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第21号 平成21年5月8日(金曜日)

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平成二十一年五月八日(金曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 田中 和徳君

   理事 江崎洋一郎君 理事 木村 隆秀君

   理事 竹本 直一君 理事 山本 明彦君

   理事 吉田六左エ門君 理事 中川 正春君

   理事 松野 頼久君 理事 石井 啓一君

      石原 宏高君    稲田 朋美君

      越智 隆雄君    亀井善太郎君

      佐藤ゆかり君    関  芳弘君

      とかしきなおみ君    中根 一幸君

      西本 勝子君    林田  彪君

      原田 憲治君    平口  洋君

      広津 素子君    松本 洋平君

      三ッ矢憲生君    宮下 一郎君

      盛山 正仁君    池田 元久君

      小沢 鋭仁君    大畠 章宏君

      階   猛君    下条 みつ君

      鈴木 克昌君    三日月大造君

      和田 隆志君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    野呂田芳成君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   財務副大臣        竹下  亘君

   財務大臣政務官      三ッ矢憲生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 湯元 健治君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    加藤 治彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西本 淳哉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木 基君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  山本 有二君     西本 勝子君

  古本伸一郎君     三日月大造君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     山本 有二君

  三日月大造君     古本伸一郎君

    ―――――――――――――

五月七日

 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案(大野功統君外十一名提出、衆法第二一号)

 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案(大野功統君外十一名提出、衆法第二二号)

 資本市場危機への対応のための臨時特例措置法案(大野功統君外十一名提出、衆法第二三号)

 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)

四月二十四日

 酒類小売業者の生活権を求める施策の実行に関する請願(赤羽一嘉君紹介)(第一九九〇号)

 同(奥野信亮君紹介)(第一九九一号)

 同(田野瀬良太郎君紹介)(第一九九二号)

 同(御法川信英君紹介)(第一九九三号)

 同(津島雄二君紹介)(第二〇〇四号)

 同(馬渡龍治君紹介)(第二〇〇五号)

 同(伊吹文明君紹介)(第二〇九三号)

 同(川崎二郎君紹介)(第二一一〇号)

 同(清水鴻一郎君紹介)(第二一二六号)

 保険業法改定の趣旨に沿って、自主共済の適用除外を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二〇四七号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第二〇八〇号)

 消費税の増税反対、食料品等非課税に関する請願(石井郁子君紹介)(第二一〇七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一〇八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二一〇九号)

 消費税率引き上げ・大衆増税反対に関する請願(武正公一君紹介)(第二一二三号)

 同(日森文尋君紹介)(第二一二四号)

 同(細川律夫君紹介)(第二一二五号)

 庶民増税反対に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二一二七号)

五月七日

 消費税率引き上げ・大衆増税反対に関する請願(細川律夫君紹介)(第二一五一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一九二号)

 同(枝野幸男君紹介)(第二二六七号)

 酒類小売業者の生活権を求める施策の実行に関する請願(山本ともひろ君紹介)(第二一九一号)

 大増税に反対することに関する請願(石井郁子君紹介)(第二二三五号)

 庶民増税反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第二二八七号)

 消費税大増税の反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二二八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣与謝野馨君。

    ―――――――――――――

 租税特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

与謝野国務大臣 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 政府は、最近の社会経済情勢を踏まえ、需要不足に対処する観点から、高齢者の資産を活用した住宅取得等の支援、中小企業の活動の支援及び民間の研究開発投資の確保のため所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、生前贈与の促進により高齢者の資産を活用した需要の創出を図るため、平成二十二年末までの時限措置として、直系尊属から居住用家屋の住宅取得等に充てるために金銭の贈与を受けた場合には、五百万円まで贈与税を課さないこととしております。

 第二に、いわゆる交際費課税について、資本金一億円以下の法人に係る定額控除限度額を四百万円から六百万円に引き上げる措置を講ずることとしております。

 第三に、試験研究費の総額に係る税額控除制度等について、平成二十一年度及び平成二十二年度において税額控除ができる限度額を時限的に引き上げるとともに、平成二十一年度または平成二十二年度に生じる税額控除限度超過額について、平成二十三年度及び平成二十四年度において税額控除の対象とすることを可能とする措置を講ずることとしております。

 これらの改正は、四月十日に決定された経済危機対策に盛り込まれた事項のうち、税制上の措置を実施するためのものであります。

 以上が、租税特別措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官湯元健治君、財務省主税局長加藤治彦君、経済産業省大臣官房審議官西本淳哉君、国土交通省大臣官房審議官佐々木基君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。松本洋平君。

松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平でございます。

 本日は、租税特別措置法の一部を改正する法律案ということで、私一人がきょう質問に立つということで少々緊張しておりますけれども、質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思っております。

 ゴールデンウイーク中、私も地元をずっと駆けずり回っておりまして、さまざまな方々とお話をさせていただいたところでございますけれども、やはり、経済に対しましての国民の不安というのは一向におさまる気配はないですし、本当にこれからの日本はどうなっちゃうの、また日本はこの経済危機を本当に乗り切ることができるの、そういう質問を受ける機会というのも大変多かったわけでございます。

 昨日の株価の終わり値が、九千三百八十五円ですか、高値を記録したということで、これも新聞によっては一面で報道されたりなんということもあったわけですけれども、しかしながら、まだまだ依然として我が国経済は大変厳しい状況にあり、また国民の暮らしもまだまだ不安に陥っている、そういう状況があるわけでございます。そうした中で、今私たちがやらなければならないのは、やはり、国内の需要の喚起を通じて早急な経済回復というのを図って、未来への成長をしっかりと実現していくということが何よりも重要だと思っております。

 これまでも、国税、地方税を合わせて一兆円を超えます減税措置を盛り込んだ二十一年度税制改正法案が成立するなどして、さまざまな取り組みを実施してきているわけではございますけれども、しかしながら、輸出、生産が大幅に落ち込み、雇用情勢も急速に悪化するなどの危機的状況というのは、依然引き続きあるわけでございます。そういう意味におきまして、あらゆる政策を総動員いたしましてこうした難局に対応していくというのは大変重要なことだと思っております。

 そういう意味におきまして、年度途中の税制改正、極めて異例であるわけですけれども、こうした状況を打破するためにも必要な措置だというふうに私自身は感じております。今回、住宅取得等のための贈与税の軽減、交際費課税の軽減、そして研究開発税制の拡充の三点が盛り込まれていると承知しておりまして、これらに関しまして順次質問をさせていただきたいと思いますが、その前に一つだけ御質問をさせていただきたいと思います。

 先ほども申し上げましたけれども、これまで累次の経済対策が実施をされました。例えば、定額給付金なんかに関しましては、私の地元におきましても、地域の自治体また商工会等々が一緒になりまして、この定額給付金を一つのきっかけといたしまして、プレミアムつき商品券といったさまざまな施策が講じられ、これらがマスコミ等でも報道をされまして、大変大きな話題となったのも御記憶に新しいことだと思います。

 また、高速道路料金の引き下げがございまして、これはついこの間のゴールデンウイークの最中におきましても、渋滞等々という問題も発生したわけではございますけれども、例えば、各地の観光地なんかにおきましては、これまで以上に多くの方々がその地域を訪れていただく。また、ある県におきましては、うどんを食べるために大変な行列ができてしまったなんということも、マスコミが大きく取り上げていたのを私自身大変記憶しているところでございます。

 先ほども昨日株価が大変上がったという話もあったわけですけれども、もちろんこれらは経済対策がすべてではありません、諸外国の影響だったりとか、また企業の努力によりまして在庫調整等々が進んでいった一つの結果といたしまして、こうした株価というような一つの指標が上がったという結論が出たわけではございますけれども、これまで打ってきた経済対策というものに対して、果たして与謝野大臣がどのように評価をされているか、そういう所見をぜひお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

与謝野国務大臣 平成二十年度補正、二十年度第二次補正、当初予算、ここまでの経済対策の規模は七十五兆円であったわけですが、分けますと三つのことをやってきたわけでございます。

 いろいろな経済情勢の変化で困っておられる方々に対する対応策、あるいは需要を喚起するための対応策、あるいは資金繰りに困っておられる方に対する対応策、いずれも、補正も成立し、二十一年度の当初予算も成立した今、少しずついろいろな効果はあらわれ始めたと思っております。

 かてて加えまして、今、国会にお願いしております平成二十一年度の補正予算は、非常に内容もいろいろ多岐にわたっておりますし、きめ細かな政策も盛り込まれておりますから、必ずや日本の経済の復活に大きな力になるものと確信をしております。

松本(洋)委員 効果が少しずつ出てきているということと、今回提出されましたこうした税制上の改正案等々も含めましてさまざまな施策を打っていくことによって、必ずこの日本という国が回復をして、力強くもう一度立ち上がっていくということを大臣から御答弁いただいたと思うんですけれども、私もそのとおりだと思っております。

 こういう危機の状況におきましては、しっかりと対策を打っていく、そして、国民の皆さんにそれをしっかりと利用してもらうということが大変重要なことだと思っておりますし、また同時に、やはり国民の心理に訴えていくということも大変重要なことだと思っております。そういう意味におきまして、こうしたさまざまな施策がマスコミ報道されることによって、いろいろと少しずつ国民の心理にも変化が出てきたのかなということを私自身感じているところでございまして、今法律案もそうですけれども、これからも大臣におかれましては、大変だと思いますけれども全力でお取り組みいただきたい、そのように思っております。

 ということで、個別の法律案の中身に入らせていただきたいと思います。

 先ほどもお話をさせていただきましたとおり、内需の喚起を図るということがまずもって重要でございますけれども、その中でも、この委員会の中でも議論がされてきたかと思いますし、またさまざまな有識者の方からもお話がございましたが、我が国の金融資産というものをもっともっとしっかりと動かして内需拡大に充てていくべきだというような議論は、これまでもさまざまな機会にさまざまな方々からお話をされてきたのではないかと思っております。そういう意味におきまして、今回提出をされました住宅取得等のための贈与税の軽減というのはまさにそうした議論だと思っているわけでございます。

 特に住宅需要につきましては、景気の悪化により住宅・不動産市場が低迷をし、また足元の新規着工件数も減少している、そういう中で一刻も早い回復が必要だと考えられているところでございます。住宅ローンの円滑な借り入れ支援措置、また住宅ローン減税等々の措置もしてきたわけでございますけれども、これらと相まって、今回のこの贈与税減税というものも大きな効果を果たしてほしい、そういう思いを私自身持っているところでございます。

 我が党におきましても、江崎洋一郎先生なんかを中心にいたしまして、党内におきましてもこういう贈与税減税の議論というのはこれまでもされてきたわけでございますけれども、そういうさまざまな努力というものが実を結んで今回の法律案提出に至ったものと考えております。

 しかしながら、一方で、今法案に関しましては、金持ち優遇税制じゃないか、そういう言葉もよく聞かれるところでございますけれども、こうした指摘に対して、贈与税の軽減措置、今回の意義をどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

竹下副大臣 経済の原理原則からいいますと、お金のあるところを動かす、回すというのが経済にとっては非常にプラスであるわけであります。しかし一方で、松本委員がお話しになりましたように、政治の原理原則だけからいいますと、五百万ない人はどうするんだという部分がどうしても出てくるわけでありまして、おっしゃったように金持ち優遇ではないかという批判がある分野で起きるだろうなということは、私自身予測をしたことでございます。しかし、おっしゃるように、高齢者が持っておる金融資産をうまく動かしていくということが現下の経済状況の中では非常に役立つであろうという思いから、需要の創出を図るんだという思いを込めて、今回、五百万の贈与税の減税措置というものを取り入れたわけであります。

 ただ、金持ち優遇ということは確かにおっしゃられますけれども、二年間という限られた措置であること、ニーズが非常に高い住宅取得ということに限定をしていること、それから非課税額も、これは手持ち資金との関係で五百万というところに限定をしていること等々もございますし、資産の移転が住宅の建築につながって需要の創造につながる。住宅というのは非常にすそ野が広いものですから、その意味で非常に大きな波及効果があると考えておるわけでございます。

 こういうことを考え合わせますと、単なる金持ち優遇という批判は、確かにあることはあるんですが、むしろ現下の経済情勢ということを踏まえた措置としては高い経済効果が期待できる、このように判断をした次第でございます。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでございまして、やはり高齢者が多く所有しております金融資産というものを、例えば子育てだったりとかさまざまなそういう住宅ニーズを抱える方々の世代に実際に所得移転をして、しっかりと使ってもらうということは大変重要なことだと思っておりますし、同時に、住宅市場というのは、今副大臣がお話をされましたように、当然、住宅を建てれば、家電だったりとか家具だったりとか、そのほかさまざまな設備だったりとか、いろいろなところにすそ野が広いということだと思っております。

 そういう意味におきましては、こうした住宅に必ずお金を使ってもらうということを前提にいたしまして贈与税の減税を行うということは、決して金持ち優遇税制と簡単に言われるような話ではなくて、そこで経済効果というものがしっかりと発揮され、そして、それらがすそ野を広くしみ渡っていくことによって行く行くは国民全体に行き渡るものだということを、やはりしっかりと政府としても伝えてもらう努力というのをしてもらうことが大変重要なのではないかと私は思っております。今お答えをいただいたわけですけれども、そうした説明というのをこれからもしっかりと国民に対してしていただいて、決して誤解のないようにしていただけるようにお伝えをいただきたいと思います。

 また、今御質問をさせていただきましたし、御答弁の中にもありましたけれども、これは高い経済効果があるからやるんですというようなお話があったわけですけれども、いやいや、やったはいいけれども、実際にはほとんど使われることがなくて、全然経済効果を生みませんでしたというのでは全く何の意味もないわけでございます。今回の対策によって実際にどの程度住宅投資というものが増加し、また経済効果を生むと見込んでいるのか、国交省からになるんでしょうか、ぜひ御説明をしていただきたいと思います。お願いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今回の非課税措置を設けることによりまして、一つには、いわゆる頭金等のような必要な手持ち資金の用意ができることにより新たな住宅の取得やリフォームが発生するということ、それから二つ目には、もともと取得する予定であった住宅につきまして、それならということで、床面積を拡大したり、そのほか質の向上等を行うといった住宅投資が拡大されるということが期待できると考えております。

 こうしたことから、今回の五百万円の非課税措置の創設によりまして、住宅取得等資金の贈与者については年間約五・七万人、住宅投資につきましては年間約二千八百億円の増加、これによる経済波及効果につきましては、先ほどのたんす等の耐久消費財を除きましても約五千四百億円、また雇用創出効果につきましては雇用者等約三・三万人、こういった数字を推計しているところでございます。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 全体として大体五千四百億ぐらいの経済波及効果があって、雇用に関しましては三・三万人ぐらい創出されるんじゃないかというような話でございます。大変大きな対策ですし、有意義な対策だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 前回、私、二月にこの財務金融委員会で質問をさせていただいたときにも同様のことをお話しさせていただいたんですけれども、こういう対策をやることによって大変大きな経済効果が見込まれる、そしてそれらが国民広くに行き渡ることが期待をされるということが御説明としてあったわけでございます。しかしながら、これまでの政府のさまざまな姿勢というものを見てみますと、こういう制度をつくったはいいけれども、そういうものを国民に知らせる努力というのが今まで大変欠けている部分というのがどうもあるんじゃないかと思っております。

 きのうの予算委員会の質疑なんかを見ておりましても、民主党さんの方からも同じような指摘があったようでございますけれども、私、これは本当に重要な事柄だと思っておりまして、制度はつくったけれども、それを活用するユーザーがその制度を知らなくて結局活用件数がなかったというのでは、これは全く意味をなさない対策と同じになってしまうわけでございます。

 そういう意味におきまして、今般のこの対策、大変重要かつ国民にとっても使い勝手のいい有意義な対策だと思っておりますけれども、実際に国民の多くの人たちがしっかりとこの制度を知ってもらって住宅の購入を検討できるような、そういう広報また啓発活動というのが大変重要だと思っております。今後どういう取り組みをしていく予定なのか、教えていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、今回の追加措置を含めまして、住宅税制に係る措置がその効果を発揮するためには、まずは国民の皆様にその内容をよく知っていただき、潜在需要を顕在化させるということが重要であると思っております。

 このため、既に成立いたしました過去最大の住宅ローン減税や各種投資型減税等の措置の内容につきましても、例えば百十万部を超えるようなパンフレットを作成して配布いたしましたりとか、ホームページへの掲載とか、いわゆるメールマガジンの配信でございますとか、あるいは政府広報としてのテレビや新聞広告への掲載等を通じまして国民の方々への広報を図るとともに、住宅の購入等を検討される方にじかに接する関係業界の方々への周知等にも努めているところでございます。

 現在御審議いただいております住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置につきましても、国民の皆様や関係業界にその内容を十分に御理解いただくことが重要であるというふうに考えております。特に今回の改正案では、買い控えを招かないように本年一月一日にさかのぼって適用するというような案になっているところでございまして、この点を含めまして、これまでと同様にパンフレットの作成、配布、あるいは業界団体、地方公共団体への説明会の実施を行うなど、関係業界等とも十分協力しつつ、その広報、周知に取り組んでまいりたいと考えております。

松本(洋)委員 いろいろと取り組んでいくという話ではございますけれども、しかしながら、これまでの取り組みでは私は明らかに不十分だと思っておりまして、やはり新たないろいろな方法というもの、またできる限りのさまざまな対策というものをとっていただいて、一人でも多くの国民の皆さんが知っていただけるようにしていただきたいと思います。

 特に大切なことは、もちろん既に住宅を購入することを検討している人もそうなんですけれども、今回のこういう対策が入ることによって、今まではそういうことは余り考えていなかったけれども、こういう対策があるんだったら、じゃ、改めて考えてみようかなという、そういう人たちの掘り起こしということも大変重要だと思っております。

 そういう意味におきましては、そういうものに興味がある人に対しての働きかけというのももちろんしっかりやっていかなければならないわけですけれども、そういうことは今は検討していないけれども、しかしながらいずれはやろうと思っている、そういう人がこういう制度を活用して、では、この際に考えてみましょうという、そういう需要喚起の仕方というのも私は大変重要なことだと思っておりますので、そういう観点で、国民に対する周知徹底というものを図るような対策というものをぜひしっかりと考えていただきたいと思っております。

 続きまして、交際費課税に関しまして質問をさせていただきたいと思っております。

 この交際費課税に関しましても、中小企業対策といたしまして一定の成果というものはあるのかなと思っているところでございますけれども、ただ、今改正のメリットを受けられる、年四百万円を超える交際費を支出する中小企業というのがそもそもいるんですかという、そういう疑問の声があることも事実だと思っております。

 実際のデータで、このメリットを受けられると考えられるのかどうか、ぜひ国民によくわかるように説明していただきたいと思います。お願いします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 交際費の支出状況、これは企業の規模等にもよりますが、それぞれいろいろな御方針でさまざまな対応があると思います。ただ、私ども平成十九年度の会社標本調査、これによりますと、資本金五千万円以上一億円未満の中小企業の方々は、平均でも一社当たり四百七十万円、つまり全体をならした平均額で四百万円をもう既に七十万超えておるわけでございます。

 したがいまして、今回の引き上げ、四百万が六百万に上がるということは、平均的にもこの方々の負担が減るということになりますし、四百万円を境に交際費支出をやめておられる方については、これが六百万に上がるということによって、さらなる営業推進のための交際費支出がしやすくなるというメリットもございますので、私どもとしては、こうした企業を中心に交際費支出の拡大というものが見込まれるのではないかと考えております。

松本(洋)委員 見込まれるということでございますけれども、もちろん、こうした制度ができるということは中小企業にとっては決してマイナスではなくて、当然プラスであるわけでございますし、これまでも軽減税率の引き下げ、欠損金の繰り戻し還付等々というものもやってきたわけでございますけれども、こうした施策を通じまして中小企業対策がさまざまなされているわけでございますが、恐らく、皆さんも地元を回られてさまざまな中小企業の方々とお話をされたときに、まだまだ苦しいという声が大変大きいのが大宗だと思っております。

 そういう意味におきまして、ぜひとも、今回のこの対策案だけではなくて、これからもさらに中小企業の施策というものをしっかりと財務省といたしましても考えていただき、しっかりと対策を練っていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 時間もそろそろ終わりぎみなので、最後に、研究開発税制の拡充について質問をさせていただきたいと思います。

 今回の措置は、平成二十一年、二十二年度を対象といたしまして、税額控除の上限額を引き上げるなどの措置を講じているものと承知をしておりますが、そもそもなぜ現行の研究開発税制を見直す必要があるのか、その理由をわかりやすく説明してほしいと思います。よろしくお願いします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の試験研究費の特別税額控除制度は、当期の法人税額の二〇%を上限に税額控除ができる。天井がございます、当期の法人税額の二〇%。それで、これを超えた場合一年限りは繰り越すことができるのでございますが、現在の厳しい経済状況のもとで企業収益が大変減少しておりまして、納付される法人税額も低下しております。そうしますと、この法人税額の二〇%という天井が非常に低くなってきておりまして、控除できる金額が減少するという現象が生じております。

 したがいまして、こうした事態に対応するために、控除できる金額を確保する必要があるということで、景気回復を目指す二十一年、二十二年度中は時限的に控除の上限額を二〇%から三〇%まで引き上げる、それから、控除し切れなかった二十一年、二十二年度分につきましては二十四年度まで繰り越すことができるということで、いわゆる控除をできる金額の上限を上げることによって全体の研究開発税制のインセンティブ効果の減少を食いとめるというのが今回の改正理由でございます。

松本(洋)委員 確かに、こういう大変厳しい経済状況下にあるわけでございますから、それに対応いたしましてやっていくということは大変重要なことだと思いますし、やはり、研究開発をしっかりと下支えしていく仕組みというものが今なければ、この経済危機の状況を乗り切ったときに日本が再びしっかりと飛躍していく基盤づくりのための対策というものも今般しっかりやるということで、大変必要なことだと思っております。

 しかしながら、先ほどと同様なんですけれども、この改正というものが、果たして実際の企業にどういう形で活用してもらえるのかというのが大変重要な観点でございます。そういう意味におきまして、今般の改正に関しまして、企業側の評価がどのようになっているのか、御説明をいただきたいと思います。

西本政府参考人 お答え申し上げます。

 民間企業における研究開発、これは我が国の研究開発投資総額の約七割、十三・八兆円を占めておるわけでございまして、大変重要な役割を担っているというふうに考えております。このため、租税特別措置法で民間研究開発を促進するための税制措置が講じられているわけでございますけれども、私どもの調査によりますと、経済情勢の悪化によりまして、民間投資意欲の減退が見られます。私どもの調べでは、約七割の企業が研究開発投資を減少させざるを得ないというふうにしているわけでございます。また、法人税額の減少によりまして税額控除の上限額が引き下がることで控除の規模が縮小することで、企業の研究開発に係る投資判断が一層低下するということが懸念されるわけでございます。

 高度な技術力というのは我が国の競争力の源泉でございますので、経済情勢が厳しいときでも研究開発を継続していくということが必要かと思います。今般の措置によりまして、民間企業の投資意欲が下支えされまして当面の研究開発投資の維持が期待されるとともに、複数年度にわたる繰越控除が可能となるということによりまして、中長期的な研究開発を計画的に実施することが可能になるというふうに考えております。

松本(洋)委員 ありがとうございました。

 これまで、累次、今回の税制改正法案の内容及びその効果というものを中心にいろいろと質問をさせていただきました。見込まれる効果等々という説明がいろいろとあったわけでございますけれども、これらはあくまでも見込まれるわけでございまして、実際にそれが実現できるかどうかというのは、当然、これからの政府、行政の取り組みいかんにかかってくるわけでございます。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 また、私自身は、こうした経済対策、今の時期にどういう思いを持ってやるのが大事かといえば、やはりしっかりと景気の回復を図って、国民の暮らしの安全、安心を守っていくということが第一番目。そして第二番目は、これは前も質問で申し上げたと思いますけれども、日本の過去の先人たちの努力というのは本当にすごいなと思うのは、そういう危機の時代にこそ次の世代に飛躍するための土台をつくってきたのが日本という国の先人たちの知恵ではないかと私は思っております。そういう意味におきまして、そうした知恵を我々が今ここで発揮することができるのかどうかが問われているのが、今回の経済対策も含めましたこの国会の大きな役割ではないかと私は思っております。

 そういう意味におきまして、こうした経済対策を大いに実施していただきたいわけでございますけれども、しっかりとこの財務金融委員会でも議論をしていき、特に経済対策は、その時々の経済状況に応じた対策というものが当然メーンになっていくわけでございますので、スピードが命だと思っております。そういう意味におきましても、速やかなる審議、そして速やかなる法案成立を心からお願い申し上げ、私自身もこの国の将来のために一生懸命頑張ってまいりますことをお約束申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時一分散会


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