衆議院

メインへスキップ



第2号 平成19年10月24日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年十月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 大野 功統君 理事 奥野 信亮君

   理事 後藤田正純君 理事 田中 和徳君

   理事 野田 聖子君 理事 中川 正春君

   理事 松野 頼久君 理事 石井 啓一君

      石原 宏高君    小川 友一君

      大塚  拓君    木原  稔君

      佐藤ゆかり君    鈴木 馨祐君

      関  芳弘君    谷本 龍哉君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中根 一幸君    林田  彪君

      原田 憲治君    広津 素子君

      松本 洋平君    宮下 一郎君

      盛山 正仁君    山本 有二君

      池田 元久君    小沢 鋭仁君

      大畠 章宏君    階   猛君

      下条 みつ君    鈴木 克昌君

      平岡 秀夫君    福田 昭夫君

      古本伸一郎君    大口 善徳君

      佐々木憲昭君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)       渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   財務副大臣        森山  裕君

   財務大臣政務官      宮下 一郎君

   会計検査院事務総局第五局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上西 康文君

   政府参考人

   (国家公務員倫理審査会事務局長)         大村 賢三君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   齋藤  潤君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          大藤 俊行君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    西原 政雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 高橋 正樹君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   丹呉 泰健君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           鈴木 正規君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   木下 康司君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    加藤 治彦君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    青山 幸恭君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   藤岡  博君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            高原 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 富由君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   参考人

   (日本銀行理事)     稲葉 延雄君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十四日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     大塚  拓君

  階   猛君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     越智 隆雄君

  福田 昭夫君     階   猛君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事稲葉延雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官上西康文君、国家公務員倫理審査会事務局長大村賢三君、内閣府政策統括官齋藤潤君、金融庁総務企画局長三國谷勝範君、総務企画局総括審議官大藤俊行君、監督局長西原政雄君、総務省大臣官房審議官高橋正樹君、財務省大臣官房長丹呉泰健君、大臣官房総括審議官鈴木正規君、主計局次長香川俊介君、主計局次長木下康司君、主税局長加藤治彦君、関税局長青山幸恭君、理財局次長藤岡博君、中小企業庁事業環境部長高原一郎君、国土交通省大臣官房審議官小川富由君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、運用企画局長高見澤將林君、人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長高山丈二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原宏高君。

石原(宏)委員 おはようございます。自由民主党の石原宏高でございます。

 本日、トップバッターで財務金融委員会におきまして一般質疑をさせていただきます。

 額賀大臣、私は、大臣が就任された直後に、租税措置法上の暫定税率が来春いろいろと到来いたしますので、来年度の税制改正を視野に税制に関する与野党協議を申し入れられたということは、国民生活を考える上で大変すばらしい対応であったのではないかというふうに思っているんです。ただ、参議院で第一党になられた民主党さんがこの申し出を受けられなかったことが大変残念でありますけれども。

 ただ、民主党さんが言われている税の話の前に、例えば長妻さんが言われた独立行政法人や特別会計の無駄遣いを何とかしろ、こういう指摘は、私は国民的には理解されるのではないかというふうに思います。

 それは、政府や自民党が、昨年の行政改革推進法や骨太の方針二〇〇六に基づいて、国の無駄遣い、行政コストの削減に取り組んでいるわけですけれども、その内容や進捗状況が十分に国民に伝わっていない、そこが大きな原因ではないかと思うんです。

 そこで、きょうは最初に、行政改革推進法等に基づきます行政コストの削減、無駄遣いの削減に関する進捗状況等、計画の内容について、もう一度おさらいで幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず初めに、行政改革推進法の中の総人件費改革、国家公務員を、郵政を除く六十八・七万人を五年間で五%削減することに関しまして質問をさせていただきます。

 平成十九年度の人員数と削減人件費の見込み、また計画上の五年間での国家公務員の削減人数、さらに、一般会計と特別会計から人件費が払われていると思いますけれども、その国家公務員人件費の五年間の目標の削減金額を教えていただけますでしょうか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 まず、公務員人件費につきましては、定員、給与両面で、国、地方を通じた総人件費の改革が進められているところでございます。

 まず、国家公務員の定員につきましては、平成十九年度予算におきまして、国の行政機関の定員で二千百二十九人の純減のほか、自衛官の実員につきましても七百七十八人の純減を行うなど、合わせて二千八百九十七人の純減を確保することとしております。

 また、国家公務員の給与でございますが、これにつきましても、給与構造改革や官民給与の比較対象企業規模の百人から五十人への見直しを予算に反映させることにより、国家公務員の人件費については、改革のない場合の予算額に比べまして千九百四十億円程度の人件費の削減効果が見込まれ、その結果、十九年度予算と十八年度予算を比較いたしますと、三百七十七億円削減されることとしております。

 これらを初め、五年間のというお話がございましたが、基本方針二〇〇六に示された定員、給与両面の公務員人件費の改革を国、地方を通じて行うことによりまして、二〇〇六年度から二〇一一年度までの五年間で、国、地方を通じて約二兆六千億円程度の人件費削減効果を見込んでおるところでございます。

石原(宏)委員 次に、民主党の長妻先生も言われていましたけれども、特別会計の無駄遣いの削減について質問をしたいと思います。

 平成十九年度予算では、特別会計の歳出のうち、コスト削減可能な金額を十一・六兆として〇・七兆の削減をすることになっておりますけれども、この十一・六兆の中身はどのようなものなのか、お教えいただけますでしょうか。

木下政府参考人 お答えをさせていただきます。

 この十一・六兆円の中には、まず公共事業で約五兆五千億円、保険事業で二・四兆円、エネルギー対策費で一・一兆円、それから食料安定供給で〇・八兆円等々、合わせて十一・六兆円の中身となっております。

石原(宏)委員 事業別という形で分けられているんですけれども、この十一・六兆円には独立行政法人の予算も含まれていますでしょうか。

 例えば、あと、独立行政法人の予算ですが、一般会計、特別会計合わせて、平成十九年度予算では幾らぐらいか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

 また、削減可能な十一・六兆円でありますけれども、平成二十年度予算においても引き続きコストの削減が行えるのかどうか、御意見を聞かせてください。

木下政府参考人 お答えいたします。

 まず第一点目でございますが、十九年度予算における御指摘の十一・六兆円の中には、十九年度で八千七百五十三億円の独立行政法人向けの財政支出が含まれております。

 二点目でございますが、平成十九年度予算における独立行政法人向けの支出全体で、一般会計、特別会計合わせまして、約三・五兆円となっております。

 それから三点目ですが、平成二十年度予算におきましても、引き続き、各特別会計の事務事業のさらなる重点化、優先度の低い財政支出の見直し等によりまして、特別会計の歳出の抑制に最大限努力していく必要があると考えております。

石原(宏)委員 ことしも、十一・六兆円、七千億減らしたということで、ただ、中身が社会保険庁の事務経費とか人件費とか必要な公共事業ということで、私は、極力減らしていく必要があるとは思うんですけれども、一兆円ぐらいはあと頑張らなきゃいけないかもしれませんが、果たして二兆、三兆というものを減らして特別会計から捻出できるのかどうかということは、やはりよく需要ということも考えていかなければいけないんじゃないかと思います。

 次に、歳出の削減の問題ではありませんけれども、行政改革推進法に基づく政府資産・債務改革の点について、政府の資産規模対名目GDP比を今後十年間でおおむね半減するということになっていますけれども、そのおおむね半減というのは実額で幾らなのか、またその内訳等ありましたら、教えていただけますでしょうか。

森山副大臣 お答えいたします。

 資産・債務改革につきましては、基本方針二〇〇六に基づきまして、二〇一五年度末、国の資産を約百四十兆円規模で圧縮することを目標として努力をしているところであります。

 その達成に向けまして、財政融資資金貸付金について百三十兆円超の圧縮、国有財産につきましては約十二兆円の売却収入を実現する取り組みを開始しておりまして、ことしの三月、工程表を公表いたしまして、その着実な実施に努力をしているところでございます。

 以上でございます。

石原(宏)委員 私の選挙区の品川区でも、文部科学省が持っている大きな土地を品川区に買わせていただいて公園になる予定なんですけれども、平成十九年度の国有財産の売却見込み額と主な内訳を教えていただきたいと思います。

 また、国有資産の売却資金は基本的には国債の返済に回されているという理解でよろしいか、お答えをいただけますでしょうか。

藤岡政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの平成十九年度の国有財産売却見込み額の主な内訳でございますが、平成十九年度一般会計財務省主管土地売り払い代として二千百六十五億円、民営化法人、平成十九年度は日本アルコール産業株式会社の売却でございますが、その売却収入といたしまして約百四十億円を歳入計上いたしております。また、本年六月に公表いたしました移転再配置計画に基づきまして、本年度中に、東京二十三区内で六十四団地、二十三区外で二十二団地の国家公務員宿舎を廃止の予定でございます。

 いずれにいたしましても、財務省といたしましては、資産・債務改革につきましては、簡素で効率的な政府の実現に向け、工程表に沿って積極的に進めることとし、その際には、昨年の閣議決定、基本方針二〇〇六に沿いまして、「資産売却収入は原則として債務の償還に充当し、債務残高の縮減に貢献する。」との原則も踏まえて対処をしてまいりたいと考えているところでございます。

石原(宏)委員 人件費とか特別会計の歳出カットだけではなくて、国有財産を売却して国債の返済にも政府は努力をしているということでありますから、私は、もっと政府が国民にそのことをしっかり説明して、政府の努力というのを、しているんだということを宣伝していく必要があるのではないかというふうに思います。

 次に、最近紙面をにぎわせております地方財政間の格差の問題、法人二税の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 かつて法人事業税の分割基準の見直しが行われましたけれども、その内容について教えていただきたいということと、もし今後法人事業税の分割基準を見直すとしたら今現在で何か考えられる方法があるのかどうか、その点、お聞かせいただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 平成十七年度税制改正におきまして、法人事業税について分割基準の見直しを行っております。

 法人事業税の分割基準は、複数の都道府県に法人の事業所がある場合に、税収の帰属を明らかにするため、法人所得などの課税標準の分割をするための基準でございます。平成十七年度改正におきましては、非製造業の課税標準につきまして、従来は従業者数のみで分割していたものを、二分の一は従業者数、二分の一は事業所数により分割するなどの改正を行ったところでございます。

 これは、アウトソーシング化やIT化あるいはネットワーク化などの進展を背景に、従業員を基本とするそれまでの基準では事業活動規模を適切に示さなくなっていたという状況を踏まえたものでございます。

 次に、さらなる分割基準の見直しについてのお尋ねがございましたが、そのためには法人の事業活動の実態を踏まえた検討が必要でございますが、さらなる分割基準の見直しについては、現段階では具体的な検討を行っている状況にはございません。

 以上でございます。

石原(宏)委員 一部報道で、法人二税を、事業税と住民税でありますけれども、一部分国税化、要するに、法人二税の税率を下げて法人税を上げるということであります。それを行って消費税の地方受け取り分を一%から二%にすることで地方財政間の格差を是正するというような報道がなされていますけれども、税の論理から法人二税の一部を国税化するということが、まあ可能だとは思うんですけれども、可能なのかどうか、そして、それをもしやると本当に地方財政間の格差が是正されるのか、その点を教えていただきたいと思います。

 また、日本は法人に地方税を課しているわけでありますけれども、そういう国と課していない国があると思いますが、その代表的な国名というのをちょっと教えていただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 地方法人課税について、国際的に見た場合でございますけれども、アメリカやドイツのように、中央政府のみならず地方政府においても法人所得課税を行っている国もあれば、イギリスやフランスのように、中央政府だけが法人所得課税を行い、地方政府が法人所得に課税を行っていない国もあるところでございます。

 法人所得を地方税の課税ベースとするか否か、またどのような配分を行うかにつきましては、各国の地方自治制度や地方政府が果たしている役割、あるいは経済の構造などを踏まえまして判断するべきものでございまして、税理論上、そのどちらかでなくてはならないというものではないと考えております。

 以上でございます。

石原(宏)委員 ちょっとあれなんですけれども、今質問の回答が漏れてしまったと思うんですが、そういうふうに法人二税を国税に回すかわりに消費税の地方受け取り分をふやすと、今東京とか愛知とかが法人二税が多くて、地方の都市は少ないわけですけれども、消費税にかえると、日本の場合、本当に地方財政間の格差というのが少し是正をされるのかどうか、ちょっとその点、もう一度確認をさせてください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 日本の場合のいわゆる法人二税とそれから地方消費税といったものの考え方でございますけれども、現実に、法人二税は、東京都を初めとするいわゆる都市圏自治体に偏在をしている状況がございます。一方で、基幹的な地方税の中では、地方消費税は非常に偏在性が少ないと言われております。したがいまして、その双方で税源を交換するといったようなことを行った場合には、いわゆる偏在是正は、地方税全体としては相当程度是正されるのではないかというふうに思っております。

石原(宏)委員 消費税を、今一%地方受け取りなんですけれども、これを二%にする、法人二税をその分法人税に切りかえるというような形になると、概算をすると東京都は三千億円ぐらい税収が減っちゃうということで、大変厳しいかなというような感じを受けておりますけれども……(発言する者あり)ええ、済みません。これを言うと皆さんに批判されるんですけれども。

 では、続きまして、来年春に期限を迎えます暫定税率等について、ちょっとお伺いしたいと思います。

 揮発油税と自動車重量税等、来春に租税特別措置法上の暫定税率が期限を迎えるものが幾つあるのか。あと、たしか関税関係も多かったと思うんですけれども、関税関係、もし暫定税率が、民主党との議論がありますけれども、税法が三月までに通らなくて、関税が上がってしまうものが多いのか、減ってしまうものが多いのか、ちょっとその点を教えていただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 租税特別措置法におきましてはいろいろな特例がございますが、例えば、所得税の特例措置につきましては基本的には暦年ベースでございます、それから法人税の特例措置については年度ベースということで、さまざまな適用期限の定め方がされておりますが、こうした特別措置の中で、一応十九年度末、これは税法ベースというよりは、中身の、内容の項目別に大ざっぱに区分けいたしますと、十九年度末、平成二十年三月三十一日に期限を迎えるものは大体四十項目程度となるというふうに承知しております。

青山政府参考人 関税につきましてお答えを申し上げます。

 御指摘の関税の暫定税率でございますが、平成二十年三月三十一日に四百十七品目につきまして適用期限が到来するというふうになってございます。これらが期限切れとなりますと多数の個別品目の関税率が引き上がりまして、国民生活の安定、良好な対外関係の維持といった面で重要な支障を来すものというふうになると考えております。

 具体的に、例えば牛肉でございますが、これは三八・五から五〇に上がる、あるいはナフサ等も上がるというようなことでございまして、さらには紙巻きたばこ等でございますけれども、関係国との協議によりまして関税率の引き下げを定めました品目の適用税率が引き上がるというふうになってございます。

 総じて、数字の議論でございますが、タリフラインベースで申し上げますと、税率に影響があるということにつきましては、これは上がるものの方が多いということでございます。

 以上でございます。

石原(宏)委員 国民生活のことを考えると、四十項目とか関税で四百十七品目ということで、さらにそれが上がるということで、輸入物価も上がるということで、やはりこれは与野党でしっかり考えて、三月中には税制を通さなければいけないんじゃないかとすごく今の説明を聞いて私は思いました。

 あと、揮発油税と自動車重量税の暫定税率も期限が春に来ると思うんですけれども、確かに、暫定税率が下がれば、ガソリン代が安くなって、自動車の取得コストも安くなるので、一般の消費者にとっては大変ありがたいということでありますけれども、その場合のマイナスの影響についてお教えいただけますでしょうか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の揮発油税、自動車重量税等の道路特定財源につきましては、昨年末閣議決定された道路特定財源の見直しに関する具体策において、厳しい財政事情のもと、環境面への影響にも配慮し、現行の税率水準を維持することとされております。

 そして、こういう道路特定財源諸税の暫定税率及び特定財源制度の期限が二〇〇七年度末等になっておりますことから、仮に年度内に関連法案が成立せず暫定税率が失効した場合には、第一に、国、地方とも大幅な歳入減となりまして、国の直轄事業、補助事業、地方単独事業等、道路整備に重大な影響を及ぼすといった財政上の問題があるほか、第二に、地球温暖化問題が重要な政策課題となっている中、ガソリンの消費拡大等を通じてCO2の排出拡大につながるという環境面への影響といった問題があると考えられます。

 こうした点を勘案いたしますと、具体策のとおり、現行の税率水準を維持することが必要であると考えておりまして、何とぞ御理解をいただければと考えております。

石原(宏)委員 確かに、ガソリン代が安くなればいいんですけれども、実際につくらなきゃいけないものもつくれなくなってしまう、例えば中央線のあかずの踏切立体化なんかも道路特定財源でやっていると思うんですけれども、こういう生活にも影響するということで、やはり慎重に審議をしていく必要があるのではないかと思います。

 最後に、額賀大臣にお伺いいたします。

 私は、政府の無駄遣いの削減について、さらに野党また国民に詳しく説明をして、また実は、渡辺大臣が行政改革担当大臣として進められている独立行政法人の整理合理化計画、中身としては、民営化の検討とか随意契約を見直して経費を削減する、そういうことを厳しく指示されておりますけれども、その内容も、できるだけ早く追加して、国民や野党の民主党さん等にもしっかり説明して理解をいただいて、やはり額賀大臣が提案されました税制についての与野党の協議というものをできる限りすぐに進めるべきと考えておりますけれども、この点に関します大臣の御所見をいただけますでしょうか。

額賀国務大臣 今、石原委員がるる、我々が取り組んできた特別会計、独立行政法人、多方面の歳出削減についての努力した成果それから進捗状況等々について、国民の皆さん方にわかりやすく質問をしていただきまして、大変ありがたいと思っております。

 やはり、国民の理解を得ることが一番大事であります。我々が直面をしておりますことは、経済を正常な姿に戻すことと同時に、財政再建をきっちりとやってのけるという将来に対する方向性をきちっとしていくこと、しかもなおかつ、一方で少子高齢化社会でありますから、必ず国民の負担が増大をする、これに対してきっちりとした安定した財源を確保していくことが大事である。

 その前提として、石原委員が言うように、無駄を省き、歳出削減を行い、スリム化をして、その上で将来の社会保障の充実のために国民の皆さん方に御負担をお願いしなければならないという課題に取り組んでいかなければならないということでございますから、我々は、委員のおっしゃるように、しっかりとそういう無駄を省き、しかもなおかつ、合理化をして、国民の皆さん方に必要なことはきちっと手当てをする、格差をなくすようにしていく、めり張りのきく形をつくっていく、そういう形で全力投球をさせていただきたいというふうに思っております。

石原(宏)委員 無駄の削減の内容を詳しく与野党ともに共有して、さらなる無駄がないかということをチェックして、そして無駄を省いて、そしてやはり、将来の社会保障を見据えて負担と給付の議論をしっかりと行っていく必要があるのではないかというふうに私も思います。

 最後に、金融庁にお伺いしたいと思いますけれども、金融庁では計画どおりに銀行における保険商品の全面解禁を十二月の二十二日にスタートするとの報道がなされていますけれども、その関連で二つほど質問させていただきます。

 まず初めに、銀行における顧客情報の取り扱いについて、なぜ同意書が必要なのか。ケースごとに区別してしっかり理解する必要があると私は思うんです。

 それでお聞きしたいんですが、先般報道されました証券取引等監視委員会によるみずほ証券に関する勧告のケースと、今回の保険商品の銀行窓販のケースにおける顧客情報の取り扱い、同意書を取得しなければいけないというのは、おのおの、その法律とか政令が違うと思うんですけれども、どのような法律、政令によって顧客の同意書が必要なのか、教えていただきたいと思います。

 また、銀行における顧客情報の取り扱いについて、ほかにどのようなルールがあるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、今般のみずほ証券に係る勧告事案のようなケースでございますが、これは、金融商品取引法に基づきます金融商品取引業者と親法人または子法人が関与する行為、これに関する制限に基づくもの、いわゆるファイアウオールの問題でございます。これは、法の委任を受けまして、具体的には、内閣府令百五十三条第七号及び八号におきまして、あらかじめ顧客の書面による同意を得ることが必要とされているものでございます。

 二点目の、保険商品の銀行窓販における顧客情報の問題でございますが、これは、保険業法の保険募集の制限にかかわるものでございまして、その規定に基づきまして、保険業法施行規則二百十二条におきまして、「事前に書面その他の適切な方法により当該顧客の同意を得ることなく保険募集に係る業務に利用されないことを確保するための措置」を銀行が講じることとされているものでございます。

 それ以外でございますが、一般的な個人情報保護法というものがございます。ここでは、原則、あらかじめ本人の同意を得ることが必要とされてございますけれども、個人データを第三者に提供する場合でございますが、さらにこれは当方のガイドラインにおきまして、これを原則として書面によることとしているところでございます。

 これに加えまして、個人情報保護法の施行を受けまして、銀行法の十二条の二を受けまして、規則におきまして、さらに安全管理措置あるいは信用情報の目的外の使用禁止あるいはセンシティブ情報の適正な管理、こういったルールが定められているところでございまして、それぞれの視点から必要な措置を講じているところでございます。

石原(宏)委員 時間が参りまして、もう一問実は質問したかったんですけれども、保険証券の銀行窓販の全面解禁に伴って、今、生保レディーさんと呼ばれる方が二十五万人、またいろいろな生保、損保の代理店があるんですが、私は、多少これは影響を受けていくんではないかと思うんです。そこで、生保業界、損保業界が、生保レディーさんの人数とか代理店の人数とか公表しておりますので、今後、金融庁にその情報をいただいて、政治家としてしっかりフォローしていく必要があるのではないかというふうに個人的には思っております。

 本当は、愛の構造改革を掲げる渡辺大臣に、渡辺大臣の政治家個人として御意見を聞きたかったんですが、時間切れでございますので、これで私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 まず、当面の経済財政運営について質問させていただきますが、二〇一一年度、プライマリーバランス黒字化をさせるというのが当面の経済財政運営の目標でございますけれども、内閣府の試算では、昨年つくりました基本方針二〇〇六を踏まえて、五年間の歳出削減が、最大である十四・三兆円実施した場合で、なおかつ名目三%成長率の新成長経済に移行できたケースでは、増税をしなくても、基礎的財政収支はぎりぎり黒字化になります。しかし、経済成長が名目二・二%という程度に制約をされたり、あるいは歳出削減が十一・四兆円にとどまるケースでは、増税をしない限り、基礎的財政収支は赤字にとどまるということになります。

 先日、十月十七日の経済財政諮問会議で有識者議員が提出した資料によりますと、例えば名目成長率三%の場合でも、十一・四兆円の削減にとどまった場合は、プライマリーバランスは二〇一一年度で一・九兆円の赤字、これに必要な増税額は二・三兆円とされております。また、名目成長率二・二%にとどまった場合は、十四・三兆円削減しても、プライマリーバランス赤字は二・七兆円で、増税必要額は三・二兆円。さらに、十一・四兆円の削減にとどまったケースでは、プライマリーバランス赤字が四・八兆円で、増税必要額が五・八兆円、こういうふうになっておりまして、なかなか二〇一一年度のプライマリーバランスの黒字化というのも大変な目標である、甘くないシナリオであるというふうに思っておりますけれども、大臣の御見解をまず伺いたいと思います。

額賀国務大臣 石井委員が御指摘のとおり、試算どおり経済もうまくいき、きちっと歳出削減をしても、計算どおり二〇一一年度にプライマリーバランス、基礎的財政収支が黒字化になるということはなかなか容易ではない、ゼロベースにするのもなかなか楽観視するわけにはいかない、そういう認識を持っております。

 したがって、我々は、この目標に到達するために、持続的な経済成長を起こすためにはどうしたらいいのか。一方で、しっかりと歳出削減をきっちりと果たしていかなければならない。この二つのことを同時に進行させてプライマリーバランスの黒字化を実現していかなければならない、そういうことを強く感じております。

 そのためには、歳出歳入の一体改革を強力に進めていかなければならないということであると思っております。そういうことによって初めて国際的な信認も得ることができるというふうに思っております。

石井(啓)委員 なかなか大変な道のりでございますけれども、しっかり、政府・与党一体となって取り組んでまいりたいと存じます。

 ところで、もう一つの当面の財政運営では、基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げるということを二〇〇九年度までに行わなければいけないということになっておりますけれども、歳出歳入一体改革では、この基礎年金国庫負担割合を二分の一に引き上げるための財政需要も含まれて試算をされております。すなわち、税収の自然増により基礎年金国庫負担を二分の一にし、なおかつ基礎的財政収支を黒字化する可能性も、厳しい可能性ではありますけれども、ございます。また、民主党さんが少なくとも次の衆議院選挙までは消費税率引き上げに反対をしていらっしゃるという状況では、基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げる財源として消費税を充てるということは、来年度税制改正では政治的に難しい状況にございます。

 一方で、冒頭申し上げましたとおり、二〇〇九年度、平成二十一年度までにはこれを二分の一に引き上げるということは、十六年度成立をさせた年金制度改正法案の附則で位置づけられておりまして、そのためには十九年度中に二・五兆円の財源の見通しを立てなければいけないという時間的な要請もございます。非常に難しいこれからの運営を迫られているわけでございます。

 したがって、一つのアイデアとしまして、消費税以外の他の増収措置と税収の自然増との組み合わせで基礎年金国庫負担二分の一の二・五兆円の財源に充てるという考え方はどうか。このことについて財務大臣の御見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 今、石井委員がおっしゃるように、二〇〇九年度までに年金の国庫負担を三分の一から二分の一にふやしていかなければならないということは、これは法律で決められておりますし、それから年金制度改革でも、それが織り込み済みのもとで二〇〇四年の改革がなされているわけでありますから、これは、政府・与党としては確実に実現をしていかなければならない問題であるというふうに思っております。

 このために、政府・与党としては、先般、安心できる社会保障・税制改革をめぐる政府・与党会議というものを起こしまして、この問題に取り組んでいく体制をつくったところであります。この中で、財源をどういうふうに手当てをしていくか、消費税を含めた税体系の中でこれを考えて、結論を出していきたいというふうに思っております。

 石井委員がおっしゃるように、経済成長による増収とほかの税源を考え合わせてできればそれにこしたことはないけれども、これは、これからの議論を通じて、しっかりと形をつくっていくことが大事であるというふうに思っております。

石井(啓)委員 年金財政を安定化させるには、基礎年金の国庫負担を二分の一にするということはぜひ必要なわけでございます。連立政権合意でもこのことについては確認をしているところでございまして、難しい局面でございますけれども、知恵を絞ってぜひこれはやっていきたい、こういうふうに考えております。

 ところで、けさの日本経済新聞に、経済財政諮問会議の民間議員が、あす二十五日に提出する公的年金改革についての試算の全容というのが載っております。今、手元に持ってきておりますけれども、これによりますと、民主党さんの案に配慮されて、基礎年金を全額税で賄う税方式に移行した場合の試算がございます。

 現行の基礎年金の給付額をすべて税で賄う場合は必要な財源は約十二・四兆円ということで、消費税率に換算すると約五%。これまで保険料を払っていない人も含めて六十五歳以上の全高齢者に基礎年金を払う場合には、これに加えて消費税率で二%の追加財源が必要になり、合計の増税必要額は約十六・三兆円で、消費税率換算で七%に相当すると。

 すなわち、基礎年金全額税方式だとすると、消費税率で換算すると五%ないし七%の税率引き上げが必要になる、こういうことが出ておりますけれども、大臣はこの基礎年金全額税方式についてはどういう御見解なのか、伺いたいと思います。

額賀国務大臣 きょうの新聞をまだ読んでいるわけではありませんけれども、一つの考え方として、保険料方式でやるのか税方式でやるのか、そういう議論があることはよく承知をしております。しかもなおかつ、民主党の皆さん方が、基礎年金は税方式でいかがかという問題提起をしているということも承知をしております。

 年金制度というのは、国民の皆さん方は、これから少子高齢化社会の中でどういうふうに安定した形をつくってくれるかということが最大の関心であると思っておりますから、我々がこの問題について国民的な議論をする中で、最もよい方法をつくるのが政治家の役割であると思っております。

 しかし、我々は、昭和三十五年でしたか、この年金を保険料方式できちっと体制をつくってきて、長い間保険料方式で、みずからの責任と、そしてお互いに国民が助け合い、国もそれを支援するという形で今日の制度を形づくってきたわけであります。

 そういう長い間やってきた仕組みを税方式に変えていく場合に、国民の皆さん方がどういうふうに受け取っていくことが、感情的に、あるいはまた安心感を与えることにつながっていくのか。そういうことについてよく見きわめていかなければならない、議論をしていかなければならないということだと思います。

 それから、今、石井委員がおっしゃったように、税方式にした場合にその財源は一体どこに求めていくのか。そのこともしっかりと国民の理解を得ていかなければ、それは単なる学者の論理にしかすぎないということになるわけでございます。国民の皆さん方がその負担をきちっとやっていく形をとっていくことができるのかどうかというふうに考えるわけでございます。

 それから、税方式に移行する場合、これまでの保険料の取り扱いをどうしていくのかという問題も出てくるわけでございます。

 私どもは、これから、年金を含めて、社会保障制度について、全般の中でこの問題をとらえていかなければならないと思っております。年金だけやれば、社会保障制度、国民の皆さん方が安心するわけではない。医療とか介護とか、そういう連関性のある中で、どういうふうに国民の皆さん方に負担をお願いしていくのかということを考えなければならない。

 私は、この年金制度、国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる問題についても、あるいはまた、保険料方式あるいは税方式にする問題についても、我々政府・与党だけでは、この政治状況の変化した中では解決ができない限界があるわけでありますから、野党の皆さん、民主党の皆さん方とも、国民共通の課題であるこの問題について、しっかりとテーブルに着いて議論をしていって、現実的に国民が納得できるような形をつくっていくことが、まず議論をしていくことが大事であるというふうに思っておりますので、我々は、政府・与党で一定の方向づけをした場合には、野党の皆さん方に問題提起をし、この国会の場でそういう年金の問題や社会保障制度の問題が議論できるようにさせていただいて国民の信頼にこたえていきたい。国民の安心をつくっていく場合にどういうふうにしたらいいかを、国会として責任を果たしていくことができればいいというふうに思っております。

    〔委員長退席、後藤田委員長代理着席〕

石井(啓)委員 大臣おっしゃるとおり、国民の理解が得られるかどうかということが私もポイントだと思いますけれども、民主党さんの御主張のとおり全額税方式にしても、消費税率等の引き上げをしないで済むんだったらそれにこしたことはございませんけれども、なかなか現実はそうはいかないだろうというふうに思います。

 一方で、年金だけでなく医療や介護給付の増大もこれから予想されるわけであります。同じく十月十七日の経済財政諮問会議で有識者議員が提出した試算、二〇二五年度に医療・介護給付の給付を維持した場合に、債務残高GDP比を上昇しないようにするために必要な増税額というのが試算されておるんです。これは驚くべき額なんですけれども、十四・四兆円とか二十八・七兆円とか、消費税に換算すると六%とか一二%プラスです。そういう数字も出ていまして、それにあわせてさらに年金ということになると、今のヨーロッパ、中欧ないし北欧並みの消費税率、消費税であるとすると消費税率が必要になってくる。そのことを国民の皆様にどう御理解をいただくのか、このことが非常に大切になってくると思いますけれども、いずれ国民の皆さんに選択肢を示して御判断をいただかなければいけない、こういうふうに考えております。

 ところで、先ほど大臣がおっしゃいました、今週の月曜日に政府・与党で発足しました、社会保障と税制改革を一体で議論する会議ですけれども、この目的を確認していきたいと思います。

 私は、基礎年金財源の確保ですとか、あるいは二〇一一年度のプライマリーバランスの黒字化という当面の課題に対応するための税制改革と、それから、十年ないし二十年先の社会保障財源を確保するための税制改革という中長期的な課題とは区別して議論してはどうかと考えますが、大臣の御見解はいかがでございましょうか。

額賀国務大臣 石井委員の御指摘は正しい意見だと思います。

 先般の政府・与党会議におきましても、私からも、短期的に、来年度予算編成をめぐる社会保障制度や税制に関する問題、それから二〇〇九年に国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる問題、そういった問題を短期的な問題としてきちっと議論をし、論点整理をして、即座に答えを出していかなければならない。

 それから、おっしゃるように、中長期的な課題として、プライマリーバランスの実現、あるいは、これから社会保障の経費というのは、二〇〇六年で全体で九十兆円と厚生労働省は試算をしているようですが、これが、二〇二五年、二十年後には百四十一兆円になる。医療費なんかが毎年一兆円ずつふえていく。そういう負担について、やはり、若い世代と高齢世代のバランス、それから同世代のバランス、そういうことをよく考えながら、安定した財源をどうやって確保していくか、そういうことについてしっかりと議論をして国民の皆さん方に提示していくことが将来への安心感を与える最大の要因であるというふうに私は思っておりますので、政府・与党会議においてそういう中長期的な議論をして、しっかりとした方向性をつくっていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひ皆さん方の活発な御議論をしていただきたい。

 そういうものが政府・与党として固まれば、これはまた民主党を初め野党の皆さん方にも問題提起をして、この国会で与野党の協議機関ができれば、そういうところで議論をしていくことが大事であるというふうに思います。

石井(啓)委員 私、かねてから申し上げておるんですけれども、消費税を含む抜本的な税制改革と言われておりますけれども、その目標年次が二〇一一年度では、ちょっと手前過ぎると思うんですね。抜本的な税制改革と言うには、やはり、少なくとも十年ぐらい先を見通した改革を考えなければいけないのではないかということで申し上げさせていただきました。

 一つ直近の話題について申し上げたいと思うんですけれども、ことしの六月二十日の改正建築基準法の施行に伴いまして、建築確認申請数の減少や、あるいは審査期間の大幅延長によりまして、新規住宅着工件数が減少しております。

 今月の月例経済報告によりますと、ことしの四月から六月期の新設住宅着工戸数は、年率でいきますと百二十七万戸ベースだったんですね。これが、六月だけ見ますと、駆け込み着工ということで、年率で百三十五万四千戸ベース。ところが、七月になると、急に下がって九十四万七千戸ベース、八月になると七十二万九千戸ベースということで、大変な落ち込みになっております。

 このままでは国内景気への悪影響も懸念をされますけれども、見解なり対策なりということを国土交通省それから財務大臣にお伺いしたいと思います。

小川(富)政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震偽装問題の再発防止という観点から、建築確認検査の厳格化を柱といたします改正建築基準法が施行したわけでございますが、設計側、建築確認側双方とも改正内容に習熟していないこと等、運用面での問題から建築確認手続が遅延し、このため、住宅着工が大幅に減少している状況でございます。

 着工の先行指標でございます建築確認件数でございますが、木造二階建て住宅等の小規模建築物を中心に改善傾向は見られますが、依然として十分とは言えず、建築確認手続が遅延しております状況は早急に改善すべきものと考えております。

 国土交通省といたしましては、これまで、質疑応答集や審査マニュアルの作成、電話相談窓口の設置等、実務者に対する各般の情報提供等に努めてきたところでございますが、さらに今後、都道府県単位での説明会の開催や相談窓口の設置、各地での研修会等へのアドバイザーの派遣等、よりきめ細かな情報提供等に取り組むこととしておりまして、各都道府県等においてもその徹底を図っていただくよう、各都道府県知事あてに、総務省と連名で通知を発出しております。

 また、大工、工務店、建築資材関連業者、設計事務所など、関連中小企業の資金繰りなどの経済的懸念が懸念されますので、中小企業庁に関連中小企業者対策の要請を行いまして、十月九日より、政府系中小企業金融機関によるセーフティネット貸付及び既往債権債務の返済条件の緩和等の措置を講じていただいたところであり、さらに十月十六日には金融庁に要請を行いまして、全国銀行協会等の各金融関係団体に対しまして、関係中小企業向けの資金の円滑な供給への配慮について周知徹底をいただいたところでございます。

 今後とも、実務の現場に即しまして、きめ細かな情報提供を初め、建築確認手続の円滑化に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

額賀国務大臣 これは、経済動向、景気に対する影響についてですか。

 おっしゃるように、建築基準法の改正によって着工件数が大幅に減っているということ、それから、住宅だけではなくて企業の工場の建設なんかにも影響があると聞いております。

 住宅の場合も、テレビだとか家財道具だとか、波及効果が多いわけでございます。それから、工場の設備投資なども、経済成長にとっては重要な役割を果たすわけでございますから、我々も若干心配なところはありますけれども、そういう、件数は減っているけれども、若干タイムラグがあって、必ず仕事はまた起こってくることになるわけですので、できるだけこれは国交省においても努力をしていただいてスピードアップしていただくことをお願いすると同時に、我々も、経済動向について注意深く見守りながら今後の推移を考えてまいりたいというふうに思っております。

石井(啓)委員 あつものに懲りてなますを吹くということわざがありますけれども、新しい法律の施行に当たって、余りにも運用が厳格過ぎて、それで現場は大変な状況になってしまっている。簡単な変更でも申請を出し直すことを求められたりして大変現場が困っているというような話もよく聞きますので、ぜひ国交省さん、適切な運用を指導していただきたいと思っております。

 それでは、ちょっと時間が迫ってきましたので、最後に事業承継について質問させていただきたいと思います。

 中小企業の事業承継税制について、私ども公明党は、かねてより、欧米主要国に倣い、抜本的に拡充すべきというふうに主張してまいりました。

 ちなみに、欧米主要国でどういう事業承継がされているかといいますと、事業用資産の相続税の減額割合が、フランスでは一律七五%も軽減されている。ドイツでは一律三五%軽減がされている。今、国会では、十年間の事業継続という条件で一〇〇%の軽減を行う措置を盛り込んだ法案もドイツでは提案をされているようでございます。イギリスでは、非上場株式や個人事業主の事業用土地は一〇〇%軽減、会社が事業に用いている個人所有の土地、建物、機械設備等は五〇%軽減ということで、欧米では、成長の維持とかあるいは雇用の確保ということを既存事業の継続に担わせる、こういう政策意図でやっておるようでございます。

 我が国においても、同様に、経済成長の維持あるいは雇用の確保の観点から中小企業の事業を維持発展させるということが大切でございまして、この中小企業の事業承継税制の強化はぜひ必要だというふうに考えております。財務大臣それから経済産業省から、それぞれ御見解を伺いたいと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 地域経済の活力の源泉でもある中小企業の事業承継の円滑化というのは、委員御指摘のとおり、我が国の経済の活性化でございますとか、あるいはまた雇用の確保といった観点から、極めて重要な課題だと認識をいたしております。

 委員御指摘のとおり、欧米諸国では、近年、事業承継の税制が抜本的に強化をされてきておりまして、これらの政策の背景には、経済活性化でございますとか、あるいは、特に雇用の確保といったものを企業の事業継続に担わせようという、いわば共通の政策意図があるというふうに考えております。

 私ども中小企業庁といたしましても、事業の継続発展を通じた経済活性化あるいは雇用の確保というものを図る観点から、事業承継税制の抜本拡充を要望しております。具体的には、欧米諸国と同様に、相続後一定期間にわたりまして、雇用確保を含む事業継続を行うことを税制措置の適用要件というふうにすることを考えております。

 引き続き、先生方に御指導をいただきながら、中小企業の事業承継の円滑化による我が国経済の活性化を実現するために、事業承継税制の抜本拡充に向けて努力をしてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

 以上でございます。

額賀国務大臣 福田政権になったわけでありますが、福田総裁も、総裁選で事業承継問題について真剣に取り組むというのが公約でありましたし、我々も、地方の活性化それから地方の雇用を安定させていくためには、今でも、起業よりも廃業の方が多いという実態から考えれば、後継者をきちっと育てていくために、この承継税制というものについては積極的に取り組んで、地方の問題にこたえていかなければならないというふうに思っております。

    〔後藤田委員長代理退席、奥野委員長代理着席〕

石井(啓)委員 事業承継税制は連立政権合意にも盛り込まれたところでございますので、ぜひ実現をさせていきたいと思っております。

 以上で終わります。

奥野委員長代理 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 渡辺大臣におかれましては、引き続き大臣御就任、おめでとうございます。お父様の美智雄先生には大変お世話になりました。喜美大臣には逆にお世話になりまして、まさかここで足利銀行問題について質問をする機会が得られるとは思っておりませんでした。これも民主党の先生方の御配慮で二十五分間いただきましたので、どうぞ渡辺大臣におかれましては、信念を曲げずに、簡潔明瞭にお答えをいただきたいと思います。

 初めに、足利銀行が破綻処理された理由についてお伺いをいたします。一つ目は、破綻の理由についてでございます。

 当時、大臣は四つの説を、巷間うわさされているということで、よく話をされておりました。一つは、ペイオフ全面解禁を控えて新法導入をしたくて、そのスケープゴートにされたんだ、犠牲にされたんだというのが一つでございます。それから二つ目が、りそな銀行を国有化したときに、公的資金投入したときに、どうも債務超過だったんじゃないか、いや、自己資本比率はマイナスだったんじゃないか、そんな大変な非難があって、もうりそなで懲り懲り説というのが二つ目。それから三つ目が、対日投資促進説。小泉・ブッシュ会談でその話がまとまったからということでございます。そして四つ目が北朝鮮制裁説ということで、四つ説を述べておりましたが、足利銀行はなぜ破綻処理させられたのか、大臣の御所見をお伺いいたします。

渡辺国務大臣 たしか、その四つの説というのは、この財務金融委員会で私が竹中大臣に質問をしたときの見解だったかと記憶をいたしております。いずれの説も、委員御指摘のように、巷間言われている話を聞いたまでのことでございまして、私がそれらの説を唱えているということではないわけでございます。

 いずれにしても、足利銀行の破綻は、平成十五年の九月期の決算において債務超過になるという報告と破綻の申し出があったわけでございます。債務超過の銀行に対しては、御案内のように、預金保険法百二条の一号措置、資本注入の規定、これが適用にならないというのが日本の預金保険法の体系でございます。

 この規定についても、私は以前、政府の中にいたときではございませんが、システミックリスクの発生のおそれがある場合には、債務超過であると否とにかかわらず資本注入という例外的な危機対応システムは認めるべきではないかと唱えていた時代もございます。

 しかし、法の体系が、百二条において、債務超過行には一号措置を適用しないということになったわけでございまして、三号措置、特別危機管理銀行として国有化が適用されるということになったわけでございます。

福田(昭)委員 それでは、まるっきり竹中大臣と同じじゃないですか。

 それでは、大臣、預金保険法百二条一項で、地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある場合、その場合に危機管理銀行とするんだという話でございますが、それは具体的にどんな状態ですか。御存じですか。

渡辺国務大臣 これは預金保険法改正法案の審議をやっているときの当時の林芳正大蔵政務次官の答弁にある表現でございますが、「具体的に例えばということで申し上げますと、ほかの金融機関の連鎖的な破綻が発生するような場合ですとか、連鎖的にほかの金融機関の資金繰りが困難になる場合、またあるいは大規模な貸し出し抑制や回収等資産の圧縮を進める動きが生じるようなおそれがある場合、こういうことが例示としては挙げられる」という答弁がございます。

福田(昭)委員 私はこう承知しているんですが、国会答弁の中で、預金の大幅な流出、それから二つ目が株の暴落、三つ目が大規模な貸し渋り、四つ目が連鎖倒産の可能性、この四つを金融庁は挙げているんですね。その当時、足利銀行はこの四つの具体的な状態はありましたか。

渡辺国務大臣 今委員が挙げられましたいわば危機的な事態というのは、法の中では、まさにそういうおそれがある場合に百二条の適用を行っていくということでございます。

 御案内のように、足利銀行というのは大変シェアの大きい銀行なんですね、五割を超えているということでございますから。そういたしますと、健全性に問題があるということを放置しておきますと、まさしくそのようなおそれは出てくるわけでございます。したがって、平成十五年の十一月二十九日、金融危機対応会議の議を経て、三号措置と相なったわけでございます。

福田(昭)委員 それは違うんじゃないですか。

 金融庁は、当時、平成十五年三月期の決算の検査に足銀へ入ったんですね。そのときに、足利銀行を無理やり債務超過にするために何をやりましたか。担保物件の評価方法を変えたんじゃないですか。積算方式から収益還元法に変えて、無理やり債務超過、一千二十三億円を出したんじゃないですか。いかがですか。

渡辺国務大臣 担保物件の収益還元法というのは、これは金融検査マニュアルに定められていることでございます。例えば、ゴルフ場とか旅館とかホテルなどの収益物件、貸しビルなどもそうだと思いますが、これらの評価に当たっては、公示地価、売買事例による評価法、再調達原価法に加えて収益還元法による評価を行うことが望ましい、こういう規定がございまして、そのような一般的な規定を使って評価をしたわけでございまして、とりたてて足利銀行に厳しくこの評価法を持ち込んだというぐあいにはなっていないわけでございます。

福田(昭)委員 それは違うんじゃないですか。

 今まで、収益還元法は都銀にしか適用しておりませんでした。このとき地銀に初めて、足銀に使ったんですよね。ですから、実態は何も変わらないのに、土地が下落していたから担保物件の評価が下がったんです。結局、先ほど申し上げたように、金融庁が言っているような地域金融に重大な支障、おそれのある具体的な四つの状態に該当しないから、足銀を取りつぶすためには債務超過にするほかはない。そのためには担保物件の評価を下げてやるほかない。そういうやり方をとったんじゃないですか。大変大きな問題ですよ。これは国家権力の濫用ですよ。

 それで、全部できなくなっちゃうからその先へ進みますけれども、私は、足利銀行は、もともと業務純利益も五百億を上げるような地力のある、力のある銀行でしたから、一号措置にして、公的資金を三千億円も投入して、頭取以下役員をかえれば、もう自力で再建できましたよ。そうすれば、県民の大事な資産、二千億も三千億も毀損することはありませんでしたよ。いかがですか。

渡辺国務大臣 一号措置にすればよかったではないかという思いは、栃木県の皆さん方は非常に多くの方々が抱いておられる思いだと思います。私も、地元の人間としてその思いはよくわかります。

 先ほども申し上げましたように、法の体系が、債務超過であるかなしか、こういうぐあいに切り分けられているんですね。そういたしますと、債務超過であるかないかということが、太平洋に行くか日本海に行くかの分水嶺になるわけでございまして、これはもういかんともしがたい話でございます。

 足利銀行においては、まさしく債務超過でありますということで破綻の申し立てが行われたわけでございまして、それを放置しておくというのは、まさに金融行政、金融監督当局としては許されないことでございました。そのような形で金融危機対応会議が開かれたものと承知いたしております。

福田(昭)委員 それは違うんじゃないですか。

 現在の国立の足利銀行の再建状況を御存じですか。不良債権として引き当てたものが幾ら戻ってきているんですか、三年間のうち。一年で九百五十億も戻ってきたときもありますよ。十九年三月期の決算でも、多分二百億ぐらい戻っていますよ。ですから、債務超過にした一千二十三億、もしかして全部戻ってきているんじゃないですか。ということは、担保物件の評価を下げたもの、下げて債務超過にさせたものは全部黒字として戻ってきているんじゃないですか。いかがですか。

渡辺国務大臣 そういった引き当ての戻しはあるにしても、まだ、残念ながら、足利銀行、相当債務超過の状態が続いているわけでございます。私の立場としては、今第三段階にございますので、ぜひこの債務超過額を圧縮していただくような経営努力を行っていただきたいと考えております。

 御指摘のように、業務純益が四百億円を超えるものを毎年出していただいているのは大変結構なことでございますが、債務超過状態がそれによって解消されたという段階にはまだ至っていないのが現実でございます。

福田(昭)委員 何か歯切れが悪い答弁ですけれども、次の質問として、どうですか、大臣、足利銀行の破綻の真相を究明する決意、意思はありますか。お伺いをいたします。

渡辺国務大臣 委員御案内のように、破綻の経緯につきましては、平成十六年の十月に、足利銀行が新経営陣のもとで調査を行い、公表をしているところでございます。この公表された報告書においては、まさに足利銀行がなぜ破綻をしたかということが克明に書かれているわけでございます。一々私が紹介していますと時間が過ぎてしまいますので、ぜひこの報告書をごらんいただければと思います。

福田(昭)委員 大臣、大臣が出した「国会だより」、これは平成十六年の二月十五日、第二百六十号ですけれども、ここには、一月五日と六日の大臣の新年会で、「足利銀行は国から無理矢理破たんさせられた。」こう述べて、これは書いてあるんですよ。そうしたら、栃木県出身の金融担当大臣として真相を究明する責任があるんじゃないですか。いかがですか。

渡辺国務大臣 当時、私は野党みたいなものでございまして、政府の中にいたわけではございませんので、政府の中のいろいろな情報というものは知る立場にはございませんでした。また、野党的な立場であったということでございます。

 したがって、その当時の私の発言をとらえて今と違うではないかと言われても、これは、今私は、金融大臣として、地元の立場ではなくまさに国民全体の立場に立たなければいけないことでございます。したがって、地元密着型金融の足利銀行の再生を図るという点では、地元の金融仲介機能が永続的な形で行われるということはよく考えておりますけれども、四年前の私の立場も御理解をいただきたいと思います。

福田(昭)委員 渡辺大臣がいかにいいかげんな人間かというのがよくわかりました。本当にでたらめな人間ですね。

 私はこう思いますよ。まず、足利銀行を破綻させる。そして二つ目は、検査に入り、担保物件の評価方法を積算方式から収益還元法に変えて、債務超過に陥れる。そして、監査法人によって繰り延べ税金資産を全く認めさせない。足銀みずから、債務超過です、自己資本比率もマイナスです、経営ができないのでお助けくださいとみずから申請させるように持っていったんじゃないですか。そこを大臣がしっかり究明しなかったら、あなたはもう栃木県で生き残れませんよ。どうですか。

渡辺国務大臣 ちょっとそのくだり、よくわかりませんでしたけれども、当時、私が福田昭夫知事にも申し上げていたことは、足利銀行はこのままでいくと相当危ういことになりかねませんよ、したがって、栃木県が足利銀行の支援を行わないと破綻処理という可能性もなきにしもあらずだということは申し上げたかと思います。当時の旧経営陣に対してもそういうことは申し上げたわけでございまして、今委員が読み上げられたくだりはそういうことを意味しているのではないでしょうか。

福田(昭)委員 これは我が党の皆さんにお願いして、ぜひ国政調査権を使ってそのときの真相究明をお願いしたいと思います。これは確実に国家権力の濫用、国家の犯罪ですよ。それは、ぜひ国政調査権で明らかにしていただきたいと思います。後刻、理事会でお願いをいたします。

奥野委員長代理 その件は、後刻理事会で検討させていただきます。

福田(昭)委員 それでは二つ目ですけれども、次に、新銀行東京について、これは時間がありませんので感想だけ伺います。

 当時、渡辺大臣が、ぜひ足利銀行の受け皿として県民銀行をつくれ、すばらしい石原知事が、都民銀行をつくるんだ、こういうことでスタートした都民銀行が、わずか二年で大変な八百四十九億円という累積赤字を抱えて、もう風前のともしびですよ。息子さんもいらっしゃいますが、風前のともしびです。これはどう思われますか。

渡辺国務大臣 当時、私が野党的立場で県民銀行構想というのを提案した背景には、一種の危機管理、非常時対応という意味があったわけでございます。したがって、非常時対応において地元の利益を守るという場合に、国に幾ら頼んでもそれは難しいですよということを申し上げたわけでございまして、福田昭夫知事の時代にその構想を取り入れていただいておればまた話は違ったのかもしれませんけれども、残念ながら、福田昭夫知事はそういう提案にお乗りにならなかったわけでございまして、まさに三号措置が粛々と行われて、今日に至っているということでございます。

 一方、新銀行東京については、一々私が個別行の経営について口を差し挟むことは控えたいと思いますが、十九年三月期に赤字決算を出しております。あわせて、新たな中期経営計画を公表しております。これをベースに、不良債権の抑制、経費削減に努めているものと承知をいたしております。

福田(昭)委員 本当に大変でたらめなことがだんだんよくわかってしまうんです。

 それでは次に、足利銀行の受け皿について、時間がなくなってきましたので、いきたいと思いますが、一つ目は、国立の足利銀行の経営計画の履行状況についてお伺いしようといたしましたが、時間がなくなりましたので省略をいたします。こちらの方は、言ってみれば予定どおり再建が進んでいるということでありまして、まさに、公的資金を投入して頭取以下役員をかえておけばしっかりと自力再生できた、そういうことを証明してくれるような再建状況だと私は思っております。

 そうした中で、大臣が当時言っておりました、債務超過銀行には企業再生は無理だと言っておりましたが、国立の足利銀行はどうでしたか。企業再生はできましたか、できませんでしたか。

渡辺国務大臣 足利銀行の企業再生は、産業再生機構やRCCの再生機能、あるいは中小企業支援協議会、また地域再生ファンドなどを使いながら、モデルケースとして非常に大々的に行われてきたと思います。

 私があの当時申し上げました、債務超過行にはこういった事業再生をやるというリスクをとるのは非常に難しいよということを申し上げたのは、まさに当時の野党的立場で言ってきたわけでございまして、そういうことも、大々的に企業再生、事業再生をやっていこうという必死の思いにつながったものと思っております。

福田(昭)委員 次に、受け皿の選定ですけれども、いよいよ最終段階に入ったということでございますが、どうも新聞報道によりますと、地銀連合と野村証券グループと二つに絞られたということでございますが、こちらの方には、どちらにもオリックスは入っておりませんか。

渡辺国務大臣 受け皿候補が第三段階において幾つになったとか、どこが入っているとかいうことは、一切私どもは公表いたしておりません。

 したがって、今の委員の御質問にもお答えすることは不可能でございます。

福田(昭)委員 大臣、それはおかしいんじゃないですか。

 一切公表していないというのが、なぜ新聞には書かれるんですか。あの新聞は間違いですか。

渡辺国務大臣 それは報道機関に聞いていただきたいと思います。

福田(昭)委員 全く無責任ですね。だって、報道機関だって、どこからか資料をもらわなくちゃ書きませんよ。それは報道源の秘匿の原則がありますから、報道機関だって、だれからもらったなんて言いませんよ。

 しかし、これは明らかに秘密漏えいですから、国家公務員法違反ですよ、大臣。あなたは公務員を担当しているんじゃないですか、今、行政改革で。どうなんですか、これは。いかがですか。

渡辺国務大臣 私が聞いているところでは、内部から情報を漏らしたとかいう話は一切ございません。

 いずれにしても、幾つ第三段階に進んだか、どこが進んだかということは、一切公表しておりませんし、漏らしてもおりません。

福田(昭)委員 それはうそでしょう。

 だって、いずれ、十二月になるのか何月になるかわかりませんが、受け皿が決まって、発表したら、はっきりするでしょう。地銀連合になるのか、野村グループになるのか、決まれば、大臣の今の話がうそだというのがわかっちゃいますよ。そうじゃないですか。

 ぜひそこはしっかり、それこそ、いろいろなところで公務員の不適正な行動、行為が問題になっておりますよ、今。防衛省もそうです。社会保険庁も厚生労働省もそうです。いろいろなところが問題になっておりますよ。それを担当する、所管する大臣が、だれが秘密を漏えいしたんだか明らかにしない。公務員の秘密を明かした者は明らかにせずに、しかも、無理やり破綻させた原因は究明しないというんですよ、大臣、あなたは。そっちの方が大事じゃないですか。栃木県のためだけじゃないですよ。足銀がなぜ破綻させられたかというのを究明することは、日本国民全体の関心ですよ。それは、国民の利益を守るか守らないか、こういう話ですからね。栃木県だけの利益を守るという話じゃありませんからね、大臣。その辺を間違わないでいただきたいと思いますね。

 それから三番目。ちょっと時間をいただきましたので、あと五分ほどいただきましたので、三番目の質問をさせていただきますが、今回の受け皿には、大臣が言っておりました県民銀行、栃木県民銀行は入っていないんですか。お伺いいたします。

渡辺国務大臣 受け皿候補にどこが入っているかということは、一切公表いたしておりませんし、コメントいたしません。

福田(昭)委員 皆さんのお手元に、当時の、平成十九年十月二十四日の下野新聞を配付させていただきましたが、済みません、十六年五月十七日ですね、失礼をいたしました。十六年の五月十七日の下野新聞を見させていただきましたが、渡辺大臣は、当時、債務超過行に企業再生は無理だ、だから、国立の足利銀行にはとても企業再生はできない、したがって、栃木県が郵政から三百五十億円借りて県民銀行をつくれ、そうすれば、栃木県の経済、企業が再生されるということで主張しておりました。

 そして、渡辺大臣は、念願かなって、渡辺大臣の言うことを何でも聞く知事をつくったんじゃないですか、そして、本人は、みずからがすべての権限を持つ金融担当大臣になったんじゃないですか。県民銀行をつくれる条件、すべてそろったんじゃないですか。

 いかがですか。なぜ入っていないんですか。

渡辺国務大臣 この新聞記事を読みますと、当時は私が野党、福田昭夫知事が政府・与党という位置づけになっているような構図であることがよくわかりますね。ですから、私はまさに野党的立場で、こういったプランを提唱したわけでございます。(発言する者あり)いやいや、そうじゃないですよ。ばかにしていませんよ。野党的立場でこういうすばらしい提案をしていたということを言いたいわけでございます。(発言する者あり)野党的な立場で提案をするのは、これは大いに結構なことじゃございませんか。ですから、私はそういうことを、当時、福田昭夫知事に御提案をしたわけでございます。

 これは、先ほども申し上げましたように、一種のコンティンジェンシープランなんですね。非常時対応プランであって、まさにこのときは破綻後まだ半年しかたっていない、そういう時点での話でございます。ですから、もう四年もたってしまった今の時点で、その当時のプランが今どうなのかと言われても、これは非常時対応プランという位置づけは今は全くないわけでございますから、そういうことはぜひ御理解をいただきたいと思います。

福田(昭)委員 全く無責任ですね。

 あんなに県内で騒いだのは何だったんですか。全く政治家としての信念も何もない渡辺喜美ということですね。全くびっくりいたしました。本当に、栃木県で言ってきたことと今国会で言っていることと全く違う。二枚舌、ダブルスタンダード渡辺喜美。よくわかりました。

 そろそろ時間もなくなったようでございますので、最後に、渡辺大臣、私がこんなことを申し上げるまでもありませんが、論語に「過ちて改めざる、これ過ちという」という教えがあるんですよね。ぜひ、渡辺大臣におかれましては、改めてほしいなと思いますね。今までおれが言っていたことはみんな間違っていたというふうに、そして、栃木県民におわびをしてほしい、私はそう思うんですが、本当に、ぜひ、期待をいたしております。

 貴重なお時間をいただいた民主党の皆様方に感謝を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

奥野委員長代理 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木克昌でございます。お時間をいただきまして、少し、政治は生活だ、国民の生活が第一だ、そういう視点で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 十月に入って、いろいろな機関が数値、データを出しておりますが、ちょっと二、三出させていただきたいと思います。

 内閣府が十月五日に発表した景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が八三・三%となり、五カ月連続で景気判断の分かれ目となる五〇%を上回った、つまり、イザナギ景気を抜いていわゆる戦後最長となったのは昨年の十一月でありましたけれども、さらにそれを延長しておる、こういう発表がありました。

 一方で、街角景気は六カ月連続で低下、これが出されております。同じく内閣府でありますけれども、十月九日に発表したいわゆる九月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景況感を示す現状判断指数は四二・九ということで、前月に比べて一・二ポイント下がった。まあ、結論だけ申し上げますと、要するに、六カ月連続の低下であるということです。

 もう一つだけ申し上げます。上半期の企業倒産件数は前年比二三%増。帝国データバンクが十月十二日に発表した全国企業倒産、負債総額一千万円以上の集計によると、〇七年度上半期の全国倒産数は五千五百三件で、前年同期を二三・五%上回ったということであります。

 そして最後に、日銀は十月十五日に、いわゆる全国の各支店長の情報をもとに経済情勢をまとめた十月の地域経済報告を出したわけでありますが、ほとんどの地域で拡大、回復の動きがあるということでありますけれども、ただ、北海道、そして近畿、九州・沖縄は、それぞれいわゆる下方修正になった。つまり、〇六年十月から続いていたすべての地域での拡大、回復の動きはとまったということであります。

 今、二、三の数値を申し上げたわけでありますが、そういった状況の中で、私は今から少し質問をさせていただきたいと思います。

 今申し上げたように、景気はよくなった、回復しているというふうに政府は言っておるわけでありますけれども、よくなっているのは、ごく一握りの大企業、富裕層、そして大都市であるということは明らかでございます。したがって、多数の一般庶民や中小企業、または地方は、景気回復の恩恵に浴することがない、そして、不況にあえいでいるというのが実態であるということでございます。

 そこで、結論を申し上げますけれども、ことしの経済財政白書に、賃金がふえていないというような分析結果が出ておるのは御案内のとおりでございます。それで、私は、きょう、まず最初にお伺いしたいのは、なぜ賃金所得がふえていないのか、その原因を政府は今どのようにとらえているのか。ここからまず御答弁をいただきたいと思います。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇二年を初めに始まりました今回の景気回復局面におきましては、雇用者数が増加するなど雇用環境が改善する中で、企業から家計への波及が緩やかに進んでまいりました。しかしながら、今御指摘のように、賃金の伸びにつきましては二〇〇六年の半ばごろから鈍化しております。足元では賃金が伸びず、消費はおおむね横ばいで推移するといったことなど、企業から家計への波及に足踏みが見られるという状況でございます。

 このように、最近、雇用者数が増加する中で賃金が伸び悩んでいるということの背景といたしましては、引き続き、相対的に賃金の低い非正規雇用者の比率が高まっているという状況もありますけれども、それに加えまして、例えば、相対的に高い賃金を得ていた団塊世代の退職が始まっていまして、それによって平均的な賃金が押し下げられているというようなこと、あるいは、ボーナスを含む特別給与がこのところ低調に推移しているというようなことがございます。

 このような幾つかの要因がございまして、これらが複合的に影響しているというのが現状であるというふうに考えております。

鈴木(克)委員 私、今ここに、厚労省が出した毎月勤労統計というのを持ってきておるわけですけれども、労働者の現金給与総額というのが、これは事業規模五人以上ということでありますけれども、十九年一月から、名目も実質も全部マイナスなんですね。例えば、十九年一月から七月まででありますけれども、すべてマイナスですけれども、名目で一・二、一・〇、〇・一、〇・二、〇・二、〇・九、一・七。実質でも一・二、〇・八、〇・一、〇・二、〇・二、〇・七、一・六ということで、明らかにこういうような状況になっておるわけですね。

 これで、一方は、景気はよくなった、回復したということを言いながら、こういう現状を今お認めになったわけでありますけれども、では、これに対して政府はどういう手を本当に打ってきたのかということでございます。

 企業はもうかっておるけれども、一般の国民はだんだん生活が苦しくなっておるということは、今申し上げた数値でもおわかりいただけると思うんですけれども、これでは日本という国が豊かであるということは到底言えないわけであります。

 今、会社はだれのものかというふうに聞きますと、会社は株主のものだというような答えが返ってくる時代になっております。しかし、私は、日本では古来、会社は社長を初め従業員のものという考え方があったというふうに思います。また、そういう意識であったと思います。会社は半分は株主のものであるけれども、半分はそこで一生懸命額に汗して働いておるいわゆる従業員のものである、これが本来の姿ではないのかなというふうに私は思っています。

 しかし、現実はどうなっておるかということでありますけれども、株主配当は三割増の十六兆円、これは本年九月二十七日の日経新聞であります。そしてまた、取締役報酬が二一%増、主要百社の調査でありますが、上場企業の取締役報酬がふえておる。主要企業が二〇〇六年に支払った一人当たり取締役報酬額は六千三十万円と、二〇〇五年度に比べ二一%伸びた。いわゆる業績連動型の報酬制度が広がり、ここ数年の業績好調を反映している。会社法の施行に伴い、昨年度からストックオプションを取締役報酬に含めたことも増加原因だということであります。

 これは一体全体、一方で働いている人たちの給料は明らかに下がっておる、一方でいわゆる配当とか役員報酬がふえておる、こういう現状を目の当たりにして、政府は何か手を打っておるのか。それよりも、まずこの現状をどのようにお考えになっておるのか、御答弁いただきたいと思います。

齋藤政府参考人 今の御質問は、いわゆる格差問題について、その理由についてはどういうふうに考えているかというお尋ねであったかと思います。

 格差問題につきましては、さまざまな側面あるいはさまざまな尺度がございますけれども、例えば世帯単位の所得格差ということで申し上げますと、確かに長期的には緩やかな拡大傾向を示しております。

 ただ、この背景について考えますと、一つには、非正規雇用が趨勢的に増加しているということが挙げられます。これは、グローバル化が進展するという中で、企業の人件費削減あるいは雇用の柔軟化へのニーズが高まっておりまして、その中で労働者が積極的に、あるいは正社員になれずにやむを得ず、こうした働き方を選択した結果であるというふうに考えております。

 それからもう一つは、世帯の構成比の変化が挙げられます。すなわち、他の年齢層に比べまして相対的に所得格差が大きい高齢者世帯が増加している。あるいは、平均的な世帯人員が今縮小しておりますので、相対的に所得の少ない世帯が増加している。こういったことが、全体として見た格差を拡大させている要因かと思われます。

 委員が御指摘のように、非正規雇用の増加ということにつきましては、こういった、労働者の技術が身についていかない、あるいは職業訓練の場が与えられないということで、将来の格差の固定化あるいは格差の拡大につながるおそれもございますので、十分な注意が必要だというふうに考えております。

鈴木(克)委員 内閣官房にお聞きした方がいいのかと思いますが、今申し上げたような状況に対して、政府はどのような地域活性化といいますか、格差問題も含めて対策を考えておるのか、そのところを御答弁いただきたいと思います。

木村(勉)副大臣 地域活性化の立場からお答えをいたします。

 これまでも、地域の活性化については、政府として重要な課題と認識し、構造改革特区、地域再生などの施策を用いて取り組んできたところであります。

 その結果、例えば特区では、昨年九月の調査における地方公共団体の回答を合計したところ、主な特区における経済効果で、設備投資額は約五千三百億円の増で、年間売上高、取扱額は約五千二百億円増、コスト削減額は約百五十億円削減、就業者数は約一万四千人増、年間交流人口は約百五十万人増という数字が出ております。

 しかしながら、近年、地域間の格差と言われる問題が生じているところから、これらの実態から目をそらすことなく、それぞれの実情に応じた施策を集中的かつ効果的に講じることにより、地域の再生を果たしていくことが必要と認識しております。

鈴木(克)委員 今、副大臣は、集中的かつ効果的にというふうにおっしゃったわけでありますけれども、結論から言うと、結局、輸出で助けられているんですよね。輸出関連企業が収益を上げておるということで、そういうところの業種というか、そういう企業のないところは何ら景気が回復していない。ここに非常に大きな問題があるというふうに私は思っています。

 十月九日に、今ちょっと副大臣も触れられましたけれども、都市再生本部の事務局だとか構造改革特区だとか地域再生本部だとか、中心市街地の事務局を統合されたということでありますけれども、施策が本当に統一化されていないし、個々ばらばらの方策が、ある意味では無策と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、私はやはりそういうふうに思って、その結果が今日のような格差にもなり、そしてまた、勤労者にとって非常に生活しにくい日本になっておるということが言えるのではないかなと思います。

 続いて、私、質問させていただきますが、先ほど渡辺大臣は野党的立場でとおっしゃったので、私は与党的立場で、ぜひひとつ御提言を含めて申し上げたいわけですけれども、早稲田大学の田村教授がある本に書かれておるんですけれども、地域格差の是正策は、EUを初め世界じゅうで実施されていると言われておる。そして、EUでは低開発地域に対する補助金の分配や開発プログラムを全地域の地域代表が集まって協議、決定する、つまりEU全体の地域政策が定期的な地方自治体諮問会議によって行われる、日本の地域政策もこの方向を探るべきだろうと述べてみえます。

 こうした政策について、政府はお考えになったことがあるのか。そして、もし考えたことがなければ、このEUの例を参考にしながら、疲弊にあえいでおる地域対策を進めるというお考えはないか、御答弁をいただきたいと思います。

木村(勉)副大臣 地域間格差の是正策については、国によってさまざまなものがあり、我が国にも例えば地方交付税制度のような財政調整制度が存在をしております。しかしながら、地域間の格差と言われるさまざまな問題が生じていることから、それぞれの実情に応じた施策を集中的かつ効果的に講じることにより、地方の再生を果たしていくことが必要と認識しております。

 政府としては、地方の再生に向けた戦略を一元的に立案し実行する体制として地域活性化統合本部を設置し、九日に第一回目の地域活性化統合本部会合を開催するとともに、地域活性化統合事務局を発足させたところであります。

 今後、地域のことを一番知っている住民の皆様方の発想を起点にしつつ、それを政府がしっかりと後押ししていくことを考えながら、省庁横断的、施策横断的な取り組みを講じるため、総理の指示により、十一月中を目途に、地方再生のための総合的な戦略を取りまとめていきたいと存じております。

 なお、EUについてのことは、国との違いもありますから、政府の方としては別にEU方式で地域の活性化をやっていこうという検討はまだしておりません。

鈴木(克)委員 今、副大臣が省庁横断的というふうにおっしゃったわけでありますけれども、私はぜひここで御提言申し上げたいのは、要するに、役所の中だけを、縦割りを横断的にやるからそれでいいんじゃないか、そういうことではなくて、地域の声を聞く、そういう仕組みをこの会議の中に入れていかなければ、結局また地域、実態とかけ離れた対策がなされて、実効性のないものになってしまいますよということでありますので、これは意見として申し上げておくんですが、ぜひひとつ、この地域活性化統合事務局ですか、これはもう確かに立派なものができたでしょう。しかし、そこの中に本当に地域の声が入るような、そういう仕組みづくりを私はぜひお願いを申し上げておきたい、このように思います。

 では、続いて、日銀にお越しいただいておりますので、二点ほどお伺いをしたいというふうに思います。

 きのう、我が党の大畠議員とそれから渡辺議員の中で、日銀の使命という話がありました。日本銀行法の第二条に「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」こういう条項があるのは御案内のとおりでございます。

 そこで、現況の物価とか景気を含めて、二点ほど日銀にお伺いをしていきたいというふうに思うんですが、今申し上げたように、日銀の業務の目的は、言うまでもなく物価の安定だということになるわけでありますが、これは、当然のことながらインフレのみならずデフレに対しても言えることだというふうに思います。現実を見てみると、いまだ政府がデフレ脱却の宣言を出していないということに示されておるように、我が国経済は目下デフレ状態にある、私はこのように思っています。

 平成十一年に消費者物価がマイナスを示すようになってから、八年になるわけであります。この間、日銀がゼロ金利政策を継続してきたことはもちろん承知をしておるわけですけれども、しかし、この物価安定の観点から、デフレについて日銀はどのような見解を持ってみえるのか、まずお示しをいただきたいと思います。

稲葉参考人 デフレについてでございますけれども、このデフレという言葉でございますけれども、これは人によってさまざまな意味に使われることがございます。例えば、物価の下落というのをデフレというふうに指す場合もありますし、土地とか株といった資産価格の下落をデフレといったようなことで表現することもあります。さらに、景気が悪いとか経済活動の落ち込みといったものをデフレと表現することがありまして、物価指数の下落に関しましても、例えばそれがどの程度の幅で、どのぐらいの期間で続くかによっても、それをデフレと言うか言わないか、人によって論じ方が違うというのが実情だと思っております。

 したがって、こういったデフレという言葉は注意して使っていく必要があるなというふうに思っておりますが、日銀として大切なことは、日本経済が物価安定のもとで持続的な成長を続けていくことができるかどうかということがポイントではないかというふうに考えております。委員が先ほど御指摘にありましたように、日銀法におきましても、金融政策の目的は、物価安定を通じて国民経済の健全な発展に資することというふうに記されておりますが、これもそうした考えに基づいているのではないかというふうに思っております。

 そういった観点から現在の日本経済を見てみますと、景気は緩やかに拡大をしております。そして、先行きについても、息の長い成長を続けていくと考えております。

 一方で、物価面の方でございますけれども、消費者物価の前年比、足元ゼロ%近傍でございます。目先も、物価は前年比がゼロ%近傍ですから、言ってみれば、横ばい圏内で推移するという可能性が強いと考えておりますし、より長い目で見ますと、プラス基調を続けていくというふうに予想されます。

 したがいまして、日本経済は物価安定のもとで持続的な成長軌道にあるんだ、今後とも息の長い拡大を続けていく可能性が高い、こういうふうに考えておりまして、こういった状況をできるだけ長く続けていくことというのが大事なことではないかと考えております。

鈴木(克)委員 今いろいろおっしゃったわけでありますけれども、やはり、いわゆる物価を通して民生の安定を図っていくということであるならば、もう少し、日銀のリードというのか、そういった姿勢が示されてもいいのではないのかな、こんなふうに私は思って、今のお話を伺っております。

 続いて、いわゆる物価がそういう状況にあるにもかかわらず、賃金も横ばいないし下落をしておる。先ほど私は数値を申し上げたとおりであります。百貨店の売り上げも横ばい、そして、あえて言えばマイナスかもしれません。結局、先ほどから申し上げているように、大企業の収益は拡大をし、そして、それに伴って設備投資は伸びても、人々の所得が伸びないがゆえに、消費が一向に伸びていない、こういういわゆる循環だと思うんですね。

 最近は特に心配な傾向がありまして、所得が伸びない中で、いわゆる原油価格が想像を超えて上昇しておるということ。それから、例えば海外のトウモロコシの話でわかるように、いわゆる原材料が値上がりをしておる。ということで、要するに、ガソリン価格だとか食料品が値上がりするという傾向があるわけですね。結局これは、庶民に、家計にもろ響いてくるわけですよね。

 こうした状況を、まず日銀は、ではどのように今考えてみえるのか、御答弁ください。

稲葉参考人 家計の状況についてでございますけれども、我が国経済は息の長い拡大を続けておりまして、そのもとで、企業部門は好調なのでございますけれども、それと比べると、確かに家計部門の改善というのは緩やかなものにとどまっているというふうに見ております。

 先ほど来御議論にありましたように、実際に一人当たりの賃金がやや弱いといった面もございますが、しかし、このところ、失業率は四%を切ってまいっておりますなど、労働需給は引き締まりの傾向にありまして、雇用者数は増加しております。そういうことから、雇用者所得は緩やかに増加しておりまして、個人消費につきましても、目立って高い伸びというのはなかなか期待できないかもしれませんけれども、緩やかな増加基調でいくもの、こういうふうに考えております。

 そこで、委員御指摘の家計の受けとめ方でございますけれども、実際、日銀で実施しております生活意識に関するアンケート調査、これの最新の結果でも、現在の景況感、家計がどう見るかについて、変わらないという回答が六割はあったわけですけれども、悪くなったという回答も、実は若干増加しております。同じ調査の「物価に対する実感」というような問いに対しては、ガソリンや食料品など身近な商品の値上がりを反映して、上がったという回答を示す先がふえているということでございまして、したがって、委員御指摘のとおり、こうした物価の実感が家計の景況感に何がしか影響を与えているという可能性がございます。

 ということで、家計の動向につきましては、先ほど申しましたように、緩やかに改善していく、こういうふうに考えてはおりますけれども、今申し上げたようなマインドの面などについては、今後ともよく見ていく必要があるのではないかというふうに考えております。

鈴木(克)委員 日銀に対する質問は以上にさせていただきたいと思いますが、私が申し上げたいのは、要は、どこに目線を当てるかということなんですね。さっき申し上げました、景気のいい大企業、そして富裕層、明らかにそういうところはありますよね。だから、全部をならしてしまえば、何にも悪くないじゃないかということなんですが、先ほどから言っているように、要するに、格差なんですね。明らかに困ってみえる人たちがふえておる。その人たちは、まさに今家計を直撃されて大変な状況にある。どこに光を当てていくかというか、目線を当てていくのかということだと私は思うんです。

 そういう意味で、私はぜひ、物価の中心に景況感を見ていくということであれば、そういうようなスタンスというのを、なかなか、支店長さんを集めて、どうですかと言えば、それはやはりいいところの話が多くなるわけですよ。そうじゃなくて、家庭の主婦を集めて、どうですかと聞くぐらいのスタンスをやはりとっていくことが、物価の番人、経済の番人である日銀に課せられた一つの大きな使命ではないのかな、このことだけ私は申し上げておきたいと思います。

 では、御担当、もう後は結構でございます。

 では、続いて入らせていただきます。サブプライムローンについてお話をさせていただきたいと思いますが、これが今アメリカを中心に大変な状況になっておる、世界的にも株価が下落をしたというような状況があったのは御案内のとおりであります。今、アメリカのFRBが公定歩合を〇・五%引き下げるという緊急発動をして、少し市場は落ちついたわけでありますけれども、しかし、九月十八日に公定歩合、それからフェデラルファンドレートというんですか、FF金利を下げるというようなことで、今一生懸命体制立て直しをアメリカはやっておるということであります。

 この影響が、例えば我が国でいいますと、野村証券が千四百五十六億であったというふうに言われておるわけでありますけれども、こういった状況に政府としてどう対応をされようとしておるのか。これは完全に民間の問題ですからというスタンスなのか、いわゆる市場に任せておくということなのか、その辺の政府としての見解をお示しいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 この問題は、油断大敵であり、政府、金融庁としても注意深く見守っているところでございます。

 現段階で断定的に申し上げることは控えますけれども、日本の金融システムは、御案内のように不良債権比率が大変低下をしております。全体として金融機関の健全性は高まっているわけであります。また、金融機関のサブプライム関連商品に直接関連するリスクは相対的に限定をされている。つまり、不良債権処理で四苦八苦していたこともございまして、こういったハイリスク商品に余り手が出せなかったということもございます。こういったことから、日本の金融システムに深刻な影響を与えるという状況にはないと思っております。

 しかし、金融機関が適切にリスク管理に取り組むことは大変重要でございまして、こういう観点から日常的に金融機関等とヒアリングや情報交換は進めているところでございます。また、私の私的懇談会として、金融市場戦略チーム、金融の実務家の皆さんに集まっていただきまして、サブプライムローン問題について大局的な観点から情報収集、分析を進めております。このチームが来月中には第一次レポートを出してくれるものと思っております。

 いずれにしても、早期発見、早期治療ということが大事でございますので、早目早目の取り組みを心がけております。

鈴木(克)委員 私は、これは要するに、アメリカの金融機関や何かの問題ではなくて、アメリカ経済全体、アメリカの大きな問題だというふうに思っております。時間がないのであれしますけれども、要するに、アメリカの対外債務残高というのは十四兆ドル、一千六百兆円を超える、今巨額になっているわけですよね。このことをまたあれすると時間がなくなりますので。

 そこで、何をおまえは心配しておるかということなんですが、配付資料をごらんになっていただきたいんですが、一番下の「財務省証券の主な外国の所有者」ということで、一番上を見ていただきたいんですが、六千百億ドル、ジャパン、日本が最高に、要するにアメリカの財務省証券を持っておるわけです。二番目が中国になるんですね。四千七十億ドルですか。いずれにしても日本が突出して持っておる。これを日本円に直すと六十七兆円、国家予算に匹敵をするぐらいの証券を持っておる。

 ここが万々が一のことがあったときは、日本に及ぼす影響というのはもう大変なものがあるというふうに思うんですが、その辺のところについての御見解をお願いしたいと思います。

額賀国務大臣 お答えいたします。

 アメリカ経済は、サブプライム問題で若干住宅関係で影響があるわけでありますが、それ以外は堅調に推移しているという判断をしておりますので、今後、しっかりとアメリカ経済動向とか原油高の動向とかを見きわめていきたいと思っております。

 今の債券の問題でありますが、我が国は、通貨の安定を図っていくために、おっしゃるように将来の為替介入に備えて外貨準備として米ドルを保有しております。しかし、ここ、戦後の一九七〇年代からずっと通貨がいろいろな変動をしてまいりましたけれども、ドルがやはり世界の基軸通貨として役割を果たしてきた。さまざまな問題はあるけれども、この基調は、私は、十年、二十年と、やはり世界の経済あるいはまた政治、外交、軍事、あらゆる面から見て、これはアメリカが中心となって動いていくんだろうということを想定する中で、我が国のそういう通貨の安定を図っていくためにどうしていくか、あるいはまた運用を安全的に考えていく場合にどういうことを考えていくか、そういう意味では、今の時点において、私は、相対的に米ドルを購入しておくことは間違いではないというふうに思っております。

鈴木(克)委員 時間がなくなりましたのであれですが、いずれにしても、一口で言って、アメリカの今の経済というのは、輸出が例えば百兆円に対して輸入を二百兆円やっておるという、これは詳しく説明する時間はありませんけれども、そういう今アメリカは状況なんですよ。だから、私はやはり、これだけ膨大な証券を持ち続けるということが本当にいいことなのかなということを老婆心ながら心配をしております。

 最後に、私ども、九月二十五日に、税金の無駄遣い一掃プロジェクトを立ち上げております。そこで、いわゆる財務省や金融庁の決算書を私見てびっくりしたんですが、それが配付資料になるわけでありますけれども、例えば海外検査等の外国旅費の不用額を見ていただくとおわかりいただけると思うんですけれども、いわゆる不用額が四〇%なんというような状況なんですね。もちろん、これは無駄遣いだということではありません。しかし、予算の組み方として、例えば海外検査等外国旅費が十五年に不用率が四二%だった、十六年に二四%、十七年に四六%、結局、これはずっと上がっていただくと、十九年も同じような金額が組まれておるわけですよね。こういう傾向が、一つ一つ見ていくとあるんです。

 ここをやはりきちっとチェックを、まず財務省や金融庁、本当に両大臣のおひざ元なんですよ。予算をつくっておる人のおひざ元の予算がこういう状況にある。あえて言えば、例えば赴任旅費や金融機関等検査旅費だ、外国旅費だと。金額は確かに小さいかもしれません、だけれども、そこのところをきちっとやれないで、何で何十兆、何百兆といういわゆる大きなことができるのか、このことを私は申し上げて質問を終わりたいと思いますが、何かコメントがあればお答えをいただきたいと思います。

大藤政府参考人 ただいま先生から海外検査等外国旅費についての御指摘をいただいたところでございます。

 当庁におきましては、我が国金融機関に対する海外検査につきまして、さまざまな情報を踏まえた真に必要性の高い検査先を選定し、効果的な検査の実施に努めているところでございます。このように、必要性を見きわめつつ検査の実施を図るということでございまして、翌年度における検査実施先や検査に要する日数や人数などについて、予算編成の時点において見通すことが困難な面があることに加えまして、金融機関の検査に入った後におきまして、その金融機関の状況に応じまして、実際にどの程度の日数や人数などを要するかが左右されるという面もございます。

 このように、各年度の海外検査等外国旅費の執行額につきましては変動が生じるところでございまして、十七年度におきましては執行額が約二千二百三十万円となっておりますけれども、十六年度におきましては約三千七百七十万となっているところでございまして、このような状況も踏まえて、十八年度及び十九年度について、海外検査等外国旅費として約四千万円を計上していただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、当庁といたしましては、先生の御指摘も踏まえまして、適正な予算の計上に努め、予算の効率的な執行に配慮しつつ、的確な検査を実施してまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 以上で終わります。

原田委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 また、額賀大臣におかれましては、G7、大変お疲れさまでございました。それから渡辺大臣におかれましては、御留任、まことにおめでとうございます。

 昨今の、例の厚労省のフィブリノゲンのファイルが出てきたとか、それから防衛省の前次官の問題など、これは何か与野党で激突をするというよりも、守屋氏の問題に関して言えば、シビリアンコントロールという話よりも、シビリアンの中に、当然、私たち政治家や、文民ですからいわゆる背広組も含めたということなんでしょうけれども、私はむしろ、政治と、あえて言えば霞が関と申し上げた方がいいんだと思いますが、その人たちとの間の緊張感が少し揺らいでいるんじゃなかろうか、そういう問題意識を強く持っております。

 その意味で、きょうは、財務大臣、金融担当大臣、お越しでありますので、それぞれ両大臣に関係のする分野から、今申し上げた問題意識から少しお尋ねをしてまいりたいと思います。

 まず、話題の租税特別措置法の話になるんですが、先ほども自民党の石原委員が御懸念をされておられましたが、まことにもってそのとおりなんです。私どもも、今財務省に、租特合計四十九本、来年の三月末で切れるものに対し、予想される、影響される歳入減、正しく言えば歳入欠陥ということになるんでしょうか、あるいは、減税措置を講じているものについては増税になるわけでありますから、歳入増の効果、これは一体幾らになるのかということをお尋ねしているんですが、試算ベースであってもなかなか数字を出していただけません。したがって、個々の租特が四十九本もあって、一からげで、はいどうぞという話ですので、議論のしようがない状況を痛感いたしております。

 さらに百歩譲って、昨年の実績でどうなんですかと。この租特の四十九本、昨年ベースで、政策減税そして政策増税、合わせてプラスマイナス幾らなんですかというお尋ねにも、正しい数字はお答えできない状況なんですね。

 財務省の方、何か見解があれば。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から幾つかの点で御指摘いただいていること、私ども、承知いたしております。

 それで、一点、先生からの御要請で、昨年というか個別の実績について、私ども、実は見積もりという形で推計はいたしておりますが、実績につきましては完全に個々のものまで把握できていない。これは、正直申し上げて、そういう体制がなかなかとれないという状況がございます。

 いずれにいたしましても、御審議に当たりまして必要な資料をなるべくきちっと整えるということで、これからも努力はさせていただきたいと思っております。

古本委員 例えば、この四十九本それぞれ見ますと、多分、玉石入っていると思います。非常に国民生活にとって資する話もあれば、もしかしたら特定の業界団体だけに資する政策減税も入っているかもしれない。これを、私どもは、形を変えた補助金だというふうに位置づけておりますが、その効果さえわからないんです。一体、昨年ベースで幾ら減税措置をしたんですかという実績が出ないんですよ、大臣。こういう状況で、これはことしも引き続き、石原委員も非常に懸念されていましたが、どれだけの影響があるかどうかわからないままに丁か半かと言われても、これは賛成も反対もないんですよ。

 さらに言えば、この四十九本まとめて、去年、ことしの春を思い出せば、ここで三十分か一時間審議しただけで強行でわあっと採決して、何の議論もなかったです。

 ですから、この租特の問題は、大臣、ぜひ丁寧に、大臣もまた、国会側で議論をするということについては歓迎だと先ほど同僚委員の質問に答えておられたようでありましたので、しっかり時間をとっていただくように政府・自民党にお願いをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 国会は、国民の負託にこたえて議論するのが本来の場所であります。しかし、やはり、国際的な情勢とか国内的な情勢とか、さまざまな要件とか要求があって審議されていく場合もありますから、一定の期限内に審議を終えて結論を出さなければならないということも当然のことであります。そういうことは、与野党の皆さん方、民主党も参議院では過半数をとって、衆議院では我々が過半数を持っておりますけれども、国会運営にお互いに責任を持つ立場で議論の場に参加することになるわけでありますから、そこは良識を持って、お互いに常識的に対応することが望ましいというふうに思っております。

古本委員 私が御指摘申し上げたのは、四十九本の一つ一つ、きょうは申し上げませんが、どれだけの政策減税効果があり、どういった業種のどういった人々がその恩典にあずかったかという検証ができないんです。検証ができないままに、もう何十年もこの租特というのは、ほぼ自動的に継続されてきているんです。これは、一年で切れるものもあれば、五年に一回の自動車関係諸税のようなものも含めて入っております。

 したがって、これが切れたら国民生活に影響あるよね、良識ある、責任ある野党として、それに反対したら国民を裏切ることになるよと言われても、中身を開示しないことの方が、よほど国民に対して義理を果たしていない、役割を果たしていないと思っております。

 その意味で、大臣の部下でいらっしゃる皆さんであります。今要求していますので、個々の税目ごとにどれだけの政策減税効果が、あるいは自動車関係諸税のように政策増税効果があったのか、これを検証した上で、当然ながら、一般財源化の話も含め等々、この数カ月、議論を煮詰めていくことになろうかと思いますので、改めて大臣からも、部下ですから、後ほど、よろしく指導のほどをお願い申し上げたいと思っております。

 その際に、事業承継資金の話が石井先生の方からも先ほどありましたが、私からも。

 これは、特に心配しておりますのは、例えばですが、例の新日鉄さんがインドの某社に云々という話があったり、日本の物づくりを支えている、ああいう超大手は別格としても、物づくりは非常にすそ野の広い産業の場合が多いですね。

 そういう産業の方々が、例えば大阪の町工場のおやじさんたちが人工衛星をみずからやってみたり、あるいは東京でも、大田区を中心とする型、ミクロどころかナノの世界に入ってきた型技術、こういった技術を持っておられるところは意外と中小零細で日本の技術の底辺を支えていただいているわけでありますが、経済白書を見ても、あるいは政府税調の資料を見ましても、そういったオーナー社長、おやじさんといいますか、そういう方々は、今もう平均年齢は六十近くなってこられています。さらには、そういう人々が事業を承継していく上で、後継者がまだ決まっていないという人が半分ぐらいいらっしゃるんですね。

 ですから、これも政策減税でしょう。かつては贈与税でやっていたものを、ある控除の枠を設け、事業承継資金に対しサポートしてきたという流れについては私自身も支持しますし、むしろ、中身をきちっと精査して、その効果がある人についてはより厚くそういった事業承継資金を確保するという、よりきめ細かな政策をしていかなきゃいけないと思っておりますが、その点について御所見があれば大臣にお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 私も、数々の租特法があるわけでありますから、長年やっているものとか、最近行われているものとか、実態的にこれは効果があるのかどうかということは点検が必要だと思います。そして、将来の展望もなければならない。

 そういうことについては、貴重な国民の税金を使わせていただくことになるわけでありますから、しっかりとフォローをしていくことが大事であるというのは古本委員と同じでございます。そういうことの中から合理性を追求していくことが正しいと思っております。

 事業承継税制については、先ほど来ありますけれども、私どもも、連立政権の立場からも、これを重視していかなければならないという共通の政策協定を持っております。

 これについては古本委員も同様の認識であると思っておりますので、中小企業それから地方の企業の活性化を行う意味においても、立派な後継者をつくることが大事でありますし、きちっとそういう相続税問題について総括的に対応していくことが大事であると思っております。この場で議論をする中できちっと対応していくことが大事であると思っておりますので、いろいろと御意見をいただければありがたいと思っております。

古本委員 そこで、日本の国富が官公部門に吸い上げられているという論を展開する方もいらっしゃいますし、昨今のあの防衛前次官の問題なんかに直面しますと、これはあながち外れていないなという感じもいたします。

 きょうは防衛省にお越しをいただいております。ところで、話題のインド洋での給油の問題なんですが、あの油はどこから買っているんでしょうか。

小川(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 テロ特措法に基づきまして諸外国の軍隊の艦船に譲与する燃料でございますけれども、日本の商社と契約しまして、現地調達しておる。もちろん、補給艦が国外へ国内から出港します際に積み込みますのは国内で調達しておりますけれども、現地で調達している分は、日本の商社を経由して、現地で調達しておるということでございます。

古本委員 それでは、日本の港を出ていくときに積み込む油はどこから買って、そして、遠くインド洋の向こうのアラビア半島の手前あたりで展開しているわけでありますから、それはどこから買っているんでしょうか。

小川(秀)政府参考人 まず、日本を出港します際の艦船用燃料でございますけれども、これは国内で、競争入札によって調達をいたしております。したがって、調達ごとに会社が変わってくるということになりますけれども、基本的には日本の石油会社から購入する結果になるということでございます。

 それから、現地で調達しているものでございますけれども、先ほど申し上げましたように日本の商社と契約して調達するわけです。当該商社が現地で調達している燃料でございますけれども、我が方が直接契約しているわけじゃないわけですけれども、商社から聴取したところでは、アラブ首長国連邦及びバーレーン王国の企業から購入している、そういうふうに承知しております。

古本委員 現地の企業から買っている。これは間違いないですか。

小川(秀)政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、当該我が国商社から聴取したところ、両国の企業から購入しているというふうに聞いております。

古本委員 これは外務省の事務次官の言葉をかりれば、ハイオク仕様の日本の油でなきゃ船は動かないんだ、物すごく特殊な油であるんだということでありますが、そういった特殊な油は技術的に、まあ、国内だと軽油二号、いわゆるNATO軍標準でいけばF76、この油について、防衛省の技術官僚の方は、どこから買っているか、どういう油かもチェックせずに、何か商社に丸投げ、こういうことをおっしゃっているんでしょうか。どこから買っているんでしょうか。具体的に教えてください。

小川(秀)政府参考人 今御指摘ありましたように、調達しております油は、現地調達分はNATO規格のF76という軽油でございます。

 この調達します油につきましては、これは我が国商社と契約をいたしまして、現地で一々調達ごとにその品質を検査する、検査をして規格に合格したものを調達する、こういうことで確保いたしております。

 それから、調達先の企業名でございますけれども、これは当該商社を含めてでございますけれども、こういった名称が公になりますことによって当該企業の正当な利益を害するおそれがある、具体的にはテロ等の標的となるおそれがあるということで、お答えを差し控えさせていただいておるということでございます。

古本委員 その商社というのは何という商社なんでしょうか。そして、それは随契なんですか、入札なんですか。

小川(秀)政府参考人 我が国商社でございますけれども、恐縮でございます、今申し述べましたように、これは日本の商社でございますけれども、その名称が公になりました場合には、その企業の正当な利益を害するおそれがある、ひいては自衛隊による本活動の円滑な遂行を妨げるおそれがあるということで、お答えを差し控えさせていただいておるところでございます。

古本委員 委員長、きょうは、その商社が何のたろべえさんかというところはここまでにいたしますが、当委員会にぜひ資料の提出を求めたいと思います。理事会でお諮りいただきたいと思います。

原田委員長 ただいまの件は、後刻理事会で検討させていただきます。

古本委員 なぜならば、これは国民の税金を使って総額二百数十億円の油を、諸経費を入れると総額五百九十億円近いお金で差し上げに行っているわけでありますので、その油をどこから買ったかということは、実は、財務省主計局が、二〇〇一年のアフガン以降に、インド洋で特措法を措置して船を出すとお決めになって以降、これは毎年の予算査定で入ってきているんじゃないでしょうか。主計局、いかがですか。

 つまり、どこのどの人から買ったかもわからないようなものに対し、何十億円、何百億円と決裁してきた、こういうことなんでしょうか、財務省。

香川政府参考人 テロ特措法による財源措置ですが、二〇〇一年度から、合計七百八十一億円ということになっております。

 予算措置する際には、当然、適法に執行されるということを前提として予算措置をしております。防衛省の方からは、テロ特措法にのっとって適正な執行がされているというふうに伺っておりますので、累次の予算措置をしてまいりました。

古本委員 つまり、防衛省に関してはブラックボックスだということを言っておられるんでしょうか。

 財務省主計局にあれほど優秀な主計官が大勢いらして、大変厳密な査定をしておられるというふうに伺っております。しかも、これは話題の油であります。累次にわたり国会でも取り上げられております。その油が、一体どこのどの人から、どういうスペックの、なるほど日本の油はハイオクだと言われる油を買ってきたのかどうか、そのトレースをせずして予算をつけてきた。それはなぜならば、防衛省を御信頼申し上げているからですと。その防衛省の次官が一体何をやったんですか。こういう議論ですよ。

 再度お尋ねします。主計は、予算を見積もるに当たり、防衛省関連分については防衛省を御信頼申し上げているというブラックボックスで査定をしてきた、こういう理解でよろしいですか。

 いや、そんなわけないんですよ。恐らく一生懸命やっておられるんです。やっておられるんですけれども、この商社に関して言えば、済みません、防衛省、随契でしたか、その商社は。

小川(秀)政府参考人 恐縮でございます。先ほど答弁を落としました。

 現地調達している艦船用燃料については、二社の商社との随意契約で調達しております。

古本委員 それでは、その商社に防衛省からどなたか天下りなさっていますか。

小川(秀)政府参考人 この段階でちょっと数字を把握しておりませんけれども、いずれにしましても、先ほど申し上げたように、恐縮でございますけれども、当該商社名を公にすることによって……(古本委員「天下りしたかどうかだけですよ」と呼ぶ)実は、その数字を明らかにした場合は、全体の数を明らかにしている関係で、どの商社かということも特定されるということになっておりまして、そういう意味で答弁を差し控えさせていただきたいと思っておるわけでございます。

古本委員 これは、今もう連日、新聞の第一面で文字が躍っている前次官の問題があるわけですよ。主計局に言わせれば、防衛省の技術官僚が査定した中身については御信頼申し上げていると言っているんです。その舌の根も乾かぬやさきに、次期輸送機のエンジンについては、これは今後国会にもお越しをいただけるようでありますのでその場に舞台は譲りますが、当財務金融委員会として、今後、来年度の歳入計画を議論するわけですよ、税制を。したがって、そのかき集めた血税を何に使っているのかというのを議論せずして、何を議論するというんですか。

 そして、今話題の、いわばビジネスモデルですよ、防衛省の言うところの。そのビジネスモデルがまさにこの話題の油についても適用されていたんじゃなかろうかと、これ、だれだって疑いたくなりますよね、随契と聞くと。

 会計検査院、きょうお越しいただいています。この油について、何かこれまで聞いたことがございますか。

高山会計検査院当局者 突然の御質問で、答弁の用意をいたしておりませんので、今ここでお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

古本委員 この油の関係、防衛省の関係で、十六機関の随契六割という、これは参議院の議長名で調査要請があったものの回答が先ごろありまして、会計検査院も大変御苦労なさったと思いますが、大変立派なレポートを出しておられます。これは、二〇〇六年の四月から十二月分の締結した随契を調べた中身がレポートされています。

 会計検査院がつくった資料ですから、この中にも防衛省分が入っているわけです。この当該期間には、当然、インド洋で油を買っておったわけですから、某国某所で買っておったということでありますので、会計検査院には、このことについて私はお尋ねすると言っているんですから、委員長、改めて会計検査院からそのことについて詳細な説明を当委員会にいただくように理事会でお諮りいただきたいと思います。

原田委員長 ただいまの件につきましても、後刻の理事会で協議をさせていただきます。

古本委員 ありがとうございます。

 つまり、財務省の仕組みというのは、大臣、これはおもしろいことに気づいたんです。主計局が予算をつける、査定を入れる。防衛省の次期輸送機のエンジンは幾ら、インド洋の油は幾らとつけますね。それで、つけた先は、何に使ったかというトレースはしようがないんですよ、仕組みとして。

 やっていませんよね。やっていますか。やっているんだったらこれは失礼な話に当たりますので。トレースしていますか。しているんであれば、どこの何という会社からF76を本当に買ったかどうか、ちゃんと確認をしているんですか。さっき防衛省を信じていると言いましたよ。確認しているなら、防衛省は答えられなくても、財務省は血税を配分する主計局なんですから、どこから買っているか、ぜひ財務省から教えてもらいたいですね。財務省は知っているんでしょう。

香川政府参考人 予算の執行に関しましては、各省の責任においてやっていただいています。

 適法にやっていただいているということを前提にいろいろな議論をいたしますが、適法に執行できるかどうかということについては、予算折衝の際に具体的なことは再々議論はしております。

 本件については、どこから買ったかということは我々は承知しておりませんが、適法にやっておられるんでしょうね、それから、契約については、競争性のある契約で単価をできるだけ下げてくださいというような議論をいたしております。

古本委員 このインド洋での油の話は、巷間に情報は大変あります。

 これは、DESC、ディフェンス・エナジー・サポートセンター、合衆国国防省のエナジーセンター、要するに、各国に展開する部隊への燃料支援部隊のホームページに全部出ています。

 この中で、いわゆるイラク攻撃の作戦に関しての項目を弊党の中で調べておりますところ、この油の調達先が、今防衛省からは、商社を通じ個別の企業から買っているという話でありましたが、一体だれが決裁したかという欄について言えば、少し精査が必要なような気がいたしております。公開されているDESCのレポートによれば、DESCがお譲りをしたというふうに読めるんです。DESCというのは、何をか言わん、これはアメリカ軍ですよね。

 ここはこれを専門にやる委員会ではありませんが、税金をそういったことに使われているというところから、ちょっと頭出しだけ、まずはさせていただきましたが、財務省にお尋ねしても、防衛省を御信頼申し上げているとの答弁までですよ。だったら、こういうトレースをして調べたことがあるんですか。買い付け先はDESCと書いていますよ。しかも、それは、合衆国にある日本の公館の決裁というふうに記載していますよ。

 これは想像ですけれども、実は、企業から買っているというのは、何か段階を経ているんじゃなかろうかという議論も今後必要だと思っております。

 当事者の、そのときの長にあった方の証人喚問でしょうか、も控えておりますのでこのぐらいにいたしたいと思いますが、税金を使って予算をつけて、その執行をした結果が、役所を信じていますと。それはいいです、お互いを信じる。でも、それで起きたのが今回の事件じゃないんでしょうか。前次官の問題。

 そうすると、会計検査院は、そこでチェックをし、どうもこれは怪しい、ついては、来年度の予算査定ではこれは少し厳密に見た方がいいというようなことを言うサイクルが回って初めて、恐らく財務省も、目配り、気配りがどうしてもいかないところがフォローされるんだと思いますが、少なくともこの油に関してどうなんですかとお尋ねしたところ、通告がないので答えられません、こういうことでありましたので、ぜひ、このサイクルがきちっと回っているかどうかも、このインド洋の議論の、財政的に税金を投入しているという議論から判断したら、実は議論の入り口にあるかと承知をいたしておりますので、当委員会でも引き続き話題にしてまいりたいと思っています。

 元防衛庁長官でもいらした大臣におかれましては、財務省は防衛省を信じておるとおっしゃっておられますが、当時の部下でもあった方がこういったことになっているわけでありますので、こういった公の場で、何か感想がありましたらお聞かせ願いたいと思います。

額賀国務大臣 我々は国民の負託を受けて国会に出てきている以上は、あるいはまた行政マンも国家国民のために仕事をするのが本来の職務でございますから、しっかりと透明性を持って、職務に忠実に仕事をしていかなければならない、これは当然のことであると思っております。

 それぞれの役所でそれぞれの仕事を請け負っているわけであります。行政マンは、しっかりと国民の期待にこたえるために全力を尽くさなければならないということを改めて考えなければならないし、我々も、みずからの問題として受けとめて、これからの仕事をきちっとして国民の信頼を取り戻していかなければならないということを感じます。

古本委員 この油の話は、恐らく今国会の最大の争点でありますし、引き続きやるということになれば、これは、血税を投入して油をまた買いに行って、しかも、買っている先はだれかわからない、なぞのような話。予算をつけている主計局は、防衛省を信頼していますから、どこかはあずかり知りません。こんな何かキツネにつままれたような話で、おおよそこの議論はできないと思っています。

 舞台はテロ特が主戦場といいますか、主たる議論の場になろうと思いますが、税制を今後議論していく租特なんかが、それぞれの効果がどれだけあるかさえもわからない。減税効果がわからない。だけれども、十把一からげで、とにかく賛成してください、油は何百億円買っていっています、だけれども、どこから買っているかわかりません、それは防衛省を信じています、信じてくださいと。こういう議論では、おおよそ国民の負託に私たち国会議員がこたえ切れているとは思えません。ぜひ丁寧な議論をよろしくお願いしたいと思います。

 その際に、大臣、私は、会計検査院が出したこの十六機関のレポートは二〇〇六年の四月から十二月の間でございますが、実は、谷垣財務大臣の時代の平成十八年八月二十五日、財計第二〇一七号、ここが起点になっていると信じております。

 そういう意味では、これ以降に、公共調達の適正化ということで、正しく、随契が減り、公開入札になってきているか、そして、各種の会計令、予決令、マラケシュ条約、あらゆるものをクリアしたものになってきているか。とりわけ、会計検査院が言っております随契率の高い役所を中心に、財務大臣として、当然、閣議もあるわけでありますから、一度総ざらいをする御決意があるかなしか、お尋ねをしたいと思います。

 これは、幾ら各省各庁にそういうお達しを出しても、いや、防衛産業に関して言えば、そこしかないんです、安全上、機密上、これは言えないんですの一点張りでは、ブラックボックスになるばかりです。これはほかの府省庁においても同様のことが言えると思います。

 このお達しを出しているのは財務大臣でありますから、予算のつかさを握っておられる大臣として、ぜひその御決意を拝聴したいことと同時に、渡辺大臣もお越しをいただいておりますので。

 実は、随契に関して言えば、財務省も金融庁もそれなりにございます。したがいまして、随契先への天下りの状況、さらには随契先との飲食、ゴルフの状況。こんなせこい話を私は言いたくないです。言いたくないですが、国家公務員の倫理教本に書いてあるんです。しかも、これは恐らく全国家公務員の皆さんに配られているんだと思います。読本になっています。

 さらに、倫理監督官。職員の職務に係る倫理の保持を図るため、監督する人を一人置く。これは事務次官なんじゃないですか、人事院。これはだれなんですか。悪い冗談ですよ。

大村政府参考人 各省で任命されております倫理監督官は、通常、事務次官が務めております。

古本委員 大臣、これはもう、先ほどのシビリアンコントロールならぬ、例の、フィブリノゲンのファイルが実は出てきましたとか、倫理監督官たる事務次官がやっておったという話なんです。これはもう冗談じゃないですよ。

 ぜひ、両大臣の所管に関して言えばそういうことがないということを一度精査していただいて、当委員会に報告いただきたいと思います。理事会にお諮り願いたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

原田委員長 ただいまの件につきましても、別途、理事会の協議事項といたします。

古本委員 その上で、両大臣のこの問題に対する御決意と、先ほど申し上げました、額賀大臣に、公共調達の適正化に向けて各省、各担当大臣に改めて徹底してくれということをきちっとやり、そしてみずからもフォローされる御決意がありやなしや、お伺いしたいと存じます。

額賀国務大臣 先般、二週間ぐらい前の閣議でしたか、会計検査院報告につきましては、各省がこれをきちっと点検し、フォローし、そして対応するようにということを、各省庁に私からも申し上げたところであります。

 もちろん、さまざまの公共調達、公共事業、そういう随意契約につきましても、原則一般競争入札を土台にしてよく合理化を図っていく、透明性を確保していく、そういうことは、今、各省庁で懸命に努力をしている最中であるというふうに思っております。

 それから、きのう、おとといの閣議で、総理自身から、さまざまな役所の幹部のそういう倫理問題が出ている、これについては、各省庁、大臣が先頭に立って、再びこういうことが起こることがないように徹底してほしいということでございましたので、私も早速財務省に行って、幹部の皆さん方に、文書管理等しっかりと対応しなければならないということを厳重に申しつけたところであります。

渡辺国務大臣 先ほどの会計検査院の報告でございますが、金融庁分の随意契約件数、金額は、十八年度十二月までの分でございますが、百十五件、十六億五千二百万円でございます。また、随契を締結している金融庁所管公益法人のうち、一法人に、金融庁OB三人が再就職をいたしております。

 随意契約につきましては、政府の方針を踏まえ、本年一月に見直し計画を策定し、随意契約によることが真にやむを得ない場合を除いて、一般競争入札等へ順次移行することにいたしております。これらを着実に実施するとともに、的確なフォローアップを行っていくことにより、契約の競争性、透明性をさらに高めてまいります。

古本委員 歳入委員会たる当委員会が税制を今後議論していきます。決めた税に基づいて国民の皆様から血税をお預かりし、財務省がそれを配分します。そして、それが何に使われたかということは、後は各省に任せていますではまかり通らない。残念ではありますが、そういう局面にいよいよこの国もなってきているような気がしています。

 改めて、キャッシュがどういうふうに流れていっているか、適正に査定がされているか、そして、会計検査院がそれをきちっとチェックし、それを受けた次の年の査定になっているか、このサイクルにつきましては、今後ともこの委員会で大変議論をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、渡辺大臣に、金融のバリアフリーというテーマでお聞きをしたいと思います。

 政府は、総理大臣を本部長として、障害者施策推進本部を設置しております。渡辺大臣もそのメンバーでございます。その基本計画には社会のバリアフリー化をうたっておりまして、「ユニバーサルデザインの観点から、すべての人にとって生活しやすいまちづくり、ものづくりを推進する。」ということが掲げられております。それに沿って重点施策実施五カ年計画というのが策定されておりまして、今年度で終了して、新たな五カ年計画を策定する、こういうことになっています。

 二年前に、全銀協の会長が、当委員会の参考人質疑のときにこういうふうに答弁をされました。どなたでも簡単に御利用いただけるように、ユニバーサルデザインということを念頭に置いて対応策の検討を進めてまいりたい。竹中大臣も、社会として望まれるところでありますので、しっかりそれをプッシュするような方向を見出していきたい、こういうふうに答えております。

 最初に、渡辺大臣のこの点での基本姿勢を確認したいと思います。

渡辺国務大臣 金融庁としましては、障害者の方々などに配慮した取り組みが金融機関の経営判断に基づいて自発的に行われることが、企業の社会的責任の観点から、極めて重要であると考えております。

 また、金融庁においては、利用者利便の向上等の観点から、企業の社会的責任事例集の公表を行うことにより、金融機関に対し、障害者の方々に配慮した取り組みを含め、社会的責任を踏まえた取り組みを促しているところでございます。

 このような取り組みと相まって、金融機関における障害者に配慮した取り組みがより一層充実していくことを期待いたしております。

佐々木(憲)委員 そこで、障害者の方々の中でも、特に視覚障害者の方の対応についてお聞きしたいと思うんです。

 銀行の視覚障害者対応ATM、その数を確認したいんですが、都銀、地銀、第二地銀、信金、信組それぞれについて、台数と比率はどうなっているか。また、金融庁がこの調査を始めた二〇〇四年五月と比べまして、現在、視覚障害者対応ATMの増加台数、全体に占めるその比率、これを示していただきたい。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年の九月末時点での調査ですが、まず、都銀につきましては、ATMの設置台数が全体で約二万二千八百台ございますが、このうち視覚障害者対応のATM、これが約一万一千百十台ございます。したがいまして、比率は約四九%ということでございます。

 地銀について申し上げますと、同じように、ATM全体では三万九千八百台、このうち視覚障害者対応のものが九千三百四十台。したがいまして、比率が約二三%でございます。

 それから、第二地銀でございますが、ATM全体が約一万三千六百台、そういう数字ですが、視覚障害者対応のものが約千六百二十台。したがいまして、比率が約一二%となっております。

 信用金庫でございますが、全体で約一万九千六百台、このうち視覚障害者対応のものが約七千八百台。比率にいたしますと約四〇%となっております。

 それから、信用組合でございますが、全体で約二千三百十台、そのうち視覚障害者対応のものが約六百四十台。したがいまして、比率が約二八%というふうになっております。

 それから、この調査を開始した二〇〇四年の五月時点と比較してまいりますと、都銀につきましては、台数としては約七千六百五十台ふえておりまして、設置率でいいますと、当時約一五%でしたので、したがいまして、約三四%ポイント増加している。

 それから、地銀でございますが、対応した設置台数が約六千二百五十台ふえておりまして、設置率でいいますと約一五%ポイント増加している。

 それから、第二地銀でございますが、設置台数で約千百八十台増加いたしておりまして、設置率では約八%ポイントの増加ということでございます。

 それから、信用金庫、信用組合でございますが、これは比較の時点が、とり始めたのが昨年の十二月でございますので、その時点と比較いたしますと、信用金庫については、設置台数で約千三百台ふえまして、設置率でいいましても約七%ポイントふえております。

 信用組合につきましては、約二百七十台ふえまして、設置率では約一二%ポイントの増加ということでございます。

佐々木(憲)委員 今細かな数字を教えていただいたんですが、総体としては三倍以上にふえておりまして、これ自体、大変よいことだと思うんです。

 そこで、十月一日から民営化されたゆうちょ銀行についてお聞きをしたい。

 民営化される直前の九月二十八日に、郵政公社に確認をしてみました。これまでの郵貯で行ってきた障害者向けの施策はすべて継承をするのかと言いましたら、継承いたしますという答えでした。

 郵政民営化の法案審議の際にも、郵便局のATMは一〇〇%障害者対応だったんですね。ところが、民間銀行は一三%だったんです。そういう意味で郵貯の方がすぐれていたわけでありますが、麻生大臣は、そうなっているのは公という意識の問題だ、こういうふうに答えました。

 渡辺大臣にお聞きしますけれども、障害者向け施策というものは、ゆうちょ銀行になっても全部継承をし、発展させる、こういう基本姿勢は今後とも変わりませんか。

渡辺国務大臣 ゆうちょ銀行における個々のサービスの中身については、同行の経営判断にゆだねられるのが基本でございます。

 日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画というのがございます。そこにおいて、「これまで日本郵政公社で取り扱ってきた郵便貯金、郵便為替・郵便振替等については、同様の商品・サービスを引き続き提供し、お客様のニーズにお応えしていきます。」とされています。同行においても、民間金融機関として望まれるサービスの提供がなされるものと期待をいたしております。

 また、御指摘の視覚障害者の代筆につきましては、ゆうちょ銀行からは……(佐々木(憲)委員「それは後で言います、それは後で」と呼ぶ)

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 聞いていないところまで言わなくて結構なんですね。

 まず、ゆうちょ銀行のATM全体の設置台数を確認したいと思うんですが、二〇〇四年度から今日までの推移、二〇〇七年度の撤去計画と新設計画、これはどうなっていますか。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 ゆうちょ銀行のATMの設置台数でございますが、前身であります日本郵政公社の郵便貯金業務におけるATMの設置台数ということで見てまいりますと、二〇〇四度年末では二万六千五百十九台、それから五年度末ですが、二万六千二百九十七台、六年度末では二万六千百三台ということでございます。

 それで、今年度でございますが、これにおきましては今計画の段階ですが、ATMの撤去対象台数というのが百三十一台というふうに伺っております。そのうち再配置するものもあるということですが、再配置台数は現段階では未定であるというふうに伺っております。

 なお、新設予定台数はないというぐあいに承知をいたしております。

佐々木(憲)委員 今の数字を聞きますと、ATMの全体の設置台数がどんどん減ってきているわけです。しかも、今年度、百三十一台も撤去してしまう、新しくつくるのは全然ない、こういう話であります。

 竹中大臣が郵政担当大臣だったときに、民営化によってこれを後退させるということは想定されないんだという答えがあったわけです。しかし、実際に、近くにあったATMがなくなって不便になった人がいるわけですね。それだけサービスが後退したわけです。障害者にとっても、せっかく一〇〇%視覚障害者対応になっていても、身近にあったATMが減ったのでは、なおさら不便になるということなんです。

 渡辺大臣にお聞きしますが、ATMについては、その地域で利用する人があるわけですから、余り極端な減らし方というのはやるべきじゃないと思うんです。サービスは低下させない、こういう基本姿勢からいって、どんどん撤去してしまうというのはやはり問題があるのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

渡辺国務大臣 ゆうちょ銀行は民間会社でございますから、当然、今までやってきたサービスが低下をするということになりますと、お客様が離れていってしまうということになろうかと思います。

 先ほども申し上げましたように、民間金融機関として望まれるサービスの提供がなされる、そういうことが期待されているわけでございますので、その期待にはこたえてくれるものと考えます。

佐々木(憲)委員 民間銀行になったから何やってもいいということにはならぬわけであって、サービスを低下させないと言った以上は、しっかりとサービスを維持してもらわなければ困るわけであります。

 次に、先ほどちょっと答弁が先走ってありましたが、ゆうちょ銀行の窓口の視覚障害者に対する代書の問題です。

 例えば、愛知県のある市の郵便局で、この九月に、全盲の視覚障害者が窓口で書類の代書を依頼した。それはこれまでどおりやってくれたらしいんですが、そのときにこう言われたと言うんです。十月になったら民間になるので代書はできなくなると。東京の大塚でも、九月に郵便局に行ったら、視覚障害者が、これまでは公務員だったからできたけれども、今後は民営化されるので代書は行わないんだ、上からの指示が来ているんだ、こういうふうに言われたと言うんです。

 視覚障害者の方は、点字で民営化のお知らせが届いて、その中には、これまでとサービスは変わりませんと書いてあった。それにもかかわらず、これだと郵便局も使えなくなってしまうんじゃないか、そういう不安が広がっているわけです。

 こういう事実を金融庁としてどう把握されているのか。サービスを低下させないという国会答弁、これに照らして、きちっとそこは正すということが大事だと思うんですが、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 視覚障害者の代筆については、法令上の規制は存在いたしません。代筆を取り扱う場合には、一般に、それぞれの金融機関の内規でその取り扱いが定められております。ゆうちょ銀行においても、その手順が定められていると聞いております。

 また、視覚障害者の代筆について、ゆうちょ銀行からは、民営化後においても引き続き行うこととしていると私どもは聞いております。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので最後ですけれども、これは、ゆうちょ銀行だけじゃなくて金融機関全体にかかわる問題でありまして、視覚障害者の方が銀行に要望しているのは、プライバシーを守りながら複数人で確認する、これが大事なんですね。不正が起こらないようにするということです。

 銀行によっては、おろすときは代筆はしますが、ローンは代筆はしません、こういう対応をしているところもあるということです。

 私は、各銀行の今おっしゃいました内規というものがどのようなものになっているか、大変大事だと思いますので、ゆうちょ銀行、都銀、地銀、第二地銀、信金、信組で、代筆、代書の内規をつくっているのはどれだけあるのか、それから、その内容についても、ぜひ調査して報告をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 窓口における代筆の問題でございます。

 これについて、内規において規定している機関数、今現在はつまびらかにはしておりませんけれども、私どもが調べた限りでは、例えばゆうちょ銀行あるいは都銀については、すべてのところで内規を設け、複数で対応というようなことも規定をされております。

 それ以外におきましても、内規を定めて対応しているということが相当数ございますが、いずれにしましても、本人の意思確認をきちんと行いながら、障害を持つことでサービスが不当に制限されることのないように配意するということが望ましいというふうに考えておりまして、私どもとしては、各金融機関において適切に対応していただきたいと考えておりますし、それを促していきたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 ぜひ実態を調査してお知らせいただきたいと思います。

 以上で終わります。

原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.