衆議院

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第15号 平成19年5月23日(水曜日)

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平成十九年五月二十三日(水曜日)

    午後一時三十二分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 宮下 一郎君

   理事 山本 明彦君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      伊藤信太郎君    石原 宏高君

      江崎洋一郎君    小川 友一君

      小野 晋也君    越智 隆雄君

      大野 功統君    亀井善太郎君

      木原 誠二君    木原  稔君

      佐藤ゆかり君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    中根 一幸君

      丹羽 秀樹君    萩山 教嚴君

      原田 憲治君    広津 素子君

      松本 洋平君    御法川信英君

      小沢 鋭仁君    川内 博史君

      楠田 大蔵君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    三谷 光男君

      横光 克彦君    吉田  泉君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      亀井 久興君    野呂田芳成君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         尾身 幸次君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   財務副大臣        田中 和徳君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           勝 栄二郎君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    丹呉 泰健君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    加藤 文彦君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  飯原 一樹君

   政府参考人

   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君

   政府参考人

   (日本政策投資銀行理事) 多賀 啓二君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  小野 晋也君     木原 誠二君

  関  芳弘君     丹羽 秀樹君

  野呂田芳成君     亀井 久興君

同日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     小野 晋也君

  丹羽 秀樹君     関  芳弘君

  亀井 久興君     野呂田芳成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社日本政策投資銀行法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省大臣官房長杉本和行君、財務省大臣官房総括審議官勝栄二郎君、財務省理財局長丹呉泰健君、中小企業庁次長加藤文彦君、防衛省経理装備局長飯原一樹君、日本政策投資銀行総裁小村武君、日本政策投資銀行理事多賀啓二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 きょうは、第一回目の五月八日の質疑に引き続きまして、再度、日本政策投資銀行に、JALグループ向けの融資について質問をさせていただきます。

 昨日、日本政策投資銀行からJALに向けまして堀之内博一理事が監査役として送り込まれるということが公表、報道をされました。その報道ぶりは、主力行として監視の目を強める、JALは、監査役を受け入れ、引き続き支援を受ける、こういう内容でございました。

 メーンバンクではないと言い続けてきた政投銀でありますけれども、いよいよ日本政策投資銀行もこのJAL向け融資のことで表に出てきたなという受けとめ方をしています。そして、今回のこの融資決定をされた五百九十五億円、既に多くの部分は実行されたんだろうというふうに思います。

 この協調融資にとどまらず、この先、総計で再建プラン四千八百五十億円の資金、JALにとっては今後の外部調達、借り入れで賄わなければならない再建に必要な資金の、その融資に向けて政投銀がまさに中心になって踏み出したものだというふうに受けとめております。

 そこで、まず先に一点確認をさせていただきます。

 主力行以外の銀行が持つJAL向けの債権のことでありますけれども、既に中央三井信託銀行は、JAL向け債権を外資のゴールドマン・サックス証券グループに売却したというふうに伝えられております。これはいいのですが、そうした主力行以外のJAL向け債権をまさに政投銀が買い集めている、いわゆるメーン寄せでありますけれども、このメーン寄せをしているということが話として伝えられております。本当でしょうか。ないならないと、はっきり小村総裁に言っていただきたい。まずこのことからお尋ねをいたします。

小村政府参考人 全くさような事実はございません。

三谷委員 安心をいたしました。まさに政投銀は政策金融機関でありますので、メーン寄せなど、政投銀のする仕事ではないと思います。また、してはならないというふうに思っています。

 三月二十九日にJALによって公表されました、先ほども申し上げました総額五百九十五億円の協調融資の件でありますけれども、日本政策投資銀行、みずほコーポレート、三菱東京UFJ、三井住友、四行の協調融資の形をとっておりますけれども、その総額の七六%に当たる四百五十億円は日本政策投資銀行によるものだと。間違っていたら、小村総裁、後の答弁で訂正をしてください。ほかの主力行がしり込みをする中で、まさに政投銀が中心になってまとめられた協調融資であります。

 他の主力行がしり込みをするのは当たり前のことだと思っています。先般の質疑でも申し上げましたけれども、金融庁の検査で破綻懸念先債権への格下げが指摘をされた、あるいは、既に格下げられた、引き下げられたと報道をされておりますように、危険債権とみなされている、あるいはみなされ始めているわけですから、銀行にとって、融資を慎重にせざるを得ないのは当たり前のことだというふうに思います。そうした中で、まさに政投銀が引っ張る形で、牽引をする形でこの協調融資がまとめられました。

 政投銀はメーンバンクではないと何度もおっしゃっておられます。まさに政策金融機関ですから、当たり前のことだと思います。だけれども、このJAL向け融資に関しては、先ほども申し上げましたように協調融資の四百五十億円、七六%分、四分の三であります。どの民間のメーンバンクにも劣らないメーンバンクの役割をまさに牽引役として果たしてきています。どうしてここまでJALに肩入れをしなければならないのでしょうか。私は不思議で仕方がないんです。

 先般のその翌日の質疑でも、政投銀は政策金融機関として立派に貢献してきたと評価をいたしました。本当にそう思っています。だけれども、このJAL向け融資については不思議で仕方がないんです。尾身財務大臣にもお尋ねをしました。財務大臣も評価をしておられた。あるいは、ここまでの質疑の中でも、これまでやってきたさまざまな貢献、長期、低利の事業資金の供給、社会基盤整備を初めとした、まさに政策目的にかなった大変な貢献をしてきたと評価しておりますし、多くの方も評価をしています。

 もう一つ申し上げます。五月八日の質疑で、小村総裁は、これは私が言ったわけではありません、小村総裁がおっしゃったことです。今回のJAL向け融資について追い貸しではないとわざわざ言われました。だけれども、世間では、この五百九十五億円の協調融資、こういうのを追い貸しと言っているんです。

 そこで、小村総裁にお尋ねをいたします。

 今、日本政策投資銀行は政策金融機関であります。これから完全民営化に向けて歩を進まれるとしても、今は政策金融機関であります。今回のこのJAL向け協調融資、どういう政策目的なんでしょうか。

 危機対応ではないですね、過去の融資は危機対応だったかもしれませんけれども。政投銀が行うべきどういう投融資業務に当たるんでしょうか。社会基盤整備でもありません。再生支援でも、あるいは環境対策でもない。危機対応でもありません。先端技術開発や原子力開発など、生活基盤整備でもない。どの投融資制度に当たるんでしょうか、どういう政策目的にかなった融資業務なんでしょうか。教えてください。

小村政府参考人 幾つかお尋ねがありましたが、私どもがJALに対して本格的な融資を始めましたのは、九・一一のテロ、SARSあるいはイラク戦争、こうしたものを契機にして、緊急融資として行ってまいりました。それ以来、新たな、先ほど追い貸しと申し上げましたが、追加して融資をしているということではございません。残高は確実に減ってきております。

 ただ、今回の融資項目ということでございましたら、それは、残高の範囲内におきまして、事業再構築という政策目的で行ったものであります。

三谷委員 事業の再構築というのがあるんでしょうか。事業の再構築が、政投銀のやるべき、政策金融機関としての政策目的なんでしょうか。そんなことがあるんですか、本当に。事業の再構築、あるんでしょうか。

小村政府参考人 私どもの投融資指針におきまして、事業再構築支援というものがございます。これに基づいて融資をいたした次第であります。

三谷委員 過去の融資は、前回の質疑でも答弁がございました、今のお話にもさわりがございました。危機対応だった、そこからつき合いが始まった、これはわかります。危機対応は立派な政策目的であり、政投銀のやるべき仕事であります。リスクマネーの供給というのは確かにありますよ。例えば、ダイエーの再建の際、あるいは新潟鉄工所の再生のためのファンドをやられておられますね。そこまではわからないでもない。

 だけれども、先般の質疑でもるる挙げさせていただきました。みずからの放漫経営で経営が逼迫をした、そして資金繰りが逼迫をした。この五百九十五億円の協調融資も、三月期に六百億円資金が必要になったが、お手上げの状態で、それを融資することが事業の再構築なんでしょうか。それを助けることが、政策金融機関としての日本政策投資銀行の行うべき仕事なんでしょうか。もうちょっときちっと説明をしてください。

小村政府参考人 先生御案内のように、産業活力再生特別措置法というものがございます。この特別措置法に基づいて、認定事業再構築事業者等に対しては、事業再生支援として事業再構築支援を行うということが私どもの融資項目にございます。経済産業省によって、この認定業者になっているということでございます。

三谷委員 本当に認定業者になっているんですか。

 では、あわせて伺いますけれども、先ほども申し上げました協調融資ということでは、まさに四つのDNAの中にも、その柱の一つとしてうたわれております。民間金融機関だけでは、シンジケートローン、協調融資をする際になかなかまとまらない。中立性を持った政投銀、政投銀だけに限りませんけれども、政策金融機関が間に入って協調融資をまとめられる、これは立派な政策金融機関の仕事だというふうに思います。

 だけれども、申し上げたとおり、四分の三が政投銀からの融資額なんです。主力行とされているところは、三行合わせて四分の一しかないんですよ。メーンバンクではないとおっしゃいますけれども、立派にメーンバンクの仕事ではないですか。逸脱をしているというふうにはお考えにはなられないでしょうか。お答えください。

小村政府参考人 金融界におけるメーンバンクというのは、先生御案内のように、日々の決済も行う、そういった毎日の取引を見ている銀行であります。私どもはそういう銀行ではございません。一定の政策目的に基づいてお金をお貸しするということで、そういう意味ではメーンバンクではございません。

 ただ、残高が多くなったということは御指摘のとおりであります。それなりに私どもは、その残高について、きちっと目的どおりにそのお金が使われているかどうか、そういう点については私どもはよく経営内容を見ていく、こういう関係であろうと思います。

三谷委員 先ほど小村総裁は、残高そのものは減ったとおっしゃいましたけれども、本当に減っておりますか。お答えください。

小村政府参考人 今回の融資につきまして、過去の残高は有価証券報告書等で公表されておりますが、今回の融資によってさらにそれが積み上がるということではなしに、その残高よりも減っている。こういう意味で追い貸しではないということを申し上げております。

三谷委員 事業の再構築、あるいはそれに認定をされているというふうに総裁はおっしゃられます。だけれども、政策目的にかなった、あるいは政策金融機関としてやるべき仕事なんですかと私がお尋ねをしておりますのは、みずからの放漫経営で資金繰りが逼迫をした、あるいは経営が困った、そんなところは、中小企業向けは政投銀の仕事ではないにしても、中小企業じゃなくてもたくさんあるんですよ。

 だから、なぜJALにだけこういう協調融資の、それも金融庁が破綻懸念先と、そのことは聞いてもお認めにはならないでしょうけれども、そう伝えられている、そして、ほかのメーンバンクそのものがしり込みをするような、それを引っ張る形で四分の三の融資をやるべき理由が、政投銀の行うべき政策目的、仕事の中にどうしてあるんでしょうか。明確にそれを説明してください。

小村政府参考人 私どもがメーンバンクを引っ張るような形でそういう方向に持っていった、これはそういうことではございません。おのおの金融機関が相談をしながらこうした案件について取り組んでいるということは事実でありますが、私どもが主導権を持ってどうこうということではありません。

 JALについては、中期計画を作成してもらい、それから人件費等についても、先般申し上げました五百億円以上の削減をしてもらう、いろいろな注文をつけて中期計画ができ上がりました。これを着実に実施してもらうのがまず第一であります。

 足元のJALの営業状況はよい方向に向かっております。しかしながら、恐れ多くも国権の最高機関である国会で、権威ある財務金融委員会の有力議員から、金融機関以外の個別企業の経営についてかくも厳しい意見がたびたび出されたということ、このことはJALの経営者は重く受けとめるべきだと思いますし、ナショナルフラッグを掲げている、そういう誇りと責任の重大さを自覚して、さらなる経営の効率化あるいは合理化を求めていくということをやっていただきたいと思います。そして職員の方々にも、より一層サービスの向上、安全な運航に心がけて顧客の信頼をかち取っていただきたいと思います。

 私どもは、先ほど御質問がありましたように、今般、JALの御要請によって監査役を派遣いたしますが、それだけでなしに、金融団の一員として、中期計画の着実な実施、さらなる効率化を引き続き求めてまいりたいと思っております。

三谷委員 私は、総裁がおっしゃるように有力議員ではありませんけれども、真っ当なことだけはきちんとお尋ねをしたいと思っております。

 メーンを引っ張る形ではないとおっしゃいますけれども、メーンという認識があるやなしやにかかわらず、協調融資そのものの主力行とされている三行で四分の一、政投銀一行で四分の三、まさにこれだけを見ても、引っ張っているじゃないですか、申し上げたとおり。政投銀が踏み出さなければ、ほかの主力行三行はついてこれないですよ。引っ張っているわけじゃないですか。

 それから、中期計画のお話がございました。事業の再建そのものが私は政投銀のやるべき仕事ではないというふうに思いますけれども、百歩譲ってそれがあるとしても、今まさに小村総裁がお話しになられました中期再建計画でありますけれども、大変甘い内容ではないですか。よくやっているとおっしゃいますけれども、先般の質疑でも私も指摘をいたしました。例えばパイロットの給料、年収三千万円以上というのはもうざらなんですよ。そこには全然切り込めていない。一万五千円以上のベースアップを七労組は要求しています。

 あるいは財務内容のことでも申し上げました。見たらわかるはずです。自己資本の中でも利益剰余金の過剰計上があります。多分八百四十億円程度あるというふうに言われておりますけれども、先般も指摘をした機材関連報奨額、利益計上することはやめたんですけれども、それに対応する自己資本の計上を改められておらないんですよ。財務内容のこともあります。

 あるいは、廃止路線を決めて、地元からの要望があったらすぐさま撤回をする。そういうことがすぐに出ている。

 そんな状況の中で、今おっしゃられたようなことを着実に実行しているということが言えるんですか。もっとその前に、再建プランそのものが非常に甘い話ではないですか。どうしてこれで今総裁がおっしゃられたような理由になるんでしょうか。お答えください。

小村政府参考人 中期再建計画を着実に実行しているということではなしに、実行するよう私どもは今求めております。

 それで、これは甘いという御指摘、それはそういう御意見を私もわからないわけではありません。ただ、組合交渉等々、まだ背後にいろいろな事情があるんでしょうけれども、私どもはこれで満足しているわけでもございません。これさえやれればというようなことでお話をしているわけではありません。ただ、これをまず着実に実行していただければ営業成績が回復してくるだろう。その上でさらなる改革をこれからも求めていく、その点については先生と同じ意見であります。

 お気づきのところがありましたら、例えばこういうことをしてはどうだとか、そういう御意見をいただければ、拝聴いたしまして、私どももまたそれを活用させていただく、こういうことであろうと思います。

三谷委員 今までのお答えの中でも、まさに五百九十五億円の協調融資の四分の三が、なぜ政投銀がそこまで担わなければならなかったのか、その合理的な説明は全く触れられておりません。メーンバンク三行でも四分の一しかないものを、なぜ政策金融機関である日本政投銀が四分の三も担わなければならないのか、その合理的な理由がありません。合理的な理由があったら聞かせてください。

小村政府参考人 再三申し上げておりますように、個別企業に私どもが幾らお貸しをしたとか、そういう信用にかかわることは申し上げられません。

 ただ、私が今日申し上げておりますのは、過去において、SARS、イラク戦争、九・一一、こうしたものについて残高が多かった。その残高について、追い貸しをして昨年度末より残高をふやしているわけではございません。残高は減らしながら所要の措置を講じたということであります。

三谷委員 小村総裁、残高が減るのは当たり前の話です。定期的にJALも返済をしているわけですから。

 私が尋ねましたのは、なぜ政投銀が四分の三、メーンバンクでもたじろぐような、三行合わせて四分の一しかしないようなものを、なぜそこまで踏み出さなければならないのか、その合理的な、きちんとした正当な理由を聞かせてくださいということを申し上げているんです。お願いします。

小村政府参考人 再三お答えしておりますように、個別の企業に対して幾らお貸しをしたか、こういうことについては、私ども、守秘義務がございます。お話をするわけにはまいりません。

三谷委員 小村総裁、私は、幾らJALに貸しましたかとお尋ねはしていません、先ほども申し上げましたとおり。

 三月の二十九日に、五百九十五億円、四行の協調融資で融資決定がなされたというのは、これはJALが、ホームページにも出ております、公表されたことであります。だから、先ほど、私の言っていることが間違っているのならば答弁で訂正をしてくださいと申し上げたんです。間違っているんなら訂正してください。

 私が聞いておりますのは、なぜ四分の三もの、メーンバンクでもできないような融資を政投銀がやらなければならないのか、その理由を聞かせてくださいということをお尋ねしております。お願いします。

小村政府参考人 今般の融資総額についてはJALの方が公表しておりますから、その数字は公表された数字でございます。

 あと、どの銀行が幾ら貸したかということについては公表されておりません。融資した方の立場といたしまして守秘義務がございます。そういう意味で申し上げられないと申し上げているんです。(発言する者あり)

伊藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 三谷君。

三谷委員 もう一度お尋ねをいたします。

 四分の三云々ということではなくても、少なくとも半分以上は政投銀の融資額であるということは間違いがありません。なぜそこまで踏み込まなければならないのか、その理由を聞かせてください。

小村政府参考人 これはJAL特有の問題ではございません。JALがナショナルフラッグだから言えないとか、そういう問題ではございません。

 一般的に、取引関係におきまして、私ども金融機関側は、どこどこに幾らお貸しをしたとか、あるいは融資を断ったとか、そういう話になりますと、お客様の信用にかかわることであります。マーケットにも影響いたします。

 そういう意味におきまして、私どもから、融資額あるいはその他のことについて公表はいたしていないということであります。(発言する者あり)

伊藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 三谷光男君。

三谷委員 どうしてJALに向けてそこまで政投銀が踏み込んだ融資をしなければならないんでしょうか。その理由を聞かせてください。

小村政府参考人 先ほど来御説明しておりますように、私どもは政策金融機関ですから、政策項目にかなったものを対象にしてやっております。事業再構築支援という名目の中には、合理化のための費用あるいはシステムの投資、こういったものについて対象に含まれてまいります。他の金融機関は政策金融機関ではございませんから、そういう個別の対象事業というものは持っておりません。

 私どもは、私どもの対象事業にかなうものについて御融資を申し上げた、こういうことでございます。

三谷委員 小村総裁、百歩譲って、そのおっしゃる事業の再構築、そして、認定されています、だから貸せるんですということを認めたとしても、申し上げているのは、何でそこまで踏み込んだ融資をしなければならないのか。逆に言ったら、四分の一以下ですよということがあるのならばおっしゃってください。

 普通の協調融資です。だけれども、そうではないでしょう。その理由を聞かせていただきたい。

小村政府参考人 再三お答えをいたしておりますように、事業再構築事業であります。この事業再構築、コンピューターシステムの改善あるいは合理化策について、必要な費用を我々がお貸しすることによって、中期計画を彼らがきちっと立てて、それで再生を図っていくということが最大の目的であります。

三谷委員 今お答えになられたことはわかっておるんです。何度もお答えをいただきました。

 四分の三じゃなくても結構です。大きな部分を占める融資をされたわけでしょう。なぜそこまで踏み込まなければいけないのか。政策金融機関としての日本政策投資銀行が、どうしてそこまでJALに向けて踏み込まなければならないのか。その理由にはなっていないですよ、今の話は。なぜJALに向けてそこまで踏み込んだ融資をしなければならないのか、その理由を聞かせてくださいと申し上げているんです。

小村政府参考人 再三申し上げておりますように、JALに、今回、中期再建計画を作成してもらいました。その際に、私どもは、人件費の削減を初め、数々のリストラ策も求めてまいりました。こういうものを着実に実行していただく、そういう意味において関連費用については私どもがお貸しをした、こういうことでございます。

三谷委員 関連費用を出すことが政策金融機関の政策目的になるんでしょうか。関連費用を出すことが、政策金融機関としての日本政策投資銀行の政策目的にかなうことなんでしょうか。かなわないと思いますよ。おかしいではないですか。もう少しきちんとお答えください。

小村政府参考人 合理化策に対して、それをより実効あるものにするということで、そのための政策金融であります。

三谷委員 そんなことはメーンバンクの仕事ですよ。メーンバンクじゃないということは再三おっしゃっておられるじゃないですか。おかしいでしょう、それを理由にされることは。お答えください。

小村政府参考人 他の民間金融機関は政策金融機関ではございません。したがいまして、だれに、どういう根拠で、どういう事業対象について幾らお貸しをする、そういう計算はしておりません。

 私どもは、私どもの融資項目、投融資指針に基づいたもののみ御融資する。それにかなったものについて、事業再生、事業再構築のために資する、そういうものに着目してお貸しをした、こういうことでございます。

三谷委員 投融資指針とおっしゃいますが、どういう投融資指針に基づいて今の関連費用をお出しになられたのか、それだけ大きな融資額をお出しになられたのかということを聞いているんです。

小村政府参考人 私ども、政策金融機関として、まず、財務大臣から中期政策目標というものを掲げられます。それに基づいて、毎年、投融資指針、こういうものをつくっております。各項目について綿密に融資項目を定めております。また、融資対象事業についても定めております。

 そういう意味におきまして、今回、事業再構築のために必要な資金、その対象資金を審査いたしまして、それでお貸しをしたということでございます。

三谷委員 その投融資指針の中に、今総裁がおっしゃられた関連費用というのは入っているんですか。入っているんなら、その部分をちょっと読み上げてください。

小村政府参考人 事業再構築支援として、産業活力再生特別措置法に基づく認定事業再構築事業者等が実施する新商品の開発、生産、新役務の開発、提供、新生産方式の導入及び新取引方式の導入または認定事業者等が行う事業集約化等でございます。

三谷委員 総裁、それにしても、融資をしてもよいということと、その大きな部分を政投銀が背負うということは違うんじゃないですか。

 私が聞いておりますのは、なぜJALに向けてそこまで大きく踏み出すような融資をするのかということを聞いております。なぜなんでしょうか。

小村政府参考人 個々の融資についてさまざまな意見がおありかと思います。その意見に基づいて、だれだれの意見に従えばそれでよろしいというものではございません。私どもは、私どもの投融資指針に基づいて、私どもの判断で行ったということであります。(発言する者あり)

三谷委員 今不規則発言の中で公益に役立っているという話がありましたけれども、では、どういう公益に役立っていますか。

小村政府参考人 公益云々は申し上げておりません。私どもは、この投融資指針に基づいて、大臣から示された大きな方針のもとに政策金融を行っているという点を御理解いただきたいと思います。

三谷委員 質疑時間が終了したということですのでこれでやめますけれども、最後に申し上げますのは、先ほども再建計画のお話を申し上げましたけれども、甘い融資をすることがJALの再建に資することではないというふうに思います。先ほど小村総裁も答弁の中でもお話をされましたけれども、JALのためにもならないというふうに思います。先ほど指摘を申し上げたようなベアの要求でありますとか、組合とは全然話もついていない、そんな話を政投銀が認める。もちろん、その前の話もありますけれども……

伊藤委員長 質疑時間が終了していますので、おまとめを願います。

三谷委員 こうして完全民営化にも歩を進めますけれども、万一破綻というようなことにでもなったら、準備金でも大きく損なうわけでしょう。

 今後のこともありますので、極めて慎重な対応をお願い申し上げまして、強調しまして、質疑を終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 三谷議員に引き続きまして、政策投資銀行法案、質問をさせていただきたいと思います。

 今、三谷議員の方からJALに対する融資について何度聞いても、結局、個別の融資の案件についてはなかなかお答えをいただけないということがよくわかったわけであります。JALは特に象徴的な件であると思いますが、ほかにも疑わしいような、本当に現在の政策投資銀行にとっていいのかというような融資が幾つか見受けられますので、一つだけ私も取り上げさせていただきたいと思います。

 それは、ことしのオリコに対するものでございます。

 昨年、この財務金融委員会で、消費者金融についての金利引き下げを初めとする貸金業改革の法案について議論をして、その法案が通ったわけでありますけれども、そういった状況を受けて、ことしになって各消費者金融の大手も大変業績が悪化をしているということが、日々新聞で報道されているわけでございます。オリコもその例に漏れず、二〇〇七年の三月期に四千五百億円超の最終赤字を出している。そして、債務超過による破綻を防ぐため、みずほフィナンシャルグループと伊藤忠を中心に、千四百億円の債務の証券化と千五百億円の第三者割り当て増資を決定したということであります。

 それについてさまざまな評価が当然あるわけでありますけれども、その赤字の大きさと財政基盤の脆弱さからも、みずほフィナンシャルグループの内部でもオリコの全面救済を疑問視する声が上がったという報道もございますし、また、アナリストの中にも、オリコの中期計画達成は難しいというふうに言っている人もいるわけであります。

 そういった中で、その出資に日本政策投資銀行が二百億円加わっているという報道がございました。それは、政策金融機関としてどのような御判断をした上であったのかを御説明ください。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 前々から申し上げておりますように、個別の企業に対する出融資というのは私どもの方からは数字は言えないのでございますけれども、このオリコの件に関しましては、会社側からもう既に発表をしておりますので、申し上げます。

 オリコにつきましては、まさに私どもから、組合を通じてということでございますが、二百億円の優先株式の払い込みを完了したということでございます。

 それで、先生の御質問の中で、どういう趣旨で出資をしたのか、こういうことでございますけれども、これは、先ほど御紹介をいたしました私どもの投融資指針、この中に事業再生事業という融資制度を設けておりまして、オリコの再生というのはまさにこの融資制度に該当するだろうということでございます。

 もちろん、融資制度に該当するからすなわちすぐ融資をするということではなくて、そういった事業再生支援という政策意義に加えまして、私どもは個別に、いわゆる経済性とか、将来この会社がちゃんと成り立っていくかどうかとか、そういったことをきちんと審査した上で、これは大丈夫という判断をした上で対応した、こういうことでございます。

    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕

田村(謙)委員 今御説明いただいたように、組合を通じてというスキームがあるわけでありますけれども、事業再生融資。先ほどのJALの話もそうですが、間接的に言えば、あらゆるものは公益に資する、いろいろな企業が再生すればそれは公益に資するんだ、結局そういうことなんだと思いますけれども、例えば、今回のこの貸金業に関しては、別にオリコに限らず、もうほとんどすべての大手の貸金業者は、債務超過ではないにせよ、最終赤字を次々と計上して、それは特にオリコに限ったことではないというふうに思います。

 もちろん、そもそも政策投資銀行に要請をするかどうかというのはあると思いますけれども、今もう業界全体がそういう状況にある中で、そこが先ほどのJALと違うところだと思うんですけれども、なぜオリコだけなのかというのを、個別なのでどうせお答えいただけないと思いますが、オリコの事業再生というのは、あるいは、もうちょっと広げて貸金業の事業再生でもいいですけれども、どのように公益に資する政策金融なのかというのを、お答えいただける範囲で少し御説明いただけませんか。

多賀政府参考人 先生御承知のとおり、オリコは上場企業でもございますし、審査のプロセスにおけるいろいろな我々の判断を詳細に申し上げるというわけにはまいりませんけれども、ざっくり申し上げますと、オリコは、主要株主でございます、みずほグループでございますとかあるいは伊藤忠でございますとか、こういったところがまさにリーダーシップをとる形で、従来のビジネスモデルを大々的に転換していって新しい金融フィナンシャル会社を目指すというようなことも言っております。そういうふうなことも総合的に判断をして、先ほど答弁いたしました、この会社の将来における経営の確実性とかそういったことを判断して出資の最終的な判断に至った、こういうことでございます。

田村(謙)委員 これ以上突っ込んでもお答えをいただけないと思いますので、この件については終わりにいたしますけれども、昨年来、この委員会でも私も何度も議論させていただいておりますが、政策として貸金業界全体にどう絡んでいくかという話になるのであれば別なんですけれども、オリコだけにこのように巨額の出資、二百億円というのはそれなりに大きい金額だと思いますけれども、出資をしているというのが、本当に貸金業に対する政策としていいのかと私は個人的には違和感を覚えていることだけ申し上げさせていただきたいと思います。

 あともう一つ、これはより小さい話でありますが、別の個別の案件で少しだけお伺いをさせていただきたいと思います。

 「日本政策投資銀行の融資の状況」という資料がありまして、これは参議院の調査室がつくった資料でありますけれども、その中で、今までも議論にいろいろ出ておりますJALはもちろんですが、電鉄とか電力、あるいはNTT、KDDIとか、確かに、いかにも政策と大きく連動しているだろう、そういう政策的に非常にわかりやすい大企業が融資先に並んでいるわけでありますが、その中になぜかぽこっと電通という名前がありまして、違和感を覚えましたので、ちょっと調べてみたんです。

 この電通に対する融資というのは、今度は電通の方の有価証券報告書を見ますと、融資の残高が六百九十五億ですか、六百億以上あるようなんですが、これは何に対する融資ですか。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 先生の御指摘のとおり、電通につきましても、当社の方で有価証券報告書で開示をしておりますので、その開示を前提にお話をさせていただきます。

 まさにこの開示にございますように、この会社の本社屋を汐留の再開発地区、これは、先生御案内だと思いますが、もともとJRの持っておった土地でございまして、清算事業団に移ってそれを民間に売却する、そういうプロセスがあったわけですが、その土地の上に新社屋を建設する、こういう趣旨で私どもが融資をしたものでございます。

 まさにこの国鉄清算事業団の跡地の処分につきましても、これは制度としてはかなり前の制度ではございますけれども、とにかく早く民間になるべく高い値段で処分をして、国鉄の遊休地を早く処分した上で財政再建の幾ばくともしよう、こういうことだったかと思いますが、そういう国の政策に基づきまして、私どもの銀行の中の融資制度に処分促進というような趣旨の制度ができまして、それに基づいて私どもが融資をしたということでございます。

 繰り返しになりますけれども、制度があるのでただ単に御融資をしたということではもちろんございませんで、当然、電通という会社の将来の先行きといいますか、そういったことを、私どもの審査を通して経済性を判断した上で御融資をした、こういうことでございます。

    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕

田村(謙)委員 確かに、JRの土地の売却促進とか汐留再開発というのは非常にわかりやすい政策的な目的であるわけですけれども、それがなぜ電通、確かに電通も汐留に入っているわけですが、結局、低利の融資ですよね。電通にそこまで政策的にそれをする意味というのが私にはどうもわからないということがあります。電通はJALのように資金的に困っている会社では全くないわけですので。個別の話ですから、なぜ電通にと言っても、結局何もお答えいただけないと思いますが、念のためお聞きをします。できる範囲で、できるだけお答えいただきたい。

 私が今申し上げたように、政策という意味はわからなくはないですよ。電通は返してくれる、もちろんそれは十分わかりますが、そもそも、そういう政策的低利融資をする必要がある会社とは思えないんですけれども、いかがですか。

多賀政府参考人 私どもは、繰り返しになりますが、政策金融機関でございまして、政策を遂行するために融資という手段でまさにインセンティブを事業者に与えるということでございますので、基本的に、A社、B社、C社に対する融資というような考え方ではなくて、ある一つのプロジェクトについて言うと、例えばA社だろうがB社だろうがC社だろうが、同じ条件で融資をすることによって、事業者個別の、各社が損する得するという話ではなくて、どうやって国の政策が前に進んでいくか。

 そういう観点で制度ができておりますので、電通がいい会社だから融資をする必要がないとか、別の会社が余りいい会社ではないのでぜひ融資してやれとか、そういうこととは必ずしもリンクをしておらないというふうにお考えいただければよろしいかと思います。

田村(謙)委員 私は今二つの個別の話を取り上げましたけれども、違和感を持ちましたので、ちょっと質問をさせていただきました。

 さて、今度はちょっと観点を変えて、現在、この委員会ではないですけれども、内閣委員会の方でというか、国会全体で天下りの話というのが非常に大きくクローズアップされていて、まさに政府・与党側が人材バンク法案を出して、それについての議論が内閣委員会を中心に始まったところでございます。

 私も、その関係で、独立行政法人にどのような天下りをしているのか、あるいは独立行政法人に関係するファミリー企業に当たるような民間会社がどれぐらいあるのか、そして、そこにどのように税金が流れているのかというのを部分的に調べたり、あるいは決算行政監視委員会で質問させていただいたりしております。

 今回、その視点から、政策投資銀行というのはもちろんほかのものとは違う部分もあるわけですけれども、明らかに総裁には常に財務省の事務次官が天下りをしているというのはずっと昔からそうでありまして、そういった意味でも天下り先の一つである。

 もちろん、当然、政策金融として、すべてとは言いませんが、それなりの役割を果たしてきたというのは、今まで質問に立った民主党の委員と同じように私も思っているところでありますけれども、ただ、今後、特に民営化をするに当たって、収益をより上げやすい組織体にしていかなければいけないという部分も当然あるわけでありまして、それはすなわち、民間企業と同じような観点でのコスト削減とか、そういった視点もより重要になってくるんだろうということで、ちょっと私も調べてみたんです。

 民主党の方で、中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況及び国家公務員の再就職状況に関する予備的調査というものを昨年調査依頼して、その結果という非常に分厚い資料が届いているわけです。その中に政策投資銀行も入っておりまして、政策投資銀行が、いわゆる融資とか出資とかそういう話ではなくて、例えばシステムの関係とか、個別の企業といろいろ契約を結んでいる一覧表というものがあったわけであります。

 それをちょっと見ていて、たまたま、先ほどの電通と名前が同じだけなのかもしれませんが、よく独立行政法人で言われておりますのは、随意契約というのが税金の垂れ流しの温床になっている。それは多くの民主党議員がいろいろな委員会で指摘をしております。現在も、内閣委員会でもその追及をしているところであります。

 その随意契約というのを見たときに、政策投資銀行との随意契約が、電通国際情報サービスという会社が非常に突出をしているというふうになっておりました。数字としては、大体ほかの民間会社等は数件で、金額もせいぜい数千万とか数百万という契約が多い中で、電通国際情報サービスだけは、十三件、二けた随意契約があって、その金額が三億四千三百万円というのが十八年度上期の数字であったわけです。これはどのような契約内容でございますか。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 先生御案内のとおりでございまして、電通国際情報サービスという会社は、ソフトウエアの新規の構築でございますとかあるいはソフトウエアのサポート、こういったものを専業にしている会社でございまして、私どもは、こちらに対して、御指摘のとおり、十八年度上半期、十数件、三億強という随意契約をしております。

 この内容といいますのは、まさに私ども銀行でございまして、いろいろな各種のシステムが動いておりますが、そのシステムの保守でございますとかあるいは運用でございますとか、サポートにかかわる業務について委託をしたものの累積ということでございます。

田村(謙)委員 一つのシステム会社、随意契約というのも、確かにシステム会社の場合は継続性がありますので、随意契約ではだめだと言うつもりは、システム関係の更新とかになりますと、ある程度のつき合いはあるんだろうというふうに思いますけれども、この会社とはいつから契約していらっしゃるんですか。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 この会社といつから取引があるかということでございますが、大変申しわけございません、ちょっと私、いつからこの契約が始まったかというのが手元にございませんが、少なくとも、政策投資銀行ができましたのが平成十一年でございますけれども、それ以降については、済みません、私の記憶違いがあるかもしれませんけれども、多分この会社を使っていたのではないかと思います。

 正確な点につきましては、早急に資料を取り寄せましてお答えさせていただきたいというふうに思いますので、それでお許しをいただきたいと思います。

田村(謙)委員 システム関係ですので、どの程度随意契約が問題なのかというのは、確かに個別になりますので、私も詳しいことをこれ以上多分お伺いできないと思いますから、これにとどめておきます。

 それで、ある程度ほかの契約、随意契約を主にピックアップして見ていたんですけれども、そういった中で、それなりに金額が多い、十八年度の上半期で一億円を超えているというものが、都市管理サービス株式会社そして株式会社千代田エージェンシー。この二つとの随意契約というのが、ほかは大体もっと金額が小さいので、電通国際情報サービスに次いで目立っているものだったんですけれども、この二社の随意契約の内容はどのようなものでしょうか。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 まず、都市管理サービスでございますが、私どもの銀行の本店ビルの設備管理でございますとか警備でございますとか、これを委託しておる会社ということでございます。

 それから、千代田エージェンシーでございますけれども、私ども、先日委員会の方で御視察をいただきましたビルの上の方に銀行の職員のための食堂を置いておりまして、食堂の運営等についての委託をやっている会社ということでございます。

田村(謙)委員 金額が一億円レベルですので、それを大きいと見るか小さいと見るかというのはありますけれども、ただ、ほかの独立行政法人でももっと金額が大きいものはたくさんありますけれども、今お話しいただいたようなビルのセキュリティーとか食堂とかというのは、やっている業者は幾らでもありますね。食堂は毎年競争入札で変えるというのはさすがにないだろうと思いますけれども、これはなぜ随意契約なんでしょう。

多賀政府参考人 都市管理サービスの方について言いますと、当然、警備とか設備管理ということでございますので、これは昼夜を問わず銀行の中のいろいろな場所に出入りをするということがございます。それから、本店の食堂の運営等につきましても、これは昼だけではなくて、毎日かどうかはちょっと正確には覚えておりませんけれども、夜も、最近は非常に残業もふえておるものですから、職員のために夜の運営もしているということです。

 まさに、例えば千代田エージェンシーということでいいますと、そのエージェンシーの職員は銀行の中をかなり出入りするということでございますので、私どもは金融機関でございますので、セキュリティーの観点から、相当やはり気心が知れた事業者で、かつ信用のある事業者でないと、いろいろセキュリティーの確保の上で、ないしは情報管理の上で問題が起こるということがございまして、従来、随意契約でお願いをしているということでございます。

田村(謙)委員 セキュリティーと。先ほど申し上げたように、確かに食堂は毎年やるわけにもいきませんでしょうから、見直すときにどうなのかということだと思います。セキュリティーにしても、気心が知れて信頼できてとおっしゃいますけれども、それを裏返すと、ほかの民間の警備会社というのは信用できないと。信用がなく警備会社というのは成り立たないはずですので、全然理由になっていないと思うんですね。

 そこでお伺いをいたしますが、この都市管理サービス、あと千代田エージェンシー、そこに、政策投資銀行の元職員は何名ぐらい転職というか移転していらっしゃいますか。

多賀政府参考人 今回、先生からそういう御質問があるということで、出入りの業者でございますので、私が確認をいたしましたところ、両方の会社にそれぞれ、これは非常勤も含めてということでございますが、五名の出身者が在籍をしておるということのようでございます。

田村(謙)委員 今お答えいただいたように、五名ずつ、天下りとは言わないと思いますけれども、結局、役職員に政策投資銀行から移っていらっしゃる。そういうところと随意契約を結んでいる。食堂の話とか、繰り返しになりますけれども、確かに毎年というわけにいかないと思いますが、ただ、結局どちらにも御出身の方がいらっしゃっていて、そのままずっと随意契約を続けているというのは、ほかの独立行政法人でも散見をされる典型的な、疑わしいというか、本当にコスト感覚を持ってやっているのかどうかという取引に当たると私は思います。

 では、もう一度聞きますけれども、セキュリティーの方がよりわかりやすいと思いますので。

 気心が知れて信頼できると。逆に言うと、ほかの大手の会社は幾つもあると思いますけれども、そういうところは信用できないということですか。今の都市管理サービスというのが、なぜ随意契約に当たるほど格段に信用できるのか。もし御説明できるなら、おっしゃってください。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃいましたような、ほかのこの手の会社のパフォーマンスが個別にどのくらいのものかということについては、残念ながら私は承知をしておりませんので、なかなかストレートにはお答えできませんけれども、少なくとも今の都市管理サービスは、コストの面それからパフォーマンスの面でも十分私どもの満足のいく水準にあるというふうに認識をしておりますので、こういう形で継続をしているということでございます。

田村(謙)委員 今後、まさに民営化していくわけで、その前に株式を売却するに当たって、当然収益性を少しでも高めなければいけないということで、あらゆる面でコストを削減していかなければいけない。今までの審議でも、従業員の首は切らないというようなことをおっしゃっておられると思いますので、それ以外の経費削減というのは非常に重要なことだと思いますから、ぜひそこは、若干細かい話かもしれませんけれども、しっかりと認識を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。

 さて、それでは残りの時間で、今までも、既に三日間、多くの議員が議論をしておりますけれども、政策投資銀行が実際に民営化するに当たってどのような絵を描いているのか。結局、それはこれから検討するということが余りに多いわけでありますけれども、今までの議論も踏まえながら、若干重複するとは思いますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、政策金融改革に係る制度設計という中で「主務省の監督は真に必要なものに限定する」ということを宣言し、その一方で「民間金融機関とのイコールフッティングや財政措置に係る公益性確保の観点等に留意しつつ、政府の関与の縮小を図る。」ということが掲げられているわけであります。その前提のもとで株を売却していくというその過渡期の段階で、ただ、やはりどうしても政府が少しずつ売却をしていく、一遍にすべて売れるわけではもちろんないでしょうから、そういった中で、政府が相当株を保有している時期というのがあるわけですけれども、そうすると、当然、経営方針や人事に大きな影響力を持ってくるだろう、その影響力が強くなり過ぎないかという懸念がいろいろなところで指摘をされているところでございます。

 例えば、具体的に、まさに役員人事の話というのが一番、今までも天下り機関であったわけですから、気になるところの一つではあるわけですけれども、過渡期において、役員人事というのはだれがどのように決めることになるんでしょうか。

尾身国務大臣 移行期間中の新会社は株式会社となるわけでありますが、株式会社の経営責任者は、会社法に基づきまして、株主総会及び取締役会において選任されるわけでありまして、新会社の経営責任者につきましても、会社法等の手続に沿って、適材適所で選任されるものと承知しております。

 また、新会社の代表取締役等の選任に関する国の議決権の行使に当たりましては、行革推進本部におきまして決定された政策金融改革に係る制度設計において定められた方針がございます。すなわち、「経営責任者については、新政策金融機関と同様に、必要と認められる識見及び能力を有する者のうちから適材適所で選任されるものとし、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮する。」という方針がございまして、その方針に従っていくことが重要であると考えております。

田村(謙)委員 尾身大臣からは何度か、ほかの委員が質問してお答えをいただいておりますけれども、適材適所というのは、万国どこでも、どんな会社でも当然そうなわけで、適材適所な人材を配置するというのは、今までの委員とのやりとりを見ても聞いても、余りお答えになっていないなというふうに思うんですね。必要な識見、能力、それはそうだろうというふうに思います。

 今の小村総裁の任期が九月で切れる。その後どうなるのかというのもまた大きな注目を集めているわけでありますが、それは、このまま完全に民営化する、例えば区切りは幾つかありますよね。この九月、その次ですと平成二十年の新会社の設立、そしてさらには、完全民営化、政府が完全に株を売却する、あるいは株式の政府の保有が五〇%を割るとか、いろいろな段階があると思いますけれども、そういった中で、適材適所、それはこの九月でもいいですよ。今までずっと大蔵省そして財務省の事務次官が天下りをしてきたわけでありますが、今後も財務省の事務次官というのが適材適所になり得るとお考えですか。

尾身国務大臣 これは、二十年の十月の前は現在の形の特殊法人があるわけでございまして、その間に小村総裁の任期が切れるわけでございますが、特殊法人等の役員につきましては、法人の業務内容を踏まえつつ、先ほどのお話のとおり、必要と認められる識見、能力を有する者のうちから、適材適所の考え方に基づいて任命しているところでございます。

 したがいまして、ことしの九月末で任期を迎える日本政策投資銀行総裁人事につきましても、同様の考え方で、適材適所で任命すべきものと考えております。

田村(謙)委員 私が昔財務省にいましたときは、私は下っ端でありましたので、事務次官のような方は雲の上でありまして、どのような識見、能力を有していらっしゃるかというのは余り私にも想像がついていないのかもしれませんけれども。

 結局、適材適所としかお答えいただけないので、若干視点を変えて、現在でもいいですよ、今の政策投資銀行のトップとして、大臣は、今までも総裁は適材適所で選んできたとおっしゃっていたと思いますけれども、では、総裁御本人にお伺いをしたいんですが、適材適所、事務次官経験者というのはどのような識見、能力というのが、まさに適材適所として御自身が総裁として選ばれたというふうにお考えでしょうか。

小村政府参考人 私は選ばれた立場でありまして、任命権者ではございません。したがいまして、私自身、自分自身を評価するというのはなかなか難しゅうございます。そういう意味において、任命権者にお聞きをいただいた方が適当だと思います。

田村(謙)委員 では、ちょっと質問を変えます。確かに御自身のことになると言いにくいでしょうから、前任者まででもいいですよ、前任者も全員事務次官経験者ですから。

 もし適材適所じゃなかったとお考えになるなら、その理由。まさかそんなことはないでしょうから、適材適所であったというなら、御自身は、前任者までの方々はどのようなところが適材適所であったとお考えですか。

小村政府参考人 私どもの銀行は、その運営は非常に難しゅうございます。みずから接しながら、しかも給与は一定にありながらも収益を上げてきております。歴代総裁は、やはり、単に事務次官だから務まったとかそういうことではないと思います。立派な業績を残してこられたと思っております。

田村(謙)委員 結局お答えいただいていないんですけれども。この程度の質問でそんなに突っ込むつもりはありませんが、今おっしゃったのは、運営が難しいということ、そして、事務次官経験者だからだけじゃないと。私は、事務次官経験者だから総裁になるのはおかしいんじゃないかと、まだ別に言っておりません。

 私が言うのは、少しでもお答えいただきたいので、例えば、事務次官というか財務省で得たこういう経験が生かされるんだとか、あるいは、より一般的に、大蔵省というスーパー官庁のトップになるような人間はあらゆることができるんだでもいいですけれども、まさにどのようなところが適しているのか。

 別に事務次官経験者というその肩書だけじゃないというのは当然そうでしょうから、それはどういうところで適材適所というふうに判断をされていたのか。あるいは、確かに任命権者ではないとすると、現総裁は、前任者あるいはその前の総裁を見て、どういうところが適材適所だったというふうにお考えになりますか。

小村政府参考人 私どもの銀行は、戦後、開発銀行が発足したときには大変な資金難の時代でありました。戦後の焼け野原から復活をしていくときに、その産業金融の主なるものを務めてまいりました。

 しかしながら、時代は変わってまいりました。各総裁の各時代において、政策課題が完全に変わってまいっております。そういう時代の要請を読み違えないで、その時々の政策課題について的確におこたえをしていく、この能力というのがやはり私どもの銀行に必要な最大の要素ではないかと思っております。

田村(謙)委員 今までは、確かに私も過去のことをお伺いしましたので、そこは総裁がおっしゃるように、政策課題の変化に伴って、それに柔軟に対応して政策金融というものを実施していくという、それは確かに、そういう意味では、財務省という政策を担っているところの経験というのが非常に生きてくる。

 翻って、では、今後はどうかということですよ。別に財務省の事務次官経験者が今後もなるというふうに決まっているわけじゃないわけでありますけれども、今おっしゃったような政策課題に、今までのそういう政策立案官庁としての経験が、そういう政策課題に対応していく、その変化に対応していく能力はある。それは相当秀でたもの、相当すごいもの、すばらしいものがあるだろうと思いますけれども、それが今後どのように生きてくるのか。完全民営化した後には政策的な部分というのは相当なくなってくるわけでありますから、その前段階の、まさに完全民営化の前の準備段階において、今までの、政策に対応していくという能力というのがそんなに生きてくるとは余り思えないですよね。

 それは、総裁が今までほかの委員の御質問でもお答えいただいたような、新しい金融技術ですとか、ちょっと後でまた職員の話でもお伺いをいたしますけれども、そういった、日本には例がないような民間金融機関を目指すという、簡単に言えばそういうことをおっしゃっておると思いますけれども、それに向けた準備過程において、財務省の事務次官としての経験、見識、能力というのがどのように生きてくるとお考えになりますか。

小村政府参考人 まず最初に、金融環境が大きく変化する、その中で我々が民営化をしていく、そういう大変困難な仕事に取り組まなければなりません。決してこれは平たんな道ではありません。

 先般も申し上げましたように、私どもは、決済機能も為替機能も預金機能も持っておりません。いわば民間金融機関に比べてハンディキャップを負って経営していかなきゃならない。その中にあって、どういう経営モデルを打ち立てていくか、これはもう大変重要な問題であろうと思います。これは、どなたも経験をしていない世界の問題であります。こうしたクリエーティブな仕事をこれからやっていかなきゃならない。そういうときに、財務大臣が適任者を選定していただける、こう期待いたしております。

田村(謙)委員 今後の人事でありますので、別に私は、よもやまた財務省の事務次官が今後も天下りを続けるとは思っていませんけれども。

 あえてもう少しだけお伺いをすると、まさに八〇年代、九〇年代、特に九〇年代ですか、金融行政というのはかなり失敗したわけですよね。大臣も失われた十五年と。それは別に金融行政だけではありませんけれども、それを担っていたのが大蔵省の銀行局、証券局であり、金融庁であったわけですね。ある意味、そういう金融行政の失敗の中にいた人たちというのが、上り詰めて財務事務次官になった。

 結局、今総裁がおっしゃったように、金融の環境というのは激変を続けていて、先が全く読めない。九〇年代においてさえも、先が読めなくて、かなり金融行政は失敗しましたよね。それは私も中にいたのでよくわかりますけれども、九〇年代なんというのは先は見えましたよ、ある程度は。欧米にバブル崩壊の例もあったわけですから。

 それこそ長信銀が、日本だけもたないだろうというのは欧米を見れば明らかであったのに、長銀だけを維持しようとか、そういった日本独自の制度、護送船団方式と言われるものを何とか維持しようというようなことが九〇年前後にも言われていた。明らかにそのときの環境にもついていけなかったような人たち、大蔵省にいた人たちだと思いますよ、それは。実際、私も当時そういう議論をよくしました。上の方々にとても理屈でもかないませんでしたけれども、おかしいなと思いましたけれどもね。

 結局、そういう当時でさえ、大蔵省、金融庁の人たちはついていけなかった。それが、今、総裁がおっしゃったように今後ますます金融環境が激変をしていく。そして、日本の民間の金融機関でさえ、ようやく不良債権から脱して、これから何とか欧米の金融機関にキャッチアップをしていこうと民間企業も非常に大変な中で、そういう非常に困難な経営者のポストであると思うわけで、そういった財務省で働いていた、トップに上り詰めた人が金融の環境激変に対応できるとは私は思えないんですけれども、その点、大臣、いかがですか。

小村政府参考人 金融機関が大変な不良債権問題を抱えておりました。そのとき、私どもの銀行は金融機関の中でも最も健全な銀行でありました。不良債権比率も最も低いところでありました。あの金融危機の折に、私も担当しておりましたが、私どもの銀行は、メガバンクに一兆円の債権を我々が保証いたしたり、あるいは債権を証券化して売って、メガバンクの不良債権の処理をお手伝いしてまいりました。

 私どもは公的資金も投入されませんでした。歴代の総裁が極めて健全な経営をしてきたことによりまして、我々は不良債権比率も他の機関に比べて非常に低い水準にある、こういうパフォーマンスをきちっと見ていただきたい。

 それから、特定の職場にいた者が、だからだめだ、そういう短絡的な発想はいかがかと存じます。

田村(謙)委員 私もこれ以上申し上げませんけれども、最後の総裁の一言も、やはりそれは事務次官まで行く人は何でもできるんだというように、自己弁護のように聞こえますけれども、大臣、同じ質問について、いかがですか。

尾身国務大臣 人事につきましては、これからの日本政策投資銀行の特性を踏まえて、官民を問わず、必要と認められる識見、能力を有する者のうちから、適材適所の考え方に基づいて任命すべきであると考えております。

 その際、財務省にいた人がいいとか民間にいた人がいいとかいう予断を持たずに考えていかなければならないと思いますが、例えば民間の銀行で長い間経営していた人も、あのバブルのときには国からの公的資金を注入してもらわなければやっていけないような経営をしたわけでございます。そういう意味で、必ずしも、その当時、時代の先を見ているような考え方があったかどうかという点においては、同じような問題点があったというふうに思うわけでございます。

 そういう非常に厳しい時代があり、また、人材的にも皆さん大変苦労されたわけでありますけれども、そういう中で総合的に考えて、適材適所、抽象的な言い方でございますが、そういう人材を選ぶことが必要であると考えております。

田村(謙)委員 今の大臣のお答えですと、確かに金融という意味では、金融行政をやっていた大蔵省も、あるいは民間側の金融機関の人たちもどっちもだめだったんだということのように聞こえますけれども、どっちもだめなんだからどっちでも同じじゃないかというようなお話のような気もします。

 それこそ日産のまねをしてもしようがありませんけれども、海外から人を持ってきてもいいのかもしれませんし、別に金融業界以外の業界から経営者を引っ張ってくるということは十分あり得ますよね。日本ではまだまだ少ないですけれども、最近徐々に出てきていますし、ほかの国では、経営者としての能力というのは、金融の経験がある人じゃなきゃだめだということでもない場合が多々あるわけであります。

 それは私も、別に、そもそも御質問の前に、民間の金融機関から持ってくるべきだということは一切申し上げておりませんので、それはそういうこだわりをなくして、とにかく、非常に困難な運営を任せられるような人材をぜひとも選んでいただきたいし、また財務省だけ天下りを続けるのが許されるというような例外があってはならないと、私も、民主党全体としても思っておりますので、そこはしっかりと重ねて主張申し上げたいというふうに思います。

 さて、総裁の話はその程度にいたしまして、民営化に向けての準備段階、そして民営化をして本当にやっていけるのかというのは今までもずっと議論がありました。その中の幾つか議論を拾いながら、さらにもうちょっと御質問をしてみたいと思っているわけであります。

 先ほどの事務次官から総裁へという話とも若干連動するのかもしれませんが、そもそもこの政策投資銀行、千三百人ぐらいしかいない。そういった中で、今後、小さいけれどもぴりっとした金融機関を目指すんだということを総裁がお答えになっていらっしゃいましたね。その答弁の一環で、とにかく、若手、多くの優秀な職員を抱えている。だから、小さくてもぴりっとした機関としてやっていくんだということをおっしゃっておられます。

 優秀というのはいろいろな観点があるので、そこをお聞きしたいんですが、そもそも、小さくてもぴりっとしたというのが、これは金融に限りませんけれども、今非常に厳しい。特に金融ではどんどん合併が進んでいる。小さいどころか、中規模の金融機関でも合併が進んでいるわけですね。別に金融に限らないほかの業界でも、そういう世界的な再編が進んでいる。特に金融というのは、簡単に国境を越えるわけであります。民間になって、ある意味、国のバックアップがなくなる。その中でも、小さくてもぴりっとした金融機関として生き残るという、どうもイメージがつかないんですけれども、現在、優秀な職員だとおっしゃるのは、どういうところが具体的には優秀だ、それが今後に生きてくるんだというふうにお考えですか。

小村政府参考人 御指摘のように、私どもは千三百五十七名の職員で運用しております。メガバンクは六万人以上の職員を抱えております。ことしの就職戦線でも、ある銀行は、私どもの銀行が二つできるぐらいの新入行員を採用しております。それに比べて規模は小さい。しかし、この小さい中で、私はかえってメリットのあるものだと思います。それは、先般来申し上げました、やはり人材を抱えるということだろうと思います。

 優秀さということでありますが、やはり私は、まず第一に、志というか、私どもが持っているDNA、長期性、信頼性、パブリックマインド、こういったものをきちんと持っておること、その上に優秀な金融能力を持っていること、そして、多くのお客様や大学やいろいろな方とのネットワークを多く持っていく、これが私どもの財産であろうと思っております。

田村(謙)委員 かねて総裁が、四つのDNAだ、長期性、中立性、信頼性、パブリックマインドというふうにおっしゃっておられます。確かに人材が非常に大事だというのはよくわかるわけですけれども、それがほかの民間の金融機関と比べてより優秀なのかどうか、そこは私も明確な比較はできません。

 そこで、単純な比較はもちろんできないわけですけれども、例えば、私は九一年の財務省入省ですけれども、ちょうどバブルが崩壊する九一年まで、当時、東大でも一番人気があったのは日本興業銀行です。余りその当時の話を蒸し返すつもりはありませんけれども、やはり日本興業銀行、当時、先輩、東大法学部とか経済学部の中で一番優秀な人たちがたくさん集まっておりました。そして、パブリックマインドとか、そこら辺が普通の総合銀行と違うんだということを先輩が熱く語って、私はもともと公務員志望でしたから、なるほどなと非常に共鳴するところがありました。ですけれども、結局それは民間の金融の中で、通用しなかったとは言いませんけれども、合併をして今に至るわけです。

 四つのDNAというのは大変すばらしいなとは思いますよ。ですが、それを生かして収益を上げて生き残っていくというのは、例えばパブリックマインドというのは、パブリックマインドに限りませんね、中立性とか、それぞれのDNAというのが収益性と相反する場合が多々あるからこそ国がやる政策金融だったわけで、その四つのDNAを生かして今後民間として生き抜いていくというのは、ある意味では相反することをおっしゃっているような気がするんですけれども、その点はいかがですか。

小村政府参考人 金融機関が、自分だけが金をもうけようということで、ぎらぎらして相場を張って短期の利益を求めていく、これも一つの生き方だろうと思います。ただ、私どもの銀行は、お客様のニーズにこたえ、いろいろな課題にこたえていく、それをまた解決策を一つずつ提示していく。これはお客様の信頼にこたえるものであります。お客様の方にしてみても、あの人に相談したらだまされるとか、警戒心を持った場合には、それは真のビジネスはできない。私は、職員にもそういうことを話をしております。

 四つのDNAというものはビジネスにおいては大変力になるものだ、自分たちが先輩から受け継いだこのDNAを存分に生かして、社会的な価値も創造しながら収益を上げていく、これが私どもの基本的な職員に対するメッセージであり、職員もそのことは自分自身が自覚をしてくれているということであります。

田村(謙)委員 今の、お客様に信頼というのは民間の基本でありますので、別にどこの金融機関でも、あるいはどこの民間会社でも、お客様に信頼を得たところが、当然それを前提として、その上で激しい競争があって生き残っているんだと思いますけれども、漠然としていますので、これ以上それについて突っ込んではお伺いをしません。

 では、若干視点を変えて、本当にまさに単独で生き残れるのかどうかという中で、今まで総裁の御説明というのは、小さくてもぴりっとというのは、政策投資銀行の、名前は変わるとしても、一つの会社として強みを発揮して、そして生き残っていくんだというように聞こえるんですけれども、一方で、例えば、みずほとかと合併あるいは吸収されるのではないかというふうに言う人もいます。それはあくまでアナリストが勝手に言っていることでありますので、例えの話でありますけれども、あるいは、いずれ生まれる郵貯銀行と組むといいんじゃないかということを言う人もいます。そういったコメントについて、まさに今後もずっと単独でやっていくのかどうかというのについてはいかがですか。

小村政府参考人 私どものDNAの一つに中立性というのがございます。民営化が決まったときに、いろいろな銀行が大変不安な目で見ておられました。まさか自分のライバルと組むんじゃないだろうか、自分のライバルの証券会社と組むんじゃないだろうか、こういうことで、私のところに数多くの経営者の皆さんもお見えになりました。私は、各銀行の頭取や証券会社の社長さん、あるいは外資の皆さんには、私は特定のところと組むつもりは全然ない、特定のところと組んでそこで安住するということではなしに、我々のよさは、やはり各メガバンクも、私どもがこういう中立的なビジネスをするからこそ価値があるのであって、もちろん配下におさめた方がもっと価値があるかもしれませんが、他にとられてしまったら大変だということであります。

 私どもは、この中立性ということによって私どもが果たせる私ども独自のビジネスが展開できる、こういうことを今ビジネスモデルとして設計しているさなかであります。

田村(謙)委員 今までは、当然、政府機関ですから、政府がバックにあって、それは中立というのはわかりやすいわけですけれども、一民間金融機関になって中立性というのは全く意味がわかりません。一つの民間金融機関なわけで、当然いろいろなところと競合するわけですから、それで中立と将来の民間会社が言ったとしても。

 それはどういう意味ですか。もうちょっと具体的に説明してください。その中立性の具体的意味と、それによってどのように収益を上げるのか、御説明ください。

小村政府参考人 中立性というのは、特定の資本の支配下に入らないという意味で申し上げております。

 もちろん、いろいろなビジネスで私どもは提携関係のあるところが多うございます。地方銀行の大半について業務協力協定も結んでおります。信金、中金とも業務協力協定を結んでおります。例えば環境問題についてこういう協力をしていこうとか、いろいろなビジネスを展開しております。そういうものを排除しているわけではありません。支配下に入らない、こういうことであります。

田村(謙)委員 特定の資本の支配下に入らない。非常に理想的で、それによって中立的な、小さいけれどもぴりっとした金融機関として生き残れるなら、大変それはそれですばらしいことだというふうに思いますけれども、世界を見てもなかなかそういった例はないですよね。

 鈴木克昌委員が例に挙げていらっしゃった、そしてそれに対して総裁がお答えになっていましたオーストラリアのマッコーリーという投資銀行ですか、別にそれをモデルにしていると総裁がお答えになっていたわけではありませんけれども、それにしても、そちらは九千人ですか、規模が全然違うわけですね。いかにも千三百というのは規模が小さ過ぎて、ぴりっとしようがない。要するに味がしない。例えば、トウガラシ一粒じゃどうしようもないですよね。それはまさに金融環境の激変の中で非常に難しいというふうにおっしゃる人もたくさんいます。

 そういった中で、別の観点から見た場合に、完全民営化というのは、株式を売却するわけですから、いかに高く国が売るか、総裁の方から見れば売られるかというのは非常に重要だというふうに考えております。それはまさに売却ですから、今後検討するということになるんでしょうけれども、より高く売却することによって、当然日本の財政に資するわけですね。それが国益にも資するということになるわけだと思いますが、そういう中立性を保って、できるだけ特定の資本に入らない方がその観点からもいいというふうにお考えですか。

小村政府参考人 先般私がお答えしましたのは、小さくてもぴりっとした、存在感のある銀行、そこの最後のところを忘れていただいたら困るわけであります。

 私どもは、たった千三百五十七名でも、日本の金融界においては大変存在感がございます。こういった存在感というものは何から来ているかということをお考えいただきたいと思います。

 それから、株式の売却については、これは財務大臣が御判断をして売却されるわけでありますが、ただ高ければいいということでお売りになると、それこそ、私が今申し上げたビジネスモデルというのは恐らく崩壊するんだろうと思います。私どもの職員は、生き馬の目を抜くようなことはとてもできません。ただし、そういうビジネスをやることによって、短期的にいろいろな株を買い占めたり、売却をしたり、日々の取引を行うことによって、もうかる銀行になれば、それは株は高く売れると思いますが、我々が財務大臣にお願いを申し上げているのは、この五十年の歴史を無駄にしないで、優秀な人間がきちっと能力を発揮できるような株主構成にしていただきたい、こういうことであります。

田村(謙)委員 もう時間が参りました。

 中立性によって存在感をというのは、実現すれば世界初かもしれませんけれども、そういう存在というのが今の日本の金融状況でできるとは私には到底想像がつかない。それよりも、とにかく、これから一年の間に、株式の売却を開始するまでの間にしっかりと企業の価値を高めて、いかに日本の財政に資するかという観点をぜひ重視していただきたいということを大臣に最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 法案の審査を引き続き行ってまいりたいと思います。

 今、同僚議員が人材に関するお話で最後を締めくくっていただいたわけでありますが、私の方からも少し、人材の今後の育成についてお尋ねをしたいと思います。

 現在、政投銀を希望される、新卒、中途でも結構ですが、履歴書を書いて御社の門、ドアをたたくという方々の志望理由の第一位は、一体どんなことを志望理由になさっておられるのでしょうか。

小村政府参考人 民営化が決まった後でも、多くの若者が私どもの門をたたいてくれております。私は、彼らがどういう気持ちで門をたたいてきたかということに大変興味を持っておりまして、彼らとも話をしております。彼らはパブリックマインドというものに多くの魅力を感じているということが一つあります。それから、給料が高いとかそういうことよりも、何か社会のためになりたいという発想というのは、日本の若者の中にもまだございます。そういった若者が私どもの門をたたいてくれております。

 それから、やはり企業の文化といいますか、そういったものに、先輩を見ていて魅力を感じた、トヨタが世界一の企業だからということではなしに、トヨタの文化にあこがれて希望する人等があるように、私どもの銀行についても、私どもの企業文化というものに対して大変魅力を感じて門をたたいてくれているということであります。

古本委員 人材を確保していく、さらには、今政投銀にいらっしゃる方が逆に離職するようなことのないように、五十年の積み重ねの成果がまさに今いるかけがえのない人材だ、こういう総裁のお言葉でありますから、少なくとも、今おられる方々が今後とも継続をしていただくと同時に、新たな人材も採っていかなきゃいけないわけであります。

 その際に、今総裁は、生き馬の目を抜くような社員はなかなか我が社にはというくだり、同僚議員のお尋ねに対しありましたが、過日の質疑では、たしか総裁は、自分の給料をはるかに上回るそれこそ億円のプレーヤーがいたっていいんじゃないか、こういう話がありました。やはり、これは正直言って、総裁のお心の中でも、まさに言い得て妙である政投銀の新しい船出の後に、どういった形での業態に落ちつかせていくのか、その際の人材はどうあるべきかというところの迷いを、今結果として思わず吐露されたのではなかろうかというふうに拝聴いたしておりました。

 現実問題、何とかマンとかがつく、個社の名前は言いませんけれども、外資系のいろいろなところがございますね。ああいったところの億円プレーヤーの人々と伍していかなければならない法案なんです。ですから、その前提に立てば、少なくとも、新しく門をたたいてくださる方は、新しいカルチャーの中でこれから人材を育成していくことになりますが、今いらっしゃる一千三百余名の方々については、いわば考え方を改めていただかないと伍していけないわけであります。

 ですから、これは少し確認をとらせていただきたいわけでありますが、生き馬の目を抜くような社員も、全員が全員とは言いませんが、少なくとも、出資の判断をしたり、あるいはリスクをとった融資を果敢にやっていく係だとか、そういったセクションの人間、社員の方々は、少なくとも当社にはそんな人はおりませんでなんということでは通用しないと思うんです。総裁の御所見を求めます。

小村政府参考人 私は、精神構造についてちょっと申し上げましたが、やはり私どものビジネスモデルといたしましては、生き馬の目を抜くようなことはできない。ただ、プロフェッショナルとして負けないような知恵と能力を身につけていかなければいけない。最近の若者は、プロとしての意識というものが大変強うございます。上司にごまをすって偉くなって重役になるよりも、自分はこの仕事をしたい、こういう発想の人間が多うございます。私のところの若い職員も、そういうプロとしての認識、これをこれからまたさらに強くしていかなければならない。今、完全ではないかもしれません、人がよ過ぎるところもあるかもしれません。ただ、鍛えれば、そういうプロとしての能力が十分身につく、また素養のある人間を抱えているということであります。

古本委員 その際に、さりとて、格差が拡大する社会にあるとはいえ、いわば、きのう伺った年収八百万円ぐらいでしょうか、平均で。これはメガバンクの水準と比較すれば見劣りするけれども、公的なセクター、ダイナミックな仕事を担っているんだということに支えられて役職員の皆さんはこれまでやってこれた、こういうふうに理解をいたしております。今後は、新規で採用なさっている、民営化が決定後の御社の門をたたく方も、そういったことを志望動機に掲げておられるということを聞いて少し安心はいたしましたが、さりとて、民営化後ぎりぎりやっていって、収支相償なんてことではもう済まされませんので、利益追求型企業になっていくわけですね。

 そうしたときに、先立つものも欲しいなと。これは社員の皆様ならずとも思う、支える御家族も当然思うでしょうし。その意味からいえば、少なくとも、具体的にいつの時点で法人税を納めるような収益構造になり、法人税を納めるというのは、すなわち、労務費、販管費すべて払い、その残りにさらに益金があってそれで納めるということでありますから、関係するステークホルダーにも十分なものを支払っていただいた上でなお法人税を払っていただいて初めてこの民営化は成功した、こういうことだと思っているんです。

 いつごろ予定をなさっているんでしょうか。それは後の人が考えることだとか、今現在はそのビジネスモデルを持ち合わせていないとか、答弁を累次にわたって拝聴いたしておりますが、それではこの案がいい悪いの判断がつかないわけであります。ぜひお聞かせ願いたいと思います。

小村政府参考人 私の役割は、今働いている人間が民営化後路頭に迷うというようなことは決してさせてはならない、この能力を十分発揮させる、そういうビジネスモデルを確立することであります。その過程において、彼らに安月給で辛抱しろというようなビジネスモデルであってはならない。御指摘のように、人材流出をしてしまいます。

 それから、法人税につきましては、今我々は鋭意ビジネスのモデルの転換をしておりまして、私が総裁になってから五年間でも随分考え方は変わってまいりました。恐らく、民営化した平成二十年十月以降におきまして、法人税を納めるそういう民営化会社になるものと思っておりますし、そういうふうに今から準備をいたしている次第であります。

古本委員 それでは、少し今後の業態について掘り下げさせていただきたいと思うんですが、委員長のお許しをいただいて資料も少しお配りをしたいと思います。

 過日の質疑で、総裁からは、新しく生まれ変わる政投銀のなりわいとしては、これまでの融資事業から投資事業に少し軸足を移していきたい、こういったような御趣旨の答弁があったかというふうに承知をいたしております。つまり、今は、売り上げに占める、あるいは企業会計基準で計算したところによる利益という概念を出していただいたならば、圧倒的に融資に伴う利息分の払いが御社のなりわいの専らであるというふうに承知しています。

 逆に、投資による事業分野というのは、先日来話題になっていた苫東初め、あるいは大手町初め、いろいろなところにも投資なさっておられるようでありますが、少なくとも、今の状況で、今のこの瞬間で断面で切れば、利益は残念ながら会社に対して貢献できる状況ではないわけであります。

 お配りいたしました資料の六をごらんいただきたいと思うんです。「政投銀の売上に占める貸出金利息と出資配当の割合」ということでありますが、直近の十八年三月期で実に三千六百億円強が、割合にして九九・九%が貸付金の利息なんです。他方、総裁が新たなビジネスモデルとして先日御答弁なさった出資に伴う配当金利益、収益はわずかに四億円です。比率で〇・一%なんですね。具体的にこれをどのくらいの水準まで持っていかれるもくろみでいらっしゃるんでしょうか。

小村政府参考人 御指摘のように、我々政策金融機関である間は、出資は原則として大変制限をされておりました。金融機関として金利収入が主たる収入だという大変いびつな構造になっております。手数料収入もほとんどありません。これからこういう収益構造を変えていかなきゃならない、御指摘のとおりだと思います。

 ここに資料としていただいたこのものは、かつての北東公庫が資金供給業務として出資機能を持っておりました。その名残がここに出てきているということであります。新たにこれから私どもが投資銀行的な要素が強まるというのは、やはり今仕込んでおりますものがこれから姿をあらわしてくると思います。

 まだこの年度においては、一件一件財務省と御相談をし、出資についてはできるだけ抑制的にやっていた時代の名残がまだ残っておりまして、恐らく投資事業というのは五年ぐらいのタームがかかって初めてその利益が実現をしていく、将来的にはこの投資業務が恐らく収益の半分ぐらいは占めてくるんではないかというふうに考えております。

古本委員 それではお尋ねいたします。

 今現在の御行の役職員の、細かな数は結構ですので、大体の比率で融資部門にいる人と投資部門にいる人の陣容の割合は何対何ぐらいなんでしょうか。事務局の方で結構です。ざっくりで結構です。

多賀政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと私、手元に正確な資料を持っておりませんので、極めてざっくりした数字ということで御理解いただければと思いますが、多分先生がおっしゃっておられる部門といいますのは、私どもではIB部門というふうに呼んでいるんですけれども、これはきのうちょっと御視察いただきましたけれども、プロジェクトファイナンス部だとか、金融企画部だとか、そういう最先端のところだと思います。大体そういう部が、四つぐらい部がございますので、一つの部を、仮にでございますけれども、大体私どもは規模三十人ぐらいでございますので、それを立ち上げますと百二十人ぐらいが、そのIB部門の各部に属する職員の数ということではそういうことかと思います。

 ただ、実は、私どもの投資にかかわる業務というのは、そのIB部門に属しておる人間だけがやっているわけではございませんで、きのう見ていただきました都市開発部という部も、当然ながら、通常の融資に加えてそういうIB的な業務もIB部門のメンバーと連携してやっているとか、例えば支店においても、関西支店で関西支店の都市開発課だとか、あるいは営業何課という課が、当然そういったIB部門にかかわるような業務を最近やっておりますので、単純に全職員の中でIB部門が何人という言い方は非常に難しいので、そこのところの御認識をいただいた上で純粋にIB部というところに属しておる人間ということで言えば、ざっくり、何度も申し上げますが、手元に資料がないのでちょっと不正確かもしれませんが、百二、三十人ぐらいということだと思います。

古本委員 つまり、十分の一の陣容ということですよね。

 それで、いや、一千三百名のうち百何十人ですから十分の一ということだと思うんです。そういう計算になるんじゃないかと思いますけれども、違うんですか。(多賀政府参考人「いや、ほかの部でもIBをやっているんです」と呼ぶ)

伊藤委員長 委員長が指名しない中で発言しないでください。

古本委員 では、細かな数字ですので、また後日、教えてもらえればいいですが。

 少なくとも、専らは売り上げも、その結果の収益も、それからそれに携わるスタッフの数も、圧倒的に融資に依存した業態なわけですよね。これを投資型に変えていく上で、例えば生き馬の目を抜くような、先行他社からヘッドハントしたり、あるいはそういったところとの人事交流とか、今後考えておられますか。あるいは、既になさっておられますか。

小村政府参考人 やはり、これから人事交流が必要だと思います。

 私どもの職員も、例えば外資系の証券会社なり、あるいは外資系と一緒に組んだファンドに出向させたりとか、そういうことが当然多くなってくると思います。現在はまだ規模は小そうございます。

古本委員 総裁、ところが、今は政投銀という国を背景とした大きな組織、陣容は小粒ですけれども、やっていることは大変大きなことをやっておられる政投銀との人事交流だからこそ、今なら他社も受け入れるのかもしれませんが、今後ははっきり言いまして競合他社になるわけであります。よく存じ上げませんが、例えば東三さんから三井住友さんへの人事交流というのは頻繁にあるんでしょうか。あり得ませんよ、商売がたきなんですから。したがって、今までは多分できたんですよ。これからは逆に人事交流というのはやりにくくなるんじゃないんでしょうか、競合他社になるわけでありますから。

 そうしますと、結局ヘッドハントするしかないと思うんですね。そうすると、先立つものが要るんですね。片や何千万プレーヤーでやっていた人に、年収八百万で、やりがいがありますからこっちへ来てくださいと。これは優秀な人材を、これは投資という意味ですよ。新規で投資を判断する、そのリターンをどう考えるか。内部収益率というんでしょうか、その指標をどこに置くのか等々、もちろん経営上のターゲットの数字というのはあるんでしょうけれども、それらを実現していく上で多少は生き馬の目を抜く人もいないと、これは投資型の業態に今後軸足を少し移していく、いや、もっと移していくんだということにはなかなかならないと思うんですね。

 今いらっしゃる百有余名の方々が生き馬の目を抜かないと言っているわけではありませんが、少なくとも投資している先のリストを拝見するに、これは明らかに公的な機関が専らでありますから、いわゆる新規での投資判断というのはなかなか目ききが要るわけでありまして、そういう意味では、いかにしてそういった人材を確保していくか。

 ついては、売り上げに占めるどのくらいの水準ぐらいまで投資部門を持っていこうかということによって、結果、実は、長期で固定で低利でというこの三拍子のうち、前者の二つ、長期と固定ということはもう役割は担わなくてよろしいんです、ただ、低利については、民営化の移行期において少し面倒を見ます、民営化後もこれは、あまねく民間にどうぞと門戸を開放する中にあって、政府のそういった補助もつけてもらいたい、こういう話なんですね。

 この融資の話とは全く別個に、投資という事業分野に打って出よう、このことのウエート、もくろみ、そして陣容、こういった部分の前提の数字をぜひお聞かせいただきたいと思います。

小村政府参考人 私どもは、投融資一体のビジネスモデルを持っております。私は、職員には、融資はお米のようなものだ、ここできちっとした基礎的な利益を上げていく。それから、投資の部門は、その畑に咲く花であり、野菜であり、果物である。ここからまた収益を上げていく。こういう銀行に、金融機関になろうということで、ビジネスモデルを描いております。

 したがいまして、投資だけで相場を張ってお金をもうけよう、これはなかなかそんなになるものではありません。やはり融資活動を通じまして多くのお客様と接することによって、そこから投資の部門のビジネスのチャンスなりシーズが生まれてくる。

 幸い、私どもは四千以上の立派なお客様を持っております。こうしたお客様が、今やもう単に融資だけではお客様の問題解決はできない時代になっております。そういうときに、投融資一体になってビジネスを張っていこう、こういうことでございます。

古本委員 具体的に、今資料の六でお示しした、これは現状の数字ですね。これを大体どのくらいまで持っていこうという経営目標がおありなのか、この数字についてお尋ねします。

小村政府参考人 やはり時系列的に見ていただかなきゃいけないと思います。民営化した直後に急に投資の収益が上がるというわけではありません。ただ、今私どもはかなりのものを仕込んでおりますが、例えば十年後はどういう姿になっているかというと、恐らく融資部門と投資部門の利益がやはり同じような額になるか、あるいは投資部門がそれよりも上回る、そういう形での金融機関になるということで、大きな目標を定めて、これからビジネスモデルを組んでいるということであります。

古本委員 これは、以前資料要求で、政投銀の方から、政投銀の関係者の皆様がさらに再就職といいますかお出かけになっている先の社を少し一覧で出していただいた。これは委員の皆さんも共有していると思います。これは、出資している会社に大体行っている、こういう説明でありました。

 ざっとお見受けして、地域限定型の、なぜか北海道、東北地方に集中しておりますが、こういったところの何とか開発というところばかりなのでありますが、こういったところが将来の飯の種になり、配当性向も高く、すばらしい親孝行になるんだ、こういうことを言っておられますか。

小村政府参考人 そういうことではございません。それは、全く旧式のモデルの、旧北東公庫時代に資金供給業務としてやった出資行為でありまして、今私どもが投資銀行として新たに生まれ変わろうというのは、全く違った形のものであります。

古本委員 では、具体的にどういったところへ、少なくとも個社の名前は結構ですけれども、業態としてはどういった業種に投資をなさっていかれる御計画ですか。

小村政府参考人 投資銀行になる際に、いろいろな形があろうかと思います。例えば、投資物件、これはもう世界じゅうでぐるぐる回っております。そういうものに札を入れていって、それで一定の収益を上げる、これは一番楽な方法です。ただ、それは投資稼業であって、投資銀行ではない。ただ、こういう要素もかなり入れていかなきゃいけないことは確かであります。

 ただ、みずからが手がけて問題を解決していこう、そういう投資業務、アレンジをしていこう、あるいは単に出資という形でなしに、メザニンの部分をとっていく。私どもが今行っております都市再生ファンドというのは、いわばエクイティーとシニアローン、ローンの間のリスクをとっていこう、こういう金融手法というのはこれから相当出てくると思います。こういうリスクをとり得る銀行というのは、今、日本では少のうございます。

 幸い、私どもは資本が手厚くあります。自己資本比率も高うございます。不良債権比率も日本で最も低いものの一つに入っております。そういう意味において、そういう利点を生かしながらいろいろなビジネスをやっていく。

 そのときに、私どもとして、将来、これはもうだれが社長になるかわかりませんが、例えば、相場を張って短期の利益を求めていく、これは目に見えて利益が上がる場合もあろうかと思いますが、そういうビジネスモデルはやはり組めない。マーケットを相手に一定のハイリスク・ハイリターンのそういう世界ではなしに、やはり中リスク中リターンといいますか、問題解決型投資銀行、これは日本にもない、世界にもない、そういうビジネスモデルになろうかと思っております。

古本委員 そうした出資先に、今後、政投銀の皆さんの役職員を送り込んで、その中で事業内容もチェックしていく、そういったこともあわせてもくろんでおられますか。

小村政府参考人 それはケース・バイ・ケースであろうと思うんです。特定の目的の、例えば病院を再生させるファンドをある企業と一緒になって立ち上げて、その再生事業をやろうというときには、私どもも人を送らなければいけませんし、それを得意とする、例えば何々商社の人たちも人を送ってまいります。

 そういう意味において、共同して、お金だけを出すということではなしに、特定の政策目的を実現するために、政策目的というのが口癖で申しわけないんですが、特定のそういう新しいビジネスをやる場合に、みずからの職員も乗り込んでいってやらなきゃならない、そういう性格のものでありまして、何とか株式会社の役員に、出資をして何名出すとか、そんなモデルではございません。

古本委員 それでは、その新たな業態を模索される投資事業分野、これはかつての北東公庫等々の旧来の手法ではなくて、新規で産業育成、業界育成をしていく中での投資を今後なさっていきたいのだ、そういう希望を持っておられるわけでありますが、それに際し、政府に対し何か要望はありますか。

 これは、長期、固定、低利という三拍子そろった融資という意味において、今後、その低利の部分を担保していくためにはさまざまな規範による裏づけも必要であるという総裁のお話でありましたが、他方、その投資の分野に新たに打って出ていくんだという際に何か要望があればお伺いをしたい、そのことについて総裁の御所見を求めます。

小村政府参考人 これは新たな分野でありますから、やはり新しい金融環境に応じて、私どもも臨機応変にやっていかなきゃいかぬビジネスだと思います。中の意思決定においても、もたもたしていたら時代についていけません。

 そういう意味において、この移行期間中においても、やはり財務省の方々の御理解を得て、迅速な意思決定ができるためにはある程度のフリーハンドも与えていただきたい、こう考えております。

古本委員 今、フリーハンドという話がありましたが、大臣、どうでしょうか。それに対してコメントがあればお願いします。

尾身国務大臣 今お話をお伺いしておりまして、今の小村総裁のお考えは、まさに、完全民営化したときにどういうふうな銀行になるかということについてのいろいろなお考えを述べておられたというふうに思います。

 そういうときに、今までのビジネスモデルとは全く違ったパターンのビジネスモデルを、来年の十月に発足する新銀行がいろいろと議論をし、方向を決めていくということでございます。

 そういう中で、私どもとしては、期待感としては、今まで持っていた、長期、固定の融資等についての特徴を生かしながらいっていただきたいと思いますが、そういうものについては、非常に幅の広い、弾力性のある、かつ国際的なことも視野に入れたようなものになって、自由に伸び伸びとやっていただきたいなという感じを私自身は持っております。

古本委員 投資の事業分野について、経営目標、あるいは、どういった業態とのビジネスを模索していくのか、そのためのスタッフ、政投銀の社員をどう確保していくのか等々について、もっともっと具体的な話がなければ、少なくとも、投資事業分野に打って出るんだといっても、それは結構なことだ、どうぞやってくださいというふうな判断にはなかなか至らないということを申し上げておきたいと思います。

 既に議論を重ねております融資の分野について、二、三確認をとらせていただきたいと思います。

 いわば民営化までの助走期間というべき五年から七年の期間があるわけであります。来年の十月以降、その間に長期の事業資金、投融資機能をどのように担保していくかということであります。

 この部分に限っては法律のたてつけもあるわけでありますが、資金調達面におけるいわば自己調達の拡大、これは、政投銀としても大変苦しい中だとは思いますが、そういったものをいかに円滑な移行に進めていくか、具体的な手だてについて、これは政府にお尋ねした方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 現在の政策投資銀行は、政府信用を背景に大半の資金調達を行っています。具体的には、財融借り入れと政府保証債でございます。また、一部、財投機関債なるものを出しております。

 今後、二十年十月以降は自力での資金調達の体制を整えないといけませんけれども、それまでの期間に、現在できていません長期の民間借り入れ、それができるようになるようにこの法律で規定しております。また、具体的な金額は一千億円でございます。

 以上です。

古本委員 それでは、完全民営化後も、長期で固定で低利でという、この低利の部分についてどういうふうに手当てをしていくかという議論であります。

 これは先日来、確認をとらせていただいておりますが、別途各省各庁で法的な根拠となる立法措置をとったり、あるいは予算の措置で対応したり、こういうことでありますが、これは、完全民営化後もそういうふうにしていく、それに間に合うように立法措置をしていく、こういうことでよろしいでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年十月以降、政策投資銀行は株式会社になりますので、平成二十年十月以降は、民間金融機関と全くイコールフッティングの立場で、各省庁の所管に基づく政策分野において政策的な金融を必要ならば行うということでございます。

 したがいまして、完全民営化後も同じ立場でございまして、民間金融機関と同じ立場でそういう要請にこたえることになると思っています。

古本委員 完全民営化後に、特定の政策を実現するために、事業者の方々の資金需要があった。それに対し、現状であれば、まずは政投銀のドアをたたくわけでありますが、今後は、政投銀のドアをたたくとは限りませんね。他の民間金融機関のドアをたたくかもしれない。他の民間金融機関のドアをたたいた場合は、他の民間金融機関の担当の方が、資金を求めておられる事業者、例えば鉄道事業者あるいは電力事業者の方と一緒になって、今度は関係の、所管の省庁の窓口を訪ねる、こういう業務の流れでよろしいですか。想定される業務の流れです。

勝政府参考人 お答えいたします。

 仮に、各政策分野におきまして、各省庁が所管する分野におきましてそういう判断が行われれば、そこは、政策投資銀行は一般の民間金融機関と全く同じ立場でいろいろな事業に当たると思っています。

古本委員 いや、私の質問に答えていただいていないと思うんですが、今は政投銀のドアをたたくわけですね。ところが、政投銀が、これからは専らじゃなくなるわけでありますので、専業ではなくなるわけでありますから、事業者が他の金融機関のドアをたたく、これは政投銀を経ずに、役所にその人たちと相談に行く、こういうことを想定されていますかと。逆にそういうことができるようになりますよねというお尋ねであります。

勝政府参考人 お答えいたします。

 来年十月以降は、政策分野といっても二つございまして、一つは危機対応の分野でございます。危機対応の分野につきましては、そこは、この前成立いたしました政策金融公庫法におきまして、政策投資銀行はみなし指定金融機関になっております。これは商工中金と同じでございます。この危機対応につきましては、政策投資銀行はもう既に指定されております。

 その他の分野におきましては、先生がおっしゃるとおりだと、原則としてはそうだと思っています。

古本委員 そうしますと、政投銀の投資事業というのは、ストックベースでは過去分が継続していきますけれども、新規でのフロー分で発生するものについては、まさにイコールフッティングで他の民間競争にさらされて、条件次第ではどんどんとられていく。事業者も、電鉄会社も当然、ある一社のドアだけをたたくわけはなくて、よりよい条件を求めて複数社のドアをたたくでしょうから、結果として、一部は政投銀がとるかもしれないし、大方は他の民間行がとっていくかもしれない。こういうことを想定されている、こういうことでよろしいでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 現在契約中の融資案件につきましては継続するということでございますけれども、その他のものについては先生がおっしゃるとおりでございます。

 ただし、普通の金融機関は、短期の預金が資金源でございますので、それと長期の貸し付けとのマッチングの問題がございますので、そういう点は、今現在、政策投資銀行の方がノウハウ等を備えているかと思っています。

古本委員 ということは、今後とも、政投銀が幹事社となって協調融資団を組んで何社かをまとめていく、それが専らであって、電鉄事業者あるいは電力事業者がいきなり他の民間機関のドアはたたかないだろうという想定でお話をなさっておられるのか、あるいは内々そういう話はついているのか、その辺の実態をお聞かせ願いたいと思います。

小村政府参考人 私どもの立場から申し上げますと、やはり大きなプロジェクトというのは相当年数がかかります。そういう意味において、これまで我々が培ってきましたノウハウなりデータベース、こういうものが大変有効であろうと思います。

 もちろん、政策的に重要な都市交通等の整備において私どもだけがという制度はとりにくいと思いますが、今、勝審議官からお話がありましたように、例えば、指定金融機関制度をもって民間銀行とイコールフッティングでやりなさいと言われた場合には、私どもとしては、相対的にデータベースやノウハウ、そういうものを持っておりますので、指定金融機関にしていただければより能力が発揮できる、こういう関係であろうと思います。

古本委員 ということは、我が国における長期での事業資金需要というものに対して、かつての箱物でナショナルインフラを整備してきた右肩上がりの時代から比べると、資金需要の中身も今後は変わってくるんだとは思いますが、少なくともゼロになることは恐らくないと思うんですね。

 こういった長期での事業資金を求める事業分野の方々が、今後どうやって資金調達をしていくんだろうか、そして、我が国の金融市場としても、ではどういう人たちがそれを担っていくべきなんだろうかということについては、なお十分な議論が必要だと思っているわけなんです。

 その意味において、今現在は政投銀が担っておられるし、収支相償の原則のもとに、国庫を一円たりとも痛めることなく、逸失利益とか言い出すとまたあるのかもしれませんが、少なくとも新規で国庫の持ち出しはない中で、むしろ七千億円に上る国庫貢献をしている。こういう政投銀を改めてまで長期の事業資金ニーズにこたえる第三者を探さなきゃいけないんだというのが、今回のいわば無理やり民営化法案なんですね。

 したがって、大臣、今の総裁の答弁はなかなか苦しいところだと思いますよ。培ったノウハウ等々を今後とも頼りにしてもらいたい、こういうことなんでしょうけれども、片や、電鉄事業者も電力事業者も、慈善事業でやっているわけじゃありませんので、より安く資金調達ができるところから調達するに決まっているわけでありますし、今後、じり貧で、政投銀のフローベースでの、新規での融資案件というのは減ってくる可能性がありますね。

 財務大臣として、それでいいんだ、だからこそ民営化した意味があるんだ、こういう理解でよろしいですか。

尾身国務大臣 例えば、先ほど電通の話がございました。なぜ政投銀が電通に貸すんだというお話がございました。逆をいいますと、例えば電通は普通の民間企業から借りられるではないか、こういうようなお話だったというふうに思っておりますが、つまり、そういう長期、固定の融資であっても民間ベースで基本的にはできるし、またそれをやるべきであるという基本的な考え方に立って民営化を行うというのが政策投資銀行の問題であろうというふうに考えております。

 したがいまして、新しい移行期間中に、その間にいろいろな準備をする。その準備をする考え方は、完全民営化後のビジネスモデルを確立するために、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう我々政府は期待をしている。そのために我々がなすべきことは、移行期間中にいろいろとビジネスモデルを考えること、それからまた、政府保有株式の処分方法に関する事項について必要な措置を講ずることというようなことをやるわけであります。

 しかし、完全民営化になったときの銀行は、民間ベースでの競争原理のもとで、マーケットメカニズムのもとで基本的な事業活動をやっていくということを期待されておりますし、また、そういう意味で、資金の需要供給、つまり資金の獲得及び供給先についても民間ベースの考え方をもとにしながらやっていただく、こういうことになろうかと思っております。

古本委員 いや、よくわからなかったんですが。

 要は、こういうことなんですよ。どう考えましても、いわゆる長期で固定で低利での、低利のインセンティブが働かなければ、政投銀から借りる意味合い、メリットは相当薄れるんですね。その低利の部分は、これすなわち政策そのものなんです。

 したがって、政策を判断するのは政府なんです。政策を判断する政府と政投銀はこれまで一体的にやってきたからうまみがあったし、各種事業者は、資金ニーズのある方々は政投銀のドアをたたいたんです。今後はそれが政投銀からはがされるんです。

 それで、新たに補助金とか、各省各庁、所管の官庁が持つ予算で手当てをしたり、あるいはその根拠法となる特別法を措置したり、これは大臣が累次にわたって答弁なさっていますから、新たにそういう手だてを打つんです、これは広く民間に開放するんです、こう言えば、縦から切っても斜めから切っても、政投銀の今後の投資案件はフローベースで減ってくるというふうにしか聞こえないんです。

 民間がそういった条件の中で新規に参入してくるかどうか、これはふたをあけてみなきゃわかりません。わかりませんけれども、少なくとも、そこにうまみがあるのならば新規で参入してくるでしょうね。したがって、そうなったときに、政投銀の新規での投資というものが先細ってきたときに、結果として一千三百名の方を路頭に迷わすわけにいかないと総裁はおっしゃっているんですよ。これは私もそう思います。

 では、路頭に迷わさないためにどういった業態がなりわいとしてあるかといったら、投資しかないというんです。ほかにもあるんですか。大きくは融資か投資なんですよ。この投資については、きょうあす利益の出る話じゃないです、今まさに仕込みです、今後それが花開くかもしれませんし、そうなるように頑張りますと総裁はおっしゃっているんです。千三百名の方がどうなってもいいと言っておられるのかどうかなんですよ。

尾身国務大臣 先ほど申しましたような枠組みの中で、移行期間中に政府保有株式の処分の方法に関する事項等については必要な措置を講ずる、あるいは、激変緩和等についても必要な措置を講ずる、こういうことでございます。

 その後、純粋民間企業になったときに、引き続き低利の金利で政策融資を行うような判断がつかさつかさの役所で、例えば、立体交差とかいうようなこともあろうかと思いますが、そういうところで判断がなされたときは、それに伴う補助とか、あるいは低利資金の確保とか、必要な予算措置、立法措置をとりながら、新たに民間企業化された政策投資銀行を活用することも、そういう中で検討していく、こういうことでございます。

 ただし、基本的には民間企業になるわけでございますから、民間企業としてのビジネスをしっかりとやって、生き残っていただきたい。これは政府の基本的政策として、民間企業になった政策投資銀行を生き残らせるために必要な手だてをとるということは、基本的には、政府サイドとしては、民間企業になった以上はしないことになるというふうに私は理解しております。

古本委員 大臣、これは全く逆ですよ。政投銀は今、七千億円国庫に貢献しているんですよ。しかも、一円たりとも逆に国庫に世話になっていないんですよ。その政投銀を小泉さんが民営化すると言ったから、それに皆さんがおつき合いしてこれをやるわけですよ。

 資料の八をごらんいただきたいと思います。これは過日もお示しをいたしました。大臣もごらんいただいているはずですので、大臣にぜひお答えをいただきたいと思います。

 新たに政投銀が民営化された以降に、当然、なりわいの柱の一つといいますか専らである融資は続けるわけでありますから、逆に、続けないと千三百人が路頭に迷うわけでありますから、これは続けるんでしょう。何よりも、事業者が政投銀のノウハウを頼りにしてドアをたたくかもしれませんから。逆に、たたいてもらわないと困るわけでありますし。

 そうしますと、向こう二十年間の貸し付けを前提として、新規でフローが発生し、ストックの累計で計算をしていただきましたが、前提として〇・三%の金利優遇、これはもちろん、今〇・一%から〇・五%ぐらいで回しているというふうに伺っていますので、今後はなかなか、長期で固定で低利でという、低利の幅は今までのようにはいかないという多少のバッファーがあったとしても、真ん中の〇・三%をとっていただきました。四千三百億円、新規でお金が要るんです。これは国庫の持ち出しなんです。

 とにかく民営化なんだ、そして、民営化された暁には、そこに働いている人は野となれ山となれと。一方で、国庫の持ち出しとして、利子補給をするために、政策ごとに各省各庁に考えてもらうと大臣何度もお答えになっていますよ。各省各庁がこの予算を持つんでしょう。四千三百億円、これが新たに発生するんですよ。ですから、民営化という言葉を実現させる、ただその一点に絞り、いちずにやられて、晴れて民営化されましたとしましょう。でも、これは新規で二十年後に四千三百億円発生するおそれが大ですよ。

 今は、財投の資金、逸失利益分という議論も別途あるのかもしれませんが、少なくとも、財投資金を中心に資金調達をされて、低利で融通をするという中で、国庫には一円もお世話になることなく、収支相償を守り、逆に七千億円も国庫に貢献をしている政投銀をつぶしてまでも、今の仕組みをつぶしてまでも、民営化をして、財政の健全化という意味で、何か一円でも貢献できるんでしょうか。

 民営化の心は、少なくとも、公的なセクターをスリムにしていく、これはそのとおりですよ。と同時に、財政の健全化にも大変な貢献があるんだ、だから民営化するんだ、こういう話じゃなかったんでしょうか。むしろふえますよ、これは。片や、そのビジネスの柱である融資業務については今後どうしていくんでしょうかというお尋ねのところ、それは野となれ山となれだと。これでは無責任きわまりないと思うんです。

 財政を預かる財務大臣に改めてお尋ねをいたします。これはあくまでも試算ですが、少なくとも、利子補給、補助金として各省各庁がつけていくんだろう、それは法的な根拠も含めてつけていくんだろうと大臣はお答えになっていますからね。答弁は消えませんよ。そのお金は大体これぐらいになるんです。それでもやるんだという大臣の御決意はよくわかりましたが、財政の健全化に向けて、政投銀を民営化して一体どのぐらい貢献があるんでしょうか。具体的に数字、もくろみがあればお聞かせいただきたいと思います。

尾身国務大臣 政策投資銀行が七千億円貢献をしてきた、こういうお話が先ほどからあったと思いますが、政策投資銀行の融資の原資は、長期、固定、低利の、特別のお金を使っているわけでございまして、今後は、政策投資銀行そのもののあり方としての、特別低利の資金源はとらない、こういうことになります。

 しかし、各省庁で、必要な政策があり、政策金融をやるために必要であるという判断をし、また、政府として判断をしたならば、それに対する資金的な手当て、あるいは法律的な手当て、予算上の手当てをしながら政策投資銀行という器を活用していく、そういう考え方になろうかと思っております。

古本委員 長期で固定で低利でというこの三拍子のうち、我が国における長期での事業資金ニーズのある各種事業者の皆さんは、低利でというところに魅力を感じ、また、それに背中を押されて、いわば政策実現の一翼を民である彼らが担ってきたわけですよ。官である政府が判断し、公の一翼を民間である各種事業者が担ってきたわけですよ。鉄道の高架事業なんてまさにそうですよね、渋滞緩和とか。そういうことじゃないですか。

 したがって、その部分を今後とも続けていかないといけないんじゃないですかと、何回もここでやりとりしていますが、それは総裁も、小田急への貸し付けをいきなり切るというわけにはいかないので今後とも続けます、そのためには何やら後ろ盾が要ります、それは法的な根拠ですと言っておられるじゃないですか。それは各省各庁で持つということでありますから、例えば鉄道事業であれば、鉄道局が何か特別措置法をつくったり、あるいはその予算の中で対応したり、あるいは補助金という形で、もちろん根拠法も整備する中で、何かおやりになるんでしょう。

 それを累計して試算すると、結果的に新規で四千億円を超えんとするお金が持ち出しになりますよと言っているんです。今は、利子補給の部分、政投銀が低利で貸し付けている部分の財源は、少なくとも、新規で、一般会計で持ち出してはいないじゃないですか。いや、事務局も、これは何度も説明しているんですから、大臣によくレクしておいてくださいよ。

勝政府参考人 お答えいたします。

 技術的な部分にわたるものでございますので、説明させていただきます。

 先生のお示しいただいています試算でございますけれども、先生御承知のとおり、幾つかの前提条件の上に立っていますので、それについてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、日本政策投資銀行がこれまでの政策的要請に基づき低利融資を行ってきた分野では、おっしゃいましたように、平成二十年十月までに、新たな立法措置等により、必要な場合については個別に対応していくということでございます。

 ただし、対象分野とか政策的な手法、いわゆる具体的な措置の内容については、今後、各省庁が財政当局等と相談しながら検討することとなっていますので、このような前提条件については、今ここでコメントはできないことを御了承いただきたいと思っています。

古本委員 財務省も一生懸命やっておられるのはわかりますが、少なくとも、今現在、政投銀が長期で固定で低利の三拍子を実現するに当たり、一般会計は一円も痛めていませんね。総裁、これは正しいですか。一般会計、一円でも痛めているんでしょうか。長期で固定で低利で、これを実現する上で、国庫の持ち出しは一円でもあるんでしょうか。

小村政府参考人 私どもは、政府の信用をおかりして資金を調達するなり、あるいは財投借り入れも一部ございますが、主として最近は、債券の発行に基づいて資金調達をいたしております。

 ただし、その業務内容において赤字を生じたり損失を発生したときに、政府から補てんをしていただく、税金で赤字の穴埋めをしてもらう、そういったことは一度たりともございません。

古本委員 そうなんですね。したがって、長期、固定、低利という、まさに国民的ニーズである各種ナショナルインフラの整備を中心とする長期での事業資金ニーズにこたえてきた政投銀は、少なくとも低利でという部分を実現するに当たって、国民の皆さんからお預かりした税金は痛めていないんですよ、直接的には。

 ところが、これは今後は、大臣は累次にわたって答弁なさっていますよ、各省各庁が別途特別法を措置したり、あるいは予算申請ベースでやったり、あるいは補助金をつけたりという形で、事業分野別にその政策を審査し、そしてオーケーであれば、それを多とするのであれば、その場合、お金をつけていくということを言われていますよね。それというのは、まさに新規で国庫から持っていくんじゃないですか。まさに各省各局の予算でしょう。今はゼロなんですよ。これから新規で出るんですよ。それをやってまでやるだけのメリットがあるのかと聞いているんです。

尾身国務大臣 政策投資銀行そのもののあり方として、政策投資銀行に低利融資ができるような、政策投資銀行そのもののあり方としての政府の支援は行わないということであります。

 しかしながら、政策上必要であるということを関係各省が判断したときは、それに必要な立法措置あるいは予算措置等をとりまして、今現在はその具体的な政策手段については明確になっておりませんが、必要な財政措置などについてはとっていただく。

 したがって、これはその判断でありますから、今具体的な数字をどうするということについてはお答えできる状態ではない、こういうことでございます。

古本委員 このテーマは今からの質問で終わりにしたいと思いますが、少なくとも、政投銀の今現在の仕事の進め方、そしてそれに伴う国としての予算のつけ方で見れば、長期で固定で低利でというこの三拍子を実現し、長期での事業資金ニーズのある事業者に対する貸付業務において、今現在、何か一般会計で、あるいは特別会計でもいいですが、政投銀に利子補給をする、低利でという部分を実現するための裏づけとして、あるいはその先立つものとして、国からお金は今現在は出していませんね。

尾身国務大臣 これはいわゆる財投資金という形で行っておりますから、通常の金利よりも低いものになっているのではないかと思っております。

古本委員 いや、それはもう百も承知ですし、それは簡保、郵貯資金が、まさにあれが無駄遣いされているということであの夏の解散があったんですけれども、無駄遣いなんかされていない部分もいっぱいあるじゃないですか。この政投銀を使って、まさに政策実現の一翼を担ってきたわけですよ。その部分を、低利で貸しているから逸失利益だということの計算なんて百も承知ですよ。

 少なくとも、一般会計として政投銀予算ということで何かつけて、それを財源に利子補給しているわけじゃないでしょう。これは正しいですか。

尾身国務大臣 それは従来のこのやり方で、いわゆる財政投融資の枠内で政投銀にお金が流れているわけであります。

古本委員 いや、ですから、今後は各省各庁が予算を持ってこれをやっていくということになれば、では、これは予算計上上、どこに出てくるんですか。一般会計に出てくるんですか、今後、民営化後。特別会計でも組むんですか。

尾身国務大臣 その具体的なやり方については、今後検討をして、その政策課題ごとにどういう手当てをするかということは考えていき、必要な場合には立法措置もする、こういうことになろうと思います。

古本委員 いや、これは今ここでまさに議論をしているわけでありますので、判断をする大きな材料の一つだと思うんです。

 これは与党議員の皆さんも、改革をとめるなというあのフレーズとともにこれまで突き進んでこられたんだと思いますが、少なくとも民営化したことによって、新規の補助金という、形を変えて、しかも各省各局が握るような形になれば、これはもう、まさにバックギアに入るというのはこういうのを言うんじゃないんですか。

 したがって、その部分について、いや、それも百も承知だけれども、政投銀が単独で担っていくというのにはもう決別したいんだ、東三や住友さんにもうけさせたいんだ、ついてはそういうところにも門戸を開いて一緒にやっていくことが目的である、それこそ政策だというならまだわかりやすいですよ。

 各省各局が持っておられる政策というのは、例えば国交省鉄道局であれば、いかにして鉄道事業を、渋滞緩和をしていって、あるいは複線化していって、国民の通勤ラッシュを緩和してさしあげるか、これを実現するためなのが鉄道局の政策なんじゃないんですか。それを実現していこうと思ったときに、今は一円たりとも国庫に世話になっていないんですよ。むしろ貢献しているんですよ、納付金という形で、今は。

 これは、民営化後の政府の考えておられるスキームによれば、少なくとも、長期で固定で低利で、この低利を実現しようと思うと、どうしてもこうした先立つものが要るんです。財政を出動するための根拠法をつくると、まさに今言ったばかりじゃないですか、大臣。当然、根拠法をつくれば別途考えることでしょうといいながら、どこから出すというのはそれは一般会計しかないでしょう。また、ただでさえ批判のある特別会計を組むわけにいかないでしょう。大臣の御所見を求めます。

勝政府参考人 お答えいたします。

 一般会計計上になるかどうかにつきましては、これはやはり対象分野や政策的な手法等については、いわゆるその具体的な措置については今後検討するものでございますので、今一概に申し上げるものではございません。

古本委員 これは率直に私の立場を申し上げますと、これまで政投銀は頑張ってこられたと思っているんです。今回の民営化話の中で、まさに一番、おつき合いをするには、本当に気の毒なのが政投銀ではなかろうかと思っているんです。それは、千三百名の皆さんが気の毒だという情実的なことを言っているんじゃないんですよ。国民が一番かわいそうなんですよ、財布が痛みますから、新たにこうやって持ち出しが出るわけでありますから。この議論を今まさに判断しようとするときに、核心に触れているのに逃げを打つようでは、これは話になりません。

尾身国務大臣 私自身は、核心に触れた説明をしていると思っております。

古本委員 では、大臣とかみ合うためにはあと何十時間も議論しないといけないような感じがいたしますが、全然私は核心に触れた答弁をしていただいているように思えません。

 残された時間で少し確認をしたいと思いますが、株式の処分であります。

 これは、安定株主を確保するのが先なのか、それとも、政投銀の企業価値を最大限に高める中で一円でも高く市場で売り抜けたいということが先なのか、どちらがまず先なんでしょうか。

勝政府参考人 お答えいたします。

 株式処分につきましては、まず株式処分の円滑な推進及び貴重なる国民の財産である株式の処分収入の適正な確保、そういうものを図る必要があります。

 それとともに、行革推進法や行革推進本部において決定されました制度設計におきましては、完全民営化後も投融資機能の根幹を維持する旨の規定や、行革推進法の参議院附帯決議における、同機能を維持するために安定性のある株主構成とする旨の趣旨も踏まえる必要があります。

 このため、本法案におきましては、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるよう、政府保有株式の処分の方法に関する事項について検討するということが規定されております。その際、今申し上げましたような諸事情を踏まえて検討していくことになると思っております。

古本委員 つまり、政投銀が今持っておられる特色の一つである、営利目的じゃないという中立性やあるいは信頼性というのは、やはり安定株主があって初めて成り立つと思うんです。その安定株主としてどんなところを想定し、どうやって確保していくかということは、この場では説明できないんだとずっと皆さんは答弁なさっておられますが、まずは安定株主を確保するためにいろいろな工夫をしていくんだ、こういう理解でよろしいですか。シンプルな質問ですから、長々と答えないでください。

勝政府参考人 今後、専門家や有識者から成る検討会で専門的な見地から検討していくことになると思いますけれども、そういう際に想定される論点としまして、一つは株式処分の手法、これは上場か非上場か。そのときに、先生おっしゃいましたような安定株主構成の問題がその株式処分の手法に直結する問題でございますので、そういうことも一つの検討課題でございます。また、あわせて、発行する株式の数や種類、処分のタイミング等についても検討する必要があると考えています。

古本委員 時間も何やらそういう時間帯ですし、私もある意味親切に各項目を拾おうと思って聞いてさしあげているんですから、もうすぱすぱっとお願いしますよ、小気味よく。

 あと、今政投銀が担っておられる調査業務のようなものがありますね。これは、非常に公平中立だからこそできる、あるいは、いわばお金との対価で何か調べてもらうということではなくて、まさに政投銀だからこそ調べたリポートに信頼性もあるということで、各界から求めのある大変なそういうレビューを定期的に出しておられる、こう聞いていますけれども、こういった業務というのは、今後民営化されたら、ぎりぎり利益利益になると、なかなかできなくなります。

 例えば、思い切って何とか総研のように独立系のシンクタンクをつくるというなら別ですが、その辺のもくろみ、あるいはそれに対し、今後とも続けていきたいのであれば、政府に対して何か要望があれば、この場でぜひ聞かせていただきたいと思います。

小村政府参考人 私どもの調査業務の主な一つとしては、設備投資動向調査がございます。これは日銀の短観と同様、経済指標として大変重要な位置を占めております。民営化して直ちにこれをやめていく、そのときの経営者の判断でありますが、日本経済にとって大変重要な経済指標、そういうものもやっております。片や、産業調査、この部分についても専門の職員を抱えてやっております。

 もう一つ大きな問題としては、下村治博士が創設をいたしました設備投資研究所、これは、いわば日本の基礎医学のようなことを研究する、非常に有名な大学の先生方、金融界の第一線の先生方が指導をなさってくれている研究所であります。

 こうしたいわば国民的知的財産というようなものを抱えておりまして、これをどうするかというのは今後私どもの大きな課題であります。

古本委員 次に、資料の九、政投銀の役員に占める役所からの出向者の状況をごらんいただきたいと思うんですが、これは、今現在は、総裁以下、これだけの方が行っておられるわけですね。これは資料要求で出していただいた資料ですので、委員各位も共有されていると思います。

 この中で、個別の政策を持っておられた、例えば局長とかを経験されている方はいらっしゃいますか。

小村政府参考人 ちょっと質問を聞き漏らしましたが、これらの者について、おのおの専門の知見を持った者であります。私は財務大臣の任命をいただいておりますが、その他の者につきましては、その人物について一人ずつ、その素養なり識見なりを関係省庁にも厳しく注文をつけていただいた、有能な人材でございます。

古本委員 資料の七をごらんいただきたいと思うんですが、これは、今現在、九十六の事業分野に対し、十一の省庁にまたがって政投銀が政策を実現するための融資をなさっている分野なんです。いわば所管の官庁、部局ということになりますね。

 今は政投銀は公益法人じゃありませんので、逆に天下り規制の対象になっていないというふうに承知していますが、今並行して国会の中で議論されていますいわゆる天下りバンク法案、政府は人材バンクと言っておられますが、私どもは天下りバンクと呼んでおります。いわゆるあの法案について、政府案が通った暁には、言うならば相思相愛で、お互いに必要なんだと言い合えば自由に往来できるわけですね、人事として。

 今現在は、政策といいましても、各省各庁の、この七ページ、資料の七におつけをしたところ、例えば国交省あるいは経産省、環境省、農水等々、いわゆる政策を実行していく省庁に、今後は、お金を貸してくれ、ついては補助金をつけてくれ、ついては予算をつけてくれと個別にやらなきゃいけなくなるんですよ。したがって、ここの担当の局長の方々は、率直に言って今以上に、そうか、では見返りは何だということになってしまう構図になる可能性があるんです。

 したがって、政投銀の皆さんが、これまで五十年のノウハウという話もありましたが、過去、一度でも生え抜きの方が総裁になったことはあるんでしょうか。どれだけ頑張ってもトップになれない民間会社なんてむなしいですよね。ですから、今後民営化された以降はもうこういったことはないんだということで、いろいろ思っておられるんでしょう。政府もそうだと説明をするんですが、実態は、長期で固定で低利で、この低利を実現せんがために各省各庁が補助金をつけるんですよ。個別の特別法もつくるんですよ。これはまさに利権そのものじゃないですか。新たに民営化されたら、実は民営化とはまさに逆行して、同時並行的に新たな利権が生まれるんです。

 ですから、人事は、新しくできる民間会社でありますから、完全民営化以降はもちろん国会の関与ができなくなるわけでありますね、大臣。したがって、こういった部局の人々が新たに補助金を背景とする押しつけ的天下りなんということには、民間企業ですから今度は天下りになりますね、ただ、政府が出されている天下りバンク法案によれば、相思相愛ならいいわけですから、そういうことにならないように、大臣として、そんなことはならないということを約束すると、今約束してください。

尾身国務大臣 民間企業になりましたときの役員の人事は、基本的には株主総会あるいは役員会で決める、こういうことになっておりまして、そういう意味では、まさに民間企業としてのあり方の基本にかかわることであろうかと思っております。

古本委員 いや、ですから、鉄道事業者の方が高架事業といったら、一世一代の大一番ですよ。何百億円投資して、この首都圏の高架事業をやっていく。その際は、低利でお金を借りないと、そんなことできないですよ。その判断をするのは、今は政投銀に相談し、政投銀がアレンジし、最終的には財務省が一兆円の決裁をする中で年間の予算がついていっているんですが、今後は各省各庁が根拠法を持つようになるんですよ。特別法で措置するんでしょう。予算も持つんですよ。そこの省益といいますか、権限が、財源というものを背景とするものがより強まりませんかという懸念があると言っているんです。今指摘しているんです。したがって、そんなことは今後ありません、神に誓ってありません、こう答えてくださればいいんです。

尾身国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、これは民間企業になるわけでありますから、民間企業の根本原則でやっていただくようになると思います。

古本委員 いやいや、その原則は、今、渡辺喜美さんが頑張っておられるあの天下りバンク法案が通った暁には、お互い求め合った相思相愛の案件については、二年の規制も外れて自由にできるようになるわけですよ。だから民間にするのかなと疑っちゃうぐらいのビジネスモデルなんです。

 改めてお尋ねします。これは民間会社になるんです。したがって、自由に行けるようになるんです。

尾身国務大臣 現在、国会で審議していただいております国家公務員法改正法案が成立した場合には、新たに再就職あっせん規制、働きかけ規制等が導入されまして、この規制は移行期間中の特殊会社及び完全民営化後の新組織についても当てはまる、こういうことでございます。

古本委員 今、当てはまるということでありますので、ぜひ、しっかりウオッチをしていただきたいと思います。

 きょうは、理財局にもお越しをいただいています。

 どうしてここまでこの民営化法案にこだわるか。これは、民営化だと言ったら、そうだと言って皆さんが、新たに四千億円も国庫の持ち出しがあるかもしれないですよという提起を差し上げているんですが、恐らくこの後、いろいろな動きの中で御判断されるんだと思うんです。

 では、他方、国有地は売っ払えとどなたかが言ったら、とにかく売れ、やれ売れ、それ売れで売りまくるという計画を今、言われた理財局は、やむを得ずやっておられるわけです。その一つかどうかはわかりませんが、今回の、先日現地を見に行った用地の話もあるんじゃなかろうかと思いますが、もっとびっくりする話があります。

 資料の十をごらんいただきたいと思います。

 少しポンチ絵ベースですので見づらいところはお許しをいただいて、これは防衛省の本部です。皆さんもよく御存じの市谷の防衛省の本部です。

 今このゼブラで落としたところはこれまで行政財産であったかどうか確認をしたいと思いますが、いかがですか。

丹呉政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の土地でございますが、ここは、従来は厚生省の旧統計情報部としての土地として使用されておりましたが、その統計情報部の中央合同庁舎五号館への移転に伴いまして、平成十年十月に用途廃止の上、関東財務局に引き継がれたものでございます。そして、その後、平成十五年十二月に一般競争入札により売却されたものでございます。

古本委員 行政財産を用途廃止し、普通財産に振りかえて民間に売却をする、そのステップにおいて、他の省庁に対し、この国有地を当該行政財産から用廃するに当たって、よろしいかというお尋ねは通常とりますか。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 未利用国有地の処分の一般的な考え方でございますが、基本的にはまず公用、公共用優先の原則でございまして、国みずからの利用を最優先としておりまして、各省各庁から利用の申し出があれば、必要性等を審査の上、その省庁への所管がえに応じることとしております。

 そこで、処分をするに当たりまして、未利用国有地につきましては、従来から、入札に先立ちまして、財務省のホームページ等におきまして、その所在、面積等の情報を提供しております。これによりまして、各省各庁が容易に未利用国有地の情報に接し、必要に応じて申し出を行い得る仕組みとなっているところでございます。

 こうしたプロセスによりまして、各省各庁から、処分の適否、用途についての要望を受け付けた場合には、財務省としても適切に対応しているところでございます。

古本委員 それでは、個別の話をお尋ねいたします。

 当該厚生労働省の用地、行政用途にあったこの用地を普通財産に振りかえるに当たり、御近所さんには相談されましたか。

丹呉政府参考人 先ほど申し上げましたように、この土地は平成十年十月に用途廃止をされまして、財務省の方に引き継がれました。その後、平成十五年十二月に一般競争入札により売却することといたしまして、十五年十二月二十五日に公示をいたしまして関係情報をホームページに広く提供いたしました。その結果、入札したわけでございますが、その間、財務省としては公用、公共用の取得の要望を受け付けておりましたが、本件については、各省庁から、行政財産としての取得や入札の延期、用途制限等の要望はなかったところでございます。

古本委員 局長が局長になる前の話ですから酷ではありますが、これは与党の先生方も大事な話なんです、実は。

 これは、隣は機動隊ですよ。それから、その横のアプローチ、細い道がありますが、これは防衛省の通用門ですよ。その横に防衛省本省のレーダーサイトがありますね。これは防衛省村そのものじゃないですか。その隣は財務省の研修所ですよ。さらにその隣はJICAの施設。まさに都心に残された最後のサンクチュアリーじゃないですか。国家が持っているまとまった用地じゃないですか。しかも、これは角地ですよ。

 これは、今何が建っていますか。どこに売りましたか。

丹呉政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました手続、一般競争入札の結果、不動産会社が落札をいたしまして、現在マンションが建てられていると承知しております。(発言する者あり)

 私ども、詳しくはあれでございますが、新聞報道によれば三十八階ということを承知しております。

古本委員 少なくとも理財局長の説明によれば、ウエブ上に公開して、よかったらどうぞという御案内はしました、それに気づかなかった防衛省が悪いんだというふうに聞こえるんですが、防衛省、きょう来てもらっています。相談は受けましたか。

飯原政府参考人 お答えをいたします。

 本件について財務省の方から、先生がおっしゃるところの積極的な形で、調整という形で防衛庁、当時は庁でございますが、に対して事前の相談等はございませんでしたが、防衛省といたしまして、本件の売却については、現状特に問題はないという考えを持っております。

古本委員 それは、防衛省の用地を預かる担当官として問題はない、こういうことですね。したがって、防衛省の本部機能を、さらに駐屯地もありますから、この機能を今後維持していく上で是か非かということまではあなたは判断していませんよね。用地を売るかどうかについては、結構かと思いますと今軽く答えておられますけれども、これは国家の防衛の、しかも本丸ですよ。

 その隣接した土地を、民地ならいいですよ、百歩譲って。民間が何を開発するかなんて、それは勝手ですよ。国有地をわざわざ売ったんですよ。やれ売れ、それ売れで売っ払ったんですよ。隣にある防衛省には何の相談もせずにやったんですよ。

 防衛省は、今さらになって多分財務省と内々に相談したんでしょうね、当局としては結構かと思いますと言っていますけれども。あなたは責任を持って答弁できるんですか。よもや防衛省の本部機能を、前防衛大臣もいらっしゃるので本当はお尋ねしたいぐらいですけれども、こんな国有地を、いや、本当に百歩譲って、普通財産に振りかえられていたものにたまたま後から防衛省が来たというなら別なんです。防衛省も行政財産、その隣にある厚生省も行政財産だったんです。それをわざわざ用廃してまで普通財産に振りかえる際に、どうして一言機動隊に相談しないんですか、どうして一言防衛省に相談しないんですか。だから日本の国有地は歯抜けだらけで、肝心かなめのところがどんどん、こんなおかしな話になっていくわけでしょう。

 きょうは、用地の担当の人しか防衛省は来ていませんから、問題ないと思いますと今発言されたのは、理財局が土地を売ったことについてのみ……

伊藤委員長 古本委員に申し上げます。

 質疑時間が終了していますので、おまとめの方をお願いします。

古本委員 いや、委員長、これはむちゃくちゃ大事なんです。

 土地を売ったことについては多とすると。だけれども、防衛省のこの機能を維持していく上では、この国有地を民間の、しかも三十八階建てに化けちゃったということについては言及していませんね。そこだけ確認をとらせてください。大変なことになりますよ。

飯原政府参考人 委員のお尋ねの筋が、まさに、国有財産をいろいろな手続を経て一般に売却する際に調整というものがあったかどうか、またそれがなかったということがどうかというお尋ねでしたので、それについて防衛省として問題があるとは考えていないというお答えをしたところでございます。

古本委員 時間が来ている中で恐縮ですが、事前の相談がなかったことさえも問題なかったという答弁は重たいと思います。

 ということは、今後とも、理財局が、どなたかが売れと言った指令のもとにどんどん売っていく中で、隣接するさまざまな行政機関に対し相談もなく売っていく。それは、公募をかけて、ネット上に応募しない者が悪いんだと言われて、その話をうのみにするわけにはまいりません。重大な答弁をいただいたと思います。

 同時に、委員長、これは、安全保障委員会との、この問題について少し集中した討議を構えることを理事会にお諮りいただきたいと思います。大問題です、これは。

伊藤委員長 ただいまの件については、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

 質問時間が終了しておりますので、おまとめ願います。

古本委員 終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後四時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時十二分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております内閣提出、株式会社日本政策投資銀行法案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 民主党・無所属クラブを代表いたしまして、日本政策投資銀行の民営化に関します今般の法案につきまして、反対の立場から討論を行うものでございます。

 反対理由の一つ目は、国民のためになる民営化ではないという点でございます。

 民にできることは民で、この議論は公的機関の肥大化を懸念する国民的な関心事でもあります。国会としても丁寧な審議を重ねてまいりました。

 長期での事業資金を求める鉄道、電力、港湾、町づくりなど国民生活を支える事業は、大型でかつ多額の資金を要することから、長期、固定そして低利の資金を前提としてまいりました。民営化後は、こうした融資が円滑には行われない可能性があり、国民生活の便益はむしろ不利益となるおそれが大であります。

 次に、新たに補助金や利子補給の形で法的な措置を含め手当てすることが明らかになってまいりました。政投銀の試算ではありますが、二十年間で約四千三百億円、新たに国庫からの持ち出しのおそれも明らかになりました。財政の健全化という意味では全く逆の財政負担増となるわけでありまして、民営化におつき合いした代償は余りにも大きいと言わざるを得ません。

 次に、公的部門のスリム化が図れるのか、この点も懸念が深まるばかりであります。現在の政策融資を判断する仕組みは、民営化に伴いまして、各省が個別に特別法を持ち、あるいは補助金などを新たに創設し、民営化した方が逆に新たな利権が生まれるおそれも明らかになりました。

 さらに、現在、役職員のうち若干名が役所からの再就職となっておりますが、こうした各省との関係が補助金で結びつくことにより、現在、政府から提出されているいわゆる天下りバンク法案と重なり合えば、いわば相思相愛の名のもとに押しつけ増となるのではないか、懸念が拡大いたしております。

 大きな反対理由の二つ目に、政投銀は今のままで役割を十分に果たしているという点であります。

 長期での事業資金提供という政策使命を果たしつつ、必要経費は収支相償の原則により国庫補給は受けず、事業運営を行っておられます。さらに、累計七千億円を超える国庫納付を重ね、ほぼ毎年、財政に貢献をされている状況であります。

 財投改革におつき合いし、とにかく民営化というのであれば、せめて民営化に伴う経済性検討も慎重に行った上で、数字も示し、国会の場に御提案をなさるべきではなかったでしょうか。

 反対理由の大きな点の最後に、閣議決定と法律が矛盾している点でございます。

 我が国の金融市場における長期での事業資金の調達のあり方については、ユーザーによる起債や民間金融機関の新規参入など、さまざまな資金調達が考えられる中、政府も、恐らくこうした流れを受け、平成十七年十二月の閣議で、政策金融として行う必要がなくなったと決定したのではなかったでしょうか。

 ところが、平成十八年の行革推進法では一転し、政投銀の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることとなるよう必要な措置を講ずると、新しく民営化の船出を決定された民間会社である政投銀にその役割を背負わせることとなりました。

 政投銀の名は体をあらわしております。我が国金融市場で他に類を見ない、公の政策を政府保証を背景に実現する特別な存在ではなかったのでしょうか。関係各位は、事業の継続性を担保せざるを得ない中、結果として窮屈かつ国民負担増につながるおそれのある仕掛けを忍ばせるに至った今回の法案は、反対せざるを得ません。

 最後に、我が国金融市場における長期での事業資金を今後どのように確保していくのか、国家的な議論を深めるべく、そうした議論を強く当委員会に求めつつ、討論を終わります。

 以上です。(拍手)

伊藤委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、株式会社日本政策投資銀行法案への反対討論を行います。

 反対する第一の理由は、本法案が、官から民への政府の基本方針のもと、国民への影響についての検証もなく、初めに民営化ありきで日本政策投資銀行を株式会社化する法案であることです。

 本来、政策金融機関に求められる役割は、中小企業、地域経済振興、国民生活、環境対策などの分野に対し、長期、低利、固定で十分な資金供給をすることであります。日本政策投資銀行の民営化は、政策金融機関の持つノウハウを含む重要な国民の財産の民間への払い下げであり、国民の求める改革とは相入れないものであります。

 第二の理由は、日本政策投資銀行が果たしてきた長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が失われ、これまで投融資を行ってきた公的な事業に重大な影響を与えることです。

 法案では、この投融資機能の根幹について必要な措置を講ずるとされていますが、その内容について、本委員会の審議で一切具体的な方策が示されませんでした。さらに、完全民営化後は政府の関与を否定しているため、その根幹が維持される保証は全くありません。

 第三の理由は、今回の民営化が日本政策投資銀行の資産のたたき売りになりかねないことであります。

 政府は、日本政策投資銀行の株式売却益を一・九兆円と試算していますが、これは資本金や出資金をもとに算出した希望的価格であります。完全民営化により現在のような政府保証債、財投機関債などの資金調達手段を失えば、政策投資銀行の収益は大幅に悪化し、存続すら厳しい状況になります。希望どおりの評価を株式市場で得ることが困難であることは明らかであります。

 主に以上の理由から、本法案に反対であります。

 なお、大手町再開発事業において国有地が不当な価格で民間企業に払い下げられている問題では、日本政策投資銀行が当初から関与していることが本法案の質疑の中で明らかになりました。さらに、払い下げを予定している国有地についても、都市再生機構等がトンネルとして使われていることが明白となりました。今後、引き続きこの問題を明らかにするため、要求した資料の委員会への提出を再度要求して、反対討論といたします。(拍手)

伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより採決に入ります。

 株式会社日本政策投資銀行法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次回は、来る二十五日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十一分散会


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