衆議院

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第11号 平成26年5月9日(金曜日)

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平成二十六年五月九日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 林田  彪君

   理事 伊東 良孝君 理事 越智 隆雄君

   理事 菅原 一秀君 理事 寺田  稔君

   理事 御法川信英君 理事 古本伸一郎君

   理事 桜内 文城君 理事 竹内  譲君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      安藤  裕君    小倉 將信君

      小田原 潔君    鬼木  誠君

      金田 勝年君    神田 憲次君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      田野瀬太道君    田畑  毅君

      竹下  亘君    竹本 直一君

      中山 展宏君    葉梨 康弘君

      藤井比早之君    牧島かれん君

      松本 洋平君    山田 賢司君

      安住  淳君    武正 公一君

      前原 誠司君    鷲尾英一郎君

      坂元 大輔君    田沼 隆志君

      三木 圭恵君    三宅  博君

      山之内 毅君    上田  勇君

      岡本 三成君    大熊 利昭君

      佐々木憲昭君    鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   財務副大臣        古川 禎久君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構担当室長)     小野  尚君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          黒木 理恵君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  桑原 茂裕君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          三井 秀範君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西山 圭太君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            松永  明君

   参考人

   (日本銀行理事)     門間 一夫君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     青山 周平君

  田沼 隆志君     三宅  博君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     赤枝 恒雄君

  三宅  博君     田沼 隆志君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     田野瀬太道君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)

 保険業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)


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     ――――◇―――――

林田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び保険業法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事門間一夫君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府地域経済活性化支援機構担当室長小野尚君、消費者委員会事務局長黒木理恵君、金融庁総務企画局長桑原茂裕君、総務企画局総括審議官三井秀範君、監督局長細溝清史君、経済産業省大臣官房審議官西山圭太君、中小企業庁事業環境部長松永明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小倉將信君。

小倉委員 おはようございます。自由民主党の小倉將信です。

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案並びに保険業法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 このたびの金融商品取引法の改正案は、千五百兆円に上ると言われております個人の金融資産を成長マネーに振り向けるための施策であると理解しております。

 日本経済の弱点は、欧米と比べて、リスクマネーが少なくて、新陳代謝が悪いこととも言われております。今回の金商法の改正によりまして、ベンチャーが小口で資金を集めることができるクラウドファンディングの拡充及び上場前でも資金調達しやすくする新たな非上場株式の取引制度を創設したことは、創業間もない優秀な企業が多額の資金調達によって飛躍的にビジネスを拡大させ、ひいては国内の雇用拡大に貢献する選択肢の一つをふやすことにもなりますので、経済の好循環を実現していくアベノミクス、こういったものを金融面からサポートするすばらしい施策であるというふうに私は思っております。

 ただ一方で、クラウドファンディングによる小口投資が日本に根づくのは時間がかかるでしょうし、未公開株の売買を促進しようにも、投資家保護との兼ね合いで、無制限にこれを緩和するわけにはいきません。今回、上場要件が緩和をされるとはいえ、IPOも駆け出しの企業にとってはまだまだコストが大き過ぎると言えます。

 お配りしております資料一をごらんください。比較的社齢の若いフェイスブックがアメリカでワッツアップというこれまたベンチャー企業を百九十億ドルで買収したのは記憶に新しいことと言えますが、アメリカでは、ベンチャー企業のエグジットは、もはやIPOよりもMアンドAが主流になっております。

 個人投資家から新しい企業へと成長マネーを還流させるのも重要ではありますが、大企業から新しい企業へとBツーBで成長マネーを還流させるためにも、もう少し積極的にこのMアンドAが活用される環境を日本で整えていくべきだと思っておりますが、この点につきまして、金融庁並びに経産省のお考えをお伺いしたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、米国におきましては、ベンチャー企業の出口として、IPOだけではなく、大企業によるMアンドAなども含む多様なものとなっているものと承知しております。

 他方、我が国では、ベンチャー企業の出口として、IPOを目指す傾向が強いという指摘がなされているところでございます。

 成長マネーを還流させるという観点からは、ベンチャー企業の出口につきましては、MアンドAも含め、多様な選択肢が確保されていることが望ましいものと考えております。

西山政府参考人 引き続きまして、お答え申し上げます。

 米国との比較につきましては今金融庁から御答弁のあったところでございますけれども、企業の成長戦略という観点からも、ベンチャーの大企業によるMアンドAというのは意義があるというふうに考えております。

 これは、ベンチャーにとりましては、本格的な事業の立ち上げ、すなわちグローバルな販売の展開あるいは生産の立ち上げという観点から、あるいは大企業にとっても、新しい企業を外から自在に取り込むというオープンイノベーションの観点からも、適切であるというふうに考えております。

 我が省といたしましても、今年度から、産業競争力強化法に基づきますベンチャー投資促進税制というものを措置しておりますが、これは、まさに先生御指摘の、大企業、事業会社が積極的にベンチャー企業に投資ができるように、いわばその入り口として、事業会社がベンチャーファンドに出資をする場合について税制上の優遇措置を講ずるということを開始しております。

 こうしたことを通じまして、ベンチャー企業と大企業、事業会社のMアンドAなどの事業連携、資本連携が進むことを期待しております。

小倉委員 それぞれ前向きな御答弁ありがとうございました。

 日本経済にとってMアンドAを促進することは、また別な大きな意義があると私は感じております。

 日本企業が今後抱える大きな課題の一つに、経営者の高齢化に伴う事業承継の問題がございます。年をとった経営者が親族や長年会社を支えてきたいわゆる番頭のような存在に事業を託す場合に事業承継税制が既に用意をされておりますが、事業を託す親族や番頭がいない場合は、事業そのものを第三者に譲渡するしか選択肢はありません。その際の有効な手段が、MアンドAだと思っております。

 しかし、昨今のMアンドA支援策を見ると、大企業やベンチャー向けが中心でありまして、地方の中小企業同士が買収、合併するような場合への支援が手薄のように感じております。また、利幅の低いこのようなMアンドAを仲介するプレーヤーが民間で少ないのも事実であります。

 事業承継を加速させるようなMアンドAの支援策があれば、この点についてもお話をお聞かせ願いたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業のMアンドAを支援する方策でございます。

 これまでも、中小企業庁は、中小企業、小規模事業者のMアンドA活用を促進するために、平成二十三年より、事業引き継ぎに関する相談に対しまして、事業引継ぎ相談窓口を全国四十七都道府県に設置しております。また、専門家により個別のMアンドA案件を成約まで支援いたします事業引継ぎ支援センター、こちらを全国十三カ所に設置したところでございます。

 委員が御指摘ございましたように、経営者の高齢化の中、今後一層、全国の中小企業、小規模事業者の事業引き継ぎに関するニーズが増大していくと考えておりまして、今申し上げました取り組みに加えまして、MアンドA支援を充実させていくこととしております。

 第一に、全国五百十四の商工会議所、千六百七十九の商工会、二万一千百七十四の経営革新等認定支援機関、これらを活用いたしまして、全国各地から事業引き継ぎに関する情報を収集することによりまして、各地に埋もれていました潜在的なニーズにきめ細かく対応してまいります。

 第二といたしまして、さきの臨時国会で成立いたしました産業競争力強化法に基づきまして、地域をまたがります広域的なMアンドAマッチングの強化等を図ってまいります。具体的には、中小企業基盤整備機構に四月一日より全国本部を設置いたしまして、全国から寄せられた案件をデータベース化いたしまして、事業引継ぎ支援センター等と連携して効率的なマッチングを実施していきます。

 こうした取り組みによりまして、中小企業、小規模事業者のMアンドAの支援にしっかりと対応してまいります。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 十年以内に中小企業の約半数、百八十万社が経営交代の適齢期を迎えるというふうに言われております。年間に直しても十八万社になります。MアンドA促進を含めて、早急に事業承継の体制を国が一丸となって整えていかなければ、企業を通じて日本社会に蓄積された貴重な無形財産が、その企業の解散に伴って霧散してしまうということにもなりかねません。異次元の素早い対応をお願いしたいと思います。

 さて、日本経済において金融が果たすべき役割を考えたときに、その前提として、日本という国家がどのように生計を立てていくべきかを明確にしていかなければならないと思います。

 日本は、貿易立国として長らく輸出で生計を立ててまいりましたが、これからも、産業振興策として輸出には力を入れていかなければならないと思います。

 しかし、中国を初めとする新興国が技術をキャッチアップしていく中で、また日本自体も人口減少で労働力が減っていく中で、貿易収支の黒字は確実に減少してまいります。日本はこの先、いやが応でも、成熟した債権国家として、所得収支の黒字で貿易収支の赤字を補う国家運営に方向転換せざるを得ないと思います。さきの自民党の政権公約の中で、貿易立国と投資立国の双発エンジン、これを目指すと記されていたのもそういうことだと私は理解しております。

 国内の保険市場が縮小していく中で、海外の保険市場も取り込んでいくための今回の保険業法の改正、すなわち保険会社の海外展開に関する規制緩和もその一環だと私は認識しております。

 そこで、御紹介したいのが、お手元の資料二、ちょっと細かい記事で恐縮ですけれども、日本経済新聞の「経済教室」の記事であります。ここでは、日本の国家運営の特徴をアメリカと比較いたしております。

 日本は債権国というふうに言われておりますが、その国のバランスシートを見ると、負債、資産のバランスの規模が非常に小さくて、その収益率も低い。日本は、お金を集めるのも、それを使うのも下手な国家だというふうに言えます。

 一方で、アメリカは、債務国、借金をしている国であるにもかかわらず、海外から資金を低利でたくさん集めて、それを効率的に運用しているので、その利ざやで国家として食べて生きている、非常に投資上手な国だというふうにも言えます。

 私は、何も日本がアメリカのようになるべきだとは申しません。日本の交易条件が悪化をして、もはや貿易で多くを望めなくなる中で、日本という国家ももう少し投資上手になるべきだと思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘のように、人口構造が変化して、生産人口が減って高齢化が進めば貿易収支が赤字になっていくのは当然の傾向なのであって、当たり前の話なんだと存じます。

 同時に、今言われましたように、所得収支という、海外に投資してあった分の配当だ、利息だ、そういった分が確実にふえております。見ましても、去年の十、十一で八千億程度だったものが、ことしは一兆三千億、一兆四千億、毎月そういった形になってきておりますので、形としては、今言われたように、所得収支の方がふえてくる。これまで対外純資産は世界一ですから、そういった意味では、そういった形になるのはこれまた当然なんだと思っております。

 同時に、円が高かった期間のこともありまして、海外の生産比率が高まっておりますし、また、今回円安になったからといって、企業は円が安くなった分だけ売り値を下げたかといえば、下げると今度はシェアがふえて別の貿易摩擦を起こしかねぬということを考えれば、価格は据え置いても売れる、これ以上シェアをふやす必要はない、したがって、そのまま据え置いて利益を上げるという方向に走れば、当然のこととして国内での利益、収入がふえることになる。

 そういった意味で、いろいろな形で形が従来とは変わってきておりまして、貿易立国なんというのはとうの昔の話で、今は一五%前後、貿易がGDPに占める比率はそれぐらいまで下がっておると思います。そういった意味では、今後、海外での競争力を高めていくということと同時に、GDPじゃなくて、所得でいえばGNI、グロス・ナショナル・インカムというような観点から、海外投資によってより高い収益を確保していくというようなことも重要な課題になってくることは確かな流れだと思っております。

 いずれにしても、日本の国内におけます、今、シェアで一七、八%になろうと思います製造業の生産力、そういった競争力を維持しつつ投資収益というのをさらに高めていくためには、国内における生産力の向上につながる、エネルギーの効率化につながる等々の設備投資をさらにしやすくする、また制度、規制、そういったものの緩和、改革というものを進めて経済の成長戦略を一層進めていくこと、日本がこれから後、世界の中で食っていく方法としては、そういった方向を十分に踏まえた上でやらないといかぬということになるんだと存じます。

小倉委員 大臣、どうもありがとうございました。

 金融がやるべきことは、まずお金を集めることなんじゃないかなと思っております。先日の財務金融委員会で公明党の竹内委員が指摘をされましたように、総合取引所構想も一つの方策だなというふうに思っておりまして、閣議決定されてからもう数年が経過をしているわけですから、経産省さんも重い腰を上げてやっていただけるように、金融庁の方からも働きかけていただきたいなというふうに思っております。

 最後に、国際金融についてお伺いをしたいと思います。

 中国では、いわゆる理財商品を通じて、銀行システムの外にバブルが発生をするシャドーバンキングの問題が懸案となっておりますが、この問題についてどのように考えているか、見ているのか、政府並びに日銀のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

麻生国務大臣 シャドーバンキング、実態は極めて不明瞭、それをつかんでいる人は多分中国でも誰もおられないんだと思いますけれども、地方の話が主になりますので各省においてのお話になりますので、中央の政府がそれを全部捕捉しているかというのは、言っているほど捕捉しているとはとても思えない、私どもはそう思っているんです。

 いずれにしても、預金金利の上限というのが定められている中で、投資家がより高い利回りというものを求めて理財商品を購入するのはよくある話ですが、その際、もし仮にそれがうまくいかなくてデフォルトしました、財政が破綻をしましたというときの救済措置がとられるんですかと言われれば、いかにもとられるかのごとき話が今いっていますから、簡単に言えばモラルハザード、そんな言葉が中国にあるかどうか知りませんよ、我々からはそう見えるんですが、そういった構造的な問題があると思っています。

 他方、市場関係者、投資家とかは、日本、アメリカもそうですけれども、そういったところから見ると、このシャドーバンキングの中のほとんどの話は中国国内の投資家の話であって、それに投資している外国の方はほとんどというぐらいにおられませんので、それからいくと、レバレッジがかかっていないというところもあるんですが、もし仮に破綻したということになった場合の影響というのは、少なくとも対外的にこちらに直接かかわってくる影響というのはかなり限定されているのではないか。

 そうした中で、とにかくこの問題については、これは実態が十分把握されておりませんので、私どもとしては、今後とも、情報はいろいろ収集をしていますけれども、人によってこれだけ言う話が違う話も珍しいので、引き続き高い関心を持って見てまいりたいと思っております。

門間参考人 中国におきまして、信託商品や理財商品、いわゆるシャドーバンキングと言われる金融商品の一部におきまして実際に支払いの困難になったものが出ているといったこととか、公募社債の一部で債務不履行が生じているということを認識しております。しかし、これらはあくまでも個別の事例にとどまっておりまして、市場全体への影響はこれまでのところ限定的なものだと認識しております。

 また、中国の当局は、金融システム全体に問題が広がることを回避するという姿勢を強調しておりまして、そのためにも、例えば預金保険制度を含めセーフティーネットを構築するといったような方針を進めております。

 いずれにいたしましても、そうした中国当局の対応とか市場の動向につきましては、今後とも注意をして見てまいりたいと考えております。

小倉委員 時間が来たのでここで質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、リーマン・ショックのときも、サブプライムローンの延滞率が高まったときに、金融技術の発達に伴ってリスクと銀行の健全性が切り離されている、銀行の自己資本比率も健全だから大丈夫だというふうに長らく専門家が指摘をしてきて、結果として、世界は過去経験したことのないような金融危機に遭遇をしたわけでございます。

 大臣御指摘のように、中国の金融システムというのは謎に多く包まれておりますので、引き続き注視をしていただきたいなと思います。

 それと同時に、紹介できなかったんですけれども、お配りした資料三のグラフを見れば、明らかに中国は、日本が経験したバブルと同じような状況だと思います。債務と雇用と設備投資の三つの過剰を抱えている状態が今の中国経済。ですから、このシャドーバンキングの問題がうまく退治できたとしても、また別な形で中国を金融危機が襲って、それに伴って世界が、また景気が大きく落ち込むということも可能性としては否定し得ないと思います。

 バブルの発生とその崩壊の経験を一番持っているのは日本だと思っておりますので、私が最後に申し上げたいのは、中国というのは、自国の利益になるような分野だったら飛びつくと思います。先月は、環境大臣会合が行われました。環境大臣会合になると、公害の問題がありますので、必ず中国は出てきます。中国との間でさまざまな問題が横たわっているのは事実だと思いますけれども、ただ、中国経済がメルトダウンしてしまえば確実に日本も大きな影響を受けますから、金融協力という形でぜひ日本が大人の対応をして、教えられるところはしっかりと教えていただきたいなということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

林田委員長 次に、岡本三成君。

岡本委員 公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私の持ち時間は十五分ですので、本日は、日本で初めて解禁をされますクラウドファンディングに絞りまして質問させていただきたいと思います。

 まず、クラウドファンディングは、これから新規に事業を始めようとされる方、成長企業等で資金を必要とされている方と、それに対して資金を提供したいという個人の方をインターネットを通じて結びつけていこうというマッチングの考え方なんだと理解をしておりますけれども、全体的な日本の成長を考えたときに大切な取り組みであるというふうに思う一方で、一人の投資金額の上限を五十万円に決めていることからわかるように、大変にリスクの高い投資でもあります。

 その意味におきまして、活用がどれぐらい見込まれるのかということに対して不安の声もありますけれども、まず初めに、今回のクラウドファンディング解禁の目的と、活用に関しまして今後どのような予想をされているかということを伺えればと思います。

福岡大臣政務官 我が国において、起業、新規ビジネスの創出が重要な課題とされておりますが、事業者が技術やアイデアを事業化するためのリスクマネーの供給を一層促進していく上で、投資型クラウドファンディングは有力な方策であるというふうに考えております。

 今回の制度整備におきましては、投資型クラウドファンディングの担い手となる仲介業者の参入要件の緩和を図るとともに、投資家保護のためのルール整備を行うこととしております。

 具体的に御質問がありましたように、仲介業者がどれぐらい参入をして、ベンチャー企業がどの程度資金調達できるかについては確たることを申し上げることは困難でございますが、多くの事業者が参入し、投資型クラウドファンディングの利用が促進されることを期待しております。

岡本委員 今回のクラウドファンディングはいわゆる投資型でありまして、寄附でもありませんし、物を購入するわけでもありません。その意味で、投資なわけですから、投資家はリターンを期待いたします。そう考えたときに、まず、金融庁、政府としてこのリターンをどう考えているかということをお伺いしたいんです。

 例えば、国債への投資であれば多分ローリスク・ローリターンです。上場株式であればミドルリスク・ミドルリターンかもしれませんけれども、このリスクとリターンをどのようなバランスで考えていらっしゃるかという質問に加えまして、先ほどの質問にもありましたように、投資家から考えたときの資金の回収、エグジット、もしかしたら株式の上場かもしれません、MアンドAかもしれませんけれども、今回のこのクラウドファンディングでマッチングをされた企業の最も可能性の高い五年後、十年後の姿をどのように予想されているか教えてください。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、投資型クラウドファンディングを通じまして非上場企業に投資をした場合には、上場会社に対して投資をする場合と比較いたしますと、将来その企業が上場するなどによって大きなリターンを得ることができる可能性がある一方で、その企業が倒産してしまうリスク、また取得した株式等が換金できないリスク等も高いものと考えております。

 また、投資型クラウドファンディングで調達を行った企業の将来でございますけれども、例えば成功いたしますと上場する、それからMアンドAにより他の企業に合併されるというようなケースもございますけれども、上場しないまま存続する、あるいは事業の目的を果たして清算される、倒産する、さまざまなケースが考えられます。

 いずれにしても、従来からの一般的なケースに照らしますと、上場にまで至る企業というのは一部に限られるものと考えております。このため、クラウドファンディングを通じた投資に当たりましては、投資家が、こうしたベンチャー企業に対する投資に特有のリスクを十分に理解して投資していただくということが重要だと考えております。

岡本委員 今おっしゃったことは、リスク、リターンでいいますと、ハイリスク・ローリターン、よくいってもハイリスク・ミドルリターンだということをおっしゃったように理解いたしました。

 つまり、なぜハイリスクかというと、これから始めるアイデア、新規の事業であって、未上場株、未上場企業であるからということ。なぜローリターンかというと、もともと、本当に将来の芽の、光の当たる可能性の高い企業であれば、もう既にプロのベンチャーキャピタリストが投資をしています。その方々に投資ができなかったような案件がこのクラウドファンディングでお金を集めることが想像されますので、その意味で、もう既に一歩後退している可能性が高いということと、将来的に投資家がそれを換金しようとしたときに、上場する可能性が高ければ株式として売却できますけれども、その可能性が低い、また成長企業ですので配当も多分されないということを考えますと回収の見込みも低いということで、私はハイリスク・ローリターンの投資だと思っているんです。

 そういう意味で、情報を徹底的に開示していく、投資家にわかった上で投資をしていただくことが重要だというふうに思っています。

 情報を開示するディスクロージャーは二つありまして、資金を調達する前の情報の開示と、資金を調達した後の情報の開示が大切だと思っているんですね。

 それで、私が仮にプロのベンチャーキャピタリストだとして、どういうふうにして投資を決めるかというと、たった二つのことで決めます。これは、もともとデューデリジェンスといったようなことは不可能です。どうしてかというと、その企業は、アイデアを勝負にこれから事業を始めますので、過去の業績がないんですね。トラックレコードがないんです。ですから、プロのベンチャーキャピタリストは何をするかというと、資金を集める経営者と面談をして、徹底的にその人を分析するんですね。どうしてかというと、その経営者が一流であれば、事業が何であっても、どの業界であっても、成功する可能性は物すごく高いです。ですから、その人に投資をするんですね。徹底的に面談します。そして、プラスアルファで、経営をどのようにしていくかという事業計画を見ます。事業計画が何であってもいいんです。プロの経営者であれば必ず成功させる。

 ただ、今回のクラウドファンディングの問題点は、その経営者を吟味する手法というのが担保されていないんですね。そのホームページ上に事業計画が載っていても、事業計画よりも大切なのは経営者の実績であり、経営者の熱意なんです。

 ですから、提案型の質問としてぜひお願いをしたいのは、仲介業者のホームページに、その資金を調達する方の経歴、学歴とか働いていた会社の名前だけではなくて、どういう仕事をして、どういう成功をして、どういうネットワークがあるのかという略歴を詳細に載せるということ。また、できれば、事業計画ではなくて、動画を映して、その経営者がホームページ上で自分の言葉で熱意を語って投資家から資金を調達する。人間が人を分析する力というのは物すごく高いですから、紙に書いたものでは判断できなくても、経営者の口を通して言ってもらうとその会社の将来性が分析できる可能性が高くなりますので、そういうことを約束できる調達者じゃなければ、発行者じゃなければこのクラウドファンディングが利用できないぐらいのことをぜひお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

桑原政府参考人 先生が今おっしゃいましたような、発行者の経営者の詳細な経歴を開示する、もしくは発行者である経営者がみずからの言葉で事業計画を語る様子を撮影した動画などをアップするということは、投資家の投資判断に非常に資するものと考えております。

 一方で、こうしたものを法令で一律に義務づけるということになりますと、発行者が投資型クラウドファンディングを利用した資金調達を敬遠する要因にもなりかねないということも懸念いたしております。

 そうした中で、今申しましたような手法が投資家の投資判断に資するものと考えられることは事実でございますので、仲介業者と発行者とが協議して積極的に提供する取り組みなどが自主的に進められるのであれば、これを歓迎いたしたいと考えております。

岡本委員 ぜひお願いいたします。

 続きまして、資金の提供が終わった後の情報開示について質問させていただきたいと思います。

 もしプロの投資家がベンチャーに投資をした後であれば、公認会計士の監査を受けまして、ちゃんとした財務諸表をつくらせまして、初めの事業の見通しに対して現状がどういう状況にあるのか、もしうまくいっていないのであれば今後の解決策をどのように考えているか、その投資をした株式の議決権を有効に活用しながらさまざま求めていきますけれども、言ってみれば、今回のクラウドファンディングの投資家はプロの投資家ではありませんので、どのようにしてその権利を行使していくかというすべについても御存じない方が多いのではないかと思います。

 したがいまして、発行者側に、さすがにオーディティングを受けろというようなことは難しいかもしれませんけれども、少なくとも、当初のビジネスプランに対して、定期的に、今どういう状況にあるのか、うまくいっていなければどのように改善していくのかということを、会社法で認められている財務諸表の開示以外にも求めるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

桑原政府参考人 まず、株式会社の場合でございます。株式会社である発行者が株式形態の投資型クラウドファンディングにより資金調達を行う場合は、今委員も御指摘になりましたけれども、会社法の規定に基づいて、資金調達後も、発行者から株主に対して財務諸表が継続的に提出される仕組みとなっております。

 一方で、発行者がファンド形態の投資型クラウドファンディングにより資金調達を行う場合は、法令上の義務づけはございません。ただ一方で、既存業者においては、投資家に対して、資金調達後において、プロジェクトレポートというものを開示している例が見られておるところでございます。

 私どもも、投資家が、投資型クラウドファンディングによって投資を行った後に、みずからが投資した事業の進捗状況などについて情報を得られるようにすることは、この制度の信頼性を高める観点から有益だと考えておりますので、こうした観点から、どのような仕組みが考えられるのか、今後検討してまいりたいと考えております。

岡本委員 本日、消費者委員会の方にもおいでをいただいておりますので、御質問を申し上げたいと思います。

 消費者委員会は二月の二十五日に、この法案に関しまして、金融庁に五項目の事項を要求されていらっしゃいます。今回のクラウドファンディング解禁法案全般に対する消費者委員会の方の御評価を伺いたいのと同時に、この意見書の中で、発行者や仲介業者が正確な情報提供を怠った場合には行政罰、刑事罰、損害賠償責任を盛り込むように要求されていらっしゃいますけれども、今回の法案ではそれが見送られております。そのことにつきましても、消費者委員会の方はどのようにお感じかということを御答弁いただければと思います。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者委員会が本年二月に発出しました意見においては、クラウドファンディングの仲介業者に対する規制、例えば参入規制、情報提供義務、新規事業への投資の特質の理解とその確認、勧誘規制に関して、金融庁に対し、投資者被害を防止するための適切な措置を講ずることを求めております。

 今回の金融商品取引法の改正案につきましては、消費者委員会が意見の中で指摘をいたしました点のうち、例えば仲介者に対するネットを通じた適切な情報提供の義務づけについても具体的な内容を内閣府令で規定することとされている等、投資者保護のための具体的な措置については政令及び内閣府令に委ねられている部分が多いというふうに認識をしております。

 また、御指摘のとおり、発行者に情報の正確性を確保する義務を課した上で、違反した者に対して刑事罰を科すという点でありますとか、発行者及び仲介者に違反行為があった場合の損害賠償責任を金融商品取引法において法定化するということについては、今回は盛り込まれていなかったものというふうに認識をしてございます。

 消費者委員会といたしましては、今後の国会における御審議や、あるいは金融庁における政令等の検討において消費者委員会の意見を十分に考慮していただき、投資者保護のためのセーフティーネットに十分に配慮された制度にしていただきたいというふうに考えてございます。そのことによって、悪質業者による被害が多発して新しい市場の信頼性を損なうことがない、また投資者が安心して取引に参加できる健全な市場となることを期待しております。

岡本委員 最後に、麻生大臣にお伺いいたします。

 今回のクラウドファンディングの法案は、起業の促進を進めたり、また眠ってしまったお金が、まさに民間資金の活用で、活用されるようにマッチングする大変意義深い法案だと思うんですけれども、一方で、さまざま、リスクも多くはらんだ法案であります。

 特に、法案成立後、政令や省令や業界の自主規制等で詳細な運用がなされるわけですけれども、この法案が当初目的としている趣旨を達成するためにも、情報開示の徹底等を含めたさまざまな規制が必要だというふうに思いますけれども、金融庁として、万全の措置をとられるために、一言御決意をお伺いできればと思います。

麻生国務大臣 岡本先生おっしゃるように、日本の場合、個人金融資産は約一千六百数十兆になっておると思いますが、そのうち現預金が八百兆を超える、こういったような個人金融資産の形態というのは世界では日本だけであります。

 普通はそのかなりの部分が投資という形で株式に回ったり債券に回ったりいろいろしているんですが、現預金がじいっとしておるわけですから、そのじいっとしたものが投資に回っていくというような形にするために、これまでの場合、私どもは、会社を始めるというと、岡本、俺は会社をやるから金貸してくれという人が多かったんですけれども、岡本、俺は会社をやるから投資しろという人はドイツとか日本では少ないんですね。アメリカとかイギリス、カナダ、オーストラリア、そっちの方は投資する人が多い。何が違うかといえば、金を貸している分には、金利さえ払ってもらえば会社は赤でもいいというわけです。こっちの場合、投資ということになりますと、会社が黒でない限りは、配当でしか金は返せませんから。

 そういった意味では、日本の場合は、形態として借金の方が多いというのが事実で、現実問題として、今、上場企業、非上場企業を全部足したって三割ぐらいしか法人税を納めておられぬという形になっている背景も、もとをただせばここまで戻ってくるんだと思いますので、私どもとしては、こういったお金がきちんと出てくるということはすごく大事なことだと思っておるんです。

 初めてですからね。証券会社にだまされた人もかなりいっぱいいますから、信用というのはどれぐらいありますかねと私らは正直思いますよ。あなたはそういうところにいたかどうか知らぬけれども、みんなそう思っているんですよ。眉に唾つけて、大丈夫かなと思って見ていますから。

 したがって、私どもは、まずは五十万円。少なくともそういった形で、これはしょせん役人がやった目で、我々が、そろそろこういったものもある、ああいったものもあるといろいろ言って議員でやったって、もっと悪い方に頭が回る人は世の中にいっぱいいますから、そういったのが裏をくぐってくるんですよ。

 その裏をくぐってきたときにやる。この間も、平成十七年、十八年、十九年、改正をずっとしてきておられますけれども、そういった形で、そのたびそのたび、その被害がわあっとなる前に改正をしていくという手間をかけて、こういった寝ていたお金が投資に回って活性化するという方向、なるべく傷少なくそういったところに行かせるためにまずはこれからスタートさせていただきますが、おっしゃるように、開示というのは最も大事なところだと思います。

 ただ、先ほど言われましたように、見る目がというけれども、それはプロが見たらわかるんですけれども、アマチュアが幾ら見てもだまされますから。投資する方もされる方も、両方ともここが勝負ですから、そういった意味では、駆け引きとか正面切っての真剣勝負というところは、今後、我々としては、最も注意深く見守り、かつ、これを育てないかぬと思って、きちんとやっていくようにしてまいりたいと考えております。

岡本委員 ぜひ、御決意のままの適切な運用をよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

林田委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。

 四十五分いただいておりますけれども、質問もございますので、早速入りたいと思います。

 まずは、投資型クラウドファンディングの利用促進についてでございます。

 投資型クラウドファンディングを促進するために、発行総額一億円未満、一人当たり投資額五十万円以下の株式購入のみを扱うことを要件とする第一種少額電子募集取扱業者を新設いたしまして、必要最低資本金を引き下げることとしております。この投資者保護が十分かどうかという観点からの質問であります。

 改正法案におきまして、ベンチャー企業の事業内容のチェックを取扱業者に義務づけておりますけれども、投資者がこれを確認するというのはなかなか困難じゃないかなというふうに思っております。例えば、目標金額を上回る資金提供の申し出があった場合、その対応は取扱業者に委ねられているということですけれども、本当にこれで適切な投資者保護が可能かどうか、まず、ここについて質問をしたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度整備におきましては、先生御指摘のとおり、少額の投資型クラウドファンディングのみを扱う業者につきましては、最低資本金を引き下げることとする一方で、発行者の事業内容に対するチェック等を適切に行うための業務管理体制を整備することを義務づけることといたしております。

 このため、仮に発行者の事業内容に係る情報提供に虚偽や誤りなどが明らかとなりますれば、クラウドファンディング業者は業務管理体制の整備義務違反に問われることとなります。すなわち、行政処分の対象となります。したがいまして、クラウドファンディング業者においては、発行者の事業内容に対するチェックをしっかりと行うインセンティブが一定程度は働くものと考えております。

 それから、後段で御指摘の、目標金額を上回る資金提供の申し出があった場合でございますけれども、今般の制度整備におきましては、業務管理体制の一環として、クラウドファンディング業者に対しまして、業務計画の性質に見合った目標募集額の設定について発行者と協議し、目標募集額に達しなかった場合には投資家へ資金を返還するなど、適切な決済手段を確保するための措置を講じていることを求める予定でございます。

 この点、仮に御指摘のような、反対に必要な目標募集額を応募額が超過した場合には、事業計画というのは基本的には目標募集額を前提として立てられることが多いということに鑑みますと、超過額については、応募してきた投資家に返還される方が望ましいと考えられる場合も少なからず存在するのではないかと思っております。

 こうしたことに鑑みまして、先ほど申しましたクラウドファンディング業者が整備すべき業務管理体制の一環として、応募額が目標募集額を超過した場合には投資家へ当該超過額を返還するなど、適切な投資家保護のための措置を講じていること等についても求めることを予定いたしております。

鷲尾委員 それでは、次の質問ですけれども、新たな非上場株式の取引制度ということで、日証協も自主規制を設けているわけでありますけれども、当該企業の役員、従業員、あるいは株主、取引先等のステークホルダーを対象にいたしまして証券会社が非上場株式の投資勧誘を可能とし、当該取引をインサイダー規制の適用除外としております。この点、公正な投資環境が維持できるかという観点から質問をさせていただきたいと思います。

 当該企業から財・サービスの提供を受けている者もステークホルダーに含まれます。したがって、インサイダー取引適用除外の対象者が際限なく広がっていくのではないかということも考えられるわけです。この点が一点。

 それから、当然にして、これは開かれた市場と呼べない。あえてそういう規制をしているわけですから開かれた市場とは呼べず、限定されたメンバーによる不公正な取引の温床となるかならないかというのは大事な観点だと思っております。例えば、それこそ内々のメンバーですから、事業承継などに係って納税義務を回避する手段、脱法とまでは言いませんけれども、お互いが顔見知りであるがゆえにそういったことが行われやすい温床にもなりかねないと思いますけれども、この点はどうお考えでしょうか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず前提といたしまして、現在の法制のもとにおきまして、非上場株式についてはインサイダー取引規制の適用対象外とされているところでございます。

 それで、今般創設される新たな非上場株式の取引制度につきましては、先ほどから先生御指摘のとおり、証券会社が投資勧誘を行い得る範囲を、銘柄ごとに組成される投資グループのメンバーに限定される仕組みとする予定でございます。この投資グループへの加入につきましては、あくまでも投資家からの自己申告を基本といたしておりまして、証券会社が電話、訪問により積極的な勧誘を行うことは基本的に認めないこととする予定でございます。

 また、取得した有価証券につきましては、原則として一年以上保有していただくということも投資家に求めることとする予定でございます。

 したがいまして、御指摘のような、投資グループのメンバーが無制限に拡大するような事態はなかなか想定されず、当該企業の有価証券の流通性は一定程度に制限されるのではないかと考えております。

 また、限定されたメンバーによる不公正取引の温床にならないかという問題意識についてでございますけれども、非上場企業の役員などが当該企業の株式の売買に当たって不正の手段を用いるなどした場合には、金商法における一般的な不公正取引規制に違反することとなり得るところでございます。

 また、先ほどちょっと言い漏らしましたけれども、投資グループへの加入に当たりましては、新たな非上場株式の取引制度の特性、すなわち、インサイダー取引規制の適用対象ではないこと、それから上場企業のような情報開示もなされないことなどについて、証券会社が投資家の納得、承認を得ることとする予定でございます。

 そういうことで、投資家の納得を得た上で、こういう制度を運用していきたいと考えております。

鷲尾委員 投資型クラウドファンディングで一つ聞き漏れがあったので、質問を一つ追加したいと思うんです。

 今回、投資型クラウドファンディング業者の自主規制機関の未加入者に対しては、自主規制機関にそもそも加入している業者が極めて少ないわけですけれども、自主規制並みの社内規則の作成等が義務づけられることもあると聞いております。その実効性が本当にどうなのかなと正直思っております。

 ですから、要するに自主規制機関に加入していなければという形で義務づけられているわけですけれども、それがなかなか実効性のある規制にならなかった場合、やはり、今後、適時それは見直さなきゃいけないというふうに思うんですけれども、この点をちょっとさっき聞き漏らしたので、改めて質問したいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、投資型クラウドファンディングが適正に行われるためには、自主規制ルールによる規律づけも重要な要素の一つであると私どもも考えております。

 こうした中、今回の金融商品取引法の改正案では、金商業者が協会に加入していない場合に、協会規則並みの社内規則を整備し、それを遵守するための体制が整備されていない場合については、新たに登録拒否事由として規定することといたしております。

 そうした中で実効性が本当に担保されるのかという御質問でございますけれども、こういう制度といたしますと、自主規制並みの社内規則を整備し、また、それを適切に運用する体制を独自に構築するということは、一般的には自主規制機関へ加入することに比べますと容易なことではないと考えられます。そういう観点から、自主規制機関に加入するインセンティブがこの制度によって働くものと期待しております。

 金融庁といたしましては、今回の改正に盛り込みました規定を的確に運用することで、投資型クラウドファンディング業者を含む金融商品取引業者の協会への加入が進むことを期待しているところでございます。

鷲尾委員 ぜひまた今後も、実効性があるかどうかというところを見続けていただきたいというふうに思います。

 続きまして、金融指標に係る規制の導入も今般されておりまして、LIBOR問題を踏まえまして、TIBORについても、特定金融指標算出者を指定しまして、一定の規律づけを行うこととしております。

 算出者は当事者たる全銀協でありまして、また、報告する金利も、実際に融資を行う際の金利ではなく、想定金利であるわけですね。この点は、問題があるかどうか、どうお考えですか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問は、まず算出者の主体がどうであるかという問題と、呈示されるものが想定金利、それについてどう考えるかという二点であったと考えております。

 まず、算出者の問題でございますけれども、金融指標に係る規制につきましては、国際的な取り組みが進展いたしております。IOSCOと申しておりますけれども、証券監督者国際機構、ここで金融指標に関する原則というものが策定されておりまして、この内容に沿った規制とすることが適当だと考えております。

 今回の法案におきましては、指標の算出者に対しましてIOSCO原則に沿った内容の業務規程の作成、遵守を義務づける、それから、その中で独立した監督機能の整備、また利益相反の管理などを求めることといたしております。

 そうした中、先ほど御指摘のありましたTIBORでございますけれども、本年四月一日より、算出、公表の主体が、従来は全銀協でありましたけれども、全銀協の子会社である全銀協TIBOR運営機関に移管されまして、その上で、TIBOR算出の基礎となる呈示データの内容も、外部の者により構成される監視委員会により監視されることとされております。

 それから次に、想定金利についての問題でございますけれども、TIBORの場合、報告する金利は、プライムバンク間の取引を想定した場合に市場実勢とみなしたレート、いわゆる想定金利でございますけれども、先ほど御紹介いたしましたIOSCO原則におきましても、指標の決定が実取引データのみに基づくことまでは求められていないところでございます。

 こうした中、呈示データの規律を図ることは私どもも重要と考えておりますので、この法案の中におきましては、算出者に対しては、業務規程の中で、指標決定に使用するデータの十分性の確保、算出方針の公表などを義務づけるとともに、呈示者である銀行等に対しては、算出者が策定する行動規範の遵守を義務づけ、その中で呈示データに関する記録保持などを求めることといたしております。

 これらの措置によって、指標の信頼性、透明性の確保が図られるものと考えております。

鷲尾委員 それでは、続きまして、新規上場に伴う内部統制報告書に係る監査義務、これにつきましては企業規模に応じまして免除するという規定がございます。

 そもそも、新規上場に伴う内部統制報告書に係る監査義務というのは、よほど負担になっているから上場の阻害要因になっているという認識であられると思いますけれども、従前の企業上場のあり方と比べて実のところどうなのかというところをお聞かせいただきたいと思います。

桑原政府参考人 新規上場企業における内部統制報告書に係る監査の負担の実態でございます。

 内部統制報告書の監査は、先生御案内のとおり、財務諸表監査と一体として行われておりますために、内部統制監査に係る監査報酬だけの数字というものは必ずしも把握することは困難でございますけれども、監査法人からのヒアリングによりますと、年間監査報酬総額の二〇%程度が内部統制監査に係るものと聞いております。

 一方で、年間監査報酬総額の方でございますけれども、新興市場、具体的にはマザーズとかジャスダック等でございますけれども、これの上場企業の平均では約二千五百万程度とされておりますことから、その二〇%の額を、三年分かかる、もしくは免除するといたしますと、一社当たり約千五百万程度の負担軽減になるものと想定されます。

 こうした中、内部統制報告に係る監査負担が新規上場をちゅうちょさせている、それのみではもちろんございませんけれども、一要因になっているのではないかというような御指摘もあったことから、今回、三年間の免除を選択できるような措置を御提案させていただいている次第でございます。

鷲尾委員 というのは、監査のリスクというところでいきますと、大企業であれば、全部を見ることはできませんから、内部統制組織に依拠してやらなければいけない。ですから、内部統制組織については、かなり多くの時間を割いて監査を行っていくと思います。一方で、では小さい企業はどうかというと、大きな企業ほど内部統制組織がしっかりしている分、小さい企業というのは余りしっかりしていないんです、だからその分ちゃんと見なきゃいけないという意識があるわけです。

 では、その内部統制報告書だけ義務を免除するというのは、今聞いたら一千五百万、それも今おっしゃったとおり一つの障害になり得るのかもしれませんけれども、ちょっと論点としてはちっちゃいものなのかなと私はどうも思ってしまうんです。

 大臣にうなずいていただいたので、ぜひコメントをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、鷲尾先生、意見がいろいろ分かれたところです、正直なところを言って。

 ですから、極端なことを言えば、新規上場というのは、小さいところは今一円でできるわけです。だから、そういった意味では、千五百万というのは結構な値段じゃないのという話で、三年間と切らせていただいたのはそういう背景なので、これはおっしゃっている意味はよくわかるところです。

鷲尾委員 これは、実際には、免除規定の会社の規模について内閣府令で詳細をつくり込むとしているんです。大企業については、今ほど申し上げたとおり、内部統制組織に依拠するところが大ですから、一定規模以上は必ず依拠しなければいけないので内部統制報告書も義務づけると。この考え方はそうだと思うんですけれども、この基準を内閣府令に落とし込むという話になっています。

 でも、この企業規模というのはすごく大事な話で、大臣がおっしゃったように一円、二円という話じゃなくて、やはりそこそこ大きければ当然にしてそれは監査義務は必要、これを内閣府令ですよと言われてしまうと、実際どういうものを想定しているのかということをちゃんとこの委員会で答弁していただかなきゃいけないと思いますが、いかがですか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、前提といたしまして、今回の改正では、新規上場企業は、三年間、内部統制報告書に係る監査の免除を任意で選択することができるわけでございますけれども、そうした新規上場企業であっても、その規模に照らしまして、市場への影響や社会的、経済的影響が大きいと考えられる企業につきましては、内部統制が適切に機能していることを特に厳格にチェックする必要があることから、当該内部統制報告書の監査義務を免除しないということといたしております。

 そこで、先ほどから御指摘のように、その基準でございますけれども、法案においては、資本の額その他の経営の規模が内閣府令で定める基準に達しない上場企業等といたしております。

 その具体的基準につきましては、現在のところ、内閣府令におきまして、資本金百億円以上または負債総額千億円以上の企業とすることを想定いたしております。

鷲尾委員 大臣、どうでしょうか。でか過ぎませんか。新規上場して、それこそ、資本金百億とか負債総額一千億とかというのはないですよ。まあ、そうないです。いや、あるかもしれないけれども、そうないです。つまり、事実上、オールオーケーということだと思うんですね。

 それで、任意に監査を求めることは当然妨げられないというのは今ほど総務企画局長からの答弁でもあったとおりですけれども、任意で求めて実際に監査を受けているというところはどれぐらいあるんでしょうか。

桑原政府参考人 まず、上場企業であれば監査を受けることを義務づけられておりますので、任意でということでありますと、非上場会社ということになります。

 非上場会社であって有価証券報告書を提出している企業、それは平成二十五年末の時点で四百七十五社でございます。そういう非上場会社であっても有価証券報告書を提出している会社につきましては、内部統制報告書を任意で提出することができるという制度になっております。そこで、このうち、任意で監査を受けて内部統制報告書を提出した企業、これは平成二十五年末時点で十三社ございます。

鷲尾委員 そんなに多くないんですね、任意でやるというのは。やはり私は、そういう意味では義務づけがどうしても必要だし、さっき言った基準ではちょっと大き過ぎるんじゃないかなと思いますので、その点は再度御検討いただきたいというふうに思います。

 これは、内部統制に依拠しないからいいんだということではなくて、上場後も、投資家としては、その企業から出てくるレポート、財務諸表というのは本当に適正なものなのかどうなのかというのは、当然、関心事であります。もちろん財務諸表については会計士が監査報告書を出すわけですけれども、内部統制についても、新規の上場企業であればあるほど、不安定であるからこそ、やはり投資家のニーズは高いと私は思います。

 免除するわけですから、ほとんどの企業は免除規定を使えるということになるわけですから、その点は、例えば証券取引所の審査等を強化するとか、そういった方法も考えられると思いますけれども、金融庁としては、監督を補強する方法としてどういうものを考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 内部統制報告書に係る監査免除を選択した企業につきましては、先ほどから御指摘がございますように、内部統制報告制度の適切な運営の確保を図るために、まずは、財務局の証券監査官が財務諸表と内部統制報告書を取り寄せて、毎年、レビューを行うことを考えております。

 次に、新規上場の場合、上場相談ということがまず前段でございますけれども、その際に、財務局の証券監査官から上場予定企業に対しまして、公認会計士による内部統制報告書の監査を受けないことを選択する場合には、企業がみずから全責任を持って内部統制報告書の適切性を確保しなければならないということについての理解を確かめることを考えております。

 さらに、仮に決算の監査で限定意見というふうな状況になった場合には、三年間の途中であっても、内部統制報告書の監査の免除を受けられないこととすることを考えております。

鷲尾委員 財務省証券監査官のレビューだということですね。(桑原政府参考人「財務局です」と呼ぶ)財務局ね、失礼しました。財務局の証券監査官のレビューだと。それを受けるのであれば、コスト的にはかかるかもしれないけれども公認会計士監査を受けた方がいいんじゃないかなという気はします、正直言って。その人員とかは本当にどうしていくんだろうなという別の問題もあるわけですが。

 ぜひ、大臣、そこはひとつ考えていただきたい、基準とともに考えていただきたいと思うんです。大臣、一言だけいただけますか。

麻生国務大臣 これは、先生、いわゆる人件費等々の問題だとは思いますけれども、今おっしゃったように、そういったものの方が投資側に立てばより安心感があるとかいうことも考えないかぬところだと思うので、検討させていただきます。

鷲尾委員 続きまして、上場企業の資金調達の円滑化でございますが、有価証券報告書上の虚偽記載、これは流通市場においては無過失責任を過失責任にしますよと。これはこれでいいと思うんですけれども、行政罰の厳格化というのもあってしかるべきじゃないかなというふうに思います。

 やはり、そういう行政罰の厳格化というのもあわせて実効性を高めていくという視点も大事かと思いますが、この点はいかがですか。

麻生国務大臣 これは、全ての上場企業につきまして開示義務というものが全うされる必要があるんじゃないかというのはまことにごもっともなお話なんだと思っておりますし、また、これを担保する方策の一つとして、いわゆる虚偽記載というのに関する罰則の厳格化というのも重要じゃないかという点も御指摘のとおりだと思います。

 これにあわせて、これまでも、平成十六年に有価証券発行時に係る課徴金制度を導入して以降、流通時への課徴金制度の拡充が十七年、刑事罰の引き上げが十八年、課徴金の引き上げが平成二十年というぐあいに、これまでも違法行為抑止のために厳格化を確実に行ってきたところだと思っております。

 こういうのが起きないでいくのが一番いいんですけれども、何となく、やはりそういうことを考える人がおられますものですから、なかなか厳しくなってきたところだと思います。

 金融庁といたしましては、違法行為というものを抑止して、金融商品取引市場の公正公平というものを確保するために、これは他の罰則ともちょっと比較をしなきゃいけません、ここだけ飛び抜けるわけにもいきませんので、他の罰則との比較というものを考慮しつつ、必要に応じて適切な措置というものは今後とも講じてまいりたいと考えております。

鷲尾委員 大臣、ありがとうございます。

 会社法が今衆議院を通過しまして、これから参議院の審議だと認識しておりますけれども、改めて、会社法ではこの改正で、従来の監査役設置会社と委員会設置会社の間に、監査等委員会設置会社というのができる予定です。

 この監査等委員会設置会社の監査等委員というのは、社外取締役でオーケーだということなんです。実は、従来の監査役設置会社よりもやはりガバナンスを高めていきましょう、委員会設置会社まではなかなか難しいけれども、企業が導入しやすいようにという形で監査等委員会設置会社というのを今回つくるわけです。

 監査役設置会社は、実は社外監査役を最低でも二人選ばなきゃいけないということです。ただ、東京証券取引所の規制といたしまして、社外取締役を一名義務づけるという規制になっています。そうすると、社外の役員さんが三名ということになります。ところが、この監査等委員会設置会社は、監査等委員に社外取締役を二人任命すれば足りるということになっています。つまり、社外の役員さんが、監査役設置会社では三人なんですが、監査等委員会設置会社では二名になるわけですね。

 私は、これはガバナンスのあり方として、この会社法改正というのをどう受けとめていくかというのはすごく大事なことだと思っていまして、先ほどの行政罰の強化の観点もありますけれども、今般の改正を受けて、やはり金融庁としてもガバナンス総体として考えていかなきゃいけないですから、そういった点で、大臣の御見識というのを伺いたいというふうに思っております。

麻生国務大臣 これは鷲尾先生はよく御存じなんだと思うんですが、これは会社法ですからね、正直言って、ここの管轄しているところではありません。したがって、基本的にはこれは法務省の所管の話ですので、本気で聞かれるんだったら法務省を呼ばれて聞かれた方がよろしいと思うんですが、その上で、議員の御指摘のような考え方があるというのも私もよくわかるところなんです。

 今度新設される監査等委員会設置会社というものに関しましては、監査等委員会を設置する、監査等委員という委員が代表取締役等の指名とか報酬について意見陳述権を有するということになります。今までは、取締役じゃありませんから。代表取締役に対する監査機能が強化されているんだ、私どもはそう承知をしております。

 したがいまして、単純に社外役員の人数だけを比較して、劣るという見方ではないんじゃないか。この点は、今までは単なる監査ですけれども、今度は取締役で入ってきますので。

 そういった意味では、ちょっとこれ以上コメントするのはいかがなものかと思うので差し控えさせていただきますけれども、コーポレートガバナンスの強化という意味の重要性というのは十分に認識をいたしておりますし、こういったような形で小口のものがいっぱい出てくれば、特にそういったところに目を光らせておかなきゃいかぬというところだと思いますので、所管事項に関しましては、私どもとしても、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 ぜひ麻生大臣の意見も聞きたかったということで、お許しをいただきたいと思います。法務委員会では、実は質問させていただきました。

 それで、続きましての質問ですが、ちょっと時間もなくなりつつあるんですが、開示制度につきまして、金商法と会社法、二つの開示制度がございます。

 この金商法と会社法では、ほとんど金商法の開示規定が会社法の開示規定を上回る形で規定をされています。その二つの開示規制があるがゆえに二つの監査報告書が出るという形になっておりまして、同じ決算なんですけれども二つの監査報告書があって、間に後発事象が発生してしまって、それをどう表記するのかというところまで、さまざまな問題が実務上出てきております。

 金融庁としては、これを一元化していく方向性は考えるべきだと思いますが、簡単にコメントをお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘がありましたように、会社法のいわゆる計算書類と金商法の有価証券報告書というものにつきましては、簡単に言えば、日付は異なるんだけれども二種類の報告書が作成されておりますので、これは経費としても手間暇かかる話ですから、一元化する方がそういった意味では望ましいんじゃないかという御指摘があるのはよく承知をしております。

 ただし、会社法と金商法では、これは制度の趣旨やら目的が全く異なるということに加えまして、例えば金商法では会社法の監査には必要がないキャッシュフローの計算書というものが監査の対象となっているなど、一定の差があることも確かでありますし、直ちに一元化するというのは少々困難な面もあると考えております。

 他方、両制度を幅広く、いわゆる開示制度全体として捉える視点というものも極めて重要なのではないかというように考えておりますので、例えば、三月に、金商法における単体財務諸表につきましては、合理的な範囲で会社法にそろえる旨の見直しを行ったところでもありまして、今後とも可能な範囲でこうした見直しは継続をしてまいりたいと考えております。

鷲尾委員 それでは、保険業法の質問に移らせていただきたいと思います。

 この法案では意向把握義務、情報提供義務が導入されておりますけれども、規制の詳細は、別途、内閣府令、監督指針等において定められるとのことです。意向把握プロセスの例示がなされたとしても、継続的に業界との議論が行われまして、実態に即した対応が求められることが望ましいと思っております。

 特に情報提供義務でありますけれども、その際に書面交付ですとか顧客側同意の署名などの具体的な方法というのが示されていないものですから、そういった点もあわせて不十分ではないかという認識でおりますので、御答弁いただきたいと思います。

桑原政府参考人 先生御指摘のとおり、情報提供義務、それから意向把握義務は、今回の保険業法の改正において新たに導入させていただくことを考えております。

 その詳細につきましては内閣府令、監督指針などにおいて定めることとされておりますが、今先生がおっしゃいましたように、これらの具体的な内容をどういうふうなものとするかということにつきましては、保険業界を含めた関係者との意見交換を緊密に行う、それから、取り扱う商品や募集形態の実態に即した規制となるような、そういう適切な把握に努めた上で内容の具体化に当たっていきたいと考えております。

鷲尾委員 その具体化なんですけれども、どの程度の内容を想定されているのかとか、正確な判断を行うのに必要な事項を示す、これはどういう事項を示すということなのかとか、やはりこういうのは、今、それこそかなり大まかな規定しかなされていませんから、利用者利便のこともありますので、継続的にそういった点を業界なり利用者なりとも懇談をしながら進めていかなきゃいけないと思うんです。

 そういった具体性の関係と今後の議論をどうしていくおつもりなのかという点をお願いしたいと思います。

桑原政府参考人 失礼いたしました。

 例えば、先ほど先生がおっしゃった情報提供義務の具体的な内容、その詳細でございますけれども、現在、まず保険募集に当たりまして顧客に対して行われる情報提供といたしましては、監督指針に基づきまして、保険料等の商品情報を記載した契約概要というものの交付などを求めておるところでございます。

 それで、法改正後でございますけれども、先ほど申しましたように、業界等とも緊密な意見交換をしながらということではございますが、まず、今の監督指針で書かれている保険料等の商品情報を記載した契約概要の交付、これを法律上の義務とするとともに、現在の監督指針では対象とされていない、例えば比較推奨販売を行う場合には、比較可能な商品の一覧を提示するでございますとか、特定の商品の推奨を行う際の理由を説明するということですとか、さらには、乗り合い代理店はあくまでも保険会社側の代理店であるという自己の立場の明示、そういうものを求めていくことを考えております。

鷲尾委員 というのは、最も簡単な事例でいきますと、例えば、海外旅行に行きます、そこで空港で損害保険に入りましょうとなったときに、何か一律にすごい説明義務が課されて説明するなんということになると、当然、急いでいる人たちもいるでしょうし、やはり利用者利便という観点もどうしても私は必要になると思うんです。ですから、その点も鑑みる必要があるんじゃないかと私は思っているんですね。

 その点だけ申し上げるだけ申し上げておいて、ちょっと時間がないので、続いての質問に移りたいと思います。

 保険は目に見えない商品で、どんな場合にどんな種類の保険金が支払われるのかというのが実は利用者の方もわかっておられないケースも間々あろうかと思います。いろいろ約款とかもあって、実はこんな場合にお金が出たんだとか、利用者の方が後で気づくケースというのもあると思うんです。それがまた、過去においても、保険金の支払い漏れになったり、意図した内容と違ったというクレームも多いと聞いております。

 今回の改正を通じて、やはり業界とのコミュニケーションの中でそういった点も改善されていくべきだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 今おっしゃいましたように、昨今の保険募集の現場におきましては、保険商品の複雑化が進む中、過去において、保険金の支払い漏れですとか、意図した内容とは違うといったクレームなども発生していたものと承知しております。

 今般の改正でございますけれども、先ほどから御議論がございますように、積極的な顧客対応を求める募集規制として、意向把握義務ですとか情報提供義務を導入することといたしております。こうしたものを導入することによって、例えば、顧客がみずからの意図した内容と違う保険に加入するといった事態は従来に比べては減殺することが可能であると考えております。そうしたものをより実効あらしめるために、関係業界等と緊密な意見交換を行っていきたいと考えております。

鷲尾委員 残り三分になりましたので、ちょっと二問は、恐縮です、通告させていただいたんですが、これは飛ばさせていただいて。

 最後に、大臣に、保険業法と違うんですけれども、ビールの話を、消費税が増税されたものですから。いわゆる二重課税の問題というのは従来から言われてございます、もちろんビールだけじゃないんですけれども。要するに、ビールにかかる税金にさらに消費税がかかってしまっているという二重課税の問題です。

 これは、過去の経緯を調べましたら、恐らく当局としては違うと言うんでしょうけれども、消費税が導入された当初は、三%ですね、やはり二重課税分をうまく減税をされていたわけですね。ところが、税率がその後上がったときは、いわゆる二重課税分の減税というのがない状態なんです。

 これから、八%から一〇%という形で消費税が上がってまいります。上がってまいりますと、やはりその二重課税分の負担も随分大きくなっていくであろうと思うんです。国際的に見てもやはりビールの税金というのは大変高いわけですから、そういった点も考慮しながら税制のあり方を考えていっていただきたいなと思うんですが、大臣、最後にここを御答弁いただけますか。

麻生国務大臣 酒税と消費税の関係という話ですけれども、これはヨーロッパが特にそうですけれども、いわゆる付加価値税の課税標準というのには個別間接税も含まれているということで、国際的に確立したある程度共通のルールということに今なっております。

 したがって、この点に関して今何らかの見直しを行うことは考えていないんですが、ただ、御指摘とは別の論点ですけれども、酒税につきましては、いわゆる発泡性酒類という、ビールとか発泡酒とかその他いろいろな酒があって、難しいのがいろいろありますでしょう。ああいった分野の税負担の格差というのがありまして、これはちょっと縮小すべきじゃないかという意見は正直言ってあります。

 ちなみに、酒税というのは今一兆三千億を超えていると思いますが、そのうちの六千六百億ぐらいが多分ビールになっていると思うんです。そういった意味で、昨年の与党の税制改正大綱におきましても、税負担の公平性の観点とか厳しい財政状況とか財政物資としての酒類の位置づけということを踏まえまして、これは、類似する酒類間の税負担の格差というものを縮小する方向で見直してまいりたいと思っております。

鷲尾委員 大臣、ぜひよろしくお願いします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

林田委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。

 私には二十五分の時間をいただいておりますので、早速、まずは金商法の改正に関して伺ってまいりたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 具体的に、この金商法改正が成立した場合に、特に投資型クラウドファンディングについて起こり得るケースというものを想定して、ちょっと伺ってまいりたいというふうに思います。

 まず、非常に具体的な質問になりますが、株式形態の投資型クラウドファンディングを利用した未公開企業投資において、企業側には有価証券通知書の提出は義務づけられることになるのでしょうか、お答えをお願いいたします。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 金融商品取引法上、五十名以上の一般投資家に勧誘を行う場合で、有価証券の発行総額が一千万円超一億円未満の場合には、先ほど先生がおっしゃいました有価証券通知書の提出が義務づけられております。

 そこで、投資型クラウドファンディングを利用した資金調達でございますけれども、これはインターネットにより、広く五十名以上の一般投資家に勧誘が行われることとなりますので、有価証券の発行総額が一千万円超であれば有価証券通知書の提出が必要となります。なお、クラウドファンディングの場合は一億円未満ということになっておりますので、そういう意味で、一千万円超であれば有価証券通知書の提出が必要ということでございます。

坂元委員 ありがとうございます。

 つまり、一千万円を超える場合は有価証券通知書の提出が義務づけられるという形になるわけですね。

 事前のレクの中で、これはそんなに企業側にとっては負担ではありませんというようなお話もあったんですけれども、実際にこの業界にいらっしゃる方に伺うと、相応の負担ではありますというふうな声もいただいております。

 次の質問ともかかわってくるんですけれども、当然、最低限のさまざまな書類の提出であったり負担というものは求めていかないといけないんですけれども、今回の改正案に財政基盤に関する特例措置というものは幾つか用意されているんですけれども、そういった企業側の負担に関して、書類であったり手続であったりという部分の措置がもうちょっと必要なんじゃないかなというふうに私は思っております。

 例えば、今回、一億円というふうに仮定した場合、最低二百人程度の株主が生まれることになるわけですけれども、その株主の管理コストというものもいろいろな部分でかかってくるわけなんですね。一億円というのは結構な金額ではありますけれども、それに対して最低二百人株主が発生するというところで、そういったコストを考えると、新規参入をちゅうちょする事業者も出てくるんじゃないかというふうに考えております。

 そういったできるだけの負担軽減というのは必要なんじゃないかなというふうに思うんですが、この点について、金融庁としての御見解はいかがでしょうか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどから先生御指摘の発行者の負担軽減、それは重要な課題だと私どもも認識しております。一方で、投資家保護、これも重要な課題だと認識しております。そうした中でどうバランスをとっていくかということが、このクラウドファンディングの制度設計に当たって求められているのではないかと考えております。

 それで、投資型クラウドファンディングのそもそものコンセプトでございますけれども、新規・成長企業と投資家をインターネット経由で結びつけて、多数の投資者から少額ずつ資金を集める仕組みという特性を備えるものだと私どもは考えております。

 そういう観点からいたしますと、先ほどから御指摘ございますように、特に株式型の場合には、株主数が増加して、発行者における株主管理コストがかさむおそれも考えられるところでございます。一方で、例えば株券を不発行とするですとか、株式に議決権制限や譲渡制限を付すといったような実務上の工夫を図ることによって株式管理コストの問題も一定程度は軽減される、もしくは解消されるのではないかと考えておるところでございます。

 私どもといたしましては、発行者にとっての負担軽減、利便性の向上、一方では投資家保護を両にらみしつつ、先ほど申しましたような実務上の工夫などが定着して、株式形態の投資型クラウドファンディングの利用が促進されることを期待しておる次第でございます。

坂元委員 ありがとうございます。

 先ほど麻生大臣からも御答弁がありましたとおり、これは初めての試みですので、正直やってみないとわからないというか、実際どういうことが起こってくるのか、どういう部分が課題になるのかというのはわからない部分もたくさんあると思いますので、今御答弁いただいたように、一旦この制度でやってみて、不都合であったり、もしくはここの部分が課題だということが出てくれば不断の見直しをしていくべきなのではないかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続いての質問になりますが、これも具体的に想定できるケースかなというふうに思うんですけれども、インターネットは国境を越えるというのが大きな特徴でありますので、海外の悪質な事業者または詐欺グループなどがこのクラウドファンディングを利用した場合、誤って送金してしまうと被害の回復というのが大変難しくなってくるのではないかなというふうに考えます。

 投資者に対する十分な注意喚起とともに、具体的に起こった場合に海外当局との連携というのも大きな課題になってくるかというふうに思いますが、この点に関して金融庁はどのようにお考えでしょうか。

岡田副大臣 お答えいたします。

 金融庁におきましては、これまでも、海外業者も含め登録業者については、投資者の保護の上で重大な問題が認められた場合には、行政処分等を行って、その旨を公表し、無登録業者に対しては警告書を発出するとともに、業者名等を公表することで投資家に対する注意喚起を行ってきたところです。

 さらに、詐欺的な投資勧誘等による被害拡大を防止する観点から、関係省庁や業界団体とも連携しつつ、広く一般投資家向けの注意喚起を行ってきたところであります。

 また、委員御指摘のような国境をまたがる事案に対応するため、海外当局に対して、一つには、海外業者の業務の実態等に関する情報収集、提供を依頼する、二つ目には、我が国において判明した海外業者の法令違反行為等について情報提供を行うなど、証券取引等監視委員会とともに、海外当局との機動的な連携を図ってきたところです。

 今後とも、クラウドファンディング業者も含め、国境をまたがる悪質な投資勧誘事案等による投資被害の拡大を防止するため、投資家に対する注意喚起や海外当局との機動的な連携に一層努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

坂元委員 御答弁ありがとうございます。

 海外当局との連携に関しては、ぜひともお願いしたいというふうに思います。

 投資家に対する情報の開示という点ですけれども、先ほど岡本委員からも御指摘がありましたとおり、今回の投資型クラウドファンディングの大きな特徴として、間にプロがかまないというところがあります。

 つまり、情報の開示にしても、これまでは何らかの形で投資会社なり証券会社なりそういったプロの方もチェックをしてきたわけなんですけれども、今回の投資型クラウドファンディングの場合は、基本的には投資者個人がチェックをしないといけないという状況になってくるわけで、表示側としても、どういうふうに表示をするか、しかもインターネット、ウエブサイト上になりますので、どういった情報の表示の仕方をするかというのも大変大事になってくるのではないかなというふうに思っております。

 同じ観点から、具体的に想定されるケースとして、仲介者のウエブサイト上にこれまでの寄附型、購入型に加えて投資型のコンテンツが併存するというか、仲介者のウエブサイトの中でその三つが並ぶというか表示される場合も考えられるのではないかというふうに思うわけなんですけれども、これは下手をすると利用者の誤解を招きかねないのかなと懸念しております。

 この投資型クラウドファンディングに関して、利用者の誤認を招かない表示の徹底について、金融庁としてはどのようにしていこうというふうにお考えでしょうか。お願いいたします。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員ただいま御指摘のように、同じ仲介者のウエブサイト上に投資型と寄附型、購入型のコンテンツが併存することも十分考えられるところでございます。

 このため、私どもといたしましては、クラウドファンディング業者に対しまして、投資型のクラウドファンディングを取り扱う場合には、その投資案件が投資型クラウドファンディングであることをウエブサイト上でわかりやすく表示することを義務づける方向で考えているところでございます。

坂元委員 細かい点まで決めるのはなかなか難しい部分はありますので、実際の運用のところでしっかりとチェックというか、利用者にとってわかりやすい表示をぜひともお願いしたいというふうに思っております。

 続いての質問ですが、先ほど少し申し上げたように、今回のクラウドファンディングの大きな特徴として、未公開企業投資なんですけれども、投資家が企業へ資金を直接投資する形になるわけです。つまり、繰り返しになりますけれども、プロがかまない、基本的には関与しないという形になる、この点が大きな特徴であり懸念点であるというふうに私は思うんです。

 そこで、みずほ事件もまだ記憶に新しい、反社会的勢力とのかかわりについてであります。

 プロがかまない、つまりプロのチェックがなかなか行き届かない中で、投資先の未公開企業が反社会的勢力とかかわりがないというふうに、個人の投資家がウエブサイトをチェックしたところで果たしてチェックができるのかというところ、これを私は非常に心配しておるわけなんですけれども、この点に関しての御見解をぜひともお願いいたします。

岡田副大臣 お答えいたします。

 反社会的勢力による資金調達の排除を図る観点からは、クラウドファンディング業者に対して、資金調達を行う企業のチェックを義務づけることが必要と考えております。

 具体的には、クラウドファンディング業者に対して、発行者と契約を締結する前に発行者が反社会的勢力でないことの確認をすること、発行者と締結する契約の中に反社会的勢力の排除条項を盛り込むこととしており、仮に発行者が反社会的勢力であることが判明した際には投資勧誘を中止すること等を義務づけることが適切と考えており、今後、自主規制機関とも連携しつつ、検討を進めてまいりたいと考えております。

坂元委員 そのとおりだと私も思うんですけれども、実際に、仲介業者のチェックという部分で、今回、私、この質問に伴って業界の方ともいろいろなお話をさせていただきましたが、今いわゆるベンチャーキャピタルを運用しておられるような方々というのは、正直、この新たな投資型クラウドファンディングは余り魅力を感じておられないのが実態ではないかというふうに思います。つまり、もうけが少ないからというところなんですけれども。

 仲介業者が独自にチェックを行っていくというのは非常に難しいんじゃないかなというふうに思いますので、いわゆる業界のプロの方々を仲介業者の中に確保していくことであるとか、そういった人的な面での手当てというか措置というのもある程度必要になってくるのではないかというふうに思います。

 プラス、仲介者に対して体制整備を求めていくということに加えて、やはり発行者に対しても、例えば重要な事実の不開示であったり虚偽開示等があった場合は厳しく責任を問う仕組みをつくっていくべきだと思いますし、発行者側の責任をしっかりと規定して問うていくというのも大変大事な観点かというふうに思っておりますが、この点に関して御見解をよろしくお願いいたします。

岡田副大臣 今回の制度整備におきましては、発行者に対して直接開示義務を課すものではないため、発行者の虚偽開示等に関する罰則は設けておりません。

 しかしながら、議員も御指摘のように、今回の制度整備においては、仲介者であるクラウドファンディング業者に対し、発行者の事業計画の実在性等のチェック等を適切に行うための業務管理体制の整備を求めるとともに、ウエブサイト上で発行者に関する情報を適切に閲覧できるようにすることを義務づけることで、発行者に関する適切な情報提供が行われることを確保することとしております。

 なお、仮に発行者が投資型クラウドファンディングを悪用して詐欺的な資金調達を行ったことが刑法上の詐欺罪を構成する場合には、当然、罰則の対象となるものと考えております。

 以上です。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

坂元委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、これは本当に初めての試みですので、一旦この制度、仕組みでやってみて、トラブルであったり課題が発生した場合は即座に、不断に見直していくべきなのかなというふうに思っておりますので、ぜひともよろしくお願いをいたします。

 続いての質問ですが、今回の金商法の改正とは直接的にはかかわっておりませんが、私の意見として、これは金商法でカバーすべきだという観点から、ビットコインについてお伺いをさせていただきます。

 三月、ビットコインは通貨に該当しない、有価証券にも当たらないというふうに閣議決定がなされました。このことによって、消極的ではあるんですけれども、ビットコインというものは単なる物というふうに定義をされた形に今実際なっております。このことによって、現行法上の規制がない、言うなれば無法地帯になっている、どの法律、どの省庁も管轄外だというふうになってしまっている。

 ただ、大臣が以前の記者会見でしたか、あんなものはいずれ破綻すると思っていたというような御発言もありましたけれども、今回実際に破綻をしたのは取扱業者であって、ビットコインそのものではありません。ビットコインはいまだに日本にも流通をしている形になりますので、今現在無法地帯となってしまっていることに関して、大臣の御見解をぜひとも伺えればと思います。

麻生国務大臣 これは、坂元先生、今御指摘がありましたように、三月でしたか、閣議決定をさせていただいて、ビットコインというものは、民法上または外為法上の通貨、または金融商品取引法上の有価証券には該当しないという旨を答弁させていただいた答弁書を提出いたしております。

 ビットコインにつきましては、現在、関係省庁で連携を図りつつ、これは、事件になれば警察とか、どういうところになるかよくわからぬというのが実態であろうと思いますので、実態把握に努めているところなんですが、仮に必要であれば、政府としては対応を検討せざるを得ないということになっていこうと思っておるんです。これに関する規制を設けるべきかということにつきましては、まずは実態把握とか諸外国の動静とか、いろいろなことを考えないかぬところだと思っておるんです。

 これはいろいろなものがありまして、外国に送ってもいわゆる銀行の手数料が要らないとか、いろいろな有利な点があるから使われるわけですから、そういった意味で、規制を課すのが適当かどうかとか、また何らかの規制を課す必要があるとするならばどの観点からやるんですかと。その点をちょっと考えなきゃいかぬところで、検討することにしております。

 まずは実態把握に努めねばならぬというところで、現実問題として、その方向から入っているのが現状であります。

坂元委員 実態把握に努めつつ、何かあった場合は対応していくという御答弁でありましたが、実際、現実は動いていっております。ビットコインの購入と売却ができる専用の機械が五月、今月にも東京に設置されるかもしれないというふうに、これはアメリカのロボコインというベンチャー企業がつくったものなんですけれども、ちまたでは、これはビットコインATMなんという呼ばれ方をされ始めているわけなんです。まだ設置はされていないということなんですけれども、設置される予定というふうに伺っております。

 こういった形で現実が動いてきていますので、例えばこのビットコインATMへの対応というのは、これが起こった場合、どのように考えておられるのか、伺えればと思います。

麻生国務大臣 ビットコインATMとかいう形で一部写真入りで載ったりしておりましたので、そういう話は報道としては承知をしております。ですから、具体的な仕組みなどはまだ承知をしているわけではありません。

 ただ、一般論で申し上げれば、先ほど申し上げましたように、通貨じゃありませんということになっておりますので、金融商品取引法上の有価証券等にも該当しないということでありますので、その購入とか売却については、金融庁とか財務省が所管するところではないということになります。

 その意味では、先ほど申し上げた答弁の繰り返しになって恐縮ですけれども、実態把握にもう少し努めさせていただかないと、これ以上のことを申し上げられる状況にはございません。

坂元委員 ビットコインは仮想通貨というふうに言われるからややこしいんじゃないかなと私は思っておりまして、通貨ではないのは事実だと思います。ただ、実際に流通していて、決済手段であったり投資対象として使われているということで、やはり取扱業者や私設取引所に対する監督であるとか情報開示というのは絶対必要だというふうに考えております。

 私は、いろいろな面から、確かに大臣がさっきおっしゃったとおり、どの面からという点があるんですけれども、さっき申し上げた決済手段ということ、投資対象として使われているということを考えると、やはり金商法上の金融商品であるとか投資商品というものに指定をして、取扱業者を金商法の規制対象にしていくべきなんじゃないかというふうに考えておりますが、最後に、この点に関して、少しでも前向きな御答弁をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

麻生国務大臣 金商法によります規制を検討すべきじゃないかということを尋ねておられるんだと思いますが、先ほど申し上げましたように、この法律は、有価証券等を含めまして、何らかの権利に関する取引というものを対象としておる法律なんですが、ビットコインは通貨じゃないということになりますと、それ自体が何らかの権利を表現するものじゃないということなどに留意する必要があるんだと思っているんです。

 いずれにしても、今、各省庁が手分けしていろいろやっているんですけれども、その上で、今おっしゃいましたように、仮に、実態としてはもうこうなっておるぞというので、必要であるのであれば、政府としては具体的な対応を考えざるを得ぬということになるんだと存じます。

坂元委員 麻生大臣は副総理でもいらっしゃいますので、ぜひとも内閣として取り組んでいくということで、よろしくお願いをいたします。

 質問時間が終わりましたので、これにて質問を終了いたします。ありがとうございました。

林田委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 きょうは、保険業法の一部を改正する法律案についてまずお伺いをしたいと思います。

 我が国の保険料の総額は世界シェアの約一八%を占めていて、一人当たり約三千五百ドルと、世界トップと言われております。生命保険文化センターが実施した生命保険に関する全国実態調査によると、一世帯当たりの年間払込保険料は、個人年金保険の保険料を含みまして平均約四十一万六千円となっておりまして、日本では、保険は人生において住居購入に次ぐ大きな買い物と言われております。

 そもそも保険は、加入者から集めたお金を共有財産として加入者に再分配する相互扶助の仕組みでありますけれども、我が国では、国民の生活の過度な負担となっているのが現実でもございます。

 また、ほかの高額な商品や住宅ローン、投資信託等の購入に際しては、慎重に商品を検討したり、何社かの商品を比較したりするのが通常でございますけれども、事保険に関しましては、歴史的な背景もあり、いわゆるGNPと言われる営業手法による購入が中心であり、また、一九九六年の法改正までは比較検討を行う必要もなかったわけでございます。しかし、近年では、保険商品や保険会社も多種多様となりまして、成約者の意識も大きく変化してきたことから、保険購入においても比較検討を望む国民が増加しているわけでございます。

 各保険会社は、加入者の保険料の中に約二五%から四〇%の付加保険料を含ませていると言われておりますが、もちろん営利企業でございますからそれは当然なのですけれども、日本ではその料率が非開示となっております。米国の多くの州や英国またオーストラリアなどでは開示をされておりますけれども、我が国でも手数料を開示するべきとの意見が多く存在して、実際に手数料を開示している乗り合い保険会社などもございますけれども、この手数料を開示するべきとの意見に対してどのような見解をお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 諸外国での保険募集に関する手数料の開示のあり方ということにつきましては、いろいろあるんですが、顧客が依頼主になりますいわゆる保険仲立ち人、英語で言えばブローカーですな。ブローカーについては、仮に本人のブローカーが保険会社から手数料を受領している場合には依頼主である顧客との間で利益相反が生じますので、そういった意味では、開示義務を課している例が多いというのもあります。

 その一方で、保険会社から委託を受けております保険代理店、いわゆるエージェント、ニッセイのおばさん、わかりやすい例で言えばそうでしょう。ニッセイのおばさんについては、表示義務が課されていない例が多いということは御存じのとおりなんです。

 したがいまして、手数料の開示につきましては、金融審議会というところで、これは利益相反の問題が生じるという、いわゆる比較奨励販売に関して、昔、一人でニッセイしか売っていなかった人が、今、三つも四つもということになってきておりますので、比較奨励販売に関して議論が行われた結果、情報提供義務とか体制整備義務の整備によって、比較奨励販売のための一定の適切な体制整備というものが確保されているということは確かなので、その意味では、手数料開示を一律に義務づける必要はないということにされたのがその結果なんです。

 手数料を安易に言いますと、その分まけてよという話に必ずなるんですよ。これはなかなか難しい話になりまして、今のところ、審議会はそういう点を考慮してこの結論を出したんだと存じます。

三木委員 麻生大臣がおっしゃりたかったのは、多分ニッセイレディのことだと思うんですけれども。よろしくお願いいたします。

 手数料の開示は、今、麻生大臣がおっしゃったように、比較推奨の保険代理店が出てきて、なぜその保険を勧めるのかというところで、裏で、その保険の商品が保険募集人にとって手数料が高いんじゃないかという消費者の疑いが発するところから、手数料の開示を求める声が多分意見としてたくさんあるんだと思うんですね。

 手数料の話は一旦横に置かせていただきまして、今回の改正法案なんですけれども、消費者の意向把握義務であるとか保険会社の方の情報提供義務、それから保険募集人の指導事業とか帳簿書類に関する規定とか体制整備義務とか、いろいろな事務作業が割と量が多くて結構膨大になっていて、保険業法を改正するのはいいんだけれども、今後のスケジュール感とかが一体どうなっているのかというのが、実務をする保険会社のレベルの中ではちょっと心配されているようでございます。

 一般的な義務規定が定められるのみであって、実務的なルールに関しては監督指針で規定されるということ、一方、改正法成立から二年以内の施行となっているわけでございます。現場の代理店サイドにおいては監督指針に即した実務的対応を整える必要がございますので、改正法案の具体的な中身についての公表がいつぐらいになるのか、スケジュール感というか、そういうものが示されるのであればお答えをいただきたいなと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、情報提供義務、意向把握義務の詳細は、内閣府令や監督指針などにおいて定めることとされております。その際、これらの整備に当たりましては、保険業界を含めた関係者との意見交換を緊密に行って、取り扱う商品や募集形態の実態に即した規制とすることを考えております。

 そのスケジュールでございますけれども、先ほど御指摘にございましたように、改正法の施行日が、公布後二年以内の政令で定める日とされている趣旨も踏まえまして、保険募集の現場において十分な準備期間が確保されるタイミングで改正案を公表する、こういうことを目指しております。

三木委員 今の御答弁にもあったと思うんですけれども、緊密に連絡をとりながら、協議をしながらということでございますので、ぜひともそれは要望としてお伝えをさせていただきます。金融庁の方と保険業界の方で密にお話し合いをされてスケジュールを決めていただけたらなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。そして、一日も早く監督指針の方が示されるように要望をさせていただきます。

 次の質問に入らせていただきます。

 保険のことですので、今回の保険業法の改正とは直接関係はないんですけれども、関連で、保険商品を販売している代理店の規制を強化して、販売の再委託を禁止している、そういう監督指導を行っているんだということ、ことしの三月十八日からそういう指導が保険会社の方に入っているようでございます。

 保険代理店の使用人は、保険代理店から保険募集に関して適切な教育、管理、指導を受け、保険代理店の事務所に勤務し、かつ、保険代理店の指揮監督、命令のもとで保険募集を行う者と明示して、一定の例外を除いて保険の再委託は禁止されていることを徹底するという内容になっているのでございます。

 その監督指針が三月十八日に決定されて、保険会社の方に伝達されたということです。

 今、再委託というのは保険の中で禁止はされているんですけれども、つまり、今いろいろな保険募集人が保険会社で働いていて、特に乗り合い保険の会社で働いていて、その会社の再委託を受けて、要するに、社員じゃなくて、雇用とかそういう形態ではなくて働いている保険募集人の方がいらっしゃるわけですけれども、それが再委託になるんじゃないかということで禁止をされていて、それがそういうことにならないようにという指導が今、保険会社の方に通達として出されているわけでございますね。

 ここで問題となるのは、乗り合い保険会社の中ではいろいろな保険が売れるということが売りなんですけれども、生命保険の場合は、一社専属といって、個人で代理店をしている場合は一社しか保険が売れないんですね。ですので、乗り合い保険会社で保険募集人として登録していても、個人の代理店の場合は一社しか売れないということになるので、乗り合い保険会社に所属していても余り意味がない。雇用とか派遣とか出向とかそういう形の形態をとると、保険会社の方は雇用義務として社会保険を払わなきゃいけない、こういう問題が起きてきておりますので、つまり、保険募集人が一定の売り上げがないと雇用できないなという話になってくるわけですね。それが、三百万から四百万ぐらい売り上げ、手数料の稼ぎがないと、会社としては雇用できないなというような形に今なってきております。

 それで、結果、介護をしながらとか子育てをしながらとか、要するに勤務形態も自由なわけなので、週に一日ぐらい会社の方に顔を出して、二百万ぐらい売り上げがあったら自分としてはいいなと思っているような保険募集人が働けなくなるような状況になってきているんじゃないかということが今業界の中でちょっと心配されておりますので、そのことに関してどのような見解をお持ちか、まずお尋ねをいたします。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 保険募集に係る再委託につきましては、委員御指摘のとおり、一定の場合を除きまして禁止をされております。これは従来からそういう制度になっておりますが、平成十二年度の規制緩和要望で、保険代理店の使用人として派遣型社員も許容してほしいと。それまでは保険代理店との雇用関係を使用人要件としておりましたが、派遣型の社員も許容してほしいという要望があって、雇用関係を使用人要件から削除いたしました。

 そうしましたところ、一部の代理店で、第三者と形式的な委託契約の関係があることをもってその当該第三者に募集を行わせるといった形態が出現してまいりました。それにつきましては、昨年の金融審議会のワーキングでも、そうした形式的な関係にあるところで、代理店が適正な指導管理が行えず、適正な保険募集が行われないおそれがあるといった指摘もございました。そうしたことで、今回、法令に基づきまして委託型募集人についての適正化、明確化を行ったところでございます。

 ただ、その方策につきましては、例えば雇用とか派遣とか出向といった契約形態になるか、あるいは新たに個人代理店形態となるか、ないしは新たに法人代理店を設立してその役員または使用人となるか、ないしは新たに保険代理店をつくってもとの委託募集をしていた受け皿代理店と保険会社と三者契約をするかといった、いろいろな移行形態が考えられております。

 現在、保険会社や保険代理店において円滑かつ適正な移行に取り組んでいるところと承知しております。

三木委員 今、すごくうまく説明をしていただいたと思うんです。

 ですので、そういうことがあるから、個人で保険募集人として乗り合い保険代理店とかで、比較推奨販売の保険代理店で働いていた方は、多分、年間の売り上げが恐らく三百万から四百万ぐらい手数料として稼げないと、なかなか雇用もしてもらえないし、雇用や派遣や出向という形がとれないので、個人で、個人代理店として三者契約をすると一社しか保険が売れないということになって、そのすき間にいる、保険を売る女性とか老後の方とかリタイアされた方、少し売ろうかなとか、二百万ぐらいの手数料が入ったらいいかなとかいう方がちょっと働きづらくなっているんじゃないかという実態が今あるわけでございます。

 法規制をそちらに合わせてやっていくということで、保険業界全体がそちらの方に動いているということだと思いますので、それはそれで仕方がないことなのかなというふうには思うんですけれども、それを二〇一五年の三月末までに移行して全部やらなきゃいけないということで、一年間という期間じゃちょっと短過ぎるんじゃないかなというふうに感じているんですが、その点はいかがでしょうか。

細溝政府参考人 先ほど申し上げましたように、移行の形態としては、いろいろな形態がございます。代理店の正社員とならずにパートで採用されるといったような形態もございますし、法人の設立も、このごろは簡単な設立ができるようになっております。

 そうした意味で、仮に再委託に当たっているようなケースについては、契約者保護の観点から早期に是正される必要があるということでございまして、一年間、来年の三月といった期限を切ったわけでございます。

三木委員 恐らく十年以上、これを暗黙の了解として放置と言うと言葉は悪いですけれども、見過ごしてきた、目をつぶってきたと言う方が適正かもしれませんけれども、十年以上そうやって皆さん働いてこられてきているので、それを急に一年間で全部切りかえなさいというのはちょっと無理があるんじゃないかなというふうに私の方は感じておるんです。

 パートであっても雇用者の方には雇用保険の関係とかそういうものも発生してきますし、また、法人設立ということも簡単にできるというふうにおっしゃったんですけれども、一人の個人の法人を設立するというんじゃなくて、やはり二人以上の法人設立をしないと一社以上の保険会社と契約できないわけですから、そこら辺の指導というか助言というか、そういうものも適切に行っていただいて、一年間の中でなるべく多くの方が今の働き方をキープできるような仕組みを金融庁の方でも指導していただければなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

細溝政府参考人 現在、保険会社あるいは保険代理店におきまして、まずは委託型募集人の実態を把握し、その適正化に取り組んでおるというところでございまして、業界のそうした取り組みを今後とも支援してまいりたいと思っております。

三木委員 ここに新聞記事があるんですけれども、保険代理店の再委託をなぜ禁止するかという記事なんですね。そこは、「「乗り合い型」代理店では、募集人の出勤が月に数回などと少ない例が多く、商品知識を正確に持っていない疑いがあるという。また、募集人は契約数に応じて報酬を得ることが大半で、手数料が他社より高い会社の商品を優先して消費者に勧める恐れがある。」と。何点か、やはり再委託を禁止しなきゃいけないという要件がここに入っているんです。

 そこで、一番先の質問に戻るんですけれども、やはり手数料というのは開示した方がよいと思われませんか。

麻生国務大臣 三木先生、先ほどの答弁の繰り返しになると思うんですけれども、今おっしゃる点もわからぬわけではありませんけれども、それが相手にわかりますと、だからまけてという話に必ずなります。地方で売られたことがおありになるかどうか存じませんけれども、必ずそういうことになっていこうと存じますので、これはなかなか、弱い立場に追い込まれる方が大きいかなという危惧はあります。

三木委員 実は、消費者が手数料をまけてと言うことは余り聞いたことがありませんで、そういうことは多分、保険の枠組みの中でずっと一生払っていくものですので、ないかなと思うんですけれども。

 手数料を開示した方が、透明性も上がりますし、何となくすっきりと保険の商品も買えるんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 三木先生、それは開示していないからまけてと言われないだけであって、開示してあったらまけてと言う方が普通だ、私はそう思いますけれどもね。

三木委員 まける、まけないのお話になりまして、保険業法の方をきょう質問させていただいたんですけれども、私は、やはりどんなお商売にも透明性というものが一定確保されて、消費者の方が納得して商品を購入できるような仕組みというのを構築していくべきだというふうに考えております。

 時間が参りましたので、これにて質問を終了させていただきます。ありがとうございます。

林田委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最初に、クラウドファンディングの関係でございます。

 ネット等で散見されるんですが、いわゆるNPO等への寄附をうたったクラウドファンディング的なサービスをやっている業者のサイトを見ても、金商法の業者の番号ですか、こういったものが表示されていないので恐らく金商法の対象外なのかなというふうにもざっとお見受けしているんですけれども、この点について、どういうふうになっているのか教えていただければと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 金商法の対象となりますのは、インターネットを通じて資金を提供した者に対して金銭によるリターンの提供を行うファンド形態や株式形態の投資型クラウドファンディングでございます。

 先生がおっしゃいましたようなインターネットを通じて寄附を募るいわゆる寄附型のクラウドファンディング等につきましては金融商品取引法の対象外でございまして、今回の制度整備の対象ともいたしておりません。

大熊委員 そうしますと、本当は投資なんだけれども、寄附型であるというふうにしてしまうと抜け道になってしまうのではないかと思うんですが、いかがですか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の金商法改正の大きな眼目の一つは、投資家保護ということだと考えられます。その場合に、寄附型というふうにうたうということで、投資家が寄附として金銭を払い込むにもかかわらず、投資型ということで、金銭が戻ってくるということについては、なかなか考えにくいと申しますか、投資家保護という観点からは、必ずしもそういうものを想定して制度づくりをするということは、ちょっと考えにくいんじゃないかなと考えております。

大熊委員 いやいや、私が申し上げているのは、投資家への説明は、本当はこれはいろいろ戻ってくるんです、あなたの出してもらった元本というか寄附のお金は寄附で行っちゃうけれども、かわりに例えばどこかの株のオプションが来るとか、そういったことです。

 実はリターンがあるんですよ、でも形式は寄附なんですよということを要するに装う、そういうような悪徳的なことを想定しているんですが、いかがですか。

桑原政府参考人 失礼いたしました。

 そういう場合は、実体は投資型のクラウドファンディングということでございますので、本来登録が必要になります。そういう意味で、無登録営業ということで、取り締まりの対象となるということだと考えております。

大熊委員 どっちなのかよくわからないようなケースがインターネット等で見ると散見できますので、その点、しっかりと、現実に起こっていること、先ほどのビットコインじゃないですけれども、そういうようにならないような形でお願いしたいというふうに思って、次に行きたいんです。

 本当のといいますか、投資型クラウドファンディングについてなんです。

 先ほども議論にありました開示情報、一千万円以上の場合、有価証券通知書を出す義務があるんだというお話でございますが、一般的な上場会社の適時開示、いわゆる有報との比較におきまして、この通知書の中身、どのような点で開示が免除されているのか、主な点を教えていただければと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 投資型のクラウドファンディングを通じて企業が資金調達を行う場合には、仲介業者のウエブサイト上に役員の状況ですとか事業計画や資金使途などを掲載して、投資家が閲覧できる状態に置くこととする予定でございます。これらの情報につきましては、総額一億円以上の株式の募集を行う企業等が提出いたします有価証券届出書においても記載が求められているものでございます。

 先ほどの御質問は、継続的な開示が求められる有価証券報告書ということでございました。それについての比較で申しますと、例えば一例を申し上げますと、有価証券報告書の場合は、経理の状況として財務諸表を添付することとされております。一方で、投資型クラウドファンディングで資金調達をする企業については、その特性に鑑みまして、財務諸表については、その仲介業者のウエブサイト上での情報提供の対象とはしない予定でございます。

大熊委員 ありがとうございました。

 しかし、ちょっとあれっと思いますよね。投資を判断するのに財務諸表がなくて、どうやって投資を判断するんだろうかということなんですね。

 確認ですが、財務諸表というのは過去の数字、BSであろうがPLであろうが、直近。今後の見通し、事業計画なり、こういったものも含めて通知書には出さなくてもいいですよ、こういうことになっているんでしょうか。

桑原政府参考人 先ほど申しましたけれども、投資型クラウドファンディングの仲介業者のウエブサイト上には、事業計画や資金使途、こういうものを掲載していただくということを予定いたしております。これは今後の話ということでございます。

大熊委員 その事業計画の中身なんですけれども、一般的なといいますか、しっかりした上場企業であれば、事業計画といったときには、例えば現在のBSから出発して、今期のPLなりキャッシュフローがあって次の期のBSに至る、こういうことでありまして、つまり、基準点、出発点として現在のBSがなければできないし、開示もできないわけですね。

 だから、内部で、インターネット、クラウドを使った発行会社が当然持っているのかもしれませんが、投資家に対しては出てこないとなると、事業計画が出てきても、最初の出発点のBSがなくて、それは一体どういう事業計画なんだと。その中身ですね。その事業計画の中に来年のBS、PLはやはりないんですよね。その辺、どうなんでしょうか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 クラウドファンディング業者のウエブサイト上に義務づけを予定しています事業計画でございますけれども、何分にも、投資型のクラウドファンディングの対象となる企業については、技術やアイデアを事業化しようとする、事業の立ち上げ前、もしくは立ち上げ直後の企業の資金調達に利用されることも多く想定されるわけでございます。

 そうした中で、もちろん、BSについて、それを出していただくということは十分あり得るわけでございますけれども、BSを出すことについて義務づけるということは、こういう投資型クラウドファンディングを利用しようとする企業の実態等に鑑みまして、現在のところ考えておらないところでございます。

大熊委員 私どもみんなの党は、規制緩和の政党でございまして、規制は余りよろしくないよと言っていることが多いんですが、この点については、やはりしっかりやった方がいいんじゃないかなと思いますね。

 それはなぜかといいますと、技術型のベンチャー、事業はこれからです、そういうベンチャー精神に燃えた人たちに対しても、そういうことが最初から必要なんだということを認識してもらう、つまり義務づけられていないと、ああいいんだよということになってしまうと、結局、ベンチャーが途中で失敗してしまう最初の根源的な要因になり得るんですね。

 だから、むしろ、これはそこまで官の方がおんぶにだっこもいけない、そういう反論もあるかもしれませんが、私の理解では、そこはしっかりとやらせるといいますか、今回法律で入らなかったらほかの手段でもって、下位の法令なのかわかりません、行政指導というのは今どきのはやりじゃないかもしれませんけれども、何らかの方法でここのところはしっかりと、ベンチャーとはいっても企業なんですから、投資家を広く募集しようというわけですから、この数字のところをしっかりあなたたちはやるんだよという認識を少なくとも持たせるような、そういった行政にしていただきたいというふうに思うわけでございますが、もし一言あれば。よろしいですか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどからの御議論にもございますけれども、投資型クラウドファンディングは新しい制度でございます。そうした中で、投資家保護という視点、もう一つは、発行者なり事業者なりの負担ということのバランスを総合的に勘案しながら制度づくりをしていくことが重要だと考えております。

 そういう観点から、先ほどから財務諸表等の義務づけについては考えていないということを申しておりますが、一方で、適切な情報が開示されることについては、私どもとしても望ましい姿だと考えております。ベストプラクティスということで、業界団体等でそういう事例が積み上がることというのは我々としても期待してまいりたいと考えております。

大熊委員 そうだと思いますね。

 だって、ベンチャーとはいえ、BS、PLをつくることが何も追加的に負担になるわけではありませんのでね。それが義務づけられていないからといって、その会社の内部管理でBS、PLをつくらないなんということはあり得ないわけでございますから、追加的に新たに負担になるということじゃないんですから、それをただ開示するかしないかの問題なんですから、そこのところは、新たに負担になることと、そうではない、私が申し上げていることをしっかりと区別してお願いしたいなというふうなことです。

 続きまして、仲介者についてなんですが、一般的にいわゆる引き受けということになりますと、買い取り引き受けというような方式、要するに一旦その仲介者のバランスシートを通過するというケース、こういったケースが想定されているのかということです。その場合は、瞬間的かもしれませんが、その仲介者のバランスシートにお金がまじってしまうわけでございまして、それがいわゆるコミングリングリスクというものを発生させ得るわけでございますね。

 この辺についての分別管理の義務、これは法令上どのようになっているか、そういうことがあればの話なんですが、教えていただければと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点目の、クラウドファンディング業者が株式の引き受けを行うことも想定されているのかということでございますけれども、投資型クラウドファンディングにつきましては、有価証券の募集の取り扱いのみを想定しておりまして、クラウドファンディング業者が引き受けを行うことは想定いたしておりません。

大熊委員 そうすると、その仲介者は全てブローカレッジだけであって、バランスシートを通過することはあり得ないんだ、こういうことで理解をいたしました。それでは、私が懸念したような問題はないんだということで理解をいたしました。

 続いて、総論。これはちょっと各論と総論が逆になりますが。

 今回の制度でもって、日本のベンチャーはなかなか育たないよというふうに言われているわけでございますが、少なくとも資金調達の面でどのぐらいの貢献になるんだろうか。時間もあれなので通告の二つをまとめてお伺いしますが、一年なり三年で、厳密にはそれはちょっとあれでしょうから、大体どのぐらいの調達がなされるんだろうかというふうに予想されていらっしゃるか教えていただければと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもといたしましては、今般の制度整備を受けまして、多くの業者が参入して投資型クラウドファンディングの利用が促進されて、ひいては新規・成長企業等に対するリスクマネーの供給が促進されることを期待しておりますが、何分にもこれから導入する制度でございまして、ベンチャー企業がどの程度の資金を調達できるのか、確たることを申し上げるのは困難であることを御理解いただきたいと思っております。

 ただ、せっかくのお尋ねでございますので、今私どもが把握している状態を申し上げますと、仲介業者については、現在、ファンド形態の投資型クラウドファンディングを取り扱っておられる第二種金融商品取引業者はおられます。それから、グリーンシート銘柄の取り扱いを行っている証券会社とか購入型のクラウドファンディングを取り扱っておられる業者等についても、今回の投資型クラウドファンディングに興味を示されているというか、そういう状況にはあるものと考えております。

 また、現在、既存の二種業者によるファンド形態の投資型クラウドファンディングの募集取扱実績でございますけれども、ここ三年ぐらいを平均しますと、年間大体五億円程度ということでございます。

大熊委員 そうすると、今五億円というのが今後大体どのぐらいになりそうだということ、これについては何かありますか。なかなかそこはわかりませんということなんでしょうかね。

 では、確認のために、モニタリングについて、今後については監督官庁としてできるんだ、こういう理解でよろしいかどうか。ちょっと一言お願いいたします。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 この制度を適正に運営していくということは私どもの重大な使命の一つであると考えておりまして、モニタリングについては適切に対処してまいりたいと考えております。

大熊委員 モニタリングはできるんだというふうに理解をいたしましたので、そういうことでお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、上場会社の虚偽開示の問題なんですが、これも、きのう来、その前から事務方の皆さんといろいろ議論を重ねてまいりまして、ある程度のところまで詰まってきているのかなとも思うわけなんですね。普通のMAや単純な会社分割、この辺は塞いでいるんだろうということなんですが、けさほどちょっとお話を申し上げた、まず無過失になり得るんだというケース。これは、ある上場会社がファンドに資金を預けているというようなケースでもって、会社としてではなくて、特定のファンドマネジャーが悪さをして隠していたよというケースについては無過失となり得るんだという説明がきのう金融庁さんからありました。

 その前提のもとに議論を始めたいと思いますが、そのスキームそのまま、ある上場会社がある事業を、例えばノンバンクならノンバンク、キャッシュフローが出ていますから証券化できますよね、それを証券化商品としてファンド仕立てにしてしまうというようなこと。それをしばらくたってから開示を、虚偽なんですよということにしてしまうようなケースについては、これは無過失になってしまい得るのではないかという懸念がありまして、その点、まだなかなかきのうの議論では詰め切れていないところだったのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 今のケース、けさ方追加で頂戴した御質問でもございますので、私どもも必ずしもきちっと正確に把握できているわけではございませんけれども、先生の想定されているのは、ファンドに飛ばすという行為がある場合だというふうに考えてよろしいんでしょうか。そうであるとすれば、それは、故意にオフバランスをしているというのは当然無過失ではないということで、今回の無過失責任というところとは接点がないのかなというふうに考えております。

大熊委員 そのようにばれてしまえばいいんですよね。だけれども、問題なのは、昔の山一証券のときの飛ばしの時代よりももう少し込み入った手法を使って、ばれないケースですね。一〇〇%ばれるんですということは言い切れないはずなので、ばれないケースについては無過失になっちゃう可能性がありますねということを申し上げているわけなんですが、いかがですか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 典型的な粉飾であり、かつ巧妙な偽装工作が行われた場合には、財務諸表等にも載りませんので、これが必ず発覚するとはなかなか言いがたいものがあろうかと思います。

 ただし、ちょっとそこが私もよくわからないところがあるんですが、発覚しないのであれば、無過失責任も問えないのではないか……(大熊委員「いや、そんなことはない、ファンドの価値が落ちるんだもの」と呼ぶ)いや、それは……(大熊委員「ただのファンドの運用として価値が落ちるんだもの、そんなことはないよ」と呼ぶ)済みません。

 事象が、そういうことがあることがわかった上で落ちたということが認定されればもちろん無過失ということでしょうけれども、それが認識されるという時点において、故意か無過失かが認定されるのではないかなと考えられますけれども、いかがでしょうか。

大熊委員 それは、わかればいいんですけれども、わかるとは限らない。

 いいですか。この法案を出していらっしゃる監督官庁の局長さんでもこのようなレベルと言っては失礼ながら、私よりよくわかっていらっしゃるんですが、つまり、これが裁判になった場合、争われるんですよ。これは誰が負担するかというと、投資家が裁判費用を負担して、延々と裁判をやるんですよ、無過失じゃなくなるから。そこが問題だと言っているわけですね。これは明確に、クリアカットにはできないんですよ。だって、手法というのは巧妙に巧妙化を重ねているんだから、さすがの金融庁さんでも見抜けない。

 オリンパスの事案だって、金融庁さんが見抜いたわけじゃないでしょう。たまたまあのイギリス人の社長のデスクの上に何とかいう雑誌のコピーが置いてあったからばれちゃったということですよね。金融庁さんが検査に入ったとか、金融機関の検査に入って、それで、おかしいぞ、オリンパスはということじゃないんですよね。

 だから、わからない可能性というのもあるんです。これの裁判費用は株主持ちなんですよ。仮に株主が勝って、一〇〇投資したものが一〇〇戻ってきたとしても、裁判費用も後で請求できるかもしれませんが、何年かかるんだ、そういう世界になるんですね。

 もう一つ言うと、今、アベノミクスで投資を日本に呼び込もうと言っているのに、資本市場、投資家からすると、投資家に負担をかけるという逆のことをやっているんですね。この法案は、私どもも、先ほどのクラウドファンディングも含めてなかなかほかにいいことが書いてあるなということで、おおよそいいかなと思っているんですが、ここだけひっかかっているんですね。だから、いろいろ附帯決議も含めて検討させていただいたわけですが、附帯決議は出しておりませんが、ここだけひっかかっている。

 だって、基本的に日本に投資を呼び込もうと言っているのに、投資家にアンフレンドリーなこういう法律改正を今週するんだということを、安倍総理はロンドンで言いましたか。言いませんよね、そんなこと。シティーで、日本に投資してください、ジャパン・イズ・バックだ、そういう説明ですよね。だけれども、実際にやっているこういう法律改正は、逆じゃないですか。だから変だなということを申し上げているんですが、いかがですか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正について、少し経緯と申しますか、この改正に至った理由、背景について御説明させていただければと思います。

 まず、流通時に民事責任規定、これは平成十六年に導入されたわけでございますけれども、その当時、企業の虚偽記載の責任を追及する手段としては、刑事罰と損害賠償のみであったという状況でございました。その場合、刑事罰につきましては、適正な刑事手続の要請のもと、一定の慎重さが必要だと。損害賠償については、ほとんど提起されていないというような状況でございました。

 これを踏まえまして、損害賠償請求による責任追及ということで、無過失責任という極めて例外的な規定をあえて導入することで違法行為の抑止を図ろうとしたものでございます。

 その点につきましては、その後でございますけれども、第三の手段である行政罰であります課徴金制度が導入され、それから内部統制報告制度も導入されるということで、多くの企業については、虚偽記載、虚偽開示を防止するための体制整備等の努力が重ねられているのではないかと考えております。

 そうした中、その努力の有無にかかわらず、すべからく無過失で企業に責任を課すということについては、必ずしも妥当ではない面もあるのではないかということで、今回、一般原則に従って過失責任に変更するということといたしましたが、一方で、投資家の負担を考慮いたしまして、無過失の挙証責任については企業に課しているところでございます。

 それから、先ほどの虚偽記載の見逃しということでございます。

 それは、連結財務諸表に載らない虚偽記載について、必ず発覚すると断言することはなかなか困難でございますけれども、金融庁といたしましても、悪質な虚偽記載を見逃すことのないよう、財務局における有価証券報告書レビューですとか、証券取引等監視委員会による調査、検査などの強化に努めるなどの方策をとってまいりたいと考えております。

大熊委員 もう余り時間がないんですけれども、平成十六年以降だっていろいろと不祥事が起こっているんですよ、先ほどのオリンパスだって。

 それで、調査室の資料によりますと、今回の法案のためのワーキンググループの委員の方も、得られる益の小さな割に、これを見直すことによって投資家保護が非常に後退したというような誤解を与えることを懸念するとか、無過失責任にしたのがせいぜい八年前のことで、それ以降も虚偽記載の事実というものが世の中にあるわけですので、そういう意味での立法事実は変わっていないんじゃないかとか、いろいろ懸念意見が複数あって、私、これは後で知りましたが、私もこれを聞いたとき、非常に懸念ですよ。そんな八年で日本市場が劇的に、ロンドンとかニューヨーク並みにガバナンスがよくなった、情報開示がよくなった、そんなことはありませんよ。そんなこと、どうしてあると言えるんですかね。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 日本企業全体のガバナンスのあり方につきましては、一概に申し上げることはなかなか困難ではございますけれども、先生御指摘のように、海外投資家からもさまざまな問題が指摘されているという事実はございますし、そういうものを中長期的に改善強化を図っていくということは重要であると考えております。

 一方で、制度的に見ますと、平成十六年以降、先ほどから申しましたような違法行為の抑止に向けた制度が充実いたしまして、かつ、内部統制報告制度の定着等によって企業の内部統制構築が進んで、コンプライアンス意識も向上したという面があろうかなというふうにも考えておるところでございます。

大熊委員 改善した面はあっても、その後不祥事が起きているということであって、ここだけロンドンやニューヨークと同じにしようということじゃないんですよ。ベースが違うんですからね。だから、それは、考え方として、やはり木を見て森を見ずになっているのではないか。

 要するに、投資を日本に呼び込もうということであれば、こういったことは本当に、長期の投資家から見て、日本市場は透明になったなということで、大丈夫なんだという、例えば政治的にやるのなら東京市場透明化宣言とかやって、その上で、大丈夫になりました、ついてはこういう法改正をやります、こういうのが正々堂々としているんじゃないですか。

 こそくですよね。だって、ロンドンに行って投資してくださいと言いながらこういうのをさらっと、イギリスの人で今この中継をインターネットで見ている人はほとんどいないでしょうからね、そういう投資家の人は。まあ、ここの支店の人はいるかもしれません。

 こそくだと思いませんかね。私は、こそくだと思います。やるのなら、私が今申し上げたように、日本市場が透明になりました、ついてはこれも欧米と同じようにグローバルスタンダードに戻させていただきますというのが正々堂々、それが正論じゃないですかね。これはやはり順序としてもやり方としてもおかしいんじゃないかということで、終了ということなので、終わらせていただきます。

 以上でございます。失礼いたしました。

林田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 今回の金融商品取引法改正案は、新規・成長企業に対するリスクマネーの供給を促進する、そのために制度整備等を行う、こういう目的で提案をされております。

 そのポイントの一つはクラウドファンディングという仕組みですが、これは、ネットを通じて手軽に多数の者から資金を調達できる、このようにするものでありまして、法案では、一般消費者が未公開株も買うことができる、そういうことになっていると思いますが、まず、この点を確認しておきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、佐々木先生、今御指摘のありましたように、この法制度の改正というか制度の整備におきましては、いわゆる投資者保護のための措置を講じた上で、証券会社による非上場株式の投資勧誘を、インターネットを通じた、少額、五十万円のものなどに限定して解禁するということを予定しているということであります。

 これによって、一般投資者保護が図られた枠組みのもとで、一般投資者の非上場株式への投資というものがこれまでと比べて容易になるんだ、私どもはそのように考え、それが結果として、今寝ている大量の、一千六百兆を超えます個人金融資産、中でも現預金八百何十兆という金が少なくとも投資等々に回って、日本の企業の成長を促す一助になればというように考えております。

佐々木(憲)委員 今御答弁のあった、投資者保護の措置を講じた上でというふうに言われましたけれども、そこのところが、今回の法案は本当にそうなっているのか、我々としては非常に大きな疑問を持っておりまして、それは後で触れたいと思います。

 まず、基礎的なことですけれども、未公開株と公開株、その基本的な違いはどこにありますか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 公開株は、市場で取引が行われているため、流通性が高いという特徴を有しておるのに対しまして、未公開株は、取引を行うための市場が存在していないということで、流通性が低いという特徴を有しているものと考えております。

佐々木(憲)委員 その結果、未公開株の場合には、市場が存在しませんので、値段の見積もりが非常に困難である、発行者である役員、その関係者が引き受ける場合が多いわけであります。

 したがって、未公開株を一般消費者が投資対象として購入するということは、なかなか判断が難しい。これは、損害をこうむったり、あるいは詐欺的な行為によって被害を受ける、こういうケースが最近も非常にふえておりますけれども、その危険性が高まるのではないかと思います。

 例えば、国民生活センターはこう言っているんです。プロ向けファンド業者に関する相談は増加しており、つまり、プロ向けファンド業者の関係の未公開株を購入して損をした、そういう関係の相談が増加しておって、二〇一二年度は千五百十八件の相談が寄せられた、三年前の二〇〇九年度に比べて約十倍になっている、契約当事者も六十歳以上の高齢者が九割を占めている、こういうことなんですね。

 この相談が急増していることについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これは、プロ向けのファンドということなんですが、現実はプロ向けじゃないというのが一番話を込み入らせているというか、被害を大きくしているんだと思います。

 いずれにいたしましても、高齢者を含めまして、一般の投資家の被害事例が発生しておるということなんだと思っております、先ほどの数字は。

 これは私どもも極めて憂慮しているところでして、この問題につきましては、証券取引等監視委員会の建議が四月の十八日、また消費者委員会の提言が四月の二十二日に、それぞれ、プロ向けファンドの特例について、一般投資家の被害発生などを防止するための適切な措置を講ずる必要があるという指摘がなされたところであります。

 こうした指摘を踏まえて、金融庁としては、投資者保護を図りますために、プロ向けファンドの勧誘ができる投資家の範囲を見直すという方向で検討を行うことといたしております。

 また、今後とも、関係当局と連携を図りながら、投資者への注意喚起というのはもちろんですけれども、被害の防止に向けて取り組んでいかねばならぬところだと思っております。

佐々木(憲)委員 法案のクラウドファンディングは、一人当たりでは少額の投資を集めるということでありますが、インターネットを通じて不特定多数の方々に投資を呼びかける、こういうものですね。

 したがって、法案のすきを突いて、悪質な業者あるいは詐欺グループ、こういうものが仲介者として参入したり、あるいは発行者として制度を悪用したり、仲介者、発行者それぞれの役割を分担して被害を及ぼす、こんなことも考えられるわけであります。

 ウエブサイト上に虚偽の事業内容、事業計画を掲げて資金を集めるというやり方は典型だと思いますけれども、これに対する防止の手だてを一体どういうふうに考えているのか、示していただきたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 投資型クラウドファンディングを悪用した行為といたしましては、発行者によって行われる詐欺的な行為と、クラウドファンディング業者によって行われる詐欺的な行為の二類型が考えられるのではないかと考えております。

 前者の、発行者によって行われる詐欺的な行為、これの被害を防止または極小化する観点からは、まず、クラウドファンディング業者に発行者の事業内容をチェックすることを義務づけることといたしております。また、それとともに、発行者一社に対する投資家一人当たりの金額に五十万円以下という上限を設け、リスク分散をきかせることとしているところでございます。

 また、後者の、クラウドファンディング業者によって行われる詐欺的な行為を防止する観点からは、クラウドファンディング業者の登録の要件として、適切に業務を行うための体制が整備されているということを求めることといたしますが、その登録申請時に登録拒否事由、要件に照らして当局として厳格に審査するとともに、登録後におきましても適切な監督に努めてまいりたいと考えております。

佐々木(憲)委員 今の答弁では、何を開示させるのか、何をチェックするのか、具体的な内容がまだ不明確でありまして、これから政省令とか内閣府令によって詳細を定めていく、こういう話ですね。しかも、適切な情報提供あるいは事業内容のチェック、こう言いますけれども、これは、いわば業者任せであって、まともな規制になっていないと私は思います。

 投資家に対して虚偽の情報提供をした場合の民事責任についてどうかという点でありますが、上場株式等における情報開示については、現在、事業者に対して無過失責任を課す、こういう規定がありますが、今度の法案には、事業者及び仲介業者に対して立証責任を課す規定はありますか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の金商法の改正案におきましては、発行者や仲介業者が投資家に対して虚偽の情報を提供した場合に、立証責任を投資家から発行者や仲介業者に転換する特別の規定は設けておりません。

 したがって、このような場合、投資家は民法の不法行為責任の一般原則に基づいて損害賠償請求を行うこととなります。

佐々木(憲)委員 ですから、無過失責任から過失責任に原則を変えるということは、投資者の損害賠償請求訴訟における負担を増大させるということになるわけです。

 この法案は、投資者保護と証券市場の公正、こういう金商法の本来の目的からそういう点では外れていると言わなければならぬ、そう思います。

 国民生活センターは、これまでの未公開株の売買に係る被害について数多く注意喚起を行っておりまして、最近では、昨年十二月十九日、「投資経験の乏しい者に「プロ向けファンド」を販売する業者にご注意! 高齢者を中心にトラブルが増加、劇場型勧誘も見られる」、こういう注意喚起が行われております。

 イギリスでは、投資対象企業の五〇%から七〇%が倒産しているわけであります。FCA、イギリスの金融行為規制機構でありますが、ここも、未公開株への投資は非常に危険である旨を繰り返し消費者に訴えているわけです。その内容は、誰もが買えるような類の金融商品ではないこと、それから、多くのクラウドファンディングが破綻していること、さらに、投資資金がゼロになる可能性が極めて高いこと、こういうことを挙げて注意を呼びかけているわけです。そして、捨ててもよいお金以外は投資するな、ほとんどの起業ビジネスは破綻しているという事実を知れ、こういう警告をしているんですね。これは事実でしょうか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 英国当局は、二〇一二年八月に、「クラウドファンディング あなたの投資は守られていますか」と題された文書を公表したものと承知いたしております。

 その内容でございますけれども、大多数の創業は失敗するため投資全額を失うおそれがあること、クラウドファンディングの持ち分は流動性が低く流通市場も存在しないこと、全取引がオンラインで行われるものであり詐欺のリスクがあること等について、投資家に注意喚起を行うものであると承知いたしております。

佐々木(憲)委員 そういうことを国際的には、特にイギリスの場合には相当強く呼びかけが行われているわけですけれども、今回の法案では、未公開株に投資する規制を緩和するという形になっております。

 現在、未公開株の勧誘は、リスクが高いため、原則禁止であります。しかも、先ほど申しましたように、苦情、被害、こういうものが急増している。こういう中でこの法案でこの規制を緩和するということになると、これはますます事態を深刻にさせるということになるんじゃないでしょうか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどから御議論がございますように、投資家保護という大事な要請と、もう一つはリスクマネーの供給という要請、これをいかにバランスをとるかということが重要であろうかと考えております。

 そうした中で、クラウドファンディングにつきましては、リスクは高いという側面はありますけれども、その一方で、極力、投資家保護に資するような施策、措置も導入しつつ、リスクマネーの供給を図るということを意図しておるものでございます。

佐々木(憲)委員 その投資家保護がどうも不十分だというふうに思うわけです。

 リスクマネーの供給を確保したいということはそれなりの理由があると思いますけれども、しかし、今極めて被害の急拡大という状況の中で、さらに未公開株の売買を進めていくということになりますと、大変に危険性を拡大すると言わざるを得ないというふうに思います。むしろ投資家保護の具体的な対応を強化する、これとあわせてやるというならまだ話はわかりますけれども、そうなっていないと言わざるを得ない。

 次に、保険業法の改正案ですけれども、この法案では、日本の保険会社が海外の金融機関等を買収した場合、その傘下にある子会社のうち、国内では認められていない業務を行う会社についても五年間の保有を認める、こういうことになっております。

 改めて確認をしたいんですが、これまで保険業法の子会社の業務範囲規制というのはどのような理由で行われてきたのか、確認をしておきたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 保険業法におきましては、保険契約者を保護する観点から、保険会社を保険業に専念させ、他の事業に起因する不測のリスクの波及を回避するため、認めるべき特段の理由がない場合には、他業を行うことが禁止されております。

 子会社につきましても、法人格が異なるため事業のリスクはある程度遮断されると考えられるものの、例えば、経営困難に陥った子会社に対する財政支援などによって、子会社の事業リスクが保険会社本体に波及すること等も考えられるため、業務範囲に制限を設けているものでございます。

佐々木(憲)委員 その制限を、海外の金融機関を買収する際の子会社については、日本では禁止されているのに、五年間に限って認めますよと緩和するわけですね。

 ダブルスタンダードをやろうというわけですけれども、この海外の子会社のリスクと国内の子会社のリスク、本体業務と関係のない子会社があった場合に、本質的な違いというのはあるんでしょうか。

福岡大臣政務官 仮に法制度の内容に差異がなく、子会社の業務内容や規模が同じ場合については、大きな差異はないという考え方もございます。

 ただ、各国の法制度は違いますし、国内外の経済情勢の差異によってリスクが異なることもあり得ますから、一概にお答えすることは困難だというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 基本的な差異はないと。

 ただ、海外の場合は、為替のリスクですとか、あるいは、その事業内容についても国内から海外への監視の目が届きにくいとか、いろいろな問題があって、むしろ私は海外の方が危険が大きいかなと思うんです。

 ところが、その海外の方は規制を緩和して、五年間どうぞやってくださいと。こうなりますと、逆じゃないかというふうに思うんです。

 前回の保険業法改正の際に、海外保険会社を買収するケースについて、二〇一一年七月二十七日の金融審議会の保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループの審議では、審議委員からこういう指摘がありました。「できるだけ例外的な措置として、非常に限定的に規制を外していくということになる」。

 この法案では、できるだけ例外的な措置、こう指摘されていた部分を今回拡大するわけですけれども、金融審議会でこの点について今回どのような検討が行われたのか、御紹介いただきたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正につきまして、金融審議会において直接的な議論は行われておりません。

 ただし、今回は外国の金融機関の買収についての特例でございますが、平成二十四年には、外国の保険会社の買収の特例を設けております。その特例を創設した際には、金融審議会で健全性の観点から御議論が行われております。

 また、平成二十五年には、銀行法において、今回の改正と同様の見直し、すなわち外国の金融機関等の買収についての見直しが行われた際には、金融審での御議論が行われております。

 また、平成二十五年の金融審の分科会報告においても、一般論としてではございますけれども、子会社の業務範囲について、健全性に及ぼす影響や既存の子会社の業務との関連性等を踏まえつつ、拡大する方針が示されているところでございます。

 方向性といたしましては、従来からの金融審議会の議論に沿った内容と認識いたしております。

佐々木(憲)委員 周辺の議論はあったとしても、今回、この法改正についての直接的な議論はない、こういう答弁でありました。前回例外的な措置と言っていたものを、金融審議会で検討しないで法案を改正して出してくる、おかしいんじゃないかと思うんですね。

 今回の措置は一体誰の要請で、直接どこの要請があってこういう法案を出してきたのか、御答弁いただきたい。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、保険業界におきましては、海外への展開等を活発にやろうという動きがございます。そうした動きの中で、外国金融機関等の買収についても、国際的な競争力等の観点も踏まえて、こういう見直しを行ったということでございます。

佐々木(憲)委員 業界の要望だということだと思うんですね。

 これは、規制改革ホットライン検討要請項目の現状と措置概要、こういうものがありますけれども、その中に、生命保険協会から、海外の企業を買収する際の子会社、これは日本で禁止されていても、外国の場合はここのところは認めてほしい、こういう要請が出されているわけですね。金融庁は、これに応えて、検討します、こうなっているわけですよ。

 つまり、金融審議会で、公平なというか、それなりにバランスのとれた、各業界やあるいは消費者の側からの発言も含めた議論というものなしに、業界側から要請があった、これに直接応える形で今回法改正を行っている。これは私は極めておかしなやり方だと思います。保険契約者から要請が出ているか、こんなことはありません。誰が見ても、これは一方的だと思うんです。

 海外子会社をグループ化することのリスクをどう捉えているのか、また、破綻した際の本体へのリスク波及、買収した後五年の間にそういう事態が起こった場合、どのようにこれを見ているんでしょうか。

福岡大臣政務官 今回の改正につきましては、海外のMアンドAに際して、あくまでも原則五年間に限り、他業子会社処分の猶予期間を設けるものであり、恒久的なリスクの増加をもたらすものではないと考えております。かつ、現在、国際競争上不利な状況に置かれているところ、むしろ財務、経営の強化に資する面もあるということに留意することが必要だと考えています。

 加えまして、子会社の取得に当たりましては、金融庁の認可事項となっておりまして、認可申請の際には、認可申請保険会社の収支及び保険金等の支払い能力の充実を示す比率が良好であり、子会社を取得した後も良好に推移することが見込まれるか等をしっかりと審査させていただいているところでございます。

 子会社を取得した後も、連結対象となる会社の場合には、連結ソルベンシー規制により、財務の健全性についてモニタリングをしておりますほか、グループ全体での適切なリスク管理体制が構築されているか等、保険会社からのヒアリング等を通じて確認を行っております。

佐々木(憲)委員 そういう答弁では、何か、今回こういう規制緩和をやるのに対応した新たな措置というものが強化されるという感じは受けませんね。

 不利な状況、国際的な競争がある、競争に勝つためにということで緩和をしていくんだけれども、かえってそのことが、財務体質を強化しようとしていながら、逆に、他業務を抱え込んで、そしてマイナスの利益をこうむってしまう、それで財務体質そのものもおかしくしてしまう可能性さえあるわけなんです。そういうことを考えますと、今回のこのやり方というのは、契約者にとっては私はプラスではないというふうに思います。

 では次に、保険の窓販規制の問題であります。

 以前は、銀行が保険を窓口で売るということについては禁止されておりました。そのような措置をとっていた理由について確認をしておきたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 銀行等による保険販売につきましては、影響力を行使した圧力募集などの弊害の可能性や、銀行等に係る他業禁止の観点から禁止されておりました。

 他方、いわゆる銀行の窓販につきましては、販売チャネルの多様化等を通じて利用者利便の向上に資すると考えられますことから、必要な弊害防止措置を講じた上で段階的に解禁されまして、平成十九年十二月に全ての保険商品の募集が認められたものでございます。

佐々木(憲)委員 これは、銀行業務に支障を及ぼさないということで他業務を禁止していたわけであります。昔は銀証分離とかそういう形で行われていたわけでありますが、今は、これがどんどん緩和されまして、銀行が窓口でいろいろな保険等を販売できるようになっている。

 その結果、いろいろなトラブルが起こっているわけです。銀行というのは、安全なところである、あるいはかたい仕事をしている、こういうイメージがありますから、そこが売っているものは何でも大丈夫だろうと。ところが、買ってみたら大変な損害を受けた、こういうような事例が多発しているわけですね。特に高齢者がそういうトラブルに巻き込まれる可能性があります。

 例えば、国民生活センターが銀行の窓販について警告を発していると思いますが、どういう内容のものがありますか。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年四月に国民生活センターが公表いたしました「銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル」という文書がございますが、その中で、高齢者への不適切な勧誘が急増しているとして、幾つかの事例を挙げて注意喚起をしております。

 いろいろな事例がございますが、代表的なものを御紹介いたしますと、判断力が低下している高齢者に販売勧誘をしたケース、断っているのに何度も勧誘を受け断り切れずに契約してしまったケース、元本保証で利率がよい商品と説明されて契約したが一時払い終身保険だったというケース、経過年数によっては中途解約時の解約返戻金の金額が元本を下回るというデメリットにかかわる説明が不足していたケースなどが挙げられております。

佐々木(憲)委員 やはり大事なことは、今回のこういう保険業の改正、金融商品の新たな仕組みの導入、こういうものによって、投資者あるいは消費者、こういう方々が被害を受けないような仕組みを同時につくっていくということをしないと、緩和でどんどん進んでいくと、それはプラスの面もあるかもしれないけれども、結果的に国民の側に被害が多発するというようなことになりますとマイナスですから、そういうことのないようにどういう姿勢で今後臨むか、大臣に決意をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、佐々木先生、この種の話で改正をするときには常に考えておかねばならぬ一番大事なことでありまして、業界にとってプラス、イコール保険に加入しておられる方々、投資をしておられる方々等々、皆一様に不当な不利益をこうむるということのないように今後とも最大限配慮してまいりたいと考えております。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

林田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の鈴木でございます。

 最後になりまして、どうしても他の委員の皆さんと重なる部分が多くなってくると思いますが、丁寧にひとつ御答弁をいただきたい、このことをまず申し上げておきたいと思います。

 最初に、金商法改正案について審議をさせていただきたいと思います。

 もう各委員からお話がありました投資型クラウドファンディングの利用拡大について、とりわけ、私は、第二種金商業者に対する監督の実効性、そういう視点で御質問させていただきたいというふうに思います。

 投資型クラウドファンディングの説明というのはもう何人かの方がおっしゃっていますので割愛をさせていただきますが、一口数千円そして数万円という額から気軽に投資ができる、そういう意味で、成長戦略としてだけではなくて、個人投資の拡大にも資する。そういう意味では私は基本的には賛成だというふうに思っておりますが、しかし、その反面、先ほど来からの御議論のように、いわゆる投資家保護ということについて、これは今のままで本当に果たして大丈夫なのかな、この法案を拝見すると投資家保護に関するメニューがやはり極端に少ないんじゃないかというふうに思えてなりません。

 とりわけどこがということなんですが、第一種金商業者も第二種金商業者も、参入規制を緩和するということになっておるわけですね。したがって、より規制の緩い第二種金商業者、つまり、いわゆるファンド形態でのクラウドファンディング業者の新規参入の増加が見込まれるということであります。

 現制度の中でも規制が厳しくない、検査も余り入らない第二種金商業者について今回導入するというような制度でありまして、冒頭申し上げましたように、本当の意味できちっとした監督ができるのか、その実効性があるのか、そこをひとつ御答弁いただきたいと思います。

福岡大臣政務官 今回の金商法改正におきましては、クラウドファンディング業者に対し、業務を適確に遂行するための業務管理体制の整備を義務づけることとさせていただいております。

 当局は、登録申請を受けたときは、こうした体制整備の状況を申請者からのヒアリング等を通じて厳格に確認し、体制が整備されていないと認められる者については登録を拒否することとなっております。また、登録後も、クラウドファンディング業者が法令等にのっとって適確に業務を遂行しているか否かについて、検査監督において適切に確認をしていくことになります。

 このように、第二種金商業者であるクラウドファンディング業者につきましては、登録申請時の確認をより厳格に行うとともに、登録後も検査監督に万全を期してまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 今、登録拒否もできるし、適切に指導していく、こういうことでありますが、そこのところが本当に大丈夫なのかということで、過去の例を幾つも持ち出すまでもありませんけれども、やはり広げたいという思いの方が強くて、いわゆる投資者保護とか規制に対する甘さというものが出てきてしまうのではないかなということを私は非常に懸念しております。そんなことのないように、ぜひひとつ実効性ある監督を監督官庁としてやっていただきたい、このことをまず申し上げておきたいと思います。

 二つ目でありますが、プロ向けファンドの規制強化等に見られる金融庁の投資家保護策の遅さということで御質問をしたいと思います。

 私は常々、銀行、証券、そして保険、この三つの間のすき間を縫っていろいろな問題が過去発生し続けてきたということを毎回のように実は申し上げております。そういう中で、結局犠牲になるのは多くの投資家、弱い立場の方々が結果的にはその被害に遭い、そして泣きを見てみえるということです。

 それは個人の責任だということをいえばそうかもしれませんけれども、では何のために監督官庁があるのか。そういうことをさせないために私は監督官庁があるというふうに思っています。そういう意味で、このいわゆるプロ向けファンドについても、投資家保護について非常に遅いというか、問題があるというふうに私は思っています。

 たしか去年の金商法改正の質疑のときにも、MRIの事件に関連をして、私は、ピンポイントではだめなんだ、抜本的な対応をしなきゃだめですよということを申し上げたわけでありますが、そのときの金融庁の御答弁はごくごく慎重なものだったというふうに思います。その後検討されたということはわかるわけですけれども、しかし、いまだにやはり後手に回っているというような気がしてなりません。

 法案から少し離れますけれども、いわゆるプロ向けファンドへの対応についても、これも言うまでもありませんが、プロが一社入っておればあとの四十九人は素人の個人に勧誘しても構わないという制度、前からここがやはり非常にトラブルの温床ですよということを言い続けてきたわけでありますが、ようやくその規制を強化することになったということです。それは一定の前進だというふうに思うんです。

 しかし、くどくなりますけれども、金商法全体を見ていくと、どうも理想と現実がマッチしていない。繰り返しになりますが、どうも後追い後追いで行くような気がしてなりません。言い方は悪いかもしれませんけれども、モグラたたきを延々とやっているというような気がしてなりませんが、大臣の率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは見方もいろいろあろうと思いますけれども、鈴木先生、利用者保護ルールの徹底という話と利用者利便の向上といったような話は、趣旨、また目的としてそういったものを考えて、私どもから見ますと、これまで一定の成果は上がってきたんだと思うんですね。

 それで、これは幾らやっても、必ずそれをくぐり抜けてくるのがいろいろいるのはどの法律でも似たような話ではあるんです。我々としてはこれで完璧と思っても、こちらよりもっと頭のいい利用者の方、ずる賢く頭を使われる方は世の中に絶えない話ですから、私どもは、その都度対応していかねばしようがないということは覚悟してこういうようなものをやっていかないかぬと思っておるんです。

 いずれにしても、過去、金商法は、御存じのように二十一年から二十五年まで毎年いろいろな形での改正を行って、その都度きちんとしてきつつあるところだと思っております。新しいものが出てきたときは、随時、それに対応するようなものをつくってきたんだと思っております。

 今回の金商法の改正案においても、適確に業務が遂行できる業者だけが参入できるように登録に関する要件というものにつきまして抜本的な見直しを行うということにいたしておりますのは、先ほど御指摘にあったとおりです。さらに、先般、証券監視委員会でも建議があっておりましたが、プロ向けファンドに関する制度につきましても抜本的な見直しというものを検討しておるところです。

 したがいまして、金融庁といたしましては、引き続き、時代の変化、技術の進歩、いろいろあるんですが、そういったものに合わせて、投資者の保護というものの確保はきちんとできるように、必要な対応に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 大臣が今投資者保護についてはきちっとやっていくと改めて御答弁をいただいたわけでありますが、先ほど佐々木委員からもお話がありました国民生活センターの調べの数字を申し上げるまでもなく、本当に、減ってきているのではなくて、ふえてきているということが実態でありますからね。

 結局、浜の真砂は何とかという例えがありますが、確かに次から次へといろいろなことを考える人たちが出てくるということでありますが、しかし、だからといって、それで許されるものではないということを、大臣もしっかりと、所管庁に向かってリーダーシップを発揮していただきたい。一人でも泣きを見る弱い立場の方々が発生しないように最大限の努力をしていただきたい、このことをお願いしておきます。

 さて、次に、ビットコインですが、これも、さんざんいろいろな方々が御質問をされております。私は、投資家保護という先ほど来の観点からいっても、政府としての対応がまずいんじゃないかなという立場から質問をさせていただきたい、このように思っておるわけです。

 ちなみに、世界がこのビットコインに対してどういうふうな見解といいますか、対応をしているかというのを御紹介させていただきます。アメリカのニューヨーク州では、取引業者に免許制の導入を検討しておる。それから、米税務当局が、通貨ではないというふうに認定をしたということであります。中国は、金融機関による売買などを禁止しておる。それから、ロシアでは、ビットコインを含む仮想通貨の使用を禁止しておる。ドイツでは、政府によるコインへの課税を認めておるということです。各国で対応がばらばらであります。

 我が国、日本はどういうふうになっているかというと、ビットコインは通貨に該当しない、それからビットコインの売却益などには課税をしますよ、銀行による通貨との交換は不可能ですよ、できませんよと。問題は、この次なんですが、ビットコインを法的に位置づける法律はないということなんですね。ここがやはり、私は、本当にこれでいいのかということになるわけです。

 新聞記事を御紹介するまでもありませんけれども、ビットコインで沸き立つアメリカ、ネット普及と同じ熱狂、それから、アメリカでは、政府や規制、ルールに縛られるのが嫌いなリバタリアンというんですか、自由原理主義者の間で支持が広がっているというような紹介もあるわけです。

 そこで、冒頭申し上げましたように、私は、政府として今の対応というのはやはり緩いし、まずいというふうに思う。そういう視点でお尋ねをしていくわけですけれども、こうやって質問をしながら、正直言って私自身もなかなか実態がよくわからないということで本当に恐縮なんですが、さはさりながら、やはり被害に遭った方々、前回のあの事件では日本では非常に少数だったわけですけれども、しかし、日本には規制がないから、規制が緩いから狙われたということも、逆説的に言えば言えるんじゃないかなというふうに私は思います。

 つまり、ビットコインは通貨じゃない、これを明確に位置づける法律はないというふうに様子を見ておるということが、結果的には、今後非常に大きな問題を引き起こしていくのではないのかなというふうに思うんです。

 これは聞きますと、各省庁の間で押しつけ合いをしておる、大変御無礼な言い方になるかもしれませんけれども、いやいや、これはうちの所管ではなくてというような話が現実に非常に多いんです。

 そうすると、例えば、これは金融庁、財務省、消費者庁、警察庁、場合によっては経産省も絡んでくるのかもしれません。実態がよくわからずに私は言っておるので、おまえ、実態をわからずに何を言っているんだというふうに言われればそれまでのことでありますけれども、しかし、私は、やはり所管省庁は金融庁だというふうに思うんです。したがって、金融庁が主導して何らかの規制を検討するということを、私は、大臣の口からぜひひとつおっしゃっていただきたいというふうに思うわけであります。

 また、担当から、現状についてお話があれば、お聞かせをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 先ほども同僚議員から同様の質問が出ていましたので、ほぼ同じ答えになりますので、もう一回聞いていただくことになろうかと存じます。

 ビットコインに関する規制を設けるか否かということにつきましては、まず実態の把握ができていない、鈴木先生もできていない、これはできている人はほとんどおりませんので、そういった意味では、諸外国においても、アメリカでもこれは通貨ではないということではっきりさせておりますので、規制の動向等も踏まえねばいかぬところだと思っておりますが、規制を課すことが適当か否か、まずそこから入らないかぬところだと思います。

 仮に被害者が出ていて何らかの規制を課す必要があるんだというのであるならば、どのような観点からどういう規制を課すのかというのにも、まず実態がわかりませんので、正直なことを言って、これはなかなか難しい。したがいまして、これは実態把握に努めないかぬということで、いろいろ実態把握に努めさせていただいているというのが現状です。

 また、金融庁という話が出ておりますけれども、これは、ビットコインというものが通貨という前提ならば金融庁ということになろうかと思いますが、どうやら、それ自体が何らかの権利を表象するものでもないようであります。したがいまして、ビットコインの取引自体は、通貨たる金銭の存在というものを前提としてでき上がっております銀行法上の銀行業務とか、また金融商品取引法上の有価証券取引、そういったようなものに該当しないということを前提として事を進めないかぬということになりますので、なかなか難しいのが現状でありまして、今、実態の把握に一層努めておるというのが現状であります。

鈴木(克)委員 金融庁の方から何かありますか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣の答弁で大体尽きておるわけでございますが、そもそも、まず規制を課すべきかどうかというのがございます。

 それから、規制を課す場合にどういう観点からという答弁がございましたけれども、その場合、どういう観点からというのを具体的に申しますと、例えば消費者保護の観点というのが一つあろうかと思います。また、マネーロンダリング防止という観点なんかもあろうかと思います。それから、通貨高権の侵害だと。これは、ロシアなんかがこういうビットコインみたいな通貨類似の使用を禁止しているというのは多分通貨高権としての観点からだと思いますけれども、そういういろいろな観点からの規制が考えられるわけでございます。

 そういうこともいろいろ検討していかなければならないということについて補足させていただきます。

鈴木(克)委員 冒頭、新聞記事を御紹介したんですが、ネット普及と同じような熱狂がアメリカでも一部あるということであります。

 これは過去の例を言うまでもありませんけれども、アメリカ発のいろいろな動きが日本にも影響してきたということでありますから、私は、ここは各省庁がしっかりと連携をとって、そして、麻生副総理を中心として、やはりきちっとした法律で整備をしていくべきだと。これは本当に、後手後手になると、繰り返しになりますけれども、結果的にはまた被害に遭う方々がたくさん出てきてしまうということだというふうに思います。

 確かに、規制の視点というのは、今おっしゃったように、消費者保護の問題からマネーロンダリングから、いろいろな視点はあると思いますけれども、やはり知恵を出して、ここのところを各省庁が寄ってきちっと話し合いをしていく、それぐらいの動きを日本政府が始めるということを私はぜひ期待しておきたい、このように思います。

 では次に、もう一本の方の保険業法の改正案についても少しお話をしていきたいというふうに思います。

 これも、先ほど来、別の委員からお話がありました、町中でもよく見かける来店型の保険ショップのような、複数の保険会社の商品を扱ういわゆる大型の乗り合い代理店などの普及が背景となって、今回の改正ということになってきたというふうに思うんですが、ここで私がぜひお伺いをしたいのは、顧客のニーズがどこにあるのかということなんですね。

 お客は、ほけんの窓口のようないわゆる来店型ショップに相談に来るというような方を想定しますと、漠然と保険に入る必要を感じながらも、自分はどのような保険が必要なのかわからないという方が多い、だから窓口に見えるということだと思うんです。そして、たくさんの会社のたくさんの保険商品の中からいわゆる公正中立な立場で自分に合った保険を勧めてくれるということを当然期待して訪れるというふうに思うんですね。

 そういう意味で、本当に公正中立な立場での紹介といいますか、あっせんという形が今のこの形態の中でできるのかどうか、そのところをまずお伺いしたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の来店型の保険ショップでございますけれども、これは、保険会社から保険募集を委託された代理店でございます。そういう意味からいたしますと、顧客と保険会社との間で公正中立な立場で活動するというものとは位置づけられておりません。

 一方で、保険を比較して検討したいというニーズはあろうかと思います。

 そういう観点から、今回の保険業法では、情報提供義務というのを導入しておるわけでございます。その情報提供義務の一環として、比較推奨販売を行う場合には、そもそもその保険代理店がどういう品ぞろえを持っているのかの一覧、何かを勧める場合にはなぜその保険商品を勧めるかの理由、それからもう一つ、先ほどからの御質問に関連するんですけれども、保険代理店自体はあくまでも保険会社側の代理店であるという自己の立場、そういうものを明示するということを通じて適切な保険募集を図っていきたいと考えております。

鈴木(克)委員 法律上公正中立な立場かどうかということに対して、そうではないというお話でありました。これはちょっと、どういう形なのか、今後少し勉強させてもらいたいというふうに思うんです。

 いずれにしても、私が申し上げたいのは、相談に来る人は、自分と保険会社の間に立って、自分に最も適したというか、いい商品を勧めていただけるんだろうというふうに思って、皆さん見えると思うんですね。あくまでも業者は中立なんだというふうに思って期待をして来るというふうに私は思うんです。

 そこのところが、いや情報提供義務なんだということだけで果たして割り切れるものなのか、訪ねてきた消費者といいますかお客さんのニーズが本当にそこにあるのかどうか、その点をもう一度お聞かせいただきたいと思います。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる乗り合い代理店というものを想定いたしますと、乗り合い代理店の性質自体は、保険会社から保険募集を委託されたあくまでも代理店でございます。ここについてはそういう実態であるということでございます。問題は、そのときに、そういうことをまず顧客がきちっと認識しているかどうかというのが問題だと思います。

 また、比較推奨販売をするときには、代理店として、ある意味では顧客の立場に立たずに、もしくは顧客のニーズに合わないような保険商品を勧めることは避けなければならないということでございますので、先ほど申しましたような、品ぞろえと、それから、なぜこれを勧めるかという理由をきちっと明示させるということを考えております。

 また、もう一つ、先ほどちょっと申し忘れましたけれども、情報提供義務とともに、意向把握義務というのも今回導入しております。そういう意味では、先ほどから先生御指摘の顧客ニーズというものに関しては、意向把握義務において、保険の初期段階、それから相談の段階、最後に締結の段階、そういう段階で顧客の意向を確認しながら募集を行っていくというスキームを今回導入しておるということでございます。

鈴木(克)委員 最後にさせていただきますけれども、くどくなりますが、たくさんの会社の中からなぜこの会社の保険を勧めてきたんだろう、顧客といいますかお客はこういうふうに思うんですね。そして、それが自分に合っているからということではなくて、先ほどもありましたけれども、手数料の問題、要するに、代理店に入る手数料が一番多い保険だから私に勧めてきたのではないかというようなことをもしそのお客が考えるとすれば、これは信頼関係が成り立たなくなるというふうに思うんですね。

 そういう意味からいっても、議論がありましたけれども、やはり手数料を公開するという必要性も私はある意味ではあるんじゃないかなというふうに思います。

 いずれにしても、手数料の多い少ないによって勧める保険に色がつくような不適切な事案が認められた場合には、そのときには開示を義務づけるというようなことも含めて、私はやはりそういう対応をとっていく必要があるんじゃないかなというふうに思うんですが、再度そのことをお伺いして、質問を終わります。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 保険会社から乗り合い代理店に対して支払われる手数料の多寡に応じて保険商品の不適切な比較推奨販売が行われている可能性があるのではないかという先ほどからの御指摘でございますけれども、そういう御指摘も踏まえまして、金融審議会において手数料の開示義務についても御議論が行われております。

 そうした御議論の結果、審議会の報告におきましては、比較推奨販売を実施する際の情報提供や体制整備について規制が整備されることにより、一定の適切な体制が整備、確保されることから、手数料開示を一律に義務づける必要はないとされたところであります。

 一方で、先生がおっしゃいますように、比較推奨販売について問題が存在する場合には、必要に応じて、手数料の多寡によって適正な比較推奨販売がゆがめられていないかどうかについて、当局の検査監督によって検証を行うことが重要とされたところでもございますので、必要に応じて検証に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 終わります。

林田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

林田委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 金融商品取引法改正案及び保険業法改正案に対し、反対の討論を行います。

 金商法改正案については、新設のクラウドファンディングが中小事業者の資金調達手段として活用できる面はあるものの、現在禁止されている非上場株式の勧誘に道を開くものとなっており、詐欺などを含む未公開株等の被害を拡大しかねず、その対策が極めて不十分だからであります。

 未公開株は、リスクが高く、元本がゼロになる可能性もある金融商品であります。情報提供などの投資者保護ルールは導入されますが、無過失責任原則は盛り込まれず、被害が起きても投資者は泣き寝入りするしかありません。英国のように資産に対する投資総額の上限規制すらなく、投資者保護のルールは余りにも不十分です。

 また、投資グループ内の非上場株式の取引制度が導入されますが、一般の個人投資家の投資グループ加入に制約はなく、この面でも被害の拡大が否定できません。本制度では、形式上限定された投資者内の取引とはいえ、インサイダー取引規制が適用されないなど、投資者保護ルールの大幅な後退があります。

 なお、金商法に関連して、総合取引所の早期実現を求める動きもありますが、私どもは、その立場にくみするものではありません。

 保険業法改正案に反対する理由は、保険会社の健全性を確保するための子会社の業務規制をなし崩し的に後退させているからであります。

 法案は、海外金融機関等を買収した場合、現行法で認められていない業務を行う子会社の保有を五年に限り認めるものとなっております。保険会社の国際競争力強化を理由に、国内外で規制ルールをダブルスタンダードにして、契約者保護を後退させることに合理的根拠は認められません。

 前回の改正時、金融審議会でも、リーマン・ショック時に、保険業でない子会社のリスクが本体保険会社の健全性に重大な影響が出たことを教訓とすべしとの指摘がされました。にもかかわらず、企業の要請に応じて規制緩和を進めていくことは認められません。

 その他、保険募集ルールの導入など、不十分ながらも改善点も含まれますが、総合的に判断し、本法案にも反対いたします。

 以上です。

林田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

林田委員長 これより採決に入ります。

 まず、金融商品取引法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

林田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、菅原一秀君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。竹内譲君。

竹内委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 金融資本市場を取り巻く環境が大きく変化する中、近時における第二種金融商品取引業者による法令違反行為などの実態も踏まえ、実効性のある投資者・利用者保護を図る観点から、金融商品取引業者等に対する検査及び監督を強化すること。その際、地域の金融商品取引業者等の検査及び監督を主に担当する財務局も含め、優秀な人材の確保と職員の専門性の向上を図るとともに、必要な定員の確保、高度な専門的知識を要する職務に従事する職員の処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に努めること。

 一 いわゆる投資型クラウドファンディングについては、新規・成長企業への適切な資金の流れを確保し、制度に対する投資者の信頼を確保するとともに、悪質業者による資金集めの場となることを防止するため、投資型クラウドファンディング業者による、発行者に対する財務状況・事業計画の内容・資金使途等の適切な確認等のデューデリジェンス及びインターネットを通じた適切な情報提供等のための体制整備について適確に監督を行うとともに、必要な定員・機構の確保を図ること。また、資金受入れ後の事業等の状況等についても、投資者に対する適時適切な情報提供が確保されるよう配意すること。

 一 投資者が、新規・成長企業への投資に関するリスク等を十分に把握できないことにより不測の損害を被ることのないよう、投資者に対する注意喚起及び理解啓発に努めるとともに、投資被害の多くが電話・訪問によるものであることを踏まえ、投資型クラウドファンディングにおいては、電話・訪問を用いた勧誘ができないことを明確化すること。

 一 無登録業者による未公開株やファンドによる被害が後を絶たないことに鑑み、国内・海外を問わず、投資型クラウドファンディングを含め、無登録業者に対する監視等を強化すること。

 一 総合取引所についての規制・監督を一元化する改正金融商品取引法が本年三月に施行されたことを踏まえ、我が国市場の国際競争力の強化及び市場参加者の利便性の向上を図る観点から、総合取引所を早期に実現するよう取り組むこと。

 一 いわゆる官民ファンドについては、金融商品取引法の適用対象であるかどうかを問わず、各ファンドの運営状況、ガバナンス、投資対象の適格性等について、所管省庁において適切に監視すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

林田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

林田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえて配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

林田委員長 次に、保険業法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

林田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

林田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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