衆議院

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第17号 平成23年4月30日(土曜日)

会議録本文へ
平成二十三年四月三十日(土曜日)

    午前十一時六分開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 泉  健太君 理事 大串 博志君

   理事 岸本 周平君 理事 古本伸一郎君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 竹下  亘君 理事 竹内  譲君

      東  祥三君    網屋 信介君

      五十嵐文彦君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    大山 昌宏君

      岡田 康裕君    柿沼 正明君

      勝又恒一郎君    木内 孝胤君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      菅川  洋君    玉木雄一郎君

      玉城デニー君    豊田潤多郎君

      中島 政希君    中塚 一宏君

      中林美恵子君    松原  仁君

      三村 和也君    柳田 和己君

      吉田  泉君    吉田 統彦君

      和田 隆志君    今津  寛君

      近藤三津枝君    徳田  毅君

      野田  毅君    福井  照君

      村田 吉隆君    茂木 敏充君

      山口 俊一君    山本 幸三君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         野田 佳彦君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   国土交通副大臣      池口 修次君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   政府参考人

   (内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室長)            北川 慎介君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田中 一穂君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           今別府敏雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木 基君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  本田  勝君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三十日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     吉田 統彦君

  小山 展弘君     中島 政希君

  近藤 和也君     玉城デニー君

  豊田潤多郎君     大山 昌宏君

  竹本 直一君     近藤三津枝君

  徳田  毅君     福井  照君

同日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     豊田潤多郎君

  玉城デニー君     近藤 和也君

  中島 政希君     小山 展弘君

  吉田 統彦君     勝又恒一郎君

  近藤三津枝君     竹本 直一君

  福井  照君     徳田  毅君

    ―――――――――――――

四月二十九日

 東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出第六七号)

は本委員会に付託された。

四月二十八日

 平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第一号)

は議院の承諾を得て修正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第一号)

 東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出第六七号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 本委員会において審査中の内閣提出、平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案は、去る二十八日、本院の承諾を得て内閣においてこれを修正し、平成二十三年度における公債の発行の特例に関する法律案となりました。

 内閣提出、平成二十三年度における公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。

 政府から修正の趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣野田佳彦君。

    ―――――――――――――

 平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案中修正

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 まず、委員の皆様に、お待たせをいたしましたことを、おわびを申し上げたいと思います。

 平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案中修正点の趣旨を御説明申し上げます。

 平成二十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るため、平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案を既に今国会に提出し、二月二十三日の当委員会におきまして提案理由を御説明申し上げ、これまで御審議をいただいたところであります。

 しかしながら、今般提出した、東日本大震災からの早期復旧を図るための平成二十三年度補正予算におきまして、その財源については、公債を追加的に発行せず、歳出の見直しや臨時財源の活用で対応することとしており、これに伴い、この法律案に所要の修正を加えることとし、四月二十八日に本会議の御承諾をいただきました。

 その修正点の内容は、法律案中基礎年金の国庫負担の追加に係る規定を削除し、また、法律の施行期日を公布の日とするものであります。

 以上が、今回の修正点の趣旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

石田委員長 これにて説明は終わりました。

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣野田佳彦君。

    ―――――――――――――

 東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 ただいま議題となりました東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 今般、東日本大震災に対応し必要な財政措置を講ずるため、平成二十三年度補正予算を提出し御審議をお願いしておりますが、本法律案は、これに必要な財源を確保するため、財政投融資特別会計、外国為替資金特別会計、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に関する特別措置を定めるものであります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、平成二十三年度において、特別会計に関する法律第五十八条第三項の規定にかかわらず、財政投融資特別会計財政融資資金勘定から、一兆五百八十八億円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができることとしております。

 第二に、平成二十三年度において、特別会計に関する法律第八条第二項の規定による外国為替資金特別会計からの一般会計の歳入への繰り入れをするほか、同特別会計から、約二千三百九億円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができることとしております。

 第三に、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、平成二十三事業年度について、特例業務勘定における積立金のうち、一兆二千億円を平成二十四年三月三十一日までに国庫に納付しなければならないこととしております。

 第四に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構は、平成二十三事業年度について、高速道路勘定から、二千五百億円を平成二十四年三月三十一日までに国庫に納付しなければならないこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室長北川慎介君、国税庁次長田中一穂君、厚生労働省大臣官房審議官今別府敏雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君、国土交通省道路局次長佐々木基君、航空局長本田勝君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木内孝胤君。

木内委員 民主党、木内孝胤でございます。

 本日は、持ち時間がもともと二十分だったわけでございますけれども、いろいろな関係で十分強ということになりまして、前置きはすべて省略しまして本題に入りたいと思います。

 本日は、東京電力、原発の賠償対応とその東京電力の支援スキームについて、これに焦点を当てて質問させていただきたいと存じます。

 東京電力の財務状況と支払い能力についてでございますが、おととい、原発事故に対する損害賠償の指針づくり、これを進めている原子力損害賠償紛争審査会、この一次指針がまとまりました。原発が安定的な冷温停止状態、この時期がまだわからないこと、あるいは中間指針が七月であること、損害賠償範囲が決まっておりませんので損害賠償額は当然わからないわけでございますけれども、いろいろな試算では数兆円から、あるいは場合によっては十兆円を超えるという試算もございます。

 こうした中で、政府としましては、東京電力の現在の財務状況そして支払い能力についてどのように認識されているか、お伺いをいたします。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力の財務状況でございますが、直近の平成二十二年度の第三・四半期の時点では、資産十三・二兆円、負債十・六兆円で、純資産約二・六兆円ということになってございます。

 委員御指摘のとおり、これから東京電力は賠償責任を果たしていく必要がございますが、政府としても、被害者の方々が適切な補償を受けられるように万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。

木内委員 東京電力の監査日は五月十七日でございます。私の現状の認識としましては、この五月十七日の前に政府がきちんとした支援策を発表しない限り、銀行の債務者区分は、現状の正常から要注意あるいは破綻懸念になり得る、あるいは格付会社、R&IですとかJCRの格付は格下げになることはかなり明確であるというふうに認識をしております。

 政府は同様の認識をされていらっしゃいますでしょうか。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたとおり、政府としても、東京電力の賠償責任、これに対して被害者の方々が適切な補償を受けられるよう万全を期してまいるということで、そうすることによりまして、金融市場への影響を可能な限り回避することにつながるというふうに考えております。

木内委員 その支援スキーム、いろいろ新聞報道等でありまして、先般も、柿沼委員から何か検討しているかということに関して、いろいろと検討していかなければならないというふうなやりとりがございましたけれども、私、その原発対応の賠償と主要論点について、以下のとおり考えております。

 これは、一つは被災者への早期かつ十分な賠償支払い、二つ目が支払い賠償金の原資の確保、三つ目が電力の安定供給、そして今話がありました、四番目が金融市場への影響、五番目が国民負担の軽減、そして六番目に関係者の責任の明確化、この六点が主要論点だというふうに考えております。

 しかしながら、この国民負担を軽減させるということが逆に金融市場の不安定につながったりとか、あるいは責任を明確化させることにより金融市場が不安定化する、あるいは十分な支払い賠償ができない、そのような形につながりかねないというふうに懸念をしているわけでございます。

 きのうの予算委員会におきましても、みんなの党の渡辺党首が国有化をするべきではないか、そのような提言をされていらっしゃいました。しかしながら、国有化をする、すなわち株主責任や社債権者の責任が大き過ぎると、今度はこれは金融市場への悪影響という形につながるわけでございます。

 こうしたさまざまな論点を踏まえて、先般も後藤田委員から東京電力発の金融恐慌になってはならない、そのような質問がございましたけれども、私は、今この論点が、いろいろな方がいろいろな形で混乱をさせているような状況で、逆に五月九日ぐらいをめどにこの支援スキームを発表しなければならない、しかしながら、与党、野党も含めて、全くこうした論点の整理ができていないのではないか、そのように感じております。

 そうした支援スキームの論点及び各種スキーム、検討案がございましたら、教えていただければと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 今般の東京電力福島第一原子力発電所の事故による原子力損害につきまして、これは大変広範な影響を及ぼす事態になっており、また現在でも被害の全容が明らかになっていない、確定していない、こういう状況にございます。

 この原子力損害の賠償につきましては、被害者の保護を図るとともに、原子力事業の健全な発展に資する、こういう観点から、原子力損害賠償制度が設けられておりますが、これは、民法に基づく一般の不法行為責任とは異なる特別の損害賠償制度として設けられてございまして、原子力事業者に対しまして、故意、過失がなくとも賠償責任を負うという無過失責任がございますし、原子力事業者のみが賠償責任を負うという責任集中の仕組みがとられております。さらに、被害者の保護と原子力事業の健全な発展のために必要なとき、こういう場合には、国は原子力事業者に対して必要な援助を行うものとされてございます。

 こうした中、今般の原子力損害につきましては、一義的責任を負う東京電力が賠償責任を果たしていかねばならないと考えてございますけれども、その損害賠償が早期かつ確実に実施されるよう、国として万全を期してまいる所存でございます。

 その際、早期に被害者の方々への適切な賠償がなされる、これが何より重要だと考えてございますけれども、委員御指摘のとおり、電力の安定供給を確保する、あるいは金融市場への悪影響を抑える、こういうことも必要であると考えてございます。さらに、御指摘のとおり、国民負担のあり方につきましては、国民の皆様の御理解を得られるようなものとしていかねばならないと考えてございます。

 以上のような点をしっかりと念頭に置きながら、現在、海江田原子力経済被害担当大臣を中心に検討を進めているところでございます。本日委員御指摘の点も十分踏まえながら、さらに検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

木内委員 各利害関係者の応分の負担を決めてそれをスキームに落とすという作業は、非常に難しい困難な作業でございます。

 こうした中で、新聞報道をベースに議論しては意味がないというのは承知の上で、交付国債をその財源にするというような話がございました。交付国債というのは国民負担と言えるのかどうか、ややあいまいな点がございます。こうしたことを、だれがどのような形で負担をするのか。私は、この発表のタイミングは恐らく連休明け、以内ぐらいに発表されるのではなかろうかと推察しておりますけれども、こうした議論が全くされないままで、また、これを発表した後に、逆に、これは市場商品でございます、これが悪いスキームだと後から言われても、株価、社債市場、その他大混乱が起こると予想されております。少なくとも発表するまで、あるいはその案を決めるまで、与党、野党を問わず、しっかりとこうした事情の説明をしていただきたい、そのように考えております。

 一方で、難しいのは、これは根回ししますと情報が漏れる、漏れるので説明ができない。したがいまして、私としては、私が先ほど申し上げたような論点をしっかりとスキームに落とした上で、そうした考え方の整理をきちんと根回しといいますか、事情説明をして、与党、野党、納得いくような形で説明を願いたい、そのように思っております。

 そして、この交付国債についての位置づけ、考え方について、お伺いをいたします。

野田国務大臣 賠償に向けてのスキームづくりを今政府内で検討しておりますが、今何をどうするかを確定的に申し上げられる段階ではございません。委員の今の御指摘も踏まえながら対応をさせていただきたいというふうに思います。

木内委員 私は決して国民負担をするのが悪いというふうには申し上げているつもりはございません。

 今回の処理は、住専処理、あの六千八百五十億円の処理をした際に、国民の反発が大きく、結果としてその後の不良債権処理がおくれた、それと似たようなケースになり得ると考えております。もし、初期の国民負担をすることにより中長期の国民負担を減らすということにつながるのであれば、それをきっちりと説明した上で国民の皆様に理解を求めて、そして、きちっとした公的資金を注入する、これは私はやるべきだというふうに考えておりまして、そうした説明を省略しないで、ぜひこうしたスキームづくり、もう残された時間はわずかでございますけれども、御努力をいただきたい、そのように思っております。お願いをいたします。

 あと、復興財源について、これはちょっと希望ですけれども、やはりこういう状況ですので、子ども手当、高速道路無料化、いろいろな財源をどうするのか。

 私は、赤字国債もよくない、あるいは歳出振りかえもよくない、いろいろ思いますけれども、そこら辺の議論というのは、みんなが痛みを分かち合って復興に対して向かっていかなければならない、そのような状況の中で、これも全く、与党、野党を問わず、説明が不十分ではないかと私は考えておりますので、けさの新聞の一面を見て驚愕しながら、私はきょう質問していいのかと思いながら質問に立っているような状況でございますので、その点については十分議論をしていきたい、そのような要望を申し上げて、終わりのあいさつとさせていただきます。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、福井照君。

福井委員 自由民主党の福井照でございます。おはようございます。

 利便増進事業から二千五百億円召し上げという案になっておりますので、これはまさに高速道路政策、道路政策の根幹にかかわることでございますから、国土交通委員会でそのポリシーについて議論すべきだったということをまず最初に申し上げておきたいと思います。

 まず、きょうは池口副大臣に御来臨賜りましたので、ただでさえ右往左往していて、一般国民の一人である私にとっても、きょうのポリシーときのうのポリシーと、では、あしたのポリシーは一体どうなんだということでございます。

 民主党のマニフェスト、何年かかるかは別としまして、全国の高速道路無料化を旨とするということをおっしゃって、三百議席以上をおとりになったわけでございます。では、その後、一体どうなっているのか。

 きのうは、また後ほど御質問させていただきますが、菅総理が、東北道は無料化するということも重要な選択肢のうちの一つであるというふうな積極的な御答弁もございました。この二千五百億円は、民主党の当初の案だった二千円、そしてずっとやっておりました千円、この二つの割引をやめるということ、そのかわりマイレージを復活するという、三年分の予算が二千五百億円というふうに了解をしておりますけれども、とにかく、この補正予算、復旧のための予算が成立するこの日、この時間に、結局、今の政府の高速道路料金政策というのは一体何なのか、もう少し時間がかかるというんだったら、一体いつまでにどのような手続で決めるのか、まず教えていただきたいと思います。

池口副大臣 福井委員の質問にお答えをしたいというふうに思います。

 まず、今回の高速道路の無料化の一時凍結と上限制の廃止でございますけれども、これについては、大震災の、ある意味、予算を確保するためにどうするのかという議論が内閣の中でされたというふうに理解をしておりまして、その内閣の同意を含めて、大臣間で、国土交通大臣も含めて合意をしたものがございます。その中では、今回の復興を優先するということで、国交省としては、従来、予算で、成立の中で組んでおりました無料化実験については、一時凍結をします。それと、料金割引、これは別途の財源でやっていたわけですけれども、この中から、上限制を廃止した中で、二千五百億円を今回の東北道の復興のために使うという確認をした上で、今回の法改正になったというふうに思っております。

 その中で、もう一つの無料化をどうするのかということにつきましては、これは、きのうあたりの、我々はマスコミでしか知っていないわけですけれども、与野党の中で議論が始まるということでございますので、この結論を踏まえて、国交省としてはこの無料化をどうするのか。とりあえず今年度については凍結をしますので、実験をすることはあり得ないんですが、来年度以降はどうするのかということの進めになろうというふうに思っております。

 あと、では、二千五百億円を今回拠出するということで、当初は、これは利便増進ということで三兆円の枠を確保していただきました。そのうち、過去二年の中で一兆円を既に使っておりますので、二兆円、それと、今回二千五百億円を拠出するということですから、一兆七千五百億円ということになります。この一兆七千五百億円を使って、今後、この料金割引をどうするのかということについては、我々としては、高速道路の利便増進事業というのは重要な政策である、震災よりはランクは落ちるわけですけれども、これからの政策としては、より広い人に高速道路を使ってもらうということは必要だというふうには思っておりますので、基本的には、従来、四月から導入をしようとしていた割引制度については、導入をしたいというふうに考えております。

福井委員 最初、前原大臣のときから、無料化の定義すらはっきりしていただけなかったということでずっと推移をしておりまして、今、まだ、いつまでにということをおっしゃっていただけなかった、これについては大変残念ですけれども、そのことについては、ちょっとこっちに置いておきます。

 今回の二千五百億円を考えるときに、議論の出口が二つありまして、今副大臣がおっしゃっていただいた料金政策、利便増進事業が料金で完結する場合の料金政策。そして、もともと、去年でしたかおととしでしたか、民主党の案としてあるいは政府の原案として出てきた、利便増進事業をスマートインターから高速道路の四車化、あるいはミッシングリンクの解消というところまで展開をするという考え方。その事業をするのと料金政策、この二つに出口がありまして、それを二つ両副大臣に整理していただいた上で、それで野田大臣にコメントをいただきたいと思います。

 まず、事業をする方ですね。これは、阪神・淡路のときも、近畿道の舞鶴線まで使って、要するにネットワークとしてリダンダンシーをまさに活用していただいたことがございました。今回も、東北道、この背骨がしっかりしているから、肋骨の道路を啓開してまさに復旧に当たっていただいたわけです。

 今回、私も土木屋ですけれども、大変たくさん反省をし、そして勉強をさせていただきましたが、一番本質的に反省しなければならないのは、ダメージコントロールの考え方が我々はなかったということですね。

 戦史を勉強されておる先生方ですからよく御存じのとおり、あの珊瑚海海戦では日米のダメージは引き分けだったんですね、空母も戦艦も同じようにダメージを受けた。だけれども、アメリカ軍にはダメージコントロールの考え方があったので、ダメージはあり得べしと。だから、空母のダメージを最小にするための設計思想がもともとあり、そして、実際に修理をしてミッドウェー海戦に臨んだんですね。日本はもう精神論だけでしたから、当時は。もうこれは根性で頑張るんだということしかなかったので、ダメージコントロールがなかったわけです。

 今回の場合は、放射性物質の拡散というダメージをいかに最小化するかという考え方がなかったのが原発問題の本質だと思いますけれども、この高速道路を考えるときのダメージコントロールというのは、骨格となる高速道路ネットワークというのはやはり一万四千キロ必要だったんだということを、我々としてはもう一度学習させていただきました。そして、地域地域では、すぐに復旧できるように復旧時間最小、そういう考え方が必要ではなかったかなということ。

 ちょっと話がまた、連想の連想で御紹介しますと、昔の、すごい当初の国鉄の設計思想というのがありまして、三角形のトラスの鉄橋という、よくプラモデルとかありますけれども、あの三角形のトラス構造というのは極めてシンプルなんですね。計算するのも簡単、つくるのも簡単、だけれども鉄がたくさん要るんです。なので、土木工学科の教授が大変たくさん微分方程式を解いて、それで鉄の量を減らすということをこの数十年間ずっとやってきて、そして複雑、複雑にしてきたんです。なので復旧時間が長くかかってしまったということなので、やはり設計思想というのはシンプルで、そして地域地域ではやはり復旧時間最小、あるいは復旧に要するコスト最小という思想でいかなければならないなということを本当に実感させていただきました。話が長くなりました、迂遠しましたけれども。

 そこで、やはり高速道路というのは骨格であり、そしてそのリダンダンシーをネットワークとして発揮しなければならないということを直観し、そして学習をしましたので、改めて、二千五百億円の出口の一つの高速道路をつくるということに関して、池口副大臣と、そして財務の面から五十嵐副大臣にもコメントをいただければありがたいです。

池口副大臣 まず、今回、高速道路というものが震災に対して果たした役割ですけれども、一つには、三陸縦貫道というのは、今回の震災に対しても、場所的な問題もありましてほとんど震災の影響がなかったということの中で、発生直後の住民の避難場所ということになりましたし、救援救助活動をする道路としても活用ができました。

 さらに、東北道も含めて、高速道路はいち早く物資の輸送ルートとして動かすことができたということでは、大変大きな効果を発揮したというふうに思っておりますし、仙台東部道路につきましては、ある意味、津波を食いとめるための防潮堤という効果も果たしたという意味では、委員が言われましたように、高速道路の果たす役割は、今回の震災の中で、改めて社会資本として重要であるという認識を我々としては考えております。

 そういう中で、さらにこれからの災害の対応ということでは、災害に強い国土づくりをしなければいけないというふうに国交省としては考えておりまして、その中に、当然、高速道路のミッシングリンクをどうするのかということなり、高速道路が片側一車線でいいのかどうかということも含めて検討はしていきたいというふうに思っております。その検討の場として、四月七日に、国交省の中に高速道路のあり方検討有識者委員会というものを設置しまして、これからの高速道路のあり方、さらには高速道路をつくる場合の財源をだれが負担するのか、もしくは高速道路の管理をどうするのかという広い観点での検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。

 福井委員から、ダメージコントロールに関連して設計思想の重要性をお教えいただきまして、ありがとうございます。

 ミッシングリンクの解消について、財務の観点からどのように評価するかというお話が一点だったと思います。

 大変厳しい財政事情の中で、公共事業につきましては重点化、効率化を図らなければいけないということで優先順位を厳しくつけてやってきておりますが、国土ミッシングリンクの解消につきましては、二十二年度三千二百五億円から二十三年度予算三千三百七十六億円、五・三%の増額と重視をしてきたということで、財務省としての姿勢もおわかりをいただけるかと思っております。

 さらに、委員から、ミッシングリンクの解消や四車線化をさらに進めるために利便増進事業で実施をすべきではないかというお話があったと思いますが、現在、利便増進事業の対象としては、高速道路の料金割引とスマートインターチェンジの整備に限定をされておりまして、これを高速道路整備の一般的なものに当てはめようとするためには法律改正が必要となっております。

 二十二年度、十二月の臨時国会におきましても、道路財特法の改正法案が提出をされましたけれども、審議に付されずに廃案となっておりまして、その上で、国交省の方でどうするか、今、池口副大臣の御答弁にありましたとおり、協議をなされているところと承知をしておりますので、その協議の結果を待って、私どもとしては対応してまいりたいということでございます。

福井委員 ありがとうございました。

 もう一つのイシュー、料金。これは、料金施策、割引の制度はもう多段階、多層になっておりまして、一番上が民主党提案の二千円、その次が休日千円、その次は平日三割引き、その次が休日割引ということで、あと二段階ぐらいあるんですけれども、その次の割引は、まさに地域の物流を支える、中小企業であるトラック会社、運送会社の方のための、平日の普通の時間、物流をしていただく、まさに日本経済を支える物流、そして、特別枠は橋本政権時代の物流枠から始まってというぐらい、日本経済の抱える物流問題をずっと解こうとしてまだ解決していないということで、平日三割割引というのが次の階層になっているわけです。

 それで、たまたま私も四国なんですが、本四も、バリアだったんですけれども、本当に割引をしていただいて、三万台から五万台ということでほぼ二倍ぐらいの交通量が今あるようになりました。潜在的な地域の力、経済力が今やっと発揮できつつあるということでございますので、今回の二千五百億円は、先ほどおっしゃったように復旧の財源ということでいたし方ないわけでございますけれども、次なる、今ある、それ以外の料金施策については、ただでさえ日本全体を支えなければ、元気にしなければならないというときに、どうしても必要なものではないかというふうに思料いたしますけれども、そのことについてのコメントを、また両副大臣からよろしくお願い申し上げます。

池口副大臣 まずは、本四の三本の橋の意味合いですけれども、我々としては、やはり、四国の人が、ある意味、経済が発展をするという意味では、道路でつなぐのは本四の橋しかないわけですから、この利便を向上しながら、四国の、もしくは、橋のもう一方の側の中国側もしくは大阪側の利便を図る上では重要なものであるという認識をしております。

 そういう中で、今委員の言葉をかりますと、一階、二千円と千円については、今回は、上限制ということで、断念をするわけですけれども、それ以外の、特に時間帯割引等については、輸送の面、物流の面等、あと都市部等では、生活、通勤割引等もありまして、これについては、我々としては必要な割引であるというふうに考えておりますので、全体的な財源の問題もありますけれども、極力継続をしなければいけない割引であるという認識をしております。

五十嵐副大臣 私どもの方も、上限制については、今回は震災の方に財源を回させていただくということで、あとのその他の割引については、本四については本四独自のものもあると伺っておりますが、微調整はあるかもしれませんが、根本的には、今、池口副大臣が答弁されたとおりで、協議をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

福井委員 ありがとうございました。

 では、野田大臣、お待たせをいたしました。

 今、両副大臣がおっしゃっていただきましたように、残る料金施策も大事、そして高速道路をつくる方も大事ということで整理をしていただきました。

 今回、しかし、利便増進事業から二千五百億円を国庫に納付するということの法案を今審議しているわけですけれども、高速道路政策、道路政策、公共事業政策、あるいは国土全体の管理政策から見て、復旧復興に要る高速道路も必要なわけですね。宮城県知事からももう陳情も出ております。

 この二千五百億円で、利便増進事業から国庫に納付するのは今回限りというふうに了解してよろしいかどうか、コメントをいただきたいと思います。

野田国務大臣 今般、利便増進事業の見直しをして復興のための財源に充てるということは、国土交通大臣と国家戦略大臣と三人で協議をして、この方向性を決めさせていただきました。

 その上で、今後どうするかということでございますが、今回は早期復旧のための予算ですけれども、今後、復興に向けての財源をどうするかという議論になってまいります。歳出歳入両方含めて、野党の御意見も含めて対応していきたいと思います。

 その中で、利便増進事業をどうするかということについては、これは基本的には、この制度の趣旨は、高速道路利用者の利便の増進であり、そして道路交通の円滑化であります。その制度の趣旨を踏まえて、国土交通大臣としっかり協議しながら適切に対応していきたいというふうに考えております。

福井委員 ありがとうございました。

 国土交通大臣と協議しながら適切に処理してまいりたいということで、重く受けとめさせていただきたいと思います。

 せっかくの機会ですから、野田大臣、私も元役人ですから、本当にグリップのきいたしっかりした答弁をされているということで、御尊敬申し上げておりますが、しかし、事この今回の震災の事態対処に当たっては、まさにその国会答弁が邪魔していると思うんですよ。

 菅総理は、私に言わせれば、世界で初めての指導者じゃないかと思ったのは、震災直後に、私は頑張っていますとおっしゃったんですね。そんなことを言う指導者というのは、今まで、歴史上、数千年間なかったはずでございます。今回の緊急事態は必ず克服されなければならない、国民と一緒に頑張りましょうとか、せめて、国民の皆さん頑張ってくださいと言うのが、普通の、今までの各国の指導者だったと思います。

 どうしても、ですから、きのうの渡部恒三先生の演説、私も感動しましたけれども、みずからを無にしてこそ指導者が指導者たり得るということでございましたし、たまたま震災前も、今の日本の状況を評論するに、政局でも政策でもない、とにかくガバナンスの不在であるというのがございまして、まさにそれがいわば常識になりました。

 ガバナンスの不在というのは、ガバナンスする方の、指導者の方の、首に縄をつけてでも国民にこうさせるんだ、そういう気迫、気概がないという意味でのガバナンスの不在ということだったんです。まさにそれが今回の震災で透けて見えてしまったのではないかということで、別に、人格攻撃しているわけでも、菅さんがだめだと言っているわけでもないんですけれども、しかし、これは政治全体で受けとめなければならないことだと思います。ガバナンスの不在、すなわち、指導者の指導者たる気構えの不足ということだと思います。

 国会答弁上も、私も国会答弁を書いていましたからわかります。わかりますが、しかし、公物管理の世界で、公物管理者が責任を問われないようにとか、あるいは言質をとられないようにとか、今後そういう約束ができないのにもかかわらず約束してしまうことを避けるとか、そういう答弁というのは今要らないんですよね。要らないんです。

 のりを越えても、まさにきのう渡部先生がおっしゃったように、国がすべて責任を持つんだ、最後まで責任を持つんだ、南相馬に、福島に、ふるさとに一人残らず国が責任を持って帰すんだ、これを言ってほしかったということで、きのう、やっとそれに近いことを総理大臣はおっしゃいましたけれども、まさにそこだと思うんです。国の責任において、つまり、そして国の財政の責任において、私は必要なものはすべて、その責任において、その責任者としてやり切りますというふうにぜひ今後ともおっしゃっていただきたいと思います。

 今の答弁は、多分、では、それをどういうふうに変えたらいいかということじゃないと思いますので、そういう人情も含めた、国交大臣と協議しながら、財政的な状況も見ながら適切に処理してまいりたいという言葉は重く受けとめさせていただきましたので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、命を救った道ということで、これは三陸縦貫道というのは、我が四国の高知県の高速道路もBバイCが極めて低くて、かすかす、すれすれ、やっと事業化しているという状況で、それよりもと言っては失礼ですが、交通量から見て三陸縦貫道というのは着手が遅くなったというのが、その証左になっているわけです。

 しかし、現場に行って教えていただきました。三陸縦貫道に行ってやっと命が助かった。避難場所にもなったし、そして、細切れになっていますが、今ある三陸縦貫道を利用して、本当に啓開、復旧活動が支えられたということがございました。なので、東北の地域の中でいち早く四車化、これはもとのAダッシュ路線もあるし、B路線もあるんですけれども、すべての人的、財源的資源を投入して、いち早く東北から四車化のネットワークをつくるべきだと思いますけれども、池口副大臣の御所見をお願いしたいと思います。

池口副大臣 三陸縦貫道を含めて高速道路の施行方式については、委員は十分承知をしているというふうに思いますが、実は、BバイCが十分あるところは、NEXCOがつくって有料道路でやる方式と、BバイCは若干下がるけれども、どうしてもある意味、命の道路として必要なところは、新直轄方式ということで、国がつくって無料でやるという二つの方式があるんですが、その境のところをどうするのかというところが、実ははっきり施行方式が決まっていなくて、いわゆる合併方式でやるしかないんじゃないかということでございます。

 これについては、基本的には、三陸縦貫道を早くつくるべきだという声が強いというのは国土交通省も認識をしておりますので、どういった施行方式でやるかということも含めて、これからできるだけ早急に検討させていただきたいというふうに思っております。

福井委員 ありがとうございました。

 最後に、大臣からまたコメントをいただきたいと思います。

 鉄建機構からの一兆二千億、これも右往左往しまして、二兆五千億の一部だと言われた時期もありましたけれども、復旧の財源ということなれば、自民党のいろいろな先生方もいらっしゃいましたけれども、それはいたし方ないということで、一応意見はまとまったわけなんです。

 しかし、そのスキームの同じ土俵で、やはり、在来線並行路線の整備、それから三島と貨物会社、負債で、民営化、株を一株も売れないという状況にまだ呻吟している旧国鉄の会社の支援、そして整備新幹線の建設ということで、そういうスキームがそこにあって、一兆二千億は国庫に納付するということになっております。その基金に収入は今後ともあるということでございますので、ここについては、このスキームについてぜひコメントを、この場で、この復旧予算の成立する日にいただかないと困るわけなんです。

 そこで、ちょっと先ほど申し忘れましたが、あと二分あるので。

 もう何年も前から国交委員会では御紹介しているんですけれども、ムダどり学会というのがありまして、いろいろな学会がありますけれども、ムダどり学会というのがあるんですよ。これは、複雑系の数学者が会長で、副会長が、東芝や日立や、すべての工場の生産ラインの無駄を取り切った実践者なんですね。

 そういう人がコラボレーションして、どうやったら無駄取りができるかという学会をつくって、結論が出たんですよ。無駄取りの極意、ただ一つ、すべての人間を使い切ることなんですよ。すべての人間を使い切ること。すべての人間を使い切ったら、やっと無駄が取れるんだ、これが極意なんですよ。おもしろいでしょう。おもしろいと言ったら失礼ですけれども、こんな人情的な結論はないなと本当に思いました。だって、複雑系の数学者の結論ですからね。

 二・六・二の話もありますし、とにかくすべての人間を使い切ることが無駄を省くことだということにつながるということは、今回も、最初の集中投資、港町を三つか四つに集中する、それはしようがないでしょう。しかし、すべての人間が生きるようにということは、すべての中山間地帯、小さくてもすべての港町が生きるようにというのは、これは当然復興のコンセプトでなければならないし、この日本の、今後、領土の経営方針にしなければならないというふうに心から信じております。

 そんなことも参考にしていただいて、それは並行路線とかありましたから御紹介申し上げたんですけれども、一兆二千億円を納付するその法案を審議するに当たって、今後の鉄道のポリシー、そして今後の国土経営のポリシー、ぜひ財務大臣から御紹介いただければというふうに思います。

野田国務大臣 今の福井委員からのムダどり学会のお話、大変興味深くお聞かせいただきました。

 かつて松下幸之助さんが、鳴かぬならそれもまたよしホトトギスと言ったことがあって、鳴かないホトトギスがいてもいいという考えで、適材適所ですべての社員を使い切るということをやられました。私はそれと共通するものがあるなというふうに思いました。大変いい御指摘をいただいたと思います。

 その上で、今回、鉄運機構から一兆二千億円、国庫納付していただくということ、これは、昨年の予算編成の段階で当時の馬淵国交大臣と協議をして決めさせていただきましたけれども、それにあわせて、関連施策の重要性にかんがみまして、JR三島、貨物会社の経営自立支援のための施策五千九百九十億円、それから整備新幹線の着実な推進及び並行在来線の経営支援のための施策二千五百億円、計八千四百九十億円規模の鉄道関連施策を講ずることといたしました。加えて、平成二十三年度予算において、一般会計において、整備新幹線整備事業費補助七百六億円を初め、国土交通省鉄道局関係予算として一千億円を上回る予算を計上させていただきました。

 鉄道政策の優先順位等は、これは当然国交省がお決めになる話でございますけれども、こういう重要性をかんがみながら、協議をしながら、きっちりと対応していきたいというふうに思います。

福井委員 時間が参りました。ありがとうございました。終わらせていただきます。

石田委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 まず、大臣に、質問に入る前に二つほどお伺いしたいんですが、一つは、このたびの三党合意、これは政党間での合意でございまして、政府は直接的に、政府・与党ということですから、関係は非常にあるという考えもあるし、党のことですからという御答弁をされるかもしれません。

 このたびの法案を通す前提となった三党合意について、政府内の財務大臣としての御感想をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 昨日合意をされた三党の政策責任者による合意というのは、今般御審議いただいている平成二十三年度の第一次補正予算、そしてこの関連法案、その扱いに大変大きな影響があるものでございますので、それを踏まえての御対応だと思っていますので、政府としても、当然のことながら、この三党の合意は重たいものだとしっかり受けとめて対応していきたいというふうに考えております。

後藤田委員 もう一つは、これは政治的な話になりますが、今回の震災対応についての菅政権に対して、民主党の内部からいろいろな声が出ております。一つには、さきの民主党の御出身である西岡参議院議長の御発言、または昨日の渡部恒三議員の事実上の退陣要求ですね、これは。我が党の谷垣総裁に頭を下げて、総理になってくれと言うべきだったと。つまりは、我々も、自社さ政権のときの社会党の村山さんを総理にした、それぐらいの覚悟を持てという、いい意味での旧自民党田中派的な、何か心のある政治家の発言を、私は非常に感銘を受けたわけでございます。

 加えまして、きのうは内閣参与の方が涙の記者会見、いわゆる原発対応について場当たり的だということで、もう本当に政権与党内がメルトダウンしてきたなという気がしております。

 そういった状況の中で、財務大臣はどのような受けとめ方をされているか、お伺いしたいと思います。

野田国務大臣 私は、菅内閣の一員でございます。菅総理をしっかり支えていくというのが私の役割だと思います。

 いろいろ大所高所から、きのう、渡部先生も御意見もされました。私も感銘を持って聞いておりましたけれども、今大事なことは、この大震災の復旧復興という、本当に時間との勝負、そしてその都度正しい政治決断をしていかなければならないときでございまして、表現が妥当かどうかわかりませんが、今まさに大事な手術をしているときに、その執刀するドクターをそう簡単にかえる話というのは、私はあり得ないだろうと思います。私は、そのドクターの汗をふいたり、メスを渡したりしながら、しっかり支えていくことが役割だと思います。

 今、参与の話等々含めてありました。反省しなければならない点はいろいろあると思います。そういうことは真摯に受けとめながら、まさに国家国民のために頑張っていく菅内閣にしなければいけないと考えています。

後藤田委員 当然、内閣の一員は政権を支えるという立場ですけれども、支えるというのは、ただ単に従属する、隷属するということではなくて、私は逆命利君という言葉が好きなんですけれども、従命利君、命に従って君に利するのではなくて、命に逆らいて君に利するという、それぐらいの思いがないと本当の意味で支えていることにならない。

 今、いろいろ問題はあるというような御発言も、反省すべき点はあるということをお話しになりまして、具体的に何が問題なんですか、何を反省すべきだと思っていらっしゃるんですか、大臣。

野田国務大臣 総じて、先ほど来委員が御指摘のような御批判を受けたり、あるいはアドバイスを受けたりするという局面局面が出るということは、これはやはり反省する余地があるんだろうと思います。

 さっきの参与の問題も、それは、原子力政策についてはいろいろな意見があると思うんです。自分の意見が取り入れられなかったからやめられたというお話でございますが、それはそれで、菅総理なりにいろいろな御意見を聞きながら政治判断しているはずでございますが、それがそういう形で外に出る、あるいはやめるという現象になるということは、これはやり方としてはやはり反省点があったんだろうと思います。

後藤田委員 次に、このたびの震災はいわゆる想定外だという発言が、当初、目についたわけでございますが、しかし、過去のいろいろな事例をかんがみると想定内だったと。

 やはり、過去にそういう大きな震災があって、その対応ができていなかったというふうに私は思っているんですけれども、大臣、どうお思いですか。これは想定外だったんですか、想定内だったんでしょうか、このたびの震災対応。もちろん、それは津波の被害、地震の被害もそうですが、原発の対応も含めて、想定外だったか内だったのかというのは、大臣はどのようにお受けとめいただいていますか。

野田国務大臣 きちっと想定をしていれば、このような、例えば原発の事故等が起こっているはずはないんですね。想定をしていれば、その対応をしているはずです。その意味では、想定より規模の大きい大津波が来て、それに対応できなかったということは、これは客観的な事実だと思います。

 ただし、想定外を理由として、あれができない、これもできないという言いわけをすることは、これからはもう許されないだろうというふうに思います。私も、こうやって答弁に立つと想定外の質問もよくいただきますけれども、それはそれで対応しなければならないわけですから。

 設計等々を含めて、想定外だったことは間違いないと思います。でも、それを言いわけに対応がおくれるということは、あってはならないというふうに思います。

後藤田委員 そこで、やはり、我が財務金融委員会では、いつもここで申し上げていますが、我々の使命というのは、金融機能の安定、そしてまた安心というのを国内外に発信するということだと思います。そういう中で、金融市場もそうでございますが、その一角を占める国債市場についてでございますが、この場でも何度も大臣と、先般も、財政運営戦略については変更しないという強い財政健全化に向けた発信をしていただいたと私は思っております。

 やはり、これからの震災復興への歳出、これから一次、二次補正、そしてまた税収減、そして少子高齢化と、どんどんお金が要るようになってまいります。そんな中で、やはり、国債の暴落の危機、何もやらなければそういったことが起こるということが現に言われております。もし、何もやらずに国債が暴落したときに、これは想定外だったということはもう言えないと思うんですね。

 この国債の暴落の危機というのは、大臣、これはもう今現時点で想定内ということでよろしいですか。

野田国務大臣 間違いなく、日本の債務残高が対GDPで主要国の中では最悪の水準であるということは、これはもうマーケットが注目している一つの材料だと思います。加えて、その債務残高といわゆる国内貯蓄との差が縮まってきているという状況の中で、これ以上野方図に国債を発行するということは、余りそういうリスクの話を殊さら強調したくはありませんけれども、何らかの引き金を引きかねないと思います。

 ということは、震災という、こういう状況でありますけれども、これへの対応もしっかりしながら中期的な財政健全化の道筋を日本はたどるんだというメッセージと行動を常に発信していかなければならないということを、自分の心に戒めて対応していきたいというふうに思います。

後藤田委員 もちろん、自分の心も大事なんですが、大臣は、財務大臣という立場で、そして政府の中でそれを発信する役割だと思います。

 もう一度聞きますけれども、財政破綻、国債暴落というのは、このまま何もしなければ想定内ということでよろしいですか。

野田国務大臣 そういうリスクが発生しないように、全力で、財政健全化の運営戦略に基づいた対応と、そして適切な国債管理政策をしっかりやっていくということでございます。

後藤田委員 そういうことだと思います。想定内だなんて言ったら、また記者さんが、あしたの紙面に躍ったら大変だと思います。ただ、問題意識は共有していると思います。

 そういう中で、連立与党を組んでいる亀井代表なんかが、増税はだめだと。御党の中にもそういった声も大きくあるというのも伺っておりますけれども、亀井さんなんかの言う、いわゆる無利子国債を発行すればいいんだ、そうすれば増税なんというのは要らないんだ、そしてまた、埋蔵金もまだまだいっぱいあるというような話をよく発言されておりますが、これについて、連立を組む国民新党の代表である亀井先生の意見について、大臣はどうお考えでございますか。

野田国務大臣 無利子非課税国債、これは相続税を免除するというお話だと思うんですけれども、そうすると、無利子ゆえに失われる利子収入よりも、軽減をされる相続税の方が大きいという方がこの対象になると思います。その分、相続税が減るわけでありますから、税額が減るわけですから、国の財政収支にとっては悪化をする、マイナスになるというふうに思います。

 加えて、こういう特別な国債をつくることが必要なのかどうかなんですが、現時点、少なくとも震災発災後、さまざまな国債を発行してまいりましたけれども、これは円滑に、順調に消化されているということでございます。

 そういうことも含めて、私は、慎重な検討というか、では、何かどこかで成功した事例があるのかなんです。いろいろ調べましたけれども、主要国の中で、このいわゆる無利子国債にトライしたのは、フランス、一九五〇年代にピネー国債というのをつくっています。戦費調達のためです。これは評判が悪くてすぐやめています。

 ということも含めて、私は、慎重な検討が必要だと思います。

後藤田委員 無利子国債というのはそういうことなんだと思いますが、では、二次補正も含めて、これから、今年度予算も相当税収減で穴があくと思うんですね、今回の年金の問題のみならず。こうした場合における国債の発行というのは、今年度中、あり得ると考えてよろしいですか、一般的な国債の発行について。

野田国務大臣 当然、復興のための青写真が出てきて、それに対する対策の規模がどうなるか、それを実現するための財源はどうなるか、そういうプロセスをたどっていかなければならないと思いますが、当然のことながら、阪神・淡路大震災のときの第一次の復旧の予算、今回私どもが今提案しているものが四倍ですので、ということも考えると、相当な財政需要が復興についても伴うだろうと思います。

 では、その財源調達をどうするかということは、今の国債発行というのも一つのアイデアだと思いますが、歳出歳入含めて、あらゆる努力をしてつくり出していかなければなりません。仮に国債発行とするならば、では、どういう国債の発行の仕方にするのか、別に償還のルールを決めるか、そういうきめ細やかな議論をしていかなければいけないだろうと思います。

後藤田委員 今、歳入歳出という話がございましたが、我々も、今回の財源確保法、そして、その中核を占める約二・五兆の年金財源を、いわゆる、言葉は悪いですが、盗み金が盗まれて、欠損が起こっているわけですね、現に年金の方。それを法律で、税制抜本改革で穴埋めをしますということでございますが、当初は、皆様方、基礎年金の二分の一に引き上げる財源をしっかり示した上で、厚労省の方で二分の一、そしてこちらの方でしっかり財源を確保して出していたわけですね。なぜ今回は、二分の一の財源を明確に確保せずに、二分の一に引き上げるということを決めたのか。そこはどうして前の段階と今回の段階で違ってきているのかなと。

 やはり財源の裏づけがないと年金の不安もあおりますし、そもそも政府というのは、予算編成権を持つということは、裏腹に、財源の責任も持つということでございますから、そういう中で、今大臣おっしゃったように、もっと歳入歳出改革で、今回の年金の二分の一に向けた二兆五千億、この埋蔵金を復興に、第一次補正に回すのであれば、そのあいた部分を歳入歳出で補うことはできなかったんですか。これをまた六月、超党派の協議にとゆだねておりますけれども、この一カ月半の間にそういったものを探す御努力はされましたか。

野田国務大臣 冒頭、今回、年金の二分の一を実現するためには臨時財源を充てました、そういう形で御提起をさせていただいて、予算編成をさせていただきました。平成二十一年も平成二十二年も臨時財源で対応しました。それは臨時の法制上、財政上の措置がとれるというぎりぎりのところでやっていますけれども、ただ、実際に平成二十三年度の予算編成をして、もうこれは限界だなということは感じながらつくったんです。

 その上で、震災という、こういう状況を迎えて、その財源確保を最優先にしなければならない、そういう判断の中で、臨時財源の二兆五千億を年金ではなくて震災の方に使わせていただくということを、これも厚生労働大臣やあるいは国家戦略大臣と協議をして、最終的に政府内で合意をさせていただいたという経緯でございました。

 いずれにしても、税制の抜本改革でしっかりした安定財源を確保するということは、これはむしろ年金法の趣旨に沿っていくことになるだろうというふうに思います。

後藤田委員 このたび二・五兆をそういうことで緊急的にやった。今現在では金が見当たらない、しかし、六月になるんだか知りませんが、税制の抜本改革では金が出てくる、そういうことでよろしいんですか。今現在、探したけれども、ないけれども、税制抜本をやれば金は出てくる、そういうことでよろしいですか。

野田国務大臣 御指摘のとおり、六月までに社会保障と税の一体改革の成案を得ることになっています。その成案の中で、税制抜本改革、これは年金の部分についてもどうするかという具体的な方針が出てきますので、それを踏まえた対応をしていくということでありますし、むしろ、附則百四条も、これは二十三年度内に税制の抜本改革を行うということでございますから、これは、法治国家としては、その法律に沿いながら対応していくという趣旨にも整合的ではないのかというふうに思います。

後藤田委員 年金にしても、これは恒久政策だと思うんですけれども、そもそもやはり皆さん、財務省も財務大臣も、国際約束までして、閣議決定までして、恒久政策には恒久財源をということでやられていましたが、それも今まだかなっていない。

 では、お伺いしたいんですけれども、子ども手当というのは、政府としてはこれは恒久政策と考えてよろしいんですか。今後の議論にも大変大きな波紋を呼ぶと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたい。子ども手当は恒久政策だということでよろしいですか。

野田国務大臣 恒久政策とは何ぞやという、ちょっとどういう判断をしたらいいのかわかりませんけれども。

 私の立場からすると、子ども手当の例えば平成二十二年度分の対応、そして平成二十三年度分の対応、いわゆる歳出の見直しとか税制の見直しによって、恒久財源によって対応しましたという意味では、恒久的に考えていたということであります。特に時限を切ってという措置ではありませんでしたので、恒久財源を充てるということは、恒久的に続くということを前提としてつくっていた政策だったというふうに思います。

 とはいいながらも、今般の第一次補正予算の中でも上乗せ部分の見直しをしたりしました。そして、きのうの三党合意の中で、さらに見直しの議論を進めていくことになっています。という意味では、震災に対応するためには政策の優先順位をどうするかという議論をこれからしていく、そういう意味では、恒久的永遠ということではないということになったんだろうとは思います。

後藤田委員 では、震災がなかった場合でも、なかった前提で改めてお伺いしたいんですけれども、子ども手当は、民主党、政府・与党としては、恒久的な、恒久政策とは何ぞやとおっしゃったけれども、読んで字のごとくですよ、恒久的に永遠と続く政策ですよ、社会保障、年金とか医療のように。恒久政策として、今なおお考えでいらっしゃいますか。

野田国務大臣 期限を設けてつくらない政策ならば、基本的にはですよ。(後藤田委員「ならばじゃなくて、どうなんだと言っているんです」と呼ぶ)いやいや、恒久的と考えるべきだと思うんです。

 ただ、どんな政策ももろもろの情勢によって変更はあり得るわけで、今、子ども手当はそういう局面なんだろうと思います。

後藤田委員 それは局面によって減額したりするんですけれども、今現在で、もし震災が、ある程度の税の負担とか歳入歳出一体改革で担保できたとした場合、まあ、これからするでしょう、しなきゃいけないでしょう。そうしたときに、子ども手当は皆さんは別と考えるべきだと思うんですね、あれが御本尊様であるのであれば。

 ですから、その関係でいうと、六月に税と社会保障の成案を得るというんですけれども、では、この税と社会保障の一体改革には震災対応は入っているんですか。子ども手当も入っているんですか。いかがですか。

野田国務大臣 社会保障と税の一体改革は、直接震災対応ではありません。これは別個の考えで進めるものであります。

後藤田委員 子ども手当は社会保障の中に入っていますか。

野田国務大臣 幅広い意味で、少子化対策、子育て支援というのは社会保障だとは思います。ただ、今回の税と社会保障の議論の中で、それが、ストレートにどういう形で議論してまとめるか、これはまだ議論の途中なのでわかりませんが、広い意味では、もちろん当然、社会保障だと思います。

後藤田委員 ということは、さっき震災を理由におっしゃったけれども、社会保障としてとらえるならば、皆さんがあれだけマニフェストで訴えたわけですから、現時点でも恒久的な政策としてやるということに違いありませんよね。そういうことでよろしいですか。

野田国務大臣 きのうの三党合意の中では、マニフェストの中のいろいろなことを見直ししていくことは引き続きやっていくということが合意されていると思いますから、その観点は押さえておかなければいけないと思います。

後藤田委員 その言葉が聞きたかったんですよ。つまり、三党合意の見直しに子ども手当も入るという今の大臣の御発言というのは非常に重いな、もちろん党内もまとまっているんだろうなというふうに思いますので、そのことを改めて大臣も、三党合意の中の子ども手当の見直しというものをしっかりとやっていただきたいなと。

 もう最後、時間がありませんので申し上げますが、今回の基礎年金の二分の一の正当性の根拠。これはやはり、我々自公政権時代に、百年安心という中で二分の一にすべきであると。これは年金に不安を与えないようにということでやっておりました。

 これを今の民主党政権も引き継いでくださっておるわけでございますが、今の民主党政権にとっての基礎年金を二分の一に引き上げるという政策根拠は何でしょうか。我々とは違うはずなんですね。マニフェストでは皆様方は、最低保障年金ということをうたわれていたんですよ。その中で、ありがたいことに、我々の基礎年金二分の一をお守りいただいて、頑張って財源を確保してくださっているという、これは頭が下がる思いでございます。

 では、その二分の一に皆さんが引き上げる政策根拠というのは、マニフェストとの整合性も含めてどうお考えか、最後にお伺いします。

野田国務大臣 基礎年金の国庫負担二分の一というのは、これは年金法の法律上に明記をされていることでございますので、法治国家でありますから、その法律を守るために努力をするということは当然だろうと思います。

 我々がかつてマニフェストに掲げた、いろいろ年金の考え方がございます。この民主党案をベースにしながらも、いろいろな、例えばメディアの皆さんであるとか学識経験者の声も聞きながら、税と社会保障の一体改革の中で年金のあり方の議論を今している最中だというふうに理解をしています。

後藤田委員 今大臣おっしゃった、法治国家であって、でも、これは我が党が出しているんじゃないんです。今度また皆様方が法律を出すんですよ、国民年金法の改正を。もう皆さんに球は移っているんですよ。その法律を出すということと、出すのは、今度はもう民主党政権なんですよ。でも、出さなくてもいいんですよ、皆さんのマニフェストが正しければ。なぜ出すんですか。

野田国務大臣 基本的には、国庫の負担を上げていくということについて、そんなに相違は皆さんなかったはずでありますから、従来の法律はそうでしたし、今回出すものもその線に沿っている話であります。

 抜本的な改革を社会保障制度でどうするかという議論は、今やっている最中です。これはプロセスにありますので、そこでどういう議論が出てくるかによってまた対応が違うかもしれませんが、現時点では従来の法体系のもとに整合的に合わせているということでございます。

後藤田委員 どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、竹下亘君。

竹下委員 自民党の竹下亘でございます。

 財源確保法に関して質問をさせていただきます。

 まず最初に、本来ですと特例公債法、皆さん方が通してくれ、通してくれと、これが通っていたら今度の法律は前提が成り立たない、極めて異常な状況の中でこの新たな法律というのが、財源確保法というのが出てきておる。

 私どもは与党経験が長かったので、愚痴を言うわけではありませんが、普通そうした予算の本則にかかわるようなこと、あるいは財源の本則にかかわるようなことが起きた場合、必ず要求をされてきたのは、最初から本則を出し直せと、歳入も歳出も。

 それぐらい重要な、あるいはそれぐらい異常な状況の中での法律だという認識は、大臣はおありになりますでしょうか。

野田国務大臣 委員の御指摘のとおりであって、本来ならば、平成二十三年度予算とそれを裏づける、しかもその歳出総額の約四割を占める特例公債法案が一体として成立をしているならば、予算の執行等々、もう少し円滑にできるだろうとは思うんです。

 今回の平成二十三年度の予算に、そもそも自衛隊や海保の活動費であるとかあるいは地方交付税、これは災害対策で随分使われると思いますが、そういう災害対策、震災対策で使われるものもありますので、それを裏づける特例公債法が、早期に御理解をいただいて成立をさせていただくことは依然として大事な課題だというふうに思います。そういう状況の中での今回の補正予算とそしてこの財源確保法、そういう運びとなりました。

 という中での判断でございますので、ぜひ御理解を得ていきたいというふうに思います。

竹下委員 しかも、もう一つは、きのうの三党合意では、「年金臨時財源については、平成二十三年度第二次補正予算の編成の際にその見直しも含め検討を行う。」ということが書かれております。

 これはどういうことかといいますと、国債で何年かかかって、まあ一年で返済することも可能でしょうが、二兆五千億、年金に穴があく分を埋めていこうという思いがにじみ出ているということはあるとは思うんです。善意に解釈すればそうでありますが、しかし、それはもう一つ裏がありまして、一体改革というのは、将来の増税で社会保障の財源をしっかりとつくり上げていこうという合意がある。

 ただ、菅内閣でできませんよ。こんな信用を失った内閣でできるわけがありません。なおかつ、総理には、そういうものに取り組もうという覚悟も準備もない。だから今の支持率であり、だから我々が、震災に限ってあらゆる協力をきょうもしておりますが、菅さんと一緒に仕事をすることは日本を誤るという思いに至った背景があるということをぜひ御理解した上で、増税というのは、口で言うのは簡単ですが、物すごい覚悟と物すごい準備が必要なんだ、それがないんだという自覚をぜひ持っていただきたい。

 そういう前提で物事を考えますと、いわば、二兆五千億、あるいは二年、三年という状況になりますと、これが五兆円であり七兆五千億に、返す財源が膨らむわけですが、できるかどうかもわからない増税を先食いしていると、残念ながら言わざるを得ない状況でございます。非常に残念です。

 私も、かつて財務省にさまざまな御縁を持たせていただいた人間の一人として、これは財務大臣に体を張ってもらわなきゃいかぬな、あるいは財務省全体を挙げて、少なくとも、できるかどうかわからない増税の先食いなんという恥ずかしいことだけはやらないような覚悟を持ってやっていただきたいと痛切に感じております。

 財務大臣の所見をお伺いいたします。

野田国務大臣 国民が一番将来不安を覚えている最大の要因は、社会保障に対する、将来どうなるか、持続可能かどうかだと思います。その持続可能性を裏づけるのはやはり財政だと思います。それを一体として改革していこうという問題設定をしたのは菅総理御自身でございますので、覚悟がないという御指摘をいただきましたけれども、総理御自身が相当な覚悟を持ってこのテーマの設定をし、そして、六月までに成案を得たいというお気持ちを持っていることはぜひ御理解をいただきたいというふうに思いますし、私も、財務大臣として、社会保障を裏づける財政をどうするかということは極めて重要な問題でありますし、今、できないかもしれないという御指摘がございましたが、でも、どの内閣でやってもこのテーマは先送りできないテーマだと私は思います。私自身は、覚悟を持ってこの対応をしていきたいというふうに思います。

竹下委員 菅さんは覚悟を持って言い出したとおっしゃいますが、私にはどうしてもそう思えないんです。

 例えば、この前の参議院のときに消費税の問題を突然持ち出して、突然うやむやにして、あれこそまさに、覚悟も準備もなく口から出任せを言ったということの証左の一つであります。

 TPPの問題もまさにしかりであります。これも覚悟と周到な準備を持って、例えば韓国はそれでもやらないと決めたわけでありますが、その覚悟も準備もなしに、思いついたこと、あるいはだれかから聞いて耳ざわりのよさそうなことをぽんと言う、これが国民の信頼を失う最大の原因なんです。

 総理大臣が口にしたことはしっかりとやっていく、少なくともその覚悟を持って、それでもできるかどうかはわからないんです。しかし、その覚悟を持ってやっていくということが国の責任を持つ者の一番基本的な姿勢である。それが菅総理に見えないから、我々も怒っていますし、国民も菅さんと一緒は嫌だということを公言し始めておる。民主党の中でも最近大分公言が出てくるようになりましたが、実際食事をしたり、酒を飲んだりしていますと、ほとんどの人が私とそう変わらない認識を持っている。これは、国難とも言えるこの事態にこういう総理大臣を持っておること自体が日本国にとって最大の不幸である。最小不幸じゃない、最大の不幸である、私はこのように痛感をいたしておるところでございます。

 きのうは政調会長レベルでの三党合意というものが出てまいりました。子供に対する手当の制度的なあり方、高速道路料金割引制度を初めとするいわゆる四Kの見直し、あるいは法人税減税等を含む税制改正、早急に検討を進めると、今になって出てくる。

 いわば、一つは、統一地方選挙でがたがたになってきた、国政レベルの選挙では愛知六区で候補者も出せないという状況、そういうことで判断したというのならまだわかるんです、政局的な判断であると。しかし、先ほど後藤田委員と大臣の子ども手当のやりとりを聞いておりますと、恒久的な色彩の強い社会福祉、広い意味での社会福祉に含まれるという発言があったかと思えば、いや、あらゆる政策は未来永劫に続くものではないという発言もある。

 民主党にとって一丁目一番地ではなかったんですか。なかったならなかったと言ってほしいし、一丁目一番地であるならば、それこそ覚悟なんです。国民の非難を浴びて、あらゆる政策、半分以上賛成してくれる政策なんかないんです。大きな政策変更をすれば、必ずけがをする人、血が出る人、苦労をする人が出る。だから、政策を実行するには覚悟が要るんです。

 その覚悟の部分を、もう一度、財務大臣にお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 物事をなし遂げるために、そのためには覚悟と段取りが必要であるということは、委員のおっしゃるとおりだと思います。特に重たい政策課題に挑むときは、なおさらその覚悟と段取りの必要性というのは大きく増してくると思います。それを踏まえてきちっと対応しなければいけないと思いますが、今の最優先の課題は、この大震災からの復旧復興が最優先であって、そのための財源をしっかりつくるということが、覚悟と段取りの中でも最重要の事項になったんだと私は思っております。

 子ども手当についての言及がございました。これは、さっきも申し上げたとおり、恒久的の定義というのは難しいんですが、私どもにとっては、一丁目一番地というのは、それぞれの議員によって、例えば暫定税率が一丁目一番地だと思っている方もいらっしゃいますし、高速道路もあるかもしれませんけれども、それぞれが大事だと思ってきた政策テーマについても、さっき申し上げたとおり、最優先は今、復旧復興です。そのために、何がどこまで例えば削っていけるのか等々の議論をしていこうというのが、今回の三党合意ではないかと思います。

竹下委員 ちょっと納得できないなという部分が、震災を言いわけにしてというよりも、国民がノーと言っているという実感、国民の大多数が、腰の据わった政策ではないと。あるいは、子供や孫に借金を残す、もらうのは今の世代なんです、親なんです。もらうのは私たちで、その借金を返すだけが子供たち、孫たちの仕事である、それはおかしいねということを国民が言い出している中で、それがまさに、それ一つではないんですが、統一地方選挙の結果につながっており、愛知六区で候補者も出せなかったという事態につながっておる。

 政策の選択、震災ということ以前の判断というのが当然あっていいもの、私はこう考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

野田国務大臣 あくまで、統一選挙の結果、これはこれできちっとした総括が必要だと思います。だけれども、そのことがあって既存の政策を見直すという話では、これはございません。

 さっき申し上げたとおり、震災の後、対応していく、しかも、この国会がねじれているときに、速やかな合意形成をしながら財源をつくって、一日も早い復旧復興に向けて被災地に支援をするためには、各党の御理解を得ながら進めなければいけないという、この思いが一番のベースであって、選挙結果云々というようなお話ではないということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。

竹下委員 そこが多少、私と思いが違うところでありまして、それは確かに、震災が起きて、それをどう復興していくかというのはまさに最優先課題である、そこは共通の認識であります。しかし、そのことと、民主党の皆さん方が、あるいは菅政権が打ち出しておる政策に対して、国民がどういう目で見ておるか、国民がどう受けとめているかということも含めて、受けとめてもらわなければならない。

 震災の結果、優先順位が震災復興よりは劣る子ども手当等々四Kは見直すというのは、いい意味で言いわけかもしれないな、いい言いわけとして使えるかもしれないなという思いはありますが、私どもは、さまざまな選挙結果を見ても、皆さん方がよくこれまで使ってこられましたが、直近の世論はこうだということを何回も我々は政権を担当しているときに皆さん方に言われました。まさに直近の世論をしっかりと受けとめて判断をしていただきたい、すべて震災復興に逃げ込むという姿勢だけはやめていただきたい、このように思います。

 きょうは、後が詰まっておりますので、質問はこの程度にさせていただきますが、もっともっと、本当に覚悟を決めて、周到な準備をして、さまざまなことに取り組んでいただくよう心から希望をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 野田大臣以下政府の皆さん、昼食もとらずに御苦労さまでございます。大変でございますが、ともどもに、しっかりとした議論をしてまいりたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そこで最初に、きょうは日銀総裁に来ていただいておりますので、日銀総裁に質問を何点かさせていただきたいと存じます。

 東日本大震災の後、企業の生産活動や消費が急速に落ち込んでおります。具体的には、鉱工業生産指数速報も前月比一五・三%低下、それから家計調査による消費支出も実質で前年同月比八・五%減少した。これらは、リーマン・ショックやオイルショックを超える、過去最大の下げ幅であるというふうに言われております。

 完全失業率の方は、表面上余り変わっていないように見えますが、実は、これには被災地の岩手、宮城、福島の三県の数字が入っておりませんで、除いて集計しておるものですから、実態は相当厳しいのではないかというふうに思っております。これら三県の離職票とか休業票、合計は既に約七万人を超えておりまして、四月はさらに悪くなるのではないか、こういうふうに言われております。

 御存じのように、震災で部品供給がとまって、生産が停滞し、輸出も急落している。外需は日本経済の生命線でありますけれども、三月の貿易収支の黒字額は約八割ほど減少している。今後、夏場の電力不足も生産活動を抑制するだろう。こういう状況を踏まえて、日銀も直近の展望レポートで、今年度のGDPの成長率見通しを一月時点の前年度比プラス一・六%から〇・六%に下げておられるわけであります。

 まず、日本銀行としての現況、景気認識についてお伺いしたいのと、今後の見通しについてあわせて御見解を賜りたいと思います。

白川参考人 お答えいたします。

 我が国の景気につきましては、ただいま議員御指摘のとおり、震災後、生産面を中心に下押し圧力が強い、そういう状況になっております。資本設備の毀損、サプライチェーンにおける障害、電力不足の問題などから生産活動が大きく低下しておりまして、輸出や国内向け出荷、販売に大きな影響を及ぼしております。

 需要面からも、企業や家計のマインドの悪化を通じまして、設備投資や個人消費を下押ししているというふうに見られます。

 議員御指摘のこの三月の生産指数、これは前月比一五%、単月では過去最大の落ち込みを示しました。落ち込みの大きさという意味では、リーマン・ショックに匹敵する、あるいは単月にしますと今回の方が大きいわけでございますけれども、ただ、リーマン・ショックの場合との大きな違いは、あのときは突然金融が収縮し、需要自体がいわば蒸発をしたわけでございます。今回、需要自体が蒸発したわけではなくて、世界経済の成長率は今非常に高い成長率でございます。

 したがいまして、この供給制約が解消していけば、あるいは和らいでいけば、そうした潜在的な需要が取り込めるという状況でございます。したがいまして、現下の日本経済にとっての最大の課題は、この供給制約をいかに早く解消していくかということでございます。あるいは、その点がこの先の景気の見通しにかかってまいります。

 それで、生産でございますけれども、今議員が御指摘になった生産指数の、四月、五月の予測指数が同時に発表されております。こちらの方はマイナスではなくてプラスということでございまして、企業の方も今必死になってサプライチェーンの修復に取り組んでおります。

 それから、電力につきましては、秋口までは供給不足という状況は解消はいたしませんけれども、しかし、いずれにせよ、この供給制約が和らいでいくにつれて、景気は本来の潜在需要に向けて回復をしていくというのが基本的な予想でございます。

 ただ、これは非常に不確実性が強いということで、日本銀行としては、展望レポートにおきまして、景気の下振れリスクの方を意識しながら景気を見、あるいは政策運営を行っていくという方針を明らかにしております。

竹内委員 供給制約があるということであります。その上で不確実性も強い、こういう御答弁でありました。

 日銀の展望レポートでも一%も成長率を下げておられるということは、当面は相当厳しいということには変わりがないと思うんですね。ですから、ここからの経済運営を間違えるととんでもないことになる可能性もある。そういうことで、非常に重要なところに差しかかっていると思います。

 間もなく第一次補正予算が成立すると思われるわけでありますけれども、私の考えですが、日銀としても一段の金融緩和が必要なのではないかというふうに思っております。ゼロ金利政策の継続は当然として、さらに国債の購入基金、金融資産買い取り基金、この枠を大きくすべきではないかというふうに思うわけでございます。

 現在、基金全体は四十兆円でありまして、そのうち融資枠が三十兆円、国債枠が五兆円、その他資産が五兆円、こういうことでございますけれども、今後の復興には恐らく復興債というものも不可欠になってくるんだろうというふうに思いますし、そういう金融情勢といいますか金融状況をにらみながら、そしてまた経済状況を展望しながら、私自身の考えですが、思い切ってあと十兆円の国債枠の増加を提案したいというふうに思っているわけであります。

 日銀の中にも同様の意見があると伺っておりますが、総裁の見解を賜りたいと思います。

白川参考人 お答えをいたします。

 先行きの経済の状況につきましては、議員と同様に、日本銀行も大変厳しく見ております。

 日本銀行が震災の直後から行ってまいりました政策措置を、最初に少し御説明させていただきたいと思います。

 震災発生直後からさまざまな措置を講じてまいりましたけれども、その際、日本銀行としては、震災が想像を超える大きな影響をもたらす可能性まで視野に入れまして、当初からできる限り思い切った措置を講じてまいりました。

 まず、震災の直後、これは、経済活動の基盤となります決済、金融機能の維持に万全を期してまいりました。それから、資金供給という面でも、震災発生直後、リーマン危機のときの金額の三倍近くになります二十一・八兆円という大量の資金供給を行いまして、以後も連日大量の資金供給を行いました。そうした措置によって、金融市場の安定を確保するということに努めました。こういう震災のときにはこれが最も大事な条件でございます。

 それからさらに、震災直後の三月十四日には、金融緩和を一段と強化いたしまして、リスク性資産を中心とします買い入れの基金を五兆円増額するということを行いました。こうした措置を講じましたのは、日本銀行が既にその時点におきまして先行きの経済の下振れを十分に意識し、早目早目に対応すべきだというふうに考えたためでございます。

 特に、リスク資産の買い入れでございますけれども、これは既に効果を発揮しつつありますけれども、しかし、これはまだ買い入れが始まったばかりでございます。したがいまして、この資産買い入れの増額を、これから、現在行った増額に沿って着実に買い入れを行っていきたいというふうに思っております。

 それから、もう一つ行いましたのは、被災地の金融機関を支援するために、復旧復興に向けた資金需要への初期対応を支援するために、こうした金融機関を対象にしました資金供給オペレーションを決定したところでございます。

 いずれにせよ、日本銀行としては、先行き不確実性が大きいということは十分に認識しておりますので、震災の影響を初め、先行きの、経済、物価動向を注意深く点検した上で、必要に応じて適切に適切な措置を講じてまいりたいというふうに思っております。

竹内委員 必要に応じて適切に適切な措置ということで、わかる人にはわかるような答弁なんですけれども、リスク性資産も大事ですけれども、私は国債市場というのが大事だと思うんですね。

 そういう意味では、この間の決定会合では、副総裁が五兆円の基金増枠も提案されたというふうに伺っておるわけでありますけれども、今後の状況によっては、さらなる国債の基金の、買い増しということもあり得るということでよろしいんでしょうか。

白川参考人 日本銀行としては、先行きの景気、物価の情勢を点検して、必要な場合には必要な、適切な措置を講じていきたいというふうに思っております。その時点でどの政策が最も望ましいのかということは、これまたそのときの状況に即して考えていくということでございます。

 長期国債につきましては、現在、年間二十一・六兆円の通常の買い入れを行っておりますし、別途、国債で五兆円ということで行っております。この買い入れの金額は、積極的な国債買い入れを行っているというふうに言われておりますFRBをも上回る、GDPとの関係でいいますとFRBを上回る規模で、日本銀行は買い入れを行っております。

 いずれにしましても、どういった措置が望ましいのか、これは真摯に考えていきたいと思っております。

    〔委員長退席、大串委員長代理着席〕

竹内委員 ぜひとも、状況を見ながら、真摯に検討していただきたいというふうに思います。

 そこで、被災地向けの資金供給オペレーションでありますが、私どもも、現地からの詳細な情報によりますと、中小企業、個人事業者、それからさらに、それらに融資を行っている地方銀行、信金、信組、農協などの現実は大変に悲惨なものであるというふうに報告を受けております。そういう意味で、この金融機関も、はっきり申し上げて、債権回収が困難になる額が相当になるとの報告を受けております。

 もちろん、金融庁の方でも、金融機能強化法などの改正の準備を進めていただいておるわけでありますが、日銀としても何らかの長期的な対応が求められているのではないかと思うんですね。

 短期的な資金供給オペレーションはされておることはよく存じております。現実にそれは知っておるわけでありますが、もう少し工夫して、この〇・一%の資金を、一年ということではなくてもう少し、五年ぐらい供給できるような工夫というものも必要なのではないかというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

    〔大串委員長代理退席、委員長着席〕

白川参考人 お答えいたします。

 まず、被災地の金融機関の状況につきましては、現地の仙台の支店長、盛岡の事務所長あるいは福島支店長を通じて詳細な報告を受けておりまして、ただいま議員御指摘のとおりの状況であるということで、大変厳しい状況、しかしその中で頑張っておられるという報告を聞いております。

 今回、日本銀行の決定いたしました被災地の金融機関を支援する措置でございますけれども、これは、復旧復興に向けた初期の対応をできるだけ早く支援するという措置で行ったものでございます。

 まだ現地の状況は、とても復旧復興を本格的に議論できるような状況ではないということも十分認識しておりますけれども、しかし、その段階でも、もし流動性の面で不安があれば取り組みがなかなか進まない。その意味で、初期の、できるだけ早く対応することが大事だということで行いました。これから復旧復興が本格的に進んできた段階で、その段階で今度はどのような制度が望ましいのかということは、これはこれでまた検討していく必要があるというふうに思っております。

 そういう意味では、今回の措置はあくまでも初期の流動性支援ということで、日本銀行の持てる手段を使って何とか貢献をしていきたいという思いでございます。

 それから、工夫という点でございますけれども、今、経済全体の金利水準が非常に低くなっております。そういう意味で、私どもの行いました今回の工夫の一つは、実は担保要件の緩和を行いました。

 これは新聞では余り取り扱われておりませんけれども、被災地の企業が振り出しました手形、あるいは証書貸し付けの債権であるとか、こうしたものについて、通常の日本銀行の担保基準を緩和して、金融機関がそうしたものを担保に持ち込んでくる際に、それが受け入れられやすくするような基準緩和を行っております。

 いずれにせよ、どういう方法で日本銀行が貢献できるか、これはしっかり考えていきたいと思っています。

竹内委員 よろしくお願いします。

 それで、あとは技術的な話ですが、この短期的な資金供給オペレーションで、系統の中央機関、すなわち、信金中央金庫とか、全信連さんであるとか、労働金庫さん、農林中金さんなどを経由して資金供給する場合は、必ずしもこれは〇・一%にはならないと思うんです。ここもちょっと検討の余地はあるのではないかなというふうに思っておりますが、この点につきましてはいかがでしょうか。

白川参考人 今回の制度でございますけれども、被災地の地域経済に密着した業務展開を行っています系統金融機関は、被災地の復旧復興に向けて大きな役割を担うというふうに考えられますために、日本銀行による超低金利で長目の資金供給の対象にすることが適当と判断いたしました。

 先生御質問の点でございますけれども、しかしながら、被災地の系統金融機関、特に信用組合あるいは農協、漁協でございますけれども、こうした機関について、系統中央機関、上部機関との協議を踏まえまして、傘下の金融機関の実情を私どもよりもはるかに十分に把握している先でございます、オペ先としての体制も整っています、こうした各中央機関を通じて資金供給を行うことがより適切ではないかというふうに判断をいたしました。

 もちろん、この際、系統中央機関から傘下の金融機関への資金供給については、中央機関がリスクをとることになりますために、金利等の条件設定もその判断にゆだねられることになります。しかし、各中央機関においては、超低金利で長目の資金供給を行うという、この日本銀行のオペの趣旨を十分に踏まえた対応をされるものというふうに理解をしております。私どもは、系統の中央機関とも密接な話し合いを行っております。

竹内委員 わかりました。

 それでは、日銀総裁には退場していただいても結構でございますので、よろしくお願いします。

 引き続きまして、質問を続けたいと思います。

 野田大臣にお伺いいたします。

 先ほどから質問が続いておりますが、今回の大震災のために補正予算を組む。今回の財源確保法のポイントは、やはり、年金財源に予定していた埋蔵金を流用する、こういうところであります。

 これを当初決められたのは菅総理と玄葉大臣と野田財務大臣と伺っておりますが、そういうことでいいのか、それは四月八日ということでよいのか、確認をしたいと思うんです。

野田国務大臣 今回の第一次補正予算、これは、早期復旧のための事業を実現するためにいろいろと各省から被災状況を踏まえての対策が出てきて、阪神・淡路大震災の四倍ぐらいの規模になりそうだということの中で、財源の検討もあわせて行わせていただきました。

 ちょっと日程は記憶にありませんけれども、総理や、政調会長を兼ねる国家戦略担当大臣等と協議をさせていただきました。

竹内委員 その場には細川厚労大臣はいらっしゃらなかったんですね。

野田国務大臣 これは、財源は年金だけではなくて高速道路の割引とかもあります。そのほかいろいろございます。いわゆる予算のフレームの話をしたときでございましたので、それにかかわるさまざまな大臣とそのときに協議をしたということではございません。

竹内委員 これは年金財源に穴をあけるわけですから、私は当然、細川厚労大臣と事前に調整をされるべき話だというふうに思います。細川厚労大臣が、直接相談を受けた事実はございませんというふうに四月八日の大臣会見でおっしゃっていまして、びっくりしたわけであります、我々も。

 一方、先ほどの質疑の中でも、国土交通大臣とは利便増進事業については事前に調整をされているというふうに伺っているんですが、これは事実ですか。

野田国務大臣 利便増進の議論も、フレームをつくってからお願いをするという形で、三大臣で合意をする形で最終的に決定をしたということです。

 この年金の臨時財源を震災対応に使うことについても、同じように、事務的なレベルでの調整を含めて、あるいは私から厚労大臣に御説明したりしながら、最終的には国家戦略担当大臣と厚労大臣と、三大臣で合意をする、プロセスは基本的に同じでございました。

竹内委員 今回の財源確保法案というのはまさに年金財源がポイントであり、厚労大臣のところが一番のポイントになるわけでありますから、やはり厚労大臣がしっかりかんでいないとおかしなことになるのは当然だというふうに思うんですね。厚労大臣があちこちで何回も御不満を述べておられるのが、いろいろなところで出ておるわけであります。厚生労働大臣はどうでもよいのかというふうに思われますよね、このままでは。

 四月十九日に、そういう意味で、野田大臣が厚労大臣の方へ行かれて、最終的には合意をした、合意文書も拝見をしておりますけれども、そういう経緯があったということを確認させていただきました。

 そこで、今度は厚労省の方に、事務方に確認したいんですが、今回、国民年金法改正法案が出されているわけですね、出される予定になっているのかな。もしも、この年金改正法案が成立しなければ、平成二十三年度は、基礎年金の国庫負担割合は二分の一にはできないということでよろしいでしょうか。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 今の条文の構造は、国庫負担の負担割合は二分の一ではなくて三六・五%でございますので、今年度二分の一にするという中身の法案を提案させていただき、先般、木曜日ですか、案中修正という形で修正をいたしましたが、国庫負担割合を二分の一にする、今年度二分の一にするというところは変わっておりません。

 したがって、この法案が成立をしませんと三六・五%に戻ってしまう、こういうことでございます。

竹内委員 そうすると、ちょっとこれは事実関係の確認ですが、この法案が成立しないと三六・五に戻るので、年金積立金も取り崩す必要はないという理解でいいんでしょうか。

今別府政府参考人 年金の給付、これは決まっておりますので、それに必要な財源として保険料と国庫負担、それで足らなければ積立金を取り崩す、こういう構造になります。

 したがいまして、国庫負担が三六・五%しか入ってきませんと必要な給付に充てる財源が不足をいたしますので、積立金を取り崩す、こういうことになると思います。

竹内委員 ということは、いずれにしても年金の積立金は取り崩さないといけないということですよね。

 さらに、今回の年金改正法案では、二十三年度分の二分の一と三六・五%の差額は、これからの税制抜本改革により財源を確保するということになると思うんですが、こういう理解で正しいか。

今別府政府参考人 そのとおりでございます。

竹内委員 結局、この財金で審議している財源確保法案が成立しますと基礎年金の財源に二・五兆円の穴があく、それはそのまま年金積立金を取り崩すことを意味しておる、こういうことであります。さらに、もしも年金改正法案が成立すれば、今のお話では、二十三年度分から消費税によって穴埋め財源を調達するということを確定することになるわけですね。そういう法律構成になっているわけであります。それを確認させていただきました。

 ここは、私どもの考えは、ちょっとこれはおかしいんじゃないかというふうに思っているわけであります。まず、基本的には、二十三年度予算の歳出を徹底的に見直すべきではないのか。ここが本当にされたのかどうか。我々から見ると、まだまだこれは不十分だと思うんですが、財務大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 今回の補正予算編成に当たって、財源づくりについては、既存の歳出の見直しについてもしっかりと行わせていただきました。

 まだまだではないかという御意見もあるかもしれませんけれども、この第一次の復旧向けの補正予算のみならず、複数回にわたって補正予算を組まなければいけないと思います。そのために、その都度財源については歳出歳入両面からさらなる見直しをしていきたいと考えております。

竹内委員 前回の質疑のときも申し上げましたので繰り返しになりますが、いわゆる四Kとか言われるもの、それから三Kとか、いろいろな言い方がありますが、我々としては、こういうときですから正々堂々と、大震災の財源が足りません、急ぎます、こういうことで、国民に対して、こういう非常時なんだから、申しわけないが、例えばの話ですが、すべての予算を例外なく、ことしだけ三%カットさせてくださいとか、そのくらいのことを言う総理の覚悟がやはり必要だと私は思うんですよね。それこそ政治主導だと思いますし、このままでは非常に官僚主導の印象が強い、こういうふうに思います。

 歳出カット、ここで本当は歳出に切り込むことができれば、先ほどからいろいろな議論がありましたけれども、国債市場の信認も逆に得られるのではないかというふうに思います、はっきり申し上げて。

 そういう意味で、私どもの考えは、基本的には、二十三年度の年金臨時財源の確保については、将来の税制抜本改革によるのではなくて、この二十三年度予算の歳出歳入両面にわたる抜本的な見直しによって本年度中に行うべきものであるというのが基本的な考え方でありますが、大臣の見解をいただきたいと思います。

野田国務大臣 この委員会で何回も答弁をさせていただいておりますけれども、これからの復興の議論は、本格化していくことになると思います。

 まず青写真をつくって、そして、それに基づく対策がどれぐらいのものになるか、その財源をどうするかで、よく報道で言われているような、まず増税ありきという姿勢はとっておりません。歳出の話も、引き続きしっかりと見直しをしていくということは、これは大事なことだというふうに思っております。

 その上で、歳出歳入両方の見直しをする中で、野党からの御意見も踏まえながら対応をしていきたいと思います。

竹内委員 大臣に確認なんですが、三党合意文書、先ほども質問がありましたけれども、あの中でも、年金の臨時財源については二次補正を検討する中で確保するという趣旨の文言があるわけです。そういう意味では、二次補正を検討する中で、一たん年金積立金を取り崩すけれども、それは穴埋めする、こういう理解を我々はしておるんですが、財務大臣、いかがですか。

野田国務大臣 年金の臨時財源についての取り扱いですが、要は、税制の抜本改革によって安定的な財源として確保して入れていくということが、法律上もそういう形になりますが、その議論は、六月までに社会保障と税の一体改革の中で成案を得るという中で、その方針や方向性が出てくると思います。

 それを踏まえて、きのうの三党の政策責任者の合意に明記されているように、二次補正予算の編成の際にも、その見直しが入るか入らないか、間に合うかどうかを含めてですが、検討を行うということになると理解をしています。

竹内委員 ここはしっかりと検討をして、年金財源に穴があかないように、我々としてはしていきたいと思います。

 そこで、今度は歳入面からの質問をさせていただきたいんです。

 一つは、時間も迫ってまいりましたので大事な点からいきますと、外為特会からの繰り入れが二千三百八億五千八百九十六万一千円。ほかの繰り入れは何億なんですよね、一兆五百八十八億円とか二千五百億円とか一兆二千億円とか。ところが、この外為特会からの繰り入れは一千円までついている。非常に奇妙な感じがするんですよね。この数字の根拠を教えてください。

野田国務大臣 数字が細かくて奇異という意味でございますか。(竹内委員「いや、なぜそういう数字を出してきたのか」と呼ぶ)いわゆる外貨建てなので、そういう形になったというふうに理解をしています。

竹内委員 いや、どうもそれは違うと思うんですよ。後ろの財務省、ちょっとフォローして。

野田国務大臣 年金の二分の一に持っていくところの、その額の最後の足らざるところの調整という形で細かい数字になったということでございます。

竹内委員 そうですよね。二兆五千億円がありきで、そこから一兆二千億円を引く、そして財投特会の一兆五百八十八億円を引く、そうすると大体そのぐらいの数字になってくるということですよね。

 そうすると、つまり外為特会というのは、実は、これまでの例からすると、ずっと何十年も私も見てまいりましたけれども、もっとはるかに剰余金を大体生んできているんです。日本の低金利政策ということもありましたけれども。

 ことしも決算上の剰余金として幾らぐらいを見込んでいるか。

野田国務大臣 今回の臨時財源に充てた外為特会の剰余金というのは、進行年度分で見込まれるものを入れているわけで、その先のことは、まだ確定はしていません。

竹内委員 それはちょっと違いますね。財務省の資料を私は見ているんですよ。

 財務省が出している資料では、ことしの見込み額は、大体一兆円出しているんですね。それは正しいでしょう。

 そのぐらいのことは知っておいてほしいんですよね。ことしは大体一兆円見込んでいて、そのうち二千三百億円を使うと。期中ですけれどもね。ですから、残った七千八百億円ほどの財源が出てくるという数字が、ちゃんと財務省の書類に出ておるんですよね。

野田国務大臣 あくまで予算ベースではそういう形で想定をしながら書いておりますけれども、今後の金利の動向等々、いろいろな状況変化があるので、確定的な数字を申し上げるということはできないというふうに思います。

竹内委員 しかし、過去数十年にわたって、これがマイナスになったことはないんですね。一兆円や二兆円、多いときは三兆円近く剰余金が出ております。今後、本年度中に、これは期中でも、こういう剰余金が出てくる可能性はある。ですから、私どもも、この年金財源を考える上で、本年度中にというふうにあえて言っているわけで、六月までとかそんなことを言っているわけじゃなくて、やはりいろいろな財源を検討する余地は十分あるんじゃないかということを言いたいわけです、私が申し上げたいことは。それが一つでございます。

 ですから、そういうものが出てくれば、また本年度の中で、どこで補正予算をつくられるかわかりませんけれども、また第何次になるのかわからないけれども、そういう財源も十分、年金財源の穴埋めの財源としては考えられるんじゃないかということを指摘しているわけであります。

 それから同様に、財投特会につきましても、今回、一兆五百八十八億円使うので、ゼロになる、たんすは空っぽになる、こう財務省の役人の方はよく言われますが、しかし、過去の運用の金利差がありまして、剰余金も、期中の利息として、これは七千四百億円ぐらい想定されているんですよね。後ろの方もうなずかれているので正しいと思うんですが、本年度中には、こういうさまざまな財源を掘り出す余地はある、こういうことも指摘しておきたいと思います。

 そこで、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、今度は、国土交通省の話になりますが、平日二千円、休日千円の制度をやめることにすると、今回、二千五百億円出てくるというふうに言っておりますが、実際は、これは違いますよね。国土交通省、三年間で四千億円出てくるというのが正しいですよね。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生おっしゃいましたように、上限料金制を廃止するというそのことだけでは、三年間で約四千億円の差額ということでございます。

 ただし、上限料金制を廃止するに当たってでございますけれども、上限料金制の導入の際には、平成二十四年度以降二年間、マイレージ割引を見直すということを考えていたわけでございます。これを継続するということを想定いたしまして、これに必要な千五百億円を差し引きまして、二千五百億円という財源にしていただいたわけでございます。

竹内委員 マイレージ割引はわかりますけれども、昔の高速、ハイウェイカードがあったから、それに関連するものでありますね。ETCを使うと大体安くなるので、さらにマイレージ割引が必要なのかという議論は当然出てくるだろうというふうに、これも一つ指摘しておきたいと思います。

 それから、不思議に思うのは、三年間で四千億出てくるんですが、そのうち二千五百億を一年で今度は持っていく、何でこんなことができるのかというのも不思議に思うんですよね。三年間で四千億出てくるはずのものを、一年間で二千五百億、ぽっと財務省が奪い取る、この技術はよくわからないんですが、きょうはやめておきます、時間がありませんので。

 そこで、大畠国土交通大臣は、自公政権のときに始めた三兆円の利便増進事業についてこういうふうに言っているんですね。これまで使ったのが大体一兆円、それから今回二千五百億円を計上した、まだ一兆五千億円くらいの予算がありますが、この予算をどう使うかはまだ決めていないと。

 この辺の予算は、国土交通省は絶対手放さないと言うんでしょうけれども、財務大臣としてはその辺も、今後の復興なり年金の臨時財源とか、そういうことの関係で、どういうふうにお考えでしょうか。

野田国務大臣 復興の財源をどうするかという議論、これは歳入歳出両面から引き続き見直しをしていくということで、各省からの御協力もいただかなければいけないし、各党からの御意見もちょうだいをしたいと思いますけれども、その際、先ほど福井委員からも同様の御質問をいただいて御答弁させていただきましたけれども、この利便増進事業の趣旨も踏まえながら、その際に国土交通大臣ときっちりと協議をしながら対応していきたいというふうに思います。

竹内委員 私が申し上げたかったのは、いろいろまだまだ財源を考える余地はある。今回、一次補正予算は、これまでの埋蔵金、本予算の埋蔵金を流用するということになりましたけれども、いろいろ考えればまだまだ財源は出てくるんじゃないかということを指摘させていただきました。

 それから、財務大臣に、第二次補正予算はいつごろを考えておられますか。

野田国務大臣 復興構想会議で六月末までに、いわゆる復興のための青写真をつくっていくということになっています。その青写真の中で復興基本方針というものが出てくるわけでありますが、それに基づく必要な対策をしっかりと講ずるための復興財源をどうするかという議論はその後になりますので、そういう経緯を経ながら対応したいと思いますが、だからまだ、確定的にいつとは言える段階でもありませんし、規模も言える段階ではございませんが、当然のことながら、なるべく早く復興の議論は結論を出して対応できればという思いは持っております。

竹内委員 そうすると、今の御答弁を聞いていますと、六月に青写真で、それからということになると、とてもこの会期末には無理だ、八月、九月という可能性もあるというふうに、今、答弁を聞いていて思ったわけであります。

 最後になりますけれども、国土交通省に来ていただいておるんですが、前回もレベニューボンドの提案をさせていただきました。これは今後の復興の話でありますけれども、前回も申し上げましたように、全部国債とか地方債で復興をやらないといけないという話ではない、やはり民間活力ももっと使うべきである、そういうことを公明党としても提案しております。

 その一つがレベニューボンドであったわけですが、きょうは、関西新空港と伊丹空港を統合する話がありまして、法案も出されているわけです。お手元の資料はそういう資料でございまして、実は、これは統合して新会社をつくって、そしてなおかつ、それだけではなくて、新空港の運営権を何と四千億円ほどで売却して、そういうコンセッション方式というものを導入しようということで、これはなかなかのアイデアだと思うんですね。私もFSをいろいろ検討しましたけれども、これは今後の日本にとっては非常に未来のある展望だというふうに思っております。

 時間がないんですけれども、まず簡単に、このコンセッション方式、簡潔で結構ですから、説明してください。

本田政府参考人 関西国際空港の関係の御質問でございますが、現在、先生がおっしゃいましたとおり、四千億円を含めて、一兆三千億円を超える負債を負っております。この関西空港を健全に再生強化する、これを目的といたしまして今回の提案をさせていただいております。

 現在国が管理しております伊丹空港と関西国際空港の経営統合を果たした上で、事業価値の最大化とそのキャッシュ化を図る、このために民間の知恵と資金を活用する、そのために公共施設等運営権、いわゆるコンセッションの設定、こういった方式を導入することを考えております。

 具体的には、法案の成立後設立されます新関空会社が負債総額約一兆三千億円を返済する、すなわち、そういった対価を得るという条件で、一定の期間、両空港を経営する権利について民間の事業者に対してこれを譲渡する、こういった中身を考えております。

竹内委員 時間も迫ってまいりましたけれども、今後、東北の、仙台空港であるとか、さまざまな空港が幾つもあります。復興を考える上で、例えば、このように国が株式を持ちながら、しかしその運営権は民間に売却していく、そういう中でやれば、そんな何でもかんでも全部国債を何十兆円も発行して、国がまた財政健全化で苦しむ、そういうことにはならぬだろうというふうに私は思うんですね。

 ぜひ国土交通省が中心になって、これはもっと、空港を幾つか考えるとか、港湾でもいろいろあるでしょう、こういうコンセッション方式をぜひ提案してもらいたいと思うんですが、いかがですか。

市村大臣政務官 ありがとうございます。

 竹内委員のおっしゃるとおりでございまして、このたびの復興に当たりましては、財政的手法のみならず金融的手法をしっかりと入れていく、その中でも今御指摘いただきましたようなコンセッション方式をしっかりと活用していくことにいたしたいと思います。

竹内委員 ありがとうございました。以上で終わります。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 地震発生から五十日以上過ぎました。今なお十三万人を超える被災者が避難生活を強いられております。緊急支援を強めまして、被災者が、マイナスからというのではなく、せめてゼロからスタートできるようにしたい、この声にこたえるべきだと思っております。生活、営業の再建に集中できるようにしなければならないと思うんです。

 今回の第一次補正予算案は、私は、まだ必要最小限のものであって第一歩であるというふうに考えております。さらに拡充が必要だと思いますが、まず大臣の認識をお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 佐々木委員御指摘のとおり、今回の補正は、早期復旧に向けて今年度中に支出が見込まれる事業を対象にしてつくった予算でありまして、本格的な復興も含めるとやはり複数回の予算編成はしなければいけないだろう、その意味では初めの一歩ですが、これは大事な初めの一歩というふうに理解をしています。

佐々木(憲)委員 そこで、今回提案されておりますのは、政府自身が基礎年金の国庫負担割合を二分の一にするための財源に充てるとしておりました埋蔵金約二兆五千億円、これを震災対応のために転用するというものであります。

 しかし、なぜ年金財源に目をつけたのかというのが大変大きな問題点でありまして、財源はほかにもいろいろあるんじゃないかと我々は指摘をしてまいりました。この場でも、法人税減税、これを中止するとか、あるいは、証券優遇税制の延長を中止して、大型公共事業、例えばダムだけでも今年度予算二千四百億円というような、不要不急の大型事業を中止して回すとか、あるいは米軍に対する思いやり予算とか政党助成金とか、我々はずっと指摘してきたんです。残念ながら全く考慮されておりません。

 そこで、この埋蔵金を回した後に年金財源は穴があく、それを最終的には何によって埋めるのか、これはどう考えておられるのでしょうか。

野田国務大臣 二・五兆のいわゆる臨時財源を年金に充てるのではなくて、震災対応に使わせていただくということでございますが、その穴埋めは税制の抜本改革によって安定的な財源を確保して対応する、そういうことになっております。

佐々木(憲)委員 この税制抜本改革というのは、消費税を含む税制抜本改革、つまり消費税の増税もあり得る、そういう内容だという認識なんでしょうか。

野田国務大臣 この六月に社会保障と税の一体改革の成案を得ることになっています。その中でまとめる消費税も含む税制の抜本改革、それを安定的な財源にしていくということでございます。

佐々木(憲)委員 我々は、この埋蔵金を震災支援に回す、これ自体に何か反対だということではありません。しかし、その後の穴埋めを何によって行うかということになりますと、今おっしゃいましたように、消費税を含む税制抜本改革、こうなりますと、これは消費税増税路線に近づいていく、それに乗っかってしまうという危険性を感じるわけなんです。

 したがって、そういう道に進むのには我々は反対であります。別な財源を持ってくるべきだというふうに指摘をしておきたいと思うんです。

 さて、そこで、少し具体的な震災支援の税制問題について触れたいと思いますが、相続税の問題なんです。先日、震災特例法が採択されましたが、相続税に係る措置もとられました。この内容を簡単に説明をしていただきたいと思います。

田中政府参考人 震災の特例法が先日成立したわけでございますけれども、土地等を相続により取得しまして、震災の発生日前に相続税の申告期限が到来している場合、あるいはその震災の発生の後に相続税の申告期限が到来している場合、幾つかの例があるわけでございますけれども、今回の震災特例法によりますと、震災の発生日以後に相続税の申告期限が到来した者が取得した土地につきまして、これは一定の土地に限定しておりますが、震災の後を基準とした価額により評価することができるというふうに対応しております。

佐々木(憲)委員 まず、建物についてお聞きしますけれども、今回の震災で、津波で全部流されてしまった、あるいは全部焼けてしまった、そういう被災の状況が明らかであれば、被害相当部分は税額免除となる。しかし、一見きれいにまだ建物は残っているように見えても、地盤沈下で傾いているというような場合、実際には使えない、そういう被害も想定できますけれども、この被害の判断、これはどういうふうに考えておられるか、お聞きしたいと思います。

田中政府参考人 先ほど申し上げました震災特例法によりまして、一定の土地等についての判断をするということでございますけれども、建物につきましては、災害の減免法の適用がございまして、納税者の便宜等の観点から、被害を受けた部分の価額の合理的な計算方法を作成しまして、現在、国税庁のホームページでそれを明らかにしております。

 これが適用になりますと、例えば、先ほどの相続税の申告の期限の前に災害があった場合には、その相続税の課税対象から減額されますし、あるいは、申告の期限後に災害があった場合には、さきに計算しました相続税額からその額を免除するということになります。

佐々木(憲)委員 次に、相続する土地の問題なんですが、土地が災害減免法の対象にならないために、震災後の評価額をどういう基準で算定するかがポイントとなるわけです。地盤沈下したような土地を相続した、そういう場合、実際にはもう使えない。水没しているというような土地もあります。そういうケースも想定されて、売却することも利用することもできないような、そういう事実上価値のない土地、それは当然、評価額はゼロになると思うんですが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 先ほどの答弁の中で申し上げましたように、震災特例法によりまして、一定の地域の土地等については震災が起きた後を基準とした額により評価することができるとされております。今御指摘のありましたような地盤沈下した土地などにつきましても、震災の後を基準とした価額について計算をすることになりますけれども、他の被災した土地等と同様に考える必要があると考えておりまして、地域の実情ですとか被害の状況を適切に反映して評価することとなります。

 この具体的な評価方法につきましては、今後、国税庁におきまして、震災後を基準にした価額を簡易でかつ明確に評価するための方法について明らかにしたいというふうに考えております。例えば、阪神・淡路大震災の際には、これは平成七年の一月十七日に震災が起こっておりますけれども、八月の十七日段階で、被災した地域の土地についての評価方法につきまして一定の計算方法を示しております。

佐々木(憲)委員 現時点で資産価値がゼロというようなものであるなら、私は、相続税はこれはもう免除する、ゼロにするというのが当然だと思っております。

 それから次に、今度は原発に関連した問題です。

 つまり、福島第一原発の事故によりまして避難せざるを得ない、例えば二十キロ圏の中にはすぐは戻れない、そういう状況であります。立ち入りが禁止されている警戒区域などに指定されている建物や土地、その場合は、実際には利用できないわけですから、これは原発事故による災害でありますが、当然、災害減免法の対象になるはずだと思うんですが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 先ほどからの御説明として二つの制度がございまして、震災特例法の方は、震災後を基準とした価額により評価することができることとなっております。この評価につきましては、今の福島第一原発の一定の地域、警戒区域等の土地についても同様にその評価をする必要があると考えておりまして、先ほど申し上げましたように、今後、国税当局におきまして、震災後を基準とした価額をどういうふうに計算するかというのを示したいと思っております。

 それから、今先生御質問のございました災害減免法の方でございますが、これは法律の趣旨が、先ほど先生からもお話がございましたが、いわゆる物理的な損失を対象にしておりまして、したがいまして、相続または贈与によりまして取得した土地が福島県の一定の地域に存在することをもって、直ちに災害減免法四条の規定が適用されるものではないというのが私どもの考え方でございます。

 ただ、今後、福島の原子力発電所に係るさまざまな対応の仕方が動いていくと思います。まだ収束はしていないわけでございますけれども、その対応の仕方を見ながら検討してまいりたいと考えております。

佐々木(憲)委員 この災害減免法の第一条には、「震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害」というふうに書かれているんですね。その場合、被災者の納付すべき国税の軽減もしくは免除というふうになっておりまして、つまり、「その他これらに類する災害」、今回は、地震と津波、それによって原発事故が引き起こされてきた、一連の災害の一環としてこの原発の放射能漏れというのが起こって、その結果、もとに戻れない、当面はそういう事態になっているというわけですから、これは、その他に類する災害ということに当てはまるのではないかというふうに私は思っております。

 今後、検討の対象だということのようですので、ぜひ検討を加えていただきたいと思います。

 それから、土地の相続ですけれども、相続税の場合は、震災特例法の震災後の評価額というのはゼロになるというようなことが、警戒区域が今後継続していった場合に考えられる。こういう場合、原発のこの警戒区域が長期化した場合に、相続税は免除されるということが私は当然だと思うんですけれども、こういうのはどうなりますでしょうか。

田中政府参考人 お答えします。

 今、先生の方からの御質問は、震災特例法によりまして、震災後を基準とした価額により評価するというふうになっておりますが、この震災後を基準とした価額をどのような形で算定するかというのがポイントでございまして、福島の第一原発の、例えば二十キロメートル圏内の警戒区域の土地等の震災後を基準とした価額については、これは、その地域の事情、それから個々の土地の被害状況を適切に反映する必要がございます。

 そこで、先ほど申し上げましたように、その算定の仕方につきまして、今後、国税当局において、それを簡易かつ的確に評価するための方法を明らかにしたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 これに関連して、最後に大臣に、こういう形で、今回は、地震、津波、原発事故、三つの災害が重なって、非常に複雑な状況が現地に起きております。従来の法体系では対応し切れない事態になっているわけですね。相続税一つとりましても、原発事故を前提とした相続税の減免なんというのは、今まで全く法律の対象外だったはずであります。

 したがって、私、現実の土地建物の価値というものが、評価額が、実際上、今もう使えないわけですから、そういう状況にあるわけですから、当然相続税は減免する、あるいはゼロにする、こういう発想で問題をとらえる必要があると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 従来の法律で想定をしなかった部分が出てきていると思います、今の御指摘の災害減免法を含めて。基本は、やはり被災地、被災者のお立場をよく踏まえた対応をするということが大事だと思いますので、そのことも含めて検討させていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 では、次に、仮払いの問題なんですけれども、これは東電が現在窓口になりまして、仮払いが行われております。これは、原発被災者に対する緊急支援という形であります。

 この手続、このことについて、本人が申請するのか、それから対象はどういうことになるのか、この点について説明していただきたいと思います。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 対象ということでございますので、基本的に、国が定めた範囲、具体的には計画的避難区域等の範囲に入っている世帯単位にお支払いをするということでございます。百万円ということでございますけれども、単身世帯は七十五万円ということで行うということで、全体的には大体五万世帯というふうに考えております。

佐々木(憲)委員 この五万世帯というのは、自治体ごとの世帯数を言っていただきますとどういう形になりますでしょうか。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 五万世帯でございますが、避難者の数で申しますと……(佐々木(憲)委員「自治体ごとの世帯数」と呼ぶ)世帯数、自治体、少々お待ちください。

 失礼いたしました。五万世帯のうち、最大は南相馬市で、およそ二万世帯ということでございます。それから順番に、多いところといたしましては、浪江町が七千世帯超でございますが、富岡町が六千世帯超ということで、その他、十三の自治体に分かれてございます。なお、いわき市に関しましても、約七百世帯が入ってございます。

佐々木(憲)委員 問題は、この五万世帯が対象になるということはわかっているわけです。各自治体ごとの世帯数もわかっているわけです。しかしながら、この方々が強制的に避難をしなさいということで退去させられているわけですが、避難所にいれば把握しやすいんですけれども、しかし、今や、全国につてをたどって親戚や知り合いに身を寄せているという方がたくさんいらっしゃるわけです。

 そうしますと、その方々に支払いをするといっても、どこに住んでおられるのかがなかなかわからないということが多いのではないかと思うんです。その点は、どういう形でこの五万世帯の方々すべてに渡すように考えているのか、されているのか、お答えいただきたいと思います。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 おっしゃっていただきましたとおり、遠くに離れて避難されている方も大勢おいでということでございますので、関係する自治体が大変多くございます。

 そういう意味では、まず東京電力におきましては、それぞれの市町村の協力を得ながら、四月二十日以降、県外も含めまして、避難先の市町村庁舎や主要な避難所における説明会を精力的に実施してございます。また、各地方新聞等への広報掲載も行ってございます。

 具体例を挙げますと、一番避難者の多いところでございますが、南相馬市の避難者に対しましては、これまで、群馬県、長野県、神奈川県、茨城県、そして南相馬市そのものでの説明会を開催しておるところでございます。

佐々木(憲)委員 この避難先でかなり多いと私が感じておりますのは、例えば東京とかあるいは関東圏、こういうところに避難されている方が結構多いと聞いているんです。

 それで、申請している方々の現在住んでおられる住所、これで一番多いところはどの辺になるんでしょうか。

田嶋大臣政務官 現在避難されている場所で一番多いのは新潟県でございまして、およそ七千八百名でございます。

佐々木(憲)委員 この新潟県での例えば説明会とか、先ほどの説明の中にはありましたか。

田嶋大臣政務官 新潟県も、先ほどは南相馬市のケースとして幾つかの県を申しましたけれども、新潟県でもやっております。

佐々木(憲)委員 できたら東京でもやった方がいいと私は思っております。

 それからもう一つは、そういう仮払いが行われているということを知らずに避難されている方がいらっしゃるんじゃないか。その場合には、当然、広報が大事だと思います。

 今、地方新聞というお話もありましたが、やはり、新聞、テレビ、特に大きな媒体を利用した周知徹底ということが大事だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

田嶋大臣政務官 新聞、テレビ、ラジオ、いろいろでやらせていただいてございますが、政府といたしましても、例えば、官邸ラジオというのがございまして、「震災情報 官邸発」ということで、枝野官房長官が発信をさせていただいてございます。

 また、東京電力から、各地方広報活動でございますけれども、例えば今御指摘いただきました新潟県でも、新潟日報新聞に掲載記事を載せていたり、そういった例はたくさんやっております。

佐々木(憲)委員 申請書を発送していると思うんですね。発送したその数、それから、避難されている方から実際にその申請が行われてきた数、そして、実際に支払われた数、それぞれ数字を言っていただきたいと思います。

田嶋大臣政務官 現在、およそ五万世帯と申しましたけれども、配付をしておりますのは、四月二十九日までで五万一千世帯分を配付いたしております。そのうち、一万二千を回収済みで、五千が事務処理を開始し、全体世帯数の一%弱でございますが、四百七十世帯分が今現在で振り込み済みでございます。

佐々木(憲)委員 もう時間が参りましたので終わりますが、これは、周知徹底すると同時に、最後まで、そういう方々に渡るようにすることが大事だと思いますので、ぜひ徹底してやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

石田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。竹内譲君。

竹内委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました東日本大震災に対処するために必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案について、賛成の立場から討論を行います。

 本財務金融委員会においては、平成二十三年度税制改正関連法案及び特例公債法案について、依然としてその審議が進んでいないにもかかわらず、今般の補正予算の歳入関連法案である本法律案を審議せざるを得ない異常な状況を招いてしまいました。この点、政府及び民主党の対応について、遺憾の意を申し上げておきたいと存じます。

 さて、そもそも本法律案において手当てされている財源は、高速道路機構の国庫納付を除き、当初予算において基礎年金国庫負担二分の一を確保するための臨時財源であったのであります。それを、なぜ、年金の安定化に大切な財源を安易に転用することになったのか。これは直ちに年金積立金の取り崩しを意味するものであります。

 政府・民主党が、震災への対応に必要な財源の確保に向けて、真剣に身を粉にして捻出しようとしたのでしょうか。また、年金制度の安定化がいかに重要かは、民主党の議員であれば当然理解されているはずであります。

 子ども手当や高速道路無料化など、民主党が掲げているマニフェストを抜本的に転換することや、当初予算の不要不急の歳出見直しを徹底すれば、今般の措置は不要であったのではないでしょうか。

 また、今後、近い時期に編成されるであろう第二次以降の補正予算の規模から考えても、追加的な国債の発行はやむを得ないことは明白であります。震災対策全体をとらえて財源を考えるならば、第一次補正でわざわざ国債の発行を抑制し、そのしわ寄せがほとんど年金財源に及ぶようなこそくな政府の対応は、甚だ遺憾であり、大いに反省すべきであります。

 しかしながら、東北地方、東日本を襲った大地震と大津波、東京電力福島第一原発事故、そしていまだ余震が続く状況の中で、復旧復興に向けて、二十三年度補正予算案の早期成立と速やかな執行が求められています。また、執行を確実にするためには、二・七五兆円に及ぶ財源の裏づけとなる本法案の成立が欠かせないことから、公明党は、復旧復興に要する財源の確保のために、本法律案に賛成をするものであります。

 ただし、先ほど指摘したとおり、歳入歳出の抜本的見直しを行えば財源の確保も可能であります。よって、不足する二十三年度分の年金財源については、国民年金法案の改正にあるような、いつ実施されるかもわからない税制の抜本改革を待つ必要はないと考えています。

 私は、政府が二十三年度中にきちんと年金臨時財源を確保されることを明確にすべきである、そのことを強く申し添えまして、討論とさせていただきます。(拍手)

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党を代表し、東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案に対し、討論を行います。

 提案されている法案は、政府自身が基礎年金の国庫負担を二分の一にするための財源に充てるとしていた埋蔵金約二兆五千億円を、震災対策に転用するものであります。

 我が党は、補正予算の財源については、法人税減税や証券優遇税制の延長の中止、不要不急の大型公共事業の中止、米軍への思いやり予算の中止、政党助成金の廃止などで確保すべきだということを主張してまいりました。これが受け入れられなかったことは極めて残念であります。

 埋蔵金を震災対策に充てるということは、一般的に否定されるものではありません。しかし、問題は、あいた年金の財源を何によって穴埋めするかということです。これを税制抜本改革、消費税増税につなげようというやり方には、断じて容認できません。

 昨日、民主、自民、公明三党が交わした補正予算に関する合意文書で、年金財源に関して「社会保障改革と税制改革の一体的検討は必須の課題」としていることも、その意味で看過できません。

 我が党は、年金財源のあり方、今後の震災財源のあり方については大いに異議があり、被災者に負担を求める消費税増税路線にくみするものではありません。

 そのことを厳しく指摘した上で、緊急を要する東日本大震災の救援及び早期復旧のために埋蔵金を震災対策に転用する法案に、賛成することといたします。(拍手)

石田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより採決に入ります。

 東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十四分散会


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