衆議院

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第2号 平成23年2月22日(火曜日)

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平成二十三年二月二十二日(火曜日)

    午後一時五分開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 大串 博志君 理事 豊田潤多郎君

   理事 古本伸一郎君 理事 吉田 公一君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 竹下  亘君 理事 竹内  譲君

      東  祥三君    網屋 信介君

      五十嵐文彦君    井戸まさえ君

      稲富 修二君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    岡田 康裕君

      柿沼 正明君    勝又恒一郎君

      木内 孝胤君    岸本 周平君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      菅川  洋君    橘  秀徳君

      玉木雄一郎君    中塚 一宏君

      中林美恵子君    長尾  敬君

      福島 伸享君    松原  仁君

      三村 和也君    柳田 和己君

      吉田  泉君    和田 隆志君

      今津  寛君    竹本 直一君

      徳田  毅君    野田  毅君

      村田 吉隆君    茂木 敏充君

      山口 俊一君    山本 幸三君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         野田 佳彦君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣         玄葉光一郎君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   国土交通副大臣      三井 辨雄君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   農林水産大臣政務官   松木けんこう君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田中 一穂君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    高原 一郎君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     井戸まさえ君

  勝又恒一郎君     橘  秀徳君

  岸本 周平君     長尾  敬君

  近藤 和也君     稲富 修二君

  玉木雄一郎君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     柿沼 正明君

  稲富 修二君     近藤 和也君

  橘  秀徳君     勝又恒一郎君

  長尾  敬君     岸本 周平君

  福島 伸享君     玉木雄一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として国税庁次長田中一穂君、中小企業庁長官高原一郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江端貴子君。

江端委員 民主党の江端貴子でございます。

 本日は財務金融委員会におきましてトップバッターで質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。今回は今国会初めての一般質問ということであり、大臣の所信表明に関する項目を中心に、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 まずは野田財務大臣に、週末のパリでのG20に関連してお伺いしたいと思います。

 巨額で変動の大きい国際的な資本移動への対応が多くの新興国にとって大変大きな課題となっており、一部の国では資本流入規制などの措置が講じられております。今回のG20ではこうした資本流入規制も議題として取り上げられたと思いますが、日本としてどのような主張をなさってきたのでしょうか。よろしくお願いいたします。

野田国務大臣 ボンジュールといきたいところなんですが、一泊三日の強行日程で、余りフランスの風にも当たらず、会議だけ、ひたすら議論をして帰ってまいりました。

 江端委員御指摘のとおり、今回のG20、いろいろな議題がございましたけれども、その中で国際通貨システムの改革といういわゆる一つのセッションがございまして、そのセッションの中で、委員御指摘のように、今、新興国に急増している資本流入についての対応の議論を行わせていただきました。

 その中で私が発言をいたしましたのは、こういう資本流入の問題というのは基本的にはマクロ経済政策で対応するのが筋である、すなわち財政政策、金融政策、あるいは為替政策、これらのマクロ経済政策で対応するのが筋でありますけれども、ただ、一定の条件のもとで、既に今、韓国とかブラジルとか、こういう資本流入規制とかマクロ健全性措置の活用を行っています。マクロ経済政策とこういうマクロ健全性措置との適切な組み合わせというものをどういうルールで考えていくのかということの問題提起をさせていただきました。

 その参考として、先月の二十五日なんですけれども、東京でASEANプラス3、プラス3というのは日本、中国、韓国ですね、これに加えてオーストラリアであるとか、インドであるとか、IMFとかにも加わっていただいて、非公式のワークショップを開きまして、資本移動についての議論を行いました。そこで出てきたのが、例えばマクロ健全性措置、銀行の対外借り入れの抑制などの活用については自由な為替制度を維持すること、資本フローを歓迎するということ、一方で、短期で変動の大きい資本流入のみを制限すること、効果的な実施を確保した上でマーケットに対して措置の内容をわかりやすく説明すること、これらの議論が行われました。

 そういう日本におけるワークショップの議論などの御紹介をさせていただきましたけれども、資本移動への適切な対応、これからもG20を含めてさまざまな場面で積極的に参加をしていきたいというふうに思います。

江端委員 ありがとうございます。

 既に多くの新興国が外国人による国債や不動産の購入を制限したり、あるいは短期の資本取引に対して課税を強化したりというようなことをもう進められているというふうに聞いております。今後、こういったことに対してどういうふうに対応していくのかということを見守っていきたいというふうに思います。

 また、G20においては強固で持続可能かつ均衡ある成長ということで、その実現が大きな課題となっております。この世界共通の課題に貢献するために、日本はこれまでどういう立場で主張を行ってきたのでしょうか。

野田国務大臣 G20でこれまで何度も合意をされてきたということは、強固で持続可能でバランスのとれた成長をお互いに行っていこうということで、そのための政策的な取り組みを、ある種、国際公約のように発表しています。

 それを今、相互に監視をして相互評価をしていくというような手順を踏んでいるわけですけれども、その中では、私どもは、昨年の六月に閣議決定をした財政運営戦略、二〇一五年度までにプライマリーバランスの赤字対GDP比を半減し、そして二〇二〇年までには黒字化をしていく、この財政運営戦略と、同じく六月に閣議決定した新成長戦略、これらの取り組みを、ある種、G20における国際公約として発表し、その実現によって世界経済に貢献をしていくということを行い、会議があるたびにその取り組み状況について報告をさせていただいております。

江端委員 ありがとうございました。

 財政運営戦略についてはまたちょっと後ほどお伺いするといたしまして、G20の動きがますます重要になってくる中で、いわゆる日本の存在感を示すために頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、平成二十三年度予算についてお伺いしたいと思います。

 一昨年、政権交代をさせていただきまして、本年度の、二十二年の予算は、麻生政権での概算要求を引き継いでの予算編成でございました。そうした中で、公共事業では前年度比一八%マイナス、そして社会保障費で九・八%プラス、教育科学関連で五・九%、特に教育の分野では八・一%プラスという予算が組まれました。

 そして、今回の平成二十三年度予算は、民主党政権における初めての最初からの予算編成でございます。国民の皆さんからの期待も大きいわけですけれども、今回の予算において、全体としてどういった点を配慮して予算を組まれたかについてお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 まず、ざくっと言って四点ほどで御説明したいと思うんです。

 一つは、今議員御指摘の財政運営戦略との絡みで、財政運営戦略は向こう十年間の財政健全化への道筋です。そのうち向こう三年間については、中期財政フレームという枠をつくって予算編成をすることになっていまして、その最初の、初年度の予算という位置づけでございますので、これは当初から枠を設けましたけれども、歳出の枠を約七十一兆円以内におさめること、そして新規国債発行額を約四十四兆円以内におさめること、この枠を堅持するという、まさに財政規律を守るという観点での予算編成をまず第一に行わせていただきました。

 もう一つは、財政再建も大変なんですが、経済成長も果たしていかなければいけません。その意味では、経済対策、昨年の秋に、経済予備費をステップワン、補正予算をステップツー、そして今回の本予算をステップスリーという三段構えの経済対策を公表しましたけれども、そのいわゆる三段目のロケット、ステップスリーとしての位置づけで、新成長戦略を本格稼働させるために、元気な日本復活枠という府省横断的な組み替えを行って、約〇・九兆円の予算配分を行う。

 あるいは、予算措置だけではなくて、約十二年ぶりになると思いますけれども、法人実効税率の引き下げ、あるいは中小法人の軽減税率の引き下げ等々の経済対策の一環というのがあると思います。あと、加えるならば、パッケージ型インフラ海外展開支援に約二兆円規模で戦略的海外投融資ができるような措置も講じているという、経済対策としての流れというのが二つ目でございます。

 もう一つ大事な観点は、国民の皆様に私どもが約束をしたマニフェスト、子ども手当であるとか農業戸別所得補償、高校授業料無償化等々、加えて、従来のものだけではなく、今回から、求職者支援制度であるとか、あるいは小学校一年生からの三十五人学級の実施等々の、財源で三・六兆円、安定財源を確保しながら約束したマニフェストを着実に実施するという側面が三点目の側面だと思います。

 それから四点目は、地方への配慮ということで、地方交付税交付金、四年連続、増額になります。地方一般財源総額は、今進行中の平成二十二年度が過去最大規模でありますけれども、一千億円弱をプラスするとか、あるいは、自由に使えるお金として、これは都道府県向けでありますけれども、五千百二十億円のいわゆる一括交付金を措置する、こういう地方への配慮というのが四点目かなと思います。

 以上、言ったら切りがありませんけれども、大きく分けると、この四つの柱を強調することができるのではないかと思います。

江端委員 どうもありがとうございます。

 今大臣も述べられました元気な日本復活特別枠につきましては、二・一兆円の枠ということを設けられまして、政策コンテストあるいは国民の声を聞くというようなこともいたしまして話題になりましたけれども、この二・一兆円の予算枠の中、例えば、どのような視点に立って、どのような事業が盛り込まれたのかということを、もう少し詳しく御説明いただけますでしょうか。

野田国務大臣 今進行中の平成二十二年度予算も、先ほど委員が御指摘あったとおり、公共事業の方は相当削減をしながら社会保障等については手厚くするような、かなりめり張りをつけた予算になりました。その土台の上で、もっと府省横断的に組み替えを行いながら元気な日本をつくっていこうというのがこの元気な日本復活枠でございまして、その元気な日本復活枠を考える際の観点は、当初、四つございました。

 それは、いわゆるマニフェスト主要事項、あるいは成長戦略を本格実施させるという観点と、それから、国民生活の安定、安全という面での観点と、人材育成、新しい公共、こういう観点から元気な日本復活枠をつくっていこうということで、この特別枠要望については、これは、玄葉大臣が議長となって評価会議を設けまして、そこで事業内容とか改革の姿勢とかという観点から精査を行って、二・一兆円の予算措置を行いました。

 その内訳は、新成長戦略の実施とかマニフェスト施策に〇・九兆円配分をし、グリーンイノベーション、ライフイノベーションを実現するための施策、あるいは観光立国、地域活性化に資する施策、科学技術、情報通信に係る施策に重点配分を行わせていただきまして、もう一つは、国民生活の安定、安全に資する施策に一・二兆円を配分したというのが経緯でございます。

江端委員 ありがとうございました。

 先ほど大臣の方からも、地域が自由に使えるお金ということで地域自主戦略交付金、これは仮称でございますけれども、そういったものも組み込まれたということで、今年度実施したものについては、新成長戦略あるいはマニフェストに基づいて継続や拡充をしっかりと組み込んでいるということがよくわかりました。

 次に、平成二十三年度の税制改正についてお伺いしたいと思います。

 昨年の秋の臨時国会では、私もこの財務金融委員会の理事という大役もいただきまして、特に税制の改正のプロジェクトチーム、民主党の党内につくられたものでは、五十数回にわたって議論を重ねてまいりました。

 しかしながら、今回の税制改正については、法人に甘く個人に厳しい、そういった報道がなされている面もございますし、また、所得税と相続税の見直しは、結局は法人税減税の財源を捻出するために場当たり的に改正を行ったのではないかといった批判もございます。

 私は、やはりそういった批判は適切ではなくて、民主党として、格差是正のため、格差拡大を是正するために取り組んだものというふうに理解をしておりますが、今回の税制改正における基本的な考え方について、改めて大臣からお答えをいただければと思います。

野田国務大臣 政府税調でいろいろ議論しましたけれども、基本となっているのは党税調での御議論、五十数回という御議論があったということでございますが、この委員のメンバーでも、古本筆頭が事務局長を務め、あるいは中塚さんが大変中心的な役割を果たしたり、そういう党の税調の御議論を踏まえながら、政府税調でも意思決定をさせていただきました。

 その中で、目立つところが、やはり十二年ぶりの法人実効税率の引き下げです。これでいって、法人税を下げるために、委員御指摘のように、個人課税を重税にしているんじゃないかという御意見があります。ただ、これは、個人と法人を分けること自体が本当に意味があるのかなと。

 私どもの考えは、やはり、元気な日本をつくるために国民の生活が第一だという考えは、これは基本中の基本です。だけれども、一方で、法人が元気になりませんと国民生活もなかなか豊かにならないし、特に雇用の問題は、やはり攻めの経営を法人がしていただくことが大事だと思います。その意味では、やはり思い切った措置として、法人実効税率の引き下げは行わせていただきました。

 一方で、そのための財源手当てとして相続税の見直しとか、あるいは個人のいわゆる所得課税の見直しを行ったわけではなくて、もともとこの税制改正の理念として、格差是正という視点がありました。特に個人所得課税については、所得再分配機能あるいは財源調達機能が最近低下をしている、それを回復していくという観点からの改正ももう一つの大きな理念であったということはぜひ御承知おきをいただきたいというふうに思いますし、だから平成二十二年度も、年少扶養控除の見直しとか、あるいは特定扶養控除の上乗せ部分の縮小とか、いろいろ行わせていただきました。その流れの中で、今回は給与所得控除等の改正を行ったということでございます。

 ちなみに、相続税については、バブルのころにいわゆる基礎控除を上げています。平成二年です。それ以降、不動産価格等は下がってきていますけれども、基礎控除はずっと変わっていないんですね。その結果どうなっているかというと、例えば相続税の対象者で、百人のうち四人が現行では相続税を払うということです。今回の改正で、基礎控除とか税率を多少改正いたしましたけれども、百人のうち六人の方が相続税を払うようになる。四人から六人に上がるということであります。

 給与所得控除については、給与収入千五百万円から控除額二百四十五万円の上限を設けるということになりました。この千五百万という水準でありますけれども、今、パートを除く労働者の平均給与額が四百七十八万円でありますので、ざっと言うとその三倍程度であります。

 したがって、これは大衆課税とは言えないと思います。この三倍程度の金額によって給与所得者全体の一・二%が対象になると思います。ということは、高額所得の方、あるいは多くの資産を持っている方には今回御負担をお願いするということでありますが、よく巷間言われている個人重税、大衆重税的な位置づけでは全くない。いわゆる所得の再分配機能の低下に歯どめをかけて回復をするというのが大きな主眼であるということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。

江端委員 御答弁どうもありがとうございました。

 今大臣がお話しされたように、どうも報道もそういうところに偏っていたのかどうかわかりませんけれども、広く国民の皆さんがすごい増税になるんだというような意識がある中で、今お話があったように、相続税に関しては百人のうち六人程度にかかわってくる、あるいは所得税に関しては一・二%ということですので、もちろんそういった対象になられる方々には御負担をお願いするわけで、そういったことではしっかりとそこをお伝えしていかなくてはいけないのではないかというふうに思います。

 続きまして、中長期の財政運営について少しお伺いをしたいと思います。

 長期間における経済低迷の中、リーマン・ショック後は急激な税収の落ち込みがございました。また、少子高齢化が進む中、社会保障費の関連は自然増だけでも一兆円以上ふえていくということで、さらに大きな債務を抱えた状況で中長期の財政運営を行っていかなくてはならない。このことは、さまざまな制約の中で、あるいは数少ない選択肢の中で財政運営を行っていかなくていけない局面を迎えているんだと思います。

 これは正直申し上げて、どの政権でも、あるいはどなたが財務大臣でも、日本における非常に大きな課題であるということで、そういった中で、先ほどもお話がありましたように、昨年の六月には財政運営戦略、そして新成長戦略が発表されました。そしてことしは税と社会保障の一体改革が今進められようとしています。

 今後、歳入の拡大、そして歳出の削減の道筋をどのように考えられているのか。また、その中で、今回の税と社会保障の制度の一体改革というのはどのように取り組まれていくんでしょうか。その辺の見解と、それから大臣の意気込みをお聞かせいただければと思います。

野田国務大臣 今、一般歳出の半分以上が社会保障関係費に充てざるを得ないという状況になっていますし、委員御指摘のとおり、自然増だけでも一兆円を超えるという中で、国民が一番不安に思っていることが、この年金や介護や医療に対する将来の不安だと思うんです。ますます重要な分野でありながらそこに一番国民が不安を持っているということ、これが財布のひもをかたく締めてしまう一つの理由にもなっていると思いますので、社会保障のまさに今後のあるべき姿とそしてその方向性を四月までにまとめて、それを裏づけるために安定財源をどうやって確保するのか、あわせて財政の健全化を一体的に実現をしていくという観点で、社会保障の制度設計と財源の問題については六月までに成案とそして工程表をつくるというのが、今の政府の考えている道筋でございます。

 これは、委員が何回もおっしゃっているとおり、どの政権でもやらなければいけないことだろうというふうに思います。私どもも不退転の決意で、しかも、狭い範囲ではなくて、各党の皆様の御意見も真摯にお伺いをしながら、成案をまとめていけるように頑張っていきたいというふうに思います。

江端委員 私は、歳出の削減についても聖域を設けることなくやっていただかなくてはいけないというふうに思っています。

 私自身も経営コンサルタントの経験もございますけれども、無駄というものをお肉の中の脂肪とすると、もうこの脂肪が塊で残っているというものは余りなくて、むしろ霜降り肉のようになっている脂肪をいかにそいでいくか、あるいは、外からは見えないんだけれども内臓脂肪としてたまっているものをどう切り込んでいくのか。ある意味、事業仕分けはそういったものが一環かもしれません。そしてもう一つ大事なことは、やはり脂肪がたまらないような体質をつくっていくということが大事だと思いますので、そういった意味で、この構造改革をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 次に、それでは質問をかえまして、自見大臣に伺いたいと思います。

 中小企業金融円滑化法案が実施されて約一年ちょっとがたちました。この一年間の結果がどのようなものであったのか、そのことについてお聞きしたいと思います。

自見国務大臣 江端貴子議員にお答えをいたします。

 中小企業金融円滑化法案についての実績はどうだ、こういう御質問だと思いますが、もう御存じのように、この法律、実は、江端議員が初当選されました一昨年の選挙の一週間ほど前に、衆議院選挙に当たっての共通政策として、民主党、社会民主党、国民新党でつくらせていただいた六つの大きな政策合意、私はこれをスーパーマニフェストと申し上げているんですが、その中の一つに「地域の活性化」という大きなくくりがございまして、その中に、当時、リーマン・ショックの後でございますから、特に、「中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させ、貸付け債務の返済期限の延長、貸付けの条件の変更を可能とする。」また、「個人の住宅ローンに関しても、返済期限の延長、貸付け条件の変更を可能とする。」これが共通政策でございます。

 おかげさまで政権交代をさせていただいたもので、それを踏まえて、実は、国民新党の党首でございました亀井前金融大臣が、このことをきちっと具体化するために、御承知のように中小企業金融円滑化法案をつくらせていただいたわけでございますが、金融機関の貸し付け条件の変更等の実績については、中小企業向け貸し付け及び住宅ローンの双方で、審査中の案件を除き、実行の割合が大体九割の水準となっております。

 こういった中、現在、中小企業者の業況、資金繰りが改善しつつあるものの、引き続き厳しく、先行き不透明感から、今後も貸し付け条件の変更等への需要は一定程度あるというふうに考えております。

 具体的にどれくらいの実績があったのかということでございますけれども、中小企業金融円滑化法に基づく貸し付け条件の変更。

 日本には、先生御存じのように、ざっと約四百二十万社の中小企業がございます。法人の九九・七%は、日本国、中小企業でございます。これは去年の九月の時点の統計でございますが、中小企業からどれくらいの申し込みがあったかといいますと、百十三万件ございました。これは、一つの中小企業で数社の金融機関とおつき合いがあるところが多うございますから、必ずしもイコールではございませんけれども。

 それで、実行したのが九十九万五千でございまして、実行率が九七・三%。それから住宅ローンに関しましては、十一万七千人の方から申し込みがございまして、八万三千件の実行をいたしまして、実行率が九一・三%ということでございます。

 今私が申し上げましたように、約九割超の水準で、審査中の案件を除きまして、実行率は大体約九割の水準ということでございます。百万件でございますから、決して小さい数字じゃないということを御理解いただければと思っております。

江端委員 申し込みの九割以上が実行されたということですけれども、今回、この中小企業円滑化法案を一年延長する法案が提出されております。なぜ延長するのか、そしてまた、なぜ一年という限定の期間を設けているのか、そのことについてお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 江端議員にお答えをいたします。

 貸し付け条件の変更に際しましては、金融規律も考慮いたしまして、当然金融でございますから、規律ということも大変大事でございます。しかし、実効性のある経営再建計画を策定、実行することが、御存じのように非常に重要でございます。金融機関が貸し付け条件の変更を行う際に、コンサルティング機能ですね、金融機関というのは中小企業等に関するコンサルティング能力が非常にございますので、それをしっかり発揮することによって、中小企業者の経営、返済能力の改善につながるという流れを定着させる必要があると思っています。

 何で一年間延長するのかという話でございますけれども、中小企業円滑化法案はあくまで、リーマン・ショック後というような極めて厳しい状況の経済情勢の中での臨時の措置でございまして、策定された法律でございます。法律制定当時に比べれば、比較的、今は、リーマン・ショック直後あるいは政権交代したときよりは、現在の経済状況は回復しています。

 そういったことを踏まえて、しかし、まだそうはいっても、やはりこういった貸し付け条件の変更をしていただきたいというニーズが一定あるわけでございますから、そういったことを踏まえて、この法によって、現在、景気がよくなれば、諸施策を講じておりますし、経済の早期回復、景気の回復効果が期待されるところでございますが、そういったことを含めて、一年ということで、中小企業の円滑化法案の期限を一年間延長させていただきたい。

 そして、今申し上げましたように、金融機関のコンサルティング機能の発揮を十分促進するための監督指針の改定等も行っていただきました。

 また、今、これは非常に書類が複雑過ぎる、多過ぎるという御批判もいただきまして、そういった中で、金融機関の事務負担の観点から、開示、報告資料の大幅な簡素化といった運用面の改善を図ることによって、先月二十五日に期限を延長するための改正法律案を、今国会、この委員会で御審議をしていただくことになると思いますけれども、そういった経緯で、一年間延長ということを決めさせていただいたわけでございます。

江端委員 今、確かに現場の金融機関から、情報開示とかあるいは手続のところが非常に煩雑でというお話が多々上がっておりましたけれども、今大臣からも、それについての対応策もしっかり考えられているというお話がございました。

 私の地元では、倒産から敗者復活を果たしたのにもかかわらず、新しい事業を立ち上げて銀行から融資を受けようとしたら、やはり信用保証協会から保証が受けられないという話ですとか、あるいは、元請が突然倒産したために連鎖倒産しそうになったんだけれども、その貸し付けの請求が、煩雑な書類の不備をつかれて、なかなか融資が受けられないといった件が持ち込まれてございます。

 日本の経済を支えているのは、まさにこうした中小企業の方たちでございますので、本法案が真の意味で中小企業をさらに前進させる、引き続き起爆剤となるような形になることを望みまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、徳田毅君。

徳田委員 自由民主党の徳田毅でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということで、予算案や、または予算編成過程における事業仕分け特別枠、そうしたことについて御質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、この委員会開催前に理事会で問題になった件であります。

 二月二十日のNHKの討論番組において、民主党の政策責任者、玄葉国家戦略担当大臣そして政調会長が、この特例公債法について、年度内成立にこだわらないという旨の発言をされたということであります。このことについて、大臣、御所見をお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 ちょっと「日曜討論」の発言自体は全部脈絡は押さえておりませんけれども、特例公債法、今回、いわゆる特例公債は三十八兆、基礎年金の国庫負担、三分の一から二分の一の臨時財源として二・五兆、合わせると四十兆を超える額がいわゆる一般歳出総額の四四%と、大変大きな比重を占めます。

 ということは、予算執行する際に、特例公債法案がセットで通っていないと予算執行に大きな支障が生じることは間違いありませんので、私どもは、基本的には予算と関連法案、特に特例公債法案は重要ですので、一体として年度内の成立を心からお願いしたいと思います。

徳田委員 この予算関連法案、これが通らなければ国民生活や日本の経済に多大な影響を与えるということは、これはだれもがわかっていることなんです。今の答弁では大変他人事のように聞こえるんですが、玄葉大臣は、政調会長でもありますし、主要閣僚ですよ。この方がこうしてこだわらない旨の発言をされた。明らかな閣内不一致ではありませんか。これは皆さんの責任なんですよ。あの人がこう言ったから、私は知らぬという話じゃないわけです。

 もう一度答弁をお願いします。

野田国務大臣 さっき申し上げたとおり、関連法案、特に特例公債法案は大変比重が大きいです、今回予算執行の際には。日本経済、国民生活に重大な影響が出ることは間違いございませんので、これが成立しなかったら云々ということは、我々は考えていません。基本的には年度内の成立に向けて努力をしていきまして、各党の皆様にもぜひこのことは御理解をいただきたいというふうに思っています。

 だから、玄葉氏がどういう脈絡でしゃべったか、ちょっと承知していませんが、基本的には政府の見解はそういうことだと思います。

石田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

石田委員長 速記を起こしてください。

 徳田毅君。

徳田委員 もう一度申し上げたいと思いますが、玄葉国家戦略担当大臣兼民主党の政調会長が、二月の二十日のNHKの討論番組で、年度内成立をこだわらないという発言をされたことについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 年度内成立はこだわらないという言い方はしていないというふうに思います。特例公債法案が通らなかった場合に技術的にどんな対応ができるかを言った上で、マーケットは心配だということをおっしゃっているわけであって、年度内の成立に、私は、これの趣旨は、発言はこだわっていると思います。

 その意味では、さっき申し上げたとおり、予算と関連法案の年度内成立は、政府としては基本的にはお願いをするという姿勢は変わりません。

徳田委員 大臣はそのように発言をされておられるかもしれませんが、玄葉大臣がどのような趣旨で発言されたか、これは明確に示していただかなくてはなりません。このことについて、大臣として、委員会として、どのような対応をされますか。

野田国務大臣 ちょうど今、速記録というか主な発言が出ていますが、六月とかそういったところまでは既にある税収見込みでできるところはあるでしょうけれども、それ以降は極めて心配ですから、マーケットの反応がまた出てくるのではないかというふうに思います、というのが発言でございますので、年度内成立をあきらめるとか、そういう話は全くしていません。

徳田委員 このことに余り時間はとりたくはないんですが、六月までに既にある税収見込みでできるところはあるが、それ以降は極めて心配だということを述べられたと。しかし、この発言を受けて、国民の皆様がどう受け取られるかということが何よりも大切なことですよ。そして、責任ある立場の方が、主要閣僚の方が、こうした発言をテレビでなされたということに問題意識を私たちは持っているわけです。

 そしてまた、これから関連法案など予算案について質疑を開始しようとするこの時期に、その審議をお願いする立場の大臣がそのような発言をするのは極めて不適切だ、到底看過できるものではないということを強く申し上げておきたいと思います。

 また、この予算関連法案について民主党の皆さんは、これが成立しなかった場合は国民生活や国内経済に多大な影響を与えるというような文書、株価の不安定要因にもなる、中には、離島路線の航空燃料税が値上がりすることで離島の住民に影響を与えるなどのケースを例示した、そうした文書を配ったということでありました。確かにそれはよくわかります。私たちも、この予算関連法案などが成立しなければ多大な影響を与えるということで、自公政権時代には身を切るような努力をして、成立を目指して努力をしてきた。

 しかしながら、先週の十七日、民主党の衆議院議員の方十六名が会派離脱届を提出された。まだ認められているのかどうかはわかりませんが、そのことを発表した。この方々は、予算関連法案が再可決になった場合、これについては造反の可能性も示唆しているということであります。このことについてはどう思われますか。

野田国務大臣 基本線は、さっき申し上げたとおり、予算と関連法案が通らなかったらという話がいろいろありますけれども、これは何としても通さなければいけないし、誠心誠意御説明していきたいというのが基本姿勢です。それは、対野党はもちろんですが、党内は与党ですので、予算と関連法案を責任を持って通すのが与党・政府の仕事だと思いますので、いろいろ意見が、個人的な発言は出ているかもしれませんけれども、党としてこれはあり得ないことだと思っております。

徳田委員 本当に、大臣として個人的な発言を言われるのはどうかと。それはそのとおりなんですよ。政権与党であれば、責任を持って予算、予算関連法案を通す、そうした責任を大きく感じてもらわなきゃいけないんですが、実際に、皆さんの与党の中で、会派を離脱するという方がおられる、そして再可決のときには造反する可能性も示唆している、これは堂々と言われているわけです。与党内でも一致していない。そうした予算を提出して、そして審議をしようということ自体、問題があることではないかと思います。

 この方々が何と言われているか。今の菅政権は国民生活が第一という国民との約束を果たす本来の民主党政権ではないと言っているわけです。総選挙では予算の総組み替えなどを行うと主張してきたのに、ほぼ手つかずだと。このことは後から触れたいと思いますが、まさにそのとおりですよ。一方、任期中は上げないとしてきた消費税では増税への意欲を示している、無原則に政策の修正を繰り返す菅政権に正当性はない、我々こそ真の民主党であり、ということは、菅政権は真の民主党ではないということをおっしゃられている。

 また、この財務金融委員会の委員でもある松原仁先生を初め、東京都連選出議員有志の方々が、菅総理や岡田幹事長、枝野官房長官に対して、国民の皆様との約束であるマニフェストの原点に立ち戻り、国民の生活が第一の政治の実現を目指すべきだと要請した。これで何と言われておるか。第一に、二〇〇九年マニフェストの原点に立ち戻り、国民との約束を果たすこと。第二に、予算の全面組み替えの実行を第一義とし、増税を前提にしないこと。第三に、民主党結党の精神に立ち戻り、政治主導を確立し、地域主権国家を目指すこと。

 要は、逆に言えば、皆さんは、二〇〇九年のマニフェストの原点を忘れて、国民への約束を果たせていない、予算の全面組み替えを実行はされていないということを言われておるわけです。皆さんは、民主党の中でも真の民主党じゃない、皆さんの政権は正当性がないと言われているわけです。そのことについて、大臣はどのような御見解をお持ちですか。

野田国務大臣 だれが真の民主党どうのという議論をすること自体が不毛だと思っていまして、今政府にいる人たちにおいても、マニフェストをないがしろにしようという人は多分だれもいないと思います。きちっと国民とお約束したことを着実に実行するために、ただ一方で、財政が厳しい中で、安定財源を確保しながら、死に物狂いでその目標を達成できるようにこれまで仕事をしてきたはずであります。

 そして、事業仕分け等については、多くの新人議員もかかわっていることであって、確かに、お約束した財源確保のところでは、総組み替えというところがまだまだ道が遠いということは実情でありますけれども、そこをおろそかにしているわけではないし、サボっているわけではないわけであって、だから真の民主党ではないという言い方をされることは極めて不本意であって、そこは共通で汗をかいてきているはずであります。

 その意味では、お互いに何が足りないのか、どういう努力不足があるかという総括は必要でありますけれども、おまえたちはやっていないとか、おれたちはやる気があるよというようなことは不毛な議論であって、やはり挙党に立って、お互いが信頼し合って、この予算の成立という最大の目標に取り組んでいかなければいけないというふうに思います。

徳田委員 私は、この十六人の方と、基本的に同じ考えではありません。マニフェストをそのまま実行すべきだとはとても思えませんし、また、二百七兆円の総組み替えなどという発想自体がおかしいということを思いますが、しかしながら、与党の中で、この予算関連法案にも反対しようということの可能性を示されている、これは極めて大きな問題だということを思います。

 そして、ここではっきりさせておきたいと思いますが、二月八日の予算委員会において、菅総理は、予算の成立について、与野党がともにある意味の責任を分かち合っていると。成立するには野党の責任があるということを言われました。また、泉健太議員も、与野党がそれぞれ多数をとっているという状況の中でいえば、私は、二十三年度予算というのは与党と野党の共同の成果物なんだということも言われました。

 しかし、この二十三年度予算案というものは、皆さんが編成されたものだ、そして提出されたものです。そして、この予算案を、予算関連法案を成立させて確実に実行する、この責任は、私は、常識的に考えれば、まずその責任の第一義は政府・与党の皆さんにあると思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 基本的には、提出をしている予算であるとか法案、これは提出した側に第一義的な責任があることは間違いないというふうに思います。だからこそ、野党の皆様に御理解をいただくべく、きちっと懇切丁寧に説明をするというのが筋だろうと思います。

 恐らく、総理とかそれ以外の発言というのは、第一義的には責任は提出者だと思いながらも、ねじれた国会なので、何か起こったときのマイナスの影響は避けなければいけないという意味で、あえておっしゃったのではないかなというふうに思います。

徳田委員 それでは、やはりこの予算を成立させる責任は、必ず政府・与党に第一義があるということを確認させていただきました。

 そこで、これから本当にこの予算案、予算関連法案が成立するのか。特に予算関連法案ですね。いろいろなことを想定してここで言うわけにはいきませんが、しかしながら、本当にこの予算関連法案が成立するのか。この先行きが不透明な今の現状です。

 そうした中で、私は改めてお聞きしたいと思いますが、皆さんは、与党内の十六人の方が言われている、こうした方々の主張を聞かれて、マニフェストにしっかりと回帰されていくのか。それとも、このマニフェストは間違いだったということを認めて、私たちの出す予算組み替えに応じられるのか。それとも、皆さんは民主党内で正当性がないと言われているわけですが、その菅政権が提出されたこの予算案、予算関連法案をそのまま修正することなく成立に向けて無理やり押し通そうとされるのか。どうされるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 あくまで、今御提起をさせている予算とこれから御審議をいただくことになるだろう関連法案については、御審議の経過をしっかりと見なければいけないというふうに思いますけれども、基本的には私どもはベストなものをつくったつもりであります。いろいろな制約がある中では、ベストなものをつくったつもりであります。

 とはいいながらも、やはり国会の審議は大事ですので、野党のさまざまな御意見については真摯に耳を傾けていくというのが基本的な姿勢であります。

徳田委員 これからどのような経緯をたどるのかわかりませんが、まず、こうした予算案を提出される前に与党内でしっかりと意見を集約されること、それは当然のことでありますし、そうした中で、皆さんがしっかりと、成立させるその責任感、使命感というものを強く持ってこれから審議も進めていただきたい、そのことをお願いしたいと思います。

 それでは、二十三年度予算案についてのお話に移ってまいりたいと思います。

 この二十三年度予算案は、昨年六月に閣議決定されました財政運営戦略に基づいて編成された予算だと考えております。

 この財政運営戦略、これは、国と地方の基礎的財政収支、プライマリーバランスについて、遅くとも二〇一五年までにその赤字の対GDP比を半減する、二〇一〇年の水準から半減する、二〇二〇年までには黒字化する、このような財政再建、私たちがどの政権であっても取り組まなければならない大きな課題である財政再建について大きな道筋を示したものであり、この二十三年度予算はそのスタートの年であると。この財政運営戦略というものは、これはギリシャ等の財政状況の悪化を踏まえて設けられたものであり、そして、G20でも示されたことから、事実上の国際公約でもあるということを思っております。

 そして、その中で示された中期財政フレームに従って、この基礎的財政収支対象経費の上限が七十一兆円、そして新規国債発行額が四十四兆を上回らないものにするということが決められており、そうした中で今回の予算を見ると、そうした当初の目標は達成されたということであります。しかしながら、四十四兆というのは、これは昨年の空前の規模とも言える発行額です。これと余り変わらない規模、もっと言えば、この四十四兆というのは、平成二十一年の一般会計プラス補正予算、その合計のときの新規国債発行額と同じ規模であります。

 大臣も大臣所信の中で言われておりますが、国及び地方の長期債務残高が二十三年度末には対GDP比で一八四%、八百九十二兆円程度に達すると。ここまでの財政の危機的状況、深刻さからすれば、四十四兆というのは余りにも大き過ぎる数字ではないか。皆さんは、四十四兆に抑え込んだと。四十四兆円も借りて、赤字国債を発行して、四十四兆円に抑え込んだと自画自賛して、いつの間にか四十四兆円借りるのが当たり前になっている。

 こうした事態は極めて深刻だと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

野田国務大臣 四十四兆が当たり前という感覚はございません。一生懸命に抑えるべくして何とかここまで抑えたというのが私どもの基本的な姿勢であって、今委員御指摘のあった平成二十一年度というのは、当初予算、税収四十六兆を見込んだ中で、リーマン・ショックの後の影響が大きく出て税収が三十兆円台にまで落ち込んでしまい、結果的には、今、一次補正までの国債発行を言いましたけれども、四十四兆、二次補正まで含めると五十二兆まで出しているんですね。

 という平成二十一年度に私どもが政権を引き継いだ後に、その翌年の二十二年度は、補正でも新規に国債発行しないで、ぎりぎり四十四兆、当初予算に抑えました。その後税収が大きく上がっていればいいんですけれども、見込みでは今四十一兆です。

 そして、税外収入が、二十二年度は過去最大の十・六兆確保できましたけれども、今回は七・二兆ということで、三兆四千億ぐらいへこむという状況の中で、ぎりぎりに四十四兆に抑え込んでいるということでございまして、財政規律は十分に考えて、しかも財政運営戦略、中期財政フレームに基づいて財政規律は堅持できたというふうに思っています。

徳田委員 二十一年度ですか、あのときは、決算ベースでは五十二兆から三兆だったということだと思います。しかしながら、あのときの世界的な経済危機、この経済危機をいかに食いとめるか。そのときは、その危機対応という部分で特別な国債の発行額であったということを思います。

 ですから、この基準を今に持ち込むのはおかしいのではないか。もっと言えば、先ほどから何度も申し上げますが、今の財政の危機的状況ですね。大臣が強く言われているわけです、どの政権であったって必ず解決しなきゃいけない問題だと。ことしも、国債費は九千億もはね上がっている。税収の半分以上なんです。二十一兆円を超えている。そうしたことを考えると、四十四兆というのは余りにも大きい。

 そして、中期財政フレームを見ますと、ここに書いてあるのは、四十四兆円、七十一兆ということはしっかりと大枠が決まっておりますが、国債の発行については努力目標になっているわけです。これからどこかのタイミングで、半ばあたりですか、ローリングして見直すということも書いておりますが、しかしながら、社会保障費の自然増、これが大体一・三兆円ですね。もちろん、国債費もこれから上がってくる。

 こうしたことを考えると、やはり本当にこれから、じゃ、四十四兆、もっと言えば、マニフェストもこれからさらに促進させるということを考えれば、四十四兆に本当に抑え込んでいけるのか。そして、三年連続で七十一兆に抑えるとは定められておりますが、四十四兆、読み込めばここまでは借りていいようにも読めるわけです。

 これで本当に財政再建は着実に前進を遂げていると言えるのか。逆に言えば、私は、財政悪化に着実な前進をしているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 今の新規国債発行額四十四兆で、これを胸を張って言えるという状況ではないことは間違いありません。それはやはり、税収の方が下回っているということは異常事態です。昭和二十一年以来の異常事態だ。それが平成二十一年に始まって、平成二十一年の税収と国債の差は十数兆でしたから、それについてはだんだんだんだんと縮まってきていると思います。ただ、異常事態からまだ抜け切れないでいるという認識は委員と同じです。

 その意味では、中期財政フレームのローリングをしながら、歳入歳出それぞれの改革をきちっとやりながら、財政運営戦略に基づいて、大変険しい道だと思いますけれども、財政健全化の道筋をきちっとたどっていくということが何よりも大事だと思います。

徳田委員 先ほどのリーマン・ショックに話を戻したいと思いますが、本当に大きな経済危機であったということを思います。

 これを数字であらわしますと、例えば実質経済成長率、対前年比、リーマン・ショック時、二〇〇八年の十月―十二月期でいえばマイナス一一・九%。二〇〇九年一月―三月期でマイナス一九・九%。これは、二期連続で一〇%を超える大幅なマイナスを記録している。輸出について見れば、リーマン・ショック後の二〇〇九年二月には対前年同月比で過去最悪となるマイナス四九・四%です。完全失業率でいえば、リーマン・ショック前の一年間は平均三・九%で推移していたものが、リーマン・ショック後は二〇〇九年七月に過去最悪の五・六%を記録した。これぐらい大きなショックだったわけです。

 これを何とか食いとめようと。そこで、当時の麻生政権、与謝野財務大臣は必死になって経済対策を打ち込んでいった。しかしながら、今どういう状況かといえば、その危機的状況からは脱してきているのではないか。

 例えば、二〇一〇年七月から九月期においては四・五%のプラス、これは実質経済成長率ですね。そして、与謝野経済財政担当大臣は、日本の経済活動の環境は必ずしも悪くないと思っていると発言もされています。輸出についても、直近、二〇一〇年十二月においてはプラスの一二・九%と大幅に改善している。失業率も、直近の二〇一〇年十二月には四・九%と、最悪期は脱しているということは言えます。

 このような状況において、危機的状況に対応するための国債発行額であった四十四兆円を、私は、財政再建のために中期財政フレームの基準としてこの四十四兆円を設けるということ自体が大変おかしいのではないか。もっと言えば、先ほどから、抑え込んだ、抑え込んだと言われますが、この感覚で本当に財政再建がなし得るのか、そのことをお伺いしたい。どう思われますか。

野田国務大臣 平成二十一年度の極めて危機的な状況からの今は回復過程にあるというところだというふうに思います。だから、依然として厳しい状況です。財政規律を守っているというメッセージがないと、それこそマーケットへの影響も含めて大変憂慮すべき事態になりますので、引き続き財政規律は守っていきますが、一方で経済成長との両立を図っていかなければなりません。

 委員御指摘のとおり、昨年の七―九までは四四半期でプラス成長を図れましたけれども、十月―十二月は足踏みになりました。油断はできないと思います。だから、借金発行は当然抑えていかなければならない。一方で、やはり経済成長も図らなければいけない。経済成長を図ることによって増収も図るというその効果もあるわけで、そのバランスをどうとるかが大事なところではないか、そのバランスはしっかりとっていきたいと思います。

徳田委員 実は、昨年の常会などにおいても、この四十四兆をベースにするのはおかしいのではないかという議論がありました。そこで、当時の政府答弁、これは今総理大臣である菅国家戦略担当大臣そして兼務されて財務大臣がお答えになっていることですが、国債発行額が四十四兆となった理由として、税収が当初の見通しから大幅に減少したことを挙げておられたわけです。

 それであれば、税収が前年度よりふえれば、その分は国債発行を減少させることができるはずなんですね。二十三年度予算の税収を見ると、四十兆九千二百七十億、前年度の三十七兆三千九百六十億円よりは三兆五千三百十億円ふえている。しかしながら、国債発行額は同水準ということが言えます。これはどう御説明されますか。

野田国務大臣 当初予算ベースでいうと、二十二年度が税収三十七・四ですよね、今回が四十一兆弱です。だから、税収自体は委員おっしゃるとおり三兆円ちょっと伸びています。一方で、税外収入が、平成二十二年度が十・六兆の過去最大だったのが、今回はそれほど見つけることができなくて七・二兆になっているわけで、これはだから三・数兆落ちていますね。そういうことです。

 だから、国債発行額は余り変化がなかったということであります。

徳田委員 税外収入が落ち込んだということでありますが、例えば埋蔵金なども、一回使えばもうなくなってしまうわけですよ。その分落ち込むというのは、もともと見込めていたことではありませんか。

 もっと言えば、ことしこれだけ使ったら、ことしの予算では外為など先食いまでしているわけですから、そうしたことでは来年度はさらに落ち込むわけですよ。それであれば、来年はさらに四十四兆を超える可能性もあるし、また四十四兆に設定して、四十四兆に抑え込んだと同じことを言われるんですか。それであれば、本当に財政再建の着実な道筋をたどっていると言うことができるんでしょうか。いかがですか。

野田国務大臣 税外収入自体がワンショットのお金であることは、委員の御指摘のとおりだというふうに思います。その意味で、それをずっと安定的に計算しながら予算を組んでいくということは、なかなかできません。

 その意味では、やはり歳入歳出両方のきちっとした改革をしながら、中期財政フレームというのはきちっとローリングをしながら目標達成していく、その上での予算編成をしなければいけないと思います。

徳田委員 今、歳入歳出一体でしっかりと取り組んでいかなければならないということを言われましたが、本当に歳出面での財政再建への貢献がなされているのでしょうか。皆さんがマニフェストで書かれた政策で税収が増加するんだったらいいんですよ。しかし、税収も大幅にふえていないですし、効果はほとんどあらわれていないわけです。しかしながら、民主党さんは、マニフェストを聖域化して、本来無駄の削減によりスリム化できるはずの歳出を膨張させているのではありませんか。

 そこで、事業仕分けについてお伺いしたいと思います。

 皆さんは、歳出を削減する方法として事業仕分けを取り入れられました。しかしながら、ことしを見ると、この事業仕分けの歳出削減、できたのはわずかに三千五百十五億円ですね。なぜこれだけ小さくとどまったのか。それは、事業仕分けをして廃止と判定された、削減と判定されたものも復活されている、そういうことも指摘されるのではないですか。いかがでしょうか。

末松副大臣 お答え申し上げます。

 私ども、事業仕分けで、今年度予算につきましては、概算要求後、先生御指摘のとおり三千五百億円の歳出削減を行うと同時に、今度は入りの方で一兆四千億円の国庫納付というものをしております。そしてさらに、これは概算要求段階ですけれども、行政事業レビューというものを使いまして、一兆三千億円のレビュー効果というものを行った。それで、これを単純に計算して、三兆円の効果があったというふうに私どもは認識しております。

徳田委員 確かに入りの方ではそれだけ見つけてこられたということでありますが、それは、事業仕分けでなくても財務省ができることですよ。今は歳出削減の方でお話をさせていただいております。

 実は先日、家に帰ってテレビをつけてみますと、CMなどで、次世代スーパーコンピューターの技術の推進事業についての議論の中で、蓮舫大臣が、なぜ一番でなければならないのか、二番じゃだめなのかということを言われている。ここで、蓮舫大臣もおられないのに欠席裁判をするつもりはありませんが、しかしながら、やはりこうした議論について、国民も大変疑問視をしているわけです。

 ちょっと意地悪な質問になるかもしれませんが、野田大臣、なぜ一番でなければならないんですか。なぜ二番じゃだめなんですか。どう思われますか。

野田国務大臣 今のエピソードは若干ちょっと誤解されていると思うんです。蓮舫さんがなぜ二番じゃいけないのと言ったのは、どうしても一番だという理由をきちっと言ってほしいという思いであの質問をしたというふうに私は聞いています。だけれども、きちっと一番じゃなきゃいけないという説明ができなかったからああいう結果になったというふうに私は聞いています。

 私は、基本的には何でも一番を目指して、結果的には二番、三番はあるかもしれませんが、一番を目指すというのが私は筋だと思います。

徳田委員 蓮舫大臣もおられないので、どういうつもりで言われたのか、ここでお話はできないかもしれません。

 しかしながら、質問するに当たってちょっと調べてみましたら、二十二年度、二百八十八億円が計上されておったわけです。事業仕分けにおいては、来年度の予算計上見送りに限りなく近い削減と。どういうつもりで聞かれたのかどうかわかりませんが、事業仕分けの判定では、来年度の予算計上見送りに限りなく近い縮減と出ているわけです。しかしながら、ここで大きな国民の反発を呼んだ。そして、二十二年度の補正予算で百八十六億円計上された。そうすると、合わせて約四百億円ほどでしょうか。しかしながら、ことしはまた二百十一億円に落ちているわけです。

 ということは、皆さんはやはり一番じゃなくてもいいとお考えなのかなと。前年度は合わせて四百億円なんですよ。そうとらえざるを得ないのではないか。

 そして、この件については余り深掘りして申し上げませんが、ただ、事業仕分けにおいて出た判定結果と予算案に反映されるもの、これは矛盾が生じてきている。閣議決定されたもの同士で矛盾が生じている。なぜこういうことが起こるのでしょうか。

 そして、もっと言えば、私はこう思いますよ。皆さんは、事業仕分けなどにおいて予算編成においての透明化を図ると。第一段階ではそうかもしれません。第一段階では、公開し、パフォーマンス的にあのように国民に見えるようにした。しかし、第二段階では、好きなものを省いて、好きなものは取り入れる、そういう形にされているのではありませんか。いかがでしょうか。

末松副大臣 確かに、私ども、事業仕分け、第一次的に評価したものがそのまま予算に反映するということではございません。その中でさまざまな調整を行いまして、例えば、今先生御指摘になったように、科学技術的なもの、そういったものの重要性は我々否定しているものではなくて、それにおける事業のやり方あるいは手段、その事業が本当に効果的なのかどうか、そこを厳しく査定をしているところでございます。

 そういったもので、最終的な予算への反映が第一次的な査定とそのままイコールではないということは、御理解いただきたいと思います。

徳田委員 事業仕分けの判定がそのまま反映されないということは、国民の皆様も大変驚かれていると思いますよ。各委員会の中では、この事業仕分けの判定には法的拘束力はないという発言もありますし、これまで政務三役の中には、こうした事業仕分けはもう終わりにすべきだ、そういう方もおられた。

 この事業仕分け、来年度以降どうされるのかわかりませんが、ただ、事業仕分けというものの中で大幅な予算の削減をしようというのであれば、私は、皆さんが選挙でお示しになった民主党マニフェスト、この公約の中身についても、やはりもう一度議論の対象にすべきではないか。子ども手当、農業の戸別所得補償、高校無償化、高速道路の無料化、そうしたものもやはり議論の対象に、この事業仕分けの対象にすべきではないかということを思います。

 皆さんは、民主党マニフェストの中で、国の予算、総予算二百七兆円を総組み替えすると言われて、そして、行政刷新会議で政府のすべての政策、支出を検証するとしているわけです。しっかりと事業仕分けで議論していただければ、こうした無駄も大幅に省けるのではないでしょうか。いかがでしょうか。

末松副大臣 この事業仕分けにつきましては、別に今年度で終わりとかそういうことではございませんで、本当に不断の努力によって歳出削減がなされるのは、先生おっしゃるとおりでございます。

 特に、事業仕分け、私は本当にいいと思っているのは、こういった予算の編成過程が本当に国民の前にさらされて、どういったものがどうなっているのか、これが明らかになったこと、それから、行政事業レビューにもありましたように、各省庁がみずからさまざまなこういった事業仕分け的指標を使って、あるいはやり方を使って、省庁そのものがやっていく、これは意識改革が大きく変化しているところだと思います。

 そういった意味で、これを不断にやっていくということは、やります。そして、来年度は来年度で、またそこはしっかりと私ども計画をやっていきたいと思います。

徳田委員 それではもう一つ、この二十三年度予算案の編成過程において重要な位置を占めたのは、元気な日本復活特別枠というものであったと思います。今年度予算は元気な日本復活予算とも言われておりますし、そうした中で、この予算編成において大変大きな分野を占めたのではないかということを思います。

 そこで、改めてお伺いしたいと思いますが、この元気な日本復活特別枠、こうした仕組みはどういう趣旨で、どういう目的を持って置かれたのか。そして、政策コンテストということを開かれました。これも公開してやられたということですが、どういう形のものであったのか。そしてもう一つ、パブリックコメントを募集されておりますね。これの意義についても、三点お伺いしたいと思います。

平野副大臣 政策コンテストについての意義と、その過程で行われたパブリックコメントの役割ということについての御質問だったと思います。

 二十三年度予算では、成長と雇用に資する施策などへの予算の重点配分、すなわち、ある一定の方向性を持った施策に対しての予算の重点配分、それからあと予算編成の透明化、見える化、あるいは政治主導での予算の組み替えにつなげていくという観点から、元気な日本復活特別枠を設けまして、政策コンテストを実施したということでございます。

 具体的には、玄葉大臣が議長となりまして、閣僚や副大臣をメンバーとする元気な日本復活特別枠に関する評価会議を立ち上げまして、特別枠要望に関する施策の優先順位の順位づけを行ったということでございます。その際に、各府省からのヒアリングを作業チームを中心に行いまして、あるいは評価会議においてもヒアリングを行いました。百八十九事業、三回ぐらいにわたってヒアリングを行いましたけれども、その結果を踏まえて、A、B、C、Dの評価づけを行ったということでございます。

 そして、その評価づけを行う際に、パブリックコメントということも付しました。百八十九の事業についての概要を公表しまして、それに対しての意見をいただいたということでございまして、その意見も参考にさせていただきまして、繰り返しになりますけれども、百八十九事業についてのA、B、C、Dの評価づけを行ったということでございます。

徳田委員 大体概要はよくわかりました。

 そこで、きょうはこうした二枚紙をお配りさせていただいております。この元気な日本復活特別枠について大変疑問なのが、パブリックコメントの評価が高いのに判定が低いものもあれば、パブリックコメントの評価が低いのに判定の結果が高いものもある。なぜこのようなギャップが生まれているのか。

 例えば、高速道路原則無料化の社会実験。これはパブリックコメントの評価というのは七・九%しかないんです。七・九%しかないにもかかわらず評価B。なぜこのような結果になっているのでしょうか。

 これは、大畠国交大臣が十五日に、高速道路無料化について、マニフェスト見直しのベストスリーということを言われておるんですよ。大臣みずから高速無料化の必要性が薄れていることはお認めになられているんです。

 まず、きょうは国土交通副大臣が来られていると思いますが、この元気な日本復活特別枠に社会実験を加えた理由についてお教えいただきたい。この事業の有用性についても御説明をいただきたいと思います。

三井副大臣 今、徳田委員から御質問ございましたけれども、私は質問通告を受けておりませんので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

徳田委員 質問通告はしておりませんが、高速道路無料化というのは、民主党の皆さんが選挙で戦ったときの目玉政策ですよ。それで、国土交通の副大臣になられた方がその有用性について説明できないというのはおかしいんじゃないでしょうか。

三井副大臣 お答えいたします。

 今の御質問でございますけれども、私どもはその元気な日本復活枠に関する評価会議を当然立ち上げました。その中の特別枠に対する要望の優先順位という中で位置づけた、こういうことでございます。

徳田委員 何だかよくわからなかったんですが、しかしながら、それでは、まあよしとしましょう。

 それでは、野田大臣にお聞きしたいと思います。

 野田大臣は、元気な日本復活特別枠に関する評価会議の九名の中のお一人ですね。しかも議長代行という立場をお務めでありますから、この百八十九項目については、やはり議論の過程というのはよく御存じであるということを思われます。それでは、パブリックコメントが低いにもかかわらず、高速道路無料化の社会実験がBという判定をされた理由について、お答えいただけますか。

平野副大臣 まず、パブリックコメントの結果、評価が低いにもかかわらず評価が高かったもの、あるいは、評価が高かったのにもかかわらず低かったものは確かにございます。ありますが、ここの例示以外については、まず大体、パブリックコメントの評価とそんなに違わないA、B、C、Dの評価をしているのではないかというふうに思います。

 その上で、今の質問は、評価が低かったにもかかわらず高速道路の無料化実験はなぜBなんだというお話でございますが、今回の高速道路の無料化の実験については、昨年に続いた実験をその形でそのまま継続する、そういう趣旨での要求でございました。それは、高速道路の無料化の実験事業については、民主党の政策であると同時に、今の民主党政権の施策でございますので、その趣旨については理解をするということで、Bという評価をしたということでございます。

徳田委員 全く答えになっていないんですよ。

 本当にパブリックコメントの評価が反映されていますか。それに、社会実験については、これから見直しの対象になっている、そういうものなんですよ。

平野副大臣 パブリックコメントというのは、A、B、C、Dの評価をするときの一つの判断材料であります。パブリックコメントは、それがそのままA、B、C、Dの評価につながっているというわけではない。

 先ほど申しましたように、百八十九の事業について、少なくとも作業チームは、相当のヒアリングをやりましたし、ディスカッションもしております。その経過とこのパブリックコメントをあわせまして、総合的な評価としてBとしたということでございます。

徳田委員 それはちょっとおかしいのではないですか。パブリックコメントは一つの参考だと言われました。ですから、パブリックコメントの評価がそのまま評価に反映されているわけではないということを言われました。それでは、それは透明化、見える化とは言わぬのですよ。この限られたメンバーの方たちだけで勝手に予算づけをしたということなんですよ。

 もっと言えば、この高速道路無料化だけではなくて、例えば、パブリックコメントの評価が高くても評価が低いもの、こうしたものを二枚目に一覧にしてありますが、例えば地球温暖化の対策強化です。これは、二〇〇九年九月二十二日に、国連気候変動首脳サミットで鳩山総理が、二〇二〇年までにCO2二五%削減を宣言されておられるわけです。これが、パブリックコメントの評価八〇・三%に対して、評価はDですよ、D。これはどういうことなんでしょうか。

平野副大臣 地球温暖化対策の強化ということで、これは国土交通省から要望のあったものでございます。中身につきましては、人為的影響の少ない南鳥島において温室効果ガス及び大気中のちり等の観測を強化するもの、アジア各国における異常気象監視や季節予報の作成支援を実施するもの、そういう内容でございました。

 気候変動は地球規模の課題であり、重要であるということは十分認識しております。しかしながら、この事業というのは相対評価、百八十九事業でのA、B、C、Dのランクづけでございますから、その相対評価の中では、私どもは、緊急性は必ずしもないんじゃないか、それから、国民生活の安定、安心に必ずしも直結するものでもないということで、また、特別枠に必ずしもそぐわないということなどを総合的に勘案して、D評価としたところであるということでございます。

 もう一つ、背景として申し上げますと、今回の場合、A、B、C、Dのランクづけをしなくちゃならないというのは、基礎的財政収支対象経費七十一兆ということで、この七十一兆というのを、たがをはめました。その中で社会保障費の一・三兆の伸びも吸収をするということで、ちなみに、七十一兆は二十二年度の予算の基礎的財政収支対象経費と同じ額であります。その中に一・三兆という社会保障費の伸びも吸収させる。

 そういう中での政策コンテストということでございまして、このA、B、C、Dについては、各特別枠どれ一つとして不必要である、要らないといった制度はございません。各省しっかりとした考え方で持ってきたということでございまして、その中での相対評価で、A、B、C、Dという相対評価をしたということでございます。(発言する者あり)

徳田委員 その相対評価の過程において何がどういう理由で行われているのか、これがよくわからぬから質問しているんですよ。

 パブリックコメントは何のためにとったんですか。では、今、同僚議員からも声がありましたが、パブリックコメントをとるのにどれだけの経費をかけたんですか。それでパブリックコメントは評価に反映されない、それはおかしいことではありませんか。

 もう一つ例に例えて申し上げると、地域医療確保推進事業、これはパブリックコメントの評価は八九・四ポイントなんです。医師の地域の偏在、診療科の偏在の是正、勤務医の負担軽減、医療の関係職種の業務効率化、そのために、各都道府県に地域医療支援センターを設置して、地域枠の医師のキャリア形成支援、指導医の養成と研修体制の整備、地域医療に従事する医師の支援などを行う、この事業がCになっている。

 ここにおられる議員の方も、地域で、地域医療が大変不足している、問題になっている、そうした声を反映して、こうした事業がこの元気な日本復活特別枠に要望として出されたのではありませんか。しかしながら、これが、パブリックコメントの評価も八九・四ポイントと高いにもかかわらず、評価はCだ。これはどういうことなんでしょうか。

平野副大臣 今御質問のあった地域医療確保推進事業でございますけれども、この中身は、地域医療支援センターの運営経費、それから臨床研修指導医確保事業、チーム医療実証事業、この三つから成り立っておるということについては、もう御承知のとおりだと思います。

 本要望事業につきましては、地域医療センターの運営経費は、平成二十二年度補正予算で措置済みの地域医療再生基金、二千百億円ございますが、これで実施できる内容でございます。そういう事業であるということ。それから、二十二年度の診療報酬改定で、臨床研修指導医確保事業の補助対象となる病院については相当程度の増収が見込まれるのではないかといったこと。あるいは、チーム医療というのは既に各病院で行われているといったこともございまして、まず、制度の内容については十分理解できる、その理解できる上で、二十二年度の補正予算で措置済みの二千百億円で一義的にやるものだということで、Cという形になりました。

 ただし、今回、Cという形になりましたけれども、これは、金額については私から答えるのではなくて財務省から答えるべきものだと思いますけれども、地域医療支援センターについては、都道府県ということで、特定の先行的にやっている地域について、Cという評価はしましたけれども、約十九億一千四百万円の特別枠を措置したということでもございます。

徳田委員 もっともらしいことを言われますが、しかしながら、どこの地域でも地域医療が確立されているというのは、本当にそう思われますか。これは民主党の議員の方に聞かれてもよいとは思いますが、チーム医療が確立されていると言われませんでしたか。

 そして、今回のこの事業については、六十一・八億円に対して十九・一ですよね。これだけ大幅に減額されているわけです。評価Cの中でも極めて減額幅が広い。もっと言えば、さっきの地球温暖化、たった三・三億円ですよ。それについてゼロですよ、ゼロ。なぜこのようなことが起こっているのか。

 今回の予算案について、大きな特徴となったこの元気な日本復活特別枠のあり方について、なぜこういう評価結果が出るのか。正直言えば、民主党の皆さんもだれもわからないんじゃないですか。

 まず一つ、ここで百八十九事業について、パブリックコメントまで予算をかけてとったわけですから、では、なぜこの評価が下されたのか、その理由についてもしっかり公表すべきだと思います。委員会にも提出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

平野副大臣 理由等については、既にインターネット等で公表しているかと思いますけれども、必要であれば、また後で提出をさせていただきたいと思います。

徳田委員 委員長、この評価の理由、そうしたものについて、百八十九事業すべてにおいて、これはインターネットに出ていますか、本当に。私は調べて出てこないんですが。評価会議の内容については、それまでについてはオープンになっているかもしれませんが、なぜこういう評価結果が出てきたのかということについては、何の説明もなされていないんです。

 これを委員会に提出していただきたいと思いますが、委員長、よろしくお願いします。

石田委員長 資料の請求につきましては、理事会で協議します。

徳田委員 この表だけを見ますと、はっきり言えば、高速道路の原則無料化の社会実験、そして、なぜ私もこの元気な日本復活特別枠に要求されているのかよくわからぬですが、例えば在日米軍駐留経費負担、思いやり予算ですね、こうしたものが含まれているのかよくわからぬのですが、これらの事業の方が、地域医療とか、温暖化とか、もっと言えば、この中には、農林水産新成長戦略の対応基盤整備、これも、九二・二%のパブリックコメントに対して評価はCですよ。小笠原諸島の振興開発、私の奄美の振興開発、これも、実は、評価が八七・七%もあるのに評価はCなんですよ。

 ここで改めて皆さんが掲げられた奄美版マニフェストについて話そうとは思いませんが、これは本当にひどい内容だと思いませんか。これが、国民の緊急性が本当にこれらの事業は低い事業なのか、私は改めて示していただきたいと思います。

 そして、この政策コンテスト、パブリックコメントで、事業の実施をする必要があると思うかという問いに対して、そう思うと答えた事業、九割近くになる事業を満額実施するのは、六百二十億円程度あれば足りるわけです。一方、マニフェストの主要事項に関して、子ども手当は二・四兆、高速道路の原則無料化、これは千二百億円ですか、農業の戸別所得補償〇・六兆、これは一方では三・六兆計上している。

 これは満額実施するのに六百二十億円。それに対して、高速道路千二百億円の半分出せば、国民の声に十分反映したものだということができるわけですよ。しかしながら、なぜこうしたことがなされていないのか。

 私は、もう一つ思いますが、この日本復活特別枠、これには、皆さんが掲げたマニフェストのものが入っている。一方では、入っていないものもある。なぜこういうことが起こっているのか、御説明いただけますでしょうか。

平野副大臣 特別枠の要望を出してもらうときには、まず、要望の内容としては、マニフェストの実現、それから、デフレ脱却・経済成長に特に資する事業、雇用拡大に特に資する事業、人材育成、国民生活の安定・安全に資する事業、こういった一つのカテゴリー、指標を設置しまして、これに属するものについての要望を出していただきたいというお願いをしてございます。この四つのカテゴリーの中で、各省が、あるいは各政務三役がふさわしいものというふうに判断したものを要望枠として出してきたということでございます。

徳田委員 その四つのカテゴリーだったら何でも入るんですよ、思いやり予算でも入るんですから。そして、高速道路の無料化も入る。だったら、子ども手当も高校無償化も戸別所得補償もすべて入ってくるんですよ。だからこそ、こうしたことをしっかりと事業仕分けでも議論すべきでありますし、そして、こうした新しい制度を設けているのであれば、この中にしっかりと組み込んで議論をされるべきではないか、パブリックコメントもとって反映されるべきではないかということを申し上げているわけです。

 そして、時間もないので改めて申し上げたいと思いますが、事業仕分けもです。この政策コンテストですか、特別枠もです。一見は国民に透明化を図っているように見えますが、第一段階ではそうかもしれません。しかしながら、そうしたものが全部が反映されず、限られた人たちが限られたサークルの中で勝手に予算づけしている。このことを民主党の皆さんも大変不満に思われているんじゃないでしょうか。多くの方が、なぜ事業仕分けで廃止と判定されたのに復活されているのかわからない。多くの方々が、この特別枠の中でパブリックコメントが高いのに低い評価をされているのか、これはもうわからない。限られた人たちだけで勝手に決めている、そのような勝手な予算なんですよ。それは極めて大きな問題だ。

 それともう一つ、最後に大臣にお聞きしたいと思います。

 十六人の方々や東京都連の方も主張されておりました。この特別枠でありますが、これは全部総組み替えされるのに二十五兆円程度ですね。皆さんは民主党マニフェストの中で、国の総予算二百七兆円すべてを総組み替えするということを主張されてきたわけです。もうこの時点で公約違反なんです。二百七兆円すべてを組み替えするという発想自体、私は、先ほども言いましたがおかしいとは思いますが、ただ、与謝野大臣の言葉をかりれば、知らなかったのかもしれない、無知だったのかもしれない。

 こうしたことをまず取り下げる、このマニフェストを取り下げるべきではないでしょうか。その上で、財政のこの危機的状況を考えれば、これから見直すというのではなくて、二十三年度予算に、マニフェストを見直して、そして反映させるべきである。

 皆さんは九月にマニフェストの見直しを行うと言っていますが、概算要求の締め切りは八月三十一日ですね。九月に行って、それは概算要求に間に合うんですか。では、二十四年度予算にも反映されないということにもなる。

 今のこの危機的状況を考えれば、まずは、マニフェストが破綻している、国民の皆様にもう実行できないとおわびをした上で、そしてもう一度、二十三年度予算、これを組み替えるべきであると思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 予算の総組み替え、これは一般会計、特別会計含めての総ざらえは、これまでもやってきましたけれども、これからも引き続きやっていきたいというふうに思います。

 マニフェストの見直しは基本的には党の中での対応であって、さっき事業仕分けの対象にしろとかという御指摘もございましたけれども、九月が一つの衆議院の方では折り返し点ですから、九月までにマニフェストの検証をしていく。その上に、社会保障と税の一体改革は六月まで、特に社会保障についてはその姿、方向性、四月までですから、社会保障にかかわる部分はそれに先行しての検証はあるかと思いますが、これは党で基本的にはやることだというふうに思います。

徳田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、山口俊一君。

山口(俊)委員 自由民主党の山口俊一でございます。

 久しぶりの質問でもございまして、かつ、実は私、前々からいろいろおつき合いもございまして、野田大臣には大変敬意を表しておるわけでございます。しかも、今の内閣の状況を見ておりますと、陰の総理なんという失礼なことは申し上げませんが、表の、少なくとも司令塔なんだろうなと拝見をしております。

 そういった意味で各般にわたって御質問させていただきたいと思っておりますが、まず冒頭に、実は先ほど我が党の徳田委員の方からお話がございました。私もこの件を取り上げようと思っておったんですが、玄葉大臣の発言です。

 実は、たまたま私、テレビを見ていまして、よくぞああいう発言をなさるなと。今、放送の中身を書き落としたものを大臣はごらんになったと思うんですが、恐らくそれはごく一部です。私、ずっと見ておりまして、いわゆる公債特例法、これをおくらせても、あるいはおくらせたということを前提の議論みたいなのもやっているわけですね。これはやはり看過できない話であって、恐らく野田財務大臣にしても、けしからぬと内心思っておられると思うんですね。大臣は終始、一括処理だ、当然同時にやってほしいということをずっとおっしゃってこられた。ところが、ああいう場所でぽろっと出るわけですよ。

 これまでも、民主党政権になって、各大臣が勝手なことをおっしゃるわけです。これは実際どうなっているんですかということが結構多々ありまして、そういったこともこれありでありますので、いま一度、野田大臣のお考えをちょっとお伺いさせていただきたい。

野田国務大臣 敬愛する山口委員の穏やかながら厳しい御質問を冒頭にいただきましたけれども、玄葉大臣は、まさに御自身の所見を、技術的にはどんなことが可能かなということを多分頭の体操で言われた部分があるんだろうというふうに推察をいたします。

 委員はずっと見られていたということですが、私も今ちょっとメモをずっと見ていると、年度内成立、これは基本的にお願いするベースはあると思うんですが、多分、サービスで頭の体操の話をされてしまったんだろうと思います。

 ただ、いずれにしても、政府としては一体となって予算と関連法案については年度内成立をお願いするという基本姿勢は変わりませんし、発言にはそれぞれが気をつけなければいけないなということを戒めなければいけないというふうに改めて思います。

山口(俊)委員 恐らく、野田大臣はそういう思いなんだろうと思うんです。ただ、私もテレビを見ておりまして、今後の国会、とりわけ近々予算関連法案を質疑しようかという時期でありますので、これはしっかりけじめをつけていただきたいということで、一つは、政府としての統一見解、これを、委員会もしくは理事会でも結構ですので、しっかりお出しをいただきたい。

 もう一つは、やはりこの委員会に玄葉大臣に来ていただいて議論をするという必要があるのではないか。聞けば、釈明の会見を御予定なさっておられるようですが、そういったことではなくて、やはりこの当該委員会、ある意味で大臣の思いを踏みにじった発言でもありますし、委員会の存在を無視したような発言でもあるわけでありますので、そこら辺、委員長、しっかりお取り計らいをいただきたい。

石田委員長 ただいま山口委員の御発言のうち、統一見解について、そして玄葉大臣の出席等につきましては、後刻理事会で協議したいと存じます。

山口(俊)委員 ぜひとも、すっきりした思いの中で議論がスタートできますように、お願いをいたしたいと思っております。

 予算について入らせていただきたいと思いますが、正直、二十三年度予算案というのが年内に、昨年末、本当にできるんだろうかと実は真剣に心配しておりました。いろいろな報道を見るたびに、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃって、右に行ったり左に行ったり、その都度、財務大臣としてこれはおかしいというふうな発言があったわけでありますが、それを見ておりまして、一昨年のことを思い出しました。

 一昨年も、ああでもない、こうでもないという話の中で、今でも覚えておるんですが、たしか十二月十六日に小沢幹事長が官邸に押しかけて、ようやく方向性が出たなんということがあったわけですね。去年の年末は小沢さんがいませんでしたから、大丈夫かなと思っておったんですが、何とか年内に案ができ上がったわけであります。

 先ほども質問でお答えになっておられましたが、残念ですけれども、我々が見て、あるいは私が見て、財源あさりにきゅうきゅうとした、しかしながら結果として、看板のマニフェストはもう破綻したな、あるいは水膨れ予算だな、ピンぼけ予算だな、こう言わざるを得ないわけであります。しかも、結果として大量の国債発行ということに至ってしまいました。

 終始、大臣の御発言を見ておりますと、恐らく、内心じくじたる思いもおありになったんだろうと思うんですね、予算編成の過程の中で。でき上がった以上は、大臣としては、これがベストだ、こう言わざるを得ないのはわかっておりますが、そこら辺の経過におけるいろいろな思いを、せっかくですから、ちょっと漏らしていただければ。

野田国務大臣 平成二十二年度の予算編成も、そして今回御提起をさせていただいている平成二十三年度予算も、それぞれ状況は違いますけれども、さまざまな、事業仕分けであるとか、取り組みをしながら、党内の御意見もさまざま聞きながら、縦、横、斜めに、最終的には配慮をしながら、財政規律と、やらなければならない政策課題に財源をつけることと、苦心惨たんはいろいろありましたけれども、結果的には、そうした厳しい制約の中で、委員も御指摘いただきましたけれども、ベストなものをつくった。委員の評価は違うかもしれませんが、私なりにはベストなものをつくらせていただいたというふうに自負をしています。

 プロセスの苦労をしゃべっても余り建設的ではないと思いますので、その点は割愛をさせていただきたいと思います。

山口(俊)委員 結果としては、大臣としてはそういうことでしょうが、本当に腹立たしい思いで、よくぞあんなことを言うなと思いながらおやりになったんだろうな、こう思うわけであります。

 それで、先ほども質問があったんですが、よく民主党の方は、二十三年度予算が初めて、民主党政権になって取り組んだ本格的な予算だ、こうおっしゃるわけですけれども、本当に大臣、そうお思いですか。

 二十二年度予算、あれだけ私ども苦労して、当時、麻生内閣のときに概算要求をやったんですが、全部チャラにしましたよね。本当に本格的なことをやるんだと当時やったわけですが、二十二年度予算というのは仮免だったんですか。

野田国務大臣 恐らくこれは時間的なものの話だと思うんです。

 平成二十二年度予算は、平成二十一年度の予算を参考にしながらも、そして要求を出していただくのをもう一回出し直していただいて、十月十五日までに予算要求していただいた後に、だから、通常よりは半分ぐらいの期間で予算編成をしたということでありますけれども、民主党を中心とする政権で予算を組んだことは間違いございません。

 今回は、平年度のペースと同じように、八月末までに要求を出していただいて、そして、時間をしっかりと保ちながら予算編成をするという意味では初めての落ちついた予算編成であったという、その違いだけであって、私どもが責任を持って予算を組んだという意味では同じでございます。

山口(俊)委員 そのとおりであって、私はいかにも、二十二年度予算は麻生内閣の残滓のもとに中途半端なことしかできなかった、逃げにしか聞こえないわけですよ。そこら辺は、さすが大臣、しっかり御自覚を持ってやっていただいておるようでありますので、ともかく、政権を持っておるんだというしっかりとした自負心、責任感を持ってやはり取り組んでいただきたい。後ほど公債の話にも触れますけれども、それとも関連をするんですが、やはり、逃げるんじゃなくて正面から正々堂々と取り組んでいっていただきたいということであります。

 それと、実は久々に、民主党さんのマニフェストのビラを拝見させていただきました。これはいいことが書いてありますね。「国の総予算二百七兆円を全面組み替え。」「税金のムダづかいと天下りを根絶します。」議員の世襲と企業団体は禁止をし、衆議院の定数を八十削減します。いろいろ並んでいますが、これは本当に、確かにすばらしい、これはいいなというふうな感じさえ受けるような中身なんですが、果たしてこれはできましたか。

 とりわけお伺いをしたいのが、二百七兆円の全面組み替えですね。あるいは徹底した無駄排除、仕分け等をおやりになったわけですが、それによってマニフェスト等のための必要な財源、プラス十六・八兆ですね、これはできましたか。

野田国務大臣 基本的には四年間で完成できるように努力するという、今、プロセスでありますけれども、その中で、マニフェストの安定財源は、三・六兆のうち歳出削減が二・三兆、税制改正が一・三兆という中で、安定財源を確保させていただきました。その後、例えば自然増を賄うとか含めて、トータルで約十兆ぐらいの歳出削減はできているというふうに思います。

 ただ、目標に掲げている分については、まだまだ道は遠いということは事実でございます。

山口(俊)委員 当時本当に、一昨年は、今でこそ十六・八兆ということになっていますが、全体を組み替えたら二十兆や二十五兆、簡単に出てきますよということが横行していたわけですよ。私もよく申し上げておるんですけれども、一昨年の選挙の折に、地元のテレビ局の討論会等々ありますよね。財源ないでしょうと言っても、いやいや、無駄がいっぱいありますと。いやいや、組み替えたらもう二十兆、三十兆、すぐに出てきますと言い切ったわけですよね。それである意味では押し切られたというふうな部分がありました。

 それだけにやはり非常にこだわりを持つんですが、あの当時、すぐにでも少なくとも十六・八兆は出るんじゃないかということを国民の皆さんは思ったわけです。あるいは、無駄ばかりだから二十兆やそこら簡単に出るんだろうなと思ったわけですね。

 やはりそういったところに対する、あの当時そういうことをおっしゃった責任が一つおありになるんだろうと思うのと、では百歩譲って、四年間としましょう。これは、副大臣としても財政にかかわってこられた、大臣として今先頭に立ってやっておられる。四年間で十六・八兆、できますか。

野田国務大臣 精神論だけでは通用しないと思います。ハードルは高いというふうに認識しています。

山口(俊)委員 ハードルは高いというか、恐らく今のままでは無理だというふうな思いがおありになって、そういった発言になったんだろうと思うんです。

 やはり多くの国民の皆さん方は、今の十六・八兆もあるわけですが、同時に、いろいろなマニフェストをお書きになった。約束違反だ、うそをつかれたと思っておるわけですが、財源に関して思うとおりいっておらないというのは、もう大臣が一番よくおわかりなんだろうと思うんですね。

 これは私、よく不思議に思うんですが、わかっていてああいうことをおっしゃったのか、あるいは、できると思ったけれどもいざ政権をとったらできなかったのか、さあどっちなんだろうかなと思うんです。

 去年ですか、民主党の菅さんだったかな、いや、仙谷さんですかね、ある方が、やってみてわかったみたいなことをおっしゃったわけですが、大臣、いかがですか。

野田国務大臣 随分、評価としては、私どもの努力を相当低くされていると思うんです。私どもも、公表した数字に比べると、という思いはあるんですが、たださっき、財源として約十兆円ほど確保したという話をしました、マニフェスト以外の部分で。

 その内訳が、歳出削減で二年間で約二・六兆です。いわゆる埋蔵金、これは定義が難しいんですけれども、特例法等に基づくものでという位置づけでいくと、二十二年度と二十三年度で約九兆円、特別措置の見直し等で一・三兆円ということで、ちょっと重複がありますけれども、約十兆円程度の入れかえというのはできてきているというふうに思っています。

 ということが、低い評価なのか、まあ、もっと高い目標であったことは事実でありますけれども、今、引き続きその努力をしながら、やはり、目標に掲げたものについて我々がどこまで努力をしてどれぐらい結果を出したかを国民に正当に評価していただくことが大事だというふうに思います。

山口(俊)委員 少なくとも私が見る限りは、やはり、十兆という話もありましたけれども、十六・八兆どころか、埋蔵金頼りというか税外収入頼りというか、ともかく、つけさがしておかしなことにしてしまったなという思いが強いわけですね。そういったことが恐らく、やはり今の内閣の支持率の低下ということにもつながってきておるんだろうと思うんですね。

 そういった面で、では、さっきも若干、徳田委員の方からも話が出ましたが、公債発行の件についてお伺いをしたいと思うんです。菅総理はこの件は大変疎いらしいので、野田大臣だったら大丈夫と思いますので、お伺いをしたいと思います。

 さっき話が出ておりましたように、四十四兆ということですが、これはもう御案内のとおりで、税収の四十一・九兆をはるかに上回ったということですね。これはもう御承知のとおり、民主党政権になって二年間続けてこういうことがあったわけですね。かつて、一九四六年ですか、戦後のどさくさといいますか、それこそ財政なんて言えるような状況でないときに一回だけやっているんですよね。

 ちょいちょい言われる話が、今の借金というのはかつての政権がやってきたんじゃないかという話もちょいちょい出ます。しかし、当時私どもとしては、やはり税収よりも多い借金というのはだめだということで、必死の思いでやってきたわけですよ。功罪いろいろあるんでしょうけれども、私が褒めたらおかしいのかもわかりませんが、小泉内閣のときも、三十兆ということで、それこそいろいろな問題があったんだけれども、必死の思いでやってきたわけですね。

 そういった努力が今回残念ながら見られないというふうな思いなんですけれども、先ほども若干お話があったんですが、この四十四兆の根拠、これをちょっとお聞かせいただきたい。

野田国務大臣 委員御指摘のとおり、税収よりも国債発行が上回るというのは昭和二十一年以来であります。財政の統計をずっととっていますけれども、日露戦争のときでもなく、大恐慌のときでもなく、昭和二十一年が、分母が税収、分子が借り入れでいくと、一四六%でした。

 というような異常事態が、今、平成二十一年度以降動いている。予算ベースでいうと、民主党の政権になってから、平成二十二年度、平成二十三年度がそうでありますけれども、実態は、平成二十一年度の決算ベースからで、そのときに国債発行を五十二兆やっていますので、税収が三十兆円台でしたから、そこから抜け出そうという歩みの途中ですが、まだ異常事態が続いていることは事実であって、税収よりも新規国債発行の方が多いという状況です。

 二十二年度が四十四兆で、二十三年度また四十四兆ということで、国債発行の抑制がきいていないように見えるかもしれませんが、税収が三兆円ちょっと上振れましたけれども、税外収入が同じように三兆数千億へこんだ分、結果的には国債発行額を大きく抑制するまでには至らなかったということであります。

 ただ、中期財政フレームの、歳出大枠の七十一兆円、そして新規国債発行四十四兆円以内には抑えるという目標はクリアできましたので、ぎりぎり財政規律の堅持はできたというふうに思っています。

山口(俊)委員 これは今もお話があったんですが、では民主党政権になってどれぐらい国債がふえたんだろうかなと。

 例えばの話が、これは新聞にも出ておりましたけれども、国の総予算も二百二十兆に膨れ上がっているわけですよ。民主党さんになって、特別会計ですか、十三兆円ふえて、合わせて二百二十兆になったということなんですが、ふえた理由というのは、一つは社会保障の自然増もあるんでしょうけれども、主としてマニフェスト関係なんだろうと思うんです。

 そのことに関して、二百二十兆に膨れ上がったということ、それと、民主党政権になってどのぐらい国債がふえたのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

野田国務大臣 いわゆる純計ベースの歳出が、二百七兆と言っていたときに比べて今二百二十兆というのは、委員の御指摘のとおりであります。

 そのふえている要因は、一般会計が三・数兆だったと思います。その内訳は、国債増とか社会保障の自然増です。別にマニフェストでどうのということではございません。

 特別会計が約九兆円ぐらいふえていますが、これは、いわゆる財投債の発行と、あるいは債務の償還等で、直接的に財政が悪化しているという指標とは別でございますので、マニフェストとの関連でとらえることは妥当ではないというふうに思います。

 民主党政権になってからどれぐらい借金がふえたかという意味では、新規財源債でいえば、いわゆる二十一年度の補正の第二次からが我々の政権であります。これが、四十四兆だった自民党、公明党政権の国債発行に、実質的債務、決算ベースで八兆ふやすという形になったと思います。そして、平成二十二年度は、補正での国債は入れていませんので、当初予算と同じベースの四十四兆であります。そして、今現実、御提起をしている平成二十三年度の予算で四十四兆でございますので、合わせて、新規財源債に限れば百兆弱、九十六兆ではないでしょうか。

山口(俊)委員 やはり、我々は当時から、ともかく税収を上回る借金というのは、これはもう絶対禁じ手なんだ、それをやると、それこそ坂道を転がる雪だるまのようになるぞということで十分気をつけてきたわけですが、これはマニフェストだけのせいじゃないんでしょう。

 だけれども、例えば私ども、組み替えの概略として今回自民党から出させていただいておるんですが、例えば子ども手当をやめれば、三兆円近く浮くわけですよね。そういったいろいろなところで、少しでも国債発行を減らすというふうなことも考えながら出させていただいておるわけです。やはり、そういったことも念頭に置きながら、予算というのは見ていかなきゃいかないんだろうと思うんです。

 今回、さっきもちょっと申し上げたんですが、四十四兆も、結局はやはり、いわゆる必要に迫られてみたいなお話でしたよね。もうちょっときちんとした根拠があって四十四兆というのが出てきたのかなとか思ったんですが、ある方は、麻生内閣のときに四十四兆だからと、ぽろっと、ある方というのは、前財務大臣がおっしゃったわけですけれどもね。それは、さすが野田大臣はおっしゃらなかったんですが、やはり少しでも国債発行を減らすということを、もうちょっと我々が見てわかるような形、これだけ頑張ったというのが残念ながら見えないような気がするわけです。

 そこら辺の御指摘をしておきたいのと、民主党のマニフェスト、さっきもお話を若干させていただきましたが、これの実現と今後の予算編成についてお伺いをしたいと思います。

 これは、既に出ておりますペイ・アズ・ユー・ゴーの原則にのっとってというふうなことでありますけれども、とりわけ子ども手当あるいは法人税減税、あるいはまた、これは私は問題だと思うんですけれども、年金の国庫負担二分の一の財源等々をごらんになって、大臣として、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのはしっかり守りながら、財政規律を考えながらやったんだと胸を張っておっしゃれるのかどうか。

野田国務大臣 二十三年度予算の歳出面においては、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則に沿ったものになったというふうに思っています。

 歳入面については、胸を張って言えるかどうかというと、一つだけやはり原則から外れたところがあります。法人実効税率の引き下げの部分は、見合いの財源確保を十分してという形ではなっておりません。それは、率直に平成二十三年度の税制改正大綱の中にも書かせていただきました。

 ただ、これは、デフレ脱却と、きちっと日本経済を成長軌道に乗せようという思い切った政治判断ということでございまして、その意味では、法人実効税率引き下げについては、ペイゴー原則からは例外として外れたというふうに思っています。

 それから、御指摘の基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる部分の臨時財源の手当てでありますが、これは、いわゆる公式なペイ・アズ・ユー・ゴー原則だと、歳入も歳出も新しい施策を行えばということなんですが、新しい施策ではないという意味では、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則からは外れてはいるというふうに思っています。

山口(俊)委員 大変正直なお話をいただきました。いや、そこら辺、ごまかした答弁をなさるのかなと思ったんですが。

 やはり、ある意味こじつけなんですよ、これは新規じゃないからいいのよと。あるいはまた、子ども手当もそうなんですね。これはいいのよという話には、なかなか常識的にはなりにくいんだろう。まあ、大臣は正直におっしゃったので、あえてこれ以上は聞きませんけれども。

 これも、国家戦略室の作成の資料を拝見して、大臣のおっしゃるとおり書いてあるわけですよ。歳出に関しては守られておる、歳入に関してはちょっとね、こういうふうなことが書いてあるんですが、実感として、決して今回の予算は守られておらなかったんじゃないかなという思いがしてならないわけですよね、さっきおっしゃった本音ベースで。そこら辺を一つ御指摘をしておきたいというふうなことであります。

 さっき大臣は、予算が大変窮屈で、結果として国債発行四十四兆等々のお話の中で、マニフェストに書かれた施策が直接的な原因ではないというふうなお話をおっしゃったわけですけれども、私は、全体を考えると、もうさっきも申し上げたように、子ども手当、例えば今のまま一万三千円で置いておくと、あと非常にリーズナブルにできるわけですよね、大臣もちょっとそんなお話を予算編成の経過で発言なさっていましたけれども。無理やりマニフェストを強引にやっていくというのはどうなのかなと。

 財政に責任を持つ、同時に限りない危機意識を持っておられる大臣としては、例えば、国民の皆さんごめんなさい、今の財政状況ではちょっと待ってください、二年間待ってくださいとか、凍結とか、何かそういうことはお考えにならなかったんですか。

    〔委員長退席、大串委員長代理着席〕

野田国務大臣 まず、基本的な政策的な立場で御理解いただきたいんですけれども、子ども手当自体は、私は政策としては必要なものだというふうに思っています。

 子供の育ちを社会全体で育てるということは、私は大事なことであって、江戸、明治、そのころに来た外国人の方が一番日本を評価するのは、子供をしっかり大切にしている国だということに感動したということがございました。私は、その視点というのは今の時代にも通用するし、その意味からも、経済的にもこういう形で、国民の生活を直接支援する形になるかもしれませんが、そういう努力は必要ではないかなと思っています。

 問題は、その規模をどこまで高めていくかであって、政策的には意義があっても財源が見つからない場合には無理をしないというのが、私は正しい方向ではないかと。

 だから、子ども手当とかが、よくばらまきかという御批判をいただきます。これは私は、見解の相違が、仕方ないな、あるなと思います。問題は、どうやって財源を確保してそれを実現していくかであって、財政破綻につながるような、財政健全化の道筋から外れるようなやり方はとるべきではない。そのことは、きちっと財源見合いの中で、どうやって国民に御説明をしていくかということが大事な観点ではないかなというふうに思います。

山口(俊)委員 正論だと思いますね。そういうことなんですよ。だけれども、私も見解の相違で、これはやるべきじゃない、無駄だ、あるいは国民の皆さん方も、例えば高速道路の無料化にしても、しなくていいんじゃないかという方が大半ですよね。そういったことに対して、やはりしっかり踏み込むべきじゃなかったのかなというふうな感じがするわけであります。

 ちょうど子ども手当の話が出たので、あえて申し上げますが、やはり見解の相違があるわけですが、例えば、今のような政治状況の中で、大臣、提案なさったらいいんじゃないかと思うんですが、もう児童手当に返るわけですよ。そのかわり手厚くする。恐らく公明党さんも我々も、むむっとなるんですよね。メンツにこだわらずに、では本来の趣旨はどうなんだということで、せっかく大臣も予算編成の経過の中でなかなかいい発言をしておられたわけですから、そこら辺、メンツにこだわらずに、思い切って、ばしっと、いかがですか。

野田国務大臣 山口委員とか公明党の先生方に、むむっとした議論をここでやると、財務金融委員会でございますので、やはりしっかり今の政府の姿勢をお伝えしながら議論を進めさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、冒頭申し上げたとおり、予算と、関連法案はこれからの御審議になりますが、私どもは限りある制約の中でベストを尽くしたという気持ちです。ただし、やはり物事は成就しなければいけないわけですから、いろいろな意味で聞く耳は十分に持っているというふうに思っています。

山口(俊)委員 ちょっと刺激的な感じはあったんですが。

 それでは、もし、というか今の状況だったら、九割九分九厘、子ども手当法案は通りません。あるいは、少なくとも年度内執行は無理です。財務省として、ではもし、もとの児童手当に戻った場合、一つは、当然ソフトの変換等々の予算措置が必要になるんだろうと思うんですね、市町村、都道府県に対して。そこら辺の御準備を始めておられたらいかがでしょうか。

野田国務大臣 基本的には、子ども手当の考え方は、見解の相違と何回も申し上げておきますけれども、私どもは正しいと思っています。

 私も子供が今二人いて、それぞれ、もう大学一年生、高校一年生ですが、この子たちの育ちを見ていて一番感動したのは一歳ぐらいのとき、はいはいしていたときから立ち上がろうとする瞬間で、父親も母親も教えないのに、おじいちゃん、おばあちゃんも教えないのに、子供は立ち上がろうとするんですね、痛い思いをしながらも。

 ずっと寝たきりの方が楽だという赤ちゃんはいません。子供は伸びよう伸びようとしているんだと思います。それを受けとめる社会にしたいという思いを込めた政策なので、基本的に大事だと私は思っています。

 ただし、その法案審議がまだ本会議にもかかっていない時点で、子ども手当が通りそうもないから何かの準備をする話というのは、現時点ではとてもできないというふうに思います。

山口(俊)委員 私も一応政権の近くにいたものですから、言うこととやることが若干違うんじゃないかなというふうな思いはいたします。大臣としても大変でしょうけれども、いろいろなことを想定して、しっかり対応していくということが大事なんだろうと思います。

 そこで最後に、さっきもちょっと出たんですが、大臣としての思いというのはおおむねわかっておるつもりではありますけれども、民主党内にいろいろありますよね。さっき出た、十六人の造反された方々ですか、私もかつて造反経験がありますのでいろいろな思いがあるんですが、そこら辺の調整ですよね。民主党はどうするんだろうか、それを受けて政府はどうするんだろうかというふうなことを、恐らく国民の皆さんも心配なさっておられるんだろうと思うんです。

 岡田幹事長は、マニフェストの検証というふうなお話もしておられます。検証というのは何なんだろうかなと思うんです。私どもは恐らく見直すんだろうと単純に考えておるんですが、そこら辺の調整と、今後政府としてどうするのかということをちょっとお聞かせいただきたい。

野田国務大臣 いわゆる衆議院の任期では折り返し点なので、九月までの間に、これまでお約束したマニフェストの、恐らく進捗状況などを把握しながら、どこまで何ができたか、できていない部分についてはこれからの見通しも含めて、そういう意味で検証をするということだと理解していますけれども、社会保障と税の一体改革はそれに先行してスタートして結論を出さなければいけませんので、九月までに一斉にすべてが、例えば通常国会が終わってから始まるというわけではなくて、九月ぐらいをめどにしながら、社会保障あたりからは先行しながら検証の議論が進んでいくということです。

 だから、四月に社会保障の姿と方向性を出すわけですから、そこから九月まで、恐らく数カ月かけて全体の、進捗の管理を含めての検証が行われるというふうに思います。

山口(俊)委員 大臣に期待させていただきたいのは、さっきからちょっと申し上げておるように、予算編成の過程から結構、大臣はいいことをおっしゃっているわけですよ。だから、ここは財政を考えると無理ですよ、こんなの到底上積みできませんよとか、高速道路はもういいじゃないですかとか、そこら辺の思い切った御発言をしていただいて、すっきりした形にしていただきたい、国民から見てわかりやすい形にしていただきたい。いやもうちょっと待ってください、やり始めたばかりですから四年間待ってくださいとか、そういうのじゃなくて。

 恐らく、賢明な大臣はおわかりになっていると思うんですよ。今のような財政状況、毎年一・三兆ふえていく。それも私は少し甘いんじゃないかと思うのが、今、恐らく大臣もお読みになったと思うんですが、「デフレの正体」という新書本が出ていますよね。私も読みました。やはり、パーセントではなくて、絶対数というのは大事だな。社会保障に関する需要というのは爆発的にふえていく可能性があるんじゃないか。これはこれから本当に大変なことが予測されるわけなので、そこら辺はしっかり見通しながら、あえて、馬謖を切るんじゃありませんね、あえていろいろな意味で発言をしていただいて、しっかりしたものをつくっていただきたいというふうなことであります。

 それから、これもよく話が出るわけでありますが、予算関連法案が成立をしなかった場合の影響ですね。私も資料をいただきました。事細かに書いてありますが、これは、とりわけ大臣があちこちで、予算関連法案が成立しないと大変だよというふうなお話をなさっておられるわけです。

 実際問題として、例えば公債特例法、さっきも玄葉大臣のお話も申し上げましたが、玄葉大臣が言うのももっともなんですよ。ある意味で、極端な話をすれば、六月までは大して国民生活に影響を与えない形で動かせるわけですよね。最近になって、これもこの間の「日曜討論」で玄葉大臣がおっしゃっておりましたけれども、むしろ、国債の金利だとか、あるいは株価だとか、そういった市場に与える影響が大変大きいんじゃないかというふうな発言にちょっとシフトしてきているような気がするんですが、あわせてちょっとお考えを聞かせてください。

    〔大串委員長代理退席、委員長着席〕

野田国務大臣 余りワーストのシナリオの話を殊さら言うのもどうかなという気がしながらも、御指摘のとおり、例えば特例公債法案が通らなかった場合、実体への影響はやはり過去にない大きさだと思うんです。先ほどの御質疑の中でも答弁をさせていただきましたけれども、全体の四四%を今回特例公債法案の中身が占めていますので、やはり予算執行の上で大きな影響が出てこざるを得ません。その分、日本経済、国民生活に甚大な影響が出るということが予想されますので、そうならないように全力を尽くすとともに、最近マーケットへの影響を言及し始めているというんじゃなくて、もし通らなかった場合はずっとマーケットへの影響も、それぞれ発言者は言ってきていると私は思っています。

 少なくとも、私もG20に出ている以上、それぞれの各国の下振れリスクというのがあるんですが、欧州のみならず、当然、財政の問題が信用不安になりかねないという危険性は常にありますので、財政規律は守っている、そしてしっかり財政健全化の道筋をたどっているということをマーケットと対話していくということを、殊さら、私どもは気をつけていかなければいけないなというふうに思います。

山口(俊)委員 質問主意書に政府がお答えいただいたように、六月までは執行できますというふうなお答えもあるわけです。もちろんいろいろなところにいろいろな弊害は出てくるんでしょうが、政局をにらむ余りに、余りおどしをかけるといいますか、あおるというのは、逆に悪影響を及ぼす可能性があります。そこら辺は、やはり十分注意して御発言をいただきたいなと。

 とりわけ、国債金利だ何だという話は、あるいは株価だどうだという話は、むしろ菅さんが一言言うたびに価格がこうなるわけですので、もっとそっちの方が大事じゃないかなという思いがするわけですが、いずれにしても、そこら辺も我々はしっかりにらみながら議論をして、法案の賛否等々に対しても結論を出していきたいと考えております。

 そして、私も地方の問題をずっと、ある意味でライフワークみたいにしてやってきておるので、とりわけ気になるのが今回の一括交付金ならぬ地域自主戦略交付金ですが、五千百二十億。

 これは皆さん方、胸を張って、いわゆるひもつき補助金をやめて地方が自由にできるお金をつくりました、一括交付金です、自主的にやってくださいとおっしゃるんですが、大臣、査定のときにどういうことをおっしゃったのかわかりませんが、これは九分野に限定ですよ。しかも都道府県ですよね。しかも九割は継続事業ときているわけですよ。これはどこに自由度があるんですか。さっぱりわかりません。

 そこら辺、これは一義的には内閣府等々の話なんでしょうけれども、内閣府設置法が通らなければまた財務大臣の出番になるかもわかりませんので、ちょっとお考えを。

野田国務大臣 九分野であります。都道府県であります。五千百二十億です。その意味では、まだまだじゃないかと思われるかもしれません。総務副大臣ですから、私から言うのも釈迦に説法で、総務分野は本当にお詳しいと思いますけれども。

 それでも、こういう一括交付金をつくろうというのでも、各省から上がってきたのは九分野で二十八億円だったんですね。それを何とか何とか、政治主導で引っ張り上げて、五千百二十億まで予算計上するまでに至りました。

 九分野でありますけれども、その九分野については都道府県が自由に使える、その範囲においてはですね。そこはやはり各省からの影響を除くことができますし、いわゆる箇所づけのような事前審査を廃しながら、まずは継続事業ばかりかもしれませんが、スタートを切ることができました。

 まずは、これは投資型の補助金からこういう形で都道府県でスタートしますが、次は市町村に対する投資型のものを次の年度には一兆円にふやしていく、その後には経費型の補助金をという形で、だんだん着実に拡充をしていきますので、その拡充し終わった暁には相当程度に、地方にとっては自由に使えるお金になるんではないかなというふうに思います。

山口(俊)委員 だんだんやっていくということ、これは片山大臣もそういう御答弁をしておられましたけれども、しかし、今回に限って言えば、自由度というのは限りなくゼロです、継続事業ですから。ですから、やはりこれは明らかに羊頭狗肉というか、もう少し慎重な言い方にしていただきたいなというのがあるわけです。

 もう一つお伺いしたいことがありまして、これは早い時期に、当時財務大臣だったんですかね、菅さん、総理が、これは一括交付金にすると、たしかお金が二割は浮くよという話ですよ。たしか小沢さんはもっとすごいことをおっしゃっておられましたね。野田大臣もたしか、一割程度は削減、縮減できる、節約できるというふうなお話をしておられるわけですね。これは地方から見るととんでもない話なわけなんですね。

 かつて小泉内閣のときに、ちょっとよく似た話がある。よく似たというか、いつの間にか減っちゃったねということがあったわけなんですが、そこら辺も今地方は一番注目して見ているわけです。

 当時、菅大臣の御発言、そして現大臣の御発言もあるわけですが、そこら辺をどうお考えになっておられるのかということと、今回の地域自主戦略交付金の中でどれだけ節約なさったんですか。

野田国務大臣 昨年の我が党の代表選挙で、確かに、この一括交付金について、どれぐらい財源が浮くかという議論があったことは事実でありますけれども、この一括交付金化の目的は、もともとはやはりそれぞれの自治体がいかに自由裁量のもとでお金を使えるようにするかが主眼であって、その選択権が出てくる中で、効率的な実施をしながら多少財源確保できるというのが、多分、結果論として出てくるんだろうと思います。

 今回どうなったかについては、各省からのいわゆる上がってきた金額、二十三年度の要求・要望額ベースで約五千四百億円でございました。結果的に、五千百二十億円の予算措置を今お願いしているわけでございますので、約三百億円の縮減であります。ということは、全体としては約六%減という形になりました。

    〔委員長退席、大串委員長代理着席〕

山口(俊)委員 財務大臣としてやはりそこら辺はお約束をしていただきたいのは、あくまで結果なんですね。最初から中抜きみたいなことをやるような御発言が、大臣じゃないですよ、他の方からあったものですから、そこら辺は、当然、財務大臣としてしっかり取り組んでいただきたいということであります。

 さらに、今回は恐らく自由度なんというのはほとんどないものですから、こういう整理で終わったと思うんですが、これは本当の意味での一括交付金というんですか、まさにこの自主戦略交付金が何にでも使える、しかも、例えば一兆、二兆、三兆、数兆になってきた、これは交付税じゃないんですか。これは財務省としてどういうふうな位置づけになるわけなんでしょうか。

野田国務大臣 交付税となった場合には、まさに地方固有の財源で、地方固有の財源ですから何でも使えるということだと思います。

 今進めているいわゆる地域自主戦略交付金、一括交付金とは、補助金改革の一環であって、ひもつきを改めて、補助金型の従来の各省のひもがついていない、自由度の高い補助金という形で、一括交付金と地方交付税は、やはりその意味では性格が違うのではないかなというふうに思います。

    〔大串委員長代理退席、委員長着席〕

山口(俊)委員 自由度の高い交付金ということで、ただ、片山大臣もおっしゃったと思うんですが、とりわけ菅総理は、何にでも使える、地方のまさに裁量でどうとでもできるようなお金を一括交付金としてお渡しをします、ひもつき補助金はやめますというふうなお話なんですが、ちょっとニュアンス的に、今大臣がおっしゃったのと違うわけですよ。

 それは私もそうなんだろうと思うのは、本当に自由にどうぞというお金を渡すというのは、やはり財政法上というか、これはどうなのかなという気がするわけですね。そこら辺、もうちょっと整理をしてお答えいただければ。

野田国務大臣 今御議論いただくいわゆる地域自主戦略交付金、一括交付金というのは、もともとの対象事業が九つあった。その範囲の中で、文科省の出した補助金の枠でも今度は環境省分でもやってもいいですよとか、国土交通省の枠でやっていた分も、五千百二十億の範囲ではほかの省の枠もやってもいいですよという、もとの事業の範囲の中で自由度があるということで、地方交付税の場合は全く使途は制限がないという、その違いはもちろんあるというふうに思います。

山口(俊)委員 では今後、いわゆる一括交付金というのを拡大、拡張していく中でも、基本的にはそういうお考えで財務省は対応するということでよろしゅうございますね。

野田国務大臣 この一括交付金、投資型のものから経費型のものへと進めていきます。それから、都道府県対象から市町村対象と、範囲はどんどん拡大をしていきます。その範囲を拡大しながらも、もとの事業の背景にあったものの範囲の中で自由がきくようになるというのが基本的な考え方だというふうに思っています。

山口(俊)委員 そういう整理だと交付税に影響がないんだろうなと安心をしたわけですが、一方において、一括交付金に対して、ちょっと誇大広告じゃないかという気もするわけですよ。そこら辺はもう少し閣内で整理をして、野田大臣のようなわかりやすい発言をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 地方財政に若干入りましたので、もう一点だけ簡単に。

 今回、交付税をかなりふやしたということで、とりわけ菅総理、片山大臣、声高らかにおっしゃっておられるわけでありますが、この間、交付税法の本会議のときに我が党の坂本さんからも質問させていただいたわけですが、これは財務省の細工があるんじゃないかなという気がしてしようがないわけですよ。

 税収増による、いわば交付税が自然にふえたわけですよね、去年の分。去年いろいろ議論があって、結局は三千億しか渡さないと。我々は五千億渡したらどうだというふうな話をしたわけですが、三千億で、残る一兆幾ら、これを従前どおりやりましたと片山大臣は答弁していましたが、従前どおりというのは、折半ルールもあって、いわば交付税会計に入れるわけですよね。それで、いわば赤字解消にも充てるわけですよ、これは三十数兆、物すごい赤字になっていますから。

 ところが、そういう措置をどうもしていないんじゃないんですか。ある意味でスルーして、今回の上積み分にぽんと出してきたんじゃないんですか。そこら辺、ごめんなさい、これは通告していなかったと思うので、わかる範囲で、大臣。

野田国務大臣 一般会計ベースでは四千億ぐらいは減るという形ですが、前年度の繰越分の一兆円があることによって特会の出口ではプラスになって、それが四年連続だという言い方をしていますが、その間のお金のやりくりは、特に何か奇策を使っているわけじゃなくて、ルールに基づいて対応をさせていただいたというふうに承知しています。

山口(俊)委員 済みません、思いついて質問したものですから、通告していなかったんですが。

 ただ、ルールどおりといっても、従前、我々は、やはり交付税特会もめちゃくちゃ赤字が膨れ上がってきているわけですよ、借金が。ですから、少しでもということで、税収増でそうなったときには折半ルールでやってきたわけですが、どうも今回は違うな、財務省が何か措置をしたのかなと思ったものですから御質問したわけで、これはまた別の機会に質問をさせていただきたいと思います。

 いろいろ質問もさせてきていただいたわけでありますが、やはりこれから、いつからかわかりませんけれども、予算関連法案の審議に入っていくんだろうと思います。ただ、やはり賛成いたしかねるというふうな部分が多いというか、思いがするわけであります。

 ただ、これは一方において、先ほど来議論させていただいたように、国民生活というものがある、日本の経済というものがあるわけですね。徳田さんの質問に対して大臣も明確に、予算を、あるいは予算関連法案を通す責任というのは一義的に与党にある、我々にあるというふうなお話でした。そのとおりですね。

 ですから、今回、こういうお話をするのはまだ早いかもわかりませんが、やはりもう少し詳しい組み替え動議というか案というのを我々も用意します。公明党さん等も出されておられるやに聞いております。そこら辺、やはり謙虚に、さっきのマニフェストじゃありませんが、通すためには、国民生活を守るためにはこれしかないというふうな局面が恐らく来るんだろうと思うんですね。そういうときに、丸のみとは言いません、野党の案を大幅に取り入れて、国民生活を守る、日本経済を守るというふうなことはちょっとでもお考えですか。

野田国務大臣 中身を見ないとわかりませんが、何か御提案が出てきたときには真剣に目を通させていただいて、しっかりと議論させていただきたいというふうに思います。

山口(俊)委員 概略はもう出させていただいております。恐らく資料としてどこかに入っておられるんだろうと思いますので、また詳しくは、別途、今、自民党政調の中でも作成中でありますので、そういったことになろうかと思います。

 もう一点、さっきも申し上げたのですが、マニフェストがこういう状況にある、予算がこうだ、国会の状況はこうだ、いろいろな状況を見て、実は、先般の世論調査等々で、すとんと支持率が下がったわけですね。私は、ある意味で国民の皆さん方がノーとおっしゃったんだろうと思うんです。もちろん、世論調査の数字だけで一喜一憂しないというふうなことなんでしょうけれども、やはり、そういった意味で、さっき申し上げた野党案というのをもう丸のみするという方法もあるでしょう。もちろん三分の二を模索するというのもあるでしょう。

 もう一つ御提案申し上げたいのは、これはもう内閣のかなめたる野田大臣であるからお話をするんですが、もう一つあるのが、国民生活に迷惑をかけないためには、今、統一地方選挙を前にして、各県の予算編成をやっていますね。選挙のあるところの知事さんというのは、暫定を組むわけですよ。選挙が終わって、しっかりした上積みというか、完全なものにしていく。

 一番迷惑をかけないのは、暫定をお出しになって、解散をして、その後、責任を持って、政権をとったところがちゃんとした予算をつくる、これはいかがでしょうか。

野田国務大臣 委員御指摘のように、関連法案の中には地方交付税もあるんですね。四月四日が概算交付のはずなので、関連法案は本当に地方にもいろいろな影響が出てくると思います。

 だからこそ、特例公債のみならず、すべての関連法案をしっかりと私ども御審議をいただいて、御説明をして、御賛同いただくというのが筋であって、解散については、これはもう総理の専権事項でございますから、私が言及するのは妥当ではないというふうに思います。

山口(俊)委員 当然、総理の専権事項です。ただ、いろいろな考えを持つのは各大臣の自由でありますし、事実、例えば岡田幹事長もいろいろな御発言をなさっておられますね。今は解散するような時期じゃないとか。当然、大臣はいろいろな思いがおありになろうと思います、お伺いはしませんが。時間も終了してしまいました。

 ただ、私はあえて申し上げておきますが、岡田幹事長、首をすげかえたら国益に反するとか、いろいろなことをおっしゃっておりますけれども、むしろ、首をすげかえないで今のままやっていく方が、私は国民生活にとって大変な悪い影響を及ぼすのだろうと思いますし、解散をしないというのも、むしろ悪い結果をもたらすのだろうな、こう私は思うわけです。別にお伺いはしません。

 いろいろ大臣にお伺いさせていただきました。予算編成のときのいろいろな御発言というのは、実は大変、私は印象的だったものですから、どうかしっかり頑張っていただきたい、我々も我々の立場でしっかり対応していきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

石田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。私、財務金融委員会での質問は実は初めてでございまして、きょうは、教えていただきたい、こういう姿勢で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、自見大臣に金融政策についてお伺いしたいと思います。

 所信表明を読ませていただきまして、私、特に印象を強く持ったのは、新成長戦略についてでございます。

 新成長戦略の中に、金融戦略が七つの戦略分野のうちの一つとして挙げられている。この戦略は二つから成っていて、一つは、実体経済を支えること。これはある意味で当然のことだと思います。実体経済を支える金融。それからもう一つが、金融自身が成長産業として経済をリードすること。これは何となくわかるんですけれども、金融セクターが大きく利益を上げて伸びるということは非常に大事なことだと思いますが、いま一つわかりやすく、この金融自身が成長産業として経済をリードすることということはどういうイメージなのかということを教えていただきたいと思います。

自見国務大臣 斉藤鉄夫議員にお答えをさせていただきます。

 以前、政党は違いますけれども、同じ政調会長として斉藤議員に大変御指導いただいたことを感謝いたしております。

 今先生の質問でございますが、金融自身が成長するんだということはどういうことかということを御質問ですけれども、イメージとしてはなかなかわきにくいこともあると思います。また、三年前はリーマン・ブラザーズ、リーマン・ショックがございまして、金融自身が非常に無秩序に大きくなり過ぎると、企業の中でもリスクをコントロールできない。ましてや、まさにリーマン・ショック、今さっきどなたかの質問にもございましたように、当時、日本の輸出も四〇%減ったということが、日本にも大変大きな、実体経済にも影響を及ぼしてきたわけでございます。

 こういうことを言うと、また非常に、そういった時代に戻るのかというような誤解を受けがちなんでございますが、そうではなくて、いろいろ考えていることもございます。

 一例を挙げますと、例えば総合取引所ですね。これはもう御存じのように、マーケットというのは、株式のマーケット、これは以前からございますが、あるいは、例えば商品の取引所。これはもう斉藤先生御存じのように、商品については、農産物だとか鉱物がございますね、原油の取引だとか。それから、農産物については、いろいろな農産物の商品取引、先物取引所なんというのがいろいろございます。

 これはもう先生御存じのように、伝統的にマーケット、株式あるいは債券の市場というのは、昔でいう大蔵省、今は金融庁の所管でございます。それから、鉱物の、原油だとかレアメタルだとか、そういったところの市場は、実は長い間通産省でございまして、これは産業政策の一環でございます。それから、今度は農産物の先物市場等々は農林省でございまして、これがばらばらでございまして、先生、今度は、非常にアラブでいろいろな今多くの混乱が起きておりますが、その背景にはやはり農産物の高騰があるんじゃないかということも言う人も一部おられます。

 確かに、今、農産物が非常に全世界的に値上がりしておりまして、そういったことを、本当に大事な問題でございますから、金融はこの七つの成長戦略の一つとして、例えばそういったことを全部あわせて、なかなかこれは、先生御存じのように、省庁の壁がございますし、長い間の歴史と伝統がございますが、それらを超えて、政治主導で一つの総合取引所にしようということで、今、一生懸命水面下で努力をさせていただいておるわけでございますが、そういったことをイメージとしては考えさせていただいております。

斉藤(鉄)委員 リーマン・ショックが起きた後、このことから人類が学ぶことは何だろうかという議論があって、あのときの雰囲気としては、いわゆる虚飾の利を追い求めるそういう資本主義から、ある意味では実体経済、また人間の生活ということに基礎を置いた経済へ移らなくてはいけないんだ、そういうことをあのとき人類全体が共有したという思いがあるんですけれども、今回のこの金融自身が成長産業として経済をリードすることということが、そのときの人類の基本認識と外れてはいけないと思うんです。

 とにかく、金融というと、実体経済から一つ上澄みの部分というようなイメージがあるものですから、現実は、その下でまさに実体経済を支えている血液なわけですけれども、そういう、浮利を追い求めないという考え方と、金融自身が成長産業として経済をリードすることということが矛盾しないんだというふうに認識しなくてはいけないと思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

自見国務大臣 まさに、斉藤議員、環境大臣もされまして、非常に含蓄のある、示唆に富んだ御質問だと思っています。

 私も、基本的に先生と全く認識を同じにさせていただきまして、浮利を求めないといいますか、そういったことで、人類は三年前に、本当に痛い学習をある意味でしたわけでございます。

 しかし、そうはいっても、さっき言いましたように、金融というのは、実体経済の仲介をするのと同時に、やはりそれ自身も成長していただくということも、同時に、健全な資本主義社会と申しますか、自由主義社会においては必要なことだ、こう思いますので、そこら辺は先生たちの御指導をいただきながら、しっかり金融行政を推し進めていきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 基本的な姿勢はわかりました。

 次に、実体経済を支えることということなんですけれども、私、今、環境金融というところにちょっと着目をして質問させていただきたいと思います。

 この環境金融ということですけれども、いわゆるCSR、コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティー、つまり社会的組織、これが、経済を担う企業もそうですけれども、社会の中で生きていく上では、このソーシャルレスポンシビリティーも共有しなくてはいけない、こういう考え方のもとに、その守らなくてはいけない基準といいましょうか、最低責任があるわけです。

 いろいろな柱がありますけれども、持続可能な社会に対しての貢献をするという意味で、この環境ということもその柱の一つに、このCSR、企業の社会的責任の中に入っているわけです。何十本もあるうちの一つではない、数本の中の一つの柱に環境ということが言われております。

 そのCSRということと金融、これを結びつけて考えますと、例えば金融関係の機関は、その行う仕事がCSRを満足するような仕事の仕方でなくてはならない、こういうふうに言われております。国際的にも、いわゆる責任投資原則、これは国連環境計画の金融イニシアチブにおきまして、主に機関投資家を対象に、資産運用において、環境、それから社会、社会の中にはいろいろな意味が含まれていると思いますけれども、社会、それからコーポレートガバナンス、これらの問題に配慮することということが言われております。

 また、南北問題に関しては赤道原則というものもございまして、これは、世界銀行グループの国際金融公社というところが基本的にこれを打ち出しております。大規模な開発事業へのプロジェクトファイナンスを行う際に、環境や社会面での影響評価を行うことなどを求めるということでございます。

 これら、世界的な潮流があるわけでございますが、日本の金融のあり方として、環境、それから社会、ガバナンスに配慮するということについて、金融担当大臣の基本的な御認識をお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 今、環境問題が人類全体の大変大きな問題になってきたわけでございまして、そういった中で、大変私は時宜を得た御質問だと思っております。

 金融庁といたしましても、今、金融機関の、先生が申されましたが、企業の社会的責任、いわゆるCSR、コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティーというんですか、CSRを全うする観点から、みずからの経営判断のもとに環境に配慮した取り組みを行うことが望ましいというふうに考えております。

 先生御存じのように、銀行法という法律がございますが、銀行業は国の免許業でございまして、これは基本的に、免許を付与するということと同時に、あの中には公益性と公共性ということがきちっと入っております。そういったことに配慮して、先生もう御存じのように、持続可能な経済の発展、あるいは持続可能な企業の経営のためには、健全で本当に強力な金融機関というのが必要であるということは論をまたないわけでございます。

 しかし、そういったことで、まさにそういった企業の社会的責任ということも近年特に強まってきたわけでございますから、我が国の金融機関が自主的な判断により環境に配慮した取り組みを行うことを期待するとともに、今後とも引き続き、環境に配慮した取り組みを含め、金融機関の社会的責任を踏まえた取り組みを促してまいりたいというふうに思っております。

 先生が今、赤道原則ということを言われまして、これは世界銀行が一つつくり得た、民間金融機関も環境に配慮した投資を行わねばならない、こういったことでございまして、言うなれば自主規制的な、世界銀行が提唱した一つのルールだと思います。日本の場合も、私の記憶が正しければ、メガバンクが三つですか、赤道原則を自主的に採用しておりまして、今まさに、要するに大規模な環境破壊に結びつくような投資をすることを控えるというふうなことになっていると私記憶いたしております。

 今、大きくそういった時代でございますから、そもそも、先生が言われましたSRI、ソーシャリー・レスポンシブル・インベストメント、企業の社会的責任投資、企業への投資の際に、従来の財務分析に加えて、まさに社会や環境への取り組み、倫理性、それから企業の社会的責任を考慮して行う投資のことと承知をいたしておりますが、そういったことをしっかり、やはり金融機関が社会的責任を踏まえた取り組みをしていくようにしてまいりたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 大臣のそういう御答弁なんですけれども、しかし、日本の現状を見ますと、例えば責任投資原則では、これは国連がイニシアチブを持っておりますけれども、世界では八百以上の金融機関が入っている、なのに日本はわずか十五機関しか入っていない。

 それから、先ほど大臣おっしゃった赤道原則についても、大手都市銀行、メガバンクが三行とおっしゃっておりました。三行も入っているじゃなくて、三行しか入っていないという現状でございます。

 それから、もっとはっきりあらわれるのが投資の規模の比較でございまして、アメリカは、円であらわしますと、この社会的責任投資の規模が三百十一兆円、これは二〇〇七年です。それから、同じく二〇〇七年ですが、イギリスが百七十五兆円。それに対して日本は〇・八五兆円。けたが四つぐらい違うという現状でございます。

 これはもちろん民間企業の経営の範疇ではございますけれども、やはり金融庁としても、これは世界の中で、先ほど申し上げました、リーマン・ショックに学んで、浮利を追い求める金融から、社会に貢献する、人類に貢献する金融にということを考えますと、この実態は大変寂しいのではないかと思いますけれども、ここは金融大臣がリーダーシップを発揮されるべきではないでしょうか。

自見国務大臣 お答えをさせていただきます。

 そもそも、先生が今言われました社会的責任投資、SRIと申しますか、ソーシャリー・レスポンシブル・インベストメントとは、今先生も言われましたように、企業への投資の際に、従来の財務分析に加えて、社会や環境への取り組み、それから、今さっきも言われた倫理性など、企業の社会的責任を考慮して行う投資のことと承知しておりますが、先生御指摘のように、各国においてSRIの定義が異なるわけでございまして、実は単純な比較ではできないところがございます。

 NPO法人社会的責任投資フォーラムの二〇〇七年の年末のデータによりますと、今先生が言われたとおりでございまして、日本におけるSRI、公募投信の担い手が中心で、運用残高が約一兆円。先生は八千億と言われましたが、大体そういう額で、このデータだと約一兆円。欧米では、今言われましたように、年金基金等の機関投資家の担い手が中心で、米国ではこのデータだと約三百兆円。先生が御指摘された数字と余り変わりません。それから、欧州では約四百五十兆円というふうに推定されております。

 先生もう御存じと思いますけれども、欧米では、社会、環境問題の取り組みにすぐれた企業を一定の基準で評価する運用、ポジティブスクリーニングに加えて、宗教上の理由で、例えばたばこ、アルコール等の業種を排除した運用、いわゆるネガティブスクリーニングもSRIというふうに認識されている一方、日本では、ほぼポジティブスクリーニングのみが実はSRIと認識されているため、欧米と日本との運用残高に大きな差が生じているという実態もございます。

 しかし、そうはいっても、やはり、今先生が御指摘のとおり、非常にまだこういった機運が、以前に比べれば少し、赤道原則ということを大手でも採用したわけでございますから、一定の進歩はいたしておりますけれども、先生は環境大臣をされたから一番御存じのように、特にヨーロッパ、そういったところに比べればまだまだおくれた部分もある、こう思うわけでございます。

 環境はまさにみんなのものでございますから、一つの国のものではございません。環境、まさに地球温暖化の問題は人類益の問題でございますから、そういったことを踏まえて、しっかり金融の社会的責任を踏まえた取り組みをしていきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 これはしっかりお願いをしたいと思います。

 環境金融は、人類益という言葉がありましたが、そういう側面と、日本が持っているすぐれた環境技術を日本の競争力の核にする、そういう実体経済を強くするという面もございます。そういう面で、ぜひ今後、おくれているこの分野にリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 それから、今度は金融の本当に現場の話に戻るんですけれども、現場を歩いていろいろな方から伺った話をちょっと聞かせていただきたいと思います。

 中小企業金融円滑化法については、大変現場で喜ばれております。これは必要な法律だな、このように思っております。

 この円滑化法について、金融機関によるコンサルティング機能、これを強化させなくてはいけないということも一つの柱になっているんですけれども、現実は、金融庁が金融機関に求めている大量の開示、報告資料、これがコンサルティング機能を阻害しているという声が、特に田舎の小さな金融機関から、ごあいさつに回ると必ず聞こえてきます。

 こういう意味で、その報告内容は、受け付け状況、それから対応状況、進捗状況、個別の管理表、再建計画の有無等、既に金融機関が融資対応するに当たって掌握し、稟議をしたり、顧客別管理表等に記録しているものがほとんどであって、ほとんどが二重手間になっている、このように聞いてございます。

 今度、この金融検査マニュアルの中に金融円滑化編を新たに策定していらっしゃるということでございますけれども、今後の金融機関のコンサルティング機能の向上のためにも、開示、報告資料については大幅に合理化してほしいという声が現場からわき上がっておりますが、この点について、いかがでしょうか。

自見国務大臣 斉藤議員にお答えをいたします。

 中小企業金融円滑化法につきまして、全体的な御評価をいただきまして、大変ありがたいと思っております。

 金融機関に対しましては、貸し付け条件の変更等の実施状況や、あるいは体制整備については、定期的に、今先生御指摘のように、開示、報告を求めております。

 しかし、今、実は私も、いろいろな金融機関、あるいは地元でも、いろいろな方といろいろなお話を聞かせていただいたら、自見さん、出す資料、報告する書類も非常にふえてきている。この円滑化施行後、金融機関による条件変更等への取り組みが着実に行われることを踏まえて、今般、実は、同法に係る開示、報告の負担量の軽減に関する金融機関からの要望をできる限り取り入れる方法、私自身も、今先生言われたように、いろいろな、地元でも書類を大変たくさん書かなきゃいけないということ、特に報告のための書類をたくさん書かなきゃいけないということでございます。

 今回、私も十二月に、金融担当大臣として、円滑化法の報告資料を含めた預金取扱金融機関からの報告資料全体について、私の方から、こういうのは国務大臣をさせていただいている人間の責任だと私は思いますので、その席でもきちっと、全銀協の会長初め、大体預金取扱金融機関のトップはおられましたし、金融庁も金融庁長官初め皆おられましたので、その場ではっきり、二割、報告資料を減らせということを強く申し上げまして、そういったことは見直しをしろというふうに指示したところでございます。

 そういった意味で、今、金融機関の事務負担の軽減に向けて、先生の御指摘のとおりでございますけれども、しっかり取り組んでいるところだということを御理解していただきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 それでは、次のマニュアルではこれが簡素化されるということで、私、地元に帰って、地元の金融機関の方に報告をさせてもらいます。

 次は、これは金融庁というか中小企業庁への質問かと思いますけれども、政府系金融機関である日本政策金融公庫では、現在、特例として、公庫借入金を借りかえる際、運転資金五年返済のものを八年返済に借りかえるなど実質条件変更となる融資対応を、条件変更適用外として、債務者区分変更なしで実行できるようになっております。

 ところが、民間金融機関の場合、円滑化法を適用するということで債務者区分の変更は要求されてはいませんけれども、実際、元金返済を全額返済猶予すると、原則は債務者区分と円滑化法は分離されておりますので、金融機関はその相手の中小企業のランク、債務者区分を落とさざるを得ないという現実がある。

 政府系金融機関では円滑化法の対象外であるのに実質的に条件変更に応じてきていることを勘案すれば、民間金融機関にも借りかえ特例制度を適用させるべきではないか、そうすることによってこの円滑化法が実質的に大きな効果を発揮するんではないかという声がありますけれども、これはいかがでしょうか。

自見国務大臣 斉藤議員からそういう御質問をいただきまして、私も少し勉強させていただいたわけでございますけれども、金融機関はリスク管理の観点から、債務者の財務状況、資金繰り、収益力等の返済能力に応じて債務者区分を行っております。この取り扱いは、今先生の御指摘がございましたが、民間金融機関のみならず、日本政策金融公庫においても変わるものでないというふうに承知いたしております。

 また、金融庁においても平成二十年の十一月及び平成二十一年の十二月に、中小企業向け融資の場合、中小企業の特性を踏まえた貸し付け条件の変更を行った場合であっても不良債権とならないというふうな要件を実は拡充しております。そういったことで、先生が今御心配いただいたようなことが、民間金融機関にも同じようなルールになっているというふうに私は認識しております。

 先生御存じのように、検査マニュアルでは、債務者区分ということでございまして、これは条件を変更した場合は要注意先だということに以前はなっておりました。それから、開示のことに関します金融庁の銀行施行規則では、これは不良債権とは何かという定義でございますけれども、そこのところの貸し出し条件を緩和した債権が、以前であれば不良債権になったわけでございます。そこのところ、要件を変更いたしまして、先生が御心配のような点は、今はきちっと改善されているというふうに私は認識いたしております。

斉藤(鉄)委員 それでは、改善されている、これから改善されていくということですね。わかりました。

 それから、これは中小企業庁ですけれども、信用保証協会の保証料率ですが、二・二%を上限に保証料が九段階に分かれております。上限が二・二%、しかし、二・二%の場合はデフォルト率は六から七%ぐらいになっているということで、現場では少々保証料が高くてもいいから枠を拡大してほしいという切実な声があります。保証料や金利よりも今借りられるということの方が大切なんだ、こういう声があって、その改善が望まれておりますが、これはいかがでしょうか。

高原政府参考人 大変重要な御指摘だと思っております。

 今先生御指摘の数字につきましてはおっしゃるとおりでございますけれども、確かに、想定のデフォルトの率よりも保証料率が相当程度低いために実際には保証協会が思い切って保証を行い得ない、そういう場合もあるというふうに中小企業の方が思っておられるという声も伺うわけでございます。

 保証料率の引き上げ自体は、もちろん程度の問題はございますけれども、より多くの中小企業の方が保証を受けやすくなる面がある一方で、中小企業の方の御負担がふえる、そういう側面がございます。昔は保証料率が一・三五%の一律でございましたけれども、そういうこともございまして、十八年の四月から、現在、御指摘になった九段階の保証料率にしておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘を踏まえまして、保証協会による保証の実態をよく検証した上で、信用補完制度の財政状況にも配慮しながら、中小企業の資金繰りのための支援のために望ましい施策を、委員の御指導もいただきながら、引き続き検討あるいは実施させていただきたいと思っております。

 以上でございます。

斉藤(鉄)委員 時間が来てしまいました。

 野田大臣、済みません、質問通告をかなりしていたんですが。委員になりましたのでこれから何回も質問させていただきますので、きょうは失礼をお許しいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 初めに自見大臣に、中小企業向け金融円滑化法に関連してお聞きをしたいと思います。

 まず、この法律の目的、これを確認したいと思います。

自見国務大臣 佐々木議員から中小企業金融円滑化法案の目的あるいは趣旨についての御質問だ、こう思っております。

 中小企業金融円滑化法は、一昨年の秋の非常に厳しい経済金融情勢のもとに、我が国経済を支える中小企業者、今さっきも申し上げましたように、法人の中の九九・七%が中小企業でございまして、中小企業で働いておる方は約二千八百万人だと思いますが、そういった方がまさに中小企業で働いておられるわけでございます。そういった中小企業者、それから住宅ローンの借り手の資金繰りを支援するための臨時の措置として制定された法律でございます。

 成果いかに、こういうことも申し上げれば、同法施行後、金融機関の貸し付け条件の変更等の実績を見ると、中小企業向け貸し付け及び住宅ローンの双方で、審査中の案件を除き、九割超の水準となっているところでございまして、こういうことを御理解いただければと思っております。

佐々木(憲)委員 そこで、きょうは住宅ローンの対応について、絞ってお聞きをしたいと思います。

 八〇年代の後半のバブル期に住宅ローンを固定金利で借りた方々は、七%を超える非常に高い金利で支払いを続けている人が多いわけです。しかし、九〇年代以降になりますと、ゼロ金利政策などの金融緩和政策がとられたために、市場金利は一%前後に下がっております。そのために、金利の引き下げあるいは借りかえなどを行うと返済が楽になる、こういう状況であります。

 自見大臣に確認しますけれども、金融円滑化法での貸し付け条件の変更、この中には、金利の引き下げですとか、あるいは借りかえ等の内容も含まれているというふうに理解してよろしいですね。

東副大臣 若干技術的なことでありますので、私の方から簡単に説明させていただきます。

 答えとしては、金利の引き下げもちゃんと含まれているということでございます。

 以上です。

佐々木(憲)委員 私のところにもこういうメールが来ております。

 住宅ローンでお世話になっている信用金庫に問い合わせたところ、後日結果を知らせるという返事をもらい、その返事が返ってきました。審査の結果、金利を下げる方向で手続を進めていただけるとのことでした。仕事も減って収入減だし、そのくせお金ばかり出ていって生きにくい世の中ですが、中にはこんなにびっくりするような話もあるんだ、こういうふうに喜んでおられるわけでございます。こういう声はたくさん聞いております。

 亀井静香前大臣は、私が質問したことに対して答えまして、「政府系金融機関の果たしている役割というのは、民間金融機関と同様、あるいは、場合によってはそれ以上の重要性があると思います。」このように答弁をして、政府系金融機関も基本的にその姿勢でやるべきだ、こういうふうに言われました。

 自見大臣も同じ考えでしょうか。確認をしておきたいと思います。

自見国務大臣 民間金融機関のみならず、政府系の金融機関、そこにもきちっと私の方から強くお願いをしているところでございます。

佐々木(憲)委員 きょうは、この法律の対象金融機関でありますJAバンク、それから労金の所管官庁の政務官に来ていただいております。

 そこで確認をしたいんですが、松木農水政務官にお聞きをしたいと思います。

 JAバンクでは、ローンの債務者から金利の引き下げあるいは借りかえの要請を受けた場合、どのように対応しておられるか。例えば、一律に年齢で、これ以上の年齢の場合には対応しませんというふうに謝絶をするなどということはしていないと思いますけれども、確認をしておきたいと思います。

松木大臣政務官 どうも御苦労さまでございます。

 そういうことはやっておりません。しっかり対応しているつもりでございます。

佐々木(憲)委員 小林厚生労働政務官にお聞きをします。

 労金の場合はどのように対応しているか。年齢で基準をつくって一律に謝絶をするなどということはしていないと思いますけれども、確認をしておきたいと思います。

小林大臣政務官 この中小企業金融円滑化法は、借り手から申し込みがあった場合に、金融機関ができる限り貸し付け条件の変更等の適切な措置をとるように努める、こういうものでありますので、各金融機関においても、借入者の財産や収入の状況に勘案しつつ適切に対応する必要があると認識しておりまして、労働金庫においても、この法律の趣旨に沿って対応しておりますので、先生の御指摘のようなことは当たらない、このように考えています。

佐々木(憲)委員 では、政府系金融機関の一つであります住宅金融支援機構についてお聞きをしたいと思います。

 金利引き下げや借りかえにどう対応しているか。JAバンクと労金、それから住宅金融支援機構の場合、これは同じ対応をしていると私は思っておりますが、どうなっておりますでしょうか。

市村大臣政務官 お答えを申し上げます。

 住宅金融支援機構におきましても、年齢にかかわらず、返済期間の延長や金利引き下げを実施いたしております。

佐々木(憲)委員 ところが、この住宅金融支援機構について、こういう訴えが私どもに来ております。

 バブルのころ、昭和六十年に、七・二%の固定金利で住宅ローンを八百六十万円借りた。今までおくれることもなく毎月五万六千円の返済をしてきました。二十五年間の返済総額は既に千七百十八万円。借りた金額の倍近く返済をしております。しかし、残高は、ことし一月末時点で四百五十八万円もある。完済まであと十年ある。二年前に夫は仕事でダンプカーを運転中に事故に遭い、脳梗塞となった。現在働けないので、今は、妻の年金で住宅ローンの返済と生活を支えております。医療費もかかって生活は大変苦しい。住宅金融支援機構に借りかえを申し入れましたけれども、断られたというんですよ。なぜ断られたのか。本人と妻が高齢である。年齢が高い。今、債務者である夫に収入がなく、妻の年金で暮らしている。これが断られた理由だというんですね。年齢で金利引き下げを謝絶しているという話なんですよ。

 しかし、この円滑化法の趣旨は、住宅ローン借入者の生活の安定を図るということではなかったでしょうか。すぐこれは是正すべきだと思いますが、いかがですか。

市村大臣政務官 佐々木委員におかれましては、本当にお一人お一人の事情に耳を傾けられて配慮されているお姿には、心から敬意を表します。

 今の件につきましては、私も先ほど、国交省の担当者からお聞きしております。それで、決して制度がないということではないというふうに私は理解をしておりますが、もちろん、十分でないということであれば、これは、この国会審議を通じてもっと充実したものにしていくということが大切だと思いますが、今でもそれなりの制度はあるということでございます。

 しかし、今回のケース、ひょっとしたら窓口の者が十分に制度を理解していなかった可能性もありますし、また、理解したとしても、窓口で心から耳を傾けなかった可能性もあると思いますし、感情を害されていることもあるかもしれません。

 ただ、先ほど私ども検討させていただいて、幾つかの選択肢、考えられる選択肢、対応についての選択肢はあるというふうに私は理解をしておりまして、ここでつぶさにそれを議論する場じゃないと思いますが、また改めて、こうした国会でも質問をいただきましたので、またきめ細かに窓口が対応できるように、国交省の方から機構の方には申し上げてみたいと思います。

 そしてまた、メニューを提示させていただいて、それで御納得いただけるのかどうなのか、それが御本人にとってまた違うということであれば、また御意見を賜りながらやっていくものではないかと思います。

佐々木(憲)委員 年齢で差別をしない、区切らない、これを基本にしているということですから、例えば年金で生活をされている方は当然年齢が高いわけです。そういう人は最初からもう受け付けないとか、だめだよ、借りかえはできないんだよ、これは余りにも制度の趣旨に反しておりますから、具体的な調査を行って是正するということでよろしいですね。

市村大臣政務官 先ほど、年齢にかかわらずと申し上げたときにも申し上げましたが、返済期間の延長や金利引き下げについては年齢にかかわらず実施をしていることがある。ただ、今、佐々木委員がおっしゃったように、借りかえとなった場合は、どうやら、例えばフラット35への借りかえについては、借りかえ申し込みのときの年齢が七十歳未満であること、また完済時の年齢が八十歳未満であること等が要件になっているようであります。

 ただ、これも、例えばお子様等がいらっしゃいまして、そのお子様等が連帯保証人になっていただく、後の分の責任を引き受けていただくということがあれば、またそれは柔軟に対応しているようでもあります。ですので、そういう対応を含めて幾つか選択肢があるようでございます。

 ですので、もし年齢によらないというようなことでやるべきだということであれば、また国会で御議論をいただいてそういう制度に持っていくということもあると思いますし、また私どもの方でもきちっと部内で議論もさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 これは国会の議論じゃないんですよ。住宅金融支援機構の姿勢の問題なんですよ。

 大体、今、七十でどうこうとか言いましたね。それ自体がおかしいんです。つまり、その方は何十年かのローンを組んで、当然、高齢になるまで組んでおられるわけですよ。その途中で借りかえをしたいということに対応するのは当たり前じゃないんですか。

 そういうことをちゃんとやるというのがこの法の趣旨にのっとった対応であって、私は、そういう筋できちっとやってもらわなきゃいかぬ。今、答弁の中で、具体的に話を聞いて柔軟に対応するというようなことを言われましたので、ぜひそれをやっていただきたい。

 それから、自見大臣には、やはり政府系金融機関も今非常に対応が悪いと言われているんです。亀井前大臣は、職員を本当に徹底的に鍛え直すべきだ、こういって答弁されました。私はこういうことが非常に大事だと思いますけれども、自見大臣、どのようにお考えですか。

自見国務大臣 今、私が申し上げましたように、この法律、政府系金融機関等にも周知徹底するように、これはそれぞれ主務大臣がおられるわけでございます。

 私の手元に来ている資料によりますと、日本政策金融公庫、これは大体、実行率が九九・六%、それから商工中金、これは中小企業金融円滑化法による貸し付け条件変更等の実績が九八・八%、また、今先生が議題にされました住宅金融支援機構、これの場合は九四・八%という報告が来ております。

 今の例でございますが、住宅金融支援機構は国土交通省の所掌でございます。この法律の趣旨、これは御存じのように政府全体で決めた法律でございますから、しっかりそこら辺は、ケース・バイ・ケースの話もあるかと思いますけれども、趣旨を徹底していきたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 以上で金融円滑化法に関連する質疑は終わらせていただきますので、三人の政務官の方は退席していただいて結構でございます。

 では次に、財務大臣にお聞きをします。徴税問題についてでありますが、まず滞納整理の基本方針を確認したいと思います。

 税の徴収に当たっては、納税者の実情を十分踏まえた上で行うということになっております。税務職員にこのことを徹底していると思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 委員御指摘のとおり、滞納整理に当たっては、滞納者個々の実情に即しつつ、法令に基づき適切に対応することが基本であると考えており、国税局、税務署に対して、そうした考え方に基づいて滞納整理を実施するよう、各種会議や通達で常に指示をさせていただいておりますし、その趣旨が徹底されるよう、これからも指導していきたいと考えております。

佐々木(憲)委員 昨年、参議院の財政金融委員会で、我が党の大門実紀史議員が、松戸市の業者の方が自殺した事件を取り上げたことがあります。この方、仮にBさんといたしますと、松戸税務署に預金を差し押さえられたために、昨年十月四日、税務署に御夫婦で相談に行った。相談では結論が出ないということで、再度、十月十二日に税務署に出向くことを約束して帰ったその夜に、夫のBさんが、五十七歳、遺書を残して自殺をされたわけでございます。

 その遺書にはこういうことが書かれておりました。

 身も心も限界になりました

 皆さんに迷惑をかけてすいません

 支払い税金額は

 市県民税、所得税あわせると

 六百万円ちかくあります

 県民共済死亡保険で

 支払う事ができると思います

 お葬式はしないでお墓に入れて下さい

 お母さんを責めないでやって下さい

 家族の皆さん孫たち姉ありがとう

 会社の皆さんありがとう

こういう遺書を残して自殺をされたわけです。

 十月四日の納税相談で松戸税務署は、滞納の本税、加算税、延滞税、合計五百五十二万八千四百円、これを一括返済せよ、年内に完納せよ、こういうことを求めております。これはだれが見ても不可能なんですよ。自殺する二カ月ほど前、松戸市の市民税課と相談をして、市民税の方は分割納付することで合意されておりました。ところが、松戸税務署の方は、これを知らないはずはないんです。それなのに、こういうことを強要したわけです、一括返済だと。

 私は、この方に一括返済できるだけの財産や収入があるとなぜ判断したのか、その理由を聞きたいと思うんですよ。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 税務執行の個別の具体的な事案についてのコメントは差し控えさせていただきますけれども、一般論で申し上げますと、滞納整理に当たりましては、基本的には、一律に財産の差し押さえ等の強制処分を行うということではなくて、まず自主的に納付を慫慂させていただいて、納税者の方の個々の事情に基づいて、もちろん法令に基づいて適切に対応しなければいけないということで、その旨、国税局、税務署には常に指導しております。

 その際に、滞納者の方から一括納付は困難だというお話がしばしばございまして、滞納者の方と御相談申し上げて分割納付の相談に応じなければいけないというふうに思っておりまして、そういう対応をやっております。

 ただ、納税者の方、いろいろな方がいらっしゃいますけれども、過去、分割納付の御相談をさせていただいてお約束させていただいたのがなかなか守られないような場合もございまして、そういう方の場合に、分割納付の相談にずっと応じ続けるというわけにはなかなかいかない面もありまして、場合によって、滞納処分、いわゆる差し押さえを行うような場合も出てまいります。

 いずれにしましても、個別具体的な事情に親切かつ丁寧に対応する必要があると思っておりまして、御指摘のような事例、本当に私どもとしても心が痛みますけれども、そういうような事例が起きないように、今後、現場を指導していきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 この方は、分割納税は、地方税はやっていただいたけれども、税務署、国税の方はやってくれないということなんです。これはおかしいんですよ。

 Bさんは、一括して払えと言われても払えない、払えないなら死ねと言うのか、こう訴えたんです。これに対して税務署職員は、もしあなたが亡くなっても相続が起こり、妻子、親、姉妹に支払っていただくことになる、こう言っておどしたと。事実上、私はおどしだと思いますけれどもね。これは誤った情報なんですよ。

 精神的に追い詰めたことは明らかでありまして、国税庁というのは、こんなことを税務署職員にやらせているのか。先ほど、親切に対応するというようなことがありましたけれども、この事例の場合は、やっていることが全然違う。

 大門議員の質問に国税庁次長はこう答えていますね。納税者の生活の維持ですとか、あるいは事業の継続に与える影響を考慮して、納税者の個々の実情に即して法令等に基づき対処する必要がある。先ほども同じような答弁。

 しかし、差し押さえで生活ができなくなった、自殺に追い込んでしまった。配慮したとは言えないですよ、これは。

 給与の差し押さえ、あるいは売掛金の差し押さえ、これは大臣、納税者の生活の維持というものがやはり前提でなきゃならぬ。生活の維持が優先される、そういう立場で対応するというのが基本だと思いますけれども、大臣、どうですか。

野田国務大臣 それぞれのお立場をよくしんしゃくし、そして適切に対応するというのは基本中の基本で、その基本の中には、今おっしゃったように、滞納者の生活の維持、事業の継続、それに対する影響というのも重要な観点だと認識をしておりますし、そういう対応を基本的にはするように、国税当局、税務署には必ず伝達をしてきているというふうに思います。

佐々木(憲)委員 もう一つの例を挙げますと、二月八日、今月の話ですが、愛知県津島税務署管内で、滞納税金の差し押さえのためということで、仮にCさんとしますと、このCさんのところに税務署員が突然訪問して、夫が外出していたために立ち会った妻が、持病の発作で心臓に手を当てて苦しみ始めた。その姿をしり目に、財産捜索を継続しようとした。夫のCさんは、そのとき不在でした。携帯電話で捜索の事実と妻の発作を知って、妻の病気が心配なので、二時間したら家に戻れるから、それまで待ってください、こういうふうに頼んだ。しかし、税務署員は、待てません、家族が立ち会えなければ役場の職員の立ち会いで捜索できるんだ、こういうふうに法律に書いてある、こう言って、あくまでも苦しんでいるその人を横目に強行しようとしたわけであります。

 一般論ですけれども、こういう税務調査中に、立ち会っている本人、家族が発作で苦しんでいるような場合も、調査や捜索というのは継続するのが方針なんですか。

野田国務大臣 滞納者の個々の実情に応じて法令に基づき適切に対応していくという中においては、滞納者やあるいは御親族が体調不良となった場合には、調査を強要するようなことは基本的にはしないというのが、この基本方針の中には入っているというふうに思います。

佐々木(憲)委員 税務運営方針というのは、立派なものが前にありまして、納税者に親切な態度で接するということが書き込まれております。現在でも税務大学校などで、税務職員の研修にこれを使っていると思いますが、それは事実ですね。

田中政府参考人 私の方から、お許しをいただいて、答弁させていただきます。

 国税庁におきましては、職員に対しまして、職務執行上必要となる研修を行っております。今お話のございました税務運営方針につきましては、新規の採用職員に対しまして、税務大学校で冊子を配りまして、これをもとに講義を行っております。

佐々木(憲)委員 税務大学校ではどんな研修をしているのかという点ですが、例えば、納税者から差し押さえの解除を懇願されるという場合があると思うんですよ。これは困る、もうこれをやってもらったら、例えば売掛金を差し押さえたら生活ができない、あるいはもうこの店がつぶれてしまう、だから差し押さえを解除してくれと懇願された場合に、どう対応するように指導しているんでしょうか。

 そういう訴えがあったときは、当然その納税者に詳しく事情を聞いて、詳しく状況を教えてください、そういうふうに耳を傾けるというのが当然だと思いますけれども、そういうふうにしているんでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 差し押さえの解除につきましては、国税徴収法にその規定がございます。その法律に定められた要件に該当する場合には、税務署長は差し押さえの解除をすることができるわけでございますけれども、税務大学校での研修におきましては、個々の納税者について、差し押さえの解除条件に該当している事実が認められるかどうか、これを調査、確認した上で適切に処理するよう研修生を指導しているところでございまして、その事実の確認に際しては、納税者の方の個々の事情を親切に伺うということが基本だろうと思っております。

佐々木(憲)委員 今、答弁では、相手がそういうふうに言われた、そのときに、相手の話をよく聞いて実情を調査する、そういうふうに教えているという答弁でありました。

 しかし、本当にそういうことをやっているんですか。

 税務大学校の専攻税法研修というのを受けた職員が、全く正反対の証言をしております。研修後の感想文というのがありまして、これは財務省から、私、いただいたんです。

 その内容を見ますと、

 専攻税法講義の時間に教育官から、滞納者に差押えの解除を懇願された場合どのように答えるかという質問を受けたことがある。私はそのとき、「詳しく状況を教えてください」と答えると言った。話を聞けば換価の猶予の可能性や他の財産を差し押さえることができる可能性もあるかもしれないと思ったからである。しかし、差押えをしたのは完納しないからであって、原則完納しなければ解除はできない旨を、まずは伝えるべきだった

全然逆じゃないですか。

 納付折衝が腰砕けにならないためには、自分がどのような立場にあって何を目指すのか常に意識しておかなければならない

つまり、詳しい状況を把握するより、まず最初に、払っていないんだから完納しなければ差し押さえは解除しないんだ、まずそういうことを言え、こういう教育をしているんじゃありませんか。私は、これは税務運営方針とも真っ向から反するものだと思います。

 大臣、こういう教育はやってはならない。本当に、相手の話をまず聞く、そういうところから始めるのが本来の教育じゃないんですか。調査して、直すべきだと思います。

野田国務大臣 これまでも基本方針をしっかり伝達してきたつもりでありますが、御指摘のような点があるならば、これはまことに遺憾であります。

 平成二十三年度の税制改正では、納税者権利憲章、これも入れるということで、納税者の立場に立った税務行政をするという意味で、改めて、税務運営方針が徹底されるように指示をさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 納税者権利憲章については別の議論がありますので、また機会を改めてやりたいと思います。

 私は、強権的にともかく徴税をやればいい、ともかく滞納しているから、税収が上がらないからというようなことで、力任せにやるというのは間違っていると思いますよ。何でかといいますと、先ほど、強権的なやり方で、松戸の場合は家族が相続を放棄したんです。だから、結果的には滞納整理には全くつながらない。一円の税収も上がっていないんですよ。

 だから、税収の面から見ても、やはり収入の状況をよく把握して、相手の生活の相談に乗って、分納などで払えるように、少しずつちゃんと払ってもらう、そういう計画をつくって、それで長期的に滞納整理につなげていくというのが本来の筋だと私は思います。

 ですから、やはりこの点を基本的な姿勢として貫くように、最後に大臣に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

石田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後四時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時五十一分開議

石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、理事会の協議に基づき、玄葉国務大臣から発言を求めます。国務大臣玄葉光一郎君。

玄葉国務大臣 去る二月二十日のテレビ番組での私の発言についてでございますけれども、自民党の石破政調会長から、公債特例法案が通らないと大変なことになってしまうというお話をなさいますが、そんなことにはなりません、ならないことは政府の方々はよく御存じなはずであって、それは、短期の借り入れを回すこと、あるいは税収、それで回っていくはずなのですというお話がございまして、それに対して私から、この公債特例法案が通らないと、例えば株価はどうなるのだろうかとか、長期金利がどうなるのだろうかとか、そういったマーケットの心配というのは、私自身、しているのが事実です、確かに六月とかそういったところまでは既にある税収見込みでできるところはあるでしょうけれども、それ以降は極めて心配ですから、マーケットの反応がまず出てくるのではないかというふうに思いますというふうに申し上げたことは事実でございますけれども、その発言で国会運営に混乱をもたらしているとすれば、まことに遺憾であり、心よりおわびを申し上げます。

 番組の中で、六月とかそういったところまでは既にある税収見込みでできるところはあるが、それ以降は極めて心配と申し上げたのは、万が一、公債特例法が年度内に成立しない場合であっても、二十三年度初頭から、すなわち四月から直ちに予算執行が不可能になるわけではないけれども、成立が遅延した場合、四月からの予算執行も含めて極めて不安定な財政運営となり、株価等のマーケットの不安要因になるおそれがあるということであり、日曜日の私の発言の真意もここにございます。

 六月という具体的な時期を特定して申し上げたことについては、予断を与えかねないものであり、仮にそうであるとすれば、謹んでおわびをしたいと思います。私としても、特例公債法案の年度内成立をぜひともお願いしたいと思います。

 以上です。

石田委員長 以上で、大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十三日水曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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