりますと書かれても、消費者はもう何が何だかさっぱりわけがわからないということになります。

 したがって、今、山本大臣が支払い義務はありませんと明確におっしゃられた、利息制限法を超える金利は消費者は支払い義務はないのであると、わかりやすいことを契約書に明記させるべきであるというふうに私は思いますし、また、同じ内容の紙を契約時に、大きな字で書いたものを別紙で交付するとか、とにかく多重債務者の発生増大を防止するという観点から、今の政府としての見解を金銭消費貸借契約証書にしっかりと盛り込ませるということを指導していくべきであると思いますが、いかがでしょうか。

三國谷政府参考人 上限金利引き下げまでの準備期間におきましては、利息制限法の上限金利を超える金利につきましては任意に支払わなければ有効な弁済とならない旨の説明義務を貸金業者に課す方向で検討しているところでございます。

 具体的に、どういった形でやれば一番実効的に、かつ消費者にわかる、こういった形で説明義務が全うされるかといったことにつきましては、今後さらに検討してまいりたいと思います。

川内委員 任意に支払わなければ有効とはならない旨の記載を義務づけていく、しかし、具体の記載の仕方については今後検討していくということでありますが、今御答弁の中に不足していた言葉は、債務者あるいは消費者にとってわかりやすく、その記載を義務づけていくということが抜けていたと思います。消費者、債務者にとってわかりやすいということが大事なんです。難しい言葉やあるいは解釈に争いのある言葉を使われても、消費者はさっぱりわからぬ、ちんぷんかんぷんで、結局、強者に巻かれていくわけですから、それは消費者、債務者にとってわかりやすく理解しやすい文言でという言葉をつけ加えていただけますか。

三國谷政府参考人 そういった御指摘の点も踏まえまして、検討してまいりたいと思います。

川内委員 だめですよ。御指摘を踏まえましてじゃだめなんです。御指摘を踏まえると、踏まえた結果無視されるというのが野党の悲しさですからね。消費者、債務者にとってわかりやすいということを、何と言えばいいんでしょう……(発言する者あり)いや、踏まえてじゃない。

 だから、言われたことを踏まえてとおっしゃったんで、消費者、債務者にとってわかりやすいということを第一義として、明確にする、そういう言葉で御答弁いただけますか。

三國谷政府参考人 わかりやすいものとなるよう、実務的に検討してまいりたいと思います。(川内委員「消費者にとって」と呼ぶ)この説明義務の対象者は消費者でございますから、そういうことでございます。

川内委員 それでは、ことし一月の最高裁判決によって、約定に利息制限法の上限金利を超える金利条項と期限の利益喪失特約の条項がある場合には任意性が否定をされるということになりました。これは、貸金業の貸し付けの、平成十八年一月末までの貸し付けがほとんどすべて該当するのではないかというふうに思われます。これらは過払い金返還請求の対象となるわけでありますが、だからこそ、今消費者金融各社は過払い金返還請求に備えて積み立てをしているということでありましょう。

 今般の改正法は、出資法を利息制限法まで引き下げた後、利息制限法を超える貸し付けについては行政処分の対象となるという改正法になっております。であるとするならば、政府がそういう方針を今後とるのであるということであるならば、この本年一月の最高裁判決によって、それまでのほとんどすべての貸し付けは、貸金業規制法四十三条を否定された、任意性を否定されたと。すなわち、すべての貸し付けについて、利息制限法を超える金利分については、行政指導によって、債務者に返還をしなさいということを金融庁として業界を指導すべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 本年一月に最高裁の判決が示されて、期限の利益喪失約款について弁済の任意性というものを厳格に判断するということが示されたわけでございます。これ以降過払い金返還請求が増加しているという実態でございます。

 もとより、貸金業者が顧客、とりわけ返済の困難に直面した顧客からの債務整理等の要請に適切に対応するということは大変重要なことだろうというふうに思っております。他方で、過払い金返還請求には、借り手と貸し手の間の民事上の権利調整、こういう側面もございますので、最終的には司法判断を要する、こういう法的な位置づけになっておるわけでございます。したがいまして、規制当局の対応としては、そういった点を踏まえた慎重な検討が必要だろうというふうに思います。

 いずれにいたしましても、今後の過払い金返還請求の動向であるとか、あるいは貸金業者における対応の状況等よく見きわめて考えていくということかと存じます。

川内委員 非常に対応としては私は消極的だなというふうに思うんですね。

 ことしの一月の最高裁判例では、期限の喪失約款がついている契約は任意性を否定されると。すなわち、期限の利益特約がついていることによって強制しているということで任意性を否定されるという判決の構成になっています。

 すなわち、契約書に期限の利益喪失条項が入っていれば、それはもう全部だめよということを言っているわけですから、山本大臣、政府は多重債務者対策本部までつくって、多重債務者の発生、増大を防止する、救済をしていくという取り組みを政府を挙げてやると。政府を挙げてやるということになっているわけですから、この契約の条項にその一文が入っていれば、ほとんどこれは過払い金返還請求の対象であるというのは間違いないわけですから、それについて、業界に対してしっかりと、この判決を踏まえてすべてのお客さんについて対応してくださいよという指導ぐらいはしないと、他方で過払い金返還請求に備えて積み立てして、見かけ上決算を赤字にして、いや、これはもう金融業界大変だ大変だと見かけ上赤字にして言っておいて、実際には過払い金返還請求はそれほどない。これでは、消費者金融会社は喜んじゃいますよ。

 だから、判決を受けて、多重債務者対策本部として、やはりこの業界を指導するというか何らかの対応をとるべきであるということぐらいは言った方がいいんじゃないかな、あるいは言うべきではないかというふうに思いますが、大臣の御所見を承りたいと思います。

山本国務大臣 判例、特に最高裁判決というものの社会的影響はかなり大きなものがあると思います。

 しかし、この判例のよって立つところは個別民事紛争における判決及び判決理由でありまして、そう考えたときに、抽象的、一般的なところまで、権利義務まで敷衍できるのはむしろ立法意思になってくるわけでありまして、その問題を今ここで議論していると思います。

 したがいまして、私から言わせれば、早急にこの法案を成立させていただいて、ぜひ、この公布、施行後、健全な社会をつくるということに帰着すると思っております。

 以上です。

川内委員 大臣に無理やりまとめられたんですが、私は、質疑の持ち時間が終了しておりますので、また次回、質疑ができるものと信じてきょうはここでやめますが、大臣、多重債務者対策本部をつくって政府を挙げて取り組むとおっしゃっていらっしゃるわけですから、例えば政府広報で、最高裁判決が出て、契約書の中にこの一文が入っていると、過払い金返還請求の対象になるかもしれませんよ、お金が戻ってくるかもしれませんよ、多重債務から解放されるかもしれませんよというぐらいは、政府として言わないと、それは民事上のことで、裁判のことは裁判で決めてもらって、私はちょっと知りませんわということで、政府を挙げて取り組むなんて言われても、これは多重債務者かわいそうですよ。何らかのことをするぐらい言ってください、ちょっと最後に。

山本国務大臣 当然、カウンセリングの内容の中にその件は入ってきますし、そうしたことを周知徹底させるカウンセリングシステムにしたいと思っております。

 以上です。

川内委員 終わります。ありがとうございます。

伊藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木でございます。

 それでは、私の方から順次御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、冒頭、団信ですね、これはもうこの審議の中で何遍も出てきておるわけでありますが、消費者信用団体生命保険、これについてお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 きのうも、我が党の長妻議員の質問に対して大臣が、「現行の法令、ガイドライン等では、貸金業者に対して、債務者に対する団信の意思確認の業務までは課しておりませんので、」こういうくだりがございました。そして、個別具体的に、各ケースにおいての意思確認まではしていないと思いますけれどもということで、続いて、後、長妻議員がまた、大変重大なことをおっしゃったんではないかということに対して、「意思確認していないんではないんですよ。法令上、意思確認をする義務はないんです。義務はないんです。だから、義務はないにしろ、一応こうした場面につきましての確認はしているという、丁寧に説明させていただいたわけであります。」こういうふうな議事録になっておるわけであります。

 そこで、もう一度この御発言についてただしてまいりたいと思うんですが、「ガイドライン等では、貸金業者に対して、債務者に対する団信の意思確認の義務までは課しておりませんので、」と、このことについては、間違いない、事実、正しいのかどうかということをまずお伺いしたいと思います。

山本国務大臣 昨日の答弁について、もう一度改めて整理して申し上げたいと思います。

 昨日の質疑におきまして、意思確認をする義務はないと申し上げましたのは、現行の貸金業規制法や保険業法上、貸金業者は債務者の消費者団信への加入の意思を確認する義務を有していないということを御説明したものでございまして、その上で、商法の規定におきましては、被保険者の同意があることが保険契約の要件になっているわけでありまして、従来より貸金業者は、借入申込書等により、借り入れ申し込みと同時に被保険者の同意を書面等の形で確認していることについて申し上げたものでございます。

 以上のとおり、昨日の答弁は、貸金業規制法や保険業法上の義務と商法に基づく保険契約成立のための同意の取得を分けて説明したものでございまして、両者が矛盾するものではございません。

鈴木(克)委員 わかりました。

 そのことにつきましては、やはり大臣は後段で、「しかしながら、従来より、貸金業者並びに保険会社におきましては、借入申込書等により、借り入れ申し込みと同時に被保険者の同意を書面等の形で確認してきたと承知しておるわけでございまして、その意味におきましては、同意をとっているということを確認してまいりました。」こういう御発言もあったわけであります。

 そこで、私が申し上げたいのは、実は私は、この件につきましては、去る十一月十七日に参考人質疑で、このことを生保の代表に、具体的には第一生命の斎藤参考人でありますけれども、こういう質問をいたしました。「この団信保険、保険加入の際、加入者の意思確認というのは一〇〇%できておるというふうに理解をしてよろしいんですか、第一生命さん。」こういうふうに私が発言をいたしまして、それに対して参考人からのお答えは、「ローンの申込書と保険の申込書が同一でありましたがゆえに、保険に御加入なさっているという部分の被保険者同意の確認が十分ではなかったという反省をしております。先ほどその部分も言及すべきだったか」ということでございます。

 私がさらに、「となると、これは非常に問題でして、商法の六百七十四条ですか、本人の同意なく保険加入がなされた場合、保険契約は無効である、こういうふうになっていますよね。これはしかし、非常に問題じゃないですかね。本当に一〇〇%確認をしておるということだからこれは成り立っておるということなんでしょうか。もう一遍確認をさせてください。」ということに対して、参考人は、「先ほど申し上げましたとおり、ローンの申込書と保険の申込書とが同一になって、保険の加入について、ローンの申込書と同一になっているがゆえに、明瞭にお客様が理解したかどうかはともかくといたしまして、そこにはっきりと文言としては記入されておりまして、したがいまして、十分かどうかという点では、確かに私ども反省しておりますけれども、これが無効というふうには考えておりません。」こういうことがあったわけでございます。

 そこで、私がお伺いをしたいのは、本当に、そういう意味合いからいって、私はその後、「反省をしておりますということだけで看過できない」ということを申し上げて次の質問に入ったわけでありますが、このことについて一度きちっと整理をさせていただきたいというふうに思うんです。

 確かに、先ほど、ガイドライン等では団信の意思確認の義務までは課しておらない、こういうことは大臣おっしゃいました。そして、私、今確認をとったわけであります。しかし、商法で明らかにそういうことである以上、しかも、当の保険会社のいわゆる代表が、十分ではなかったと反省をしておる、こういうことを言っておるわけですよね。

 そうなると、大臣がおっしゃったように、「しかしながら、従来より、貸金業者並びに保険会社におきましては、借入申込書等により、借り入れ申し込みと同時に被保険者の同意を書面等の形で確認してきたと承知しておるわけでございまして、」という部分と、私は、整合性を欠くのではないか、このように思うんですが、私の言っていることは間違いなんでしょうかね、どうなんでしょうか。

山本国務大臣 商法の六百七十四条の保険契約の要件、被保険者の同意というものは、契約の基本的な要件を示していることでございます。このとり方自体についての、表現の方に入るわけでありましょう。その表現の部分で、カーボンコピーのような形でなされることでよしとした時期もあれば、ことしの二月の監督指針の改正を行って、団信に対して、契約概要あるいは注意喚起情報、これを記載した書面を交付し、説明する義務まで負わすということに新たになった段階、こういう段階で、その表現についての認め方というものに対して多少のニュアンスのずれというものは当然出てくるのではないかというように思っております。

 したがいまして、そこはそこで、我々としましては、貸金業規制法や保険業法のいわゆる監督につきます義務と、いわゆる当事者間の契約の同意についての、契約についての表現の部分と、これがいわゆる日常的な言葉で合致していないように見受けられることのニュアンスは、それは先生がおっしゃるとおりでありますが、しかし、ここはここで、同意を得ていなくても結構だというつもりでは絶対になくて、同意は必ずとっているということの指導をしつつここに来ったというように御理解いただきたいと思います。

鈴木(克)委員 ちょっと私も頭が混乱しておるんですが。

 ちょっと事務方にお伺いをするんですが、私が申し上げたいことはよく御理解いただいておると思うんですけれども、私は前回こういうことから伺ったわけです。だれがその保険料金を払っているんですかと言ったら、それは被保険者だというお話がありました。そして、それは利息の中に入っているんだ、こういう御答弁も実はありましたよね。それで、なるほどそうかなということから始まりました。では被保険者は利息の中に入っている保険料も含めてそういうことを承知しているんですねということから、実は今の申し上げたやりとりが始まっていったわけです。

 といたしますと、もし本当に被保険者が団信に加盟したことを知らないということであったなら、これは、明らかに商法違反であるという判断をしていくということは間違いではないですね。それをちょっと確認したいんですが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 商法で規定しておりますのは、他人の死亡を原因とする保険金の支払い、そういう内容の契約をする際に被保険者の同意を得ていないことが無効である、こういうことであろうかと思います。

鈴木(克)委員 いずれにしても、何遍も申し上げておるように、十分かどうかという点では私どもも反省しておる、こういうことを当の保険会社の方が言っておるわけですよ。これを、ああそうですかというわけには私はいかない。だからこうして、くどくも何度も御質問しておるわけです。

 では、これは全く問題ないというふうに、今のところ金融庁としては御判断されておるんですか、それをもう一度御答弁ください。

佐藤政府参考人 私どもといたしましては、保険業の監督という全体の枠組みの中で、保険契約者が契約に入る際にその前提として契約の内容あるいは条件等についてきちんと理解をする、理解をした上で合理的な判断をしていただけるような、そういう環境条件を整えるということが極めて重要であって、そのために保険会社はそういった説明体制をきちんと整えるべきである、こういうことを私どもの監督指針で明示をしておるわけでございます。その際に、説明体制がきちんとしている、あるいは現場での説明の仕方も非常に要領を得ているということが結果として得られることが非常に重要だと思います。

 そういった観点から、先ほど大臣の御答弁にもございましたけれども、監督指針でそこをより明確化するということで、事前にその契約概要と注意喚起情報、この二つのカテゴリーに分けて重要な事項についてわかりやすく説明をする、こういう枠組みを整備させていただいたところでございます。

 したがって、こういう、事前にきちんと説明をする、合理的な判断をしていただけるような環境を整えるということが重要であることは私どもも強く認識をしておるところでございまして、そういった業務運営が保険会社において行われるということは非常に重要なことだと思っております。

鈴木(克)委員 では、もう一度局長にお伺いしたいと思うんですが、保険会社が、私ども反省をしておりますと言っておるわけですね。では、このことに対して金融庁は、斎藤参考人がおっしゃったときにどのようにお感じになったんですか、そこを一遍聞かせてください。

佐藤政府参考人 先ほど申し上げたような意味での、契約者がきちんと理解できるような条件整備について、必ずしも万全ではなかったということについての現状認識を恐らくおっしゃったんだろうと思います。

 私どもとしては、そういったことも踏まえて、今後、そういった説明体制の整備、それから現場でのそういった重要事項の説明をきちんと行う、こういう業務執行体制をさらに確かなものにしていただきたい、こういうふうに思っております。

鈴木(克)委員 今後は当然なんですよ。だけれども、今までこの委員会でもかなりの委員が時間をかけて、なぜこんなに団信にかかわっている人たちの自殺が多いんだ、そして現実にみずからの命と引きかえにいわゆる債務を払っておる、そこが問題じゃないですかという議論を時間をかけてやってきたわけですよね。この一番の問題のところが、本人がそれを知らなかった、しかも保険会社の方が反省をしておるという状況があるわけですよ。

 だから、そうなると、今後はもちろんおっしゃるとおりですよ、それはもうきちっとやってもらわなければいかぬわけですが、今までのことはどうだったんですか。私は前回大変申しわけない言い方をして、死人に口なしなんですか、こういうことまで言って申しわけなかったと思っておりますけれども、まさにそういう状況になってくるじゃないですか。だから、やはり私はこれは看過できないと。本当に、もしそうであるならば、今までの知らなかったことに対して何かきちっとやはりやっていかなければ、一歩前に進んでいくことはできないんじゃないかなというふうに私は思うんですが、どうでしょうか、もう一度御答弁ください。

佐藤政府参考人 契約に入ります際に、保険会社の側で重要な事項をきちんと説明していない、あるいは誤解されるような説明を堂々とやっていた、こういったケースの場合にはこれは問題になろうかと思います。

 こういったケースを含めまして、これまでも検査監督の中でそういった点をチェックし、あるいは金融庁に寄せられます苦情等も参考にして検査等に臨み、こういう対応をいたしておりまして、悪質なものについては、御案内のとおり、これまでも保険会社に対して行政上の対応をしているということでございます。

 今後とも、こういった全体の検査監督のサイクルの中で的確な対応に努めてまいりたいと思います。

鈴木(克)委員 そうしますと、行政上の対応をされるということですが、今私が申し上げたような案件について調査をする、実態を解明する、そういうようなお考え、おつもりは今ありますか、御答弁ください。

佐藤政府参考人 従来より、私ども、利用者相談室等を含めて情報が入ってまいりますし、そういった情報も参考にしながら、また一定のインターバルで行われます立入検査において、こういった説明責任をきちんと果たしているかどうかという点を検証しているということでございまして、そういった対応を今後ともきちんとやっていくということが重要だと思っております。

鈴木(克)委員 そうすると、検証しておる、検証しますということですから、当然、検証すればその結果をお示ししていただかなければならぬわけですよね。これはそういうことで間違いないかということが一つ。

 もし、その検証の結果、私が先ほどから指摘しているようないわゆる大きな問題があった、ある意味では商法に違反する行為が明らかであるといったときに、それに対してきちっとした手を打たれていくのか、その辺のお考えをお示しください。

佐藤政府参考人 先ほど申し上げましたのは、私ども日ごろから行っております情報収集、それから通常の検査監督のサイクルの中できちんと対応していくということでございます。

 そういった中で、仮に悪質な問題があったという場合には、当然にその点について保険会社に対して指摘を行い、また、もし特に悪質であって体制上の問題が深刻であるというような場合には、行政上の処分を行う、こういった流れになっていくということでございます。行政上の処分を行った場合には、その個別案件について公表がなされる、こういうことでございます。

鈴木(克)委員 くどいようですが、もう一度確認をさせていただきたいと思うんですが、現在は検証もしておる、そして行政上対応しておるということでありますが、今申し上げたような事例というのを、察知しておるというか、感じておるというか、つかんでおるというか、そういうようなことは、現段階ではどんなふうになっていますか。

佐藤政府参考人 この問題に即して個別に、明らかに問題である、行政処分の対象になるといったようなことを現時点で把握しているということではございません。ただ、先ほど申しましたように、保険会社の業務運営の上で明らかに妥当性を欠くような業務運営が行われた場合には、その処分をしているということでございます。

鈴木(克)委員 繰り返し申し上げるまでもないと思いますが、お金を借りた、そして利息の中にいわゆる団信の保険料まで入っておった、結果的にはそれを本人は知らなかった、それは商法違反であるという一つの実態があります。それから同時に、団信にいわゆるそういうことで入れたがゆえに、回収を急ぐ側が命で償えと言うのもいっぱい世間にある話なんですよね。これが今大きな社会問題になっておるわけですよ。だから、そのことをやはりきちっとしていかなければ、さっきから言っておるように、前へ進めないんじゃないかということを私は申し上げたいわけです。

 大臣、いかがですか。くどいようですけれども、私はこのところがどうしても、きちっとしない限り進んでいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 参考人のおっしゃる反省しているというその表現が、個別な、具体的な、いわば同意をとらずしてというようなケースがあり、そのことを金融庁として把握することができましたならば、そしてそれがさらに自殺へ追い込むような、取り立てにおける違法行為というようなものまで発展するということになることを把握したならば、断固とした対応をとらざるを得ない、また、とっていく所存でございます。

鈴木(克)委員 このことはまた同僚の方から関連で出るかもしれませんが、私は次に質問を移らせていただきたいと思います。

 今、大臣、本当におっしゃっていただいたように、ここが一番大きな社会問題であるし、ここの解明をやはりきちっとしていくというのは、私は金融庁に課せられた責務だ、そして国民はそれをまた願っておるわけですから、ぜひひとつきちっと対処していただきたい、重ねて申し上げておきます。

 さて、次に、利息制限法の規定を明記すべきだということで、午前中も増原委員がいわゆる可罰的違法性ということでおっしゃったわけでありますが、午前中の質疑で、いわゆる利息制限法を超えた金利はもう支払いの義務がないんだということは、もうこの委員会で何度も確認された事実だと私は思います。川内議員もそのことを何遍も聞かれて、それは支払い義務はありませんということを言われました。

 そこで、もし支払い義務がないということがはっきりとしておるならば、これはぜひ法務省にお伺いしたいんですが、いわゆる貸金業者が利息制限法に規定した利息を超えた契約をした場合、当然刑事罰対象にしてしかるべきじゃないのかな、私は逆にそういうふうに思うんですね。そこのところをきちっとしておけば、何も混乱はないし、国民の側では誤解も出てこないというふうに私は思うんです。

 増原委員がおっしゃったように、可罰的違法性ということをこの際きちっと、支払い義務がないというお互いの確認であるならば、むしろ罰を科していくというのも、かえってすっきりした法律になっていくというふうに私は考えるわけでありますが、法務省としての見解をぜひ聞かせていただきたいと思います。

三浦政府参考人 御指摘のように、利息制限法の上限金利を超える部分はもちろん無効でございまして、今回の法改正におきましては、いわゆるみなし弁済規定が廃止される等々の措置によりまして、この利息制限法の上限金利を超える利息を行った、そういう契約を締結したという場合には、その貸金業者に対して行政処分が科し得るということになっているわけでございまして、そういう意味で、貸金業者がこの上限金利を超える利息を受領することに対しては、明確かつ厳格な規制がなされるというふうに考えているところでございます。

 他方、出資法の方でございますが、こちらは刑事罰則でございます。こちらの方は、違反者に対しまして厳正に対処し、これを取り締まるということが期待されるといいますか、そういうものでございますので、そういう刑事罰則の適用という観点からいたしますと、その構成要件、犯罪成立要件というものはできる限り簡易かつ明確なものであるということが必要でございまして、そうすることによりまして、そういった違反に対する摘発、検挙というものが実効的に行い得るというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、このような観点から、出資法の高金利の罪につきましても、元本額によって上限金利を異にするというよりは、一律に上限金利を定めるということが望ましいというふうに考えたところでございます。

鈴木(克)委員 そうすると、ちょっと私、理解力が乏しいんですが、法律に書き込む必要はないということでいいんですか。それを今おっしゃったんですかね。もう一度御答弁ください。

三浦政府参考人 利息制限法の上限金利を超える貸し付けについては、まさに利息制限法とそれから貸金業規制法の改正によりまして、きちんとした規制がなされるということでございます。

 出資法の刑事罰則につきましては、まさに違反者に対して罰則、刑罰を科すという観点から、どういう構成要件が望ましいかというふうに検討されるべきでありまして、その意味では簡易かつ明確なものが適当だということで、一律に上限金利を定めるということが望ましいと考えたものでございます。

鈴木(克)委員 ちょっと私、理解ができないんですが。

 今回の法改正の最大の目的というのは、いわゆるグレーゾーン金利を廃止するということですよね。これは廃止になります、これは私にもわかるわけですね。利息制限法を超えた金利は支払い義務がない、このことも確認をいたしました。であるならば、いわゆる刑事罰対象になるということを明確にすればいいんじゃないかというのが私の考えなんですが、それは違うんですかね。違うんですか。それを御答弁いただけますかね。

三浦政府参考人 申し上げておりますのは、利息制限法の上限金利を超える契約部分というものは無効であるということでございまして、それに違反する契約を行った貸金業者に対する処分もきちんとなされるということでございます。その問題と、どの範囲でまさに刑事罰則を科すかということとは別問題でありまして、まさにその取り締まりを実効的に行うという観点から、利息制限法の上限金利を超える場合すべてについて罰則を科すというよりも、言いかえれば、元本額によって上限金利を異にするというよりも、一律に上限金利を定めるという形で罰則の構成要件を定めた方が望ましいということで、このような形にしたということでございます。

鈴木(克)委員 まだ、私自身はまた勉強させていただきますけれども、やはり法できちっと規制をしていくべきだというふうに思っておりますので、そのことを申し上げていきたいというふうに思います。

 次に、契約書等の、金融庁のいわゆる監督強化ということについてお伺いをしていきたいんですが、今回の改正案では貸付金の総量規制の導入が図られておる、これははっきりしていますね。そして、それには借り手の返済能力を調査するというのが義務づけられていますよね。これも間違いないというふうに思います。そして、総借入残高が年収の三分の一を超えると返済能力を超えた貸し付けだ、こういうふうになっていますよね。このことも間違いないと思うんです。

 しかし、要するに、借り手の返済能力の調査を行わない違法な業者が出てくるということは考えられないんだろうかということなんですね。それには、収入欄の記載がない等、ずさんな契約が交わされることのないように、金融庁の監督強化というのが私は必要ではないのかなというふうに思うんです。具体的には、例えばその記載内容や年収等の資料を貸金業者が借り手から取得しているのかどうかというチェックをするとか、また、立入検査等も含めて厳しい指導をしていく必要があるというふうに私は思うんですが、その辺は、いわゆる監督強化について金融庁はどのようにお考えになっておるのか、お示しをいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 私どもの監督の強化については御指摘いただいたとおりであろうかと思います。

 総量規制の導入、これは過剰貸し付けを抑制し、今回の法改正の目的の一つである多重債務問題の解決ということを図るための大きな柱でございますので、貸金業者に借り手の返済能力の調査を義務づけるという枠組みになっているわけでございます。その際、過剰貸し付けを防止するためには借り手の返済能力に関する調査の精度を上げるということが重要でございますけれども、そのためには、借り入れの状況とともに、返済財源となる収入の状況についても正確に把握する必要があると思います。

 今回の改正では、多重債務問題の深刻化を踏まえまして、債務者の返済能力の調査義務、そして過剰貸し付けの禁止について、これを規制の実効性を確保するという観点から、違反があった場合には行政処分の対象となるというふうに位置づけておるわけでございます。

 この過剰貸し付け防止につきましては、貸金業協会に自主規制ルールを制定させ、当局が認可をするという枠組みを今回の改正で織り込んでおるわけでございまして、自主規制機関としての貸金業協会に対する監督の強化ということも重要であろうかと思います。また、さらに、過剰貸し付けの抑制のためには、指定信用情報機関が今度導入されますので、この信用情報機関に対する検査監督ということも重要になってくるというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、多重債務問題の防止のための検査監督の強化に取り組んでいくことが重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

鈴木(克)委員 ぜひ、本当に指導監督の強化というのをきちっとやってもらいたいというふうに思います。多重債務に陥ることのないような、制度として実効性のあるものにしていっていただきたいなというふうに私は思います。

 次に、高齢者についてお伺いをしていきたいんですが、やはりこういう形の中で被害を受けられるのは、高齢者が被害を受けられる可能性が非常に高いんじゃないかなというふうに思うわけですね。金融庁はどのように監督強化を高齢者問題に対して考えておるのか、その点をお示しいただきたいと思います。

三國谷政府参考人 私ども、これまでも、例えば金融商品取引法等を初めといたしまして、基本的には適合性原則、こういったものの充実強化に努めてきているところでございます。いずれにいたしましても、顧客に見合った説明をする、そういったことでございまして、その中で、高齢者であれば、いわばその知識等において、判断力等におきまして、そういった被害に遭う方がふえているといった傾向があるとすれば、当然そういった方々に対しましては適合性原則が強く働くという形でございます。今回の貸金業規制法案におきましても、適合性原則あるいは再勧誘の禁止といったものを制度として導入いたしまして、その適正化を図ってまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 ぜひ、弱者、高齢者、そういう方々が本当に悲惨な被害に遭っていくというようなことのないようにやっていただきたいと思います。

 時間もあれですので、最後の質問にさせていただきたいと思います。市町村相談窓口について、ちょっと私も前職の立場でこのことについて気になっておりますので、最後の質問をさせていただきたいと思いますが、多重債務者の相談窓口としては日本クレジットカウンセリング協会の機能強化、機能の拡充というのが必要だというふうに思うんですが、それともう一つ、市町村に相談窓口を設置する、こういうようなことも聞いておるわけであります。

 全国約一千八百の全市町村に多重債務者相談窓口を設置するということを検討されておるというふうに聞いておるんですが、その相談窓口を設置しても、実際に多重債務者の相談に乗る相談員にいわゆる専門的な法律の知識がなければうまく機能しない、私はそのように思うんですね。当然そうなると、これはわかりませんが、市町村の公務員が相談窓口で相談に乗るということになると思うんですが、専門的な知識にも欠けますし、やはり私はそれだけでは問題があるというふうに思うんですね。弁護士や司法書士といった、まさにそういう専門家を市町村に派遣するような、そういう体制をとっていく必要があるんではないかなというふうに思うわけでありますが、そのことについて金融庁はどんなふうに今お考えになっておりましょうか。

三國谷政府参考人 先生御指摘のとおり、多重債務者対策といたしましてはカウンセリングが大変重要と考えております。御指摘のとおり、日本クレジットカウンセリング協会やそういったもののほか、やはり地方自治体を含めましたそういった機関とのネットワークの構築が大変重要な課題になっていると考えております。

 こういったことにつきましては、今後、多重債務者対策本部におきまして、関係省庁とも連携しながら検討してまいりたいと思いますが、この多重債務者につきましては、法律的な知識が必要である場合、あるいは家計管理的な相談が必要である場合、あるいは窓口の紹介が必要である場合、多種多様な形態があろうかと思います。それぞれ専門的知識を持たれた方々がそれぞれの持てる力というものを糾合していくということが大変大事かと思っております。その意味で、弁護士の皆様でございますとか司法書士の皆様でございますとか、あるいはカウンセラーの皆様、こういった方々の広範な御協力もいただきたいと私どもは願っているわけでございます。

 こういったことも含めまして、先生の御指摘を十分に踏まえながら、多重債務者対策本部等におきまして、関係省庁ともども検討してまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 市町村に相談窓口を拡充していくということでありますが、当然、これは予算がかかるわけであります。そこで、新年度の予算では遅いのではないかなというふうに私は思いまして、やはり十八年度の補正予算にこの多重債務者関連予算を計上する必要がある、このように思うわけであります。

 その辺について、これは大臣にお伺いした方がいいのかわかりませんけれども、今、いかがお考えになっておるんでしょうか。窓口をつくる、つくっていくにはお金がかかる、お金がかかるには新年度予算では遅い、十八年度予算で計上する心づもりはあるかどうか、その辺をお聞かせください。

山本国務大臣 今後設置される多重債務者対策本部、その議論の中身とあわせまして、おっしゃる補正の可能性も探ってみたいというように思っております。

鈴木(克)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 貸金業法の改正案につきまして、質疑の機会をいただきました。もう既に先輩諸氏、同僚議員の皆さん方、ここで大変格調高くまた議論を闘わせておられますが、私は、現場に基づいた、あるいは現地に足を運び、そしてそこで得た情報から、この貸金業法の改正案につきましては、いわゆる消費者保護の観点、そして一方、監督局なる金融庁、行政当局が健全な市場をいかに育成していくかといった観点、またさらにはこうした消費者や、あるいは市場の健全性の中で、一方、やみに埋もれていくやみ金融等々の実態を踏まえた今後の新たな貸金業をめぐる金融市場をどのように考えていくべきかといったことも踏まえて、大臣からの御答弁をいただきたく質疑に立たせていただきました。

 さて、皆さんのお手元には、委員長のお許しをいただきまして配付させていただきました資料がございます。

 この資料の一枚目をごらんください。

 これは、ある貸金業者からお金を借りられた、Aさんと仮に申し上げておきますが、そのAさんが結ばれた金銭消費貸借契約の契約書そのもののコピーでございます。日付は、平成十八年一月十二日。本年一月十二日に百五十万円の金消契約を結んだというあかしの書類でございます。見ていただきますと、一枚目には「百五十万円也」と。これが平成二十四年までの返済期日ということでお金を借りられたわけであります。これらはいわゆる登録済みの貸金業者であります。

 この金銭消費貸借契約を結ばれたAさん、この方が百五十万の契約を結ばれたわけですから、お金を百五十万借りられると通常は考えるわけでありますが、実態としてはどうなっているかということをこの書類を見ながら御説明したいと思います。

 三をごらんください。

 ここには「融資諸費用明細書」というのがございます。ここでは、百五十万のお金を借りるのに、三十三万一千五百円を融資諸費用としてこの段階で払っている、つまり百五十万から差し引かれる状態になっています。一月十二日ということでありますね。

 そして、こうした諸費用が支払われ、さらには、四をごらんください。

 これは「お預り証」と称しておりますが、ここで五十万円を貸金業者が預かるという形で、これを渡さないでいるわけであります。つまり、この百五十万の金消契約を結んだAさんは、八十三万一千五百円、これだけを差し引いたお金しか手にすることができない。

 そして、この預かり証の実態は、これをごらんいただくと、このように書いてあります。この預かり証は、2のところでございますが、「頭書貸付金は、前項期限を最終貸付日とする分割貸付です。」と。これを見ますと、期日は一月十七日。つまり、五日後に分割でお金を貸しますからこれは預からせていただきますという形で、渡さないんですね。結局、百五十万の金消契約を結んだAさんは、手元には六十数万しかない状態で百五十万の債務を負う形になります。

 さて、このような形でお金が、ある意味不当な形で貸付業者、貸金業者にとられた場合、これらに対してはみなし利息という形で見ていくんだということが今回の出資法並びに利息制限法等々で改正がなされております。

 現行法におきましても、これについては同様の規定がございました。このみなし利息の規定は、現行法では、これは利息制限法におきましては、例えば第三条ですね。皆さん方、何度も触れておられるところでありますが、改めて私申し上げますが、礼金、割引金、あるいは手数料、調査料その他何らの名義をもってするを問わず、これを利息とみなすということで、みなし利息と見られている。

 そして、今回も、ここは「何らの名義をもつてする」を「いかなる名義をもってするかを問わず、」このように改正がされ、そして、みなし利息の特則として、適用除外ということで、公租公課、公的機関の費用あるいはATM等、これらに関するもの以外はみなし利息の特則として適用しないんだ、このように明文化されたということであります。

 ところが、私、こうした実態を見るにつけ、現行法でも今既に、何らの名義をもってしても、このような形で預かった、貸付業者側が持ったお金というのはみなし利息、すなわち利息とみなすという法律がございます。それでも、実際には、脱法行為あるいは潜脱行為という形でこのような状況が起きている。この実態に対して、果たして本当に今回の改正法の中でも厳しくチェックはしていけるのかということを私は危惧するわけでございます。

 この預かり金、今回は、この場合は預かり証という形で預かり金と称しています。もちろんさまざまな名目は幾らでもつくれるでしょう。だから、今回の法改正においては、特則の中で、これら以外はすべてみなし利息とする、このようにカバーをされているんだという御説明を私も聞いております。

 しかし、現行法上でも既にそのカバーがなされている、現行法上でも既にあらゆるものが利息とみなされるという規定であるにもかかわらず、こうした状況が横行しているということに対しては、いかがお考えでしょうか。大臣、お答えいただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 御指摘いただきました出資法上のみなし利息につきましては、金銭の貸し付けを行う者がその貸し付けに関し受ける金銭は、何らの名義をもってするものを問わず利息とみなすこととしているという従来からの法務省の解釈に従って、私どもも厳正に指導監督を行っているところでございます。

馬淵委員 現行法でも定められていたにもかかわらず、結局は横行しているという事実なんですね。私も、サラ金業あるいは貸金業のところにも足を運んで、実際にお金を借りたいということの申し出もして、その契約の手続等も見てまいりました。現実にはお金を借りることができなかったわけでありますが。しかし、このように、契約書を見れば、横行している現実があります。

 さて、これだけにとどまりません。資料の五をごらんください。分割貸し付けという形、すなわちその条件は、保証人を連れてくるということになっております。この「後日連帯保証人をたてる確約書」というのを見ます。

 ここで、百五十万を貸したんだけれども、一月十六日までに連帯保証人二人を立てる、これが重要な要素だということで、確約書にサインさせられたわけですね。そして、二名を立てない場合は期限の利益喪失という形になります。そして、二名の方の名前を、ここで連帯保証の承諾を得る予定として、確約書を書いておられる。

 この連帯保証人をとること。保証人をとること自体は、商人の商行為の中で、私はこれが違法行為に係るとは言いません。しかし、この保証人をとる行為の中で、これに続けて書類をごらんください。六をごらんください。この貸金業者の保証人の規定。

 例えば、勤務先が、百名以上在籍する企業、そして職場の業種などが客観的に把握可能な方、国家公務員や地方公務員と書いてあります。あるいは、勤続年数が十年以上。そして、保険証は社会保険や組合保険、共済保険。年齢、二十八以上五十五歳未満、定年まで六年以上。過去、現在も消費者金融の利用が一切ない方を保証人として二名連れてこいとなっています。これはなかなか厳しい条件ですよね。

 そして、これまたすごいんですね。下をごらんください。「保証人の規定にあう方でも以下の方は保証人としてお受けできません。」と。1、女性。これは女性がだめだと言っているわけですよ。そして、これはちょっと驚きますが、2、保険外交員。3、有限会社にお勤めの方。4、上場会社以外の、建築業、不動産業、商品取引、運転手、プロダクション、貴金属販売業、金融機関、ただし銀行、信用金庫を除く。貸金業者の方はだめなんですね。(発言する者あり)いや、これは事実なんですよ。これは現実の書類なんですね。

 このような方を保証人として二名お連れできる方が、果たして、このように預かり金として五十万、あるいは諸費用として三十数万円も払わなければならない貸金業者に行かれることがあるでしょうか。これは現実にはあり得ない。つまり、保証人が立てられない前提を立てているだけなんです。だから、この預かり証の五十万は、残念ながら百五十万の債務を負った方に渡ることがなかったんです。

 このように、私が申し上げたいのは、法の規制は過去にもありました。そして今回もそれを踏襲している、このような形でありますが、現実には潜脱行為、脱法行為が横行しているんですね。私は本当にこれは大変な問題だと思うわけでありますが、これは今回の法改正の中で、確かにみなし利息の特則という形でカバーをした、これ以外はすべてみなし利息なんだとカバーをしたわけでありますが、こうした現状をごらんいただいて、大臣、果たしてこれが十分なのかということについて御見解をいただけませんでしょうか。

山本国務大臣 先ほどの先生の資料の中にあるように、貸し手と借り手というものが対等の地位にいて対等の契約をするということを前提に、民法典、契約法というのは成り立っていると思います。しかし、現実の社会の中で、貸し手と借り手は地位が少し違っております。貸し手の優越的地位を利用して契約を強要するというような場面がありますれば、適正な監督を行ってまいらなければならぬというように思っております。

馬淵委員 例えば、適正な監督というのは、これは局長で結構ですが、具体的にはどういう形でこのような潜脱行為というのを監督されるんでしょうか。端的にお答えください。

佐藤政府参考人 私どものところには利用者相談室という組織がございまして、ここにさまざまな苦情とか相談とかが参ります。あるいは、これとは別のルートで苦情等が参ることもございます。それから、通常の検査監督の中で個別の事例が把握されることもございます。

 こういったルートを通じて把握されたそれぞれのケースにつきましては、事実関係をよく確認し、それが法令に違反しているということであれば厳正に処分を行う、こういう対応をいたしております。

馬淵委員 監督をする側としては、苦情あるいは検査という形以外にないのかもしれません。今の御答弁をいただいて、それを一生懸命やるしかないというお話を聞いても、では、それこそ一斉に網の目をかけるようにということはなかなかできない。

 これも私は理解はできますが、しかし一方で、今回の法改正の中で、何度も申し上げますが、現行法でも同様に厳しく、手数料等々その他何らの名義をもってしてもこれは利息とみなすとしている、その中でもこうした行為が行われる。今回も、さらに適用除外規定を三項目挙げた、カバーをしているといっても、私はそれだけではこうした行為が本当におさまるのかというのは甚だ疑問なんです。

 そこで、大臣、私はここでは、こうしたかかる行為、預かるという行為を含めて、行為規制にまで踏み込まなければならないのではないかということを申し上げたい。

 今回、さまざまな金融のその行為の中で、とりわけ預かるという行為、あるいは会社等においてもこれは特別なことではありません。しかし、この貸金業の中では、多重債務問題も含めて、極めて情報の非対称性が激しい。債務者が追い込まれる状況でこのような確約書を書かされたり、途方に暮れるような保証人の規定を示されて、そして、もうやむにやまれず百五十万の債務をそこで負ってしまう。しかし、手にするのは半分以下の六十数万ですよ。私は、ここは単に利息とみなすということで果たしていいんだろうか、いや、むしろこれは行為規制にまで及ぶべきではないのかと思うんです。

 例えば、これは預かり等々いかなる名目をもってもこうした行為そのものを規制するということをここの法改正の中では盛り込むべきではないのかというのが、きょう、私の大臣に対する御質問なわけですが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 例えば、今改正におきます金利の概念というものについての整理がございます。公租公課、ATM手数料を除くほかはいかなる経費も金利というように位置づけて、さらに、貸付利息と保証料につきましても、これを合算して上限金利を超過した場合は超過部分は無効とするというような概念を新たに設けました。

 そしてさらに、自主規制を入れておりますし、そしてさらに、そうしたことに対してなお不明な部分があれば報告徴求、そして業務改善命令等々でしっかりした監督を果たしていく所存でございます。

 もし、万が一、それにもかかわらず脱法的な行為があるならば、絶対逃さないという覚悟でやっていきたいと思っております。

馬淵委員 金利の概念の整理は私も存じ上げておりますが、では、それならば大臣、この自主規制の中で、監督局としてこうした行為規制にまで踏み込むような指導というものをお考えにはならないですか。いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 出資法の上限金利違反に該当するようなケースとしてさまざまな要因が考えられるわけでございますけれども、その要因につきまして、私どもの監督指針で、こういったことをやった場合に、それがみなし利息と算定されて、それを合算した結果上限金利を超えるという場合には処分の対象となる、こういう整理が可能であろうかと思います。

 そういう意味では、私どもの監督指針の中でも、そういったケースというものが、それに基づいて計算されたみなし利息が出資法上の金利に該当するという整理をすることは可能であろうかと思います。

馬淵委員 罰則強化等々で、今、出資法上の規定を超えた部分については監督することは可能だという御答弁をいただきましたが、現行で、とにかく私が申し上げたいのは、横行しているんですね。そして、何度も申し上げるように、債務者の方々は必死の思いでそこにたどり着いて、そして実に債務の半分以下のお金を手にすることしかできない状況に追い込まれる、厳しい状況に追い込まれるわけです。

 ぜひ、そこは、私が申し上げた行為規制。これは、行為規制を今おっしゃったのは、監督として厳しく見ていくということの趣旨を答弁いただいたと思いますので、それについてはしっかりした取り組みを改めてお願い申し上げたい。

 さて、この契約書の二をごらんいただきたいんですが、もう一つ私が御指摘したいのが、二のところの下の方、「第六条〔期限の利益喪失〕」の件について御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 ここは、期限の利益の喪失は、支払いを一回でも怠った場合、あるいは債務の一部でも遅延したときには、期限の利益を喪失するということになります。これは一般的な契約の中には多々盛り込まれる部分ではないかとは思いますが、こうした期限の利益の喪失条項。ただし、貸金業にお金を借りる方々あるいは多重債務の状況に陥る方々は、どうしても弁済がおくれがちになったりする。しかし、これはたった一度でも支払いを怠ったら、あるいは債務の一部でも遅延した段階で、期限の利益喪失という状況になる。そうなりますと、今日でも一・四六倍の遅延損害金の請求になるわけです。

 もちろん、ここに関しては、これが上限金利を超えたものについては無効であるという今回の法改正になるかと思いますが、そもそもこうした貸金業の契約形態の中では、この期限の利益の喪失がたった一回の支払いの遅滞によって生まれてしまうのは過分に酷ではないかということを私も感じております。

 これについては、日弁連などが、割賦法の五条などに示されるように、二十日間以上の期間をもって書面によって催告をする等の方法がとられるべきではないかといった指摘もなされておりますが、これについてはいかなるお考えをお持ちでしょうか。御答弁いただけますでしょうか。

    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕

三國谷政府参考人 現在、貸金業者との契約に限りませず、いわゆる金銭消費貸借契約には、延滞等の場合に期限の利益を喪失する旨の条項が付されていることが多いと承知しております。

 期限の利益喪失条項自体は、債権保全のための手段として一定の合理性を有していると考えておりまして、仮にこれを認めないといたしますと、債権者は、担保徴求その他の債権保全手段、こういったものを講じるか、あるいは金利に上乗せをするなどの措置をとることも考えられますことから、これを禁止とかということは慎重であるべきと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、貸金業者が借り手からの支払い遅延の申し出等につきましては適切に対応していくということが必要であろうかと考えております。

馬淵委員 これは、サラリーマン家庭の方々が多く組まれる住宅ローン等でも、場合によって銀行の引き落としに残が十分なかった、こういった場合もあります。しかし、こういった場合でも、銀行等は、催告によって、当然次の引き落としの期日を指定して、それまでに入金をお願いしますといった柔軟な対応をとられる。

 これは、一般の銀行等々のローンであればきちっと弁済されるという前提を持っておられるということだとは思うんですが、この貸金業の中では非常に厳しい状況に追い込まれる方も多々おられるという状況を考えれば、今のお話の中でこういった契約の形態そのものは一般的であるかと思うというのは私もそこは異論はございませんが、さらに踏み込んだ期限の利益喪失の条件というものを考えていってもいいのではないかという御指摘をさせていただいているわけであります。それについてはいかなるお考えをお持ちですかということを改めてお答えいただけますか。

三國谷政府参考人 期限の利益喪失条項を一般的に規制するということは、これはなかなか、別な問題も生じるかと思っているところでございますが、一方、今回の改正におきましては、ただいま御指摘ありましたように、遅延損害金の上限、これがこれまでの二九・二から二〇%に引き下げられることになっております。こういった形で借り手の負担を軽減することとしているところでございます。

 いずれにいたしましても、借り手からの支払い遅延の申し出につきましてはさまざまな形態があろうかと思いますが、これに対しましては、適切な対応ということはそれぞれの機関におきまして行っていただきたいと考えているところでございます。

馬淵委員 契約行為そのものの中でこの条項を見直すのは難しいという改めての御意見でございますが、私は、先ほど申し上げたように、割賦販売法等でそうした二十日間以上の期間をもってということが現実に行われているわけですから、貸金業においても検討すべき課題ではないかということを改めて申し上げておきたいと思います。

 さて、こうした非常に弱い立場の消費者の方々が、なかなかに厳しい条件の中でお金を借りられるわけでありますが、お金を借りた方々の支払い、いわゆる過払いのことについてお尋ねをしていきたいと思います。

 この過払いが起きているかどうかということについては、当然ながら御自身が十分に把握をされているということも必要なのかもしれませんが、なかなか現実には気づきにくい。自分がいつどれぐらいお金を借りて、幾ら返しているかというのは、正直言うと明細が送ってこられないとわからないという方が多数いらっしゃいます。自分は過払いになっているかどうかというのがわからないから、ではどうするかというと、結局は借りた会社に対して自分の取引履歴というものを開示していただくしか方法がなくなります。

 お渡しした資料の八をごらんください。これは貸金業者に対して債務者がどれぐらいお金を借りてきたかという取引履歴を開示してほしいということの請求をしたことに対する通知書です。この八には「当社規定に基づき過去十年間の資料による最大限の開示を行っており、これ以上の開示は不可能な状況にあります。」と書いてあります。九、これも同じく貸金業者から、「当社の開示できる期間は十年の為、左記期間にてご協力を頂いております。申し訳ございませんが、ご提示しているデータでご検討くださいます様お願い申し上げます。」ということで、十年分しか出せませんという回答です。十をごらんください。これも同様です。ここにも「取引履歴開示の件ですが、約十年分の取引履歴しか保存されておりません。それ以前の取引履歴に関しましては、開示をすることが出来かねますので、大変申し訳ありませんが、ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。」このように返ってくる。横並びでこのように十年で返ってきてしまうんですね。

 みずからが過払いであるかどうか、その帳簿の開示についても、今回の法改正では帳簿開示の請求についてはこれは拒否できないという形で、改めて改正がなされる、このことにおいては私は非常に意味があると思います。しかし、現実問題、十年を超えれば過払いになっている可能性が高い。グレーゾーンのところで過払いになっている可能性が高い。だから、十年以上の帳簿開示、取引履歴の開示というものは求められることができないような現状、なぜ十年ということになっているとお考えでしょうか。これは局長で結構です、お答えいただけますか。

三國谷政府参考人 現行の貸金業規制法につきまして御説明を申し上げますと、これは貸し付けに係る紛争が生じた場合の証拠とし、債務者等の利益の保護を図る観点から、貸金業者に貸付契約につきまして契約年月日、貸付金額、受領金額等を記載した帳簿の保存を義務づけているところでございます。この施行規則におきましては、その保存期間は契約に定められました最終の返済期日から少なくとも三年間と定められているところでございます。

 また、債務者からの取引履歴の開示請求に対しまして、貸金業者が帳簿は既に廃棄済みである旨の回答を行う事例があるとの指摘、これはただいまもいただきましたし、そういった事例があることは承知しておりますので、私ども、今後、紛争解決の観点から帳簿保存義務を課していることや、あるいは実務上の観点にも留意しながら、保存期間の見直しを検討してまいりたいと考えております。

馬淵委員 見直しは結構です。施行規則十七条に、「最終の返済期日から少なくとも三年間保存しなければならない。」これは現行ですよね。

 さて、規則はこれからまた検討されるということでありますが、今私がお聞きしたのは、いいですか、十年というのが横並びで出てくるわけです、この十年の保存期間、これはどういうことだと思われますかという質問なんですが、お答えいただけますか。

三國谷政府参考人 この十年は、商業帳簿とかそういうことも関係しているのかと思いますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この帳簿の保存期間につきましては見直しを検討してまいりたいと考えております。

馬淵委員 見直しを検討されているのは聞きました。十年というのは、これは社内規定というふうにおっしゃっておられますね、この書類を見ますと社内規定でとなっておりますが、その根拠としては、商法の十九条あるいは会社法の四百三十二条等で書かれている保存期間、いわゆる商法上の帳簿閉鎖から十年間、これが恐らくは根拠になっているんだろうと思われます。

 このように、商法、会社法等によって、あるいは商人の帳簿の保存期間が十年、これは商取引においては、会社として存置する部分、これは十年間で、一通りそれをしっかり保存しておけば会社の今日までのあり方というのがわかるということであるかと思いますが、今回のこの取引の履歴というものは、個人の情報なんですね、マーケット情報なわけですよ。つまり、お客様情報であるがゆえに、会社の経営のさまざまな計数管理のための帳簿とは性格を異にすると私は思っています。

 さて、こうした帳簿についてしっかり開示してくださいねということをお尋ねしても、それはなかなか返ってこなかった。しかし、これについては、最高裁の判例が出ました。ここでも何度か議論に上った話でございますが、資料七に改めて載せております。

 平成十七年の七月に、過払い金等の請求事件の最高裁判例として、これはお手元の資料では裁判要旨のところをごらんいただいたらいいと思うんですが、ここで最高裁の判断としては、信義則上、取引履歴を開示すべき義務を負うと。これはあくまで、最高裁の判断としては、信義則の上で開示義務を負うんだ、こう示されています。

 ところが、信義則の上でと言われているだけで、実際には、この十年というところでぽんと区切って、商法で十年しか保存する義務がないからということで、それ以上はありませんということで、過払い請求等については、十年内で過払いがある方はもちろん返還請求できるでしょうが、十年を超えての方々は、ここがはっきりしないままになる。

 そして、こういう状況の中で、過払い金の有無を確認するために文書を出してくれといった紛争があちこちで起きています。

 十一をごらんいただきますと、これは、文書提出命令が裁判所から貸金業者に出された。そして、この文書というのは、帳簿です。帳簿の提出命令が裁判所から出たわけですが、それに対して、貸金業者から抗告、それに対して異を唱える訴えが出たわけであります。

 その異を唱える訴えに対して、ここでは東京高裁の書類でございますが、十二をごらんください。十二で、文書の管理や廃棄方法は文書所持者内部の問題であるとして、十年経過後の取引文書の廃棄は貸金業法に違反する行為ではない、社内規定として各書類の保存年限を定めているんだということで、これは、もともと十年以上持つ必要もないし、貸金業法に違反する行為でもないから、自分たちで決めている十年で捨てて問題ないんだ、このように抗告人が主張された。

 それに対して、東京高裁の判断は、下のアンダーラインのところをごらんいただきますと、裁判所としてはこのように判断をされています。「本案事件のように、」と。この事件は、過払い金の有無を確認する文書提出命令の請求などをされて抗告が起きたということなんでありますが、これを一般論としてとらえていただきたいんですが、「十年を超えて過払金の有無が争点になる訴訟が提起されることは容易に予想することができ、そのような訴訟では十年を超える取引履歴が重要な問題になることは明らかであるにもかかわらず、十年間で他の記録媒体を廃棄する合理的理由も十分説明されているとはいい難い。抗告人の上記主張は採用することができない。」として、東京高裁は、こうした十年で書類は捨てていますという貸金業者の主張に対して、この抗告を退けているんです。しかし、この書類の提出の命令が出ても、ないと言った場合に、もうそれ以上あと踏み込みようがないわけです。

 さて、こうした貸金業の帳簿の開示、取引履歴の開示については、先ほど局長は、取引終了後から三年という年限に対しては見直しを図るとおっしゃいました。では、最長は、これは三年を超えて、先ほど私が指摘をさせていただきました商法に規定する十年ということになるんでしょうか。お答えいただけますか。

三國谷政府参考人 まず、今回の改正では、第十九条の二というのを新設いたしまして、「帳簿の閲覧」といたしまして、債務者等または債務者等であった者等は、貸金業者に対しまして帳簿の閲覧または謄写を請求することができるという規定を一つ導入しているところでございます。

 その上で、帳簿の見直し期間でございますけれども、現在の規則というのは、これは最終の返済期日から三年間という形になっているわけでございます。今後これをどういった形でするかということにつきましては、過払い金返還請求権の消滅時効、こういったことなども踏まえながら、実務上のいろいろな観点等もよく聞きながら、この期間というものにつきましては適切に設定してまいりたいと考えております。

馬淵委員 局長、私の質問をもう一度しっかり聞いていただきたいんですが、今現行で貸金業者が主張しているのは、商法の規定の十年という帳簿の存置期間、帳簿閉鎖後の十年、これを盾にされているわけですよ。そして、三年の見直しというのを、では、この十年を最大とせざるを得ないのかどうかという見解をお尋ねしているんです。お答えください。

三國谷政府参考人 現在の私どもの最終返済期日から三年間と、それから十年との場合では、個別によるかと思いますが、その起算点が違うところもあろうかと思います。

 私どもといたしましては、現在、最終の返済期日から三年間というこの期間につきまして、これは、過払い金返還請求権の消滅時効、こういったものも考えながら適切な期間を設定してまいりたいと考えているところでございます。

馬淵委員 局長、だから、私の質問をもう一度繰り返しお尋ねしますよ。

 現行では、請求しても、文書提出命令が出ても、貸金業者は商法の規定に基づいて十年分しか出さないわけですよ。十年という商法の規定を彼らは金科玉条にしているわけです。さて、今回見直すときに、この三年は、だから商法の規定の帳簿存置期間の十年、ここがマックスになるということをお考えかどうかをお聞きしているんですよ。

 さまざまな意見を聞きながらは結構です。私が聞いているのは、現行、貸金業者の方々がそのような対応をされているじゃないですか。そして、十年を超えれば実は過払いが発生する可能性もあるという前提の中で、もっと出せということをいろいろな形で、債務者を応援する方々を含めて、今対応しているわけです。しかし、十年でぱんと区切って、もうそれ以上はないと言っておられる。

 私は、これは実はそんなことないだろうと思うんですよ。会社を経営する中で帳簿そのものをなかなか捨てませんし、ましてや顧客情報です。お客様の取引履歴をそう簡単に捨てやしませんよ。だから、あるはずだと私は思っています。ここは推測の域を出ませんから、だからこそ申し上げているんです。

 この十年という期間をマキシマムにしてしまうのかどうか。これによって、この過払い金の請求事案というのが今後どうなるかということ、これは大きな方向を示すことになります。局長、いかがでしょうか。この十年ということが一つの線となるとお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 法令上の整理とは別に、私どもの監督上の整理をちょっと御紹介させていただきたいと思います。

 昨年の十月に、取引履歴開示に関する監督指針の改正を行ったところでございます。その中で、開示請求への対応として、取引履歴の開示請求を受けた場合には、保存期間を経過して保存しているものも含め、実際に保存されている取引履歴について開示義務があり、これを破棄または隠匿することは開示を不当に拒むことに該当します、こういう整理をさせて、明示をさせていただきました。

馬淵委員 つまり、今のお話は、それを拒むことになるんだというお話でありましたが、そこについては、十年ということは一つの線にはならないと御判断されていると解釈してよろしいんですか。もう一度どうぞ。

佐藤政府参考人 法令上の十年の位置づけということとは別に、現実に会社が保存をしている、保存期限十年を過ぎて現実に保有している、こういうものを持っていれば、それは開示しなければならない、こういう整理でございます。

馬淵委員 ありがとうございます。

 これはぜひ、今後の見直しの過程の中でしっかりと議論を重ねていただいて、今のところは非常に重要なところです。ある意味、あるにもかかわらず、十年ということを金科玉条に貸金業者はされているわけですから、過払い請求ができるにもかかわらず、ある例では、週刊誌等に載っておったのは、過払いがあるかどうかはわからぬままに、最後は破産をされた。二十三万円のお金だったそうです。ところが、その後過払い金があることがわかって、五十数万円戻ってくる。しかし、これはもう破産宣告を、破産の申し立てをされた後だったんですね。

 このように、人生を大きく狂わす場面がこの十年という区切りの中で出てまいります。ぜひ、ここに関しては、見直しについても、また当委員会にてしっかりと確認もさせていただきたいというふうに思います。

    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕

 さて、この取引履歴の開示ですが、なかなか、先ほどのお話のように、苦情や、あるいは検査によってぐらいしか見えないんだということでありましたが、お尋ねしたところでありますと、この直近の二年間ですか、不当な開示拒否等の行政処分というのは、三件ほど私は金融庁の方から御報告をいただきました。実際にはもっともっと私はあるのではないかと思います。しかし、わずかまだこれぐらいしかないという現状を踏まえると、この取引履歴の開示に対しては厳しく臨んでいただきたいというふうに思います。

 以上、消費者の保護の観点から、本法案の改正についての私なりの問題点、問題意識を指摘させていただきました。今回は、金利の引き下げ等、また猶予期間に対してはまだまだ議論のあるところかもしれません。しかし、少なからず消費者保護の観点に立った法改正というものに一歩踏み出さなければならないというこの機運というのは、十分に、今、当委員会の議論の中でも私は感じることができると思っております。

 しかし、こうした消費者保護の観点のみならず、金融の市場の健全化もこれは重要な要素であります。

 今回のこの改正に際して参考人のお話を伺う中で、経営者の方々は皆さん、もうこれは大変な状況だ、リストラをせんならぬ、ビジネスモデルが大きく変わる状況になるんだとおっしゃっておられました。そして、金融庁の皆さん方も、今回において、この金利の引き下げによって、今までのような金利で利益を得るといったビジネスモデルは大きく変更されるんだ、そのビジネスモデルの変更は、例えば、信用情報機関の整備等々によって、より知恵を働かせていただきたいといったお話を聞きます。しかし、本当にそれだけで、このノンバンクの市場というものの健全性が図れるんでしょうか。

 私は、そこで一つの問題提起をさせていただきたいと思っているわけでありますが、ノンバンクの資金の調達についてであります。

 資金の調達については、これはもう御案内のように、金融機関からの調達が主たるものでありました。しかし、これについては、今から十年前、平成八年に、ノンバンクにおける資金調達の多様化という議論が始まり、そして、そこで社債の発行ということが議論に上るようになりました。

 この社債発行、これは平成十一年につくられた法律で、ノンバンク社債法というのができたわけであります。平成八年の議論を踏まえて、ノンバンク懇と呼ばれる懇談会が設置され、ノンバンク社債法ができていくわけであります。二〇〇五年三月期で、消費者金融のいわゆる大手五社を見ますと、この調達比率は、最も大きいところで四七・九%、少ないところで三〇%、三割から五割という形で社債による調達を行うようになったとされています。

 しかし、これはあくまで、ノンバンク社債法によって、金融機関が新たに、ノンバンク社債法の中で定められたところが発行できるという規定になっております。このノンバンク社債法、果たして、金利が引き下げられる中で、本当にノンバンク金融市場というものの健全な育成に見合うような形で今日置かれているのか。この貸金業法の規制の改正というのは、極めて重要な事案であります。しかし、一方での金融市場の健全化というのも、当委員会における大きな命題ではないでしょうか。

 ノンバンクに関する懇談会の報告書というのを十三枚目の資料に載せております。ごらんいただきますと、このノンバンク懇報告書、これは平成九年の五月十六日に報告書として上がったわけでありますが、十四枚目に、ノンバンクの資金調達に係る制約の見直しとして、出資法第二条三項に基づくノンバンクの資金調達に係る制約については基本的に廃止すべきものという結論を導き出して、ノンバンク社債法が平成十一年にできました。それまでは、出資法の中に第二条三項というのがあって、いわゆるノンバンクが資金調達のために社債を発行することが禁止されておりました。しかし、社債発行等々さまざまな手だてをもってノンバンクが幅広く資金を調達することによって、消費者金融のニーズにこたえられる展開を市場としては育成していこうという議論がなされたわけであります。

 この社債法の制定の中では、さまざまな議論がございました。平成八年の十一月五日、ノンバンクに関する懇談会第一回会合が行われておりまして、そこでノンバンクの資金調達に係る規制緩和についてという議論があったわけであります。とりわけ、社債の発行については積極的な意見も多かったようであります。しかしながら、出資法においては、二条三項において社債発行が禁じられている、これをどういう形で見直していくべきなのかという議論が行われ、この資料にあります最終的な制約の見直しの結論に至った。二条三項は削除されました。そして、ノンバンク社債法が制定されるわけであります。

 さて、そこでお尋ねいたします。ノンバンク社債法、この法律の守るべき法益とはどういう部分になるのかということを、端的にお答えいただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、従前、金融業者が社債の発行により不特定かつ多数の者から貸付資金を調達することは、出資法で禁止されておりました。これにつきましては、金融システム改革の一環として、ノンバンク社債法が制定されたところでございます。

 それまで出資法で貸金業者等の社債発行を禁止していた理由は、当時の懇談会報告書によれば、一つは、社債制度が未成熟であり、貸付資金のために発行される社債が銀行預金と誤認されるおそれがあり、一般大衆の保護を図る必要性があったこと、二つ目は、資金不足の時代において、限りある資金を国民経済の発展のために有用に配分する金融仲介業務は、極めて公共性が高いものとして銀行等に限定すべきと考えられていたことが背景になっていたものと考えられる、こういった形になっておったわけでございます。

 これに対しまして、御指摘のとおり、ノンバンク社債法が成立いたしまして、これは、金融業者がその貸付業務のために行う社債の発行による貸付資金の受け入れに関しまして、目的規定では、社債の購入者等の保護に資するため、社債の発行等による貸付金の受け入れをする金融業者に限って、一定の財産的基礎等を要件とする登録制度を実施することによりまして、こういった一方で、社債の購入者等、あるいは開示等にも配慮しながら、このような新たな社債発行の道を開いたものと認識しております。

馬淵委員 今御指摘いただいたノンバンク法の議論の中では、一般大衆の保護というのは、これが重要な要素だったわけであります。一般大衆の保護があり、そして金融仲介機能としては公的な性格が高いがために、これもある一定の要件を課すべきである、こういう議論がなされておりました。

 その一定の要件、幾つかあるんですが、重要な要件として財産的基礎、この一定要件というのはどのようになっていましたでしょうか、端的に。

三國谷政府参考人 一つは最低資本金基準でございますが、これは政令で十億円以上となっております。

馬淵委員 ほかにも要件があるのは存じ上げておりますが、財産的基礎は十億ということでありますね。

 さて、この十億という規定、銀行であればこれは二十億です、最低資本金が。特定金融会社、十億を持った会社、社債を発行できるのは特定金融会社と指定する、これがノンバンク社債法の中に定められていました。そして、資本金は十億。これができるのは大手数社、現行では百社未満ぐらいだと言われています。七十六社ほどあるとも今言われておりますが、あまたある貸金業者の中でも、十億を満たすところはなかなかないわけですね。

 そんな貸金業者、この十億という規定はどういったところから出たんでしょうか。局長、これも端的にお答えいただけますか。

三國谷政府参考人 当時の議論の背景といたしましては、このノンバンク社債の発行につきましては、積極、消極、両論があったと記憶しております。この中で、やはり一定の財産的条件を確保することによりまして社債権者の保護を図る、こういった視点から、これがある程度の金額ということで十億に決まった、こういうぐあいに承知しております。

馬淵委員 一定の金額というのは何か線がないと決められませんよね、一定ということですから。当時の議事録を見ますと、これは平成十一年の三月十九日の大蔵委員会の議事録で、政府委員として大蔵省の局長がお答えになられているんですね。ここは、外部監査が義務づけられております商法特例法上の大会社、五億円以上の中で、なおかつ相応の経営基盤を有すると思料される資本金、十億円以上ということが一つの考え方ではないかという考え方でございます、こう当時の政府委員が答えられています。

 つまり、このときに、何らかの財産的基礎の線を設けるのに、いわゆる商法上で言う大会社、監査義務がつけられる大会社の五億円、それ以上だろうということで、どういうふうに決めたかわかりません、二十億との間をとって十億にしたかどうかわかりませんが、商法の大会社以上ということで十億が定められたわけであります。そして、それは社会背景として、繰り返し申し上げるが、投資家保護であった、大衆保護という観点であったということであります。

 しかし、現行、社債市場を含めて、今日における市場というものの整備というのは、私は、それなりに進んでいる、いや、進んでいるだけでなく、社債発行して不特定多数の方に社債権者になっていただくためにはそうした財産的基礎というのは十分に必要だということは理解できますが、一方で、顔の見える相手であればどうなのかという議論はあるのではないかと思います。

 そこで、例えば私募債であれば、少人数私募債という発行を考えたときに、これは五十人未満に対してその金額総額は五億円未満でありますが、先ほど申し上げたように、十億以上の資本金を持っている会社となって、そしてさまざまな要件が課されたときに、資金調達はこれは大手しかできませんとなってしまう。しかし、あまたある貸金業者が今後調達の道を開くということを考えれば、私募債の発行を、五十人未満、これは不特定多数が相手ではないんですよ、つまり、大衆の保護という法益とは別途離れたところに立つことができるのではないか、少数私募債発行ということを考えたときに、この十億円という資本金の規定というのは見直すことができるのではないかと私は考えるわけでありますが、これに対してはどのようなお考えをお持ちでしょうか。大臣はいかがですか。

山本国務大臣 ノンバンク社債法は、貸金業者等が貸付資金の調達のため私募で社債を発行する場合も適用になるわけでありまして、こうした規制は、先ほど述べましたように、貸付業務の特殊性を踏まえ、社債の購入者等の保護の観点から設けられたものでありまして、この見直しについては慎重に検討する必要があるだろうとは思います。

 しかし、多様な金融機関のこれからの行動や、あるいは貸付業務の特殊性、中小の貸付業者のニーズを見きわめて、今後慎重に検討する必要があるものとは考えておるところでございます。

馬淵委員 当時は、大臣がおっしゃるとおり、とにかく社債発行についてはこういう要件を課してしまったんですよ、私募も問わず課してしまった。しかし、守るべき法益は何かというと、大衆保護だと。これは明確に先ほどの局長の御答弁にもありました。

 少数私募債等が発行できる、これは本当に小さな会社も可能なんですね。となれば、中小の貸金業者が少数私募債発行という方法をとることができるような形で、このノンバンク社債法も、改正は一方で視野にとらえるべきではないかと私は申し上げております。今大臣からは、それに対しては慎重な議論を要するが、しかし、そのことも十分検討が必要だと考えると御答弁いただきました。私は、それは前向きな御答弁として受けとめたいと思うわけであります。

 重ねて申し上げると、先ほど申し上げた平成八年の十一月五日のノンバンク懇、第一回のこの会議、そこで、平成八年の段階で既にこのような議論が出ています。大衆保護の観点からの法益を守るものであるというのが、先ほど申し上げた出資法二条三項の説明をしているんですが、私募債の発行が総額引き受けでなされる場合は、これを引き受けた者がそのまま保有している限りにおいては本条に違反しないのではないかという理解もされていると。つまり、このノンバンク社債法をつくる段階においても、私募債発行に関しては不特定多数の法益を守るということと何ら矛盾しないのではないかということが議論の俎上に上っているんですね。

 私は、今回、金利を引き下げるということ、これは消費者にとって非常に重要なことですから、極めて大事な改正を今我々は議論していると思っています。しかし、一方で、ノンバンク金融市場ということの健全性を担保しながらも、ニーズがあるわけですから、それに対応できるような業者の育成が当局の大きな役割であるということを考えれば、このノンバンク社債法のとりわけ大きなネックとなってしまっている資本金の見直し、これは図られるべきではないか。もともと、社債法が議論されている当初であっても、少人数私募債の発行であれば、不特定多数、大衆の保護ということの法益を何ら毀損するものではないという議論はなされている。

 これは、ぜひ当委員会において、あるいは、ぜひ政府としてはこの貸金業、消費者保護、これは大事、だけれども、単にそれだけでない、健全な金融市場の育成をみずからがしっかり守っていくんだ、担保していくんだというこの決意を、大臣、お示しいただいた上で、このノンバンク社債法の見直しについてもう一度強い決意をお聞かせいただけませんでしょうか。

山本国務大臣 ノンバンクに関する懇談会報告書等にるる書かれてあるとおり、銀行と貸金業の違い等もさることながら、今後の金融市場のあり方からすると、調達コスト、そういったものを考えれば、やはり新しい市場の評価というものを新規に考え、そして、利用者の保護の見地が全うできれば、さらに資金調達の道が多様になることによってよいマーケットができ得るだろうというような趣旨が書かれてあるわけでございますから、そのような両方の観点、購入者の保護の観点と、そして、調達コストがより安くなって、そのことによって新しい分野の貸金業のあり方というものが開かれていくならば、私はこれは十分考える余地があるというように思っておりますので、慎重ではありますが、検討させていただきたいと思っております。

馬淵委員 慎重は常に慎重にしていただきたいんですが、前向きな御答弁をいただいたということで。

 社債発行を、中小の貸金業者において調達の多様化が再度開かれるということが、私は金融行政の中で極めて重要ではないかということを改めて御指摘申し上げて、金融市場の健全化育成についての質疑とさせていただきたいと思います。インパクトが少ないという御意見もあるのも存じ上げておりますが、このことの議論がなされないというのは問題であると思っております。

 さて、今、消費者保護の観点、そして市場育成の観点からお話をさせていただきましたが、繰り返し申し上げるように、ニーズはあるわけですね。だから、金利を引き下げたときに、借り手が、貸していただけなくなる場合に、さあ、どこに行くのかとなると、いわゆるやみ金、町金といったところに陥りかねない。

 そこで、今度は、ここの議論にはなかなか上りにくいやみ金、町金も含めた議論を少しさせていただきたいと思うわけであります。お手元の資料の十五をごらんください。これは新橋の駅前の風景であります。このように看板を持って立っていらっしゃる方が多数いらっしゃいます。これはもっとたくさんあるわけですが、看板を持って立っていらっしゃる。

 こういった方、こうした看板を持って、お聞きをしますと、朝十時から五時まで、高齢の方なんです、どこも働くところがないという方がここで仕事としてされておられるようです。中には、仄聞するに、債務者がこれを仕事として負わされているという場合もあると聞きました。

 これを持っておるとどうですかと聞きますと、尋ねられると言うんですよね。やはりこの看板を見て、どこに店があるんだ、この電話番号にかけるけれども、どこだ、こう聞かれる。ああ、なるほどね、やはり看板の効果はあるんですねと私ども申し上げておったんですが、ほかにも立て看板があちこち立っています、新橋の駅前。

 次の写真をごらんください。これは交番の前なんですね。交番の掲示板の裏に看板がいっぱい置いてあるんですよ。

 十七枚目もごらんください。のぞくと、大変な数の看板がここに突っ込んである。どうしたのかなと思って警察官の方にお聞きしたんですね。いや、これは、もうひどいんです、道路に勝手に出しているので撤去していますということで、写真の十八をごらんください。「歩道上にある看板は撤去します。 愛宕警察署 港区役所」という形で、こうやって撤去されているんです。そして、撤去した看板を交番の横にこうやって積み重ねているわけですが、これを区役所がとりに来て持っていく。しかし、また同じように看板があちこち立つので、またそれを回収するといったことを繰り返しされているようであります。新橋あるいは神田、我々が委員会で視察に行ったところもそうですが、こうした貸金業者であふれております。

 写真十九をごらんください。これは、この警告の看板の前にあるパーキングメーターです。このパーキングメーターの前に車がとまっておりました。この車を見ておりますと、ずっととまっているんですね。一時間置きに三百円のお金を入れて、これは宣伝カーなんですよ。コインパーキングに車をとめて貸し金の宣伝をされているわけです。何ともこの宣伝の仕方はすごいわけでありますが、これは貸金業者の方、登録の業者の方でしょう。

 しかし、さまざまな自主ルールの規制の中で、広告も厳しく自主ルールの中で見直してもらいたいという、こうしたことが今回の法改正の中にもございますが、このようにちまたにあふれる看板等々、これは一言で結構ですが、大臣、御所感いかがでしょうか、こういうのをごらんになって。

山本国務大臣 町の美観を完全に阻害しておりますし、適切な営業行為の範囲の中からちょっと出ているような、そんなニュアンスを受けました。

馬淵委員 もうおっしゃるとおりでして、この新橋、神田というのが特殊な町にやはり見えるわけです。事実、ここへ立たれている方々、看板を持って立たれている方々が、たくさん問い合わせが来てお連れするというのが、まあ、連れていくのか説明するのかわかりませんが。

 さて、私も、こんな看板が出ていて警察が撤去しているわけですから、これは条例によってなのかな、何なのかなと思ってお聞きをしました。これは当局にお聞きしますが、きょうは警察庁の方にもお越しいただいているんですが、この立て看板ですね、写真十五のように持っていらっしゃる、こうした広告のやり方というのは、これはいわゆる道路使用許可等が必要なんでしょうかね。端的で結構です。

竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 道路交通法七十七条及びその下位法令に基づきまして、警察署長の道路使用許可を得なければならないこととされております。

馬淵委員 私も、この方に、今御答弁をいただいたように、届けなければならないということで、見ました。これは、何と、この看板の絵に、どれもすべてきちっと道路使用許可をとって巻きつけて、輪ゴムでとめてあるんですね。私らも街頭活動なんかをするときに道路使用許可をとらないといけませんが、この看板もしっかりとっておられる。見ると、すべてやはりとってありました。ただ、このように道路使用許可はこの看板に関してはとっておられるが、そうでないものもあったりする。

 また、屋外広告物に関しては屋外広告物法で規制される、これは国土交通省の所管の法令になります。こうした町の美観、先ほど大臣がおっしゃったように、ちょっと広告としては行き過ぎではないか、あるいは美観を明らかに損ねているなというような現状の中で、果たして、今回の自主ルールの中で、こうしたものがきちっと規制されていくんでしょうか。

 これをお尋ねしても、いや、これは警察だ、いや、これは都の条例だからいわゆる都道府県、市町村だ、あるいは、いや、これは金融庁の貸金業法の規制の中に入るのか、これも含めて、一般の国民から見れば、こんな異様な状態を一体どこが規制、監督していくんだろう、これは素朴な質問だと思うんですね。

 これについて金融庁の方から、こうした実態についての対応というのは、これはやはり自主ルールの中できちっと対応されていくということでよろしいんでしょうか。いかがでしょうか。

山本国務大臣 現行の貸金業規制法は、資金需要者等の利益保護のために、広告について、著しく事実に相違し、または実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示等、また、返済能力がない者を対象として勧誘する旨の表示等、借り入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者の借り入れ意欲をそそるような表示等、これらを禁止しておりまして、街頭広告や看板等についても、こうした観点から規制を行っているところでございます。

 今回の改正では、これまでの規制に加えまして、新たに認可法人として設立される貸金業協会において、広告の内容、方法、頻度等について自主規制ルールを定め、それを当局が認可する枠組みを導入することとしております。

 これからの自主規制ルールでありますけれども、先ほどの御指摘の美観や交通妨害、そのほかの、いわば社会の健全性の観点に立った指導というのは当然考慮に入れていただかなきゃならぬというように思っております。

馬淵委員 自主ルールの中で、方法ということ、これは明確に書かれておりました。それについては、こうした屋外広告規制も含めて、これはこの自主ルールの中でしっかりとやっていただくんだということの御答弁をいただいたと今理解いたします。ぜひ、ここは、いや、これは国交省なんだ、いや、これは警察なんだとかそんな話ではなく、金融庁が自主ルールをしっかり監督する立場で進めさせるというその強い意思でこれは進めていただきたい、重ねてお願い申し上げます。

 さて、こうした新橋の現場でございますが、先日は、我々当委員会でも神田の方に参りました。神田に参りまして無人機の視察等を行ったわけであります。当委員会の委員長を初め皆さん方と私も御一緒をさせていただきました。ちょうど神田の駅前ではプロミスの自動契約機の視察をしたわけでありますが、写真二十をごらんください。これは、あの神田のプロミス自動機のすぐ隣のビルの前にある看板でございます。これをごらんいただくと、「新店オープン」という看板がございます。その横には「東京ギフト」という、これはチケット屋さんですね、この看板がございます。これがあのときの風景でありました。私はプロミスの方に行かずにこっちを見てたのですが、理由がございます。

 実は、その数日前に、私は、神田、新橋に、先ほど申し上げたように、実際にお金を借りに行ったり、いろいろなところを見てきたわけでありますが、写真二十一をごらんください。この「東京ギフト」、ギフトというところだけ写っていますが、全く同じ場所に、実は数日前には、「高級腕時計 レンタル致します ロレックス カルティエ」、こういう看板があったんです。ここには電話番号も書いてありました。時計のレンタルって一体どういうものなんだろうなと。

 さて、そこで資料の二十二をごらんください。これは私が大阪で買ってきた新聞なんですが、日刊スポーツ、そこの広告欄なんですが、コピーをしましたのでちょっと小さいんですが、ごらんいただいたらわかりますように、そこにレンタル時計が、このように幾つも幾つも広告が載っているわけです。見ますと、「急なピンチに審査無し」、レンタル時計、急なピンチで時計借りるんかな、不思議な感じがするんですがね。「急なご用に即日対応・おまかせ下さい!」、ほかにもありますよ、これ。「初回、今なら一日無料」、「高級時計が即日レンタルOK」、ここは何となく「冠婚葬祭 レジャーに」と書いていますけれどもね。なかなか、冠婚葬祭、レジャーにレンタル時計を借りに行かれる方は少ないんじゃないかなと思うんですが、「高級時計を借りる時代」、知りませんでした、私。こういう実態が一体どういう意味があるのか、わからなかった。

 そこで私は、二十一にあるこの看板を見て、電話して行ったんですよ。時計、借りてみようと。ところが、入れてもらえなかったんです、これが。紹介がないと入れないという事情らしいんです。外から電話をしました。なかなか取り次いでもらえない。そして、先日の神田の視察、数日後ですよ、もう看板はなくなっていたんです。でも、どうも店はあるようなんです。一体何がここで起きているのか。

 そこで、ごらんをいただきたい、資料二十三でございます。多重債務の被害者の方々、多重債務者の方々、この方々がいよいよ困ったときに相談に行く。相談に行った先から、レンタル時計へ行って時計を借りてこい、そして、時計を借りてきたらその時計を持って質屋に行って、そしてそこでお金をつくることができるぞと入れ知恵をされる。レンタル時計店に多重債務者が行かれます。そして申し込みをする。レンタル時計の時計を借ります。そこではレンタル料を支払われるわけです。

 しかし、ロレックスやカルティエと書いていますが、これはどうもにせものである場合がほとんどだそうですが、時計を借りて、そしてその時計を持って今度は質屋に行きます。質屋で質入れをします。質屋はこれを本物と鑑定してお金を貸します。ここで貸されるお金は、質屋営業法に基づいたお金を貸すわけであります。つまり、貸金業法の規制の枠外でお金が貸し出される。これは年利一〇九・五%で貸し出される形になります。売買の場合もあります。いや、これはもう勝手に売っちゃうわけですね、レンタル時計で借りてきた時計を。そうすると、これは古物営業法に基づいて売買されることになります。

 さて、問題なのは、このレンタル時計店と質屋、それぞれはそれぞれの業を行っているわけです。貸金業とは全く違う形。しかし、実態は、先ほど申し上げた、あまたある新橋、神田のさまざまな町金の中にある、登録もしないやみ金、形態を変えたこのようなレンタル時計商売なる新たな商売を、まあ、こういうのは頭がいいと言っていいのかどうかわかりませんが、知恵を働かせて、こういった仕組みで多重債務者をさらにきつい状況に追い込んでいる実態がどうもあるようであります。

 残念ながら、私は警戒をされたのかどうかわかりませんが、新橋、神田ではこのレンタル時計で借りることもできない、入れていただくこともできなかったわけであります。

 さて、こうした状況については、これは本当に私は問題だと思うんですよ。これについて、どのような取り締まりの対応があるんでしょうか。きょうは警察庁の方にも来ていただいておりますので、これは貸金業法の改正とは直接かかわらないけれども、ニーズがある以上、必ずこぼれていってしまう可能性のある場面なんですね。ここを当局が、政府が、警察のみならず金融庁も含めて、どういう形でこれを監視、規制していくことになるんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 お示しの二十三ページの表によりますと、レンタル時計店は、にせものであることを知りながら時計を多重債務者に貸し、また、質屋は、目ききをできる立場でありますので、にせものであるということを知りながらお金を貸すといったような形態で犯罪が行われていますとすれば、もちろん事実関係をしっかりと詰めた上での話でありますけれども、レンタル時計店につきましても質屋につきましても、詐欺罪の共犯として問擬し得るかと存じます。もちろん、それは事実関係の認定によるわけであります。

 また、レンタル時計店が、例えば貸す時計を古物として、業として買い取るというふうなことをやっておりますと、これは古物業をしておることになりますので、公安委員会の許可が必要でございます。それをとっていなければ、それに伴う罰則を適用されるということでございます。

馬淵委員 金融庁の方にもお尋ねしたいんですが、実態としては、例えば、レンタル時計店と質屋がぐるになってお金を貸し付けることが目的なわけですよね、もしこういうことが事実とすれば。この場合は、これは金融庁としては監督すべき対象となるということでしょうか。いかがでしょうか。

三國谷政府参考人 質屋は当庁の監督にはなってございません。

馬淵委員 となると、実際、多重債務者が債務の整理等々で相談に行ったところで連れていかれて、形態的には融資、お金を貸し付ける。貸金業者の登録も何もなされていないのでということでありますが、金融庁は全くここはタッチされない形になるということになるんでしょうかね。もう一度、金融庁はもうオーライ、オーライ、こういうことでお金を貸されても、金融庁はもう全くここには関係ないんだ、こういうことでしょうか。確認です。

三國谷政府参考人 監督上の対応ということはなかなか及ばないところもあろうかと思います。しかしながら、こういったいろいろなケースにおきまして、先ほど警察庁の方でも御答弁申し上げたように、そういった別な犯罪を構成する場合があり得るとかあるいは出資法に該当するような場合には、私どもとしても、その件につきまして、連絡、通報等、関係省庁にはそういった連絡を流す、あるいはウオッチする、こういった対応になろうかと思います。

馬淵委員 当局として監督下に置くのは難しい事情というのはよくわかります。だからこそ町金、やみ金と呼ばれている方々がこういう形の商売の仕方を考えられていると思うんですね。

 警察当局としても、これは被害の実態というのがつかめないとわからないわけですよ。多重債務者が、詐欺に遭ったということの事実を果たして認識されるのかどうか。また、多重債務者の方が質屋にレンタル時計を持っていって、質入れならいいですけれども、これを売り飛ばしたらどうなりますか。これは、レンタルされたものを勝手に売り飛ばすということは、逆に言うと、そこで多重債務者自身が犯罪に手を染めることにならないでしょうか。

 私が申し上げたいのは、皆さん方がそれぞれ多重債務の問題がこの貸し金の問題の本質なんだということを繰り返し議論されている、しかし一方で、このように法の網の目をくぐるさまざまなやからがいるわけです。そこにしっかりと目を光らすのがまさに監督局の立場の方々のお仕事じゃないんでしょうか。

 我々は、皆さん方に、到底できないことをやれなどと言う思いは一つもございません。こういう実態なんですよ、これは。スポーツ紙にこんな記事が出る、広告が出るということは、ここに行かれているわけです。看板を隠してでも実際に営業をやっておるわけですよ。これについてはぜひ前向きな御答弁をいただかぬと、本当にたくさん泣かれる方が出てきますよ。

 当局がしっかり連携をとって取り締まるというかたい決意、これは、警察庁からも一言、そして大臣からも一言、ぜひお願いしたいんですが。

竹花政府参考人 御指摘の、レンタル貴金属店を仮装したやみ金融業者につきましては、実は、十六年三月に、大阪におきまして、これはにせものではなくて本物を貸した形のものがございまして、これを出資法違反として検挙をした事案がございます。

 このような事案を含めまして、御指摘のような新しい手口の金融手段についても、それが法に触れるようなものであれば、警察といたしましては、厳正に取り締まりを推進していきたいと考えております。

山本国務大臣 馬淵議員資料二十三にありますように、レンタル時計店が例えば貸金業者がやっているとかいうことであるならば、当然金融庁が厳正にここは対処しなければならぬことであろうと思いますし、ただ、ここのスキームで見ますと、必ず質屋が入っているわけでありまして、この質屋の存在は、こうしたいわゆる時計金融からすれば不可欠な存在。そして、にせものということをわかりながら本物としての融資をするということがみそであろうと思います。ここにつきましては、質屋の所管官庁からしっかりここを取り締まってもらわなければなりません。

 そんな意味では、まずは質屋さんの方から片づけて、そして、なおレンタル時計店が貸金業者のダミーであるというようなことが発見できれば、金融庁も厳正な処分をするというような流れになってくるだろうというように思います。

馬淵委員 とにかく連携をとって、多重債務者がさらにいわゆる犯罪に手を染めるあるいは犯罪に巻き込まれることのなきように、ぜひ厳正な対応をお願いしたいというふうに思います。

 さて、私、もう時間がなくなってまいりましたが、消費者保護の観点、そして健全な市場育成の観点、さらにニーズがあるのにこぼれてしまう方々が陥りかねないやみ金融、また犯罪性の高いものということの事例を挙げてるる質問させていただきました。最後に、いずれにしても、今日あるこのノンバンク問題、貸金業の問題、ある意味、財務省、当時大蔵省が、貸金業者に対して、開かれた形で、オープンな形でということで、上場あるいは社債発行等々も含め、さまざまな形で開かれた形で貸金業者を舞台に立たせていった。消費者金融が伸びていく中で、安心して借りられるという環境をつくっていったのは、それは一つはあったのだと私は思いますが、その陰に多重債務を生んでしまった。

 資料の二十四、二十五には、先般訪ねました三井住友グループそしてプロミスの提携の資料を載せております。あのときも、三井住友銀行からは、三井住友のブランド力、そしてプロミスの与信力あるいは回収力といったものの戦略的提携だという御説明がありました。

 現行、貸金業者がそのような形で、先ほど申し上げたように日の当たるところに出てきた、表現は悪いかもしれませんが。しかし、そういった形で上場もし、テレビコマーシャルも流れるような形で消費者金融業界が大きく膨らんでいく。しかし、多重債務問題が起きた。そして、この問題に対して対処するということで金利の引き下げを行う。金利の引き下げを行うと、今度は貸金業者自体がたちまち淘汰される。その淘汰をする中で出てくるのがメガバンクとの連携という形。

 これは、そもそも、当局が金融市場を思い描く中で、あるべき姿だとお考えだったんでしょうか。私は、やはりメガバンクが、それこそブランド力だけで顧客のマーケット、顧客の情報を集めてお客様を紹介して、後の与信あるいは回収といった面倒くさい、しんどいことは全部ノンバンクにさせていくという形は、実は余り健全ではないのではないかという気がしてならないんです。むしろ、消費者に密着した消費者金融のあり方、そしてメガバンクのあり方というものが問われるべきである。

 最後に、大臣に端的にお答えいただきたいんですが、金融庁が目指す健全な市場育成の中で、今回のこうしたノンバンクの今後のあり方は、金融庁が少なくとも政策的ツケを負わせてしまっているということになりはしないか、しっかりとそこについてはあるべき姿というのを示して対応していかねばならないのではないかということを、私の方からは質問として問わせていただきたいと思います。大臣の方から、あるべき金融市場、その政策的な今日までのツケを負わせていくことになっているのではないかということに対して、もう最後でございますので端的にお答えいただけますでしょうか。

山本国務大臣 午前中にも議論のありましたフタコブラクダの問題とも絡む日本特有の現象の御指摘も含まれているというように思います。

 資金需要者、借り手側からすればどこからでも必要に応じて安い金利で借りられるというのが、私どもの希望するマーケットのありようであります。銀行は信用力が高いし、また人的な質も非常に高い従業員がそろっております。そこで、敷居が高過ぎて、また金利が低過ぎて担保がなければ貸してくれない。一方で、貸金業はイメージが悪い。イメージが悪いことをよしとして、高金利で、かつ余り質の高くない方が従業されるというようなことに甘んじてきたように思います。

 そこらの貸金業の質も高まっていただいて、そして銀行も、さらにこうした資金需要者に応じた金融も、貸金業もやっていただき、その間がだんだんと融和されていくことによって、フタコブラクダ現象という我が国特有なものがなくなることによって、資金需要者が本当に安全に安心して借りていけるというような、そんな健全な社会を構築したいというように思っております。

馬淵委員 ありがとうございました。以上で終わります。

伊藤委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 きのうに引き続き三十分ほど質疑をさせていただく機会をいただきました。一昨日通告した内容と昨日の大臣の答弁をもとにいろいろ御質問させていただきたいと思います。主にNPOバンクの件、そして時間があればカウンセリングの件、二点お伺いしたいと思います。

 まず、NPOバンクのことに関してですが、昨日の審議において、山本金融担当大臣も、NPOバンクの活動の有意性、そして必要性、できることなら今後も継続して頑張っていただきたいという御答弁がありました。しかし、今回の法律によって資産要件が五千万円まで引き上げられることによってNPOバンクの活躍の機会が大幅に失われることに関しては、御答弁の中で、純資産の数字をかなり上げることによってやみ金を構成している悪い業者を排除する、それが優先順位の一番であってと。マイクロクレジットのそういう分野がどんどん広がっていくということは期待していることには間違いないが、その優先順位を変えることには至らないという御答弁をいただきました。

 優先順位で物事を考えるのも大事だと思うんですが、まさしく再チャレンジ担当大臣として御活躍されているのであれば、再チャレンジに資するNPOバンクを残らせるために、優先順位で考えるんではなくて例外を設けるということで、悪い業者を資産要件によって排除するとともに、良質な活動をしているNPOバンクをも活動の機会をより充実させていくということもできると思います。

 そういうことに関してるるいろいろ質問したいんですが、まず基本的なこととしてお伺いしたいんですが、そもそも、大臣自身として、悪い業者、悪質業者という言葉もいろいろ使われていると思うんですが、悪質業者とはどのような業者のことを大臣自身御想定されているのか、お答えいただければと思います。

山本国務大臣 借り手の方から考えれば、お金がないことは心細い、そしてお金を貸してくれる人がいなければ惨めだという精神的に追い込まれた状況にあるだろうと思います。そのときのこうした借り手の弱い立場を利用して、みずから優位に立って貸していき、それが社会通念上許された範囲を逸脱する、そうしたことが常態として、業として違法あるいは不適切なことを行っていく業者を悪い業者というように思っております。

寺田(学)委員 今大臣がお答えされた逸脱したという部分は、金利においても逸脱したという意味でとらえてよろしいんでしょうか。

山本国務大臣 出資法違反であれば黒、さらに利息制限法違反であればグレー、以下であれば白でありまして、そのとおりに考えております。

寺田(学)委員 それでは逆に、今議論されているいわゆるNPOバンクというものに関して、どのような活動をされている団体なのかということに関して、大臣自身はどのように御認識されているでしょうか。

山本国務大臣 環境や福祉等の分野において、非営利の事業に対する貸し付けを行っている貸金業でありまして、幾つかの、貸金業登録されて、民法法人であったり任意団体であったり特定非営利活動法人であったり、それぞれ地域地域で御努力されているというように思っております。

寺田(学)委員 いわゆるNPOバンクに関して言うと、金利に関しては非常に低い金利でやられているというのが今の通例ではありますけれども、金利も低く設定されている活動団体であるということも御認識されているでしょうか。

山本国務大臣 おおよそそう認識しております。

寺田(学)委員 質問の最初の部分に戻るんですが、優先順位で考えるんではなくて例外を設けるべきだということを昨日質問させていただきました。その際、大臣としては、例外を設けることに関して言うと、規制の潜脱に使われる可能性があるんだという話をされて、非常に難色を示されました。そのことをいろいろお伺いするために、今、いわゆる悪質業者はどういうことを御想定されていて、NPOバンクというのはどのようなことを御想定されているのかをお伺いしました。

 私が申し上げている、我が党が申し上げている規制の潜脱に使われるということの具体的なイメージとして見ると、NPOバンクを守るためにつくった例外規定を悪質業者がいわば隠れみのにして使うことがあり得るんではないかということを大臣自身が御答弁されたんだと思いますが、とすれば、非営利の悪質業者というものは存在すると大臣自身は思われていますか。いかがですか。

山本国務大臣 非営利の悪質業者、なかなか想像しづらいんですけれども。

 しかしながら、いろいろな場面で、例えば、登録制度のある建設業でも、そのときにはみんな立派な会社であったのかもしれません。やがてはまた違法行為も犯すということになるわけでありまして、経営者、ガバナビリティー、そういったものの属人性や、あるいは未来永劫にその人が経営にタッチしているわけではありませんし、また、人がかわればその姿が変わっていくということも十分考えられる社会通念であろうし、経験則だろうというように思います。

寺田(学)委員 今御答弁の中で、非営利の悪質業者というものは想像しにくいという御答弁もいただきました。

 それではもう一つですけれども、いわゆるNPOバンクが設定している金利、低いところで二、三%からおおよそ一〇%以下と聞いていますけれども、そういう意味では低金利ですが、低金利の貸し付けを行う悪質業者は存在するというふうにお考えになられていますか。

山本国務大臣 低金利でも過剰貸し付けというのが論理上あり得るわけでありますし、取り立ても急だということもあり得るわけでありますし、貸してくれといったときに貸さないという貸し渋りもあるでしょうし、また、貸しはがし的な行為もあり得るでしょうし、金利だけでは考えられないというように思っています。

寺田(学)委員 しかし、今回、総量規制によって過剰な貸し付けは抑制されるような仕組みをしかれているということでいうと、いわば過剰に貸し付けることを違法にすることはあり得ることではありますけれども、低金利で貸し付けていること、一つだけでは判断できませんけれども、そのこと自身をもって、おおよそ悪質業者が大半を占めているとは考えがたい問題であると思います。

 最初に戻しますけれども、NPOバンクの殻を着て悪質な貸し付けを行うような悪い業者が起こるかもしれないから例外規定は認められないという論理でしたけれども、悪質業者はどういうところかといったら、高金利で貸し付けるところである。もちろん、貸し方、回収の仕方等々いろいろあるでしょうけれども、高金利である。NPOバンクは、非営利で、低金利で貸している活動体だ。そういう意味でいうと、悪質業者とNPOバンクというものは、非常にリンクしがたい二つの対象物だと思うんですね。

 とすれば、このことに関して言えば、例外規定を設けることというのは、私は何ら問題はないのではないかなと思うんですが、大臣自身、いかがですか。

山本国務大臣 そこで、ずっと今までのことを整理して、ちょっと長くなりますが申し上げさせていただきますと、現在、貸金業法上の貸金業者の中に、環境や福祉等の分野において非営利の事業等に対する貸し付けを行っている団体が存在していることは承知しております。今後とも、こうした団体が貸金業者として適正に業務運営を行いつつ、一定の社会的役割を果たしていくことを期待しております。

 今回政府が提出している改正法案におきましては、貸金業者の登録要件として、五千万円以上の純資産額を求めることとしておりますけれども、一定の要件を満たす業者につきましては、この純資産基準を適用除外にできることとなっております。

 御指摘のNPOバンクを含め、非営利の事業等に対する貸し付けを行っている団体等には多種多様な活動形態がありますけれども、まずはそれらの実態把握を十分に行った上で、改正法案の条文に則して、規制の潜脱を防ぐための要件も念頭に置きながら、十分に配慮してまいりたいと思います。

 また、今回の改正におきましては、貸金業制度のあり方や金利規制のあり方について、改正法施行日から二年半以内に所要の見直しを行う旨の規定を盛り込んでおりまして、NPOバンクの取り扱いにつきましては適切に対応することとしますけれども、なお、その見直しの際に、法律に明記する必要につきましても検討させていただきたいと思っております。

寺田(学)委員 非常に前向きな御回答のように察せられますけれども、何分私も国語能力がないものですから。

 一定要件が満たされるのであれば、非営利団体、いわゆるNPOバンクの活動を守れるようにいわゆる例外規定を法律に盛り込みたいということなのですか。まず、一つ一つ聞いていきますけれども、いかがですか。

山本国務大臣 内閣府令で、その要件を満たして、認めていくか、あるいは法律に書くかは別として、そういったNPOバンクの、健全な皆さんのやっていることは認められるようにしていきたいという方向づけであります。方向づけ。

寺田(学)委員 まず大原則をお伺いしますけれども、NPOバンクの活動が守られるように何かしらの策を講じるということは疑いないですね。まず、イエス、ノーだけで結構ですけれども、いかがですか。

山本国務大臣 そのとおりです。

寺田(学)委員 それを見直し規定の際に法律で書くのか、内閣府令で何かしら済ませるのかは決定されていないということですか。

山本国務大臣 そのとおりです。

寺田(学)委員 法律で書くことと内閣府令で書くことは、何が違っていて、どういうような価値判断によってそれを使い分けるんでしょうか。大臣、いかがですか。

山本国務大臣 政令、省令に落とすという意味では、迅速性がありますでしょうし、また、法律に書くということであるならば、より厳格な基準というものをさらに設けていく必要があろうというように思っておりますし、いずれにしましても、作業手順等についてはやや重みが変わってくるだろうというように思っております。

寺田(学)委員 いや、法律の修正であれば別に、今いろいろ、るる与野党間でやられているんですから、迅速性でいうならば、今の時点においては、法律を修正することは非常に迅速なやり方になると思いますけれども、それよりも内閣府令の方が今において迅速なんですか。大臣、いかがですか。

渡辺(喜)副大臣 先ほど大臣も御答弁なされましたように、今回の改正に当たりまして、NPOバンクと言われるものについて、金融庁は、残念ながら、その実態について詳細な把握をいたしておりません。

 なぜかといいますと、金融庁所管ではないということでございます。登録はなされているわけでございますが、それぞれ都道府県の登録になっております。したがって、金融庁が、先ほど大臣もお話しになったように、まずはこれらの実態について詳しく把握をさせてもらえませんかということを申し上げているわけでございます。

 したがって、そうした実態を踏まえた上で、今回の改正案にあります二年半後の見直し規定の中で法律に明記をすることも含めて検討させてください、こういうことを今答弁させていただいたわけでございます。

寺田(学)委員 実態をまだ、詳細、把握されていないと。そのために、実態把握をするために、言い方は悪いですけれども、猶予期間というか、調べる時間をもらった上で、たまたま三年後、おおよそ三年後に法の見直しがあるから、そのときに法律に書き込むことを念頭に考えられているというお話だと思いました。

 それは、今までよりは一歩前進だとは思うのですが、今回、法律をつぶさに見ていると、資産要件に関しては、二段階上がっていく形になっています。一年後であれば二千万、おおよそ三年後に五千万に上げられるわけですけれども、一年後に二千万にもう既に上がってしまうわけですよね。今副大臣御答弁された中でいうと、三年後ですから、NPOバンクの方々は、五千万という物すごい高いハードルではないにせよ、二千万という、それでも相当高いハードルを迎えなければならない。

 そういう意味においていうと、なぜに、二千万に引き上げられる一年の間ではなくて三年になってしまうのか、そこら辺の合理的な理由というのをお答えいただければ。

渡辺(喜)副大臣 先ほど大臣も答弁されておられますが、当面、この改正法案におきまして、貸金業者の登録要件として五千万以上の純資産額を求めておりますが、しかし、一定の要件を満たす業者については、この純資産要件を適用除外できることとなっていると。この部分はまさに内閣府令で決めさせていただきたいということを言っているわけでございます。

 したがって、そういった三年後の話をこの点ではしているわけではありません。まず、こうした内閣府令によって対応できる部分、そして、実態をさらに詳細に把握をしていって、法律に書くべきかどうか、それをぜひ検討させてくださいということを申し上げているわけでございます。

寺田(学)委員 今の御説明を拝聴していれば、法律に書く書かないというのは結果的にやはり三年ぐらいの話になってしまうであろうと。ただし、その一定の要件、いわゆる内閣府令の部分に関して言うと、もっと迅速にできるであろうということを抽象的にはお話しされていたと思うんですけれども、それでも、内閣府令で定められる一定の要件というものが一年を超してしまうのであれば、この法律のスピード感にのっとって一年後には二千万のハードルが掲げられるわけですよね。では、その内閣府令というのは、遅くとも一年以内に、一年の施行段階より前に、一定の要件というのは明らかになるということでよろしいんですか。

渡辺(喜)副大臣 これは先ほど大臣が答弁されたことでございますが、NPOバンクには多種多様な形態がありますので、まずそれを把握し、改正法案の条文に則して、規制の潜脱を防ぐための要件も念頭に置きながら、適用除外について検討させてくださいということを申し上げているわけでございますから、適用除外については極めて積極的な発言をさせていただいているわけでございます。

寺田(学)委員 まさしく副大臣が思われている、非常に善意に満ちたNPOバンクを存続させたいというお考えのもと施策を行いたいのは十二分にわかりますけれども、まさしく政府から提出されているこの法律によっては、一年後にはもう二千万に上げられてしまうわけです。ですので、いわゆる内閣府令で定められる一定の要件というものが一年より前に出るんですよねというのを確認したいんです。いかがですか。

渡辺(喜)副大臣 そうしたスケジュール観も含めて内閣府令をつくらせていただきたいということを申し上げているわけでございます。

寺田(学)委員 スケジュール観を含めてというのは、非常に聞き方によっては難しいんですけれども、まさしく一年以内ということで解釈してよろしいですよね。

渡辺(喜)副大臣 当然、今国会でこの法案をお認めいただければ、即内閣府令の作業に着手をするわけであります。常識的に言って、一年もかかりませんよ。(寺田(学)委員「も、かからない」と呼ぶ)はい。ですから、もうそういうスケジュール観で我々としてはやらせていただきたいと思っております。

三國谷政府参考人 (発言する者あり)いや、余計なことではございません。

 事実関係だけ補足させていただきますと、二千万が適用されるのは施行後一年六カ月以内でございますので、したがって、そこは時系列が違います。しかしながら、今副大臣が御答弁申し上げましたように、私どもとしては、作業というのは一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。

寺田(学)委員 確認させていただきますけれども、僕、ちょっと一年六カ月を間違えてお話しした部分は訂正しますけれども、参考人にもお伺いします。

 副大臣の方は、常識的に言えば一年でやれるんだということですので、局長としても一年でやる用意で頑張られるんですよね。

渡辺(喜)副大臣 最低資本金、純資産額が二千万円に上がりますのは、施行後一年半でございます。したがって、それに間に合うように、適用除外の内閣府令をつくります。

寺田(学)委員 それまでに間に合うということであれば、一つの部分は安心できるのですが、では、その要件というものが非常に実態とかけ離れているものであったら、全くもって一年六カ月以内にやっても仕方がないことだと思うんです。

 先ほどから、副大臣の方が、規制の潜脱がないようにというお言葉を出されていますけれども、この点に関しては、冒頭、今大臣と質疑させていただいたとおり、NPOバンクのいわゆる一般的な要件である、非常に低金利であることと非営利団体であること、この二点と、悪質な業者、いわゆる潜脱をしようとする方々とはリンクしないということは、大臣自身がお答えになられた部分だと思いますが、それは物すごく迅速にはできると思うんです。

 そういうことに関して言えば、規制の潜脱は、今回実態を調べるといっても、まだまだ片手で数えられるぐらいしか重立ったものはない部分はありますので、確認のためもう一度聞きますけれども、今あるNPOバンクの方々、いわゆる低金利で非営利でやっている方々の活動が阻害されないような一定の要件がまさしく一年半の間に内閣府令として出てくるということで、大臣、よろしいですね。

渡辺(喜)副大臣 先ほども申し上げましたように、残念ながら、現在これは金融庁所管になっていないんですね。ですから、都道府県への登録はしていらっしゃいますが、金融庁として把握していないわけでございますから、まずその把握を行った上で、先ほど申し上げたスケジュール観に間に合うように、内閣府令の整備をさせていただきたいと思っております。

寺田(学)委員 その内閣府令が予定どおり出た後に、いわゆるおおよそ三年後にある見直しにおいては、私は、まさしく法律で書くのが一番適している話だと思いますので、それは前向きに御検討いただきたいと思いますけれども、大臣、確認のために、そのことに関して御発言いただけますか。

山本国務大臣 副大臣答弁どおりです。

寺田(学)委員 大臣、あなたの方が偉いんですから。大臣、いかがですか。

渡辺(喜)副大臣 大臣の方が偉いに決まっているわけでございますが、大臣が一番最初に答弁されておりますので、私がそれを補足しているだけでございます。

 したがって、改正法施行後二年半以内に所要の見直しを行うという旨の規定を今回改正案に盛り込んでいるわけでございますから、まさにこの見直しをする際に、法律に明記をすることについて検討をさせていただきたいということでございます。

寺田(学)委員 今、国会の審議中ですから、本当であれば、修正案を出して、法律の中に明記する。しかも、大臣自身も、実態がわからないとは言いつつも、NPOバンクというのはどういうところですかと言ったら、いや、低金利でかつ非営利団体でやっているところですと、まさしく核心をついて、御存じなわけですから、今やればいいと私自身は思いますけれども、いろいろな御事情があるんだと思います。

 そういう意味においては、もう百歩、百万歩譲って、内閣府令が一年半の間に出てくる、しかもそれが現状のNPOバンクに非常に即しているものである、そして、三年後にある見直しに関しては法律で書くということが私は最大限譲れる部分だと思うんですが、大臣、いかがですか。大臣、立ってください。よろしくお願いします。

渡辺(喜)副大臣 先ほどから繰り返しで恐縮でございますが、施行後二年半の見直しをする際に、法律に明記する必要性について検討をいたしますということでございます。

寺田(学)委員 では、想像の範囲で言いますけれども、必要がないと判断される場合というのはどういう場合なんでしょうかね。もう既に内閣府令でそれなりに書いていて、なぜに内閣府令で書くんですかと大臣に先ほどお伺いしたら、迅速性だと言われている。迅速性の話でいうと、もう三年後なんてそんなもの関係ない話ですよね。本当であれば法律で書くべきことに関して、迅速に対処しなければならないから内閣府令でやるんだという話はまだ論理的だと思うんです。でも、三年待つわけですから、内閣府令に書くことであったら、法律に書いてもいいと思うんです。その点、内閣府令にこだわられる理由がもしあるとしたら、副大臣、何かあるんですか。

渡辺(喜)副大臣 この二年半後の見直し規定の議論の際、さんざんいろいろな議論があったとおりでございまして、この間いろいろなことが変わっていったり起こってきたりすることと思います。

 このNPOバンクについても、今あるものがさらにふえていくのか、あるいは、はたまた大同団結が行われているのかわかりませんけれども、そういったもろもろのことを見た上で、法律の明記の必要性について検討いたしますということを申し上げているわけでございます。

寺田(学)委員 了解しました。副大臣のお言葉を信じて、まずは、私の部分はそこで引き下がりたいと思います。後々、古本議員の方からもいろいろあると思います。

 残り四分しかないですけれども、カウンセリングの件について一点だけお伺いしたいんです。

 昨日、カウンセリングに関してお伺いしたときに、なぜにカウンセリングが今充実していないのかという話を聞いたところ、参考人も大臣も、カウンセリングの機会が十二分に確保されていないからだというお話をされました。しかし一方、見方を少し変えますと、カウンセリング機関があるんだということが周知徹底されていないことも私は要因としてあると思うんです。

 この要因を、どうですか、大臣自身も、カウンセリングが徹底されていない理由として、カウンセリング自体があるということをわからないケースがまだ間々あるということが一つの要因になっているとお感じになりませんか。大臣、いかがですか。

山本国務大臣 それは確かにあり得ることだろうと思います。

 私どもも、ささやかな経験ですが、司法書士さんが無料法律相談をされている実態を聞いたときに、やはり初めて行ったときに、アドバイスをした後、こんないい制度があるならもっと早くというようなことを言われたというような事例も聞きましたし、そう考えますと、存在自体を知らないし、また、行ってみなければ、体験しなければわからないというような、そんなふうな存在でもあるのかもしれません。

寺田(学)委員 私は間違いなくあると思いますし、この間行われた参考人質疑の中でも、テレビCMの中で、多重債務に陥った場合はこちらに連絡してくださいということをセットで放送するべきだという御意見もありました。

 CMについてどうこうということまで踏み込むのは難しい部分がまだあるのかもしれませんけれども、初めてお金を借りるとき、また、別に初めてでなくてもそのお店で何かを借りるときに関して、窓口一覧みたいなものをつくっていただいて、今回の法律でいうと、必要がある場合にはカウンセリングが受けられますよという制度ではありますけれども、受けるかどうかは御本人に任せるとして、その存在自体を知らしめることは非常に大事だと思うんです。

 そういうことを金融庁の方から、そういうふうな制度にして、お金を借りるときは必ず窓口の案内をするように、ビラ一枚配りなさいというやり方一つだけでも全然感じが変わってくると思うんですが、そのようなやり方をするおつもりはないでしょうか。大臣、いかがですか。

三國谷政府参考人 いずれにいたしましても、カウンセリング機関、これの改善を図ってまいりますとともに、この存在が広く周知されまして、国民が利用しやすいような環境をつくっていくことが大事かと考えております。

 したがいまして、私ども、この問題につきましても一生懸命検討してまいりたいと思っております。

寺田(学)委員 大臣にお答えしていただきたいんですけれども、いろいろ検討していただく一案として、お金を借りるときに窓口をちゃんと紹介する、カウンセリングを受けるかどうかは御本人の意思でいいですよ、その窓口が存在するんだということを知らしめるように、制度をつくったら、金融庁から指導するでもいいですよ、そういう形にしたらどうですか。

山本国務大臣 何度も申し上げていることで恐縮ですが、貸金業協会の自主規制ルール、こういった中に、そうした書面交付もあわせた、そういう窓口のカウンセリングの周知徹底というようなことも検討の中に入れたいというように思っております。

寺田(学)委員 時間が参りましたので。

 大臣、副大臣、ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 これまで、同僚議員あるいは与党の先生方、議論が深まってまいりました。私からは、これまで触れられていない部分、あるいはさらに議論を深めるべき部分に絞りまして、政府にお尋ねしてまいりたいと思います。

 今、同僚の寺田議員の議論を引き取りたいわけでありますが、NPOバンク、いわゆるマイクロクレジットの必要性については、これそのものは御認識いただいているということでいいんでしょうか。

渡辺(喜)副大臣 先ほど大臣が御発言されたとおり、その役割、社会貢献については評価をいたしております。

古本委員 ただいま評価をしていただいているというお話がございました。

 そして、法律に書くか書かないかというところは、これは今まさに我々とそちらと議論が、溝がまだ埋まらないわけでありますが、しかしながら、今の議論を聞いておりますと、二年半後の見直し、これは御案内のとおり、附則の第六十七条一項、ここにおける見直しという範囲が一体どこまで含んでいるのかという議論になるわけでありますが、条文をそのまま読みますと、これは、法の施行後、その実施状況、それから、講ずべき施策の必要性の有無について検討を加え、ちょっとはしょりますが、検討の結果に応じ所要の見直しを行うもの、つまり、見直すことあり得べしということをきちっとこの附則でうたっていただいているわけなんですね。

 ついては、二年と半の月日を経たその時点で法律に書き込むことを検討するということで議論が今少し詰まってきているわけでありますが、もしそうであれば、この二年と半の月日の間にいろいろなことがあるでしょう。それから、政府としても、あるいは金融庁、御庁としても、実態を調べたいと。これは大いに調べていただいて、ちなみに九社しかありませんのですぐに調べがつくと思いますが、しっかりと精査していただいた上で、現実的に一年半後には二千万という財産的参入要件が積まれるわけでありますので、その時点を視野に、ぜひ、まずは救っていただいて、これは内閣府令もあり得べしだと思いますが、なおその上で、二年半の月日を経た後に法律を見直していくということを思い切って今御答弁いただくわけにはいかないでしょうか。

 今これは、検討ということは、検討するということでありまして、渡辺副大臣のお人柄、人望、いろいろなことはもう重々承知でありますが、これは議事録として後輩たちに引き継いでいかなきゃいけないわけでありますので、改めてお尋ねします。見直しを行っていただくわけにはいかないでしょうか。

渡辺(喜)副大臣 先ほど山本大臣が述べられましたように、二年半以内に所要の見直しを行うことが規定をされているわけでございますから、まさしくこの二年半の間に、NPOバンクが今の九つからもっとふえる場合もあるいはあるのかもしれません。想定したくないことでございますが、不幸にしてとんでもないやからがこのNPO法人を使って法を潜脱するようなことがもしかしたらあるかもしれません。

 いずれにしても、そういったことを考えて、NPOバンクというのはこんなに社会に貢献しているじゃないかということが明らかになった場合には、きちんと法律で明記をする、そういったことの必要性も大いに検討すべきではないかということでございます。

古本委員 今、NPOバンクが、例えば新潟の地震災害があったときに、早速立ち上げて貢献した等々、いろいろな話があります。これは枚挙にいとまがありませんが、ぜひ精査いただきたいと思います。

 そして、こんなに役に立っているんだとわかった暁には、見直しを行っていただけますね。

渡辺(喜)副大臣 いずれにしても、現段階では金融庁所管ではございませんので、残念ながらその全体像についてきちんと把握をしている状況ではないわけでございます。

 しかし、今回のこの論議の中で、NPOバンクについての活動がさんざん議論をされたわけでございますから、金融庁としてもしっかり、こういった問題について、関心を持って見ていきたいと考えております。二年半後の見直し規定の中で、きっちりと議論をさせていただきたいと思っております。

古本委員 きっちりと議論というのは、見直しを視野に入れた議論、こういうことでいいでしょうか。

渡辺(喜)副大臣 法律に明記をすることを含めて、検討していきたいということでございます。

古本委員 今最後に言われた、検討というのを取っていただけないでしょうか。

渡辺(喜)副大臣 社会貢献の度合いが非常に強くて、あ、これはもう法律に明記する必要があるという場合には、それはもうまさに明記するということでございます。

古本委員 ありがとうございました。確認がとれましたので、この件については終わりたいと思います。

 それでは、幾つかに少し層別したいと思うんですが、まず、サプライサイド、供給者側に立った質問をお尋ねしたいと思います。

 問題のATMなんですけれども、これは、今回の委員会の始まりに、大変、金融庁には夜を徹しての作業を求めてしまい、本当に御苦労をいただきました。おかげさまで大変な資料が出てきまして、同僚議員初め、大変力になる、参考のデータになったと思います。その中で出てまいりましたものの一つに、無人契約機による新規契約というデータがございます。平成六年、今から十数年前、わずか四台でありましたこの無人契約機が、実に、今何と八千四百台を超える台数になっております。そしてさらに、新規で契約をするときの割合は、この自動契約機を使って初めてこの消費者金融の世界に一歩足を踏み入れる契機になったという方が実に六割を超えておられるわけなんですね。

 したがいまして、このATMというのは、一体いつごろから、何かきっかけがあってこういうふうに普及するようになったんでしょうか。何か法律の緩和があったのか、あるいは機械が進歩して、いわゆる俗に言う「むじんくん」というんでしょうか、ああいうことが普及し始めたんでしょうか。

佐藤政府参考人 無人機の普及に関しまして特定の理由を決定的に申し上げるのは難しいかと思いますけれども、ここ十年程度の間におきまして自動契約機が大幅に増加した理由としては、一つには、貸金業者の側で機械化による人件費削減のメリットということを意識したということはあろうかと思います。

 それから、さらに申し上げますと、やはり通信技術の大幅な進歩ということで、自動契約機においても店頭における対面での審査とほぼ同様の審査が可能になった、こういった事情が大きいのではないかというふうに聞いております。

古本委員 きょうは、国民生活センターの所管であります内閣府も来ていただいていますね。我々も拝見をいたしております、この「多重債務問題の現状と対応に関する調査研究」、これは大変力になる情報がふんだんに入っているわけでありますが、このまさに国民の生の声に基づけば、若い人、無人契約機に行くきっかけは、相手に会わなくていいとか、ちょっとやはり恥ずかしい、何か後ろめたさがある、そういう意識の中で、気軽に行ける、そういう背景がどうもあるようですね。

 さらに、借入先を決めた理由ですね、借入先です。これは、宣伝を見たとか、簡単にお金を貸してくれるから、有名な会社だから。そうですね、連日あれだけテレビでコマーシャルが出ていればそういうことになります。

 つまり、無人契約機というのは、業者、サプライサイドに立てば非常に人件費削減につながるという、それは何となくわかるわけでありますが、一方で、消費者保護の観点に立てば、これは実は非常に若い世代が安易に借りるきっかけになっている、こういうことが国民生活センターの立場から言えるんじゃなかろうか、これは生の声として言えるんじゃなかろうかと思うんですが、いかがでしょうか。

堀田政府参考人 この報告書の中では、若い人の借り入れのきっかけは何であるかといったことをアンケート調査をしておりますけれども、二十歳代の場合は、テレビコマーシャル、これが六五・九%と一番多くて、次が友人等からの紹介といったものでございます。それから、三十代につきましても、一番多いのはそういったテレビコマーシャルであるという報告が載せられております。

古本委員 さらに、その若い人たちが、では何に使うために借りたかという、このアンケート結果を見ていますと、遊興費ですとかギャンブル、あるいは物品の購入ということでありまして、妹を高校にやらせるために借りてあげたとか、病弱な母のために薬代を借りたとか、そんな理由はどこにもないですね。つまり、遊興費、快楽追求型がきっかけなんです。

 そういう意味でいきますと、ATMがいけないと言っているんじゃないです、非常に気軽に立ち寄って、だれにも会わずに、ATMを介して借りることができるという、この気軽さゆえに、いわゆる実需、つまり生活に必要だという、今言ったような薬代だ学費だということじゃない部分で借りるきっかけになってしまう。つまり、背伸びをする生活をすることが若い世代の多重債務の入り口にある、こういうことがまさに浮かび上がっているわけなんですね。

 さて、そこで大臣、副大臣にお尋ねしますが、このATMを介した新規のカード発行、これは私ども修正案で求めてまいったわけでありますが、この際、修正案というのはなかなか難しい局面に来ていると重々承知の上で、今後、ATMを介した新規契約に関して、何か政府としても所要の措置を講じていくという御決意はないでしょうか。

山本国務大臣 無人契約機による貸し付けの契約におきましても、対面による場合と基本的に同様の説明や審査が行われているものと理解しております。また、今回の改正におきましては、新たに導入する総量規制の枠組みは無人契約機による貸付契約にも適用されますことから、改正後は、無人契約機による過剰な貸し付けも厳格に抑制されることになります。

 しかしながら、無人契約機の安易な利用が、おっしゃるように多重債務の一因となっているとの御指摘を踏まえまして、今後、無人契約機による貸付契約の実態を調査しまして、例えば、郊外における遊技施設に隣接した無人契約機の設置を行わないことなどにつきまして、適切な自主規制が行われるよう配慮してまいりたいと存じます。

古本委員 確認でありますが、それは、例えば遊技施設以外にもいわゆる射幸心をあおる施設というのはあるんでしょうけれども、そういった施設の横に、夜間きらきら輝いているああいうATM、二十四時間やっていますから、ああいうものを設置することを業界側に自主規制を求めたい、こういうお答えだったと思うんですが、金融庁当局としては、何か御決意はないんですか。

三國谷政府参考人 ただいま大臣が申し上げたとおりに従いまして、大臣の指示に従いまして対応してまいりたいと思います。

古本委員 では、観点をちょっと変えたいと思います。

 三分の一の総量規制も入るので心配ない、これは無人機についても適用するというお話がありましたが、それではお尋ねします。

 給与明細あるいは源泉徴収票、そういったものを、あのATM、我々も神田のプロミスさんのを見にいきました、あれのどこにどう当ててそれが真正なるものかどうかを確認するんでしょうか。

三國谷政府参考人 無人契約機による貸し付けの契約等におきましても、例えば年収を明らかにする資料、これをスキャナーなどで読み取りまして内容を確認することは可能であり、対面による契約と基本的に同様の手続が可能であると考えております。

古本委員 今回の法改正の中には、複数社で、トータルで百万以上の場合は所得確認が要る、一社で五十万以上、こういうことですよね。ということは、三つぐらいああいう無人機が並んでいるところに、これは三十五万円ずつ刻みで同時に借りれば、結果として百万を超えていますが、個々で見れば三十五万ですから、同時でいけばまんまと借りることができるんじゃないですか。それは何かシステム上のセーフティーネットを張っているんでしょうか。

三國谷政府参考人 無人契約機におきますそういった審査も、基本的には対面でやる場合と同様でございまして、それぞれの貸付契約の段階で所要の調査義務がかかるということでございます。

古本委員 連檐性があるんですね。非常に連檐性があって、つながって郊外にあるわけです。そういうところに、非常に人目を忍び、借りに行きやすいわけで、そこで多重債務が起こっているわけです。

 ついては、ATMというのは、我々も聞きましたよ、一時間近くオペレーターでやりとりしながら慎重審査をしているということも現地で見てまいりました。さりとて、実際の店舗を訪ねていく物理的、時間的制約に比べれば、二、三歩歩いたら隣のブースに行けるわけでありますから、瞬時にして、時間軸で申し上げていますが、比較的瞬間的に、同時多発的に契約することができるんじゃなかろうか。そういう場合、結果として三分の一の総量規制の枠から、手から漏れるんじゃないかという懸念があるわけです。いかがでしょうか。

三國谷政府参考人 今回の総量規制は、借り手の総量につきまして貸し手に調査義務を課すことによりまして、その実効性を担保しようとするものでございます。したがいまして、貸し手には最大限の注意義務が必要となりますが、特にこの中で問題になりますのは、リボルビング契約等におきまして、枠で契約した後においてほかのところの借り入れが行われた場合に枠だけが生きるというようなこと、これが実効的には大変心配されるところでございます。

 したがいまして、今回の法案の中では、途上与信と申しまして、枠を設定した方々がそれを頻繁に使われるような一定の状態に着眼いたしまして、実情に応じまして他の借入残高状況を実際に調べまして、その途上与信段階でチェックしていく、そういった形で、いわば逸脱行為が行われることをできるだけ防ぐような、そういうことを考えているわけでございます。

古本委員 与信能力ということが多分問われると思うんです。恐らく、全情連を中心としたシステムに乗っかって、その人の、ある意味前があるかどうか、あるいはきれいかどうかというのを確認するわけですね。

 ところが、私たちは新規で借りる人を懸念しているわけなんです。つまり、幾らセンターに問い合わせたところで真っ白に決まっていますよ、借りていないんですから。でも、年収二百万の、これはどうですか、国民生活センターによると、若年層の二十代女性は、まさに物品購入のためにその世界に足を踏み入れていますよね。まさに、年収二、三百万の若年層のそういう方々が百万借りることだってまんまとできるんですよ。所得証明を確認せずにですよ。そういう懸念は依然として払拭されていないんです。

 その上で、どうでしょうか、大臣。政治としての御答弁を再度求めたいと思います。いや、大臣に聞いています。役所はいいです。現実に心配なんですね。ATMにおける新規の契約というのは、依然として懸念は晴れていないと思います。

山本国務大臣 確かに先生のおっしゃることは、指定情報機関の名寄せでもなかなか十分でない、そういう懸念はございます。したがいまして、無人契約機による貸付契約の実態等、将来、こういったものを慎重に検討しながら、また適切な自主規制についての申し入れをしたいというように思います。

古本委員 ただいま大臣から、実態をさらに調査していただいて、もちろん、業界の皆さんも、これは財産権としてATMを設置されておるわけでありますから、これはいたずらに否定するわけにはまいらないと我々も重々承知の上で、さりとて、若い人のそういう借りる傾向をかんがみて、しかるべき措置を今後とっていきますというふうにお答えをいただいたということでよろしいでしょうか。

山本国務大臣 まずは実態調査ということから出発し、また、顧客の利便性もあり、さらに、借り手側のそうした誘惑性というものも十分考慮しながら、慎重に検討していきたいというように思います。

古本委員 では、続きまして、午前の質疑で与党筆頭からは、いわゆるユーザーサイドというかディマンドサイドばかりに立って、社会経済全体をマクロで見ていないという厳しい御指摘をいただきましたので、予定外の質問を、通告はちゃんとしていますので、してまいりたいと思います。

 貸金業者の大手五社の株価の推移を少しお尋ねしたいと思うんですね。

 もちろん、クラッシュした際の心配はいいのか等々ありましたが、何をか言わん、これはどうでしょうか。大手五社の株価、上場ベースで、アイフルさん以下でありますが、最高で、ピーク時、二〇〇六年の三月で株価は七千七百円ぐらいつけていましたね。時価総額で一兆。アコムさん、六千九百億。武富士さん、一兆九百億。最終的なアセットで四兆五千億ぐらい時価総額でありました。これはことしの三月の話です。わずかに半年前の話であります。

 今現在、十一月二十八日、終わり値ベース、アイフルさん、三千三百四十円。これはどうですか。まさにこの議論と並行して下がってきていると言ってもいいぐらい下がっています。時価総額は二兆三千八百ぐらいになっています。したがいまして、株価が下がってきているということは、この業界に今大変な地殻変動が起きているということなんですね。

 そして、その全体をとらまえる観点が抜け落ちておるという厳しい御指摘でありましたので、ぜひ全体の議論をしたいと思うんですが、では、この五社を中心とする貸金業者に資金を貸し出している総額は、どこから、幾らぐらいあるんでしょうか。これは金融庁に資料を要求して出てきた数字なんですね。どのくらいありますか。

佐藤政府参考人 大手五社に対します金融機関からの貸し出しでございますが、十八年三月期の有価証券報告書によりますと、アコムが七千四百九十六億円、アイフルが一兆一千二百八十九億円、武富士が四千百九十三億円、プロミスが六千二百九十八億円、三洋信販が二千百四十七億円となっております。

古本委員 大変な数字なんです。それだけ借り入れておるわけでありますね。

 さらにあります。

 今回いろいろ要求した資料の中で、生保の未払い事件もありました。それから、中には過徴収の社もありました。取り過ぎちゃいけない保険料を取っていたという言語道断までありました。そういった社からまさに貸し付けて、あるいは、公的資金を注入し今まさに再建の途上にある各社、りそな、新生、あおぞら等々からも何と低利で融通し、それを高利で貸し付けている、こういうビジネスモデルになっているんですね。

 したがって、今後とも、経済全体、株価が下がってくるという状況になってきている中で、残念ながら株価は政治とはまた別の世界ではありますが、今後、このままさらに状態が悪化したならば、もしかしたらこれは第二の不良債権になるんじゃないかという大問題が控えておると思うんですが、御所見を求めます。

佐藤政府参考人 貸金業者に対して融資をいたしております金融機関の方でございますけれども、当然のことながら、経営判断をしっかりやった上で貸しているということだろうとは思いますが、その前提といたしまして、きちんとした資産査定を行うということは求められておるわけでございます。みずからの財務の健全性を確保するという観点から、借り手サイドの財務状況、資金使途、返済財源等を把握して、これらの情報をもとに適切な審査を行い、それを各期の決算に反映させるということが求められているということでございます。

古本委員 そうしますと、資産査定はしっかりとやられている、心配はないということでいいでしょうか。

佐藤政府参考人 結果の財務の健全性について、あらかじめデータもなく断定することは差し控えるべきだろうというふうに思います。

 ただ、一般的に、銀行におきましては、定められた会計基準あるいは資産査定の手続を踏んで各期の決算を組んでいるということでございますし、所要の引当金もその中で積む、そういう形でできました決算につきまして、公認会計士による外部監査を経て決算を発表している、こういうことかと思います。

古本委員 それは当たり前の話なんです。

 お尋ねしているのは、公的資金を注入している銀行からも低利で借り入れているところが、高利で国民に貸し付け、中には団信でああいう自殺に追い込まれたという事件もるる暴露されてきたわけですよね、数字を捏造していたまで出てきたわけですから。そういうビジネスモデルに関与している生保会社、銀行、それは全部どこの所管なんですか。金融庁の所管じゃないですか。わずか半年で時価総額四兆から二兆まで飛んでいるという状況の会社を同じく管理しているのは金融庁じゃないですか。その金融庁として、資産査定ちゃんとできていますかと聞いているんです。ステップなんか聞いていない。責任持てますかと言っているんです。

佐藤政府参考人 金融機関や保険会社の財務の健全性につきましては、先ほど申し上げましたような手続を踏んで、各金融機関が自己責任のもとできちんとした資産査定を行い決算を組む、これに対して外部監査が入った形で決算が正式に決まる。これらを踏まえまして、金融庁といたしましては、通常の検査監督のサイクルの中でその適切性について検証をしておるということでございますので、こういった流れの中で、金融機関の財務の健全性が維持されるような仕組みになっている、財務の健全性を維持させるような、そういう全体の仕組みになっているということでございます。

古本委員 これは大事ですよ。この法律が通っていったならば、各業界、いろいろ懸念があるわけですね。銀行も、もしかしたら資金引き揚げなきゃいけないんじゃないか、いろいろ戦々恐々としているかもしれない。そういう状況の中で、多額の資金を融通している銀行、生保を所管する金融庁として、適正なルールに基づいて適宜資産査定を行っており、この法律を通す、通したいというまさに現下の状況下で、問題ないということを今確認いただいたということで、大臣、よろしいですか。

山本国務大臣 今現在では問題なかろうと思いますが、適切な監督また検査、そういったことの中から、もし必要とあらば適切な措置を講じていくというような姿勢でございます。

古本委員 適切な措置という中に、公金注入も視野に入っているんですか。

佐藤政府参考人 通常の私どもの監督の中で、検査あるいは監督を通じて金融機関の側に財務の健全性に疑いがあるというような場合には、あるいはそれに先立って少し黄色信号がともっているというような場合には、そういった指摘を早目早目に私どもの方からしているということでございます。こういった早目早目の対応をするという枠組みの中で、各金融機関において財務の健全性を維持していくということであろうかと思います。

 いわゆる公的資金の注入につきましては、これは預金保険法の百二条という緊急対応のケース以外には制度として存在しておりませんので、そういったことを前提とした制度になっているということでございます。

古本委員 今話題となっていますグレーゾーン金利相当分、大体年間で一兆円ぐらいあると言われています。そういう中で彼らはこれまでビジネスしてきたわけですね。さらに、今、まさに逆風でしょう、サプライサイドに立てば。例のみなし弁済の部分について、過払い金の返還要求、団体訴訟等々が提訴されています。そのための引当金というのは大体年間どのくらい必要になるんですか。

佐藤政府参考人 大手五社で見ますと、この十八年九月期におきまして、合計で一兆一千三百六十五億円の利息返還損失引当金を計上しております。

古本委員 では、お尋ねいたしますが、いわゆる不当利得の返還請求権の消滅時効、何年ですか。

佐藤政府参考人 十年というふうに承知しております。

古本委員 そうなんですね。最高裁の昭和五十五年の判決で、商事取引で通常五年なんですが、これは、「その消滅時効の期間は民事上の一般債権として民法一六七条一項により一〇年と解する」という判例が出ています。十年なんです。十年だとすると、一体何兆円積み上げなきゃいけないんですか。

佐藤政府参考人 十年積んだ場合に幾らという数字は計算困難でございますけれども、御案内のとおり、先ほど申し上げました十八年九月期における引当金の計上というのは、去る十月十三日に公認会計士協会が定めました実務上の指針、これにのっとっているということであろうかと思います。ここでは、期末に貸付金残高のある場合というのと、それから期末に貸付金残高がない場合、すなわち完済されているような場合、こういう場合も視野に入れて引当金を適正に積んでいるかどうかを監査すべし、こういう基準になっておりますので、その辺を踏まえた監査が行われているというふうに存じます。

古本委員 言いかえますと、現在積まれておる一兆一千億余において、この最高裁判例も踏まえた今後の団体訴訟が想定される中で十分対応できる、こういうことでいいでしょうか。

佐藤政府参考人 ただいまのお尋ねに対しまして、定量的に完全にカバーされているということは、これは将来の話でもございますし、最終的には司法判断にゆだねられる部分がありますので、これは困難であろうというふうに思います。

 ただ、いずれにいたしましても、引当金というものは、決算を組む時点で想定される将来の所要のコストというものをあらかじめ積んでおくということでございますので、そういう位置づけのものとして決算が組まれ、また公認会計士による監査が行われている、こういうふうに理解をいたしております。

古本委員 この問題は、今後とも、与党筆頭御指摘のとおり、経済全体をとらまえたならば、これは見逃せない大事な観点でありますので、当委員会でも引き続き注視をしてまいるべき課題だということの共通認識にぜひ立たなきゃならぬというふうに思っております。

 さて、幾つかの事実も委員会の質疑を通じて明らかになってまいりました。午前中の同僚議員の質疑の中でも、新たにビデオの問題も飛び出してまいりました。例の本の話も大変話題になりました。おさらいをしておかなければなりません。当該の方が神戸大学の助教授として出向といいますか、行かれたのはいつからですか。

村田政府参考人 神戸大学の助教授として、平成十五年の八月から平成十七年の六月まで在職をしておられたと聞いております。

古本委員 きのうの質疑の中でも明らかになりましたが、まとめて業界から発注のあった、スタイルをとった本だったんですね。出向されたのが十五年の八月、そして注文を受けたのが十五年の十二月という時系列になります。

 このぐらいの本ですと、精通された方ですと大体何週間ぐらいで執筆できるんですか。

中江政府参考人 御指摘の点につきましては、本の内容によりまして……(古本委員「この本」と呼ぶ)この本に関してでございますか。

 委員のお求めもございましたので、元金融会社室長本人に取り急ぎ確認をしましたところ、本人からは、三年前のことであり正確に記憶しているわけではないが、おおむね以下のとおりではなかったかとのことでございます。

 まず、本格的に執筆を始めたのは平成十五年の十月ごろからであり、最終的な原稿を固めるまで二カ月程度かかったのではないかと思うということでございます。また、その間、平日の勤務時間外及び土日を含め執筆作業を行ったのは四十日程度であり、一日当たりの作業は二、三時間程度、延べ百時間程度ではなかったかと思うということでございます。

古本委員 十五年の八月に出向され、執筆に当たられたのが、その二カ月後から執筆を始め、十二月、二カ月かけて仕上げ、初版が一月に出た、こういう時系列ですね。これは見方によれば、非常に首尾よく進んでいるという感じで受けとめられかねないわけなんです。

 さて、そこで文科省にお尋ねしますが、今大学には各省庁で、全体で何人ぐらい、研究者か教授かわかりませんが、出ておられるんですか。

 これは実はお尋ねしたんですけれども、文科省じゃ掌握していないということで、人事院にも聞きました。いろいろ聞きましたが、万策尽きて各省庁に聞くしかなくて、全部聞きました。今現在、全省庁で百五十一名の方が大学の先生として教鞭をとっておられます。省庁によるばらつきが大変ありますが、多いのが総務省、それから財務省は二十五人も行っておられます。それから、ゼロというところも大変あります。

 金融庁、金融庁はこれまで何人行かれていますか。金融庁発足以来延べ二人しか行っていません。問題の当該の一人と、今現在、ある大学に行かれている一人、二人だけです。この人は一体何を研究しに、何をやりに神戸大学に行っていたのか、これは疑惑は深まるばかりなんです。

 ここに、神戸大学大学院のウエブがあります。神戸大学の大学院が出している資料です。何と書いているか。

 「Q&A改正貸金業規制法のすべて ヤミ金融対策法の解説とポイント」、著者は問題の方、大蔵財務協会。「著者は、本学に出向する直前、金融庁金融会社室長として、貸金業者の監督の任にあたるとともに、この国会議員提案のヤミ金融対策法の制定に協力した。」「本著は、このヤミ金融対策法制定に至るまでの経緯や行政上の対応について、」云々、こう続きまして、「三年後を目途に出資法上限金利や貸金業規制法の見直しが行われることとなっているが、」と。

 つまり、今まさにこの議論を国会でしているわけですね。その議論の端緒をつけていただくポジションにいた人が大学に出向いた数カ月後に書き上げた本を、特定の業界そして当事者である方々が買い上げた、こういうことであります。

 つまりは、これは委員長にお諮りするのもなんなんですが、他の省庁の分も含めて、これはやはり、役所の方が大学に出向いて本を書いているということは、今、国立大学法人に変わりました、そして授業料も大変上がってきています、いろいろな問題もあるでしょう、そういう中で全体を一度精査する必要が、これは財金委員会の職責は超えておりますが、百五十一名も行っておられるという現状をかんがみて、そういった問題意識を強く持つわけであります。きょうはもうここまでにしたいと思いますが。

 最後に、文科省、きょう来ていただいていますが、こういったときの執筆に要した部屋とか蛍光灯の電気代だとかパソコンの減価償却費とか、これは例えば、この方は四百六十万円も印税が入っているんですよ。神戸大学の学生さんにちいとは申しわけないかという話があるわけであります。授業料を負担してくれておる学生諸君にですよ。何か幾ばくかの負担を求めるというルールをつくったらどうなんですか、こういう問題の提起なんであります。終わったことはいいです。今後に対し、そういうことも要るんじゃなかろうか。文科省、いかがでしょうか。

村田政府参考人 近年、大学教育につきまして、より実践的な教育に取り組むという観点から、広く社会のさまざまな分野の方々に大学においでいただいて、教鞭をとっていただくということが広く行われているところでございます。

 また、御質問のございました、著作を売ったことによる収入を還元してはということでございますけれども、一般的に申し上げまして、大学の教員等がその研究の成果を論文等の出版物として公にするということにつきましては、研究成果を社会に還元するということとともに、当該出版物を通じた教育が行われるというふうな形で、また教育研究に有意義なものだと思います。そういう観点もありますし、また、大学の教員の職務の研究活動という中には、その成果を広く論文の形で公表するという部分も含まれてございます。

 こうした大学教員の職務の特性を踏まえますと、教員等が行います研究成果の出版による収入の取り扱いをどのようにするかということにつきましては、個々の事例に基づきまして、各大学において適切に判断されるべきというふうに考えております。

古本委員 ありがとうございました。

 最後に、金融大臣、これは一円たりとも金融庁にはプール金として戻っていないと約束していただけますか、この今回の事案について。

山本国務大臣 戻っておりませんし、また、今後もないように努めます。

古本委員 ありがとうございました。

 続きまして、働き方という観点で少し確認をしたいと思うんです。

 これは、違法な取り立てがきっかけとなってアイフルもああいう行政処分を受けたということだと思うんですが、そもそも、取り立てに行く営業マンの働き方実態のようなものは、労基署、厚労省として把握されているんでしょうか。

 これは今でも、夜の九時から朝の八時までは取り立てないようにという、努力規定ですよね。これが今後、夜討ち朝駆けはだめだということになるんですが、だめだと言われながらもそこしか会えないわけで、営業マンは、ノルマ達成のために行くわけですよね。そういう意味では、勢いサプライサイドの業者が悪いという議論が先行しがちですが、実は、そこに働いている人も、一人の労働者、勤労者としては、やむにやまれぬ上からの命令で動いておったという面もあるわけであります。

 働き方の実態の把握の現状いかん、そして今後の取り組みの方向について、簡潔にお願いします。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 労働基準法に関する、例えば労働者からの申告件数等でございますけれども、平成十六年が九百二件、平成十七年が八百七十八件でございまして、また、そのうち労働基準関係法違反と認められた件数は、十六年で四百六十五件、十七年が四百六十六件でございます。

 私ども、違反があった場合等につきまして、適切に監督指導しているところでございまして、今後ともまた監督指導に徹してまいりたいというふうに思います。

古本委員 ぜひ、当委員会としては、そこの現場で働いている、サプライサイドの人の働き方という観点が実は議論の中に抜け落ちていたような気がいたしますので、今後とも注視をしていく必要があるんじゃなかろうかと思うわけであります。

 それから、コマーシャルで、結果として借りに行ったという問題があります。今後、自主規制でやっていく等々の問題もありますが、踊ったりはねたり、あるいは犬が出てきたり、それぞれのタイミングによって、多分こういう高が動いているという傾向があると思うんですね。コマーシャルと業績との連関性みたいなものは、何か金融庁として把握しているでしょうか。

山本国務大臣 大手消費者金融五社の過去十年間における平均貸付残高と平均広告宣伝費の推移を見ますと、平成十四年度までは、両者はともに伸びております。したがって、消費者金融業者によるテレビコマーシャルを含む広告宣伝が、若者を中心に安易な借り入れを助長し、貸金業者の貸付残高を増加させている一因になっているのではないかとの御指摘は、あながち否定できません。

 このような状況下、大手消費者金融七社は、本年四月より、テレビCMの放映時間帯や頻度につきまして自主的な対応を行っているところでございますが、今回の法案では、貸金業協会が広告の内容、方法、頻度及び審査に関する事項につきまして自主規制を策定し、これを内閣総理大臣が認可する枠組みを導入することとしております。

 このような措置によりまして、広告等適正化が一層図られ、多重債務者問題の解決に資することを期待しておるところでございます。

古本委員 大臣の御決意を承ったというふうに受けとめたいと思います。

 最後に、先ほど馬淵議員が指摘をした部分を少し引き取りたいと思います。

 にせのロレックスだという議論を振ったわけでありまして、ああいう答弁があったと思うんですが、逆に、仮に、金の延べ棒、インゴット、純正です、これを貸しますといって高利で貸した場合、これはどこの省庁が所管で、どうなるんですか。皆さんわかっていただけると思うんですが、借りた人は、そのまま三菱マテリアルに駆け込んで換金すれば、結果としての金貸しになる、ビジネスモデルとしては成り立つと思います。あるいは商品券でもいいです。にせのロレックスだったから話が警察庁になったわけでありますが、これは、どこが所管で、これを取り締まる仕掛けはあるんでしょうか。

三國谷政府参考人 金銭の貸し付けということになりませんと、直ちに私ども金融庁ということにはならないと思いますが、ただ、いろいろな個別の事例によるのかと思いますけれども、先ほど警察庁の方が申されましたように、それが全体としてどのような事実関係を構成するのか、それから出資法に該当するのか、あるいはほかのいろいろな構成要件に該当するかというのは、それぞれの個々の事案によるものだと承知しております。

古本委員 そうしますと、そういう意味でのビジネスモデルとしてこういうものが出てきたときに、今は救える仕掛けはない、こういうことを言っておられるという理解でいいですか。

三國谷政府参考人 例えば、今のものが本物の金であったとした場合に、それを貸し付ける行為がどうかということ、これにつきましては、その取引が正常だったかどうだったのか、あるいはこれは民事上の問題になるかもしれません。それがまた、一方において、別途な形をとりまして、個別の事案によりまして、他方、犯罪的な構成要件に該当するかどうかということになれば、そういった切り口からこの事案に対しても対処していくことは、個別事案によってはあろうかと考えております。

古本委員 いろいろな知恵を出しながら、多分、業界も考えてくると思います。

 そういう中で、ぜひ今後とも、見直しも視野に入れたさまざまな柔軟な対応をしていくということを強く求めて、質問を終わりたいと思います。これまで金融庁の皆さん大変御苦労さまでした。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 いよいよ最終的な段階に来ていると思いますが、私で最後になるかどうかは、これから行われる理事会の協議の結果次第ということでございます。

 そこで、私は、これまでの審議を通じて明らかになってまいりました、サラ金、やみ金に苦しんで、自殺者も出す、あるいは自殺も考えるような人がふえている、こういう問題をどう解決していくかという点についてきょうは御質問したいと思います。

 ここで私が取り上げたいのは、過払いになっている、つまり、利息制限法を超える無効な金利を押しつけられて、それを知らずに、払わなければならないものだというふうに思い込んで、なかなか払えないということで自分を追い込み、自殺に至る、そういうケースが結構多いということであります。

 ここに一つの例を紹介したいんですけれども、これはある六十代のお母さんを自殺で亡くした娘さんの手記であります。

 二年前のことでありますが、平成十六年八月三十一日午前二時過ぎ、台風による停電の中、六十六歳の老女がみずからの命を絶ちました。自宅二階の押し入れの天袋の柱に腰ひもと日本手ぬぐいをかけて首をつったのでした。これが私の大切な母の最期でした。身長百四十五センチの小柄な母がどんな気持ちでみずからの死に支度をしたのかと思うと、胸をえぐられる思いです。

 母の四十九日を前に遺品として受け取った品物の中に、アイフル初め四社の書類がありました。その中には、亡くなる一週間前に、三千円はかかるであろう交通費を出して、千円の支払いのために大阪に出向いていました。私は、自分自身の母を救えなかった、見殺しにしたのと同じです。

 母の借り入れは本当にあるのか、アイフルに取引履歴の開示を求めたところ、わずかばかりですが過払いになっていたのです。私の悲しみは怒りに変わりました。高い金利を支払い、その取り立ての電話におびえ、訪問者におびえ、みずからの命を絶った母の借金は既に払い終わっていたのです。

 こういう例であります。

 つまり、払わなくてもいいものまで払わされていた、それを知っていればみずから命を絶たなくて済んだ、こういう訴えであります。

 それから、最近もいろいろな事件が、強盗事件などあります。参考人質疑の中でも紹介されていましたが、最近、郵便局に強盗に入った事件というのがありましたね。これを弁護士の方が本人から聞き取りしたメモがありますが、こういうのがあるんですね。

 私は、サラ金から借金があり、まじめにおくれることなく長年返済し続けました。それも家族にばれないように、一人で悩み、苦しみ、返済が困難になり、このような事件を起こしてしまいました。私の借財は四百三十万円で、月々の返済は十五万円以上でした。おくれれば督促の手紙や電話が来て家族にばれるのではないかと、何をしても返済返済、頭から離れませんでした。自殺を考えたこともあります。高等裁判所になって、弁護士からサラ金の借金は過払いになっていたことを教えられました。しかもこんなにも多額の。私は愕然としました。当時このことを知っていたら、あんな犯罪などしなくともよかったのに。そして、今こんな場所にいなくてもよかったのに。私は悔しくて泣きました。

 これは、本人がしゃべったのを弁護士が記録したものであります。

 こういう事例をなぜ紹介したかといいますと、過払いというものがほとんど知られていないのではないか。つまり、利息制限法を超えたものは、先ほどの話によりますと支払い義務はない、超えた金利は無効である、そういうものを返還してもらうのは当然であるということなんですけれども、こういう過払い請求で債務が減額されるということを知らない方々、私の質問に山本大臣は、「弱者の立場に立って、しっかりしたことをやっていくような行政でありたい」、大変前向きな答弁をされたんです。

 多重債務者に、解決策といいますか過払いというものがあるんだよ、利息制限法を超えるものは無効であり支払い義務はないんだよということを周知徹底することは非常に大事だというふうに思いますが、これはどのような具体的な対策を考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。

山本国務大臣 まさしく、知らないことによって予想外の被害をこうむったり情けない思いをされるということに対しては、文明国家として許しがたいことでございます。

 その意味におきまして、基本的な社会常識の知識の中にこういう利息制限法あるいは出資法のそういう知識が入っていけば幸いであるわけでございますが、いまだ過渡的な時代というように考えますれば、今後、多重債務者対策本部におきまして充実していくであろうカウンセリングシステム、我々は、そういったもので二百三十万の多重債務者の皆さんがひとしく知識を得ながら、みずからの生活自立というものを図っていくような健全な社会に向かっての歩みを始めていただきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 やはりこれは、周知徹底するということが非常に大事だというふうに思います。

 そこで、過払いに対する返還の請求問題でございます。

 先ほども出ておりましたが、引当金の問題ですね。利息返還損失引当金という点、私もこの前これを取り上げましたが、サラ金大手五社で一兆円を超えるという答弁が先ほどありました。

 この点は、日本公認会計士協会の十月十三日付の通達文書でこういう指摘があるんです。グレーゾーン金利が解消したとしても、過去に債務者等が利息制限法の上限金利を超過して支払った利息部分の請求はその後も残り、今後とも債務者等からの請求が予想される、これは当然です。過去の過払いに対して、払い過ぎたから返してください、これは予想される。そこで、返還の請求が見込まれる場合において、当該返還額が引き当て計上されているか留意する必要がある、こういうふうに指摘をしているわけですね。

 つまり、ここで引当金を積むということは、利息制限法の上限金利を超えた無効な金利の支払いを業者側が受けているので、それに対して、返してくれという返還が予想される、それを想定して積み立てている、こういうものだと思うわけです。したがって、これはいわば過剰な取り立て分といいますか、そういう部分だということだと思うんです。引き当て部分というのは、そのために積むということなんですから。

 まず、この引き当ての性格ですね。これは、無効な支払いをした可能性のある部分を返還に備えて積み立てておく、こういう性格のものだというふうに私は思いますが、大臣、どうですか。

山本国務大臣 大手消費者金融会社四社は、足元における過払い金返還請求の増大や日本公認会計士協会が公表いたしました監査上の新基準、これらを踏まえまして、十八年九月期におきまして、合計で一兆八百四十六億円、連結ベースでの利息返還損失引当金を計上したものと承知しております。

 当該引当金は、期末の債権残高、直近一年の返還実績率、平均回収期間等を勘案して合理的に見積もられる利息返還費用を引き当てるものでございますが、個々の弁済でございまして、それぞれまた事情はあろうというように思っておりますが、会計上、そうした引当金が将来返済される見込みであるという点におきましては、委員御指摘のとおりでございます。

佐々木(憲)委員 これは取り過ぎちゃったわけですからね、取り過ぎたものを会社の中に積み立てておくというのはいかがなものか。取り過ぎたら取り過ぎた相手に返すというのは当たり前なので、請求があって初めて検討するというようなものではないのではないか。請求がある前に、具体的にこういう問題について、積極的に返す姿勢を、もちろん手続はいろいろあるでしょうけれども、そういうものではないのかと思うんです。言われたら返す、言われなかったら返さないというような感じでは、これはまずいのではないか、はっきりしているわけですから。

 引当金の性格は、過払いに対する請求があった場合、それに対応するために積み立てる、そういう想定だとおっしゃいましたね。したがって、これを返す姿勢を業者側が積極的に示すべきだというのは当然だと思うんですが、いかがですか。

山本国務大臣 個々の債権債務の問題でありますし、既に支払われた分についての過払い返還請求をした場合、どういった抗弁がなされるかにつきましては、個々のケースケースで考えなければならないということは言うまでもありません。

 ただ、それが予測される、また、過払いの蓋然性が極めて高いという人に対して何らかの措置がないのかなというような工夫は、それぞれまた業者間、あるいは借り手と貸し手の間のこれからの、ADR的な機関を使うなり、あるいは簡易裁判所の和解の席での話なりというような、何らかの措置を求めるというのは当然あり得ることだろうというように思っております。

佐々木(憲)委員 その返還の仕方ですけれども、私のところにもメールが参りまして、特に弁護士を通じなくても、個人で返還の計算をしてこれを返してくださいという場合に、誠実に対応するんですかと先日の参考人の質疑のときに私は聞いたわけですね。そうしましたら、これは、アイフルの社長さんは誠実に対応いたします、こういう答弁をされました。私はこのことは大変大事なことだと思うんです。

 ですから、いろいろな手続というのは、もちろんそれは必要な場合もあるでしょうけれども、しかし、はっきりしていて、過去の履歴を開示して計算したら、あなたの場合はこのぐらい余分にもらいましたから、これはお返ししますよと。会社として誠実に対応するというのは、この前の答弁もありましたので、すべての業界は当然そういう姿勢で臨むべきだと私は思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

山本国務大臣 個々の会社の経営判断によるところが多いと思いますが、過払いの皆さんのお気持ちからすれば、営業サービスの一環としてそういうものも十分考えられるところでありまして、ぜひ会社としてそうした態度に出ていただければ、かなり会社信用や会社評価が高まっていくだろうというようには思っております。

佐々木(憲)委員 そこで、自殺の問題に先ほど触れましたが、政府は自殺対策基本法というのを制定した上で自殺総合対策会議というのを立ち上げているようでありますが、山本大臣はこの会議のメンバーですか。

山本国務大臣 メンバーです。

佐々木(憲)委員 この法律は今お配りした資料の一番最初のところについておりますが、二ページ目の第十六条、「国及び地方公共団体は、自殺をする危険性が高い者を早期に発見し、相談その他の自殺の発生を回避するための適切な対処を行う体制の整備及び充実に必要な施策を講ずるものとする。」つまり、国の、自殺の早期発見、早期対応、その責任について明記しているわけであります。

 これは大変大事なことだと思っております。と申しますのは、その次のページをあけていただきましても、「自殺の原因・動機」、これも政府の総合対策会議の中で配られた資料だというふうにお聞きしましたが、やはり平成十年以後、経済生活問題を理由とする自殺が急増しております。

 次をあけていただきますと、我が国の自殺死亡率の件数は、人口十万に対して、世界で二番目の高さであります。こういうことを見ましても、自殺対策というものは大変重要であるというふうに私は感じるわけであります。

 そこで、例えば、被害者の方々が今どんな心情かというのは、最後から二番目の、これは御本人が手書きで書いてファクス等で被連協等に送られたものであります。

 左側の真ん中あたりを見ますと、斜めになっておりますが、ここでこんなことが書かれているわけですね。

 ヤミ金からお金を借りたのですが、借りたいじょうにお金を払わされ、生活が出来ない状態になってしまい、取り立てのときもドアをつよくたたいてくるため、家に帰ることが出来ません。どうしてよいのかが分からず死にたいほど困って折ります。

こういう状況ですね。

 それから右の方を見ますと、

 今、とても苦しんでおります。

 どうか、お力をかして下さい。

 このままでは、一家心中もかんがえております。

という訴え。

 それから、下の方を見ていただきたいんですが、これは子供の、十三歳の子が書いたものです。

 新聞を見て手紙を書きました。私の父はさら金に手を出し、払えなくなり、家にいると電話が聞ておどしがすごくて私をつれにくるって言うところもありました。家のげんかんのガラスもわられポストに金かえせなどの手紙がはいっていたりしてこわくて家をでました。父もどこにいるかわからなくて困まっています。兄も失業しててお金をかえすことができません。どうかたすけて下さい。連絡まってます

  兄十六才

  私十三才

子供がこういう手紙まで書いているわけですね。

 この後、一回は連絡がとれたそうなんです。ところが、その後連絡がとれなくなって、今どうなっているのかわからないという状況であります。

 これは、まさにこういう被害者が死のふちを歩いているような状況であります。そういうときに、この方々に命を絶つことのないようにということを国を挙げて支えていくことが求められていると思うんです。対策会議ができたのもそのためだろうと思いますけれども、これに対して大臣はどのようにお考えか。

 それから、先ほど申しましたが、過払いが返ってくるということがわかれば、それは安心できて、それでもう一回やり直してみようという気持ちにもなっていくわけで、まさに再チャレンジの前提づくりになるわけです。その点について大臣の見解をお聞きしたいと思います。

山本国務大臣 自殺者は、一昨年三万二千人、そして去年が二万八千。三万を前後して、大変高水準にありますし、警察白書、犯罪白書でいけば、記憶に間違いがなければ、殺人罪によって死亡する人が千二百から千三百であるということを考えれば、いかにも多いわけでありまして、そしてさらに、少子高齢化であるにもかかわらず、若年者における自殺というものも、その数値は高いものでございます。

 そんな意味におきまして、この異常な数字は、単に個人の、一人一人の精神的なよりどころ等だけで解決される数字ではないと思います。やはりそこは社会の問題、国家の問題というように考える必要があろうと思いますので、私ども、自殺総合対策会議ができ上がっているわけでございます。

 そんな意味で、委員御指摘のように、十六条に掲げられましたように、危険性が高い者を早期に発見し、相談その他の、自殺の発生を回避するための適切な対処を行う体制の整備及び充実、必要な施策というものは金融庁においても当然考えていく必要があろうというように思っております。

佐々木(憲)委員 そこで、貸し出しのやり方の問題ですけれども、法律を変えてグレーゾーンをなくしちゃうということですけれども、これは三年後から実施ということではなくて、過払い請求が発生するようなことがもうあってはならないと私は思うんです。

 つまり、現行法でも利息制限法を超えたものは無効なんですから、そういう金利で貸すという行為についてはやってはならないという原則をやはりしっかり確立することが大事だと思うんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

山本国務大臣 御指摘のとおり、上限金利引き下げまでおおむね三年の準備期間があります。この間、新規の貸し付けにつきましてどのような利率で貸し付けを行うかは個社ごとの判断ではありますが、最近の最高裁の判決や今回の法改正の趣旨を踏まえれば、貸金業者が自主的に利息制限法の範囲の中で貸し付けを行う動きが出てくることも考えられるわけでございます。

 なお、今回の改正におきましては、改正法施行から貸金業規制法第四十三条を廃止するまでの間、利息制限法の上限金利を超える金利につきましては、任意に支払わなければ有効な弁済とならない旨の説明義務を貸金業者に課す方向で検討しております。

佐々木(憲)委員 そこで、最後に銀行との関係であります。

 私もこの委員会の最初のころに、銀行のサラ金業界に対する貸し出し、サラ金業界の資金調達の三分の二が金融機関である、その責任は非常に大きいというふうに思いまして、大臣にお聞きをしました。そのとき大臣は、銀行経営においては、収益性だけではなくて、健全性、適切性、社会的責任、これが非常に大事だという答弁をされまして、今後、消費者へ提供されるローンのあるべき姿について銀行は真摯に検討すべきである、こういうふうに答弁されたわけです。しかし、現実は、この答弁と少し違うといいますか、行き過ぎていると私は思っております。

 以前、サラ金業界に対する融資というものは慎重でなければならない、抑制的でなければならぬ、特に公共的性格を重視して銀行は対応すべきだという通達まで出されたことがありました。それが大幅に変更になったわけですね。その変更になったのは、いつごろからそんなことになってしまったのか。この点を確認したいと思います。

佐藤政府参考人 御指摘の通達でございますけれども、「金融機関のいわゆるサラリーマン金融向け融資について」というタイトルで、平成四年に通達等の簡素合理化の観点から廃止をされたわけでございます。その際、当該通達の趣旨は、別途、いわゆる基本事項通達ということで、「普通銀行の業務運営に関する基本事項等について」、こういうタイトルの通達に趣旨は引き継がれて、その中に「投機的不動産融資、過剰な財テク融資、不健全な先に対する融資、その他社会的批判を受けるおそれの強い融資等は厳に慎むものとする。」こういった文言が入ったわけでございます。

 その後、旧大蔵省が平成十年の六月に、明確なルールに基づく透明かつ公正な金融行政への転換を図るという目的で通達の全面的な見直しを行いまして、その際に基本事項通達も廃止をされまして、現在、その効力はないということでございます。

 この辺の金融監督の枠組みの変遷の中で、現在の基本は、金融機関自身の自己責任というものを重視し、それに対して、市場規律によってそれがチェックされる、そういった中で、行政はルールに基づいて透明性のある対応をしていく、こういう枠組みに変わったわけでございます。

 ただ、そこで、金融機関の自己責任の中身でございますけれども、その金融機関自身が自己責任に基づいて経営判断をする際に、先ほど御指摘いただきましたような、金融機関としての社会的使命であるとか、そういったことも視野に入れて総合的な経営判断を行っていただきたい、こういう期待を私どもとしては持っているということでございます。

佐々木(憲)委員 金融機関の自己責任でサラ金との提携がこんなに深まってしまったというふうにおっしゃいましたが、実は私は、金融庁の責任、政府の責任は非常に大きいと思うんですよ。通達を出して、その通達が一応廃止になった、後は自己責任ですよと。

 しかも、その上に、これは二〇〇二年の七月ですけれども、「金融システムと行政の将来ビジョン」というのが出されて、その中でこういうことが書かれているんです。「消費者金融や商工ローンは、これまで金融業界において必ずしも主流の資金仲介チャネルとして位置付けられてこなかったが、リスクを的確に評価し管理する仕組みを独自に構築して収益を上げる点は、今後の金融業の目指すべき姿勢であり、積極的に評価する意識の転換が必要である。」これは、サラ金業界のあり方こそ金融業界の目指すべき方向である、これは柳澤大臣の時期なんですよ、こういうことに以前と大きく変わったんです。

 それ以後、各金融機関、提携を深めていった。私どもが見た三井住友銀行などもその一つであります。しかも、公的資金を入れて、公的資金注入行に対して、経営健全化計画を出す、その健全化計画の中に、サラ金との提携を大いに進めていきます、こうやってもうけますというのを出させている。しりをたたいて収益を上げなさいと言ってきたのは政府なんですよ。

 例えば、この健全化計画、十七年九月の三井住友フィナンシャルグループの報告書を見ますと、「プロミスとの戦略提携事業の推進においては、当行の顧客基盤・ブランド・ネットワークとプロミスの与信・顧客管理ノウハウを融合したカスケード方式による新たなビジネスモデルにより、コンシューマーファイナンスビジネスを強化する等」、こういうふうに健全化、これは健全化かどうなのか。私は銀行のサラ金化計画だと思います。

 こういうことを、政府が計画を出させて、しりをたたいてきたというところに非常に大きな問題点があったのではないか。したがって、今までの政策の転換ということが現在求められているというふうに思います。

 最後に、山本大臣にこの点についての見解を伺いたいと思います。

山本国務大臣 民間企業たる金融機関の融資、提携は個々の金融機関の経営判断に属する事項であることはもとよりでありますけれども、既に、三メガバンクのうちある行では、消費者金融業界との提携を行っておりません。

 一方、金融機関の経営におきましては、収益性だけではなく、金融機関としての業務の適切性や健全性、社会的責任といった観点も重要であることは当然でございます。

 特に消費者金融につきましては、多重債務者の発生や増加といった社会問題が起きている状況を踏まえまして、各金融機関におきましては、消費者へ提供されるローンのあるべき姿について真摯に検討し、適切に取り組んでいただきたいという姿勢でございます。

佐々木(憲)委員 終わります。

伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後四時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時十八分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております内閣提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する古本伸一郎君外三名提出の修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。寺田学君。

寺田(学)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました、民主党・無所属クラブ、日本共産党提出の貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成、政府提出の原案に賛成の立場から討論を行います。

 民主党は、結党翌年の一九九九年の段階で既に、グレーゾーン金利を解消すべく、出資法の上限金利を現行の利息制限法の上限金利並みに引き下げる法案を提出した経緯があります。それから七年もたってようやく、政府・与党が今般の法案を提出するに至りましたが、遅きに失したことは残念であります。

 政府案は幾つかの問題点をいまだ残しており、民主党・無所属クラブ、日本共産党提案の修正案を提出し、国民にとって最良の法案を成立させることを求めました。

 同修正案は、第一に、出資法上限金利と利息制限法上限金利の間にすき間があり、行政処分の対象としている点を是正し、両者を完全に一致させ、刑事罰の対象となる出資法上限金利を利息制限法金利にそろえていること。

 第二に、国民が最も期待する金利体系の見直しを一刻の猶予もならない課題ととらえ、可及的に速やかに実施する内容となっていること。

 第三に、無人契約機を利用して、若者等が安易に消費者金融に手を出す事例に歯どめをかけるため、実効ある規制措置を講じていること。

 第四に、政府案が貸金業に一律、機械的な資産要件を課し、NPOバンクのような小規模、非営利組織の存立を脅かす問題点を解消するため、時宜に応じた措置が盛り込まれていること。

 第五に、貸金業制度、金利規制のあり方等について、国民的な論議を続けていくため、適切な見直し規定が創設されていること。

 以上を柱としており、これらを実現すれば、真に国民が望む法改正が行われ、健全な経済社会を確立することに資するものと確信いたします。

 なお、政府案は、当初の自民党案にあった利息制限法の金額刻みの引き上げ、特例高金利の設置を取り下げ、民主党の提言に沿った基本方向で取りまとめが行われました。委員会の質疑等においても、政府に厳しい注文、条件をつけていくことができたと受けとめています。さらに、無人契約機による新規の借り入れを抑制すること、法律施行後二年六カ月以内に行う見直しに当たり、非営利で低利の貸し付けを行う法人の参入、存続が可能となるよう法律本則に明記することなど、必要な見直しが行われることを確認いたしました。

 したがいまして、仮に修正案が否決された場合においても、原案には賛成すべきものと考えます。参議院においてさらに実りある法案審議が行われることを期待し、貸金業制度改革は今後とも論議を続けていくべき重要課題であることを表明いたしまして、私の討論を終わります。

 以上です。(拍手)

伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、古本伸一郎君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、宮下一郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。古本伸一郎君。

古本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 上限金利引下げを始めとする改正法の可及的速やかな施行に努めるとともに、カウンセリング体制やセーフティネット貸付の充実、ヤミ金融への取締強化、登録業者への監督強化、金融経済教育の充実など、多重債務問題の解決に向けた対策に政府を挙げて取り組むため、内閣官房に多重債務者対策本部を早期に設置し、関係省庁が連携して、官民一体となった取り組みを推進すること。

 一 各地方自治体に対し、多重債務者に対する相談窓口を設置して適切な助言を行い、カウンセリング機関とのネットワークを構築して、必要な紹介を行うなど、多重債務を抱える住民に対する支援体制を整備するよう、要請を行うこと。また、事前予防型カウンセリングと債務整理型事後カウンセリングを共に強化し、資金需要者が適切なタイミングでカウンセリングを速やかに受けられるよう体制の充実と周知を図ること。そのため、日本司法支援センター(法テラス)、財団法人日本クレジットカウンセリング協会等について、弁護士会等に必要な協力を要請しつつ、体制及び相互連携の強化を図ること。

 一 無登録・高金利等のヤミ金融被害が増えることのないよう、違法業者の摘発のための体制を整備・拡充し、関係法令に基づく徹底した取締りを行うこと。また、違法業者に関する情報を広く一般から効果的に収集するための手法や、貸金業者・貸金業協会が行政当局に協力する仕組みの導入に努めること。さらに将来的には、法令違反によって得た利益を剥奪できる制度等について検討を進めること。

 一 登録業者の監督についても、より効果的に行うための方策を検討しつつ強化を図ること。また、貸金業者の海外進出状況や進出先での活動状況については、海外の関係当局とも情報交換しつつ、その実態把握に努めること。

 一 若年者による健全な実需に基づかない不要不急の借入れなど、無人契約機の安易な利用が多重債務問題の一因となっているとの指摘も踏まえ、十分な実態調査の上、安易な借入れを抑制する仕組みを検討すること。また、郊外における遊技施設等に隣接し、各社が集積させている設置方法などについて、貸金業協会による適切な自主規制が行われるよう配慮すること。

 一 安易な借入れを抑制するため、テレビ・コマーシャルの放映時間帯、放映回数、及び誇大な看板など広告の方法や内容、頻度について、貸金業協会による適切な自主規制が行われるよう配慮すること。

 一 成人後の多重債務化を極力抑制するため、金融経済教育をカリキュラムに組み込むなど、学校段階から家計管理や債務管理についての啓発活動を実施すること。その際、教材等の適切さについては、十分な注意を払うこと。

 一 資金需要者に対する公的支援制度等のセーフティネットの拡充・強化については、貸し渋り等による影響を緩和し、ヤミ金融への流出を防止する観点から、地方自治体や関係団体とも協力しつつ、特段の努力を払うこと。

 一 総量規制など、今回導入する新たな規制の実効性を確保するため、資金需要者の所得確認、借入状況確認、本人確認等の適切な与信審査が行われるよう、指導監督を徹底すること。

 一 市民活動を支える新たな金融システムを構築する観点から、法施行後二年六月以内に行われる見直しに当たり、非営利で低利の貸付けを行う法人の参入と存続が可能となるよう、法律本則に明記することなど、必要な見直しを行う。

 一 今回の改正後の多重債務問題の状況も見極めつつ、全ての消費者信用の利用者の保護を徹底するため、貸金業者以外の信販や銀行等も含めた消費者信用全体の体制のあり方等について、検討を進めること。

以上であります。

 何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣山本有二君。

山本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮をしてまいりたいと存じます。(拍手)

    ―――――――――――――

伊藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十分散会


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