衆議院

メインへスキップ



第18号 平成23年5月11日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年五月十一日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 泉  健太君 理事 大串 博志君

   理事 岸本 周平君 理事 古本伸一郎君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 後藤田正純君

   理事 竹下  亘君 理事 竹内  譲君

      網屋 信介君    五十嵐文彦君

      磯谷香代子君    今井 雅人君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      岡田 康裕君    柿沼 正明君

      勝又恒一郎君    川越 孝洋君

      木内 孝胤君    小山 展弘君

      近藤 和也君    菅川  洋君

      玉木雄一郎君    豊田潤多郎君

      中塚 一宏君    中林美恵子君

      松原  仁君    三村 和也君

      柳田 和己君    吉田  泉君

      和田 隆志君    竹本 直一君

      徳田  毅君    野田  毅君

      茂木 敏充君    山口 俊一君

      山本 幸三君    斉藤 鉄夫君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   参議院議員        佐藤ゆかり君

   参議院議員        西田 昌司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   政府参考人

   (内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室審議官)          加藤 善一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新原 浩朗君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           長尾 正彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     磯谷香代子君

  勝又恒一郎君     今井 雅人君

  中林美恵子君     川越 孝洋君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     柿沼 正明君

  今井 雅人君     勝又恒一郎君

  川越 孝洋君     中林美恵子君

    ―――――――――――――

五月十日

 資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)(参議院送付)

 財政及び金融に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室審議官加藤善一君、経済産業省大臣官房審議官新原浩朗君、大臣官房審議官長尾正彦君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野塚勝俊君。

小野塚委員 民主党の小野塚勝俊でございます。

 先月に続きまして本日もまた質問の機会を賜りまして、委員長、理事、また委員の皆様、本当にありがとうございます。

 本日で震災発生から二カ月です。戦後最大の国難と言われる今、この時代に国会にお送りいただいている者の一人といたしまして、未来に恥じることのない政治を行わなければならないと、改めてこの場で誓いたいと思います。

 前回質問させていただきましたときにも申し上げましたが、私自身、国会審議は、本会議や党首討論のときなどを除きまして、基本的に副大臣以下で行うべきだと考えています。大臣、ましてや内閣総理大臣におかれましては、国会審議以外にも、さまざまな日常業務も含め、国家のリーダーとして職務に専念いただきたいと思っております。特に、今は大震災のただ中、戦後最大の国難のときでございます。その趣旨からも、本日、御答弁いただきますのは副大臣以下で賜れればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 日本全国で今、皆さんが力を合わせて頑張っていこうという機運が高まっています。今、それを後押ししていく財政、税制、金融の政策を行っていくことが重要だと思っております。本日は、松下経産副大臣に当委員会にお越しいただいておりますので、まず初めに、財政に関することについて、松下副大臣にお聞きいたしたいと思います。

 今月六日に菅総理は、静岡の御前崎にあります中部電力浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を中部電力に要請し、中部電力もその要請を受け入れることを決定されました。

 運転中の三基のうち二つは福島原発と同じ沸騰型で、海岸沿いの低地に立っている上、東海地震の予想震源域の真上にある、そういう状況です。浜岡原発で大事故が起こり、最悪のシナリオを考えますと、放射能雲が首都圏に流れ、一千万人以上の人が避難しなければならなくなり、日本は首都を喪失、そして、在日米軍の横田、横須賀、厚木、座間などの基地も失って、国際的に大きな軍事的不均衡が生まれるとも言われておりました。

 このたびの決定にはさまざまな御意見があると思いますが、私といたしましては評価したいと思います。全面停止によるマイナスは確かにあります。しかし、大事故が起こった場合に想定される大惨事を考えれば、マイナス面は他の方法により対処するべきです。

 また、昨日総理は、エネルギーの基本政策を白紙で議論ということもおっしゃっています。仮に原子力政策を転換すると考えた場合、自治体の財政問題がネックとなって、安全性ではない理由で政策判断ができなくなってしまったら、これは問題だと思います。そのことが起こってはならないため、大惨事が起こった場合、地元住民のみならず日本全体に取り返しのつかないこととなってしまいます。

 現在、原発立地を受け入れている自治体は、原発三法交付金、いわゆる原発交付金が交付されています。この交付金がなくなってしまうことによる、その自治体は、財政面で現状やっていけないという状況に陥るのが実態だと思います。この原発交付金の扱いにつきまして、原発を立地している自治体への配慮が必要だと思いますが、その点につきまして、松下副大臣、お願いいたします。

松下副大臣 委員御指摘のとおり、浜岡原子力を停止いたしました。

 電源立地地域の対策交付金についてでございますけれども、これは、交付規則の上で、二年前の発電電力量を算定基礎としております。そういうことから、平成二十三年、二十四年度の交付限度額に影響を及ぼすことはないというふうに考えております。

 また、平成二十五年度以降につきましても、災害その他の理由によりまして施設の安全性を確保するための運転停止であるために、停止期間中も稼働していたものとみなす、みなし規定が適用されるために、減額されることはないというふうに考えております。

 以上でございます。

小野塚委員 既に御前崎市については、昨日、海江田経産大臣が石原市長と会談されて、その旨をお伝えしたというふうに伺っておりますが、今後、仮に同様のことが他の原発に対しても行われる場合、自治体の財政面、交付金について心配がないということを、この委員会においても改めて明らかにしておきたいと思います。安全に対する負担というのは財政でちゃんと面倒を見る、見合うということを、改めて私たちは認識し、今後のことを政策として考えていくべきだと思います。

 松下副大臣、どうもありがとうございました。

 続きまして、金融、財政という部分について伺いたいと思うんです。

 今回の大震災の復興に関しては、相当な金額が復興に際して必要だと思います。それにつきましては東日本大震災の復興構想会議で検討をされていることと思いますが、よく最近言われておりますが、かつて後藤新平が復興院総裁としてされたときに、関東大震災の折には、復興費用として一番初めに後藤新平が言ったのが、当時のお金で三十億円、またその後、十億円足して四十億円という言い方をされました。

 当時、国家予算が十二・七億円でしたから、その時代の規模でいうと、三十億でいえば二百兆円強ですし、四十億だと二百九十兆円近くに匹敵する、まあ単純計算ですけれども、そうなる。大ぶろしきと言われていた後藤新平ですからそれだけの金額になったんでしょうけれども、当時もやはり官僚政治や政党政治の両面から制限を受けて、政府原案は五億七千五百万円まで減額され、当時、帝国議会に承認された予算は四億七千万円。その後も追加的に一億増額されたということですが、それでも六億円ですね。当時の六億円、現在の規模でいえば約四十兆円程度ということになります。また、租税の免除ということも行われたそうです。

 当時、さまざまな政策を実施していますが、後藤新平も評価をされる方が多くいますし、私自身も後藤新平を評価している一人なんですが、さまざまな施策を実施いたしますと、その後のてんまつをしっかり考えなきゃいけないということがあると思います。

 関東大震災以降何が起こったかというと、震災手形の再割りというのを日銀が行い、不良債権処理問題が深刻化しました。昭和二年には昭和金融恐慌が起こって、日銀による過剰流動性の放置により、金融調節力の著しい減退が当時起こり、そして金本位制に一時復活し、昭和恐慌が昭和五年から六年に起こり、デフレ経済が深刻化し、金本位制度から離脱をし、そこで高橋是清が財政を担って一時経済は回復を見せますが、二・二六事件で是清翁が亡くなると、戦時体制下におけるインフレの高進というのが続き、その後戦争へといき、取り返しのつかないところに突き進んでいったという過去の歴史がございます。

 被災される方々に対してやれることは全部やる、それは政治として当然のことであります。しかし、財務金融委員である私たちは、さまざま行おうとしている政策について、どのような影響が出てくるかということについて検証していくことが必要だと思います。今回の大震災復興に臨むときの心構えとしてそのように思うんです。

 そこで、大きな意味でお聞きしたいんですが、大震災復興に関しての財源に関しては、今どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

五十嵐副大臣 ありがとうございます。大変御見識のある発言を最初にいただいたと思います。

 とにかく、未曾有の大震災でございますので、しっかりとした復興構想、復興計画を立てていかなければいけない。そのときに、復興なら何でもいいということではなくて、やはり財源、日本の将来の財政のあり方というようなものをきちんと見なければいけない。おっしゃるとおりだと思っておりまして、一時的な支出でございますので、中期的に財源を確保して、そして当面は、それはつなぐのは国債でつなぐということもあると思いますが、ちゃんと財源を何で確保するかというのを、中期的な中立ということで計画を立てていくことが必要だと思います。

 これについては、税の話が先行していたりいたしますけれども、歳入歳出、全面的に見直すということを申し上げておりまして、復興計画が決まり、復興構想が決まり、創造的な復興ということをお考えになっていかれるだろうと思いますから、それを考慮に入れながら、その財政の規模、財源の規模を考え、それに合わせてさまざまな手段を講じていきたい、こう考えているところでございます。

小野塚委員 ありがとうございます。ぜひ、いろいろなことを御検討いただければと思います。後藤新平が評価される一つは、大ぶろしきでもあり、いろいろなことをやったということなんだと思うんですが、できれば従来のやり方にとらわれないでぜひ考えていただければと思います。

 その意味で、本日お配りいたしました資料、「税目別収納済額の全国対比累年比較」というものなんですが、これは何かと申しますと、国税庁が各国税局ごとの割合というものを出しているんですが、これは仙台国税局です。仙台国税局は東北を管轄しておりますので、そこの税収がどれほどのものなのかというものを、ちょっと御参考までにお配りさせていただきました。

 一番直近のものが平成二十年なんですが、丸をつけましたところ、総額でいうと一兆六千七百十七億というのが東北、仙台国税局の税収なんですね。全体に占める割合は、平成二十年、全体が四十八兆八千億でございますので、このぐらいの金額であります。

 それを各項目別に見ていきますと、所得税は五千三百九十五億、法人税は二千百四十億という形です。従来、国税というのは、税率は一本でやるわけでございますが、例えば地域によって税率を変えてみたりだとか、また無税にしてみたりだとか、それであっても、例えば仮に法人税を無税にしてみたところで二千百四十億、所得税であれば五千四百億程度でございます。半額にしたって、これは一千億、二千七百億とか、そのぐらいの程度でございます。ある意味、税制の議論からいえば暴論的なものもあるかもしれませんが、未曾有の国難のときでございます。従来とは違った発想も必要だと思いますので、御参考までにつけさせていただきました。

 いろいろな議論の中で、まさにその地域の方々、被災された方々、そして先ほど冒頭申し上げましたように、日本全体でみんなで助け合っていこうというときに、その皆さんの力が引き出せるような税制、財政、また金融の方策をしていくことが必要だと思っております。

 続きまして、第二次補正予算、税制の第二弾に関して伺いたいんです。

 本年度の税制改正法案、まだ成立はしておりませんが、これについても取り入れられているところでございますが、日本の社会を変えていく、いわゆるグッド減税というもの、これについて、今回の大震災を受けまして、国民の皆様におかれては、よりその思いが強まっているように思います。自家発電、エコ住宅、太陽光発電、LEDなど、個人も企業もさまざまなものを自主的に導入されています。個人や企業がよりよき方向にまた進めていくために、そういう制度を後押しするようなことをぜひ税制や財政の部分でやっていただければと思います。

 この二次補正、また税制の第二弾について、今どのような御検討があるか、お聞かせいただければと思います。

五十嵐副大臣 第二弾の税制、震災特別税制というものを考えようということになっております。

 その一つは、第一弾で先日成立をさせていただきましたものの中で、こぼれたものがある。例えば二輪車の自動車重量税の免税、還付等については、一次では入っておりませんでしたが二次では考えたいというようなことがございますし、あるいは、被災者が住宅の再取得をした場合の住宅ローン控除をどうするか、特例を設ける必要があるだろうと。あるいは、大事なのは事業承継税制、これについても大震災により事業継続が困難となるケースなどが考えられますが、そのときの納税猶予の継続等、検討をしていかなければいけないと思います。

 今後、各省庁とも震災対策を一生懸命やっておられますので、どういう新しい御要望があるかを十分に承った上で作成をしていきたい、検討していきたいと思っておりますし、今お話のありましたグッド減税についても、既に提出済みの税法、二十三年度改正案についてもかなり取り入れさせていただいておりますけれども、それについても、さらに何かつけ加えるものがあるかどうかということを検討していきたいと思っております。

小野塚委員 ありがとうございます。

 最後に、金融面から、二重ローンのことについて伺いたいと思います。

 本日の新聞にも掲載されていましたが、被災地の地銀や第二地銀の業績予想というのは大変厳しいものになっています。貸倒引当金を大幅に増額したということがその影響なんですけれども、地銀、第二地銀のほかにも、信金や信組などもございます。

 被災された金融機関が大変厳しい中で、現在、金融機能強化法の改正というのも検討されていると思うんですが、その中で、今後二重ローンのことなどについて、まあ、その法案以外のところでもやっていらっしゃると思いますが、今後の二重ローンのことについて、金融庁さんとしてどのような御検討をされているか。今やっていること、また今後どうやっていこうとされているか等についてお伺いできればと思います。

和田大臣政務官 この国会審議の場でも、るるいろいろ御質疑をいただいているところでございます。

 今御指摘の二重ローン問題について、私どもも本当にこれは深刻な問題だと受けとめましたものですから、ゴールデンウイークの期間にも被災地に入らせていただきまして、被災企業の方々、そこに貸し出しを行っていらっしゃる金融機関の方々、そういった方々とちょっと意見交換させていただきました。

 御指摘のように、確かに二重ローンを抱えそうになりそうな方々はたくさんいらっしゃいます。しかし実は、現地を回ってみまして初めてわかってまいりましたが、現在、その検討に入れている方が非常に少ないという実情にございます。

 なぜかといえばということなんですが、まず、これは本当に全省庁連携しながら考えていかなければいけないところですが、今回、津波によって被災された地域にあった、まず事業者の方ですね、事業者の方がもう一度立ち直りをかけて、建屋を建て、事業を再開しようとしたときに、その地域に立地することが現段階ではできないということのようでございます。それは、被災されたということで、もう一度同じ災害が起きたときには同じ被災を受けてしまう、危険地域になりそうだということもありまして、次の事業再開に意思を決定できないという環境のようでございます。そのため、貸している金融機関に聞きましても、そして事業を行っていた企業につきましても、次にもう一度やるんだということを決意できないでいるような状況でございます。

 さりとて、これが解決すれば、必ず、過去の借金部分と、これから事業再開に向けて必要な資金部分とが必要になってくる。そういった意味で二重ローンは発生するわけでございますので、そうしたときのために、早目に金融機関の方々には、危ないという金融機関ではなくて、健全な金融機関でも、金融機能強化法を改正しまして、非常に使い勝手のよいものにしていこうと思っていますが、そこの自己資本部分を厚目に積んでいただきながら、しっかりと、いろいろな債務者、債務企業に対して対応していただきたいというふうに考えています。

 それから、もう一つ付言すれば、個人の債務者につきましては、住宅ローンを抱えていらっしゃって、家が流され、そしてもう一度住宅を再建したいという方々が多いはずなのでございますが、この方々につきましても同じような事情がありまして、今、もと住んでいた地域に同じ家を建てたいと思っても建てられない状況でございます。この部分をクリアする必要がある。

 しかし、個人の住宅ローンの場合、聞いてきましたら、どうも民間金融機関での住宅ローンを組んでいらっしゃる方々は、団体信用生命保険というふうに名前をつけてあるんですが、そうしたものが付保してありまして、それ以降、残債が残っていた部分を保険によって賄ってもらえるようでございます。昔の住宅金融公庫の部分につきましてもそういったものがございまして、全面的にではないようでございますが、かなりの部分、そういった付保によって救われる部分があるかなと思っております。

 しかし、最後に幾ばくかは必ず二重ローンになる方々は残っておりますので、今、本当に申し上げられるところがなくて非常に恐縮なのでございますが、鋭意各省庁と協議しながら検討中でございます。

 以上です。

小野塚委員 ありがとうございます。

 今御説明いただきましたものを、ぜひ、まさに被災に遭われた方々、まさに二重ローンで苦しまれるであろう方々によく御説明を、金融機関さん、また金融庁さんからもやっていただきたいと思います。こういう制度があったにもかかわらず、知らなかったよとか、そういうことがあって後々苦しまれるということがないよう、そこの周知は徹底をいただきたいと思いますし、ぜひ被災された方々の立場に立った政策を引き続きとっていただければと思います。

 最後になりますけれども、国が責任を持ってこの国難に臨んで、財政、税制、金融の政策に全力を挙げていくというのは当然のことなんですが、私たち、本当に自発的に、今日本が、みんな頑張っていこうという意識が高まっている中でございます。その日本人の底力を強く後押しするような政策をぜひとも政府としてもつくっていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 ありがとうございます。

 まず冒頭、質疑に入る前に、総理大臣が、昨日ですか、政府の責任ということで、総理としての給与部分ですか、国会議員に加えた、これを返上するとおっしゃって、僕はあれっと思ったんですけれども。

 我々国会議員として、本当になかなか可処分所得の低い我々、大変な拠出をしたわけで、総理としてお出しになる、これは結構なことなんですが、国民が求めているのはそういうことじゃなくて、やはり総理の決断力とかそして判断力とか、そういったものだと思います。

 しかし、総理がああいうことをおっしゃってしまった限りは、政府として責任があるとおっしゃった。ということになると、政府全体、閣内としてどうされるか。野田大臣、自見大臣。

 僕は、批判してくださって結構だと思うんですよ。やるべきことをやっているんだったら、別にそんな必要はないと言う方が、僕は、よほど政治家として国民は期待すると思います。

 原子力政策も白紙に戻すと言うけれども、こういう発言がまた、菅さん、だめなんですよね。白紙ということは、何も書いていないということなんですよ。あり得ないですよ。今現在、白紙にするというこの言葉遣いも、全くなっていないですよね。現に白紙ばかりにしたから、今回、災害が起きたときの中央防災会議の今までの過去の経験を生かせなかったとか、これをまだあの人はわかっていないのかなというふうに思わざるを得ません。

 それは別としましても、両大臣に、大臣としての付加部分の給与に対してどうされるか、御意見をお願いします。

野田国務大臣 内閣としては、国会議員の皆さんが歳費を月五十万円カットするということに準じて同様の措置をとっておりまして、内閣全体はそういう方針でございます。

 きのうの総理の御発言は、まさに一人の政治家として、もろもろの対策もこれからも講じていきますけれども、一つの政治判断で、御自身の分をさらに返納するという意思表示をされたんだろうというふうに思います。(後藤田委員「御自分はどうなんですか」と呼ぶ)

 私は今、内閣の一員ですから、内閣全体の中での現状の、これ以上、特段議論をしているわけではないので、総理は総理で御判断されましたけれども、内閣全体は、月五十万円のカットという方針のもとで現状は動いています。(後藤田委員「内閣じゃなくて、それは国会議員の実態でしょう」と呼ぶ)

 国会もそうですけれども、内閣も三割カットになっています。(後藤田委員「それに加えて、大臣」と呼ぶ)

 三割カット、今現状でございます。

自見国務大臣 総理の発言も、私はきのう初めて聞かせていただいたわけでございますけれども。

 私ごとになって大変恐縮でございますが、私、たしか二十年ほど前、中尾栄一通産大臣のもとで通産政務次官をやらせていただきました。

 当時は国の大きな方針として原子力発電を、やはり資源のない国ですから、電力会社と一緒になって奨励してきたのは、私は事実だと思います。

 ですから、私はやはり政治家として、国の原子力発電所を督励したとは申しませんけれども、そういったことを、法律は当然ありますし、ああいうチェックが非常に大事でございまして、当時は科学技術庁に原子力安全局それから原子力局というのがございましたが、そういうようなチェック機関もきちっと当時はございまして、そんなことを含めて、やはり長い間、政府というのは継続したものですから、国の責任があるだろうというふうに私は政治家として思っておりまして、そういった中で、内閣総理大臣の御判断でこういう御判断をされたということでございます。

 今、野田財務大臣も言われましたように、我々も一律、月に五十万円、それは皆様方と一緒でございますが、当然でございますが、半年だったと思いますけれども減額されております。

 また、内閣としてどうするのかという話でございますが、それはいずれまた、総理がそういう話をされたので、いろいろ内閣あるいは閣僚懇で話が出るかと思いますけれども、我々も、きちっと一人一人の政治家の見識を持って、こういった未曾有の天災あるいは事案に対処していきたい。人間の覚悟というのも必要でございますから、そのことをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

後藤田委員 この質問はこれで終わりにしますが、政治家としてというのはもう我々は共通してやったんですよ。あれは政府としてということなので、お二人に、政府にいる、閣内にいるという自覚がまだないのかなと、今のお二人の話を聞いていて僕はそう思ったし、閣内も不一致かなという気がしています。

 菅さんのやっていることは私は正しいと思っていませんよ、はっきり言って、国民はもっと違うことを期待していますから。やはり、さすが市民政治家ですよ。そのレベルです、はっきり言って。

 皆さんも、政治家としてはみんなもうやったんです。政府としてということで総理が言ったから、皆さんは政府としてどうするかと言ったので、もうこれ以上聞きません。

 きょうは、お忙しい中、経産副大臣に来ていただいて、済みません。まず最初に御質問をして、御退席いただきたいと思います。

 この委員会でもたびたび私からお話しさせていただいていますが、今、東京電力の決算の問題ですね。東京電力がどうなるか。加えて、今度中部電力がどうなるかとか、ほかの電力会社が今後どういうふうに経営できるか、今、大変な金融不安をあおっています。

 私は常々申し上げていますが、財務金融委員会及び政府の役割というのは、特に財務金融は、やはり金融の安定性と安心というのを常に確保するというのが我々の仕事なんだと思うんですね。そういう中で、経産副大臣に、いろいろ海江田大臣が、きょうもたしか御党の方でもいろいろ協議がおありになったかと思います。政治家、政治の仕事というのは、大胆に迅速に発信することが仕事ですから、そういう意味で、ぜひ副大臣に、今回のいわゆる東京電力の経営不安による金融危機は絶対起こらないということをまず言い切っていただきたいんです。

 東京電力の決算は、たしか十八日でしたか、これは可能なんですか。決算ができないということは上場廃止ですから、その状況はどうなっているのかも含めて、東京電力の決算はできる、そして東京電力発金融危機はないということをこの委員会で断言していただきたいと思います。よろしくお願いします。

松下副大臣 お答えいたします。

 まさに東京電力、今回の福島原発の当事者として、三月十一日の発災以来、大変な努力をしていることは重々承知しておりますし、きのうも経済産業大臣に対して、我々もリストラを、合理化を精いっぱいやるし、資産の売却もする、そういうこともしっかり内部改革をすることによって、早期に必要な賠償について実現していくという決意の表明がございました。同時に、それを遂行する中で、国の支援もお願いしたいということもございました。

 これは、これから長く続くであろう、しかも多額になるであろう賠償のいろいろな資金について、あらゆるところからの資金の調達も必要でありましょうし、そういうスキームをつくっていくことも大事だということも我々は共通に認識しております。

 その中で、今回、平成二十二年度の決算の、今まさに中の整理をしているんだと思いますけれども、私たちは、この会社が民間企業者として十分なる電力を供給することをこれからも継続していく、そういうことをしっかりと我々も担保して支えていく。その中で、収益から返していくということをつくり上げていくことがやはり大事だ。そういう意味では、今回の決算も、そういうことに揺るぎがあってはならないというふうに我々は考えていますし、そのスキームをつくっていくこと自体がやはり責任を果たすことだ、そう考えております。

後藤田委員 ありがとうございます、大変誠実な御答弁で。

 そのスキームでございますけれども、これはもう税負担、つまり、国が一時的にお金を出すか、それが結局利用者に負担がいくかのどっちかだと思うんですね。どっちかしかないと思います。つまり、税でいえば、国民全体が守ろう、もしくは電力会社に新たな税を課す、しかしそれは間接的に利用者が払う。いずれにしろ、利用者負担か国民負担か以外にないと思いますよ。それについて、東電が悪いから、けしからぬから、こういう風潮で、そういう負担を拒否するような空気をつくれば、結果、金融危機が生まれ、そして、結果、国民が相当な被害をこうむる。

 いわゆる賠償の問題も、福島初め東北地域でありますが、実際に電力の恩恵を受けているのは東京、関東ですよ。経済界ですよ。ですから、やはり利用者が負担するのは当然だと僕は思いますね。ぜひ、そういう形で思い切ってそれを国民の皆様に説得するように、総理初め経産大臣にはお願いしたいと思います。

 そして同時に、電力会社のコスト構造。これは私もこの委員会で申し上げています。

 そもそも公益企業、いわゆる電力も通信も銀行も鉄道も、この人たちは、表向きは民間企業なんだけれども、自由競争の中の民間じゃないんですよ。管理競争の中の民間なんですよ。この人たちは、コストに利益をオンして、そして利用者に、通信もそうですね、携帯の利用料、それで彼らは莫大な利益を上げている。これは、僕はぜひ国会の中で、各委員会でもいいんだけれども、公益企業監視委員会なるものをつくって、彼らを監視していかないとだめだと思いますよ。

 電力も、これは週刊誌でもいろいろありますが、夜の店の話とか、私も嫌いじゃないから何とも言えませんが、しかし私は自腹で飲んでいますよ。私が聞くところによると、というか、もう事実関係をつかんでいますが、まさに当該電力会社の幹部が、下請会社、孫請会社に金を出させて毎日のように飲んでいた。そして、最近その店からボトルが全部なくなった。廃棄してくれといって。これもちゃんと私はつかんでいます。別に、くノ一がいるわけじゃありませんけれどもね。現地調査しましたよ、はっきり言って。でも、電話でですよ。

 それで、やはり下請会社、関係会社との随意契約、これは普通、役所が発注すると、だれもがわかるようになっていますね、今の時代。しかし、NTTもそうですよ、JRもそうですよ。恐らく全部、東電も、各電力会社。中部電力の、ある石炭を運ぶ船会社の社長さんは競走馬を何頭も持っている。何でそんなに持っているんだと。そういういろいろな癒着、しがらみがすごいと思いますよ、この業界は。

 これを徹底的に、具体的にどういう機関で、松下副大臣、電力会社を監視するんですか。そのことの前提がなければ、国民負担、利用者負担は絶対あり得ませんから、そこをどこまで、具体的にどういう機関でチェックするかを教えてください。まだ決まっていなければ、いろいろな事実関係をもとに、いろいろ私も協力したいと思っていますから、お願いします。

松下副大臣 私も、建設省の出身として、建設業界の縦系列のいろいろな構造はよく熟知しておりますし、その中でいろいろなことがあるということも承知しております。その改革と改善にどれだけ取り組み、苦しんできたかということは、我々も、その成果としては、上がってきていることは上がってきています。しかし、こういう世界ではなかなか、その縦構造をきちっとしていくことが、透明性ということが難しいことも事実です。

 今回の東京電力のあの原発の処理のことに関連して、だれが一番最先端で苦しい仕事をしているのか、どういう立場でその人たちが今入っているのかということは、今回、私も入ってみて、現地の本部長もいたしましたので、その中でよく勉強させてもらいました。

 これは、これからも我々はしっかり国民の目線としてまず監視しなきゃいかぬし、国もそこは、正しくきちっと収束させるためにも、本当に先端から、上から下まできちっとした一つの統制のとれた、しかし、最先端で努力している人たちはしっかり責任感を持ってやっておられますから、やはりそれに必要な待遇があってしかるべきだと思っていますし、今の形でいいとは決して私も思っていませんし、しっかり監視していかないかぬ、そう考えています。

 法律的には、監査法人とかいろいろあるでしょうけれども、まず国民の目線と、収束するためにどうすればいいのかということを我々は真剣に考えなきゃいかぬ、そう思って取り組んでまいります。

後藤田委員 独法なんかもそうなんですよね。役所はもう今、衆人の環視のもとに置かれているけれども、独法、特殊法人、ましてや公益企業なんというのは、結局だれも国民がチェックできない。ここにやはり甘えが出たんだと思うんですね。

 あとは、やはり民業圧迫もたくさんありますよ。なぜJRが既得権で、その土地の中で自分たちの関連会社がビジネスできるんだとか、JALにしたって、私、飛行機に乗るたびに思いますよ。くだらぬジャルショップのあの雑誌、あんなものより、東京カレンダーの、フリーペーパーの雑誌を置いておいた方がよっぽど景気にも経済にも影響がある、プラスになる。

 私は、もう数年前から、国会議員が使うVIPルームを使っていないんです。これはおかしいと思っているんですよ、あんなところをね。大臣、副大臣、政府高官はいいと思う、警護の問題もあるし。一般国会議員があそこを使うためにまた何人もの職員を雇って、私もよく見ますよ、若い方々を。私もまだ十年しか国会議員をやっていませんが。私は、もう政府高官以外は使うべきじゃないと思っている。あんなことをやっていて、よくJALにいろいろな支援をしているな、私はそう思います。

 ですから、ぜひ副大臣、民業圧迫の観点からも、電力会社の関係、本当はほかの会社がやった方がより低コストになって、そしてその企業が上場したりしてそこでまた税がふえるとか、いろいろなことが可能なんですよ、公益企業は。これは絶対、国会議員、ハウスとしてやるべき大変な、今回の電力の問題を通じて痛切に感じていることでございますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。

 もうどうぞ、お忙しいと思いますので。

 それを受けまして、財務大臣、金融大臣にお伺いします。

 先ほども二重ローンの問題がございまして、政務官が、二重ローンというのは二回目の家を購入しないと二重にはならないんだということだったけれども、確かにそうなんだけれども、しかし、被災地に建てない可能性があっても、ほかの土地には建てる可能性があるんですよ。ですから、二重ローンというのは必ず生まれるんです。

 事業者と個人とを比べると、個人で一番人生の中で支出が多いのは、住宅ですね。その次に保険料ぐらいですかね。税金かもしれません、全支出の中で。やはり住宅ローンに限って、この場でも申し上げました、今度も金融機能強化法で、預金保険機構の金、まあRCCもけりがついて、チャラになって、これからは、今、預金保険料は〇・〇八四かな、これが毎年六千億たまるスキームになっていますね。十年たてば六兆円ですよ。これを今新たにお考えになっているところで、そういった対応に使おうと。

 私は二つあると思っているのは、金額はまだ我々の部会で聞いても、金融庁も財務省も具体的な被害総額がわからない、銀行も金融機関もわからぬ、こういう状態だということなんですが、私はもう、やはり大胆に、その財源をまず確保すれば金融市場も安心するわけですから、〇・〇八四と言わずに、もっと高くするべきだと。もっと言えば、イギリスやフランスは、何も有事でないにもかかわらず預金保険料も払っている。そして銀行税も払っているんですよ。私は、日本もしっかりそうすべきだと思う。

 きょう、お手元に資料を配付しましたけれども、平たく言えば、銀行は最近税金を払っていない。バブル崩壊後、リーマン・ショック後、公的資金を受けて、そして増資をして、マーケットの値段を下げて、そして返しましたよって、こんなばかな理屈はないんですよ、本当は。

 金融庁の若い子が来たから、法人税だけ出せと言ったけれども、出ませんと言う。若いから勘弁してあげたけれども、こんな話もあり得ないんですよ。それを把握していないとしたら、もう大問題ですよ、金融庁。銀行が法人税を幾ら払っているか。法人税だけは抜き出せません、事業税とその他しか、一緒に合算ですなんて、そんな管理をしているんですか、公的資金を払っていながら。あり得ないんですよ、これは。私も金融庁の政務官をしていたからわかります。そういう若手の指導もしっかり、ぜひしてあげてください。若手を怒るのはもう私は嫌ですから。

 それで、銀行は最近、本当にたるんでいる、みずほの問題も含めて。通常、これを見ると、普通のときには約四千億円の税金を払っているんですよ、銀行全体で。ですから、今は欠損金がある限り法人税を払わなくていいということになっているから払っていないんだけれども、やはりこれは金融機関全体の有事であるし、同時に、債務者をサブプライムローンのようにしない。アメリカは、MBSといって、中央銀行が約七十兆円のお金を使って一時的に不良債権を抱えたんですよ。こういうことをやる。

 あのときは人災だったんですよ、まさに。金もうけしようとした人たちによる人災。今回は天災なんですよ。だから、より踏み込んだことをやらなきゃいけないということは確かであって、私は、銀行に銀行税、つまり資産に対して一定利率を掛ける。

 今、金融機関の資産総額がたしか八百二十兆ぐらいですかね。それに、例えば〇・〇五とか掛けると四千億円ですよ。被災地の住宅ローンの不良債権化したもの、全壊、半倒壊、たしか十万棟ぐらいあるんですけれども、これは大体四千億ですよ。これは地方の金融機関が抱えたら大変なことになりますね。これをもうオフバランスして、その金をどうするかということを銀行全体で考えようということで金を取るという、この仕組みを、ぜひ、財務省も、主税局と一緒になって考えるべきじゃないんですか。

 銀行が大変なときに、公的資金、国民が守ったんですよ。しかも、その銀行はバブルだとかサブプライムといって、経営者のミスでやったことに国民が血税を払った。そして今、低金利で、国民が本来得るべき金利収入もない中、銀行を助けている。そして、国債という、何にも苦労せずに金利が入るビジネスで銀行を支えている。しかし、国債の金利というのは大臣、国民の税金ですね。ですから、それをまた還元しろというのは何もおかしいことじゃないと思いますよ。

 ぜひ、財務大臣と金融大臣で、預金保険料を上げて、今ある、これから出る毎年六千億円、これを一兆円ぐらいにするか、もしくは新たに銀行税、こういったものをつくる、こういうメッセージを、こういう委員会やいろいろなところで発信するのが政治家の仕事ですよ。多分、御答弁は役人の答弁をされると思います。いかがでございますか、一応、期待はしていませんが。

 それぐらいの大胆さと迅速力と発信力というのが政治家の最も必要な、財務大臣は確かに堅実ですよ、役人からも好かれている。それは堅実だからですよ。言うことを聞いてくれるからですよ。

 しかし、僕は、亀井さんというのは、党は違うけれども大好きでしたけれどもね。やはりそれぐらいの大胆さがありましたよ、やれと言って。モラトリアムも、いいかどうかはまだわからぬけれども。

 どうですか、大臣。今のことを受けて、ちょっとは踏み込んだ発言をしてくださいよ。

野田国務大臣 御期待にこたえられるかどうか、わかりませんけれども。

 二重ローンの中で個人にとって一番大きいのは、おっしゃるとおり住宅ローンだと思うんですね。

 例えば住宅ローンをどうするかと考えたときに、自己資金でマイホームを建ててそれが全壊した方と、住宅ローンを通じて家を建てて全壊をした方と、同じ損害だと思うんです。そういうときに、ではどういう形で二重ローン対策をやるのかということは、公平性という観点からもこれはよく考えなければいけないと思います。ただやはり、そういう債務者が困窮をしていくということは一番避けなければいけませんので、それは、金融庁も含めて、しっかり協議をさせていただきたいというふうに思います。

 銀行税については、これは確かにイギリスとかドイツとかフランスとか取り入れていますけれども、金融危機に備えてのいわゆる税になっていますね。だから、その性格とか沿革なんかもちょっと勉強させていただきたいとは思います。

後藤田委員 よかったです。ちょっとは前向きな、本当に、ぜひ勉強してください。

 次、最後の質問のブロックに入りますけれども、やはり今、復興にしてもそうですし、これから税収が減る、そして、震災対策の減税によってまた税収が減る。これはやはり、どこかから金を取らなきゃいかぬのですよ。財務大臣の仕事というのは、金がない、ないとずっと言い続けるのが仕事ですよ。そして、どこかからいかに金をつくるかが仕事ですよ。

 今、大臣、歴代大臣の中で、本当にフリーでシュートを打てるような状態なんですよ。税と社会保障は与謝野馨に任せている、そして三党合意で検討項目が出た。本当は大臣、結構楽なんですよ。本来する仕事、税と社会保障なんというのは、あれは本来、大蔵大臣がやらなきゃいけない仕事ですよ。そうでしょう。そして三党合意にしても、恐らく大臣は、各党派にお任せして検討状況を見守りながら財務省としても検討してまいりたいなんて、多分、答弁すると思いますよ。

 そうじゃなくて、やはり、震災対策もそうですけれども、六月に向けた税と社会保障の一体改革、まあ与謝野さんははっきり言って雇われマダムですよ。党の中でもなかなか理解もされていないでしょう、恐らく。しかし、哲学として、我々世代、大臣より若い我々、きょうの委員も、本当にこれは日本の財政が大変になる。ここでも質問したとおり、もう財政危機は想定外じゃないんです、想定内なんです。これで何もしなかったら人災なんですよ。政治家の仕事なんです。ハウスの責任であり政府の責任なんですね。

 そういう意味で、私はさっきも銀行税というのを提唱したのは、なかなか消費税を今すぐやれるという環境じゃないのは私も重々承知しています。だとしたら、世界で戦う企業、法人税とかをさわるんじゃなくて、国内である程度もうけている内需型の公益企業から浅く広く税を取る仕組みをもっと考えろと言っているんですよ。携帯電話からちょっとずつ料金をもらうとか、今申し上げました、銀行からちょっとずつもらうとか、それで金をつくれと。

 私は、役所の若い、これからの人たちとも話をしていますけれども、役人は上から指示がないとみんな言う、政治家は役人から聞いていないと言う、これは最悪なんですよ。何も進まないということなんですから。

 ぜひ大臣、歳入歳出の一体改革という、さっきも五十嵐副大臣がおっしゃったけれども、これは全面見直しするんですね、さっき御答弁されていましたけれども。

 ということは、今年度の補正予算、これからまさに特例公債法をやりますが、あれは法律として、金額は別にして、青天井に赤字国債を出せるという法律ですよ。そういう中で、さっき、歳入歳出の見直しが大前提だとおっしゃった、それはまさにそのとおりです。

 では、減額補正はするんですね。減額補正をしなければあり得ませんね。プラスだけの補正予算なのか。歳入歳出の見直しとさっきおっしゃったんですよ、五十嵐副大臣は。歳出の見直しということは、もう予算は通っていますから、減額の補正をするということですよ。そういう意味でよろしいんですね。

野田国務大臣 五十嵐副大臣がお答えをしたように、歳入と歳出を幅広く見直していって復興の財源をつくっていくということでございますので、歳出の見直しを通じて財源を確保するという部分が、当然それは減額になってまいります。

後藤田委員 今、非常に大事な発言をされました。減額補正をするということでよろしいですね。もう一度、再度聞きます。

野田国務大臣 既存の歳出の見直しをする部分は減額という形になってまいります。

後藤田委員 ありがとうございます。

 もう時間でございますので、この辺で終わらせていただきたいと思いますが、ぜひとも、大臣、政治家としてこの難局を乗り切っていただきたいと思いますので、頑張ってください。

 終わります。

石田委員長 次に、徳田毅君。

徳田委員 自由民主党の徳田毅です。

 きょうは五月の十一日、三月十一日に発災したあの東日本大震災の発災からちょうど二カ月となります。改めて、犠牲となられた多くの方々に心から御冥福をお祈りするとともに、被災をされたすべての方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 大臣は、四月の二十三日ですか、福島、宮城の各被災地に御視察に行かれたという話をお聞きしました。

 まず最初に、実際に御自身の目で被災地をごらんになられてどういう感想を持たれたか、お伺いしたいと思います。

野田国務大臣 御指摘のとおり、二十三日に視察をしてまいりました。

 最初、福島に入りまして、そして国道六号線を北上しながら宮城まで入る、その間ずっと瓦れきの山をたくさん見ましたし、被災をされている皆さんの声も聞かせていただきました。映像で見るのと、あるいは人の話を聞くのとは全く違う、本当に未曾有の出来事だったということを体感しました。

 その一方で、ちょうど桜が咲いてきている季節でございました。すばらしい桜が各地で咲いていました。この花を見ながら、いつの日にか、福島に生まれてよかった、宮城に生まれてよかった、岩手に生まれてよかった、そう言えるような国を再生しなければいけないという決意を新たにした次第でございます。

徳田委員 ありがとうございます。

 私もこの二カ月の間に四度、被災地を視察してまいりました。大臣同様、やはり一刻も早い被災地の復興を目指して私たちは全力を尽くさなければならないと強く思った次第であります。

 しかしながら、今私たちが直面している課題はあの被災地の復興だけではなくて、まず、ただでさえ低迷していた経済、あの中でこの震災が起こりました。それをきっかけに経済がさらに落ち込んでいる。または、震災により税収も大幅な減収となる。また、減税も行うことから税収も減るでしょう。その一方で、巨額の復興の予算を捻出しなければならない。そうすると、やはり、財政も危機的状況にあった中で、これからさらに国債の暴落、そして財政破綻といったリスクが高まっております。

 だからこそ、今私たちは、当然、東北の復興はもちろんでありますが、日本経済の底上げ、経済対策、そしてまた財政再建ということについて、しっかりと取り組んでいかなければならない。その複合的な大きな問題が目の前にある。今ここにあることが、私は、今、戦後最大の国難にあるということを思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 委員と認識は全く同じでございます。復旧復興に力を尽くさなければならない、これは今、最優先の我が国の課題であることは間違いございません。

 その一方で、委員御指摘のとおり、震災が発災した以前から、我が国の財政状況は大変厳しい状況でございました。成長と財政の健全化を果たしていくということも、これも避けて通れないというか、先送りのできないテーマだというふうに思っています。

 そういう中で、これから第二次の補正予算、その財源をめぐる議論等を、各党、胸襟を開いて行っていくことになると思いますが、問題意識は委員と全く同じでございます。

徳田委員 ありがとうございます。

 その共通する認識を持った上で、まず最初にお伺いしたいのですが、今、私も自民党の国対におります。そうした中で、五月の九日に民主党の安住国対委員長が、今国会の会期延長は考えていないという発言をされております。やはり、今、被災地の状況を考えると、国会を閉めるというのは許されないんじゃないか。

 これから余震の可能性も指摘されております。原発の収束の見通しも立っておりません。これから復興基本法も成立させなければならない。または、これから被災地において起こり得る問題に対処していくために、復興に係る特別立法も随時成立させていかなければならない。また、これまでにも問題があったように、特例公債法案、これも今国会中には必ず成立させなければならない問題だと思いますが、そういう状況の中で、今、六月二十二日で国会を閉めるということが本当に政治として許されるのか。

 私は、被災地のあの悲惨な状況を目に焼きつけてきた者として、今すぐ国会を閉めるということは絶対許されないのではないかということを思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 委員御指摘のように、まだ議論してそして成案を得なければならないものがございます。例えばこの財務金融委員会においては、御指摘のあった特例公債法案。これはまさに、全体の歳出の約四割を占めるという構造でございますので、自衛隊の活動費とか地方交付税を含めて、被災者のためになる予算にも流用できるわけでございますので、これは一日も早く成立できるようにお願いをしていきたいと思いますし、税制改革の法案もございます。

 こういう法律がしっかりと会期内に通れるように、私どももきちっと御説明をして、取り組みを強めていきたいというふうに思いますが、国会の会期がいつで閉じるのか、会期末はありますけれども、延ばすのかを含めて、これは私、財務大臣というよりも、まさにそれは総理、あるいは国対、こうしたところの御議論によるものだと思います。

 いずれにしても、国会の議論を通じて、復旧については今般成立した予算をきちっと執行することによって対応していきたいと思いますが、可及的速やかに復興の議論を進めていかなければいけないという認識を持っております。

徳田委員 今、成立を目指さなければならないものがあるからと。でも、それだけではないと私は思うんです。これから、いつ、どこで、何が起こるかもわからない。そうした中で、いつでも国会や政治が、政府がしっかりと対応できる、万全を期するような状況を私たちは整えておくことがやはり重要ではないか。

 今、先ほども申し上げましたとおり、戦後最大の国難に私たちは直面しているということを申し上げました。そうした中で、本当に今、国会を閉めることが許されるのでしょうか。国会の会期については総理や国対委員長の議論だと言われましたが、しかしながら、財務大臣として、やはり政府の中で重要なポストであり、そして、これからの復旧復興については重要な役割を果たしていかなければならない立場なのではないでしょうか。

 そうした中で、今、大臣としては、今の立場でそうかもしれませんが、やはり与野党を超えて、心ある議員であれば、今閉めるべきではないという声が多いかと思います。改めて御答弁をお願いします。

野田国務大臣 私の立場からすれば、延長すべきという形の論に立つのではなくて、この会期の中できちっとやらなければいけないことに解答を出していくということが基本だろうと。その上で、必要ならば延長するかどうかは、これは高度な政治判断によると思いますけれども、政府の立場としては、この会期の中でお願いをしている法案等がきちっと結論が出るようにするということに努めるということでございます。

徳田委員 今、大臣の立場からは国会の会期の話はできないのかもしれませんが、しかしながら、もう一度、視察をされたこと、そしてその中でお聞きなされたこと、そういうことから考えて、国民感情として、今、国会を閉めるということが許されるのか、国民がどういう感情を持たれるのか、やはりいま一度お考えいただければありがたいということを思います。

 さて、五月二日に第一次補正予算が成立をいたしました。被災地の状況を考えると、今回の第一次補正予算には瓦れきの撤去や仮設住宅の建設、道路や港湾、上下水道の修復、そうしたような緊急性の高い事業を盛り込まれておりますから、やはり被災地の状況をかんがみて私たちも賛成をいたしましたが、しかしながら、財源の問題やそうした補正予算のあり方についての考え方から、最後まで、賛成すべきかという議論が党内であったのは事実であります。

 改めて、これから、第一次補正予算、この補正予算だけではなくて、第二次補正予算、また来年度予算についても復興の事業というのを盛り込んでいかなければならないという中で、やはり私たちは民主党さんのマニフェストの見直しということを当初から求めてまいりました。震災以降、一度この財務金融委員会で御質問させていただいたとき、大臣からも、震災前と震災後の政策の優先順位は違う、それはしっかりと見直さなければならないというような答弁はいただきました。

 しかしながら、今回の第一次補正予算の財源を見たときに、一部、高速道路や子ども手当の修正という形で財源が捻出されているということでありますが、それは抜本的な見直しということには至っていない、小手先のやり方だと言ってもおかしくはないということを思います。今、やはりこれからの財源のことを考えると、財政再建のことも考えると、まずは民主党さんが選挙のときに打ち出したこのマニフェスト、政策を抜本的に見直すこと、そのことが求められているのではないか。

 大臣も総理自身もこの見直しをするということは言ってまいりましたが、今、政府内なのか党内なのかわかりませんが、どこでどういう議論がなされているのか、お伺いしたいと思います。

野田国務大臣 委員御指摘のとおり、第一次補正予算の中では、評価は今厳しい御評価をいただきましたけれども、子ども手当のいわゆる上積み部分七千円というところの削減をするという形、そして高速道路の無料化社会実験、これも財源に充てる等の対応をさせていただきました。

 その上で、四月二十九日に、御党、公明党そして私どもの民主党、三党の政策責任者によって三党合意が交わされました。そこには、子供に対する手当の制度的なあり方や、高速道路料金割引制度を初めとする歳出の見直し等について、各党で早急に検討を進める、こういう合意文書がございます。これは大変重たいものだというふうに受けとめておりまして、現在、党においてこういう検討をする段階に入ってきているんだろうというふうに理解をしています。それを踏まえて対応していきたいというふうに思います。

徳田委員 現在、また第二次補正予算に向けて、三党合意を踏まえてそうした議論が行われているということであると思いますが、しかしながら、震災当初からやはりマニフェストの抜本的な見直しという方針は皆さんも示されていたことであったと思います。

 優先順位、これはどんな仕事についても大事なことだと思いますが、今回の補正予算の財源を見れば、子ども手当の上積みの見直しで二千八十三億、高速道路社会実験の一時凍結で一千億、そして何よりもこれが問題だと思いますが、年金臨時財源の活用、これが二兆四千八百九十七億、そしてODA関連予算、これは五百一億を捻出している。

 政策の中で皆様が訴えてきた、この震災が起こって、本来多くの方が見直すべきということを主張されている、言われている、そうした子ども手当やいわゆるばらまきという政策よりも、今回の例えば年金臨時財源、この優先順位は低かったのか、そういう受けとめ方になると私は思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 年金財源が優先順位が低かったというわけではございませんが、年金財政の安定性を損なわないという形にするために、税制による抜本改革によって、穴があいた分を埋めていく、そういう措置をとるということを法文上も書いてございますので、優先順位というよりも、そういう対応の中で御理解をいただこうと努力をしたということでございます。

徳田委員 税制の抜本改革というのは、大変大きな問題、難題ですよ。六月に税と社会保障の一体改革の成案が得られる、それでまた対応したいという答弁もありました。しかしながら、そこでどれだけの増税になるのか、どういう形の社会保障の新しいあり方が出てくるのか、全くわからない状況の中で、二・五兆円、先に先食いする、これは本来あってはならないことだと私は思っております。

 民主党さんも、これまでに、選挙までに、老後の安心ということで、年金制度については強く訴えてこられたのではありませんか。もし年金積立金を取り崩すということになれば、それは明らかなマニフェスト違反だということを私は思います。これはだれが考えても、年金財源から流用するというのは筋が悪い。

 こうした案をどこのだれが発案されて、そしてどういう議論を経てこういう結果に至ったのか、教えていただきたいと思います。

野田国務大臣 発案は、まず、四兆円規模の財政需要になるだろうと、その歳出の方のある程度のフレームが見えてきた中で、財源をどうするかという議論をさせていただきました。当然私も入っておりますし、最終的には、年金を財源にするということについては、国家戦略担当大臣、そして厚生労働大臣、三人で合意文書を交わして進めさせていただきましたし、当然、総理も含め、この点についての御理解をいただきながら進めさせていただいたという経緯でございます。

徳田委員 このことについては、これからまたしっかりと、これは与党だけの問題ではなくて、将来の安定的な制度というものをつくっていくためには私たちもしっかりと取り組んでいかなければならない問題だと思いますが、今回は、緊急性があったとしても、余りにも乱暴なやり方だったのではないかということを感じております。

 そしてもう一点、公債特例法案です。

 こちらについても、これまでの議論では、六月までに成立しなければ予算執行に大きな穴があいてしまうということでありました。もし六月二十二日までに成立しなければどういう状況になるのか、お教えいただきたいと思います。

野田国務大臣 特例公債法案が成立をしない場合、これはもちろん、九十二兆余りの予算の中の、全体の四割を占めますので、大変大幅な歳入欠陥が生じます。

 直ちにそれが予算執行に影響が出るということではございませんけれども、その成立が長引けば長引くほどさまざまな影響が出ると思いますので、これは何としてもこの国会中に各党の御理解をいただきながら成立をさせていただくということは、今、第一次補正もきちっと執行しなければなりませんが、当初予算、本予算の中にも相当、災害対策に生かせる予算がいっぱい入っていますので、その意味でも、支障のないように、何としてもこれが成立するように説明をさせていただきたいというふうに思っております。

徳田委員 特例公債法案をしっかりと成立させなければ重大な影響が出るということですから、これについては会期内で成立をということを申されておりましたが、私たちも、これまで民主党さんが掲げられていたマニフェストを抜本的に見直すということであれば応じるということは申し上げているんです。

 そして、今回の三党合意、こちらの中でもやはり、子ども手当や高速道路料金割引制度を初めとする歳出の見直し、こうしたことも重く受けとめていただいているということを思いますが、こうしたことをいち早く党内でしっかりとおまとめをいただいて、そして、三党合意をした自民党、公明党だけではなくて、与野党全体にしっかりと皆さんの考え方を示していただく、そのことが特例公債法案のいち早い成立につながっていくものだと思います。いかがでしょうか。

野田国務大臣 委員の御指摘のように、三党合意の中に、「各党で、成立に向け真摯に検討を進める。」と、特例公債法案の扱いが明記されています。その上で、その議論が成り立つためには、御指摘のような私どもの努力、党の努力も必要なんだろうというふうに思います。

 基本的には、この三党合意を重く受けとめて、そして、その中で特例公債法案が何としても一日でも早く成立できるように努めていきたいというふうに思います。

徳田委員 前々から検討されるとか議論をするとかと言われるんですが、全く私たちの方には聞こえてこないんです。

 今回の合意についても、「検討を進める。」とか「成立に向け真摯に検討を進める。」とか何だとか、そうした合意ですから、私たちは余り当てにできないのかなと思っているところもあるんですが、しかしながら、政権与党ですから、やはりしっかりと党内で議論をしていただくことが必要だということを思いますが、それが、残念なことに、本当に全く伝わってこない。それで私たちも全く見通しが立たないということになっておりますので、ぜひそうしたことを大臣からも党内に対してしっかりと呼びかけをしていただきたいということを思っております。

 さて、冒頭に、今私たちが取り組まなければならないことは震災の復興であり、そして経済対策であり、そして財政再建であると。もっと言えば、財政再建、財政の危機的状況に大きな影響を及ぼすのは社会保障の問題でありますから、これについてもこれから短期間の間にしっかりとした見通しを示さなければならない。原発の問題もあります。福島についても、これは、ほかの被災地に比べて原発がある分、また深刻な状況になっている。大規模な移転ということもあるかもしれません。そうしたことの大変難しい問題。

 こうしたことを同時に行っていく、その難しいかじ取りが迫られているわけでありますが、こうしたことがこれからの復興構想会議やまたは税と社会保障の中で皆様の方針が出されてくるものなんだということを思っております。

 しかしながら、今申し上げた課題の中で、どうしても経済対策といった部分が私には見えてこないんです。先ほども申し上げましたとおり、震災で東北は壊滅的な打撃を受けている。実は、私は地元は鹿児島でありますが、九州の方でも、東北から一つの部品が届かないからということで製造ができない、商品を出荷できない、そういうことで経済的な影響も出始めています。

 震災前にもやはり経済対策は大切だ、重要だということを議論がなされておりましたが、震災後の新しい成長戦略というものをしっかりと示さなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 もともとは、昨年の六月、財政運営戦略とともに新成長戦略というのを閣議決定して、成長と財政再建を両立させていくというのがこの菅政権の大命題でございました。

 確かに、震災があっていろいろな状況が変わりました。例えば観光、いろいろな影響が出てきています。等々を踏まえて、その新成長戦略の中で何をさらに推し進めていくのか、あるいは何はもうちょっと立ちどまって考えた方がいいのかというような指針をほどなくつくろうという、今、最終的な議論を、詰めをしているところでございます。

 委員御指摘のとおり、例えば部品が影響している、サプライチェーンの問題を含めて、こういうものを短期的に克服していきながら、どういうところに投資をしていくのかということをきちっと整合的にやっていくことが大事であって、日本経済全体が成長することは復旧復興にもプラスになるはずでございますので、そういう全体像をしっかりと把握しながらやっていきたいというふうに思います。

徳田委員 ありがとうございます。

 そこでです。先日の復興構想会議第一回の場で、いきなり増税というのが出てきました。確かに、今の財政再建のことを考えれば、むやみに国債を発行すべきではないということを思いますが、今の経済状況をかんがみれば、むやみにまた増税ということも打ち出すべきではないんだということを思います。

 やはり増税によって、これが法人税の増税なのか、所得税なのか、消費税なのかわかりませんが、例えば消費税であれば、消費の減退ということは避けられないということを思いますし、また経済に対する影響も大きいものだ。被災をしていない地域についても、日本全体の経済をさらに悪化させる要因にもなるのではないか。ここでなぜ増税という議論が先に出てくるのか。

 私は、まず、復興構想会議が六月に第一回の提言を出してくる、青写真を出してくるのかもしれませんが、そこでやはり議論にたえられる復興計画というものをまずは出していただく、そして将来像を出していただく。その内容をしっかりと実行するためにどれぐらいの所要額が必要なのか、そうしたことがあって、やはりどれぐらいの増税をするのかということが大事な順序だと私は思うんです。

 しかしながら、いいかげんな数字を出してきて、二十兆ぐらいだろうとか、三十兆はかかるだろうとか、それぐらいの数字で、では今度は、増税します、増税しますということが、毎日、新聞紙面に躍る。これでは社会全体に対して、特に被災地に対しても、やはり多くの人たちが余りいい思いをしないのではないかということを私は思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 この衆議院の財務金融委員会でも何回も私は申し上げてまいりましたけれども、財源ありきではなくて、必要なのは、復興にどういうことが必要なのかという青写真、必要な対策はどういうものかという積み上げをした中で、ではそれを実現するためにどういう財源が必要なのかという議論を、これは歳入だけではなくて歳出も含めて議論をしていくというのが大事なプロセスでございますので、そこは間違ってはいけないというふうに思います。

徳田委員 そのとおりだと私も思います。だからこそ今改めて、増税するならば、そのあり方であるとか、またその時期であるとかというものをしっかりと、また、これは震災の復興状況であったり経済の状況であったりというものを見きわめた上で、慎重に出さなければならないものだということを思っております。

 そこで、もう一点です。

 これは、済みません、産経新聞ですか、四月一日の記事でありますが、野田大臣が、平成二十三年度の予算のうち公共事業費と施設費の五%の執行を留保することを要請されたということがあります。

 実は、公共事業というのはこれまでに大幅に削減されてきた。一八%、五%の削減をされている。さらに五%ですよ。そうなると、やはり地域経済には大変大きな問題が生じるのではないか。被災地だけではなく、西日本のことも、もっと言えば、もっと弱い地域のことも考えて、こうした指示をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 これはあくまで留保でございますので、使わないということじゃありません。やらないということじゃなくて、さっき御指摘のように、特例公債も通っていない中で、予算の執行管理をしっかりやって、しかも被災地にきちっとした事業ができるようにすることを重点化していくために、そういう留保条件を申し上げました。これは、被災地での事業であるとか国民のいわゆる安全にかかわるようなものについては留保から外しています。

 ということがありますので、使わないということではないんです。まさに被災地優先で、どうやって執行管理していくか、そういう意味での注文をさせていただいたということでございます。

徳田委員 この震災が起こって、地元に帰るたびに何を言われるかといいますと、東北の復興のために巨額の予算を回されるので、自分たちにはもう回ってこないんじゃないかと。これは多くの人たちが聞くことだと思います。私のところは大変田舎ですから、そういう地域経済にとって、農業や漁業のような第一次産業とともに、建設業というのは、やはり雇用や地域経済を支える大きな産業であります。そこがやはり皆さん不安視をされる、公共事業が大幅にまた削減されるということになると、みんながそれだけで消費マインドも低下してしまうんですね。ですから、こうしたことは慎重に行っていただきたい。

 もう時間もありませんが、最後に、やはりこれから宮城や福島沖の大地震がまた起こるのではないかという可能性も指摘をされています。東海地震、こちらも大変高い確率で起こるということから浜岡原発は停止をされたということを聞いております。また、関東の直下型地震、これもやはり必ず来るのではないか。

 今回の反省として、私たちはこれまで起こり得る地震に十分な対応をしてこなかった、これはもう自民党も大きく反省せねばならぬことでありますが、これからは私たちは、この四つのプレートで成り立っている国でありますから、こうした大きな地震は必ず起こるものだと想定して、やはり防災というものをしっかりとしていかなければならないんじゃないか。

 国交委員会におりますが、八ツ場ダムやスーパー堤防の議論なんかなくなってしまいました。そのことをここでとやかく言うつもりはありませんが、しかしながら、こうした事業についても、復興と同時に、いつ起こるかわからないですから、これも、学校の耐震化も含め、いち早くしっかりと行っていかなければならないということを思います。

 そういうことを考えると、まず公共事業、これまで大幅な削減を行ってきた、しかしながら、これから必要な事業についてはしっかりと行っていく、そうした方針を民主党として、政府として打ち出していただきたい。これは、震災前と震災後と大きく変わったんだ、マニフェストから大きく変わったと言われても、御理解いただけるものだと思います。

 そうしたことについて、最後に御所見をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 防災という意味では、まさに日本列島どこで地震が起こってもおかしくないということですので、想定外ということはもう言えない、あらゆることを想定して国民を守るようにしなければいけないと思います。

 その上で、真に必要なインフラ整備はきちっとやっていくということは、従来と変わりません。

徳田委員 ありがとうございました。

石田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 きょう私は、いわゆる被災した自動車の問題、それから保険の問題について質問をさせていただきたいと思っておりますが、初めに浜岡原子力発電所の停止の問題について、野田大臣に基本的なことをちょっとお聞きしたいと思います。

 まず、今回総理が決断をされる前に野田大臣に御相談がありましたでしょうか。

野田国務大臣 相談はございませんでした。

斉藤(鉄)委員 それでは、いつお知りになりましたでしょうか。

野田国務大臣 いわゆる報道ベースで知りました。

斉藤(鉄)委員 決断の内容そのものを議論しているのではありません。その決断に至るプロセス、これはやはり、総理大臣という日本で最大の権力者、最高権力者の決断でございますので、私は、しかるべき法治国家としてのプロセスがあるべきだ、このように思います。

 特に、今回の内容は、これからの日本のあり方や日本の経済、また復興そのものの経済的な基盤や産業力ということとも大きく関係をしております。そういう意味でも、関係大臣との前もっての議論でありますとか、また、今、総理としてああいう決定を下す法的な制度が整っていなかったという説明でございますが、であるならば、きちんとそういう法的なものを整えた後に、それにのっとって決断されるべきであった。

 私は、今回の決定は法治国家としてのあり方を否定するということにもなりかねないものだと思いますが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 総理が単独で御判断をされたわけではないと思うんです。経産大臣であるとか官房長官であるとか、あるいは原発担当の補佐官等の皆さんと協議をしながら政治判断をされたので、すべての閣僚がかかわっていなかったことは事実でありますが、最小限のところではきちっと段取りを踏んでやったんだろうと思います。

斉藤(鉄)委員 内閣で最もかなめの野田大臣に相談がなかった。御立腹になりませんか。

野田国務大臣 こういう決断をされた以上、雇用の問題であるとか地元の企業への影響、地域経済への影響、夏における電力不足がどういう形になるのか、そういうことを、立腹とかじゃなくて、きちっと精査をして対応していかなければいけないというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 今大臣おっしゃったように、まさに、これからの日本経済、そしてそこから上がる税収、また国際競争力、世界からの信認等々、本当に深くかかわる決断でございました。そして、まさしくそこに責任を持っていらっしゃるのが野田大臣であります。

 その野田大臣に全く相談もなく行われたということに対して、法治国家としておかしい、こういうふうには思われませんか。

野田国務大臣 法治国家としてという形ではなくて、いわゆる関係する人たちには相談をしながら進められて、事後ではありますけれども、その対処方針において、閣内の一人でございますのでしっかり対応していくというのが私の役割だというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 この問題はまた改めて行いたいと思いますが、今回の浜岡の停止が、これからの日本経済、またそういう意味で税収でありますとか、また金融の分野、これについては後で自見大臣にお聞きしたいと思いますけれども、どのような影響があるとお思いになり、また、その負の影響を小さくするためにどのようにしていかなくてはならないとお考えでしょうか。

野田国務大臣 負の影響がどういう部分で出るかということは、これはよく精査をして対応していきたいと思いますし、それの極小化に努めていきたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 ですから、私がお聞きしているのは、どのような影響があるとお考えになっているのか、そして、それをどのように最小化するかという質問です。

野田国務大臣 地域経済にどういう影響が出るのか、雇用にどういう影響が出るのか、電力不足にいっときなったとした場合、それは本当にあるのかないのかを含めて、それぞれ精査をすることが必要だと思いますし、交付税等については、これは大体八割はちゃんと出すということはもう方針として決めておりますけれども、それ以外にどういうことができるかということを、あらゆることを想定しながら対応しなければいけないというふうに思いますが、何よりも総理のメッセージとしては、まず安心できる環境をつくりたいということがあったんだろうと思います。

 その後に出てくる経済的な負の部分については、さっき申し上げたように、しっかり精査をしながら対応して、極小化に努めていきたいというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 安心を打ち出したい、これはわかります。であるならば、これから経済にどんな影響があるかということもきちんと前もって精査をした上で、決断されるべきだったのではないか。決断してから、さあ、これからどうなるかわからないので精査しましょう、これはちょっと順序が逆じゃないか。そういう精査をする時間的余裕もあったはずでございます。

 自見大臣、いわゆる金融の世界における、世界からの信認の問題も含めて、どのような影響があるか、またそれをどう最小化されようとしているか、時間がありませんので、簡単に、簡潔にお答えいただければと思います。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 いずれにいたしましても、今回の被災者の賠償がきちっと行われることが大前提だ、私はこう思います。

 また、今先生のお話のとおり、東京電力の賠償問題をめぐり、やはり金融資本市場、特に社債、電力債を東京電力は発行しておりますので、これは世界の市場でございますから、そういったことをきちっと視野に入れつつ、市場全体の安定に不要、不測の影響を生じさせないことが重要でありまして、引き続き、きちっと市場の動向に注意をしてまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 この問題はこれで終わりますけれども、私は、今回の決定プロセスには大きな問題があるということをここで申し述べさせていただきたい、このように思います。

 今回の地震及び津波で被災した自動車の処理、これは結構大きな問題だということを、私も現地に行って、またいろいろな方からお話を伺ってきましたので、ちょっとこの問題を取り上げたいと思います。

 今回の補正予算のうち、被災自動車の撤去処理に関して、どの程度予算を組んでおられるか、まずお聞きしたいと思います。

伊藤政府参考人 今回の補正予算における災害廃棄物処理事業におきましては、入手可能な情報に基づきまして必要な事業費を計上した上で、処理が複数年度にわたることを踏まえ、初年度分の国費所要額として三千五百十九億円を計上しておるところでございます。

 この補正予算の中で、被災自動車の撤去、運搬に要する費用についても見込んでいるところでございまして、これらの撤去、運搬を市町村が災害廃棄物処理事業として実施する場合には、当然国庫補助の対象となる、こういうことでございます。

斉藤(鉄)委員 その三千五百億のうち、被災自動車の撤去にかかわる費用はどの程度かという質問です。

伊藤政府参考人 今回の補正予算における被災自動車の撤去、運搬に係る予算額としての内訳としては、一応、約七十億円を含めているところでございます。

斉藤(鉄)委員 わかりました。七十億円が用意されている。

 今、実態はどういうことかといいますと、まだリサイクルまでとても、レベルに行っておりませんで、とにかく被災した自動車を仮置き場に運搬をしている、こういう状況だそうでございます。多分、全体で四十万台近くある。仮置き場に置いたのは、まだそのうちの数万台にすぎないということも聞いております。

 そして、その作業をしているのが、いわゆるボランティア。今回、自動車のリサイクルや、また修理関係の業界の方の自発的なボランティアで、公的な援助は一切なく、今はとにかく、一台一台仮置き場に運んでいるということだそうでございます。

 そういう意味で、そういう補正予算が準備されているのであれば、これを今後、今まではボランティアでやっていただいていたわけですけれども、いつまでも続くものではありません、そういう費用が充てられる、こういう理解でよろしいでしょうか。

伊藤政府参考人 御指摘の被災自動車の撤去作業につきましても、それらを市町村が災害廃棄物処理事業として実施する、こういうふうになった場合には、国庫補助の対象となり、必要な経費も支払われる、こういうふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 いわゆる自動車リサイクル法がございます。我々、自動車を買いますと、いわゆるリサイクル券、自動車によって違いますけれども、二万円とか二万五千円払ってリサイクル券を購入する。我々がその車を廃棄処分するときに、そのリサイクル券を出すことによって、その二万円の中から、特にエアバッグ、フロン、それからシュレッダーダスト、この三つの処理費用が出される、こういうシステムになっているわけです。

 我々がリサイクル券を買ったそのお金が、公益財団法人自動車リサイクル促進センターで預託をされている。その預託金額は、今トータルで九千億円、一兆円に近いお金が預託されている、このように聞いております。しかし、今回、実際に被災自動車の処理に当たった人から聞きますと、半分以上はとても、いわゆるエアバッグやフロンを回収するという状況ではないと言われております。

 そうすると、そのお金が浮いてくるわけですけれども、こういう費用を今回、その被災地の現場から仮置き場に持ってくる、また、その仮置き場でいろいろな処置をするという費用に充てられないのか。とても先ほどの七十億円という費用では、全体四十万台と言われる数の被災自動車の処置には到底間に合わない、このような声も現場から聞いてきたわけですが、この点についてはいかがでしょうか。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 斉藤委員御指摘のとおり、自動車リサイクル法では、フロン、エアバッグ、シュレッダーダストの三品目のリサイクル費用について、自動車の所有者が負担するものとして、リサイクル料金の預託を義務づけております。

 今回でございますけれども、東日本大震災で被災した自動車の中には、車台番号などなどが判別できないものが多数ございます。こうした車両はリサイクル料金の預託状況が確認できませんので、本来でございますと、処理を行う市町村が再度リサイクル料金を預託する必要があるんですが、今般、こういう事態でございますので、震災からの早期復旧を図る観点から、この市町村の負担は求めないで既に預託されたリサイクル料金の中から処理しようということで、四月二十七日に自治体にその旨連絡して、五月中旬を目途に、近々でございますけれども、開始を予定いたしているところでございます。

 したがいまして、被災自動車のリサイクルに関する費用につきましては、御指摘いただきました自動車リサイクル促進センターが管理するリサイクル預託金が活用されることとなります。

 以上でございます。

斉藤(鉄)委員 今ちょっと理解できなかったんですが、そうしますと、先ほど環境省から答弁がありましたけれども、市町村が関与するそういう移設やリサイクルについては、先ほどの国家予算を使う、市町村が関与できないものについては、このリサイクル預託金のお金を使う、こういう理解でよろしいんですか。

長尾政府参考人 済みません。私がお答え申し上げましたのは、三品目のリサイクル費用についてのお答えでございました。と申しますのは、あくまでもこの法人の、自動車リサイクル促進センターが預かっているお金が、やはりこの三品目についてのリサイクル費用でございますので、それ以外のものにつきますとやはり目的外ということになってしまいますので、ここに限定した形での利用になるかと思います。

斉藤(鉄)委員 済みません。わかりました。

 まだ現段階ではリサイクルというステージには至っていなくて、移設というステージなんですけれども、そこのお金が出ないというのが現場の生の声なんですが、そこのお金は出しようがないんでしょうか、その預託金からは。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 そういうお声を踏まえまして私どもも検討させていただきましたけれども、やはりこの法人の目的に照らし合わせて、リサイクル費用以外に充てるのはちょっと無理があるという現状でございます。

斉藤(鉄)委員 先ほど言いましたように、しかし、実際には、エアバッグやフロンを回収するようなそんな状況じゃない。となると、そのお金が浮くことはもう今から目に見えているわけですけれども、まず、今ボランティアでやってもらっている撤去と移設、移動ということにそのお金を使うということは、財務大臣が主管大臣であれば今ここで質問ができていいんですが、なかなか、経済産業大臣が主管ですけれども、できるというふうに私は聞いておりますが、そのようなことは無理なんでしょうか。

長尾政府参考人 再度のお尋ねでございますけれども、現状、先ほどお答え申し上げたとおりのところが今のところでございます。済みません。

斉藤(鉄)委員 今の法体系や規制の枠は超えられないということですけれども、そのことを、ぜひ枠を超えられるように、これからもまた質問をしていったり、党として要望を出していきたいと思っておりますけれども、御検討をいただきたいと思います。

 それから、被災自動車が今後うずたかく積まれてくるわけですけれども、持ち主がわかっているものとわかっていないもの、それぞれ半々ずつぐらいあるという現場の声でした。この被災自動車の権利関係が整理されなければ、重量税、自動車税の還付ができませんし、これらの対応を急がなければリサイクルの作業に入ることもできません。

 そうしますと、夏場を迎えて、仮置き場で被災自動車の自然発火があるのではないか。ガソリンもまだたくさんその中に残っています。タイヤもあります。そういうことで、余震が来ると車と車がすれて、それが火花がついてそこから火災が起こるということも十分あり得るそうでございます。そういう意味で、急がなくてはいけない、これらの権利関係を処理するスキームを早急につくる必要があるのではないか。

 これは重量税、自動車税とも関係してきますけれども、これはどういうことになっているんでしょうか。これは環境省が答えるんですか。

伊藤政府参考人 御指摘のとおり、今般の震災においては大量の被災自動車が発生しており、これらを災害廃棄物として処理するためには所有権判断が問題となるということでございます。このことから、被災地自治体からも、国としての考え方を示してほしい、こういった意見もございました。

 このため、関係省庁が連携しまして、自動車の所有権判断を含めた災害廃棄物の処理に係る法的問題を検討し、三月二十五日付で、東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去等に関する指針を取りまとめて、自治体へ周知を行ったところでございます。

 この指針におきましては、被災自動車について、外形上から判断して、その効用をなさない状態にあると認められる自動車は撤去し、仮置き場等に移動させても差し支えない、その上で、所有者等が判明する場合には、所有者等に連絡するよう努め、所有者等が引き渡しを求める場合は、引き渡す、それ以外の場合は、自動車リサイクル法に従って使用済み自動車として処理を行う、こういうふうな指針を示したところでございます。

 さらに、この指針の内容を踏まえまして、三月二十八日付で、被災自動車の処理について、より詳細な処理方法を示すマニュアルを作成し、自治体に送付しているところでございます。

 このように、被災自動車の権利関係を判断するための指針等をこれまで示したところでございますが、引き続き、被災自動車のリサイクルを含めた災害廃棄物の処理が促進されるよう努力してまいりたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 今の答弁では余り何も答えていないと私は思いますけれども、野田大臣、これは、いわゆる税の還付との問題も関係しております。先ほどの議論をお聞きになって、特にポイントは、全額国費でやりますというふうに答えていただければ一番いいんですが、しかし、それは国民負担になります。

 先ほど言いましたように、リサイクルセンターの方に九千億円の預託がある。結局、その預託金は、車をリサイクルするときに使うんですけれども、主に使うのは、先ほど言いましたようにエアバッグとフロン。しかし、実際にはそのリサイクル作業は行われない確率が高い。であるならば、そのお金を、今すぐ使えるそのお金を、移設や、移動や、そして仮置き場のいろいろな環境が今非常に悪くなっている、そういうことにきちんと使えるようにしたら、もっと早く物事が進むのではないかというのが私の質問のポイントだったんですけれども、これは税の還付とも関連してきます。

 早く手を打ちなさい、こういうふうに大臣として指示していただけませんか。

野田国務大臣 制度の趣旨は、先ほど経産省の方からお話をされて、すぐ対応というのは何か困難な感じでございましたが、委員からそういう御要望があったことを、私の方からも経産大臣にお伝えをさせていただきたいと思います。

斉藤(鉄)委員 この点、よろしくお願いいたします。

 次に、地震保険についてでございますが、あと五分しか時間がありませんので、今回、どのぐらいの金額、規模になるか、このうち民間が負担するのはどの程度で、政府が負担するのはどのぐらいか、その政府の支払い体制に不安はないか。支払い保険金額が削減されることはないと思いますが、この点を確認したいと思います。

野田国務大臣 まず、今回の震災に伴う地震保険金支払いについて、五月六日時点でございますけれども、約四千七百八十一億円となっております。

 その甚大な被害状況からすれば、支払い総額は相当規模に達するものと見込まれます。これにより、民間の負担力のよりどころとなる準備金の水準も相当程度低下すると見込まれるため、第一次補正予算において、官民保険責任額の改定を行ったところでございますが、その積算においては、航空写真等も活用した損害シミュレーションに基づき、保険金支払い総額を約九千七百億円と見積もっているところでございます。

 これを改定前の官民保険責任額に当てはめると、国は約四千三百億円、民間は約五千四百億円となります。ただし、これはあくまで予算積算上の見積もりでございまして、今後の支払い状況を注視していく必要がありますが、積立金は、震災前の水準で、国が一・三兆円、民間が約一兆円、合わせて約二・三兆円ございますので、今回の震災には十分対応可能だと考えております。

 また、これはあり得ませんけれども、万一、積立金に不足が生じても、地震再保険特会が財投等からの借り入れや一般会計からの繰り入れで対応できますので、保険契約者の方々には安心していただける仕組みとなっており、そのような仕組みの中で、保険金支払い総額が五・五兆円を超えるまでは、保険契約者にお約束した保険金はお支払いすることになっておりますので、保険金削減といった事態は生じないものと考えております。

斉藤(鉄)委員 そうしますと、それらの保険金の支払いが全部済んだ後、かなり準備金は減るわけですけれども、そうすると、保険料率を上げよう、こういう話になってくるかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 地震保険の保険料の算定の仕組みについては、損保会社の方で収益を得るでもなく損失をこうむるでもない、いわゆるノーロス・ノープロフィット原則のもとに保険料率を計算することとなっております。

 そこで、今委員御指摘のように、一回このような大きな被災が生じたものですから、準備金、積立金は減少いたしますけれども、先ほど財務大臣の御答弁にございましたとおり、積んでおります総額は、国、民間合わせてまだ二・三兆円ほどございますので、そこの部分は大丈夫ということでございます。

 つまり、保険料の水準というものは、そのときそのときに生じた被災の程度に応じて、しかも、加入の総数、そうしたものをそれぞれ係数としまして、損害保険会社が要するにノーロス・ノープロフィットという原則の中で算定しますものですから、これからいろいろな変数が動くものですから、今の状況下において、一概に保険料が上がるということを断定できる状況ではございません。

斉藤(鉄)委員 ちょっと、半分わからなかったんですが、保険料率は上がらないという答弁を期待していたんですけれども、そうとは言い切れないということですか。ちょっと簡単に。

和田大臣政務官 済みません。補足させていただきます。

 結論からすると、上がるとも下がるとも申し上げられないということなんですが、いわゆる、これから先、この震災が起きて以降、日本の国の周りにどれぐらい震災の発生リスクがあるかということをもう少し専門家の方々に分析していただく必要がございます。その要因が一つ。どちらかというと、この要因は、リスクは高まる方に言われているのが通説だと思います。

 しかし、恐らく、委員の問題意識もおありだと思いますけれども、今、国民の皆様方に御関心が高まっているということもあって、これから先加入がふえていくということも要因として考えられます。

 これは、みんなで保険システムを維持するということになればその分だけ、被災は、恐らく日本全体に全部地震が起きるということはなかなかないかと思いますので、ある一定地域の被災を日本全国の加入者で賄うということになれば、その部分はむしろリスクは低まるということだろうと思います。

 その他、一たん加入がふえたときには、一たん被災したときの被災総額もやはりふえてまいりますので、そういったところをもろもろ要因として一つずつ計算し合いながら、相乗効果というんですか、それを掛け算しながら計算していくということになろうかと思います。

斉藤(鉄)委員 わかりました。

 では、最後の質問です。

 先ほどの自動車に関係して、自動車保険ですけれども、自動車保険では、台風や水害被害では車両損害は補償されるのに、地震、津波に関しては免責になって、このことを知らなかった人が愕然としたというケースが今回多く報告されております。

 自動車保険でも、地震、噴火、津波特約を附帯しておけばリスクは保障されるわけですけれども、保険会社が、地震と自動車の損壊に関するデータが余りなくて、甚大な被害の集積リスクを恐れて、積極的な特約販売をしてこなかったということも原因としてあるようです。今回、しかしながら、地震、津波によって多数のマイカーや営業車が廃車になったということですので、多くのデータはそろうと思います。

 しかし、損保会社だけでこうした自動車保険の地震特約の制度を維持するのは難しいかもしれませんので、建物向けの地震保険のように、政府のバックアップ制度があれば売り込みたいというふうな損保会社側の意見もあるようですけれども、政府として検討すべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

和田大臣政務官 今、斉藤委員御指摘のように、今回の被災の際、自動車の損害を補てんすることがなかなか難しい事例がほとんどだと思います。そうしたことから考えて、今までの自動車損害保険につきまして、民間部分だけで一たん発生した地震のような大きな災害に対して対処し切ることには限界があろうかというふうに思っています。

 今御提言のありましたように、こういったものに国の再保険制度を入れていくかどうかということでございますが、私どもからすれば、そこは、ある程度いろいろな専門家の御意見をお聞きする必要があると思っています。

 しかし、確実に言えることは、今回の被災を踏まえて、国民の皆様方のニーズに合った自動車損害保険を構築するということが、我々に対して課せられている使命だろうというふうに思っています。

斉藤(鉄)委員 検討をよろしくお願いいたします。

 以上、終わります。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、三党合意についてお伺いしたいと思います。

 民主、自民、公明三党が四月二十九日に交わした合意文書でありますが、この中に、子供に対する手当の制度的なあり方や高速道路料金割引制度を初めとする歳出の見直し、法人税減税等を含む二〇一一年度税制改正法案の扱いについて、各党で早急に検討を進める、こういうふうに書かれていますね。大臣は先ほど、これは重いものだというふうにおっしゃいました。

 そこで、二〇一一年度税制改正法案というのは、既にこの委員会に付託されて、審議が行われているものであります。その扱いを検討する、こういうことになりますと、提案されて審議されている法案は、このまま通すというのではなくて、これは撤回する、こういうことになるんでしょうか。

野田国務大臣 政府としては、今、この財務金融委員会で御審議をいただいている二十三年度税制改正法案、これは経済活性化と財政健全化を一体として推進するという枠組みでありまして、全体として、税制抜本改革の一環をなす緊要性の高い改革を実施するものと考えております。

 今御指摘のあった三党合意で、「各党で早急に検討を進める。」ということでございますので、撤回が前提ということでは必ずしもないと思います。御検討いただいた中で対応していきたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 ということは、撤回もあり得るということを含んだことだと思うんですが、ここで「各党で早急に検討を進める。」という、この「各党」というのはどの党なんですか。

野田国務大臣 三党の政策責任者によって合意を結んだわけでございますので、その政策責任者を出している三党ということと理解をしています。

佐々木(憲)委員 それ以外は入らない、こういうことですね。

 そこで、この「法人税減税等を含む」とわざわざ書き入れたのはなぜか。法人税の減税は行わない、こういう方向と理解してよろしいですか。

野田国務大臣 三党合意の責任を持つのは三党だと思うんです。ただ、国会審議の中で幅広くいろいろな御意見をちょうだいして対応するということは、これは基本的にはやっていきたいと思いますので、そこはぶつっと切っているという点ではないということは御理解いただきたいと思います。

 なぜ「法人税減税等を含む」と特出ししているかですが、これはちょっと、公党間の合意の内容について私が予断を与えるようなコメントはできません、ということでございます。

佐々木(憲)委員 そこで、実態を見ていただきたいんですが、図をお配りしておりますけれども、これは、所得税、法人税、消費税の比率を、税収の比率を示したグラフですけれども、明らかなのは、法人税の比率が下がっているということです。法人税の税収は、国税の中で、全体の中で三五・六%を占めていた時期もありました。しかし、これがどんどん下がりまして、仮に今回の政府提案の減税が行われたら一九%、非常に下がってしまうわけであります。

 その一方、消費税の方はどんどん高まっておりまして、税収に占める比率は、八九年六%、九七年一七%、これが二五%、こういうふうになっているわけです。

 これはどう考えても、法人税だけが下がっておって、消費税、庶民が負担するものが上がっている。私は、これはバランスを欠いているというふうに思うんです。大企業に対して当然応分の負担を求めるというのはあるべきだというふうに思います。

 さて、次に、復興財源の問題についてお聞きします。

 五月二日に成立した第一次補正予算というのは、これは第一歩だと思うんですね。まだ応急措置的なものにすぎないというふうに我々は思っております。被災者の現状を考えますと、さらに大幅な補正が必要になる。かなり大規模なものが必要だということだと思うんです。

 野田大臣は、どの程度の規模の第二次補正が必要だというふうに、今、認識でしょうか。

野田国務大臣 阪神・淡路大震災の後も、三回にわたって補正予算を組みましたし、災害対策の本部が解散するまで約五年ぐらい、当初予算にも災害対策の予算を入れてまいりました。ということを考えますと、今回もやはり複数にわたる補正予算の編成になるだろうというふうに思います。

 規模は、これはまさに、先ほど徳田委員とのやりとりもございましたけれども、復興構想会議を中心として青写真を描いてもらって、それに必要な対策は何なのかということを出して、その上で、どれぐらいの予算規模なのか、財源をどうするかという議論になりますので、現段階でその規模を確定的に申し上げられる段階ではございませんが、阪神・淡路大震災に比べて第一次補正予算でも四倍でございましたので、相当な財政需要が出てくることは間違いないというふうに思います。

佐々木(憲)委員 そうしますと、財源ですね、これをどう確保するかというのが問われると思うんです。

 私、この財務金融委員会で今まで財源論を幾つか提言もしてきましたし、議論もしてまいりました。きょうは、大手企業の内部留保の活用の問題についてただしたいと思っております。

 その前提としまして、内部留保というのはどの程度あるのか。内部留保の範囲をどうとらえるかという問題もありますし、フローで見るかストックで見るか、さまざまな議論があると思うんです。

 私はストックを重視すべきだと思っておりますが、図を見ていただきたいんですが、二枚目の図であります。これは内部留保の図でありますけれども、法人企業統計で、資本金十億円以上の大企業を見ますと、まず利益剰余金を見ますと、二〇一〇年三月では百三十六兆円に上っております。これは事業活動から生じた利益を留保したものでありまして、この中身は、利益準備金、任意積立金、繰越利益剰余金、こういうものを含んでおります。

 それからもう一つは、その上に資本剰余金というのがありますね。これは資本の増加に伴い発生する内部留保でありまして、株式プレミアムとも言われているものであります。資本金十億円以上の大企業を見ますと、二〇一〇年三月で九十一兆円に上っております。その中身は、資本準備金とその他資本剰余金であります。

 それで、二つ、大きな、利益剰余金と資本剰余金ですね、基本的に内部留保の中核をなすものだと我々は考えております。この二つを合わせますと二百二十七兆円に上るわけでございます。

 まず、この数字は間違いないかということと、それから、全体に占める資本金十億円以上の大企業の比率、これを示していただきたいと思います。

野田国務大臣 年次別法人企業統計調査によりますと、二〇〇九年度の全規模、全産業の利益剰余金は二百六十八・九兆円、資本剰余金は百二十五・三兆円で、合計三百九十四・二兆円となっています。そのうち、資本金十億円以上の企業については、利益剰余金は百三十五・九兆円、資本剰余金は九十・八兆円で、合計二百二十六・七兆円となっています。

 したがって、全規模、全産業の利益剰余金と資本剰余金の合計額に占める資本金十億円以上の企業分の割合は、五七・五%ということになります。

佐々木(憲)委員 それで、内部留保という場合は、このほかにも各種の引当金、準備金というのがありまして、本来これを入れて見るというのが必要だと我々は思っておりますが、学者の中には、さらにこれを広げて、減価償却の過大償却の部分ですとか、土地、有価証券の含み益、こういうものも入れるという説もあります。

 しかし、少なく見積もっても、今確認したこの二つの利益剰余金、資本剰余金、これが大企業の部分が約六割であります。細かな数字は別としまして、この内部留保の多くが大企業に蓄積されている、これは間違いないと思うんですが、いかがでしょう。

野田国務大臣 数字はさっきお示ししたとおりで、委員のそういう御指摘のとおりだと思います。

佐々木(憲)委員 私は、昨年の九月に、この内部留保の数字を日銀の白川総裁に示しまして、感想を聞きました。そうしましたら、総裁はこのように答えたんです。

 「特に大企業については、手元資金は今は非常に潤沢でございます。これは各種の統計でももちろん確認できますし、私どもが企業の経営者と会いますと、手元に資金は潤沢にあります、問題はこの資金を使う場所がなかなかないんですということを、金融機関の経営者からも企業経営者からも、これはしょっちゅうお聞きします。」こういうふうに答えておられました。

 野田大臣も認識としては同じかどうか、確認をしたいと思います。

野田国務大臣 半分同じ、半分、ちょっと後半どうかなという感じがあるんですね。

 総じて、大企業の手元現預金が相当あるというのは、さっきの数字も出していたとおりでございますので、その認識は白川総裁と同じです。

 でも、どの程度手元の預金を保有するかについては、個々の企業の金融環境とか経済の情勢を踏まえたいろいろ判断があると思いますので、総裁がおっしゃったような、使う場所がない結果と一概に言えるかどうかというのは、これはちょっと留保がつくのではないかというふうに思います。

佐々木(憲)委員 総裁がおっしゃっていたのは、設備投資をやる場合も、需要がありませんので、低迷しておりますから、設備投資してもこれは設備が余りますので、その先がないというような話であります。それは、私は、総裁の言うのが大体当たっているような感じがしております。

 昨年の十一月四日の衆議院本会議で、私は代表質問でこういうふうに菅総理に聞きました。内部留保を二百兆円をはるかに超える規模で積み上げているというふうに指摘しました。そうしましたら、菅総理はこう答えたんです。二百兆円と言われるものの中で、資本金一億円未満の中小企業に留保されているものが百二十六兆ありまして、一億円以上のものは七十数兆円というのが事務方が調べてきている数字でありましてというものです。

 つまり、中小企業が全体の内部留保の六二%を占めるという計算になるわけですね。いかにもこの内部留保が、先ほど野田大臣と確認したように、これは大企業にかなりたまっているわけですが、菅総理が事務方からもらった数字は中小企業にたまっているという、そういう答弁をされたわけです。

 この事務方が調べた数字というのは一体だれがつくったのかということなんですが、経産省ですか、きょう来てもらっていますが。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の資料は経産省でつくったものでございます。民間の非金融の法人企業の手元資金として保有する現預金の額を、日本銀行の資金循環統計をもとに経産省が試算したものということになっております。

佐々木(憲)委員 これで、私はまず疑問に思ったのは、これは現預金なんですね。内部留保の話をしているのに、何で現預金だけの話になるのかなと。これはなぜですか。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員が最初に御発言されたように、内部留保の考え方にいろいろな考え方がございます。したがって、何の目的に使うかということでどういう計算があるかということだと思います。

 私どもが現預金を使っている理由なんですが、御指摘の利益剰余金、資本剰余金、これは若干テクニカルになりますけれども、いわゆるバランスシートの資本、負債側の数字でございまして、これは実際に左側の資産サイドになると何になっているかというと、例えば実際に投資がされている固定資産とか、そういうものが計上されてしまっているわけですね。

 私どもとしては、まさにここで議論しているように、余剰資金、手元にどれぐらいお金がたまっているのかということが知りたかったものですから、今のように現預金の数字を使わせていただいたということでございます。

佐々木(憲)委員 そうすると、日銀の資金循環統計の民間非金融法人企業の現金・預金、この数字をとったということですね。

 しかし、その統計には、大企業、中堅企業、中小企業という区別はないんです。これは全体合わせて二百四兆円、そういう数字しか出ていないんですね。ところが、総理は中小企業、大企業の比率までおっしゃいました。

 一体、それはなぜそういう数字に区分けできるのか、その根拠を示していただきたい。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、日銀の統計には規模別の分割がございません。このため、分割の比率については、財務省の法人企業統計、これは資本金規模別の現預金の保有比率が出ております。大企業、中堅企業、中小と分かれているわけですけれども、これで日銀の統計の数字を割ったということでございます。

 そうすると、では、なぜ法人企業統計そのものは使わないのかということになるわけですが、これで全規模で現預金が百五十七兆円でございまして、この財務省の資料からするとそうなるわけですが、技術的な理由ですけれども、財務省の統計は資本金五億円未満のところがサンプル調査になっておりまして、日銀が全数調査をしているものですから、全数調査の方が正確かなと思ってそちらを使わせていただいた、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 まず、現預金で内部留保の問題を説明するということに一つのすりかえがあるわけです。内部留保というのは、現預金だけではなくて、いろいろな形をとっておりまして、先ほど私が言ったような、資本の部分のですね、そういう統計で見るというのが一つの方法であります。

 それからもう一つは、中小企業、大企業の区分けの仕方ですね。これは、法人企業統計の現金・預金、この比率で案分したというわけなんですけれども、これ自体がもう一つのすりかえなんですよ。といいますのは、現預金は中小企業の方が、当座の資金繰りからいうと、手元資金が多いんです、これは当たり前ですけれども。大きな会社になりますと、そういうことよりも、例えば株式とか債券とか、そういう形で運用しているわけです。したがって、現預金の比率は少なくなる。当たり前のことなんですね。

 それを、何か現預金が中小企業の方がいかにも多いかのような、つまり、内部留保が中小企業が多いという形で、これは事務方から総理に出す、まあ、こういうやり方は私は非常におかしい。これは問題の本質を非常にゆがめるものだと言わざるを得ないと思うんです。

 そういう意味で、何か、大企業が内部留保がたくさんあるということ、それから、それを言い逃れするために、わざわざ複雑な計算をして、こういうものを、しかも本会議場の総理答弁として答弁をするような材料を提供するというのは、非常に問題があるということを指摘しておきたいというふうに思います。

 そこで、内部留保の活用の問題であります。

 やはり、復興のためには大変な財源が必要でありまして、先ほど私申し上げましたように、大企業の内部留保は、先ほどの利益剰余金、資本剰余金だけでも、この十年間で相当伸びているわけです。七割ぐらいふえているんです。直近の数字でいいますと、昨年の十二月末の統計がありまして、利益剰余金は百四十三・一兆円なんですね。資本剰余金は八十八兆円です。合わせまして二百三十一兆円あります。

 それから、手元資金、これも、その部分でいいますと、現金・預金、有価証券の合計で五十二・五兆円というのがある。

 もともと、こういう大企業の中に蓄積されている内部留保というものはどこから出てきたかというと、労働者に対して賃上げを抑えて、なかなか賃金を払わない。あるいは、非正規雇用をたくさん雇って、不安定雇用を利用して利益を上げる。あるいは、下請単価をたたいて、下請収奪を行うというようなことでため込まれている。

 それから、その上に、先ほど言ったように、法人税の減税が行われて、国のいろいろな優遇政策を利用して内部の利益がたまっているわけでありますから、私は、こういう資金力を復興のために生かすというのは、これは大企業の社会的な責任として当然ではないかと思っております。

 野田大臣の考えはいかがでしょうか。

野田国務大臣 復興のためにどういうことをやるか、その財源をどうするかというのは、さっき言ったいろいろなプロセスがあると思うんですが、これは官だけ、いわゆる財政資金だけではなくて、復興基金のような、官民でファンドをつくっていくというやり方もあると思うんです。

 そういう意味で、大きな企業に内部留保がたくさんあるとするならば、そういう、投資を通じて貢献するようなところに持っていけるようなことを誘導するというのも一つのアイデアではないかなというふうに思います。

佐々木(憲)委員 それから、具体的な方法としてはいろいろ提案もあると思うんですが、私は例えばこういう提案をしたいと思うんです。

 復興国債とかあるいは新たな国債を震災対応のために発行する。問題は、それをどこに引き受けてもらうかということだと思うんです。例えば、先ほども少し言いましたけれども、現金・預金と有価証券合わせて五十二・五兆円なんですね。これはすぐ流動化できるわけであります。仮にその一割、それを使ってこの復興国債を引き受けてもらう。仮の計算ですけれども、そういたしますと、五・三兆円の財源が出てくるわけです。

 企業側からいいますと、別にこれは取り上げられてしまうわけじゃありませんで、投資先を低利かもしらぬけれども安定した国債に変えるということでありますから、これも一つの案としてぜひ検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 復興国債を出すとか出さないとかというところまで、まだ議論はいっていません。ただ、仮に国債に頼るとするならば、復興の財源を国債発行するとするならば、やはり一般会計とは、一般のあの国債とは別に、別区分の中で償還財源も含めた国債の発行の仕方を考えるというのは、これは一つの有力な方法だと思います。

 その引き受け手を大きな企業だけに任せていいのかというと、これは、現時点も、今国債の消化は順調に、震災発災後もうまくいっていますので、大きな企業だけにという形でいいのかどうかというのは、ちょっと別の議論があると思うし、やはり、今回の震災を受けて、一層海外に出ていこうという企業が出てこないかなという心配を私は持っています。

 そういうことも含めて総合的に勘案をしていかなければいけないだろうと思いますが、財源論はまだ具体的にどうのという段階ではございません。

佐々木(憲)委員 これはぜひ検討していただきたいと思うんですが、日銀総裁も言われたように、問題は投資先がないという話をされているというほどなのであります。つまり、内部留保が積み上がっているわけです。そういう状況をよく踏まえて、何も我々は大企業だけに全部やらせろというんじゃないんですよ。例えば、大企業にはこういうゆとりがあるわけだから、それを活用するように促す、こういう対応も政府としてやるべきではないのかということを提案しているわけであります。

 それから、利益剰余金というのは、今、百四十三兆円、先ほど言ったようにあるわけですね。こういうものに例えば三%の課税を行うということになりますと、四・三兆円の復興資金というのが生まれてくるわけです。一回限りの臨時課税として、今の非常事態に対応するために例えばそういう課税方法もあり得るんじゃないか、こういう学者の提案も、そういう提案がありますので今紹介したんですけれども、例えばこんなものも検討の対象としていただけないかと思いますが、いかがでしょう。

野田国務大臣 まさに復興のための財政需要を満たすために、きちっとした財源論をしていかなければなりません。それは歳入においても歳出においてもでございます。一つの学説としては承らせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 学説というほどのことではなくて、これは一つの政策提言でありますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 今、復興のための財源づくりとして、盛んに復興増税ですとか消費税とか、そちらに傾斜する流れが非常に強まっていると思うんです。私はこれはおかしいと思っているんです。なぜかというと、被災者が一番困るのは日々の生活でありますから。そこに税金をかけるという形にどうしてもならざるを得ない。あるいは、電力料金を上げてどうのこうのという話もあります。しかし、こうなりますと、結局は庶民の負担に転嫁する形になります。

 今の社会全体、日本経済の中で、どういうところにゆとり資金があるのか、もっと冷静に、客観的に判断していただきたいと思うんです。財界の側が復興会議に入ってきて、消費税を上げろと、第三回会議でそういうふうにおっしゃったという報道が出ています。しかし、そういうことを復興会議で財界側の提言としてどんどん言わせて、別な提言をする人がほとんどいないということでは、これはちょっとおかしいんじゃないかというふうに思っておりまして、そういう点も、バランスよく、国民の本当の声がどこにあるのかというのをぜひ聞いていただき、それを今後の政策判断の基礎に据えていただきたいということを申し上げまして、きょうのところはこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案は、参議院で修正議決の上送付されたものでありますので、まず政府から趣旨の説明を聴取し、引き続き参議院における修正部分の趣旨について説明を聴取いたします。金融担当大臣自見庄三郎君。

    ―――――――――――――

 資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

自見国務大臣 ただいま議題となりました資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 我が国においては、少子高齢化が進展し、経済の低成長が続く中、家計部門に適切な投資機会を提供し、企業等に多様な資金調達手段を確保することを通じて、金融がこれまで以上に実体経済をしっかりと支えることが求められております。

 また、我が国は、千四百兆円を超える家計部門の金融資産、高度な人材、技術等を有し、成長著しいアジア経済圏に隣接しており、こうした好条件を生かし、我が国の金融業が成長産業として発展し、付加価値を高めることが求められております。

 このような状況を踏まえ、資本市場及び金融業の基盤強化を図るため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、多様で円滑な資金供給を実現するため、新株予約権無償割り当てによる増資に係る開示制度等の整備、特定融資枠契約の借り主の範囲拡大、銀行、保険会社等金融機関本体によるファイナンスリースの活用の解禁のための措置を講じることとしております。

 第二に、国民資産を有効活用できる資産運用機会の提供を図るため、プロ等に限定した投資運用業の規制緩和、資産流動化スキームに係る規制の弾力化、英文開示の範囲拡大のための措置を講じることとしております。

 第三に、市場の信頼性の確保のため、無登録業者による未公開株等の取引に関する対応、企業の財務書類等の質の向上を図るための公認会計士制度の見直し、投資助言・代理業の登録拒否事由の拡充の措置を講じることとしております。

 その他、関連する規定の整備等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。

 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、参議院において修正が行われております。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

石田委員長 次に、参議院財政金融委員会における修正案の提出者参議院議員佐藤ゆかり君。

    ―――――――――――――

 資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案の参議院修正

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤(ゆ)参議院議員 資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対する参議院の修正部分につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 政府提出の原案には、企業財務会計士制度の創設等を内容とする公認会計士制度の見直しが含まれておりましたが、公認会計士試験の待機合格者問題等への対応についてはさらに検討し、より有効な解決策が図られるべきと考えます。よって、原案から公認会計士制度の見直しに関する規定をすべて削除することといたしました。

 修正の概要は、金融商品取引法に会計の専門家の活用等に関する規定を加える改正規定及び公認会計士法の改正に関する規定を削るとともに、その他所要の規定の整理を行うものであります。

 以上が、修正の趣旨及びその概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をいただきますようお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.