衆議院

メインへスキップ



第9号 平成23年3月23日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年三月二十三日(水曜日)

    午後一時五分開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 泉  健太君 理事 大串 博志君

   理事 岸本 周平君 理事 古本伸一郎君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 竹下  亘君 理事 竹内  譲君

      阿知波吉信君    網屋 信介君

      五十嵐文彦君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    柿沼 正明君

      勝又恒一郎君    木内 孝胤君

      木村たけつか君    京野 公子君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      柴橋 正直君    菅川  洋君

      玉木雄一郎君    豊田潤多郎君

      中塚 一宏君    中野渡詔子君

      中林美恵子君    長尾  敬君

      三村 和也君    向山 好一君

      柳田 和己君    和田 隆志君

      今津  寛君    竹本 直一君

      徳田  毅君    村田 吉隆君

      茂木 敏充君    山口 俊一君

      山本 幸三君    斉藤 鉄夫君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 正和君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   泉 紳一郎君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        岩橋 理彦君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            田中 栄一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           加藤 善一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       梅田  勝君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           朝日  弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    高原 一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 関 荘一郎君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     阿知波吉信君

  小山 展弘君     中野渡詔子君

  松原  仁君     長尾  敬君

  吉田  泉君     京野 公子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     柴橋 正直君

  京野 公子君     吉田  泉君

  中野渡詔子君     小山 展弘君

  長尾  敬君     向山 好一君

同日

 辞任         補欠選任

  柴橋 正直君     岡田 康裕君

  向山 好一君     木村たけつか君

同日

 辞任         補欠選任

  木村たけつか君    松原  仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官山内正和君、内閣府政策統括官泉紳一郎君、原子力安全委員会事務局長岩橋理彦君、金融庁総務企画局長森本学君、総務省情報流通行政局長田中栄一君、総合通信基盤局長桜井俊君、文部科学省大臣官房審議官加藤善一君、厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君、医薬食品局食品安全部長梅田勝君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、大臣官房審議官朝日弘君、中小企業庁長官高原一郎君、環境省大臣官房審議官関荘一郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳田和己君。

柳田委員 民主党の柳田和己です。

 まずは、このたびの東日本大震災において被災されました皆様にお見舞い申し上げます。そして、災害救助、復興活動に取り組まれております自衛隊、警察、消防、ボランティア、その他多くの関係者の皆様に心より敬意を表したいと思います。

 今回の東日本大震災の私の考え方としましては、私は日本の歴史始まって以来の、千年、二千年に一度の大災害だと思っております。今までの発想や今までのシステムの延長線で考えるのではなくて、私たちの先人が行ってきたように、日本を復興させるとの強い決意、覚悟が必要だろうと私は考えております。

 私の地元は、被災県の茨城県でございます。震災のあった日は、この委員会が予定されておりましたので東京におりましたが、翌日から地元に帰り、それから毎日毎日被災地を歩き、被災者の方から直接話をお伺いし、逐一政府や県にお伝えし、迅速な対応をとってまいったところでございます。

 私は御用聞きに徹しました。四つの市、三つの町の町長さん、農協関係の皆様、青果市場の皆様、そして私の古河では古河駐屯自衛隊がございます。岸川司令にもお会いし、そしてしっかりとこの労をねぎらわせていただいたところでございます。

 そのような中、本日、質問の機会をいただくことができましたこと、きょうまで伺ってきた地元の皆様の御意見、御要望をこの場をおかりして質問したいと思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 今回の震災で被害を受けた方々、特に中小企業の皆様に対する金融面での対応について、政府の対策、支援内容について御説明をいただきたいと思います。金融庁並びに中小企業庁より御回答をいただきたいと思います。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 柳田委員の御発言の向こうに、本当に地元で大変な思いをしていらっしゃる中小企業の皆様方、被災者の方々がいらっしゃることを念頭に、真摯にお答え申し上げます。

 三月十一日の被災直後、もう昨日の委員会の場でも申し上げたのでできるだけ重複を避けますが、金融担当大臣と日銀総裁との連名で、各種金融機関に対しまして、こうした震災時における金融上の措置を適切に講ずるよう要請を発しました。それに、各金融業界も真摯に受けとめて、対応していただいているところでございます。

 例示的に申し上げれば、払い出しに、預金証書、通帳等をなくした場合でも、預金者であることを何らかの方法によって確認できるときにはその払い出しに応じていただく、また、印鑑等がなくてもそこは拇印で済ませることができるというようなことをとっていただいております。

 さらにその後、連休に入りましてから、二十日でございましたが、金融庁、財務局から改めて、今度は末端の金融機関の営業店舗の方にしっかりとその旨を周知しようということで、さらに要請をさせていただきました。その結果、被災地における金融機関の店には、どういったところで払い出しに応じることができるか、そのような掲示も行われた次第でございます。

 さらに、被災地におきまして、そのままそこにとどまることが難しく、遠くの場所に避難された方もいらっしゃいます。そうした方々が生活資金を必要とされているという観点から、銀行の本支店間は当然でございますが、他の金融機関との間でも連携をとっていただきながら、御本人、預金があるということが確認できましたら、一時的に払い出しに応じていただく、もしくは、本来口座をお持ちの銀行から、避難されている先にある銀行の方に口座を新しく設定して送金した上で預金の払い出しを行う、こういった措置も行っていただいているところでございます。

 もう一つだけ申し上げておきます。

 実は、先ほどでございました、本日付、三月二十三日付でございますが、今度はそろそろ中小企業の事業者の方々も被災から立ち直りながらその事業を継続されようとしている中でございますので、年度末を迎えるに当たりまして、年度末の資金繰りをしっかりとお支えするという視点から、本日付で各業界団体あてに、金融庁の方から、手形の扱い等についてぜひ配慮してほしいという要請を行ったところでございます。

 以上でございます。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、被災をされた中小企業の方々につきましては、まず年度末の返済期日が問題となるわけでございますけれども、既に、公的金融機関に対しましては、既往の債務の返済猶予などの条件変更に特に柔軟に対応するように要請をしたところでございます。

 また、さらに、返済猶予をお求めになろうとしても震災によって申し込みすらできないという企業もおありになるということでございましたので、日本公庫あるいは商工中金に対しまして、返済期日を過ぎて申し込みがあった場合にも遡及して返済猶予を認める運用を開始するように要請をいたしております。

 他方、また、新規の資金ニーズに対しましては、被災中小企業者向けに、一般保証とは別枠で、最大で二億八千万円を上限とする一〇〇%保証の災害関係保証を発動してございます。

 さらに、被害を受けられた企業と、あるいは直接取引のある中小企業の方々を含めた被災中小企業者向けの融資制度といたしまして、日本公庫あるいは商工中金によります災害復旧貸し付けを開始いたしました。特に、直接被害を受けた中小企業の方々や特に大きな間接的な影響を受けられた中小企業の方々には、貸し付け後三年間、借入金の一千万円を限度といたしまして、〇・九%の金利の引き下げ措置を実施いたしております。

 加えて、被災中小企業者の方々に限らず、中小企業全般の資金繰り支援策につきましては、今年度の補正予算に加えて、来年度の予算案でも、今年度予算よりも増額をいたしておりまして、万全を期したいと考えております。

 今後とも、先ほどの委員の御指摘も踏まえまして、被災された中小企業の方々の状況をしっかり注視いたしまして、必要な対策について引き続き検討していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

柳田委員 今お二方から御説明いただきました。私も元銀行員でございましたから、よくわかりました。きめ細かな対応をされているというふうには思っております。ただ、しかし、これはまたフォローが必要でございますので、しっかりとフォローをさせていただきたいと思っています。

 では、次に質問させていただきます。

 被災者に対する支援策は今お答えいただきましたが、私の地元では、計画停電や燃料不足の影響で資材が調達できなくなった製造業者や、そのために発注がなくなった運送業者、または、歓送迎会の季節でありますが自粛により次々と宴会の席をキャンセルされた料亭など、大震災の影響で資金繰りが苦しくなった方がたくさんおります。そして、今月の従業員の給料が払えないと嘆いております。まさに今回の震災は国難であります。このような間接的に災害の影響を受けた方々にも何らかの支援策が必要であると思います。

 さきに御回答いただいた政府の支援策ではこのような方々も対象となるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

和田大臣政務官 今委員から御指摘いただいたように、直接的な財産の被害を受けられた人以外にも、たくさんの事業上困っていらっしゃる方がいらっしゃることは、私どももよく承知いたしております。

 そのため、先ほど申し上げました三月十一日の要請にしましても、それに続く要請にいたしましても、今回の要請は、大規模な被害を受けられた地域における被害者全般を広く対象とするということを念頭にしたものでございます。その結果、先ほどおっしゃったような方々、つまり、自分の財産そのものには被害が及んでいないんだけれども、実際に事業を営もうとしている、例えば観光業をされている方、ホテル業をされている方々、こういった方々も実質上、今事業ができない状態にあったりしますので、そういった方々に対しても広く対象として含んでいただいて配慮をしていただきたい旨、申し上げているところでございます。

柳田委員 ありがとうございます。

 私も、先ほどお話ししましたように、二十八年間、銀行員をやっておりました。非常にいろいろな思いがございます。その中で、今の御回答もわかりますが、逆に、一般の方から見れば、政府系の金融機関や、信用保証、災害特例など、非常にわかりづらい部分があるというような面も聞いております。

 関係省庁が密に連絡をとり、どこに行っても親身になって相談に乗っていただき、ベストな方策を提示していただけるよう、皆様が先頭に立って取り組んでいただきたいとお願いするところでございます。

 続きまして、中小企業者の皆様方だけでなく、今回の震災では農作物に対しても間接的な被害が出ました。福島原発の事故による農産物の放射能に対する風評被害です。

 私の地元、茨城県の県西地域は、県内でもイメージ的には、宇都宮線の大宮から小山の間が私の住んでいる古河なんですが、大体、埼玉県や千葉県に隣接をしております。そういう意味では、福島原発からも遠く離れているところでございます。そして、その主な品目は、白菜、キャベツ、レタスなどでございます。今回の検査で、一昨日の二十一日までに、安全であることは確認できました。

 しかしながら、先週の十八日に、茨城県北西地域のホウレンソウが基準値を超えたという第一報が公表されてから、県西地区の青果市場等へも、大手スーパーや都市圏の市場から、ホウレンソウ以外の品目に対しても取引停止等の連絡が入り、出荷ができないという状況になっております。

 茨城県の農業産出額は、皆さん御案内のとおり、四千億でございます。これは北海道を除いて日本一の農業生産額を誇るところでございます。そのうちの四六%が野菜でございます。そのうちの三割がこの県西地区にあるということでございます。この県西地区は年間約五百五十二億の野菜を出荷しているところでございます。まさに首都圏の、東京の台所というんですか、そのようなところだと認識しております。

 そんな中で、この地域は、その影響が多大でございます。風評被害対策として、安全な品目をより多く消費者の方に示し、流通事業者の方にも適正な取引を行っていただくように働きかけていくことが必要と考えますが、政府の対策を御説明いただきたい。

 農水省、厚労省よりお願いいたします。

梅田政府参考人 厚生労働省といたしましては、三月十一日の福島第一原子力発電所災害の発生を踏まえまして、食品の安全性を確保する観点から、三月十七日、原子力安全委員会により示された飲食物摂取制限に関する指標値を食品衛生法に基づく暫定規制値とし、都道府県に通知したところでございます。その結果、複数の自治体で暫定規制値を上回る放射性物質が検出された食品が発見されたことから、関係自治体に対し、検体の調査等、食品衛生法に基づく必要な措置をとるよう依頼したところでございます。

 関係自治体が公表した調査結果等につきましては、放射性物質が検出されなかったもの及び暫定規制値を超えなかったものも含め、すべてを厚生労働省で順次公表しておりまして、三月二十二日までに二百四十九件の検査が実施されました。そのうち、暫定規制値を超える食品は七十九件でございました。このような結果を受けまして、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣から、関係自治体に対し、食品の出荷制限が指示されたところでございます。

 これにより、国民のより一層の健康保護が可能になったと考えており、厚生労働省といたしましては、この枠組みを通じて、関係機関において実施される検査への協力など、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。

田名部大臣政務官 お答えをいたします。

 初めに、今回大きな被害に遭われた皆様方にお見舞いを申し上げますとともに、私の地元青森県も津波の被害を受けました。多くの皆様から御心配をいただきました。そのお気持ちに対して、心から感謝を申し上げたいと思います。

 それで、今の先生の御指摘は大変重要な指摘だと思っておりまして、適正な取引がきちんと行われるような措置をとってほしいということであります。

 私たちも、何よりも正確な情報を迅速にしっかりと提供していくことが重要と考えておりまして、農林水産省といたしましても、厚生労働省また食品安全委員会、さらには政府の対策本部などとしっかりと連携をしまして、調査の迅速な結果の提供、そして暫定規制値の考え方であるとか、また人体への影響がどういったものがあるのか、どの程度のものなのか、こういった正確な情報をしっかりと提供していきたい、発信をしていきたいと考えています。

 また、加工や流通業者の皆様に対しても、事故の前に生産、製造された農産物に対しては、屋内で適正な管理が行われていれば安全だということ、そのこともしっかりと通知をして、冷静な対応を求めていきたいと考えていますし、卸売市場の関係者に対しては、出荷制限に指定された品目以外のものが取引をされるとき、その委託がされたときには拒否をしないよう通知をしておりまして、関係団体との間でも意見交換を行い、産地の市場間の混乱を避けるよう取り組みをしています。

 さらには、量販店等、小売段階に対しても、同じ産地だからといって拒否をするようなことがないように、しっかりと措置を行っていきたいと考えておりまして、これも関係団体との間で意見交換を行った上で、冷静な対処を強く求める旨通知をしていきたいと思います。

 これまでもこういった取り組みをしておりますが、さらにしっかりと、一層正確な情報の提供に努めてまいりたいと考えています。

柳田委員 早速の対応、ありがとうございます。

 続きまして、農村基盤整備への被害ですが、茨城県においても霞ケ浦用水地区の基幹的な水利施設が被災し、現在、水が供給できない状況であります。施設の被害すら把握できない状況になっております。皆さん、この関東平野、霞ケ浦があります。私のところは県西地区ですから、そこから行くと七十五キロぐらい。筑波山を通ってこの水道管が、工業、農業、その用水を使っている。その大もとの管が壊れてしまった、そういう状況でございます。

 そして、この震災については、翌日、激甚災害指定ということで、九割五分程度の国庫負担が、災害復旧を行うことの費用として賄われるわけでございますが、このままでは、災害査定を待っていたのでは作付に間に合わないという農家の方の悲痛な叫びがございます。手続の簡素化により、迅速な対応による一日でも早い復旧が必要だと思いますが、農水省の対策をお聞かせいただきたいと思います。

田名部大臣政務官 今お話にあった霞ケ浦用水の地区のパイプラインでありますが、破損状況は、今判明しているだけでも大変規模も大きく箇所数も多い、今わかっているだけでも百二十カ所の破損があるということです。ただ、全体的な被害状況というものをまだ把握できておりませんで、今、国の職員が現地に入って調査を続けているところであります。調査結果を踏まえて、直ちに取り組めると判断するような場合には、県、市町村としっかりと協議をした上で、査定前の着工も含め、早急に復旧に取り組みたいと考えています。

 また、この地区の用水でありますけれども、パイプラインの水源のほかに近くの渓流等の水源もあるということですので、田植えに必要な用水として、その最大限の活用方法を今検討しているところであります。

柳田委員 ありがとうございます。

 せっかく民主党政権になって、お米の戸別所得補償が軌道に乗りかけたかなと思ったやさきでございまして、私もじくじたる思いがしているところでございます。早急な復興をお願いしたいところでございます。

 続きまして、最後に、農産物の震災被害に対しての補償についてお願いいたします。

 さきにも述べましたが、原発事故による農産物の放射能被害については原子力損害賠償法が適用され、賠償が行われるものと考えています。本日の新聞等でも報道されておりますが、現在、政府においてどのような検討をされているのか、お伺いしたいと思います。

 あわせて、風評被害に対する賠償についてもお答えをお願いいたします。

加藤政府参考人 御説明申し上げます。

 原発の事故につきましては、現在、事態の収拾に向けて全精力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 御質問の損害につきましては、原子力発電所の事故で生じます損害につきましては、農作物に関しましても、事故との相当因果関係が認められるものにつきましては、原子力損害賠償法という法律がございまして、それに基づきまして適切な補償が行われることになってございます。

 この補償につきましては、一義的には事業者でございます東京電力が責任を負うことになってございますけれども、政府としても、それが全うできるように万全を期してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

柳田委員 ありがとうございます。

 時間が来たのですが、もう一点だけ、済みません。

石田委員長 いや、もう。

柳田委員 だめですね。では、これで質問を終わらせていただきます。

石田委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 ありがとうございます。

 柳田さんの熱心な御質問、もう一問ぐらい、いいと思ったんですけれども、委員長のお裁きでございます。

 きのうに引き続いて質問をさせていただきたいと思います。

 きょうの委員会は、法案審議はもちろん大臣出席ということでございますが、この委員会の定例日、そして震災に関する、我が財金として何ができるかということを議論する委員会でございます。ただ、大臣がこういう時期で大変忙しいということで、原則は大臣でございますが、副大臣でも結構だと。また日銀においても、私は副総裁以下で結構だと申し上げましたが、きょうはわざわざ総裁が、おれがやると。その姿勢が大事なんですね、いや本当に。二時から官邸で会議があるということなので、最初に御質問して、お引き取りいただきたいと思います。

 本当にその心意気、やはりきのうも、金融大臣、財務大臣、総裁と三人いらっしゃって、まさに日本の金融市場は万全なんだ、被災地、被災者は、これは全力をもってしてみんなで復興していこうということでございます。

 きのうも申し上げましたが、我々財金というのは、現場というよりは兵たん部隊、我々がしっかり支えるんだ、裏で、金融という側面で、財政という側面で。そういうメッセージを私は国内外に発信してほしいということで、きのう、余り難しいことは申し上げません、やはり金融市場の安心と安定ということを皆様方が大胆さと迅速さとそして発信力を持ってやってもらいたい、こういうことを申し上げたわけなんです。

 そういう中で、若干、自分の言葉というよりは文章を読むような、そんなところで私もちょっといかがなものかと申し上げて、きょうは、総裁がもう一度言わせてくれということでお越しになったんだと思います。

 皆さんも御承知のとおり、我々の今の財政も、GDP比で一八〇%を超える大変な借金がある。そういう中で、今回、災害対策で数十兆のお金が要るであろうということを考えますと、私は、公的債務というものが今後臨界点に達してしまうんじゃないかなと。このことに対して、やはり日銀総裁、財務大臣、金融大臣が、いや、そんなことはない、大丈夫だ、この国は屈強である、こういうことを言ってもらいたいわけでございます。ただ、現実は現実としてしっかり認識をしていただきたい。

 さまざまな措置をとっていただいたわけでございますが、一方で、今現実には、円高と低金利とデフレという、まさに安定資産バブル。安定資産にお金が、このような事態にもかかわらず、行ってしまった。このような現状をもってして、まず、今、日本という国は公的債務というものについて、私は臨界点に来ていると思いますが、日銀総裁、どうお考えでございますか。

白川参考人 お答えいたします。

 現在、日本の財政の状況、これは大変に厳しい状況であるというふうに認識しております。

 そのことについて十分認識した上で、しかし、現在、日本の国債の金利が低位にかつ安定をしているということは、これは最終的に、日本の国民、日本の政府はこの厳しい財政にしっかり取り組んで最終的にきっちりと財政バランスを確保していくという意思を持っているというふうに市場が受けとめているからこそ、現在のこの低い低金利が続いているというふうに思います。

 逆に言いますと、そうした市場の信頼というものに対して、我々はしっかり取り組んでいく必要があるというふうに思っております。

後藤田委員 そういう中でも、さらに我々は、これから財政出動そして税収減ということに見舞われると思うんですね。

 これについては、総裁はどうお考えですか。

白川参考人 今回の地震は、日本の経済活動に対し、特に生産活動を中心に、非常に難しい、厳しい状況をもたらすというふうに認識しております。

 少し長い目で見ますと、これはさまざまな政府、民間の取り組みによって、また復興に対する動きも始まってまいりますけれども、しかし、少なくとも短期的には厳しい状況が続く、そのことは税収の減少にもつながるというふうに思っております。

後藤田委員 そうですね。

 ですから、先ほど、冒頭の質問で、いや、国民が今支えているから大丈夫だとおっしゃいましたけれども、これから税収の減少と歳出増ということになると、低金利というものも本当に維持されるかどうかわかりません。そして、これから赤字国債、そしてまた復興債等の話もございます。

 そういう中で、きのうの質問では、日銀さんは、政府の保証、裏づけがあれば、アメリカのようなMBSの引き受け、FRBの引き受けなんかも政府が保証しているんだという御答弁でございました。それはそうなんでしょうけれども、私は、やはり日銀総裁は学者じゃないと思っています。私は、一人の政治家だと思っています。中央銀行の総裁というのは、学者型総裁、政治家型総裁と、世界でもいろいろ分けられると思いますが、私は、ある意味、政治家であってほしいんですね。

 それは、やはりしっかりやるんだと。もちろん政府がやってくれれば我々はやるんだというんじゃなくて、もうちょっと日銀として、これから日本が必要とされるお金に対して、日銀としてそれをしっかり、市場の安定のために、国家の安定のために我々はしっかりやる準備がある、こういう力強い発信をしていただきたいんです。

 その中で、きょうお手元にお配りいたしましたけれども、これはアメリカとEUと日本の中央銀行の資産内容でございますが、もちろんGDP比に占める資産は、日本が今、直近で二七・二%、アメリカの一七・六に対して大変高いわけでございます。これは、日本は現金社会であるということもあろうかと思いますけれども。

 その中で、二枚目のページを見ますと、社債、株式、REIT、これは非常に低い数字になっております。長期国債も六十兆ということでございますが、銀行券ルールにはまだ余裕があるということでございます。

 そういう中で、日銀総裁として、先ほど来申し上げました今後の税収減、そして歳出増圧力の中で、これ以上政府がなかなか赤字国債を発行できないという中で、いろいろなことを考えていかなくてはいけないと思いますが、どこまで踏み込んでおっしゃれるかはわかりませんが、総裁として、日銀は日本をしっかり支える決意があるんだということを国内外にこの場で発信していただきたいと思います。いかがでございますか。

白川参考人 日本銀行の使命、これは日本銀行法にはっきり定めておりまして、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということと、それから金融システムの安定でございます。そのために持っています日本銀行の手段が、資金の供給という手段でございます。

 今回のこの地震の発生後も、日本銀行は、この危機において、金融市場、金融システムの安定を図ることが最も大事なことである、中央銀行が果たせる最も大きな貢献であるという認識のもとに、積極的に資金を供給しております。

 この資金の供給は連日多額に上っておりまして、本日の当座預金残高は四十二兆円に上ります。これは、量的緩和のときのピークの水準、三十六兆円をも上回る多額の金額の流動性を、この一週間ちょっとの間に供給いたしました。これもひとえに、そうした使命を我々は十分認識するからでございます。

 今御質問の、税収減、それに伴う国債の増発の可能性ということに対する日本銀行の果たせる貢献という点での御質問でございます。

 まず、日本銀行は、現在も資金供給のために国債の買い入れを積極的に活用しておりまして、現在、年間二十一・六兆円の買い入れを行っております。日本銀行としては、先ほども申し上げましたとおり、今後も経済の安定のために最大限の努力をしてまいります。

 その際に、中央銀行の総裁としての心構えということでありますけれども、現在、日本の経済に対する見方は、この地震の問題もあり、それから財政状況も厳しい、金融市場も潜在的に不安定化しやすい、そういう状況のもとで、中央銀行として何が大事かといいますと、これは、金融政策が通貨の信認の維持と物価の安定、それを通じて、経済の安定にしっかりと、この目標を意識して政策が行われているということについての内外の市場参加者の信認を確保することだというふうに思っております。

 現在、日本の国債市場ではこれだけ多額の国債が発行されているにもかかわらず、これは安定的に消化をされております。現在、国債の発行に問題を来すという状況ではございません。逆に言いますと、現在のこの国債市場の状況が崩れますと、これは大変に難しいことになります。

 その意味で、日本銀行の国債の買い入れが財政ファイナンスを目的に行われているというふうに、もし万が一見られますと、今度は金融政策に対する市場の信認が低下し、かえって長期金利の上昇あるいは金融市場の不安定化をもたらすことになります。その場合には、国債の発行それ自体が難しくなってくるということになります。

 そういう意味で、日本銀行は、一方で、積極的に市場に対して資金を供給する、そういう認識のもとに行動しておりますし、他方で、金融市場に対する信認、金融政策に対する信認をしっかり守っていく、こういう心構えで、今後ともしっかりと職務を果たしていきたいというふうに思っております。

後藤田委員 一つとして、非伝統的手法として、これはCP、社債、株というのは、当時ですら二兆円。これは二月末時点でそうでございますけれども、さらにふえていると思いますが、こういう事態でございます。株価対策も含めて、非伝統的手法を、日銀さんとしてとられるおつもりはございますか。

白川参考人 先週の月曜日に日本銀行は金融政策決定会合を開催いたしまして、基金の買い入れ、これの増額を決定いたしました。今回、買い入れの増額分というのは五兆円でございますけれども、その中身は、CP、社債、それからETF、REITといったリスク性資産中心でございます。現在、金融政策の一環としてこういうリスク資産の買い入れを行っている中央銀行は日本銀行だけでございます。

 この買い入れの結果、例えばCPを例にとりますと、従来は月一回、一千億円の金額でございましたけれども、これからは月二回、一回が三千億円。したがいまして、月当たりでいきますと、従来は千億円、これからは月六千億円、そういうペースで買い入れを行っていく、これは六倍でございます。同様に、社債も従来比三倍になっております。

 こうしたCP、社債の買い入れは、現在、今、CP市場、社債市場が混乱しているわけではございませんけれども、これは企業の資金繰りに対して大きな安心感を与えております。そういう意味で、日本銀行は現に非伝統的な金融政策を行っておりますし、先週、この拡大を決めたばかりでございます。

 いずれにせよ、中央銀行としてどういう貢献が果たせるか、これをしっかり考えてこれからも対応していきたいというふうに考えております。

後藤田委員 ありがとうございます、お忙しいところを。

 そのようないろいろな日銀の今していること、役割を、もちろん国内にいて、きれいな防災服をお着になっているのも結構なんでございますが、もっと、スーツを着て、やはり世界へ行ってください。そして、世界で日本の金融市場は大丈夫なんだと言うことが役目なんじゃないでしょうか。

 今まで菅さんとオバマさんが電話で話して、日本がこんなに大変なんだというのは、多分オバマさんも気づかなかったでしょう。恐らく、総裁と大臣がG7に行って初めて、日本の危機を世界に伝えたのは白川さんと野田さんだと私は思います。それは立派だと思います。もっとそういうことを含めて、世界にしっかり発信する役目、そして、前広に前広に、金融市場を安定させるような発信をどうぞ、していただきたいと思います。

 何かございますか。

白川参考人 しっかりと政策運営をすることと並びまして、情報発信が非常に大事であるという点は私も全く同じ認識を持っております。その際、国内に対する情報発信と同じように、海外に対する情報発信、意見交換、これも非常に重要でございます。

 実は、ここのところ連日、海外の中央銀行総裁と電話、Eメール、けさも電話で意見交換をしましたし、それからG7に限らず、いろいろな場で日本の考え方をしっかりと説明し、理解を求めていく努力をしていきたいというふうに考えております。

後藤田委員 ありがとうございます。どうぞ、日銀総裁、もう御退室ください。

 続きまして、きょうは五十嵐副大臣にお越しいただいております。

 具体的な被災地域への対策として、ガソリン税、これは皆様方の政策のトリガー条項とかいろいろございますが、いろいろ役所に聞くと、トリガーの百六十円まではなかなかいかないだろうと。極度の円安になると、これはまた別でございます。しかしながら、被災地は、ガソリンを入手する手段が大変であるということはおろか、お金がないわけですね。原油自体はあるというふうに経産省からも聞いています。製油所が二つほどとまって、これからどんどん供給されていくであろうということでございますけれども、しかし、被災者、被災地はお金がないんですね。やはりこれは、皆様方、ガソリン値下げ隊とおっしゃっていたけれども、今こそ被災地に値下げしなきゃいけないと思いますよ。

 では、どうやってやるのかといったときに、元売に無償で提供させて、例えば元売の方に後から国がお金を補てんするとか、そんなことは考えておりますか、どうですか。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。

 ガソリン値下げ隊があったわけですけれども、ガソリン税を下げるというのは、トリガー条項が発動される状況でないとできないということですし、被災地だけ何か下げるという方法があるかというと、なかなか難しい。

 したがって、議員おっしゃるように、政府がかわりの手段をとれないかということだと思いますが、今後の状況を見ながら、ありとあらゆる、現金、現物の支給の仕方、効率的なやり方があるかどうか、それが本当に効率的に救える道になるのかどうか、検討をさせていただかなければならない、こう思っておりますが、すぐに今、具体的な検討があるわけではございません。

後藤田委員 これは提案でございますので、ぜひ。これから災害救助法だとか生活支援法だとかでいろいろな財政出動が出てくるんですよ。予備費も三百数十億、決めましたね。そういう中で今、喫緊に、やはりガソリンについても、元売に、現物で出せ、あとは国が補てんするというぐらい、迅速な対応があってもいいと私は思います。ぜひその点は、しっかり迅速に大胆にやっていただきたいと思います。

 続きまして、金融庁さん、きのうは余り日本語が通じなかったものですから、政務官にきょうは来ていただきました。

 一言で言ってください。きのうは、いわゆる株の評価損で生損保自体の、支払いは大丈夫だというのはもうわかっているんですよ、そうじゃなくて、生損保自体が株の評価損で体力的に大丈夫か、そのことをずばり一言で、大丈夫だと言ってください。

和田大臣政務官 後藤田委員御指摘の部分につきましても、生損保ともに、しっかりとソルベンシーマージン率をキープしておりまして、大丈夫だというふうに申し上げたいと思います。(後藤田委員「株の話、評価損の話」と呼ぶ)評価損の話。

 評価損のお話につきましても、二年前のリーマン・ショック以降、減損処理を行っている関係で、そこからの評価損というのは極めて小さいものだと考えておりまして、これも大丈夫だと考えています。

後藤田委員 きのう、そう言ってくれればよかったんですけれどもね。

 もう一つ、みずほ銀行の対応について、きのうもありましたけれども、僕は、みずほ銀行のことと、今度の東電のことと、またNTTが電話が通じなかったことと、いろいろ考えまして、これは皆さん、国会として、いわゆる公営企業というもののあり方、彼らは民営化したんだけれども本当に国民のために公益企業としてやっているのかというのを総ざらいしなきゃいけないと思いますよ。

 NTTだって、前も僕は委員会で、税引き後八千億の利益を出していて、もっと税金を取れと言いましたけれども、こんなときに電話が通じないなんて、こんな仕組み、システムをつくっているNTTというのは、監督している総務省、きょう来てもらっているけれども、何やっているんだということですよ、はっきり言って。

 東電だって、電力だって、これはみんなコストに利益をオンして各家庭に売っているわけですよ。何のリスクも負っていないんです、こういう公益企業というのは。

 銀行だってそうですよ、はっきり言って。いわば公的なセクターですよ。その公的セクターのみずほが、合併したときにシステムで問題を起こし、今回もこんな大変なときに問題を起こし、おまけに特別顧問か何かを置いて、どこかの雑誌にも書いてあったけれども、年俸五千万ぐらいもらって平気な顔をしている。そして、今度はみずほが全銀協の会長ですって。これは金融庁としてしっかり管理していなきゃだめですよ。

 これは、システム会社はどこだったんですか。これも全部公表しましょうよ、ATMを、システムをつくったところ。

 私が聞くと、欧米では、ATMというのはコストが大体、二、三十万だったかな。日本のATMというのは一台百万ぐらいかかっているらしいですよ。このこともしっかり金融庁には、僕はもう、きょうの質問以前から聞いていますよ。

 その点について、ちょっとお答えいただけますか。

和田大臣政務官 後藤田委員の御指摘をお聞きしておりまして、私自身も気持ちの部分で非常に共有できるものがございます。ただ、金融庁の立場上、御答弁できるところにはある程度の枠がはまっておりますので、御容赦いただければと思います。

 まず、今回のみずほ銀行の自行のシステム障害発生につきましては、本当に起こっている現象と、私どもへの御報告をいただく内容、タイミング等にまだまだ不十分な点があるというふうに感じておりまして、そこはより的確な、適時的確な報告を求めていきたいというふうに思っております。

 その上で、今までのシステムについてのお問い合わせでございました。言及可の部分で申し上げれば、みずほ銀行は、御存じのように、三つの銀行が一緒になっております。みずほコーポレート銀行は別としまして、みずほ銀行は、富士銀行と第一勧業銀行が一緒になったものでございます。第一勧銀の方がたしか富士通のシステムですか、富士銀行の方がIBMのシステムを採用していて、それが、一緒になった後、富士通のシステムになったというふうにお聞きしております。

後藤田委員 ありがとうございます。

 これは、委員長、古本筆頭、一回ちょっと、みずほの実態、これについて理事会でしっかり、参考人で呼んでもいいと思いますよ、これをお諮りしたいと思います。

石田委員長 ただいまのお申し出につきましては、理事会で協議をいたしたいと存じます。

後藤田委員 それと、これは古本筆頭に大変御努力いただいて、きょう、院としてこれから行動を起こしていただくということで、きのうも言ったんだけれども、皆さんも感じていると思いますよ。テレビを見ていると、ACのコマーシャルが目につく。私も覚えちゃいましたよ、心は見えないけれども、心がけ。これだけ流されて、仁科さんもいいですよ、乳がん、子宮がん、これは大切なことですよ。しかし、今やることは何なんですか。

 やはり、被災者、地域に、きのうも申し上げました、テレビも見られない人はラジオでやれと言ったように、金融がこういうことをやっている、こういう支援を国がやっているんだということも言わなきゃいけないし、停電の、節約の話をどんどんどんどんやるべきですよ、テレビで。そして、先ほど柳田さんがおっしゃったような風評被害の問題も、コマーシャルでやるべきですよ。これは、官邸が何をやっているんだと僕は言いたい。

 これは、委員長の指導力と、また古本筆頭を初め与党の力をかりなきゃいけないと思いますが、ぜひよろしくお願いします。

石田委員長 ただいまの件につきましては、きょう午後四時、古本筆頭理事が官邸、副長官に申し入れをすることになっております。

後藤田委員 ありがとうございます。

 古本さん、ぜひ頑張ってください。お願いいたします。

 それと、きのう申し上げた二次被害、三次被害、透析の問題で、きょうは環境省や皆さんに来てもらっています。

 東京都の出身の国会議員さんもいると思うけれども、東京都が井戸を掘れないというのを皆さん知っていましたか、これは条例で。こんなばかげたことがあって、現に、一方で違うところに聞くと、ビルを建てたら、ビルが上に浮き上がって、それをとめるのに必死なんだという話もあるんですよ、実際は。

 透析は、電気も必要です、水も必要でございます。私の父も、他界しましたが、二十七年間、透析患者でございました。

 そういう本当の危機管理ができているのかということで、厚生省に来てもらっていますが、今、東京都には何人の透析患者がいて、透析医療施設は何個あるんですか。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 これは、日本透析医学会の調査の結果でございますけれども、現在、東京都、施設の方が四百七施設、それから透析患者の方の数でございますけれども、二万八千人余りという数字を承知いたしております。

後藤田委員 この四百七の施設に井戸を掘ったら、地盤沈下するんですか、環境省。

関政府参考人 揚水量等を私ども把握しているわけではございませんので、判断できかねます。

後藤田委員 この程度なんですよ。これだけの災害が起こって、事が起こればやるんだけれども、事が起こっていないところはやらぬ。

 一番これから危険なのは、同時多発テロならぬ同時多発災害ですよ。このような災害、しかも、被災者、地域から患者さんを受け入れていますね、今、関東に、停電が起こる可能性のある、井戸水がない関東に。これはどうなるんですか。これはしっかり、ちゃんと東京に、調査して、厚生省、環境省ともにやってください、しっかり命を守る政策を。

 ぜひ、この委員会でも、また理事会で、その回答を至急、この金曜日までにお願いしたいと思います。

石田委員長 ただいまの御提言につきましては、理事会で協議をしたいと存じます。

後藤田委員 あと最後に、NTT。さっき言ったように、公益企業がちょっと最近、図に乗り過ぎですよ。

 八五年の民営化、これは一つの段階としては、JRも含めて、よかったと思います。JTにしても、たばこだけを売っていればいいのに、民業圧迫でジュースを売ったり薬を売ったり、何ですか、これ。私は、そういうことをしっかりハウスの方で、公益企業をもう一回たたき直さなきゃいけない時期に来ていると思います。

 きょう総務省さんが来ていると思いますが、私が専門家に聞いたら、NTTは回線が複雑過ぎて、いろいろなしがらみがあって、なかなかできない。本来ならば、あのようなことがあっても回線は通じるはずだ、しかし回線の設計が複雑過ぎるんだ、過去のしがらみがあるんだと。

 ソフトバンクが、そのしがらみの中で闘ったわけでございます。ただ、ソフトバンクもソフトバンクで、あんなコマーシャルをばんばん打つ金があったら、もっとこういう災害のときに対応できるような状況をつくっておかなきゃいけない、そう思います。

 総務省、局長さん、きょう来ていますか。これは、この場での発言が重要になります。

 今の通信各社は、大量、長期の不通状態をもう一度点検して、その回線の設計を変えて、国民の真のサービスをすることが技術的に可能なのかどうか。可能じゃないとあなたがもし言って、もし可能だったら、あなたの首は飛びますからね。よろしくお願いします。

桜井政府参考人 お答え申し上げます。

 NTTを含みます通信事業者は、今回、地震によりまして、太平洋沿岸を中心として非常に広範囲に被害を受けております。現在、NTTを初めといたしまして、各社におきましては、携帯につきましては、移動基地局ですとか、あるいは移動の電源車でありますとかというものをもちまして、早期の復旧に努めているということでございます。

 制度的には、電気通信事業法におきまして設備規則というのがございまして、これで必要な災害対策を講ずることということが決められているわけでございます。

 阪神大震災の経験も踏まえまして、各社それぞれ取り組んできているところでございますが、今回、非常に大規模な地震と津波ということがありまして、局舎の倒壊というのが沿岸部を中心に相当広く出ております。そういう意味で、マクロ的には大分、不通の電話あるいはつながらない携帯の基地局の数なども減ってきてはおりますけれども、そういった沿岸部ではまだまだという状況になっているということでございます。

 私どもといたしましても、今回のケースにつきまして、きちんとした評価、分析をした上で総括して、必要な制度の改正なりといったものに取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

後藤田委員 ありがとうございます。

 局舎云々というんじゃなくて、それはもうしようがないことですけれども、東京の中でも通じなくなる、大混乱になったときにつながらないということを言っているんです。今、まさに法律改正も含めてしっかりやると言っていただいたので、了としたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

石田委員長 次に、徳田毅君。

徳田委員 自由民主党の徳田毅です。

 まず冒頭に、先般の東北関東大震災でとうとい命を失われた多くの方々に衷心より御冥福をお祈りするとともに、そしてまた、今なお厳しい寒さの中で避難所での生活を余儀なくされている方を初め、震災の被災に遭った多くの方々に心からのお見舞いを申し上げたいと存じます。

 震災直後の委員会ということでございますので、きょうは震災に関連して御質問をさせていただきたいと思います。

 私たち自由民主党では、震災が起こった三月十一日から早速災害対策本部を設置しまして、そして、その事務局にて各被災地、深刻な状況にある医療現場、福島原発の情報収集、また、党として、救援物資や募金といった活動を行ってまいりました。

 実は私も、昨年末に奄美大島が集中豪雨災害に遭いまして、この被災した地域からも大変御支援をいただいたということもあって、今回、これだけ大きな、甚大な被害を出した震災の中で何とか恩返しをしてまいりたい、そういう思いで、この災害対策本部の活動に参加をしております。その活動の一環として、先日、救援物資を車に積んで、福島などの災害現場、そして各被災地などを視察してまいりました。

 少し簡単に御報告をさせていただきたいと思いますが、まず福島の相馬市磯部という地域、こちらは小さな港町でありまして、約三千人の方が生活をされていたということでありました。行きましたら、まさに町そのものがなくなって、壊滅状態です。鉄筋コンクリートの建物が骨組みだけを残して辛うじて建っておりまして、あとの建屋はすべて瓦れきの山と化しています。今なお、自衛隊が収容することができず、多くの遺体がその瓦れきの下でそのままになっているという状況でありました。

 逃げることができなかったのかと周りを見渡してみますと、三キロ先ほどに高台というか小さな山がありまして、これは到底逃げることができなかったんだろう、特に高齢者の方は困難であったんだろうということが、容易に想像はできました。

 やはり、テレビの映像ではなく、自分自身の目で見るからこそ強烈に感じるその残酷さ、その光景やその現実を見て、改めて、私たち政治はこの復興に全力をもって取り組んでいかなければならない、この危機を何としても乗り越えていかなければならないということを感じております。

 その磯部の方々がたくさん避難をされている相馬市のはまなすセンターというところを、私も視察をさせていただきました。ここも大変ひどい状況です。四百五十人ぐらいが入られている、中規模と言えると思います。建物に入りますと、空気がこもっておりまして、においもする。衛生的に、これから感染症の懸念もされました。中には、冷たい床に保冷のシートを敷いて寝ておられる方もいて、決して十分な環境ではないということを感じました。

 何人かの方にお話を聞いてみますと、やはり家族を亡くされたという方も多く、中には、息子さんが消防団員で、最後の最後まで避難の呼びかけをされて、そのまま行方不明になったと泣かれている御婦人もおられました。

 港町ですから漁師の方が多くて、そしてまた農家の方もいらっしゃいます。その方々は家族を失われ、住んでいる家を失われ、そして仕事をする見通しも立たないということで、大変絶望感というものを感じておられるように思いました。

 きょうは報告はここまでとして、財務金融にかかわることですから、まず一つ、これからそうした人たちの生活再建の意味で、やはり大きな助けになるのが保険なんだということを思います。まず一点目に、この保険についてお伺いさせていただきたいと思います。

 今回、津波で家が流されたということもあって、やはり保険を受けるための保険証書をなくされたり、そしてまた家族の中で、残された家族が、その家がどういう保険に入っていたかということもわからない人がいるということもあろうかと思います。そうした中で、生保も損保も、業界の方でもいろいろな対策を打ち出されておられるということでありますが、まず、そうした対策について御答弁をいただければありがたいと思います。

和田大臣政務官 徳田議員が現地に入られてひしひしと感じられたこと、本当に共感を覚えます。

 保険業界の対応についてのお問い合わせでございます。

 先ほど来御答弁申し上げておりますが、累次、金融庁の方から要請を発しまして、生保業界、保険業界の方にもそれに真摯に対応してきていただいている内容として、例示的に申し上げます。

 まず、先ほどおっしゃったように、被災された方々はとるものもとりあえず逃げ出されたということから、保険証書や届け出印鑑を持っていないのが当たり前のことであろうと考えておりまして、これらについても、保険契約者であることを確認できる限り、可能な限り便宜措置を講じながら対応してほしいというふうに言って、それに応じてもらっています。

 また、当座の生活のために保険金や給付金の支払いをできるだけ迅速に行ってもらうようにということで対処していただいています。例えば、これから先、あれだけたくさんの行方不明の方々がいらっしゃる中でございますが、本来ならば、生命保険金、死亡保険金の支払いというのは、行方不明の場合、ある一定期間を経過しなければ死亡確認をとれないということになりますが、こういった事態でございますので、柔軟に対応していただきたいということをやっております。

 また、現在進行形の保険契約につきましても、保険料の払い込み等が必要なわけでございますが、これにつきましても、今の被災者の方々にそれを求めるのが非常に酷な状況であることはよくわかりますので、これについても最大六カ月間の猶予期間の延長を行っているところでございます。

 そして、先ほど御指摘ありました、保険契約に加入しているかどうか、その有無の確認まで難しいという方々もいらっしゃるようでございますので、その契約を照会するということも、各保険会社間の連絡をとりながら、やっていただいているところでございます。

 例示的にはこんなところでございます。

徳田委員 もう一点、今回、生保、損保の保険の支払い額というのは大変膨大なものになろうかと思いますが、合計で大体幾らぐらいになるとお見積もりになられておりますでしょうか。

 また、保険会社の負担を和らげる積立金等の状況というものも教えていただければと思います。

和田大臣政務官 最初のお問い合わせであるどれぐらいの支払い額になるかということにつきましては、大変申しわけないのですが、今被害状況の把握に努めているところでございまして、保険会社が連携をとりながら進めてはおりますが、今のところ、まだ見通しを立てることはできない状況でございます。

 しかし、後の方のお問い合わせであります、生命保険会社、損害保険会社、先ほど後藤田委員のお問い合わせにもございましたが、その支払いに応ずることが十分できるのかというお問い合わせについてでございますが、まず数字の方からは、生保会社については、年間の純利益が九千四百七十二億円、純資産は九・一兆円ございます。損保会社につきましては、純利益が二千百六十二億円、純資産が五・六兆円、またさらに、異常危険準備金というのがございますが、それも三・八兆円ほどございます。さらに、損保につきましては、国が地震保険などについて再保険を引き受けております。

 こうしたところから、御参考までに申し上げておきますが、阪神・淡路大震災における保険金の支払い額は、それと一概に今比べるわけにいかないことも十分承知いたした上でございますが、その当時、四百八十三億円の生命保険支払い金、七百八十三億円ほどの損害保険の支払い金、こういったことになっておりますので、私どもとしましては、今の生命保険会社、損害保険会社のこの状況を見ると、十分支払いできるというふうに考えています。

徳田委員 阪神・淡路大震災のときには、契約者から請求がなくても、保険会社がエリアごとに一軒一軒見て回って、手続をするように働きかけるようにしたこともあったということを聞いております。どうか、きょう御答弁をいただいた内容をそのまま生命保険会社、損保の会社が確実に実施できるように、金融庁としてもしっかりとフォローしていただきたい。また、そうしたきめ細かい対応についても、これからまた踏み込んで協議をしていただきたいということを思います。

 次に、三月十四日に閣議決定をされました被災者に対する緊急支援、これは平成二十二年度予備費のうち三百二億円を活用するということであります。野田財務大臣の記者会見の概要なども読ませていただきましたが、改めて、この三百二億円、この緊急対応のスキーム、支援方法、そしてそこからの三百二億円の算定根拠というものを教えていただきたいと思います。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。

 救援物資の調達につきましては、本来であれば、自治体が自助をベースに災害救助法のスキームを使いまして申請をし、そしてそこに国が補助をするということがこれまでのスキームでございますけれども、今回、自治体そのものが、町長さんが亡くなられたり役場そのものがなくなったりという、大変大規模な被災に遭われて機能を著しく失っているということでございますので、これはもう全額国が持つという形で、予備費を使用して救援物資の調達等をさせていただいたということでございます。

 そして今、被災者生活支援特別対策本部におきまして、被災地のニーズを的確に踏まえながら、当面必要な衣料品、水、食料、毛布、医薬品、こうした日常必要なものの調達、供給を行っているところでございます。これまでに、毛布一万二千枚を初めとして、かなりの当面必要とされるものについて、飲料水については一日一人三リットルというような目安で使用をし、既に運んだということでございます。

徳田委員 ありがとうございます。

 この三百二億円についての算定根拠というものについてはお答えいただけなかったんですが、前の野田大臣の記者会見では、被災地から強く御要望いただいているもの、食料品、衣料品、防寒用品、医薬品等々、そしてその数の割り出しをさせていただいて、対象県が、特に自治体の機能が著しく低下している地域ということで、岩手、宮城、福島を対象にさせていただいているということを述べられております。

 確かに、災害救助法では自治体が支援した内容についてはやはり最後はちゃんと国が面倒を見るということになってはいるんですが、実は、きのうの参議院予算委員会で佐藤信秋先生が指摘をされたように、多くの自治体ではそういうことが周知徹底されていない。自治体においては、避難者を引き受けて、そして新たに予算を計上したり、条例をつくられたりという動きをされているところもあるそうです。

 そういうことから、やはりこうした大きな災害が起こったときに、国として全部しっかりと面倒を見ますよということをまずは打ち出していただきたいということを思いますし、またその中で緊急支援、これは大切なことだと思います。ですが、この内容は、自治体の機能が著しく低下している地域ということで、岩手、宮城、福島だけを対象にしているというのは、これはほかの被災地からすればやはり誤ったメッセージと伝わってしまうんではないかということを思います。

 また、この三百二億円、一概に多い少ないということは言えないかもしれませんが、やはり今回の予備費、全体で二千三十八億円あるわけですね。その中から五十四億円は自衛隊の活動費として拠出をするということではありますが、それでも残り千九百八十四億円あるわけですから、その中から三百二億円といえば、最初から小出しにしているというイメージにもとられかねないわけです。

 何か御答弁ありますか。

五十嵐副大臣 失礼いたしました。

 野田大臣が言われたとおり、積み上げてきた数字で、あくまでも当面必要な物資でございますので、これは当然追加があるものというふうに思われます。今年度の予備費、まだ千六百八十億円程度ございますので、使用は可能であり、それを当然使われるものというふうに思っております。

徳田委員 細かい支援策についてはここでお話をすべきではないかもしれませんが、例えばこれから、多くの人たちが避難生活を送られていることから、仮設住宅というのが必要になってくるわけですね。

 国土交通省から三万戸の要請があったということも聞いておりますが、阪神・淡路大震災、このときは千四百五十億円を使って最終的には四万八千三百戸の仮設住宅が建設されました。中でも、発生から四十日後には七千戸が完成しているんです。

 やはり避難所生活も大変な状況であるから、一日も早くこうした仮設住宅を建てるということが必要であるかと思いますが、こうしたことが初動において出されないというのはどういうことなんでしょうか。

五十嵐副大臣 初動の状態、直後から、財務省としましては、国有地を提供して、もう提供済みのものもございますけれども、仮設住宅が建てられるようにする準備をしております。

 また、全国にある宿舎、公務員宿舎、官舎等を調査いたしまして、利用可能な宿舎等は五千五百戸、今あるということも具体的に提供をさせていただいておりますし、また、都道府県等に対しても、提供し得るものがあればお願いをしたいということも早々にお願いをさせていただいております。

 御党におかれましても、全国の旅館やホテル等も含めて利用できるものを全部洗い出したらどうかという御提言もいただいており、それも踏まえて、ただいま、さらに多く受け入れ先があるかどうかということを調査させていただいているところでございます。

徳田委員 財務省として努力をしていただいているのがよくわかりました。

 ただ、今、現状を聞きますと、やっと岩手で二百戸の建設が始まったというぐらいの段階だと聞いています。この財務省からの宿舎五千五百戸についても、どこまで手続が進んでいるのかということも、きょうはないと思いますから、また後ほどお伺いしたいと思いますが、そうした被災地以外にも多くの方々が避難されておりまして、そして、岩手、宮城、福島、栃木、千葉などでも、大体三万七千戸の仮設の要請があるということを聞いております。

 こうした非被災県にも、やはり財務省としてしっかりと手当てをするんだということをしっかりとお伝えをいただきたい。災害救助法のスキームをもっと周知徹底させればいいんですが、地方自治体の中には財政難に陥っている地域もあるということですから、やはりここで、国としてしっかりとみんな面倒を見るんだということを示していただきたいと思います。

五十嵐副大臣 確かに先生御指摘のとおりでございまして、被災地だけの援助ということになると、被災者を引き受けていただくところにお金が行かないのではないか、そういう御懸念が生じているかと思いますが、これは最大限の手当てをさせていただきたい。これから特別な立法も予定をされるのではないか、こう思われますし、また、財政面での手当ても最大限させていただきたいと思っております。

 例えば、生活保護の方々、厚生労働省の方の手当てで、行った先で申請をしてもいいですよという話になっております、その地元の市町村が機能を失っているところがございますから。そうすると、生活保護の方々の四分の一の自己負担、裏負担が、引き受けた市町村の方に生じるということになりますので、この分をどうしてくれるんだというお話が当然出ると思いますが、そのことも含めて、財務省としては鋭意検討を進めているところでございます。

徳田委員 ありがとうございました。

 それでは、復興予算と財源の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 今回の東北関東大震災は、被害地域が大変広域でもありますし、また、津波によってその被害が増幅されているという部分もあります。阪神大震災に比べて被害総額も大きいだろう、また、それにかかわる復興対策というものも、やはりより大きなものになるのではないか、そうした認識は、与野党を超えて、すべての方が共通した認識を持っていただけているんだということを思っております。

 そこで、やはり財源の問題、また、もっと言えば補正予算について、これから議論を進めていかなければならないと思いますが、現段階、政府内では、この検討を一体どこでどのように行っているのか、御答弁をいただきたいと思います。

五十嵐副大臣 これから復興段階に徐々に入っていくということで、多額の経費が要るであろう、補正予算を組まなければならないであろうということは、当然、政府として考えておりまして、各省と被害の状況を把握するため連絡をとりつつ、官邸とも連絡をとり合って、財務省でも、補正予算を準備するべく内々の検討を始めているということでございます。

徳田委員 三月十四日、五十嵐副大臣の記者会見の内容を少し拝見させていただきました。ここでやはり感じるのは、きのうのこの委員会でも感じたことですが、被害の全容を把握しないとそうした補正予算の議論にもならないし、もっと言えば財源の議論にもならないというような印象を私は受けました。

 しかしながら、やはり今までの震災の教訓から、この段階になって今何をしなければならないかということは、各省庁からしっかりと積み上がってくるということを思います。阪神大震災の折には約四十日後には補正予算が組まれたということでありますが、やはりあのときも、被害の全容をしっかりと把握した上で出したものではないと思いますし、今回はもっともっと時間がかかるであろう。そうした意味では、一次また二次という形で打ち出していかなければならないと思うんです。

 ですからこそ、今のこの段階で、どうした補正予算の内容にすべきなのか、そして、それに伴う財源はどうすべきなのかということを考える議論を今からしていくべきだということを思っております。

 それでは、今度は財源について、大体いつまでに幾らぐらい必要かということをお答えいただけますか。

五十嵐副大臣 先生御指摘のとおり、阪神・淡路大震災のときは、三次にわたって、最初が四十日後、それから数カ月、そして秋口、九月に三次、三つ目の補正予算が組まれたと承知をいたしております。

 今回、阪神・淡路大震災と違うのは、阪神・淡路大震災では自治体の機能がしっかりしていたということ、それから、今回はそのときと比べて非常に広範囲であるということと、市町村からの情報が直接的には入りにくいところがかなりたくさんあるというのは違う点だと思います。

 そういう意味で、全貌を把握するのが大変というのと、これまでのやり方だと原状回復が中心になってくるわけですけれども、原状回復では問題が解決しないケースが非常に今回は多く見られる。地盤が七十センチも沈下して塩水が入って、農地としても回復しがたい。あるいは、被災者が余りにも多くて、そのまま町として再現できない、町ごと移住が必要だというような状況が改めて多く出てきているということです。

 そうした実態をしっかりと把握し、また、地元の希望を、市町村そして住民の方々がどういう御希望をお持ちなのかということを踏まえてからでないと、本格的なそういう意味での復興、基礎的なインフラの復興なんかはできますし、計算も積み上げてできると思うんですが、そういう村づくり、町づくり、地域づくりは、しっかりと計画を立てていかなければいけないという意味で、少しお時間をちょうだいしなければいけない場面があるだろう。

 しかし、四月中には最初の補正予算は提案をさせていただくということに当然ならなければならないと思いますし、準備はさせていただいているところでございます。規模については、まだ少し御猶予をいただきたいと思います。

徳田委員 この財源をどうやって調達するのかということがさまざまな議論になっております。

 今回の被害規模を見れば、これから復興支援には莫大な、大規模な予算がかかるであろうということは容易に予想されますし、では、そうしたものを、国債を発行すればいいのか。日銀が引き取るという話もありましたが、今度は与謝野大臣がそういうことはあり得ないと言ってみたり、そうしたことで大変混乱している部分もあるんですが、今、世論では、ばらまき四Kと私たちが言っている、そうした子ども手当を初めとする直接給付の政策について、そうした予算を復興支援に回すべきではないかという議論がございます。

 昨日の後藤田委員の質疑に対しても、野田大臣は、政策の優先順位をつける必要があるということを答弁されております。具体的な順位というものはまだまだこれから御議論の中だと思いますが、どのような考え方に基づいて優先順位をつけようとされているのか、また、それをどこで議論されていくのか、お答えいただければと思います。

五十嵐副大臣 政府・与党といたしましては、ベストの案として、予算案そして関連法案をお願いしている最中でございます。参議院で審議をされているものもございますし、まだのものもございますけれども、その立場は変わらないと大臣も御答弁をしたところだと思います。

 しかし、新しい大きな要素が加わったわけですから、新しい観点から見直すべきところは例外なく見直していくということを表明されたものと理解をされておりますし、私は、子ども手当は必要だと思っておりますけれども、しかし、いろいろな与野党の知恵を合わせれば、この難局を乗り越えるための新しい考え方も出てくるかもしれない、こう思っているところでございます。

 それは政府として、官邸を中心にしっかりと方針を立てて、一方で、与野党間の話し合いを経た上で、合意すべきところに従って編成をしていく、見直しをしていくということで、私は、歳入歳出とも、ありとあらゆる知恵を総動員して見直し、つくりかえをしていくことがあり得べしというふうに考えているところでございます。

徳田委員 私たちも、やはり本当にいち早く復興を果たしていくためにできるだけ協力をして、そして、先ほど四月と言われましたが、四月中にも補正予算を成立させるべきだと。そのためには、今の予算関連法案なども成立させなければならないわけですが、全力で協力をするということは、私たちが主張してきたことをやめて、すべてを認めてしまうということではないんですね。子ども手当などを凍結すれば、その予算を災害復興に回すのだとすれば、私たちの中でも予算関連法案の成立に協力をしようという声もあるぐらいですから。

 ですから、政府の中には、いち早くこの予算案を成立させて、そして今度は補正予算をという話があるわけですが、では補正予算でどのような組み替えをするのか、どのような内容になるのかということを示していただかなければ、協力するものもできないんですね。

 ですから、やはり、今の災害状況もあわせると、まずは政府の方針、民主党の中で議論をされるのであれば、民主党の中での方針を一刻も早く出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

五十嵐副大臣 当然、政府としても、基本的な考え方をしっかり持っていかなければいけない、御指摘のとおりだと思います。

 その上で、国会を通らなければそれが実現できないわけでございますので、野党の皆様の御意見も謙虚に、虚心坦懐に伺って、それを参考にしながら進めていくべきものと承知をいたしております。

徳田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 このたびの大震災でお亡くなりになられた方々に心より御冥福をお祈りするとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。

 そして、その方々の思いを背に、我々政治にある者は、復興に向かって、これから国を挙げて力を合わせて頑張っていかなければならない、このように思っております。

 それで、私はきょうは、まず初めに、地域が元気を出すという意味で、その地域を支えてきた中小企業、これからどうその再建を手助けするのか、金融の面から質問をさせていただきたいと思います。

 たくさんの地域を支えてきた企業が今回大きな被害を受けました。そして、その地域を再興させるために、中小企業が、地元の企業が元気を出して頑張っていただかなくてはならない。国がどのようにそれを支援することができるかという観点は非常に大切だと思います。

 まず初めに、現在の中小企業向けの金融支援、災害復旧貸付制度、現在はどうなっているのかということを質問させていただきます。

五十嵐副大臣 御質問ありがとうございます。

 済みません、その前に、先ほど私、徳田委員の御質問に対しての答弁で、毛布を一万二千枚と答弁をいたしましたけれども、百二十万枚の間違いでございましたので、訂正をさせていただきます。

 それから、ただいまの斉藤鉄夫先生の御質問でございますけれども、現行の災害復旧貸付制度がどのようになっているかということでございます。

 日本政策金融公庫、これは、昔の国民金融公庫と中小企業金融公庫がございましたが、合併をいたしておりますので、国民事業と中小事業という形で、災害復旧貸し付けが二種類に分けて含まれております。

 国民事業では、普通貸し付け等に三千万円まで上乗せを可能とする制度になっておりまして、普通貸し付けの限度額が四千八百万円でございますので、七千八百万円まで貸し付けされるということでございます。中小事業は別枠でございまして、一億五千万円ということになっております。融資期間は十年以内で、据置期間は二年以内、貸出金利は基準金利で、現在、国民事業で二・二五%、中小事業では一・七五%になっております。

 三月十二日の閣議決定によりまして、事業所の全壊、流失など、特に著しい被害を受けた中小企業者及び当該中小企業者の事業活動に相当程度依存している中小企業者、つまり二次災害を受けた事業者でございますが、一千万円を上限に、融資後三年間、基準金利から〇・九%を引き下げた、控除した特別利率、現在、二・二五%が基準金利でございますから、一・三五%になります。一・三五%の特別利率を適用するということになっております。

斉藤(鉄)委員 確認ですけれども、この災害復旧貸付制度は被災地の中小企業に適用される、被災地以外の中小企業、今回、間接的という言葉がいいのかどうかわかりませんけれども、間接的に事業が困難になっている企業には適用されない、こういう理解でよろしいでしょうか。

五十嵐副大臣 被災地以外のところでも、間接的に受けたところなどは、当然大丈夫でございます。

斉藤(鉄)委員 この措置、災害復旧貸付制度、現在ある災害復旧貸付制度を、ある意味でそのまま準用したという形だと思います。私はこれを、これだけの大被害ですので、大きく抜本的に拡充しなくてはいけないと思います。その観点から、きょう、質問させていただきます。

 今回、この災害復旧貸付制度、基本的には全国の間接的な被害に対しても貸し付けられるということでございますが、現実は非常にその証明が難しくて、なかなか適用にならないということだそうでございます。例えば私の地元、広島ですけれども、この震災を受けて、自動車のマツダが操業停止いたしました。それは、東北地方からの部品が入らないから操業できないということだそうでございます。また、多くの観光地は、海外からのお客様がすべてキャンセルになっているというような被害もございます。

 そういう意味で、今回の震災はオール・ジャパンの大きな影響があるわけですけれども、そういう中小企業に対しての措置と、それから直接被害に遭われた、それこそ大変な被害に遭われた地域の復興のための中小企業対策と分けて考えなくてはいけないと思います。

 まず、オール・ジャパン対策といたしまして、百年に一度と言われたリーマン・ショック後の緊急対策として、当時、私ども与党だったわけですけれども、セーフティーネット保証など、保証及び融資について、大胆な、大胆な制度をつくったわけです。今回も、まずオール・ジャパン対策としてこのような大胆な措置をとる必要があると私は思いますが、副大臣、いかがでしょうか。

五十嵐副大臣 御指摘のとおり、今回の震災では、被災地のみならず、災害に起因して生じた原発事故がございました。これが大きな違い、前回と違うところだと思いますが、そして計画停電、交通、物流の混乱ということが起きておりますので、被災地以外の中小企業者にも売り上げの激減等の悪影響が及ぶことが見込まれております。

 したがって、二次的な被害を受けた中小企業者の状況や具体的な資金需要、これも検討をしていかなければいけない。関係省庁と連携をして、オール・ジャパンの対策についても検討を開始したいと考えております。

斉藤(鉄)委員 リーマン・ショックのときには、緊急経済対策ということで、セーフティーネット貸し付け、これは、経営環境変化対応資金、それから金融環境変化対応資金、それから取引企業倒産対応資金というふうに分けまして、かなり細かい、かつ、基準利率からある一定利率をマイナスした、その利率での貸し付け等を図ったわけでございます。

 そういう、リーマン・ショック後の緊急経済対策に匹敵するだけのオール・ジャパンの対策が必要だ、このように財務副大臣は認識されているかどうか、ここをお願いいたします。

五十嵐副大臣 検討を開始してまいりますと申し上げたわけですから、それは必要だと思っているということでございます。

斉藤(鉄)委員 しっかり検討していただきたいと思います。我々も、それは必要だ、このように考えております。

 今回、そういう意味では、もっと深刻なのは、いわゆる直接被災地の中小企業対策だと思います。中には、経営者の方も行方不明になられていらっしゃっている企業もたくさんございます。また、多くの中小企業も、工場、社屋からすべてなくなったという甚大な被害をこうむっていらっしゃるところもたくさんございます。仕入れ先、売り先がなくなった。

 こういう状況に対して緊急避難措置に万全を期すべきということは当然でございますけれども、これと同様に重要なことは生活再建支援だ、このように思います。生活の糧を生む働く場所を再建すること、これはまさにあすへの希望、生きるエネルギーを生むことでもございます。

 そういう意味で、まず、この直接被災地の中小企業をいかに支援するか。被災地の取引先、また公的な金融の貸付残高、こういうものがどれだけあるのか。公的金融の取引先やその残高がどれだけあるのか、まずこれをお伺いいたします。

五十嵐副大臣 今回の東北地方太平洋沖地震によりまして甚大な被害を受けた岩手県、宮城県、福島県、茨城県そして千葉県における日本政策金融公庫中小事業の平成二十三年二月末における取引件数は九千五百四十二件、貸付残高は三千八百十四億四千万円となっております。

斉藤(鉄)委員 これだけの取引先がこれまで公的金融によって操業を頑張ってきたということでございます。

 さて、ここでもう一つお聞きします。

 先ほど、現在の災害復旧貸付制度についてお聞きしたわけですが、阪神大震災の折に特別に貸付制度、これは直接被害を受けた企業の貸付制度が創設されたと思いますが、この概要を質問いたします。

五十嵐副大臣 平成七年に発生をいたしました阪神・淡路大震災の被害は、同様に大規模かつ広範囲に及び、その当時で類例を見ない極めて甚大なものとなりました。

 このため、累次の閣議決定を踏まえて、被害の著しい中小企業者に対して同制度を拡充し、貸付限度額は、旧国民公庫が六千万円、旧中小公庫が三億円、貸付期間は、設備資金が十五年以内、運転資金が十年以内、据置期間は五年以内となりました。また、著しい被害を受けた事業者には、融資後三年間、三千万円を上限として、当時で三%の金利を適用していたところでございます。

 被害を受けて、拡充をそのときに行ったということでございます。

斉藤(鉄)委員 そういう意味では、現在決められております災害復旧貸付制度よりも、阪神大震災のときにはかなり大胆な措置がとられたわけでございます。

 先ほど副大臣が御説明あったとおりでございますが、それにちょっとつけ加えますと、これは県やまたその地域の対策も含まれるわけですけれども、兵庫県の中小企業振興公社が〇・五%の利子補給をした、また、阪神・淡路大震災復興基金、この基金もこれから我々補正予算の審議の中で考えていかなくてはならないと思いますけれども、二・五%の利子補給があった。

 先ほど、利率が三・〇%、マイナス一・九%相当ということですので、実質、これらの利子補給制度を使うとゼロ金利がされていた、こういう理解をしております。

 そういう意味では、この阪神大震災のような大胆な考え方でこれから我々も考えていかなくてはいけないのではないかと思いますが、副大臣、いかがでしょう。

五十嵐副大臣 おっしゃるとおりでございます。

 私どもとしても、国民事業について、先ほど申し上げました現在の三千万円を、その当時、六千万円に、倍に引き上げたわけですが、また、中小事業も一・五億円から三億円に引き上げた、倍に引き上げているわけですから、これについても検討しなければならない、こう思っているところでございます。

 今回も同様の引き上げを検討したいということを申し上げておきます。

斉藤(鉄)委員 この点はぜひ一緒に議論をして、地元の被害に遭われた中小企業の皆さんの使い勝手のいい制度をつくり上げていきたいと思います。

 それから、もう一つ提案があるんですけれども、リーマン・ショックのときに我々がつくったセーフティーネット貸し付けにおきましては、公庫融資借りかえ特例制度というのを設けました。正確に言いますと、緊急経済対策貸し付けの経営環境変化対応資金それから金融環境変化対応資金につきましては、公庫融資借りかえ特例制度の対象にした。取引企業倒産対応資金については対象にしておりませんけれども、この借りかえ制度が大変大きく貢献した、役立ったという声を聞いております。

 現在の被災地に適用されております、先ほど説明を受けました災害復旧貸付制度には、この借りかえ特例はございません。今後、借りかえ特例ということも、現在公庫を使っていらっしゃる中小企業、先ほど御説明がありましたように、多くの、ほとんどの中小企業がこのお世話になっているわけでございますので、この借りかえ特例制度、リーマン・ショックのときのセーフティーネット貸し付けと同じような制度を適用すれば、私は、大変効果的ではないかと提案をさせていただきたいと思います。

 それで、借りかえ特例をつくるとどういうふうに企業が助かるかということでございますけれども、例えば、公庫から当初二億円借りて、借入残高がまだ一億円ある、当初は八年でしたけれども、残りの期間が四年残っているという企業が今回被災をした。

 新規需要分として一億円あって、一億円新規借り入れしたいというときに、償還元金が、既往借入分は、一億円を残りの四年で割って一年間二千五百万円。新規借り入れについては、償還期間八年で、これを八で割って一年間当たり償還元金が千二百五十万円。合わせて三千七百五十万円になるわけですけれども、借りかえ特例をこれに適用いたしますと、新規需要分一億円、借入残高一億円として、新規借り入れを二億円にし、その二億円で、一億円はこれまでの借り入れの返済に充てるということで、結果としては同じになるんですが、二億円を償還期間八年で返せばいいということになりますので、二千五百万円。

 先ほどの借りかえ特例がない場合は、一年間当たり償還元金が三千七百五十万円。しかし、借りかえ特例を活用すれば、償還元金が二千五百万円。これは大変大きな、中小企業にとって肩の荷がおりるわけでございまして、この借りかえ特例をリーマン・ショックの後のセーフティーネット貸し付けと同じように設けるべきだと提案を申し上げるものでございますが、財務副大臣、いかがでしょうか。

五十嵐副大臣 ちょっとハードルが高い部分もございますが、著しい被害を受けた方には特別な金利の優遇措置もとらせていただくということになっております。具体的な被害の状況について、今、全体像の把握に努めているところでございますけれども、今後、中小企業者の被害の状況や具体的な資金ニーズを踏まえて、関係省庁と連携しながら、適切に対処、検討をしてまいりたいということでございます。

 個々に、中小企業者からの返済相談については相談窓口を設けて、今、かなり所によっては殺到しているようでございますけれども、相談を受けさせていただいております。それでかなり対応できるかな、リスケジュール等、かなりな御相談に乗れるかなと思っておりますが、すべてオール・ジャパンで、例えば低利への借りかえを認めるということになると、またいろいろな問題もあるかなと思っておりまして、その辺、実情を踏まえながら適切に検討してまいりたいというところでございます。

斉藤(鉄)委員 一つは、今回は直接被災地、この借りかえ制度はさすがにオール・ジャパンではありません。直接被災地ということでございますし、また、リーマン・ショックの後、こういう制度をつくったというこれまでの実績もございます。これだけの大震災で、多くの中小企業がこれからその地域の再建のために頑張ってもらわなきゃいけない、それを後押しするためにも、ぜひ前向きに検討していただきたい、このように思います。

 それから、もう一つ提案をさせていただきますけれども、阪神大震災では五年間の返済据置期間を設けました。今回の場合、思い切って、いわゆる別枠で、低利、固定の十年ないし十五年の元本一括返済融資制度を創設すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 今は元本返済一年ごとという質問を先ほどさせていただきましたけれども、なお、それでも苦しい場合がある。この場合、リスクコストが、信用コストがちょっと高くなるということもあろうかと思いますけれども、それにはきちんとした手を打ちながら、一括して償還時に返還させるということも選択肢として入れておけば、中小企業の皆さんは大変前向きにこれから事業に取り組めるのではないか。毎年、金利返済、それも低利、固定の金利返済だけで済みますので、これは大変大きな力になるのではないかと思いますが、これについては、副大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、泉委員長代理着席〕

五十嵐副大臣 いろいろと真剣な御検討をいただいて、感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、元本一括返済型の融資制度というのは、中小企業者にとっては、今度は返済するときには一度に多額の現金を必要とするということになりますので、最初はありがたいでしょうけれども、本当にそれが十分に機能するのかなということも考えなければならないと思います。

 据置期間をどう設けるかというようなことが重要かなと思っておりまして、決して全否定をするつもりはございませんので、それも含めて検討をする必要があると思っております。

    〔泉委員長代理退席、委員長着席〕

斉藤(鉄)委員 きょう、この二つの提案をさせていただきました。今、本当に苦しい現場で頑張っていらっしゃる中小企業の方、私も、西日本の人間ですけれども、この週末帰ったときに、大変経済の先行きに対して不安を持っていらっしゃる、そういう中小企業の方の声を聞いてきました。これから日本が元気を出さなくてはいけない、その基本インフラの話でございます。二つの提案をさせていただきましたので、ぜひ前向きに検討していただきたい、このように思います。

 それから次に、二つ目のテーマ、原子力発電所事故対応について、財務金融に直接かかわらないかもしれませんけれども、日本の経済を根底で支えているエネルギー問題ということでございますので、質問をさせていただきたいと思います。

 きのうの新聞報道でしたか、総理が原子力安全委員会の長と経産省原子力安全・保安院の長を呼んで、もっと連携するように、もっと連絡をとるように、こう指示をしたという報道がございます。別の報道では叱責をしたという報道もございます。これは事実でしょうか。

山内政府参考人 昨日の午後、総理が原子力政策に携わる三つの機関、すなわち原子力安全・保安院、原子力安全委員会、そして原子力委員会の長を呼んで、取り組みの現状を聴取されたことは事実でございます。

 また、その際、引き続き、それぞれの機関が十分に連携、連絡をとることが肝要であるということが確認されたものと承知しております。

斉藤(鉄)委員 私、そこに原子力委員会の長も呼ばれたというのは、済みません、不明を恥じますが、今初めて知りました。

 報道では、その中の二つを取り上げて、原子力安全委員会と原子力安全・保安院、その連携、連絡について特に発言があった、こういう報道ですが、それは事実でしょうか。

山内政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、昨日の総理との話し合いの中では、それぞれの機関がまさに十分に連携、連絡をとることが肝要であるということを確認されたというふうに承知しております。

斉藤(鉄)委員 原子力安全委員会の役割というのは何なんでしょうか。

岩橋政府参考人 今回のような原子力施設の災害の際におきましては、原子力災害対策特別法に基づきまして、内閣総理大臣を本部長として設置されます原子力災害対策本部を中心に、国、地方公共団体、原子力事業者等が連携を図りつつ対応を行うこととされてございます。

 原子力安全委員会におきましては、今回の事故の発生後、原子力安全委員会及びこの法律によりあらかじめ任命されております外部の専門家である緊急事態応急対策調査委員より構成されます緊急技術助言組織を立ち上げ、内閣総理大臣初め関係行政機関からのさまざまな事項に対して、常時、専門的立場から助言を行っているところでございます。

斉藤(鉄)委員 原子力行政の中における原子力安全委員会の役割は何かということで、わかりやすく、端的にお願いします。

岩橋政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力安全委員会は、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法において設置されてございます。この中で、原子力安全にかかわる基本的な政策の企画立案、審議ということがございます。

 一方、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、これは原子炉の事業に対する安全規制を行っている法律でございますが、この法律に基づきまして、一次規制庁、原子炉の場合は経済産業省原子力安全・保安院でございますが、こちらの行った審査についていわゆる二次審査をして、その審査の妥当性を確認する、この大きな二つの業務を法律上持っているところでございます。

斉藤(鉄)委員 そうしますと、行政庁をチェックする、原子力安全・保安院がやっていることをチェックするという役目だという理解でいいんでしょうか。

岩橋政府参考人 今、斉藤先生御指摘の件でございますが、ジェー・シー・オーの事故の後、その後に、先ほども申し上げました原子力災害特別措置法は国会の審議を経て制定されたものでございますが、その国会審議の中で、私どもの原子力安全委員会は設置許可の場合の審査に対して妥当性を確認しております。

 その後、実際に、一次規制庁であります原子力安全・保安院の方で詳細な設計に対する審査、それから施設の、動かすまでの使用前検査等を行っているわけでございますが、そういったいわゆる構造規制についても原子力安全委員会で十分監視、監査をするようにという国会でのいろいろな御意向が示されております。そういったものを踏まえまして、構造規制についても、私どもそれを規制調査と称しておりますが、そういった構造規制が適切に行われているかということを監視、監査を実際的に行っているところでございます。

斉藤(鉄)委員 監視、監査ということですね。

 では、保安院の役割というのは何なんでしょうか。

中西政府参考人 原子力安全規制の中におきます原子力安全・保安院の位置づけということでございます。

 各般の、広い原子力の安全規制、そういうことを行うに当たりまして、我々の原子力安全・保安院の方は一次規制を実施している。その実施状況やその結果、そういったものにつきまして、原子力安全委員会がさらに独立した立場からダブルチェックを行うというふうな形になっているということでございます。

 そういった形を通じまして、原子力の専門家たる原子力安全委員会の方が、規制行政庁、我々の規制活動を評価、監視するということを通じまして、規制行政庁との間に緊張感を持った形の、透明かつ適切な規制運用といったものが確保されるような体制になっているものだというふうに考えてございます。

斉藤(鉄)委員 そうすると、こういう理解でいいんでしょうか。

 民間企業、今回の場合、東電がやることを規制するのが保安院、その保安院がちゃんと規制しているかどうかをチェック、監査するのが原子力安全委員会、ダブルチェック、こういう理解でよろしいんでしょうか。

中西政府参考人 先生今御指摘のように、基本的に原子力の安全は事業者が確保する、そういうことをさらに我々規制の立場から、各種の法令に基づきまして規制を行うというのが保安院、さらにそれをダブルチェックを行うというのが原子力安全委員会という立場になっていると思っております。

斉藤(鉄)委員 よくわかりました。

 次に、原子力委員会の役割というのは何なんでしょうか。

泉政府参考人 原子力委員会は、原子力基本法第五条、それから、より詳細には原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第二条の定めによりまして、原子力の研究、開発、利用に関する事項について企画、審議して、決定するという役割になってございますけれども、このうち安全確保の規制の実施に関する事項は、これは原子力安全委員会の所掌ということで除かれているということで、原子力政策の企画立案、審議、決定をするというのが原子力委員会の役割でございます。

斉藤(鉄)委員 わかりました。安全については原子力安全委員会がダブルチェックをする。

 それでは、保安院をダブルチェックするのが安全委員会ということでございますが、また、その安全委員会というのは独立しているんだ、その独立性というのも重要だというのも今の答弁で明らかになったんですが、報道によりますと、この安全委員会と保安院がもっと連携するように、連絡をとり合うようにと総理が指示したということでございます。保安院と安全委員会のあるべき姿、あるべき関係というのは、どういう関係なんでしょうか。

中西政府参考人 我々原子力安全・保安院と原子力安全委員会、そちらの関係につきましてでございます。

 先ほども一言触れましたけれども、我々は、各種の法令に基づきまして安全規制を行う。さらに、原子力安全委員会は、専門家の集団としての知見をもって、我々の行政庁が行っている各種の行動、アクションを、どちらかといいますと中立的な、さらにはそれを監視するというような形で、適切な役割分担をしているというふうに考えてございます。

斉藤(鉄)委員 今まさに福島第一原子力発電所の状況は、大変厳しい状況をまだ綱渡りしている状況だ、このように認識をしております。悪い方向に行かないように、また国民の健康を守るために、また国土を汚染から守るために、全力を、国を挙げて頑張っていただかなくてはならない、このように思うんです。

 連携をよくするようにということは、よくそれぞれの立場を踏まえて情報を共有して、どうすることが最もこの問題の解決につながるのかを、力を合わせてやっていけということを総理はおっしゃったんだろうと。それができていないとしたら我々国民としては非常に不安になる、こういうことを私は言いたかったわけでございまして、この問題解決のために、それぞれがそれぞれの役目を、情報を共有しながら協力をし合うということが必要なのではないか、それぞれが縦割りの壁の中に入って、タコつぼに入っていてはいけないということを申し上げておきたいと思います。

 それから、今、食物、特に野菜への汚染が大変大きな問題になっておりますけれども、もう時間がありませんのでまとめて質問いたします。

 この放射能濃度の暫定値とは何か、また国際基準との関係はどうなっているのか、そしてこの基準が実際の実害に結びつくのか、そして今回何を根拠に出荷停止等の措置を指示したのか、この点について質問いたします。

梅田政府参考人 食品の暫定規制値でございます。今般の措置は、福島原発災害が発生し、周辺環境から放射能が検出されていることを踏まえ、食品の安全性を確保する観点から、放射性物質が一定値以上検出された食品が販売されることがないように規制を実施したところでございます。

 この規制に当たっては緊急に実施する必要があったことから、国際放射線防護委員会が勧告した放射線防護の基準をもとに、原子力安全委員会が一年間に許容できる線量及び我が国における食品の摂取量等を考慮して食品カテゴリーごとに定めた飲食物摂取制限に関する指標値を、食品衛生法上の暫定規制値として設けたものでございます。この暫定規制値を上回る放射性物質が検出された食品は、食品衛生法第六条に基づき、販売等が禁止されることになるものです。

 この指標値は、国際基準であるコーデックス基準と完全には一致してはおりませんが、このコーデックス基準や欧米の基準値と比較して遜色のない値でございまして、国内で定められている原子力防災指針においても採用されていることから、これを採用したものでございます。

 この原子力安全委員会が定める指標値につきましては、先ほども申し上げましたように、国際放射線防護委員会が勧告した放射線防護の基準をもとに、原子力安全委員会が、一年間に許容できる線量及び我が国における食品の摂取量を考慮して、食品カテゴリーごとの摂取制限値が定められたものと承知しており、この値まで放射性物質で汚染された食品のみを一年間食べ続けた場合でも、健康に悪影響を与えないように計算されているものでございます。

 この出荷停止等の措置でございますが、三月十七日に、この指標値を食品衛生法に基づく暫定規制値として都道府県等に通知したところでございます。その結果、三月二十一日までに百八十五件の検査が実施され、四十四件の暫定規制値を超える食品が発見されましたところから、同日、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣から関係自治体に対して、一定の食品の出荷制限が指示されたところでございます。

 今回の指示の品目や範囲を決定するに当たっては、これまでに取得したデータをもとに、作物の形態や暫定規制値を超えた地点の広がりなどを踏まえ、原子力安全委員会からの助言もいただきながら決定されたと承知しております。

斉藤(鉄)委員 もう時間が来ましたので質問を終わりますが、大変な大きな混乱を心配しております。

 例えば、一年間という一つの基準がございます。したがって、今回のレベルは、ある意味では、暫定値を超えたとはいいましても十分低いレベルという認識がありますので、例えば二カ月なら二カ月、三カ月なら三カ月、この場合十分洗って食べるというふうなことの注意をしながら、しばらく様子を見て、一年間トータルで被曝線量を考えればいいわけですから、三カ月後にまた、その間の経緯を見ながら次の対処を打つというような形もあったのではないのかなと。

 直ちに販売、出荷停止というようなことは、大変大きな社会の混乱を招くのではないかなということを心配しておりますが、また別の機会に議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 昨日に続いて、大震災への対応についてお聞きをしたいと思います。

 今回の大震災は、大地震だけではありませんで、大津波、それから、さらに原発事故が重なるという災害史上まれに見る大変な事態となっているわけであります。そのために、財産を丸ごと失う、こういう方々が多いわけでございます。避難をされている、非常に不自由な生活をされている方々が大変ふえているということであります。その被災者の生活再建をどのように行うか、これがすべての基本にならなければならないということだと思います。

 野田財務大臣は、三月十五日の記者会見で、被災者に対する緊急支援に平成二十二年度予備費を活用することについて、今回は前例のない大規模な地震災害であり、その特徴として地方自治体のその機能が著しく低下している、機能不全に陥っている、こういう認識を示されまして、国として全面的に被災状況を把握し、地方負担ではなくて直接的に支援するということが大切であり、今回の例外的な状況を踏まえまして財務省としても全面的に協力をしたものだ、こう述べておられます。

 今回の震災は、そういう非常に深刻な状況のもとで被災者を国を挙げて支援しなければならない、そういう状況であります。そういう性格を踏まえて、きょうは具体的な問題についてお聞きをしたいと思うんです。

 昨日、私は、預金の払い戻しの問題について御質問いたしました。被災者については、銀行に預けてある非常に貴重な自分の財産、それをどのようにして有効に生活を維持するために活用していくか。これは、本当に非常に大事な財産だろうと思うんです。

 そういうときに、今、公共料金などが自動的に引き落としになっている場合が多いわけですね。どういうものが自動引き落としになっているかというと、これはもちろん、預金者自身がそうしてくださいと言って、銀行と契約してやっているということが多いと思いますけれども、例えば電気料金、それから下水道も含めた水道料金、それからガス代、NTTなどの電話代、NHKなどのテレビの受信料、そういうものがあります。そのほかもいろいろございますけれども、保険料の自動支払いもそうですし、カードその他もあります。

 よく考えてみますと、現在、被災者が家も財産も全部失って、命からがら逃げて避難所で生活をされているわけです。そういう方は、当然に、電話は使っておりませんし、電気も使っておりませんし、ガスも使っておりませんし、NHKも自宅で見ているわけではございませんね。にもかかわらず、これらの料金がばかばかと自動的に引き落とされていく。これはいかがなものかと私は単純に思うわけです。

 やはりそういう場合は、家を失った被災者に対しては、当然、国のリーダーシップで、公共料金の自動引き落としを一たん凍結するとか、何かそういう措置がとれないのかどうか。ぜひ、その点についての見解をお聞きしたいと思います。

和田大臣政務官 昨日に続きまして、佐々木委員の方から非常に具体的なお問い合わせをいただいています。昨日この質問をいただいたときに、実は私も、今お述べになったことを事務方との間でお話をしました。

 まず御了解いただきたいのが、公共料金の口座引き落としの契約は、預金口座を持たれている消費者、生活者の方と、公益サービスを行っている公共事業者との間で、自分の持っている口座引き落としを要するに契約として結んでいるということでございまして、金融機関にとりましては、その当事者同士の契約があったのを前提に引き落としをお引き受けするという関係でございます。

 先ほどおっしゃっていただいたように、そもそもサービスを受けていない公益サービスがたくさんあるじゃないかと、私も本当に同じ問題意識を持ちまして、調べてもらいましたら、金融機関としてはそういった契約関係のところからくる限界があるのでございますが、公共事業者の方で自主的に、それぞれの生活者、消費者との間で、料金を免除するとか支払いを猶予するといったことを行っている事例が見受けられます。東北電力の場合は支払い期限の延長を行っているようですし、NHKの場合には被災者に対して受信料を免除するということになっているようでございます。

 最終的に、御答弁として、申しわけないんですが、この部分につきましては、金融機関は当事者同士の合意さえあれば、そこは当然ストップさせていただきますが、それがない限り、我々にその権限がないということを御了解いただければと思います。

佐々木(憲)委員 そうしますと、当事者というと、例えば国民健康保険料とか介護保険料とか、これは公的機関が当事者であります。今回、被災者の申請によって減免もしくは免除の措置がなされるということだろうと思うんですけれども、しかし、当事者は今すぐ申請できるような状況ではないんですよ。また、そういう意識もさっと出てくるかというと、そうでもありません。

 したがって、これは国や行政の立場から、そういう部分については自動的な引き落としというのはとめることができると思うんですけれども、これは厚労省、どうですか。

岡本大臣政務官 お尋ねの国がかかわるさまざまな特別徴収のうち、介護保険料や国民健康保険料、また後期高齢者医療の保険料等については、災害等の発生の場合に、市町村等の保険者の判断により、減免を行うことや特別徴収を中止することができるというふうにされているところでありまして、厚生労働省といたしましては、可能な限り保険者の意向に沿った対応がとれるような、必要な支援はしていきたいというふうには考えております。

佐々木(憲)委員 それを被災地の方々に対して、国の側が率先して、あなたの場合はこういう状況にあるから当面はよろしいですよ、こういうことをやるのが本来の国の仕事であり、政治的な役割だと思うんですね。そういうことをきちっとやるべきだと思いますが、いかがですか。

岡本大臣政務官 一義的には、先ほどお話をしましたものについては、市町村等の保険者の判断ということになりましょうけれども、対象になる方がどのくらいみえるのかとか、また時間的な問題もあって、例えば年金などでいうと、四月十五日の年金の振り込みに当たっては、残念ながら、時間的なタイミングもあって、特別徴収を中止するということは物理的にできないというような事情もあります。

 例えば六月の年金の振り込みに当たっては、どういったことができるのかというのは、委員の御指摘もありますので、しっかりと我々としても検討していきたいと思いますが、繰り返しになりますけれども、一義的には、被災した市町村がどういう御判断をされるかというところによるんだろうというふうに思っています。

佐々木(憲)委員 被災した市町村が行政機能を失っている、これは財務大臣の先ほど引用した言葉の中にもあるわけです、著しく低下している。そういうことが、実際に事務的な作業をやるゆとりがない。しかし、引き落としだけは時間が来たらどんどん行われる。これはおかしいと思うんですね。一体国は何をしているんだ、こういうことになりますから。

 これはやはり、実情を正確に、つまり、市町村に丸投げするんじゃなくて、国として状況を把握して、それに対してどのような対応をするか。これは、被災者を救援する、被災者を支援する非常に重要な課題だと思うんですね。その点はやはりもっと前向きの答弁をしてもらわないと、一体何をしているんだというふうになってまいりますので。どうですか。

岡本大臣政務官 先生そうおっしゃりますけれども、被災した市町村とすれば、住民の皆さん、この場合は保険者が市町村の場合を想定しておりますけれども、そういった場合には、当然のこととして、住民サービスの一環として、こういったいわゆる特別徴収の中止を求めてくるのではないかというふうには想定をしております。

 また、法律上においても、先ほどお話がありましたように、保険料を徴収することが著しく困難であると認める、こういった場合には特別徴収を除くというふうに規定をしておりますので、そういった規定をあわせて周知しながら、それぞれの保険者の皆さん、国が一括でやるというのもなかなか難しいと逆に私は思うわけでありまして、そういうことを、先生の御意見は踏まえながら、しっかりと対応がとれるような、厚生労働省としてもその意向をしんしゃくしてやっていく必要があろうかというふうに思っています。

佐々木(憲)委員 次に、住宅ローンの件も似たような問題がありまして、これは金融機関に直接かかわる問題ですけれども、仕事も家も失って、しかしローンだけは残ってしまう、こういう深刻な事態が多数発生しております。

 例えば、銀行口座からの住宅ローンの自動的な引き落としというものが、こういう場合は、まあ本人の意向というのも非常に大事だと思いますけれども、自動的に落とすことを一たん中止して、銀行側が債務者の意思を確認する。引き落としを続けていっていいですか、どうでしょうという相談をして、それで再開するなら再開する。

 それから、この場合は、例えばいろいろな保険に入っておられる方がいますよね、地震保険ですとか火災保険ですとか。そういう保険の保険金がおりるということもあるので、そういうことも考慮して、返済のスケジュールについてもリスケジュールを行うとか、本人の支払い能力をよく相談しながら対応していく。

 こういう柔軟なことが行われてしかるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

和田大臣政務官 委員の問題意識そのものは共有させていただきますが、実は今回のこの大地震、地域金融機関は特になのでございますが、この金融機関自身も被災者でございまして、その限界的な限られた人材を活用しながら、必死に今債務者の方々の状況把握に努めて、先ほど来申し上げているような要請に対応していただいているところでございます。

 確かに、苦しい状況におありの方々に対してできるだけの対応をさせていただくということが、公共性を持った金融機関の使命だということは、よく私どもも認識いたしておりますけれども、全部の住宅ローンについて、一たん引き落としを中止して、個々に払えるかどうかを確認するというところまでは、正直申し上げて、とても人材としても確保できないし、実態上、金融機関の本源的な性格からすると、回収されてくるお金をまた次の貸し付けに回していくという金融機能でございますので、それを全部回収をとめるということにニアリーイコールだということになってしまいますので、そこはぜひ御勘弁いただきたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 では、こういうことはどうでしょうか。

 今のお話ですと、被災者の申請が前提だと思うんですね。一律にはできない、それはある程度わかります。そういたしますと、被災者はほとんどがローンの関連の書類は持って逃げていないわけです。流失してしまってもうなくなってしまった、どこに行ったかわからない、こういうことが多いわけですね。また、意識の上で、ローンを何とかしようという意識よりも、もっと、毎日の日常をどういうふうに生活するかという方が、そちらに第一義的な意識が行っていますから、とてもローンの方には意識が向かないわけです。

 そこで問題は、銀行が、その地域はもう大分わかっているわけです。ですから、その地域のローンの債務者に対して、あなたの場合はこういうローンが組まれています、引き落としもこうなっておりますが、これはどういうふうに今後払っていけますか、そういうことを銀行側からお話をする。その上で、生活再建をする上の相談にしっかり乗って対応する。

 つまり、例えば、金融機関の側に対して、今、住宅ローンの返済猶予ですとか、いろいろなリスケジュールをやっていますよね。それを、利用者側がやるのが基本なんですけれども、しかし、この際は銀行としてもそういうサービスをきちっと行う、これを金融庁としてフォローする、指導する、こういうことも、これは可能だと思うんですけれども、いかがですか。

和田大臣政務官 非常にぎりぎりのところをお問い合わせだと思いますけれども、先ほど申し上げた、金融機関自身のマンパワーを現在の状況の中でもフル稼働させているという状況の中での話でございます。

 そして、今のお話も先ほどのお問い合わせと同じように、金融機関の側から債務者の方に向かって、それぞれの状況をおおよそ把握しということが原則となってまいりますけれども、被災者の方々がどこかに固まっていらっしゃればまだそれも可能かもわかりませんが、本当にいろいろなところに散り散りばらばらに避難していらっしゃるような状況の中、かつ、銀行の中にそれぞれの行員がフルにきちんと座っている状況ではないということもすべて加味しますと、金融庁としまして、そこまでの要請をすることには少し困難があるものというふうに考えています。

佐々木(憲)委員 これはなかなか、もっと前向きの答弁が出るかなと思ったら、残念なことであります。

 それでは、銀行に対して、金融機関に対して、被災者の実情をよく考慮してそういう方々の相談に乗るように、そしてリスケジュール等の対応をしっかりやるように、こういう通達あるいは指示を出す、少なくともそれはやれると思います。

 それで、本来なら金融機関の方がもっと前向きに、これはもう大変な、史上ほとんどないような大震災なわけですから、しかも、過去の事例にとらわれることのない大胆な対応をしなきゃならぬというふうに財務大臣もおっしゃっているわけで、政府自身がそうおっしゃっているわけですから、本来ならそういう方向で指導すべきだと私は思っておりますけれども、今言ったような、もうぎりぎり最低限のそのぐらいは、最低限ですよ、当たり前だと思うんですが、どうですか。

和田大臣政務官 もっと前向きにという御支援をいただきましたので、今、私どもがさせていただいているところを本当にきちっと御説明すると、債務者の方、つまり被災されている方がどこかの金融機関にお申し出になっていただきさえすれば、そこから先、フルに相談に応じるという体制を整えてほしいという要請を累次にわたってしていて、それにきちんとこたえていただいているという状況でございます。

 その中に、債務の支払いについて、ある程度期限の猶予を設けるとかリスケジュールを行うとか、そういったところはすべて柔軟に対応してほしいと言うことによって、金融機関が実際に相談に応じているというふうに思っております。

 さらに申し上げれば、きのうこちらで御議決いただきました円滑化法の趣旨も、こういったときにフル稼働させてほしいということを要請しているということでございまして、本当にとり得るところではぎりぎりのところまで一生懸命対応させていただいているつもりでございます。

佐々木(憲)委員 それでは、次に行きたいと思います。

 税の関連ですけれども、納税するにも、商店も工場もみんななくなってしまった、こういう状況で、しかし税金だけは、例えば地方税は前の年の分でかかってくるとか、そういうことがあります。したがって、徴収の猶予とか納税の猶予という対応をされていると思いますが、中小企業の経営の再建ということを考えますと、そう簡単に、一年ぐらいでぱっと再建できるというふうにはなかなかなりません。数年かかるという場合も多いと思います。

 したがって、この猶予というのも、ただ一年というんじゃなくて、再建の見通しがつくまでぎりぎり期間を延ばすということが必要だろうと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

五十嵐副大臣 今御指摘の事項については、国税通則法第十一条の規定がございます。今般の災害は三月の十一日に発生をいたしました。法定納期限は三月の十五日でございますが、この法令上、災害のやんだ日から二カ月が期限でございまして、そこから期限延長が最長三年間までできる、そういう仕組みになっております。

 さらに三年過ぎてまだできないというときにどうするかというお尋ねがきっとあると思ってお答えをいたします。

 その場合に、財産の換価、これは差し押さえの猶予、あるいは差し押さえそのものをしない、猶予するというものと、差し押さえを決めてから、土地、不動産、動産等を売却すると生活ができなくなる、あるいは事業の継続ができなくなるということがある場合には一年以内の延長、猶予ができる、さらにやむを得ない場合にはさらにもう一年できるということになりますので、相当猶予期間はあるというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 消費税などは、仮に商品に上乗せをしてそれを消費者からいただいているという場合、これはなかなか転嫁できないという話はあります。しかし、受け取って金庫に一応置いてあったけれども、それが失われてしまったと。丸ごとなくなったというようなときは、これは納税はどうなるんですか。

五十嵐副大臣 先生御指摘のとおり、消費税は預かり金でございますので、これを免除するという制度にはなっておらないということでございますが、その場合には、他の税金において雑損控除等控除制度がございますので、災害の際の納税の緩和措置を適用されるということもありますので、それを御活用いただく。また、滞納整理になるわけですけれども、この場合も、被災者の置かれた立場や状況や心情を十分に配慮して対応するようにということにしておりますので、御相談をいただければというふうに思います。

佐々木(憲)委員 それでは次に、銀行から中小企業業者が資金を借りているという場合ですけれども、住居、店舗、工場などが失われてしまった、しかし債務だけは残っている。そういう場合、金融機関として、債務の免除ですとか、あるいは債権の放棄というか、そういう対応が私は求められると思いますけれども、この点についてはどういうふうに指導されていくつもりでしょうか。

和田大臣政務官 金融機関の方が債務者との間でどういう話し合いをするかということは、私ども、やはり金融機関それぞれ個々の状況がございますので、自主的な経営判断の中でやっていただくということになろうかと思います。

 しかし、現在のこの震災の深刻さから考えて、とにかく債務者の実情に応じてしっかりと相談に乗って対策を考えてほしいという要請を発しているわけでございますので、今現在、債権放棄や債務免除までいくのかどうかというところについては報告を受けているわけじゃございませんけれども、いわゆる返済猶予や返済計画のリスケジュール、その他柔軟に対応するようにということを言っている次第でございます。

佐々木(憲)委員 被災地では、先ほども御説明ありましたように、地域金融機関などは経営的にも非常に深刻な状況もあると思います。

 資力の乏しいそういう地域金融機関に対して、国として、地域の生活、営業の再建のためにどのような支援を行うかというのは、これは大変大事なことだと思うので、その点はどのように考えておられますでしょうか。

和田大臣政務官 こういったときのために一つ法律がございまして、それが、委員も御存じのとおり、金融機能強化法でございます。これにつきましては、地域経済や中小企業を支援するということを目的として、金融機関が金融仲介機能を強化していくというために、国が資本参加をできるという仕組みとなっています。

 国が資本参加できる、つまり、政府が保証することになりますが、その政府保証枠は十二兆円ほどあって、今までに使われているのは三千五百億円ほどでございますので、十分な余裕枠がございます。しかも、来年三月末まで申請可能となっておりますので、そこから先は、各金融機関の経営判断の中で、申請を出していただければ、我々としても鋭意検討させていただくということになろうかと思います。

佐々木(憲)委員 最後に、被災された方々に、生活資金を無担保、無保証、無利子というようなことで貸し付ける制度、これはやはり求められていると思います。これへの対応はどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。

五十嵐副大臣 被災者の方々に対する生活資金の貸し付けについて、現行制度では、災害を受けたことにより臨時に必要となる経費を賄うため、生活福祉資金貸し付け、上限目安百五十万円のほか、災害により負傷または住居、家財に被害を受けた方々に対する貸し付けとして災害援護資金、上限三百五十万円というのが存在をしております。

 しかし、政府としては、これで十分かという、おっしゃるとおりの未曾有の災害でございますので、さらなる拡充等に関しては今後検討をしてまいりたい。阪神・淡路大震災の場合も若干の拡充措置をやっておりますので、それも参考にしながら、今後、検討をしてまいりたいと思っております。

佐々木(憲)委員 今回の被災は非常に深刻な事態を引き起こしておりまして、生活再建と一言で言いましても、住宅そのものをどのようにして確保するのか。当面の仮設住宅というのはもちろん必要だと思いますが、しかし、長期的に考えますと、家族が生活を再建していけるような状況は、やはり一人一人の力ではこれはなかなかできませんので、公的な支援というのはどうしても必要だというふうに思います。

 そういう意味で、やはり、これまでやったことのない多面的な支援策が必要だと思いますので、ぜひ、そういう点をよく考慮して対応していただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.