衆議院

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第12号 平成24年3月27日(火曜日)

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平成二十四年三月二十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 海江田万里君

   理事 網屋 信介君 理事 泉  健太君

   理事 糸川 正晃君 理事 岡田 康裕君

   理事 岸本 周平君 理事 竹下  亘君

   理事 山口 俊一君 理事 竹内  譲君

      五十嵐文彦君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    緒方林太郎君

      大串 博志君    大山 昌宏君

      川村秀三郎君    木内 孝胤君

      楠田 大蔵君    小室 寿明君

      近藤 和也君    菅川  洋君

      鈴木 克昌君    中塚 一宏君

      中林美恵子君    橋本 博明君

      平岡 秀夫君    藤田 憲彦君

      古本伸一郎君    三谷 光男君

      三村 和也君    森本 和義君

      湯原 俊二君    齋藤  健君

      竹本 直一君    丹羽 秀樹君

      西村 康稔君    野田  毅君

      三ッ矢憲生君    村田 吉隆君

      山本 幸三君    斉藤 鉄夫君

      佐々木憲昭君    豊田潤多郎君

      田中 康夫君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      岳野万里夫君

   参考人

   (一般社団法人信託協会会長)           野中 隆史君

   参考人

   (日本証券業協会会長)  前  哲夫君

   参考人

   (AIJ投資顧問株式会社代表取締役)       浅川 和彦君

   参考人

   (アイティーエム証券株式会社代表取締役)     西村 秀昭君

   参考人

   (株式会社東京年金経済研究所代表取締役)     石山  勲君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  小山 展弘君     川村秀三郎君

  鈴木 克昌君     大山 昌宏君

  三谷 光男君     橋本 博明君

同日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     鈴木 克昌君

  川村秀三郎君     小室 寿明君

  橋本 博明君     三谷 光男君

同日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     湯原 俊二君

同日

 辞任         補欠選任

  湯原 俊二君     小山 展弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 金融に関する件


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     ――――◇―――――

海江田委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 この際、AIJ投資顧問への対応について政府から報告を聴取いたします。金融担当大臣自見庄三郎君。

自見国務大臣 おはようございます。

 AIJ投資顧問への対応について、御許可をいただきまして発言をさせていただきます。

 今般のAIJ投資顧問株式会社が引き起こした問題については、まことに遺憾でございます。

 本日は、行政処分に至る、これまでの金融庁、証券取引等監視委員会の対応について、改めて時系列に沿って御説明申し上げます。

 まず、証券取引等監視委員会では、本年一月より、AIJ投資顧問株式会社及びアイティーエム証券株式会社に対する検査を開始いたしましたが、検査の過程で、AIJが投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用状況について疑義が生じたことから、二月の十七日金曜日に、金融庁に対し、その旨の連絡がございました。

 この連絡を受け、金融庁では、検査期間中の異例の対応ではございましたが、急遽、同日中、二月十七日の金曜日に、AIJに対して報告徴求命令を発出し、二月二十三日木曜日に、AIJより、投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用状況について、現時点で毀損額、毀損原因について精査中であるものの、投資家に説明できない状況にある旨の報告を受けました。

 このため、直ちに二月の二十四日金曜日付で、AIJに対し、業務停止命令一カ月及び業務改善命令を発出いたしました。

 その後、三月二十二日に、証券取引等監視委員会の検査において、AIJ及びアイティーエム証券について、虚偽告知等の法令違反が認められたとして、両社に対し行政処分を行うよう勧告が行われました。

 この勧告を受けて、金融庁では、三月二十三日金曜日、AIJの登録取り消し、及び、アイティーエム証券に対し業務停止命令六カ月を発出するとともに、両社に対し、顧客資産の保全が円滑に進むよう業務改善命令を発出したところであります。

 また、同日、三月二十三日金曜日には、証券取引等監視委員会による強制調査が、犯則調査でございますが、開始されており、その中でさらなる事実解明が行われれば、金融庁といたしましても、厳正に対処してまいりたいと考えております。

 一方、今回の事案の重要性に鑑み、他の全ての投資一任業者についても、AIJに対する業務停止命令を発出した二月の二十四日金曜日に、一斉調査を実施することを急遽、表明いたしました。

 まずは第一次調査として、全ての投資一任業者に対し、二月二十九日水曜日付で報告徴求命令を発出した後、三月十四日までに、全社から報告書を受領したところであります。

 ただいま、金融庁事務方において、提出された報告書を精査し、記載事項について補正や訂正の指示を行っているところであります。

 今後、できる限り速やかに、第二次調査の対象となる業者を絞り込んで第二次調査を開始するとともに、第一次調査の取りまとめ結果の概要を公表できるよう、最大限の努力を続けてまいりたいと存じております。

 最後に、本事案の再発防止策について一言申し上げます。

 本事案が露見することなく拡大した原因といたしましては、まず、投資一任業者が、虚偽の運用報告を、一定期間にわたり気づかれることなく行っていたこと、また、投資一任契約の勧誘に関し、虚偽の説明を行っていたこと、さらに、当該投資一任業者が運用していた海外ファンドについては、受託会社からの報告書の改ざんなどがあったため、第三者によるチェックの機能が妨げられたことなどがあるものと理解をいたしております。

 これらの問題に対して、年金基金等の運用受託に関する信頼性を確保する観点から、金融実務を踏まえて、実効性のある再発防止策を幅広く検討する必要があると考えております。

 また、投資一任業者に対する規制や検査監督のあり方についても虚心坦懐に見直していくべきものと考えております。

 今後、証券取引等監視委員会によるさらなる調査や投資一任業者に対する一斉調査の結果も踏まえつつ、これらの課題について、関係者の意見を踏まえながら、早急に検討を進め、成案が得られたものから実施してまいりたいと考えております。

 以上、AIJ投資顧問問題への対応について、金融担当大臣として御説明を申し上げましたが、引き続き、あらゆる選択肢を排除することなく、関係省庁とも密接に連携しながら、金融庁、証券取引等監視委員会総力を挙げて再発防止に努めてまいりたいと考えております。

 委員長を初め委員各位におかれましては、より一層御指導、御鞭撻を賜りますように、心からお願い申し上げる次第でございます。

 以上です。

海江田委員長 これにて報告は終わりました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長森本学君、監督局長細溝清史君、証券取引等監視委員会事務局長岳野万里夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野塚勝俊君。

小野塚委員 おはようございます。民主党の小野塚勝俊でございます。

 質問の機会をいただきまして、委員長、理事、委員の皆様、ありがとうございます。

 これまでも申し上げておりますとおり、国会での委員会質疑は、特別な場合を除きまして、副大臣以下で行うべきであると私は考えておりますので、本日もそのような形でお願い申し上げます。

 限られた時間でございますので、本日は、AIJ投資顧問問題について、特に再発防止の観点から質問をいたします。

 今回の問題、なぜこのようなことが起こったのかといろいろ考えますと、もちろん、今回、行政処分、強制調査の対象となっておりますAIJ投資顧問、またアイティーエム証券の問題は大きいものがあると思います。

 しかし、今回のこの問題にかかわった方々というのは、本日お配りした概要図、資料の一ページにもございますが、たくさんのプレーヤーがいらっしゃいます。ここをごらんいただきますと、AIJ投資顧問、またアイティーエム証券ほか、信託銀行、ファンドの受託銀行、監査事務所、そして顧客たる厚生年金基金、そして、この図にはございませんが、行政たる金融庁、証券取引等監視委員会、厚生労働省などございます。

 今回の問題に関係した方々が積極的であったかどうか、また不作為であったかは、それはまちまちであるとは思いますが、何らかの関係でかかわり合いながら、今回このような問題が起こったように私は思えてなりません。

 その中で、本日、後半パートでは、AIJ投資顧問の浅川社長を初め関係した方々が参考人としてお越しになりますが、この前半のパートでは、行政の問題、制度面における問題について、積極的であったかどうかは別といたしまして、少なくとも、不作為の点で問題はなかったのかという観点で、その問題意識で議論を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日は、厚生労働省の藤田大臣政務官に当委員会にお越しをいただいておりますので、最初にそのことから質問をさせていただきます。

 厚生年金基金における予定利率というのは、現在、五百八十一年金基金がありますが、八七%に当たる五百七の基金が五・五%としています。

 この五・五%、なぜかというと、平成九年当時の厚生年金本体の予定利率というのが五・五%であったわけです。当時の公定歩合は既に〇・五%でありましたので、この予定利率五・五%自体も、当時といたしましても大変高い金利であったわけですが、この厚生年金本体の予定利率と同じ利率を厚生年金基金でも当時において使っていたわけです。

 現在、この厚生年金本体の方は、実質でいいますと一・六%の金利で運用しているという状態です。その一方で、厚生年金基金は、先ほど申し上げましたとおり、九割近くのところが五・五%のままとなっています。

 なぜこのようなことが起こっているのか。それは、予定利率を厚生年金基金が引き下げますと、給付の金額を減額しなければならない、減額をしない場合は掛金を引き上げなければいけないということが起こるからであります。企業や団体、特に中小企業においては、景気状況が大変厳しい中において、これまで以上に基金にお金を積むというのは現状としてなかなか難しい。かといって、給付の減額をするとなるとどういうことが必要となるかというと、そのためには受給者の三分の二以上の同意がないと減額ができないというふうになっています。

 厚生年金基金は確定拠出ではなく確定給付でありますので、受給者が減額するということをなかなかよしとは思えないというのが実態だと思います。ゆえに、三分の二以上の方々の同意を得るというのはなかなか難しい。企業もお金も出せない、給付は減額できないとなりますと、現実の問題に目をつぶり、現状において、あえて運用利率を五・五%のまま変えないでいるというのが実態。それがゆえに、基金の何と八七%に当たるところが五・五%のままになっているというのが実態であります。

 このような五・五%運用してくれるところはないのかと探した結果、今回問題となっている、高利で運用してくれるAIJ投資顧問に頼ったというのがいわゆる実態ではないのかと思うのであります。

 このような大きな問題、このような実態について、行政サイドもわかっていたはずだと思います。予定利率は各基金がみずから決めることゆえ、行政としては関与できないということなのかもしれません。しかし、このような現状、どうにかして行政サイドで対策は打てなかったものなのでしょうか。

 給付の減額を決めるために受給者の三分の二以上という件、これは、実は厚生労働省の省令と通達で決められているものです。これを、例えば三分の二以上ではなくて二分の一以上などとする変更ができるならば、給付減額を行うハードルは下がります。実態に合わない現状を、受給者の方々だって、皆さんいいとは思っていないのではないでしょうか。まして、その負担は、受給者の方々がかつて働いていた会社や組織の後輩たちに行くわけであります。受給の減額を認める方も半分ぐらいはいらっしゃってもおかしくないかもしれません。

 そのような観点から、この三分の二以上という厚生労働省の省令、通達を変更するというお考えはありませんでしょうか、お伺いいたします。

藤田大臣政務官 おはようございます。

 今、委員の方から、いわゆる給付水準引き下げのルールの緩和ということでお尋ねをいただきました。

 現行、非常に高い利回りを追求したということによって、こういったいろいろな問題が出てきているということについて、問題意識を厚労省も十分持っているところでございます。

 ただ、この現行のルールというもの、局長通達あるいは法律で定められている要件というものについては、過去いろいろな議論がございまして、労使双方の代表の皆さんも参加する審議会や研究会で、三年間かけて議論を行ってきた。そして、平成九年に策定をしたという経緯がございます。そして、またその後、司法においても、この条件というのは妥当であるという最高裁の判決も下されているということで、受給権保護ということについて非常に手厚くなっているというところでございます。

 そういった意味では、この要件というものを緩和していくということについては、受給権保護の観点から十分に、そして慎重に考えなければならない、このように考えているところでございますけれども、しかし、今日さまざまな問題が出てきていることも事実でございますので、四月に有識者会議を立ち上げる予定でございますので、その場において検討をしてまいりたい、このように考えております。

小野塚委員 ありがとうございます。

 難しい面もあるというお話だと思いますが、ぜひ、今回大きな問題となっておりますので、現実の問題に不作為とならず、解決に向けて御努力をいただければと思います。

 藤田大臣政務官、ありがとうございました、これで結構です。

 続きまして、金融庁及び証券取引等監視委員会に伺います。

 今回お配りいたしました資料の三ページ目をごらんいただきますと、この中で、監査事務所、これはグラント・ソントンのケイマンと言われていますが、この監査報告書をAIAとアイティーエム証券に送付をしています。ファンドの運用状況をそれぞれに報告しているわけなんですが、しかし、このAIAとアイティーエム証券、これはAIJ投資顧問と大変深い関係にある企業です。AIAはAIJ投資顧問の一〇〇%出資、ダイレクターもAIJ投資顧問の浅川氏でいらっしゃいます。また、アイティーエム証券も、AIJ投資顧問が実質的に支配している投資事業組合が出資している会社です。アイティーエム証券については、監査報告書も確認せず、そのままAIJ投資顧問に渡していたという話も聞かれます。

 そもそも、この監査報告書、誰が何の趣旨でつくったのでしょうか、法律的な根拠というものはあったのでしょうか、お伺いいたします。

岳野政府参考人 先生の御指摘いただいている資料の三ページ目、監査報告書作成についてでございますが、ここで、先生御指摘の海外の監査事務所が行いました監査につきましては、我が国の金融商品取引法等による法令上の必要があって作成されたものではございません。基本的には、このストラクチャーの中では、AIMグローバルファンドを運営しておりますファンドの管理会社でございますAIAが監査法人に監査を依頼したというふうに承知しております。

小野塚委員 ありがとうございます。

 いわゆる法律的な根拠がなくつくられていたわけですね。この監査報告書は、結局、本来一番見たいと思っている、その情報を知りたいと思っている顧客である厚生年金基金の方々は見ることができなかったわけであります。また法律的にも、今事務局長おっしゃっていただきましたように、AIJ投資顧問は、監査報告書を顧客であります厚生年金基金に、法律的な根拠がないわけですから、開示する義務はなかったわけであります。

 今回の問題、基金の自己責任という話はよくあります。確かにそういった面はあると思いますが、基金において、先日当委員会でも話題となりました、日経がつくっている日経BPマーケティング、格付投資情報センターの「年金情報」というもの、これを見ますと、購読料が年間十二万六千円なんですね。しかし、ここまでの高額のものを払って情報を得ようとすると、そこには、二〇〇八年、平成二十年には年金顧客評価調査でAIJ投資顧問は総合首位になっています。

 監査報告書という正規なものが見られないのであれば、このような市販のものに頼らざるを得なかったというのも、基金の方々、わかる気がいたします。

 監査報告書に含まれるファンドの運用報告書の開示を厚生年金基金が要求をしたときには、これをAIJ投資顧問は、開示を拒絶したとあります。また、開示を求める顧客には、知人の公認会計士に偽造を依頼し、虚偽の報告書を提出し、運用成績が上がっていたように装っていたという話も聞きます。

 いずれにいたしましても、監査事務所が作成した正規の監査報告書を顧客である年金基金が見ることができない。私は、監査報告書を基金が見ることができていれば、今回、AIJの件についても問題の発覚は早かったでしょうし、今後の再発防止という観点からも有益だったと思います。

 厚生年金基金が監査報告書を見られるようにするため、法律的な担保なども含め、金融庁として何らかの改善策をお考えではないかということについてお伺いいたします。

中塚副大臣 一月から調査、検査に入りまして、三月の二十三日のところでまず一区切りをつけまして、もちろん、まだ調査と検査は継続中であります。そこまでのところでわかった範囲の中で、いろいろと対策を打たなければならぬなというポイントも出てきている、そういうふうに思っております。

 今お話がございました、監査報告書を基金がちゃんと見られるようにということなんでありますが、今御指摘になられた報告書の開示義務あるいは記載内容の充実というようなことにつきましては、これは本当に重要な観点、論点だ、そういうふうに思っております。

 では、そういった制度で、この問題点を議論していく際になんですけれども、今度は、監査、外部監査の義務づけをするときに、では、どういった中身を監査の対象にしていくのかということ。例えば、投資ファンドの財務諸表、これはもちろんのことなんだと思いますけれども、あと、運用会社の内部統制とか、そういったものも対象になっていくかもわかりません。

 今回は、実は、投資ファンドに対してはちゃんと外部監査が行われていたわけなんですけれども、その報告書がちゃんと基金の方には伝わっていなかった。基金の中には、見せてくれといった要求をしたところがあるというふうにも聞いておりますけれども、そういったことをきっちりと法律で担保していく等々が改正のポイントになってくるであろう、そういうふうに思っています。

 今、一斉調査も行っておりますので、そういった調査の結果も踏まえまして適切に対応してまいりたいと思いますし、党やまたこの委員会でも御議論いただければ、そう思っております。

小野塚委員 ありがとうございます。

 今回のAIJ投資顧問の問題、金融庁におかれても、投資顧問という会社に問題が多かったということはよく御存じだったと思います。

 それが証拠に、証券取引等監視委員会と各財務局では、二〇〇九年、平成二十一年の三月から約二年間かけて、投資助言・代理業者の法令遵守状況に重点を置いた検査を集中的に実施なされています。この投資助言・代理業者というのが投資顧問会社のことでありまして、昨年の二月、この検査結果というものが取りまとめられておりまして、そのペーパーの冒頭部分に、このように書いてあるわけですね。申し上げます。

 投資助言・代理業者に対する過去の検査において、その役職員の法令遵守意識の欠如等を原因とする重大な法令違反等が多数認められたことを踏まえ、投資助言・代理業者の法令遵守状況に重点を置いた検査を集中的に実施してきた。

 つまり、問題が多い業界であるということは金融庁さん御自身も御認識をされて、このような検査をかつて行っていたわけです。

 さらに、その検査結果を見ましても、二〇〇九年三月から二〇一一年一月まで約二年間にわたりまして、七十四の投資顧問などに対して検査を行い、十一の会社に対して重大な法令違反などが見つかり、登録抹消や業務停止などの勧告処分も行っていらっしゃいます。

 しかしながら、この検査対象にAIJは入っていませんでした。

 話題となっております、先ほども申し上げました「年金情報」、ここには、二〇〇九年一月五日号というところには、AIJに関して、このように書いてあります。

 ただ、採用先の年金基金の間ではヘッジファンドである同社の運用成績に満足する声が多い一方、運用成績の根拠や開示内容に関する不透明さを指摘する声もある、中には不透明さを認識しつつも、運用成績のよさからあえて問題視しないという基金もあるという記事であったり、この前も当委員会で話題になりましたが、AIJ投資顧問を想定して、日本版マドフの影という記事が掲載されたのは、二〇〇九年二月十六日の記事でございました。

 投資顧問会社への問題意識は持っていたにもかかわらず、AIJについては、この検査のときも漏れていた。今回、この問題を深めますと、このときの検査に入っていなかったというのは大変に残念なことだと私は思います。

 この件につきまして、金融庁さんとしてはどのようにお考えでしょうか。

海江田委員長 申し合わせの時間になっておりますので、手短にお願い申し上げます。

岳野政府参考人 恐れ入ります。

 先生から御指摘いただきましたとおり、平成二十一年から二年間かけまして、投資助言・代理業者に対する集中的な検査を行っております。私どもといたしましては、この業態に着目した集中的な検査でございました。

 ただ、AIJ投資顧問は、広い意味で投資顧問でございますけれども、投資一任業を営んでおりまして、投資助言・代理業とは別の業務でございます。投資助言・代理業の登録はしておりませんでしたので、本件の集中的な検査の問題意識、すなわち個人投資家を中心とした保護の要請、そういった問題意識からは外れていたということでございまして、今回の投資助言・代理業者に対する集中的な検査では、その対象とならなかったという次第でございます。

海江田委員長 小野塚勝俊君、まとめてください。

小野塚委員 ありがとうございます。

 今回起こった問題を踏まえ、難しい面は多々あるのかもしれませんが、行政が、ぜひとも現実の問題に不作為にならず、解決に向けて御努力をいただきたいと思います。

 これで終わらせていただきます。

海江田委員長 次に、竹本直一君。

竹本委員 自民党の竹本直一でございます。

 きょうは、この問題についての質問の時間をいただいたわけですが、限られた時間でございますので、できるだけ核心に触れた質問をいたしたいと思っております。

 まず、大臣、私は、今回の事件は、今お話あったマドフ事件と全く同じ巨額詐欺事件だと思うんです。もうそれ以外ないとさえ私は思っております。こういう問題を起こしたことは、政治家としてどういう責任を感じておられるのか。先ほどの経過報告とそれに続いての考えの陳述を見ましても、余り責任感を感じておられるように見えないんですよね。本当にこれは大きい問題だということです。

 要するに、監督官庁が検査に入っていながら全然見抜けなかった、こんなとんでもない虚偽報告書がどんどん世の中に出回っている、それが日本の経済だ、こう思われると、日本に投資する人がますますいなくなりますよ。日本に対する直接投資が非常に少ないということで、この国は経済大国であるにもかかわらず、不思議な国だと思われているわけです。そういう悪い評価に、さらに加速度的にそういう信用失墜行為に類するようなことが起こってしまったわけであります。

 結局、よく国の評価をするときにカントリーリスクとかいいますけれども、これはまさにクレディビリティーリスクですよ。信用リスクですよ。この信用がない国に誰が投資するのかということを考えますと、日本の経済を活性化するためには、もっと外資も呼び込んで、どんどん経済活動を活発化しなきゃいけないこのさなかに、こんな事件を起こした。これについて、金融担当大臣としてどういう責任を感じておられるのか、ぜひ陳述をお願いしたいと思います。

自見国務大臣 AIJ投資顧問会社が引き起こした問題につきましては、極めて遺憾であるというふうに思っておりまして、さまざまな御批判を、いろいろなこういった委員会の場でもまたいろいろ受けておりますが、これは真摯に受けとめつつ、金融庁あるいは証券等監視委員会、しっかり、あらゆる選択肢を排除することなく、まず、実態の解明が今進行中でございますから、実態の解明をし、そしてきちっとこの原因を突きとめ、そして、一部もうわかってきておりますけれども、再発防止にきちっと努めていくことが、まず今の時点では責任であるというふうに私は思っております。

竹本委員 再発防止に努めるのは当たり前のことでありますが、こういうことを起こされると本当に大変だ。政府の方では、今消費税を値上げしようといって、消費税を値上げしなければ日本の経済構造に対する信頼が失墜するんだ、だから値上げしなきゃいけないと言う人もいるぐらいですが、それほどあらゆる面において、日本のクレディビリティーについての疑念の念がいっぱい世界じゅうで巻き起こっているわけです。

 ですから、ぜひ大臣、そういう全体を見て、やはりこういうことが二度と起こらないように徹底するのは当たり前でありますけれども、日本の情報は信用できるのだと。ある国は全然信用できない、こんな国は海外にたくさんありますが、それと同類にされては話にならないということを私は冒頭申し上げたいと思います。

 具体的な質問をさせていただきます。

 二〇〇五年以降、格付会社などから約四件の情報提供が、要するに、AIJですね、何かおかしいぞという情報提供があったようですけれども、それにもかかわらず、検査を行っていないんです。これはなぜか。まず、そこから答えてください。

岳野政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきましたが、平成十七年度以降、今回の一月の立入検査に入るまでの間、証券取引等監視委員会の情報受付窓口に、AIJの関係での情報提供は全部で四件入っております。

 個別の情報提供に対しましてどのように行政対応を行ったかということの詳細は、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、私ども、外部から寄せられた情報の活用につきましては、その内容を検討いたしまして、その情報の重要性、有用性の程度に応じて必要な対応を行うことといたしております。

 外部から寄せられる情報につきましては、監視委員会の分だけで年間六、七千件ございますけれども、その中で、その内容とか情報提供者はさまざまでございまして、検査対象先の優先度を判断する際の重要性、有用性の程度にも差があることが実情でございます。

 私どもとしては、検査実施の観点から、こうした情報の有用性、重要性を評価した上で、必要と認められる場合にはヒアリング等を行い、さらに必要と認められる場合に検査を実施することとしている次第でございます。

 そうした取り組みの結果、結果としてでございますが、AIJ投資顧問に対する立入検査が本年の一月になったということでございます。

竹本委員 事務局長、岳野さん、あなたは専門家ですから、しかも、責任ある地位にある。そうすると、数字がいっぱいある、六千件の情報がある、だけれども、やはり仕事をやっておって、肌感覚というのがあるはずですよ。その肌感覚を感じないようでは困るんです。絶対あったはずですよ。

 もう一回答弁してください。そういうことは全然感じなかったか。

岳野政府参考人 先生には従来からいろいろ御指導いただいているところ、まことに厳しい御質問かと思います。

 ただ、私、先ほど年間六千件と申し上げて、数が少ないから重要視しなかったということではございません。一つ一つの情報を拝見いたしまして、繰り返しになりますけれども、その重要性、有用性を判断しているわけでございます。

 私どものまさに肌感覚を率直に申し上げさせていただきますれば、こういった情報の有用性というのは、業態とかその会社の規模その他の特性によっても異なるわけでございますけれども、例えば、具体的な証拠資料が添付されていて、業者の違法行為の疑いを示しているような情報、あるいは、情報提供者がまさに業者の関係者、例えば実際に取引をされている顧客とか内部者でございまして、当該関係者でしか知り得ないような情報、そういったものの場合には、まさに肌感覚と申し上げますが、非常にテンションが高くなるわけでございます。

 そういったことで、一般的には、そういう中で情報を選別し、検査に結びつけていくということをしているということでございまして、これが率直な偽らざる心境でございます。

竹本委員 この問題にばかりかかわっておられないんですが、要は、七千件の情報を全部あなたに読みなさいと言っているわけではなくて、やはり、いろいろな会話の中、会議の中、いろいろなうわさの中、あるいはいろいろな業界の人との接触の中で、何かそういう感ずるものがあるはずですよ。そういう感覚が本来なきゃいけませんよということを申し上げているわけです。この問題はこれで終わります。

 さて、証券取引等監視委員会のスタッフの数と投資顧問会社の数を比べますと、日米で、圧倒的に日本の数が少ない、こういう話は聞いております。アメリカが全部で四千人ぐらいスタッフがいるのに日本は七百人ぐらいだ、だから目が届かないんだという言いわけをする人もおりますけれども、結果として、証券取引等監視委員会の検査は平均二十年に一回あるだけだと。そうしますと、対象会社を二十年に一回しか回らない。一体、何年だと全部回るんですか。

岳野政府参考人 恐れ入ります。

 先生の御質問の趣旨が、投資運用業者の数に対しまして年間の検査実施件数を見ていくと、そういったところから割り算をすると、大体二十年に一回しか回れないではないかという御質問であるといたしますと、仮に機械的に回れば、全部回るのに二十年はかかるということになってしまうわけでございますが、私どもの場合は、そういう機械的、形式的にというよりはリスクベースで考えてまいりまして、問題となる業者を選別して検査に入っていくという考え方をとっております。

 ちょっと質問の御趣旨を取り違えているかもしれませんが……(竹本委員「では、私が言いましょう。要は、二十年に一回しか見ていないという……」と呼ぶ)

海江田委員長 ちょっと待って。竹本さん、指名をしますから、それから。

 竹本直一君。

竹本委員 私の質問は、二十年に一回しか順番が来ないわけですよ、税務署でも三年に一回来るといううわさがあるぐらいですが、二十年に一回だったら、そんな、一世代かわってしまうじゃないですか、それでいいとあなたは思っているのかということを聞いているわけですよ。二十年に一回しか検査しないのでいいのかということです。

岳野政府参考人 事務方といたしましての御説明をさせていただくことになるかとは存じますが、御案内のとおり、投資運用業者も含めまして、金商業者は現在、登録業者で約四千、届け出業者を入れて八千程度となっているわけでございます。

 そういう中で、監視委員会の証券検査の体制もこれまで拡充させていただいてはおりますけれども、現状で、先ほど先生がおっしゃいました、監視委員会全体で七百人、証券検査で、地方も合わせて大体三百人弱でございます。

 そういう中でいきますと、実際の検査にかかる人日を考えてまいりますと、全部一巡するということについては、機械的に計算すれば相当の年数がかかってしまうわけでございます。

 私どもとしては、そういう中で、こういう限られた人的資源を的確かつ有効に活用しながら、効率的かつ効果的な検査を実施することが必要だということでございまして、必ずしも全部回らなくても、重要なところ、問題があるところを発掘して検査に入っていく努力をしていく、これが私どもの務めではないかと。

竹本委員 いや、もうそんなことはわかっているんですよ。

 では、大臣に問います。

 二十年に一回しか回ってこないような検査でいいと思っておられますか。副大臣でもいいです。

中塚副大臣 先生御指摘のクレディビリティーリスクということについては本当に重く受けとめなきゃいかぬ、そういうふうに思っております。

 今、岳野事務局長から御答弁申し上げました。現状においては、機械的に計算をすると十九年に一度ということでありますが、その中でも、いろいろな情報等に基づき、またリスクベースで優先度をつけて検査をしているということであります。

 ただ、これほどまでの事態が起こってしまったということを考えたときに、やはり政治の場にある者として、このままでいいというふうにはとてもではないけれども言えない、私自身はそういうふうに思っております。

 ですので、今本当に行財政事情が厳しい折ではありますけれども、人的な面の充実ということも含めてしっかりと対応してまいりたい、そう考えております。

竹本委員 二千億円の年金資産を運用する一方で、金融派生商品などの取引高は延べ五十七兆円、これは二〇一〇年の数字ですけれども、きょう買ってきょう売る、朝買って午後に売る、これを繰り返しても、二千億円のファンドですと、月に市場が開いている二十日間で十二カ月運用して四十八兆円になります。余りにも多いわけであります。このような、受託資産の規模に対して余りにも取引が多い。さらに、資産管理会社も、浅川氏が務めているところなど、身内でもあるわけであります。

 さらに、運用報酬。この運用報酬についてちょっと質問をしたいんですけれども、これは実態を見ますと、非常にかたいパッシブ運用でも普通〇・三%ぐらいで、AIJのような積極的なアクティブ運用なら〇・七%は取ると言われております。運用資産は二千億円ですから、運用報酬額がそれに対して七千九百万となっておりますが、〇・七%で、本来の世間相場で換算すると十四億円なんです。本来なら、普通なら十四億円ぐらいもらっていなきゃいけないのに七千九百万しかもらっていない。そんな数字を見ただけでも何か、何があるのかなと思うのが普通ではないかと私は思います。

 ちなみに、AIJの販売資料に記載された運用報酬は一・五%であります。うまく回っているならもっと成功報酬もあるはずだ。この数字を見ても、これは何かおかしいぞと思うのが普通だと私は思うんですが、これは監視委員会の方ですかね、お願いします。

岳野政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきました点につきましては、それぞれごもっともな点であろうかというふうに思っております。

 こういった点に着目し、こうした、今先生がおっしゃられたような数字が出てまいりましたのは最近でございまして、そういったことも踏まえ、また、先ほども申し上げましたような外部からの情報などの分析をした結果、今回、AIJ投資顧問とアイティーエム証券会社に対して同時に検査に入る、こういう判断をした次第でございます。

竹本委員 証券取引等監視委員会は、二〇〇六年と二〇〇九年、AIJの営業を担当する関係会社のアイティーエム証券、本体にじゃなくてアイティーエム証券に対して定期検査に入っておりますけれども、二〇〇九年といいますと、格付投資情報センターがAIJの社名を伏せてニュースレターで警告した年であります。金融当局に対してもAIJの懸念について報告していたわけです。それでも検査で問題を把握できなかった。これはどうしてなのか、そして、追加検査は行ったのか行わなかったのか、それを答えてください。

岳野政府参考人 先生の御質問は、アイティーエム証券につきまして、検査にこれまで入っていた、特に二〇〇九年の春にも検査に入っていたということで、そのときになぜこの問題が発見できなかったのかということとお受けいたします。

 今の時点から振り返ってみますれば、その時点で今回の不正の端緒などを得られなかったことにつきましては、結果的には、事務方といたしましても大変遺憾に思っているところでございます。

 ただ、当時は、当時の検査といたしましては、アイティーエム証券に対し行った証券検査でございまして、一般論として申し上げますと、内部管理体制、法令等遵守体制及び財務の健全性等について検証したわけでございますが、結果的にその時点で問題点が発見できなかったということでございます。

 追加検査をしたのかということでございますが、アイティーエム証券につきましては、この二〇〇九年の検査の後は、今回の検査まで検査は行っておりません。

竹本委員 オリンパス事件もそうですけれども、タックスヘイブンを活用して、租税回避地を活用してこういう虚偽の報告書を出し、いろいろ悪いことをするというのはいっぱいあるんですけれども、今回の問題はやはり同じことで、どういうことが行われたかが非常に見えにくくなっております。

 日本は、IOSCO、証券監督者国際機構などを活用して租税回避地における金融取引の透明性を高めるような工夫をすべきだと思いますが、いかがですか。

自見国務大臣 竹本先生の意見に私も基本的に全く賛成でございまして、金融庁及び証券取引等監視委員会は、証券市場の公平性、透明性を確保するために、ケイマン諸島にかかわらず、海外の証券規制当局間に、今先生IOSCOという名前を挙げられましたけれども、必要に応じて、多国間あるいは二国間の情報交換枠組み等につき密接な協力関係を構築しているところでございまして、金融庁、証券取引等監視委員会においては、こうした協力のもとで、AIJ投資顧問における海外の投資ファンド等を通じた違法行為の実態解明に全力を挙げてまいりたいと思っております。

 それから、もう先生御存じのように、これはオバマ大統領が、リーマン・ショックの後に大統領になられましたので、これは直接関係がないといえば関係ないです、租税回避行動に対する主な取り組みというもの、オバマ大統領も大変こういったところに問題意識を持っておりますし、これは税でございますけれども、国際的な租税回避行動を防ぐための立法化、あるいは税の抜け穴を塞ぐということで、二〇一〇年に外国口座税務コンプライアンス法の成立を図っているわけでございます。

 やはり今は、全世界、我々としてもいろいろG8、G20の報告を聞きますと、大きくこういった租税回避地域、これは先生御存じのように、英領バージン諸島だとかバミューダ諸島だとかケイマン諸島だとか、今度もありました、オランダの植民地ですね、なんかにも当然こういうのがございまして、むしろずっと以前はこんなところを、タックスヘイブンのエリアを上手に活用してより利益を極大化するというふうなことは、金融工学では非常に一時大変流行したわけでございますが、果たしてそれでいいのかどうかという問題意識を、我々は今のリーマン・ショックの後の政治家として、しっかりそういう認識を持つべきだというふうに私は思っております。

竹本委員 時間がそろそろなくなってまいりました。最後に、厚労省に質問いたしたいと思います。

 先ほど、小野塚さんの質問でも話題になっていましたけれども、厚生年金、本体が一・六%運用でいい、ところが厚年基金の方は五・五%運用、えらい差があるんですよね。

 なぜそういうことをやりたがるかというと、大企業は、確定拠出年金とか給付年金なんかの方で十分優遇されますからいいんですけれども、本体が一・六%運用でも。しかしながら、中小企業はそういうことができない。だから、自分たちだけで運用させてくれ、余計配当が多い方がいいんだということで五・五%にしているんだと思いますが、余りにも差が大き過ぎるのではないか。本来できないことをできるようにしなきゃだめだというようなことで、こんな仕組みになっている。

 要するに、仕組みにそもそも無理があるのではないかと思いますが、いかがですか。

藤田大臣政務官 委員の方から今御指摘がございましたように、五・五%の予定利率で運用している、これは、基金全体の八七%が五・五%という水準で現在もやっているということでございます。

 これについては、いろいろな問題があるということ、御指摘をいただいておりまして、やはり見直しを、予定利率の引き下げ等も含めてきちっと指導をしていかなければいけない、この規制のあり方について検討しなければいけないというふうに考えておりまして、四月に有識者会議を立ち上げまして、現在実施している各基金の運用体制に関する実態調査なども踏まえまして、今後の対応ということについて検討をし、六月ぐらいまでに結論を出したい、このように考えております。

竹本委員 こういう事件が起こると、一斉調査をする、先ほど金融庁の方も同じようなことを言っていましたけれども、それは、一斉調査できるのなら事前にずっとやっておけばいいと私は金融庁の方にも思いますよ。

 最後に、この質問をもう一回させていただきたいと思います。

 要は、今回の問題、年金問題を契機として起こりましたけれども、問題は、資産運用の安全性の問題だと思うんです。かつては、投資をするときに、どの分野、株が幾ら、国内株が幾ら、外国株が幾らだ、こういうふうにやっていました。それを数年前に撤廃いたしました。結局、自由にやれるようになったんですよね。だけれども、こういう事件が起こってみると、果たしてそれでいいのかな、ある程度枠をはめておいた方がいいんじゃないかと。ハイリスク・ハイリターンというのは、文字どおりハイリスクがあるわけでありますから、全資産をそこに放り込んだら大変なことになる。そして、困るのは中小企業の従業員だ。

 こういうことを考えますと、やはり政府としても政治責任上、一定の枠をはめながら、がちがちじゃ困るでしょうけれども、運用できないでしょうけれども、やはり一定の枠をはめながらやるというような指導をすべきではないか、もう一度見直す必要があるんじゃないかと思いますが、金融担当大臣、いかがですか。

自見国務大臣 竹本先生に今お答えをいたします。

 先生が言われたのは、以前は、実は年金の受託は、一九九〇年までは信託銀行と生命保険会社しか受託できませんでした。ところが、一九八七年だったと思いますが、投資顧問業という法律ができまして、一九九〇年に投資顧問業も実は年金受託に参入してまいりました。

 私、この前も申しましたけれども、たまたま私は社会労働委員会の副部会長でございまして、非常に唐突に、にわかに投資顧問業というのが入ってきたということを今でも鮮烈に覚えております。それから、もう御存じのように、今先生が言いましたが、前はこういったものについては五・三・三・二という規制がございましたが、これも金融緩和の中で外せということで、大きな、ビッグバンの流れの中でこの規制も外したわけでございます。それから、今さっき言いましたように、投資顧問会社も、一任勘定は、その以前は認可制でございましたが届け出制に、これも規制緩和、小泉内閣のときにいたしました。

 できるだけ金融というのは自由にした方が、結局、富がふえて、回り回って国民のためになるんだよという大きな思想があったわけでございますけれども、やはり私は、リーマン・ショックというのは、この席でも申しましたように、コペルニクス的変化があったと。アメリカだってドッド・フランク法とかボルカー・ルールをつくって、規制するところは規制するということでございまして、今ごろは国際会議に行きましても、金融規制をどうするのかということが大きなテーマになりますから、やはりそういった時代の流れも考えつつ、一人一人の国民の、特にこれは年金でございますから、まさに、非常に貴重なものでございますから……

海江田委員長 自見大臣、申し合わせの時間が来ましたので、まとめてください。

自見国務大臣 はい。

 完全に規制しますと、これはまた鶏の卵を殺してしまいますし、しかし、規制をしなければやはりこういったことが起こるわけでございますから、そこら辺は本当に難しい、バランスの問題だ、こう思っておりますけれども、今までのままでは、私はやはり、時代の流れにも、また利用者の保護の観点からも、少しいかがなものかなという感じを率直に言って感じております。

竹本委員 金融緩和の裏には厳しい事後チェックが前提になっておりまして、その厳しい事後チェックに努力を欠いていたのではないかというのが私の印象であります。

 ぜひ、クレディビリティーの回復にしっかりと頑張っていただくことを最後に残しまして、私の質問を終わります。

海江田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。公明党の竹内譲です。

 きょうは、まず、金融担当大臣を初め金融庁の皆さんにお聞きしたいのは、大体、AIJが集めた資金は約千五百億円、そのうちデリバティブ取引の損失が約千百億円だと報告されています。

 問題は、これらの損失額が本当に損失なのかどうか。損失と見せかけて、どこかに資産を移して隠し持っているのではないか、こういうことが一番怖いんですよ。これがもし、そういうことがあったとしたら、本当に巨額の詐欺事件ですよね。

 この辺についてはどのようなチェックをかけましたか。

岳野政府参考人 ただいま先生から御指摘いただいたような疑い、可能性につきましては、私どもも当然念頭に置きまして、これまで検査、調査を行ってきております。

 検査で確認できたところといたしましては、ただいま先生がおっしゃられたような取引でございますね、実際に、大阪証券取引所での日経二二五先物・オプション取引、東証、東京証券取引所におきます日本国債の先物オプション取引で運用していて、今御指摘いただいたような数字の損失を出した、出したのではないかということにつきましては、一定の取引記録がございまして、その照合、あるいは、先ほど質疑の中でも出ましたけれども、海外の監査法人がファンドを監査した監査報告書、そういったものを突き合わせていきますと、先生おっしゃいましたように、九年間で一千四百五十八億円の資金をAIMグローバルファンドで受け入れ、先ほど申し上げましたような取引を中心として一千百億程度の損失を計上したということ自体は、一応そういうことはあったのかなというふうには、検査では見ております。

 したがいまして、AIMグローバルファンドで集めた千五百億円の大宗なり丸ごと運用もせずに、運用を失敗したとうそを言ってどこかに隠しているといったようなことは、現状では、そういうことではないんじゃないかというふうには思っております。

 ただ、膨大なお金の流れ、特に国境をまたいでいろいろお金が動いておりますものですから、そういったお金の流れを現状で全て解明し終わっているわけではございません。

 現在、証券取引等監視委員会では、証券検査は先週二十三日で終了いたしましたけれども、引き続き犯則調査は進めておりまして、二十三日からは強制調査の段階に入ってきております。

 今後、このAIJ投資顧問等に対する犯則調査の過程でも引き続き実態の解明を進めまして、仮に先生が御指摘のような疑いが生じた場合には、捜査当局とも連携して厳正に対応してまいる考えでございます。

竹内委員 絶えずそういう疑いを持って、しっかりと調査を進めていただきたいというふうに思います。

 それで、報告書によりますと、管理報酬などが四十五億円というふうになっておるんですけれども、これはAIAの成功報酬とか、それからその他の管理報酬とかというふうに伺っております。恐らくその中から浅川氏などの役員報酬が支払われたというふうに見ておるんですが、この管理報酬の中身について、大体どういう構成になっているか、お聞きしたいと思います。

岳野政府参考人 私どもが検査で確認いたしましたところでは、先生おっしゃいますように、AIMグローバルファンドから管理報酬等が九年間で四十五億円支払われております。この内訳でございますが、管理報酬として約三十六億円、成功報酬として約九億円、合計四十五億ということでございます。

 この管理報酬等につきましては、ファンドのスキーム上、AIMグローバルファンドからAIAというファンド管理会社に支払われております。その後、先ほどから御指摘いただいておりますけれども、日本にあります投資顧問業者であるAIJ投資顧問、あるいは販売を担当しておりますアイティーエム証券、これが実質的にはグループで一体でございますので、その中でこれらの四十五億円が配分されていっているということでございます。その配分の先が、さまざまな経費、あるいは従業員の給与、さまざまな営業経費、あるいは役員報酬といったものに充てられている、あるいは会社の内部留保に充てられるというふうに見ているところでございます。

竹内委員 今のお答えは四十五億全体ですね、成功報酬と管理報酬を合わせたものですね。

 この成功報酬九億とあるんですけれども、大半損失を出しておるのに、成功報酬九億というのは何だと、これはちょっと疑問に思うんですよね。この点と、それから、浅川氏などの役員報酬は大体幾らぐらいだったのか、この二点について、わかりますか。

岳野政府参考人 まず、御質問の第一の成功報酬につきましてでございますが、九年間の運用の中で、初期のころには収益を上げた時期もあるといったこともございまして、そういった関係もあろうかと思っておりますが、いずれにいたしましても、詳細のきちっとした解明は必要であろうと思っております。

 それから、二番目の役員報酬につきましてでございますが、浅川社長がAIJ投資顧問の社長として役員報酬をどのくらい受け取っているかという点につきましては、個人の報酬に関するものでございますので、当局からは御説明は差し控えさせていただければと存じます。

竹内委員 これはまた後ほど詰めたいと思います。

 それから、金融ブローカーとか海外ファンドなどへの委託手数料が六十一億円、こうなっておるんですね。これは適正なものなのかどうか。私が心配しているのは、彼らが浅川氏らとぐるになっていないのか、六十一億円を自分たちの懐に入れている可能性はないのか、こういう点についてはいかがですか。

岳野政府参考人 ただいま、金融ブローカー等への委託手数料についての御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、一応、デリバティブ取引などでの実際の取引が行われていたことは確認できておりまして、それに対する手数料として支払われた部分があり、また、一応、海外の監査法人の監査の対象としてチェックをされ、確認されているところでございますので、はなから、何といいましょうか、共謀して不当な手数料を取っているというところまでは検査では認定できておりません。

 ただ、先ほども申し上げましたように、国境を越えたお金の流れを全て現時点で解明できているわけではございませんので、今後の犯則調査の過程におきまして、もし問題があれば、先ほどの問題と同じように厳正に対応していきたいというふうに考えております。

竹内委員 それから、投資事業組合への出資が百八十一億円となっているわけですが、そのうち三十二億円は現預金として掌握している。しかし、その他の中身については一体どうなっているのか、この点についてはいかがですか。

岳野政府参考人 AIMグローバルファンドの運用先のうち、投資事業組合への出資分が百八十一億円ほどあるということでございまして、これのうち、私どもといたしまして、検査の過程で、その内容、内訳がどうなっているのか、できる限り調査をいたしまして確認いたしましたところでは、現預金が三十二億円、これは国内の銀行にあるということは確認できております。

 その他の投資事業組合への出資の中身でございますが、AIMグローバルファンドの持ち分そのもの、すなわち、年金基金からお金を集めたAIMグローバルファンドから投資事業組合に出資をして、またそこでAIMグローバルファンドを購入しているといったような形になっております。そういったAIMグローバルファンドの出資持ち分が大宗でございます。

 そういうことで、現預金以外の資産につきましては、その正確な内訳と時価につきましては、現時点では御説明できるところには至っておりません。

竹内委員 これは大事な点なんですよね。これが全くなくなっているのか、どこへ持っていったのか、百五十億近くのお金が解明できていないということは非常に残念なことだというふうに思いますし、これは、ぜひ、強制調査等で絶対に解明をしていただきたいというふうに思います。

 それで、AIJは、解約を申し出た顧客の年金基金に対して、ほかの顧客から預かった資産を流用して払い戻しに充てていたという事実がありますね。これは特に二〇〇九年ぐらいから顕著だというふうに言われているわけですが、それは大体どのぐらいの金額、総額であったのか、これについては掌握していますか。

岳野政府参考人 先生御指摘の、解約を申し出た基金に対して、ファンドの資金を解約して払い戻すということをせずに、新規の顧客を勧誘してきて、いわば転売、有価証券の持ち主を変更するといいましょうか、AIMグローバルファンドの持ち主を変更する転売スキームで対応していたということが確認できております。

 ただ、実際に転売された額が幾らかということにつきましては、検査の過程で相当力を入れて検証いたしたわけでございますが、若干、その取引の記録の保存に難がございまして、現時点で、検査の結果として幾らであるということが御報告できる状況ではございません。

竹内委員 しかし、この転売スキームを実行したことは事実だと。

 ということは、これは明らかに、運用の意思なく、偽計によって、つまり人を欺いて金を集めて流用していた、金品を不法領得したというのと同じですよね。つまり、詐欺罪に該当するのではないかなというふうに思うんですが、この点についてはいかがですか。

岳野政府参考人 まさに、そういった先生の御指摘の問題意識、すなわち、転売によって、かつ、その転売の際に実態と異なる価格で転売をしていたといったようなことがございまして、そういったことを踏まえまして、私ども監視委員会としては、三月二十三日の金曜日に、金融商品取引法の投資一任契約の締結に係る偽計、法第三十八条の二第一号の嫌疑で強制調査を実施したところでございます。

 先生の御質問は、さらにそれが刑法に定める詐欺ではないのかという点でございますが、刑法上の詐欺につきましては、証券監視委員会における犯則調査の対象外となっておりまして、捜査当局が捜査なさる事項でございます。

 したがいまして、証券監視委員会自身が詐欺罪で告発をするとか詐欺罪での犯則調査を行うことはございませんが、通常、先ほどの金商法の、私どもの嫌疑でございます投資一任契約の締結に係る偽計の調査と詐欺罪の捜査というのは、まさに先生がおっしゃっておられましたような点でオーバーラップしてまいるわけでございます。

 そういう場合には、私どもの金商法違反事件の調査と捜査当局における詐欺罪での捜査というのは連携して進め得るものでございますので、今後、捜査当局と緊密に連携をとって、事案の解明と厳正な対応に取り組んでいきたいと思っております。

竹内委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 それから、AIJが預かり資産の運用業務を始めた二〇〇二年から二〇〇三年当初に、実は、AIJはまだ事業認可を正式には得ておらず、買収予定であったアメリカの保険会社、シグナ・インターナショナル・インベストメント・アドバイザーズの名義で営業していた疑いがあると言われているわけです。

 これは事実ですか。もし事実であるとすれば、これは名義貸しに当たるんじゃないか、このように思いますが、いかがですか。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道があったということを私ども承知しておりますが、行政文書を確認しましたところ、投資一任業務の認可申請書は三十年の保存義務がありますが、それ以外の文書は最長五年が保存期間でございまして、文書が存在しておりません。したがいまして、この報道のような事実について確認できていないということでございます。

竹内委員 これも今後の強制調査の中でやはりきちっと調べていただく必要があるというふうに思います。

 それから、最後になりますが、AIJは、本年一月下旬に証券取引等監視委員会が検査に乗り出してからも、顧客に対して委託金の増額を求めるなどの営業活動をしていたという疑いも持たれています。これは事実でしょうか。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一般論を申し上げれば、監視委員会の検査中でありましても、金商業者は通常と同様に営業することができます。したがいまして、AIJ投資顧問が検査中に営業を継続していたことをもって金商法上の問題が直ちに生じるものではございません。

 なお、事実として申し上げると、AIJ投資顧問について、監視委員会の検査の着手から業務停止命令を発出するまでの一カ月の間、新規の一任契約の締結あるいは既存契約の増額は行われていないということを確認しております。

竹内委員 強制調査が始まっていますが、今指摘した点をしっかりと調査して、やはり国民の不安を少しでも取り除いていただきたい、このように要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

海江田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず自見大臣にお聞きしますけれども、監視委員会はこのAIJ問題をなぜ見抜けなかったのかという点でありますが、例えば二〇〇九年、証券取引等監視委員会はアイティーエム証券に検査に入っております。報道によりますと、浅川社長は、その際、私も事情聴取を受けた、変なうわさをされて頭にきた、何もなかったので安心してください、基金側にこういう説明をしているというんですよ。

 監視委員会は、浅川氏から直接事情を聞いた事実はあるんでしょうか。既にこのとき、うその報告書を出していたわけで、それを見抜けなかったことが、逆に利用されていると言わざるを得ない。この点、どう思いますか。

岳野政府参考人 先生御指摘いただきましたように、アイティーエム証券に対しましては、二〇〇九年の二月に検査に入っております。

 なお、AIJ投資顧問の浅川社長は、アイティーエム証券の当時役職員とはなっておりませんでした。

 一般論で申し上げますと、証券会社に対する検査は、当該証券会社の内部管理体制あるいは法令等遵守体制、財務の健全性等に対して行うものでございまして、必要かつ適当と認められる場合には取引先などの関係者に対してもヒアリング等を行うこともございますが、基本的には、業務の状況等について当該証券会社の役職員にヒアリング等を行うことが中心となるわけでございます。

 なお、この二〇〇九年のアイティーエム証券の検査の際にどのような者にヒアリング等を行ったかにつきましては、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 それは後で事実を確認したいと思います。

 次に、本気でだまそうとしてくると見抜くのは難しいと監視委員会の方が言ったという報道がありますが、例えば、ケイマン諸島のAIMグローバルファンド、これを監査しているケイマンの監査法人の監査報告書というのがあるわけですね。これはAIJにあったはずであります。それを手に入れなかったというのはなぜなんでしょうか。現在手元にあるようですけれども、早目に手に入れていればこの改ざんは見抜けたはずだと思いますが、これはいかがでしょうか。

岳野政府参考人 先生が御指摘されますように、本日のこの委員会での質疑での経過からいたしますと、まさに、この監査報告書がAIJ投資顧問のところでとまっていた、それを早く見ることができればということは、御指摘のとおりだと思っております。

 私どもの場合につきましては、今回、検査、立ち入りをして、これまで検査は入っていなかったということ自体がどうかという御批判は御批判といたしまして、今回の立入検査でそういったものまで把握をしてこういう行政処分勧告をした、するに至った、その端緒となっている、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 二〇〇六年一月に、厚生年金資産の運用を手がける都内のコンサルタント会社が、ファンドスキームが不明であるということで、監視委員会のホームページからAIJグループの調査を求める通報をしていたようでありますが、この会社がAIJからセールスを受けたのは二〇〇三年だったと報道されております。

 資料には利回りの運用実績の記載があったけれども、基金が預けたお金が信託銀行を通じて、AIJが実質支配するアイティーエム証券に流れた後、最終的にどこに行ってしまったのか不透明だった、説明を求めたけれども情報は開示されなかった、そこで、こういう調査を求める通報をしたそうであります。いつか金融当局が動くと思っていたが、その気配はなく、AIJの受託額がふえていった、通報は警告だった、もっと早く調べていれば、この問題はこれまで大きくならなかったはずだ、こういうふうに言われているわけです。

 この情報はキャッチしていたのかどうか。それから、四件という先ほど説明がありましたが、その中にこれは入っているのか、それともそれ以外の情報として扱われているのか、説明していただきたい。

岳野政府参考人 御質問の情報提供の件につきましては、さる雑誌に掲載された報道をもとにされているのではないかというふうに拝察いたします。

 個別の情報提供につきまして、その情報が監視委員会の窓口に入っていたのか、あるいはその情報に対して個別にどのように対応したのかにつきましては、恐縮でございますが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、私どもは、先ほど来御説明申し上げておりますが、AIJ投資顧問に関する情報につきましては、監視委員会の受付窓口にこれまで四件ございました。また、さまざまな、先ほど来議論になっております事業報告書の情報その他、あるいは、ここでも何度も議論になっておりますある業界の専門誌、そういったような情報については承知をしていたわけでございますけれども、結果的に、立入検査を実施いたしましたのがことしの一月ということになった、結果的にはそういうことでございます。

佐々木(憲)委員 こういう情報に的確に対応していれば、今のような事態にならなかったはずであります。

 二〇〇七年に、金商法の改正が行われて、それが施行され、許可制から登録制に変わりましたね。そのために、投資顧問業を登録する業者が急増しております。投資一任業者は現在二百六十五社ということでありますが、年金運用に関する投資一任契約の件数も、当時、平成六年には四百件程度あったんですけれども、現在五千二百件を超えております。これだけ対象がふえれば、当然、監視委員会としては、まともに対応するのが非常に難しくなってくると思うんですね。

 これを監視、監督する職員の数、現在何人いるのか、それから、二〇一〇年度、一一年度に実施した検査件数、これは何件か、お答えいただきたいと思います。

岳野政府参考人 まず、検査の職員の関係でございますが、証券取引等監視委員会の事務局及び地方の財務局の監視官部門を合わせまして、二十三年度の定員は七百四名でございます。そのうち、証券検査を担当する職員は二百九十三名となっております。

 また、投資運用業者に対する検査の実績でございますけれども、二十一年度十八件、二十二年度十五件となっております。

佐々木(憲)委員 これは、体制としては非常に不十分だと思うんですね。それから、検査の件数も年間数件あるいは十数件という程度であります。

 自見大臣、こういう体制で果たして対応できるのかどうか、見解を聞かせていただきたい。

自見国務大臣 今、岳野参考人が言われましたように、平成十九年だったと思いますが、金融商品取引法の施行によりまして、今先生が申し上げましたように認可制から登録業務になったわけでございまして、このときも、先生御存じと思いますが、実は、全体では大きく規制緩和をしたわけでございますが、それまで野放しであった不動産信託受益権の運用業者も百近く、金商法の中で横串ということで規制がかかったわけでございます。

 そういった中で、確かに、人間が少なかったと言ったらお叱りいただくのは事実でございますけれども、そういった事情もこれあったということも御理解をいただければありがたいなというふうに思っております。

 不動産信託受益権の運用業者を新たに金商法の中に加えたものですから、大変な反発、反対があったのでございますけれども、そういったことを乗り越えて認可制から登録制にさせていただいたという経緯も御理解いただければありがたいなというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 そういう規制緩和が全体としてこの監視活動を後退させていく、そういうものと合わさって今のような事態を招いているわけであります。根本的にこの点を見直す必要があると私は思います。

 最後に、浅川社長とアイティーエム証券の西村社長が企業年金の担当者と面会して、残った資産の返還に向けて協議したと伝えられていますが、これを金融庁が呼びかけて協議の機会を用意したという報道がありますが、これは事実でしょうか。また、話し合いはどういう内容なんでしょうか。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 顧客資産の保全につきましては、基本的には当事者間で協議すべき事項ではございます。ただ、当局といたしましても、顧客資産の保全が円滑に進むように三月二十三日に業務改善命令を両社に対して発出しております。

 そこで、厚生労働省の協力も得まして、AIJの浅川社長、同社の代理人弁護士、それからアイティーエム証券の西村社長及び同社の代理人弁護士と年金基金等の顧客の代理人弁護士との間で資産保全について話し合いを行う、そういう場、機会を設けたところでございます。

佐々木(憲)委員 今回、虚偽によって年金資産を失った基金の加入者、それから受給者等、八十八万人が不利益をこうむっているわけであります。場合によっては、中小零細企業が年金倒産に至るというおそれもある、こういう重大な事態でありますので、これは今後、被害者に対する十分な補償、これをどのようにやっていくのか、それから、二度とこういうことが起こらないように、その体制をどのようにつくるのか、この点について最後に大臣の見解をお聞きしたいと思います。

自見国務大臣 今回の一連の事件において、厚生年金基金、あるいはいわゆる厚生年金、上乗せ三階分と申しますし、あるいは個人年金と申しますけれども、ここが結果として大きな被害を受ける可能性が非常に強いわけでございますが、今、先生、大変言いにくい話でございますけれども、やはり基本的にこれは自己責任、管理責任がございまして、民民でやっていくというのは時代の大きな流れでございまして、そういったことで、それが原則でございますが、しかしながら、我々は政治家ですから、いろいろ原因を究明、今事実解明をやっておりますし、原因をはっきりさせる、あるいは再発防止の中で、しっかり、この委員会を初め皆さん方の御意見をいただきながら解決策を見出していきたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 新自由主義に基づくこういう規制緩和には反対であるというふうに今まで叫んでいた大臣にしては、随分その対応が甘いのじゃないかと思います。

 厳しく対応するように求めて、質問を終わりたいと思います。

海江田委員長 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 私の持ち時間は十分ということでございますので、簡潔に進めていきたいと思っておりますが、質疑に入る前に、今回のAIJに関する国会の審議ということにつきまして、基本的なあり方を整理しておきたいと思っております。

 私は、今回のAIJの件は間違いなく司直の手に委ねられるであろうと思っておりますし、刑事責任は司法の場において徹底的に究明されるべきであります。しかし、国会における審議のあり方は、刑事責任を追及する司法の場とは異なります。国会においては、今回のように公的な資金を毀損するような事犯について、その発生をいかに防ぐかという観点から審議が行われるべきであります。すなわち、次の三つの点が精査、検討される必要があると思っております。

 第一に、なぜ今回このような事犯が起きたのか、逆から言えば、なぜ今回このような事犯の発生を防ぐことができなかったのか、この原因、理由を解明すること。第二に、この第一の原因、理由の解明に基づいて関係者の責任の所在を明確にすること。それから第三番目が、今回の、今後の防止策として、第一点、第二点を踏まえて、立法措置を含め、具体的な手だてを早急に講じていくこと。これが国会で議論されるべきことであると考えております。

 そこで、第一点、第二点のことに関して言いますと、私は、監督官庁としての金融庁に大変大きな責任があるのではないかと思っております。

 当初、この会の冒頭に大臣が挨拶をされました。そのときに、再発防止策のところに、本事案が露見することなく拡大した原因といたしましてはというくだりがございますが、これを私聞いておりまして、まるで人ごとのように、他人事のように何かおっしゃっているような気がしたわけであります。

 金融庁がまず監督官庁として、あるいは証券取引等監視委員会も同じく監督官庁の一角にあると思いますけれども、再三いろいろな委員から指摘がありましたけれども、二〇〇八年以降、AIJについては、資金洗浄の疑いがある、いわゆるマネーロンダリングですね、そういう疑いがあるとか、運用実績が不自然だ、特にリーマン・ショック以降のあの運用実績というのは本当におかしいと思いますけれども、そういう情報が、海外の当局、あるいは国内の金融機関や専門家、そういうところから寄せられていたのに、なぜ手を打ってこなかったのか。これは、私は、本当に監督官庁として大変な責任があると思っております。

 何らかの手を打っていれば今回のことが全面的に防げたというのは難しいかもしれませんが、少なくともここまで大きな問題にならずに影響を食いとめることができたのではないかという気もいたします。

 まず、大臣、あるいは副大臣、どちらでも結構です。

中塚副大臣 まず最初に、このような事態に立ち至ったことは本当に遺憾で残念に思っております。

 そして、今、豊田先生から御指摘がありました。数々情報が寄せられていた、早く検査、調査に着手をしておれば被害を拡大することはなかったのではないかという御指摘でございます。

 先ほど来、私どもの証券取引等監視委員会からも御答弁申し上げております。厳しい行財政事情の中で、限られた人員で、いろいろな情報に基づき、またリスクベースで検査を行っているということなんでありますけれども、現実問題、実態といたしましては、検査に入るということ、たくさんの情報の中から、それでも検査に入るという場合には、例えば、具体的な証拠書類が添付をされておって、金融商品取引業者の違法行為の疑いを示している、そういう具体的な情報とか、あるいは当該関係者しか知り得ないと考えられる情報、さらに同じ時期にたくさんの方から今申し上げたような具体的な情報が寄せられているという場合には検査、調査を行っているというのが実情でございます。

 そういう意味で、実態はそういうことなんですけれども、こういった事態に立ち至った経緯、そしてその原因を考えますときに、改善すべき点は本当にたくさんある、そういうふうに思っております。まさに人員の面もそうであります。また、情報をお寄せをいただく、具体的な情報ということであれば、やはりそういった投資家の意識も変えていっていただかなきゃいかぬという点もあると思っています。

豊田委員 今の答弁もわからなくはないんですが、大変受け身というか、もう少し行政は情報にいろいろと、私も役所の経験がありますが、金融のことも、検査もやっておりましたし、また国税もやっておりました。大体怪しいというようなところは目星をつけて逆に内偵していくというのが役所のやはり積極的な対応姿勢ではないかと思っています。今後、またこれは折につけて追及していきたいと思います。

 時間がありません。次の、第三点の今後の防止策の中で、次の話題でありますが、今、金融庁が外部監査の義務づけを検討されているということを聞いています。これは大いに進めるべきで、結構な話ではないかと思っていますが、今回の問題の中で、非常に私は、信託銀行の役割というのが、責任が大きいのではないかというふうに考えています。

 今回のAIJのような投資運用業者が運用受託しましても、実際の財産管理は信託銀行が行うということになっておりますし、信託銀行が受託を受けた基金の財産管理状況についてその当該基金に報告書を出す、提出するということになっている、こういう仕組みです。

 信託銀行というのは、投資顧問業者とは異なりまして、極めて大きな社会的信用力があります。さらに、マーケットやマーケットに参加している業者についても的確に情報を入手する、そういう調査能力を持っている、大きな信用力のあるところであります。信託銀行がもっとチェックを厳しく行っていれば、このAIJやアイティーエム証券の不自然さ、あるいはおかしな取引というのに気がついたのではないかと私は思います。

 残念なことに、信託協会の会長は、後から来られますが、私、質問するつもりですけれども、三月十五日の記者会見で、信託銀行として見抜くことは不可能、こう言い切っておられる。しかも、その信託協会の会長は、当事者としてのみずほ信託銀行の社長でもある。

 私は、信託銀行の責任というのは今回非常に大きいものがあると思いますが、監督官庁としてどのように考えますか。

中塚副大臣 今回の事例でありますと、信託銀行自身は投資判断を行う立場にはなかったということがまず第一点目でありますし、さらには、今お話しの監査報告書でありますが、これが改ざんをされていたということも監視委員会から聞いているところであります。

 いずれにいたしましても、そういったことを踏まえ、今後、こういった事案に関しまして信託銀行がどのような役割を果たしていくべきかということについてはちゃんと検討していきたい、そう思っております。

豊田委員 最後に、大臣にお聞きしたいんですけれども、感想で結構でございますが、私は今の副大臣の答弁には納得いたしません。

 信託銀行というのは、財産を預かっていて、善管注意義務がありますし、今申し上げたように、マーケットやマーケットの参加者に対する調査能力というのは抜群のものがあるわけです。それを信託銀行がもう少し責任をきちっと務めていれば、この問題は、私は、逆に言うと、金融庁よりも早く情報を入手して、対応を的確にとれていたんじゃないかと思っていますし、今、金融庁や証券取引等監視委員会の人員だけでは大変手が届かないというのはわかっています。だからこそ、信託銀行や、あるいは場合によっては全銀協やそういう金融機関、信用力のあるところの協力も得て、官民一体でこういう問題の防止策をとっていく、これが大事なことではないかと思いますが、最後に大臣の答弁を求めて、終わります。

海江田委員長 大臣、質疑時間が終了しておりますので、ごく手短にお願い申し上げます。

自見国務大臣 先生の御指摘の問題でございますが、年金基金等の運用管理に関する信頼性を確保する観点から、金融実務を踏まえた実効性のある、今先生からも御提案がございましたが、実効性ある再発防止策を、先生方と、あるいは関係省庁とも連携しつつ、幅広くきちっと検討し、実現させていただきたいというふうに思っております。

豊田委員 終わります。

    ―――――――――――――

海江田委員長 引き続き、金融に関する件について調査を進めます。

 本日は、参考人として、一般社団法人信託協会会長野中隆史君、日本証券業協会会長前哲夫君、AIJ投資顧問株式会社代表取締役浅川和彦君、アイティーエム証券株式会社代表取締役西村秀昭君、株式会社東京年金経済研究所代表取締役石山勲君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 参考人各位におかれましては、本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

 今般のAIJ問題に関し、参考人各位から御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。

 なお、参考人として本日出席を求めておりましたAIJ投資顧問株式会社取締役高橋成子君から、体調不良のため出席できないとの申し出がありましたので、御報告いたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からそれぞれ三分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず野中参考人にお願いいたします。

野中参考人 信託協会の会長をしております、みずほ信託銀行の野中でございます。

 本日は、このような場で意見を述べさせていただく機会を頂戴いたしまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。

 今回のAIJ投資顧問にかかわる事件でございますが、これは、年金制度そのものを揺るがしかねない大きな社会問題になっており、年金制度の一役を担います立場である信託業界においても大変遺憾であると考えております。委託者である基金の方々の御苦労、受給者の方々の御不安はいかばかりのものかと感じております。

 私ども信託協会は、創立以来、年金制度の普及や健全な発展のために、さまざまな活動を行っております。

 信託銀行は、不動産、年金、証券代行など、広く信託業務を展開しておりますが、中でも年金業務は、長い歴史があり、社会のインフラとして提供する機能として、最も重要な業務の一つに位置づけられると思っております。

 信託銀行が取り扱う年金業務でありますが、大きく分けて二つの種類がございます。

 一つは、いわゆる年金信託と言われるもので、年金基金からお預かりした資産につきまして、信託銀行みずから運用の方法を決定するものでございます。預かり資産の保管、管理などについてもあわせて行いますが、信託銀行みずからが運用の裁量を有している、この点が大きな特徴となります。

 もう一つは、年金特定信託と呼ばれるものでございまして、年金基金から運用を一任されました投資顧問会社が運用の方法を決定するものでございます。

 今回の事案は、この年金特定信託スキームに当たります。信託銀行は、投資顧問会社が決定した運用方法に基づきまして、お預かりする資産の保管や管理などの機能を提供することになります。

 これら二つのスキームの違いを御確認いただいた上で、次のページの、今回の事案に照らしたスキームの資料をごらんいただければと思います。

 先日、三月二十三日に、証券取引等監視委員会の検査結果が公表されました。そこで判明いたしました事実関係も踏まえまして、スキーム関係者を改めて整理する形で記載したものでございます。

 今回の事案を受けまして、信託協会では、今まで信託銀行が担っていた業務範囲にこだわらず、どういった仕組みであれば今回のような事件を未然に防ぐことができるのか、その仕組みが有効に機能するためにはいかなる措置が必要なのか等々につきまして検討を始めております。例えば、海外ファンドなどにおける時価情報の伝達に信託銀行がもっと関与できるようにするなど、今回のような偽装行為から基金を守るための仕組みなどにつきまして検討を進めているところでございます。

 今後、信託協会といたしましては、スキーム関係者や関係省庁と協議をさせていただき、御協力を仰ぎながら、基金を初めとする皆様の年金制度に対する不安を払拭し、よりよいものにしていくために、引き続き努力を重ねていきたいと考えております。

 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

海江田委員長 ありがとうございました。

 次に、前参考人にお願いをいたします。

前参考人 日本証券業協会会長の前と申します。

 諸先生方におかれましては、常日ごろ、証券市場、証券界に対しまして御理解と御支援を賜り、まことにありがとうございます。この場をおかりし、厚く御礼申し上げます。

 年金は、国民に老後の所得として安心を提供するものであり、その年金の資金が失われた今回の事件は、国民の皆様への影響も極めて大きく、また、投資に対する不信感を国民の皆様に与えかねない重大な事件であります。悪質な行為を行った業者に対しては、法令や規則に照らし厳正な処分が行われるべきだと考えております。

 今回、本協会の会員であるアイティーエム証券が金融庁から行政処分を受けましたが、大変遺憾に思っております。また、AIJ投資顧問においても、かつて証券会社に在籍していた者が主導して不正を働いていたとのことであり、こうした問題で証券界が注目されることは大変不本意であります。

 本日は、せっかくの機会をいただきましたので、今回の事件について私の見解を述べさせていただきます。

 今回の事件は、国民の皆様の大切な年金を運用している年金基金に対し、運用成績が好調であるように偽って勧誘することにより多大なる被害を与えたものであり、年金制度や投資そのものに対する不信感を国民の皆様に与えたという点でも、非常に問題の大きい事件であると考えております。

 本協会の会員であるアイティーエム証券が、虚偽の内容に基づいて年金基金に勧誘行為を行い、被害を拡大させたということでありますので、顧客に対して誠実かつ公正に業務を遂行しなければならない証券会社にとって、極めて悪質な行為であると考えております。

 本協会といたしましても、アイティーエム証券に対し、事実とルールに則し厳正に対処する所存であります。

 加えて、証券取引等監視委員会から出された処分勧告や、金融庁による行政処分の内容を十分に検討し、再発防止に向け、自主規制機関としてどのような対策をとれるのか、早急に検討に着手いたします。

 最後に一言申し添えます。

 今後、政府においても、事件の再発防止策として、現在の規制のあり方について、その強化も含めて検討されるものと想像いたします。

 国民の皆様に安心を提供する年金の運用で、今後、断じてこのような事件が発生してはならないものと考えておりますし、証券界として見直す点があれば、その点については迅速かつ適切に対応してまいります。

 しかしながら、規制の強化を検討するに当たっては、金融イノベーションの発展とのバランスや、国際的な競争力の確保といったさまざまな点を考慮していただきたいと存じます。

 以上、私の意見を申し述べさせていただきましたが、私どもも、証券界といたしましても、多くの国民の皆様が安心して投資を行うことができる環境整備を行ってまいりたいと存じますので、引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げ、私の冒頭陳述とさせていただきます。

 ありがとうございました。

海江田委員長 ありがとうございました。

 次に、浅川参考人にお願いをいたします。

浅川参考人 AIJ投資顧問の浅川でございます。

 前回の財務金融委員会に出席できなかったことを、まずもっておわびしたいと思います。

 一月の二十三日、それから二月の証券等監視委員会の検査、二月の二十四日の業務停止及び業務改善命令があり、三月の二十三日の検査結果通知書及び登録免許の取り消しといったことの中で、約二カ月間にわたる検査の中で、時間もかかり、全然出ないでいたこともおわびしたいと思います。

 まず、時間がかかったことに対する説明と謝罪がなかったということで、この場をかりまして、おわびしたいと思います。

 今回、私どものファンドに関して、信頼して買っていただいた全受益者の皆様に対しても、この場をかりておわびしたいと思います。

 特に、年金基金の皆様、受給者の皆様、それから加入者の皆様、さらには一般投資家の皆様も買っていただいております。その方々全員に対しても、おわびしたいと思います。

 さらには、私どものファンドの受託銀行、それから同じ投資顧問業界の同業他社の皆さん、さらには他の金融機関様、きょうお見えになっている信託銀行様、あるいは証券業協会様にも多大なる御迷惑をおかけしたということを、本当に心からおわびしたいと思います。

 私どもの全受託者の皆様に、本来ならば、一軒一軒行って、説明して、謝罪をしていかなきゃいけないところですが、なかなかこれができなかったということもありまして、今後、私も時間があれば一軒一軒回って謝罪に参りたいと思います。

 年金基金という資金性の、資金の重さから、私も何度も、その都度、水増しの価格というものを使うつもりはなかったんですが、どうしても損した形ではお返ししたくなかった、また、取り戻せる自信もあったわけでございます。これが結果としてこのような形になって、非常に私の責任を痛切に感じている次第でございます。

 今、私がこの場でできることは、今後できることは何かと考えてみますと、運用財産の、平等かつ公正に、お客様に、受益者の方々にお返しすることが私の残された唯一のものではないかと思っております。受益者の方々で、返還していくという動きもありますので、真摯に、精いっぱい協力していきたいと思っていますし、真に受けとめてまいりたいと思います。

 きょうは、実は、謝罪の場になってしまいましたが、内容等につきましては、また後日、改めてあればと思います。内容につきまして、この約二カ月間、私も内容がわからなくて解明等をしてきましたが、そういう場がまたあれば、またしたいと思います。

 本当に申しわけありませんでした。

海江田委員長 次に、西村参考人にお願いをいたします。

西村参考人 アイティーエム証券の代表取締役をやっております西村秀昭です。

 全国の基金加入者の皆様に大変な御迷惑をかけていることを、まずおわび申し上げます。

 日経新聞に、二月二十四日、AIJ投資顧問の問題が報道されて以来、我々アイティーエム証券は、社員、そして私で、全国のお客様におわびと状況の御説明をして回りました。いかんせん、AIJ投資顧問からの情報がほとんどない中で、新聞報道を頼りに回ったわけですけれども、実際に行ってみると、お客様にお会いしますと、事の大きさがますます大きく感じられ、横で泣きじゃくる営業マンとともに、一生懸命御説明してきた次第です。

 迷惑をかけた皆様にとっては、どのようにお金が返ってきて、幾らあるか、そして早く返ってこられるか、それが一番の関心事ではありますが、これから当局と協力しながら、それを速やかにやっていけるように、当社としても全社員で努力するつもりでおります。

 検査まではマスコミの方にもお話しできないと言い続けてきたわけですけれども、このような機会を与えていただきまして、できるだけのことをきょうお話しできればというふうに思っております。どうかよろしくお願いします。

海江田委員長 次に、石山参考人にお願いいたします。

石山参考人 東京年金経済研究所の代表をしております石山でございます。

 一言申し上げれば、一刻も早く事実を知りたい、それに今尽きるところでございます。

 通常、年金基金は、運用商品の説明を受けるときに、その説明される資料あるいは口頭で説明されることについて、まさかうそ偽りがあると思って聞いているわけではございません。正しいものという前提に立って聞いて、それをもとにして判断をしていくわけであります。

 今度のAIJのファンドについて申し上げれば、価格変動リスクをきちんととっているので株式や債券との相関が非常に低いというふうに説明を受けております。株式や債券との相関が低いということは、市場の影響から、できるだけ悪い影響から逃れるという、そういう役目を果たすことになるわけでして、資産の分散というのは、投資する資産、株式なり債券なりそういうものの分散のほかに、運用戦略の分散というものがあって、これらを相まってポートフォリオ全体のリスクを低減していくということになるわけです。その一角を担うはずであったAIJのファンドが、まさかこのようになろうとはゆめゆめ思っておりませんでした。

 一方、現実の問題として、年金資金の管理をしております信託銀行においても、この虚偽を見つけられなかったといいますか、見つけられそうもなかったという現実もございまして、私初め年金基金で、これまでの間に不正が行われてきたということについては、見抜くことはできませんでした。

 先ほど申しましたように、年金基金の方も、とにかく事実を知りたい、早く知りたいということのほかに、もう一つ、資金をできるだけ早く返してほしいという非常に強い要請がございます。その辺を十分に、早急にできるように対処していただければというふうに思っております。

 以上、陳述とさせていただきます。ありがとうございました。

海江田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤和也君。

近藤(和)委員 民主党・無所属クラブ、石川三区の近藤和也でございます。

 きょうは、社会的に非常に大きな問題でございます。テレビカメラも随分と入っております。全国民が、年金、関係のある問題でございます。全国民から今注目をされているということ、そして、その自覚を持って参考人の皆様にはお答えをいただければと思います。

 きょうは、時間がございませんので、野中参考人、前参考人には質問を伺いません。そういった中では、今お二人がそれぞれおっしゃいました、金融、年金、社会のインフラ、そして、証券界として不本意である、そういう気持ち、私も全く同感でございます。何とか問題解決に向けて図っていきたいと思います。

 そして、西村参考人、石山参考人、それぞれにもお伺いをしたいことがたくさんございます。ただ、時間が余りありません。時間があればしっかりと伺いたいと思います。

 特に、石山参考人、今お話を伺っていますと、何となく、私は無関係者だ、被害者だというようなことをおっしゃられていたのは、私はいかがかというふうに思っていますが、その部分も何とか時間をつくって聞いていきたいというふうに思います。

 それでは、浅川参考人に伺います。

 今回のAIJ問題、事件と言ってもいいです。第二の消えた年金問題、もしくは、日本の金融市場最大の、最大級の詐欺事件だと言ってもいいかと思います。

 その中で、さまざまな関係者に今おわびの言葉がございました。実際には、関係者、たくさんございます。年金だけでも、基金だけでも八十四と言われていますし、八十八万人の加入者、受給者、もしくは厚生年金にかかわる方々も不安に思っている。今、社会保障と税の一体改革でも、年金が不安だ、全国民的な関心事でございます。

 そして、さらには、加入をしている企業の皆様、こういったところから、自分たちのお金がどうなるのか、早く返してくれ、そういった怒りの声が渦巻いています。このことについて今改めてどう感じるか、お願いいたします。怒りの声についてどのように受けとめていらっしゃるか、参考人、お願いいたします。

浅川参考人 大変申しわけなく思っております。

近藤(和)委員 申しわけなく思っているというのは先ほどもおっしゃってはいただいたんですけれども、では、そこからどうするかということなんです。

 今、一千百億、損失が出ています。この部分について、どのようにしておわびをしていくのか、返す見込みがあるのか、そのあたりのことを教えてください。

浅川参考人 私どものファンドにつきましては、分別管理されていますから、お客様にお返しするお金というのはファンドの中での範囲でお返しするということになります。

 それをあとどうするのかという、責任については痛切に感じておりますが、そのほかどうするかこうするかということについてはちょっと今答えられないというような状況でございます。

近藤(和)委員 今答えられないというのは、受給者、加入者の皆さんにとってみるとふざけるなということだと思います。いま一度ちょっと誠意を、どこまでできるのか。

 そして、分別管理という言葉をおっしゃっていましたが、もう分別管理の世界じゃありません。あなたはたくさんの報酬を得ていたという話がございます。

 あなたは、御自身が受け取っていたその報酬部分についても私は全面的に返していく責務があると思いますが、そのことについて思いを聞かせてください。

浅川参考人 済みません、報酬部分というのが私ちょっと、いろいろ一部報道で、きょうも朝、百六億円という数字が出ておりましたが、実は、私どもがいただいている管理報酬というのは、HSBCが、真正のNAVに基づいていただいている報酬でございます。九年間でいただいた報酬というのは約四十五億円でございます。

 さらに、その四十五億円からアイティーエム証券にお支払いした金額が、私どもが水増ししたNAVの〇・五%ということでございまして、約四年間、二〇〇七年四月から二〇〇七年十一月の間に、二十七億円支払っております。

 したがいまして、私どもが九年間でいただいたお金は実は十八億円でございます。それと、それ以外に私どもに入る余地というのは全くありません。

 結局、私どものAIJ投資顧問に入ってきた金というのは十八億円。それと、この九年間で募集した手数料というのが、二〇一一年の三月までで約九億二千万でございます。トータル二十六億二千万から二十七億弱だと思います。基本的には報酬の内容を申し上げました。済みません。

近藤(和)委員 それでは、浅川参考人個人として受け取っていた部分は幾らでしょうか。

浅川参考人 年収で七千万前後だと思います。

近藤(和)委員 恐らくは、その成功報酬の十八億部分から今お話をしていたかと思うんですけれども、管理報酬等で払っていたこの二十七億部分も何らかの形で浅川参考人個人にかかわるところにお金が行っていたかというふうに思われるんですが、その部分について、いかがでしょうか。

浅川参考人 そんなことは一切ありません。

近藤(和)委員 今後さまざまな場で追及が出てくると思います。そういった形でしっかりと答えていけるのかどうか。

 そして、私としては、いえ、もう全国民としては、全てをさらけ出して返してほしい、一円でも返してほしいという痛烈な声があるということをしっかりと認識してください。

 それでは、そもそものところから聞きたいと思います。

 〇二年からファンドが設立をされました。いつの時点からだまそうという行動を起こしたのか、教えてください。

浅川参考人 はっきり申しまして、だます気は全くありません。

近藤(和)委員 私、同じ会社にいたんですよ。本当に悔しいんですよ。頭にきています、正直言って。うそをついて、金融業界、今お二人もいらっしゃいますけれども、私だって古巣をばかにされたような気持ちなんですよ。うそをつかないでください。信用なくして取引なんてできないでしょう。

 そういった時点で、二〇〇二年からずっともう、こちら、表に出ているでしょう。これだけの損をして、取り返せないというのはわかるじゃないですか。常識でしょう、はっきり言って。損を取り返そうと思ったらもっと損をするというのは当たり前のことですよ。そのことについて、自分はだますつもりがなかったと。本当ですか。もう一回お答えください。

浅川参考人 はっきり申しまして、最初からだますつもりは全くありません。

近藤(和)委員 皆さんには三ページを見ていただければと思います。

 ファンド受託銀行の部分、こちらが純粋な資産額、下段、三段目になります。そして、二段目が表の金額になります。その時点でやはり顕著な差が生まれたというのが平成十七年三月期から平成十八年の三月期というところ。また、リーマン・ショックが出てきた平成二十一年の三月期の部分とその一年前、この部分で財産が随分ふえている。そして、表面上の、うその純資産額もふえている。

 この中で特に注目されるのが、マドフ氏が二〇〇八年の冬に逮捕をされました。そのときに、あなたは自分でまずいと思いませんでしたか。

浅川参考人 まずいという意味がちょっとわからないですけれども。マドフと似ているという報道があった、私どもの会社だといううわさは聞きました。

近藤(和)委員 実際には、マドフ氏に関する事件が出て、「年金情報」の雑誌でAIJをほのめかす記事が出ました。この時点から解約の申し出が出てきたということを聞いています。これは事実でしょうか。

浅川参考人 事実でございます。

近藤(和)委員 それでは、この中で解約に対してお金はどの程度応えたんでしょうか。

浅川参考人 この当時は、実は、二〇〇九年の二月だと思いますが、特に二〇〇八年の九月のリーマン・ショック、実は皆さん、リーマン・ショックのときに私どもは損したと皆さん思っているんですが、このときは本当に損していません。九月、十月、十一月、一月、二月はもうかっておりました。九年の四月以降が損しているという認識があります。二〇〇九年の四月以降、翌年の、一〇年の三月までは、逆に上に上がっていってやられた、むしろ下がっているときには逆に私どもはプラスだったわけでございます。逆にプラスだったということで、結局、解約があっても十分対応できたというふうに思っている次第でございます。

近藤(和)委員 きょうは参考人質疑でございます。証人喚問ではございません。うそをついても偽証罪ということにはなりませんけれども、正直に答えていただきたいと思います。

 それでは、今、浅川参考人が言われた解約の申込金額に対して全面的にしっかりと返していった、新規加入の部分についてはしっかりと運用に使っていったということでよろしいですか。

浅川参考人 運用に使っているとか使っていないという意味がよくわからないんですが、基本的には、お客様の解約については逆に受けておりましたし、その分は、また今まで使っていた分は別に運用として全部使っておりますから、それについてはどう答えていいかちょっとわからないんですが、使っていたと思っております。運用していると思っています。

近藤(和)委員 使っていたと思いますというのは極めて曖昧だと思いますが、もう一度、本当に全部使っていたんですか。新規のお客様もしくは既存のお客様からの増額部分をあなたの助言によって運用資産に回していた、これは事実ということでよろしいんですか。

浅川参考人 解約があった分、それから新規に買う分を含めて増減がなければ全く変わりませんし、逆に、減ればそれだけの運用額が減る、こういうことでございます。

近藤(和)委員 では、ちょっと角度を変えます。

 解約金額というのは、この二〇〇九年の二月以降では幾らなんでしょうか。

浅川参考人 正確にはちょっと把握しておりませんが、当時は百二十億ぐらいだったと思いますけれども、これはちょっとまだ正確じゃありません。ちょっと確かめないと、今現在手元に全く資料がなくて、強制捜査が入って全部なくなって、私の記憶だけなので非常にちょっと曖昧でございますので、今の数字については、申しわけありませんが、私の感覚でございます。済みません。

近藤(和)委員 それでは、曖昧な形で、百二十億程度は解約に応じたという認識でいさせてもらいます。

 済みません、残りが五分なので、ちょっと私、余りきょう聞くつもりはなかったんですが、西村さん、石山氏、二人、それでは簡単に答えていただけたらと思います。

 まず、西村氏、あなたは今回のAIJ事件に関して加害者だったと思いますか、もしくは被害者だと思いますか。

西村参考人 どちらかというと被害者だと思っています。(発言する者あり)いいですか、もう一回。(近藤(和)委員「委員長」と呼ぶ)

海江田委員長 いや、ちょっと待ってください。

 まだ続けますか。

西村参考人 ええ。

 ただ、運用に関しては我々は全く知りませんでしたけれども、販売に関してはかなりの責任があります。そういった意味では、私どもも加害者であると。

 どちらか一方という形ではお答えしづらいということを御理解ください。

近藤(和)委員 それでは、同じ質問を石山参考人にいたします。

 石山参考人、あなたは加害者ですか、被害者ですか。

石山参考人 被害者であります。

 理由は、先ほど、冒頭申し上げましたように、ヘッジをしているという説明を聞いて、それから、年金基金としては運用戦略の一つにこれは組み入れられるというふうに判断したので、年金基金にいろいろお伝えする中の一つとして、情報の一つとしてお伝えしていたわけですが、結果がこういうことになってしまいまして、何とも基金さんに対してはおわびのしようもないといいますか、冒頭言いましたように、真実を知らないと、私がそもそもとってきたことのどこに瑕疵があったのか、自分でも今わからない状態であります。

 以上です。

近藤(和)委員 石山参考人に聞きます。

 あなたは年金運用についてのプロなんでしょうか、その自覚はどうなんですか、教えてください。

石山参考人 運用に直接携わっているわけではございませんので、そういう意味ではプロではありませんけれども、年金基金での役割というのは、どれが絶対かと選ぶのではなくて、いろいろなものの中から、例えば株式のいろいろな戦略の中から相対的にどれが自分の基金にとってふさわしいかという選び方をしますので、いわゆる運用のプロということではありません。

近藤(和)委員 それでは、再度、浅川参考人に聞きます。

 先ほど二人の参考人は、どちらかといえば被害者だというような言い方をしていました。そのことについて、あなたはどう思いますか。

浅川参考人 第三者に関することなので、私は、申しわけありませんが、控えさせていただきたいと思います。

近藤(和)委員 非常に大事な部分なんですよ。一千百億失って、どうやって返していくか、誰に責任があるかということをしっかりと追及していかなきゃいけないんです。

 そういった時点で二人三脚もしくは三人四脚でやってきたんでしょう。足取りを見ればそうじゃないですか。もう一度この点について、浅川参考人、お願いします。

浅川参考人 これにつきまして、二人三脚というよりも、むしろ私が全て主導してきていますので、彼らに対して僕がコメントする立場じゃないと思っております。

 それぞれが感じることでありますし、これをどうこう言うということは、基本的に、今強制調査を受けている身ですから、第三者に関することはどうしても私はコメントしたくないと思っております。

近藤(和)委員 皆さんからしてみれば、もう第三者じゃないんですよ。もう被害者の方はたくさんいらっしゃるわけなんですよ。その点についてこの場でお答えしたくないというのは余りにも無責任、極めて強い怒りを覚えています。

 もう時間がありませんので終わらせていただきますが、私たちは絶対に、少なくとも浅川氏、参考人、許さない、とことんまで追い込んでいく、追い詰めていく、返せるものを全部返してほしい、それを最後に言わせていただきまして、質疑を終わらせていただきます。

 以上です。

海江田委員長 次に、竹本直一君。

竹本委員 自民党の衆議院議員、竹本直一でございます。

 きょうは、参考人の皆さんにきちっと、私が疑問に思っていることをお聞きしたいと思います。

 まず、浅川参考人にお聞きします。

 あなたがAIJ投資顧問の代表取締役に就任した二〇〇四年以降、現在まで、デリバティブ取引の損益が虚偽の報告となっておりますけれども、当初から顧客をだます目的だったのではないか、私はそう考えるわけです。

 なぜそういうことを言うかといいますと、ちょっと資料としてはお示しできなかったんですが、デリバティブ取引損益及び純資産額の推移というこの資料によりますと、平成十五年三月から始まっているんですが、そのときはプラマイ・ゼロでありましたけれども、十六年から平成二十三年までずっとマイナスであります。デリバティブの損失総額は一千億を超えております。

 そして、対外的にその資産状況を報告するのに、実際の純資産額と虚偽の数字で当然違うわけですけれども、当初、平成十五年には、ともに純資産額は六十三億、そして虚偽の報告も、虚偽とは言えませんが六十三億、こうであったんですが、翌年からもう、平成十六年から、純資産が百二億であるにもかかわらず、対外的に公表しているのは百二十九億となっています。それがずっと続きまして、平成二十三年には、純資産が二百五十一億であるにもかかわらず、二千九十億円の資産があると報告しております。うそばっかりなんですね。

 当初は、最初は善意でやった、こういうふうに、しかし、損失が出たから埋めるためにというような、言いわけのような話をあちこちのところで聞きますけれども、どうもこの数字を見ると、最初から、そういう仕組みを考えればもうかると考えたか、うまくいくと考えたんじゃないか。何か最初からだます目的があったというふうに思うんですが、いかがですか。

浅川参考人 先ほども申しましたが、最初からだます目的で運用をしてきたつもりはありません。

竹本委員 年金基金は、中小企業の従業員のために設立されているものであります。あなたがこの運用を任されて運用するときに、中小企業の社員の顔が頭に浮かびましたか。

浅川参考人 全国の年金、今九十四基金、私どもに入っていると思いますが、理事長さん及び常務理事さん及び従業員の方たちも見ております。全部浮かびます。

竹本委員 AIJでは、予定利率を幾らで想定していたのか、聞きたいと思います。

 基本的には、日経二二五や国債の先物の逆張りを行っていたと聞いておりますけれども、実際はどのような運用を行っていたのか。なぜそのようなむちゃな運用をしていたのか。

 中小企業の社員の貴重なお金を運用するとなると、そんなばくちのようなことはできないはずでありますが、なぜそういうことをしたのか。ばくちに自信があったんですか。

浅川参考人 基本はヘッジというのを使っていますが、ばくちをしたという覚えは全くありません。

竹本委員 貴重な資産を、先の見通しもないにもかかわらずそのようなむちゃな運用をすることに対して責任を感じているのかいないのかということを聞きたかったわけであります。

 さらに、給与の点を見ましても、私が調べたところでは月収六百万円ぐらいもらっているということでありましたけれども、うそのことを報告しながら、そしてこれだけの報酬をもらっていることに、どういう感じ、申しわけないという気持ちなのか、当たり前だという気持ちなのか、どちらですか。

浅川参考人 今となっては申しわけないという気持ちでいっぱいです。

竹本委員 お客さんにうその報告をして、その時点では申しわけないと思っていなかった。では、当たり前だと思っていたんですか。もう一度答えてください。

浅川参考人 当たり前だとは思っておりません。

竹本委員 先ほどの質問にもありましたけれども、二〇〇九年以降、新たに契約して集めた資産を運用していたわけですけれども、その資金は何に使いましたか。結局、損失を埋めるために、あらかじめ投資をしていたその年金に返す資金として使っていたのではないかと思いますが、いかがですか。

浅川参考人 申しわけありませんが、そこのところをもう一度説明していただけますでしょうか。済みません。

竹本委員 二〇〇九年以降、新たに勧誘した、そして基金を預けられるわけですけれども、そのお金を払い戻す人たちに左から右へ回していたのではないかというのが私の疑問であります。そういうことをしていたかどうかということです。

浅川参考人 私どものファンドは募集枠を決めていましたから、権利が変わるだけですから、それを埋めるというよりも、売る人もおり、買う人もいますから、全体の運用の枠は基本変わらないわけでございます。だから、それを埋めているとは、そういう認識はないわけでございます。

竹本委員 東京年金経済研究所の石山氏のことは、社保庁OBですけれども、この人は、いつ時点で知り合いになったのか、あるいはそもそも知らなかった人なのか。どちらですか。

浅川参考人 二〇〇三年の五月に初めて年金基金さん、東日本文具というところで買っていただいたわけですけれども、そのときの常務理事をやっていたのが今の石山さんでございます。

 実は、知り合ったのは二〇〇二年の暮れぐらい、今ここにいる西村社長の紹介でお会いしたというのが実情でございます。

竹本委員 石山氏とコンサルタント契約を結んでいますけれども、結んだ理由は何ですか。石山氏の何に期待をしてコンサルタント契約を結んだんですか。

浅川参考人 石山社長が東日本文具をやめるときに、年金のコンサルタントをしてみたいというので、私も共鳴しまして、それで会社を一緒につくったということでございまして、当初、会社をやるのにある程度資金がないと厳しいというので、コンサル料を私どもが払うという方法をとりました。

竹本委員 石山氏から年金基金の担当者を紹介されましたか。紹介された年金基金担当者は社保庁のOBでしたか。

浅川参考人 直接の紹介というのは一切ありません。東京年金経済研究所で開くセミナー、そこに四社か五社あるうちの一人、一つとして紹介されております。

竹本委員 四社、五社というような、そんな少数ですか。もう一度答えてください。

浅川参考人 説明する側が四社、五社で、聞くお客様は十社とか十二社と、そんな大きなセミナーではなかったと思います。

竹本委員 石山氏が契約を取りつけてくるようなことはありましたか。

浅川参考人 それは一切ありません。

竹本委員 そもそも浅川氏は、野村証券時代は営業畑にいましたけれども、営業畑のあなたに資金運用ができる能力があると考えていますか。営業と資金運用の違いを言っております。

浅川参考人 資金運用と営業とは全く違うと思っております。

 私が能力があるかどうかというのは、野村証券をやめてちょうどもう二十年、今十八年になりますが、いろいろ経験しました。私一人で運用しているわけではありませんが、私どものファンドマネジャー等の意見を聞きながら運用してきたというのが実態でございます。

竹本委員 あなたの能力がどの程度かは別といたしまして、石山氏とコンサルタント契約をした背景には、石山氏が社保庁OBであり、そして、その人脈をフルに活用すれば、たくさんの基金から寄託をされ、そして、この仕事がうまくいくと考えたのではないかと私は思うが、いかがですか。

浅川参考人 そういう動機で石山氏とおつき合いしたわけではございません。結果としてなったわけであって、むしろ逆に、金額がふえて私どもの方が困ったという状況でございます。

 ですから、年金基金をとるために石山氏とつき合ったというわけではございません。

竹本委員 顧客から、AIJの監査報告書が含まれておりますファンド運用報告書の開示請求があったと思いますけれども、この場合、なぜあなたは開示を拒否したんですか。

海江田委員長 なぜ開示拒否をしたのかと。

浅川参考人 どこから開示、あったかと、請求というのは。済みません。

竹本委員 顧客からです。

海江田委員長 顧客からということです。

浅川参考人 はい、わかりました。

 お客様から開示請求されたのは、一社だけでございました。

 あとは、監査報告書じゃなくて運用報告書ということで、昨年の十月の金融庁のヒアリング、関東財務局のヒアリングでもって、二〇一〇年の三月期のもの、それで急遽昨年の十一月に二〇一一年の三月期の運用報告書、ですから、監査報告書じゃありません、運用報告書を急遽出したという状況でございます。

竹本委員 知人の公認会計士に監査報告書の改ざんを依頼したと聞いておりますが、その理由は何ですか。

浅川参考人 監査報告書じゃなくて運用報告書でございます。

 ですから、運用報告書の改ざんというのは、私が今現在の水増しのNAVの数字を渡して、それで、このようにつくってくれないかということで、数字も全部出して、それでもってつくっていただいたということでございます。(発言する者あり)いや、これはあくまでも、だますということじゃなくて、水増ししたNAVを継続して今の状態を維持したいということで言っているわけです。

竹本委員 まさにうそを公認会計士に、いわゆる半ば公的存在ですよね、こういう人に言ってみれば公文書として記載させるという、まさに詐欺もいいところじゃないですか。そういう認識はどうしてないのか。うそを書かせるわけですから、それを信用させて、そのとおりの書類をつくるんですから、それで何の罪も感じないんですか。

浅川参考人 運用報告書については、任意でつくっているところでもありまして、実は何とか今の形を維持したいということもありましてやりました。これは詐欺というつもりは全くありませんでした。

竹本委員 うその数字を書かせて、だましたつもりはないというのは、何とも不思議な答弁だと私は思いますが、もう少し真面目に答えてください。

 石山参考人に聞きます。

 コンサルタント会社設立時にAIJから資本金の三分の二の出資を受け、社員の派遣と給与の支払いもしてもらっております。さらに、コンサルタント会社は、二〇〇四年から五年九月まで出資したAIJの浅川社長の会社と同じ場所に置かれ、役員のうち数人はAIJの役員も兼務しておりますけれども、あなたと浅川氏の関係はどのようなものか、あなたの側から答えていただきたい。あなたたちは表裏一体じゃないのかと私は思いますが、いかがですか。

石山参考人 会社を設立する際に資本金を出していただいたのは、それは間違いございません。

 それから、今、報道がありました社員の派遣を受けてというのは、これは全く事実と違います。これは、ある新聞社が配信した記事にそう書いてありましたので、直ちに私は抗議をして、訂正をしてくれというふうに言っていますが、まだきちんとした回答はありません。

 それから、したがって、その報酬も払ってもらったということも、そもそもあり得ません。

竹本委員 先ほどちょっとコメントいたしましたけれども、社保庁人脈を使って全国の基金におる社保庁OBに基金運用セミナーへの参画を呼びかけたことがあるか、それをお答えください。

石山参考人 ちょっと説明が長くなるかもしれませんが、私が年金基金の方々に説明する場合に、個別基金に行って、あるいは個別基金に呼ばれて説明する場合と、それから、みずから主催をして行う場合と、それから、年金基金の方、各県に協議会みたいなのがございますので、そこの勉強会に呼ばれる場合と、いろいろあります。

 私が主催した場合には、基本的に府県単位でそういう説明会をやっていましたので、それぞれの府県の基金さんに、皆、御案内を出すわけです。集まっていただいた方の中には、大部分が社会保険との関係のある方です。それは、たまたま、私がそういう人たちだけに案内を出したということではなくて、それぞれの県の全体に案内を出すと、集まった方々が結果としてそうだったということでありまして、特に人脈をどうのこうのということではありません。

 ある県においては、企業年金の方々も同時に集まっていただいたケースもありますので、意図的にそういうことをしたわけでは全くありません。

竹本委員 今までこのセミナーは何回開きましたか。

石山参考人 確かには記憶しておりませんが、多分十五回前後ではないだろうかと思います。

竹本委員 AIJに年金資産の運用を委託していた七十四基金のうち、何と四十七基金に社保庁OBが天下りしております。これは事実です。

 AIJが厚生年金基金に説明に訪れた際に、同席し、商品を勧めたことがありますか。

石山参考人 私が年金基金に呼ばれる場合には、ただその商品の説明だけということは全くありませんで、その他の議題もあって、それで、おまえも出てこいということで行って、その日のうちに場合によってはファンドの説明を聞くということはよくあるわけでして、そういう意味では一緒にいましたけれども、AIJを特に言ってみれば引き合わせるというようなことはしたことはありません。

竹本委員 年金のプロであるあなたがAIJの不正に気づいたのか気づいていないのか、これはぜひお聞きしたいと思います。もし気づいていたとすれば、いつごろ気づいたかということ。

石山参考人 冒頭で御説明しましたように、説明される数字、あるいは資料として出される数字は、聞く方としては真正のもの、間違いのないものとして受けとめるのが前提でございまして、そういう意味からいうと、一方では、先ほども申し上げましたように、価格下落ヘッジをしているということですので、そのとおり行われていた結果だというふうに理解しております。

 したがって、どの辺からおかしかったかというのは全く気がつきませんでした。

竹本委員 気づいたのはいつですか。

石山参考人 気づいたというか、新聞報道を見て初めて知りました。

竹本委員 後でお渡ししてもいいですが、御存じだと思いますが、これはフューチャーズ・ジャパンという雑誌のコピーでありますけれども、二〇〇六年の号ですが、その中であなたが対談をしておりますけれども、ちょっとその一くだりを言います。

 「〇四年四月にスタートした当初は」、おたくの会社ですね、「オルタナティブに限定したコンサルタントを考えていました。」「オルタナティブの資金と伝統的資産の資金は別々ではなくて、一緒にあるわけですから、その一部をオルタナティブに移すとなると、伝統的資産の方にも手を付けなければならない。」こう言っています。

 要は、例えば国債を買うとか、低利運用だと魅力がないから、ばくちといって、ばくちじゃないと言っていましたけれども、要するにむちゃくちゃな逆張りをやって大変なリスクをかける、そういうことを専門にやればトータルとしてもうかるだろうというのが当初の、この会社、あなたが起こした会社の目的だったのではないかというふうに思いますが、そうではないんですか。

石山参考人 私が厚生年金基金で仕事をしていた時分、既に株式だとか債券では予定利率を達成することが極めて困難な状況になっておりました。つまり、それは市場全体が弱くなってきたということもある一方、債券の金利がどんどんどんどん低くなりつつある最中でございまして、年金資産の予定利率を達成することは極めて困難な状況にありました。

 そうすると、リスクをできるだけ抑えながら少しずつでも収益を積み上げようとすると、いわゆる絶対収益型と言われるオルタナティブに目を向けていったのは極めて自然なことだと思っておりますし、単に収益の追求だけではなくて、資産全体のリスクの抑制という意味合いもありますので、そういうことでオルタナティブというものを推奨しておりましたし、それを専門にやろう、こういうふうに思っておりました。

竹本委員 リスクの抑制じゃなくてファンドを成長させようとしたのが本当の動機だと思いますが、いかがですか。

石山参考人 オルタナティブというのは、種類が物すごくたくさんあります。それで、年金基金としては、どれを選ぶかというのは、それ自体がなかなか大変な作業なんですね。だから、どこかのファンドに資金を積み上げてやろうとか、そんな意図ではこの仕事はできません。

竹本委員 今回の事件は、先ほど、あなたも被害者と言われたし、証券会社の社長も被害者だと言われた。そして浅川氏本人は、何とも言えない、こういうことでありますけれども、そもそもこの情報を、信託会社が関係する立場にあったわけですけれども、そういったところに知られていたのではないか、あるいは信託会社が知っていたのではないかと思いますが、これは浅川参考人に答えてもらいたいと思いますが、いかがですか。

浅川参考人 知っていたかどうかは、私どもはちょっと判断しかねると思います。

竹本委員 野中参考人、いかがですか。

野中参考人 先ほどの我々が示しましたスキームでありますように、このスキームでおきますと、大変残念ではありますけれども、我々はわかりませんでした。

竹本委員 野中参考人にもう一回聞きます。

 金融庁は、今回の問題を受けまして、企業年金を運用する投資顧問が過度なリスクをとっている場合や不透明な運用をしている場合に信託銀行に警告させることを検討し、警告後も改善が見られない場合には契約解除を検討するように求め、信託銀行がこうした責任を果たさない場合には業務改善命令などの行政処分を課す、規制の強化策を考えております。

 ただ、運用状況の公表義務のある公募型のファンドを用いれば今回の強化策は有用であると考えるが、AIJのように、出資者がAIJの顧客に限られる私募型ファンドには運用状況の公表義務がなく、金融庁の考える強化策では、今までどおり信託銀行としては私募型ファンドの報告を信ずるしかないと考えられますが、いかがですか。

野中参考人 御指摘のとおり、私募型ファンドの場合は、現行の仕組みではファンドの報告を信じざるを得ない、そういう局面があります。

 ただ、我々、こうした年金特定信託という業務を営んでいるわけでございますので、さらに商品性を改善いたしまして、基金の判断に資するような報告精緻化を進めていきたい。そういう意味で、協会内にワーキンググループを三月二日につくりまして、今議論を重ねているところでございます。

竹本委員 自主規制か、あるいは規制の強化か、いろいろ方法はあると思いますが、しっかりとした対応を考えてもらいたいと思います。

 これで終わりますけれども、いずれにしろ、ほとんど核心の問題には浅川参考人以下答えていないわけであります。ですから、私は、この問題解決のためには、浅川参考人、それから、きょうは出席しておりませんが高橋氏、それからアイティーエム証券の西村氏の証人喚問を行う必要があることを指摘いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 以上です。

海江田委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲です。

 最初に浅川参考人に申し上げたいと思いますが、浅川参考人の罪は深いと思うんですね。約千五百億円ものお金を、うそ偽り、でたらめのデータを顧客に見せて集めて、その後も運用の失敗を続けてそのほとんどを消失させた。八十八万人の加入者、受給者を絶望に陥れただけでなくて、多くの中小零細企業の皆さんが倒産の不安におびえている。しかも、年金制度そのものの信頼を失わせかねない重大事件であるということをまず申し上げておきたいと思います。

 先ほどからもありますように、今回は証人喚問ではありませんけれども、ここで虚偽の答弁をされると大変なことになるということは申し上げておきたいと思います。

 その上で、この証券取引等監視委員会の報告によりますと、あなたは、二〇〇四年三月期から運用成績を改ざんしてきた。その後も、二〇一一年三月期に至るまで、デリバティブ取引で巨額の損失を出していたにもかかわらず、純資産額を大幅に水増ししてきた。これは事実です。

 この改ざんは、浅川参考人と高橋取締役のお二人でされたんですか。

浅川参考人 私が指示し、つくり、高橋取締役がアイティーエム証券及び私どもの担当者に回して、書面で渡したという流れでございます。

竹内委員 ということは、改ざんは全て浅川参考人の指示であったと。しかし、高橋取締役を相当信頼されていたんだなというふうに我々は思うんですね。

 それでは、アイティーエム証券の西村参考人にお聞きしますが、この改ざんの事実は御存じだったんじゃないですか、当初から。

西村参考人 お手元に監視委員会の資料がおありであれば、書いてあるとおり、当初一、二年については、運用の中心がデリバティブと未公開株というこの二本が柱でしたので、その未公開株の価格について私どもで評価を参考資料としてお渡しして、ネット・アセット・バリューの基礎データとしてお渡ししたという、当初一、二年の状況は、確かに監視委員会の指摘のとおりでございます。

 ただ、その後については、ネット・アセット・バリュー、当社は一千四百億円ぐらいのお金を集めたわけですけれども、その間、HSBCから報告されるネット・アセット・バリューとAIJ投資顧問からいただくネット・アセット・バリューが一致しておりましたので、当社としてはそのまま信頼して販売を続けたということです。

 虚偽である認識というのは近々まで社員一同含めまして誰も持っていなかったということでございます。

竹内委員 二〇〇九年二月に、先ほどもございましたが、アメリカで発生した巨額金融詐欺事件を受けてAIJの運用実態を警告する記事が掲載された、その後、各年金基金からの解約の申し出が相次いだとされています。

 浅川参考人は、この証券取引等監視委員会の報告によりますと、やはり、いわゆる転売スキーム、新たに契約した受託資産の大部分について、運用しないまま解約に対応する払戻金に充当したとされているわけですね。これはこの報告書でも転売スキームでちゃんと書かれているわけですね。それは、ファンドに入った部分もあるけれども、アルファというようなちょっとわけのわからないファンドに行った部分もあるけれども、直接新規顧客から解約の顧客に資金が流れているという報告書が出ているんですね。これはお認めになりますか。

浅川参考人 今、ベンチャーインベストメントアルファ投資事業組合のことを言っていると思いますが、今言っているファンドは、ベンチャーインベストメントアルファで今までは買い、口数は決まっていますから、受けた、それから新規の客が逆に売った、買った、それで既存の客が売った、この部分はあると思います。

竹内委員 私が申し上げているのは、今のこのアルファという投資事業組合を通さずに新規顧客から預かったお金をそのまま解約顧客に回したという転売スキームがこの監視委員会の報告にきちんと記載されているんですね。とすれば、これはつまり、運用の意思がないままに新規顧客から資金を集めたことになるということになりますが、それはお認めになりますか。

浅川参考人 既存のお客様が入れかわるだけですから、運用はそのまま継続しておりますから、基本的には、それは使っていないということにはならないと思っております。

竹内委員 だめですよ、それは。この証券取引等監視委員会のスキームでは、ファンドには資金が回らずに直接新規顧客のお金が解約顧客に回ったという報告がなされているんですね。ですから、これはかなり、これは単なる行政法違反ではなくて詐欺罪に該当する可能性があるというふうに私どもは思います。

 それから、本質的な質問に入りますが、あなたは、デリバティブ取引などの運用の失敗で、御承知のとおり、一千億円以上の損失を出されました。我々が恐れているのは、海外のどこかにこの資金を隠されているんじゃないか、一部を。みんなもそれを心配していると思うんですよ。デリバティブで損を出したと言っているけれども、実はどこか海外に隠しているんじゃないか、皆さん、そういう心配をされている方が多いと思いますが、いかがですか。

浅川参考人 実は、このファンドの仕組みを理解していただきますとよくおわかりになると思いますが、どこかに隠すとか持っていくとかいうスキームになっておりません。これを御理解いただければと思っておる次第でございます。

竹内委員 ファンドの仕組みはよく理解しているんですよ。私も、もともとは金融の世界に身を置いておりましたから、そのぐらいのことはわかっているわけですよ。

 投資事業組合への出資額が、監視委員会の報告によりますと百八十一億円とされておりまして、そのうち三十二億円は現預金で確認されている。しかし、その差額百四十九億円ですか、この資金は一体どこへ行ったんですか。

浅川参考人 これが、先ほど申しましたように、今の私どものファンドの買い受けになっている、こういうことでございます。ファンドの受け皿になっているということでございます。

海江田委員長 もう終わりですか。(浅川参考人「はい」と呼ぶ)いいですか。

竹内委員 その資金が、ちょっともう一回、意味がよくわかりません。受け皿になっているとはどういう意味ですか。

浅川参考人 解約した資金の受け皿になっているということです。それが百四十三億円になっているわけでございます。ですから、私どもがそれをとったということとか、全く、どこかで飛ばしたとか、そういうことになっておりません。

竹内委員 では、つまり、この百四十三億円で解約資金に回したと。つまり、解約を申し出た顧客に、投資事業組合の出資でした百八十一億のうち百四十三億を、アルファですか、二号と含めて二つの組合に出資したと言っているけれども、実はそれは解約で払い戻してしまっている、こういうことですか。

浅川参考人 差っ引きで百四十三億円が残っているということです。ですから、ファンドとしては、百四十三億円を、次募集できる口数が百四十三億円相当があったということで、もう一つは、ファンドとしては、その他のものも投資していますから、トータルすると、百四十三億円プラス三十二億円プラスほかの投資物件がありますから、それだけの金額が残っている、こういうことでございます。

竹内委員 そのお金はどこに残っているんですか。先ほど金融庁に聞いたら、この百四十九億ぐらいはどこに行っているか確認できていないと。三十二億円の現預金は確認できたけれども、この残りの、百八十一引く三十二の百四十九億円、これは確認できていないと言っているんですけれども、どこにあるんですか、これは。

浅川参考人 ですから、今、ファンドの解約分、ですから、投資事業組合としてファンドを持っているということでございます。私どものファンドを持っているということでございます。

竹内委員 言っている形式論理はわかりましたけれども、実態は全く解明されていないんですよ、これは。

 先ほどありました、浅川参考人の報酬は九年間で六億三千万、毎年七千万だということであります。これは、あなたは財産の全てを弁償に充てるべきではありませんか。

浅川参考人 弁償に充てるというよりも、私どもは、報酬に関しては水増ししたNAVでもらっているわけじゃありません。ですから、基本的に、報酬を多く取ったとか、どこかからだまし取ったとかいうつもりは全くありません。

 もう一つ、誤解されていると思いますが、報酬というのは水増ししたNAVでもってもらっているわけじゃありません。すなわち、真正NAVに基づく報酬しかもらっていません。

竹内委員 いや、それは通用しませんよ。偽計によって金を集めているんですからね。それで、偽計によって金を集めて、そこから六億三千万も金を取ったわけですから、そこはかなり悪質じゃないですか。正しい数字を見せてそのお金を集めたんだったら、その報酬はいいでしょう。しかし、全くでたらめな数字を見せてお金を集めて、それで報酬だと、そんなばかな話はありませんよ、毎年七千万もね。みんなばかばかしくてやっていられないじゃないですか。こんなことは通用しませんよ、道理として。

 海外ファンド、シンガポール等のブローカー等に六十一億円委託手数料が渡っていますが、これらは我々も不透明だと思っています。

 これらは、あなたもしくはあなたに近い人物に還流されているのではありませんか。

浅川参考人 オングファーストのことを言っていると思いますが、一切ありません。

 それともう一つは、先ほどちょっと質問の中で、全部のファンドが全てうそのNAVで買ったわけじゃありません。新規の発行部分については全て真正NAVで買っております。

竹内委員 容易に信じがたい今の答弁だと思います。

 AIJが預かり資産の運用業務を始めた二〇〇二年から二〇〇三年当初、実はまだ事業認可を正式には得ておらず、買収予定であった米国の保険会社シグナ・インターナショナル・インベストメント・アドバイザーズの名義で営業をしていた疑いが持たれています。これは事実ですか。

浅川参考人 国内の投資一任ということでございましたが、当時私どもは助言業務をやっておりましたから、ファンドをやる場合には、シグナ・インターナショナルの一任を持った国内の年金基金と契約するためにはシグナの免許が必要だったわけです。私どもはその下に助言業務としてやってきたわけでございます。

竹内委員 このシグナさんの方々が営業に回られたという事実はないんですよね。

浅川参考人 当時は、シグナの担当者と私どもと一緒に回っております。ちなみに、年金基金さん向けの契約においては一緒に回っております。

竹内委員 これは今後の調査で追及をしていかれるべき問題だと思います。事実であれば名義貸しに該当します。

 それで、時間が残り少なくなってまいりましたが、石山参考人に少しお伺いしたいと思います。

 先ほどから、石山参考人は、全くこれらの事実を知らなかった、資料を信じていた、ゆめゆめこれを知らなかった、全く気がつかなかったとおっしゃっていたんですが、石山参考人は社保庁OBでいらっしゃいますが、最終役職は何でいらっしゃいましたですか。

石山参考人 最終は、愛知県の方に出向しておりまして、愛知県民生部保険課長です。

竹内委員 AIJさんとコンサルタント契約を結ばれましたですよね。このコンサルタント契約料というのはお幾らですか。

石山参考人 実のところ、経理の方は、私のところが手が足りないということもありまして、基本的にAIJの方に管理を任せておりました。私がはっきりつかんでいるのは、私の給与が、毎月明細書が参りますのでそれはつかんでおりますけれども、全体のところは実はよく承知しておりません。

竹内委員 ということは、かなり、AIJさんとほとんど一体ですよね。総務、給与、AIJさんに管理されていると。

 給料はちなみにどのぐらい受け取っておられましたか。

石山参考人 ずっと通して見ますと、大体年に六百万程度だと承知しております。

竹内委員 我々から見ると、やはり社保庁OBの方の信頼度というのは世間的には非常に高いと思うんですよね。やはり各年金基金の皆さんが相当信用されたことは間違いないというふうに思います。

 竹本先生から先ほど質問がありましたけれども、ちょっと角度を変えますが、浅川参考人と同行して飲食を伴う営業をされたことはありますか。

石山参考人 全くございません。

竹内委員 運用のプロではないと先ほどおっしゃっていましたけれども、しかし、コンサルタント契約を結ぶということは大変なものでありまして、各年金基金の理事さんにアドバイスをする立場ですからね。

 やはり、さまざまな情報を集めて、本当にAIJの投資が正しいのか知るのが、情報を入手するのが当たり前だと思うんですよ。ちょっと調べれば、五%から二〇%の物すごい高配当を出している、こんなことが過去十数年であるわけないわけでありまして、そういう感覚はお持ちじゃなかったですか。

石山参考人 オプションを使った運用というのは、実は国内では当時、今はどうかわかりませんが、当時ほかになくて、比較のしようが実はありませんでした。

 ただ、一般的に言いますと、当時、海外のファンドでは、続けて二桁を出しているようなファンドは幾つかございました。

竹内委員 最後に、浅川参考人、もう一回だけお聞きしますが、きょう欠席されました高橋参考人の報酬額はお幾らですか。

浅川参考人 私も経理をやっていないですが、大体ですが、約三百万前後だと思います。(竹内委員「年収で」と呼ぶ)いや、年収じゃなくて……(竹内委員「月収で」と呼ぶ)月収で。だから、三千六百万円になりますね。

竹内委員 私の時間は終わりましたけれども、非常に不透明なところがますますあらわになったという感じがしております。さらにこの問題は事実解明をしなければいけない。

 この問題がどういう構造になっているのか、これがやはり今後の制度改正をどうすべきかということに結びついていくと思いますので、私どもも、公明党としても、証人喚問の必要性があるということを申し上げて、終わります。

海江田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 最初に、浅川参考人にお伺いします。

 虚偽報告で年金資産を失った基金の加入者、受給者等関係する人たちが八十八万人、損害を与え、場合によっては中小零細企業の倒産に至るという事態であります。

 浅川参考人は、こういうやり方を途中でやめようというふうには思いませんでしたか。

浅川参考人 何度かやめたいと思っています。

 それはなぜかと申しますと、例えばリーマン・ショックとかそういうときに、全部正直に出してやった方がいいなと思ったこともありました。

 ただ、先ほど、冒頭に言いましたけれども、リーマン・ショックのときにはプラスになっちゃっていて、結局出し場がなくなっちゃって、それともう一つは、お客様に対して、やはり損したままでお返ししたくない、返してはならないという自分なりの責任を感じていたものですから、それがいまだに、今まで続いたというのが実情でございます。

佐々木(憲)委員 中小零細企業の集まりでありますこの総合型年金基金、そういう性格を承知しながら、虚偽報告をして、事実上食い物にしてきたと言わざるを得ません。損失を隠し続け、自分たちの報酬は年金資産から受け取る。金もうけのために年金資産を利用したとしか言いようがないと私は思うんですね。

 そこで、具体的に聞きますけれども、二〇〇九年に、証券取引等監視委員会のアイティーエム証券への調査、これを受けたときに、浅川参考人は監視委員会に事情聴取をされたことはありますか。

浅川参考人 監視委員会からは事情聴取されておりません。金融庁からのヒアリングという形になっております。

佐々木(憲)委員 あなたはこういう発言をされているというんですね。私自身も事情聴取を受けた、変なうわさをされて頭にきた、何もなかったので安心してください、こういうふうに言って年金基金の側に説明をした。そして、預けてくださいという売り込みをやったという事実はあるんでしょうか。

浅川参考人 私は、そういうような営業をしたことはありません。

佐々木(憲)委員 では、あなたはこういうスキームを一体どういうところで考えついたのか。国際活動はほとんどないようですけれども、タックスヘイブンを使って年金資金運用のスキームを考えたのはあなた自身なんでしょうか。

浅川参考人 この私募投信におけるスキームというのは、当時は一般的でございました。

 日本の国内の信託銀行さんに関しては、金額を、例えば二億円から入れるということはなくて、やはり大きな金額じゃなきゃできなかったという事情がありまして、私募形式にして、当時、こういう形でのワンセットみたいな形が通常でございました。

 これについては、当時、アイティーエム証券の方でつくっていただきました。

佐々木(憲)委員 西村参考人にお伺いしますけれども、あなたは元山一証券マンで、運用のプロであります。九年に及ぶ運用利回りの虚偽に本当に気がつかなかったのか。全国の基金にAIJ投資顧問の運用手法を説明して歩いたのはあなたではなかったのか。この点、説明していただきたい。

西村参考人 全国の各基金に回っていたのは当社の営業マンたちです。

 私、証券マンですので、オプションの運用についてのプロではありませんから、オプションや先物取引は、山一にいた十九年間、その後アイティーエム証券をつくってからの十数年間、一回もやったことがない状況です。

佐々木(憲)委員 AIJ投資顧問に資金援助をされて、あなたがケイマン諸島でスキームづくりに携わってきたという事実はありませんか。

西村参考人 当社で独立系の投資顧問に提供していたスキームは、ケイマンではなかったんですね。イギリスとフランスの間にあるチャネル諸島で、ガーンジーというところに当社の運用会社をつくっておりましたので、そこを使うのが普通だったんですけれども、ちょっと、随分前のことなので、当社のこのファンドをつくった担当者がもう既にいませんので詳しいことはわかりませんけれども、浅川社長も以前からファンドをお持ちでしたので、そういった中でケイマンというのが出てきたのではないかというふうに思います。

 ちょっと、詳しい設立の経緯というのは記憶しておりません。

佐々木(憲)委員 浅川社長に聞きますけれども、AIJは、二〇〇二年に、顧客から預かった年金資産を運用するために英領ケイマン諸島にAIMグローバルファンドを設立した。このファンドに対して、イギリス系の大手監査法人が監査を行って、定期的に監査報告を提出していたというふうに言われておりますが、この監査法人は何という会社ですか。

浅川参考人 つい直近まではグラント・ソントンで、今オーディーエーですかね、ちょっと今忘れましたけれども、つい直近が変わっているものですから。以前はずっとグラント・ソントンでやっておりました。

佐々木(憲)委員 このグラント・ソントンが提出をした監査報告書は、バージン諸島にあるAIJ関連会社エイム・インベストメント・アドバイザーズ、AIAですか、そこに対してと、それからもう一つはアイティーエム証券に対して封書で送付されていたということが報道されていますが、事実でしょうか。

浅川参考人 事実だと思います。

佐々木(憲)委員 浅川参考人は、二〇〇四年ごろから、監査報告書が届いたら開封せずにAIJに渡しなさいということをアイティーエム証券に指示していたと言われていますが、これは事実でしょうか。なぜそのようなことを指示したんでしょうか。

浅川参考人 この件につきましては、現在強制調査中ということもあって、申しわけありませんが、微妙な意味を込めていますので、ちょっと発言は差し控えたいと思います。

佐々木(憲)委員 これは極めて重要な事実でありまして、回答がないというのは私はおかしいと思うんですよ。

 浅川社長は、この監査報告書を一切隠して、その上で改ざんを行っていた。したがって、虚偽の報告を作成したわけであります。

 アイティーエム証券の社長に聞きますけれども、浅川氏から、監査報告書については開封せずに私のところへ届けなさい、こういうふうに言われていたんじゃありませんか。

西村参考人 監査報告書については、当社で見ないで持ってくるようにというふうな形でずっと続いていました。最初の二年ぐらいは、先ほどもお話ししましたように、当社で見ていた時期もありますけれども、それ以降については、見ないでそのままAIJに渡していたという状況です。

佐々木(憲)委員 そういうふうに言われて、おかしいと思いませんでしたか。

西村参考人 先ほども申しましたように、それを渡している途中で、新規の募集をしているときには、ネット・アセット・バリュー、HSBCから送られてくるものと当社にAIJから報告されるものが一致しておりましたので、これは信頼できるなという形でずっと続けてきていました。

佐々木(憲)委員 この監査報告書を、あなたのところに監査法人から直接送られてくるわけです。ですから、宛先がAIJじゃなくてあなたの証券会社に来たわけですから、なぜそれを開封できないんですか。開封しないというのは不思議だと我々は思うんですけれども。開封するなと言われて開封しないで渡した、それが異様な形になっているとは思わないんですか。

西村参考人 それについては、現在監視委員会で調査中ですので、いずれ明らかになると思いますけれども、ここで言わせてもらいますと、当社とAIJとの関係は、当時、九〇%以上の株をAIJが握っているという親子関係にありましたので……(発言する者あり)命令と言われましたけれども、言われたらそのとおりにやるという状況でしたので、ほかのことで、先ほど言いましたように、ある程度安心できるような状況だったので、監査報告書は半年以上おくれて来ますので、そちらよりも日々のネット・アセット・バリューの方を信頼していたという状況です。

佐々木(憲)委員 浅川参考人は、この監査法人の報告書を事実上握り潰して、それを知った上で、内容を知った上で、公認会計士に運用実績を改ざんした虚偽の報告書の作成を依頼していた、そういう事実はあったんでしょうか。

浅川参考人 運用報告書につきましては、要するに、アイティーエム証券に流している情報と、それと一致させるために、今虚偽と言われましたが、水増しのNAVをつくるようには依頼しました。

佐々木(憲)委員 これは、あなたは何か虚偽を、うそをついた覚えはないとか言って先ほど答弁をされていましたけれども、実際の運用実績、そして監査の結果、その報告書というものをあなたは表に出すということを一切させなかった。証券会社に来たものも、アイティーエム証券に来たものも、それを開封させず、自分のところに持ってこさせて、それを隠し、その上で、それと全く違う数字を、計算上つじつまが合うような形で報告書をつくって、それで年金基金の担当者にお金を預けるようにと、こういうセールスをして歩いた。

 事実を偽ってそれを報告し、その上でみずからの利益を図ったわけですから、これは明らかに違法である、そういう認識はありませんか。

浅川参考人 運用報告書につきましては、実は金融庁に出した二〇一〇年の三月期と二〇一一年の三月期だけでございます。それも昨年出しただけでございます。

 お客様に出したのは、これを持ってお客さんのところに外交したわけじゃありません。お客様が買った後にどうしても連結決算で必要だということで、その一社のお客さんだけに出した、これが事実でございます。

佐々木(憲)委員 大体、デリバティブ取引でずっと損を出していながら、それを隠してもうかっているかのように報告書をつくり、年金基金をだました、その罪は極めて大きいと言わざるを得ないと思います。

 したがって、その徹底した調査を我々は求めますけれども、当委員会としても、証人喚問等、真実を明確にさせていく必要があるというふうに思っております。

 以上で終わります。

海江田委員長 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 私の持ち時間は十分ということでございますので、あれこれ言っているうちにすぐ終わってしまいますから、私は個別的にいろいろ事実関係を問いただすことはこの場ではいたしません。

 私は、自見大臣初め金融庁のところの、先ほどの委員会のところで申し上げたとおりですけれども、国会は司法とは違います。恐らく、浅川参考人ほか何名かの方を含めて、これは司法の場に必ず移ると私は確信しておりますけれども、そこで明確に、誰がどういう責任があって、どういう経緯でどういうことをしたのかということを、事実関係と責任が明確になると思いますし、それに対するまた責任のとり方というのも明確になっていくと思います。

 私は、その関係はそちらに任せるとして、なぜ国会できょうは参考人で来ていただいているかというと、国の大事な、国民の皆さんが掛けた年金の大事な部分を毀損して多大なる社会的な不安あるいは迷惑をかけている、あるいは迷惑どころか損害をかけている、その事実に対して国会としてとるべき措置をとるべきではないか、それと、一番大事なことは、こういうことが二度と起こらないように予防なり防止策をとる、これが大事なポイントであるということで私は質問をさせていただいているわけですけれども、残り七、八分の中で、一言だけ、浅川社長、浅川参考人、今回、これだけの質疑応答があった中で、あなたは振り返って、この一時間半余り、二時間近くになりますが、どのような感想を持っておられるか、最後、一言お聞きしたいと思います。

浅川参考人 冒頭申しましたように、全受益者の皆様には本当に申しわけないと思っております。この委員会を通じまして、私も、今現在強制調査中ですけれども、誠意を持って当たりたいと思っております。

豊田委員 この参考人招致ということでは、これ以上、私は限界があると思っておりますので、必ずや、司直の手は司直の手として、事実の解明のために証人喚問を求めたい、このように思いますので、委員長、よろしくお諮りのほどをお願いいたします。

海江田委員長 先ほど来、幾つかの政党からそういうお話もありますので、これは理事会でよく協議をさせていただきます。

豊田委員 お願いいたします。

 私は、ちょっと視点を変えまして、今回の問題の中で、先ほども金融庁に申し上げましたが、金融庁を初めとする監督当局と、私は信託銀行の責任が極めて重い、このように思っております。

 なぜならば、先ほどの、金融庁に対しての質問もいたしましたけれども、信託銀行というのは、今回、第三者ではなくて当事者でありまして、確かに、そのスキーム、先ほどちょっと御説明もされましたけれども、投資顧問業者が投資運用業者として、運用受託機関として基金の財産を受け入れて運用する、それはそれでいいんですが、これは、あくまで財産の管理は信託銀行が行っているわけであります。

 信託銀行から、例えば具体的にAという厚生年金基金に、かれこれこうこうこういう形で資産を運用されていますと。その指図は、確かに投資顧問業者からの指図を受けていますが、こういう形で運用をして管理をしておりますということを信託銀行が基金に報告を出している。これは、善管注意義務というのは当然ありますけれども、信託銀行と投資顧問業者では世間の評価は全く違います。

 投資顧問業者の人には悪いんですが、信託銀行というのは社会的に大きな、公共的な責任もあれば、信用力もあります。それから調査能力もあります。マーケットでどういうふうな今市況になって、例えばリーマン・ショック後どういうふうな株式市況、どういうふうな債券市況になっているのかということは、信託銀行の人の調査部門、すごく調査は行き届いているはずです。

 しかも、そこにどういう人たちが参加してどういう取引をやっているかというのは百も御存じのはずですし、ましてや、年金を受託して投資顧問業者から指図を受けているのであれば、信託銀行がもっと責任を持ってその辺の管理をすべき、あるいは注意を喚起するということがあってしかるべきではないかと思うんですが、まず、信託協会の会長という立場ももちろんですけれども、今回のみずほ信託銀行として具体的に当事者になっておられる野中参考人からお考えを聞きたいと思います。

野中参考人 我々が受けている、ある意味では事務受託でございます年金特定信託契約というのは、今先生がおっしゃったとおりでございまして、投資顧問会社が運用スキームを構築し、運用商品の設定も全て行う。これは、基金においてもそれは当然の、投資一任契約を基金と投資顧問会社の間で結んでおりますので、我々が、それがある意味で決定したところで基金と我々との間で年金の特定信託契約、すなわち資産管理という意味で契約を結ぶわけです。

 その一番ポイントは、時価ないしはその財産が存在しているかということのチェックだと思うんですが、この場合、実はSECのレポートにもありますように、時価情報というのはある意味で証券会社からいただく、こういうスキームでございます。

 そういうことで、大変残念ではありますけれども、我々は、証券会社からいただいた時価情報をもとに基金に対してマンスリーのレポートを提出したということでありまして、結果的にそれが間違えていたということになりますが、証券会社からの時価情報授受という点において、大変残念ではありますけれども、我々は見抜けなかったということであります。

 ただ、我々として、今後のあるべき姿、年金の特定信託契約において、もっと信託銀行みずからが時価情報に近づけるようなスキームがないかということを今検討しているところでございます。

 以上です。

豊田委員 信託銀行のそれだけの社会的信用を持って、しかもマーケットの調査能力のあるところの社長さんのお答えとは私はとても思えないんですが。

 私も、旧大蔵省におりまして、銀行局にもおりましたし、銀行、証券も担当しておりました。正直言って、証券というのは営業がありますから、北の支店で言っていることと南の支店で言っていることで、北では売りだ、南では買いだと株を売ったりしている、こういう事実があって、証券会社の方はそれほど信用力がないというのは一般的に言われていることですけれども、銀行として、信託銀行は信託をやっておられるわけですけれども、信託銀行というのはそれなりにちゃんと社会的信用力もあれば、世間の人は、まさか間違いは起こさないと。

 実際、間違いを起こされないということで来ていると思うんですが、今の会長、社長の答弁、証券の報告で、それをうのみにして右から左に回しているというふうに私は受けとめたんですが、もうちょっとそこで一工夫、チェックができたんじゃないでしょうか、証券市況なり、あるいは国際的なマーケットの状況を見て。その点はどうなんでしょう。

野中参考人 今回のスキームで特徴的だったのは、外国籍投信であったこと、私募形式であったことということだと思います。こうしたAIJスキームにおける外国籍投信の名義人は証券会社でございます。我々ではありません。ということで、名義人ではない信託銀行が、いわゆるフェア・マーケット・バリュー、公正価値、公正時価に近づくことというのはなかなか難しい。

 今、信託協会のワーキンググループで検討をしておりますけれども、例えば、これは一つの考え方ではありますけれども、時価を把握するために、外国籍投信の場合の名義人を信託銀行にしたらどうかという一つの案があります。もちろん、それについてはいろいろな関係当局、関係者等々とも議論を進めていく必要があるかとは思いますけれども、何しろ我々としては、委託者が安心して時価を認識できるスキームが何とかできないかということを検討しているところでございます。

豊田委員 それでは、さらにお聞きしますけれども、AIJというところが二〇〇八年から、いろいろなところで情報として信託銀行さんもつかんでおられたと思うんですね。いろいろな年金情報とかというのは調査部門で調べておられると思います。AIJがおかしなことをやっているんじゃないかと言われている、そこからの指図でアイティーエム証券が、外国のものであれ、あるいは、そういうもので手が届かないということであっても、そういうことについて何か運用上おかしいと思われるということはなかったんでしょうか。

野中参考人 まず、運用上のパフォーマンス、運用パフォーマンスの点と、スキームにおける時価情報の点と、二つあると思います。

 一つはパフォーマンスの件でありますけれども、これはいろいろな年金のパフォーマンス評価会社のレポートにおいても、AIJ投信のハイパフォーマンスは注目されておりました。それは事実であります。

 ただ、我々も、先ほど実は信託銀行というのは二つの信託契約があると申し上げました。一つは、我々自身が運用をする受託者となって、我々がパフォーマンスを上げていかなくちゃならない年金信託契約です。それからもう一つは、このAIJのように、投資顧問会社が基金との間で一任契約を結んだ際の事務の受託である年金特定信託、この二つということで申し上げました。

 後者の方のスキームの点における懐疑性については、実は、大変残念ではありますけれども、信託協会、それから単一銀行であるみずほ信託銀行においても、証券会社から時価情報をもらうとか等々について、大変残念ですけれども、懐疑の念は持ちませんでした。

 以上です。

豊田委員 時間が来ましたので、これ以上質問はいたしませんけれども、私は、信託銀行が今回果たすべき役割というのはもっとあったんじゃないかと思っています。

 もう少し信託銀行のサイドで、年金あるいは年金の受託、それを運用する特に投資顧問会社、そういうところに対する気配り、目配り、注意が行き届いていれば、ここまで大きな問題にならなかったのではないかというふうに、私は信託銀行の今後の責任というのも追及していきたいと思っていますし、これまでも何とか工夫すれば、今までのスキームでもある程度は防げた。

 しかし、よりよいものをつくって、もっと、こういうことが二度と起こらないようにやっていくという会長の前向きの姿勢は私は評価したいと思っています。

 これで質問を終わります。以上です。

海江田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会


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