衆議院

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第15号 平成20年4月8日(火曜日)

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平成二十年四月八日(火曜日)

    午後二時四分開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 大野 功統君 理事 奥野 信亮君

   理事 後藤田正純君 理事 野田 聖子君

   理事 中川 正春君 理事 松野 頼久君

   理事 石井 啓一君

      石原 宏高君    小川 友一君

      越智 隆雄君    木原  稔君

      佐藤ゆかり君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    関  芳弘君

      谷本 龍哉君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    中根 一幸君

      萩山 教嚴君    林田  彪君

      原田 憲治君    広津 素子君

      松本 洋平君    宮下 一郎君

      盛山 正仁君    山本 有二君

      池田 元久君    小沢 鋭仁君

      大畠 章宏君    笹木 竜三君

      階   猛君    下条 みつ君

      福田 昭夫君    古本伸一郎君

      松木 謙公君    大口 善徳君

      佐々木憲昭君    野呂田芳成君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)       渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   財務副大臣        遠藤 乙彦君

   財務大臣政務官      宮下 一郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    加藤 治彦君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    青山 幸恭君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    勝 栄二郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           武藤  浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         林田  博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 原田 保夫君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局技術安全部長)      松本 和良君

   政府参考人

   (海上保安庁交通部長)  米岡 修一君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     杉田 元司君

  鈴木 克昌君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     松本 洋平君

  松木 謙公君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 昭夫君     鈴木 克昌君

    ―――――――――――――

四月七日

 電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

同月四日

 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第九六二号)

 同(福田昭夫君紹介)(第九六三号)

 同(山岡賢次君紹介)(第九六四号)

 保険業法の適用除外に関する請願(前田雄吉君紹介)(第九六五号)

 保険業法の見直しを求めることに関する請願(前田雄吉君紹介)(第九六六号)

 ガソリン税等暫定税率廃止を求めることに関する請願(安住淳君紹介)(第九六七号)

 同(池田元久君紹介)(第九六八号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第九六九号)

 同(内山晃君紹介)(第九七〇号)

 同(枝野幸男君紹介)(第九七一号)

 同(小川淳也君紹介)(第九七二号)

 同(大串博志君紹介)(第九七三号)

 同(大島敦君紹介)(第九七四号)

 同(大畠章宏君紹介)(第九七五号)

 同(太田和美君紹介)(第九七六号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第九七七号)

 同(岡本充功君紹介)(第九七八号)

 同(奥村展三君紹介)(第九七九号)

 同(加藤公一君紹介)(第九八〇号)

 同(川内博史君紹介)(第九八一号)

 同(菅直人君紹介)(第九八二号)

 同(吉良州司君紹介)(第九八三号)

 同(黄川田徹君紹介)(第九八四号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第九八五号)

 同(北神圭朗君紹介)(第九八六号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第九八七号)

 同(小平忠正君紹介)(第九八八号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第九八九号)

 同(古賀一成君紹介)(第九九〇号)

 同(郡和子君紹介)(第九九一号)

 同(笹木竜三君紹介)(第九九二号)

 同(階猛君紹介)(第九九三号)

 同(篠原孝君紹介)(第九九四号)

 同(下条みつ君紹介)(第九九五号)

 同(神風英男君紹介)(第九九六号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第九九七号)

 同(園田康博君紹介)(第九九八号)

 同(田名部匡代君紹介)(第九九九号)

 同(高井美穂君紹介)(第一〇〇〇号)

 同(高木義明君紹介)(第一〇〇一号)

 同(武正公一君紹介)(第一〇〇二号)

 同(津村啓介君紹介)(第一〇〇三号)

 同(寺田学君紹介)(第一〇〇四号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一〇〇五号)

 同(中井洽君紹介)(第一〇〇六号)

 同(長安豊君紹介)(第一〇〇七号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一〇〇八号)

 同(羽田孜君紹介)(第一〇〇九号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一〇一〇号)

 同(原口一博君紹介)(第一〇一一号)

 同(伴野豊君紹介)(第一〇一二号)

 同(平野博文君紹介)(第一〇一三号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一〇一四号)

 同(藤村修君紹介)(第一〇一五号)

 同(古川元久君紹介)(第一〇一六号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第一〇一七号)

 同(細川律夫君紹介)(第一〇一八号)

 同(前田雄吉君紹介)(第一〇一九号)

 同(前原誠司君紹介)(第一〇二〇号)

 同(牧義夫君紹介)(第一〇二一号)

 同(松木謙公君紹介)(第一〇二二号)

 同(松野頼久君紹介)(第一〇二三号)

 同(松本大輔君紹介)(第一〇二四号)

 同(松本龍君紹介)(第一〇二五号)

 同(三谷光男君紹介)(第一〇二六号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一〇二七号)

 同(村井宗明君紹介)(第一〇二八号)

 同(山岡賢次君紹介)(第一〇二九号)

 同(山口壯君紹介)(第一〇三〇号)

 同(山井和則君紹介)(第一〇三一号)

 同(柚木道義君紹介)(第一〇三二号)

 同(横光克彦君紹介)(第一〇三三号)

 同(横山北斗君紹介)(第一〇三四号)

 同(吉田泉君紹介)(第一〇三五号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第一〇三六号)

 同(渡部恒三君紹介)(第一〇三七号)

 同(安住淳君紹介)(第一〇七七号)

 同(池田元久君紹介)(第一〇七八号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第一〇七九号)

 同(内山晃君紹介)(第一〇八〇号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一〇八一号)

 同(小川淳也君紹介)(第一〇八二号)

 同(大串博志君紹介)(第一〇八三号)

 同(大島敦君紹介)(第一〇八四号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一〇八五号)

 同(太田和美君紹介)(第一〇八六号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一〇八七号)

 同(岡本充功君紹介)(第一〇八八号)

 同(奥村展三君紹介)(第一〇八九号)

 同(加藤公一君紹介)(第一〇九〇号)

 同(川内博史君紹介)(第一〇九一号)

 同(河村たかし君紹介)(第一〇九二号)

 同(菅直人君紹介)(第一〇九三号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一〇九四号)

 同(北神圭朗君紹介)(第一〇九五号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一〇九六号)

 同(小平忠正君紹介)(第一〇九七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一〇九八号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第一〇九九号)

 同(古賀一成君紹介)(第一一〇〇号)

 同(郡和子君紹介)(第一一〇一号)

 同(階猛君紹介)(第一一〇二号)

 同(篠原孝君紹介)(第一一〇三号)

 同(下条みつ君紹介)(第一一〇四号)

 同(神風英男君紹介)(第一一〇五号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一一〇六号)

 同(園田康博君紹介)(第一一〇七号)

 同(田島一成君紹介)(第一一〇八号)

 同(田名部匡代君紹介)(第一一〇九号)

 同(高井美穂君紹介)(第一一一〇号)

 同(高木義明君紹介)(第一一一一号)

 同(高山智司君紹介)(第一一一二号)

 同(武正公一君紹介)(第一一一三号)

 同(津村啓介君紹介)(第一一一四号)

 同(寺田学君紹介)(第一一一五号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一一一六号)

 同(中井洽君紹介)(第一一一七号)

 同(長安豊君紹介)(第一一一八号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一一一九号)

 同(羽田孜君紹介)(第一一二〇号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一一二一号)

 同(原口一博君紹介)(第一一二二号)

 同(伴野豊君紹介)(第一一二三号)

 同(平野博文君紹介)(第一一二四号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一一二五号)

 同(藤村修君紹介)(第一一二六号)

 同(古川元久君紹介)(第一一二七号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第一一二八号)

 同(細川律夫君紹介)(第一一二九号)

 同(前原誠司君紹介)(第一一三〇号)

 同(牧義夫君紹介)(第一一三一号)

 同(松木謙公君紹介)(第一一三二号)

 同(松野頼久君紹介)(第一一三三号)

 同(松本大輔君紹介)(第一一三四号)

 同(松本剛明君紹介)(第一一三五号)

 同(松本龍君紹介)(第一一三六号)

 同(三谷光男君紹介)(第一一三七号)

 同(森本哲生君紹介)(第一一三八号)

 同(山田正彦君紹介)(第一一三九号)

 同(山井和則君紹介)(第一一四〇号)

 同(柚木道義君紹介)(第一一四一号)

 同(横光克彦君紹介)(第一一四二号)

 同(横山北斗君紹介)(第一一四三号)

 同(吉田泉君紹介)(第一一四四号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第一一四五号)

 同(渡部恒三君紹介)(第一一四六号)

同月八日

 庶民大増税の中止等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一一八〇号)

 保険業法の適用除外等に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第一一八一号)

 同(松本剛明君紹介)(第一一八二号)

 同(山口壯君紹介)(第一三六八号)

 格差社会を是正し、命と暮らしを守るために庶民増税の中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一八三号)

 保険業法の見直しに関する請願(加藤公一君紹介)(第一一八四号)

 ガソリン税等暫定税率廃止を求めることに関する請願(安住淳君紹介)(第一一八五号)

 同(池田元久君紹介)(第一一八六号)

 同(石川知裕君紹介)(第一一八七号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第一一八八号)

 同(岩國哲人君紹介)(第一一八九号)

 同(内山晃君紹介)(第一一九〇号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一一九一号)

 同(大串博志君紹介)(第一一九二号)

 同(大島敦君紹介)(第一一九三号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一一九四号)

 同(太田和美君紹介)(第一一九五号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一一九六号)

 同(岡本充功君紹介)(第一一九七号)

 同(奥村展三君紹介)(第一一九八号)

 同(加藤公一君紹介)(第一一九九号)

 同(川内博史君紹介)(第一二〇〇号)

 同(川端達夫君紹介)(第一二〇一号)

 同(菅直人君紹介)(第一二〇二号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一二〇三号)

 同(北神圭朗君紹介)(第一二〇四号)

 同(小平忠正君紹介)(第一二〇五号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第一二〇六号)

 同(古賀一成君紹介)(第一二〇七号)

 同(郡和子君紹介)(第一二〇八号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一二〇九号)

 同(階猛君紹介)(第一二一〇号)

 同(篠原孝君紹介)(第一二一一号)

 同(下条みつ君紹介)(第一二一二号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一二一三号)

 同(園田康博君紹介)(第一二一四号)

 同(田嶋要君紹介)(第一二一五号)

 同(田名部匡代君紹介)(第一二一六号)

 同(高井美穂君紹介)(第一二一七号)

 同(高木義明君紹介)(第一二一八号)

 同(高山智司君紹介)(第一二一九号)

 同(武正公一君紹介)(第一二二〇号)

 同(津村啓介君紹介)(第一二二一号)

 同(寺田学君紹介)(第一二二二号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一二二三号)

 同(中井洽君紹介)(第一二二四号)

 同(長島昭久君紹介)(第一二二五号)

 同(長妻昭君紹介)(第一二二六号)

 同(長安豊君紹介)(第一二二七号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一二二八号)

 同(羽田孜君紹介)(第一二二九号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一二三〇号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一二三一号)

 同(伴野豊君紹介)(第一二三二号)

 同(平野博文君紹介)(第一二三三号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一二三四号)

 同(藤村修君紹介)(第一二三五号)

 同(古川元久君紹介)(第一二三六号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第一二三七号)

 同(細川律夫君紹介)(第一二三八号)

 同(前原誠司君紹介)(第一二三九号)

 同(牧義夫君紹介)(第一二四〇号)

 同(松木謙公君紹介)(第一二四一号)

 同(松野頼久君紹介)(第一二四二号)

 同(松本大輔君紹介)(第一二四三号)

 同(松本剛明君紹介)(第一二四四号)

 同(松本龍君紹介)(第一二四五号)

 同(三日月大造君紹介)(第一二四六号)

 同(三谷光男君紹介)(第一二四七号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一二四八号)

 同(森本哲生君紹介)(第一二四九号)

 同(山井和則君紹介)(第一二五〇号)

 同(柚木道義君紹介)(第一二五一号)

 同(横光克彦君紹介)(第一二五二号)

 同(横山北斗君紹介)(第一二五三号)

 同(笠浩史君紹介)(第一二五四号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第一二五五号)

 同(渡部恒三君紹介)(第一二五六号)

 同(安住淳君紹介)(第一三七一号)

 同(池田元久君紹介)(第一三七二号)

 同(石川知裕君紹介)(第一三七三号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第一三七四号)

 同(岩國哲人君紹介)(第一三七五号)

 同(内山晃君紹介)(第一三七六号)

 同(小川淳也君紹介)(第一三七七号)

 同(大串博志君紹介)(第一三七八号)

 同(大島敦君紹介)(第一三七九号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一三八〇号)

 同(奥村展三君紹介)(第一三八一号)

 同(加藤公一君紹介)(第一三八二号)

 同(川内博史君紹介)(第一三八三号)

 同(菅直人君紹介)(第一三八四号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一三八五号)

 同(北神圭朗君紹介)(第一三八六号)

 同(楠田大蔵君紹介)(第一三八七号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一三八八号)

 同(小平忠正君紹介)(第一三八九号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第一三九〇号)

 同(郡和子君紹介)(第一三九一号)

 同(笹木竜三君紹介)(第一三九二号)

 同(階猛君紹介)(第一三九三号)

 同(篠原孝君紹介)(第一三九四号)

 同(下条みつ君紹介)(第一三九五号)

 同(神風英男君紹介)(第一三九六号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一三九七号)

 同(園田康博君紹介)(第一三九八号)

 同(田島一成君紹介)(第一三九九号)

 同(田嶋要君紹介)(第一四〇〇号)

 同(田名部匡代君紹介)(第一四〇一号)

 同(高井美穂君紹介)(第一四〇二号)

 同(高木義明君紹介)(第一四〇三号)

 同(武正公一君紹介)(第一四〇四号)

 同(津村啓介君紹介)(第一四〇五号)

 同(寺田学君紹介)(第一四〇六号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一四〇七号)

 同(中井洽君紹介)(第一四〇八号)

 同(長妻昭君紹介)(第一四〇九号)

 同(長安豊君紹介)(第一四一〇号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一四一一号)

 同(羽田孜君紹介)(第一四一二号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一四一三号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一四一四号)

 同(原口一博君紹介)(第一四一五号)

 同(伴野豊君紹介)(第一四一六号)

 同(平野博文君紹介)(第一四一七号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一四一八号)

 同(藤村修君紹介)(第一四一九号)

 同(古川元久君紹介)(第一四二〇号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第一四二一号)

 同(細川律夫君紹介)(第一四二二号)

 同(牧義夫君紹介)(第一四二三号)

 同(松木謙公君紹介)(第一四二四号)

 同(松野頼久君紹介)(第一四二五号)

 同(松本大輔君紹介)(第一四二六号)

 同(松本剛明君紹介)(第一四二七号)

 同(松本龍君紹介)(第一四二八号)

 同(三日月大造君紹介)(第一四二九号)

 同(三谷光男君紹介)(第一四三〇号)

 同(森本哲生君紹介)(第一四三一号)

 同(山井和則君紹介)(第一四三二号)

 同(柚木道義君紹介)(第一四三三号)

 同(横光克彦君紹介)(第一四三四号)

 同(横山北斗君紹介)(第一四三五号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第一四三六号)

 同(渡部恒三君紹介)(第一四三七号)

 消費税大増税の反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一三六四号)

 保険業法の適用除外に関する請願(吉井英勝君紹介)(第一三六五号)

 庶民増税反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第一三六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三六七号)

 消費税増税反対、住民税をもとに戻すことに関する請願(阿部知子君紹介)(第一三六九号)

 保険業法の見直しを求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一三七〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣額賀福志郎君。

    ―――――――――――――

 電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

額賀国務大臣 ただいま議題となりました電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 本法律案は、我が国の国際競争力強化及び利用者利便の向上に資するため、電算システムによる輸出入等関連業務を一体的に処理できるように措置するとともに、これを運営する独立行政法人通関情報処理センターを特殊会社として民営化する等の所要の改正を行うものであります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、税関手続及びこれに関連する民間業務を処理する通関情報処理システムについて、新たに港湾手続、食品衛生手続、動植物検疫手続、入国管理手続等の関連する他の省庁の手続に関する業務を電算システムで一体的に処理することができるようにすることとしております。

 第二に、独立行政法人通関情報処理センターを解散して、新たに特殊会社として輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社を設立し、企業経営による業務運営のさらなる効率化を図ることとしております。

 なお、輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社につきましては、中立、公平かつ安定的な業務運営を確保する観点から、国による一定の関与を確保するため、政府による過半数の株式保有、主務大臣による監督、検査等に関する規定の整備を行うこととしております。

 その他、所要の経過措置等について定めてあります。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

 以上です。

原田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長香川俊介君、主税局長加藤治彦君、関税局長青山幸恭君、理財局長勝栄二郎君、国土交通省大臣官房審議官武藤浩君、大臣官房技術参事官林田博君、道路局次長原田保夫君、自動車交通局技術安全部長松本和良君、海上保安庁交通部長米岡修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。木原稔君。

木原(稔)委員 自由民主党の木原稔でございます。

 本日は、いわゆるNACCS法の質疑の時間を与えていただきましてありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。

 昭和四十五年にボーイングのジャンボジェット機が日本で導入をされて、いわゆる国際物流革命というものが起こりました。大量輸送時代の到来でもございます。税関手続のための電算システムが導入されたのは、それから八年後の昭和五十三年であります。

 他国のシステムを見てみると港湾ごとのシステムにとどまる中で、我が国の港湾または空港においては、全国の港湾、空港に積極的に展開をしてきた。その結果、日本は、太平洋上の島国という極めて地理的に不利な状況、環境にありながら、世界に類を見ない勢いで経済成長を果たすことができたわけでございます。そういった意味で、NACCSは、高度経済成長を支え、国際物流の円滑化に少なからず寄与してきたものというふうに私は思っております。

 これまでのNACCSの経緯と今の現状、そしてこれまでNACCSが行ってきた国際物流の円滑化のための取り組み状況について、まずはお伺いをいたします。

遠藤副大臣 お答えいたします。

 既に先生大変よく御存じのことと思いますけれども、簡単に説明させていただきます。

 通関情報処理システム、略称NACCSでございますけれども、これは、税関手続及びこれに密接に関連する民間業務、例えば貨物の在庫管理等を、電算システムを通じて国際物流の流れの中で一体として処理する官民共同のシステムでございます。現在、全申告件数の約九八%に当たります三千二百万件がNACCSにより処理されておりまして、NACCSを利用することによりまして、港湾及び輸出入手続の迅速かつ効率的な物流処理が可能となっているところでございます。

 しかしながら、NACCSにつきましては、利用料金が高いとか使い勝手が悪いといった御批判もありまして、これまで改善に向けた取り組みをるる進めてきたところでございます。さらに、平成二十年十月には、申請画面や入力事項の統一化などの機能を向上させた、いわゆる次世代シングルウインドーを稼働する予定でございます。これに加えまして、本法案において、NACCSと国土交通省所管の港湾関係手続システムの統合や関係省庁の輸出入等関連情報処理システムの一体的運営を行うとともに、通関情報センターを特殊会社化することによりまして、利用者の利便性向上、コスト削減を図ることとしております。

 以上です。

木原(稔)委員 今副大臣がおっしゃったとおり、当初は料金が高いとかまたは使い勝手が悪いという批判があったということでございますけれども、行政の強い指導によって大幅な料金の引き下げも行いましたし、利用者の意見を十分に反映させたシステムにするべく、これは随時そういった改正が行われてきたわけであります。また、関係省庁との連携という意味でも、その都度そういった連携を強めるような政策がとられて、今では利便性の向上にも十分努め、現在年間三千二百万件あるそういった輸出入の手続の九八%がNACCSによって処理されているということでございます。

 国が指導を行うという一定の役割はもう終えたというふうにも考えられますが、今回の法案によって、我が国の輸出入等の手続を処理するシステムは、国が過半数の議決権を持った民間会社により運営をされるということになるわけであります。

 諸外国においては輸出入の手続を行うための電算システムというのはどのような形態、または法人により運営されているのかということをお尋ねいたします。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国でございますが、韓国、台湾、香港、シンガポールといったような成長著しい港を有しておりますアジア各国におきましては、官民出資の民間会社が通関のネットワークを構築いたしまして政府のシステムと連携した運営を行っておるわけでございます。アメリカなりあるいはイギリス、ドイツといった欧米の国々におきましては、政府が官システムを単独で構築してみずから運用している例が多うございます。

 例えば、韓国でございますと、これは実はNACCSシステムをまねたというようなことを伺っておりますが、KTネット、KLネットというのがございます。これは一九九四年にでき上がっております。台湾におきましてはトレードバンというのがございまして、一九九二年でございます。香港はトレードリンク、これは一九九七年でございます。シンガポールはトレードネットというのがございますが、これは一九八九年ということでございまして、日本が一番早かったわけでございます。アメリカ、イギリス、ドイツ等は、それぞれ歴史がございますが、国は国、あとは民間は民間だけという形になっておるわけでございます。

 以上でございます。

木原(稔)委員 欧米ではまだ国が単独で運営しているところが多い、ところが力をつけてきたアジアの主要港ではもう株式会社化、民営化が進んでいるところが多いということでございました。

 アジア諸国の主要港と比較をして相対的に日本の港湾の地位が今大幅に低下をしているということは数字で出てきております。そういった状況、背景をもとにすると、今回の法案というものは、港湾物流における我が国の国際競争力の強化並びにその利用者の利便性向上に資するという意味で関係省庁システムの一体的運営、さらに民間の知恵とそして効率性を導入するという意味でいうと、独立行政法人であるNACCSセンター、これの民営化ということを行うことは、私は理にかなっているのではないかなというふうに思っております。

 そこで、今申し上げましたそういった関係省庁システムの一体的運営、NACCSセンターの民営化につきまして、今、その概要、メリットもしくはデメリットというものがあればどのように考えているかというのを、副大臣、教えてください。

遠藤副大臣 お答えいたします。

 この法律案におきましては、我が国の国際競争力の強化並びに利用者利便の向上に資するということが目的でございますが、そのために、通関情報処理システムと、港湾手続、食品衛生手続、動植物検疫手続、入国管理手続等、他省庁の手続に関する業務を電算システムで一体的に処理できるように措置をしております。また、NACCSセンターを解散いたしまして、新たに新会社であります輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社を設立いたしまして、企業経営による業務運営のさらなる効率化を図ることといたしております。なお、新会社につきましては、中立、公平かつ安定的な業務運営を確保する観点から国による一定の関与を確保する必要がありまして、政府による過半数の株式保有、主務大臣による監督、検査等の規定の整備を行うこととしております。

 メリットにつきましては、まず、データベース機能など、システムで重複する機能の統合によるコスト削減ということがあるかと思います。さらに、輸出入等関連手続の一層の迅速化、そして情報セキュリティーの向上、情報共有の円滑化、迅速化、さらには企業経営による業務運営のさらなる効率化とか、アジアを初めとする諸外国の通関ネットワークシステムとの連携など新規業務展開による民間利用者の利便性向上といった効果が期待されるものと考えております。

木原(稔)委員 NACCSセンターは、今後関係省庁システムの一体的運営を図る必要があるという意味、その一点だけをとってみると、国の機関であるべきだというような意見も当然あるというふうに思います。しかしながら私は、NACCSセンターというものは、決して公権力を行使するわけでもなく、民間の知恵を十分に生かせる部分が多い、そういう分野がたくさんあるということで、民間にできることは民間にというような趣旨からいうと、これはむしろ民間になる、民営化するということで典型的に優良企業になり得る存在ではないかな、そのように感じております。

 しかしながら、新会社は民営化のよい面を生かしていく必要がある一方、先ほど副大臣も言われたとおり、輸出入等に関するそういった重要な公共サービスを提供するという観点から、国としても一定の関与を残していくべきであるというふうに考えておりますが、その見解をお聞きします。

 また、人員の構成でありますけれども、現在NACCSセンターは職員が百十五名というふうに聞いております。そのうち、中身を見てみますと、出向者が百名、最近採用を始めたプロパーの職員がまだ十五名、そういう構成でございます。出向者の中身を見てみますと、税関の職員であるとか、また航空会社、船会社からの出向、または貨物会社などから出向してきている。官民からまさしく出向者によって運営をされているという今の現状であります。既に民間会社から多くの出向者によって構成されている、つまり民間の出向職員によって大きな力をかりているという側面からしても、民営化になったとしても弊害は恐らくなさそうに感じます。

 本法案における民営化によって、今度は出向社員に依存することなく、なるべくプロパー職員を主体としてそういった組織にすべきだというふうに感じております。さらに、NACCSの利用者である税関、航空会社、船会社、貨物会社等と対等な出向関係、相互交流というものを図る、そういった人事制度にすることによってなお一層の利便性向上に寄与するというふうに、これは私が感じておるところでございますけれども、そういったところについても見解をお聞かせください。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 人員の話でございますが、通関情報処理システムでございますが、官民の共同システムであるということから、システム運営に際しましては、税関手続及び国際物流に精通いたしました職員が必要であるということは当然でございます。このため、従来から、NACCSセンターの職員ということでございますが、先ほど先生の方からお話がございました、みずから採用したプロパー職員のほか、民間企業、財務省・税関等の国からの出向者ということで構成されているわけでございます。

 今回の民営化に伴いまして、基本的には私どもはやはりプロパー職員主体の組織にすることが適当と考えておるわけでございまして、国からの出向者の割合につきましては、これを順次引き下げていきたいというふうに考えておるわけでございます。

 NACCSでございますが、現在輸出入申告の約九八%を処理しております我が国の国際物流の基幹システムでありますとともに、その取り扱います輸出入申告情報でございますが、これは企業の情報でございます、企業の秘密でございます。ということでございますので、やはり中立かつ公平かつ安定的な業務運営を図るために、国の一定の関与が必要であるというふうに考えておるわけでございます。

 この観点から、本法律案におきましても、NACCSを運営いたします新会社に対しましては、一定の国の関与といたしまして、政府によります議決権の過半数の保有や、あるいは代表取締役及び監査役の選定及び解職、事業計画、定款変更等に係ります財務大臣の認可、さらには主務大臣によります監督、報告及び検査を行うということで考えておるわけでございます。

 以上でございます。

木原(稔)委員 ありがとうございます。

 それでは、大臣の見解もお伺いしたいと思います。

 この法案においては、新会社を民営化しつつ、国が議決権の過半数を所有することというふうにされております。私は、会社法による運営を行うことで民間の活力を生かしながら、一方で、やはり公共サービスを扱う組織として一定の国の関与を受ける特殊会社というこの新会社のあり方については賛成しております。航空会社も、戦後、立ち上がってからは、当初は国の機関として出発をして、その後半官半民という形態をとり、様子を見ながら完全民営化していく、そういう経過をたどり今に至っております。そういった観点からも、このNACCS新会社も、十年以内に会社のあり方について検討するということでございます。

 それ以外の組織の形態として、私は二つ考えられたというふうに思っております。その一つ目は、完全民営化して、国の業務はもう極力、必要な行為規制のみを課した上で会社との契約により行うという形態、もう一つは、NACCSを、これは会社ではなく、民営化するのではなくて直接国が管理運営する形態、つまり、水際の取り締まりだからこれは民間にやらせておくべきではない、そういう考え方がやはりあったというふうに思われます。

 新会社設立に当たって、こうした形態をとらずに、民間にしつつも国が一定の関与をするということに至った経緯、それについての大臣の考え方を教えてください。

額賀国務大臣 先ほど来お話があるように、欧米では国が管理しているところが多い、しかし、韓国とか香港とか新興アジアでは民営化されているところが多いということでありました。だから、二つの考え方がおありだと思いますけれども、私どもといたしましては、新しい会社が管理運営することとなるNACCSは、我が国の国際物流の基幹システムとなっているために、国民や利用者の視点に立って、中立的な、公平な、安定的な業務運営が行われていく必要があるということがまず挙げられます。

 完全民営化した場合には、必ずしも収益性のない事業が適切に行われないおそれがあるということ、あるいはまた、行為規制を課したとしても、日々の業務一つ一つ国が監督を行うことは現実的ではないということといった問題が起こってまいります。また、民間利用者からも、新会社が企業情報などを取り扱うことになるために、新会社の運営に対して公的な関与があった方がいいという声も実際にあるわけでございます。

 他方、国が直接に管理運営する場合には、NACCSが官民共同システムであることから、国の関与を必要としない民間同士の業務処理まで国が行うこととなってしまうという問題があるわけであります。

 こうした背景から、新会社を民営化しながら、国が過半数の議決権を有することによって特定の株主の意向に沿った議決が行われないようにするなどの一定の関与が必要であるという形で、こういう特殊会社化したという背景があります。

木原(稔)委員 最後になりますけれども、我が国の空港、港湾というものは、アジア諸国の急激な昨今の伸びによって、主要港と比較すると相対的に地位が低下してきているというのは、もうこれは現実であります。国際競争力を強化するというのは喫緊の課題であるというふうに感じております。極力早期に本法案は成立をさせて、そして新しい電算システム、新会社の設立の準備を一刻も早く進めるべきだというふうに考えております。最後に、大臣の考えを伺います。

額賀国務大臣 これは木原委員と同じでありまして、日本は海洋国家であり、貿易立国であります。やはり、港湾、空港、こういうシステムがどういうふうに効率よく合理化されていくか、あるいはまたセキュリティーもきちっとしていくかということが問われていくわけであります。

 阪神・淡路大震災以降、日本の国際貨物というのは若干低下、停滞ぎみでありますから、こういうNACCSセンター、特殊会社化することによって効率化を図って、日本の活力を取り戻していかなければならないというふうに思っております。港湾、空港の国際競争力強化の視点から、おっしゃるように、きちっとしていくことを早めていく必要があると思っております。

 本法案におきましては、本年十月にNACCSと港湾関係手続システムを統合して、そして本年十月一日にNACCSセンターを特殊会社として民営化することとしているわけであります。過去のシステム更改の事例や他の特殊会社の例を踏まえて、半年程度の準備期間は確保したいと考えております。でありますから、できるだけ早くこの法律の成立を期待しているところでございます。

木原(稔)委員 ありがとうございました。終わります。

原田委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。早速、法案につきまして質問させていただきます。

 今回の法案の目的は、我が国港湾の国際競争力強化というものが一つございますけれども、現状の海上コンテナ貨物に係ります輸入手続の所要時間二・一日を、スーパー中枢港湾については一日に短縮する目標というふうに承知をしております。

 現状二・一日の内訳でございますけれども、入港から搬入までが十八・四時間、搬入から申告までが二十九・五時間、申告から許可までが三・一時間ということで、合計五十一時間、約二・一日ということでございますが、まず、本法案によりまして関係省庁の輸出入手続システムを一体化運営する、このことによってどの程度短縮できるのか、確認をいたしたいと思います。

 また、港湾側としまして、このコンテナの積みおろし時間の短縮のために、どういった施策でどの程度短縮する目標なのか、この点について確認をいたしたいと存じます。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省では、平成三年から定期的に輸入手続の所要時間調査を行っておるわけでございます。海上貨物通関情報処理システム、Sea―NACCSと私ども申しておりますが、これを導入したのが平成三年の十月でございますから、その導入前の平成三年の二月に行いました第一回の調査におきましては、船舶の入港から輸入の許可までの時間でございますが、百六十八・二時間ということで、七日間かかっておりました。直近でございますと、平成十八年の三月に行われました調査におきましては、全貨物で六十三・八時間、これは二・七日、コンテナ貨物におきましては、先生御指摘のとおり五十一時間、二・一日となっておりまして、この時間の大幅な短縮が実現しているわけでございます。

 本法案におきまして、利用者の利便性向上、さらには管理コストの削減を図るという観点から、NACCSと、あと、国土交通省所管の港湾関係手続システム、港湾EDIと申しておりますが、これをことしの十月に統合し、さらに、その他の厚生労働省、農林水産省、経済産業省、法務省等々関係省庁の輸出入等関連情報処理システムにつきましても、一体的運営を通じまして、さらなるシステム統合を図っていくということでございます。

 こういう取り組みによりまして手続時間の短縮をさらに進めまして、平成十八年七月の経済成長戦略大綱にございますように、平成二十二年度までに、スーパー中枢港湾に関しましては、リードタイムを一日程度に短縮するということを目指しているわけでございます。

 以上でございます。

林田政府参考人 国土交通省におきましては、輸出入及び港湾手続全般につきまして、今、財務省さんからお話しございましたように、財務省さん初め関係省庁と連携をいたしまして、その簡素化、迅速化に取り組んでおります。

 さらに、港湾におきまして、高性能の荷役機械を導入するといったようなこと、あるいは、複数の船舶が同時に荷役することが可能となるよう荷役作業の共同化を図るなど、ターミナルを効率的に運用することによりまして貨物の積みおろし時間の短縮を図り、船舶の着岸から貨物の搬出が可能となるまでの時間、いわゆるリードタイムを一日程度に短縮していきたいと考えております。

石井(啓)委員 続きまして、今回、独立行政法人通関情報処理センター、NACCSセンターを特殊会社化して民営化を図るわけでございますけれども、この新会社の資本金が予定として十億円を想定している。この十億円という額の根拠を伺いたいと思います。

 また、法案の附則第六条で、現NACCSセンターの財産は、出資者に分配される財産を除き、新会社に全部出資するというふうにされておりますけれども、その理由、正当性についても確認をいたしたいと思います。

 大臣、お願いいたします。

額賀国務大臣 お尋ねの新会社における資本金の額は、法案成立後に設けられる新会社の設立委員会で検討されることになっております。そして定款で定められることになるわけでございますけれども、新会社におけるコンプライアンスの充実の観点、それから、同規模の会社の営業収入を有する企業の資本金額という観点から、十億円程度が適切ではないかと考えておるところでございます。

 また、現在、通関情報処理センターでは、資本の部に九千万円の資本金のほか約四十億円の積立金がありますけれども、この積立金は、利用者が払った利用料金が積み上がったものであります。だから、全額を新会社に引き継ぎまして、新会社において、資本金のほか、NACCSの運用や新システムの開発等のために活用することによって、利用者全体に還元していくことが適切であるというふうに考えております。

石井(啓)委員 今、大臣が御説明いただきましたとおり、NACCSセンターは現在利益剰余金として約四十億ございますけれども、これが、そのうち十億円が新会社の資本金に、三十億円が資本準備金に充てられる予定だ、こういうふうに承知をしております。それは、従来、このセンターを利用していた利用料が内部留保として積み立てられてきたものですから、新会社にそれを移して、また利用者に還元するということかと思います。

 今後、この新会社は当初一〇〇%政府出資でありますが、順次株式を売約していくわけでございます。そうしますと、一般株主の要求によってこの資本準備金として積み立てられた三十億の一部が配当等に回って、センターから新会社に引き継いだ財産が社外流出するという可能性、これがないのかということを確認しておきたいと思います。

 大臣、お願いいたします。

額賀国務大臣 この通関情報処理システムは、我が国の国際物流の基幹のシステムであることは、これまで論じてきたことであります。その業務運営というのは、国民とか利用者の視点に立って、中立的に、公平に、安定的に行われる必要があるということであります。

 したがって、NACCSを引き継ぐ新会社に対しましては国が一定の関与を確保することにしておるわけでございまして、したがって、政府が議決権の過半数を保有することとしているわけでございます。

 このほか、剰余金の配当、その他の剰余金の処分は財務大臣の認可事項としております。したがって、御指摘の資本準備金につきましては、新会社において、NACCSの運用、新システムの開発等のために活用することにより、利用者全体に還元していくことが大事であるというふうに思っております。

 このような国の関与の中で御懸念のようなことがないように、政府の意図に反して資本準備金が配当として社外に流出していくようなことがないようにしていきたいというふうに思います。

石井(啓)委員 続きまして、法案の第九条、「業務の範囲等」の中の第二項で、「会社は、前項」、第一項「の業務を営むほか、財務大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を営むことができる。」こういうふうに規定されております。この「必要な業務」というのがどういう業務を想定しているのか、確認をいたしたいと思います。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案におきましては、御指摘の第九条第二項におきまして、会社は、会社の目的を達成するために必要な業務、目的達成業務を営むことができることとしております。

 目的達成業務としてどのような業務を行うかにつきましては、新会社の経営陣において一義的には判断されるものと考えておりますが、例えば、通関情報処理システムに蓄積されます情報やネットワークを活用した業務、さらには、国際的なシステム連携のための業務等が考えられると思っております。

 なお、目的達成業務を行うに当たりましては、採算性などを検証する必要がありますので、財務大臣の認可が必要としているところでございます。目的達成業務に係る申請がなされた場合におきましては、当該目的達成業務が本来業務に悪影響を与えることのないよう、適切にチェックしてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

石井(啓)委員 続いて、法案の第十条で、「会社の責務」といたしまして、「会社は、前条第一項の業務を営むに当たつては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配意し、電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理が、あまねく全国において、適切、公平かつ安定的に、かつ、なるべく安い料金で行われるように努めなければならない。」こういうふうに規定されております。

 一方で、一般株主がふえてきますと、当然のことながら、配当利益を出してほしい、こういう要望も出てまいりますでしょうし、また、会社の側から、設備投資のために内部留保したい、こういう要望が出てくる可能性もあるわけでありますけれども、この第十条でうたいます「あまねく全国において、適切、公平かつ安定的に、かつ、なるべく安い料金で行われるように」、こういう会社の公的な責務と、なるべく利益を出したり内部留保したりというそういうものとのバランスをこれはどういうふうにとっていくのか、この点について大臣にお伺いをいたしたいと思います。

額賀国務大臣 石井委員がおっしゃるように、この新会社というのは、国際物流の基幹システムでありますから、極めて公共性が高いわけであります。と同時に、輸出入の仕事に関連する業務については、なるべく安い料金で行われるように努めてほしいというのも当然なことだと思います。

 このため、私どもとしては、新会社設立の際に、定款で、利用者や学識経験者を含めた第三者委員会をつくりまして、適切な料金を検討することとしたいというふうに思っております。

 一方で、新会社は財務大臣の認可を得て目的達成業務を行うことを可能としておるということは先ほど説明したとおりでありますが、目的達成業務としてどのような業務を行うかは、新会社の経営陣において判断していくことになります。

 例えば、NACCSに蓄積された情報とかネットワークを活用した業務、あるいは国際的なシステム連携のための業務、そういったものが考えられていくわけでありますが、こうしたことによって収益を上げることに努力すると同時に、公益性確保と会社利益の確保との間で、ある程度バランスがとれていく形を心がけていかなければならないというふうに思います。

石井(啓)委員 ある意味でこれも、第九条第一項で規定されている業務については、なるべくこれは安い料金で、一方で、第九条第二項で規定されている、目的を達成するために必要な業務、稼ぐのであればここで稼いだらどうか、こういう仕分けをお考えになっているのかなという印象を私は持ったのでございますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

額賀国務大臣 先ほどもおっしゃったように、公共性が強いし、それから、輸出入に関連する競争力を維持していくためには、できるだけ安い価格で業務ができるようにしていく努力をしなければならない。一方で、NACCSで蓄積したノウハウとかを活用しながら、収益も民間会社としては稼いでいかなければならない。その両面をバランスよくとっていきたい。しかもなおかつこれは、料金等については、第三者委員会を設けて適切な料金制度を維持していきたいということでございます。

石井(啓)委員 それから、附則の第二十四条に、「会社の在り方の検討」としまして、「政府は、この法律の施行後十年以内に、この法律の施行の状況等を勘案しつつ、会社の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。」この「会社の在り方の検討」ということの趣旨を確認したいと思います。

 また、「十年以内」というふうになっていますけれども、十年というのはちょっと長いなという印象があるんです。この点についてどう位置づけられているのか、お伺いいたしておきたいと思います。

青山政府参考人 御指摘の点につきましてお答え申し上げます。

 通関情報処理システムでございますが、税関手続と、これに密接に関連いたします民間業務を一体として処理する官民の共同システムであるということでございますが、現時点におきましては、迅速性、効率性の観点から官民共同のシステムとすることが合理的であり、現在の民間利用者の要望にもかなったものであるということで、こういうシステムでやらせていただこうと思っているわけでございます。これは、十七年の三月にまとめました刷新可能性調査なり、あるいは、翌年十八年三月の最適化計画の中にもそういう形でうたっているわけでございます。

 新たにこのNACCSを運営いたします新会社でございますが、この手続関連を独占することになるわけでございまして、その弊害を防止するために、民営化に当たりましては、国が一定の関与を行うこととしているわけでございます。

 しかしながら、御指摘のとおりでございますが、今後の技術の進歩さらには社会情勢の変化に応じまして、会社のあり方を見直していく必要があるわけでございます。こういうことから、ことしの十月に更改予定でございます私どものSea―NACCSのライフサイクルが大体八年程度というふうに見込まれておりますので、法施行後十年以内に会社のあり方について検討を加えまして、必要に応じて所要の見直しを行おうというふうにすることとしたところでございます。

 我が国の国際競争力の強化のためには、国際物流のさらなる迅速化なり、あるいは効率化が必要と考えられるわけでございますが、今後の技術の進歩等によりまして、官民の業務の処理を分離しても迅速性、効率性が損なわれないということになれば、これは要するにレスポンスのスピードが速くなるということでございますが、こういうふうになれば、その組織についても官民を完全に分離いたしまして、民間部分につきましては完全民営化するということも当然あり得るというふうに考えているわけでございます。

 いずれにいたしましても、見直しのための期間でございますが、十年たつまで見直しをしないということではございません。技術の進歩さらには社会情勢の変化等に応じまして、可能な限り早期に見直しを行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

石井(啓)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

奥野委員長代理 次に、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。質問を始めます。

 まず最初に渡辺大臣にお聞きしたいんですが、いろいろなところでしょっちゅう議論されている問題だと思います、そんなに時間はかけませんが、国家公務員制度改革基本法、一応政府としてまとめたわけです。よく言われる、省益あって国益なしとか、あるいは局益あって国益なしとか、こう言われかねない現状を正していくために改革をやるんだ、それは、特に人事について、内閣人事庁、ここで一括して管理をする、そういうことを言われていたわけです。

 今回のまとまった案、さっき言ったような、省益あって国益なしと言われかねない現状を打破するようなものになった、そういうふうに御自身で感じておられるのかどうか、まずは感想をお聞きしたいと思います。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺国務大臣 きょうは特別大サービスということで、理事会の御決定によって答弁をさせていただきます。

 今回のプランは、百点満点というわけにもいきませんけれども、今委員が御指摘になられました、省益あって国益なしと言われるがごとくの縦割り行政を打破していくには、相当強力な仕掛けができるものと考えております。内閣人事庁というものをつくりまして、幹部人事はここに一元化をしていくという仕掛けもつくりました。それが改革後退じゃないかとかいろいろ感想を述べられる向きはございますけれども、我々としては、その基本線はきっちり守ったということが言えるわけでございます。

 したがって、そういう意味においては、まさに縦割り行政の弊害、これを打破し、かつ、官僚内閣制と言われるがごときの体制から真の議院内閣制へ、つまり、内閣主導型、政治主導体制への道を確立できるものと考えております。

笹木委員 これはしかし、幹部人事の原案というのは、結局各省がつくることで落ちついたということですよね。大臣御自身が言っていた、骨抜きになるようないろいろな案が出ている、いろいろな意見が出ていると言ったけれども、こういうものを大臣御自身が指していたんじゃないんですか。

渡辺国務大臣 これは、いきなり、では各省の人事権を全部人事庁に集めるというのも難しい話なんですね。

 実は、最初から我々の案では法文の中には盛り込んでおりませんでしたけれども、各省がたたき台案をつくるということまで排除はしていなかったのでございます。当然そういうことはやってくるだろうと。しかし、人事庁が幹部職員については各省たたき台案を適格性審査にかけますよ、その上で、必要があれば人事庁案というものも別途つくる、そして内閣の一員としての大臣の人事権を強化する、そういう発想でこの仕掛けを考えたわけでございます。

 したがって、もとより、各省事務方案というのが、これを禁止するという発想は最初からとっておりませんでした。

笹木委員 いやしかし、結局今まで、各大臣の最終的な判断でということでいろいろなものが実態は骨抜きになる例、たくさんありますよね。原案はその役所がつくって、内閣人事庁は何をするんですか。審査をすると言うけれども、具体的にどのような権限で、例えば省益あって国益なしというような人事が常に出てくる、これに対してどうやってはねつけることができるんですか、大臣に対してそういうものをどうやって担保ができるんですか。甚だあいまいだと思います。これで突破できるとは私にはとても思えませんが、これで突破できるのなら、今までの天下り禁止とかいろいろな方針なんかも骨抜きになることはなかったんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

渡辺国務大臣 今回の案は、大変革命的な要素をはらんでいるのでございます。なかなかそこまで思い浮かばないという御意見は何となくわかる気がいたします。しかし、この案は、まさに出ては消え、出ては消えしていた案なのでございます。この間、中曽根大勲位のところにお伺いをしましたところ、いやあ渡辺君、この案はできちゃったら革命だよとおっしゃっておられました。それくらいに、縦割りの各省割拠主義の伝統が強い日本においては、大変なインパクトをもたらす案だったわけでございます。

 したがって、我々は、現実的にこの案をどうやって実現していくか。今の体制を全部ひっくり返して新しくつくり直すということが難しいのであれば、まさに今の現実を見据えて、それにくさびを打ち込んで新しいシステムをつくっていくという発想で考えたわけでございます。

 内閣人事庁というのは、採用段階から絡んでまいります。例えば総合職というのは、内閣人事庁採用になるわけです。今のキャリア制度と根本的に違う点は、一般職や専門職であっても、あるいは中途採用の民間採用であっても、どのルートからでも幹部になっていけるという点が、今の固定的、身分制的キャリア制度と違う点でございます。

 内閣人事庁は、今回国会に提出した法案の中で、いろいろな役割と機能を果たすことが規定をされています。例えば、幹部候補育成課程に関する統一的な基準の作成、あるいは幹部候補育成課程対象者に対する研修の企画立案、実施とか、課程対象者の府省横断的な配置がえの調整とか、いろいろな役割を内閣人事庁が担うことを規定しております。官民の人材交流の推進などということも入ってございます。また、公募による任用の推進という点も入っております。

 日本では、いわゆる政治任用というのはなかなか今まではなかった。しかし、日本型政治任用といいますか、講学上自由任用と言われているようなことも、大いにこれは進んでいくことが予想されるわけでございます。

 人材が今のように各省縦割りで、採用から人材育成、退職管理、退職後の天下りまで、もう全部各省ごとに面倒を見るというやり方が、まさに縦割りの省益重視、省益あって国益なしという状況を生んでいるとするならば、まさにこの点は大幅に変わっていく、根本的に変わっていくということがこれによってわかるのではないでしょうか。

笹木委員 今の大臣のお話、その言葉の中にもありましたように、各省の力が非常に強い、日本の歴史の中でもそうだった、それで、各省と大臣の関係も必要以上に密接過ぎる、大臣に対する省の影響力が強過ぎる、そういう現状の中で、結局これ、どんなに好意的に見ても、人事について二つ、併存とまでもいきませんよね、内閣人事庁が何かいろいろアドバイスしたりというような程度の余分なものが横からつけ加わっている。併存とまでもいかないのじゃないかと私なんか思います。

 もう一つ、政官の接触の制限、これも、専門官以外の接触は閣僚の指示とあります。これも、例えば大臣が必要と認めるときは、いろいろな法律が今までありましたね、取り決めに。それで全部実質骨抜きになってきたんじゃないですか。そのおそれはありませんか。

渡辺国務大臣 今のいわゆる官僚内閣制と言われるがごときの体制を支えているのは、大臣の意見はさておきと言って、官僚が族議員と結託してロビーイング活動をやる、そういうやり方なんですね。したがって、今回は、まさしく内閣の一員としての大臣の威令が行われる、そういう規律をつくっていこうということでございます。

 大臣、副大臣、政務官だけではどうも手が足りないというのであれば、リエゾンオフィサー部隊をつくったらどうか。政策の説明その他の政務に関して大臣を補佐する職、政務専門官を置きます。それ以外にどうしてもより専門的な案件で国会議員への接触が必要だという場合には、大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものにするための規律をつくっていこうというのが今回の提案でございます。

 こうした内閣人事庁や政官の接触の集中管理について、いや、こんなものは現実離れしているよ、中途半端だよ、こういう御批判があるのは承知をいたしておりますが、しかし、ここでこまを先に進めなかったらどうなるか。結局、現状維持になってしまうのであります。現状維持の方の人たちからは、まさにこれが中途半端ですよ、そういう世論工作が行われているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

笹木委員 では、中途半端にならないものにするために、例えば民主党も、我々の同僚が具体的な案、具体的な修正についても提案をしていくと思いますが、大臣が言われるような省益あって国益なしを打破するために、民主党のいい提案があれば、それは積極的に協議もする、それは間違いありませんよね。あるいは、政官接触の政務専門官、これに限定をしていく、これが実質化されるために具体的な提案があれば、それに乗っていくことは十分にあり得ると考えてよろしいんですね。

渡辺国務大臣 我々、先週これを閣議決定して国会に提出したばかりでございますので、これ以上いい提案があるとは、ちょっと私の口からは申し上げられませんけれども、もし対案がおありになるのであれば、ぜひ早目に国会に御提出をいただきたいと思うのでございます。

 国会の慣例では、対案がある場合には、対案が出てこないと政府案の審議も入れないんだという解説をする向きもございまして、そういたしますと、これは時間切れアウトになっちゃう可能性がないとは言えないんですね。時間切れアウトということは、まさに現状維持派の方々にとってはこんないいことはないわけでございますから、私としては、ぜひ現状維持にならないよう、民主党の御提案をお待ちいたしております。

笹木委員 いや、中途半端なものをつくって、しかもそれで骨抜きになっていく、それでやったと言われることでさらに公務員改革が何年もおくれる、この可能性だって十分あるわけですよ。民主党の方から具体的な修正のポイントも提案をしていくと思いますので、ぜひ協議に乗っていただきたいと思います。きょうはここまでにします。どうもありがとうございます。

 法案について質問をしたいと思うんですが、まず、この今回の法案についてのねらいを簡単に御説明をいただけますか。

青山政府参考人 先ほどもお答えしておりますが、本法案につきましては、まさに我が国の国際競争力の強化の観点からということでございまして、一つは、現行のNACCSシステムを、他省庁のシステムと合わせました統合運営を行おうということでございます。

 もう一つは、このNACCSシステムを運営しておりますNACCSセンター、これは今独立行政法人でございますが、これを特殊会社として民営化しよう、こういうねらいでございます。

笹木委員 ちょっと違った方向から聞きますが、では、よく言われる、例えば我が国の港湾におけるコンテナ量の取り扱いの伸び率、これが、例えばアジアの国、韓国に比べても、中国に比べても、シンガポールに比べても非常に伸び率が悪い。この十年、二十年でそういう結果が出ているわけです。一つじゃないと思いますが、これはどうしたことが理由でそういう結果になったと総括をされておられますか。

林田政府参考人 委員御指摘のとおり、港湾におきますコンテナ取扱貨物量につきましては、一九九五年と二〇〇五年を比較いたしますと、日本におきましては約一・六倍の伸びでございますが、アジア諸国では、これをはるかに上回る三・四倍の伸びを見せております。

 この原因といたしまして、幾つかの複合的な要因が関係をしているというふうに推測をしております。

 一つは、アジア諸国が急激な経済発展を遂げたこと、これが第一に挙げられようかと思います。さらに、アジアの諸国におきます港湾におけるコンテナターミナルの整備が急速に進んだことがあろうかと思います。

 さらに、日本の港におきましては、アジア諸港と比較をいたしまして、コンテナ一個当たりの取り扱いコストが高く、また、船舶の着岸から貨物の搬出が可能となるまでの時間、いわゆるリードタイムを初めといたしますターミナルのサービス水準が低いといったようなことが考えられようかと思います。

笹木委員 非常におくれた理由に、この法案にもかかわりますが、IT化、これがおくれたということもあるんじゃないですか。

 例えばこのIT化、IT化そのものへの取り組みがおくれたとは言いませんが、ネットワークの標準としてのソフト、この仕様とかシステム、これを世界標準のものを最初採用しなかった、それが統一化されていなかった、そうしたことが利用する側にとって結果的に非常に不便な結果になった、そういうことはお考えになっておられませんか。

林田政府参考人 御指摘のように、私ども国土交通省では、今委員おっしゃいましたとおりの観点から、さまざまな関係の省庁での手続がそもそも電子化をされていなかったということがございますので、その反省に立ちまして、まず電子化をするということを進めております。

 あわせて、窓口をできるだけ統一する、一つにする、いわゆるシングルウインドー化でございますけれども、これも、あわせて進めていくということで現在鋭意取り組んでおります。

 このNACCSのシステムでございますけれども、これに、私ども港湾のいわゆるEDIシステムと呼んでおりますが、この手続のシステムも統合し、さらに関係の省庁のシステムも統合されるというふうに伺っておりますので、そういう意味では、これからなおスピードを上げて、IT化ということをあわせた手続の簡素化、迅速化に取り組んでいきたいというふうに考えております。

笹木委員 結果的にこのITでの問題もあったということで、そういうことも克服しようということでこの法案がある、そういうふうに理解をしますが、よく比較をされる、例えばシンガポールの通関システム、トレードネットというんですか、一枚の書式で、一回の申請で、一度の手続でできると。しかもこれ、二十四時間、三百六十五日体制ですよね。いつでもアクセスできる、いつでも通関の手続ができる。こういうシステムに日本のシステムがあとどのぐらいの期間でなりますか。

 シンガポールの場合には、毎週日曜日の午前四時から八時までの四時間、週一回四時間だけメンテナンスのためにシステムを停止している。通関の業務すべてが、一枚の書式、一回の申請、一度の手続、二十四時間、三百六十五日体制、こういう形がいつ実現しますか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のシンガポールでございますが、昨年十一月の世界銀行の調査結果によりますと、いわゆる国際物流のパフォーマンスという意味では、シンガポールは世界一になってございます。私ども、このいろいろな日数等々を比較いたしまして、そう遜色があるわけではない。ちなみに、日本は六位でございます。順番に申し上げますと、シンガポール、オランダ、ドイツ、スウェーデン、オーストリア、あと、日本、スイス、香港の順番でございます。

 いずれにいたしましても、私ども提案させていただいておりますこの法案、さらにはNACCSの特殊会社化あるいはシステムの統合というものが完全にでき上がった暁におきましては、まさに遜色のない状況になっているということだとは思っております。

笹木委員 それと、ASEANのシングルウインドー化ということを数年前に日本も参加して首脳会議で宣言をしているわけですが、これは、こうした法案でさらにスピードアップするとしても、何年ぐらいに日本としては同じ仲間として入っていけるんですか。見通しを聞かせてください。

青山政府参考人 御指摘のASEANシングルウインドーでございます。

 これは、二〇〇三年の十月にASEANの首脳会議で設立が決定されたわけでございまして、二〇〇五年の十二月に署名されましたASEANシングルウインドーの設立と実施に関する合意というものに基づきまして、ASEAN域内におきまして貿易関係処理の標準化、電子化を推進し、域内の貿易円滑化を目指しているわけでございます。

 具体的には、二〇〇八年までに、ASEAN原加盟国は六カ国でございますが、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、タイ、シンガポール、インドネシア、さらには、二〇一〇年までに新加盟国四カ国、これはCLMVと言っておりますベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーというところでございますが、各国におきましていわゆるナショナル・シングル・ウインドーを完成いたしまして、二〇一二年には、これらと統合してASEANシングルウインドーを完成するというふうに目指していると伺っております。

 現在、実証実験を行っているわけでございますが、原産地証明書等々のいろいろなトライアルをやっているというふうに伺っておるわけでございます。

 先生の御疑問の、では我が国はどうしているんだという議論なんでございますが、今回のこのまさにNACCSシステムの改革によりまして、我が国のシステムとこの接続が可能になるわけでございまして、これらにつきましては、私ども、このASEAN諸国の関税当局と積極的に協議をしてまいっておるわけでございまして、さらに、本法案の成立後、速やかにまた各国とも協議をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。

笹木委員 それと、先ほどの話にもう一回戻りますが、港の使い勝手ということ、港湾の時間外、夜間とか早朝の使用について、アジア・ゲートウェイ構想、その中の物流検討の会ですか、いろいろなことを言われていましたよね。構造改革特区制度の活用をするとか、期間を限って集中的に試しにやってみるとか、いろいろなことを言われていました。夜間入港規制の撤廃を踏まえて対外的な周知を徹底したい、いろいろなことを言われていましたが、実際に今実現はどの程度しているかという話になると、非常に心もとない話なわけです。これをどうされますか。

 もちろん、民間での歴史的ないろいろな習慣とかそういう問題もあるのはわかっておりますが、この夜間、早朝の港の使用ということについて、さらにどうしたことを今検討されていますか。

林田政府参考人 現在、船からの貨物の積みおろし、いわゆる本船荷役というふうに呼んでおりますが、これにつきましては、元旦を除きまして年三百六十四日、二十四時間作業が行われております。他方、積み込む前ですとかあるいは貨物をおろした後でございますけれども、そういった陸側の夜間作業につきましては、原則として行われておりません。

 このような陸側の利用時間の問題につきましては、通常、陸側の荷役作業が行われない時間帯に要員を配置する必要があるということですとか、さまざまなところで追加的なコストが発生をするというふうに考えております。

 しかしながら、実際上、拡大する時間の幅、あるいは荷役の方法、さらには対象となる貨物の量などによりましても、場所ごとに大きく変動をするものでございまして、私ども、具体的なコストの問題については試算をしておりません。

 また、港湾の時間外の有効活用につきまして、貿易手続改革プログラムにおいて、地域ニーズ等に応じ、期間を限って集中的に試行することも推進するというふうにございます。

 国土交通省といたしまして、昨年末に神戸港におきまして、ターミナルに隣接する、共同デポと呼んでおりますが、コンテナの箱を保管するスペースを活用した実質二十四時間サービスを行う社会実験を実施しております。現在、実験結果について分析を行っているところでございますが、これらの分析を踏まえまして、今後具体的な施策を講じていきたいというふうに考えております。

笹木委員 深夜、早朝利用、やはりこのことが大きいんじゃないかというふうに思います。さらに取り組みが必要なんだと思います。

 最後に、これまでの支出に係る主要十位までの取引先の概要及び額というこの一覧表を見ますと、一位のNTTデータから始まって、ほとんど随意契約ですよね、かなり莫大な契約額もありますが。当然これは、これから民間の組織になって一掃される、こうしたことは完全に改革されるということで間違いないんですよね。一言で結構です、そういうことになるというふうに聞いてはおりますが。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在におきましても、この通関情報処理センターでございますが、国の基準を下回ります随意契約の限度額を設定いたしまして、原則、一般競争入札でやっておるわけでございます。

 新会社におきましても、株式会社として機動的かつ効率的な調達を行う観点もございますが、もちろん、公益性の高い事業という観点から、手続の透明性を確保するという観点が大事でございますので、新会社の定款において決められるのでございますが、基本的には一般競争入札によるなど、現行程度の調達手続の透明性を確保していくというふうに考えているわけでございます。

笹木委員 大臣に残りの時間ちょっとお聞きをしたいわけですが、この法案の細かい話ではありません、よく最近話題になることについて幾つか確認をさせていただきたいと思います。バランスシートとかそうしたことについても事前に事務局の方とやりとりしましたが、細かいことは一切お聞きしませんので、認識とかそういうことをお答えいただければありがたいと思います。

 最近よく話題になる政府系ファンド、大臣も予算委員会とかで、そう長い時間じゃないですが、たしか、何度かこれについてのコメントもあったと思うんです。確認をさせてください。

 いろいろな国が、政府の資産の一部をこうした政府系ファンドということで積極的に運用を向上させようと、いろいろな海外の金融機関、グループに委託をしてある、そうした例がたくさん出てきているわけですが、今後どういうような検討をされる可能性があるのか。

 以前から、例えば外為の特会、この積立金とかそういうものをそういうことに運用することはなかなか難しい、ないんだというお答えになったりしている。こういう金融資産、日本は世界でちょっとないぐらいけた違いにたくさん持っている。政府の資産も、GDP比率でもけた違いに持っている。資産と負債のバランスでいっても、非常に多くの資産を持っている。そんな中で今後検討はされていくのか。

 あるいは不動産ということもありますよね。議員宿舎、例えば高輪とか、九段も今度そうなるんですか。ああいうものをとりあえず使わなくなって、それを有効活用して資産価値を高めて、その後に売却をする、それで財政再建のためにもプラスにしていく、能率よく財政再建に対して貢献をしていく、この資産の運用ということ。そんな中で、政府系ファンド、こうしたことを今後考えていく、検討はされていくのか。相変わらず全く今のところ考えてはいない、そういう状態なのか。確認をさせてください。

額賀国務大臣 石油とか、中国でも経済が好調で、政府系ファンドを持つ。それで、日本にいろいろ投資をしていきたいというようなことを伝えてきたりしております。ロシアでもそうですよね。そういう外資が日本にいろいろな分野で投資をしてくださって我が国の経済を刺激してくださるということについては、これは基本的には歓迎していいのではないかというふうに思っております。

 ただ、これはG7でもそうでしたけれども、やはりもうちょっと、どういう目的でどういう運用をしていくのか、透明性が必要なのではないか。そういうことについて各国で議論がされているということも事実でございます。

 我が国においてはいろいろな資産がたくさんあるではないかとおっしゃいますけれども、いつもおっしゃられるような外為特会とか、それから財政融資資金とか、それはある意味ではもう資産は運用しておりますけれども、それは運用益が出れば一般会計に補てんをしていく程度のものでございまして、今、外為特会はもうプラス・マイナス・ゼロの段階でございますし、そういうように、金融状況、経済状況によっては大きなリスクをこうむるところもあるわけでございます。

 それから、先ほどの資産の売却、これは、政府で国の財産とかそういう国有財産の処分によって、あれは今、審議会か何かで一兆数千億円の売却益を出そうとか言っておりますけれども、こういう問題について、どういう使い方をしていくのか、あるいは国債整理基金に戻すのか、今後の運用についてはこれから考えていくことになると思います。ただ借金を返せばいいということではなくて、お金は、非常に有効に、前に進んでいくために必要な金は使っていかなければならないことになるわけでございますから、それは、極めて有効に使い立てをしていくためにはどうしたらいいかということは考えていかなければならないというふうに思っております。

 それから、ファンドをつくるときに我が国が、では、どういうお金で、どういう目的で、どういう運用をしていくかということについてよく考えてみなければならないというふうに思っております。

笹木委員 全く検討は一切考えていないということじゃないというふうに聞きましが、それで間違いないんですね。いろいろ検討事項はあるけれども、そういうことですね。

額賀国務大臣 政治ですから、世界の動きを見たり日本の動きを見たりしていろいろなことを考えていくのが、政治であり行政の立場であります。

笹木委員 そこでちょっと話はかわるんですが、特別会計での繰越利益と言ってもいいし積立金と言ってもいいんですが、例えば財政融資資金特別会計の積立金、よく例にされますが、平成十七年決算では二十六兆円となっていますよね。積立金、これはこんなにたくさん必要なんですか。繰越利益としてこのまま持っておるというこの額が必要なんですか。政令の定めもあるとは聞きますが、事務局の方で結構です。

勝政府参考人 お答えいたします。

 財政投融資特別会計におきましては、近年、金利が低下しておりますので、その中で過去の高金利の長期貸付金、それがまだ残っておりますので、平均の運用利回りが調達利回りより高いということが今現在でございます。しかしながら、この逆の局面になる可能性もありますので、今後、金利が上昇する局面ということになれば、逆に調達利回りが運用利回りを上回り、損失が発生するということが想定されますので、そのために、利益を金利変動準備金として一定程度積み立てております。

 この金利変動準備金の水準につきましては、今後の収支状況についてもろもろのシミュレーションを行いまして、財政投融資特別会計の財政の健全化を確保する観点から、その準備率の上限を百分の五十とすることが適当であるということで、財政制度等審議会財政投融資分科会において決められたわけでございます。

 他方、この金利変動準備金につきましては、既に、平成十八年度には十二兆円、恐らく先生がおっしゃいました数字は十八年度前だと思うんですけれども、十八年度には十二兆円を取り崩して国債整理基金に繰り入れたわけでございます。それで国債の償還に充ててございます。

 加えまして、平成二十年度予算におきまして、先ほど申し上げました準備率の上限、百分の五十を上回ることとなります九・八兆円、その九・八兆円を国債整理基金に繰り入れまして、国債残高の圧縮に充てることとしました。

 以上でございます。

笹木委員 御説明は聞いております。余り時間はないんですが、また大臣に最後にお答えをいただきたいんです。

 大分昔ですが、政府がバランスシートをつくる以前に何度か質問したり、調べたり確認したりして、ある時期までは一向に、国有財産の大体百兆円分しか国の財産はないと言い張っておられましたよね。今はよく、いや、余裕のある金なんか全くないと役所の方は言い張るわけですよね。しかし、よく委員会で話題になるようなこの特別会計での繰越利益、積立金、この水準がこれだけ必要なのか。先ほどのいろいろな国の政府系ファンドの額を見ても、こうしたものを十分有効活用すれば、各国の政府系ファンドの原資、資産規模とそんなに変わらない額になるわけですが、本当にこれだけをただためておく必要があるのか、非常に疑問だと思います。

 そして、独法がさらに繰越利益をため込んでいる。さらに、独法の子会社、あるいは業界団体まで、もとはといえば国のお金をため込んでいる。

 これはやはり国民は邪推をするわけですよね。邪推じゃないかもしれませんが。天下りとかそういうことのためにいろいろ金をため込んで、資産をため込んで、いや、しかし余分なものは一切ないんだと言い張っているよと、だんだん国民はそういうふうに感じ始めていると思います。

 バランスシートをつくったのも一歩前進だったわけですが、この繰越利益、積立金、本当に無駄がないのか、一度洗い直しをぜひ大臣にしていただきたいと思っているんですが、一言お答えいただきたいと思います。

額賀国務大臣 二十年度予算においてもいろいろな議論がなされてきまして、無駄があるのではないか、実際に無駄があったりしたことも指摘されたりしてきたわけでございますから、これは、特別会計、独法においてもしっかりと点検をして、無駄をゼロにしていくということは大事なことである、国民の信頼を得るためにも必要不可欠であるというふうに思っております。

笹木委員 我々もその洗い出しをしたいと思いますので、ぜひ大臣もよろしくお願いしたいと思います。

 質問を終わります。

原田委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野でございます。早速、質問をさせていただきます。

 今、大臣から、独法の剰余金のお話、無駄のお話をされておりました。お配りをした資料の六をごらんください。これは渡辺大臣にお伺いをしたいんですが、独法の通則法をどうも今政府の方で改正するという動きの報道がありました。この中身についてお伺いをしたいと思います。

渡辺国務大臣 独法通則法の改正につきましては、今、政府内部で鋭意協議中でございます。かなりいろいろな新機軸を盛り込んだりしておりますので、法制局がいろいろと御意見を言ってくれたりしておりまして、ちょっと今、そういうところで胸突き八丁にかかっているということでございます。

 いろいろな項目の中で、今回、新機軸として結構インパクトのあったものとしては、それぞれの独法が抱えております資産を売却しましたときに、簿価から根こそぎ国庫に返納するという制度をつくっていこうという提案なども入っております。これは、額賀財務大臣からのサジェスチョンもございまして、通則法の改正に盛り込んだところでございます。

松野(頼)委員 ということは、無駄な資産は国に返してくれということでありますよね。積立金、剰余金等はこれに当てはまるんですか。

原田委員長 ちょっと時間をとめて。

    〔速記中止〕

原田委員長 では、時間再開。

 額賀財務大臣。

額賀国務大臣 それぞれの法人で剰余金とかそういうものが残れば、通則法で国に返させていただく、そういう法律をつくろうという意味ですね。

松野(頼)委員 NACCSセンターの民営化の話が今出ているんですが、今の独立行政法人のNACCSセンターにも実は剰余金が四十億積み上がっております。そのうち二十九億が政府短期債という形で運用されているということなんです。今回、民営化の法案が出てきたという状態の中でこの四十億の資産をそのまま新しい民営化会社に持っていこうというのが、今回の実は法律の中に書き込まれているんですね。

 こういうことに対して私は、別にNACCSセンター自体が、財務状況が、きのう随分じっくりと伺いましたらば、非常にまじめな独法だなという印象を受けておって、その他余り追及をするという内容は正直言ってないなというふうに思っているんですが、ただ、この積立金をそのまま新しい株式会社に移行するというのは、これはちょっといかがなのかなということを思っております。

 その辺、いかがでしょうか。

遠藤副大臣 お答えいたします。

 NACCSセンターの積立金は、官民の利用者が支払った利用料金が積み上がったものでございまして、これは、NACCSの運営とか新システムの開発等のために活用することによりまして、官民双方を含め、利用者全体に還元していくことが適当であるというふうに考えておりまして、全額を新会社に引き継ぐこととしております。

 また、積立金に見合う資産として、委員御指摘のように、約三十億円の政府短期証券を保有しておりますけれども、今後、NACCSに関して、次期システムへのデータ移行費用、諸外国の通関ネットワークシステムとの連携に係る費用等約三十億円の支出が見込まれておりまして、こういった資産が不用財産であるとは考えておりません。

松野(頼)委員 いや、今現在、独法のときの状態でも、三十億、使っていないから短期債で運用されていたわけなんじゃないんですか。

 これ、現在の独法の法律第十九条、「積立金の処分」というのがあるんですが、「積立金の処分」の三のところ、「センターは、積立金の額に相当する金額から第一項の規定による承認を受けた金額を控除し」、この「第一項の規定」というのは中期計画であります。「控除してなお残余があるときは、その残余の額のうち財務省令で定める基準により計算した額を国庫に納付しなければならない。」というのが、今のNACCSの独法の第十九条の三項にあるんですね。

 それで、さっき聞きましたら、この中期計画はいつまでだったんですかと言うと、この三月三十一日までが中期計画だったんですということなんです。ですから、本来であれば、この中期計画が終わって、そして次の中期計画を立てないのであれば、その段階で残余の金額があるんですから、政令で定めた金額は国庫に返さなければいけないという法律が、今運営をしているこのNACCSの独立行政法人の法律の中にきちんと書いてあるんです。

 なぜこれを、今度は新しい会社をつくるから、そのまま三十億、四十億という積立金を持っていくんですという議論になるのか、お答えをいただけないでしょうか。

額賀国務大臣 現行NACCS特例法によれば、次期中期計画に必要な財産以外は国家に納付することにされているということは、おっしゃるとおりですね。

 今回、本法案によりましてNACCSセンターは解散をし、次期中期計画も策定されないことから、本法案の定めにより、民間出資分を除く財産を新会社に引き継ぐこととしたということでございます。

 中期計画は、独法通則法三十条の規定に基づいて、独法評価委員会の意見を聞いて、中期計画の期間延長も行われたという経緯があります。

松野(頼)委員 ですから、本来であれば、この三月三十一日で終わった中期計画、この法律に基づけば、この段階で次の中期計画を定めないわけですから、本来は、ここで残余の金額がある場合は国庫に納付しなければいけないんですよ。それを、新たに民営化するまでの半年間を、中期計画を延長して、この残余の金額を国庫に納付しなくていいような手続を今とっているわけです。

 では、この延長した半年間の中期計画は一体何ですか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、単純に延長したということでございますけれども、これは、私ども法律を出したのは二月の一日でございます。極力早くお願いしようということでやったわけでございますが、いずれにいたしましても、この法律の中で、今大臣からのお答えがございましたような手続をとらせていただきたい。

 くどいようでございますが、この三十億でございますけれども、要は、利用者である方々、これは国も含めてでございますが、そこの積み上がったお金ということで、利用者等々と私どもとが、これをどうしようかという前提の中で、これはやはりそのまま持っていって、次回以降、新しい中で使おうということで考えたわけでございます。

松野(頼)委員 いや、そうじゃないんです、要は。延長した中期計画でどういうお金の使い道の計画があるのか聞いているんです。局長でいいですよ。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 中期計画の中におきまして、今、大体三十億ぐらいの使途はございます。その中で明示的に決めているというわけではございませんが、いずれにいたしましても、私ども、そういう前提で、こういう使途、具体的に申し上げますと、いろいろな外国等のシステムに例えば十億とか、いろいろございます。そういうところを含めてやっていこうということでございます。

松野(頼)委員 いや、それはこの三月三十一日で終わった中期計画に書かれているわけですよね。それが終わるんですから、本来は、その段階でこの三十億、四十億という剰余金は一回国庫に返納して、それでも必要であれば、また国庫からもらうなりなんなりの手続が必要なんじゃないんですか。そのまま、この剰余金を持ったまま、それをずるっと横に持っていって株式会社の資本にするというのは、これはちょっと余りにも手続的に不備があるのではないかというふうに私は思うんですが、国庫に返納しないがために中期計画を半年延長するというのは、これはちょっと話に無理があるんじゃないんですか。もう一回お答えください。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 中期計画の延長という手続はもちろんとっておるわけです。評価委員会の中でも、これは、そういう形でそのまま持ち越していこうという前提で評価委員会の御了解をいただいているというふうに伺っております。

松野(頼)委員 では、この政府短期債を早く売り払って、延長したその中期計画のとおりに設備投資するべきなんじゃないんですか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、この半年間の延長でございます。それで、半年延長するという前提で評価委員会の方に持ち越しを認めていただいたということでございます。

 この過程で、こういう言い方をしては変なのでございますが、もちろん、未払い金的な形で三十億の使途がこれから出てくるわけでございますので、そういう点を御理解いただきたいと思います。

松野(頼)委員 けさ、日本通関業連合会という、通関の業者の皆さんにお話を伺いました。今までさんざん、各港湾の中でのインフラが整備されていないとか、それぞれの通関所によってシステムが違うから整備をしてくださいということをお願いしたけれども、お金がないということで全くその話は受け入れていただけなかった、ただ、今度は民営化になるから、もしかしたらそういう整備が行われるんじゃないかという幻想を抱いておられるんです。

 今までだって三十億のお金が余っていて、要は、八十億積立金があった時代があるんじゃないですか。にもかかわらず、その三十億、資金運用として設備投資に回さずに、政府の短期債をずっと買いながら運用している状態の中で設備投資をしてこなかったわけですよ。今ここで、半年間延ばしたからそのためにお金が必要なんですと言われても、なかなか納得できるものではないというふうに思うんです。

 一たんこれは国庫に返納して、また新たに必要なお金であれば、補助金なりなんなりという形できちんとした手続をとるのが私は筋ではないかというふうに思いますが、もし、もう一回お答えいただければ。

青山政府参考人 済みません、言い方がちょっとまずかったかもしれませんが、過去、値下げをしてきたという段階におきまして、この積立金八十億が四十億に今なっているという状況でございます。

 今後、これを使う使途でございますが、諸外国ネットワーク等との連携費用で九億ぐらい今後使う予定であるという議論、さらには移行の費用がかかります。これは、まさに今後出ていく費用でございます。今後必ず支払う必要がございます。それからあと、次期システムの一時の負担金がございます。これも十月一日にはすぐ必要になるということでございますので、私どもは、そういう前提で一応政府短期証券で運用させていただいているということと聞いております。

松野(頼)委員 では、積立金の中に十億円の現金というものがあるわけですよね。二十九億が政府の短期債、十億円の現金がある。それはそのままどうも株に移行をしていくということらしいんですけれども、一体幾らの資本金の株式会社をおつくりになるつもりですか。

青山政府参考人 今、期首に大体十億ちょっとございますが、この現預金は、企業で申し上げますと大体百億ぐらいの売り上げでございますが、やはり支払う分がすぐ出てまいりますので、月に直しますと七、八億から十億ぐらいということで、手元現金としてはそれが必要になってくるということでございます。

 それで、先ほどの委員御指摘の資本金の話でございますが、全体としてこの程度の売り上げ百億ぐらいで、なおかつ、輸送関係のいろいろな企業の大きさを調べますと、大体十億程度かなということで、資本金はとりあえず十億程度かなということを想定しているわけでございます。

松野(頼)委員 きょうはどうもこの委員会で採決はいたしませんので、四十億円の今剰余金を新しい会社に移行する、一体どういう設備投資を考えられて、どういう資金使途があるのかというのをぜひ一回出していただけませんでしょうか。

 全くそれがないままに、いや、まず手元資金で十億は必要なんです、将来にわたって設備投資をするからこの三十億の政府短期債も持っていく必要があるんですとただ言われても、全くその事業計画が見えない中でただ必要だ必要だと言われて、今の独法の剰余金、こういう規定があるにもかかわらず、そのまま横にずるっと持っていくというのはなかなか納得できるものではありませんので、この議論を幾ら続けてもしようがありませんので、ぜひ事業計画をしっかり出していただきたい。

 そして、さっき渡辺大臣、額賀大臣が御答弁をされたように、独法のいわゆる剰余金を含めた財産を国に返すという法律を今政府内では検討されているわけです。その直前で法案を上げて、その剰余金をそのまま持っていくやのように見えるわけですね。

 ですから、本来であれば、この独法の法律がきちんと成立をした後に、必要であればこの剰余金を含めた部分の議論をするのが筋ではないかというふうに思うんですけれども、いずれにしても、当委員会に対して、四十億の剰余金を民間にそのまま持っていくという事業計画をぜひ提出していただきたいと思います。

 委員長、よろしくお願いします。

原田委員長 ただいまの件は、別途理事会で協議いたします。

松野(頼)委員 厳しいことを申し上げましたが、きのう、先週とこのNACCSセンター、いろいろと説明をいただきました。いわゆる独法という状況の中で僕らはどうしてもうがった見方をするんですけれども、非常にこの独法自体はまじめに、本当にきのうは税務署の調査のようにいろいろ貸借対照表から細かく聞きましたけれども、僕らが聞いても非常にまじめにやっている独法かなという印象を受けましたので、そのことは一言申し述べさせていただきます。

 あと、若干時間がありますので、少し独法と違う角度の質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず金融担当大臣に伺いたいんですが、金融担当大臣の立場として、昨年の秋ぐらいから東京の地価というものが今下落をして、それに派生をして、地方がこれから今よりもっと苦しい状況になるのではないかというふうに私は感じております。

 きょう、資料でつけさせていただきました。資料の三、四、先週、うちの民主党の部会で日銀から話を伺った直近の短観です。特に三ページ目をごらんください。二〇〇二年ぐらいから去年ぐらいまで若干景気がよくなってきていた状況なんですけれども、このグラフを見ていただきたいと思います。中小企業は決していい状況とは言えないんです。それが、昨年の暮れからことしにかけてそのグラフがまた落ちています。

 そして、一ページめくっていただきたいと思うんですが、業種別の判断のDIです。この中小企業のところを見ていただくと、ずっと製造業から非製造業までトレンドはマイナスになっています。十二月から三月のトレンドよりも、一番直近の先行きに関してはマイナストレンドになっています。

 ですから、また中小企業は非常に厳しい状況になっているのではないかというふうに思うんですが、そういう中で、中小企業は税制と金融しかないんですね。

 渡辺大臣にお伺いしたいのは、この中小企業に対する金融、今の状況認識と、今後どういう形で行っていくのかというのをちょっとお答えいただければありがたいと思います。

渡辺国務大臣 この短観を見ましても、中小企業、余りよくございません。また、短観の法人というのはたしか資本金が二千万以上の法人でございますから、それより小さなところは恐らくもっと悪い状況なんだろうと思います。

 中小企業金融、残念ながら貸し出しが減少しております。やはり、原材料価格の上昇あるいは建築基準法改正に伴う建築着工件数の落ち込みなどから影響を受ける企業群においては、収益圧迫、資金繰りの苦しさ等々といったことがございまして、環境は非常によろしくない状況になっていると思います。

 そうした中で、年度末を控えた二月に対策を政府として出しております。例えば私の分野でいきますと、金融検査マニュアル別冊、これの趣旨を周知徹底して、中小企業の資金供給の円滑化を各金融機関に要請いたしました。また、この別冊のPRをいろいろなところでやらせていただいております。間違っても、金融検査があるからお金は貸せないなどということのないように、周知を図ってまいりたいと考えております。

 また、四月四日の経済対策閣僚会議におきまして、成長力強化の早期実施策を決定したところでございます。例えば、中小企業は資本が非常に弱いんですね。小さいわけであります。その資本を強化するということは、非常に大事な構造改革にもつながっていくわけであります。資本的性格の劣後ローンなどを資本として債務者区分を査定できるよう金融検査マニュアルに記載をし、その運用を始めたところでございます。

 また、日本は、土地担保融資のローリスク・ローリターンの世界と上限金利ぎりぎりのハイリスク・ハイリターンの金融があるんですけれども、中リスク中リターンのところが非常に担い手が少ないんですね。ですから、そういうところの分野を開拓していこうとか、あるいは動産担保融資を拡大しようとか、保証など外部機関の与信審査能力を活用した融資を進めていこうとか、地域産業再生として企業の事業再生の取り組みがもっと円滑にいくように、銀行グループが議決権保有制限の例外として株を持てるようにしようとか、いろいろな取り組みを始めたところでございます。

松野(頼)委員 今大臣がおっしゃった金融検査別冊、「知ってナットク!」というパンフレット、これを見ると大変いいことが書いてあるんです。例えば「中小企業と大企業は異なる扱い」といって、赤字になりやすい、債務超過になりやすい、財務状況の回復に時間が必要である、貸出期間が短い等があっても、一概にこれが悪い会社だということではありません、回復が十分見込めるので、特段問題ない貸出先として評価できますと、非常にいいことが書いてあるんです。

 また、これも金融庁からいただいた「中小企業金融の円滑化」というパンフレットも、要は、この裏のページに、「早期健全化法に基づき公的資本増強を受けた金融機関は、毎年度、中小企業向け貸出を増加させることが求められています。貸出が減少し、中小企業向け貸出し増加に向けた十分な取組みが講じられていない公的資本増強行に対しては、必要に応じ業務改善命令を発出するなど、厳正に対応し、中小企業向け貸出増加に向けた取組みを推進しています。」要は、公的資金を注入した銀行に対しては中小企業に対する貸し出しを増加しろということを言っているんだということがきちんと書かれているんです。

 お配りした資料の一ページ目をごらんください。金融庁はきちっと非常にいいことを言っているんですけれども、現状の貸出残高の推移というのを見ると、一九九七年、十年前、二百五十八兆ありました中小企業への貸し出しが百八十五兆に減っているんです。

 約七十兆、中小企業への貸し出しというものが絞られているという現状を見て、大臣、いかがでしょうか。感想をお聞かせいただきたいと思いますが。

渡辺国務大臣 GDP対比で金融機関の貸し出しが減り続ける傾向にあったことは、そのとおりだと思います。現にこうして数字を見ますと、その傾向が中小企業においてははっきり出てきておるなという感じを受けます。

 一方、中小企業の資金調達として、先ほども申し上げましたが、資本という形での資金調達がもっとあってもいいのではないかと思うんですね。日本の法人企業は、中小企業も含めて非常に資本が小さいという特徴がございます。法人企業全体でいきますと、大体、資本が三四%、負債が六六%。アメリカなどは資本が五九%、負債が四一%ぐらいでございまして、資本主義の国では法人の負債は資本よりも小さいというのが、これが常識でございます。

 そういったことから考えますと、やはり資本を強化する金融をもっと考えてはどうかということを私が繰り返し事務方には言っているわけでございます。

 そういったことも踏まえて、先ほど申し上げた金融検査マニュアルにおいて、資本性の劣後ローンなどは資本としてカウントする、そういうカウントで債務者区分を行っていくというようなことを始めたところでございます。

松野(頼)委員 現実に中小企業は、では株を市場で公開するというわけにもいきませんし、だれかにうちの株を買ってくれと言っても、なかなかそこで値がつくわけでもありませんので、やはり金融しかないと思うんですね。

 例えば、これで大企業の貸し出しというのは、若干、金融から市場で、マーケットから株という形で調達するということで一概にはこれは言えないんですけれども、ぜひそこのところは、一ページめくって二を見てください、これが公的資金投入のときの通知ですけれども、ここでもきちんと、「中小企業者向けの貸出しの総額については、原則としてその残高を増加させること。」といってはっきり書かれていますので、それは金融検査のときにもっと徹底していただいて、きちっと中小企業に対する貸し出しができているのかどうかということはチェックをしていただきたいというふうに思います。

 ただ、これを言うと、二年ぐらい前の非常に厳しい時代によく起こっていたことなんですが、銀行は、そう言われると今度は、三月になると、もうかっていても余り資金需要のないところに、一カ月だけ借りてくれませんか、その分の金利だけどうか見てください、四月になったら返していただいて結構ですというようなことが現実に起こっているんですね。

 それで、本当にお金の必要なところには、これは、つぶれちゃいかぬということで余りお金は貸してくれない。数字だけ上げようとして、お金の必要のない、もうかっているところに、一カ月だけちょっと借りてくれというようなことをやりますので、そこのところもチェックしながら、きちんと中小企業に資金が回るように厳密にチェックをしていただきたいというふうに思いますが、一言答弁をお願いします。

渡辺国務大臣 今御指摘の話は、私も何年か前に似たような話を非常にたくさん聞いた記憶がございます。

 今、金融庁の検査というのは、必ず、検査に入った後、この前の検査はいかがでございましたでしょうかというフォローアップを行う仕組みになっております。そこで金融機関の側が、いやあ、あの検査官はちょっとひどいんじゃないかとか、何でも言える仕組みになっておりまして、こういう制度は、まさしく金融検査がよりよい規制に近づくために非常に有益なことであると考えております。

 先ほどの御指摘のように、検査があるから貸せないんだということがないように、検査においては、健全な事業を営む融資先、中小零細企業に対する円滑な資金供給の実行、きめ細やかな与信管理のための体制整備についても検証をしております。

 例えば、金融機関が金融検査マニュアルを理由に融資先に対して貸し渋り、貸しはがしなどの不適切な取り扱いを行っていないか、こういうのも検査の対象にしております。また、きめ細かな経営相談、経営指導等を通じて積極的に企業再生、事業再生に取り組んでいるか等についても、検証項目にいたしております。

 中小零細企業については、その特性に十分留意をした検査マニュアルをつくって検証を行っているところでございます。

松野(頼)委員 もう一点、借り手側の使い勝手の問題なんですけれども、大臣、これもまた往々にして中小企業では起こっていることなんですが、例えば幾つかの銀行から、これは七年で借りて五年返しています、これは七年で借りて四年返していますといって、何本もいわゆる借り入れの足が出ているわけです。本当は、それを一つにまとめて期間を少し延ばす、いわゆるリスケジュールをきちんとすることによって、本来であれば返す金額も例えば半分にできるとか、そういうようなケースというのがこれまた中小企業は往々にしてあるんです。

 ただ、なかなかそれに金融機関が応じてくれない。また、そういう制度がなかなかないということで、例えば借りかえ専門の金融機関なるものが出てきて、ただ、それは金利が例えば八%、一〇%と非常に高かったりしている現状があるんです。ですから、一般貸し出しと同じように、使い勝手のいい商品の開発というのを、ぜひそれは金融庁から奨励をしていただけないか。

 特に、今は金融状況が非常にまた中小企業は悪化をしてきています。私の地元でも、今週帰ったときには、本当に夜は町に人ががらがらの状態。ある店では、いまだかつて経験したことのない厳しい状況である。また、この二月、三月には、私の後援会も何社か手形が落ちなかったとか、実は、渡辺大臣も額賀大臣も地方ですから現状はよくおわかりになっているかと思いますけれども、地方は非常に厳しい状況というのがまた来ています。

 ですから、本来倒産をしなくてもいいような企業の倒産を何とか避けるためにも、別にお金をまけてくれと言っているわけじゃないんです、ただ使い勝手をよくして、期間を延ばして返済額を減らすことによって、つぶれなくてもいいような会社が助かる、こういう政策をどうか今のうちに金融庁としてつくっていただきたいというふうに思うんですが、ぜひ大臣、答弁をお願いいたします。

渡辺国務大臣 先ほど申し上げた事業再生とか企業再生の中では、融資を資本に振りかえるデット・エクイティー・スワップなどという手法もございます。随分、何年も前からこういう取り組みを促してきているはずなのでございますが、なかなか、そういう取り組みが大々的に普及しているという状況には残念ながら至っていないわけでございます。

 先ほども申し上げました、資本性の資金を供給する、そういう目きき能力ができるということになれば、これは非常に長期の資金になっていくわけですよね。ですから、そういう新しい金融の取り組みというものを我々はぜひ期待をするものでございます。

 金融機関の調達の方は、なかなか長期のお金の調達というのは難しい点がございますので、まさにそういった期間のギャップというものをリスク管理をどうやっていくかというあたりは、十分その能力を磨いていく必要があろうかと思います。

松野(頼)委員 大臣、期待をするなんて人ごとのように言わないでいただいて、要は、金融の責任者の担当大臣ですから、ぜひそういう制度をつくっていただきたい。

 そして、再生というふうにおっしゃいましたけれども、再生というと、やはり債権をカットしてもらったりとかいうところなんですね。ですから、再生の手前に、自力で、例えばこれで融資が少し長くなれば、別に超長期で貸せと言っているわけじゃなくて、ある程度の期間の借りかえみたいなものを奨励するような制度があれば、再生まで行かずとも、自力できちんと返せる企業はたくさんあると思うんですよ。ですから、そういう制度をつくるような指導をぜひしていただきたいというふうに思っております。

 ぜひ御答弁を、簡単にお願いします。

渡辺国務大臣 まさにそういう観点から、我々は金融行政の監督あるいは検査マニュアルのバージョンアップをやってきているわけでございます。日本の地域密着型金融がぜひ新しい時代の取り組みを行っていけるよう、我々も最大の努力をしてまいりたいと考えます。

松野(頼)委員 あと一点。さっきの超長期というお話がありました。例えば、その貸し出しの期間と税制が合っていないというのもあるんですよ。

 例えば建物を建てました、鉄筋コンクリートだと法定の償却は四十七年、要は四十七分の一しか損金に算入できないんですけれども、実際にはそんな長い貸し出しはありませんから、例えば事業用で二十年の貸し出しがマックスだとすると、残りの二十七年は利益として計上して、法人税を払いなさいみたいなことが実際行われているんですね。それは、それぞれの償却耐用年数と金利融資の長さが合っていないものというのが随分あるんです。

 そこはぜひ財務大臣と御協議をいただいて、せめて税法の損金算入できるような耐用年数と金融の長さを合わせれば、これまた随分企業側からすると使い勝手がよくなるんですが、ぜひその辺、財務大臣、一言お答えをいただけないでしょうか。これは細かい話じゃありませんので、漠とした答えでも結構ですので、ぜひお願いします。

額賀国務大臣 私もたまに田舎へ帰って信用金庫とか地方銀行の人と話をしますけれども、確かに、なかなか厳しい環境の中であります。銀行の方々も信用組合の方々も非常に良心的な人は、みずからリスクを背負って育てるという気概があって話をする人たちも結構おります。そういう人たちが育てていくような形が一番いいと私は思います。

 今おっしゃられた税とか償却期間の関連については、おっしゃるところは合理的な点もありますから、よくこれまでの経緯等を考えながら検討させていただきたいというふうに思います。

松野(頼)委員 ありがとうございました。これで終わります。

原田委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 大臣初め政府の皆様には、連日、大変お疲れさまでございます。本日は、議題となっております電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるNACCS法案ということでございます。

 最初に、先輩議員がお尋ねになった部分を少し引き取らせていただきたいと思うんですが、民営化をしていくという意図が、伺いますと、小泉さんのときのいわゆる特殊法人見直しの一連の流れの中で、民営化になるのかあるいは独法で続けるのかというその判断を迫られた。そういう中で、当時、Sea―NACCSの全国展開が始まったばかりであったということもありまして、民営化を見送った経緯があり、今日的には、時間もたち、また全国展開の事業も軌道に乗ったということでこのたびの民営化の判断に至っているということだというふうに伺っております。

 法律の第十条によれば、「なるべく安い料金で行われるように努めなければならない。」というふうに規定がございます。これは前条の第九条、業務の範囲の中で「輸出入等関連業務」、ですから今このNACCSセンターの売り上げのかなめである税関業務、通関業務を通じての料金設定については、なるべく安い料金でという規定がありますが、これに基づけば、実は、特殊会社とはいえ民間企業になるにもかかわらず、なるべく安くと言われると、今後、事業のなりわいを考えますと、一体何を収益の柱にしていくのかというところが少しわかりにくいということを率直に感じます。いわゆる収支相償を続けていくということなのかどうなのか、局長で結構です、まず教えていただけますか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 新会社の管理運営いたしますNACCSでございますが、我が国の国際物流の基幹システムである、公共性があるということでございますので、やはりなるべく安い料金でやらなければいけないという片方の要請がございます。

 他方、会社ということでございますが、では何をもってということでございます。基本的にはやはり私ども収支相償という議論でございますが、ここに、NACCSに蓄積されますような情報ネットワーク等を活用した業務、さらには国際的なシステム連携ということによりまして、収益を上げていくということでやっていくのかなと。

 大臣からのお話もたびたびございましたような、そのバランスでございますが、やはりベースは、いわゆる料金の関係ではなるべく安い料金でということがまずはベースになるのではないかというふうに考えております。

古本委員 NACCSセンターの事業の中身を見ますと、今、事業収入が、これは決算ベースなんでしょうか、約百二億円。このうち、国が四十九億円で民間が五十三億円を支払っているということであるのですが、この事業収入の内訳を見ますと、要は国が専ら払っているわけですよね。ですから、安く設定をするというその意図が、今後民営化していくということなんですけれども、民営化をしてだれが得をするのかという、そこらへんを事業収入の内訳からもう少し補足していただけますか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 料金でございますが、まず次期のシステムでトータルでコストが下がります。これが大体二、三割程度下がるのではないか、まあ二六とか言っておりますけれども。それを反映いたしまして個々の、いろいろ料金体系がございますが、これがそれぞれ下がるということで、政府にとりましても、さらには利用者にとりましてもメリットが行き渡るというふうに私どもは考えております。

古本委員 民営化している一方で、本来民間会社というのは収益を目指すべきなんだと思いますが、なるべく安い料金でというふうに第十条で縛りが入っています。会社の責務としてうたってございます。一方で、これは昨年度実績なんでしょうか、事業収入が約百二億円でありますが、その内訳を見ると、大体半々が、わかりやすく言えば国と民間企業がその顧客であるという状況からすると、安く料金を設定することによってだれが助かるのかということを考えますと、事業収入という観点から今このシェアを見ますと、なるべく安い料金でということと、民間企業に今後競争原理を働かせていこうという考えがあるのであれば、むしろ相反しませんか、そういうお尋ねでございます。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先生がおっしゃるとおりでございまして、片方で料金を安くするということになりますと、今度は配当上はなかなかそれがいかなくなるということでございますので、先ほど来申し上げたようなネットワークを活用したような新規業務、さらには国際的なシステム連携等々によりまして収益を上げるということで、片方で公益性の確保、それからもう一つは会社利益、株主利益ということのバランスをとるということでございます。

古本委員 ちなみに、いただいた資料を見ますと、システム利用料金の各国比較ということで、いわゆる国際ハブが海外に大変とられているという懸念は我が国の港湾事業からすると恐らく大きな課題だと思うのですが、実は、ここを見ますと、為替の前提がちょっと書いていませんけれども、平成十九年十二月のNACCSセンター調べの資料を読み上げますが、香港が百七十四円、それでシンガポールが二百十八円、台湾が百五十二円、そして韓国、釜山なのかどこかわかりませんが約四十二円、そして当該日本は六十円なんですね。

 これは、一件当たりのハンドリングに要するシステム利用料金ということだと思うんですが、この原価の積み上げをお尋ねいたしましたところ、システム開発費を一件当たりのハンドリング数で割り戻せば一件当たりの原価が出るという、わかりやすい料金設定になっているようでありますが、少なくとも、このシステム利用料金自体は恐らく収益の柱になり得ないと思いますし、これ以上下げたらさらに各国より極端に安くなってしまいますし、我が国における港湾が国際ハブの競争の中から少し置いていかれているという原因は、むしろもっとほかのことにあるんじゃなかろうかと思うんですね。

 ですから、料金の設定をできるだけ安くしてもらって国際競争力を得ながら、さらにこの民営化のメリットをと言われますと、何やら頭と体が矛盾してお互いに別の方向を向いているような感じがしてならないんですけれども、そういう意味で、この第十条「会社の責務」の「なるべく安い料金で」ということについては、もう既に相当安いようにお見受けしますし、これは強く指摘をしておきたいと思います。

 同時に、今局長からお話がありました、恐らく第九条の第二項を指しておられるのだと思いますが、「会社は、前項の業務を営むほか、財務大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を営むことができる。」つまり、システムの運用ですとか損保、保険代理業ですとか、NACCSセンターが今培っておられるノウハウを多角的に使うという部分だというふうに拝察いたします。

 その上でお尋ねしますと、この領域というのは、今収益、昨年度ベースでいいんでしょうか、この百二億円のうち何割ぐらいであるかということになるんですが、今現在はそういった領域は手を出しちゃいけないということであるならばゼロということでも結構ですし、今後の事業見通しとして、この第九条二項に定める、まさに民営化のうまみである企業経営の多角化について、この事業めどについて、将来売り上げのうち何%ぐらいシェアをとろうと思っておられるのか、お尋ねしたいと思います。

青山政府参考人 現行法ではこの業務はできませんので、もちろんやっておりません。ゼロでございます。

 では、これからどれくらいになるかということでございますが、私もなかなかそういう皮算用はしにくいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この法律を通していただきまして設立された以降、私どもでもいろいろな関係者と話しながら、新会社の方でいろいろお考えいただこう、私どももいろいろな知恵を出していこうというふうに思っております。

古本委員 民営化をした暁には、将来はこれは株式の公開も考えられるのでしょうか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 可能であればということでございますが、そうなっていただければ私どもは大変望ましいことだと思います。

古本委員 その際、外資の規制ということでいえば、どういう状況になっていますでしょうか。

青山政府参考人 外資の点について申し上げますと、今現在、この今のNACCSセンターでございますが、九千万、うち三千万円が民間のいわゆる出資金でございます。このうち、外資が幾つも入っているわけでございます。

 新会社におきます外資の規制は考えておりません。

古本委員 これまで、設立以来、直近でいきますと、大きなシステム投資ですと、平成三年に調達をなさっておられます七百六十億円のシステム投資、それから平成十一年の六百六十億円のシステム投資、そしてこのたびの、二十年十月稼働目標の、今一般入札をかけておられて、ある社が応札があったというふうに承知していますが、約二百八十億円オーダー、もっとですね、全部を加えますと四百億円近いオーダーでの新規投資ということで、ざっと考えましても、合計で二千億円近い投資をしている蓄積がございます。

 これは世界に冠たるノウハウだというそちらの御主張をそのまま受けとめれば、少なくとも事業収入の半分が、国が支払っている、顧客は国であるということを考えれば、そのシステム投資料をこのシステム運用費で、利用料で回収をしていることを考えますと、ざっくり言ってその約二千億になんなんとする金額の半分は税金が入っているということを考えますと、外資の規制云々の話にまたなってくるのですが、勢い、国民の血税を投入してこれまで培ってきた技術をどうぞお好きになさってくださいみたいな話になる際には、よくよく慎重にやっていただきたいと思います。

 規制を考えていませんというふうに元気よくお答えになっておられますけれども、電源開発、Jパワーにつきましては、先ごろ、御案内のとおり、結果的に制限をかけるという御判断があったやに承知いたしております。この話も、電源開発さんほど、Jパワーさんほど、いわゆる公益性あるいは公共性、あるいは日本のエネルギーセキュリティーという意味では少し違うのかもしれませんが、水際を預かっているという意味で、私は決して劣らない事柄をこのNACCSセンターは今担っておられると思いますので、今申し上げたような点について、大臣、この件についての最後に少しお答えいただきたいと思います。

 要は、民営化とおっしゃるんですけれども、またぞろ、とにかく上場して、またどうぞみたいな話の割には結構国費が、運営費交付金は入っていませんが、顧客の大体半分は国が払っているんです。めぐりめぐって税は環流していますから、その点はどうぞ遺漏なきようにお願いをしたいという点と、民営化で効率をしていくと言いながら安い料金でと言っているのは実は相矛盾するんじゃないですかという点について、大臣の今後のかじ取りを伺ってNACCSセンターについては終わりたいと思います。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

額賀国務大臣 おっしゃるように、貿易立国の国家として、国際物流における日本の競争力を高めていかなければならない。その効率化を図ると同時に、コストダウンもしていかなければならない。その意味では、できるだけ安くサービスを提供していく必要がある。余り安くなり過ぎてもいけないところもあるから、第三者委員会みたいなものをつくって、適正なそういう水準は維持していきたいというふうに思っております。

 一方で、いろいろな蓄積したそういうネットワーク等を活用して、稼ぐものは稼ぐという形にしたい。民間とそういう官の接点で、官民の共同システムで運営をしていくわけでありますけれども、これが時を経て成熟していく中で、新しい将来の姿はどうあるべきかという問題点も出てくるだろうし、そういうときにはきちっと見直しをしたり改善をしていったりしたらいいと思います。

 と同時に、今おっしゃるように、セキュリティーとか、貴重なインフラでありますから、安全の面においてもしっかりと我々は注視をしていかなければならないし、その意味で、国が株式は二分の一以上を持つという形になっているわけでございます。

古本委員 そういうことでぜひよろしくお願いをいたしたいというふうに思っています。

 続きまして、先日質問をさせていただいた部分を、自動車関係諸税でございますが、少しおさらい、確認をさせていただきたいと思います。

 まず、先日答弁の中で、私は、きょう現在入っている税については、揮発油税については何税になるのかと、これは財源の使途を定めない税である、こういう話であったと思うんです。それで、その税を将来道路特定財源として使えるのかということについては、別途、財源特例法がいつになるかは承知しませんが、成立した暁にはそれは道路特定財源として使えるんだと。それは、使途を定めない一般財源として一たび入った税をそういうふうに使えるのは何かと聞いたところ、そういうふうに使えるんだ、こういう話だったと思うんです。

 改めてそこの部分を確認したいと思うんですが、きょうも、今現在揮発油税は全国で、納税といいますか、課税は発生していると思いますので、納税は翌月末でキャッシュアウトするといたしましても税は発生しているわけでありますので、少なくとも、財源特例法が失効している今現在入ってきた税は将来道路特定財源として使えるという根拠法は、何法に基づいてそれが言えるのか、ちょっと教えていただけますか。

香川政府参考人 財源特例法等は三月三十一日で期限が切れておりまして、現在提出している法案が成立するまでの間は、財源特例法の規定は一時的に適用がない状態になっております。使途の特定規定はないということで、一般財源ということかと思います。

 一般財源を道路整備に使えるかということでございますが、道路整備に要する費用を一般会計から社会資本整備事業特別会計道路整備勘定に繰り入れることができることとなっております。これは、特別会計に関する法律二百一条二項一号イにおきまして、道路整備勘定における歳入として、一般会計からの繰入金が規定されております。また、同法二百三条二項におきまして、一般会計からの繰入対象経費として、道路整備事業に要する費用で国が負担するものが規定されております。この特別会計に関する法律を根拠に、一般会計から道路整備に要する費用を繰り入れております。

古本委員 今、全国の自治体、市町村あるいは都道府県の中で事業凍結という事態になっているところも幾つかあるというふうにお伺いをしておりますが、次長の理屈が法理論にかなった話だということもよくわかりましたので、もしそうならば、その気があれば繰り入れていけば、たとえ暫定税率が今の状況であっても、地方は何もとめることはないんじゃないかという考え方も他方でできるんじゃなかろうかと思います。

 財源特例法がなくても、一般会計から道路特会に繰り入れられるということであれば、私は、民意を得た地方の首長の皆様あるいは知事の皆様がそうやっておっしゃっておられることであれば、国は、そういう心配はないよと、当然総務大臣もそういう御趣旨のことをおっしゃっておられますので、どんどんとこれは繰り入れてさしあげればいいんじゃなかろうかと思うんですが、それはなぜできないんでしょうか。

香川政府参考人 財源特例法には、道路整備に充てるということとともに、臨時道路交付金の根拠規定でありますとか、それから高速道路の料金引き下げに要する債務の承継規定、無利子貸付制度というものが規定されております。年度を通じて暫定税率を含んだ税収を当てにした予算を組んでおりまして、そこのめどが立っていないということで、恐らく自治体の首長の方々は執行をとめておられるんだろうと思います。

 国におきましても、とりあえず、過去に契約を行ったものの支払いでありますとか道路の維持管理に要するもの、それから災害等、緊急性を要するものに限って五千億ほど実施計画を組んでおります。

古本委員 そもそも、きょう現在入っている揮発油税は、納税という意味では来月末納税という、法にそう規定がありますが、少なくともきょう蔵出している税は課税していますので、今、本則分で課税されていますね。こうやって入ってくる税については、今は財源特例法がないんです。したがって、期せずしてなのかどうかは別にして、結果的に使途を定めない税として一般会計に入る予定の税である。

 これについては、後日財源特例法が成立すればさかのぼって道路特会に入れられるんだという理屈が成り立つのであれば、この特別会計法の二百一条二項並びに二百三条を適用すればできるということであるならば、これは実は、今全国の自治体の皆様が国のそういった状況を受けて大変苦労なさっておられるということを考えますと、何も道路特会でなければ道路はできないというのはどこにも書いてないわけでありまして、そこまで道路だと皆さんおっしゃるのであれば、どうぞ一般会計から出せばいいんじゃないか、まさに次長もそう答えてくださいましたし、これはできるんじゃなかろうかというふうに思います。

 臨交金については、今係数四分の一でありますけれども、私どもが主張するように、たとえ揮発油税が半分の税収に陥ったとしても、例えば昨年実績でいけば揮発油税は二・八兆円、これは本則でいけば一・四兆円でございますが、係数四分の一を二分の一に書きかえるだけで、昨年度ベースの七千億円の臨交金は遅滞なく地方に届けることができるはずなんです。これは、私が本会議で総理にもお尋ねしたところ、理論的にはそのとおりですという御快諾をいただいた、その部分に関しては大変強く記憶をいたしております。

 つまり、地方をいたずらにしびれさすといいますか、困っただろうという形にするのではなくて、やはりここは、一般財源、一般会計からでも道路はできるという法律があるわけでありますから、それこそ財務省の知恵の出しどころではなかろうかと思うんですが、いかがでしょうか。

香川政府参考人 財源特例法が成立しますとさかのぼって特定財源になって道路特会に入れられるということではございませんで、一般財源でありましょうと特定財源でありましょうと、先ほどの特別会計法の規定によりまして一般会計から道路整備勘定に繰り入れて、道路整備に充てることができるということでございます。

古本委員 これは実は大事な話だと僕は思いますけれども、きょうはこういう閣法審査の場でもありますので、また後日、集中日でも設けていただくように、また理事の先生方にはお諮りいただきたいと思います。

 もう一点、きょうはどうしても聞いておきたいことがありまして……(発言する者あり)何か部屋の配席が変わるとやりにくいものがございまして、いろいろとトーンのチューニングが大変難しゅうございまして、自動車重量税についてちょっとお尋ねしたいと思っているんです。

 お配りした資料を少しごらんいただきたいと思うんですが、一枚目、これは当委員会で私も累次にわたり先生方に配付をしている資料でありますが、ざっくり言いまして、この一、二年、約六千億円オーダーで余っている、要するに道路以外に使っているということです。ですから、先生方がお地元で、おれのところのトンネルを早く通せ、おれのところのバイパスを早く通せと言っておられる割には、これは存外に六千億円が、余っているのでほかに使われている。平成十五年から、シーリングが入った結果なんですけれども、少なくとも使っているという事実がございます。これは何を中心に使われたのかとお尋ねしますと、自動車重量税を使っているということになるんですね。

 そして、自動車重量税の課税の根拠に少しさかのぼりたいと思うんですが、めくっていただいて資料の五、これは総理の御尊父の、当時大蔵大臣だったかと思いますが、答弁をさかのぼりますと、こういうことだそうです。「道路を損壊し、また道路がよくなりますればその利益をこうむる自動車の使用者にその負担を求める、」ということでありまして、なるほど、舗装をめくる、あるいはわだちをつくる、それについて御負担をしていただこう、こういうことなんだと思います、課税の根拠が。

 もしそうならば、少なくともこの六千億円は、自動車重量税は今税収は年間一兆円でございますので、そのうち三分の二が国分でありますから、まさに丸々国分が道路に使われていないわけです、道路には使われていない。したがって、総理の御尊父が当時この法律をつくられたときの趣旨からはもうずれてきてしまっているんですね。このことについて、答弁が一番小気味いい人にお願いしたいと思います。長いのはもう時間がないので、小気味いい人。では、志願されましたから。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

加藤政府参考人 先ほど御指摘の道路の損壊の問題に加えまして、当時の提案の中では、やはり社会的な費用、自動車の走行による社会的費用の負担もお願いするということを述べられております。

古本委員 これはまた次回ぜひ時間をいただきたいと思うんです。

 ちょっときょうチャートが間に合いませんでしたが、実は自動車重量税というのは、普通車、いわゆる皆さんがふだん乗っておられる公用車みたいなイメージですね、普通車の場合、一トンまでの車、一トンまでの車というのはなかなか、皆さんが乗っているような車では多分ないと思います。いわゆる小型車です、一リッターぐらいの、いわゆる千ccカー、リッターカーというものですね、ここら辺で一トン以下になるかならないかだと思うんですが、これで、実は〇・五トン当たり二千五百円が本則税率なんですが、今〇・五トン当たり六千三百円の暫定税率となっております。したがって、一トンのお車ですと一年間で一万二千六百円。これが二年あるいは車検のときとなりますと、一トンの車ですと本来一万円なのが二万五千二百円。あるいは、新車購入の三年車検のときは、一トンの車ですと一万五千円が三万七千八百円です。

 それから、大体千八百ccぐらいの、ふだん皆様がちょっとした買い物に乗っているような車でしょう、一・五トンまでですから。こういう車であって、実は二年で一万五千円のところが三万七千八百円、そして新車購入の三年車検のとき二万二千五百円が五万六千七百円と、実に二・五倍ぐらいの暫定税率が入っているんですよ。

 これは、本則を入れたときに総理の御尊父は、「自動車の使用者に対して負担を求めるということにいたしましてもさほど高い状態でもない。」こう言っているんです。今は、さほど高いじゃなくて、暫定が入っていますので、これは車検のたびに重量税印紙ということで払いますので、結構な負担になっていると思うんですね。

 この自動車重量税というのは使途を定めない税として入っているとして、今もこの課税の根拠というのは薄弱になっていないというふうにお考えになっていますか。そして、その際、本則と暫定税率は切り分けて考えなければいけませんので、暫定と本則とそれは切り分けて、今この、総理の御尊父がおっしゃるような道路を損壊した分も、少なくともそういう理由で言っておられるところについては成り立つかというところをちょっと答えていただけますか。

加藤政府参考人 今御指摘ございましたように、本則から暫定税率に今上乗せになっておる、しかもそれは四十六年の導入後、四十九年、五十一年と二度にわたる暫定税率の水準の引き上げを経過して、今日の税率になっております。

 いずれにいたしましても、その時々の財政需要等も踏まえて税率水準が決められたわけでございますが、今先生御指摘のように、当時の税率水準と今日の税率水準、絶対額においてはかなり異なっておりますが、今の暫定税率の水準自体、昭和五十一年以降維持されておりますので、相対的な関係では、相対的な負担というのはだんだん漸減しているというふうに私どもは考えております。

古本委員 それは、国民の可処分所得もふえているので税負担が担税力として出てきているという御趣旨かのように聞こえましたが、他方、乗用車というのは昭和四十六年は実は登録ベースで九百十万台だったんですよ。今やこれは五千七百万台でして、約六倍です。まさに一家に一台の時代が到来しました。

 そういう意味では、昭和四十六年当時に福田さんが、元大蔵大臣が、さほど負担にならないだろうとおっしゃったのは、昭和四十何年に車を買える人というのははっきり言って豊かな方々だったと思うんですよ。今や地方に行くほど台数が多いんです。家族の人数プラス軽トラ一台ぐらいあるんです。そのことを考えますと、車庫に置いているだけで課税されるんです、重量税というのは。

 諸外国を見ますと、モータリゼーションが進んでいるフランス、ドイツなんかですと、もはや普通乗用車には課税していないんです。実際にわだちをつくる車にだけ課税しているんです。ずばり言えば、大型車だけですよ。

 そういう実態を見ますと、実は貨物でいけば一・九倍しかふえていないんです。昭和四十六年は八百五十万台だったのが、今は一千六百万台、二倍しかふえていません。バスに至っては、十九万台だったのが、二十三万台なんです。だれが担税しているかといったら、これは普通乗用車なんです。普通乗用車というのは何かというと、地方に行けば行くほど生活必需品になっているんです。病院に行くにも、学校に行くのにも、働きに行くのも、車がないと生活ができないところが多いんです。

 そのことを考えますと、この自動車重量税の税の課税根拠を一度整理するべき局面に来ているんじゃなかろうか。これは暫定税率をどうするという議論とまた別の次元として、そういう整理が必要なタイミングに来ているんじゃなかろうか。そういう意味で、きょう国交省も来ていただいていると思うんですが、車検のときに、いわば引きかえ的に銭を払いなさい、納税しなさいというのは、これはいわば権利創設税的な概念かなと思うんですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の提案の中で、まさに先生の御指摘のような説明をさせていただいております。

古本委員 ということは、一方で権利創設税、あるいは車体保有課税と言った方がわかりやすいと思うんですが、そういう意味では地方の自動車税という税もあるんですよ。これは排気量で課税されます。したがって、実は道路を全然損壊しないサンデードライバーの方が、車庫に置いているだけでこれだけ取られているんです、二・五倍、三十四年間。これもそろそろ限界に来ていると思うんです。あげくの果てが、余ってしまったということで他に転用しているんです、年間六千億です。これはそろそろ往生した方がいいと思いますよ、この暫定税率について特に。本則税率については、今申し上げた車体保有課税が、自動車税というものが別途あるわけですから、少しそこの整理も必要な局面に来ていると思うんです。

 こういうことは弊党だけの考えかなと思っていましたら、資料の六をごらんいただきたいと思うんですね。

 きょうは海外出張に行っておられる関係でたまたま座っていただいておりますので、ぜひ拝聴したいんですが、これは実は、ちょっと遠慮深く小さい字で書いておきましたが、公明党、御党の、副大臣の党の二〇〇七年参議院選挙のマニフェストでございます。読み上げます。「自動車重量税については、その財源が本来の道路整備事業に活用されていない現状にかんがみ、例えば、暫定税率の引き下げにより納税者に還元することや、その使途のあり方を検討することなど、見直します。」これは、我が意を得たりといいますか、同士がいたなという思いを大変いたしておりまして、やはり御党はなるほど卓見だなと思いました。

 これは、ほかに使われているというのは、道路損壊度数という理屈から重さに応じて課税している、しかも実際はわだちをつくらない乗用車に偏重して課税している、本当にわだちをつくる可能性の高い大型車は軽い課税になっている。だから大型車は上げろと言っているわけじゃありませんよ。ここから取ればいいという、その理屈は簡単なんです。台数が六・何倍もふえちゃったからなんです。これはおいしいぞということで取り続けているんです。これはやはり、庶民の味方である御党が、これはおかしいと指摘しているんですね。どうぞ、副大臣の御決意を拝聴したいと思います。

遠藤副大臣 お答えいたします。

 今委員が引用されたマニフェストでございますが、もう一回言いますと、「本来の道路整備事業に活用されていない現状にかんがみ、例えば、暫定税率の引き下げにより納税者に還元することや、その使途のあり方を検討することなど、」見直すと述べておりまして、必ずしも直ちに暫定税率を引き下げると主張しているわけではありません。

 ただ、この考え方につきましては、私自身の受けとめなんですが、一つは、国民からいただいた血税、これは一円たりとも無駄遣いがあってはいけない、これは基本精神だと思います。もう一つは、使途につきまして、これはやはり納税者の十分な理解を得ていくべきだ、この二つが基本の考え方じゃないかと思っております。

 そういった上で、平成二十年度予算におきましては、この自動車重量税につきまして、地方への譲与、税収の三分の一を充てておりますけれども、引き続き地域の自立、活性化に役立つ道路の整備に充てられるものとされておりますし、また高速道路料金の引き下げなどの道路管理施策に充てられております。さらには、自動車起因分の環境対策、信号機の整備、交通事故対策といった自動車に関連する歳出の範囲内で一般財源としての活用を図ることとしておりまして、こういった方であれば、自動車重量税の使途について納税者の理解を得られるものと考えております。

 いずれにしましても、重量税につきましては、自動車の走行が多くの社会的危機をもたらしていることは委員も御理解されているとおりでありまして、社会資本の充実の要請が強いことも考慮しまして、広く自動車の使用者に負担を求めるために昭和四十六年に創設されたものでありますけれども、こうした課税の意味は引き続き重要であると考えておりまして、厳しい財政事情、環境面への影響にも配慮した場合、税率水準を維持することは必要と考えております。

古本委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、実は揮発油税は昭和二十四年にできたんです。これは、はっきり言って戦後の混乱期に油を買える人というのは金持ちだったんです。ですから、応益負担です、金持ち課税。同様に、自動車税というのは、実は道府県税として昭和十五年に創設されています。これも恐らく、車を持つという付加価値に対するやはり登録免許税的な、権利創設税的な概念だったんです。

 それを、福田総理の御尊父が、道路を損壊する、舗装を傷めるということでその受益と負担との関係を整理した事柄からは、今おっしゃったような使途拡大については、少なくとも、そんなことする暇があるんだったら早くトンネル掘ってくれというユーザーはたくさんいますよ。バイパスつくってくれというユーザーはたくさんいますよ。ほかに使うぐらいなら道路をつくってほしいんです。道路をつくらないのなら下げてほしいんです。これは明快なんです。

 きょうはお立場があろうかと思いましたけれども、また石井先生あたりと意見交換したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 最初に、次世代シングルウインドー化というのは簡単に言うとどういうものか、御説明をいただきたいと思います。

青山政府参考人 極めて技術的な話でございますので、私の方から説明いたします。

 シングルウインドーという概念でございますが、税関を初めといたします水際における関係省庁のそれぞれのシステムにつきまして、利用者の利便性向上の観点から、今NACCSの端末と申しておりますが、その端末から必要な情報を一回入力することで所要の手続を行うことができる機能を持つということでございます。

佐々木(憲)委員 一般論として、私たちは技術革新というものを否定するものではありません。通関情報処理のシステム統合あるいはシングルウインドー化ということについてもこれは同じであります。問題は、なぜ民営化しなければならないのかという点であります。

 財務省は、二〇〇一年九月四日に特殊法人等の廃止または民営化に関する報告というものを出していると思うんです。NACCSセンターの業務は民営化による処理はなじまないと言っていたのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

額賀国務大臣 確かにおっしゃるように、通関情報処理センターについては、特殊法人でありましたが、平成十三年の特殊法人の見直しの一環として独立行政法人とすることとした、これは、平成十三年当時は、対象地域を全国に拡大するとともに、入出港手続など業務範囲についても大幅に拡大した海上システムが稼働したばかりであって、通関情報処理センターを民営化した場合、安定的に業務、事業が実施されるかどうか若干判断が難しい状況にあったということを聞いております。

 その後、NACCSは全国規模の基幹システムとして安定的に運営をされました。また、現在は、我が国の港湾、空港の国際競争力を強化するために非常に有効に機能しておりますし、民間利用者にとって利便性の高いシステムを構築することが非常に重要になっている。そういうことから、さらに一層競争力をつけていき、効率化を図っていくために、NACCSセンターを特殊会社として考えていこうということにしたものと思っております。

佐々木(憲)委員 安定的に運営されるかどうかという不安があったということではないんじゃないですか。

 その報告によりますと、「輸入・納税申告の受理、徴税といった国固有の業務をNACCSにより処理しているが、以下の理由により国の関与を存続させ、特定業界ないし特定企業の利益に偏らないよう中立的かつ公正な運営とするとともに、業務の要請に迅速に対応させる必要があり、民営化による処理は馴染まない」、こういうふうに言っているんですよ。その際、どういう理由を挙げていましたか。

額賀国務大臣 理由としては、輸入・納税申告の受理、輸入許可の通知、徴税等の国固有の業務については、国の関与のもとで適切に行われる必要があるということ。また、毎年度の関税改正や関税関係法令等の変更、税関手続の国際的調和化、標準化への対応、品目分類に関する条約の変更等について、時期を失することなくNACCSのプログラムを的確に反映させなければならない、そのために国の関与が必要であるということ。さらには、農水省の検疫手続、厚生労働省の食品輸入といった国固有の業務を処理するシステム等と連携するなど、種々の国の業務、手続と密接に関係があるというようなことを挙げておりました。

佐々木(憲)委員 そういうことなんですね。今、お手元に、皆さんのところにお配りしておりますけれども、これは当時の財務省が書いた文書であります。廃止か民営化かということについて、廃止もだめです、民営化もいけませんというのが当時の財務省の立場です。

 今大臣から御紹介をいただいたのは、下の黒い点が三つあります、その説明をされたわけです。これはなぜかといいますと、こういう理由のために民営化による処理はなじまない、こういう説明だったわけです。民営化になじまない理由がこの三つなんですね。

 これは、いつからなじむようになったんでしょうか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 NACCSの関係でございますが、まず、平成十一年に海に係りますSea―NACCSの更改をやりました。それで全国に広げました。実は、平成三年にSea―NACCSをつくりましたとき、いわばEメールでデータを送るだけということでございましたが、これをかなり充実したものにしたわけであります。

 さらに、二番目でございますが、関係省庁のいろいろなもろもろのシステムが、先ほど来申し上げておりますような農林水産省なりあるいは厚生労働省の食品関係等々のシステムがようやくでき上がりつつあって、その中でこれを接続したというような、いわばまだよちよち歩きの段階だったわけでございます。それをシングルウインドーということでつなげて、さらにそれをバージョンアップさせるようになったということで、システムの安定的な稼働が見られるようになったということが大きな今回の、まさに特殊会社化、民営化へのいわばきっかけとなったということでございます。

佐々木(憲)委員 安定的な稼働になったから民営化ができるというのは、私は当時の説明とは全く違うと思いますよ。安定化しても国固有の業務というのは国固有の業務であって、これは何も変わっていないわけですよ。

 例えば、輸入・納税申告の受理、輸入許可の通知、徴税、これは国固有の業務として今もやっているわけでしょう。当時は、それがあるから民営化になじまないと言っていたわけですよ。何も安定していないから民営化してはいけないとは言っていないんです。この固有の業務があるから民営化しちゃいけないと言ったわけです。

 それを、突然、何かどこかから民営化の方針が降ってきたかのように態度がころっと変わっちゃう。これは全然整合性がとれていませんよ、説明が。私は、そういう意味で、今度の法案というのは、何か最初に民営化ありきで、当時説明していたことと全く矛盾だらけで、民営化しなきゃならぬ、そういう理由が全く説明になっていないというふうに思います。

 次に、具体的に聞きますけれども、例えばシステムにトラブルが発生した、一時的にこれが利用できなくなった、そういう場合、人と物の入出国の手続に影響が出ます。場合によっては、国の安全、国民の健康と安全に重大な影響が出るということがあり得るわけです。システムダウンとかシステムの不備というのは排除しなければなりません。万が一発生しても限りなく影響を少なくする、そういう体制づくりが私は必要だと思うんですね。

 今回のNACCSの場合、どのようなバックアップの措置等々をとるのか、コストをどのぐらい見込んでいるか、説明をしていただきたい。

青山政府参考人 システムトラブルの問題でございます。

 今回、十月に更改する予定の通関情報処理システムでございますが、システムトラブルが重大な事態を招かないように、セキュリティー確保には万全を期す必要があると思っております。このため、新システムの稼働に合わせまして、大規模災害等によります障害に備え、NACCSのバックアップセンターを設ける予定にしてございます。今、本体は品川にございますが、バックアップセンターは茨城県の古河市に置く予定にしております。

 なお、この運営経費でございますが、八年間でトータルで約四十三億円という数字でございます。

 いずれにいたしましても、こういう形で、このセンター自体への国の関与なりなんなりということも含めて、セキュリティーの観点から私どもでは十分注意を払っていこうというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 セキュリティーの確保をするためには、当然コストがかかるわけです。

 そこで大臣にお聞きしますけれども、こういう体制を厚くすればするほど設備投資等々が必要になるわけです。それは、それ自体としては収益を生まないわけですね。NACCSセンターの民営化が行われた場合は利潤を中心とした運営に変わります。しかし、安全確保の体制を厚くするインセンティブというのはなかなか働きにくいのではないか。この点はいかがでしょうか。

額賀国務大臣 おっしゃるように、これは、国際競争力を物流面で強化していく一環としてNACCSセンターで効率化を図っていく、それをより一層民間的な発想、手法で能率を上げていく意味で官民の共同のシステムをつくっていく、一方で、さっき言ったように、国の関与もして公共性が強いものは維持していく、安全面もしっかりしていくという形をとっているわけでございます。

 そこで、そこのもうからないところというか、利益が出ないところには金を使わないではないかということでございますけれども、安くしていかなければならないけれども適正な水準に維持していかなければならない。その点は第三者委員会みたいなシステムをつくって、これが適正な水準で料金等が設定されるようにしていきたい。一方で、国が関与して公共性は保っていきたい、そういうことであります。

佐々木(憲)委員 これはなかなか矛盾する問題なんですね。先ほども議論がありました利用料金、これを引き下げるということをねらっているようですけれども、輸出入それから港湾、空港手続、関係業務の課題というのは、リードタイムの短縮、手続の簡素化、そして利用料金の引き下げ、こういうことが言われているわけですね。民営化すると一定の利益を上げなければならない、NACCSセンターは利用料金は下げなければならない、これは非常に大きな矛盾であります。これは一体どういう手段で達成するつもりでしょうか。

青山政府参考人 NACCSにつきましては、十月から稼働中のシステムを更改しまして新しいシステムに変えるということでございますが、今までNACCSにつきましては随契でやっておりましたが、次期システムにつきましては一般競争入札に移行したところでございまして、この結果、調達コストが大幅に削減されたということでございまして、これらを踏まえた形での新しい料金体系の設定をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。

佐々木(憲)委員 システムの統合で共通事務を一元化するとか、そういうことをいろいろ言われていますけれども、結局、人件費の削減ということもその要素として入っているというふうに考えてよろしいですか。

青山政府参考人 人件費でございますが、そもそも今の、現行のNACCSセンターにおきましても、平成十五年の十月からの独立行政法人への移行以来、事務の効率化ということでございますが、人件費等を含めて削減をやってきたというところでございます。業務運営の効率化あるいは給与水準の適正化でございますが、これは当然のことながら不断に取り組むべき課題でございまして、私どももそういう形で指導監督してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。

 ちなみに、職員数におきましては、平成十四年に百三十二名だったのが今は百十五名でございます。

佐々木(憲)委員 人件費の削減ということになりますと、例えばNACCSセンターの齊藤理事が昨年六月の貿易実務ダイジェストという雑誌の中で、人員を減らすと「業務面でいろいろとご期待に沿うことが難しい面が出てくる」ということを書いているんですよ。つまり、人件費を圧迫するということになりますと、もちろん労働者にとっても困るわけだけれども、しかし余りやり過ぎると期待に沿えなくなると。

 現に、今百三十二から百十五というふうにおっしゃいましたが、それがさらに料金引き下げということになりますと、先ほどの人件費も含めて削減をやるという話ですから、そうなるとこれはなかなか、実際にはかなり厳しい事態が生まれかねない。そうなりますと、人件費をある程度維持しようとすると、これは引き下げというのもなかなかできないということになりますので、かなり矛盾する形になってくるんじゃないですか。

青山政府参考人 今人員の点の話を申し上げましたが、このセンターでございますが、ラスパイレス指数は必ずしも低くございません。したがいまして、給与水準の見直しを含めてこれはお願いしているというところでございます。また、常勤職員の削減計画はなされているわけでございますが、足りない部分につきましてはもちろん派遣等々の手法を用いてやっていこうというふうに考えておるわけでございます。さらに、予算の効率的、効果的な執行でございますが、汎用品の活用等々、さらには事務所を、今まで東京にありましたのが今現在川崎にございますが、そういう形でのいろいろな経費削減、さらには地方事務所でございますが、これも十三カ所から四カ所に削減してございます。

佐々木(憲)委員 労働者を常用から派遣に切りかえるというのは、全体としては、今はそれを何とか逆転させようというのが世の中の大きな流れなんですよね。それを、派遣をさらにふやすような方向というのは私は到底賛成できませんし、むしろしっかりした専門の能力のある方々を確保するということこそ大事だということを申し上げておきたい。

 それから、民営化ということになりますと、当然コスト削減ということが非常に重視される、いろいろな形でしわ寄せが出てくる。それから、利益を上げようとしたら、利益の上がるところしか仕事をしないという傾向が生まれる。そういう意味で、私は、このNACCSセンターの今後の問題については広い意味でもう一度全体的な問題点を洗い直す必要がある、見直す必要があるというふうに思います。輸出入、港湾、空港手続の関係業務に関しては、どういう体制をとるかというのは国の専権事項でもあるわけです。国の安全、国民の健康と安全を守る、そういう水準を、民間企業の利益を図る、競争力ということだけを効率的に求めることによってそれをおろそかにしてはならないというふうに思います。

 私は、これは郵政民営化と非常に似た形になってきているなという印象を受けるわけです。郵政民営化でサービスが低下したとか、いろいろな不安が起こっているわけです。料金が上がって逆に大変だったというようなことも起こっているわけですね。そういうこともありますので、私はNACCSセンターの民営化ということについてそういうことが絶対にあってはならないという立場で、この民営化そのものには賛成はできません。

 最後に大臣に、どのような方向で今後これを運営していくか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。

額賀国務大臣 やはり日本は貿易立国でありますから、空港、港湾の物流の基地をきっちりと整備していかなければならない、効率化を図っていかなければならない、電子化をしていかなければならない。私も、シンガポールの港を、つい二、三年前に見てまいりましたけれども、それはもう全然、当時の日本とは違った形でしたよ。そういう意味で、やはりきちっと整備していかなければならない。

 それから、アメリカのテロの事件が起こってからは、セキュリティーとか安全面もきちっとしていかなければならない。これは、一定の国の関与がなければならない。それをうまく、きちっと両立させていこうということで、官民共通のシステムで民営化を図ろう、特殊会社化しようということであります。

 この流れをしっかりと、世界の模範となるようなものをつくって、それで問題点があればきちっと見直していけばいいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので終わりますが、国固有の業務があるので民営化してはならないという今までの方針がなぜ変わったのかという疑問に対しては、明確な回答がなかったということで、引き続き議論をしていきたいと思います。

 以上で終わります。

原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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