衆議院

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第5号 平成24年3月6日(火曜日)

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平成二十四年三月六日(火曜日)

    午後三時十五分開議

 出席委員

   委員長 海江田万里君

   理事 網屋 信介君 理事 泉  健太君

   理事 糸川 正晃君 理事 岡田 康裕君

   理事 岸本 周平君 理事 竹下  亘君

   理事 山口 俊一君 理事 竹内  譲君

      五十嵐文彦君    井戸まさえ君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      緒方林太郎君    大串 博志君

      大山 昌宏君    柿沼 正明君

      川村秀三郎君    木内 孝胤君

      楠田 大蔵君    近藤 和也君

      菅川  洋君    鈴木 克昌君

      中塚 一宏君    中林美恵子君

      浜本  宏君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    古本伸一郎君

      三谷 光男君    三村 和也君

      宮崎 岳志君    森本 和義君

      山尾志桜里君    伊東 良孝君

      齋藤  健君    丹羽 秀樹君

      西村 康稔君    野田  毅君

      三ッ矢憲生君    村田 吉隆君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

      豊田潤多郎君    田中 康夫君

    …………………………………

   財務大臣         安住  淳君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   防衛大臣政務官      神風 英男君

   政府参考人

   (内閣官房社会保障改革担当室長)         中村 秀一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官)    伊奈川秀和君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    古谷 一之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           蒲原 基道君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       豊永 厚志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 関 荘一郎君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     浜本  宏君

  小山 展弘君     宮崎 岳志君

  鈴木 克昌君     大山 昌宏君

  平岡 秀夫君     井戸まさえ君

  森本 和義君     山尾志桜里君

  山本 幸三君     伊東 良孝君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     平岡 秀夫君

  大山 昌宏君     鈴木 克昌君

  浜本  宏君     柿沼 正明君

  宮崎 岳志君     川村秀三郎君

  山尾志桜里君     森本 和義君

  伊東 良孝君     山本 幸三君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     大串 博志君

  川村秀三郎君     小山 展弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第二号)

 特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

海江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房社会保障改革担当室長中村秀一君、内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官伊奈川秀和君、財務省主税局長古谷一之君、厚生労働省大臣官房審議官蒲原基道君、経済産業省大臣官房商務流通審議官豊永厚志君、環境省大臣官房審議官関荘一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古本伸一郎君。

古本委員 古本伸一郎でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。また、野党の各理事におかれましては、自由民主党の山口筆頭を先頭に、公明党、共産党の皆様、きづなの皆様も含めまして、各会派の皆様には、法案の審議に真摯に御対応いただいておりますことに、改めて感謝を申し上げる次第でございます。

 思えば、昨年の復興のための増税を与党税調としても決めさせていただいたプロセスから、とりわけ自由民主党税調、公明党税調の皆様には、各般にわたり御指導賜っておりますことに改めて感謝を申し上げますと同時に、何としても、この議題となっております二十四年度改正につきましても、いろいろな御意見をいただきながら、充実した審議が続行されておりますので、また委員長の御指導のもとに議論がさらに前に進んでいくことを、政策の担当として、当時この議論を党内でいろいろな御意見の方々がいらっしゃる中で取りまとめてきた経緯をかみしめながら、感謝を申し上げつつ、御質問に入らせていただきたいと存じます。

 まず、個人所得課税でございます。

 率直に申し上げ、自民党税調の皆様におかれましては、いわゆる諸控除を廃止していくという手前どもの考え方については、哲学観といいますか、家族観といった観点からいろいろな御意見をいただいていることは重々承知してございます。

 他方、所得の再分配機能を高めていくという大変大きな目的を私ども民主党としては掲げてございまして、その意味では、率直に申し上げ、より所得が高い方ほどその効果が及ぶとされています控除税制よりも、いわゆる手当に置きかえていった方がいいんじゃないかということで、控除から手当へという議論をこれまで公約に掲げ、進めてまいったわけでございます。

 その中の代表が、いわゆる配偶者控除、それから年少扶養控除等々の議論があったわけでありますが、既に御案内のとおり、年少扶養控除は、所得税並びに住民税、既に廃止を決め、既に負担増を国民の皆様にお願いしているわけであります。

 他方で、子育てをなさっておられる、つまり十五歳以下のお子さんを持っておられる世帯におかれては、その分がいわゆる手当として給付をされておりますので、いろいろ所得階層ごとに調べれば、若干の悲喜こもごもの部分もありますけれども、相対的に所得の再分配機能が前に進んでいる、このように評価しております。

 この際確認をしたいと思いますが、大体平均すれば、あるいは、どの所得階層、具体例を引いていただいても結構でありますので、いわゆるある所得階層で、年少扶養控除、国税、地方税合わせ、縮減、廃止に伴ってどのくらいの負担増になっているのか、まずはお尋ねしたいと存じます。

古谷政府参考人 お答え申し上げます。

 控除から手当へという考え方に基づきまして、平成二十二年度の税制改正におきまして、所得税と個人住民税の年少扶養控除が廃止されております。これによる負担増は、世帯構成ですとか給与収入の大きさにもよりますけれども、例えば、中学生を一人扶養しておられまして最高税率が適用される片働きの世帯、給与収入で申しますと二千四百万円以上の世帯でございますけれども、子ども手当によりまして年間十二万円の受益があります一方で、所得税と個人住民税を合わせまして十八万五千円の税負担増ということで、この所得階層におきましては差し引き六万五千円ほどのネット負担増となっております。

古本委員 今答弁いただいたとおり、既にこの年少扶養控除については、廃止に伴いまして国民の皆様に御負担をお願いしている。

 あわせて、今般の税制改正で議論になっております一つに、給与所得控除の上限設定の問題がございます。

 これは千五百万で線を引くわけでありますけれども、つまり、千五百万以上ということになりますと給与所得控除がそこで頭打ちという新たな税制をしくわけでありますが、これは、その政策の目指した目的を少し御紹介いただくと同時に、先ほどの具体のモデルでも結構でありますが、平均すれば大体どのくらいの負担増になるのか、お示しいただきたいと思います。

古谷政府参考人 お答え申し上げます。

 給与所得控除につきましては、給与収入の上昇に伴いまして、これまでは、給与所得者の控除も、それと比例的に控除の規模もふえていくという形で制度設計をしておりましたけれども、これまで累次の税調答申におきましても、給与所得者のいわゆる必要経費というものが給与収入の上昇に応じて必ずしも比例的にふえていかないといった面も踏まえまして、課税の適正化の観点から、上限を設けてはどうかという議論がございました。

 そうした議論を踏まえまして御議論いただきまして、給与収入が一千五百万円以上の方については、青天井ではなくて、控除の上限を設けさせていただくということで、結果、二百四十五万円が給与所得控除の上限となりました。

 この結果、例えば、二千万円の給与収入の方ですと十万九千円、三千万円の方ですと三十八万一千円等々の負担増が生じるということになることになってございます。

古本委員 これは、給与所得のある方、いわゆるサラリーマンの方に限らず、個人事業主あるいは所得を得ておられる方全てなんだと思いますけれども、一定の政策効果があると思います。要するに、青天井で給与所得控除ができるんだという概念に少し線を引いたということで、大変意味があると思います。

 一方で、いわゆるサラリーマンの皆様が、朝起きて仕事に出ていくわけですけれども、通勤費を初め、スーツの場合はスーツに着がえて出ていく、当然いろいろな費用が発生するわけであります。

 この際、確認をしておきたいんですけれども、政府税調でも大変議論いただきました、これを受け党税調でも大変な議論の経過があり、これは大変朗報であるというふうに評価しておりますけれども、いわゆる特定支出控除の拡充というものがこのたび盛り込まれておるというふうに承知しています。

 これは、一口で言えば、経費という概念で、いわゆる領収書で処理することができない分を給与所得控除で概算控除しているんだというこれまでの整理だったんですけれども、そこに少しの線を引き、天井を設けるということとあわせ、特定支出控除の範囲の拡大というのは大変有益であるというふうに思っておりまして、この政策の狙い並びに、いわゆる一般的サラリーマンの皆様に対しての朗報ぶりを、どのように朗報かというのを少し紹介していただきたいと思います。

古谷政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、サラリーマンにつきましては、給与所得控除のほかに、いわゆる実額費用を控除いたします特定支出控除というものがございましたけれども、対象範囲が狭かったことと、給与所得控除の額が大きかったものですから、それを超える実額部分を控除するということで、控除の対象が非常に狭かったということがございまして、今回の改正におきましては、給与所得者の実額控除の機会を拡大するということで、二つのことを行おうといたしております。

 一つは、特定支出控除の対象の範囲を広げるということで、これまでの資格取得費の範囲を広げる。具体的には、これまでは弁護士、公認会計士、税理士といった特定の資格者に限って、特定の業務を営むことができるといったような資格につきましては、実額控除の対象から外しておりましたが、最近は弁護士の資格を持って企業で働いておられる方もふえております。そういった勤務形態の変化を踏まえまして、こうした資格取得費についても対象範囲に入れますとともに、職務上必要となります図書費あるいは衣服費、交際費といったものも、一定の限度のもとにはございますが、対象に拡大をするという点が一つでございます。

 もう一つは、給与所得控除の全額と背比べをしまして、それを超える分だけ実額控除するという仕組みでございましたものを、給与所得控除を、いわば勤務費用の概算控除と他の所得との負担調整の控除という二つの性格に大きく二分の一ずつ分けまして、勤務費用の概算控除部分、すなわち給与所得控除の二分の一と背比べをすればいいという仕組みに変えまして、実額控除がしやすくなるといったような改正をさせていただこうというふうに思っております。

古本委員 要は、サラリーマンというのは、基本的にいわゆる所得防衛というんでしょうか、経費で何か処理をしていくということが給与所得控除で概算でということでこれまで行われてまいりましたが、このたびの改正に伴って、少し上限を設けるということとあわせて、特定支出控除の使い勝手をよくしていただくということは、本当に、世の大勢のいわゆる勤労所得のサラリーマンの皆様からすれば、今言われたような幾つかの例、例えば交際費のような概念も含めて、経費として処理ができるようになるということも織り込んでおりますので、所得税制の一つの目玉にこれはなっているものだと大変高く評価をしたいというふうに思います。

 今、年少扶養控除の話と給与所得控除の上限の話を申し上げてまいりましたが、実はこの議論をしているさなかに、並行して、昨年の三月十一日の大震災があったわけでございます。

 そのための所要の財源をどうするのかという大変な議論が連日行われたわけでありますが、思えば、発災直後、自由民主党の谷垣総裁が官邸を防災服姿で訪ねられ、その財源論に踏み込み、ある意味での復興増税、たしかあの際は消費税を示唆されたやに記憶をしてございますけれども、ある意味で先見すぐるる、何らかの手を打たなきゃならないということでの御提言が当時の菅総理にあったんだというふうに記憶してございます。

 その後、曲折があり、復興のための国民の皆様への負担増をお願いしなきゃならないという議論の中で、法人税、そして所得税、当時はたばこ税という選択肢も加え、議論があったわけでありますけれども、最終的には、自民党、公明党の皆様を初め野党の皆様とも御相談をさせていただく中で、たばこ税については負担を求めないということで、法人、それと個人所得ということで整理をした経緯がございます。

 この際、確認しておきたいと思うんですが、先ほど来いただいているモデルで結構でございますので、いわゆる復興のための個人所得課税で御負担をお願いする分につきまして、大体どのくらいの負担増になるのか、お示しをいただきたいと思います。

古谷政府参考人 復興特別所得税につきましては、現在納めていただいております所得税額の二・一%を特別税として付加させていただくという制度になっております。

 この結果、先ほどの収入階級で申し上げますと、二千万円の給与収入の方ですと復興特別所得税が六万七千円、三千万円の方ですと十四万二千円、四千万円の方ですと二十二万二千円等の負担増をお願いすることとなってございます。

古本委員 そういたしますと、若干モデルで示していただいた、いわゆる所得階層が二千万前後の例をそれぞれの税目ごとにお示しいただいたんですが、ざっくり平均しますと、いわゆる額面で二千万前後という方であると、合計しますと大体三、四十万の負担増になるんじゃないかというふうに、ざっくり言うと感覚を覚えます。

 こういう状況の中で、このたびさらに、抜本改革の方に議論の場を委ねてはおりますけれども、最高税率の引き上げという議論も政府税調で大変な御議論をいただいたわけでございます。

 実は、党税調でもこの件は連日議論をさせていただきましたが、今、いわゆるブラケットが最高で四〇%になっております。いろいろありますけれども、実は、二千万前後、例えば千八百万とか、そのぐらいから最高税率を上げていったらどうかというオプションもあったやに承知しておりますけれども、大体、二千万円の所得階層でいくと、実は既にもうそのくらいの負担をお願いしている、既に負担が始まっているという状況の中で、さらに最高税率が引き上がればということを、実は与党の税調の中では連日大変議論をさせていただいたわけでございます。

 そういう中で、いわば日本におけるバフェットさんのような人は一体どのくらいなのか、あるいはノーブレスオブリージュと言った方がいいのかもしれませんが、いろいろな意味で富める人はそれなりに負担をしていただきたいというときに大体幾らなのかという議論の中で、実は議論の経過を、少し二四改正とは外れますが、御紹介させていただきました。

 結果、五千万くらいじゃないかという感覚です。まさに、何とか頑張って稼いで、これは企業に勤めておられる方も、あるいは法人成りをされて、オーナーとして自分で給料を受けておられる方、いろいろな形態があろうかと思いますけれども、大体二千万円くらいの人が富裕層であり、その人たちの最高税率を上げていこうという議論よりも、象徴的な所得階層ということで五千万という議論をした経緯がございますので、恐らく、今後抜本の議論に移っていった際には、またそういった議論も含めて進めていければと思います。

 ちなみに、最高税率が五%上がるという原案が今後立法の手続に入っていくやに承知してございますので、その際には、また我々立法府においても真摯に議論をしてまいりたいと思います。

 続いて、所得税ばかりというわけにはいきませんが、最後に少し提案ぎみに申し上げますと、実は、子ども手当にしても、いろいろな政策を打ってきた背景には、やはり少子高齢化を何とかしなければならないという大変大きな課題を、これは与野党問わず共有をしているわけであります。

 その意味では、実は、税制において、少子高齢社会にあって、頑張って子供を生み育てておられる方々を何とか応援していくことができないだろうかということを考えますと、かつては年少扶養控除がもちろんあったわけですが、それは子ども手当に変わりました。これは所得の再分配機能を高めるためであります。

 一方で、所得税の本来の目的を考えますと、担税力に応じた負担を求めていくという目的と同時に、税は社会をつくる力がございますので、家族観とか家族の構成、価値観、そういったことまで税で立ち入ることはなかなか難しいとは思いますが、少なくとも、大変苦労しながら子育てをなさっておられる御家庭、一人より二人、二人より三人の方がお金がかかるのは間違いありませんので、そういった面で応援するという意味で、例えば何か今後の議論ということで申し上げれば、諸外国にあるようなN分のN乗方式など、考え方を進めていく上での可能性は含んでおると思っておりまして、今の段階で何か方向感のようなものがもしあるならば、お聞かせいただきたいと思います。

古谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今、N分N乗方式という御提案を頂戴いたしました。

 先般閣議決定をされました社会保障・税一体改革大綱におきましても、主として配偶者控除をめぐる議論との関連で、今後、課税単位の議論ですとか、夫婦や家族のあり方といった社会経済状況の変化といったことを踏まえながら検討していくということになっております。

 具体的に御提案いただきましたそのN分N乗方式というのは、課税単位の問題として議論していくことになろうかと思いますけれども、この課税単位の問題につきましては、夫婦のあり方とか夫婦間の財産制度の問題、あるいは家族の構成員の就労に対する中立性の確保の問題等々、多岐にわたる課題の中で議論していくことが必要であろうかと思います。

 フランスで、具体的にいわゆる家族単位のN分N乗方式という課税が行われているわけですけれども、フランスは夫婦間の財産の共有制度というのを前提としまして、世帯単位で担税力を把握する形でこのN分N乗方式が導入をされているわけでございます。

 このN分N乗方式、我が国の場合には夫婦別産制でございます。それから、N分N乗という計算の仕方になりますので、どちらかというと片働きの、累進制度のもとでは、高額の所得者に有利になるといったような面もございますので、そういった点も含めて、今後幅広い観点から議論を要する御提案だというふうに受けとめております。

古本委員 党税調で必ずしもその議論に踏み込んでいるわけではないんですが、実は、いわゆる子どもに対する手当、大変失礼しました、子ども手当という言い方をしましたが、訂正します。いわゆる子どもに対する手当に所得制限が入ることになります。

 そうしますと、例えば、最終的な数字はちょっと今承知しておりませんが、言われております、仮に九百万ということで、ちょっと正しい数字じゃないと思いますが、所得制限が入った場合には、いわゆる主たる生計者が例えば八百九十万、奥さんが八百八十万稼いでおられたとしたならば、実は子ども手当はもらえます。二人合わせて一千数百万があるのにもらえますという問題が、これはもういろいろなところから御指摘があるわけなんですね。

 したがって、日本は、といっても、二人に一人、二世帯に一世帯が依然、専業主婦世帯が多うございます。ですから、いきなりフランスのようにというわけにいかないのはよくわかりますけれども、他方で、専業主婦の家事労働をどう評価するのかという問題も一方であります。

 今、主税局長からは配偶者控除の話が出ましたけれども、配偶者控除の廃止は先般のお約束で公約に掲げましたけれども、一方で、住民税の年少控除を廃止した、実はそちらの問題がございまして、家計においては、お財布を預かるそれぞれの奥様からすれば、これは年少控除が廃止になろうが配偶者控除が廃止になろうが可処分所得の減という意味では同じでありますので、そこにさらに配偶者控除の廃止というのは、なかなか立ち至れなかった経緯がございます。

 その際に、大変、公的年金控除、老年者控除の復活をお約束したじゃないかというお叱りもいただきましたけれども、あれは改めて議論を整理する必要があると思いますけれども、いわゆるおばあちゃまで子育てを終えたという方々が、子ども手当をもらえるわけではないのに配偶者控除が廃止になると、いわゆる控除の廃止損みたいな、何もないという話になってしまうというときに、実は公的年金控除の復活の話等々がいわばパッケージで議論されていた経緯がございまして、そういったことも含めて、総合的に配偶者控除の問題は引き続き議論をしていくというのが非常に肝要かと存じております。

 改めて所得税制について整理をさせていただきました。

 続いて、法人税でありますけれども、研究開発費のいわゆるRアンドDコストが、いろいろ各業界において大変負担になるわけでありますけれども、租税特別措置の中の二十四年度改正の中で一つの目玉でありますのが、いわゆるこの税額控除制度をさらに二年間延長していくという大変大きな判断をしてございます。

 いろいろな御意見がありましたけれども、党税調の中でも、日本の物づくりあるいは研究開発は生命線であるという問題意識からこのたびの租特の改正に至ったというふうに思いますけれども、いわゆるこのRアンドD減税を初めとする成長セクター、あるいは日本のそういったなりわいの部分に対する租特の狙い、さらにはそれにおける効果のようなものについて、少しお示しをいただきたいと思います。

古谷政府参考人 お答え申し上げます。

 二十四年度の税制改正では、新成長戦略に資する税制措置を講じるということを一つの目玉として取り組ませていただいております。具体的には、御指摘がございました研究開発税制、いわゆる増加型と高水準型というものの期限の延長をいたします。

 それに加えまして、いわゆるグリーン税制、環境関連投資促進税制におきましても、太陽光エネルギーですとか風力発電設備といった設備の取得について初年度一〇〇%の即時償却、それから中小企業投資促進税制につきましても対象の拡充を行った上で延長するということで、幾つかの政策税制措置につきまして拡充、延長を図っておりまして、これによりまして、成長戦略に何がしか資する効果は期待できるものというふうに考えております。

古本委員 いわゆる租税特別措置の中には、まさにこの政策減税を行って、ある政策効果を上げようということで行っているわけです。これは一般に租税歳出と呼ばれ、欧米ではこれは歳出として項目が立つわけですね。それに比べて我が国の場合は、残念ながら、これまでの税制においては、どういった政策目的で、どういったセクターに対しどの程度の規模で政策減税を行い、そして結果どのくらいの効果があったかということが体系立てて評価がなかなかなされてこなかったという少し歴史的な経緯を整理してございます。

 その意味では、過般、いわゆる租特透明化法案が既に租特透明化法として成立しておるわけでございますけれども、このもとでの会計年度がいよいよ来年度から適用会計になろうかと承知しておりますけれども、ということは、つまりは、再来年度の税制改正、租特の議論をする際から、この租特の適用効果というものを体系立って分析、評価できる時代にいよいよ入ってくるというふうに承知してございますけれども、今、それに向けた現状の準備状況あるいは期待効果などなど、政府の御所見を求めます。

古谷政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる租特透明化法に基づきまして、法人税関係の減収効果のある特別措置につきましては、適用実態調査を実施することといたしております。この適用実態調査の最初の調査対象となります適用額明細書の提出期限は、本年七月末ということになっております。

 導入初年度でございますので、今後、集計等の作業にどれくらい期間が必要か、これからの作業でございますので、具体的なスケジュールを現時点で申し上げることはなかなか困難ではございますけれども、できれば、平成二十五年度の税制改正以降、こうした集計結果を活用して租特の見直しに取り組んでいきたいというふうに考えております。

古本委員 ぜひ、租特透明化法に基づいて、租税歳出の有効性、妥当性のあるものを今後このハウスでもしっかり議論してまいりたい、このように思います。

 その一方で、例えばナフサは、党税調でも大変な議論になりまして、このたび、いわゆる石石の部分に関して、当面の間税率ということで、大変前進を図ることができまして、政府としても御英断をいただいたということでございます。

 つまり、本当に必要な租特であればできるだけ恒久化していく、そして、役割を終えた租特については縮減、廃止していくというめり張りのついた租特を実現していくためにも、この透明化法の活用をぜひしてまいりたい、このように思います。租税特別措置を使って特定の国民の皆様の暮らしの分野あるいは産業の分野を徹底的に応援していくということは機敏に対応すべきでありまして、一方で、役割を終えたらそれは縮減、廃止していくという当たり前のことがきちんと租税歳出としても行えるようにしてまいりたい、このように思うわけであります。

 続いて、資産課税について少しお尋ねしたいと思いますが、このたびは、いわゆる住宅取得に関しましての贈与税の非課税措置の拡充ということで、民主党政権が誕生した当時の鳩山さんのときから、大変思い切ってやってきた分野だと思います。

 今、若年層は、生活、日々の暮らしはもちろんでありますけれども、いわゆるサラリーマン一生に家一軒と言われる中で、もう家はおろか、本当に液晶テレビも買えません、耐久消費財なんてとても手が出ませんといういわゆる所得が不安定な皆様にしてみれば、本当に大変な暮らしをしています。他方で、シニアの皆様には、率直に言って、最終的な平均貯蓄額などを見ても、比較的若年層よりは資産性所得を持っておられるという前提に立ちますと、できるだけシニアの皆様から若年層への資産移転を税制によって行うという大変意味のある、パッケージの議論だったというふうに思ってございます。

 そういう意味で、住宅のいわゆる贈与の枠を拡大するということについての政策効果、さらにはその政策目的について、御所見を求めます。

古谷政府参考人 お答えいたします。

 住宅取得等資金に係る贈与税につきまして、今お話がございましたように、今回の二十四年度税制改正におきまして、若年世代への早期の資産移転が引き続き重要な課題であること、それから、裾野の広い住宅需要を刺激することはデフレ脱却に向けた内需拡大にも資するということで、省エネルギー性や耐震性を備えた住宅を取得される場合につきまして、現行一千万円の非課税限度額を一千五百万円に引き上げるなどをした上で、適用期限を三年間延長することといたしております。

 これによりまして、こうした措置の政策目的が十全に発揮されますことを期待しておるところでございます。

古本委員 贈与の枠を拡大していくという一方で、相続税の少し御負担の増をお願いしなきゃならないということで、いわゆるバブル期の評価額を考えますと、今は大体二分の一以下、場合によっては三分の一以下に地価が下がっているわけでありまして、この相続税の課税ベースの拡大ということも議論の大きな課題として、来る抜本改革の中に織り込んでいると承知してございますので、まさに若年層への資産移転を進めると同時に、いわゆる日本におけるそういうノーブレスオブリージュ的な考え方をこの資産税に求めていきたいというふうに思っています。

 とりわけ、そういう意味での相続税のありようということの議論が来る抜本の際には控えている、このように承知してございますので、我々ハウスとしても真摯に議論に参加してまいりたい、このように思います。

 それでは、残された五分の時間で、こういった税務を進めていく上で、今、消費税の議論が大変議論になっておりますけれども、多くの国民の皆様が、これは老若男女全ての皆様に御負担をいただく税であるがゆえに、もっともっと本当は持っている人がいるんじゃないか、それを黙っている人がいるんじゃないかというのは、国民の皆様というか、庶民ならば誰しもが思うことであります。

 そういう意味では、執行の現場を日々担っていただいている国税の皆様がさらに頑張っていただかなければ、これはるる申し上げてきました、国民の皆様に御負担をお願いする上でも、本当は持っているんじゃないですかという人を、さらに国税の執行現場が御奮闘いただく中で、適正な課税に努めていただきたい、このように期待を申し上げる次第でございます。

 その意味で、残念ながら、ここ十年、あるいは二十年、三十年という定点で観測してまいりますと、これは案件がふえております。個人も法人もともに案件数がふえておりますので、いわゆる実調率、実際に調査をかける率というのが本当に低下の一途をたどっております。

 そういう中で、現在、公務員の定員削減の問題も、いわゆる総人件費の問題も話題となっておりますけれども、国税の皆様も、もちろん例外なき、聖域なき議論の対象になるんだろうということはわかりつつも、やはり国税の前線に立つ執行現場という意味においては、何よりもお金を稼いできてくれる人らですから、そういう意味では、財務大臣におかれては、査定側の責任者であるお立場は重々承知の上で、国税職員の予算定員確保に向けまして格段の御配慮をいただきますようお願いを申し上げます。一言いただきたいと思います。

安住国務大臣 今、議論を聞いていまして、万般にわたり、党の中で税調の事務局長として御尽力いただいていることに感謝を申し上げます。

 やはり消費税の問題だけピックアップして議論になりますけれども、今御指摘のあったような、高齢化社会の中で、さまざまな給付のあり方、控除制度の見直し、それから所得税のあり方等々、万般にわたって議論をしていかないといけないと思いますので、今後ともお力をおかしいただきますようお願い申し上げます。

 税務職員のことについては、本当に温かい御配慮をいただいて、ありがとうございます。五万六千人前後でずっとこの十数年間推移をしてまいりまして、確かに、その中で抱える案件、額は大きくなっております。そういう点では、質、量ともにもうちょっと、できれば私としては充実させたいと思っておりますが、目下の状況でございますので、厳しい、特に副総理は大変厳しゅうございますので大変困っておりますけれども、しかし、引き続き必要性についてはお訴えをしていきたいと思っておりますので、どうぞお力をおかしいただきますようお願い申し上げます。

古本委員 念のため確認しますが、その必要性は重々評価していただける、こういうことでよろしいでしょうか。

安住国務大臣 税務職員の充実については、私が言うのも変ですけれども、自衛隊の皆さんと同様に国民の皆さんから高い信頼を得ていると思いますので、そういう意味では、ぜひ大事に守っていきたい組織ではないかと国民の皆さんは思っていらっしゃるのではないかと思っています。

古本委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

海江田委員長 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健でございます。

 きょうは、財務金融委員会の質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 いつも申し上げていることでありますが、正論の直球の質問しかしませんので、お答えの方も簡潔に、直球でお願いできたらと思います。

 本日議題となっております公債特例法案につきましては、来年度の予算と直結をしているお話ということでありまして、二月二十四日に我が党も、「わが党の政策ビジョンと平成二十四年度予算」という提案をさせていただいておりまして、この提案に対する政府・与党のお返事がないとなかなか判断のしようがないということでありまして、一刻も早いお返事をいただくということをお願い申し上げまして、質疑に入りたいと思います。

 きょうは、大きく三つの分野について質問をしたいと思うんですが、最初に、いわゆる放射性物質汚染対処特別措置法の関係について質問させていただきたいと思います。

 本来、個別法の運用についてこの委員会で御質問するのはやや違うかなとも思いますし、やりたくもないんですが、また、環境省の高山政務官は、私が埼玉県奉職中から旧知の方でもあるので余りやりたくないんですが、現在の環境省の対応が余りにひどいものでありますから、目に余るものでありますから、そしてさらに、財政のあり方あるいは政治のあり方、政治哲学のあり方にも関係してくる大きな問題だと私は思っておりますので、まずこの問題を取り上げさせていただきたいと思います。

 まず、高山政務官に確認なんですけれども、現在問題となっておりますのは、いわゆる千葉県の東葛地域というところで、周辺に比べて放射線量が少し高いという事態が三月の事故以降、継続をいたしております。この点について、今回のこのホットスポットと言われる放射線の問題がなぜ起こってきたかといいますと、当たり前の話ですけれども、福島第一原発の事故によって起こってきたわけであります。

 この点について、一体この事態の責任はどこにあるのかということについて、私は、実は去年の七月の十五日に環境委員会の方で、当時の江田環境大臣に対して、こういう事態、つまり、事故による放射性物質によって地域が汚染されてしまったということの責任は市町村にありますかという質問をいたしまして、江田国務大臣は、もちろん市町村にはございませんと。つまり、国なり電力会社の責任であって、市町村には一切責任がないという御答弁をいただいております。

 この点について、確認ですけれども、高山政務官の認識をお聞かせ願いたいと思います。

高山大臣政務官 齋藤委員からの御質問、ありがとうございます。

 この点でございますけれども、委員御承知のとおり、これは昨年まで、この飛び散ってしまいました放射能がどういう処分をされるか、あるいは誰の責任か、これは法律上、全くこれだけ原子力を利用していながら今まで決めていなかったというのが現実でした。

 これは議員立法で、昨年の八月二十六日に特措法という形で制定をしていただきました。その際に、今回のこの事故を起こしました一番の責任であります東京電力が一義的には責任を負う、そしてさらに、原子力行政を推進してきたという立場から国が責任を負うということを法律上も明記をさせていただいております。

齋藤(健)委員 私の質問は、自然災害の場合は、国にも都道府県にも市町村にも責任があると思いますが、事原発の事故によって汚染されてしまった、この事態に対する責任が市町村にありますかという質問なんです。

高山大臣政務官 こちらの責任は、一義的には東京電力そして国の責任ということで、市町村に対しましては、いろいろと御協力はお願いをしておりますけれども、直接の責任という意味では、ございません。

齋藤(健)委員 それでは次に進みますが、この特措法は、今、高山政務官からもお話ありましたが、議員立法でできた法律であります。

 原子力発電所の中の放射性物質の管理というのは、炉規制法に基づきまして、それぞれ、原子力発電所の場合は経済産業省が規制をするという法律がありました。また、放射性物質は、原発だけではなくて、例えば病院などでも使われております。これは厚生労働省がきちんと法律で対応するということになっていますし、また、研究所なんかにもありますし、大学にもありますので、こういうのは文部科学省が。

 ところが、一般の道とか庭とか校庭とかに放射性物質が出てしまった場合の責任省庁も決まっておりませんでした。もちろん、規制も決まっておりませんでした。ですから、これは想定外の出来事だったということに尽きるわけでありますが、この点については自民党政権に大いに責任があると思っておりますので、その責任を感じながら少しでもいい対応をしようというのがこの議員立法の原点であります。そして、我が党が中心になって、とにかく環境省にお願いしようということで、環境省がやるということになり、さらには規制体系が、この法律に基づいて、ようやく去年の八月に法律ができ上がったということであります。

 ところが、こういう重い経緯のある法律でありますが、実際の運用を見てみますと、かなり大きな問題があると私は思います。

 幾つか具体的に指摘をしていきたいと思いますが、まず第一に、測定の方法というものを環境省が決めております。そして、その測定の方法ではかり、基準も決まっていて、それに合致するものは国がお金を出しますという仕組みになっております。

 その基準の決め方で、例えば校庭で除染をする場合に、高さ五十センチあるいは一メートルではかって〇・二三マイクロシーベルト・パー・アワーを超えれば、その除染費用は国が出すということにしておりますが、実際に幼稚園とかあるいは小学校で除染をする場合に、お父さん、お母さん、御父兄の方々の安心を確保するためには、五十センチ、一メートルでは無理なんですね。そして、自治体によっては、五センチではからなければ納得が得られないということになっているわけであります。子供の身長のこともあります、姿勢を低くして遊ぶことも多いわけでありますので。

 五センチではだめで、五十センチではかって〇・二三を超えなければだめだというのが今の規制なんですけれども、なぜ五センチではだめなんでしょうか。

高山大臣政務官 これは、はかり方に関してはいろいろな御議論があったところですが、やはりバックグラウンドの影響等を考えますと、一番面的に平均的にきちんとはかれるのがこの五十、一メーターということで基準は決めさせていただきました。

齋藤(健)委員 五センチにしないと、なかなかお父さん、お母さんたちが納得してもらえないんです。

 その原因の一つは、当初、放射線について、どのくらい危険なのか、何なら安全なのかというリスクコミュニケーションを、政府が初期の段階で失敗をしているわけです。それで皆さんが不安になって、そして、安心を保つためには五センチじゃなければならないというのがかなり浸透をしているわけであります。

 それについて、なぜ五センチではだめなのかということをもう一回お願いします。審議官からでも結構です。

関政府参考人 私ども、特措法の施行に当たりまして、専門家の委員会をつくりまして御検討いただきまして、先ほど政務官が御答弁させていただきましたように、地域の平均的な汚染レベルを把握するということで、大人で一メートル、子供で五十センチが適当であるということになったものでございます。

齋藤(健)委員 それは、例えば五センチではかって超えていて、五十センチ、一メートルではかったら超えていないという場合については、安全だという判断なんですか。

関政府参考人 お尋ねの件は、法律に基づきまして汚染調査の地域指定を行うときに、一時間当たりでございますけれども、平均的に〇・二三マイクロシーベルトに該当するかどうかという判定でございますけれども、一つには、専門家の議論の中で、地面に近いところではかりますと特殊なミクロの汚染レベルをはかってしまうおそれがあるということで、地域全体をはかるにおいては一定程度の高さで全体の平均を見るのが適当である、こうなったものでございます。

齋藤(健)委員 私が申し上げているのは、地域指定の話ではなくて、この学校のこの校庭の除染が対象になるかならないかというときの基準でありますので、もう一回お願いします。

関政府参考人 法律上、汚染重点調査地域に指定されまして、除染計画の中で位置づけられましたところにおきましては、その地域というのは平均的に〇・二三を超えているということでありますので、国の支援の対象、除染の対象となります。

齋藤(健)委員 ちょっと同じ質問の繰り返しなので、場合によっては政務官にお願いしたいと思うんですが、私が申し上げているのは、校庭の除染が対象になるのかならないのかということについては、その校庭ではかって、一メートルで〇・二三という基準になっているんですよ、御案内のように。そして、それが〇・二三より低ければ一切補助はしないと言われているわけです。ところが、五センチではかって〇・二三を上回っていればやらざるを得ないんですよ、皆さんとの関係で。

 ですから、どうして五センチではかるということにしないで、五十センチ、一メートルじゃなきゃだめなのかということの理屈を一言教えてもらえればいいんですけれども。

高山大臣政務官 今、齋藤委員から御指摘のように、やはり放射線の危険性というのは否定できません。ですので、より慎重にということはもう当然のことだと思います。

 ただ、今の五十センチ、一メーター、また五センチということに関しましては、実際、本当に五センチのところではかっても、やはりでこぼこもいろいろありますし、放射線というのは飛んでくるその線に当たらないということが安全性の確保につながるわけで、そこで、この一メーター、五十センチというところで平均的にはからせていただく。

 そして、今のお話ですけれども、校庭で、確かに一カ所はかればそういうところがあるかもしれませんけれども、やはり平均的にはかって、危険なところを除染していこう、こういう趣旨ですので、やはりその地域の周りと比べて平均的にそこの線量が幾つかというのが最も重要な指標となると考えております。

齋藤(健)委員 そうすると、五センチではかって〇・二三を上回るところがあっても、平均的に一メートルではかって〇・二三を上回っていなければ安全だという判断ですか、あるいは除染をしなくていいという判断ですか。

高山大臣政務官 委員御指摘の〇・二三パー・アワーというのは、これは年間追加一ミリシーベルトの量であるということは御案内のことなんですけれども、仮に局所的にあった場合に、それは除染をしなくても十分、一ミリには達しないという認識ではあります。

齋藤(健)委員 そうすると、一ミリに達しなければ健康上問題がないという判断ですか。

高山大臣政務官 これは非常に悩ましい問題で、低線量の被曝のリスクというのはまだ明らかになっていない部分もございます。ですが、一ミリ以上のところは除染の必要があるというのが今の判断です。

齋藤(健)委員 私が推測で言うのがよくないんですが、追加的な線量の影響が年間一ミリ、これを一つの基準として考えるのはわからないわけではないんです。それよりも大きくなるものについては除染をしようという考え方は、わからないではないんです。それから、医学的、疫学的に証明がされていないということもよくわかっているんです。だけれども、私が言いたいのは、健康に影響がなければやらなくていいのかということなんです。

 つまり、高山政務官の家の犬が隣の家の庭を荒らしてしまった、それで、隣の家の人が何とかしてくれと怒ってきた、そのときに高山さんは、健康に影響がないからやる必要はないと言いますか。そうじゃないでしょう。

 だから、汚染をして、そのいる人たちはもうやらざるを得なくなっちゃったわけです。五センチであろうが十センチであろうが、それをやらなければ幼稚園の園児がいなくなっちゃうんですよ。そういう現実のもとでやらなくちゃいけない。ですから、健康上の影響があろうがなかろうが、そういうふうに人の家を汚染してしまったものは汚染した責任者がやるべきではないのかということを私は言っているんですが、この考え方についてどう思われますか。

高山大臣政務官 齋藤委員のおっしゃるとおりで、汚染した責任者が最終的には除染の責任を負うということはもう間違いのないことでございます。

齋藤(健)委員 だとしたら、なぜ、五センチではかって〇・二三を超えたらやらざるを得ない現状であるのに、国は補助をしないんですか。

高山大臣政務官 五センチというだけではなくて、全体として線量が〇・二三以上であれば、それはもう当然やらなければいけないということでありまして、ここは、それ以下のところを何か切って捨てているというようなことではございません。

齋藤(健)委員 また同じ質問をしなくちゃいけなくなりましたよ。では、なぜ一メートルなのかという話にまたなっちゃうんですが、一メートルであろうが五センチであろうが、現場はやらざるを得ないんです。隣の家の庭を犬が荒らしたら、それをもとに戻さなくちゃいけないんですよ。

 それについて、さっき申し上げたように、市町村やその土地の所有者に一切責任がない、国あるいは電力事業者にしか責任がないのに、健康に影響があるとかないとかいう理由でもって、やるやらないを決めるのはおかしくないか、政治のあり方として、責任のあり方として。私はそれを言っているんですよ。もう一度お願いします。

高山大臣政務官 これは、私、一ミリ以下は健康に影響がないということを申し上げているのではなくて、追加の一ミリの話をさせていただいておりますし、これは除染の必要性の話だけで、低線量の被曝に関してはまだわからないことが多いということが今の現状でございます。

齋藤(健)委員 ならば、なおさらじゃないですか。

 もう次に移ります。

 二つ目の問題点は、こういうことが現場で起こっております。

 去年の夏ぐらいから、学校は夏休みなので、まだ法律も通っていませんし、施行もされていないし、国からもお金が出るかどうかもわからないので、お父さん、お母さんが一生懸命ボランティアで幼稚園の校庭とか学校の校庭とかの除染をしたんです。そうしましたら、少し下がりました。除染を行う前は〇・二三を超えていたんです。だけれども、夏にボランティアで一生懸命やったので、〇・二三は少し下がったんですよ。

 そうしましたら、この一月に法律が施行されました。そうしたら、もう〇・二三より低いんだからお金は払えませんということなんですよ。補助はしませんと。そして、ずうっと何もやっていない学校がありました。その学校は〇・二三をずうっと上回っている。そして、一月になったら、上回っているから補助金が出るんです。

 そして、その補助金の出し方も、上回っていた学校も、除染の新しいやり方が今度皆さんの方から提案されていますから、そのやり方に従ってやるとかなり下がるんですよ、かなり下がるんです。ですから、ボランティアでやった学校も、この新しく指定されたやり方でこの一月以降やるんですよ。やらざるを得ないんです。ある学校だけやって、ある学校はやらないということはできませんから、やらざるを得ないんですよ。

 その場合に、夏にボランティアで一生懸命やったがゆえに〇・二三から少し下がったところは、新しいやり方でやろうとしても、それは対象になりません。ずうっと何もやらなかった学校が、超えているがゆえに全額出ますみたいな現実になっているんですが、政務官はその事実を御存じですか。

高山大臣政務官 一般論としてそのようなお話をいただくことはありますが、具体的にどこでというお話は、私は今は存じ上げておりません。

齋藤(健)委員 これは、わざわざ環境省まで行って関係市町村が陳情までしているんですよ。

 私が、きょう、高山政務官ではなくて副大臣に質問したいと言ったら、陳情担当は高山政務官だから高山さんにお願いしますと言われたんですよ。その陳情を受けている担当の人が何で知らないんですか。

高山大臣政務官 私、先日、先生の御地元も含めます市町村の方からの陳情は受けましたが、今、具体的な幼稚園名とかは伺っていないという趣旨で申し上げました。

 その際にお話し申し上げましたのは、二月の三日に連絡を出しておりますが、一月までに民間の方がやられた、先行的にやられた除染の分に関しても、遡及的に国費で見る手続をとりますというお話をそこでさせていただいたところでございます。

齋藤(健)委員 今のお話を確認しますが、私が今言ったようなケース、夏にはかったときは〇・二三を上回っていたけれども、その後みんなが頑張ったので、今の時点では〇・二三を下回っているような学校についても、きちんとした除染をやる費用についてもこれから出るんですね。

高山大臣政務官 まず、先ほどの答弁とかぶりますが、〇・二三以上のところは除染の対象になるということでございます。そして、去年の夏にやっていただいた除染の費用に関しては、遡及的に国の費用で見させていただくということになります。

齋藤(健)委員 質問を聞いてほしいんですが、私が聞いたのは、去年の夏に努力した結果、少し、〇・二三よりも下がった人でも、この一月以降にもう一回除染をしなくちゃいけないんですよ。なぜなら、ボランティアでやっただけだから。もっと本格的な除染をしなくちゃいけないんです。

 今は〇・二三より下回っています。でも、ボランティアがやる前は高かったんです。そして、〇・二三より下回っている人でもやらなくちゃいけないんですよ、これから本格的な除染を。それについて出るのかと聞いたんです。違う答えをしないでください。

高山大臣政務官 以前、ボランティアで去年の夏にやっていただいた地域であっても、そちらの地域で除染の必要があれば、当然国の費用で除染をさせていただきます。

齋藤(健)委員 もう一度聞きますが、今の、はかった時点で〇・二三を下回っていても、八月の段階で、ボランティアの皆さんが一生懸命やる前に〇・二三を上回っているものは、この一月以降本格的な除染をする、その一月以降の除染の費用も出るんですね。出るか出ないかだけ。

高山大臣政務官 これは非常に具体的な場所で言っていただいた方が本当はありがたいのですが、といいますのは、やはり、これからのものといいますのは、基本的には市町村計画の中で位置づけさせていただくものですので、そこは一義的には、優先順位は今市町村に判断していただいております。その中で、もし含まれるのであれば、当然これは国の費用で見させていただきたいと思います。

齋藤(健)委員 委員長、今の答弁、理解できますか。これは時間の無駄だと思うんですが。

海江田委員長 これから市町村の計画の中に入っていれば、それはこれからのものであっても国からの資金が出るということ、そうですね。これからの計画に入れば。私はそう理解しました。

齋藤(健)委員 これはトートロジーなんですが、それが出ないと言われているから計画に入れられないんですよ。だから、出るか出ないかだけ言ってください。

高山大臣政務官 ありがとうございます。

 これは、その計画に入れていただければ、当然出させていただきます。その計画に入れていただければ、当然国費で出すところでありまして、それはちょっと具体的なところで判断はさせていただきたいと思います。

関政府参考人 この特措法に基づきまして、年間一ミリシーベルト以上のところを除染するということになっておりまして、計画をつくった時点で、その場所が一ミリシーベルト、一時間あたり〇・二三マイクロシーベルトでございますけれども、それ以上であれば出ますけれども、先生御指摘の、私が推測しますに、既に計画をつくるときに〇・二三を下回っておるというところにつきましては、この法律に基づく助成の対象とは該当いたしません。

齋藤(健)委員 もっと早く言ってください、時間がもったいないから。私は、それはおかしいんじゃないかと言っているわけです。

 つまり、真面目に取り組んで、下げたところに国は補助しないで、放っておいたところにお金が出るというのは、行政のあり方、政治のあり方としておかしくないですか。おかしいか、おかしくないかだけ言ってください。

関政府参考人 制度的な割り切りでございまして、自主的に取り組んでいただいた方については、追加的にその行為については助成させていただきますけれども、法律に基づいて計画をつくり、立法された以降で、その時点で〇・二三マイクロシーベルトというところで線を引きましたので、それ以下に既になっているものについては、除染の対象にはならないということでございます。

齋藤(健)委員 さっきの犬の話をもう一回言いたいくらいなんですけれども、ちゃんと自分たちで、政府がまず何もやってくれない段階で、何とか対応しなくちゃいけないからということで、必死に自分たちのお金で対応をした、そういう人たちの努力を皆さん方はどう評価するんですか。むしろ評価すべきなんじゃないんですか。民主党の政治というのはそういうことなんですか。

 私が言いたいのは、もっと柔軟に目配りをしてあげた方がいいですよということを言っているんです。去年の夏の段階では、何が危険で何が危険じゃないかということも皆さん方から示されずに、リスクコミュニケーションにも失敗し、国も何もしてくれないから自分たちでやったんです。そして、その努力を皆さん方は何で評価してあげないんですか。それによって低くなったからもうお金は出しません、それはおかしくないですか。

高山大臣政務官 齋藤委員御指摘のとおりで、去年の夏の段階で自主的に自分のお金を使って除染をした分は、遡及的に処理をさせていただくということでございます。

齋藤(健)委員 それは私は百年前からわかっているんです。

 そうじゃなくて、そういうことも、素人がやったものですから、もう一回やり直さなくちゃいけないんですよ、本格的なものを。〇・二三が〇・二二ぐらいになっていたとしても、素人がやった作業ですから、もう一回、もっと低くするためにやらなくちゃいけないんですよ。それは一切国から出ないんです。ところが、〇・二三以上の状態を放置していたところは、本格的なものをこれからやるから、全部出るんですよ。それはおかしくないかと。安住大臣、どう思いますか。

安住国務大臣 法律上のたてつけと、その実際の、齋藤さんよく御存じのように、それに基づいた、基準に基づいた運用をすれば、多分、環境省の審議官や高山政務官の言うとおりかもしれません。ただ、実際の中で、そういう個々の矛盾が出てきたときにどうするかという話は、なかなか説得力のある話だと思って聞かせてもらいました。

 同じような例を私も震災のときに経験したことがあります。漁具や何かの片づけ方を自主的に漁師の皆さんで率先して始め出したところと、交付金が出始めてからやったところで、やはり多少タイムラグがあったんですね。そのときはたしか遡及したような気もしております。確かなことはちょっと今わかりませんけれども。

 そういうことからいうと、高山政務官が言うように、柔軟に、それぞれのケース・バイ・ケースで事に当たるということも重要かなと思って聞かせていただきました。

海江田委員長 高山政務官、遡及の話じゃなくて、これからの、除染に対してお金を出すんですか、どうですかということを委員は聞いているわけですから、そのことを端的にお答えいただきたいと思います。(齋藤(健)委員「大臣にお答えいただいたので、もういいです」と呼ぶ)いいですか。

齋藤(健)委員 大臣に大変前向きな、柔軟な対応の必要性の御答弁をいただきましたので、この件はここで打ち切ります。

 もう一つ問題がありまして、今度は、放射性の焼却灰の問題がありまして、私は、まだいっぱいほかにも質問したかったんですが、手短にいきます。

 実は、清掃工場の中で燃やしたごみ、その焼却灰から高い放射性セシウムが検出されているというのがありまして、この法案では、その放射性の数値の高い焼却灰については、第十九条で、国が処理をするということにこの法律でなりました。

 どういうことかというと、清掃工場の中にある基準値を超える放射線量を持っている焼却灰については、この一月一日以降、国が処理をするということになったんです。第十九条で、「国は、第十七条第一項の規定による指定に係る廃棄物」、これは指定廃棄物というんですが、これがその焼却灰なんかなんです。この焼却灰なんかの「収集、運搬、保管及び処分をしなければならない。」と。「国による指定廃棄物の処理の実施」ということで、放射性焼却灰の基準値を上回るものについては、国がやることになったんです。

 これが、実はこの法律の一つの肝であります。なぜなら、国の責任でこういう事態になりましたので、市町村が悶絶をする話ではそもそもない。もちろん協力はしますが、責任の主体は国だということで、国がこの放射性焼却灰は処理をすることになったんです。そして一月に法律は施行されたんです。

 この条文をどのように運用されていくつもりなのか、そして準備状況はどうなっているか、お聞かせいただけたらと思います。

高山大臣政務官 時間の関係で、簡潔にお答えいたします。

 指定廃棄物の件でございますけれども、これは今実際、具体的に市町村と申請の相談をさせていただいているところでございますが、現在、先生の御地元のところから一件は申請が来ておりますが、そこ以外はまだ申請はいただいておりません。

齋藤(健)委員 国が処理をすることになっているので、市町村の申請とかいうんじゃなくて、あなたたちがどういう計画に基づいてやるかという問題です。法律上は国が処理をするということになっているんです、条文は。市町村の申請じゃないんです。それに対して国はどうするつもりなのかということを聞いているんです。今現にあるものについて、国が処理をするということになっているものについてどうされるつもりなのかと聞いているんです。

高山大臣政務官 指定廃棄物として指定が済みました後は、これはもちろん国の責任でございます。それで、出ました当該の地域におきまして、国が既存の管理型処分場の一部を利用させていただいて処分をしていくというのが現在の方針でございます。

齋藤(健)委員 ところが、今の高山政務官の御答弁、私は筋が通った御答弁だと思うんですが、現場で聞こえる声は、漏れ聞くところによりますと、国の関係者が、自分たちはもう中間貯蔵施設も最終処分場もやるつもりはない、県と市町村でやってくれということを白昼堂々発言している政府高官がいるようでありますが、そのような事実はないですよね。

高山大臣政務官 今委員御指摘のような事実はございません。

齋藤(健)委員 関審議官もよろしいですね。

関政府参考人 そういう事実はございません。

齋藤(健)委員 それでは、この条文にのっとって、市町村がやることを皆さんが手伝うということではなくて、皆さんがやることを市町村が協力するということをもう一度確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

高山大臣政務官 指定廃棄物の処理に関しましては、国の責任で行わせていただきます。

齋藤(健)委員 それから、まだまだいっぱいあるんですが、手短に行きます。

 もう一つは、民有地の除染の問題なんです。

 民有地の除染というのも、この法律に基づいて、第三十五条で、民有地の所有者が除染をするケースについてもこの法律の体系に乗るということになっているんですが、今の環境省の指導では、民有地の除染については、市町村が契約をして、業者の人にやってもらうケースしか支援しないというんです。ところが、実際には、町会が自分たちで除染をしたり、それから、私立幼稚園みたいに、自分たちで除染をしているケースがあるんです。そういうものについて市町村は補助金を出さざるを得ませんが、それは国が支援しないというんです。

 国が支援するのはあくまでも、市町村が契約をして、例えばこの誰々さんの家の庭の除染については、市町村がわざわざ業者と契約をしたものしか補助しないというんですが、それは余りに非現実的でありまして、みんなが自発的にやったものについて市町村が補助をするというのが一番スピーディーに処理ができるんですが、それは対象にしないというんですよ。

 何でそういう非現実的な運用をするんでしょうか。理由をお聞かせください。

高山大臣政務官 まず、ことしの一月までに、例えばそのような町会ですとか保育園ですとか、市町村ではなく民間の方が自主的にやっていただいた除染に関しましては、遡及して、市町村から委託をしたという形をとらせていただくことでお金の手当てはさせていただくということになっております。

 そして、今後のものに関しましては、そのような声がそれぞれの地域で出てきましたら、それは市町村計画の中に位置づけていただくということで、申しわけございませんが、国からは民間の方に直接という支払いの形式は今後もございません。

齋藤(健)委員 今まで実施したものには出すけれども、何でこれからのは出せないんですか。

高山大臣政務官 これからのものに関しましては、それぞれの市町村の計画の中に位置づけていただくことでお金を出していこうという仕組みになっておりますので、自主的にやっていただく方のところに最終的にお金が回らないということはございません。

齋藤(健)委員 それでは、確認ですけれども、民地の所有者あるいは私立幼稚園の経営者が自分たちで除染をする、市町村の事業者の契約じゃなくて自分たちでやったもの、あるいは町会が自分たちで除染をした、それに対して市町村が補助をするものも、計画に入れれば補助の対象になるんですね。

高山大臣政務官 いずれにいたしましても、市町村の計画の中で位置づけていただければ、それは補助の対象になります。

齋藤(健)委員 ありがとうございました。よく覚えておきます。

 次は、こういう問題があります。

 除染をするときに計画をつくりますが、除染実施区域というのをまず決めて、そこで計画をつくります。ところが、区域の外でも、例えば雨どいの下とか、大変放射線量が高いところがあります。ところが、それは区域の外だからといって、そこを除染するのは補助の対象にはなりません。

 恐らく、区域に指定してくれれば対象にしますと言うんでしょうけれども、区域を広げるということは風評被害にもつながりかねないので、なかなか難しい判断なんです。ですから、区域はなるべく小さくしたい、その上で、区域の外であっても高いところだけ除染をしたいというのが風評被害を恐れる市町村の気持ちなんです。ところが、区域の外で高いところが発見されても、それを区域にしなければ金は出しませんというのは、ちょっと冷たくないでしょうか。

高山大臣政務官 これは、委員御指摘のとおり、非常に悩ましい問題がございます。区域は、追加で一ミリシーベルト以上のところを指定させていただくわけでございまして、なるべくそこを広く見てたくさん除染をできるようにということもありますが、逆に、今委員おっしゃったように、そこが風評被害に遭ってしまうということもございます。

 ここは、それぞれの市町村の優先順位と相談をさせていただきながら、今慎重に区域の指定はさせていただいておりますので、そのようなそごのないようになるべくやっていきたいというのが実際のところです。

齋藤(健)委員 区域の外であっても、そのような高いマイクロホットスポットについては前向きに検討するということでよろしいですか。

高山大臣政務官 これは、マイクロホットスポットの広さは個人によって結構感覚が違うものですから非常に難しいんですけれども、なるべく除染の範囲は広くとるように柔軟に運用はしていきたいと思っております。

齋藤(健)委員 対象になり得るんですね。

高山大臣政務官 法のたてつけとしては、区域外であればそれは対象にはなりません。だから、区域の指定をするときにどのようにするかという工夫をせざるを得ないというのが実情です。

齋藤(健)委員 対象にしないということで本当にいいんでしょうか。

高山大臣政務官 そこは、区域指定のときに、市町村と実際の相談をさせていただきながら進めさせていただいて、実際に不都合のないように区域の指定を行っていくということで解決できればと思っております。

齋藤(健)委員 もう少し地域の実態を理解して、責任者は国と電力事業者なんですから、地域に一切責任はないんですから、対応すべきだと私は思いますが、冷たいですね。

 地域は風評を恐れているんですよ。今まで伸びていた地域が、もう既に人口が減少しているんです。そして、そういう地域はなるべく区域を小さくしたいと思っているんですよ。小さくした上でも、はみ出たところで高いところがあるのが現実なんです。それに対して、国に対応してくれと言っているわけですよ。対応しないんですか、それに対して。それとも、全部広くして、風評をかぶれというのが皆さんの考えなんですか。

高山大臣政務官 これは、その地域の方の事情も考えながらやらなければいけないことですけれども、ただ、除染をすることでその地域の放射線量が下がっていくというのは明確な事実ですので、実際、風評といいましても、ここは除染をしてきちんと戻った地域なんだということを逆にこれは証明できることにもなりますので、ここは非常に難しい問題で、委員御指摘のとおりでございますけれども、区域の指定の中で柔軟に対応していきたいと思っております。

齋藤(健)委員 よくわかりました。我々が政権を取り戻したら、全部直しますので。

 それから、もう一つ指摘しておきますが、汚染されたものを置く仮置き場をつくるために、そのつくるところに古い施設があったりするんですね。それを壊そう、壊さないと置けないんですよ。置ける場所というのは限られていますから、どこにでも置けるわけじゃありません、住民の人たちもいますから。ようやく見つけたところに建物があって、それを壊さなくちゃいけないというときに、壊す費用は補助の対象にならないんですね。

 もうこれ以上聞きませんが、余りに現場の実態というものを、国に責任があるならもう少し柔軟に対応してあげるべきだと私は本当に思いますよ。別にこれは、自民党だ民主党だ、与党だ野党だと言っているんじゃないです。今回の出来事は本当に不幸な出来事であったかもしれないけれども、最大限地元の声に配慮したやり方をすべきじゃないか。それが、この国の政治のあり方として私はそうあってほしいなと思うから質問をさせていただいているわけであります。

 それから、まだあるんですよ。例えば、年度を越えちゃいますよね、これから除染を実施すると。それの繰り越しができるかどうかとか、そういうところも弾力的に考えてあげないと、そもそも一月の施行になったのは、皆さん方が準備できないというから施行が遅くなったんですから。議員立法したときにはもっと早くしたかったんですよ。だけれども、環境省の対応ができないということから、一月という施行になったわけですから。

 それを、市町村にまたツケを回すようなことをしないで、年度にまたがって事業が行くような場合も弾力的に対応してあげるとか、それが誠意というものじゃないかと言っているんです。責任が国にあるならば。

 そして、もっと言うと、この法律では、除染にかかった費用は、第四十四条を見ていただくとわかりますが、ちょっと読み上げます、大事な条文ですので。四十四条の第一項に、「事故由来放射性物質による環境の汚染に対処するためこの法律に基づき講ぜられる措置は、原子力損害の賠償に関する法律第三条第一項の規定により関係原子力事業者が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるものとする。」となっているんですね。

 つまり、ここでかかったお金は、国が負担しないで原子力事業者が負担をするんだ、それを国が原子力事業者に求償するんだ。ですから、国がお金がないからできないということはないんです、この法律の仕組みでは。なぜなら、かかったお金は全部原子力事業者に請求できるということになっているんです。その負担のもとに実施されるとなっているんです。そこまで考えてこの法律はつくっているんですから、お金のことで地域の本当にやらなくちゃいけないことを妨げるようなことにならないように、再度お願いを申し上げまして、もっといろいろ、ほかの案件もあったんですけれども、次のテーマに移らせていただきたいと思います。

 環境省関係の皆さんはもうこれで、もしあれでしたら、お忙しいと思いますので、御退席いただいても結構です。

 総合取引所について次に質問させていただきたいと思います。

 一つの取引所で証券、金融そして商品というものを扱う取引所、総合取引所構想について、この構想は、そもそも我が党政権のもとで二〇〇七年に初めて提唱された構想でありまして、二〇一〇年五月には、我が党の塩崎衆議院議員が中心になって取りまとめたフェニックス戦略にも盛り込まれておりまして、翌月の六月には民主党政権の皆さんの新成長戦略にも盛り込まれております。

 日本のマーケットを活性化して、アジアの中心的な金融センターにしていくための重要な政策だと思っておりまして、私もこだわりを持ってフォローしている政策であります。

 この構想の実現に向けて、昨年七月二十九日に、私は、この財務金融委員会において、政府の検討状況について質問いたしました。なぜなら、そのときには、取引所構想の規制監督の一元化、この一元化について省庁間で少し見解の相違がありましたので、質問させていただいたわけであります。

 その後、皆様方が大変努力をされまして、調整が行われて、この二月二十四日に、金融庁、経産省、農水省の三省庁の総合的な取引所検討チームが取りまとめをしてくださいまして、総合取引所となった場合に規制監督の一元化を行うための金商法改正案をこの通常国会に提出する、そういう運びになったというふうに承知をいたしております。私は、この間の三省庁の皆さんの御努力には、フェアに評価をしたいと思っております。

 しかし、本当に大事なことは、法律ができるということだけではなくて、実際に総合取引所ができなければ意味がないわけであります。そういう意味では、たまたま目にした二月九日の日経新聞の社説に大変示唆に富んでいるお話が出ていましたので、若干紹介しながら御質問をさせていただきたいと思います。

 この社説では、東京証券取引所と大阪証券取引所は二〇一三年一月に経営統合する、総合取引所実現への実際の動きは、そこに国内の商品先物取引売買高シェアで九割を超す東京工業品取引所が合流できるかが鍵を握る、そういう社説になっておりまして、東証と大証の経営統合においては、デリバティブ取引を主体とする大証とそれから東京工業品取引所の合併こそが総合取引所実現の中身であるとこの社説は指摘をしております。

 同時に、この社説では、題名がそうなっているんですが、「器だけでは困る総合取引所」というふうになっておりまして、総合取引所は東京工業品取引所の参加がないまま器づくりに終わることについての懸念を示しておりまして、改革の実現を求めているのがこの記事でありました。

 この総合取引所構想については、平成二十二年十二月二十二日の三省庁の検討チームの中間整理におきまして、平成二十四年の通常国会、つまり、今開かれている国会に法案を提出して、平成二十五年に総合取引所を実現するということになっておりましたので、昨年七月二十九日のこの委員会で東副大臣に確認をしたところ、このスケジュールに変更はないという御答弁をいただいております。

 ですから、法案がこの国会、政府でつくられて提出されることになるんでしょうが、繰り返しになりますが、大事なことは、日経新聞の社説にありますように、総合取引所が実現しなければ意味がないということであります。つまり、法律が通ったらあとは民間任せで、民間の判断ですということではなくて、民間の問題ではあるものの、国がリーダーシップをとって総合取引所の実現に邁進すべきだということであります。

 この点については、北神政務官は、野党でいらっしゃった二〇〇九年六月十二日の経済産業委員会におきまして、取引所統合の必要性を主張されて、取引所というのは普通の民間企業と違って一種金融のインフラみたいなものであるから、国が率先して統合を進めていくべきだ、そういう発言をされております。さすが私が一目置かせていただいている北神政務官だと、刮目をさせていただいた次第であります。

 国が率先をして統合を進めていくべきだというこの考えは、経済産業政務官となった今でも変わらないでしょうか。まさに野党時代のお考えを実行できる立場になったわけでありますので、この点について、今の政務官のお気持ちを伺わせていただけたらと思います。

北神大臣政務官 お答えします。

 私の野党時代の質問まで調べていただきまして、ありがとうございます。

 政務官になりまして、総合取引所の設立、そして運営に向けて、今、各省協議をして法案をつくっているところでありますけれども、委員おっしゃるとおり、器だけつくって中身が伴わないというのは、これは話になりませんので。

 やはり、商品取引所というのは重要な産業のインフラであるというふうに思っています。これは、投資面だけではなくて、委員はもっと私よりも詳しいと思いますが、価格形成のためにも大事ですし、いわゆる価格の指標としても大事でありますし、リスクヘッジとしても大事であります。

 したがって、取引所間で当然これは話し合いもやっておりますけれども、国としてもやはり指導力を発揮していかないといけないというふうに思っております。

齋藤(健)委員 去る二月の二十四日に公表されました、これはもう政務官はごらんになっていると思いますが、三省庁の取りまとめでは、本当にいいことが書いてあります。これもフェアに評価をしたいと思います。金融商品取引所、商品取引所に対して、総合取引所の実現に向けて協力するよう要請するというふうに、三省庁のクレジットで書いてあります。この要請はもう行われたんでしょうか。大臣あるいは政務官、どちらでも。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 二月二十四日の取りまとめがなされた直後に、関係事業者に説明をいたしております。

齋藤(健)委員 これは、事務方の説明ではなくて、さっきおっしゃったように国がリーダーシップをとる話でありますので、私は、ぜひ、しかるべきタイミングで、まだ法案も出てきておりませんので今すぐにとは申し上げませんが、きちんと要請をして、本当にアジアでナンバーワンの総合取引所をつくるぐらいの気迫で、一致団結してやっていただきたいなというふうに思います。

 この問題の最後に、農水省の方にもお伺いしたいと思います。

 この二十四日に公表された同じ取りまとめでは、規制監督一元化の対象となる商品について、「コメ等の特定の商品を除く。」というふうにされておりました。これから法案がこの国会に出されることになろうと思いますが、国会の立場からしますと、法案の対象となる商品、つまり規制監督の一元化の対象から外れる商品がどういうものかということが具体的に明らかになりませんと、法案の賛否の判断のしようがないというのが正直なところであります。

 私は、生産、流通や価格について国の関与の度合いが高い米、この米につきましてのデリバティブ取引を、米を所管している省庁、つまり農水省が所管するとの考えは理解できないわけではありません。しかし、「コメ等」の「等」がどんどん広がっていくようでありますと、総合取引所をつくる意義というものが薄れていくということにもなります。

 細かい話でありますが、でも大事な話なので、この「等」というのは一体どういうものをお考えになっているんでしょうか。

仲野大臣政務官 先生の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 農林水産省といたしましては、今御質問のありました米については、特別な主食であり、商品先物取引法に基づく米の試験上場が昨年八月八日から開始され、まだ半年が経過したばかりであります。引き続きその動向、推移をしっかりと見きわめていく必要があることから、当面、金融商品取引所で取り扱うことはなじまないと考えているところであります。

 なお、米以外の具体的な内容については、先ほど先生、「コメ等」ということをおっしゃっておりましたが、今後、関係者の意見等を踏まえつつ、引き続き三省庁で密接に連携し、さらに検討を進めていきたい、そのように考えているところでございます。

齋藤(健)委員 ちょっと当たり前の確認ですけれども、当然、法案の提出までにははっきりするということでよろしゅうございますか。

仲野大臣政務官 今、法案の作業を進めているところでありますけれども、いずれにいたしましても、法案となることになれば、またこれも、先ほど申し上げたように三省庁と連携をしながら、それまでにしっかりとその方向性だけは出していくように努力していきたい、そのように思っております。

齋藤(健)委員 繰り返しますが、その対象がわからなければ法案の判断もできないと思いますので、ぜひ法案とセットで出していただくようにお願い申し上げます。

 この問題の最後に、自見大臣に、この総合取引所の実現に向けての御決意を伺えたらと思うんですが。

自見国務大臣 齋藤健議員にお答えをさせていただきます。

 先生、たしか去年の七月二十九日、この総合取引所について、大変該博な知識で、シンガポールなんかが総合取引所をつくって非常に活性化したということを具体的に例示しておられまして、大変お力添えいただいたことを、心からお礼を申し上げる次第でございます。

 今、先生お話がございましたように、総合取引所については、金融庁、農林水産省、経済産業省で検討を進めてきたところでございますが、これは今さっき話が出ておりましたが、一昨年の六月、新成長戦略でこのことを発表させていただいたわけでございます。先生もよく御存じのように、農水省、先生がかつておられた経産省、かつて通産省でございますが、私もあそこの通産政務次官を二十数年前、一年三カ月やらせていただきまして、もうなかなか、非常にやはり根の深い、省庁が日本国にできたときから商工省はあったわけでございますから、大変深いということはありますけれども。

 しかし、時代の大きな流れで、金融庁、農林水産省、経済産業省で検討を進めてきたところでございますが、今先生が言われたとおり、二月の二十四日、大変関係者の御努力をいただきまして取りまとめをさせていただいたところでございます。

 内容につきましては、先生が言われましたように、証券、金融、商品を一体として扱う総合的な取引所については、金融商品取引法に基づき、内閣総理大臣から金融行政を任されています金融担当大臣が一元的に監督する。

 それからまた、先生、横串と申しますが、これは非常に大事な話でございますが、仲介業者あるいは清算機関等についても、証券、金融、商品を横断して取り扱うことができる制度を整備する。

 それから、今もお話が出ておりました商品デリバティブ取引に係る一定の監督権限の行使について、農林水産大臣、経済産業大臣との事前協議等の規定を整備し、相互連携を確保するといった内容になっております。

 総合的な取引所の実現は、先生が七月二十九日も言われておりますように、日本の市場の未来にとって極めて重要なことと考えておりますので、いろいろ関係者に今は呼びかけているようなところもございますけれども、実現のために、この制度整備を含めた金融商品取引法等の改正法案を今国会に提出したいと考えているところでございます。

 引き続き、先生からの本当に、驥尾に付して、有意義ないろいろな御指示あるいは御教授をいただきたいというふうに思っております。ありがとうございます。

齋藤(健)委員 ぜひ、一刻も早い実現に向けて、大臣にはお願いを申し上げたいと思います。

 時間がなくなりましたので、本当は税と社会保障の一体改革、これがメーンだったんですが、環境省のおかげでちょっと時間がなくなってしまったんですが、ちょっとだけ、前振りだけさせていただきたいと思います。

 きょうお配りしているこの資料は、昨日私が、関係の方で、質問があるので来てほしいと言って、皆さん方が提案されている一体改革の中で、子ども・子育て対策で〇・七兆円程度という試算をされておりますので、どういう対策をするのか。例えば、どの制度をどう変えるのかとか、施設をどのくらいふやすのかとか、そういう具体的なもの、なるべく詳しく、この内訳がわかるものを持ってきてほしいと言って、持ってきたのがこれなんですよ。

 これ、ちょっと、ひどくないですか。これでは議論ができない。財務省から内閣官房に出向している参事官補佐が、名前は言いませんが、持ってきたのがこれです。

 私は、個人的には、協議をどんどん進めていこうと思っているんですが、その私に対してこれでは、話にならない。協議をしようと思っても話にならない。したいと言っているのは皆さん方なんですから。

 それからもう一つお願いしたのは、後代への負担のツケ回しの軽減、七・〇兆円。余りにざっくりしているので、高齢者等に伴う増、自然増ですね、これで幾らぐらい七・〇兆円の中、あるんですかとか、この内訳を持ってきてくださいとお願いしたら、いまだに持ってきません。これでは、私はやる気を……(発言する者あり)ありがとうございます。

 とにかく大至急、今この二点については持ってきていただきたいと思いますし、これからよくよく私も詰めた上で、財務金融委員会で引き続き質問させていただきたいと思いますので、この資料や説明の件につきましては、ぜひ大臣の方からこの場で、きちっと対応するようにという御答弁をいただけたらと思うんですが、よろしくお願いいたします。

海江田委員長 時間も過ぎておりますので手短に。

安住国務大臣 ぜひ議論していただくためにも、大事な情報については議会に必ず提出するように私の方からも督促いたします。

齋藤(健)委員 終わります。

海江田委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 初めに、国民年金基金に関係した質問をしようと思うんです。

 厚生年金基金の運用につきましては、年金消失と言われる問題が明らかになりました。国民年金基金については心配はないのか、AIJ投資顧問を使っているのではないかなどという質問が地元で、国民年金基金に入っていらっしゃる方からあったわけですが、この点についてお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、糸川委員長代理着席〕

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 国民年金基金及び国民年金基金連合会から毎年度、厚生労働省に報告されます資産運用業務報告書によりますと、平成二十二年度末現在で、先生お話がございました、AIJ投資顧問への運用の委託というのは行っていない状況になります。

斉藤(鉄)委員 国民年金基金の運用自体はどういう状況なんでしょうか。

蒲原政府参考人 国民年金基金の運用についてでございますけれども、国民年金基金につきましては、実は厚生年金基金と少し違っていまして、厚生年金基金の方は、各基金がそれぞれ予定利率を決めまして、それを目標としながら運用する、こういう形になってございますけれども、国民年金基金の方は、これは全体での、地域型と職能型と加えて大体七十ぐらいあるんですけれども、これの運用は、各基金がそれぞれやるというよりも、その大体九割程度は国民年金基金連合会の方で一括して運用する、こういう形になってございます。

 実際には、同連合会におきまして、基本方針を決めて、投資の分配を決めて、運用を行っている、こういう状況になってございます。

斉藤(鉄)委員 厚生年金基金の場合は厚生年金本体の代行部分があるということで、ここの運用と、国民年金基金については先ほど説明があったような運用で、根本的に違うのでリスクに差があるんだというような説明を受けたこともございますが、年金本体、それから厚生年金基金、それから国民年金基金、何がどう違うのかというのをわかりやすく説明してください。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 年金の積立金の運用につきましては、公的年金も含めまして、全体として、長期的な観点から安全かつ効率的に行う、こういう構造になっているわけでございます。

 ただ、先生御指摘のとおり、まず、公的年金と私的年金グループは、運用の方法が大きく違ってきている。これは、私的年金でいえば、厚生年金基金及び国民年金基金がそっちの私的年金に入ってくるということになります。

 先生御指摘のございました代行部分の関係でございますけれども、これは、厚生年金基金が代行部分も含めまして給付を行うという前提で全体の資金を運用していることになります。代行部分とその上乗せ部分を含めまして、全体として必要な予定利率を決める、その予定利率を達成できるように、それぞれの基金がどういう運用をするかということを決めている、こんな状況になってございます。

 国民年金基金の方は、先ほど申しましたとおり、個々の基金ではなくて、基本的には、その全体の九割を国民年金基金連合会がまとめて運用している、こんな状況になってございます。

斉藤(鉄)委員 連合会が運用している、その運用の仕方について、ちゃんとやっているかどうか、監督はどこがしているんでしょうか。

蒲原政府参考人 国民年金基金連合会につきましては、この団体を所管しておりますのが当然ながら厚生労働省でございますので、国民年金基金連合会の運用状況についても、これは一定期間ごとに資金運用の状況について報告を受けておりますし、その上で必要な監督を行っている、その意味では厚生労働省が行っている、こういう状況になってございます。

斉藤(鉄)委員 入っていらっしゃる方から、今回のAIJ投資顧問の問題を受けて心配している声が、先ほど申し上げましたが、上がっておりますので、どうかその点について、心配要らないなら要らない、また、厳しい状況にあるのであれば厳しい状況にある、そういうことをきちんと広報される必要があるのではないか。厚労省がその責任者ということですので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 それから、国民年金基金につきまして、昨年、年金確保法が成立をいたしました。国民年金の方の将来の年金給付をふやすという観点から、国民年金基金の制度を拡充しようということで、いわゆる六十歳以上の任意加入の期間について、これまでは、任意加入期間には国民年金基金には入れない、もう六十歳以上は入れないということだったわけですけれども、年金確保法で、六十歳以上も、国民年金に任意加入していれば基金の方にも入れるという法改正をしたわけでございます。

 ところが、これも地域の声なんですけれども、地方の国民年金基金事務所に行った、それで、自分は任意加入する、これまでも国民年金基金に入っていた、それで、六十になったと。六十になって、国民年金本体の方は任意加入になった、任意加入になっても国民年金基金に入れるということで、地元の事務所に問い合わせたら、任意加入期間に国民年金基金に入れるのは、これまで国民年金基金をやっていなかった全くの新規加入者しか入れません、こういう説明だったという声を聞きました。

 しかし、たしか立法の趣旨は、国民年金基金というのは、五十歳になってから入り始めた、五十五歳になってから入り始めたということで、六十歳までだとどうしても期間が短い、年金を増額したいけれども限りがある、その増額をできるだけ可能にしようということで、いわゆる任意加入期間でも基金に入れるようにしたという立法の趣旨だったように思うんですが、これはどちらが本当なんですか。

    〔糸川委員長代理退席、委員長着席〕

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お話がございましたとおり、もともと国民年金基金制度といいますのは、国民年金の上乗せ、こういう位置づけでございます。

 昨年成立をいたしました年金確保支援法におきまして、国民年金に任意加入できる六十歳以上の方につきましても、国民年金基金に加入することができるようにしたわけでございます。

 先生御指摘のとおり、これまで、六十歳まで入っている場合、いない場合にかかわらず、ここは、国民年金に任意加入すれば国民年金基金にも加入できるということでございますので、先生御指摘の事例も、これまで入っていて引き続き任意加入するという場合であれば、国民年金基金の方にもきちっと入れるということになろうかと思います。

斉藤(鉄)委員 だとすると、地方事務所、これは国民年金基金の専門家の人ですよ、その人が誤解しているということになります。

 多分、これまで入っていた人も、一旦それは六十で終わって、新規に入るという形をとるということなんだと思うんですね。だから、新規に入るというところだけとって、全く新規に入る人でなければ入れないというふうに、まさにその道のプロ、専門家でも誤解しているということになりますので、ここはぜひ地方事務所への趣旨の徹底をお願いしたいと思います。(発言する者あり)何県かは言いませんけれども、きちんと指導していただきたいと思います。

 いつごろこの新規加入が可能になるのか。去年、通常国会で成立したときには、二年以内に制度をつくるということだったと思いますが、いつごろスタートするんでしょうか。

蒲原政府参考人 先ほど話が出ました、六十歳以降の任意加入の場合の国民年金基金への加入につきましては、法律の公布の日から二年以内で政令で定める日ということになっております。

 法律が公布されましたのが昨年の八月の十日ということでございます。まだ具体的な日付までは決まっておりませんけれども、去年の八月以降、二年以内の政令で定める日ということで、今準備をしているところでございます。

 先ほど先生からございましたとおり、準備に当たって、きちっとその中身を詰めるとともに、この中身につきましては、地方の事務所に対して、先生御指摘のようなことがないように、きちっと広報、あるいはきちっと事務所に徹底をしていくということに取り組んでいきたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 国民年金基金、各都道府県、それから職域もあるということでございます。それから、中央の団体である連合会、これらの組織にいわゆる社保庁OBはどのぐらい行っているのか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 国民年金基金及び国民年金基金連合会へのいわゆる社会保険庁OBの再就職の直近の状況については、現時点では把握しておりません。時間をいただきましてきちっと調査をしていきたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 非常に直近の質問通告でしたので、時間がないので、膨大な作業量がかかるということでございますけれども、調べて報告をいただきたいと思います。

 それでは、年金関係についての質問は以上です。

 次に、租特法案について、特別措置法案について質問をしたい、このように思います。

 まず財務大臣、現在の景気状況は、今さら私がここで言う必要はありませんけれども、大変厳しい状況です。こういう厳しい経済情勢に対して、今回の法案は、税制面からどのようにこれを改善しようとしているのか、お願いします。

安住国務大臣 日本経済の現状は、先生が懸念しているとおりだと思います。私も、特に需給のギャップがなかなか埋まらない、そういう点では、一つは、成長を促していくこと、それから、企業が新しい研究開発等をやっていくこと、そしてまた、日本を支える中小企業をどういうふうに税制面でサポートするか等々がやはり今の時代状況においては問われているんだと思います。

 そうした点からいうと、二四改正では、やはり経済のそういう新成長戦略の実現に向けて、まず、日本の基幹産業であります自動車について、当分の間の自動車重量税の税率に係る税負担の軽減、さらに、環境性能にすぐれた、これはエコカーですね、この自動車に対する軽減措置の拡充、延長を行います。さらに、研究開発税制の増加型等の措置、これも延長を行います。再生可能エネルギー投資を加速させるための環境関連投資促進税制、これも拡充をさせていただく。中小企業投資促進税制の拡充、延長も行う。さらに、省エネルギー、耐震性向上に資する、これは住宅ですね、良質な住宅ストックの形成を図るために、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等の措置を講ずるということになります。

 つまり、今言ったような点は、やはり大震災等を経て、これから、住宅それから再生エネルギーも含めて、また、さっき私が申し上げたような観点からの税制改正をすることによって、日本経済の成長を促していくというふうな方向をぜひサポートしていきたいという観点から二四改正は行われております。

斉藤(鉄)委員 今大臣が挙げられた項目について、個々の項目について、私も反対するものではありませんし、経済対策として大いにその効果があらわれるような運用をしていかなくてはいけない、このように思っております。

 地球温暖化対策税について、前回も質問させていただきました。経済に対してマイナスになる、そういう側面があるのではないかという議論、実は、我が党内でも大いにあったところでございます。

 私は、この地球温暖化対策税は必要だというふうに思っておりますし、これは、二酸化炭素排出抑制及びこれからのエネルギー源の柱になっていかなくてはいけない再生可能エネルギー、これを育てていくための財源ということで非常に重要だと思っておりますが、片一方で、エネルギー、化石燃料にかける税金ですので、経済の足を引っ張るのではないかという意見もございます。この点について、大臣のお考えを伺います。

安住国務大臣 私も、斉藤先生と全く同じでございます。

 大学入試に例えれば、一浪して二度目のチャレンジとなりますけれども、やはり経済の再生を図って新しい産業を起こしていくという観点からも、環境関係の財源の確保というのは私は必要なことだと思います。

 今だけを見れば、負担増になるのではないかという声はあるかもしれません。しかし、これから長期間にわたって環境に関する財源を確保して、新しい分野に投資をしていくことは、地球にとっても人類にとっても、これはひいては日本経済にとってもプラスになるわけですから、こうした財源をやはり確実なものにして、なおかつ、経済への影響を避けるために、御存じのとおり、段階的な課税の手続を踏みますので、そこはぜひ御理解をいただいて、今回、実現を目指したいと思っております。

斉藤(鉄)委員 この地球温暖化対策税で、その税収をいろいろな、二酸化炭素排出抑制、また新しいエネルギー源に使うということ、これは当然必要なんですが、森林吸収源に使えるようにすべきだという強い意見もありました。

 今の制度ですとこれが森林吸収源に使えないということですが、小さく産んで大きく育てるとか誰かが言っていましたが、将来、大きく育ったときに森林吸収源ということにもきちっと使える対策にすべきだと私も思いますが、いかがでしょうか。

安住国務大臣 最初は税収もそんなに多くありませんけれども、ふえてきた場合、十分検討に値する御提案だと思っております。

斉藤(鉄)委員 環境対応車に係るエコカー減税についてお伺いします。

 エコカー減税をめり張りのきいた仕組みにしたという点は評価をしておりますが、例えば、補助金についてはもう既にスタートしております。それから、取得税については四月から、自重税については五月から。非常に複雑な状況になっている。わかりにくい。

 それから、これまでは二〇一〇年環境規制対応車が対象だったんですが、今度は二〇一五年環境規制対応車ということになります。そうすると、これまでエコカーとして減税されていた車が、これからはその減税がなくなって、同じ車なのに今度は減税対象にならない。つまり、これまでは環境にいい車と言われていたのが、車自体は変わっていないのに、今度は環境に悪い車ということになってしまう、こういう不満の声も聞かれております。

 このエコカー減税について、こういうわかりにくさの趣旨徹底や、それから趣旨の徹底、二〇一〇年から二〇一五年に環境基準が変わったんだというようなことについても、もう少しわかりやすい広報が必要なんじゃないでしょうか。

五十嵐副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 経済と税制のグリーン化、そして、なるべくいい方に誘導していくということが必要だということで、かなりきめ細かい措置をさせていただきました。

 御指摘のとおり、二〇一五年燃費基準の達成車、そして、それにさらに深掘りをしている車というものにはより多くの恩典を差し上げるという形になっておりますが、確かにその分だけ複雑になっているということで、国民に対するより丁寧な御説明が必要だ、こういうふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 次に、国外財産調書制度の創設についてお伺いします。

 いわゆる国外財産に係る申告漏れや課税逃れを防止していくことは非常に重要ですが、一方で、正直者が損をするような制度をつくってはいけない。

 もともとわかりにくいからこういう制度をつくろうということなんですが、もともとわかりにくいということは、つまり、逃れようと思えばある意味で簡単に逃れられるわけで、まさに、今のままだと、正直者が損をする、そういうことになってしまうのではないかと思うんですが、どのようにこの国外財産調書の提出を担保するのか、この点についてお伺いします。

五十嵐副大臣 先生御指摘のとおりの御懸念があると思いますが、一工夫をしておりまして、調書を提出した場合には、その財産に関して申告漏れがあっても、加算税を五%、後でわかっても減額する。しかし、調書の提出がない場合とか記載に誤りがあるという場合に申告漏れが生じたときには、加算税を逆に五%加重するという一種のペナルティーを科すということになっておりますし、さらに重大な、故意の調書の不提出や虚偽記載ということがはっきりすれば、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金という大変重い罰則を付して、適正な提出に向けたインセンティブとすることにしております。

 また、外国当局との情報交換も積極的に進めてまいりまして、適正な課税に向けて前進をしていきたい、こう考えております。

斉藤(鉄)委員 今回、この制度を創設しようということになったのは、これまでかなり大きな逃れがあったということを認識されてのことだと思いますが、その点についての数字なり、大体こんな感じだったんだという大枠で結構ですから、もしわかればお願いします。

五十嵐副大臣 国外財産に係る申告漏れ所得の額でございますけれども、これは平成十八事務年度でございますが、所得税については千八百万円だったんですね。これはサンプル調査でございますが、平成二十一年度には三千四百万円になっております。それから、相続税につきましては、同じく十八年度は四千二百万円だったものが、二十一年度には一億六百万円、これは全件調査でございますけれども、相当ふえている。御懸念どおりのことが起きていたので、こういったことをやらざるを得ないということでございます。

斉藤(鉄)委員 公平ということから考えれば、これはぜひ徹底する必要があると思います。

 そういう中で、国際的な取引を行う者に対する適切な課税、徴収を確保するためには、外国政府との連携ということが不可欠であろうと思います。先ほど五十嵐副大臣がお答えになったとおりです。

 外国政府との税務行政面での連携強化について、どのような取り組みを行っていこうとしているのか。

五十嵐副大臣 近年、租税条約を二カ国間で積極的に締結しておりまして、本年一月末現在でございますが、世界の六十四の国と地域について租税条約を結んでおります。また、昨年の十一月には、マルチ、多国間の条約である税務行政執行共助条約に署名をいたしました。二十四年度税制改正において所要の国内担保法を整備する予定でございます。

 今後とも、こうした方向を、バイ、マルチ、双方で進めてまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 その条約が、先進国とは結びやすいと思いますけれども、実際にそういう不正が行われるとしたら発展途上国が相手の場合も多いかと思いますが、そのあたりは、どのようにこれから発展途上国との条約関係を整備していくのかということについて、お考えを。

五十嵐副大臣 先進国とも、つい最近結んだものもありますけれども、例えば、欧州地域は十六、北米はアメリカとカナダですけれども、そのほかの途上国とも最近は積極的に結んでおりまして、今後とも協議を進めてまいりたい、こう思っているところでございます。

斉藤(鉄)委員 今回の法案には、二十三年度改正法案の中に入っていた成年扶養控除の見直しが盛り込まれておりませんが、これはどうしてか。

五十嵐副大臣 これは、憲法二十七条で、勤労が国民にとって権利であると同時に義務であるという考え方から、とにかく、大人になったら働いていただきたいという原則に基づいて、ただ親に養われているという理由だけでその親御さんに税の恩典を与えるというのではなくて、何か特別な事情がある、例えばお父さんや御親族を介護されているとか、あるいは御本人が病気やけがをしているというようなことで事情がある場合は、これは当然控除の対象になるけれども、何もないというときはむしろ控除を縮減させていただくという考え方をとりましたけれども、さまざまな控除制度の見直し等もありまして、与野党の御相談、御協議の中でもそうですし、また、我が党内にも、余り拙速な見直しはすべきではない、そういう御意見もありましたので、ここは慎重を期して、さらに検討を加えさせていただきたいということでございます。

斉藤(鉄)委員 このことについては、政府とも議論をさせていただきましたし、また、党内でも大きな議論があったところでございます。

 憲法にある基本的な納税の義務という考え方、これは我々もよくわかっているところでございます。また、昨年出てきた案についていろいろな配慮がなされているということも我々は認めているところでございます。

 しかしながら、現在の社会の中で我々がなかなか気づかない新しい社会病理、孤独でありますとか孤独死の問題、また、青年が社会になかなか入っていけないというような問題、そういう新しい社会病理をよく見きわめた上で施行しなければ新たな大きな問題を生むのではないか、このような議論になったところでございます。

 そういう意味で、このことについては引き続きしっかりと議論をしていかなければならない、このように思いますが、今回、これを外したということは評価をするところでございます。

 以上で終わります。

海江田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。復興特会についてお聞きをしたいと思います。

 新しくつくられるこの復興特会は、自民党の強い要請でつくられたと聞いております。

 民主党は、当初、特別会計は必要ないという主張をされたそうですけれども、なぜ必要がないと考えたのか、その理由について、当時の考え方をお聞かせください。

安住国務大臣 私どもが最初に考えたのは、やはり、特会の整理をしていこうという流れが先生御存じのようにあります。今回も特会改革で大幅に特会を減らすわけですね。

 特会にはさまざまなメリット、デメリットがあるわけですけれども、そういう点では、一般会計であれば、こうした透明性を確保して質疑をしていくという中で、やはり毎年の予算というのは非常に見えやすい部分もあります。一方、特別会計のよさというのは、やはり予算をそれに特化して区分経理をすることによって使っていくということだと思うんですね。

 そういうことからいうと、私どもとしては、毎年の予算計上の中で、いわば予算書の中でしっかりと区分をして管理をしていくというやり方も一つではないかと思っておりましたが、今先生からありましたように、三党合意で、復興に関しては、これは復興庁ができますので、そういう中で、復興庁がどういう予算を使って執行しているのかをやはりしっかりチェックしていくというようなことが重要ではないかという話し合いの結果、この会計をつくるに至ったということでございます。

佐々木(憲)委員 自民党の側は、必要だという考えを述べられたようでありますが、必要だという理由については、今説明されたようなことを自民党も主張された、こういうことなんでしょうか。

安住国務大臣 やはり自民党の御主張も公明党の御主張も、私どもから見れば、一つの考え方であるということだと思うんです。

 だから、先ほど私が申し上げましたように、基本的に、冒頭の私の考え方というのは、特会というものを整理していく中で、一つこれをふやすというときは、やはり議会の多数のコンセンサスが必要であろうということは、一つ重要な要素だったと思うんですね。

 それから、政調会長の三党による会議の中では、復興事業の経理をしっかりやっていこう、それから、復興債の償還、これも適切な管理をやっていきましょうと。もう一つは、二十三年度の三次補正において発行した復興債の承継をすること、さらに、復興財源確保の特別措置法案の修正なんかをやりましょうということで十一月に合意をした。

 こうしたことに基づいて、附則第十七条を追加する議員修正が行われましたから、私は、それはそれで一つの政治の結論としてできましたので、それで、先生がさっき言ったように、復興庁ができて、ある意味で復興庁の中での予算執行をしっかりこれでやってもらえばいいと思います。

佐々木(憲)委員 それで、復興特会の歳入面は、復興債発行収入、復興特別税収、歳出削減分、税外収入、こういうものが入ってくるわけですね。それから歳出面は、復興事業はもちろん中心でありますが、復興債の償還もこの中に入る、こういう枠組みになっているわけです。

 この復興特別税には、法人税、所得税の増税というのが入っている。

 しかし、私もここで以前指摘をいたしましたが、大手企業の場合は、法人税の恒久減税を行って、その上で三年間臨時増税ということですので、最初の三年間の負担はプラス・マイナス・ゼロ、その後、三年たったら、後は減税がずっと続く。そういう意味で、大企業減税の仕掛けであるというふうに思うわけです。

 その一方、庶民の場合は、所得税の増税、これが押しつけられて、しかも子ども手当の削減がこの中に入っている、公務員は給与が大幅に削減される、こういうことで、庶民から見ると、庶民には負担が押しつけられるわけであります。

 資金の流れが透明化されるというわけだけれども、結果として見ますと、子ども手当の削減、高速道路無料化の見直しなど、民主党のマニフェストの破綻ぶりを印象づけるような仕掛けになっていると思うんですが、大臣、そう思いませんか。

安住国務大臣 いつも先生にはお叱りを受けるわけですけれども、ただ、法人税も、悩ましいのは、世界の中で競争をしている、それで勝ち抜いた企業がやはり裾野の広い雇用をしているということは事実だと思うんですよ。そういう中にあって、地方分も含めると日本の法人税の四〇%というのは非常に高いという御指摘がありましたから、その点でいうと、引き下げをして、三年間はそのかわり特別法人税として復興に貢献をしていただくということになりました。

 所得税について、確かにこれは増税になります。ただ、この額と期間については、さまざまあって結論を得たわけでございますので、議会の中で私はコンセンサスを得たかなと。それから、国民の皆さんの世論調査を見ても、復興にしっかり使うのであればこれを可とするという意見も、私の記憶では過半数を超えていたと思いますので、そういう点では、私自身も被災地の議員でなかなか心苦しい部分はありましたけれども、何とか国民の皆様の御理解を得て、このお金を被災に遭った地域のために使わせていただくということは、私は御理解いただけるのじゃないかと思っております。

佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、マニフェストの破綻ぶりがこれで一層鮮明に印象づけられるのではないか、こう聞いたわけですけれども、全くそれに答えないで、別の答えをされたんですが。

 先ほど、法人税は高いというふうに言いましたけれども、これは、社会保障の負担などを考えますと、ヨーロッパと比べて、決して日本は高くはありません。それから、実際の財務省のさまざまな資料を見ますと、逆に、日本の場合、大手企業になればなるほど負担が低い、こういう傾向があります。

 それから、所得税については、これはもう増税ははっきりしているわけです。何とか復興のために貢献したいという気持ちは、もちろんそういうアンケートには出ていますけれども、私が言っているのは、事実を言っているわけであります。

 では、もう一度確認しておきますが、復興特会の歳出の面は、当然、被災者の要望に応えるものでなきゃならぬ、切実な要望に応えなきゃならぬ、こういうものだと思いますが、どうですか。

安住国務大臣 いろいろな意味で被災地のニーズに応えていかなければならない。それから、全国防災等を含めて、こうした同様の大災害が起こり得る可能性の高い地域においての公共事業、特に防波堤等、充実しないといけない部分について充当していくということになると思います。

佐々木(憲)委員 本当にそうなっているのか、切実な声に本当に応えているかという点で、例えば、今大変な寒い冬を過ごしてこられているわけです。五万を超える世帯の方々が仮設住宅で過ごしておられます。

 いろいろな要求が出ていますけれども、例えば、温かいお風呂に入りたい、これは当たり前の要求ですけれども、しかし、今、仮設住宅のお風呂は追いだき機能がないというので、お湯が時間がたつと冷めてしまう。

 被災者から、追いだき機能のあるお風呂にしてほしいと以前から求められていたはずですけれども、この問題は参議院で我が党の山下議員が取り上げたわけですが、これは予算に盛り込まれていますか。

五十嵐副大臣 かねてより、議員の主張は理解をしておりますが、実は、厚生労働省において被災地からの要望を受けて検討が行われましたけれども、給湯器の交換などに大がかりな改修工事が必要となるということから、対応が難しいという判断に現在至っていると伺っております。

佐々木(憲)委員 これは昨年の夏から要望が出されていたんだけれども、最初からこういう機能がついていない形でお風呂を取りつける、私はこれは非常に無神経だと思うんですよね、やり方が。仮に、全てのお風呂を取りかえて追いだき機能のついたお風呂にすると、予算は一体どのぐらいかかるんでしょうか。

五十嵐副大臣 約五万戸の全ての仮設住宅のお風呂に追いだき機能をつけた場合の費用は、百五十億円から二百億円程度になると厚生労働省からは聞いております。

佐々木(憲)委員 防衛省にお聞きします。

 この歳出の中に輸送機C130、それからC2が盛り込まれておりますが、これは復興とどのような関係があるのか、予算は幾らか、お答えいただきたいと思います。

神風大臣政務官 自衛隊の輸送機の取得と復興との関係及びその経費についての御質問であります。

 防衛省といたしましては、東日本大震災からの復旧復興を速やかに実施するために必要な経費を東日本大震災復興特別会計に計上しているところでございます。

 まず、自衛隊の輸送機であるYS11及びC1につきましては、今般の東日本大震災に際しまして、ともに、被災者の救助等に当たる自衛隊の人員、物資の輸送のほか、被災者への全国からの支援物資の輸送などに全力で当たってきたところでございます。

 こうした活動に伴う飛行時間の急激な増加によりまして、これら輸送機の運用停止時期が前倒しをして到来することとなりました。

 このため、減耗分を回復するための経費として、平成二十三年度第三次補正予算に、契約ベースで、C130輸送機六機分を約百五十億円、C2輸送機二機分、約二百九十億円を計上したところでございます。

佐々木(憲)委員 どうも私は、これをここに入れているのは問題があると思っているんですよ。

 災害派遣活動で消耗したというふうに言われましたけれども、輸送機YS11は今まで一体何年使ってきたのか、C1というのは何年使ったのか、お答えいただきたい。

神風大臣政務官 YS11につきましては、昭和四十二年の初号機の取得以来、およそ四十四年使用しているところであります。一方、C1につきましては、昭和四十六年の初号機の取得以来、およそ四十一年間使用しているところであります。

佐々木(憲)委員 四十一年それから四十四年こういうことで使ってきたものを、震災復興に一時的に使った、だから消耗したんだということで復興事業の中にこっそり入れてしまうというのは、これは非常に問題があると私は思っております。

 YS11は、三年先の平成二十七年まで使う予定だったんじゃありませんか。それから、C1も、平成二十七年までに順次C2に入れかえる、こういう予定だったのではないかと思いますが、いかがですか。

神風大臣政務官 YS11につきましては、従来、平成二十六年度末ごろと見込まれていた運用停止期間が、五カ月程度前倒しをして到来することになったところでありまして、そういう意味で、今回、そういう形で予算を計上させていただきました。

佐々木(憲)委員 大体、復興特会に入れること自体が私はおかしいと思っているんですよ。これを入れなくたって、一般会計の中で今までやってきていたわけでありまして、その必要性については別途の議論はあるとしても、今回、こういう形で特会に入れるというのは、ほかの予算との関係で非常におかしい。

 しかも、前倒しで切りかえる、こういうのは悪乗りでありまして、安住大臣、こんなやり方はおかしいと思いませんか。

安住国務大臣 防衛省としては、やはり老朽化をしてかなり消耗したということで予算要求をしてきたということでございますが、先生の側から見れば、そうしたお金があるんだったら風呂の方に回すべきだということでしょう。(佐々木(憲)委員「そういうことです」と呼ぶ)そういう御意見もありますけれども、YS11も重要だということでございます。

佐々木(憲)委員 大体、このC1は、一般会計でも二機買うというふうになっているんですよ。そうでしょう。何でわざわざ前倒しして復興特別会計の中に二機入れるんですか。それは必要だというのはあなた方の理屈だけれども、復興のために、被災者のために使おう、そういう事業の中に、前倒しをして、今まで四十年間使ってきたものが古くなったから全部ここの会計でやるんだ、それ自体がおかしいんだよ。

 先ほど確認したように、お風呂の追いだき機能について、百五十億から二百億、こう言いましたよね。この新しい輸送機は一体幾らかかりますか。

 先ほど御紹介ありましたように、追いだき機能をはるかに超える大規模な金額になっているじゃないですか。C1一機を、例えば、前倒しせず、ここから外せば、五万戸の被災者のお風呂を、温かいお風呂に入れるようにできるわけですよ。何でそれができないんだ。優先順位が全く間違っているんじゃないですか。

五十嵐副大臣 そういうお考えもあるかと思いますが、単にお金だけの問題ではなくて、先ほども言いましたけれども、工期が長くて人手の確保がかなり難しい、そして、他の復旧工事にも影響が出るおそれが大きい、それから、給湯器の廃棄が必要になりますので、その廃棄対策もあるというようなことであります。

 それから、それにかわって、湯舟に沈めるタイプの電気ヒーターを使ったらどうかという検討もされたようでございますけれども、これは中小企業が生産していて、機器の確保、十分な数が確保できない、それから、使用を誤ると感電や漏電のおそれがあるということで、これもなかなか難しいということで、いろいろ検討されたようですけれども、今の時点ではなかなか難しいということでございます。

佐々木(憲)委員 大体、いろいろ検討して、一切予算をつけなかったのが問題なんだよ。ああでもないこうでもないと理屈をつけて。去年の夏から、仮設住宅の方々は冬になったら大変だからというので要望していたのにもかかわらず、こういう事態になっているんだ。

 大体、大企業や富裕層は一円も負担せずに、国民に負担を押しつけて集めたお金を、そういう声に応えないで、自衛隊の輸送機を八機も大量に買う、こんなやり方を許すことはできない。

 私は、こんな特別会計のあり方には反対だということを明確に述べて、質問を終わりたいと思います。

海江田委員長 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 今お手元に資料が配られると思いますけれども、私は、基本的に、消費増税の前にやるべきことがある、このスタンスでずっと予算委員会や財金で質問をさせていただいているわけですけれども、前々回に、安住大臣に三問質問をということで提起させていただいて、前々回が第一問、前回が三月二日、先週の金曜日の夕方に質問をさせていただいて、これは八ツ場ダムをなぜ再開したかということです。

 きょうは三問目に入ろうと思っていたんですが、今お手元に配られていると思いますけれども、くしくも、私が質問をした夕方の明くる日の三月三日土曜日ですが、朝日新聞の朝刊ですけれども、社説が出ておりまして、これをぜひ私は取り上げたいというか、ずっと思っていたことなんですけれども、八ツ場ダムの再開に関連して、実は、整備新幹線が、未着工三区間の着工ということで平成二十四年度予算に盛り込まれ、また、外環道路の練馬―世田谷間、これも着工するということが二十四年度予算で決められた。

 これも、コンクリートから人へと言っておきながら、八ツ場ダムがその象徴ですけれども、この整備新幹線や外環道、これをまた再開というかこれに着工するということも、コンクリートから人への基本理念の全く真逆な行為ではないかということを申し上げたいということで、ちょうどこの社説に本四架橋の問題と、今申し上げた二十四年度の整備新幹線及び外環道の着工の話、これが両方載っているものですから、ぜひこれをと思いまして、資料でお配りしました。

 私が幾ら資料で配りましてもこれは議事録に残りませんので、短い、大した時間もかかりません、これを読み上げます。

 それで、ぜひこれは与党も野党も両方聞いていただきたいんですが、お手元にあるように、全部で三段あります。上の二段が旧の政権の問題、それから下の一段が民主党政権としての問題、こういうことですので、よく与野党ともにお聞きいただきたいと思うんです。

 社説に「本四架橋 この失敗を繰り返すな」という見出しで、

  本州と四国を結ぶ本四架橋の高速道路について、国土交通省と地元の十の府県・市が、料金と負担の見直しで合意した。

  三ルート、計十七の橋からなる本四架橋は二兆八千七百億円をかけて造られた。ところが、通行量が想定を大きく下回り、本四高速会社に入る料金収入だけでは借金を返せない。

  〇三年に約一兆三千億円の借金を切り離して税金で穴埋めする一方、国と十自治体は計八百億円を毎年拠出し、料金値下げと借金返済に充ててきた。

  このうち二百六十七億円を負担する自治体側が「もう払えない」と音を上げた。そこで、拠出はあと二年で打ち切る。

  かわりに東日本、中日本、西日本の高速三社の料金収入を回す考えだ。それを原資に、借金を返しつつ、本四高速の料金を全国平均並みに引き下げ、通行量の増加をめざす。

  高速道路全体の借金返済も、二〇五〇年度と決められている期限の先延ばしを検討する。

  〇五年に実施された道路公団民営化の狙いは何だったか、思い起こす必要がある。

  高速道路の料金収入をひとまとめにする「プール制」を改めて、会社・路線ごとに収支をしっかり管理する。造る道路は本当に必要なものに限り、各社の創意工夫で売り上げを増やし、確実に借金を返す。こういうことだったはずだ。

  新たな方針は、民営化の理念に反する。全国各地の高速道路の利用者も、支払う料金が本四架橋の借金返済に回ることに納得するだろうか。

  架橋を三ルートも整備したのは、地元が強く要請し、関係する政治家が後押ししたからだ。自治体の資金拠出を前提に着工したものの、心配されたとおりの計画破綻である。

これは民主党政権の前の話。そして、次が民主党政権。

  痛感するのは、大型事業のツケの重さだ。同様の構図がほかにもないだろうか。

ここからよくお聞きください。これは私は前回に申し上げたいと思っていたのが、時間がなくて言えなかったんですが、

  政府・与党は新年度に、整備新幹線の未着工三区間、東京外郭環状道路の練馬―世田谷間を相次いで着工する方針だ。それぞれ三兆円余、一兆二千億円余かかる。

  整備新幹線を運行するJRや外環道を建設・運営する高速道路会社を通じて利用者が負担するほか、多額の税金も投じる。

  経済が右肩上がりの時代と違い、人口は減っていく。国や自治体の財政は大きく悪化し、消費増税が日程にのぼっている。

  そんな時に巨額の投資が本当に必要なのか。

  造り始めてからでは遅い。本四架橋を教訓に、立ち止まって考えるべきだ。

これがまさに社説であり、正論であり、世論であると私は思っています。

 このことを正そうとして、二年半前に、民主党は国民の皆さんにマニフェストを公約して、そして政権交代が実現したんじゃないんですか。それなのにまた、平成二十四年度に整備新幹線三区間及び外環道を着工する。これは、八ツ場ダムもさることながら、金額的にはべらぼうに、こちらはそれぞれ三兆円、一兆二千億円、その中の国費部分ということになりますけれども、税金が多額に投入される。

 ぜひ、安住大臣、これをお読みになって、ああ、そうですねという話なのか、いやいやとおっしゃるのか、お答えを聞かせていただきたいんですが、一つ申し上げておきます。

 これは、本来ならば、前田国交大臣が、これはやめる、こんなことは手をつけないということをおっしゃるのが筋ですけれども、あの方は元建設省の出身だし、恐らく要求大臣として突き上げられて、あるいは信念でそう思っておられるのかもしれませんが、予算を要求されたんだと思います。

 しかし、財務大臣は、その要求官庁からの要求を主計局が中心となって査定をして、幾らでも財務省の案をつくり、政府案とすることができるんです。このことをよくお考えになって、答弁を求めます。

安住国務大臣 一新聞社の社説を委員会でお読みになったのを、私も十六年国会議員をやっていますけれども、初めて聞きました。まあ、いかにも朝日的な論調ではあるなと。それは、一つの意見としては私もうなずけるものもありますし、ただ一方で、俯瞰して見る目はちょっと欠けているんじゃないかと思うんですね。

 それは、非常に情緒的に訴えている部分が多くて、大型公共事業のツケの重さがひどいから、今回やっていることも非常に問題だと。しかし、ここには、トータルで七兆円あった公共事業を四兆五千億まで削った実績に対する評価は全くないわけです。我々が政権をとったときには七兆だったんですね。実は、これを大幅に、公共事業全体の額というのはシェープアップしたんです。そのことは、まずわかっていただかないといけないと思います。

 それから新幹線についても、事実関係だけ申し上げますと、今回の予算には一切盛り込んでおりません。これは、いわゆる五つの合意事項というものがありまして、それをちゃんと見通した上で、納税者の負担をできるだけかけないような形であれば、それも何十年と長期にわたって計画を立てるのであれば、可能性としてはありますよという段階でございます。

 それから外環状については、象徴的に取り扱われているのは事実ですよね、先生。ただ、外環状ほど意見の分かれる問題はないと思うんです。地元の東京都の中でも、これは東京都を中心にやるべきだという意見もありますし、実は、既に外環状については、予算の決定というのははるか以前から行われておりましたから、今あそこの道路をそのままやめてつながない方がいいのか、それともつないでしまった方が、練馬からずっと下まで通した方がいいのかというのは、これは政策判断としては私はあっていいと思いますから。

 それらを軒並み並べて、全て公共事業は悪だということを前提にしているという点では、一方を取り上げたのは極めて朝日的だと思っておりますが、そのことについて私は、全く否定するものではないですけれども、肯定するものでもありません。

豊田委員 朝日的かどうかという話はおいておきまして、ここに書いてある内容がどうかということを私は問うているわけです。

 もともと、二年半前に、安住大臣も中心になって、コンクリートから人へとおっしゃっていた話なんでしょう。確かに、公共事業も当時、前原国交大臣が一生懸命頑張ったのはわかります。それがなぜ、消費税を増税するというこの時期にこの話が出てくるんですか。それはおかしいでしょう。何十年もかかるという話だったら、もう五年や六年、本当に消費税が定着して、その引き上げが終わった後にこういうことを検討したっていいじゃないですか。なぜ今やるんですか。それはおかしいと思いませんか。

安住国務大臣 ある意味で、政治論と手法、それからタイミングということで言えば、この事業を認めておられることを前提に、例えばタイミングが悪いから延ばすべきだという意見は、政治論としてはあると私も思います。ただ、問題は、それは誠実なのか。

 それから、国土交通省の予算を使って何を具体的にやるかという政策判断の中で、今回、さまざまなそういう問題についてある種一定の方向を出すということと、だから公共事業が爆発的にふえていくという話は、全く事実と反するということを私は申し上げているんです。

 象徴的なものとしてこれらを挙げていますが、先ほどから申し上げているように、全体として、先生もお認めになっていただいたように、公共事業を四兆五千億までシェープアップしているわけですから。

 そういう点では、財務大臣として申し上げるというよりも、一政治家として言えば、今後、東京オリンピック以降五十年にわたってつくってきた公共施設の老朽化というのは非常に深刻な問題としてありますから、ある一定の規模の設備投資というのは国としては必要であろうと私は思います。ただ、無駄だと言われるようなことがないような監視というものは、先生御指摘のように、私はしっかりやっていきたいと思っております。

豊田委員 私が申し上げたいのは二点ありまして、さっき申し上げた、消費税増税ということを打ち出しながらなぜこういうことをやるのかというのが一つと、ここに書いてありますように、本四架橋は、これは失敗なんですよ。計画が甘かった。(安住国務大臣「それはそうです」と呼ぶ)そうでしょう。それを、今まさに同じことを、本当にちゃんとこれを詰めて、それは例えば二十四年度の予算に、まあ調査費ぐらいはつくのかもしれませんけれども……(安住国務大臣「つけていません」と呼ぶ)全くつかない。でも、その予算も将来は、何年にわたるか、後年度の負担になってくるわけじゃないですか、やろうとすれば。これはちゃんと検証ができているんですか。私はそれを申し上げたい。

 たまたま本四架橋がこういう話で出てきている。今までの日本の公共事業は、特に、景気が悪くなってどんどんお金をつぎ込んできた、その効果がないままに本当に無駄なことをやっているというのが、これは民主党の皆さんがずっと、私も含めてですけれども、主張してきたことじゃないですか。それがどうして、象徴的なことをこういうことでおやりになるのか、なぜ安住大臣がこれはちょっと待てとストップをかけられないのか、それが私は非常に疑問だということです。

安住国務大臣 先生、ですから、私は、この間、八ツ場のことは申し上げました。主計にもおられたから。債務負担行為はしていないんです。私は、官房長官が出した考え方に沿って河川計画をちゃんとつくるということと、生活関連法案をしっかり通していただく、この二つをちゃんとやった上ででなければ、本体工事というのは、あの順番でいえば、私はやはりやるべきでないと思います。

 それは、官房長官がそのことをきちっと言ったことで、党全体、政府・与党全体としての決まりになったわけです。だから、そのことは予算にも反映をしたつもりであります。

 それから、新幹線のことについてはさまざまな意見があります、特に北海道、それから北陸、長崎については。ですから、私どもとしては、それぞれの区間について、さまざまな要件をちゃんとクリアしてもらうということを前提に、次のステップに行くかどうかというのを決めていただければいいと思っておりますので、二十四年度予算に何か関連したものをつけているというわけではございませんので、申し上げておきます。

豊田委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、先ほど安住大臣が、政治的判断あるいは政策の優先順位の判断とおっしゃいましたけれども、消費税増税ということを打ち出しておいて、それでこれを機械的に査定してどうのこうのという話は、それこそ政策の優先順位のつけ方がおかしい。消費増税をする前ならこういうことはやらない、あるいは、二年半前に公約したことをちゃんと守る、これをぜひ強く私は申し上げて、大臣の猛反省を求めます。

 以上です。どうもありがとうございました。

海江田委員長 次回は、明七日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三分散会


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