衆議院

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第12号 平成21年3月18日(水曜日)

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平成二十一年三月十八日(水曜日)

    午前八時五十一分開議

 出席委員

   委員長 田中 和徳君

   理事 江崎洋一郎君 理事 木村 隆秀君

   理事 竹本 直一君 理事 山本 明彦君

   理事 吉田六左エ門君 理事 中川 正春君

   理事 松野 頼久君 理事 石井 啓一君

      石原 宏高君    稲田 朋美君

      小野 次郎君    越智 隆雄君

      亀井善太郎君    後藤田正純君

      佐藤ゆかり君    鈴木 馨祐君

      関  芳弘君  とかしきなおみ君

      中根 一幸君    西本 勝子君

      林田  彪君    原田 憲治君

      平口  洋君    広津 素子君

      藤野真紀子君    松本 洋平君

      三ッ矢憲生君    宮下 一郎君

      武藤 容治君    盛山 正仁君

      山本 有二君    池田 元久君

      小沢 鋭仁君    大畠 章宏君

      北神 圭朗君    階   猛君

      下条 みつ君    鈴木 克昌君

      古本伸一郎君    和田 隆志君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      亀井 久興君    野呂田芳成君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   財務副大臣        竹下  亘君

   財務副大臣        平田 耕一君

   財務大臣政務官      三ッ矢憲生君

   農林水産大臣政務官    江藤  拓君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    三國谷勝範君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 望月 達史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐藤 文俊君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           川北  力君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   木下 康司君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    加藤 治彦君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    藤岡  博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)       今井  敏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           林田 直樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道上 浩也君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局食糧部長)         奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           佐藤 一雄君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            横尾 英博君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 森谷  賢君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     藤野真紀子君

  広津 素子君     武藤 容治君

  盛山 正仁君     小野 次郎君

  山本 有二君     西本 勝子君

  階   猛君     北神 圭朗君

  野呂田芳成君     亀井 久興君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     盛山 正仁君

  西本 勝子君     山本 有二君

  藤野真紀子君     平口  洋君

  武藤 容治君     広津 素子君

  北神 圭朗君     階   猛君

  亀井 久興君     野呂田芳成君

    ―――――――――――――

三月十八日

 計理士の公認会計士試験免除に関する請願(亀井善太郎君紹介)(第九九三号)

 酒類小売業者の生活権を求める施策の実行に関する請願(金子恭之君紹介)(第九九四号)

 同(吉川貴盛君紹介)(第一〇七四号)

 同(野田毅君紹介)(第一一一五号)

 保険業法を見直し、団体自治に干渉しないことに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇〇九号)

 消費税増税をやめることなど暮らしと経営を守ることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁監督局長三國谷勝範君、総務省大臣官房審議官望月達史君、大臣官房審議官佐藤文俊君、財務省大臣官房総括審議官川北力君、主計局次長木下康司君、主税局長加藤治彦君、関税局長藤岡博君、農林水産省大臣官房政策評価審議官今井敏君、大臣官房審議官林田直樹君、大臣官房審議官道上浩也君、総合食料局食糧部長奥原正明君、生産局畜産部長佐藤一雄君、中小企業庁事業環境部長横尾英博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは、関税定率法の審議に入る前に、金融庁が三月十日付で、年度末に向けた貸し渋り、特に貸し渋りなんでしょうけれども、集中検査を行うということを発表されました。特に中小企業者、今なかなか金融状況が厳しいという声を多くの皆さんが聞いているのではないかと思いますけれども、まず、特に中小企業者への貸し出し等に向けてどのような集中検査を行うのか、ちょっと伺いたいというふうに思います。

与謝野国務大臣 世界経済や国内経済の急速な悪化に伴いまして、中小企業のみならず中堅、大企業や住宅ローンを抱える個人は大変厳しい状況に陥っております。

 そうした中にありまして、金融機関が適切かつ積極的に金融仲介機能を発揮することは極めて重要であり、このため、今般の金融円滑化のための集中検査は、監督部局による特別ヒアリングの結果等を踏まえ、一つ、中小企業向け融資、二つ、中堅、大企業向け融資、三、住宅ローンの各分野を対象に、年度末金融への取り組み状況及び新年度に入りその後の信用供与の状況に焦点を絞り、四―六月中に短期集中的に検証するものであります。

 これは、金融仲介機能をきちんと果たしていただいているかどうかという集中検査でございます。

松野(頼)委員 農業生産者に対して農協系金融というのが実はあるんですけれども、それに対しても同じ扱いと考えてよろしゅうございますでしょうか。

三國谷政府参考人 集中検査につきましては、主要行等を中心に行うことを考えております。地域の金融機関等につきましては、もし著しく苦情が多いところがあれば、そういうところも対象にするということでございます。一般的には、地域金融機関はそういった意味で対象になり得るということでございますが、農協系金融機関について今直ちに一般的に対象にしているということではございません。

松野(頼)委員 大臣、これはぜひ前向きに考えていただきたいんですが、昨今農業生産者に対しての金融が一段と厳しいという声を実は聞くんですね。特にここ近年、大型化を推進して、それに伴う設備投資をして、そしてまた飼料の高騰、燃料の高騰等、また買い取り価格の下落等を含めて、非常に今、農業生産者の金融環境というのが実は厳しくなっておるんです。ぜひそこを、農業生産者に対しても、農業系金融にも金融庁の方から同じような扱いをしていただきたいというふうに思うところでありますけれども、大臣、御答弁いただけないでしょうか。

与謝野国務大臣 松野先生の御指摘はごもっともでございますので、金融庁が持っております権限の範囲内で、御要望に沿うように努力をいたします。

松野(頼)委員 ぜひ前向きにお願いをいたします。

 といいますのは、大臣も御存じのように、今、自給率三九%という、国内の自給率は非常に厳しいところに来ております。そういう中で、今ここで生産者が倒れるようなことがあっては、さらに自給率が下がるというのと同時に、今後の日本の農業というものが壊滅的な打撃を受けるというふうに私は実は思っておりますので、これは省庁が違うかもしれませんが、農業系金融に関しましても、金融庁の監督の及ぶ限り同じような対応をぜひしていただきたいというふうに思っております。

 そこで、これは私の事務所に来たメール、資料をつけてありますので、ごらんください。これは多分、私の地元で、だれかわからないんですが、うちの事務所に入ってきたメールであります。これはあくまで一例でありますので、これがすべてということを申し上げるつもりはありませんけれども、多分多くの、ここにいらっしゃる委員の皆さんのもとでも同じような声が充満しているのではないかと思います。

 この方は自営業をしておる。昨日、日本政策金融に融資の申し入れをしましたが、返済能力を問われ、申し込みを取り下げさせられました。要は、申し込みの段階ではねられているんですね。

 国の政策でセーフティーネットがあると思いますが、何のため、だれのためのセーフティーネットなんでしょうか。こちらは最後のとりでとして行ったつもりなんですけれども。これでは、今、この不況で黒字経営の会社、お店は数少ないと思います。担保、きちんとした保証人がなければ貸さない機関では意味がないのではというふうに考えております。

 恐らく、申し込みを辞退させられたのは、融資率を上げるためだと思います。貸し渋りをごまかすためだと。四月から金融庁が銀行等の貸し渋り、貸しはがしの調査に入ると思いますけれども、ぜひとも、旧国金、国民金融公庫にも実態を調査していただくよう、声を届けてください。泣いている自営業者もたくさんいるはずであります。

 こういうメールが飛び込んでまいりました。多分、こういう声は多く聞かれるのではないかと思います。別に、これがすべてということではないんです。昨今、昨年の十月六日に金融庁が、条件変更をしなさい、そして条件変更をしても破綻懸念先や要注意先債権に区分を下げることはしませんということで、検査マニュアル、監督指針の改定をやっていただきました。

 そしてまた、その後、金融庁の指導としては、例えば担保がない債権、要は担保割れをしている債権、保証人が弱い債権、こういう債権に対して、例えば金融機関に対して、今のこういう金融状況の中に、例えば貸し出しをなるべくしなさいとかいうような指導をされているというふうに思うんですけれども、その辺の指導についてちょっと伺いたいと思います。

三國谷政府参考人 現在、私ども、地域金融機関につきましては地域密着型金融の推進、また主要行におきましてもきめ細かな対応ということを今年度の監督方針としているところでございまして、さまざまな機会を通じまして金融機関に要請しているところでございます。

 また、金融検査マニュアルにつきましては、中小企業融資編というところがございまして、こういった場合に中小企業の経営実態を把握する際の着眼点といたしましては、代表者と企業を一体で評価する、あるいは企業の技術力や販売力、経営者の資質に着目する、それから経営改善の取り組みを柔軟かつ積極的に評価するといったことを記載しているところでございまして、債務超過等の表面的な事象のみをもって債務者を評価するのではなく、中小企業の経営実態や特性に応じたリスクテークとリスク管理をきめ細かく行うよう、現在さまざまな形で要請を行っているところでございます。

松野(頼)委員 再度ここは確認をしたいんですが、例えば今、中小企業及び零細企業の担保というのはおおむね土地なんですね。その土地が大幅に下落をしております。そうすると、多くの中小零細企業が担保割れになっている状態というのがあるんですね。

 局長で結構ですけれども、担保割れになっている債権の扱いについては、どのようにお考えでしょうか。

三國谷政府参考人 それぞれのケースは、それぞれ個々の事情に応じるところがあろうかと思います。一律に申し上げることは困難でございますが、相手方、借入人の実情等をよくヒアリング等をしながら、きめ細かな対応を行っていくということが重要であろうかと考えております。

松野(頼)委員 もちろんそれぞれの事情はあると思いますけれども、例えば、健全に経営をしていて、この間の売り上げが下落をしている、同時に、担保となっている不動産が下落をしたことによって、本業とは関係のないところで担保割れをしているということ、ここについて、もう一回きちんと御答弁いただけないでしょうか。

三國谷政府参考人 貸し出しに当たりましては、担保が一つの要素であるとともに、それ以外に、やはり中小企業の場合には、代表者と企業の関係、その企業の経営力、あるいは経営改善の取り組み、こういったさまざまな要素があろうと思います。そういった要素をきめ細かく総合的に判断していくということが重要であろうかと考えております。

 最終的に一つ一つの貸し付けに当たりましてそれに具体的にどのように対処するかというのは、それは個々の判断の問題でございますが、今申し上げましたような形で、総合的にきめ細かな対策を行っていくということで今後とも要請してまいりたいと考えております。

松野(頼)委員 あと、今メールにありました旧国民金融公庫、大臣は三月十日の予算委員会の中で、政策金融に向かう以前の政府系金融の改革は失敗だったというふうに御答弁をされていらっしゃると思います。確かに、三年前、四年前だったですか、行革特の中で、政府系金融機関の統廃合、これは借り手にとっては、ある意味では国民金融公庫、中小企業金融公庫等々の割と小口の政府系金融機関というのはセーフティーネットの役割を果たしていて、非常に使い勝手がいいものであるということで、私は大いにあのときに反対だったんですね。

 多分大臣も同じような認識を当時持たれていたからこういう御発言になっているのではないかと思うのですが、まさに今回、国民金融公庫が今までのセーフティーネットとしての駆け込み寺というところが随分変わってきてしまったというのがこのメールにあるんですけれども、大臣、この旧国民金融公庫、今の政策銀行に対しても同じような指導をされるのか、御答弁いただけないでしょうか。

与謝野国務大臣 かつては本当に小さな融資というのは国民金融公庫に駆け込んだ。私の友人なんかは、いや、今度はようやく中小企業金融公庫から借りることができたと。それで、商売を順調に広げていって、ようやく商工中金も貸してくれるようになったと。企業の仕事の規模によってそれぞれ借りに行く先が違った、また、それぞれの金融機関が非常に親切にその規模の企業を指導してくれたということがあったわけでございます。

 これが一つの名前になって、名前からすぐに仕事が判断できないということもあるんだろうと思いますけれども、これを三つ一緒にした、しかも旧日本輸出入銀行の業務までくっつけた、これはやはり無理があるんじゃないかなと思っていました。私もその当時、自民党の方の政策をやっていましたから責任を免れることはできないんですけれども、こういう危機が起きてみると、あの当時、世界同時不況とか目に見えない外国から忍び寄ってくる金融危機とか、こういうことを実は想定していない制度改革だった、その分がやはり不十分だということは今気がついておりまして、そういう意味では改革としては不十分なところがあった、成功とは言えないという意味で失敗という側面があるということは正直に御答弁させていただきました。

松野(頼)委員 私も全く同じ認識なんですね。多分大臣の選挙区は、特に中小企業、零細企業、物づくり等々の企業がたくさんある選挙区であると思いますし、また随分政府系金融機関にお世話になった、助けてもらったという声が多いのではないかというふうに思います。ですから、もしその改革が失敗だったという認識をお持ちであるならば、私はある意味では昔の状態に少しでも近づけるように再度改革をする必要があるのではないかというふうに思うんですね。もしそのお考えがあるならば、大臣、御答弁いただけないでしょうか。

与謝野国務大臣 これは政投銀を含めてやはり改革をする必要があるのではないか。それは中小企業のこともありますし、それからJBICが、日本がこういう仕事をやっていますということを海外において明確にする、そういうことが必要な場合があるわけです。これは改革の最後に、相当原案に筆を加えてJBICの旗が立つようにある程度工夫をしておりますけれども、これはJBICの存在をもう少し際立たせる必要があるんじゃないか。

 それから、政投銀はいずれ民営化するわけですけれども、規模の大きいところで危機対応業務をできるところをきっちりと、またはっきりみんなが見えるような形でつくっておくということは、量的な問題を含めて、やはり我々、国会で考えていただかなきゃいけないことではないかというのが現在の率直な感想でございます。

松野(頼)委員 以前、政府系金融機関というのは、余り金利だとかリスクの債権だとかいうことに関係なく、割と固定金利で、それも低金利で、もちろん上限はある程度ありましたけれども、顧客のニーズに合わせた形で非常にきめ細やかにやっていたと思うんですね。

 以前、私も中小企業金融公庫にお世話になったことがあるんですが、非常に感動したのは、今もやっているかもしれませんけれども、十年前の金融危機のときだったんですけれども、もちろんお金を貸してくれる、お金を貸してくれるのは、まずほかの金融機関が相手にしてくれないときにお金を貸してくれる。

 さらに驚いたのは、もちろん手数料なんか取らないですよ、営業先を紹介してくれるんです。自分の取引先の、同じ中小企業金融公庫の顧客である企業を、こういうのも一応御紹介します、役に立つかどうかわかりませんけれどもと。また、月に一回ぐらい本店に異業種交流会みたいなものを集めて、そこで取引が行われて、それぞれの顧客の皆さんの売り上げが上がる一助にでもなればいいんだ、また、うちから育っていった企業はこんな企業ですと言って、本当にそれをうれしそうに語ってくれていた覚えがあるんですね。ですから、金融機関として一番やるべき、まず自分の顧客を育てる、育てて利益が出たら、その金利で自分たちがなりわいを立てるという、ごく基本的な金融機関としてのマインドが非常に当時は残っていたんです。

 ただ、今、非常に悲しいかな、自分たちは自助独立でやらなければいけないということで、リスクの高い貸出先に対しては高い金利をもらわなければいけないんですという、非常に競争の世界に今この政府系金融機関が入れられてしまって、ある意味では、そういうゆとりのある、きめ細やかなサービス及び、多少リスクがあろうとも、もしこの会社が頑張ってくれるならば、別に金利を高く取ったりせず、ほかの優良な企業と同じような金利で固定で貸すという風潮が、どうも少しなくなってきているのではないかというふうに私は思うんです。

 ですから、もちろん政府系金融機関がすべてではありませんけれども、特に中小零細企業にとってのセーフティーネット、駆け込み寺的な要素という色合いが随分減ってきているのではないかというふうに私は思います。

 大臣、ここはもう一度、以前の改革が間違っていたという御認識であれば、そのときそのとき、状況は変わるわけですから、これは将来に向けて、もう一度昔の政府系金融機関の形を取り戻すべくぜひ改革をしていただきたいと思うので、もう一度御答弁いただけないでしょうか。

与謝野国務大臣 あの改革というのは、基本的には、いわばこういう難しい状況は来ないということを前提でつくった制度設計で実はあるわけです。それから、他の民間金融機関も国民金融公庫や中小企業と同じことをできるんだという前提だったんですけれども、やはりこういうような状況では、よりリスクの高い分野も融資を続けないと、まじめにやっている中小企業なんかもえらい被害に遭う。そういう状況を余り想像できなかった状況というか方々といった、そういう改革だったわけです。

 やはり融資を実行するときに、松野先生御指摘のように、そこには人間的な要素も実はあって、金融機関側が総合的に判断をしていく。ただ、おまえは担保を持っているか、保証人は連れてきたか、そういう融資慣行ではなかった。そのよさが失われたというのは、日本の社会にとってはやはり大きな損失ではないかと思って、これからどうしたらいいのか、いろいろ考えさせていただきたいと思っております。

松野(頼)委員 これは僕は大変貴重な答弁だと思っておりますので、ぜひここは前向きに、そして、時間的に今この不況が日に日に厳しくなってきている状況でありますから、早急に考えていただきたいというふうにお願いをする次第であります。

 あと、資料の二をごらんください。これは金融庁に、昨年十一月の六日に出していただいた通知、特に条件変更の緩和債権というのを一回数字で出してもらいたいということで出してもらった数字であります。主要行の条件変更というのが十―十二月期で三千二百十一件、金額で千八百四十七億円、まだ少ないというふうに思います。地銀、信用金庫、信用組合、件数でいうと一万八千件、一万件と随分健闘していますけれども、私はまだまだこの数字というのが少し足りないのではないかというふうに思っております。

 そして次、一枚めくってください。これは、農協系統の金融機関の貸し出し状況というのを出していただきました。

 きょうは農林省から政務官に来ていただいておりますけれども、この農協系金融機関の条件変更はどれだけ進んだかという数字をちょっと教えていただければありがたいと思います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が議場で配付していただきました資料三にありますとおり、農協の貸し出し状況を月ごとに推移を見てみますと、昨年の四月末の二十一兆五千億程度から十一月までは毎月、対前月比で見て順調に推移をしております。(松野(頼)委員「貸出条件緩和債権は。条件緩和を何件やったか」と呼ぶ)条件緩和につきましては、昨年十一月に金融庁と連名で貸し出し条件緩和の通達を出しまして、都道府県までその周知の徹底を図ったところでございます。

 それを踏まえまして、通常行っております信連に対するヒアリング等におきまして、現在、農業者や中小企業向けの融資にどのように取り組んでいるのかですとか、貸し渋りや貸しはがしといった苦情が来ていないかだとか、そういうところをきめ細かに確認しているところでございまして、数字等につきましては、まだ把握し切れていないということでございます。

松野(頼)委員 これは農林中金の審議のときにも、どの農家に対して、どの生産者に対して、一体何件の融資があったのか出してくれと言ったら、そういうデータはないんだと農林省は言っていたんですよ。今回も同じですか。

 十一月の六日の通知を受けて、農水省としては系統金融機関及びJAバンクに対して何件の貸し出し条件緩和を行ったのかということを聞いていないんでしょうか。もう一回数字を、あったらお答えください。

今井政府参考人 現時点で、条件緩和をした数字については把握し切れておりません。

松野(頼)委員 いつまでにとられるんですか。

今井政府参考人 早急に把握したいと思います。

松野(頼)委員 それはいつまでにとるんですか。

今井政府参考人 早急に把握したいと思います。期限につきましては、可能な限り速やかにやりたいと思います。

松野(頼)委員 政務官、こういう状態であります。ぜひ答弁を。

江藤大臣政務官 私も地元で、松野先生と同じようなお声をたくさん聞いております。

 今の答弁を聞いておりまして、大変申しわけないというふうに思っております。責任の一端を担っておる者でありますので、なるべく早急に、いつまでに数字を出しますということを先生にお答えをしたいというふうに思っております。

松野(頼)委員 ついでに聞きますけれども、農林中金、資本増強しますよね。いつまでに幾らの資本増強をして、そしてその出資金に対して何%を約束するのか、お答えいただけますでしょうか。

今井政府参考人 お答えいたします。

 農林中金におきましては、二月二十日の経営管理委員会におきまして、今月中を払込期日とします最大一兆九千億円の増資を決定いたしております。(松野(頼)委員「何%で」と呼ぶ)基本的には、これは最大ということですけれども、ほぼこれに近い数字を目指して取り組んでいるというふうに聞いております。

松野(頼)委員 いや、出資金に対して何パー戻すんですか。JAバンクが農林中金に対して、以前は四%プラスアルファ戻していたと思うんですが、今回はどれぐらい戻すんですか。

今井政府参考人 出資でございますので、戻すだとかそういうことにはならないかと思います。

松野(頼)委員 いや、出資金に対する利回りですよ。以前は四パー・プラスアルファで保証していたでしょう。もう一回答弁ください。

今井政府参考人 お答えいたします。

 中金への資本拠出の方法につきましては、信連等が今中金に預け入れている預金を出資に振りかえるということで行われようとしておりまして、それにつきましては、従来の預入金につきましては利子がついているわけですけれども、今度は、出資に振りかえるということになりますと、そこには利子がつかないということになろうかと思います。

松野(頼)委員 利子が全くつかないで預け入れをお願いしているわけですか、出資金に対して。ちょっともう一回、正確に御答弁いただきたいと思います。

今井政府参考人 今月末を払込期日といたしまして最大一兆九千億の増資をする予定にしておりますけれども、この中に劣後ローンで組むものがあります。それにつきましては措置されますけれども、大半は出資の方に切りかえるということになりますので、その部分につきましては利子がつかないということになります。

松野(頼)委員 そういうことであれば、ちょっともう一回後で細かく説明に来ていただきたいと思います。

 あともう一点、最後に、経済産業省から政務官に来ていただいています。これも私のところに届いた声なんですけれども、例えば過去に簿外の預金と借り入れを税理士の人が届け忘れていて信用保証協会から指摘をされた、それで慌てて直した。もとに戻してきちんとおわびをして、そして二年間たった。もちろん改善をして、二年間たった。今回の緊急保証を申し込んだけれども、おたくは過去にこういうことがあったから相手にできないんですよというようなことを言われたという声が飛び込んでまいりました。別に事件を起こしたわけでもなく、脱税を起こしたわけではなく、きちんとそこは改善をしたということなんですね。

 これは事務局でも結構です。今回、こういう例に対してのセーフティーネット貸し付けは断れというような指導を経済産業省としてしているんでしょうか。

松村大臣政務官 お答え申し上げたいと思います。

 まず、中小企業経営者にとりまして、財務を把握するということはとても大事なことでございます。これはもう当然のことでございます。

 しかしながら、先生の今のお話にあったような事案で門前払いを食らうというようなことがあってはならないと、これは私どもも常日ごろから指導をさせていただき、信用保証協会にもお願いをしているところでございます。何より、詳しいお話をしっかりと聞いていただいて、大事なのは今後の事業の継続性や資金計画であり将来性である、このように思っております。

 年度末に向けましても、先般三月四日に二階大臣から、信用保証協会の会長さん方に全部お集まりをいただきまして、親切で丁寧な対応をしていただきますようにというお願いも再三やっております。

 先生御指摘の話につきましては事実関係が詳しくわかりませんので、各局に貸し渋り一一〇番を設けております。よければ、そちらの方にまた詳しい案件を御相談いただければ大変ありがたいと思います。引き続き丁寧な対応をやってまいります。

松野(頼)委員 いろいろるるお話をさせていただきましたけれども、要は、今回、金融庁がいろいろメニューを出したというのは、僕は非常に画期的なメニューを出したと思うんですね。こういうふうにやってくれ、こういうふうにやってくれ、こういうふうにやってくれ。ただ、それがなかなか全般的に下の金融機関まで届いていないという感触を受けておるんです。ぜひ大臣、随分徹底はしていただいているんですけれども、さまざまな問題について、この危機を乗り越えるために再度徹底していただきますようにお願いを申し上げます。一言答弁ください。

与謝野国務大臣 こういう事態ですから、やはり金融サイドのいろいろな施策というものが円滑にいく、特に中小企業の金融がきちんと回るということが最大のことだと私は思っておりますので、松野先生の御主張のとおり、これからも十分各方面と連絡をとりながら、注意深く政策を運営してまいりたいと思っております。

松野(頼)委員 どうもありがとうございます。

 それでは、本論であります関税定率法、関税関連をちょっと伺いたいと思います。

 お配りをした資料の五、こういう表があるんですけれども、この資料の五をごらんください。これも私、今回、随分おもしろいなと思って勉強になったんですが、農業の、米、小麦、大麦、脱脂粉乳、バター、砂糖、コーンスターチ用トウモロコシ、この約七、八品目に関して、要は関税と別に輸入のときにかかっている調整金、差益金というのが実はあるんですね。

 例えば小麦であれば、WTO協定の関税としては無税なんですけれども、調整金、輸入差益金というもので、上限四十五・二円というのを決めて取っているんです。例えばバターであれば、関税三五%なんですけれども、それ以外に輸入差益金、一キロ八百六円というのを徴収しているんですね。

 関税にも、内外価格差を是正して国内生産者を保護するという面があります。それと、徴税という二つの側面があるんです。ただ、この調整金なり輸入差益金というものを取って、やはりそれが国内の内外価格差の是正にもなっているということがあるんですけれども、私はそもそも、本来関税の部分を多くして、若干価格の上下がある分は調整金というのをつくることはやぶさかではないんですけれども、一たん一般会計に入れて、国内産業育成という観点であればそれはそれで当然必要なことでありますから、生産者は大事でありますから、そこへの補助金や交付金が必要ならば一般会計で予算要求をするのが筋ではないかというふうに実は思っているところなんですね。

 それで、一つ、バターを例に挙げて質問をしたいと思うんですけれども、バターというのは、こういうことでなっているんだなというふうに思うんですが、約九割は国内生産であります。一割が、以前米のときに、米であればWTOのミニマムアクセス、バターだとカレントアクセスという、要は、これだけ最低量は、十三万七千トンは日本が買いなさいよ、必ず買わなければいけないといういわゆるミニマムアクセスの数量が決まっているんですね。

 それで、どうやって買っているのかと思いましたら、例えば海外の相場、一番安いときがトン二千ドルと言われているんですけれども、高いときだとトン五千ドル、それは相場がありますから若干変動する。それに、通関手数料、あと三五%の関税、商社の手数料、保管料、検査料等々をパッケージにして商社が入札をする。それを今度、入札をした金額に対して、一たん国が買って、国が国内に売り払う。そうすると、例えばトン三千円であれば、一キロ約二、三百円の利益というものが、いわゆる畜産振興機構が利益をとるというような制度。その利益を、畜産振興機構が国内生産者に対して生産振興ということで与えているという、非常に複雑な制度に実はなっているんですね。

 農水省に伺いたいんですけれども、バターであればバターの輸入差益、この機構が取る二百円、三百円というものに対して、どういう根拠法があってこのお金を徴収しているのか、お答えいただけないでしょうか。

佐藤(一)政府参考人 松野先生の御質問にお答えいたしたいと思います。

 根拠条文といたしましては、農畜産振興機構は、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の第三条、そして第十三条、第十六条に基づきまして、ただいま先生からお話がございました、バター等の輸入乳製品の売買業務を行っているところでございます。

松野(頼)委員 これは機構がそういう売買をすることを認めている規定であって、例えば関税であれば関税定率法によって、国外から輸入する場合にはこれだけの金額を徴収しなさいという根拠法があるんですね。

 ただ、外国から入れる場合にこれだけの、機構が二百円、三百円という利益をとってもいいという根拠法がないというふうに私は思うんですが、もう一回それを答弁いただけないでしょうか。その条文を挙げて御答弁ください。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 独立行政法人農畜産振興機構は、これは独立行政法人でございまして、ただいま先生の方から御質問ございましたように、買い入れそして売り渡しの業務を行っておるわけでございますが、当然、買い入れに当たりましては、これは商社から買い入れを行っておるところでございまして、また売り渡しを行うに当たりましては、これは法律に書いてございますが、一般競争入札によりやっておるところでございまして、その際、そうしたものについても、原価といいますか、そういう中で見ているというふうに考えておるところでございます。

松野(頼)委員 資料八をごらんください。小麦に関しては、この資料八につけてあります四十二条、輸入を目的とする買い入れに係る麦を前項の規定により売り渡す場合は、国際約束に従って農林水産大臣が定めている告示の額を、当該麦の買い入れ価格に加えて得た額を超えてはならない。要は、買い入れのときには農林水産大臣が告示をする額を取ってもいいということがきちんと根拠法であるんですね。

 先ほどのバターに関しては、この機構がそういう売買を行うことは認めているんですけれども、輸入の際にこれだけの金額を内外価格差是正のために取ってもいいという根拠法がどうも見当たらないんです。もう一回答弁いただけないでしょうか。

佐藤(一)政府参考人 ただいまお答え申し上げましたように、この加工原料乳等の暫定措置法の中で、買い入れと売り渡しについてこれができる規定がございまして、その際、先生からお話ございました先ほどの関税につきましては、WTO協定の範囲内で機構が徴取しているということで、その点については、法的根拠と申しますか、独立行政法人の売買業務の中で、かつ独立行政法人農畜産機構というのは唯一国家貿易としての乳製品の輸入業務ができる団体になっておりますので、そうしたものについては、そうしたものを徴取することは可能ではないかというふうに考えておるところでございます。

松野(頼)委員 そのWTO協定の範囲内で調整金を取ることができるという条文はないんですよね、根拠法は。

 なぜ、内外価格差を是正するために機構がそれだけの、二百円、三百円の利益をとっているのか。根拠法をもう一回答弁いただけないですか、私はないと思うんですけれども。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 WTO協定の譲許表の中にただいま申し上げましたような関税の数値というものが入っておりますものですから、そうしますと、国際法というものがございますので、それを前提として農畜産振興機構が徴取するということは、これは法制的に可能ではないかというふうに考えております。

松野(頼)委員 私は、それを国内法にきちんと落とさなきゃいけないと思いますよ。まして、この機構が二百円、三百円のある意味では手数料を取るということでありますから。

 それで、この二百円、三百円の手数料は、約三十数億になるんですよね、十九年度でいうと。では、一体その三十数億の中で、全額が国内生産者に回っているんでしょうか。機構の事務費になっている分があるんじゃないんですか。

佐藤(一)政府参考人 松野先生のただいまの御質問にお答えいたします。

 今申し上げました輸入乳製品の売買差益につきましては、十九年度で約三十九億円の差額となっておりまして、この差益につきましては、加工原料乳生産者補給交付金ということで、バターあるいは脱脂粉乳に回す加工原料乳の生産者に対しまして、補給金ということで、再生産が可能になるようにするということで交付金を交付しております。一般会計から交付金をいただいておりますが、その不足する部分に充当しております。それと、先ほど先生お話ございましたように、売買業務に要する事務、人件費等に充てておりまして、そうした場合、この内訳といたしましては、加工原料乳生産者補給交付金への充当額として約十七億円、また人件費等として約五億円が充当されているところでございます。

松野(頼)委員 そうですよね。数字をいただいたのでは、交付金は二百七億円、平成十九年度は払っているんです。政府交付額は百九十億円。ですから、この調整金から十七億円補てんをしているんですけれども、調整金、さっき三十九億とおっしゃいましたよね。三十九億から十七億、これは生産農家に対して渡している。残りの二十二億は一体どこへ行っちゃったんですか。

佐藤(一)政府参考人 残りの金額につきましては、これはまた不足払い法の中で規定されておるわけでございますが、その八割の約十五億円を、畜産振興資金という資金勘定がございまして、そこに繰り入れまして、また残高の四億円につきましては、補給金等勘定の積立金に積み立てるというふうな法制的な整理がされているところでございます。

松野(頼)委員 だから、例えば機構の事務費等々、今おっしゃった答弁の根拠法は一体何なんですか。

佐藤(一)政府参考人 ただいま申し上げました根拠法でございますが、これにつきましては、加工原料乳生産者補給金暫定措置法の二十条の二で区分経理の特例がございます。それとまた、加工原料乳の法律の二十条の三の規定によりまして、先ほどの、利益を他の資金に充当することができるという根拠規定がございます。

松野(頼)委員 ただ、その第一条では、酪農及びその関連産業の健全な発展を促進し、あわせて国民生活の改善に資することを目的とする。要は、国内生産者育成のためにこの資金は使うんだというふうに第一条でうたっているじゃないですか。それを、何で機構の事務費に使えるような規定があるんですか。もう一回そこの条文を読んでください。

佐藤(一)政府参考人 手元に条文がございませんが、その趣旨とするところは、確かに農畜機構の人件費に充てているわけでございますが、農畜機構というのは、そもそもこうした乳製品の国家貿易ということで買い入れそして売り渡しの業務を行っているところでございまして、当然それは人件費が生ずるところでございます。

 その人件費については、独立行政法人でございますと、いわゆる交付金ということで、一般会計の方から交付金をちょうだいいたしまして人件費に充てているわけでございますが、当ALIC、農畜機構の場合につきましては、バターの売買差益について、その一部について充当することについては何ら問題ないというふうに考えております。

松野(頼)委員 調整金を三十九億ためておいて、平成十九年度でいえば、生産者に対して十七億しか払っていないわけじゃないですか。残り二十二億は機構の人件費、事務費等々に充当しているわけですよ。

 資料七をごらんください。そこの勘定に、実は二百七十一億円の剰余金というのが発生しているんですよ。これは一体どういうことなんでしょうか。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 確かに先生御指摘のように、十九年度末で二百七十一億円というものが計上されているところでございますが、ことしの、二十年度の例で申し上げますと、先生御案内のように、えさ価格が四万円から六万を超えるというようなことで大幅に上昇しまして、その際、やはりこの交付金の不足額ということで四十五億円といったものを使っております。また、二十年度におきましては国際需給が非常に逼迫いたしましたから、バターを五千トンほど緊急輸入しておりまして、このときに三十四億円を使っております。

 こうした緊急の事態に、今申し上げました積立金というものを活用しておるということでございまして、この点については御理解賜ればと思います。

松野(頼)委員 要は、消費者がこれだけ高いバターを利用して、もちろん国内産業育成のためであればそれもいたし方ないというふうに思うんですけれども、それが機構の人件費、事務費に回るのは一体いかがなものなんでしょうか。もう一回答弁ください。

佐藤(一)政府参考人 この点はぜひとも御理解賜りたいと思うわけでございますが、機構といえども、これは独立行政法人でございまして、何らかの形で人件費というものを充当する必要があるわけでございまして、独立行政法人でありますと、先ほど申し上げましたように、一般会計から運営費交付金ということで人件費をちょうだいするわけでございます。

 ただ、この農畜産振興機構につきましては、こうした国家貿易ということについて法律上位置づけられておりますものですから、そのときの差益を充てていく。しかも、そうした差益が出たときに積み立てをしておきまして、できるだけ一般会計からの支出を抑えるという点で、私は特に問題はないんじゃないかというふうに考えておるところでございます。

松野(頼)委員 今酪農家がどういう状況かわかっているんですか。本当に苦しんでいるんですよ。一円でも多く酪農家に回そうということであれば、私もまだ理解ができます。ただ、三十九億の差益金の中で、平成十九年度、酪農家に渡った金額の方が少ないじゃないですか。機構の事務費に当たった金額の方が多いんじゃないですか。そして二百七十億もの剰余金をため込んで、これは理解が得られるんでしょうか。もう一回答弁ください。

佐藤(一)政府参考人 先ほど、えさの価格の高騰で非常に二十年度は荒れたわけでございますが、先ほど申し上げました、生産者に対しまして、加工原料乳の補給金につきましては、これは二十年度でたしか総額二百三十億円程度が生産者の方に交付されているところでございます。

 それで、先生の方からお話ございましたように、我々といたしましてもこれ以外に、いろいろな畜産振興の事業につきまして、昨年の二月あるいは六月に対策を打ってきたところでございまして、決してこの点について、我々、何かおかしなことはないんじゃないかというふうに思っているところでございます。

松野(頼)委員 ちょっと説明になっていないんですけれども。

 では、おっしゃいますけれども、酪農はどれだけよくなったんですか。国内の牛乳生産量を見て、十年間出してもらいました。平成十年に八百五十万トンあったのが、現在、八百二十四万トンに減っているんじゃないですか。もっと生産者をきちんと育てるんだ、生産者をちゃんと育成するんだ、少しでも自給率を上げるんだという迫力を私はもっと出していただきたい。そのためにこういうお金が必要であれば、それはそれで私は必要なことだと思います。

 では、それがきちんと生産者の育成になっているのかということをもう一回答弁してくださいよ。この数字を見てどうなんですか。

佐藤(一)政府参考人 今の先生の御質問でございますが、平成二十年二月現在で、酪農家の戸数というのは二万四千四百戸ということになっておりまして、この原因といたしましては、後継者不足あるいは経営主の高齢化といったようなことが要因となっておるわけでございますが、確かに十年前に比べますと、この数につきましては三五%減っておるということ、これは事実でございます。

 しかしながら、酪農家につきましては規模拡大というものが進んでおりまして、平成十年でありますと、これは全国平均でございますが、一戸当たり約五十頭であったものが、平成二十年では六十二・八頭ということで、規模拡大が進んでおります。また、生産性の向上といったようなことで乳量や何かも上がっておりまして、平成十九年度の生乳の生産量というのは八百二万トンでございますので、十年前に比べれば、その落ち込み方は七%の減少にとどまっております。

 先生おっしゃっていただきましたように、やはり加工原料乳の生産者補給金制度、こういった基礎的な経営安定の措置があるからこそ、何とかここまで酪農というものが持ちこたえてきたというふうに考えているところでございまして、今後とも本制度につきまして我々は堅持していきたいなというふうに考えているところでございます。

松野(頼)委員 今の答弁を酪農家が聞いたら、本当に実態を全くわかっていないと言いますよ。私も地元で何人もの酪農家の人と話をしていますけれども、松村先生、本当に苦しい状況ですよ。今、もう廃業するとか、何人も首をくくったとかいう状況なんですよ。私は、もっときちんと生産者を見るような施策をぜひ考えていただきたい。そういうためであれば、こういう調整金をきちんと有効に使っていただきますようにお願いをします。

 大臣、最後に、関税と関税以外のこういう調整金というのが実は随所に見られるんです。本来であれば、関税として徴収して、一般会計に入れて、そして、きちんと生産者のために必要な予算は予算として査定を受けてとるというのが筋だと思うんですけれども、大臣、最後に御答弁いただければありがたいと思います。

与謝野国務大臣 バターだけでなく、いろいろな酪農製品、農水産物には価格差があって、やはり国内の生産者を保護するためにいろいろな仕組みをつくっているわけですが、しかしながら、松野先生御指摘のように、すべての仕組みについては常によりよきものを目指して見直していくという精神が私は必要なんだと思っております。

松野(頼)委員 どうもありがとうございました。

田中委員長 この際、休憩いたします。

    午前九時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十一分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房審議官森谷賢君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑を続行いたします。古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 大臣におかれましては、連日大変お疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先般大臣がおっしゃっておられた、日本には連合という組合があってというくだり、私は、今日の状況を抜け出すには少し労働分配を見直す、一つにはベースアップの議論、もう一つには減税しかないのではなかろうか、この二点に絞って少し大臣の意見をお尋ねしたやに記憶をいたしております。

 きょう、全国的にいわゆる集中回答日ということだそうでありますが、状況は大変厳しい状況。たしかあのとき大臣は、いわゆる非正規の皆様の労働条件を引き上げていくこともあわせてやっていかなければならないわけであって、恐らく、いわゆる一部組織化された人々だけの話ではないといった御趣旨の話があったんですね。

 きょうは冒頭、本題に入る前に二、三お尋ねいたしたいと思うんですが、ざっくり言いまして、日本のサラリーマンの中堅どころ、例えば年収が五百万円あるいはその前後の方々で、夢のマイホームを手に入れた方々で、可処分所得が減っていく中で恐らく大変負担になってくるのが、固定資産税の負担が一つあると思うんですね。

 あわせまして、前回課題提起いたしました住民税が、これは残念ながら現所得課税ではなく前年所得課税であるために、たまたま残業代等々が減ってしまい当月の所得が減っておられる方々については、前年所得課税されますので、納めたくても納められない、あるいは本当に身を切る思いで住民税の原資を生活費の中からやりくりされておられる、そういう姿が想像にかたくないわけであります。

 きょうは総務省にお越しをいただいております。現在のところで、例えば住民税の減免措置あるいは固定資産税の、これから春の納税ですから、想定される範囲で、例えば滞納が起きてくるんじゃなかろうか等々、可処分所得が減っている中での現状と今後の見通しについて少しお願いいたします。

佐藤(文)政府参考人 我々、二十年度の住民税の見積もりを地方財政計画でしておりますけれども、十一兆九千五百億円と見ておりました。これについては、十八年の所得をベースに十九年の所得を推計し、税収を見積もったものでございます。

 住民税の場合、御承知のとおり、五月から六月にかけて通年分の賦課決定をいたしますので、大体決算の見通しといいますか収入の見通しは立つわけでありますが、それから見ますと、大体二十年度は、この計画額は達成できるのではないかというふうに考えております。

 ただ、御指摘ありましたように、賦課はしたものの収入できないという滞納の状況がありますと、これはちょっと狂ってくるということになります。当然我々も、見積もりますときには一定の水準で滞納があるということを見ておりますが、それが見込んだ水準以上に非常に大きくなってしまうということになると、全体の収入の見通しが狂ってくるということになろうかと思っています。

 ところで、滞納の状況ですけれども、おっしゃるとおり、現下の経済情勢から見ますと、ふえる方向にあるということは我々も考えておりますけれども、年度途中で通年分の具体的な数字を見込むことは非常に困難でありまして、ことし幾らぐらいそういったものが出てくるのかということについては、今の時点では把握はしておりません。

 これは決算で把握することにしておりまして、十九年度の決算が直近の決算になりますけれども、これによりますと約八千億円の滞納が生じております。

古本委員 大臣、今お話があったとおりでありまして、前回、たしか政府部内はもちろん、御党の税調にも持ち帰るというお約束をいただいたと思うんですが、この住民税の現所得課税に向けて、一朝一夕にはいかないと思うんですが、その後の何か働きかけの状況、あるいは大臣としての思いのようなものをお聞かせいただきたいと思うんですね。

与謝野国務大臣 古本先生から御指摘がございましたように、個人住民税は所得税と異なり、前年の所得を課税標準として課税されております。これにより、給与支払い者の年末調整や納税者の確定申告が不要になるといった事務負担の軽減を図っているものと承知をしております。

 これを所得税と同様に、その年の所得を課税標準とすることについては、制度を所管する総務省において、事務的な問題に配慮しつつ検討しているところと承知をしておりまして、財務省としても必要に応じ協力をさせていただきたいと考えております。

 いずれにせよ、本件は、多数の源泉徴収義務者や全国の市町村等に大きな影響を与える問題であることから、十分な議論、検討が必要な問題であると考えております。

古本委員 要は、大臣は一年間ずれるという状況については意識をしていただいたと思うんですね。このことを是正することについては賛成ということでよろしいですか。

与謝野国務大臣 ただいま申し上げましたのは、徴税効率の問題も考えなければならないということは先生御承知のとおりでございますし、また実際は、いわゆる給与所得者というのは源泉徴収をしておりますので、いろいろな会社でそういうことをやっていただいているわけです。また、市町村も、こういう前年の課税を標準として、これだけの税金ですということを御通知申し上げる、これが全体うまく動くかどうかという技術的な問題も実はあるわけでございます。

古本委員 余りこればかりやってもいけませんが、技術的な問題を乗り越えてでもこの問題は大変憂慮すべき問題であるという認識かどうかだけ、もう一度お尋ねします。

与謝野国務大臣 一年おくれて課税されるわけですから、一年間税が猶予されたというふうに考えることもできる。そこは考えていただかなきゃいけないわけでございます。

古本委員 前回はたしか、国税のデータが、こういうIC化が進んでいる時代にあって、市町村の市民税課に電子データで渡す等々も含めて、何となくできないことはないだろうねとおっしゃっておられたと思うんですけれども、何かまたいろいろインプットされて後退しているんだったら非常に残念に思うんです。

 ここにいらっしゃる先生方はみんな、あすは我が身なんですよ。落選しちゃったら、翌年所得がないのに今の歳費で課税されるんですから。その分とっておけと言ったって、みんな飲んだり食ったりしてもうありませんよ。

 ある意味、みんなの問題でもあるから課題提起しているわけでありまして、私たちはいいんですよ、立法府の私たちは。これはやはり、国民のために今議論しているんです。残業代が本当に減って、払いたくたって本当に大変だという人が今ごまんといるわけですから、議論が後退するような答弁は与謝野さんらしくないなと思いますけれども、もう一度だけお願いします。

与謝野国務大臣 所得が発生した年に課税するというのが本来の税のあり方だろう、私はそう思います。ただ、それを可能にするためには、納税者番号制度等、やはり納税事務の電子化というものが前提にありませんと、手作業だけではなかなかそういうことは実現できないのではないかと私は思っております。

古本委員 では、ボールをこちらにもいただいたように受けとめましたので、私も民主党の中で党の税調に持ち帰りたいと思いますし、ぜひお互いに議論を深めたいと思います。

 さて、国民の生活コストが、大変可処分が減る中で苦労なさっているという一つの例に、先回、地方ほど、恐らくこの東京で働いている人に比べれば給与は低いでしょうから、相対的に地方の方ほど可処分が少ないという前提に立てば、車の車体保有課税というものが大変負担になるだろうという問題意識を申し上げさせていただきました。

 その際、例の暫定税率の問題を累次にわたり取り上げておりますが、大臣からは、前回の答弁の中でこういう話がございました。「お台所が」、要するにお台所というのは国のお台所ですね、「お台所が苦しいので、暫定税率をそのまま維持させていただきたいということで、受益と負担の議論は実はそのときから消えているわけでございます。」こういう話がございました。

 百歩譲って、先生方も選挙区に帰って、自分のところの道路に使われるんだろうという理解で、田舎のお父さん、お母さんが一家に二台も三台もある車の税金の暫定税率を今なお負担していただいているわけでありますが、私は、その部分を、暫定税率をそのままに何にでも使える一般財源化することは、納税者への裏切りであり許されないと思っているんですが、受益と負担の関係がもう消えたんだということを明言されました。そういたしますと、高速道路の例の無料化の議論を私どもは申し上げています。御党の方は間もなく、千円でどこまでも、平均しますと三割引きということでありますが、実は、私どもが無料化を言うと必ず、国の、旧公団の借金四十数兆円になんなんとする金額の返済はどうやってするんだ、こういう話になるんですが、受益と負担の関係がなくなるのであれば、それこそ、その借金の償還も一般財源の中からやるという考え方はありませんか。

与謝野国務大臣 そもそも、税というのは一般的に、納税者が受ける公のサービスに対する当然の対価であるわけでございます。このサービスを受けるからこの税を払うという関係ではないと私は思っております。

 道路特定財源を一般財源化するというのは、ある財源が入ったらそのまま、その額だけ道路に使ってしまうという関係を断ち切った、私はそういうふうに思っておりまして、そもそも揮発油税が発足したときは、自動車を持って走っておられる方の担税力に着目してつくった税でございまして、そういう意味では、暫定税率も担税力に着目して課税を続けていると考えることが私は自然だと思います。

 ただし、まだ地方を含めて国も道路が必要でございますから、道路予算というのは、国も計上し地方も計上する。そのお金は、色のつかない一般財源から、あるいは公債金収入から充当されているというだけで、直接揮発油税が道路に使われたという、直接の因果関係を証明するものはどこにもないという意味で消えたと申し上げたわけです。

古本委員 質問に答えていただきたいんですが、もう少し補足しますと、今全国を走っているすべての車の年間で支払っていただく高速料金、高速代を、年間一台当たりの油の消費量に置きかえて計算しますと、大体リッター当たり三十円ぐらい、すべてのドライバーが負担している計算になるんですよ。もちろん、ヘビーユーザーと、一年に数回しか家族旅行で高速に乗らないよという人もいますよ。全部平均でならしますと、大体リッターで三十円なんですよ、先生方。

 ということは、よく日本の油は安いんだというような議論も、福田さんも随分おっしゃっていましたけれども、世界になくて日本にだけあるこのハイウエーという料金収入システムから考えますと、実はこの三十円というのをリッター当たりに乗せないとイーブンにならないんですね、国際社会で比較するときに。つまり、このリッター三十円というものを税金とは別に負担しているわけですよ。

 田舎の方は高速に乗らぬだろうとおっしゃるかもしれませんが、これは多分違いますよ。むしろ、御党の中でも、今回の千円の物すごい効果があるのは、九州とかあるいは東北の皆様がせっかく千円になったんだからと、たしかだれか、京都まで行ってくれということを言っている政府答弁者もいましたよね、質問者でしたか。ですから、そういう意味では、大いに使っていただこうということからいいますと、実はこの三十円というのは二重のコストになっている、税金と高速料金が二重の負担になっているという事実がある中で、受益と負担の論理が、政府、御党の中でもう消滅したんだと明言されるのであれば、高速道路のいわゆる借金も、旧道路公団の借金の償還も一般財源から行って何の論理矛盾があるんでしょうか。

与謝野国務大臣 先生は大変豊かな時代に育った方だと私は思っております。東名高速も、つくられましたときは日本にお金がなくて、世銀からたしか借りてきたお金で道路をつくるというありさまで、やはり高速道路というのは大変ぜいたく品だったわけです。したがいまして、利用者に御負担いただくというアイデアで、それでも高速道路を全国に整備することが日本の社会にとって必要だという我々の先輩たちの判断は正しかった、私はそういうふうに思っております。

古本委員 その世銀からの借金はもう既に償還は終わっておりまして、高速自動車国道法によりますれば、その償還が終わった暁には無料開放するという趣旨の法のたてつけになっているわけでありまして、この議論はこれ以上やりませんけれども、ぜひお互いに研究は深めたいと思います。少なくとも、与謝野大臣をして受益と負担の考え方はもう消滅したんだという御発言は、私は大変重いと受けとめております。

 もう一点、スクラップインセンティブの話を少し確認したいと思うんですね。きょうは環境省も来ていただいております。

 ドイツは今、カーメーカー各社が一服できている特需が起きているというふうに聞いておりますけれども、これは六十万台限定の約三十一万円を上限としておるスクラップインセンティブをつけたからだと言われております。車というのは車齢が古くなりますと、昔の年式ですから、燃費技術やらが日進月歩ですから、非常に低燃費、モデルチェンジした方が非常にいい燃費の車になってくるわけですね。

 きょう環境省にお尋ねしたいのが、日本が京都議定書で買い取りを義務づけられている目標に対しまして、今現在、一体何万トンぐらい買っておりますか。

森谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 我が国は、国内対策を行ってもなおこの京都議定書の約束達成に不足する分、これは基準年の総排出量の一・六%分に達しておりまして、もう少し詳しく申し上げますと、第一約束期間、二〇〇八年から二〇一二年の五年間で……(古本委員「何万トンですか」と呼ぶ)約一億トンということになってございます。(古本委員「幾ら買ったんですか」と呼ぶ)平成十八年、十九年、この二カ年度におきまして、国庫債務負担行為限度額として合計で五百二十九億円の予算が認められておりまして、これを用いまして、十九年度末までに合計二千三百四万トンの取得契約を締結したところでございます。

古本委員 では、今、ヨーロッパの排出権取引はトン当たり大体幾らぐらいですか。

森谷政府参考人 欧州においては、今申し上げたようなCDMと言われているクレジットや、EUの中の排出枠の取引がされております。クレジット、排出枠の取引価格は、種類や取引の形態、市場の需給によって異なりますが、例えば、一般に公開されている英国の欧州気候取引所における昨日のCDMクレジットの先物の取引価格は、二〇〇九年末に移転を約束するというもので十一・七二ユーロ、それから二〇一二年末移転約束のもので……(古本委員「日本円で幾らですか」と呼ぶ)円換算で申し上げますと、約千五百五円というのが十一・七二ユーロに相当すると思います。

古本委員 今、二千万トン買ったということですけれども、今の相場でいきますとトン千四百三十円。一億トン買わなきゃいけないというところから差し引きしますと、残り八千万トン買っていかなきゃいけませんね、二〇一三年までのわずか数年の間に。これは単純計算ですけれども、仮に、ヨーロッパのきょう現在の取引の値段で買いますと、一千万トン買えば約一千五百億円かかりますね。単純に言えばですよ、いろいろなマージンも入るんでしょうけれども。

 私は委員の皆様とも共有したいんですけれども、実は、車の車齢といいますけれども年齢が十年以上たっている車というのは、今世の中走っている車の四割です。今回、御党と政府一体的に取り組んでいただいた、いわゆるハイブリッドの車を中心に安くするというのは、あれも大変結構なことでありますけれども、実は、世の中走っている、非常に言葉は悪いですが、排気ガスが余りよろしくない昔の、年齢の古い車の四割を今一気に買いかえていただけたならば、年間で排出量削減、一千万トン近く減るんです。ということは、これは本当に費用対効果の話なんです。

 これは、環境省には申しわけないですが、僕から答えますけれども、聞きましたら、中国、ブラジル、インドネシア等々にもう既に払っているそうなんですね。インドネシアの上空の空気が幾らきれいになっても、枠を買うという概念ですから、東京二十三区の上の空気がきれいにならないことには意味がないんですよ。

 何となれば、今、十年以上前のどうしても排気ガスがよろしくない車、技術は日進月歩ですから、そういったものを買いかえていただくインセンティブ、これがスクラップインセンティブです、ヨーロッパは大成功しています。これをやらずして、もとより空気のきれいなお国の上空の枠という概念を、きょうの値段でいけば、どうですか、今後一兆円以上かかりますよ。よほど、日本の民生部門、エアコンとか電器も非常に省エネタイプのものがいろいろある、車も、まさに十年前のものを買いかえていただければ、物すごく効果がある。

 こういったものの中で、やはり産業のすそ野の広い、今雇用が非常に困っている自動車のスクラップインセンティブについて前向きに検討する御決意はありますか。それとも、今後、ハンガリーを初め東欧の空の枠を買ってくることにいそしんで、お金を払い続けることを選びますか。

与謝野国務大臣 これは、個人が車を買うときにいわば補助金を出すという話に近い話になるわけですから、よほどそれを正当化するような理由がないとなかなかできないと実は思っているわけです。しかしながら、アメリカの自動車需要が年間千六百万台から九百万台以下に落ちそうだ、また日本の車を買う方々も買いかえを手控えている、車は修理すれば大変長く乗れる、そういう問題もあって、車の需要、生産も落ち込んでいくということがあります。

 ですから、税制上の優遇をするのか、補助金を出すのかと各国でいろいろ考えておりますけれども、それはどういうことからそういうことが正当化されるのか。先生がおっしゃるように、環境問題としてとらえるのか、あるいは雇用の問題としてとらえるのか、あるいは全体の、すそ野の広い産業の問題としてとらえるのか。今、悩ましげに考えているところでございます。

古本委員 環境と、それから派遣労働を初め、日本じゅうが今雇用の問題に直面している中で、この両面が恐らくあると思います。

 私は、委員の先生方とぜひ共有したいと申し上げたのは、何も何千億円というお金を払って、恐らく兆円を超えるお金を払って、世界のきれいな空気を概念として買ってくるなんということよりも、排出原因者である、排出源であるこういう電化製品であったり自動車であったりというものをよりクリーンなエネルギーに置きかえていった方が一石二鳥じゃありませんか、大臣。

 最後に、そう思うかどうかだけ教えてください。

与謝野国務大臣 実はいろいろなアイデアがありまして、東京で走っている、あるいは大都市で走っている自動車を全部電気自動車にしようとか、どんなに補助をしても低燃費の環境に優しい車に買いかえてもらおうとか、いろいろなアイデアが実はありまして、今本当にどの道が正しいのかということを考えておりまして、結論は出ておりません。

古本委員 ありがとうございます。

 それでは、環境省と総務省は結構ですので、ありがとうございました。

 それでは、関税の話でありますが、午前中の松野委員の議論を少し引き取りながらやってまいりたいと思うんです。

 大臣、今大変不景気で、本当に給与が減ってしまった、あるいは職を失ったという方がいる一方で、うまい仕組みがあるんだなと改めて思うんですよ。きょうは象徴的な事例を幾つか紹介したいと思います。

 実は、今回の関税品目の中に当然にお米も入っておりますけれども、いわゆるミニマムアクセス米がございますね。これは、日本人の食べるお米の一割を輸入するということで、年間で約七十万トン、直近で約五百億円ぐらい買っておりますね。それで、去年の事件が起きました、いわゆる汚染米問題。ミニマムアクセス米で輸入したそういう産品、米がかびてしまったなどの事故米の事件がございました。それが、あろうことか私たちの口の中に入る、流通をしたという話ですね。

 それで、実はミニマムアクセス米の中で、大臣に認識していただきたいおもしろい数字を紹介したいと思うんです。

 私ども民主党の愛知県連で、去年実は調査をいたしましたが、これは東海農政局管内のお話なんですけれども、五百億円で輸入したミニマムアクセス米を保管するお金というのは年間幾らかかっているか、大臣、御存じですか。農水省、保管料は幾らですか。

奥原政府参考人 お答えいたします。

 米の保管料でございますけれども、大体、一年間で一トン当たり一万円かかっております。(古本委員「合計は」と呼ぶ)輸入するのが毎年七十七万トンになっておりますから、これは累積もございますけれども、七十七万トンとすれば七十七億円でございます。

古本委員 累積を入れたら幾らになりますか。なぜならば、去年、おととしに輸入した古米、古々米も倉庫に残っていますから、合わせますと大体幾らですか。

奥原政府参考人 昨年、二十年の十月末のMA米の在庫が九十七万トンでございます。ということになりますと、大体九十七億円ということになります。

古本委員 大臣、五百億のお米を輸入して保管料が百億。その保管倉庫に天下りされているんですよ。ですから、これは、お米を保管しているんじゃなくて、農水省のお役人様を保管しているという感じになっていたんですよ。びっくりしました。これが一点目。

 それから、その保管の業務を発注するのにも、途中で社団法人全国食糧保管協会というのをかまして、そこを通さないと、ああいう何とか倉庫という民間の倉庫、政府倉庫も含めてですが、発注できないという仕組みがわかってきたんですね。その仕組みとけさ方の松野先生の仕組みというのは物すごく似ているなと思っているんですよ、ちょっとこの後でやりますけれども。

 それから、もう一つあるんです。日本穀物検定協会というところがございまして、現地へ行ってきたんですけれども、ふるいにかけてお米をふるうというのが、この協会に農水省から全国で百有余名が出向いておられるんですけれども、どういうノウハウがあるんだと聞いたら、肩幅に手を広げ、そして右から何回、左に何回、こうやられるんですよ。これが農水省の秘伝であると。これは本当の話なんですよ。それ以外でもありますよ。象徴的なことを言っていますけれども、やっておられまして、それの検定料ということで、実はミニマムアクセス米、それから政府買い入れ米を含め検査をなさっているんですね。

 この検査料は年間で幾ら払っていますか、日本穀物検定協会に。

奥原政府参考人 平成十九年四月一日から二十年三月三十一日までの一年間の穀検の収入でございますけれども、農産物検査収入で十一億二千万でございます。

古本委員 ですから、税金で、五百億円でミニマムアクセス米を買ってきて、約百億円で保管して、それで十一億円で検査していると。ミニマムアクセス米以外もやっておられますよ。

 実は、こんなものじゃないんですから。きょうは、そのときいただいてきたものを持ってきたんです。鈴木克昌先生とも一緒に行ってまいりましたので。これは、配付資料を拡大したものです。

田中委員長 資料ですか。

古本委員 はい。

田中委員長 では、資料として認めます。

古本委員 資料の四を見てください。要は、先生方が見づらいだろうと思って現物を持ってきました。選挙区へ行けば農家に必ずある、皆さん御存じの米袋ですよ。これは、私どもの同僚の岡本充功議員とともにもらってきたものなんですが、「美人を育てる秋田米」という袋ですけれども、ここに合格と押してあるんです。この合格というのが資料の四なんです。

 印鑑を押してあるんですけれども、この合格印というのはどういうものなんですか。

奥原政府参考人 政府は国産米についても、備蓄米として毎年若干の数量を買い入れております。

 政府が国産米を買い入れるときに、その包装の規格について要件がございまして、これまでは紙袋、紙の袋でございますけれども、国が検収規格というものを定めまして、それに適合している旨の証明がなされたものであることを求めていたところでございます。

 何でこれを求めているかといいますと、政府の場合には、買った米をかなり長く保管いたします。現在売っている国産米は、十七年産米でございますので三年古米ということになりますが、かなり長く保管をするということがございまして、大体一パレットに七袋を六段、三つから四つのパレットを積み上げるという形で倉庫の中で保管をしております。このときに、包装の形態がふぞろいであるとかあるいは袋の強度が弱ければ、効率的な保管ができない、保管コストが高くなる、場合によっては、荷崩れによって袋が破れて米の価値が下がる、こういったことがございまして、特別な検収規格を定めておりました。

 ですが、現時点では、民間の方の普通に流通している米の袋についても、これは一般の規格がございますし、これに合致しているもので十分であるということで、本年の一月からこの検収の規格も廃止をしております。したがって、これから合格の証明もつかないことになります。

古本委員 これは、去年の年末に行って、同僚の岡本議員も委員会で取り上げてやった途端に要らなくなったんですよ。これはでき過ぎている話なんです。

 ちなみに、年間で幾ら取っていましたか。平成十七年二億八千万、平成十八年二億七千万、そして平成十九年、恐らくこれが最後になったんでしょうが二億六千万円なんです。

 合格印というものは、実は押すわけじゃないんですよ。例えばこれですと、王子製紙さんの工場で最初から既にプリントしてあるんです。つまり、検収印でもなければ何でもないんですよ。つまり、これを刷り込むことの、いわばパテントと言ったらいいんでしょうか、オーソライゼーション代というんでしょうか、それだけに一袋当たり一円五十七銭、直近ですと取ってきたんです。

 これは一体だれが負担していたんですか。だれが負担したんですか。

奥原政府参考人 これは、袋をつくっているメーカーが一時的には負担をしたわけでございます。(古本委員「最終負担者は」と呼ぶ)最終負担者ということでは農家ということになるケースも当然あると思います。

古本委員 つまり、先生方、いろいろありますけれども、ちなみに、一月からは今までどおりつくっているんですよ。だって変わっていないんですから、それぞれ。これがなくなったというだけで農家は、一袋当たり一円五十七銭の負担をしなくなって済んだわけです。

 何十年続けてきたんですか。これは、ちりも積もれば山となりますよ。こうやって入った検収印の収入で、この穀物検定協会の理事長、会長はどなたですか。元職を言ってください。

奥原政府参考人 穀物検定協会の現在の会長でございますが、浜口義曠さん、もとの職業は農林水産事務次官でございます。

古本委員 大臣、さっき、日本人が今雇用の問題に直面している、本当に大変だというときに、税制に例えばスクラップインセンティブを入れれば、ドイツのBMWやメルセデスが今一息つけているように劇的になるかもしれない。ハンガリーや中国、インドネシアの空から概念として空気を買ってくるのに何千億円使えて、どうしてこんなお金を、何の責任もない農家の皆様に御負担を延々かけ続けることができたのか。これは、私は残念でならないんです、こういうことがわかってまいりまして。

 午前中の松野先生のものを引き取りたいわけでありますが、お配りをいたしております資料の八をごらんいただきたいと思います。

 ちなみに、私も、午前中松野先生の話を聞いておりまして、現地、現物を旨といたしておりまして、早速行ってまいりました、この農畜産振興機構。場所はどこにありますか。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。麻布台にございます。

古本委員 要はロシア大使館の裏の最高の一等地です、大臣。ここにちょっとお邪魔をしてまいりまして、資料をいただいてまいりました。パンフレットを下さいました。それのコピーをとりました。それに基づいてお話をします。

 松野先生がやったものが、乳製品の価格安定制度の仕組みという資料八の左上に載っているものなんですね。つまり、価格がすごく落ちた場合に保管をして維持して、上がった場合は補給金を入れるんですね。そういうことをやって、緊急輸入をして売り渡しをして、この真ん中のゾーンに入るように必ず酪農家を守っていくということなんですが、午前中の議論をおさらいしますと、九番、農畜産振興機構の補給金勘定には三十九億ということでありましたが、実は、利息にさらに二億あるということがわかりました。あれから数時間でわかりました。四十一億円だそうであります。

 この四十一億円のうち、午前中議論になったのはまず、業務に要する事務、人件費に五億円充てているじゃないかという問題です。裏面に資料の十二がついております。これは、補給交付金がどういう団体に行っているかというところなんですが、ホクレンさん初め全国の農業組合に補給金で行っている。農家に行く限りはいいと松野先生はおっしゃっていた、ホクレンに行くならいいと。

 戻っていただきまして、資料の九。当期利益が四十一億円のうち、農家に補給金で渡すのが十七億なんです。いいですか。それで、人件費として五億円。残りのお金がどう流れたかというと、この下のチャートなんです。十五億円は農畜産業振興機構の畜産業振興資金への繰り入れ、これは区分経理できるというふうに、法律に基づいてなっていますとおっしゃっていましたね。これは十五億円入る。

 恐らく、問題はこの四億円なんです。剰余金について、四億円をとっておるということでありますけれども、この四億円は何に使うんですか。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 九番の資料の右側でございますが、四億円でございますが、矢印がございますように、加工原料乳の生産者の補給金、あとは輸入乳製品の買い入れ原資として活用するということになっております。

古本委員 そう聞きますと、大臣、ふうんというふうに一瞬思っちゃうんですが、これは本当に簡単な話でした。

 実は、バランスシートを見せてくれと言いましたら、十、十一です、貸借対照表。午前中の松野先生の資料は補給金勘定だけの貸借対照表でありましたけれども、全部のものを出していただいたら、何と、大臣、行きますよ、資料の十です。秘書官、サポートしてくださいよ、今からが大事なところですからね。

 何と、現金、預金は幾らありますか。私の目に間違いなければ、これは多分二千七百億円と書いているような気がするんですけれども。キャッシュで二千七百億円持っておられるんですよ。ですから、午前中の話よりゼロが一個多いんです。

 この二千七百億円というのは何ですか。

佐藤(一)政府参考人 この二千七百七十八億円の内訳でございますが、約千五百億が調整資金と申しまして、牛肉の関税収入を充てまして肉牛の振興に使っている資金勘定がございます。

 もう一つが、畜産振興資金と申しまして、これが大体七百四十一億円ございますが、これが先ほどお話のありました、売買差益等の利益を入れまして畜産一般の振興に使っている資金でございます。

 残り、野菜関係で百四十三億円ほどございまして、その他四百六億円ということになっておるところでございます。

古本委員 では、午前中来問題になっている、本当に全国の酪農家が、まじめに生産なさっておられる方々が心待ちにしておられる補給金に回らずに、機構の皆様が必要なんだといって別途とっておられた四億円は、この二千七百億円になんなんとするお金の内数ですか、外数ですか。

佐藤(一)政府参考人 内数になります。

古本委員 これは情報公開されていまして、ホームページを見ればすぐ出てきました。あの後スタッフが調べてくれましたけれども。

 平成十六年の現金、預貯金は、つけていないので読み上げます、一千八百億円だったんです。平成十八年には二千八十億円に膨れ上がっています。平成十九年は二千二百九十億円になっております。そして平成二十年は、ごらんいただいております二千七百七十億円に上る金額であります。

 本来、安く輸入した乳製品を、日本の酪農家を守るんだという名のもとに割高になる調整金を取って、そしてその調整金を農家の皆様の補給金に、生産支援に、あるいは農業の育成のためにということで回しておりますといいながら、積み上がること二千七百七十億。一体どれだけ積み上げたら気が済むんですか。これでは、農業の育成じゃなくて農水省の皆さんの育成じゃないですか。どうなっているんですか。

 大臣、ここまでのところで感想を手短にお願いします。

与謝野国務大臣 こういう独立行政法人が一定のお金を持っているということは、私は正しいと思っております。ただ、この独立行政法人に必要以上の人間がいたり、それから社会的に妥当でない給料を取ったり、こういうことはやはりやめなきゃいけない。

 ただ、畜産とか酪農家というのは内外価格差もあって、これを調整する大事な機能をこの団体は果たしている、私は昔からそういうふうに思っています。

古本委員 今なぜ与謝野大臣にこの話を聞くかというと、では、今この二千七百億円の大宗を占めている食用牛、牛ですね、牛に関する毎年の一般会計からの財務省主計局の査定に基づく繰入金は幾らですか。二千七百億もあって、一体幾らもらおうとしていますか。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 肉用子牛対策費ということで、牛関、関税収入をもとにいたしまして一般会計の方から繰り込まれてくる額でございますが、平成十六年度が千三百四十二億円でございましたが、その後だんだん縮小しておりまして、二十年度は八百億円と相なっておるところでございます。

古本委員 いや、減ったからいいというものじゃないんですよ。例のマッドカウディジーズのときに牛が大変売れなくなった時代とか、いろいろなことがありました。そういうときに備えて、子牛というのは最初に打撃を受けるんですね。ですから、そこを守るんだということで、こういった形でお金をプールしておくということは、ある程度の額までは必要だと思うんですよ。

 でも、もしそうなったときには、別途財務省が手当てすればいいじゃないですか。これだけたまり金があるにもかかわらず、減ったといえども九百億円になろうとするお金をどうして財務省主計局は予算をつけるんですか。そういう意味で聞いているんですよ、与謝野さん。この機構の仕事が非常にいかがわしいなんてことは一言も言っていません。九百億円ものお金をさらにもらう必要があるのか、このキャッシュフローの話を聞いているんです。

与謝野国務大臣 民主党の政策にも、農家に一兆円配るとか二兆円配るとかという話があって、農畜産業というのは、やはりみんなが助けないと成り立たないという分野だということは、これは民主党も多分おわかりだろうと思うんです。ましてや、海外の安い酪農製品、畜産製品に直面した、自由貿易を要求されたというときには、やはりこういう仕組みを持っているということは、国、社会としては絶対に私は必要だと思っています。

古本委員 そのことは否定していませんから。

 ちなみに、大臣、十三、十四をごらんいただきますと、これは不思議でしようがないんですよ。機構が扱っていらっしゃる農産品の中で、つまり内外価格差に対応しながら国内農家を守っていく、そして、私たちも砂糖がなくなっちゃったら大変ですから、砂糖大根それからサトウキビ、この砂糖関係、これは十三の資料にありますように、各糖業をやっておられる方々にこんな形で行っているんですね。めくっていただいた十四はでん粉関係です。コーンスターチも入っていますね。

 ですから、この十三、十四も、どこかに別途とっておいて、農家に配っていないお金があるんですかと聞いたところ、これは一円もないんですよ。砂糖とでん粉については、全額農家に給付金を配っているということでいいですね。イエスかノーか。

道上政府参考人 お答え申し上げます。

 資料の十三、十四ページ、ここにございますように、輸入の砂糖それから輸入されたでん粉原料用トウモロコシから徴収いたしました調整金でございますけれども、全額、原料生産農家及び砂糖国内産糖製造事業者、芋でん粉事業者に交付されております。

古本委員 つまり、なぜか酪農のこれだけなんです。乳製品だけなんです。ですから、お金がこれだけあって、なぜさらに一般会計で財務省主計局が、これだけ渋い財務省主計局がどうしてそうも簡単に予算をつけるのかなと不思議でならないのがもう一つ。

 大臣、なるほどなと思ったんです。資料の十、十一をごらんいただきたいんですけれども、もとに戻ってください。あっちこっち行って恐縮でございます。先生方も、これはなるほどなと思いますよ。

 これはアンダーラインを引きました。投資その他の資産で、何と投資有価証券に一千億円もあるんですよ。私てっきり、何か農業関係、あるいはそういうところを少し応援する思いで株を持っておられるのかなと思って聞いたら、私間違っていました。この投資有価証券約一千億、それから流動資産に立っております有価証券、これは時期によって勘定が変わるんだと思いますが、約七十一億円、これを合わせました一千八十億円を超える有価証券とは何ですか。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 国債、地方債が八百九十八億円、金融債が五十一億円、社債が百二十一億円となっております。(古本委員「もう一度。国債は幾ら」と呼ぶ)国債、地方債が八百九十八億円、金融債が五十一億円、社債が百二十一億円でございます。

古本委員 平たく言いますと国債なんです。だから、財務省は予算をつけてここにお金を入れて、毎年狂牛病が起きるわけじゃありませんので、起きちゃならないので、そこでお金をためて、そして国債を買ってもらっているんですよ。

 そんな暇があるのなら、これは資料につけておきました。十二番、もう一度戻っていただいて、ホクレンはさすがに規模が大きいですから百七十億円入っていますけれども、例えば南端、沖縄県酪農農業協同組合、これは幾らですか。たったの六百万円ですよ。私は石垣牛を食べたことがありますけれども、本当においしい。こういう農家の皆さんを応援せずに、国債をしこたま買ってどうするんですか。本末転倒じゃないですか。真ん中の近畿を見ても二千万。ですから、これはお金の使い方が違うと思うんですよ。

 時間が参りましたので、きょうは関税ということでありましたが、ちなみに、大臣、資料の十五もごらんになっておいてください。過剰な人員やら何かそういうことがあるならばゆゆしきことだとたしかおっしゃったようでありますが、これも全部ディスクローズされております。ホームページを見たらすぐわかりました。全役職員が、一人の民間人の監事を除き全部お役所の方ではないんでしょうか。

 つまり、これはすぐれて、国がやってもおかしくない業務を機構という形で立ち上げて、そこを通すことによって初めて交付金が配れるというメカニズムをつくっちゃったんですよ。先ほど申し上げましたミニマムアクセス米と一緒なんです。穀物検定協会という検定協会をつくり、農水省の食糧事務所の係官がかつては検査していたことを、わざわざ出向かせてそこでやり、それから貨物もそうです。倉庫に発注するときに、預かるときに、全国食糧保管協会というところを通さないと民間会社の倉庫に発注できないんですよ。必ずそこを通すんです。そして、そこに漏れなく官僚の方々がいらっしゃるんです。だったならば、私は、この独立行政法人農畜産振興機構がやっておられる仕事、大変大事な仕事だと思います、農水省でやればいいじゃないですかという話になってくるんです。

 ですから、いろいろと国のお金を預かる大臣ですから、今、運営費交付金それから補助金が入っている団体、本当にあまたある案件の一つにしかすぎません。これを一つずつ確認した上で財務省は本当に予算をつけているんだろうか。つけていますと約束できますか。むしろ大臣、これはひとつ棚卸しをしないと無理だなと思われませんか。棚卸しが必要と思われませんか。

与謝野国務大臣 先生の御指摘されている問題は二つあると思っていまして、やたらと役所が仕事をアウトソーシングするということが正しいのかどうかという問題が一つある。それから、いろいろな公益法人とか公の仕事をやっている法人はたくさんありますが、そういうところで、法人自体がもう役目を終えているところがあるのではないか、いつもそういう疑問を持ちながら予算も査定していかなきゃいけないというのは、やはり先生の御指摘のとおりだと思います。

古本委員 時間が参りましたので終わりますけれども、最後に大臣、今こういう話、僕は、これは本当に掛け値なく、午前の松野先生の話を聞いて、やはり現地を見なければわからないなと思いましたね。

 これはやはり、農水省、財務省、それぞれ大臣、政務官がいらっしゃいますよね。実は、私ども民主党は、政権が仮に国民の皆様に与えていただけたならば、各部局に、それは政務官という肩書きがいいかどうかよくわかりませんが、少なくともポリティカルアポインティーによる、つまり場合によっては、政治家自身がこうやってチェックすることによっていろいろなことがわかってくると思うんです。これは、きょうのわずか数時間の出来事なんです。あれからの話なんです。ですから、今、私たち自身の責任が同時に問われていると思うんですが、そのことについて恐らく大臣も共有していただけると思うんです。

 残念ながら、今いろいろな意味で政治の停滞だと言われますね。最後に、碁の対局に例えれば、今、国民の皆様がごらんになっている政治の状況の中で、私たちがやらなきゃいけないことはこれだけ山ほどあるんです。山ほどある中で、今日の状況、碁に例えたならばどういう局面か、これを抜け出すにどういう次の一手があるか、最後にお聞かせいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 民主党は、あらゆる委員会で次の政権は自分たちだとおっしゃっておられるので、そのぐらいの気概で日本を背負っていただきたいと思っておりますけれども、現実に政治を進めていく上では、やはり政策協議というのは非常に大事なのであって、国民のために政治を行っていくためには、政局も大事ですけれども、政策の実現ということも私はより大事なんであろうと思っております。

古本委員 では、碁に例えた話は次回にとっておきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 最初に、G20の問題についてお伺いしたいと思います。

 財政出動による景気刺激策というのが一つの話題になったというふうに報道されております。朝日新聞の三月十六日付によりますと、ガイトナー米財務長官との会談を十三日に与謝野大臣が行って、その中で、米国の主張に沿って国内総生産、GDPの二%という財政出動の数値目標を達成する意向を表明した、こういうふうに報道されております。こういうふうに意向を表明されたんでしょうか。

与謝野国務大臣 ガイトナー米国財務長官との会談やG20の会合において、我が国は累次の経済対策を実施していること、また、総理の指示を踏まえて、与党において今後の経済情勢の変化への対応策の検討が始まっていることなどを御説明申し上げました。その際、七十五兆円の規模の経済対策により、既にGDP比二%程度の財政措置を行うこととしていること等を御説明申し上げました。

 ただし、それ以上に踏み込んで何かを約束したとか、二%の財政出動にコミットしたということはなかったわけでございます。

佐々木(憲)委員 GDP二%というのは非常に大きな規模で、五百兆円とすると約十兆円となりますか、大変な金額で、しかもこれからこれをやるということになりますと、何もまだ決まっていないのに新たにこういう発言をされるというのは、非常に私は問題が大きいと思ってお聞きをしたわけです。

 一体この二%というのはどこから出てきたのかということなんですが、実は、ヨーロッパではなくて、サマーズ米国家経済会議議長がイギリスの新聞のインタビューで、各国が協調して財政出動を継続的に強化する重要性を表明した、それに続いてガイトナー財務長官が国内総生産の二%相当の景気対策を実施すべきだとの考えをにじませ始めたというふうに報道されているわけです。正式に提案をしたわけではなくて、にじませ始めたと。それに対してヨーロッパの側は、その呼びかけは好ましくないという反発をしたというふうに報道されているわけです。つまり、金融対策をまずはやった上でというのがヨーロッパの側の考え方で、財政から始めるというのはおかしいではないか、どうもそういう議論らしいんですね。

 そういう中で与謝野さんがアメリカの言い分に賛成だというふうに言うとなると、何か日本だけが対米追随ではないか、こういうふうになってくるわけでございますので、今、そういうふうにおっしゃってはいなかったというふうに言われるわけですが、では、報道は実際とは違うということなんでしょうか。

与謝野国務大臣 これはガイトナー長官も言っておられましたけれども、自分は、二%ということをIMFの考え方を参照にして言ったのであって、他国に強要しようとか、そんな考え方は全くない、そういうことをおっしゃっていました。ですから、これはIMFの数字だということをおっしゃっていました。

 私どもは、既にやっております経済対策、二十年度の一次、二十年度の二次、それから国会でお認めいただければ二十一年度の当初予算、こういうものを合わせますと、数え方にもよるんですけれども、おおむね二%程度のところまでは行っておりますという説明をしただけでございます。

佐々木(憲)委員 それでは次に、G20で主要な議題になったのは、国際金融危機に対する対応だと思います。前回のG20では、国際的に活動する金融機関あるいはヘッジファンドなどに対して監視あるいは規制を強化するという方向が出されて、四月にその中身が具体的に検討されて各国で合意を得る、こういうふうに方向づけがなされていたと思うんですが、今回のG20で、その方向に向けてどのような議論が行われて、日本としてどういう提案をされたのか、それをお聞かせいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 日本としては、国際金融に関する一定の規制は必要だということは、もちろん日本の立場を説明申し上げました。どういうものを対象にした規制かといいますと、一つはヘッジファンド、それからタックスヘイブン、こういうものはやはり考えなきゃいけないだろう。それから、日本では既に格付会社の登録制に関する法律を出していますということを申し上げました。

 ただ、ヨーロッパの一部で議論されております最低自己資本比率を引き上げようという議論は、日本においては信用収縮を招くのでとても受け入れられませんということははっきり申し上げました。

佐々木(憲)委員 前回は、国際的に活動する金融機関というのが一つの対象としてかなり重視をされていたと思うんですね。なぜかといいますと、今回の投機資金は、実際にはヘッジファンドなどがかなり投機的な行為を行っていた、その資金を供給したのが複合的国際巨大金融機関である、こういうふうに言われております。したがって、大もとの金融機関のあり方、つまり、金融だけではなく証券も含めて垣根を取り払って投機的な分野にどんどん資金を供給する、そういう活動自体がやはり問題だった、こういう反省のもとで監視というものが強調されたんだと思うわけです。それは議論にはならなかったんでしょうか。

与謝野国務大臣 これは、財務大臣・中央銀行総裁会議の声明の中の金融システムの強化という項目に、「全てのシステム上重要な金融機関、市場、商品が適切な程度の規制・監督の下に置かれ、」云々というところに書いてございまして、当然、今先生の御指摘になった、もともとの金融機関、証券会社というものの監督についても言及がなされ、これからいろいろ合意がなされるように進んでいくと思っております。

佐々木(憲)委員 やはりそこのところが非常に重要なことであって、今回のアメリカにおける金融バブルというのは一体なぜ発生したのかという原因の究明、それからそれを拡大してきた主体は一体だれだったのかという問題、そして、なぜそれが起こったのかという原因として、例えば、金融と証券の分離という原則が崩れて、一体化して投機的なところに走るようになった、そういうこと全体を含めてもう一度再検討するということが私は必要だと思うんですね。

 日本としても、そういう点でしっかりとした方向性をやはりもっとはっきりと提案する必要があると思うんです。途上国側、ヨーロッパの側等はある程度、特に途上国中心にそういう要望は強いと思うんですけれども、やはり日本もそういう方向をしっかり頭に入れた対応というのが必要だと私は思っております。

 では次に、国境措置と農業、中小企業の問題について伺いたいと思います。

 国境措置といいますと、関税が非常に大きな役割を果たすわけでありますが、その前提として、まず与謝野大臣の認識をお伺いしますが、日本の農業とか中小企業、これが雇用の面でも、あるいは国土の保全の面でも非常に大きな役割を果たしていると私は思います。与謝野大臣は、日本経済の中で農業と中小企業はどういう役割を果たしているのか、どういう位置づけ、役割を果たすべきか、そのお考えを聞かせていただきたい。

与謝野国務大臣 中小企業は、まず、全企業の九九%を占めておりますし、従業員数を見ましても、四千八十八万人という、日本で働く方々の七割を占めているわけでございまして、やはり、日本経済が活力を回復するためには中小企業が活力を取り戻すことが必要だと思いますし、また中小企業は日本の経済の底力でもあると思っております。そういう意味では、我々は、中小企業の資金繰りなど、できるだけのことをしなければならない。これは、中小企業を守るというよりは、そこにある雇用を守るという意味も非常に重大だと思っております。

 農業の方は、私の選挙区には農業というのはないんですけれども、農業というのはやはり、日本の食料事情を考えても、日本の環境保全を考えても、日本の文化を保全するということから考えても、経済計算以上に重要な分野だと思っております。

佐々木(憲)委員 配付資料を見ていただきたいんですけれども、まず一枚目は、「食料自給率の推移」ということで、主要な農産物の自給率、それから全体の統計が出ております。

 下の方にカロリーベースの食料自給率が出ておりますが、昭和四十年度は七三%で、その後は五〇%に下がり、さらに今四〇%。これはよく使われる数字ですけれども、自給率が非常に低下したことが、今の食料不安、国際的な食料高騰の際には日本は大丈夫かと常に議論になってくるわけで、一番ベースになるところですね。これを引き上げなきゃならぬというのは私は基本だと思いますが、なぜこういうふうに下がったのか、その原因を明確にしなければいけないと思うんです。大臣、どのようにお考えでしょうか。

与謝野国務大臣 これは石破大臣に聞いていただいた方がいいと思うんですが、明らかに自給率がカロリーベースで下がった一つの原因は、日本人の食生活が大きく変わったということでございます。御飯に梅干しだけというときは自給率が高いわけですけれども、肉を食べたり鳥を食べたりといいますと、自然に自給率が下がってくる。しかし、それでも下がり過ぎだと私は考えております。

 それから、下がっている原因の一つは、やはり農家所得が、一時期、最高六兆円ありましたのが、今、農家所得が三兆円しかないという、農家所得の大幅な減少が食料事情を悪くしているという側面があると思います。もう一つは、なかなか若い方が農業に従事してくださらない、農家の、特に専業農家の高齢化が進んでいるということも一つの大きな原因だと思っております。

佐々木(憲)委員 食生活が変わったというのはもちろんあると思います。それも、アメリカのいろいろな日本に対する食料戦略といいますか、背後にそういうものがあったと私は思っております。

 私は、国境措置というのが一つ重要なポイントだと思っておりまして、例えば牛肉・オレンジの自由化とか、いろいろな形で農産物の輸入自由化というのがこの間行われて、我々は、それはやるべきじゃない、もっと国内保護をしなさいという主張をしてまいりましたけれども、それが強行されたという事実があったと思いますし、それから、農家に対する支援というものがやはり十分行われてこなかった、後退したというのがあったのではないか。そういう点で、食料自給率そのものがずっと下がってきてしまう。

 具体的な例を挙げますと、繭とか絹紡糸、こういう産業が日本ではもう既になくなってしまっているわけですね。それもやはり国境措置の問題とも関連をしていたのではないかと私は思うわけです。それから、自給率を見ましても、例えば小麦は一四%ですね。大豆はわずか五%で、ほとんど輸入に頼っているわけでありまして、豆腐にしてももうほとんどは外国製と言っていいような状況であります。

 例えば、最近の例としては、この委員会でも私、取り上げましたが、コンニャクというのがありますね。このコンニャクは、途上国向けの無税無枠措置が導入されて、かなり大きな変化が起こりました。

 農水省に確認しますけれども、この輸入数量、収穫量、これはこの間どうなりましたでしょうか。

道上政府参考人 お答えを申し上げます。

 コンニャクについてでございますけれども、輸入数量につきましては、平成二十年四月から十二月までのコンニャクイモの輸入数量は二百六十七トンということでございます。それから、収穫量でございますけれども、二十年産のコンニャクイモの収穫量は五万五千五百トンということでございます。

佐々木(憲)委員 この輸入数量は、平成十九年の場合は百トンだったわけです。二枚目の資料の右下にコンニャクイモの輸入量というのがありまして、これを見ていただければわかるんですけれども、今説明があった数字は二百六十七トン、ですから、百トンから三倍近くにふえているわけです。とりわけミャンマーからの、前年ゼロだったのが百八十七トン、ぼんとふえたわけです。この収穫面積、収穫量というのが国内では減っております。国境措置を取り払ったり低めた結果どういうことになるかというのは、一つの、非常に部分的かもしれませんけれども、そういう事例として今紹介したわけであります。

 二年前に農水省が、「国境措置を撤廃した場合の国内農業等への影響について」という試算を出しております。大臣御存じかもしれません。

 次の三枚目をあけていただきますと、これは松岡農水大臣の時代に公表したものであります。国境措置がなくなれば大変な影響が出るというのは、これはもうだれが考えてもそうなわけですが、幾らの影響が出るかということで、国内農業生産の減少が約三兆六千億円、これは大変な規模なんですね。GDPの減少は約九兆円、雇用機会が失われる人数は三百七十五万人分、食料自給率の低下は、今四〇%ですけれども、国境措置がもし全部なくなったら一二%に下がるだろうと。そういう意味で、この国境措置というものは大変重要な役割を果たしていると私は思うわけであります。

 農水省に確認しますが、この数字は現時点でも変わりありませんね。

林田政府参考人 お答えします。

 変わりございません。

佐々木(憲)委員 それで、与謝野大臣にお伺いしますけれども、日本の農業を守らなければならない、そしてまたその役割は大きいと最初におっしゃいました。その中で、国境措置の役割というのも大変大きい、今後これをどんどん下げていくようなことがあってはならないと私は思うわけでありますが、大臣の基本的な考え方をお述べいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 日本は貿易が成立しなければ生きていけない国であると思っておりますから、WTOの交渉などが進展するということは、私は日本の利益だと思っております。

 ただし、このときに政治は、日本の農業をどうするか、水産業をどうするのかという非常に大きな難問に直面をいたします。日本の農業や水産業を犠牲にしてももっと自由化を進めるのか、そうはいかないというのかというのが政治としての重要な選択でございますが、私は、農業にどんなに補助金を出してもいいんじゃないかと思っております。やはり日本の基礎的な食料、基本的な水産業、こういうものはみんなの力で守るということはどうしても必要だ、また子孫に対する責任でもあると思っております。

 ですから、WTO等の貿易の自由化交渉と日本の農業を守るというものの両立をどう政治が図っていくかということが、これから、我が党ばかりではなくて、すべての政党に課せられた大きな課題であると思っております。

佐々木(憲)委員 私は、日本の農業をしっかり守り、しかもこれを発展させる、家族農業を中心に安定した経営ができるようにしていく、そのことが食料を守ることにつながり、かつ国土保全にもつながっていくというふうに思うわけです。

 今、WTOの問題もありましたし、またEPAが各国との間で締結されていくということがあって、日本の農業をどう守るのかというのは非常に大きなテーマだと私は思うんですが、どうも動きを見ておりますと、日本経団連などの財界はEPAを早くやれ、早くやれということで、確かに、自動車や電機など大手メーカーにとりましては、国境措置が低くなればなるほど資本ですとか物ですとかあるいは人の動きを自由化できる、それで利益を拡大できる、だからそうしなさい、こう言ってくるわけです。

 しかし、それをどんどんやっていきますと、相手から当然、では日本は何をやるんですか、そうすると、農産物の関税を下げなさい、こうなるわけですね。その結果、強い大手メーカーはますます利益を得ますけれども、弱い中小企業や農家はつぶされていく、こういう結果をもたらすというふうに私は思っておりまして、今の国際関係の中でだれを守るのか、だれの利益を図るのかということを常に考えないと、これは将来、日本の国民の食料あるいは国土の保全、こういう問題を危うくすることになりかねないというふうに思うわけです。

 この点で、与謝野大臣の基本姿勢、先ほども少しお述べになりましたけれども、もっと明確に、日本の経済基盤を守るんだ、こういう立場に立って、国民の食料、そして中小企業、雇用、こういう面を重視するんだ、それを優先させるんだという立場に立つということは私は大事だと思うんですけれども、最後にその点をお伺いしておきたいと思います。

与謝野国務大臣 そのことも大事なんですけれども、そのことを突き詰めていくと各国が保護主義に走りかねないという危険もあって、こういう経済危機の状況の中で各国が保護主義に走りますと、やはり世界貿易は縮小していく、そういう危険もあって、それから日本はえらい大きな不利益を得るわけですから、そこはやはりよく考えて、自由化もやる、農業、中小企業も守る、これは多分政治が大きな知恵を出さなければならないところだと思っております。

佐々木(憲)委員 日本の場合は、今まで自由化をやり過ぎているわけです。だから、自給率がここまで下がってきてしまったわけですね。そういう反省の上に立ってどこに重点を置くかということを今お聞きしたかったんですけれども、どうも与謝野大臣は最後は従来型の答弁になってしまったなと、まことに残念でございます。

 これは、私は、根本的に姿勢を変えてもらわなければならぬと。引き続きこの点は議論をしていきたいと思います。

田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、関税定率法等改正案に反対の討論を行います。

 本法案に含まれているAEO制度の拡充は、新たに製造者にも適用範囲を広げ、保税地域への貨物搬入後に行っている輸出申告を搬入前にできるように通関手続を規制緩和するものであります。一部のコンプライアンスの高い業者に対し通関手続の優遇措置を付与するこれまでのAEO制度と同様、関税の検査機能を骨抜きにするものであり、反対であります。

 また、日本の農業に重大な影響を与えてきたWTO農業協定による米などの関税化措置の暫定税率一年延長にも、国内農家への影響から賛成できません。一刻も早く各国の食料主権を保障する貿易ルールの確立が必要であり、それまでの期間、国内農家を保護する措置を当然とるべきであります。

 なお、特別緊急関税制度等の延長や偽造印紙・郵便切手等を輸入禁止貨物に追加すること、暴力団員による保税蔵置場等の申請は不許可とすることなど、賛成できる項目も含まれておりますが、総合的に判断し、さきに述べた理由から本法案には反対いたします。

田中委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより採決に入ります。

 関税定率法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、山本明彦君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松野頼久君。

松野(頼)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、国民経済的観点に立って国民生活の安定に寄与するよう努めること。

   なお、関税の執行に当たっては、適正・公平な課税の確保に、より一層努めること。

 一 高度情報化社会の急速な進展により、経済取引の国際化及び電子商取引等の拡大が進む状況下で、税関における事務の一層の情報化・機械化を図るとともに、従来にも増した執行体制の整備に特段の努力を行うこと。

 一 税関業務を取り巻く環境は、最近におけるグローバル化の著しい進展による貿易量、出入国者数の伸長等に伴う業務量の増大、また、銃砲、覚せい剤等不正薬物、知的財産侵害物品、ワシントン条約該当物品、テロ関連物資等に係る水際取締りの国際的・社会的重要性の高まり並びに経済連携協定の進展による貿易形態の一層の複雑化等の様相を呈している。このような現状にかんがみ、職務に従事する税関職員については、高度の専門知識を要する税関業務の特殊性、今後の国際物流の在り方等を考慮し、国家公務員の定員削減計画の下においても、増員を含む定員の確保はもとより、その処遇改善並びに機構・職場環境の整備・充実、更には、より高度な専門性を有する人材の育成等に特段の努力を行うこと。

   特に、国民の安心・安全の確保を目的とするテロ・治安維持対策の遂行及び首都圏空港における国際航空機能の拡充等に当たっては、増員を含む定員の確保及び業務処理体制の実現に努めること。

 一 砂糖、でん粉及び乳製品等の輸入農畜産物に係る価格安定を図り、関連産業の健全な発展を促進する等の観点から設けられているいわゆる調整金等の制度については、より効果的な運用の在り方や国境措置の在り方を幅広い観点から検討すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようによろしくお願いを申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣与謝野馨君。

与謝野国務大臣 ただいま御決議がありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時九分散会


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