衆議院

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第5号 平成26年11月12日(水曜日)

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平成二十六年十一月十二日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 古川 禎久君

   理事 後藤 茂之君 理事 菅原 一秀君

   理事 竹本 直一君 理事 寺田  稔君

   理事 平口  洋君 理事 古本伸一郎君

   理事 伊東 信久君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    安藤  裕君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      大見  正君    鬼木  誠君

      金田 勝年君    神田 憲次君

      木原 誠二君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    今野 智博君

      柴山 昌彦君    田野瀬太道君

      田畑  毅君    田畑 裕明君

      中山 展宏君    林田  彪君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      牧島かれん君    武藤 貴也君

      山田 賢司君    岸本 周平君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      古川 元久君    柿沢 未途君

      小池 政就君    岡本 三成君

      斉藤 鉄夫君    坂元 大輔君

      松田  学君    杉本かずみ君

      佐々木憲昭君    鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        宮下 一郎君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   国土交通大臣政務官    大塚 高司君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    森  信親君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    佐藤 慎一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      佐川 宣寿君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   関根  弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     大見  正君

  田野瀬太道君     田畑 裕明君

  山田 賢司君     武藤 貴也君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     今野 智博君

  田畑 裕明君     青山 周平君

  武藤 貴也君     山田 賢司君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     田野瀬太道君

  今野 智博君     小島 敏文君

    ―――――――――――――

十一月七日

 消費税の増税は中止することに関する請願(笠井亮君紹介)(第三号)

 同(笠井亮君紹介)(第八六号)

 消費税の増税反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五八号)

 同(笠井亮君紹介)(第五九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六一号)

 同(志位和夫君紹介)(第六二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六五号)

 健全な飲酒環境の整備に関する請願(穴見陽一君紹介)(第二二号)

 消費税の増税の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二号)

 同(笠井亮君紹介)(第三三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第三六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三九号)

 消費税増税に当たっての軽減税率制度化と学校用図書教材への適用に関する請願(馳浩君紹介)(第四五号)

 事業主報酬制度の早期実現、小規模企業における事業承継税制の創設に関する請願(森英介君紹介)(第四七号)

 同(中山展宏君紹介)(第八七号)

 同(萩生田光一君紹介)(第一〇〇号)

 同(後藤茂之君紹介)(第一二〇号)

 米などの基礎食品と新聞など活字文化への軽減税率の適用に関する請願(山下貴司君紹介)(第五五号)

 消費税増税の中止、税務行政の強権化反対、納税者の権利憲章制定に関する請願(笠井亮君紹介)(第九九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、消費税率引き上げ及び簡素な給付措置等の状況把握のため、去る六月十六日、大阪府において財政及び金融に関する実情調査を行いましたので、参加委員より報告を聴取いたします。菅原一秀君。

菅原委員 参加委員を代表いたしまして、調査の概要を報告申し上げます。

 参加委員は十五名でありました。

 まず、豊中市役所において、簡素な給付措置等の実施に向けた準備状況等について説明を聴取し、給付事務を執行するための事業費、給付対象者の抽出や周知状況、円滑な給付事務の遂行に向けた課題等について意見交換を行いました。

 次に、大阪市の天神橋筋商店街において説明を聴取した後、地元経済界関係者と、消費税率引き上げ前後における地域経済の状況、消費税転嫁の実情、地域経済活性化、特に商店街活性化に向けた方策等について意見交換を行いました。

 最後に、近畿財務局及び大阪国税局から、近畿管内の経済概況、消費税率引き上げに係る税務当局の対応について説明を聴取しました。

 以上、今回の調査に当たりましては、御協力いただきました多くの方々に深く御礼を申し上げ、調査の報告といたします。

 以上です。

古川委員長 以上で調査参加委員からの報告は終わりました。

    ―――――――――――――

古川委員長 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁監督局長森信親君、財務省主税局長佐藤慎一君、国税庁次長佐川宣寿君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。

鬼木委員 自由民主党の鬼木誠でございます。

 本日は、公共事業予算と財源といったところで質問をさせていただきたいと思います。

 公共事業の予算というものを質問いたしますが、もちろんつけていただきたいという側面でもあります。一方で、日本は、財政の規律というものをどうやって守るかということが大きな課題でもあります。そうした中で、予算と財源について質問をしたいと思います。

 まず、公共事業予算の平準化について質問をしたいと思います。

 さきの臨時国会で質問させていただいたんですが、やはり年度間の公共事業予算を平準化してもらいたいという声が地方の現場にはあります。公共事業の予算が年ごとに大きく落ち込んだり、そしてまた大きくふえたりしては困るという声があります。

 コンクリートから人へという時代がありまして、公共事業が悪だと、悪玉論がありました。そういう中で、公共事業予算がドラスチックに大きく減らされた時代に、建設業者は潰れ、職人は離職し、そして建設機材などの設備も失われてきました。

 今、アベノミクス、財政出動によって公共事業予算をふやしても、建設業者が減っている、職人がいない、資材が足りないということで、現場が対応できない、そして価格が高騰するといったことが起こっております。

 ですから、公共事業の予算というのは、大きく減らしたり、そして大きくふやしたり、急激な増減をされても大変困るということが言えます。

 また、せっかくアベノミクスで、財政出動で予算をつけましても、それが設備投資に結びつかないということがあると思います。トラックやクレーンを購入しようと思っても、先行きの経営が見通せないと、長期で本当にこの景気は続くんだろうか、公共事業は続くんだろうかという不安感がありますと、設備投資もされませんし、社員をふやすこともできない。経営の先行きがやはり見通せるような政策が打たれないといけないということで、景気対策の意味でせっかく予算をつけても、効果があらわれにくくなるということがあると思います。

 そこで、私の考えは、公共事業というものは計画的に進めていく、それで、年度間の予算はある程度平準化する、言いかえれば、一定のレベルを確保していく必要があるのではないかということを考えますが、さきの質問と全く同じ質問になりますが、麻生大臣にお考えを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 公共事業の年度間の平準化という御質問なんだと思いますが、今御指摘のありましたとおり、社会資本の整備そのもの自体は、その効果が、長期間にわたって管理しなきゃいかぬとか、また維持しなきゃいかぬとか、いろいろなものもありますことから、将来の人口減少も考えながらといったような中長期的な視点というのを踏まえながら、計画的に進めなきゃいかぬ必要があるのは御存じのとおりです。

 ただし、そのほかに、過日のような災害とか、それから経済の落ち込みとかいうのに対して機動的に対応すべき局面があるということも事実だと思いますが、その局面を全部含めた上で、公共事業関係費につきましては、年度間で平準化されているわけではありません。おっしゃるとおりです。

 ただ、円滑な執行が進むようにするためには、これは建設業者の予見可能ということを考えないと、種々の対策を講じているところで、ことしの一月二十一日に、たしか国土交通省で公共事業の円滑な施工確保対策というのを取りまとめておられると思いますが、今後とも、限られた財源の中であろうと思いますが、計画的かつ効率的な社会資本整備というものを進めていく必要があろう、私どももそのように考えているところです。

鬼木委員 麻生大臣から、公共事業の目指す効果というものについても数点言及がありました。

 社会資本の整備という側面や景気刺激策という側面、そしてまた災害等緊急的に対応する側面、いろいろな側面がある中で、なかなか一定額を大きく織り込むということは財政的にも難しい、またそうした硬直化も許されない部分があるということもよく理解しておりますが、ある程度のベースを変えずに確保しておくということ、そういう先行きを業者が見通せる部分というのは必要なのかなと思います。

 また、災害対策等は、やはり緊急のものですから、機動的に財政出動する部分があるとしても、社会資本の整備というのはある程度中長期で見ていく部分がありますので、これを中長期で織り込んで、ならしで予算をつけていくということが必要かなと思います。

 また、国交省の取り組みについて言及いただきましたが、先ほど私が質問した部分は年度間の平準化、ある年とまた次の年、その次の年、このばらつきが大きいと困るという話のほかに、年度内の予算執行の平準化をしてほしいという声がやはり地方にはあるわけですね。

 年度末に公共事業、道路工事がいっぱい続いて、年度末の町は物すごく大渋滞する、そういう苦情もある。その一方、業者としては、年度初めに仕事が全くない時期があって、せっかく雇っている人員が遊んでいる、それで効率的な経営ができない、そういう声もあります。

 ですから、年度内での予算執行平準化という側面でも、国交省や、あと地方自治体がそこは執行責任がありますので、そういったところとも十分協議していただいて、財務省がやることではないかもしれませんけれども、せっかくつける予算がうまく、機能的に効果的に、効率的に日本全国で回っていくような取り組みをお願いしたいと思います。

 続きまして、社会資本の整備の部分で、今後、高度成長期にたくさんつくられていった道路や橋梁やトンネルなどの維持補修が大量に必要になる、そんな時代がやってきます。高度成長期に、日本が成長の中で道路をつくった、トンネルを掘った、橋をかけたというものが、老朽化で、ちょうど補修や修繕していかないといけない時期に来ている。それを怠ると大きな事故につながるということで、今後、維持補修が大量に必要になる、そういう時代がやってきます。

 国民の中には、これらの道路や橋梁、トンネル、こうしたものは国民の安全にかかわるものなので、これらは義務的経費と言えるのではないか、だから義務的な修繕費がこれからどんどんかかってくる、これは義務的経費だということを主張する方もおられるわけです。

 義務的経費、義務的経費と言いますが、その定義があるのかどうかも含めて、インフラ補修の予算は義務的経費と言えるのかどうか、お答えください。

麻生国務大臣 通常、義務的経費といいますと、まず最初に出てくるのが人件費であろうと思います。法律等によって支出が定められております社会保障義務費等々いろいろあろうと思いますが、制度的な仕組みを背景にして具体的な支出とか内容が決定される経費を通常義務的経費と呼ぶということになっております。

 この点で、今言われました道路の維持管理とかトンネルのとかいう話は、確かにこの間の笹子トンネルの落盤事故等々、いろいろそういったものはありますし、その他にも、橋梁等々で落ちたりなんかしかねないというような事態もありますので、いろいろな意味で、具体的な手法は各道路管理者というか、地方建設局とか、町道とか県道とかいろいろありますので場所によって違いますが、人件費や年金というような義務的経費とは異なって、具体的な支出水準というものの内容とか、それから制度的にこれというのが定められているとは言えませんので、やはり義務的経費にはちょっと該当せぬのではないかと思っております。

 ただ、国民の安全を保障するためだという点は間違いなくおっしゃるとおりなので、老朽化した道路とか、それから今後、維持とか管理とか修繕とかいうのをしていくためにも極めて重要なのであって、公共事業関係費全体は実質的には横ばいということになっておりますけれども、内容は、御存じかと思いますが、例えば河川、直轄道路の維持管理費でいいますと、公共工事としては横ばいですけれども、去年だけで二百四億、五%ぐらい伸びていると存じますし、また防災関係でいきますと、老朽化対策というので、これもほかのものに比べれば、三・六%、三百八十億ぐらい伸びていると思いますので、いろいろめり張りはつけているところであります。

 いずれにいたしましても、適切に維持管理、更新というものはされていかないと、安全という点が最もないがしろにされかねないという事態は、この三年間ほたった結果、公共事業関係の絶対量は、かつての十二兆五千億が今六兆を切るぐらいまで落ちてきておりますので、そういった意味では、公共事業というのがこの十年少々の間に激減しておるというのは事実だと思っております。

鬼木委員 ありがとうございました。

 義務的経費という定義の範疇には入っていないということで、人件費や法律に定められた支出ではないという意味では義務的経費とは言えない、定義には当てはまらないかもしれないんですが、やはり国民の命にかかわるもの、そして必ず危険なときが来るという意味では、義務的にかかってくるお金であるということは言えると思います。そして、その義務的にかかってくる経費の率が年々伸びているということで、公共事業費自体は伸びない中で、補修費の割合がふえているという御説明でした。

 補修費も必要ですし、新規のものもやはりこれから必要になってくると思いますので、そういう中で、では、補修をすべきだ、すべきだ、そして新しい道路も必要な部分があるんだと言うのならやはり財源の話も責任を持ってすべきかなというふうに私は思いまして、次の質問をさせていただきます。

 新規の道路とか、今本当に道路が要るのか。ひところ道路は無駄遣いの象徴のように言われてきましたが、例えば古川委員長がおられる宮崎は、東九州自動車道という九州を環状につなぐ高速道路がまだつながっていない。そういうミッシングリンクがやはり全国に残っているわけですね。

 今、地方創生をやっていますけれども、地方を元気にするためには、やはりそういう、西にも東にも、ぐるっと循環する自動車道をつなぐというのは物すごく大きな意味がある。だから、道路は一切無駄だというのは、僕は、インフラの整った都会の論理だったのではないかなと。やはりつなぐべきところはつないで、それを循環させることで地方が元気になる、地方創生の意味でも、そういう新規の道路が必要なところというのはあると思うんですね。

 そういう中で、補修費も、これからどんどん命にかかわる補修費が出てくるという中で、では財源をどうやって確保するのかということで私も頭をひねるんですけれども、やはりこれからの財政というのは、受益と負担の関係を明確に示すことがとても大事なことだと思うんですね。

 社会保障費がふえ続けてきた。社会保障費の財源をなかなか確保することができてこなかった。それを赤字で埋め続けた結果、公共事業費も文教費も科学予算も減って、しかも借金がふえ続けてきた。そして、いよいよ借り入れが限界を迎えた今、消費税をようやく、その社会保障の財源として上げねばならないところまで来てしまった。

 そして今、多くの国民には、社会保障の財源として消費税を上げなくてはならないということは大体わかってきた。つまり、社会保障見合いの財源がなかったんだ、そしてこれから必要なんだという受益と負担の関係が国民の中でコンセンサスを得ることができれば、国民に協力をお願いすることができるわけなんですね。

 そして、何が一番公平で、理解を得られるのかといいますと、やはり受益者に負担してもらう、原因者に負担してもらう、そして負担した人がきちんと受益を得るという関係が明確になることが一番公平であり、理解を得られる手段ではないかと思うんですね。

 そこで、私が道路予算とかを考えると、一番悔やまれるのが、道路特定財源がなくなったことなんですね。

 私が国会に二年前初めて来たときには、これはもうなくなっていた制度なんです。道路をつくるために受益者、原因者に負担してもらったお金、それをもって道路をつくっていたというこの制度は、私が国会に来たときにはもうなくなっていた。

 そして、さらに、その後何が起こったかといいますと、今まで道路特定財源としていただいていた税金が、目的税じゃなくて一般財源になったことで課税根拠を失ってしまった。だから、例えば車体課税、ガソリン課税は二重課税だ、消費税が上がって、二重課税だということで、課税根拠まで失って、その税目までもなくせという話が強い世論となっているというところに、つまり、税収自体まで減らしている、道路財源どころか国家の財源自体まで減らそうとしているというところに物すごく問題を感じているんですね。

 ですから、やはりインフラ補修とかについても、これから必ず生じるインフラの更新、補修の財源は、原因者負担、受益者負担ということで財源を確保することが私は必要だと考えます。

 特定財源を復活してくれとまでは言いません。やはりいろいろな問題や批判があってなくなったものですから、また同じものをつくってくれとは言いませんが、やはり課税根拠を明示して、そして受益者、原因者が負担するものでまた新しい安全なものができて、みんなが便利になる、そういう受益と負担の関係がわかりやすい税制と使い道というものができるべきだと思うんですが、麻生大臣の御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 平成二十一年に道路特定財源というものが廃止をされております。それからの経緯は、今、鬼木先生が言われたとおりなんです。

 これについては目的税ではなくなったんですけれども、それによって、二十五年度、二十六年度の与党税制改正大綱におきまして、自動車重量税については、道路を使用する自動車ユーザーに対する、道路の損壊とか整備とかいったような、今言われた受益者負担とか原因者負担とか、そういったような性格を有しているということが示されたことは確かなんです。

 ただ、今後とも、自動車重量税について、道路等の老朽化で補修していかないかぬとか、いろいろな意味で対策をしていかねばならぬ部分がいっぱいありますので、改めて、そういったものがあの時代とは少し変わって、もう一回、道路、道路といえば何となく全て悪のような話でしたけれども、今、財務省に陳情にお見えになる方のまず八割は道路です、地方においては特に圧倒的に道路の話が多くて、その他の話よりは道路の比率が高いというのを肌で感じますので、いろいろな意味で、税収の確保ということにつきましては、与党でいろいろ議論していただいたりしていく必要が今後は出てくることになるかなという感じはしております。

鬼木委員 受益と負担ということで、これからは本当に財政が厳しい、もう一千兆円を超える国、地方の借金があるということで、金利が上がったらどうなるんだというのは、本当に日々どきどき、冷や冷やしているわけでございます。

 そうした中で、これからの政治というものは、おいしいことばかり国民に与えるという政治はもう限界に来ておりまして、むしろ、どういう負担が生じるんですよということをきちんと丁寧に説明して理解してもらう、そして信頼関係を築いていく政治というものが今まさに求められていると思います。

 デンマークは、大変国民負担が大きい国なんですけれども、国民はその負担に不満を持っていない。それは、その負担が自分たちに返ってくる、受益しているものであるということを理解しているし、そして政府を信頼している、ここが日本と違うんだということを聞いたことがあります。

 私たちも、この受益と負担、また国民負担の議論から逃げずに、やはり皆さんのために、子供たちのために、日本のためにこの負担は必要なんですよ、みんなで背負っていく、そして次の世代に引き継いでいくものなんですよ、そうした前向きな議論、そして誠実で愚直な政治の取り組みがこれから必要なものになると思っております。

 また、麻生財務大臣の日々大変なお取り組みに敬意を表しまして、私も一緒に日本の財政をよいものにしていきたいと思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 ちょうど通常国会中に、当委員会で豊中市役所あるいは近畿財務局に行きまして、消費税引き上げ後の影響あるいは簡素な給付措置の事務状況を、これは特に豊中市役所でございましたが、つぶさに見てまいった後にこの財務金融委員会での質疑ということでございまして、きょうはそれからまず始めさせていただきたいと思います。

 お手元に資料がございます。

 簡素な給付措置の中で、臨時福祉給付金に五千円の加算をするといったことについて、このたび日本年金機構の方の処理について十万件ほど多く加算をしてしまった、結果、お手元にあるような形で一ページにありますが、対象者を変更したということでございます。この経緯について、また、一番最後にありますように、「事実関係を精査の上、再発防止策を含めた必要な措置を講じます。」という厚労省さんのペーパーでありますが、どのような再発防止策を講じたのか、お答えをいただけますでしょうか。

高階大臣政務官 お答えいたします。

 このたびの臨時福祉給付金の加算対象者の確認事務を行うためのリストを、ことしの六月に日本年金機構から各市町村に情報提供させていただいております。

 その際、このリストの中に、当初の要領で定められていた、三月分の年金の受給権があり、かつ四月分または五月分の年金が六月支払い期に支払われる方のほかに、三月分の年金の受給権はないが、四月分または五月分の年金が六月支払い期に支払われる方が含まれていた、このことによって十万件という今御指摘の問題が生じたということでございます。

 どういった経緯で抽出が行われていったのか、適正であったのか、事実確認をさせていただいておりまして、抽出の方法が適正かどうか、日本年金機構から報告を受けております。

 この誤りが発生した直接の原因についてでございますけれども、まず、日本年金機構から提出いたしました抽出条件が受託事業者へ適切に正確に伝達できなかったことが一点目としてございます。二点目としては、受託事業者との事後の調整及び作業結果の確認が不十分であった、こういった報告を受けているところでございます。

 私どもといたしましても、このような事務処理誤りを生じさせることのないよう、再発防止に向けて適切な指導をしてまいりたいと考えてございまして、実はこの八月中に、機構から、調査をした結果の報告書を提出いただいております。

 その報告書に基づきますれば、まず、機構職員及び受託事業者からのヒアリングを機構として行ったということ、そして、事案が発生した要因を把握するという取り組みが行われているということでございます。その結果に基づきまして、データの抽出、今回行ったような既存のシステムを活用して行う作業については、受託事業者との業務調整の手順とかあるいは作業結果のチェック体制に従来不明確な部分があったということが明らかとなってまいっておりまして、こういった作業手順等を具体的にマニュアル化する、二度とこういったことが起きないようにということで、マニュアル作成を行って再発防止を進めていくといったようなことを報告いただいておりまして、現在、マニュアル作成を進めていただいているというところでございます。

 なお、厚生労働省といたしましても、再発防止の徹底に向けて日本年金機構の指導に努めてまいりたい、そのように考えております。

武正委員 十万件、十万人の方に当初の制度設計からは余分に支給されるということですから、五千円掛ける十万人ということですと、五億円というようなことになろうかと思います。これは当初考えていた額よりも多くなるわけなんですけれども、この点については、所管省庁である厚生労働省として、日本年金機構はたしか六名の処分を発表しておりますが、何らかのそうした責任の所在をどのようにお感じになっておられるでしょうか。

高階大臣政務官 お答えいたします。

 厚生労働省といたしましても、組織上、管理的立場にあった職員の処分を既にしておるところでございます。

武正委員 五億円のお金、五億円を多い少ないといろいろ論じられると思うんですが、この後に触れますように、やはり財政再建といったところもある中で、今回、制度設計からは五億円多いといった支出になったことについては、どのように厚労省としてお考えでしょうか。

高階大臣政務官 確かに、事務手続上のミスがあったといったようなことについては、まことに遺憾だと思っております。

 ただ、今回こういったようなことが起こったことによりまして、本当に従前の要件というのが合理的であったのか否かといった原点に立ち戻って、省を挙げて精査し、そして合理性があると思われるような新たな要件を定めさせていただくといったような作業をさせていただいております。

 具体的に申しますれば、八月七日、局長の通知として修正後の要件を公表させていただいておりますけれども、従前の要件の中においても、例えば併給調整であるとか、受ける権利が従前からあった、こういう方については適正に見直すべきじゃないかといったようなことも行いまして、要件見直しによる給付金の増加は額面としては五億円というふうになりますけれども、これが損害か否かという点でもう一度立ち返って考えてみますと、合理的な判断に立って行われたものというふうなことで修正をさせていただいているところでございます。

武正委員 五億円の損害か否かは、合理的な判断で対応したから損害ではないという御認識でしょうか。

高階大臣政務官 そのとおりでございます。

武正委員 そもそも、この制度設計は厚労省がされて、対象者を絞られたんじゃないでしょうか。

高階大臣政務官 その時点では確かに、そのような要件にするのがふさわしいであろうというふうなことで当初の要件を決めさせていただいているわけですけれども、今回、抽出要件をやりとりする段階で生じたミスをもう一回反省しまして、要件そのものに合理性があるかどうかを原点に立ち戻って考えさせていただき、改めて八月七日に新たな要綱を出させていただいた、そういうことでございます。

武正委員 やはり国のこうした予算の執行については厳正に努めていただかなければなりませんし、今のように、厚労省として、最初の制度設計の要件が誤っていただけなんだという形で見過ごされては非常にいかがなものかというふうに思うわけで、これは厳しく指摘をしておきたいというふうに思っております。

 また、市町村の事務手続について、これも指摘をしておきたいと思うんですが、私どもが豊中市役所に行ったときに、臨時福祉給付金、子育て給付金、ダブルでの給付金、初めてのケース、しかも、臨時福祉給付金については同居か非同居かの確認、市町村を越えて確認しなければならないなど、現場では大変混乱を来しておりました。データの突合ということもやっておられるようですが、最後は紙ベースで確認したりしておりましたので、やはり今回の給付の措置については十分検証を行っていただきたいというふうに思っております。これは指摘にさせていただきます。

 厚労政務官はどうぞお引き取りをいただきたいと思います。

 そこで、表示について伺いたいんです。

 この四月からの消費税引き上げでございますが、表示については内税、外税のどちらでもよいというような形で三年間、三年後にはまたもとに戻すということであります。

 お手元の資料二ページにありますように、平成二十五年度、二十六年度と回を追うごとに、特に今回、二十六年度の第三回の調査では、四割の方が税込み価格のみということです。税込み価格と税抜き価格の併記が四八%ということで、高い数字を示しております。これは消費者庁の資料でございます。

 さしたる混乱もこの半年間ないとすれば、私は、外税、内税を併記していく、それぞれの事業者が選択していくというようなやり方をまた三年後に内税に戻すという今の法律は、やはり見直す必要があるのではないかなというふうに思うんです。きょうは経済産業省からもおいででございますが、この法案の担当省庁としての御意見を伺いたいと思います。

関大臣政務官 平成十六年以降ですが、原則として事業者に対しましては総額表示が義務づけられておったわけでございますけれども、転嫁対策の特別措置法によりまして、時限的な取り扱いとして外税表示も可能とする特例が設けられたところであるのは、今委員の言われたところでございます。

 この価格表示のあり方につきまして、事業者の方々からは、値札の張りかえ等の事務負担や価格転嫁のしやすさの観点から外税表示が望ましいとの意見があります一方で、価格表示は価格転嫁と直接の関係はないという御意見や、消費者とのトラブルや混乱を懸念いたしまして総額表示を維持すべきというふうな、さまざまな意見があるところでございます。また、消費者の方々からの御意見でございますけれども、総額表示方式が定着しておりまして、支払い総額が一目でわかるといった利便性、この利便性を評価する声が多いという指摘もなされているところでございます。委員もこの点はよく御存じだと思います。

 これらの点を踏まえますと、基本的には、総額表示方式というのを維持していくことが望ましいのではないかと今考えているところでございます。

武正委員 ちょうど二〇〇四年の四月一日から総額表示が実施をされた折、二〇〇四年三月三十一日までの二〇〇三年度、当財務金融委員会でもこの法案が提出をされまして、民主党は反対したわけで、私も財務金融委員会で、もともと外税の方がわかりやすいということで申し述べました。

 今、総額表示が望ましいという経済産業省のお考えでありますが、やはりこの半年間、特に事業者の声として、税率を引き上げたときにユーザーに対して税額が幾らかということをはっきり明示できると、外税のメリットを多くの事業者の方が口にされておりますので、私は、今の併記というやり方をこのまま進めていってはどうかというふうに思います。財務大臣の御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは、武正先生、実に両論ございまして、外税でビールを売ったら売れるか。外税でビールをやられたら、ビールの半分は税金ですから、それで誰がビールを飲むんだと。これは、ある飲み屋の人が言った話を私は例に引いて、なるほどなとそのとき思わせられた一つの例です。

 外税、内税、これは、私ども海外にいた者からいうと大体は外税のところ、アメリカなんかは外税だったんですが、今、ヨーロッパは皆ほとんど内税に変わっております。

 いろいろな意味で、事業者の方々からは両方出されてきていることは確かなんですけれども、今、総じて消費者の方々から言われている中で、あのとき私は、日本の方は引き算ができたり掛け算ができたり計算が速いものですから、外税と両方でいいというふうにした方が話が早くはないかということを申し上げたのと、もう一つは、三%をやって張りかえが終わったら、すぐまたもう二%とやって、また張りかえないかぬ、こんな壮大な手間をかけるのは多品種を大量に売っておられるお店なんかではえらい騒ぎになると思いますので、外税でもいいというより、両方ということを申し上げて、あのときはそうさせていただいたと記憶します。

 いずれにしても、今回この話は一応、消費者の方々は、払う額がそれだとわかった方が話が早いという方の御意見、支払い総額が一目でわかる方がというところが多いのが今の現状でございますので、基本的には総額表示方式という方法の方がよろしいのではないかという御意見が多いように思っているというのが、私どもの率直な感想です。

武正委員 先ほど触れましたように、消費者庁のアンケートでは、併記というものが五割近く希望されているので、やはり日本ではこうしたやり方、それぞれの事業者に任せていく。チェーンストア協会とかスーパーマーケット協会も外税方式を主張しておりますので、やはり事業者の意向というものを大事にすべきではないかというふうに思います。

 次に行きたいと思います。

 今度は、価格転嫁について、経産省にもこの法案の所管省庁として伺いたいんです。

 お手元の資料三ページ、これは、請け負った工事について価格転嫁できなかった割合が増税前から増税後でふえているという全建総連の統計でございます。

 これによりますと、下請工事では増税前五〇・八%、増税後六五・一%が価格転嫁できなかった、元請工事では増税前四一・五%、増税後六九・〇%と半数以上の工事で転嫁できなかった、経産省で転嫁できたが八割という結果を示しているものとの乖離ということ。これは、二〇一四年六月から八月十一日に調査実施、対象期間は二〇一三年一月から二〇一四年三月、増税後二〇一四年四月から八月ということで、三万二千六百七十六件の回答からの統計でございます。

 まず、国交省にきょうはおいでいただいておりますので、こうした点は国交省として把握されているのか、価格転嫁ができないというような話をよく聞いておられるかどうか、伺いたいと思います。

大塚(高)大臣政務官 御指摘のとおり、全建総連の小規模事業者を対象とした約九百社に対する調査結果によれば、半数以上の工事で転嫁できなかったというような回答があったということは承知をしておるところでございます。

 国土交通省といたしましても、これまで、主要な建設業四団体に状況を確認してきましたが、適正に転嫁されていると認識しているとの回答を得たところでございます。また、国土交通省の相談窓口等に寄せられた転嫁拒否に関する被疑情報も、十月三十日現在、二十八件にとどまっておるところでございます。

 しかしながら、先ほど委員の御指摘のとおり、今般の全建総連の調査結果を踏まえて、改めて早急に実態把握に努めてまいる所存でございます。

 その上で、中小企業庁また公正取引委員会との連携を図りながら、国土交通省として、建設産業においての円滑かつ適正な転嫁が行えるよう、消費税転嫁拒否に対する対応に万全を期してまいりたい、かように思っているところでございます。

武正委員 国交省の把握とこうした結果がなぜ違うのかといったところはやはりつぶさに丁寧に検証をお願いしたいと思いますが、所管省庁として、経産省、いかがでしょうか。価格転嫁がこうした形で八割できたとする調査とは違うという指摘でございますが、いかがでしょうか。

関大臣政務官 経済産業省の方では、月次でモニタリング調査というのを行っております。

 これが、この十月の調査なんですが、どういうふうな調査の仕方をしておるかということなんですけれども、事業者間での取引、いわゆるBツーB取引と、消費者向けの取引、BツーCの取引、二つに分けまして、BツーBの方につきましては母数が七千九百五十八で、従業員別に五段階に分けて、五人以下の企業、六人から二十人の企業、二十一人から五十人の企業、五十一人から百人の企業、百一人から三百人の企業という分け方でBツーBは調べました。同じような分け方でBツーCも調べまして、こちらのBツーCの方は六千六百五十六が母数でございます。

 その結果、最近の十月の消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査では、先ほど委員もおっしゃられていましたように、事業者間取引におきましては、全て転嫁できているという事業者は八二・二%、また、全く転嫁できていないと答えた事業者が三・九%でございました。

 ただ、このようないわゆる消費税の転嫁というのは、委員も御認識を持たれておりますとおり、非常に重要な問題でございますので、我々経済産業省としましては、全国に四百七十四人を配置しました転嫁対策調査官、転嫁Gメンとよく呼んでおりますが、この転嫁Gメンが昨年十月以降、十一月十日現在で一千八十四件の立入検査をしまして五百二十八件の指導を行うなど、転嫁拒否行為の監視とか取り締まりに取り組んでいるところでございます。

 加えまして、四月以降、中小企業、小規模事業者全体に対しまして広く書面の調査を実施しておりまして、違反行為に対しましては厳正に対処していくという対応をとっておるところでございまして、今後も万全を期してまいりたいと思います。

武正委員 消費者庁に聞きますと、消費税について、便乗値上げはなかったというふうに言っておられます。しかし、多くの方から、どうも内容量が減った、枚数が減った、値段は変わらないけれどもと、この半年でそういう意見をいただきます。便乗値上げの概念というのは何かにかこつけてより利幅を得るということでありますので、コスト上昇に伴って枚数を減らしたんだとか内容量を減らしたんだと言われれば便乗値上げに当たらないということなんでしょうが、やはり庶民感覚からするとどうも違う。

 また、今の価格転嫁についても、両省庁はそうおっしゃいますが、このように増税後六割、七割という形で価格転嫁ができなかったという結果も出ているということでありますので、ちょうど半年を経て、まだまだ検証をつぶさに十分行っていく必要があるし、国会での議論も、残念ながら、消費税引き上げ後の検証というのは、通常国会は会期延長されず、夏も三カ月以上国会は開かれず。ようやく開かれても、ようやくこの財務金融委員会できょう、四月の消費税引き上げの検証がテーマとなっているわけですので、私は、まだまだ国会としても議論を深めていく必要があるのではないかというふうに思うわけであります。

 両政務官、お引き取りください。ありがとうございました。

 そこで、きょうは日銀総裁がお見えでございますので、四ページにございます十月三十一日の追加の金融緩和について、お話を伺いたいと思います。

 これは、衆議院の財務金融調査局に作成をお願いいたしまして、私も財務副大臣を二〇一二年の末まで行わせていただきましたのでちょうど二年前でしたけれども、二年前は百三十八兆、八十九兆といったところになろうかと思います。当初の予定の二重線から、政権がかわり、そして異次元の金融緩和ということで、マネタリーベース並びに長期国債保有残高の角度がぐっと上がった。それがまたここに来て、ぐっと上げるような緩和をしたわけなんです。

 しかし、今回は金融政策決定会合で五対四という大変際どい結論ということで、九名の委員の皆さんの意見も割れるという中でありますし、ちょうど二日前にアメリカが金融緩和を終えた翌々日というタイミングでもありますし、かといってECB、ヨーロッパ中央銀行はなかなか量的緩和には慎重というような中、これでは日本がひとりで世界の金融緩和をしょい込むことになるのではないかなという懸念もございます。

 黒田総裁にぜひ伺いたいんですが、これでまいりますと、二〇一三年の対GDP比のマネタリーベース割合は米国は二五%で日銀は四割、二〇一四年末ですと米国は二八%、日本は対GDP比で五四・六%ということで、二〇一五年末には対GDP比で七割を超える大変な資金供給量ということになって、その点についてやはり非常に心配なところがあるわけなんです。

 今回の金融緩和の目的と、そうした指摘について、総裁の御所見を伺いたいと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、日本銀行は、十月末の金融政策決定会合で量的・質的金融緩和の拡大を決定いたしました。

 この拡大を決定した基本的考え方について御説明申し上げます。

 我が国経済は基調的には緩やかな回復を続けていると考えておりますけれども、物価面では、このところ、消費税率引き上げ後の需要面での弱目の動きや原油価格の大幅な下落が、物価の下押し圧力として働いております。短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがあるというふうに考えまして、日本銀行としては、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するために、ここで量的・質的金融緩和を拡大することが適当であるというふうに判断したものでございます。

 なお、御指摘のように、この量的・質的金融緩和の拡大のもと、マネタリーベースの増加のペースあるいは長期国債の買い入れペースは加速するわけでございますけれども、一方で、適切な金融政策につきましては、引き続き、物価安定目標の二%の実現を目指して、これを安定的に持続するために必要な時点まで現在の政策を続けるわけでございますけれども、その際には、当然のことながら、経済・物価情勢について上下双方向のリスクというものを点検して、必要な場合には必要な調整を行うという方針に変わりはございません。

武正委員 出口戦略ということで、若干順番を変えます。GPIFの後でありますが、八ページをごらんいただきますと、FRBも出口については、ことしの十月二十九日に停止決定、九ページと二ページにわたって表がございますが、その一年半前の二〇一三年五月二十二日に出口について発出を始めたということです。

 過日、古川委員からもIMFの指摘を述べましたけれども、どうしても出口については、国債の期間も延びていることから、やはり早目早目にマーケットに対してメッセージを出していく必要があるということを言われております。過日も時期尚早というふうに総裁は言っておられますけれども、ここでまた一段の金融緩和をしても、こうした出口について語るということは時期尚早ということでしょうか。

黒田参考人 日本銀行といたしましては、現在、二%という物価安定の目標をできるだけ早期に実現するよう最大限の努力を行っている最中でございまして、出口戦略を議論するのはやはり時期尚早ではないかと考えております。

 また、量的・質的金融緩和の出口に向けた対応、あるいはその後の政策運営のあり方につきましては、やはりその時々の経済・物価情勢や市場の状況などによって変わり得るものでございますので、早い段階から具体的なイメージを持ってお話しするということは適当ではなくて、市場との対話という観点からもかえって混乱を招くおそれが高いのではないかというふうに考えております。

 なお、日本銀行といたしましては、将来にわたって二%の物価安定の目標を達成、維持するために機動的な金融政策を運営することは十分可能でありまして、そういった意味で、今回の量的・質的金融緩和の拡大によっていわゆる出口が困難になるというふうには考えておりません。

武正委員 やはり市場へのメッセージを、また国民の皆さんにも。もう既に指摘があるように、日銀の国庫納付金が出口になってくると減ってくる可能性がある、これは国の財政に与える影響ということも言われておりますので、国民に対しても、そして国会に対してもやはり早くから、バーナンキさんではありませんがいろいろな形でメッセージを、小出しと言ってはなんですけれども出してきた経緯がありますので、私は、出口についてもうそろそろ語り始めるタイミングになっているのではないのかというふうに思っております。

 そこで、GPIFに戻りますが、六ページ。

 ちょうど追加の緩和が行われた日、そしてまた三十兆円の国債の追加の保有といったことが言われた日に、この六ページにあります基本ポートフォリオの変更が発表されております。国内債券すなわち国債については、構成割合を二五%減らして三五%にする。国内、外国株式は二五%ずつ、すなわち五割は株式で運用。こうした大胆なポートフォリオの見直しを、百三十兆円の国民の皆さんからお預かりしている保険料を使って行うんだということでありまして、やはりそのリスクというものが大変懸念されるわけなんです。

 くしくも、国内債券、国債を三十兆円、GPIFが市場に放出する、ちょうど同じように国債を日銀は三十兆円買う。これは示し合わせたんじゃないのかというようなことが言われるわけですが、改めて、そうした点の指摘について、総裁の御所見を伺いたいと思います。

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、量的・質的金融緩和の拡大、これはあくまでも金融政策上の判断として決定したものでありまして、デフレマインドの転換が遅延するリスクの顕在化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持する、二%の物価安定の目標の達成を確かなものにするためということでございまして、GPIFの投資政策の変更云々とは全く関係がございません。

武正委員 そこで、財務大臣に伺いたいんです。GPIFの所管大臣は厚労大臣なんですけれども、お手元に資料が、五ページにありますように、財務大臣協議で、GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画並びに中期目標、協議をして、それについて麻生大臣の名前で同日、異存がないというふうにされているものですから。

 今回の株式での運用、そしてまた特に、七ページにありますように、これまで外国株式は国内株式よりもその割合を少なくといったものも撤廃する、こういうような大きな見直しが行われたわけですが、ただでさえ国内株式も上がったり下がったりというリスクがある中、外国株式の方が運用についてはより高度な知見を要するのではないのかというふうに思うわけです。外国株式が国内株式よりも少ないというのも撤廃した、全体の五割は株式運用、こうした点について大臣として異存ないというふうにされた根拠というか、御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは、今般の、いわゆるガバメント・ペンション・インベストメント・ファンドと称する、通称GPIFにおける基本ポートフォリオというものの見直しの件なんだと思います。

 これは、ことしの六月に閣議決定されております改訂日本再興戦略の中のいろいろなアイデアを踏まえて、デフレからの脱却と適度なインフレ環境への移行など長期的な経済・運用環境の変化に速やかに対応し、年金財政の長期的な健全性を確保するために行われたものと承知をいたしております。

 これは、武正先生、上がったり下がったりするのは常につきものみたいなものではありますし、野田政権最後のときでたしかあれは一兆五千億ぐらいの赤字だったと思いますが、去年で十兆、十一兆の黒字になったのは、年金の運用課長が、そんな有能なやつがいきなり厚生省に来たなんということは考えられないので、当然のこととして、株が上がったからこういうことになったんだと。したがって、年金は黒字になった、大黒字になった。最高に黒字になったのはこのおかげだと思っております。

 私どもとしては、こういったものはある程度、いわゆる年金をお預かりしておる立場で運用されることになりますので、そういった意味では、こういったようなものは国内の債券とかいろいろなものに危険分散をいろいろしておくというのが大変大事なことなのであって、分散投資によってリスクを回避しながらということで、専門家が今現在想定されております運用環境というものに即して、最もいいポートフォリオというものを選定したものだと思っておりますので、私どもとしては特に問題があるとは思っておりません。

 また、GPIFにおきましても、いわゆるリスク管理の高度化というものが大事なところだと思います。こういったものに取り組むためには体制をある程度きちんとやってもらわないといかぬのだと思いますので、こういった意味では、安全かつ効率的な年金の運用というものに今後とも配慮していただかないかぬところなのであって、何となく、もうかったから、それ行けというような話の種類のお金とは思っておりません。

武正委員 あわせて、外国株式の国内株式よりも少ない運用が取っ払われたという点についてはいかがでしょうか。それだけ運用について知見を持っている方がいるというようなことも含めてちょっと心配なんですが、それはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 厚生労働省の中の人事に関して、またGPIFの人事に関してそんな詳しいわけではありませんが、こういったようないわゆるプロと呼ばれるに値する方をいろいろ物色しておられたことはよく知っておりますので、そういった方々が採用されて、運用何とかかんとかというところに入ってきておられるんだと存じます。

武正委員 思いますということで、チェックをする財務大臣がこういった若干曖昧な答弁というのはいささか心配でございます。

 まだまだそうした知見を要する方というのはこれから育てていかなければならないというのが日本の現状とも伺っているわけで、巨額なファンドでありますので、その運用について、これだけの株式運用、また外国株式、国内株式のルールを取っ払ってしまうというのは非常に心配であります。ぜひ、財務大臣として協議にあずかっているわけですので、よりチェックをお願いしたいと思います。

 そこで、消費税についてお話を伺いたいんです。

 十ページは、日銀と政府のアコード。財政再建について政府に迫った日銀のアコードということでありますが、消費税率の来年十月からの引き上げについて、衆議院を解散して国民に信を問うというような話がにわかに出てまいりました。となりますと、消費税の引き上げが先送りされる、あるいは凍結される、こういうようなことになりかねないわけであります。

 日銀総裁は、十月十七日、古川委員への答弁で、万一先送りということによって財政運営に対する市場の信認が失われると、対応が極めて難しくなる可能性が高いということを申し上げているわけでありますというふうに述べております。ここで、二〇一五年、プライマリーバランス赤字半減といったコミットメント、国際公約ではないけれどもコミットメントだというお話がありましたが、こうしたものも当然、市場に対する影響が大きいわけです。日銀総裁としての御所見を伺いたいと思います。

黒田参考人 もとより、具体的な財政運営につきましては、政府、国会において議論されるものと認識しております。

 その上で、財政に関する一般論として申し上げますと、やはり国全体として、財政運営に対する信認をしっかりと確保することが極めて重要であると考えております。

 この点、政府は中期財政計画において財政健全化に向けた数値目標とその達成に向けた取り組みを明確にしておられるわけですので、日本銀行としては、今後とも、持続可能な財政構造を確立するための取り組みが着実に進められることを期待しております。

武正委員 期待しているということなんですが、アコードでこのように言っていますよね。「政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。」ということで、日銀と財務大臣での文書を交わしておられます。こうした約束をしたわけであります。

 財務大臣に伺います。

 過日、同じく十月十七日には、消費税の凍結、先送りとなった場合、プライマリーバランス赤字半減についてはどうなるかということについてのお答えで、仮に十二月にそういうことになった場合でも、きちんとそういった目標を掲げてやり続けるということは申し上げないかぬところだと思っておりますということです。十一ページにありますように、ことしの七月の試算ではぎりぎり何とかクリアできるといったところでありますが、これを先に送れば達成が当然不可能になります。それをクリアするということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 そのころの担当者なので重ねて申し上げる必要もないと存じますが、消費税というものに関しましては、これは何といっても、国の信認を維持するとともに、将来の次世代とか次の時代に社会保障体制を、きちんとしっかりしたものを引き継いでいくんだという大義名分というものを大事にして、少なくとも三党で合意しているんですから、三党合意が一番大きなところですよ、私どもに言わせると。ここが一番大きなところだ、私どもはそう思っています。

 少なくとも、今、日本の中において少子高齢化が急激に進んでいる中で、この一〇%の、主に社会福祉目的税に近いような話ですけれども、こういったような感じのものは、これは待ったなしの話なんだ、私自身はそう思っております。

 今のお話を伺っておると、何となく、いかにも先延ばしすることが決まったかのような話をされておられますけれども、そんなことは全くありません。これまでの官房長官の発言も、また総理の発言も、少なくとも二次QEを見てからという話をしておられますので、それ以外の答えを私どもとして考えておるわけではございません。

武正委員 三党合意では年金の抜本改革も約束されておりますが、これについては与野党の協議に与党が応じないといったことにもなっていますし、二年前のQTで安倍現総理は数十の定数削減といったものも約束したわけですが、衆議院は五の定数削減にとどまっております。

 また、私も、事務所の方で二百二十人の方にアンケートをとりますと、十月からの消費税の引き上げについて賛成という方は二割弱。やはり国民の皆様は、今の景気の状況が大変厳しいと。

 間もなく七―九も発表になるでしょう。そういった認識に加えて、国会は、あるいは行政府は何をやっているんだ、約束を守っていないじゃないか、こういった声が強いわけです。三党合意も当然、三党で進めてまいりましたけれども、別の三党合意も守られていない、定数削減ができていない、こういったことは厳しく我々も捉えていかなければなりませんし、経済条項も附則に盛り込まれているといったことは、先ほどの四月の消費税率引き上げの検証がまだまだ不十分といった中で、よもやまたこれが解散して信を問うというようなお話になったとしたら、国会として、国民の皆さんに信を問うだけの検証あるいは議論が十分できていないで信を問うことになるのではないかというふうに思うわけであります。

 そうした中で、きょうの報道ですが、けさの日経では、「消費税一〇%先送りでも子育て支援充実検討」というふうに出ております。過日、十月十七日、同じく財務大臣は、しかるべき財源を今の段階で見つけているわけではありませんので極めて難しいというふうに述べておりますが、これは変わらないということでしょうか。

麻生国務大臣 消費税を二%引き上げるということなしに、今言われたような問題、社会福祉の関係の話を充実させる予算を、来年度、ほかの財源というものなしでやるのは極めて厳しいと存じます。

武正委員 そうした中で、財政再建ということで重ねて伺いますけれども、二〇一五年、プライマリーバランス赤字半減、そして二〇二〇年、それを収支とんとんにする、このコミットメントは堅持するということを改めて伺いたいと思います。

麻生国務大臣 プライマリーバランスの話は、これは間違いなく、二〇一五年度の基礎的財政収支の赤字半減目標というものを掲げて、昨年、今年と四兆の四兆、合計八兆円ということを目的にしてやらせていただいて、昨年は五兆二千億を達成しておりますので、今年度さらに四兆ということで、半減目標をクリアすることは間違いない、私どもはそう思っております。

 いずれにしても、その上で、二〇二〇年度に関しましては、あとまだ明確に足りない部分があるというのはこの間の内閣府の資料で明らかにされておりますので、そういったものを含めて、達成しました二〇一五年の後の残り五年間につきましても私どもはしかるべき財政というものを考えないと、これはとてもではないけれども、二〇二〇年のコミットメントを果たすことは今の状況ですらなかなか難しいということだと思います。さらに歳出の抑制等々、いろいろなことをやらねばならぬものだと思っております。

武正委員 今、補正予算の編成なども言われているようでありますが、よもや消費税を先送りして補正予算ということは、今の二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減からいえばあり得ないということだと思うんです。その点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 今の段階で景気対策としての補正予算ということだと存じますけれども、おかげさまで、この十月以降の数値は、自動車を見ましても、小売を見ましても、その他を見ましても全ての数字はずっと上に上がってきておりますので、状況としては七―九とは大分変わってきていることははっきりしていると思っております。

 したがいまして、今の段階で補正を何とかという段階ではないと思っておりますけれども、いずれにしても、何らかの景気対策をやる必要があると私自身も感じておりますが、それに当たって、今御指摘のあったような、さらに赤字公債を組むとかいうような形での補正を組むつもりはございません。

武正委員 内閣府が十一日に発表した十月の経済指標では、消費の低迷が続いているということです。こうした点もあって追加の金融緩和などに日銀としても今回踏み切った、あるいは原油の価格の下げといったことも先ほど総裁から述べられたわけなんですけれども、金融当局のこうしたデフレ脱却の取り組みというような中で、円安の効果というものもやはり限定的になっているというような中で、もうぎりぎりのところの緩和が、私は早く出口を語るべきだというふうに思いますが、そうした中、やはりあとは政府の方が、財政当局がきちっとそれに応えていくということだというふうに思いますので、先ほどの、プライマリーバランスをしっかりと守るといったことを堅持してもらうということを申し述べたいと思いますし、加えて、つぶさに国民各層そして各地域の現状を把握した上での経済政策、財政金融政策がやはり必要であります。

 国会での議論はまだまだ尽くされていないというふうに思いますので、私はここで、解散して信を問うというようなことが盛んに言われておりますが、その前にやることがあるんじゃないのかということを改めて申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 維新の党の伊東信久でございます。

 私の質疑時間は二十五分でございまして、本当にたくさんお聞きしたいことがございますので、どんどん質問の方を進めさせていただきたいと思います。

 まず、本日、黒田日銀総裁にお越しいただいていますので、異次元の金融緩和、黒田総裁が総裁になられてからこの異次元の金融緩和についていろいろやられているわけなんですけれども、私は科学者でありますので、異次元といいますと、どうしても、この三次元の世の中で何次元まで次元が上がるのだろうかと思っておるわけなんですね。アインシュタインが時間軸をつくって四次元にして、私がやっているレーザー治療なんかは、量子力学が関係しますので、十一次元まで上がるんですけれども。

 これはメタファーだと思うんですけれども、この金融緩和によって物価目標二%の達成をコミットする、それをチェックし検証する、アセスメントするに当たり、経済指数にやはり遅行性というのがございます。どうしても現実と評価の時間のずれというのがあるんですけれども、この遅行性ゆえに、物価目標二%の達成を確認するころには流動性が過多となりまして、かつての一九八〇年代のようにバブル発生も懸念されないかと思うんですけれども、そのあたりの御所見はいかがでしょうか。

黒田参考人 御案内のとおり、現在、日本銀行は、二%の物価安定目標を、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するということのために量的・質的金融緩和を進めております。

 金融政策運営に当たりましては、上下双方向のリスクについて点検しながら行っているわけでございますけれども、御指摘の懸念につきましては、現時点で、資産市場あるいは金融機関の行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されておりません。

 この点、半年ごとに日本銀行が公表しております金融システムレポートあるいは展望レポートにおいて明らかにしているわけでございまして、今後とも、先ほど申し上げたとおり、上下双方向のリスクを点検しながら、また、金融システムレポートあるいは展望レポートにおいて適切な評価を行いながら金融政策運営を行っていきたいというふうに思っております。

伊東(信)委員 量的な緩和によって金融緩和の政策があるということなんですけれども、いずれにしても、国債発行額の大半が市中に出たとしてもそれをまた日銀が買い取るという金融緩和政策というのは、私は理系なのでやはりどうしても実質的なことを考えてしまうんですけれども、実質、日銀が引き受けを担当しているのではないか。そして、やはりダイジェスト、医学用語で消化ということなんですけれども、市中のダイジェストの原則に反するだけでなく、マリグナント、これも医学用語で悪性という意味なんですけれども、マリグナントなインフレを進行させるのではないかと思うんです。

 我が党の藤巻議員などはハイパーインフレということをおっしゃるわけなんですけれども、その理論の正確性はともかくとして、このマリグナントなインフレが進行したとして、いかにして進行をとめることができるのかという、そういったリスク対策もされていますでしょうか。

黒田参考人 先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比の上昇率で二%として、金融政策を運営しております。量的・質的金融緩和についても、この二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続するということにしております。

 したがいまして、御指摘のような悪性インフレあるいはハイパーインフレというような状況になるとは考えておりませんし、そういうような懸念がありますれば、当然のことながら、適切な措置をとって二%の物価安定の目標を実現していくということに尽きると思います。

伊東(信)委員 であるのならば、その引き受けた国債というのは、本当に国民の皆さんも、地元に戻りまして、商店街でお買い物、その日のおかずを買う主婦の方とか中小企業の社長さんにも、単純に、純粋に聞かれる質問ですけれども、その買い取った国債は最終的には、出口というんですか、どうされるつもりなんですか。

黒田参考人 金融政策の運営に当たりましては、日本銀行のみならず、各国の中央銀行も、国債という最も高い信用力と流動性を有する金融資産の売買という形で金融市場の調節を行っているのが常でございます。

 したがいまして、日本銀行も、量的・質的金融緩和の実行に当たりましては、国債の大量の買い入れという形で金融の緩和を進めているわけでございます。

 出口につきましては、先ほど来申し上げていますとおり、今の時点で具体的にお話しするのは時期尚早であると思いますけれども、いずれにいたしましても、適切な金融政策を行う、そういう弾力性というか能力は引き続き持っておりますので、国債の買い入れによって何か出口が難しくなるといったことは考えておりません。

伊東(信)委員 済みません、適切な金融政策を持つ能力というのがちょっとわかりかねたんですけれども、詳しく御説明いただいてよろしいでしょうか。

黒田参考人 金融政策は、伝統的な金融政策であれ、非伝統的ないわゆる量的金融緩和等の金融政策であれ、実体経済に与える影響というのは、あくまでも実質金利とかリスクプレミアムがどのように動くか。経済が過熱し、あるいはインフレの懸念があるというときには、実質金利を上げ、リスクプレミアムを拡大することによって景気の過熱あるいはインフレの加速を防止する。逆に、経済を刺激し、あるいはデフレから脱却し、あるいはデフレの懸念を少なくするためには、実質金利を下げ、あるいはリスクプレミアムを縮小するということであります。

 したがいまして、先ほど申し上げたとおり、仮に景気が過熱するとか、あるいはインフレの懸念、つまり二%の物価安定目標を超えてどんどん物価が上がってしまうというような懸念がありますれば、当然のことながら、実質金利を上げ、あるいはリスクプレミアムを拡大するというような方向で金融政策を運営する。それは、大量の国債を買うといった量的緩和を行ったからといって何か特別に困難になるということはないわけでして、一番初めに大量の量的緩和を行った米国のFRB自体がはっきり示しているところでございます。

伊東(信)委員 お話はある程度理解できるんですね。実質金利とリスクプレミアムの話もよくわかるんですが、であるならば、量的緩和によって、つまり日銀が国債を買い取ることによって、日銀自体のバランスシートの悪化を通じまして、日銀券、それこそ釈迦に説法の話ですけれども、信用に基づいて成り立っているこのペーパーが信用悪化のリスクを高めることになりますけれども、それをどのように未然に防止されるつもりなんでしょうか。

黒田参考人 日銀券であれ、どんな中央銀行券であれ、基本的にインフレになれば通貨の価値が下がるということでありますので、あくまでも二%の物価安定目標を達成し、それを継続、持続できるようにするということによって、そういった信用の悪化リスクというのは防ぐことができるというふうに思っております。

伊東(信)委員 アベノミクスの三本の矢のうち一本目の量的緩和、安倍政権が発足して以来の一本目の矢の効果というのは、我々野党も認めざるを得ないというところでございます。ただ、最終的な三本目の成長戦略までやはり行き着いていないのが現状ですので、これは黒田日銀総裁に申し上げることではございませんけれども、本当にバランスのとれた、そういった政策を望むところであります。

 では、続きまして、麻生大臣への質疑に移らせていただきたいんです。

 金融緩和の後の話なんですけれども、消費税は八%から一〇%へ引き上げるものとしましょう。それで一時的に財政規模というのは改善される可能性もあるんですけれども、先ほどの武正議員の質疑の中にもございまして、麻生大臣も答弁されたので簡単に確認したいんですけれども、その場合、プライマリーバランスの抜本的な改革というのはやはり図れないと思うんです。消費税引き上げ後、そのプライマリーバランスの抜本的改善はどのように実現されるおつもりなんでしょうか。

麻生国務大臣 二十六年度の予算を見ていただくと、消費税率というものは、二十六年の四月より八%に引き上げる。引き上げ分につきましては四・五兆円の税収を見込んだということでありますが、国の一般会計につきましては、中期財政計画の目標が四兆円程度ということでありましたので、これを少々上回っております。五・二兆円のプライマリーバランスの改善を実現した。あのときは目標は四兆円だったんですけれども、実質は五・二兆円のプライマリーバランスを成功いたした。昨年度の話です。

 また、内閣府の中長期試算によりましても、消費税率が法律どおりに一〇%に引き上げられるという前提で、国と地方のプライマリーバランスが、二〇一三年度の六・二%の赤というものから、二〇一五年度で半分の三・二%の赤まで改善をしておりますし、二〇一五年度の赤字半減目標の達成が視野に入ってくるというところまで見通しが立っているということだろうと思っております。

 このように、消費税率の引き上げによりましてプライマリーバランスの抜本的な改善を図れないというのはちょっと御指摘としては当たらないのであって、いろいろな意味で大きく力を入れる、それプラス歳出削減等々いろいろなことをしなくちゃいかぬのは当然ですけれども、これが全然寄与しないというのは少し違っているような感じがいたしております。

伊東(信)委員 御発言のとおり、一つの面でしかやらない、そういうことを前提にして質問しているわけではないので、おっしゃることはよくわかります。

 ここで、黒田日銀総裁、退席されて大丈夫です。ありがとうございます。

 引き続き、麻生大臣への質問を続けさせていただきたいと思うんです。

 先ほど地方と国のプライマリーバランスというお話をされたので、先に、この間の予算委員会におきまして大臣が御発言いただいた、ゴルフ場利用税についてちょっと御質問したいと思います。もちろん、そのとき大臣が、ゴルフ税に関しては総務省の所管である、そのことを発言されたことも踏まえてお聞きしたいわけなんです。

 私の選挙区は、枚方市、交野市、大阪第十一区というところなんですけれども、交野市からもゴルフ場利用税の堅持を求める要請をもらっているわけなんですね。

 全国でゴルフ場が所在する市町村は、過疎地域であったり中山間地域で、自主的な財源の乏しい地域にありまして、これらの地域にとってゴルフ場利用税の交付金というのは貴重な財源となっているのは事実であると思います。交野市でも、人口八万人の自治体にとって、大体七千万円ぐらいのゴルフ場利用税になるらしいんですけれども、七千万円であっても、ひもつきでない財源はまさに死活問題という、そういった切実な訴えも聞きました。

 大臣はゴルフ場利用税の廃止に前向きな姿勢の発言もされておられたんですけれども、新たな財源確保の具体策がない場合は、やはり地方自治体の同意も得られないのではないかな。ましてや、消費税増税に関して、麻生大臣の先ほどからの発言とは違いますけれども、やはり先送りの話もありますし、我が党もその法案を出していますけれども、交付金は総務省の所管であることも理解した上で、麻生大臣の思いを聞かせてください。

麻生国務大臣 これはおっしゃるとおりに総務省の所管で、ゴルフ場利用税というのは、地方税として、今、総額五百七、八億円あると思っております。今言われましたように、一億円だったり七千万円だったり、場所によっていろいろ違いますけれども、大きな財源であることは間違いないと思っております。

 したがいまして、こういったようなものを廃止すると、限られた市町村とはいえ、いろいろ影響を受けることは間違いない、それははっきりしておりますよ。したがって、消費税が上がるというようなときに、地方税も上がります。一・七兆円ぐらい地方税が上がりますので、そのときにゴルフ場利用税というのをやめても、そのふえてきた分がありますので、そういったものと相殺できるチャンスにやらないと、とてもじゃないけれども、オリンピック種目になっている種目に税金をかけているという国は、世界じゅうで多分日本だけということになろうと思います。

 そういったようなことで、私どもとしては、財源確保ということもあわせて考えておかないと、ただ一方的にばっと切っちゃうというわけにはいかない。申し上げましたように、地方税収が上がってまいりますこの一〇%のときにやらせていただくのがいろいろな面から考えても現実的じゃないかな、私どもはそう思っております。

 個人的な意見であって、重ねて申し上げますけれども、この所管は総務省。よろしくお願い申し上げます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 そういったことも理解した上での質問でありまして、そういったことも踏まえた上での御答弁、ありがとうございます。

 いずれにしても、やはり消費税の増税が本丸でありまして、八%から一〇%、三党合意によって、法律上、二〇一五年十月に予定されるということなんです。残念ながらその三党合意の中に我々維新の党は入っていなかったわけですけれども、やはり今、首相が容易に判断できない可能性があるというのも事実だと思います。新聞報道でも、消費税率の引き上げの反対は六七%にも上ると載っております。

 税金が上がって喜ぶ国民の皆さんはおられないというのは事実でありましょうが、私も医師でありますので、社会保障の充実というのは、やはりこれからの少子高齢化社会において大事なことというのも理解しております。しかしながら、本当に今がその時期であるのかどうかということでございます。

 今月、十一月四日に、維新の党とみんなの党と生活の党の新たなる三党で、消費税一〇%への引き上げを延長する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、いわゆる消費増税の凍結法案を国会に提出させていただきまして、私も提出者の一人になりました。

 増税実施の三党合意では、景気回復と歳出削減の前提がありました。その歳出削減の策としまして、特に国会議員の定数削減と歳費カットの身を切る改革というのが党首討論での約束の中にあったような記憶があるんですけれども、それが全く進まない現状で、国民に増税を求めるのはいかがなものかと思います。

 かつ、安倍総理が増税を先送りとするというのならば、この消費税凍結法案、維新の党が提出した法案に賛成すればいいと思いますし、そうしないなら増税先送りを議会で通すべきなのに、解散の話が出ております。

 身を切る改革もせずに解散・総選挙を行うのは解散の大義もないと思うんですけれども、麻生大臣に、財務・金融大臣及び副総理としてのお考えというのを、もう時間もございませんので、最後にお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今お尋ねがあっております三党で出しておられます法案の概要は承知をいたしておりますが、その扱いにつきましては、これは立法府の話でありますので、御判断をいただくことになるのだと存じます。

 私どもとしては、先ほどから申し上げておりますように、自公民三党で、私どもが野党のときにこれは三党で合意をしたという憲政史上で歴史的な一つの事件だった、率直にそう評価しております。

 そういった意味では、法律になっておりますので、それをきちんとやる目的は何かといえば、それは間違いなく、国の財政をきちんとしたものにし、そして社会保障等々、いわゆる次の世代にツケを先送りしないとかいろいろな表現はありましょうけれども、少なくとも子育て等々待ったなしの話が、人口減少、高齢化等々によってもうそこに迫ってきておりますので、したがって、これをきちんとやる必要がある、私どもはそう思っております。したがいまして、例の十八条の三項というのがついておりますので、それでもって適切に判断をしていかないかぬのだと思っております。

 今、国会議員の定数削減のお話もあっておりましたけれども、これは間違いなく議会政治の根幹にかかわる話でありますので、各党各会派の間で真摯な議論をしていただかないと、私ども、中選挙区から小選挙区に変えるときも随分いろいろ議論させていただきましたよ、党が割れるほどの騒ぎでしたから。小選挙区になって、中選挙区でやっていた我々が皆小選挙区に変えるということになったときにはえらい騒ぎでしたよ、正直申し上げて。今の定数削減とはわけが違います、制度がまるっきり違うんですから。

 そういった意味では、これは長いこと時間をかけて得た結論で、今それについての問題がいろいろ出てきている。最初からそういう問題が起きるに決まっているといった話が今出てきている話ですから、ほら、言ったようになったじゃないですかと言っておられる御年配の方もいっぱいいらっしゃいます。

 いずれにしても、私どもとしては、こういったような問題というのは各党各会派で、これは自分の生殺与奪みたいな話になりますので、すごく真剣に御議論をいただいた上での話にしていただかないかぬところだろうと存じます。

伊東(信)委員 本当に短い時間で駆け足で質問させていただきました。

 安倍政権、手術で例えれば、今、切って開いて臓器をさわって、まだ縫っていませんので、縫うまできちっと責任をとってください。

 ということで、質疑時間が終わりましたので、私の質問を終わります。

古川委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 小池政就でございます。お疲れさまでございます。

 解散の話が多々出ておりますけれども、私たちは、あったとしても、大義なき解散だということを思っておりますし、また個人的には、せっかく戻ってきた財務金融委員会、勝手に親近感を持たせていただいております麻生大臣と議論ができなくなってしまうのが少し寂しいなということは感じております。(発言する者あり)また帰ってきますから、大丈夫です。

 また、大臣はよくわかっていただけると思うんですけれども、青年会議所として、この時期は本当に大変忙しい時期で、私は卒業予定者でありますが、その点からも非常にけしからぬと思いますし、ぜひ、中からそういう声を上げていただきたいと思います。私は、国会は卒業しないように頑張って、戻ってまいりますので、よろしくお願いします。

 まず、日銀の総裁に何点かお聞かせいただきたいと思います。

 今回の政策決定会合でありますけれども、その結果については幾多議論があったところでございますが、その過程において、今回は本当に薄氷を踏むというような形で、中でも議論がなされて、ようやく決定されたということでございます。

 今回において、反対意見、どのような内容があったのか、その点についてまずお聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 今回の決定会合で反対された委員は、これまでの金融市場調節方針と資産買い入れ方針を維持することが適当であるということで、拡大に反対をされたということでございます。

 なお、その詳細につきましては、次回決定会合後に公表される議事要旨で公表される扱いとなっておりますので、踏み込んだことは申し上げられませんが、今申し上げたとおり、基本的に、これまでの量的・質的金融緩和をそのまま維持することが適当だということが反対意見の内容であったというふうに理解しております。

小池(政)委員 少し懸念しておりますのは、今回、やはり一本目の矢ということで再金融緩和ということになったわけでございますが、今回の過程を踏まえますと、恐らくもう次はないんじゃないかということが想定されるわけでございます。

 これまで、黒田総裁の前の日銀の体制におきましては、政府それから日銀の方針が一致しないんじゃないかということで、日銀法の改正まで議論となって、どういった形で方針を一致させるかということが議論されてきたわけでございますが、これからは、もしかしたら、政府それから黒田総裁の方針が一致していたとしても、中から、やはりこの状況の中で慎重意見が強くなって、恐らく、そのような一本目の矢に頼ることはできないんじゃないかというような状態になっていくことが想定されております。その点についてはいかがでしょうか。

黒田参考人 金融政策決定会合におきましては、九人の政策委員がそれぞれ独自の意見を開陳して議論を行い、最終的な金融政策運営につきましては多数決で決定するという形をとっておりまして、過去にも、反対意見の表明があって多数決で決まったことが何度もございますので、それ自体が何か異常な事態であるとは思っておりませんが、いずれにいたしましても、今後とも、二%の物価安定目標の早期実現に向けまして、引き続き最大限の努力を払ってまいりたいというふうに思っております。

小池(政)委員 その中でこれからの二%のさらなる増税ということでございますけれども、前回ちょっと麻生大臣にも紹介させていただいた記事の中で、増税しないと、話が違うと国際社会から言われかねない、話が違うと言われたときに日本国債が売り浴びせられると、その対応は難しい、黒田日本銀行総裁も言っていたが、私たちが最も恐れるところだということを財務大臣がおっしゃっているところでございます。

 黒田総裁は、このような方針を見る限り、増税をすべきだというような御判断かと思いますけれども、そのような意見をお持ちの方の中には、増税をした場合に、当然ながらそこで反動減等が考えられるわけでございますが、それに対するリスクへはある程度対応できるんだと。ただ、おっしゃったように、このような国債市場の大きな変動のリスクというものへは対応できないということから、やはりすべきだという話かと思います。

 それでは、次回の二%の消費増税、そのときのまたさらなる反動減に対するリスクへの対応は、金融政策も含めて、一体何が考えられるんでしょうか。

黒田参考人 消費税率の引き上げ自体につきましては、当然のことながら、政府、国会において経済状況等を総合的に勘案して判断されると認識しております。

 なお、日本銀行の金融あるいは経済・物価見通しというものは、一昨年の夏に成立した法律に基づいて、二〇一五年十月に消費税率が二%引き上げられることを前提に作成しております。その上で、日本銀行が今回拡大した量的・質的金融緩和を推進していくもとで、日本経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けるというふうに予測をしております。これは、政策委員会の見通しであり、展望レポートでそのように示されております。

 なお、金融政策以外にどういった対応があるかということについては、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思います。

小池(政)委員 今、増税、引き上げを前提にということをおっしゃったわけでございますが、では、その前提にした場合の経済成長率は、前提どおりいっているのかどうか。今回の決定会合におきましては、今年度〇・五%下方修正されておりますね。そのままで果たして、今までおっしゃっていた前提どおりのような景気が続いて、二年で二%の目標が達成するということも考えていらっしゃるんでしょうか。

黒田参考人 そのとおりでありまして、今回の政策決定会合において、あわせて経済・物価見通しというものを展望レポートとして示しておりますけれども、その中で、先ほど申し上げたとおり、基調的に潜在成長率を上回る成長を続けると予想しておりまして、今年度は確かに〇・五%というふうに下方修正されましたが、二〇一五年度、一六年度については、ほとんど成長率の見通しは変わっておりません。

 物価見通しにつきましては、足元は変わっておりませんけれども、二〇一五年度につきましては若干下方に修正されましたが、二〇一五年度で、年度全体を見て一・七%、二〇一六年度には二・一%という見通しになっております。

小池(政)委員 下方修正しておきながら、前提どおりいくだろうということを想定しているのがちょっとよくわからないところでありまして、かつ、今回の決定会合でももめたように、果たして次の手が打てるかどうかというところが非常に不安なところでございまして、その点をこれから真剣に議論していただきたいと思います。

 そこで、ちょっと違う観点からの質問なんですけれども、その前提というところの中で、マネタリーベースは確かにふえているところでございますが、マネーストックは前提どおりふえていると判断されているんでしょうか。

黒田参考人 量的・質的金融緩和ということにおきましては、まず、強く明確なコミットメントによって予想物価上昇率を引き上げる。と同時に、巨額の国債買い入れによって金利に低下圧力を加えるということで実質金利の低下を促す、そして設備投資や個人消費等の民間需要を刺激するというメカニズムを想定しておりまして、こうした資金需要の増加は、次第に企業の資金需要の増加につながっていくというふうに考えております。

 ただ、企業は足元でかなり潤沢な手元資金を有しているために、設備投資等の資金需要の増加が直ちには貸し出しにつながりにくい面もありますけれども、そうした中でも、銀行貸し出しは前年比二%台半ばで増加しておりますし、マネーストックは三%強の伸び率となっております。

 そういった意味では、量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しつつあるというふうに考えております。

小池(政)委員 二%とおっしゃいましたけれども、マネタリーベースの伸びに比べたら、一%程度低い水準なわけでございます。

 それに、総裁は東京にいらっしゃるのでわからないかもしれないんですけれども、地方に行くほど、やはり金融機関の預貸率というのは非常に低い推移でありますし、なかなか資金需要が伸びないというのが現状でございます。

 また、消費に関しまして、恐らくやがて実質賃金もふえていくんだろうというような判断をされていると思うんですが、実質賃金がプラスになっていくということを想定されるのはいつごろと考えていらっしゃるんでしょうか。

黒田参考人 最近の賃金の動向を見ますと、今春、かなり多くの企業でベアが実施されたということもありまして、六月以降、所定内給与が前年比プラスになっておりますほか、夏季賞与の増加などから、特別給与もしっかりと増加しております。この結果、一人当たり名目賃金の前年比は、九月にはプラス〇・八%となっております。

 一方、消費税率引き上げの影響を除くと、消費者物価の前年比は、九月はプラス一・〇%となっておりまして、名目賃金の伸びとおおむね同水準となっております。また、賃金に雇用者数を乗じたいわゆる雇用者所得で見ますと、前年比プラス二%程度の伸びとなっております。

 したがいまして、所得環境自体は、物価上昇分を勘案しても、着実に改善しているということだと思います。

小池(政)委員 私は、その程度でこれから消費が伸びていくということは非常に懐疑的なところでございまして、やはり日本銀行は頑張っていらっしゃいますけれども、もう期待値がなかなか続かなくなっているんじゃないか、これ以上上げるのは大変になっているんじゃないかということを考えておりまして、だからこそ、成長戦略でありますとか財政再建の取り組みというのが非常に大事だということを訴えているところでございます。

 総裁も財政の重要性ということは常々おっしゃっているところでございますけれども、一つ検討していただきたいのは、今回、中長期の財政計画ということで、プライマリーバランスの一五年度の目標というのがぎりぎり達成できるだろうということを政府は試算して発表しているわけでございますけれども、もう既に、そのぎりぎりの計画に対しましても、先ごろ日銀が発表しました年内の実質成長率も現状は非常に下方修正されているわけであります。その中で一五年度のプライマリーバランスの目標の達成は非常に難しいと思うんですけれども、この点について、何がこれから必要になると思われますか。

黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、いわゆる中期財政計画におきまして、政府は、財政健全化に向けた数値目標を示して、その達成に向けた取り組みを進めているというふうに認識しております。御指摘のとおり、二〇一五年度の財政のプライマリーバランスの赤字半減ということが具体的な数値目標になっておりますので、やはりそういうことも含めまして、国全体として財政運営に対する信認をしっかりと確保することが極めて重要であると思っております。

 日本銀行としては、持続可能な財政構造を確立するための取り組みが着実に進められることを期待しておるということに尽きると思います。

小池(政)委員 一般論はそうでありますけれども、実質成長率が、政府の目標試算によりますと、二〇一四年は一・二%、それから名目成長率三・三%、消費者物価上昇率三・二%と、日銀が想定しているよりもよほど高い想定で考えられているわけでございますから、経済財政諮問会議等でも、ぜひ、その点も含めてしっかり主張していただきたいと思います。

 総裁はこれで結構でございます。ありがとうございました。

 大臣、お待たせしました。よろしくお願いします。

 きょうは、ちょっと積み残した点も含めて、幾つか議論させていただきたいと思うんです。

 まず一点、ちょっと大臣の所感としてお聞きしたいのが、私たちがこの閉会中に地元を歩いて、また敬老会とかでよく聞く話は、私たちより年配世代の皆さんが、年金が今、物価スライドという形で削られていると。その中で、今、物価は上がって、これからさらに、四月からもそうですけれども、消費税が上がっている、大変生活が厳しくなっているというような声をよく聞いているところでございます。

 大臣もこれから、仮に選挙となれば恐らくそういう話をよく聞かれると思うんですけれども、そういう方々に対してどのように答えられますか。

麻生国務大臣 これは、基本的にはマクロ経済スライドという話をして、相手の方によって、よくよく説明をしないと、なかなか簡単には理解できない話でもあります。物価が下がっていたあのときにはマクロスライドはしていませんから、そのときは取り前がふえていたでしょうと。まずこれを正しく記憶している人か、していない人かで相手へのしゃべり方は全く変わりますので、そこのところも、しゃべられるときはよくよく相手を見てしゃべられぬと誤解を生みますので、されておいた方がいいと思います。

 その上で、消費が上がる、それは間違いなく物価が上がる、いわゆるインフレになっていく、ターゲット二%ということになっていますので。インフレーションというものが起きていく最初の段階におきましては、間違いなく賃金の方が追いつかなくて、一番最後に来るのが賃金ですから、そういった意味では、ある程度ずれが出てくることは間違いない。これは、どこで誰がやっても同じことになります。

 そういった意味では、今回の場合も、同じようにある程度時期はずれますが、その後は間違いなく追いついてきますので、そういった形でしばらく時差がありますよということを御年配の方だったら申し上げて、物価スライドしなかったあのときはその分だけ取り前があったでしょうと言うと大体御理解いただけるところなんですけれども、先生の選挙区でそういった話が通じるかどうかは、ちょっと御自分でやってみられて、またその後聞かせてください。

小池(政)委員 全然通じないところでありまして、覚えていないですね、あのときどのくらい多くもらったか。かつ、これからずっと厳しくなってしまうんじゃないかというような不安を持っていらっしゃるところでございますから、この先、果たして財政はどうなっていくかという展望を示すことは必要だと思いますとともに、また、同世代の中でもやはり資産それから所得がある方もいらっしゃいますので、同世代の中での再分配ということも考える必要があるのかなということは思っております。その点は結構理解していただけますから。

 ちょっと時間がなくなりましたので、二点だけ確認をさせていただきたいのが、以前も、私が去年所属していたときに、歳入庁について大臣と議論させていただきました。そのとき少しかみ合わなかった点がありますので、きょうは資料としてお配りをさせていただいております。内閣府の方でチームをつくって歳入庁を検討されたということでございまして、その論点を四点、ここでまとめさせていただいております。

 それぞれについて、例えば、政府側は左でございますけれども、年金保険料と税の徴収対象が違うんだということをおっしゃっている中で、ここでは、重なりが八分の一しかない、小さいじゃないかという話であります。反論というところが右にありまして、八分の一といっても、もう既に二百万人超が重なっているし、これからその重なりはマイナンバー制度の導入によって大きくなっていくということを示しているところでございます。

 それから二点目、特にここがそのときの議論で大臣と認識が少しずれてしまっていたんですが、今の現状というのは、現在非公務員が行っている業務を、歳入庁をつくったら公務員がやっちゃうんじゃないかということをおっしゃっていたんですが、ここは別にそれを限定しているわけじゃなくて、外部委託ということも当然考慮できるでしょうと。既に地方税についても民間委託、外部委託ということを行っているわけでございますから、それを必ずしも公務員に限定する必要はないということであります。

 また、下は、年金保険料と税の基本的な性格が違うからだめなんだということをおっしゃいますけれども、そもそもこの二つは、納入義務があるという点では同じですし、また中身も、税務大学校というところでプログラムとして研修に入れ込めばいい話でございます。

 また、最後、企画立案が分離してしまうんじゃないかということは、そもそも、財務省と国税庁、厚労省と年金機構の切り離しがありますし、今持っている国税庁とか年金機構にある企画の機能を切り離すということは想定していないわけでございます。

 その点において、歳入庁というものは、今までの議論の中身だけでは非常に検討が不十分だと思いますし、またこれからのマイナンバーというものを検討した上で、しっかりメリットをもう一度考えていただきたいと思います。この点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 歳入庁の構想に関しましては、そもそも、将来給付と結びついている年金機構と、特定の公共サービスというものとの連動がない国税との間で、基本的な性格が明らかに違っていることははっきりしていると思っております。

 ほかに、国民年金保険料の未納者の中で国税の徴収の対象となる人の数は極めて限定的でありまして、年金保険料の納付率を向上させるというような効果は余り期待できないと思っております。はっきり言って小さいのではないかと思います。

 また、旧社会保険庁の改革に伴って、年金機構の職員約一万四千人ぐらいの扱いをどうするかといったさまざまな問題があると認識しておりますけれども、この内閣において、昨年の夏でしたか、八月、年金保険料の徴収強化体制について論点整理というのをさせていただいておりますが、現在、厚生労働省を中心に各省と連携して、年金保険料の納付率の向上に向けたいろいろな取り組みがなされておりますのは御存じのとおりです。

 具体的には、厚生年金の適用漏れの対象ということのために、十二月をめどに国税庁から年金機構に対して法人情報というものを提供するとか、年金機構におきまして、一定の要件を満たす全ての国民年金保険料未納者に督促を実施していくというものなどがあることは承知をいたしております。

 いずれにしても、年金保険料の納付率の向上というためには、これは単に組織をいじるという話ではなくて、情報の提供とか、徴収強化も、効果的に上がるようにしていくというものを講じていかないかぬということだけははっきりしていると思っておりますので、今後とも、現状の体制のもとで、厚生労働省を中心に関係機関が、今まではほとんど連絡がありませんから、連絡をして取り組んでいくというのが最も具体的、現実的かなという感じがいたしております。

小池(政)委員 今おっしゃった納付率の向上を待ってどうしようかなと思ったんですが、それを見て不十分だと思ったからこそ、やはり歳入庁の必要性ということを訴えているわけでございます。納付率の向上と言いますけれども、分母を少なくして、免除対象を大きくして、それで納付率を向上させたというようなことを言っているような策でありましたから、これでは絶対不十分だということを認識していただきたいと思います。

 最後に、一点だけ示させていただきます。資料でお配りをしました、消費税に関する優遇制度ということで、免税点それから簡易課税制度でございます。

 今、中小に対する業務上の優遇ということで、免税点は、売り上げと仕入れの消費税の差額、本来は国庫に納付すべきものを免税としている。簡易課税制度は、本則とみなし仕入れ率を比べて低い方を適用させている。

 これを見ますと日本はかなり優遇されておりまして、財務省がおっしゃるように、合わせると五千億円ぐらい、本来取れるべき金額があるということも含めて、ぜひ、増税の前にやるべきことがある、このような点を含めて、これからしっかりと検討していただきたいと思います。

 これで終わりにします。ありがとうございました。

古川委員長 次に、松田学君。

松田委員 次世代の党の松田学でございます。よろしくお願いします。

 前回の委員会で、関税二法の質疑の最後の五分ぐらいで消費税等の問題についていろいろとお話をして、時間切れで十分できなかったんですが、そこからきょうはスタートさせていただきます。

 まず、お手元に配付した資料、これは裏側になると思いますが、下の図は、前回配った資料をちょっと縮小したものですけれども、国民を将来世代まで含めて考えれば、消費税引き上げというのは本来、いわゆる世代間の負担を是正するものであって、将来世代まで含めたトータルの国民全体のいわゆる負担というのは変わらない、一定であるということを示している。

 つまり、社会保障に全額回る限り、国民から国民へのお金の移転である、そういう性格のものであるということについてまだまだ国民の間の認識が十分定着していないということで、消費税率の再引き上げについては、私ども次世代の党としては、まだその準備ができていないから慎重に検討すべきであるという立場なんです。

 そういった意味で、まず、国民が納得して受益と負担の関係を把握できるようになる、そういう財政インフラが整っていないというのが私どもの立場であります。

 この国民から国民へのお金の移転の中で、政府というのはお金の移転を仲介している役割でありまして、例えばマンションの事例でいえば、マンションが老朽化してどうしても共益費を上げなきゃいけないときに、管理人の人が住人の方を回ると、その前におまえの給料を削れと言っているのが、いわば消費税の前に行革をせよと言っているような面も否定はできないように私は思います。

 そういったように、消費税の性格が非常にまだ理解されていないことが一つあろうかと思います。

 そこで、我々次世代の党は、消費税の引き上げについては、まず前提として、国の財政構造が穴のあいたバケツ状態である、もう少し締まりのある財政をするための、先般申し上げた公会計改革あるいは財政健全化責任法案とか、そういったことを言うと同時に、この点について、先般の本会議で、地方創生法案のときに私も質問させていただいたときの御答弁の中に、こういった改革は、法律でやらなくても、その趣旨に沿うような財政運営というふうな御答弁を総理からいただいています。

 その趣旨に即した財政運営ということも大事なんですが、我々が言いたいのは、国民に見えるというか、受益と負担の関係が見えて、あるいはバランスシートというもので資産の価値もちゃんと見えるような財政運営への改革が必要だということを前提条件の一つとして挙げているところであります。

 そこで、本日お聞きしたいのは、それを踏まえて、これからの財政の実態がどうなのかということについて、消費税を一〇%に上げるかどうかということで解散・総選挙まですることなのかどうかわかりませんが、お手元の資料の表側に財政の長期推計というものがございますが、この話に入る前に、済みません、また裏に戻って、これは中長期の経済財政に関する試算でございます。

 これを見ていただくと、御案内のように、この想定が、日本の実質成長率は、これまで一%前後のものが、二〇二〇年代には二%台半ば近くになると想定されているわけですね。名目経済成長率は、今後、三%前半から後半へと高まる。相当無理というか、ぎりぎり、こんなのは実現するのかなというようなものを想定して、かつ、二〇一〇年代は長期金利を名目経済成長率よりも低く抑え込む。長期金利の方が名目成長率より高いというのが普通なんですが、これはかなり日銀による力ずくの金融政策を前提にしているのかな。かなり無理な前提を置いて、それでも、来年一〇%にしても、二〇二〇年度にプライマリーバランス目標は達成されていない。国と地方を合わせて、三角十一兆円。

 さらに、二〇二〇年度から二〇二三年度にかけて、政府債務の対GDP比は少しずつ低下をする姿が描かれているんです。ちょっとここに書き忘れたんですが、これは結構落とし穴があって、二〇二四年度以降の数字はまだ出していなかったんですね。二〇二四年度以降というのは、今の団塊の世代の方々が後期高齢世代、いわゆる七十五歳以上入りを終えるころでございまして、そのころから、年金に加えて、医療と介護が爆発的にふえる。そのときの財政シミュレーションというのを全く公表していなくて、内閣府の方に聞くと、そこから先は、現状では、国債発行残高の対GDP比は発散的に拡大していくということなんですと言っていました。

 それが今回、つまり政府はそういう本質的なところを今まで国民に明らかにしていなかったんですが、もう一回めくっていただいて、表のこれは財政の長期推計、ことしの春に財政制度審議会に出されたシミュレーションでございます。

 これを見てみますと、プライマリーバランスの達成をして、さらにその先の目標というのは国債残高の対GDP比の安定的低下ですけれども、これが収束していくかどうかという目安として、経済が名目三%で理想的な経済成長を続けているとしても、将来的に収束するためには、二〇二〇年度から数年内に大体五十兆円前後の要対応額がある。五十兆円前後というのは消費税率換算で大体どれぐらいですかと前に内閣委員会で甘利大臣に聞きましたら、一五%というふうにお答えになっていました。

 まず、プライマリーバランス達成までの間に十一兆円ギャップがあって、これを消費税率換算すると四、五%ぐらいだと思いますが、一〇%にして、かつ四、五%分のギャップがあって、さらにその先に一五%あるということは、経済成長も金利も非常に理想的だと考えてもそうなんですから、やはり財政の対応額というのは、将来的に全部これを消費税でやろうとすると、これでいうと、十年以内に三〇%ぐらいの消費税になるということも想定されるようなシミュレーションなんです。

 こういう状況について、大臣は、この長期推計を含めて、どのように受けとめていらっしゃるか、御答弁いただければと思います。

麻生国務大臣 内閣府の中長期試算では、消費税率が予定どおり一〇%に引き上げられる前提で試算が行われておるんですが、二〇二〇年度の国、地方の基礎的財政収支は約十一兆円の赤ということになっておりますのは御指摘のとおりであります。

 したがいまして、金額にして約十一兆円ぐらいの赤字を埋めるために必要な消費税率ということになりますと、歳入歳出両面の取り組みによって改善を目指すのは当然なんですが、仮に消費税を引き上げるということになれば、歳入だけではなくて、社会保障や公共事業などの歳出の増加要因となることから、具体的な数値でお答えすることは極めて困難ですが、仮に二十六年度の予算ベースの税率一%当たりというものの消費税収二・七兆円で単純かつ機械的に割ると、税率でいえば四・何%ということになろうかと存じます。

 いずれにしても、今この段階でどういうものがベストの答えかというのは、我々は、この二〇一五年をまずは達成してから次の二〇二〇年度のものをつくり上げていかないかぬと思っておりますので、今、こういう具体案がありますということをお答えできる段階にはございません。

松田委員 国民は、一体、消費税というのはどういう、目安といいますか、来年一〇%どころではない状態なんだということをもう認識されておられるわけで、そろそろ、このままほっておいたらどれぐらいのものなのかという、やはりその辺を出発点にした議論を国民的にしていかないと、いつまでたっても財政は健全化しないんじゃないか。

 そういった意味で、消費税率というのは恐らく、社会保障をどういう形で、例えば北欧型で何でも面倒を見るのか、アメリカのように自己責任でやるのか、あるいはその中間でいくのか、いろいろな選択肢があって、その選択肢の中で、我が党はこういう将来を目指しますという、そこで国政選挙が行われる、そういう形で決まっていくべきで、早くそういう国民選択の議論に進まないといけないんじゃないかと思います。

 時間の都合で、この点についての大臣のお考えは結構です。私はその中間の日本型を目指していくというのが大事だというふうに思っていますが、そのためにはこういう社会をつくるというものがないと、将来の消費税率をなかなか想定できないんじゃないかという感じがしています。

 今の状態、つまり、例えばこの長期推計が示すような、三〇%というのはちょっとひとり歩きしてはいけない数字だと思いますけれども、しかし、それぐらいの状態になっているんだということを出発点にして考えていくと、現状は少なくとも、例えば今回五%アップするといっても、五%アップさせて、それで社会保障をふやすわけじゃなくて、五%の分のうち社会保障の充実に回るのは一%分ぐらいであって、今までであれば将来世代へのツケ回しになっていた部分を解消する部分が圧倒的に多いということだろうと思います。

 これも内閣委員会で甘利大臣に御答弁いただいたんですが、そのツケ回しを解消する部分というのは、五%アップして税収がふえて、そのうち大体どれぐらいなんですかと言ったら、七・三兆円ぐらいだという御答弁がありました。それに、いわゆる年金の国庫負担の対応分が三・二兆円、足し合わせて十兆円余りがツケ回しをなくす部分だということでありました。

 本来、歳出をふやしてそれと同じ金額だけ増税する、つまり社会保障の高齢化ニーズに伴って必要な歳出をふやす分だけ税率を上げるのであれば、これは財政乗数が一ですから、景気には一だけの乗数効果がある。極論すればそういうことで、景気に悪いものではないんですけれども、いわゆる将来世代にツケ回ししていた分を是正する分というのは、アップしたときにはその分が純粋な国民負担になって、これは景気に悪いんだ、理論的に考えるとそうなんですね。

 これは、過去の政治が課題の先送りをずっと繰り返してきて、その部分のいわゆる是正部分といいますか、それが大きくなればなるほどそのときの国民にとっては非常に大きな負担になる。ということは、今これだけ大きな負担というか、国民から反発を受けるまでになっているというのは、やはりこれまでの政治のあり方としても一定の責任があるんじゃなかろうかと思いますし、また、こういうことがないようにしていかなければいけない。これを繰り返しているといつまでたっても対応ができないので、この点については大臣はどういうお考えか、お聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 これは先ほどの高福祉・高負担、低福祉・低負担という話に関連してくるんだと思いますけれども、先生言われるように、やはり日本の場合は、私どもが内閣をやるちょっと前ぐらい、あのころから中福祉・中負担の道が日本の選択すべき道なんじゃないのかという話を内閣として申し上げた記憶があるんです。

 いずれにしても、その方向で事は進んでいきつつあるし、少なくとも今の段階でヨーロッパみたいな何でもかんでもというのが、スウェーデンとかデンマークへ行ったことはありますけれども、果たしてああいうのがハッピーかと言われると、なかなかそれは一概にはそう言えないところもいっぱいございますので、やはり日本のような中福祉・中負担というところは少なくとも日本の国情には合っているんじゃないのかな、私自身は個人的にはそう思います。

 しかし、いずれにいたしましても、今の段階で少子高齢化というのを世界で最も早く、しかも比率が高く進んでおりますので、課題先進国みたいな形になっておりますが、こういったものにどうやって今いろいろな答えを見出していくかという中であって、我々はまず最初にデフレ不況というものの脱却から始めて、それでまず景気をよくしてからいろいろな税収をふやしてというようなことも考えてやっていかないかぬ。ついては、それに当たっては、勤労者の世代が減りますので、その部分を女性で補う、ロボットで補う、高齢者に、外国人にといろいろな説がありますけれども、そういったようなものを含めて、我々は今から総合的に考えていかないかぬ時期に来ているんだと思っております。

松田委員 その総合的に考えてどうするかということをそろそろ政治が示す時期じゃないかと私は思いますし、それから、デフレから脱却して経済をよくしていくというのは当然なんですが、しかし、そのベストのシナリオを描いても、先ほど言ったようなとんでもない要対応額がまだあるという状況なので、これは、デフレ脱却をした上でも、相当非現実的なところまで歳出を切り込むか、あるいは消費税率二〇%、三〇%を展望した将来というのがあるんだということを国民がやはりわかっていかないと、なかなかまともな議論にはならないというふうに思います。

 次に、税率引き上げと経済との関係なんですが、よく、消費税を引き上げても、それでまたデフレになると税収がかえって減るから意味がないという議論があります。しかし、税制を変えるというのは恒久的な措置でありまして、消費税を引き上げて、何年もずっとそのおかげで税収が減っているなんという事例は多分、あえて通告していますけれども、聞かなくても当たり前なので、そんなことはないと私は思います。ちょっと議論の次元が違いますし、それから、九七年のときのトラウマがあるんですが、あのときは全く別の、いわゆる大手金融機関の破綻以降、信用収縮というものでああいう事態が起こったのであって、どうもその辺の区別が余りついていないような気がします。

 その中で、今回、経済情勢を判断してどうこうという条項があるわけですが、あれは、一年後の増税ですから、一年先の経済なんですね。ですから、一年先の経済状況を足元の七―九のGDP等々を見て決めるというのも、これも非常にもともと無理がある。ただ、あの条項の意味は、足元で一年後もとんでもない経済不況が予想されるような、リーマン・ショック並みのショックだとか大災害とか、そういうものがあるかどうかということだというふうに解釈しているんです。

 それでも、一年後、自信がないといって逡巡している状況を見ると、足元がよほど深刻だ。よほど深刻だということは、アベノミクスが成功どころか大失敗しているということをみずから認めているとしか言いようがないんですが、大臣、この点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 今おっしゃることは、確かに言われますように、一年先。今、経済学者またエコノミスト等々いろいろいらっしゃいますけれども、ことしの景気より来年の方が悪いと言っている人はゼロです。私の知っている範囲では、今、いろいろ結構読んでいる方だと思いますが、この種の話で、来年の方がことしより悪いと言っている方はゼロ。しかも、来年の後半、下期、十月からの話ですから、そういった意味では、間違いなく景気というものはことしより悪いことはない、私どもは基本的にはそう思っております。

 いずれにいたしましても、十月なんというので決められておりますものですから、四月から予算が始まりますので、予算編成はその前の年にやっておかないかぬということになって、結果的に一年前、予算編成技術上そういうことになっておる。財務省におられたのでよくおわかりのとおりなので、そういったことになって、今いろいろ苦慮しているところだと思います。

 いずれにしても、私どもとしては、アメリカの景気やら何やら、他に頼ることなく、日本というのは輸出がGDPに占める比率は一五%もありませんので、そういった意味では、国内需要をいかにきちっとやっていくかというのが一番肝心なところだ、そういうように思いますので、そこらのところを勘案しながら、来年度の予算編成をやったり、いろいろな形での景気対策というものに目を配っていかねばならぬものだと思っております。

松田委員 来年十月の時点で消費税を上げられるような経済状況でない、そういう可能性を想定すること自体が、今後一年間にわたって経済運営にコミットできないと言っているようなものであります。これは、安倍政権の大失敗、政権そのものの否定ではないかと私は思います。先送りというのはそういうことだということまで意味しているんじゃないか。もしこれで解散・総選挙をすれば、アベノミクスの評価どころじゃなくて、悪いことをしました、申しわけありませんと言っているような総選挙になるんじゃないかと私は思わざるを得ないんです。

 次に、先送りした場合のリスクの問題ですね。

 最近、東日本大震災とかいろいろなことで、テールリスクという言葉がありますが、今は何とか国債がこれだけ買われているから、国債投げ売りで金利が急騰するなんというのはそんなに心配することないよということをおっしゃる方が多いんだと思います。しかし、テールリスクというのは一旦起こると取り返しがつかないというか、手をつけようのないようなリスクがあって、それに対応するのがやはり政府の役割だろうというふうに思っています。これはほとんど有事対応の世界になるんじゃないかと私は思っています。

 これについて、かつて黒田日銀総裁が、このリスクは政策的に対応しようがないとおっしゃっていましたが、この場合に向けたリスク管理というのは大臣はどういうふうにお考えか。まず、基本的なことを簡潔にお答えいただければと思います。

麻生国務大臣 国内で景気が悪くなったときにどのような形で対応するかといえば、それは補正であってみたり、いろいろな形が出てくるんだと思われますけれども、国債市場で、巨大な国際金融から日本の国債を売り浴びせられるとかいうようなことになったときに、日本の債券市場が吹っ飛ぶみたいな話になりかねません。そういったようなリスクというのは、ちょっと正直、我々はいまだかつてやったことがありませんから、経験がないことをやらされるとどんなことになるかといえば、デフレをやったことのないやつがデフレ対策を二十年もやればろくなことにならなかったという、この二十年間ではっきり証明がされておりますので、やはりきちっとしたことを考えてやらないと間違える、私どもは基本的にそう思っております。

 したがいまして、この種のことにならないようにすることを考えないと、これが起きたときの対応というのは、ちょっと私の想像を超えているところがあろうと思います。

松田委員 そこで、日銀総裁にお越しいただいていますので、要するに、危機管理対応は全く今アイデアがないということでございますが、今、現状で、私は、日銀の国債購入は、まさにやめられない、とまらない日銀の国債購入という状況じゃないかと思います。

 要するに、力ずくで金利抑制をするために今回も追加購入したんじゃないか。とにかく長期金利が上がらないようにするというのがこれから非常に至上命題になっている中で、では短期金利はどうかというと、これ以上もう下がらないわけですね。長期金利を抑制しますと、銀行から見ると、利ざやが確保できなくて、かえってマネーストックの増大を抑制する方向というのが働いているんじゃないかと思いますが、この点について日銀総裁はどういうふうにごらんになっているんでしょうか。

黒田参考人 いわゆる量的・質的金融緩和ということにおきましては、一方で強く明確なコミットメントによって予想物価上昇率を引き上げると同時に、巨額の国債買い入れによって金利に下方圧力を加えるということで実質金利の低下を促して、設備投資や個人消費といった民間需要を刺激するというメカニズムを想定しているわけでありまして、こうした民間需要の増加というものは、次第に企業の資金需要の増加につながっていくというふうに考えております。

 また、九月短観の企業から見た金融機関の貸し出し態度判断DIにおきましても、緩いという企業の超過幅が十七年ぶりの高い水準に達しておりまして、金融機関の貸し出し姿勢も積極化しているということではないかと思います。

 ただ、企業が足元でかなり潤沢な手元資金を持っておりますために、設備投資その他の資金需要の増加が直ちに貸し出しにつながりにくい面もあるということは事実でございますが、そうした中でも、先ほど申し上げましたとおり、銀行貸し出しは前年比で二%台半ばで増加しておりますし、マネーストックも三%程度の増加になっておりまして、量的・質的金融緩和は銀行貸し出しの増加を後押しするものであるというふうに考えております。

松田委員 マネタリーベースを要するに二年間で二倍にするような中で、二%から三%しかマネストがふえないというのは余りにもコストパフォーマンスが悪いというふうにも思えるので、それはまた別に議論すべきだと思います。

 それで、総裁にお伺いしたいのは、国債購入をやればやるほど市中の玉が不足してくるわけですから、マーケットが薄くなるわけですね。例えば絵のオークション市場でも、マーケットが非常に薄い中で、買い手がいなければなかなか売れない、そういうときには値段が暴落するということが起こるように、マーケットそのものが薄くなれば、何かのショックで長期金利がぽんと上がるリスクがかえって高くなるという懸念が非常にあるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

黒田参考人 御指摘のような懸念というのは市場で表明する方もおられるわけでございますけれども、実際問題として、相当巨額の国債買い入れを行っているわけですけれども、取引量も含めて、国債市場の流動性が極度に低下しているというような状況にはなっておりません。

 その背景には、もちろん市場流動性への影響を含めて国債市場の動きをかなり丹念に点検しておりますし、市場参加者との密接な意見交換を行いながらオペ運営面の工夫も行うといったことで、市場の安定に努めているということもあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、今後とも、国債市場の動向については注意深く点検して、引き続き市場の安定的な状況の実現に努めてまいりたいというふうに思っております。

松田委員 もし万一、仮にの話で恐縮ですが、消費税率一〇%を先延ばしして日本国債に対する信認が低下して、それでマーケットで国債の価値が下がるというような状況が来た場合、今まで、日本の国債は最終的には日銀が大量に買ってくれているから安心だといって買われている面も結構あるんじゃないかと思うんですが、日銀が、そういう信認が低下した国債に対して、さらに大量に購入を続け、保有し続けるということは通貨の番人としていかがなものかという議論もあるかと思うんです。総裁、いかがでしょうか。

黒田参考人 この量的・質的金融緩和のもとで大量の国債を購入しているわけですが、これはあくまでも金融政策運営上、二%の物価安定の目標を実現するために必要な手段として行っているものでありまして、財政ファイナンスを行うものでは全くありません。

 したがいまして、あくまでも二%の物価安定の目標を実現するために、必要な限りで量的・質的金融緩和を行っているということであります。

 なお、消費税率引き上げ云々につきましては、政府、国会において経済状況等を総合的に判断して決められるというふうに理解しております。

松田委員 問題は実体経済への影響だろうと思いますけれども、よく、消費税を再増税するとまたデフレに陥ってしまうという懸念が聞かれますが、本当にデフレに陥るのであれば、最悪のケース、つまり、増税先送りで国債への信認が低下して長期金利が上がって、そして、もし銀行保有の国債価値が毀損して、また信用収縮なんかが起こってしまうと、これは欧州債務危機型のデフレだろう、これが本当のデフレリスクだろうと思います。

 日本でそれが起こるかどうかについて、金融界の人なんかに言わせれば、商業銀行は既に国債の残存期間を平均三年まで圧縮したので大丈夫だとか、あるいは、しかし信託が運用している企業年金ではまだ八年になっているから業態によって違うんだとか、いろいろな意見があるんですが、総裁はどういうふうにごらんになっていますでしょうか。

黒田参考人 国債の金利の変動に対する金融システムの頑健性がどうかということにつきましては、半年に一回公表しております金融システムレポートでも毎回分析をし報告をいたしておりますけれども、現在のところ、国債の金利が相当動いたとしても金融システムに大きな影響が起こることはない。

 そういった意味で、日本の金融システムは、九〇年代あるいは二〇〇〇年代の初めと異なりまして相当頑健なものになり、十分な資本を有しているということではないかと思います。

松田委員 ということは、欧州債務危機型のデフレまでは心配しなくていいということでよろしいんでしょうか。

黒田参考人 欧州債務危機型のデフレというものがどういうものかというのはいろいろ議論があると思いますが、欧州の金融危機というのは、米国の場合と違いまして、非常に複雑になっておるわけであります。

 米国の場合は、サブプライムローンの危機が、それをベースにしたさまざまな金融取引に波及して、最後は二〇〇八年のリーマン・ショックになり拡散していったということでありますが、欧州の場合は、政府債務が累積して問題のあった国とか、民間の金融機関が過度に、一種のバブルで融資を拡大し過ぎたとか、あるいは、むしろ米国の資産担保証券等をたくさん所有していたために米国の金融危機が波及したとか、いろいろな形がありますのでなかなか把握は難しいわけですけれども、日本の場合には、金融機関が、何か現在過度にリスクをとっておって、金利の変動によって大きなショックを受けて資本不足に陥るという可能性は非常に薄いというふうに思われます。

 他方で、金利が変動した場合の政府の債務状況に関する影響につきましては、これは麻生副総理の方の御担当でありますけれども、政府債務とGDPの比率で見ますと日本は非常に高い、OECD諸国の中では一番高い水準にありますので、やはり財政運営に対する信認をしっかりと確保することが重要であるということは言えると思います。

松田委員 財政運営への信認をしっかり確保しなければ日銀は国債なんか買わないよというぐらいの気概を見せていただければ、本当に消費税は引き上げられるんじゃないかと思います。

 それで、最後、もう時間なので、日銀が銀行にお金を貸して、銀行がお金を貸さないとマネーストックというのは基本的にふえないわけですね。では、日銀の資産とは何かというと、そういった貸し出し以外にはやはり基本的に国債であって、日本の場合は国債本位制と言われるぐらいの状況で、では、この国債が信用力がなくなれば、日銀のいわゆる通貨の信用もなくなってしまう。

 今までそういうお話をしていたんですけれども、アメリカの場合、リスク資産と言っていいかどうかわかりませんが、QE1、2、3とやっている間に、MBS、住宅ローン担保証券とか、GSE、エージェンシー債、つまりファニーメイとかフレディーマックの債券とか、こういうのもFRBは買っているわけですね。

 こういった、より実体経済に近い金融資産を買っていくとか、これは通告している質問で、一つの提案となるかどうかわかりませんが、例えば政府保証のついた国家主導の長期的な技術開発に投資するといった、将来意味のある投資に対して、それに見合う金融資産を日銀が買うと、直接マネーを供給し、かつ、これは建設国債と違って将来にツケも残らない、こういう考え方も一歩進めればあり得るんじゃないかと思います。日銀総裁と麻生大臣、最後にお答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。

黒田参考人 まず、米国の場合、資産担保証券あるいはアセットバックト・セキュリティーズというのを大量に購入したわけですが、それは、先ほど申し上げたように、米国の金融危機がまさに、そういった金融資産の価格の下落を通じて金融システム全体に波及する、金融の仲介機能が相当損なわれるということが起こったために、FRBは、いわゆるQE1でまさにそういった資産を大量に買い入れるということを続け、そしてその後、国債も大量に買うという形で、現在のQE3の中では両者を買っていたわけですが、この十月にそれが終了したということであります。

 我が国の場合は、日本銀行としては、あくまでも金利全体、イールドカーブ全体を下方に圧力をかけるという趣旨で大量の国債を購入しているわけですが、同時に、御案内のように、ETFあるいはJ―REITなどのリスク資産の買い入れも行って、そうした形で資産価格に働きかけ、リスクプレミアムを圧縮するという努力も行っておるわけでございまして、今回の量的・質的金融緩和の拡大といったものは、こうした全体としての波及効果を一層強化するものであるというふうに考えております。

麻生国務大臣 松田先生、これは金融政策の話なので、具体的な手法に関しましては日本銀行に委ねるべきものだと思っています。

 その上で、御提案ですけれども、これは民間の資金配分にかなりなゆがみが生じるだろうな、まずそう思います。それから、損失が発生しないという保証はありませんから、それに対するリスクをどうするかねというのがもう一個の話だろうと思います。

 いずれにしても、これは日本銀行において検討されるべきことだとは思いますが、私の知っている範囲で、中央銀行が、市中銀行というか、これは開発銀行みたいなものですかね、そういったような感じで実体経済に直接融資しているという例、他の国の中央銀行でしている例を私は知りません。

松田委員 どうもありがとうございました。

 あえて事例のない話をさせていただいたことはよくわかっておりますので、今後とも御検討いただければと思います。

 どうもありがとうございました。

古川委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 財務金融委員会の調査で訪問いたしました豊中市役所でありますが、ここでは二つの簡素な給付措置の説明をお聞きいたしました。臨時福祉給付金八万人、子育て特例給付金四万人が対象ということでありました。主としての支給額は約十四億円という話であります。ところが、聞いてみますと、それを支給するのに経費が一億八千五百万円もかかるということで、支給額の一三・二%に当たるものが経費で消えるということなんですね。

 そこで、厚労省に全国的な数字を確認しておきたいと思います。

 臨時福祉給付金の給付総額と子育て世帯臨時特例給付金のそれぞれの予算上の金額は幾らか、それから事務費は幾らか、給付総額と比べた比率はどうなっているか、お示しいただきたいと思います。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

谷内政府参考人 臨時福祉給付金等の予算に関するお尋ねについてお答え申し上げます。

 まず、臨時福祉給付金についてでございますけれども、給付費予算が三千億円、事務費予算が四百二十億円でありまして、事務費の給付費に対する比率は約一四%となっております。

 次に、子育て世帯臨時特例給付金でございますけれども、給付費予算が千二百七十一億円、事務費予算が二百二億円であり、事務費の給付費に対する比率は約一六%となっております。

佐々木(憲)委員 麻生大臣、私もこの問題を指摘してきたんですけれども、一万円を仮に配っても、一カ月にすると五百円程度なんですよ。スズメの涙でありまして、消費税の増税分を穴埋めするには焼け石に水であります。しかも、給付金の一五%に当たるものが事務費で消えてしまう。これは一体何をやっているんだという話になると思うんですが、麻生さん、どのようにお感じでしょうか。

麻生国務大臣 何に使っておられるかは、厚生省に聞いていただいた方がよろしいんだと思いますので、私に直接聞かれても詳しくわかるわけではありませんが。

 この話はかなり新しい話でもありますので、この事務費の中に多分、こういう給付金があるんですよというPRをやるとか、確実に支給の申請を行ってもらわないといかぬというような必要があるということなんだと思いますので、そういったことを周知せしめるためには、ある程度その種の経費が要ったかなという感じはします。

佐々木(憲)委員 もとを正しますと、消費税を増税するから、こんなことをやらざるを得ないわけですね。増税することをやめれば、こんなことをしなくていいわけであります。

 結局、八%に上げて、実質的な消費がずっと抑え込まれてしまった、この間見ていると。中小企業も大変でありますし、この上に消費税を一〇%に上げるなんということになりますと、二重三重に打撃になるわけであります。だから、消費税の増税を先送りするという程度ではだめでありまして、もう消費税増税はやらない、断念する、こういう決断をすべきだというふうに私は思っております。

 次に、税務行政についてお聞きをしたいと思います。

 国税庁のホームページを見ますと、税務調査手続に関するFAQというのがありまして、税務調査と行政指導の違いについて書かれております。

 税務調査の方は、「特定の納税者の方の課税標準等又は税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものですが、税務当局では、税務調査の他に、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者の方に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合があります。」こう書かれているわけですね。

 このように、税務調査と行政指導というのは本質的に違うものだと思いますが、そのような理解でよろしいですね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 税務行政におきましては、調査と行政指導でございますが、いずれも適正、公平な課税の実現を図るということを目的としているということは共通でございます。

 その上で、今委員がおっしゃられたように、両者の違いという意味では、調査は、特定の納税義務者の課税標準あるいは税額を認定するために税務職員が行う証拠資料の収集、要件事実の認定など一連の行為をいいます。

 これに対して行政指導は、行政手続法上に定められているわけではございますけれども、税務行政に関して申し上げれば、例えば、今委員がおっしゃられたように、申告書に計算誤りや記載漏れなどがあると思われる場合に、納税者に対して自発的な見直し、あるいは必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する行為というのが行政指導に該当するというふうに認識しております。

佐々木(憲)委員 だから、行政指導というのは、簡単に言うと、出された申告書に数字などの誤りがあれば、それを具体的に指摘して、納税者に訂正を促す、こういうことですよね。

 そうしますと、例えば、税務署が五年分の所得状況を調べたいということで、この間の全ての帳簿あるいは印鑑を持ってきてください、こういうやり方は税額等を認定するために行うものになるわけですから、計算の誤りを正すというのとは違いますね。そういう意味で行政処分というものとは区別されると思いますが、どうでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃられたように、所得のわかるもの全てを納税者に持参させてという場合でございますが、調査は納税義務者の課税標準、税額を認定するために税務職員が行う一連の行為でございまして、行政指導と違うということは先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、特定の納税者の課税標準や税額を認定するために納税者に来署を依頼し、持参した書類を税務職員が確認するということは、一般的には調査に該当するというふうに考えております。

 なお、税務当局におきましては、納税者に来署を依頼する場合には、調査として実施するのか、あるいは行政指導として実施するかというのは事前に納税者に対して明示するということにしております。

佐々木(憲)委員 税務署が行政指導をしたいということで、納税者に税務署に来てくださいというふうに伝えたとします。そのときに、納税者の側が、いや、今ほかの用件があるんだ、その日は行けない、あるいは場合によっては失念して、行くことを忘れていたということもあると思うんですね。その場合、税務署に行かなかったという理由で、その納税者にペナルティーを科すとか、不利益処分を行うということはあるんでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 行政指導において来署をお願いする場合には、書面による場合も電話連絡による場合もございますが、いずれにしても、日時、場所、税目なんかを指定しましてお願いするわけでございます。

 今委員がおっしゃられましたように、忘れるとか都合が悪いとかということもあると思いますので、例えば書面なんかで、ここに様式がございますけれども、そういう様式の中では、何か御相談がある場合には御連絡くださいということで、税務署の担当者の名前を入れて書面で連絡していくというようなこともしております。

 いずれにしましても、最後の質問でございますが、行政指導に応じないことをもって直ちに調査を実施するということではございません。

佐々木(憲)委員 では次に、新国税通則法には、任意の税務調査を行う際には、原則、事前通知を行うということが法定化されたわけですね。この事前通知をなぜ定めたのか、その理由をまず説明していただけますか。

佐川政府参考人 お答えします。

 平成二十三年に国税通則法が改正されております。その中におきまして、調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高めるという観点から、実地の調査を行う場合には、原則として、あらかじめ調査の日時、場所、調査の目的などを納税者に通知することとされたところでございます。

佐々木(憲)委員 国税庁のホームページを見ますと、こう書いてあるわけです。「税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者の方や税務代理人の方のご都合をお尋ねすることとしていますので、その時点でご都合が悪い日時が分かっている場合には、お申し出ください。お申し出のあったご都合や申告業務、決算業務等の納税者の方や税務代理人の方の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしています。」こう書いてあるんですね。

 つまり、犯罪調査ではない任意調査なんですから、きちんと事前に通知して、納税者の協力を得るというのは当然のことだと思うわけです。任意調査だからということで、事前通知をしないでいきなり踏み込むなんていうことは原則的にあり得ないというふうに思いますが、確認をしておきたいと思います。

佐川政府参考人 お答えします。

 繰り返しになりますが、実地の調査を行う場合には、原則、あらかじめ、調査の日時、場所、目的などなどを納税者等に通知することとしております。

 ただし、法令に定まっておりまして、申告の内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をいたしますと違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準または税額等の把握を困難にするおそれ、あるいは調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合には、事前通知を要しないというふうになっております。

 いずれにしましても、事前通知につきましては、法令に基づきまして、個々の事案に応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 事前通知をしない場合もあるということについては法令にこう書いてあるという説明も今あったわけですが、これは極めてまれな場合ですよね。原則的には事前通知を行うというのが定められているわけであります。

 それで、私がいろいろ耳にしている事例では、この原理原則をどうも踏み外しているのではないかと思われる例が幾つかあるわけです。税務調査と行政指導を混同して使っている、そういう事例もどうもありますね。それから、事前通知をしなければならないのに、事前通知をしないで調査に行く、こういう事例も聞いているわけであります。

 ですから、そういうことが起こらないように、今お答えいただいた内容を本当にきちっと末端までやっているのかどうか、これは大変大事なことなので、税務行政を公正にしっかり行うということを求めておきたいというふうに思っております。

 ちょっと財務大臣に聞こうと思ったので、戻るまでちょっととめてもらえますか。

菅原委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

菅原委員長代理 では、速記を起こしてください。

 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 麻生財務大臣にお聞きをしたいと思うんですが、報道によりますと、昨日、麻生財務大臣と榊原経団連会長が会談をして、赤字企業にも課税するいわゆる外形標準課税を二〇一五年度から拡大する認識で一致したと伝えられておりますけれども、これは事実でしょうか。

麻生国務大臣 昨日、榊原経団連会長からのお話がありまして、私どもの方としてお目にかからせていただいております。

 そのときに、私どもの方から、法人税の改革につきましては、税率の引き下げ等々いろいろやるに当たりましては、課税制度をきちんと入れた上で、きちんとした恒久財源を確保すると。上振れがどうとかという話ではなくて、きちんとした恒久財源を確保するという課税ベースの拡大の上に検討させていただいておりますということで、その課税ベースの拡大につきましては、法人事業税の外形標準課税の拡充を初めとする改革というものに取り組む必要があると考えておると申し上げております。また、そういった方向性で私どもは御理解いただき、これに当たりましては中小企業法人等々につきましてきちんと配慮しなければならぬ等々、いろいろ細かいことを話させていただきましたけれども、話をさせていただいたことは事実であります。

佐々木(憲)委員 そうしますと、法人税の実効税率を下げる、したがって恒久的な財源が要る、恒久的な財源の一つとして赤字企業にも課税する外形標準課税を拡大する、こういうふうなことで一致したと報道されていますけれども、今のお話ですと、方向が同じだった、こういう話ですね。私はこれは非常に重大なことだと思うんです。

 宮沢経産大臣は、経団連との会合で、法人実効税率の初年度の引き下げ幅、二・五%以上引き下げるべきだ、こういうふうに求めている。これは報道ベースですけれども。

 数字の確認なんですが、仮に二・五%下げますと、幾ら財源が必要になるのでしょうか。

佐藤(慎)政府参考人 お答え申し上げます。

 国、地方を合わせました法人実効税率一%当たりの税収額は二十六年度の予算ベースで約四千七百億円となってございますので、これを前提にいたしますと、二・五%でございますので、掛け算をいたしまして約一兆二千億円程度だということでございます。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木(憲)委員 そうしますと、一兆二千億円の財源が必要になる。これは仮に二・五%やった場合ですよ。

 一方で、外形標準課税を来年度から二年程度かけて二倍にする、こういう話も出ている。

 この外形標準課税というのは、現在、資本金一億円超の企業が対象になっておりまして、従業員に支払う給与総額あるいは建物の賃料などに応じて課税をしているものであります。今年度は約六千億円の税収を見込んでいるということです。事業税に占める外形の割合を現在の四分の一から仮に二分の一に倍増させて、そういう場合でも七千億円程度の上積みなんですね。

 これは、大企業を中心とした黒字企業に減税をばらまくために、赤字の中小企業に外形標準課税の拡大をして、それを財源として行う、こういう話になりますと、ただでさえ今、経営が非常に厳しい、経済状況が非常に深刻な状況で物が売れない、それで中小企業は店を畳むかどうかというようなことを考えているときに、また増税だ。消費税の増税でも大変な目に遭ったけれども、外形標準課税、また増税だ。減税を黒字の大企業の方にどんどん持っていかれる。

 これは余りにも不公平、不平等であり、国民感情からしても、こんな税金のかけ方はおかしいんじゃないかと思うわけです。いかがですか、大臣。

麻生国務大臣 御存じのように、法人事業税の話ですから、これは地方税になりますので、基本的には総務大臣の所管事項というのは御存じの上で聞いておられると思いますので、私もそういう立場でお答えすることになろうと存じます。

 法人事業税の外形標準課税の拡充ということについてですけれども、これはこれまでも、佐々木先生がおられたかどうかは記憶にありませんが、国会での議論において、地域経済というものを支えておりますのは中小企業というので、その配慮をしなければならぬので、そういった点を踏まえて検討していく必要があると。これは私が国会答弁で何回か答えております。予算委員会でも申し上げました。現行制度では、御存じのように、中小企業は外形標準課税の対象となっておりませんので、こうした状況において中小企業を新たに外形標準課税の対象とすることについては慎重に検討してもらわないといかぬということを申し上げたところでもあります。

 いずれにしても、具体的な改革案につきましては与党としても今後検討していかなきゃいかぬところだと思っております。私どもとしては、今後、その点につきまして十分配慮していかなきゃならぬと思っております。

 基本的には、日本の場合は法人税の課税ベースが狭いというのが非常にはっきりしておりまして、一部の企業に負担が偏っているとよく言われているところでもあります。今回の法人税の改革は、単に大企業の減税というものではなくて、課税ベースの拡大をしつつ税率を引き下げるという改革を行うことによって、税負担の偏りを是正しようというところが一番肝心なところだ、私どもはそう思っております。

佐々木(憲)委員 課税ベースの拡大と言うなら、こういう外形標準課税でやるのはやめるべきですよ。むしろ大手企業の方に、研究開発減税だとか、いろいろな形でやり過ぎがあるわけです。こういう政策減税を見直すとか、課税ベースの拡大の方法は幾らでもあるわけであります。そっちをやらないで、ともかくベースを拡大するからということで、弱いところにどんどんどんどん負担をふやしているわけですよ。

 これはやはり日本経済の土台をどうしても崩していくことになるし、地域経済全体の疲弊という事態にもつながっていくわけで、その辺を配慮しなければならないとか、言葉はあるけれども、実際はそうはなっていないんじゃないかということで、ここは厳しく指摘をしておきたいと思うんです。何のために法人税の減税をしなければならぬのかという根本問題を考え直すべきだと私は思います。

 先日、トヨタの中間決算が発表されまして、今年度、通年で売り上げが過去最高の二十六・五兆円、当期純利益が最高の二兆円、こういうことで上方修正したと報道されているんですね。そのほかの自動車会社も好調な中間決算で、五社が過去最高の利益を記録する、こういう見通しだというわけです。

 今、大手のこういう輸出関連を中心とした企業は過去最高の黒字を上げているわけでありまして、問題は、それが内部留保に回っていって、従業員だとか下請に回っていっていないというのが問題なのであって、そこに減税をしなければ動かないという話ではないと思うんです。だから、私は法人税をさらに下げる必要というのはないと思うんだけれども、大臣、どうですか。

麻生国務大臣 トヨタの例を引かれましたけれども、企業の会計上の利益というものがいわゆる高水準となっているとの報道がありますことは承知をいたしておりますが、会計上の利益と税務上の所得というものは必ずしも一致していないというのは御存じのとおりであります。

 したがいまして、一見多額の利益を上げております大企業でも、例えば過去の繰越欠損金というものは、これは今は九年になっておりますので、課税ベースが非常に狭められておりますので、税負担が低くなっているという場合があります。したがいまして、今回の法人税改革では欠損金の繰越控除についても見直すということにいたしたい、こうした問題にも応えるような改革を行いたいと思っております。

 いずれにしても、今回の法人税改革は、法人税というもの自体を広く薄く負担を求める構造へと改革して、いわゆる税の負担の偏りを是正するとともに、やはり日本の企業の稼ぐ力というものを高める、いわゆるインセンティブというものを与えるようなものにしたいというように考えております。

佐々木(憲)委員 今のは答弁になったような、なっていないような話なんですけれども、会計上の利益と税務上の所得というのが違うのはわかっております。税務上の所得が今どんどんどんどん小さくなっていって、それはいろいろな税を軽くする仕掛けがあるからそうなるわけで、この税務上の所得が低いのにもかかわらず、何で法人税の実効税率をさらに下げるのかという話なんです。今おっしゃったように、もう既に低いんだから、税金を余り取っていないんですから、それなのに何で下げるんですかという話なんですね。これは理屈が通らないわけです。

 私は、そういう意味では、一定の負担を求めるという方がむしろ税収を上げるという点では必要ではないかと。黒字の大企業ですよ。内部留保ばかり膨らんでいって、全く国民に還元されない。そうなれば、一定の税を払ってもらって、それを原資にして国民の方に回していく、これが政治であり、財政の役割ではないか、そういうふうに思うわけです。政府がやっているのは、経団連とばかり会っているけれども、どうも働いている人と余り会っていないんじゃないかという感じがするわけですね。

 そういう意味で、私は、一つのデータとして、帝国データバンクの報告書がありまして、例えばトヨタの一次、二次下請、これは二万九千三百十五社あるそうです。非常に大きい。約七割の一万四千二百三十二社が、リーマン・ショック前の売り上げをまだ回復していないんです。そういう状況である中で、トヨタの上の方は過去最高の利益を上げている。これは、下請単価をたたいてたたいて下げてきた、そういう面もあるのではないか。

 三次、四次の下請はもっと私は深刻だと思いますけれども、格差が拡大しているという認識は大臣におありでしょうか。

麻生国務大臣 トヨタの話についてはそちらに聞かれた方がよろしいと思いますが、中小企業に対して、二十六年度の予算等において、政策金融を活用して、いわゆる資金繰りの支援とか税制上の手当て、投資促進税制などの支援策を講じているところです。いずれにいたしましても、こういったような状況というのは厳しい勧告をせねばならぬということで、本年の四月以降に行われる取引について、消費税の転嫁を拒む、減額や買いたたきなどの行為を禁止するとともに、違反がある場合は公正取引委員会において公表または勧告を行ってきたところでもあります。

 そういった意味で、消費税率引き上げ分を転嫁するというような状況も進めておりますけれども、今申し上げたように、利益の配分を、子会社の納入価格を上げるとか、また給料を上げるとか、設備投資に回すとか、配当に回すとか、そういったものにつきましては今後いろいろな形で、これは各企業の経営理念にも関係してくるところとは存じますけれども、いずれにしても、景気が回復してくると、そういったところに対する対応も当然のこととして変わってくるのは常識的だと思っております。

佐々木(憲)委員 格差が非常に拡大しておりまして、下請の経営者も、話を聞いてみますと本当に大変なんですよ。

 大手企業の輸出は金額でふえても、国内では消費税増税で販売台数が減っているわけですね。トヨタの決算を見ますと、二〇一四年は四―六月期よりも七―九月期の方が販売が落ち込んでいるわけです。消費税増税の反動減の上に、今度はさらに消費がもっと下がっていく。北米での売り上げがふえても、国内販売は落ち込んでいる、こういう状況です。

 先日、下請の話を聞きましたけれども、幾らプリウスが売れても、今後売り上げが増加していく見込みがないため設備投資ができない、こういう話なんです。しかも、下請企業の労働者の中には、実質所得が減ったために、生活費を補填するため夏休みにアルバイトをさせてくれと、別の下請企業に申し込んでいる四十代の労働者もたくさんいるという話も聞いております。ですから、大企業だけがよければそのうちよくなるという話は全く違うんですね。

 やはり、労働者や下請中小企業そして消費者全体の利益を図るという方向に政治の基本を転換しなければ、幾ら法人税を減税したって全く経済はよくなりませんので、むしろ消費税は増税を中止する。それはもう先送りなんてものじゃなくて、中断ではなくて、やらないということを決める。これが一番の景気対策だということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

古川委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の鈴木でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、消費税再増税の問題、そして日銀の異次元の金融緩和の関連、これについて幾つかお伺いをしたいというふうに思います。

 これまでもお話が出ていますが、十月三十一日に日銀が、量的・質的金融緩和の拡大、すなわち追加の金融緩和を決定いたしました。今回の追加緩和は、まさに、よくも悪くも黒田総裁らしい、いわゆるサプライズと言えるものではないかなというふうに思っております。

 これを受けて、東京株式市場は日経平均株価が大幅に上昇しました。四日には、およそ七年ぶりに一万七千円台に達した。同時に、為替市場では急速な円安が進んで、週明け三日のニューヨーク外国為替市場では、この日発表されたアメリカの経済指標の内容がよかったことも要因となって、円相場は一時一ドル百十四円台まで下落したほか、十一月六日には東京為替市場でおよそ七年ぶりに一ドル百十五円台まで円安が進んだ。これは御案内のとおりであります。

 我が党は、一貫して、アベノミクスによる行き過ぎた金融緩和がもたらす副作用についてただしてまいりました。

 異次元の金融緩和の導入から一年半が経過をしました。しかし、残念ながら、現状は、我が党が指摘をしてまいりましたとおり、四月の消費税率引き上げの影響も重なって、悪い物価上昇の面がどんどん強くなってきております。それに加え、九月ごろからの急激な円安により、原材料や日用品の値上げが中小企業や家計を苦しめています。それが若干一服したかというところで、このサプライズ緩和というふうになったわけであります。しかも、その追加緩和発表の前々日である十月二十九日にアメリカのFRBが量的緩和第三弾、いわゆるQE3の終了を正式に決定したというタイミングでの追加緩和が円安効果をより助長するものであることは、十分予測できたというふうに思います。

 大臣はこれまで、公式の場では、為替の水準についてコメントすることはない、このようにおっしゃってまいりました。日銀の一連の金融緩和は日本のデフレ不況脱却のためというのが主たる目的であって、それに伴う円安は副次的なものということで国際的にも理解されている、このような趣旨のことをおっしゃってまいりました。

 しかし、今回のようなサプライズ的な追加緩和とこれに伴って一気に進んだ円安の国内外に対する影響について、本音ではどのように思われているのか、お伺いをしたいというふうに思うんですね。

 つまり、国内の円安対策も考えなければならないときに、これは困ったなというふうにお感じになったのか、それとも、二%の物価安定目標の早期達成に向けた日銀の強い意思が示されたという点で、これは予定どおりの再増税の後方支援になったなというふうにお感じになったのか。このいずれであったのか、御所見をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 先月末、十月三十一日の量的・質的金融緩和の拡大の決定というもの、これは経済の好循環をさらに後押ししますし、持続的な経済成長につなげていくために、私どもとしては率直なところを言って歓迎しております。

 ただし、この量的・質的金融緩和というものは、今お話がありましたように、長年にわたるデフレ不況、かれこれ二十年続いておりますデフレ不況からの脱却というものを目的とするものでありまして、為替を目的としたことではないということは申し上げてきましたし、G20でも皆、これにつきましてはこの二年間でほぼ合意を得ているところであろうと存じます。

 なお、一般論として申し上げれば、円安方向によって、これはよりいいなと思っているところがいっぱいあります。

 輸出がふえていなくても、輸出代金をそのまま据え置いておりますので、円安になった分だけ純利益がふえる。おわかりだと思いますが、純利益がふえておりますので、二兆円というような利益が出てくる。台数をふやして、これ以上シェアをとって、さらに別の摩擦を起こすよりは利益を出した方がいい。経営の考え方としては、一つの考え方だと存じます。

 他方、円安方向に行きますと、これによってよく出てくる話として、イカ釣り漁船とか、離島航路の船だとか、トラックでいえば台数の少ない十台以下のところとか、そういったところの小さな輸送業者等々につきましては、ガソリン代というものは上がっておりますので、それによって上がる。幸いにして、ガソリンの価格は、一バレル百四、五ドルが今七十八ドルまで下がっていますから、そういった意味では随分いろいろ変わってきておるとは思いますけれども、いずれにしても、そういったようなことを考えますと、輸入価格の高騰につきましては、我々としては十分配慮しておかなければならぬところだと思っております。

 いいか悪いかというのは両方出てくる、当然のことだと存じます。

鈴木(克)委員 決して、いい面がないということを言うつもりはないんですけれども、要するにそれに対するデメリットもあるわけで、そちらの方に目線を置くと、やはり現在の状況というのは非常に大きな問題があるというふうに私どもは考えているということでございます。

 大臣は、お立場上、消費税再増税に向けて事を進めていきたい、こういうお立場であろうというのは十分わかるわけでありますが、その際いつもおっしゃっておるのは、いわゆる日本の国債に対する信用、財政に対する信用、ひいては日本に対する信用ということをおっしゃっているわけです。

 他方、そもそもアベノミクスのテーマは、デフレ脱却と円高の是正であったわけであります。金融政策が為替をターゲットとしないことは承知しておりますけれども、金融緩和に円安効果があることは明らかであります。その上で、異次元の金融緩和を導入したということは、異次元のスケールで円高を是正し、円安基調に持っていく、そうすれば輸出が伸び、先ほどのお話のように経済はよくなり、財政再建にも資するんだというお考えのもとで成長戦略を講じてこられたというふうに思っています。

 ところが、ここへ来て、金融緩和を進め、円安に困っている。輸出は伸びない、消費も伸びないというねじれた事態が起きているというふうに思うんですね。

 この状況について海外はどのように見ているかということでありますけれども、消費税再増税の必要性については、日本に対する国際的な信認が失われたら大変だからというふうにおっしゃっています。しかし、大規模な金融緩和を進める一方で円安にも頭を悩ませている現在の日本こそ、矛盾した政策をとっているのではないか。これこそ、国際社会から見て、日本は何かおかしなことになっているという印象を持たれているのではないか、このように思うわけであります。

 だったら、ここは一旦あらゆる政策を整理して、家計や中小企業に痛みを与える消費税の再増税を凍結し、当面必要な円安対策をとり、輸出に頼ってきた経済を構造改革することが今なすべきことではないのか、このように思うわけでありますが、大臣の御所見をいただきます。

麻生国務大臣 前提条件をいろいろ言われましたので、それに一つ一つ反論するつもりもありませんが、海外から今、日本に財務大臣とか銀行の総裁とかその他いろいろお見えになりますけれども、その方々で、今の日本のアベノミクスの一連の話について不満を持って、文句を言ってこられた方はゼロです。これがまず一点。したがって、海外からどうのこうのという話は、私自身は聞いたことがありません。

 それからもう一つは、私どもの見た目で、今、生産拠点を海外に移すというのは、円高が続いた間に随分海外に生産拠点が移っておりますので、これは当然のことだと思っておりましたが。輸出を頼りにと言われましたけれども、日本の場合はGDPに占めます輸出の比率は一四%以下ぐらいに今はなっておりますので、輸出自体で、もともと輸出立国とか貿易立国なんというのはもう昔の話で今では全く、国内の需要をいかに喚起するかという方が、GDPというものを大きくする意味で物すごく重要だという点。二つ違っておると思っております。

 その上で、私どもは今、海外の話でいきますと、海外で稼いだ金が配当とか利子とかいろいろな形で日本に送られてくる、通称GDIと称するグロス・ドメスティック・インカム、こういった稼ぎの方が黒字拡大基調としては非常にはっきりしてきておりますので、いわゆる貿易収支よりGDIの方がふえてきておるという最近の傾向を見ておりますと、経済の好循環というものを実現していく上で、経済の、もしくは日本の構造全体が変わってきつつあるというのを考えて私どももやっていかねばならぬと思っております。

 ただし、いずれにしても、円安になったおかげで、いろいろな意味で輸入資材に頼っておられるところにいろいろ影響が出ているということは確かでありますので、そういった点につきましては十分配慮して今後運営していかねばならぬと思っております。

鈴木(克)委員 まさに、どのように十分配慮されていくのかというところが一番のポイントになってくるというふうに思います。先ほどからるる申し上げているように、プラスの面とマイナスの面がある、どちらに目を当てるかということでありますが、やはりマイナスの面というのも十分考え、そして手当てをしていく必要がある、このことを強く申し上げておきたいというふうに思います。

 先に進めますけれども、日銀が今回追加緩和を決めたということは、私も何回もここで伺っておるんですが、出口戦略の出口がさらに遠のいたというふうに思えるんですね。

 私がこれまで何回も出口戦略について伺ってきたのは、黒田総裁が、二%の物価安定目標の実現に向けて異次元緩和の効果は順調に出てきているとおっしゃっていたからであります。そうおっしゃるのなら当然出口も見通せるのではないでしょうか、市場のためにも早目のアナウンスが必要ではないですか、こういうことをお聞きしてきたわけであります。

 ところが、アベノミクスのお膝元である自民党の総務会で、報道によりますと、物価と消費税率だけ上がって給料が上がらないという理由で、金融緩和の出口戦略を考えるべきだ、こういう議論が起こっているという報道を見ました。

 大臣にお伺いしたいんですが、この出口戦略の意味というのは、私どもがこうして一般的に使ってきた出口戦略とは意味が違うというふうに私は思うんです。その点は、大臣、どのようにお感じでしょうか。

麻生国務大臣 意味が違うと。どういう意味が違うか、意味が違うという定義がちょっと理解できないんですが、QEという意味でしょうか。どういう意味で意味が違うと言っておられるか、ちょっともう一回説明していただくと助かります。

鈴木(克)委員 要するに、総務会でおっしゃっている方々は、出口戦略ということなんですけれども、もう金融緩和を手じまいしろ、こういう意味合いだと私は思うんですね。もう一つの我々が言っている意味は、日銀や我々が議論する際の、所期の目的を達成した後の正常化に向けていく方法ということで出口戦略というふうに言っているわけですね。

 だから、要は、所期の目的を達成した出口戦略と、さっきも言ったように、物価と消費税だけが上がって給料は上がっていないからもうこの金融緩和はやめろという出口と、同じ出口といっても意味が違うのではないか、こういうことを申し上げておるわけであります。

麻生国務大臣 一般に、金融緩和の出口論といえば、クオンティテーティブイージングというものの略でQE、QEとよく言うんですが、このQEを、早い話がイージングをやめるというのが普通、これはアメリカの場合を含めて緩和終了に向けた政策についての話だ、私の理解はそういう理解なんです。御指摘の話は日銀の金融緩和路線から方向転換を求める議論というように聞こえるんですけれども、文脈と意味合いが違うのではないかという御指摘は、それは申し上げたとおりで、その意味で、違うんだと思います。

 黒田総裁のやっておられるのはもともと、インフレターゲット二%、後ろはオープンエンドでやりますと、あの例の共同声明の中に書いてあるとおりのことを実行しておられるのであって、二%にまだ達しておりませんから金融緩和を続けておられるというのが金融政策を見た彼らの立場なのであって、私ども財政の方としては当然のこととして、デフレからの脱却のために、二%のために私どもとしては財政でいろいろな形をやっておりますので、金融と財政が両々相まって経済が成長し、いわゆるインフレターゲットの目的も達成できる、そのように理解しております。

鈴木(克)委員 少し聞き方を変えていきたいと思うんですけれども、要は、私が申し上げたいのは、自民党内でアベノミクスに対するいわゆる信頼感というのが失われてきておるのではないのかなと。それでなければ、こういう議論が総務会というところで出るはずがないというのか、出るということは、やはりアベノミクスに対するいわゆる信頼感というのが損なわれてきておるのではないのかなということを私は指摘したいというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 自民党というところは、よく鈴木先生御存じのとおりですから、いろいろ話が出るんですよ。大体、みんな黙っているだけのことであって、みんな言いたいことはいっぱいある、でも座っているだけのことなのであって。べちゃべちゃみんな言うんですって、うちの政党というのは昔から。長くおられたから、よくわかっておられるはずですよ。

 その上で、私どもとしては、そういったようなものがあったからといって、アベノミクスとかがどうたらこうたらという話になるときは、総務会の中でいろいろな意見が出て、それは決まればそれでやる、それが自由民主党のいいところだと思っております。決まらないんじゃない、決まったらやる、それまでの間はみんな自由に言えるというところ、私みたいな者でもこのところに長く三十年もいられた最大の理由はそれだと思っています。

鈴木(克)委員 自民党には私も在籍をしておりまして、確かにおっしゃる面があることは十分承知をしております。しかし、今、日本の置かれた状況で、本当にこのアベノミクスが成功であるのかないのか、先行きどうなのかというのは、やはりこれは党を超えて、国民が一番関心を持っているところなわけですよね。

 そういう意味で、恐らく自民党の議員の皆さんも、これはちょっとまずい状況に来ているのではないのかなというようなことが、先ほどの御紹介した総務会での発言になってきておるのではないのかな、こんなふうに思うわけであります。

 それで、もう少し違った形でお伺いをしたいと思うんです。

 私はよく存じ上げておりますし、御尊敬もしておるわけですが、山本幸三先生が会長になられて、アベノミクスを成功させる会というのを立ち上げられたということであります。これは、今までおっしゃっていたことを百八十度転換して、消費税再増税は延期すべきというふうな主張だ、このように伺っております。

 昨年四月二日の衆議院予算委員会で、安倍総理はこのように答弁をされておるんですね。御紹介いたします。「金融政策について、山本幸三委員は十五年来、大胆な金融緩和を行うべきだとずっと主張されてこられました。党内においても、山本委員の御主張はどちらかといえば野党的な立場であったわけですが、私は総理をやめた後、どうやら山本先生の主張は正しいのではないか、そう思い始めまして、何回か山本先生からお話を伺ううちに、それは確信へと変わってきたところでございます。」このようにおっしゃったわけです。

 いわゆるアベノミクスという政策を最終的に判断したのは安倍総理でありますけれども、多大な直接の影響を山本議員から受けているということもおっしゃっておるわけですね。増税しても円安で輸出が伸びる、だから大丈夫だと思っていたけれども、そのとおりにならなかったと認めてもおられるわけであります。つまり、誤算であったというふうにおっしゃっているわけです。今大臣がおっしゃいました、党内でいろいろな意見が出ているのはいいことだ、こういうお話でありましたけれども、私はそういうレベルの話じゃないんじゃないかなと。

 最終的に政策を判断された安倍政権の財務大臣また副総理として、こういった状況というのをどのようにお感じになっているのか、お示しをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 重ねて申し上げますけれども、このアベノミクスを最初にやるときも、似たようにわんわん騒いでいたのははっきりしています。当時は野党だったからみんな気がついていなかっただけのことで、私どもとしては、総務会というようなところではなくていろいろな形で、政権を奪還した後に我々は何をするべきかと。奪還は単なる手段であって、目的ではありませんから。政権奪還は手段です、目的ではありません。

 したがって、私どもとしては、奪還した後に何をするのかというのを安倍総裁を中心に、いろいろな方々がそのときもいろいろな意見を言われておりました。こういった日銀の金融緩和なんという話は、私は昔からしていた方ですから。異論だったといえば、竹中平蔵のころは異論だったですよ、間違いなく。あのときは、財政出動も一緒にしなきゃだめですよ、マネタリーベースがふえていたってマネーサプライがふえませんからだめですよと言って、随分やり合いましたから。だから、そういうところです、私どもは。わんわんやって、決まったらやるということになっておりますので。

 私どもとしては、この話は今に始まった話ではありませんので、スタートするときもいろいろ意見を言って、総理が決められましたし、今の話も同じような問題で、状況としては健全だなと。私どもから見ると極めて健全に見えて、ちょっと何となく小沢さんに遠慮しておられるのかもしれませんけれども、私どもはばんばん言えることになっておりますので。極めて健全な状況だ、私にはそう見えますので、それに関してどうだと言われても、通常ですとしか申し上げようがないんです。

 三党合意で消費税というのを決められたときの民主党政権のもとで、自民党で例の十八条の三項というのを決めたとき、あのときの株価は、古本さん、八千五百円ぐらいじゃないか。俺の記憶だけれども、そんなものですよ。八千五百何十円だったと思うんですね。今は一万七千円ということで、少なくとも倍近い株価の値上がりをし、円も三割近く円安に振れ、いろいろな形であの当時考えておったものは十分に達成しているというのは、外から見た、外国人の見る目はほぼこれに集中しているように私には見えます。

鈴木(克)委員 今のこの状況で、私どもは、消費税の再増税というのは断固反対だというふうに思っております。

 しかし、山本先生の会の方々の考え方また視点は、我々とは違うというふうに私は思っています。山本先生の会の目的は、その名が示すとおり、アベノミクスの成功ということだというふうに思います。そして、日銀に対しては、追加緩和してでも、とにかく早期に二%の物価上昇を達成しろ、そのためにはなりふり構わないという立場ではないかなというふうに思っているんです。

 今月四日に行われた消費税再増税を判断するための有識者による点検会合に出席したイエール大学の浜田教授が、アベノミクスへの期待が崩れ、世界の信頼がなくなることが怖いというふうにおっしゃっておったそうですが、これは何か違うんじゃないのかなというふうに思います。

 それは何かというと、アベノミクスへの期待というのはそんなに最初からあったわけじゃないんじゃないかなというふうに思いますし、アベノミクスはもう足元から崩れている、このように指摘せざるを得ないわけであります。こうした状況のもとで消費税の再増税が強行された場合には、我が国経済に致命的なダメージを与える、このように思っています。先月の質疑で、大臣は、消費税を上げて反動減になったときの対応を考えた方が、我々として現実的に対応できるのはそちらの方だと答弁をされたのであります。果たしてそうなのかなというふうに思うんですね。

 こうした状況を踏まえて、私ども生活の党は、維新の党及びみんなの党と共同で、いわゆる消費税再増税凍結法案を提出いたしました。

 この法案は、消費税再増税を延期するということでありますけれども、再増税だけを先取りされるのを避けるため、国会議員の定数削減などによる歳出の削減と国の不要な資産売却などによる歳入の増加を図るための必要な措置を講ずることも、消費税率引き上げに当たっての前提条件として義務づけております。

 また、再増税に対する国民への理解を得る観点から、消費税率を引き上げる際に確認すべき経済指標として、経済成長率や物価動向のほかに、名目及び実質の賃金上昇率等を追加しております。

 そして、延期した消費税再増税のタイミングについては、この新たな経済指標を確認するとともに、歳出の削減及び歳入の増加を図るための措置の実施状況等を総合的に検討して定められるというふうにしておるわけであります。

 このような対応が結果として政府が目指すデフレ脱却と経済再生への近道となる、このように思って、我々はこの消費税再増税凍結法案を出させていただきました。

 このことについて麻生大臣の御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 見解が全く違いますので、時間がないからそれでぶった切っちゃうのはいかがなものかと存じますが、全く前提条件が違うと思っております。

 まず、私どもとして、景気というものは来年の方がことしよりはいい、はっきりしていると思います。どの数字を見ましても、どの学者の話を聞いても、ことしより来年が悪いということを言っておられる方はいらっしゃらぬと存じます。したがいまして、今、景気というものを考えたときに、来年の十月の話ですから、私どもとしては、そういった先を考えねばならぬという状況にあります。

 基本的には、先ほど黒田総裁との話もありましたが、そのときに対応できるやり方というのは我々は過去に経験がありますけれども、一斉に日本の国債等々が売られて、そして国債市場が壊れてというような話は、ちょっと我々は過去に経験がありません。これは全く、その対応がどんなものになるのかというのはちょっと想像を超えておりますので、私どもとしてはその対応はいたしかねるというのが一番の危惧。日本の国の国家の信用になりますので。

 日本はきちんと上げてくる、日本は財政再建もちゃんとやりつつあるんだということをきちっと世界にことしの四月に証明し、来年の十月にもう一回証明することで、日本という国家の信頼、信用が高くなっていく、私どもはそう思っております。

鈴木(克)委員 これで質問を終わりますが、いずれにしても、ここ一週間か十日の間にいわゆる最終的な判断が下されるというふうに思います。その結果、解散があるとかないとか、これは別としても、いずれにしましても、やはり今一番大事なのは国民の経済、そして国家の将来。そういったものをやはりきちっと考えていくのが国会での我々の役目ではないかな、このように思っております。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 ラストバッターになりました。もう一頑張り、皆さん、御協力をお願い申し上げます。

 端的に伺っていきたいと思っておりますが、今も質疑がありまして、私はここのところ、麻生財務大臣には、安倍・麻生アドミニストレーションですということで、僣越ですけれども、お二人でこの政権は実際やっているのではないだろうかということで、政治の責任というような切り口から質問をさせていただきました。

 来週には、GDPの速報値が出てくるという中で総理の御判断があって、そして消費税の、附則十八条のたしか二だったと思うんですが、景気条項を考えながら、最終的に実行するかどうかの御判断があるという中で、今も御答弁がありましたが、四月に証明したという消費税の引き上げ、そして来年十月に上げる可能性ということがある中での国際的な信認ということを伺う中で、きょうは、お手元にお配りしたんですが、「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」という共同声明を改めて持ってまいりました。

 そして、冒頭、我が党の立場だけ申し上げますが、増税の前にやるべきことがあるということで、野田前総理と安倍現総理が党首討論の中で定数削減の問題等にも触れられながら、解散をされた二年前ということを改めて思い起こしていただいて、党派を超えて、国民の皆様に増税をお願いするに当たっては、やるべきことをしっかりやっていく必要があるということを考えていることと、先ほど鈴木代議士が質問される中でも言われましたけれども、消費税再増税凍結法案を我が党、みんなの党、そして維新の党、生活の党で出させていただいているという立場を踏まえつつ、改めて、この共同声明についてお伺いしたいと思います。

 この共同声明の一のところに、「デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、以下のとおり、政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組む。」ということで、まさしくタイトル一で、そして冒頭に「デフレからの早期脱却」とうたっておられます。

 この点について、先ほどもちょっと院内テレビを見ておりましたら、麻生財務大臣はデフレ脱却担当大臣だということを改めて恥ずかしながら認識した次第でございますが、そういうお立場も踏まえつつ、デフレ脱却がこの共同声明、政策連携の最大のテーマなのか、あるいは、それも大事だけれどもほかもあるんだよということなのかという点を確認させていただきたく、財務大臣並びに日銀総裁から順次御答弁を賜れればと存じます。

麻生国務大臣 これは、昨年でしたか、前の総裁だった白川さんと何回となく話をさせていただいて、共同声明、当時は、何かわけのわからぬアコードとかいろいろな、ホンダ自動車の広告みたいな話もありましたけれども、そんな通じない言葉はだめですといって、たしかジョイントステートメントにさせていただいた記憶があります。

 資産のデフレ、デフレといえば、正確には資産のデフレーションによる不況というのがこの二十年近い間起きていた現実なんだ、私どもはそう思っております。デフレーションというものを我々は、昭和二十年の敗戦この方、やったことがありませんので、これは日本だけじゃない、世界じゅうでデフレーションを経験した国はこの七十年間ありませんから、そういった意味では、デフレ対策というのを我々は明らかに間違えた。日銀も間違えた、我々政府も間違えたということを認めた上で、白川総裁、話をさせていただかないと、両方とも間違いがなかったという無謬性を言ったってだめですよというお話やら何やら、いろいろ率直な話をさせていただいて、あの声明ができ上がっております。

 やはり国民の中にずっと二十年間たまったデフレマインドというものを払拭するにはかなりなものが要るんだ、私どもはそう思っておりました。二%のインフレターゲットといったって、杉本さん御存じのように、普通、インフレターゲットというのは、一〇〇、二〇〇というようなものを二%に落とすとかいうのならともかくも、マイナスをプラスにしろなんというインフレターゲットなんて過去ありませんので、そういった意味では、それをオープンエンドでやりますとか、かなりなことをあそこに書き込んでいただいております。黒田総裁になられてから、着実にそれを実行していただいております。

 マネタリーベースがふえただけじゃだめだという先ほどの松田さんの話もありましたように、これはマネーサプライがふえてこない限りはどうにもなりません。銀行にいらしたからよく御存じのとおりなんです。そのマネーサプライがふえるためには、やはり財政というものが動いていかない限りは町に需要が出てきませんので、設備投資に回るとか個人消費がふえるとか、銀行から金を借りてまで設備投資するとか、借りてまで家を買うとか、そういう消費が出てくるところまでいかないとなかなかと私どもとしては思っております。

 残念ながら、今、マネタリーベースはふえておりますけれども、サプライの方は、先ほど御指摘のあったように三%弱というところですが、それでも確実にふえ始めている。かつてはマイナスですから、それがふえ始めていることは間違いないと思いますけれども、なかなか、これまでの内部留保がありますので、それを取り崩してやっておられる部分が多いところもありますし、まだ内部留保は、去年の九月とことしの九月とを比べましても二十四兆円ぐらいふえておりますから、そういった意味では、間違いなく、まだまだ経営者のマインドはそういった金を借りてまで設備投資をするところまでいっていない。したがって、まだデフレというものが終わっていないというような意識を我々は持っておりますので、こういった政策の優先順位の一番はそれということだ、私どももそう思っております。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、共同声明の最初の文でうたっておりますように、「デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現」ということがこの目的であるというふうに理解しております。

杉本委員 ありがとうございました。

 改めて、とにかくデフレ脱却が一番にという財務大臣のお言葉がございました。また、黒田総裁からも重ねてそのような御答弁をいただいたということです。

 ちょっと僣越なんですが、私は、この共同声明というものが、実際感じるんですけれども、実は国際的に非常に信用されて理解されているので、このことをいかに政府が、また日本銀行が実行されていかれるかということが日本の信認にかかっているということを感じております。

 その中で、この後ちょっと日銀総裁に続けて質問をして、お仕事に戻っていただければと思っておりますが、二番の項目に、「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で二%とする。」「これをできるだけ早期に実現することを目指す。」という表現があるんですが、「これ」という表現がちょっとわかりにくくて、国語の問題で恐縮なんですが、「これ」とは前年比上昇率二%という解釈でよいのかどうか、恐縮なんですが、改めて確認させてください。

黒田参考人 御指摘のとおりでありまして、「できるだけ早期に実現することを目指す。」のは、消費者物価の前年比上昇率二%という物価安定の目標でございます。

杉本委員 ありがとうございます。確認させていただきました。

 次に、このステートメント、ジョイントステートメントと麻生財務大臣は言われましたけれども、この共同声明は昨年の一月でございます。昨年、ことしを振り返っての二%の達成状況を改めて確認させていただければと存じます。

黒田参考人 日本銀行は、二%の物価安定の目標を、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、量的・質的金融緩和を進めております。この量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しておりまして、消費者物価、除く生鮮食品の前年比は、量的・質的金融緩和導入直前の昨年三月にはマイナス〇・五%でありましたけれども、その後プラスに転じて、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースで見て、一%台前半で推移してきております。

 もっとも、このところ、消費税率引き上げ後の需要面での弱目の動きあるいは原油価格の大幅な下落というものが物価の下押し要因として働いておりまして、消費者物価の前年比は、九月にはプラス一・〇%まで伸び率が縮小しました。こうした物価下押し圧力が残存した場合には、デフレマインドの転換がおくれるリスクも考えられます。

 そこで、その顕在化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するために、十月末の金融政策決定会合において量的・質的金融緩和の拡大を決定したところでございます。

杉本委員 丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 CPIの数字が一%台前半で、九月が一パーだったという状況の中で十月三十一日の追加緩和を実行というか発表というかされたということで見させていただきました。

 冒頭、二年程度というふうにおっしゃられましたけれども、また消費税の問題が来週峠があるわけでございますけれども、今後、達成する時期、見通しはどのぐらいの期間を念頭に置かれているか、改めて確認させてください。

黒田参考人 これは、前回の金融政策決定会合において量的・質的金融緩和を拡大することを決めたわけでございますが、それを踏まえまして、政策委員会の方々から経済の見通し、物価の見通しを提出していただきまして、その中央値を発表しております。そして、それを踏まえて、さらに展望レポートで詳しく今後の消費者物価の上昇率の見通しについて述べております。ちなみに、この見通しは、法律がございますので、来年の十月に二%消費税率が再引き上げされるということを前提にした見通しであります。

 それによりますと、消費税率引き上げの直接的な影響を除くベースで見た消費者物価の前年比は、当面、現状程度のプラス幅で推移した後、次第に上昇率を高めて、二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いと政策委員の方々は考えております。

 ちなみに、政策委員会の見通しの中央値でいいますと、二〇一五年度が一・七%、二〇一六年度が二・一%というふうになっております。

杉本委員 ありがとうございました。

 新たなタイミングというか、期間の目標というか見方というのを伺えたと存じます。

 ちょっとこれは素人的な質問で恐縮なんですが、そもそも、消費税の引き上げというのを勘案すると、現時点で三パー上がっているわけでございますけれども、二%の達成目標というのは、財務大臣も今言われましたけれども、そもそもマイナスだったんだ、だから、そう簡単じゃなくて、二ということ自体も重たいというふうに私は感じもするんですけれども、もっと高い目標を掲げておく必要はないのか、そっちを目指さなくてよいのかという点を改めて確認させていただきたいと思います。

黒田参考人 従来から申し上げていますとおり、日本銀行としての二%の物価安定の目標というものは、消費税率引き上げの直接的な影響、こういったものはいわば物価上昇率に対しては十二カ月たちますと消えるわけでございますので、そういったものを除いたトレンドとしての物価上昇率というものを見ているわけでございます。

 そういった観点からいいますと、二%の目標を実現する時期というのもこうした影響を除いたベースで申し上げておりまして、また、この二%という物価安定目標というのは、諸外国でもほとんど二%としているところが多いわけでありまして、米国のFRB、あるいは欧州のイングランド銀行、さらにはECBなども、基本的に二%の物価安定というものを目標にして金融政策の運営を図っているということではないかと思っております。

杉本委員 FRB、BOE、ECBという例を引いていただきながら、二%は、トレンドとして、消費税を除いて考えるんだということで解釈をさせていただきました。

 ちょっと順番が変わって恐縮なんですが、日銀総裁へ最後の質問をさせていただきます。

 日本銀行情報サービス局発行の生活意識に関するアンケート調査、第五十九回だそうですが、この二〇一四年九月調査によりますと、現在の物価に対する実感というのは、一年前と比べて平均値で四・八%上昇したとの結果がこのアンケート調査では示されているということなんです。

 この物価に対する庶民の皆様方の生活実感と消費者物価の上昇率の乖離というのは、ちょっと抽象的かもしれませんが、どんな点にあるとお考えかを教えていただきたいと思います。

黒田参考人 御指摘の、生活意識に関するアンケート調査の現在の物価につきましては、回答者がふだん購入している物やサービスの値段を念頭に置いて、実際に感じる物価というものを回答していただくものでございまして、消費者物価指数などとはつくり方が全く違うということでございます。

 そこで、特に、このアンケート調査を見ますと、ことしの三月の時点でも実は四%ほど上がるという実感であって、九月に四・八というふうになっていまして、その間、実はそのアンケート調査では消費税率引き上げの影響を除いたベースで言ってくださいと申し上げているんですけれども、必ずしもその辺が十分行き渡っていない可能性もございます。

 いずれにいたしましても、こうした生活意識に関するアンケート調査を含めまして、個人に対するアンケートの場合には、実際の消費者物価指数などと比べますと高目の回答をする傾向が見られておりますので、分析に当たりましては、水準そのものよりも、方向性をよく見ていくというふうにしたいと思っております。

 こういった点から見ますと、生活意識に関するアンケート調査の実感インフレ率も、昨年の春ごろから徐々に上昇してきているという傾向にあると思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 生活実感というのも大切にしていただきながら政策運営に当たっていただきたいということをお願い申し上げまして、総裁、これで御退席ください。ありがとうございました。

 引き続き、財務大臣には恐縮なんですが、もう一頑張りお願いしたいと思います。

 先ほど、浜田内閣官房参与の御案内は鈴木代議士からありました。全部崩れてしまったり、世界の信頼がなくなったりすることの方がずっと怖いというような表現をされました。その後また総理は、六日に面談したと報じられていますけれども、ポール・クルーグマン氏に会って、アベノミクスを成功させ、デフレ脱却を確実にしてからでも遅くはないのではないかという延期の助言、進言を受けたようでございますけれども、その国際的な信認という定義について、改めて御質問を申し上げたいんです。

 共同声明の中でも、三の下のパラグラフの方に、「財政運営に対する信認を確保する観点」ということで、「持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。」と政府は言っておられる一方で、直近の、海外あるいは学者方からの状況、あるいは海外全体の経済動向からの要請みたいなところを鑑みますと、日本の信認というものが、単に日本の財政だけを考えるのがいいのか、国際的な世界経済の動向に対しても目を配りながら考えることがいいのかみたいな難しい局面でも実はあるというふうにも感じています。

 また、この延期の進言に対して、自民党内の税調の方なんかも言われていますけれども、延期して景気がよくなるのかどうかわからないので、逆に、これは正しい表現かわかりませんが、俗に言われる、今でしょうという考え方もあるのかもしれない。

 こういったいろいろな進言があることに対して、国際的な信認ということの解釈として、財務大臣として、世界経済の動向を見ながら延期することも国際的信認の範疇に入ってくるんだということなのか、やはりあくまでも消費税はしっかり上げて信認を確保していくことが王道なのか、このあたりの整理をちょっといただければと思います。

麻生国務大臣 いよいよノーベル賞学者まで動員したかという感じはしないでもありませんけれども。

 私どもが、少なくとも年に四、五回この種の国際会議というもの、G20とかG8とかいろいろなものに出て、今週からまたG20でオーストラリアに行くことになっておりますけれども、この二年間の間、いろいろなところから得てきた不満やら文句やらというものが、少なくともこの四月、消費税の値上げ以後全くないというのだけははっきりしております。

 それまでは、アベノミクスに対して、円の独歩安とか、おたくの財政は先進国の中で一番悪いのに何でこんなものをやってというような話をそれぞれ皆言われたものだったんですが、少なくともうちは、おたくらと違って、自公民三党で、財政再建等々を十分に踏まえた上で消費税の値上げをするんだということが与野党合意でできている、おたくらはそれができないでしょう、特にアメリカさん、おたくは全くできないじゃないですか、うちはやりましたよと。これは法律で決まっていると言うと、えっ、法律で決まっているのかと言うから、法律で決まっています、間違いありませんからと。そして、それを実施するのかと言うから、しますよと言って、この四月に実施をさせていただいて、日本は間違いなく財政再建をするという意思を内外にきちっと態度で示しておりますので、それ以後、この種の話で我々が他国からいろいろ言われたことだけはありません。

 そういった意味で、この信頼というのは非常に大きなものだったと思って、これを決断された民主党政権というのは大したものだと、私はこの点は高く評価しております。ほかを一切評価しないなんて、そんな余計なことは言っていないからね。その点だけは私どもとしては非常に高く評価しているところなのであって、いろいろな形で、私どもとしては、こういったような決断というのは、政治の歴史というもので見れば、財政史の中においては一番残るだろうと思うほどの決断だったと今でも評価しております。

杉本委員 再度、三党合意、そしてそれが法律で決まっているということで、民主党政権、私もいっとき支えさせていただいておったわけでございますが、そういったいい点の御評価というのを今されたということですし、この信認の確保の重さというものを改めて伺わせていただきました。

 あと二つぐらいで質問は終わりたいんですが、コミットメントという表現についてちょっと確認をさせていただきます。

 さきの質疑でも、古川元大臣からございました。当面のプライマリーバランスの健全化の件で、十七日の御答弁で、コミットメントという御答弁を大臣はされていたかと思います。

 その後、安倍総理は、十月三十日の衆議院の予算委員会で、プライマリーバランスの黒字化の問題は、「国際公約とは違うわけでありまして、経済ですから、何が何でも絶対にという約束というのは果たせないわけでございます」と。そのとき、財務大臣もお隣にいらしたかと思うんです。

 質疑の中では、古川元大臣からの質問の中にプロミスとコミットメントという単語の表現もあったかと思います。プロミスよりも重いんですよというようなことでありましたけれども、財務大臣の御認識、安倍・麻生アドミニストレーションとしてのお立場もあるんですが、このコミットメント、あるいはコミットメントしているという状況は変わりがないのかどうかを再度確認させてください。

麻生国務大臣 変わりありません。

杉本委員 短い答弁で終わってしまいまして、端的に進めて、短く終わりたいと思います。

 余りたくさん質問してもお忙しいと思いますので……(発言する者あり)遠慮しなくていいですか、せっかくの委員会なので。ありがとうございます。

 と言いつつ、では、もう一つぐらいふやしますかね。

 これは多分御当局の方から御答弁いただくことになるかなと思うんですが、では、軽減税率のことについて伺っておきます。

 ちょっと飛んで恐縮ですが、自公の連立与党内では、たしか一〇%時という曖昧な状況を一つの結論としたというように拝察しておりますが、この軽減税率のメリット、デメリット、改めて認識を深めておきたいと思います。

 私も、僣越ながら、手前みそですけれども、英国で暮らしたときは、本のお金はかからない、食料品はつつましく、もやしを買って、ひき肉を買って野菜いためをつくると、その材料費は全く非課税というような状況で、いわゆる日本的に言うと、米、みそ、しょうゆの類いは税率がかかっていないということなんです。

 軽減税率を採用するとしても、米、みそ、しょうゆだけにするというようなことにした場合、減収額がどのくらいになってしまうのか、メリット、デメリットを含めて御答弁いただければと思います。

宮下副大臣 お答えをいたします。

 メリット、デメリットという話ではございますけれども、一般的に、この軽減税率は、消費税率の引き上げ時に低所得者の皆様への配慮として検討されているというふうに理解しております。一方で、検討に当たって留意しなければいけないのは、対象品目の選定、区分経理等のための制度準備、また具体的な安定財源の手当て、こういった課題はあるというふうに承知しております。

 いずれにしても、メリット、デメリット、両方考えながら検討されている、今、与党における検討ということでございますけれども、この検討を見守っていきたいというふうに考えております。

 また、試算でありますけれども、基礎的食料品であります米、みそ、しょうゆ、これを限定的に軽減税率の対象とした場合の試算ということであります。本年六月五日に与党税制協議会が公表されました資料におきましては、米、みそ、しょうゆを軽減税率の対象とした場合の減収額につきましては、標準税率と軽減税率の差が仮に五%とした場合には千二百億円と推計されているところでございます。

杉本委員 千二百億の試算ということで承りました。ありがとうございます。

 鋭意議論をされる中で、本当に国民の皆様のためになることが採用されることを期待したいと思います。

 最後の質問ですが、十月十七日の財務金融委員会で大臣は、消費税を予定どおり引き上げない判断をした場合のリスクということに言及されておられます。政府の財政健全化への意思について、上げなかった場合に市場から疑念を持たれることを挙げておっしゃられたかと思いますけれども、今次、日銀の十月三十一日の追加金融緩和がございました。この状況の中で、消費税を予定どおり引き上げない場合のリスクがどのようなことになると現状で御認識されているか、改めて御見解を伺って、きょうの質疑を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 日銀による量的拡大の決定というのは、物価目標二%の実現を可能にするために、しゃにむにという感じで黒田総裁らしくやられたんだと私どもは思いますが、これは消費税の値上げとは別な話なのであって、金融政策の観点から日本銀行は決定をされたので、別に政府のことをおもんぱかって、消費税をなんということを考えてやられたわけではないと思っております。

 いずれにしても、政府としては、国債の安定的な消化というものが大事なところなのでして、適切な国債の管理政策というものにきちんと努める、当然のことです。今指摘された共同声明の中にも「持続可能な財政構造を確立する」ということが書いてありますように、やはり財政の運営に対する信認というのを得ておかないとなかなか、健全化の取り組みを着実に推進しているのであって、うちはちゃんとやっているでしょうということ、国際的にも市場でもそういった評価を得るというのが一番大事なところだと思っておりますので、日本銀行の金融政策だけで景気が回復するとも思いませんし、政府の財政出動だけでもだめですし、両々相まっていかないと、なかなか景気回復、デフレ不況からの脱却というわけにはいかないものだ、私どもはそう思っております。

杉本委員 一言だけ申し上げますと、信認の扇のかなめは麻生財務大臣だと拝察しておりますので、今、巷間言われております消費税を引き上げないケースでも、やはり期限をきちっと区切って、それで年末商戦を避けた半年ずれとかいうことで一年半とか二年半とかはわかりませんが、そういった期間を切るということ、そして、それに加えて景気動向というのはデフレ脱却のためには必要ですので、景気条項については柔軟に入れ込んでおくというような法律立てを踏まえて、今後は考えていかなきゃならないのではないかということを僣越ながら申し上げさせていただいて、きょうの質問は終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十一分散会


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