衆議院

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第30号 平成23年7月26日(火曜日)

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平成二十三年七月二十六日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 石田 勝之君

   理事 大串 博志君 理事 岸本 周平君

   理事 古本伸一郎君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 竹下  亘君 理事 山本 幸三君

   理事 竹内  譲君

      網屋 信介君    五十嵐文彦君

      磯谷香代子君    今井 雅人君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      岡田 康裕君    笠原多見子君

      勝又恒一郎君    木内 孝胤君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      菅川  洋君    玉木雄一郎君

      豊田潤多郎君    中林美恵子君

      松原  仁君    三村 和也君

      柳田 和己君    和田 隆志君

      赤澤 亮正君    今津  寛君

      齋藤  健君    田村 憲久君

      徳田  毅君    野田  毅君

      村田 吉隆君    山口 俊一君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         野田 佳彦君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           今別府敏雄君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十六日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     磯谷香代子君

  中塚 一宏君     笠原多見子君

  徳田  毅君     赤澤 亮正君

  茂木 敏充君     田村 憲久君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     柿沼 正明君

  笠原多見子君     中塚 一宏君

  赤澤 亮正君     徳田  毅君

  田村 憲久君     茂木 敏充君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官今別府敏雄君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木内孝胤君。

木内委員 民主党の木内孝胤でございます。本日は、質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 本日は、公的年金基金について質問をさせていただきます。

 連日、復興財源あるいは社会保障の財源、こうした問題について、与野党間、そして与党内でも激しい議論が続けられております。こうした中で、我が国の公的年金基金は百二十兆円でございます。この百二十兆円は、十年間一%で運用されますと百三十二兆円になります。あるいは、五%で運用されますと、この百二十兆円が何と百九十五兆円になります。

 今こうした復興財源等を考えるときに、いろいろこの委員会でも議論されておりますのが、名目成長率を高め、そして税収を高めるということでございますけれども、こうした百二十兆円という世界最大の基金、これをいかにふやすかということは、我が国の年金財政にとっても非常に重要なことだと考えております。

 ここで、最初に厚生労働省さんにお伺いをいたします。

 この年金基金の運用パフォーマンス、これはいろいろな考え方がございますけれども、四年前は約五・六兆円運用成績が下がり、あるいは三年前には九兆円下がり、大きな批判等もございました。その一方では、二年前には九兆円ふえ、非常にジェットコースターのようにこの運用成績が乱高下しているというのが事実でございます。昨年も約〇・二五%、あるいは独立行政法人が設立されてからの直近の四年間、この四年間をとりましても〇・三三%のマイナスということになっております。

 結局、期間のとり方次第で、非常にうまくいったり、よく見えたり悪く見えたりということでございます。八年間で見ても二・四三%とか、さまざまな見方がございますけれども、この運用成績に関しては、名目賃金上昇率マイナス〇・五%に一・一%を加えればそれでよしとしようというふうに聞こえるような質疑も今までにございました。

 この過去の運用実績につきまして、厚生労働省としてどのように評価をしているのか、総括をしているのか、御意見をお聞かせください。

今別府政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御紹介されましたように、まさに運用実績をどう評価するかというときに、どの期間で見るのか、あるいは何と比較をするのかという視点が大事であろうと思います。今御紹介がありましたように、この数年といいますのは、サブプライムでありますとかリーマンでありますとか、そういう意味ではかなり大きく金融経済の状況が動いた時期であります。

 ただ、自主運用を始めて、平成十三年度からちょうど十年間を見ますと、二十三兆円のプラスで運用してきておりますので、もともと年金制度の財政運営について、財政再計算でありますとか財政検証で想定をしていた数字を上回っておりますので、年金積立金の運用というのをかなり長期で評価すべきだという観点からは、適正な運用がなされてきたというふうに評価していいのではないかと考えております。

木内委員 年金再計算という根拠からすれば、この十年間、二・四三%ですとか、それなりの数字ではないかというような評価ではないかと思うんですけれども、一方で、舛添厚生労働大臣のころから、あるいは昨年は長妻厚生労働大臣のときに検討会などが開かれ、さまざまな指摘事項がございました。この指摘事項の中で、私は、一言で申し上げますと、この百二十兆円を本当に日本という国が持っているすべての総力を挙げてきちんと運用されているか、このことに関して非常に大きな疑問を持っております。

 例えば、一つは、よく指摘されていることでございますけれども、ガバナンスでございます。百二十兆円というこの資金を運用する一番の肝の一つとなっておりますのが、やはり基本ポートフォリオを決めるということでございます。この基本ポートフォリオは一体だれが決めているのか。これは、GPIFの理事長そして理事、このお二人が決め、その前に運用委員会なるもの、十名の運用委員会、非常に見識の高い十名が選ばれ、こうした方からアドバイスをもらって、この理事長、理事が決めている、そのような形となっております。

 しかしながら、個々人としては皆さん立派な方ではございますけれども、事資産運用という分野においては、必ずしも経験や実績が十分にあると到底思えないと思っております。

 そして、先ほどもお話ございましたとおり、リーマン・ショックですとかあるいは東日本大震災、こうした大きな事象があったにもかかわらず、過去五年間、基本ポートフォリオは一回も変わっていない。

 これは、一回も変わっていない根拠と、当時、この基本ポートフォリオを決めたときの、その前提となる、例えば期待リターンですとかあるいはリスクですとか、各資産ごとのそうした数値、そしてなぜ今回、見直しの際にこれを変えなかったのか、そこの根拠について教えてください。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 今の基本ポートフォリオは、GPIFができました平成十八年度に設定をしたものでございますが、当時、厚生労働省で決めておりました基本ポートフォリオ、基本的に国内債券並みのリスクでできるだけリターンを得るという考え方のもとに引き継いだものでございます。

 基本ポートフォリオは、年金再計算の期間でありますとか、あるいは独立行政法人の中期目標、計画の期間、こういうものとそろえて、五年間に一度見直すことを原則としておりますが、もちろん、その五年間の間で金融経済情勢が大きく変わるということがあれば見直すことを否定するものでもありませんし、現に、今御紹介のありましたリーマン・ショックでありますとかあるいは東日本大震災の際にも、GPIFにおいては、運用委員会の議論も踏まえて、見直すべきかどうかという検証はしております。

 今後、いずれにいたしましても、社会保障審議会の年金部会で具体的な年金の改正案についての議論を開始いたしましたので、その中で、この運用指針、運用目標のあり方とか基本ポートフォリオの議論もしていきたいというふうに考えております。

 御指摘のありました現在の基本ポートフォリオを決めましたときのベースでありますけれども、リターンが三・三七%、リスクが五・五五%で設定をいたしております。

木内委員 私は、結論を先に申し上げますと、分散投資の上で、一部、プライベートエクイティー投資の資産クラス、ここに投資をするべきでないかということを考えております。

 もし仮にプライベートエクイティー投資を行った場合のいわゆる期待リターン、これはどの数値を使うかということによってもいろいろ変化はあるかと思いますけれども、もし仮にプライベートエクイティー投資をした場合に使用される期待リターンの数値があれば、お教えください。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 プライベートエクイティーの評価をどうするのかというのは非常に難しい面があると承知をしておりますが、今手元に具体的な数字でお示しできるものはございません。

木内委員 この数値、御指摘のとおり、非常に難しい部分がございますけれども、例えば、ケンブリッジ・アソシエーツ公表のUSプライベート・エクイティー・インデックス、過去二十年間のデータなどを使用しますと、一〇%を超えるような数値もございます。なぜ、外債ですとか外株とか、いわゆるリスクが結構高いんではなかろうかという資産クラスに資産を配分しているかというと、いわゆるリスク対比で見たリターンが高いから結局こういう資産構成になっている。

 皆さんよく勘違いされるんですけれども、まるで、成長分野にお金を投資すると、リターンは高いかわりにリスクも高い、そのように勘違いをされているケースがございますが、逆に、資産を分散させ、期待リターンが高いこうした分野に一部資産を振り分けることにより、結果としてリスク対比のリターンが低くなる、そういうこともございます。したがいまして、私は、成長分野への投資というのも、いま一度これはしっかりと検討するべき、そのように考えております。

 いろいろ質問を終えてから野田大臣に最後に質問させていただきたいと思っていたんですが、ちょっとここで野田大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたとおり、私は、プライベートエクイティー分野、いわゆる成長分野への投資を行うべきというふうに考えております。

 こちらに一枚物のポンチ絵を用意しております。

 いわゆる日本が十分に成長できていない、過去二十年間成長がほとんどない、いわゆる資本性の資金、成長性の資金が成長分野に十分に資金循環されていない、そのように思っております。すなわち、千四百兆円の個人の金融資産、負債部分を除きますと約千百五十兆円とも言われておりますけれども、これのほとんどがいわゆる国債に吸い上げられ、そして、かつては間接金融、銀行なども、こうした間接金融でありながら資本性に近いような間接金融、そうした機能を持っていたものが、最近はなかなか、こうしたデフレの環境下、非常にリスクをとらない間接金融、こうなっております。

 そこで、私は、今回の復興基金とも絡めた形で、こうした資本性の資金を、きちっとした適正リターンを確保した上で、例えばエネルギーファンド、あるいは、例えば今、半導体の工場の再編なんかに使う産業別ファンド、あるいはインフラファンド、こうしたものの基金をつくるべきではないか、そのように感じております。

 ここで申し上げたいことは、公的年金というのは、単純に年金財政だけを守るためにあるものではございません。特に、百二十兆円規模でございますので、この公的年金の運用には、私は戦略的発想が必要だと考えております。年金財政の改善だけではなくて、国内の経済成長あるいは産業育成の観点からも有効であり、これは世界各国の戦略的発想です。

 御案内のとおり、例えばカルパース。リーマン・ショック以降、こうしたプライベートエクイティー投資分野への投資を一四%にふやしました。あるいは中国。中国の年金基金も、実は二〇〇九年にプライベートエクイティー投資の比率を二〇%にふやしました。彼らは、ハイリスク・ハイリターンという思想でこうした分野に投資をしているのではありません。むしろ、それなりに高いリターンが見込めて、リスクが一定程度幅に抑えられる、その意味でのポートフォリオを組んでいるということでございます。

 私は、日本のこのポートフォリオの組み方、これは非常に今おくれているのではないか。私も長い間、GPIFの方あるいは厚生労働省の年金の担当の方と話しています。その中で感じますのは、結局はやはり事務方としてできる限界というのがあるんだと思うんです。

 百二十兆円のポートフォリオを決めるというのは、やはりこれは政治が指導力をとって、こうした分野に、例えば最初は一%から三%、一兆円から三兆円程度、とにかく投資をするんだ。一九七〇年代にアメリカでERISA法案が通りました。これでそうした成長分野にお金を振り向ける、強制的とも言えるような形で優先的にお金を振り向ける、そのような法律も制定されました。

 私は、戦略分野への投資、こうしたことのリーダーシップをとれるのは、本来、年金基金というのは厚生労働省の所管かと思いますけれども、あえてここは野田財務大臣に、こうした分野、成長分野への投資、もちろん手がたい投資をするというのは当たり前ですけれども、手がたいながらも成長を見込めるプライベートエクイティー投資への投資スタンス、これについての御意見をお伺いさせてください。

野田国務大臣 木内委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 今までのやりとり、大変興味深く拝聴させていただきました。年金の積立金というのは将来の年金給付につながるわけですので、基本的には安全性、効率性という観点での運用が大事だろうと思います。その中で、先ほど来議論があったとおり、GPIFの運用のあり方については、懇談会が設けられていろいろな御議論があったというふうに承知をしています。

 木内さんのように、いわゆる投資銀行家として華麗なる経歴を持たれ、豊富な経験を持っている方にとってはいらいらするような運用もあるんではないかと思います。一方で国債を中心にやっていこうという御意見もあるという中で、先ほど大変示唆的な御意見があったと思いますけれども、百二十兆を運用するというのは、やはりだれかが責任を持って、哲学を持って判断をするという、それは、ポートフォリオをどうするかというのは非常に大事な哲学の問題だと思います。

 リスクとリターンの相関をどう見ていくのか、その運用体制をどうするかということは大変重要な御指摘だというふうに思いますので、所管は違うんですけれども、そういう観点から、これは当然厚労省、社会保障審議会年金部会の御議論があるかと思いますけれども、まさに百二十兆でありますので、その運用のあり方については私もこれからしっかり注視をしていきたいというふうに思いますし、関心を持ち続けて、時にはちょっと横から発言をすることもさせていただきたいと思います。

木内委員 御意見ありがとうございました。

 今、横からコメントをされることもあるかもしれないというおっしゃい方をされましたけれども、ぜひここは、横からを超えて、真っ正面から、厚生労働省あるいは閣僚会議等で積極的にコメントをしていただければというふうにお願いを申し上げます。

 質問は終わりましたので、大臣、よろしければ中座をお願いします。ありがとうございました。

 ちょっと質問の順番があれですけれども、先ほど申し上げましたとおり、本当に名目成長率を高めること、そしてこの年金資産をふやすこと、私、この委員会でいいますと、考え方としては、自民党さんの山本幸三先生がいつも質問されていらっしゃることに非常に考えが近いのではないかと勝手に思わせていただいております。こちら側でいいますと、今、松原仁先生はいらっしゃいませんけれども、デフレ克服議員連盟ですとかデフレ脱却国民会議。

 唯一、私は日銀の直接引き受けのところはまだ、覚悟を持って追加の量的緩和をするということは賛成でございますけれども、直接やるというのはちょっと時期が早いのではないかという、そこだけは違いますけれども、いつも山本幸三先生のコメントの際は一生懸命聞かせていただいております。ほかの方もそうですけれども。

 そうした中で、私、一昨年の十一月から去年の十二月まで十二回ございました、いわゆる検討委員会、これの議事録、ほとんど全部というか、かなりまじめに目を通させていただいておりましたけれども、非常に興味深い結論というか、いろいろ出ていたかと思います。

 その中で、いろいろ意見が割れ、リスクをとる、とらないの意見が割れた部分もあったかと思いますけれども、一つ、意見が一致した主な事項として示されておりますのが、運用目標の設定プロセス、それとGPIFさんのガバナンスにつき、これはこう変える必要があるんではなかろうかと。そうした中で、何か具体的な進展があれば、それをお聞かせいただければと存じます。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、昨年の暮れに検討会の報告がまとまりまして、そこでは、独立行政法人であるがゆえに現在は理事長がすべて決定をするという構造になっておりまして、先ほど御紹介いただいた運用委員会も諮問機関にすぎないでありますとか専門家の委員が非常勤であるとかという御指摘もいただきました。

 そういうことを踏まえまして、今のガバナンスの問題につきましては、これも先ほど御答弁をいたしましたが、社会保障審議会の年金部会で年金の具体案の議論を開始いたしますので、この中でさらに議論を深めてまいりたいというふうに考えております。

木内委員 去年の十二月に、方向性といいますか、意見書が出てからもう七カ月ほどたちますので、ぜひそれは、一定の期限を明確にしていただきながらそうしたものを進めていただければというふうに思っております。

 それと、ちょっと、年金のコーポレートガバナンスといいますか、議決権の行使について質問をさせていただきます。

 基本的に、年金基金は日本株の最大の投資家でございます。こうした日本株の最大の投資家が、余り経営には影響を及ぼさないようにという方針のもとで、いわゆるこうした議決権の行使というのは運用委託先に任せているというのが現状だと理解しております。こうした中で、私は、日本の産業競争力の低下の一因は、やはりコーポレートガバナンス、健全な意味でのコーポレートガバナンスがきいていないからではないか、そのように問題意識を持っております。

 現状、この議決権行使に関しては非常に慎重スタンスでありますけれども、ぜひ、ここのコーポレートガバナンスの強化、議決権の行使について、GPIFさんの中なのか、あるいは厚生労働省の中なのかわかりませんけれども、こうしたものも、先ほどの話とあわせて、国家の意思として私はこうした議決権の行使を行っていただきたいと思いますけれども、この議決権の行使についての厚生労働省のスタンスをお聞かせください。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 議決権の行使につきましては、平成十五年の三月に社会保障審議会から意見具申がございまして、国による民間企業支配の懸念がないようにという思想のもとに、御紹介のありましたような、直接議決権行使をしないで、民間の受託機関がそれを、それぞれガイドラインに基づいてやるという仕組みになっております。

 現在は、したがいまして、各受託機関のガイドラインの策定状況でありますとか、それに基づいてどういう議決を行ったかということをモニタリングして、それを公表するということにいたしております。

木内委員 ありがとうございます。

 議決権の行使、日本のコーポレートガバナンスのあり方というのは、日本の産業競争力に直結する大事なテーマだと考えております。最大の日本株投資家としての自覚をぜひ持っていただいて、このコーポレートガバナンスの改善にも努めていただければと思います。

 いろいろきょう申し上げましたけれども、一部批判的に聞こえるかもしれませんけれども、このGPIFの業務概況書を読んでも、いろいろ工夫されて、あるいは御努力されているのを非常に強く感じております。

 日本で有数の投資のプロと言われる人と、私、何人か知り合う機会もございましたけれども、大体、投資の天才と言われる人は、やはり何年かに一回大きな損を出すケースというのもございます。ですから、先ほど野田大臣からもお話ございました、こうしたある意味血税的な年金基金というのは、非常に慎重にも慎重を期した投資スタンスが必要ということを肝に銘じながら、一方で、この慎重を期すという意味は、リスクをきちっと分散して、そしてリスク対比のリターンを強化するということでございますので、こうしたものを考えながら、私もさまざまな年金運用の提言をしていきたいと思います。

 本日は、質問のお時間をいただきまして、ありがとうございました。

石田委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川三区の近藤和也でございます。きょうは、ありがとうございます。

 先に、野田大臣から質問をさせていただきます。

 先ほどの木内委員の続きではございませんけれども、私も、日銀の国債の直接の引き受け、これに関して反対の立場でございます。何となく、民主党はデフレ脱却議連の声が大きくて、そういう意見が多いんじゃないかなというふうに思われる節もございますけれども、私はまだまだやるべきことがあるんじゃないかという立場でございます。

 きょうはその部分については議論はいたしませんが……(発言する者あり)はい、また追ってさせていただければと思います。日本政策金融公庫についての質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 地震が起きましてから、さまざまな取り組みについて、対応が遅いですとか何もできていない等々の批判を、私も選挙区に帰るたびに多くの御意見をいただきます。

 実際には、仮設住宅の建設は、阪神大震災のときと比べまして、大体倍のペースで建設されてきています。私の選挙区で能登半島沖地震が起きましたが、そのときは三百三十四戸つくったんですが、このときでも二カ月弱かかっています。三カ月で三万戸というのは非常に私は速いペースだと思いますし、また、第一次補正予算についても、遅いという批判がありましたが、阪神大震災のときには三回の補正予算が組まれて九カ月かかっていますが、その九カ月、三回分の金額も上回っている。また、自衛隊の出動に関しても、阪神大震災のときよりもはるかに速いペースで、また規模で、出動していただいている。そういったところがなかなか伝わっていないことを残念に思っています。

 その中で、報道のあり方については、いかがかと思うところはありますが、やはり私たちのPR不足というところも否めないところもあります。

 そのPR不足の点については私たちの責任ですから、それはそれとおいておきまして、ただ、不幸なのは、やはり被災地の方々も、対応が遅いと思うことで、より未来に対しての展望、頑張っていこうというその思いを、気持ちをそいでしまう、そういったことがあってはならない。そういった点では、やはり、私たちはこういったことを用意していますよというメニューをしっかりとお伝えしていく、それが被災地に対しての対応の効用を高めていく非常に重要なポイントになるのではないかなというふうに考えます。

 そこで、お伺いいたします。

 大震災が発生いたしましてから、日本政策金融公庫の取り組みについて、どういったさらなる今まで以上の取り組みを行ってきているか、その中身と実績をお伺いいたします。

野田国務大臣 近藤委員からは、日本政策金融公庫の震災への対応状況、実績等々の御質問をいただきました。

 日本政策金融公庫は、平成二十三年度の第一次補正予算の成立を受けまして、既存の震災関係の融資制度を大幅に拡充した東日本大震災復興の特別貸し付けを新たに創設いたしました。同公庫における震災関連の融資実績は、六月末までの累計でございますけれども、既に三万六千二百七十五件、金額で五千二百七十一億円に到達をしております。

 また、当該新制度には、例えば、直接被害者に対する最長貸付期間をそれまでの十年から二十年に延長するといった期間面における優遇措置や、直接被害者に対する貸付金利の基準金利からの引き下げ幅を、それまでの最大〇・九%から最大一・四%まで拡大するといった金利面での優遇措置も盛り込まれております。

 事業規模についても、上半期分で一・五兆円、内訳を申し上げますと、国民生活事業七千五百億円、中小企業事業七千五百億円を確保したところでございます。出資金の積み増しは千三百五十億円、内訳は、国民生活事業七百二十五億円、中小企業事業六百二十五億円となっております。

 これからも使い勝手のいい政策金融として活動させていただきたいというふうに思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 これも、阪神大震災のときの件数が三万一千件、金額が約四千億弱ということで、比較をしても、このときには十年間の累計でありましたので、わずか数カ月でこの部分を上回った、多くの方に御利用いただいたということも私も理解できました。ありがとうございます。

 続きまして、バブル崩壊からもう二十年たったわけでございますが、民間金融機関も、不良債権問題、またBIS規制と厳しい局面の中で、特に中小零細企業、零細企業と言ってもいいかもしれません、零細企業はまさにその影響を直接受け、厳しい時代を頑張ってきた。その道半ばで倒れられてしまった方々も多くいらっしゃいました。

 その中で、ことしはようやく景気がよくなりかけてきたわけですが、その努力がようやく報われるのではないかという、その展望の中で地震が起きてしまった。そこから、一月、二月、三月、昨年の末と含めて少しずつ積み上げてきた黒字分を、四、五、六でもう吐き出してしまった、今、息継ぎだけでも大変だといった企業がたくさん存在してきています。

 そこで、私の選挙区内でいただく多くの御意見は、能登半島でございます、ほぼ中小零細企業と言ってもいいですが、主に二つのことを言われます。一つには、日本政策金融公庫は民間の金融機関より融資姿勢が厳しいという御意見、そしてまたもう一つは、被災地への対応を十分にしていくのはわかる、ただ、自分たち、被災地以外にもしっかりとした対応をしてほしい、主にこの二つの御意見をいただきます。

 確かに、今、データだけで見ますと、生産活動や消費活動におきまして、発災以降からは回復は見られてきています。その傾向も続く、ことしの下半期、また来年の上半期等々には出てくるという分析が一般には言われていますが、足腰の弱い零細企業においては、今でも苦しい、また、半年後によくなるとしても、そこまでもたないといった企業が多いというのが実情でございます。

 今、改めて、被災地は東北地方という考え方に加えまして、例えば、観光業であったり、一次産業、製造業がわかりやすいと思いますが、挙げさせていただいた産業以外にも、日本全体が被災地という考え方での対策が必要だというふうに考えます。この点につきまして、日本政策金融公庫のさらなる取り組みの姿勢また意欲、大臣の見解として、よろしくお願いいたします。

野田国務大臣 近藤委員におかれましては、地元を汗をかきながら一生懸命歩いている、その現地、現場主義からの御意見をいただきました。大変ありがとうございます。

 東日本大震災復興特別貸し付けにおいては、東日本大震災による直接的もしくは間接的に被害を受けた事業者のみならず、風評被害等の影響により売り上げ等が減少した事業者をも対象とすることで、これは、被災地だけではなくて、幅広い地域、業種の事業者への融資を可能とさせていただいております。

 この結果、融資実績に占める被災地以外の地域の割合は、金額ベースでは約八割に達しています。被災地への支援も当然のことながら一生懸命やらなければいけないと思いますが、能登半島を含めて日本全体が元気になることが被災地へのさらなるサポートを可能にするというふうに思いますので、そういう観点からの政策金融機能をしっかり果たしていきたいというふうに思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 次期のかけ声もかかっている大臣から能登半島の名前も出していただきまして、ありがとうございます。今頑張っていらっしゃいます零細企業の方々も喜んでいただけるのではないかと思いますので、本当にありがとうございました。

 野田大臣、お疲れだと思います。どうもありがとうございます。

 続きまして、自見大臣に質問をさせていただきます。

 質問をさせていただく前に、先日、大臣室にお邪魔させていただきまして、ありがとうございます。郵政の改革法を早く審議していくために力を合わせていきましょうということでお願いに上がったわけですが、あれから一カ月近くたったわけです。それぞれのリーダーの、リーダーシップといいますか、いろいろな動きがある中で、両党でぎくしゃくしてきた部分もあったかと思います。その部分につきましては、私も思いを共有しているという自覚を強く持っていますので、私も大臣に、この法案について、円滑に進んでいくように、その潤滑油となっていくように力いっぱい御支援していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは、郵政改革のことではなくて財務金融にかかわることをお話しさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 ここ数日間ですが、国際的な自己資本比率規制、先週あたり、紙面を相当にぎわせていました。一般的にはBIS規制という言い方もされてきていますし、また、その所在地でもあるバーゼル1、バーゼル2、バーゼル3と、今バーゼル3ができてきたということでございますが、このBIS規制に関しては、日本の金融界、さらには地域経済を含む産業界にとっては、ある意味、苦難の歴史をあらわしてきた言葉でもあったと思います。

 そして、二〇〇七年の夏にはサブプライムローン問題が顕在化をし、その一年後にはリーマン・ブラザーズが破綻、リーマン・ショックというわけですが、ここからバーゼル2の強化、すなわちバーゼル3の議論が始まりました。

 この当時までは、BIS規制に関しては、ともすれば、投資銀行的な色彩の強い金融機関が多い欧米系とは違いまして、貸し付けが中心の商業銀行的な部分の多い日本の銀行にとっては、不平等的な受け取り方をせざるを得なかった部分も多くございました。

 その中で、昨年末にバーゼル3が決まったわけでございますが、このバーゼル3に向けてどのような努力をされてきたか、日本の金融機関にとってどのような事情が組み入れられてきたのか、さらに、金融庁としてどのような努力をしてこられたのか、御見解をよろしくお願いいたします。

自見国務大臣 最初に、能登出身の近藤議員先生から、たしか民主党の百三十九人の一年生議員の総意を代表していただきまして、郵政改革担当大臣また金融担当大臣室においでいただきまして、ぜひ郵政改革法案を一日も早く上げていただきたいという大変真摯な御陳情をいただいたことに、心からお礼を申し上げる次第でございます。

 御存じのように、衆議院で特別委員会ができましたけれども、もう百日を過ぎておりますけれども、まだ審議もされていないということでございます。ぜひ私からも、各党各会派、いろいろ反対、賛成はあると思いますけれども、ぜひ審議をしていただきたいということを担当大臣としてもお願いさせていただく次第でございますし、また、近藤先生の御好意に対しまして高い敬意を表させていただく次第でございます。

 さて、バーゼル3について今御質問でございましたが、国際的に活動する銀行が適用されるバーゼル3については、我が国といたしましては、各国の実情を十分に反映するとともに、中長期的な自己資本の強化を図る一方、性急な実施による実体経済への影響に配慮する必要があるという認識をしてきたところでございます。

 これは、もう先生御存じのように、十三年前、私はちょうど第二次橋本改造内閣の郵政大臣でございましたが、北海道拓殖銀行が破綻し、山一証券が破綻したとき、たまたま閣僚をさせていただいておりました。それから、その次の一九九八年、銀行危機というのが来まして、大変大きな問題になったわけでございます。

 そういったことを通じて、もう先生よくおわかりのように、先生は御専門家でございますからよくおわかりのように、自己資本が大きければ大きい銀行ほど、やはり安定なんですね。ところが、日本は、このバーゼル2で自己資本比率四%と八%、国内行と海外行がございましたが、この自己資本を積むために、実は貸しはがし、貸し渋りをするわけですね。そのすさまじさを私も選挙区で実感しておりますので、やはり銀行というものは、安全である自己資本のきちっとした強さといいますか多さ、ティア1とかコアティア1、こう申しますが、それも銀行が安定するには非常に大事でございますけれども、同時に、やはり経済が発展することの中核でもございますから、貸しはがし、貸し渋りにならないように、やはりその辺のバランスが非常に大事だということを、本当に苦しい、苦い経験を通じて、我々日本国は学習させていただいておりますから、そういったことを通じた結果を、きちっと国際会議でも発言させていただいたわけでございます。

 その結果、貸出金等の引き当てについて発生した繰り延べ税金資産については、自己資本への算入を一定程度認める、あるいは新規制の実施開始は二〇一三年から、規制水準の完全実施は二〇一九年にすると。

 それからまた、今さっき言いましたように、大変厳しい金融危機を乗り越えさせていただきました。いろいろあのとき、本当に与野党の御理解、御了解をいただいて、金融機関の破綻法制も、ある意味で世界で最も整備された国の一つだ、こう私は思っておりますけれども、そういったことを踏まえて、我が国の主張は相当程度盛り込まれたというふうに思っております。

 これにより、バーゼル3は、我が国の銀行にとって、実体経済に大きな影響をもたらすことなく、経営努力の範囲内で達成可能な内容となったと考えております。また、世界の金融システムの強化に向けて、全体としてバランスのとれた結果になったものと評価をいたしております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 繰り延べ税金資産等も含めて、日本にとって特徴的なメリットのある内容をバーゼル3にも取り込んでいただいたと、改めて本当に努力に敬意を表します。

 この中でですけれども、このバーゼル3に関しては、基本的には国際的な金融機関への規制を求めるものでございますが、バーゼル2、1のときにも、国内の、信用金庫や信用組合を含む、国内が営業の大半である国内基準行への適用も求めていく、結果としては過去適用されてきたわけですが、このバーゼル3についての国内基準行への適用に当たってのスタンスをお聞かせください。

自見国務大臣 まさにポイントを突いた御質問でございまして、昨年十二月に、国際的に活動する銀行を対象として、自己資本及び流動性の枠組み、バーゼル3が公表されたところでございますが、本邦の国際基準行については、二〇一三年からの段階的な適用に向けた準備が、現在、事務的に進められているところでございます。

 一方、今先生の御質問ございました国内においてのみ活動する金融機関、国内基準行に対する取り扱いについては、我が国の実情を十分踏まえるとともに、金融機関の健全性を確保しつつ、金融仲介機能が発揮されることを念頭に置きながら、今後しっかり、またこの当委員会の御意見なんかも聞かせていただきながら、検討していきたいというふうに考えております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 金融システムを守るための健全性、そしてまだまだ本調子ではない国内産業を守っていくための金融の円滑化、この双方にバランスをとっていただくということで、今後とも、この適用のことにつきましてもよろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 福島第一原発につきまして、原発事故被害に関する賠償スキームが、各所で日々刻々と議論も進んできているわけでございますが、大臣におかれましては、この原子力賠償スキームに関して、社債等の金融市場の安定性という観点から見たスキームの望ましい姿について、御所見をよろしくお願いいたします。

自見国務大臣 近藤議員にお答えをいたします。

 市場、マーケットの動向は、先生御存じのように、さまざまな要因を背景に市場において決定されるものであり、当局がその変動要因や見通しについて見解を示すことは、先生御存じのように市場に影響を与えるおそれがありますから、コメントをすることは差し控えさせていただきたいと思っています。

 しかし、いずれにいたしましても、東京電力の賠償問題については、迅速かつ適切な損害賠償の実施や、電力の安定供給などの確保をすることが大前提でございますので、これを大前提としつつ、金融資本市場全体の安定に不要、不測の悪影響を生じさせないことが重要である、こう考えておりますので、引き続き市場の動向をしっかり注視してまいりたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。不要、不測の悪影響を与えないように注視をしていきたいということで御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 民間同士の契約でありますので、国がどこまで介入するのかという問題点はございますが、責任は責任として受けとめながらも、現在の議論といたしましては、極端な措置はないのではないか、そういった方向性にはなりつつあるのではないかと考えます。

 ただ、やはり、与党、特に野党の方でも一部の方ですけれども、紋切り型の極端な御意見もあるようでございます。冷静な議論が必要だと思っています。もし万が一、社債に、東京電力債に影響が及ぶということを考えますと、他電力、一般的には約十兆円の債券を発行していると言われていますが、それだけではなくて、安全だと認識されてきた地方債や財投債等々、この債券市場が大変な状況になりかねない、やはりそこにはしっかりとした力強い議論というものが必要ではないかというふうに感じます。

 また、株主責任については、これは持論はあえて言うと余りよくないのかなという部分もありますけれども、まずはマーケットの安定性が重要であるということを重ねて共通認識としていけたらというふうに思います。

 それでは、最後の質問をさせていただきます。

 バーゼル3に関しては、各国の事情に配慮するという、いわば日本の金融機関の独自性については相当に配慮をされてきたと今までお話をいただきました。その中で、先週には、さらにその上乗せ部分でありますG―SIFIs、グローバル・システミカリー・インポータント・フィナンシャル・インスティテューションズ、G―SIFIsについての枠組みが発表をされました。まだ日本のどの金融機関がその中に入るのかは正式には表に出てはいませんけれども、ここに至る過程の中で、一説には日本外交の歴史的勝利だと評するところがございます。

 この点について、どのようなことを指して勝利としているのか、また、ここに至るまでにどのような努力があったのか、金融庁のトップとしての自己採点をしていただけたらと思いますし、また、できればですけれども、政権交代以降の政治的な努力、これも加えてお話をいただけたらと思います。

自見国務大臣 先生御質問のG―SIFIsに対する自己資本の上乗せ規制について、金融庁としては、規模だけではなく、相互連関性、代替可能性、それからグローバルな活動そして複雑性の五つだったと思いますが、G―SIFIsのリスクの程度を評価し、これを反映したバランスのとれた規制内容とするべきとの主張を従来より行ってきたところでございます。

 こうした我が国の主張により、バーゼル銀行監督委員会では、G―SIFIsの特定に当たっては、今申し上げました規模、相互連関性などの五つのリスク要因に対応する指標でシステム上の重要性を判定すること、必要とされる資本の上乗せ幅は銀行のシステム上の重要性に応じて普通株で一から二・五%の範囲とすること、それから、上乗せ規制は二〇一六年から段階的に実施して、二〇一九年一月まで四年間でございますが、段階的に実施することなどを合意し、今月の十九日に市中協議文書が公表されているところでございます。

 金融庁といたしましては、今回の合意内容について、我が国の国際交渉上の努力が相当程度反映された成果と評価しておりまして、本年十一月のカンヌ・サミットに向けた最終的な結論の取りまとめにおいて、引き続き議論に参加してまいりたいと思っております。

 先生から大変お褒めをいただいたわけでございますが、やはり十三年前の金融危機を乗り越えた、そのことが、世界の金融界にとって、また世界各国にとって説得力を持ち得たのだろうというふうに、私は政治家として思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。今後もさらなる勝利へ向けて力を合わせていけたらと思います。

 どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。自由民主党の赤澤亮正です。

 きょう、質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 ここ数日で、少なくとも二つの目まぐるしい動きが政府・与党でございました。正直なところ、国民は既に何度も裏切られ続けているため、幼稚園のお遊戯内閣といいますか、今の政府・与党には、正直、何も期待できないという思いが非常に強いわけであります。

 最近の目まぐるしい動き、一つは、マニフェストと政府・与党幹部の謝罪の関係であります。もう一つは、申し上げるまでもなく、復興基本方針と財源の関係ということで、きょうはその二つについてお話を伺っていきたいと思います。

 まず、一つ目のマニフェストと政府・与党幹部の謝罪についてであります。

 政府と与党のそれぞれの最高責任者である菅総理と岡田幹事長が、このたびは珍しく同じ方向を向いてマニフェストについて謝罪をいたしました。しかしながら、その内容はどうもばらばらに見える。できていないことはごめんなさいと言う幹事長と、財源ごめんなさいと言う総理、どうも内容がばらばらに見えます。加えて、抽象的で何を言いたいのかさっぱりわからない。謝罪した結果、どうなるんだ。国民は全く明確なメッセージを受けられていません。

 さらには、またぞろ、いつも、何をしたいのか、何をしているのかよくわからない、万事攪乱の名手であります鳩山元総理が御登場されて、岡田幹事長のマニフェストについての謝罪の撤回を求めると言い始めたのは御案内のとおりです。まさに幼稚園児のお遊戯内閣の面目躍如。みんなばらばらに演技をし、時々部屋から出ていっちゃう子供もいる、こういったような状況でございます。振り回される国民も野党も、たまったものではありません。

 もう一つ、二つ目の復興基本方針と財源の関係であります。

 こちらは、要するに、復興基本方針において、財源の内容を税目や上乗せする期間まで踏み込んで明らかにしたい野田大臣を初めとする財政再建派の皆様と、今どき増税など口にするのもはばかられるという庶民派と言っていいか、そういう方たちの戦いであります。

 これは、復興財源を早く決めて、力の入った政治の支援を一刻も早く実現してほしいと願う被災地と被災者の皆様にとっては、震災発生後四カ月が経過してなおこの戦いが続いている、ひたすら迷惑なだけだと思います。やはり、何一つスピーディーに決めることができない幼稚園のお遊戯内閣、面目躍如と言わざるを得ません。

 そこで、最初の質問でございます。

 政府・与党の最高幹部である菅総理、そして岡田幹事長、さらには枝野官房長官も、先週金曜日にマニフェストについて謝罪をしました。財政の責任者である野田大臣は謝罪されないのですか。国民の前ではっきりと考えを述べてください。

野田国務大臣 二〇〇九年のマニフェストを掲げて戦った選挙、それを踏まえて、これからいろいろ具体的な御指摘もあるかもしれませんけれども、子ども手当とか高速道路の無料化等々、基本的には恒久財源を確保しながら実現をしてまいりました。(赤澤委員「委員長、質問に答えませんよ。謝罪しないんですか」と呼ぶ)

石田委員長 今、答弁中ですから。

野田国務大臣 今、だんだんとそういう方向になってまいりますので。

 それを踏まえてずっと対応してまいりましたけれども、状況が変わったことが二つあると思うんです。一つは、昨年の参議院選挙で敗れて、自分たちの思うことがすべて実現できる環境ではなくなったということ。それからもう一つは、三月十一日の東日本大震災の発災により、政策の優先順位を、復旧復興を最優先することによって変えざるを得なくなったこと。こういう状況があるということを踏まえて、岡田幹事長を初め、その軌道修正のお話を謝罪も込めてお話しされたと思います。

 私も、基本的には認識は同じでございますので、状況が変わったこと、したがって、マニフェストどおりにすべてが実現できなくなったことは、皆様におわびをしなければいけないというふうに思います。

赤澤委員 しょっぱなから、野田大臣とは思えない、とんでもない答弁ですよ。

 震災で事情が変わったって、あなたたちはマニフェストで何を言っていたんですか。十六・八兆円、平成二十五年に財源を確保するという前に、ことし、何兆円用意できているはずだったんですか。十二・六兆円ですよ。言い逃れるんですか。三兆しか用意できていないでしょう。そこはどこが震災と関係あるんですか。あなたたちが財源を用意できなかったことは、何も震災と関係ないですよ。震災を奇貨として言い逃れしようなんて、とんでもない話ですよ。

 もう一つ言わせていただきます。全く理由になっていないというもう一点。

 景気動向などとは関係なく、無駄排除で財源を見出すとあなたたちは言っていたじゃないですか。震災も何の関係もない。二百七兆円、一般会計と特別会計の合計の一割、二割はすぐ出てくる、こう言っていたんでしょう。選挙期間中も政権交代後も、それを言い続けているじゃないですか。事情変更は何にも理由になっていません。

 しっかりとその点を訂正の上、謝罪をきちっとしてください。

野田国務大臣 あのマニフェスト自体は、四年間でお約束をして実現をしていくという過程でありました。

 財政状況が大変厳しい中、先ほど申し上げたとおり、マニフェストの主要項目については、歳出削減とそして税制改正で財源を確保しながら、二年間で三・六兆ということでございましたけれども、その範囲の中で実現をしてまいりました。加えて、税外収入についても、例えば平成二十二年度だと十・六兆、過去最大規模で確保させていただきました。

 そういう取り組みをこれからも引き続き、すべてゴールに達するかどうかはわかりませんが、この歩みを進めていこうというのが基本姿勢でございましたけれども、やはり大震災によって政策の優先順位が変わったことは間違いございませんし、その変更についてはおわびをしなければいけないと思います。

赤澤委員 冒頭から本当にとんでもない答弁が続いていると思います。

 閣内不一致じゃないですか。私の見るところ、財源については甘かったと総理はわびて、マニフェストはどうも実現できないという話に入りかけているんですよ。

 今あなたがおっしゃったことは、四年間かけてやるんですね。また国民にうそをつくんですか。四年たてば、あのマニフェストは実現できるんですか。そういうことも含めてちゃんと答えてくださいよ。

野田国務大臣 だから、四年間かけてできなくなったということを今申し上げているわけでございます。

 その上で、財政の見通しについては、確かにそのとおり、すべて、いわゆる満願成就ができるまでは難しいということを、それは総理がおっしゃって、財政の見通しに甘さがあったというふうに表現をされたというふうに思います。

赤澤委員 もう一度聞きます。

 菅総理は、財源には見通しの甘さがあった、四年間かけてもできないということをおっしゃっているように私は思いますけれども、野田大臣はそれをおっしゃっていないんですか。

野田国務大臣 先ほど申し上げたとおり、満願成就できるまでは難しいだろうということは、それは総理と同じであります。

赤澤委員 言葉遊びにつき合っている暇が余りないので、できないということをおっしゃったというふうに理解をして、先に進ませてもらいます。違うんだったら、はっきりと国民の前で堂々と私の言ったことを訂正してください。

 民主党の鳩山由紀夫前首相は二十二日に、岡田克也幹事長が二〇〇九年衆院選マニフェストの誤りを認めたことについて、幹事長に真意をただしながら、発言の撤回を求める行動をとると述べ、同日夕方に岡田氏に申し入れを行う意向を明らかにしました。そのようなことを記者の皆様に語ったところであります。

 この点について、本日になって報道されているのは、昨日は、今度、鳩山総理は、魂を売り渡していいのか、こういう言葉まで使っている。いつもながら大変ドラマチックで、無責任にこの経緯を楽しんでよければ、またおもしろくなってきたというところでありますが、国政に責任のある者、心ある国民は本当に、またかという思いだと思います。

 野田大臣は、私の記憶が間違いでなければ、鳩山内閣の財務副大臣をお務めだったと思います。その野田大臣として、この鳩山元総理の発言に賛成ではないですか。

野田国務大臣 私は、鳩山内閣のときの財務副大臣でございました。それは事実でございます。財務副大臣として、鳩山内閣の中で、特にマニフェスト主要事項についての取り組みを一緒に汗をかかせていただきました。

 ただし、さっき申し上げたとおり、状況が大きく変わったということがあります。そういうことを踏まえた中で、私は、鳩山元総理とも、現執行部がしっかりコミュニケーションをとりながら、認識の共有を果たしていただきたいというふうに考えております。

赤澤委員 それで、繰り返しおっしゃるので、私も繰り返し言います。

 本当に、野田大臣も含めて民主党の皆さんは国民をだますのが上手ですから、繰り返し、事情が変わったと刷り込もうとされていますけれども、とんでもない話ですよ。地震が起きる前に完全に破綻していたじゃないですか。四年間でできないんですよ。財源がないとわかった時点で、あのマニフェストは破綻なんです。謝罪して、その場でもう一度信を問わなきゃいけなかったんですよ。それをやっていない。

 そのことは、何度でも、あなたがおっしゃるたびに指摘をいたします。本当は、時間の無駄だから、これはもう事情が変わっただのつべこべ言わないでほしいですけれども、その点は何度でも指摘をしたいと思います。

 結論、また党内がまとまらないんじゃないですか。いかがですか。あなたは、財政の責任者であり、予算も実現していかなきゃいけないですね。そして、これから、来年度予算も、三次補正もやっていかなきゃなりません。マニフェストで国民に契約だとまで言って約束したものをやるのかやらないのか、決める責任があなたにはあるんです。党内、本当にこれはまとまるんですか。

 そこについて、確信を持った発言をしていただきたいと思います。

野田国務大臣 復興の基本方針を今週中にまとめて、それを踏まえて第三次補正の編成作業に入ってまいります。そして、その後に来年度予算編成に入ってまいりますが、この際には、四月二十九日に御党も含めて取りまとめた、政策責任者による三党合意があります。三党合意を踏まえて子ども手当等の協議が今行われているというふうに思いますけれども、こういう真摯な協議を踏まえて野党の皆様の御理解をいただかないと、三次の補正も、新年度の予算も、これはその実現が難しくなります。

 ということを踏まえますと、まず与党の中でしっかりとまとまっていかなければ、野党と真摯に向き合った議論はできないと思いますので、与党内でしっかりまとまることが第一だというふうに思います。

赤澤委員 私は、まとめられるのかどうかということを聞いているんです。もう一度お答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 まとまらなければ今の大事な課題を乗り越えていけないわけですから、必ずまとめていかなければいけないと思います。

赤澤委員 三党合意、これはもう我々の側でもほとんどほごにされたと腹を立てていますよ。

 子ども手当についても、どうも根本的な考え方が違うんです。きょう時間がもしあれば、マニフェストの項目一つ一つ詳しくやらせていただきたいと思いますけれども、我々は、あれはばらまきだと思っているんですよ。ましてや、あなたが言った事情変更ということにちょっとだけ乗ってあげるとすれば、今や、震災、これの被災地あるいは被災者の方たちを救うためには、子ども手当の財源をそっちに回すことはやむを得ない、そういう国民がほとんどだと思います。子ども手当を受け取っている方でも、そのことは理解をする。

 にもかかわらず、往生際が悪いという言い方は政策の論議をしている民主党の皆様に失礼かもしれないけれども、手取りが年間一千万を超える人は一人九千円にする、それじゃ所得制限になっていないですよ。とにかく、何でそこまで、ある意味メンツにこだわるのか。社会が子供を育てる、言うのはいいですけれども、我々は、家族が育てると思っています。その辺、全く哲学が違うので、これは、自民党が何か政局とかそういうことをやっているんじゃ全くないんですよ。政策についてとことん譲れない部分を言っているんだということについては、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 その上で伺いたいのは、マニフェストについて謝罪をする以上、マニフェストは修正されるということだと私は理解をしています。ここから先大問題なのは、それでは、我が国の財政運営や予算編成は一体どのような考え方に基づいて行われるのかということです。財政運営戦略とか中期財政フレーム、これは特にきょう予告をしましたので、復興財源について後でまた御質問をしますが、一番お尋ねしたいのは、要するに、次の内閣は、マニフェスト以外の一体何に基づいて予算を編成するのかということですよ。

 結局、そもそも綱領のない、そういう意味で私どもは党の体裁をなしていないというふうに言ってまいりましたけれども、党の綱領がない民主党が、とうとう財源も使い道も誤った偽りのマニフェストを捨てざるを得なくなった。まあ、震災で事情が変わったということを奇貨として説明されているわけでありますけれども、そういう状態になったわけであります。要するに、綱領のない民主党が、国民との契約と称したマニフェストも修正を余儀なくされた。

 その後に来るものは何かといえば、私は、想像するだけでも恐ろしいと思っているんですけれども、世論調査の結果を見ながらひたすら支持率を上げること、それにより一日でも長く延命することだけを考えて、思いつきで政策テーマを加える今の総理官邸の主と同じことを、今度は民主党全体が挙げてやるということなんじゃないんですか。

 マニフェストも修正された、綱領ももともとない、そういう民主党が思いつき政治以外何をやるのか、特に何に基づいて来年度予算や三次補正予算を編成するのか、その点を野田大臣にお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 マニフェストは既に修正せざるを得なくなっているということです。例えば、高速道路の無料化という社会実験は中止をして、復旧復興のための第一次補正予算の財源にさせていただきました。そして今、子ども手当の協議もさせていただいております。

 先ほど申し上げたとおり、これからやるべきこと、三次補正それから来年度の予算、当然、復旧復興を最優先にする内容になると思います。そのために、これまでやろうとお約束したことの中で、やめたり、あるいはその事業を縮小したりということはあるだろうというふうに思います。

 加えて、日本の場合は円高の問題も今ありますし、デフレから脱却できないという、いかに成長させていくか、そういう生きたお金の使い方をどうやっていくか、そういう観点で与野党の協議をしながら、しっかりとした予算をつくっていくというのが基本的な姿勢になると思います。

赤澤委員 今の答弁で国民が安心をされたか。これはインターネットでリアルタイムで見ておられる方もおられますけれども、そのことは本当に、大臣に胸に手を当てて考えてみていただきたいと私は思います。

 きょう、少なくとも、大臣も党の幹部と一緒にマニフェストについては謝罪をされました、内容は私は全く不満でありますけれども。加えて、マニフェストは修正せざるを得ないということもお認めになりました。

 その上で、私は一つ聞いておきたいんです。野田大臣は、政治家としてこれだけは譲れないという政策、一線のようなものをお持ちですか。次の総理、代表候補とされる大臣ですから、あえてお尋ねをしたいと思います。

野田国務大臣 先ほど来ずっとマニフェストの話が出てまいりましたけれども、何か新しい事業をやって、お金がかかる事業については、これからは抑制せざるを得ないということがあります。ただ、お約束したことの中で、例えば自分たちが身を切ること、例えば国会議員の定数削減等々、こういうことはしっかりと、どんな状況があってもやり抜かなければいけないというふうに考えています。

赤澤委員 それでは、お仕事に即してちょっとお話を伺いたいと思うんです。

 今、財務大臣をお務めでございます。それで、財務大臣の重要なお仕事というのは、財務省設置法で、これは優先順位で書いたんだと思いますけれども、「健全な財政の確保」が一番に出てきます。「適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保」ですね。その財務省の長が、野田大臣、あなたです。

 ということで、健全な財政の確保、これについて、私は、野田大臣がこれまで一貫して政治家としてそのことについて努力をしてきたのか、このことをもう一度問いたいと思います。どういうお考えですか。

野田国務大臣 昨年の六月に財政運営戦略をまとめさせていただきました。この運営戦略については、御案内かとは思いますけれども、二〇一五年までに基礎的財政収支、対GDP比の赤字幅を半分にしていく、二〇二〇年から黒字化しながら、その後は債務の残高を縮減していく、そういう計画をまとめさせていただきました。その計画にのっとって、三年ごとに中期財政フレームをローリングさせながら、その道筋を確かにたどっていく、そういうやり方のもとで毎年の予算編成をしていきたいと考えております。

 加えて、随時の補正については、新たな国債を発行しないというやり方をしながら、財源確保にはいろいろな厳しい御指摘もありましたけれども、そういう対応をさせてきていただいているということでございます。

赤澤委員 一つだけ私は野田大臣に申し上げておきたいんです。政策通、そして健全な財政の確保、財政再建、民主党内で一番期待できるのはあなただという声が強いです。しかしながら、私はそれでも、本当に期待できないと思うことを一つ申し上げます。

 十六・八兆円、財源が見つかったときに、ただの一円も借金の返済に充てるということにしないあのマニフェストに賛成して、あなたが選挙を戦ったのはなぜですか。それは健全な財政の確保という考え方に合っていますか。

野田国務大臣 本来ならば、歳出削減はその分赤字国債発行を抑制していくというところに使うというのが、基本的な財政運営の考え方だと私も思います。

 その上で、一方で、政権交代の意義というのは、資源配分を変えてお金の使い方を変えることによって、今まで眠っていた事業あるいは切り開いていかなければならない事業を推進するということがございました。その政権交代の意義を考えて資源配分を変えていく、その取り組みをしようとしたのがあのマニフェストであったというふうに理解をしています。

赤澤委員 一言で言えば、政権をとるために悪魔に魂を売ったということですよ。十六・八兆円、財源が見つかった。我が国の借金は国の借入金も合わせれば一千兆だ、そういう状況です。政権交代の当時はもうちょっと少なかったでしょう。我々が借金をつくった以上の勢いで借金が今ふえている。十六・八兆円、財源が見つかったときに、全部国民にばらまくというマニフェストを皆さんは掲げて選挙を戦ったんですよ。ただの一円も借金の返済に充てるなんということを言っていない。

 もう一つ指摘しておきます。

 今、一生懸命やじっている方たちはわかっていないかもしれない。野田大臣は、社会保障経費が毎年一兆円ふえることも含めて、財政についてはすべてわかった上であのマニフェストを推されたんでしょう。一兆円ずつ、いいですか、さらに財政が悪化する、このことも知っておられたはずです。本当に、あの十六・八兆を全部国民にばらまく、そうやって政権をとる、借金の返済を一円たりとも国民にうたわない、あれは亡国のマニフェストですよ。本来であればそれは賛成ではなかったみたいなことを言われたけれども、それに賛成して、そして選挙に勝った、その道を選んでしまった。

 私は、健全な財政の確保ということをあなたは言うけれども、本当に、だから、その一事をもっても信じられないんですよ。政権交代のためなら、健全な財政の確保を一回は捨てた人じゃないですか。国民にそういうマニフェストを問うて選挙を勝ってきたんですよ。そのことは本当に肝に銘じて、よく反省をして、あなたが財務大臣を務める資格があるのかどうかということをもう一度よく考えていただきたいと私は思っています。

 そのことはどうしても指摘しておきたかったので、きょうの流れに必ずしも合っていないかもしれませんが、指摘をしておきました。あの十六・八兆、一円たりとも借金の返済に使わない、あんな亡国のマニフェストを掲げて選挙に勝ったことは私は本当に許せないし、それで健全な財政の確保とか財政再建を語ってほしくないですよ。そのことは指摘をしておきます。

 それから、これは野田大臣がおっしゃったことじゃないので、少々八つ当たりぎみになります。しかしながら、岡田幹事長が、「菅直人首相が辞任条件の一つとしている特例公債法案の早期成立に自民党内で異論が出ていることについて「辞めると明言している首相をわざわざ長くやらせるのは国民無視で、被災地のみなさんに極めて失礼だ」と述べ、自民党を批判した。」と。七月二十四日の朝日新聞です。

 これについて、私は噴飯物の発言じゃないかと思う。野田大臣にも見解を聞きたいんですよ。国民がやめるべきだとしている菅総理をやめさせられない醜態のすべての責任は、民主党にあるんですよ。「辞めると明言している首相をわざわざ長くやらせるのは国民無視」なんて、自民党を批判するなんというのは噴飯物だと思われませんか。野田大臣の見解を伺いたいと思います。

野田国務大臣 今の御質問の前に、亡国のマニフェストという表現がございました。それは、対峙する立場からはそういう評価をすることはあり得るとは思います。

 ただ、私たちは、これは国民の生活第一という理念のもとにまとめたマニフェストであって、政策目的が何にもないならば、それはばらまきという批判は甘んじて受けるしかありません。ただし、考え方は違ったとしても、子ども手当についても、あるいは高校授業料無償化についても、我々はそれなりの政策目的があるという意味で予算をつけてきたわけで、亡国のマニフェストではありませんということは明確に申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、総理の出処進退の話は、私は、我が党の代議士会で、あるいはその後の記者会見で菅総理がおっしゃったとおりのことを額面どおりに受けとめておりますので、その額面どおりに受けとめているということは、余り周りで騒ぐ必要はないというふうに考えています。これは、特に与党内はそういうたたずまいが必要ではないかなというふうに思います。

赤澤委員 財源が用意できなかった時点で、明らかに亡国のマニフェストですよ。財源さえあれば、それは子ども手当だってやったらいいです。そして、それと同じ額の間接給付をやったらもっとよくなりますよ。それをきちっとできなかった、財源が用意できなかったことで破綻なんですよ。財源が用意できなかったものについて、政策はよかったなんてそんなことを言ったら、現実的な仕事をしなきゃいけない政治家として失格ですよ。亡国のマニフェストであるということを繰り返し申しておきます。

 そして、出処進退の話です。総理の出処進退、これは、与党内で静かなたたずまいと言うけれども、党の代表である岡田幹事長が自民党のせいだと言っているんですよ。とんでもない話ですよ、これは。自民党が公債特例法案に早く賛成しないから総理がやめない、自民党が悪いと言っているんですよ。こんなふざけた話を許していいと私は思っていません。

 まともな答えが返ってこないので先に進みますが、少々八つ当たりぎみの岡田幹事長の発言について幾つか指摘をして、さらに、次のテーマである復興基本方針と財源の関係に移りたいと思います。

 もう一つふざけた発言、これは読売新聞です。岡田幹事長が講演後、記者団に、子供を持つ家庭からすれば子ども手当の問題は非常に重要で、もてあそばない方がいいと言って、また自民党を批判したんです。

 我々は全くもてあそんでいません。何度も言うように、我々は子ども手当はばらまきだと信じているんです。ましてや、震災が起きた後で、その状況のもとで、なお子ども手当に固執する。こんなことは、むしろ、子供を持つ家庭に失礼だという前に、被災地、被災者に失礼だということを断言しておきたいと思います。

 それから、本当に問題な発言が続いているんですよ。朝日新聞でも、七月の二十四日、岡田幹事長が、「首相に衆院の解散・総選挙をさせたら自民党が政権に就けるという極めてつまらない話だ。首相は解散するはずがなく、現実性がない」と、また自民党を批判しているんです。

 一体これは何なんですか。自公両党は、政局ではなく政策の話をしているんですよ。岡田幹事長が全く理解できていないということですよ。ばらまき四Kを実現するために赤字国債を発行することは認めないという譲れない政策の大原則を民主党に突きつけているのであって、これは全然政局の話ではありません。

 こういうことを言う岡田幹事長はここに出てこられないので、私は、げすの勘ぐり以外の何物でもないと思っています。この一連の発言について、一方的に私が言うのも恐縮なので、もし野田大臣からコメントがあれば、お伺いをいたします。

野田国務大臣 基本的には、私は、今、与野党間、御党との関係も、政局論ではなくて、きちっとした政策論ができてきているというふうに思います。今回の原子力損害の賠償関係でも、機構法とそれから仮払い法案、これは真摯な協議の中で修正協議が調うというふうに承知をしていますし、あるいは二重ローンの問題についても、立法措置でやるか、そうじゃないかとか議論はありますけれども、かなり問題意識を共有できるような政策論ができてきています。

 この政策論を、お互いに胸襟を開きながら、国民のために政治を前進させていくということをしていかなければいけないので、いかなる関係者も余りうかつな言葉は使わないようにした方がいいなというふうには思います。

赤澤委員 政策の議論を静かな環境でしっかりとやるべきだと野田大臣がおっしゃったのであれば、私と全く同じ考えです。にもかかわらず、党の責任者である幹事長が、自民党は解散・総選挙で政権につきたいからやっていることだとか、そのたぐいのことを言い続けているという状況は、本当に異常ですよ。与党とはとても思えない。何かしら、菅総理の片棒を担いで、与野党がまとまらない方がいいと思っているんじゃないかというぐらいのひどい発言です。その点は指摘をしておきたいと思います。

 次に、復興基本方針と財源の関係について伺いますが、一つ、二次補正予算についてお伺いをします。

 それは、政府・与党が我が自民党の十七兆円の提案に乗ってこなかったことを私は非常に不思議に思ったんです。被災地も被災者の皆様も、たった二兆円の、ツーレート・ツーリトル、すなわち遅過ぎる、少な過ぎるとやゆされる政府の二次補正予算案よりも、我が党の十七兆円の提案の実現を切望されていることは明らかだと我々は思っています。ただ、政府・与党はこの案には乗ってきませんでした。

 震災発生以来、これまでの間の震災復旧復興、これを見ていると、政府・与党の取り組みは極限まで遅い。内閣から閣法で出てくるべき法律案も出てこない。業を煮やした自民党や公明党が、やむにやまれず数百に上る提案や議員立法を提出すると、よしとなれば、政府・与党がすぐ、ぱくるという言い方が失礼であれば、素直に取り入れる、あるいは自公案をほんの少し変えただけの政府・与党案を出してくるということが繰り返されています。瓦れき処理法案など、よい例であります。にもかかわらず、今回は違いました。

 何か理由があるとお見受けするんですが、野田大臣にお尋ねをします。公債特例法案が成立をし、今年度の本予算の財源調達にめどがつくまで、復興債の発行はまかりならぬという考え方をとっておられますか。

野田国務大臣 特例公債法案と復興債との相関関係についてですが、私、これは直接関係があるとは思っていません。

 特例公債については、これは今国会中に成立をさせていただくように、これからもしっかりと丁寧に御説明をしながら、御賛同いただきたいというふうに思います。復興債の方は、今ちょうど復興の基本方針を今月中にまとめるべく努力をさせていただいておりますけれども、復興財源の中で重要な位置づけになってくるというふうに思います。その位置づけがはっきりすれば、それはいつから、どういう形かということは議論が具体化していくかと思いますが、特例公債と直接的に関係しているというふうには認識をしていません。

赤澤委員 では、一つ確認をしておきますけれども、これはうなずいてもらえれば結構ですが、今後、特例公債法案、もちろん早く成立するにこしたことはありません。しかしながら、成立しない中でも復興債についてきちっと手当てをし、三次補正予算を編成する、場合によっては成立させる、その前後については特に関係はないので、十分あり得る、そういうことでよろしいですね。

野田国務大臣 復興の基本方針を定めて、その中で復興財源の問題を議論していきます。政府税調等で復興債の償還のあり方なんかを議論しますが、その考え方は与野党で問題意識を共有したいというふうに思います。

 自民党からも御提起が出ていますが、そういう財源の議論をしながら、速やかに第三次補正予算を成立させるべく努力をしていきたいと思いますし、復興債を発行する場合にはそのための法律も必要になると思いますので、ほぼ同時に御提出をしていきたいというふうに思います。

赤澤委員 大事なところなのでもう一度確認をしておきますが、それでは、公債特例法案の成立前に復興債を発行することはあり得るということでよろしいですね。

野田国務大臣 特例公債についてはなるべく早くお願いをしたいという……(赤澤委員「質問に答えてください」と呼ぶ)だから、特例公債の時期次第でありますけれども、特例公債についてはなるべく早く、そして第三次補正予算については、この復興基本方針が終わった後、速やかに作業に入っていくということでございます。

赤澤委員 繰り返します。

 特例公債法案成立の前に復興債というのは発行できるんですか。

野田国務大臣 先ほど申し上げたとおり、あくまで特例公債は早目にお願いしたいと思いますが、万が一、第三次補正の方が早くなるということがあるならば、余りそれは想定はしたくないんですけれども、順番が逆になるということはあるとは思います。

赤澤委員 それで、次の質問に行きます。

 今の点、明確にお答えいただいたので、ありがとうございます。

 先週木曜日、二十一日の参議院予算委員会、林芳正委員の質問に対する答えだったと思いますが、今のままであれば概算要求の作業というのはおくれていく、少なくとも九月にずれ込むというお答えがあったと思いますが、現時点でどこまでずれ込むことを想定されていますか。

野田国務大臣 具体的な時期までは明示できませんけれども、この間の参議院の予算委員会でも御説明をしたとおり、復興の基本方針をまとめて第三次補正に入っていきます。復興の基本方針がまとまった段階で、復興財源の話もまとまった段階で、いわゆる中期財政フレームを年の半ば、年央に改定することになっています、その作業に入ります。その作業を経て中期財政フレームの改定が終わった後、それを踏まえての予算編成になりますので、その後から組み替え基準を御提示し、各省から要求をいただくという段取りになっていくということでございます。

赤澤委員 余りはっきりしたお答えがないんですけれども、もう一つ聞かせてください。

 三次補正と概算要求、これについては、新しい体制のもとで、新しい総理のもとでやっていくということを考えておられますか。

野田国務大臣 総理の御提示をされた一定のめどの中では、第二次補正とそして特例公債と再生エネルギーの法案でございました。その帰趨がどうなるかということがありますけれども、基本的には、三次とか新年度の予算は新しい体制のもとでつくるべきものではないかというふうに思います。

赤澤委員 それでは、当然の帰結でありますが、明示的に確認をいたします。

 総理の退陣がおくれれば、三次補正や来年度予算の編成に影響が出て復興がおくれる、こういうことで間違いありませんね。

野田国務大臣 そうはいっても、いかなる体制の中でも、三次補正と新年度の予算は今までの手順の中で進んでいかなければなりません。その中での政治判断を総理がされるものだというふうに思います。

赤澤委員 三次補正と来年度予算概算要求、これをきちっとやっていかなきゃいけない、進めなきゃいけないから、総理が粘った場合には菅総理のもとでやる可能性があるという意味ですか。

野田国務大臣 基本的には、三次も新年度の予算も、一つの区切りがついた後が望ましいと思います。

赤澤委員 なかなか歯切れが悪いお答えが続いておりますけれども、とにかく民主党の幹部を見ていると、偉い人ほどやめない症候群にかかっていると思うんですよ。岡田幹事長も、選挙を負け続けておられます。我が党の幹事長だったら絶対もちませんよ。しかしながら、やめられない。そのやめない幹事長が総理に向かってやめろと言ったって、これは説得力がないでしょう。

 とにかく、先ほどから言っているように、総理がやめないことについては、もうあなたたちの責任ですから、内閣におられる野田大臣に申し上げてもちょっとせんないところはあるかもしれませんが、ぜひきちっとやっていただいて、今何度も繰り返しているように、要は、総理の退陣がおくれれば、被災地や被災者が心待ちにしている三次補正や来年度予算の概算要求、編成作業はおくれるんですよ。それにきちっとけじめをつけてください、そのことを強く申し上げておきます。

 その上で、七月十九日の会見の議事録を今ここに持ってきていますけれども、「復興財源の話ですけれども、月末の基本方針までに財源の議論というのはどこまで進める方針でしょうか。」と問われた野田大臣が、「基本方針ということは何をやらなければいけないのかということと、それを裏付ける復興財源についても、出来るだけ明確にするということが基本方針の中の重要な柱だと思っていますので、出来るだけそれを定めませんと野党との協議もしにくいわけでありますし、第三次補正予算を実務的に進めることが難しくなりますので、政府の中では出来るだけクリアにしていきたい」。

 次の問いで、「出来るだけ明確にというのは復興財源、税についてどういった細目で、どういった税でどの程度というところまで含まれていらっしゃるのでしょうか。」と、復興基本方針についてそういうのが含まれているのかと記者が聞いて、野田大臣は、「出来るだけ明確にということは、そういうことも含んで明確にしていきたい」、税についてどういった細目で、どういった税でどの程度というところまで、こういうお答えをされているわけであります。

 改めてお尋ねをしますが、野田大臣として、復興基本方針において、復興財源をどういった税で賄うのか、できるだけ明確にするという方針は、現時点で変わっていませんか。

野田国務大臣 基本方針は、やはり方針としてその方向性ができるだけ明確になった方がいいというふうに思います。それは、例えば復興のための事業の規模、その取り組む復興の期間、そして財源の話、これが一番大事だと思いますので、それについてはできるだけ明確になった方がいいと思います。

 ただし、具体的な制度設計は、例えば復興財源については、税目はどうするのかとか、税率はどうするかとか、時期はどうするかを含めて、それは政府税調等の議論になっていくかと思いますが、その政府税調の議論が速やかに円滑にできるための前提条件として、基本方針はできるだけ明確になった方がいいというふうに思います。

赤澤委員 ここで、民主党の意思決定システムについて、私、大変な不安を覚えるわけです。

 ちょっと聞きたいのは、政府の基本方針を決めるのに民主党の政策調査会の了承は必要ですか。

野田国務大臣 政府・与党一体となって進めなければいけないテーマでございますので、与党の中では政調を中心に御議論いただいて、その御意見をちょうだいしながら政府・与党で最終的に決定をしていくというプロセスになると思います。

赤澤委員 具体的に伺います。

 民主党内の反対論が強くても決めることができるんですか。

野田国務大臣 今、党内プロセスをやっている最中だというふうに思います。党の中での意思決定の仕方は、幹事長を中心に委員会をつくって対応するというふうに承知をしています。その御意見なども踏まえながら、最終的には政府一体として、復興対策本部で意思決定をするということになると思います。

赤澤委員 もう一度聞きます。

 財政の責任者が野田大臣なんです。復興基本方針の中でどこまで決めるつもりなのか、野田大臣の考えを明らかにしていただきたいんです。自分はこうしたいということをもう一回はっきりと言っていただきたいと思います。

 税についても、その点について明らかにしていただきたいと思います。

野田国務大臣 きのう、いわゆる財政フレームについての関係閣僚の会議がございました。きょうは復興対策本部の会議がございます。そういう議論のプロセスが今行われている最中でございますので、余り自分で一つの方向性を定めたことを申し上げるのは控えたいと思いますけれども、いわゆる財源をつくっていくという立場においては、なるべく明確な方向性が出るということが望ましいし、そのための主張を会議の中でしていきたいというふうに思います。

赤澤委員 私からすると、今の御答弁はちょっとがっかりで、記者会見では、「出来るだけ明確にというのは」「税についてどういった細目で、どういった税でどの程度」、端的に言えば、基幹税とされる所得税、法人税、消費税、この中のどれを使っていくんだ、あるいは時期的なものは、震災復興をやっている間に限って税を上げるのかとか、その後まで引っ張るのかとか、ありとあらゆることについて、これはできる限り復興基本方針の中で明らかにすべきだとあなたは記者会見で言ったと私は思っているんですよ。そうではないんですか。

野田国務大臣 そのとおりです。

 期間については明確にしなければいけないと思います。それは、復興に取り組んでいる期間をどう見るかによって、それに整合的な償還期間というのを考えるべきだと思います。

 また、財源についても、これは明確に、歳出削減しなければいけない分野であるとか、国有財産を売却しなければいけないとか、いろいろな努力はありますけれども、復興について、まさに、いわゆる税制改正、どんなものが必要かという議論は、どんなものが必要かというある程度のものは出てくることが望ましいと思っています。

赤澤委員 これは確かに、政府と与党の綱引きの中で決まっていくということで、私どもも政権にあった当時に同じような産みの苦しみというのは経験をしていますので、ある程度はわかりますけれども、これまでのように、とにかくばらばらで、先ほど幼稚園のお遊戯内閣というような言い方をしましたけれども、とにかくばらばらで物が決まらず前に進めないと、結論、これは被災地と被災者が迷惑をするということなので、これは、野田大臣にはきちっと覚悟を持って、記者会見でそういうことをおっしゃったんですから、その方向でやっていただきたいんです。

 ただ、私はあえて指摘をしておきますが、どうも、役職についている幹部以外、税についてしっかり明記することについてはみんな後ろ向きだというふうに見えます。

 私から見ていて前向きなのは、野田大臣、それから岡田幹事長、与謝野大臣、こういった方たちです。

 それ以外の方たち、具体的に名前を挙げていいかどうかあれですけれども、税については口にするだけでもはばかられるとおっしゃったかどうかはともかくとして、税制改正PTの小沢鋭仁座長、あるいは、程度の違いはあれ、直嶋正行議員、この方たちも税についてはどうも、私が見る限り、後ろ向きです。座長ですら、どういった税ということについては触れないんだという考えをお持ちのように見えます。

 そういった中で、本当に、野田大臣がこの復興基本方針の中で財源を明らかにできるのか、これは国民の、被災地の、被災者の大きな関心事項ですよ。政策をきちっと財源確保してやってくれるのか。本当に頼りないと思われているわけです。ぜひその辺をきちっと進めていただきたいと思います。

 もう一言何かあれば、伺いたいと思います。

野田国務大臣 各党の合意のもとで生まれた復興基本法の八条に、復興国債を発行するならば、「その償還の道筋を明らかにする」ということがございます。その道筋を明らかにするということの意味を十分踏まえた対応をしっかりと基本方針に盛り込んで、具体的に政府税調で議論ができるように全力を尽くしていきたいというふうに思います。

赤澤委員 理路整然とおっしゃるのでありますけれども、なかなか、そういう意味では、安心できるというところまでいただけない答弁だなというふうに私自身は感じますけれども、野田大臣に期待するしかないということでありますから、そこについては、ぜひ、しっかりと議論をし、結論を出し、被災地や被災者のためになるような取り組みをしていただきたいというふうに思っています。

 それで、冒頭予告をしましたとおり、先ほどの謝罪、マニフェストの問題にちょっと戻らせていただきたいと思います。

 一言で言って、謝罪の内容が、私からすると、少なくともばらばらに見えたんです。菅総理は財源についてわびた。ただ、岡田幹事長は、聞いていると、できなかったことについてはわびると言っているように聞こえて、そう言った舌の根も乾かぬうちに、先ほど申し上げたように自由民主党を批判しまくった、こういうことであります。

 わからないのは、その謝罪をした結果、マニフェストがどう見直されるかということであります。

 今回、私どもは、子ども手当以外のものも見直してくださいというお願いをしているわけでありますけれども、財務大臣として、子ども手当以外のいわゆる私どもが四Kと名づけているものについてどのようなお考えをお持ちか、お尋ねをしたいと思います。

野田国務大臣 四Kと言われている四つのマニフェストの主要事項については、冒頭の議論でも申し上げたとおり、私どもはそれなりの政策目的を持って、実現をすることが国民のためになると思って推進をしてまいりました。

 とはいいながらも、先ほど申し上げたように、状況変化等がございます。そして、来年度の予算編成をするときには、まさに今回のように予算の執行にいろいろな問題が出るようなことを生じないためにも、きちっと与野党の協議を向き合ってしていかなければなりません。

 既に子ども手当については協議が進んでいるところでございますし、高速道路の無料化についての社会実験は既に中止をさせていただきました。あとは高校授業料の無償化とそして農家の戸別所得補償だと思います。

 高校の授業料の無償化は、OECDに加盟している三十カ国の中で、高等学校で授業料を取っているというのはイタリアと韓国ぐらいだったんですね。その中で日本が変わっていくことは、グローバルなスタンダードとすると決して間違ってはいないと思いますし、農家の戸別所得補償についても、これも直接支払いというのは欧米ではよく行われていることでありますので、決してこれらはばらまきではないと思います。

 とはいいながらも、やはり震災の復旧復興の財源を確保すること、与野党の協議を進めながらどういう形で成案を得るかというまさに予算編成のプロセスの中で議論をして、対応を決めていくことが必要だろうと思いますし、当然のことながら、しっかりとした党内議論もしていかなければいけないと思います。

赤澤委員 今のを聞いて、やはり私はそうじゃないかと思うんです。私は党内で何と言っているかというと、先週末の岡田幹事長の謝罪は公債特例法案を通すためだけのなんちゃって謝罪じゃないかと言っているんですよ。要するに、話を個々に聞いていくと、いやいや、我々のマニフェストは本来やはり合っているんですけれどもね、震災が起きたからとりあえず一回引っ込めておきますわという話に聞こえるんですよ。

 私が本当に心配なのは、この後しばらく時間がたてば、公債特例法案が通れば、その後、やはりあれは正しかったと言うんじゃないかと思うんですよ。これは往生際よく、マニフェストについて、これはもう修正せざるを得ないと謝罪までしたんですから、具体的にどこをどう直すのか。本来は正しかったんだとか言うのはやめてほしいんですよ。

 今のお話を聞いていると、戸別所得補償法案、本格実施は法律をつくってやると言ったけれども、結局やっていないですね。高校無償化については、いや、諸外国の例を見ればやはりやらなきゃいけないんだ、こんなお話ですよ。

 その二つについて明確に見直されるのかどうか、考え方を改められるのかどうか、もう一回お尋ねをしたいと思います。

野田国務大臣 まず、前段のところの、岡田幹事長が特例公債を通すためだけのなんちゃって発言というのは、私はこれは違うと思います。岡田さんの御性格を御存じの方はたくさんいらっしゃると思いますが、余りなんちゃってで物を言う方ではありません。重たい政治判断をされていると思います。

 ましてや、特例公債の問題をくぐり抜けた後だって、第三次補正があって、そして新年度の予算があるわけでございますので、虚心坦懐に野党と真剣な議論をしていくという姿勢は変わってはいけないというふうに私は思っていますので、そこはぜひ誤解のないようにお願いをできればというふうに思います。

 その上で、先ほど、高校無償化の意義であるとか農家の戸別所得補償の意義について若干触れましたけれども、それはその中のテーマとして、予算編成をする中で、予算をやはりある程度合意形成をしながらつくっていかなきゃいけない中で、どういう形の議論をするかということですし、マニフェストのいわゆる見直しというのは、もともと春のころから言っていましたけれども、四年間の任期の折り返し点の九月までに全体的な見直しをするということになっておりました。そういう党の政調を中心とした見直しの作業もあるだろうと思います。

 そういうことを踏まえた対応をしなければいけないと思いますので、政府の一員の私が、党のマニフェストのこれをこうと今言える段階ではありませんが、そういうプロセスをたどりながら現実的な対応をどうするのかということが問われてくるかと思います。

赤澤委員 二点申し上げます。

 岡田幹事長はなんちゃってというタイプではない、こうおっしゃいました。しかしながら、半分冗談で返しておきますと、北澤大臣が、岡田さんがマニフェストについては原理主義者から謝罪主義者になっちゃったと言って批判されていましたよね。という話もあるので、私は、やはりそこはきちっと公党間の信頼関係を維持していただく。さんざんこれまで壊してきているんですから。最近だって自民党に向かって悪態をついているんですよ。今大臣がなんちゃってじゃないと持ち上げた岡田幹事長は、自民党に対して悪態をついてきているんです。

 そういうことでいいとは私はとても思えないので、しっかりと見直しの範囲というのを明確に打ち出していただきたいんですよ。子ども手当だけでなくて、高速無料化だけでなくて、高校無償化と戸別所得補償、これをきちっと見直されるのか、その点について明言いただきたいと思います。

野田国務大臣 これは一部の人が簡単に物を言える話ではありません。先ほど申し上げたとおり、党内の折り返し点に向けての検証作業を踏まえて、そして与野党協議をしながらそのいわゆる方向性を固めていく、そういうことだというふうに理解をしています。

赤澤委員 わからないではないんですけれども、少なくとも、野田大臣、あなたは一部の人じゃないですよ。予算編成の責任者であり、財政に責任を持っているのはあなたなんです。だから、あなたが考えを持って周りの人をリードするというのは当たり前のことなんで、みんなで話し合って決めますと言われると、私は、やはり結局、これは公債特例法案が通ったら、そうはおっしゃらないでしょうけれども、なんちゃってという話じゃないかなという疑念がぬぐえないんですよ。見直すんだったら、明確に見直すと言ってください。

 そして、もう一度聞きたかったのは、今回もし見直しをした場合には、来年度予算でも全く同じ原則でやっていただけますね。要するに、戸別所得補償、公債特例法案を通すために今回は少し減らしたり内容を変えたけれども、また、本格実施をし、来年度予算以降で法律化、法制化を目指すときには自分たちの考えに、もとに戻るといったようなごまかしをやってほしくないんです。

 その点についてはどう思われますか。

野田国務大臣 なんちゃってというのはあり得ないと申し上げたことは、特例公債だけではなく、これも今大きなハードルになっておりますけれども、三次の補正、そして来年度の予算です。そこまでを見通していくならば、やはり誠実に与野党の協議を、向き合って対応していくということだし、与党内もしっかりとした議論で、やはりみんなが納得する方向性を出すということに尽きるというふうに思います。

赤澤委員 きょういろいろと伺ってまいりましたけれども、マニフェストと謝罪の問題についてもまだまだ質疑が不十分だと私は思っています。そして、復興基本方針と財源の関係も、まだまだ今のお話で安心できるとはとても思えません。また引き続き同僚議員が質問を続けると思いますが、その中で、被災地、被災者のためになる、しっかりとした方針を政府・与党が打ち出していただくことを強く要請して、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 今も激しいやりとりがありましたけれども、公債特例法案を通すかどうかをめぐって歳出面の見直しというのが問題になっており、民主党、自民党、公明党、この三党で協議が行われております。我々は報道で知るのみでございまして、一体何が行われているのか、何が問題なのか、この点は国会の中で明確に説明をしていただきたいと常に思っております。

 きょうは、その中心であります子ども手当について、どういう議論が行われ、何が問題なのか、これを説明していただきたいと思っております。

 そこで、野田大臣にお聞きしますけれども、基本的なことですけれども、民主党と自民、公明の間の基本的な対立点。マニフェストの目玉であります子ども手当を維持したいというのが民主党だと思うんですが、自民党と公明党は、児童手当に戻すべきだ、こう主張している。本質的にはそういう対立なのか。ここを確認しておきたいと思います。

野田国務大臣 きょう、厚労大臣政務官が来ていらっしゃいますので、詳しくは、むしろそちらから御説明いただけるかと思いますが、私が承知している範囲ですと、子ども手当の十月以降の制度について、七月十一日から実務者の協議が始まり、先週末、我が党の城島議員から新たな案が提示をされたと承知をしています。協議では、主に、支給額、所得制限、手当の名称などについて論点になっているというふうに聞いています。

佐々木(憲)委員 具体的な議論の中身はそうでしょう。しかし、その考え方の基本を、どういう対立があるのかということを聞いているわけです。

小林大臣政務官 今大臣が答弁した、大きく言いますと、支給額、所得制限、手当の名称などについて論点となっていると聞いております。

 支給額などについてもそれぞれ御主張がありますので、ここで一概に、こういうところが相違点があるということをちょっとまとめ切れておりませんので、支給額、所得制限、手当の名称などについて論点がある、こういうことだけ御報告をしておきます。

佐々木(憲)委員 私は、そういうことが議論になる理由、背景にどういう考え方があるのかというのを聞いているわけですよ。

 副大臣、何か。

五十嵐副大臣 民主党の子ども手当は、控除から手当へという考え方、それから、全世代型の社会保障制度をつくりたいという考え方を後ろに持っておりまして、その考え方を認めるかどうかということが一つの違いかなと思います。

佐々木(憲)委員 大分、私の質問に少し答弁が近づいてきたんですけれども、もうちょっと具体的に、子ども手当と児童手当の本質的な違い、これをお答えいただきたいと思います。

小林大臣政務官 子ども手当は、次代の社会を担う子供一人一人の育ちを社会全体で応援する観点から支給するものでございます。

 一方で、児童手当は、次代の社会を担う児童の健全育成とともに、家庭における生活の安定に寄与することも目的としております。このため、所得制限があるなど子ども手当と異なる面もある、こういう状況でございます。

 しかしながら、子ども手当と児童手当は、子供の育ちを支援するという面では共通する面があるほか、いずれの制度も家庭に対する現金給付施策であります。また、児童手当のこれまでの蓄積を基礎としながら子ども手当制度を構築してきた、こういう背景もございます。

佐々木(憲)委員 今、本質的な違いと共通性について説明がありました。

 違いは、一人一人の子供を社会全体で育てるというのが子ども手当の理念であり、児童手当というのは、家庭の生活の安定、そういう意味では所得制限があって、いわば低所得者の子供さんを支える家庭に対する支援、そういう性格を持っている、こういうことがわかりました。

 さて、今回議論になっておりますのは、所得制限をかけるのかかけないのか、あるいは、かけるとしたらどの程度なのか、これが議論になっているというふうに見受けられます。そこで、所得制限はかけるべきではないというのが与党の考えで、かけるべきだ、これが自民、公明の考えだ、簡単に言うとそういう理解でよろしいでしょうか。

小林大臣政務官 これは、今まさに政党間で協議中で、そういうお話も他党から出ている、このように承知をしております。

佐々木(憲)委員 そういう二つの考え方が出ているということであります。

 ここで我が党の考え方を述べさせていただきますと、私どもは、子供の育成の環境をしっかり整える、つまり、保育所の増設など現物給付をきちんと行うということをずっと主張してまいりました。つまり、それが土台になる部分ですね。その上で現金給付を行う。こういうのが両方相まって車の両輪として役割を発揮する、そういうものだというふうに思ってまいりました。

 したがって、民主党の提案をしております、政府の提案しております子ども手当については、そういう立場から昨年については賛成をいたしました。そして、ことし、九月までの延長についても賛成をしました。我々の考えとしては、これを恒常的にこの水準で固定化するといいますか、将来これでいくべきだと思っております。

 ところが、民主党は、この三党協議で所得制限について受け入れた、つまり、社会全体で子育てを応援する、そういう理念からいうと、先ほどの説明ですと、所得制限を入れるというのはその理念に反すると思うんですが、いかがでしょうか。

小林大臣政務官 そのことも踏まえて、現在政党間で協議中、このように承知をしております。

佐々木(憲)委員 いや、踏まえてというんじゃなくて、所得制限を入れると。つまり、先ほど言いましたように、児童手当の特徴は所得制限を入れることですよね。そして、子ども手当の特徴は、社会全体で一人一人の子供をすべて育てていく、こういう考え方ですから、所得制限を入れるというのは子ども手当の考えにはないわけであります。

 したがって、所得制限を入れるというのは、子ども手当の理念を否定することになるんじゃないかということなんです。

小林大臣政務官 今回の提案は、所得制限超の者について減額されるけれども、手当は支給されることになることから、社会全体で子供一人一人の育ちを支援するという理念に反するという御指摘は当たらないものと考えております。

佐々木(憲)委員 つまり、今回、所得制限を入れたけれども、しかし、一定水準以上に対しても給付を行うのだから、全体に給付をすることに変わりがない。したがって、子ども手当の理念は維持されている、これが民主党の立場だということなんですね。

 そうすると、最初、千八百万円、これは七月十五日の提案と聞いております。十九日になりますと千二百万円、二十二日になると一千万円と、何かバナナのたたき売りみたいにどんどん下がっていって、こういう話になっているわけです。

 そこで、この年収千八百万円、千二百万円、一千万円で区切ると、それぞれ何%の世帯がこの対象から外れるのか、数字を教えていただきたい。

小林大臣政務官 それぞれの所得制限額ごとの支給率については、賃金構造基本統計調査、この調査における二十から四十九歳までの被用者の所得分布をもとに、一定の仮定を置いて粗く推計した、こういうことでございます。

 その結果、年収一千二百万円の支給率は約九六%。次に、手取り一千万円については収入を千三百万円強と試算しており、その場合の支給率は約九七から九八%。そして、所得千八百万円についてですけれども、所得を千八百万円以上で区分するデータがないことから支給率は算定できない、こういう状況です。

 しかし、データがある所得千五百万円の場合を見てみると、支給率が九九%を超える、こういうことになりますので、千八百万円ということになれば、少なくとも九九%は超えるもの、このように判断をしております。

佐々木(憲)委員 そうしますと、一千万円ということになりますと、四%が対象にならない。しかし、四%に対しても九千円の支給を行うんだ、こういう発想ですね。

 そうすると、幾ら予算として削減されるのか。数字はどうなりますか。

小林大臣政務官 今回の民主党案の総支給額は、城島議員の資料にもあるとおり、約二・三兆円と試算をしております。これに基づけば、今回の提案において、所得制限超の方に対して減額して支給することによる節約額は、約百億円となると判断をしております。

佐々木(憲)委員 そうすると、その百億円を節約する、そのためには所得制限を、つまり、所得の把握をして所得制限をしなければなりませんね。それは、膨大な手間と費用がかかるんだと思うんですが、費用は幾らぐらいかかるんでしょうか。

小林大臣政務官 子ども手当に所得制限を設ける場合に、市町村においてシステムの改修が必要となるとともに、所得の判定、所得制限を超える者への棄却通知の発出、転出者への所得証明書の発行などの事務が復活するなどの負担が生じることになります。このため、つなぎ法の期限が終わる九月まで時間もないことから、与野党間で速やかに論議が進むことを期待しているということでございます。

 そして、地方の事務コストを含めた具体的なコストの総額についてですけれども、これは把握ができませんけれども、システム改修について言えば、子ども手当創設時にかかった改修費が約百億円であり、これよりも少ない額になるものと考えております。

佐々木(憲)委員 システムの改修費だけで百億円、節約するのが百億円。何のためにやっているんですか。こんな意味のない、しかも、費用の方がかかるんじゃないんですか。何でこれで、予算が削減されて、ほかの予算に回せるというふうになるんでしょうか。

 今のはシステムだけですね。人件費はどうなるんですか。

小林大臣政務官 それぞれの市町村との関係もございますので、人件費そのものなどについて、具体的に把握はできておりません。

 先ほどのシステムについてですけれども、百億円かかるというお話じゃなくて、百億円以下で、そういう額になる、こう考えているということでとらえていただければありがたいと思います。

佐々木(憲)委員 百億円以下にしても、ほかに人件費その他、私は相当費用がかかると思いますね。したがって、歳出の方がふえるんじゃありませんか、全体として見ますと。

 こんな所得制限をやって、しかもごくわずかな節約しかできない、費用は膨大なものになる。だから、私はこんなことはやめた方がいいと思いますよ。子ども手当を継続する、これでいいじゃないですか。そういうようなきちっとした対応をしないと、何かずるずる協議をしているうちに、何をやっているのかわけがわからない、費用ばかりふえる、これは意味がないと思うんですね。

 それから、三党協議で子ども手当の支給額が減らされるというふうになりますと、差し引き負担がふえる。つまり、手当を受け取る側が一定の増税になっていますよね、年少扶養控除をやめるとかいろいろありますから。そうなりますと、もともと子ども手当を導入するときに、増税とあわせて実施して、ぎりぎりだったわけです。一定金額の手当がなければ負担増になるので、ぎりぎりのところで、場合によっては飛び出るところがある。

 今検討している案では、どの収入階層が幾らの負担になるんでしょうか。

小林大臣政務官 七月二十二日の城島議員の提案に基づけば、所得制限以下の世帯については、三歳未満は一・五万円、三歳から小学生の第一子、第二子は一万円、三歳から小学生の第三子は一・五万円、中学生は一万円が支給され、所得制限超の世帯に対しては九千円の手当が支給されることになり、すべての世帯で、児童手当制度の場合と比べて手当額は増額することになります。

 一方で、扶養控除の見直しにより、所得税、住民税が増税となることから、所得制限を超える世帯や、児童手当を受給していた世帯のうち、例えば夫婦でお子さんが一人の世帯の場合に、年収五百万から八百万円程度の御家庭では、実質的に手取り額が減少することになります。

佐々木(憲)委員 ともかく、こういう形で子ども手当をやめる方向にどんどん近づいていけばいくほど、増税だけがかぶさってくるわけですよ。だから、我々は最初から、その増税部分はやめなさい、給付だけでしっかり支えるべきだ、こういう主張をしているわけですけれども、今、三党協議の中でそれが何かおかしな方向に行って、結局、負担がふえる、そういう家庭が生まれる、九千円支給すると言うけれども。しかし、全体の支給額が減れば、一万三千円から今度はもっと減っていく。こういうふうになっていきますと、増税だけがかぶさってくる。何でそれが子育て支援になるんですか、こういうことになってしまうわけです。

 それからもう一点は、地方の保育料の引き上げに連動するということがあるんです。

 控除をやめますと、増税になりますね。地方自治体が住民税のそれを基準にしますので、どうしても保育料が上がる。それに対しては何らかの対応をするんだ、こういう答弁をこの当委員会でやっておられましたが、どういう対応をされたんでしょうか。

小林大臣政務官 厚労省の関係でいえば、保育料など利用者負担等の算定に当たって所得税の税額等を活用している制度については、昨年十月、税制調査会のもとの控除廃止の影響に係るPT、ここで、できる限り影響を生じさせない方針が示されたところでございます。

 この方針に基づき、各制度ごとに検討を進めることになっておって、引き続き具体的方法の検討を進めて、各制度の実施主体である自治体等と十分に協議しながら適切に対応してまいりたい、このように進めております。

佐々木(憲)委員 今、三党で協議をしている中身は、結局は、民主党が政権交代のときに掲げたマニフェストを、これを全部放棄しなさい、自民党の言うとおりにしなさい、こういうことを言われて、ずるずるずるずるとそちらに近づいているわけですよ。何のために政権交代をしたのかという根本がどこかに行ってしまっている。(拍手)

 民主党の中から拍手が起こったというのは珍しいことでありますけれども、こういう状況を本当によく考える必要がありますよ。公債特例というのはもちろん大事だと思いますけれども、一体何を目指してあなた方は政権をとったのか、原理をもう一度思い起こす必要がありますし、我々は、国民のためになることを放棄して、国民のためにならないことをどんどんやるということについては、厳しく批判をしていかなければならぬ、これからもそういう立場でやりたいと思っております。

 以上です。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 財政及び金融に関する件の調査のため、明二十七日水曜日午後一時、参考人として東日本大震災復興構想会議議長五百旗頭真君、東日本大震災復興構想会議検討部会部会長飯尾潤君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明二十七日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十三分散会


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