衆議院

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第6号 平成23年3月8日(火曜日)

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平成二十三年三月八日(火曜日)

    午後五時十分開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 泉  健太君 理事 大串 博志君

   理事 岸本 周平君 理事 古本伸一郎君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 竹下  亘君 理事 竹内  譲君

      網屋 信介君    五十嵐文彦君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      岡田 康裕君    柿沼 正明君

      勝又恒一郎君    木内 孝胤君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      菅川  洋君    玉木雄一郎君

      豊田潤多郎君    中塚 一宏君

      中林美恵子君    藤田 大助君

      松原  仁君    三村 和也君

      柳田 和己君    吉田  泉君

      和田 隆志君    今津  寛君

      竹本 直一君    徳田  毅君

      野田  毅君    村田 吉隆君

      茂木 敏充君    山口 俊一君

      山本 幸三君    斉藤 鉄夫君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         野田 佳彦君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  三村 和也君     藤田 大助君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 大助君     三村 和也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第一号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤田正純君。

後藤田委員 どうもありがとうございます。

 まず冒頭に、この委員会は、理事会協議の中で、また古い伝統の中で、原則があって、定例日以外はしない、また夜なべもしない、大臣出席、そういうことで今までやってきたわけでございますが、きょうこうして、夕なべといいますか、五時十分から七時十分まで。

 当初、与党の方からは朝の数十分、昼の数十分ということでありましたが、各委員にもおわかりいただきたいのは、我々はしっかりとしたまとまった時間で充実審議をしたいということで、では我々も、六時ではなくて七時まで、これから場合によっては八時、九時もあってもよかろうと私は個人的には思っておりますが、そういうことで皆様方にまず御理解をいただきたいと思います。

 今、先般も外務大臣がおやめになられた。いよいよ政権もレームダック状態になっている中、当委員会でも多くの法案を抱えております。また、国対、与党のいろいろな失言なり、運営上の問題で、当委員会がおくれおくれしてきました。

 先ほど枝野官房長官が、御自分の御発言の趣旨の御説明、並びに我が委員会に対して、前回の枝野さんの発言、そしてまた、与党国対また政府の考え方は、予算の裏づけになる法案はもういいんだ、参議院に予算を回すんだというようなことで、衆議院の財務金融委員会がいささか軽く見られたなというふうに思っております。そういう中で、しっかりと政府のかなめとして、枝野官房長官に、そのことについて認識を問うたわけでございます。先ほど理事会で、官房長官から、しっかりと財務金融委員会で年度内にこの関連法案を通してくれというお話がございました。

 しかしながら、関連法案だけではなくて、金融庁のモラトリアム法案、また関税法、そしてまたJBIC、その他の法律がまだ山積みでございます。大臣として、まあ、これは国会運営のことでございますから、政府としての見解はなかなか申し述べにくいかとは思いますが、この難局をどうやって乗り越えていかれようというおつもりなのか、まず大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 後藤田議員にお答えしたいと思います。

 私ども政府としては、あくまで九十二兆四千百十六億円の予算と、それを裏づける関連法案、この関連法案が年度内に成立しませんと、予算執行でさまざまな支障が出ます。これは間違いないと思いますので、これを一体として年度内に成立をするべく、その都度、委員会の御審議をいただくたびに懇切丁寧に御説明をさせていただき、御賛同いただくように全力を尽くしていきたいというふうに思います。

後藤田委員 今、野党の協力、御賛同ということでございましたけれども、御賛同ということであれば、我々、予算については組み替え動議を出させていただきました。その中で、我々は、ばらまき四Kについて今の政府が撤回をすれば、しっかりと税制の抜本改革の議論、また税法の議論、こういうものには協力する、もしくは協力せざるを得なくなると思うんですね、野党として。なぜ、そういう歩み寄りといいますか、この前も予算委員会で総理は、そのような指示はしていないということでございました。

 私は、やはり財務大臣というのは、ほかの省庁というのは御自分の範囲内の予算を要望する要求官庁であって、それを大臣が閣内において、予算を通すために、また税法を通すため、ここはやはり譲らなきゃいけないんじゃないかとか、こういうことを私は財務大臣には期待しているんですよ。閣内不一致になっても、大臣がやめるぞと言ったら、また菅総理、大変なことになりますよね。それぐらいの意気込みで、財務大臣というのは、僕は特別な大臣だと思います。昔の内務省の、まさに役人も含めて、大臣というのはそういう役割があるんじゃないかなと思うんです。

 加えて、世論調査を見ましても、皆様方は国民の生活が第一だと、国民の意見というものを非常に重要視する政党でおありになると思うんですが、マニフェストの政策を変更すべきというトップスリーに、皆様方の看板政策である子ども手当、戸別所得補償、また高校無償化、高速道路無料化、こういうものがもうトップスリー、フォーに並んでいるわけでありまして、国民の皆さんもその修正を望んでおられる。民主党政権だけがなぜかそのマニフェストにこだわっていらっしゃるような気がするんです。

 国民の声と野党の声を聞けば、マニフェストを、今まさにこの予算審議、法案審議の中で御修正をされて、そして国民生活に支障を来さないような国会運営、税法の処理をすべきではないかなと私は思うんですが、その点は、大臣、いかがでございますか。

野田国務大臣 今、参議院で御審議をいただいている平成二十三年度の予算案は、いろいろな条件のもとで私どもはベストのものをつくったというふうに思います。評価はいろいろ違うかもしれません。

 その中の柱のものに、マニフェストの主要事項というのがございます。これまた評価は違うかもしれませんが、私どもは、子ども手当についても高校授業料無償化についても、それぞれ政策目的があって、しかも赤字国債に頼ったというわけではなくて、基本的には安定した財源を確保しながら着実に実施をする、そういう歩みの中で予算の中に組み込まれたものでございますので、ある意味、予算の根幹にかかわるところでございます。これをばらまきという一刀両断で、組み替えで御提起をいただいても、なかなかそれは、はいそうですかと言える話ではございません。

 ただし、きょうからいわゆる関連法案の特例公債と税法の議論を、野党の皆さんからも御審議をいただくわけでございますが、予算とそして関連法案が、これはまさに年度内に成立しないと、先ほど申し上げたとおり、一番御迷惑をかけるのは、国民に対して御迷惑をかけるわけでございますので、きょうのこういう審議なども契機としながら、どういう知恵を出せるかということは虚心坦懐に考えていきたいというふうに思います。

後藤田委員 我々がばらまきと言って一刀両断という御発言がありましたが、世論の声というものは、大臣、どう受けとめていらっしゃいますか。

野田国務大臣 さまざまな世論があることは事実だと思います。

 マニフェストについては、これはもう政府・与党、確認をしていることでございますけれども、私どもの任期の中間地点である九月までをめどにしてマニフェストの検証を行うということになっています。その検証の過程において、今御指摘のような項目についてもいろいろな議論があるかとは思います。でも、その作業をする前に、野党から御提起をいただいたからそれを丸のみという形ですぐに予算内容を変えるということは、これは極めて困難だというふうに思います。

 私は、マニフェストについては、別に党内でそんな対立があるとは思っていないんです。原理主義と言われる人たちもいるかもしれない、修正主義と言われる人たちもいるかもしれない。でも、どの方も死に物狂いで、国民とお約束したことを、財源を確保しながら何とか実現しようとやってまいりました。

 これは私の後輩議員から教えてもらったんですが、孟子の言葉がございまして、大人、言必ずしも信ならず、行い必ずしも忠ならず、ただ正義のあるところ、義のあるところという言葉で、政治家が大人かどうかはわかりませんけれども、徳のある人は、言葉は大切だ、でも、一〇〇%それを守れば正しいのかというと、そうとは限らない、行いも、常にしゃくし定規でいいのかというと、それが正しいとも限らない、どこに正義があるかという視点で考えるべきだ、そういう孟子の言葉でありますが、私はそういう精神の中でしっかりと検証することが大事であるというふうに思っています。

後藤田委員 今、検証とおっしゃったんですけれども、検証の場というのは国会じゃないですかね。与党の中で検証するのではなくて、やはり国会の場で検証しなきゃいけないんですよ。政治と金の問題も、小沢さんの問題も、やはり国会の場でやらなきゃいけない。今の政策の話も、国会でやるのが当たり前であって、私どもは何もすべて反対しているわけではなくて、必要なものはやろうじゃないかと。ただ、国民の声も含めて、不必要なものはちゃんと訂正すべきじゃないですか。

 加えて、御党の幹事長は、できないものはいつまでもできると言っていてもしようがないじゃないかという趣旨の御発言をされていますね、岡田幹事長。これについては、大臣、どう思われますか。今まさにそれを修正する勇気を持たれないのかなと。その点は、大臣、どう思いますか。御党の幹事長ですよ。

野田国務大臣 岡田幹事長が、できないものはもういいんじゃないかと、そこまで軽く言い放ったのかどうかは違うと思うんですけれども、できること、これまでやってきて努力してきたこと、そしてこれから見通しの中で困難だと思うこと、そういうことを整理しようという趣旨のお話をされているんだろうと思いますし、それは九月までにマニフェストを検証していこうという党の方針に整合的な議論だというふうに思います。

後藤田委員 民主党の政権運営というのは、どんどん先に延ばしていくんですね、九月までとか。税制の、社会保障と税の一体改革も六月、TPPも六月。この六月までの通常国会というのは一体何なんですかね。要は、野党は要らないんだということですよね。その姿勢自体が私は問題だと思っています、この話はもうこの辺にさせていただきますが。

 加えまして、現実の話になりますが、当委員会でも玄葉大臣の御発言について問題視をさせていただきました。極めて素直な発言をNHKでされたと思います。六月までは税収等で何とかなるのではないかというお話をされました。実際、この特例公債にしても、約四四%であって、来年度からは、四、五、六、三カ月ぐらいは何とかなるのではないか、そのような趣旨でお話をされたと思います。その後、発言を撤回されましたが、財務大臣はその点について、どういう御見解をお持ちでございますか。

野田国務大臣 あくまで基本姿勢は、この特例公債法案も年度内の成立をお願いすべく御審議をお願いしたいというふうに思いますが、仮定の話で、それが困難だった場合ということで、NHKで玄葉政調会長が御発言されました。

 要は、特例公債、委員御指摘のように、一般歳出の総額に四四%を占めております。これはなかなか大きいです。過去の特例公債の比ではございません。ということは、やはり直ちに執行できなくなるということはないんですが、支障が出てきて、いろいろ抑制せざるを得ないことは間違いありません。そして、その予算を執行する裏づけとなる財源というのは、法的な根拠のある税収と建設公債であります。ということを考えると、非常に厳しい状況であることは間違いありません。

 その認識を玄葉政調会長はお話しされましたが、六月と明示的に言ったことについては、この委員会でも陳謝と説明をされたと思います。それはやはり私も軽率だったのではないかと思いますが、支障が出るということは間違いない、それは共通認識だというふうに思います。

後藤田委員 次に、国債の暴落についてちょっとお伺いしたいと思うんですが、まず大臣、国債暴落の要因というのは何なんでしょうか。

野田国務大臣 金利というのは、経済、財政情勢、さまざまな要因によって動くものだというふうに思います。一般的に、国債金利が急激に上昇して市中の金利に影響するというのはよくないことでありますが、その要因はいろいろなケースがあるだろうと思います。

 我々が財政当局として注意をしなければいけないのは、やはり財政健全化について日本が努力していない、財政規律を守っていないというメッセージが世の中に伝わって、マーケットに伝わったときに、要は、国債の金利というと期待インフレ率とか期待成長率とかありますが、一番よくないのはリスクプレミアムが発生するということ。そういうことにならないように、きちっとメッセージを出しながら努力をしていきたいというふうに思います。

後藤田委員 今まさに財政の健全化というお話をされましたけれども、今年度予算は、昨年よりも、また一昨年よりもさらに財政の赤字を生んでいる予算でございますよね。ということは、国債暴落に拍車をかける予算を、去年、ことしとおやりになっているということでよろしいんでしょうか。

野田国務大臣 国債暴落に何か引き金を引くような、私はそういう予算ではないというふうに思っていますし、現実に、昨年末に予算編成をしたときに、特にマーケットがそういう厳しい評価をしたかというと、そうではございません。

 むしろ、私どもが政権を引き継いだときに、平成二十一年度でありましたけれども、リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発して、さまざまな各国の実体経済に影響が出ましたけれども、我が国は、大きく税収が落ち込んだ中で、そのときの新規国債発行額は決算ベースで五十二兆でございました。税収は三十兆円台に落ち込みました。

 そのとき以降、財政健全化と経済成長の両立に腐心をしながら、新規国債発行額はぎりぎり四十四兆円まで抑え、まだそれは確かに異常な姿かもしれません。税収が四十一兆と見込んでいるわけですから、税収よりも借り入れの方が大きいということは異常な姿かもしれませんが、平成二十一年度の最悪の時期から脱しようと努力していることは、私は一定の評価をいただけるものと思いますし、平成二十三年度の予算は、新規国債発行額は二十二年度の発行額より上回らないように約四十四・三兆円以内に抑えること、歳出の大枠は七十一兆円、いわゆる財政運営戦略の初年度の一つの目標をクリアしながら予算編成はさせていただいたものというふうに思っています。

後藤田委員 我々の組み替え動議は、国債管理政策、そしてまた財政健全化に向けて、なるべく借金をするのもやめましょう、そして、やはり税収に見合った分相応な社会保障、また行政サービスにしようという思いを持ってやっているんですよ。その考え方を今の政権は全く見向きもせずに、皆様方のマニフェストに非常にこだわってやられているわけなんですね。これはどっちが正しいかと言ったら、私は、国民の声は先ほど申し上げたようにいろいろな声があって、野党の考え、組み替え動議にも国民の世論もついてくださっているというふうに思っております。これはもう水かけ論になるので議論しませんが。

 きょうはお忙しい中、平野副大臣もお越しをいただいております。

 私が聞き及んだ話として、平野さんが、社会保障の自然増というのは当たり前だと思ってはいけないんだという御発言をされたかに聞いておりますが、それは事実でございますか。僕は、事実だとしたら、非常に見識が高いと思っているんですよ。すばらしいなと思ったんですが、その点について、副大臣、御意見を御開陳いただけますか。

平野副大臣 自然増が当たり前と思ってはいけないという発言をどこでしたかということについての記憶は、ちょっと申しわけございませんが、ありません。

 ただ、一般会計の中で占める社会保障費が年々上がってきているという状況の中で、一方で税収が伸びないという状況もあります。歳出改革、歳入改革、両方セットだろうと思いますが、歳出改革をもし行うとすれば、社会保障関係費についても、これは聖域化すべきではないという考え方は常に持っております。

後藤田委員 大変立派な御見識だと私は思っています。

 また、この前、ある番組で五十嵐副大臣と御一緒させていただきまして、同じような趣旨で、やはり予算項目というのは、一番大きいものは、御承知のとおり、社会保障であったり、いわゆる借金の元利払いであって、その後に地方交付税があってということで、トップスリーをどう削減していくかというのが歳出改革の目玉だと思います。

 その中で、やはり社会保障だろう、地方はなかなか削れないねと。借金の元利払い、例の無利子国債の話なんかは特に海江田さんがお好きなようでございますが、これにはいろいろな議論があろうと思います。

 社会保障についての御議論をしたときに、五十嵐副大臣も、年金はどうかな、医療はいろいろやるべきことがあるのではないかなと。

 きょうは厚生労働省の大塚副大臣にもお越しをいただいています。その点について改めて、歳出改革について、今、社会保障と税の抜本改革というのをやっていて、六月だと言うんだけれども、これは六月まで待っていられないんですね。我々もやはりこういう委員会で熟議をしていかなきゃいけないし、私もそう思っているんですよ。

 例えば医療にしても、これは本当に国民の皆さんには耳の痛い話かもしれませんが、初期医療と終末期医療、これが本当に今のままでいいのか。

 これは、保険という制度自体、モラルハザードという言葉は、一般的に使われているけれども、実際は保険からきている言葉でございますよね。保険があると皆さん、安心して使ってしまう。しかし、例えば自動車なんかは、事故を起こすと保険料が高くなるんですね。僕は、社会保険制度も、やはり、まじめに自分の体をケアしている人とそうじゃない人で保険料が同じというのも、これはいかがなものかなといつも疑問に思っているんですよ。そしてまた、年配者、若い人によって、またこれも違ってくると思います。

 そういった点を、私どもは、今の政権与党も、この予算の中でまだまだ歳出改革というのはやれたんじゃないかなと。そういうのをしっかりやった上で、これはもちろん、この六月の消費税の議論はそういうことも含めておやりになろうということだと思いますが、その点について、五十嵐副大臣と大塚副大臣。

 大塚さんは要求官庁の方でございますから、医師会もバックに抱えているし、医療界も抱えております。でも、大塚さんも見識のある方ですから、財政のこともよくおわかりになっていらっしゃると思います。

 その点、お二人の副大臣に御意見を聞きたいと思います。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。ありがとうございます。

 テレビ番組の際にも申し上げましたけれども、年金は、削るといってもなかなか難しいだろうなと。医療は、貴重な公共財で資源だと思いますが、今の使われ方が、委員御指摘のとおり効率的に、よその国と比べると日本はかなり効率的ではあるんですが、本当にベストで何もないのかというと、そういうわけではない。

 例えばの話ですけれども、西日本と東日本で患者さん一人当たりの医療費が違ってきている。西の方が高い、西高東低と言われておりますし、今お話をされましたように、予防をすれば、悪くなる、深刻になる方々の数をもっと減らせるのではないか。あるいは逆に、軽い段階の治療は自己負担を少し多くしていただいて、中程度以上の症状で本当に大変だというときにはしっかりと社会に支えていただけるということの方が安心感があるのではないか。あるいは、介護が今の水準、あるいは今のケアプランの状況でいいのか、本当に一人一人のためになっているかどうかというのを全部検証し直す余地があると私は思っております。

 ですから、医療、介護の分野については、もっと効率的に、もっと国民のためになる改革があり得る、そう思っているところでございます。

大塚副大臣 要求官庁の立場から、社会保障のあり方について御下問をいただいたわけでございますけれども、例えば、今年度百五兆円の社会保障にかかわる支出のうち、約半分が年金でございます。年金も、工夫の余地がないかといえば、そうではないと思いますし、またそうであってはならないので、年金改革についても、これから各党の皆さんの御協力をいただいてサステーナビリティーの向上に努めることは、これは必要だと思います。

 それから、医療、介護は、先生よく御承知のとおり、社会的入院を減らすという目的で介護保険制度を平成十二年に導入したわけでありますが、分離した結果、それ以前と比べて、今が果たして歳出面で効率的になっているのか、あるいは予防に資しているのか、これはしっかり検証しなくちゃいけないと思っています。

 今、医療は三十兆で、残りの二十兆円ぐらいがその他の福祉なんですが、そのうち九・五兆ぐらいが介護ですから、そうするとトータルで三十九・五兆という支出が、介護保険制度ができる前の医療費と比較してどうなのか、そのときのトレンドと比較してどうなのかということは検証しなくてはならないと思っています。

 とりわけ、今、終末期とかそういうお話も出ましたけれども、全くおっしゃるとおりでありまして、だれしもいつかは年をとって、あるいは自分の親族が年をとって、そういう局面を迎えるんですが、高齢者一人当たりの医療費が年間百万で現役世代が約十五万円という、この状況がいつまでも続くとはとても思えませんので、工夫が必要だというふうに思っております。

後藤田委員 厚生副大臣から、本当に、こういう御意見がいただけるとは思わなかったので、大変敬意を表したいと思います。

 もう一つ例を挙げますと、やはり保険者が、いわゆる特定健診を含めて健康診断を促しているわけですよね。ただ、健診の受診率というのが非常に低い。こういうところは、やはり保険料を上げるとか強制的にするとかというのはできないものなんですかね。副大臣として、それに対して意気込みといいますか、そういうことをやっていかないとだめだと思う。

 これはやはり財務省も、最近、主計局とか主税局、僕はサボっていると思うんですよね。やはり大臣というのは、これは与謝野大臣の言葉をかりれば、金がないと言い続けるのが財務大臣だ、そして、どこかから金を取ってくるのが財務大臣だという意味では、過去のいろいろな制度をそのまま引き継いで淡々とやっている。もっと野武士のような主税局長、主計局長、そして各課長が出てこないものかなと思っていますが、なかなかそういう人がいませんよ。ただ、皆さんが政治主導と言うわけですから、大臣、政務官、副大臣がそれをやらなきゃいけないんですよ。

 大塚副大臣、いわゆる健診の問題についてどうお考えでございますか。

大塚副大臣 おっしゃるとおり、できるだけ疾病にかからずにぎりぎりまでお元気で、ぴんぴんころりという言葉も昔ありましたけれども、そういうことが個人にとっても社会にとっても望ましいということはおっしゃるとおりだと思います。

 したがって、例えば健康増進法に基づいて、幾つかの疾病についての検診の実施に努めるということにされておりますが、今、手元にある数字を一つだけ申し上げれば、がん検診については一〇%から二一%に上昇しているということはあります。ただ、まだ低いです。

 それから、今、保険者機能のことにちょっと触れられましたけれども、やはり健康保険組合はかなり保険者機能を発揮していますので、そういうところの一人当たりの医療費と、なかなか保険者機能を発揮し切れない市町村国保などの一人当たりの医療費は、やはり組合健保の方が低いんですね。それは、そういう健診も含めた対応をしっかりしている結果でありますので、健診率を高くして疾病予防の効果が上がるためには一体どうしたらいいかということは、先生御指摘のとおり、しっかりさらに検討し、そして行動に移していきたいというふうに思います。

後藤田委員 今の議論を聞いて、野田大臣、繰り返しますが、僕は、やはり財務大臣というのは普通の大臣と違うんだと思うんですよ。別にほかの大臣がだめと言っているわけじゃないんですよ。やはり歳入と歳出の権限と責任を持っている。ですから、やはり主計局も主税局も本当にしっかりやってもらいたいなと思います。

 そういう中で、今、特に歳出改革の話が出ていましたが、それについて、今後、社会保障について、今、副大臣もお話あったように、やはり削減も含めて検討するということでよろしいですか。

野田国務大臣 激励も込めてのお話と受けとめさせていただきたいというふうに思います。

 しっかりやっていきたいと思うんですが、特に社会保障の場合は、一般歳出のもう半分以上を超えて、しかも、さっき議論があった自然増が毎年一兆円以上あるという中で、基本的には、これをどうやって制度設計するかということが後の財政の議論と全く表裏一体になってくると思います。大事な議論なので、四月までに社会保障のあるべき姿というのは、社会保障の、いわゆる夢々しい絵そらごとばかり言うことではないと思っています。

 委員御指摘のように、社会保障分野の中でも、より効率的に実施できる分野もあるというふうに思います。いろいろな知恵を出すべき分野もあると思います。それについては、今度、十二日に検討本部の会議がございます。私の方からも、社会保障のあり方について、そういう問題提起をぜひさせていただきたいというふうに思います。

 厚労省の中でも、大塚副大臣のような見識のある方が政務三役なので、単なる要求型のものではないと思うんですが、私どもの立場からも、単なるいわゆる夢物語ではなくて、社会保障の安定強化は必要なんですが、効率化できないかどうか、そういう観点からの議論はこれからどんどんやっていきたいというふうに思います。

後藤田委員 効率化というのをやっていくと、今までよりはサービスが減る、削減されるということですが、それでよろしいですか。

野田国務大臣 場合によってはそういうものもあると思います。

後藤田委員 今、大臣から、非常に勇気ある発言、歳出改革、特に社会保障分野でも削減も含めてやっていこうという御意思を確認できたので、ありがたく思っております。

 あともう一つは、これは基本的な質問なんですけれども、この前も本会議場で申し上げましたが、アメリカのオバマ大統領は予算教書の前にこういう発言をしているんですね。アメリカは分相応の生活に切り詰めよう、そして将来の成長を促すものにお金を使っていこう。これは非常にわかりやすく、かつ勇気のある政治家としての発言だと思います。

 財務大臣は、今の税収に対して、日本国は、日本国民は分相応な社会保障かどうか。大臣にお伺いしたいと思います。税収に対しての社会保障サービスは、分相応か。

野田国務大臣 私の意見は、中福祉・低負担だと思います。

後藤田委員 いや、今の質問に素直にお答えいただければいいんです。分相応であるか、今の税収に対して。

 今の税収は三十兆そこそこですね。それに対して、先ほど大塚副大臣おっしゃったように百兆を超える社会保障、これが日本の税収の姿に対して分相応でありますか。

野田国務大臣 税収見合いの中では不相応だというふうに思います。

後藤田委員 ありがとうございます。

 そういうお答えを本当にしっかり財務大臣がおっしゃらなければ、だれも言わないんですよ。ぜひ今のお言葉を胸に、歳入歳出改革をやっていっていただきたい。

 加えてもう一つ確認したいのは、社会保障制度がここまで膨大したのは、やはり憲法二十五条に起因する一つの問題があると私は思います。二十五条には、すべて国民は健康で文化的で最低限度の生活を営む権利を有するという第一項と、その後の第二項めには、社会保障そして公衆衛生、社会福祉の増進に努めると。

 国会議員の皆さんですから、憲法二十五条はみんな、生活権、もうおわかりのとおりだと思いますが、これは昭和二十二年ですか、できた憲法の中での話であって、今、現に日本国民は最低限の生活を営んでいる状況なのかどうか。

 前段の質問に加えて、大臣の御見解をいただきたいと思います。

野田国務大臣 憲法二十五条で定めている理念自体は、これは崇高な、我々が守っていかなければならない理念だというふうに私は思います。

 運用の問題において、例えば生活保護世帯が今ふえ続けているという中で、まさに生活保護の対象としてしっかりと支給しなければいけない、そういう人たちもいると思いますが、最近、貧困ビジネスみたいなものが出てきて、よく見きわめていかなければならない、そういう現象も出てきていることは事実だと思いますので、そこは峻別しなければいけないだろうと思います。

後藤田委員 ありがとうございます。

 今、一部でございますが、特に歳出改革についてのお話をさせていただきましたが、次に歳入改革についてなんです。

 これは、特にまた医療の問題でもそうでありますし、その他、日本の経済すべてにおいても関連いたしますが、やはり税収が、日本は経済規模に対して少な過ぎるんじゃないかなと。

 お手元にお配りした資料で、二ページ目、三ページ目に書いてありますが、GDP比に占める税収の比率が日本は格段に低いんですね。そして、次、ページをめくりますと、もちろんGDP比に占める債務残高は、破格に高い。ページをめくりますと、いわゆる一般政府税収に対して支出も高過ぎる。つまり、先ほど来の、分相応ではないということなんですよ。

 僕は、歳出改革はもちろんでございますが、今るる、いろいろな前向きな御答弁をいただきましたが、やはり歳入改革、税収がなぜこんなに少ないのかなと。四百七十五兆円のGDPに対して、もっと取るべきところがあるんじゃないか、取るやり方があるんではないか。これを本当は、主税局を含めて、もっと知恵を絞れと僕はいつも言っているんですよ。ただ、今、政治主導ですから、本当に大臣、副大臣、政務官が血眼になって探すべきだと思います、いろいろな税収、取れるところを。

 特に、例えば医療分野について、私はよく言っているんです。私も身内が医療を経営しているんですが、個人でやると、借金をして、なおかつ三〇%の法人税を払って、そして、地域医療、高度医療、政策医療もやらされるんですよ。もう命がけで経営しているわけですね、借金して。その一方で、法人税も払わずに、政策医療と位置づけて奔放な経営をしている医療機関はたくさんあるだろう。主税局として、そういうところからもっと税金を取る。

 そしてまた厚生労働省も、例えば福岡県で五つの県立病院があったんですよ。これは全国で一番、経費、給料が高かったんです。それを九電工さんが、四つでしたかね、民営化して、そして黒字にしたんですね。そして、タックスイーターからタックスペイヤーに変わったんです。こういうことを、厚生省そして財務省を挙げて、血眼になって僕はやるべきことなんじゃないかなというふうに思うんですね。何度聞いても、厚生省も財務省も、余り関心がおありにならない。

 もっと言うと、税収以外に埋蔵金の話でございますが、先ほど大塚副大臣がおっしゃった、介護保険の前はいわゆる措置費の時代で、措置費のたまり金も実は埋蔵金として相当ある。皆さんも聞いていただくとわかるとおり、各地域で普通にやっている病院または特養、社会福祉法人で、税金は無税だけれども自由に使えないという金が普通に各病院に何億とあって、老施協の一つの調査によると、その額が全国足すと一兆円以上あるなんという話が言われております。

 これについて、厚生省、財務省さん、どちらか把握されている省庁はございますか。

大塚副大臣 今、後藤田先生御指摘の、措置費から転換した後の、介護保険制度に移行した後の移行時特別積立金というもののことも指しておられると思うんですが、そのことだけに限って言えば、例えば全国の特別養護老人ホーム約二千五百施設に、介護保険制度導入前の運営資金である措置費のうち、今現在は約一千三百億円が具体的な使用予定のない繰越金というふうになっております。ただ、今先生が御指摘になった一兆円何がしというような規模のものについては、数字としては確認できません。

 とはいえ、例えば介護保険制度も、始まってもう十年たっているわけでありまして、今申し上げましたもの以外の、移行時特別積立金とか介護報酬による剰余金の現状は、必ずしも全貌は把握できておりません。

後藤田委員 これまた、ぜひこの委員会で、早急に調査をして、提出をしていただきたいと思います。良識ある事業者は、法人税を払うから自由度を高めてくれという意見もあるんですね。

 ぜひ、委員長、この委員会で、そのデータを早急に次にお出しいただけるように、御調査をお願いしたいと思います。

石田委員長 ただいまの申し出につきましては、理事会で協議いたします。

後藤田委員 次に、もう一つ、歳入改革の問題でございます。

 私は、かねてから公益企業というのは何なんだろうなと。特に、電力とか通信、携帯各社ですね。また、JR、たばこ、酒。こういうところというのは、民間企業もしくは上場しているわけでありますが、ある意味で業務独占をしている。そして、利用料というのは、大体コストにプラスオンして利益を得ている。言い方が悪いですが、これはだれがやっても経営できる、私はそんな気がしてならないんですね。

 そういう中で、例えば酒、たばこというのは、大体たばこが三兆円の売り上げで、税収は国だけでも一兆円取られていますよ。たばこというのは、まさに庶民の楽しみ。酒も、恐らく数字は八兆円前後だと思うんですね、売り上げは。そのうちで、税収は一・五兆円なんですね。こういう形で、庶民からもしっかり、比率からすれば相当な税金を取っていますね、財務省さんも。

 一方で、電力とかJRとか携帯電話会社。例えば携帯電話だと、NTT四兆円、KDDI三兆円、ソフトバンク二兆円という売り上げです。足して十兆円ぐらい。税収がそれぞれ、NTT三千億、KDDI千五百億、そしてソフトバンクは一千億、税収を払っています。しかし一方で、利益は、NTT八千億、KDDI三千七百億、ソフトバンク二千億。

 携帯電話というのは新たな便利なツールでありますけれども、これだけの税収を払っていますが、これだけの利益を上げている会社からやはり何か税金を取る方法というのは、大臣、ないんですかねと私は思うぐらいなんですよ。

 一方でJRも、過去に借金を二十数兆円、財務省に面倒を見てもらっている中で、何かリニアをつくるとか、またおかしなことを言っていますよ。その前に借金返せと僕は言いたいんだけれども。しかし、JRは税収をそれぞれ、東日本、東海、西日本で、約七百億とか、JR西日本は二百億の税収を払っていますが、利益はそれぞれ、一千億、八百億、二百億ですよ。こういうところからももっと税金を取れるんじゃないかなと。

 電力会社もそうです。東京電力五兆円、中部電力二兆円、関西電力二・五兆円の売り上げ、十兆円ですよ。でも、税収はそれぞれ、二百億、七百億、六百億。しかし、利益が、電力会社は、千三百、千、千二百億です。何かこういうところから税金をうまく取れませんかね。

 もっと加えて言いますと、公営ギャンブルですよ。JRAは三兆円の売り上げで、そして競輪は約八千億、ボートは一兆円です。財務省さんとおととい話をしていたら、大体一〇パーから一二、三%、頭をはねられていますね、国に。

 一方で、ではパチンコはどうなんだ。パチンコは、今若干減ったようですが、二十兆を優に超える。二十兆ですよ。しかも、これは非常にグレーですよ、景品交換から始まって。二十兆産業からも何かこれは取れないものですか。

 もっと言うと、広告税、これも約八兆円の広告の市場規模がございます。まあ、こんなことを言うと、あしたから私も多分怒られるんでしょう。

 しかし、それぐらいの税の取り方というのを、本当は主税局、そしてまた政治主導でやれるんじゃないですか。私はそう思っているんですね。

 その点について、大臣、本当の政治主導だったら、こういうことをやらなきゃいけないと思うんですよ。役人じゃ、これは多分できないです。

 ぜひ、その点について、大臣、政治家らしい答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 電力から携帯から、そして今はパチンコ、広告と、いろいろな例えを出されました。

 やはり何か新たに課税をするときというのは、基本的には、合理的に課税根拠があるのか、あるいは経済にどういう影響があるのか、公平で効率的な課税が可能かどうか、既存の税制との関係とか、そういうものをよく総合的に判断して考えるべきものだろうと。

 パチンコとか広告は、昭和四十年代からいろいろ、時折税調で議論になっていますよね。過去のその議論なども、ちょっと私も精査をさせていただきたいというふうに思います。

後藤田委員 前向きな答弁として理解したいと思います。

 そして、済みません、きょうは文部副大臣もわざわざお越しをいただきまして、ありがとうございます。

 これは歳出歳入の効果について、ちょっと分野は違ってくるかとも思いますが、私はそもそも私学助成について聞きたかったんですね。これは憲法上の問題もいろいろ議論はあるんですね、私学助成というのは。

 しかし、私が持っている資料で、上から挙げていくと、私学助成をもらっているのが、全国で五百四十二校。一番多いのが、一位日本大学、約百億ですね。それで早稲田大学が九億、慶応大学が八億、東海大学が六億から始まって、だあっときているんですよ。結構もらっているなと私は思った。福沢諭吉さんというのは、国を支えて国を頼らずと言っているんですよ。どうしてかなと不思議に思っているんです。それは別としましても、やはり多過ぎるなと。

 私は、昨今の就職率の低迷というのは、大学がふえ過ぎた、もしくは、大学に行く人が、もちろん行きたい人はいいですよ、それは自由です。しかし、そこら辺で、その後の就職のミスマッチというのが起こっているんではないかなと。

 初等教育では生きる力を教え、高等教育では喜びをいかに与えるか、それが仕事ですよね。そして喜びの対価が給料である、私はそう思っています。

 僕は、やはり私学助成のあり方というのは大学の就職率でちゃんと査定すべきじゃないかと。聞いたら、何かいまだに人数割りになっているというんですよ。例えば新潟大学でも、医学部では偏差値が七〇あって、その他は五〇だとか、そんな話もある。一方で慶応大学も、AO入試というのが最近はやっているらしくて、普通の試験で入る人とそうじゃない人というのはすごい格差があるようですよ。それは、みんな経営が大変だから、ばんばん入れるんでしょうけれども。

 この使い方というのは何とかならぬものですか。問題意識を副大臣は持っていますか、政治主導なんですから。

笹木副大臣 今、就職率によって私学の助成金を決める、それはやはり若干難しいかなという気がします。

 ただ、今実際にやっているのは、例えばインターンシップ、これに対する誘導というのはやっております。二十三年度の予算でも、特に成長分野で雇用に結びつく人材の育成、医療とか福祉とか環境、エネルギー、こうしたものでのインターンシップの実施状況で、加算措置はやっております。

 就職率自体ということになると、その学部や地域の特性、いろいろなことがありますよね。その比較をどうやるか、結構なかなか大変な比較になるんじゃないか、そんなことも感じております。

 あわせて、ちょっと政治主導の成果をお話ししたいんですが、寄附税制、これで私学に対する個人からの所得控除、これも法案に入っておりますので、地域でしっかり個人個人が評価をして公益的なお金が私学に流れる、これは今言ったような成果をしっかり評価するということにきめ細かにつながるんじゃないか、そんな気がしております。

後藤田委員 何か役人答弁ですね、はっきり言って。残念です。

 財務省、どうですか。やはりこれは主計局が査定するわけですよ、私学助成も。そういうのをちゃんと考えながら査定していますか。

野田国務大臣 就職率という観点での査定はやっていないと思います。

後藤田委員 その考え方はどうですか。だって、やはり、大学というのはそもそも、いかに社会にいい人材を出すかということでしょう。そして、そういうところに、頑張っているところに助成しているわけなんだから、そういう観点で査定するのが当たり前じゃないですかね。いかがですか、大臣。

野田国務大臣 大学は、私学も国立大学も、基本的には、就職率という観点もあるかもしれませんが、研究成果であるとかさまざまな観点でそれぞれの大学の評価があると思いますので、その一点突破だけの評価で本当に査定していいのかどうかというと、ちょっと私は、かなり研究の余地があるのではないかと思います。

後藤田委員 みんな役人答弁ですね。残念です。熟議したいなと思っているんですけれどもね。

 もう一つ、ちょっと時間がないのですが、まあ、これから時間がまだ十何時間ある委員会ですから、ゆっくりしたいと思います。

 一つ、最近のトピックスとして、還付加算金、例の武富士ですか、あれが相当な金額を、皆さんが幾ら仕分けで頑張っても全部吹っ飛んでいく額をやったんですね。これは、三十七年施行の国税通則法の五十八条かなんかだと思うんですね。

 聞きたいのは、今まで国が負けたことによって、還付加算金を累計で幾ら払ってきていますか。

五十嵐副大臣 お答えいたします。

 今保有している平成十七年度以降の資料に基づいてお答えをいたしますが、国側の敗訴が確定した課税訴訟の件数が百十六件でございます。このうち、還付加算金が発生した事案における還付加算金の合計額は約五百四十二億円になっております。

後藤田委員 これは御承知だと思いますが、負けたときの金利というのは、公定歩合に四パー乗せるとか書いていますよね。これはどうですか。

 これは、裁判する方も裁判する方だと思いますよ。国税庁というか大臣を含めて、だれが責任をとるんですかね。これは国の税金を使うわけですから、そもそも負ける裁判をやったのかということですし、相手方の弁護士には、やめ検、やめ国、入っていますよ。それは、国税庁だってどこだって、みんなやめたら、逆にそういう人たちの顧問になったりするわけで、変な話、国税がわざと負ける戦をして、そこにまた還付金を払わせて、国税庁をやめたらそこに就職するとか、そんなのだってあり得ますよ、知恵を絞れば。これは私は危ないなと思っているんです。

 この金利の問題について、大臣、これは見直す考えはないですか。余りにもおかしい。それはどうですか。

野田国務大臣 これは、納税期間中に納税者がきちっと税金を納められなかった場合に、利子税とか延滞税を払うことになるじゃないですか。その見合いで、本則では一応七・三%としている。最近は、前の年の十一月の公定歩合に四%を足す、そういう計算でやっているわけですね。だから、これは要は納税側の、言ってみれば、払えなかったとき、利子税との見合いだから、バランスをどう考えるかだと思うんです。

 国は、もちろん、敗訴前提に闘うわけではないんですけれども、もしそういうことになった場合には、その見合いでやはり一種の利子分を払うことが、このいわゆる還付加算金の考え方でございます。

後藤田委員 今大臣おっしゃったように、延滞税も、これは僕は高いと思いますよ、中小企業、零細企業は今大変だといって、金融庁もモラトリアムだ中小企業税制だとやっている中で。

 だったら、見合いだというのなら、両方、大臣のときに政治主導で変えたらどうですか。また役人答弁ですか。一言で、政治家らしい答弁をしてください。

野田国務大臣 バランスをどうとるかということは、税制いろいろ、抜本改革をやりますけれども、この問題についてもよく検討させていただきたいというふうに思います。

後藤田委員 いつまでに検討してくれるんですか。

野田国務大臣 じっくり検討させてください。

後藤田委員 次の総理の呼び声高い大臣ですから、ぜひその点は期待したいと思います。

 次に、ちょっともう時間も押していますが、最後に、添付資料にも書いています、国民年金法等の一部を改正する法律案、つまり、基礎年金の二分の一の国庫負担の法律がございます。

 そもそも、この財源のとり方というのは我々も賛同しかねる部分があるのでございますが、この法案の概要には、平成二十四年度からの税制抜本改革により安定財源の確保が図られると。これはたしか一・二兆円かな、その財源の法律だったと思うんです。基礎年金部分は約二・五兆円ですかね。

 それを、今回は埋蔵金で対応するということですが、二十四年度からの税制抜本改革で安定財源を確保するというふうに書いていますが、これは消費税ということでよろしいですか、大臣。

野田国務大臣 いわゆる臨時財源、二兆五千億、確保するのに本当にぎりぎりでございました。これ以上はもうなかなか困難だろうということで、法律の中にしっかりと、税制の抜本改革を通じて安定財源を確保するということで、消費税を含む税制の抜本改革で対応するということです。

後藤田委員 その税制抜本改革ですが、例の所得税法等の改正案の附則百四条に、これは何度も大臣とは議論しましたが、二十三年度中に必要な法制上の措置をとると書いていますね。二十三年度中というのは来年の三月三十一日までですねと。

 先般も本会議で御質問しましたが、与謝野大臣は、この六月に、税と社会保障の一体改革の中で、具体的な踏み込んだ税率や、また消費税を上げる時期、その点についても踏み込みたいという御発言があったんですが、財務大臣の御見解はいかがでございますか。消費税の税率は六月に示されますか。

野田国務大臣 改めてちょっと順路を確認させていただきますけれども、四月までに社会保障のあるべき姿、方向性をまとめる、そして六月までに、その制度設計と、それを支える安定財源の確保と、財政の健全化を一体的に結論を出す、成案を得る。その成案の中には、当然のことながら、税率あるいは社会保障、どこまで使途を定めるかという中身の骨格が当然決まります。

 あわせて、工程表をつくることになっていますので、今の附則の問題もよく念頭に置きながら、いつまでにどういう段取りでやっていくかということを、六月までに御提案するということでございます。

後藤田委員 世論調査を見ると、解散を早めるべきだというのがもう六割を超えて、今度は大連立をやれというのがまた六割ぐらいになっていて、そしてばらまきはもうやめろというふうになっています。

 変な話、六月に税制抜本改革をやるとき、大連立をやったっていいと思いますよ。そして消費税を上げて、そして解散する、そういうことも、国家を考えれば、一つの方法としてあると思いますが、そのことについてはまたこの委員会で問うていきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

石田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲です。

 きょうから野党の国税二法に対する重要な審議が始まるわけでございまして、私どもも、予算関連法案につきましてはできる限り協力をして、夜なべであろうがやろうということで今回臨んでいるわけでございます。

 もちろん、重要な法案でございますので、早速取りかかりたいところでございますけれども、その前に、何といっても、前回の委員会で私が質問いたしました、野田財務大臣に関する脱税関係企業にパーティー券を買ってもらっていたという報道につきまして、その後の事実確認と対処につきまして、まず、しっかりとした報告をいただきたいというふうに思います。

野田国務大臣 先週、三月二日のこの衆議院の財務金融委員会で、竹内委員から、一部の報道についての御質疑をいただきました。

 そのときは、事実確認をさせていただくというのが私の答弁の趣旨だったと思いますけれども、事実確認をさせていただいた結果、平成十九年六月に政治資金パーティーを行った際、それ以前に脱税をした法人の関連会社二社から、それぞれ四十万円ずつのパーティー券の購入を受けていたことが確認をされました。

 当時は、善意でパーティー券の購入をしていただいたという認識であり、それに基づいて、法令に基づき適正に政治資金収支報告書に記載をさせていただきましたけれども、今こういう立場でございますので、結論的には、適切なお金の受領ではなかったというふうに思います。法令上は違反はしておりませんけれども、今、税金をいただく立場でございますので、そういう意味からも、三月の四日、先週の金曜日に、両社に対して全部返還をさせていただきました。

 以上です。

竹内委員 八十万円を返還した、こういうことですよね。やはり財務大臣でいらっしゃいますから、公正さを少しでも、毛筋ほどでも疑われるようなことがあってはならぬというふうに思います。

 この点につきまして、前原前外務大臣からその方を紹介されたというふうに参議院の予算委員会等では伺いましたが、これは間違いないんでしょうか。

野田国務大臣 自分を応援されている企業の関係者の皆さんがいらっしゃるから、ぜひ一回顔を出してみないかというような御連絡をいただきまして、そして、そこに行ったら二、三十人の企業経営者の方がいらっしゃいました。その中で、私自身じゃないんですが、随行した秘書が名刺交換をした中にそういう方がいらっしゃったということでございます。

竹内委員 そのときはどういう方か御存じなかったと思うんですが、今はどういう関係の方か御存じでいらっしゃいますか。

野田国務大臣 報道等はいろいろされているようですが、一つ一つ事実確認はしておりません。

竹内委員 ぜひ、念のためといいますか、こういうときに当たって、やはりきちっと事実確認をされるべきだと私は思います。この話は参議院の予算委員会でも出ておりますけれども、恐らく財務大臣は御存じだと思うんです。これ以上申し上げませんけれども、その辺はきちっと確認すべきであるというふうに私は思います。

 その上で、前原さんから紹介されたということで、前原前外務大臣が絡んでいる話ですので聞いておきたいんですが、野田財務大臣の場合は、このような八十万円の件でここで説明をしなければならない、こういうお立場であります。しかし、一方で、前原さんは、私も同じ京都でよく存じ上げておりますけれども、委員会等では全く説明をされずにやめてしまわれた。

 そういう意味では、野田財務大臣は、今回の前原さんの辞任の問題につきましてはどのような御認識をお持ちでしょうか。

野田国務大臣 外務大臣として本当に東奔西走しながら国のために頑張っていただけに、こういうことが起こり、やめざるを得なくなったということは、極めて残念至極でございます。

竹内委員 野田財務大臣は、今後も前原さんが国会等で説明する政治責任はあるというふうに思いますか。

野田国務大臣 いわゆる外国人の献金の問題については、外務大臣という重たい役目をやめるということで本人なりの一つのけじめだと私は思いますが、そのほか必要に応じて、きちっとそれぞれの場で説明責任を果たしていくべきだろうというふうに思います。

竹内委員 至極真っ当な御意見だというふうに思います。

 さて、そこで国税二法の質疑に移りたいというふうに思いますが、細かくは一々質問通告をしておりませんので、基本的に大臣の見識をお伺いしたいというふうに思います。

 今回の特に法人減税につきまして、きょうはお伺いしたいんです。

 二〇〇九年の衆議院選挙の、あの旋風吹き荒れた選挙の際にマニフェストが注目されたんですが、しかし、いろいろそのときのテレビ等を拝見していても、法人減税の話はほとんど出てこなかったという印象なんですね。子ども手当の話、高速道路無料化等の話はいろいろ出てまいりましたけれども。

 それが、話題になっていなかったんですが、昨年七月ごろから突然政府と民主党の方で持ち上がってきたというふうに思います。何かこの背景があったんでしょうか。

野田国務大臣 法人の実効税率の引き下げという形でのマニフェストの項目はありません。ただ、マニフェストの中には、各論のところで、中小の軽減税率については一八から一一%に引き下げるというのがございました。ということで、法人の経営環境をよくしよう、そういう意図は私どもはもともと強かったわけであります。

 国民の生活が第一というのが一番の理念でございますが、やはり元気な企業が出てこないと国民の生活もしっかりと維持できない、そういう観点から、やはり雇用と投資をやってほしい、攻めの経営をしながら雇用や投資にそのお金を回してほしい、そういう思いから、今回思い切って法人実効税率の引き下げという政治判断をさせていただきました。

竹内委員 大臣としてはそのようにお答えになるんだろうと思いますが。

 これは質問ではありませんけれども、いろいろ漏れ聞こえてくる風聞では、菅総理が代表選挙で、直嶋さんが所属されていた旧民社党系議員の支持を得るために、急に法人税引き下げに熱心になったというような、そういう便りもありました。

 そういう意味では、我々としては、本当に突如この法人減税が出てきたなと。後でも申し上げますが、本来であれば、菅さんの言われる第三の道、これをやはりもっともっとやるべきなんだろうというふうに思いますし、一方で、どう見てもこの法人減税というのは第二の道じゃないかなというふうに思うんですよね。そういう意味で不思議に思っておるところであります。

 次の質問に行きます。

 大臣の御見識を伺いたいんですが、最近は韓国を初め、特に韓国ですよね、国家資本主義的な傾向を強めるそういう国々が多くなってきた。こういう場合に、こういう国々に対して国家戦略としての税制という議論はされたのかどうか。ここは非常に大事だと思うんですよね。そういう議論はあったんでしょうか。

野田国務大臣 国家戦略としての税制というよりも、やはりデフレ脱却をして、そして日本経済を成長軌道にしっかり乗せるために元気に法人には頑張ってほしいという思いを込めて、一つには、さっき申し上げたように、雇用と投資を拡大してほしいという気持ちですね。それからもう一つは、やはり国内企業の国際競争力の強化、外国系の企業の立地促進、こういう観点の中で法人実効税率の引き下げの議論をさせていただきましたし、国際競争力の強化という観点の中では、例えば主要先進国とのバランス等々、そういう議論は確かにありました。

竹内委員 この辺の世界的な戦略といいますか、そういうことはやはり大事なことだと思うんですね。考えておかなければならないと思います。

 私も大企業の経営者の方々の何人かとお話もさせていただきましたけれども、やはり今求めているのは、韓国並みにはしてほしいという要望はすごく強いですよね、競争条件を一緒にしてもらいたいと。それはもちろん経営者ですから、そうおっしゃるのは無理からぬところだと思います。しかし、国として、本当にそういう世界的な国家資本主義的な傾向に対してどう対応していくのかというトータルな物の考え方は、やはりしっかりと持っておかなければいけないというふうに思います。

 また、今デフレ脱却とか国際競争力の強化ということがありましたけれども、今後、企業とそういう経済の活性化のためには、いわゆる法定税率の引き下げがよいのか、それとも租税特別措置というもの、さまざまなものがありますね、こういうものの方がきくのか。まず、こういう議論は大事だと思うんですよ。そういう議論はありましたでしょうか。

野田国務大臣 さっきの韓国のケースなんですけれども、二〇〇〇年以降、随時法人税率を引き下げていますが、ちょっと日本と事情が違うのは、財政収支が黒字なんですよね。そういう違いがあるので、すぐさま韓国並みに日本が後を追ってという形は、実態はちょっと困難ではないかなというふうに思います。

 そういう違いがあるということと、法人実効税率のいわゆる税率、ベースラインを引き下げることと、我々、課税ベースの拡大という形で、租特を含めての見直しもさせていただきました。それはやはりバランス上どっちの方がいいのかという、そういう議論はそれぞれにさせていただいております。

竹内委員 大臣は最終のこの法人税率を下げる決定の重要な局面で、三%にとどめるべきだとおっしゃっていました。三%にとどめて、そのかわり、課税ベースを拡大して、大体これはチャラということですかね。一方で、玄葉大臣は五%を要求されて、結局、菅さんが五%で裁断した、こういうふうに伺っておるわけでありますけれども、このことは正しいのでしょうか。

野田国務大臣 私の方は、課税ベースを拡大しながら財源確保をしていく、その見合いの中で法人の実効税率を引き下げるということを考えていました。というのは、財政運営戦略においては、これは歳出だけではなくて、歳入においてもペイ・アズ・ユー・ゴー原則というふうに書いてございます。そういう形でやっていって、もちろん、将来的には五%というか、可能にするように、例えば何か総則に書き込むとかというような形で知恵は出せないか、そういう考え方を持っていました。

 一方で、ここは余りペイ・アズ・ユー・ゴー原則にとらわれず、何よりもデフレ脱却、そして成長という観点から、思い切った政治決断をしようという御意見が政調会長の中にはございまして、最終的には総理が政治判断をされたということでございます。

竹内委員 ということは、野田大臣としては、経済成長よりも財政規律を重んじた、そういう基本的な判断だったと理解していいですか。

野田国務大臣 財政規律と成長のバランスを図るということでございまして、これはイギリスもドイツも、ほぼ見合いの形で課税ベース拡大をしています。そういう事例もございますので、単なる財政規律だけではありません。成長してほしいという思いも込めながら、それはバランスをとるということであります。

 ただ、ちょっと今の言い方、申しわけございませんが、私と玄葉大臣は、二案を持っていったんです。別に、野田案、玄葉案ではありませんで、税調の中の意見は大体この二つに集約をされますという中で、AとB、どっちを総理は選びますかという中で、総理が選ばれたということでございます。

竹内委員 イギリスやドイツの例を参考にされた、特にドイツを参考にされたと。後ろについている財務官僚の皆さんがいろいろ知恵を出したんだと私は思っていますけれども。

 ドイツの場合、メルケルさんが二〇〇八年に、三九%から三〇%に引き下げて、四兆一千億円程度の税収減になったわけでありますが、一方で、企業向け優遇税制を見直して、三兆五千億円増収を図っている。それで六千億円ほどの減税ということです。まあ、後ろから今ペーパーがすぐ出てきましたけれども、財務省の皆さんがいろいろ知恵を出したんだろうなというふうに思うわけであります。

 しかし、ドイツは意外な事実がありまして、複数の労働組合が、実はこのとき、雇用確保を条件に、給与を据え置いて、労働時間の延長に応じたんですよ。つまり、給与を据え置いて、労働時間の延長に応じて、実質的な賃下げをやっているんですね。そういうことが、結局、投資拡大につながっているという指摘があるわけであります。

 ですから、雇用の拡大、投資の拡大というふうにおっしゃるんだけれども、実はなかなか、ドイツの場合、裏では大変な、雇用サイドが、労働組合が泣いている、労働者が泣いているという事実もあるということを一つ指摘しておきたいというふうに思います。これは質問ではありません。

 そこで、次の質問に行くんですが、今回、実効税率五%引き下げ、昨年十一月には、経団連の米倉会長が財務省さんとの意見交換会で、租税特別措置とか、課税ベースを拡大するというので、何か、法人税率を下げる意味はないというような発言もされたというふうに伺っております。そういう意味では、経済界では、本当に真っ正直に一〇〇%評価する声というのは少ないんだろうというふうに思うんですね。

 オバマ大統領は、昨年九月に減価償却制度に特例を設けました。御存じだと思います。二〇一一年末までに米国内で実施する設備投資は初年度に全額償却できるようにした、こういうことであります。これに従って、インテルは八十億ドルの投資を決断したというふうに言われているわけであります。六千六百億円ですね。

 それから、日本では、今回の案では、これまでは投資額を耐用年数で割った額の二・五倍までを初年度に償却できたわけであります。いわゆる加速度償却というものであります。これを今回の改正は二倍に縮減しようとしているわけであります。

 そういう意味では、一括償却を認めたアメリカとは正反対じゃないんですか。米国では初年度に一括償却をやるぐらい課税ベースを縮小している。一方で、日本は課税ベースを拡大して、投資を妨げるといいますか、逆噴射じゃないのかというふうに思うんですが、大臣、この点いかがですか。

野田国務大臣 ちょっとアメリカとは違います。違いますけれども、逆噴射という位置づけではないというふうに思っていまして、今回、委員御指摘のように、減価償却方法について、二五〇%定率法から二〇〇%定率法に変えることにさせていただいております。

 これについては、法人実効税率の引き下げに伴うキャッシュフローの増加等により設備投資の増加が期待できるということと、現状でも損金算入限度額までは減価償却が行われておらず、いわば使い残し状態が生じているということ、また、今アメリカとはちょっと別と言いましたけれども、主要国と比べて遜色のない償却率であるということ、これらを考えますと、設備投資に特段の影響を及ぼすとは考えておりません。

竹内委員 そこが経営者とは全然意見が違うと思いますよね。むしろアメリカ並みに、この辺、一括償却を認めてやるぐらいの、そういう方向性もあったと私は思いますね。

 研究開発費につきましても、研究開発費の総額の一〇%を上限に、これはもともと法人税から差し引けるようになっているわけであります。現行では、法人税額の三〇%までが控除枠として認められているわけですよね。今回の改正では、この控除枠を二〇%に縮減する。

 ところが、こういうふうに三〇%を二〇%に縮減した場合、これまでこの控除枠をフルに活用している場合には、理論的には、五%減税したとしても税負担はわずかに〇・六%しか減らない、こういうふうになるわけであります。

 そういう意味では、さまざまな試算でも、今回の減税は課税ベースの拡大によって二・三%程度しか減税としての実態はない、こういうふうに言われているんですが、これではちょっと中途半端な減税になったんじゃないか。これでは投資と雇用が促進されるというふうには思えないんですが、大臣、改めていかがでしょうか。

野田国務大臣 研究開発税制の見直しについてのお尋ねでございますけれども、研究開発税制を最大限に利用している企業においても、今回の法人税率の引き下げにおいて、実質的には税負担を軽減させることができます。

 そもそも、今回縮減される措置というのは、リーマン・ショック後の極端な法人税額の減少に伴って研究開発税制の上限額が低下することに対応して、臨時異例の措置として、平成二十一年度から時限的に税額控除の上限額を引き上げたものでございますので、今回の縮減措置はこの臨時異例の措置分をもとに戻すということでございます。

 もともとこれは期限が三月三十一日までだったものですから、それをもとに戻すということで、研究開発税制の基幹部分は恒久的な措置として今後も存続をしているということで、技術開発の妨げになるようなことはないというふうに思います。

竹内委員 ちょっと質問の角度を変えたいと思うんです。

 デフレの原因は、政府見解によれば需給ギャップだ、こういうふうに言われているわけですが、これを供給サイドから、サプライサイドから分析した場合はどういうふうにお考えになっておられますか。

野田国務大臣 基本的には需要不足だということで、需要を喚起していこうというのが今の政府の基本的な方針でございます。

 供給分野については、特にデフレ脱却の関係で、どういう視点なのかどうかよくわかりませんけれども、御指摘があれば承りたいと思います。

竹内委員 ディマンドサイドというのであれば、法人減税をやる必要はないんですよね、これはサプライサイドですから。ディマンドサイドでやってきた、これまでのエコポイントとかエコカー減税とか公共投資とか、そういうことをしっかりやればいいわけですよね。要するに、もっと需要が出てくる。

 一方で、供給サイドでやるということは、そこにやはり、供給側からデフレ脱却に向けて何かをやらなければいけない、こういうことだと思うんですよ。そこをどうお考えになっているかという質問なんですね。

野田国務大臣 意味はよくわかりました。

 要は、法人実効税率の引き下げによって私どもが期待しているのは、やはり雇用なんですね。さっき申し上げたとおり、雇用と投資につなげてほしい。

 これは経団連会長もお話しされましたけれども、資本主義の国でそんなことを強制できない。確かにそうです。アコードを結ぶわけではありません。ただ、日本経団連の会長にも総理から強く要請をさせていただきましたし、それを踏まえて経団連の方も、これから十年間で国内投資のいろいろなプログラムの中で百兆円の投資をするとか、雇用についても基本的には前向きに受けとめていただいているというふうに思います。

竹内委員 雇用とおっしゃっていますけれども、これはかなり苦しいんですよ。きょうはもう時間がありませんので、またこれは次回に、ここはデータを示しながらいずれやりたいと思いますけれども、いろいろなアンケート等、それからいろいろな過去のデータをとっても、雇用をこれでふやすというのはなかなか苦しいということははっきりしているんですね。

 私の考えですけれども、むしろ供給サイドから考えるのであれば、投資促進税制をもっとやった方がいいという考え方があると思うんですよ。課税ベースを縮小して、投資促進税制を米国並みにやる。そうすると、やはりそれだけメリットがあれば、国内投資に振り向ける可能性はありますよ、研究開発とかそういう意味では。

 私の知っている世界ナンバーワンの、トップ会社の社長とこの間も話をしましたけれども、研究開発はせめて日本でやりたい、つくりたいと思っていたけれども、だめだ、こんなことではそれさえもできない、こんな逆方向を向いたあれではメリットがない、そういう会社もありました。

 そういう意味では、私は、投資促進税制をやって、むしろ付加価値の高い製品を開発して、新興国に負けないようなそういう商品や、そういうマーケットを拡大するようなイノベーションをやってもらうというための法人減税だと思うんですよ。それがやはりサプライサイドの大きな意味であって、そのイノベーションによって大きな需要が開拓される、こういうことだと思うんですよね。

 そういう循環がデフレを克服していくことになるのではないか。そのために法人減税をやるんだというふうにきちんと考えを持ってもらわないと、これは困ると思うんですね。

 もう少しだけ時間がありますので、韓国は、研究開発、人材開発控除制度というのがあるんですよね。これは、新エネルギーとか基礎技術の研究開発に投資する場合、その費用の二〇%を控除できる、さらに、それ以外の研究、人材開発の場合は、過去四年間の平均費用を超える分の四〇%を法人税から控除できるというものであります。質問通告しておりますので、そちらはよく御存じだと思います。

 韓国は、研究費からの控除範囲が日本の約二倍であります上に、しかも、研究に関連する人材教育費までこの対象にしているんですね。そういう意味で、研究開発に対して極めて手厚い支援をしておりまして、表面的な実効税率だけではなくて、さらにそういう促進税制があるものですから、実態としての税負担率というのは非常に低いということが明らかになっているわけであります。

 このような韓国の税制につきまして研究されましたでしょうか。

野田国務大臣 今の御質問にお答えする前に、投資関連で、今回税制の措置として、グリーンの関係、環境関連の投資促進税制、これは税制措置をさせていただいておりますし、特区とかアジア拠点化においても投資を促すようなそういう措置を講じているということは、単なる法人実効税率引き下げだけではないということはぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 韓国がそういう研究開発、人材開発に大変力を入れているということは、いろいろと今回調べさせていただく中で理解をさせていただきました。日本で取り入れる点がありましたら学んでいきたいというふうに思います。

竹内委員 まだまだ法人減税について質問をさせていただきたいんですが、この続きは次回にということにさせていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、法案質疑の前提として、基礎的なことから確認をしていきたいと思います。

 昨年の六月二十二日に閣議決定をされました財政運営戦略というものがあります。今回の予算編成というのは、これをベースにして作業をされたということだと思います。その基準の一つにペイ・アズ・ユー・ゴー原則があるということでありますが、まず、その意味を確認しておきたいと思います。

野田国務大臣 佐々木委員御指摘のとおり、昨年の六月に財政運営戦略を閣議決定させていただきました。これは、向こう十年間に向けての財政健全化の道筋を定めるということで、二〇一五年度までに基礎的財政収支赤字を少なくとも半減する、二〇二〇年度までには黒字化する。それを実現するルールを幾つかつくりまして、財政赤字縮減ルールとか歳出見直しの基本原則とかある中で、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を一つのルールとして定めています。

 この意味するところは、「歳出増又は歳入減を伴う施策の新たな導入・拡充を行う際は、原則として、恒久的な歳出削減又は恒久的な歳入確保措置により、それに見合う安定的な財源を確保するものとする。」こういうルールということでございます。

佐々木(憲)委員 次に、公債特例法案では、基礎年金の国庫負担の二分の一を維持するための財源として、いわゆる埋蔵金、これを当てにしているわけでありますが、どこから幾ら出すのか、その内容を説明していただきたいと思います。

野田国務大臣 基礎年金の国庫負担三分の一から二分の一ということのための金額としては、約二兆五千億円必要でございます。その二兆五千億円を、今回は臨時財源として、財投特会からの一般会計繰り入れが一・一兆円、それから外為特会からの一般会計繰り入れが〇・二兆円、そして鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの国庫納付が一・二兆円、合わせて二・五兆円でございます。

佐々木(憲)委員 そこで、この基礎年金の国庫負担の引き上げというのは、自民・公明政権のときに決められたものであります。民主党政権が埋蔵金を当てにするということは、つまり、自公政権の時代に安定した財源確保をしていなかったということになると思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 自民党政権下で定めた年金法附則において、税制抜本改革による安定的な財源が確保されない場合には、臨時の法制上及び財政上の措置を講ずることが定められておりますが、これに沿って、先ほど申し上げたように、私どもは臨時財源を確保させていただきました。

 自民党ができなかったからという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、事実としては、過去の政権の中でつくられた方針でございましたけれども、いまだにできていないまま、私どもは今政権を引き継いでいるということでございます。

佐々木(憲)委員 私はおかしいと思うんですね。

 自民・公明政権の平成十六年度税制改正大綱、これは、二〇〇三年十二月、自民・公明合意でありますが、この与党大綱ですけれども、年金制度についてはこういうふうに書いているわけです。年金制度については、平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担割合を段階的に二分の一に引き上げるための安定財源を確保する。そういうことで、二〇〇四年度以降の税制改正案を提示しているわけであります。

 基礎年金の財源として、その大綱にはどのような書き方がされていますか。

野田国務大臣 平成十六年度税制改正の与党大綱ということでございますね。

 お尋ねの点については、大綱において、「平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担割合を段階的に二分の一に引き上げるための安定した税財源を確保する。」それから、年金課税の適正化により確保される財源は、平成十六年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引き上げに充てる、定率減税の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国、地方を通じた個人所得課税の抜本的な見直しを行い、平成十七年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する、こういう内容となっております。

佐々木(憲)委員 つまり、前の政権で、自民、公明の政権で確保されていなかったというんですけれども、しかし、そのときに既に、基礎年金国庫負担の安定した財源として、老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮減、それから所得税、住民税の定率減税の廃止、縮減によって増税を見込んで、それを充てると。

 我々は、こういうやり方には、これは庶民に負担が行くので反対でありましたが、しかし、基礎年金の国庫負担分をふやすための財源として、こういう形で現に手当てをされていたんじゃなかったんでしょうか。

野田国務大臣 十六年度改正によって、年金課税の見直しに伴う所得税の増収分〇・二四兆円のうち、地方交付税を除いた〇・一六兆については、基礎年金国庫負担割合の引き上げに充てられたものと承知しています。

佐々木(憲)委員 定率減税の廃止はどうですか。

野田国務大臣 十七年度、十八年度税制改正による定率減税の縮減、廃止に伴う所得税の増収分約二・六兆円のうち、地方交付税分を除いた約一・八兆円については、使途が法定されていない一般財源であるため、厳密に特定することは困難でありますけれども、当時の与党の議論等を踏まえ、定率減税の縮減、廃止に関連づけられた歳出項目として、基礎年金国庫負担割合の引き上げには〇・三兆円が充てられたものと承知しており、残りは財政健全化のため公債発行の縮減に充てられたものと承知しています。

佐々木(憲)委員 ですから、そこにすりかえがあったわけですよ。つまり、税制改正大綱の中では、老年者控除の廃止、それから公的年金等控除の縮減、所得税、住民税の定率減税の縮減、廃止、それによって確保する、こういうふうにされていたんです。我々は、これは庶民増税なので反対だという態度をとりました。

 年金課税の強化というのは、高齢になるほど収入が減る、それは本人が努力しても収入増が認められませんから、そういうことを考慮して支援措置ということをやっていたわけです。それをなくしちゃうと。これはもうとんでもないということで、私たちは反対でありました。

 それから、定率減税縮減、廃止というのは、景気回復が個人の収入に波及していないし、それから、法人税率の引き下げと所得税の最高税率の引き下げがセットで実施されたにもかかわらず、定率減税だけが廃止されるというのは道理がおかしい、道理がないということで我々は反対しました。

 現に、そのことを自民・公明政権がやったために、非常に国民生活が混乱したわけです。現に、実施直後には、高齢者ですとか多くの国民が、何でこんなに増税になるんだ、あるいは、介護、国保の保険料が雪だるま式にふえるというような状況で、市役所に苦情が殺到するというような、そういう現象まで起きたわけです。そういう影響というのは非常に大きかったと思うんですね。

 野田大臣、そういう実態はあったという認識をお持ちですか。

野田国務大臣 実態、まさにそういう国民の声はたくさんあったというふうに思いますし、したがって、例えば年金課税の見直しについては、私どもも、当時の民主党は反対の立場をとらせていただきました。定率減税の縮減についても、当時の経済状況とか国民の声を踏まえて修正案を提出させていただいて、否決をされました。

佐々木(憲)委員 そのとおりなんですね。

 野田大臣は、二〇〇五年二月十八日の衆議院財務金融委員会で、定率減税の縮減、廃止について反対だ、こういう立場でこの場から質問をされておられました。

 どんな質問をされていたかということを覚えておられるのではないかと思いますが、紹介いたします。

 自民党の政権公約に入っていなかったんだ。公明党さんは多分入っていたんだと思います。入っていたというのは、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に上げる財源として。これは、我々、考え方は違うんですが。公約に入れていたか入れていないかというのは物すごく大きな話だ。国民の負担にかかわるような大事なテーマというのは、そういう約束がないと政治に対する信頼をなくしてしまうと思うんです。これはだまし討ちになりますからね。国民に事前に説明をして、そのことを約束したかどうか、それを私は問いたかったんです。

 こういう質問をされておられるわけであります。

 記憶はありますか。

野田国務大臣 御指摘をいただいて、記憶がだんだんよみがえってきました。

 あのときの一番の視点は、そういう視点と、あと、景気認識の議論が一番多かったような気がします。あのときの政府税調か何かで、景気は著しく好転したとかという、そういう表現があったので、本当にそうかというような問い詰めをいっぱいやった記憶は、今よみがえってきました。

佐々木(憲)委員 そのとおりですね。

 その質疑で、やはり、国民の負担にかかわるような重大なテーマについては、約束がないのにやるというのは、これは政治に対する信頼をなくしてしまうと、大事な指摘をされているわけであります。

 私たちも、基本的にはそういう考え方がありましたので、共通するところがありました。財源は別な形で手当てすべきだと。我々としては、無駄遣いにメスを入れるとか、あるいはもうかっている大企業に対して法人税の一定の応分の負担というようなことをたしか言ったと思います。そういうことで、対案を示しながら、庶民増税につながることについては反対と。

 ところが、残念ながら、我々日本共産党あるいは民主党のそういう考え方を聞かずに、当時の政権は実行したわけです。

 つまり、税制改正大綱で、こういう形で方針を出し、その背景には、最初に公明党が政権公約で掲げて、自民党がそれに同調して、税制改正大綱に盛り込んで、政府の方針としてつくり上げていった、そしてそれを実行した、こういうことなんです。

 したがって、財源は、本来、こういう形で担保されていたはずなんですよ。そういうことじゃありませんか、大臣。

野田国務大臣 そういうことでした。

佐々木(憲)委員 民主党も二年前のマニフェストで、公的年金等控除それから老年者控除は平成十六年度改正以前の状態に戻します、こういう公約を掲げておられたわけです。残念ながら、これはまだ実行されておりません。しかし、定率減税廃止などを含むこういうことに対しては、反対の態度をとっておられました。

 民主党の態度からいたしますと、本来、これはやってはならないということですから、もとに戻すというのが筋だったと私は思うんですが、それは実際にやっていないわけですね。

 そうすると、財源としては既に確保されているわけですよ。したがって、何で埋蔵金を今掘るんですか。既にあるんじゃありませんか。

野田国務大臣 定率減税を戻すだけではもう足りないんじゃないでしょうか、金額的には。だから、臨時財源は、一生懸命確保すべく努力したということであります。

佐々木(憲)委員 いやいや、実際には、先ほど言った年金課税の強化それから定率減税の廃止、これによって財源は確保できるという計算だったわけです。計算だったんです。

 ところが、それを、実はその目的のために使わず、先ほど野田大臣が少し御答弁になったことなんですけれども、財政赤字の穴埋めに使っちゃったんですよ。したがって、足りなくなったと。こういう経緯じゃなかったんですか。

野田国務大臣 御指摘のとおり、財政健全化の方に使ったという経緯は、先ほど申し上げたとおりであります。

佐々木(憲)委員 そうなってきますと、自民・公明政権の時代に財源をちゃんと確保したにもかかわらず、実はこれは公明党の政策だったんですね。だから、公明党政策どおりやっていなくて、自民党がどうしたのかよくわかりませんけれども、結果としては、基礎年金の二分の一国庫負担やりますよという約束をしていながら、そこに使わなかった。つまり、約束違反なわけです。

 その結果、今度はまた、埋蔵金だということで、今度の予算で埋蔵金を当てにする。さて、そうなると、一年でもう底をつく。では、あとは恒久財源は何かといったら、消費税だとなるわけですね。

 私は、これはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですよ。つまり、基礎年金の国庫負担分を確保するためにという名目で、一つの証文で二回も三回も国民から取り上げるような、そういうことになるのではないか。そう思いませんか。

野田国務大臣 臨時財源でやりくりするという困難はもう限界だということで、しっかりと恒久的な財源を確保していくということを、だから今回、国民年金法の改正もお願いをしながら、法律的にもそのことを担保しながら財源確保をしていかなければ、年金財政の持続性というのが厳しくなるというふうに思っています。

佐々木(憲)委員 私は、国民に負担を負わせることばかりではなく、そういうことはやってはならないと、だって、最初から民主党が言っていたんだから。そういう方向ではなく、大手企業の内部留保が二百四十四兆円という形でたまっているわけですね。そういう現実をよく見て、どこから財源を確保するかということをよく考える必要がある。

 吉田財務政務官に来ていただいておりますが、どうも吉田さんは逆の方向の発言をされているような気がするわけです。基礎年金の国庫負担を引き上げるんじゃなくて、引き下げたらどうかというような、これはちょっと本末転倒だと思うんですけれども。

 報道によりますと、昨年の十一月二十九日、基礎年金の国庫負担割合を現行の五〇%から三六・五%に下げる、そういうことで調整に入ったと記者団に明らかにしたと。これは当時の話です。そういうことを実際に検討されたということは事実なんでしょうか、吉田さん。

吉田(泉)大臣政務官 昨年の十一月の発言の背景を申し上げたいと思います。

 先ほどからお話も出ていますけれども、二十三年度、基礎年金の国庫負担を二分の一にする、そのためには臨時財源として二・五兆円必要だったわけですが、十一月、予算編成の真っただ中で、ぎりぎりまでそのめどが立たないという状況がございました。そうした中で、財務省の政務三役で相談をいたしまして、十一月の末ごろですが、私から厚生労働省の政務官に対して二つのことを申し上げました。

 一つは、二十三年度以降の基礎年金の国庫負担については、三六・五%、今先生が指摘されたパーセントでございますが、三六・五%とする案も含めて対応を検討する必要がある。それからもう一つは、この場合、二分の一と差額が出るわけですが、その差額については税制抜本改革による増収によって遡及的に賄うということが考えられるのではないか。この二つを申し上げたところでございます。

佐々木(憲)委員 財源が足りないということから、国庫負担を引き上げなければならないのにそれを下げるとか、それから国民に対しては消費税の増税だとか、私は発想が違うんじゃないかと。民主党はもともと、国民の生活第一と言っていたんじゃありませんか。生活第一と言っているなら、財源を庶民から取り立てるのはやめなさいと私は言いたいわけです。

 やはり、今やるべきことは別にある。例えば一つ挙げれば、米軍に対する思いやり予算、仕分けの対象にもなっていない。こういう問題にしても何ら検討されていないじゃありませんか。しかも、それを延長して、五年間これからもやるんだ、こういう話ですしね。

 それから、先ほど少し申し上げましたけれども、大企業に対する法人税の負担の問題、これは私は逆の方向に行っていると思っております。これはもうペイ・アズ・ユー・ゴーどころか、いわば究極のばらまきと言う人もいますけれども、大企業に対するばらまきですよ。それから、証券優遇税制の問題にしても、これは本来二〇%の本則に戻すというのがたしか税調の基本的な考え方じゃなかったんですか。それをひっくり返しちゃった。

 ちょっとこういうことを考えてみますと、どうも言っていることとやっていることが反対の方向に行きつつあるのではないかと思うわけです。それが、内閣の支持率が下がる一つの要因になっていると私は思います。

 ですから、本来の国民の暮らしを最優先させる方向に戻るのが本筋だと思いますが、どうもここまで来ちゃったら、はるかに遠くまで来ちゃってなかなか戻りようがないという感じがいたします。そうなりますと、あとはどういう選択があるか。これは今後の政局の行方にいろいろかかわってくると思いますけれども。

 私は、今の政府の予算編成の基礎にある方向が、どうも言っていたこととは違う方向にかなり大きくかじを切り過ぎているというふうに思いますので、引き続き、今後議論をしていきたい。

 法人税については、きょうはほとんどやれませんでしたから、次回以降やっていきたいというふうに思っております。

 以上で終わります。

石田委員長 次回は、明九日水曜日午後五時理事会、午後五時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時七分散会


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