衆議院

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第19号 平成19年6月8日(金曜日)

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平成十九年六月八日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 井上 信治君 理事 竹本 直一君

   理事 林田  彪君 理事 宮下 一郎君

   理事 山本 明彦君 理事 池田 元久君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      伊藤信太郎君    石原 宏高君

      宇野  治君    江崎洋一郎君

      小川 友一君    小野 晋也君

      越智 隆雄君    大野 功統君

      亀井善太郎君    木原  稔君

      佐藤ゆかり君    関  芳弘君

      平  将明君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    萩山 教嚴君

      原田 憲治君    広津 素子君

      松本 洋平君    小沢 鋭仁君

      川内 博史君    北神 圭朗君

      楠田 大蔵君    園田 康博君

      田村 謙治君    松木 謙公君

      三谷 光男君    横光 克彦君

      吉田  泉君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    亀井 久興君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   法務副大臣        水野 賢一君

   内閣府大臣政務官     田村耕太郎君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          中江 公人君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (金融庁公認会計士・監査審査会事務局長)     振角 秀行君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 後藤  博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部司法法制課長)     井上  宏君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     平  将明君

  佐藤ゆかり君     冨岡  勉君

  御法川信英君     宇野  治君

  鈴木 克昌君     松木 謙公君

  三谷 光男君     北神 圭朗君

  野呂田芳成君     亀井 久興君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     御法川信英君

  平  将明君     石原 宏高君

  冨岡  勉君     佐藤ゆかり君

  北神 圭朗君     三谷 光男君

  松木 謙公君     園田 康博君

  亀井 久興君     野呂田芳成君

同日

 辞任         補欠選任

  園田 康博君     鈴木 克昌君

    ―――――――――――――

六月七日

 電子記録債権法案(内閣提出第八五号)

同日

 保険業法の適用除外に関する請願(大野松茂君紹介)(第一四一四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四一五号)

 同(広津素子君紹介)(第一五一〇号)

 保険業法の見直しを求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四一六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四一七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四一八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四一九号)

 同(松本龍君紹介)(第一四二〇号)

 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一四二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公認会計士法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公認会計士法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君、金融庁監督局長佐藤隆文君、金融庁公認会計士・監査審査会事務局長振角秀行君、法務省大臣官房審議官後藤博君、法務省大臣官房司法法制部司法法制課長井上宏君、財務省大臣官房長杉本和行君、厚生労働省大臣官房審議官白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 公認会計士法等の一部を改正する法律案につきまして、私も質問をさせていただきたいと思います。かなり今までにも、参考人質疑と法案審査で議論されていることが多いのでありますけれども、そういった議論も受けて、若干重複はすると思いますが、御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、改正の柱の一つとして、監査人の独立性と地位の強化というのが今回大きな改正の趣旨の一つであるわけでありますけれども、やはり証券市場の公正性と透明性を確保して投資家の信頼が得られる市場を確立していく。日本の証券市場の発展において監査人の独立性と地位の強化というのは大変重要だということは、そもそも法案の改正の趣旨でありますし、今回の審議でも委員の皆様、共通して持っていらっしゃる認識であると思います。

 そもそも、昨年の証取法改正の附帯決議におきましても、「監査法人の情報開示、監査法人の選任・報酬決定及び監査法人の責任のあり方等について総合的に検討を行い、早急に必要な法整備を行うこと。」ということが附帯決議として通っているわけでありまして、それを受けたものでもあるということなんだと思います。ただ、残念ながら、監査法人の選任、報酬決定のあり方についてというのは、結局、今回の法改正には明確に盛り込まれていないというのは大変残念なことであるというのは、今までの質問者も多くの方が指摘をしているところでございます。

 金融審議会の公認会計士制度部会の報告書におきましても、監査人が監査の対象である被監査会社の経営者との間で監査契約を締結し、監査報酬が被監査会社の経営者から監査人に対して支払われるという仕組みにはインセンティブのねじれが存在をする、それをどのように克服していくかが重要な課題であるということがしっかりと書かれているわけでありますけれども、今回、結局、その報告書を受けて改正をしなかった理由は一体何なのか。証取法を所管する金融庁と会社法を所管する法務省と連携がとれていないのではないかという感じがするんですけれども、法務省にそのことをお伺いしたいと思います。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 金融審議会の部会におきまして公認会計士法の改正に関する報告が取りまとめられ、その中で、会計監査人の独立性を高めるという観点から御指摘のような提言がされていることはもちろん承知しております。会計監査人の独立性を確保するということの重要性につきましては、御指摘のとおりであると考えております。

 現在の会社法の規律でございますけれども、会計監査人の選任議案の決定の面におきましても、その報酬の決定の面におきましても、会計監査人の独立性を確保するに足るものとなっていると私どもでは考えております。

 具体的には、まず会計監査人の選任議案につきましては、会社法では、会計監査人の独立性を高めるため、その選任を株主総会において行うものとしております。その上で、監査役等は取締役に対して会計監査人の選任議案を株主総会に提出することを請求することができる、取締役は監査役等の同意を得ない限り会計監査人の選任議案を株主総会に提出することはできないこととしております。したがいまして、会計監査人の選任につきまして、監査役等は大きな権限を有していると言うことができると考えられます。

 次に、報酬でございますけれども、会社法では、会計監査人の独立性をさらに強化することを目的として、会計監査人の報酬の決定については監査役等の同意を得なければならないとしております。したがいまして、取締役は、監査役等から同意を得ることができる報酬額を定めるほかないこととなります。

 御指摘の提言にあります、会計監査人の報酬の決定等につきまして、監査役等にその権限を付与するという方策につきましては、会社法の審議をいたしました法制審議会の部会におきましても採否の検討を行っております。しかしながら、報酬の決定は会社の業務執行の一つであり、監査役等は本来、業務執行とは離れた地位から監視監督を行うという地位にある者であるため、この方策は相当でないものとして、部会においては採用されなかったという経緯がございます。

 なお、この報酬決定の同意の制度は、経過措置によりまして、三月期決算の会社につきましては、ことしの六月の定時総会で選任される会計監査人から適用されることとされております。したがいまして、実質的には、まだこの報酬の同意につきましては施行されていない状況にございます。私どもとしましては、この新しい制度の実施状況を注視しつつ、必要な検討を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

田村(謙)委員 今、御答弁の前半を伺っておりますと、監査人の独立性と地位の強化といいますのは、昨年十二月の報告書に書かれている内容についても、その重要性を十分認識していらっしゃって、会社法が改正をされ、今御説明をいただいた制度、監査役の同意が必要であるというもので十分であるというふうに最初おっしゃっていたように聞こえたんです。

 ただ、確認になりますが、監査報酬の決定については、やはり幾つかの問題点があることによって法制審議会では採用されなかったというか、同意のままでいいだろうという方向になっているというように聞こえたんですけれども、結局それは最後の方で、会社法改正後の株主総会が初めて行われて、それからまた検討すると最後でおっしゃっておりますが、前半では、結局その改正後の、今のいわば監査役の同意で十分であるというふうにおっしゃっておられたように聞こえたんですが、再度確認をさせてください。

後藤政府参考人 会社法の制定の過程におきましては、そのような検討を踏まえて、会社法としてそのような形で法案を提出し、国会で御審議の上、成立させていただいたということでございます。しかし、その後、さまざまな場面で会計監査人の独立性の重要性が指摘をされ、特に報酬の問題についても指摘がされております。

 実際には、私どもとしては、この同意の制度、監査役が同意をするという制度は、この六月から実質的には施行されるということでございますので、その施行の状況を注視しながら対応してまいりたいということでございまして、十分であるからこれ以上は手当てをする必要がないと考えているわけではございません。

田村(謙)委員 確かに、会社法を改正したばかりでありますので、おっしゃることもわかるのでありますが、ただ、結局、金融庁の方では、よりさらに進めるというか、まさに決定権を監査役に持たせるべきだというようなニュアンスが相当にじんだ報告書であるのではないかなというふうに思います。

 また参考人質疑におきましても、例えば公認会計士協会の藤沼会長さんは、同意では大変不十分だ、同意というのはあくまで受け身的な対応であって、やはり能動的な決定権あるいは提案権、そういうものの方がよりふさわしい、それが独立性の強化につながるということをおっしゃっておられます。

 そういったことを含めて今後注視をしていくということなんだと思いますが、では、金融庁さんの方としては、それについてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。まずは選任の方でいいです。選任について、まさに同意で十分なのか、それとも、やはり決定権を監査役に付与するということがより独立性を強化するという意味で望ましいというふうに考えていらっしゃるかどうか、その点を教えてください。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、この問題につきまして、金融審議会において議論をしてきたところでございます。監査人が監査の対象である被監査会社の経営者との間で監査契約を締結し、監査報酬が被監査会社の経営者から監査人に対して支払われるという、これはインセンティブのねじれという言葉を使っておりますが、これを克服していくことが重要な課題ではないかと認識しております。

 昨年五月に施行されました会社法におきましては、法務省さんからお話がありましたように、会計監査人の選任に関する議案の提出、それから会計監査人の報酬の決定につきまして、こういった観点から監査役等に同意権が付与されたというところでございます。

 これをさらに進めまして、例えば監査人の選任の議案の決定権、それから監査報酬の決定権を監査役等に付与すべきではないか等の議論が行われたわけでございます。この点につきまして、一つには、会社法が施行されたばかりでありまして、監査役等に同意権が付与された効果をまずは見きわめる必要があると考えられる点、それから、取締役や監査役など会社の内部機関の間における業務執行権等の分配のあり方にかかわる問題であり、会社法制上の十分な検討が必要と考えられるといった指摘も一方あるところでございます。

 こういったことを踏まえまして、昨年末に取りまとめられました金融審議会公認会計士制度部会の報告におきましては、会社法につきまして、関係当局において早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待したいとの提言がなされているところでございます。

 金融庁といたしましても、会社法制を所管する法務省と十分意思疎通を図るなど、適切にこの問題に対応してまいりたいと考えております。

田村(謙)委員 官僚の方がお答えになると結局どうだかよくわからなくなってくるんですけれども、確かにそこは、担当省庁が違って会社法は法務省だということですので、明確に口出しはできないということなのかもしれません。

 例えば、要は会社法を改正して同意権というのはもう既に付与されて、この六月からそうなるわけですよね。では、金融庁さんの中でもそれで十分だという見解に落ちつくという可能性があるのであれば、こういう、よりさらに検討を進める、あるいはインセンティブのねじれというのを克服していくことが大きな課題であるという書き方にはならないんじゃないですか。いかがですか。

三國谷政府参考人 このインセンティブの問題につきまして、私どもはこれは一つの大きな課題だというように認識しているわけでございます。したがいまして、一方において会社法が施行後間もないといった事情もございますけれども、こういった問題の解決に向けましては、私どもとしても、これから十分に問題意識を持ちながら、法務省さんとも十分議論しながら、この問題の解決に向けて努力していきたいと考えているところでございます。

田村(謙)委員 済みません、重ねてになりますが、そうすると結局、今後、法務省さんとのいろいろな議論、あるいは、会社法改正の施行が六月からされて、それを見守っていく中で同意権でも十分であるという結論に落ちつく可能性もあるということですか。

三國谷政府参考人 基本的な流れといたしまして、そういった監査役の立場というのを強化していくべきではないかという、その考え方のもとで今回同意権が付与されたということでございます。これをさらに一歩推し進めるべきではないか、そういう考え方も強くあるところでございます。そういったことを踏まえながら、今後、これから施行されます会社法の施行状況、それから制度面では会社の中における意思決定のあり方、これは制度論としてもさらに十分検討を加える必要があろうかと考えております。

 こういったことは、私どもとしては、また法務省さんと十分連携をとっていかなければいけない課題でございますので、基本的には、この監査役の地位の強化ということにつきまして、私どももさらに法務省さんと十分議論を重ね、また関係者の皆様とも十分議論をしていきながら、この問題をさらに進歩させていきたいと考えているところでございます。

田村(謙)委員 結局、明確に、私はその可能性があるのかどうかと聞きましたので、イエスかノーかでよかったんですけれども。

 にじみ出てくるのは、同意権からさらに進めるべきだという意見が強くあるというのは、役所の方の御答弁としては相当強い発言をなさっているんじゃないかなと思います。要は、そういう可能性はほとんどなくて、やはりそれは決定権にすべきだという方向性なんだということをお答えになったんだというふうに、実際この文書を読んだらだれでも、報告書のあいまいな文書でさえもかなり強くトーンが出ているものでありますので、実際それが諸外国の趨勢でもあるということでありますから、金融庁としても、金融庁さんなりに強く打ち出したんだろうというふうに思うわけですね。

 そういった中で、また法務省さんにお伺いしますけれども、会社法の改正も、大改正をなさったばかりでありますから、なかなか、もう一段落だということなのかもしれませんが、実際この六月から施行されて、それを注視していくと。結局、注視をするというと、それは先延ばしの一番の大きな理由になりますよね、あらゆる省庁で。注視をする、ずっと見守るのは別に何年でも見守れるわけですけれども、これだけ、金融庁さんに限らず会計士協会にしても、関係者、相当の方々が、やはりそこは、諸外国の趨勢を見ても、同意権ではなくて、よりさらに独立性を強化するためにはそれを決定権にすべきだ、決定の提案をすべきだという意向が相当にじみ出ていると思います、金融庁さんの方でも。

 そういった中で、注視をするとおっしゃいますが、それはどれぐらい注視をなさるおつもりですか。例えば、私のようにそれほど詳しくない人間でも、何かまた問題が起きた、それこそ監査法人と会社の関係において非常に問題が起きた、そうしたらまた慌ててやると。金融庁さんもそういう対応はたくさんありましたけれども、それは非常にわかりやすいです。でも、結局、そうすると、何か大きな事件でもなければそのままずっと注視をして終わってしまうんじゃないかと。注視をしている間に、会社と監査人の関係が、場合によってはそれがよくない関係となって、結局それがもう取り返しがつかないような事件に発展をするという可能性も十分あると思うんですけれども、どれぐらい注視をなさるつもりですか。

水野副大臣 六月から実質的に新しい制度が、実質的な施行が始まるということでございますので、この新しい監査役等の同意に関する権限が適切に行使をされ、会社法が意図したところが実現されているかどうかを関係団体等の調査を通じるなどして検証していく予定でございます。今お話にあった先延ばしとか、もしくは大きな事件がなければただ見ているだけということではなくて、我々としてはしっかりとこの施行状況というのを検証していきたいというふうに考えておるところでございます。

 仮に、検証結果において、会計監査人の選任や報酬に関する監査役、監査役会または監査委員会の同意の制度が実質的に機能しておらず、それによって会計監査人の適切な業務の遂行が妨げられていると認められた場合には、その見直しに向けた検討を開始することになります。

 ただ、その場合でも、まず検討すべき事柄というのは、同意の制度が機能していない原因が何かを見きわめることにもございますし、その上で、その原因が監査役や監査委員の意識や能力の欠如にあるとすれば、これを解消するための方策を検討すべきであり、その問題を解決せずに、単に会計監査人の選任または報酬に関する決定権付与のことだけを取り上げるのでは問題解決にはならないというふうにも考えております。

 いずれにいたしましても、現行の制度に問題があるかどうか、また、問題がある場合に当該制度をどのように見直すかについては、実務の状況を注視しつつ、会社法における機関の権限分配のあり方を踏まえ、適切に対処をしてまいりたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 私も会社法トータルで詳しいわけではありません。それでお伺いしたいんですけれども、私も若干勉強させていただいて、監査人の報酬の話になるといろいろな提案もある。それこそプール制といったようなものもあって、そこはなかなか方向性というのは一つではないというのは認識しておりますけれども、まさに、例えば選任の決定権というのは、非常に素人的にもわかりやすいなというふうに思っているので、そちらに絞って法務省さんにお伺いをいたします。

 今、同意権にしたんだ、さらに決定権に進めるというニュアンスを金融庁さんは出していらっしゃいますし、私もそう思いますが、進めるということに当たって、既に実際金融庁さんでも、ある程度さまざまな角度から検討していらっしゃいますよね。そうすると、さらに、法制審あるいは会社法的な観点から、今までの検討が足りない部分というのは、例えばどういうことがあるんですか。

後藤政府参考人 今までの検討の足りないところはどういうところかという御質問でございますけれども、私どもとしては、この選任議案の決定権自体は、例えば委員会設置会社でございますが、監査委員会というものを設けてできている、特別な定めを置いた委員会設置会社でございますけれども、その場合には監査委員会が議案の決定権を持っている、こういう制度にしております。そういう意味では、監査委員会に議案の決定権を持たせるということは、もちろん一つの考え方でございます。

 それ以外の監査役設置会社、あるいは監査役会設置会社におきましては、私どものこの会社法の仕組みは、一つは、同意権があるというだけではありませんで、議案の提出を請求することができるという権利にしております。したがいまして、監査役が、これこれの議案を提出するよう取締役に請求することができるという権利を与えておりますので、それと同意権とあわせてみますと、かなり実質的には監査役等に権限がある、こういう仕組みにしております。

 なお、それでも、会計監査人の独立性の観点から、仕組みが不十分かどうかということは、これは今後の実務の状況について十分注視しながら対処してまいりたい、こう考えているところでございます。

田村(謙)委員 結局、同意権自体もまだこれからなんだから、それを注視したいという以外に検討が足りない部分というのはお聞きできなかったと思うんですけれども、それこそ、実際、当事者である公認会計士協会の会長さんも足りないと言っているわけですよね。それを、法務省さんあるいは法制審の方々の方が、公認会計士協会の方々よりも、より、まさに、公認会計士協会では検討が足りなくて、法制審とか、別に公認会計士協会に限らず、いろいろな方が、選任に関して決定権にすべきだとおっしゃっていますけれども、結局、単に、もう六月からで、改正後、初めての状況というのは見なきゃわからないというのは、引き延ばす言いわけのようにしか聞こえないんですよ。

 では、若干観点を変えてお伺いすると、今おっしゃったのは監査委員会、監査委員会だと決定権を付与するというのは、今の法体系でもそういう考え方はあるでしょうとおっしゃいましたよね。例えば、それだけを先行して、すぐに改正に取りかかるというようなことはあるんですか。要は、会社法、この前大きな改正をして、今後改正をしていくに当たって、例えばその部分だけを先行させるというようなことはあり得るんですか。

後藤政府参考人 先ほど御説明申し上げましたのは、委員会設置会社におきましては、既に、株主総会に提出する会計監査人の選任に関する議案の内容の決定権限は、監査委員会に付与されております。

 この考え方をさらに、監査委員会ではなくて、委員会設置会社でない監査役設置会社、あるいは監査役会設置会社にも及ぼしていくべきかどうかということは、先ほど申し上げたとおり、今後の状況を踏まえてまた検討すべき問題だと思っております。

田村(謙)委員 結局、今まで法務省さんにお伺いすると、とにかく、今後の状況を見てそれを踏まえて検討すると。結局、特に、会社法とかといったような商法の改正というのは非常に時間がかかるというのは、大変いろいろなところから評判が悪い話であります。その点、先ほど金融庁さんにもお伺いをしたように、より監査人の独立性を強化するという観点からは、やはり同意権では不十分だ、それは決定権にすべきだというのは、金融庁さんの中で相当まとまっていらっしゃると思うんですね。

 そういう中で、それを法務省さんにどのように働きかけていくのか、その点は、大臣はいかがお考えでいらっしゃいますか。

山本国務大臣 法務省さんの御苦労や、また、今の六月からの同意権の実務的なありようを見てという考え方は、当然のことであろうというように思います。

 監査人が被監査会社の経営者との間での監査契約を締結し、監査報酬が被監査会社の経営者から支払われるという、御指摘のインセンティブのねじれの克服というのは、もう関係者一同が協力して対処しなきゃならぬ問題でございますし、これにおける監査役、監査委員会の役割を強化していくことは期待されるところであろうというように思います。

 ただ一方で、監査報酬の決定というのは、これを株主総会の決議事項、あくまで、そういう大変大がかりな決定をするというような仕組みに直した、こう考えると、何となく立派に、うまく機能するというように机上では考えられるわけでございますが、しかし他方で、会社側のコストの増大、あるいは会社実務の機動性といった観点からすると、問題もなしとしない、むしろ大いに問題が出てくるように思っております。

 いずれにいたしましても、会社の内部機関の間における監査報酬の決定に係る権限の分配のあり方を規律しているのは会社法でございまして、金融庁のインセンティブのねじれの解消という観点と少し違った観点から物の考え方が起こるのは当然だろうというように思います。

 この監査人の独立性を確保するというのは、単に報酬の面からだけではなくて、また選任の面からだけでもない、すべての面から考えていく必要があるということは、もうおっしゃるとおりでございますし、私が平たく考えてみると、どこでもそうでございますけれども、人の苦言あるいは注意、これを聞いて会社経営に反映する企業と、人の苦言を一切寄せつけない企業との、いわば市場の見方というものがどうあるかということもあり得るだろうというように思います。

 そんな観点から考えれば、今後、日本型企業経営のありようすべてを含めた議論にならざるを得ないところがあるだろうというように思っております。

田村(謙)委員 確かに、この会社法、そしてまた、今回の監査人の選任、報酬についても、それは検討する観点は、たくさん、幾らでもあるんだろう、会社のあり方からさかのぼったり、広げたりすれば。

 そうすると、先ほど法務省さんにお伺いをして、要は、金融庁さんでまだ検討していなくてさらに今後検討すべき観点というのはありますか、何があるんですかとお聞きした場合、今後会社法改正の施行をされてその状況を注視するということ以外に余りなかったような気がするんですけれども、本当に必要な部分において。

 では、逆に今度は金融庁さんの方にお伺いしますけれども、法務省さんにはどういうことをさらに検討していただきたいのか。あるいは金融庁さんではどういうことが検討できなかったのか、監査人の選任をまさに同意から決定権にすべきだという論点において。それはいかがですか。

三國谷政府参考人 監査役あるいは会計監査人の話というのは、それぞれの観点からいろいろな検討が行われるべき課題だと考えております。

 私どもといたしましては、今般の公認会計士法の改正に当たりまして、会計監査人というものの立場というものにつきまして、この独立性につきましては今回の法案でもいろいろ御提案申し上げているわけでございますが、その中で、今回の法案に結びつくものにつきましては御提案申し上げておりますと同時に、また一つの課題につきましては、私どもの目から御意見を、審議会として御意見が出ているところでございます。

 また、一方におきまして、会社法を取り扱います法務省さんにおかれましては、また法務省さんの立場で会社法というのをごらんになるわけでございまして、そこにつきましては、先ほど来御説明がありましたような視点もあるのだろうと考えております。

 したがいまして、私どもといたしましては、お互いの問題意識を持ちながら、この問題につきまして、我が国の監査制度というのをどうやったらさらに改善していくことができるか、本当に、私どもは私どもの立場でまた検討を深めますと同時に、やはり法務省さんとも十分相談しながらこの問題に対処していく必要があると考えております。

田村(謙)委員 確かに、役所の方々はそれぞれの御担当の範囲を超えることはできませんので、今のお答えでしようがないんだと思いますけれども、ただ、金融庁さん、その担当者の方々なりに相当強く色はにじませていると思います。法務省と金融庁さんの連携、連携というか、金融庁そして金融審議会の意向というのをしっかりとある意味法務省さんに伝えるというか、今後のより迅速な会社法改正に向けてというのは、やはりそこは大臣のお仕事だと思うんですけれども、それについて強い意思をぜひ示していただきたいのですが、いかがですか。

山本国務大臣 よく、事務方とともに、法務大臣、金融担当大臣がコミュニケーションを密にして、会計監査の実を上げられるベストな体制づくりに努力してみたいというように思います。

田村(謙)委員 会社法改正となると、すぐ来年という話じゃないと思いますので、大臣も、自分はもう担当じゃなくなるだろうというふうにお考えかもしれませんが、それはやはり、とにかく実態を注視してと今法務省さんはおっしゃっておられましたけれども、そうやって、大体もう注視するだけで数年というのはあっという間にかかってしまう。やはりそこをねじを巻いていくのは担当大臣の役割だと思いますので、ぜひ任期中、いつまでか私は知りませんけれども、任期中できるだけそこは全力を尽くしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 時間があと限られておりますが、全く違う質問をちょっとさせていただきたいと思います。

 今回、監査法人に対する監督についても改正がなされているわけでありまして、公認会計士・監査審査会による報告徴収や立入検査についての規定も整備をされたということでありますけれども、その審査会の体制をちょっとお伺いしたいんですが、現在、今その審査会自体は、事務局が何人ぐらいいらっしゃって、全体の職員が何人ぐらいいらっしゃいますか。

振角政府参考人 お答えいたしたいと思います。

 公認会計士・監査審査会の事務局には、本年三月三十一日現在で四十一名が在籍しておるところでございます。

田村(謙)委員 まさに役所というのは、大体どこでもローテーションが激しいところですので、その四十一名で実際本当に相当専門性が高い方、この公認会計士法、そういった分野についての専門家と言える方はそのうち何名ぐらいですか。

振角政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の御質問は、公認会計士等専門家ということを多分言っておられるのだと思うんですけれども、この四十一名のうち、まさしく豊富な実務経験を有する公認会計士は八名となっておりますし、そのほか、法務面の問題もありますので、法曹資格者も三名いるということで、任期つき職員でございますけれども、そういう専門家は十一名いるところでございます。

田村(謙)委員 私も、もともと通告自体が、公認会計士の人数も後で聞こうと思っていたんですが、それをもうちょっと広げてお伺いをしたんですけれども、それはお伺いをしなくても、実際いわゆるプロパーの職員というのは、ずっとこの部署にいる、もうそれこそ五年、十年といらっしゃる方というのはほとんどいらっしゃらないですよね。そこも含めてちょっとお伺いをしようと思って、若干より広い質問をしてみたんです。

 やはり、そこは役所の人事システムの大きな問題だと私は思っていますけれども、なかなか、いわゆるプロパーの方というのは、もちろんある程度長くいらっしゃる方もいるというのは私も知っておりますが、大体の、特に上の方の方、いわゆるキャリアと言われる方は二、三年でくるくるかわりますので、もちろん大変優秀な皆様でいらっしゃいますからそれなりの専門性はすぐ身につけると思いますけれども、ただ、本当に相当の専門性というのはなかなかやはり難しいんだろう。

 そういう中で、それを補っていくのが、やはり外部から、公認会計士あるいは今おっしゃった弁護士といったような本当の専門家、実務をちゃんと知っている専門家を入れるというのは大変重要だと私は思っているところでありまして、そこで実際公認会計士を八名入れていらっしゃる。

 ちなみに、その公認会計士の方のポジションはどういうポジションでいらっしゃいますか。

振角政府参考人 公認会計士・監査審査会には二つの室がございまして、一つは公認会計士試験の実施等に当たります総務試験室、もう一つは実際の審査、検査をやります審査検査室という二つがあるわけでございますけれども、公認会計士におきましては、いずれも実際の審査、検査に当たります審査検査室の方に配属されているところでございます。

田村(謙)委員 私も細かいところまで知りませんけれども、ポジションというのはちょっとそういう意味ではあいまいで、室だと、室長がいて、室長補佐がいるんですか、あと専門官とか、そういう肩書を教えてください。

振角政府参考人 具体的な肩書につきましては、室長のもとにおります検査官という形で、実際に公認会計士事務所等に立入検査をするというのが主な役職になっております。

田村(謙)委員 私も最近、実際そこに行っている人に聞いたわけではありませんけれども、随分昔、七、八年前でありますが、これは公認会計士の部屋ではなくて、まさに金融庁の別の、金融の部門にいらっしゃった公認会計士の知り合いがいて、やはりアドバイザー的になってしまって、それはもちろんアドバイザーとしても重要なわけですけれども、さまざまな方針決定というのも結局、当然それはキャリアの方々の室長とか室長補佐がやっている。それはそれでもちろんいい面もあると思いますが、ただ、結局本当にそういう専門性がない方々が横にいるアドバイザーから話を聞いて決めてしまっているというのはいろいろなところで弊害があると私は思っております。

 例えば、この公認会計士八名というのは、恐らくどこか監査法人から来てまた二年間で戻るとか、そういう人ばかりですか。

振角政府参考人 先ほども申し上げましたように、任期つきでございますので任期がございます。二年で終わる人もいらっしゃいますし、さらにこの仕事に意義を認められて、さらに延長されて残っておられる方もいらっしゃいます。

田村(謙)委員 済みません、私がお伺いしたのは、要は、恐らく、大手の監査法人から、出向ではないと思いますよ、一たん辞職をして来ているんだと思いますけれども、来ているというか金融庁に入っているんだと思いますけれども、結局は、任期二年でも三年でもいいですけれども、その後はその監査法人に戻るという方ばかりじゃないですかと聞いたんです。

振角政府参考人 そこは、任期つきでございますので、御指摘のように大手監査法人から来られている方が多いわけでございますけれども、戻るかどうかは御本人の最後は判断だということになりまして、今のところ戻っておられない方もいらっしゃいます。ずっと、引き続きおられる方もいらっしゃいます。

田村(謙)委員 明確にそれは表向き言えることではないと思いますので、これ以上突っ込みませんけれども、私が申し上げたいのは、結局、そういう出向の、腰かけ的な立場で来る、おまけにポジションもそういうあいまいなポジションである、専門性も十分に発揮をされない。やはりそこは、いわば監査法人から出向みたいなものなわけですね、出向じゃないですけれども。そういった実質的な部分もしっかりと考えていただく。

 これは別に審査会だけの話じゃなくて、民間人を受け入れる場合に、いろいろな役所であると思いますが、そういったところも、より専門性を高め、そういうスタッフを有効に使うためには、人事についてもしっかりとお考えいただきたい、より有効に使うような方策も考えていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

伊藤委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 大臣、そして役所の皆様、公認会計士・監査審査会の各位におかれましては、連日の御対応、大変お疲れさまでございます。

 私からは、まず、ライブドアの粉飾決算に関与した三人の会計士の方が懲戒処分を受けたという過日の金融庁の御判断について少しお尋ねしたいと思います。

 懲戒処分によって登録抹消になった方、この方は、五年の除斥期間を経るとまた会計士になれるんでしょうか。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、登録抹消になりました場合には、五年間、欠格事由に該当いたします。この五年がたちますと登録は可能となる制度となっております。

古本委員 そうしますと、例えば刑事罰あるいは行政処分のいずれの場合も、過去十年間ぐらい、登録抹消されたにもかかわらず五年後に再度復帰なさっておられる方が何人ぐらいおられるんでしょうか。

三國谷政府参考人 これまで、一たん登録が外れましてから再登録した方でございますが、平成九年度からの累計でございますと約二百名ございます。

 このうち、登録の抹消の事由にさかのぼりますと、この中で禁錮以上の刑が確定したという方は七名でございます。それから懲戒処分の方は三名。あとはその他の方が大体百九十名ということでございます。

古本委員 ということは、二百名の方が登録を外されたと。これは、自己都合による、もう年をとったので引退しようという方もいらっしゃれば、いろいろな事情もあるでしょう。しかし、明確に、刑事罰を受けた方で復職なさった方が七名おる。これもいろいろあるでしょう。例えば、本当に不可抗力であった、重大な過失があったかどうかは存じ上げませんが、例えば交通事故をして、それであがないの日々を過ごして、それで復帰なさった方も中にはあるでしょう。少なくとも懲戒処分は、明らかに公認会計士の仕事の中で法に触れることをして処分を受け、登録を取り消されたという、いわば癖のある方がするりと三人、またもとに戻っているんですね。そういう理解でよろしいですか。

三國谷政府参考人 一つの事案が生じた場合に、その結果は厳しく問いまして、必要があれば登録の抹消あるいはいろいろな処分があることは、これは当然のことであろうかと思います。しかしながら、一方におきまして、それが一つの期間がたちました場合に、その欠格事由が過ぎました場合に、それはまた、次の登録資格が出るということも、これもまた一般的な制度であろうかと考えているところでございます。

 この点につきましては、平成十五年の公認会計士法もございましたが、これまで登録抹消の対象となるような、公認会計士としてふさわしくない事由に該当した者につきましては、この期間を、それまで三年でありましたものをさらに五年に引き上げまして、その意味での厳正化を図っているものでございます。

古本委員 公認会計士という仕事は、会計士試験に受かって、試験に合格をしたというタイトルのホルダーになりますね。その後に公認会計士として登録するかどうかは、自主規制機関である協会への登録だというふうに承知をいたしております。

 しかしながら、何か法に触れることをした、あるいは今回のライブドアの粉飾に主体的に関与したという向きについては、まさにこういう登録抹消処分を受ける、これは金融庁がそのツールを持っておる。他方、再度任用するかどうかは、自主規制機関である協会が握っておる、こういう理解ですよね。それで正しいですか。正しいかどうかだけ。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、その抹消は金融庁でございます。登録は公認会計士協会でございますが、公認会計士協会は法にのっとって行う必要がございますので、それはきちんと行われます。

古本委員 きょうは幾つか事実関係を確認したいと思うんです。

 公認会計士という方が、先日、協会長にもお越しをいただいて、まさに独立性を持って公正で中立でなければならないというお話でありました。その方々が、結果として、背後にある、自分たちが背負っておるマーケットの皆さんに、市場への参加者に対してその責任を負っているんだという大変重要な任務を担っておられると思うんですね。そういう立場の方々が、結果として、少なからず関与して、そのマーケットあるいはその金融商品にかかわる、夢を託した投資家を欺く行為が後を絶っていませんね。

 先日、大和都市管財の判決が出ました。国賠の問題です。国がまさに敗訴したわけでありますが、この事案は、恐らく九五年の、当時の近畿財務局長の御判断によって、行政指導、業務の改善命令、勧告を出そうとしたのをちゅうちょしたということが第一のフェーズだったと思っています。その後、九七年に免許の更新を認めてしまった、登録更新をしてしまったというところが第二のフェーズであったというふうに、この判決文を読むと解釈ができます。

 しかしながら、これ、同様に、巷間、金融庁の方も言っておられますね。捜査機関ではない金融庁が、裏帳簿をつくって意図的に経営実態を隠されると、審査で見抜くのは難しい、これは正直な心のうちを吐露されていると思うんです。

 そこで、お尋ねしますが、当時の大和都市管財が近畿財務局に提出をした、自分のところの財務体質はこんなに安心なんだというふうに証言をしようとした資料は、だれがつくった資料なんでしょうか。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤政府参考人 当社の顧問税理士が作成したものと承知をいたしております。

古本委員 企業の貸借対照表並びに利払いの能力があるか、そして、融資先、投資先の資産の状況等々を一税理士が書けたんでしょうか。例えば、会計士が指導したという事実はないでしょうか。

佐藤政府参考人 会計士の指導を受けつつ、その作業が行われたというふうに承知いたしております。

古本委員 つまり、この大和都市管財の問題は、これは既に判決も出ていますから、国はまさに今当事者ですから、控訴するかどうか、いろいろお考えなんだと思いますが、受けとめなければならない事実として、一千百億円に上る被害総額、そして、被害者の方々は一万人を超える、二万人に近い数だというふうに報道されておりますね。ですから、この人たちの思いを考えますと、当時の判断というのは、裁判の結果ですから余りここで立ち入るわけにはまいりませんが、まさに勝ったと喜んでおられる姿を見るにつけては真っ当な判断をされたんだな、こう受けとめています。

 問題は、当局としても、そういった資料を、裏帳簿をつけ、出されてこれだと言われたら信じるしかなかったんだと。そういったことに、残念ながら、会計士の方が指南し、そして作成は税理士がした。しかしながら、この会計士、かかわった方というのは何か処分を受けたんでしょうか。あるいは、免許の取り消しを受けたんでしょうか。そしてまた、五年たてばするりともとに戻るんでしょうか。教えてください。

三國谷政府参考人 この問題に公認会計士がどういうかかわり方をしたかということにつきましては、これは公認会計士が証明したことではなくて、具体的な事実は現在持ち合わせておりません。

古本委員 それはおかしいですよ。だって、当時は大蔵省の近畿財務局、そして本省でいけば銀行局、まさにプロが見て、その目を欺いたわけでしょう。そんななかなか手だれな仕事を素人ができるわけがありませんよ。用意周到につくった資料なんでしょう。それとも、おかしいなと思った資料だけれども、近畿財務局のある部屋で大和都市管財の当時の社長に恫喝されてひるんで、しようがないといって判こを押しちゃったんですか。

 当時の近畿財務局長は今何をなさっておられますか。九五年当時の、業務改善命令、勧告を出そうとし、財務局に出頭してもらい、まさにそれを伝えようとしたときに、恫喝され腰が引けたという近畿財務局長は今何をなさっていますか。

杉本政府参考人 財務省でございますので、事実関係だけお答えさせていただきます。

 先生お尋ねの当時と申しますと、財務局長の在任期間で申し上げますと、平成七年五月から平成八年七月までが該当するのかと存じますが、その当時の近畿財務局長は渡辺裕泰局長でございます。

 当時の局長が今何をしているかということでございますが、私どもがいろいろな公開資料等から把握している限り、渡辺裕泰氏は、財務省退官後、平成十五年八月から現在まで東京大学教授、平成十六年四月から現在まで早稲田大学教授を務めていらっしゃるというふうに承知してございます。

古本委員 早稲田大学では何を担当されていますか。何教室の先生ですか。

杉本政府参考人 これも事実関係としてお答えさせていただきますが、早稲田大学のホームページにおきますと、現在の研究課題といたしましては、金融取引課税、国際課税、タックスプランニングが挙げられてございます。

古本委員 まさに二万人近い方が、当時の判断のおくれにより、とらの子の一千百億、それは多くの方は、将来の蓄えを切り崩し、夢を託したんでしょう。みんな述べていますよ。安全で確実な業者にしか大蔵省の許可は出ません、国の許可はちゃんととっています、それを信じたと。これは、当局の責任というのは物すごく大きいと思うんですね。当時九五年の、恫喝され威迫されてひるんだ局長は、今そういうことでお伺いしました。

 九七年、免許の更新を認めたときの局長も同じ人でいいんですか。二〇〇一年の当時の森長官が判断をして、免許の取り消しということで、登録の取り消しということで、この事件をやっと国としても認めるというふうに至るまでの間を担当した歴代の近畿財務局長並びに本省銀行局の担当局長は今どういう人生を歩んでいるんですか。全部教えてください。

杉本政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、お尋ねの近畿財務局長経験者からお答えさせていただきます。

 先ほど申し上げましたように、平成七年五月から平成八年七月までは渡辺裕泰局長でございました。その後、平成八年七月から平成九年七月までは原口恒和局長、平成九年七月から平成十年四月までは墳崎敏之局長、平成十年四月から十一年七月までが渡辺達郎局長、平成十一年七月から平成十二年六月までは金井照久局長、平成十二年六月から平成十三年七月までは増井喜一郎局長でございます。

 これらの元局長のうち、財務省において退官された方々の再就職状況を申し上げますと、まず、渡辺裕泰氏、これは先ほど申し上げましたとおり、東京大学教授、早稲田大学教授を務めていらっしゃいます。

 墳崎氏につきましては、財務省退官後、平成十三年九月から平成十六年六月まで産業基盤整備基金専務理事、平成十六年七月から十八年十二月まで財団法人公庫住宅融資保証協会副理事長、平成十九年一月から現在まで財団法人民間都市開発推進機構専務理事を務めております。

 金井氏につきましては、財務省退官後、平成十七年五月から現在まで沖縄振興開発金融公庫副理事長を務めているものと承知しております。

 それから、当時の大蔵省の銀行局長でございますが、平成六年七月から平成八年七月までは西村吉正銀行局長、平成八年七月から平成十年六月までは山口公生銀行局長でございました。

 これらの元局長のうち、財務省で退官いたしました者の再就職状況につきましては、西村氏につきましては、大蔵省退官後、平成九年十月から現在まで早稲田大学教授、平成十一年十月から平成十二年十月までは国民生活金融公庫非常勤理事。

 山口氏につきましては、大蔵省退官後、平成十年七月から平成十三年七月まで日本開発銀行及び日本政策投資銀行の理事、平成十三年七月から平成十五年六月まで自動車保険料率算定会及び損害保険料率算出機構の副理事長、平成十五年六月から現在まで日本政策投資銀行副総裁を務めていらっしゃると承知しております。

中江政府参考人 近畿財務局長経験者のうち、金融庁を最後に退職した三名の方の再就職状況について、当庁として把握している情報に基づきお答え申し上げますと、まず、先ほど杉本官房長の方から説明のございました、平成八年七月から九年七月まで近畿財務局長として就任をいたしました原口氏は、当庁退職後、平成十四年七月から現在まで国民生活金融公庫の副総裁についていると承知しております。

 それから、十年四月から十一年七月まで就任しておりました渡辺達郎氏は、当庁退職後、平成十四年六月に預金保険機構理事、その後、十六年七月に日本証券業協会に就職をしまして、現在、同協会の副会長についております。

 それから、十二年六月から十三年七月まで近畿財務局長でありました増井氏は、当庁退職後、平成十七年九月に日本証券業協会に再就職をし、現在、同協会の副会長についていると承知しております。

 それから、平成十年六月に金融監督庁発足して以来の歴代の監督局長は四名おりまして、このうち、既に国家公務員を退職している者が二名、残る二名は現在も国家公務員として在職をしております。

 この退職者二名の再就職状況でございますが、当庁として把握しております情報に基づきお答え申し上げますと、まず、乾氏は、当庁退職後、平成十三年七月から平成十八年八月まで日本政策投資銀行の理事についていると承知しております。

 また、高木祥吉氏は、当庁退職後、平成十六年七月に国家公務員として内閣官房郵政民営化準備室副室長に採用され、その後、平成十八年一月に日本郵政株式会社の副社長等についていると承知しております。

三國谷政府参考人 恐縮でございます、先ほど不正確な答弁を申し上げましたので、訂正申し上げたいと思います。

 関与した会計士でございますけれども、逮捕されましたが不起訴処分になったということでございました。先ほど、その辺を申し上げることができませんで、恐縮でございました。

古本委員 今、財務省、金融庁からそれぞれお話をいただいた。この一千百億の被害に遭われた一万七千人の方々は、片や、とらの子の将来の蓄えを切り崩して、国の保証があるから大丈夫だ、大蔵省の認可をもらっているから大丈夫だということをうたい文句に、ずっと続けたわけです。

 今伺った、当時の責任者である方々のその間の渡りの総収入はどのくらいあるんでしょうか。

杉本政府参考人 ただいま申し上げました方々の役職時の報酬、退職金でございますが、まず、渡辺裕泰氏、東京大学教授、早稲田大学教授でございますが、これにつきましては、それぞれ大学でお決めになっている事柄でございまして、財務省として特に把握しているということはございません。

 それから、墳崎氏の産業基盤整備基金専務理事それから財団法人公庫住宅融資保証協会につきましても、それぞれの団体でお決めになられる事柄でございまして、当方として把握していることはございません。それから、墳崎氏の財団法人民間都市開発推進機構専務理事の報酬につきましては、同財団が公表しております規程によりますと、報酬月額が九十六万円というふうに承知しております。

 それから、金井氏の沖縄振興開発金融公庫副理事長の場合は、これにつきましても公表されている基準に基づきますと、報酬月額は九十七万九千円というふうに承知してございます。

 それから、元銀行局長の関係でございますが、西村氏の早稲田大学教授、国民生活金融公庫非常勤理事、それから、山口氏の自動車保険料率算定会及び損害保険料率算出機構の副理事長については、これもそれぞれの団体でお決めになられている事柄でございまして、財務省として把握しておりません。

 それから、山口氏の日本政策投資銀行副総裁の報酬につきましては、これは同行が公表しているものによりますと、報酬月額が百十万三千円でございます。それから、山口氏は以前に日本政策投資銀行理事時代がございますので、これの報酬につきましては、報酬月額が百十九万六千円でございます。山口氏の理事としての退職手当の関係でございますが、これも当該公表資料に基づきまして当時の水準でモデル計算させていただきますと、一年当たりの退職手当額は約五百十六万円ということになっております。

 以上でございます。

中江政府参考人 金融庁関係でございますが、まず、近畿財務局長経験者のうち、金融庁を最後に退職した三名の方の再就職先での報酬額等につきましては、基本的には個人に関する情報でございますのでお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、公表されている規程等に基づきましてモデル計算をいたしますと、まず、原口恒和氏につきましては、年間の報酬額が約一千八百万円となります。

 それから、渡辺達郎氏につきましては、預金保険機構理事の年間報酬額が約一千六百万円、退職手当額は約二百万円となります。なお、日本証券業協会副会長としての報酬額等につきましては、把握している情報がなく、モデル計算ができないということでございます。

 それから、同じく日本証券業協会におります増井氏につきましても、渡辺氏と同様、把握している情報がなく、モデル計算ができないということでございます。

 それから、歴代の金融庁の監督局長のうち、退職者二名の再就職先での報酬額等についてでございますが、同様に、公表されている規程等に基づきモデル計算をいたしますと、日本政策投資銀行の理事をしておりました乾文男氏につきましては、年間報酬額が約一千七百万円、退職手当額は約七百万円となります。

 それから、高木祥吉氏につきましては、内閣官房郵政民営化準備室副室長としての年間報酬額は約二千二百万円でございますが、日本郵政株式会社副社長の報酬額等につきましては、把握している情報がなく、モデル計算ができないということでございます。

 以上でございます。

古本委員 今、財務省と金融庁にそれぞれお答えをいただきましたが、個人の情報なので出せない、知らないと言いながら、行った先はきちっとトレースされていますね。追跡をされています。知らないわけがないですよ。

 社保庁の長官が今話題になっていますね。特に、いわゆる紙台帳を捨てなさいという命令を下した人は、渡りの報酬総額が、その間三億稼いでおられた。それをさらに上方修正されて、三億六千万でしたと、あごが外れる話をなさっておられます。

 向こうは刑事罰を受けたわけでも何でもないですよ。もちろん、国民の批判に今さらされていますけれども。片やこの大和都市管財は、そのときの近畿財務局長が誤った判断をしたということを認定しているじゃないですか。その当事者が、今ぬくぬくと、渡って、暖かい布団で寝ているじゃないですか。片や投資した人はどうですか。一千百億なくなって、今返ってくるのは、もちろん、勝訴しましたから一部返ってきますけれども、ほんの一部ですよ。どれだけ渡ってどれだけいい思いをしたんですか、国民は知る権利がありますよ。

 何で答えられないんですか。これは、既に私、資料要求しているんですよ。今、二十分近く読み上げていますけれども。事前に紙で出てくるのかと思えば、こんな状況ですし。

 委員長、これは当委員会にすべて出していただくように要求します。

伊藤委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

古本委員 なぜこの話をするかというと、今で言う金融庁、当時の大蔵省の担当の皆さんは、裏帳簿を見せられた日には、わからないという本心を言われているんですよ。その裏帳簿をだれがつくったんですか、顧問税理士だと。しかし、そんな高度な数字を、財務省のプロ、当時の大蔵のプロの目を欺くほどの資料をどうやってつくったのか、会計士に指南されていますと。

 今、その会計士の議論をしているんじゃないですか。ここでこの議論をせずして、一体いつやるんですか。国民が事実を知りたいという声にこたえなさいよ。いけませんよ。

 委員長、これはまだまだあるんです。今、公認会計士の試験を行うのは公認会計士・監査審査会ですよ。その試験に受かった、タイトルホルダーになった。それが法違反をした、あるいはライブドアの粉飾決算に手をかした、大和都市管財のとんでもないうその財務体質の資料を指南した。これはみんな公認会計士じゃないですか。関与していますよ。

 その試験を行っているのが公認会計士・監査審査会ですね。今は口述試験というのがなくなったようでありますが、かつて口述試験を行っておられましたね。その口述試験を行うのに会場が要るということで、ある場所を借りておられますね。公認会計士・監査審査会が、これは会計法、予決令、マラケシュ、すべてに照らして対象になる機関だと承知をいたしておりますが、これまで随意契約をなさった中で、何やら大どころのものを少しお尋ねしたいんですが、まず、今どこに事務所が入っておられますか。

振角政府参考人 お答えさせていただきたいと思います。

 現在、公認会計士・監査審査会はJTビルに入居しております。

古本委員 ただでさえ財務省は、与党の幹部の方の御指導のもとに、国有地が余っておる、国の事務所スペースが余っておる、やれ売れそれ売れで国有地たたき売りキャンペーンをやっておられますね、財務省理財局は。これはまあ与党に言われて渋々やっておられるんでしょうけれども。

 JTビルを借りるときに、ほかにスペースはなかったんでしょうか。このJTビルを借りるときに、どういう判断でそこに入ったんでしょうか。何より、家賃は幾らですか。

振角政府参考人 お答えさせていただきたいと思います。

 公認会計士・監査審査会は現在JTビルに入居しておりますけれども、そういうふうになりました経緯でございますが、審査会は平成十六年四月に発足しております、今から約三年ちょっと前でございます。その当時、金融庁が現在入居しております合同庁舎四号館には空きスペースがございませんでした。

 そういう状況を踏まえまして、近くの賃貸ビルを賃借せざるを得ないという検討を当時したわけでございまして、霞が関周辺の複数の施設をいろいろリストアップしまして、金融庁へのアクセス、この審査会を発足する十六年四月に入居できるかどうか、事務室の面積が我々の組織に合う面積を確保できるか、あるいは賃借料等の諸条件を総合的に勘案した結果、JTビルが最適であると判断したということでございます。

 家賃は月額九百四十八万円でございます。年間では一億一千三百八十七万円でございます。(発言する者あり)

伊藤委員長 御静粛にお願いします。

古本委員 私もJTビルを知っていますよ。虎ノ門のいいところにありますから、そのぐらいするのは当たり前なんで、逆に、一億という数字に私は驚きません。

 むしろ、JTビルというのは大家さんはだれですか。

振角政府参考人 JTという名前のとおり、日本たばこ産業でございます。

古本委員 そこに財務省からだれか行っておられますか。

杉本政府参考人 現在、財務省の経験者といたしましては、取締役会長に涌井洋治氏がいらっしゃるというふうに承知しております。

古本委員 JTビルは、面積という話が出ていましたが、私から申し上げておきますと、約一千平米です。したがって、月坪単価は二万五千円ぐらいになるんだと思いますが、地域の相場ということなんだと思います。

 問題は、バブル期に建ててしまって、たな子が入らなくて困っていた。そこに、渡りに船で入ってもらった。歴代JTの経営者は、大蔵省主計局長、事務次官、造幣局長、造幣局長、造幣局長。一体何人行っているんですか。公認会計士・監査審査会はお手盛りでそこに入る。随契で発注している。他を探したんでしょうか。当然、ビルの清掃業務がありますね。これは随契の中に出ていますよ。年間三百万、ジェイティクリエイティブサービスに出していますね。丸もうけじゃないですか。何が、公平公正、中立な会計士の試験を行う公認会計士・監査審査会ですか。

 口述試験の会場は、随意契約で特定の場所に発注しています。どこに何年連続で発注していますか、随契で。

振角政府参考人 お答えします。

 先生も先ほど言われました、もう今はございませんけれども、第三次試験をやっておりましたときの口述試験の会場でございますけれども、平成十二年度から十七年度までの間、中央大学の駿河台記念館を契約しておりました。

古本委員 これは、どうしてそこにずっと発注したんですか、合計六年間。

振角政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 この経緯でございますけれども、これは、それまで利用していた会場が十七年度に施設を建てかえるということで利用できなくなったことを踏まえまして当時検討したということでございます。

 一つは、この口述試験というのが一月から三月にかけてあるということなんですが、ほかの試験でも基本的には大学を使わせていただいておるんですけれども、ちょうど大学入試があって、ほかの大学はなかなか一定のスペースをとりにくい。さらに、口述試験でございますので、複数の会議室を継続的に使う必要がある。さらに、当然ながら、賃借料の水準、あるいは受験生も来ていただく利便性の確保という諸条件を勘案して決定したものだと聞いております。

古本委員 これは事前に私も資料要求していました。まさに、中央大学の校舎を借りると決めたときの試験問題の選考委員に中央大学の先生が二人入っておられますね。

 きょうはもう残り時間が少なくなりましたので、この問題はまた機会があればやりたいと思いますが、公正中立で独立性を担保した会計士を目指すんだ、しかも、その人たちを、協会が一生懸命品質管理レビューをやって、それをさらに監査審査会がかぶせるようにチェックを今しているわけですよ。現場の会計士の皆さんは、監査業務ができないぐらい審査会の対応に追われているという悲鳴があるわけですよ。そういう中で、皆さんは本当に李下に冠を正さずというオペレーションをしているかどうかと言われると、怪しいことだらけじゃないですか。

 中央大学には、この間、一人たりとも天下りはおりませんね。

    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕

中江政府参考人 お答えをいたします。

 文書で確認できる限りにおきまして、金融庁を退職し、中央大学の事務局に再就職した者はございません。

古本委員 金融庁が最後の職歴としてといういつものパターンじゃないですか。役人全体で中央大学に一人たりともおりませんね。これもあわせて、委員長、当委員会に資料提出を要求します。

林田委員長代理 理事会で協議いたします。

古本委員 大臣、これまでの議論をお聞きいただいたと思うんですが、公認会計士というポジションは、社会的にも地位があるし、何よりもマーケットの信頼の前提を握っておられるということ、大切な財務諸表に対し適正意見を述べる、そういう立場にある会計士の法律改正を議論してきたわけでありますが、最後に大臣にお尋ねをしてまいりたい項目があります。同僚議員からも先ほどありました、インセンティブのねじれの問題です。

 法律の条文を精査いたしますと、最後の附則の三十条によって、政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案して、公認会計士制度及び監査法人制度等について検討を加える。必要があると認めるときは所要の措置を講ずる。こうなっていまして、恐らく、法務省との共管といいますか連携を図らないと、雇い主と雇われ人という関係の問題は直せないということになると思うんですが、五年を待たずして、もっと早いタイミングでこの問題を解決していく御決意はございますか。法律から読む限りは、五年はしないと書いてあるように読めるんですが、その事実関係も含めてお願いしたいと思います。

山本国務大臣 監査人が被監査会社の経営者との間で監査契約を締結し、監査報酬が被監査会社の経営者から監査人に対して支払われるという、いわゆる委員御指摘のインセンティブのねじれ、これを克服することは大変大事なことでございます。監査人の選任議案の決定権、監査報酬の決定権を監査役に付与すべきであるという議論は、これはつとに名高いところでもございます。

 昨年末に取りまとめられました金融審議会公認会計士制度部会の報告におきましても、会計監査人の選任議案及び報酬の決定に係る監査役等の同意権の付与を定めた会社法につき、関係当局において早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待したいという提言は、まさにその意味であろうというように思っております。

 また、この点に関します他方の意見といたしましては、監査役等に監査人の選任議案への同意権を付与した会社法が昨年五月に施行されたばかりであり、その効果をまずは見きわめる必要があること、取締役や監査役など会社の内部機関の間における業務執行権等の分配のあり方にかかわる問題であり、会社法制上の十分な検討が必要であることという指摘も御存じのとおりでございます。

 金融庁といたしましては、このインセンティブのねじれを克服するべく、ただいま申し上げました論点に真摯に検討を加えさせていただき、会社法制を所管する法務省と十分意思疎通を図るなど、真剣に対応してまいりたいと存じております。

 したがいまして、五年以内は何もしないというような考え方は全くとるつもりはございません。

    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕

古本委員 御決意を伺って、ありがとうございました。

 若干時間がありますので、もう一点、別の問題をお尋ねしたいと思いますが、松井証券の問題です。

 これは報道を見て私は腰が抜けたんですが、何と、投資家の手口を、どういう銘柄を幾ら買ってどうやって売り抜けたか、タイミング、いろいろなもの、これはいわば本当に投資家のノウハウですよ、これを何やら一橋大学の先生と連携して履歴の提供をなさった。それで、批判を受けて急遽やめましたというプレスリリースも出していますけれども、こういった問題について、何か担当大臣として御意見がありますか。遺憾ですか。私は極めて遺憾だと思います。投資家をなめていますよ。いかがでしょうか。

山本国務大臣 松井証券の公表によりますと、同社は、保有する個人投資家の属性や取引データを、個人が特定できない形にした上で、加工して大学との共同研究に活用しようとしたものの、その後、六月六日付で、当該共同研究を無期延期するというように発表したことを承知しております。

 一般論として申し上げれば、顧客の情報を第三者へ提供する場合には、個人情報保護法等の法令を遵守する必要がございます。また、顧客の同意を得てやっていただかなければならないというように考えるところでございます。

古本委員 ということは、松井さんはネット証券ですから、事前に一応ウエブのその下に、いいですかという確認のアラートというかアラームは書いていた、それを見なかった者が悪いんだということの論に立てば、何ら違法性はない、問題はない、こういうことでいいでしょうか。

山本国務大臣 あくまで、個人の情報管理、そして顧客の保護の立場からすれば、こうしたことは慎重にやっていただかなきゃならぬ。そしてまた、先生おっしゃるとおりに、パソコン画面を見なかったというようなことぐらいでは許されるものではないというように思っております。

古本委員 投資家の皆さんは、いろいろな銘柄を選び、そしてみずからのノウハウを集中させて投資なさっているわけでありますので、ライブドア事件しかり、きょう取り扱いました大和都市管財の問題しかり。さまざまな面で貯蓄から投資へという、そして大臣も、何より、東京駅の周りを英国のシティーに倣ってというお考えはすばらしいことだと思います。

 その大前提として、担当の当局が、きょう指摘したような、全くもって疑惑を受けるようなことばかりを続けることのないように、厳に慎むように指導していただくようにお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、公認会計士法案についてお聞きをしたいと思います。

 改正案では、監査法人に所属する会計士の損害賠償責任を軽減する有限責任組織を選択できる、こういう制度を新設しております。このような有限責任組織を選択できるようにしたその目的、理由をまず説明していただきたい。

山本国務大臣 現行の公認会計士法では、監査法人の民事上の責任形態として無限連帯責任が規定されていることは御承知おきのとおりでございます。

 これにつきましては、昭和四十一年に監査法人制度が創設された当時と状況が一変いたしました。例えば、社員が数百人を超えるような大規模な監査法人が出現している現状等にかんがみますと、有限責任形態の監査法人制度、これも認めていくべきだというような指摘がございます。また、諸外国におきましては、有限責任形態の監査事務所の設立が一般化しているのも事実でございます。

 今般の改正案におきましては、これらの点も踏まえまして、現実に即し、かつ国際的にも整合性をとった制度整備を図る目的から、現行の無限連帯形態に加えまして、非違行為に関係を有しない社員の責任を出資の範囲に限定するいわゆる有限責任形態の監査法人制度を導入することというようにしたものでございます。

佐々木(憲)委員 金融審の中では、この有限責任制の導入というのは時期尚早であるという意見も出されたと聞いております。それはどういう意見だったのか。また、そういう意見があっても、結果として今度の改正案にはこういう有限責任が盛り込まれたわけですが、その場合、その要件というのは何か限定的なものがあるのかどうか、確認をしたいと思います。

山本国務大臣 御指摘の金融審議会公認会計士制度部会におきます議論の過程の中では、有限責任組織形態の監査法人制度につきまして、一部の委員から、その検討自体を否定するものではないけれども、監査をめぐる非違事例が生じていることを踏まえますと、まずは会計監査の信頼性の確保に取り組んだ上で、その次のステップとして判断すべきというような意見が述べられました。

 そこで、本法案といたしましては、諸外国の制度や我が国における大規模監査法人の現状等をつぶさに検討し、有限責任組織形態の監査法人制度を導入することと同時に、会計監査の信頼性の確保に向けまして、監査法人における品質管理、ガバナンス、ディスクロージャーの強化、監査人の独立性と地位の強化、課徴金納付命令制度の創設等、監査法人の行政責任のあり方の見直し等の各般の措置をあわせ講じることとしたわけでございます。

 以上でございます。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

佐々木(憲)委員 それでは次に、テーマを変えまして、一昨日に引き続きまして、大和都市管財の巨額詐欺事件の問題についてお尋ねをしたい。

 二〇〇一年に破綻をしました抵当証券会社大和都市管財グループは、巨額詐欺事件として大変大きな衝撃を与えました。被害者は全国で約一万七千人、被害総額は約一千百億円、大変な規模であります。これは、豊田商事事件に次ぐ大規模な詐欺事件であります。

 被害者に渡されたお金は、被害金額の一割程度にまだすぎません。被害者の大半は高齢者で、老後の資金を失い、非常に深刻な状況にあります。例えば、ある大阪府の高齢者は、一九九七年、父の遺産一千万円に自分の貯金三百万円を合わせて、大和都市管財の抵当証券を購入した。介護支援の非営利活動の資金づくり、これが目的だったそうであります。それが、二〇〇一年の破綻で大変な被害を受けて、弁護団の救援活動で手元に戻ったのは、それでも元本の一割にも満たない、こういう状況。あるいは岐阜県の高齢者は、老後のためにためていた夫の遺産約一千万円を失ってしまう、このショックで自律神経失調症になりかけた。こういう事例は枚挙にいとまがないわけであります。

 山本大臣にお聞きしますけれども、大臣は私の質問に対して、弱者の立場に立って頑張りたい、こういう答弁をされました。この問題でも被害者の立場で対応する、こういう姿勢はありますか。

山本国務大臣 すべての金融行政に共通なコンセプトとしましては、消費者あるいは利用者、こういった人たちの保護、そういった観点に軸足を置いてやっていくというのが金融行政の根本的な考え方であろうというように思っております。

佐々木(憲)委員 このような金融被害者に対して、国はどのような救済措置をとってきたか、それから、これからどのような救済をするつもりか、お聞かせいただきたい。

山本国務大臣 金融庁におきましては、随時、金融相談体制、相談窓口を設置しておりまして、真摯に相談に対して対応するというようなことをやっておりますし、また、そうした金融商品における開発、管理あるいは支払いについて非違がありますれば直ちに行政処分を打つということは、タイムリーに、スピード感を持ってやっていくということをやっております。

佐々木(憲)委員 今回の大和都市管財の詐欺事件について、具体的な措置はとられたんですか。

佐藤政府参考人 大和都市管財の詐欺的商法とその破綻によりまして、多数の顧客に損失が発生したことは極めて遺憾でございます。また、被害に遭われた方々には、大変お気の毒であると存じております。

 他方、委員御高承のとおり、抵当証券業規制法では、抵当証券業者が破綻した場合等に備えて、抵当証券保管機構が抵当証券原券を保管し、抵当証券業者が支払い不能等に陥った場合に、元本及び利息の受領の代行を行う制度が置かれているところでございます。

 大和都市管財が販売した抵当証券についても、抵当証券保管機構は、弁済受領業務により約二十六億円を購入者へ分配したものと承知いたしております。

佐々木(憲)委員 一昨日の大阪地裁の判決、これは、大変歴史的で重要な判決だと私は思うわけです。国に損害賠償を求めている訴訟で、国側に一定の責任がある、こういうふうに認めた判決に対して、国の対応が問われているわけです。私は、当然これは控訴すべきではないと思っております。

 ところが、報道によりますと、この判決を不服として、国側は大阪高裁に控訴する方針を固めた、こういう報道がありますけれども、これは事実ですか。

佐藤政府参考人 今般の判決への対応につきましては、判決内容を十分に精査し、関係当局とも協議の上、決めていくという方針でございまして、現時点ではコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。

佐々木(憲)委員 これは絶対に控訴すべきではない。被害者の立場に立って考えるというのは当然のことであります。

 大阪地裁は、近畿財務局が注意義務を尽くさず業者の登録を更新したために消費者に被害を与えたということで、国の責任を認定して、六億七千四百万円の賠償を命じたものであります。

 争点は幾つかあります。

 一つは、一九九五年八月、大和都市管財に対して近畿財務局が業務改善命令を一たん発出した。にもかかわらず、相手のおどしに屈してそれを撤回してしまったのではないか、こういう疑惑であります。

 もう一つは、一九九七年十二月に、大和都市管財が破綻する危機が切迫していると容易に認識することができたにもかかわらず、それを確認する努力をせず、同社の抵当証券業の登録更新を漫然と認めた、こういう疑惑であります。

 事実を確認しますが、平成七年、一九九五年八月、近畿財務局内で、大和都市管財に対して行政処分の検討が行われた、これは事実ですね。

佐藤政府参考人 事実であると承知いたしております。

佐々木(憲)委員 九五年八月一日、業務改善命令について大和都市管財に弁明の機会を付与するという通知を行うことが決定された。八月十七日までに弁明書の提出を求めるというものであったと聞いておりますが、そのとおりでしょうか。そして、弁明書は提出されたんでしょうか。

佐藤政府参考人 八月一日に、業務改善命令発出のための弁明の機会の付与が行われました。これに対しまして、八月十五日付で弁明書の提出があったということでございます。

佐々木(憲)委員 その際、私は資料要求をいたしますが、平成七年八月一日付の近畿財務局決裁文書、近財金三秘第九五号、この近財金三というのは近畿財務局金融第三課の略であります。それから、大和都市管財に対するその通知書、これを資料として提出していただきたいと思います。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤政府参考人 資料の内容及び性格についてよく精査をした上で、提出可能なものであるかどうか検討した上でお返事を申し上げたいと思います。

佐々木(憲)委員 これはぜひ出していただきたい。

 次に、業務改善命令についてお聞きします。

 近畿財務局では、八月二十一日に、業務の改善を命じてよろしいかという決裁文書が回されて、八月二十一日に業務改善命令を発出することが決められ、執行されたということを聞いておりますが、事実ですか。

佐藤政府参考人 今回の訴訟におきまして、被告、国側は以下のような主張をいたしております。

 すなわち、平成七年八月二十一日、近畿財務局は同社に対し業務改善命令書を交付しようとしたが、同社社長から資金繰り等に係る追加的説明がなされたため、抵当証券購入者の利益を害する事実があるかどうか、さらなる実態把握が必要であると判断し、業務改善命令の発出を見合わせたということでございます。

佐々木(憲)委員 それが事実かどうか確認するために、平成七年八月二十一日付、近畿財務局決裁文書、近財金三秘第九九号、及び八月二十一日付、大和都市管財に対する命令書を資料として提出していただきたい。

佐藤政府参考人 先ほどと同様、その文書の性格及び内容をよく精査した上で、提出可能なものであるかどうか検討いたしたいと思います。

佐々木(憲)委員 これは必ず出すように要請をしておきたい。

 これらの資料は、既に裁判所でも資料提出がされているわけであります。これらの資料から明らかなことは、先ほどの説明とは違って、九五年八月二十一日に、決裁を終了した業務改善命令を発したということであります。ところが、それがどうなったかという点なんです。

 今、国の主張としてはとおっしゃいましたが、国の主張というのは、発出したけれども撤回したんだという事実はなくて、発出もしなかったんだという説明ですね。しかし、この命令書というのは既に発出されていたわけであります。

 それで、今回の判決文がどういうふうになっているか、御紹介をしておきたい。

 当時、大橋課長ですね、平成七年業務改善命令を発出するため豊永浩を近畿財務局に招致したところ、同人は、つまり大和都市管財の社長であります同人は、当日夕刻、単身来訪してきた。近畿財務局側は田中検査官と伊豆本調査官が同席していた。

 大橋課長が豊永浩の目前に上記命令に係る命令書を置き、同命令書を読み上げて告知したところ、同人は、今回の命令は行政処分であるが、当社が処分を受ける理由はない、命令書を受け取る必要はない、行政指導ということであれば受け取る。当局の検査によって不備が指摘された事項についてはこれまでも改善を図っており、弁明書で回答しているにもかかわらず、既に回答済みの内容まで命令書に記載されていることは納得がいかない。特に命令書本文の四は、いまだ顧客をだまして商売をしているかのような表現であり、当社の名誉を傷つけるものである。書き直すか削除すべきだ、こういうふうに言って、命令書の中身まで一々指摘をしている。書き直せと言う。

 命令書の別紙で指示されている資料も既に提出されているはずだ。当社が顧客に対する利息を支払えない、償還に応じられないといった状況であればともかく、そのような状況にない中での処分は、つぶれなくてもよい会社を当局がつぶすことと同じである。

 あるいはこういうふうに言っているんですね。

 独立系で業務改善命令を出されている会社はないはずだ、当社をねらい撃ちしているのかなどと声高に述べるとともに、同和団体とおぼしき団体名を記載した名刺を見せ、こういう者だなど、自分が当該団体に属しているかのように示した上、当局があくまで当社の業務改善命令にこだわるのであれば、訴訟を始め、組織を挙げて徹底的に闘う覚悟であるなどと告げると、興奮状態で席を立ち、大橋課長らが制止する間もなく、命令書をその場に置いたまま退去した。

 大橋課長らは、豊永浩が平成七年業務改善命令の受け入れを拒否するような事態は事前に全く想定していなかったので、当日のうちに片山次長に経過を報告し、両名は、一両日中に、寺内部長、渡辺裕泰近畿財務局長及び本省金融会社室に報告して、その後の対応について協議した。内容証明郵便で、改めて、平成七年業務改善命令に係る命令書を送付する案も検討されたが、結局、豊永浩が平成七年業務改善命令を交付された席上において、行政指導であれば従う、顧客への利払い等には問題がないなどと強弁した点を踏まえて、大和都市管財から資金繰りについての新たな弁明が出たため、資金繰りに問題があることが確認されるまで平成七年業務改善命令の発出を暫時留保したとの扱いにする方針が決定された。

 つまり、一度本人の前に業務改善命令の命令書を出したんです。その場で相手が大騒ぎして、こんなの受け取れないと、け飛ばしたんです。それでひるんだわけであります。ひるんで渡せないものですから、これは出さなかったことにしようと。

 上記方針決定の実際の理由は、同和団体との関係まで示した豊永浩の気勢に気押されたこと、後述する木津信用組合関連業務に忙殺されるようになったことなどから、近畿財務局内において、郵送で平成七年業務改善命令を改めて送りつけるというような手段をとって豊永浩をこれ以上刺激するのを避け、本件の処理をしばらく先送りしようとの意見が大勢を占めるようになったことにあった。これが判決の内容ですよ。

 結局、私がここで明らかにしたいのは、この業務改善命令というものが実際にどういう形で決裁をされたのか、その文書を示していただかないと、そしてまた、業務改善命令の命令書、それ自体をここに出していただかないと、先ほどの説明は、いや、もともと業務改善命令というのは、検討はしたけれども、これは出すに至らなかったんだ。しかし、一度出して、け飛ばされて、後で、つじつまを合わせるためにそうしたんじゃないんですか。

 実際に命令書があるかどうか。命令書があるということは、つまり決裁文書があって、これで業務改善命令を発出してよろしいか、オーケーですという決裁文書がある。そして、その決裁文書に基づいて命令書が出されている。命令書がちゃんと発出されているという証拠ですよ、それは。八月二十一日付であるんです。それを出していただかないと。いや、出さなかったんだと言うんだけれども、出した証拠がそこにあるわけですから。

 これをここに出すとはっきり約束していただきたい。

佐藤政府参考人 先ほどもお答えいたしましたとおり、今回の訴訟におきまして、被告、国は、先ほどの日に同社社長から資金繰り等に係る追加的な説明がなされたため、抵当証券購入者の利益を害する事実があるかどうか、さらなる実態把握が必要であると判断し、業務改善命令の発出を見合わせたということでございます。

 また、弁明の機会の際に先方から圧力をかけられて先送りにしたのではないかということにつきましては、今回の訴訟において、被告、国が、当時の関係者の証言等によっても、同社社長の同和関連団体に所属している旨の発言によって業務改善命令を撤回したとの事実はない、こういう主張をいたしておるものと承知いたしております。

佐々木(憲)委員 これは全くでたらめな説明でありまして、これまでも国会でそういうでたらめな答弁を繰り返してきているわけですよ。しかし、事実関係は明確なんです。裁判所でももう判決で下っているんです、こういうことがあると。

 その判決の内容をもう少し紹介しますと、近畿財務局は、平成八年、次の年の五月二日のヒアリング結果を踏まえ、平成八年経営健全化計画につき、直ちにその合理性がないと判断する材料は持ち合わせていないとして、大和都市管財から継続的にヒアリングを行いつつ進捗状況を注視するとの方針をとることとし、大蔵本省も近畿財務局の上記方針に納得しているものと解釈していた。

 本省金融会社室には、平成八年五月に、抵当証券業務等を担当する課長補佐として井上補佐が自治省から交流人事で着任したが、この井上補佐は、自治省からの同じような出向者であった前任の課長補佐から、抵当証券業に関していろいろ説明を受けております。

 その内容は、一つは、個別個社の監督は財務局長等の担当であるが、近畿財務局監督下の大和都市管財及び関東財務局監督下の不動産抵当証券二社は独立系の業者で、かつ、自分が支配している会社へ融資している上に、経営状況が極めて悪化しているという共通の問題を抱えていることから、特に本省金融会社室と各財務局との間で相談しながら対応することとされており、銀行局長への報告事項ともなっているので、何か動きがあれば直ちに報告する必要があること。

 そして二つ目に、近畿財務局は大和都市管財に対して平成七年業務改善命令を一度は発出しようとしたが、豊永浩が同和団体との関連を示して騒ぐなどしたためにこれを撤回してしまい、その後、同人には同和団体との関係が実際には存在しないことが判明したにもかかわらず、再度同社に業務改善命令を発出するよう近畿財務局に指示しても、担当者が同人の特異な性格を畏怖してこれに従わないことなどの説明を受け、犯罪者まがいのところにかかわって気の毒である旨のコメントとともに、大和都市管財に関するファイル五冊程度と不動産抵当証券に関するファイル二冊程度とを引き継いだ。井上補佐にこういうものが引き継がれているわけです。

 そしてこの井上補佐は、平成八年の八月末ごろに、山口公生銀行局長に対して説明文書をつくっているわけです。これは、山口局長の頭づくりのため、つまり、頭にわかりやすく入れるために、前半部分は前任者の引き継ぎ書をそのまま用い、大和都市管財の概要やこれまでの経緯、経過等も盛り込んだ上で、那須ゴルフ場に係る抵当証券の追加発行分についての説明を書き加えた報告用の文書である。何らかの対処方針を決定するためのいわゆる局議ペーパーではない。こういう説明があります。その上で、その概要を再掲して、判決文の中に載せているわけであります。

 そこで、井上課長補佐が作成した文書、これを当委員会に提出していただきたいと思います。

佐藤政府参考人 これも同様に、その文書の内容及び性格をよく吟味した上で検討させていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 これは必ず出していただかないと、答弁が正確なものかどうか、これが根本的に疑われるわけでありますから、全部出していただきたい。

 裁判所には当然この文書が証拠として出ておりますので、委員長、以上の私の要求は必ず提出書類として委員会に提出するように理事会でも協議していただきたいと思います。

伊藤委員長 まず、政府でただいまの件については御検討いただき、また後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 最後に、当時の近畿財務局長、この問題に関係をした局長等、歴代のこれにかかわってきた方々の参考人招致をここでお願いしたいと思います。理事会で協議をしていただきたい。

伊藤委員長 ただいまの件につきましても、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 以上で終わります。

伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 公認会計士法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、宮下一郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。谷口隆義君。

谷口(隆)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    公認会計士法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 公認会計士監査をめぐる非違事例等、監査の信頼性を揺るがしかねない事態が発生したことにかんがみ、非違事例等の再発を防止し、監査の品質と信頼を確保するため、監査に関する制度について不断の見直しに努めること。

 一 財務情報の適正性の確保のためには、企業のガバナンスが前提であり、監査役又は監査委員会の機能の適切な発揮を図るとともに、監査人の選任決議案の決定権や監査報酬の決定権限を監査役に付与する措置についても、引き続き真剣な検討を行い、早急に結論を得るよう努めること。

 一 公認会計士監査制度の充実・強化のためには、専門職業士団体が継続的に自主規制の充実促進を図ることが重要であり、行政はこうした専門職業士団体の果たす役割を尊重するよう努めること。

 一 業務管理体制の改善命令、課徴金納付命令等の行政処分の多様化に伴い、これらの発動に当たっては、その効果を十分に検討した上、適切な運用に努めること。

 一 会計監査を担う有為な人材を確保、育成するため、社会人等を含めた多様な人材確保を目的とする現行試験制度の趣旨を踏まえ、公認会計士試験実施の更なる改善に努めること。

 一 公認会計士監査制度をより一層強固なものとするため、行政としても、今回の法改正の趣旨に則り、監査法人に対し、過度な負担を課すことのないよう適切な対応に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願いを申し上げます。

伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣山本有二君。

山本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十六分散会


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