衆議院

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第8号 平成23年3月22日(火曜日)

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平成二十三年三月二十二日(火曜日)

    午後五時三分開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 泉  健太君 理事 大串 博志君

   理事 岸本 周平君 理事 古本伸一郎君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 竹下  亘君 理事 竹内  譲君

      東  祥三君    網屋 信介君

      五十嵐文彦君    稲富 修二君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      柿沼 正明君    勝又恒一郎君

      木内 孝胤君    小山 展弘君

      近藤 和也君    菅川  洋君

      高橋 英行君    玉木雄一郎君

      豊田潤多郎君    中塚 一宏君

      中林美恵子君    野田 国義君

      松原  仁君    三日月大造君

      三村 和也君    柳田 和己君

      和田 隆志君    若井 康彦君

      今津  寛君    竹本 直一君

      徳田  毅君    野田  毅君

      村田 吉隆君    茂木 敏充君

      山口 俊一君    山本 幸三君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         野田 佳彦君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           山崎 一樹君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 上月 豊久君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    柴生田敦夫君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    中尾 武彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           朝日  弘君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  東  祥三君     三日月大造君

  岡田 康裕君     野田 国義君

  勝又恒一郎君     高橋 英行君

  吉田  泉君     若井 康彦君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋 英行君     勝又恒一郎君

  野田 国義君     稲富 修二君

  三日月大造君     東  祥三君

  若井 康彦君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     岡田 康裕君

    ―――――――――――――

三月十八日

 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

同月二十二日

 国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法等の一部を改正する法律案(野田毅君外三名提出、衆法第四号)

同月十日

 消費税増税をやめ、公正な税制に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一五六号)

 国税通則法の改悪反対・納税者の権利確立に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一五七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二一七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三四号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二四二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二五九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二六一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二六二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二九二号)

 酒類の取り扱い及び販売の規制強化と酒類小売業者の生活権を求める施策の実行に関する請願(金子恭之君紹介)(第一九一号)

 同(金子恭之君紹介)(第二〇五号)

 消費税増税をやめ、暮らしと経営を守ることに関する請願(田中康夫君紹介)(第一九九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二四三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二六四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二九三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二九四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二九五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二九六号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二三三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二九七号)

 消費税率を引き上げないことに関する請願(古屋圭司君紹介)(第二四四号)

 消費税増税の中止と医療を初めとする生活必需品にゼロ税率の適用を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二五四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五五号)

 消費税増税反対、住民税をもとに戻すことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二五六号)

 消費税の増税反対、食料品など減税に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二五七号)

 暮らしと経済を壊す消費税率一〇%への大増税反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二八八号)

 所得税法第五十六条の廃止を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二八九号)

 納税者の権利を確立し、中小業者・国民の税負担を軽減することに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二九〇号)

 庶民増税をやめ、暮らしと経営を潤すための財政確立に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二九一号)

同月十七日

 消費税増税をやめ、暮らしと経営を守ることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三一八号)

 消費税率を引き上げないことに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三一九号)

 消費税の増税反対、医療・介護施設へのゼロ税率に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三二〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四一九号)

 所得税法第五十六条の廃止を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三二一号)

 消費税の増税に反対し、食料品非課税を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三六〇号)

 消費税大増税の反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三六一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四〇八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四〇九号)

 同(笠井亮君紹介)(第四五〇号)

 消費税増税に反対、所得税減税を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第四〇一号)

 消費税増税反対、食料品など減税に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四〇二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇三号)

 消費税増税をやめ、所得税・個人住民税の非課税基準の引き上げを求めることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第四〇四号)

 消費税の増税に反対し、公正な税制実現を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第四〇五号)

 消費税引き上げ反対、庶民減税を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四〇六号)

 消費税率引き上げ反対、食料品非課税等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四〇七号)

 消費税の増税反対、食料品など減税に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第四一一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四一二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四一三号)

 同(志位和夫君紹介)(第四一四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四一五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四一六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四一七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四一八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四五一号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(志位和夫君紹介)(第四二〇号)

 庶民増税反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第四三六号)

 国税通則法の改悪反対・納税者の権利確立に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四三七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四五二号)

 消費税増税反対、住民税をもとに戻すことに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四三八号)

 暮らしと経済を壊す消費税率一〇%への大増税反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第四五三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四五四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ち、委員会を代表し、一言申し上げます。

 このたびの東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波の被害により、亡くなられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 ここに、亡くなられた方々の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立願います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

石田委員長 黙祷を終わります。御着席ください。

     ――――◇―――――

石田委員長 内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案及び中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣野田佳彦君。

    ―――――――――――――

 関税定率法等の一部を改正する法律案

 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 提案理由の説明をさせていただく前に、私からも、今般の本当に未曾有の大地震によってとうとい命を奪われた皆様に心からお悔やみを申し上げるとともに、いまだに三十万人以上の皆様が厳しい寒さの中で被災生活を余儀なくされています。心からお見舞い申し上げたいと思いますし、被災地において、あるいは原子力発電所において、まさに命をかけて献身的なお取り組みをいただいている自衛官の皆さん、そして警察官の皆さん、消防の皆さん、民間事業者の皆様に、感謝を申し上げるとともに、心から敬意を表したいと思います。

 それでは、ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 まず、関税定率法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 政府は、最近における内外の経済情勢等に対応するため、特恵関税制度、関税率等について所要の措置を講ずるほか、貿易円滑化のための税関手続の改善、税関における水際取り締まりの充実強化等を図ることとし、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一は、特恵関税制度の改正であります。

 平成二十三年三月三十一日に適用期限が到来する開発途上国の産品に対する特恵関税制度について、その適用期限を十年延長するとともに、特定の鉱工業産品等に係る特恵関税の適用の停止の特例を廃止し、鉱工業産品等の特恵税率について引き上げを行う等所要の改正を行うこととしております。

 第二は、暫定関税率等の適用期限の延長等であります。

 平成二十三年三月三十一日に適用期限が到来する暫定関税率等について、その適用期限の延長等を行うこととしております。

 第三は、貿易円滑化のための税関手続の改善であります。

 輸出申告について、貨物を保税地域等に入れることなく行うことができることとするほか、貨物のセキュリティー管理と法令遵守の体制が整備された通関業者及び製造者の関与する輸出申告に対する特例措置の改善等を行うこととしております。

 第四は、税関における水際取り締まりの充実強化であります。

 外国貿易機等の運航者等に対し、その入港の前に、予約者の予約情報等について報告を求めることができることとするほか、アクセスコントロール等回避機器を、輸出してはならない貨物及び輸入してはならない貨物に追加することとしております。

 その他、個別品目の関税率の改正、関税率表の品目分類に関する改正、納税環境整備のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 国際通貨基金、国際復興開発銀行、国際金融公社及び国際開発協会は、平成二十年からの世界金融経済危機に対応し、G20サミットからの要請も踏まえ支援を拡大するなど、大きな役割を果たしてまいりました。これらの国際金融機関が早急に資金基盤を充実させ、世界金融経済の安定に引き続き寄与できるよう、昨年、G20サミットの合意を踏まえ、各機関において増資を行うことが合意されました。また、これにあわせ、国際通貨基金、国際復興開発銀行及び国際金融公社においては、途上国、新興国の発言権を強化するため出資シェアの見直しが合意されました。

 政府においては、各機関における増資の重要性にかんがみ、第二位の出資国として増資の早期実現に積極的に貢献していくため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、本法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一は、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部改正であります。

 この改正は、我が国から国際通貨基金への出資額を定めている規定について、現行の百五十六億二千八百五十万特別引き出し権に相当する金額を三百八億二千五十万特別引き出し権に相当する金額に改めるとともに、国際復興開発銀行に対し、三十八億四千四百四十万協定ドルの範囲内で、新たに出資を行うことを政府に対して授権する規定を追加するものであります。

 第二は、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部改正であります。

 この改正は、国際金融公社に対し、二千百三十六万合衆国ドルの範囲内で、新たに出資を行うことを政府に対して授権する規定を追加するものであります。

 第三は、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部改正であります。

 この改正は、国際開発協会に対し、三千三百四十五億八千四百二十二万円の範囲内で、新たに出資を行うことを政府に対して授権する規定を追加するものであります。

 以上が、関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

石田委員長 金融担当大臣自見庄三郎君。

    ―――――――――――――

 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

自見国務大臣 野田財務大臣から、今回の東北地方太平洋沖地震に係る災害につきまして、お亡くなりになられました方々に対する心からのお悔やみと、たくさんの被災者がおられることに関しましてお見舞いを申し上げたわけでございます。

 一般的なことはまさに野田佳彦財務大臣が申されましたけれども、私から、金融担当大臣でございますけれども、一言だけ申し上げさせていただければ、地震が起きた三月十一日の日でございますが、当日、私の名前と、きょう御出席いただいております日本銀行の白川総裁の名前で、平成二十三年の東北地方太平洋沖地震に係る災害に対する金融上の措置について、全金融機関にお願いをさせていただいたわけでございます。

 何よりもその金融機関が、本当にこれほどたくさんの方が亡くなっておられますし、被災に遭っておられますけれども、その中で、まずその金融機関がちゃんと存在するかどうかということを必死で、東北財務局を中心に確認したわけでございますけれども、実は、石巻商工信用組合というのが、この震災発生以来、当局との間で連絡不通となっておりまして、大変心配しておったわけでございます。

 三月十五日、火曜日の日でございますけれども、隣の信用組合の専務さんが歩いていって、石巻まで行きまして、同信用組合が営業を行っていることを確認いたしました。この石巻商工信用組合は、職員は全員無事であると。そして現在、十二店舗中九店舗で営業中であって、これは日本銀行総裁と私と、お願いしたわけでございますけれども、一人十万円までの現金払い出しに応じているということをしていただいておりまして、なおかつ、営業中の九店舗中三店舗が床上浸水、電気が通じているのが二店舗だけでございまして、実に七店舗は電気なしの状態でもまさに営業を続けていていただいたわけでございました。

 金融が持っている公共性、公益性というのがございますけれども、本当に私は担当大臣として、現在も電気が通じているのが二店舗だけ、携帯電話、固定電話等もまだ不通で、携帯でアンテナの立つところを探してようやく電話をしてきたという状態にあったわけでございまして、本当にこういう最前線で金融の使命を自覚して営業していただいた方に、心から皆様方とともに敬意を表させていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。

 それでは、ただいま議題となりました中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律は、世界的な金融資本市場の混乱により、我が国も非常に厳しい経済金融情勢にあった中で、中小企業者や住宅資金借入者に対する金融の円滑化を図るために必要な臨時的な措置を講ずるため、一昨年の十二月に制定されたものであります。

 現在、中小企業者の業況や資金繰りは、改善しつつあるものの、厳しい状況にあります。こうした中、同法に基づく中小企業者等に対する貸し付け条件の変更等の実行率は、審査中の案件等を除き九割を超える水準となっており、今後も、先行きの不透明感から、貸し付け条件の変更等に対する需要は一定程度あると考えられます。一方で、貸し付け条件の変更等に際しましては、金融規律も考慮し、実効性のある経営再建計画を策定、実行することが重要であります。

 このため、同法を機に、金融機関が、貸し付け条件等の変更等を行う間に、借り手に対する経営相談、指導等のコンサルティング機能を十分に発揮することにより、中小企業者の経営改善が着実に図られ、返済能力等の改善につながるという流れを定着させる必要があります。

 これらの点にかんがみ、本年度末を期限とする同法の有効期限を一年間延長するとともに、その運用に当たっては、金融機関が、貸し付け条件の変更等とあわせて借り手に対する経営相談あるいは指導等を積極的に行うように促すことや、これまでの同法の施行状況を勘案して、金融機関に義務づけられている開示、報告資料を大幅に簡素化することが適当であると考えております。

 次に、この法律案の内容を御説明申し上げます。

 この法律案は、引き続き中小企業者や住宅資金借入者に対する金融上の円滑化を図るため、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の有効期限を一年間延長し、平成二十四年三月三十一日までとするものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府政策統括官付参事官山崎一樹君、金融庁総務企画局長森本学君、総務省総合通信基盤局長桜井俊君、外務省大臣官房参事官上月豊久君、財務省関税局長柴生田敦夫君、国際局長中尾武彦君、厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、大臣官房審議官朝日弘君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木雄一郎君。

玉木(雄)委員 民主党・無所属クラブの玉木雄一郎です。

 本日は、初めてこの財務金融委員会で質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、三月十一日に発生をいたしました先般の東北関東大震災で亡くなられた皆様の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災をされた多くの方々に改めてお見舞いを申し上げたいと思います。

 本日は、関税に関する質問をさせていただく前に、この東北関東大震災への対応につきまして、政府、日銀に御質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、お忙しい中、白川総裁にもお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。

 まず、三月十八日の朝、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議が、これは電話だったと思いますが、開催されたと承知をいたしております。

 各国は、今回の日本のこの未曾有の大震災及び津波の被害について、その経済や金融に与える影響についてどのようにお考えでいるのか。あわせて、この震災の後、急激な円高が進んだわけでありますが、今回極めて速やかで鮮やかな協調介入だったと私は思いますけれども、この震災以後、円高対策も含めまして、政府、日銀がそれぞれとってこられた対応策について、まずお考え、御見解をお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 玉木委員にお答えをしたいと思います。

 十八日の早朝に、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議、これは電話会談が行われました。呼びかけは議長国のフランスからでございます。これに、私と白川総裁で出席をさせていただきました。

 まず私と白川総裁から、地震の経済や市場への影響、金融市場の動向などについての御説明をさせていただいた後に、意見交換をさせていただいたのですが、今般の震災の影響について、まず私から冒頭、困難な状況にもかかわらず、日本社会は秩序と平穏を保っており、日本経済は引き続き健全であること、我々が強い意思を持ってこの状況に対処しようとしていることを強調させていただきました。

 G7全体としても、日本の経済と金融セクターの強靱さへの信認を表明することができました。

 また、為替市場については、日本における悲劇的な出来事に関連した円相場の、委員が御指摘のような最近の動きへの対応として、日本当局からの要請に基づき、米国、英国、カナダ当局及び欧州中央銀行が日本とともに為替市場における協調介入に参加することに合意をいたしました。また、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えること、為替市場をよく注視し適切に協力することを改めて確認させていただきました。

 この合意に沿って、十一年ぶりの協調介入を実施したところでございます。

 我が国が困難な状況にある今、G7当局が連帯してマーケットの安定に向け協調することの意義は極めて大きかったと考えております。

白川参考人 G7における会合の模様でございますけれども、これにつきましては、ただいま財務大臣からお話のあったとおりであります。

 会合におきまして、私からは、我が国の決済金融システムや金融資本市場は、震災後のさまざまな困難にもかかわらず、関係者の真摯な努力に支えられまして、引き続き頑健性を維持しているということを説明いたしました。

 また、日本銀行の対応につきまして、地震発生直後から、大規模な資金供給や被災地における現金の供給に努めるなど、金融市場の安定確保と金融決済機能の維持に万全を期していること、あるいは金融緩和の強化を決定したことを説明いたしました。

 各国の参加者からは、我が国の金融システムや金融市場が頑健であることについて理解と信認が得られたというふうに思っております。先ほどの大臣のお話にもございましたように、会合後のステートメントには、さまざまな困難を乗り越えようとする我が国の強い意思と、日本経済と金融セクターの強靱さに対する各国の信認が得られたことが示されております。

 現在のような状況のもとで、各国が連帯して市場の安定に向けて協力することの意義は大きく、今回実施されました為替市場における各国の協調介入が為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待しております。

玉木(雄)委員 ありがとうございます。

 今回の地震に当たっては、国際社会から、日本人の規律正しい行動でありますとかお互いに助け合う、そういったことは高く評価されたわけでありますけれども、やはり、金融当局にいたしましても財政当局にしても、そういう力を合わせてやっていくこと、そして広い意味での日本のシステムの強さを、ある意味、今回示すことができた一つの証左ではないかというふうに思っておりますので、これからますます復興等々大変になってくると思いますけれども、ぜひ、政府、日銀一体となって、さまざまな問題に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 総裁、お忙しいと思いますので、私はもうこれで結構でございます。ありがとうございます。

 続きまして、今回の大震災は歴史的な被害だと思います。死者・行方不明者は、既に阪神・淡路大震災の数を超えることが確実になっております。

 加えて、今回、二点、阪神・淡路大震災と異なる点があるのは、原発の事故を今回は伴っていること、そして、東北という大変な米どころであります、農業あるいは漁業に対して極めて大きな、甚大な被害が生じていること、これは阪神・淡路のときと比べても被害が拡大している大きな一つの要因だと思います。

 あわせて、今、日本が置かれている経済的な状況についても、これは一九九五年当時の、阪神・淡路大震災が起きたときとは極めて異なっていると私は思います。二点あります。

 一つは、当時はまだCPIが何とかプラスの状態でありました。ただ、今はデフレの状態が長く続いております。あわせて、日本の財政状況も、当時は公債残高のGDP比率は一〇〇%弱ぐらいだったと思います。八〇、九〇ぐらいだったと思います。それが今日は二〇〇%に至らんとするというような状況になっておりまして、財政状況も大変厳しい。

 つまり、規模としては大変大きな被害であるにもかかわらず、それをデフレ経済下あるいは厳しい財政事情のもとで対応していかなければならないという、新たな制約条件の中でより大規模な対策を打っていかなければならないということが求められますので、これは大変厳しい対応が求められると思っております。

 加えて、今回、これは世銀の発表ですけれども、被害額は千二百二十億ドルから二千三百五十億ドルという見積もりが出されております。為替レートを一ドル八十一円として計算しますと、大体十兆円から十九兆円の幅でとらえられておりますけれども、最大の被害は十九兆円になるということです。GDP比率でいうと二・五%から最大四%の被害だということが言われております。

 そこでお聞きしたいと思うんですけれども、今般の大震災の被害額について、政府として現時点においてどの程度を考えておられるのか。そして、それを踏まえた上で、今後の補正予算の規模及び提出の時期、これについて現時点でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

五十嵐副大臣 私の方からお答えをいたします。

 確かに、玉木議員御指摘のとおり、大変未曾有の規模の被害が生じたということでございますが、ただいま避難をされている方の対策、そしてまだ行方のわかっておられない方の救出、そういった当面の復旧と救済に力を入れているところでございまして、全体の被害規模を想定できる状況にはまだないと思っております。また、範囲が大変広うございますので、その全貌をとらえるのは時間がかかるかな、こう思っております。

 ただ、急がなければならない部分もあるということで、さきの阪神・淡路大震災では発災から一カ月ちょっとの後に第一回目の補正予算を組んでおりますけれども、そうしたことを念頭に置きながら、できるだけ急いで全貌をつかまえ、また補正予算を準備してまいりたい、こうは思っているところでございます。

玉木(雄)委員 今副大臣がおっしゃられたように、阪神・淡路大震災のときはたしか、一月十七日の地震発生、二月二十四日の補正予算の提出だったと思います。その意味では、今回急いで、やはりやるべきところはしっかりとやっていく必要があるというふうに思います。ただ、年度末が迫っておりますので、当面は予備費で対応するということになろうかと思いますけれども、私は、新年度に入って四月中にぜひ補正予算を編成していただきたいというふうに思っております。その際、これから一番の問題になってくるのが財源の問題だというふうに思っております。

 私は今回、いろいろと今も国会で予算関連法案が審議中でありますけれども、ここは与野党がともに柔軟になって、あらゆる予算、優先順位の並びかえをやはり行うべきだと思っております。我々ももちろん、このマニフェストは自信を持って提案しておりますけれども、ただ、平時のときの優先順位と非常時のときの優先順位は当然違ってしかるべきだと思っております。その意味では、マニフェストの各項目についても、どうしても優先しなければならないものは残すにしても、ここを一度我々もしっかりと柔軟に見直しをかけていくことは必要だというふうに思っております。

 加えて、自民党さんから出された二十三年度予算の修正する項目の紙を見せていただきました。これを見ますと、例えば農業に関して言うと、三千五百億円の戸別所得補償制度をやめて、新たに三千億の日本型の直接払いを導入するということになっております。中身はともかく、結局、農業予算も、いろいろ組み替えの話はあるんですが、額的には五百億円しか違わないわけですね。マニフェスト関連のを全部合わせても二兆円ぐらいしか違いません。

 もちろん、その二兆円は大きい額ですし、中身が違うと言われればそれまでなんですが、私は、二兆円の話にこだわって、二十兆が必要かもしれないと思われるこの震災対策の対応が後手後手に回ることは、それぞれこの国会に身を置く者として、やはり与党、野党、ここは柔軟に、譲り合うところは譲り合って前に進めていかなければならない、それが国民に対する今の国会議員の務め、責任だというふうに考えております。

 これはマニフェストについて関心が集中しますけれども、例えば原子力関連の予算、これも、地震発生前はもちろん、今までの計画を推進するという前提ですべて予算を組んでいるはずです。私は、原子力は推進するべきだとずっと思ってきましたし、今も思っています。ただ、今回の事故が発生して、やはり、これからの原子力政策をどうするのかは一度しっかりと整理をした上で予算についても考えていく必要があると思いますので、今のままの原子力関連の予算でいいのかどうか、こういったことも含めて、私は、やはり今の二十三年度予算案は関連法案も含めて速やかに通した上で、四月中にでも改めるべきところは改める、それを与野党が一緒になってやっていくという、その姿を国民の皆さんに我々がしっかりと見せていくこと、これが今大事だというふうに考えております。

 次の質問に移ります。

 これから復興対策、これは大規模になると思います。先ほど世銀の数字も申し上げました。最大十九兆円の被害ということも言われておりますけれども、今後、その大規模な復興の財源を調達するために、今いろいろな議論が出てきております。そんな中で、いわゆる復興国債、日本銀行が直接引き受けをするということが予定をされている復興国債の議論が与野党の中から出てきております。一部報道では、政府が復興国債の発行を決めたというような報道があったと思いますけれども、この事実関係についてお答えいただきたいと思います。

五十嵐副大臣 端的に申し上げれば、復興国債の発行を決めたという事実はございません。

 先ほど申し上げましたように、現況把握に今全力を挙げているところでございまして、予備費も、本日までに約三百六十億円の支出を決めました。そして、まだ千六百億余りの今年度の予備費がございます。来年度予算につきましても、予備費、経済予備費、通していただければ、一兆円以上の支出ができる状態になります。

 復旧と復興は分けて考えるべきだと思っておりまして、今は復旧に全力を挙げている段階。復興も、しっかりと計画を立てて、今回は大変大規模な被災でございますので、しっかりとした計画を立てて復興に取り組んでいかなければならない、そう思っているところでございます。

 今御質問の震災復興国債につきましては、日銀の直接引き受けというお話でございますが、戦前戦中に多額の公債を日銀引き受けにより発行した結果、急激なインフレを生じて大きな問題が起きたということで、現行財政法におきましては、公債の日銀引き受けを原則として禁止する、公債の市中消化を原則とする制度となっております。

 ただいま現在も、震災が起きた後も、公債の消化状況については特段支障がないということから見て、国債の直接引き受けについては慎重であるべきだというふうに考えているところでございます。

玉木(雄)委員 この復興国債の話は、政治的にも大変関心を引く話であると思います。

 私はいろいろな議論をしていけばいいと思っておりますが、ただ、先ほど申し上げたように、今回、復旧復興に必要な予算の規模は極めて大きくなると思います。それをいかに、このデフレのもとで、あるいは、阪神・淡路のときに比べれば倍近くに悪化しているとあえて申し上げます、その財政状況の中で、どうやってそれを資金繰りをし対応していくのか、大変難しい運営が求められていると思っております。

 私は、今回ぜひ、復興計画を明確に、中長期的なものを立てるのと合わせて、それも踏まえた中長期的な財政運営のあり方も同時にきちんと示していくということが、市場の信認も得ながら、そして復興に向けて力強い歩みを進めていくという意味で、極めて大事だと思っておりますので、その点についてもぜひ御留意をいただければというふうに思っております。

 私はただ、一方で、復興国債の議論をする前に、今の制度の中でもいろいろやれることがあるんじゃないかというふうに思っております。

 例えば、日銀券ルールというのがあります。これは、発行した日銀券の残高の総枠の中で、その範囲内において日銀は長期国債を保有できるというルールであります。ちょっと最新の数字を調べてみましたら、二十三年三月十日付、日銀のホームページを見ましたけれども、日銀券の発行総額、残高は今、七十八兆円強であります。それに対して、現在の日銀が保有している長期国債の保有残高は約五十九兆円です。

 この日銀券ルールを変えるべきか広げるべきかという議論がありますが、これはここではしません。ただ、事実として、今この枠自体が二十兆円弱、余っております。こういったものについては、私は、金融当局も含めて、大胆に柔軟にやはり対応していくことが必要だと思いますし、先ほど白川総裁もおっしゃっておられましたけれども、日銀の基金、三十五兆の枠を五兆ふやして、非常に速やかに四十兆までふやしていただきました。

 ただ、その枠も現在三十兆までしか使っていないんですね。三十五兆の枠を四十兆にふやしました。これは、先ほど申し上げた、日銀の保有する、いわゆる日銀券ルールのまた外枠にある枠です。この三十五兆を四十兆に広げた枠についても、ここも十兆円程度枠が余っているわけでありますから、まだまださまざまな措置をとることが可能だと私は思っております。

 もちろん復興国債など新しい手段を議論することも大事なんですが、大切なことはスピードです。政府も日銀も含めて、既存の制度あるいは仕組みの中でやれることは全部まずやり切るということにぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っております。(発言する者あり)山本先生、ありがとうございます。

 最後に、関税について質問をさせていただきたいと思います。これはちょっと通告にはないんですが、お願いベースで一つ申し上げたいと思います。

 今、原発の事故によって、ホウレンソウ等々あるいはさまざまな農産物についての風評被害といったものも報告をされております。私、通関手続に関して一つぜひお願いがあるのは、放射能に汚染されたものを輸出してくるなと各国から言われる可能性があります。

 これは、税関の職員の皆さんがする仕事なのかどうかも含めてしっかり整理をしていただきたいんですが、原子力安全委員会にも助言を求めたらいいと思いますが、放射能、放射線に汚染されていないというようなことをきちんと証明して、安全なものは安全だ、逆に、だめなものはだめだと言って、きちんとある意味、お墨つきを与えた上で輸出をするということをしないと、ある国から、とにかく日本から来るものは全部だめだと言われてしまうと、これは我が国の輸出にとって極めて大きな影響を及ぼしますし、外国がそれを単独で、独自でやってしまったときには、外交ルートを通じても、それを変えていくことは極めて難しいと思います。

 ですから、通関手続において、放射線等々のチェックの仕組み、あるいは基準をどうするのか、こういったことについてはぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。

 それで、今回の大津波では、東北、北海道の税関の支署あるいは出張所も大変な被害を受けたと思います。税関事務所は主に水際というか海際にあるのが多うございますから、被害を受けていると思います。この被害状況について少し教えていただきたい。

 あわせて、今の放射線の話もそうなんですが、国民の安全、安心を守るという意味では、今ハイパーレスキュー隊の皆さんとかいろいろな方が頑張っておられますけれども、税関の職員もある意味、そういう安全、安心の維持には極めて大きな役割を果たしているわけであります。その意味では、税関の働く場所の、職場環境の整備とあわせて、専門性のある方々の増員も含めて、しっかりと、厳しい状況ではありますけれども、定員の確保をしていくということは大事だと私は思うんですけれども、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

五十嵐副大臣 御質問をいただき、ありがとうございます。

 まさに税関、今一生懸命やっておりまして、今度の被災に当たりましては、人員については全員の安全が確認されましたが、一部やはり水没をした施設がございます。それにもかかわらず、税関では今、函館港を中心に西の方からも含めて三艇の監視艇を出しまして、税関で集めた物資を被災地、石巻の方へお届けするというようなこともしておりまして、懸命に災害対策にも協力をさせていただいているというところでございます。

 一方、この被災に対して海外から救援物資がたくさん届いておりまして、事業量、仕事量が大変ふえているところでございます。この方にも万全を期して、また、迅速に通関をされて、被災者のもとに救援物資が渡るように努力をさせていただいておりますが、慢性的に人手不足ということが生じているのも、議員の御指摘のとおりでございます。

 二十三年度の税関定員につきましては、地方空港の監視、取り締まりの強化を中心に、五人の純増を確保したところでございますけれども、なお今後とも、こうした国民の安全、安心を確保するための措置、職員の数の確保と処遇の改善は必要だと思っておりますので、努力をしてまいります。

玉木(雄)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

石田委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 質問に先立ちまして、東北地方太平洋沖大地震でお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、また、被災された皆様方に心からお見舞い申し上げたいと思います。そして、一日も早い復興を心からお祈りしたいと思います。また、政務三役の皆様方におかれましては、この災害対策も含め、連日の御公務、お疲れさまでございます。心より敬意を表させていただきます。

 それでは、質問に移ります。

 まず最初に、今お話を申し上げました東北地方太平洋沖大地震では甚大な被害が発生しており、各省庁ともに非常時の対応を行っております。当大地震に対しまして、金融庁は金融面からいかなる被災地域への支援策、特別措置等を行っておりますでしょうか。

和田大臣政務官 冒頭、大臣の方からお話がございましたように、金融庁といたしましても、亡くなられた方々の御冥福をお祈りしつつ、また被災者の方々の生活支援のために、金融面での措置として、あらゆるものを手を尽くして取り組んでまいっておるところでございます。

 今お問い合わせの、金融庁としていろいろこの数日間とってきた措置につきましては、まず発生直後の十一日に、金融機関としても、銀行や証券会社、保険会社等がございますが、それらすべての業界の方々に対しまして、いろいろと御協力いただきたいという趣旨の要請を発しております。この旨は、先ほど大臣の方から、大臣と白川総裁との連名で発出したというお話をしたところでございます。

 また、その要請に応じていただきまして、各金融機関におきましては、まず、被災された方々が当座の生活資金として自分の預金を引き出したいというふうに御希望なさる方がたくさんいらっしゃいますので、そういった方々の預金の引き出しに際しまして、当然、逃げ出すときに預金通帳を持っていらっしゃっているわけではございませんので、そうした公的証書がなくとも、御本人であることが確認でき、さらに、金融機関の連携を通じて、もともとの口座をお持ちの金融機関に預金があるということが御確認をとれるようでしたら、そこから先は金融機関の連携の輪の中でも払い出しに応じているというところでございます。

 また、もう少し付言させていただきますと、それから先、避難される方々はたくさんございます。いろいろな状況の中で、自分の取引されている金融機関がその避難先にないというような事情も発生いたしました。そういった中で、行かれた先の金融機関の窓口に行っていただいて、そこからもともと口座を開いておられる金融機関に連絡をとっていただき、そんな中での本人確認を行いながら払い出しに応じてきているところでございます。

 金融機関については、主なところはそういったところでございます。

小山委員 次に、本日の案件でございます中小企業金融円滑化法案について質問をいたします。

 当法律につきましては、一昨年の委員会でも、一方では、銀行の不良債権を増加させるのではないかという批判があり、また一方では、努力義務を課すということから、法として定めることまで必要はないのではないかというような批判も受けてまいりました。

 当法律は、二〇〇九年十二月四日に施行されましたが、この法律が施行されてからこれまでの一年余りの運用実績、それから中小企業の資金繰りへ果たした役割や効果、当法律の意義について、御答弁をいただきたいと思います。

和田大臣政務官 小山委員御指摘のように、一昨年十二月に施行されたこの金融円滑化法でございますが、そこから以降、現在に至るまで、中小企業の経営者の方々にとりましては非常に利用していただいている法律だというふうに考えています。

 実際に、貸し付け条件の変更等で見ましても、お申し込みのあったところの貸し付け条件の変更の申請に対して、九割を超える水準でその実行をいたしておるところでございます。

 実際に、中小企業の団体等からも、この法律によって資金繰りが大いに助かったというような御評価をいただいているところでございまして、金融庁といたしましても、そういったところを引き続き、まだまだ資金繰りが厳しい状況にある中小企業のために、今回、一年ほどの延長をぜひお願いしたいというふうに考えています。

小山委員 当法律は、今回、期せずして発生した大地震、あるいは被災地域以外でも、日本国内で、被災地域の影響を受けて、いろいろなそういった資金繰りの悪化といったことも予想されますので、大いにこの役割、意義はあるかと思っております。

 この中小企業金融円滑化法の施行に合わせて、金融検査マニュアルにも金融円滑化編が追加されるなど、監督指針の改正が行われました。この金融検査マニュアルの改定というか追加後、金融機関の融資姿勢などはどのように変化したでしょうか。金融検査マニュアル金融円滑化編に関する金融機関への指摘事項や指摘後の指導も踏まえて、御答弁いただきたいと思います。

和田大臣政務官 今御指摘いただいたように、金融庁の金融検査マニュアルの方にも、この法施行と同時に、円滑化法に対してきちんと対応できるようなマニュアルを整備いたしております。

 その大きな柱としましては、まず、貸し付け条件の変更等をお申し出いただくわけですから、それに対して適時適切に速やかに対応できるよう体制を整えなさいということでございます。もう一つは、そういったことを実施しながらも、やはり中小企業の将来に向けた経営再建、そして望ましい経営のあり方に結びつけていくという必要がございまして、そういった視点からの経営指導等のコンサルティング機能をきちっと体制として整えていくようにといったことを盛り込んでいる次第でございます。

 こういったマニュアルをもとにしまして、二十二年の二月からそうしたことに基づく検査を実施しておりまして、実際、二十三年の九月までにはすべての検査を実施する予定でございました。かなりの部分、着手し、実施しておるところでございますが、今お触れになったように震災等の影響もありまして、そういったところは実際上しっかりと勘案しながら作業を進めていく必要があるというふうに考えています。

 先ほど触れられました、今までの検査で指摘事項として挙がっているところを踏まえての対応でございますが、そうした意味におきまして、主には非常によくいっているというふうに考えております。しかし、一部には、実際に貸し付け条件を変更した後、企業の経営再建計画がどのように実施されているか、フォローアップがまだまだ十分できていないという事例が散見されました。こういったことについて、より一層、金融機関に、積極的に取り組むようにという指導を行っているところでございます。

小山委員 今の最後の、金融機関の金融コンサルタント的機能というところに関連しまして、ぜひ政務官あるいは政府の御認識をお伺いしたいと思うことがございます。

 それは、協同組合金融、組合員向けの相互金融についてでございます。

 協同組合には多くの形態がございます。信用事業を実施しておりますのは、信金さん、信組さん、それから農協、漁協などでございます。来年、二〇一二年は国際協同組合年を迎えるということもございますけれども、理念として、協同組合金融、出資者、組合員に対する相互金融は、〇・一%でも金利を上乗せしていこうというような営利目的の通常の金融ではなくて、最低限のコスト分の金利をお願いしつつも、出資者に対して資金を供給すること自体が目的となっております。

 担保がなくても、あるいは貸出金が保全を超過しても、経営改善計画などをもとに償還確実性があると判断できれば貸し出しを実行し、まさに取引先への日常的な接触のもと、定期的に実績検討を行うような、そういった融資も行っております。

 経営改善計画の策定に当たっては、取引先と何回も協議をし、時に社長やあるいは財務担当者だけでなく、取引先の、その担当先の営業や製造の現場まで赴いてコスト分析や定性分析を行っております。また、保証機関と金融機関と取引先、この三つのステークホルダーが一堂に会して協議会を開いて、その取引先の経営改善、経営継続を協議するようなケースも実はございます。

 こういった取り組みから取引先との強固な信頼関係が築かれ、取引先とともに成長してきたわけでございますが、まさに中小企業金融円滑化法並びに改正金融検査マニュアルの理念を体現していると私は考えております。私の知り合いの信金の理事長さんも、中小企業金融円滑化法案は当信金には何も影響ありません、ふだんから心がけていることばかりでありますということをおっしゃっているところがございましたが、これは私は事実だと思っております。

 こういった地域密着の信金、信組さん、今申し上げたような取り組みをしている相互金融というものは総じて小口でございまして、日常的な接触も必要なのでコストは高くなります。決して収益性が高いとは言えない部分もあるんですけれども、重要な社会的役割を果たしている。

 一概に、日本の金融というのは外国におくれてだめなんだ、審査能力が低くて役割を果たしていないという声を聞くこともありますけれども、私は、そんなことはない、むしろ日本の経済、産業を底辺で支えているのは、まさにこういった協同組合金融や、営利目的としても、お客様とともに成長するという使命感を持った間接金融であると考えておりますけれども、これについての御所見を伺いたいと思います。

和田大臣政務官 今、小山委員がいろいろお述べになったとおり、私自身も、最後の数秒でおっしゃった、ともに歩むという姿勢というんでしょうか、協同組織金融機関というのは、おっしゃるように地域性が非常に高いということと、それから相互扶助、非営利という特性を有して営まれる機関であるということから、貸し手と借り手という関係だけではなく、ともに歩むという姿勢の中で何の役割を果たしていくかということだというふうに思っています。

 例えば、例示的に申し上げれば、やはりその企業が、どんな取引先であれば自分の製品やサービスがきちっと売れるだろうかという意味においてビジネスマッチングを行っていったり、また、将来に向けて経営課題がどんなところにあるか、それを一緒に考え、それに対する解決策を考え、そしてそれが実行できるかどうかしっかりと見守りながらアドバイスする。まさに本当に一緒に歩みながらその地域を守り立てていく、そういった使命がこういった機関には与えられているものだと考えています。

小山委員 御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 来年は国際協同組合年ということでありますが、この協同組合に対する批判というものも非常に多うございまして、中には、こういった意義を認めていかないというような、どちらかといえば新自由主義的な方からの批判というものがありますけれども、新自由主義がリーマン・ショックで破綻をした後だからこそ、私は、こういった助け合いの、あるいはともに歩むというような姿勢を持った金融というものがますます必要とされている時代になっているのではないかと個人的には考えております。

 逆に、これの悪い例として挙げられるのではないかと思いますのが、新銀行東京でございます。この新銀行東京は、東京都が八四・二%の出資を行い、いわば東京都の信用で預金を集め、そして、民間金融機関が金融の役割を果たしていない、中小企業への貸しはがし、貸し渋りを行っているから設立するんだというようなことを理念にうたって業務を展開してまいりました。

 しかしながら、時期的なものもあったかもしれませんけれども、民間金融機関は十分に中小企業への融資を継続しており、それゆえにこそ、新銀行東京は、当初描いたビジネスモデルのとおりに業務を展開できず、収益が伸び悩み、経営危機に陥ったわけでございます。

 最近、経営改善計画を策定し、収益も改善の傾向が見られると言われておりますけれども、あえて東京都が出資してまで業務を行わなければならないような特別な存在意義、使命というものはもはやないのではないか。むしろ、現時点においては、新銀行東京の存在は民業を圧迫しているのではないか、そのようにも考えられますけれども、政府の見解をお伺いしたいと思います。

和田大臣政務官 昨日、質疑の通告をいただいた際に、いろいろと細かな御質問の内容も承っておりますけれども、今委員御指摘の新銀行東京につきましては、まずは、金融機関として金融庁がその免許の付与を行う際にいろいろと経緯はございました。しかし、そこはしっかりと金融庁として、御指摘いただいていたBNPパリバ信託銀行を買収して発足したという経緯があるものの、実質的には、しっかりと彼らが業務として営もうとしていることが健全に営めるかどうかということを検証しながら、十六年四月から一年間の準備期間を置くということを前提に、我々の方でもそこのところをしっかり見てきたという経緯がございます。

 一方、今御指摘いただいたように、開業してから後、中小企業を中心に、しっかりと地域で金融を営んでいただくという機能を十分発揮できていなかったのではないかという御指摘だろうと思います。

 その辺は、むしろ経営陣の方々に、本当に自分の金融機関がどういうビジネスモデルを確立して、どういうお客さんに対してどういうアドバイスをしながら、資金を出し、回収するか、そこのところをしっかり考えていただく必要があるというふうに思います。

 金融庁として、監督当局として、適時適切にそういったところに対する検査も実施してきているつもりではございますが、ここから先は、何分にも経営陣の御判断によりまして、本当に自分たちが、顧客として目の前にいらっしゃる方々にどういう金融サービスを展開するかをしっかりとお考えいただきたいというふうに考えています。

小山委員 今、新銀行東京のことでございましたけれども、これは言うまでもなく石原慎太郎知事の、中小企業への貸しはがし、貸し渋りに対応するとの、石原知事の既存の銀行業界への強い批判のもとに設立されたものでございます。

 ちょっと今、質問の通告の順番を変えてお話ししたものですから、済みません。融資審査体制が非常にずさんだったことから、二〇〇七年に経営危機に陥り、四百億円もの東京都の税金を投入するという事態になったわけでございます。

 ただ、ちょうどこの時期に、地方の金融機関などでは、融資管理体制もそうですし、あるいはその他、預金管理体制なども含めて、管理体制の拡充ということで、店舗を統廃合したりというような、特に非常に貯金の少ない漁協系統なんかは、本当に涙ぐましい努力を行って統合してきたという経緯もございます。

 そういった中、大都市のど真ん中で、こういったずさんな融資管理体制によって非常に大きな問題を発生させた銀行が存在したということは、非常に私自身は、こういった地方の金融機関の誠実な努力と比較すると、大変な怒りを覚えるところでございます。そういったことも含めて、今質問させていただいたわけです。

 この業務改善命令が出されておりますが、ちょっと今、お答えがもしかぶってしまったら大変恐縮なんですけれども、業務改善命令後の当行への指導並びに金融検査等の監督体制について、御答弁をいただければと思っております。

和田大臣政務官 先ほど御答弁した内容で、少しだけ訂正しておいた方がよかろうと思いますので、させていただければと思います。

 銀行業の免許の付与自体は行っていなくて、もともとBNPパリバの持っていた銀行免許を引き継いでいるものというふうに認識いたしております。申しわけございません。

 そこで、先ほどお尋ねの、業務改善命令以後のこの銀行との間で金融庁がどういうふうな対処をしているかということでございますが、やはり、実際にその業務改善命令に従っていろいろな改善に取り組んでいただいているところでございますので、そこをきっちりと見きわめる必要があるというふうに考えています。

 個別の検査等の状況につきましてはお答えを差し控えるのが常でございますので、そこは御容赦いただければと思いますが、そこから先、銀行におかれて、経営陣におかれて、そこを真摯に受けとめて改善に取り組んでいただくということを見守るに尽きるというふうに考えています。

小山委員 今後ともぜひ、この業務改善命令以後のフォローを引き続き行っていただきたいと思います。

 それと、金融庁さんのホームページなどで、主要行等向けの総合的な監督指針という中に、「銀行業への新規参入の取扱い」の項目の中におきまして、「主として中小企業向けミドルリスク・ミドルリターンの融資を行う銀行」という記載がございます。まさにこれに当てはまりますのが日本振興銀行かと思います。

 日本振興銀行も開業からずっと赤字が続きまして、一たん黒字化するといったこともありましたけれども、この黒字化の要因というものも、よく新聞等で報道されましたSFCGの債権買い取り、中小企業向けの金融というよりも債権買い取りにあったんじゃないか。あるいは、ある識者によりますれば、貸し倒れ引き当て不足による黒字の可能性といったことも指摘をされているところでございます。

 この銀行の創設メンバーは、日本の銀行の収益性が低いとか審査能力が低いとか、さんざんに既存の銀行、金融機関を批判しておりましたけれども、この銀行も結果として破綻をいたしました。

 まさに、新銀行東京も日本振興銀行も共通しておりますのは、日本の既往の銀行の審査能力を批判し、ばかにしていたものの、自分たちには審査能力はなかった、甘く見る思い上がりがあったのではないかと考えられます。米国など海外の金融のやり方を信奉して、それを移植しようとしたんですけれども、ちょっとそこが行き過ぎがあったのではないかなと考えております。

 ここで改めて、日本振興銀行が破綻した要因について、御答弁いただける範囲でお願いしたいと思います。

和田大臣政務官 お尋ねの日本振興銀行につきましては、平成十六年に開業しているわけでございますが、それから三年、四年程度、今おっしゃられた中小企業向けの小口融資を中心業務としてビジネスを展開してきたところでございます。そこから先、四、五年経過後に、御指摘のとおり、債権買い取りビジネスや親密な企業に対する大口融資を行って、そこの部分で信用リスク管理が十分できていなかったことが破綻につながっていたものというふうに認識いたしております。

 今御指摘いただいていた中小企業向けの金融部分について、そこの部分をしっかりと取り組んでいただく重要性というのは、今議員御指摘のとおり、日本の企業社会の中では非常に大きな比重を占めているだけに、私どももその重要性を認識いたしているつもりでございます。

 日本振興銀行の破綻の要因は、繰り返しになりますが、先ほど申し上げたとおり、債権買い取りビジネスや大口融資の信用管理が十分でなかったということに尽きると考えておりまして、この旨は、破綻日以降、大臣の弁でも述べているところでございます。

小山委員 それでは最後に、今、現在進行形で起きているかと思います、みずほ銀行のシステム障害について、これも大変大規模な障害かと思いますが、今わかっている範囲で、いかなる原因によるものなのか、また、みずほ銀行に対する金融庁の指導等についてお尋ねをしたいと思います。

和田大臣政務官 今お尋ねのみずほ銀行のシステム障害の件につきましては、震災発生後の十五日以降、数日間にわたりまして、特定の支店において多数の取引が集中したことに基づいてシステム障害が発生したというように報告を受けています。

 この数日間、本当に鋭意その回復に努めていただいたところでございまして、今までシステム障害によって未処理となっておりました為替取引等につきまして、昨日までの三連休の間にみずほを挙げて取り組んでいただきまして、ようやく本日の午後からは正常に復帰しているというふうに聞いております。

小山委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 まず、このたびの東北関東大震災におきまして被災された方々に心からお見舞い申し上げますとともに、今なお避難されている方、また救援活動に命を賭して活躍されている方に心から敬意と感謝、そして御無事をお祈り申し上げたいと思います。

 きょうは短い時間ですので、端的に御回答いただければと思っております。

 今まさに我々がしなくてはいけないのは、被災地の方々の命を、人命を最優先にしなくてはならないというふうに思っておりますが、加えまして、我が財務金融委員会では、今まさに被災されている方、お亡くなりになった方、また損壊されたさまざまな不動産、こういったものに対して、金融分野がしっかりと対応するという意思を強く示すということが大事だと思います。それに加えまして、やはり、金融市場が安定であり安心であるということを、きょうお越しをいただいております財務大臣、金融大臣、そして日銀総裁が国内外に発信をするということが、今一番、危機管理上、重要だと思っております。

 被災をされた日から、皆様方におかれましては、翌月曜日の市場があく前にもいろいろと記者会見等、そしてまた、月曜の午前中には朝から日銀総裁の会見等、いろいろと発信をしていただいていることには敬意を表したいと思います。それから、もちろんG7の協調介入ということもございましたが、もっとさらに、このような危機的状況に対して、皆さん、二大臣そして日銀総裁が、矢継ぎ早に、大胆かつ迅速に、もっと発信をしていかなくてはいけないんじゃないかな、私はそう感じております。

 その中で、まず被災者に対する金融機関の対応、そして支援の状況というものを確認したいと思います。

 先日も、我が同僚議員で被災地を選挙区に持つ方が現地に行かれていまして、いろいろな話を聞いておりますと、避難民の方も、テレビもない、ラジオを聞くのみだという中で、自分の手形はどうなってしまうんだろうとか、保険はちゃんともらえるんだろうかとか、津波というのは保険の対象にしっかりなっているんだろうかとか、やはりそんな不安も今まさに、生命はもちろんでございますが、生命財産の部分で大変心配をされております。

 そういう中で、テレビも、いわゆる民放、NHKを見ていても、やはりもうちょっとそういった分野の発信が必要だと思いますし、きょう委員会の皆さんもお感じになっているとおり、コマーシャルを見ても、あのACのコマーシャルを何度も何度も流されて、もっと流すことがあるだろうと。節電の問題しかり、被災者地域に対してのいろいろな配慮、風評被害の問題、こういった面で被災地域に伝える努力というのを、皆様方、もっとされた方がよろしいんではないかなというふうに思います。

 まず、その点において、金融分野においてしっかりと、金融の関係の手形だとか保険だとか、そういったものと広報のあり方、これについて金融大臣にしっかりやっているというお言葉をいただきたいし、やっていなければ、素直に対応していただきたいと思いますが、いかがですか。

自見国務大臣 後藤田委員にお答えをいたします。

 今も御指摘のように、東北地方の太平洋沖地震における被災地支援策については、地震の発生当日、三月十一日でございまして、たしか参議院の決算委員会の当日でございましたが、金融担当大臣の私と、きょう御出席の日本銀行総裁との連名で、その日に、被災者の皆様に対する金融上の措置を適切にするよう関係金融機関に要請したところでございます。

 具体的には、先生は今、手形の問題も言われましたけれども、手形について、災害時における手形の不渡り処分について配慮すること等を要請したところでございます。また、保険支払いについては、保険証書、それから届け出印鑑等を喪失した保険契約者については可能な限り便宜を講ずること、それから、保険金あるいは給付金の支払いをできる限り迅速に行うように配慮すること、それから、保険料の払い込みについては契約者の罹災状況に応じて猶予期間の延長を行うなどの適宜措置を講ずることなどをいち早く要請させていただいたわけでございます。

 こういった要請を踏まえて、金融機関においては被災者支援のための金融の円滑化にも全力を挙げて取り組んでおりまして、各金融関係団体においても、その取り扱い内容を公表しているところでございます。

 いずれにいたしましても、先生、広報を含めて大変貴重な御意見を寄せていただいたわけでございますけれども、金融庁といたしましても、今後とも、各金融機関が被災者の便宜を考慮した適切な措置を行うように対処してまいりたいというふうに思っております。

後藤田委員 被災者、被災地域に伝わるように、ぜひ大臣から金融庁担当部局に、特にラジオ、こういったものを使って、まず安心感を与えてあげてください。このことはぜひお願いしたいし、動向を注視しております。

 加えまして、金融機関、特に生損保は、支払いについては、損保においては地震保険、生保についてはその備えができていると聞いておりますけれども、現下の円高、そして株安の状況の中で、金融機関、特に生損保、そして銀行がまさに機関投資家として保有しております株の下落、これによる損失、つまり株式の評価損をこの三月末に行うであろうと。そのときに、やはり金融市場、マーケットとしても、日本の生損保は大丈夫か、こういうような危機をしっかり避けないといけない。

 金融市場の安心と安定というのはそういうところにも出てくると思いますが、私が金融庁にお伺いすると、今の保有株式の評価は、その前の、もっと低いときの価格だからまだ大丈夫だというようなお話でありましたけれども、それは事実でございますか。

 もし事実に反するのであれば、例えば三カ月前にさかのぼって、その平均をとった株式の評価をするとか、そういう金融庁の指導等があるべきだと思います。JALの再建なんかも、金融庁のまさに評価を緩めた部分がございますね。まさにこういうフォースマジュールでございますから、そういった点で、生保、損保、銀行がつぶれたら、これは元も子もありませんから、その点についての認識はいかがでございますか。

自見国務大臣 後藤田委員から、銀行を初め金融機関、特に今こういったときでございますから、生損保についての御懸念だと思います。特に円高を加速しているんじゃないかということも言われましたけれども、このような御指摘のあることは承知しております。

 例えば、保険会社について申し上げれば、今回の被災に対する具体的な保険金支払い額を申し上げることはまだできませんけれども、保険会社が、予想される支払い金を大きく上回る現金預金、円建て債券を有しておりまして、十分な流動性を確保しております。

 一例を挙げますと、先生御存じのように、生命保険会社でございますが、これは、純利益が九千四百七十二億円、二十一年度決算でございまして、純資産が九兆一千億ございます。そういった中で、例えば、この前の阪神・淡路大震災における保険金の支払いでございますが、これは八千三百九十六件でございまして、四百八十三億円、実は支払っております。今度の地震は津波も含めて大変大きいということでございますが、そういったことを見ても、これは、金融機関の安定性といいますか、経営に関しまして安心だということはよくおわかりだと思います。

 また、損保に関しましても、これは純利益が二千百六十二億円ございまして、純資産が五・六兆円。

 それから、これは損保の特徴でございますが、先生御存じのように、異常危険準備金が三・八兆円ございます。そういった中で、阪神・淡路大震災のときに実は約六万五千件該当いたしまして、七百八十三億円支払っております。今度の地震あるいは津波はこれよりずっと大きいわけでございますけれども、異常危険準備金でも三・八兆円ございますから、そういった意味では、私は、金融機関の安定性、それから銀行についても、これは自己資本が大変確立しておりますから、株価が少々変動いたしましても、金融機関の安定性というものはきちっと確保できるというふうに確信を持っております。

後藤田委員 大臣、後ろの秘書官、的確に答えてくださいよ。これは、短時間で今一番重要な問題をやっているんですよ。ただ朗読させるだけだったらだめですよ、時間の無駄ですから。とにかく、株の評価をどうするかということに対して、また改めて局長に聞きます、大臣じゃなくて。

 それで、もう一つは、今回、いわゆる金融機関が、特に銀行と生損保のいわゆる外国資産、つまり、多くの資金が必要だという中で、資産を売って円にする、そんな動きがまさに円高を加速させたかのようなお話もございました。それが本当に事実であれば、金融庁なり日銀がもっと、生損保は大丈夫だと。先ほど私は、市場の安定と安心が第一だ、そしてそれは大胆かつ迅速にやるんだということを申し上げましたが、そういうことがあれば、あれだけの円高は起こっていなかったんじゃないかなというような指摘もございます。

 そのことと、もう一点は、今度、モラトリアム法案、私ども賛成でありますが、さらにモラトリアム法案の充実をするために、しかし、被災地域を基盤とする金融機関はなかなか資金が大変だ、そうなると、これは金融機能強化法で公的資金を使わなきゃいけない、そんなお話もございます。

 日銀さんにお伺いしますが、これは公的資金でやるのか、もしくは、金融機関の恐らく不良債権になろう債権を証券化して、それをアメリカのMBSのように、アメリカは、FRBの約二百十兆の資産のうちの約九十兆を、MBS等の、いわゆるリーマン・ショック後の不良債権で今持っていますね。こういうところで日銀が活躍できる場があろうかと思うんですが、今申し上げました、円高回避のもっとやるべき発信があったのではないかということと、今申し上げました、被災地域における金融機関の今後不良債権となろうものの証券化を日銀が保有する意思があるか、検討しているのかということについて、総裁にお伺いしたいと思います。

白川参考人 まず、震災後の為替市場でございますけれども、情報発信が非常に重要であるという議員の指摘は全くそのとおりでございます。私どもも精いっぱいこの情報発信ということに努めております。

 それから、日本の機関投資家が外貨の資産を売って、そのことで円高になっているのではないか、これは全く根拠のないものでございます。私どもとしては、こうしたことについて根拠がないということにつきまして、海外の当局者にも説明をしておりますし、それからG7の場でもそうしたことを明確な言葉で説明をしております。そうした理解も少しずつ広がっているというふうに思います。

 それから、日本銀行のアクションという意味では、まず何よりもG7もそうでございますし、それから、金融市場に対して潤沢に資金を供給するということを連日行っております。リーマンの起きた直後、この直後に日本銀行が行った資金供給の最大額は八兆円近くでございましたけれども、今回、地震発生後に行いました資金供給の規模は、そのときの規模を三倍以上も上回る。大変大きな金額で今資金を供給しておりまして、そうした日本銀行の姿勢というものは、市場に対しても相応の影響を及ぼすというふうに考えております。

 それから最後に、アメリカの例に倣って日本銀行が資産を買い入れるということでございます。アメリカの住宅ローン担保証券につきましては、先生も御案内のとおり、これは最終的に政府が損失を補償するというものでございます。日本銀行につきましては、現在、被災地の金融機関に対しまして、国民の現金需要への対応など、ライフラインとしての金融サービスの維持に全力を尽くしております。日本銀行としても、被災地の金融機関の金融機能の維持に向けまして、こうした金融機関の取り組みをしっかり支援していきたいというふうに思っております。

 私どもとしましては、まず潤沢な資金を供給していく、それから、先般行いました金融緩和の強化、こうしたことが何よりも被災地の金融機関の支援だというふうに思っておりますけれども、さらに引き続きまして、民間金融機関による被災地の金融活動に対して、必要な支援を今後とも行っていきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、今回の地震による影響も含めまして、先行きの経済、物価、金融動向を注意深く点検した上で、必要と判断される場合には適切な措置を講じていく方針でございます。

後藤田委員 もう一つ日銀さんにお伺いしますけれども、先ほども議論に出ておりましたけれども、今後の復興財源、これから財務大臣にもお伺いしますが、もうこれだけの災害でございます。明らかに税収が少なくなることは間違いない。そしてまた、被災地における歳出増ということも間違いない。

 そういう中で、先ほども不良債権の引き受けについては政府が保証すると。これは、日本政府が公的資金、金があればいいですけれども、やはりそこはちゃんと財務大臣、政府が保証した上で、日銀にそこを持っていただくということも、当然今後検討され得ると思うんですね、これは限られた財源でございますから。

 そういう中で、加えて、日銀さんの役割として、いわゆる復興債、復興における国債、こういったものをもし政府から要求された場合に、引き受ける御準備はございますか。

白川参考人 復興国債それ自体につきましては、これは財政政策に属することでありますので、私からコメントすることは差し控えたいというふうに思います。その上で、中央銀行による国債の引き受けにつきまして、一般論としてお答えを申し上げたいというふうに思います。

 議員御案内のとおり、この点に関する法的な取り扱いを見ますと、欧州では中央銀行の国債引き受けが明示的に禁止されていますほか、新興国を含め世界の多くの国では中央銀行による国債引き受けは認められておりません。我が国でも、財政法五条が本則におきまして日本銀行による国債の引き受けを禁じております。このような取り扱いは、一たん中央銀行による国債引き受けを始めますと、初めは問題はなくても、やがて通貨の増発に歯どめがきかなくなり、激しいインフレを招き、国民生活や経済活動に大きな打撃を与えたという歴史の教訓を踏まえたものだというふうに思います。

 このように通貨に関する基本原則が世界的に確立されている中で、日本銀行による国債引き受けが行われますと、これは通貨への信認自体を毀損することになります。今回の震災の経験から、我々は、インフラが破壊された場合に、国民生活や経済活動にいかに大きな影響が生じるかを改めて認識させられました。この点、通貨への信認は、我が国の金融、経済にとって重要なインフラの一角をなすものであります。今後とも、国際的にも国内的にも通貨への信認を維持し、金融面からインフラをしっかりと維持していくことが極めて重要だというふうに考えております。

後藤田委員 さっき、大胆かつ迅速にと申し上げたんですけれども、日本の中央銀行の総裁がこういう事態で文書を読んでいる場合じゃないんですよ。僕は本当に残念ですよ。それぐらいやはり、まあ、これは政府が保証すればという話でしょう、この話も。財政法にそう書いていますが、ちゃんと政治が決めればやるんですよね。そう書いてあるじゃないですか。その後段の部分をお読みになっていないんですよ、財政法の。

 これは財務大臣にお伺いしますが、今のような、日銀が役人答弁みたいな話なんですね。やはり政治の出番ですよ、これは。この委員会でも申し上げていますけれども、財務大臣というのは普通の大臣じゃないんです。やはり日本国を考えている大臣なんですね。ですから、例えば、これから、いわゆる金融の円滑に向けた対応だとか今申し上げたような日銀の引き受けは、それぞれ、政府がしっかり、その後、財政の健全化も含めて、財政の担保があればやるということなんですよ、要は。その意思を示すべきです。

 その中で、私は本当に不思議なのは、この期に及んで、先ほども与党議員さんからもお話がありましたけれども、子ども手当をもうやめて災害復旧に全力を挙げるという、さっき言った大胆で迅速なメッセージをなぜ出せないのか、なぜ決められないのか、これが私は不思議でしようがないんですね。このまさに未曾有の大震災の中で、日本がどうなるかと世界じゅうのマーケットが見ているわけです、虎視たんたんと。その中で、やはりこれはもう日銀さん、役人さんに言ったって無理ですよ。政治が判断する、そういう局面だと思いますが、そのことも含めて、子ども手当をどうするのか、もういいかげん早く決めた方がいいです。

 今、つなぎ法案をこれから我々野党として出しますけれども、これは三カ月ですよ、猶予は。まさにモラトリアムですよ。その中で、政治が、子ども手当、我々が申し上げる三K、四Kをやめて、しっかりこれからの予算、来年度の予算、財政健全化、そして一体改革、このことについて、もう三カ月しか猶予がないんですよ、この国には。

 だから、早くその意思を表示していただきたい。財務省に言ったって、上から指示が来ないから何も動けないと言っていますよ。政治が決めていないんですね。大臣、どう思いますか。

野田国務大臣 今回の震災はまさに未曾有の大震災であるということと、もう一つ特徴的なことは、従来の災害対策というのは、自助、共助、公助という中で、公助の中で市町村と県と国の役割分担がありました。今回特徴的なことは、自治体機能が著しく低下している、あるいはほとんど皆無に近いというところがあります。という意味では、特段国がしっかりと支援をしていかなければいけないというふうに思います。

 現在、先ほども、これは余震だったのかわかりませんけれども、大きな地震がございました。それから原発については、憂慮すべき事態がまだ改善をされていません。ということなんですが、要は、被災の現況をしっかりと把握して、的確な対策をどうするかということを挙げていただいて、その中で、当面は予備費で対応はさせていただきますけれども、やはり早急に補正予算を組まなければならないと思います。

 そのかさはどうなるのか。その中で、財源については、これは私はもう率直に言って、政策の優先順位はしっかりと見きわめると。震災の前と後では私は激変したと思います。だからこそ、優先順位を決めて、歳出においては予算の組み替えを行う、歳入面についても、野党からいろいろ御提起いただいておりますが、真摯にそういう御意見を受けとめながら、速やかに補正予算をしっかりとつくることだというふうに思います。

後藤田委員 今、心強い御意見をいただきました。私も当然そうだと思いますよ。災害支援より子ども手当が優先されるわけがないと思います。そういうことでよろしいんですね。

野田国務大臣 政策の優先順位をしっかりと見きわめていくという中で、与野党の議論を踏まえてきちっと対応していきたいと思います。

後藤田委員 事この期に及んで、もう一度尋ねます。今申し上げたような質問で、検討していきますじゃ遅いんですよ。大臣は迅速かつ大胆に市場にメッセージを与えなきゃいけないんです。国民に安心を与えなきゃいけないんです。

 もう一度お伺いします。

野田国務大臣 補正予算については、阪神大震災のときには震災発生後約四十日ぐらいに提出して、そして速やかに成立をしています。

 今回は、まず被害の現況をしっかり踏まえるということと、必要な対策をしっかりと打ち出すという中で、まさに補正のかさを決める中で、さっき申し上げたように、政策の優先順位はきちっと決めなければいけない。マニフェストというのは、これは党の約束でございますから、今政府の立場でそれを先んじてどうこう言えませんが、与野党の真摯な議論を踏まえて対応していきたいというふうに思います。

後藤田委員 党よりも今政府なんですよ、野田大臣は。党としてという、民主党よりも、やはり行政の大臣という立場で物を語っていただきたいんですが、残念です。これは、野田大臣は慎重な言い回しが真骨頂なんでしょうけれども、こういうときはやはり政治家らしく答弁してほしかったと思いますが、大変残念です。それぐらい国民には、危機意識、そして大胆かつ迅速な政治判断というのがなされていないという現状が露呈された、私はそのように認識しております。

 時間も限られていますので、あしたも委員会がございますのでお伺いするとして、一つ、停電問題についてもちょっとお伺いしたいと思います。

 これは、二次被害、三次被害として、また、これから同時多発地震なんか起こったら大変なことになりますから、そういう意味で、やはり被災地をしっかりフォローアップするためにも関東の基盤がしっかりしていないといけない、私は、そういう観点から関東地域の停電という問題もしっかり対応していかなきゃいけないと思います。

 特に人命の問題も含めてですけれども、経済産業省にもきょう来ていただいておりますが、これは、夏まで大変だという話から、今度冬も大変だという話になって、この一年大変だということになりました。特に、厚生省もきょう来ていただいていますが、今本当に関東圏においても、被災地はもちろんでございますが、透析機関における電力の停電によって大変なことになって、被災地の方を受け入れていますが、関東がまた停電になったら、これはもう大変なことになるんですね。

 特に、あと水の問題も、透析というのは水が要ります。これは東京都がおかしな条例をつくっていて、井戸を掘っちゃいけないという条例なんですよ。掘ってはいいけれどもとっちゃいけないというばかな法律で、井戸というのは常に掘って水質を管理していないとだめなんですよ。井戸を掘ったことのない人が、机の上で役人がやっているものだから。こういう問題を役所として、厚生省として認識しておりますか。二次被害、三次被害が出てきますよ、東京都の。厚生省や環境省に聞いても、都の条例だから手足が出ませんと言うんですよ。こんなばかな話ありませんよ。

 これはきょうだれが答弁するのかな。この点について。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生おっしゃられましたとおり、人工透析の場合、非常に水というのは重要でございます。そういうことで、人工透析を実施している医療機関の場合には、被災時にありましても、水あるいは電力、こちらの確保というのが非常に重要となってまいります。特に人工透析につきましては水が重要なわけでございますけれども、震災時に断水があるということもございまして、そういった場合に備えまして、御指摘の井戸水など予備の水源確保というのもまた重要でございます。

 先生御指摘のありました東京都の条例でございますけれども、こちらにつきましては、地盤沈下の防止という観点で設けられたというふうには承知をいたしております。

 厚生労働省といたしましては、災害時の人工透析等の医療の確保、こういった観点から井戸水の利用が認められないか、関係省庁あるいは関係自治体とも調整をしてまいりたいというふうに考えております。

後藤田委員 地盤沈下と人命と、どっちが大事なんですかということなんですよね。そこはぜひ、改めてというか、あしたにも起こるかもしれないので、しっかりやってください。

 いろいろ、NTT、通信関係も、済みません、きょう来ていただいていますが、あした、しっかりまたやらせていただきたいと思います。

 以上でございます。

石田委員長 次に、村田吉隆君。

村田委員 財務大臣、自公で議員立法でつなぎ法案を出すということで、その内容をけさ方、党内で説明を受けました。年度末が、もう本当にあと十日を切った、そういう中で、予算関連法案も、そして日切れ法案もこれからやらなきゃいけないということ、これはやはり遅過ぎるんだと思います。野党の方から、予算と同時に送らなきゃいけないんじゃないかということを、かえって反対に言ったくらいであります。

 政府という責任ある立場であれば、何が起こるかわからない。事実、今回のように、大変甚大な災害が起こったわけですけれども。与党という立場に立てば、どんなことが起こるかわかりませんので、やはり、余りおかしなこと、非伝統的なやり方で、まあ、そこまで考えてやったと思わないんですけれども、チキンゲームをやって無理やり通そうと思っていたとは思いたくないですけれども、そういうことは、今にして思えば間違っていたと思うんですが、大臣、どう考えますか。

野田国務大臣 政府としては、一貫して、平成二十三年度の予算案と、そして、それに関連する法案の年度内の成立をずっとお願いしてまいりました。基本的な姿勢は、これは今も変わりません。

 ただ、事態がいろいろなことがありましたけれども、国会の運びについて私がとやかく言うことはできませんが、今回、こういう厳しい状況の中で、税制関連の法案は、本来は一体的に成立していただきたいという気持ちがありますが、こういうときになりましたので、与野党で知恵を出していただいて、特に租税特別措置は、三月末で期限が切れる分延長する、そういう知恵を出していただいているというふうに理解をさせていただいております。

村田委員 ところで、災害のために国会がちょっと休戦になりまして、きょうはその後の初めての財務委員会でありますので、災害のことについていろいろ私の経験から申し上げたいというふうに思います。

 私が、六年前ですか、防災担当大臣に就任したときは、翌日に大きな台風が来まして、それで、私は二日目に、伊勢市へ政府の視察団を連れてヘリコプターで飛んだんです。だから、そういう状況でございましたから、私は自衛隊のヘリコプターの中で、もう本当に音がやかましくて説明なんか全く聞こえない中、メモで、災害救助法についてと災害対策基本法について、これはどういうことなんだということを教えていただいたのを記憶するんです。

 その後、中越地震があり、それからスマトラのあの大津波もあって、年が明けて、玄界島、福岡のあの地震があって、最後は、選挙中に宮崎県でまた台風があって、選挙中に宮崎県の救援に行った。私はそういう一年間を大臣として過ごしたのでございます。

 そういう災害だらけの一年間という私の体験から、今、発災してから政府がとっているいろいろな態度を見ると、私も考えるところがいろいろあります。それから、大臣は直接の担当ではありませんけれども、緊急災害対策本部のメンバーの一人でありますので、私の今の政府の対応について感ずるところをきょうは頭の中に入れていってもらいたいということで、五点ばかり、いっぱいありますけれども、とりあえず五点だけ読んでみたいと思います。

 日本は非常に自然災害が多い国で、我々は平成七年に、非常に局地的だったけれども、三十万人という大規模の被災者を出した阪神大震災というものを経験した。その後、中越は、ちょっと田舎の、過疎、高齢化が進むような地域の、やや中規模の地震を経験した。それから、今度のものですよね。これは非常に広域的で、かつまた規模も大きい。そして、原発事故というものも重なっている、複合的だと。

 だけれども、我々は、いろいろな経験、知見を持っているんです。だから、私は、一つとしては、過去の経験やノウハウが何で継承されていないのかな、そういう印象を深く持っております。

 それから二番目は、政府・与党の会議がちょっと多過ぎるんじゃないかというふうに思うんです。

 緊急災害対策本部、原子力災害対策本部、これはしようがないでしょう。その他に、電力需給の関係から、経済情勢に関する検討会合とか、政府と東京電力の統合連絡本部とか、それでまた、本来ならば、緊急災害対策本部の中でスムーズに事が運べば不要な、被災者生活支援特別対策本部というのができた。これでは、だれが何の指揮をとって、だれが責任者か、全くわからなくなっているんじゃないかな、私ども、はたで見ていてそういうふうに思います。これが二点目です。

 それから三点目は、「日曜討論」を見ていて、ちょっと私も、今さら何てことを言うのかなというふうに思って見詰めた、唖然としたわけですけれども、平野内閣府副大臣が、役人が、上に相談して、一々御注進とか相談に来ないで、現場対応をもっともっと積極的にやって、どんどん解決していってもらいたい、こういう発言をしておられました。現場で即決、対応してもらいたいということを言っていたんですよね。

 これは、民主党政権ができて、皆さん方が脱官僚とか変な政治主導ということを言い募ったから、役人と政治家との間に溝がある、余分なことをしないようなことにしよう、どうもそういう感じになっちゃっているのではないかな、そこから出る問題だから、民主党政権の責任だと私は思うんです。

 私のときは、内閣府の災害担当の統括官がおりまして、そのもとに全省庁の関係の局長さんが集まる、そこでいろいろな議論をする、それが地方公共団体の方とのつながりを持って、情報が伝わっていく。しかも、主要なことは私は言いましたけれども、その統括官が極めて問題の解決能力を持っておりまして、非常にスムーズに事が運んだというふうに思います。

 その当時の統括官と話し合うのでございますけれども、やはり災害というのは戦争なんですよ。戦争をやっているときに、いろいろな新しいことが次から次へと起こってくるときに、上官に鉄砲を撃っていいでしょうかなんてやっていたら、自分が撃たれちゃうんですよ。今のやり方というのはそういう状態になっているんじゃないかなということを私は心配しますね。

 それから四つ目は、最高司令官は動き過ぎてはいけないということであります。

 やはり私も、小泉総理との関係で厳しく言われた。特に宮崎のあの最後の選挙中の災害のときには、選挙の最中、総理が宮崎に入るということが漏れたんですよ。そうしたら、総理は、ついぞ宮崎に足を踏み入れなかったですね。私には、災害を選挙に活用してはならないということを厳しく言っていましたね。だから、そういう意味で、私はちょっとおかしいなというふうに思うところがあります。

 それから最後は、広報は用件を簡潔に、感情移入は不要。最後は、被災者に安心を与えるメッセージを送るというのは、これが要諦だと思います。

 やはり、かわいそうだ、一生懸命やっているということはもちろんあれなんだけれども、しかし、被災者は、自分たちが得たい情報というものを簡潔に、短い時間で得たいんです。余分なことは要りません。私は、本当に正しいことを簡潔に淡々と御説明するという態度が必要じゃないかなというふうに思います。

 ところで、今言った五点のうち、一番目に言ったことに戻りますけれども、過去の経験やノウハウが継承されていないのが残念ということなんですが、人材は随分いるんです。

 中央防災会議、開かれたか開かれないか知らないんですけれども、あそこの専門部員も含めて、いっぱい知見を持った人がいますよ。それから、神戸の人と防災未来センターの河田先生ですか、あの先生も非常に知識の豊富な方です。それから、今、相撲の賭博の委員をされている伊藤先生だって、災害の大家なんですよ。それから、長岡の市長、これは全国市長会の会長をしていますし、自分も、みずから中越地震で大変苦労をされた方なんですね。何で、そういう人をまず集めて、発災した次の昼ぐらいに、ばばばばっとやらないかと。

 あの阪神大震災のときにやった人、それから中越のときにやった人、OBになっているかもしれません。現役もいますよ。何で集めないのかというのが私は不思議でならないんです。

 東京消防庁にああいう無人で消火できる消防車があるというのは、私自身は知っていましたよ。何であれが出てこないのかなと思って、不思議に思っていましたけれども、やっと出てきたなと私は思った次第であります。

 それで、今一番大事なことは、私も、民主党の友人を通じて、こうやれということを裏でアドバイスはさせてもらっているんですが、三十万人強の人が避難所に避難してきた。これはもう無理ですよ。仮設住宅を建てるといったって、私のときは二カ月かかりました。これは特別の雪国仕様、そういう特別な仮設住宅だったんですが、とはいっても絶対数が、三十万人に対応するような仮設住宅が集まるかどうか。

 初代の小里防災大臣にさっき聞いたのでございますが、あのときは、全国のプレハブメーカーの社長さんを呼び集めて、一々、何ぼできるか、何ぼできるか聞いた上で、外国にも、その発注の可能性、調達の可能性があるかどうか聞いたそうですよ。その二カ月間、待たせるんですか。

 私は、やはり今必要なことは大疎開だと思います。「日曜討論」だったか何だかも聞いていたけれども、地元の町長あるいは市長さんが、避難所でコミュニティーができて、人間のつながりができているからこれを壊したくないと言っておられる。私はそうだろうと思うんです。

 だけれども、やはりこれから二次災害でいろいろな意味でストレスもたまる、あるいは災害弱者は、せっかく津波から助かったのにこれから命を失う、そういう可能性が出てくるわけでありまして、だから、そういう人たちの命を助けるためには集団疎開しかないと思います。我々の当時の研究でも、大規模な場合には集団疎開しかないと。

 それはどうかといったら、遺族が御遺体を捜したいから離れたくないという人たちもいるし、人間関係を崩したくないというので、そこに、地元にいたいという被災者は、それが当然ですよ。だけれども、政府が自治体のおさに、いや、それでは被災者の命を今後一カ月、二カ月守れないから、どうか決意してくれということを説得しなきゃいけないんじゃないかと私は思いますよ。そういうことをやっていますかと。

 ずっと聞いてきましたけど、私はもう、すぐ、こんな大規模になったら集団疎開しかないと。そうしたら、政府が、全国に受け入れてくれ、できたら町ごと引き受けてくれというのを発しなきゃいけない。それで、金は全部政府が面倒を見るよ、だから、災害救助法にのった、そういう金を出すから受け入れてくれ、だから食事もやってくれ、そういうことを頼まなきゃいけないんだろうと思います。

 いち早く提案したのは、応じたのは、阪神大震災の経験のある関西連合でしたね。それから、長岡の市長も、聞いておりましたら、災害弱者に対しての避難を受け入れるということを言っておられました。さすがに経験者だと僕は思います。

 そのときに、一つ大臣に言っておきたいと思うのは、災害救助法にも問題があるんです。

 本当は、あれは現物主義ですよ。現金はやらないということになっているんです。だけれども、もしあの法律を改めて、現金を一定の場合にはやるということになったら、民間ではいっぱい賃貸住宅があいているんです、そこにお金をやるからということで入ってもらうという可能性も出てくるんです。

 それから今度は、次の段階で、さっき言いましたように、被災者を受け入れてくれた、発災をしなかったほかの県ですよね、大阪とか新潟とか。そういうところは、災害救助法では被災県に求償するということになっているんですよね。なぜそれは、直接国がそっちに払うよということにしないかということも、財務大臣としては、これからの問題として出てくるんだろうというふうに思います。

 あと十分しかなくなりましたので急いでやります。

 それから、財務大臣としては、災害という事象に財政がどう立ち向かうかということで、これからだんだん苦しむことがあると思います。それは、さっきも言ったけれども、災害復旧となると、大体はインフラが巨額になるんですね。だけれども、インフラの復旧ということだけじゃなくて、個人の生活再建をどうするかということが本当に大きな問題になると思います。

 私が大臣のときには、当時野党だった民主党の議員の人たちと、被災者再建支援法について、三百万円しか出さないと言ったら、かわいそうじゃないかといって大分やられまして、私はこう言ったんです。いや、本当に気の毒な人は、三百万円に五百万円もらって、それでうちが建てられる人は本当の弱者じゃないかもしれないと。本当の弱者は、とらの子の老後のお金を持っていて、それを全部使って、政府から今度は五百万円を出してくれたから、それで八百万円でうちを建て直そうということができない年寄りが一番弱者じゃありませんかということを、私は、そういう答弁でたたかれちゃったんですよね。

 だから、公営住宅をもっとコミュニティーの近くに建てるような措置を考えたらどうかということを言っていたんです。だけれども、財務大臣として個人補償をどうするかというのは、これから考えていくときに大きな問題になるというふうに思います。

 それから二番目は、民主党は、復興庁という考え方があるようです。それから、さっきのだれかの質問に対しての答弁で、本来ならば災害というのは被災を受けた自治体が責任を持ってやって、金銭的な支援を国がやるという建前になっているわけであります。だから、一次的には、被災自治体が責任を負うという形になるわけですね。

 だけれども、復興庁というのは、これは縦割りを一緒にして、それから国主導で復興をやるということですね。そういうときに、中越地震のころから、やはり地元の意思、町をどうやって復興していこうかという町の住民の意思というのが、そろそろ尊重されるような時代になってきたんです。そこで、その復興庁の構想を考える民主党が、地域主権を唱えてきた立場から、地元の意思をどうやって尊重していくのかということとぶつかり合わなきゃいけない事態が出てくるんじゃないかなというふうに思います。

 片山総務大臣が、鳥取西地震のときに、被災者再建支援法だけでは、三百万円じゃ少ないというので、おれたちのところは地方公共団体が金を出さなかったらコミュニティーが壊れると言って、県独自でお金を追加して、それでコミュニティーが壊れるのを守ったんです。そういう意味で、今度は広域的だから、地域がばらばらになるんですよ。だから、それと国でやるということのぶつかり合いというもの、この悩みというものを財務大臣としてどう解いていくかという、その解答を出さなきゃいかぬと私は思います。

 それから三番目は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法というのがありまして、これに一番原則が出ておるのでございますが、原形復旧の原則ですよ。だけれども、あれだけひどい災害が起きると、要するに、もっといい、完璧なものにしたいということが当然起こるわけですね。この原形復旧というものと、プラスアルファにしたいという要望をどうマッチングするかという悩みが、財務大臣としてはあるだろうと思います。

 それから四番目に、長期的視野に立った防災をどう考えるかということです。すなわち、民主党さんで事業仕分けされたスーパー堤防、これをどうするのか。だけれども、一方において、田老町というところでは、あれだけ十何メートルのスーパー堤防をつくったんだけれども、だめだった、無駄だからもうやめようか、その議論があると思うんですよね。

 首都圏のスーパー堤防については、蓮舫大臣がいとも簡単に事業仕分けして廃止になりましたけれども、もう一度この問題は、これから首都圏、東海、東南海とかそういう問題がある、原発も、一応津波の堤防はつくったんだけれども低過ぎたということを考えたときに、これからの長期的視野に立ったコンクリートをどう考えていくかということは、財務大臣としてしっかりとした議論をしなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。

 最後は、将来の巨大災害にどう備えるかということです。そのためにも、財政再建は急がなきゃいけない、こういうことじゃないかというふうに思います。

 最後に、さっき後藤田委員の質問に、これから財源問題を考えるときに、政策の優先度はしっかりと考えると言った。それは財務大臣としてぎりぎりの答弁で、彼は残念だと言っていましたけれども、私は、財務大臣としてのイニシアチブを示した一つの答弁であったと高く評価したいというふうに思っております。

 ここまで来たら、財務大臣がやはり党にも言って、民主党のやり方というのは政府主導なんでしょう。だから、財務大臣が将来のことを考えてきっちりとしたイニシアチブをとれば、この問題についてはやはり説得をできると思うんですよね。そうすれば、この予算の問題とか関連法案の問題は解決していくと思うんです。

 それで、阪神大震災のときには村山総理で、副総裁が小渕さんだった。小渕さんは、当時の新進党の小沢一郎先生のところに行って頭を下げた、協力してくれと。だけれども、今見ていると、与党の皆さん方は、自民党に頭を下げるのは嫌がっているような風情が見える。

 しかし、そうじゃないんだよ。頭を下げるのは……(発言する者あり)これは違っていますか。これは、自民党に頭を下げるんじゃないんです。あるいは政権維持のために頭を下げるんじゃないんです。被災者のために、野党に頭を下げるんです。そこをしっかりと頭に置いて、早くいろいろなものを動かしていかなければ、政治の解決能力を全世界から問われる、私はこういうふうに思っております。

 それから、最後に一言。べらべらしゃべりましたが、財政健全化目標とか、あれはどうするんですか、あなた方が、中期財政フレームというのは。それはどうするつもりかということを最後に聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

野田国務大臣 防災担当大臣としての豊富な経験と知見を、限られた時間の中で目いっぱい私どもにお伝えをいただきまして、私は感動しました。最初の五つの観点、反省すべき点はいろいろあります。今からでも取り入れながら、しっかりと対応していきたいというふうに思いますし、引き続き、まさに国家国民のためでございますので、頭を下げるんだったら本当に頭を下げます。本当によろしくお願いいたします。

 その上で、当然のことながら、これから復旧復興に当たって補正予算を組む際に、財源をどうするかという議論になります。これは、阪神・淡路の大震災の規模にはならないと思います。はるかに超えるだろうと思います。その財源をしっかりと、さっき申し上げたように、予算の組み替えとか歳入を含めてしっかり対応していきたいと思いますが、一方で、財政運営戦略に基づいて、やはり、財政健全化の道筋をこの国が歩むのかどうかもマーケットは見ています。

 ぎりぎりでありますけれども、そのバランスがとれるように、村田委員が御指摘のとおり、難しい宿題がいっぱいありますけれども、この困難を乗り越えるために頑張っていきたいと思いますし、引き続きお知恵をかりられればと思っています。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 まず最初に、公明党といたしましても、このたびの東北関東大震災におきまして被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、残念にもお亡くなりになられました皆様に、衷心より御冥福をお祈り申し上げます。

    〔委員長退席、大串委員長代理着席〕

 実は、私の個人的なことで恐縮ですが、私自身は一九八九年のサンフランシスコ大震災のときに被災した人間の一人でございますので、そのときの状況よりもはるかに今回の方が大変であります。その意味で、今回被災されました皆様の大変さや御苦労は察して余りあるというふうに思っております。

 法案の審議に入る前に、この震災につきまして、一般的な、また緊急の質問を幾つかさせていただきたいと思っております。

 一つは、公明党は、この地震発生後、直ちに、井上幹事長を本部長とする党東北地方太平洋沖地震対策本部を設置いたしまして、各地での緊急調査を開始いたしました。それに基づいて、現在に至るまで、政府に対しても要望活動を行ってきたところでございます。

 特に今回、地震と津波による直接的な被害に加えまして、東電の福島第一原発での爆発事故などが起きている現状を踏まえまして、震災対策と原発対策の指揮機能を分けるべきであるというふうに主張をしてきたところでございます。その上で、一九九五年の阪神大震災後に震災担当を任命したことを参考にして、一元的に権限を与えた特命担当大臣が必要であるというような立場から、全責任を持って対応に当たる人物を明確にするよう、政府にも要請してきたところでございます。

 具体的に申し上げますが、我が党の井上幹事長を初めとして被災地に入り、調査した結果を踏まえて、御承知のように現地でガソリンなどの燃料が極端に不足している現状を指摘いたしまして、高速道路などはタンクローリー車を被災地へ無制限に通らせることを早くから要求していたところであります。

 これについては、このたび緊急車両確認標章の発行手続が簡素化されまして、速やかに被災地に向かえるようになったということは、まず喜ばしいことであるというふうに思っております。

 また、福島原発に放水する手段として、我が党に対しまして建設業界の方々から、長いアームで真上近くから長時間続けて水を流せるドイツ製の機械があるというお申し出がありました。これはプッツマイスター社の生コン圧送機というものでございますけれども、直ちにこれも政府・与党に対して申し上げたところ、きょうですかね、現場に運ばれて、放水の準備がなされているということを伺っておるところでございます。

 金融関係につきましては、震災で打撃を受けた中小企業の資金繰りを支援するために、三月末で期限切れとなっている緊急保証制度についても延長を求めてきたところでありますし、さらに、先ほどから既にお話が出ておりますが、金融機関の閉鎖等によりまして、また、その他の事情で被災企業が不渡り手形が発生して倒産する可能性が増大しないように、金融機関に対する指導も要請をしてきたところでございます。

 財務省につきましては、特に納税関係についての配慮が必要であるというふうに思っております。

 財務大臣に、緊急保証制度の延長、不渡り手形等の問題、それから納税のさまざまな猶予の問題等々につきまして、まずお考えをお聞きしたいと思います。

    〔大串委員長代理退席、委員長着席〕

野田国務大臣 さまざまな御提起をいただいて、本当に有効な御提起が多いので、大いに参考にさせていただいております。本当にありがとうございます。

 その中で、まず納税ですが、確定申告は三月十五日まででございましたけれども、東北地方を中心に、被災地においてはその期限を延長するという形にさせていただきました。これは、いつまでにというのはまだ決めていません。時期を定めずに期限延長とさせていただきましたし、被災地域だけではなくて、災害を起因として個人的にこういう事情が発生した場合にはそれぞれ、それぞれの税務署で相談に乗らせていただきまして、場合によってはその期限延長の措置をとらさせていただくような、そういう配慮をさせていただいております。

 それから政策金融については、これは金融大臣からもお話があるかもしれませんけれども、日本政策金融公庫から、指定金融機関である商工中金、政投銀を通じて、中小零細企業についてしっかりと対応できるような、そういう措置もとらさせていただきまして、税制そして政策金融、万全を期していきたいと思いますし、阪神・淡路の大震災の後には、さらに、税の面あるいは政策金融の面でさまざまな特別立法に基づいて対応させていただきました。そういうことも踏まえて、可能な限り被災地に対する支援ができるように、税制、金融面、対応していきたいと考えております。

竹内委員 金融大臣の方からは何かありますか。

自見国務大臣 今さっきからいろいろな委員の方のお話を聞かせていただいておりましたが、私も、ちょうど阪神・淡路大震災のとき衆議院の逓信委員長をさせていただいておりまして、いち早く実は神戸に、神戸の中央郵便局が半分ぐらい倒壊したもので、入らせていただいた経験がございます。

 そういったことを通じて、今さっきからいろいろお話がございましたが、やはり、まさに非常時には非常時のやり方というのがあるわけでございます。私も、二十六年、国会に、皆さん方のおかげで送っていただいておりますので、今さっきから申し上げましたように、地震の起きた日に、実は私と日本銀行の白川総裁の名前で、今さっきから話している手形の問題とか、それから、もうこれは公明党さんも話が出たと思いますが、預金証書、通帳も紛失した人もいます。しかし生活資金として要るわけでございますから、これも金融機関それから証券会社、生命保険会社、損保会社等々、そんなところに、きちっと、そういった災害が起きたとき、例えば証書がなくても、本人を確認すれば、ほとんどの機関は十万円まで貸し出しをするというようなことに決めていただいたようでございますけれども、そういったあらん限りの知恵と経験を、これはもう責任がございますから、しっかり皆さん方の御意見を聞かせていただきたいと思っています。

 一点、マーケットでございますが、実は政界の一部にはマーケットをこういったときは閉じるべきだという御意見がございましたが、私は金融大臣として、マーケットとは金融市場でございますが、これは責任者でございますから、やはり売る人と買う人、こういったときはマーケットを開いておくということは私は非常に大事なことだと思いました。確かに、月曜日は六百三十三円下がり、火曜日には千十五円下がりまして、しかしながら、水曜日には四百八十八円、マーケット、日経平均は戻しまして、きょうも実は四百一円戻しておりました。

 やはりこういったものは、確かに少々下がることもございますけれども、日本がそういう金融インフラをきちっと維持しているんだということが世界に対する非常に大きなメッセージになる、こう思って、そういった過去の災害も経験させていただきましたが、たまたま私が今金融担当大臣でございますから、マーケットを開かせていただいたということでございます。

 それからまた、今さっき生保と損保の話が出ましたけれども、これは閣議の後にきちっと記者会見がございまして、外国のメディアもおりますので、今さっき、ちょっとくどく申し上げておしかりをいただいたようですけれども、生保、損保が、非常に海外的な風評の流布的なものが出ましたので、私もきちっと数字を言って、メディアでございますが、納得していただいたというふうに私は思っております。

 そういった、できる限りの最大限の努力は、まだ足りませんけれども、させていただいたつもりでございます。

竹内委員 るる今お話ありましたけれども、もう本当に緊急事態でございますし、特に資金繰り等で、本当にこの辺は柔軟な対応をぜひやっていただきたいというふうにまず思いますし、それから、特別立法のお話がありましたが、これの必要性が出てくると思うんですね。この辺で、過去の阪神・淡路のときの経験を参考にして、早急に対応をしていただきたいというふうに思います。我が党としても、このような国家の非常時でございますから、震災対策、原発対策については、与野党という立場を超えて、一刻も早くこの重大な危難を取り除いて、国民の生命財産を守るために全力を尽くす所存でございます。

 そこで、経済、金融に入る前に、やはり世界が今最も注目しているのは、福島第一原発の対応が一体どうなるかということだと思うんですね。先日来、放射能汚染を防ぐために、自衛隊、東電、原子力保安院、東京消防庁などの職員の方々が、まさに不眠不休で命がけの戦いをしていただいているわけでございまして、本当に我々としても、心から感謝と敬意を表しますとともに、任務の成功と無事を祈るものでございます。

 まず、この福島第一原発の現況と今後の見通しについて御報告をお願いしたいと思います。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十一日十四時四十六分、マグニチュード九の大きな地震が発生いたしました。これに伴いまして、福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の稼働していた原子炉はすべて自動停止をいたしました。

 まず、福島第一原子力発電所の状況についてでございますけれども、発災当時、非常用の電源を含むすべての交流電源が喪失いたしました。これに伴い、冷却機能が不十分となったわけでございます。その後、爆発などの事象がありましたけれども、各号機の現状をもう少し詳しく御紹介させていただきたいと思います。

 まず、一号機、二号機につきましては、炉内及び使用済みの燃料のプール、こちらはともに、現在は圧力、温度ともに比較的安定に推移してございます。現在は、より効率的に冷却を行うために、冷却水の循環とその熱を除去するという機能を回復させることが重要であるということで、現在、そのために必要な外部電源の復旧というふうな作業を進めているところでございます。

 続きまして、三号炉、四号炉についてでございます。この二つにつきましては、使用済み燃料プールの冷却機能が低下しているというようなことが懸念されてございます。

 当面、使用済み燃料を冷却することが重要と考えているのが現状でございまして、このため、現在、東京消防庁、自衛隊、東京電力といった実際の放水作業が鋭意行われているところでございます。また、三号炉の炉内の圧力、温度、ここ一両日中は比較的安定しておりますけれども、実は昨日も、所内で煙が上がるといったことがございます。今後の状況を我々は注視してフォローしているところでございます。

 続きまして、五号炉、六号炉の状況でございます。この二つにつきましては、発災当時は定期検査中でございましたけれども、その後の対応につきましてでございますけれども、現在のところ、冷却機能が十分回復してございまして、炉内の温度が百度以下と、我々の言葉で申し上げますと冷温停止状態という安定した状態に至ってございます。

 引き続きまして、我々といたしましては、一号から四号についての原子炉及び使用済みの燃料プール、そういったプールの冷却機能の回復に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。

 また、福島の第二原子力発電所、こちらの方も発災当時は運転中でございました。こちらにつきましては、先ほどの福島第一発電所と異なりまして、外部電源が引き続き供給されてございました。そういうことがありましたことから、既に原子炉の温度が百度以下という冷温停止状態になっているということでございまして、深刻な状況は脱しているものと考えてございます。

 いずれにいたしましても、これらの原子力発電所、事態の早期の収拾に向けて鋭意取り組んでおりますので、引き続き、皆様の御支援等もいただきながら前向きに取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

竹内委員 この原発の問題というのは、やはり日本の技術力というか日本の底力を試されているといいますか、世界が注目していると思うんですね。

 事前に質問通告しているのはこれだけなんですが、どうなんでしょう。ウランが核分裂してセシウムとか沃素とか、放射性物質が出てくるわけですよね。今、その一部が各地で検出されている。

 大体、放射性物質というものと放射線とは違って、放射性物質から、ガンマ線ですか、電磁波、ベータ線、電子ですね、こういうものが出てくる、こういうふうになっておるわけですが、核分裂したセシウムとか沃素とかといういわゆる放射性物質、放射能と言ってもいいんでしょうね、そういうものがあちこちで検出されているということは、要するに、原子炉格納容器とか、それからもっと言えば原子炉圧力容器、原子炉容器、ここに心配はないのか。格納容器の一部が破損している可能性はないのか。今後、温度上昇によって原子炉容器とか格納容器の爆発とか、そういう危険性はないのか。その辺につきまして、いかがでしょうか、報告できますでしょうか。

中西政府参考人 先ほども御報告いたしましたけれども、現在の原子炉自身の状況につきましては、炉の圧力、温度等は比較的安定的に推移しております。したがいまして、今御指摘のありましたような大きな爆発といったものが起きるということは当面考えにくいような状況に至っていると思っております。

 しかしながら、今御指摘のように、これまでのいろいろな爆発等々もありまして、事態の進展に伴いまして、かなりの放射性の物質等が外に出されております。そういった意味で、我々は、現在のところ、二十キロ、三十キロまでひっくるめて、避難あるいは屋内への退避といった形の、二次的な災害ができるだけ起きないような形の対応をとっております。

 さらに、これに加えまして、皆様御案内のように、いろいろな植物への放射性物質の付着といったことでのモニタリング結果が出ておりますので、我々といたしましては、引き続きそういった動きについてはフォローしていきたいと思っております。

竹内委員 大変な事故でございますので、本当に英知を結集して対応していただきたいというふうに思います。

 それから次に、被災者の救出、救援活動でございます。

 先日は、九日ぶりに助け出された八十歳のおばあちゃんと十六歳のお孫さんのニュースもございまして、本当に希望の見えるニュースもあったわけでございますが、現在の安否不明者の捜索や御遺体の身元確認状況、それから深刻な不足がいまだに伝えられている燃料や食料、水、医薬品などの物資の補給状況につきまして、概略を御報告いただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問ございましたとおり、部隊の展開につきましては、第一次的な救命活動から、安否、遺体捜索というような形に状況が展開しておるところでございます。

 あわせまして、物資の輸送につきましては、被災地に対しまして、緊急災害対策本部を通じたものにつきましては把握をしてございまして、三月二十一日、昨日現在で、食料品約六百四十万個食、飲料水が約三百三十万本、それから燃料約五百五万リットルなどを供給してございます。

 さらに、これに加えまして、現在、食料品約七十四万個食、飲料水約九十六万本、それから燃料が約百四十五万リットルを輸送中あるいは輸送計画というふうな形で対応させていただいておるところでございまして、さらにこれをきめ細やかに対応するという観点から、緊急災害対策本部のもとに被災者生活支援特別対策本部、防災担当大臣が本部長でございますが、こちらを立ち上げさせていただきまして、一層強力に取り組んでいくという体制を整えておるところでございます。

 以上でございます。

竹内委員 ぜひともしっかりこれはやっていただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと外交問題とも関係するんですが、ロシア政府からの救援物資受け入れの件につきまして、質問通告をしておりますので、ちょっとここで質問をさせていただきます。

 実は、ロシア政府が日本の外務省に対しまして、過日、毛布一万七千二百枚等を送りたいという申し入れがあったんですね。そのときに、外務省からは、民間企業が間に入らなければ被災地に届けられないので、独自で民間企業を探してもらいたいという返答があったそうであります。そこで、ロシア政府側は、最近の日ロ関係が悪化しているので暗に支援を断られていると判断した、ロシア側はそういうニュアンスを私どもに伝えてきているんですね。

 そこで、ロシア政府は、ロシア外務省の元職員の方を通じて、実は京都のある会社に民間ルートの確保を依頼したそうであります。その後、その会社がいろいろ動きまして、京都府を窓口にした救援物資の受け入れ体制を整えたということでございます。すなわち、ロシア専用機で関空、関西新空港に届けまして、それから民間ルートで自衛隊の駐屯地まで運ぶ、そこからは自衛隊から被災地へ運んでもらう、そういうルートを整えた。そういうことで、ロシア政府は、独自に民間ルートを確保したことを日本の外務省に報告したそうであります。

 そうすると、その直後、一転して、外務省側から、いや、救援物資の窓口は外務省が手配するというような連絡があって、民間ルートを通せというからいろいろ動いたにもかかわらず、そういう民間ルートの救援物資受け入れが白紙に戻ったというような、こういう何か非常にがたがたとしているというか、非常に首尾一貫しない対応があったそうでありまして、この辺の事実関係は聞いていますか。

上月政府参考人 お答えいたします。

 ロシア政府からの支援物資の件でございまして、三月十三日に、ロシア外務省から毛布等の提供の申し出がございました。これを受けて、外務省としまして、ロシアの航空機を着陸させる国内空港の選定や支援物資の国内輸送の手段の確保等についてロシア側と調整を行いまして、その結果、十九日正午ごろ、毛布一万七千二百枚及び飲料水三・六トンが成田空港に到着いたしまして、翌二十日に宮城県に提供されたというのが事実関係でございます。

 その間の経緯につきまして、今御質問があったところを少し詳し目に御説明したいと思います。

 この過程におきまして、国内輸送手段については、政府自身の輸送手段等が逼迫している状況を踏まえ、政府全体の対策本部とも調整の上、ロシアについては在京大使館で確保するように要請いたしました。この背景には、ロシアは、全体の部隊が来るに当たりまして、輸送車も自分で、トラックも含めて四台持ってきたということが背景だったんですけれども。これを受けてロシア側は、輸送手段について日本の民間企業に依頼いたしましたと承知しています。

 輸送手段を、つまり、運んできてそれを現地に届けるということについては、ロシア外務省は日本の民間企業に依頼して、実際にもそれを届けたのは、日本の民間企業が扱いました。

 それで、日本政府としては、ロシア側に対して、民間ルートを通じてしか受け取れないという回答をしたわけではなくて、上述のとおり、今般の支援物資の受け入れに向けたロシア側との調整は政府がやって、実際に届けるのは民間企業にお願いしますというのを伝えたのが事実関係でございます。

竹内委員 その辺のニュアンスが非常に何か正確に伝わっていないようで、またごちゃごちゃしているらしいですね。受け取り方が違うようであります。こういうときは、しっかりと外務省として上まで話をきちっと通していただいて、やはり最初からしっかりとした指示を出していただきたいと思うんですね、誤解のないように。

 いろいろ、北方領土の問題でぎくしゃくしておりますから、もちろん身構えたりすることがあるのかもしれませんけれども、そういうことではなくて、もちろんロシア側にもいろいろな、地震外交であるとか、そういう見立てをする方もいらっしゃいますけれども、そういうことではなくて、やはり大局観に立って、冷戦後最悪の状況にある日ロ関係を再び立て直す、そういう観点からも、慎重に行動することが必要であるというふうに思うんですね。そういうクレームが私どもにあったものですから、この辺はよくよく考えていただきたい、注文をつけておきたいというふうに思います。

 そこで、次の質問に移りますが、先ほどから各党さんからもいろいろございました、復興のための財源をどうするのかということでございました。先ほど財務大臣からは、歳出の組み替えも検討するという御答弁がありましたし、歳入については野党の提案も真摯に受けとめるというお話もありました。

 もう一度、この点についてはそういう理解でいいか確認をしたいと思います。

野田国務大臣 今回の大震災に対する対応でありますけれども、まず緊急対応としては、平成二十二年度の予備費の残が二千三十八億円ございました。このうち、救援物資等で最初、三月十四日だと思いますけれども、三百二億円の閣議決定をしました。それから、三月十八日だと記憶していますけれども、自衛隊の燃料費等で五十数億円の予備費の活用の閣議決定がございまして、きょうは、海上保安庁の燃料費と通信費で五億円の閣議決定をしました。ということで、平成二十二年度の予備費の残が千六百七十八億円ございます。

 平成二十二年度における緊急的な対応については、関係省庁と連携しながら、この予備費で対応していきたいと思います。

 加えて、平成二十三年度も、これは予算が成立をした暁でありますけれども、予備費が三千五百億円、加えて経済予備費が八千百億円ございますので、合わせて一兆一千六百億円という予備費がありますので、何か必要性が、緊急性があるならば、この範囲では対応することが十分できます。加えて、自衛隊の人件費、糧食費等がこの予算の中には二兆円余り入っています。加えて、特別交付税措置も入っていますので、直接、間接的な被害対策はこの二十三年度の予算でカバーすることはできます。

 ただ、被災状況の現況を今、各省庁が把握に努めております。この把握が終わった後に必要な対策を講じることになります。それは当然のことながら補正予算という形で対応していきたいと思いますが、阪神・淡路大震災のときは、一月十七日に発災した後に、その平成六年度の第二次補正予算という形で最初の補正を組んでいます。それから、新年度を迎えた平成七年度に二回補正を組んでいます。何段階かの補正というやり方もあると思うのですが、まずは必要な対策を出していただいて、その上で、しっかりと規模を見込んで、財源をどうするかという議論をしていきたいというふうに考えております。

竹内委員 やはりどう見ても、今の段階でも相当な金額になるだろうというふうに思います、はっきり申し上げて。

 いかがですか、子ども手当の見直し、高速道路無料化の財源を使うということは今お考えにありますか。

野田国務大臣 まずは補正予算の規模をどうするかということと、その財源については、先ほど来御質疑の中でお答えをさせていただきましたけれども、やはりきちっと政策の優先順位を決めるということが大事であって、やはり震災の前と後では状況は一変しているというふうに思います。

 その上で、復旧復興のためにどういう形で財源を確保するかということは、既存予算の見直し、組み替えということは当然避けて通れないというふうに思いますし、歳出歳入両面からしっかりと対応していくことが大事だと思います。御指摘のことも踏まえて政策の優先順位を決めていくべきだと思います。

竹内委員 よくわかりました。

 そこで、先ほどもこれも質問があったんですが、一部報道では、政府内で復興債を日銀引き受けでやるということが検討されているという報道が既に出ているんですね。これについてはどうなのか。

 財務省内ではこういう考えは危険思想だと言っている人も多いらしいんですけれども、危険思想なのかどうか、その辺も含めて、財務大臣、いかがですか。

野田国務大臣 一部報道で、復興債、国債、規模まで出ているような記事があったことは承知をしています。だけれども、具体的に政府の中で、補正予算の財源の具体的な検討、今の復興債みたいな形の検討はしておりません。

 ということで、それは事実ではないということで、危険思想かどうかは別として、現実問題として、まだそういう検討はしていないということが事実でございます。

竹内委員 わかりました。きょうはこの話はこのぐらいにさせていただきたいと思います。

 次に、関連法案の審議に移りたいと思いますが、時間がなくなってきました。

 特にIMF等への出資に関連する法案でございますが、このような大地震のときに、IMFにつきましては二兆円規模の資金を拠出する、こういうことになっておるわけであります。このような大変なときに多額の出資はいかがなものかという意見もあるようでありますが、我が党としては、本当に日本が大変なときだけれども、国際社会を支えるための出資もまた必要であるというふうに考えておりまして、今回日本が出資できないとすると、かえって日本の信用が落ちてしまうだろうというふうに思っております。

 その意味では、我が党としては賛成でありますけれども、財務大臣としては、一般的な庶民感情といいますか、そういう御批判に対してどのようにお答えになりますか。

野田国務大臣 委員御指摘のような御意見が一般的にはあるということは承知しております。

 我が国の経済は、リーマン・ショックの後のまさに世界的な景気後退を背景に、輸出や生産が大幅に減少しました。雇用情勢も大幅に悪化をいたしました。まさに世界経済と我が国の経済は強く結びついております。

 だからこそ、国際金融機関の増資を通じて、世界経済の安定及び発展は我が国経済の利益そのものになるということがまず何よりも大事でございますし、今回の大震災に当たりまして、百十七の国・地域及び二十九の国際機関から支援の申し入れもございました。それは、私どもがやはり国際社会の一員として世界経済のためにさまざまな貢献をしてきたことも、こういう多くの国や地域や国際機関から支援の申し入れがあるという背景でもあるだろうと思いますので、まさにこれはお互いさまだと思うんです。

 今、委員から金額のお話が御指摘ございましたけれども、今回の追加出資額の規模は、IMFは外為特会を通じて約二兆円でございます。IBRD、IFC及びIDAへの合計は約七千五百億円でありますけれども、実際に予算措置が必要なのは出資額の一部でございまして、平成二十三年度一般会計予算案では、合計で約一千五十五億円ということでございます。

竹内委員 概要はもちろん私どもも存じております。

 次に、IMF等国際金融機関の財務内容は大丈夫かという話がございまして、めったに見ないものですから、きょうは、お手元の資料で貸借対照表等を用意させていただきました。IMF、IBRD、IDA、それからIFCのBSをそこにお配りしておるわけでございます。

 まず事実確認なんですけれども、私、よくわからないところがあるんですが、全体としては、どこも財務諸表が危ないというようなことはないだろうと思うんですね。強いて言えば、IDAが低所得国向けですから、三ページのところで、債務削減の実施なんかをやっておりますので一部損が出ているということでございますが、トータルとしてはまだ大丈夫だろうというふうに思うんですね。通貨スワップとかもやりますからデリバティブなんかも計上されておりますので、この辺がどう動くかはわからないところもありますけれども。

 一つお聞きしておきたいのは、一ページで、IMFの諸表があります。このほかに、簿外のといいますか、どうも年間投融資承諾額というのがあって、一番最後の七ページのところで、年間投融資承諾額、つまり債務保証ですよね、これが六百六十七億三千六百万SDRというのが計上されているんですが、この数字はこのBSの中のどこに入るのか、ちょっと事前に質問通告しておりましたので、答えていただけますか。

野田国務大臣 ちょっと御通告いただいてなかったものですから時間がかかって恐縮でございますけれども、貸借対照表上、資産に計上されるのは、融資等承諾額ではなくて、このうち実際に支出がなされた融資等残高であるということになっています。

竹内委員 しかし、承諾額というのは債務保証でしょう。これは負債になるんじゃないですか。これを私、事前にいろいろ財務省に聞いておったんですけれども。

野田国務大臣 定義ですけれども、この融資等承諾額というのはいわゆる上限です。そのうちの融資等承諾額残高というのが実際に支出がされたということであって、バランスシートに出てくるのはこっちの残高の方であるということでございます。

竹内委員 残高ということで、それはそれでいいんですけれども、要するに、そのほかに承諾額があるということですから、一般的には簿外の負債というふうにみなされるおそれもある、一般的なBSの見方では。

 私が言いたいのは、特にIDAに関しまして、私の資料では五ページで、国の財務書類というのを資料としてつけておりまして、そこに、ちょっと真ん中の下の方で黒く塗ってあるところですが、国際開発協会に対しまして四兆円規模の出資累計額になっておるんですが、財務省ではちゃんとそれがやはり減らされていまして、右の方へ行きますと、二兆八千億円ほどに減っている。これは、先ほど申し上げたように、債務削減等をやっておりますから、出資額がやはり毀損されているわけですね。だから、国際金融機関に出資しているからそれが全部安全かというと、そうでもない。場合によっては、こういうふうに債権が毀損されている資産もある。こういうことをやはり認識しておく必要があるだろうというふうに思うんですね。

 ですから、もう時間がなくなりましたので質問はこれで打ち切りますが、国際金融機関に出資しているから絶対安全ということではなくて、やはりこういうリスクを持っている、そういう出資であるということを踏まえた上で、なおかつ、国際協調の観点からやらざるを得ないときはやるしかない、そういう覚悟を持ってやるということをお伝えして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 このたびの東北関東大震災でお亡くなりになられた方々に対しまして、私からも心からお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に対しましてお見舞いを申し上げ、救助、救済、救援のために全力を挙げるという決意を申し上げたいと思います。

 きょうの財務金融委員会は、いわゆる日切れ三法、この審議になりますが、三階建てで短時間で審議を行い採決をする、こういうことでありまして、これは極めて異例のやり方でございます。大震災という緊急事態を受けてのことでございますので、やむを得ないとは考えますけれども、前例とすべきではないということを、そういう立場を明らかにしておきたいと思います。

 さて、震災対応についてですけれども、先ほどから議論になっておりますが、まず、総論的に野田大臣にお聞きをしておきたいと思います。

 今後、何段階かの補正、大型の補正、これが避けられないというふうにおっしゃいました。

 その際、歳入面の話でございますが、例えば法人税の減税、これは大変大規模なものになりますが、私は、法人税は、特に大手企業については、これはもうまともに払っていただくというのが本来のあり方だと思います。

 それから、証券優遇税制の問題も、これもやはり再検討すべきだと思います。株価の問題とかいろいろありますが、しかし、これは今、救援のためにどれだけ集中するかという国民挙げての課題でありますから、やはり、証券優遇税制についてはもとに戻して、本則どおり税を払ってもらう、こういうようなことが大変重要ではないか。

 そのような形できちんと財源をつくる、こういうことを私どもとしては要望したいと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

野田国務大臣 補正予算の編成に当たりましては、まさに被害の現況を各省庁が今一生懸命把握に努めておりますが、それを踏まえての対策がまとまった段階で、財源については既存の予算の見直し、歳出面においてはこういう努力をさせていただく。歳入面については、これもいろいろ御議論があるというふうに思いますが、与野党のその真剣な議論を踏まえて対応させていただきたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 私の今の提案についてはいかがですか。

野田国務大臣 虚心坦懐にこれから受けとめながら、議論させていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 歳出面で申し上げますと、例えば思いやり予算というのがありまして、これは五年間延長するというふうな話ですけれども、私は、思いやりということであれば、まさに今、被災住民の方々に対してこの予算を真っ先に回す、つまり、米軍よりもそちらに回すというのが必要ではないかと思いますし、例えば政党助成金などというのは、これもメスを入れる、そのぐらいの決意を払ってやるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 次に、少し具体的に緊急の対応策についてお伺いしたいと思います。

 今回のような大震災に遭われた方々に対して、税務上の救済措置というのはどのようなことを考えておられるか。

 確定申告に当たって受けられる措置はどのようなものがあるか。先ほど申告期間の延長というのを御答弁いただきましたが、例えば、震災前に既に確定申告をしてしまった、こういう方がその後でこういう災害を受けた場合、追加申告といいますか、そういうことができるのかどうか、この点について伺いたいと思います。

野田国務大臣 今回、大震災に当たっての、今、当面とっている税制上の救済措置でありますけれども、一つは、申告、納付等の期限の延長、それから納税の猶予、それから災害減免法等による租税の軽減、免除等の措置などがございます。

 今般の地震に係る申告、納付等の期限延長については、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の五県について、その地域の納税者に係る国税の申告、納付等の期限を延長させていただきました。また、その他の地域についても、被災された納税者や、交通途絶等によって期限までに申告等ができない納税者については、個別に申告、納付等の期限延長を認めることとしており、既にそのための対応をとりつつあります。

 このような措置を含めまして、今般の地震の被災者に対する税制上の救済措置については、国税庁ホームページなどで積極的な広報に努めているところでございまして、被災者の方々からの相談、問い合わせ等に対して、親切丁寧に対応をしていきたいというふうに思います。

 なお、既に払ってしまった方という御指摘ですよね。これは、さかのぼって対応できるようにということをさせていただいているというふうに思います。

佐々木(憲)委員 次に、金融上の措置の問題でありますが、金融担当大臣と日銀総裁の連名の文書で、先ほども少し御説明がありましたけれども、「預金証書、通帳を紛失した場合でも預金者であることを確認して払戻しに応ずること。」こういうふうにされております。

 この預金者確認ということでございますが、これは一体どのように行うか。つまり、今回の特徴は津波でございまして、津波で一切紛失をする、こういう状況でございますので、着のみ着のままでとにかく命からがら逃げたという方々でございますから、何も持っていない。本人だという名前と住所、これはもちろん、生年月日とかはあるわけですね。そういう方々にも対応がきちっとできるのか、この点、確認をしたいと思います。

自見国務大臣 佐々木議員の本当に現実に即したもっともな御質問でございます。

 金融担当大臣の私と日本銀行総裁の連名で各金融機関に出させていただいたということは申し上げましたが、公的証明書がなくても、着のみ着のままで津波の災難から逃れた方もたくさんおられるわけですから、例えば自動車の免許証、これがいいようでございますが、こんなものも持っていない人もたくさんおられますので、ですから、先生が今言われましたように、氏名、それから住所、それから生年月日、電話番号などにより預金者であることが確認できれば、一定限度の預金の引き出しを行うなど、柔軟な対応を行っているというふうに認識いたしております。

佐々木(憲)委員 この預金者確認というものが、そのようにして柔軟にということなんですけれども、それでもなかなか確認がどうもはっきりしない、そういう場合、本人は非常に困るわけですね。その場合、どうなるのか。

 大体今言われたようなことは、本人は覚えておられる方が圧倒的多数だと思いますが、預金がおろせないというようなことになりますと、大変生活に困窮するわけであります。その点、どうでしょうか。

和田大臣政務官 今大臣がお答えになったところからさらに突っ込んで、どういう対応をとっているかという御質問だと思います。

 御本人であることを確認できるということが、本来ならば公的証書をもって確認されるべきではございますが、このような事態でございますので、御本人の名前と住所、もしくは自分が口座をお持ちになっている金融機関の名前、こういったことをおっしゃっていただいた後は、要請に応じて金融機関の方も相当真摯に対応していただいておりまして、自分たちの方の連絡網を使って確認をとる。

 さすがに、口座をお持ちであることを何とかして確認できないことには、その口座の払い出しには応じることができませんが、被災地域の実情から見て、その現場にその口座を持っている金融機関が存在していなくても対応をとれるようになっているとお聞きしております。

佐々木(憲)委員 もう一点だけ追加でお聞きしますけれども、公的な金融機関の役割というのは私は大変重要だと思うんです、こういう場合。これは預金という問題よりもっと広い意味でですけれども、具体的に何か対応策というものを、公的金融機関、つまり政府系金融機関として金融上の対応ということを検討されているのかどうか、ここのところをお聞きしたいと思います。

五十嵐副大臣 政策金融機関につきましては、日本政策金融公庫、政投銀、商工中金、沖縄公庫などに相談窓口を三月十一日から設置いたしております。また、危機対応融資の対象に今回の災害を三月十二日に追加いたしました。また、激甚災害指定にあわせて、災害融資に係る優遇金利を設定いたしております。これも三月十二日でございます。

佐々木(憲)委員 次に、みずほ銀行のシステム障害という問題についてであります。

 これは聞くところによりますと、大震災の義援金口座に大量の払い込みが集中したということで、それが引き金になったと言われていますが、これが事実かどうかということ。それから、こういうことはほかの銀行でも当然行われているわけでありまして、なぜ、みずほでこういう障害が発生したのか、一体どのような性格のシステム障害なのか、この点についてお聞きをしておきたいと思います。

和田大臣政務官 みずほ銀行のシステム障害の中身についてでございますが、先ほどどなたかの委員の御質疑にお答えしましたとおり、今現在で申し上げられるのは、特定の支店において多数の取引が集中した結果、そこにシステム障害が起きたというところまででございまして、これから先、きょう午後をもって正常化いたしましたので、しっかりと適切なタイミングで正確な報告を受け、その分析によって判断してまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 過去にも同様のシステム障害を引き起こしております。この委員会に社長さんもお見えになって、その問題について質疑をしたこともございます。あのときと今回とは何か関連があるのか、その点はいかがでしょうか。

和田大臣政務官 平成十四年のときのシステム障害につきましては、いろいろと報告を受けたことに基づいて、金融庁といたしましては、むしろ、体制の不備からきている障害であったというふうに判断いたしております。

 今回の場合には、先ほどの繰り返しになって恐縮でございますが、特定支店における多数の取引が集中したということまで、ある程度判明いたしておりますが、そこがどのような原因に基づくのかは、これからの究明によるものと考えています。

佐々木(憲)委員 現に、このシステム障害で損害を受けている方々が多数いらっしゃるわけであります。そういう方々の損害に対する補償、これは当然銀行が責任を負うべきだと私は思いますけれども、その点について金融庁はどのように考えておられるか。それから、みずほに対して、当然一定の行政処分というものも考えられると思いますが、その点はどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。

和田大臣政務官 システム障害によって、顧客の皆様方がそれぞれいろいろな取引をなさいますが、それに対する措置として、今、みずほ銀行の頭取の記者会見の中では、顧客に対してしっかりとした措置をとっていく旨表明なさったというふうにお聞きしておりますが、その具体的中身につきましては、みずほ銀行で判断なさることであろうと考えています。

佐々木(憲)委員 こういう障害を引き起こした責任は非常に重大でありまして、現に大変な損害を与えているわけでありますから、その点を原因究明と同時に責任を明確にして、被害を受けた方々への補償、こういうものまできちっとした対応をされるように要望しておきたいと思います。

 では次に、中小企業向け資金の貸し出しの問題であります。

 金融円滑化法で条件変更等を行って大変助かったという方々の声を私どもも聞いております。ただ、問題は、この間、二〇〇一年から二〇一〇年の間、統計を見てみますと、国内銀行の中小企業向け貸し出しは、二百三十二兆円から百七十八兆円と非常に落ち込んでいるわけであります。五十四兆円も減らしているんですね。三大メガバンクだけでも中小企業向け貸し出しは、三十八兆円、この間減っております。

 その原因は一体何なんだろうか。つまり、本来、中小企業に対してもっと貸し出しをスムーズに行って、全体として資金が回るようにしていくというのが銀行の役割だろうと思うんですけれども、これでは金融機関としての役割を余り果たしていないという形に受けとめられるわけでありまして、この辺はなぜそうなっているのか、説明をしていただきたいと思います。

和田大臣政務官 委員御指摘のように、中小企業向けの貸出残高が減少していることは、当局としても認識いたしております。ただ、その原因についてですが、さまざまな要因があるものだと考えています。

 まずは、ここ数年の景気動向につきまして、やはり中小企業がそれぞれ自分の業務とされているようなところの実需がなかなか伸びないというところから、設備投資の資金需要が細っている。もしくは、御審議いただいておりますこの円滑化法との関係でいえば、今まで非常に返済に苦しんでいらっしゃった企業の、その条件を変更して返済していただくような計画を立てますものですから、実態的には、これから先、今までよりも一月一月に対する返済の資金が少なくて済む、その分だけ企業に余裕資金が生まれてきて、その部分で企業の運営が行われる。

 そういったことも、要するに複合的に要因としてはあるものだと考えていますので、私ども、この円滑化法の必要性を認識しつつ、皆様方に延長をお願いするとともに、政府を挙げて景気をもっともっとよくしていくことに全力を挙げなければいけないと考えている次第でございます。

佐々木(憲)委員 銀行の貸し渋り等があるのかないのか。

 私は、今、例えば、三月末で中小企業緊急保証制度というものが終了する、これに関連して貸し渋りが発生しているのではないかという声も聞いております。それから、金融庁に目安箱というようなものでいろいろな苦情を受けるということをやっておられると思いますけれども、そういう中にこういう貸し渋り等の苦情がどういう形で出されているか、この点についても説明をしていただきたいと思います。

和田大臣政務官 貸し渋り、貸しはがし等についての御苦情ということをお伺いするよりは、大変恐縮ですが、この円滑化法の実施によりまして中小企業の資金繰りが楽になったというお声の方をたくさんいただいている状態でございます。

 そういった意味におきまして、私ども、先ほどの答弁の繰り返しにはなりますけれども、中小企業の新しい資金需要が生まれてくる中では、きちんとそれらに対する政府の対応がなされるべきものだということは認識いたしております。

佐々木(憲)委員 銀行の役割というものをきちっと発揮できるような、そういう指導をしていただきたいということと同時に、今のお話にありましたが、やはり最終需要が伸びていないわけですよ。ですから、内需が非常に低迷して、その結果、中小企業の売り上げがふえない、したがって設備投資もふえない。これは、一番直接打撃を受けるのは中小企業でございます。

 したがって、そういう意味では、やはり国民の購買力を拡大する内需拡大にどういうふうに政策的な力点を置いていくかというのが大変大事なことだというふうに思っております。

 次に、銀行の行動でもう一点ただしておきたいことがございます。

 融資先の中小企業に対して金融商品の販売を行う、しかも、それも優越的地位の濫用とも言えるような行為があると聞いております。参議院で通貨デリバティブの販売について大門議員が質問をいたしまして、自見大臣がお答えをされていると思うんです。調査を行うというふうにされていますが、一体これはどういう結果が出ているのか、お答えをいただきたい。

自見国務大臣 佐々木議員にお答えをいたします。

 私が、調査をするということを国会の委員会で申し上げました。今回の中小企業向け為替デリバティブの契約締結状況の調査は、国内の百二十一の銀行に対して、まず一つ、平成十六年四月から二十二年九月までに中小企業と契約した為替デリバティブの件数、それから、二十二年九月末の契約残存件数、それから三番目に、苦情発生状況等について聞き取り調査を行ったわけでございます。

 調査結果は、長くなりますが、確かにこれは、平成十六年以降六万件を超える契約が締結されておりまして、二十二年九月末で一万九千社、約四万件ですから、一企業当たり大体平均二件ぐらいの契約が残存しており、その約八割が平成十九年以前に締結された契約であります。

 銀行に対する苦情でございますけれども、平成二十二年一月以降、全体約一万九千社のうち三百社から寄せられておりまして、その中でも、平成十八年、十九年の契約分が平成二十二年九月末現在の残存契約の四六%に対して、平成十八年から十九年の契約分に寄せられた苦情発生件数は六四%を占めており、この時期に、先生御存じのように、リーマン・ショックが平成二十年の秋にはございましたから、その前後に非常に実は変わっておるわけでございます。そういった意味で、この時期に締結された契約については苦情発生度合いが高い状況にあります。

 いずれにいたしましても、これは、顧客企業の損益状況を過去契約時から通算して、平均で一契約当たり約六百万円の損失でございますから、今さっき一社当たり平均二件だということを申し上げましたから、これは千二百万円ぐらい、実は損失になっておるわけでございます。

 そういった意味をきちっと踏まえて、引き続き金融庁としては、本件が中小企業に与える影響をよく注視したいということを、こういった千二百万円の損失でございますから、またいろいろきめ細かな対応もやっていきたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 損失が非常に中小企業の経営に打撃を与えているわけでありまして、この救済というのが非常に大事だと思うんですよ。

 この点では、銀行の側の対応も必要だと思いますが、どのように考えていますか。

和田大臣政務官 今おっしゃられました損害というものがどういった経緯で発生しているか、またいろいろなケースがあるかと思いますが、金融庁としましては、やはり、全銀協等金融ADRを編成していただいているところに、きちんとした機会を持ってあっせん委員会を設置していただいておりますが、そのあっせん委員会の中で当事者同士の解決を図っていただきたいというふうに考えています。

佐々木(憲)委員 これはもう当然銀行の責任が重大でありますから、銀行の責任で救済するということをやるべきだと思います。

 最後に、きょう、三法がこれから採決に付されるということでありますので、それぞれに対する態度について言っておきたいと思います。

 まず、関税定率法改正案についてですが、日本共産党は、WTO農業協定の例外なき関税化と関税率の段階的引き下げに反対して、各国の食料主権を保障する貿易ルールの確立、これを求めてまいりました。改正案は、この関税化措置を延長するものであって、賛成できません。

 また、関税手続の審査、検査上の優遇措置を付与するAEO制度というのは、財界、多国籍企業の要望に沿って、税関の検査機能を形骸化する危険性があります。この理由で、関税定率法改正案には反対であります。

 次に、IMF増資法ですけれども、IMFは、一九八〇年代の南米債務危機、さらに九〇年代のアジア通貨危機、このときに、融資の条件として、緊縮財政、社会保障削減、それから金融自由化、規制緩和、こういうものを途上国に押しつけまして、国民生活を深刻にさせた経緯がございます。現在、一定の見直しはなされているんですけれども、依然として本質的な変更は見られておりません。

 また、アメリカ中心の運営が続けられておりますので、例えば投票権のシェアは圧倒的であります。アメリカ一国で拒否権を持っている。

 IBRD、IDA、IFCについては、貧困削減に向けた途上国への支援が借入国の自主性を尊重する、そういう方向には進んでおります。

 法案全体としていいますと、これはもう反対せざるを得ないわけであります。

 最後に、中小企業円滑化法案については、賛成でございます。

 この法案は、金融危機対策として、融資条件変更促進策として効果があったというふうに思っております。住宅ローンについても、多くの金融機関が金利の引き下げに応じておりますので、この制度の延長というのは、業者それから住宅ローンの債務者の支援のために役立つものであるというふうに思っております。一年間の延長については、したがって賛成でございます。

 最後はちょっと討論のような形になりましたけれども、態度表明をさせていただきまして、以上で質問を終わらせていただきます。

石田委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより各案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、関税定率法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、明二十三日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時二十分散会


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