衆議院

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第7号 平成23年11月30日(水曜日)

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平成二十三年十一月三十日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 海江田万里君

   理事 泉  健太君 理事 岸本 周平君

   理事 寺田  学君 理事 豊田潤多郎君

   理事 竹下  亘君 理事 山口 俊一君

   理事 竹内  譲君

      五十嵐文彦君    石関 貴史君

      稲富 修二君    今井 雅人君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      緒方林太郎君    大串 博志君

      岡田 康裕君    川口  博君

      木内 孝胤君    楠田 大蔵君

      小山 展弘君    後藤 祐一君

      近藤 和也君   斎藤やすのり君

      菅川  洋君    鈴木 克昌君

      橘  秀徳君    中後  淳君

      道休誠一郎君    中島 政希君

      中林美恵子君    藤田 憲彦君

      古本伸一郎君    三谷 光男君

      三村 和也君    森本 和義君

      齋藤  健君    徳田  毅君

      西村 康稔君    野田  毅君

      三ッ矢憲生君    村田 吉隆君

      山本 幸三君    吉野 正芳君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

      田中 康夫君

    …………………………………

   財務大臣         安住  淳君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   財務副大臣        藤田 幸久君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月三十日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     今井 雅人君

  大串 博志君     橘  秀徳君

  小山 展弘君     中島 政希君

  斎藤やすのり君    道休誠一郎君

  鈴木 克昌君     川口  博君

  中塚 一宏君     石関 貴史君

  丹羽 秀樹君     吉野 正芳君

  西村 康稔君     徳田  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  石関 貴史君     稲富 修二君

  今井 雅人君     後藤 祐一君

  川口  博君     鈴木 克昌君

  橘  秀徳君     大串 博志君

  道休誠一郎君     中後  淳君

  中島 政希君     小山 展弘君

  徳田  毅君     西村 康稔君

  吉野 正芳君     丹羽 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     中塚 一宏君

  後藤 祐一君     江端 貴子君

  中後  淳君     斎藤やすのり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

海江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 私、福島県であります。今、福島県は、災害が継続中です。そして、全世界から、全国から、八カ月たったいまだ、ここまでも多くの方々から御支援をいただいております。この場をおかりして感謝を申し上げます。

 さて、私の地元福島県、また被災地を本当に復興させるために、いろいろな制度、特区制度が衆議院ではきのう可決をされました。それに基づいてのいろいろな施策をこれからやっていくわけです。

 その中で、被災地には余り関係ないんですけれども、円高対策ということで立地補助金を五千億積んでおります。そのうち、福島県に一千七百億円の基金をつくるという形で書かれているんですけれども、この期間が五年間なんです。

 二十キロ内の避難区域等々においてはまだ戻ることができません。ですから、当然、その五年間のスタートの時点をどこに置くかということで、立地する企業が多くなるか少なくなるか。特に、雇用を考えた場合、多くの会社が立地をしていただいて、そして雇用の確保、これが生活の大前提となります。

 特に、二十キロの中、避難区域においては四分の三の補助が出る。これは、初年度四分の三、次年度三分の二という形で、ずっと四分の三じゃないんですね。ですから、スタートの時点が大事なんです。幾ら入っていいですよと言っても、まず除染が進まないと入ることはできないと思うんですけれども、この五年間となっているスタート時点はいつなのか、この辺をお答え願いたいと思います。

松下副大臣 吉野委員には、福島の、地元いわき出身の議員として、原子力発電所の、まさに第一発電所の南に位置しておるところで、大変御苦労をかけておるということを、応援をいただいていることを心から感謝しております。ありがとうございます。

 お尋ねの福島企業立地補助金でございますけれども、これは他にぬきんでた、類のない、たぐいまれな支援だというふうに思っておりまして、今おっしゃったとおりの内容でしっかりやっていきたいというふうに考えています。

 お尋ねの、いつからその開始期間になるのかということですけれども、これは五年間のうちに、とにかく警戒区域等の補助期間につきましては、警戒区域等にもしっかりと本補助金が適用されるように、その補助期間の開始日は解除日以降とするということでございますから、解除されない間は、それはまだスタートしない。解除されたときにそれでいこうということで動き出しますので、しっかりと対応していきたい。

 それに伴って、終了期間が五年後の基金終期を超える場合には、福島県の御意見を踏まえつつ、また補助期間の延長等についても柔軟に対応していきたいと考えておりますので、しっかり御相談させていただきたい、そう考えています。

吉野委員 解除後からスタートするということなんですけれども、実は、緊急時避難準備区域、これは解除されたんです。解除されたんですけれども、まだほとんど戻っておりません。幾ら法的に解除されても、除染が進まなければ戻れないんです。

 ですから、スタート時点を除染完了日とか、この辺までにしてくれないと、幾ら法的に解除しても、では戻っていいですよというわけにはいかないので、除染が完了して、きちんと生活できる、また会社が立地できる環境をつくれるかどうか、ここをスタート、起点にしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

松下副大臣 除染に対して徹底的な支援策もつくっておりますので、直ちに、解除したときに除染も完了していくというふうにはならないとは思いますけれども、全力を挙げて除染をするということを前提にいたしまして、とにかく柔軟に対応していくことは当然でございますので、しっかり対応させていきたい、こう思っています。

吉野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、五十嵐副大臣にお尋ねをいたします。

 十一月二十七日、民放テレビで、私もちょっとだけですけれども拝見をさせていただきました。そこで、びっくりするような副大臣の発言であります。消費税を増税すれば、低所得層に対して子ども手当を増額していく、こういう発言をされました。

 三党合意を踏まえれば、もう子ども手当、こういう概念はないというふうに私は理解しているんです。まだ副大臣の頭の中には子ども手当という概念があるんですか。だから出てきたんですか。

五十嵐副大臣 言葉足らずのところがあったのをおわびしたいと思いますが、あのときのやりとり、文脈を、流れを見ていただければわかると思うんですが、要するに、消費税が上がった場合、その場合の低所得者対策、いわゆる逆進性の問題をどうするかという話をしていたわけで、子ども手当をどうするかという話ではなかったわけです。

 そのときに、テレビ局側のキャスターの方から、子ども手当という言葉が出たわけですね。私はそれを使ってしまったということですけれども、いわゆる一二年度以降の話でございますから、平成でいうと二十四度以降ですね。これはもう子ども手当はなくて、児童手当法に基づく子供に対する手当、名前がまだ決まっておりませんけれども、そういう意味でキャスターも使われた、そう思い、その文脈の中で私もお話をさせていただいた。

 したがって、これは、それをやるんだとかいう話にはなっておりません。その他の手段も含めて、例えば生活保護費等も含めて、これは何らかの逆進性対策は考慮しなければならないだろう、その対象の中に子供に対する手当も入るだろうという趣旨で申し上げているわけで、子ども手当の扱いについて云々したわけではございません。

 ですから、その中でも、自民党の林先生に対して、二万六千円にするのかと言われて、いや、そうではありません、そういうことは言っておりませんということも申し上げておりますし、私として、子ども手当がその時点でなくなっているということは十分に理解をいたしております。

吉野委員 でも、私はテレビもちょっと見ていましたけれども、私の受けとめ方は、まだ副大臣の頭の中に子ども手当という概念があって、だから言ったんだなと。聞いている、見ている方々はそう思っております。

 安住大臣、同じ質問なんです。安住大臣の頭の中に子ども手当という概念はございますか。

安住国務大臣 国会対策委員長で八月に三党合意にかかわりましたので、正確に申し上げますと、我が方が提出してきた子ども手当法はそこで一たん下がって、児童手当法をベースにした、今一万円ずつの配付、さらに、三歳未満ですかは一万五千円という制度ですから、法律上は、児童手当に改良を重ねていくという合意でございますので、そういう点では、子ども手当は、手当法という形ではもうなくなったという認識でございます。

 なお、テレビでの発言については、私の方から、誤解を与えるような発言があったとすれば、これはやはり、五十嵐先生は衆議院議員として、とはいえ財務副大臣でもございますので、誤解のないようにということで、口頭で注意をいたしました。

吉野委員 まさに今、二十四年度の税制改正、税と社会保障の一体改革という議論の真っ最中のその時点で誤解を招く発言をしたということで、副大臣に対して財務大臣がきちんと注意をした、口頭で注意をしたということであれば、これは私は了とさせていただきます。

 続いて、税制上の措置、細かくなりますけれども、聞いていきたいと思います。

 まず、復興産業集積区域、このエリアをつくる、決めるということなんですけれども、どんなイメージで考えたらいいのか。例えば、私は市町村全域を産業集積区域に指定すべきだというふうに思っているんですけれども、工業団地のイメージなのか。土地計画というと、ここからここまでは工業専用区域、ここからここまでは住居区域というような、そういう中で線引きをしていくのか。どんなイメージでこの集積区域を考えているのか、お尋ねしたいと思います。

安住国務大臣 なかなか一概に言えないところがありまして、ただし、それぞれの自治体において復興計画を策定する中で、被災を受けた地域においては、産業集積、つまり工業団地等の建設等を行うところ、また住宅地に変えるところ、そういうところを今やっておりますので、そういうところを見ながら集積というものを図る地域というものが出てくるのではないかなと思っております。

吉野委員 そういう意味では、都市計画法は、調整区域があって、都市計画区域があって、住居区域があってという、ある意味の集積を図る線引きをしているんですけれども、それでいいんじゃないのかなと思うんですね。

 例えば、私のところは福島県いわき市ですから、ひところ、昔は日本一大きな市だったんです。山は山なりの特色があります。木材がたくさんあります。ですから、バイオマス産業、これはやはり山に立地した方がいいんですね。海は海で、やはり漁業があります。漁業の関係の加工場から、これは海側に立地した方がいいんです。また、臨海工業地帯、これもやはり海側に立地した方がいいんです、集積した方がいいんです。

 ですから、一つの囲い込みをして、このエリアは集積区域だから特典を与えるというんじゃなくて、いわき市全体を集積区域に指定すれば、それぞれ持っている特徴、特色を生かして立地ができ、また住居もできると私は思うんですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。

五十嵐副大臣 実は、通常は市町村単位になるんだろうなとは思っていますが、例えば仙台市などの場合、津波の影響をこうむっていない繁華街も含めて広い市域でございますので、仙台市という単位でやった場合には、むしろ、本当に被害を受けたところには行かずに、それ以外の便利なところに行ってしまうという可能性があるので、そこはうまく考えていただく、自治体で特区を創設していただく必要があるだろうということで、少し柔軟な仕組みにさせていただいた、私が指示をしてそういうふうにしていただいたつもりでありますけれども、詳しくは担当の省庁からお話をさせていただきます。

郡大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 基本的には市町村区域全体を対象とするということは想定しておらないわけですけれども、先生御指摘がありましたように、それぞれの地域で何が復興に資するのかということを幅広に考えていくということは重要な視点なんだろうと思います。

 地方公共団体がこの復興産業集積区域の設定に当たるわけですけれども、基本的に、住宅地でありますとか、それから自然環境をどうしても守らなくちゃいけないというようなところは外し、そして、自然的また経済的、社会的条件から見て一体である地域、これを定めようということにしております。

 最低限の事項を考慮した上で、今お話しになられました、地域の実情に応じて、産業集積の形成そしてまた活性化を戦略的に図る区域として、この産業復興集積区域を設定していただくということを想定しているところでございます。

 このため、工業団地ですとか、それから都市計画法における工業専用地域また工業地域等の用途地域に限定されるものではない、狭めるものではないということを申し添えておきたいと思います。

吉野委員 だから、私は市全部を指定すべきだと思うんです。例えば調整区域は、土地の値段が安いんです、土地利用が制限されているから。エリアで囲い込みをやると、そこの値段が上がっちゃうんです。こんなの当たり前の話で、そこに立地すればメリットを受けられるんだもの。だから、囲い込みじゃなくて、市全体をやはり指定して、特に繁華街的なところ、ここは例外だよと逆の発想、外すのはここだよという形の方が、このエリア指定は本当に大事なんです。

 そして、今の段階できちんとした基準をつくっていないなんというのは、復興特区、もう一生懸命、被災地は計画を立てているんです。そんな判断ができないような今の答弁。判断できますか、市の職員。できないでしょう。今の時点で、もうあしたにでも復興特区を申請してメリット措置を受けたいんですよ、私たちは。ですから、もっとしっかりした基準をつくってほしいんです。

郡大臣政務官 しっかりとした方針を示せという御質問でございました。

 基本方針については一日も早く設定をさせていただきたいと考えておりますけれども、先生が今お話しになられた、区域が広範にわたる地方公共団体におきましては、複数の復興産業集積区域を設定することも可能であるというふうに考えております。

吉野委員 だから、囲い込みはしない、ここだけはちょっと確認してください。囲い込みすると、囲われた中は値段が上がるんです。これは当然でしょう、安住大臣。だから、囲い込みはしないんだということをきちんと答弁してください。

安住国務大臣 事情は石巻も全く同じでございまして、ですから、基本的には市町村の方で決めていただくということになると思います。

 ただ、先ほど五十嵐副大臣が言いましたように、仙台市のような大都市部においては……(吉野委員「それは例外だよ」と呼ぶ)はい、それは本当に例外ですから、だから先生、そこは、私も柔軟な対応というものは十分あってしかるべきだと思っております。

吉野委員 ありがとうございます。

 市町村がエリア設定した部分は集積区域になるというふうに私は理解しましたので、ぜひそのような方向でお願いをしたいと思います。

 次に、機械装置の特別償却です。

 これは、二十六年三月末までには一〇〇%、即時償却、一年でできる。二十八年三月までは五〇%に下がる。これを例えば利用しますと、この特区法、この法律が今国会で成立しますと、二十三年の十二月。それから、やはり特区申請、各市町村、どのくらい時間がかかるのか。エリア設定だって、今大臣は市町村がエリア設定したものは認めるときちんと確認してくれましたからいいですけれども、時間がかかると思うんです。

 そうすると、二十四年度、一年かかったとしますね、二十四年度というのは二十五年三月なんです。それからこのメリット措置を受けても、利用できるのはたった一年なんですよ。これでは、せっかくこれだけの思い切った措置をしてくれているんですけれども、やはり役立たずなんです。

 ですから、この二十六年三月と二十八年三月、これをもうちょっと長くしてほしいんです、メリット措置が長い期間受けられるように。この辺はいかがなんでしょうか。

安住国務大臣 御指摘のように、機械とか装置については、おっしゃるとおり、二十六年三月までで一〇〇パー、それから二十八年までが五〇パー、かなりこれはいい制度だと思います。

 ただ、これを、二十六年を延ばせという御指摘ではあるんですけれども、やはり短期間に集中的にスピードアップをして復興を図るということからいえば、私は、一つはやはり二十六年というのはあってもいいのかなというふうに思っております。二十八年、今から五年後になりますけれども、そういう点では、例えば、もう一つの中小企業のグループ化の補助金も、もう間もなく内示を受けて交付もありますから、そういう点では、二十六年の中でこの特別償却をお使いになる企業というのはかなりいるんじゃないかなと思っておりますので、今回この制度と期間にしたということでした。

吉野委員 大臣の頭の中で、復興計画が各市町村から出てくる時間はどのくらいに見ているんですか。仙台市みたいなところはすぐ出てきていいと思いますけれども、どのくらいと見ていますか。

安住国務大臣 私のところなんかは出てきましたので、あと小さな市町村が出てくるということですけれども、できればことしじゅうぐらいには、ちょっと福島県の場合はまた事情が違うということは十分私もわかっておりますけれども、岩手、宮城については、かなりの市町村で今出てきております。

吉野委員 大臣、その仙台市が出した復興計画は、推進計画、整備計画、交付金事業計画、これにのっとった計画なんですか。違うでしょう。これにのっとった計画じゃないとこれは使えないんですよ。だから、その三つの計画をきちんと出せる時間なんですよ。違うんですよ、今仙台市が出している計画は。

安住国務大臣 今回、第三次補正を通らせていただきましたので、この予算交付に基づいて具体的な肉づけをしていくことになりますから、私は、各自治体のスピードはかなりアップするのではないかというふうに思っております。いろいろ自治体には、私も電話で、首長さんをよく知っていますので聞いておりますが、お金のめどがつけばこれを加速するというふうに申し上げておられた方々はたくさんおられますので、そんなに私は遅くはないんじゃないかと思います。

吉野委員 それは時間が証明してくれます。今の大臣の答弁を忘れないでください。かなり私は、早くて一年くらいかかると思います。だって、やっとこのごろだもの、八カ月たってからだもの、きちんとした方針を示したのが。だから、今までやってきたものの積み上げが全くパアなんですよ、いわき市の例をとればですね。まあ、ちょっとそれは話が長くなるからいいですけれども。

 次は、税額控除について伺います。

 ここで、機械装置、一五%税額控除になりました、法人税の二〇%を頭にして。これは四年間の繰り越しが可能なんです。でも、現行の法人税の赤字の繰り越しは七年です。今度、参議院を通過すれば、九年に長く延びるんです。なぜこの四年間なのか。

 法人税の赤字の繰り越しと同じような形で、結局、言わんとすることは、一五%の税額控除がこれだけあった、でも、マックス二〇%で切られてしまう。残りを全額、やはり償却したいんです。それには四年間で償却できない場合もありますので、そこが全額償却できるという体系に直してほしいんですけれども、いかがでしょうか。

五十嵐副大臣 即時償却と繰り越しの税額控除は選択適用ができますので、四年間繰り越しを考慮しても全額は控除できないな、そうお思いになった場合には初年度で即時償却を選んでいただいて、欠損となった場合には、九年間、今先生御指摘のとおりでございますが、繰越控除を適用できますので、これは十分対応が可能だろうと思っております。

吉野委員 せっかく、即時償却と一五%の税額控除を組み合わせて、どちらか有利な方を使えるという形なので、一五%の税額控除の方が大きかった場合、やはりこれは、残った分は償却できるような、繰り越しできるような、そんな制度が私はいいと思います。

 次へ行きます。

 給与総額の一〇%を税額控除できる、こういう規定が今度盛り込まれております。これも法人税額のマックス二〇%までなんです。機械の税額控除が四年間繰り越しできて、給与所得の部分が繰り越しできないんですね。

 生産要素として、マンパワーも機械も同じなんですよ。サービスをしたり、物をつくったり、マンパワーも機械も同じなんです。なのに、機械は繰り越しできて人件費は繰り越しできないというのは、どういう論理なんでしょうか。

安住国務大臣 実は先生、雇用の問題はやはり機械と違いまして、給与の一部をずっと控除するといっても、雇用の継続がされない場合というのもあると思うんですね。ですから、その場合は、優遇措置というものが逆に言えば不適切な措置ということにもなりますので、継続雇用というものをしっかりと担保してもらうということからいうと、この制度の方がやはりいいのではないかというふうに私は思っております。

吉野委員 雇用は大事です。大事ですけれども、能力のない者はやはり切るしかないと思うんですね。

 ですから、機械が四年間繰り越しできて、同じ生産要素なんです。この辺がちょっと論理的に私わかりませんので、これも繰り越しできるかどうかの検討くらいはしてほしいんですけれども、いかがでしょうか。

安住国務大臣 今私が申し上げましたように、先生、別に悪意を持ってやっているわけではなくて、継続雇用をしてもらうためにはどうしたらいいかということで、むしろ、途中で本当にばっさり切られて優遇税制だけ残るということだけはしたくないので言っておりますが、それはまず、運用を開始した中で、ふぐあいがあるかどうかというのをよく見ながら柔軟に対応します。

吉野委員 ぜひ柔軟な対応、運用を見ながら、変えるべきところは変えていただきたいと思います。

 次に、これもまた画期的なことで、新規立地の企業は五年間無税になる。本当にすごいところまで踏み込んだなと思います。

 でも、よくよく見ると、新規の法人をつくらねばならないんです。例えば、福島県にトヨタが福島工場をつくりたいといってつくる。ここの一番の目的は雇用です。子会社の新規の法人であろうとも、トヨタの福島工場であろうとも、雇用は同じなんですね。

 なぜ子会社の新規法人だけ認めて、トヨタの福島工場は認めないのか。雇用は同じなんです。経済効果も同じなんです。地域貢献も同じなんです。なぜ新規の法人だけなのか。ここがわかりません。お願いします。

五十嵐副大臣 先生、やはりこれは御存じのとおり、かなり思い切った措置でございますので、そう大盤振る舞いというわけにはいかないわけでございまして、やはり目的は、新しい立地を促進する、その観点で思い切った税の恩典を提供する、そういうことでございますので、ぜひ御理解をいただきたいわけです。

 新規企業は、先生おっしゃるとおり、分社化して、子会社でいいんですよ、分社化すれば構わないですから、とにかく地域へ、新規に雇用して定着をしていただくということを目的としております。また、既存企業に関しては、先ほど来先生御指摘のとおり、事業用設備の即時償却や、あるいは雇用をした方々への税額控除等の適用が可能でございますので、両方相まって、新規の立地もそして既存の企業もかなり、この地域で活動していただければ恩典があるというふうに組み立てさせていただいたわけでございます。

吉野委員 新規立地は、子会社という形態をとる場合もあるし、トヨタの福島工場という形で新規立地をする場合もあるので、同じなんです。

 なぜ差があるんですか。明快に答えてください。

安住国務大臣 既存の企業については、先ほどから申し上げましたとおり、減価償却を含めて、さまざまなインセンティブはつけたつもりです。ただ、今回は法人税の五年間の非課税ということですから、そういう意味では、そのインセンティブを目指して、新しい企業にやはり立地をしてもらって、そこで福島県なり宮城県で雇用してもらうということがこの立法の趣旨でございます。

 ですから、そういう点では新規企業ということになるわけでございますけれども、先生の御指摘のような点についても、うまく解消できるように、いわば今ある会社が子会社をつくったり別企業をつくることによってそこに立地した場合は同じような恩恵は受けられますので、そうした手法をぜひとっていただいて、立地をしてもらって人を雇っていただきたいということでございます。

吉野委員 子会社化すればいい、適用される、子会社化しないで福島工場にすれば適用されない、全くおかしいです。ですから、そこの点をきちんとこれからも検討してください。

 五年間無税となります。でも、新規の設備投資は、初年度、償却がこんなに大きいです、金利負担もこんなに大きいです。ですから、それは利益が小さいということです。利益が小さいということは、法人税は少なくて済むということなんです。五年間だけなので、これは、大きな設備投資をしてくれる会社にとっては、五年間というのは、幾ら無税にしてもらっても余りメリットがない。せめて十年間くらい長い期間でないと立地するインセンティブは働かないと私は思いますので、その点、いかがでしょうか。

安住国務大臣 先生、私、先ほどのことにもう一つだけつけ加えれば、今の五年と十年のお話と同じなんですけれども、やはり創業支援というのは一つあると思うんですよ。ですから、既存の企業なんかと違って、新しくつくって、創業をする間の五年間についてのいわば法人税に対するインセンティブだという認識ですので、新しい企業をということを申し上げたんですね。

 それで、今の先生のお話なんですけれども、この制度では、五年間の中でそこで利益をもし生んでいただいて、しかし、それを再投資する準備金という形にしてもらって、さらにそこで再投資に活用すれば、これについての減免措置もありますので、そうした意味では、事実上、企業の設備投資と、またそれに対する雇用拡大に十分つながっていく制度ではないかというふうに私は思っております。

吉野委員 五年間無税と、こういうパンフレットには、説明書きには書いてあります。大きな文字なんです。そして、一番下、これは小さな字です。もう本当に、眼鏡を外すと私は見えません。十年経過した後は十分の一ずつ益金に算入すると。無税じゃなくて税の繰り延べなんです、これは。

 なぜ最初から無税という誤解を与えるような言葉を使うんですか。これは税の繰り延べだよということをなぜ最初から言わないのかな。誇大広告なんですよ、これはある意味で。

安住国務大臣 いや、ですから、私、申し上げましたとおり、再投資等準備金に残高がある場合、つまり五年間、これについては、十分の一ずつ取り崩して益金に算入することになる、そして準備金制度そのものは課税の繰り延べでありますけれども、ここからが、先生、再投資を行った場合は即時償却ができると書いてある。ですから、そこで得た利益をいわば企業の利益として、さらに次に投資をしていただくことで、その被災地域の雇用に役立ててもらうというのがこの考え方の趣旨なんです。ぜひ御理解いただきたいと思っております。

吉野委員 準備金をつくって機械を買った場合、その準備金を取り崩して即時償却、その分の税は払うことはないんですよね。だから、これはあくまでも税の繰り延べなんです。あくまでも繰り延べなんです。

 あと、この繰り延べというところ、こんなちっちゃな字で書かないでください。ここはもっと大きな字で書いてください。これが誇大広告の方々がやる常套手段なんです。大事なところは小さな字でわからないようにしているというところは指摘をしておきたいと思います。

 次は、研究開発税制です。

 現行の研究開発税制は、研究開発費、これは人件費も含めば、償却も含めば、金利も含めば、特許料も含めば、いろいろなものが研究開発費の中に含まれます。ところが、今回は資産だけなんです。現行の研究開発費も八%から一〇%の間で税額控除ができるんです。今回は資産の償却だけに限っているんですよね。

 やはり復興を考える場合、特に私、福島県ですから、セシウムの除去の技術研究とか、いろいろな研究施設を、我が福島県に来てくださいという形で誘致運動をしているんです。公的な機関もあれば、民間の機関もあろうかと思います。

 ですから、なぜ人件費まで含んだ研究開発費にしなかったのか、研究開発資産だけに限定したのはなぜなのか、その辺、お願いいたします。

五十嵐副大臣 現行の研究開発の税制でも、人件費は、今先生おっしゃったとおりでございますけれども、人件費も試験研究費の中に含まれて税制が適用されます。その八%から一〇%の税額控除は可能でございます。そして一方で、被災者である方が研究開発に従事する場合には、その支給額の一〇%の税額控除の適用を受けることもできます。これらを両方合わせてみれば、研究開発について、人件費にも配慮しているというふうに私どもは解釈をいたしております。

吉野委員 それは人件費と償却だけをとればそうでしょうけれども、そのほかにどんなものがありますか、研究開発費に含まれる中身のものとして。ちょっと私にもよくわかりませんから、教えてください。

五十嵐副大臣 例えば、大学との共同研究とか、そういうものもあると思います。

吉野委員 ですから、そこらは研究開発の中に含まれるのに、今回はなぜ外されたんですか。今度の復興計画の中で、研究という、これは大きなキーワードなんです、私たちにとって。特に、原発を抱えている福島にとっては、研究しなければ、今、何にもわからないんですから。研究して初めて、技術開発をして、例えば原子炉、おかまのふたをとるのに十年かかるんですよ。研究なしで十年間冷やし続けて、とれるんですか。

 研究する基地を私たちの福島県に欲しいんです。民間企業も必要なんです。そこを、人件費と償却だけで、あとは要りませんという形では、なかなか福島県に研究施設を持ってこようというインセンティブは企業に働かないと思うんですけれども、直す気はないんですか。

五十嵐副大臣 先生御存じであろうと思いますが、日本の研究開発促進の税制というのは世界でもかなりのレベル、高い方だと思います。今おっしゃった、例えば大学との共同の研究開発についても、根っこの部分で、その中にかなり手厚く盛られています。総額型の研究開発促進の税制がございまして、その上の、今、上乗せの部分のお話ですから、根っこの部分で誘致等は十分可能だと思っております。

吉野委員 私たち福島県の場合は、この特区法案ではなかなか対応できない部分がございますので、プラス、特区の中の特区という形で、また議論をしていきたいと思います。

 次に、地方税不均一課税による補てん措置でございます。

 ここでは、事業税、不動産取得税、固定資産税、これを安くした場合はその分は補てんするということで、地方にとっては大変ありがたい、そしてこれらの負担を免れる企業は多く立地できるという形で、本当にすばらしいことなんですけれども、仙台市は三十万以上百万都市近くです。私のいわき市は三十万都市です。郡山は三十万都市です。事業所税がかかるんです。なぜ事業所税を外したんですか。

郡大臣政務官 お答えをいたします。

 復興特区制度では、地方税についても特例措置を講ずることとさせていただきました。具体的には、お話にございましたように、地方公共団体の指定を受けた事業者に対して、復興推進計画に記載された事業に係る事業税、不動産取得税、そしてまた固定資産税の課税免除、または不均一課税を行うことができることといたしました。その場合に、地方自治体の減収になりますから、その部分を補てんするという措置を講じたものでございます。

 これらの特例につきましては、地方公共団体からの要望を踏まえて盛り込むこととさせていただきました。既存の類似の制度と比較しても、対象税目が三つございますものですから、これも相当思い切った措置をとらせていただいたというふうに考えているところです。また、事業税、固定資産税の減収分を補てんする期間というのも、五年間ということで思い切らせていただきました。

 今お話しの事業所税でございますけれども、このたびの三次補正予算におきまして、事業所税も含めた地方税の東日本大震災のための減免による減収分、これについて、特別交付税措置、特交で措置をするということが盛り込まれてございまして、被災地における投資、そして雇用というのが促進されるものというふうに考えているところです。

吉野委員 そうであれば、事業税、不動産取得税、固定資産税、その条例減免をすれば全部特交で面倒を見るという記述にすればいいんじゃないんですか。何もここでわざわざ特出しして、これは減免する、そうすれば補てんすると書かなくたっていいでしょう。条例減免すれば全部そこは特交で面倒を見るというふうに三次補正で言っているんだから、書かなくたっていいでしょう。そこの整合性はどうなんですか。

郡大臣政務官 今お話がございましたけれども、事業所税などに対する措置は三次補正で、二十三年度分でございます。そのほかにつきましては五年という時限がございますけれども、二十三年度分であるということでございます。

 今、御要請いただきましたものですから、来年度については別途検討をさせていただきたいということでございます。

吉野委員 郡議員も、大都会なので、事業所税がかかっているのでね。

 事業所税というのはどういう税なんですか。追い出し税なんですよ、これ。追い出し税なんです。今我々が議論しているのは、来てくださいなんですよ。私のところに来てください、こういう税制を考えているときに、追い出し税をそのままにしておくというのは、本当に事業所税を議論したんですか、この議論をしたときに。忘れていたんじゃないんですか。だって、仙台、いわき、郡山しかないんですよ、東北で。ちょっと、安住大臣、いかがなんですか。

郡大臣政務官 この間、各地方自治体あるいは関係団体の皆様方からさまざまな御要望をちょうだいいたしまして、今回の特区制度、そしてまた三次補正を組ませていただいているところですが、残念ながら、事業所税について、これについても手当てせよというような御要請は、申しわけございません、残念ながらございませんでした。

吉野委員 今、正直にお話しになりました。

 安住大臣、追い出し税ですから、これはきちんと法律で、条例減免なんて、自分のところに入ってくるものをわざわざ市が、これは減免しますなんてなかなか言いづらいですよ。ですから、国がこういう形できちんと、これは、減免した場合は補てんするという形で事業所税を載せていただかないと、特にこの三つの市にとっては大きな痛手になろうかと思います。

 これは大臣の方にお願いしたいと思います。安住大臣、検討してください。事業所税について、きちんと、追い出し税はやめるということをお願いしたいと思います。

安住国務大臣 先生、私、総務大臣じゃないので……(吉野委員「大蔵大臣ですから」と呼ぶ)財務大臣ではありますけれども、地方税にかかわることで、発言は差し控えさせていただきますけれども、それぞれの自治体にとりましては、厳しい財政事情の中で、確かに、事業をそこで一定に営む方に対する課税ということで事業所税がありますが、自治体の中で、今、郡政務官からもありましたように、今後、来年度に向けて、先生のようなお話もあるでしょうから、それは必ず総務大臣の方にお伝えをして議論してもらうようにします。

吉野委員 では、郡政務官からも。事業所税についてきちんと検討するということを約束してください。

郡大臣政務官 これまでのところ、各自治体からの御要望はなかったということを先ほど御答弁させていただきました。御要望があれば検討させていただきたいと思います。

吉野委員 次に行きますね。優良賃貸住宅の特別償却です。

 これは本当に大事で、今、私のところは民間の借り上げアパートもありません。全くゼロです。そこに仮設住宅を今たくさんつくっています。というのは、双葉郡の方々、七万八千人います。全員避難しているんです。そのうちの約二万名、私のところは暖かいものですから、二万人、いわきに今来ております。これからもふえると思います。仮設住宅で対応するのもいいんですけれども、せっかく優良賃貸住宅の特別償却制度ができたものですから、この制度をもっと利用して民間アパートをつくっていただきたいと思います。

 そこで、優良賃貸住宅の基準なんです。どういう基準ならば特別償却ができるか。今、百年住宅と言われています。耐震設計基準の一・二五倍であれば、百年住宅、プラス、十一年の省エネ基準があります、この省エネ基準をきちんと満たしていれば、百年住宅として、長期の借り入れ、フラット35Sも使えるし、いろいろあるんですけれども、どういう基準でこの優良賃貸住宅を考えているか、お願いしたいと思います。

五十嵐副大臣 この場合の対象となる優良賃貸住宅の要件について、今後、実は詳細を決めることになっております。

 ただ、住宅の供給を加速させるという目的がございますので、過度に厳しい要件にならないように、いろいろ考えなければいけない留意点があると思っています。耐火性があるかどうかとか、基本的な住宅機能を有しているかどうかなど、必要最小限のものとすること等を考えているところでございます。

吉野委員 せめて、これからの温暖化対策で、平成十一年省エネ基準というのは、これはある意味で最低限の基準になっておりますので、ここだけはきちんとここの基準に盛り込むように努力をしていただきたいと思います。

 それで、先ほどの、私のいわき市、多くの方々が来ますので、特別償却だけではまだそのインセンティブがわかない、プラス、補助金を欲しいなというのが私の考え方なんです。

 それで、復興交付金制度ができました。これは柔軟に使えるという形で、きのうの復興特でも御答弁ありましたけれども、いわゆる効果促進事業という形で柔軟に対応できるということなんです。

 もし、いわき市がアパートの建設に関してこの復興交付金を使いたい、使うという形で計画をつくれば、認められるんでしょうかね。

郡大臣政務官 今お話しいただきました復興交付金の事業の上乗せになる効果促進事業ですけれども、これは、基幹事業が実施されるということを前提に、それと関連する復興のための事業であれば幅広に考えて対応してまいりたいということを述べさせていただいております。従来、地方単独事業として行われていた地方の特性に即して自主的かつ主体的に実施する事業、これにも幅広く考えていきたいということでございます。

 個別の事業が効果促進事業として位置づけられるか、またはそうでないかということについては、基幹事業となる二階建ての一階部分との関連性ですとか、あるいは公共性、公益性という観点を踏まえた上で、各地域の具体的な計画あるいは御要望について相談していく中で検討してまいりたいと思います。

吉野委員 きのうの復興特で特区法案の修正がなされました。ここはまさに今のところなんです。基幹事業と関連を持たせるという、ここのところを本当に柔軟に解釈しているんですね。これが修正案なんです。

 ですから、いわゆる避難している方々の受け入れのためのアパートなんですから、まさに復興と密接に絡んでいる、私はこう理解をするわけですけれども、個別具体的には答弁できないというのであれば、ただ、郡政務官の印象をお聞かせ願いたいと思います。

郡大臣政務官 お答えいたします。

 あくまで、それぞれの各地域が出されてくる計画、御要望、これらをよく検討させていただきたいということでございます。

吉野委員 無難な答弁でございました。

 次に、出資に係る所得控除であります。

 これは、いろいろ事前に勉強してみますと、もうからない事業に対する応援団が要るから、出資について寄附金控除を認めるんだ、こういうのがこの目的だというふうに私は理解しました。

 であれば、なぜ株式会社だけに特化したのか。認定NPO法人、特に、町づくりというのはNPO法人が結構多いんです。というか、株式会社形態の町づくり会社というのは私は余り見たことないので、ほとんどNPO法人なんです。これを、今、認定NPO法人はありますけれども、やはり市が、おまえのところはいいよという形で認めるんであれば、何も株式会社に限る必要はないんじゃないのかと思うんですけれども、なぜ株式会社に限ったんでしょうかね。

五十嵐副大臣 NPOの税制につきましては、これもまた大変思い切った大胆な緩和をいたしまして、認定NPOは今まで数が少なかったわけですけれども、これを大幅にふやせるようにしようということで私どもも努力をいたしまして、三千円以上の寄附が百人以上集められれば認定できるようにしましょうという、大変思い切った緩め方をさせていただきました。

 これであれば、本当に公益性があってみんなから支えられているNPOは認定されて、そして大きな税額控除等のメリットが寄附者にはあるという形にさせていただいていますので、ここは被災地の復興という面に着目をして、通常は株式会社は収益、リターンが目的でございますので、これはなかなかそういう税の恩典は当然差し上げられないわけですけれども、出資してもリターンが見込めない、そういうところにわざわざ出ていただける、そして公益性の強い事業を行っていただける、地域の課題の解決のために一肌脱いでいただける、そういう株式会社に対しては、特別に出資を寄附金と見立てて所得控除の対象にしようではないか、そういう趣旨でそもそもは始まったものですから、復興特別区域法案においては、地域の課題の解決に資する事業ということで、株式会社以外は想定をしていない、こういうことになっております。

 そのほかの、今先生おっしゃるようなNPOもあると思うんですが、これは思い切って広げた認定NPO法人の資格を取っていただいて、そこで同じ恩典をきっちりと発揮してお仕事していただくということが私どもは相当だと思っております。

吉野委員 例えば商店会、これは今、任意の団体なんです。でも、ここは、町づくりのために株式会社という形をとるか協同組合という形をとるか。

 商店会は同じなんです。株式会社という形をとれば出資が所得控除になり、協同組合という形をとれば、ならない。町づくりでは同じなんですよ。法人の形で差別をするというのは、どうも私にはわからないんです。なぜ協同組合は認められないのか。

五十嵐副大臣 やはりそれは、公益性というものに着目をして税制ができておりますので、NPO税制等については公益性の高さでやっているものですから。

 ですから、協同組合について今いろいろな御意見があることも存じておりますけれども、今の段階では、協同組合については、公益性の認定のぐあいでは、認定NPOより一段階低いというふうに考えざるを得ないということでございます。

吉野委員 商店会が株式会社をつくって公益性のある事業をやるんです。公益性は、やる中身なんです。法人の形で公益性があるかないかなんて、これはナンセンスです。だから、協同組合という形でやるか株式会社という形でやるか、やることは同じなんですよ。なぜ、株式会社はオーケーで、協同組合はだめなんですか。

五十嵐副大臣 そもそもの組織として、協同組合はやはり公益性というよりは組合員の共益性、このためにつくられる団体、そういう定義で組合ができているわけですから、それは少し違うということになると思います。

吉野委員 そこを言ったら、株式会社はそもそも何ぞやという、そこの原点から、利益追求が株式会社の原点なんですよ。それがもうかるかもうからないかの違いだけで、利益追求なんですよ。そういう意味では協同組合の方が、ある意味の公益性というか、これは大きいと思うんですよ。そこを言ってはいけないと私は思います。

 なぜ株式会社だけ、それは議論、あれですから結構です。

 では、最後に、利子補給金二・八億円を計上しました。いろいろな利子補給制度があります。私は頭の中に入りません。なぜ、こんなに複雑に、各省庁縦割りでいろいろな利子補給金制度をつくっているのか、一本化できないのか。お願いします。

郡大臣政務官 復興特区の支援利子補給金というのは、復興推進計画を実施する上で中核となる事業の実施者に、国が指定する金融機関が事業に必要な資金を貸し付ける場合に利子補給金を支給するというものであります。復興の取り組みに活用できる財政、金融上の支援措置としては、復興特区支援利子補給金のほかに、中小事業者の施設整備に対する無利子貸し付けなどの制度などが設けられているところでございます。

 どの財政、金融上の支援措置を活用するかということについては、事業の実施主体や内容に合わせて最も適切な制度を選択していただくということが重要だと考えておりますが、制度が十分に活用されるよう、復興庁や、そしてまた関係機関が相談に応じる等の必要なサポート、これは十分にとってまいりたいというふうに考えております。

吉野委員 ぜひ、被災者の目線でいろいろな政策をつくってください。被災者の立場になれば、こんなにたくさんあるもの、どれが一番自分にとって有利か、勉強しなきゃわからないんですよ。そんな暇はないんです。ですから、被災者の目線に立ってぜひ政策をつくってくれることをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

海江田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 四月の臨時特例法に続く第二弾の税制臨時特例法でございます。

 まず初めに、第一弾の臨時特例法の総括といいましょうか、振り返るところからちょっと始めたいと思います。

 制度の周知が不十分で利用が進んでいないという指摘がございます。

 新聞情報ですけれども、この四月の特例法で所得税減免を定めたと。例えば、仙台国税局の見積もりですが、仙台国税局管内で、還付対象者は二十八万人程度と見ているけれども、受けた相談は現在十三万七千五百六十八件ということで、まだ半分に満たないとか、また、仙台南税務署の管内ですけれども、自宅が全壊した人が八千百六十六人、その方に相談を呼びかける通知を出したけれども、十月末現在で相談に訪れたのは約三五%の二千九百十一人ということでございます。これは国税局の幹部の発言ですが、被災者が受け取る義援金は非課税だが、税務署に行くと税金を取られると勘違いしている人もいてなかなか来てもらえない、こういう新聞報道もあるわけでございます。

 四月に講じたこの第一弾、これまでの利用や運用状況はどうなっているかということをまず最初に質問いたします。

安住国務大臣 斉藤先生、運用状況とかについては副大臣から話しますが、実は、相談に行っていない本人が私でございまして、自宅も全壊して、自動車等も全部なくしておりますけれども、私もまだ石巻税務署の方に行っていません。

 やはり被災地の広報について問題もあるかもしれませんが、被災者から見ると、この期間がまだあって、そういう点では、気持ちの整理がつかなかったり、率直に言うと、それどころではないという方もたくさんおられて、私は、この数字だけ見て、決して一次の効果がなかったとは思っていないんです。

 落ちついた段階でしっかりと、還付制度、また、本来、被災に遭った方々の例えば雑損処理とか、きちっと、インセンティブさえあれば、来年度を越してもできるようになっておりますので、周知徹底というのは、そうした点では、もう少し広報活動はしっかりやりますけれども、この八カ月間、それが有効に利用されていないと言われると、私も行っていないのは怒られるのでございますけれども、はっきり言えば、仮設に住んで、そういう状況ではないかなと。

 ですから、生活再建をして、落ちついた段階で税の減免措置等の手続をするという方もおられるということは事実ではないかというふうに思っていますが、所管をする大臣としては、早くやればお金も返ってくるし、還付制度というのもあるということについての広報活動にはなお一生懸命努めていきたいと思っております。

藤田副大臣 斉藤委員にお答えをいたします。

 今大臣からお話がございましたが、細かい、四月二十七日以降のことについて御報告させていただきたいと思います。

 例えば、九月末までに、国税庁、国税局、税務署から職員派遣、約一万三千人派遣をしております。例えば石巻税務署、定員五十名でございますけれども、現在、九十名の職員を派遣しております。それから、電話の相談件数が、四月二十七日から十月末までで十二万二千件。それから、いわゆる署外の会場における相談が、千回ぐらいさせていただきまして三万一千人というような状況で、かなりやっております。

 その結果、先ほど来お話が出ておりますように、二十九万件に対して十四万件で、約半数ということになっておりますけれども、さらに、来年度の確定申告のためのいろいろな計算書についての御説明とかをしながらやっております。

 ただ、まだ修繕の見通し等が立っていないので、先ほどの大臣のケースもそうかもしれませんけれども、まだいろいろ手続を済ませていない方もいらっしゃるということで、できるだけ丁寧に広報しながら対応しようということで動いております。

斉藤(鉄)委員 引き続き、広報の方をしっかり頑張っていただきたいと思います。

 今回の臨時特例の第二弾、これを第一弾にプラスして、今回、第二弾を措置するわけですが、その趣旨はどういうものでしょうか。

安住国務大臣 今回の場合は、特に雇用の受け皿となります企業が壊滅的な打撃を受けている、こういう中で、やはり企業をどういうふうに立ち上げていただいて雇用を確保するかというところに非常に力点を置かせていただきました。そういう意味では、前例のない措置として、新規立地等を含んで五年間にわたって非課税にしたり、そのほかにも、既存企業に対しても、先ほどからお話が出ておりますように、減価償却等を早くすれば非常にインセンティブがある。

 ですから、そういう点では、壊滅的な打撃を受けた方々の雇用そして企業の一日も早い再建ということが主眼に置かれた税制であるということが一つの特徴ではないかというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 第一弾が復旧ということに着目をし、第二弾はいわば復興、復旧にももちろん全面的に対処しておりますが、復興にも光を当てた、こういう理解かと思います。私もそのように考えております。

 今回の第二弾は、先ほどの質問とも重なりますけれども、第一弾や、それから阪神・淡路大震災のときにとった税制措置と比べてどのような特徴があるのか。第一弾に比べては先ほどお答えいただきましたので、阪神・淡路大震災のときと比べて今回の第二弾はどのような特徴があるでしょうか。

安住国務大臣 かなり幅の広い措置をしておりまして、所得税においても、例えば復興区域で施行される都市計画事業等に係る五千万の特別控除等々、今回は所得税に対してもさまざまな措置をしております。

 また、法人税等についても、今私が紹介をさせていただいたようなもの、また被災者向けの優良賃貸住宅のことも先ほど吉野先生からありましたけれども、これの特別償却等についても措置をいたしました。

 また、資産税につきましても、事業の承継税制における事業継続要件等の緩和、また、相続税についても、先延ばしのできる申請準備期間の特例等、こうした点につきましても、かなり踏み込んだ内容になっている。

 最後に、消費課税についても、二輪車等に係る自動車重量税の特例還付など、また印紙税の非課税措置等、かなり多岐にわたって阪神大震災とは違う措置を講じさせていただいたというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 確かに、税項目を比べてみますと、第一弾につきましては、阪神・淡路のときとほぼ重なる感じです。しかし、今回の第二弾を見ますと、阪神・淡路のときにはなかったものが八〇%方という感じになっております。特に特区関係、これについては当然かと思いますが、それから登録免許税関係、それから印紙税のところが特に特徴的かと思います。そういう意味では、今回はかなり思い切った特例であるという認識でございます。

 この特例について、我々公明党も被災四県によく出かけ、そして要望を聞き、政府に対しても直接要望をしてまいりました。要望項目は六百件を超えている、このように思います。そういう要望に基づいて今回の特例ということも位置づけられると私は考えておりますが、被災者や被災地の要望をどのように把握して法案に反映したかということについてお伺いします。

藤田副大臣 事実関係ですので、私の方からまずお答えをいたします。

 第一弾の措置を講じた後、たびたび、いろいろ政府税調の場で反映をさせてまいりました。例えば、七月十五日の政府税調、その後に、被災地のニーズを、復興特区制度の制度設計をするという過程の中から、十月四日の政府税調に報告をいたしました。このときには、例えば、宮城県の本部長をやっておりました末松補佐官の方から、法人税の特例措置の深掘りというような要請も出したと。最終的には、この第二弾に関します最終的な内容の確定を十月十一日の政府税調で反映をしたということでございます。

斉藤(鉄)委員 財務大臣も何かありますでしょうか。

安住国務大臣 山口代表、また井上幹事長、漆原先生を含めて、石井政調会長にわざわざ財務大臣室までおいでをいただきまして、特に特区に関する部分については思い切った措置をとるようにということで大変御指摘をいただきましたので、そのまま反映をさせていただいたつもりでございます。

 今回、私非常に感じておりますのは、与野党を挙げて、福島、宮城、岩手、茨城、これらの地域に多くの国会議員の先生が足を運ばれまして、本当に超党派でさまざまな提案をしていただきました。そういうことがなければ、五年間の無税措置とか思い切ったことは私はできなかったというふうに思っております。ですから、そういう点では、オール・ジャパンでこうした思い切った減免措置ができたということについては本当に感謝を申し上げたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 次の質問に移ります。

 今回の措置の中には、いわゆる特区法の規定に基づく指定を受けた認定事業者に対する優遇措置など、指定や認定、これらの要件が必要となる措置が多く盛り込まれております。租税回避防止の観点から、これらの要件が継続されている、充足されているということも常に担保していかなくてはならないと思います。この担保措置をどうするのか。また、不適切な事例についてどのように是正していくのか。

 先ほど吉野委員からも話がございましたけれども、その時々で事業要件等をきちっと把握していくということはかなり大変な労力が要ることでございますが、この点はどのように考えておられるでしょうか。

藤田副大臣 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、税制上の措置については、復興推進計画を作成した市町村が指定した企業等に対して措置を講じるということになっています。したがって、継続的なことに関しましては、指定法人が定期的に市町村等に対して実施状況を報告するという形をとっております。

 それから、もし不適切なことをしたらどうするかということでございますけれども、これは指定が取り消されるという仕組みになっています。税制措置適用の適用性が担保されているというのは、つまり、取り消しをするということから担保をしているという状況でございます。

斉藤(鉄)委員 今、私は否定的な方から質問に入ったんですが、片一方で、現場の要請は、これから私がお伺いする方がはるかに多いんですけれども、特例措置の適用は柔軟に行うべきだという要望も非常に強いわけでございます。

 これも、現場の状況から考えればよく理解できるわけですが、被災者の利益と先ほどの租税回避防止のバランスをどうとるかということが非常に難しい、重要かと思いますけれども、この点についてのお考えをお伺いします。

藤田副大臣 お答えいたします。

 私も茨城でございまして、同じようなケースをいろいろと手がけてまいりましたけれども、まさにバランスが非常に重要だと。できるだけシンプルに、柔軟に、とにかく被災者の皆さんが地元で経済活動等をしっかりできるようなことを支援する環境づくりということが重要だろうと思っています。

 具体的には、例えば、被災者を雇用する場合の税額控除、これは、雇用の増加というものを条件づけてどうしてもだめだというふうにぎりぎりしないで、シンプルになっています。それから、事業用設備の特別償却等も、普通であれば投資額等を条件づけるわけですけれども、それも特に定めていない。

 ですから、例えば普通の雇用支援とか特別償却にあるような条件をつけずに、できるだけシンプルに、そして地元で被災県としての事業活動ができるような、そういう形をとって、柔軟にやっています。

斉藤(鉄)委員 この点は、重々、相談者の疑問に丁寧に対応していっていただきたい、このように思います。

 次に、地方自治体の問題でございます。

 今回、特区にかかわる特例措置が非常に多い。そういう特例につきましては、地方自治体が作成する復興推進計画が認定されているということが前提になっております。

 しかしながら、小規模の自治体では、復興推進計画の作成事務がおくれております。新聞情報でも、復興計画作成の事務作業がなかなか進まない地方自治体もある、このような報道がなされているところでございますけれども、このような自治体に対して、ある意味では不公平があってはいけません。そういう自治体で事業計画をしている人たちもいらっしゃるわけで、そういう方々にこの特例が適用されないというようなことがあってはいけないと思います。

 そういう意味で、そういうところに対しても今回の税制特例が適用可能になるように政府としても努力をすべき、このように思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

藤田副大臣 御指摘のとおり、小さな自治体の中では、とにかく被災しているわけですから人手も足りない、それから知識、経験等も足りないというような状況でございますので、具体的には、まず一つは、これは基本的には復興庁、復興局の担当でございますけれども、現地で説明会を頻繁に開催する、それから、計画策定についてはできるだけワンストップで対応ができるような支援をする、それから、県とも連携して、できるだけ人を派遣して技術的、知識的、経験的な助言をする、そういう形で、小規模な市町村の計画策定の支援を行っていくというような形での支援を十分やっていきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 そういうことなんでしょうけれども、もっと具体的に、例えば、ある自治体は復興計画が認定されている、隣の町はまだ認定されていない、しかし、同じような事業計画が出たときに、片一方では今回の特例が適用されないというようなことが当然出てくると思うんです。そういう具体例が出てきたときに、どのように対応するんですか。認定されていない自治体に事業計画をしている企業については、適用されるような何らかの措置がされるんでしょうか。

安住国務大臣 だからこそ、復興庁というのがしっかり仕事をしなければならないんだと私は思っています。

 現に、私の地元を見ても、比較的大きな都市は順調に計画をつくったりしているんですけれども、漁村の多い町、こういうところでは、集団移転についてのコンセンサスを得るために大変な時間を要していて、住民と自治体の間でなかなかうまく策定が進んでいない。そういうことをもって、計画がやはり少しおくれぎみになっているというのはあると思うんです。

 ただ、先ほど私は吉野先生にもお答えしたんですけれども、予算がこれで本決まりになりますので、加速するエネルギーというのはかなり倍加していくんじゃないかなということなんですね。

 ただ、今御指摘のように、例えば私の地元でいえば、石巻市はどんどん決まっているのに、女川町や東松島はおくれていますよと。そこの事業者の皆さんがそれで焦るというふうな事態になってくるというのは決して好ましいことではないので、そこは差が出ないように、計画ができない段階で、復興庁としてきちっと、例えば何らかのお手伝いをするとか、そういう親切さは必要だと私は思いますので、復興大臣の方にしっかりと私の考えは申し添えたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 それはぜひやっていただきたいと思いますが、事、今回の税の特例についても、差が生じないようにきちんと財務大臣として措置するということをお答えできますか。

安住国務大臣 最大限努力をしたいと思います。

斉藤(鉄)委員 ぜひ、その点、よろしくお願いいたします。

 それから、最初の質問とも関連しますが、周知徹底ということが大事だと思います。そのためには、被災者に今回の措置をできるだけわかりやすくPRするということと、それから、現場の税務職員の教育、円滑な執行のための人員確保、これが必要になると考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

藤田副大臣 お答えをいたします。

 先ほどの関連もございまして、周知徹底が非常に重要なわけですが、第二弾の特例措置の内容は、法案ができ次第、国税庁のホームページそれからパンフレット等を生かして広報活動するということになっているわけですが、特に二十三年度の確定申告に向けて、非常に重要だろうと思っております。

 もちろん、いろいろな、ほかの県からも税務署に人を派遣するという対応をとろうと思っておりますが、例えば、現在、仙台局の税務署関係は、一日当たり平均約百四十名を予定しておりますけれども、派遣をすることになっています。それから、電話は別に宮城県でなくても済むわけですから、大阪局に仙台局専用の電話相談センターを設置して、仙台局管内の納税者の電話相談への対応を行うというようなことも含めて、今体制をとろうというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 この点もしっかりお願いしたいと思います。

 それから、ちょっと今回の特例法から離れるかもしれませんが、今回の税制特例の恩恵を受けるためには、そもそも家を建てるとか新しく事業を起こすとか、そういうことがなければ恩恵は受けられないわけでございます。

 そういう意味では、雇用があって、所得があって、移転が促される、また、新しい事業をそこに再開しようというインセンティブ、政策の誘導があるというようなことがあって初めて、個人、法人についても今回の特例の恩恵が受けられるわけですが、そもそも今回の特例が受けられるような状況になるためにどうすべきか、今回の法律とは直接関係ないかもしれませんが、財務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 本日、財源確保法を成立させていただきまして、本当にありがとうございました。

 これで歳入歳出がそろいまして、いよいよ第三次補正の本格的な交付になるわけでございますが、地方から見ても、また被災者から見ても、企業から見ても、今先生御指摘のように、まずしっかりとした再建をしなければ税のインセンティブも何もないわけですから、そうした意味では、新しく家を建てる、また高台への移転を始める、こうしたことに対しての財政的な措置というものがやはり必要になってくると思います。

 それから、これは参議院で、例えば白浜先生からも御指摘を以前いただきましたけれども、やはり企業のグループ化のお金のスキームが足りないということで、私も一千二百億円ほど今回出させていただいて、これは二次補正の予備費を使ってやりましたけれども、今は十一月三十日ですか、多分、きょう、あす、あさってというところで福島、宮城、岩手の企業には個別内示がもう始まる時期だと私は聞いております。そういうようなことで、四分の三の補助事業が、現実に額が自分の会社では幾らということにだんだん決まってきますので、そういうふうな財政的な支援をやりながら、地域が前向きな姿になっていけば、いろいろな意味で復旧は加速をしていくというふうに私は思います。

 大変遅くなったことに対する反省もやはりありますけれども、今回、そういうことでは、この三次補正を通らせていただいて、二重ローンの問題等についてもダブルで支援の再建機構もできましたし、これから、そういう意味では、先生御指摘のような財政支援をしっかりやることで、税のインセンティブを受けられる環境づくりというのが個人にとっても企業にとってもできてくるのではないかというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 今回、第二弾ということでございますが、第三弾についてどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。

 第一弾、そして今回の第二弾、これを実行してみて、その効果やどのような影響があったかということを十分検証しなくてはいけないと思います。また、これから復興が進むに際して、いろいろな現場からの新たな要望が出てくるかもしれない。そういう意味では、第一弾、第二弾の反省の上に立った第三弾ということも、これは可能性としては十分考えていかなくてはならないと思いますが、大臣のお考えをお伺いします。

安住国務大臣 これからこの予算をしっかりと消化するためにも、これは自治体を含めて、今年度中に使えなかった部分についても、来年度、繰越明許をきちっと設けまして、使えるようになります。さらに使えるようにということで、基金化ということも考えなければなりません。

 その上で、さらに第四次ということが必要になってくるのかどうかということでございますが、これまで政府で言っておりました、十年でまず少なくとも二十三兆円かかるであろうということからいえば、当然第四次の対応というのは必要になってくると思います。

 特に、宮城と岩手については、公共を含めて復旧復興というものをこれから加速していくということになりますが、福島県の場合は、除染を含めて、その以前の問題として相当なエネルギーを、これから後お金がかかってきますので、そういうことに対する手厚いカバーというものを財政的にもやはりやっていかなければならないので、いつの時期になるかはわかりませんけれども、早目早目の対応というものも考えなければならないし、来年度の予算の中へでも、また必要なものについてはしっかり手当てをしていきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 今後、現場の状況を見ながら我々も提案をしていきたい、このように思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 ちょっとテーマを変えまして、先週、民主党の税調から、自動車取得税及び自動車重量税について、これを廃止もしくは抜本的な見直しという案が提案をされました。これに対して財務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 党からそういう御指摘があることは事実でございます。

 しかし、率直に申し上げて、国、地方の財政の今の状況、また地球温暖化対策という観点から考えても、いろいろな意味で総合的に勘案をしながら、そうした御指摘についての答えを我々としては政府税調を含めて出していかなければならないというふうには思っております。

斉藤(鉄)委員 自動車に関連する諸税については、取得、保有、走行で、これは民主党さんも常々、取得、保有については簡素化し、また軽減し、環境的な側面ということも踏まえて走行についてを主な課税対象とする、こういうお考えだったかと思いますが、そういう考え方のもとで今後政府税調としても考えていく、そういう今の御答弁というふうに理解してよろしいんですか。

安住国務大臣 はい。やはりそういう基本的な考え方は私もあります。非常に車に対する課税が重いし、これを軽減すべきであるという声が強いのは、またユーザーの中からも、業界だけに限らずあることは、私はもう十分わかっております。

 ただ、現実に来年度の予算を編成する中で、この財源は重量税だけでも七千二百億円強でございます。これに取得税の地域分というのがかかってきますので、これにプラス、上乗せで二千億円ですか、ですから、これが本当になかなか、穴が埋まるのかというと、今は非常に厳しいのかなということを私としては今考えているわけであります。

 しかし、税と社会保障の一体改革等で、消費課税を中心に税制を大幅にこれから見直していくということの中に位置づけていろいろ考えていかなければならないことではないかなというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 他方、揮発油税等のいわゆる当分の間税率、これについては、民主党の中でも、少なくともこの分については軽減すべきだという強い意見があるというふうに認識しておりますけれども、このことと先ほどの御答弁と、どういうふうに関連づけられるでしょうか。

安住国務大臣 先生、これから実は税調で議論をするものですから、余り私の方から今先走った話はできませんが、私の認識としては、地球温暖化対策等を含めて、必要な財源というものの確保はやはり必要であろうと。残念ながら、二三改正は我々の提案どおりにはいきませんでしたけれども、引き続き、そのことに関しては、地球温暖化対策に関する税収についてはぜひ確保をさせていただきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 そうしますと、今御答弁いただいたことをまとめますと、当分の間税率等については引き下げる考えはない、ただし、自動車重量税、取得税については、党からの要請もあり、これは検討の余地がある、今の御答弁を全部総合すると、そういうふうに私は理解したんですが、それでよろしいんでしょうか。

安住国務大臣 エコカー減税は非常に効果的な減税対策として、また、これは地球環境にも大変いい影響を与えておりますので、御承知のように、これが来年の三月に切れるということもあります、そうしたことも総合的に勘案しながら対応していきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 まさに重量税と取得税でエコカー減税をやっているわけですけれども、それが切れるから、それを継続することで対応したい、こういう意味でしょうか。

安住国務大臣 これから政府税調の中で議論をさせていただきますが、さまざまな状況を総合的に勘案しながら対応させていただくことになると思います。

斉藤(鉄)委員 民主党さんが提案されるように、重量税と取得税を全部なくすということになりますと、エコカー減税のいわゆるエコカーインセンティブがなくなります。しかしながら、エコカー推進というのは我が国の技術開発にとっても非常に重要ですので、その部分を伸ばさなきゃいけない。ということは、ほかの税でいわゆるエコカー推進というインセンティブを持たせる必要が生じてきます。そういうお考えはありますでしょうか。

安住国務大臣 ございません。やはり自動車関係税の中でエコカー減税というものは成り立ってきたものであるし、そうした政策効果をこれから考えながら、この継続等々、それから重量税、取得税との関係というものを整理していきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 重量税、取得税以外でエコカー減税をするつもりはない、しかし、エコカー減税的な環境インセンティブは持たせる必要がある、ということは、民主党からの要請である重量税、取得税の廃止ないしは抜本的な見直しはやるつもりはない、こういうことに最終的になりますが、それでよろしゅうございますか。

安住国務大臣 党からの要望は重く受けとめます。ただ、他方、昨日、地方六団体との協議がありまして、特に取得税については、廃止は断固反対であるというふうな厳しい意見もいただいております。

 さまざまな声を聞きながら最終的に判断をさせていただきたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 それから、野田総理は、消費税の引き上げ時期と税率の上げ幅を含めた税制の抜本改革法案を今年度内に提出すると発言をされております。

 しかし、消費税率などの詳細を法案に書き込むに当たっては、社会保障の全体像が明らかとなって、そこにどれだけのお金がかかるのかということが明確でなければ具体的に進まないはずだと我々は思っております。社会保障の議論をまず行うべきではないか。

 その割には、年金をどうされようとしているのか、また、高齢者医療をどうされようとしているのか、一切与党から発信がない、その中で消費税上げだけが先行している、社会保障の議論なしで消費税論議だけが先行している、整合性が欠ける、このように思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

安住国務大臣 実は、社会保障の党の会合というのは、プロジェクトチームをつくりまして、今、細川律夫前厚労大臣を中心に連日やっております。ニュースになっていないのは残念なんでございますが。それに、実は、六月の税と社会保障一体改革のときも、党内では五十回に及ぶ議論を行いました。そういう中で大枠のフレームをつくって、そこで税と社会保障の一体改革について閣議報告という形をとったわけであります。それに基づいて、実は、野田総理は、今ある法律に従って今年度中に国会に法律を出させていただくと。

 先生が御指摘のように、年金、医療、介護、これについて具体的にどういうふうな制度設計をするのかという御指摘は十分私どもも認識をしております。わかりやすく議会または国民の皆さんにそれをお示ししながら、必要な税率についてしっかりとお訴えをさせていただくということからいえば、制度設計がまず先であろうということは十分承知をしておりますので、今後、社会保障のフレームをしっかりつくることをまず最初にやって、その上で必要な財源ということになると思います。

 その中で、年金だけ少しお話をさせていただきますと、この制度設計はやはり少し時間をいただかないといけないというふうに思っております。

 この一元化を我々は総選挙で訴えてまいりました。しかし、この一元化を仮に実現するにしても、この先二十五年以上かかるわけでありますので、その中で本当に整合性のある一元化の制度というものを、来年中にはしっかりと制度設計をしていきたいというふうには思っておりますので、年金、医療、介護の中で、年金の部分だけはどうしても少し工程表から見ると後ろの方に回ってきてしまうというふうな感じで私は今スケジュールは持っております。

斉藤(鉄)委員 もう時間が来ました。終わりますけれども、しかしながら、例えば年金制度の一元化、また最低保障年金という、民主党が最初からおっしゃっていたこと等については、もうかなり時間がたっておりますけれども、一向に具体案が出てこない。余りに遅過ぎるのではないかということだけ申し上げて、私の質問を終わります。

海江田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時五十七分開議

海江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 提案されている法案について言えば、震災対策として国税上の減免措置をとるというものでありまして、住宅ローン控除の特例など、主に復旧復興の際に必要な税制上の措置が盛り込まれております。

 また、事業継承税制の要件を緩和し、自動車関連の特例措置の対象に新たに二輪車を加え、原発警戒区域内に所在する住宅家屋に対する贈与税の特例措置、こういう被災者に一定程度役立つ措置というのが盛り込まれていると思います。これらは、ある程度評価できるものであります。

 確認しておきたいのは、復興特区の中の税制上の措置の問題です。

 一つ心配があるのは、この優遇措置を受けるために特区に進出をするけれども、ちょっと都合が悪いということで、ぱっと出ていく、こういうような、簡単に言えば食い逃げのようなことを許すようなことがあってはならないというふうに思いますので、それを抑えるためにどういう措置が講じられているのか、この点を確認したいと思います。

五十嵐副大臣 私もそういう点を心配いたしまして、いろいろな歯どめをかけているつもりでございます。

 新規立地促進税制におきましては、本店を集積地域内に置かなければいけない、積み立てを行う事業年度において復興産業集積区域外に事業所等を保有しないといった要件を課しています。これは、先ほども議論がありましたけれども、課税の繰り延べでございますので、再投資をその地域内にしない場合には益金算入するということになっています。また、認定地方公共団体の指定を取り消された場合にも、当然、準備金は益金算入になりますので、こうした措置で担保できる、こう思っております。

安住国務大臣 御指摘のように、雇用を継続しないで優遇措置だけの適用を受けるような、これは、あえて言わせてもらえば、この制度を悪用するような企業を絶対出さないようにするためにも、この繰越控除の適用だけは絶対しないように、我々も目を光らせていきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 本店を置くということを条件としているということ、それから、特区の中で再投資を行う、被災者の雇用を維持し拡充する、これを条件として優遇措置を受けることができる、簡単に言うとこういうことで理解してよろしいんでしょうか。

五十嵐副大臣 そのとおりでございます。

佐々木(憲)委員 二つ目は、この特区の中での優遇措置というのはわかりますが、被災地は特区の外側にもあるわけでありまして、特区の設定の仕方もさっき議論がありましたけれども、これは被災地全体を覆うということが私は必要だと思っております。特区の外でも、中小零細業者が必死になって被災から立ち直り、地域経済、雇用を守って頑張っている、そういう事業者は多いわけであります。

 被災地全体についても、特区外のそういう中小零細業者に対しても、やはり同じような税制措置をやってくれないか、こういう要望もありますが、それにはちゃんとおこたえいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安住国務大臣 特区は、先ほど申し上げましたように、市町村がそのエリアをきちっと決めていくということですから、まず市町村で、外にはみ出さないようなきちっとした対応をぜひしてもらえばと思うんですね、まずそのエリアを決める場合において。

 しかし、それでも外に出ている企業というのは当然出てきます。それに対しては、第一弾の措置の中でも、震災損失の繰り戻しによる法人税額の還付、それから、被災代替資産等の特別償却、特定の資産の買いかえの場合の課税の特例といった、これはオーソドックスではございますけれども、特例措置は講じておりますので、こうしたことでケアをしていきたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 それでは、ちょっと話題をかえますが、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのがありますが、この考え方はどういうものなのか、それから、閣議決定されていると聞いておりますが、いつどのように行われたか、説明をしていただきたいと思います。

五十嵐副大臣 後の方からお答えしますけれども、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則は、平成二十二年六月二十二日に閣議決定された財政運営戦略の中で、財政運営の基本ルールの一つとして定められております。

 この原則は、歳出増または歳入減を伴う施策の新たな導入や拡充を行う際には、原則として、恒久的な歳出削減または恒久的な歳入確保措置をとって、それに見合う安定的な財源を確保するという内容でございます。

佐々木(憲)委員 この原則はすべての減税措置に当てはまるのか。大臣、いかがでしょうか。

安住国務大臣 これは、税制改正、各年度において、歳入減を伴う施策を新たに導入、拡充しようとする場合には、恒久的な歳出削減または恒久的な歳入確保措置により、それに見合う安定的財源を確保するというのが原則でございます。

佐々木(憲)委員 すべての減税措置に当てはまると。簡単に言いますと、代替財源なしに減税はしない、簡単に言うとこういうことですね。

 では、今回提案されている法案はどのようにその点が貫かれているか、説明をいただきたいと思います。

五十嵐副大臣 今回の税制措置につきましては、臨時異例の事態に対して緊急に対応するものでございます。恒久的な性質のものではない、恒久措置ではございませんので、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を厳格に適用せずに提案をさせていただいているものでございます。

佐々木(憲)委員 それでは、法人税の減税、さきに可決された国税法案ですが、これは恒久減税ですね。課税ベースの拡大は別として、五%の恒久減税を行う。平年度ベースで一兆二千五百億円の減税というふうになると思いますが、間違いありませんか。

五十嵐副大臣 法人実効税率五%引き下げということは、恒久措置でございます。これによる平年度の見込み額は一兆二千四百九十九億円でございます。

佐々木(憲)委員 それでは、この代替財源というのは一体どうなっているのか。課税ベースの拡大、これで幾ら確保できるようになっていますか。

五十嵐副大臣 課税ベースの拡大によりまして、五千八百四十九億円となっております。

佐々木(憲)委員 代替財源は五千八百億円強。しかし、これは一兆二千五百億円の減税ですから、全然足りないわけですね。

 この表を見ていただきたいんですけれども、この二枚目を見ますと、法人税引き下げの財源措置の例ということで、これは、平成二十二年十一月に政府税調の会合で法人税率を五%下げた場合の税収減を穴埋めする代替財源案として財務省が提出した内容だと思いますが、これを合計しますと幾らになりますか。

五十嵐副大臣 財務省が仮にということで出した数字でございますが、二兆一千億円ぐらいですか、強でございます。(発言する者あり)

海江田委員長 ちょっと待って。もう一度正確に答弁させます。

五十嵐副大臣 二兆一千六百億円から二兆八千二百億円、幅がございます。

佐々木(憲)委員 二兆数千億円、そういう試算も財務省は出していたわけであります。しかし、今回の課税ベースの拡大で、先ほど確認したように、五千八百億円程度しか確保されない。六千七百億円が足りないわけですね。

 そうすると、これは、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則、先ほどの説明から完全に逸脱しているんじゃありませんか。恒久減税を実行する場合、これは被災地の臨時的な減税と違います。恒久減税を実行するわけです。しかし、代替財源として、課税ベースの拡大で五千八百億円しかない、半分。これでは、全く原則がどこかへ行ってしまった。法人税、これは別格なんですか。

安住国務大臣 別格というよりも、国際競争力を確保していくために、新成長戦略の一環として、デフレの脱却や雇用の拡大を優先して、もちろん、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則から見ると、先生御指摘のように、財源確保はまだ十分なものとは言えておりません、率直に申し上げまして。しかし、まず先行してこの五%を引き下げるという思い切った措置をとったということでございます。

佐々木(憲)委員 結局、自分が決めた原則を、先ほどの説明で、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則、これは恒久減税の場合には代替財源がない限りはやってはならないと決めていながら、恒久減税はどんとやって一兆二千五百億円、しかし代替財源は半分しかありませんと。こういうことをやって当然であるというのは、自分で自分を否定するようなものじゃありませんか。これは、先ほどの財務省の試算でも二兆円台あるわけだから、十分出てくる。出てくるという試算をやっておきながら、実際にはそういうことを実行しない。

 私、何でこうなるのかなと思ったら、どうもまた経団連の会長がこういうことを言っているんですよ。平成二十二年十一月八日の記者会見で、税率引き下げと引きかえに課税ベースを拡大するなら、法人税率の引き下げはもう結構と言わざるを得ないと。原則を崩したのは、こういうふうに経団連から言われたからじゃないんですか。

安住国務大臣 そうではございません。

佐々木(憲)委員 口で否定しても、経団連が言っているとおりしかやっていないんだから。幾らそうでないと言ったって、先日もやりましたけれども、経団連が言うことは何でも素直に聞いて、我々の言うことは全く聞かない、国民の言うことも聞かない、これではだれのための内閣なのか、よくわからない。

 この原則が崩れると、どこから財源を持ってくるか、この足りない分。これはどうなるんですか。

安住国務大臣 先ほど五十嵐副大臣から申し上げましたように、二兆八千億から二兆一千六百のこの試算というのは二十二年に出しているわけですね。この中で、まだ五千八百しか埋め合わせはできていない、つまり、単純に考えればマイナス七千億あるじゃないかということなんですね。

 これから本格的な税制改正をやっていかなければなりません。昨日、総理も、証券優遇税制等の延長についてはこの先はもう考えないと、いろいろなことを話しておられますので、総合的な判断の中で、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を完全に守れるとなれば七千億の見合い財源を探さなければいけませんけれども、近づけていく努力というものはしたいというふうに思っています。

佐々木(憲)委員 そうすると、その努力の過程は、赤字国債の発行、こういう形になりますか。

五十嵐副大臣 所得税や資産税の見直しを含めまして、大分、その間の赤字幅は減っている。それからまた、金融・証券税制の見直しを、二十六年からですけれども、一応、約束をとった形になっておりまして、それが入れば千三百億円が埋められるというようなこともあって、不十分でございますけれども、多年度の税収中立には近づけられているというふうに思っておりまして、国債の増発は厳に慎んでいるわけでございます。

佐々木(憲)委員 これだけ下げると、当然、赤字国債で最初やらざるを得ない。財務省が計算をしたこの財源については、やる気があるのかないのか、二兆円台の代替財源があるにもかかわらず、一部しか手をつけていない。そうすると、赤字国債を発行して当面乗り切って、また財政赤字が大きくなる。消費税の税率を上げるということで、そのつじつまを合わせようというんじゃないんですか。

 一部は確かに証券優遇税制、大体、これは日本が低過ぎるんですよ、一〇%なんというのは。アメリカやヨーロッパは二〇%、三〇%、四〇%。それなのに、こういうものをことしずっと続けてきたわけです。とんでもない話です。

 だから、法人税の減税なんというものは、実際は私はやるべきじゃないと思うんですよ、こんなの。こんなのをやらないで続けていけばいいじゃないですか、そんな複雑なことをしないで。何もわざわざ財務省、財務大臣が、与党が、穴をあけるようなことをやるべきじゃないですよ。代替財源がないならやめる、それでいいじゃないですか。何でそういう決断をしないのか。私は、何も力の強い経済団体の言いなりになる必要はないというふうに思うわけです。

 まあ、これに対しては、答弁を求めてもまた同じようなことしか言わないので、私はそのことを断固として主張するということで、引き続きこの問題については消費税とあわせて徹底追及をしていくという宣言をしまして、きょうはこれで終わりたいと思います。

海江田委員長 次に、岡田康裕君。

岡田(康)委員 岡田康裕でございます。本日も機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、震災復興、その支援に向けた第二弾の税制特例措置でございますが、大分これは細かい、マニアックな項目がずらっとありまして、吉野先生からも、福島の現場の声も含めて、かなりいろいろな点について御質問が既にございました。

 私ももちろんこの法案についての法案質疑なのではございますけれども、その前に一つだけ、どうかお許しをいただきまして、別のことを御質問させていただければと思うんです。それは国家公務員宿舎の問題でございます。

 きょう、実は朝も決算の委員会がありまして、私も委員ですので、そこに座っておりました。同僚の神山議員がかなり時間を公務員宿舎に割かれておりましたけれども、あそこでも御答弁を伺ってはおりましたのですが、ちょうどきょう、そしてあすにも政府側の検討会が一定の結論を出されて、そして発表、公表されるというふうに伺っておりますので、その御決意を伺いたいと思っております。

 私たちも党の中のワーキングチームで検討を進めさせていただきました。寺田座長もきょういらっしゃいますが。批判を浴びたので当初五年間で一五%としていたものを二〇%にするとか二五%にするとか、そういうふうにとられるようなことにだけは絶対になっていただきたくないと思っております。

 私たちもワーキングチームの中で、国家公務員の宿舎が残るとしても、それには、こういう理由で必要なんです、危機管理上のものであったり、また、ダムの管理をするための、近くに賃貸アパートがないようなところのものであったり、こういう理屈だから、根拠で必要なんですということをちゃんと整理していただいて、それに基づくものに限定をしていただきながら、なおかつ、その確保の仕方も、これまでのような国有国営方式を前提とせずに、むしろ民間の借り上げ方式をまず前提としていただくぐらいの、そういうわかりやすい、今後どの宿舎を例えば増改築するようなことがあっても、今回の朝霞の再凍結みたいなことが再度起こらないようなところまで、すかっと整理をしていただきたいと思うんです。

 あす公表されるとのことですけれども、大臣の御決意等をお伺いできればと思います。

安住国務大臣 岡田委員には、この問題で熱心に寺田座長のもとでやっていただきまして、厚く感謝を申し上げます。

 やはり、政務三役に入りまして、役所の中だけで議論していると見えないものもありますので、そういう意味では、党等も、また決算行政監視委員会の中で与野党の議論を経てきたということは、大変私は意義深いと思っております。

 きょう、朝も決算委員会の場で申し上げましたけれども、私も野党でずっとおりましたので、この国会の中で議員の先生方が決めたことを、行政側がしっかりそれを履行していくというのは、やはり原則だと思います。

 そういう中で出た結論というのは、一五%の宿舎の削減を、さらに内容も含めて縮減して、そして、今岡田委員がおっしゃったように、国民の皆さんから見てわかりやすいものにすべきであるという結論でありましたので、私の方では、藤田副大臣が座長でございますけれども、その基本方針に、議会また与野党の議員の結論を得た、また、議事録を見ますと大変厳しい意見が相次ぎましたので、そういうものを反映したものにせよということで、今、作業チームで、きょう取りまとめをさせていただいて、あした公表します。

 私としては、今具体の話をここで申し上げるわけにはいきませんけれども、やはり戦後長く続いてきた慣例というのはあります。例えば、福利厚生のためにこうした宿舎が必要だった時代も確かにあるわけですが、今の時代の中でそれがどういうふうに国民の皆さんに思われているのかというようなことを考えたときには、やはり思い切った対応というものは必要であろう。

 さらに、これは、自衛官や海上保安官や、それから遠隔地への転勤者、我が方の役所で申し上げさせていただければ、やはり税務職員というのは頻繁に転勤をいたしますので、ある意味で乱暴な廃止論ではなくて、そうした必要性があると認め得る公務員に対しては必要最小限の宿舎というものはやはり十分必要であろう。

 そうしたことをちゃんと整理して、あした皆さんの前に発表をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

岡田(康)委員 御答弁ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 一つだけ気になっておりますのは、宿舎も二十一万何千戸、当時あって、財務省さんが直接手が届く合同宿舎は八万何千戸で、それ以外の十三万幾らは各省ごとなんです、こうありまして、わかりやすく言いますと、財務省の理財局の皆さんとずっとやりとりをしてきて最後まで来たわけですが、最後の最後になって相手が分身の術でばっと分かれられたような感じがどうもしておりまして、そこら辺はぜひとも内閣の総理を初めとする皆さんの方でトップダウンで、理屈と根拠をちゃんと整理していただいたら横ぐしでがっと貫けるものになると思いますので、そういう御判断をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 済みません、五分以上過ぎましたが、法案の関連の質疑に移らせていただけたらと思います。

 吉野委員からいろいろありましたので、できるだけ重ならないようにしなければと思いまして、先ほどの党首討論の合間もちょっと質問の中身の整理をしておりましたんですが、一つ目は、出資に係る所得控除の件でございます。

 お手元の資料で、表紙の左側でございますが、これまでにも、ベンチャー企業向けのエンジェル税制、営業キャッシュフローが赤字であることを前提として、そういうところに出資をしてくださる方の出資分が、もちろん株式ですから売って返ってくることもあり得るわけですけれども、しかし、まだまだ厳しい経営状況だということもあって、寄附と同等のような扱いをして所得控除をしてくれる、そういう制度だと認識をしておりました。ここの分は、資料によりますと、売上高営業利益率が二%まで大丈夫というふうになっていまして、若干黒字であるところも認めるということになっているんであろうと思っています。

 そこで、最初の質問といいますか、確認させていただきたいのは、文面上は「地域の課題の解決のための事業を行う株式会社」というふうに書かれていまして、吉野委員からは、何で株式会社だけなんだ、NPOじゃだめなのかというお話がありましたけれども、違う観点で、では、株式会社、ここで言う「地域の課題の解決のための事業を行う株式会社」というのは、具体的にはどういうことをイメージされているんでしょうか。

五十嵐副大臣 公式的に言えば、今後内閣府令で定められるものでございますが、地域の課題の解決に資する事業のイメージをというお尋ねでございますので、いわゆる町づくりや、あるいは特産品の開発といったもので、高い収益は見込めないけれども地域の復興にとっては欠かせないといった事業を行う会社をイメージしているものでございます。

岡田(康)委員 そうなりますと、それはそれで非常にいいことだと思うんですが、余り大きく活用されるものでもないのかなという気もしないでもないんです。

 そこで、売上高営業利益率二%という、その二%の考え方というか根拠みたいなものがあれば御答弁いただければと思います。

五十嵐副大臣 御指摘のとおり、営業利益の割合が二%を超えていないという要件を設けているわけですが、数字的にいいますと、リーマン・ショック以前の五年間、二〇〇三年から二〇〇七年度までにおける売上高営業利益率は、全産業平均でいきますと三・一%です。資本金一億円未満の企業でいきますと一・七%になります。そして、資本金一千万円未満の企業、小さい企業となりますと〇・四%になってしまうところでございますので、売上高営業利益率二%という数字は決して厳しいハードルを設けているというわけではないと考えております。

岡田(康)委員 先ほど御紹介いただきました数字からいたしますと、二%という数字も決して低い数字ではなくて、むしろ、ひょっとしたら小さい規模であれば平均値よりも高いぐらいかもしれませんので、赤字で厳しい会社だからこそ、そこへの出資を寄附のような扱いで所得控除をするという考え方からすると、大分踏み込んだ、むしろそういう概念を超えた取り組みなのかなというふうに認識をしております。

 これもぜひ地域でたくさん活用していただけるように進めていただければと思いますし、また広く周知されるように努めていただければありがたいなと思っております。

 それでは、次ですけれども、法人関係で、済みません、実はお手元の資料にはないページに行かせていただきます。復興産業集積区域における特別償却の件でございます。

 この復興産業集積区域についても吉野委員から重ねて御質問がありましたけれども、これは、地方自治体が計画をつくってこられて、それを最終的には総理が承認されるというふうに伺っているんですが、地域主権と言ってきた党でもありますから、地方自治体の皆さんがこうしたいというふうに描かれてこられたものを基本的には広い心で受けとめるというか、そういう方向であるということでよろしいんでしょうか。

五十嵐副大臣 基本的にそのとおりでございます。

岡田(康)委員 そうなりますと、吉野委員もおっしゃっていましたとおり、できる限り広くとりたいということに当然なろうかと思うんですけれども、それをある程度、また地震があるかもしれないようなことも想定したり津波があることも想定したりして計画をして、地域を限定していくんだろうと思うんですが、なるべく広くとりたいとされる地域の方に対して、できるだけ限定的にというか、集積をする場所を決めようとするときには、どういったことが基準になってそこが狭められていくのかなというのがちょっとイメージがわかないんですけれども。

五十嵐副大臣 これは実は私のせいなんですけれども、当初はやはり市町村単位ということだったんですね。ところが、例えば仙台をイメージした場合、政令市で、合併して大変広い区域になっています。それで、若林区のようなまさに被災地域を含んでおります。被災地域を含んでいるから、市町村ごとということになると仙台市全体を指定することになるわけですけれども、そうなると、被災地を避けて、むしろ便利で、市街地の何も被災を受けていないところに集中してしまって、かえって被災地への立地を妨げることになりはしないかというようなことから、少し要件を設けて単純な市町村単位ではないことにしたらどうかと言ったのは実は私でございます。

 先ほども論議がありましたけれども、いわば例外的にそういうところを除くように考えるという意味でございまして、基本的には、先ほど議員御指摘のとおり、市町村がよくお考えいただいて、自分たちで町づくりがしやすいようにお考えいただければいいことだと思っております。

岡田(康)委員 その復興産業集積区域に対する投資について特別に償却をできるという制度だと思うんですけれども、資料からしますと、特に機械や装置等々ですと一〇〇%、一括償却できるというふうになっていたり、建物や構築物ですと二五%というふうになっています。

 記憶に新しいところで、アメリカのオバマさんの経済対策の中で一括償却というのが結構話題になったと思うんですけれども、あれなんかと比べますと少し、例えば建物や構築物なんかの部分というのはちょっと、向こうほど広い範囲ではなく、踏み込んだものではないのかなという気もするんですけれども、そこら辺、もし何か向こうの情報とかもありましたらお教えいただけませんでしょうか。

五十嵐副大臣 オバマさんの米国でのやり方との比較というものは特に今手元にはございません。

 ただ、日本の方も、かなり今までと比べれば踏み込んだ、思い切った措置になっておりますので、なるべくこれも使い勝手のいいように考えておりますので、御活用いただきたい、こう思っています。

岡田(康)委員 副大臣おっしゃいましたとおり、この制度もそうですし、お手元の資料でいきますと、めくっていただいた裏の3のところもそうですが、開発研究投資、これも一〇〇%償却できるというもの、これは被災地域ないし集積区域に外からお金を大量に投入していただくという意味では非常に効果が大きい施策ではないかと思っておりますので、非常に期待をいたしております。

 あと、これに少し似たようなところがあるんですが、例の、新設した株式会社が、そこで生み出す利益について、再投資準備金を経てその地域に再投資をされる場合に損金算入ができるようにするという項目がございます。

 これについて、先ほど質疑を伺っておりますと、吉野委員からは、トヨタの福島工場はだめなのに、そこにつくった子会社、本社がそこにあって、ほかに事業所がないという要件を満たせる会社であればいいとするのは何でなんだという御質問もありました。

 私自身の理解は、先ほどからの答弁も伺っていて、まず、東京に本社があるような大きな会社のお金がどんと被災地に入るためには、先ほど質問をいたしました設備投資の特別償却や開発研究投資の一括償却の施策がそこにあって、そのときに、その中に例えば会計主体として独立したものを設立してもらった場合には、その地域から商売をして上がった利益について、またそこに投資してくれるのであれば、もう一つ上乗せして償却というか損金算入させてあげられますよという制度であり、これも五年間ずっとできる、後でもそのことに投資をすれば大丈夫ということですから、先ほど質問をさせていただいた二つの項目にさらに一歩踏み込んだ、期間を長目にとった施策であるというふうに認識しているんですが、その理解で間違いないでしょうか。

五十嵐副大臣 おっしゃるとおりでございまして、二十八年三月三十一日までに指定された法人について、指定の日から五年間でございますので、今から、この法律が通ってから五年間というよりは、二十八年三月三十一日までに指定を、指定日を選べるわけですから、そこからスタートして五年間、おっしゃるとおり、準備金として積み立てたものは税金がかからない。そしてまた、そこからさらに準備金を再投資、ためたものを再投資する場合には、これはまた償却できるということでございますので、合計十年間の期間を視野に入れた措置になっているわけで、先生のおっしゃるとおりでございます。

岡田(康)委員 一〇〇%償却できるとなりますと、結局は、法人税が計算される前の段階で、課税対象となる所得に対して、それが償却できる、償却が有効に使われるということはプラスであるということが当然前提になるわけですけれども。

 お手元の資料に、6、7あたりがそうでございますが、かねてから、欠損企業が実は多いぞという話はもうずっと言われてきておりますけれども、国税庁の方にちょっと数字をいただきますと、例えば6をごらんいただきますと、仙台国税局さんのデータとして、黒字申告をされている企業の割合というのが過去最低、ずるずる下がってきていて二六・六%であると。全国的に数字を見ていただいても二五%台であったと思いますし、また、裏面の7を見ていただきましても、これはサンプル調査のようですけれども、資本金が一億円以下というところで見ていただきますと、やはり七十何%が欠損法人ということになっています。

 そういうことからすると、効果がどうしてもちょっと限定的にならざるを得ないのかなという気もするんですけれども、それはそれでいろいろな政策総動員で、いろいろな施策を組み合わせてやっているんだということかなというふうに理解をいたしております。

 最後に、もう一つこの法案の関係で御質問をさせていただきたいんですが、優良賃貸住宅に関する特別償却、税額控除というのがあるんです。この優良住宅というのが、先ほども質問がありましたが、具体的にどのようなものを指していて、逆に、なぜそれに限定されなければならないのかということなんですが、投資をどんどん呼び込んでいって町づくりを復興していこうとするときに、必ずしも何か質素な住宅にこだわる必要もないんじゃないかと思います。

 この優良住宅という言葉が指すものと、それに限定するところの考え方というか理念を教えていただけますでしょうか。

五十嵐副大臣 御指摘の優良賃貸住宅の要件については、これも今後詳細を決めるということになるわけですが、住宅の供給を加速させるというのが目的でございますので、余り過度に厳しい要件になってはいけない、かといって余りお粗末でもいけないという、おっしゃるとおりの問題があるんですが、十分な耐火性があるか、あるいは基本的な住宅機能をちゃんと持っているかといったことを基準にしなければならないと思っております。

岡田(康)委員 最後にという単語を使いましたので、まさかもう終わるんじゃないかとちょっとざわつかれてしまいましたけれども、法案に関する質疑は最後だったわけでして、もう少し、その他でちょっと手元に準備もしてあるんです。

 質問を考案するときにいろいろお話をしていた方とも話していたんですが、こういった税制の減免措置、優遇措置を通じて、どれくらい利用をしていただける、活用していただける、できれば数字で、これは非常に難しいと思うんですけれども、どれくらいを想定されているか。

 このことについては、実は、春の第一弾のときも、たまたま時間をいただいて質問をさせていただいて、阪神大震災でもいろいろな税の減免措置をされたわけですけれども、なかなか統計的に、どれがどれくらい使われたかというのは分析できていないんだ、データとしてそういうふうになっていないんだというふうに聞いてはおります。

 しかしながら、こういった第一弾ないし第二弾の復興特区物以外にも、車のものとか住宅ローンのものとか、いろいろなものがあると思うんですが、そういうもので、大体、規模感的にどれくらいの減税効果と言っていいんでしょうか、があるというふうにイメージされていますでしょうか。

五十嵐副大臣 効果というのはなかなか難しいんですが、減収額という意味でお話をすれば、第一弾では、二十三年度に約一千億というお話がありました。第二弾による減収額は、大体六百億円程度になるのではないかと今のところ予測をしております。

岡田(康)委員 今ありました数字からしますと、単純に合わせて一千六百億という金額になるわけですね。

 そういうときに、思うんですけれども、第三次補正予算の復興債に対して、必ずしも被災地向けでない歳出が含まれていることが非常に気になっております。といいますのも、復興債も国債は国債ですけれども、特別にひもつきの臨時増税がひっついていって、そして、償還期間も六十年じゃなく、短くなるわけですから、そういう意味では、やはり復興債というものについては、その使い道が復興に資するものに限定的になるべきだと思っているわけですね。

 先ほど伺ったような千六百億という数字も、実際に利用されてからじゃないと金額は確定しないんですが、むしろ、経済対策みたいな全国的なものに復興債を充てるよりは、例えば、こういう見込みの減収部分であったり、また、当初、予算を編成するときにこれぐらいの税収がことしはあるだろうと思っていたものが、震災もあって幾ばくか減収になってしまうというふうなところをもって復興債に少し枠をとらせていただくとか、そういう整理をきちっとしていただいた方がいいんじゃないかと思うんです。

 といいますのは、この先、除染等々も出てきて、さらに被災地向けの予算が必要になってきたときに、また復興債を出したいとかということもひょっとしたらあるかもしれないと思っていて、そういうこともある中で、第一次、第二次、この二つに関しては復興債を使わずに復旧予算を組んでいますから、この第三次までの段階で、決して復興債が復興以外のことに充てられている状況ではまだないと思っているんですけれども、そうであるならば、なおさら堂々と、復興債は復興のための歳出でおさまっているんですということはちゃんと整理をしていただいた方がいいんじゃないかと思うんですけれども、そのあたり、いかがでしょうか。

安住国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 今回は、被災地域の復興に向けて間接的に資金が使われるものも計上されておりますけれども、日本経済の再生なくして被災地の真の復興はないというふうな考えに基づいて予算編成をさせていただきました。

 来年から、特別会計を三党で合意しましたので、今の岡田委員のような御指摘を踏まえて、これはやはりこれからも、真に復興に役立つものを中心に使っていくということをきちっと会計上も担保してやっていかなければならないというふうに思っております。

岡田(康)委員 少し早いんですけれども、以上で終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

海江田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

海江田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

海江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十三分散会


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