衆議院

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第4号 平成19年2月28日(水曜日)

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平成十九年二月二十八日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 宮下 一郎君

   理事 山本 明彦君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      井澤 京子君    伊藤信太郎君

      石原 宏高君    江崎洋一郎君

      小川 友一君    小野 晋也君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      大野 功統君    木原  稔君

      木挽  司君    佐藤ゆかり君

      杉田 元司君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    長崎幸太郎君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      原田 憲治君    平口  洋君

      広津 素子君    藤井 勇治君

      松本 洋平君   山本ともひろ君

      小沢 鋭仁君    岡本 充功君

      川内 博史君    楠田 大蔵君

      近藤 洋介君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    馬淵 澄夫君

      三谷 光男君    吉田  泉君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      野呂田芳成君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         尾身 幸次君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   財務副大臣        田中 和徳君

   内閣府大臣政務官     田村耕太郎君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         湖島 知高君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            出合  均君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房参事官) 幸田 徳之君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   藤岡 文七君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   丸山 剛司君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            知原 信良君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    石井 道遠君

   政府参考人

   (国税庁次長)      加藤 治彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中田  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           御園慎一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      舟木  隆君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     木挽  司君

  亀井善太郎君     山本ともひろ君

  関  芳弘君     藤井 勇治君

  松本 洋平君     大塚  拓君

  楠田 大蔵君     岡本 充功君

  馬淵 澄夫君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     松本 洋平君

  木挽  司君     杉田 元司君

  藤井 勇治君     関  芳弘君

  山本ともひろ君    冨岡  勉君

  岡本 充功君     楠田 大蔵君

  近藤 洋介君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     萩原 誠司君

  冨岡  勉君     佐藤ゆかり君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     平口  洋君

  萩原 誠司君     西本 勝子君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     越智 隆雄君

  平口  洋君     亀井善太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 特別会計に関する法律案(内閣提出第二号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官丸山剛司君、内閣府沖縄振興局長清水治君、金融庁総務企画局長三國谷勝範君、財務省主計局次長松元崇君、財務省主計局次長真砂靖君、財務省主税局長石井道遠君、国税庁次長加藤治彦君、文部科学省大臣官房審議官中田徹君、厚生労働省大臣官房審議官宮坂亘君、厚生労働省大臣官房審議官御園慎一郎君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長舟木隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木克昌でございます。

 財務金融委員会がやっと正常化と申しますか、ぜひひとつこれからは、委員長におかれてスムーズな委員会が開催をされるようにぜひ御尽力をいただきたい、このことをまずお願い申し上げたいというふうに思います。

 きょうは二大臣の所信に対する質疑ということでありますが、今後のいろいろな時間の問題、それから、法案が非常に重要な法案であるということもありますので、私は、今後法案審議の中ではまたやらせていただく機会があればしっかりやらせていただきますが、事前に何点かお聞きしたいことがありますので、そこを中心にまずお伺いをしてまいりたい、このように思っております。

 今回出されております特別会計に関する法律案でありますけれども、御案内のように、三十一ある特会を、最終的には平成二十三年度までに十七にするということでございます。しかし、よくよく中身を見ていきますと、いわゆる勘定ベースで見ますと、六十二ある現在の勘定が五十に削減をされるということだけなんですね。

 したがって、平均すると一つの特別会計に二つの勘定があるというのが現在なんですけれども、統合後は一つの特別会計に三つの勘定がある、こういうことになるわけであります。これは本当に特別会計の改革になっておるのかどうかということを私は思います。我々は、さらに厳しいといいますか、改革案を党としては出しておるわけであります。

 いわゆる塩川大臣の例の発言で、母屋でおかゆを食べておる、しかし、離れではすき焼きを食べておる。これは、国民もそんなことは絶対ならぬという声が沸き上がってきたわけでありますが、そういう意味で、今回の三十一を十七にするということで本当の意味での改革が進んでおる、このように大臣はお考えになっておるのか、まずそこをお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 特別会計の改革に当たりましては、まず、事業の必要性の減じた特別会計を廃止する、次に、国が行う必要性が薄いものは民営化または独立行政法人化する、その一方、一般会計と経理区分する必要性の薄れた特別会計は一般会計化するというふうにしているわけであります。その上で、存続する特別会計につきましても、事業類型が近似している場合には、行政改革の効果を確実に出すことを前提に統合するという視点に立って見直しを行いました。その結果、行革推進法におきましては、二十三年度までに現行三十一を十七会計にするということを決定したわけでございます。

 これを受けまして、本法律案は行革推進法に定められている特別会計の廃止及び統合をすべて盛り込むことにしているわけでございますが、これらの統廃合は、国民へのわかりやすさ、あるいは資金の流れの透明性の確保とともに、統合特別会計における事業の横断的、総合的な実施、調査研究の共有化、あるいは事務費等の経費の重複の排除による効率化、組織・定員等の効率化などの面で財政支出の縮減効果を発揮するものと考えております。

 今後、各特別会計における統合年度以降の予算編成におきまして、こうした制度変更を踏まえまして、経費の節減を行っていくことになるわけでございまして、真の特別会計改革に当たらないという御批判は必ずしも当たらないものと考えております。

鈴木(克)委員 大臣はそうおっしゃいますけれども、今から幾つか指摘をさせていただきますが、私はやはりこれは抜本的な改革だとはどうしても思えないというふうに申し上げておきたいと思います。特に、剰余金のいわゆる他会計への繰り入れだとか、それから積立金の問題等々を見ていきますと、決してこれは抜本的な改革ではないということになってくるというふうに思います。

 先に進めさせていただきますけれども、まず、剰余金の一般会計への繰り入れを少し議論させていただきたいと思います。

 今回の法律には、剰余金について一般会計へ繰り入れる、こういう規定が設けられました。これはある意味では一歩前進ということかもしれません。しかし、翌年度の歳出のために翌年に繰り越す、そしてまた積立金に積み立てる、こういうことが優先をされておるというのは明らかなんですね。その後で残った額を一般会計に繰り入れる、こういう構図だというふうに思うわけです。そうすると、従来、いわゆる特別会計で無駄遣いがなされておったというところが国民の目線から見るとどうしても許せないところなんですけれども、そういう意味では、いわゆる特別会計で使うだけ使っておいて、そして使い切れなかった残しを一般会計に入れるという構図であることはもう明らかなんですね。

 したがって、一般会計の方で今非常に財政が悪化しておるということでありますけれども、そんな状況で、政府を挙げて財政健全化に取り組んでおる、このような強い意思は、今回の一連の動きから見ると、私はどうしても感じられないというふうに思います。ちょっと厳しい言い方ですけれども、特別会計で金が余ったら一般会計を助けてあげよう、こういうことで、金額は幾らでもいいから一般会計に入れてくれというような規定だというふうに思いますが、そのことについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

尾身国務大臣 現在の厳しい財政状況にかんがみますと、各特別会計の剰余金等につきましては、その使途及び水準を改めて精査しまして、必要な水準を超えて剰余金等についてある場合には一般会計への繰り入れを行うというようなことを行いまして、可能な限り財政健全化に活用することが重要であるというふうに考えております。

 しかしながら、現行の特別会計法におきましては、剰余金の特別会計から一般会計への繰り入れについて、登記、特許、農業経営基盤強化措置、外国為替資金の四つの特別会計にしか規定がされておりませんで、他の特別会計から一般会計への繰り入れについては規定がないわけでございます。

 こうした中で、特別会計における剰余金の財政健全化への活用に関する与野党の垣根を越えた熱心な御議論もいただきまして、行政改革推進法におきまして、特別会計における剰余金等の縮減その他の措置により、今後五年間で財政健全化に総額二十兆円程度の寄与をすることを目標に掲げるということにいたしました。それとともに、剰余金の繰り越し規定を含めまして、一般会計と異なる取り扱いを整理するため、法制上の措置を講ずることが定められたところでございます。

 このような状況を踏まえまして、この法案は、行革推進法に基づき、一般会計と異なる取り扱いを整理するため、財政健全化に向けた各特別会計共通のルールといたしまして、特別会計の剰余金に関し、これまでの四つの特別会計にしか規定されていなかった剰余金の一般会計への繰り入れ規定を事務及び事業を行う全特別会計に適用することとしております。

 また、十九年度予算におきましては、この法律案に基づき、これまで剰余金を一般会計に繰り入れたことのない五つの会計も含めた七つの会計から合計一・八兆円を財政健全化に活用することとしたところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも政府といたしましては、毎年度の予算編成におきましてすべての特別会計における剰余金等の使途及び水準を精査し、必要な水準を超える剰余金等につきましてはその積極的活用を図ってまいりたいと考えておりまして、本規定はこのような取り組みに向けた政府の強い意思のあらわれであると考えております。

鈴木(克)委員 大臣、いろいろおっしゃいますけれども、確かに今まで四つの会計以外繰り入れるというルールがなかったんだ、だから今回はすべてそういうルールを決めた、このことはそれは事実でしょう。しかし、問題はその基準なんですよ。どういうものをいわゆる繰り入れるのかという基準が明確でなければ、ただルールを決めただけでも、では幾ら入れるんですか、どういうときに入れるんですか、どれだけ入れるんですかという基準が明確でないということを申し上げておるわけですよね。ルールを決めたから、今までなかったものを決めたから前進なんだということを幾ら力説されても、私はそれはそうですねとは申し上げられないというふうに思います。

 例えば、一昨年の当委員会で、私は財政融資資金特別会計と外為資金特別会計、この二つの会計を取り上げました。そして、余剰金や積立金の問題点を指摘しました。そうしたら、その直後からと言うとあれかもしれませんけれども、財政融資資金の積立金の一部の十二兆円を取り崩して国債の償還に充てる、こういうようなことになった、その事実を私は見てきております、自分で指摘したところですから。

 しかし、今申し上げたように、いわゆる基準がほとんどわからない。その基準を明確な形で法律に書き込むというのはいろいろなケースがあるので難しいというのはわかりますけれども、しかし、大臣の考えてみえる一般会計繰り入れのいわゆる基準、どのような基準で行うのかということを御説明いただきたいと思います。

尾身国務大臣 現行の特別会計法上、特別会計の剰余金につきましては、ほとんどの会計におきまして、そのすべてを積み立てるか、もしくは翌年度の歳入に繰り入れるということにされているわけでございます。この法律案におきましては、決算の剰余金から一定の見積もりに基づきまして積立金として積み立てる金額を控除し、そしてその中から、当該特別会計の翌年度の歳出の財源に充てるため翌年度の歳入に繰り入れる金額を控除しなお残余がある場合には、各会計の財政状況等も考慮しつつ、予算で定めるところにより、一般会計に繰り入れることができるということにします、剰余金の処理に関する財政健全化に向けた各特別会計共通のルールを定めることとしているわけでございます。

 これによりまして、毎年度の予算におきましては、必要な積立金の水準を積立金明細表に定めることに加えまして、歳出に計上される事務及び事業を徹底的に見直すことによりまして、剰余金が不要な積立金や事業に充てられることがなくなり、特別会計の剰余金が一定のルールに基づいて一般会計に繰り入れられることとなるものと考えております。

鈴木(克)委員 今御説明がありました一定の見積もり、共通のルールを決めて、そして残余がある場合に、こうおっしゃったわけですけれども、問題は、例えば余りがある、では余りをなくそう、要するに、もう使い切ってしまえと、無駄遣いですよね、ここをきちっとチェックできるんですか、ここを私はお伺いしたいんですね。例えば、剰余金を一般会計に繰り入れなさいとします。そうすると、それを嫌って、いわゆる年度内に使い切ってしまえと、これは明らかに無駄なんですけれども、理論的にそういうことも考えられるんじゃないでしょうか。したがって、そのときのチェックシステムというのはどのようにお考えになっているんでしょうか。そのところを説明いただきたいと思います。

尾身国務大臣 特別会計改革を推進する上では、毎年度の予算編成におきまして歳出に計上される事務及び事業を徹底的に見直しする、そしてその上で、繰り越しにつきましては、特別会計に関する法律案に基づき、財政法の原則に立ち返って財務大臣の承認を経るということにしております。予算執行調査等により把握された予算と執行の乖離などの問題点について、事業、制度の必要性まで徹底的に深く検証して次の予算に反映させるという取り組みを積み重ねることによりまして、特別会計予算のさらなる効率化に向けて徹底した努力を継続していくことが重要であると考えております。

 したがって、こうしたプラン・ドゥー・チェック・アクションの考え方に基づいて、各年度の予算において特別会計予算の歳出に計上される事務及び事業について厳格な査定を行うこととしておりますので、そのことから、剰余金を一般会計に繰り入れることを可能にしたからといって予算の使い切りによるいわゆる無駄遣いが生ずるという御指摘は必ずしも当たらないのではないかと考えております。

鈴木(克)委員 我々は過去、徹底的に見直すとか徹底的にチェックをするということをずっと聞かされてきました。また、そういうことを言ってきたわけですね。ところが、結果的にまだまだ国民の目から見れば無駄遣いはたくさんあるということではないでしょうかね。

 まさに今おっしゃった、予算と執行の乖離を、プラン・ドゥー・チェックそしてアクションということをおっしゃったんですが、まさにそれは、言うだけではなくてそういう仕組み、システムをつくらなければ私はやはりそういうことは実行できないと思うんですよ。実行されていかないと思うんですね。問題は、言うだけではなくて、まさにプラン・ドゥー・チェック・アクションのいわゆるそういうシステムというものを私はつくるべきだということを申し上げておきたいわけであります。

 さて次に、剰余金の次は積立金なんですが、この積立金の必要性の規定というものをもう一度私はちょっとただしてまいりたいというふうに思うんです。

 積立金については、事前に、財務省が昨年作成した資料、「特別会計改革の取組み状況について」というものをいただいておるわけでありますが、その中に、積立金について、その必要性、必要な水準等を予算の積立金明細において公表すべき旨を規定する、このように書かれております。このことは、ここにありますので、御案内のとおりでありますけれども。今回、特別会計に関する法律案、大変厚いものをいただいたわけですが、その中に、積立金の必要性や必要な水準を公表すべきである、またあるいは、しなければならないという条文はどこを見てもないんですね。何回見直してみてもないんです。このような条文は法案のどこに規定をされておるのか、教えていただきたいと思います。

尾身国務大臣 御指摘のとおり、十九年度予算編成時における予算のPR資料におきまして、「積立金については、その必要性、必要な水準等を予算の積立金明細表において公表すべき旨の規定を整備。」との規定がございまして、今回の法律案及び十九年度予算につきましてはこうした基本的考え方に基づいて策定を進めてきたところでございます。

 このような方針を受けて、今回の法律案では、第三条第二項、第九条第二項において、歳入歳出予定計算書等や歳入歳出決定計算書に添付しなければならない書類の一つとして積立金明細表を掲げることといたしまして、予算に添付されている積立金明細表において、その必要性や必要な水準等についての記載を設けております。

 なお、財政法上、予算及び決算の作成は財務大臣の権限とされておりまして、これを受けまして、同法及び予算決算及び会計令においては、歳入歳出等の見積書類を初めとした予算及び決算に関する書類の作成について、財務大臣の定めるところによることとされていることから、こうした権限に基づきまして、今回、特別会計予算に添付することとされている積立金明細表において、積立金に係る所要の事項を記載することとしているわけでございます。

鈴木(克)委員 しかし、第三条第二項は、予算書類に添付しなければならない資料として、積立金の明細表の名前を掲げてあるだけで、積立金の必要性や必要水準については一言も書いていないんですね。これは第三条のどこに積立金の必要性や必要水準について書いてあるのか、私はちょっと理解できませんけれども、そこをもう一度、大臣、教えていただけませんか。

尾身国務大臣 これは十九年度予算のPR資料におきまして、積立金については、その必要性及び必要な水準等を予算の積立金明細表において公表すべきであるという規定を整備するという記載がございまして、これをもって、今委員のおっしゃいました心配はないかと思っております。

鈴木(克)委員 それは、私はちょっと納得いかないんですね。皆さんもぜひ一度資料を、第三条をお読みいただきたいんですが、少なくともここに書いてあるのは、例えば「歳入歳出予算計算書等には、次に掲げる書類を添付しなければならない。」ということで、一、二、三、四、五、六とあるのですが、二には「前々年度末における積立金明細表」、三には「前々年度の資金の増減に関する実績表」というふうに書いてあるだけで、そのようなことには、私は、これはここからではどうしても読めないというふうに思いますが、もう一度そのところを、大臣、はっきりと答えていただけませんか。

尾身国務大臣 財政法上、予算及び決算の作成は財務大臣の権限とされているわけでございまして、これを受けまして、財政法及び予算決算会計令におきまして、歳入歳出等についての見積書類を初めとした予算及び決算に関する書類の作成につきましては、財務大臣の定めるところによることとされていることから、この権限に基づいて、積立金に関する所要の事項を記載するということにしているわけでございます。

鈴木(克)委員 それは私はおかしいと思うんですね。もう一度申し上げますよ。第三条第二項第二号及び三号というのは、私はこれは規定が非常に不十分だというふうに思うんですね。今、財務大臣の定めるところによってということですけれども、しかし、我々は法律によって審議をし、そして承認をしていくわけですから、例えば、第二号にありますように「前々年度末における積立金明細表」ということは、例えば決算の数字だけを掲載する、そうすればいいという話になるじゃないんですか。私の言っていることを御理解いただけますかね。

 そうすると、我々は、要するに決算の数字だけを示されて、そして予算を審議しなさい、こういうことに私はなると、この条文から見れば、というふうに思うんですが、そうでないんなら、そうでないということをはっきりとお示しいただけませんか。

尾身国務大臣 財政法上、予算及び決算の作成は財務大臣の権限とされております。そして、それを受けまして、会計令におきまして、歳入歳出等の見積書類を初めとした予算及び決算に関する書類の作成については、財務大臣の定めるところによるというふうにされているわけでございまして、この権限に基づきまして、先ほど申し上げましたPR資料等におきまして、積立金については、その必要性、必要な水準等を予算の積立金明細表において公表すべき旨の規定を整備しているわけでございまして、その点につきましては、したがいまして、積立金に係る所要の事項を記載することとなっておりますから、今委員のおっしゃるような御心配は要らないと考えております。

鈴木(克)委員 いや、私も、今財政法をおっしゃいましたので、ここに財政法を持ってきております。確かに財政法の方には、第二十八条の四号に「当該年度末における見込に関する調書」ということ、これを見ればおっしゃることはわかりますが、しかし、財政法には書かれておるかもしれませんけれども、今我々が審議しようとしておるこの法律にはないんですね。だから、私は、やはりこれは明らかに修正すべきだというふうに思います。

 もう一度申し上げますね。予算書の添付資料が決算の数字では、予算の審議はできません。これを、実際の予算書には当該年度の見込み額まで掲載されているので問題ない、こういうことを今おっしゃったわけでありますけれども、私は、そういうことではないんですね。やはり法律には必要事項をきちんと規定すべきだ、だから、ここは明らかにやはり法案を修正すべきだというふうに思うんです。

 今おっしゃいました。財政法第二十八条は、予算書に添付すべき書類、資料について規定をしておるわけですね。そして、それらの資料については、前々年度末の決算額、そして前年度末の決算の見込み額、さらに当該年度末の見込み額を掲載するということを義務づけておるわけです。だから、私は、やはり今回のこの法案においてももっと幅広く、いわゆる掲載年度をきちっと明示すべきだ、こういうことを申し上げたいわけでありますが、そのことについて、いかがですか。

尾身国務大臣 先ほど申し上げましたように、積立金明細表におきまして、その必要性や必要な水準等についての記載をするということになっているわけでございます。そういう中で、先ほどのお話のとおりの予算のPR資料におきまして、積立金については、その必要性、必要な水準等を予算の積立金明細表において公表すべきであるという規定を整備するという記載になっております。したがいまして、この積立金に係る所要の事項を記載することとなっているわけでございます。

鈴木(克)委員 どうも私の見解と大臣のおっしゃることが合わないわけなんですが、確かに注意書きにそういうことが書かれておるわけですが、注意書きなんというのは、いわゆる法律に規定されたものじゃないわけですから、書かなければ書かないで済んじゃうということですから。

 もう一度私は申し上げておきたいんですが、やはりきちっと法律にうたって、そしてきちっと開示をして、その開示をされた資料に基づいて我々は議論をする、そういうふうにしないと、財務大臣の定めるところであるとか注意書きにあるからとかいうような、やはり逃げとかごまかしとかいうことではなくて、この際、本当に特別会計は国民がまさに注視をしておる、無駄遣いの元凶だと言われておるような法律を今我々は直そうとしておるわけですから、そういうことである以上、やはり法律の面からきちっと落ち度のないような、そういう形の修正をぜひやるべきだ、私はこのように思っております。ぜひこのことは、今後私も機会があればきちっと説明をさせていただきたいし、別の場でもまた主張させていただきたいと思っております。

 では、時間の関係もありますので、次に参りたいというふうに思います。

 外為特会の積立金の基準についてちょっとお話をさせていただきたいんですが、予算書の中の積立金明細書を調べてみました。そうすると、これはいろいろな会計でばらばらなんですね。積み立ての水準が結局明確にされておらないということであります。

 例えば、外為特別会計では、一定の資産から一定の負債を控除してその三〇%を積み立てる、このように具体的な水準を示してあります。ここで、なぜ三〇%なのかというその根拠を私は示してほしいんですね。

 実際に計算をしてみました。そうすると、現在の積立金額の二倍以上の積み立てが必要となる、こういうふうになるわけですよね。一昨年も私はこのことを指摘したわけでありますが、外為会計で決算上支払い不足を生じたことはこの半世紀間でわずか二回ほどしかなかったんですね。過去の実績を見る限り、今言われるようなこれほど多額な積み立ての必要は全くないと私は前にも主張させていただきました。

 三〇%という水準は見直してもっと低くすべきだ、必要のないお金をなぜ積み立てておくのか、こういうことを私は主張したいんです。まさにこれこそ無駄ではないのか。このことについて、大臣、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 外国為替資金特別会計は、外貨準備を保有し、為替相場の急激な変動の際に為替介入を行うために設けられている特別会計でございます。

 この外為特会の積立金は、外為特会の金利変動やあるいは為替変動のリスクを吸収するものとして、将来、国内金利が高くなって海外金利が安くなるという内外金利の逆転により外為特会が歳入不足に陥るおそれがある、そのことに備えるという目的が一つございます。それからさらに、外為特会の保有する外貨資産につきまして、円高に伴い発生する評価損見合いの役割も果たしているわけでございます。そういう意味で、通貨当局の信認を確保するために必要不可欠なものであると考えております。

 この積立金につきましては、保有外貨資産の三〇%程度を限度に積み立てていくということが中長期的には望ましいと考えております。その根拠は、過去の為替と金利のデータから統計学的に試算すると、為替や金利が変動しても積立金が評価損をおおむね下回らない水準になるには、保有外貨資産の三〇%程度の金額が必要とされているところによるものでございます。

鈴木(克)委員 さっきも申し上げたように、過去に二回、五十年間に二回ほど、これが出動したというか使われたことしかないんですよ。だから、三〇%がいいんだと言われても、ああそうですか、三〇パーなんですかというふうに私はどうしても思えないんですね。だから、なぜ三〇パーなのか。それは適正な基準なんだと言われても、基準だからいいじゃないかと言われても、それじゃその三〇パーはなぜ三〇パーか、くどくなりますけれども、そこを教えてもらいたいと言っておるわけですから、今大臣のおっしゃっておることは私の問いに対する御答弁にはなっていないんじゃないかな、三〇パー必要だから三〇パーだと言われるだけでは。

 もう一遍言いますよ。過去二回しかこれは出動されたことはないんですよ、使われたことはないんですよ。なのに、三〇パーというのはなぜですかということですよね。もう一遍教えてください。

尾身国務大臣 これは、過去の為替あるいは金利のデータから統計的に試算して、為替やあるいは金利が変動しても積立金が評価損をおおむね下回らない水準として、統計的なデータから三〇%という率をはじき出したわけでございます。日本銀行におきましても、外貨資産に係る損失引当金の限度額についても、これは法令上、外貨資産の金額の三〇%となっているところでございまして、この外為特会のシステムのクレディビリティーを守るためにはこの程度が必要であるというふうに考えているわけでございます。

鈴木(克)委員 何回お伺いしても同じことだと思うんですよね。過去の為替そして金利のデータから三〇パーをはじき出しておるんだ、こういうことでありますけれども、もう一度申し上げますと、それは過去に、五十年間で二回、こういった形で使われたことしかないんですよということも申し上げておきたいと思います。私は、ぜひ一度、この辺は真摯に御検討をいただきたいなということを申し上げて、終わります。

 次に移らせていただきます。次に、財政融資資金特会の積立金の処理についてお伺いをしたいと思います。

 財政融資資金特会について、積立金が政令で定める一定水準を超えた場合には、それを国債整理基金へ繰り入れるというふうにしてありますね。なぜ国債整理基金かということであります。もちろん、国債整理基金に繰り入れることは、私は一概に悪いということは申し上げないですけれども、そうは言いませんけれども、しかし、ほかの特別会計の繰り入れ先が一般会計なんですよね。では、なぜこの財政融資資金は国債整理基金に入れるのかということの理由が私はよくわかりません。何か明確な理由があってそのようにされておるというふうに思いますが、その理由をお示しいただきたいと思います。

尾身国務大臣 国の財政の健全化に特別会計の剰余金、積立金を活用するという観点から、特別会計に関する法律案におきましては、財政融資資金特別会計の積立金が同特別会計の財務の健全性を確保するために必要な金額を超える場合には、予算で定めるところにより、国債整理基金特別会計に繰り入れることができる規定を創設することとしたところでございます。

 他の特別会計の場合には、フローの概念であります毎年度の余剰金を繰り入れ対象にしたことから、毎年度のフローの財源として活用するため一般会計に繰り入れることにしたのに対しまして、財政融資資金特別会計の場合は、ストックの概念である積立金を繰り入れ対象にしたことから、ストックの概念である負債、すなわち国債残高の圧縮に充てるために、国債償還財源として国債整理基金特別会計に繰り入れるというふうにしたところでございます。

鈴木(克)委員 他の会計はフローだ、だからその余剰金は一般会計に入れるんだ、それで、このいわゆる財政融資資金特別会計はストックだ、だから国債に入れるんだ、こういうことでございました。しかし、私はどうもそれだけの説明ではやはり納得できないというふうに思えます。フローとストックの違い、後日、その辺を私ももう一度しっかりとただしてまいりたいというふうに思いますが、どうもそれだけでは国債整理基金に入れる理由にはなっていかないのではないかな、私はこのように思っております。

 次のところをお伺いしてまいりたいと思いますが、財務書類の予算書への掲載についてお伺いをしたいと思います。

 この特別会計の財務書類について、いろいろと今回の予算書を見て思うのは、以前よりも、以前というか前のときよりも足並みはそろってきたということは言えるかもしれませんけれども、いわゆる所管省庁のやり方で添付資料がばらばらだということを非常に思います。

 例えば、平成十七年度には、積立金を保有している特別会計は、その積立金の明細表をすべて掲載することになった、これは私は非常に大きな前進だというふうに思っております。

 そして、今回の法律案でも第三条において、積立金明細表は予算書への添付が義務づけられておる。しかし、資産、負債の貸借対照表や損益計算書は相変わらず、掲載している特別会計もあれば、全く掲載していない特別会計もあるわけです。今回の特別会計法でも予算書に添付する書類の中に入っていない、なぜ予算書に添付する書類としないのか、私はその辺がよくわからないのですが、一遍、大臣、教えていただきたいと思います。

尾身国務大臣 本法律案では、特別会計に関する情報開示を一層進めるため、すべての特別会計につきまして、発生主義の考え方など企業会計の慣行を参考にいたしまして、決算に関する財務情報を開示する書類を作成して、会計検査院の検査を経て国会に提出することを義務づけることとしております。

 一方、御指摘の貸借対照表や損益計算書は、特別会計の性格に応じて、これまで一部の特別会計において予算の計数をベースに作成され予算書に添付されてきたものでございますが、これらは、発生主義の考え方が部分的に採用されているものの、基本的には現金ベースの現行予算制度との整合性を重視して作成されてきたところでございます。

 これらの書類につきましては、これまでに開示されてきた情報との継続性の観点から、今回の法律案では、基本的に従来から作成されてきたものは引き続き作成することとしたところでございます。

 すべての特別会計について企業会計の慣行を参考とした発生主義ベースの財務諸表を作成することについては、企業会計においても財務諸表の作成は決算ベースで行われているということにかんがみれば、決算情報について行っていくべきものでありまして、予算書の添付書類とすることはなじまないと考えているわけでございます。

鈴木(克)委員 企業会計、発生主義をベースにできるところをやった、しかし、現金ベース等、予算書を重視しておるところについてはなじまないというような、おおむねの今御答弁だったわけでありますが。

 私は、やはり会計というのはあくまでも同じ精神でなされていかなくては、これは我々はそれを見させてもらう側ですよね、非常に見づらい、わかりづらい。ある意味じゃわかりづらくするのが一つの方法といえば、まあ、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども。私は、やはり本来同じもので統一をしていく、そういう努力をしてもらいたいということを、後ろでは首かしげてますけれども、そうじゃないんですよ。それは役人、役所の理屈なんですよ。それはもう絶対に世間一般では通らない。私は民間で小さな会社をやってきましたから、そういうことを体験上からぜひ申し上げていきたいわけでありまして、国の会計も国民に対してわかりやすい会計にしていくような努力をやはりしていくべきだということを申し上げておきたいと思います。

 次に、エネルギー特会の財務書類の掲載の必要性ということについてお話をさせていただきたいと思います。

 例えば、かつて旧石油公団の債権債務は、現在の石油及びエネルギー特別会計に継承されました。このことは御案内のとおりでございます。しかし、この石油及びエネルギー特別会計は貸借対照表を掲載しておりません。したがって、この特別会計が継承したはずの資産や負債が一体どの程度あるのか全くわかりません。そんなこともわからないまま予算の審議をやれ、やってくれと言われても、私はやはり予算の審議ができないというふうに思うんです。

 財務大臣にお伺いするんですが、この特別会計の予算書を見て、エネルギー特別会計が旧石油公団から継承した資産、負債が一体どの程度あるのか、おわかりになりますでしょうか。そうした資産や負債があって、そうした数字を見ながら実際の予算が編成されるというはずなんですが、それが全くわからなくてどうして予算が審議できるのか、私はその辺が非常に疑問に思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計につきましては、その創設時におきまして、特定の目的のために収支を他と区分して整理する、いわゆる整理区分特会でございまして、企業特会や保険事業特会のような事業を実施する性格のものではないことから、こうした書類の予算書への添付は特段行ってこなかったという経緯がございます。

 しかしながら、同特会におきましては、他の特会と同様、予算書への添付は行われていないものの、平成十一年度分以降について財務書類を作成、公表してきておりまして、透明性の確保には十分努めてきたところでございます。

 今御審議いただいている特別会計に関する法律におきましては、すべての特別会計について貸借対照表等の財務書類を作成し、国会に提出することが義務づけられているわけでございまして、今後はこうした方針にのっとり対応してまいりたいと考えております。

 また、旧石油公団が保有していた資産、負債につきましては、三回に分けて国に承継されておりますが、このうち石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に承継された金額は、資産二兆八千百九億円、債務一兆八千九百五十二億円となっております。

鈴木(克)委員 今後はきちっとさせていくということでございますが、いずれにしても、今までこういった貸借対照表そして資産内容がはっきりしないまま議論が進められてきたところに、特別会計の大きな問題点、矛盾点がやはりあった、私はこのように思っております。今国会、今改正を契機に、そういうことの一つ一つを正していく、これがやはり、私どもも、そしてまた大臣も、ぜひひとつ進めていっていただきたい改革だと私は思っております。

 そして、次に、時間も限られてまいりましたので、エネルギー対策特会それから電源開発促進勘定、この関連をちょっとお伺いをしたいと思いますが、特別会計に関する法律案に基づいて、電源開発促進税の扱いは、これまでの特会への直入方式から一般会計経由による特会への繰り入れ方式に変更するというふうにされております。

 十九年度においては三千四百六十億円の税収が見込まれ、これを一たん一般会計で受け入れた上で三千百七十九億円をエネルギー対策特別会計に繰り入れるというふうにしておるんですが、この差額、二百八十一億円の性格はどのようなものなのかということをお伺いしたいんです。

 一般会計に預けておくとしても、将来は特別会計に繰り入れる義務があるというふうにお考えになるのかどうか。この財源が最終的に特会に帰属すべきであるというふうに考えるならば、いわゆる、この二百八十一億円は隠れ借金と変わらないというふうに思うんですが、その点、どういうふうになっているのか、お示しをいただきたいと思います。

尾身国務大臣 電源開発促進税につきましては、ただいまお話しのとおり、十九年度予算におきまして、従来の特会直入方式から一般会計繰り入れ方式に仕組みを変更しておりまして、税収及び繰入額、またその差額につきましては、先ほどおっしゃいましたとおり、歳入として一般会計に留保されているわけでございます。

 この差額分二百八十一億円の取り扱いにつきましては、今般御審議いただいております特別会計に関する法律九十一条に規定されております。すなわち、電源立地対策及び電源利用対策に要する費用の財源に充てることとされている電源開発促進税の課税目的を踏まえ、一般会計に留保された差額分は特別会計に繰り入れるものとする、ただし、当該年度の歳出歳入の見積額に照らして、その一部を繰り入れる必要がないと認められる場合には、その額は繰り入れないことができる旨の規定がされているところでございます。

 したがいまして、差額分を特別会計に繰り入れるかどうかの具体的な取り扱いにつきましては、その必要性について毎年度の予算編成において議論をしていただくことになっております。

鈴木(克)委員 今のお話について、経産省の所見をお伺いしたいと思います。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで電源特会につきましては、多額の不用や剰余金の発生が指摘いただいていたところでございます。財政資金の効率的な活用を図るということも重要でございますので、行政改革推進法を踏まえまして、今般、特別会計に関する法律におきまして、電源開発促進税が電源特会に直入される構造を見直すこととしたところでございます。

 具体的には、電源開発促進税が電源開発等に要する費用に充てられるために課されている税であることを踏まえながら、まず税収を一般会計に入れまして、一般会計から必要額を特別会計に繰り入れる仕組みとするということとしております。

 他方、エネルギー情勢はますます厳しくなっております。こうした中で、原子力発電所や核燃料サイクル施設の立地、それから高速増殖炉等の技術開発に伴いまして、将来、財政需要が増大してくることが見込まれているところでございます。

 経済産業省としましては、こうした財政需要が生じました際には、これらの事業の実施に支障が生じないよう、必要に応じ、一般会計において留保されておりました資金の活用も含めまして、特別会計に必要な金額を確保してまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 時間が参りましたので、このことはまた後刻させていただきたいと思いますが、要するに、いわゆる隠れ借金のような状況に私は見えてならないということ、それから、いわゆる玉虫色のような状況にも私は見えるんですね。だから、やはりこれは、今後予算書等でその性格と実態を国会と国民にきちっと明示すべき、示すべきだということを私は申し上げて、また後日質問を続けさせていただきたいと思います。

 以上で終わります。

伊藤委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、財務大臣に、たばこのことで御見解、またお考えをお伺いしようと思ってやってまいりました。

 まず、大臣のそもそもの認識をお伺いしたいわけでありますけれども、たばこをどのように大臣はとらえてみえますか。まず認識をお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 たばこは、私はたしなみませんが、たばこの好きな人もいる、のまない人もいると思っております。

岡本(充)委員 それは、大臣としての認識はそれでとどまるわけでありますね。日本国の大臣でたばこ事業法を所管する大臣の所見は、わずかそれだけ。恥ずかしくないですか。ここは国会ですよ。そんなふざけた答弁して、どういうことですか。認識を聞いているわけです。

尾身国務大臣 平成十四年十月の財政制度等審議会の喫煙と健康の問題等に関する中間報告におきましては、たばこは、麻薬や覚せい剤などと同類の社会的禁制品ではなく、アルコールなどと同様の個人的な嗜好品である、他方、喫煙が特定の病に対するリスクであることは疫学的に認められている、したがって、喫煙と健康の問題等の観点からは、たばこの健康に対するリスク情報を適切に提供することにより、個人が自己責任において喫煙を選択するか否かを判断できるようにすることが重要である、一方、一般的にたばこの消費削減ないし禁止を求めるべきものではないとされているが、財務省としても、基本的に同様の認識に立っているところであります。

 財務省としては、今後とも、平成十七年二月に発効したたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約を踏まえつつ、たばこと健康に対するリスク情報の提供など、たばこ事業法に基づいた適切な施策を行ってまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 そこで、まず大臣にお伺いしたいわけですが、たばこ事業法の中で、そもそも、「製造たばこに係る租税が財政収入において占める地位等」と書いている、この「等」は何を指すのか。

 そしてまた、この「目的」には、「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と書いていますが、国民の健康に関する記述がないということに関しての大臣の所見をお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 今の「等」についての通告はございませんでしたから、それについての答弁は用意しておりません。

岡本(充)委員 ちゃんと電話でお願いをしてあります。これは、たばこ事業法のそもそもの目的について聞きますよと僕は通告をしている、きのうの夜に。その答弁がないのは困ります。

尾身国務大臣 たばこ事業法の目的は、「この法律は、たばこ専売制度の廃止に伴い、製造たばこに係る租税が財政収入において占める地位等にかんがみ、製造たばこの原料用としての国内産の葉たばこの生産及び買入れ並びに製造たばこの製造及び販売の事業等に関し所要の調整を行うことにより、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」こういうものであります。(岡本(充)委員「だから、それは何かと聞いているんですよ」と呼ぶ)

伊藤委員長 挙手してください。

 岡本君。

岡本(充)委員 だから、私が聞いているのは、先ほどから言っているように、「地位等」は何を指すのか、また、国民の健康、福祉、そういった問題に関しての目的が書いていないことについてはどのように答弁をされるのかと聞いているんです。読んでくれとは言っていません。

尾身国務大臣 たばこ事業の経営の安定と未成年者の喫煙防止などが「等」の中であります。

岡本(充)委員 この「目的」の最後に、国民の健康、福祉増進が書いていないことについてはどういうふうに答弁をされるのかと聞いていることについて、まだお答えをいただいていません。

尾身国務大臣 もう一遍、ちょっと言ってください。

岡本(充)委員 大臣が質問の意味がわからないとの御趣旨でありますから、改めて質問をし直します。

 「目的」の後段、「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と書いています。ここには、国民の健康、福祉、さらにはさまざまな意味での国民の幸せに関する記述がない。目的は、金の話に資するためだけというふうになっているけれども、本来の、先ほどの大臣の所見でいえば、保健行政にも大きく影響を及ぼすものであるから、これについて大臣が、この目的だけでは不十分ではないかと判断しないのかということであります。

尾身国務大臣 このたばこ事業法の目的にはそう書いてあるということでありまして、私ども、たばこ事業法を所管する者といたしましては、この法律に基づいて適切な施策を講じているところであります。

岡本(充)委員 所管が厚生労働省じゃないんですよ、皆さん。財務省になっているところがこの肝でありまして、今大臣はそうお答えになられましたけれども、この法律、そもそも提案したのは議員立法ですか。

尾身国務大臣 政府提案であると聞いております。

岡本(充)委員 であれば、この文言を入れたときになぜそれが入らなかったのかということを聞いているわけでありまして、それについてお答えをいただきたい。

尾身国務大臣 その当時、政府としてこういう文言がいいと判断をしたわけであります。

岡本(充)委員 先ほど大臣言われましたたばこ枠組み条約も、今まさに発効しまして、今世界各国が取り組む中で、このたばこ事業法の目的は、その上位法である条約と照らし合わせても相入れなくなってきているのではないかということを私は指摘させていただきたいわけでありますが、それについて大臣はどのようにお考えいただきますか。

尾身国務大臣 財政制度審議会におきまして、喫煙と健康の問題に関する中間報告があるわけでございまして、たばこは、麻薬や覚せい剤などと同類の社会的禁制品ではなく、アルコールなどと同様の合法的な個人の嗜好品である。他方、喫煙が特定の病に対するリスクであることは疫学上も認められている。したがって、喫煙と健康の問題等の観点からは、たばこの健康に対するリスク情報を適切に提供することにより、個人が自己責任において喫煙を選択するか否か判断できるようにすることが重要である。一方、一般的にたばこの消費削減ないし禁止を求めるべきものではないというふうにされているわけでございまして、財務省といたしましても、基本的にこの考え方に立っているところでございます。

 財務省といたしましては、今後とも、平成十七年二月に発効いたしましたたばこの規制に関する世界保健機構枠組条約を踏まえつつ、たばこと健康に対するリスク情報の提供など、たばこ事業法に基づいた適切な施策を行ってまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 その上位法に当たるたばこ枠組み条約では、第四条の「基本原則」で、「すべての者は、」なんです。すべての者は、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることがもたらす健康への影響、習慣性及び死亡の脅威について知らされるべきであるというふうになっています。

 たばこを単なる財物ととらえるのではなく、税収が上がるものとしてとらえるわけではなく、国民の健康と福祉に多大な影響を及ぼすものであるということを知らしめなさいというふうに基本原則でなっています。たばこ事業法にはそういったものがないんじゃないですか。

尾身国務大臣 条約の内容は、たばこの健康に対する悪影響を減らして、人々の健康を改善するという観点から、消費削減効果を持ち得る各種の施策の枠組みを提示しているものでございます。

 他方、財務省は、この条約の締結以前から、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とするたばこ事業法に基づきまして、たばこの包装への健康に関する警告の表示、たばこ広告の規制等、本条約の規定の対象となっている事項につきまして、たばこ事業に係る行政を進めてきたところであります。

 したがいまして、本条約の目的とたばこ事業法の目的は矛盾するものではないと考えておりまして、財務省といたしましては、条約の趣旨も踏まえ、たばこ事業に係る所掌事務を適切に実施してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 先ほどお話ししているように、そこの部分、大臣は違う部分を読んでいますよ。四条の「すべての者は、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることがもたらす健康への影響、習慣性及び死亡の脅威について知らされるべきであり、」と書いてあるこの部分が、たばこ事業法のどこに入っているんですかということです。

尾身国務大臣 この条約の内容が、たばこ事業法に直接は書いてありません。しかしながら、先ほど申しましたように、この条約の締結以前から、「たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資する」という、これがこの法律の目的でありますけれども、たばこの包装への健康に関する警告の表示とか、たばこ広告の規制とか、そういうことはやっているわけでございます。

岡本(充)委員 委員にお配りをした紙の最後を見ていただきたいと思います。

 タイのたばこのパッケージを愛知大学保健室が載せておりました。これは実物であります。真ん中のと同じものでありますけれども、実際に剖検をした、亡くなられた方の写真を載せて、こういう肺になるんだということを載せています。顔をしかめる方もみえると思いますけれども、どこまでがたばこの警告の啓発として適切かというのはそれぞれ議論があるとは思いますけれども、日本の広告が必ずしも世界各国と比べてそのリスク表示が十分だというふうに私は認識していないし、また、たばこへのアクセスの問題も、今後IDカードを入れるという話も聞いていますが、IDカードを子供が借りれば買うことができるなど、未成年者へのアクセスの問題も一向に改善をされていません。

 そういった意味で、このたばこの状況、先ほどくしくも大臣が言われた、財政収入の観点での取り組みだけでは不十分ではないかということをお話ししているわけでありまして、財政収入の観点以外の大臣のたばこに関する重要な項目、考え方は何なのか、お答えいただきますか。

尾身国務大臣 たばこ事業法は、たばこ事業者に対する規制を総合的に行うことをその内容にしているために、たばこ事業者にパッケージの注意文言表示義務や広告規制を遵守させるためには、同法に基づいて実施することが適当であると考えております。

 具体的に言いますと、現行の注意の文言につきましては、平成十四年十月の財政制度審議会の中間報告に基づきまして、この審議会たばこ事業部会に設置された、医師、心理学者等の学識経験者から成るワーキンググループの意見を踏まえまして、さらには厚生労働省の協力もいただきまして作成されたものでありまして、平成十七年七月以降に販売されるすべてのたばこについて表示を義務づけているところでございます。

 広告の規制につきましては、財政制度審議会たばこ事業等分科会等において、学識経験者からのヒアリングを行うとともに、諸外国の例も参考としつつ、平成十六年三月に策定したものでございまして、平成十六年四月以降、順次これに基づく規制を実施しているところでございます。

 これらはいずれも、現在のところ、たばこ事業者によって適切に遵守されておりまして、十分な注意喚起となっているものと認識をしております。

岡本(充)委員 後段の質問に答えていただいていません。

尾身国務大臣 後段って何でしたか。

岡本(充)委員 大臣、お願いします。私の質問は二つあったんです。大臣は、財政収入の安定的確保に関して、たばこの定義づけ、たばこの重要性を先ほどの答弁でお話しになられました。財政収入に対するたばこの貢献という観点を大臣は言われるわけでありますが、それ以外に対して、たばこで重視しなければいけない施策、課題は何だと考えますか。

尾身国務大臣 これは、たばこの健康に及ぼす影響等についてのリスク情報を適切に提供することが大切であると考えております。

岡本(充)委員 リスク情報を提供するだけではありませんで、これはすべての人に提供しなきゃいけないし、また、大臣、これ、たばこのパッケージに書いているからといっても、すべての人に提供しているわけじゃないんですよ、リスク表示を。たばこを吸う人はごらんになられるかもしれないけれども、私はたばこを吸わないし、家族もたばこを吸いません。そうすると、このたばこのパッケージを見る機会もないわけでありますけれども、こういう皆さんへの啓発をどのようにしていくのか。もっと言えば、国民の健康と福祉にかかわるというのであれば、今般米国の議会にも、FDAにたばこに関する事業を移させるべきだという法律が出ておりますが、財務省も、厚生労働省と共管ではなくて、この部分、厚生労働省に移管されてはいかがですか。

尾身国務大臣 平成十三年十二月の財政制度等審議会の日本たばこ産業株式会社の民営化の進め方に関する中間報告におきまして、国産葉たばこが外国産の葉たばこに比べて約四倍割高となっているわけでありまして、この国産葉たばこ問題が解決しない以上、政府の株式保有の枠組みやJTによる国産葉たばこの製造独占及び国産葉たばこの全量買い取り契約制は維持せざるを得ないと考えております。

 財務省といたしましては、このような中間報告を踏まえまして、JTの完全民営化につきましてはまだなかなか難しいというふうに考えております。

 なお、喫煙と健康の問題に関しては、リスク情報を私どもとしては国民に適切に周知していると考えております。

岡本(充)委員 質問と答弁がかみ合っていないんですよ。私の質問を聞いてもらっていないんですか。(発言する者あり)

伊藤委員長 尾身財務大臣、明確な御答弁をお願いいたします。

尾身国務大臣 G5の諸外国におきましても、財務省に相当する省庁がたばこ産業の所管官庁になっておりまして、私どもとしては、所管の問題については現在のままでいいと考えております。

岡本(充)委員 違う。今私が言ったのは、米国も法案が出ています、FDAにたばこを移管するように。まだ可決には至っていないけれども、超党派で法案を出している、この二月。そういうような情勢、また国際的なたばこ規制の問題、健康へのリスクの周知、こういったことを考えれば、厚労省に移管するべきだと言っているわけでありまして、ほかのG5がこうだからではなくて、ほかの国がああだからと言うなら、米国がFDAに移したら日本も移すんですか。

尾身国務大臣 私どもとしては、所管の問題は現行どおりで、かつ健康の問題については適切なPRをすることによって対応していけばいいと考えております。

岡本(充)委員 現行どおりでいいという論理がなぜなのかと聞いても、恐らく大臣はもう論理がないんだと私は思うわけでありまして、それはもう、論理があればこれまでの答弁でいただけていると思います。

 先ほどから大臣は価格の話、税収の話をされるので、一回ちょっと確認をしておきたい。財政制度審議会たばこ事業分科会は、これまでにたばこの価格、税の引き上げについて議論をされたことがあるんですか。

尾身国務大臣 たばこの税については財政制度等審議会ではございませんで、政府税制調査会が議論の対象としているところでございまして、何回かこのたばこ税についての議論はされていると思いますし、その税の引き上げ等も、私も自民党の税制調査会で議論してはございます。

岡本(充)委員 先ほどから、たばこ事業分科会の話を出される割には、この話になると税制調査会だと。いろいろな会議をつくってそれぞれの会議に分散をさせることで、最終的に、このたばこ事業に関しては包括的に話をしている、そういう主体がないんじゃないんですか。これではたばこの、先ほど目的となる、財政収入の安定的確保、国民の経済の健全な発展に資することになるかどうかの検討が十分なされていないのではないかという疑念を持つわけでありますが、きょうは他省庁にもお越しをいただいております。

 たばこを抑制することにより、たばこがゼロになるとは考えませんけれども、実際に健康にかかわる医療費、また火災などによる損失額、こういったたばこ由来のさまざまな負の要素がどのくらいあると考えているのか、もしくは、減らせば、どのくらい減るということがわからなくても、たばこにかかわる医療費の増加、また、並びに火災による損失額、死者数などを御報告いただきたいと思います。

宮坂政府参考人 お答え申し上げます。

 医療費の関係でございますが、ちょっと数字が古くて恐縮でございますが、平成十三年度の厚生労働省の科学研究費補助金におきまして、たばこ税の増税の効果なり影響等に関する調査研究報告書が出ておりまして、それによりますと、喫煙によります健康障害リスクの増加に伴う超過医療費につきましては一兆三千八十六億円と報告されているところであります。

 以上です。

土屋大臣政務官 お答え申し上げます。

 たばこを出火原因とする火災の件数並びに被害でありますが、平成十七年度は五千九百十四件発生をいたしております。損害額は百四億五千百五十万円と推定をいたしております。(岡本(充)委員「死者数は」と呼ぶ)死傷者の数は、同じく平成十七年度で二百六十七人であります。

岡本(充)委員 死傷者ではなくて死者が二百六十七人だと私は聞いておりますので、そこは確認をさせていただきます。

 これだけの人が亡くなる、また喫煙が原因で毎年十万人近い人が亡くなっている、また、それで失われる経済的な損失、国民経済への影響、こういったものを考えて、本当にたばこ事業による税収、これが国民の経済、国の財政に寄与していると言われる根拠はどこにあるのか、財務大臣にお答えをいただきたいと思います。

尾身国務大臣 たばこについて税金をいただいて、その税金が税収になっている以上、当然寄与していると考えております。

岡本(充)委員 逸失利益についてはどのように考えてみえるかということです。

尾身国務大臣 この点については、財政制度等審議会の意見もそうなっておりますが、私自身も、喫煙と健康の問題の観点からたばこの健康に対するリスク情報は適切に提供をいたしますが、個人が自己責任において喫煙するか否かを判断できるようにすることが大事であるというふうに考えておりまして、これを政府が禁止するとかあるいは強制するとかいうことはよくないと考えております。

岡本(充)委員 答えていないじゃないか。検討して、プラスなのかマイナスなのか、本当に寄与しているのかどうかを、法律に基づいてそこを確認する必要があるでしょう、だから、確認はされているんですかと。先ほどから税制になると税調だと言われるのに、また財政制度審議会を持ち出してくる。どっちがどっちなんですか。

尾身国務大臣 財務省といたしましては、御指摘のような計算は行っておりません。

岡本(充)委員 それで何でたばこ事業法の目的である財政収入の安定的確保、国民経済の健全な発展に資するんですか。国民の経済が、逸失利益がある、これで健全な発展に資することの目的を達成しているというふうに判断できる根拠は何なんですか。

尾身国務大臣 現に相当額の税収があるわけでございまして、そういう意味で財政の健全性の確保には大いに貢献をしていると考えております。委員の方で、もしどういう損失があるというような計算があったら教えていただきたいと思います。

岡本(充)委員 先ほど、わざわざ厚生労働省、総務省がお越しになられて、御答弁されましたよ。大臣、聞いてみえなかったんですか。これだけの損失があるということでは、プラスマイナス、どうなのかわからないじゃないですか。

尾身国務大臣 全体としてこれだけの税収があるわけでありますから、国、地方合わせての全体の経済の発展にも寄与していると私どもは考えております。

岡本(充)委員 皆さんにお配りした後ろの資料四ページをごらんいただきますとわかるとおり、これまた医療費、一番上を見ていただくと、喫煙するか喫煙しないかで医療費がこれほど有意差を持って違っている。また表四を見ていただくとわかるとおり、医療費も喫煙をすることでその倍率が一・四倍にも高くなる。こういうような状況を踏まえて考えれば、この医療費、もとをただせば、個人の負担分もありますが国庫の負担もあるわけでありまして、トータルで考えたら、たばこの税収が多いのか医療費が高くなっているのか、どっちかわからないじゃないかという私の指摘に対して、大臣、お答えいただいていません。

 きょう、時間がないから次の質問に移りますけれども、これはしっかり省内で議論をしてもらわなければ困ります。本当に税収の確保に役立っているのか、それよりむしろ出費の方が多いのか。出費が多ければ、幾ら税収があっても、それは財政に寄与していることにならないわけであります。

 さて、一番目の、私、きょう質問したかったのは、JTのガラハーの買収の件でございます。

 このガラハーの買収につきましては、新聞報道が昨年末に出ておりますが、他国に日本が株式の半分を持つ会社が出ていって、そして、先ほどの話、これからたばこ枠組み条約でたばこの危険性を周知しなけりゃいけない、また各地で巨額の損害賠償も起こっている、こんな中、日本がこのガラハーを買収した上で東欧やさらにはこれからの新興国にたばこを売っていこうというのでは、安倍総理が提唱されている、世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国とはならないのではないか、こういう懸念を持つわけでありますけれども、これについて大臣はどう考えますか。

尾身国務大臣 本件のような株式の取得による企業買収は、JTの、ジャパンたばこの、法律上、事前認可事項ではなく、また、会社法上、株主総会議決事項にも該当いたしません。

 本件につきましては、グローバル化するマーケットの中で競争力を高める観点から、株式会社であるJTの自主的経営判断として行われたものであると認識しておりまして、財務省としては、JTの経営判断を尊重してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 先ほど聞いているのは、安倍総理の提唱している美しい国に反すると思わないのかというふうに聞いているわけであります。

尾身国務大臣 思いません。

岡本(充)委員 大臣、日本が他国民の健康を犠牲にしてまで収益を上げる、もしくは今後、損害賠償のリスクを負うかもしれない、またもっと言えば、二兆円を超えるお金を国会の承認もなく買収に使っていく可能性がある、有利子負債を含めればですよ。こういうことを考えると、ある意味、国民の資産でもあるJTの株価が今後暴落する、そういうリスクもある。そういう中で、このリスクをJTの経営判断だという一言で任せて、もしかしたら巨額の負債が出る可能性のあることに、例えば為替の問題、また海外でのたばこ事業は、増税や為替相場などのその国の施策によって売り上げが左右される、カントリーリスクがあるということも指摘をされています。

 こういった中で、この巨額な買収資金、これについて国民の資産であるという認識をお持ちの上で、今の、JTの専権事項だからそれでいいというふうに答弁をされるのか、大臣として、木村社長とその点についてどのような御議論をされたのか、お伺いをしたいと思います。

尾身国務大臣 概要につきましては、私も木村社長から話を伺っております。

 この手続は、JTの自主的経営判断として行われたものでございまして、ギャラハー社は、聞くところによりますと、ヨーロッパの各国あるいはロシア、ウクライナ等におきまして、比較的高いシェアを有しているわけでございます。これらの国におきましても、各国の法制度、文化、歴史等を踏まえた規制がなされているわけでございまして、その規制を遵守した事業運営を行っている、それを買収する、こういうことでございまして、それについてはJTの経営判断にゆだねるべきものであると考えております。

岡本(充)委員 では、買収にかかる、買収の助言に対する固定手数料、成功報酬、協調融資の組成手数料、メリルリンチ社から約一兆円借りるとされているときの金利、こういったものが幾らになるのか、それぞれ大臣は聞いてみえるんですか。

尾身国務大臣 JTについての基本的な認識が違っておりまして、これは政府の国営企業ではございません。五〇%の株を持っておりますが、自主的経営判断を尊重するという考え方であります。ですから、その点についての考え方が委員と私どもは違っております。

 それから、たばこにつきましては、個人の自己責任でこれを喫煙するかしないかということを決めるべきであって、必要な情報を提供することは政府としていたしますけれども、たばこをのむかのまないかということは個人の自己責任であると考えております。

 基本的に、今のような考え方の違いのもとで、どうすべきかという議論を考えていかなければいけないと思っております。

岡本(充)委員 大臣は最大株主であって、他の追随を許さないぐらいの株式の保有割合であります。その中で、その発言では株主として大変無責任だと私は思うわけですよ。今の質問、数字を聞いているのに、数字に答えずにそういう概念だけを答えて、答弁になっていると思うんですか。

尾身国務大臣 借入金利とか買収助言に対する固定手数料、成功報酬あるいは協調融資の組成手数料等につきましては、個別の契約内容にかかわることでございまして、お答えし得る立場にはございません。

岡本(充)委員 株主であるから、当然その数字は、大臣、概要ではなくて、聞いているんでしょうね。これは、国民の皆さん方に、どれぐらいお金がかかって、どのくらいのリスクをとるのか、こういうことを私は、国民の資産を利用するわけですから、これは公表するべきだというふうに考えるわけですが、理事会でこの点については協議をいただきたいと思います。

 時間の関係で、最後に、JTの禁煙反対組織票という話……(発言する者あり)理事会で協議していただけますか。

伊藤委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をしたいと思います。

岡本(充)委員 JTの禁煙反対組織票の話をお伺いしたいと思います。

 皆さんのお手元にありますが、JTが、神奈川県の条例の賛否に関して、どうやら会社、支店ぐるみで組織票を投入して、本来、この条例の賛否について、ある一定の、一月二十日ごろまでは賛成が反対を大幅に上回っていたのに、締め切り二日前になって逆転したというふうになっています。これについて、JTは調査すると言っていますが、この調査はどのようになっているか、大臣はお聞きになられていますか。

尾身国務大臣 JTに確認をいたしましたところ、社員及び販売店に対し、神奈川県において喫煙規制に関するアンケート調査が実施されていることを周知したことは事実であるとのことでございまして、ただ、周知に当たって、特定の意見を表明するよう働きかけていたという事実はなく、回答はあくまでも個々人の判断によるものにしたということでございました。

岡本(充)委員 JT本社が、一月、神奈川県を担当する横浜支店などにアンケートへの協力を複数回にわたり依頼、支店から社員全員に伝えて、社員が、それぞれ担当するたばこ販売店にも回答を依頼していた、こういうふうに、本社、支店、販売店とここまでやっていたという話だけれども、そこまでの調査が今はできていないということですか。

尾身国務大臣 これはJTに確認したところ、先ほど申し上げましたようなことでございます。

岡本(充)委員 販売店までの確認ができていないのであれば、JTのしかるべき関係者を私は参考人としてこの委員会に呼んでいただきたいと思いますが、これについても理事会で、委員長、御協議いただけますでしょうか。

伊藤委員長 ただいまの件につきましても、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 大臣、これまでもタウンミーティングの話でもありました。ある一定の組織を使ってその意見を導入しよう、そういうような取り組みが行われていることはけしからぬということがもう政府は痛いほどわかっているはずであります。

 そういう意味では、これまでのたばこ施策に関するさまざまな決定の際にも、たばこ産業等の偏った意見に基づいて決定をしているのではないかという疑念すら持つわけでありまして、これまでのパブリックコメントを含め、さまざまな施策決定に当たっての財務省における意見聴取のあり方について再度調査を求めたいと思いますが、大臣、こういう話があるわけですから、再度調査をいただけますでしょうか。

尾身国務大臣 たばこに関する重要な施策の決定に際しましては、財政制度等審議会令に基づいて設置された財政制度等審議会たばこ事業等分科会において、医学界を初め各分野にわたる学識経験者の皆様から、幅広い視点から意見を聞いているところでございまして、たばこ産業等の偏った意見に基づいて施策を決定しているということではございません。

岡本(充)委員 こういう記事も出たことですし、大臣、その委員の選任のあり方を含めて、再度調査をしていただけますかと聞いているんです。

尾身国務大臣 財政制度等審議会の委員につきましては、各方面からバランスのとれた人選をしているわけでございまして、任期が終わった場合にはまたいろいろ考えますけれども、この審議会の意見を尊重しながら私どもとしては施策を推進してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 財政審のことだけを取り上げているわけじゃないですよ。

伊藤委員長 質疑時間が終了しています。簡潔明瞭に御答弁をお願いします。

尾身国務大臣 JTに確認いたしましたところ、社員及び販売店に対し、神奈川県において喫煙規制に関するアンケート調査が実施されていることを周知したことは事実であるということでございました。

 ただ、周知に当たって、特定の意見を表明するように働きかけていたという事実はなく、回答はあくまで個々人の判断によるものであるという答えでございました。

岡本(充)委員 時間も過ぎていますから、もう答えてください。

 調査はそれだけでは不十分ではないかということを指摘しているわけであって、調査を今後ともしなければいけないんじゃないですか、こういう記事も出たことですし、と言っているわけです。

尾身国務大臣 その点について今お答えをしたと私は思っております。

伊藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 尾身財務大臣。

尾身国務大臣 先ほど申し上げましたように、JTに確認をいたしましたが、今のところ、これ以上の調査をやる予定はございません。

土屋大臣政務官 岡本先生の先ほどの御質問に対して答弁が明確でなかったので、もう一回重ねて申し上げますが、平成十七年度中にたばこを出火原因とする火災については五千九百十四件発生しており、それらの被害は、死者数が二百六十七名でございます。先ほど死傷者と言ったと思いますが、失礼いたしました。

岡本(充)委員 これで私の質問は終わりますけれども、JTの問題はまだこれから、根が深いと思いますので、場を改めてやらせていただきます。どうもきょうはありがとうございました。

伊藤委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内でございます。きょうは、大臣、ありがとうございます。

 まず、昨年の臨時国会で成立をいたしました貸金業法について質問をさせていただきます。

 文部科学省にきょう来ていただいておりますので、まず御答弁をいただきますが、サラ金大手五社で構成をする消費者金融連絡会という任意団体が、家庭科の教材などとして文部科学省選定ビデオという、選定をとって、それを高校家庭科の授業などで消費者金融の会社の社員の方が講師として派遣をされるなどして、消費者金融教育と称してビデオが使われていたという件について、私は、昨年の十一月二十九日の本委員会、十二月一日の文部科学委員会で、選定の取り消しなどを求めさせていただきました。

 伊吹文部科学大臣からは、学校現場でこのビデオを使っているようであればやめさせるという趣旨の答弁がありましたが、この質疑の後、文部科学省選定ビデオについて、取り扱いがどうなったかということについて文部科学省から御説明をいただきたいというふうに思います。

中田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま川内委員御指摘のとおり、昨年、文部科学大臣からも文部科学委員会で御答弁をいたしましたが、それを踏まえまして、文部科学省として、改めてこの出前講座の状況等を調査いたしました。

 その結果、本選定ビデオは、消費者金融連絡会の出前講座における教材の一つであり、この講座では消費者金融会社の社員が講師となっていたということがわかりました。

 このような形で本件ビデオが利用されているということは、私ども、望ましくないと考えたところでございまして、昨年十二月、金融庁とも連絡をとりまして、消費者金融連絡会に対しまして、この選定ビデオの使用の中止と、同連絡会のホームページ上でこのビデオを紹介している記事を削除するように要請したところでございます。

 これに対しまして、十二月の二十日でございますが、同連絡会より、今後、出前講座において本件ビデオは使用しない旨の回答を正式に得たところでございます。また、同連絡会のホームページ上での本件ビデオの紹介記事も削除されたことを確認しております。

 文部科学省といたしましては、教育映像等審査制度につきまして、今回の経緯を踏まえまして、今後、審査体制の強化など必要な措置を講じ、適切な運用を図ってまいる所存でございます。

川内委員 一点確認をさせていただきますが、十二月二十日に消費者金融連絡会から連絡が来て、出前講座における使用の中止、ホームページからの削除、さらに、文部科学省としては、今後、文部科学省選定ビデオの選定に関しての運用改善を行うという御答弁であったかと思いますが、これは、出前講座でなければ文部科学省選定ビデオという名称を消費者金融連絡会は今後も使うということなんですか。出前講座以外でも、この文部科学省選定ビデオという、文部科学省という名前をもう使わないという理解でよろしいんでしょうか。

中田政府参考人 私ども、調査しましたところ、消費者金融連絡会では、このビデオを出前講座で使っているのみでございます。今後これを使わないという趣旨は、消費者金融連絡会ではこのビデオを使わない、仮に何か使う場合があったとしても、文部省選定ビデオだということは言わないという約束だというふうに私どもは理解してございます。

川内委員 よろしくお願いいたします。

 では、次の論点に移らせていただきますが、山本大臣、新しい貸金業法も成立をしたわけでございますから、この際、文部科学省と金融庁とで御相談をいただいて、弁護士会などと相談をして、真の消費者教育のためのビデオあるいは副読本などの教材をつくるべきというふうに思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

山本国務大臣 現在、多重債務者対策本部の中に専門家委員会をつくりまして、そうした観点からも検討をいただいているところでございますので、先生の御指摘の点についても、どこかで加味した議論がされますようにお願いしてみたいと思っています。

川内委員 さらに、昨年十一月二十九日の本委員会において、山本大臣は、利息制限法を超える超過金利分については、たとえ契約をしていても、その契約は無効であるので債務者は支払う義務はないというふうに御答弁をいただいております。このことは非常に重要なことであるというふうに私は思います。しかし、他方で、国民の皆さんや債務者の皆さんは、ほとんどの方が、利息制限法を超える金利については支払う義務はないのだということを御存じないのではないか、御存じない方が多いのではないかというふうに思います。

 そこで、改めて、事あるごとに、利息制限法を超える金利については支払う義務はないということをあちこちで言わなきゃいかぬと思いますので、もう一度、きょうのこの委員会でも、山本大臣から、利息制限法を超える金利については支払う義務はないということを御答弁いただきたいと存じます。

山本国務大臣 現行法上、利息制限法の上限金利を超える利息の契約は無効であり、上限金利を超過した部分の利息については民事上無効となるため、支払い義務はありません。

川内委員 さらに、私は、このことを国民の皆さんに周知徹底することが金融庁に求められているのではないかというふうに思うんですね。

 具体的に申し上げれば、例えば、新しい貸金業法においては、消費者金融の広告規制に関して金融庁が認可するというスキームが設けられております。したがって、消費者金融の広告の中において、テレビコマーシャルも含めて、利息制限法を超える金利については支払い義務はありませんよということをみずから広告していただく、そうでなければその広告を認可しないというようなことを金融庁は具体的な行動としてとることができるわけでございますが、私の今の提案について、大臣、どうお思いになられるか、御答弁をいただきたいと存じます。

山本国務大臣 御指摘のとおり、貸金業を利用するに当たりましては、債務者に支払い義務のかかる利息制限法上の上限金利や貸金業規制法四十三条のみなし弁済規定についての正しい知識を持って臨むことが望ましいと考えております。このため、現在、多重債務者対策本部におきまして、金融経済教育の強化の方策等を検討しているほか、新法のもとにおきまして、貸金業者の契約時の説明義務を強化する方向で検討しております。

 他方、広告の方法や内容、頻度等につきましては、新法のもとで認可法人として新たな自主規制機関に位置づけられる貸金業協会におきまして適切な自主規制ルールが策定され、広告の適正化が図られることを期待しておるところでございまして、川内委員の御指摘のそういう観点も、この広告の適正化の中で図られることを期待しておるところでございます。

川内委員 さらに、現在でも、債務者あるいは消費者金融の利用者の皆さんが取引履歴の開示を求めた場合には、貸金業者はこれを開示しなければならないわけでございますが、債務者あるいは利用者が利息制限法の範囲内での利息、元本の再計算を求めた場合には、それが過去の過払い利息返還になるような場合であっても、貸金業者は、今現在は司法書士やあるいは弁護士の先生を通じてそういう行動をおとりになられているわけでございますが、貸金業者が自主的にそういうことをするべきだというふうに私は思います。

 貸金業者の大手の方々は、既に、過払い利息返還請求に備えてそういう積み立ても会計処理上されているようでございますので、されているのであれば、それを前提として、平成十八年一月以前の契約については、これはもうすべて、恐らくどんな裁判を起こしたとしても消費者の方が裁判に勝つという最高裁の判例も大まかに言えば確定をしているようでございますので、そういう消費者金融会社の自主的な努力というものも金融庁としては促すべきではないのかというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。

山本国務大臣 もとより、利息制限法の上限を超える金利については債務者に支払い義務がないことから、貸金業者がこのような約定金利下げの要求を不当に拒否することは認められないところでございます。

 当局としましては、これまでも、貸金業に関する判決等の動向を踏まえまして、取引履歴の適切な開示について指導を行うなど、債務者保護の観点から必要な施策を実施してきているところでございます。

 こうしたことに加えまして、新たに御指摘のような指導を行うべきか否かにつきましては、苦情等相談の受け付けや検査監督等を通じて業者の対応状況を把握いたしまして、その必要性を見きわめた上で検討すべきものであると考えておりまして、今後、そうしたことを踏まえてしっかり検討に当たりたいと思っております。

川内委員 ちょっと実務的なことも最後に一点お伺いさせていただきますが、先ほど大臣がお述べになられた中で、契約上も利息制限法を超える金利については支払い義務がないということを明示していく方向で検討しているということでございました。

 これは、具体的には、消費者金融の会社と債務者との間で取り結ばれる契約書の中に支払い義務がない旨の明確な文言の表示を義務づけていくということであろうかと存じますが、法的にはどういう段取りでそれがなされるのかということを教えていただきたいと存じます。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年末に成立いたしました改正貸金業法では、借り手の利益の保護のために、書面交付義務の強化を図ることとしたところでございます。

 このうち、契約締結時に借り手に交付する書面においては、利息制限法の上限金利を超える利息につきまして、支払い義務がない旨を記載するよう内閣府令で定めることを検討しているところでございます。

川内委員 ありがとうございます。

 多重債務者対策本部も設置をされ、多重債務問題というのは格差の問題と密接にリンクをしているというふうに思います。政府としても政府を挙げて取り組むというふうにおっしゃっていらっしゃいますので、私どもも、本当に挙げて取り組んでいるのかどうかということについて注意深く見守り、そしてまた、挙げて取り組んでいないのではないかという部分については、さまざまな提案、指摘を今後もさせていただきたいというふうに存じます。

 次に、沖縄科学技術大学院大学予算の関連について質問をいたします。

 沖縄科学技術大学院大学の施設整備については、平成十六年度の基本設計、実施設計、環境等調査に引き続き、平成十七年度から施設整備等が始まったわけでございます。

 まず、平成十七年度予算のこの大学院大学についての概算要求について、いつ行われたのか、そしてまた、どのような要求をされたのかということについて御説明をいただきたいと存じます。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 旧白雲荘改修等経費につきましては、平成十七年度予算として要求したものでございまして、平成十六年の八月三十一日に、内閣府より財務省に対して概算要求を行ってございます。

 そのときの内容でございますが、大学院大学構想として必要なセミナーハウス、事務局機能を持つ施設として、内閣府において必要と認めた予算を積み上げて積算を行ったものでございます。

川内委員 平成十七年度の概算要求は平成十六年八月三十一日付で行われた。

 今、金額について幾ら要求したのかということについての言及がございませんでした。

清水政府参考人 失礼いたしました。

 施設整備費のうち、白雲荘改修等経費につきましては、六億円の要求をさせていただいてございます。

川内委員 施設整備費について、旧白雲荘改修工事については六億円の経費を概算要求した。

 施設整備費についてほかにも費目があったかと存じますが、それについても御説明いただけますか。金額とその内容を簡単に御説明ください。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 施設整備費の関係では、旧白雲荘の改修のほかに、キャンパスの造成に必要な造成工事費の要求を行ってございまして、概算要求額は十五億円でございます。

川内委員 平成十七年度の大学院大学の概算要求について、白雲荘改修工事が六億、造成工事が十五億の概算要求をした。合計二十一億でございますが、これは平成十六年の年末の財務省原案が内示された時点でどのように査定をされたのでしょうか。

真砂政府参考人 主計局次長の真砂でございます。お答え申し上げます。

 今の内閣府の概算要求を受けまして予算編成過程に入ったわけでございます。

 それで、二つございますが、一つは、旧白雲荘につきましては、財政事情が大変厳しい中で、当初に必要な事務所機能、それから食堂などの整備の改修に限って措置をいたしまして、具体的には三億三千万の措置をしたところでございます。

 それから、もう一つの造成工事の方でございますが、必要な環境アセスメントを考慮いたしますと、なかなか、十七年度中の造成工事の着工がおくれるという見込みになったものですから、減額をいたしまして、十七年度予算に二億七千五百万円を計上したところでございます。

川内委員 内閣府にお尋ねいたしますが、六億が三億三千万に査定をされた、十五億が二億七千五百万に査定をされた。今、財務省主計局の真砂さんという次長さんからも、造成工事については平成十七年度中の着工が難しい状況であったのでという御説明がございました。

 六億を三億三千万に査定をした件については特に言及がなかったわけでございますが、当初、概算要求で六億を要求されたときの積算の根拠、そしてまた、その積算をされるに当たってはコンサルタントなどのアドバイスがあったのか、そしてまた、それがなぜ三億三千万に減額をされたのかということについて御説明をいただきたいと存じます。

清水政府参考人 内閣府の概算要求の積算に当たりましては、コンサルタント等に相談したものではなくて、内閣府において必要なものを積算いたしたものでございます。

 それが六億円の概算要求額から最終的に三・三億円の査定をいただいた、認められたところの主な点につきましては、先ほども答弁ございましたが、当初、全体としての事務局機能、三階建ての建物でございますが、全体について必要なものを見て要求させていただきましたが、財政事情等を勘案した上で、当初に必要と認められる事務局機能分、また食堂等の整備に必要な改修工事に係る経費を措置させていただいたものでございます。

川内委員 この沖縄の大学院大学については、非常に潤沢に予算がついている感じがするんですね。この年、運営費交付金は二十五億五千万ついているわけでございますが、平成十七年度の決算を見ますと、運営費交付金が六億円余っています。さらに、今、財務省の次長さんからも御説明があったとおり、造成費については、もともと着工は見込みがなかったけれども二億七千五百万をつけたというふうに御答弁をされました。

 非常に財政が厳しい中で、どおんと要求して、査定して削っているようには見えるけれども、しかし、運営費交付金は翌年に六億繰り越され、造成費についても二億七千五百万繰り越されているということでございます。

 さらに、この白雲荘改修工事については、予算委員会でも大きな議論になっておりますが、不自然な発注の形態をとっている。それは、工事をその1、その2、その3と分けて、その1については公募型の指名競争入札、その2、その3については随意契約。しかし、その1の金額の約半分が随意契約にその後なっている。合計、でき上がりが三億六千万ぐらいにまで膨れているわけでございます。

 そこでお尋ねをいたしますけれども、この白雲荘の改修工事でございますけれども、平成十七年の十一月三十日に現場説明が行われております。この現場説明のときに、既にその2、その3は別途工事にするということが設計図書の中に示されているとすれば、当然、その2、その3の工事について、その工事の発注はどうなるのですかということが、現場説明にいらっしゃった業者の方々から質問が出るはずでございます。そのときの状況を御説明いただきたいと存じます。

清水政府参考人 旧白雲荘の改修工事につきまして、御指摘のとおり、平成十七年の十一月三十日に現場説明書を業者に交付してございます。

 その際には、御指摘のその2、その3の工事との関係につきましては、申し上げますと、その2に該当する工事、これはいわゆる外回り、外構等の工事でございますが、この時点で、その1、基本的な部分、本体的な部分についての工事にすることにしておりましたが、これは、御指摘もございましたように、予算の三億三千万の制約の中で工事範囲が限定されたものでございます。

 そして、その際、その2の部分に該当する工事につきましては、最初の入札の結果を踏まえた上でなければ実施する見通しが立てられなかったということでございますので、いつ、どの時点で追加発注ということの見通しが立ってございません。追加発注に対する説明は行っていないと、研究基盤整備機構の方から聞いてございます。

 また、いわゆるその3、内装的な部分、内装関連の工事の発注でございますが、この十一月三十日の段階で最終的な方針が固まっていなかったことでございますので、追加発注に関する説明は行っていないというふうに機構の方から聞いてございます。

川内委員 追加発注に関する説明は行っていない、その2、その3についても行っていないということでございますが、集まった業者さんたちからは必ず質問が出るはずです。

 なぜかならば、この十一月三十日の現場説明のときに、既に設計図書はすべて完成をしている。そして、その設計図書の中から、これとこれとこれとこれを抜いた見積もりを出してくれというふうに説明をしているわけでございますから、抜かれたものについてはどのような形で発注されるのですかということは、当然説明をしなければならなかったはずでございます。

 どのように説明をされたのかということをお尋ねしております。

清水政府参考人 御指摘のように、旧白雲荘改修工事の図面では、その2、その3のところについては、図面の中で斜線が付されるというような形で記載がございますが、先ほどお答え申し上げましたように、十一月三十日の時点では、その2、その3の部分につきまして、いつ、どのような追加工事を行うのか確定していなかったところでございますので、これらの追加発注についての説明はなかったものと聞いているところでございます。

川内委員 今の御説明では、現場説明会に集まった業者の皆さんが納得をされたとは思えないですけれども、では、答弁をそれで確定させておきたいというふうに思います。

 特に、内装工事と、沖縄の機構やあるいは内閣府が称していらっしゃるその3の部分については運営費交付金を充てるということが、既に早い段階で機構の幹部の皆さん方の間で決まっていたはずでございます。運営費交付金を、私どもの言葉からすれば、流用をして工事に当たる。したがって、その3についてはどういう形で発注をするのかという方針は、少なくともこの時点では決められていたはずであるというふうに思います。

 さらに、その2の部分についてもさまざまに御指摘を申し上げなければならない部分というのがあるわけでございますが、きょうは、とりあえず内閣府のおっしゃることをすべて聞く場でございますので、ここまでにとどめておきますが、ちょっと視点を変えて聞かせていただきたいというふうに思います。

 科学技術関係予算については、各省庁の概算要求を受けて、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議の有識者議員が中心になって、外部の専門家の助言を得て、S、A、B、Cの優先順位づけが概算要求に当たって行われております。Sがつけば予算がふえる、Aであれば現状維持みたいな形ですね。

 平成十七年度の概算要求時については、平成十六年の十月二十一日の総合科学技術会議で優先順位の決定がなされておりますが、この沖縄科学技術大学院大学について、外部の専門家の助言を得た上での第一次案、最終案になる前の、専門家が評価をした第一次案というのがございます。

 私、資料をいただいておりますが、平成十七年度概算要求における科学技術関係施策の優先順位づけというものでございますけれども、この平成十七年度の沖縄科学技術大学院大学の設立に関する外部専門家の評価というものがいかなる評価であったのか、一次案がです、ということを御説明いただきたいと存じます。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月にも先生から同様のお尋ねがございました。そのとき申し上げたんですけれども、外部の専門家はあくまでも助言をいただくということで、先生お持ちの第一次案につきましては、優先順位のところが空欄になっております。ただし、「優先順位の理由」というところの表現を見ますと、これがいわゆるA相当というものであったわけでございます。

 これは、担当有識者議員が、それまでの専門家のアドバイスをいただいたものを総合的に勘案して、A相当ということで途中段階の案をつくりました。そして、これを関係府省に事実の確認をし、最終的には、科学技術政策担当大臣と有識者議員が合議によりましてS、A、B、Cの評価をしたということで、あくまでも最終的なS、A、B、Cというものがついたものが、結果が評価結果であるというふうに御理解をいただきたいと思います。

川内委員 外部専門家が評価をした第一次案ではA相当の評価であった、平成十七年度概算要求時において。

 では、平成十八年度の概算要求時においてのこの沖縄科学技術大学院大学の外部専門家の評価というものがどうであったのかということも加えて御説明いただけますか。

丸山政府参考人 一点だけ誤解がないように申し上げておきますと、外部専門家が評価したのが途中段階の案ではございませんで、外部専門家の意見を聞いて、総合科学技術会議の担当の有識者議員が案をつくったものが途中段階のものでございます。

 お尋ねの平成十八年度につきましても、途中段階ではいわゆるA相当というものでございましたが、最終段階ではSになってございます。

川内委員 平成十七年、十八年については、途中段階というか、専門家が評価したらA相当であった。しかし、総合科学技術会議で最終的に決定をされた評価はSであったということでございます。

 このA相当からSへ格上げが行われている。これは、どのような経緯で、だれの意見でそのようになったのかということについて御説明をいただきたいと存じます。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 途中段階はA相当という評価でございますが、これは外部専門家の評価ではございませんで、担当有識者議員が外部専門家の意見を聞いてそういう原案をつくったものでございます。

 先生よく御案内のように、S、A、B、Cの目的というのは、限りある科学技術の予算を適切に使うという観点から、政府全体の科学技術予算を見渡しまして、どれを来年度重点的にやるべきかという総合判断に立って、最終的には科学技術政策の担当大臣と有識者議員が合議で判断をいたしましてSという評価にしたものでございます。

 沖縄大学院大学につきましては、世界に開かれた研究拠点を構築するということは我が国の科学技術政策上も大変重要であり、所期の目的を達成するため、早期の開学に向けて着実に進めるべきだという総合判断からSとしたものでございます。

川内委員 ごめんなさい、非常に言葉を正確にお使いになられるようでございまして、では私も正確に使わせていただきますが、外部専門家の意見を聞いて、担当有識者議員の評価がA相当であった、総合科学技術会議の担当有識者議員の評価がA相当であった。しかし、それを科学技術担当大臣との合議の結果、総合的に勘案してSになったという御説明でよろしいでしょうか。

丸山政府参考人 やや正確に申し上げますと、担当有識者議員が途中段階の案をつくったときは、一人の方が担当でございました。最終的に、科学技術政策担当大臣と有識者議員、これは複数おりますので、複数の総合科学技術会議有識者議員と担当大臣が合議をした結果、Sというふうにしたものでございます。

川内委員 その総合科学技術会議に、例えば平成十七年度でいえば十月二十一日に行われているわけでございますが、総合科学技術会議に案が示されたときには、既にSが入っている案が示されたんですよね。

丸山政府参考人 そのとおりでございます。

川内委員 そうすると、その総合科学技術という正式な会議の場に示された案はSである。第一次案、担当有識者議員が評価したものはA相当であった。この沖縄科学技術大学院大学について、担当している有識者の方が評価をしたらば、科学者の方が評価をしたらばAであった。それが最終案の段階でSになったということに関して、これは有識者議員はすべて関与しているんですか。

丸山政府参考人 最終的には、有識者議員すべてが関与して判断をしてございます。

川内委員 そうすると、この科学技術大学院大学について、担当の有識者議員がA相当であると評価したものを、だれがSだと、担当でないだれがSだというふうにおっしゃったんですか。

丸山政府参考人 これは、先ほども申し上げましたように、政府全体の限りある科学技術予算を適切に配分するという観点から、たくさんあります政策についてこういう評価を行って、最終的には、例えば、平成十七年度の政府のいろいろなプロジェクト、施策がございますが、これについて総合的に判断をしてS、A、B、Cというものをつけております。

 したがって、あくまでも途中段階のものはいわば仮の評価ということで、最終的には、全体を俯瞰し、総合的な判断をしてS、A、B、Cを決めているものでございます。

川内委員 いや、財政制度等審議会における建議の中においても、S、A、B、C評価が厳正に行われていない、正確な表記としては厳正に行うべきだと書いてあるんですが、厳正に行うべきだと書くということは、厳正に行われていない実態があるのではないかという疑問があるからではないかというふうに思います。これは私が言っていることじゃないですからね、財政制度等審議会の建議に、毎年毎年、S、A、B、C評価は厳正に行われるべきであるという趣旨の記述がなされております。

 しかし、今の御説明では、担当の、最もそのことに詳しい有識者議員が、外部専門家の評価を聞いて、この沖縄の科学技術大学院大学についてはA相当だ、着実に実施していくべきだと。日本語で言うと着実に実施していくべきだというふうにおっしゃっている。

 私が今まで、今までというかきょうの委員会の中で申し上げてきたとおり、平成十七年度の決算を見ると、運営費交付金は六億余っているし、造成費についても二億七千五百万使わずに翌年に繰り越しているというような状況を見ると、着実に実施するというA相当の評価は実に正しい評価で、それをSにして無理やり予算をつけてお金を余らせたということに関しては、しかも非常に不透明な使い方も白雲荘をめぐっては行われているわけでございますけれども、私は、これはだれがSにしたのかということについてははっきりとさせなければならないというふうに思います。

 総合科学技術会議のだれが、これはSだ、Sですべきなんだ、積極的に推進すべき、着実に実施すべきから積極的に推進すべきという言葉に変えるべきだとだれが言ったのかということについては、これはこの場ではっきりと、そんなあいまいな、みんながそう言いましたということでは、これは国の予算の使い方にかかわる問題ですから、もっと明確にお答えをいただきたいと存じます。

丸山政府参考人 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、多数の科学技術関係の施策、こういったものを総合的に判断して、有識者議員、それから最終的には担当大臣も入れて議論をして決めておりますので、先生御指摘の途中段階の案というのは、そういう最終案をつくるための一つの作業でございますので、余り、途中段階のものが変更になったというふうに言われましても、最終段階は総合的に判断してこういうふうになったということでございます。

 それから、そのときの、だれが決めたかという点についての資料その他のものは残っておりませんので、ちょっと私の方からお答えはできません。

川内委員 いや、今の御答弁では、私はとても納得するわけにはいかないんですね。

 例えば、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構の平成十七年度における業務実績報告という、これは機構のホームページに出ておりますけれども、もうめちゃめちゃお手盛りの評価が書いてあるわけです。例えば白雲荘の改修工事にしても、二件随意契約をしたということに関しては、黙って、口をぬぐって、「旧白雲荘改修工事は、一般公募型入札を実施し、十二月末に着工。無事契約工期内に完了し、三月末に竣工引き渡しを受けた。」というふうに業務実績報告をし、それを受けて内閣府が評価をしておりますが、「旧白雲荘改修工事は、一般公募入札によって適切に行われており、契約工期内に完了している。造成工事に関しては年度内に着工できなかったが、」というふうに書いてございますけれども、二件随意契約を、一億を超える金額を随意契約しているなんということは、これは御自分たちの評価には一切出てこないですよ。

 非常に、ある意味で言えばお手盛り、そういう中で、そのもともとの出発点がこのS、A、B、C評価にあるのではないか。なぜかならば、外部専門家の、専門家ですよ、外部専門家の意見を聞いて担当有識者がA相当であるという評価をしたものを、担当でない人たちがSに変えた。そして予算がたくさんついた。結果として、運営費交付金は余った、さらには造成工事にも着手できなかった。しかし、評価は、中期目標に向かって順調に推移している、今後さらに頑張りますみたいなことが書いてある。

 これは、私が言っているのは、財政制度審議会でも、S、A、B、C評価については厳正に行われなければならないという指摘があるわけですから、その指摘をしっかり踏まえるとすれば、だれがSにしたのか、だれがSを主張したのかということについてはもっと明確に、総合的にとかそういうことじゃないと思いますよ、担当有識者はA相当だと認めていらっしゃるわけですから。それがSに変わるのには、それは何か理由がなければいけないわけです。総合的に評価しましたなんて、そんな理由はないと思いますけれども、どうですか。

丸山政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、当時は、総合的な見地から、限りある科学技術予算の適切な配分ということで判断をいたしました。

 ただ、この点については、昨年十二月の沖縄特委でも高市大臣から先生に御答弁申し上げていますように、総合科学技術会議の有識者議員の段階で十分に議論して、どういう留意点がある、どういう課題がある、どういう指摘をしたらいいかという点については、改善できる点があればもう少し工夫をしてみたいというふうにお答えをしておりますので、今先生御指摘の点も踏まえまして、こういうS、A、B、C評価の改善というものに私どもも努めていきたいというふうに考えております。

川内委員 総合的に考えて、適切な配分のためにやったんだと。しかし、結果として、平成十七年度の決算は、沖縄のこの科学技術大学院大学構想について言えば、運営費交付金は六億余り、二億七千五百万という造成費は結局手つかずで翌年度に繰り越す。私は、非常に国の財政が厳しい中で、適切な配分だったのかなというふうに疑問を持たざるを得ません。

 尾身大臣、最後に聞かせていただきますけれども、尾身大臣は、平成十七年、十八年は、自由民主党の科学技術創造立国推進調査会長であると同時に、自由民主党沖縄振興委員会大学院大学小委員長の役職につかれていらっしゃいます。まず、この事実について確認をさせていただきます。

尾身国務大臣 そのとおりでございます。

川内委員 尾身大臣、率直にお伺いをさせていただきますが、平成十七年、十八年のこの総合科学技術会議の優先順位づけがA相当からSに格上げをされた件について、与党の先生方は概算要求から予算編成に年末までさまざまな面でかかわりを持たれるでしょうから、当然にかかわっていらっしゃったのではないかというふうに思いますが、当時、大学院大学の小委員長として、一次案がAだ、A相当だ、これはいかぬ、これはSだろうというような御意見なり御感想なりというものをいずれかの場で表明されたことがおありになられるかということを御答弁いただきたいと存じます。

尾身国務大臣 総合科学技術会議における科学技術関係施策の優先づけは、科学技術政策担当大臣及び科学技術等に知見のある有識者議員が外部専門家の助言等を参考にしつつ実施しているものと承知をしております。

 私は、先ほど申し上げましたように、当時、自民党の沖縄振興委員会の大学院大学に関する小委員会の委員長でございまして、当時の棚橋科学技術政策担当大臣や小池沖縄問題担当大臣などとは、大学院大学の構想の意義等について、折に触れてお話をしたことはございます。ただ、総合科学技術会議における優先順位づけの作業について、修正を加えたり、あるいは修正を加えるように圧力を行使するように求めたことはございません。

川内委員 いや、私は、圧力を加えたり圧力を行使したりしたことがございますかということをお聞きしているのではなく、では、聞き方をちょっと変えます。

 小委員長でいらっしゃいますから、一次案がA相当であるということについては当然に御存じでいらっしゃったのではないかというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

尾身国務大臣 総合科学技術会議のS、A、B、Cの順位づけにつきましては、いろいろ中で議論をされておられると思いますが、その議論について、その内容については一切外部に出しておりませんで、内部で議論をしておりまして、私は、最終的に発表になるまで、結果がどうなっているかということについては全く存じ上げませんでした。

川内委員 そうしますと、当時の棚橋科学技術担当大臣あるいは小池沖縄担当大臣と沖縄大学院大学の意義について意見交換はした、しかし、具体のS、A、B、C評価については関与を、関与というか意見は言っていないと。

 S、A、B、C評価についての意見を表明されたこともないんでしょうか。

尾身国務大臣 ございませんし、途中でA段階になったとかなんとかということすら存じ上げません。最後にSになったというのは、発表になってから聞いております。

川内委員 私は与党の議員じゃないものですから政府・与党の仕組みというのはよくわかりませんが、まさしく、政府・与党の中にいて、沖縄大学院大学の小委員長というお役にいらっしゃって、概算要求から予算の財務省原案の内示あるいは復活折衝を経て閣議決定される予算案に至るまで、さまざまな局面で、いろいろな党のポストにつかれていらっしゃる方々がそれにかかわっていらっしゃるのではないかなというふうに私は想像するのですが。

 では、内閣府にお尋ねいたしますけれども、一次案がA相当である、外部専門家の意見を聞き、総合科学技術会議の担当有識者議員が評価をした結果がA相当の表記になっているということを自由民主党の尾身小委員長に御報告されたことはないという理解でよろしいですか。

丸山政府参考人 その事実はございません。

 それから、一点補足をさせていただきますが、先生お持ちのその資料、途中段階のいわゆるA相当の案、それから最終段階のS、この表を見ていただきますとわかりますが、この表の中の「施策の概要」ということは、私どもが概算要求を各省庁から受け付けて、そのS、A、B、Cづけをするに当たりまして、この記載に間違いがないかどうか、それを要求官庁に確認することはいたします。しかし、「優先順位の理由」と書いてある欄について、関係省庁からもその意見を直接求めているわけでもございませんし、繰り返し申し上げますが、最終的に左端にSとかAとか評価がついたものを外に発表するまではすべて内部の作業で、総合科学技術会議が、あくまでも科学技術の振興、予算の適切な配分という観点から作業を行っているものでございます。

川内委員 それでは、沖縄担当部局は、この一次案を総合科学技術会議担当部局から示された後、尾身小委員長のところにこの案を持っていかれなかったのかということをお尋ねいたします。

清水政府参考人 御報告に行ってございません。

川内委員 いや、私、不思議でしようがないんです。普通、そういうのは見て当然だと思うんですけれども、見ることが別に何の悪いことがあるんだろうと思うんですけれども、政府・与党ですから、政府・与党が予算を決定していく中で、党側の責任者が、それこそ、先ほどおっしゃられていたように総合的に御判断をされるわけでしょうから、総合的という言葉の中には、与党の責任ある立場にいらっしゃる方々あるいは与党のその政策を担当していらっしゃる組織というものが入るのではないかというふうに私には思われますが。

 そうすると、S、A、B、C評価について、当時の沖縄大学院大学小委員長である尾身先生は全く蚊帳の外に置かれていたという理解でよろしいですか。

尾身国務大臣 私は、このプロジェクトの重要性についてはかねがねよく存じ上げておりますし、関係の方にも申し上げておりますが、この評価については科学技術会議の中でやっておりまして、関係の、つまり、評価を受ける文部科学省とか経済産業省とかそういう役所も、結果が発表になるまでは一切わからないということでございまして、もちろん私どもも、それについては最終的な結果発表までは知らないわけでございます。

川内委員 にわかにはちょっと信じがたいですが、これで終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず初めに、尾身大臣にお聞きをしたいと思います。

 直接の通告はしておりませんが、日本経団連会長の御手洗冨士夫氏が一昨日の記者会見でこういうふうに述べているんです。一〇%幅の法人実効税率引き下げということを従来主張されていましたが、その財源について問われまして、御手洗氏は、消費税を二〇一一年までに二%、二〇一五年までに三%ぐらい上げると、この御手洗ビジョン、一月に出されたものに明確に書いてあるというふうに回答をされたそうです。

 これは、法人税引き下げの財源として、消費税増税分あるいは増税を充てるという考え方を示したものだというふうに報道されております。私は、いよいよ本音が出たなと思うんですが、尾身大臣はこの見解についてどのように受けとめておられるか、お聞きをしたいと思います。

尾身国務大臣 この件に関して、御手洗会長と私はお話をしたことがございません。

 私どもは、夏以降、十八年度の財政の決算が出る、それから医療制度改革に伴います支出の実態等も明らかになる、そういう状況の中で税制についての総合的な検討をしていきたい、十九年度を目途に結論を出していきたいと考えておりまして、そういうことはかねがね申し上げておりますが、今の、御手洗会長がどういう御意見であるかということについては、直接聞いておりませんので、その点についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 法人税を引き下げる財源として消費税を引き上げて充てる、この考え方については賛同されるんでしょうか、それとも違う考えをお持ちなのか、そこをお聞きしたいと思います。

尾身国務大臣 経済の活性化と財政健全化の両立を目指していくというのが安倍政権の考え方でございまして、そういう中で、先ほど申しましたように、夏以降、十九年度をめどに税制体系全体についての考え方を整理していきたいというふうに考えております。

 その中で、どういう税目をどうするかということについては十分議論をさせていただきたいと思いますが、聖域を設けず、いろいろな考え方、問題点を整理して結論を出していきたいと考えておりまして、消費税あるいは法人税、その他資産課税もございますし、いろいろな税がございますが、そういうものをどう考えていくかということは今後の問題であると考えております。

佐々木(憲)委員 私は、この経団連の会長の発言というのはとんでもない話だと思うんですね。いわば、自分たち財界、大企業が減税を受けると当然視して、その財源として、庶民が負担する消費税を上げろと。これはもう、本当に、全く許しがたい発言だと私は思っておりますので、そのように申し上げておきます。

 さて、それでは次に、証券優遇税制についてお聞きしたいと思うんです。

 昨年末の政府税調の答申、これを見ますと、証券優遇税制については廃止という提言がされておりました。このように書かれております。「期限切れとなる上場株式等の配当や譲渡益の優遇措置については、金融所得課税の一体化の方向に沿って、期限到来とともに廃止し、簡素でわかりやすい制度とすべきである。」このときに、こういうふうにも述べております。「上場株式等の配当や譲渡益の軽減税率(一〇%)は、平成十五年度税制改正において、当時の株式市場の低迷や金融機関の不良債権問題に対応するため、五年間の時限措置として導入されたものである。 現在の経済状況は、株式市場が活性化し、不良債権問題も正常化するなど、優遇措置導入当時と比べて大幅に改善している。」このような状況を踏まえて、先ほど引用しましたように、廃止すると明確に書かれていたわけです。

 株価対策ということが言われましたが、当時は八千円前後だったわけであります。今、株価は幾らですか。

尾身国務大臣 一万八千円ぐらいだと思います。

佐々木(憲)委員 つまり、八千円だったのが一万八千円になっているわけですね。上場企業の業績も史上最高でございます。

 尾身大臣は、株価がこのように大幅に上昇し、経済情勢もかなり好転している、こういう状況を受けまして、この暫定措置は廃止する時期に来ているというふうに今までおっしゃっていたのではないでしょうか。

 例えば、昨年の十一月二十八日の記者会見では、株価がたしか八千円前後だったと思うんですが、今は一万五千円とか一万六千円、その当時、十一月。こういう中で、この暫定措置を続けることについてはいかがかなというふうに私は思っております、こういうふうに述べておられたわけでございます。

 しかも、この点について、決めたときの委員会の質疑の議事録を見ますと、これは平成十五年二月二十六日、我が党吉井議員への答弁ですが、塩川大臣が、「なぜ五年間という限定をしたのか」「減税を一回やりましたら、ある程度正常化してきた場合に、この減税をもとへ戻そう、正常化しようとしても、なかなか国会で承認してもらえない。一回減税したら、国会は、これを戻すことは拒否される。でございますから、増減税のバランスをとらないと財政の均衡が崩れてしまう、」そういうことで五年、こういうふうに期限を切ったと答弁されているわけですね。

 ところが、今出されている税制改正案、その内容を見ますと、証券優遇税制を一年間延長するというふうに方針が変わっているわけです。

 尾身大臣にお聞きしますけれども、いかがなものかと言われていた、つまり、延長するのは反対だ、賛成しない、こういうことを言われていたにもかかわらず、なぜその立場を百八十度転換されたんでしょうか。説明をしていただきたい。

尾身国務大臣 政府税制調査会の答申におきましては、上場株式等の配当、譲渡益に関する軽減税率につきまして、期限の到来とともに廃止するという御提言をいただいております。

 その際、あわせて、軽減税率の廃止に当たっては、株式市場の無用の変動要因とならないように工夫が必要である、それからまた、投資リスクを軽減するために、金融所得の損益通算の範囲を本格的に拡大していくべきであるというようなことも指摘されているところでございます。

 十九年度の税制改正におきましては、今の軽減税率について、その適用期限を一年延長して廃止するというふうにしたわけでございますが、これは、政府税調の答申にも御指摘いただいておりますように、この一年の間に、市場の混乱を回避するための特別措置や金融所得の損益通算範囲の拡大策等について検討を行いました上で廃止するということにしたわけでございまして、私どもとしては、適切な措置であったと考えております。

佐々木(憲)委員 それは私の質問に対する答弁になってないんですよ。なぜ変えたのかという説明を今お聞きしているわけです。

 政府税調は、さまざまな状況を勘案して、廃止すると明確に結論を出しているわけですね。しかも、尾身大臣も塩川元大臣も、この点については、期限を切っているんだから、期限が来たらそれで廃止というのは当然である、だから期限を決めているんだと。それをなぜひっくり返すのか。

 それは、株式市場への影響とかいろいろなことを言っていますが、そんなことは織り込み済みで政府税調の答申は廃止と言っているわけです。株もこんなに上がっている。そういう状況の中でなぜ一年延長するんですかと、理由を聞いているわけです。

尾身国務大臣 政府税調の答申におきましても、市場の混乱を回避するための措置あるいは金融所得の損益通算範囲の拡大策についても検討を行った上で廃止することがいいというふうに書いてあるわけでございまして、私ども、その検討を行った上で、一年延長して廃止する、こういうふうにしたわけでございまして、今、私はそういう説明をしっかりしていると考えております。

佐々木(憲)委員 「期限到来とともに廃止し、」というのが政府税調の答申なんですよ。その答申に反していることをやっているということなんです。その説明は全然ついてないです。

 次に、山本大臣に伺います。

 山本大臣は、日本経団連や証券業協会とともに、一年で切れるところを巻き返しに奮闘したという報道を見ましたけれども、どのような奮闘をされたんですか。

山本国務大臣 金融庁といたしましては、平成十九年度の税制改正の議論におきまして、貯蓄から投資へという政府の基本的な方針、配当、譲渡益の二重課税の問題、諸外国の金融・証券税制との比較、これらを踏まえまして、我が国金融資本市場の国際的な競争力を確保するためにも、証券税制の軽減税率の延長が必要と主張しておりました。そのため、昨年末の税制改正プロセスの中で、軽減税率の延長の必要性につきまして政府・与党関係者の御理解が得られるよう、私自身を含め、さまざまな努力をしてきたところでございます。

 具体的にどのような取り組みを行ったかについては、ひたすら政策論議を誠心誠意尽くすことに終始したところでございまして、いずれにいたしましても、あるべき証券税制の姿につきまして、今後ともさらなる議論が深められることを期待しているところでございます。

佐々木(憲)委員 余りこういうことに激しく動かない方が私はいいと思いますよ。一度政府が五年で廃止すると決めたんですから。それを巻き返す、大臣としてそれをそういう形でいろいろなところに働きかけるということは、私はよろしくないと思います。

 では、聞きましょう。

 金融庁の平成十九年度税制改正要望によると、軽減税率をいつまで続けるかについて、こう書いているんですね。直接金融が欧米並みに確実に根づくまでの十分な期間であると。こうなりますと、株価やその他の情勢は関係ない。貯蓄から投資への流れが根づく、そうなると、例えば、株式、投資の個人金融資産に占める割合というのが、アメリカは二八%ですよ。そんなところになるまで継続してずっとこれは続くんだと。これは、根づかなければいつまでも証券優遇税制は続けるということになるんです。山本大臣はそういう考えなんですか。

山本国務大臣 株式、投信が個人の金融資産に占める割合が一割強にとどまっている現状を踏まえれば、我が国におきまして一朝一夕に直接金融が根づくことは困難である、こう考えております。

 いずれにいたしましても、昨年末の与党税制改正大綱では、証券税制につきまして、軽減税率を一年延長するとともに、この間、証券市場の状況、個人投資家の株式等の保有状況等を勘案し、金融商品間の損益通算の拡大策等を検討の上、成案を得て、平成二十一年度からの導入を目指すとされておりまして、今後あるべき証券税制の姿につきまして、さらなる御議論が深められることを期待しておるところでございます。

佐々木(憲)委員 金融庁のこの税制要望というのは、ちょっと、余りにも私はおかしいと思うんですね。五年で終わりですよ、それで、尾身大臣もそうしようという状況の中で、これを一年間延長するというその理屈立てに、永遠に延長すべきだという理屈立てを、永遠とは言いませんけれども、この構造が変わるまで延長するみたいな話をしている。私は、これは厳しく批判をしておきたいと思うんです。

 今、家計所得を見ますと、ほとんど改善していませんよ。定率減税を全廃してサラリーマン中心の増税を押しつける、これは続けているわけです。この大資産家優遇の証券優遇税制は続ける。これは格差拡大ですよ。一体どちらを向いているのかと言わざるを得ないと思うんです。

 山本大臣は、十二月八日の記者会見で、何かこの制度が、富裕層ではなくて非富裕層のための税制というものだと認識を披露されているようですけれども、今でもそう考えているんですか。

山本国務大臣 証券税制は一律課税でございまして、累進制をとっていない以上、富裕層であろうが非富裕層であろうが一律にかかってくることは御承知おきのとおりでございます。

 また、株式取引を行う世帯の半数以上が年収七百万円未満の平均以下の家庭であるというようなことからしますと、それは決して富裕層税制ではないということもまた言えるわけでありますし、また、株式保有者の七割が六十歳以上の高齢者であるということになりますと、高齢者対策に非常にフィットした税制であるということもかえって言えるわけでありまして、税を取り上げまして、両面から見たり、あるいは多方面から考えたりするということは非常に重要なことではないかというように考えております。

佐々木(憲)委員 それでは、事実を確認しましょう。株式譲渡益課税でどれだけの減税になるのかということです。

 二〇〇五年分の申告所得額が百億円を超える人、これは何人いますか。その株式等の譲渡所得等の金額、これは幾らですか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国税庁が作成いたしております申告所得税の標本調査によりますと、平成十七年分の所得税確定申告書を提出された納税額のある者、これは八百二十九万人でございますが、合計所得金額が百億円を超えている者は七人でございます。

 この七人の方が得た株式等の譲渡所得等の所得金額、合計で約二千億円でございます。

佐々木(憲)委員 これは明確に数字で出ているように、七人で二千億円の譲渡所得、これを得ているわけですね。本当に、これはどこの世界の話かと思わざるを得ない。

 配付資料を見ていただきたい。

 この統計資料には非上場株式の譲渡益も含まれますけれども、単純にするためにすべて軽減税率の対象だとすると、二〇〇五年の統計では、わずか七名の富裕層に、今ありましたように所得は二千億円ですから、軽減税率一〇%で二百億円の減税なんですよ。七人に二百億円の減税なんです。一人当たりにすれば二十八億六千万円の減税です。百億円以上の所得がある納税者にこれだけの減税が集中する。もっと言いますと、少し広げても、一・六%の人々に五六・六%の減税が集中するという計算になるんです。

 ですから、ほとんどの一般の家庭の株の売買をされている方も、多少それはもちろん減税の効果はあるでしょうけれども、しかし、これだけ多くの一般の方々にはほとんど減税が行かない。大規模な取引をやっている高額所得者、大資産家にのみこれが集中するというのは、これは明確であります。

 もし非富裕層にそれの恩恵が行くということであるならば、これは上限をやはり決めなきゃならぬ、これ以上の減税は金額はカットするとか。そんなことをやっていないんですから、青天井なんですから。そういう意味で、この株式譲渡所得の軽減額というものは富裕層に対して集中するということが、この統計からも非常にはっきりしていると私は思います。

 それでお聞きをしますが、こういう高額所得者、百億円以上の所得がある納税者に一〇%しか課税しないような国が先進国の中で日本以外にあるのかどうか、これをお聞きしたいと思います。

尾身国務大臣 先ほどのように、一〇%の軽減税率が我が国では適用されているわけでございますが、ほかの国で、株式の譲渡益に対する課税について各国それぞれの考え方がございまして、課税方式もさまざまでございまして、税率の軽減とかあるいは一定の非課税措置が講じられているわけでございまして、日本との比較で税負担の軽い重いを一概に論ずることは適当でないと考えております。

 イギリスでは、総合課税で一〇%、二〇%、四〇%という率でございますし、また、土地等の譲渡益と合わせて年間に約百九十四万円までの譲渡益についての非課税措置もございます。ドイツでは、投機売買等を除いて原則として非課税でございます。フランスでは、二七%の申告分離課税のもとで、譲渡額が年間に二百二十四万円以下の場合は非課税となっているわけでございます。

 このように、各国の制度が非課税措置も含めまして区々でございまして、国際的にこれがどの程度にあるかということは、一概に論ずるわけにはいかないと考えております。

佐々木(憲)委員 それはごまかしでして、例えばアメリカは総合課税なんですよね、最高二五・五%。イギリスは、これも総合課税ですよ、四〇%。あるいはドイツは、原則非課税と言われましたが、二〇〇九年から二五%の源泉分離課税とする方向で今検討中。フランスは二七%の申告分離課税。こういう状況ですので、日本のように一〇%なんというのはほとんどないんですよ。

 諸外国ではこれが実態でありまして、もし日本で総合課税が適用されれば、富裕層には、二〇%の税率どころか、所得税の最高税率で納税するということになるわけです。

 今の日本の税制というのは、所得税のこれまでの改正が続いたために、所得再分配機能というのがどんどん低下している、税制上の所得再配分機能というのは非常に弱化しているというのが現実の実態です。

 証券優遇の延長というのは、まさにそういう機能を一層後退させるものであって、一部の大金持ちに多大な恩恵を与える。こういうものは廃止すべきだということを明確に述べておきたいと思います。

 次に、テーマを少しかえまして、所得税、住民税の障害者控除についてお聞きをしたいと思います。

 山本大臣は、サラ金規制の昨年の法案審議のときに、いろいろなやりとりの中で、弱者のために頑張りたいというふうにおっしゃいました。本当にそういうふうにやってもらえるのかどうか監視していきたいと思いますけれども、尾身大臣、今、高齢者問題ですとか、あるいはさまざまな格差問題というものが議論されております。尾身大臣は、弱者のために頑張る、こういう姿勢は基本的におありになりますか。

尾身国務大臣 私自身はあると思っております。

佐々木(憲)委員 それなら具体的にやっていただきたい。

 例えば、所得税、住民税の障害者控除について具体的にお聞きしたいと思うんですが、財務省の資料によりますと、その控除というものがつくられた理由について、いろいろな説明がありますが、改めてここで、障害者控除が設けられた理由を説明していただきたいと思います。

尾身国務大臣 所得税法上、納税者本人あるいはその控除対象配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合は、一般の障害者の場合、一人につき二十七万円、特別障害者の場合四十万円の障害者控除として所得控除ができるようにされております。

 これは、基礎控除とかあるいは扶養控除の人的控除に加えまして、精神または身体の障害等の特別な人的事情のある方について、追加的に費用を要することでありますので、担税力が減殺されるということをしんしゃくして設けられたものであります。

佐々木(憲)委員 私の手元にある資料では、「肉体的ないし社会的にも一般の人に比して不利な立場にあり、したがって所得を稼得する場合においても、より以上の努力を要し、一般的に所得稼得能力又は担税力が乏しいものと考えられた」からだ、こういう説明。今同じような御説明があったと思います。

 それで、問題は、障害者控除の対象、どの範囲まで対象とするかという点でございます。これはどのようになっていますでしょうか。

尾身国務大臣 所得税法において障害者控除の対象となる障害者とは、知的障害者、精神障害者、身体障害者及び年齢六十五歳以上の者で、これらに準ずる者として市町村長等の認定を受けている者であります。

佐々木(憲)委員 所得税法施行令第十条第一項第七号には、精神または身体に障害のある六十五歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずる者、これが対象であるというふうに書かれている。今、それも含めて御答弁になりました。

 そこで、準ずる者を対象にしたというわけですが、準ずる者を対象にしたというその理由を説明していただきたいと思います。

尾身国務大臣 お尋ねの高齢者に関しましては、昭和四十五年度の税制改正におきまして、所得税における障害者控除の対象となる者の範囲に追加したものでございます。

 改正前は、障害者控除の対象となる障害者は身体障害者手帳の交付が要件とされておりましたが、老衰によって身体に障害を生じた者につきましては、その交付を受けることが難しいという事情がございました。このような事情を考慮して、老齢に伴い精神または身体に障害のある年齢六十五歳以上の者で、その障害の程度が従前より障害者控除の対象とされている知的障害者または身体障害者に準ずる者として市町村長等の認定を受けている者について、新たに障害者控除の適用対象に加えたものでございます。

佐々木(憲)委員 もう時間が来ましたので、続きは午後の質疑の中でやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案及び特別会計に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として人事院事務総局給与局長出合均君、人事院事務総局職員福祉局次長湖島知高君、内閣府大臣官房参事官幸田徳之君、内閣府政策統括官藤岡文七君、金融庁総務企画局参事官知原信良君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、財務省主計局次長松元崇君、財務省主税局長石井道遠君、国税庁次長加藤治彦君、厚生労働省大臣官房審議官御園慎一郎君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井澤京子君。

井澤委員 自由民主党の井澤京子でございます。

 私は、安倍内閣発足後、この財務金融委員会では尾身財務大臣、山本金融担当大臣に初めて本日質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、先日成立した平成十八年度補正予算では、いじめ問題や児童虐待問題への緊急対策に始まり、災害対策や障害者自立支援対策、後期高齢者医療制度創設支援関係費など、早急に取り組むべき課題について総額で約三兆七千七百億円余りの予算措置を講じていただきましたことは、国民生活に直結する予算だけに、安倍内閣の強いメッセージが国民に向けて発せられたのではないかと思います。

 そして、現在予算委員会で審議されております平成十九年度予算については、大幅な自然増収の中にあっても、歳出を厳しく切り詰め、国債発行額の大幅な縮減を達成するなど、財政再建に向けた内閣の真摯な姿勢を国民に示すことのできた予算であると考えております。

 子や孫の世代にツケを先送りしないために、私たちの責任として、経済が成長していく中で財政再建を達成させる、この基本的なスタンスについては、私も含め、国民の共通認識になっているのではないかと思います。現在、景気回復が丸五年に及び、既にイザナギ景気を超えたと言われるように、改革は小泉内閣から安倍内閣へしっかりと受け継がれており、今後さらに加速を前進させなければなりません。

 しかしながら、地方、私の地元京都では、景気回復の実感がまだまだ乏しいという声も聞かれ、国民一人一人にはまだ実感はわいてこないように聞いております。そのような不安を一日も早く解消するためには、平成十九年度予算を年度内に成立させ、その政策を実行に移すことで国民に安心感を持っていただく必要があると思います。

 本日は、以上申し上げた観点から、財政関係の各法案に関して、三十分という短い時間ですが、質問に入らせていただきます。

 まず最初に、我が国企業の国際競争力の向上のための方策について、財務大臣にお聞きいたします。

 今申し上げたように、財政再建のためには、経済成長を促し、それを持続させることが極めて重要ですが、そのためには、世界の中で厳しい国際競争を続けている我が国企業をあらゆる角度からサポートしていかなければなりません。

 今回の税制改正において、企業の減価償却に関する税制について、他国の制度も十分お踏まえになった上で、早急に改善がなされたと承知しております。この改正は、私の地元京都でも、よくやってくれたと好評をいただいております。

 今回の法改正のねらい、そして、中小企業、小規模企業を含めた我が国企業の国際競争力強化について、財務大臣の御所見を具体的にお聞かせいただきたいと思います。

尾身国務大臣 井澤委員御指摘のとおり、株価等の状況等を見ましても、私どもは、この十九年度予算をとにかく年度内に成立させて、お金がきちっと予定どおり使えるようにしなければならない、これが、政府としてもまた我々としても最大の課題であると考えている次第でございます。

 そういう中で、今御指摘の、経済を活性化する、国際競争力をつけるということは大変に我が国の将来にとって大事でありまして、特に、経済のグローバリゼーション、グローバル化に伴いまして、企業が国を選ぶ時代になりました。そういう状況のもとで、日本という国が、企業によってその活動拠点として選ばれるような魅力ある国にならなければならない、そういうふうに考えて、企業、特に中小企業の活動が我が国で活発化するような、そういうことを考えながら今回の税制改正にも取り組んだところでございます。

 一つは減価償却制度でございますが、今まで日本は九五%までしか償却できなかったわけでありますが、諸外国は一〇〇%まで償却が認められているというのが一般的でございまして、そのことを考えますと、少なくとも日本もイコールフッティングで一〇〇%まで減価償却ができるように、こういうことで改正をすることといたしました。

 これは、長い目で見て、日本経済、日本企業の国際競争力の強化に大いにプラスになると考えている次第でございます。

 それから、留保金課税制度というのがございまして、これは、同族会社が利益を配当せずに、配当すれば通常の法人税でいいんですけれども、配当せずに内部留保にした場合に、通常の法人税に加えて追加的にプラスアルファの税を取られるという制度でございまして、これは資本蓄積を促進するという観点から見てよくない制度であるということで、この制度の適用を中小企業については全くなくするということにいたしました。中小企業の資本蓄積を大いにこれで促進できるというふうに考えております。

 それから、中小企業の問題としてもう一つ、今まで実は、実質的な一人会社のオーナーに対する役員給与の損金算入を制限する制度がございました。これは、今までの限度は、会社の利益とオーナーへの給与の合計額が八百万円以下の場合には適用除外になっていたわけでございますが、このたび、この八百万円の限度を千六百万円にまで上げまして、中小企業活性化を図っているところでございます。

 それから、もう一つは相続税の問題でございまして、中小企業が相続をするのに、これがなかなか相続税によってうまく次の世代に引き継げないという問題点がございました。これを何とかしなければいけないということで、生前贈与を行う際に贈与税の負担が大幅に軽減される相続時精算課税制度というのがございますが、中小企業の同族会社の事業承継を円滑にするために、自社株の贈与の場合に、親の年齢要件を六十五歳から六十歳に引き下げ、また非課税枠を、五百万円上乗せいたしまして三千万円にまでするということにいたしました。中小企業の事業承継がこれによって一層円滑にできるようになると考えている次第でございます。

 いずれにしても、今お話しのとおり、中小企業は日本経済社会を支える非常に大きな中核でございますので、その活動をさらに活発化していただきたい、そういうための税制改正を実現したというのが私どもの考え方でございます。

井澤委員 力強い御答弁、ありがとうございました。企業が国を選ぶ時代、日本が世界から魅力ある国に選ばれるように、税制改正を初め各制度に積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 では、次に、金融担当大臣にお聞きいたします。

 今回の税制改正において、上場株式等の配当、譲渡益に係る軽減税率の特例の適用期限を一年延長されています。これは、約千五百兆円に上る我が国の個人金融資産を貯蓄から投資に振り向け、株式市場のすそ野を広げるための施策であると承知しております。しかしながら、単なる期限の延長であっても、この措置の背景には、我が国の金融・証券税制を今後どうしていくのか、さらには我が国金融・証券市場をどうしていくのかという広い議論がなされなければならないと考えます。

 証券市場をアジアの中で、さらに世界の中でどのように位置づけていくのか、我が国金融機関を戦略的にどのように育てていくのか、各家庭のとらの子の金融資産を安全、有利に運用していくには何が必要なのか、我が国金融・証券市場の将来展望と戦略という大きなテーマではございますが、金融担当大臣の御所見をお聞きしたいと思います。お願いいたします。

山本国務大臣 井澤委員おっしゃるように、証券税制の高い低いによりまして、例えばストックマーケットにおける資金調達に関する厚み、すなわち資金調達コストが安くなったり高くなったりということでありまして、その意味におきましては、産業成長、国の富についての大変な影響力というのはあるだろうと思います。

 そして、委員御指摘のように、東京市場をアジアの中で、世界の中でどう位置づけていくのか、重要な論点だというように思います。

 例えば、一九九〇年に全世界の証券市場における時価総額に比して東京はどれぐらいのシェアを持っておったかというと、三〇%です。これが去年、二〇〇六年にどれぐらいのシェアになっているかというと、約一〇%です。つまり、十六年の間に我々は国際金融拠点としての機能が三分の一に低下したというような事実がございます。

 そうしますと、いろいろな方面に影響があるわけでございますが、そこで私どもが考えておりますのは、少子高齢化が進み、人口減少時代の到来を迎える中で今後とも我が国が経済成長を続けていくためには、一人当たりの所得の向上を目指す必要があろうと考えております。こうした観点から、これまでのように製造業だけに頼るのではなく、高付加価値を生み出す金融サービス業を中核的な産業として位置づけていくことが大変大事な要素になろうと思っております。

 例えば、日本の一人当たりのGDPに比べて、金融センター機能が強化されたルクセンブルクでは約倍の一人当たりのGDPになっておりまして、それぐらいの、所得もまた我が国の倍になっているわけでございます。

 また、グローバルな市場間競争が激化する中で、我が国金融資本市場の国際的な競争力を強化するためには、貯蓄から投資への流れを一層確かなものとすべく、内外の投資家が安心して投資できるような魅力ある市場を構築する必要がございます。

 例えば、アジアの経済が好調でございますが、中国の企業がニューヨーク・ナスダックに上場したケースは七十社を超えております。ロンドンでは百社を超えております。日本、東京市場では一社のみでございます。とすると、アジアの流動性のある資金というものがロンドンあるいはニューヨークに吸収されて、東京には吸収できないということの一つのいわば例に挙げられるところでもございます。

 こうした問題意識の中で、先般、金融審議会に我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループを設置いたしまして、法制度面に限らず、人材、専門サービス、インフラ等、多岐にわたる課題につきまして幅広い観点から議論していただいているところでございます。金融庁といたしましては、この議論を踏まえ、我が国市場の国際競争力の強化に向けた方策を検討してまいりたいと考えております。

 なお、我が国金融資本市場の国際競争力の向上を図るに当たりましては、金融機関が資源の適正配分機能を適切に果たしていくことが不可欠であり、各金融機関が高い規律のもと、利用者の信頼を確保しつつ、みずからの責任と判断で適切にリスクをとって金融仲介を行うことも期待したいところでもございます。

井澤委員 ありがとうございました。

 大臣のもと、早速スタディグループを立ち上げられ、人材サービス、インフラで徹底的に議論をして、国際競争力を強化していくという力強い御答弁をいただきました。よろしくお願いいたします。

 では、次に、特別会計改革についてお聞きいたします。

 かつて塩川財務大臣が、母屋ではおかゆ、離れではすき焼きとおっしゃった、懸案の特別会計改革がようやく法案の形になったことは高く評価いたします。しかしながら、国民から見ると中身が余りにも複雑でよくわからないというのが率直な感想ではないでしょうか。

 各省庁が権限を残すために奔走したとか、さまざまな無駄遣いがされているなど、いろいろな報道がなされ、解説を聞くばかりで、本当に大丈夫かという疑問を持っている国民も多いのではないかと思います。やはり国民の目に見える形で改革の行方を国民に示すことが、私たち立法府に身を置く者に課せられた説明責任であり使命だと思っております。

 そこで、法律の難しい条文を少し離れまして、この特別会計改革で何をしようとしているのか、基礎となる考え方、それを実現するための方策をわかりやすい表現でお聞かせいただければと思います。財務大臣によろしくお願いいたします。

尾身国務大臣 確かに、この特別会計の改革に対する法律はわかりにくいものでございますが、今、井澤委員のお話もあって、私どもでわかりやすく説明をするように工夫をしてみました。三つの要因があって、一つは一覧性、一目見てわかる、それから二つ目が効率性、効率をよくする、三つ目が透明性という三点ではないかと考えております。

 一覧性ということについては、いろいろな特別会計の法律を全部一たん廃止いたしまして、この新しい特別会計の法の中に、第一章では各特別会計に共通する規定を定める、それから、第二章ではそれぞれの特別会計の固有の問題を並べる、こういうことで、一覧性をもって特別会計がわかるようにしたわけでございます。

 二つ目が効率性でございまして、効率性というのは、今まで四つの特別会計にしか規定されていなかった余剰金の一般会計への繰り入れ規定を事務事業を行うすべての特別会計に適用する、こういうことでございまして、この点、効率がよくなるんだろうと思っております。

 それから透明性でございますが、企業会計の慣行を参考にした資産及び負債の状況を開示する書類を作成して、会計検査院の検査を経て国会に提出することを義務づける、こういうことにいたしました。したがいまして、財務書類に記載された情報を初め、今後政令で定められる特別会計の財務に関する状況を適切に示す情報がインターネットなどによって見ることができる、こういうことになりました。

 先ほどの例えで申しますと、特別会計は、母屋と違って今まで離れであったのが一つの座敷に入ってきた、同じ屋根の下に入ってきたということが一覧性かなと思っております。それから、窓や扉が全部あけ放たれて情報が開示された結果、息子夫婦のおかずがすき焼きなのかあるいはおかゆなのかとかいうことが外から見て一目でわかる、一覧性、透明性であります。それから、もしその息子夫婦がすき焼きを食べていて母屋の方がおかゆであれば、そのすき焼きの分の幾らかを母屋の方に持ってくるということができるわけでございまして、これが余剰金の一般会計繰り入れによる資金の効率性というものである。

 したがいまして、母屋と離れの差別をなくして、家族みんなで仲よく改革を進めていこうというのがこの特別会計改革法の根幹であると思っております。

井澤委員 非常にわかりやすい御表現をいただきましてありがとうございました。

 一目で見てわかる三つの要素、一覧性、効率性、透明性をもって、母屋と離れに別れていたものを、差別もなく仲よく、家族楽しくと。母屋へ、一つの座敷に入ってきたというようなこの表現が、またきっと今後、大臣の御発言として受け継がれていくのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、次に、特別会計に関連しまして、道路特定財源についても御見解をお伺いしたいと思います。

 道路特定財源といいますと、前内閣のころから何となくイメージが悪く、道路は悪者扱いになっております。もちろん、無駄な道路をつくる必要はありませんし、会計の仕組みが、無駄につながっているものであれば正さなければなりません。しかしながら、日本全国すべての道路が無駄であるはずはありません。むしろ、積極的にどういう道路をつくっていくのかを考えることが無駄な道路づくりを防ぐことにもつながるのではないかと考えます。私の地元、京都南部の各市町村からも、道路整備に関する多くの要望が毎年寄せられております。

 昨年末、道路特定財源の見直しに関する閣議決定が行われましたが、例えば、具体的な道路整備の中期計画を作成する、暫定税率や現行の税率水準を維持する、道路歳出を上回る税収は一般財源とするといったものが主な内容でした。

 そこで、この道路特定財源について財務大臣はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。お願いいたします。

尾身国務大臣 今まで長い間続いてきた制度の改革をするわけでございますが、一般財源化を前提とした道路特定財源制度の見直しにつきましては、揮発油税を含めまして、特定の税収が自動的にすべて道路整備に使われるというその仕組みを、これは五十年間続いてきたわけでありますが、これを改める、抜本的に改革するということでございまして、極めて画期的なものであります。

 ただ、同時に、真に必要な道路はきちっとつくる。地方の自立や活性化に必要な道路整備を適切に処理するということで、十九年中に中期計画を作成することにしているわけでございます。

 私ども、そういう考え方を前提として道路特定財源制度の改革を進めてまいりたいと考えております。

井澤委員 ありがとうございました。

 この問題につきましては、都市部と地方との考え方の違いが格差論にまでつながり、また市町村合併に伴う、私ども地元など、道路整備などの新たな問題点が指摘されております。まだまだ議論の余地があると思いますので、この件は引き続き議論を続けていただき、取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、時間も迫っておりますので、最後の質問に入らせていただきたいと思います。

 少子化対策についてお聞きいたします。

 これまでの我が国の社会保障関係の歳出は、どちらかというと、急速に進む高齢化社会に対応するための老人介護や高齢者医療などが中心ではなかったかと思います。もちろん、これからも高齢者の方々にいつまでも現役として健康で生きがいを持って暮らしていただくためにも十分な取り組みが必要ですが、少子化対策を怠ることは国家として経済大国日本存亡の危機ともいうべきではないでしょうか。

 財務大臣というお立場上、予算配分を十分にするとはおっしゃられないとは思いますが、厳しいそのやりくりの中で何を優先すべきかを考えれば、私は、やはり将来の日本を支える人に対する投資を最優先にするべきではないかと考えております。その中でも、最速化する少子化への対策は極めて重要で、急がなければならない課題です。二〇五五年には日本の人口が一億人を下回り、八千九百万人になるという人口統計も発表されております。

 財務大臣のお立場からで結構でございますので、少子化対策に対する財政、税制上の措置は将来どうあるべきか、少し大きな目線で、子供から高齢者の方まで含め、安心してともに生きる、共生できる日本のあり方はどういうものか、お考えをお聞きしたいと思います。

尾身国務大臣 五十年後は九千万人でありますが、百年後は四千五百万人というふうに言われているわけでございまして、このまま何もしないでいればそうなるということでございますが、その見通しを現実のものにするわけには絶対にいかないというのが私の考えでございまして、井澤委員の少子化に対する考え方は全く同感であります。

 これにつきましては、例えばフランスの例でいいますと、少子化対策の予算にGDPの三・〇%を使っておりまして、日本は〇・八%であります。三十年前の一九七五年の出生率、日本もフランスも一・九でございましたのが、その三十年の間に、フランスは二・〇になって人口はむしろ増加している、日本は一・二六にまで下がっているという現状でございます。

 そこで、財務大臣としてどう言うかという問題でございますが、子どもと家族を応援する重点戦略会議というのが今度設立をされました。私もその会議に出まして、徹底的にこれは、国、地方、企業、社会全体が少子化対策をやらなければならない、どういう対策をしたら有効かということについて徹底的に議論をして答えを出していただきたい、それについて出した知恵と同時に、幾らお金がかかるかということもどうぞ出していただきたいとお願いをいたしました。

 だからといって、そのお金を全部出すという保証をしたわけではありませんが、そういう計算をしていただいて、少なくとも人口が、人口減少社会と言えるようなことではなしに、できれば横ばいぐらいの人口が続くようなことをやっていかなければならないと考えております。

 今、「進路と戦略」の中でプライマリーバランスの議論が行われておりますが、これの前提条件は、社会保障については、高齢化が進むということでございますし、年金の国庫負担も三分の一から二分の一としておりますが、少子化対策を抜本的に強化するということはこの要因の中に入っておりません。したがいまして、この問題をこれからの安倍政権の課題としていくためには、そういう問題も含めた上で、これを解決しながら財政再建をしていかなければならない。

 そうでないと、将来の日本にツケが回る、将来の子供たちや孫たちにツケが回る、あるいは子孫にツケが回るということでございまして、この問題は、国のあり方として、おっしゃるとおり、政党、党派を問わず全力を挙げて解決していかなきゃならない問題であると考え、私自身もそのように全力で頑張ってまいります。

井澤委員 私どもが、子供から高齢者まで共生して、大変明るい将来に向かっていけるというような、何か希望が見えてくるような御答弁をいただきました。本当にありがとうございます。

 安倍内閣のもと、子どもと家族を応援する会議が提唱され、国、地方、社会全体が少子化対策を応援する、一体になって取り組んでいく、それに対して幾らお金がかかっていくのかということを全力で財務大臣として取り組んで、具体的に進めていっていただきたいと思っております。

 日本の将来を担ってくれる子供たちは本当に大事な宝です。最近は、幼い命を奪われる子供をめぐる悲しい事件や事故などが連日報道されて、そのような中で、先日の補正予算では、積極的に、いじめ問題の緊急対策や児童虐待緊急対策関連法案、地域児童見守りシステムモデル事業などに重点的な予算配分をしていただいたことは大変ありがたいことであると。このような予算が緊急に必要であるということは、裏返しますと、これが悲しい社会現象であり、現実であるとも考えられます。これからも、少子化対策は国、地方、社会、そしてもう全体が一緒になって、安心して国民が暮らせる安全な国づくりのためにも、こういった分野へは積極的な財政出動をお願いしたいと思います。

 本日は、尾身大臣、山本大臣、丁重に御答弁いただきまして、本当にありがとうございました。

 以上、私からの質問は終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、中根一幸君。

中根委員 自由民主党の中根一幸です。

 本日は、特別会計改革についてお尋ねいたしますので、よろしくお願いいたします。

 この特別会計は、先ほどからお話がある、塩川財務大臣が「母屋ではおかゆ食って、辛抱しようとけちけち節約しておるのに、離れ座敷で子供がすき焼き食っておる、そういう状況が実際行われておるんです。」と発言されてから本格化し、この行政改革推進法ができたわけでございます。

 そこでお尋ねさせていただきますが、まず、この行政改革推進法の特別会計改革に関する規定の主なポイントを簡潔にお聞かせください。

尾身国務大臣 行政改革推進法におきましては、特別会計に関しまして、特別会計の廃止及び統合並びにその経理の明確化を図る、それから、事務事業の合理化及び効率化を図るということにして、これを計画的に推進するわけであります。

 平成十八年度から二十二年度までの間におきまして、特別会計における剰余金等の削減、縮減の措置によりまして約二十兆円程度の財政健全化を図る、それから、特別会計の廃止、統合などを通じて一般会計と異なる取り扱いの整理を行い、情報開示を行っていく、こういうことでございまして、先ほどの例でいいますと、特別会計の透明性や一覧性、そういうものをしっかりと実現していきたいと考えております。

中根委員 今簡潔にお話しいただいたんですが、概要からいうと主に三つですね。特別会計改革の統廃合、これは三十一会計を十七会計にということ、そして剰余金等の一般会計と異なる処理の取り扱いの整理ということ、そして三つ目が情報開示についてお話をしていただきました。

 このうち、まず特別会計の統廃合についてでございますが、この法律によれば、行政改革推進法に定められた特別会計について、平成二十三年度までに漸次統廃合を行っていくということでございます。他方、行革推進法の論議の際、民主党は、特別会計について、二つを残してすべてを廃止せよとしておりました。

 これは私個人としての考えですが、特別会計は、国として行う必要な事業で、保険料で年金を給付するというような一般会計と区別して経理する必要がある場合に設置されるもので、これらをすべて廃止するとすれば、かえって受益と負担の関係がわかりづらくなり、むしろ不適切になると考えております。

 そこでお伺いしますが、行革推進法などにおける特別会計改革に当たり、特別会計の統廃合を行う上で、政府の基本的スタンスをもう一度確認させてください。

田中副大臣 特別会計の統廃合については、行革推進法の制定に際しまして平成十七年十二月に閣議決定がされまして、その方針に沿って、事業の必要性の減じた特別会計を廃止する、事業の必要性はあるけれども国が行う必要性の薄いものは民営化または独立行政法人とする、一般会計と区分経理する必要性の薄れた特別会計は一般会計化する。その上で、存続する特別会計についても、事業類型が近似している場合には、行政改革の効果を確実に出すことを前提に統合するとの視点に立ちまして、事業の必要性についてゼロベースで見直しを行い、お話がありましたように、平成二十三年までに、現行三十一ある会計を十七会計とすることとしたところであります。本法案においても、これを実施に移すこととしております。

 いずれにしましても、特別会計改革を推進するに当たっては、今後ともこうした方針に沿って見直しを行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

中根委員 ありがとうございます。

 今、四つの視点から方針に沿って見直しをという御答弁をいただきました。必要性に応じて廃止また民営化等、そして経理区分の必要性の薄れたものに関しては一般会計化し、類似したものに対しては統合していく、こういった方針。これはやはり、先ほど私が話したように、特別会計を全く無視して何でもかんでも統廃合すればよいというものではないということがおわかりになると思うんですが、例えば、実際に年金に関する特別会計を一般会計に統合することによって、逆に国民の皆さんに不安を与えることになるのではないでしょうか。

 また、行革推進法においては、特別会計の統廃合について、今後検討されているものが幾つか見受けられます。行革推進法では、施行後一年以内に法制上の措置を講じるように規定されておりました。ですから、この法律案に備えてそれらを盛り込めというのは無理な話でございますが、今後、こうした検討事項をすべて実施すると特別会計はどこまで減るのか、また、この統廃合の見直しの見通しについてお伺いいたします。

田中副大臣 先ほども申し上げましたとおり、特別会計の統廃合については、三十一あるすべての特別会計を見直した結果、本法案により、平成二十三年までに十七会計まで減少させることとしておるところでございます。

 また他方、本法案に基づく統廃合を前提とすると、行革推進法上、一般会計化や独立行政法人化など今後の検討にゆだねられている特別会計は五会計存続いたしますけれども、これらについても、今後五年をめどに基本的にすべての検討結果を得ることとしております。仮にこうした今後の検討対象の特別会計がすべて統廃合されるとすれば、特別会計の数は十二会計にまで整理されることとなると考えられます。

 以上でございます。

中根委員 検討対象の特別会計がすべて廃止されるとすれば、三十一会計の約三分の一程度、十二会計程度に整理されるとのお考えを伺いました。

 次に、財政貢献でございますが、特別会計には、使い道のない余剰金や積立金がたまっているとの指摘がございます。これを受けて、行政改革推進法では、今後五年間で二十兆円の財政貢献への寄与を目標に掲げておられます。行政改革推進法の審議の際にも、谷垣前財務大臣が、特別会計の余剰金等の活用に向けた決意として、どら息子に親孝行になってもらおう、そして、少し実家のために頑張ってもらおうという答弁がございました。

 他方、民主党は、五年間で三十三兆円の財政貢献を主張されたこともありました。これがどのような積算に基づくものかは定かではありませんが、私個人としては、積算のあいまいな財政貢献の目標額を掲げることは余り重要ではないと思っております。むしろ、特別会計の余剰金等は、特別会計の性格やそのときの社会経済状況の変化によって大きく変動するものでありますので、特定の会計の余剰金のみに頼るのではなくて、すべての特別会計を対象に事務また事務における事業を毎年度厳格に査定し、その結果、発生が見込まれる余剰金等を毎年度活用していくだけの、そういった手法を早期に確立することが重要だと考えております。

 今回、この法律で、どのような点に私が話したような点が措置されているのでしょうか。また、その意義についてもわかりやすく御説明いただきたいと思います。

尾身国務大臣 現下の厳しい財政状況にかんがみますと、各特別会計の剰余金等につきましては、その使途及び水準を改めて精査いたしまして、必要な水準を超える剰余金等につきまして、一般会計への繰り入れを行うなど可能な限り財政健全化に活用することが大事であるというふうに考えております。しかしながら、現行の特別会計法におきましては、剰余金の特別会計から一般会計への繰り入れについては四つの特別会計にしか規定がございませんで、他の特別会計から一般会計への繰り入れについては規定がなかったわけであります。

 こうした中におきまして、行革推進法におきましては、特別会計における剰余金等の縮減その他の措置により、今後五年間で二十兆円程度の財政健全化を進めるという目標を掲げました。それから、剰余金の繰り越し規定を含めまして、一般会計と異なる取り扱いを整理するための法制上の措置を講ずることが定められたわけでございます。

 このような状況を踏まえまして、この法律案では、行革推進法に基づき、一般会計と異なる取り扱いを整理するため、財政健全化に向けた各特別会計共通のルールとして、特別会計の剰余金に関して、これまで四つの特別会計にしか規定されていなかった剰余金の一般会計への繰り入れ規定を、事務及び事業を行うすべての特別会計に適用することとしております。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、この規定に基づきまして、毎年度の予算編成において、すべての特別会計における剰余金等の使途及び水準を精査し、必要な水準を超える剰余金等につきまして、その積極的活用を図ってまいりたいと考えております。

中根委員 ありがとうございます。

 今まさに大臣がおっしゃった、こうした改革が重要なのではないでしょうか。不確定な数値を宣伝するよりも、毎年度確実に改革を進めるための道具を準備し、それを毎年度の予算編成で最大限活用していく。その結果、五年間で二十兆円の目標を少しでも早く達成して、二十兆円に行ったからいいというのではなくて、さらにその財政貢献額を積み上げていく、こういったことが何よりも重要なのではないでしょうか。

 次に、特別会計に係る情報開示でございます。

 特別会計は、ただでさえ、先ほども同じ質問がありましたが、わかりづらいと言われております。私としても、この特別会計に当たって特に重要なのは、特別会計の情報をまず国民の皆さんだれもに十分に明らかにすることだと考えております。この点については今回の法律にどのように措置されているか、もう一度お伺いいたします。

田中副大臣 今、中根委員が御指摘されたことは、我々も十分重要に考えて対応していきたいと思っております。

 行革推進法においては、特別会計の財務状況の透明性を確保する観点から、企業会計の慣行を参考とした資産及び負債の開示その他の特別会計に係る情報開示のために法制上の措置を講ずることとされております。

 かかる状況を踏まえ、本法律案においては、企業会計の慣行を参考とした資産及び負債の状況等を開示する書類を作成し、会計検査院の検査を経て国会に提出することを義務づけるとともに、財務書類に記載された情報を初め、今後政令で定める特別会計の財務に関する状況を適切に示す情報を、インターネットの活用などの方法により開示することとしております。

 いずれにしましても、各特別会計に徹底した情報開示を義務づけた上で、その結果把握される問題点等を踏まえ、今後とも特別会計改革を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

中根委員 ありがとうございます。

 さらに続いて伺いますが、今回の法律案においては、インターネットなどにより情報開示すべき財務情報について、先ほど言っておられました、政令で指定することとされております。現在のところ、こうした情報として何が予定されているのか、お伺いいたします。

松元政府参考人 お答えいたします。

 本法律案におきましては、特別会計の財務情報に対しまして国民が容易にアクセスすることが可能となるよう、インターネットの活用などによる財務情報の開示を義務づけているところでございます。

 具体的な情報開示の内容といたしましては、企業会計の慣行を参考といたしまして作成されました財務書類のほか、国民に対する説明責任をより一層果たしていく上で必要なものといたしまして、予算、決算の概要、一般会計からの繰入金の額及びその必要性、借入金の額及びその必要性、剰余金の額及びその発生要因や処理方法などについて開示することを予定しているところでございます。

 いずれにせよ、各特別会計に徹底した情報開示を義務づけた上で、説明責任が十分果たせない歳出等につきましては、それを今後の予算査定に反映させていくことがまず何よりも重要でございます。こうした方針に沿いまして、さらに特別会計改革を進めてまいりたいと考えております。

中根委員 ありがとうございます。

 まさに情報開示が今後の予算査定の武器、また、これから特別会計改革を進める上での原動力になると思います。こうした方針に沿って、制度を整備し、予算編成に当たっていただきたいと思います。

 そして、説明責任を果たせない歳出、つまり、いわゆる無駄遣いについてのお話がございました。これはテレビ等で、みのもんたさんを初めとする各種マスコミなどが、特別会計の歳出総額、十九年度予算ベースでは三百六十兆円ほどありますが、このすべてが無駄であるかのような報道もございます。先ほどのような、年金給付を特別会計で行っていること等を踏まえるとこれは大きな誤解であり、真の意味で改革を集中させるべき議論のポイントがかえって見えなくなるおそれもあると思っております。

 そこでお伺いいたしますが、特別会計改革の本質とも言える無駄遣いの退治、これはどこまで進んできているのか。改革集中すべきポイントについて、国民の皆さんにわかりやすく御説明ください。

松元政府参考人 お答えいたします。

 特別会計改革の無駄遣いの退治がどこまで進んでいるかということでございますが、十九年度予算におけます特別会計の歳出額を単純に合計した歳出総額は約三百六十二兆円でございます。ここから会計間相互の重複計上額を除外いたしました、純計額と私ども申しておりますが、この額は約百七十五兆円ということでございます。

 このうち、社会保険給付五十一・四兆円につきましては、年金や健康保険給付費など法律に基づく社会保障給付費そのものに係る費用ということでございます。また、財政融資資金への繰入金が十八・八兆円ございますが、これは、国の行う自収自弁の貸付業務に係る資金調達の経費でございます。さらに、地方交付税交付金等につきまして十四・八兆円でございますが、これは地方財政対策ということでございます。さらに、国債償還費、利払い費等の七十八・九兆円は国の借金の返済費用ということでございまして、これらは、特別会計改革とは異なる見地から別途議論されるべきものであるということでございます。

 したがいまして、これらを除きました、事務費、人件費及びその他の事業費といった特別会計改革として議論の対象とすべきものは全部で十一・六兆円ということでございまして、ここにすべて含まれておるということでございます。

 十九年度予算におきましては、これを前年度比〇・七兆円、六%程度削減するということにいたしておりますが、今後とも、特別会計の歳入歳出の合理化、効率化には全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

中根委員 このように、特別会計改革は着実に進んできているところでございますが、先ほど話した一部マスコミの思い込みによる報道により植えつけられてしまった誤ったイメージまた計数、これらについて、私たち国会議員もその払拭に努めていかなければいけないと考えております。

 また、私自身、今回の法案に至るまでの議論や今の大臣との議論を振り返りますと、やはり特別会計改革に当たって重要なのは、各特別会計に関する一覧性の確保ではないかと考えております。特に、今回の法案を見せていただきますと、これまで各特別会計ごとにばらばらに、また勝手にルールを定めていたものを一本の法律にまとめて横ぐしを通す。その結果、特別会計の仕組みが一覧性のあるものとしてまとまった。これが最も大きな意味を持つ、そのように思っております。

 そこで、先ほど、塩川財務大臣のお話、離れ座敷で子供がすき焼きをというような話がございました。その中で大臣が、先ほどキャッチフレーズをお話ししていただいたわけでございますが、私は先ほど、次の出番だったものでちょっと聞きそびれたところもございます。石原議員も非常にわかりやすいというような話も言っていたものですから、キャッチフレーズを踏まえて、国民の皆さんにもう一度、この法案に伴う改革についてのお話を大臣からしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

尾身国務大臣 御指摘のとおり、特別会計に関しましては、今まで特別会計ごとに根拠法律が決められていたわけでございまして、また、手続等についても非常にばらばらでございました。こういう中で、行革推進法を踏まえまして、一般会計と異なる取り扱いを整理するために、特別会計法で、個々に定められていた手続を横断的に見直していく、こういうことになったわけでございます。

 第一章の総則に各特別会計に共通する規定を定め、それを受けて、第二章で各特別会計の性格に応じた個別の経理についての規定を定める。そして、一章、二章が一体となって機能する法律として提案をしているわけでございます。したがいまして、特別会計全体の設置根拠が一元化されて、一覧性をもって法律化している、こういうことでございます。

 先ほど井澤委員のお話にございまして、一言でどう言ったらいいかということで、一覧性、効率性、透明性という三つの言葉を並べてお話をいたしましたが、先ほどからいろいろお二方の話を聞きながら考えておりまして、一言で言いますと、同じ屋根の下で一家そろって明るくすき焼きを食べよう、こういうことではないかと思っております。

中根委員 非常にわかりやすい大臣からのお言葉、ありがとうございました。

 ぜひ、大臣のリーダシップのもとで、この特別会計改革が、火を絶やすことのないよう、さらに進んでいきますことをお願い申し上げまして、少し時間が早いようでございますが、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。きょうは、三点ばかりお伺いをいたしたいと思います。

 まず初めに、今ちょうど日銀の福井総裁、入ってきていただいて早々で申しわけありませんけれども、これは通告しておらなかったんですが、御存じのとおり、昨日、中国株が過熱ぎみだということの警戒感で中国株の下落があって、それがアメリカに飛び火をしまして、ニューヨークの株価がかなり落ち込んだ。最終的な引け値は四百十六ドルの下落になったようでありますが、それを受けて、我が国の東京市場の株価が、一時は七百円程度落としたというように聞いておりますが、前場では六百四十四円の下落という状況のようでございます。

 今回のこの株価のいわば暴落ということについて、まず総裁の御見解をお伺いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

福井参考人 ただいま委員御指摘のとおり、昨日からきょうにかけまして、中国の上海の市場ですが、株価の大幅な下落をきっかけとして、エマージング市場、欧州市場、米国市場と株価の下落が波及いたしました。きょうの、つい先ほどまでの日本の株式市場を見ておりましても、その影響が及んでいるという状況でございます。

 市場のことでございますので具体的なコメントは控えたいと思いますけれども、これから先の動きがどうなるか、我々としても強い関心を持って、しかし冷静にウオッチしたい、こういうふうに考えております。

谷口(隆)委員 では、まず初めに、日銀に対する質問をさせていただきたいと思います。

 二月の二十一日に決定会合がございまして、〇・二五%、七カ月ぶりに引き上げられたわけでございます。二〇〇六年の十月から十二月の四半期のGDPの状況も予想以上に拡大基調だということで、私自身は今回のこの引き上げに対して余り違和感がないわけでございます。

 一方、きょうの報道を見ておりましても、IMFのラト専務理事が、円キャリートレードについて、市場が動揺しドルの急落を招きかねないというような警告を出したという報道を先ほど聞いたところでありますが、超低金利がずっと続きましたので、我が国の金利が〇・二五上がって〇・五になるわけですね。アメリカが今五・二五ですか。そういう金利差があって、その金利差を利用したような円キャリートレードということが行われている。

 それで、私が心配しておるのは、我が国の金融政策が、周辺の諸国に大きな影響が出てくるのではないかというように、我が国のみならず、当然ながら我が国は経済大国でありますから、我が国の決定会合というのは非常に世界に対する影響も大きいわけでありますが、特に、海外に行った円資金が、このような、金利もまだ十分に縮まっておらない中で一体どうなるのかということを心配するところであります。

 これも通告しておりませんが、若干、総裁の御見解がございましたら、教えていただきたいと思います。

福井参考人 委員御指摘のとおり、主要国の金融政策は、経済がどんどんグローバル化する、マーケットも国境を越えて、資金、資本が自由に移動する、こういう環境の中での金融政策になります。

 したがいまして、それぞれの国の金融政策、日銀の金融政策もそうですが、基本的には、国内の経済の動き、物価の動きということを中心に見据えながら、物価安定のもとでの持続的な経済の拡大ということをねらいとして実行していくということでありますが、同時に、金融政策上のアクションが国際的にどういう波及効果を持つかということは、常時やはり念頭に置いていなければならない。私どもも、そういうふうな意識を強く持ちながら金融政策を運営させていただいております。

谷口(隆)委員 それで、本日お聞きをいたしたい主な質問事項でございますが、二月の二十一日に決定会合が行われまして、賛否の結果、八対一ということで、岩田副総裁が反対に回られたわけでございます。

 今、日銀の執行部は三人、ボードメンバーとして出席されまして、審議委員を入れて九名で構成されたこの委員会で決まるわけでございますが、新日銀法の施行が一九九八年四月の一日、約九年たっておるわけでありますが、今回、執行部の意見が分かれたというのは初めてのようでございます。諸外国の状況を見ましても、FRBは執行部の意見が分かれない、分裂しないような状況のようでありますけれども、一方で、英国中央銀行、BOEは、そういうように、今回行われたような執行部のそれぞれの方が意見をおっしゃるというようなことのようでございます。

 日銀法第十六条「組織」には、総裁、副総裁は、おのおの独立して委員の職務を執行するということでございますので、分裂をして賛否をやられるということについては法的には問題がないわけでありますが、基本的には、執行部間で決定会合の前に意見調整をされるのが当たり前だ、当然そのような形になされているんだろう。そのような意見調整がなされないまま決定会合に臨まれて、執行部の意見が分かれた、分裂した。

 総裁は、この決定会合後の記者会見で、意見は異なってもいいけれども、一たん決まれば、これは一丸となって執行部は頑張っていくんだ、こういうふうなことをおっしゃっておられるわけでございますが、私は、今回の分裂ということが、非常に定性的に大きな問題だというように思っております。

 例えば、今、総裁が提案をされたこの事項について副総裁二人が反対をした場合、一体どうなるのか。また、反対をした結果、採決そのものがひっくり返ったといった場合にはどうなるのか。大変、このような重要な意味を持っておる、定性的に非常に重要な問題だというように考えるわけでありますが、福井総裁の御見解をお述べいただきたいと思います。

福井参考人 委員つとによく御承知のとおり、かつまた今御指摘になられましたとおり、現在の日本銀行法では、政策委員会におきましては、執行部に属する総裁と副総裁、三人も他の審議委員の方々と同様に一人の委員として独立に判断を行う、こういうふうにされております。

 金融政策決定会合は、こうしたそれぞれ独立した委員、総裁、副総裁を含む独立した委員が、経済、物価情勢や金融政策運営の考え方について論戦を闘わせる、議論を闘わせることによって、それぞれの意見を磨き合い、最終的に一つの結論を得る、こういういわば創造的なプロセスでございます。単なる多数決ということではなくて、反対意見も、最終的によい結論を得る上で非常に重要な貢献をしている、こういうプロセスでございます。もとより、決定されました内容を、反対した委員といえどもこれを尊重する、かつまた、執行部であれば、この決められた政策を執行していく上には、一丸となって、責任を負ってこれをやっていく、こういう筋書きになっております。

 今回、岩田副総裁は、政策決定会合で、意思決定プロセスにおいて少数意見に残られましたけれども、決められました政策内容について、これを全面的に尊重する、そしてこれを執行していく過程では一糸乱れぬ行動をとるということを、御自身、明確に言っておられます。

谷口(隆)委員 建前のお話はいいんですが、先ほども申し上げました、究極の状況の中で執行部の意見が分かれるといったときには、私は、大変大きなことになるわけであります。確かに意見が異なっても日銀法の上では問題がないわけでありますが、九年間、執行部の意見が分裂しなかったというのも大きな意味を持っておることだというように思っておるわけでございまして、そこは、このところを重く受けとめていただきたいということを、きょう、総裁に申し上げたいと思うんです。

 後でまた、若干日銀にお聞きしなければならないことがありますので、しばらくおいでいただきたいと思います。

 その次に、時間もあるものですから移りますが、移転価格税制について、財務大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 移転価格税制というのは、一九八六年に導入されたものであって、日本の国内の企業が、税率の低い外国に例えば販売子会社をつくる、その販売子会社を通じて諸外国に製品の販売を行うといったような場合に、国内の企業と子会社との間は、同じグループ内でございますから、販売価格についてはどのようにも対応できる、極端な話はできるわけであります。

 しかし、そうなりますと、仮に第三者との取引の価格があって、それよりも低い価格で海外の販売子会社に売却をしたといった場合には、国内の企業の利益がその分だけ減少し、海外子会社の利益がその分だけ増大するということになるわけでございます。その結果、税率の低い販売子会社のところは税がその分減少し、企業グループ全体は、総体として納税額が減少する。このようなことがあってはならないので、第三者の価格をやはり参照し、国税当局はその適正価格との間の分を、差額を課税するというのがこの移転価格税制のことでございます。

 それで、最近は物すごくこの事案がふえておりまして、国税当局が申告漏れと指摘をしたケースは、十八年六月までの一年間で計百十九件、前年比で三十七件増ということになっておりまして、申告漏れ総額は、所得ベースで二千八百三十六億円、前年比六百六十八億円増ということのようでございます。

 具体的な社名を出しますと、報道されておりますので、武田薬品工業が、申告漏れが一千二百二十三億円、追徴税額が五百七十億円、ソニーは、申告漏れが七百四十四億円、追徴税額二百七十九億円、その他三井物産、三菱商事、京セラ、こういうようなことで結構大きな金額なわけであります。

 それで、先ほど申し上げましたように、第三者価格で売るといったことに対して、物の場合は非常にわかりやすいんですが、最近は無形固定資産、インタンジブルアセットというものですね、ノウハウだとか、特許権の使用料だとか、ロイヤリティーだとか、こういうものはどこが適正なのかわからないというところがございます。そこで、各企業も非常に心配をしておるところがあるわけであります。

 日本の現地子会社が進出先の政府に税額を納付するといったときに、それは移転価格税制で、日本で払わなきゃいかぬといったときには、その分だけ日本で払って、その進出先の国からは、還付請求ができるわけで、それを返してもらわなきゃなりません。還付していただく。これが、租税条約が結ばれておるならば、国税庁が相手国と交渉するということで行うわけでございますが、租税条約の結ばれておらないところ、例えば香港であれば租税条約が結ばれていないんですね。ですから、香港で、今言ったような移転価格税制で、国内で追徴が行われるといった場合には、香港のところと協議をするわけでありますが、個別企業が協議したってなかなか税金が取り戻せないというような状況にあるわけでございます。

 それで、今はボーダーレス取引でございますから、どんどん企業は海外に出ていく。税務当局は、本来我が国で納めていただかなきゃいかぬものは我が国で納めていただくということですから、当然ながら、やはり税収が海外に流出するということは避けていかなければなりません。そういうことで、国税当局も一生懸命頑張って、そのようなことのないように今やっておるわけでございまして、ですから、この厳正な移転価格税制の執行というのは非常に重要なことだというように考えておりますが、まず、そういう前提に立ってお伺いをいたしたいと思います。

 先ほど申し上げました、第三者との間の価格と、現実に日本の企業と現地国の子会社との間の取引を行う価格に差額が発生をしておる場合に、今申し上げたように、企業は非常に緊張感が出てくるわけでありますから、国税庁はAPAという事前確認制度を設けております。このようなことをやってもらいたいという企業の要請も強いわけでございます。そうしないとなかなか、どれが公正な価格なのかというのははっきりわかりませんから。それで、やっておるわけでございますが、ただ、その人員が非常に不足しておる。現状は、海外税務当局と交渉する相互協議室の人員がわずか二十四人だと聞いておるわけであります。決定まで約二年かかる、そのようなことを踏まえまして、企業は大変不満がたまっておる。

 国税当局、国税の職員の皆さんも本当に大変な中、頑張っておられるわけでありますが、私もいろいろなお話を聞いて、定員の充足等もやってあげなきゃいかぬ、こういうように思っておりますが、今回のこの移転価格税制の関係で国税庁の体制を整える必要がある、企業側が非常に心配しているというようなことを思うわけでございますが、これについて財務大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の事前確認制度でございますが、近年の国際取引の増加を反映いたしまして、その申し出件数が増加してきております。先生の御指摘のとおりでございます。

 私どもといたしまして、担当員の増員ということで処理の促進の体制整備、これまでも図ってまいって、その結果、今の体制があるわけでございますが、さらに、現状といたしましては、引き続き申し出が増加しているということで、御指摘のように、さらなる体制の充実が必要ということで私どもも考えております。

 ただ、この事前確認の処理の問題につきましては、私どもの体制の問題のほかに、やはり納税者の資料作成の問題とか、提出の協力度合い、それから特に相互協議、相手国との関係等もございまして、なかなか一朝一夕で解決できない部分もございます。

 いずれにいたしましても、私どもとしては、私どもの方でできることをきちっとしていくということで、体制の整備につきましては、引き続き鋭意努力してまいりたいと思っております。

谷口(隆)委員 ぜひ早急に体制の整備をしていただきたいと思います。

 それで、またもう一つでございますが、国税庁は、関連会社との適正取引価格の算定方法を公開いたしておるわけでございますが、どうも、その移転価格税制の執行基準が不明確だ、そういうことで企業の国際的な活動を萎縮させておるというような面があるようでございます。この算定そのものが、国税庁の裁量の余地が大きいというような声もあるようであります。この際、この基準の明確化をやっていく必要があると思いますが、これについて御答弁をお願いいたしたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 移転価格税制の運用の明確化につきましては、これまでも、法令解釈通達等の整備、改正、それを公表するということで、適用基準や執行方針の明確化、これは二〇〇〇年以降、連年にわたって続けてまいっております。また、現在も、特に、先ほど先生御指摘ございました、無形資産を伴う取引の課税上の取り扱い、これについていろいろ御要請もございますので、さらなる明確化に向けた作業を進めております。特許、ノウハウ等の無形資産の取り扱いを、これまでの課税実績に基づく事例集などにいたしまして、きちっとわかりやすくしていくという努力をしているところでございます。

 なお、一点申し添えさせていただきますと、適用基準が不明確という御指摘もございますが、その中には、個別の事実認定に係る判断が納税者と当局の間でどうしても異なる場合がございます。これもやや混同されている部分もございますので、この事実認定の問題と適用基準の問題をきちっと明確に分けながら、適切に対応してまいりたいと思っております。

谷口(隆)委員 十九年度の税制改正案では、今回の、移転価格税制による更正または決定を受けた者が、租税条約の相手国との相互協議の申し立てをした上で猶予申請をしたときは、更正または決定に係る国税及びその加算税の額の納税を、その納期限から相互協議の合意に基づく更正があった日から一月を経過する日までの期間、猶予することとされているということは、私は一歩前進された考え方であるということは、ここは評価をさせていただきたいというように思う次第でございます。ですから、ぜひ早々に、体制または算定基準について、より一層の明確化をお願いいたしたいと思います。

 それで、その次に移りたいと思います。

 これは金融担当大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 金融担当大臣、イスラム金融というのを御存じでしょうか。イスラム金融というのがあるんですね。イスラム法に基づく金融制度でございまして、イスラム教の教えなんですね、コーランから出ておりまして、利息は不労所得として禁じており、資金や労力を出し合って一緒に働く協業を奨励する。銀行は、貸付金で利息を得るかわりに、客と共同で事業に投資をし、収益を分け合う。酒だとかポルノ、ギャンブルなどのイスラム教が禁止する事業には投資できないとか、イスラム法学者が事業の適格さを点検する。これにかかわる銀行は世界約五十カ国に二百行以上あり、金融資産は約四千五百億ドルに達するというように一般的に言われております。この金融資産はまちまちでございまして、人によると、一兆ドルだとか、三千億ドルだとか、いろいろなことをおっしゃる方がいらっしゃいます。

 そんな中で、ロンドン、英国は二百万人のイスラム教徒がおられるようでございまして、非常に積極的で、ブラウン財務大臣は、ロンドンをイスラム金融のゲートウエーにしようということで宣言をして、シティーの生き残り策として一応位置づけをしておる。

 ここにスクークと呼ばれるイスラム債があるわけでありますが、このようなイスラム債の、金利のかわりに配当などの形で運用益のやりとりをしておるわけでございますが、英国では、このような配当についても税制上の配慮を行おうというような動きがあるようでございます。

 それで、中心は今マレーシアでありまして、イスラム金融サービス基準の国際化の動きがあって、イスラム金融サービス委員会、IFSBというのですが、ここが中心になってそのような基準を設けている。

 先日、私も今、中東の関係の議員連盟をやっておるものですから、向こうに行ったり、またこちらの在京の中東各国の大使と意見交換をした折に、ぜひこのようなイスラム金融についての理解を深めてもらいたいということがございまして、JBIC、国際協力銀行に対して、従来からこの勉強をしていったらどうかということを提案しておりましたら、この一月二十二日、二十三日の二日間でJBIC主催のセミナーが開かれたわけであります。これは、私、二日間とも参りましたが、非常に大盛況と言われるような状況でございました。

 このような状況の中で、今、このJBICが先行した形で勉強し、やっておるわけでありますが、政府として、イスラム金融について研究し、税制上の障害があるならこういうものも取り除いて、大胆に進めていこうという考え方があるのかないのか。山本大臣にお伺いをいたしたいと思います。

山本国務大臣 谷口委員おっしゃいますように、一月二十二日から二十三日にかけまして、イスラム金融セミナーが東京で開催されました。金融庁もまたそれに対して後援をしたわけでございますが、JBICが主催でございます。谷口委員は、このセミナーに大変御熱心に御出席をされ、さまざまな角度から参加をされたと聞いております。

 そのイスラム金融は、現在、〇・七から一兆ドル、年率一〇から一五前後の成長を遂げている。もはや、世界の金融市場において無視できない大きな存在となっております。こうした観点から、我が国内におけるイスラム人口は比較的少ないものの、国際金融市場におけるイスラム金融の急拡大を踏まえれば、金融庁としてもイスラム金融に関する理解をより一層深めることが重要だと認識しております。

 また、イスラム金融セミナーを後援させていただきましたし、また、イスラム金融の現状や課題についてこれからさらに勉強を重ねていかなければならないと考えておりまして、引き続き、さまざまな機会を利用して研究を進めてまいりたいと考えるところでございます。

谷口(隆)委員 こういう世界はスピード感が大事なんですね。さっきも申し上げたように、やはり、感覚がいいといいますか、英国あたりはもう即座に動いて、シティーの生き残り策、さっき申し上げたようにやっておられるということもございますので、大変な努力でJBICが中心になって動かれて、それで大臣もおっしゃったセミナーが行われたわけでありますが、やはり、だれかがやるだろうというようなことではだめで、大臣がもうすぐにでも、金融庁内また政府内に、こういう勉強会なりその方向性を決めるような実際的な動きをぜひしていただきたいというように思います。

 きょうは、先ほどお伺いをいたしました日銀総裁が来ていただいておりまして、JBICは、先ほど申し上げたIFSB、そういうボードがあるんですが、ここの準メンバーに多分なったんだろうと思います。日銀もそういう報道が出ておりましたが、どうもこれは誤報のようであります。

 福井総裁御自身が考えていらっしゃるこのイスラム金融について、お考えをお述べいただきたいと思います。

福井参考人 金融のグローバル化の新しい現象として、委員御指摘のイスラム金融、これは、イスラムの教えと両立する、シャリーア・コンプライアント・ファイナンス、こう言っていますが、これが近年急速に発展を遂げております。

 私自身の感覚としては、従来のいわゆる市場金融とこの新しいイスラム金融との接点はこれからずんずん広がっていくだろう、こういうふうに思っています。したがいまして、日本銀行といたしまして、今、情報収集活動を積極的に行って勉強を深めている、こういう段階でございます。

 IFSBのこの間のセミナーには、政府と並んで私どもも後援をさせていただきました。今後、どういうふうにIFSBとの具体的なつながりを深めていくか、引き続き検討したいというふうに思っています。

谷口(隆)委員 先ほども申し上げましたが、私は中東のアラブ首長国連邦の議員連盟をやっているわけでありますが、特に、今ドバイを中心にして、JBICの支店も出ましたし、大手のメガバンクは大体出ております。それで、どんどんそういう産油国の金、オイルマネーをやはり取り入れようということで、いろいろな動きが出ておるわけです。

 日銀は、昨年か一昨年か忘れましたが、北京に出先を出されました。中東のドバイなんかに出先を出したらどうかと私は思うんですが、総裁は、どうですか、そんな考えはありますか。

福井参考人 貴重な御示唆をいただきまして、ありがとうございます。

 私どもは、国際的なネットワークをどういう形で広げていけば最も有効に情報収集活動と私どもの金融政策の考え方を練り上げていく上に役に立つかということを常々考えておりまして、重要な課題としてこれからまた検討させていただきます。

谷口(隆)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、先ほどの、冒頭お話をさせていただきました執行部の意見の食い違いといいますか、これは定性的に非常に重要だと思っておりますので、ぜひ日銀の内部でもいろいろな御協議なり意見調整をされてやっていただければというように思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 では、以上で終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 きょうは、昨日拝聴いたしました、所得税法等の一部を改正する法律案並びに特会に関する法律案につきましてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 まず、尾身大臣そして山本大臣におかれましては、連日の予算委員会での御対応、大変お疲れさまでございます。そしてまた、きょうからいよいよ当委員会も閣法審査に入ってまいりましたので、恐らくこの先長くなろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。

 さて、サラリーマン増税がどうかという御議論を予算委員会の中でも大変拝聴いたしました。同僚議員も累次にわたりまして取り上げさせていただいております。

 委員長のお許しをいただきまして、資料をお配りいたしたいと思います。

 もとより、サラリーマン増税というのはどういったものをいうのかというのは、実ははっきりした定義がないんだというふうに恐らく政府はお考えでいらっしゃる、このように受けとめておりますが、実は意外なところで、灯台もと暗しでございまして、ただいま配付をいたしております資料の中の二、与党の先生方は、御自分のところの政権公約でございますので、よくよく御存じのとおりであります。「自民党の約束 政権公約二〇〇五」、この中の税制の抜本的改革の欄でございます。

 この中で、「所得税については、所得が捕捉しやすい「サラリーマン増税」を行うとの政府税調の考え方はとらない。」これがいわゆる公約違反じゃないかと、弊党といたしまして大変主張をしておる根拠の一つだというふうに思いますが、実は、サラリーマン増税という言葉の頭に「いわゆる」というのがついていないんですね。谷垣さんはずっといわゆると言い続けておられましたし、資料の三の二、竹中さんに至っては「サラリーマン増税という用語は用いていないわけですが、」とまで明言をされておられるんですが、何と御党の公約の中には「「サラリーマン増税」を行うとの政府税調の考え方はとらない。」こう書いておられるんです。

 そこで大臣にお尋ねするわけでありますが、サラリーマン増税というものは存在するんでしょうか。何をサラリーマン増税と逆に言うんでしょうか。まずお尋ねをいたしたいと思います。

尾身国務大臣 この選挙公約でありますが、所得が捕捉しやすいサラリーマン増税を行うということはしないということを言っているわけでございまして、いわゆる定率減税の廃止のお話をしていると思いますが、自営業者を含めましてすべての納税者をこの定率減税の廃止は対象としておりまして、いわゆるサラリーマンに対してねらい撃ち的に負担増を求めるサラリーマン増税には当たらないと考えております。

古本委員 ねらい撃ちというのは、大体どのくらいの割合を言ったときがねらい撃ちになるんでしょうか。

尾身国務大臣 ねらい撃ちはねらい撃ちで、サラリーマンに対するものという意味でございまして、自営業者等を含まないということだと思います。

古本委員 資料の七をごらんいただきたいと思います。

 これは国税のレポートのままでございますが、所得税納税者に占めるサラリーマン、いわゆる給与所得者の割合ということでありますが、約九割がサラリーマンであります。そして、今大臣が言われた自営業の方は三・九ポイント。したがって、九〇%対三・九%。農業所得者も〇・三ポイントいらっしゃいますが、これを加えても四ポイントちょっと。

 この比較を見れば、たとえ四ポイントでも、入っているから、ねらい撃ちサラリーマン増税じゃないんだ、こういうことでいいんでしょうか。

尾身国務大臣 いわゆる通常の場合の、源泉徴収をするような形のサラリーマンに対する課税、そういうものに対してねらい撃ちにするものではない、こういうことだと私は理解をしております。

古本委員 この割合は、これは冷厳な事実としてあるわけでありますが、では一方、閣法によりますと、今回の税法の見直しが成立した暁には、六でありますが、平成十九年度の税制改正による増減収見込みということで、法人の皆様にはこれだけの減税、プラスマイナスですから、増税分、減税分を最終的に足し引きすれば五千億円強の減税になるわけです。他方、個人は、住宅ローン減税が引き続きになりますし、等々がありまして七百億の減税になる。

 これだけを見れば、明らかに法人の方に偏った減税の効果が出ている。まず、これはいいでしょうか。

尾身国務大臣 この法人の減税のうちの五千億円余りは減価償却制度に関するものでございまして、これは、経済がグローバル化する中で、企業が国を選ぶ時代になった。そういうときに、日本という国が企業の事業活動の拠点として選ばれるような体制をつくらなければいけない。

 それで、減価償却制度について見ると、ほとんどの国が一〇〇%まで償却を認めているのに、日本だけが九五%までしか認めていない。そのハンディキャップを直してイコールフッティングの税制を確立しようということでございまして、そういう意味で減価償却一〇〇%まで認めるということにしたわけでございます。

 しかし、この償却を一〇〇%まで認めるということは、結果としては、いずれその分は税金で納めるわけでございまして、タイムラグ的に見れば、一〇〇%まで認めることは、課税の繰り延べではございますが、減税という部分には当たらないというふうに考えております。

古本委員 ちょっと確認したいんですが、今回の、減価償却費ということは一般個人では余りないと思うんですが、この減価償却費制度の見直しによるマイナス五千億強については、これは減税ではないという理解でいいんでしょうか。

尾身国務大臣 短期的な意味では減税という分類に入りますが、長いスパンで見ますと、一〇〇%償却をした結果、その設備が動いている期間における企業利益はその分だけふえるわけでございまして、その分の課税は将来に繰り延べされるという意味で、純粋の意味の減税とは違うというふうに考えております。

古本委員 先ほどお尋ねした話に少し戻したいと思いますが、このサラリーマン増税の問題は安倍総理も予算委員会の中で御答弁になっておられます。資料の三の二です。いわゆるサラリーマン増税というのは、被用者の、所得をすべて把握している人たちを、これはこの人たちから税金を取りやすいということで云々ということでございます。

 つまり、所得の捕捉率が一〇〇%であるだろう給与所得者とそうじゃない方々との間に所得の捕捉率の差がある。これはもう財務省も御当局もお認めになっておる話でありますが、所得の捕捉率が一〇〇%の方、いわゆる源泉徴収されておられる方が結果として主な負担者になる税目があったならば、それは、その者を指し示した、ねらい撃ちにした増税である、このような見方もできるとは思うんですが、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 全体の納税者の中でサラリーマンの数が多いということは事実でございますが、定率減税の廃止そのものは、すべての所得税について同じような扱いをするということでありますから、基本的にはいわゆるサラリーマン増税ではないと考えております。

古本委員 ただ、今、割合を大臣にお見せいたしましたとおり、所得税の平均は、年によって振れますが、大体十五兆円です。このうち、勤労性所得、いわゆる源泉で徴収されておられる方々が約十兆円支えています。残りが、お医者様とか会計士の方とか、いわゆる手数料収入が入る方。そしてその後が、その他いろいろな所得がある方。それから、所得階層別支え手の人数分布、割合でいえば、これはもう圧倒的にサラリーマンなんです。これが所得税、御省が言っておられる基幹税の一つであります。

 その所得税の減税を廃止するということは、これをもってサラリーマン増税と言わずして何と言うのかということであります。再び答弁を求めます。

尾身国務大臣 これは、所得税について増税をする減税をする、あるいは税制改正をするのが全部サラリーマンについての増税であり減税であるということにはならないと思っております。

 これは所得税全般についての対応の仕方の問題でありまして、いかなる職業の方であれ自営業であれ、全部それに該当するわけでありますから、所得税についての定率減税とか定率減税の廃止とか、そういうふうに考えていただかないといけないのであって、職業とか収入のもとを問わず、所得税そのものについての同じ扱いをしたわけでありますから、サラリーマンをねらい撃ちにしたものではないというふうに考えております。

古本委員 では、先ほどの御党の政権公約に戻りますが、この場面で想定された、あの夏の暑い郵政解散でした、あのときに想定された、決して行わない、その考え方はとらないと言ったサラリーマン増税というのは一体どんなものだったんでしょうか。資料の二に書いております「「サラリーマン増税」を行うとの政府税調の考え方はとらない。」と言われた考え方とはどういう考え方だったんでしょうか。

尾身国務大臣 これは、サラリーマン増税と俗に言われましたけれども、政府税調ではサラリーマン増税という単語はたしか使っていなかったと思います。そういうことを言っているんだと思います。

古本委員 サラリーマン増税を行うとの政府税調の考え方は私たち自民党はとりませんと言われたわけですよね。そのときの、とらないと言った考え方はどういう考え方なんですかとお尋ねしています。

尾身国務大臣 ですから、サラリーマンをねらい撃ちするようなサラリーマン増税という考え方はとりません。

 所得税については、先ほどの定率減税をやめたというのは、これは、所得のある方に対する、全部一律、同一の課税をしたという意味で、定率減税の廃止はそういう効果があるわけでございますから、それは確かにやりました。

 しかし、サラリーマンについて、サラリーマンなるがゆえの特徴を持ったような方々に対する増税はやらない、こういうことでございまして、私どもの考え方は非常にはっきりしていると思います。

古本委員 実は、小泉さんが答えてくださっているんです。当時の小泉さんの答弁。三の一の資料をごらんください。百六十三国会の資料です。

 「給与所得控除の縮減についてですが、平成十八年度において、給与所得控除の見直しにより、いわゆるサラリーマンに対しねらい撃ち的に負担増を求めるようなことは考えておりません。」これは総理以外も、累次にわたりまして御当局は、給与所得控除をいじることをもってサラリーマン増税、これは、そのそしりは受け申すと言われているんです、もしそうならば。

 したがって、御党のことを私がここでおもんぱかるのも変な話ですが、ここで言われているサラリーマン増税というのは、恐らく、給与所得控除はいじりませんということを言われていたんでしょうか。これを確認します。

尾身国務大臣 私、そのときに小泉前総理がどう申し上げたか、ちょっとそこはよく確認ができませんで、私どもが言っているのは、いわゆるサラリーマン増税、サラリーマンなるがゆえに、そこをねらい撃ち的に増税することはないということを先日の公約では申し上げたということははっきりしておりますが、何年か前に小泉前総理がどう言われたかということについて、私、今ここで見ておりますから、私がここでそれについての解釈を述べるのはどうも適当ではないと思います。

古本委員 何年か前とおっしゃっていただきましたが、まさにこのマニフェストで合格なさった方がずらりといらっしゃるわけでありまして、こんなもの関知してないと言わんばかりの御発言は、これはちょっときついです。

 これは、どういうことをもってサラリーマン増税というふうに定義しているかというところを合わさないと、幾らこちらがサラリーマン増税したしたとそちらを責めても、そちらの思っておられるサラリーマン増税とが合わないと、議論がかみ合わないんです。

 この問題については、私は聞くと通告してあるんです。お尋ねしています、所得税の問題。主税局にきのう来ていただきました。きょう初めて聞きましたと大臣は言われますが、これじゃ質問できません。

尾身国務大臣 サラリーマンに固有の、例えば給与所得控除をどうするとかこうするとかいうことは、サラリーマン増税であり、サラリーマン減税であるというふうに私は考えております。

 したがいまして、所得税全般についてどうするかということは、いわゆるサラリーマン増税はやらないという公約には抵触しないと考えております。

古本委員 それでは、もう一度だけ整理します。

 御党は、二〇〇五年の総選挙で、「「サラリーマン増税」を行うとの政府税調の考え方はとらない。」と公約されて選挙を戦われました。そして、あっぱれ大勝利でありました。国民は支持したわけであります。

 その際のマニフェストに書いておられた「「サラリーマン増税」を行うとの政府税調の考え方」というのはどういう考え方なんでしょうか。これは、そのとき大臣も議員でいらっしゃったわけだし、総選挙に出たわけですから、教えてください。

尾身国務大臣 定率減税等についての所得税一般についての考え方とは別に、サラリーマンに固有の給与所得控除というようなものについての増税はやらないという意味であると考えております。

古本委員 ありがとうございました。

 そうしますと、今国会で、大臣が衆議院の本会議で御答弁されておりますが、「七月ごろに判明する平成十八年度決算の状況や」云々かんぬんおっしゃっていただいて、その後、「消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組んでまいります。」こういうふうに答弁されていますが、これは大臣のお言葉です。

 ここで言われる税体系に、サラリーマンの給与所得控除は含まれていますか。

尾身国務大臣 ことしの秋口に考える税制の抜本的改革という中には、法人税も含め、消費税も含め、資産課税も含め、所得税も含め、あらゆる費目の税の抜本的見直しを行うという意味で、全部入っているというふうに理解をしていただきたいと思います。

古本委員 大臣も思い切った御発言をいただきました。

 谷垣さんは、前国会で、平成十八年二月二十七日の当委員会でこう答えておられます。御党の前大臣です。

 これは、定率減税廃止に当たって、個人所得課税について抜本的見直しということになるとどうかという問いかけに対しての答弁でありますが、近年の税制改正では、個人所得課税について、税率構造あるいは人的控除などの見直しを行ってきております、例えばということでおっしゃられて、配偶者特別控除上乗せ部分の廃止とか老年者控除、それから公的年金控除の見直しを行った、これはマイナスの話ばかりですよね。これを受けて、ずっと文章が続くのですが、最後に、こういうようなことが所得税の抜本的見直しというふうに私どもは言えると考えているわけでございますと。

 この中に、サラリーマンの給与所得控除、基礎控除の話は入っておりません。入っておりませんが、谷垣さんは、このときには、もう抜本見直しは終わったと言っておられるんです。終わったと言っておられる大臣の後任の尾身さんが、この秋のいろいろな経済動向の数字や出生率を見ながら考えると、累次にわたり役所の皆さんは答弁されている。承知しています。それを見定めた上で、この秋に、抜本的見直しが終わったという個人所得課税について見直すんでしょうか。

尾身国務大臣 この秋には、社会保障給付や少子化等への対応について、国民が広く公平に負担を分かち合う観点に留意しつつ、基礎年金国庫負担割合の引き上げのための財源も含め、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにする必要があると考えている。そして、このような考え方のもとで、七月ごろに判明する二〇〇六年度決算の状況や医療制度改革を受けた社会保障給付の実績等を踏まえ、本年秋以降、税制改革の本格的、具体的な議論を行い、与党税制改正大綱に沿って、二〇〇七年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいりたい、こういうふうに答えております。

 私は、その中にはあらゆる種類の税目が入っており、そして、日本全体として、少子化対策も含め、高齢者増加対策も含め、基礎年金国庫負担割合の引き上げの問題も含め、そういう問題を踏まえて、まさに国家百年の大計から国の財政健全化と経済の活性化を実現していく、我々の孫や子供たちのことも考えながら抜本的な税制改革を進めるということを考えていますし、また、そのことを申し上げているわけでございまして、抜本的なという意味においては、すべての税目を含むと考えております。

古本委員 再度お尋ねします。

 そうしますと、所得課税の抜本的見直しはいまだ道途上、こういうことでしょうか。

尾身国務大臣 現在、GDPに対する債務残高の比率が一四八%と世界最大である。そういう実態も踏まえまして、しかし、経済の活性化と財政の健全化を両立させなければいけない。そういうことを考えて、国全体として、二十年、三十年、五十年、百年先を見てどうすべきかということを考えていかなければならないと思っております。総理も、例えば消費税について、「逃げず、逃げ込まず」というふうに言っております。

 ですから、そういう問題も含めまして、どういう体制で歳入改革を実施するかということは、これは、我が国として、国家として非常に大きな問題であり、我々はそれに逃げずに取り組んでいくということを申し上げているわけでございまして、どの品目についてどうするとかこうするとか、それはさわらないとか、そういうことはないと思っております。

古本委員 質問できません。全く答えていません。全くずれています。全くずれています。委員長、おわかりでしょう。

尾身国務大臣 抜本的改正をやったといっても、経済社会の状況に応じて、いつも不断に見直しをして実情に合わせていかなければならないわけでございますから、その点についてはいろいろな方々の意見も聞きながら見直していくというのは当然のことであり、かつ、ことしの秋口においてはそういうことをやるということを私どもは申し上げているわけでございまして、私の発言が委員の意見と違うかもしれませんが、私の発言そのものは御理解いただけると思いますし、質問についてのお答えはきちっとしていると思っています。

古本委員 これは、聡明な大臣ですからわかっていただけると思います。

 定率減税の縮減、廃止に当たっては、所得課税の抜本見直しをすることを条件に縮減、廃止をしていいという、これは法律事項なんです。資料の一です。経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律なんです。その第一条に書いてあるんです。

 その見直しがなされたかどうかという問いかけを、累次にわたり当委員会でも本会議でもやってきたんです。それに対して、谷垣さんは、窮して答えられたんではなくて、信念と財務省の理念を背負って、所得課税の抜本見直しは終わったと国会で答弁しているんですよ。それをあなたはまたやると言っているんですよ。抜本見直しは終わったんじゃないですか。

 したがって、抜本見直しはもう終わったんですねと聞いているんです。

尾身国務大臣 定率減税を想定したいわゆる負担軽減措置法におきましては、当時の著しく停滞した経済活力の回復に資するため、我が国経済の状況等を見きわめつつ抜本的な見直しを行うまでの間、所得税法及び法人税法の特例を定めると規定されており、定率減税は、所得税、法人税の抜本改革までの措置と位置づけられておりました。

 この点に関して、近年の税制改正におきましては、個人所得課税について、二〇〇三年度改正において、一九九六年に共稼ぎ家庭といわゆる専業主婦家庭の数の比率が逆転したこと等を踏まえ、配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止、二〇〇四年度改正において、現役世代と高齢者世代の税負担の公平を図る観点から年金課税の見直し、二〇〇六年度の改正において、三位一体改革による地方住民税への税源移譲に伴い、個人住民税と所得税の税率構造の見直し等、抜本的な見直しを進めてきているところであります。

 また、法人課税については、二〇〇二年度改正において連結納税制度の導入、二〇〇三年度改正において法人事業税の外形標準課税の導入など、経済社会の構造変化に対応し、各般にわたる抜本的な見直しを実施してきたところであります。

 このように、経済情勢が、定率減税を導入した一九九九年当時とは全く異なり、大幅に改善していることに加え、近年、個人所得課税及び法人所得課税の抜本的な見直しが進められてきていることを踏まえ、負担軽減措置法の趣旨に沿って定率減税の廃止を行ったものであります。

古本委員 質問できません。話になりません。全くわかりません。

尾身国務大臣 古本委員の御質問に対しては今の答えであります。委員がこの答えに対して同意見かどうかは別物でございますが、答えはきちっとしているわけでございますから、どうぞ質疑を続けていただきたいと思います。

古本委員 質問できません。

伊藤委員長 古本君、御質問をお願いします。

古本委員 また同じことをやるのはもう嫌です。簡単な話なんです。

伊藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 尾身財務大臣。

尾身国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、近年の税制改正において、個人所得課税について、その基本的枠組みである人的控除や税率構造などの抜本的な見直しを進めてきているところでありますが、税制については、社会経済構造の変化に対応しつつ、不断の見直しを行っていく必要がございます。一度抜本的な見直しを行えば二度と抜本的な見直しを行うことはないということはないと考えております。

古本委員 大変よくわかりました。七変化だということをおっしゃっているわけですね。答弁をお願いします。

尾身国務大臣 社会経済構造の変化に伴って不断の見直しを行っていく必要がございまして、一度抜本的な見直しを行えば二度と抜本的な見直しを行うことはないということはないということであります。

古本委員 大臣における、抜本的の見直しを一度行った次の抜本的の見直しを行うまで、まだ一年ですよ。これは去年の答弁ですから。

 時々刻々と変化しているというのはよくわかりますよ。でも、これは税制ですよ。しかも、負担者は、人数構成でいけば九割がサラリーマン。税額の率でいけば約八割が勤労性所得、給与所得層ですよ。いわば、我が国の基幹税の一つである所得税の専らはサラリーマンが支えているんです。

 そのサラリーマンがねらい撃ちの増税でしょうと言ったら、いや、数%ほかの自営業者や農家がおるからそうじゃないとずっと言い続けているんです。それはいい。確かに、たとえ一人でもいたら、それ以外は、ねらい撃ちじゃないからねらい撃ちじゃない、そう言われているんです。苦しいんですよ、大臣も。わかる。

 だったらば、おおむねサラリーマンをねらい撃ちした増税であった、こういうふうに訂正したらどうですか。

尾身国務大臣 余り苦しいとは思っておりませんが、いずれにいたしましても、今後とも、増加する社会保障給付や少子化への対応等について国民が広く公平に負担を分かち合う観点に留意しつつ、基礎年金国庫負担割合の引き上げのための財源も含め、安定的な財源を確保するために、本年秋以降、抜本的、一体的な税制改革を議論する中で、公平、中立、簡素、さらに活力といった税制の基本的な原則に照らし、個人所得課税についても幅広く議論をしてまいりたいと考えております。

古本委員 大臣、私はすごく寂しいです。これは、そんなテクニカルな話とか、きょうは実は、もうずばり、政府側の皆様も、主税局等々入っていただかない形の中で、本当に政治家同士、大臣とひとつ向き合いたいという思いで、決意で臨んでいるんです。

 その意味でいけば、定率減税の廃止、縮減については、もうこれはここ数年の最大のホットイシューですよ、税制に関する政策イシュー。その最高責任者のいすに大臣は今座っておられるんですよ。それを、後ろからもらってというのは、もう悲しくてしようがないですよ。大臣はどう思うんですか。

 ずばり、私がさっきお示ししたあのドーナツグラフでいけば、所得税を納めておられる人の九割がサラリーマンなんです。

 では、所得税というのは専らサラリーマンが支えておる、このことには賛成してくれますか。

尾身国務大臣 納税者の比率としては非常に多いと思っております。

古本委員 まず比率は多いと。

 どの程度多いですか、圧倒的に多いですか。大臣のお言葉で下さい。

尾身国務大臣 私は、税制の、あるいは財政の根幹について議論をするという委員のお言葉は大変高く評価しております。

 したがいまして、八十何%とかいう給与所得者の比率であるとかいうことだけではなしに、今後、日本の財政、経済をどういうふうにしていくべきかということについて御党の考え方を聞かせていただきたいと、議論をしながら思っております。ぜひそのようにお願いをいたします。

古本委員 大臣から逆に質問をされたら、これはお答えしなきゃいけないわけでありまして、全く逆ですよ、この間、時計をとめてもらいたいぐらいですが、あえて申し上げれば、サラリーマンは所得の捕捉率が一〇〇%です。したがって、その人たちがどうしても税の主たる負担者になっている所得税の改正に当たっては、さまざまな所得の捕捉率を上げない限りは不公平はぬぐえないと思っています。これが一点目です。

 さらに、この所得の捕捉率を上げるためには、きょう国税のテーマをやるつもりはなかったですが、申し上げれば、国税の職員が今大変少ない中で、予算定員も減ってきている中で、本当に実徴できる率も減ってきている中で、昼夜を分かたず努力を御省の中でやっていただいている現場の皆さんの頑張りのおかげで、何とか脱税事案やいろいろなことを捕捉して追徴し、納税していただいていますよ。まさにそういう皆さんのおかげでやってきているわけでありますが、残念ながら、じっとしていて一〇〇%捕捉の人とそうじゃない人との不公平が生じているのがこの所得税なんです。この税制改正を抜本的にやるというのであれば、所得の捕捉率を上げるしかないですよ、ここにさらに負担を求めるならば。

 これは、考えを言ってくれと言われたので申し上げました。

 そして、これに答えていただかなくていいんですが、資料の四の一をごらんいただきたいと思います。

 ここまでここにこだわるのは、もう一つわけがあります、大臣。これは、平成十七年の与党政調会長合意ということで、当時の与謝野さんと井上さんが合意の手打ちをした、毛筆書きの達筆な文書であります。これによれば、定率減税廃止による増税財源は基礎年金国庫負担額に入れるものとするという、わざわざこういう念書まで入っているんですね。

 したがって、もとより未納や未加入のないサラリーマンは、年金は大体払っていますよ。未納しようがありません。事業主がそういうことをしない限りは、もう一〇〇%年金を納めていますよ。そういうサラリーマンが九割支える所得税を増税したんです、三兆円。その財源を、専ら未納者の穴埋め、年金会計が破綻した、国庫負担分を二分の一に引き上げる、そのための財源に使う、これが四の二、念書に入っています。こういうことをなさっているから、さらにお尋ねしたくなるわけであります。

 大臣、この資料、今見入っていただいておりますが、このビジネスモデルはもうとっくに承知でいらっしゃいますよね。定率減税の廃止に伴う増税分はこういったことに使っているということは御存じですよね。御存じかどうかだけ、まず教えてください。

尾身国務大臣 二〇〇五年度と二〇〇六年度の税制改正による定率減税の縮減、廃止に伴う二〇〇五年度予算から二〇〇七年度予算における所得税の増収分については、三二%は、地方交付税法に基づき地方交付税に充てられております。

 残余については、使途が法定されていない一般財源であることから、厳密に特定することは困難でありますが、与党における御議論等も踏まえ、定率減税の縮減、廃止に関連づけられた歳出項目としては、基礎年金国庫負担割合の引き上げ等が挙げられるわけであります。

 基礎年金国庫負担割合の引き上げについては、年金保険料のいわゆる未納問題に対応するために行うものではなく、二〇〇四年の年金制度改正において、長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を持続可能なものとするため、今後の保険料の引き上げに歯どめをかけることもあわせて決定されたものでありまして、年金保険料を納めているサラリーマンの負担で年金未納者対策を行うものといった御指摘は当たらないと考えております。

古本委員 年金未納者がいたことによって破綻を来しつつある年金会計を支えるために国庫負担分を引き上げるわけですよね。ですから、もう結構です、それはもう結構です。これは賢明な方ならわかっていただいたと思いますので、次に進みます。

 ちょっと今の議論、大変時間を使いましたので、せっかくですから整理をしたいと思いますが、大臣の言われるサラリーマン増税というのは、どういう定義があったときにサラリーマン増税に当たるのか、これを最後にお言葉で整理していただきたいと思います。それを拝聴してから次に進みたいと思います。

尾身国務大臣 例えて言えば、給与所得控除の引き下げはサラリーマン増税に当たるんだろうと思います。

古本委員 しかるに、そのサラリーマン増税は行わないと公約に書かれておりますが、行わないんでしょうか。

尾身国務大臣 ですから、サラリーマンだけをねらい撃ちにしたようなサラリーマン増税は行わないというのが選挙公約であります。

 同時に、歳入改革の抜本的なことをやるというのも、私ども、はっきり申し上げているわけでございまして、国の財政を立て直すために、この秋以降、そういうことを本格的、抜本的に検討していかなければならないと考えております。これも前から申し上げているとおりであります。

古本委員 再度確認します。

 給与所得控除の基礎控除の縮減はお考えになっておられるんですか。

尾身国務大臣 この抜本的改正においてどういう内容で改正するかということは、まさにこれから議論をしなければならないわけでございまして、経済全般の状況、また社会全体の状況などなどを総合的に考えて決めなければならない問題であるというふうに考えております。

古本委員 少なくともこれは政権の間の公約でありますから、小泉さんの後を受けた安倍さんも引き続き、解散を打っていませんので、それを継承したという前提に立てば、このマニフェスト、御党の「政権公約二〇〇五」は、いまだ生きておるという前提でいいでしょうか。

尾身国務大臣 政権の選挙のときの公約は公約でございますから、公約については守るという考え方でおります。

古本委員 ありがとうございました。

 今税制の話が出ましたが、昨年の末に前の税調会長の問題が出ました。それで、きょうも、実は、新しい税調会長にぜひお越しをいただいてお尋ねしたいと思ったわけでありますが、何やら、政府側によれば、まだふなれな方なので少し勘弁してほしいということでありましたので、度量のあります私としては、そうですかというふうに承りました。告知はいたしましたので、ぜひ次回はお越しをいただきたいと思っております。

 さて、その税調会長なる方がこれまでどういう考え方できているか、考え方が変遷してきているか、資料の八をごらんいただきたいと思います。歴代税調会長が、これは消費税に絞ったところを少し、いろいろな会見あるいは会合等でおっしゃったことをまとめたわけでございます。

 元の会長であった石さんは、明々白々に消費税引き上げ論者であったことが受けとめることができます。そして、その後を受けた前の本間税調会長におかれては、消費税を引き上げることは余りよくないという趣旨のことで言っておられるように受けとめております。そして、新たに就任されました香西税調会長におかれましては、消費税についてはまだ踏み込んだ御発言はなさっておられない、こういうように文脈から読み取るわけでございます。

 そして、安倍政権が誕生なさったときに、小泉さんの路線を継承するというふうに巷間うわさをされておった石さんが何らかの御事情でかわり、本間さんが税調会長になったという経緯だったというふうに承知していますが、尾身大臣的にはどちらの方がよかったんですか、政策実現をする上で。

尾身国務大臣 これは、今、現実の問題として、新しい税制調査会長のもとで政府税制調査会は動いているわけでございます。

 ただ、よく皆様が言われるので、私の考え方と違うところがございますが、税調の委員といっても何十人もおられるわけでございまして、会長一人がかわったから税調の結論が変わるというような代物ではないと私はいつも考えるのでございますが、皆さんは、会長がかわったから税調の答申は変わるんじゃないかというようなことをマスコミなどでは大変言われておりますが、私は、そういうふうなことはどうも考えにくいなと思っております。

 ただ、そういう中で、全く予断を持たずに政府税調の御検討の結果を待ちたいというのが現在の私の考え方でございます。

古本委員 その何人もいらっしゃる税調メンバーの中で特別に対応していただいたということが、恐らく年末のあの騒動の端緒になったものなんだろうなというふうに思っております。

 きょうは人事院にもお越しをいただいております。前の税調会長の特別な対応があったやに報道もありますが、少し事実関係において確認をしておきたいと思います。資料の九の一をごらんいただきたいと思います。一般職の職員の給与に関する法律でございます。

 税調会長、そしてその前は経済財政諮問会議の民間メンバーでいらっしゃったわけでありまして、この基準に照らせば、本間さんは、通常のテーブル、手当テーブルというんでしょうか、当てはめれば、九の二の資料をおつけいたしておりますが、一体幾らが日当だったんでしょうか。

出合政府参考人 今のお尋ねでございますが、経済財政諮問会議の議員という意味では、先生がお示しになられました資料でいうと特Aというところに該当いたします。

 税調の委員という部分に関しましては、Bという中央に置かれる委員会、ここに該当しております。

古本委員 通常はそういうことなんですが、それでは、その話題の人の場合は幾らだったんですか。

出合政府参考人 本間経済財政諮問会議議員のことということで申し上げます。

 ここにございますような金額でございますが、給与法の中で、特に業務を付加されたような場合については、承認を与えることによって特別の金額を設定することにしております。

 本間議員につきましては、内閣府の方から申請がございまして、議員としての業務に加えまして、さらに、同会議の戦略的機能を強化するために設けられました特命事務局を指導するという理由によって業務が付加されて、この部分についていわゆる手当を増額という申請がございまして、人事院の方で認めております。五万円台でございます。

古本委員 五万円台というのは何か歯切れが悪いですが、隠さなきゃいけないようなことがあるんですか。

 幾らなんですか。

出合政府参考人 個別の給与でございましたので五万円台と申し上げたのですが、当初に認めたものでございますが、五万三千円でございます。

古本委員 つまり、石さんが、報道によれば、私はそういう中枢でのやりとりは知る由もありませんので、にわかに本間さんにかわった。

 何となくどたばたがあったような気がいたしておりますが、その経緯の中で、まず整理したいのが、経済財政諮問会議議員の時代が五万三千円だったということでいいでしょうか。そして、その後の税調会長になられた後は、この給与表、委員会の手当額表によるところのランクB、特Bの適用のままでよかったんでしょうか。

出合政府参考人 本間議員の場合でございますが、十三年の一月六日から経済財政諮問会議の議員になっておられます。この段階では三万四千五百円。普通のいわゆる経済財政諮問会議の議員の手当でございます。それが、先ほど申し上げましたように、十五年の一月から特別な業務が付加されたことによって五万三千円になっております。その後、これを退任されまして税調の会長になられた、十八年の十一月だったと思いますが、この段階では、税調会長として二万三千四百円になっております。

古本委員 そうしますと、経済財政諮問会議のメンバーであった平成十五年の二月を境に手当が上がった。それは内閣府から何か手続がなされて、人事院として承認した。わかりました。

 こういうケースの方は、いわゆる審議会の非常勤の委員、常勤の人でも非常勤の人でもいいですが、本間さんは非常勤でしたから、非常勤の人でこういう特別対応をした人は他にあるんでしょうか。

出合政府参考人 先ほど先生の方からお示しになった法律を見ていただいても特例的なものでございますので、極めて少数、数例しかございません。

古本委員 数例というのもまた幅がありますので、この世の中に本間さんただ一人、特別に対応したんでしょうか。あと何人ぐらい、どんな人がいたんでしょうか。

出合政府参考人 これまで認めたものは、本間議員以外に合計で三名でございます。

 個別的な給与の問題ですので、具体的なお名前は伏せさせていただきますが、内閣官房の関係の官職で、現在までで三名ということでございます。

古本委員 ということは、非常勤の審議会委員で特別上乗せをしてもらった人は、歴史上、本間さんただ一人、そういうことでいいんでしょうか。

 内閣官房付のだれとおっしゃいましたか。ちょっとそこのところをもう一度お願いします。

出合政府参考人 経済財政諮問会議の議員としては本間議員だけでございます。それ以外の場合の方は、内閣官房に設置された官職ということで申し上げたので、経済財政諮問会議の議員ではございません。

古本委員 済みません、私の質問の仕方がまずかったわけでありますが、要は、本間さんは非常勤の審議会の委員でしたね、したがって、非常勤の委員の方でこういう特別な対応をした人は他に何人いますかと聞いたんです。それだけです。本間さんのような立場にある人で上乗せした人は何人いたんですか。

出合政府参考人 今申し上げた三名はいずれも非常勤の委員でございますから、同じような立場ということでございます。

古本委員 その特別対応をしていただいた給料の問題に加え、いわゆる宿舎の問題もあったわけでございます。

 当委員会は当然に国有財産を管理しておるわけでありまして、尾身大臣はその責任者、こういうことになります。本間さんの宿舎の問題につきましては、いろいろ事前に事務局には教えてもらいました。そして、実は、理事限りということで、大変膨大な書類もいただいています。どういう理由で借りるんだとか、いろいろ入っておりますが、これはまた、ぜひ次回の機会にとっておきたいと思います。短時間でやるには少し失礼に当たりますので、これはとっておきたいと思います。

 その際に、少し触れておきたいことがあるんですが、例の行革推進法を受けて、いわゆる国有財産の資産圧縮という項目があったやに記憶をいたしております。これによれば、国が持つ土地についてはできる限り売りなさい、ついては資産の圧縮をしてまいろうということだったと思っています。行革推進法の五十九条でありました。

 資料をおつけいたしております。十三、国税庁の路線価、これはホームページに出ているそのままでございますが、もう何度となくこの国会で話題になる、永田町にあります御党の一等地でございます。

 御党本部のございますこの永田町の用地でございますが、ここの地主は財務大臣である。地主というと言い方は変ですが、国有財産を管理しておられる尾身さんの責任のもとで、売ったり買ったり、あるいは貸し付けたりということだと思いますが、長きにわたりまして御党が借りておられる用地でございます。

 今、これは最新の路線価によれば平米二百十四万でございます。ここは借地権割合が八〇%ということでありますから、残りの二割が、いわゆる上物がありますので、これは釈迦に説法になります、もうこれ以上説明しません。御党の本部建屋、これは御党の持ち物でありますので、借地権分を差し引いた残りが大体相場だと言われています。路線価自体は実勢価格より少し乖離があるというふうに思っていますが、少し実勢より低目に見た路線価としましても、これを大体二割で計算すれば、平米四十二万円です。あの一等地を平米四十二万円で買えるとなれば、もう買いたい人は山ほどいるんじゃないでしょうか。

 大臣、実は、前回、谷垣さんに私はお尋ねしています。相手のある話なので、検討をするにも何も、相手があると言われたんです。要するに、これだけ資産圧縮、一等地を売っ払いなさい、添付資料の中で、ちょっと細かい資料で恐縮ですが、公務員の皆さんの宿舎が山とある、けしからぬ、この二十三区内、都心四区の中に公務員が住んでけしからぬ、彼らの土地を売っ払えと、たしか御党の幹部がおっしゃって、そして、まとめ上げた資産圧縮計画一兆円。これを売っ払って売っ払っていくわけでございますが、そのときの議論が大変懐かしゅうございます。

 資料の十二の一。聞いただけでも何かいいなと思うような青山とか二番町とか、こういう名前が続いています。こういう土地を売りなさいという計画です。

 片や、そこに住んでいる公務員の人には、おまえら出ていけと。きのうも、財務省のスタッフ、夜中までやっていましたよ。私もお供しましたが、夜中の二時、三時までいましたよ。その人たちが満員電車に一時間半揺られて駆けつけて天下国家の予算を組むとなれば、私は心もとない。したがって、そういう人がここの一等地に住んで何が悪いんだと、ここで演説しましたよ。ところが、出ていけと言われたものだから、しようがない、どんどん売っていく計画を立てています。

 片や、一等地にある御党のこの用地であります。あの質問をしてから大分月日がたっておりますが、今、買いどきだと思います。自民党さんに買っていただいたらどうでしょうか。

尾身国務大臣 古本議員から、昨年四月に、谷垣大臣に対しまして、本地を自民党に売り払ってはどうかとの御質問をいただいたことは承知をしております。

 いずれにいたしましても、当局といたしましては、国有地売却促進の観点から、貸し付け中の財産についても買い受け勧奨を行っているところでございまして、昨年九月末の貸付料改定をとらえ、本件国有地についても、他の国有地と同様に買い受け勧奨を実施したところであります。

 これに対し、自民党においては、現在御検討中と承っております。

古本委員 いや、これは大臣、今……

伊藤委員長 質疑時間が終了していますので、おまとめの方をお願いします。

古本委員 はい、委員長、申しわけございません。

 今、買いどきなんですよ。平米四十二万ですよ。これは地価が上がってきますよ。今なら十数億で買えます。

 それで、年間賃料は一体幾らなんですか。地代を払うぐらいなら買った方が得です。私が心配する話じゃないんですよ。

 ところが、これだけの宿舎をどんどん売っていくんですよ。これはわずかことしの計画だけじゃないですか。片や自分たちだけ例外というのはおかしくないですかということなんです。

 さらに、もっと言えば、こうやって売っていく土地が今後どこに売られていくかという問題があるんですよ。時間が来ていますから終わりますが、告知だけしておきたいと思います。資料の十です。

 これは、不動産ディベロッパーに出向いておられる公務員の方の肩書でございます。よもや、売っ払えといってどんどん一等地を売っていった先の買い主がこういうふうになっていて、そこでビジネスモデルができていて買っていくなんてことになっていないかどうか、これはぜひ確認をとりたいと思っています、委員長。

 ついては、実は売り払い先は、行政機関の持つ情報開示の規制等々でなかなかかなわぬということのようでありますが、物納財産を売るというなら、まあ百歩譲って、いいですよ。ただ、今住んでおられる人に出ていけと言って、売れと言われたから泡食って都心三区を中心にどんどん売っていくという土地が、よもや、口をあけて待っておられる人にぐるっと土地が回っていくなんてことになっていないかどうか。

 これは私の取り越し苦労だと思っておりますので、ついては、売却先の情報開示を求めます。お諮りをいただきたいと思います。

伊藤委員長 後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

古本委員 ありがとうございました。

 終わります。

伊藤委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、特例公債法、そして所得税法、特別会計法の改正案、まさに国家の財政、広く言えば金融にかかわる根幹の法律の質疑に立つ機会をいただき、委員長初め理事の皆様に心より感謝を申し上げたいと思います。

 本日の議案でもある特例公債法の改正案は、特例公債の発行を定めるものであり、この法案が認められれば、平成十九年度予算で約二十兆二千億円の公債の発行が認められる、こういうことであります。

 この公債は、やはり将来世代への借金であります。減ったとはいえ、大変巨額である。この特例公債には利払い費も含まれるわけでありますけれども、この利払い費の増加に影響を与える政府の決定が二十一日行われました。それは、日本銀行による利上げの決定であります。

 歴史的に見ても、世界的に見ても異常な低金利である我が国の金利水準が、経済の実態に照らして適切な水準にされたと私自身は評価をし、受けとめておりますが、この利上げをめぐって、前回の政策決定会合の一月の段階では、政府内の閣僚、さらには与党自由民主党の幹部の方から、利上げは時期尚早であるといった趣旨の発言が相次ぎました。

 その背景には、第一には、中小企業への影響が大きいのではないか、こういう話、第二には、これはなかなか大きい声では言えないけれども、利上げをしてしまうと、短期の利上げでありますが、長期の金利も上がって、そして財政負担が膨れ上がるという財政当局の思いというのもあったかと思います。

 そこで、本日は、日本銀行の福井総裁にお越しいただいておりますけれども、福井総裁、日本銀行は、金利の決定に当たって、中小企業への影響というものを、そして財政負担の影響というものを主軸に日本銀行は金利水準を決めるものなのか。別の言い方をすれば、日本銀行は、では何を主軸に、柱に金利を決めるものなのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

福井参考人 お答えを申し上げます。

 日本銀行では、物価安定のもとで、景気の回復、拡大が息の長いものとして長く続くよう、これを最大の眼目として金融政策の運営を行っています。したがいまして、マクロの経済情勢の判断が基本となります。

 ただし、今回の景気の回復ないし拡大は、過去のものと比べますと、やはり中央と地方、そして産業間、企業間、大企業、中小企業間のばらつきが非常に大きいというのが非常な特徴でございます。したがいまして、私どもは、あらゆる情報を集めて、中小企業の状況につきましても、今後どういう方向に向かって努力をなさっているかということは十分考慮に入れながら政策判断をしている、こういうことでございます。

近藤(洋)委員 そのとおりだと思うんですね。

 二つの柱、福井総裁は記者会見で、会見の議事録を見ると、二つの柱ということをおっしゃっている。おっしゃた、物価安定のもとでの持続的成長ができる水準にするんだということと、実勢とかけ離れた水準になって、ひずみが起きる、このひずみをまた排除するといいますか、この二つの柱を軸に決めております、こういう御発言をされております。

 ですから、会見では、中小企業ということは大きくはおっしゃっていなかった。もちろん、全体のマクロを決めながら、中小企業も排除するものではないけれどもという御答弁でありましたけれども、やはり主軸はこの二つの柱だと思うんですね。

 そうだとすると、金利の引き上げのマイナス要因が実際に、そうはいっても、借り手である小規模零細企業に対してはやはり影響は出るわけでありますから、日本銀行はそういう形で政策判断をする。そうだとすると、その影響をいかに少なくするかという政策の担い手は経済産業省、中小企業庁であり、片っ方であれば、金融の目詰まりという観点でいえば、金融庁である。また、短期金利が上がり、長期金利が上がった場合のその財政負担については、まさに財務省が責任を持って対処すべきである。

 要するに、日本銀行はそういうマクロの政策で判断するけれども、その結果受ける影響についての、例えば中小企業対策はやはり中小企業庁、さらには金融庁であり、そして財政については、金利の利払い費の資金繰りについては主に財務省が担当するべきである、こういった基本認識でよろしいでしょうか。福井総裁に伺います。

福井参考人 日本銀行及び各政府部門、それぞれに担うべき責任課題があるというふうに思います。

 ただ、日本銀行も、政策を行うに当たりまして、中小企業金融にどういう影響が及ぶかということは十分事前に点検しなければならない、それから、金融資本市場に攪乱的な影響を与えないように、十分検討の上政策をしなければいけない、そういう責任は負っているというふうに思っております。

近藤(洋)委員 今回の〇・二五の利上げで攪乱的要因が出るはずはないわけでありますが、要は、伺いたいのは、あえて確認ですけれども、福井総裁、では、中小企業対策というか、目詰まり感に対応するために、日銀は何かこれから具体的な手を打たれるんですか。

 すなわち、過去、日本銀行は、緊急措置として資産担保証券の買い入れを行われていますね。これは、中小企業対策というよりは、全体の産業金融の目詰まり感を減らすという意味もあったかと思うんですが、こういった緊急措置、これは極めて緊急の措置だと思うんですが、既に日銀はこの措置をもうやめていらっしゃいますよね、やめている、今。では、中小企業対策として、日本銀行として何か新たな、中小企業向け資産担保証券の買い取りか何かわかりませんが、現時点で何らかの手を計画しているということではないと思うんですが、いかがでしょうか。

福井参考人 今委員が御指摘なされました資産担保証券の買い入れ措置といったようなものは、かつての非常事態に対する緊急避難対応として行ったものでございます。既にこの役割は終了しております。平時に戻りましたからには金利政策が中心ということでございまして、おっしゃるような具体的な対応を日本銀行が打てる状況にはございません。

 ただし、常日ごろから、金融資本市場の機能を高めていく、そして、金利水準を最も最適なところに設定することによって資源再配分機能をよりよくしていく、景気の拡大を長続きさせることによって中小企業にとってもよりよき展望が開けるようにということは当然視野に置いております。

近藤(洋)委員 ですから、具体的な手は現在検討されていないと思うんですね。むしろ、全体を勘案して金利水準を決めた、こういうことだと思うんです。

 そこで、むしろここは、福井総裁は、利上げをするときに相当いろいろな方々から圧力を受けた部分も、ああいったさまざまな発言がありましたから、日銀法改正までちらつかせる、こういう話でありましたから、さまざまな圧力も受けたからなかなかはっきり言えないのかもしれませんが、私は、利上げの影響のマイナス面が具体的に出るとしたら、それは、個別の中小企業対策、そして、金融であれば、金融庁の対策というのが、金融行政の対策が、これが主であろう、政府の役割分担をしっかりすべきだろう、こう思うんです。

 そこで、山本金融担当大臣にお伺いしたいのですが、先ほども自民党の方の答弁にも一部あったかもしれませんけれども、要は、やはり今、中小企業、零細企業向けの目詰まり感というのはまだあると思うんです、金融の目詰まり感というのは。リレーションバンキングとかさまざまな手は打っていますけれども、まだまだ進んでおりません。当委員会でも私が指摘をした、大手銀行による優越的地位の濫用、こういうことも起きているわけであります。

 したがって、ここは大臣、大手金融機関というのは空前の高収益を上げているわけです。空前の高収益です。これは、公的資金による資本注入と超低金利による、まさに資金調達コストがゼロであった、そして、債券のディーリングで稼いだ、これは明らかなんです。もちろん銀行の努力もあったけれども、そういう環境を政府がつくった、こういうことでありますから、私は、早速預金金利を引き上げていただいた、これはいいと思いますが、何か、短期プライムレートも次は上がるやに聞いておりますけれども、ここは、貸出金利はできるだけ抑えて、そして預金金利は引き上げて、利益を吐き出していただくというか、還元するという政策がどうしてもこれは必要であり、そこはやはり金融行政のありようとしてあっていいのではないか、こう思うのですが、金融担当大臣、いかがでしょうか。

山本国務大臣 金融庁といたしましても、中小企業に対する金融の円滑化は金融機関の最も重要な役割であると認識しております。

 これまでもさまざまな施策を推進してきておるところでございますし、現時点におきまして、今般の日本銀行の利上げの決定が民間金融機関の貸し出しや中小企業金融にどのような影響をもたらしていくのか、予断を持って申し上げることはできませんけれども、いずれにいたしましても、今後の影響を注視するとともに、中小企業に対する金融の円滑化に向け、引き続き努力を傾注してまいりたいと存じております。

近藤(洋)委員 ぜひ力を注いでいただきたい、こう思うわけであります。

 そこで、また改めて日銀の福井総裁にお伺いしたいんですけれども、今回の日銀の決定を受けて、自民党の中川秀直幹事長は、決定直後の記者会見で、結果責任は日本銀行にとってもらう、こういう発言をされております。記者会見で発言されている。

 私は、金利水準というのは、先ほど福井総裁がおっしゃったようなマクロの環境で決めたものであって、その結果については、まさにどういう悪影響が、仮に出るとするならば、それは政府一体となって、金融庁は金融庁がちゃんと手当てをする、中小企業庁は中小企業庁がちゃんと手当てをする、そういうもので結果責任を分かち合うものであって、いかにも何か、金利を上げてもし景気が悪くなったら結果責任は日銀だというふうに記者会見でおっしゃるというのは、これはおよそ中央銀行の機能を理解していないのか、ないしは責任をなすりつけようとしているのか、どちらかとしか理解できないんですね。

 かつて、当時は、金利を引き下げない日銀総裁は首をとってやる、こういうふうにおっしゃった自民党の副総裁がいらっしゃいました。言うことを聞かない総裁は首をとるとおっしゃった自民党の幹部がおりましたが、全くこの構図と考え方は変わらないんではないか、こう思うんですね。

 福井総裁、世界の、過去はわかりませんが、最近の先進国の中央銀行の決定に対して与党の幹部がこのような発言をする例は、私は聞いたことがありません。福井総裁は聞いたことがあるかどうか、そして、こういった与党幹部の発言に対して、福井総裁はどのように受けとめられていますか。私は、責任のなすりつけか、ないしは中央銀行の機能を理解しない、不適切な発言だと思いますが、福井総裁の御所見をお伺いしたい。

福井参考人 内外の中央銀行に対してさまざまな角度からいろいろな注文がつくというのは、どこの国でもあることだというふうに思っています。

 やはり、その中で、私どもは謙虚に耳を傾けながら、ねらいとするところは、やはり物価安定のもとで息の長い景気の回復を確保していく。我々は、最近の金利の引き上げは、いずれも景気回復の芽を摘むことを目標としているわけではない、物価安定のもとでの持続的な景気の拡大、この点について、少なくとも日本の場合には、政府と日本銀行との間で大きな目標を共有している、こういうふうに認識しております。

近藤(洋)委員 こういう発言を、少なくとも私は、与党の最高首脳の一人が記者会見でこのようなことを発言するのは、私は聞いたことがありません。

 こういうことが金融の信用をゆがめるんだろうと私は思いますし、これは中川秀直幹事長の資質の問題ですから、この委員会で議論する話ではありませんけれども、ぜひ毅然とした態度を、福井総裁、あと任期が、再任されれば、後、さらに続くかもしれませんけれども、もうあと残り少ない今の現任期であるわけですから、ぜひ毅然とした態度をとっていただきたいものだ、こう思うわけであります。

 さらに言えば、総裁、これまでの金融政策、経済財政政策、すべて、最初のツケは日銀につけてきた。プラザ合意以来、そういう歴史を繰り返してきたわけです。最初は日銀が動き出して、そしてその次、やっと次に財政当局が動き出して、最初はそもそも認めない、その次、日銀にツケを回して、次は財政というこの悪循環をずっと繰り返してきた。同じことだと思っておりますので、ぜひ毅然とした態度をとっていただきたいと思うわけであります。

 そういう意味で、やはり信用というのが、金融政策というか、財政政策もそうですが、信用というのが何よりも重要だと思うわけであります。

 この中で、私、本委員会で、見逃せない事案についてお伺いしていきたいと思います。

 委員長のお許しを得て、資料を配付させていただいております。資料の一を見ていただきたいと思うわけですが、自由民主党に対するりそな銀行による融資の急増問題でございます。

 この資料一、自由民主党本部の政治資金収支報告書からつくった資料でありますけれども、党本部の借入金の概要であります。下が総額でありますが、二〇〇〇年に約六十三億円だったものが、二〇〇五年に八十億円にふえております。この中で特に注目をしていただきたいのは、その一番下のりそな銀行の水準であります。

 りそな銀行は、大和銀行、あさひ銀行の合併行でありますが、このりそなの水準が、いっとき、二〇〇二年四億七千五百万円だったものが、何と十倍、二〇〇五年は十倍に膨れ上がっています。一気に膨れ上がっている。この間、ほかの都市銀行の融資残高は減り続けています。すなわち、りそな銀行が他行の融資を肩がわりしている、こういう状況なんですね。実は、このりそな銀行の融資が急増した二〇〇三年、この年に、りそなに対する公的資金の注入額が一気にふえています。これは年末の数字ですから、りそなへの公的資金注入がふえたその年に、一気に融資残高がふえている、こういう構図なわけであります。

 そこで、下の表でありますけれども、ではこの融資、担保があるのかなというので、これをチェックしてみたんですが、自由民主党の資産でありますが、先ほど古本議員の質疑で、自由民主党の資産、土地は借り物であるということでありました。したがって、上物だけであります。自民党の本部の資産の内訳は、これは収支報告書によりますと、千代田区の建物約十五億円、残り、車が数台、こういうことであります。見るべき担保、資産は十五億円に対して、総額八十億円の融資、こういうことでありますが、これは随分、大変外見上は異常な融資と言わざるを得ないんですけれども。

 そこで金融担当大臣、お伺いしたい。

 りそな銀行による自由民主党本部への融資の条件、貸出金利、そして担保の有無、融資の期間、また、現在の融資残高についてお答えいただきたい。

山本国務大臣 個別金融機関の個別融資につきましては、各行の経営判断で行われるものでございまして、コメントは控えさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 では、大臣に伺います。

 りそな銀行には、先ほど申し上げたとおり公的資金が注入され、現在も二兆円を超える残金が残っておりますが、りそな銀行の筆頭株主はどこでありますか。金融担当大臣。答えられなければ財務大臣でも結構です。りそなの筆頭株主はどこですか。

山本国務大臣 預金保険機構でございます。

近藤(洋)委員 そうでございます。預金保険機構、すなわち国であります。この、国の株式の保有比率は、昨年九月時点で四九・五四%、約半分であります。すなわち、りそな銀行は事実上の国営銀行であります。貸出先の自由民主党は公的な存在であります。

 金融担当大臣、個別行のお取引と言いましたが、これは民間同士の取引と言えますでしょうか。これは民民ベースの取引ですか。それを、事実だけお答えいただけますか。

山本国務大臣 民民でございます。(近藤(洋)委員「民民ですか」と呼ぶ)民民でございます。

近藤(洋)委員 その、民間同士というの、ちょっと私よくわからぬのですが、少なくとも、国営銀行と、そして公的な存在の、では自由民主党は民間企業ですか。いわゆる純粋の民間企業とは言えないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。純粋の民間企業同士の取引とは、これは世間的に見て、言えないと思いますが、大臣の常識をお伺いしたいと思います。

山本国務大臣 公的機能を持つ民間組織、法人で、政治団体であろうと思っております。政党であると思います。

近藤(洋)委員 今大臣もお認めいただいたように、公的性格を持つ、まさに政党。これは政党は純粋の民間組織ではございませんですね。民間の定義にもよりますけれども、広い意味の、これは常識として公的性格を持つ機関であります、組織であります。大臣もうなずいていただきましたが。そして、りそな銀行の筆頭株主。それも、半分。半分ですよ。ついこの間まで半分以上だったんですよ。事実上国の傘下にあった銀行でありますから、純粋の民間ではない。すなわち、国と政権与党との取引であります。

 りそな銀行は、自民党への融資を拡大してきたこの期間、融資をどんどん拡大していますね。この期間、何と中小企業向けの貸し出しを減らし続けています。二十三兆円から十五兆円に減らしている。八兆円、民間の中小企業向け融資をどんどん減らしている一方で、政権与党への融資はふやし続けている。これは非常におかしい話でありますね。

 この融資について、いずれにしろ、政権与党との取引であるわけですから、そういう中で、与党である自民党への融資が適切かどうか、国民は知る権利がある、こういうふうに思うわけでありますけれども、国と政権与党との取引内容を説明できない何か秘密でもあるのか、不都合な真実でもあるのか、何かあるのか。説明できない合理的な理由をお教えいただきたい。

山本国務大臣 個別の金融機関の個別融資の内容をお示しすることは、当該金融機関の競争上の地位やノウハウ、債務者の信用力等を明らかにすることになり、金融機関及び債務者の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがございます。また、このような内容を金融監督当局より明らかにした場合は、金融機関との円滑な意見交換が将来にわたって妨げられ、我が国の金融機能の安定を確保し、金融の円滑を図るとの金融庁の任務の遂行に支障を生ずるおそれがございます。

 これらの観点は、公的資本増強行であると否とを問わず、また借り手のいかんを問わず懸念される事項であり、御指摘の点につきまして金融庁より明らかにすることは困難であることを御理解ください。

近藤(洋)委員 山本大臣、大臣ほどの聡明な方が、これ、大臣の御答弁を地元の中小企業の方が聞いたらどう思うでしょうね。中小企業への貸し渋りはどんどん続いている中で、政権与党への貸し出しはどんどんふやしている。この内容を答えられない。しかも、国営銀行である。

 それでは、伺います。大臣、伺います。

 経営健全化計画にりそな銀行はあるかと思います。大手四メガバンクの中で唯一、経営健全化計画の中にある銀行でありますね。これは事実ですか。認めてください。

山本国務大臣 事実でございます。

近藤(洋)委員 まさに経営健全化計画中の中にある銀行でありますから、これは昔でいうところの決算承認銀行でもあるんですね。当局はその資産内容について厳しくチェックする責任があります。

 りそな銀行には、毎年毎年金融検査が入っているはずであります。毎年、しかも慎重なる金融検査が入っているはずであります。この貸し出し内容について、大臣いいですか、これの条件を聞いているんじゃありませんよ。この自民党への融資について、金融庁は検査をしたのか。ラインシートを検査したのか。いいですか。したか、しないかの事実だけ。そして、検査した結果、これは正常先に分類したのか、要注意先か、破綻先か、破綻懸念先か、その分類をお答えください。

山本国務大臣 金融検査におきましては、金融機関の貸出金に係る自己査定の正確性を検証しておりますが、貸出先の債務者区分等の具体的な検査内容について言及することは、従来より差し控えさせていただいております。

 これは、検査内容を開示することによりまして、金融機関や取引先の権利その他正当な利害を害するおそれがあること、金融機関や取引先を風評リスクにさらすおそれがあることなどによるものでございます。

近藤(洋)委員 安倍内閣も最近支持率が低下していますから、ここで内容が公開されると風評被害に遭う、こういうことなんでしょうかね。

 それはちょっと冗談ですが、全く信じられない。公的な存在、公的な存在ですよ、政権与党は。そういったものに対して、具体的な数字じゃなくて、したかしないか、分類はどうだったんだ、これだけを聞いているわけです。当局はその資産内容についてしっかりチェックする責任がある、だから聞いているわけですよ。いいですか。

 では、検査したのかしないのか、それだけでもお答えできますか。

山本国務大臣 正常先か否かを含めまして、個別債務者に係る債務者区分等を開示することは、結果として金融機関や取引先の権利を害するおそれ等があることから、従来より差し控えさせていただいております。

 一般論として申し上げれば、貸出先の債務者区分の検証に当たっては、金融検査マニュアルに基づきまして、債務者の財務内容、資金繰り、返済状況等を総合的に勘案して判断を行っております。

近藤(洋)委員 以上、金融担当大臣としての御答弁でしょうけれども、それでは、大臣にお伺いします。

 大臣は、金融担当大臣に御就任する前、自由民主党の要職につかれていましたが、どんな役職につかれていましたか、お答えいただきたい。

山本国務大臣 拡大役員会のメンバーでございました。

近藤(洋)委員 拡大役員会メンバー、すなわち、経理局長でよろしゅうございますか、お答えください。

山本国務大臣 そうでございます。

近藤(洋)委員 そうですね、経理局長ですね。

 資料二、資料の一枚目をおめくりいただきたいんですが、ここに自由民主党の歴代経理局長が記載されています。やはり、経理局長というのは、こう見るといかに重要なポストかよくわかります。歴代を見ると、椎名悦三郎先生、前尾繁三郎先生、宮沢喜一先生、小沢辰男先生等々、大変立派な方々がなられております。最近でも、福田康夫先生、麻生太郎先生、亡くなられましたが亀井善之先生等、大変見識のある方々がなられておりますし、まさに金庫番でありますから、そういった方々が就任されている。山本大臣もそのお一人であろうかと思います。

 山本大臣の御経歴を見ますと、経済産業委員長、法務委員長、そして財務副大臣とまさに中堅のエースとして歩んでこられ、そして経理局長、若手と申し上げるとまだあれでしょうけれども、まさに、六回生でありますから、経理局長に就任をされ、このたび大臣になられた。いかに経理局長が大事なポストかというのがよくわかります。

 ですから、大臣、前経理局長なら、このりそなの融資の状況をわかっているはずであります。御存じのはずですね。まさか、りそなの融資がふえたから、その論功行賞で大臣になったとは思いたくありませんし、よく内容を御存じのはずですよ。

 大臣、いいですか。前経理局長として、大臣のホームページから大臣のプロフィールを抜粋させていただきました。大臣のプロフィールから、ここにこう書いていますよ。「これまでの歩み」で、直前で、これまでの歩み、さまざまな経歴書いていますけれども、自由民主党経理局長とちゃんと書かれている。経理局長に就任しました、国民の皆様からお預かりした政党助成金を初め、政治資金の使い道の透明化、公正化を図りつつ、党の活動予算をしっかり活用するために日々努力をしました、こう書いているんです。党の透明化のために努力をした、こう書いているんですよ。

 さあ、金融担当大臣になってからは、こう書いています。皆さんが銀行や証券会社に安心してお金を預けられるように監督するとともに、株式や証券の売買に不正がないか監視することが金融担当大臣の主な仕事です、こういうふうに書いています。再チャレンジ担当大臣としても、格差の是正に取り組みます、こう書いてあるわけですよ。

 この大臣にうそがないなら、前経理局長として、透明性を確保するために、自由民主党とりそな銀行の融資の状況について、条件について、しっかりと明らかにする責任があるんじゃないですか。担保価値が見えないから聞いているんですよ。しかも、選挙の直前に融資がふえているんです。二〇〇三年は選挙のあった年であります。選挙のあった年に融資が急増している。実質国営銀行が、残高を急増させている。どう見ても不透明であります。

 どうぞ、この言葉にうそがないならば、お答えください。大臣、前経理局長、お答えください。

山本国務大臣 過去経理局長でありましても、今は金融担当大臣の立場でございますので、個別金融機関の個別の融資に関してコメントすることはできません。

近藤(洋)委員 大臣、この融資については、経団連の念書があったという話もあるんですよ。さまざまな話があるんです。これはいわくつきの融資なんです、もともと、九三年の当時から。これは、自民党経理局長だったら、御存じのはずであります。

 これは、こういう懸念のある融資についてきちんと説明をすることが、金融行政の信頼の問題だから聞いているわけであります。金融行政の信頼の確保だから聞いているわけであります。いいですか。日本銀行が金利を決定した。そういう意味で、利上げをした、そういう大きな流れの中で、金融担当大臣はどういう動きをするんだ、財政にも影響を与える、この信認の問題だから聞いているんですよ。

 もう一度、お答えいただきたい。答えられないんだったらば、これは審議できない。答えてください。

山本国務大臣 個別金融機関の個別取引先に対する与信判断は、あくまで当該金融機関の経営判断で行われておりますので、当局の職責は、検査監督を通じて、金融機関の財務の健全性を確保することにございます。また、一般論といたしましたら、金融機関が融資を行うに当たりましては、適切なリスク管理の中で、的確な融資審査と融資実行後の的確な債務管理が行われることが重要でございまして、当局といたしましては、このような観点から、検査監督を通じまして、金融機関の融資やリスクの状況を適切にフォローアップしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 ですから、信用の問題であり、国と政権与党の取引だから公開すべきだ、こう言っているんですよ。

 いいですか。先ほど古本議員の質疑でもあった自民党本部の賃貸契約、これについて、私、昨日、財務省に資料要求をいたしました。契約書を明らかにしていただきたい、幾らの契約で取引が行われているのか、賃貸契約書そのものが欲しい、こういうことを財務省に資料要求いたしました。

 財務省の判断では、これは確かに国有財産ですが、基本的には、純粋民間のものであれば公開できません、賃貸契約は、個別企業だからできませんと。ただし、財務省の判断で、これはやはり公的な存在である、公的な存在であるから、公開を考えましょう、そのものをとりましょうということで、自民党経理局とかけ合われて、合意をした上で、契約書をいただきました。

 賃貸契約の契約書は出て、何で融資の契約が出ないんですか。おかしいじゃないですか。国営銀行ですよ。国営銀行の融資の契約が何で出ないのか。融資契約は何で出ないんですか。おかしいじゃないですか。出してください。内閣不一致じゃないですか。

山本国務大臣 経営健全化計画の中で、個別の融資について見ていないのか、また、そうしたことをしっかりやれという激励と御指摘でございますが、経営健全化計画は、早期健全化法及び預金保険法に基づいて、資本増強を受けた金融機関において四年間の計画として策定されたものでありまして、その履行状況を公表することによって、パブリックプレッシャーのもとで金融機関の健全化を促していくことになっております。

 また、計画は、経営の合理化のための方策、責任ある経営体制の確立のための方策、配当等により剰余金が流出しないための方策、返済に対応できる財源を確保するための方策、財務内容の健全性及び業務の健全かつ適切な運営を確保するための方策等について定めることとされておりますが、個々の融資態様まで定めることとされておりません。

 というようなことでございまして、このりそなに対しましても、我々としましては、健全化について注視していくこと以外に、そうした個別の融資条件等について開示するという要求はできないものと考えております。

近藤(洋)委員 いや、それは理由になっていないですよ。それは出していただきたい。

伊藤委員長 近藤君、手を挙げてください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 近藤君。

近藤(洋)委員 確認でございますが、先ほどの協議の中でさまざまあったようでありますが、私として改めて確認したいのは、金融担当大臣、りそな銀行がそれでは出していいという申し出があったら金融庁としては出せる、こういうことでありますか、大臣。

山本国務大臣 民民ですから、両者の合意が要ると思います。

近藤(洋)委員 では、両者が合意をすれば出せる、こういうことでございますね。

山本国務大臣 そのとおりでございます。

近藤(洋)委員 では、ぜひ資料要求をしたいと思います。

 りそな銀行の融資について、融資の現在の残高、そして融資の条件、金利、担保の状況について、ぜひこれは、この財務金融委員会で、金融の信認を考える上でも極めて重要な話でありますし、ぜひ金融庁としても努力をすべきだ、出すべき努力をすべきだと思いますので、ぜひ、両者が合意をしたらば金融庁として出していただきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 金融庁で出すべき資料ではございません。

近藤(洋)委員 監督官庁として出す責任があるのではないか、こう思っているわけであります。あわせて……(山本国務大臣「それはありません」と呼ぶ)

伊藤委員長 山本金融担当大臣、指名してからの御発言をお願いします。

近藤(洋)委員 いいですか、この大手銀行の融資というのは、そもそも問題になったのは九三年であります。時の梶山静六自民党幹事長が大手銀行に対して約百五十億円の融資を申し入れた。これを大手銀行は、全銀協は断っているわけであります。当時、銀行側は、とても担保価値がない、担保がとれない、貸せない、こういう証言をされた。梶山当時幹事長は、私は当時の関係者から証言を得ていますが、その証言によると、少なくともバッジが担保だという思いで銀行に迫ったようでありますが、担保がないということでけられているわけであります、減額されている。したがって、その後、経団連の念書をもって百億円の融資が実行されたと私は聞いておるわけであります。

 その後の金融行政にもこの事案は大変いろいろな意味で影響を与えている。だから伺っている。しかも、公的資金が注入されたときと、選挙の直前に自民党が融資を申し入れ、そして、融資をりそなが拡大したら公的資金が注入されているわけですよ。この因果関係でもおかしいじゃないですか。こういった問題に答えられない。委員長も金融担当大臣経験者なんですからおわかりいただけると思いますよ、これがどういう影響を与えるかという事の重大性についてですね。

 ぜひ、両者が合意したら答えるべきだと思います、答えていただきたい。いかがでしょうか。

山本国務大臣 金融庁は、検査監督の権限はありますが、そうした資料を預かって委員会に提出するということの権限も、またそうしたお預かりするような手法も持ち合わせておりませんので、政府として出し得る資料ではございません。

近藤(洋)委員 では、ぜひ委員長に要求いたします。

 これは国会としてぜひこの情報をしっかり、私は、最初から問題があるかないかは、問題がなければ出せばいいだけの話で、しかも、いいですか、委員長、ぜひこれは国会として、りそな銀行の四九・五七%は国の資本が入っています。すなわち、この国会が株主なんですよ、国民が株主なんです。株主の代表である国会としてりそなに要求すべきであると思いますので、資料要求を委員会としてお取り計らいいただきたい。

伊藤委員長 近藤君のただいまの要望につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 日銀総裁にも伺います。

 日本銀行も取引金融機関に対していわゆる日銀考査を行っておりますが、りそな銀行に対しては、最近いつ日銀考査を行われましたか。お答えいただけますか。

福井参考人 日本銀行によりますりそな銀行に対する考査は、二〇〇四年五月から六月にかけてでございます。

近藤(洋)委員 さて、そのころはもう経営健全化計画中のりそなでありますし、公的資金が注入されているりそなでありますが、その日銀考査でも銀行の融資を分類、評価していると思います。

 取引先金融機関の健全な融資というのは、やはりこれは日本銀行としてもしっかりチェックしなければいけないわけでありますけれども、大手銀行による自民党への融資、この経緯については福井総裁も十分に御存じであるはずだと思いますが、りそな銀行の自民党への融資の五十数億円について、その内容について日銀考査ではどのように評価されたのか、お答えいただきたい。

福井参考人 考査を通じまして、あるいはモニタリングを通じまして、日本銀行では取引先金融機関の経営実態の把握に努めております。融資につきましても、信用リスクの実情、適切なリスク管理が行われているかどうか、検証を行っています。

 もっとも、個別の取引内容について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 繰り返し申し上げますが、自民党の資産は十五億円のあの古いビルしかないんですね、表面上は。党本部の資産というのは。あとは車両しかないんです。そこに八十億円の融資が行われている。物的な担保の価値を数倍上回る融資を実行しています。

 そこで、日銀総裁、一般論としてお伺いします。

 バブル発生の時期において、不良債権がまさに八〇年代後半、九〇年代にかけて急増した背景には、金融機関が資産価値を過大に評価して、その実勢価格を上回る融資を実行したこと、それが一つ目。そして、さらに言えば、そうした風潮の中でいわゆる大手銀行が、総会屋とかやみの力といったいわば権力、圧力を背景にしたところに対して大手銀行までもが不透明な融資を膨らませたこと、この呪縛、このことがその後につながる金融不況の原因になったと一般論として私は思うんですが、日銀総裁の御見解はいかがですか。

福井参考人 一般論としての御質問でございますので、一般論としてお答え申し上げます。

 日本の金融機関、バブル時代の経験を踏まえて、その後、新しいリスク管理の体制を努力をして強めつつあるということでございます。

 単に担保だけをとっていれば安心ということではなくて、もっと近代的なリスク管理手法の導入ということを含め、統合リスク管理の向上に向けて今努力中、かなり前進をしていると私どもは評価しております。

近藤(洋)委員 もう一つ、総裁、後段言いました、いわゆる総会屋であるとかやみの力といいますか、そういった部分に対して大手金融機関がきっちりと整理できずにどんどん深みにはまっていった、こういったケースが大変見られた。ちゃんと適正な融資ができなかった、見えざる圧力に抗せなかった、こういうこともバブル融資の背景にあったと私は思いますが、認識はいかがですか。

福井参考人 これは、単なる融資基準を超えて、銀行全体としての経営のガバナンス、コーポレートガバナンスの向上という観点から引き続き銀行は努力しているというふうに認識しております。

近藤(洋)委員 私が懸念しているのは、公的資金が入っている、本来最も健全化に努力をしなければいけないりそな銀行が、この場でもしっかり答えられないようなそういった融資を続けている、こういう状況に私はまさに呪縛の懸念があると申し上げているのです。

 日銀総裁にあえて申し上げますが、福井総裁は、自民党員である財務大臣であるとか金融担当大臣が自民党そのものに忠誠心を誓うのは、それは自民党ですから結構でありますけれども、日本銀行総裁はぜひマーケットの信認に忠誠を誓っていただきたい、こう思います。ぜひそうしていただきたい。その上で資料を提出いただきたいと思うわけでありますけれども、今回は、日銀考査というよりもむしろ金融庁の問題でありますから、あえて伺いたい。

 このりそな銀行をめぐる国会とのかかわりというのは大変深いものがあります。資料の三を見ながら聞いていただければと思うのですけれども、ATMの設置、これは国会、衆議院を除く霞が関の状況でありますけれども、りそな銀行、いわゆる旧大和銀行でありますが、一行もありません。実は、このATM設置、各省庁、一行もないですね。合同庁舎にATMを設置しているのは一行もありません。なぜか、これは私も子供のころから不思議だったのですけれども、国会に行くと大和銀行がありまして、何で国会に大和銀行、聞いたことないな。大人になってから、大阪の銀行だ、こういうふうに知りましたけれども、大手二十一行の中でまさに地域的な色彩の強い下位行でありました。その下位行の大和銀行が、なぜかど真ん中の国会にある。ほかの省庁は全部ほかの大手銀行であるにもかかわらず、なぜか大和だけがある。非常に奇異な感じがしておったわけです。

 そこで、衆議院の事務総長にお忙しいところ来ていただいておりますが、国会は、いつから、なぜ、どういった理由で、りそな銀行、すなわち旧大和銀行が支店も設置され、そして今に至る営業が続いてきたのか、その経緯をお答えいただけますでしょうか。

駒崎事務総長 お答え申し上げます。

 昭和三十五年当時、院内における議員の便宜のために銀行を開設してほしいとの要望が強くなりまして、院内各派の要請を受けまして、昭和三十五年二月十六日の議院運営委員会庶務小委員会におきまして、大和銀行虎ノ門支店に院内における営業を許可することが全会一致で決定されております。

 これは、国会議事堂周辺には銀行業務を行う金融機関がなかったので、二、三の銀行が各議員会館に出入りし、各議員の預金等の受け払いを行ってまいりましたが、緊急を要する場合には不便であるところから要請されたものと思われます。

 この決定に基づきまして、昭和三十五年四月四日に大和銀行虎ノ門支店国会内出張所が銀行業務の営業を開始し、その後、同銀行は、業務の拡大に伴いまして、昭和四十四年四月一日に衆議院支店に昇格したということでございます。

近藤(洋)委員 始まったときは、それは全会一致だったわけであります。私も聞きました。

 ただ、今指摘したような、まさに特定の政党と説明できない関係がもしあるとすれば、私は問題だと思うんですね。金融機関というのは大事ですよ。まさに、それぞれの議員の皆様方の、職員の方々のすべてのお金のやりとりがわかるわけですからね。非常に大事な問題です。どこの銀行が使われるのかということは極めて大事であります。

 したがって、ぜひ、当委員会で資料要求をしておりますが、ぜひりそなにはお答えいただきたいと思うわけでありますけれども、もし答えられないような銀行であれば、当然、この支店を置くにはふさわしくない。少なくとも、平成二十二年にできる新しい議員会館にはこのような銀行は置くべきではない。もっと公正な形で、透明な形で、取引銀行というか支店銀行を置くべきだと思いますが、事務総長、入札すべきだと思いますが、いかがですか。

駒崎事務総長 新議員会館は平成二十二年七月に完成の予定でございますが、それに合わせまして、銀行の支店一店舗分のスペースは確保してございます。現時点では、どこの銀行が入るかということは決定してございません。

 この手続でございますが、PFI事業契約によりまして、SPC、特別目的会社が銀行の営業候補者を選定し、衆議院の承認を得ることとなってございます。内部手続といたしましては、議院運営委員会の庶務小委員会等で御協議いただくということになろうかと思います。

近藤(洋)委員 ぜひ委員長、きちんと国民に対して説明できるような形での、何か事務局に聞きますと、新しい議員会館の支店スペースは一行分はとっている、こういうことですから、二行入れることはできないようでありますから、ぜひ透明な形で新しい銀行は選ぶべきだと思いますし、そういった意味からも、このりそな銀行の状況をきちんと開示することというのは極めて重要であることを重ねて申し上げたいと思うわけであります。

 財務大臣、先ほどから何か不規則発言で、おっしゃりたいことがたくさんあるようでありますので、ぜひお伺いしたいと思います。

 財務大臣、預金保険機構が四九%を超える株を保有しています。この資産は財務省が最終的には所管をしている。こういう立場から、りそな銀行の融資が適切かどうか監視する責任が財務省にもあると考えます。ぜひ、二兆円を超える国民の資金が注入されている銀行の問題でもありますし、国有財産を管理する上でもこのりそなの経営状況について把握するのは当然かと思いますが、この問題の融資について財務省は把握をされていますか。

尾身国務大臣 りそな銀行が自民党への融資残高を急増しているという報道があったことは承知しております。財務省は金融機関の個別の融資案件について把握する立場にないわけでありますので、コメントは差し控えさせていただきます。

近藤(洋)委員 りそな銀行の経営にとっても、この融資を明らかにすることは私は正しいことだと思っているんですね。

 あわせて、今、財務大臣、個別の融資と、何か他人事のようなことをおっしゃっていますけれども、五割を超える株を保有しているんですよ。そして、二兆円を超える公的資金が注入されているんです。こういった金融機関が健全であるかどうかというのはしっかりチェックする責任があるんじゃないか、こういうことを申し上げているわけであります。

 国有財産のしっかりした管理は財務大臣の所掌じゃないんですか。

尾身国務大臣 個別の融資案件につきましては金融機関の経営判断で行われていると承知しておりまして、財務省としてはその内容について把握する立場にはありません。この点については御理解をいただきたいと思います。

近藤(洋)委員 では、尾身財務大臣、国有財産を管理する責任は財務省にある、こういうふうにお認めになることでよろしいですか。まずそこだけ確認したい。

尾身国務大臣 国有財産を管理するということと、いわゆるりそなへの資本注入をしたことと、りそなの銀行がどこの会社、どこの機関にどういう貸し出しをするかということを全部把握するということは全く別の問題であると考えております。

近藤(洋)委員 国有財産を管理すること、要するに、りそなが健全な経営をしているかどうか、このことを申し上げているわけです。それは財務省としても把握する責任があるんではないかと。

 先ほど、大臣、質疑を聞いていただければわかると思うんですけれども、圧力に屈して融資を続けるということは、決して、今までの金融の経験からして、よくない結果を生んでいるんですよ、だから指摘しているんですよ。選挙のたびに国営銀行が融資残高をふやしている、明らかに圧力に屈したと思われても仕方がないじゃないですか。しかも資産がないんですから。資産がないと、過去同じ融資を担当した銀行の経営者から私はそういう証言を得ているから、この場で発言をしているんです。そういう融資を続けることが、また二人羽織のように秘書官から説明を聞いているようですけれども、大臣は優秀な官僚でもあられたし、見識もあるから、この手の話は政治家同士で答えられるはずであります。ぜひ答えていただきたい。

 責任があるんじゃないんですか。少なくとも、じゃ、金融担当大臣にちゃんと調べろという指示を出されたらいかがですか。

尾身国務大臣 財務省は、金融機関の個別の融資案件について把握する立場にはありません。

近藤(洋)委員 個別の融資じゃなくて、国有財産を適正に管理する責任があるのかないのかを聞いているんです。答えてください。

尾身国務大臣 国有財産を適切に管理する責任があるかどうかということと、個別銀行の融資案件の個別問題について調べたり関与したりするということは全く別のことだと私は思っております。

近藤(洋)委員 これまでの、少なくとも九三年の当時、自民党への融資を断られた梶山大臣は、その後、まさに自民党を代表して、恨み骨髄、銀行業界は敵だということで徹底的にたたいた経緯があるんですよ。こういう経緯もあるから、自民党と金融業界のこの関係が綿々と続いているから聞いているわけですよ。

 だから、こういう残滓が残ることは結果としてりそなの経営も不安に思うから、国有財産を管理する観点から調べたらどうかと聞いているんです。いかがですか。

尾身国務大臣 個別の融資案件については金融機関の経営判断で行われていると承知しておりまして、財務省としてはその内容について把握する立場にはございません。

近藤(洋)委員 もう一度お伺いしますけれども、今度は山本大臣、通告外の質問で恐縮ですが、この「特捜検察VS.金融権力」という本、お読みになったことがありますか。

山本国務大臣 あります。

近藤(洋)委員 お忙しい中読むというのは大変御苦労だとは思いますが、まさにこの本は大変すばらしい本だと私は思うんですね。大臣のお知り合いの方も何人も出ているかと思うんですけれども、これはある有名なジャーナリストが書いた本であります。

 旧大蔵省を頂点とする護送船団がどのように崩壊していったか、その中で、国税当局はどう動いたか、検察はどう動いたか、いわゆる国策捜査というのがどのように展開されていったか、こういったことを非常に克明に書かれている本であります。

 この中で、今大臣が所管している金融庁でいえば、五味長官を中心に、失われた金融行政の信頼をどうやって回復するかという、血のにじむような、まさに生木を裂くような努力をしてきたというのも書かれておりますし、また法務省の中での活動も書かれている。

 大臣は法務省に大変お詳しい、経歴からいって。私は、金融担当大臣に山本さんがなられたということは、まさに、新しい金融行政、検察、法務そして金融、国税、こういったものがしっかり一緒になって公正な金融行政をやる象徴として山本大臣がなられたのかなと思いたいわけでありますが、今のような答えでは、これまでのような答えではとてもそういった新しい金融行政を担う方になれないんじゃないでしょうか。

 もう一度お伺いしますが、尾身大臣は、先ほど不規則発言で、それは不当な介入だとおっしゃったのを私、耳にしましたけれども、政治が政党への介入というふうに私は耳にしましたが、間違っていたら訂正いたしますけれども、むしろ政治が金融に介入しているのがまだ続いているんじゃないか、そういう懸念がある。だから払拭したらいいんじゃないですか、こういうことを聞いているんです。

 もう一度、大臣、ここはやはりきちんと明らかにするというのをこの場で言った方がいい。いかがでしょうか。(発言する者あり)金融担当大臣、政治家としてお答えください、山本大臣。

山本国務大臣 近藤委員は、日本経済新聞の経済記者でもありましたし、経済や金融に大変お詳しい。預金保険機構の存在意義、資本注入、またはシステムリスクについての問題点の関心も大変深いところにあろうと思っております。

 そこで、各大手行すべてに公的資金というのは入って、また一段落したところもあるわけでございまして、そういうようなことの流れと意味については十分御承知おきのとおりでありまして、だからといって、個々の取引や個々の金融機関の経営判断について開示できるものかどうかも既に御承知おきのとおりで、そのような質問をされていることについては大変苦衷をお察し申し上げるところでもございますが、しかし、やはり金融担当大臣といたしましては、みじんも、競争社会にある銀行のそういう個別のことについて触れることは控えなければならないという立場もおわかりいただきたいと思っております。

近藤(洋)委員 苦しい胸のうちは大臣の方じゃないですか。苦しい胸のうちは大臣の方だと思いますよ。

伊藤委員長 申し合わせの質疑時間が来ておりますので、おまとめをお願いします。

近藤(洋)委員 はい。

 大臣、政権政党の自民党が、国が首根っこを押さえているりそな銀行なんです。それが、首根っこを押さえている側の方が借金を申し込んだ。これではまともな取引ができない。こういうのを、独占禁止法上では優越的地位の濫用になるわけですよ。優越的地位の濫用が行われているんではないか、こういうことで伺っています。

 尾身大臣、国務大臣として優越的地位の濫用だとお考えになりませんか。お答えください。

伊藤委員長 尾身財務大臣、簡潔に御答弁をお願いします。

尾身国務大臣 優越的地位の濫用とかどうかということは別として、先ほどの基本的な質問に対する答えは、先ほどのとおりであります。(近藤(洋)委員「優越的地位の濫用かどうかと聞いているんです。別としてじゃない。答えてください。優越的地位の濫用かどうかということを聞いているんです」と呼ぶ)ちょっと申しわけございません。時間が終わったので、質問を聞いていませんでしたので、もう一遍、御質問をお願いします。

近藤(洋)委員 委員長、済みません。よろしいですか。

伊藤委員長 手短にお願いします。申し合わせの時間をかなり過ぎておりますので、お願いします。

近藤(洋)委員 大臣、よくお聞きください。

 政権政党の自由民主党が、要するに国が、政府・与党がりそな銀行について首根っこを押さえているんです。りそな銀行の首根っこを押さえているんですよ。そのりそな銀行に対して、首根っこを押さえている側が借金を申し込んだわけですよ。この取引はある種の優越的地位の濫用ではないかと思いますが、国務大臣としていかがですかと聞いているわけであります。

尾身国務大臣 これはどういう実態にあるか私も存じませんが、もしあるとすれば、きちっとした契約に基づいて、双方合意に基づくものであると思っております。

近藤(洋)委員 委員長、最後に、もうこれで。

伊藤委員長 近藤君、もう質疑時間が過ぎておりますので、おまとめください。

近藤(洋)委員 はい、まとめます。

 契約でやるのは当然です。どんな優越的地位の濫用だって、それは契約書ですよ。優越的地位の濫用は、どんなものだって最終的には契約書になるわけです。しかし、そのような認識であるという大臣であれば、非常に残念ですね、尾身大臣。

 また、こういった問題に、このことに答えられないようであれば……

伊藤委員長 重ねて申し上げます。質疑時間が大幅に過ぎておりますので、おまとめください。

近藤(洋)委員 質疑を続けることは極めて困難であるということも、今後の審議にも大変影響を与えるということも申し上げ、理事会で真剣に御検討いただきたいことを申し上げ、時間ですので、私の質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 今議論になりました、りそな銀行の問題というのは、一言触れますが、この銀行の性格との関連というのは大変重要なんですね。この銀行が危機的な状況に陥った際に公的資金が大量に入っている。二兆円を超える。これは国民の税金であります。また、国が半分の株を所有しておりますから、いわば半国有銀行と言ってもいいと思います。

 問題は、そういうときに、自民党への融資が急増しているということであります。ほかの銀行が減らしている中で、なぜかりそな銀行だけが融資を急増させているわけですね。

 したがいまして、その融資がなぜふえるのか、他の銀行が減らす中でなぜふえているのか、この関係が疑惑の的になっているわけであります。また、一般紙も一面トップで報道する、こういう状況もありました。

 そこで、問題は、この自民党本部への融資というのが他の金融機関と比べて一体どうなのか。また、りそなと他の民間銀行が融資をしている条件と比べてどのような条件なのか。同じなのか、あるいは特別なのか、そういう疑いがかけられているわけです。いわば、自民党が半国有銀行を財布のように使っているのではないかという疑いがかけられているわけですね。

 したがって、それを晴らすためには、それらの資料の提出というのが当然必要だというふうに私も思います。これは自民党自身の決断があればうまく進む話でありますので、ぜひ、これは理事会でしっかりと協議をして、資料提出が実現するようによろしくお願いをしたいと思います。委員長、いかがですか。

伊藤委員長 ただいまの佐々木委員の要望につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 それで、本論に入りますが、午前中、私は、障害者控除の問題について質問をいたしました。尾身大臣から答弁がございまして、障害者控除が設けられた理由についてこのように答弁されました。基礎控除や扶養控除などの人的控除に加えまして、精神または身体の障害等の特別な人的事情がある方につきまして、追加的に費用を要するとのことでありますので、担税力が減殺されるということをしんしゃくして設けられたものであります、このように御答弁になったわけです。

 つまり、これは午前中のおさらいにもなりますが、障害者は一般的に稼得能力あるいは担税能力が乏しい、さらに追加的費用を要する、このために障害者控除というものが設けられた。簡単に言うとそういうことになると思いますが、この点、大臣、もう一度、そういうことでよろしいかどうか、確認をしたいと思います。

尾身国務大臣 今まさにおっしゃるとおりでありまして、障害者控除は、基礎控除、扶養控除等の基礎的な人的控除に加えて、精神または身体の障害等の特別な人的事情のある者について、追加的費用を要することにより、担税力が減殺されることをしんしゃくして設けられているものでございます。

佐々木(憲)委員 そこで、この障害者控除の対象を、午前中も少しお聞きしましたけれども、身体障害者の場合の手帳というものが従来からあるわけです。その手帳を持っている方は、障害者控除を受けるのは比較的手続は簡単であります。しかし、年をとることによって、いわば老衰によって身体に障害を生ずる、そういう場合には、年をとったからといって障害者手帳が自動的に手に入るわけではございません。

 したがって、そういう事情を考慮して、心身に障害のある年齢六十五歳以上の老人で、その障害の程度が障害者手帳を受けている方と同じ程度である、そのように福祉事務所の認定を受ける、そういう場合に障害者の範囲に加えて、そういう方々の障害者控除を可能とする、こういうふうに、つまり広げたわけですね。準ずる者という形で広げた、こういうことでよろしいでしょうか。

尾身国務大臣 そのとおりであります。

佐々木(憲)委員 この改正によって、例えば、いわゆる認知症の高齢者あるいは老齢化によって身体が不自由になる障害のある方、これが新たに障害者控除の適用対象に加えられた。今確認をいたしました。

 そうしますと、身体障害者手帳がなくても、市町村長あるいは福祉事務所長の判断で、老化による身体不自由の障害のある者と認められれば障害者控除の適用対象となるということでよろしいですね。

尾身国務大臣 そのとおりでございます。

佐々木(憲)委員 つまり、法律の趣旨からすると、高齢化して身体が不自由になり、障害によって、一般の人よりも所得を得る能力が低下する、あるいは税金を払う力が劣る、それから追加的費用を要する、こういうことで福祉事務所長等が判断すれば身体障害者に準ずる者ということが認定されて、障害者控除の対象になる。税制上は、この判断基準で障害者控除の対象が決められるということでございます。

 そこで、次にお聞きをしたいのは、厚労省にも来ていただいていると思いますが、このような所得税法上の障害者、それと介護保険法上の要介護者、これは現象的に重なり合っている面もあると思うわけです。そこで、その関係をお聞きしたいと思うんです。

 その前提として、例えば要介護一という場合、これはどのような定義になるのか。要介護者のうちで一番軽い部分に属すると思うんですけれども、これを示していただきたいと思います。

    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕

御園政府参考人 お答えを申し上げます。

 介護保険制度における要介護状態、要介護一から要介護五までございますけれども、要介護状態というのは、身体上または精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部または一部について、今六カ月としておりますけれども、六カ月間にわたって継続して常時介護を要すると見込まれる状態である者のうち、その状態の軽減だとか悪化の防止というのが見込まれない、これ以上よくなるということが見込まれないような人たちということで定義をしております。

 御指摘の要介護一、一番軽いと言われるところでありますけれども、これにつきましては、被保険者に対して行う、今申し上げました入浴だとか排せつだとか食事、これらを初めとした介護等の行為に要する一日当たりの時間、これを要介護認定等基準時間というふうに申しておりますけれども、これは実質の分数ではありませんけれども、三十二分以上五十分という、単位で決めておりますこういう数字に当てはまる人が要介護状態一ということで定義をしているところでございます。

佐々木(憲)委員 これは、介護を要する状態の一番軽い部分でもかなり深刻な事態であると私は感じます。

 それで、こういう状態の高齢者は、一般の人に対して当然不利な立場にありますし、一般的に所得の稼得能力はございませんし、それから税の負担能力も乏しいわけで、かつ、いろいろ介護サービスなどの追加的費用を必要とする。したがって、先ほどの、障害者控除の対象となる範囲と要介護者の範囲というのは非常にオーバーラップする部分が多いわけでございます。したがって、当然、税法上の身体障害者等に準ずる者に当たる人が大変多いと私は思います。

 身体障害者等に準ずる者に該当する度合いは当然高いと思うわけですが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 要介護認定と障害者控除の認定の関係についての御質問でございますけれども、先ほど審議官の方から御答弁いたしましたように、介護保険に基づく要介護認定は、障害や機能の状況を直接判断するものではなく、どの程度の介護サービスを行う必要があるかを判断するために、介護の手間のかかりぐあいを判定するものでございます。

 一方、例えば身体障害者福祉法に基づきます障害認定、つまり、身体障害者手帳の交付のための認定のことでございますが、これにつきましては、永続する機能障害の程度と、その機能障害による日常生活活動の制限の度合いに基づいて判定するものでございます。

 したがいまして、要介護認定と障害認定は、その判断の基準が異なるものであることから、要介護認定の結果のみでもって一律に障害者に準ずる者と判断することは困難でありまして、その方の個別の状況に応じて判断されるべきものと考えております。

 ただ、要介護認定に係る情報等を認定に当たりまして参考として判断するということではあると思います。

佐々木(憲)委員 もちろん、私も先ほどから言っているように、全く同じと言っているわけではありませんから、一律に判断するという今の仕組みではないことは知っております。

 しかし、今御説明がありましたように、それぞれ目的がもちろん違うわけですね。要介護の判断と障害者の認定の判断というのは、もちろん違うと思います。しかし、両方とも非常にオーバーラップする部分が多いから、当然、障害者に準ずる者に入る人たちがそういう部分では多い、こういうことになると思うんですが、その点をお聞きしたわけです。いかがですか。

    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕

中村政府参考人 先ほど答弁いたしましたように、要介護認定それから障害認定、それぞれの目的でもって判定をするということになってございます。

 ただ、先ほども申し上げましたように、障害の認定に際しましては、要介護認定も判断材料の一つとしてはなり得るということでございます。

佐々木(憲)委員 わかりました。少なくとも、介護保険法の要介護認定を受けている方は障害者控除の適用対象になる可能性は大変高いということだと思います。

 そこで、財務省にお聞きします。

 財務大臣に確認したいんですが、障害者に準ずる者という認定を受けた人、この方は認定書というのが交付されるわけです。障害者控除というのは何年前までさかのぼって申請できるのでしょうか。お聞きしたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的な制度として申し上げますと、市町村長が遡及して障害者の認定を行えるという場合、その方が所得税の申告を提出されていない、この場合は、過去五年分までさかのぼって障害者控除の適用を受けることができます。

佐々木(憲)委員 五年ということですね。

 問題は、それが徹底されているかどうかという問題なんです、各自治体あるいはその認定をする責任ある方に。

 例えば、ある自治体の場合、自治体の都合で、資料がないから三年しか認めないとか、それ以上はだめだとか、こういうことをやっているという話を私は聞いております。これは、今の考え方、つまり、五年さかのぼることができるということに反すると思うんですが、これはいかがでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 障害者に準ずる者の認定につきましては、市町村長等において、何らかの資料によりまして障害者控除の対象となる障害者に準ずる者であることの確認ができれば、それが五年前からのものであっても対象として認定しているものと承知しております。

 具体的な確認の方法といたしましては、市町村において申請者の資料を保有している場合にはそれによりますし、保有していない場合であっても、医師の診断書など、申請者が提示する資料によって確認ができれば認定できるものと考えております。

佐々木(憲)委員 そうしますと、窓口で、三年しかだめだよ、資料がないからというのは、これは間違いで、本人が、自分で資料があれば五年さかのぼって控除を受けることができるということだと思うんですね、今の説明は。

 私は、いろいろな訴えを聞いておりまして、要介護者が障害者控除の対象認定申請書を提出しようとするときに、どうも申請を窓口で排除されるという事例を幾つか聞いているわけです。例えば、窓口に申請に行きますと、寝たきりの人が対象になるので、歩いて窓口に来られる人はできないと言われて、申請用紙も交付されずに帰されてしまった事例、あるいは、高齢者が窓口で三回も手続できずに帰されている、こういうことを聞くわけです。これは、私は正しい対応ではないと思うんですね。

 なぜかといいますと、受けることができるかどうかというのは、これは申請を受け付けた上で検討しなければわからない話でありまして、申請そのものを窓口でシャットアウトする、これは真っ当な対応ではないと思いますけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 障害者に準ずる者の認定につきましては、市町村の自治事務として行われているものでありまして、御指摘のありましたような、個別の窓口についてどんな状況にあるかということについての具体的な状況を把握しているわけではありませんけれども、厚生労働省といたしましては、障害者控除の取り扱いにつきましては、平成十四年八月一日付で事務連絡を出しておりまして、それにより周知徹底を図っております。

 そうしたことを踏まえて、市町村において事務が適切に処理されているというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 通達を出したから守ってくれているだろうというのが今の答弁ですけれども、現実にそういうことに反する事態が起こっているということを私は先ほど紹介しました。それは正しい対応とは言えないと思うんです。

 具体的に聞きましょう。

 例えば、寝たきりの場合でしか認定書を発行できないというような対応、歩いてきているあなたはだめですよ、この対応は間違いですね。

中村政府参考人 お答えいたします。

 個々の認定につきましては、提出されました資料に基づきまして、認定に当たるか当たらないか、そういう判断を行うべきものだと考えております。

佐々木(憲)委員 つまり、当然、申請そのものはまず受け取る、受け付けるということが前提であるということですね。

中村政府参考人 申請がある場合には、それを書類として受け付けて判定をするということでございます。

佐々木(憲)委員 尾身大臣にお聞きしますけれども、こういう障害者控除の制度というものは、制度をつくっても、本人が知らなかったり、あるいは家族が知らなければ、これは利用できないわけでございます。つまり、申請をすることができるということを全く知らないという状態に置かれていれば、申請そのものもすることはできないわけですね。

 そこで、この事実を徹底する、周知するということが大事だと思います。自治体によっては、要介護認定を受けている人に対して、広報などで知らせる、あるいは直接要介護認定を受けている方に連絡をして、障害者控除を受けられる可能性がありますよということを連絡しているところもあります。国税庁は、やはりこういうことに対してもしっかりと周知することが必要だと思うんです。

 私は、二つ大事なことがあると思うんです。

 一つは、要介護認定者が、障害者控除の対象となり得る、そういう可能性があるんですよということを知っていただくこと、それからもう一つは、五年前にさかのぼって適用可能になる場合がありますよ。この二つを徹底することが大事だと思うんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 税制の執行をつかさどる立場から、適正な税の知識を提供するということは非常に大切なことだと思っております。

 今お話のございました障害者控除の関連でございますが、これは、いずれにいたしましても、所得のある方が確定申告する際に御申告をいただいて適用するというものでございますから、当然のことながら、確定申告の際に、確定申告をする手引書等にその旨が記載されております。したがって、確定申告するという段階でこの手引を見ていただければ、それがきちっとわかるようにはさせていただいております。

 それから、五年さかのぼる件につきましても、これは税制の一般的なルールでございますので、これについては、私ども、あらゆる問題について共通事項としてきちっと周知はしております。これは、職員に対しても当然行っております。

佐々木(憲)委員 確定申告の際の手引書に書かれているのは、これは当然でありまして、そうではなくて、私が言っているのは、もっと一般的な周知徹底というものをやらなければならないと言っているわけです。例えば、自治体によっては広報に書いているところもありますし、そうでないところもあります。これは、そういう意味で私は言っているわけであります。

 例えば、財務省は、最近、税源移譲の円滑な実施に向けた周知広報活動というのをやっていますね。こういうものです。「所得税と住民税が変わるゾウ」とかあるいは「住民税が変わります。」こういうものをつくっていますね。これは幾らの予算がかかっているか。

 今、とっさにお答えになれないと思いますから言いますが、「住民税が変わります。」というのは、枚数でいいますと百二十万枚つくっているわけです。それから、こちらの「住民税が変わるゾウ」、これは百八十万枚つくっているわけです。あるいはDVDをつくったり、いろいろな形でやっております。予算もかなり使っております。

 こういうことをやっているわけですから、当然、まあ、これは増税の関連があるので一生懸命宣伝しているのかもしれませんけれども、しかし、もっと利益になることもあるわけですから、この障害者控除の問題についてもきちっと予算をつけて周知徹底する、そのようにまた自治体にも指導するということは当然だと思うんですが、いかがでしょう。

加藤政府参考人 執行の立場から、私ども、いろいろな制度がございます、したがいまして、そういう制度について、当然、適切な周知を行うという必要性は認識しております。

 ただ、特に改正の直近、直後とか、そういう場合は集中的にいろいろ広報する必要が特に強いと思っておりますが、今回のこういうような制度のように既に長年定着している制度については、やはり確定申告の問題でございますので、確定申告に当たってきちっと御理解いただくということが一番大切ではないかと思っております。

佐々木(憲)委員 いや、定着していないから周知をしなきゃいけないんですよ。長年やっていても定着していないでしょう。

 どのぐらいの人数、これを受けているんですか。掌握していますか。

加藤政府参考人 恐縮でございますが、認定を受けて適用されているという方についての数字は掌握しておりません。

佐々木(憲)委員 ですから、私が言っているのは、私は個別の自治体の事例は幾つか知っていますけれども、非常に少ないですよ、利用されている方々は。まだまだ対象はたくさんあると思います。にもかかわらず申請が非常に少ないというのは、これは周知されていないと私は思います。

 ですから、これだけ広報にお金を使うのなら、何も障害者控除一本でやれと言っているわけでもないわけで、いろいろな機会を通じてそういうことを徹底するということが必要ではないか、そういう姿勢が大事ではないかと聞いているわけですが、いかがですか。

加藤政府参考人 私ども、確定申告のみならず、税制の適正な執行のための必要な広報については適宜適切にやるということで、ホームページ等も使いまして、その辺のところもやっております。

 いずれにしても、一般的に、全体としてきちっとその制度が周知されるように、引き続き努力はしていきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 それから、障害者控除対象者認定書の申請書、これは自治体によっては、さかのぼって適用できるようにするために、御本人がいつから障害を持つようになったのか、いついつどんな状況になったというふうに書く欄がある自治体もあります。しかし、この障害者控除対象者認定書のひな形がつくられておりまして、これは厚労省のひな形なんですが、この中には状態開始年月という書き込み欄がないんですね。

 これは、先ほど確認したように五年前まで遡及して適用されることが可能なわけであって、やはりそういう欄も設けるとかいう工夫が必要ではないかと思います。ぜひ検討していただきたいんですが、いかがでしょう。

中村政府参考人 お答えいたします。

 障害者に準ずる者の認定につきましては、先ほど申し上げましたように自治事務として行われているものでありまして、先ほどお話のありました、厚生労働省の方において通知によりまして様式を示しているわけでございますけれども、この様式例を前提といたしまして、市町村において、必要に応じて、障害に至った期日をあわせて記載していただく、そういうことはできるようになっております。

 また、お話のありましたように、障害者控除につきましては、遡及して適用するということが本来的に予定されているというような仕組みでないと思いますので、標準的な例として示している様式につきましては、今のところ、改正する考えは持っておりません。

佐々木(憲)委員 遡及して受けられる可能性というものがある以上、そういう欄をひな形に入れるのは当たり前じゃないですか。それを、全く最初から書く欄がないようなひな形をつくっちゃだめでしょう。検討してくださいよ。

伊藤委員長 質疑時間が来ておりますので、おまとめの方、お願いします。

中村政府参考人 先ほど御答弁いたしましたように、様式例としては標準的なものを示すということで、現在のところは、今示しているものでやっていきたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 これは全然姿勢がなっていないよ。この程度のことも直さないような、こんなものを延々と使うというのはだめだということを最後に申し上げまして、質問は終わらせていただきます。

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十六分散会


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