衆議院

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第15号 平成23年4月20日(水曜日)

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平成二十三年四月二十日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 泉  健太君 理事 大串 博志君

   理事 岸本 周平君 理事 古本伸一郎君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 竹下  亘君 理事 竹内  譲君

      網屋 信介君    五十嵐文彦君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      岡田 康裕君    柿沼 正明君

      笠原多見子君    勝又恒一郎君

      木内 孝胤君    小山 展弘君

      近藤 和也君    菅川  洋君

      玉木雄一郎君    豊田潤多郎君

      中塚 一宏君    中林美恵子君

      早川久美子君    松原  仁君

      宮崎 岳志君    柳田 和己君

      山口 和之君    山崎  誠君

      和田 隆志君    柴山 昌彦君

      竹本 直一君    徳田  毅君

      野田  毅君    古屋 圭司君

      茂木 敏充君    山口 俊一君

      山本 幸三君    斉藤 鉄夫君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         野田 佳彦君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  東  祥三君     笠原多見子君

  勝又恒一郎君     早川久美子君

  三村 和也君     山崎  誠君

  吉田  泉君     宮崎 岳志君

  今津  寛君     古屋 圭司君

  村田 吉隆君     柴山 昌彦君

同日

 辞任         補欠選任

  笠原多見子君     東  祥三君

  早川久美子君     勝又恒一郎君

  宮崎 岳志君     山口 和之君

  山崎  誠君     三村 和也君

  柴山 昌彦君     村田 吉隆君

  古屋 圭司君     今津  寛君

同日

 辞任         補欠選任

  山口 和之君     吉田  泉君

    ―――――――――――――

四月二十日

 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案(内閣提出第五七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、預金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長森本学君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野塚勝俊君。

小野塚委員 民主党の小野塚勝俊でございます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、委員長、理事、委員の皆様、本当にありがとうございます。

 まず冒頭、このたびの東日本大震災に際しまして、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、心より、被災に遭われた方々へのお見舞いを申し上げたいと思います。

 本日審議となります預金保険法は、これは住宅金融専門会社、いわゆる住専の最終処理を定める法律でございます。今から十五年前でございますが、平成八年、住専国会と言われた国会、当時、私はまだ国会議員ではございませんでしたし、民主党もまだ存在していませんでした。金融庁もなかった。ここにいらっしゃいます財務金融委員会の委員の皆様におかれても、半分以上は議員でなかったというふうに思います。だからこそ、あえて党派を超えて、中立な立場で住専問題について本日は議論をし、検証させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 当時、住専問題は、不良債権処理に公的資金を初めて投入するなど、さまざまな議論が起こり、多くの問題、これは経済界のみならず金融界、政治の世界においても、当時さまざまな問題を浮かび上がらせました。また、十五年にわたるこの間の処理にも、住専問題はさまざまな教訓を投げかけたと思います。最終処理に臨むに当たり、十五年で得た数多くの教訓を無駄にせず、今後の政策にしっかりと生かしていかなければならないと思います。

 ちなみに、個人的なことで恐縮ですが、住専が大きな問題となりました今から十五年前、実は私は日本銀行に入行したばかりでございまして、配属された部署であります営業局というところ、現在は金融機構局、金融市場局となっていますが、そこの金融課というところでこの住専問題の担当をした経験があります。新人日本銀行職員として住専の清算にかかわり、新人国会議員といたしましてこの最終処理の法案にかかわる、何かめぐり合わせを感じているところでございます。

 なお、本日、法案審議ということで、自見大臣御本人もお越しいただいておるのでございますが、実は私、常日ごろから、国会審議というものはできれば、本会議や党首討論を除けば、副大臣以下で行うべきではないかというふうに思っておりますことから、本日の国会審議におきましても、さまざま日常業務を含め、国家のリーダーのお一人として大臣は職務に専念いただきたいという思いもありまして、きょうは特に大震災ただ中の戦後最大の国難のときでもございますので、その趣旨から、本日の御答弁につきましては和田政務官から賜れればと存じますので、この点もよろしくお願い申し上げます。

 十五年という長きにわたる処理であったわけでございますが、平成七年、八年という当時、バブル経済が崩壊してまだ四、五年の時期でございます。バブル経済の復活とまではいかなくても、そのうち経済はよくなるのではないかというムードは当時まだあったと思います。まさか、十五年たって、まだこんなにも長く経済が低迷し続けているというふうには、当時の多くの方々は思っていなかったのではないかと思います。

 資料をお手元に届けさせていただいておりますが、RCC、整理回収機構の住専勘定の二次損失等についてという紙でございます。一番上段のところに、平成八年から直近までの二次損失の一覧が載っております。本当に、十五年という長きにわたり、RCCの方々は血のにじむような努力でこの回収をされてきたんだと思います。

 まず、各年、数字がそれぞれ、まちまちございます。この時代的背景やそのときの債権回収に当たっての御苦労などについて、この十五年を政務官にちょっと振り返っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

和田大臣政務官 小野塚委員にお答え申し上げます。

 十五年間の期間を設定された法の制定でございましたが、今、表をお示しいただいたように、この中ごろに随分の二次損失を計上しながらの、むしろ、損失を計上するということは債権の決着をつけていくということでございますので、そうした作業を鋭意取り組んでいただいた結果の数字だろうと思っています。

 もう少し背景的なものを申し上げれば、その中ごろ以降はなかなか、今御指摘になったように、日本の景気が上向かなかったこと、また、それによりますところが大きいと思いますが、不動産価格の上昇にはほど遠い現状であったところ、そういったところが結果としてこういった数字が並ぶようになったものと認識しております。

 以上でございます。

小野塚委員 当初、二次損失の金額なんですけれども、なかなかその当時は見込めていない部分もあると思いますが、当時、どれくらいだというふうに試算されていたのでありますでしょうか。

和田大臣政務官 この二次損失につきましては、むしろ、法律を制定したときの政府の立場といたしましても、一次損失で六千八百億円ほどの国民の税金を使わせていただくという本当に苦渋の決断をしただけに、気持ちといたしましては、そこから先、本当にできるだけ少ない二次損失におさめるということを至上目的として整理回収機構に仕事に臨んでいただいたところでございます。

 そうした意味におきましては、想定していた規模というものがあるわけではなく、本当に一円でも少ない方がいいということで十五年間過ごしてきたというふうに認識いたしております。

小野塚委員 その意味で、二十二年度の上期まで見ますと、一兆二千百二十四億円という数字です。この法律の二十三年末ということを考えると、今、一兆三千九百億円と言われています。それでは、この金額、一兆を超えるこの金額についての御評価というのはどんなものでございましょうか。

和田大臣政務官 当然のことながら、先ほど申し上げたとおりで、一円でも少ない方がよいということではあるんですけれども、整理回収機構のいろいろな職務ぶりを十五年間振り返って見ていただくと、それは本当に、国民の皆様方からごらんになっていただいても、これ以上二次損失を縮小することは非常に困難ではなかったかというふうに考えています。

 そうした意味におきましては、今回、またいろいろ、これから時間もございますので御説明差し上げたいと思いますが、私どもとしましては、この数字を何とか、今までつぎ込みました六千八百億円以外に国民資産をつぎ込むことのないよう決着をさせたい、その一念でございます。

小野塚委員 法律の仕立てが、こちらは住専処理法というので十五年、平成八年から十五年、だから本年二十三年ということなんですが、この二十三年までの間、十五年の間、それより早く処理するとか何かするということについて、これまで御議論があったか。結局この二十三年まで来たわけでございますが、途中で処理ではなくてここまで来たということについて、その点については何かございますでしょうか。

和田大臣政務官 御指摘のように、法制定当初も、十五年という期間については国会の中で御議論いただいたというふうに認識いたしております。

 一つの見方としましては、十五年という長い間、この問題の決着を図れないというのはいかがなものか、もっと迅速に処理すべきではないかというお考えの方もいらっしゃり、もう一方では、十五年という期間が、本当に国民の皆様方に御迷惑をかけない、債権回収に十分な期間なのかどうか。特に住宅ローン債権は長期の債権債務関係でございますので、その回収を最大化するということを考えた場合、十五年というのがもう少し長くてよいのではないか、こういった御意見もあったように伺っております。

 しかし、私どもとしましては、その二つの御要請のぎりぎりバランスをとったところで、十五年間で最大に、要するに回収していこうという決意を固めて、この期間を定めたというふうに認識いたしております。

小野塚委員 先ほど、冒頭申し上げましたように、日本経済が十五年間も低迷し続けたということに対して、物事が先送りされてきたということではないのかということについては、ぜひ政治家というお立場としての政務官にお伺いしたいところです。

 今般の大震災に際しましても、今、足元における対処は早急にやらなければいけない一方で、今、さまざまな批判をしている場合ではなくて、むしろ、そこは問題を解決していく一方で、将来ちゃんとそこで検証し直していくということが重要だと思います。

 まさにこの住専問題については、十五年たって、今がまさにそのときである、重要な時期であって、この法案の議論になっているわけでございますので、政治家というお立場での御意見もぜひいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

和田大臣政務官 このスキームを考えていく際に、やはり世の中には、十五年ぐらいかければ、その中でどこか景気が上向き、不動産価格も上がって回収益が増加するのではないかというようなことを期待するお考えの方もいらっしゃったかもわかりません。しかし、私どもからすれば、そういった視点で十五年を定めたつもりではなくて、本当に住宅ローン債権などの性質を考えてみた場合、やはりこの程度の期間は必要最小限であろうというふうに考えた次第でございます。

 今、小野塚委員の御指摘のように、では、今度は政治の面から、政治の方に携わる人間から見たときに、この期間としてどのような評価を下すのかということだろうと思いますが、私自身、今回その問いかけをいただいてみて、これからお願いしようとしております処理スキームを前提とすれば、何が絶対的に正しかったかということを立証するのは難しゅうございますが、結果的にはこの程度が一番妥当ではなかったかという気がいたしております。

小野塚委員 ありがとうございます。

 それでは、スキームの内容についてなんですが、今般、最終の、二次ロスと言われている一兆三千九百億円、これを、当初の予定どおり、民間そして政府で折半して二分の一ずつということになっています。金額にしますと六千九百億円余りずつの分けになるわけでございます。

 これをよく見てみますと、例えば、政府の側と言われているRCCの住専勘定の簿価超回収益で二千二百億、その累積利益で一千四百億、RCCの、これは破綻金融機関の回収により平成十一年、十二年で得た利益、これを移すことによって一千八百億。で、新基金、新基金というのは、民間金融機関さんが拠出して設立した社団法人新金融安定化基金と言われる、第二基金と言われるものですね、その運用益で一千六百億、これが政府側になっているわけです。

 一方で、民間と言われているものについては、同じく先ほどの累積利益で一千四百億、それから第一基金と言われる金融安定化拠出基金、これの運用益で一千四百億。で、基金の元本四千百億ですね、これを入れているわけです。この四千百億のうち、その元手となっているのは、預金保険料が入っていますので、これは民間の預金者の方が入れているわけですね。

 何が民間で、何が政府側であるのかというのがよくわかりづらいところがあります。よくこの金額をまとめたなというふうに、客観的に見ると、この一兆三千九百億円というのはわかるんですけれども、民間そして政府の区分けというのはどういうもので、どういう判断でこういう形になったのかということを、ぜひこの委員会の場でお示しいただければと思います。

和田大臣政務官 今、小野塚委員御指摘のとおり、各項目についての金額はそのとおりでございますが、若干もう少しわかりやすく、性格の方を御説明したいと思います。

 まず、一兆三千九百億円のうちの政府負担分についてでございますが、先ほどおっしゃったとおり、住専勘定の簿価超回収益が二千二百億円、これは、もともと債権を引き取ってきていることから、回収努力を行った結果、得られるものでございますので、これは、RCCを代表としまして、国の要するに貢献分であろうということで、国がつぎ込むものでございます。

 そして次に、住専勘定の累積利益についてお触れいただきました。これにつきましては、住専勘定が貸出債権でございますので、毎期毎期、利息収入が発生いたします。その利息収入は、もともと官民で共有しながら、結果的には二次損失というものを極小化するために、それを減額するために使われるものだという認識でおりますので、概念上は、二次損失というのは、実際に回収できたものとの差額を二次損失と呼ぶ関係上、これも折半でございますが、そこに減額益として当て込むことも折半するという理屈を立てておりまして、その中で千四百億円ずつ、官民で要するに益を引き取るということでございます。

 そして、先ほど御指摘いただいた、もう一つございますが、千八百億円ほど、整理回収機構の協定後勘定という別勘定の方から移し込んでくる費用がございます。この費用につきましては、もともと別勘定じゃないかという御指摘もあるのでございますが、国の使える資金のうち、ありとあらゆるものをちゃんと使った上で、この処理スキーム上、国民負担を最小化する、国民負担を求めないという目的のためには合致しているというふうに考えておりまして、その分を千八百億円使わせていただくということでございます。

 そして、新金融安定化基金と呼んでおりますが、世の中で言う第二基金、これはもう小野塚委員、恐らく歴史を御存じだと思いますので、少しはしょりまして御説明しますが、法の枠組みができ上がってきた当時に、さらなる民間金融機関の努力、負担を求めるべしという、世論も、また政治の判断もございまして、そこで第二基金が民間金融機関の負担によって設立された。そこの運用益というものは、もともとその段階で国民負担を減じる方向に使うということが約束されたものでございますので、ここを国負担分として勘定するということでございます。

 以上四項目が国負担分でございます。

 民間負担分につきましては、先ほどおっしゃっていただきましたが、金融安定化拠出基金の運用益千四百億円、これを使うということは、もともと民間が出資したもので、それの運用益でございますので、それは当然だということでございます。

 先ほど申し上げた整理回収機構の累積利益、これは貸出金利からくる利息収入でございます。それを折半すると申し上げましたが、その分が千四百億円。

 そして、先ほど最後にお触れになりましたが、金融安定化拠出基金の元本でございますが、元本が一兆七十億ほどございましたが、その部分から四千百億円、要するに使うということを決めているわけでございます。

 御指摘のように、ここの部分については、預金保険機構の一般勘定から繰り入れるということは決められておりますが、それは民間金融機関の負担している輪の中でのやりくりでございまして、私ども、それを尊重して、そこの枠組みの中へ組み込んだということでございます。

小野塚委員 ありがとうございます。

 新たな財政負担はないという言い方をすると、非常に聞こえいい話なんですが、実際はいろいろなところのお金をかき集めて、国の方も、また民間の方も預金保険料でございますので、預金者の負担という形ですから、それをもし使わなければほかのものにも使えたわけであります。先ほど、冒頭の話のように、本当に、二次ロスをどれだけ抑えるかということの御努力という結果だと思いますが、それであっても一兆三千九百億円という大変な大きな金額のロスが発生したということを、私たちは肝に銘じておかなければいけないと思う次第でございます。

 最後に、最後といいますか、これから新しい仕立てというものもこの法律の中には加わっていますので、それについて伺いたいと思います。

 新生RCC、整理回収機構は、新しい機能として反社会的債権の買い取りということができるようになっています。反社会的勢力の排除の一助になればそれはいい話なのでございますが、本来、こういうことはRCCに頼る話ではなくて、金融機関自体が反社会的勢力を排除しなければならないというのが本来の筋でありまして、今後、これを機に、特に行政として、反社会的な債権に対する指導というのはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

和田大臣政務官 今委員御指摘いただいたとおり、こうしたものはもともと、金融機関の貸出先としてできるだけ排除するということが原則になろうかと思います。

 そのため、金融庁といたしましても、この問題が発生してからしばらくたっておりましたが、平成二十年には監督指針を改正いたしまして、金融取引からそうした反社会的な勢力を排除する、遮断するということについてできるだけ徹底してほしいということを各金融機関にも伝えているところでございます。

 その結果、金融機関におかれては、そういった取り組みを一生懸命していただいているところでございますが、やはり、実際に貸付状況を見ますと、一般企業に貸し付けたものが、その一般企業の経営状態の悪化等によりまして、今度は、そのときに新しいフェーズとして、反社会勢力がその資本に入ってきたり経営権を握ったり、そういったことが要するに起こり得るものですから、そこにつきましても、できるだけ貸出先の企業の状態を見きわめながら金融機関として適切なアドバイスを行うようにという指導も行っておりますが、最後に、全くこの可能性をゼロにするというところまではなかなか難しゅうございますので、そういったときのために、この整理回収機構の新しい、要するに、生まれ変わった業務として使わせていただければというふうに思っております。

小野塚委員 この法律によりまして、十五年にわたる住専処理というのは終わりを迎え、新しいRCCの形、金融再生というものについても新しいフェーズに入ってくると思います。

 冒頭申し上げましたとおりで、十五年にわたりましたさまざまな教訓を今後しっかりと私たちとして政策に反映し、生かしていかなければいけないということを改めて私自身思うとともに、皆様にも申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 以上です。

石田委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 きょうは預金保険の関係でございますので金融大臣ということだったんですが、野田大臣にもお越しいただきました。御質問が終われば、どうぞ御退室いただきたいと思います。

 でも、そういう意味では、金融という問題も関係しますので。といいますのは、この前のG20、これは委員会でもその報告と御説明をということでございますので、本来ならばしっかりとした時間をいただいてということでございますが、今、震災対応等、委員会も窮屈な状態でやっておりますので、この場をかりてお聞きしたいと思います。

 大臣は国際会議の場で、震災前と震災後の御発言で、私はいささか、国際社会に対してもう少し踏み込むべき要素があったのかなと思っているんですね。つまり、この委員会でも私、何度もこの席に立たせていただいて申し上げておりますが、日銀総裁にしても財務大臣にしても、やはり我が国の金融が安定的であり安心であるということを、皆様方がメッセージを海外に発信しなければいけない。

 そういう中で、G20のトロントのときに大臣は、各国もそうでございますが、財政の健全化に向けて認識を共有されたと思いますし、同時に、我々は法律として財政健全化責任法を出しておりますが、大臣はこの場でも、私の質問に対して、国際約束をしているんだ、国際公約だということで、我が自民党の法律、財政健全化責任法と同様の内容、つまりは、二〇二〇年にはプライマリーバランスの黒字化、そして二〇一五年にはGDP比の半減、こういうことをトロントでお約束されたからいいんだということをおっしゃいました。

 その後、震災がございまして、震災後の初めてのG20だったと思いますが、そのときに、私が御説明を受けますと、震災復興に向けてしっかりやる、それに加えて財政規律も守るんだということをお伝えしたようでございますけれども、もっと踏み込んで、震災復興しながら財政規律を守るというのは、震災前と比べると相当ハードルが上がったと思うんですよ。

 二〇一五年のGDP比のPB半減、そして二〇二〇年の黒字化というのは今でも達成可能ですか。これについて国内外に大臣から今御表明をいただきたい。これをしっかり正直に言うことが必要だと思います。もしやるんだということであれば、相当な収支改善をしなきゃいけない。収支改善というのは、歳出の削減か負担増しかないんですよ。そこで思い切った大胆なことをやらなければ、絶対できないと思います。

 きのうの佐々木委員の質問に対して、読売がすっぱ抜いたか何だか知りませんが、三%の話があって、きのう大臣、僕は、もっと踏み込んで、いや、やるんだとおっしゃるかと思ったら、何かもごもごっとした、いつもの慎重な御答弁だったのかもしれませんが、やはり新聞に出る前に、政治家は大胆さと迅速性と発信力なんですよ。それを、先に新聞にすっぱ抜かれてああいうことになるからもごもごっという形になってしまうので、そのことを、財源の問題も含めて、収支改善の問題も含めて、健全化と復興の両立がどのようにできるのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 御質問、どうもありがとうございます。

 今回、週末に行ってまいりましたワシントンのG20で、基本的には震災への対応とかあるいは原発への取り組みとか等々のお話をしながら、日本社会は一体となって頑張っていることを、そして、その金融システムは強靱だということのメッセージ、そういうものを中心にお話をしましたけれども、当然のことながら、財政にも触れております。

 どういう言い方をしたかというと、復旧復興には相当な財源を要するであろうが、こうした支出は復旧復興が終わるまでの一時的なものであるということと、そして、中期的な財政健全化が我が国にとっての最重要課題であることに変わりはないという言い方をさせていただいております。

 委員御指摘のとおり、トロントでは、財政健全化戦略と、そして中期財政フレーム、そして新成長戦略、あわせて国際社会に説明をし、ウエルカムという表現でコミュニケに入れていただいたわけですので、これは基本的には私も国際公約だと思っています。国際公約に対する基本姿勢については、このような形で今回のG20でも御説明をさせていただきました。

 その上で、より詳細にどうするかというのがまさにこれから問われると思うんですけれども、まずは、復旧復興は数次にわたって補正予算を組んでいかなければなりませんが、第一次分については今月末をめどに今準備に当たっております。これについては、基本的な考え方は、新たに国債を発行しないで財政需要を満たしていくという考え方で、これはまさに財政規律と整合的な予算になると思います。

 問題は、それからの膨大な財政需要が考えられる復興に向けての予算づくりでございます。

 これは、第一次補正予算を早急に成立させていただいた暁に、与野党の協議もあると思いますし、復興構想会議というところもできました。その青写真に基づいて、どれぐらいの対策が必要なのか、そしてそれに見合った財源をどう確保するかという議論になると思います。

 これも早急にまとめなければなりませんが、同時に、年央に中期財政フレームの見直しというのがあります。この中期財政フレームの見直しをしながら、要は、財政運営戦略、向こう十年間、本当に財政健全化をやっていくのかどうかという、まさに計画と整合的な予算づくりあるいは財源づくりをしていくかが問われると思います。

 そういう視点の中で、六月をめどに、復興に向けての予算の財源をどう確保するか、そして年央で、まさにこれも六月でありますけれども、中期財政フレームをどうつくるか、その中できちっとした青写真とそして財源づくりというものをやっていきたいというふうに考えております。

後藤田委員 改めてお聞きしますが、今、大体認識は一緒だと思います。やはりこれは、震災後の税収減、そして震災復興における支出増、これは間違いなく、国際公約、トロントでの公約は、我が党の責任法も、あれは弾力条項を入れていますから、恐らく見直すことになろうと思います。

 やはり、どうですか。二〇一五年のGDP比半減、二〇二〇年の黒字化というのは、これはもう難しいと考えてよろしいですか。

野田国務大臣 まさにどういう発想をするかだと思うんです。

 さっき、G20でお話ししたことは、復旧復興には一定のお金がかかる、だけれどもこれは一時的なものである、一方で、中期的にきちっとした財政健全化の計画がなければいけないということを申し上げたと言いました。ということは、復旧復興に係る財源、その財源はどうするか。仮に国債を発行するならばそれはどう償還するかというルールが、一般的な中期財政計画と整合的に見られるかどうかだと思いますので、そういう考え方のもとに整理をしていかなければいけないと思います。

 なお、きのう、佐々木委員の御質問に対して、私がむにゃむにゃっと答えた、という表現でしたが、いろいろと考え方はあると思うんです。

 私自身はある意味、腹をくくっているつもりです。ただ、きのう出てきたことは出所不明です。被災地に対する還付とか含めて、そこまで具体的に今、政府として固めて話をしているわけではありませんし、むしろこれは与野党の協議とか復興構想会議の、そういういろいろなものが出てきたときに明確に打ち出すものであって、現時点でそういう固めた話をしているということはないということでございます。

後藤田委員 改めて簡潔にお願いします。

 トロントの国際公約、一五年半減、二〇年PB黒字化は難しいかどうか、一言でお願いします。

野田国務大臣 国際社会が、というか内外が、我が国の財政について信認をするというような内容のものでなくてはいけないというふうに思いますし、二〇一五年、二〇二〇年の目標というのは基本的には変えないという姿勢で現時点ではいきたいというふうに思います。

後藤田委員 これはびっくりしたんですけれども、今、変えないとおっしゃったということは、これは相当な収支改善が、震災が起こる前の状況でも、二〇年の黒字化に向けては約九兆円の収支改善をやらなきゃいけない内容なんですね。なおかつ、税収減と復興、この金曜日に特別税制をやります。これで税収も下がります。経済における消費、所得、法人税も下がります。その状況で基本的に方針は変えないということになると、相当な負担増そして歳出削減、これをやらないと難しいと思います。

 僕は五十嵐副大臣には個人的に、歳出削減すべきだと。特に社会保障で、例えば生活保護も、皆さん、委員の方も地元で御承知のとおり、母子家庭で、本当に離婚しているんだか結婚しているんだかわからない人たちに、税も払わずに百万、二百万払われていて、結局、生活保護じゃない人たちが母子家庭で本当に大変な生活をしている。ああいう基準の切り下げだとかも当然すべきだし、同時に、医療費にしても、初期医療の風邪、病院に行ったら、きょうは元気だから来たというおじいちゃん、おばあちゃんたち。こんなことを言うと票を減らしますけれども、僕はあえて言いますよ。こういうところをしっかり削減していくとか、あと、終末期医療、これも、昔は家でみとっていたわけでございますが、今は七割が病院なんですね。一日約十万かかる。そういうことを含めてやるべきだと、御提言を出させていただきました。

 私は、そういう意味で、今こそ、消費とか所得とかというよりは、やはりそっちの方で我慢してもらう。もちろん負担にしても、もっと言えば消費税についても、世論調査をすると、復興目的であれば六割七割は賛成なんですから。復興庁だとか与野党協議とおっしゃいますが、これは本当に政府が発信していかないとだめですよ。予算権限というのは政府にあるわけですからね。何か全部抱きつかれても本当に困っちゃうんですね、こっちは。僕も優し過ぎて、今、自民党の中でも怒られているぐらいですよ、法律をどんどん通しちゃうものだから。僕は余り、スケジュール闘争的な国会というのは個人的に嫌いなので、どんどんやるべきだと思っていますが。

 そういう中で、きのう櫻井副大臣が、我が党の脇委員が総理に追及した内容をブログで御絶賛されていたということで、政府もメルトダウンが始まったなという気がしているんだけれども。

 そういう意味で、今大臣が、国際公約を守るという御発言をいただいたので、これは一つの言質としていただいて、これから相当な収支改善が必要だということで、相当な負担増と削減を恐らくやられるんだという覚悟で私は考えますが、最後に一言お願いします。

野田国務大臣 まずは復旧予算をつくって、その後、復興の話。それで、復興の財源がどれぐらい必要なのかという議論があります。

 さっき申し上げたとおり、そのときに中期財政フレームの見直しの議論がありますので、それが整合的であるということが内外の信認を得るということを私は申し上げたかったわけで、その際には、当然のことながら歳出や歳入のそれぞれの見直しというのは避けて通れないというふうに思います。

後藤田委員 こういうところで質問すると、政府というのは大体そうなんですよね。我々も与党時代、そうだった。六月にやりますと必ず言うんですよ。質問すると、先にやりますからと言ってね。それは一番簡単な、委員会を通過するやり方。

 ということは、では六月に変更する可能性もあるわけですね。さっき大臣は、一五年、二〇年の国際公約を変えないと言っていましたけれども、今度六月に財政フレームの議論をするとおっしゃっていましたけれども、そこでも変えないということでよろしいんですか。

 ここでは変えないとおっしゃって、六月の中期財政計画を立てるときに変わったら、ちょっと発言に矛盾があると思うんですね。たった一カ月、二カ月で変わってしまうことになると思うんですが、それは大丈夫ですね。六月にやる中期財政フレームのもう一回見直しのときに、一五年、二〇年のことは変えずにやるということでよろしいですか、ちょっとしつこいようですが。

野田国務大臣 いずれにしても、中期財政フレームというのは、毎年年央に見直しをしていって、そしてローリングをさせながら二〇一五年、二〇二〇年の目標達成に向けて、その進捗状況の、言ってみれば管理みたいなものです。ということをやっていくということは決まっておりますので、その見直し方がどうなるかというのは現時点で言えませんけれども、間違いなく見直しをしながらゴール達成を目指していくということは、姿勢としては変わりませんということでございます。

後藤田委員 ローリングするのは当たり前なんです。皆さんは三年間をめどにですよね、我々は五年をめどにやっています。

 ということは、見直すというのは、それはそれで結構なんですが、一五年、二〇年の到達点は変わらないということでよろしいですね。

野田国務大臣 そのメッセージの出し方をどうするかというところだと思います。

 一つには、震災の部分を全部巻き込んだ形で二〇一五年、二〇二〇年というやり方をするのか、震災の復旧復興に向けての予算とか財源をいわゆる別会計みたいな形で整理をして、その他をきちっとやるという言い方をするのか、あるいはそうじゃないアイデアがあるのか。

 どんなアイデアがあるかは別としても、日本の財政について信頼を得なければいけないということは間違いありません。そのために有効なことを考えていきたいというふうに思います。

後藤田委員 よくわかりました。

 私のしつこい質問に必死で、いわゆる、こらえてくださって、ありがとうございます。ここで変なことを言ったら、財政規律を世界に発信するはずの大臣が、ちょっとでも変えるなんて言ったら、多分金利は上がってしまいますよ。

 ですから、僕は、よく耐えてくださったなと思うのと同時に、現実的には多分変更することになると思いますよ。なったとしたときの財政規律、負担、そして歳出削減、これは本当に超党派でしっかりやっていくべく、早く環境を整えていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。大臣、どうぞ御退室ください。

 それでは、きょうは預保でございますが、お手元に資料を配らせていただきました。一つは、預金保険の問題というのは、極めて銀行のあり方そのものの問題だと思うんですね。バブルで、はじけて、本当に調子に乗って銀行がいっぱい貸して、それで最後、バブルが崩壊してけつをふくのは国民である。先ほども和田政務官がおっしゃった、国民負担を極小化するということの前提に税金が使われたわけでございます。

 そして、預金保険機構と整理回収機構が対になってこの問題を処理し、特に住専の問題につきましては、ようやくきょうの法案によってめどがつくであろうということで私は賛成でございますが、そもそも銀行のあり方というのはどうなのかな、そして金融庁の銀行に対する姿勢というのを改めてちょっと検証したいなというふうに思います。

 一つは、金融庁と銀行の関係。

 これは一枚目にありますが、私はこういうことをするのは余り好きじゃないんですけれどもね。天下りなんというのは、まあ天下りは好ましくないけれども、私は国民に不利益があるかどうかで判断すべきだ、国民に不利益がなければ、専門家が再就職するのは別に何ら問題ないと思っているんですよ。三十年、四十年、その道の専門家が税金で勉強して、それを国家に生かさない方がおかしいんですね。だから、そこら辺で、みんな天下り反対とか、そういうエキセントリックな感情的な話になること自体が問題。

 そしてもう一つは、やはり我が自民党の政権でありましたが、私もその責を免れるつもりはありません、小泉・竹中路線。

 いいこともやったであろう、しかし問題もあったと思います。きのう成立したJBICがその象徴でございますね。構造改革路線、天下り反対ということで、あれよあれよといううちに政策金融が統合された。農林水産関係、そして中小零細、そしてJBICが一つの屋根の下にあるような銀行をつくってしまった。しかし、内容はミシン目を入れている。JBICだけ、実はミシン目があった。表では、日本語では副総裁、裏では、世界に行ったらプレジデントという名刺を使い分けなければいけなかったということ自体、これは私は問題だと思います。だから、朝令暮改、しっかり僕は反省すべきだと思いますよ。

 その中で、私は、あのどさくさで、またもう一つ問題になったのは、メガバンクの統合というのは本当にどうだったのかと。

 公的資金投入や不良債権処理で竹中さんがらつ腕を振るったわけでございますけれども、もちろん賛否はあろうと思います。やはり公的資金投入というものを盾にして、私は、銀行の再編というのをし過ぎたんじゃないかなという気がしているんですよ。本当にそこまで減らすべきだったのかなと。まさに政策金融のさっきの統合の話も一緒で、共通点があると思いますよ。

 自見大臣なんというのは、竹中さんに恨み骨髄あろうと思いますよ。このことについては、僕が質問を出すと秘書さんが文書で答えるのでおもしろくない。自見さんはそういうのがない方が味が出るんですね。

 ですから、メガバンクを統合したことについて、大臣、感想で結構ですよ、竹中さんがやったこと、これについてどう思いますか。後ろから言わない方がいいと思いますよ、多分。御本人の心からの思いをちょっとお聞かせください。

自見国務大臣 後藤田議員にお答えをいたしますが、私は今、金融を預からせていただいておる責任者でございますから、公式の発言は、経営統合は個別銀行の経営判断に基づく問題であり当局として評価することは差し控えたいということは、自由主義社会におけるやはり金融庁としての公式な役割だ、私はこう思っております。

 しかしながら、一般論として申せば、後藤田先生、私は一九八三年から国会議員をさせていただいておりますが、当時、都市銀行はたしか十三から十四ございまして、たくさんの競争があった。それから、まさにバブルが崩壊した後、先生が今お話しされましたように、住専国会も我々は経験しましたし、それから小泉、竹中さんの時代になりまして、非常にある意味で、我々は外から見ておりましたけれども、かなり強引なとは申しませんけれども、そういった感じを、雰囲気を持っておりまして、世界が非常にグローバルな競争の中で、やはり大きな銀行でないと生き残れないと。これは逆に言うと、大き過ぎてつぶせない銀行はどうするのかという、逆に今SIFIsという問題になって、先生御存じ、G20あるいはG7でも大きな問題になっております。

 そこら辺が、やはり三年前のリーマン・ショックまでの世界の金融界と、リーマン・ショックの後の世界の金融界というのは、これは私の一個人の意見ですけれども、アメリカでもドッド・フランク法という法律ができまして、金融規制改革法、そしてボルカー・ルールという、先生御存じのように、あれほど大変世界で強かった投資銀行も、自己勘定の中ではハイリスク・ハイリターンの仕事を原則的に禁止するというようなことになったわけでございますから、ある意味で私は、金融界というのはコペルニクス的にリーマン・ショックから変わってきた、こう思うわけでございます。

 そんなことも含めながらしっかり、その後、率直に言えば、いろいろな銀行が合併しましてもなかなか文化が違うという話も漏れ聞くこともございますし、そういった中で、本当に政治家として、そこら辺も含めてやはり中長期的な課題として自由な意見を交わしていくことが大事だ、私はこう思っております。

 金融大臣としては、今申し上げた大変かた苦しいような答弁になりますけれども、銀行間の、これは基本的に民間金融機関でございますから、民間金融機関の経営者あるいは株主が判断することでございますから、これは当局としては評価することは差し控えさせていただきたいと思っております。

後藤田委員 大臣、通告しない方がいいですね。大臣の生のお話が聞けました。やはり大先輩だけあって、歴史も含めて、今本当に大変重要なことをおっしゃったと思います。リーマン・ショック前と後では違うんだと。

 ですから、そうなったら、やはり先ほどおっしゃったように、十行以上あったということは、これは借りる側も選択肢が多かったんですよ。皆さん方はまさにモラトリアム法案を出されましたけれども、やはり円滑化の一つの手段としては、僕は借り手側の選択肢が多いということは重要だったんじゃないかなと思うんですよね。

 私は悔しいのは、三洋電機が、もう名前はなくなっちゃいましたけれども、世界は、パナソニックより三洋なんですよ、名前は。サムスンも、昔は韓国サムスンですよ。そういう中で、あそこの太陽電池、太陽光、ああいったものを僕は本当にこれからの日本経済の核としたいと思っていたんだけれども、あれも当時の、きょう金融関係の委員が多いと思いますが、ゴールドマン・サックスが、結局あの当時はゴーイングコンサーンに疑義を監査法人に出されたら、銀行はどこか投資家を探さなきゃいけない。それでゴールドマンが入ってきて、三十代のインド人と四十代の日本人が三洋電機の取締役会を全部仕切ったんですよ、委任状を集めて。それでつぶされたんです。僕は本当に悔しいんですよ。

 それを金融庁は、いわゆる減損会計の問題だ、野中ともよさんの問題だなんといって、経済新聞なんかは、当時は浪花のジャック・ウェルチだといって三洋を褒めたたえていたのが、もう手のひらを返したように批判して、ああいう本当に大事な会社をつぶしちゃったんですね。つぶしたというか、パナソニックが今抱えていますが。

 ですから、本当に金融というのは重要で、きょうお手元に配った、ちょっと汚いコピーで申しわけないんですけれども、五味長官の当時の問題。ここで「銀行にほんとうに必要なのは資本でなく「競争」だ」、それは確かにそうですよ。しかし、競争というのは、今大臣がおっしゃったように、リーマン・ショック前の金もうけだけの競争じゃなくて、銀行というのは、この前も僕は全銀協を呼んで何度も申し上げた。銀行法第一条にある公共性というものをしっかり考えなきゃいけなくて、つまり借り手側の選択肢をふやすための競争だと僕は思っているんですよ。ここに「厳しい競争に耐える体力と収益力」だというけれども、これは僕は、もちろん大切だと思いますが、やはり、何度も言うようですけれども、ただもうけるための競争力じゃなくて、借り手にとってあるべき競争力だと思っています。

 そういう意味で、競争というのは、やはり独占的ではだめなんですよ、競争が起こらない。政治だってそうですよ、政権交代するから、みんな緊張感を持って競争するわけですから。

 私は、大臣、大臣在任中にもう一回、銀行、メガをちょっとでも解体するとかね。実際、メガの中ではまだ合併前の人事が行われているんですよ、たすきがけ人事が。

 それで、A4の方の二枚目でございます。

 一枚目の天下りについては、検事とか最高裁、法務関係が多いんだけれども、これは保険を掛けているんでしょうね。財務省はみずほの石坂さんぐらいらしいので、まあいいやと。

 二枚目。この前も、僕は全銀協に質問したときに、ちゃんと寄附しろと言ったんですよね。そうしたら、いや、預金者のお金ですからとかなんとか言っていましたけれども、僕らも、国会議員も三百万、出したんですね。これは本当に大変ですよ、皆さん。

 ただ、これを見てくださいよ、銀行。公共性のある仕事をしていながら、しかも銀行というのは優越的地位ですよ。これはみんな一億円以上もらっているんです。僕は多分、役人さんも腹立たしいと思いますよ。学生時代は皆さんの方がよっぽど優秀だった。その次ぐらいの人たちが銀行に行っているんですよ。そうしたら、こいつらが偉くなって、一億円ですよ。僕はこれはどうかと思いますよ。

 本当の民間銀行だったらいいですよ。例えば消費者金融の社長とかは、リスクを負ってやっているわけですから。だけれども、あいつらは、口を開けば預金者保護だとか、失敗したら公的資金だと言って、これはだれがやったってできますよ、多分。そういう人たちが何で一億ももらえるんだ。私は信じられないんですよ。こういう問題をだれがチェックするんですか。株主も弱いんですよね、正直言って。

 だから、金融大臣、ここは一発、亀井さんもすごかったけれども、自見大臣、ちょっと男を見せてくださいよ。これはちょっとおかしいだろう、おまえらということで。

 どうですか、その点についての御感想は。大臣の立場もいいけれども、一般論もいいけれども、個人の意見も、政治家として御発言ください。

自見国務大臣 後藤田先生の御質問でございますが、先生も御存じのように、銀行の中でも、公的資金が入っている銀行がまだございます。そういったところは、当然ですけれども、この世の中というのはやはり一定の節度、規律というのはあってしかるべきだ、私はこう思っておりますが、基本的には、やはり民間機関でございますから、金融機関の役員の報酬については、一義的には金融機関みずからの判断によるものであって、当局としては、この水準について逐一コメントすることは差し控えたい。

 しかしながら、一般論として言えば、これは当然、各銀行、それから業種、置かれた環境を踏まえて、節度を持って、先生がさっき言われましたように、やはり銀行というのは公共性、また公益性もはっきり明記されているわけでございますから、そういった意味で、節度を持ってきちっと対応するべきだ、こう思っております。

 または、先生も御存じのように、アメリカのリーマン・ショックのとき、アメリカの金融機関のCEOといいますか、これがもらっておられる報酬が大変問題になりました。大変多額の報酬をもらっておりまして、それが逆に、何と申しますか、金融危機の一つの原因じゃないかとまで言う人もいたわけでございます。

 そういった意味で、今、国際的にも、金融機関の報酬に関する国際的な取り組みとして、金融安定理事会、これはスイスのバーゼルにあるFSBにおいて、健全な報酬慣行に係る原則等を作成し、各国における取り組みをレビューしているところでございます。

 さっき野田財務大臣がおいでになられましたが、今回のG20の財務大臣・中央銀行総裁会議においても、次回の同会議で、FSB、世界の金融安定理事会においてのレビューの結果を評価するとされておりまして、やはり報酬体系とリスク管理ということをきちっと銀行の監督上の着眼点として、日本でも、まさに監督指針において明確化したところでございますので、そういう問題意識を持ってしっかりやっていきたいというふうに思っております。

後藤田委員 大臣、読み始めると、またちょっとだめになっちゃうんですね。余計なことを読まなくて結構なんですよ。

 もう一つ、三ページ目ですが、今まで、「平成十三年以降、銀行免許を付与した銀行」というのは全部で十五あるんだけれども、日本振興銀行が九番目にある。平成十六年四月十三日です。

 そして、きょう、A3の横長の、これは五味長官、これも平成十六年の九月ですよ、何と木村剛さん、この人と対談しているんですよ。

 僕は当時、金融庁の政務官をやっていたんだけれども、この雑誌は何だと。フィナンシャルジャパン、裏を見たら個人がやっているんですね。僕はてっきり業界団体だと思ったんだけれども。そこに長官やら局長やらが出ているんですよ。僕は直観的におかしいと思ったんですよ。やめろと言ったんです、僕は政務官時代。その後、やまったけれども。

 長官と木村さんがこうやって対談して、そして同じ年に免許が付与されているんですよ。おかしいんだよね、これはどう考えたって。

 委員長、これは振興銀行、きょうは預保は住専ですからいいんですが、今後の預保のあり方、そして銀行のあり方も含めて、もう時間がないのであれですけれども、免許を許可した経緯とか、今、委員会、調査委員会か何かやっているんですよね。そこの報告を一般質疑でしたいし、そこに木村さんも参考人として呼びたいし、そういったことも含めて、振興銀行というのは一つの例というか、あれですが、そのことを踏まえて、全体の銀行のあり方、こういうのを当委員会で、先ほど大臣にも御答弁いただいたことを、ハウスと政府でしっかりやっていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

石田委員長 後藤田委員のお申し出につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

後藤田委員 最後に、預金保険料、最後のページにございますが、当時から比べると保険料は上がっております。毎年大体六千億か七千億かな。住専も処理されるし、これから六千億、七千億がたまっていくと、破綻しなければ十年で六兆、七兆。また埋蔵金みたいな話になるんで、これは下げるべきだという議論もあった。

 しかし、これは震災対応で、公的資金が多分、東北の金融機関は必要になると思いますよ。だから、さっき言ったように、これは僕は上げたっていいぐらいだ、健全な金融機関から。それを財源にして、公的資金を東北の被災地の金融機関に投入する、こういうことというのは、どうなんですか、可能なんですか、和田さん。

和田大臣政務官 後藤田委員御指摘のとおり、過去の経緯は御配付いただいた資料のとおりでございますが、ちょうどこの平成二十三年度の預金保険料を決めていく際に、金融庁内部でも議論させていただきました。

 今までは、御存じのように欠損金が生じておりましたので、責任準備金を積まなければいけないという使命からは、とても引き下げる方向の議論はできませんでした。平成二十三年度からはプラスに転じるがために、ともすると金融機関の方からは、当然のことながら負担減を求めてくる動きが生じるわけでございます。

 私どもからすればまだまだ、御指摘いただいたようなことは、まだその当時は想定していなかったのですが、責任準備金の定義をこれからいろいろ考えていかなきゃいけないと思っていますが、やはりここはもう少し踏ん張っていただいて預金保険料を御負担いただくことが日本の金融システムの安定のためによかろうということで、今年度につきましてはそのまま維持とさせていただいております。

 今御指摘の、震災が起きましたものですから、そういったことももろもろ加味しながら、今後の預金保険料率については検討していきたいと考えています。

後藤田委員 ということは、金融庁として、この預金保険料は震災対応にしっかり使っていくというお考えがあるということでよろしいですか。

和田大臣政務官 もう委員御存じのとおりなんですが、この預金保険料率も、どういったものに使うかということは、それぞれ別建ての、要するに二カテゴリーがあって、その中で決められていることでございますので、今おっしゃったことがダイレクトに実現するというふうにはなかなか申し上げにくいのですが、全体として、金融システムの安定性を確保する意味でどれだけ必要かということは決定していきたいということでございます。

後藤田委員 いやいや、ちょっとよくわからないんですけれども。

 今、東北の被災地は、公的資金の申し入れが次々起こっていますね。それについて、この預金保険料で対応するということは可能なんですか。それでよろしいんですか。

和田大臣政務官 もう少し正確に申し上げれば、公的資金を注入するのにそのお金をそのまま使うということではなくて、政府保証として、預金保険機構が一つのバックを持って資金を入れるときの、その枠の中には使えるということでございます。

後藤田委員 ぜひそのような形で運用、これはフォースマジュール、大変な災害対応ですからね。今後恐らく、大きな災害以外で破綻するというのは多分少ないと思います、これだけ金融監督が充実していれば。

 ですから、これをしっかり数年、復興、金融機関、被災地の財源として使えるようにしたらいいなと心から願っておりますので、よろしくお願いします。

 質問を終わります。

石田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 本題の預金保険法改正案の質問の前に、野田大臣また五十嵐副大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 テーマは、被災地における中小企業支援、公的金融における支援のあり方でございます。

 先日、五十嵐副大臣を中心にこの委員会を開催させていただきまして、この被災地における中小企業支援について議論をさせていただきました。私も提案をさせていただいたんですが、副大臣の方からはなかなかいい御返事がいただけなかったものですから、きょうは大臣に直談判をしようということで、同じ趣旨の質問になるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。

 今回、日本の経済が大変厳しい状況にある、特に中小企業はかなり厳しい状況に追い込まれているということは、もう説明の必要がないと思います。

 ここで、いわゆるオール・ジャパンと、それから被災地の中小企業と、分けて考える必要があろうかと思いますけれども、後ほど被災地の中小企業支援について質問させていただきますが、まずオール・ジャパンとして、いわゆる抜本的な対策が必要なのではないかと思っております。

 リーマン・ショックのときに、我々与党でございましたけれども、いわゆるセーフティーネット保証、セーフティーネット融資等、百年に一度の金融危機だと言われるときにこのような措置を講じたわけです。今回も、オール・ジャパンとしてこのような対策が必要だと私は思いますけれども、野田大臣、この点についての御認識はいかがでしょうか。

野田国務大臣 斉藤委員御指摘のとおり、今回の東日本大震災によって大変厳しい状況に追い込まれている中小企業の皆さんもいらっしゃいますけれども、そういう被災地の企業の皆さんと取引のある中小企業、これは全国にいろいろと散っていると思いますし、この大震災に端を発した計画停電などによって、これまた業績が悪化した中小企業もあろうかと思います。

 こういう、ある種二次災害的な状況に陥っている中小企業の状況も、よく現況の把握をしていかなければいけないというふうに思いますが、その中で、特に、計画停電等の影響によって業績が悪化したところについては、四月一日付でセーフティーネット貸し付けの拡充を、最大で〇・五%の金利引き下げを行いました。

 これからも、直接の被災地の企業だけではなくて、こういう関連をするような企業についてもよくチェックをしていきたい、現況把握をしていきながら、関係省庁と検討していきたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 その措置は、そうすると、オール・ジャパンで、そして、かなり、ある意味で期間を区切らずに今後実施していく、こういう認識でよろしいでしょうか。

野田国務大臣 その詳細も含めて、これから検討させていただければというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 大臣の基本的な考えはいかがでしょうか。できるだけ早い時期に、そういう形でしっかりと公的金融でも支援をするよという、その政府の姿勢というのは非常に日本経済のこれからの方向にとって大きな力になると思いますが、そこはいかがでしょうか。

野田国務大臣 やはり物事の優先順位は、私は今ちょうど復旧の予算をつくっておりますけれども、まずは被災地だと思います。そこで、予算措置、税制措置、金融措置、あらゆる政策の総動員をしていく。

 この震災に端を発して、さっき申し上げたとおり、取引のあるところであるとかあるいは計画停電等々いろいろな影響をこうむる中小企業、それについてのケアというものがその後の段階で必要になってくる、そこはよく現況を把握してからの対応ということだと思います。

斉藤(鉄)委員 おっしゃることはよくわかります。順番があるんだということで、それはよくわかるんですけれども、今、日本経済全体に、かなり、これを放置しておけば日本経済全体の体力が奪われてくるという認識、その危機感は強いものがあって、大臣の今の御発言はその危機感に少し欠けるのではないか、こう思いますが、もう一度。

野田国務大臣 私自身も危機感を持っているつもりです。にじみ出ていないのかもしれませんが、危機感は持っております。やはり日本にとって中小企業は宝でございますので、そういう意識は強く持っているということはぜひ委員も御理解ください。

斉藤(鉄)委員 それでは、次に、いわゆる直接被災地の中小企業支援、金融支援ですけれども、現在のいわゆる災害復旧貸付制度、政府の中小企業向け災害復旧貸付制度、この概要についてお願いします。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。

 日本政策金融公庫、これには国民事業と中小事業がございます。その災害復旧貸し付けは、災害で被害を受けた中小企業者を対象といたします。

 貸付限度額は、国民事業では、普通貸し付け等は四千八百万円でございますが、これに三千万円まで上乗せが可能でございます。中小事業につきましては、これはいろいろな制度によって違うんですが、通常六億円から七億円程度の限度額ですが、別枠で一・五億円を設けるということでございます。融資期間は十年以内で、据置期間は二年以内、貸出金利は基準金利で、現在、国民事業では二・二五%、中小事業では一・七五%でございます。

 三月十二日の閣議決定によりまして、事業所の全壊、流失など、特に著しい被害を受けた中小企業者及び当該中小企業者の事業活動に相当程度依存している中小企業者には、一千万円を上限に、融資後三年間、基準金利から〇・九%を控除した特別利率を適用するということになっております。

斉藤(鉄)委員 前回私が提案させていただいたのは借りかえ制度、借りかえ特例という御説明は、今、五十嵐副大臣の説明の中にはありませんでした。被災地に行って経営者の方からいろいろな御意見をお聞きしたときに、この借りかえ制度をぜひ特別に設けてほしいという声を聞きます。

 五十嵐副大臣、現在の災害復旧貸付制度では、借りかえ特例はありませんね。

五十嵐副大臣 そういうことでございます。

斉藤(鉄)委員 先日、五十嵐副大臣と議論をしたときに、この借りかえ制度をぜひ導入すべきではないかと。たくさん既に公的金融を借りている方がいらっしゃいます。その残高がまだ残っているわけでございます。その議論を五十嵐副大臣として、この制度を設けるべきだということでやりとりしたんですが、なかなか御納得いただけなかったんです。

 例えば、八年で二億円借りて、今、四年済んだ、一億円残っている。こういう場合に、新規需要分として新規借り入れを一億円行う。この場合は、既に借りているものの償還元金は、一億円残って残り四年ですから、一年、二千五百万円。それから、新規借り入れについても、例えば償還期間を八年としますと、償還元金は一千二百五十万円。合わせて三千七百五十万円となるわけです。借りかえ特例を活用いたしますと、同じような条件で新規借り入れが二億円という形になって、これを八年で返すということですと、償還元金は二千五百万円ということになりまして、三千七百五十万円の償還をするか、二千五百万円の償還をするか、大きな差が出てまいります。

 公的金融の借入残が残っている企業がほとんどでございまして、そういう意味では、この借りかえ特例を設けるべきではないか、このように思いますけれども、この点について、大臣、いかがでしょうか。御見解をお伺いします。

野田国務大臣 五十嵐副大臣からも御答弁させていただいたとおり、現行の災害復旧貸付制度というのは、新たに資金を調達するときの措置であって、借りかえを奨励するというものにはなっていません。ただ、一方で、日本公庫のセーフティーネットの貸し付けでは、一部こういう借りかえという措置を、限定的ではありますけれども行っております。

 個別に、やはり、中小企業者からの既往債務の条件変更等の返済相談については、個別状況を踏まえて対応していきたいというふうに思いますが、制度としてこの借りかえを災害復旧貸し付けという中で位置づけるかどうか、被害の現況、さまざまなニーズがどこにあるか等々を踏まえながら、検討をさせていただきたいというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 先ほど大臣お答えになりましたけれども、この借りかえ制度は、セーフティーネット融資制度で初めて導入をいたしました。大変多く利用されておりますし、使いやすいという声も上がっております。今回、中小企業の皆さんはこういう大変な状況に陥っているわけでございますので、ぜひこの借りかえ制度の導入について御検討をいただければ、このように思います。

 それからもう一点、返済の据置期間でございます。

 先ほど五十嵐副大臣から、現行の災害復旧貸付制度、据置期間は二年というふうにお答えがございました。阪神大震災のときには、やはり特例を設けて五年という返済の据置期間といたしました。

 そういう意味では、今回、阪神大震災を超えると言われているこの災害にありまして、この据置期間が二年のままでいいとは私は思いません。阪神大震災と同じように五年、ないしは、あの被害の大きさを考えますと、十年ないし十五年据え置いて、最終的に元本一括返済という形で、その融資制度もつくるというようなことを考えてもいい、このように思いますが、この点についての大臣のお考えをお伺いします。

野田国務大臣 元本一括返済型で、例えば十年、十五年はどうかという御提案なんですが、一つのアイデアだと思います。でも、そうすると、返済時に多額のお金が必要になります、十年ためた、十五年とかという話になると。だから、本当にそれはどこまでニーズがあるのかどうか等々、よくこれは検討をさせていただかなければいけないのではないのかなと直観的に思いました。

斉藤(鉄)委員 もちろん、そういう問題はよくわかっておりますが、とにかく今を乗り切って、今死んでしまえば将来の希望は全くないわけですので、今をどう生き延びてもらうかということを考えたときに、この制度も一考に値するのではないかと思います。

 それでは、据置期間の延長、阪神大震災のときにはやりました。少なくともこの据置期間の延長についてはやらなくてはいけないと思いますが、この点についてはどうでしょうか。

野田国務大臣 据置期間はどれぐらいの期間が妥当なのかということも含めて、やはり被災した中小企業の具体的なニーズをよくお聞きしながら、勘案しながら検討させていただきたいというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 これは、財務省だけで決まる問題ではなくて、経済産業省中小企業庁とのいろいろな議論、また金融庁とのいろいろな議論があるのかと思いますけれども、いよいよ現地は、いわゆる復興に向けて、特に企業は動き始めております。

 そういう意味で、その精神的支え、希望という意味でも、この金融というのは最も大事なところですので、早急に、今私が提案させていただきましたけれども、その実現に向けて財務大臣がリーダーシップをとっていただきたい、このように思いますが、最後に、復興に向けての中小企業支援について、基本的な決意をお聞きします。

野田国務大臣 今の据置期間の問題を含めて、委員御指摘のとおり、関係する省庁が幾つかございますが、据置期間のみならず、やはり予算、税制、金融、特にこの政策金融の部分で何ができるかということは、よく詰めさせていただきたいというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 それでは、預金保険法の法律案の方に移りたいと思います。大臣、副大臣、もう結構でございますので。

 それでは、預金保険法の一部を改正する法律案の質問に移らせていただきます。

 十五年前、住専問題が社会問題となりまして、当時、住専国会というのがございました。大いに議論されたわけでございました。そういう意味では、今回、その終結ということで、大変感慨深いものがございます。石田委員長も、私、一緒に第一委員室の前に二週間……

石田委員長 二十一日間。

斉藤(鉄)委員 二十一日間ですか、座り込みまして、こちらにも、そちら側にも、そのときの同志がいらっしゃるわけですけれども、そういう意味では、今回、その最終処理を行うということで、大変感慨深いものがございます。

 自見大臣、まず最初に、ちょっと質問通告していないんですけれども、当時は、民間金融機関の損失に税金を使うなどとんでもないということで、世論が大いに盛り上がったわけです。その後、いろいろな形、公的資金の注入等があって、もっと大きな金額が使われるようになったけれども、あの住専国会のときのような大きないわゆる世論の盛り上がりはなかったというふうに私は思っております。あの住専の問題が、特にあれだけ大きな国民的な関心を呼んだのはなぜだというふうに大臣はお考えでしょうか。

自見国務大臣 斉藤先生が、二十一日間、あれはたしか衆議院の第一委員会室だったと思いますけれども、座り込みをされたという話でございますが、私どもは座り込みをされた方でございます。

 たしか、大変緊迫した中で、六千八百億円の税金を何で、民間の金融機関が基本的にバブルのときにたくさん、まあ住専という会社も、先生御存じのように、最初は勤労者の住宅ローンということで出たわけでございますけれども、たしかあのとき、総量規制というのをやりまして、住専は銀行ではございません、ノンバンクでもございますから規制の外だということで、いろいろな金融機関が貸し込んで、そしてまた、なおかつ、不動産業者にも巨額の資金を貸し付けた。これがバブルで地価がはじけまして、先生も御存じのように、大変たくさんの、多量の不良債権を抱え込んだということでございました。

 それの処理のために、いろいろな民間の金融機関も骨身を削られましたけれども、六千八百億円の税金を投入せざるを得ない、それでないと日本全体の金融システムが安定化しないという、大変苦渋の選択だったと思っております。

 戦後初めてのそういう状況でございましたから、大変激しく与野党激突をいたしましたが、やはり金融機関というのは、先生もう御存じのように、公益性、公共性もございますが、国の免許業でございますから、基本的に、免許業を国家が一遍免許すれば、やはりその銀行あるいは金融システムに対してきちっと安定化する責任もあるわけでございます。私、与党の末席の議員でございましたが、そのことを本当に痛感させていただいたわけでございます。

 今はこんな立場におらせていただいていますけれども、本当に金融機関、まさに銀行については、やはり当然、健全な金融機関がなければ健全な企業も成り立ちませんし、健全で強力な銀行がなければ豊かな経済社会ができ得ないということも、これは一面事実でございますからね。そういった中で、やはりきちっと公益性と公共性と、そして、その中でできるだけ多くの経済的発展をなし得る、非常に難しいバランスでございますけれども、そのことをしっかりとっていかねばならない。

 国民が、やはり金融機関というのは国家の免許業であるということを実感し、痛感し、私自身も、大変苦いというか、本当に痛い住専国会でございましたが、それを通じて勉強したような気がいたします。

斉藤(鉄)委員 一次ロス六・五兆円、これに対して国が六千八百億円財政措置をする、この六千八百億円をめぐって、十五年前、大きな議論をしたわけでございますが、今回の住専債権に係る二次損失は約一兆三千九百億円ということでございます。当時、先ほど御質問にもありましたけれども、もう経済は回復して二次ロスはないんだというような議論もしたのを覚えておりますけれども、結果として一兆三千九百億円、これが日本経済のその後の歩みの一つの結論かとも思いますが、大変残念なことでございます。

 この二次ロス、二次損失の一兆三千九百億円、この処理に当たっては新たな財政措置を講じないということでございますけれども、今回の住専債権に係る二次損失の処理についての基本的な考え方を、一般国民にわかるように、わかりやすく説明していただきたいと思います。

和田大臣政務官 今、斉藤委員御指摘のように、まず大原則は、これ以上の財政措置を講じないということを前提、つまり国民負担を生じさせないという枠組みを堅持するということが基本方針でございます。その上で、その当時に法制上決まりましたそれぞれの仕組みの分担として、政府分、国分が半分、そして民間分が半分ということを基本原理としております。

 実際に、先ほどおっしゃっておられましたが、二次ロスがとにかく生じないよう、生じないようにと、この十五年間必死に回収に努めてくるということが方針だったわけでございますが、残念ながら、やはり、今の景気情勢のこの十五年間の推移、そして不動産価格の低迷等によりまして、いかんともしがたい二次ロスが発生したということでございます。

 その二次ロスの規模については、先ほどのほかの議員の御質疑の方でお答えしたと思いますが、私どもも、これぐらいの金額を政府、民間、半分ずつの御負担でしっかりと支えて処理する、もうこれから先は、処理を終えて新しいフェーズとして、二度とこういったことが起きないようにすることが行政府の務めであろうというふうに思っています。

 いろいろと御説明するべき内容はあるのでございますが、これを全部御説明すると長いものですから、こういった基本方針のもとに臨んでいることをまず御説明したいと思います。

斉藤(鉄)委員 政府負担分の一部として、整理回収機構の他勘定の利益を充当するというふうに説明がありましたけれども、この他勘定というのは一体どういう勘定なのか、それから、その勘定の剰余金を充当するということの理由についてお伺いします。

森本政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の政府負担分の一部に整理回収機構の他勘定の利益を充当すると申しますのは、整理回収機構の協定後勘定でございまして、これは、破綻金融機関から買い取りました資産の回収業務を経理しておる勘定でございます。

 現在、この勘定に約千八百億円の資金が帰属しておりますが、これは平成十一年、十二年度の回収益でございまして、実は、十三年度以降の回収益につきましては、平成十二年の預金保険法改正によりまして、預金保険機構に整理回収機構から納付することになっております。それで、十一年、十二年の両年度の利益を整理回収機構に留保しておりますのは、これをも預金保険機構に納付いたしますと、整理回収機構が債務超過に陥るおそれがあるということで、その財務基盤を維持する観点からとられた措置でございます。

 今回、住専債権の二次損失の処理を行いますと、整理回収機構の債務超過は解消いたしますので、この協定後勘定の資金を整理回収機構に留保しておくという必要性は低下するわけでございます。また、この整理回収機構の協定後勘定の利益と申しますのは、債権回収という同様の業務から出ておる利益でございますので、住専処理の終結にこれを活用しようとしておるものでございます。

斉藤(鉄)委員 正直言ってよくわからなかったのですが、この千八百億円強の利益剰余金は、本来、国民に返さなくてもいい、ある意味で企業努力で出てきた利益だから、今回の政府負担分の一部として使っていい、こういう理解でよろしいんですね。

森本政府参考人 お答えいたします。

 先生の御指摘のように、この協定後勘定の回収益と申しますのは、整理回収機構の回収努力によって生み出された利益でございます。

斉藤(鉄)委員 わかりました。

 これで住専勘定が閉じられて、大きな区切りがつけられることになるわけですけれども、この十五年間、金融行政は大きく変貌しました。北海道拓殖銀行、長銀、日債銀、その破綻、そういう金融危機に当たって公的資金が投入される、また多額の不良債権処理が断行される。日本の金融システムに対する内外の信認確保に大変な努力を行ってきたと言えるわけですけれども、その金融危機の始まりの象徴がこの住専だったわけで、今回、これは一つの時代の区切りと言えるのではないか、このように思います。

 次に、今回、住専債権処理の最前線にあった整理回収機構の機能を見直すということですが、その基本的な考え方について、これもわかりやすく簡単にお願いいたします。

森本政府参考人 お答えいたします。

 今回の整理回収機構の機能の見直しでございますが、これは、住専処理の終結に伴いまして、同機構の主要な業務の一つでございます住専債権の回収業務が終了するということ、これを機会にこの業務の見直しを行おうとするものでございます。

 それで、基本的な考え方といたしましては、破綻金融機関からの不良債権の買い取り業務を中核といたしまして、そのほかに、公的に求められます代替困難な機能にその業務を整理しようとするものでございます。

 具体的には、民間サービサー業務というこれまでやっておりました業務を廃止いたしますとともに、破綻処理の円滑化のためにブリッジバンク機能というものを整理回収機構に付与いたします。それとともに、いわゆる反社会的勢力等が不当な利益を得ることがないようにするために、民間機関の保有いたします反社会的勢力向けの債権等の買い取りを整理回収機構の業務とするということを内容としておるものでございます。

斉藤(鉄)委員 その中で、いわゆる暴力団などの反社会的勢力向け債権、この中では反社等債権、こういう言葉が使われておりますが、ここに対して厳しい回収姿勢で当たる、これは当然だと思うわけですけれども、債務を返したいんだけれども返せないという、善良な債務者というのはちょっと変な言い方かもしれませんが、そういう方もいらっしゃるかと思います。

 基本的な回収方針というのはどうなっているんでしょうか。

和田大臣政務官 今、斉藤委員御指摘のとおりで、債務者にもいろいろ分布があるかと思います。

 反社債権につきましてはきちっと厳正に対処するということを態度として持つ一方、我々として、善良かつ誠実に債務を支払おうとしているけれども、いろいろ個別事情があって難しいという事情に対しては、しっかりとその事情を聞いた上で適切な解決を目指すという内容の顧客保護等に関する業務改善というものを、平成二十一年十一月に整理回収機構において策定してもらっています。これに基づきまして、個別債務者の事情を踏まえた適切な回収に努めるということにしております。

斉藤(鉄)委員 その点はしっかり金融庁としても見ていただきたいと思います。

 それから、今回の法改正の一つの論点ということで新聞等にも紹介されておりますが、整理回収機構の肥大化ということが言われております。決してそういうことではないと我々は理解しておりますが、この点についてはいかがでしょうか。

和田大臣政務官 御指摘のとおり、肥大化となってはいけないというふうに考えておりますので、全体としてはこの整理回収機構のスリム化を図っていきたいというふうに考えています。

 他方、先ほどお話に出していただきました反社等債権の回収業務につきましては、本当にこの十五年間、整理回収機構は一生懸命やってくれていまして、非常にノウハウを積んできているところでございます。そうしたところに対しまして体制を強化する一方で、全体としてスリム化を達成するということを今考えているところでございまして、具体的には今後の作業になってまいります。

斉藤(鉄)委員 その点、肥大化ということについては厳正に対処していくということをまた確認させていただきたいと思います。

 それから、いわゆるペイオフといいましょうか、銀行が破綻したときの保険金の支払いの措置として、決済用預金だけでなく一般預金についても、金曜日に破綻が発表されて月曜日から払い戻しがあるわけですけれども、このことについてもきちんとマニュアルをつくって対処するようにということなんです。

 これも批判の一つとして、民間金融機関に大きなコスト増を、余分な仕事、うちはつぶれるなんて思っていない、だからそんなことは用意しなくていいんだというところに対しても、余分なコストを政府が要求するというような声もありますけれども、ここはいかがでしょうか。

和田大臣政務官 今御指摘のところは、我々がこれから先、一般預金については、ペイオフ制度に基づきまして一千万円までの預金の保護と、それを超えるものについての仕切りをつけていくということを担保していく中で、どうしても民間金融機関におかれても体制を整えていただく必要があるものでございます。

 こうしたことは、もともと、金融機関の一つの体制として平時から整えていく御努力をいただかなければいけないというふうに考えていまして、お言葉ではございますが、決して不要なコストだというふうに考えているわけではございません。

 しかし、金融機関の実情が個々にあるのはよく存じ上げておりますので、それぞれそれに対応した、名寄せはかなりのところはもう済んでいるようですけれども、実際の支払いに向けたシステム構築等につきましては、この時点までに絶対にやってもらわなきゃいけないというところまで申し上げているわけではなく、それぞれの金融機関の実情に応じて、システム更新等の機会をとらえてしっかり体制を整えてほしいと申し上げているところでございます。

斉藤(鉄)委員 目下、日本振興銀行の破綻処理も行われているところでございますが、東日本大震災という国難にあって、この金融システムの健全な構築等、本当に今、日本にとって大事なときだと思います。

 きょう、いろいろ提案もさせていただきましたけれども、預金者そして中小企業に対して金融機能が適切に発揮されるように、大臣に心から要望して、質問を終わります。では大臣、一言。

自見国務大臣 もう先生御存じのように、今、中小企業金融円滑化法、提案の、御党も御努力をいただいて延長ができたわけでございまして、条件変更、中小企業ですね、もう先生御存じのように、約百万件のお申し出がございまして、約九割以上、その条件を受けさせていただきました。大体四百二十万社、今、中小企業があると言われていますけれども、決して百万という数字は、そういったことを考えれば小さい数じゃございませんし、日本の企業の九九・七%は、もう先生御存じのように中小企業でございます。

 そういったところにまたこの大震災が三月十一日に来たわけでございまして、私は、やはり政治というのは有事には有事の考え方がある、こう思っております。そういった意味で、ちょうど金融機能強化法という法律が、リーマン・ショックの後、自己資本を、約十二兆円、公的資金を入れることができるというふうな法律がございましたので、特に被災に遭われた東北六県と茨城県、これはもう先生御存じのように、金融機能強化法というのは実は経営者の責任を問うというところがございましたけれども、これは何といっても今回の場合は天災でございましたからね。私も先週の金曜日、土曜日、行ってまいりました。突然、本当に想像を絶する、言葉を失うような、全部、中小企業の会社も土地も何もかもなくなっているというような状況でございますからね。

 そういったときでございますから、ぜひこれは経営者の責任を問うどころか、また、今、財務大臣も言われましたけれども、新たに企業を起こすにしても、借金があったまま工場も土地も流されたというマイナスからのスタートでございますから、そういった意味で、私は民間の金融機関の頑張り、ひとつ頑張るような条件をきちっと、今もう本当に必死で用意させていただいておりますので、ぜひこれを国会で通していただいて、やはり本当にやる気のあるといいますか、中小企業、非常時でございますが、しっかり民間金融機関にもバックアップをさせていただきたい、そのことをぜひ御理解をしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 ただ同時に、今、財務大臣もおられますし、これは民間金融機関だけでは限界がございますから、やはり公的金融機関と相まって、また信用保証制度、これもやはり政府の制度でございますから、そういったことと相まって、適時適切に全力を挙げて応援をさせていただきたいと思います。

 私、一昨週の金曜日にこういう話をさせていただいたら、そのことは大変現地の企業家、金融家の非常に背中を押したといいますか、非常に力強い発言であったという、大変ありがたいことですけれども、そこまでやはり我々の責任が大きいわけですからね。そういったことで、実に千年に一遍の津波だ、こう言われるわけでございますから、お互いに、国会議員でございますから、しっかりこの天然災害に立ち向かって、そして復旧と復興をしていかねばならない、こういう決意でございますので、一緒になってやらせていただきたい、こう思っております。

斉藤(鉄)委員 終わります。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 今回提案されている法案は、破綻した特定住宅金融専門会社、いわゆる住専の債権について、二次損失と残存債権の処理方法、これを確定しようというものでございます。

 そこで、まず初めに、住専が破綻した原因はどこにあったのか、政府の見解を確認しておきたいと思います。

自見国務大臣 佐々木議員にお答えさせていただきます。

 住専、住宅金融専門会社は、私は、今さっきも申し上げましたように、もともとは、個人向けの住宅ローンのために金融機関等の共同出資により設立されたものでございますが、しかし、いわゆるバブル経済の中で、銀行や農協系統の融資を受けて、不動産事業向けに急速に融資を拡大していって、その後のバブル経済の崩壊とともに、不動産市況の低迷によって、不動産業者等の経営悪化に伴い、もう御存じのように、巨額の不良債権を抱えるに至ったというふうに承知をいたしております。

佐々木(憲)委員 バブル崩壊のもとで、一九九四年から九五年にかけまして土地住宅価格が急落をした。そして、住専の損失総額が六兆円以上に膨らんだわけであります。政府は、この住専と密接な関係にあった母体行であります大手銀行、あるいは地銀、農林系金融機関に債権放棄を求めた。しかし、損失を埋め切れない、こういう理由で、六千八百五十億円、公的資金を投入することを決めたわけです。

 それまで政府は、金融機関の破綻処理については銀行業界の自己責任で対応することを原則とする、そういう方針でありました。ところが、この住専処理の方針はこれとは全く違うものでありました。そこで、国民は、おかしいじゃないか、こういう声を上げたわけです。銀行の乱脈経営のしりぬぐいをなぜ一般の国民にさせるんだ、こういうことであります。

 私どもは、住専を実質的に支配している大手銀行、つまり母体行の責任をあいまいにして、乱脈経営のツケを国民に回すのはおかしい、そういう主張をしたわけであります。この税金投入に反対をしまして、最後まで我々は、母体行の責任によって解決すべきだ、こういうふうに主張してまいりました。

 公的資金投入の際に、それを執行管理する役割を担わされてきたのが預金保険機構です。預金保険法が成立したのが一九七一年の四月、預金保険機構の本来の目的というのは一般大衆預金の保護、これでありました。

 改めてお聞きしますけれども、最終処理においても、経営責任のある母体行に負担能力があるなら、その責任で処理をするというのが当然ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

和田大臣政務官 佐々木委員、今るる御指摘いただいたように、もともとは、こういった債権債務関係の処理につきましては、自己責任の原則というのは本来貫かれてしかるべきだというふうに私どもも考えております。

 しかし、今回、この住専問題の処理を平成八年当時に考える際には、その規模もかなりになりましたし、諸々の影響、余波を考えてみますと、これが日本全体の金融システムの安定性を脅かすのではないか、そしてまた、内外からの我が国の金融機関全体の信頼性を損ねるのではないか、こういった懸念を生じる事態だというふうに判断したものですから、これを一刻も早く、まあ十五年かかりましたが、少なくとも最大限早く処理することが行政としての務めであろうというところから、その早期解決を図るために、それぞれの、国負担分、民間負担分をその当時考えられるだけ考え抜いて、決めて、取り組んだものでございます。

 今御指摘の、最終処理に当たって、大手行、母体行と言われているような大手銀行に体力があるのであれば、そのとき決めたことをさらに乗り越えて負担を増加せしめてもよいのではないか、このような御指摘ではないかと思います。

 そのような考え方を全く一概に否定するものではございませんが、私どもからすれば、決まったことをきちんとそれぞれの当事者が適正に行い、終わることが、最もこの処理を早く終えて、次のステップに向けて、つまり、我が国金融システムは二度とこういうことを起こさないように対処しておりますというメッセージを発するのに最適だろうと考えた次第でございます。

佐々木(憲)委員 早く処理するというのはわかるんですけれども、問題はやり方なんです。

 では、具体的にお聞きしたいんですけれども、住専処理の今回の法案では、一次損失処理には六千八百五十億円、これは国税から投入した、二次損失の処理でも損失額の半分を国が出す、こういう仕組みになっていますよね。何で半分国が出すんですか。

和田大臣政務官 実際に、平成八年当時に法的に決められたものがかなりの部分でございますが、民間においてできるだけの負担をしっかりと出してもらおうという趣旨はその当時もかなり議論された上で行われたものだというふうに認識しております。

 ということから、その当時の事情として、ぎりぎりのところまで民間金融機関として負担していただいたという認識を持った上で、この部分を折半するという原則を貫いているわけでございます。

佐々木(憲)委員 ぎりぎりとは思わないですね。これは、当時、母体行の責任はちゃんととれるはずだったんですよ。それをやらないで、半分は国民に、こういうやり方をしたのが間違いであったと我々は思っております。

 では、それだけの負担ができないのか、具体的に聞いていきますが、この法案処理によりますと、二次損失は一兆三千九百億円ですね。整理回収機構の住専勘定で回収した債権の利益は、一つは、簿価を超えて回収した利益が二千二百億円、それから二つ目に、累積利益二千八百億円、これは合わせて五千億円ですね。したがって、この差額は八千九百億円、こういう計算になりますね。確認しておきます。

和田大臣政務官 今御指摘いただいたところは、私どももそのとおり認識しております。

佐々木(憲)委員 問題は、これをどう処理するかですね。

 そこで、お配りした資料を見ていただきたいんですが、これは金融庁作成の処理のスキームであります。

 図の右下と左下に金融安定化拠出基金というのがありますね。これは第一基金とそれから第二基金と言われるもので、第二基金は新金融安定化基金と言われているものであります。もともとこれは二次損失に備えたものではなかったんですか。

和田大臣政務官 まず、配付いただいた資料の左下にあります新金融安定化基金の方は、先ほどちょっと別の質疑でもお答えしましたが、もともとの法制上、仕組みを考えておったところに、追加的に、世論の声もあって、もう少し、もう一段民間金融機関の方で負担してしかるべきということで議論が起こった結果、こういったものができているわけでございます。

 というわけで、必然的に、最初の法制上、要するに仕組んでいくところの概念には入っておりませんでしたので、そういった意味におきまして、委員御指摘のように、二次損失に備えたものとなっていくわけでございます。

佐々木(憲)委員 第一基金について、右側の図ですけれども、この右下にあるように、基金の運用益千四百億円がありまして、基金総額は一兆七十億円、合計一兆一千四百七十億円があるわけです。それだけでも十分に二次損失を補てんできる額になるわけです。

 それなのに、なぜ住専と関係のない整理回収機構の協定後勘定から千八百億円を住専勘定に繰り入れるんでしょうか。

和田大臣政務官 最初に少し触れたつもりでございますが、いろいろな考え方がおありの中で、民間金融機関の負担部分をできるだけふやすべしというお話は、最初の法制定当時からあったところでございます。

 しかし、法制定当時に、ぎりぎりの努力をした上でこの半分半分という負担を決めていることから、ここから先、十五年経過した現在、その負担割合を動かして、民間金融機関に負担させてこれの処理の決着を図るということよりも、それぞれの、当事者として国と民間がしっかりと自分の責任部分を果たすということが最適であろうと判断したわけでございます。

佐々木(憲)委員 だから、要するに、協定後勘定からわざわざ入れる必要はないというふうに思うわけです。

 もう一つおかしいのは、この右の下にあるように、二次損失の負担をした後で、預金保険機構の一般勘定、つまり預金保険料からも三千百億円を金融安定化拠出基金に繰り入れることになっているんです。預金保険料というのは、本来、預金者保護のために使われるものであって、二次処理に使うのは筋が違うんじゃないでしょうか。

和田大臣政務官 今御指摘の部分は、表で書いてあります預金保険機構の一般勘定の方から住専勘定の方に三千百億円繰り入れるというところの御指摘だと思います。

 これ自体、住宅金融専門会社の債権債務の処理が極めて困難な中でどのように処理していくかということですが、我が国における金融の機能における内外の信頼が大きく低下することが懸念されていたということでございますので、金融システム全体が揺るぐような重大な危機だという認識があったわけでございます。

 そういった意味におきまして、預金保険機構の能力を全部活用しながら処理していくということを考えておりまして、住専処理法第九条第三項において、一般勘定から金融安定化拠出基金に繰り入れをすることができるという条項がきちっと盛り込まれておりますので、それに従って処理しておるつもりでございます。

佐々木(憲)委員 私が聞いているのは、仕組みがこうだからこうしているんですというだけの話ではなくて、ここにこういうふうにお金があるんだから、基金にあるわけですから、それを使えばできるでしょう、それなのになぜこっちの趣旨の違う勘定から、別な勘定に頼るのか、こういうことを聞いているわけです。

 それで、安定化拠出基金への出資額というのは、当時は、大手銀行は八割、八千六十億円を負担していたわけです。

 三枚目の資料の右にありますように、現在の拠出割合でも、都市銀行、信託銀行、長期信用銀行の合計で七千八百七十九億円、七八・二%、約八割ですね。これを使って責任を持って負担するというのが私は当然だと思うんです。それをしないで預金保険から流用するというのは、これは筋が違う。

 預金保険料収納額を見ますと、二〇〇九年度で大手銀行の保険料負担割合というのは三五・三%なんです。つまり、三千百億円を預金保険料から流用すると、大手銀行の負担割合は八割だったのが三割に減る、こういうことになるわけです。そういう計算になりますね。

和田大臣政務官 申しわけございません。今ちょっと即座に御指摘の数字の方を追い切れなかったのですが、御趣旨は、大手銀行の方に金融安定化拠出基金の拠出状況として七八・二%もの保険料を取っているのであるから、そこを使うべしとおっしゃっていただいたのでしょうか。

 そこは、私ども、国、行政でございますので、実際の、預金保険機構にそれぞれの保険料を納めていらっしゃる民間金融機関におかれて、どなたがどれだけ負担されるかというのは、民間サイドでお決めになるということに尽きるのではないかと思います。

佐々木(憲)委員 そういうことではなくて、つまり、拠出基金というものがありますが、この中の拠出分の八割は大手が出しているわけです。それをきちっと使わずに、残しておいて、それで、一般勘定を経由して預金保険料から流用するという形になっているわけです。つまり、八割の負担をしなけりゃならぬかったのに、三割五分の負担で、どちらかというと、比率的に言えば、ほかの銀行の負担をかりて処理する、そういう形になるのではないかということを言ったわけです。私は、こういうやり方は、結局、大手銀行の負担を減らす仕組みだとしか思えないんですよ。

 現在の預金保険制度では、自見大臣にお聞きしますけれども、ゆうちょ銀行も含まれているわけですよ。ゆうちょ銀行は、最大の預金保険料の支払い行なんです。最大なんです。預金保険料による一般勘定に二次損失の穴埋めをさせるとなりますと、ゆうちょ銀行にも負担させるということになるんですね。自見大臣は、どうなんですか、ゆうちょ銀行は住専にどういう責任を負っているんですか。

自見国務大臣 佐々木議員御存じのように、十五年前、ゆうちょ銀行というのは存在しませんでした。国の三事業の郵貯、簡保、郵便ということでございまして、当時は存在しなかったわけでございます。

 今は郵政の法律が変わりまして、今、ゆうちょ銀行というのは銀行法に従う一般の金融機関でございまして、ゆうちょ銀行も含めた民間内での調整の結果、住専処理法においてまさに一般勘定からの繰り入れができるといった趣旨を踏まえて、当初からの枠組みにのっとり、金融安定化拠出基金の運用益等に加え、一般勘定からの金融安定化拠出基金への繰り入れを行うことにより対処するということで、まとまったということでございます。

 そういったことで、確かに、株は今一〇〇%をまだ国家が持っておりますけれども、銀行法に従うということでございまして、そういった民間内の調整の結果としてそういう結果でございますから、我々はそのことを尊重して、住専の最終キャリアを円滑にまとめることが適当であるというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 全く責任のないゆうちょ銀行に住専のツケを回す、こういうやり方に、自見大臣ともあろうものが、何という、唯々諾々とこういうものを提案するというのは、私はおかしいと思いますよ。筋が通りません。

 基金の元本部分であります九千七十億円というのは、二次損失の処理後は一体どういうふうになるんでしょうか。

和田大臣政務官 今、九千七十億円のこれからの処理についてのお問い合わせでございますが、基本的には、金融安定化拠出基金の残余の額を拠出者の拠出金の額の割合に応じてプロラタで分配するということになります。

佐々木(憲)委員 要するに、この拠出基金をできるだけ使わないようにして、残しておいて、一方では協定後勘定から繰り入れる、一方では一般勘定を経由して預金保険料から流用する形にする等々で、要するに、残った部分をできるだけ減らさないようにして、それをもとの銀行にどんと戻してあげる、こういうことでありますからね。私は、これは、本来責任を持つべき母体行である大手銀行の負担というものを軽減する、そういうスキームにしか見えません。到底これは認められない。

 次に、第二基金についても、私はこれも活用すべきだと思っているんですよ。運用益千六百億円と元本七千九百三十二億円、合計九千五百三十億円、これだけあるわけですね。さらに、債権の回収及び利益五千億円、これは先ほど指摘をした点です。そして、第一基金の一兆一千四百七十億円。これを全部合わせますと、ちょうど二兆六千億円になるんです。

 したがって、二次損失というのは一兆三千九百億円ですから、一兆二千百億円もの余剰金が生まれるんです。このスキーム全体を見ても、この基金を使ってきちっと処理すれば、おつりが来るという計算になるわけですね。これは、住専の一次損失に対する国の補助金六千八百五十億円をはるかに上回る、そういう資金であります。

 したがって、私は、住専の最終処理に当たって、当然こういうものも利用して処理をする、これが本来の、銀行の枠の中での自己責任の処理の仕方であるというふうに思うわけです。

 金融システムの安定を根拠に国民の税金を投入したんですから、もう今や安定しているわけですから、これは当然その状況のもとで、これだけの基金があれば、それを使って補てんをして、そして、まだおつりがあるわけですから、一次損失の六千八百五十億円も当然国に返還をする、国民に返還する、こういうことができるはずなんですよ。

 それをやらないというのが、私は非常に重大な問題があると思っておりまして、当時決めたんだからしようがないというんじゃだめなんです。政権交代もしているわけだし、座り込みもやったわけでしょう。そういう方々が、今それをもうすっかり何か忘れて、大臣はまあ別としてですよ。そういう与党の民主党が、民主党の中にもそういう方がたくさんいらっしゃるわけです。委員長もそういう座り込みをやったらしいんですけれども、そういう状況のもとで、以前、ずっと前に決めたもの、十五年前に決めたものを、いまだに、いや、あれはもうやむを得ないんだと。それはちょっと筋が通らないんじゃないでしょうか。

 やはり私は、今、財政赤字がこれだけ拡大しておりますし、震災対応に多額の費用がかかる、こういうときに、これだけの資金については、既にあるわけですから、それをきちっと利用して、そしてまた余ったら返還を求めるというのが本当の政治のあり方だというふうに思いますので、最後にそのことを指摘して、質問を終わらせていただきます。

石田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 預金保険法等改正案に反対の立場で討論を行います。

 第一の理由は、本法案が、母体行の責任を棚上げし、二次損失の負担を軽減させるものだからであります。

 我が党は、一九九六年の住専処理策及び国と民間が損失の負担を折半することとした二次処理策について、破綻の原因や責任を問わないまま、最大の責任を持つ母体行の負担を軽減するために公的資金を導入し、国民に負担のしわ寄せを押しつけるものという理由で反対しました。

 今回の改正案による二次損失の補てんスキームは、新たな国民負担を求めるものではありませんが、整理回収機構の住専とは別の勘定にある剰余利益や預金保険機構の一般勘定を利用して、母体行の負担を軽減させる仕組みを新たに追加しております。

 整理回収機構にも、現在、預金保険料を支払っているゆうちょ銀行にも、住専破綻の責任はありません。母体行を中心に出資した金融安定化拠出基金が負担を負うのが当然です。母体行の責任を棚上げする本法案には反対であります。

 第二の理由は、整理回収機構に民間金融機関の保有する反社等債権の買い取りや回収機能を付与したことで、民間金融機関の反社会的組織に対する債権回収の責任をあいまいにさせる懸念があることです。住専債権の回収でも、暴力団や地上げ屋などの不良債権の回収が問題となりました。

 しかし、整理回収機構はどれだけ厳格に回収してきたか明らかにしておりません。十五年たった今でもそのような債権が残存していることも含めて考えれば、整理回収機構の回収能力を評価することすらできないのであります。

 そもそも、このような不良債権の未回収は暴力団等の資金となりかねず、金融業界が厳格な対応をするために、融資した金融機関が最終的に責任を負うべきものであります。金融機関の責任をあいまいにしかねない本改正の内容には反対であります。

 以上の理由から、預金保険法の一部を改正する法案に反対いたします。

石田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより採決に入ります。

 預金保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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