衆議院

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第4号 平成24年11月14日(水曜日)

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平成二十四年十一月十四日(水曜日)

    午後四時十五分開議

 出席委員

   委員長 五十嵐文彦君

   理事 泉  健太君 理事 緒方林太郎君

   理事 中林美恵子君 理事 古本伸一郎君

   理事 竹本 直一君 理事 山口 俊一君

   理事 豊田潤多郎君 理事 竹内  譲君

      網屋 信介君    池田 元久君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      小原  舞君    岡田 康裕君

      柿沼 正明君    川口  浩君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      斉木 武志君    武正 公一君

      道休誠一郎君    宮崎 岳志君

      柚木 道義君    城内  実君

      齋藤  健君    竹下  亘君

      橘 慶一郎君    丹羽 秀樹君

      西村 康稔君    野田  毅君

      三ッ矢憲生君    村田 吉隆君

      山本 幸三君    大谷  啓君

      菅川  洋君    玉城デニー君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

      木内 孝胤君    田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   財務大臣         城島 光力君

   内閣府副大臣       白  眞勲君

   内閣府副大臣       藤本 祐司君

   財務副大臣        武正 公一君

   財務大臣政務官      網屋 信介君

   財務大臣政務官      柚木 道義君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     磯谷香代子君

  富岡 芳忠君     小原  舞君

  齋藤  健君     城内  実君

  村田 吉隆君     橘 慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     柿沼 正明君

  小原  舞君     富岡 芳忠君

  城内  実君     齋藤  健君

  橘 慶一郎君     村田 吉隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

五十嵐委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、古本伸一郎君外四名から、民主党・無所属クラブ・国民新党、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。道休誠一郎君。

    ―――――――――――――

 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

道休委員 ただいま議題となりました財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案は、昨日、民主党、自由民主党及び公明党三党の間においてなされた合意を踏まえ、平成二十四年度から平成二十七年度までの間の各年度における公債の発行に関する特例措置等を定める修正を行うとともに、当該公債を発行する場合において、政府は、中長期的に持続可能な財政構造を確立することを旨として、各年度においては当該公債の発行額の抑制に努めるものとする規定を加えることとするほか、本法律案の附則において、政府は、平成二十四年度の補正予算において、政策的経費を含む歳出の見直しを行い、同年度において当該公債の発行額を抑制するものとする規定を加えるものであります。

 なお、提出者を代表しまして、一言申し上げます。

 本修正案が成立すれば、政府は平成二十四年度から平成二十七年度にわたる特例公債の発行が可能となりますが、これは、成立した予算を円滑に執行することで、国民生活の安定を確保し、経済活動に混乱を招かないための時限的な措置であります。よって、本修正案により、政府は、いやしくも財政規律を緩め、特例公債の発行を野方図に認めることは一切ないよう財政運営を行うべきであります。

 また、これらの年度における特例公債の発行に当たっては、予算審議の中で、より慎重かつ丁寧な議論に臨むので、政府は、財政規律の維持の観点から十分な説明責任を果たすべきであります。

 修正案の提出に当たり、ぜひとも、これらの点について、委員各位の御理解を得たいと存じます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

五十嵐委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

五十嵐委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣法制局長官山本庸幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

五十嵐委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

五十嵐委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 この特例公債法の質疑、大変重要法案でございましたが、現在、十一月の中旬ということになっております。その意味では、約七カ月半こうして成立がおくれているということ、まずは立法府の一員として大変国民の皆様に申しわけなく思いますし、そしてやはり、特に地方公共団体あるいは独立行政法人、これは大学や医療機関等々ございます、そういった方々に歳出抑制の御迷惑をおかけしたということ、特に地方公共団体においてはさまざま、ボーナスの支給の手続、あるいは金利負担の問題等々で御迷惑をおかけしたこと、これを深くおわびを申し上げたいというふうに思います。特に与党の議員としては、私は深く反省をしたいというふうに思います。

 一方で、この財務金融委員会においては、各党理事、そして委員の皆さんが大変真摯な協議を続けてくださいました。そういったことで本日の場が設定できたということに至っておるわけで、その意味では、各党の理事の皆様にも心から感謝を申し上げたい。そして、委員の皆様にも御協力を感謝申し上げたいというふうに思います。

 この特例公債法の質疑に入る前に、今ほど、党首討論が行われました。法案質疑は大変重要ではありますが、総理の御発言があったということでありますので、私は、改めて少しそのことについて確認をさせていただきたいというふうに思います。

 総理の発言の中で、定数削減が確約されるならば十六日に解散をしてもよいというような御発言がございました。世の中の受けとめはさまざまあると思いますが、改めて、その真意はどのようなものであったのか、何が条件となっているのか、このことについてお伺いをしたいと思います。

野田内閣総理大臣 先ほどの党首討論での私の発言でございますけれども、今御審議をいただいている特例公債法案、そして一票の格差と定数是正を含む政治改革、これについて十六日までに結論を出し、それをもって十六日に衆議院の解散をさせていただく、そういうお話をさせていただきました。

泉委員 改めてになりますが、今、十六日までに結論を得てというのがありますが、それは、自民党と民主党における確定的な合意ということを得て、それを得た上であれば解散をするということでよろしいですか。

野田内閣総理大臣 特例公債については三党合意がございまして、それを踏まえてのこの衆議院の御審議、参議院での対応があるかと思いますが、一票の格差と定数是正については、きょう法案を提出させていただいております。

 それを踏まえて御審議をいただく中で、一票の格差については、一日も早く違憲解消しなければなりません。これはもう最優先であります。一方で、定数削減も、消費税の御負担を国民の皆様にお願いをする以上、その強い要請に応えるのは立法府の役割だと思いますし、各党は公約をしてまいりました。そのための結論を得る。

 この私どもの提案に御賛同をいただくことが一番望ましい。だけれども、それでどうしても間に合わないというときには、先ほど申し上げたとおり、定数削減を次の通常国会で必ずやるという約束、そして、その間には議員歳費の削減を含めて国民の皆様に納得していただける状況をつくるということを踏まえての対応、そういうことに結論を出すということであります。

泉委員 このことについては最後にいたしますけれども、それは、これから残りの十六日までに協議をして、最終的に合意をして、その上で解散をされるということですね。

野田内閣総理大臣 そういう形で十六日の解散、それまでに結論を出すということであります。

泉委員 わかりました。

 それでは、この特例公債法についての質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 この特例公債法においては、今ほど提出者の道休委員の方から説明がありましたとおり、十二日に民主、自民、公明の三党政調会長による合意がなされて、政党間によって確認をされたものであります。この三党合意がなされたということについて、総理、現在の思いを聞かせていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 これは泉委員御指摘のとおりでありまして、地方団体を含め国民の皆様に大変御心配と、そしてまた具体的ないろいろな影響も出てきている状況でしたので、一刻も早く法案を成立させなければいけないという状況がございました。

 そのような中で、各党が胸襟を開いて御議論をいただきながら三党合意ができました。特に、この中で、単なる平成二十四年度の特例公債法案にとどまらず、平成二十七年度まで見通して予算と一体となって処理をするというルールづくりも含めまして知恵を出していただいたことに、心から敬意を表したいと思いますし、一日も早い法案の成立に向けて努力をさせていただきたいというふうに思います。

泉委員 本日、資料を配付させていただいております。三党確認書というものでありまして、幹事長そして政調会長の署名が入っておりますが、これをごらんいただきたいと思います。

 まず、本年度予算における歳出の見直しと本年度の特例公債発行額の抑制ということが書かれているわけですけれども、この趣旨、そして具体的な想定が何なのかということについて、改めて、提案者、これはどなたか代表者一人で結構ですが、お答えいただきたいと思います。

道休委員 泉議員にお答えいたします。

 ただいまの御質問に対しましては、まず、修正により追加した附則第二項の「歳出の見直し」ということ。既存の予算について、制度を見直したり、年度末までに執行の見通しを洗い直したりする結果として減額の補正をするということを想定しております。

 加えて、何をどの程度削減して特例公債の発行額を抑制するかについては、現時点では特定しているものではなく、補正予算編成あるいは審議の過程の中でしっかりと検討していくべきものであるというふうに認識しております。

泉委員 財務大臣、財務大臣も心待ちにされていたこの特例公債法の衆議院での採決ということであろうかと思います。この今回の三党合意についての御見解もお述べいただきつつ、今ほど提出者の方からお話がありました、この補正予算においてということが三党の確認書なわけでありますが、現在でももう予算は相当執行されておりまして、そういった意味では、果たしてどれくらいの歳出の見直しが可能なのかというところの疑問というのはやはりあるわけですね。

 そういった意味で、どれぐらいの歳出の見直しが可能なのか、そしてまた、話題にも上っていたわけですが、生活保護の見直し等々含めて、何かしら具体的な想定があるのかないのか、このことを改めてお答えください。

城島国務大臣 平成二十四年度の予算の執行済み額につきましては、現在、八月末時点の金額を把握しておりますけれども、前年度からの繰越額を含む予算現額九十七兆四千億円に対して、二十八兆円、約二八・七%となっております。また、昨年度の例で申し上げれば、十月末時点の執行済み額は、予算規模九十七兆九千億円に対しまして、五十二兆八千億円ということで、約五三・九%となっております。

 歳出の見直しとは、既存の予算について、制度を見直したり年度末までの執行見通しを洗い直した上で、歳出を減額することを想定しているものでありまして、具体的な見直し内容につきましては、今具体的に三党からの要請があるわけではありませんので、現時点では、今お尋ねの生活保護の見直しなど、具体的に特定の経費を現時点で想定しているわけではありません。

 既に五割を執行している段階ではありますけれども、いずれにせよ、補正予算編成までに検討していくべきものだというふうに考えております。

泉委員 続いて、この三党の確認書ですけれども、「現行の財政健全化目標を踏まえ、中長期的に持続可能な財政構造を確立することを旨として特例公債発行額の抑制に取り組むことを前提に、」というふうにあります。

 これは、民主党政権においては財政運営戦略ですね。そして、自民党においては、議員立法でありますけれども、財政健全化責任法というのがありまして、双方とも、平成二十七年度までに財政赤字を対GDP比の二分の一以下までに抑えていくということが書かれているわけですね。

 そういった意味では、これは三党合意でありますので、それぞれの党がそのことを守るということであるというふうに解釈ができるわけですが、三党の提出者それぞれ、それでよろしいかどうかお答えください。

道休委員 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございまして、この財政健全化の目標というのは当然踏まえるべきものであるというふうに理解しております。

竹本委員 当然のことながら、同じ趣旨でございます。

斉藤(鉄)委員 現行の財政健全化目標を踏まえるということで三党間で合意をしている、こういう認識でございます。

泉委員 今般の修正案の中では、特例公債法三条のところに努力規定が盛り込まれたわけですね。ごらんをいただきたいと思うわけですが、「発行する公債の発行額の抑制に努めるものとする。」ということが書いてあります。そう書いてはあるわけですけれども、この程度の表現で財政規律が守られるのかということについては、やはり強い懸念があるというふうに我々は考えております。本当に率直に言えば、時の政権のその置かれた環境によっては、想定以上の特例公債が発行されるという危険性がやはりはらんでいるというふうになってしまいます。

 そういった意味では、やはり合意した三党には特に重大な責任があるものだというふうに私は認識しておりまして、その意味では、確認書の方にはある「現行の財政健全化目標を踏まえ、」という記述が、直接的に法律の修正案の中には入っていないということになっているわけです。だからこそ、今ほど三党の皆さんに改めて確認をさせていただきましたけれども、現行の財政健全化目標を踏まえるというところ、法案の中にはその記述はございませんけれども、今の答弁で私は、確実にそれを三党が守るということを約束したというふうに認識しておりますので、改めてそのことはお願いしたいというふうに思います。今、それぞれの提出者からはうなずきがございましたので、そういうことだと理解したいと思います。

 さて、改めて、総理、今回の修正案の主な内容というのは、来年度から二十七年度までの間、毎年、成立した予算の範囲でですが、特例公債の発行を認めるという大きな修正の内容であります。聞くところによりますと、この三党協議に当たって、これは総理からの発案、御提案があったというふうに伺っているところであります。これが国会においてどんな変化をもたらすのかということを、我々は真剣に想像しなければいけません。具体的に想像する必要があると思います。

 何が変わるのかといえば、憲法八十三条やあるいは憲法八十六条のもと、長年我々が築き上げてきた現行の財政民主主義、あるいは財政国会主義、まあ、同じ意味でありますけれども、その原則のもとで国会手続をずっとこの委員会では進めてまいりました。その国会手続のあり方にはやはり大きな変化が出るわけです。

 それは、例えば、この財務金融委員会での特例公債法の審議というものは、二十七年までにおいては予算委員会に移譲されるという形になるんだと思います。いわゆる重要広範議案としてこの財務金融委員会で議論されてきたものが、予算委員会の場で、予算とともに審議をされるという形になるんだと思います。かつ、そのことを通じて、憲法六十条の予算審議における衆議院の優越ということから考えると、特例公債にも自然と新たに自然成立権というものが与えられるということになるのかなと私は思います。これは、ある意味、重大な修正であると思っております。

 総理、このことをどのように認識されておりますでしょうか。

野田内閣総理大臣 委員御指摘のとおり、私が党首会談のときに御提案をさせていただきました。これは昭和五十年代初めに大平内閣のころから、まさに特例の公債ですから、その都度、国会審議にかけて法案を通す、そうでなければ発行できない、そういう条件のもとで特例公債を発行してきたわけでありますけれども、毎年毎年の特例というよりも、借金が積もり積もった中で、利払いもかさむ中で、特例公債に頼らざるを得なくなって、一般会計のうち今約四割を占めるような状況になりました。少なくとも向こう数年は、どんな政権でも特例公債なしで財政運営はできないという状況であります。

 その中で、この特例公債の問題が、残念ながら、毎回毎回、すぐに成立できない等々の状況が続いてまいりましたので、その悪弊を断ち切るために、当面特例公債を発行せざるを得ない状況を鑑みて、予算と一体としてルールをつくらなければいけない。それは、特例公債法案の本則を修正するやり方か、附則を修正するやり方か、各党の覚書か等々の御提案をさせていただいた中で、今回、三党の合意を得たということです。

 これに対する国会の審議でありますけれども、委員も御指摘をいただいたとおり、今後、特例公債の発行が認められる平成二十七年度までの間は、これはこれまでと同様、特例公債の発行限度額は各年度の予算総則に規定をすることになっておりますので、予算委員会において御審議をいただくことになります。

 いずれにしても、これは、国会の中でもきちっと御審議をいただきながら対応をするということでありますし、大事なことは、こうした改正をすることによって野方図に特例公債を発行することではありません。この合意の中でも、第二項なども踏まえて、しっかり対応しなければいけないと思っております。

泉委員 私は、特に一九七五年以降は常態化をしていたというこの特例公債法の審議でありますけれども、やはり、その審議全ては、財政民主主義を守り、そして毎年の財政規律を守るというために必要だった、必須だった審議であったというふうに認識をしております。

 特に、大蔵委員会、格式のある委員会でございました。そういった意味では、大蔵委員会からこの財務金融委員会に至るにおいて、私は、長く続く歴史と格式のある財務金融委員会が、長らく見識と誇りを持ってこの質疑をしてきたということについては、とても重要なことであると思っております。その意味では、この財務金融委員会においてこれまで審議をされてきたその形というものが、十分満足のいく形で予算委員会に引き継がれなければならないというふうに私は考えているところであります。

 この点、従来の予算委員会の質疑に加えて、やはり十分な質疑時間、そして特例公債の発行に関する別途の参考人質疑等々も含めて、こういった十分な質疑ということを、どの党が多数党になろうとも、今後の国会質疑において担保されなければいけないというふうに考えているところであります。

 この点、総理の発案であるかもしれませんが、修正案をおまとめいただいた三党の皆様それぞれに御決意をお述べいただきたいと思います。

古本委員 お答えいたします。

 我々の野党時代を随分思い出しますけれども、毎年三月の予算委員会が第一委員室で予算が仕上がった後に、この部屋に夜なべして移動してきて、それで特例公債を審議したわけであります。これは、自公の先生方も、当時、与党であって、我々は野党であって、それをここで毎年議論したわけであります。

 それが二十七年度まで認められるわけでありますけれども、ポイントは、これは毎年の予算の審議をこれまで以上に、歳入という観点から、この特例公債についてどうあるべきかということを御参会の先生方全員で確認し合うということに尽きると思います。

 当然、今回の法案に御異論のある党派、会派の先生方も大勢いらっしゃることをよく承知しています。でも、一方で、昭和五十一年に大平先生がつくられた際には、これはもう特例公債の依存度が一割ちょっとだったんです。今、予算の半分が依存している中で、予算が通ったにもかかわらず、この財務金融委員会室でいろいろな議論があったということを踏まえると、今回は、大変苦しい判断ではあったと思いますけれども、将来に道を切り開く判断であったというふうに思っています。委員の一人として、重く受けとめたいと思います。

五十嵐委員長 竹本君、簡潔にお願いします。

竹本委員 財政国会主義、これは、我々に与えられた一番基本的な考え方だと思っております。要は、財政規律を守らなきゃいけませんけれども、それが守られているかどうか、また守られるようにするのが国会での審議であります。

 ですから、今回の改正で二十七年度まで四年間、特例公債の法律としては通用しましたけれども、だからといって、各年度で無駄遣いが許されるわけではありません。あくまでも、財政規律を守る上で、この四年間のまとまりある枠組みの中でしっかり対応していきたい、こういうことでございまして、私は、現下の非常に混乱した、またいろいろな要素が入ってくる要望の時代には、こういう措置も大事だろうと思っております。

五十嵐委員長 斉藤君、簡潔にお願いします。

斉藤(鉄)委員 泉委員のおっしゃるとおりだと思います。政府から十分財政規律について説明を受け、審議の中で現行の財政規律が守られるように、我々公明党としてもしっかり議論をしていきたいと思っております。

泉委員 どの党が多数党になっても、良識のある国会、決められる国会ということについての、ある意味第一歩であるというふうに思っております。そのことをしっかりと踏まえて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

五十嵐委員長 次に、西村康稔君。

西村(康)委員 自由民主党の西村康稔でございます。

 きょうは、野田総理、党首討論、お疲れさまでございました。そしてまた、あさって解散をするという御英断もまた心から敬意を表したいと思いますが、苦しい中での御決断だと思います。

 先ほど、安倍総裁は党首討論後の記者会見で、選挙をやった後、新しい党も出てくるであろうから、その党も含めて幅広く合意を得ながら、次の国会で定数削減をやろうという趣旨のことを言われておりますので、これはどうも私どもの執行部で決めたようでありますから、それのまたお伝えがあると思いますけれども、先ほど野田総理がおっしゃった、ある意味条件だと思いますけれども、それに我が党も応えるということでありますので、そうなった場合に十六日解散ということは揺るがない、このことをまず総理にお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 次の国会でとお決めになってしまったんですか、もう。まだ私どもは諦めておりませんので、きょう法案を提出しておりますので、それを踏まえての御審議をしっかりやっていただきたいと思っております。

西村(康)委員 まずこの国会で、衆議院の〇増五減、それから先ほども議論がありましたけれども、参議院の四増四減、これは一票の格差是正ですから物すごく急ぐ話でありますので、これはやる。そして、先ほどの党首討論を踏まえて、総理も言われたように、この二日間で結論を出すというのは難しい話でありますから、できない場合は、次の国会で新しい党も含めて議論しようということで合意をしよう、これは自民党から恐らくまた返事があると思いますけれども、そういう前提で、総理、もう一回お伺いします。十六日、あさって解散、この決意に揺るぎはありませんか。

野田内閣総理大臣 先ほどの党首討論でも申し上げたとおり、一票の格差是正は、これはもう急がなければなりません。違憲であり、違法状態が続いているということであります。これは問題認識は共有させていただいておりますし、〇増五減については私どもは賛成なんです。

 その上で、消費税率の引き上げを、二〇一四年から上げるということを法律では決めています。もちろん、経済の好転等々、そのときの政権が判断しなければなりませんけれども、その前提として、やはり身を切る改革をきちっとやらなければいけない。それぞれ各党が公約で掲げてきたことでありますから、これは何としても結論を出しましょうというのが、さっきの党首討論での一番の私の本心。きょうその法案を出しておりますので、それを踏まえて国会での御審議をやっていただきながら、ぜひその成立に御協力をいただきたいというのが私の本心です。

 そうはいいながらも、最悪なんですよ、最悪、こんなことは想像したくない中で、条件として申し上げたのが先ほどのお話でございますので、あくまで私どもは定数削減をこの国会中にやり遂げたい、思いを持っているということは改めて強調しておきたいと思います。

西村(康)委員 その、この国会でというのは、きょうこの日、この時点から十六日までの間にまとまらないときは、最悪の場合とおっしゃった、まさに最悪の場合、次の国会でやろうということの合意ができれば、それは十六日解散ということでよろしいですか。

野田内閣総理大臣 十六日に解散するとは申し上げました。それまでの間に、ぎりぎりの努力をお互いにしなければいけないんじゃないでしょうか。今から簡単に結論を出されるような、お返事が出ることではなくて、きちっと協議をさせていただきたいと思います。

西村(康)委員 協議は我々も応じたい、これは執行部が決めることでありますけれども、応じることになると思います。その上で、これから、きょうこの時点から、あした、あさって、真摯に議論をして、余り結論を先取りしてはいけませんけれども、これまで何度も何度もやってきた比例の削減というのは非常に難しい話です。少数政党の話もあります。先ほどの党首討論を繰り返すことはしませんけれども。したがって、そのときに、最悪と言われた、まさに次の国会ではやり遂げようということの合意が得られれば、これは、十六日、その日に解散をされるということで理解してよろしいですか。

野田内閣総理大臣 とにかく協議しましょう、本当に、定数削減。短い時間かもしれません。だけれども、協議して結論を出すということを前提ではない、もう最初から来年ですよというお話、それは、私は、はい、そうですかとは言えません。

 我々は、法案をきょう提出したんです。通したいから出しているんです。そのことの協議をちゃんとやった上で結論を出しましょうということを申し上げております。

西村(康)委員 そうなんです。そんな簡単に結論が出る話でないことはよくわかっておりますし、これまでも重ねてきた話です。しかし、総理が最悪のケースはこうするとおっしゃったから、我々もいろいろなケースを考えて言っているわけであります。

 これからぜひ議論しましょう。これからぜひ、きょうこの時点からもう議論をやって、あさってまで、ぎりぎりまで議論をして、それで、最悪、そういう形でまとまったとしても、総理、そのときは決断を変えずに、御判断を変えずに、ぜひ解散をしていただきたいと思います。そのことを最後にもう一回お願いをしたいと思います。お願いというのも変ですけれども。

野田内閣総理大臣 いや、何度も詰められる話じゃありません。申し上げたじゃないですか、党首討論で。もうそれ以上、それ以下でもありません。真摯に協議をやって、結論を出しましょう。

西村(康)委員 わかりました。総理の言葉を信じたいと思いますし、ぜひ我々も結論が得られるように真摯に努力をしたいと思います。

 その上で、特例公債の今回の扱いについての審議に入りたいと思いますけれども、民自公で、三党で合意がなされて、合意の文書も先ほどから配られております。それに基づいた修正案も出されております。

 この三党合意の経緯、一と二が入った経緯を、まず、これは自民党の提案者にお伺いしたいと思いますけれども、一は我々自民党から提案をし、二は総理から提案があったものを踏まえたものというふうに理解をしておりますが、いかがですか。

竹本委員 そのとおりであります。

 一については、自民党と公明党がかねてから主張していたものであり、項目の二番につきましては、これは野田総理の提案に基づいたものであります。

 したがって、十一月十二日の三党政調会議で合意に至った、それで十三日に合意をした、こういうことです。

西村(康)委員 一は、歳出の見直しを行う、できる限り特例公債の発行額を、赤字国債を抑える、抑制するということは、我が党から提案をしたもの。二の、今後、二十七年度までの間、特例公債の発行を認めるということ、これは総理から御提案があったものを踏まえたものということであります。

 それぞれちょっとお伺いをしたいんですが、まず、一つ目の歳出の見直し、政策的経費を含む歳出をできるだけ見直していこう。先ほども党首討論でありました、民主党政権になって予算が膨らんでいると。

 我々は、それに対していろいろなことを主張する中で、例えば、高校無償化も所得制限を入れるべきだと。これは、いわゆる子ども手当、最終的に児童手当ということでもとに戻りましたけれども、所得制限を入れて、四人家族で約九百六十万だったと思いますが、金額も一万円ということで抑制をして、歳出削減を図った。これと同様のことを高校無償化にもやるべきだということをこれまで我が党は主張をしてきました。

 この点について、野田総理、どういうふうにお考えか、ぜひお伺いをしたいと思います。

野田内閣総理大臣 高校無償化制度については、全ての意思のある高校生等が安心して勉学に打ち込めるよう、その費用を社会全体で負担するとの観点から、所得制限を設けずに実施をしているものでございます。

 この制度のあり方につきましては、昨年八月の三党幹事長の確認書等を踏まえまして、ことしの三月に三党間実務者協議で論点整理が取りまとめられておりますけれども、御党が主張する所得制限などについては意見が一致していないと承知をしております。

 現時点で、さらなる協議について具体的な予定は立てられていないと承知していますけれども、政府としては、政党間でさらなる御議論がなされた場合には、その結果を踏まえて適切に対応したいと思います。

西村(康)委員 総理、我々は、所得に余裕がある方は社会全体で見なくても自分でやっていけるんだから所得制限を入れるべきだという考え方に立ってこれまで主張してきました。

 これは子ども手当のときにも、総理が財務大臣か副大臣のときに私は議論させていただきましたけれども、当時、総理のお子さんは高校生だったか、中学を卒業しておられたと思いますけれども、今、総理のお子さんはもう高校生になられたか、あるいは卒業されて大学生になられているのか。高校生のお子さんはおられますか。

野田内閣総理大臣 大学三年生と高校三年生、二人います。

西村(康)委員 総理のその高校三年生のお子さんも、高校無償化で年間約十二万の恩恵を受けている。

 私は、総理の所得は恐らく三千万を超えておられると思いますけれども、当然、自分でお支払いして、自分で育てていく、社会全体で育てる必要のない、そういう所得のある方だと思いますけれども、総理のお子さんもそれは必要だとお考えですか。

野田内閣総理大臣 これは、社会全体で育てる、そういう考え方の理念に立っているということでございますので、そういう制度になっております。

西村(康)委員 我々は、所得が一定以上ある人たち、子ども手当では九百六十万円というのを入れました。高校生については、我々は七百万円の所得制限を入れようということを提案しています。これで全高校生の大体半分ぐらいの世帯をカバーできるんですけれども、七百万円以上の方には、社会全体、もちろん、学校で育てていく、地域で育てていくというその社会全体はいいんですけれども、所得については自分たちでカバーできる、これは所得制限を入れようじゃないかということを提案しています。これによって約二千億円削減ができます。

 ことしはもうここまで来ていますから制度上もなかなか難しいのかもしれませんけれども、やはり将来所得制限を入れていくべきだ。財政再建をやろう、総理はそれに政治生命をかけてやると言われている。しかも、消費税をお願いする、我々も身を削ろうと言っている中で、別に総理のお子さんだけじゃありません、所得のある人、自分たちで払える人たちは払ってもらおうじゃないか、この考え方、総理は御理解できると思うんですけれども、いかがですか。

野田内閣総理大臣 マニフェストの主要事項については、三党間の協議を随分積み重ねてきたと思うんですよね。

 いわゆる我々が子ども手当と言っていたものについては、新しい形の児童手当になりましたけれども、お互いのいろいろな理念の問題とかを含めて、いろいろな調整をしながら今の形になりました。それから、高速道路の無料化についても、社会実験と言っていましたけれども、復興財源にしました。これとあわせて、高校授業料無償化と農家の戸別所得補償についても、実務者協議をやってきているわけです。ここで今これを改めて言っても、これはやはり政党間の協議がありますので。

 高校授業料無償化については、我々の主張はずっと言ってきて、そしてそのまま、自民党の主張はありますけれども、まだ平行線のままなんですよね。これは、そもそもこういう高校授業料を無償化しているような、そういうほかの国々も社会全体で負担をしています。これは世界的にも同じなんです。

 等々も踏まえて、そういう理念を踏まえての考え方なので、政党間の協議をした中で何かの結果が出ればそれを踏まえますけれども、現時点においては、今の制度のまま対応させていただきたいと思います。

西村(康)委員 総理が財政再建に命をかける、政治生命をかけると言われ、かつ、身を削ろう、少しでも無駄を省こうという中での御答弁として、私は非常にがっかりしております。

 もちろん、マニフェストがあるでしょうし、党のいろいろな考え方があるでしょうけれども、財政再建に命をかけてやられるのであれば、このぐらいのことをぜひリーダーシップをとって、党の代表としてやっていただきたい、こんな思いであります。仮に我々の提案で七百万の所得制限を入れて、二千億円削減できます。これは、そのまま赤字国債を減らすという手もあります。

 他方、きょう資料をお配りしておりますけれども、全国のいじめが問題になっている。余り細かい教育論をここでやるつもりはありません。一例だけを挙げたいと思うんです。

 総理のお地元の千葉県というのは非常にいじめの件数が多くて、これはちょっと、各県によって多分調査の仕方が、どこまでをいじめと見るかどうかというその判断にばらつきがあるんだと思うので、結構ばらつきがありますけれども、右から三列目の千人当たりのいじめの認知件数、上から十二番目の千葉県というのが突出して十一・四件で、一番下が平均、五・五件です。全国平均の倍ぐらいのいじめがあるわけですね。

 これはそう簡単な問題じゃありませんから、どこかに予算をつけたら解決できるという問題でもなくて、それこそ社会全体で解決していかなきゃいけない問題だと思いますけれども、スクールカウンセラーという方がおられて、国が四十七億円の予算をつけて、全国のできるだけ多くの中高にスクールカウンセラーが行って、子供たちのカウンセラーをする、あるいは先生のいろいろな悩みにも応えていく、そういうカウンセラーがおられますけれども、今、国の予算は、カウンセラーは週一回だけ行くんですね。

 それで、一回だけ行って子供たちの信頼を得られるか、先生方の信頼を得られるか、あるいは責任感をそのスクールカウンセラーが得られるかというと、そうではなくて、お客さん扱いのようなことになっていまして、これはいろいろなところで私も議論して、日数をふやすべきだと。少なくとも二回、三回、毎日いれば、子供たちも、いつ行っても話し相手になれる。例えばこんな予算でも、わずか何十億でカバーできるような話です。

 申し上げたいのは、めり張りをつけた予算、本当に必要なのか、所得のある人まで全員無償化をして、その分に二千億も使って、しかし、他方で、こういうスクールカウンセラーなんかに週一回だけで四十億ぐらいしか予算がついていない。教育行政をここで議論するつもりはありませんけれども、総理が、財政再建、そして日本のこれからの成長、日本経済の健全な発展、社会の発展を考えておられるのであれば、少しこういう予算を削ってこっちに持ってくるとか、あるいは赤字国債を減らす、こんな判断があってもいいんじゃないかと思うんです。

 もう一度お伺いします。高校無償化、これは党としていろいろな考えがあると思いますけれども、歳出を抑制していく、あるいはめり張りをつけていく、そんな観点から、所得制限を入れるということ、総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 だから、高校の授業料を取らない国は、これはみんな社会全体で負担をしているんですよね。というまた理念でやっている。という理念だけではなくて、この高校授業料無償化の財源というのは、特定扶養控除の見直しによって立てたものです。すなわち、高所得者にとってはそれだけ増税という形になっているんです。したがって、そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 御指摘の、千葉県がこんなにいじめが多いとはちょっと私も驚きましたけれども、この地方の要望にほぼ応え得るスクールカウンセラーの予算の確保など、相談体制の整備、学校における指導の充実などに努めているところであり、引き続き、こういう分野における必要な予算についてはしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

西村(康)委員 理念が違うということでなかなか議論がすり合いませんので、これは選挙で有権者の皆さんに選んでいただいて、どちらの政権が正しい財政運営、政権運営をするのかということをぜひこの選挙で選んでいただきたいというふうに思います。

 ちょっと話がいろいろそれましたけれども、項目の二について、自民党の提案者にぜひお伺いをしたいと思います。

 この項目の二は、今後数年間にわたって赤字国債、特例国債を発行できるということを認める法律に変えるわけです。これは総理からの御提案を踏まえてつくったものでありますけれども、自民党として、これを受け入れたわけですけれども、心配しているのは、我々の財政規律も緩んでしまうんじゃないか、このことであります。特に、先ほども総理も党首討論で言われましたが、国土強靱化で自民党は二百兆も使う、消費税を上げた分をそれに使うんじゃないか、あるいは赤字国債をまたふやすんじゃないか、こういう誤解が広がっていますので、これについて、ぜひ、違うんだというところをお答えいただきたいんです。

 これは、私はついこの間まで財金部会長でしたので、この議論を整理しました。我々が財源として税を投入できるのは、国家公務員、地方公務員を通して削減をやれば二兆円ぐらい出てくる、さらに、生活保護も、適正な運営をすれば八千億出てくる、今、高校無償化で二千億は出てくる、こうしたものを使えば、三兆円ぐらいは年間使える、国、地方で出てくる。これを成長分野であったり、防災、減災の分野であったり、使っていこう。さらに、そこに民間投資、これは病院の耐震化改修があったり、通信業者の投資があったりすると、これは年間五兆円ぐらいあるだろうから、三年間で十五兆円ぐらいの投資は官民合わせればできるんじゃないか。

 二百兆というのはすごい大きな数字で、プラス、建設国債で残るものは幾つかできるのかもしれませんけれども、そういう意味で、二百兆がひとり歩きしていることについては非常に危惧を覚えておりますので、ぜひこの点についてお伺いをしたいと思うんです。

 他方、我々は、二〇二〇年までに国、地方のプライマリーバランスを黒字化する、一五年までに赤字の対GDP比を半減するということを、既に財政健全化法という法律を提出して、そこに我々、いわば公約として約束をしております。これは守る。つまり、やはり借金は減らしていくんだ、このことをぜひ自民党提案者にお伺いしたいと思いますけれども、いかがですか。

竹本委員 西村先生のおっしゃるとおりでありまして、特例公債法というのは、昭和五十一年から赤字国債の発行を始めたわけで、途中ちょっと中断はありましたけれども、ほぼ毎年やっております。

 したがって、現在のように、必要な経費の四割までも借金しなきゃ務まらない、こうなりますと、それがとめられるとなかなか国会の審議が前へ進まない、これでは国の経済に大きい、悪い影響を出すだろうということで、野田総理が提案された、四年間でまとめて特例公債法を通しておく、こういう考え方であります。

 西村議員の質問のもう一点は、国土強靱化法です。

 これは、我々自民党が提案している考え方でありますけれども、基本は、財政健全化責任法、これも我々自民党が提案している法律でありますから、これの理念のもとに、二百兆円の事業をやっていこう。国の経済は需給ギャップが大きいものでありますから、国内で政府が乗り出すような仕事をどんどん出してあげていくことが、みんなに、民間の人に就業の機会を与えることになり、それが国内経済の活性化につながる、こういうふうに考えております。

 したがいまして、千四百兆円もある金融資産、これを大いに活用する方法がある。そういう意味で、PFI法も一つの方法でしょう。

 いずれにしろ、国民の税金だけで、国債を使う場合は建設国債ですけれども、借金をもってこれをやるというわけではないということであります。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、二百兆も税金を使う、あるいは消費税が上がった分を使う、こんな誤解を解いていく努力を我々もしなきゃいけないと思います。そもそも、消費税は社会保障に使うということが決まっておりますので、そんなことはないわけですけれども、ぜひこの点、我々も努力していきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、借金は借金で、四年間、赤字国債を認めることになるわけですけれども、いつまでもいつまでも赤字国債を、毎年これだけの金額を出すというのはやはり異常な事態でありますので、基本は成長戦略、税収をふやす、そして、何より今は、円高対策と、エネルギーの安定供給が非常に不安になっておりますから、これを正していくということだと思います。

 日銀総裁がお越しでありますので、先般の政策決定会合で、〇・一%で無制限に金融機関に供給するということを決められたわけですけれども、これは、海外投資も含めて対象にするということだと理解しておりますので、その意味では、結果的に円安に働く可能性もあるし、そういう意味では、ぜひ、国内に支店を持つ外国の金融機関とか、あるいはファンドや、場合によってはノンバンクも含めて、その資金の供給先に含めていただくのがいいんじゃないか、結果として円高対策に大いに役に立つんじゃないかと思うんですけれども、この点についての見解をいただきたいと思います。

五十嵐委員長 簡潔にお願いします。

白川参考人 お答えいたします。

 今回の枠組みでは、先生御指摘のとおり、外貨建ての貸し出しや海外店の貸し出しも幅広く貸し出し増加の算出対象に含めております。

 こうした制度を使って日本の銀行あるいは外国銀行の在日支店、こうしたところが円の貸し出しを非居住者にふやしていくということになりますと、先生御指摘のような効果も生まれてくるというふうに思います。

 いずれにせよ、この制度をできるだけ早く実行に移したい、そのためには、できるだけ金融機関から見て使い勝手のいい制度にしたいということで、今、金融機関からいろいろ話を聞いております。

 できるだけ早く実務を詰めましてこの制度の発表を行ってまいりたいと思っていますけれども、その際、銀行がファンドやノンバンク向けの貸し出しを行った場合の扱いについても、こうした考え方に立って今検討を進めておりまして、できるだけ早く細部を発表したいというふうに思っております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、早く結論を出していただいて、そして使い勝手のいい制度になるようにお願いをしたいと思います。

 きょう、実は内閣法制局長官にもお越しいただいて、外債購入についてぜひ見解をお伺いしようと思ったんですが、時間が参りましたので、また次の機会に、選挙後にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

五十嵐委員長 次に、大谷啓君。

大谷(啓)委員 国民の生活が第一の大谷啓でございます。きょうは質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど来、党首会談でも、そしてまたこの委員会の冒頭でも、三党合意、三党合意と。まさに、消費税増税を決めて以来、三党だけで談合する政治が続いております。そのことについて、まず強く遺憾の意を表したいというふうに思っております。

 きのう、この特例公債法の修正にしても、三党で二時間ぐらいで協議をして決められたということで、きょう、その分、我々の質疑時間をふやしてやろうということなんだと思いますが、こういうことは本当に、極めて重要な法案ですから、これから決められる政治ということをおっしゃられるのであれば、しっかり日本の民主主義を守るためにも、このことは大変問題であるということを肝に銘じていただきたいというふうに思っております。

 せっかくお時間をいただきましたので、まず、この修正案の中身について御質問をさせていただきます。

 先ほど、党首会談で私どもの小沢代表も指摘がありましたが、平成二十七年度まで特例公債を予算と一体で自動的に通すということについて、憲法違反ではないかという指摘があるわけでございます。私は、まだこれが憲法違反と断言できるかどうかは別にして、こういう疑いが指摘されている中で、本当にこんなに安易に決めてしまっていいのかなということを思うわけです。

 具体的に申し上げますと、憲法八十六条が定める政府予算の単年度主義、これに反するんではないか、こういう指摘があるわけですが、三党での協議、合意に当たってこの辺の議論というのはいかにされたのか、提出者に御質問したいと思います。

古本委員 お答えいたします。

 公債の発行限度額につきましては、従来から、特例公債法で予算をもって国会の議決を経た範囲内というふうに規定されております。先ほど来の御質疑のとおり、毎年度の予算審議の中でこれを行っていきます。これは、当然に財政法定主義であり、予算単年度主義、これは憲法の理念を具現化する我々ハウスとしての意思をあらわす議論の場でありますので、そのことを議論していくことを通じて、先生の御懸念に当たらないように一緒になって議論をぜひやっていきたいというふうに思います。

大谷(啓)委員 こういう懸念に当たらないように議論するのは当然だと思いますが、そもそも、こういう法律をすっと通してしまう、そのことがやはり問題だということは改めて強く指摘しておきたいというふうに思うわけです。

 あともう一点は、今回、この修正案要綱の四番目の部分で、平成二十四年度の補正予算、ここで政策的経費も含めていわゆる減額補正を行いますということが規定されております。

 私は従来から指摘しておりますが、そもそもこんな特例公債は三月にやはり何とかしておくべきだったんですよね。ここまでずるずるとずれ込んでしまった、与党のせいなのか野党のせいなのか、これはいろいろ議論がありますが、ここに来てこんな妥協をするのであれば、私は、三月の時点でしっかりと民主党もいわゆる予算の修正という形でやっておくべきだったんじゃないかなと。

 三月のときと今のときとで何の状況変化があったかというと、実は経済が悪くなっているわけですね。当初の想定よりも景気がよくなっていない。こういう状況なのに減額補正をここでするというのは、ちょっと、余りにちぐはぐなんじゃないかな。中身が何にせよ、中身は具体的に決まっていないということですが、やはり、減額をするということは間違いなく経済にはマイナスの影響を与えるんですよ。

 これだけ経済が悪くなっていることが明らかで、きょうの月例報告でもマイナスの修正がなされました。そんな中で、何で減額補正を民主党として受け入れたんですか。ぜひ民主党の提出者に御質問したいと思います。

古本委員 お答えいたします。

 御案内のとおり、ことしの春の議論をした際には、大変、いわゆる四Kというものを削れという御主張が自民党の皆さんを中心にあったのは事実でありますけれども、昨年八月の三党確認書に基づいて、高速の無料化や子ども手当の扱いについてお互いに確認し合ったわけであります。それに基づいて、ことしの春の予算編成をしたわけであります。

 委員の御指摘は、その際に思い切って減額しておくべきではなかったのか、今さらなぜなんだ、こういうことになるんですが、よく御確認をいただきますと、案文に書き込みました「政策的経費を含む歳出の見直し」、こういうふうに規定しているのは、御案内のとおり、国債費のようにいわば政策判断の余地のないものにつきましてはそれ以外の経費であって、我々政治が判断すべき政策的経費についてはそれ以外でありますので、補正ということになれば、減額補正もあれば、当然に、政策的に増強すべき分野もあるわけであって、ネットでどうなるかというのは次の議論になります。

 具体的に、歳出全般でいえば既存の予算を指すわけでありますけれども、今度の、そういう補正の議論になった際に、減額補正もあれば、当然、アルファもありますので、総合判断をするということであって、現時点ではその中身についてはまだ白紙でありますので、その際の議論でお互いに議論を交わしたい、このように思います。

大谷(啓)委員 全く答弁になっていないと思いますね。

 四は、歳出の見直しを行って公債の発行額を抑制すると書いているんですよ。ですから、これを素直に読めば、当然、これから景気対策で補正をまた新たに組むということもあるんでしょうけれども、少なくとも、この文章を見る限りは、歳出の見直しを行って公債の発行額を抑制するということですから、これは減額補正としか読み取れませんよね。本当にこんなことでいいんですか。

古本委員 お答えいたします。

 今回の補正予算に限らず、これまで数ある補正があったわけでありますが、歳出の減額補正に加えて追加の補正も行われるというふうに考えるのが普通であります。経済がこういう状況でありますので、これは経済対策という意味で、当然に御党からもこういったことを盛り込むべきだという歳出要望も出ると思います。そういったときに、結果として特例公債の発行額が当初の予算に比べまして減額されるかどうかは、先ほど来申し上げているようにネットしなきゃなりませんので、補正予算編成時に総合判断するということになると思っております。

 ただし、多分御指摘の箇所になると思いますけれども、歳出の減額補正を行うということについては、結果として特例公債発行額の全体が抑制されることになりますので、そのことについては、委員の御指摘はそのとおりだというふうに思います。

大谷(啓)委員 正直言いまして、私はこの二十四年度予算に賛成した立場ですから、賛成した立場の人間からすると、そういった仲間を除外しておいて勝手にこういった合意をしているということは極めておかしな話なんじゃないかな、本当に国民に対する裏切りに近いものじゃないかなというふうに私は思うわけです。

 いずれにいたしましても、こういう大事な合意を三党だけで、しかも短時間で、そして解散の条件を整えるためという目的だけで取り進めるというのは本当に遺憾で、今、日本の経済がこれだけ大変なときに、日本の経済立て直しのために政治が全力を尽くさないといけないときに、何でこういうことになってしまうのかということについては、改めて強く抗議をしたいというふうに思っております。

 きょうは野田総理も来ていただいております。前回も御指摘をさせていただきました。私たちは、消費税増税を償還財源とする年金特例公債の発行の記述がある限り、やはりどうしても今回の特例公債法案には賛成できないというふうな立場でございます。

 前回、城島大臣の方にもるる御質問させていただきましたが、やはりきょうの月例報告、また今月もマイナスの修正、下方修正ということになったわけです。もう、切れ目のない経済対策、切れ目のない経済対策と力説しても、どうも切れ目が出てきちゃっているんじゃないかな、本当に、今の日本の経済の現状について、政府として認識をしているのかなというふうに思わざるを得ないわけです。そして、その上で、この八月に消費税増税を強行してしまったわけですね。

 やはり、今、私たちは、現下の経済情勢を見据えて、本当にこの増税という判断が正しかったのかということも改めて検証し直さないといけないですし、また、こうした増税を担保に国債を発行するということについても、もっともっと慎重になるべきではないかというふうに思います。

 そこで、野田総理に御質問申し上げますが、このような景気の下方局面、減速局面、あるいはデフレが継続中、あるいはデフレが進行しているような状況の中で増税すると経済はどのようになるのか、どういう認識を持たれているのか、御確認したいと思います。

野田内閣総理大臣 月例のお話をされていましたけれども、私はまだ月例報告を聞いていないというか、先週の金曜日だと思いますので、そこは事実関係として申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、今の景気認識のお話でございますが、確かに、この間の七―九のQEを見ますと、年率で実質GDPのマイナス三・五という大変厳しい数字が出たというふうに思っております。

 こうした状況を踏まえまして、政府としては、切れ目のない経済対策として、先月末に、予備費を活用して、これは、予算規模では四千億円、事業規模では七千数百億円、そういうものでございましたが、そのほかに、今月中をめどに、もっとパッケージとしての経済対策をまとめさせていただきたいというふうに思っております。

 そうしたことを通じて切れ目のない経済対策を行っていきたいと思いますが、景気が冷え込んでいる状況の中で消費税を上げた場合というのは、もちろん、さらに景気を冷え込ませる状況を生み出しかねないというふうに思いますので、まさに今の景気動向を注視しながら切れ目のない対策を講じていかないと、もちろん日本の経済の再生は私どもの責任でありますけれども、特に、消費税を引き上げて国民の御負担をお願いする前に、経済が好転していくという状況を何としてもつくり出していかなければならない、そういうふうに思っている次第であります。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 おっしゃることはわかるんですが、私は、今の状況ではとても経済は好転していかないのではないかなということを強く懸念しているわけでございます。

 消費税増税にかかわる党内の議論にも一生懸命参加してまいりましたが、やはり内閣府の予測は甘いのではないかということも御指摘しましたし、もっともっと緻密な議論をすべきだというふうに私は申し上げてきたわけです。

 そして、景気が減速していくのではないかという懸念がまさに当たりつつある。ですから、当然、消費税増税をしたいがゆえに、経済を好転させるということは全力を尽くさないといけないけれども、それとあわせて、やはり、このままの経済の状況が続いたときに消費税を上げてしかるべきなのかということを今のうちから検証するのが私は政府の責任だと思うんですね。

 ところが、これまでの答弁を聞いておりますと、いや、それは次の政権が判断することだ、もう繰り返しそのような答弁になるわけです。一つは、もし消費税が上げられなかったときに、この償還財源は一体どうするのかという質問については、いやいや、それはまだわかりません、時の政権が判断してくださいと。あるいは、消費税増税をするか否か重大な決断をするときに、この年金つなぎ公債、特例公債を出していることが足かせになるんじゃないかという質問に対しては、それも含めて総合的に判断してください、こういう話なんですね。

 私は、本当にこんな答弁で政府が責任を果たしているのかということを疑問に思うわけです。よく、次の世代にツケを先送りするなということをおっしゃいますが、これは本当に、次の政権、まさに来年の政権、秋口ぐらいになると思いますが、そのときの政権に対してツケを回しているだけじゃないですか。

 私は、やはり、しっかりと政府が、もし消費税を上げられなかったときにどうするのかということをあらかじめ想定し、準備しておく必要があると思うんですが、総理、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 何としても、経済の好転を図ることによって、その環境整備をする、そのために全力を尽くすということが前提だと思うんです。

 その上で、これは仮の話でありますけれども、まさに消費税を引き上げるかどうかというのは、さまざまな指標を見ながら、経済情勢を総合的に勘案しながら、そのときの政権が判断をするんですが、では、このいわゆる年金特例公債の償還を含めて社会保障の充実強化のための財源をどうするか。まさにそのときの政権の厳しい検証、検討の中で選ぶしかないと思うんですが、でも、御指摘があったとおり、安易に赤字国債でそれを賄うという将来世代にツケを残すようなやり方というのは好ましくないと思うんです。その中でどういう判断をするかということだと思います。

大谷(啓)委員 何かよくわかったようなわからないような答弁だと思いますが。

 総理、もう一個確認したいんですが、では、仮に、もし来年の秋口、野田総理がスティル、まだ総理でいらっしゃって、今のような、現下の経済の情勢だとすれば、どのように判断されますか。

野田内閣総理大臣 景気を回復させるために全力を尽くしていく、その中での判断をそのときにしなければいけないというふうに思います。

大谷(啓)委員 極めて残念な答弁です。

 私は、努力をしなきゃいけないと思うんですが、先ほど党首討論で野田総理がおっしゃっていたとおり、今までのツケというのが随分たまっています、だからそんな一年やそっとでよくならないんですと総理は率直にお話しされておりました。私は、それを十分理解しますよ。今の経済の状況だけを考えたときに、財政もみずから抑制しておいて、成長戦略だ何だと応援歌のようなことを言って、本当に一年で経済が好転するとは私は到底思えません。

 総理は、いつも、待ったなしだ、社会保障と税の一体改革は待ったなしですとおっしゃいます。待ったなしという背景は、今、財政が厳しい、こういうことなんだと思いますが、財政が厳しいがゆえに国民に負担を求めなきゃいけないんですと。これも、その言葉だけは私も理解します。

 だから、結果として、社会保障で安心感も与えられるし、増税をしても大丈夫ですよ、経済も、それは先ほど一般論としておっしゃられたとおり悪くなるけれども、経済も何とかなります、こういう理解なんですか。もう一度、確認します。

野田内閣総理大臣 何とかなりますというか、何とかしなきゃいけないわけでございまして、昨年の九月に政権を預かることによって、それから、大きな三つの命題として、震災からの復興、原発事故との戦い、日本経済の再生と言ってまいりました。

 その後、三四半期はプラス成長だったんですが、ここへ来て今御指摘のようなちょっと心配される状況がありましたので、緊張感を持って、切れ目のない経済対策を講じながら、経済が好転したという状況を実感できるような状況をつくりながら、消費税を引き上げさせていただいて、社会保障の安定財源として充てていく、そういうシナリオのもとに着実な政策を進めていきたいというふうに考えております。

大谷(啓)委員 そういう答弁にならざるを得ないと思いますが、私は本当にやはり違和感があるんですね。

 総理は経済成長と財政健全化が両輪だと言いますが、私も財政健全化は全く否定しませんし、日本の抱えている今の最大の課題だと思います。それを何とかしなきゃいけない。ただ、順番があって、やはり、経済をしっかりと好転させてから財政健全化に向かった方が、中長期的に見ても、日本のためになるし、国民生活のためになるというふうに思うわけですね。ですから、将来の消費税増税を何も否定しておりませんが、今わざわざ消費税増税を決めてしまうことがおかしいんじゃないかと再三再四私たちは述べさせていただいているわけです。

 野田総理は、党内議論のときにはそのようなことをおっしゃっていませんでしたが、この社会保障と一体改革、これに向けての覚悟というのは議員バッジを外すことだというふうにおっしゃられておりました。それだけ強い覚悟、責任感を持って可決、成立に向けて動かれたんだというふうに理解します。

 しかし、私は、来年秋に野田総理が総理でいるのかどうかは、選挙の結果次第であり、わかりませんが、いずれにしても、こういった消費税増税を償還財源とする年金特例公債を発行するということを提案した人間として、そのとき、やはり責任をとってもらわないといけないと思うんですね。

 要は、今、一生懸命頑張ります、経済の好転に向けて何でもかんでもやります、だからお願いしますと言っても、私は、余りに、国民として、国家として、リスクが大き過ぎる話だと思うんですね。やはり、そこはしっかりと来年に向けて総理の責任というのを示してもらわないといけない。

 何で特例公債法案の審議で、最後、採決の前に総理入りがあるか、この意味をしっかりと考えていただきたいんです。やはりそれだけ重要な法案で、日本の経済や財政、そして国民の生活に影響が及ぶ法案だからこそ、総理入りでこうやって審議しているんですよ。

 来年に向けての総理の責任ということについて、どのようにお考えか、お聞かせください。

野田内閣総理大臣 財政再建、もちろん必要なんです。一方で、成長も必要なんです。だから、我々の政権のもとでは、財政運営戦略と新成長戦略、今度は日本再生戦略というのをつくりましたけれども、これを同時に実現させていくというのが基本的な考え方です。

 恐らく、世界の主要国においても、財政再建と成長という、この両方の、二つの命題をどう乗り越えるかということで悪戦苦闘しています。財政再建を放棄したら経済に影響が出るということは、今、欧州の危機を見ればわかるんです。ということを踏まえての、なかなか難しいかじ取りなんですけれども、一方で、しっかりとした成長をやらないと、財政にも効果がありません。まさにこの二つは両輪でやって、両方実現していきたいと思います。

 そのやり方でもし結果が出なかったらという御指摘なんですね。いつも、こういう国会では、結果が出なかったらの御指摘というか、どう責任をとるのかということが多いんですが、それは、いい結果が出るように最大限に責任を果たすということが、今私が申し上げられる一番の決意であり、言葉だというふうに思っております。

大谷(啓)委員 本当に今、やはり国際的な経済、財政の見方というのも、私は少しずつ変わってきたんだと思うんですね。やはり、財政再建だけを視野に入れて増税一辺倒あるいは緊縮一辺倒ではだめだ、だからこそ経済との両輪でということになっています。この経済との両輪というのは何かというと、緊縮、増税でという話じゃないんですね。順番もやはりちゃんと考えなきゃいけないというふうに徐々になっているわけです。まだ何が正しいかという結論は出ておりません。

 私は、先ほど申し上げたとおり、財政で経済をよくしてから国民に負担を求めるべきじゃないかということを自説として主張しているわけですが、これが本当に絶対正しいとは当然申し上げません。いろいろな説があると思うんです。経済の中でもいろいろな説があります。そこを本当に緻密に議論しての結果なのかというところが私は大いに疑問があるんです。

 去年の年末、総理が民主党内の議論に出られたときに、私は、緻密な議論をしましょうと御提案申し上げました。すなわち、消費税の上げ方も、二段階なのか五段階なのか、上げ方もいろいろありますね、上げるタイミングも、あした上げるのか、一年後なのか二年後なのか、いろいろありますね、経済というのは生き物ですから、シミュレーションが全て当たるとは言いませんが、そういったいろいろなモデルでシミュレーションして、それぞれに当てはめて、どれが最適なのかということを議論すべきだと申し上げましたが、総理は、当時、緻密な議論は必要だけれども時間がないんですと。当時は、まさに民主党内の結論を早く出すようにと野党に言われているときでしたから、そういうことも含めて、すぐに決めよう、時間がないということをおっしゃられました。

 あれからもう十カ月がたちます。そして、経済の動向が徐々に徐々に変化しています。今こそそういう緻密な議論が必要なんですよ。緻密な分析をしないと来年にツケが回っちゃうんじゃないですか。

 私は、やはりもう一回、この一四年四月八%、一五年十月一〇%ということも含めて、しっかりと見直すための緻密な分析、議論というのをし直した方がいいと思うんですが、総理、御見解はいかがですか。

野田内閣総理大臣 大谷委員におかれましては、私は、大変フェアな議論をしていただいていると思います。景気と財政の関係、これは、どの論が一番正しいのかというのはなかなかわからないというのは、まさにフェアな議論だと思います。

 その中でも、やはり国際社会で、いろいろな会議に出ている中で、純債務も総債務も日本は対GDP比では非常に高いレベルにあって、日本の財政がどうなるかという国際社会の厳しい目があります。そういうものに対して、やはり日本は財政規律を守る国であるという一定のメッセージは、どうしてもほかの国以上に出さざるを得ないと思っています。その上で、きちっと成長戦略に基づいて、日本再生戦略に基づいて成長政策をとっていくというのが日本のかじ取りだろうと私は思っております。

 その中で、党内でいろいろと議論がございました。一定の、どこかで区切って議論を終結しなければならなかったんですが、消費税の引き上げを段階的にどうやっていくのか、二段階なのかどうなのか、二段階だったらいつといつなのか、間隔はどれぐらいあけるのか、さまざまな御議論をいただいた中での意見集約だったというふうに私は思っておりますので、ここは決して、えいやではなく、さまざまな御意見を拝聴しながらの結論だったというふうに思っております。

大谷(啓)委員 もう離党した身ですから余り言いたくないですけれども、そんな議論なんかできていませんよ。

 突然、突然というか、年末の、いよいよ決めなきゃいけない前日に第一案が出されて、その第一案というのは、一三年十月八%、一五年四月一〇%、この一番最初の政府の案が出されて、わあっと議論になって、では、やはり確実に任期が終わった後の次の政権が判断できる形にするために半年ずらしましょう、これで終わっちゃったんですよ、時期と税率については。全然緻密な議論なんて行われていません。だから、私はもうだめだと思ったんですね。

 いずれにしても、やはり今私たちが考えなきゃいけないのは、成長戦略を今の政権が幾ら言っても、日本再生戦略、こういうことを幾ら言っても、あるいは四千億規模のいわゆる財政出動というか予備費を使った出動をしても、株価は全く反応していません。これから日本がよくなるんだ、経済がよくなるんだ、こういうような実感を持っている事業者はほぼいません。まだまだ課題が多いんです。

 そして、今、政局というのがこういう状況で、まさにこれから国民に信を問うて判断をしてもらうという局面になりますが、いずれにしても、経済は生き物で、政治空白の中で何も手が出せないというような状況は私は避けなければいけないというふうに思います。

 消費税増税を是認するつもりは全然ありませんが、やはり一刻も早く経済再生に向けて、私は、新たなる財政出動も含めながら積極的に取り組むべきだ、私たちはそのことにはしっかりと協力したいと思っておりますし、ぜひそういう取り組みを政府の中でしていただきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、この消費税増税を償還財源にする年金特例公債は、私は、余りにリスクがあり、将来の消費税増税を縛ってしまう、極めて危険であるという立場で、反対だということを改めて申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

五十嵐委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲です。

 野田総理、党首討論、お疲れさまでございました。

 私は、今回、聞いておりまして、大変立派な党首討論であったなというふうに思って、非常に感銘を受けました。いろいろな背景や事情があるにせよ、本当によくお考えになって、御提案もよく考え抜かれたもので、よく決断されたなというふうに、大変、僣越ですけれども、評価をしております。また、総理の御性格につきましても、お父様のお話も伺いまして、非常に誠実で、ばか正直な方だなというふうに、改めてすばらしい方だなというふうに尊敬をした次第であります。

 これも僣越な話ですけれども、実は、昨年の民主党さんの代表選挙があるときに、総理は財務大臣でいらっしゃいまして、私がそのときの財務金融委員会で、次の代表候補には野田総理がいいというふうなことを言って、この場でえらい物議を醸したことがあるんですけれども、泉先生からえらいお叱りを受けたりしたことがあったんですが、いい方を党首に選ばれたなというふうに、私は改めて痛感をした次第であります。

 その上で、定数問題ですけれども、私どもは、総理のお考えもやはりよく理解できるんですよ。ですけれども、結論のことではなくて、つまり、定数というのは民主主義の根本にかかわる問題ではないかなというふうに思っているんです。すなわち、消費税とは関係がない。消費税をこれだけ上げるから定数を切れとか、いろいろな、歳費を削減せよという意見はいっぱいあります。我々もしょっちゅう言われています。

 言われていますけれども、私は、定数の問題は民主主義の根本にかかわる問題で、国民の代表をいかなる層からどの程度選ぶかというのは、本当に民主主義のあり方をよく考えないといけないというふうに思っております。ですから、過疎地の代表も必要だし、農林水産業の代表の皆さんも必要だと思います。それから、非常に弱い立場にある方々の代表も必要だ。

 ですから、橋下大阪市長なども、いきなり四百八十を二百四十にすぱっと切れみたいなことをおっしゃっていますが、これは非常に受けはいいんですよね。こういうことは非常に国民受けはいいけれども、しかし、やはりここはよく立て分けて考える必要があるということを支持者の皆さんにもよく、しっかりと言っています。それは、お気持ちはわかるけれども、やはり、歴史や文化やこれまでの経緯や、それから国際比較もして、この定数というのはよく考えていかないといけないんだろう。

 そういう意味で、いろいろ、議論はなかなかまとまりませんけれども、まずは一票の格差を優先して、その次に、やはり、よく、じっくりとそういう深い議論をやっていくことが物事の正しい考え方ではないかな。

 ですから、繰り返しますけれども、私どもはそういうふうに考えておりますので、消費税を上げるから絶対に身を切れという意見は強いけれども、そこは筋道が違うというふうに支持者にも説明していますし、そういうふうに私どもは思っております。

 その点、これまでも議論があったと思いますが、民主主義の問題と定数の問題につきましては、事前の通告をしておりませんけれども、総理、どのようにお考えですか。

野田内閣総理大臣 竹内委員とは、私が財務大臣をしていたころから、この財金の委員会ではさまざまな議論をさせていただきました。大変厳しい御指摘をいただくことも多かったんですが、余りきょうの時点で過分なお褒めをいただくと、与党内の評判が逆に下がります。

 私は、何といっても、きょうの定数削減の話は、御指摘のとおり、まさに選挙制度は民主主義の根幹にかかわる問題をベースに考えなければいけない、それはそのとおりだと思います。

 一方で、きょうも党首討論で申し上げましたけれども、国民の皆様に御負担をお願いするときに、まずは隗より始めよ、身を切る改革は何なのかといったときに、どうしてもこれは定数削減なんです。これは、民主主義云々という考えで言うならば、ストレートに関係する話ではないかもしれませんけれども、主権在民という考え方の主権者が強く要請をしていることです。それは論理的なのかどうかはわかりません。そういうものをしっかりと我々は受けとめながら対応するということが責任ある政治ではないかと思っています。

 加えて、今回の定数削減の案は、〇増五減という小選挙区における削減と、修正連用制といいますか、一部連用制を取り入れた形であって、提案をしている民主党にとって、これは決してプラスになる制度とは思いません。選挙制度というと、どうしても自分の党に有利なゲリマンダー的なものがこれまで多かったと思いますが、決して我々にはプラスにはなりません。むしろ、御党を含めて、あるいはもっと小さな政党が、比例においても削減があるけれどもきちっと議席がとれるということを配慮した内容だと思います。

 きょうの党首討論の中でも、山口代表も傾聴に値するというところまでおっしゃっていただいておりますので、短い期間かもしれませんが、精力的な議論の中で、むしろ一歩踏み込んで、定数削減と民主主義のあり方とを絡めて判断するならば、我々の提案をしているものは、私は、決してそんなに変なものではない、むしろ多くの皆様に共感していただけるものではないかと思いますので、ぜひ前向きに御検討そして御協力をいただきたいと思います。

竹内委員 わかりました。

 我が党は従来から大衆とともにという理念を持っておりますが、同時に、しかし大衆迎合ではないというふうにも言っているんですね。そこをやはり、私どもはきちっと支持者の皆さんの意見を踏まえつつ、しかし、おかしなことはやらない、ポピュリズムには陥らない、しっかりと説得すべきときは説得する、こういう筋道でやっております。

 時間も余りないんですけれども、あと総理には一問だけ、この間の代表質問で質問したんですが、やはり日中問題ですね。

 通告をしておりますけれども、本当にこの日中問題は、公明党も半世紀も前からやっておりましたし、御存じかどうかわかりませんけれども、日中共同声明の下地となる復交五原則というのがありまして、そういうものも公明党と当時の周恩来との間で、中日友好協会ですけれども、いろいろ話し合ってきたような経緯もあります。そういうものが下地になって日中共同声明のベースになり、また戦後賠償権も放棄するというようなこともあったり、尖閣についても触れないとかいうようなことにもなりました。自民党の皆さんも大変な御努力をされていまして、高碕達之助先生や松村謙三先生を初めとして、さまざまな方々が大変な御努力をされていたわけであります。

 そういう意味では、この半世紀の平和と友好の関係また経済繁栄におきましても、経済的な部分でも、松下政経塾の創立者の松下幸之助先生が中国に工場進出をされて向こうにも大変な貢献をされたという歴史もありますし、非常に今の事態を残念に思っております。

 そういう意味では、東京都知事のいろいろなこともあったんでしょうけれども、中国側とこの辺の話し合いはされていたと思いますけれども、本当は相当向こうの反応は厳しかったんじゃないかなと思うんですね。タイミングとか時期とか、権力移行期ということもありますし、もう少しうまく考えるというようなお考えはなかったのかどうか、その辺を含めてちょっと御答弁をいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 尖閣諸島が我が国の固有の領土であることは言うまでもない中で、個人が所有をされていた三つの島を国が保有するようにする。それは、東京都とのいろいろな関係がございましたけれども、長期的に平穏かつ安定的な維持管理をする、そのために国が保有をするということの、いわゆる所有の移転という問題であるということは、何度も中国には、さまざまなレベルにおいて、私と相手方の主席による立ち話だけが見られていますけれども、そうではなくて、さまざまなレベルでそうした説明をしてまいりました。もちろんそれは、はいそうですかという相手の立場ではありませんし、独自の主張もありながらだったということであります。

 世界で二番目と三番目の経済大国の間柄でありますから、単なる二国間の関係ではありません、世界の経済にも影響があります。まさに大局的な見地から冷静に話し合いをしていかなければいけないと思いますし、そのチャネルはたくさん持たなければいけないと思います。

 先ほど委員から御指摘があったとおり、日中国交正常化四十周年でありますが、田中首相、大平外相がまさにその任に当たられる前に、御党と中国との間でその下地づくりをされたということも、これはもう有名なお話であります。そういうさまざまなチャネル、四十年間における先人たちの努力があると思いますので、そういう意味における御協力もいただきながら、主権や領土、領海については、主張すべきことは、これは毅然としてやっていかなければいけないと思うんです。

 一方で、クールに、冷静に、お互いに挑発をせずに、大局観を見失わないで解を見出していこうとする努力は、これはやり続けていかなければいけないと思いますので、ぜひその面における御協力もいただければというふうに思います。

竹内委員 もう残り時間がわずかなんですが、修正特例公債法案につきまして提出者にお伺いしたいと思います。まとめてお伺いしますので、まとめてお答えください。

 憲法八十六条で想定している予算の単年度主義に反しないのか。すなわち、憲法八十六条の規定では、毎会計年度の予算というのは歳入と歳出の両方を含むものではないのかという疑問がまず第一。

 それから二つ目に、仮に法形式論として憲法に違反しないとしても、憲法が想定している歳入というのは税であって、多年度にわたる赤字国債などの借金はやはり想定していないのではないか、すなわち、予算の単年度主義の趣旨に反するんじゃないかというのが二つ目。

 そして三つ目は、さらに百歩譲って憲法違反でないとしても、昭和五十一年から一貫して単年度のみの発行根拠法としてきたこれまでの慣例からは反することになります。やはり、財政規律が緩むことにはならないか。今後、財政健全化法を改めて成立させるとか、そういう努力が必要だと思いますが、提出者の御答弁をお願いします。

五十嵐委員長 斉藤君、簡潔にお願いします。

斉藤(鉄)委員 まず、第一点目の、単年度主義に反するのではないかということでございますけれども、今回、修正後の法律に基づく特例公債につきましても、各年度の発行限度額は毎年度の予算総則で規定して国会の議決を経ることになっておりますので、この意味からも、憲法に規定する予算の単年度主義との関係が特段問題になるものではない、このように考えております。

 それから、二点目の、憲法制定時に想定していた歳入とは税であって、赤字国債などの借金は予算の単年度主義の趣旨に反するのではないかということでございますけれども、憲法制定時に赤字国債の発行ということは想定されていなかったというのは、委員の御指摘のとおりだと思います。したがいまして、財政規律が緩むことのないように、政府に対して強く働きかけていく所存でございます。

 憲法に規定する予算の単年度主義との関係については、各年度の特例公債の発行限度額を毎年度予算総則で規定し、国会の議決を経ることになることから、直ちに問題になるものではない、このように考えております。

 それから、最後の第三点目でございますけれども、財政規律が緩むことにならないか、また、どのように財政健全化に取り組んでいくのかという御指摘でございますけれども、これまで、毎年この法案を審議することによって財政当局へ一定の緊張感を持たせるという意味で、大変意義があったと思っております。しかしながら、総理から先ほど説明がありましたけれども、最近の財政状況の悪化、それから、ねじれ国会のもとで財政運営が不安定になっている、この面、これを踏まえて、また、野田総理大臣からの提案を踏まえて、三党間で協議を進め、平成二十七年度までの特例公債の発行を認めるよう法案の修正を行うこととしたものでございます。

 しかしながら、野方図な発行を認めるわけではなくて、引き続き、特例公債の発行抑制に真摯に取り組んでいく。今回、三条にもあのように決めたところでございます。

 そしてまた、先ほど答弁申し上げましたように、現行の財政健全化目標をしっかり守りながら、財政規律を維持することが求められ、我々公明党といたしましても、政府にそのことの説明責任を果たさせながら、しっかり予算委員会等で議論をしていくということになると思います。

竹内委員 ありがとうございました。

五十嵐委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 初めに、一言申し上げておきたいと思います。

 野田総理は、国民に負担をお願いする以上、定数削減も必要である、議員も身を切らなければならないという発言をされました。我々は、この消費税増税には反対でありまして、国民に負担を押しつけることに反対をしてまいりました。それは、逆進性の問題とか、あるいは中小業者が転嫁ができないとか、それから消費が冷えて全体として経済も税収も落ち込んでしまう、多角的な議論をやってまいりました。増税を国民にのませるために議員が身を切るというような議論、これに我々がくみするわけにはいかないわけであります。

 もともと、選挙制度というのは、議会制民主主義の土台でありまして、全ての政党にかかわる問題でございます。これを二党あるいは三党で決める、これは民主主義からいいますと全く逆行することになるわけでして、少なくとも、各党の間で議論を行って合意を目指すということをやるべきであります。何か、期限を切って、いつまでにさっさと上げるんだというような議論は、とてもこれは、我々、のめる話ではない、このことを最初に申し上げておきたいと思います。

 それで、法案の内容ですけれども、この法案質疑の最終段階になって突然、昨日、民自公三党で確認書が交わされて、それに基づく法案が、きょうになって議員立法で突然提出される。大体、提案したその日、つまりきょうですよ、きょう、質疑を行い、質疑終局し、採決をする、こういう強硬なやり方は到底受け入れられるものではありません。委員会における充実した審議を否定するものであります。

 こういう点で提案者はどう考えているか、まずお聞きしておきたいと思います。

古本委員 お答えいたします。

 これは随分前になりますけれども、三党党首会談で、野田総理、党代表から、自民党の安倍総裁、そして公明党の山口代表に対して、予算が成立しているんだけれども執行ができない、自治体を初めいろいろなところに、今、国民経済、生活にしわ寄せを来している、この状況を何とか打開することはできないだろうかということで、丁寧に御提案をさせていただいたことが出発点でございます。

 したがいまして、佐々木憲昭先生には大変恐縮ですけれども、唐突という言葉が適切かどうかは、これは議論の余地があると思います。昨日の理事懇の場で修正案を開示、御提案させていただいたわけでありますけれども、それから二十四時間しかたっていないじゃないかということに関しては、大変いとまがなかったことは、ここで心苦しく思っておることを素直に認めます。

 でも、その上で、これはやはり待ったなしの、国民生活に影響を及ぼしてはならないという待ったなしの議論であるということについて、ぜひ深い御理解を賜りたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 大体このやり方自体が極めて乱暴でありまして、三党の間では何か議論しているかもしれませんけれども、国会の中で公式に議論は一回もやっていないわけです。それをいきなり前の日、二十四時間前に出して、さあ、次の日に採決だ、議会運営の中ではこういう話はありません、大体。

 内容に入りますが、修正案によりますと、平成二十四年度から平成二十七年度までの間の各年度の特例公債の発行を認める、こうなっているわけです。これは極めて重大な内容でありまして、まず、憲法第八十三条、ここには「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定めておりますが、ここで言う財政というのは、財務大臣、どういうものですか。

城島国務大臣 御質問の憲法八十三条は、いわゆる財政民主主義の原則として、今おっしゃいましたように、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定めております。御質問の、ここで言う財政とは何かということでありますが、ここで言う財政とは、国民に対して各種のサービスを提供するといった任務を遂行するために、必要な財源を調達し、これを管理、使用することをいうものと認識しております。

佐々木(憲)委員 そのとおりでありまして、必要な財源を調達し、これを管理、処分する一切の作用を財政というわけであります。つまり、どこから財源を調達するかも含めて、主権者である国民を代表する国会の議決に基づくものとする、こうなっているわけですね。

 では、憲法第八十六条、これがどうなっているか。「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と規定しております。この原則を受けまして、財政法第四条では、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」としております。つまり、公債や借入金は認めていないわけですね。ただし、公共事業等のための公債発行と借入金だけは一定の条件のもとで認める、こういうふうになっていると思いますが、いかがですか。

城島国務大臣 一点目の、憲法八十六条との関係でございますが、今回の法案修正においても、各年度の特例公債の発行限度額というのは、毎年度予算総則で規定をし国会の議決を経るということでありますから、憲法八十六条の予算の単年度主義との関係が問題になるものではないというふうに考えております。

 また、財政法四条との関係でございますが、今御指摘の点について言っても、現下の厳しい財政状況のもとでは、建設国債のほかにも公債を発行しなければ、財政を運営することは極めて困難であります。このため、財政法四条一項の特例といたしまして特例公債の発行を認めていただくよう、今回の法案を提出したものというふうに認識しております。

佐々木(憲)委員 予算の総則に書いても、予算は予算ですよ。法案ではありません。したがって、これは極めて重大な、すり抜け方式といいますか、法案については審議しないわけですから、公債特例法案を毎年毎年やるということをやめて、四年間、今後は三年間、審議なしでやる、これは明らかにおかしな話であります。

 もともと、この財政の穴埋めに出す特例公債は、財政法第四条で認められておりません。かつて、大平正芳さんは、昭和五十年十二月のこの大蔵委員会で、赤字国債発行について、こう述べたことがあります。「本来の財政法の原理に立ち返らなければならぬと思います。財政法は、公債の発行は四条公債以外認めていないわけでございますので、このことはあくまで銘記しておかなければならぬわけでございます。」特例公債の発行が「習い性となっては困るわけでございますので、異例の措置であればその年度限り、その特定の目的のためにこれだけのものをお願いするというように限定しなければならぬというように考えておるわけでございます。」こういうふうに述べているわけですね。これは真っ当なことだと思います。

 公債特例法案として閣法を出して、その都度国会の承認を得るというのが原則であります。単年度に限定したのは、財政規律を辛うじて保つために最低限必要なことなんです。それが原則だったと思いますが、総理、この大平さんの発言をどのように受けとめていますか。

野田内閣総理大臣 佐々木委員御指摘のとおり、特例公債を発行したのが昭和五十一年だったと思いますけれども、まさに、赤字国債を発行するというのは特例であって異例であるという中における当時の大平総理の思いというものは、しっかり踏まえなければいけないだろうと思います。

 したがって、毎年毎年しっかり財政規律を考えながら、財政当局は緊張感を持って財政運営をする、そして、国会で毎年財務金融委員会において御審議をいただくという統制を受ける、それが基本だったわけです。

 ただ、毎年特例のようだったものが、残念ながら、今は恒常的に特例公債を発行せざるを得ない状況になっていて、しかも、今は一般会計予算の四割を占めるに至っているという状況が生まれました。

 少なくとも、どのような政権がこれから生まれても、特例公債に当面は頼らざるを得ない状況があります。もちろん、その額は抑える努力はしていかなければなりませんけれども、今そのような恒常的な状況の中で、残念ながら、予算は成立をしても、その裏づけとなる特例公債がなかなか成立をしないという状況があって、今回もそうでありますが、地方団体含めて国民生活に支障を及ぼすような状況も生まれかねない。

 こうした弊害を乗り越えるために、少なくとも我々は、財政運営戦略で向こう十年間でプライマリーバランスの対GDP比、赤字を黒字化していく、二〇一五年までにはそれを半分にしていく、そういう方針を立てました。こうした方針のもとで、財政規律を守りながら予算と特例公債と一緒に対応するような、そういう御提案を今回議員立法としていただいたものと承知をしておりますし、財政規律は守っていかなければいけないと考えております。

五十嵐委員長 大平さんは、昭和五十一年当時は、総理大臣ではなくて大蔵大臣だったと思います。

佐々木(憲)委員 今、総理の答弁は、踏まえなければならないとか基本だったとか、こういうふうに言いながら、それを今回は、特例公債がたくさん、半分近くになった、だから、そういうことを外して自由に発行できるようにしたい。これは原理原則を逸脱しており、基本を外れている、そういう議論でありまして、総理がそういうことに踏み出すというのは極めて重大であります。

 修正案は、予算と公債特例、一体のものをばらばらにして、単年度という限定を外して、三年間、ことしも含めれば四年間、特例公債の発行を認めるというものであります。こんなやり方をすると、財政規律は完全に歯どめを失います。

 平成二十五年度、つまり来年度ですね、二十六年度、二十七年度、この予算は、まだ予算内容が明らかになっておりません。来年以降の話であります。それなのに、中期財政フレームがあるからと。これは単なる枠組みであります。枠組みなので、中身じゃないんです。どのような予算が組まれるか、全くわからない。にもかかわらず、この修正案は、どんな予算を組もうが赤字国債が発行できる、そういうことになるんじゃありませんか。

城島国務大臣 先ほど申し上げましたように、特例公債の発行限度額は、従来どおり、各年度の予算総則に規定をして、予算委員会で審議いただくことになっておりますので、必ずしも御指摘のようなことにはならないというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 予算総則に書けば何でもできるじゃないですか。赤字国債をこれだけ発行します、それは与党・政府が多数を占めていれば、そう書き込んだら自動的にそれが認められる。しかし、国会のチェックが法律としてやられないわけですから。全くこの説明になっていません。

 しかも、何か、努力する、中期財政フレームがあるからそれに合わせるんだと言うんですけれども、そのときの政権に対して赤字国債の発行を白紙委任するということは変わらない。これは、赤字国債発行自由化法、こう言ってもいいと思います。しかも、国会のチェック機能が三年間外れるわけですから。

 憲法第八十三条は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」こう決めているわけです。したがって、国会の議決なしに赤字国債を発行するということになれば、これは憲法に抵触することになるんじゃありませんか。提案者、どうですか。

古本委員 先生の御主張を先ほど来伺っておりますけれども、大事な観点を我々共有しなければならないのは、毎年度の予算は、時の内閣が国会に提出し、衆議院で申し上げれば、予算委員会でそれを審議し、そして最終的に、お互いに納得した上で採決に応じるわけですね。これは当然、時の野党の方針によっては、その採決に応じない、応じるで、またいろいろな混乱が第一委員室で毎年繰り広げられるわけでありますが、最終的には、何十時間にもなんなんとする予算審議の結果、毎年の予算は衆議院において可決、決定されてきているわけでありまして、その議論が今後ともより丁寧に、とりわけ歳入、この公債発行についてセットで議論をされる仕組みを衆議院の予算委員会においていかにつくっていくかということが、恐らく議論の具体的なポイントになってくるんだと思います。

 これまで、率直に言えば、公債特例法案は重要広範議案でした。当財務金融委員会で毎年、総理入りで充実した質疑で行ってきたのは事実であります。しかしながら、予算が一方で成立しているにもかかわらず、歳入の裏づけがないままに執行が滞っているという今日のこの問題を何とかしたいという中で、ハウスの知恵を出したいと思っていますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

佐々木(憲)委員 総理が出席をして重要広範議案として議論するから、しっかりとした歯どめをかけることができるわけなんですよ。それを外して、予算は予算で通した、通した途端に財源まで一緒に通っちゃう、そんなでたらめなことがありますか。財源は、財政法に基づいてきちっと法律として国会を通らなければ、これは確保できないというのが原理原則ですよ。そういうものを逸脱してしまうということになる。

 三年後というのはどういうことかといえば、一〇%に消費税率が引き上がる。それまでの間は、赤字国債は時の政権が自由に発行できる、こういうことになる。経済状況を好転させなければならない、そういう理屈でいいますと、結局そのために財政を投入する、こういうことになりますね。これは大変重大な、いわば赤字国債を大量に発行して、ともかく経済対策ということで無制限な、まあ、無制限とは、そういう言葉ではないんだという反論もあるかもしれない、しかし、事実上、政権がやりたい放題できるじゃないですか、これで。

 そこで、自民党にまず聞きたい。

 消費税の増税法案の附則十八条第一項の中に「総合的な施策の実施」、第二項には「成長戦略」等々が規定されております。私、これは社会保障・税特別委員会で確認をしましたが、自民党の提案者が、我々の要望で書き込んだんだ、こういう答弁でございました。

 自民党の国土強靱化計画というのがありますね。十年で二百兆の大規模投資を行うと書いてあります。年間にすると二十兆円。最初の三年間を集中期間であるとしまして、十五兆円を追加投資すると書かれている。つまり、最初の三年間は、一年ごとに見ますと二十五兆円ずつ投資をするという形になるわけです。その財源はどこから捻出するんですか。

竹本委員 お話しのように、十年間で二百兆円という計画を立てております。別に、政府としてこれが最終の数字だといって決められたわけではありませんけれども、我々自民党は、その財源については特例公債じゃなくて、使うのであれば建設国債、それから、経済成長によって利益が上がれば、それによる税収を活用したい。

 一番問題なのは、千四百兆円か五百兆円あると言われる金融資産、これの運用先としてこれを使えばどうかというふうに考えております。

 ですから、例えば大きいプロジェクトを進める場合に巨額な資金が必要になります。これについては、主体が例えばPFIのようなものであれば、株券を発行し、あるいは政府の信用も使いながらやる新型証券という方法もあり得ると思います。

 そういう意味において、民間資金を中心として毎年十兆円、おっしゃるように初年度は二十五兆円というふうになりますか、そういうことをやろうと思っておりまして、決して借金でやろうとしているわけではございません。

佐々木(憲)委員 自民党のこの計画によりますと、大規模投資するための財源として日本再生債を創設する、こういうふうに書かれていますね。この日本再生債というのはどういうものですか。

竹本委員 昨年、東北の大震災をこうむりました。それで、復興には多額のお金がかかります。日本は地震列島でありますから、どこでどういう災害が起きるかわからない。そういう意味で、日本を再生するために、今申し上げたような、一定の利率を上げまして、それを買えば、株の投資と一緒で利益が還元される、そうすると民間の資本がどんどん集まってくる、それによってこういう大きい事業をやっていこう、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 要するに赤字国債と変わらないじゃありませんか。要するに、国債を、日本再生債を発行して民間に買い取っていただいて、それで集めたお金で投資をしようと。

 これは、建設国債とは必ずしも一致しないです。なぜかといいますと、この計画によりますと、国家機能代替性確保、原発安全確保、通信手段確保、行政機関の業務継続用通信システムの整備、工場移転の支援、国際競争力強化のための社会資本整備等々、周辺海域の警備強化、こんなものが入っているんですよ。これは、建設国債に限らない、性格からいうと赤字国債ということにならざるを得ない。こうなると、消費税増税前に、仮に自民党が政権についたら、我々は望んでおりませんけれども、もしついたら、際限ない無駄遣いに道を開くということになるんじゃありませんか。

 私は、財政破綻の危険性をますます高めるというふうに思います。つまり、三党合意で修正案を今回提案して、その案が通ったら、どこの党が政権につこうが、ともかくこういう形で赤字国債発行自由化が三年間保証される。到底認めるわけにはいかない。

 次に、消費税等負担増の家計への影響、この点についてお聞きします。

 消費税増税は、二〇〇九年の総選挙で民主党幹部が述べた、消費税の引き上げは行わない、こういう公約に反する行為であります。我々は、この法案が通る前に国民に信を問うて、そして増税がいいか悪いかを判断してもらうべきだと言ったんですけれども、総理は、いやいや、税率を引き上げるまでに期間があるから、総選挙があるはずなので、そこで信を問えばいい、こういうものでした。

 そうしますと、次の総選挙、十六日にも解散という話がありますが、その総選挙で、消費税増税を実施してよいかどうか、この点について信を問う、こういうことになりますね、総理。

野田内閣総理大臣 次の総選挙においては、それぞれが政権公約をまとめて国民の皆様にお訴えになると思います。

 我が党においても、マニフェスト、この国をどうしたらいいのか、我々が政権をとった暁にはどういう国をつくっていくのか、そういうことをしっかりと議論を踏まえて、まとめて打ち出したいと思います。

 当然のことながら、これまでマニフェストの検証をやってきました。できたこととできないこと、あります。言っていなかったことでやったことの一番大きな眼目はこの社会保障と税の一体改革でありますので、我々が、当然この三党合意を踏まえて、これからも社会保障の、まだこれは改革の道半ばでありますので、そのことについては当然記載をしなければいけないだろうというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 そうしますと、政府が決めた国民負担増の総額は、これは三党合意で決まったわけですけれども、消費税で十三・五兆円、年金、介護、医療、子ども手当などの負担増、給付減、これは合わせて六・五兆円、全体で二十兆の負担増になるんですよ。国民に信を問うということになるのであれば、当然、判断材料として、各家庭がこの一体改革でどういう負担を負うことになるのか、何が改善されるかをきちんと説明責任を果たさなければならない。

 そこで、私は政府に要望して試算をしていただいた資料がありまして、配付資料を見ていただきたいと思います。

 世帯類型別に出してきた政府の試算を単純に集計したものですが、二〇一一年と二〇一六年でどれだけ年間負担額がふえるか、これを示しております。

 内閣府に確認しますけれども、この数字に間違いありませんね。

藤本副大臣 この数字のもとになりますのは、先週のこの委員会で佐々木議員から要望がございましてお出ししたものでございますが、議員から指定された各項目、この配付の資料の一番左の欄、消費税、所得税、住民税、そしてあとは年金保険料とか各保険料、これを指定いただきました。そして、右の列に行きますと、今、世帯類型別で三つの類型が出ていますが、佐々木議員から十五の類型を示していただいて、それぞれの項目をその前提に基づいて機械的に計算をしたものでございます。

 恐らくこの表は、佐々木議員が、そのそれぞれの項目ごとの数字を足し合わせて、二〇一一年と一六年の差額を出したものだというふうに承知をしております。もちろん我々が、内閣官房が出した数字というのは正しいわけでありますけれども、幾つか前提の置き方が違うかなというふうに思うものはございます。

 例えば負担増として、二〇一一年には住民税の年少扶養控除というのがあったわけですが、二〇一二年の六月にこれが廃止をされておりますので、二〇一六年度に関してはこれを廃止したという形でここに載ってきております。それを財源として子ども手当、そして新たな児童手当ということになってきているんですが、その給付増の部分はここでは一切反映をされていないという点がございますので、前提の置き方が若干問題があるのかなというふうに思います。

 それと、今、佐々木議員から社会保障と税の一体改革による負担増というふうにお話がございましたが、この中には、例えば厚生年金保険料などは二〇〇四年の段階でもう決められて毎年上がってきていますので、今回の社会保障と税の一体改革とはまた別物でございますので、一体改革によるものとよらないものが一緒に入っているということと、消費税引き上げに伴いますいわゆる給付面の充実、医療、介護であるとか子ども・子育て支援とかそういったところについて、あるいは今後実施をしていく低所得者に対する配慮というところがここの中には反映されていないということがございますので、若干ミスリードをしてしまうような危険性を恐れるというのもあるのかなというふうには思っております。

 そもそも、今回の社会保障と税の一体改革については、社会保障を安定化させていく、充実化させていくという、それがそもそもの目的でございますので、それに伴う負担というのがあるんですが、これは社会保障の充実によって給付があるいはサービスがふえるということになろうかと思います。

佐々木(憲)委員 答弁が長過ぎる。

 この数字は、政府が、あなた方がつくったものですね。それをベースにして私が集計をしたものであります。ここに入っていない類型については、例えば、就学前の子供のいる世帯とか、あるいは中学生、高校生のいる世帯、これはもちろん入っておりません。だから、その中の一部です。しかし、この数字自体は正確なものです。したがって、何かミスリードとか言いますが、サラリーマンのこの所得階層別、同時にまた各類型、これは間違いありませんので。

 さて、そこで、これは総理に最後にお聞きしますけれども、総理は、格差の拡大を抑えていかなければならない、こういうふうに予算委員会等で答弁をされました。

五十嵐委員長 簡潔に願います。

佐々木(憲)委員 しかし、この数字を見ていただきますと、二枚目の表ですけれども、低所得者ほど負担が重い、こういう結果になるわけです。総理は、これは実施すれば格差は拡大するという結果になる、そう思いませんか。

五十嵐委員長 時間が来ておりますので、総理、簡潔にお願いします。

野田内閣総理大臣 思いません。

 これは、委員からの前提を、こういうものを入れてくれということを踏まえて政府が作業をしたものであって、その前提の置き方が妥当かどうかというのは、さっき副大臣が御説明したとおりであります。

 加えて、負担だけではなくて、低所得者に対する給付の問題もしっかりバランスをとって考えなければいけないので、御指摘は当たらないと思っています。

五十嵐委員長 佐々木君、まとめてください。

佐々木(憲)委員 はい、まとめます。

 政府が出した数字に基づいてやったものであって、これからやることは入っていないですよ、もちろん。低所得者対策なんて何にも決まっていないじゃないですか。一万円を低所得者にばらまくと言うけれども。何が決まったんですか。何にも決まっていないじゃありませんか。

 したがって、この数字は極めて正確な、政府が出した数字ですからね、こんな格差が拡大して低所得者が負担がふえるようなやり方は絶対にやってはならない。総選挙で明確に国民の審判を受けるべきだということを述べて、質問を終わります。

五十嵐委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 以上をもちまして原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

五十嵐委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎岳志君。

宮崎委員 宮崎岳志でございます。

 私は、民主党・無所属クラブ・国民新党を代表し、ただいま議題となりました財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案について、賛成の立場から討論を行います。

 昨日、民主、自民、公明の三党によって、特例公債法案に関する重要な合意がなされました。その内容は、今年度予算の歳出を見直して特例公債発行額を抑制すること、その上で平成二十七年度まで特例公債の発行を認めることの二点であります。この合意に基づいて、本日、本委員会にて法案修正が行われることになりました。御尽力いただいた与野党の関係各位に心より感謝を申し上げます。

 しかしながら、この修正については、私たち民主党内に極めて強い慎重論があったのも事実です。今年度を含め、四カ年度にわたり自動的に赤字国債発行を認めるこの修正は、通算三十年以上、毎年度特例法を制定してきた従来の手法を大きく変えることになります。財政規律に対する国会の監視が弱まり、無駄なばらまきや放漫財政につながるのではないかとの危惧も持たれております。

 このような懸念を抱きつつも我々がこの修正特例公債法案に賛成するのは、何といっても、国民生活を守り、経済の安定を図らなければならないという使命感によるものであります。予算成立から七カ月余りが過ぎた今なお財源が確保できていない現状は、まさに異常事態と言わざるを得ません。

 日本は深刻なデフレに苦しんでおります。デフレ対策の根幹である金融政策は、経済財政担当大臣が九年半ぶりに日銀の金融政策決定会合に出席し、政府と日銀が共同文書を発表し、二カ月連続で金融緩和が行われるなど、一定の前進が見られます。しかし、財政政策では、十兆円ものデフレギャップを埋めるため公的部門主導の需要拡大が求められる中、赤字国債発行の見通しが立たずに予算執行が抑制され、財政出動が滞る事態となれば、デフレがさらに悪化し、倒産やリストラで雇用が奪われ、国民生活が一層困窮するのは明らかであります。

 特例公債の発行を政治的な駆け引きの材料にすることは、もうやめなければなりません。このたびの修正において、今年度だけでなく平成二十七年度まで予算の成立と同時に特例公債の発行を認める条文を盛り込んだのも、今後、特例公債の発行を政局に巻き込むことはしないという、与野党共通の国民への意思表示であります。

 我々のこの決意がこの後もしっかりと受けとめられ、速やかに本法案が成立することを期待して、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

五十嵐委員長 次に、山口俊一君。

山口(俊)委員 自由民主党の山口俊一でございます。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案及びその修正案に賛成の立場から討論を行います。

 本法案は予算と一体であり、予算執行を財源の面で確実に裏づけるというふうな点で、その成立の有無が国民生活に多大な影響を及ぼすことは論をまちません。予算だけを成立させて公債発行特例法を放置し続けることは、本来、政権与党としてはあってはならないことであります。そのため、実はこれまでは、自公政権では、たとえ衆参がねじれておっても公債発行特例法案を同時に成立させるように、最大限の努力をしてまいったわけであります。

 ところが、民主党政権においては、そのような真摯で責任感のある態度が見られず、本気で成立を図ろうとする働きかけや努力をやってきたとは言いがたいと言わざるを得ないわけであります。

 そもそも民主党は、無駄をなくせば十六・八兆円が捻出をできる、そうすれば、消費税を上げずとも子ども手当等のいわゆるばらまき四K政策の実施も可能であるという中で政権を獲得したわけであります。しかし、どうしても収支が合わないということがようやくおわかりになったのか、方向転換をされ、野田総理は、マニフェストに書いておらない消費税引き上げに命をかけるというふうなことになったわけです。

 国民を裏切るこうした豹変は、民主主義の本来のあり方からすれば言語道断ではあります。しかし、野田総理が一体改革関連法案について、八月八日に、我が党の当時谷垣総裁そして国民の皆様に対して、法案が成立をした暁には近いうちに国民の信を問うと約束をされたために、自公民三党合意のもとに歴史的な法案が成立をしたのであります。

 この合意から三カ月余り、ようやく先ほどの党首討論で、総理から、十六日ということが明示をされたわけであります。

 我が党は、平成二十四年度予算に実は反対をいたしました。本来であれば、予算と一体のものである公債発行特例法には賛成できないわけでありますが、しかし、今回我が党が賛成するに至ったのは、自民、公明、民主三党の協議の結果、我が党がこれまでずっと主張してきた平成二十四年度予算の歳出の見直しによる減額補正、予算と特例公債法の一体処理の必要性について、民主党がその必要性を認め、本法律案を修正するということで合意をしたからであります。

 最後に、民主党は、なぜ予算の執行抑制の実施に至る前に今回のような提案を出していただけなかったのか、余りにも遅きに失した感がいたすわけであります。しかし、当委員会の現場にあっては、それぞれが与野党ともに真摯に協議をして努力をしてきたという事実があるわけで、これはお互いに多としてもいいのではないか、ようやくここまで来たんだなというふうな思いがいたすわけであります。

 以上、申し上げて、賛成討論といたします。(拍手)

五十嵐委員長 次に、菅川洋君。

菅川委員 国民の生活が第一・きづなを代表し、ただいま議題となりました特例公債法案及び修正案に反対の立場から討論をいたします。

 この法案は、国の財政運営を行っていく上で最も重要な法案でもあり、また特例公債法案の成否が日本経済に影響を及ぼす、このことから、早期成立が必要なものではあります。しかし、提出されている法案の内容を見ますと、なかなか賛成するには至りません。

 前回の、直前の通常国会で強引に採決を行った内容と一字一句修正がない内容がそのまま出てきて、そしてさらに、急に修正が行われたかと思えば、その内容には、平成二十七年度まで特例公債法案の審議なしに赤字国債を発行できるものへと、それこそ歴史的にも大きな方向転換を行っております。この大きな方向転換を、民主、自民、公明の三党のみの協議で決定をしており、国会での審議は、きょう、今行われた二時間の審議のみ、それで今、採決がなされようとしております。

 日本の景気が悪くなっている中、特例公債の議論を先送りし、そして景気対策の話よりも消費税増税の議論を延々として行い、そして、日本も世界も、今、景気の先行きが非常に不安定化している状況で、来年、消費税増税ができる環境が本当に整うのかどうか、それも疑問が生じてきている中、この増税が実行できるかどうかわからない部分が出てきている中で、この増税を当てにした内容をそのままにしている。また、複数年度の特例公債発行、これは、憲法と財政法に定められた財政原則を逸脱していると思われ、また、国会での毎年のチェック機能を奪う内容にもなっているものであります。そのことについて、ほとんど審議がなされておりません。

 以上の理由から、反対討論とさせていただきます。(拍手)

五十嵐委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 私は、公明党を代表して、特例公債法案に対する民主、自民、公明三党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。

 第一には、合意、修正案では、今後編成される補正予算において政策的経費を含む歳出の見直しを行うこととし、具体的には、既存の予算を見直して減額補正する旨が規定されている点は率直に評価します。

 ばらまきのマニフェストを初め、水膨れの歳出構造になっている予算の見直しは不可欠であり、この点が法的にも担保されました。解散・総選挙により国民の信任を得た新政権が速やかに補正予算の中で見直しを行うことを期待します。

 第二には、予算と特例公債法案の一体処理に関する新たなルールとして、平成二十七年度までの間、特例公債の発行を認めることとした点です。

 我が国財政の健全化が内外における緊急の課題であり、また、当分の間、特例公債を発行せざるを得ない財政状況であることに鑑みれば、特例公債法案の多年度化という手法は、国民生活の混乱を招くことなく予算との一体処理を行うための一つの方法であると考えます。

 また、歳入面で、多年度にわたり歳入を確保するための法律を定めることは、税法と同様に、必ずしも憲法八十六条に定める予算の単年度主義の趣旨に反することではありません。

 しかし、そもそも財政法の理念からすると、特例公債の発行は、あくまでも建設公債の原則の法律上の例外として、単年度に限定することによって財政規律を重んじる姿勢を示すことであったと認識しています。

 さらに、立法府の立場からすれば、毎年度の予算審議に際し、財政法上の特例措置である特例公債の発行が国会のチェックを受けることなく素通りすることは財政規律を緩めるとの懸念が出てくるのは当然です。

 よって、今般の措置については、あくまでも時限的な特例中の特例であることを深く認識しなければなりません。

 その上で、政府は、本修正によって財政規律が緩むことのないよう、今以上に厳格に予算の編成作業に取り組むべきであります。また、プライマリーバランスについて、平成二十七年度までに赤字の対GDP比を平成二十二年度の水準から半減し、平成三十二年度までに黒字化する目標について、その実現に万全を尽くすため、中長期の財政健全化計画を立案し、速やかに法制化を行い、国会に提出することが不可欠と考えます。

 一方、国会としても、毎年度の予算案あるいは決算等を通じて厳しくチェックしていくとともに、中長期の財政健全化法案の成立に尽力すべきです。

 私は、本修正案が持つ本質的な意義は、行政府と立法府が一体となって取り組まなければならない財政健全化という、まさに国を挙げた難事業、イバラの道に向けて一致して踏み出す覚悟を共有することであると申し上げ、私の討論を終わります。

 以上です。(拍手)

五十嵐委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表し、公債特例法案及び修正案に対し、反対の討論を行います。

 野田内閣は、さきの通常国会で廃案となったものと同じ内容の法案を提出したのでありますが、その後、民自公三党の合意によって重大な修正が加えられました。

 公債特例法案は予算と一体のものであります。野田内閣による今年度予算は、消費税増税を前提としており、さらに、年金の支給額の削減、子ども手当の削減など、社会保障の連続改悪を進めるものとなっております。国民の暮らしも経済も財政も破壊する道に踏み出すものであり、予算には賛成できませんし、この予算を支えるために多額の赤字国債を発行することは到底認めるわけにはいきません。

 議員立法による修正部分について言えば、昨日、民自公三党で確認書が交わされ、きょう初めて議員立法として提案されたのであります。やり方も乱暴でありますが、重大な問題点を含んでおります。

 修正案によると、平成二十四年度から平成二十七年度までの間の各年度の特例公債の発行を認める内容となっており、極めて重大であります。

 憲法第八十三条では、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定めております。どこから財力を調達するかも含めて、主権者である国民を代表する国会の議決に基づくものとしているのであります。

 憲法第八十六条は、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と規定しています。

 これを受けて、財政法第四条では、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」としているのであります。ただし、公共事業等のための公債発行と借入金だけは一定の条件のもとで認めるものとなっております。

 もともと、赤字の穴埋めに出す特例公債は、財政法第四条では認められておりません。公債特例法案として閣法を出して、その都度国会の承認を得るというのが原則であります。これは、財政規律を保つために最低限必要な措置であります。その限定を外して、四年間特例公債の発行を認めれば、財政規律の歯どめを完全に失うことになるのであります。

 予算内容が明らかでないのに、時の政権に赤字国債の発行を白紙委任してしまう。まさに赤字国債発行自由化法案と言わなければなりません。そうなれば、消費税増税前に、際限ない無駄遣いに道を開くことになります。これは、財政破綻の危険性をますます高めるだけであり、到底認められるものではありません。

 なお、民自公の三党合意に基づいて行われた、さきの内閣修正は、本年度分の基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げるための財源を当初案の交付国債から年金特例国債に変えるというものであります。そのような修正をしても、償還財源に消費税増税分を充てることに何ら変わりはありませんので、賛成できません。

 以上で反対討論とします。(拍手)

五十嵐委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

五十嵐委員長 これより採決に入ります。

 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、古本伸一郎君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

五十嵐委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

五十嵐委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

五十嵐委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、泉健太君外四名から、民主党・無所属クラブ・国民新党、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小野塚勝俊君。

小野塚委員 小野塚勝俊でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

 私たち財務金融委員にとりまして、大変重要な附帯決議でございます。

    財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 本委員会の修正により、政府は平成二十四年度から平成二十七年度にわたる特例公債の発行が可能となるが、これは成立した予算を円滑に執行することで、国民生活の安定を確保し、経済活動に混乱を招かないための時限的な措置である。政府は、この本委員会の修正の趣旨を踏まえ、いやしくも財政規律を緩め、特例公債の発行を野放図に認めることは一切ないよう財政運営を行うこと。特に、修正後の附則第二項の規定を遵守するものとすること。

 一 財政規律の維持、特例公債発行額の抑制は、財政民主主義に基づく国会、とりわけ予算議決に関する優越を有する本院の責務であり、権能であることを踏まえ、平成二十四年度から平成二十七年度までの特例公債の発行に当たっては、予算審議の中で、より慎重かつ丁寧な議論に臨むので、政府は、財政規律の維持の観点から、十分な説明責任を果たすこと。

 一 政府は、プライマリーバランスについて、平成二十七年度までにその赤字の対GDP比を平成二十二年度の水準から半減し、平成三十二年度までに黒字化する目標について、その実現に向けて万全を尽くすため、中長期の財政健全化への道筋について、法制化を含め検討すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

五十嵐委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

五十嵐委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣城島光力君。

城島国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

五十嵐委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

五十嵐委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

五十嵐委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四十六分散会


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