衆議院

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第12号 平成19年5月9日(水曜日)

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平成十九年五月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 宮下 一郎君

   理事 山本 明彦君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      安次富 修君    阿部 俊子君

      伊藤信太郎君    飯島 夕雁君

      石原 宏高君    江崎洋一郎君

      小川 友一君    小野 晋也君

      越智 隆雄君    近江屋信広君

      大野 功統君    亀井善太郎君

      木原  稔君    関  芳弘君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中根 一幸君    萩山 教嚴君

      萩原 誠司君    原田 憲治君

      広津 素子君    松本 洋平君

      御法川信英君    小沢 鋭仁君

      川内 博史君    楠田 大蔵君

      鈴木 克昌君    田村 謙治君

      馬淵 澄夫君    三谷 光男君

      吉田  泉君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         尾身 幸次君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   財務副大臣        田中 和徳君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (内閣官房都市再生本部事務局次長)        松葉 佳文君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    西原 政雄君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           勝 栄二郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    石井 道遠君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    丹呉 泰健君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    岡本 佳郎君

   政府参考人

   (国税庁調査査察部長)  鈴木 勝康君

   政府参考人

   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君

   政府参考人

   (日本政策投資銀行理事) 多賀 啓二君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     飯島 夕雁君

  越智 隆雄君     萩原 誠司君

  佐藤ゆかり君     近江屋信広君

  広津 素子君     安次富 修君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     広津 素子君

  飯島 夕雁君     石原 宏高君

  近江屋信広君     阿部 俊子君

  萩原 誠司君     越智 隆雄君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     佐藤ゆかり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社日本政策投資銀行法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房都市再生本部事務局次長松葉佳文君、金融庁検査局長西原政雄君、財務省大臣官房総括審議官勝栄二郎君、財務省主計局次長真砂靖君、財務省主税局長石井道遠君、財務省理財局長丹呉泰健君、国税庁課税部長岡本佳郎君、国税庁調査査察部長鈴木勝康君、日本政策投資銀行総裁小村武君、日本政策投資銀行理事多賀啓二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 おはようございます。民主党の小沢鋭仁でございます。政投銀法の質疑をやらせていただきます。

 今委員長の方から政府参考人の方の承認のお話がございました。私の方は求めておりませんでして、出してもいいか、こういう話でありましたから、それはどうぞ、こういうふうに申し上げたんですが、きょうは主に金融の問題として、金融担当大臣の山本大臣と、これの所管の大臣であります尾身大臣に主に質問させていただきたい、こう思います。山本大臣の方は一切政府参考人は要らないということで受けていただいて、大変すがすがしい思いで出席させていただいております。

 それでは入らせていただきますが、まず、きょうのこの政投銀法の改正が決まれば、ある意味では公的金融の話が一段落をする、こういう段階になるわけであります。そういう段階でありますので、私としては、いわゆる民間部門の金融行政あるいは金融システムの全体像をこれからどういうふうに考えていくのかという話をまず第一の論点にさせていただきたいと思います。

 それから、二番目の論点として、この財金の中でも何度か出ておりますいわゆる金融政策、こちらの金融政策に政府はどういうふうな責任を持つのか。こういうテーマで、これはいろいろ議論が錯綜してきていたような気がいたしますものですから、その整理をさせていただきたいと思っております。

 日銀の方をお招きしたいとも思いましたが、尾身大臣や山本大臣に加えて日銀総裁、こういう話になると少しそれも控えなければいけないかなと思って、きょうは、政府の金融政策の責任というのは一体どうなのか、こういう話でぜひ尾身大臣にも山本大臣にも御所見をお伺いしたい、こういうふうに思っております。

 それから、当然のことながら政投銀法の中身の話を三番目ということでやらせていただきたい、こう思います。

 まず、これからの金融問題を考えるときに、アジアの金融センターとしての日本の位置づけというところから入らせていただきたいと思いますが、金融審議会の提出資料を見ても、あるいは経済財政諮問会議の第一次報告というんでしょうか、そういったものを見ても、アジアにおける日本の、まさに東京マーケットの地位が揺らいでいるという書き方があります。あるいはまた、アジアの金融センターとしての地位さえ脅かされようとしている、こういうことが政府の文章の中に記されております。

 いわゆる金融ビッグバンを日本が始めたのは橋本内閣のころだったというふうに思い出します。それから一連の為替の改革から始まって、幾つかの大きな金融改革を進めてまいりましたが、この日本の金融ビッグバンというのは今のところ失敗している、こういう状態なのではないか、こう思うわけでありますが、金融担当大臣として、日本の、まさに東京マーケットの位置づけについてどのようにお考えになっているか、御所見をお伺いしたいと思います。

山本国務大臣 アジアの金融センターとしての東京マーケットの現状把握という意味でお答えをしたいと思います。

 まず、世界の取引所における上場企業の時価総額、これを見てみたいと思いますが、一九九〇年から比べて、現在アジアは、上海の証券市場をとらえてみれば五十五倍、一九九〇年から二〇〇六年までの間に、時価総額の伸びは五十五倍というわけでございます。ロンドン、ニューヨークは四から六倍というイメージで十五年間成長を続けております。

 これに比しまして、東京は一・六倍でございますから、その意味における東京市場の魅力というものが、十五年の間、他の国から比べると随分低迷をしているという現状認識でございます。

 これをもう少し数字で申し上げれば、東京市場の時価総額は、世界全体で、一九九〇年、約三〇%のシェアでございました。二〇〇六年には一割以下ということになっておりまして、こういう観点からすれば、東京は三分の一以下にプレゼンスが低下をしているということでございます。かつて、我が国が東京市場をニューヨークやロンドンに比肩し得る市場であるというように考えておりましたところ、伸び悩んでおりますし、逆にまた香港、シンガポール等、アジアの他の市場が著しい伸長を見せているということも相対的にありまして、我が国市場の競争力が現実に失われているということに対しましては、世界の市場の評価もそのとおりであろうというように思います。

 他方、我が国の市場は優良企業がございます。特に製造業におきましては世界的に冠たる企業が厳然と存在するわけでございますし、個人金融資産千五百兆あるということもまた魅力の一つでもございます。こういったことを十分生かし切っていないのではないか、そして、生かすための法制度あるいは人材、専門サービス、インフラ等、こういったものについての総合力をネットワーク化して発揮するいわゆる魅力向上についての方策がいま一つ十分じゃないのではないかというような認識のもと、スタディグループや経済財政諮問会議で議論を重ねているところでございます。

小沢(鋭)委員 余りにも率直なコメントをいただいて、私は野党でありますから、そういうコメントをいただくと、ではその責任は一体だれが持たなきゃいけないのか、こういう話も言わざるを得ないような、ある意味では、これは本当は与野党超えて、惨たんたる状況なんですね。

 この数年間、小泉改革なる名のもとでいわゆる郵政改革の話が行われてきて、それはそれで一つの役割はあったのかもしれません。私はあのときも本会議場で申し上げたんですが、金融全体のことをもう一回トップリーダーとして考えてくれ、金融全体のサブシステムの話ではなくて、全体像を考えるのはトップリーダーの役目だろう、こういう話を申し上げたわけでありますけれども、まさに今山本大臣のおっしゃられる話を聞いておりますと、日本のシェアがかつては三割あった世界の中で、まさにそれが著しく低下をしている。こういう現状はぜひ政府・与党の皆さん方には深刻に受けとめていただいて、そしてしっかりした対策をとっていただかないと、まさに日本の、ある意味で財産といいますか、日本の比較優位が失われていく話でありますから、そこのところは本当にぜひ肝に銘じてお考えいただきたいと改めてお願いを申し上げます。

 山本大臣、ことしの一月の時点で、イギリスに行かれて金融特区の話をされておりますね。金融特区の話を表明されていて、日本の新聞報道されておりますが、その後、その経過はどのような状態でしょうか。山本大臣は、イギリスで、金融特区をやりたいんだ、こういう話をされましたが、それは今どのような状態になっておりますか。

山本国務大臣 一月十日過ぎに、イギリスで、私の会見を金融特区というように解釈された記者がおられまして、日本の新聞にそう載りましたけれども、特区というイメージは、一国二制度、すなわち、国の制度と違う形での、例えば地方公共団体が別な制度をとるというような意味で解釈しておられたように思います。しかし、私は、特区というイメージではなくて、国そのものの政策として金融機能強化というものをとらえたかったわけでございまして、今までとは違う新たな制度という意味での認識でございました。その意味では、少し理解が違っておりました。

 と申しますのも、ブラウン財務長官がブレア政権で行いましたいわゆる金融機能強化、ロンドン市場におけるその役割の大きさというものは小沢議員御承知おきのとおりでございまして、イギリスにおける製造業の低迷にもかかわりませず、EU諸国よりも高い成長率を遂げている。

 それは、金融サービス業が飛躍的に強化をされた。しかも、それが、一二一五年のマグナカルタ以降のいわゆるシティー、旧シティーと違って、一九九〇年ぐらいから、新シティー、カナリーウォーフというドックランド、すなわち造船所の跡地に設けられた新しい金融地域、そうしたところから金融機能が強化されてきたというようなことわりを学んだときに、日本が行うべきものは何なのかということを日本に移し直して考えれば、明らかに今なさなければならないことがおのずから浮き彫りになってくるだろうという意味で、私は、早く東京金融機能の強化をしたいということをお願いしたわけでございます。

 それを宣言したような形になったわけでございますが、その後、私のところで金融審議会にスタディグループをつくりまして、そうした勉強を重ねました。このスタディグループの特徴は、実務家を中心に、証券会社、銀行等のロンドンや海外経験のある人を中心にスタディグループは結成されました。経済財政諮問会議の方では、学校の先生や研究所の人たちを中心に専門家会議。また、官邸での根本さんを中心としたアジア・ゲートウェイというのは、公明党さんとともに、アジアにおける新興市場についてと、マッチングをどうしていくかということを熱心に取り組んでいただきまして、この三者が今、統一的な国の施策として、根本的に骨太に入るような思い切った金融機能強化の施策を一致して考えようということに方向性が決まっているところでございます。

小沢(鋭)委員 今それを聞いて安心いたしました。やはり、これは金融特区というような話ではなくて、日本全体のシステムとしてやっていただかなければいけない。

 ただ、今大臣がおっしゃられたように、いわゆるイギリスのシティーの復興のときには、金融システムの改革と同時に、ドックランドを初めとする地域開発としての開発がそれにセットになっていたんですね。ですから、ある意味で大変大きなインパクトを持ったわけであります。

 そういう意味では、ドックランドという地域開発がセットになっているということが、あたかも特区的な、地域を囲う、こういうようなイメージになりましたけれども、特区としてやるのは私もそれは賛成ではない。まさに日本全体で税の問題あるいはまた金融システムの問題をやっていくのが重要だ。そして、それをある地域において地域開発と一体となってやっていくということは、これは十分あり得る、こういう話だと思っておりますので、今の答弁を聞いて安心いたしました。

 後で、金融審議会とかそのあたりの話はまた入らせていただきたい、こう思います。

 それで、尾身大臣に一点お伺いをしたいんですが、いわゆる今の日本の金融センターとしての位置づけが落ちていることの一つとして、日本のファンドが海外に流出している。まさにそういうファンドの運営会社が、日本にいても税制上他国と比べて厳しいので、私のところに来ておりますのは、特に法人税法施行令第百八十六条に定めるパーマネントエスタブリッシュメント、いわゆるPEと言われている制度でありますけれども、細かい話はいいんですが、そういった制度が、ある意味では日本のファンドを外に押しやっている。特に向かっている先は、先ほど山本大臣からありましたが、シンガポールとか上海ですよ。そういったところにまさに出てしまっていて、そして、そこからまたケイマンとか、そういう租税特区を活用して、外外の取引で日本の株式を買っている。そういうような話が起こっていて、これはある意味では日本の金融の空洞化です。

 製造業で空洞化という議論がありましたけれども、私は、金融の中の空洞化が起こりつつあるのではないか、こう思っておりますが、それに対する尾身大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

尾身国務大臣 今、経済がグローバル化した中で、ファンドも含め、それから一般の事業活動も含め、企業が国を選ぶ時代になった。つまり、どの国あるいはどの地域に生産活動や事業活動の拠点を置くかということは、それぞれの世界企業が、全体のマーケットあるいは事業活動の拠点としてのポテンシャルを考えながら選ぶ時代になったというふうに考えているわけでございます。

 日本の場合、特に金融市場についてどうかといいますと、投資家が海外のファンドを通じて我が国に投資する場合に、日本に今のパーマネントエスタブリッシュメント、PEがないと、通常、運用益については日本では課税されないわけでございます。ただ、日本の投資顧問業者が投資家にかわって実際の投資活動を行う場合には、この業者が投資家の代理人としてのPEと認定をされまして、投資家の運用益に我が国で課税されているわけでございます。

 こうした認定の基準は、原則として投資家の所在国との間の租税条約の規定が適用されておりますけれども、主要先進国の条約上の規定はOECDが策定するモデル条約に準拠しておりまして、我が国の場合も、アメリカやイギリスと同じような条約上の規定を採用しております。したがいまして、我が国がアメリカ、イギリスなどに比べて厳しいPEの認定の基準を採用しているわけではないというふうに考えておりまして、少なくとも、このPEの認定につきましては欧米の国々と同じ基準でやっているということだけは申し上げられるかと思います。

小沢(鋭)委員 細かいところに入る時間はきょうはありませんので、いずれまた議論もさせていただきたいと思います。

 山本大臣も、そのイギリスでの会見の中で、やはり規制緩和とそれから税制の問題、こういう話を指摘されておりました。まさにそういう税の面でも、いわゆるファンドあるいはまたさまざまな金融機関が日本にいたいと思えるような税制をぜひ目指していただきたい、こういうふうに御要望を申し上げておきたいと思います。

 それで、もう一つ。ただ、金融の肥大化というのがすさまじい勢いで進んでおることは委員の皆さん方も御存じだと思うんです。二十一世紀に入って数年たつわけでありますけれども、世界経済の平均伸び率というのは三・五%。世界経済が三・五%の伸び率があるということ自体がすさまじいスピードだと思うわけでありますが、先ほど大臣もおっしゃられましたが、株式市場の時価総額の平均伸び率は一四%ですよ。金融肥大化経済とでも言えるような、まさに金融の肥大化が進んでいるわけです。一方で、それはマネーゲームとも称されるわけであります。

 額に汗して働く、物をつくる、そしてそれが社会に貢献する、こういうことが経済の本来の姿だな、こういうふうにも思いながら、一方ではそういった話が進んでいる。ある意味では金が金を生んでいく。まさに日本でもそういった問題が過去起こったことは記憶に新しいところでありますが、そういった、ある意味では金融肥大化経済みたいなものに対する私は何かすごく胸騒ぎがするわけでありますけれども、そういったことに関して経済担当大臣としての御所見はいかがですか。

山本国務大臣 この懸念につきましては、サミットでも、また中央銀行総裁会議でも指摘をされ、特にドイツの財務大臣と尾身大臣との会合等での指摘ということからも、その懸念についての認識は、世界の金融担当者また財務大臣等の指導者の皆さんは共通認識だろうと思っております。

 しかし、こうした傾向に逆に何か規制を加えられるかどうか、過剰流動性が高いからといって、それでは何か一国でなし得ることがあり得るのかどうか、検証を今されているわけであろうとは思いますけれども、こうしたものに対する手だてというのは、案外、規制すること自体が市場経済をゆがめてしまうというような反面の側面もありまして、大変やりにくい時代になってきているだろうと思います。その象徴的なことが、FRBの前の議長でございますグリーンスパンの根拠なき熱狂という言葉にもあらわされておりまして、こうしたものについての規制の困難さを指摘している言葉の一つだろうというように思っております。

 しかし、現在では、システムリスク、そうした金融システムに対するリスクはマネジメントがうまく調整されておりまして、バーゼル2が施行されるというような今日になりましてからは、銀行に対する安心感、安定感があることによりまして何とかカバーできているというような認識ではないかというように思っております。バーナンキやガイトナーさんもそんな指摘でございますので、我々としましては、こうした世界の金余り現象と我が国経済の安定とを比較比肩しながら、より成長を健全に遂げていくということに専心しなければならぬというように思っております。

 その意味で、いつかまた再び困難なことが起こらないように、戒めながらこの現状を考えていくということが大事じゃないかというように思っております。

小沢(鋭)委員 確かに、これでいいのかなと思いながら、しかし、走っていく列車はとめられないみたいなところがありまして、そういった意味では、少なくともその対応はやらないと、列車が暴走しては一番困るわけでありますから、ぜひともそこもお願いをしておきたいと思います。

 具体的に幾つか聞きます。

 先ほど来お話が出ております金融審議会での議論ですが、銀証分離論の見直し論が報道でなされております。これは、全体像を考える上で、まさに銀行と証券の垣根をどうするかというのは古典的かつ現代的な大変重要な問題だ、こういうふうに思っておりまして、その議論が今どのように進行しているのか。六月に何か中間報告という報道もありますけれども、どうなのかということと、時間がちょっと迫ってまいりましたので、次の問題も一緒にお尋ねしたいと思います。

 そうなってきますと、今度は保険はどうするんだ。保険は、御承知のように、ことしの秋まで、今マーケットの様子をウオッチして、そして、例えば生保商品の銀行での窓販をやるかやらないか決定していく、こういう微妙な時期でもありますが、保険はどうするのか。

 あるいはまた、商品先物はさきの法案の中でも外されましたけれども、商品先物もある意味では金融商品。こういう話になってくると、そういったものはどうやって取り込んでいくのか、こういう話もあろうかと思います。

 銀証分離の話、保険はどうする、商品先物についてはどうする、その辺を一括してお答えいただければと思います。

山本国務大臣 まず銀証分離でございますが、銀証間のいわゆるファイアウオール規制のあり方につきまして、我が国金融機関の国際的競争力や効率的な業務運営の確保の観点とともに、利益相反等の防止の観点も踏まえまして、必要十分なものとなることが必要というようにスタディグループでは指摘をされておられました。

 銀行による証券業務につきましては、これまでも、弊害が小さいと考えられるものから順次拡大してきたところでございますけれども、スタディグループで指摘しておりますとおり、銀証分離の根拠となっている利益相反、銀行の優越的地位の濫用の可能性、今日においてもなおこうした論点についての解決策というのはクリアではありません。そうしたことを踏まえつつ、ファイアウオール規制のあり方について金融審議会で今後なお検討していきたいというように思っているところでございまして、推移を見詰めていきたいと思っております。

 次に、保険業の今後のあり方でございまして、具体例としては銀行窓販の解禁でございますが、懸念される弊害を見きわめつつ、平成十三年以降順次解禁してきておりまして、今後は弊害防止措置の実効性等についてモニタリングを行った上で、ことし十二月に全面解禁をしていきたいと思っております。

 商品先物につきましては、金融庁で所管をしてはどうかという議論もございますけれども、商品先物取引についての金融商品取引法の直接の対象ではないということからしまして、金融庁で所管はするつもりはございませんが、利用者保護を図る観点から、商品取引法において、基本的に金融商品取引法と同等の利用者保護ルールを適用するというようにされております。これによって利用者保護のための横断的な法制が整備されていくというように考えておりまして、この商品取引法の、経済産業省、農水省が所管するというようなことを維持しつつ、我々も利用者保護ルールというものを大事にしていきたいというように思っております。

小沢(鋭)委員 きょうはその話もさらに踏み込みませんが、ぜひお願いをしておきたいのは、産業政策としての観点と、最後の決定のところはやはり国民、消費者のニーズなんだろうと思うんですね。ですから、そういったものが、利便性が高まるという話と同時に、逆にそれで弊害が起こっているというような話であれば、それは消費者の利益にならないわけでありまして、ぜひ消費者の利益というところを第一義的に大事にして対応をいただきたい、こういうふうにお願いしておきたいと思います。

 二番目の、金融政策のあり方論についてちょっと議論をさせていただきたいと思います。

 これまでも何度か、私、この財金の委員会でこの議論をさせていただきました。一言で言いますと、先ほど来、山本大臣が所管をされている金融行政、金融システムの話がありましたが、金融政策というのは、政府は一体どこが所管をしているのですか。いわゆる金融政策というのは、幾つかありますけれども、金利の問題とか供給量の問題とか、そういう話です。そういうマクロ経済政策としての金融政策は、政府は一体どこが所管をしているのかをお尋ねしたいと思います。

山本国務大臣 金融政策と申しますのは日本銀行の専管事項でございます。なお、それに加えて考えれば、財務大臣、経済財政担当大臣、それぞれの指名する職員が金融政策決定会合に出席するというように法定されているわけでございます。

 金融政策における日本銀行、中央銀行の独立性というのは、世界における日本の信認を担保する上で極めて重要なものでございまして、金融政策はあくまで中央銀行である日銀の責任のもとに行われるべきであるということは言をまちません。

 いずれにしましても、政府と日銀は、日ごろより十分な意思疎通を行った上で、経済運営に関する基本的な考え方は共有しているというように理解しているところでございます。

小沢(鋭)委員 尾身大臣にも御所見をお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 質問の通告がありましたので、私も少し勉強させていただきました。

 金融政策と金融行政というのがあるそうでございまして、金融政策については今山本大臣がお話をしたとおりでありまして、簡単に言うと、日銀の専権事項である。それから、金融行政は山本大臣の方の所管で、例えば銀行法とか保険業法とか金融商品取引法というような、金融機関の監督、フレームワークを所管しておられる。

 私の方は、むしろ、いわゆる金融政策、具体的には金利の決定の仕方というのが非常に中心だと思いますけれども、これにつきましては日銀の専管であるということになっております。日銀法におきましては、政府と日銀が常に十分な連絡をとりながら、経済運営の基本的な考え方を共有しながら、具体的な金利の決定等については日銀が判断をされる。簡単に言うとそういうことでございまして、そういう意味で、私ども、常に日銀の幹部の方々とは、現在の経済状況についての認識を共有するように努力しているところでございます。

 我々としては、物価安定のもとで順調な経済発展を遂げるという基本的な方向について、いわゆる金融政策の面からサポートしていただきたい、こういうことを常々申し上げておりますが、金利等の具体的な水準の決定については日銀に基本的にはお任せをしている、こういう立場でございます。

小沢(鋭)委員 失われた十年という言葉が日本の長期不況をあらわす言葉としてありました。私は、この失われた十年の長期不況の原因というか本質というか、それを本当はもっと政府もあるいはまた政治も徹底して議論しなきゃいけないのではないか、こう思っているわけであります。

 先ほど山本大臣は、金融センターとしての日本の地位はかなり低下しているけれども、製造業は依然としてまだ高い水準にある、こういう御見解をお述べになりました。私の友人であります東京大学の藤本隆宏教授は、いわゆる物づくりの専門家でありますが、マーケティング、経営学の専門家でありますが、日本の長期不況の中でも、製造業のいわゆる比較優位、競争力は決して劣っていなかった、こう述べているわけであります。

 考えてみれば当たり前のことでありまして、製造業が、たかが半年、たかが一年で競争力がよくなったり悪くなったりするわけがないわけでありまして、そういった意味においては、日本の長期不況の最大の要因は金融政策の失敗であった。バブルを起こし、バブルの崩壊を余りにも急激に行い、不良債権を発生させ、それの処理を今度は余りにも急激に行った。私は、金融政策の失敗がこの不況の十年をまさにつくってきた、こう思っている人間であります。

 これに対する御所見もお聞かせをいただきたいと思うんですが、年間三万人も自殺者が出ていく。そのすべてが経済的な問題を苦にしての話ではないかもしれませんが、そういう自殺者も起こるような、そして、十年、日本経済がのたうち回るような苦しみをしてきた、私からすればですが、その最大の問題が金融政策だとすれば、本当に政府はこれに責任を持たなくていいんですか、これを問いかけたいんです。

 日銀の専管事項という話でありますが、日銀は、それでは政府ですか。政府はこれに責任を持たなくていいんでしょうか、山本大臣。

尾身国務大臣 私自身は、失われた十五年だというふうに考えております。

 十五年前、あるいはそれ以上前でありますけれども、ちょっと振り返ってみますと、土地、不動産価格が物すごく値上がりをして、お金を借りて土地を買っておけば自動的にもうかる。例えばビルを買って、家賃収入がありますけれども、その家賃収入を超えてはるかに土地あるいは不動産の価格が上がることによってもうかるという現象が、十五年ほど前、一般的でございました。したがいまして、銀行からお金を借りて、何しろ土地や建物の不動産を買う、これがいわゆるバブルでございまして、製造業の方々も、自分の本業の方はほっておいて、そちらの方に熱狂したというような現象がございました。

 これに対して、日銀が、ある段階から、これは当時の政府とも相談をしたと思いますけれども、物すごく引き締めに転じて、金利を上げ、また、資金供給の圧縮を図りました。その結果として、購買力が急激に減退をして、土地や不動産の価格が下がり、大不況に陥ったというわけでございます。

 そういう中で、私自身は、当時国会議員でございまして、これだけの急激な引き締めはよくないということを盛んに言っておったのでありますけれども、現実の問題としては、バブルの時代、ニューヨークのロックフェラーセンターまで日本の企業が買うというような時代でございましたから、それを冷ますといいますか、バブルをとめるという意味で、ある意味、厳しい金融引き締め政策をとったのも理由としてはあるなというふうに今思います。

 ただ、その結果として、不動産価格が下がり、土地が下がり、バブル崩壊が起こって経済が非常に厳しい状況になった。その過程において、いわゆる三つの過剰と言われている、債務の過剰それから雇用の過剰、設備の過剰等がございまして、この問題の処理をここ数年でようやくなし終わったということでございます。

 そういう意味では、全体として経済が正常化をし、失われた十五年を通り越して新しい時代に入ってきた。これからも、その教訓を生かしつつ、私どもとして、日銀ともよく連絡調整をとりながら、適切な金融政策を日銀の判断でやっていただくようにしていきたい、こういうふうに考えております。

小沢(鋭)委員 連絡調整をよくとりながら、こういう大臣のお言葉でありますが、もう少しそこは具体的にされた方がいいんじゃないですか。

 一つは、先ほど大臣もおっしゃられましたが、物価安定のもとで日本経済が順調に発展するように日銀にもサポートをしてもらいたい、そういう御答弁がありました。これは一言で言えば、物価安定という政策目標をはっきりと政府が定めて、政府の定めたその目標を達成するために日銀が独立性を持って対応してもらう、そういう話にしていかないといけないんじゃないですか。それについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 基本的な考え方につきましては、日銀法におきまして、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」ということを最終的な目標として定めているところでございまして、そういう中で、私どもとしては、金融政策が政府の経済政策の一環をなすものであるということを踏まえまして、政府の経済政策の基本方針と整合的なものになるよう常に連絡を密にし、十分な意思疎通を図っているところでございます。

 その中で、金利の上げ、あるいは下げなどの具体的な金融政策の運営については日銀にゆだねられておりまして、日銀政策委員会・金融政策決定会合がみずからの政策判断でこれを決定するということになっているわけでございます。

小沢(鋭)委員 ですから、大臣、時間がないのであれなんですが、もうちょっと詰めさせてもらいたいんですが、要するに、金利の決定を日銀が自由に行うという話は私も賛成であります。そこの前段の、金融政策も政府の政策の一環でありますからと大臣は先ほどおっしゃられました。

 では、日銀は政府の一員ですか。

尾身国務大臣 経済の実態及び私どもの金融政策、日銀の金融政策に対する期待というものは、基本的な考え方をいつも明確に申し上げておりますし、意見のすり合わせをしておりますが、金利水準そのものの具体的なあり方をどうするかについては日銀の判断にゆだねていく、そして日銀のある意味での中立性を確保していくということが妥当な行き方であるというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 堂々めぐりになっているんですけれども、金利水準を日銀が自由に決定するというのは私はそれで結構だと申し上げていて、政策目標を政府が決めて、それを日銀が実行するという話にしないといけないんじゃないでしょうか、こういう話を申し上げていて、その政策目標というのは物価の安定ということでいいんです。それを、何%にするか、どの範囲にするかとか、そういう話まで決めるか決めないかはいいけれども、そこは政府が責任を持つんだという話をちゃんとしてもらわないと、この失われた十年、大臣の言い方だと失われた十五年は、ほとんどそれが実行されていなかったんですよ。デフレが続いていて実行されていなかったんですよ。その責任は一体だれがとるんですか。

 今の日本の政治の仕組みは民主主義ですから、大臣にしろ、あるいは山本大臣にしろ、政策が失敗したら選挙で問われるんですよ。あるいは政権そのものも政府も選挙で問われるんですよ。しかし、日銀は問われないんですよ。それで、金融政策は政府の政策の一環だ、こう言いながら、すべてそこは丸投げだという話は違うんじゃないですか、政策目標くらいは政府と一致させる目標をつくらなければいけないんじゃないでしょうかということをお尋ねしているんですが、もう一回そこをお答えいただければと思います。

尾身国務大臣 先ほどから私も繰り返し申し上げておりますけれども、金融政策については、現在の景気回復を持続的なものとするために経済を金融面から支えていただきたい、こういうことは常々申し上げておりますし、この点については日銀もよく御理解をいただいていると思います。

 それから、時々刻々の経済の実態についての意見交換は、あらゆる機会を通じて十二分にしているわけでございます。そういう基本的な考え方を日銀にお伝えした上で、具体的な金利の水準の決定については日銀の判断に任せている、こういう考え方でございまして、そういう意味では、少なくとも政府と日銀の間の意見調整、連絡については、私の方から言うのもどうかと思いますが、極めて順調にいっているというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 大臣の顔を見ていると、本当に順調にいっているというふうには思っていないような気がいたしておりますが、いずれにしても、この話はちょっと時間がないのでここでとめますが、山本大臣に一点だけ申し上げたいと思います。

 金融庁から日銀の政策決定会合に人を出していないですね。これはおかしいんじゃないですか。金利の問題だとか供給量の問題というのは、まさに、銀行経営あるいはまた証券会社、あらゆる金融機関に決定的に重要な話でありますが、何で金融庁として人を出せないんですか。

山本国務大臣 個別金融機関の経営が、金利の変動による収益環境の変化を通じて金融政策の影響を受けることは事実でございます。そうした観点からは、金融担当大臣も金融政策決定会合にいた方が合理性がある、こういう御議論もございます。

 しかしながら、金融政策というのは、基本的に「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」ことを目的としております。これは日銀法二条にも掲げられておるとおりでございまして、日銀法上、経済財政に関して広く事務を所掌する財務大臣及び経済財政政策担当大臣が金融政策決定会合へ出席することとなっているものでございます。その意味で、金融担当大臣は、尾身大臣や大田大臣との連携によりまして、出席はしないものの、こうした金融政策に対しての共通認識を得ることによって十分賄い切れるというように考えた制度であろうと思っております。

小沢(鋭)委員 制度であろうと思っておりますという言葉に何か私はひっかかるんですが、改革の意欲が感じられません。

 今のは、今の現状を説明した、そのとおりだと思いますが、安倍内閣が本当に改革を旗印にやるんだったら、山本大臣、そこは踏み込まないとだめなんじゃないですか。日銀は銀行に検査に入れるんですよ。金融庁は日銀に何もできないんですよ。政府の内閣府を通じてという話なのかもしれませんけれども、おかしいじゃないですか。本当に改革をするというんであれば、まさに金融システム、金融政策のあり方を含めて、本当に踏み込んだ改革をやってもらいたいと要望し、また、民主党になったら徹底的にやりますから、そのことも宣言しておきたいと思います。

 政策投資銀行について質問します。時間もありませんし、できるだけ同僚議員と重複しないように聞かせてもらいたいと思います。

 まず、この政策投資銀行については、民営化ありきだという批判があちこちから聞こえます。これはもう小泉内閣で、確かに民営化、こう言ってしまった。後ほど申し上げようと思っていましたが、時間もないので今申し上げますと、これは、例えば完全民営化の時期も明示できないんですよ。完全民営化の時期も明示できないような民営化というのは、走りながらの改革と言われても仕方ない。このことを現場で投資銀行の皆さんはどういうふうにお考えになっているか。あるいは所管大臣、尾身大臣、どうお考えになっているか。時間がないので手短にお願いしたいと思います。

小村政府参考人 率直に申し上げまして、現場を預かる者としては、やはり決定の前に、我々の活動についてもう少し実情を見ていただき、理解をしていただきたかったと感じております。

 ただ、しかし、民営化が決定した以上、我々は全く新しいビジネスモデルに挑戦していかなければなりません。これは決して平たんな道ではございません。民間とイコールフッティングという話がございますが、私どもの銀行は、預金も決済も為替機能も持ち合わせておりません。いわば大きなハンディを背負っての出発であります。

 しかし、経営者としてまず第一にしなければならないのは、職員をリストラし、路頭に迷わす、こういうことはしてはならない、これが第一であります。

 幸い、私どもの銀行は五十年の歴史がございまして、そこに四つのDNAを持ち合わせております。長期性、中立性、信頼性、パブリックマインド、これらのものを大切にし、それから優秀な職員、あるいは金融手法では最先端の手法を私どもは身につけております。さらに、お客様の立派なネットワークも持っております。この三つの要因をうまく活用し、投資と融資と融合した新しい形の付加価値のある金融をやっていきたい。小さいですが、ぴりっとした、存在感のある銀行にしてまいりたいと思っております。

尾身国務大臣 この政策投資銀行につきましては、行政改革推進法において完全民営化することが定められているわけでございます。これは平成十七年十二月の行政改革の重要方針という閣議決定におきまして、政策金融は、一つは中小零細企業、個人の資金調達支援、二つ目が国策上重要な海外資源確保、国際競争力確保に不可欠な金融、三つ目が円借款という機能に限定をし、それ以外の業務については撤退するとの方針に沿ったものでございます。すなわち、民間でできることは民間にゆだねて、簡素で効率的な政府を実現するという考え方に立って政策金融を行うものであります。

 政策投資銀行の完全民営化につきましてもこういう考え方に沿ったものでございまして、公的部門の縮小と政府信用の圧縮により、簡素で効率的な政府を実現し、我が国経済の効率化、活性化に資するものというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 小村総裁、本当に率直な御意見を開陳していただきました。尾身大臣、残念でありますが、今回の政策投資銀行の改正の説明にはなっておりましたが、私の質問のお答えにはなっておらないわけであります。お立場上仕方ないのかもしれません。

 ただ、本当に難しいと思います。私は、日本政策投資銀行の、もしこの法案をやるんだったら、政策というのは取った方がいい。本当に民間にしていくんだったら、政策とかそんな話じゃない。

 そこで、ちょっと時間もないので手短にというか、私が説明しちゃいます。御準備いただいていたら恐縮なんですが、政策投資銀行と野村ホールディングの都市再生プライベートファンドというのをおつくりになりましたね、この一月に。このファンドを使って何をしていくかというと、私から言わせてもらうと、ある意味でインベストメントバンク機能を果たしていくのかな、こういうふうに思っています。そういう話をしていかないと、恐らく、完全民営化のとき、資金を集めることはなかなか難しいだろう。いわゆる政策を同時にやっていくという、さっきDNAの話をされましたが、そういう話にまだこだわっているともう生き残っていけなくなって、最終的にはどうなるかというと、そのときは預金保険機構に入るんでしょうから、そちらの方から金を出すかとか、そういう話にならざるを得ないような気がいたしております。

 その都市再生プライベートファンドを含めて、そういった業務をこれからやっていくとしたらば、それは公共性みたいな話というのとちょっと違ってくるのではないか。テーマとしては地域開発という話で、公共性だという話はあるかもしれませんが、そこのところはどうなんでしょうか。

小村政府参考人 私が先ほど四つのDNAのお話をいたしましたのも、私どもの目指す道は、単に短期の利益を追いかけて、相場を張って金をもうける、ファンドを設けてどこかの株式を乗っ取るとか、そういういわば短期の投資銀行業務というものではなしに、我々がお客様から信頼を受けている、こうしたDNAを信頼してくれている方々を相手に、例えば先生御指摘の野村とこの前組みました都市再生ファンドも、私どものそういうストラクチャーを組む能力、こういったものを活用し、あるいはメザニンのところをとる能力、こういうものを活用し、片や、他の投資家を野村証券が集めてくれる、こういったところで新しいビジネス展開をいたしております。

 政策にこだわってとかそういうことではなしに、ただ社会的価値の創造、これは忘れてはならない、こういうふうに考えております。

小沢(鋭)委員 メザニンファンドは、確かにそういう意味では大変私も御行の事業として注目をしているところでありますが、まさにそういったところに本当に入っていかれるというような話になっていくと、ある意味でいうと、さっきも申し上げましたが、今まで日本にはない類型、投資銀行という類型がビジネスモデルとして出てくるんだろうな、こう思います。

 ですから、この改正をきっかけに、日本にそういうインベストメントバンクをつくっていくんだという話だったら、それはそれで非常にわかりやすい。まさに金融システム全体の中でそういったものをつくっていくんだということであればそれは非常にいいわけでありまして、私は、ぜひ、もう政策という文言はどこかの時点で取っ払っていただいて、やるからにはそういう話でやっていただくしかないのかな。もともと私は公共政策の意味というのは大事だと思っている人間ですが、これを踏み込んじゃった以上はそうせざるを得ないんじゃないかな、こう思います。

 そうなったときに、いわゆる金融システムとして日本に投資銀行みたいな話を認めていくのかどうか。投融資合体の事業を認めていくのかどうか。そういう意味では投資銀行法みたいな話を法的な一般法の枠組みで考えていくべきだろう、こう思いますが、最後、山本大臣の所見をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕

山本国務大臣 おっしゃるとおり、移行期における規定はあるわけでございますが、今後、民営化後、証券業法、銀行法のもとで、この政策投資銀行が、中長期的なリスクマネーの供給というものがどういう形でできるかというのは検討課題だろうというように思います。

 特に、先ほどおっしゃいました共同での不動産投資、都市再生プライベートファンド、こうした観点での不動産業への資金投入というようなことになりましたときに、今後こうした投融資一体となったビジネスというものをどのようにとらえるかということは検討課題であろうというように思っておりますし、議論を深めながら、政策投資銀行がその目的を達するように金融庁としましても見詰めていきたいというように思っております。

小沢(鋭)委員 時間でありますので終わらせていただきますが、ずっと質問をしてまいりましたように、金融の世界の変化のスピードは物すごく速い。日本は小泉改革の名のもとのある意味では足踏み状態で、圧倒的にアジアでの金融センターとしての地位が低下した。ここは一気に挽回をしなければいけない。そうしないと日本のまさに経済力そのものが失われるわけでありまして、すごく大事な局面だというふうに思います。

 先ほどの山本大臣のお話の金融審議会の議論、経済財政諮問会議の議論、全部連動していって、最後の出口がもしかしたらこの政策投資銀行の話につながっていくのかもしれない。そういう制度的なバックアップもきちっとやっていかないと、まさに政策投資銀行の皆さんたちが野たれ死にしていくという話にもならざるを得ないわけです。

 そういった意味では、どうかグランドデザインをしっかりと詰めていただいて、必要な法体系はしっかりと整備していただいて、日本に世界の金を呼び込めるような、日本から金とかファンドが出ていくんじゃなくて、呼び込めるような日本にしていかなきゃいけないわけでありまして、ぜひそのために頑張っていただきたいことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

林田委員長代理 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。

 昨日に引き続き、質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、昨日の私の質問に対する尾身大臣の答弁に関してでありますが、質問中ですとついつい聞き逃してしまうことも多くございまして、まだまだ未熟であるなと思いますが、後半、極めて軽はずみといいますか、見識を疑う発言があったように感じております。

 といいますのが、郵政民営化と比べての御発言でございます。政策投資銀行は千人台の人数でと、中略いたしますが、このぐらいの期間を見ておけば、その間に必要な検討をし、必要な対応をすることはそう難しくないものと考えておりますと言っておられます。この考え方自体がまさに私は無責任体質をあらわしているんではないかと思ったところでありますが、さらに、そう言っておかれながら、次の答弁で、いつまでにきちっと売却すると決めると足元を見られる危険性もある、こういうふうにも言っておられます。

 これは全くの矛盾でないかと私は感じておると同時に、また余りにも無責任ではないかと思っておりますが、まずこの点に関して、今でもそう思っておられますでしょうか。

尾身国務大臣 売却につきましては、発足後五年ないし七年の間に売却をするということを申し上げているわけでございまして、その期間に全部売却をして完全民営化になるという考え方でこの法案ができているということを申し上げました。

 その期間が郵政関係の期間よりも短いではないかというお話に対しまして、私は、このくらいの期間があればそれができるのではないかということを申し上げたわけでございます。

楠田委員 ちょっと言い方が悪かったかもしれませんが、昨日の質問では、郵政は確かに十年という、この政策投資銀行よりは長い期間でありますけれども、逆に、この十年というのをきちっと期限として、義務として法定をされている。それだけの時間がありますけれども、前もって今の時点から綿密な計画を出し、市場へのアピールを始めていると。この点に関して、私は遅いのではないか、残り一年半を迎えた時点で、まだまだ計画が足りていないのではないかという質問に対して、尾身大臣としては、これぐらい見ておけばいいんじゃないかと言われたわけであります。

 この点に関しましては、これからの質問の中でそうではないということを明らかにしてまいりたいと思います。

 きのうの与党質疑の中にもありましたけれども、今回、政投銀には、長期の事業資金に係る投融資の機能を維持されながら、しかし民業圧迫にも気をつけ、収益をやはり上げようという、非常に難しい注文をされているという指摘もありました。こうしたすき間を縫うような中で、小村総裁もきのうの答弁で、株を買ってもらえるような立派な銀行にならなければならないというけなげな答弁もされておられたわけであります。

 郵政に比べて規模が小さいからといって、先ほども申しましたが、完全売却、簡単なんて思っておられるとすれば、私は大間違いではないか、そういうことでは政策投資銀行で頑張っておられる方自体に失礼ではないか、そう思ったわけでありますが、小村総裁は、きのうのやりとりでどのように感じられましたでしょうか。

小村政府参考人 今回の法案におきまして、私どもが新しくビジネスモデルを設立するに当たりまして、いろいろな手段を用意してくれました。いろいろな選択肢があります。こういう選択肢をこの五ないし七年の経過期間中に駆使して、何が一番フィットするか、そこでまたビジネスモデルを確立していく、そしてこのビジネスモデルに賛同していただける株主の皆さん、こういう人たちが、多くの人たちが札を入れてくれる、こういうことが最も望ましいと思います。

 今、私どもにも、早く株を売れと、もっともうけさせてやるぞという提案がいっぱいあります。ただ、私どものDNA、これまでの伝統、五十年の歴史を大事にしていただきたい。これは財務大臣に対する私どもの要望でありまして、ただただ株を高く売ればいい、そういうものでは、私どもの職員も、こういうことではやめさせてもらいますということになりかねません。したがいまして、やはり勤労意欲のわくような、そういうビジネスモデルを私どもがきちんと確立をし、株主の皆さんにも御理解をいただく、こういうことであろうと思います。

楠田委員 そうした未来に向けて、政策投資銀行の未来、また、それに対する国民の税金の使い道でありますが、大変重要な質疑でありますけれども、やはり見ておりますと、数が大変、定足が少ない、足りていないんじゃないかと思いますが、委員長、御確認をお願いします。

林田委員長代理 速記をとめて。

    〔速記中止〕

林田委員長代理 速記を起こしてください。

 楠田大蔵君。

楠田委員 この法律、閣法でありますし、また、先ほど小沢委員の方から指摘もありましたように、金融改革、大変注目を受けている最後の今回の審議でもありますから、ぜひ真剣に取り組んでいただければと思います。

 それでは再開をさせていただきます。

 先ほど小村総裁の答弁もいただきましたが、また昨日の答弁の中で、先ほども申しましたように、足元を見られないためにめどという表現をしていると尾身大臣は言われたわけであります。私は、その足元を見られないためにこそ、前倒し前倒しで計画を立てていかなければならないと何度も言っておるわけでありますが、そもそも足元を見られるということはどういう事態を大臣想定しておられるのか、御所見をお願いします。

尾身国務大臣 日本政策投資銀行に対する政府出資に係る株式の処分につきましては、行革推進法におきまして、市場の動向を踏まえつつその縮減を図り、おおむね五年から七年後をめどにすべてを処分するというふうにしているところでございます。

 実際の株式の処分に当たりましては、市場の動向を踏まえる必要がありますし、また、資金調達面を含めて、完全民営化後のビジネスモデルを移行期間中に明確にしていく必要があります。したがいまして、そういうことを踏まえておおむね五年後から七年後を目途としているものであります。

楠田委員 いや、質問に答えていただきたいんですが。足元を見られると言われましたが、これはどういう事態を想定しておられるのかと聞いております。

尾身国務大臣 市場の動向を踏まえていく必要があるということでございます。

楠田委員 足元を見られるといいますと、これから先にも聞いてまいりたいと思いますが、私の記憶の中では、例えば長銀や日債銀が国有化されて、その後まんまと買いたたかれたという九〇年代末、二〇〇〇年前後、このころ私はまだ学生でございましたが、その怒りと戸惑いというものを鮮明に覚えております。たしか長銀に至りましては、四兆円以上、国税、血税を費やしておきながら、結果、十億円という破格値で外資系の投資会社に売り渡したということだったと思いますが、思えば、あのころから強い者だけが得をするという風潮も始まってきたのではないか、そういうことも思い出しているところでございます。

 そう考えますと、きのう思わず言われたのか、足元を見られないようにと。市場で考えますと、私は、上場をすれば、そうした足元を見られるということはそもそも表現としてはあり得ないことじゃないかなとまず一つ思っておるのと、あと、仮に上場しないとしても、今の時点で、今の法案審議の際だからこそ、政府保有株式の処分収入の目標、最低ラインというものを国民の前で約束しておいた方がいいのではないか。このような過去の本当に情けない例が起こらないようにと思っておりますが、この最低ラインというのは想定をされておられますでしょうか。尾身大臣、よろしくお願いします。

勝政府参考人 お答えいたします。

 まず、行政改革推進法第六条第三項におきまして、政府は、完全民営化に当たりまして、日本政策投資銀行の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置を講ずるということになっております。したがって、その規定を踏まえまして、平成二十年十月の現日本政策投資銀行の解散時における資本金等が、所要の資産評価を行いました上で新会社に承継されるものと承知しております。

 なお、承継される資本金等の額につきましては、あくまでも平成二十年十月時点におけます資本金等の額でありますけれども、御参考までに申し上げれば、平成十八年三月の資本金等の額は二兆円程度、細かく申し上げますと二兆百七億円でございます。

 この額につきましては、その意味では、二〇〇八年十月の時点の数字に置きかえることが必要であるということと、もう一つは、株式処分に当たっては、ビジネスモデルはいかなるものであるか、またそれに基づいて株式市場はそれをどういうふうに評価するか、また処分における株式市場そのものの動向はどうかということの、いろいろな要素が絡んできますので、今確たるものは申し上げられないと思っています。

    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕

楠田委員 時間も限られておりますから、簡潔にお答えいただければと思います。

 最低ラインに関して確たるものは出ないにしましても、やはり六年末の、少なくともこのときに約二兆円の純資産でありますし、先ほど申された新会社設立時の純資産というのも一つめどにするというお答えであったと思いますが、もちろんこれは最低ラインでございまして、これからのモデル次第で、今の部分を、価値の創造をさらに高めていただきたいと思います。

 ちょっと質問がずれていたのかもしれません。もう一度改めて問いますが、先ほど申しました、足元を見られないために上場をすればいいのではという思いが私はありますが、それとも、実は、きのうの表現でいえば、大臣が上場に消極的であるからああした表現をされたのか、懸念を示されたのか、これは大臣、きのうの発言に関してですから。

勝政府参考人 お答えいたします。

 株式処分につきましては、この法案成立後、株式処分の検討に当たりまして、その検討項目とか人選等につきまして、速やかに詰めてまいりたいと思っています。

 それで、検討事項でございますけれども、その中に、例えば株式の数、種類、また株式の処分の手法、これは上場か非上場ということも含みますけれども、また株式処分のタイミング等がございます。その意味で、現段階におきまして、上場か非上場か、これは今後の検討課題の一つだと考えております。

楠田委員 もう時間が限られておりますので速やかにお願いしたいと思いますが、私は、大臣の方からその見通しをお聞きしたかったわけでありますが、答えたくないということでしょうから、次に進みます。

 また、きのうの小村総裁の答弁で、長期の投融資機能を重視したビジネスモデルを理解してくれる株主構成が望ましい、政府においても、株式の売却に当たっては十分そういった観点も踏まえてやっていただきたいという希望が示されました。これはやはり上場は困るという認識でよろしいですか、総裁。

小村政府参考人 あくまでも株主は政府であります。私どもはそのもとで働いている集団であります。政府がどういう方針で臨まれるか、私どもは率直に希望を申し上げますが、具体的な方法等についてはやはり政府が責任を持って決めていただきたい、こう思っております。

楠田委員 認識をお聞きしましたので、本音として、やはり上場は困るという認識だったと受け取らせていただきます。

 そうしますと、附則第二条の必要な措置ということが問題になってくるわけでありますが、この必要な措置とは、上場せずに親密先に優先的に売却するという意味も含まれるのか、尾身大臣。

尾身国務大臣 本法律案におきまして、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう、政府保有の株式の処分の方法に関する事項について検討するというふうに規定しているところでありまして、今後、諸事情を踏まえて検討していくことにしております。

楠田委員 私としましては、こうした法案審査、大切な場でありますから、尾身大臣から政治家としての見通しもお聞きをしたいと思ってお聞きしているわけであります。

 私としまして、政府保有株式というのは国民の共通な財産でありますし、公正な価格及び方法が担保される流通の場を確保する、また株式取得者の換金機会を確保するという観点からも、上場した上で売却というのが何よりも望ましいのではないか、先ほど申しました、足元を見られて安く買いたたかれるということもないのではないか、そうした意見を改めて申したいと思いますが、それに関して答えも先ほどと同じようなことでございましょうから、先に進みます。

 また、同じく附則第二条の中で、市場の動向を踏まえてと、何度もこれまでも答弁にあったところでありますが、この市場の動向というのは具体的にどのような状況を想定されているのか、お答えをお願いします。

勝政府参考人 株式市場の動向を踏まえてという点についてでございますけれども、一つは、処分に当たりまして、その前に株式の種類、数、また処分方法及び処分のタイミング等を検討する必要がありますけれども、処分のタイミングにつきましては、やはり、具体的な処分を行う場合には、市場動向というものを踏まえる必要があると思っています。

 市場動向につきましては、経済全体の動向の影響を受けることが多々ありますので、やはり、機械的に一律に売却を進めることができない場合も当然想定されますので、その意味で、株式市場の動向を踏まえつつということだと思っています。

楠田委員 非常にあいまいなお答えだと思いますが、そうすると、市場の動向次第で、このめどの七年を延ばす場合もあり得るということでございましょうか。

 もう一つあります。そのときの妥当性を客観的にいかに担保されるおつもりか、この点もお答えをお願いします。

勝政府参考人 法律では五年ないし七年ということをうたわれておりますので、株式の処分は当然その期間内だと考えております。

 もう一つは、なぜ五年ないし七年か、あいまいな期間じゃないかという御疑問だと思いますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、まずビジネスモデルを確定させる必要があること、また、それを踏まえまして株式処分方法等について確定する必要があること等をにらみまして、五年ないし七年という期間にいたしております。

楠田委員 五から七年という期間のことは聞いておりませんで、これを延ばすことはないと先ほどおっしゃったととらえておりますが、それでよろしいですか。七年以上になるということはないと。

勝政府参考人 法律に、五年ないし七年をめどということになっていますので、それを変えるつもりはございません。

楠田委員 そのめどの表現、細かいようですが、市場の動向云々、先ほどの全くあいまいな動向の中で、やはりこれを先延ばしにする可能性もあるのではないか、このことを私は危惧しております。

 やはり、期限というものをしっかりと決めて、それがあるからこそ、前倒し前倒しで計画を出していく、だからこそ期限があるわけでありますから、この期限というものを、めどということで、めどだから八年でも九年でもいいということであっては私は法律の意味がないと思っているわけであります。今の姿勢にもそれがあらわれているのではないか、そう思っているわけであります。

 改めて問いますが、仮にその七年、めどということで延ばすということになれば、そのときの説明はいかにされるおつもりなのか、この点、もう一度お願いします。

勝政府参考人 法律上、五年ないし七年をめどと言われておりますので、それを変更するつもりはございません。

楠田委員 変更するつもりがない、そのめどのところはお答えしないようですから、聞き方を少し変えますが、郵政も、何度も郵政と比べておりますが、この期限を義務として、十年という義務をはっきりとさせたために、上場を、計画で四年、可能なら三年に早くする、その後、五年で完全売却と明確に示したわけであります。そういうことを片方はしているのに、こちらの方はなぜしないのか。そうした非常に消極的な姿勢を見てとっているわけであります。

 市場の動向も、先ほど非常にあいまいでありましたが、この点も、今の時点で見きわめを具体的に示して、仮に、その動向がどうなればどうなる、延ばす、市場がよければ前倒しして売却もする、そうした工程表をつくるべきではないか、私は今でもそのように思っております。この点はもう最後にしますが、工程表の件ですから、大臣からその意思だけ、そうしたことを明確に示すべきではないかということに対して、大臣からお答えください。

尾身国務大臣 先ほどから答弁をしておりますように、五年ないし七年をめどにということでこの売却を進めてまいりたいということでございます。

楠田委員 非常にこの法律の中であいまい性としてこれは残っていくのではないか。上場するかどうかも明らかではありませんし、その期間の間にどのような売却をするかすら示されていない中の法案審査というのは、全く私は意味をなさないと強く思っております。

 最後に、ちょっと資金調達について、残された時間も少ないですから確認をしたいと思います。

 資金計画については、きのうの質問でも、ないということはほぼ明らかになりましたが、少なくとも、今回特例として、法施行後、準備期間から一千億円の民間調達、これを予算化されている。これだけ特例としているのも僕も少しわからない点がありますが、今年度、まず、少なくともこの一千億円をどのように募集されるおつもりか、この点、小村総裁からお願いします。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案で、私どもの完全民営化に向けて、資金調達の多様化ということで大変御配慮をいただいておりまして、その中で、民間金融機関からの借り入れということが一つ新しい調達手段ということでつけ加えられたわけでございますが、この一千億円につきましては、現私どもの銀行が、地方銀行それからメガバンクも含めまして、非常に最近は幅広く業務面でリレーションシップを結んでおりまして、そういうところをベースにしながら、いわば相対で、最適な条件で調達をやっていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

楠田委員 今回は一千億円という額でありますが、少なくとも、今後、そうした政府保証債、財投借り入れというのが減っていくのは間違いないですから、民間調達が大きくなっていくのは間違いないと思っております。そうだとすれば、例えば、私も銀行におりましたけれども、主幹事に調達を委託して規模を拡大していくシンジケートローンのような形もあると思いますが、こうした形式を、額は今回少ないですが、今回から試してみるということも大切なことではないかと思っておりますが、この点は総裁からでも。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃいました当面ということで申し上げれば、今私どもが考えておりますのは、先ほどお答えいたしました、民間金融機関との連携関係というものをベースにした相対ということを前提にしておりますので、当面は、先生のおっしゃったような形では考えていないということでございます。

楠田委員 先ほどから申しておりますように、この法案、非常にあいまいな点が多い。それ以前に、そもそも、新会社にしてこれからどうなるかのモデルが全くないという中で、非常に危惧を覚えておりますが、その中でも、仮に前向きな話をするとすれば、そうした調達の仕方をこれからぜひ前向きに考えていただきたい、いろいろな方法を今のうちから、早いうちから取り組んでいただきたいという思いで、提案の一つとしてさせていただきました。

 時間がもうほとんどございませんので、私としての今回の思いを述べさせていただきますが、この法案審査のときこそ、私は、国民がチェックをする非常に大切な期間、絶好のチャンスだと思っております。しかし、今回の政策投資銀行のこれからの将来で、何よりも、一〇〇%政府が株式を保有してこれを売却していくという大変重要な部分を、今回法律が通れば、ほとんどチェックがきかないままこのまま進んでいくのは私は到底理解できない、賛成をすることはできないと思っております。国民の税金をいかに考えているのか。

 日本政策金融公庫の議論の中でも、合併をする際、民間とは違うというような渡辺大臣の話もありました。しかし、民間と違うということは、私は、決して違いまして、国民の税金であるからこそ、民間以上に、綿密な計画のもとにこうしたプランを立てていくべきではないか、説明をすべきではないかと思っておりますが、最後に、尾身大臣、この点に関しては、今回の法案に関してどのように思っておられますか。

尾身国務大臣 大きな流れが官から民へということで、こういう方向で従来の政策金融の考え方を変えていくことが日本経済の全体としての活性化につながるという考え方でございまして、そういう基本的な考え方を踏まえて、これから対応してまいりたいと考えております。

楠田委員 政府の方はこれからこれからと言われますけれども、やはり、国会の審議の場ということが国民にとりましては大変重要な説明の場でありますから、ぜひとも、こうした国会軽視の今の状況を是正するように政治家としても努めていただきたいと強く申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 きょうも、昨日に引き続きまして、株式会社日本政策投資銀行法案について質問をさせていただきます。

 昨日の質疑では、日本政策投資銀行のJAL向け融資について議論をさせていただきました。きょうは法案の内容につきまして質問をさせていただきます。

 ただ、昨日、最後は時間切れになってしまいました。一点だけ、きのうのJAL向け融資の話につけ加えさせていただきたいことがございます。

 小村総裁の答弁の中に日産の成功事例のお話がございました。つぶれるんじゃないかと言われながら、緊急融資をして見事立ち直った、こういう例もあるんだというお話がございました。だけれども、日産の再建のケースとこのJALの再建のケースは私は全く違うというふうに思います。日産は荒療治をしました。だけれども、JALの再建計画は、きのうも申し上げましたように、切り込み不足と言うほかありません。政策投資銀行の方々が、JALからの再建計画、何度もこれを突き返したことも知った上でのお話です。

 時期尚早だったという言葉を使わせていただきました。これは、貸してはならないということを言ったわけではありません。再建計画の内容もさることながら、組合、社員の方々が、今もなお一万五千円という高額なベースアップを要求する状態、あるいは、廃止を決めた路線を地元の強い要請で早々に撤回する、こういう状態で、幾ら小村総裁がこれは追加融資ではありませんということを言われましても、急場しのぎの追加融資にしか私には受け取れないということを申し上げました。

 本当に立ち直らせようということであるならば、過去のJALの経営の経緯あるいは今の再建への取り組みを考えますと、その融資決定においては、慎重というよりも、むしろ冷徹かつ厳格な対処が必要だということを最後に意見としてつけ加えさせていただきます。

 さて、法案内容の方の質問に移らせていただきます。

 まず最初に、尾身財務大臣にお尋ねをいたします。

 これまで、日本政策投資銀行、旧開銀も含めて、まさにさまざまな役割を果たしてこられましたけれども、尾身財務大臣はこれをどのように評価しておられますでしょうか、そのお考えを聞かせてください。

尾身国務大臣 これまで、日本政策投資銀行は、その前身であります日本開発銀行及び北海道東北開発公庫時代を含めまして、政策金融機関として、民間金融機関のみでは適切な対応が困難な分野に対しまして長期資金の供給等を行ってまいりました。

 具体的には、伝統的なインフラ整備やエネルギー事業等の分野を初めとして、プロジェクトファイナンスや地域再生、事業再生等の新しい分野において金融上の寄与を行ってきたと承知をしております。

 このような役割につきましては、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自主的、自立的な発展に資するものであったというふうに評価をしているところでございます。

三谷委員 私も、全く今まさに大臣がおっしゃられたとおりだというふうに思います。

 JAL向け融資のことでは大変厳しいことを申し上げましたけれども、エネルギー関連事業あるいは鉄道整備事業、環境整備事業、最近では、この環境整備に加えて、今も大臣のお話の中にございました、地域再生事業でありますとか技術支援事業あるいは事業再生ファンド、民間の金融機関にできない、まさに政策金融機関として、あるいは投融資で大変大きな貢献をしてこられた、そのように評価しております。政策金融機関としては、ある意味一番の優等生だというふうに思っています。

 その役割を十分に果たしながら、経営も大変良好であります。国庫納付でも随分と貢献をしてきています。商工中金がコストパフォーマンスという意味での最優等生であるならば、まさに本筋の政策金融の最優等生は日本政策投資銀行だというふうに思います。

 そして、そのいずれもが、今回、こういう形で完全民営化をされます。本心を、もちろん議論をするつもりはありません、そのまま申し上げますと、商工中金もしかり、あるいはこの日本政策投資銀行しかりですけれども、完全民営化をするというのは本当に愚かな話だというふうに思っています。

 利益不利益、あるいは効用不効用、そのいずれをとっても不利益と不効用の方がはるかに大きいというふうに思っています。きのうの最後の佐々木憲昭委員の質疑のこれまた一番最後の部分で、政策投資銀行の完全民営化はだれも望んでいない、だれも利益を受けない、こういう話がございました。私も全くそのとおりだというふうに思います。

 正確に言えば、国庫は利益を受けることにはなります。完全民営化で会社にして、株にかえて売るわけですから、二兆円は国庫に入るわけですから、国庫は利益を受けますけれども、効用不効用を考えますと、はるかに不効用の方が私は大きい話だというふうに思います。

 言いかえますと、国がこの日本政策投資銀行を二兆円で売るという話に等しい話だというふうに思います。もっと言えば、先ほど大臣からも評価がございました、日本政策投資銀行がこれまで行ってきた貢献とかあるいは現有の価値からいたしますと、二兆円というのは随分安い売り物だなというふうにきっと政投銀の方々も思っておられるに違いないと思います。

 愚かな話だとは思いますけれども、この完全民営化というのは既に決められた話だから、申し上げましたとおり、今さら議論するつもりはありません。本当に申しわけない話だというふうに思っています。申しわけない話ですけれども、この完全民営化の流れの中で、日本政策投資銀行がこれまで行ってきた役割を可能な限り、政投銀から出されているさまざまな資料でも、四つのDNAの話でありますとか今まで行ってきたサービスの話でありますとか、ありがたいことに、持ち続けたいという話であります。それを残していただきながら、かつ日本政策投資銀行をきちんと運営していける方策を考えなければいけないというふうに思います。

 そこで、まず小村総裁にお尋ねをいたします。

 今までのお話の中で、まないたのコイだからというお話でございましたけれども、完全民営化後におきまして、既に決められた制限、特にもう政府出資そのものがなくなるわけですから、資金調達のコスト高を初めとしてさまざまな制限はございます。制限はございますけれども、その制限の中で、日本政策投資銀行がまさに言われております四つのDNAを維持して、あるいはさまざまな金融サービス、新金融技術開発力を生かした投融資一体となった中長期のリスクマネーの供給など、まさに御行が示しておられる特色ある金融サービスの提供を続けていただくために、これからできることで、今ある制限の中でできることで、必要な措置としてお望みになられること、考えられることを教えていただきたいと思います。率直にお考えをお聞かせいただきたい。お願いいたします。

小村政府参考人 きのうと違いまして大変御理解のあるお話をいただきまして、大変感謝いたしております。

 やはり私どもの銀行も、先生おっしゃるように、ただ株を高く売ろうと思えば、ファンドに売れば、それは時価の何倍かになります。しかし、私どもの銀行の職員は、それでは職をやめてしまいます。現場を預かる人間としては、五十年培ってきた歴史を大事にして、先輩から教わった審査能力、これをますます高めていく、こういった過程でみずからの力で生きていく、そういうものであらねばならないと思っております。

 私どもは、新しい金融分野において、恐らく日本で最先端の技術を持っております。例えば、地方公共団体のこれからの課題は、水道やガス事業の民営化、こうしたものについて、新しいPPPという方式をまず最初に私どもは導入し、今、関係地方公共団体との御協力もいたしておりますが、こういったものがビジネスとして成立をしていくようにしていく。あるいは、先ほど小沢先生がおっしゃったような都市再生ファンド。都市の再生についてリスクをとる人が少ないわけなんです。そういうリスクをとる仕組みをどうやって開発するか、これが我々の知恵の出すところであります。こういった先端的な分野については、私どもの職員は実力がありますから、どこにも負けません。

 ただ、先ほど来おっしゃっております、佐々木先生の御指摘もありましたように、例えば都市の鉄道の、今、通勤地獄を解消しようと思って各私鉄の社長さんたちも一生懸命やっております。あらゆる努力をされております。そういう問題について、どうやって長期の低利の資金を調達するか。これは、民間でできないことを私どもにやれ、腹切り融資をしろ、それは無理な話であります。しかし、私どもの希望としましては、例えば危機管理の手法を使ったああいう手法でお役に立てることがあれば、それは可能でございます。

 今、私どもがなぜそういうことをやれているかというのは、例えば政府の保証をいただきまして、これは郵便貯金のお世話ではございません、外債を発行したら、三十年物で、郵便貯金よりももっと低い金利で調達も可能なんですね。例えば、今、鉄道でありましたら二十年、三十年、国土交通省は四十年の償還期限でも許しております。そういったものについて私どもが御協力をし、それによって利用者が高い料金も払わないで通勤が快適になるような、そういう方向で今進んでいるわけです。

 こうした政策課題は、これは政府の方で、あるいは政治の皆さんでお考えいただきたいと思います。

三谷委員 ありがとうございました。

 大変ありがたいお答えでありますけれども、ただ、私も頭がよくない上に専門家でもないので、それでお尋ねをした次第なのですが、この後で、さまざまな必要な措置のことについてお尋ねをしたいと思っています。

 だけれども、今まさに小村総裁、いろいろなお話をされました。PPPのお話でありますとか都市再生ファンド、昨日は、新しい金融手法を駆使したプロジェクトファイナンスの話でありますとかあるいはまた独自の金融技術を駆使した投資銀行的な業務、総括して言えばそういうお話ではないでしょうか。

 ただ、これはみずから自身の、ある意味理想的と言えば語弊がございますけれども、今までは政府保証債あるいは投融資資金を使ってできた話が、これからできなくなる。できなくなるのにお考えいただきたいというのは本当に困ってしまうお話なのですけれども、例えばどういうことを必要な措置の中に盛り込めば、今総裁がお話しをされたことに少しでも資するような話になるんでしょうか。それを教えていただけませんでしょうか。

小村政府参考人 おっしゃるように、今いろいろな課題があります。例えば、先ほど申し上げませんでしたが、地方再生の問題。これは、国も地方もこれからは財政難に陥ります。そうした際に、補助金や税金を使った政策よりも、政策金融を使った方がはるかにすぐれた分野がございます。ただ、この分野も、やはり採算性から考えると非常に採算がとりにくい分野であります。私どもは、すべてそこから撤退するということはいたしません。事業性のあるものを選んでやってまいりますが、仮にもう少し突っ込んでやれというようなお話でありましたら、これはもう、先ほど申し上げました、政府あるいは政治の世界で議論をしていただきたいんですが、一つのヒントとしては、今回、緊急時対応とかそういったものについての対応が残されておりますが、こうしたものが一つのヒントになるのではないか、こう考えております。

三谷委員 実際、なかなかその答えの部分というのはないのではないかというふうに思っています。

 そこで、今度は財務省の方にお尋ねをしたいのですが、勝審議官の御答弁の中にもさまざま援用されています。行革推進法の六条に、政府は、完全民営化に当たって、商工中金と並列して書かれておりますけれども、日本政策投資銀行の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための必要な措置を講ずるというふうにございます。これは具体的にどういう措置を講ずることなんでしょうか。どういうことを想定しているんでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃいましたように、行革推進法第六条第三項におきまして、政府は、完全民営化に当たりましては、日本政策投資銀行の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置ということがうたわれております。

 その意味でございますけれども、平成二十年十月の、現在の日本政策投資銀行の解散時におきまして、その資本金等が、所要の資産評価を行った上で新会社に承継されるものと考えております。

 それで、承継される資本金等の額でございますけれども、それは平成二十年十月の額でございますので現時点では確たることを申し上げられませんけれども、十八年三月時点での資本金等、これは剰余金等を含んでいますけれども、約二兆円程度でございます。

 以上でございます。

三谷委員 勝審議官、今まさに審議官がお話しになられましたのは、移行期間の特殊会社の承継される二兆円が多分資本になるんですね、幾らか増減はその時点であるかもしれませんが。

 私が申し上げているのは、「完全民営化に当たって」と六条には書かれております。つまり、今お話しになられた二兆円の話というのは、売却をするわけですから、完全民営化とはそういうことですね。

 要するに、その先にDBJが生き残っていくといいますか、ちゃんと先ほど申し上げたような機能を維持しながら、もちろんそれはビジネスモデルをどう構築していくかということにもよります。よりますけれども、どういうことが想定されて、例えば、同じように書かれている商工中金の場合は、経済産業大臣あるいは経済産業省はめちゃくちゃはっきり言っているんですね。特別準備金の話も、この項があるから残したっていいんだよ、必ずしも国庫納付ということではありませんよ、そのためにこれは書かれているんだからというふうに言われているんですね。

 でも、きのうの質疑でもこの話が出ましたけれども、財務省並びに財務大臣からは、ここに係る、まさに日本政策投資銀行が、完全民営化後も、政府出資がなくなる、円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための必要な措置を講じるとはどういうことが想定されているんでしょうか。どうでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃいましたように「日本政策投資銀行の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずる」ということが書かれております。それを受けましての本法律案におきましては、まず第一に、完全民営化の実現に向けまして、現在は収支相償原則になっていますけれども、民間金融機関として自立するために収益性を高める観点から、日本政策投資銀行の強みであります出資と融資を組み合わせた長期のリスクマネーを引き続き供給できるよう、必要な業務の規定等所要の措置を講ずることにしています。

 また、二つ目は、完全民営化に当たりまして、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう、政府保有株式の処分の方法に関しまして具体的な検討を行いまして、それを踏まえまして必要な措置を講じます。

 また、三番目には、会社の業務や機能等が完全民営化後の新組織に円滑に承継されますように、必要な措置を講じます。

 以上でございます。

三谷委員 勝審議官、全くお答えになっておりませんし、次に私が聞くお話にまで触れて。

 同じように、その六条に、まさに今、勝審議官がおっしゃられた「日本政策投資銀行の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずる」とは、具体的にどういう措置を講じることなんでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 まず、三つ申し上げましたけれども、一つ目は、現在は政策投資銀行は収支相償原則に基づいて業務を行っていますけれども、これからはもうかるようにしないといけないということで、いかなる手法で長期のリスクマネーを提供するかという新たなビジネスモデルを構築するというのが一つ具体的にあると思っています。

 もう一つは株式処分のあり方でございますけれども、これにつきましては、一つは長期の事業資金の供給、その根幹を維持するという要請がございますし、また参議院の附帯決議におきましては、そのために安定した株主構成を構築する必要があるという要請も受けています。

 ただし、他方、やはり財政当局としましては、できるだけ高く売りたいということもございます。また、処分を円滑に行う必要があるという要請がありますので、そういうもろもろの要請をいかに調整するかということを、新たなる検討会の場を設けまして、有識者、専門家に入っていただきまして、そういう株式の種類とか株式処分の方法等を検討いたしたいと思っています。

 また三つ目、新組織に円滑に承継されるための必要な措置でございますけれども、例えば今想定されますのは、登録をどうするかとか、場合によっては、金融機関の形を業態として一部選択する場合にはみなし免許をどうするかとか、そういうものが具体的な検討課題だと思っています。

三谷委員 勝審議官、全く具体的でも何でもありません。もう事実上、政投銀の場合は空文に等しいんじゃないか。一番最初に小村総裁にもお伺いしたのは、私もわからないから、どういうことがありますかというお尋ねをしたんです。

 同じように、先ほど財政基盤確保の話で商工中金の特別準備金のお話も、経産大臣あるいは経済産業省の方々がこうおっしゃいましたよと。ここの話でも、六条に並列して書かれておりますけれども、商工中金の場合は完全民営化後も金融債の発行をやってもいいんだ、そういう具体的な話までされましたよ。これは具体的な話です。そのための必要な措置が必要ですよ、それは。だけれども、今の話の中では全く具体的な話は出てこない。

 どういうことを想定しているんですか、どういう助けになることがあるんですかというお尋ねをしているんです。ありますでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 具体的な事例としまして、金融債の発行をおっしゃったと思います。この点につきましては、移行期間中の新会社は、現在の政府信用を背景としまして、資金調達の大半は財政投融資からの借り入れ、また政府保証債を発行しておりますけれども、移行期間中は、社債発行、預金受け入れ及び金融債の発行ができるようになっております。

 完全民営化後は、例えば金融債の発行につきましては、長信銀になる必要があります。そういうことにつきましては、やはりビジネスモデルと関連していますので、現在決まっておりません。

三谷委員 株の処分の話もそうですけれども、ビジネスモデルの話と関連しているから、ある意味もう一切白紙なんだ、こういう話に近いんだろうというふうに私は思います。

 もう時間がなくなりました。最後に財務大臣にお尋ねをいたします。

 小村総裁にもお話をいたしました。まさに日本政策投資銀行、先ほど大臣も評価をされました。完全民営化をされるんだけれども、今まで持っていたようなスピリッツをちゃんと持っていただいて社会貢献をする、あるいは、新しい長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう、そして四つのDNAを持ち続け、かつこれまでのサービスが可能になるように、それに資するための必要な措置を、できれば完全民営化時に法律でその必要な措置をきちんと規定してもらいたいというふうに思うのです。

 今のお話からすると、ビジネスモデルが決まらないんだから決まりませんというお話でもありましたけれども、ぜひそれをひねり出していただいて、まさに資するような話を必要な措置として規定していただきたい。どのようにお考えになられているか、聞かせていただきたいと思います。

尾身国務大臣 この政策投資銀行の完全民営化の問題でございますが、基本的には、民間でできることは民間にゆだねて、簡素で効率的な政府を実現するという考え方に立って政策金融の改革を行うものであります。

 したがいまして、基本的には、公的部門の縮小と政府信用の圧縮により、簡素で効率的な政府を実現する、そして我が国の経済の効率化、活性化をそれによって実現するという考え方でございます。

 今までの政策投資銀行の役割というものは極めて高く評価をしているわけでございますけれども、しかし、社会経済情勢の変化に対応して、民でできることは民でやるという基本的な方向に沿ってこの改革を進めているわけでございまして、そういう改革の線に沿って、今後の政策投資銀行あるいは民営化された後の組織につきましても、私どもとしてはそういうことを期待している、こういうことでございます。

三谷委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 大臣におかれましては、連日の御対応、大変お疲れさまでございます。そしてまた、政投銀からは総裁以下関係の皆様、連日御対応をいただいております。大変お疲れさまでございます。

 冒頭、この政投銀がこれまで、先ほど来、同僚議員の質疑を伺っておりましても、例えば航空会社ですとか、あるいは電力ですとか、私たちが今日的な豊かな暮らしをすることができる、その前提となっている社会基盤はもとより、いろいろな町づくり等々、各方面でこれまで縁の下の力持ちとなって御尽力をいただいた結果、まさに我が国の発展があるわけですし、私たちの暮らしがこれだけ豊かになったというふうに思っています。

 そういう意味では、その政投銀を今回民営化していくという限りにおいては、これはなるほど、今以上によくなるんだろうと。つまりは、今まで何の問題もないわけでありますから、今以上によくなるんだろうと。そこを見きわめる必要が、我々は立法府としてあるわけでありますので、ぜひ充実した審議となるように、質疑が始まったばかりでありますので、しっかりやってまいりたいというふうに思っております。

 私からは、委員長のお許しもいただいて資料も配らせていただきまして、幾つかお尋ねしてまいりたいと思っております。

 まず、今、政投銀は国庫にどのぐらい貢献をなさっておられるか、教えていただけますか。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

小村政府参考人 開発銀行以来、あるいは北東公庫を合わせまして約七千億円近い国庫納付をいたしております。一昨年、百六億の国庫納付をいたしておりますが、このたび終了いたしました決算においても国庫納付を予定しております。

古本委員 いわゆる政府系金融機関八公庫ある中で国庫に貢献しているのは、恐らくJBICと政投銀ぐらいじゃなかろうかと。若干、他に一つぐらいあったかもしれませんが、規模、ボリューム、安定的貢献、継続的貢献等々をしんしゃくすれば、圧倒的に政投銀は貢献してきているわけですね。

 さて、今、政投銀の持っておられるアセットを全部積み上げると、時価総額、幾らぐらいになりますか。事務局でいいですよ。

小村政府参考人 総資産ベースで十三兆円でございます。

古本委員 財務大臣、総資産十三兆の会社を売却したならば、予想する売却益はどのくらい、売却価格はどのくらいもくろんでおられますか。

尾身国務大臣 資産の額と負債その他いろいろなことを総合して、どのくらいのネットの資産があるかということもよく含めまして検討する必要があると考えております。

古本委員 事前に理事会にて資料要求をしたところ、民営化における売却益による見込みということで何やら数字をいただいておりますので、事務局、答えてください。どのぐらいを見込んでいますか。

勝政府参考人 純資産ベース及び資本金及び利益剰余金を含めまして、平成十八年三月末現在では二兆円でございます。

古本委員 これは大臣、経済財政諮問会議に財務大臣が提出した資料に二兆円と書いているんです。よろしくお願いしたいと思いますが、約一・九兆円の売却益を見込んでおるということですね。

 さて、今、国庫への貢献は、これまで累計で六千億円になんなんとする貢献をしていると。七千億円、失礼しました、もっとあるということですね。一過性のもので売り切れば二兆円。これは大臣、これまで七千億円貢献している孝行息子ですよ、ずばり。これを一・九兆円で売れるかどうかもわかりませんよ、たらればで見込んで一・九兆円。どっちが得なんですか。

尾身国務大臣 基本的には、パブリックセクターによる金融については、例えば中小企業対策とか、あるいは海外のエネルギー資源の確保とか円借款とか、そういうものにこれからは限っていこう。つまり、官から民への大きい流れの中で、民間の活力を生かしていくことが日本経済全体の活性化になるという考え方の行政改革を進める一環として、この政策投資銀行の民営化も進めるということでございます。

 したがいまして、そういう考え方から我々はこの改革を進めているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

古本委員 その御趣旨はそのとおりだと思います。ただ、民営化という以上は、これは冷厳なる数字で議論をしたいわけでありまして、どちらが経済性が高いかということを私はお尋ねしているわけであります。

 これまで七千億円、国庫に貢献をしている政策金融機関がある。これを売れば、一過性のお金として国庫に一・九兆円が入る。さて、どっちが得か。これは一・九兆円で売れる前提として、ああ、なるほど、新生株式会社日本政策投資銀行、名称はどうなるかはよく存じ上げませんが、その新しくできた民間会社が、マーケットによって評価されないと株は売れませんから、たらればで売れたとして一・九兆円なんです。まず一点目、これは強く指摘をしておきたいと思います。

 では、一・九兆円で売れるためにどういう民間としてのプロセスをとっていくかについて少しお尋ねしたいと思いますが、お配りいたしました資料の五、六をごらんいただきたいと思います。

 年度別の融資残高ですので、ストックベースですね。例えば地域再生支援、環境対策・生活基盤、技術・経済活力創造、これだけの漢字を読むとどういう事業かイメージがわきませんが、政投銀、例えば電力の皆さんに、例えば発電所とか大変長期にわたる投資が必要な電力インフラ、こういう場合はどういうカテゴリーに入るんですか。

 それとあわせて、皆さんもきょう通勤で電車に乗っていらっしゃった職員の方は多いと思いますが、例えば鉄道なんというのは、高架事業とか、そういう長期的な投資が必要だと思いますが、そういうのはどこに入りますか。

小村政府参考人 ごらんのように、私どもの銀行は重厚長大から、現在は地域再生、これに約五〇%、環境、防災に約二五%になりましょうか、技術、経済活力の創造に一五%、大体そういう配分でございます。

 その中で、今御指摘の電力につきましては、環境・エネルギー、こう書いておりますが、ここに入っております。

 それから、鉄道の場合には、広域ネットワーク整備、この中に入っております。

古本委員 ありがとうございました。

 つまり、政投銀のこのストックベースでの貸出先のシェアを見たならば、まさに政投銀事業の根幹を支えておる地域再生や環境対策の範疇の中に、今私が申し上げたような事例が入っているわけなんですね。

 さて、では例えば鉄道の高架事業を少し想定したいと思いますが、あるAという電鉄会社が、高架事業のために資金需要があったといたします。今現在、高架事業にどれほどかかるかわかりませんが、例えばの数字で五百億円かかるという大変大きな高架事業としましょう。では、この五百億円を政投銀単独で貸されますか。それとも、融資団を組まれますか。

小村政府参考人 個別の事業について、おのおのの鉄道会社の事情もございますから区々でありますが、例えば小田急の大高架事業、これは相当な規模で、いわば国家的プロジェクトでやっております。その中での占める分野というのは、私どもが多うございます。あとは、今は何と申しましょうか、鉄建公団の部分とか、そういった関係者が参加をしてやっているということであります。

古本委員 個社のお名前は控えたんですが、総裁から小田急と言っていただいたので、話のイメージがわきやすいので、では小田急の例で申し上げたいと思いますが、小田急にお金を融通する際の金利が問題になると思うんですが、資料の七をごらんいただきたいと思います。

 政投銀の現在の貸出金利の決め方、決まり方の資料をちょうだいしましたが、小田急さんの個別のパーセンテージは結構ですので、考え方だけ教えていただきたいと思いますが、市場金利、これは恐らく長プラぐらいを充てるんでしょうか、この市場金利という一番上の軸がこうございまして、これはいわゆる世間の一般金利ですね。これに政策強度に見合った優遇をしていくわけでありまして、政策金利幅が、1あるいは金利の2というカテゴライズに基づいて、融通の度合いの幅がございますね。例えば鉄道の高架事業というと、大体どちらの方を当てはめるんでしょうか。数字は結構ですよ。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃいました鉄道の高架化のような、そういうものにつきましては、ここにございます政策金利2というものが適用されます。

古本委員 つまり、鉄道の高架事業のようなものは、恐らく沿線住民のニーズ、交通の利便性、あるいは交安上の、交通安全の観点、さまざまな鉄道会社の事業のニーズ以外による、いわゆる外的なニーズによって高架をしなきゃいけないという大変社会的なプレッシャーもある中で、恐らく大事業を鉄道会社は判断されるんだと思います。しかるにこれだけのインセンティブが与えられる、まさに政策優遇をされている、こういう理解だと思うんですね。政策金利の2は最大幅でありますので、そういうことだと思います。

 さて、政投銀が民営化された以降は、鉄道会社の高架事業の引き受け手はどこになるのでしょうか。どういったところを想定されているでしょうか。

小村政府参考人 私どもも力の及ぶ限り御協力を申し上げたいと思っております。

 ただ、今までと同じようなものを提供しろと言われますと、それは、現状のまま民営化いたしますと、私どもの調達金利も高くなりますし、そのままの条件というのは無理かもしれません。

 ただ、金融の手法としていろいろな工夫の余地があろうかと思っております。ただ、ほかのプレーヤーも必要であることは確かであろうと思います。

古本委員 いや、総裁、ここは大事ですよ。資金需要がある人々に、会社、社に貸すということの判断は、一般の普通銀行であれば、それぞれのいろいろな思惑で貸し借りが、金銭消費貸借が成立すればいいと思うんですが、これはまさに鉄道事業という、社会のニーズ、国民的なニーズのある公益性の高い事業をこれまでは政投銀が政策金利の融通幅2を適用して、率直に言って低利でお貸しをなさっていたわけですね。おかげで鉄道会社も何とかやってこられたわけですね。

 では、鉄道の事業の高架事業や、あるいはさまざまな複線化とかいろいろな事業が恐らくあるんだと思いますが、そういうものがないというならいいですけれども、今後恐らくありますよ、これは。あるということがわかっておきながら、民間企業になるわけですから、こんな政策融通をするすべがないですね、しようがないんです。

 代替的な方法を具体的に考えておられますか。例えば、関係の所轄する省庁や何かが新たなインセンティブのつけ方みたいなものを想定されていますか。

小村政府参考人 個別具体的な話で申しわけございませんが、例えば小田急のこの高架事業、私どもが民営化されました、あしたからはもう御融資できません、そういうことではお客様に対して大変な御迷惑をかけます。そういう意味で、経過的な措置として、我々はできるだけのことをやってまいります。

 ただ、先生がおっしゃるように、新たな投資に対してやはり新たな仕組みをつくっていただかないと、我々に腹切り融資をしろとか、採算性の悪いものに、民間銀行ができないことを我々にやれというのも、それは無理な話であります。それは先ほど申し上げました政治の問題であり、鉄道政策をどうするか、通勤地獄をどう解消するか、これはまさに国土交通省の問題でもあろうかと思います。

 したがいまして、国土交通省においてそういう必要性がありとすれば、しかも、我々の銀行が、こういう鉄道やエネルギーについて他のどの機関よりも知見を持っています、データベースも持っています、それを活用するということであれば、例えば作用法のようなものをつくって指定金融機関にするとか、いろいろなアイデアがあろうと思うんですが、それはまだ決まっておりません。

 これは私の単なる希望でありますが、もしやれと言われるのなら、私どもとしては制度的担保をいただかないとできない、こういうことであります。

古本委員 大変わかりやすかったですね。

 財務大臣、今のやりとりを聞いていただいていたと思うんですが、昨日の答弁で、財務大臣は、今会議録を取り寄せましたが、累次にわたりまして、この政投銀の持っておる根幹機能、つまり長期の投融資、これを維持していくんだというのを、これはもう複数回答弁されているんですね。

 片や、政投銀は、政策金利2を適用しようと思ったならば、何か仕組みとしての担保がないと、そんなの、民間企業になれと言われて野に放たれて、どうしていったらいいんだという非常に御懸念を持っておられるようでありますが、また、非常に財務省を知り尽くしておられる総裁におかれて、私の立場でそれは言えませんという、大変謙虚に言っておられるわけですね。大臣の出番ですよ。

 例えば鉄道事業でいけば、これは国交省に何がしかの働きかけをして、鉄道の高架事業については、まあ私ごときが提案する話ではございませんが、例えば何がしかの補助金等々を想定していくということですか。その仕組みをつくらないと、この融資は成り立ちませんよ。

尾身国務大臣 大変大事な基本論でございます。

 政策投資銀行につきましては、行革推進法において完全民営化をするということが定められております。

 また、十七年の十二月の閣議決定におきまして、行政改革の重要方針というのを決めました。その中で、政策金融については今後三つの分野に限定をする、一つは中小零細企業、個人の資金調達支援、二つ目が国策上重要な海外資源確保、国際競争力確保に不可欠な金融、三つ目が円借款、こういうことでございまして、それ以外の業務については撤退をするという方針に沿ったものであります。

 つまり、民間でできることは民間にゆだねて、簡素で効率的な政府を実現するという考え方に立って政策金融の改革を行うということでございます。

 政策投資銀行の民営化につきましても、このような考え方によるものでございまして、公的部門の縮小と政府信用の圧縮によりまして、簡素で効率的な政府を実現し、我が国経済の効率化、活性化に資するという考え方であります。

 今のお話の特別の問題、政策的にやる必要があるということについての法的な枠組みの構築につきましては、政策の必要性にかんがみまして、必要な場合には別途検討されるべきものであると考えております。

古本委員 別途べきとか、他人事じゃないです。それは、大臣は電車なんかに乗ることはないかもしれませんが、職員のみんなは大体……(発言する者あり)みんな電車に乗っているんですよ。その高架事業がなくなっちゃったら困るんですよ。

 それをどうするんですかと総裁に聞いたら、政策金利の2を適用するには余りにも、仕組みとしての担保がなければとてもできませんとおっしゃっているんですよ。それに対して、大臣にどうですかと聞いたら、別途検討されるべきでしたか、別途べきだったですか、いや、この段階でそれをつくっていますよと言っていただかないと、これは賛成とも反対とも言えませんよ。

尾身国務大臣 今まで政策投資銀行が政策金融の業務を行っていた分野におきまして、例えば先ほどの軌道高架事業でございますけれども、政策的観点から引き続き長期、固定、低利の資金供給が必要と判断される場合には、当該の分野を所管する各省庁が平成二十年十月までの間に新たな立法措置等によりまして個別に対応していくべきものであるというふうに考えております。

 なお、その際、長期の事業評価能力等、日本政策投資銀行が培ってきたノウハウを活用する場合には、他の民間金融機関とのイコールフッティングを確保しながら、その上で新会社の活用を図る必要があるものと考えております。

古本委員 それではお尋ねします。

 新たな立法措置というものはどういったものを具体的に想定されているんでしょうか。

尾身国務大臣 個々の政策の必要性を踏まえて、そのために特別な措置を国としてするということであれば、それは特別に扱って、それに必要な立法措置をする、そして、そのときにどういう金融機関を使うかということも含めて、片方は、片方というか、政策投資銀行は民間銀行になるわけでありますから、それをどうするかということは、ほかの金融機関との、形式的にはイコールフッティングのもとで考えるべきであるというふうに考えております。

古本委員 いや、今のところは大事ですよ。民業圧迫しちゃいけないというのもわかりますし、イコールフッティングも大変わかります。ところが、イコールフッティングになってしまったら、政策金利の2あるいは1は適用できないんですよ。

 したがって、背景として何か物理的仕組みとして担保されないと、何か特別な金利を、いや、それは、これまでの小田急さんとのつき合いをにわかに断ち切ることはできないというその志なり男気は買いますよ。だけれども、それだけで経営されちゃったらえらいことになりますよ。当然にスプレッドも見て、どれで貸せば元も大丈夫ということで計算しないと、利益なんか出ようがないですよ。これまで国庫に七千億円になんなんとする貢献をしているんですよ。その会社を売るわけですから。

 これは、よほどのビジネスモデルといいますか、むしろフィージビリティーと言った方がいいかもしれませんね、経済性検討をして、光輝くプランですということであればもろ手を挙げて賛成しますよ。そこのところをお尋ねしているわけですので、別途法的な措置をとるというところの大臣のこの答弁は重いですよ。重いですから、今後しっかり措置をされるということをまた見きわめるということになるんでしょうけれども、今この法案の審議をしているわけでありますから、この場でその絵姿なりをせめて見せていただかないと、これは二点目の問題点の指摘としてとても判断ができないということを、強く問題点を惹起しておきたいというふうに思っています。

 これは、実に、鉄道事業だけに例を引いて申し上げましたが、先ほどの資料の五にも載っておりますように、私たち国民生活が、安心して平和にそして安全に暮らす上のさまざまな社会インフラや町づくりに政投銀は黒子となって御活躍をいただいているわけです。それを、頭脳明晰、経験、知見にすぐれるこの総裁をもってして頭を痛めておられるわけですから、これは大変な難産になりますよ。それをやるという以上は、もっともっと聞かせていただきたいことがありますので、少し進めてまいりたいと思います。

 税制です。資料の九をおつけいたしました。

 現在の政投銀は、当然政策金融機関でありますので、あまたの税制につきまして非課税という扱いを受けておられます。法改正に伴いまして、当然にイコールフッティングでありますから、これは完全に民営化した暁には課税対象ということになります。

 政投銀にお尋ねします。例えば、直近の会計年度で、決算ベースで、企業会計準拠で計算した場合に、経常利益ベースでどのくらいの利益がありましたか。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 経常利益ということで申し上げますと六百七十億程度でございます。

古本委員 ではこれを、課税対象になった暁には、当然、法人税、国税並びに地方税の事業税もかかってくると思いますが、幾らぐらい納税対象になりますか。納税額は想定されますか。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 私ども非課税法人ということで、現状の税負担は、基本的には固定資産税とかこういったものが中心で、実際六億円ぐらいの税金ということでございますけれども、これはあくまで試算ということで、実効税率を仮に四〇%ということで試算すればという前提になりますが、現状の利益水準というのを前提といたしますと約三百七十億ぐらいになる、こういうことでございます。

古本委員 再度お尋ねします。

 単年で、国庫への貢献はどのくらいありますか。単年で、現在の。

小村政府参考人 国庫納付金の基準は、別途税制とは違う基準になっております。

 したがいまして、金利の動向あるいは貸付残高が伸びている時代は、国庫納付金が余り発生をいたしません。仮に、これから私どもが恐らく資産を減らしていく段階に入りますと、むしろ国庫納付金の方が税制よりも高いものになる。税金は半分で済みますが、国庫納付金は根こそぎ納めなきゃいかぬということであります。

古本委員 ということは、現在は利益相償ですから、黒字にもならないし赤字にもならない、とんとんでということでやっておられたんでしょうけれども、利益が出た分は国庫にそのまま入れておられたという前提に立てば、民営化された方がいい、その部分に関して言えばされた方がいい、そういうことですか。

小村政府参考人 これは、その年度ごとの資産の状況、貸し付けの状況あるいはそのときの金利の状況等々によってどちらが有利かということは言えないと思いますが、民営化が決まった以上は、私どもはきちんと税金を納めてまいりたいと思います。

古本委員 ちょっと議論を戻したいんですが、要は、少なくとも今現在はその四百億円にならんとする法人税が、仮に七百億近い利益が出たならば、実効税率四〇%の想定ということで、今そういう意味では粗っぽく計算をしていただいた、ですから粗っぽい数字だということで私も受けとめますが、約三百七十億の課税対象になる、納税額になる、こういう話だと思うんですね。

 今現在の国庫への納付がどれだけの水準で推移してきて今後どうなるか、移行期間の数字も恐らくあると思うんですが、直近では、平成十六年に単年で百六億円の国庫納付ですよね。十七年あるいは十八年の数字は出ますか。出るならいいですけれども、出ないですか。

小村政府参考人 十七年度は、国庫納付はいたしておりません。十八年度はただいま決算の整理中であります。恐らく、国庫納付をしたいと思っておりますが、結果を見ないとわかりません。

古本委員 つまり、事業が多角化していく、そして、よりリスクもとりながら国民の幅の広い資金需要にこたえていくという中で、想像するに、国庫への貢献の幅がかつてのような行け行けで貸し付けてきた時代に比べれば薄くなってきている、多分こういうことをおっしゃっておられると思うんです。

 そんな中に来て、他方で、先ほど申し上げたような鉄道の高架事業やあるいは電力のコージェネレーションだ、さまざまなこれからの環境対応が求められるという、資金需要は旺盛なんです。それで、利益は薄くなってきているんです。国庫納付金の額も薄くなってきているんです。ここで法人税が、仮に民間準拠の計算をした場合、今四百億近い納税が発生する。これは率直に言って、民間企業になったならば納税はされるということでありましたが、経営上これは痛くないですか。

 これは、痛いということは、何をか言わん、本来の、長期的に融資をするという財務大臣が累次にわたって答弁されておられる根幹の部分を維持していく上で、そして、大臣の言われる、別途法で各省が措置すべきものかなという大変弱々しい話を聞いた現在、ぜひ感想を聞かせていただきたいです。この法人税は痛くないですか。本来の根幹業務を維持していく上で、とてもこんな優遇金利を設定していくような台所事情じゃなくなるんじゃないですか。感想を聞かせていただきたいです、率直なところ。

小村政府参考人 民営化する以上、今よりも収益を上げて、やはり実績を示さなければならない。これは、税は当然の義務でありますから、それだけまた税負担もふえてくると思います。その上に配当も株主に対してやっていかなきゃいけない。そういう意味におきまして、私どもの負担が重くなることは確かであります。

 これまで、収支相償、赤字は出してはいけないけれども収支は相償にしてリスクをとる、あるいはお客様に対して優遇金利を適用する、こういったビジネスモデルから完全に変えていかなきゃいけない、こういうことでございます。

古本委員 利益を出すために頑張っていきたいというその御決意は高く評価されるべきものだと思いますが、さりとて、その大前提となる資金調達の問題に次に入りたいと思うんです。

 今財投から約七割ぐらい、政府保証合わせて、そのくらいの資金調達のシェアだというふうに聞いております。今後、例えば社債を発行するとか、民間の他の金融機関から借り入れるとか、そういうふうに資金調達先を借りかえていく、もう財投の依存からそういうふうに変えていく、こういうことになると思うんですが、五年から七年をめどに完全民営化と言われておりますが、では、この法が施行された、公布された以降の、最大の七年待ったとしましょう、七年先には資金調達先としての財投の依存度はゼロになるんでしょうか。

小村政府参考人 完全民営化されたときには、財投借り入れ、政府保証債、そういうものは予定をいたしておりません。

古本委員 それでは逆に、社債を発行する、あるいは民間の金融機関から借りる等々いろいろな方法があると思うんですが、今、年間の資金需要は一兆円ぐらいあるというふうに聞いておりますが、一兆円のうちの割合を、大体イメージでいいですから、大体何割ぐらいにそのシェアを持っていくもくろみですか、七年後。

小村政府参考人 今回の法案で、資金調達の方法を、いろいろな方法を与えられました。私どもは、その中で何がフィットするかということを当たっていきたいと思います。

 例えば、今出しております財投機関債、これ一つですと、マーケットに左右されて、とても債券が発行できなくなるというような状況もあります。やはり複数のものを、その情勢に応じて最も有利なものを選択していく、こういう意味で、今回お願いをいたしております民間金融機関からの借入金、これも有力な武器になると思います。あるいは、将来でありますと、個人向けの私どもの債券をインターネットで発行するとか、いろいろな工夫をしていかないと、これからの調達が大変難しいだろうと思っておりますが、ただ、私どもの信用力をつけていくことによって、マーケットからも理解をされるように努めてまいりたい、こう思っております。

古本委員 概念的な部分や心意気はもう十分承知していますので。そうではなくて、今一兆円の資金が現実問題要るわけですよ。小田急さんに、きょうから、はい、さようならと切るわけじゃないとおっしゃったわけですから。

 七年なんて光陰矢のごとしですよ、七年後には財投ゼロだと今高らかに宣言されたわけでありますから。今現在この法案を私たち審査しているわけであります。この一兆円の資金調達先として、大体何割ぐらいを社債発行で賄おうと思っておられますか、何割ぐらいを民間の他の同業者から借りようと思っていますか。

小村政府参考人 鉄道の話で、そういったものについて新たな私どもの対応をしろということでありますれば、また別途制度的担保を欲しいということでありまして、これは別の話であります。

 通常の私どもの事業活動で、一兆円であれば、それは五割、五割であるのか、あるいは七、三でいくのか、これはそのときのマーケットによります。一つのマーケットに、例えば、私どもはことしはこれぐらい発行したいという一定の安定した量のお願いをする、これは大切なことでありますが、ただ、一つのマーケットにお願いしますと、例えば証券会社の方々がこういう方向でこうだと言われてしまえばそれに従わなきゃいかぬわけですね。それよりももっと、金融機関で、我々を理解できる取引先から調達した方が安いというときには随時調達をしていく。硬直的でない方が私は成功すると思っております。

古本委員 私の質問の仕方がまずかったようであります。

 総裁がおっしゃるのは、例えば、ある鉄道の高架事業に五百億要る、その場合は、この五百億の資金融資団、協調団を組んだときに、幹事社である政投銀は、では百億持とう、残りをA、B、C、D、各社で持ってもらう、そのときに初めて百億、資金需要があって、その百億を融通するために、では、そのときの国債はどうなっているか、長プラはどうなっているか、いろいろなものを見ながら、どこから借りてきたら一番得かというのを都度判断する、こういう事業を今営んでおられる、こういうことでいいですか。

小村政府参考人 大変申しわけありません。個々のプロジェクトごとに資金の調達方法を考えるということではございません。

 年間を通じて、ことしはこれぐらいで、借り入れをどうしよう、あるいは社債発行をどの程度にしよう、年度ごとにおいて経営戦略を立てていくということでございます。

古本委員 ですから、先ほど来私が尋ねておりますのは、今現在、単年で一兆円ぐらいの資金が要るわけですよね。事業の規模を縮小しない限りは、少なくとも一兆円以上要るわけでありますね。この一兆円が、七年先には財投に依存しないと今宣言をされたわけでありますので、今この法案をここで審議しておりますので、では、この一兆円を調達する先として、社債の発行にどのぐらい依存して、あるいは他の民間金融機関からの借り入れはどのぐらい依存してというもくろみがありますかとお尋ねしたんです、シェアの。五千億が社債です、五千億が他の都銀から借ります、例えばこういうイメージがありますかと。

 七年後のもくろみですよ。約束してくれと言っていませんよ。今そういうもくろみがないと、おおよそそうだねとここで賛意を送れないわけであります。それをお尋ねしておるわけであります。

小村政府参考人 私自身、今そういう将来の資金計画等々を念頭に置いて、中期計画あるいは長期計画をつくりたいと思っております。

 ただ、将来の経営者をそれによって束縛してはなりません。こういう公開の席で私が、フィフティー・フィフティーです、こういうお約束をすることは、後の経営者をやはり束縛することになるので、控えさせていただきたいと思います。

古本委員 逆に、その経営者の荷を軽くしていくべきところを、ちょっと大臣、先ほどの確認をもう一度、今の話、前後して恐縮ですが。

 さっきの資料の七ですが、この政策金利の1あるいは2なるものの適用を、今後もできるだけ努力して、やっていけるものならやっていきたいと政投銀はおっしゃっておられますが、これは何か担保が要る、政府からのということでありましたが、大臣は、これは別途各省が法的に措置するということでありましたが、これは具体的に補助金を言われていますか。

尾身国務大臣 将来、これは完全民営化になった後の話でございますが、新しい政策投資銀行の、例えば長期の事業評価能力とか、あるいはいろいろな意味でのノウハウを活用するということが考えられるわけでございますが、そういうときに、これを政策目的として活用する、どういう政策目的として活用するかということにもよりますし、その場合には、何の政策をやるか、あるいはどういうプロジェクトをやるかということについては、担当の部局がその目的に応じて検討をしていただくんだろうというふうに思います。

 片方、政策投資銀行は一〇〇%の民間企業になるわけでございますから、そういうニーズに対して、ほかの民間金融機関とのイコールフッティングということも考えつつ、対応していかれることになるというふうに考えております。

古本委員 少し時点を整理したいと思うんですが、大臣、資料の三と四をごらんいただきたいと思うんです。

 昨日の大臣の御答弁の中で、平成十七年十二月二十四日閣議決定における政投銀分野ということで、(二)のアに「政策金融として行う必要がなくなっているため、撤退する。」これを根拠に恐らく、この分野から政投銀が引き揚げるんだということを平成十七年の閣議決定に基づいて言っておられると思うんです。その後に、例の行革推進法、資料の四であります。第二章の第六条、政投銀のあり方について、三、政投銀の有する「長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずる」と。

 これは実は時点のぶれがあるんですが、大臣は、今現在どちらの文章が生きておるというふうに言っておられますか。

尾身国務大臣 行革推進法の第六条の三項に、今お話のありましたような、「政策投資銀行の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置を講ずる」という規定を踏まえまして、本法律案におきましては、移行期間中の新会社が安定的な自己調達体制を確立できるよう、民間借り入れや社債の発行に加えまして、預金の受け入れや金融債の発行が可能となるような業務を定めるとともに、自力で安定した資金調達体制への円滑な移行を図るまでの間、政府保証債の発行や財政融資資金借り入れ等を措置しているところでございます。

 なお、「長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずる」という規定を踏まえまして、本法律案におきましては、日本政策投資銀行の強みである出資と融資を組み合わせた長期のリスクマネーを引き続き供給できるよう、必要な業務の規定等、所要の措置を講ずるとともに、完全民営化に当たりましては、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう、政府保有株式の処分の方法に関する事項について検討の上、必要な措置を講ずることとし、また、会社の業務や機能等が完全民営化後の新組織に円滑に承継されるための必要な措置を講ずることとしたところでございます。

古本委員 大臣、これは非常に単純明快な質問です。要は、完全民営化を果たすまでの五年から七年の期間というのは、やはり助走期間が要るでしょうと。その間はさまざまな政府保証も続けるし、もっと言えば、政策金利1、2を実現するために政投銀に特別な何かを補てんする、後方支援するというのがこの五年から七年の期間を指しているのか。そもそも、完全民営化した以降も、政投銀の根幹維持という言葉は民営化後も係っているのかどうかなんですよ。事務局でもいいですよ、正しいことが聞きたいです。

勝政府参考人 お答えいたします。

 政策投資銀行は平成二十年十月から株式会社になります。ただし、政府が全額保有するという意味では特殊会社でございます。株式会社になりますと、現在、政策投資銀行の一つの原則であります収支相償原則、これは機能しません。したがって、二十年十月からは株式会社としてできるだけ利益を上げるというのが一つの観点でございます。

 したがって、そういう意味で、各省がそれぞれの政策分野について何らかの政策的対応が必要であるということを考えるのであれば、平成二十年十月までに所要の措置を講ずる必要があるということでございます。

古本委員 わからないです。済みません。私が理解力がなくてわかりません。

 政投銀の今持っておられる長期の事業資金に係る投融資機能というものは完全民営化後も持ってもらいたいな、持ってもらうように、なるほど簡素で効率的な政府といったものの、そこは鉄道の高架事業とか電力インフラとか、国家国民生活の根幹にかかわるところを担っていますから、ここはちょっと大目に見てくださいよということが完全民営化後も係っているのかどうかと聞いているんです。これを作文した人でしょう。しっかり答えてくださいよ。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

勝政府参考人 先生おっしゃいましたような、例えば政策分野ごとの政策金利を設けるということにつきましては、平成二十年十月以降の話でございます。これは、民間金融機関とイコールフッティングの観点に立ちまして、平成二十年十月以降ずっと続くものでございます。片方は、完全民営化につきましては、政策投資銀行が現在の長期事業資金の供給の機能の根幹を維持するというのは期待されております。それと政策分野ごとの特別な措置とは、必ずしも同じことを言っているわけではございません。

古本委員 これは大事な話なんですけれども、すっきりさせてください。

 鉄道の高架事業を初め、そういった社会のニーズの高い大変長期で巨額の資金を、しかも、できるだけ低利で事業者に貸し付けるというのは、これは民民のビジネスじゃないですよ。これは政策そのものですよ。小田急さんだって、別に電車を走らせるだけなら、踏切があったって何の問題もないです。あかずの踏切になるからという御陳情があって、あるいはいろいろな交通事故もあるから、高架の方が安全だということでやっているんですよ。

 そういったところに貸し付ける事業を今後とも続けていくんですか。総裁は、できるだけ対応していきたい、だけれども、根拠が要る、何がしかの担保が要る、でなければ、とてもそんな政策金利なんて設定できませんと言っているんです。その担保はと大臣に聞いたら、個別の省庁が、例えば鉄道であれば国交省でしょう、別途法で措置します、こう言ったんです。それはいつまで措置するんですかと聞いているんです。完全民営化後も営々と続けるんでしょう。そこをはっきりさせてください。

勝政府参考人 現在提出させていただいています法案の附則六十六条でございますけれども、その六十六条に基づきますと、そういう政策分野ごとに各省庁が必要な措置は平成二十年十月までに措置するということになっております。

古本委員 だから、個別の法律を大臣がつくるとおっしゃった。例えば鉄道高架事業であれば、鉄道高架事業何とか特別補助促進法か何かをつくって、今後別途発生する新規の公共性の高い高架事業についてはこういう補助金の仕組みをつくりますという法律を二十年までに設計するので、それ以降は要らないということを言っているんでしょう。

 私が言っているのは、公金が入り続けるんでしょう。今、財投といういわば行き場のない資金需要をまさにこの八機関が吸収してきたわけですよ。これを、郵貯の資金数百兆をまさに政投銀を中心に低利で融通するということで、ある意味、資金が回り、結果として国庫にも貢献してきていたこのモデルがあるんですよ。ところが、片や、四百億近い法人税は払わせる、それから完全民営化だということだから利益相償じゃない、片や、政策金利の1、2は今後とも適用していかなければいけないという社会的使命もある、その手だてを実現するためには実は補助金をつくりますと。

 この際、はっきりさせましょうよ。例えば鉄道の高架事業であれば、補助金を創設するように国交省に働きかけるんでしょう、大臣。では、結果、その補助金は幾らなんですかという話なんです。

 結局、国庫から出ていくんでしょう。今、財投というビジネスモデルがあって、それの引き受け手になっているんですよ。七年後にはこれをゼロにするとおっしゃったんだ、総裁は。必死で民間から借りてこなければいけないんですよ、リスクマネーを。一体、民間がどれだけ貸してくれるというんですか。いや、それは天下りしている先から借りるんだから、ちょっとプレッシャーをかけて借りるぐらいならいいですけれども、ところが天下りしていないんですよ。金融機関には天下りしていないんですよ、余りね。余りしていないんです。

 それは世間の風は冷たいですよ。これまでは政投銀という、まさに国家なりというものを担っているからこそ、しゃばはそういうつき合いをしてくれたかもしれませんが、これからは本当にイコールフッティングだというなら、金利も冷たいですよ。結果として補助金を出していたら、これは実は世話ないんです。

 私は補助金をつけろという宣言をしているんじゃないんです。今のビジネスモデルで何らの問題もないのに、変えて、結果として国庫の負担をさらにふやすんじゃないですかと言っているんです。

 ついては、その補助金規模が、例えば鉄道の高架事業に関してはこのぐらいが想定される、新たに国民の財布を痛めてこれだけ支出をしていただきたい、そうでなければ政投銀の政策金利1、2は実現できないと。そこの数字的な、補完できる資料を要求します。

 委員長、理事会に諮っていただきたいと思います。

伊藤委員長 ただいまの要求につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

古本委員 これは大事な話ですよ。民営化でそれ行けということで、きのうも与党席から、いや、それを決めたのは小泉さんだなんて笑うに笑えないやじが飛んでいましたが、これに巻き込まれて、結果的に国民負担がふえてコストアップ要素になるんだったら、これは本末転倒ですよ。何が官から民かであります。

 いいんですよ、民営化して、非常に国庫にも貢献して、法人税も払っていただいて、消費税も納めていただいて。取引にもかかってきますからね、これからは消費税。どの程度もくろんでおられるか、ぜひ機会があったら拝聴したいですが。等々のさまざまなイニシャルコスト、ランニングコストも発生して、民営化の船出になるわけですよ。他方、こうした公共性の高い事業は担っていかなきゃいけないという切実な使命感に燃えておられるんです。後ろ盾が欲しいと秋波を送ったところ、大臣は、別途各省各庁がすべきことかなという程度なんです。

 この際ですから、明快に答弁を求めたいと思いますが、大臣、これは補助金ですか。補助金をつけるんですか。いや、大臣です。大臣に聞いているんです。

尾身国務大臣 これは、民営化した後につきましては、いわゆる一般の金融機関とのイコールフッティングという観点も考えつつ、今までの政策投資銀行のノウハウを活用するという必要があるとすれば、関係の政策を推進する組織が、各省といってもいいんですが、それが判断をして決めるべきものであるというふうに考えております。

古本委員 各省各庁が判断した際に、結果としてこの政策金利1とか2というインセンティブをつけないと、とても事業者はそういう長期にわたる事業に手はつけられないんです。しかも、それは政策的な誘導があり、あるいは後押しがあって初めて大きな国家的な事業が多分できるんです、民間が。それを政投銀が支えてきたわけでございます。

 それを各省各庁が判断をして、では、その先に何があるかとお尋ねしているんです。各省各庁が判断し、別途補助金をつける、こういうことでよろしいですか。

小村政府参考人 私が答えるのはいささか場違いかもしれませんが、おっしゃられるように補助金では解決しないんです。期間が欲しいんです。長期のマネーが要るんです。短期で毎年補助金をもらっても、そういう事業というのはできないんです。そこが金融と補助金との違いであります。

古本委員 ということは、これはすぐれて、今大体何分野ぐらいあるかということも、ぜひこれはあわせて資料要求したいと思います。

 今、政投銀がオペレーションなさっている中で、先ほど資料の五、六で申し上げましたね、地域再生支援、環境対策等々ありますが、その中で、鉄道高架事業とか、あるいは原子力発電所建設関連とか、大きな層別をはかったならば、大体何種類ぐらいの、そして何省に所管がまたぐと想定されるものを今担っておられるかを別途整理していただいて、この委員会に提出していただきたいと思います。

 委員長、お諮り願います。

伊藤委員長 ただいまの件につきましても、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

古本委員 ということは、大臣、各省各庁ごとに恐らく、例えば鉄道であれば国土交通省鉄道局が専門家として担っておられる、それごとに平成二十年までに個別法を措置してもらわないと、毎年毎年の補助金ではフィージビリティーがなくて危なくてしようがないと総裁はおっしゃっておられるんです。総裁、そういうことでいいですよね。

 したがって、それごとに個別法を整備してもらって、法的な規範としての裏づけが欲しいというのはそういう意味でしょう。イエスかノーか。

小村政府参考人 前段の補助金と金融のところはちょっと私の御説明が足りなかったと思います。資金の量が要るんです。したがいまして、補助金はその量の一部です。金融はその量と、しかもその期間をカバーします。そういう意味で補助金よりもはるかにすぐれた手法であります。

 それから、別途の措置でありますが、これは私どもがやれと言われたときには制度的担保が欲しい、それは確実な担保である方がいいわけでありまして、法的な措置であるとかその他、それは政府の方でお考えになっていただきたい、こう思っております。

古本委員 時間が参りましたので、充実した審議を強く求めて終わりたいと思います。ありがとうございました。

伊藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木でございます。

 株式会社日本政策投資銀行法について、少しお時間をいただいて議論を深めさせていただきたい、このように思います。

 きのうから始まりました本法の審議でありますけれども、幾つか問題点というのは出てきてはおりますけれども、何かいま一つ釈然としない、わからないことが多いというふうに思います。

 問題は四点ほどに尽きるのではないかなというふうに私は思っておるんですが、その一点目は、いわゆる完全民営化後のビジネスモデルというのがどうしてもいま一つはっきり浮かんでこないということであります。二つ目には、資金調達力と申しましょうか、資金の部分がどのような形になっていくのかというところ。そして三つ目は、政府保有株式の処分のあり方、ありようというところもはっきりしていない。そして四点目は、完全民営化までのいわゆるプロセスと申しますか、そこのところがまだやはりはっきりしていないということだと思います。

 約五時間近く、同僚議員初め各委員の皆さんの質疑があったわけでありますが、私は、さらにその辺のところを深めさせていただきたい、そしてまた我が党の思いというようなものも披瀝をさせていただきながら、一時間半ほどお時間をいただいて、この問題に入らせていただきたいというふうに思います。

 言うまでもありません。一九五一年に、日本開発銀行として、戦後、我が国のいわゆる基幹産業に対して中長期の資金供給を行ってきた、当行の前身であります。午前中にも議論がありましたように、本当に、ある意味では混乱した日本の将来に大きな役割を果たして今日まで来たということは紛れもない事実だと思いますし、その評価はやはりきちっとしていくべきではないかというふうに思っています。

 そしてまた、時代が大きく今変わりつつあるということを我々も承知いたしておりますし、官から民へといいますか、官の役割を小さくして民に持っていくというこの流れに対しても、何も基本的には間違っていないというふうに思います。

 ただ、今回のこの政投銀の民営化は、だれが望んでいるのか、何のためにやるのかというところをもう一度きちっと議論しない限り、国民の皆さんの理解がなかなか得られないのではないか、私はこのように思っております。

 そこで、改めてお伺いをしたいと思うんですが、なぜ民営化をしなくてはならないかという中で、政府系金融機関としてやってきた今までと民営化された場合とでどこがどのように違っていくのか、ここをまず明らかにしなくてはならないというふうに思います。

 そこで、メリット、デメリットと言うと大変語弊があるかもしれませんが、この政投銀が今後五年ないし七年後に完全民営化された場合のいわゆるメリット、逆に言えばデメリット、そういうものを幾つか事項に分けて、区分して、定量的にまずお示しをいただきたいというふうに思います。そこから議論を始めさせていただきたいと思います。

尾身国務大臣 政策投資銀行につきましては、行政改革の重要方針やあるいは行革推進法において完全民営化することが定められているわけでございまして、これは、日本政策投資銀行の完全民営化を含む一連の政策金融改革が郵政民営化とあわせて進められてきておりまして、資金の流れをいわゆる官から民へというふうに変えることによりまして、国民の資産が民間部門のもとで活用され、経済の活性化につながるという考え方のもとに進められてきたものでございます。

 これは、ある意味でいいますと、明治以来進められてきた官中心の国民経済といいますか、そういうものを民中心の経済に変える方が全体として効率もいいという考え方に基づくものであると私は考えておりまして、そういう意味で、政策投資銀行も暫定期間の後は完全民営化を進める、こういうことであります。

 ただ、そういう民中心の、官から民へという大きな流れが全体として日本経済社会の活性化に大きくプラスになるということは考えているわけでございますけれども、これを定量的にどう表現するかということについては、私ども、そういう計算もやれていないわけでありますが、全体としては先ほど申しましたような考え方で進めているということでございます。

鈴木(克)委員 考え方は、もちろん、先ほど私も、官から民への大きな流れについては、これはわかる。しかし、メリット、国民の皆さんに、民営化することによってどういうメリットがあるんですよということをやはり具体的に最初にお示しいただきたい、私はこのことを申し上げておるわけであります。

 具体的にどういうようなメリットがあるのか。例えば、民営化されれば税を納めることができるとか、いろいろあると思います。その辺のところを一度整理してお示しいただきたいということであります。

勝政府参考人 お答えいたします。

 今大臣が申しましたように、官から民へということで資金の流れを変えることによりまして、国民の資産が民間部門で活用され、経済の活性化につながるということだと思っています。

 また、さらに申しますと、政策投資銀行の新技術開発機能につきまして、政策金融の枠組みを外して完全民営化することによりまして、高度化、多様化する金融サービスへのニーズにより幅広くこたえられるということで、そういう金融技術の高度化による寄与をさらに推し進めることができるというふうに考えております。

鈴木(克)委員 理念をどれだけ時間をかけて問答しておっても仕方がないんですが、私の方から申し上げたいと思うんですけれども、メリットとして考えられるのは、例えば、民営化されれば法人税を納付できる。財政投融資資金の融資もなくなる。それから政府保証債の発行もなくなる。こういうようなことがメリットであるのかもしれません。

 しかし、逆に言えば、長期資金の手当てが非常に難しくなるというデメリットにも、裏を返せばなっていくでしょう。それから、いわゆる民間金融機関では困難な資金供給がなかなかできなくなる。午前中、古本議員の話もありました。低い金利での資金供給が困難になっていく。こういうようなデメリットも出てくるわけですね。

 こういうことを一つ一つ踏まえてこの民営化というものを考えていかないと、国民には全く理解されない。ただ流れとして、官から民への流れでやっていくんだということになってしまうのではないか。こういう答えを実はいただきたかったわけであります。

 もう少しこの議論を進めさせていただきますと、いわゆるメリット、デメリットという視点でいくと、過去にも議論がありましたけれども、職員の皆さんは千三百人ぐらいですね、したがって、これは、ある意味ではメガバンクの何万というよりも小型で動きやすいということにもなるかもしれません。しかし、それをまた裏を返すと、営業能力とか、例えば預金を吸収するネットワークだとかいうものが脆弱だということも言えるのではないかというふうに思うんですね。

 そういう状況の中で、もう一度申し上げたいんですが、冒頭申し上げました四点、完全民営化後のビジネスモデルが本当に描かれておるのか、資金調達能力は大丈夫なのか、そして株の処分は本当にできていくのか、それから民営化までのプロセスは大丈夫かというところを私はこの際きちっと詰めていかなければならないというふうに思います。

 今後金利が上昇していった場合には、低コストの預金を集めるということで、そういうふうなときにはこの銀行はメリットがあるんですか、デメリットになるんですか。そういうようなことはいろいろとお考えになっておるかどうか、お示しください。

勝政府参考人 お答えいたします。

 現在の政策投資銀行は、実は預金業務を行っておりませんので、それはある意味では、政府信用を背景にした資金調達が大半を占めているということの裏返しでございます。ただし、それが反面、また非常に大きなメリットでございまして、先生おっしゃいましたように、現在の経費率は非常に低くて、大体二六%でございまして、ほかの民間金融機関と比べますと低いということでございます。

 他方、収益率から見ますと、現在は収支相償原則にのっとってやっておりますので、ほかの民間金融機関に比べますと利益率は低いということでございまして、大体四%ぐらいでございます。

 ROEが低いということと経費率も低いということで、今後は、その経費率を維持する、余り高めないということが一つの課題だと思っています。

 その意味で、新しいビジネスモデルとしましては、小口の預金業務は決済機能も行わないということを検討しておりますけれども、他方、収益率につきましては、まさに自力による資金調達を行いながら、そこで、ずっと先ほどから議論させていただいています長期の事業資金、このリスクマネーをどうやって供給するかということが大きな課題でございます。

 ということを踏まえまして、今後検討する必要があると考えています。

鈴木(克)委員 ちょっと先に進めさせていただきます。

 午前中にも古本委員の方から話がありましたけれども、民営化が進んでいきます、そうすると、いわゆる一般の金融機関ではちょっと難しいと思われるようなところに対して今後どのような機関から資金の供給ができるんだろうか、ここのところが私はどうしてもまだはっきりしていないんです。

 例を申し上げましょう、その方がおわかりになると思います。核燃リサイクルの話を一つ例に出させていただきますと、まさにこれは百年単位の事業だというふうに思います。現在、詳しい数字はわかりませんけれども、九千億ぐらい、たしかここへ出してみえるというふうに思うんですね。これはある意味では日本の根幹のエネルギー問題になるわけですけれども、そういうところへ、民間になった、では、もうこれは採算が合わないから資金を出さない、こうなった場合に、午前中の議論にもありましたけれども、いわゆるこういう部分でのインフラの整備というのはできなくなるわけです。これは日本の国力が落ちていくということになっていくのではないのかな、こういうふうに思うんですが、そういう場合に、経産省なら経産省は、新たな政策金融手段というのを用意しておるのかどうか。

 午前中の議論の蒸し返しになるかもしれませんけれども、これをやらなければまさに日本の国力が落ちていくということになるわけですね。そういうときに、従来のようないわゆる低金利の融資というのは本当にできるんですか。もう一度私はこの部分をきちっと確認しておきたいというふうに思うんです。

勝政府参考人 お答えいたします。

 政策投資銀行の完全民営化の哲学につきましては、先ほど大臣が申し述べましたとおりでございます。

 なお、現在政策投資銀行が行っております長期、固定、低利の資金供給の機能のうち、長期、固定という面につきましては、社債市場の充実、また金利スワップ等の金融技術の発達により、民間金融による対応が可能だと考えております。したがいまして、こうした現状を踏まえますと、民間金融機関や市場からの資金調達が今後その大半を占めることになるんじゃないかと思っています。

 もう一つは、では低利はどうするかということでございます。低利の問題につきましては、一つは、午前中にも話がございましたけれども、国の政策上、低利融資などの政策誘導が必要な分野につきましては、今後、今提出させていただいています法案とは別の法律の枠組みの中で、各政策所管省庁におきまして、これは完全民営化後の政策投資銀行を含みますけれども、そういうものを含めまして、民間金融機関を政策的に活用するということが検討課題になると思っています。

 これは各所管省庁の検討課題でございますけれども、もう一つ、政策投資銀行の独自の課題として、政策投資銀行が今後どういうビジネスモデルのもとで長期の事業資金を供給するかという課題はまた別途あると思っています。

鈴木(克)委員 まさに課題が別途ある部分をやはりこの際きちっと詰めておく必要があるんだろうというふうに私は思うんですね。

 もうちょっと具体的にお話を伺っていきたいんですが、きのう、JALに対して、いわゆる危機対応だというふうにおっしゃったと思うんです。総裁はたしかそのようにおっしゃったと思うんですが、今後、このような危機対応は、もう民間になればできないということなんですか。それはどんなふうにお考えなんでしょうか。

勝政府参考人 今日まで、政策投資銀行などの政策金融機関は、地震等の大規模災害やBSEなどの危機に際しまして、被災事業の復興のための設備資金等を供給しております。

 現在、別途審議中の日本政策金融公庫法案におきまして次のような規定が入っております。内外の金融秩序の混乱または大規模な災害、テロリズムもしくは感染症等による被害に対処するため必要な資金について、日本政策金融公庫及び指定を受けた金融機関が迅速かつ円滑に供給する体制を危機対応として整備することになっております。

 具体的には、例えば地震等の大規模災害が発生した場合には、被災者は被害に対処するために設備資金等が必要となり、復興のためにはこれらの被災者に対して迅速かつ円滑に資金を供給することが求められるような場合、そういう場合には、必要な資金につきましては、政策金融として日本政策金融公庫みずからが供給するとともに、日本政策金融公庫からの信用供与等を受けた指定金融機関がその資金の貸し付け等を行うものでございます。

 それで、政策投資銀行及び商工中金ですけれども、これはみなし指定金融機関ということになっております。

鈴木(克)委員 政投銀の方に聞きたいんですが、今現在、危機対応として融資している融資額というのはどの程度あるのか、おわかりになったらお示しいただきたいと思います。

小村政府参考人 我々、危機対応として対応しているものとしては、大規模な自然災害の発生とか、あるいはSARS、BSEの疾病、それから、昨今において、つい先般までの金融危機対応、こうしたものがございました。大きいものとしては、阪神・淡路大震災の復旧、先般の新潟中越地震それからBSE対策。最も大きいのは貸し渋り。金融不安が生じたときに、これは日本を代表する企業までも貸し渋りを受けました。この分野が最も多くて、一兆円を超しております。他は、例えば阪神・淡路大震災のときには約二千億弱の対応をするとか、時に応じて緊急に機動的に行ってまいっております。

鈴木(克)委員 そうすると、くどいようですが、基本的には、そういう危機対応だとか、それから大型の国家的なプロジェクトに対しての資金がショートするというか滞るようなことはない、そういうような手だては十分考えておる、このように理解をしていいんでしょうか。もう一度確認をしておきます。

勝政府参考人 先生おっしゃるとおりでございます。

鈴木(克)委員 私は、当行が培ってきたノウハウが、他の政策といいますか、そう簡単に代替できるというものではないんじゃないかなというふうに実は非常に疑義を持って、本当にそうであってもらえばいいけれども、このことだけはちょっとつけ加えておきたいというふうに思います。

 それでは、少し先に進めさせていただきたいんですが、当行は、かつて、毎年国庫に納付をされてまいりました。ただ、平成七年度以降は国庫納付が行われなかった。これには北海道東北開発公庫の吸収、統合等があったということなのかもしれませんけれども、ただ、一昨年ですか、また百六億の納付があった。こういうことなんですが、毎年の準備金をちょっと見てみますと、一兆一千億、準備金があるわけですね。国庫納付というのは政令に従って行われるので、その限りでは正確に行われてきたということかもしれませんけれども、なぜ長期にわたって国庫納付が行われないのか。先ほど、東北公庫の合併でというふうに私は申し上げたんですが、このところを一度説明していただきたい。

 お配りした資料一をごらんになっていただくと、平成七年から平成十五年までがないんですね。十六年だけ、今言ったように百六億ある。この間、全然納付がなかったのはどういう理由なのか、お示しをいただきたいと思います。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 もう先生御案内のことかもしれませんけれども、国庫納付の仕組みということでございますが、これは、私どもの各年の利益金から準備金相当額というものを差っ引くわけでございます。その準備金というのはどうやって計算するかといいますと、各年の利益金の百分の二十または各年の年度末の私どもの残高の千分の三、いずれか多い方を準備金として利益金から差っ引きまして、その差分を国庫納付金として国に納める、こういう仕組みでございます。したがいまして、利益金よりも残高基準あるいは利益金基準による準備金の金額が多い場合は国庫納付ができない、余裕があれば国庫納付ができる、こういうことでございます。

 先生がお示しいただきました資料によりますと、そういうことでいいますと、平成六年度まではまさに準備金の積立額の方に比べて利益金が多かったということで国庫納付をしたわけでございますが、平成七年度、八年度、九年度からはずっと国庫納付が出ておりません。これは、一つは、私どもが景気対策で政策投資銀行を活用しようということで、この間、景気対策としての融資の規模が非常に膨らみまして、結果的に私どもの残高が非常にふえてきたということがございます。当然、残高がふえますと、先ほどの千分の三という残高基準による金額が積み上がるものですから、その分国庫納付がしにくくなる、こういうことでございます。

 それからもう一つは、今度は利益の方の側面でございますけれども、この間、先ほど失われた十年とか十五年とかというお話がございましたけれども、非常に景気が長期低迷をいたしまして、私どもは金融機関でございますので、当然、私どもが融資した債権の中で、非常に残念なことではございますけれども、償却せざるを得ないようなものが出てくる。そういうものが出てまいりますと、当然、利益金の額が減少するというようなこともございまして、これは年によって若干のその辺の動きはございますけれども、大きく言いますと、その二つの理由でしばらくの間は国庫納付ができなかったということでございます。

 それで、たまたま十六年度、百六億の国庫納付ができておりますけれども、これは一つは、ここ十年ぐらいの間の、先ほどのお話の官から民へということもございまして、私ども自身の残高がかなり減ってきたということが一つと、それからもう一つは、不良債権処理というものがある程度一段落をしたということで、十六年度につきましては、先ほどの計算式といいますか、手順に基づく計算をしたところ、こういう形で国庫納付ができるだけの金額の余りが出てきた、こういうことでございます。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 わかりました。

 では、今度、移行期間中の話をちょっとさせていただきますが、移行期間の間は政府が株を全部持っているということですよね。そうしますと、国庫納付にかわって、例えば株式の配当という形が出てくるのではないのかというふうに思うんですが、その点を確認したいということと、それから、配当がもしあった場合にはどの会計に納付されていくのか、この点をちょっとお示しいただきたいと思います。

田中副大臣 お答えをいたします。

 移行期間中の株式会社日本政策投資銀行は、株式会社であることから、会社法に基づいて株式の配当を行うことは可能であります。

 株式の配当が行われた場合は、株主としての国に対する配当金の繰り入れ先の会計については、現行の日本政策投資銀行は産業投資特別会計から出資を受けておりまして、通常、配当は出資者に対して行うこととなるものと考えます。

鈴木(克)委員 産業投資特別会計ということでありますけれども、しかし、その産業投資特別会計には一般会計への繰り入れ規定というのがありますね。したがって、間違いなく一般会計にそれが入っていく、こういうことでよろしいんでしょうか。

田中副大臣 委員も御承知と思いますけれども、従来より、法律によりまして、産業投資特別会計においては、歳入が産業投資支出等の歳出を上回る部分については、特別会計内に積み立てるのではなくて一般会計に繰り入れること、そういう制度になっています。特に近年においては相当額の一般会計繰り入れを行っておりまして、結果として財政再建にも相応の貢献を行っているところであります。

 いずれにしましても、一般会計への今後の具体的な繰入額については、毎年の産業投資の必要性や特別会計改革の趣旨、その他の事情を勘案して、毎年度の予算編成過程において検討されるべきものであると考えております。

鈴木(克)委員 いずれにしましても、一般会計に入ってくれば明らかになっていくわけでありますけれども、そうでないと、本当にどこでどういうふうな形で処理をされているのか、なかなか国民にわからないということでありますので、私は、きちっとルールどおりやっていくべきだということを特に申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、午前中にもちょっと議論があったんですが、先ほど、メリット、デメリットで、利益が出たときには税として納めることができるという話をさせていただいたわけであります。例えば現状程度の利益が出るということを想定して、それを前提にお伺いしたいんですが、完全民営化後に想定される法人税というのはどの程度なのかということ、また、移行期の新会社になっても準備金として積み立てを行うのか、この二点をあわせてお伺いしたいと思います。

田中副大臣 完全民営化後のビジネスモデルについては、平成二十年の十月以降、完全民営化までの移行期間中の業務運営や民間株主の意向等を踏まえて、移行期間中に新会社の経営陣が検討し、的確に判断すべきものであると考えております。

 したがって、現時点においては、完全民営化後のビジネスモデルが明確でないことから、利益金の額やそれに伴う法人税について責任を持ってお答えすることはできないわけでございます。準備金についても今までと平成二十年十月以降とは全く異なりまして、その先は、会社法に基づいて、一般の企業と同様の扱いになると考えます。

 御指摘のありました、仮に政策投資銀行の平成十八年三月期の企業会計基準準拠決算における当期純利益九百二十七億円を前提として、この約九百二十七億円に法人税率三〇%を掛けて計算されると、法人税のおおよその課税額は約二百七十八億円となります。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 わかりました。現状程度の利益が出るとした場合に二百七、八十億の納税になる、このように理解をさせていただきたいと思います。

 それで、もうちょっとお伺いをしたいんですが、先ほど説明があったかどうかわかりませんけれども、十五年度に二百六十一億、十六年度に二百五十二億ぐらいの利益だったというふうに思うんですが、十七年度が七十六億にがたんと落ちているんですね。これはなぜこんなふうになったのか、お示しをいただきたいと思います。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 私ども金融機関は基本的にストック商売でございますので、経常的なところの収支、いわゆる純金利収支といいますか、要するに貸付金の金利から借入金の金利を払ったその差額という意味でございますけれども、純金利収支ということでいいますと、これはストックの変化に応じた変化というのはございますけれども、急にそんなに大きく振れるものではないということでございます。

 今回、先生おっしゃいましたように、最終利益が十五、十六年度は二百から五百億、それから十七年度は七十六億、これはなぜかということでございますけれども、これは基本的にはいわゆる特別損益段階での変動でございまして、すなわち貸付金の償却です。これが大宗を占めているということでございまして、十五、十六年度に比して十七年度は貸付金の償却額が非常に少なかった、こういうふうに御理解いただけばいいかと思います。

鈴木(克)委員 私はまた、例の、国有地を駆け込み購入というような記事がありましたので、そういったようなことの準備のためにこの利益処理がされたのかなというふうに思っておったんですが、全くそれとは関係ないということなんですね。そのことはわかりました。

 さて、それでは次に進めさせていただきますけれども、先ほど申し上げたように、平成七年度以降、十六年度を除いて国庫納付が全く行われてこなかった。その結果、準備金の積み増しが進んで、平成十五年には一兆円を超えるまで積み上がった。そして、同様に資本金も、政府出資金を毎年のように受けて、平成十二年度には一兆円を超えた。両者を合わせると、実質的な自己資本は二兆円を超えておる、こういうことですね。

 いわゆる総資産に占める割合をちょっと見ていただきたいんですが、お配りをした資料二にあるわけですけれども、自己資本比率ということで、当行が一六・六、約一七%、そして三菱UFJ一二%、みずほ一一%という表が左の上にあるわけです。

 こういうことを見ていきますと、民間銀行と単純に比較はできないかもしれませんけれども、今申し上げたように、みずほは一一%、三菱UFJが一二%、これらと比較して非常に大きく上回っておるわけです。もちろん、民間銀行ではちょっとできないようなリスクのある事業への融資という役割を担っていることは十分理解をしておるわけでありますが、国庫納付をやめてまでと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、準備金を積み増してきたというのは、政府が一方で非常に厳しい財政状況にあったときに、何か釈然としないものがあるわけですけれども、その辺について基本的な考え方をお示しいただけたらというふうに思います。

小村政府参考人 この自己資本比率は結果の数字でもあります。金融危機のときに民間金融機関は大変な危機に陥りました。その結果、自己資本を減少させていった、公的資金を投入されていった、そういう関係がございます。現在は回復をしてまいりましたが。

 私どもは、バブルのときにも、そんなに資本を毀損するようなことはありませんでした。不良債権も非常に少なかった。こうした結果、自己資本も充実して今日まで来ております。この自己資本が充実をしているということが私どもの銀行の強みであります。したがって、リスクも背負えるし、あるいは政策的に必要なものについて比較的低利でお金をお貸しすることも可能になるということであります。

鈴木(克)委員 そういうことかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、国の財政は非常に厳しい。そういう中で、結果的にはそうなってきたんだからということかもしれませんけれども、私は、やはり何か釈然としないものを実はこの数字だけ見ておると感じたわけでありまして、その辺のところを今御説明を伺って、ある意味では一定の理解はできたというふうに思っております。

 さて、ちょっと目線というか視点を変えてお尋ねしていきたいんですが、政策投資銀行に出資金というのがありますね。これはずっと十五年、十六年、十七年と出していただいたわけですが、十六年度に二千一億円ということで、実は出資金が四百四十億円減少しておるんですね。十七年度には二千三百五十二億円ということでまた増加をしておるわけでありますが、なぜ十六年度末にこれほど減少したのかということです。

 そこでお尋ねをしたいんですが、私がお配りした資料の四をごらんになっていただくと、産業基盤整備基金というのが載っております。十五年度の産業基盤整備基金が四百二十五億です。それで、十六年度の中小企業基盤整備機構、これが十億なんです。

 まず確認をしたいんですが、この産業基盤整備基金と中小企業基盤整備機構というのは、いわゆる特殊法人から独立行政法人への改革のときに名称は変わったんですが、事実上は同じものであるということでよろしいんでしょうか。まず先に確認をさせてください。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃっておられます中小企業基盤整備機構でございますが、これは、産業基盤整備基金を廃止いたしまして、それでほかの機関も含めて再編をされて中小企業基盤整備機構になったというふうに承知をしております。

鈴木(克)委員 過日、日経新聞に、特殊法人から独立行政法人移行時に政府は欠損十二兆円の穴埋めという記事がありました。実は私は、二年前に当委員会でこのことを質疑させていただいたわけであります。

 もう皆さんおわかりになると思うんですけれども、四百二十五億、この銀行は出資をしておった。ところが、これが十億に減ったということで、特殊法人から独立行政法人にかわったときに四百億のお金がぱっとなくなってしまったということですよね。まず、これはそういうふうに理解をしていいのかどうか、教えてください。

多賀政府参考人 数字の点についてお答えいたします。

 先ほどの独立行政法人に対しまして四百十五億出資をしておったわけでございますけれども、これを、先ほどの組織改編に絡みまして、四百十五億のうちの三百五十億円につきまして私ども払い戻しを受けまして、その差額の六十五億円につきましては残念ながら償却に至った、こういうことでございます。

鈴木(克)委員 ちょっと最後が聞き取れなかったんです。ごめんなさい、もう一度ちょっと。

多賀政府参考人 失礼いたしました。

 四百十五億円出資をしておったわけでございますが、そのうち、出資持ち分の払い戻しということで、三百五十億、私どもが回収をした、こういうことでございます。

 まさに回収しましたから、私どもの出資金勘定からは落ちているということでございます。

 六十五億は償却でございます。

鈴木(克)委員 私は理解力がないものだから、償却というのはどういうふうに理解をしたらいいんでしょうか。

小村政府参考人 私どもの銀行は産業基盤整備基金に出資をしておりました。それで、一定の目的を達成してもらうために事業活動をお願いしていたわけなんでありますが、産業基盤整備基金が行革で解散されました。その際に、私どもの出資金を返していただくということで、本来ならば全額返していただかなきゃいかぬところを、産業基盤整備基金が運用しているさなかにその差額の金額が毀損をしてしまった、回収不能になったということで償却をいたしたということであります。

鈴木(克)委員 そうすると、二千億近い出資をいろいろな企業にしておるわけですが、このような形で毀損をしたとか償却をしたというのはケースとして相当あるんでしょうか。

小村政府参考人 本件は全く例外的なものであります。政府系金融機関が他の機関に出資をするというのは、まことにまれな例であります。私どもが資金供給業務として行っているのは、主として民間企業に対して行っております。本件については、政策的要素があり、御要請があったということでやったものでございます。

鈴木(克)委員 くどいようでありますが、政策的要請があって例外的に出したんだということでありますが、しかし、特殊法人から独立行政法人に組織がかわっていったときに、結局こういう操作がなされたわけですよね。この辺は、例えば毀損についてどのような議論が銀行内でなされたのか。例えば、いつ、どこで、どのような形で決定をされていったのかというのは、何か議事録とか、そんなようなものはありますでしょうか。

小村政府参考人 産業基盤整備基金は独立して業務を行っていたわけでありますが、私どもは、別途、この資金の運用について常に注文をつけておりました。たしか私も評議員になっておったと思いますが、資金の運用については注文をつけていた。しかしながら、産業基盤整備基金において、我々の要求、要望をいたしたところが満足させられなかった、こういうことでございます。

鈴木(克)委員 総裁にぜひお伺いしたいんですが、こういう形で、大変御無礼な言い方かもしれませんが、やみからやみに処理されたお金が十二兆円なんですよ。確かに当行では六十五億ということであったのかもしれませんけれども、六十五億でも大変なお金ですよ。国民の税金ですよね。それはちょっと言い過ぎなのかもしれない。一生懸命我々が稼いだお金だよと言われればそのとおりかもしれませんが、しかし、政府系である以上、そうではない部分もあるわけですよね、低利で保証債をもらって出したお金ですから。

 ということで、特殊法人から独立行政法人にかわったときに、全国でこういうようなケース、十二兆円の処理が、いわゆるやみからやみに葬られてしまったわけですよ。少なくともその十二兆円の中の六十五億は総裁のところで処理されたわけですよ。こういうことをどのようにお感じになりますか、総裁としてというよりも国民の一人として。

 私がなぜくどく言うかというと、いつ、どこで、どのようにこういう決定がなされたのかということをやはり明らかにする必要があると思うんですよ。そこでくどくお伺いをしておるんです。

小村政府参考人 政府の方針で産業基盤整備基金というのは設けられました。しかし、こうした業務を達成するためには、やはりもちはもち屋でありまして、産業金融やあるいは中小企業対策、こういった面におきまして、事業再生を行うとか政策目的を実現するためには、私ども自身がやった方がはるかに効率がよかった、そういう反省はございます。

 多くの類似の機関ができて、その機関がこういう結果になったということは大変残念だ。その結果、行政改革というものがなされた。こういうふうに理解しております。

鈴木(克)委員 いずれにしても、現在の政投銀というのは政府関係機関なんですね。これは予算を国会で承認を得なきゃならない、現在は。将来民間になればその必要は全くないわけですけれども。という状況の中の御行が、いわゆる毀損ということであっても、償却ということであっても六十五億の税金が、いわば、きょう、こうやってお伺いをしない限り、なかなかわからなかったわけですよ。これは私はやはり問題だというふうに思うんです。

 くどくなりますが、役員会とか議事録とか、そういうような状況になった、だから六十五億はもうこれで償却するんだ、毀損するんだというように決められた文章とか議事録とか、何かそんなものはあるんですか。

小村政府参考人 こうした出資金なり債権なりが償却をされる場合には、これは私どもにとっても大変なことであります、したがって、これは大臣の承認事項になっております。透明化されて、財務大臣の承認を得て初めて償却ができる、そういう性格のものでございまして、きちっとその旨を、我々は、監督官庁である財務大臣の承認を受けた上での処分でございます。

鈴木(克)委員 そうすると財務大臣にお伺いをしたいわけですが、六十五億というお金が、毀損というか償却というかわかりませんけれども、されたということに対して、どのように大臣としてお感じになっておるのか。

尾身国務大臣 先ほど来のお話のような経緯で、実態としてはそういう処理をせざるを得ないということで承認したものでございます。

鈴木(克)委員 ちょっと通告外かもしれませんけれども、そういった額が十二兆円なんですね。これは大変な金額ですよ。しかも、これはほとんどこのことについて議論をしたという形跡は私はないというふうに思うんですね。結局こういうことなんですよ。税金がどこかへ行ってしまう、なくなってしまうということは。

 私は、改めて、こういう問題を、一定額以上国民に大きな負担をかける場合にはきちっと国会で審議するというような形にしていくべきだというふうに思うんですが、大臣、もう一度。

尾身国務大臣 今の政策投資銀行の話は先ほどのとおりでございますが、十二兆円の話は、実はその大部分が、例えば原子力研究所とか理研とか、そういういろいろな研究所に政府が研究開発費としてお金を出しておりました。その処理の仕方が、出資という形でお金を出しておりまして、これは研究開発に使われたものでありますから、無形の財産として日本全体に残っておりますけれども、しかし、その法人に対する出資として行われたものは、実は、それに見合う法人の方における財産は最初からないという形でありました。

 これをある段階で、出資というのは実態に合わないので補助金という形を中心として出し直そうということで、最近では補助金という形になっておりますから向こうに財産が残っている形になっていないわけでありまして、そういう意味では、いわゆる国民のお金を無駄に使ってしまったということではない。制度のあり方として、それまで研究開発費を出資金という形で出していたことを実態に合わせてむしろ正常化したということが大部分で、積み上がって十二兆になったということでございますので、この点についてはぜひ御理解をいただきたいと思います。

鈴木(克)委員 まさしく、前任の谷垣大臣とちょうど二年前にここで同じようなやりとりをさせていただきました。それでもやはりなかなか国民としては釈然としない。出し方の問題だとおっしゃるけれども、やはり無駄遣いというふうに思われるし、先ほどの御説明も、六十五億という、それは十二兆円と六十五億で少しあれかもしれませんけれども、私はやはり根っこは同じことではないのかな、このように思っておるわけであります。

 さて、もう少し議論を進めさせていただきますが、政策投資銀行は出資金を資産として保有されておるわけであります。いわゆる出資金を出しているその先はどこかということなんですが、もちろん、ここですべてをというわけにはいかないと思いますが、主な会社名、機関名、出資金額そして出資残高、そういうものがあれば、ぜひお示しをいただきたいと思います。

多賀政府参考人 私どもは行政コスト計算書というものを作成しておりまして、その中で一部の出資先につきまして公表しておりまして、そのベースで申し上げたいと思います。

 先ほどの先生の御質問の主要なところということで、十七年度末の上位五社ということでいいますと、一つは新むつ小川原、二番目が苫東、三番目が都市再生ファンド、その後は投資事業組合。これは、私どもが事業再生をファンド形式でやったりするときに使用するものでございますが、そういう投資事業組合が四番目に入っています。五番目に、新規事業投資といいまして、これはベンチャーの投資をしている会社でございます。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 それぞれ出資をしておる理由というのはあると思うんですが、一度改めて、なぜ出資をしておるのかという基本的な考え方だけお示しをいただきたいと思います。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 当然ながら、私どもは政策金融機関でございまして、毎年の予算要求におきまして、私どもの融資並びに出資の制度というものを要求いたしまして、それで認められたものについて出融資をしているということでございまして、先ほど申し上げました五社につきましても、それぞれの政策目的に沿った出資であるということで出資をしたものでございます。

鈴木(克)委員 さて、出資をする以上、配当を受け取られるというふうに思うんですが、出資による配当金というのは毎年どの程度受けてみえるのか、そして、その受け取ってみえる配当金はいわゆる配当として十分な額なのかどうか、その点をひとつお示しいただきたいと思います。

多賀政府参考人 お答えをいたします。

 十五年度、十六年度、十七年度の三カ年につきまして、私どもの受取配当金ということでございますが、それぞれ、二億三千万、二億四千万、四億七千万ということでございます。

 十分かどうかということでございますけれども、基本的に、まさにこの二億、二億、四億という案件について言いますと、まず、私どもは、資金供給業務ということでむしろ呼び水的に行っておりまして、昨今やっておりますような、大きな、ある程度のリターンをもくろんで行うようなファンドに対する出資とか、そういうものとは若干性格が異なるような、出資のまさに果実としての配当でございまして、応分の配当かなという認識でございます。

鈴木(克)委員 そうしますと、新会社になって民間会社になっていったときには、こういう部分というのはどんなふうになっていくんでしょうか。そこをお示しいただきたいと思います。

小村政府参考人 出資金については二通りの考え方があります。

 一つは、私ども日本政策投資銀行になる前の北東公庫、旧開発銀行、この時代の出資というのは、資金供給業務として行うにしても、当該企業が成長するようにということで、いわゆるそういう意味での出資でございました。

 しかし、私ども日本政策投資銀行が今行っている出資というのは、これはいわば投資業務と理解していただいていいんでしょうか、一つの目的、事業再生をするとかあるいは新しいベンチャービジネスを展開するとか、そういった目的を持ち、しかも収益を上げる、これが大きな目的でありまして、その収益差は、もう天と地の差があります。

 したがいまして、私ども、前の機関から引き継いだものは、今先生の御指摘のものが大半でありますが、こうしたものはやはり次の機関においても引き継いでいかざるを得ない。しかし、これは不良債権になってはいけません。次の機関がこの出資金によって財政が圧迫されるようなことのないように、そういうことは、私ども、今の担当者においてはきちんと整理をしていかなきゃいけない、そういうことでございます。

鈴木(克)委員 さきの質問に戻るんですが、結局、出資に対する配当の割合というのは、十五年度が〇・一%、十六年度が〇・一%、十七年度が〇・二%ということですね、数字で見ますと。いずれにしても、確かにそれなりの理由があってこういった経過になってきておるのかもしれませんけれども、民間になっていった場合には、こういうような状況では、恐らくこれは株主の方が許さないんじゃないのかなというふうに思っております。

 その辺がまた、ではどういうような状況になっていくのかというのをやはりきちっとビジネスモデルとして再構築していく必要があるんじゃないのか。こういう部分がきちっきちっと見えてこないと、本当に何のためにやるのか、大丈夫なのか、先行きはどうなるのかということに結局なってくるのではないのかな、こんなふうに思っておるわけでありますが、この点について何かありますか。もしありましたら、どうぞ。

小村政府参考人 繰り返しになるかもしれませんが、私が総裁になって以後は、そうした過去の形の出資というのは基本的にはございません。新しい形で私どもは今運営をしております。

 ただ、過去の機関のを引きずっておりますから、そこのところについては私どもはきちんと承継をしている。その内容については、行政コスト計算書における財務諸表でその全容について公表いたしております。その過去の中身についても、財務上の問題を残すことのないようにきちっと処理をしていく、それが今の私どもの責務であろうと考えております。

鈴木(克)委員 それでは、だんだん時間も経過をしてまいりましたが、角度を変えて、財投機関債と政府保証債について議論させていただきたいというふうに思います。

 平成十三年度の財投改革によって、資金の調達は、財投機関債を中心とした仕組みに改革が進められました。確かに、毎年度財投機関債の発行額は増加し、十三年度の約一兆円から、十九年度の見込みでは六兆二千億というふうになっております。しかし、その一方で、政府保証債も十九年度四兆七千億の発行が見込まれておるということであります。

 政投銀の財投機関債の発行予定額は二千九百億、そして政府保証債の発行予定額は三千八百億、このように聞いておるところでありますが、政府保証債の発行は、発行主体からすれば、金利をできるだけ安くしたい、発行コストをできるだけ低く抑えたいという希望、期待があるということが背景であります。

 このことはもちろん理解はできるわけでありますが、しかし、財投機関債と政府保証債が同時に市場に出るということになりますと、市場では、財投機関債に対して、どうしても、暗黙の政府保証と言われる期待が働くと言われております。そうすると、財投機関債の金利が低下して政府保証債との金利差がそれほど開かなくなる。こういった状況は、いわゆる市場がゆがめられておるということにもなるわけであります。

 財政投融資全体においても、せっかく市場原理を導入して改革を進めようとしたわけでありますが、政府保証のついた債券とつかない債券を同時に発行すると、本来は政府保証がつかない債券の金利が少し高くなるはずなのに、余り差のない金利になってしまうということでございます。

 これを是正する、そしてなくしていく、これが必要だというふうに思いますが、政府はこの暗黙の政府保証の存在についてどのようにお考えになっておるのか、お示しをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕

田中副大臣 財投改革以降、財政投融資の原資における政府保証の割合が高まっているとの御指摘については先ほど御説明をしましたけれども、いずれにしましても、道路関係四機関の民営化に伴う特殊な要因によるものでありまして、政府保証については抑制的な運用を行っているところでございます。

 また、財投機関債については、暗黙の政府保証が意識されているとの御指摘があることについては認識をしておるところでございます。

 この点について、暗黙の政府保証が意識される背景としては、市場関係者の中に、財投機関には政府による支援が期待されると予想する向きが多いことがあると承知しております。

 財務省としては、今後とも、市場による評価の機能が十分発揮されるよう、各財投機関において、民間準拠の財務諸表の公表といったディスクロージャーや投資家説明会の実施といったマーケットとの対話が引き続き十分に行われるよう努めてまいりたいと存じます。

 なお、暗黙の政府保証の問題を含む財投機関債のあり方については、有識者による財政投融資に関する基本問題検討会において御議論をしていただくことになっております。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 そこで、今度は政投銀総裁の方にお伺いをしたいんです。

 いわゆる資金調達力との兼ね合いということになるわけでありますが、政投銀としては、政府保証債、そしてまた、今後どのような形で、民間への移行をしていく上において金融債をどのように今考えてみえるのか、そのところをちょっとお示しいただきたいと思います。

小村政府参考人 今回の法案におきまして、移行期間中、財投借り入れ、政府保証債の発行を認めていただいております。私どもとしてはできるだけ多い方がいいに決まっておりますが、そこは常識の範囲内で理財局もお考えだろうと思うんです。ただ、運用はやはりマーケットの状況によって弾力的にやっていただきたい、画一的な運用ということにはならないようにしていただきたいと思います。

 それから一方、財投機関債でございますが、これは、暗黙の政府保証があるといっても、発行する主体にとっては大変緊張感のあるものであります。投資家に対する説明、格付機関に対する説明、IR、こうしたものについて、資料を公開し、あるいはコンプライアンスの問題とか、その他経営において大変役に立つといいますか、外部的刺激によって経営そのものがやはり緊張感のあるものになっていく、そういう効果があると思います。

鈴木(克)委員 それで、資金調達について、午前中も古本委員の方からも議論があったわけでありますが、私もやはりここのところがどうしてもまだ得心がいかないということでございます。

 いわゆる現行の財政投融資資金からの借り入れ、債券の発行、政府保証債の発行、さらに預金の受け入れ、そして金融債の発行、こういうようなことがいろいろ考えられるわけです。午前中も同じあれがありましたけれども、どの程度、またどのような割合でお考えになっておるのか。このところを、それはやってみないとわからないということではなくて、今、例えば一つのモデルとしてこんなことを考えておるというようなことをお示しいただくわけにはいきませんでしょうか。

小村政府参考人 財投からの借り入れ、政府保証債、こういったものについて、我々は、過度に依存することなく、やはり自律的にこれを調達していかなければならない。

 その際、何が一番フィットするか。幸い、この法案におきましては、金融債、大口預金、社債あるいは銀行借り入れというものを認めてもらいました。これまでは、銀行借り入れは認められませんでした。あらゆるものに制約があった中で、資金調達において自由度が増しました。銀行借り入れは初めての試みであります。

 もしこの法案を通していただければ、これは私ども、副総裁以下、プロジェクトチームを組んでおりますから、各金融機関との折衝を行い、どれだけのものが協力をいただけるか、その目安をまず立てたいと思っております。

 将来、先ほどの御質問にもありましたが、完全民営化のときに社債と借り入れとどういう割合かということでありますが、それはそのときのマーケットの状況をよく見てみないと、今から先の経営者を束縛することは、こういう公開の席で申すべきではないと思います。ただ、一つだけの手段に頼ると、やはりそちらの方に主導権を奪われ、せっかくの調達もうまくいかない、あるいは金利が上がってしまう。

 そういうことで、手のうちを余り見せないようにしながらも、いかに低い金利で調達をしていくか。これは調達というのは、今度は我々の業務の約二分の一の業務量を占めるぐらいの重要な業務になってまいると考えております。

鈴木(克)委員 ちょっと質問の順番を変えさせていただいて、山本大臣にお越しいただいていますので、先にちょっと山本大臣に一問だけお伺いをしておきたいというふうに思うんです。

 先ほど来いろいろと質問をさせていただく中で、特に危機対応だとか、それから今後政投銀がどんな形になっていくかという中で、きのうの質問の続きというか、三谷委員の方からJALの問題がありました。近々政投銀へも金融庁の査察が入るという一部報道がなされております。JALについては民間金融機関と同じようないわゆる指導をすることになるというふうに思うんですが、この点について金融庁の見解をお伺いしておきたい。質問が遅くなって、まことに申しわけありません。

山本国務大臣 個別金融機関に関する事柄でございまして、今後の、査察ではなくて金融検査のことだろうと思いますが、検査予定を含め、お答えすることはできないルールになっております。

 一般論として申し上げれば、金融検査と申し上げるものは、信用リスク管理体制を含めた金融機関の内部管理体制の検証でございまして、その意味では、先生おっしゃる、金融庁が何らかの指導というものを行うものではないわけでございます。

 いずれにせよ、健全化を図る必要があるために、過去、金融庁が政投銀に金融検査に入った事実はございますが、こうしたことについてコメントということは控えさせていただいておることを御理解いただきたいと思います。

鈴木(克)委員 申しわけありません。査察ではなくて検査ということで、私も言いかえさせていただきたいというふうに思います。

 いずれにしましても、政投銀の置かれておる立場というのは非常に重要な立場だというふうに思っておりまして、財務省はもちろんでありますけれども、金融庁も、ひとつ今後も適切なる指導をお願い申し上げたいというふうに思っております。

 さて、質問をまた出資金に戻らせていただいて、行ったり来たりで恐縮でありますけれども、十九年度の予算書を見ると、政投銀の出資金残高というのは四千百四十四億円ということでありますが、さらに十九年度は五千三百九十四億円。まさに急激に出資金を拡大しておるということでございます。

 なぜこれだけ急激に出資金をこの時期拡大されるのか、ちょっとお教えをいただきたいというふうに思います。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございまして、私どもの十八年度と十九年度の収入支出予算の添付書類の貸借対照表上でございますけれども、それぞれ、約四千億それから五千四百億という出資金を計上しております。

 これについてということでありますが、これは、事業再構築それから産業の競争力の強化でございますとか、あるいは都市再生、地域再生等のインフラ関連分野でございますとか、そういうところに対しまして、昨今の金融技術の発展もございまして、私どもの出資機能というものについて非常に強い期待が寄せられております。

 そういうものを背景にしておるというのが一つと、それからもう一つは、将来の民営化ということもございますけれども、投融資一体となったファイナンスということもございまして、出資機能につきましても私ども強化をしていきたいということもございまして、結果的にこういう数字になっておるということでございます。

鈴木(克)委員 ただ、まさに新会社になっていったときに、従来と同じような形での出資が続けられるかどうかというのは、私は非常に疑問が実はあるわけです。ということは、この辺のところでやはり一度、全部とは言いませんけれども、ある程度整理を進めていく必要があるのではないのかなというふうに思っておるんですが、そういうことは全く今のところお考えになっていないということなんでしょうか。その点はどうでしょうか。

小村政府参考人 最近ふえております出資金は、まさに私どもが新しいビジネスを展開するためにやっているものでございます。恐らく、これが将来の大きな収益源になることは確実であります。こうしたものを整理するということは、私どもは将来生きていけないということであります。

 金融業務として、資金供給業務として、主たる業務の一つとして、けさほど小沢先生からも御指摘がありましたように、そうしたビジネスについて真剣に考えろ、こういうことでありますので、より収益性の高い運用をしてまいりたい、こう考えております。

鈴木(克)委員 いろいろとお尋ねをしてまいりました。とりわけ、六十五億の出資金が毀損をしたというようなことも明らかになったわけでありますけれども、やはり、いつ、どこでこういうような決定がなされていったのかということを、我々もやはりきちっと議論を深めていく必要がある、国民の前にはっきりさせていく必要がある、このことを実は御質問をしながら感じておったわけでございます。

 さて、いよいよ終わりにさせていただきたいと思いますが、私が冒頭申し上げました今回の民営化へ向けてのポイントというのは、やはり完全民営化後のビジネスモデルがいまだ明確になっていないということが言えると思います。それから、これも先ほど申しましたけれども、資金調達力が何かまだはっきりしていない。財投機関債、個人向け債券それから銀行借り入れ等いろいろとおっしゃっておるわけでありますが、その辺もやはりまだまだはっきりしていないというふうに思います。そして株の問題につきましても、どういうふうに処分をしていくのか、ここのところもまだ漠然としたものがある。それから完全民営化までのプロセスもはっきりしていないということでありまして、その辺のところをやはり、政投銀さんもそうでありますけれども、特に財務省の方できちっとそういった形で示していく、そして説明をしていくということが非常に必要なことだということを、この一時間ちょっとの間にさらに深く感じました。

 最後に、これは余分なことのようでありますけれども、週刊東洋経済、三月二十四日にこのような記事が載っておりました。

 政投銀が目指すべきビジネスモデルのお手本は、オーストラリアの金融グループ、マッコーリー銀行ではないのかというような話がありました。このマッコーリー銀行というのは、八五年の設立ということで非常に歴史が浅いし、非常に利益も小さかった銀行のようでありますけれども、それが一挙に八倍ぐらいの利益を上げるようになったということで、有料道路や空港などのインフラの投資を得意とする非常にユニークな経営が注目を集めておるということでございます。

 ということで、やはり先例というのはまるっきりないわけじゃないわけですから、そういうところをよく研究していただきながら進めていただきたい。誤りのなきように、千三百人の方々が本当に路頭に迷うことのないようにしていただきたいというふうに私は思います。

 ただ、このマッコーリーの関係者が言っておるのは、やはり最大の付加価値は、いわゆる金利の安いお金をどうやって集めるかというところなんだということを言っておりまして、その部分をきちっと構成しない限り、非常に厳しいよというようなことを言っておるようであります。

 やはりそこに尽きるのではないのかなというふうに私は思いまして、くどくも辛くもその辺のところをお伺いしてきたつもりなんですが、今申し上げたような御研究をなさっておるかどうかわかりませんけれども、東洋経済のこの記事について何かお考えのところがあればお示しをいただきたいと思います。

小村政府参考人 マッコーリーは私どもと親しくしている銀行の一つであります。一緒に小田原のターンパイク有料道路のインフラファンドを形成したこともございます。

 マッコーリーは、先生御案内のように、年金資金を安定的に、しかも低い金利で預かっております。こういう資金調達の有利さがあるわけなんです。日本国においても同じようなシステムがあれば、私どもはマッコーリーに負けるような銀行ではございません。

 私どもの銀行は、世界でどういうモデルがあるかということもよく勉強しておりますが、これからは金融環境が大きく変わっていきます。人まねでは生きていけません。民間銀行と同じようなことをしていても生きていけません。それだけ真剣にこれからのビジネスモデルを考えているということを御理解願いたいと思います。

鈴木(克)委員 最後にさせていただきたいというふうに思いますが、これもまた、げすの勘ぐりという言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、金融界の中には、民営化する郵貯と政投銀が融合するのではないのかというようなことを言っておる金融機関関係もあるわけであります。私は、そうなれば、これはまさに財投制度の入り口と出口が一緒になるようなものだというふうに思って、こんなことは考えられないというふうに思うんですが。

 いずれにしましても、国内はもちろんですけれども、世界も、政投銀の今までの存在価値が非常に大きかっただけに、今後の行く末というものを本当に注視しておるというふうに思うんですね。

 ひとつ総裁におかれましては、ぜひそういう責任の中で、遠慮されずに、もっと役所に対して、財務省に対してきちっと言っていかれた方がいいと私は思うんですよ。私どもはまないたの上のコイでありますからと言ったって、どんどんどんどん日はたっていくわけです。やはり言うべきことを言って、こうしてもらわなきゃ困るんだ、我々はそれだけのことを果たしてきたんだということを主張されていくべきだ。それが、我々も見ておって、なるほど、本当に政投銀は大丈夫なんだという一つの安心感になるわけでありますが、今のような状況だと、本当に大丈夫なのかなということになるわけでありまして、逆に言えば、何のための民営化なのかというところへまた戻っていってしまうような気がしてならないわけであります。

 いずれにしても、やってきたことは間違いないことでありますし、これからも必要な分野を担っていただかなきゃいけない、こういう使命感を持って頑張っていただきたい。最後にその辺の決意をお示しいただいて、私の質問を終わりたいというふうに思います。

小村政府参考人 私どもの銀行の四つのDNAの中に中立性というのがございます。したがいまして、例えば郵貯だとか、どこか特定のメガバンクと組む、そういうことは今考えておりません。

 それから、私は私なりに、我が銀行のモデルにつき、あるいは経営のあり方について、監督官庁にも遠慮なく物を申しております。

 それから、世界の銀行でこれだけ不良債権がないというのは、政治との距離がきちんとしているということであります。今多くの開発銀行が不良債権問題で悩んでいるのは、まさに政治との距離が近過ぎて不良債権問題が発生している。

 私どもの銀行は、五十年来、初代の小林中総裁以来、きちっとした距離感を守っております。したがいまして、財務大臣も私どもに無理強いのようなことは一切おっしゃっておりませんし、他の官庁においても同じであります。

 採算に合わないものについては、例えばどこどこの空港をつくるとかといっても、これはこういうものではだめだということを遠慮なく申し上げます。地方公共団体の知事に対しても、私は、だめなものは、こういうものをやってはならないということを遠慮なく私自身が出かけていって物を申しております。

 そういう健全性を保持しながら、これから大きな荒波の中で生きていかなければならない。そういうことは、先生からおしかりを受けるまでもなく、自覚いたしております。

    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(克)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 昨日に引き続きまして、質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭ですけれども、総裁は先ほど、政治との関係はない、あるいは採算の合わないものはやらない、このようにおっしゃいました。

 そこで、お尋ねをしたいんですが、日本政策投資銀行、これは前身の日本開発銀行及び北海道東北開発公庫の時代から、苫小牧東部開発、むつ小川原開発、臨海副都心開発などの大型開発、これに投融資をされてきましたね。大手銀行などと共同で、自治体を巻き込んで、こういうプロジェクトを推進してきたわけであります。しかし、その多くが失敗をしてきたんじゃありませんか。

 これまで政投銀として、むつ小川原開発、苫小牧東部開発、ここにつぎ込んだ資金のうち償却した金額は幾らになりますか。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 まず、苫小牧東部開発でございますが、貸付金償却額は六百四十七億円、出資金償却額は十五億円、それからむつ小川原開発でございますけれども、貸付金償却額は六百六十二億円、出資金償却額は二十億円でございます。

佐々木(憲)委員 今紹介されましたように、合わせると貸し付けで一千三百九億円の償却であります。これは、要するに財産が毀損しているわけですね。それから、出資では合わせて三十五億円。合わせると一千三百四十五億円を償却している、こういうことになりますね。これは極めて莫大な金額であります。

 国民の財産をそれだけ毀損した、その責任は一体どこにあるのか。総裁と財務大臣にお聞きしたいと思います。

小村政府参考人 かつて北東公庫時代に、御指摘の苫東、むつ小川原という大きなプロジェクトについて北東公庫が関与いたしました。その際、政府も地方公共団体も財界も、やはり土地神話を信じてこうした大プロジェクトを展開した、その中に北東公庫も一員として加わっていたということであります。日本国全体として土地神話が生きていたときの大変不幸な歴史であったと思います。

 こうしたものについて、私ども新政策投資銀行が発足するときに、やはりきちっとした形で解決をして、それで新しい銀行に引き継いでもらいたいということで、政府において改革がなされました。その改革の結果を受けて、私どもが今それを承継しているということでございます。

尾身国務大臣 むつ小川原開発、苫小牧東部開発は、昭和四十年代の半ばの新全国総合開発計画から始まりまして、その後、累次の全国総合開発計画におきまして、むつ小川原地域、苫小牧東部地域が大規模工業の適地として位置づけられてきたことを受けて実施されたプロジェクトでございます。

 このプロジェクトは、この地域の開発のため、工業基地用の用地取得、造成、分譲から、港湾、道路、工業用水、都市基盤といった関連基盤の整備まで、広範囲な事業を展開いたしました。北海道東北開発公庫は、同プロジェクトの中核となる二つの開発会社に対しまして、その事業開始とともに出融資による支援を開始しており、ピーク時の融資残高は合計千九百三十億円でございました。

 その後、二度にわたる石油危機を初め、円高等による産業構造調整の進展などが生じる中で、経済産業構造の急速な変化等により、結果的に企業立地が進展せず、土地分譲等が思いどおりに進まなかったこと、大規模工業用地の建設という性格上、出融資規模が極めて大きくならざるを得なかったことなどの理由により、この両方のプロジェクトが北海道東北開発公庫全体の業務運営に大きな影響を及ぼすこととなったものと認識をしております。

 御指摘の償却損という点につきましては、北海道東北開発公庫については、平成十一年九月期決算において苫東開発株式会社に対しまして、日本政策投資銀行につきましては、平成十三年の三月期決算においてむつ小川原開発株式会社に対して、貸付金償却及び出資金償却を実施しているところでございます。

 これは、平成十年十二月二十五日閣議了解の「「苫小牧東部開発」及び「むつ小川原開発」の両プロジェクトの取扱いについて」及び平成十一年十二月二十四日閣議了解の「「むつ小川原開発」プロジェクトの取扱いについて」において、開発会社を清算し、借入金に依存しない形での土地の一体的確保、造成、分譲を行う新会社を設立するとの抜本的処理策を踏まえまして、開発会社に対する北海道東北開発公庫及び日本政策投資銀行の債権の取り扱いについては、債権者平等の原則に基づき償却を行うこととされたことを受けたものであると承知をしております。

 今後は、閣議了解にのっとった根本的な処理策に基づいて設立された新会社のもとで、関係者による支援体制を維持して計画を推進していくことが重要であると考えております。

佐々木(憲)委員 長い事実経過と細かな数字の紹介がありましたが、質問には答えておりません。どこに責任があったかと聞いているんですよ。

尾身国務大臣 当時の全国総合開発計画におきまして、何十年にもわたりまして推進、追求してきたプロジェクトでございまして、当時の計画どおり、全国のいわゆる総合開発が全体として大変に意欲のあるものであったと思いますけれども、そこの地域における企業の立地が予想どおり、計画どおり進まなかったという点で、基本的には、こういう結果になったことはまことに残念であります。

 これは、どこの責任というよりも、国全体としてそういう方向を一時大いに推進したわけでございますので、そういう方向のやり方というのが現在の目から見るとやはり問題があったなと言わざるを得ないところでございます。

佐々木(憲)委員 当時の高度成長の延長線上で、ますます日本経済が大規模な開発を必要とするだろうという想定のもとに、またかつ、土地がどんどん上がっていくという、土地神話というお話もありましたが、そういう幻想の中で、極めて巨大な開発に突入していったというその政治的な責任、政府の責任が極めて大きいと思います。やり方に問題があったということは、半分認めたようなものですけれども。

 しかし、根本的に、この開発のあり方、今の時点でもそれの反省をきちっとしない限りは、また同じことを繰り返すということにならざるを得ないと思いますので、一言申し上げておきたいと思います。

 それから次に、総裁にお聞きしますけれども、この二つの事業、苫東と新むつ、ここに新たに出資した金額、これは現在幾らになっていますでしょうか。

多賀政府参考人 十八年三月末の出資残高でございますけれども、苫東の方が三百十二億円でございまして、新むつ小川原の方が四百四十億円ということでございます。

佐々木(憲)委員 これが新たな不採算とならないという保証、償却をするような事態にならないという保証はどこにあるんでしょうか。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 もう御案内のとおりでございますが、土地の売却を行うことによりまして、有償減資を行って、その減資分を私ども等出資者に返還するというスキームになっているわけでございまして、これはひとえに、その土地が売れるかどうかということにかかっているわけでございます。

 この両地域の土地の処分等につきまして、関係者の協議等もいろいろ進んでおるというふうに聞いておりまして、適切な処分が今後進んでいくのではないかということを期待しているところでございます。

佐々木(憲)委員 次に、政投銀に対する国有地の払い下げ問題についてお聞きをしたいと思います。

 政策投資銀行は、国に対して、大手町のビルに隣接している駐車場の土地を、これは国有地でございますが、それを購入するため申請する予定と聞いておりますけれども、それは事実でしょうか。また、その目的は一体何でしょうか。

小村政府参考人 現在、私どもの銀行が国からお借りをしている駐車場、これはもう二十年来お借りをしております。この駐車場につきまして、取得をしたいということで、先般の予算要求との関係で財務省にお話をし、資金計画に計上をいたしてもらいました。

 この駐車場は、毎年、一年ごとの契約になっており、契約関係が非常に不安定であるということ、それから、種々の思惑に基づいてこれを取得しようという、地上げ屋と言ってはなんですが、いろいろな人たちもおります。そういう面で、私どもが業務上支障のないように、あの地帯は、先生御存じのように経団連がそばにありまして、違法駐車もいっぱいあります。ぜひこういう駐車場をきちんと確保して業務に支障のないようにいたしたい、こういうことで要求いたしたものです。

佐々木(憲)委員 今のお話によると、毎年契約を更新しなきゃならぬ、これはどこでもやっているんじゃないですか、国有地を貸している場合は。それから、ほかの業者が買い上げる可能性があるということで、先に押さえておかなければならないというようなことをおっしゃいました。

 では、財務省に聞きますけれども、ほかの会社に売る予定というのはあるんですか。

丹呉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の国有地でございますが、現在、私ども、日本政策投資銀行に貸しているわけでございますが、まだ政策投資銀行から取得の正式な要望が参っておりません。仮に出てきた場合におきましては、私どもは、会計法の規定等に基づきまして適切に対応したいと思っております。

 なお、一般的に、国有地につきましては、さきに成立いたしました行革推進法におきましても、売却可能な国有地については売却を促進するということが言われております。また、当該土地は、私ども国が現時点でみずから利用する計画はございませんので、会計法の法令にのっとって売却するというのが基本的な考え方でございます。

佐々木(憲)委員 ほかの会社に売る可能性は今のところはないと。

 そうすると、政投銀としては、土地が値上がりする前に押さえておこう、こういうことですね。

小村政府参考人 土地が値上がりするかどうかは、私どももわかりません。ただ、政府において、行革推進法において、国有財産の売却を促進しようということであります。その際に、利害関係人である私どもが、それをぜひ取得いたしたい、他の人の手に渡る前に業務上必要な土地を取得いたしたい、こういうことで申し入れたものでございます。

佐々木(憲)委員 定足数が達していないようですが、どうですか。

伊藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 佐々木君。

佐々木(憲)委員 それでは、この土地の申請は幾らでやるつもりでしょうか。平成十九年度の資金計画上の金額、これは幾らになっていますか。

小村政府参考人 この金額は、私どもが予算要求をする際の路線価を参考にいたしまして要求をいたしました。この額がすなわち売買価格になるということではございません。一応の目安として、路線価をもとにして約九十億円の予算要求をいたした、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 いや、その価格は幾らかと聞いているんです。

小村政府参考人 これは、仮に私どもが見積もった価格でございますが、九十一億二千万円でございます。当時の路線価にその後の私どもが見込んだ値上がり率を掛けまして算出した金額でございます。

佐々木(憲)委員 その基礎になった路線価とそれから値上がりを見込んだ金額、これを平米当たりで示してください。

岡本政府参考人 お尋ねの路線価についてでございますけれども、政策投資銀行の周辺の路線価と思われますけれども、千代田区大手町一丁目九番の日比谷通りの平成十八年分の路線価は、一平方メートル当たり九百六十九万円となっております。

佐々木(憲)委員 それに若干上乗せをして申請をする資金計画を立てたと。それは幾らなんですか。

小村政府参考人 ただいま御説明のありました路線価に、これは私どもの変動率九・五%を一応の目安として置いて計算をいたしました。

 その結果、路線価九百六十九万円、それに面積を掛け、一・〇九五を掛けますと、先ほど申し上げました九十一億二千万円ということで……(佐々木(憲)委員「一平米当たりで幾らですか」と呼ぶ)平米当たり九百六十九万円、これが路線価であります。(佐々木(憲)委員「それプラス」と呼ぶ)その平米は八百五十九・四九平米であります。これに九・五%の上昇率を掛けますと、私が申し上げました金額になるわけであります。

佐々木(憲)委員 財務省にお聞きしますけれども、これは随意契約によって行うと想定されますけれども、その基準は何ですか。随意契約の基準。

丹呉政府参考人 国有地を随意契約することについては会計法等の規定に定められているわけでございますが、取得者として政府関係金融機関という規定がございまして、先ほど申し上げましたように、仮に日本政策投資銀行から要請があれば、こういった規定に基づいて私ども判断していくことになると思います。

佐々木(憲)委員 その基準というのは何ですかと聞いているわけです。政府系金融機関は随意契約をしてもよろしい、こういうことになっているんですか。

小村政府参考人 会計法に基づきまして予決令というのがございます。予決令に私どもが随意契約適格者であるということが成文化されております。その根拠に基づいて私どもが申請をしたということでございます。

佐々木(憲)委員 元事務次官の答弁ですが、今は総裁ですから、これは財務局に答えていただかなければならぬことであります。

 この地域では、大規模な国家プロジェクトとして再開発が進められております。平成十五年一月三十一日に政府の都市再生本部が都市再生プロジェクトの第五次決定というのを行っておりまして、この第五次決定にはこう書いてあるわけであります。

 「大手町合同庁舎跡地の活用による国際ビジネス拠点の再生」、こういう見出しで、「千代田区大手町地区において、大手町合同庁舎第一号館・二号館跡地を平成十五年中に売却する。これを契機とし、段階的かつ連続的な建て替えにより、にぎわいのある国際的なビジネス拠点としての再生を目指す。」こういうふうに大変大きな構えを示しているわけであります。

 都市再生本部に来ていただいておりますが、具体的にはどんな形でどういう手順でこれを進めるのか、お答えをいただきたい。

松葉政府参考人 お尋ねの件でございますが、大手町地区の開発につきましては、先生御指摘のように、平成十五年一月に決定されました都市再生プロジェクトの「国有地の戦略的な活用による都市拠点形成」に位置づけられておりまして、旧大手町合同庁舎一号館、二号館の跡地を種地といたしまして、いわゆる連鎖型再開発事業が展開されております。現在、第一次の再開発事業として、日本経済新聞社、経団連、JAグループが旧合同庁舎跡地に再開発ビルを建設中でございまして、先月に着工したところでございます。

 今後、一次再開発事業が進行した段階で、これらの者がそれぞれ竣工した新しいビルに移転をし、次に、これら地権者の現在の土地が新たな種地になるということで、第二次の再開発事業がスタートしていくことになるのではないかと思っております。

 このように、旧大手町合同庁舎一号館、二号館跡地を種地として活用し、再開発事業を連鎖して、貴重な国有地を一度のみの単発の開発ではなくて、二度三度と再開発事業に結びつけていくことで、戦略的な都市再生を進めていきたいと考えております。

佐々木(憲)委員 お配りした資料を見ていただきたいんですが、今説明があったのは、この一枚目の連鎖型都市再生プロジェクトというものでありまして、周辺の会社の土地をこの合同庁舎跡地と換地をいたしまして、そして移る。あいた土地に今度は第二次事業ビルをつくって、さらにそこに周辺の会社が換地をし、そこに入ってくる。こういう連続的な再生プロジェクトということであります。

 二枚目をあけていただきますと、ちょうどその真ん中に日本政策投資銀行があります。そこに隣接する形で駐車場というのがあって、これが国有地であります。その国有地を日本政策投資銀行に売る話が一方である。そして他方で、この地域全体が再開発の大きなプロジェクトの枠の中に入っている。こういう関係になっているわけです。

 問題は、大手町合同庁舎第一号館、第二号館の跡地を都市再生機構に売却した、それが核になっているわけでありますが、その売却は幾らで行われたのか、一平米当たりの金額は幾らか、これを示していただきたい。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の旧合同庁舎一号館、二号館の売却につきましては、法令の手続によりまして時価により売却することといたしまして、不動産鑑定士に鑑定を依頼いたしました。その評価をもとに売却したわけでございますが、一平方メートル当たりの単価は九百七十万円、売却価格は千三百億円でございます。

佐々木(憲)委員 めちゃくちゃ安いんじゃないんですか。路線価とほとんど変わらない。一平米当たり九百七十万円。こんな、いわばたたき売りみたいなことをやっている。不動産鑑定士がかんだと言いますけれども、極めてまゆつばでありまして、この周辺の市場価格は、別の不動産鑑定士に聞きますと、一平米二千五百万から二千八百万と言われておるわけであります。さらに高い価格を示す方もいらっしゃる。

 連鎖型再開発が行われるわけでありますから、当然、その再開発が進みますと、この地域の地価は上がることになると思いますが、いかがでしょうか。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、合同庁舎一号館、二号館の売却は、十七年三月でございます。先ほど日本政策投資銀行からお話のありました単価は十八年一月でございまして、時点が違うわけでございます。

 それから、私どもといたしましては、売却に当たりましては、不動産鑑定士に鑑定を依頼し、その結果に基づいて売却しているところでございまして、正当な価格というふうに理解しております。

佐々木(憲)委員 いや、私が尋ねたのは、こういう形で再開発が進みますと、この地域の地価は当然上がりますねと聞いたわけです。不動産鑑定士の話だとか、その時点が何年何月だとかという話じゃない、上がるかどうかと。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 売却する際には時価ということでございますが、その際、繰り返しでございますけれども、不動産鑑定士に鑑定を依頼する。その際、不動産鑑定士は、その時点で予想し得る状況を要するに織り込んで価格を決定するということでございまして、私どもとしては、不動産鑑定士による鑑定の評価に基づいて売却するのが適正な方法であるというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 現実に、この地域の不動産鑑定士の話による地価の値上がり方は、大手町一丁目の地価は、再開発の影響で、一年で三、四割上がっているんですよ。実際にあなた方の都市再生プロジェクトを見ますと、にぎわいのある国際的なビジネス拠点として再生すると。これは当然地価が上がるのは当たり前じゃないですか。どうですか。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しのお答えでございますけれども、私どもといたしましては、売却する時点で不動産鑑定士に鑑定をお願いする、その鑑定士の方は、国土交通省の通達等に基づきまして、鑑定時点で見込めることについて見込まれ、それに基づいて鑑定評価を行うということでございまして、私どもとしては、売却する際には、その鑑定評価によって売却するというのが適正な手続というふうに理解しております。

佐々木(憲)委員 質問に答えてください。

丹呉政府参考人 繰り返しでございますが、私どもは、要するに……(発言する者あり)

伊藤委員長 御静粛にお願いします。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、国有財産の売却は時価によることとしております。繰り返しでございますが、時価は不動産鑑定士の鑑定によると。不動産鑑定士はその時点で見込めるものは見込んでいただいておりまして、そういったことで出てきた鑑定については、正当、適正な価格であると理解しております。

佐々木(憲)委員 現実に再開発が進めば地価が上がる、これは当たり前のことであります。この地域は現実に上がっているんですよ。そうじゃないんですか。

丹呉政府参考人 お答え申し上げます。

 本件の鑑定につきましては、複数の鑑定業者にお願いいたしまして鑑定をしていただいております。鑑定に当たっては、当然、不動産鑑定士の方は、見込める変動等々につきましては織り込んで見込んでおられるというふうに理解しておりまして、私どもとしては、その専門家の意見を踏まえまして、いただいた鑑定評価で時価を決定するということになっておりますので、ぜひとも御理解いただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 全然質問に答えていないじゃないですか。再開発をやったらその地域の地価は一般的に上がる、そういうことになるんじゃないですかと聞いているわけですよ。鑑定評価の話を言っているんじゃないんです。

 大臣、当然上がるでしょう。

尾身国務大臣 不動産鑑定士が客観的に評価をした価格で売買をしたということであります。

 その鑑定士の評価は、そういう地域のいろいろな開発の状況等も総合的に勘案した結果の評価であるというふうに今局長は説明をしたと思いまして、私ども政府としては、これが正式の答弁であると考えております。

佐々木(憲)委員 再開発をすれば、当然その土地が上がるのは当たり前じゃないですか。そうでしょう。再開発をしたら土地が上がるというのは当たり前じゃないですか。現実にこの地域の土地は上がっているんですから、そうじゃないかと聞いているんですよ。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 今大臣から御説明がありましたように、不動産鑑定士としては、その時点で見込めることについて見込んで、その上で鑑定評価をしているということでございまして、私どもとしては、その評価に基づいて時価により売却するということで御理解いただきたいと思います。

伊藤委員長 もう一度答弁できますか。

 丹呉理財局長。

丹呉政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、不動産鑑定を行う場合には、不動産鑑定士の方は、長年の経験と知識によりまして、その売却対象の土地の周辺の状況等を十分見込んで、その時点で見込める状況については見込んだ上で不動産鑑定の評価を行うと理解しておりますので、私どもといたしましては、そういった評価を正当な時価というふうに理解しておりまして、それによって売却したところでございます。

佐々木(憲)委員 一般的に上昇するというのは、現実にここも上昇しておりますし、それを目指して再開発するという事例が多いわけであります。

 もう一度確認しますが、一平米九百七十万というこの都市再生機構に売却した価格というのは、その後、その周辺の状況等も勘案して新たな価格の設定になっていくわけだ、これに縛られない、こういうことですね。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃるように、私どもが売却をお願いしましたのは、十七年三月時点での鑑定による評価でございます。したがいまして、その後、状況が変化すれば、価格が変わる可能性はもちろんございます。

佐々木(憲)委員 当然、上がるのは、この地域が現実に三割、四割、一年で上がっておりますし、市場価格は二千五百万とか二千八百万というふうに言われているわけですから、大体その売却価格が低過ぎると私は思いますけれども、しかし、上昇傾向にあることは極めて明確であります。

 そこで聞きますが、この推進母体になっております大手町まちづくり推進会議の構成メンバー、これは何社ありますか。

松葉政府参考人 お答え申し上げます。

 地権者等で五十三でございます。

佐々木(憲)委員 その中に政投銀は入っていますか。

松葉政府参考人 政策投資銀行も入っているというふうに聞いております。

佐々木(憲)委員 このまちづくり推進会議というのは、この再開発全体を企画し推進していくいわば母体であります。その中に政投銀が入っている。

 それから次に、平成十六年六月に大手町開発という事業の実施主体が設立されております。この実施主体は、平成十六年の六月に設立をされておりますが、平成十七年には、先ほど言ったように都市再生機構にまず随意契約でこの一号、二号跡地が売られた、十一月にこの大手町開発、ここにそのうちの三分の二が売られているわけです。その価格は、随契で都市再生機構が買ったものに若干管理事務費を上乗せしたと言われておりますが、ほぼ随契で買った価格でこの大手町開発というところに売却をされているわけです。

 お聞きをしますけれども、この大手町開発、これは民間の会社ですが、随意契約で売ったのでしょうか。これは簡単にそういうことができるのでしょうか。

松葉政府参考人 先生のお尋ねは、都市再生機構から有限会社大手町開発に随意契約で売却をしたかというお尋ねでございますか。そのとおり、随意契約で売却したと聞いております。

佐々木(憲)委員 なぜそれが可能になるんでしょうか。

松葉政府参考人 当該土地の譲渡の手続につきましては、直接は私どもの事務局がお答えする立場ではないと思っておりますけれども、都市再生機構において適切な手続にのっとって判断をされたのではないかと思っております。

佐々木(憲)委員 だから、その適切な手続というのはなぜ行われたのかと理由を聞いているんですよ。この民間都市再生事業計画の認定事業者だからできるんじゃないんですか。認定事業者になっていなければできないんじゃないですか。改めて確認したい。

松葉政府参考人 先生今お尋ねの件でございますが、繰り返しになって恐縮でございます。直接には当該会計の規定に照らしてどうかという判断だろうと思っておりまして、その意味で、恐れ入ります、私どもで直接その売買について監督をしている立場でございませんので詳細を承知しておりませんが、適切にやられたのではないか、こう推測をしておるということでございます。

佐々木(憲)委員 ここに私、議事録を持っていまして、第二百十八回国有財産関東地方審議会議事録。これは、平成十六年六月十八日、大手町合同庁舎で行われたものですが、ここで、この一号館、二号館跡地を土地区画整理事業用地として売り払いすることについてという議題が出されております。その議題の中でこういう議論が行われているんですね。これは、財務省理財局国有財産業務課長の説明であります。そこでこういうことが言われております。

 随契の正確性がいろいろ問われるわけでありますが、こういうふうに言っているんです。「国が特定の民間に国有地を売却したという社会的批判を招かないように、ここで担保し、配慮したい」と。何を担保するかというと、「認定事業者になりますと、直接国がこの事業会社に随意契約で売ることもできます。」と。

 つまり、認定事業者にしてあげますから、そうすれば随意契約で売ることができる。つまり、随意契約をするために国が認定事業者としてこの大手町開発を認めましょう、こういう経過で随意契約が行われ、そして土地が、国有地が売却された、こういう経過じゃないんですか。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 本事案につきましては、事業者である都市再生機構において、大手町合同庁舎跡地を公益の事業の用、すなわち、都市再生プロジェクトにおいて活用するということが認められましたことから、随意契約により売却したものでございます。

佐々木(憲)委員 つまり、認定事業者としてこの大手町開発を認め、その上で売却をしたということであります。

 それで問題は、この大手町開発というのはどういう会社なのかという点ですよ。この会社の構成メンバー、これはどこでしょうか。それから、出資金はそれぞれ幾ら出しているでしょうか。

松葉政府参考人 恐れ入ります。有限会社大手町開発の出資者等についてお尋ねがございました。

 私どもといたしましては、一般に都市再生プロジェクトが着実に実施されるようにフォローすることが役割だと思っております。ただ、そういう意味で、逆に申しますと、個別の事業者に関する情報については、直接に事業者にお問い合わせいただくのが適当ではないかと一般には考えております。

 それから、大手町の都市再生プロジェクトにつきましては、旧大手町一号館跡地を種地として活用され、再開発が二度三度と連鎖することが大切だと考えております。その限りでの状況の把握には努めようとしておりますが、直接の事業者については、そこにお尋ねをいただくのが適切ではないかと考えております。

佐々木(憲)委員 国家プロジェクトとして推進しているんですよ。しかも、これは都市再生プロジェクトということで、内閣挙げて推進をしているわけです。その目玉として大手町の再開発事業がある。それを実際に推進している事業主体、その事業主体がどうなっているかというのを把握し、国会に報告するのは当たり前じゃないですか。何でその当事者に聞かなきゃいけないのか。国を挙げて推進している事業の中身を聞いているんですから、当然ここで明らかにしていただきたい。

松葉政府参考人 基本のスタンスにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、さらに、当該事業者については匿名組合出資というふうに聞いておりまして、具体の出資者については公表されていないというふうに聞いております。

佐々木(憲)委員 だからだめだと言っているんですよ。要するに、認定事業者にしてあげますよと言って認定したわけでしょう。あなたのところはふさわしいです、この再開発を進めるための事業主体として真っ当な構成ですと。だから、その構成の中身を我々にここで明らかにしていただかなければ、本当にまともな認定をしたかどうかわからないじゃないですか。当然、資料を出してください。

松葉政府参考人 今、民間都市再生事業の認定についてお尋ねがございました。

 当該認定につきましては、まことに恐れ入ります、私どもで担当しておるものではなくて、国土交通省の方で認定作業をしておるということで、そちらで適切に御判断がされているものだと理解をしております。

佐々木(憲)委員 あなたは都市再生本部の事務局次長じゃないんですか。都市再生本部の都市再生プロジェクト第五次決定の内容の一番最初に出ているのがこのプロジェクトですよ。その中身を明らかにするのは当然じゃないですか。

 委員長、この大手町開発を構成している会社名、それから出資しているその出資額、これを資料として当委員会に提出していただけるよう取り計らっていただきたい。

伊藤委員長 ただいまの御要望の件につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 この大手町開発の出資者の中に政投銀が入っていますね。

小村政府参考人 ディベロッパーの皆さんの集まりだと思います。私どもは出資、参加いたしておりません。

佐々木(憲)委員 そんなでたらめなことを言わないでくださいよ。業務報告書があるでしょう、政策投資銀行。これを見ますと、「都市再生ファンド(大手町開発)」。この二十四ページ、二百億円出資をしているんじゃないですか。だめだよ、そんな答弁。全然だめだよ、そんなの。

小村政府参考人 私どもは、この大手町開発には出資をいたしておりません。この公表したものは、同じ名前になっておりますが、実は、富士銀行跡の開発について、東京建物等々と一緒に、同じ都市再生ファンドを形成したことがございます。その関係の数字がここに掲げたものでございます。ただいま先生御指摘のところには、私どもは参加いたしておりません。

佐々木(憲)委員 そうすると、この大手町開発と括弧して書いているのは、特定の固有の名前ではなくて、大手町地域における富士銀行跡地に対する出資、その事業に対する出資、こういう理解でいいんですか。

小村政府参考人 さように御理解いただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 そうしますと、ますますこの有限会社の大手町開発の内容が非常に重要になってくるわけでありまして、三菱地所、サンケイビル、NTT都市開発、東京建物等々が、この大手町開発に入っているというふうに我々は聞いておりますけれども、しかし、本当にそうなのかどうか、それから、その出資額がそれぞれ幾らか、これは後で理事会で協議ということですので、しっかりと資料を提出していただきたいと思います。

 それから次に、政投銀としては、この推進会議に最初から参加をされている、これは先ほどお認めになった、そして、大手町地域の開発に二百億円という出資をしている。したがって、これは大変な金額でありまして、例えば苫東には二百七億円、むつには二百八十四億円ですから、それとほぼ並ぶ、大変大きな出資額であります。ですから、先ほど総裁は一番最初に、この地域の土地の価格がどのように値上がりするかわかりませんというお話がありました。

 しかし、この地域の全体のプロジェクト、国家プロジェクトとして推進されているこの連続した再開発の中で、この駐車場がどのように扱われていくか、それは政投銀としての意思もそこに働くだろうと思いますけれども、十分熟知をして、こういう駐車場を買いたいという申請をされているというふうに理解してよろしいと思いますが、いかがでしょうか。

小村政府参考人 繰り返し申し上げますが、富士銀行跡の大手町の開発は全く別の案件でございます。私どもは地権者として参加している。これは、将来再開発をされたときに、地権者としてどういう意見を持っているかということで参加をいたしております。二百億円の件は全く今回の件とは関係ございません。これは、新しくこの地域を再開発するときに、一種の都市再生ファンドとして私どもが参加した案件でございます。これは十分ビジネスになり、苫東等とは全然違う種類の新しい形の出資案件でございます。

    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕

佐々木(憲)委員 だから、そのことを聞いているのではなくて、この開発全体としてどういう大手町の姿になっていくかということは、十分熟知をしているはずだということを聞いているわけですよ。

小村政府参考人 大変失礼いたしました。

 これは、この地域が大手町の中で一番おくれた地域であります。この再開発の重要性というのは私どもも認識をしております。正式に参加するということは決めておりません。

 ただ、私ども、この駐車場を国から買い上げておっても、国が全額出資をしておりますから、仮に値上がりをしても、それはいずれは国に帰属するわけでありまして、私どもがそれだけ利得を図るということではありません。株式の売却の際には、それは実現される利益であります。

佐々木(憲)委員 それは全然違うんじゃないですか。完全民営化が五年から七年後ですね、来年以降決められているわけですよ。今は確かに政策投資銀行は国の機関ですけれども、しかし、結局は民間企業になるわけです。民間企業に国から、あらかじめ政策投資銀行として国からその土地を、払い下げといったら変だけれども、路線価に非常に近い価格でもらって、この連鎖型都市再生プロジェクトの流れの中でそれを生かしていこうと。

 つまり、本来なら、民間会社に直接は随意契約で売れないわけです。しかし、今の段階で、政府系金融機関だから売れるわけです。今度は、民間になったときにその財産を利用して、値上がり利益を手に入れながら新たな戦略を組んでいきたい、こういう意図が働いていることは見え見えなんですね。ですから、私は、このやり方というのはもともと非常に問題のある、不透明なものが含まれていると言わざるを得ない。

 そこで、委員長に提案ですけれども、この委員会として、この大手町開発の現地ですね、この国有地は当然財務省の所有地ですから、国の所有地ですから、どういう状況で開発されるのか、この視察を行っていくべきだというふうに思いますが、ぜひ実現をしていただきたい。

竹本委員長代理 後刻理事会で協議いたします。

小村政府参考人 ただいまの先生の御質問で、やはり誤解を解いておかなければなりません。

 これは、例えば現在、私どもの土地をディベロッパーに売れば、その開発利益はディベロッパーが将来利得をいたします。しかし、私どもが現在ディスカウントをしてもらうわけではございませんが、適正な価格で購入し、将来その土地の価格が上がったとしても、その上がった利益というのは国に帰属するわけでありまして、他の業者には帰属するわけではありません。もちろん私どもにも帰属するわけではございません。全額政府が出資した機関でありますから、完全民営化し株式が売却されたときには、その利益が実現するということでございます。

佐々木(憲)委員 株式は民間に売却をされるわけですから、民営会社になるわけでしょう。民間の会社になるわけですから、私が先ほど言ったのが正しいと思います。

 ディベロッパーに売ればと言うけれども、売ればそれはますますひどい話なんだけれども、保有していて、その土地をもとに換地というのが行われるわけです。第二次事業が行われた際に、それに参加するかどうかまだ決めていないとおっしゃいましたが、これはこの地域全体が対象になっていますから、当然ここに入るか入らないかの判断をせざるを得ない。そのときに、この保有している土地をもって有利に換地ができる、民間企業としてですよ、そういうことになるじゃないですか。全然説明になっていませんね。

 もう時間も参りましたので、きょうのところはこの辺にしておきます。また続きは、この次にやりたいと思います。

    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十四分散会


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