衆議院

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第29号 平成23年7月20日(水曜日)

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平成二十三年七月二十日(水曜日)

    午後一時三分開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 泉  健太君 理事 大串 博志君

   理事 岸本 周平君 理事 古本伸一郎君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 竹下  亘君

   理事 山本 幸三君 理事 竹内  譲君

      東  祥三君    網屋 信介君

      五十嵐文彦君    石原洋三郎君

      今井 雅人君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    岡田 康裕君

      柿沼 正明君    勝又恒一郎君

      木内 孝胤君    櫛渕 万里君

      近藤 和也君    菅川  洋君

      玉木雄一郎君    豊田潤多郎君

      中塚 一宏君    中林美恵子君

      松原  仁君    三村 和也君

      柳田 和己君    和田 隆志君

      今津  寛君    梶山 弘志君

      北村 茂男君    齋藤  健君

      竹本 直一君    徳田  毅君

      野田  毅君    村田 吉隆君

      茂木 敏充君    山口 俊一君

      西  博義君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         野田 佳彦君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   農林水産大臣政務官    吉田 公一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   梅溪 健児君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    豊永 厚志君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     櫛渕 万里君

  小山 展弘君     石原洋三郎君

  野田  毅君     北村 茂男君

  茂木 敏充君     梶山 弘志君

  斉藤 鉄夫君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     小山 展弘君

  櫛渕 万里君     小野塚勝俊君

  梶山 弘志君     茂木 敏充君

  北村 茂男君     野田  毅君

  西  博義君     斉藤 鉄夫君

    ―――――――――――――

七月十九日

 平成二十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出第八七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出第八七号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣野田佳彦君。

    ―――――――――――――

 平成二十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 ただいま議題となりました平成二十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 今般、東日本大震災の当面の復旧対策に万全を期すため、必要な財政措置を盛り込んだ平成二十三年度補正予算(第2号及び特第2号)を提出し、御審議をお願いしておりますが、当該補正予算において新たな国債発行に依存しないとの観点から、平成二十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理について特例を定める必要があり、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。

 財政法第六条第一項において、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、平成二十二年度の剰余金については、この規定は適用しないこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官梅溪健児君、中小企業庁次長豊永厚志君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 民主党の今井雅人でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。時間がございませんので、早速本題に入りたいと思います。

 先週の日経新聞の一面に掲載されておりました、社長百人へのアンケートというのがございましたが、その中で、円高の是正や税制の見直しが行われなければ三年以内に海外に移転せざるを得ないという回答が実に四割にも上っておりました。

 東日本大震災からの復興を目指さなければいけない我が国にとりまして、こうした産業の空洞化が進んでしまうと本当に致命傷になりかねないということを私は大変危惧しております。

 そこで、財務大臣にお伺いをいたします。

 まず、円高についてでありますが、現在、対ドルで八十円を割り込む水準が常態化しております。特定の水準については言及しないのが原則であるということは十分理解をしておりますけれども、しかし、これは非常に重要な問題ですので、あえてお伺いをしたいと思います。

 政府は、現在のこの為替の水準あるいはこの傾向についてどういう御認識をお持ちでいらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。

野田国務大臣 今井委員の問題意識は、私も共有をしているつもりであります。

 為替の問題、税制の問題、関税の問題、あるいは電力料金の問題等々含めて、産業の空洞化が進んだ場合には大変深刻なことになるというふうに思いますし、そうなった場合には、極東の片隅に位置する小さな島に、お年寄りが多くて、中小企業しか残っていないという活力のない国になりかねません。そうならないようなかじ取りをしていかなければならないと思います。

 為替については、私は、九月に単独介入をし、三月十八日に協調介入をしました。一人の大臣で二種類の介入というのは珍しいんですが、最近の動き、これは一方的に偏った動きだというふうに認識をしています。したがって、相場観とか水準は申し上げませんが、それ以上のことはコメントを控えたいと思いますけれども、しっかりとマーケットの動向を注視していきたいというふうに考えております。

今井委員 ありがとうございました。

 財務大臣もこの問題については大変懸念を持っていらっしゃるということであったと思います。

 このアンケートでは、経営者が適切であるという水準は一ドル八十五円から九十五円、これぐらいが最も適当であろうという回答が一番多かったわけでございますけれども、そういう意味においては、現在の水準はまだ企業の経営者から見れば円高過ぎるので、何とか是正をしてほしいという水準じゃないかなと思います。

 そこで、もう一つ、今の点についてお伺いしたいんですが、一般的に、世界経済が停滞しますと純債権国の通貨が強くなる、こういう傾向がありまして、それが現在の円高の最も大きな原因の一つだと思いますけれども、それ以外にも、例えばFRBなどの、他国の、主要国の中央銀行が日銀以上の大幅な金融緩和をしているということも原因の一つになっているというふうに考えられます。したがって、我が国も為替レートの是正には政府と日銀がしっかりと連携をしていくことが重要ではないかと私は考えております。

 日銀法では、三条で日銀の独立性がうたわれてはおりますけれども、その一方で、四条では政府との連携が必要でありということもうたっておりますので、政府から日銀にいろいろな協力を要請することは十分可能だと思っております。

 円高はデフレの圧力を高めるということもありますので、日銀も、物価安定のために円高を是正するという大義は十分にあるのではないかと私は考えておりますが、その点も含めまして、政府からの日銀への協力とか、そういう点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

五十嵐副大臣 今井議員にお答えをいたします。

 今御指摘にございましたとおり、日銀の独立性は十分に尊重しなければならない。その一方で、日銀法第四条におきまして、政策のアコードをとるべく、政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならないとされている。御指摘のとおりでございます。

 そこで、政府といたしましては、総理、官房長官と日銀総裁、副総裁との折に触れての会談、意思疎通もされておりますし、金融政策決定会合に政府そして財務省から副大臣が出ているなどの努力を重ねております。

 今、日銀と政府との間は、かなり良好な関係、意思疎通は十分にできている。先ほど大臣からもお答えがありましたように、三月の国際的な協調介入の際にも、十分に事前に日銀総裁と野田大臣との間で意思疎通がとれていた。今後ともそういった努力をしてまいりたいというふうに思います。

今井委員 ありがとうございます。

 先日、財務金融委員会に日銀の白川総裁がいらしていただいた際にも、これはデフレの解消という点でお話がありましたけれども、私から見ると、十分認識はあるんだと思いますけれども、日銀は日銀なりに取り組みをしているということではありましたが、やはりFRBなんかと比べると、その資産のふえ方も十分ではありませんので、まだまだやることはたくさんあると思いますから、ぜひ政府の方からもそういう協力要請というのをしていただきたいということを申し添えておきたいと思います。

 次に、関連で、今度は経済産業省にお伺いをしたいと思うんです。

 やはりこの社長百人へのアンケートの中で、政府が取り組むべき最も重要な課題ということで、総合的なエネルギー政策ということが一番に挙げられておりました。

 菅首相は五月十日の記者会見でエネルギー政策の見直しについて言及をされておりましたけれども、このエネルギー政策の見直し、新しいエネルギー政策は、とにかく一刻も早く方針を出さないと、企業が本当にこの日本で計画的に企業活動ができるかどうか危ぶまれて、それが空洞化を加速するということになりかねないというふうに私は危惧しております。

 まず、このエネルギーの新しい基本計画について、いつごろまでに策定されるおつもりか、お伺いをしたいと思います。

松下副大臣 委員の御指摘のような状況にあることは事実でございます。

 現在のエネルギー基本計画は昨年の夏につくりました。二〇二〇年を目標にするもの、そして二〇三〇年を目標にするものということで、いわゆる原子力エネルギー、それからLNGや石炭等の化石燃料、それから再生可能エネルギー、太陽光ですけれども、そういうものの組み合わせをつくりながら、見通しをつくったものでございます。それが、今回の原子力発電所の事故によって、原子力に対するさまざまな意見も寄せられておりまして、その辺をしっかりと、国民各層の意見もしっかり受けとめながらつくり上げていかないかぬ、こう思っております。

 まず、やはり何といっても、現在の原子力発電所の収束、これをしっかりとコントロール下に置くことが大事だと思っております。その上で、しっかりとした信頼をかち得た上で、将来の見通しについてしっかり各層の意見を聞いてやっていくということでございまして、まだ、いつ、時期をどういうふうにするかというのは決まっていませんけれども、真剣に、今いろいろな基礎的な議論をしております。

 以上でございます。

今井委員 ありがとうございました。

 報道ベースでは一年をかけてというような報道もあったように記憶をしておるんですけれども、一年もかけておりますと企業行動はもう明らかに変わってくると思いますので、本当に早急に、この計画はぜひ立てていただきたいということをお願いしたいと思います。

 もう一点、経産省にお伺いをしたいと思います。

 今度はもう少し短期的な話でございますけれども、現在の状況で、このまま原子力発電が次々と停止をしていきまして、再開をされないということになった場合に、来年の春にはすべての原発が停止する可能性があるというふうに伺っております。

 こうしたことがもし現実となって、この結果、企業に過度な節電を求めたり、あるいはほかの電力に頼って結果的に電力料金が引き上げられたりするようなことがあれば、やはりこれも企業の海外移転を加速してしまうということが懸念されると思います。

 その辺について、電力の確保というものの基本的な認識と、それからどういう対策を考えておられるか、それをお伺いしたいと思います。

松下副大臣 先ほどのエネルギーの基本計画、長期見通しとあわせて、この夏、この冬、来年の夏をどう乗り切っていくのかという、この短期的な電力供給と需要の関係は大変重要でございまして、今真剣に各省、知恵を絞って作成しております。

 過度な節電あるいは過度な省力、省電、これはやはり産業界にも相当の影響を及ぼしますので、どういう組み合わせで供給と需要がしっかりと、ある期間を通してうまく回転できるようになるのか、そこが大事だと思っておりまして、きょうも午前中、官邸で各省が集まって、相当の議論をしてまいりました。

 七月いっぱいぐらいまでには成案をまとめて、そして、供給と需要、どこまで原子力発電所が、今五十四基ありますけれども、現在、七月中で稼働しているものが、今調整中のものも含めて十六基、あとは休んでおりますので、これが来年春にはゼロになるということも、供給側の状況もしっかりとつかまえながら、どういうふうにして供給側の力をつけていくのか、今真剣にまとめております。

 そのことの中で、また新しくストレステストということも加えながら、再起動に向けてどういうふうに判断が出せるのか、この辺も真剣に議論しているところでございます。近いうちに出したいと思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 私は東海地方なんですが、先日、ある東海地方の大企業の社長さんとお話をしていましたら、本当にこのエネルギーの問題、しっかりやってくれなかったら、おれたちはもう海外に出るよ、本当にしっかりやってくれなということを強く懇々と言われましたので、恐らく、そういうふうに考えていらっしゃる経営者はほかにもたくさんいらっしゃると思いますから、この問題は本当に真剣に考えていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 次に、農水省にちょっとお伺いをしたいと思いますが、汚染牛の問題なんです。

 政府は昨日、福島県全域の肉牛を対象に出荷制限を指示したと思います。福島県からは、解除ルールの明確化、それから出荷ができなくなる牛の全頭買い上げを初めとした経営支援策、あるいは粗飼料の現物給付などの飼料確保策を国に求めているというふうにお伺いしています。

 政府としては、この件に関してどのような支援を考えているのか。また、当然予算措置が必要になると思いますけれども、この予算措置では、今回の二次補正のどこかの予算を使うことができないのか。もしできないのであれば、三次補正に盛り込むのか。その辺のところも含めてお伺いしたいと思います。

吉田(公)大臣政務官 お答え申し上げます。

 ただいま今井委員からお話がありましたように、福島県では昨日、肉用牛でありますが、出荷制限が行われました。出荷制限によります損害でございますけれども、これは、東京電力に払ってもらう、賠償してもらうということでございますので、農林省としましては、速やかに東京電力にその旨を通知したいと思っております。

 さらに、資金繰り対策でございますが、支援対策の一つとして、資金繰りのことにつきましては、JA独自に導入されましたつなぎ資金の活用ということもございます。それから、金融機関に対しましては、資金の円滑な融資、既に貸し付けたお金につきましては猶予、それから飼料メーカーに対しましては、飼料代の支払いの猶予というものを農林省から要望して、文書で通知をしたところでございます。

五十嵐副大臣 私の方からは、補正の予備費で汚染牛対策が出ないかというお話でございましたけれども、この二次補正の中には予算措置は講じられておりません。基本的に、この問題については原子力損害賠償法の規定に基づきまして賠償の対象になる事案だ、こう思います。

 その賠償の対象となることを基本として、政府としても、賠償が迅速かつ適切に行われるよう万全を期してまいりたい、こう思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 ちょっとこれは通告していないんですが、要望というか質問をもう一問させていただきたいんです。

 実は、きょう朝、地元の畜産農家の方から電話がありまして、この牛の問題で、福島の牛だけじゃなくて、全国的に牛の価格が物すごく下がっているということが起きておりまして、例えば、具体的に言いますと、私のところには飛騨牛というのがありますが、飛騨牛のA5の質のところで、大体一キロ二千五百円、通常するんですけれども、きのうの取引、千六百円です。一頭百万円が大体六十万円台になっているということなんですけれども、四割落ちているわけですね。

 ですから、全国的にこれは大変な大きな問題になっておりますので、まずは検査をしっかりしていただく体制をつくっていただくとともに、何らかのそういう人たちの支援もぜひ検討していただきたいと思うんですが、その点について、済みませんが、お答えいただけますか。

吉田(公)大臣政務官 今お話にありましたように、大変牛肉が値下がりをいたしておりまして、これに対する対策というものも今後考えていかなきゃならない、そう思っております。

 原発による風評被害ということもございまして、実際、御承知のとおり、神奈川県のお茶の葉までセシウムに汚染されたということでありますから、当然そういう被害もあるかと存じます。

 したがって、ランダムではありますけれども、牛を検査していくということも大事なことだというふうに思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 ぜひ三次補正のときにこの点についても御検討いただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 時間がもうほとんどございませんので、最後の質問にしたいと思いますが、三次補正の概要についてお伺いをしたいと思います。

 一次そして今回の二次補正は復旧のための予算措置というふうに理解をしておりまして、三次補正は本格的なものになるということだと思います。それで、今はその三次補正についてなんですが、風評被害が全国に非常に広がっていることや、全国の防災対策、それと、いつ起こるともわからない首都圏の震災に備えての機能分散対策など、今回は、被災地だけではなくて全国的な対策についてもぜひ盛り込んでいただきたいというふうに考えておりますが、その点についての財務省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、泉委員長代理着席〕

野田国務大臣 先般成立をしました復興基本法におきまして、復興の基本理念については、「被害を受けた施設を原形に復旧すること等の単なる災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生を視野に入れた抜本的な対策」などの推進がうたわれております。これらの基本理念にのっとりまして、七月中に政府としては復興のための基本方針を定めることになっています。

 この方針に基づいて、第三次補正予算については、今井委員の御指摘のことも踏まえまして考えていきたいというふうに思います。

 なお、風評被害については、若干付言しますが、今回提出をさせていただいて御審議いただいている第二次補正予算においても、日本ブランド復活のための対外発信力強化関係経費五十三億円を計上させていただいております。

今井委員 ありがとうございました。

 三次補正におきましては、ぜひエネルギー対策についてもしっかりとした対応をしていただきたいというふうに思います。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

泉委員長代理 次に、徳田毅さん。

徳田委員 自由民主党の徳田毅でございます。どうぞよろしくお願いします。

 三十分と時間も限られておりますので、早速質問に入ってまいりたいと思います。

 本法案は、平成二十二年度の剰余金を第二次補正予算の財源として活用するための特例法ということでありますが、そもそも平成二十二年の剰余金であるこの二兆円はどのように発生したのか。特に税収は、当初予算において見積もられていた約三十七・四兆から、約四・一兆円も上振れました。この上振れ要因を分析することにより得られる知見は、今後の税収の見通し、または景気判断に役立つものだと考えられますが、大臣はどのように分析しておられるか、伺いたいと思います。

野田国務大臣 徳田委員のお尋ねは、剰余金が発生した税収の上振れ要因についてのお尋ねでございます。

 二十二年度の一般会計税収については、二十二年の十月時点までに判明していた課税実績を織り込むなどして、補正後予算額を三十九・六兆円と見込んでおりました。

 今般の二十二年度決算額は四十一・五兆円であり、法人税を中心として補正後予算額を一・八兆円上回ることとなりましたが、これは、東日本大震災の影響はあるものの、三月期決算法人の企業収益が、世界経済が順調に回復してきたことを受けて、二十二年の十月に想定をしていたよりも改善したこと等によるものと考えております。

徳田委員 ありがとうございました。

 それでは、この分析を踏まえた上で、この三月以降、つまり二十三年度の経済の動向についてお伺いしたいと思います。

 三月十一日に東日本大震災が発災をいたしました。東北の被災地は、基幹産業である農業、漁業、製造業を中心に、壊滅的な打撃を受けています。復旧復興もおくれていることから、被災企業の再生もおくれている。消費マインドの低下、サプライチェーンの寸断、原子力の風評被害、円の高どまり等々、経済に対する震災の影響というものは今全国に広がっています。

 それに加え、原発の再稼働について政府方針が迷走していることにより、電力不足の長期化、電気料金の値上がり、それに伴い、先ほども指摘がございましたが、企業の海外移転等により雇用の喪失など産業の空洞化も懸念されています。

 この一―三月のGDP、これは対前年度比マイナス三・五%ということでありましたが、多くのエコノミストは、この四月―六月もさらに三から五%落ち込むのではないかと予想されています。

 ことしの三月以降、この二十三年度の経済の動向についてどのような見通しを持たれておられますか。

野田国務大臣 徳田委員の御指摘のとおり、三月十一日の東日本大地震の発災後、経済にはさまざまな影響が出ていると思います。

 御指摘があったとおり、サプライチェーンの寸断、それから電力不足の問題、加えて風評被害、原子力の事故がありましたので、企業とか個人の心理のまさに影響、マインドの問題等々、間違いなく、数字にも出ておりますけれども、下振れ要因になっているというふうに思います。

 ただし、これは、復興の需要を満たすことによって、満たしていきながら、被災地に元気を取り戻していって、そして景気を回復軌道に乗せていくというのは、これは政府だけではなく、民間の機関も、あるいは国際機関も、こういう基本的なシナリオを持っていますので、そういう線にのっとって間違いのない対応をぜひしていきたいというふうに思っているところでございます。

徳田委員 ありがとうございました。

 今お答えいただきましたこの経済の見通し、回復基調に乗せていくということもありましたが、やはり、基本的には経済が極めて厳しい状況にある。その見通しに伴って、それでは今年度の税収、これはどれほど減収になるのかということであります。

 まだ七月ですから、この具体的な数字というのはまだ出ていないとは思いますが、昨年末の税収見積もりは四十兆九千二百七十億円、これがどのような数字になるのか、見通しだけでも結構ですが、お答えいただければと思います。

野田国務大臣 もうこれは委員も御指摘のとおりであって、現時点で確たることを申し上げることは大変難しいんですが、二十三年度の税収の見通しというのは、二十二年度の税収の決算、それから二十三年度税収の課税実績や経済見通しなど、さまざまな要素を踏まえて考える必要があるというふうに思います。

 その上で、まず、さっき申し上げたように、二十三年度の経済動向は東日本大震災による下振れリスクがあるものの、一方で、二十二年度税収の決算が補正後予算を、先ほど申し上げたようにプラス一・八兆と上回ったこと、二十三年度税収の収納がまだ始まったばかりでありますから、先ほど申し上げたとおり確たることは申し上げられませんが、そのようなさまざまな要因によって見通しがだんだんと定まってくるだろうというふうに思います。

 引き続き、その動向を注視してまいりたいというふうに思います。

徳田委員 何を申し上げたいかと申しますと、やはり今、経済は危機的状況に陥りつつあるのではないか、それに伴い税収も落ち込んでいくのではないか、そうすると、財政もさらに厳しい状況に追い込まれるということであります。

 昨年六月に財政運営戦略とともに新成長戦略が閣議決定をされました。経済成長と財政再建を両立させていく、それが菅内閣の大命題でありましたが、それに加え、この東日本大震災が発災したことから、被災地の復興、それもやはり大命題に加わったのではないかと思っています。しかしながら、この三つの大命題に対し、今政府は真っ正面から取り組んでいるのか、これが大変疑問に思うことであります。といいますのも、そのすべてが中途半端で、具体的な方針がいまだ定まっていないように思われます。

 例えば、この復興に向けて第一次補正予算、第二次補正予算と編成をされましたが、新規国債に依存しないということに強くこだわって、結果として、その場しのぎの、財源をかき集めたような予算を組んだ。被災地の状況を考えると、それはとても十分な規模や対策だとは言えませんし、また、新規国債に依存しないということにこだわるのはいいことですが、財政再建に大きく貢献しているのか、そこも大変疑問に思うところであります。

 これから第三次補正予算も編成されるということでありますが、これから捻出しなければならない巨額の復興の予算、財源をどうするのか、復興債も含め、政府として、はっきりとした方針はできるだけ早く出さなければならないのではないでしょうか。

 また、経済についても、これまで質問の中で何度も、震災後における新しい成長戦略を打ち出すべきだということを申し上げてまいりました。しかし、残念ながら、この第二次補正予算には何も盛り込まれていません。

 財政再建についてもそうであります。財政運営戦略及び中期財政フレーム、これはどうするのか。税と社会保障の一体改革については成案が出てきましたが、しかしながら、閣議決定もされていない、内容もあいまいなままであります。それと、選挙のときに掲げた無責任なばらまき政策についてもどこまで見直すのか、これも政府・与党内はまとまっていないように思われます。それが、この時期になっても公債特例法が成立していないという異常な事態を招いているのではないか。

 震災対応、経済対策、財政再建、このどれをとっても逃げることはできない、これはどこが政権を担おうと同じことなんだということを思っております。だからこそ、まず政府が真正面から真摯な議論を行って、方針を出していただいて、その上で野党と議論をしていただく、そういうことが大事だと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 問題意識は全く共有できると思います。震災対応であるとか、一体改革とか、財政再建、こういうものは、どの内閣でももう先延ばしできない、避けて通ることのできない、そういう課題であって、これは、政治を前進させるために、特に政府・与党がまず一生懸命汗をかいて、野党の皆さんと協議をしながら成案をまとめていくということが大事だろうと思います。

 震災関連で申し上げますと、第一次補正と第二次補正についての評価がございました。確かに、新たな国債を発行しないで復旧に万全を期すための最大限の努力を行ってきたつもりでございますけれども、この後、まさに七月中に、先ほど申し上げたとおり、復興のための基本方針をまとめ、当然のことながら、復興の財源をどうするかということも、その基本方針の中に盛り込んでいくことになります。それをもって、被災地においても、今自主的に、まさに復興計画をそれぞれつくっておりますので、そういうものを踏まえて、第三次補正、これは本格的な復興予算にしなければならないというふうに思います。

 この際には、当然、政府・与党の中でも意見交換をしてまとめた上で、野党の皆様の御理解と御賛同をいただかなければ第三次補正予算は通らないわけですから、通るための復興予算をどうするかということを考えると、真摯に協議を呼びかけて、そして成案を得るように努力をしたいと思いますし、税と社会保障の一体改革についても、成案になっているかどうかという御疑問があるのかもしれませんが、政府・与党としては成案としてまとめたつもりでございますし、閣議に報告をして、これをもって野党の皆さんに協議を申し込むということも決めておりますので、そういう姿勢で臨んでいきたいというふうに思います。

 なお、復興財源の議論、そして一体改革の成案ができてまいりました。これらの一連のプロセスを経た後に、中期財政フレームについては、毎年、年央、年の半ばに見直しをすることになっていますので、少なくとも復興財源の議論が終わったあたりからはこの中期財政フレームをつくらないと来年度の予算編成ができないものですから、そういう工程表というかスケジュール感で作業に当たっていきたいというふうに考えております。

    〔泉委員長代理退席、委員長着席〕

徳田委員 七月中にこの復興の基本方針をまとめて、その上で大規模な本格的な復興に向けた第三次補正予算を編成するということでありますが、このタイミングとしてはどうなんでしょうか。もう被災から四カ月がたっている。きのうの予算委員会の議論でも、いまだに復旧段階ですが、それも遅々としておくれているということでありました。

 そうした中で、五月の第一次補正予算は四兆余り、そして今回は二兆、これで本当に十分なのか。これから本格的なものは三次で組むんだと。きのう何人かの大臣も、三次で行います、盛り込んでまいりますということを言われておりました。しかしながら、ではこれはいつ出てくるのか。

 編成を急がれるんだとは思いますが、八月に提出、九月に提出されるのか、それでも執行は十月、十一月になってしまう。もう冬になってしまいますね。それが本当に早いタイミングなのか。今の被災地の状況にこたえられるような時期なのか。私は大変疑問に思っております。このことについて、ちょっと時間があれば、後ほど触れたいと思います。

 まず、今回の第二次補正予算であります。

 これはなぜ二兆円という規模なのか。これが本当に被災地の声にこたえたものなのか。

 大臣自身、何度も被災地に足を運ばれているかということを思います。そして、本当に被災地の方々からいろいろな御要望や御意見をいただいているかどうかわかりませんが、そうしたものにちゃんとこたえられる、第一次補正予算を万全のものにするためという目的であるということはお聞きしていますが、私は、それにしても、これも不十分ではないかと思っているんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 今回御審議をいただいている第二次補正予算については、第一次で四兆円で復旧型の予算をつくらせていただきました。瓦れきの処理とかを含めて相当程度、復旧の事業には十分、まあいろいろな見方はありますけれども、スタート段階としては、私は四兆というのは決してリトルではないというふうに思っているんです。

 それに加えて、総理の御指示もありまして、二重ローンの問題であるとか、原子力の損害賠償関係経費であるとか、被災者生活再建支援の、これまでは百万円分だったものを、加算分、三百万円にふやす分であるとか、第一次の復旧のところで十分足りていなかったところ、そして急がなければいけないものについてはこの二兆円の範囲で入れさせていただきました。

 その上で、予備費が八千億であるとか、交付税が五千億とか、臨機応変に使える、裁量を持って国においても地方においても対応できるお金というものを盛り込んでおりますので、四兆と二兆で、それは評価はいろいろあるかもしれませんが、決してツーリトルではない。

 本格的な復興予算については、先ほど申し上げたとおりの考え方で編成をさせていただきたいというふうに思います。

徳田委員 いろいろな見方があるから、こうやって議論をさせていただいているわけであります。

 一次で足りない部分を二次で埋め合わせさせた、二兆円の範囲内でということでありました。しかし、正確に言えば、この二次補正予算、一兆九千九百八十八億、これはこの二十二年度の剰余金と全く同じ額なんですね。それは、はっきり言えば財政ありきの補正予算と言わざるを得ないんじゃないでしょうか。本当にこれが被災地の要望やニーズを積み上げてきたものなのか。

 民主党の皆さんも、被災地に何度も足を運ばれていると思います。そこでいろいろな意見を聞かれていると思います。政治家が行けば、厳しい意見ばかりです。そうした声を、この復旧段階で必ず盛り込まなければならないものをしっかりと皆さんから集められて、情報を集約されて、意見を集約されて、その上で積み重ねられた、そうした補正予算なのかということに疑問があるんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 当然、現地に行って汗をかかれて、そしてさまざまな声を聞いていただいた声を、政府の中でも、あるいは党内においても、そういう御意見をちょうだいしながら編成させていただいているというふうに認識をしております。

徳田委員 それがたまたま剰余金で出てきた一兆九千九百八十八億と同じ額になったということでありますか。これはようわからぬ話なんですね。

 これまで大臣は、財政が制約になり災害対策が滞ってはならないということを何度も申されておりました。しかしながら、今回の補正予算の姿を見ると、出してきた政府の姿勢を見ると、借金をしない範囲で復興支援をしますよと、そのような後ろ向きな姿勢だと被災地の皆さんや国民の皆さんに受け取られてもしようがないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 財源の議論を十分しないで、しかも、それも与野党合意可能な財源論がちゃんと議論で集約をされていない中で安易な国債発行をしながらというやり方はとらなかったということでありまして、今回成立をした復興基本法の八条、九条で、財源にかかわる記載がございます。

 そういうものを踏まえて、本格的な財源をどうするかという議論ができたときに初めて、基本方針で出てくるさまざまな対策、どれぐらいのかさになるかわかりませんけれども、その規模をしっかり支える財源の話ができてくると思いますが、復興基本法の議論を通じてその辺の土俵はできてきたというふうに思います。

 したがって、第三次補正予算というのは、そういう財源論も踏まえての議論がこれからできるということです。それまでは、安易に国債発行に頼るということは、やはり財政規律が弛緩している国と思われかねないという懸念がありました。

 三月十一日の大震災の発災後、震災からの復旧復興を国際社会も望んではいます。一方で、その前からある財政の制約、これをどう乗り越えていくのかということも注目をしています。そういう意味からも、歳出の削減であるとかあるいは今回は剰余金とか、非常に苦心をしながら財源を確保してまいりましたけれども、そういうものの中で、必要な復旧事業については手当てをしていく、そういう考え方のもとで一次補正、二次補正をやってまいりました。

 三次補正については、先ほど申し上げたとおり、きっちり復興財源というものをお互いに議論して定めて、本格的な復興予算をつくっていきたいというふうに考えております。

徳田委員 言われることは確かに理解はできます、むやみに国債発行をするべきではないと。しかしながら、今言われたことを本当に被災地の方は理解できるでしょうか。それは政府の都合だ、国会の都合だと受け取られかねないのではないか。

 被災地の状況を大臣は見てこられたと言いました。どうですか。家族を失い、家を失い、仕事を失い、やっとあの津波から生き延びた人たちも、今になって自殺する人たちまで出ている。一日も早い復興を望み、そして今も闘っている人たちがいる。そうした中で、政府は、心配するな、精いっぱいやるよということをしっかりと示すべきではないかということを言っているんです。

 今、第三次補正予算のお話もございました。これも、時期としては私は遅過ぎるんだということを思います。今回の第二次補正予算までにです。例えば、河川や道路や港湾や下水道、そうした災害復旧事業、そうしたことも盛り込まれていません。学校や病院、そうしたところの復旧事業も盛り込まれていない、一次では少し手当てはありましたが。そしてまた、原発の対応、今回の第二次補正予算、原発関連について、被災者の生活支援について、そうしたところも私は不十分ではないか。

 では、こうしたことは今回では盛り込まずに、次の第三次補正で、それは十一月以降で十分間に合う、十一月以降からでいいとお考えですか。

野田国務大臣 阪神・淡路大震災と決定的に違うのは、規模の大きさ、そして、今回やはり津波被害によって行方不明者が相当数出たということなんですね。

 ツーレートというお話もよくされます、ツーリトルとあわせて。私は、決してこれはツーレートではないと思っていまして、例えば、予備費の使用については発災後三日目に使用を決定しました。阪神・淡路のときは二十日後です。

 そして、最初の補正については、確かに阪神・淡路のときに比べれば十日おくれましたけれども、それは、阪神・淡路のときには行方不明者は私の知っている限りは数人、そして東日本大震災のときは当初は二万人、今も五千人いらっしゃるという中で、被害の現況を把握しないで予算の裏づけをするということは難しいわけですから、その現況把握に十日ほどおくれたことがツーレートとは私は思いません。

 加えて、第二次補正についても、阪神・淡路のときの二回目の補正と、これも十日ほどおくれています。それはやはり初動のおくれの分だと思いますけれども、これまたツーレートでは決してないというふうに思っております。

 問題は、きちっと被害の現況に対応できる予算をつくれるかどうかでありまして、そのことについては真剣に皆さんの御意見もお伺いしながら対応をしていきたいと思いますし、例えば、学校だとか鉄道だとか病院がすぐに戻らないというお話があります。旧に復するだけの予算だったら、それはつくれると思いますけれども、学校をどこにつくるか、病院をどこにつくるか、鉄道はこのままでいいのかという、まさに土地利用計画も含めた復興が今問われているわけですので、そういうものを踏まえた対応をしなければいけないと思います。

 もちろん、だらだらやるわけではありませんが、決して拙速にできない部分もあるということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

徳田委員 阪神・淡路大震災と今回の東日本大震災、そう単純に比較できるものではないんだということもわかります。しかしながら、第一次補正予算、第二次補正予算、この時期が十日おくれたとかという話じゃないんです。ここに十分な施策が、政策が盛り込まれていない、被災者救済のためにです。そしてそのすべてが、本来、今の時点で、復旧段階で必ず盛り込まれていなければならない政策が随分抜けている。

 私たちの党は十七兆を提案させていただきました。被災地も、今、また大きな余震が来るかもしれない。それであれば、港湾施設から防波堤から、今のうちから手をつけるべきではないですか。病院についても、新しい病院を新たなところに今つくれと言っているわけじゃないんです。被災地では、お医者さんもいなくなった地域もある、看護婦さんもいなくなった地域もある、そうした医療をどうやって充実させるか、それも大事な視点だと思いますし、そうしたことが本当にしっかりと執行されているのか、政府として取り組んでこられているのか、それが大変疑問なんです。

 私は、この時期に第二次補正予算が組まれた、それも中途半端な額だ。多少おくれても、やはり復興債の発行をして、本格的な復興のための第二次補正予算としてもよかったんじゃないか。結果として、このタイミングで出してきたから、今度また第三次補正予算を組まなきゃいけない。そうすると、本来であれば八月末に行ってきた概算要求もおくれてくるのではないか、そうした声も聞こえてまいります。

 今から少しおくれて、大規模な本格的な復興に向けた第二次補正予算、これは被災者の声や自治体の要望などを丁寧に積み重ねた上で、そして復興債も発行した上で、なぜ本格的な第二次補正予算としなかったのか、なぜこんな小出しにするようなやり方をするのか、それが理解できないということを申し上げているんです。いかがでしょうか。

野田国務大臣 先ほど申し上げたとおり、当面の復旧については、先般通った一次と、そして今御審議いただいている二次です。

 本格的な復興予算をつくるに当たっては、復興構想会議に青写真をつくることをお願いしておりました。それが六月末に出てまいりました。その御提言をいただきながら政府として基本方針を定める、そういうもともとの段取りがあると同時に、被災地における復興計画も、まだ、まだら模様ではありますけれども、だんだん今出そろってきているという状況です。

 当然のことながら、被災地の思いというものも踏まえたものじゃないと、国の一部の人たちだけで絵そらごとを言ってもしようがないわけですので、そういう地域における復興計画なども踏まえていくということを今やらせていただいているということです。

 順番からいうと、基本方針が大体七月中でありますので、第三次補正予算、復興型の予算については八月以降に作業に入っていくということになると思います。

徳田委員 今言われていたスケジュール、それは被災地にはとても理解できないものだと私は思いますよ。きのうの予算委員会でも、政府も一生懸命取り組んでいるなどと言われていましたが、これまでもそういう言葉は聞いてまいりました。でも、それが免罪符になるでしょうか。そうした政府の後ろ向きな姿勢というものが今の被災地の評価ではないでしょうか。

 大臣はそう言われますが、それ以外にも、この補正予算にも、政府の姿勢に幾つか問題があるところがあると認められます。といいますのも、私たちは仮払い法案、これも出してきたけれども、それを認められない。仮払いを政府がするか、できるか、その言葉一つ、文言まで大きくもめました。

 そして、例えば、この財務金融委員会でも議論がされてきた二重債務問題。被災者の人たちがゼロからではなくマイナスからのスタートになってしまうからということで、何とかしなければならないと、与野党を超えて議論してきたのではないでしょうか。

 金融庁の調査では、震災の影響により、岩手、宮城、福島三県で返済困難に陥っている中小企業、個人は一万八千件、債務額は五千億を超えるとなっています。だからこそ、私たち自民党は、事業者から債権を買い取る仕組みについて、弱小の零細事業者または農業や漁業者まで、幅広く再起の機会が得られるように、十分な資金を持った新たな公的機関を創設して、被災事業者への融資や出資を含めて対応すべきではないかという提案をしています。

 しかし、民主党案では救済の範囲が非常に限定されているのではありませんか。買い取り資金は最大二千億程度にとどまる。しかも条件が非常に厳しい。中小企業再生支援協議会が再生可能と判断した上で、主力取引銀行が新規融資で再生の支援に応じる場合に限って債権を買い取る仕組みになっています。

 どうですか。なぜこんな仕組みにしなきゃいけないんですか。なぜ精いっぱい助けようとしないんですか。

野田国務大臣 二重ローンの問題については、これは、私ども民主党、そして御党、公明党さんで、三党間で、まさにどういう対策が必要かについてずっと協議を真摯にやってこられたというふうに思います。その中で、第一次合意案として取りまとめられた考え方を踏まえて、今回の二次補正予算では、二重ローンに関しては七百七十四億円を計上させていただきました。

 依然として検討課題として残っているものについては、今御指摘のあったとおり、債権の買い取りをどうするかという話、これを立法化すべきだ、そうじゃなくて済むとか、あるいは対象の問題とか、これは議論が続いているというふうにまだ私は思っておりますので、その議論の推移を見守りながら今後対応させていただきたいというふうに思います。

徳田委員 議論の推移を見守ってということでありますが、それが後ろ向きだと申し上げているんです。大臣は重要閣僚でありますよ。その大臣が方針を出せば、みんな積極的にやるんじゃないですか。政府として、本当に被災地のためにというのであれば、まずこの二重ローン問題、被災地の方が、本当にありがたい、助かった、政府のおかげだと言うぐらいの手当てをすべきじゃないですか。私はそこを大変疑問に思っているわけであります。

 そのほかにも、先ほども申し上げましたが、今の復旧段階で必ず行わなければならないものが、私たちはそう思っています、被災地に行って、被災地の声も聞いて、早急にやらなければならない、冬の前にやらなきゃいけない、そうしたものがこの第二次補正予算までに組み込まれていないわけです。

 第三次補正予算で対応すると言われておりますが、それでは、大体いつごろに、どれぐらいの規模で、そして財源はどうするのか、お答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 これまで自民党から三次にわたって御提言をいただきました。五百四十四項目あったと思います。そして、今般は十七兆円規模の予算のいわゆるお考えをまとめたということは承知をしております。それらの中で、参考になるもの、ぜひ取り入れなきゃいけないなと思ったものについては、一次補正でも二次補正でもこれは取り入れさせて、盛り込みをさせていただいたと思います。これからも、第三次の本格復興予算の中でもそういう項目は出てくるだろうと思うんですね。

 ただし、十七兆、まだ子細に全部見ているわけではないんですけれども、十七兆の中には、年度内の執行で終わるものなのか、普通、予算というのは年度内執行を前提とします。加えて、積算がどうなのか、よくお聞きしなければいけないものもあります。十七兆という規模ですから、復旧よりはむしろ復興型のものも相当入っていると思います。そういうものを、よくお考えをお聞かせいただきながら、まさに復興予算として第三次の中では入れていきたいと思います。

 そのスケジュール感は、先ほど申し上げたとおり、七月中に基本方針を定めます。基本方針のあらあら骨子については、私はこれは与野党協議が必要だと思うんです、財源も含めて。そうでなければ、第三次補正予算をせっかくつくっても、御理解をいただけなかったら、これは時間の無駄です。そういうことはしたくないと思いますので、基本的には随時与野党協議をしながら、第三次補正予算を組んでいく。少なくとも、基本方針が終わった後の八月以降であるということは間違いないだろうと思いますが、なるべく速やかにお互いに成案を得られるように努力をしたいなというふうに思います。

徳田委員 与野党協議も含めて財源も決めていくということでありますが、私たちは復興債を発行すべきだと、そして大規模な復興計画、本格的な復興対策を行うべきだということを申し上げているんです。皆さんが小出しにしている。そこはよく御理解をいただきたいということを思います。

 時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

石田委員長 次に、竹下亘君。

竹下委員 自民党の竹下亘でございます。

 先ほどの徳田議員と大臣の議論、やりとりを聞いておりまして、腹が立った部分があります。ツーレートではないと。本当にあなたは現場へ行ってきたんですか。現場へ行って、被災された皆さん方に話を聞いてみてください。政府は何もやってくれないと。この人たちに聞いてもいいですよ。それをツーレートと言うんです。その基本認識にしっかりと立ってもらわないと、もっともっと遅くなる。ツーレートではないという発言に、もう本当に怒りを覚えましたので、まずそのことを冒頭お話をさせていただきます。

 きょうは、剰余金の扱いをめぐる議論でございますが、当然、これからの復興予算、復興の本格予算、そして財源というものにつながっていくものでございますので、そうした議論をまずさせていただきたい。

 これから復興していくに当たりましては、私は、日本という国が、地方をというより田舎をどうするかということをかけた厳しい厳しい戦いである、そういう復興になっていく、こう痛感をいたしております。

 私自身、田舎者です。過疎地であり、高齢地であり、経済活動が不活発な地域の出身であり、不幸にして今回東日本大震災の被災に遭った地域は、まさに、ほとんどの部分がそういった地域であります。このままいくと、三分の一、半分以下に、その田舎が持つ力というのは、復興できなくて弱っていく、その心配をいたしております。

 私は、シンガポールのような都市国家でしたらわからないわけでもありませんが、日本という国は、都会と田舎と両方がしっかりとして、両方が共存共栄で支え合って、初めて本当の力を発揮していく国家である、日本というのはそういう国である、これは確信をいたしております。

 我々田舎者が都会の悪口を言うわけじゃありませんが、東京にきれいな空気がありますか。きれいな水がありますか。食料がありますか。エネルギーがありますか。生きていくことに近いことは、全部田舎が支えております。しかし、田舎とて、東京や大都会というマーケットがあって初めてゆったりとした生活ができるわけでありまして、まさにそういう意味で、共存共栄で、都会と田舎が両方しっかりしていくということが日本にとって一番大事なことだ、このように考えておる次第でございます。

 そういう中でのこの東日本大震災、田舎をどうするんだという思い、ぜひ大臣にもしっかりと理解をしていただきたいと思います。

 そして、東北六県の知事の共同アピールというのが、先般、七月十二日に出されました。その中にいろいろなことが書いてあります。いろいろなことが書いてありますが、それは海岸端でありますので、漁業の問題、水産加工の問題等々、経済活動の支えに非常に大事なことはもちろんたくさん書き込んでございますが、「森林のめぐみを活かした復興について」という項目が一つございました。

 田舎は、これでなければ生きていけないという部分が実はあるんです。かつて、私が住んでいる田舎もそうでございましたが、四つ収入源があったんです。東北地方も同じです。漁業である、あるいは農業であるという一次産業の部分。そして木材、山に関係する収入。そして、今はなくなりましたが、もう一つは木炭です、炭です。炭焼きは過疎地の農山漁村の重要な収入源。そしてもう一つは、かつては救農土木と言ったいわゆる公共事業。この四つの柱が日本の田舎を支えてきたわけでありますが、エネルギー革命によりまして木炭はなくなりました。

 そして、今、大震災に遭って、津波に遭って、農業、漁業という柱の部分も多く傷ついております。これはもちろん立て直していかなければならないと思いますが、もう一つ大事なことは、東北六県の知事会も要求をしておりますように、「森林整備の加速化や林業再生のために造成されている基金の延長・拡大など、森林・林業・木材産業関連予算の更なる充実を求めるものである。」もちろんこれは国家の課題の一つである地球温暖化対策にも十分対応する、資するものであるということも書き添えてございますが、山を復活するということをぜひやっていただきたい。

 今回の第二次補正の中にはそうした項目はまだ入っておりませんが、これから編成されるであろう第三次本格復興予算に向けては当然そのことを入れていただきたいと強く強く求めることが一つであります。

 それから、先ほど大臣は、復興構想会議の基本方針が出るから、それを受けていろいろ考えると。それは間違いです。政府としてどうするんだという意思をしっかり持って、この方向で諮問をするんだということをやらない限り、赤子の使いにすぎないんです、それは。政府とは言えないんです。政府はこうしたいんだ、この方向で物事を決めてくれということを会議に諮るのが政府の仕事であるわけでございます。

 そういった意味で、まずは次なる復興予算に、海とはちょっとかけ離れますが、山の予算、森林関係の予算、しっかりと対応していただきたいということを要望し、お答えをお受けしたいと思います。

野田国務大臣 どうもありがとうございます。

 豊かな田舎をつくる、豊かな地方をつくるということは、私、心から共感します。どう見てもシティーボーイには見えないと思うんですが、私の父も富山県の出身で農家の六男坊で、母も千葉のいわゆる町の中ではなくて農家の十一人兄弟の末っ子でありますので、血は流れています。

 最近、海外から来る方も日本のどういうところを見たいかというと、ちょっと今震災があって観光客が減っていますが、秋葉原とか東京とか大阪じゃないんですね。非常に日本に共感をしているのは、豊かな田舎があるということでした。おいしいものがある、すばらしい風景がある、森や山がある、いい空気が吸える、そして温泉もある、スキーもできるというようなことで、豊かな田舎を求めている人というのは世界の中で結構いらっしゃると思います。

 そういう人たちを呼び込めるような東北の再生、日本の再生をしていかなければいけないというふうに思いますので、当面は、あの沿岸部の農林漁業、特に水産業、水産加工業の再生というのは大きいと思いますが、先生がおっしゃるとおり、あの地域のいわゆる漁協の組合長の方で、市民運動をやっていらっしゃる方で、森は海の恋人という哲学のもとで運動されている方がいらっしゃいます。海だけではないんですね。森、山の復活が大事だと思いますので、私は、大変共感をさせていただいた御提言だと受けとめさせていただきたいと思います。

竹下委員 ありがとうございます。本当にしっかり対応していただきたいなと思う次第でございます。

 それにつけましても、一つは、この共同アピールの中に書いてあります森林整備の加速化、その基金というものが、実は、森林整備加速化基金というものがございまして、これは今年度で切れてしまうものでございますので、このことが田舎の間伐あるいは林地の整備等々に非常に大きな力を発揮してきた部分がありますので、切れてしまう部分について十分配慮をした形の対応をしていただければ、このように願う次第でございます。

 それから、復興債についての考え方についてもお伺いをいたしたいと思います。

 これも、私は大臣の答弁を聞いておって不満だったんです。というのは、実は、四月二十九日に三党合意というものがあって、復興債を出す、しかもその財源は別だという三党の合意を四月二十九日にいたしておるわけであります。これを、三党で話し合いながら話を進めていくというのではなくて、政府がまず責任を持ってどういう形にしたいと思いますという骨格を示すことが、議論がスタートする始まりである。

 反対をされると時間がかかるからと、三党で相談をしながら、これは進みません。政府としてこうしたい、それに我々もいろいろ注文をつけます。そして、修正があってもいいし、原案のまま通ることもあるかもしれない。しかし、大事なことは、責任を持っているのはあなた方なんです。我々野党ではないんです。執行権を持っているあなた方がこうしたいという意思を示すことが、議論のスタートなんです。

 そのことを、先ほど大臣の答弁を聞いておって、あれ、これはちょっとおかしいなと思いましたので付言をさせていただくと同時に、四月二十九日からもう二カ月半、間もなく三カ月になろうと、復興債を出すということを決めてから。しかし、政府から、どんな形にしたいのか、規模は確かにいろいろ調査をしなければならない部分はあるとは思いますが、政府として基本的にどう考えているんだという部分が、いつまでたっても出てこない。

 野田大臣はどのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 四月二十九日の三党間の合意、そして、今般成立したあの基本法の中での八条、九条の中で、復興債の位置づけというか、透明化等々含めて償還の道筋を明らかにする、大事な観点を御示唆いただきました。それを踏まえて、今、基本方針を定める中で、当然、方針の中では、復興財源をどうするか、復興債はどういう性格づけにするかという議論を、遅いというおしかりは甘んじて受けざるを得ませんが、今、政府内で関係閣僚において議論をさせていただいています。

 復興のための国債、一般の国債として区分する場合に、ではその区分の仕方をどうするかという議論もあると思います。いつまでの償還期間とするかということも大事な議論です。長目にとった方がそれぞれの負担は少ないかもしれません。

 だけれども、例えば余り長くとってしまいますと、では次に、余りこういう話はしたくありませんが、首都圏直下型地震とか南海、東南海という地震がいつ来るかわからない中で、一方で東北大震災のために借金を返すようなことで財政の硬直化が進んでいる中で、次が起こるかもしれないことも考えると、では妥当な期間はどうしたらいいか、それは歳出削減でどれぐらいできるのか、増税で賄うんだったならばその税目はどうするかという議論を今精力的にやらせていただいています。

 政府としてこの基本方針の中で考え方をまとめたときに、では御党はどうお考えになるか、ほかの政党はどうお考えになるか、そういうすり合わせをさせていただきたいというふうに思いまして、最初から我々が責任放棄して、何でもおっしゃってくださいというんじゃなくて、まずは手段を固めてから御相談をさせていただきたいというふうに思います。

竹下委員 ぜひ政府としての基本的な考え方というものをお示しいただき、そしてその上で、まさに活発な議論をして日本という国の進む道を進めていきたいと思います。

 五分程度質疑の時間が押しておりましたので、私はこれでやめて時間を戻しますので、本日はこれで失礼をさせていただきます。

石田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内です。

 今回のこの決算剰余金の処理の特例に関する法律案につきましては、私どもは一刻も早い被災地の復旧復興という観点から賛成をするものでありますけれども、しかし、その上でいろいろ質問をしておきたい点があります。

 まず、この決算剰余金の扱いというのは、基本的には、その半分以上は国債の償還のために国債整理基金に積み立てなければならない、こういうふうになっているわけであります。過去も、例外的にそれを使用した、こういう歴史があります。二十二年度の補正予算のときは絶対これはまかりならぬということで、昨年は半分は国債整理基金の方に回しているわけでありますが、今回、第二次補正でこれを全額使用するとしたことの理由、本質的な理由、これについて改めて、大臣、お答えください。

野田国務大臣 もう既に竹内委員の御質問の表現の中に出てきているかと思うんですけれども、過去にもこういう形の措置をとったことがあります。

 今回、新たな国債を発行しないという中で、復旧については第一次補正で四兆円規模のものをつくっておりましたが、さらに万全を期すためのさまざまな事業を行うためにこの剰余金をすべて使わせていただく、そういう考え方に基づいて編成をさせていただいたということでございます。

竹内委員 ですから、復旧復興というのはまだこれからも続くわけですよね。国債の償還財源を持ってくるという意味では、返済すべきものを返済しない、ということは国債が残るということですから、事実上国債を発行しているのと同じことになるんじゃないか、こういう指摘もあるわけですね。

 そうすると、今回、特例ということで、こういう非常事態だからということで認めるのであれば、今後の第三次補正以降の話においても、この非常事態は続いておるわけでありますから、既存の国債整理基金の中から、全額とは言わないけれども、一定限度使用するという考えが出てくるんじゃないかなと思うんですけれども、これに対しては大臣はどのようにお考えですか。

野田国務大臣 これは前も御答弁して、へ理屈としておしかりを受けたんですけれども、国債整理基金、まさにこれは減債制度の根幹、国債償還ルールの根幹だと思います。その根幹のルールを大きくこの時期に変更することのリスクはあると思うんです。

 一方で、この剰余金の扱いは、根幹ではなくて補完だというふうに思っていますので、補完については過去何度かもやってきたことがある、そういう考え方のもとで対応させていただいたということでございます。

竹内委員 この本質は一緒だと思うんですよ。

 ですから、十兆円とか二十兆円とかそんな巨額の額ではなくて、それを丸々整理基金から持ってこいとかそういうことを言っているわけじゃなくて、さまざまな手段を講じられるんだと思うんですね。その中で、今回は七千億とか八千億のレベルなんでしょうけれども、その程度の、一兆円内外のような足らず前を一時的に借用するというか、そういう発想というのはあり得るんじゃないかなと。

 マーケットも、この程度であれば信認するというのであれば、こういう非常事態にあって、今後の足らず前の中で一部使用させてもらうというようなことは、マーケットも特に問題視しない可能性があるのではないかと思うんですが、再度ちょっと、その辺はどのように考えていますか。

野田国務大臣 これは多分、いろいろな見方があると思うんですね。

 本当に未曾有の大震災を受けての対応なので、異例のことでも大目に見てくれるのではないかという見方もありますし、一方で、そこで一つ間違えると、財政規律が大変緩んでいるかのような印象を与えて、もろもろの影響が出てくるんじゃないか。これは両方見方があると思うので、そこはよく勘案をしていかなければいけないというふうに思います。

竹内委員 この点につきましてはこのぐらいにしておきたいと思います。

 先ほども質問がありましたが、円高につきましてどう考えるかということで、最近の円高の進行の理由について、直接的な要因と構造的な要因とがあると思うんですけれども、大臣はどのようにお考えですか。

野田国務大臣 余り為替の状況を、詳細な分析をするということは、では、その対策はどうのという水準観とか相場観とかとなってしまうと適切ではないと思うんですが、日本の経済のファンダメンタルズがストレートにあらわれているということではなくて、どうしても欧米の財政の問題や経済の問題の影響が強く出てきているなと。その意味で、先ほども申し上げましたけれども、一方的な、偏った動きになっているというふうに認識をしています。

 その意味で、マーケットは引き続き注視していかなければならないと思います。

竹内委員 欧州の財政危機の問題であるとか、米国の短期の雇用情勢が悪いとか、こういうことから日本の円買いが入っているんだと思います。

 それは表面的なことでありまして、長期的には、やはり一方に電力制約がある。一方で、復興需要が出てくる。当然、これは金利高が予想されて、円高も推測される。そういう流れを読んでいるんじゃないかな、これは私の推測ですよ、そういうふうに思うんですね。

 そういうふうに考えてくると、今、七十九円、七十八円ということになっている段階で、もうみんな、先ほどからも質問がありましたけれども、企業人は悲鳴を上げているわけです、もうこれは大変なことだと。

 そういう中で、やはりこれは一段の金融経済対策、金融緩和政策等が必要なのではないか。その辺、大臣としては、対策をとる必要が私はあると思うんですが、いかがですか。

野田国務大臣 きのうの予算委員会で、今の現状について日銀の副総裁にお尋ねがあって、御答弁をされていました。その御答弁を聞いていても、現状認識について厳しく思っていることについては私どもと共有しているというふうに思いました。

 先ほど、副大臣が御答弁されましたけれども、さまざまなレベルで日銀とはやはり適切に連携をしながら問題意識を共有し、そのかわり、金融政策はもちろん日銀が独自に判断をされるわけでありますけれども、そういう連携、問題意識を共有しながら、そして意思疎通はぜひしていきたいというふうに思います。

竹内委員 日銀はもとより、一方的に進むような局面であれば、やはり為替介入というのは政府としても財務大臣としても考えなければいけないというふうに思うんですが、再度、いかがですか。

野田国務大臣 くしくも、昨年九月の単独介入、ことしの三月十八日の協調介入という、自分の任期中に二つの種類の介入をせざるを得なかった、そういう立場でございます。やはりそのときの対外的な説明の仕方というのは、過度な変動、無秩序な動きがあったということを踏まえての対応として御説明をしています。

 これからもマーケットを注視しながら、もしもそういうような事態があるならば、それは断固たる措置をとるということは、これは姿勢としては変わりはございません。

竹内委員 わかりました。

 そこで、次に、先日、参考人の意見陳述をいただきまして、それに対しまして、余り間を置かないで質問した方がいいだろうというふうに思いますので、あえてきょう質問させていただきますが、そのときの資料を用意しております。

 最後の三ページの方からお聞きしたいんですが、「特例国債発行法案及び財政への見解」ということで、これはクレディ・スイスの市川参考人がおっしゃったペーパーですね。この中で大きくは二つありまして、特例国債発行法案は早期成立が好ましい、それはそうだと。ただ、「法案が成立しなくても、金利が上昇するわけではない」、こういうマーケットとしての見方がある。それから、問われているのは政治に対する信頼感である、こういう大胆な御発言をいただいておるわけでありますけれども、これに対しまして、まず大臣としてはどのようにお感じになりますか。

野田国務大臣 金利はさまざまな要因で決まるものでありますので、特例公債が成立がおくれている、あるいは成立しないということをもって直ちに金利が上がるかどうかというのは、この市川参考人のような御意見もあると思います、確かにあるとは思います。一方で、マーケットの関係者の中では、特例公債法案が成立しない場合のさまざまな心配、経済や国債への信認に対する御心配、御懸念を持つ声もあります。

 これは、だから何とも言えませんが、「問われているのは政治に対する信頼感ではないか」というのは、なかなかこれは胸に突き刺さる話でありまして、やはり一日も早く特例公債が成立をする、そしてそれに本当に真剣に取り組む政治というものが問われているな、しっかりと対応しなければいけないというふうに思います。

竹内委員 そうなんですね。だから、まずはやはり大臣を率いる政府・民主党、与党の側がしっかりとしたリーダーシップをとって、我々野党を納得させるだけの政治的リーダーシップを発揮してもらうということが大事だと思うんですね。我々が、なるほど、これならやはり話をまとめざるを得ないというような政治力をまず発揮していただいて、それが与野党まとまれば政治に対する信頼感が戻ってくるんだろう、こういうふうに思うんですね。その意味では、しっかりとこの辺、まずはその土台づくりを早急に急いでいただきたいというふうに思いますね。

 その上で、次に、「増税と同時に自然増収の環境を整備すべきである」というふうにもおっしゃっていまして、「社会保障費の増加を考えれば、消費税の税率引き上げは必要」である。この点は、私どもも、いずれこれは必要な段階が来るだろうというふうに思っております。

 ただ、社会保障以外の面におきまして、「増税だけに頼る財政再建策は不健全である」というふうにもおっしゃっています。「法人税、所得税の自然増収を目指すべきではないか」、全くそのとおりだと思うんですね。経済を巡航軌道に乗せれば増収になってくるわけでありますから、それはやはり基本として考えるべきであろうというふうに思います。

 そこで、次に、二枚目のペーパーに戻りますけれども、今度は野口旭教授が、「我が国の今後の財政運営についての私見」ということで、一、二、三とありますが、特に一の点につきまして、「復興財源は公債で調達し、十分に時間をかけて返済すべき」というふうにおっしゃいました。

 まず、「戦争や災害等による一時的かつ巨額な支出には増税ではなく公債に頼るのが当然」である。そして、課税標準化という考え方があり、「課税の厚生損失は税率の二乗に比例するから税金はなだらかにとるべき」である。それから、「復興税のような「時限増税」はあえて社会的な損失を生み出そうとするもの」である。四点目には、「「将来世代にツケを回すべきでない」とは必ずしもいえない」。

 その理由として、三点。インフラの復旧は将来世代にも便益を与えます。それから、災害の損失は現世代の放蕩の結果ではない、各世代からいわば保険として徴収するのが正当であろう。それから、復興構想会議などは実施時期を限った消費税増税を提案しているが、まるで災害という傷を負った子供に重荷を持たせ、将来治ったら軽くすると言っているに等しい。こういうことを指摘されておられるわけであります。

 私は、本当にそうだと思うんですね。従来から私どもも申し上げているとおりだ、この辺は一致しているなと思ったんですね。

 いろいろ出てくる情報では、十兆円ぐらい復興債を発行した場合には、五年ぐらいで償還するとか、その場合、法人税に上乗せをして、例えば五年ではなくて今度は十年で一兆円ずつ十兆円とか、いろいろな話が出ているんですけれども、現実にはこれだけの企業の国際競争力が今大変厳しい状況にあるという中で、なかなか、やはりここは短兵急に考えずに、これだけの百年に一度、千年に一度というような災害ですから、その復興と償還ももう少しおおらかに考えた方がいいんじゃないのか。

 そういう意味では、うまく経済を軌道に乗せて、その自然増収で返していけるような環境づくりこそまず優先すべきではないかというふうに思うんですが、この野口教授の御意見に対しまして、大臣はどのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 一つの復興財源をめぐる御見解だとは思います。

 やはり考えなければいけないことは、復興構想会議から出された御提起の中では、今を生きる世代によって負担を分かち合っていくということです。とすると、仮に復興債を出すとすると、そんなに何十年というなだらかな緩やかなやり方でいいのかと。

 もちろん、何か投資をしてインフラが整備されれば将来世代にも恩恵があるということはわかりますけれども、さっきも竹下先生とのやりとりで申し上げましたとおり、ほかにも大きな地震が起こる可能性が近未来にあるという中で、一つの大震災への対応がなだらかに緩やかにずっと続いているということがいいのかという議論もあるだろうというふうに思いますので、その期間の持ち方についてはよく議論をしていかなければいけないなと思います。

 阪神・淡路大震災のときは、いろいろと予算をやって多分十年ぐらいかかっていますね、国費の投入。集中的な対応は五年ぐらいだったと思うんです。そういうタームを見ていくということも一つの参考ではないかと思いますし、これはちょうど今やっている最中なので、まだ定まったことは申し上げられませんけれども、例えば、極端な例だと、千年に一回の大災害なんだから償還期間五百年でもいいという人もいましたけれども、そこまでいっちゃうと緩やか過ぎちゃいますよね。今を生きる世代で分かち合うというのが、私はやはり原点かなというふうに思います。

 その際に、じゃ、何をもって財源とするか。歳出の不断の見直し、これはやらなければいけないと思います。ただ、一方で、社会保障を支えるために、あるいは日本の財政を支えるためにも不断の努力で歳出削減をしていかなければならないわけで、復興のためにどの規模を、どれぐらい出せるか、どういう費目を出すのかということの議論が大事。

 一方で、これはどうしたってある程度の、復興の財政需要があるとすると、国債発行するとすると、歳出だけではなくて税で手当てしなければ、ならざるを得ないと思います。それについてはいろいろな御意見があります。

 いろいろな御意見がある中で、例えば法人税については、今、国会に御提起をしているのは、法人税の実効税率を五%下げて、日本の企業が国際競争力を持って、外資系企業が日本に立地するようにする、雇用や投資を促進するという観点で税制改正案を出しています。これまではつなぎとか分離で本格的に議論できませんでしたが、これについても、これも三党合意で議論をすることになっていますので、そういう推移を見守りながらの対応になるだろうというふうに思います。

竹内委員 もちろん我が党にもいろいろな意見があるんですけれども、要するに将来世代にツケを回すべきではない、これは一応の理由、理屈なんですが、しかし、仮に特例公債法案が通れば、赤字公債についても将来世代にツケを回すべきではないですよね。復興の方は回しちゃいかぬけれどもこっちは回していいんだ、赤字の方は。これも理屈が通らない話なんですよね。だから、ここは非常にバランスのとれた総合的な考え方が必要なんだろうというふうに思います。

 では、大臣、現下、最も自然増収を図る方策、現状の経済を見て、復興需要等も考えて、景気が回復して自然増収になる大事なポイントは何だと思いますか。

野田国務大臣 まずはボトルネックを除去することだと思うんですね。先ほど徳田委員とのやりとりの中で、日本の経済の下振れ要因は、大震災発災後、原発の事故が収束を完全にしていないことにおける実態的な面と心理的な面の影響、それからいわゆる供給網の寸断の話、電力不足そのものの話を申し上げました。まず、これらのボトルネックを解決し、企業にとっては見通しが必要だと思うんですね。その見通しをちゃんと立てられるような算段をすることがまず第一だと思います。

 それから、やはり復興需要を満たしながら、東北地方の再生とあわせて日本の再生を図っていくという、まさに復興を通じながらの生きたお金の使い方、成長を促せる分野にお金を回せるかどうか、そういうことも含めた対応が総合的に必要になってくるだろうと思います。

竹内委員 これはもうはっきりしていますよね。原発を再稼働できるかどうかですよね。供給制約がなくなれば、復興需要が出てくるんだから、絶対にこれは景気が盛り上がってデフレから脱却できますよ、必ず。

 だから、やはりここはエネルギー政策をめぐって迷走するのではなくて、はっきりとした筋道というか、議論を整理して、原発が大丈夫なのかどうか、大丈夫であれば稼働するとはっきり言ってあげることですよね。それだけのまた安全対策も約束するということだと思うんですよね。そうすれば間違いなくこれは非常によくなって、久々にデフレを脱却して日本はよくなるというふうに私は思っています。

 最後になりますけれども、先日の参考人質疑の中で、幾ら消費税を上げてもこれからの財政再建というのは追いつかない、新たにさまざまな公共投資というのは出てくるわけだし、更新投資も必要なのでありますから、やはり新しい仕組みが必要である、そういう意味ではレベニュー債などを検討する必要がある、こういうことで、いろいろな御指摘がございました。そこに、鈴木参考人の指摘がずっと書いてあります。

 まとめてお聞きしますが、大臣、財務省として、私は何回も聞いておるんですが、この導入に向けてしっかり検討しているのかどうか。それから、ここにあるように、この三のところですが、レベニュー債の対象のみならず地方公共団体のキャッシュフロー分析などを行う仕組みも必要であると。そういう環境整備ですよね。さまざまなことが必要だと思うんですね。

 そういう意味で、本当は財政再建を推し進めなければならない財務省が、意外にこのレベニュー債とか新しい仕組みの導入に後ろ向きなんじゃないか。民間に勝手にやってもらうことに関して、何か知らないけれども、そういうことを進めようとしていない。財政再建を叫びながら、増税は言うけれども、新しい仕組みの導入はどうも前向きな感じがしないというふうに私は思っておるんですが、その後、いかがですか、大臣。

野田国務大臣 復興基本法の中でも、財投資金あるいは民間資金の活用ということも財源として積極的に活用するというふうに書いてありますので、それは必ずしも、だから一つの何か定まった増税だけではなくて、さまざまなお金の使い方、資金の活用の仕方はあるだろうと思います。

 レベニュー債については、再三、竹内委員から御提言いただいております。先般もたしか公明新聞に何か論文が出ていたと思いますけれども、そういうことも参考にさせていただきながら、要は、必要なのは、利用料収入等によって元利払いに必要なキャッシュフローが出るかどうかというところが、この鈴木先生の一番下の方にもキャッシュフローの話が出ていますよね。そういう分野は一体どういうことなのか、地方はできるかもしれないけれども国はどんなことがあるのかなとか、そういう勉強は引き続きさせていただいております。

竹内委員 勉強の程度じゃ困るんですよ。もう切迫しているんですよ、財政再建は。

 今後、国、地方とも、収益を生む事業に関しては基本的に国債、地方債は発行しない、レベニュー債など民間の手法をまず導入するというぐらいの大方針を出されてはどうですか、はっきり申し上げて。そのぐらいの強い覚悟を示さないと、とてもじゃないですけれども日本の財政再建というのは進まないというふうに、野党の我々でも思っているわけです。

 大臣、いかがですか。

野田国務大臣 その覚悟を決める前の、もうちょっと勉強をさせていただきたいというふうに思います。

竹内委員 しっかりと勉強していただいて、財政再建のために努力していただきたい。

 以上で終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 提案された剰余金処理法案は、第二次補正予算案の財源をつくるための法案であり、補正予算案と一体のものであります。そこで、第二次補正予算案の中の二重ローン対策についてただしておきたいと思います。

 総額一兆九千九百八十八億円、約二兆円、このうち二重ローン対策として計上されているのは幾らでしょうか。野田大臣は、意欲のある企業は可能な限り救いたいと答弁されましたが、これで十分というふうに考えておられるかどうか、確認をしたいと思います。

野田国務大臣 今般の補正予算において、被災中小企業者の震災からの着実な復興のため、二重債務問題に適切に対応するための支援として、合計七百七十四億円を計上させていただいておりますし、佐々木委員がお示しをしていただいている資料に詳細書いてございますが、七百七十四億円です。

 これですべてかというと、先ほどもちょっと議論がございましたとおり、今、現時点で七百七十四億ですが、まだ検討すべき課題としてさまざまな課題が残っています。債権の買い取りの問題とかを含めまして、さまざまな議論がありますので、これはさらに三次補正等において必要な額は積み増しがされていくということになるかと思います。

佐々木(憲)委員 私は、七百七十四億円というのは余りにも少ないんじゃないかと思うんです。

 しかも、一覧表で今お配りをしておりますが、その中に二重ローン対策と言えないものが入っておりまして、配付した資料の中の、例えば、この丸でいいますと上から五番目の被災地域産業地区再整備事業、それからその次の中小企業組合等共同施設等災害復旧事業、それから水産業共同利用施設の機器等の整備拡充、木質系震災廃棄物等の活用可能性調査。

 何でこれが二重ローン対策なのかよくわからないんですが、きょうは経産省の方に来ていただいておりますので、経産省にかかわる所管の部分について、なぜこれが二重ローン対策なのか、理由を説明していただきたいと思います。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の二次補正予算案につきましては、二重債務問題対策として、中小企業再生支援協議会のような予算に加えまして、今御指摘のございましたような、仮設工場、仮設店舗等の整備事業に二百十五億円、中小企業等のグループ施設整備に百億円を計上させていただいてございます。

 仮設工場、仮設店舗につきましては、中小企業基盤機構が、原則無料で被災地の中小企業に、整備し、また貸し出すということにしております。これによって事業者の事業の早期再開を支援するものでございます。また、中小企業事業者のグループの施設整備等の事業は、震災で損害を受けた事業者に対しまして、その復旧に国と県で四分の三を助成するものであります。

 いずれも、新たな借り入れをできる限り行わずに、円滑に事業を再開できる環境の整備に資することを目的としておりまして、したがって、今回の二重債務問題対策として補正予算案に計上してございます。

 なお、このことは、六月十七日に関係閣僚会合で定められました二重債務問題への対応方針において示されているところでございます。

佐々木(憲)委員 中小企業対策としてこういうものが必要だというのは、私はわかるんです。

 ただ、二重ローン対策というふうになりますと、これは要するに復旧整備のための施策でありまして、新たな融資を受ける、それがなかなか難しい、過去の借金があるので、その借金をチャラにしてもらわないとゼロから出発というのはできないんだ、こういう被災者、被災地域の中小企業の課題に直接こたえるということに二重ローン対策というのは必要なわけであります。どうも、まあ間接だから、別に否定すべきではありませんけれども、余りにも何か二重ローン対策という枠にどんどんいろいろなものを入れちゃって、膨らませている感じがする。

 確かに、この項目の中には、中小企業再生支援協議会を核とした相談窓口の体制強化とか、基盤整備機構等が出資する新たな仕組みですとか、再生可能性を判断する間の利子負担の軽減等々、二重ローン対策に直接役立つと思われるものは、もちろん入っております。どうも、七百七十四億円というのは全体の中では非常に小さいんだけれども、小さい中にまたいろいろなものが入っていまして、本当に二重ローン対策になるのかな、こういう疑問を持ってしまうわけであります。

 この中で、直接二重ローン対策というふうに我々が考える部分を抜き出しますと、二百六十五億円ですね。上の四つと一番下、これが二重ローン対策と言えば言える。果たして、これでどの程度役立つのかということであります。

 次のページを見ていただきたいんですけれども、次の資料は、これは金融庁が調査をしたものでありまして、東日本大震災以降に約定返済停止等を行っている債務者数及び債権額というもので、被災三県の金融機関からのヒアリング結果であります。

 これを見ますと、返済を一時停止している、つまり返済ができないということでとまっているもの、それから返済の条件変更をしたもの、これを合わせますと、足し算をしますと、一万八千九件、五千五百六十四億円、こういう規模になるんですね。

 これは、まだ、全体の中では一部だと思います。必死になって支払っている方は、このほかにもたくさんいらっしゃるわけであります。もう限界だという方がいるわけです。

 今回のこの二重ローン対策で、このうち、つまり、この一万八千件のうち、どの程度救われるのか、何割救われるのか、お答えをいただきたいと思うんです、金融担当大臣。

自見国務大臣 佐々木議員にお答えをいたします。

 六月十七日に決定されました政府の二重債務問題への対応方針においては、被災地、被災者の置かれた状況が千差万別でございます。非常に、個人でも、また、先生御存じのように中小企業、私も石巻に行かせていただきましたけれども、水産加工業を初め、たくさんの中小零細企業があるわけでございますから、そういった中で、千差万別の中でさまざまな施策を組み合わせる、いろいろな政策を組み合わせて、政府としても可能な限り対策を講じることにしているわけでございます。

 事業者を一例にとれば、今、中小企業庁からも答弁がございましたけれども、再生に向けた相談窓口の体制の強化、あるいは事業再生の可能性がある中小企業に対する出資や債権買い取りの支援、また、再生可能性を判断するまでの間の利子の負担の軽減といった幅広い施策を組み合わせた支援を行うこととしており、二次補正予算では、そのために必要な経費を手当てしているところでございます。

 また、先般この国会でも全党一致で可決していただきました金融機能強化法、これは、金融庁といたしましても、地域における金融機能の確保、あるいは預金に対する万全な措置を図る目的として、成立させていただいたわけでございます。

 また、個人の債務者の債務が円滑に進むように、御存じのように、個人債務者の私的整理に関するガイドラインの策定をやらせていただいたところでございまして、いろいろ申し上げましたけれども、いろいろな政策を組み合わせて、政府一丸となって被災者の生活支援、被災地の復旧復興に取り組んでいく必要性がある、こういうふうに思っております。

佐々木(憲)委員 自見大臣、質問に答えてくださいよ。

 今、金融庁の出したこの資料の中のどの程度が今回の補正予算で救えるのか、それを聞いているわけですよ。今説明したのは、私、全部知っているんです。聞かなくたってわかっているんです。ですから、質問に答えてください。つまり、今の答弁は結局、質問に対して答えられない、そういう答弁だったということになるわけです。

 ですから、いろいろ調査はやっているんだけれども、今回の対策でどこにどれだけ支援の手が行き届くのか、どの程度の方々が救えるのか、そのくらいの見通しも出さないで、予算を組みましたと。それでは全然だめだということであります。

 具体的にもうちょっと聞きますけれども、窓口の体制強化、現在の人員はどの程度で、何人ふやすつもりですか。

豊永政府参考人 お尋ねがございました中小企業再生支援協議会の現在の体制についてお答えいたします。

 現在、同協議会では、中小企業の再生に係る相談、再生計画の策定などを支援するために、中小企業や事業再生の専門家を常駐させておりますけれども、おおむね各協議会五名程度ということになってございます。

 現状だけでよろしいでしょうか。

佐々木(憲)委員 何人ふやすかという答えはありましたか。

豊永政府参考人 続けます。

 今般の二次補正予算では、小規模事業者などの相談も含めて、多様な相談に、幅広くきめ細かく相談できるよう、また、債権買い取りなども新しい業務として追加し得るよう、その体制強化を目的として、三十億円計上してございます。これによりまして、各協議会におきましてそれぞれ三十名程度増員する、各三十名ふやして、五名を三十五名程度にするということを想定してございます。

 ただ、具体的な体制につきましては、各県の事情を踏まえて詳細を詰めたいと思っております。

佐々木(憲)委員 そこで、この二重ローン対策の中で一番多いと思われるのが、再生可能性を判断する間の利子負担の軽減、百八十四億円であります。その対象になる中小企業はどの範囲でしょうか。

 配付した資料の三枚目を見ていただきたいんですけれども、与党の二重債務問題に対する対応スキーム、この中で、事業性ローン、これは上の方にあります、下には住宅ローンです。この事業性ローンのうち、「再生が可能」「判断が困難」「再生が困難」、この三つに分かれております。再生可能性を判断する間の利子負担というのは、この三つのうちのどの部分が対象になるんでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 今の、お示しをいただきました資料をつまびらかに拝見しておりませんけれども、被災事業者がこの協議会に持ち込まれまして、再生可能性を判断するまでに一定の時間がかかるのは御指摘のとおりでございます。この間に旧債務が雪だるま式に増大し再生を阻害することを避けるという観点から、この間の利子補給を検討するということになったわけでございます。

 今、選択肢を幾つかお示しになられました。その選択肢のどれに当たるのであるかという一定の結論を得るまでの期間の金利負担ということでございます。恐らく、過去の経験則でいいますと、数カ月かかるのではないかと思っておりますけれども、この間の金利負担だと承知してございます。いずれにしましても、一定の結論が出るまでと承知しております。

佐々木(憲)委員 結論は、「再生が困難」というのはもう既に出ちゃう、最初の窓口の段階で出るということになります。これも対象になるということですか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘に該当し得た案件も含めまして、再生支援協議会に持ち込まれる可能性は高いと思っております。したがいまして、その再生が可能であるかそうでないかを見きわめることも含めまして、再生支援協議会で総合的な相談事業を行うということを想定してございます。

佐々木(憲)委員 再生支援協議会というのは、この上の方にあります「再生が可能」と見られた中小企業を対象として行うものであります。ですから、「判断が困難」の中の、上に行く部分と、それから下に行く部分が、これは二つに分かれますね。結局、再生支援協議会で相談をされている間ということになりますと、再生が可能であるというものしか対象にならないんじゃありませんか。

豊永政府参考人 持ち込まれた案件につきまして、再生が可能であるかどうかをどこかの段階で判断する組織が必要になります。

 私どもは、この再生支援協議会が幅広く相談を受けて、この中で、再生可能性があると判断したものにつきましては、別途御説明する機会があろうかと思いますけれども、新しい機構、県ごとに置きます産業再生機構のようなものでございますけれども、そうした機構に債権の買い取りが移行するわけでございます。その間の検討を協議会で行う。

 その中には、おっしゃったように、再生可能と判断されるものもありますし、残念ながらそうでないものもあろうかと思っております。その意味では、両方を含み得るのではないかと考えてございます。

佐々木(憲)委員 そうしますと、「再生が可能」だけではなく、「判断が困難」それから「再生が困難」というふうに思われる対象、これはすべて利子補給が可能となる、こういうふうに理解してよろしいですね、財務大臣。

野田国務大臣 そういう理解でよろしいかと思います。

佐々木(憲)委員 債権買い取り機構というのは、この中小企業再生ファンド等、これの衣がえということでよろしいんでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい機構といいますのは、中小企業基盤機構と地域金融機関が出資するものでございまして、例えば、先ほど申し上げましたように、何々県産業復興機構のような名称のものを想定してございます。

 お尋ねの、従来の中小企業再生ファンドのお話がございました。これにつきましては、御指摘のとおり、従来は厳密な再生計画を求められる、また、結果として比較的規模の大きな中小企業を対象にしてまいりました。したがいまして、今回の震災による被災中小企業の救済には十分ではないのではないかという御指摘もございます。

 したがいまして、今般の対策におきましては、この対象範囲を抜本的に拡大するために、小規模企業者も含めた幅広い事業者を対象とする、また、中小企業基盤機構の出資割合を、従来五割を八割に引き上げるといったような形で、被災事業者支援のための、実質的に的確に対応し得る、より強固な実施体制を構築するというふうに考えてございます。

佐々木(憲)委員 もう時間がありませんので終わりますが、提案されているこの剰余金処理法案は第二次補正予算案と一体のものと我々は考えております。

 この第二次補正予算案には非常に重大な問題点が含まれておりまして、二重ローン対策というのは極めて微々たるものであり、かつ、零細なところは切り捨てられる可能性が十分にあると私は思っておりまして、これは不十分だと思っています。

 それから、最大の問題は、原子力損害賠償支援機構法、これに基づいて予算を計上しているという点でありまして、これは事実上、東京電力の救済スキームというべきものであります。出資金などを計上したり、交付国債発行限度額二兆円、政府保証枠二兆円を設定している。

 これはもう、ともかく東電を生かして、そして、幾らでも資金援助を政府はやるんだ、その負担は公的資金、つまり財政負担、それから電力料金の値上げという形ではね返る、そういう予算になっているという点で、我々は予算に反対でありますので、ワンセットのこの剰余金には反対であるという立場を表明しておきたいと思います。

 以上で終わります。

石田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 平成二十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十九分散会


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