衆議院

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第2号 平成27年3月4日(水曜日)

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平成二十七年三月四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古川 禎久君

   理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君

   理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君

   理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君

   理事 丸山 穂高君 理事 伊藤  渉君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      國場幸之助君    柴山 昌彦君

      白石  徹君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    田畑 裕明君

      竹本 直一君    津島  淳君

      中山 展宏君    根本 幸典君

      福田 達夫君    藤丸  敏君

      牧島かれん君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      泉  健太君    大島  敦君

      玄葉光一郎君    鈴木 貴子君

      古川 元久君    前原 誠司君

      鷲尾英一郎君    伊東 信久君

      篠原  豪君    國重  徹君

      輿水 恵一君    斉藤 鉄夫君

      角田 秀穂君    真山 祐一君

      吉田 宣弘君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    小泉 龍司君

    …………………………………

   議員           古川 元久君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   総務副大臣        二之湯 智君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   防衛副大臣        左藤  章君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岩渕  豊君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官)    中島  誠君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 井野 靖久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 新原 浩朗君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          三井 秀範君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   西田 安範君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    佐藤 慎一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      佐川 宣寿君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山崎 伸彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           金丸 康夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松永  明君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            丸山  進君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   関根  弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月四日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     田畑 裕明君

  山田 賢司君     白石  徹君

  前原 誠司君     鈴木 貴子君

  吉田 豊史君     篠原  豪君

  岡本 三成君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     山田 賢司君

  田畑 裕明君     牧島かれん君

  鈴木 貴子君     泉  健太君

  篠原  豪君     吉田 豊史君

  輿水 恵一君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     前原 誠司君

  國重  徹君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 宣弘君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  角田 秀穂君     真山 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  真山 祐一君     岡本 三成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案(古川元久君外三名提出、衆法第四号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官中島誠君、大臣官房審議官井野靖久君、大臣官房審議官新原浩朗君、財務省主計局次長西田安範君、主税局長佐藤慎一君、厚生労働省大臣官房審議官山崎伸彦君、農林水産省大臣官房参事官金丸康夫君、経済産業省大臣官房審議官松永明君、中小企業庁経営支援部長丸山進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。御法川信英君。

御法川委員 おはようございます。自民党の御法川でございます。

 トップバッターを務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 きのう、大臣からの所信の聴取をさせていただきました。これについての質問をさせていただきたいと思います。

 我が国の現下の最大の課題は、デフレからの脱却、そして経済再生ということだというふうに思います。安倍政権発足以来、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略、いわゆる三本の矢という経済政策を一体的に推進してきたということだと思います。その効果も徐々にではありますけれども見えてきたというのは、間違いのないところだというふうに思います。

 税制面においても、平成二十五年度及び平成二十六年度の税制改正を通じて、企業の賃金の引き上げあるいは設備投資を促進する措置などを、これまでにない大胆な形で講じてまいっていると思います。

 一方で、社会保障を次世代に引き継ぐ、そういう責任を果たす、あるいは、市場からの日本という国の信認というものを守っていくのも大切な課題であるというふうに考えております。

 したがって、経済再生そして財政健全化の両立を図るということが我が国の経済財政運営が取り組むべき基本的な重要な方針であるべきだというのは、私がここで申し上げるまでもなく、安倍総理そして麻生大臣も、至るところでこういう発言をしていただいているということだと思います。

 その経済の再生と財政の健全化の両立を図るという観点から、今回の税制改正の意義というものをどのようにお考えになるのか、大臣の方からの御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今、御法川先生から御指摘のありましたように、安倍内閣においては、経済再生と財政の再建、この両立を図るというのが経済財政運営の最も、短縮するとそういう言い方になろうと存じますが、こうした中で、政権交代前に比べますと、アベノミクスと言われるものの結果、きょう、株価は一万八千八百三十円ぐらいになっていますので、解散前が八千六百六十円ぐらいでしたので、株価で約倍ちょっとになってきておると思いますし、また有効求人倍率も、一・一三、一四ぐらいに上がってきておりますので、極めて高水準となるなど、回復基調にあるという、ベースとしては間違いないと思っております。

 財政も、おかげさまで、いろいろございましたけれども、八%に引き上げさせていただいたおかげで増収としては六兆円見込まれますので、三年前に予算を組みましたときが税収見積もり四十二兆円でしたのが、今度は五十四兆円になっておりますので、十二兆円増。すなわち、消費税を除きましても法人税、所得税等々で六兆円増ということになっておりますし、結果として、二〇一五年度のいわゆるプライマリーバランスの半減目標というのは達成しつつあるということになるんだと思っております。

 これを、二十七年度の税制改正におきましては、さらにデフレ不況からの脱却というものを果たしていかねばならぬところなので、成長志向に重点を置いた法人税改革、また、高齢者のところにかなり個人資産というのが傾斜しておりますので、若年層への資産の移転、また住宅市場の活性化、そういったようなもののために贈与税の非課税措置を拡充する、また経済成長に必要な成長資金の必要のためにいわゆるNISAというものを拡充するといった施策を講じております。

 いずれにいたしましても、足元の個人消費というものにまだまだ弱さがある、地域にばらつきがある等々の点は御指摘のとおりなので、二十七年十月に予定をいたしておりました消費税の引き上げを、十八カ月間延長させていただいて、二十九年の四月とすることといたしております。

 この引き上げにもまたいろいろ御意見もあろうかと思いますが、我々としては、やはり社会保障制度というものを間違いなく次の世代に引き渡していく責任を果たさねばなりませんし、また同時に、市場や国際社会からの信認というものも確実にしておかねばなりませんので、そういったことを考えて、これを確実に実施することといたしております。

 また、二十七年度税制改正につきましては、先ほど冒頭に申し上げました、経済再生といわゆる財政健全化の両立に向けました非常に重要なものだと考えておりますので、この法案の早期成立に向けて、我々としてはぜひ御協力をお願いいたしたいと考えております。

御法川委員 ありがとうございます。

 経済の好循環を、上向きのスパイラルを実現していく、これを継続的に実現していくということは本当に大事なことだと思いますし、そのために、設備投資あるいは賃上げなどに積極的に取り組んでもらおうということで、政府がさまざまな形で努力をいただいているということは、我々承知をしているところでございます。

 安倍総理のもとで、政労使会議など、なかなか今までは行われなかったようなことを積極的に行っていただいているというのは大変ありがたいことでございますし、これに加えて税制面での対応が加わるということは、一層の効果を期待できるのかなというふうに考えます。

 ただ、厳しい日本の財政事情でございますので、今回、一つの焦点になっております法人税の問題ですけれども、やはり単純に引き下げていくというわけにはいかないんだろうというふうに思います。法人課税というものの構造をしっかり見ながらそこに対する見直しを行って、しっかりと頑張っている企業には後押しできるというような改革ができるというのは、税制でそれができるというのがやはり必要ではないかなというふうに思っています。

 麻生大臣がこれまでの国会審議の中で、成長志向の法人税改革、先ほどもお言葉がございましたけれども、こういうフレーズを使われております。これは、私が今申し上げましたが、まさに構造改革という意味で、法人税改革が今回は構造改革だという意味で使っているのではないのかなと私は勝手に邪推をしておるところでございますが、税率を下げることがなぜ構造改革という話になるんだろうか、また経済の好循環とどういうふうに関係しているのか、これをなかなかすぐのみ込めない方がたくさんいるのではないかなというふうに思います。

 また、税率の引き下げにあわせて、課税ベースの拡大をすることで財源を確保していくというようなこと、外形標準課税の拡大等々、こういうものは中小企業に厳しくなるのではないかというような懸念を持っている方が、懸念だけでなく本当に心配している方が実は地方には結構いるというのは実際、現実にあるんだというふうに思います。

 このような懸念について、わかりやすく、法人税改革の基本的な考え方というものをもう一度大臣の方から御説明いただければというふうに思います。

麻生国務大臣 今回の法人税改革に関しましては、課税ベースというものを拡大しつつ税率を引き下げるということによって、一部の企業、法人に偏っております税負担の状況というものを、より広く負担を分かち合っていただく構造に変えるということであろうかと存じます。そうした考え方の中で、地域経済というものを支えておられます中小零細企業への影響には十分配慮した改革といたしております。

 具体的には、大企業向けには、法人事業税の外形標準課税の拡大、また欠損金の繰越控除の限度の引き下げを行うことで財源というものはしっかり確保して、国、地方を通じた法人実効税率を、現行三四・六二%から引き下げさせていただいて、二年間かけて、三二%、三一%へと引き下げるということにいたしております。

 こうした改革によって、稼ぐ力のある企業の税負担を軽減することで企業の収益力の改善に向けた投資が積極的になり、それが結果として賃金のアップや下請企業への価格の転嫁といった取り組みにもつながると考えております。

 さらに、企業が賃金アップへ踏み出していくのを後押しするという意味から、所得拡大促進税制というものの要件を緩和させていただいております、五%だったものを三%に引き下げる等々。

 今回の改革は成長志向型への改革でありまして、これに、下がった分の純利益が出てくるところを、コーポレートガバナンスの強化とか、政労使会議におけます、いろいろ、経営者と組合、労働者側との間の連携と相まって、双方で話し合ってもらって、企業が得た利益が、ただただ内部留保が蓄積するだけではなくて、それが賃金に回り、下請企業への発注価格等々にも影響していくというような方向を、やはりコーポレートガバナンスみたいな形で内部に他の意見を入れさせて、そういったことを言える、そういうようなものを合わせわざでやらせていただきたいと思っております。

御法川委員 大臣、この政労使会議でございますけれども、簡単にというか、ぶっちゃけて話をしますと、こういうことというのは今までなかなかなかった取り組みだと思います。

 これは二年目ということになりますが、この政労使会議の効果というか、具体的な数字じゃなくて結構ですが、大臣の御所感として、この政労使会議の意義というものをどのようにお考えか、もしよければ御所見をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 御法川先生、私のように経営者をやっていた方からこの業界に入ってきた者にとりましては、少なくとも労働組合との団体交渉に政府が介入してくるなんというのは、どう考えたって、こんなのは社会主義でしょう。共産主義でしょう。私は反対ということを最初から申し上げてきたんです。

 とにかく、いわゆる組合と経営者の賃金交渉に、政府が労働者側に立って、賃上げしてくださいというお願いをするのが政府で、陳情してくる方は選挙の応援は別の政党のところを応援しておられて、こっちは全然応援されないなんて、俺たちはそんなに人がよく見えますか、そういうことを議事録の残るようなところで申し上げております。

 しかし、今は、御存じのように、これは一年に一遍しか出ませんので、おととしの三月、企業の内部留保が三百四兆円だったと思いますが、去年の三月に三百二十八兆円。二十四兆円、月割りで二兆円内部留保がふえておるというのでしたら、それは本来でしたら配当か賃金か設備投資か何かに普通回るはずが、長いことデフレで、じっとして金を持っていると、金の値打ちが上がって物の値段が下がっていくという時代が約二十年少々続いておりますので、そういった意味では、やはり企業家のマインドも消費者のマインドも変わりませんので、やはりここは非常時ですからという御意見で、私も間違いなく非常時だと思いましたので、私どもはそれを取り下げております。

 そういった形で企業の話を今年度もやるということになりましたので、間違いなくそういった効果が出てきて、いろいろ業界誌なんかを見ておりますと、これまで税金を払ってきておられなかった企業が円安等々の効果もあって一斉に払えるようになった。法人税も税収として見込めるようになった。いいことだと思いますが、その分、同時にそれだけ利益が上がっているわけですから、それを労働分配率、最近使わない言葉ですけれども、労働分配率というものが少し上がってきた形にしていただいて、そうすると消費に回る、これから継続して何年かいたしますと、いい意味での好循環に回ってくるんだ、私どもはそう期待をいたしております。

御法川委員 ありがとうございました。

 財政健全化について、一つお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 日本の、我が国の財政は、私がここで改めて申し上げるまでもなく、公的債務残高がGDPの二倍等々さまざまな数字を挙げて、危機的な状況だというような意見もあれば、いや、そうではないという楽観的な論調もあるやには思いますけれども、やはり私は、財政というものをしっかり我々は考えていかなくてはならない責任があるというふうに考えております。

 責任を持って財政運営ができるような形をつくるというのは政府における急務であろうというふうに考えておりますけれども、消費税のスケジュールの変更などに伴って、政府は、ことしの夏までにということであったと思いますが、二〇二〇年度の国、地方のPB、基礎的財政収支の黒字化達成に向けた具体的な計画を策定するということになっていると思います。この計画というのは、言わずもがなでございますが、来年度以降の予算編成の指針ともなるべきものだというふうに考えます。

 そうやって考えますと、毎年の我々のスケジュール感でいけば、概算要求というのは八月の末でございますので、このスケジュールに間に合うような形でこの計画というのを策定していかなければならないという話になれば、七月の要求基準も考えれば、六月中のどこかにはこういう策定というのができてこなくてはならないのではないかな、私はそういうふうに考えておりますし、やはり具体的な計画の策定というのを早期にやるべきだと私は思っておりますけれども、大臣の方からこれについての御所見をいただければというふうに思います。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりに、この予算案が通りますと、公的債務残高が一千三十五兆円、GDP比で二〇五%ぐらいになろうと思いますので、明らかにこれは異常事態であることははっきりしておると思っております。

 間違いなく、財政健全化というものは日本にとりましても絶対的な目指さねばならぬ目標だと思って、まずはということで、プライマリーバランスに対しましては、対二〇一〇年度比半分ということで、一応この二十七年度予算ができますとプライマリーバランスというものが達成されることになろうと思いますが、このプライマリーバランスというのは単なる一つの過程でありまして、二〇二〇年にはこれをゼロ。しかし、ゼロにしても、それは金利は外してあります。金利の分でいきますと、ことしの金利で十兆一千億円ぐらいの金利が発生します。金利は積み上がってまいりますので、その意味で、対GDP比でいきますと、それが分母とするならば、財政支出、分子の方の比率を下げて、プライマリーバランスではなくて、いわゆる財政収支というものをきちっとさせていかねばならぬということになろうと存じます。

 今委員おっしゃいましたように、概算要求までに間に合わせるということで、二〇二〇年度まで、今極めて厳しい予想が出ておりますので、内閣府の予想を見ましてもかなり厳し目に出ておりますので、私どもとしては、これを何としてもきちっとできる目標を立ててつくり直したい、そう思って、この夏までにその策定を目指したく頑張らせているところであります。

御法川委員 万々が一間に合わないなんということになれば、平成二十八年度は、そういう計画に載ってこないなんというのはとても今の財政状況が許すことではないというふうに思いますので、しっかりと政府の方には取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、藤井比早之君。

藤井委員 おはようございます。自民党の藤井比早之でございます。

 私からは、麻生財務大臣兼金融担当大臣の所信について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、事実関係の確認ということで、先ほども麻生大臣がおっしゃっておられましたけれども、まさに第二次安倍政権発足から、これは解散するぞというときからでいいんですけれども、株価がどれだけ上がったのか、そしてまた時価総額がどれだけふえたのか。

 また、関連として、GPIF、年金の運用益がどれだけ出ているのか。

 また、金融緩和の規模がどれぐらいで、それによるいわば物価上昇率、効果はどの程度あるのか。

 また、最終的に、このことによって税収がどれだけ上がっているのか。国税、地方税合わせてどれだけの上振れ、そして増額が結果として、成果として上がっているのか。

 これについて、事実関係をお伺いさせていただきたいと思います。

菅原副大臣 藤井先生から幾つか御質問がございました。

 まず、三年前の二〇一二年の十一月十四日が、当時の野田総理と安倍総裁の党首討論の日でありました。あのときの日経平均株価が八千六百六十四円、そして昨日、直近でございますが、終わり値として一万八千八百十五円。当時、二〇一二年の十一月十四日の東証一部上場の時価総額二百五十一兆円、昨日のこれが五百五十兆円というふうに承っております。

 また、税収の伸びにつきまして、今予算審議をいただいているわけでございますが、この二十七年度当初予算案の中の税収見込みを考えますと、第二次安倍政権発足前の平成二十四年度の当初税収から、国税でプラス十二・二兆円、地方税でプラス四・四兆円、合わせて十六・六兆円の増加となってございます。

 以上でございます。

山崎政府参考人 年金積立金の運用収益額についてお答え申し上げます。

 政権交代のありました平成二十四年度の第三・四半期から平成二十六年度第三・四半期までのGPIF、年金積立金管理運用独立行政法人の運用収益額は、約三十五・五兆円となっております。

藤井委員 ありがとうございます。

 株価も倍増以上で、時価総額が三百兆円以上膨れ上がっているというすごい成果ですよね。税収も、国税、地方税合わせて十六・六兆円上がっているということでございますけれども、これによって年金の運用益も三十五兆円以上も上がっている。

 これはまさに、本当に第二次安倍政権発足後の、麻生大臣も就任後の成果ということになろうかと思いますけれども、このアベノミクスの成果、主要因について大臣はどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、副大臣の方なり厚生労働省の方から御答弁があっておりましたけれども、思い返せば、第二次内閣がスタートいたしましたときに、三本の矢というのを覚えておられるかどうか、最近使わなくなったので。私、あんなものは三ッ矢サイダーの広告みたいで嫌だと言ったんですけれども、とにかく三本の矢だ、三本の矢だといって、長州ではこれがいいんだと言われて、三本の矢で押し切られたので今でも何となく記憶があるんですが、この第一の矢というのがいわゆる金融の緩和だったんです。

 これは、当時、日本銀行とは意見が対立しておりましたので、白川日銀総裁と何回となくお話をさせていただいて、一月の二十二日だったかに共同声明というのを出させていただいて、日銀の金融緩和というので、物価安定目標をインフレ率二%というインフレターゲットをつくらせていただいて、いわゆる固定化したデフレマインドを解消させてもらいたいのが一つの目的で、これをさせていただきました。

 次に、日銀が幾ら金融を緩和しても、金がたまるのは銀行だけで、銀行から先に金が散っていきませんので、その意味では、機動的に財政政策というものをやらないと需要は出てこないということで、需要の下支えが大事なんだということで、財務省としていろいろやらせていただいたところなんですが、やはり第三の矢という成長戦略が確実なものになってきませんと経済成長というのが大きくなってまいりませんので、農業とかエネルギー分野とかいろいろ岩盤規制を、ほかにも医療規制等々よく言われますけれども、こういった岩盤規制の撤廃など、いわゆる攻めの姿勢でこれを実行していくというのが一番大事なんだと思っております。

 おかげさまで、経常利益等々も、二〇一四年の十―十二月で見ますと、十七兆六千億円出ておりますので、四半期別でいきますと過去最高を記録しておりますし、企業の倒産件数も、いろいろよく出ておりますけれども、月別で約七百件ぐらいにまで減少している、これまで千件ぐらいいっておりましたので。

 そういったものも随分変わってきておりますし、求人倍率も上がってきたんだと思っておりますが、やはり第三の矢、この経済の成長というものをさらに促進していきませんと、政府とか財政出動とかいうのではおのずと限度がありますので、そういった意味では、民間の活力というものがいかにうまく引き出せるか、そのための構造改革であり規制緩和であり、そういったようなことが今後の経済成長を促していく大きな要素になろうかと存じます。

藤井委員 ありがとうございます。

 本当に大臣がおっしゃるとおり、最初、白川総裁のときに、こんなことができるとは誰も想像していなかったと思うんですね。金融緩和、政治がこれだけの決断をしたというのは、本当にすばらしい、今に至る成果をもたらしてきていると思います。

 まさに金融緩和、そしてまた財政政策ということでございますけれども、おっしゃったとおり、第三の矢、成長戦略、これを成功させていくためには、二十年間デフレが続いたわけですから、何としてもここでそれを脱却しないといけない。まずは、やはり景気回復だ。一に景気回復、二に景気回復、三、四がなくて五に景気回復、そのようなことが必要だと思います。

 まさに昨年十二月の衆議院議員総選挙、そのために一年半何とか消費税の税率を上げるのを延期させていただきたい、そして国民の信を問うたわけでございます。そしてまた、法人実効税率も下げて、成長志向、とにかく景気回復を最優先させるんだ、そのことが大切だと思いますけれども、景気回復をまず行う、そのことの意義をお伺いさせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 消費税の一〇%への引き上げにつきましては、これは何といっても、アベノミクスはいろいろ言われますけれども、足元を見ますと、消費税が五から八に上がった段階で反動減等々によって消費が弱まっているということを考えて、やはり経済再生と財政健全化を両立させるためには、十八カ月の延期ということをさせていただきました。

 他方で、やはり世界に冠たるものだと思うんですが、国民皆保険等々の社会保障制度というものを藤井さんたちの次の世代に引き渡していく責任を我々はやらねばなりませんし、また同時に、マーケットとか国債市場というんですか、そういったところからの信認とか、他の国から見た信頼とか、そういったものを確保するためには、きちっと消費税を上げて、日本という国は、財政の極端な、二〇〇%を超えるような状況から脱却していこうという姿勢はきちんと政府が持っているということを示すことが必要だと思います。

 そういった意味では、今回の法人税改革というのは、課税ベースというものを広げつつも税率を引き下げるということによって、稼ぐ力がある企業というものに税負担が偏っておりますので、そういったものを少し低減させつつ、企業の収益の改善に向けたやる気、インセンティブというものを高めるという意味で、成長志向型の改革というものを通じて収益力が高まれば積極的な賃上げとかいうことにつながりますし、生産性が向上しないのに賃金が上がるはずもありませんので、そういった意味での取り組みを可能にするものにしたいと思っております。そして、結果として、賃金の引き上げにつながっていきますと、それがまた消費の拡大というところにつながっていくことになって、いわゆる好循環ということになっていくんだと思います。

 これは少々時間がかかります。必ずインフレの方が先に来ますので、賃上げの方が遅くなる。どこの国でも、こういう状況になりますと、必ずその順番で参りますので、きちんとした賃上げ状況が続いていくという傾向値がよく世の中の人に理解されないと財布のひもは緩まないということだと思っておりますので、そういった方向を御理解いただけるように、私どもとしては引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 企業の収益がアップすれば賃金が上がると今大臣から御答弁いただきましたけれども、まさに、本当に賃金を上げないと、働いている方の給料がアップする、汗を流す方の収入が上がる、それで懐が暖かくなって景気よう物を買うていただく、金は天下の回りものでございますけれども、それが一番大切だと思います。

 まさに賃上げに向けた今までの取り組みと、それから今後の取り組みについて、具体的にお伺いさせていただきたいと思います。

新原政府参考人 お答えをいたします。

 先ほどから御議論いただいています一昨年の政労使合意を踏まえた昨年の春闘では、一人当たりの賃上げ率二・〇七%と、過去十五年で最高となったという結果でございます。

 ことしの春闘でございますが、総選挙の直後に政労使会議を開催いたしまして、合意文を作成しております。

 幾つか主要な点がございますが、一つは、経済界は賃上げに向けた最大限の努力を図る、それから、下請企業、取引企業の仕入れ価格の上昇を踏まえた価格転嫁や支援、協力について総合的に取り組む、それから、子育て世代への配分を高める方向への賃金体系の見直し、サービス業の生産性向上に向けた労使の一体とした取り組みというような点について合意をいたしております。

 その後の状況でございますが、この合意を受けて、経団連側の春闘の基本方針であります経労委報告というのを作成しておりまして、その中で、経済の好循環の二巡目を回していくために求められることというのは、収益が拡大している企業のより積極的な対応であるというふうに言明をしまして、設備投資、雇用の拡大などとあわせて、賃金の引き上げを前向きに検討することが強く期待されるというふうにしております。

 この点については、会長、副会長なんかが出席します地方懇談会も含めて、六十カ所以上地方を回って周知徹底をしているところでございます。

 そういう取り組みを通じて、ことしの春闘についても、しっかりと賃上げが実現できるように考えていきたいと思っております。

藤井委員 ありがとうございます。

 大臣もおっしゃっておられましたけれども、政労使会議、まさに自民党がそれをやっている、賃上げについてそれをやっている、本当にすばらしいことだと思いますので、これから何としても賃上げをしていくということが大切だと思います。

 また、景気回復なんですけれども、この前、春節で、見ていたら、中国の方が大挙して東京に押し寄せてこられていて、すごいなと思ったんですけれども、地方との実感といいますか温度差というのはやはりあると思うんです。

 景気回復の波を全国津々浦々に感じていただく、そのための地方創生の取り組み、また、せっかくこのような為替水準でございますので、製造業の国内回帰も含めた輸出の増、それによる地域の経済の活性化、景気回復、これについてお伺いさせていただきたいと思います。

菅原副大臣 今、藤井先生のお話がありました、インバウンド政策が日本のGDPに資するということも、これから極めて重要な戦略だと思っております。

 そして、地方創生につきましては、安倍内閣の最重要課題の一つでございますが、税制上の面からいいますと、まず、平成二十七年度税制改正におきまして、企業の地方拠点の強化について、各地域における計画的、戦略的な企業誘致の取り組みなどとあわせまして、効果的な支援となりますように、まず地域再生法の中で、企業が計画を作成し、地方公共団体がこれを認定する枠組みを整備した上で、その企業の判断によりますが、本社機能を東京圏から地方に移転したりあるいは地方において拡充しようとする企業を対象として、本社等の建物に係る投資減税あるいは雇用の増加に対する税額控除の特例、こういったものを設けることといたしております。

 また、財政上の取り組みといたしまして、平成二十六年度補正予算におきまして、地方創生先行型の、約千七百億円、地域住民生活等緊急支援のための交付金を創設したほか、二十七年度予算におきましては、総合戦略等を踏まえた個別施策のうち社会保障の充実に係るものを除き〇・七兆円の予算手当て、あるいは、まち・ひと・しごと創生事業費、これは仮称でございますが、こうした地財計画の歳出に一・〇兆円を計上しております。最後に、地方を創生する社会経済システムを構築する観点も踏まえまして、社会保障の充実といたしまして一・三六兆円を手当てしたところでございます。

 財務省としても、こうして経済の好循環を地方に届け、人口減少の克服と地方の創生を図るために全力で取り組んでいきたいと思っております。

 また、お話がありました、輸出、貿易に関しまして、一旦海外に移転した生産拠点を短期間で国内に戻すことはなかなか容易ではないんですが、御指摘のとおり、国内の需要を高め、ニーズにしっかり対応できる、そうした設備投資をふやす、こうしたこともバックアップをしていかなければならない、このように考えておりまして、成長志向の法人税改革として、課税ベース、先ほどもお話があったように、稼ぐ力のある企業のインセンティブを高めていけるような税制改正、そして前向きな投資や賃金アップにつながる、こうした取り組みをしっかり促していきたい、このように考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 本社を移転するための税制、これは画期的なことだと思いますし、いよいよ地方を何とかしたいという政権の意思のあらわれだと思うんですけれども、現実を見ていると、本当に若い方がいないんですね。やはりそれは働く場所がないから、それに尽きると思うんですけれども、ある意味、日本の国全体のこれからの未来の将来不安というのもあろうかと思います。

 財政再建もやはり世代間の問題であって、若い方々、これから生まれてくる方々にツケを回さない、そして明るいこれからの日本を築いていく、このことが必要だと思います。

 その意味でも、財政健全化に向けた具体的なスケジュールと取り組みについて大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

古川委員長 麻生大臣、時間が参っておりますので、簡潔に御答弁願います。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりなので、先ほども申し上げましたけれども、公的債務残高が対GDP比で二〇五%にまでなっております。そういった意味で、財政の健全化は極めて重要だと思っておりますので、二〇二〇年度までの国、地方のプライマリーバランス、いわゆる基礎的財政収支の黒字化目標というもの、まずはこれをしっかりきちんと堅持し、また夏までには、その目標達成をやると同時に、それから後の目標というものをきちんとやっていかねばならぬという意味で、将来のことを考えて、これはどうしてもきちんとした方向づけを出していかねばならぬのは、我々に与えられている使命だと思っております。二十八年度以降の予算編成の指針ともなりますので、そういった意味では、概算要求基準に間に合いますように、きちんとした方向性を出せる案を策定したいと考えております。

藤井委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

古川委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 私も、今国会、大臣の所信に対する質疑、二十分ほどお時間を頂戴して行わせていただきたいと思います。

 まず初めに、これまで二人の議員の皆さんからもありましたとおり、安倍政権の最大の眼目は、やはりデフレの脱却を可能にする経済政策でございます。いわゆるアベノミクスを成功させていく、こういうことは極めて重要でございます。

 先ほど来さまざまな経済指標の御紹介がございましたが、この二日に財務省が発表された法人企業統計でも、設備投資が前年同期比で二・八%の増、また、少し前ですが、二月十六日に発表されました内閣府の十月―十二月期のGDPの速報値も、実質で年率二・二%、名目で四・五%という数字が発表になりました。

 前回の選挙で国民の皆様に理解をいただいて、消費税再増税のタイミングを約二年ずらさせていただいたことに対しても好感をいただいているのだろう、こういうふうに思います。

 一方で、いろいろな数字にあらわれてきている経済の改善の兆しですけれども、これはまだまだ、いわゆるアベノミクスの三本の矢でいうところの大胆な金融政策、そして機動的な財政政策、ここによるところが大きいのではないかというふうに思います。

 先ほども大臣が御答弁なさっておられましたとおり、これを安定した持続的な経済成長につなげていくためにはどうしても、民間の投資を喚起する、三本目の矢である成長戦略が不可欠になってくるんだろうと思います。

 成長戦略というと、とかく、何かすごく斬新な、新しいものばかりをイメージするわけです。もちろん、それも重要です。物づくりであったりあるいは医療の世界であったり、そういうものは長い期間にわたって経済を牽引する力を持つわけですから、そういうことにもしっかり取り組んでいかなきゃいけないというのももちろんです。

 一方で、きのうも、夜、報道番組を見ておりましたら、やはり高齢化ですから、スーパーの方が工夫をされて、団地なんかに移動していって、軽自動車で野菜なんかを売る。これは、最初は非常に懐疑的だったんですけれども、やってみると非常に有効で、その軽自動車を個人事業主として起業した方でも、手取りで大体三十万を超えていくような結果を残している、こんな話もありました。

 そういうことを考えると、成長戦略ももちろん大事。これはもちろん大事ですし、大臣が全銀協の皆様方にもおっしゃっていただいているとおり、これだけ金融緩和でお金はあるはずですから、これがそういったきめ細かなところまで、事業の先行きをしっかり見定めていただいて、金融機関がそこにお金を流していただく、こういうこともとても重要なんだろうというふうに思います。

 まず初めですけれども、今申し上げたようないわゆる成長戦略、三本目の矢ももちろんですし、きめ細かな、要するに、物づくりの国なんですが、今この国の中で雇用されている方の大半はサービス業に変化してきているということを、やはり我々は認識しなければならないと思います。サービス業というのはきめ細かい改善の繰り返しだと思いますので、そこにきちっと金融機関の方も目ききを持ってお金を融資していただく、こういうことも非常に重要になってくるだろうと思います。

 総じて、三本目の矢、成長戦略、ここについて、まず大臣のお考え、答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 伊藤先生、これは物すごく大事なところで、人口構造というものの変化、また消費の態様が変わってきた等々も含めまして、今までと違って、成長産業とかいうと何となくハイテクという話になりますけれども、例えば今、関西空港のお土産、海外へ持って帰る人のお土産の一番は何かといって当てる人はほとんどいないんですが、これはランドセルです。

 ランドセルと言われて、へえと言う人がほとんどなんだと思うんですが、これはひとえにドラえもんのおかげで、アジアから来る人はランドセルを七つも八つも買って帰られます。これは関空に聞かれるとすぐわかりますから。昔は型落ちを出していたんですけれども、今は最先端のランドセルも、赤いランドセルやらピンクのランドセルがいっぱい。いい年こいて、あんた、ランドセルかよというような感じのものが、これは、はやっておるんですからしようがない。

 こういったものがやたら売れて、ランドセル業界もきれいに景気がよくなってきているというようなものもあってみたりして、とにかく、永田町とか霞が関で考えている話とは全然、現場というのはかなり違っているという意識を我々は持っておかないといかぬのだ、私どもそう思っております。

 いずれにしても、成長産業というものを見た場合に、少なくとも、物づくりをきちんと大切にしていく。プラス、三次産業とかいろいろな表現がありますけれども、そこの中でやはりサービス産業というものは総じて生産性が低いというところが一番問題で、したがって、給料が上がらぬというような話もあります。三次産業の部分で、三次産業もいろいろありますけれども、サービス業等々で見ますと、生産性が上がらないから給料が上がらぬというところをどうしていくかということなんだと思います。

 これは、いろいろな人がいろいろな試みを今しておられますので、今言われたようなサービスというものも、間違いなく高齢者に対しての新しいサービス。しかし、それは現場まで行かなくていいという強みが高齢者側にありますので、そういった中では、当然のこととしてそのサービスに対して対価が払われる。それはそのうち付加価値ということになろうかと思いますので、今三十万という話があっておりましたけれども、そういったものがある。

 また、つまらない話で、もしお暇だったら行かれるといいと思いますが、高齢者の竹下通りと言われる巣鴨のとげ抜き地蔵通りで、努めて見に行くことにしているんですけれども、耳かき一本二千円で売っているという時代はやはり、本当かよと思ってぜひ見られるといいと思います。マイ耳かきを見ている目の前で十五分ぐらいでつくってくれるんですけれども、それに人が並んで、みんなそれを買いに行く。

 あれは一本どう考えたって、コストは幾らだろうね。竹のたがに、ちょっと焦がして、あと小刀で削っているだけですから。労賃は自前だけですから、私は税金を払っているのかどうか知らぬけれども、あれは物すごい利益率だと思いますよ。

 僕はそういうのは興味がありますものですから、一日どれくらい売れるんだと言ったら、ぎょっとしたような顔をしていて、俺は税務署と関係ないから教えてくれと言ったら、二十本から三十本売れるというんですよ。一本二千円で、幾らですか。それは、ほとんどコストはただ。労賃はただでしょう。それは手取りとしてはでかいですよ。僕はすごいなと思って見たんですけれども。

 もっと気に入ったのは、耳かき屋の名前が書いてあって、原田の耳かき、三代目と書いてあった。耳かき屋で三代食えるというのはすごいですよ。僕は、これは外国では絶対ないなと思って、すごく参考になって、時々そのおじさんと、あんちゃんみたいな人ですけれども、しゃべるんですけれども、いろいろなものが今出てきつつある。

 だから、そういった意味で、何となく、資料に上がってくるような先端的なものじゃなくて、いろいろなものがいっぱいありますし、ロボットとかいうようなものも私どもの地元にいっぱいありますけれども、そういったものプラス、サービスというものは、何を求めているかというのがわからないと、やはりデパ地下に行ってみられたら、何が今売れているかというと、高齢者用の小さなポーションで、ただし高いというのが売れているという実態は、我々としては、いろいろ今後参考にせないかぬところだと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今の大臣の耳かきの話で、私、何を思い出したかというと、イチローのバットをつくっている職人さんが、麺をこうやる棒をつくって、それがまたすごく今売れているところですね。

 要するに、今の時代は本当に工夫次第ですごくマーケットが新しいところに広がっていきますし、だから、そういうことを資本がない方がやろうとした場合に金融機関がどう助けられるのか。これは金融機関のまさに目ききということになってきますので、ぜひともその辺の御指導も大臣の方にお願いをしたいと思います。

 もう一つ、経済政策で、いわゆる成長戦略において規制緩和ということが非常にクローズアップをされます。これはもちろん結構なことなんですが、時に、規制緩和をすることによって過当競争になって、最終的にそれが経営者の人によっては賃金にマイナスの影響が出るケースも散見をされます。特にそれが人の生命だとか安全とかにかかわることですと、最終的に大きな問題になってくることもあろうと思います。

 どうしても私たちが考えている経済政策は、規制緩和をしてマーケットを活性化して、給料を上げてもらってという好循環を生み出すことが目的ですので、ぜひとも大臣には、こうしたいわゆる人件費削減という、私からすると、今我々が考えている経済政策からいけばこれは一つのリスク、リスクをどう防止していくのか、そして経済の好循環につなげていくのか、第三の矢に潜むリスクの防止という観点で、少し御答弁いただければと思います。

麻生国務大臣 これは伊藤先生がおっしゃるとおりなので、規制を緩和すれば競争は激化しますから、競争が激化すれば、当然のこととしていわゆるコストダウンということになって、賃金ということになる。そういった方向になるということは、常にそういう懸念はあるということは頭に入れておかないかぬところだと思っております。

 そういったことのないように留意しなきゃいかぬところなんだと思いますが、いわゆる新市場というものを新しくつくっていくというので、これは規制緩和によって今いろいろなところで、例えば農業にしても医薬品にしてもいろいろな形で出てこようとしておりますけれども、規制緩和に取り組むことにしておりますけれども、やはり限られたパイの中で競争に陥るということは結果として賃金の下押し圧力ということになりますので、成熟産業から成長産業へ切りかえていかないかぬ。

 また、その意味では、国でありますものから地方へとか、都心部から地方へとか、いろいろな形で仕事や人というものがスムーズに、業種転換とか人口移動とかいろいろな表現があろうかと思いますが、経済の好循環を目指していくためにはいろいろなもので、それは何でそういうインセンティブが働くかというところがやはり大事なところなんです。地方で、元気のある地方というのは幾つもありますので、そういったところが、何で同じ地域にあってもほかの地域とそこが違うのかというところは真剣にそこの首長さんも研究していただかないけませんでしょうし、そういうことをやりたいというのであれば、それに対して資金の援助が行ってみたり補助が行ってみたりということもやらねばいけませんでしょうし、いろいろなことを総合的に組み合わせていかねばならぬと思っております。

 先ほど言われましたように、資金の話ですけれども、中小企業というのは、大銀行ではなくて、やはり地銀とか第二地銀とか信用金庫ということになりますので、私どもとしては、金融庁に対しては、少なくとも、金融監督庁ということになっておるが、昔は、俺が就任してくるまでは金融処分庁というイメージじゃないか、この金融処分庁というイメージはやめろ、これはどう考えてもおかしい、だから金融育成庁と言われるように、二年間でイメージを取りかえるんだということをしつこく会議のあるたびに言っていて、何となく、きのうの、信用金庫の方やら随分出てきておられましたけれども、その方々の話を聞いていると、二年前とは随分雰囲気が変わって、担保至上主義みたいなことではなくて、もう少し事業の内容等々を見て考えろというような発想が上からおりてくるようになりましたので、我々現場としても、そういった方向では、やりやすくなりつつあるような感じがしますということだったんです。

 これまた二十年間こびりついていますからなかなかそう簡単にはいかぬとは思いますけれども、だんだんそういった方向になっていくように私どもとしては指導してまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 経営者である麻生大臣が今のポストにいていただけることは大変ありがたいと思って、今答弁を聞かせていただきました。

 もう一つ、これも先ほど来出ておりますが、またこの夏までに向かって政府は、いわゆる骨太の方針、そして成長戦略、加えて二〇二〇年を見据えての財政再建計画を立てられるということなんだろうと思います。財政再建も、これは待ったなしの課題ですから、当然やらなければなりません。一方で、景気、経済は、やっと明るい兆しが見えつつあります。そして、その実感をふやしていく、より力強いものにしていく。

 そういう意味において、財政再建計画は慎重に考えないと、そこにマイナスのイメージ、影響を及ぼしてしまうリスクもやはりはらんでおりますので、その点、いわゆる経済の先行きの見通し、まさに、経営者の皆様やふだん暮らしている皆様がマイナスの影響を受けないように十分配慮して、慎重な財政再建計画の検討をお願いしたいと思いますが、大臣の御答弁をよろしくお願いします。

麻生国務大臣 伊藤先生、これはすごく大事なところで、何となく財政の健全化というところに偏り過ぎて、結果として、バランスはしました、バランスはしましたが景気だけは悪くなりましたというのでは話になりませんので、やはりそこのところはきちんと、景気もよくなりつつ、先ほど申し上げたように、分母は大きくなりつつ片っ方の分子を減らしてやっていかないかぬという、先ほどの先生方の質問にあったのと同じことだと思います。

 ぜひここは、そのバランスをどうやっていくかというのはすごく大事なところでありますので、私どもは健全化という目標はきっちり持っておきませんと、これは国際的な信用とかマーケットからの信用というものに直接響いてきますので、そういったところもきちんと配慮した上で景気対策、経済対策、そのためには構造改革、税制、いろいろなことを総合的に考えないかぬというので、そのバランス、かじ取りは極めて難しいところだと思います。

 今後とも、知恵を拝借しながら頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

伊藤(渉)委員 時間がなくなってまいりましたので、最後、残り二問ございますが、まとめて御質問したいと思います。

 この秋ですか、二十七年度半ば、日本郵政及びゆうちょ銀行、かんぽ生命、ここの株式の売り出し、上場が控えてきているわけでございます。これは、非常に大きなインパクトのあるイベントでございます。

 言わずもがなですが、日本郵政グループは、社員数が約二十二万人強でございまして、いろいろ資料を見ておりますと、収益で十五兆、そして経常利益で一兆一千億、非常に大きな企業群。ここがいわゆる株式の売り出し、上場をこの二十七年度半ば以降に行うということですので、マーケットに与える影響がどうなってくるのか。

 また、郵政グループの立場に立って考えれば、今申し上げたとおり、二十二万人を超える方を雇用している一つの大きな企業グループですので、ここの企業が安定的に経営ができるということも重要だろうと思います。

 また、いわゆる上限、これは既に友党である自民党の中でも検討が始まっている、こんなことも聞いております。郵貯、簡保の限度額ですね。

 この非常に大きな郵政グループが市場に出ていく。その影響、できるだけスムーズにこれを進めていかなければならないということも、政府の非常に大きな二十七年度のお仕事かと思います。

 そこで、これは大臣にお伺いしますが、この郵政及びゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式の売り出し、上場が株式市場にどのような影響を与えるというふうにお考えか。また、政府としてどのような対応を考えているのか。

 また、もう一つは、これは大臣でなくて結構です、政府参考人の方で結構ですので、この日本郵政株式会社の売却の収入は東日本大震災の復興財源に充てること、こうされていると承知をしておりますが、念のため、これがしっかり担保されているということを確認させていただきたいと思います。

麻生国務大臣 日本郵政の株式につきましては、政府としては、平成二十七年度半ば以降ぐらいに売り出しということを考え、上場を目指しております。これにあわせて、日本郵政は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険というものの金融二社の株式についても、同時に売り出し、上場することを目指しているものだと承知をいたしております。

 日本郵政グループの企業規模を鑑みれば、今先生がおっしゃったとおりでありまして、売却時期とか一回当たりの売却規模というのを考えませんと、これは巨大でありますので、当然のこととして、市場に不測の事態を与えることのないように配慮しておかねばならぬのは当然ですし、市場の動向というものを見きわめながらやってまいりたいと考えておりまして、これまでの電信電話のときのこと等々を鑑みながら対応させていただきたいと思います。

 残余の質問は、答弁させます。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、平成二十五年一月の復興推進会議の決定におきまして、日本郵政株式の売却収入として見込まれる四兆円程度を集中復興期間の復興財源として確保するということを決定してございます。

 財務省といたしましては、こうした方針のもと、まず、来年度半ば以降を目指しております同社株式の売り出し、上場に向けて適切に対応してまいりたいと考えてございます。

伊藤(渉)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 おはようございます。

 おととい、生まれて初めて花粉症になってしまいまして、かなりきついですね、ことしは。少々変な声で、かつ、もしかしたら質問の途中にくしゃみ等があるかもしれませんが、委員長、そこはお許しをいただきまして、それでは早速質問させていただきたいと思います。

 大臣の所信を聞いていまして、現下の経済情勢等を踏まえまして、デフレ脱却、経済再生をより確実なものにしていくために、成長志向に重点を置いた法人税改革、高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じた住宅市場の活性化等のための税制上の措置を講ずるんだ、こういう話でございました。

 成長志向に重点を置いた法人税改革ということで、何かちょっと聞きなれない言葉だなと思いまして、過去の税制改正大綱もちょっとひもといてみたのであります。例えば、二十四年度であれば、新成長戦略実現のための喫緊の課題への措置とか、二十五年度であれば、成長と富の創出の好循環への措置、昨年が、民間投資と消費拡大のための税制上の措置。これは甚だ、聞いているとすっと入ってきますが、成長志向に重点を置いた、ちょっと聞きなれないなと思いまして、これはどういう意味なんでしょうかね。

麻生国務大臣 御質問をいただきましたけれども、声の悪さはこっちも似たようなものですから御心配なく。

 今回の法人税改革ですけれども、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるという話でありまして、税理士をやっておられたので御存じのとおり、一部の法人というものに税負担が偏っているというのが日本の状況。バブルの一番景気のいいときでも法人税を払っているのは全企業の五〇%ぐらいでしたから、そういった意味では税負担が偏っておりますので、より広く負担を分かち合うという構造にしていかねばならぬ、そう思っております。

 そこで、具体的には、外形標準課税の見直しとか繰越欠損金の控除の見直し等々をやらせていただくことにしておりますけれども、いずれにしても、稼ぐ力のある企業というものは、企業等の税負担を軽減することで収益力をさらに増していただいて、より投資に向ける、また、出た利益を賃金に回す等々いろいろなことをやっていただきたいと思いますし、同時に、下請の価格のアップというものもちょっと配慮してもらわぬと、やはり下請の方の生産性とか利益が出ないと下請の賃金は上がらないということになろうと思いますので、ぜひそういったものに取り組んでもらいたいということで、私どもとしては、所得拡大促進税制ということで、そちらが給料を上げていただいた場合にはパーセントを、もう御存じのとおりのことをやろうと思っておるんです。

 いずれにしても、私どもとしては、税金は下げたはいいけれども、下げたものがそのまままたため込まれたんじゃ話になりませんから、そういった意味では、コーポレートガバナンスをちゃんとやってもらいますよとか、スチュワードシップ・コードがどうとかいうことをいろいろ注文をつけていますので、こんなことなら法人税を下げてもらわなくて結構ですと言った企業もあったんですけれども、いや、そちらが最初に要求したんじゃないですかと言って、ちょっといろいろありましたけれども、やらせていただくことになりました。

 いずれにしても、私どもとしては、元気のないところは適当に赤字にならないようにやっているんじゃなくてもっと稼げ、稼いだ企業の方がより恩典があるよというような形にしないとというので、ちょっといろいろ試行錯誤をやりつつ、目下取り組んでいる最中と御理解いただければと存じます。

鷲尾委員 私、法人税についてはいろいろな議論があると思うんですけれども、一部の識者というか、結構な識者からの指摘もありますが、法人税というのは結局、会社が負担するというよりは、それも込みで消費者の負担につながるんじゃないか、そういう議論も税としてはございます。

 私は、それに関連して、法人税をどんどん引き下げていく方向性なのかなというふうに思ったわけですが、そういうことではないんですね。

麻生国務大臣 そういうことではありません。

鷲尾委員 大臣もいろいろ御苦労されたということは何となくわかりました。

 やはり賃金、賃上げ、この後でも少し質問しますけれども、そちらの方につなげてもらわないと。政権の方も大変だと思います、大企業優遇だ、すぐこういう批判が飛んできますから。そこはやはり締めてかかっていただかなきゃいけない。

 その関連で、今回、所得税法の改正等を含めて参考資料を政府からいただいたんですね。

 この参考資料の中に、経済の好循環の確立に向けた取り組みという形で、与党の税制改正大綱を引き合いに出しながら、法人税改革や、今大臣がおっしゃったコーポレートガバナンスの強化、あるいは政労使の連携というのが日本経済全体の生産性を高めて企業の稼ぐ力を強化していくんだ、こういうことにつながるというポンチ絵が入っていまして、見たら見たで、ああ、そういうふうにつながっていくんですねというところでありますけれども、私、もう少しこれは突っ込んでいきたいわけです。

 法人税改革というのが一つあります。法人税改革というのがコーポレートガバナンス強化等と相まって稼ぐ力につながるというけれども、ポンチ絵にはそう描いてあるけれども、コーポレートガバナンスの強化という話は稼ぐ力にそんなに簡単につながるんだろうかという話でございます。

 コーポレートガバナンスの強化ということで、昨年、会社法の改正で監査等委員会設置会社をつくりましたとか、今はスチュワードシップ・コードとかコーポレートガバナンス。スチュワードシップ・コードはもう作成されて、機関投資家もだんだんと入ってきている。いわゆる投資環境を整えるということでございますね。あるいは、コーポレートガバナンス・コードをこれからつくっていきますよという話をしています。これは企業の稼ぐ力に直結する話なのかなと思うんですけれども、大臣の認識を問いたいと思います。

麻生国務大臣 コーポレートガバナンス、スチュワードシップ・コードが直ちに企業の稼ぐ方の力につながるかというと、そこの部分が直接つながっているわけではない。それはもう先生御存じのとおりなのであって、私どもがこのコーポレートガバナンスに期待しております大きなところは、企業が法人税が下がった、国際比較、法人実効税率がヨーロッパに比べて高いというのはその面だけを見れば事実ですけれども、その他いろいろ違うところもあろうかと思いますが、私どもから見て、税率は下がったけれども、下げた分だけ純利益になりますから、その利益を何に使うんですかと。

 今まで、おととし三月、これは年に一遍しか出ませんので、内部留保が三百四兆円だったものが去年の三月で三百二十八兆円まで、二十四兆円ふえております。月割り二兆ですよ。月割り二兆の内部留保がふえているんだ。内部留保がふえたら、あなた、税金をまけてもらって、内部留保をさらにためて何をするんですかというのが私らの立場なので、私どもとしては、その分は間違いなく賃金なり設備投資なり配当なりというものにきちんとやっていただかないと企業としておかしいんじゃないんですかということを、これは社会主義をやっているんじゃないから、我々が言える立場ではありません。

 そこで、コーポレートガバナンスということで、内部に社外重役等々、スチュワードシップ・コード等々をやらせていただくという方に結びついたのであって、重ねて申し上げますが、稼ぐ力がコーポレートガバナンスとか内部留保から出るんじゃなくて、そこから得た利益がいかにうまく散らばっていくかというところに私どもとしては重点を置いているというように御理解いただければと存じます。

鷲尾委員 この内容がどういうものにつながるかというのは、また各論で、もう少し突っ込んで私も議論していきたいなというふうに思っているんです。

 監査等委員会設置会社なんというのは、社外取締役をもっと入れましょうという話ですから、これは経済界としては嫌だと。東証としては、やはりちゃんとそういうものも、不祥事とかが結構ありますから、日本の経営者の中でも、グローバルスタンダードでやっていこうという人たちと、自分のところだけはグローバルじゃなくてドメスティックにやりたい、こういう人たちもやはりいますから、大臣はよく御存じだと思いますけれども、そういう中にあって東証が上場規則を変えたというのは、これは一つ、私はいいことだというふうに思っているんです。

 これはある意味、私の立場からいえば、与党の方では稼ぐ力の強化という話になっていますけれども、企業のブランド力を高める、その枠組みづくりを少し今回は工夫してやったのかな、そういう意味で稼ぐ力につながっていくのかな、私はそんな思いでいたんです。スチュワードシップ・コードだって、コーポレートガバナンス・コードだって、コーポレートガバナンスのさらなる強化だって、全部、企業が世間にアピールして、アピールすることで、自分たちはさらにやっている、ほかの企業よりももっとこういう取り組みをやっているんだ、だから自分たちのことを信用してください、そういうブランド力を高めるための一つの枠組みかなと。

 でも、今の大臣の御答弁ですと、さらに、内部留保をしっかりと分配していく、その加速にも使えるんだ、そういう話をいただいたので、それはそれで、そこまで大臣の思い入れがあるということは非常に重いことだなというふうに思いましたし、いいことだなと思ったところでございます。

 私、このコーポレートガバナンスの強化が、今申し上げたように、ブランド力を高めると。コーポレートガバナンスというのは、企業さんも大分不祥事が多いですから、その不祥事のたびに、いわゆる規制強化していこう、社外取締役を入れよう、社外性をもっとやろう、あるいは独立性をもっとやろう、こういう内部監査、内部で監査をやっているじゃないですか、企業さんの内部で。内部監査に加えてこういう社外性を取り入れたり独立性を取り入れたりすることで、また、市場関係者にコードをしっかりと守っていただいて、ブランド力を全体で高めていく、こういう取り組みだと思ったんですね。

 私、実は、調べていたらおもしろいことがわかりましたので、きょうは農水省にも来てもらっているんですよ。というのは、このコーポレートガバナンスの強化と関連するものが、今、農協改革として進行中なんですよ。農協の全中監査機構が外出しされまして、監査法人化するというんです。監査法人が外部監査で単位農協を監査していくという話なんです。

 私はそこで、ぴんときたわけです。コーポレートガバナンスの強化はしっかりやっていこうというのは政府全体の方向性です。ある意味、金融庁はさらにブランド力を高めながら投資環境を整えていこうというのが腹づもりなわけですが、農水省がちょっと違う考え方を持っておられるのではないかなと。

 というのは、全中の監査機構、これは、大臣も御承知のとおり、単位農協のいわば内部監査的な役割を示しているわけであります。それを外出しする、それを公認会計士にする。公認会計士の監査と内部の業務監査というのは全く似て非なるものです。公認会計士の監査では、不祥事だのコンプライアンス遵守だの、これはもう限度がある、しかし、内部監査はそこまで含めてしっかりとやっていくという話なんですね。

 今般の農協改革ですと、単位農協は全中の監査部門をなくすんですよ、なくして外出しをしていくんです。外出しをしていくんですけれども、今般の農協改革では、地域農協が自立して自由に経済活動を行い、農産物の有利販売などを農業者の所得向上に全力投球できるように中心に見据えて、農協システム全体の見直しを行うとされています、全中監査の義務づけを廃止することで、地域農協の役員が従来以上に経営者としての責任を自覚して、農業者のメリットを大きくするよう創意工夫して取り組んでいただくことを期待しています、こういう話なんです。

 農協さんのトップが経営者としての自覚がないわけじゃない、全中の内部監査がなくなるということ、これに対して非常な恐れを抱いていると私は思っている。単位農協の経営者さんも、公認会計士監査だけでは不十分だとお気づきになっておられるんでしょう。このことに対して農水省はまともな答えをしていない、私はそう思っています。

 ガバナンスを強化していき、かつブランド力を高めるということで金融庁は相当苦労してやっているのに、農水省は何だか内部監査を逆に機能としては弱めようとしている。私はこれは問題だと思うんですが、どうですか、あべ副大臣。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 今回の農協改革でございますが、地方分権の発想に立ちまして、地域農協がそれぞれの地域の特性を生かして、創意工夫をしながら自由に経済活動を行って、農産物の有利販売などの農業者の所得向上に全力投球できるようにすることでございまして、連合会、中央会、地域農協の自由な経済活動を適切にサポートしていくことを基本的な考え方としております。

 この中で、地域農協におきましては、農産物の有利販売などに真剣に取り組むようにするため、理事の過半数を原則として認定農業者、農産物販売のプロなどとする、さらには、経営目的を明確にして、農協は農業者の所得の増大を目的として、的確な事業活動で利益を上げて農業者に還元していく旨の規定を置くなどの措置を講ずることとしておりまして、このことによりまして地域農協の農業者によるガバナンスが強化されると考えているところでございます。

 監査もガバナンスの重要な要素でございますが、一般の民間組織では、会計監査は専門家である公認会計士による外部監査を活用する一方において、業務監査は内部監査を基本としているところでございます。

 これまで、農協みずからのメンバーとするため外部性の点で問題があるというふうにされていた全中の会計監査、業務監査を義務づけられていたところでございますが、今回これを見直し、会計監査に関しましては、信用金庫また信用組合と同様の公認会計士の監査を義務づけて外部性を強化するとともに、また、業務監査に関しましては、義務づけをやめまして、内部監査の強化を図ることでガバナンスを強化するものと私どもはしております。

鷲尾委員 その義務づけの枠組みの変更でガバナンスの強化になるんですかということを、単位農協さんは非常に心配になっているということなんですね。それを、義務づけをなくすというのは私は大丈夫かなと。だったら、別の枠組みをつくらなきゃいけないと思います。その別の枠組みが実はつくられていないんですよ、今。そこをもうちょっと考えなきゃいけない、私はそう思っておりますし、これは農林水産委員会でもっとやりますから、それは覚悟しておいてください。

 それで、大臣もちょっと聞いていただいたように、コーポレートガバナンスの強化、これはたゆまぬ努力が必要なんですよ。内部監査や業務監査の業務を縮小するなんというのは不祥事を許しているみたいなものですから、株式会社じゃなければもっとそういう部分が甘くなる、その可能性があるわけですよ、いろいろ四の五の言われないから。それなのに義務づけをなくそうとしているということを、大臣もぜひちょっと頭にお含みいただいて。

 それで、先ほどの話の続きなんですけれども、この「経済の好循環の確立に向けた取組み」という、与党大綱から引いている政府の資料です。コーポレートガバナンスの強化や政労使の連携はいいんです。法人税改革も、これはまたこの後も議論しますけれども。

 この中で、コーポレートガバナンスの強化というのはほとんど上場企業しか関係ないんですよ、言ってみたら。中小企業はどうなんだ、中小企業の稼ぐ力というのは、上場企業だけの稼ぐ力の強化になっちゃっている。でも、法人税改革というのは違うわけですよね、大臣が今おっしゃったように。これは中小企業の側面が全然ないなと、見ていて思うんですけれども、大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 基本的に、これはそういう意識がないわけではなくて、まず、わかりやすく、きっちりやるところからというので、やはりブランド力というのを考えると、我々でいう中小企業といったら、一億円以下、以上で切って、何で一億円だか知りませんけれども、とにかく一億円で切ってありますので、実際、大企業みたいに思えるようなところでも、中小企業という区別になったりするところもいっぱいありますので一概には言えないんですが、少なくともブランド力ということを考えるときに、うちはコーポレートガバナンスとして社外重役がとかいうのは、インターネットに載っかったときに、知らない企業を見て、一応ちゃんと社外重役が二人入っているじゃないかとか、それなら大丈夫だろうという話になり得ますから、これはすごく大事なブランド力になるというのは、おっしゃる意味は、なるほど、そうだろうなと私も思います。上場していない企業にとっても意味がありますので。

 そういった意味では、私どもとしては、今言われたように、中小に対して配慮がないんじゃなくて、まだそこまでいっていないというように御理解いただければと思って、だんだんこういうのが定着してくると次第に広まっていくんだと思っておりますし、むしろあっちの方が稼いでいるものが多いわけですので、ちゃんとガバナンスしてもらいたいぐらい内容がいいのはほかにもいっぱいあります。そういったところも私どもは知らないわけではありませんので、今後はそういったことも考えていかねばならぬ方向だと思っております。

鷲尾委員 日本の稼ぐ企業のほとんどは、大企業も稼いでいらっしゃるけれども、地方においてはやはり中小企業でありますから、そういった視点をぜひ忘れないでいただきたいなというふうに思います。

 では、ちょっと話をかえまして、今回の法人税改革の柱の一つであります法人実効税率の引き下げにつきまして、少し話を進めたいと思います。

 今回、欠損金の繰越控除の見直しでございますけれども、これは、キャップがもともとあった中で、そのキャップをどんどんどんどん引き下げていきましょうと。ちょっと細かく、ある程度柔軟に、所得の全額が認められる法人もあれば、あるいは、新規上場については後で各論に入ったときにまた話題にしますが、上場等の場合は以後の事業年度は対象外。これは法案審議の方に話を譲りたいと思いますけれども、かなり抜本的に変えてこられたなという気がいたしております。

 その抜本的に変えてこられたなという話の中で、普通、税理論上、欠損金の繰越控除というのは、ばっと赤字が出た期がある、企業の経営者にはよくある話ですけれども、赤字を出したい期に全部出しておいて、次はV字回復だ、こういうことをやるじゃないですか。そうなったときに、赤字が出たときは納税しない、ところが、次年度に黒字が出たときにそこでまたばっと納税してしまう、そうするとキャッシュとしても大変だ、こういうものもあって、それで繰越控除の制度がある。

 もっと言うと、企業というのは基本的には継続していく存在ですから、だからこそ、所得を平準化した中で納税をしていこう、こういう意味で繰越控除の制度自体があると思っているんです。

 そもそもこれは、抜本的に、今回、所得のキャップはぐっと五〇%まで引き下げる。これは税理論からすると、かなり勢いよくゆがめてもらったなという感じなんですよ。そこら辺の見解をお聞かせいただきたいなというふうに思っています。

麻生国務大臣 これはおっしゃるとおりなんですが、業種によって、上がり下がりの激しい業種とかいろいろあるんですけれども、繰越欠損金の控除を認めることによって税負担を平準化しようというのがもともとの発想なんだと思います。他方、所得が出ているのであれば、担税力があるということになりますので、それにおいて一定の税負担を課すということは合理性があると考えております。

 したがって、諸外国でもさまざまな例があるので調べてみましたけれども、フランスやドイツでは、ある年度の所得のうち、一定金額を超える部分について、過去の欠損金を控除できる金額というのを制限しておって、フランスでは五〇、ドイツでは六〇ぐらいになっていると思います。そういった制限をしているんですが、日本では、民主党政権下で二十三年度に、大企業については所得の八〇%ということに見直されたと承知をしております。たしか、年度も、あれは七から九年まで延ばされたんでしたかね。

 そういった意味で、今回の改革では、法人税率の引き下げとあわせて、大企業向けの控除というものに関しましては、所得の五〇%ということに引き下げさせていただくことによって、繰越欠損金の課税ベースというものを大きく侵食し、結果として、一部の法人の税負担に偏っている部分を新たに埋めていくということで改善させていただいて、企業に対しても、収益を改善させるインセンティブというものを目指していきたい、私どもとしてはそう思っております。

鷲尾委員 海外の事例の中では、期間の定めがないものもあったりします。大臣から例をいただいたように、キャップがちゃんとかかっているところもありますが。

 一方の視点として、それこそ日本再興戦略の二〇一四年の改訂バージョンでは、「アジアナンバーワンの金融・資本市場の構築を目指す。」こういう指摘もされているわけですね。

 そうなったときに国内の証券市場をどう活性化していくか、上場企業数を充実させていこう、そういう中で、この繰欠の制度も、やはり国際税務の観点からしたら、当然日本は、後で言う受取配当の話もそうですけれども、繰欠や受け配、こういったものは国際的に比較していいのかどうかというところまで判断をして日本に来る、こういう企業さんは確かにおられると思うんです。そういう観点からいって、これは難しい問題だと思いますよ。そこをどう思われますか。

麻生国務大臣 難しい問題と言ったのですね、最後。間違いありません、難しい問題。

 これは、私どものところにいろいろ海外の企業の偉い方がお見えになって、日本の税制を、ここを何とかしてくれ、ここを何とかしてくれと、とにかく自分に都合のいいような話をいっぱい言ってこられますので、それは全部、いろいろ各国によって言ってこられることが違うのは、私どもも聞いていてよくわかるところなんです。

 今回の欠損金の繰越控除の見直しというものに関しましては、これはいわゆる税率の引き下げとセットで行うというものにしているんです。諸外国に比べて高いと言われている法人実効税率、特にヨーロッパに比べて高いんですが、そういったものを国際的に遜色のないところまで引き下げるということとともに、先ほども言われましたね、稼ぐ力のある企業の税負担というものをある程度軽減してやるということなんですが、ここに、日本に企業を呼び込んでくるということの一つのインセンティブというふうになればなと私どもとしては考えているんです。

 外国企業が日本に進出してくる、法人を設立する場合に、やはり設立の初期においては欠損金が往々にして出るものですから、それを想定いたしますと、私どもとしては、この二十七年度の改正においては、創業後七年以内というのであれば、資本金一億円超の大企業であっても所得の全額まで欠損金を繰越控除できるという特例を設けて、ぜひ日本へという話を、対応しているところなんですが、正直申し上げて、税金だけで来るかといえば、私が海外の企業だったら、言葉が通じないとか、それからエネルギーだって、おまえ、原発をとめておいて大丈夫かとか、一体、電力はいつまでもつんだとか、それはいろいろ隣の国にも、何かちょっと忙しくなってきておりはせぬかとか、言いたいことはいっぱいありますよ、私が海外から出てくる場合は。

 したがって、法人税の改革だけであれが上がる、そんな単純な経営者はいませんから、私どもとしては、今回は一つの呼び込みの内容、一つのインセンティブになればということで考えておりますので、目標に逆行するというようなことではなくて、一応そういうことを考えてやらせていただいているというように御理解いただければと存じます。

鷲尾委員 先ほど来申し上げましたが、税理論上は繰欠も、この後申し上げます受け配の話も、かなりゆがめられる税制改正を行われている。

 それは、趣旨としては、財源を出していこう、これだと思うんですよ。我々のときも、八〇%のキャップにしたのはやはり財源の問題ですから。そういう中で、一方で法人税を引き下げる。大臣が今おっしゃったように、引き下げるというのは税制だけの問題じゃないんだけれども、やはり呼び込む効果を期待したい。

 一方で、その制度の中では、財源を充実させるためにちょっとデメリットがふえるということになるわけですよ。それで私は難しい問題だと言ったんですけれども、それはお含みをいただいて。

 財源をとるために、国際的な水準、あるいは、それこそ日本が、例えば東南アジアよりも欧米よりももっと企業に日本に来てくれと呼び込むために実効税率を下げましょうと言っているにもかかわらず、財源をしっかりと確保しましょうというところの中で、諸外国よりもちょびちょび厳しい制度があったらやはりもとのもくあみだ、こういう話になるわけでありまして、そこをお含みいただきたいということでございます。

 続きまして、財源の話でありますけれども、プライマリーバランスの観点から少し話をしたいと思います。

 今回、減税先行という形でございますね、繰欠のところについては。これについて、やはり、これだけプライマリーバランス、二〇二〇年度、大臣もいろいろ方々でコメントされていますけれども、この減税先行というのはどう思われていますか。

麻生国務大臣 民主党なので御存じだと思いますけれども、前回、民主党政権下で法人税率を引き下げられたあのときも、財源の確保が十分されなかったんだというのは私ども承知しております。

 今回の法人税改革においては、先ほど申し上げましたように、繰欠とか外形とかいう形で、一応そういったものによってある程度財源をしっかりと確保して、その上で、財政健全化に反するものではないとは思っているんですが、御指摘のように税率の引き下げを先行させるということにしたんですが、これは、向こう二年間に限って、企業が賃金アップに踏み出してもらおうというようなことを後押しするために行っていると考えていただいた方が、御理解が得られやすいんだと思います。

 好循環を実現するためには、どうしてもこの賃上げというのは長いこと、経営者は、こっちも経営者をやったからわからぬわけじゃないけれども、やはりどうしても賃上げというのは、ベースアップとなると、一時金と違いますので、ずっといきますので、その意味では物すごく、大丈夫かなというのがあります。今これだけ円安になって、ほかの国はウォン高だ、ドル高だ、何とかなっているんだからといったって、なかなか、そんなものは、二年で変わったんだから、また二年したら変わるかもしれないじゃないかと言われると、それも反論できるところではありません。

 先行減税の影響というのもある程度織り込ませていただいた上で、歳出全般にわたって見直すところは見直しておかないけませんので、徹底的な見直しを行うことによって一応曲がりなりにも先行減税させていただきましたけれども、プライマリーバランスの半減目標は一応この二十七年度予算では達成できる見込みで、今、事を進めようといたしております。

鷲尾委員 今、二〇一五年度は見込みということでございますけれども、試算が出ていますが、随分楽観的な試算になっているなという批判もございますね、前提となる成長率が名目、実質ともに高過ぎるんじゃないかと。それでもなお、二〇二〇年度をどうするんだということも政府・与党の中でも議論されております。何か複数の目標をセットするだのという議論までされていると聞いておりますけれども、これは想定が甘いと私は思っているんですが。

 そこで、大臣のコメントをお聞かせいただきたいのと、あわせて、二〇二〇年度黒字化目標を達成するぞという意気込みについても大臣からお伺いしたいなと思っております。

井野政府参考人 お答えいたします。

 先月発表いたしました中長期の経済財政に関する試算におきましては、経済再生ケース、これは、成長戦略の効果が発現をいたしまして成長率が着実に高まっていくケース、それからもう一つ、成長率が足元の潜在成長率並みにとどまってしまうというベースラインケース、この二つをともにお示ししているわけでございます。

 我々といたしましては、この二つのケースをお示しいたしまして、初めから経済再生ケースを前提にして、それでも残る赤字額のみを改善すればよいというふうに考えているわけではございませんで、経済再生に成功できなければベースラインケースで推移してしまうというリスクがありますので、財政健全化のためにも、経済再生にしっかり取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

 こうした観点から、二〇二〇年度の財政健全化の目標に向けましては、デフレ脱却と経済の再生、それから歳出改革、歳入改革、この三つの柱を軸に検討を進めることにしているところでございます。

麻生国務大臣 これは、二〇一五年のものに比べて二〇二〇年度という目標がかなり厳しい目標になっているように見えますのは、先ほど内閣府から出た数字がそういうことを言っているんだと思いますけれども。

 私どもはやはり、鷲尾さん、これは、経済成長率が仮に三%行ったにしても、社会保障の伸びが年間、ことしの概算要求で幾らでしたかね、概算要求で八千何百億の社会保障の伸びが出ていたと思いますが、あれを四千億縮めたというのをやらせていただいておりますけれども、こういったようなことを引き続きずっと、高齢者がふえてくる分だけこれは伸びてくる、高い率になる、それを低く抑えるという努力が要りますでしょうし、また、消費税の八を一〇というのもやらせていただかないけませんでしょう。

 また、少なくとも社会保障全体で、今九十兆の予算で約三十兆といったら、国家予算の三割ですよ。国家予算の三割といったら、大東亜戦争のときの軍事費に匹敵するちょい一歩手前ぐらいのところまで行っているということですからね、社会保障が。

 これは、私はこれで後期高齢者ですから、この後期高齢者の俺たちの世代が払っているものはどう考えたってというような意見が若い人から絶対に出ますって。これは間違いなく、うちのせがれなんかに言って、あんたみたいな若い人はもっとちゃんと働いて、もう少し働いてちゃんと稼ぐべきだとかいうことは、うちの息子あたりでも、やはり、自分たちが払う世代になるということを考えればそう言うんですよ。私はそれは当たり前だと思っていますから。

 そういったことを考えますと、やはりいろいろな意味で、こういったものは、経済成長に伴う税収アップを目指さないかぬ、それから支出の減もやらないかぬ、そして経済も成長させないかぬ、いろいろなことをやって、それでもなおかつ二〇二〇年度というのはかなり厳しいものだという認識は私自身はしているんです。

 そういった意味では、これはいろいろな意味で私どもとしては今回は難しいとは思っているんですが、でも、人に言わせると、おまえ、そんなこと言うけれども、今から五年前、プライマリーバランス半減目標ということを掲げたときに、できると思っていたかと言われたら、正直、あのころはちょっとできないだろうなと思っていましたから、それがやはり、やってみたらできることになりましたので。

 絶望は愚者の結論といいますから、私どもは、これは決して諦めることなく、きっちりこれを堅持して頑張っていかねばならぬとは思っております。

鷲尾委員 最後に、堅持するという意気込みをいただいたので、評価させていただきたいと思います。

 続きまして、今度は外形標準課税の話をさせていただきたいと思います。

 いわゆる課税ベースを広げますよ、財源をそういう形で確保していきますよという話の中で、外形標準課税の付加価値割の話でございますけれども、今回の税制改正で付加価値割が倍になっているわけですよね。

 また各論でもお話ししますけれども、付加価値割の対象となる付加価値というのは、大臣も御承知だと思うんですけれども、ほとんどが人件費なんですよ。この人件費に課税強化しているわけですよね。これは、大臣が今までるるおっしゃっていた賃上げという方向性とちょっと違う。もろに賃金に対して増税しているわけですから。今、るる間接的におっしゃっていて、賃上げにつながればいいねと。しかし一方で、賃金が大宗を占める付加価値については直接課税を強化しているんです。このことはどうお感じになっていますか。

あかま大臣政務官 お答えいたします。

 今、付加価値の大半が賃金である、この税率を倍にすると賃上げに対するディスインセンティブになるのではないかという御質問でございますが、我々とすれば、賃上げしてくれるところにインセンティブをという解釈でおります。

 さらに言えば、外形標準課税の付加価値税額、これが必ずしも、給与の増減というものに対して、全くもって、言うなれば、課税標準が中立であるということをぜひ御理解いただきたいというのと、これに加えてまた、雇用に配慮したということで雇用安定控除が設けられていることをもって、もし仮にディスインセンティブということであれば、その部分についてしっかり配慮を加えているというところでございます。

 なお、今回、外形標準課税の拡大に際して、政府としても賃上げを要請しているということ、さらには経済団体から企業の賃上げに対する配慮の要望があったこと等々を踏まえながら、所得拡大促進税制を導入し、賃上げ分について実質的に負担軽減を行う、そういうふうにしたところでございます。

 以上です。

鷲尾委員 大臣が席を立っちゃいましたけれども、では、委員長に申し上げますが、副大臣の皆さん方にも申し上げます。大臣が立っちゃったので、ちょっと拍子抜けなんですが。

 というのは、付加価値については、賃上げをした企業は付加価値がどんとふえる。賃上げをしたら付加価値がどんとふえるので、そこに対して付加価値割の税率が二倍になっていますからね。(発言する者あり)そうです、利益が少なくなる。

 大臣がお戻りになられて。

 要するに、賃上げをしない企業、内部留保がたくさんあって賃上げができる企業で、できないというのはおかしいと思う。しかし、賃上げをできない企業さんで、したくてもできない企業さんもあるわけです。しかし、その場合は、付加価値割が当然ふえていますから、二倍になっていますから納税額がふえちゃう。

 これは、言ってみたら、賃上げをしない企業に対する懲罰的な税制なんですけれども、その中でいうと、持っている企業が賃上げをしないというところはおかしいだろうということになりますが、持っていない企業で、賃上げをどうしてもできないよという企業に対しても同じく税率が二倍になっちゃうということは、やはり少し考えていかなきゃいけないんじゃないのかなと私は思っております。

 次に、租税特別措置の話に入りたいと思います。

 租特の透明化法ができまして、精度の高い統計資料が出てきております。その中で、研究開発税制は、私の知る限りは、資料に基づけば六千億強ございますけれども、大企業、中小企業の内訳というのはどうなっているんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 租税特別措置の適用実態調査、平成二十五年度分につきまして先般国会に提出をさせていただきましたが、それによりますと、研究開発税制全体の適用額、今先生からありました六千億強でございますが、正確には六千二百四十億という数字でございます。

 その内訳でございますが、資本金一億円超の大企業、五千九百億余りでございまして、パーセンテージでいいますと九四・八%、片や、一億円以下の中小企業、三百二十億程度でございまして、割合が五・二%ということになってございます。

 以上でございます。

鷲尾委員 物すごい大企業偏重なんだなというのが明らかになるわけでございます。大企業が九四・八%ですからね。ほとんど中小企業は使われていないということでございます。これは、当然、こういう実態を把握された中で、今後、この研究開発税制、課税ベースの拡大の議論においては、あわせて、これをどうしていくかというのが相当議論になると思います。

 時系列で見たらどうなのかなと思うんですが。ちょっと質問の順序を変えますけれども、時系列で見た場合、これはどうなっていますか。この減収額というのは、今言ったのは二十五年の内訳がどうかという話ですけれども、時系列で見た場合はどうなんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今、研究開発税制についてのお尋ねということでございます。

 足元、二十五年度は今申しました六千二百四十億でございますが、二十四年度は三千九百五十二億ということで、差し引きいたしますと二千二百八十八億円の増ということでございます。恐らく、経済状況が好転をいたしまして、企業の研究開発投資が増加したというようなことで適用額が増加したのかなというふうに思っておりますが、手元にはその二つの数字でございます。(鷲尾委員「もっと前のデータはないんですか」と呼ぶ)今ちょっと、調べさせていただきます。

鷲尾委員 では、委員長、今のデータ、過去のデータもちょっと取り寄せるように計らっていただけたらありがたいなと思います。

古川委員長 資料については理事会で協議します。

鷲尾委員 過去から、景気のよしあしでふえるものなのかどうなのかを含めて、政策的にふやしていくということもあるでしょうから。

 ありましたか。では、お願いします。

佐藤政府参考人 この報告書が出ましたのが、最初が平成二十三年度からということでございますので、私どもにございますのが、二十三年度、四年度、五年度と、三年度でございます。二十三年度は三千三百九十五億、二十四年度が三千九百五十二億、二十五年度が六千二百四十億という数字でございます。

 失礼をいたしました。

鷲尾委員 大分ふえましたね。景気の回復だけなのかどうなのか、数字を聞いただけでは私は即断できないと思っていますけれども、相当ふえましたね。三千億というのは相当ふえている。

 この研究開発税制のあり方、こういう言い方をしたらあれですけれども、やはり一つの財源でもあるので、今後の方向性というのをどう考えるかというのを、今の時点で認識をただしておきたいなと思っているんです。

 かなり、使われているのが大企業中心であるということ、これは中小企業も含めて本当はもっと利用していかなきゃいけない代物なのかなと思います。そういう使われ方が偏っている中で、これだけふえているという今の現状、景気がもしよくなっているということを根拠にするならば、恐らくは、今年度もまた出てくるでしょうし、来年度はもっと伸びていくということになるでしょう。そうすると、これは減収要因ですから、そのことをどう考えるかということをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 まず最初に、鷲尾先生、この研究開発促進税制というものは、やはり日本という国の中において、今後ともえらい勢いで金融大国になると言われるぐらい、金利が〇・何%で、企業の内部留保が何百兆で、個人金融資産が一千六百兆でというようなことになってくると、明らかにこれは世界から見たら極端に金融の大きな国になってきていますが、では、かつてのイギリス、またウォールストリートに突っ込んだアメリカみたいに俺たちも金融大国をやるか、それが我々の将来の日本かと言われたら、僕は、それはちょっと違うんじゃないですかと。

 この国はやはり、みんなでやる物づくり、そういったようなものを基本にした国でいかないと、この国の得意な部分、自分たちの国家として長いこと、一千数百年やってきた物づくりというものを大事にしてきたわけだから。しかも、みんなでやる物づくりですからね、日本の場合は。だから、そういったようなものを今後やっていくためには、この研究開発という、いわゆる最近の言葉でイノベーションと言うんでしょうけれども、こういったようなものに対するやる気を起こさせる、そういったようなものに関しては、最初は、こんなばかみたいな、そんなもの何の関係があるんだというものからぽっと出てくるわけですから。

 そういったものに関して金を出し続けるというのは、企業の側の方もかなり、海のものとも山のものともわからぬものにやらせるというのは、よほど目ききか度胸があるか何かしないとやりませんから、そういった意味でこういったものは絶対必要、私はそう確信をしておりますので、私自身の個人的趣味だとかいろいろ御批判もあったんですけれども、どうしても研究開発はやるべきということを申し上げたんです。

 よく調べてみますと、できたはいいけれども、この何年間の間、全然要求がない、そういった租特が幾つもあるんですよ。もうやめだ、こんなものは、こんなものをやるぐらいだったらもっとほかのものに回した方がいいというので、その分だけは減らしていただいて、そのかわり、オープンイノベーションで、みんなでやるという、そういったようなものも認めたらどうだというような方向で今やろうとしてみたり、いろいろな形で、実は、適用額を大幅に、税制の形としては、部分部分で見ると減っているんですけれども、形としてはそういった形でやらせていきたいと今考えておりますので、その点の一定の見直しはいたしておりますけれども、そういった方向で考えてまいりたいと思っております。

鷲尾委員 研究開発税制、やるかやらないかというよりは、大臣、今ちょっと答弁の中でもおっしゃったように、使われ方が非常に偏っていたり、全く使われなかったり、大企業さんはそれこそ、成果がすぐに出るかどうかわからないものでも、そういう税制を使ってやれるというのがある。一方で、中小企業ということになると、中小企業もそういうのはあると思うんですよ、技術力を足元で支えているのは中小企業ですから。そうすると、そういったところにもう少し使われるような税制を考えてもいいんじゃないのかなという気もするわけですよね。やるかやらないかではなくて、それをどううまく使っていくかという話だと思います。

 偏ったまま減収額がどんどんふえてしまって、冒頭にも申し上げましたけれども、ちょっとどっちかの方向に偏っているんじゃないのということではない制度設計をお願いしたいなということでございます。

 これはまた、時系列で今後もデータが出てくるでしょうから、我々も分析させていただきたいというふうに思います。またさらに、こういうのはやはり、これも租特の透明化法ができてからですよね、このデータが出てきたのは。これは非常に有効だと思うんですね。さらに透明化するような方法もぜひ考えていただきたいし、これは改善をしていくんだよということも法律に盛り込んでありますから、我々としては、さらに改善する、立法も考えたいなというふうに思っております。

 続きまして、復興特別法人税の引き下げ、一年前倒し廃止の議論に関連して質問をしたいと思います。

 引き下げ、前倒し廃止に当たって、政府・与党内で、確実に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認するということを踏まえてこれは前倒しされています、過去の話をひもとくと。確実に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認するんだということを踏まえて前倒しをするということになっているんです。

 実際、やられました。やられましたから、では、実際、確実な賃金上昇につながっているのかどうかというところをちゃんとフォローアップされているのかなと。今般の税制改正の中でフォローアップ云々という話は全く出てきていないものですから、問うてみたいなと思うんです。いかがでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、復興特別法人税の廃止は、経済の好循環を早期に実現し、所得拡大促進税制の拡充や政労使会議での取り組みとともに、足元の企業収益を賃金の上昇につなげていく、そのためのきっかけとするために実施したものでございます。復興特別法人税の廃止を含めましたこれらの取り組みによりまして、経済の好循環が生まれつつあるものと考えております。

 昨年の春闘の集計結果でございますけれども、全体で賃上げ率二・〇七%となりまして、過去十五年で最高となったということでございます。

 さらに、経済産業省といたしまして、昨年三月から八月にかけまして、東証一部上場企業千七百六十二社でございますけれども、これに対しまして、回答企業は千三十四社でございましたが、フォローアップ調査を実施いたしました。

 大手企業の九二%が賃上げを行ったと回答しております。これは一昨年の実施率を上回ったものでございます。それから、賃上げを実施した企業のうちベースアップを行った企業は、前年度と比べまして六倍に増加をいたしました。それから、ベースアップを実施したと回答した企業の約七割が六年以上ぶりと回答するなど、近年にない賃上げが実現したものと考えております。

 また、中小企業についてでございますけれども、昨年六月から七月にかけまして、中小企業三万社、回答企業は一万三百八十社でございましたけれども、これに対しましてフォローアップ調査を行いました。

 一昨年の実施率を上回ります六五%の中小企業が賃上げを行ったと回答しており、そのうちベースアップを行った企業の割合は、六五%のうちの三六%でございます。すなわち、六五%の三六%でございますので、全体では約二三%がベースアップを行っております。

 何らかの賃上げを実施した企業の割合は全地域で上昇をしておりまして、地方の中小企業にも一定程度の効果がある状況ではないかと考えております。

 経済の好循環をさらに拡大することによって、全国津々浦々まで景気回復を届けてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鷲尾委員 これは復興特別法人税なんですか。復興特別法人税の引き下げ、前倒し廃止をしたからということなんですかね。そこは何か明示して聞かれているんですか。

松永政府参考人 この調査におきましては、賃上げを行ったかどうか、今申し上げたのはそういう調査でございます。

 この調査の中で、復興特別法人税、それから所得拡大促進税制などもございますけれども、それが給与の増加にどの程度後押しをしたのかという調査も実施しておりまして、例えば大企業でございますと、ベースアップを実施した企業の約三割が後押しをした効果があったというような回答をしておるところでございます。

 以上でございます。

鷲尾委員 今のデータは非常に興味深いデータなので、中小企業はどうかということを質問したいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業についてでございますけれども、復興特別法人税の前倒し廃止や所得拡大促進税制の創設、こういったものが賃上げ判断に及ぼした影響でございますけれども、全体で七・七%がこういった判断を大いに後押ししたということを回答しております。

 このうち、中小企業の場合でございますと、賃金制度、俸給表ですとかを持っているかどうかという問題もございますので、定期昇給を含む賃金制度を持つ企業に伺ったところ、ベアを実施した企業の一〇・二%が、復興特別法人税の前倒し廃止や所得拡大促進税制の創設、拡充が賃金引き上げ判断に大いに後押しをした、このような回答になっております。

鷲尾委員 済みません、ちょっと確認します。

 中小企業は六五%が賃上げをしていて、そのうち三六%がベアを実施していて、そのうちの一〇%が促進税制並びに復興特別法人税の引き下げ、前倒し廃止は役に立った、そういうことを言っているということですね。そういうことでよかったですか。ちょっと数字が混乱していて。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二三・四%の企業がベアを実施しており、定期昇給を含む賃金制度を持つ企業全体に聞いておりますけれども、定昇しているのが二三・四%でございますからその一〇・二%が、全体の一〇・二%でございますので、定昇を実施したとおっしゃっている二三・四%のうち、定期昇給を含む賃金制度を持つ企業でございますので、全体の中で一〇・二%が、判断を大いに後押ししたと回答しているところでございます。

鷲尾委員 ちょっとわからないので、後でまた整理したいなというふうに思います。

 先ほどの、判断で、大企業では三割、中小企業では七・七%が引き下げ、前倒し廃止で賃上げに役立ったということでございますが、大臣、この数字をごらんになっていて、その効果は、ありやなしやでいったら、あったという答えになると思いますが、その効果が十分であったかどうかという点でお話をいただけたらと思います。

麻生国務大臣 これは、鷲尾先生、ちょっと感情論というか、エモーショナルな話だから。

 僕自身は、財政を担当しておる方としては、前倒しなんか、冗談言うな、こんなものは後でいい、みんな給料を下げられているんだぞ、企業だけ何で前倒しなんだ、その分だけ必ずベースアップしてくれるだろうな、下げた分だけ上げてもらわなかったら話が合わないじゃないかといって、閣内でいろいろありましたときには、一人でわんわん言い倒したものなので。必ずなりますというお話だったので、私は中小とやっているわけじゃありませんので、大企業の方は間違いなく実行していただいたんだと思いますけれども。

 あの段階で、私はまだ、二年前の話ですから、中小の方まで、これが間違いなくこうなっていくということを予想した企業の方が少ないと思いますので。あの段階で、大企業の方はそんなものかなと思わないでもありませんでしたけれども、中小がもう少しとは思わないでもありませんが、あのときの状況ならちょっと無理もないかなと思いますので、それなりの影響があったんだと思って、私どもがそんなに、全く影響がないんじゃないかと思った割には、いったかなという感じが私自身の実感です。

鷲尾委員 それぐらいだったということでございますね。

 というのは、正直、地場産業を回っても、私の実感として、これを引き下げ、前倒し廃止したから賃上げするなんていう状況にないんですよ。それを、これが賃上げにつながりますよと言われると、大臣と一緒だと思いますけれども、物すごい違和感があるんです。フォローアップも七・七%でしょう。大したことない。私は、その結果を踏まえた上で、今後ちゃんと政策判断してもらいたいなと思います。

 それで、ちょっと時間もなくなってきたので、次の質問に行きたいと思います。

 今回、住宅取得資金、各論は法案審議でまたやりますけれども、政策論として申し上げたいんですが、最高で三千万だ、耐震・エコ・バリアフリー住宅の場合ですけれども、非課税措置が三千万になりますよという話でございます。

 非課税措置は、政府としてはいろいろな思いがあるんでしょうが、消費税アップ後の反動減対策だということなんでしょうけれども、これはそもそも住宅取得資金の贈与の非課税です。贈与税というのは非課税枠が毎年毎年百十万あるわけですよ。それに加えて、幾つかのものについて非課税枠を追加で設けているということでございますけれども、かなりお金を持っている方じゃないと利用しないですよね、この非課税枠というのは。

 一方で、大臣の所信の中にも、高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じた住宅市場の活性化等と書いてあります。書いてあるというか、おっしゃっていた。これと単なる反動減対策とはちょっと意味合いが違うのかなと、ニュアンスの違いを私は感じたわけであります。

 というのは、早期移転するわけですけれども、持っている高齢者層から若者へ。マクロで見たら、より抽象化すると高齢者層から若年層なんでしょうけれども、ミクロで見ると、持っているところから行くわけですよ。ということは、同世代の中で見ると、やはり格差が固定化するという側面がないわけじゃないですよね。

 そこで、単なる反動減対策で期限を切ってということであるのならば、私もそういう側面もあるのかなと思いますが、住宅市場の活性化を高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じてやるよということになると、これは別の意味が出てきますよというところをどう思われているかということをお聞きしたいんです。

麻生国務大臣 今御指摘のあったように、平成二十八年の十月から一年以内に住宅を取得した人に限って最大三千万円の贈与税非課税を適用するというのを、平成二十六年は一千万を限度としております。これは、反動減が最も大きく集中するであろうということを考えて、その期間にインセンティブを集中させて、住宅需要というものを狙っているんです。

 他方で、格差の固定化につながるというのに配慮をすることが重要なのであって、これは当然考えないかぬところなんですが、この非課税措置は、したがいまして、あくまでも三十一年六月までの時限措置としているのはそのせいで、これをずっとしていくと固定化につながると思います。それが一点。

 もう一つは、鷲尾先生、今一千六百五十兆円の個人金融資産と言われておりまして、そのうち約八百六十兆円ぐらいが現預金。しかも、そのうちの半分以上、六割以上が高齢者。その高齢者が遺産を渡すときは、引き継ぐ方も高齢者。それをまた使わないから、また残るわけですね。ずっと現預金で一千六百兆もたまっていって何をするのという話になるんだけれども、これを若い孫の世代に渡せば、その孫は金が要る世代、時代ですから、それで教育費に何とかにというので、いろいろ去年からやり始めたのはそのせいなんです。

 やはり、使う世代に使ってもらわないと、持っている人が使ってもらわない限りは景気というのはよくなりません。持っている人がじっとしているのが一番困るので、金を置物か何かと間違えている人が多いものですから。金は使って回すものなのであって、ちゃんと回らないと、およそ金は生きてきませんから。

 そういった意味では、ぜひ、回すためにインセンティブをいろいろやると、どうしてもやはり持っている人が使ってもらわないかぬのであって、持っていない人に使えと言ったって使いようがありませんので、持っている人に使わせないかぬ。そのためのあれとしては、住宅というのは裾野が非常に広いものですから、やはりやるのは住宅かなというところで、時限措置ではありますけれども、こういうものをさせていただいたというのが背景であります。

鷲尾委員 おっしゃるとおりで、反動減対策として非常にいいと思いますし、あるいは、今大臣がおっしゃったように、社会全体でどうお金を回していくかという部分では私も全く同感でございます。

 それで、最後に二点お聞きしたいと思います。

 一つは、景気弾力条項を今回削除するということでございます。ちょっと質問を飛ばして恐縮ですけれども。

 私どもの感覚からすると、経済は生き物ですから、消費税は今回、我々の立場としては、景気弾力条項を使って消費税の値上げを引き延ばした、そういう立場に我々は立っております。経済が生き物であるにもかかわらず、今回引き延ばしたにもかかわらず、景気弾力条項を削除するというのはいかがなものかと思うんですが、大臣の見解をお願いします。

麻生国務大臣 景気弾力条項の話というのは、御存じのように、これは、御党と公明党と自民党と三党で、あれは野田内閣のときにたしか合意されていたんだと記憶しますが、そのときに、景気弾力条項、十八条の三項という、がちゃがちゃいっぱい書き倒した、意味不明みたいな文章がいっぱい書いてありました。あれは普通に読んだってわからぬぐらい難しいことが書いてありましたけれども、早い話が、景気が悪くなったらやらないと書いてあるだけのことなんです。誰が書いたんだか知りませんけれども、三党でやるとああいうことになるんでしょうな、物すごい長い文章、句読点もないような文章ができていました。簡単に言えば、そういうのができて、それを使わせていただいて、今回やらせていただいたんです。

 これを削除したということに関しましては、私どもは基本的には、毎回、来月また行かされますけれども、G20の蔵相会議とか中央銀行総裁会議で日本は大丈夫かと、こればかりを、おととし、最初のころは円の独歩安、二番目は日本の、ばんばん日本だけがやられている時代があったので、そのときに、ちょっと待ってくれ、俺たちのところは民主主義が成熟しているから、あんたらはまとめ切れないんだよ、俺たちは与野党三党合意でこれをやっているんだ、俺たちはちゃんと上げるから見ていてみろ、それより、おまえらの方こそやれることをやってみろというようなことを言って、それから一切その話は出なくなって、事実、去年の十月から全く、この種の話、日本に対してのいわゆる注文みたいなせりふはゼロになりました。

 それは間違いなく効果はあったんですが、今回これを延ばしておりますので、延ばすに当たっては、何だということを去年また言われ始めましたから、そこで、ちょっと待て、俺たちのところは今度は確実にこれをやるからという話をして、少なくとも、ことし、先月はトルコでしたけれども、同じメンバーで集まっていましたけれども、ちゃんと日本は今度はこれをなしでやるんだから、確実にやるから、それまでに必ず景気はそこまで上げてみせるから見ておいてくれというようなことを言って、今のところ一応、各国みんな黙っているというのが今の状況なんです。

 いずれにしても、経済は生き物、おっしゃるとおりなので、もし何か異常事態でも起きたら、それはそのときにやはり改めてお願いせないかぬ。それはもうはっきりしていますよ。だって、プライマリーバランスの大事さをとって景気が悪くなったら話になりませんから、どっちが大事かというのは、やはり十分バランスを考えてやらねばならぬものだと思っております。

鷲尾委員 リーマン・ショックを経験された麻生総理でございますから、そこは十分わかっておられると思うんですが。我々は、やはり弾力条項はあった方がいいんだろうというふうに思っております。

 きょうは幾つか質問を残しておりますが、それはまた各論で議論させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

古川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 維新の党の丸山穂高でございます。

 私からも、麻生大臣に対しまして、所信に対する質疑を行わせていただきたいと思います。

 お聞きしますと、麻生大臣の初当選、先生が当選されたときが七九年だとお聞きして、私の生まれが八四年でございますので、私が影も形もないころからもう既に議員をなされていた麻生大臣に質疑をさせていただくのは非常に光栄でもございますし、一方で、野党という立場として、いろいろ非常に生意気にも聞こえるようなお話をさせていただくこともあるかもしれませんけれども、そのあたりは御指導いただくという形で、御質疑させていただければと思います。いずれにしましても、財務も金融も非常に大事な国の案件でございますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、先ほど鷲尾委員から最後にお話がありました、消費税増税時のお話について、私からもお聞きしたいと思います。

 これは、この後出てきます法案のときでも恐らくかなりの頻度でお話が出てくる可能性があるなと思っているところなんですが、本会議でも私は質問させていただいて、消費税を一〇%に上げない場合の条件なりというのはどういう状況なのかというのは、今大臣も、G20で、上げろ、きちんとやれよということを各国から言われているというお話があった中で、一方で、では、上げない場合はどうなんだというのは、市場においても、ほかの国においても、また国内、国民の皆さんにおいても、非常に今気になっているところだと思います。

 基本的には上げるということだと思うんですけれども、これは客観的な判断基準を設けないということでいいんでしょうかというのをまずお聞きしたいんです。

麻生国務大臣 基本的には、法律に書いてありませんので、客観的な基準というのを設ける必要はないんですが、まず、何といっても、消費税の一〇%への引き上げにつきましては、基本的には二つ。

 一つは、何といっても、この消費税の分はそっくりそのまま、高齢者というか、社会保障関係に全部この金が参りますので、そういった意味では、社会保障制度というものを次の世代に確実に引き渡していく責任が我々の世代にはある、これが一点。

 もう一点は、大量の国債を発行して、確かにこれは、アメリカ、イギリス、スイス、日本以外の世界百八十何カ国の国は、自国の通貨で国債を発行しておりません。皆、国際通貨で出しておられます。日本の場合は自国通貨で出しているとはいえ、やはり日本の国債を今外国人が一四、五%。それは円でですよ。円で外国人が持っているのは一四、五%になっていると思いますので、外国人としても、その買った日本の国債というものが信頼性があるということを一番見ているところなんです。

 今回も、これを確実にやるという前提がないと、ほかの国から見たら非常に信頼性がない、怪しげなものだと眉に唾つけて見るような感じになりますので、私どもとしては、これは判断基準を設ける必要はないとは思っておりますが、かねてから申し上げておりますように、こういったようなことは、先ほど鷲尾先生の話もあっておりましたように、経済は生き物だ、全くそうなんですよ。

 だから、生き物ですから、やはり何が起きるかわからぬというので、リーマン・ショックならまだ予想した人はある程度ありましたけれども、例えば大震災のあれなんというのはほとんど予想できませんでしたから。ああいった非常事態になった場合は、かねてから申し上げますように、そのときの政治判断でこれはどうしてもやらないかぬということになりますし、その場合は世界も認めてくれるんです。それは無理もなかろうというような状況になるということで、国会で議論をお願いするとしても、それは御納得をいただけるような状況が出てこないとなかなかだと思います。

 それより、確実に、まあこれだけ景気がよくなったんだから、あと二%上がってもしゃあないわなと言ってもらえるような経済というものをつくり上げていくのが我々に与えられている役目だと思っております。

丸山委員 総理も、具体的事例としてリーマン・ショックのお話と震災のお話、東北の震災のようなものがあればこれは上げることができないだろうということを明確に御答弁されています。

 一方で、その判断については、もちろん最終的には総理がされて、そして総理の御発言も、法を出し直すということですので、そのときの通常国会に出すのであれば正式な手続が必要ですので、タイミングも大体、恐らく年末か、それぐらいには遅くとも判断しなければ間に合わないとは思うんです。

 一方で、この手続について余り明確にお話が聞けていないんですけれども、主観的に御判断されるということであれば、海外に向けてもある程度納得していただくためには、例えば今回の上げないという御判断も、有識者の方の御発言を聞いて、プロセスを踏んでやられていますけれども、もちろんそれは客観性をある程度確保するためにやるという認識でよろしいんですよね。

麻生国務大臣 上げる場合は、法律ですから、自動的にということになっていくんですが、今言われましたように、四月からということになりますと、予算編成の技術上、前の年の十二月にその予算編成を組むためには、その前の十月、十一月ぐらいにはもう決めておかないと予算編成は不可能であろうと思いますので、そういった意味では、前の年の十一、十二までには遅くとも決めないかぬということになろうと存じます。

 延ばす場合のときの方がさらに問題なんだと思います。延ばす場合のときは、どう考えても、世界から見て納得できるような状況というのが、起こらない方がいいんですが、景気がちょっと悪いから上げられないじゃとても世間に通る話ではありませんので、私どもとしては、きっちり、そういったところが世間から御納得をいただけるような理由というのはそこに必要であろうと思っております。

 手続としては、言われましたように、時間でいきますと、遅くとも十一月初めにはきちんとした形のものを出しておかなければならぬと思って、作業するならそういうことになろうかと存じます。

丸山委員 恐らく、また近づいてくれば、もしくはこの後の法案の審議でもその話が出てくると思いますが、細かいところはさらに伺っていきたいと思います。

 時間がございませんので、次のお話に進みたいと思います。

 きょうは、初めて質疑させていただくということで、若い世代の議員でございますので、そういった意味で、少し私の気になるところをお伺いしたいんです。

 先ほどの消費税の話も、そっくりそのまま社会保障費に充てるというお話がありました。

 一方で、その前のプライマリーバランスの議論のときに、社会保障費がかなり拡大していく中で厳しい状況があるというお話もありました。本当にここの部分が、超高齢化社会において特に、ある意味世代間の格差でもあると思っているところなんです。

 ただ、誤解がないようにお話はしておきたいんですけれども、我々の若い世代も、特に麻生大臣の世代、もっと上の世代の方々も含めまして、今までのこの日本をつくってきていただいたということに対する感謝の思いと、そしてそれを引き継いでいくという思いは強く持っているところでございます。

 一方で、とはいえ、上の方の方々の御負担が全て若い人の方に積もっていくというのは避けなければならない状況だと私は思いますし、なお思うのは、これから生まれてくる世代に同じように押しつけることは絶対にできないなというのは率直に思うところなんです。

 そういった意味で、必ず議論に出てくる、世代ごとに受益と負担のバランスをとっていく。具体的には、例えば世代会計みたいな導入の話というのが必ず出てくると思うんです。この点、大臣に率直に御見解をお伺いしたいんですけれども、将来的なことも含めて、お願いいたします。

麻生国務大臣 丸山先生、最初に、これは勘違いしておられる方が、あなたがしておられるというのじゃなくて、世の中に多いんですが、国に一千兆円の債務がある。鷲尾先生みたいに会計士やら税理士をやった経験のある方はすぐわかるんですが、借金をしているのは国じゃありませんからね。借金をしているのは政府。では、必ず貸しているやつが反対側に、比較貸借でこっち側にいるはずなんです。誰が貸しているのかといったら、これは国民が貸しておるんですね、銀行を通じて、郵便局を通じて。だから、国民は、債権者であって、債務者ではありません。

 だから、国に対しての債権者。債務者じゃないという点だけはきちんと正確に分けておいていただかないと、じいちゃんたちが払ってくれた分の受け取りは若い人が受け取る、簡単に言えばそういうことですから、一概に被害者、被害者みたいな顔を私の息子がするから、ばかを言うんじゃない、おまえ、ちょっとよく勉強せいと言って、ついこの間もせがれを説教したばかりなのでこの話を今申し上げるんですが。

 ぜひ、そこの点でいきますと、私らとしては、九十六兆円のうち約三十兆円ですから、約三〇%弱のものがいわゆる社会保障関係費なんですけれども、三分の一を占める一方で、国債発行で歳入面の約三分の一を頼っておるわけですから、三十兆円ですから、そういうような状況というのは、これはどう考えたって、将来世代に先送りしていくイメージというのは抜け切らぬ。イメージとしてはそうなんですけれども、道路ができた、それを使うのは我々の世代じゃなくて、その次の世代が使う。いい思いをするのはそっちでしょうという点を忘れて、被害者ばかりが俺たちの世代だみたいに間違えると、それは少し違うんじゃないのかなという点はちょっと頭に入れておいていただかねばいかぬところだと思っておるんです。

 いずれにしても、社会保障の受益と負担という話は今後ともずっと考えていかないかぬ大事な問題なんだと思いますので、負担が先送りされているという話は間違いなく確かなんですけれども、できるだけそういった点をわかりやすく私ども説明していくというのを心がけておかぬといかぬのであって、税理士とか公認会計士の方が随分御党もふえておられるみたいですし、うちの方には、自民党は余りそういうのはいないんですけれども、そういった方たちのわかりやすく説明する能力というのはすごく大事なので、こういった話をしていただけるようになりませんと、桁のでかい話を、簡単に言えばいい話を難しく言いたがる癖があるのがいっぱい永田町とか霞が関にはおりますものですから、そういった人たちにわかりやすく話をしていただかぬといかぬものだと思って、この説明責任というのは我々政治家に与えられた大きな仕事の一つだ、私もそう思いますので、努力してまいりたいと思っております。

丸山委員 別に世代間の闘争をあおりたいわけでは、この場で御議論しても長くなってしまうので、そういった意味ではないというのは最初に申し上げたとおりでございます。

 ただ一方で、お話を聞いていれば、逆に言えば、現状、国内で消化できている国債も今後どうなるのかという点に関しては、財務省さんの見解と違うのかもしれませんが、私は将来的に厳しくなっていくという見解を持っておりますし、もう一つは、そもそも、今のインフラ、例えば道路にしても、その決定権を持っているのは二十以上の有権者でございますので、では若い世代がそれができるかどうかという点についても、逆に、それを使うのは若い者じゃないかと一概に言われたら、若い方の立場としては、もっとちゃんと使ってくれよというふうに多分おっしゃるのが若い世代だと思います。

 この議論を長々としても結論は出ないところですので、先に進めたいんですが、ただ、意図は一緒で、国民からお預かりしている税金を大事に使って、それを将来世代も納得してもらえるような使い方をしていくというのが非常に大事な点だと思うんです。

 そういった意味で、きょうずっと何度もお話が出ている財政健全化目標に関しては、本当に国内外ともに非常に気になっているところです。ただ、政府の御答弁を聞いていますと、この夏までにプライマリーバランスを二〇年度に黒字化するための財政健全化目標の達成計画をつくるというお話の先が見えてこないので、少しお伺いしていきたいんです。

 そういった意味で、先ほど内閣府の試算の話もありましたけれども、現状では、二〇年度はPBの九兆円の赤字になるんじゃないかという政府の試算も出ております。先ほどの、将来をさらに考えたらという意味では、もっと先、いわゆるプライマリーバランスだけじゃなくて、財政収支の観点も含めて考えていただきたいというのが私の立場なんです。

 そもそも、トロントのG20のときも、ほかの国は財政赤字を半減するという約束で話をしているのに、日本だけがかなり、ある意味甘いと言われてしまうような目標値ですので、ここはもっとしっかりやらないとだめだと思うんですけれども、ただ一方で、そうお話をすると、総理も、麻生大臣からも、経済は生き物なので、それで腰折れさせてしまってはだめだというふうな御回答が必ず来ると思うんです。

 でも一方で、それでどんどん先延ばししてきているのが今のこの国の財政赤字だと思いますので、うちの党では、逆にきちんともっと枠を、苦しくてもはめなきゃいけないときははめなきゃいけないんじゃないかという法案の準備を今しているんですけれども、このあたりについて、元総理、麻生財務大臣はどのようにお考えですか。

麻生国務大臣 基礎的財政収支という言葉が、なかなか長いものですから、いつの間にかプライマリーバランスという言葉になったんですが、これを使い始めた今から十何年前、当時政調会長をしていましたかね、何かをしていたときに、プライマリーバランスといっても、大体ほとんどの人は、ポケベルが何で出てくるんだと言われた時代だったんです。PBと書いたら、ポケベルとしか大体国会議員は言わなかったんです。次に出てきたものは、プライベートブランドといったものがその次だったものですから。それが現実だったんですよ、本当に。それぐらい、プライマリーバランスというのは一般的な言葉じゃなかったんだと思いますね。

 それが、プライマリーにバランスですから、まだバランスしていないわけですね、基礎的財政収支ですから。そういった意味では、黒字化をしておりますけれども、利払い分がこの中から外れていますから。利払い分が外れていますので、平成二十七年度の予算では十兆一千億円が、いわゆる利払い分が入っていません分だけ借金はふえていくということになろうかと存じます。

 したがって、プライマリーバランスの黒字化だけで、二〇二〇年にそれが達成できれば、仮に、九・四兆円のマイナスをカバーして、プライマリーバランスをゼロまで達成できたとしても、だめなんです。そこは単なる一里塚というか、それは一つの目標であって、その次にはいわゆるバランスシートをきちんとバランスさせないといかぬのでありまして、債務残高の対GDP比というものを安定的に引き下げていくことを掲げて次の目標を立てないと、どういった時間係数になるかは別にして、そういったものをやっていくためには、何といっても、分母になりますGDPというものを大きくして、そして、利払い費を含めましたいわゆる財政収支というものを改善して、分子の側の債務残高というものを抑えていくことをしないと、絶対にバランスシートは改善しないわけです。

 そういった意味では、プライマリーバランスをゼロにしますとかなんとかかんとかというのは単なる中間目標にすぎないのははっきりしておりますので、今御指摘がありましたように、経済財政諮問会議において、今後どうしていくかということにつきましては、まずはプライマリーバランスをチャラにするところまでが目標ですけれども、それを達成した後、引き続きこういったものを努力していかないと、なかなか、今後ともこの問題はずっと抱えていくことになり続けるという点は、我々の最も気にしておかねばならぬ大事な点だ、私もそう思います。

丸山委員 きちんとこれは、おっしゃっていただいたように、先を見据えてやっていただきたいんです。

 今、麻生大臣のお話を、きょう一日、朝からずっと聞いていて、非常にわかりやすく、そしておもしろくお話しくださって、重ねて、それがリップサービスとして、聞いている方にも親近感を持たせるような形でお話しくださるんですが、一方で、逆にそれが、舌禍とまでは言わないですけれども、たびたびマスコミでも麻生大臣がおっしゃったことに対する指摘が出たりするので、そういったところにあれがあるのかなというのを、今初めて質疑を大臣と直接させていただいて感じたところなんです。

 というのは、次にお聞きしたいのが、そのあたりの真意をお伺いしたいことでございますので、この話をさせていただいたんです。

 金利の点につきまして、二十七日の閣議後の記者会見で大臣が、いわゆるオオカミ少年だという話をされたんです。財務省から、金利が上がったらどうするのか、どうするのかというお話をずっとお聞きになっていたんだけれども、実質的にはそれは、オオカミ少年のように、上がっていないじゃないかと。財務省が上がると言うたびに、逆に金利が下がっているというような御発言もありまして、それが早速報道されていましたので、あれ、こんなことをおっしゃったのかなと思いながら議事録を拝見したら、確かにおっしゃっていたので、そういうことだと思うんです。

 その意味で、少し御見解をお伺いしたいんですけれども、金利上昇のリスクを少し過大評価し過ぎていたという認識でいらっしゃるのか。御発言の意図と、この辺、長期金利が急騰するリスクの大臣のお考えをいま一度お伺いしたいんです。

麻生国務大臣 初めて財政破綻しますというような言葉を使われた財務大臣、武村正義さんという方がいた。いたといっても、まだ亡くなっておられるとは思いません、まだ生きておられると思いますが、この方が言われたときに、あのときの国債はたしか二百何十兆円だったと思うんですね。GDPが当時は五百兆円ぐらいでしたから、約半分。そのときにそう言ってこられたんです。たしかあれは羽田内閣かどこか、その辺だったと記憶しますけれども。

 私ども、野党でしたので、そのときに、どうして破綻するんですかと聞いたら、君、借金がこんなだよと言われたんです。いや、だから、どうして財政破綻するんですかと言ってしつこく問い詰めた記憶があるんですが、そのときの金利は六・何%だった。GDPはアバウト五百兆円。変わらずですよ、今。ちょっと下がっていますけれども、円安になったりいろいろしていますので。ドルでいくとまた大分違うんですけれども。

 そういうときになって、今、借金の方は約四倍の千兆円になって、GDPは変わらずということになったら、金利は上がらなくちゃおかしいでしょうよ。私どもが学校で習った経済学では、必ず金利は上がるんですよ。だって、担保がなくて、借金だけふえているんだから。

 ところが、その逆に、六%が今は〇・三とか四になっているというようなことが起こるなんということは、我々、学校では習ったことがありませんね。間違いなく今までにない状態が起きている。

 したがいまして、借金がふえるたびに財務省は、金利が上がったら大変ですよと言い続けたんです。金利が上がったら大変ですから、それは間違いなく、言い続けるのは正しいんですよ。しかし、現実問題としては、ずっと二十数年かけて下げてきていますから。行き着くところまで行ったなというぐらい下がってきているんです。

 いずれにいたしましても、私ども、記者会見で言いたかったことは、基本的には金利というのはマーケットで決まるので、いかにも何か政府で決めるとか、何か介入して決めるかのごとき話をするので、これはなかなか予測しがたいものなんだということだけまず頭に入れておいていただかないと、何でこんなに金利が上がるんだか、何で金利が下がるんだかわからぬという話になりますので、今後は、アベノミクスというのが効果があらわれて、デフレ不況というものから脱却することに成功した場合は、間違いなく金利は上昇していくというのは、景気が上がってきてそういう状況になれば、金利が上がっていくリスクは間違いなく出てきますよ。そのためには、財政というものの足腰はきちんとしたものにしておかないといかぬということが私どもの一番申し上げたかったことなんです。

 いずれにしても、財政健全化と景気というのは非常に相関関係がありますので、私どもとしてはやっておかないかぬところだと思っております。

 最後に一点、数字だけ。

 さっきの国債の外国人の保有比率というのは、今、一番最近の情報で、九%になっております。さっき十何%と申し上げましたが、これは今九%まで下がってきております。訂正させていただきます。

丸山委員 なぜ金利が上がらないかというのはいろいろな御議論がありますし、ここでまた議論していくこともあるとは思いますけれども、一つに、ある説の中では、日銀が国債を買い支えているからだという説もあります。

 そういった意味で、たしか先日も十年国債の入札、テールが、少し前々回よりは幅が縮小したという話はありましたけれども、予想以上によくないんじゃないかという市場の話もありますので、このあたり、非常に、金利がどうなるかというのは皆かなりセンシティブに見ていますので、御発言等を含めまして、きちんと御説明いただくように、よろしくお願い申し上げます。

 そういった意味で、日銀の方にもきょう来ていただいてお話を伺いたいなと思っているんですけれども、これも、御発言というか、お話をされたかどうかをまずお伺いしたいと思います。

 二月十二日の経済財政諮問会議で日銀総裁が、財政の信認低下に伴うリスク、先ほど来少し議論させていただいているところも含めてだと思いますけれども、こういったところをかなり強目にお訴えされたという記事が出ておりまして、一方で、議事録が発表されているんですけれども、そこの部分は、そんな形でされたというふうには大きく書かれていないんです。

 このあたり、報道について、まず、こういう御発言、強く、かなりの時間を使ってお話をされたのかどうか、これが事実かどうかを総裁にお伺いしたいんです。それに伴いまして、先ほど来少し大臣とも話をさせていただきましたけれども、国債金利の高騰リスクに関して、今、日銀総裁としてどのように捉えられているのか、お答えください。

黒田参考人 ただいま委員御指摘の、二月十二日の経済財政諮問会議におきまして私から申し上げた点は、持続可能な財政構造を確立するということは国全体として取り組まなければならない課題であって、財政健全化目標の達成に向けて、具体的な計画を政府は夏までに策定されるというふうに伺っているわけですけれども、ぜひそういった具体的な計画を策定していただくことが重要であるという趣旨のお話を申し上げました。

 なお、委員御指摘の、長期金利がどうなるかという点につきましては、長期金利は、御承知のように、経済・物価情勢に関する見通しという面もありますし、あるいはさまざまなリスクに対するプレミアムという意味もありまして、いろいろな要素によって決定されると思います。こうした観点から、財政運営に対する信認をしっかりと確保することはやはり重要であると思います。

 足元で、今直ちに、財政あるいは国債に対する信認が失われるという可能性は極めて低いと思います。政府は財政再建目標の達成に向けて具体的な計画を策定しようということでもありますし、そういった可能性は極めて低いと思いますけれども、やはり財政運営に対する信認を確保していくということは、可能性は低くても、何らかのリスクが顕在化した場合には政府としても対応は非常に難しくなると思いますので、そういったリスクが顕在化しないよう、しっかりと財政の健全化を進めるということが極めて重要であるというふうに思っておりまして、そういった趣旨を、従来から申し上げていますけれども、二月十二日の経済財政諮問会議で申し上げました。

丸山委員 そういった意味で、日銀さんの方は、二%の物価目標達成の話、世間的にはどんどんずれているんじゃないかという話が出ていますけれども、一方で、これに向けて全力で今取り組まれているところだと思います。

 その中で一番気になるのは、やはり原油価格の部分だと思います。いわゆるシェール革命で構造的に下がっているんじゃないかという話もありますけれども、そう捉えたら、長期的になってくる。ただ、長期的に捉えれば日本経済にとってはプラスだという御答弁も多々ありますけれども、一方で、物価目標の達成という点においては、かなり気になるところでございます。

 この辺、実は、内閣官房参与の本田参与が御発言されていて、政策的に、将来、追加緩和を含めて必要なんじゃないかという声があるけれども、現在の物価上昇が鈍化しているのは原油価格の下落という供給要因なので、そういった意味で、需要の方のそういった金融政策はまだそういう話にはならないんじゃないかとロイターの取材に答えられているんです。

 この点、原油価格と物価目標、そして金融政策としてどのように今お考えなのか、率直にお伺いしたいんです。

黒田参考人 御指摘のとおり、原油価格がかなり大幅に下落したこともありまして、消費者物価の前年比の上昇率はずっと縮小してきております。

 ただ、従来から繰り返し申し上げておりますとおり、やや長い目で見ますと、原油価格の下落というものは、日本経済にプラスの影響を与え、物価上昇要因になってくるというふうに思います。

 また、前年比で見た原油価格下落の物価押し下げの影響というのは、いずれ剥落するわけでございます。

 この間、我が国経済は、先行き緩やかな回復基調を続けていくと考えられますので、需給ギャップはさらに改善する。さらには、中長期的な予想物価上昇率の上昇ということも背景になって、基調的な物価上昇率は着実に高まっていくというふうに見ております。

 以上を踏まえますと、原油価格が現状程度の水準から先行き非常に緩やかに上昇していくという前提に立ちますと、原油価格下落の影響が剥落するに伴って消費者物価の前年比は伸び率を高めて、二〇一五年度を中心とする期間に二%に達すると見ております。

 ただ、原油価格の動向によっては、二%に達する時期が多少前後する可能性はあるというふうに思っております。

丸山委員 政策の部分に関してお願いします。

黒田参考人 金融政策につきましては、毎回、金融政策決定会合において、その都度、政策をよく点検し、経済状況を見て結論を出し、その結果を公表文という形で示しておりますけれども、その中で示しておりますとおり、二%の物価安定目標に向けて、着実に量的・質的金融緩和を続けていく。それは、二%の物価目標を実現し、安定的にそれが持続できるようになるまで量的・質的金融緩和を継続するということであり、さらに言えば、その都度、上下双方向のリスクを点検して、必要があればちゅうちょなく金融政策の調整を行うということで、その点には全く変わりございません。

丸山委員 お時間が押してしまったので深くお話しできませんでしたが、またこの後にそれはやらせていただくということで、私、丸山穂高の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 維新の党の伊東信久でございます。

 一昨日の予算委員会に引き続きまして、麻生財務大臣に質問できる機会に恵まれたことに感謝申し上げます。

 私は、現役の医師として医療の現場に携わっておりまして、年々増加する社会保障費に対して強い不安を覚えております。社会保障制度の改革なくして財政再建は成り立たないものと考えております。

 話はがらっとかわりまして、一昨日ですけれども、アイルランドのダブリンにて、二〇一九年のラグビーのワールドカップの日本の開催地の発表がございました。私は、ラグビーワールドカップの超党派の成功議連の事務局次長として、どんどん前に進んでいくことは喜ばしく思っておるんです。

 実は、ワールドカップ、私自身もラグビーをやっていますから、それはそれで一生懸命成功させていきたいわけなんですけれども、同時に、二〇一九年の後の二〇二〇年の東京オリンピックがありまして、御存じのない皆様も多いと思うんですけれども、東京オリンピックにおきましても七人制のラグビーの大会がございますので、そのあたりをよろしくお願いしますということです。

 それと、東京オリンピック、二〇二〇年ですけれども、前回の東京オリンピックは一九六四年、昭和三十九年でございまして、先ほどの我が党の丸山議員は若い世代でございますけれども、一九六四年というのは私の生まれた年でございます。私は昭和三十九年に生まれまして、それこそ高度成長の日本の状態、オイルショック、バブル経済、リーマンと、当時はインフレばかりが話題に上っていまして、まさかデフレの話をこの場でするとは本当に思ってもみなかったことでございまして、本委員会の質疑を通して財政再建を一歩でも進めることができるように尽力をしていきたいと思います。

 さて、第二次安倍内閣は、アベノミクスを前面に押し出して、確かに、国レベルで株高、円安と、日本経済にとっては明るい材料が出ております。もちろん、累積赤字ベースで日本財政を見ますと、一刻も予断を許さない末期状況と言えるのではないか。

 麻生大臣の所信表明に、「平成二十七年度予算は、新規国債発行額が平成二十一年度当初予算以来の三十兆円台となります。また、公債依存度は約三八%に下がるとともに、二〇一五年度の財政健全化目標を達成する予算となっております。」とあります。

 確かに、単年度で見ますと、税収が上がり、借金への依存度が減少していることは明らかだと思うんですけれども、私は、選挙区は大阪の十一区というところでございまして、どちらかというと京都との県境の枚方市、交野市で、中小企業の経営者の皆様からお話をお伺いしていますと、全くもって、経営がよいという話を残念ながら聞かないのでございます。

 アベノミクスの効果が地方にじわりじわりとしみ出してきたという報道がございますけれども、実際には、地方の現場に耳を傾けたときに、アベノミクスの効果は、言葉はあれですけれども、みじんも感じないというのが現状でございます。

 そのような中、法人税の引き下げに伴い、中小企業への課税強化の一環として、資本金一億円以下の中小企業にも、午前中の質問、先般ありましたけれども、外形標準課税の検討を進めているとの情報を、報道ベースですけれども知りまして、驚きを覚えました。

 結果としましては、今回の改正においては資本金一億円以下の中小企業への外形標準課税の適用は見送られましたので、ほっといたしました。しかし、そもそも地方の経済が疲弊し切っている中でそのような議論が、火のないところにと言うのも変ですけれども、ちょっと違和感を感じました。

 外形標準課税というのは、釈迦に説法ですけれども、赤字であるか否かにかかわらず企業の一定規模によって課税しようというもので、また、課税対象も大きく広がります。

 私自身、開業医なんですけれども、医療法人の理事長をやっているんですけれども、うちの妻の実家が心斎橋の方で呉服屋をやっていまして、呉服業界もかなり下火になりまして、いわゆる小規模企業というところでして、残念ながら赤字企業でございます。

 この赤字企業が全体の七〇%を占め、法人の税負担が黒字企業に偏る現状の中で、外形標準課税は、黒字であるか赤字であるかにかかわらず、一定の行政サービスを企業が受けている以上、税負担をすべきだという考えに基づいておりまして、税の公平性の観点からは成立しますけれども、日本の経済の現状を考えるに当たり、赤字企業にはさらに負担を強いるというところでやはり問題があると考えております。

 さて、今、政府が法人税の減税と外形標準課税の両方を導入するということは、大企業の税負担を減らし、中小企業に税負担を求めるとすることと感じてしまうので、大企業優遇施策と言えるのではないかと思うんです。

 昨年末に与党がまとめた税制大綱において、中小法人課税については「幅広い観点から検討を行う。」という表現があるんですけれども、ここでお伺いしたいのは、正直、外形標準課税の範囲を資本金一億円以下の中小企業へも広げるお考えがあるのかどうか、この所管の方にまずはお伺いしたいと思います。

あかま大臣政務官 委員御指摘のとおり、中小法人に係る外形標準課税についてはさまざまな御意見があること、これは承知をしております。

 それらを踏まえて、今回の法人税改革については、今回は、国際競争を行う大法人を中心に改革を行い、また、大法人については外形標準課税の拡大を行ったところでございます。

 法人税を含めて、中小法人課税については、与党税制改正大綱において、まず、中小法人の実態はまちまちである、そうしたことから、その実態を丁寧に検証しつつ、資本金一億円以下を中小法人として一律に扱うこと、こういったことの妥当性について検討を行うというふうにされたところでございます。

 また、外形標準課税の適用対象法人のあり方について、これについては、「地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う。」というふうにされたところでございますので、これに沿って検討をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

伊東(信)委員 あかま総務大臣政務官、当初、政府参考人として青木大臣官房審議官をお願いしていたんですけれども、御不幸があって、突然の御答弁で、ありがとうございます。

 与党の理事の方からもちょっといろいろな声が漏れ聞こえていますけれども、本当に実際のところはどうなのかというところ、この辺について麻生大臣にもお願いしたいんです。

麻生国務大臣 今、あかま政務官の方からお話があっておりましたように、やはり、地域経済を支えているというのは、地域によっても違いますけれども、中小企業、零細企業の方が圧倒的にパーセントとしては大きいと思っております。

 そういった意味では、今回の外形標準課税、これは私どもの所管じゃなくて総務省所管なんですけれども、私どもから見ると、やはり稼ぐ力のある企業というものの税負担をある程度、国際競争になりますので、そこの部分は、他国に比べて、法人実効税率をヨーロッパ先進国並みぐらいのところに何とかということにして競争をということになりますが、その分だけとにかく稼ぎ出さないかぬという部分があります。

 そういった意味ですと、やはり地方の中においても、道路を使ったり、いろいろなものを公共財産という意味合いで一様に使っているわけですから、したがいまして、ぜひそういった方々もある程度の負担はしていただきたいという形のものが、多分、外形標準課税ということになるのかもしれません。

 いずれにしても、私どもとしては、稼ぐところにもっと多く稼いでもらって、その人たちが賃金を払い、下請に対する買い取り価格を引き上げ等々の形でぐるっとうまく回っていくというときに、下で支えているというところが一番肝心なところですから、その支えている人たちの企業も生産性が上がって利益が出ないと給料も上がりませんから、そこらのところも考えて、黒字企業を優遇している、弱い者いじめだとかいったことを時々あれですけれども、そういったことにならないように今いろいろ配慮をさせていただいているというのが実態です。

 今後、いろいろな形で、一年やりますと、もっとここはこう変えた方がいいとかいろいろ御意見が出たら、その段階でまた対応していかなならぬとは思っておりますけれども、いずれにしても、今の段階で、中小零細企業から、いわゆる外形標準課税を例に引けば、それを直ちにやるというような考えは総務省にもおありにならぬようですし、私どもとしてもそういった考え方を持っているわけではありません。

伊東(信)委員 余談になりますけれども、衆議院の総選挙が終わって、新年を迎えて互礼会とかで、大阪とかでも、与党の皆さんの御挨拶を聞いていると、名前は言いませんけれども、さる副大臣で、日本の経済はボトムアップはない、中小企業が潤って大企業が潤うことはない、大企業が潤うからこそ中小企業にトリクルダウンしていくんだというような発言もあったわけなんですけれども、まだまだやはり中小企業の皆さんは苦しんでおりますし、希望の光も見えていない状態でございますので、できれば、もっと中小企業の経営者の皆様に耳を傾けていただければと思います。

 さて、続きまして、住宅市場に関する質問をさせていただきたいわけなんですけれども、このたびの税制改正大綱におきまして、住宅ローン減税の拡充措置の延長が決定されました。このことは大賛成でございます。

 先ほどの外形標準課税にも当てはまりますけれども、アベノミクスの効果はやはりまだ個人には行き届いていない、幾ら減税しても住宅市場の活性化にはつながらないという意見があることも承知していますが、やはり、GDPの六割を占める個人消費を活性化することが景気回復の実感が湧いてくるというポイントではないか。そのためには、住宅市場の活性化は大きな役割を果たします。

 政府の少子化対策にもありますように、今の若い夫婦の中には、子供を持つことに対する不安から子づくりに積極的でない、そういった御夫婦もおられるとお聞きしております。そこは、政府が子供を産んでも安心して育てることができる環境整備を行うべきと考えております。

 住宅取得にも似たような構図があると考えておりまして、今の若い世代の皆さん、やはり不安なんですよね。何千万もする住宅、人生において、いろいろな方々がおられますけれども、大きな借り入れというか借金、ローンを組むというのは住宅のときに初めて遭遇、もしくは住宅のときだけという場合もあります。不安だから産めない、不安だから何千万の借金もしないというこのような状況では、やはり日本の未来としては暗いものを感じる次第でございます。

 何千万も借金をする若い夫婦の不安を取り除いてあげる、そういうことの積み重ねが景気浮揚につながるはずだと私も考えているわけなんですけれども、この住宅ローンの拡充措置の延長というのは、今回、非常にすばらしい御決断だとは思います。

 そこで、御質問なんですけれども、住宅の速やかな需要喚起を促す、そういう意味で一年半という小幅な延長にとどまったと推測するわけなんですけれども、今申し上げましたように、若い御夫婦の不安を取り除くという観点から考えると、この住宅ローン減税の恒久化であるとか、少なくとも十年延長を考えるとか、こういったような御議論はございませんでしょうか。

麻生国務大臣 これは、伊東先生、住宅ローンの減税というのは、消費税率の引き上げ五、八、一〇というのに伴います駆け込み需要というのがこの間の一―三月に起きたのと同じように、そういった反動減というのが予想されますので、そこで、あらかじめ、本年の十月から上がる予定でしたので、その前にということで、二十五年度の改正で手当てをした、今年度に合わせてしてあったものであります。

 今回の適用期限の延長というのは、消費税率の一〇%引き上げが再来年まで延びましたものですから、そこで、これも現行制度を延ばして、平成三十一年の六月三十日まで一年半延長をさせていただきますということにしたものであります。

 今、拡充、恒久化というお話等々があっておりましたけれども、現行制度がもう既に消費税率の一〇%引き上げまでを見越して手当てしたものでもありますので、住宅市場にかかわる対策としては十分ではないか、拡充という点に関しては。

 恒久化は、これは反動減対策にしておりますので、いつでも大丈夫ということになると反動減対策に全然ならなくなりますので、期限を恒久化させるということに関しましては、いかがなものかというような感じはいたします。

伊東(信)委員 私、医療というか、クリニックをやっているわけなんですけれども、幾つかのクリニックのうち、大阪のクリニックは自費診療をやっておりまして、確かに、五%から八%、消費税が上がるときに、うちのクリニックも駆け込み需要がございまして、逆に、春以降、反動減でえらい目にも遭いましたので、反動減に関しておっしゃることはよくわかるわけなんですけれども、若い世代にできるだけ希望を与えるという対策として、この住宅ローンの減税の恒久化、あとは本当に方法論になると思うんですけれども、また御検討いただければと思います。

 続きまして、関連したことなんですけれども、平成二十六年度の補正予算におきまして、フラット35Sの金利引き下げの幅の拡大が行われました。

 目的としては、住宅取得者の住宅ローンにかかわる負担を軽減することにより、消費者の需要を喚起し、住宅投資の拡大を図るというものでして、こちらも、住宅取得者の不安を取り除くといった意味合いで非常に大切な施策だと考えております。〇・六%の優遇は当初五年間、長期優良住宅などの特に性能がすぐれた住宅ですと当初十年間となります。

 先ほどから申し上げていますように、住宅取得者の背中を後押しする制度だと感じておる次第でございますけれども、財源が本当に限られている。それはよくわかっておりますけれども、フラット35Sの金利の引き下げ幅の拡大に関しても、先ほどの質問とよく似ていますが、恒久化を視野に入れてみてもいいのではないかなと思うんです。お答えいただければと思います。

菅原副大臣 伊東先生のお話にあったように、若い世代の住宅取得に関する施策の一環として、これは独立行政法人の住宅支援機構が行っているフラット35Sでございますが、今般の経済対策の一環として、マイナス〇・三であったのを、さらに深掘りをしてマイナス〇・六と引き下げたわけであります。こうした中で、国交省の試算としては、四万戸以上の住宅供給につながる、こういうふうに見込んでいるわけであります。

 今お話にあった恒久化ということについてはまた今後の税制等の議論になろうかと思いますけれども、我々財務省として予算を所管し、そしてまた独立行政法人の行う事業に関しても監督をするという立場においては、金利を下げますと、一・〇七であったこの経済対策前が、今般〇・七七となるわけなんです。

 そうすると、我々が何をもう一つ考えなければいけないかというと、金融機関の民業圧迫を招いてはならないということにも腐心をしているところでありまして、実際、都銀レベルでいうと、大体〇・七七五。民間の金融機関の変動金利の住宅ローンの利率が〇・七七五なんですね。今回、下げて〇・七七というのが住宅支援機構であります。そうすると、これまでもフラット35Sにおいて民間の金融機関の金利を下回ることがないように努めてきたわけでありまして、その辺との兼ね合いもあります。

 あわせて、住宅市場の活性化や若い世代への住宅供給ということを考えますと、この金利引き下げのほかにも、省エネ住宅に関するポイント制度を実施するといったことを含めてさまざまな対策をもって、活性化策全体で合わせて五万戸以上の住宅着工の押し上げ効果ということも見込んでおりまして、先生のおっしゃること、お気持ちはよくわかりますが、実際として、政府として、あるいは財務省として、国交省として、そうした面からも取り組んでいかなければならないということを御理解いただければと思います。

伊東(信)委員 財源の話もありますし、金融機関のお話もありますし、バランスというのが非常に大事というのはよくわかります。

 では、住宅の施工会社から声を聞きますと、フラット35Sの中身自体はやはりざくっと包括したものでありまして、もう少し細分化も視野に入れていただければいいのではないかという声をよく聞きます。

 フラット35Sは、耐震性とか省エネ性とかバリアフリー性とか耐久性・可変性にすぐれた住居に対して適用されますけれども、この四つのカテゴリーの中で住宅を建築した場合、同じ優遇金利であるのにもかかわらず、現実の建設費用に関してはかなり差が出てしまうのが難点の一つだと思います。

 次なる改正時には、フラット35Sを、この内容に関してディテールを考慮していただいて、〇・六%の優遇にするのではなく、やはり濃淡をつけていただいた方が使い勝手もいいし、住宅施工会社にとっても消費者にとっても国民の皆さんにとってもいいのではないかと思うんですけれども、そのあたりに関して何か御所見がございましたら、よろしくお願いいたします。

菅原副大臣 今般のフラット35Sの金利引き下げに関しまして、国費として一千百五十億計上しているんですね。先ほど申し上げた省エネ住宅のポイント制度に関しても、八百五億。大体一千九百五十五億程度の住宅市場活性化のための予算をとっております。

 これをまずしっかり実効あらしめ、そしてその効果も検証しながら、さらにどう考えていくのかということでありますが、前段でありました優良住宅のカテゴリー等、きめ細かな濃淡をつけるというお話も私も理解をするところでありますが、実際、これは、所管省庁である国交省、きょうはお呼びいただいていないようでございますが、その中での検討ということになろうかと思います。

 そうしたことも踏まえて、国交省からこの委員会なり当該の委員会なりあるいは財務省等へお話があれば、それはそれでまた協議をしていきたい、このように考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実はこの質問に関しては通告をいたしておらなかったんですけれども、お答えいただいてありがとうございます。とはいうものの、各省庁間でお話があれば検討しますということをお答えいただいたことはありがたいと思っております。

 時間ももうそろそろなくなってきたんですけれども、あと一問、二問いけるかなというところです。

 では、続きましては、もうちょっと私自身は期待していたんですけれども、期待したほど進んでいないNISAについて御質問をさせていただきたいんです。

 現行のNISAは、二〇一四年一月、本当に始まったばかりでございます。利用者の大半が中高年の投資経験者で、二十代から三十代の利用は約一割程度にとどまっていると聞いております。こういった施策としては、できれば若い世代に幅広く浸透していけばという思いもあるかと思うんですけれども、このたびさらに創設されたジュニアNISAは、高齢者から若年層へ、預貯金から株式などへの資金シフトを後押しするという、今申し上げた私の目的と合致していると理解はしております。

 さて、我が党の中でもそうなんですけれども、ジュニアNISAに関しては、未成年が投資をするのはまだ早い、もしくは、働かないで金もうけのことしか考えないようになると、まるで投資が悪いかのような意見も聞いたりもするんですけれども、マイナスの意見もあることも事実です。しかしながら、私個人としましては、経済を理解する、そういった一つの手法としてもよい試みだと感じております。

 一方で、いろいろな、これはちょっと文科省とか教育の話にもなりますけれども、未成年が投資に携わるにはきちんとした投資教育が必要であるとも考えておりますし、例えば、定年退職された銀行員の方や証券マンの方に投資教育を未成年の方にしてもらうというような、そういった案も必要なのではないかなと私自身考えております。

 そこで、このジュニアNISAの創設に関しまして、私個人としては賛成なんですけれども、同時に、であるのならば未成年者への投資教育というものも必要だと考えておるんです。そのあたり、麻生大臣のお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 今、ジュニアNISAの話があっておりましたけれども、先ほどの御質問の中にもありましたように、日本の場合は個人金融資産が一千六百五十兆。ちょっと薄気味悪いほどの巨大なお金が、たんす預金と別に表で、一千六百五十兆に及ぶ個人金融資産というものがあります。そのうち八百六十兆ぐらいが個人の持っておられるいわゆる現預金、キャッシュでお持ちです。金融資産の半分以上もキャッシュで持っているというのは、世界じゅう、多分先進国の中で日本だけだと思いますが、現金に対する非常に強い思い入れがおありなんだと思います。

 これはやはり、金利が〇・何%という話ですから、お金を置いておいたってほとんど金利はつかぬわけですから、それを成長資金に回してもらうということが大事だということから、NISAという、余り投資になじんだことのない方々にということでこの話をスタートさせていただいて、思ったよりこの資産はざあっと、ことしから若い方にもということで八十万円という形でさせていただくことになるので、今言われましたように、今風の言葉で言えば金融リテラシーというんですかね、そういったものの教育をという御意見は全く正しいと思っております。

 今、高校とか大学の入学の教育に関しても、最低限身につけるべき金融リテラシーの内容ということで項目別にいろいろやっておられる、講師の派遣等々を実施しているんですが、一つの例として、日本政策金融公庫、昔の国民金融公庫か何かが合併してできた日本政策金融公庫というのがあるんですが、ここで高校生ビジネスプラン・グランプリというのをやっております。高校生にさせております、政策金融公庫がですよ。そして、次世代を担う人たちに、とにかく企業を起こす教育をということをやっておるわけです。ちょっと昔じゃ考えられぬけれども、とにかくやっておるわけです。

 現実はどうなのかというと、一昨年からスタートさせているんですが、昨年に第二回をやっておりますが、一千七百十七件がその中へ応募してきて、学校数でいえば二百七校が応募しております。ビジネスプランを作成して、それをサポートします。そのためには、アイデアはいいけれども総務がだめとか経理がだめとか営業がだめとか、ちゃんとバランスよくというようなことを教えているんだそうです。私、聞いた話なので、ちょっと見に行ってみないかぬなと思っているんですが。

 そういったことをやっている例がありますので、今言われたような、投資のプランなんかというものも一つの方法で、こういった訓練を、若いときから親しんでおく、なれておくということは、逆に言えば、ある程度、若いころにいきなりおやじやじいさんが亡くなって、ごそっと金が来たときにちょいとつけ入られて、うまいこと株式なんかに取り込まれるというようなことを未然に防ぐという意味からも、私はこういったのはすごく大事なことなんじゃないのかなというような感じがしますので、一考に値すると思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。そういった政策金融公庫の施策というのを私もちょっと存じ上げなかったので、申しわけないんですけれども。

 ただ、先ほど文科省の話をしましたけれども、もちろん制度としての議論はあると思いますけれども、知っていて悪いことはやらない、知っていて危険なところに行かないというのが大事ですけれども、やはり残念なのは、知らないことによるリスクということです。

 コミックベースですし、大臣は答弁されなくてもいいんですけれども、「ドラゴン桜」の三田紀房さんという漫画家の方の「インベスターZ」という、これは灘なのか開成なのか、どこの高校がモデルかわからないんですけれども、東京大学にどんどん入れていくような高校の毎年トップの成績の人間が投資部という部をつくって、それが各学年にいて、それが学校の資金を投資に生かして学校経営をする、そういうコミックがあるんですね。御存じですか。さすがですね。多分知っておられると思って質問したんですけれども、そうなんです。

 あれはクラブ活動であって、自主的なものなんですけれども、こういったコミックができて、それがヒットになるということも、割と国民の皆さんの意識もそういうぐあいに広がってきつつあるのかということで、こういったジュニアNISAをするのであれば、それをきちっと教育するというのも必要なのではないかと思っております。

 質疑時間が終了いたしましたので、今回は社会保障、医療に関しての質問をすることはできなかったんですけれども、またの機会によろしくお願いいたします。

 終わります。

古川委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

古川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。委員会での初質問をさせていただきます。

 麻生大臣はきのうの所信表明で、「日本の財政は極めて厳しい状況にあり、引き続き、歳出歳入両面における最大限の努力を行わなければなりません。」と述べられました。ところが、来年度予算案では、軍事費は戦後最大となっております。

 きょうは、まず、年末の財政制度審議会の建議をもとに、軍事費について伺いたいと思います。

 きょうは、資料を配付させていただいております。一番初めに財政審の建議を載せておきましたが、防衛省が昨年夏に出した概算要求についてこう言っております。「二十七年度概算要求における歳出予算、新規後年度負担のような大きな伸びでは、今後とも安定した防衛力整備を継続することは困難であり、中期防衛力整備計画との整合性すら疑問である。」こう批判しております。

 麻生大臣、財政審がここで指摘している「中期防衛力整備計画との整合性すら疑問」、これはどういう意味でしょうか。

麻生国務大臣 昨年の八月末に提出をされました防衛関係費の平成二十七年度の概算要求は、対前年比、歳出予算でプラス二・四%、新規後年度負担でプラス三二・四%ということになっております。

 他方、一昨年末、平成二十五年の十二月に策定されました中期防衛力整備計画、いわゆる中期防では「本計画の下で実施される各年度の予算の編成に伴う防衛関係費は、おおむね二十三兆九千七百億円程度の枠内」とされております。御存じのとおりです。これは、中期防の対象経費の伸び率が対前年比で平均プラス〇・八%となることを意味しております。

 お尋ねの財政審の建議というのは、平成二十六年十二月二十五日の記述だと思いますが、こうした事実を背景として、防衛省の概算要求における伸び率が中期防におけます伸び率を大幅に上回っていたことを指摘されたんだと思いますが、平成二十七年度、今提出しております予算は、防衛省関係は四兆八千二百二十一億円でありまして、プラス〇・八%となっておりますのは御存じのとおりです。

宮本(徹)委員 先ほどお話があったとおり、中期防衛力整備計画は毎年平均〇・八%の増、だけれども概算要求は二・四%の伸びだったということでありました。

 来年度予算案は概算要求からは若干減らしましたが、私は、財政審の言っている「中期防衛力整備計画との整合性すら疑問」という指摘は、二〇一五年度防衛省予算案についても当たるものだというふうに考えております。

 資料の二ページ目、ごらんいただければと思いますが、防衛省の提出資料です。

 二〇〇六年度から二〇一三年度までは、物件費、契約ベースで二兆五千億円台から二兆七千億円台を行き来していました。ところが、安倍政権のもとで、二〇一四年度は契約ベースで二兆九千百九十九億円、そして二〇一五年度予算案では三兆二千九百十七億円と急増しております。これに伴って未来へのツケ回しである新規後年度負担も、二〇〇六年度から二〇一三年度までは一兆六千億から一兆七千億円台だったものが、二〇一四年度予算では一兆九千四百六十五億円に、さらに来年度予算案では二兆二千九百九十八億円と急増しております。

 聞きますけれども、新規後年度負担が急増しているわけですが、一体、どういう兵器を購入する契約を行ってこんなにふえているんでしょうか。

左藤副大臣 今の御質問でございますが、平成二十七年度予算においては、国庫債務負担行為として契約を予定している主な装備品は、水陸両用車三十両、ティルトローター五機、潜水艦一隻、それからF35A戦闘機ですが、六機でございます。これを挙げております。

宮本(徹)委員 それ以外にもたくさん買っているわけですけれども、水陸両用戦闘車だとか、ティルトローターというのはオスプレイですよね、アメリカの海兵隊が使うような兵器を含めて、新たな購入の契約をどんどん行っているわけであります。

 そして、この新規後年度負担の急増は、当然のことながら、二〇一六年度以降の防衛省予算にも大きな影響を与えることになります。防衛省予算では、過去のツケ払いのツケの部分、歳出化経費と言っておりますが、この歳出化経費は、二〇一三年度までは一兆六千億円台だったものが、二〇一四年度予算からは、前年から五百六十億円もふえ、一兆七千百七十四億円になっております。そして、来年度予算では一兆七千百八十二億円というふうになっております。

 歳出化経費がどんどんふえているわけですが、麻生大臣、この歳出化経費は、二〇一六年度以降はどうなる見通しでしょうか。

菅原副大臣 毎年こうして積み上げをしているわけですが、二〇一六年度以降というのは、今回、二〇一五年、平成二十七年度予算、審議をいただいておりますゆえにまだ決まっておりませんし、仮定の質問等には答えにくい、答えられないということであります。

 ただ、その上で、宮本先生御指摘の後年度負担の問題については、いわゆる歳出化経費の割合そのものが今の大変厳しい財政状況の中で経費の硬直化といったようなことにつながるとすれば、災害だとかテロだとか、現下の安全保障あるいは自衛隊を取り巻く環境は非常に日々刻々変わっておりますから、こうした運用等に支障を来すことになります。

 したがって、この後の議論にもなるかもしれませんが、例えば装備品の調達等についても適切な状況にしっかり持っていく、そうしたことが大切ではないかと考えております。

古川委員長 宮本君、委員長の指名を受けてから発言してください。

宮本(徹)委員 失礼いたしました。

 適切な状況にというお話がありましたけれども、資料の三ページ目を見ていただければと思いますが、防衛省にこれも出していただきました。来年度予算案は私たちは反対しておりますけれども、仮にこの予算でいくと、(4)のところですが、平成二十八年度の後年度負担額、年割額は一兆七千七百四億円、これは二〇一六年度分ということになります。ですから、さらに来年度予算よりも歳出化経費に当たる部分が五百二十二億円もふえるというのが防衛省の見通しということになっております。

 仮に、来年度予算案と同じ規模で装備の契約をしていったらどうなるのか、同じような割合で新規後年度負担を続けたらどうなるのかということで、防衛省に出していただいた資料をもとにグラフをつくりました。それは、資料の四ページ目を見ていただければというふうに思います。二〇一六年までは防衛省の実際の数です。二〇一七年以降はそれをもとに積み上げた数ということになりますが、四年後には歳出化経費は二兆二千億円近くに急増するということになります。これは間違いないですよね。

菅原副大臣 これは、防衛省の提出した資料でありますから、このとおりだと思います。

 ただ、二〇一六年以降については、先ほども申し上げたように、仮にというお話でございますので、御質問にお答えするわけにいかないわけであります。

宮本(徹)委員 仮にということで私はグラフを出したわけですけれども、それぐらいことしの装備品の購入の規模、契約の規模というのは大軍拡予算になっている。こういうことを続けたら、際限のない軍事費の未来にわたって大膨張につながっていくということだと思います。そういう認識を麻生大臣はお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 私も言われてから立ちますので、あなたも言われてから立つようにした方がいい。

 今の政権におきましては、もう御存じのように、日本を取り巻いております安全保障の環境が一層厳しさを増しておる、私らはそう考えておりますので、この状況を踏まえて、防衛関係費を増加させざるを得なくなってきているんだ、そう理解をしております。基本的な考え方です。

 平成二十七年度予算におきましても、平成二十五年十二月に作成をいたしました中期防衛力整備計画の対象となります経費について、同計画に定められております平均伸び率、プラスの〇・八%、約三百八十三億円を手当てしたところであります。

 政府として、引き続き、この中期防衛力整備計画を踏まえて予算編成を行ってまいりたいと考えております。

菅原副大臣 大変失礼しました。先ほどの答弁で、防衛省の出した資料より宮本事務所で作成ということでございますから、どおりで伸びているなということであります。

 したがって、先ほどもお話し申し上げましたように、御指摘の歳出化経費、これが膨れ上がるということは本来的な自衛隊の運用等に支障を来すことになりますから、財務省といたしましても、その必要性や効率化といった余地について十分に検討して、適切な装備品の調達になるよう、かつ持続的な防衛力整備が可能な水準で対応できるように努めていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 中期防を踏まえてという答弁を麻生大臣の方からいただきましたけれども、実際は、当年度予算の見かけをできるだけ小さくするために、ツケ払いという形で後年度負担をどんどんどんどん膨らませているわけであります。これは、どこかで払っていかなきゃいけない、国民に対する大きな負担、国家財政に対する大きな負担になっていくわけであります。

 安倍政権以前は、十年間、軍事費は削減傾向にありました。安倍政権になってから軍拡にかじを切ったわけであります。

 麻生大臣、安倍政権以前の十年間はなぜ軍事費を削減し続けていたのでしょうか、理由をお聞かせください。

麻生国務大臣 私の前の政権を含めまして、国際情勢に対する考え方というもの等々が、今のような状況、緊迫感が上がっているような状況には少なくともなかったという御判断がおありだったんだと思います。

 私どもの場合は、少なくともそういった意見がいろいろ出されているころでもありましたけれども、それほどいろいろな形で、明確な形でいろいろな脅威が増してくるという状況にはありませんでしたし、防空識別圏がいきなり全く関係なくぽっと決められるとか、そういったようなこともありませんでしたし、私どもとしてみれば、今のような状況が出てくるというのであれば、それに合わせて当然のこととして防衛力の整備を励まねばならぬ、自国の防衛のためには当然のことだと存じます。

宮本(徹)委員 中期防衛力整備計画は、これ自体は閣議決定なわけですよね。二十三兆九千七百億円程度の枠内にするというのは閣議決定なわけですよ。

 いろいろ言いますけれども、当初予算だけでも、二〇一四年度は二・八%の増、二〇一五年度は米軍再編費まで含めれば二%の増。先ほど示しましたように、二〇一六年度も後年度負担の伸びだけで五百二十二億円、一%以上の増ということになってまいります。

 ですから、中期防衛力整備計画の毎年〇・八%、これ自体、私たちは許されない軍拡だと思っていますが、それをも踏み越えるというのが続いているわけですよ。こんな状況では、中期防の二十三兆九千七百億円という枠内を超えるんじゃないですか、麻生大臣。

麻生国務大臣 言っておられることは基本的にさっきの質問の内容と同じでありますから、お答えもほぼ似たようなことにならざるを得ないと存じますが、少なくとも、私どもとしては、日本を取り巻く安全保障の環境というものを考えたときには、それに合わせて対応していくというのは当然のことなのであって、中期防衛力整備計画の対象となっております経費につきましては、定められた伸び率に合わせて今手当てをし、ことしもそのとおり、〇・八%という形で手当てをして、今回予算の提出をさせていただいておりますのは御存じのとおりであります。

 今後とも、予算編成というものは、時代時代、いろいろな緊急事態もあろうかと存じますが、私どもとしては、この整備計画に基づいて予算編成を行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 ですから、その二十三兆九千七百億円でやる、中期防でやるとおっしゃられますけれども、今のペースでいえば、必ず超えるペースなわけですよ。もしこの枠内でいこうと思えば、二〇一六年度以降削らない限り二十三兆九千七百億円の枠内にはおさまらないというのは、足し算、割り算すればすぐ出てくる話であります。そういう認識はありますか。

麻生国務大臣 後年度負担の範囲について、先の話で、単純計算すればという話がございましたけれども、それはそのときになって、今から一年ありますので、それまでの間いろいろなことが考えられますので、今の段階から、かくかくしかじかになるじゃないかという一方的な決めつけの話に、さようでございますと申し上げることはありません。

宮本(徹)委員 いや、一方的な決めつけじゃなくて、今までの予算を足して割ればわかる話であります。

 軍事費が増大したら、その分、当然、暮らしのための予算を圧迫することになるわけですよ。大臣も御存じのとおり、今、東京では保育園が足りないと、区役所の前でお母さんたちが、乳飲み子を抱っこしながら、保育園へ入れてくれというふうに声を上げております。特養ホームに入れずに、老老介護も広がっております。こんな中で、閣議決定の二十三兆九千七百億円すら踏み越えて軍拡していくことは絶対に許されないということを申し上げておきたいと思います。

 そして、脱法的に軍事費をふやしていると私は思っているのが、補正予算です。二〇一三年度の補正予算では一千百九十七億円、二〇一四年度の補正予算では二千百十億円も防衛省予算が計上されております。先日成立した二〇一四年度の補正予算を私も見ましたが、二〇一五年度の概算要求の中身を相当盛り込んでおります。輸送ヘリの改修費やNBC偵察車の取得など、挙げると切りがありません。

 それで、東京新聞の報道を見ますと、一月十四日付ですけれども、防衛省は、この補正予算分の防衛費というのは、中期防の二十三兆九千七百億円には原則カウントしないんだというようなことを言っていると報道されておりますが、これは事実でしょうか、麻生大臣。

麻生国務大臣 新聞を拝見しましたが、二十六年度補正予算に計上した防衛関係費予算には、米軍再編関連経費や政府専用機など、その性質上、中期防に含まれていない経費も入っております。これらは、当初予算に計上された場合でも、中期防にはカウントされることはありません、政府専用機ですから。主要装備品の取得などは、当然中期防対象経費の範囲内として扱われることになろうと存じます。

宮本(徹)委員 では、米軍再編費そして政府専用機は入らないけれども、それ以外は基本的に中期防の二十三兆九千七百億円に、枠内にカウントしていくということを確認させていただいてよろしいですね。

麻生国務大臣 主要装備品のという点を申し上げたと存じます。

宮本(徹)委員 主要装備品以外も、防衛力整備にかかわる部分は当然中期防の部分に数えるべきだというふうに私は思います。

 そして、私、二〇一四年度の補正予算を見て驚いたんですけれども、資料の五ページ目をごらんください、数年前から建造中の潜水艦や護衛艦の建造費の後年度負担分、二十七年度負担分を二十六年度分に繰り上げております。これは一部しか載せていないですけれども、四隻で合計約二百億円分あります。

 後年度負担分というのは、ただの分割払いなわけです。この単なる分割払いを一年前倒しして支出しても、仕事や雇用を新たに生むわけではないのは当然であります。

 ところが、一四年度の補正予算の予算書では、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策の一環」というふうに書かれております。分割払いの前倒しが経済対策になるということなんでしょうか。

菅原副大臣 御指摘がありました平成二十六年度の補正予算の前に、今お話があった、十二月末にまとめた緊急経済対策をベースに補正も組むわけであります。

 その緊急経済対策、委員もよく御案内のとおり、中身を見ますと、生活者、事業者への支援、地方の活性化とともに、災害・危機等への対応、そして安全、安心な社会の実現を目指すということが盛り込まれております。

 現下の日本を取り巻く諸情勢、そしてテロ、昨年連続的に起きた自然災害、こうした環境を見ますと、国民の命、生命を守るということは安倍政権の目下の最重要課題の一つであります。

 その中におきまして、お尋ねのあった潜水艦等は、この着実な整備によって我が国を守る、国民を守る、その自衛隊の安定的な運用体制を確保するものとして安全保障上の観点から極めて重要であり、経済活動を行うのは国民であります、その国民の安心、安全につながるという意味においては、この緊急経済対策の骨子にのっとったものと考えております。

宮本(徹)委員 全く経済対策にはならない。危機への対応だ、テロへの対応だということを言いますけれども、別に、これを一年前倒しして払ったからといって、一年早く潜水艦や護衛艦はできるわけでもないわけですよ。全く説明になっていないというふうに思います。

 念のため御確認しておきますけれども、先ほどの麻生大臣の説明でいえば、さすがにこの潜水艦や護衛艦の建造費の後年度負担分の繰り上げ払いは中期防の枠内にカウントするということでよろしいんですね。

菅原副大臣 御指摘の、艦艇の建造などの主要装備品の取得等については、中期防の対象として扱われているものと考えております。

宮本(徹)委員 確認させていただきました。

 とにかく、私、もう一度指摘しておきますけれども、主要装備品以外の装備も中期防にカウントすべきだということを重ね重ね申し上げておきたいというふうに思います。

 さらに進みます。

 財政制度審議会の建議では、さらにこう言っております。一ページ目ですね。

 防衛装備品に係る経費それ自体の特性として、氷山のような構造となっており、最上部の装備品の取得、建造にのみ焦点が当たりがちであるが、下部にはその後の多額の整備維持費が付随することになっている。このような状況にあって、一般に、後年度における負担が増大した場合、厳しい財政事情のもとでは、経費の硬直化を招き、自衛隊の運用などに支障を来すことになる。したがって、過度な装備品などの調達に走ることなく、持続的な防衛力整備が可能な水準で対応すべきであるとしております。

 ここで言う経費の硬直化というのは、どういう意味でしょうか。

菅原副大臣 この場合の経費の硬直化とは、限られた予算の中で、後年度までにおける負担が増大をして歳出先が既に決まってしまうということによりまして、先ほど来お話し申し上げているとおり、安全保障上の昨今の情勢、大災害等が続発した場合、さまざまなことが考えられますから、そうした時々の政策課題に適合した柔軟な防衛予算を編成することが困難な状態にあるということを想定しております。

宮本(徹)委員 つまり、自衛隊を維持する政府の立場から見ても、後年度負担がぐっとふえることというのは大変な事態だということであります。

 財政審の資料を六ページ目につけておきました。財政審のグラフでも、整備維持費がずっと大きくふえ続けていることがわかります。

 今後の見通しですけれども、私は、この整備維持費の部分がさらに大きくふえていくというふうに見ておりますが、これはどうなる見通しなんでしょうか。

左藤副大臣 お尋ねの増大について、その原因も含めてお答えを申し上げたいと思います。

 いわゆる整備維持経費は、修理費に相当するものと承知しております。この修理費については、近年の防衛装備品の高度化、複雑化等に伴い、これまで増加傾向にございます。

 防衛省としては、装備品の定期修理間隔の延伸や、装備品の可動率向上と維持整備業務の効率化を目的としたPBLの適用拡大といった維持整備方法の見直しをすることによって、装備品の修理費の合理化また効率化も進めておるところでございます。

宮本(徹)委員 兵器が高度化、複雑化して修理にもお金がかかるという説明でございました。兵器自体、年々、いろいろな種類のものも高額になっていっているわけです。

 我が国の今の財政状況からいったら、もう既に、このグラフは装備が過剰になっているということを示しているというふうに私は思いますが、麻生大臣はそう思いませんか。

麻生国務大臣 別に思いませんけれども。

 近年の防衛装備品というものについては、これは御存じのように極めて高性能化しておりますので、昔の武器、そういったようなものとは今の装備品は全く違った極めて性能の高いものになり、かつ複雑化しておりますので、当然のこととして取得価格も高騰する、そして維持管理のコストも必然的に高くなっているということだと思います。

 厳しい財政事情の中では、必要な装備品というものを確実に取得し、適切な維持、運用を行う、一層の効率化を図る取り組みは不可欠、これは当然のことなんですが、こうした観点から、長期契約制度を導入してもらうことによって一括にやらせてもらうことによってコストの全体を下げる、また、民生品の使用を促す、仕様の見直しをやる等々のことを行うことによって約一千五百三十億円の節減効果が見込まれることとなっております。

 いずれにいたしましても、防衛関係費につきましては、先ほどもたびたび申し上げてきましたように、日本を取り巻きます安全保障の環境が一層厳しさを増しているという状況を我々は踏まえて、その必要性をしっかり精査いたしますとともに、一層効率化を図ってまいらねばならぬものだと思っております。

宮本(徹)委員 一層効率化を図りながらと言いますけれども、効率化を図らなければいけないぐらい大変な事態になっているということでもあると思います。

 防衛計画の大綱では、さらにイージス艦もふやし、潜水艦もふやし、戦闘機もふやしていくということになっております。しかも、今、集団的自衛権の行使を可能とする法案の準備が進められております。仮に自衛隊を海外にさらに出していくということになれば、さらにこの軍事費が膨れ上がっていくことは明白だと思います。現に、ソマリアの海賊対策の派遣期間延長でも、補正予算で多額の支出をしております。

 今、与党協議が安保法制について行われておりますが、仮に自衛隊の海外派遣を広げれば、隊員の派遣手当、燃料代などでも相当な支出になりますが、軍事費の支出の増大はどれぐらい見込んでいるんでしょうか。

左藤副大臣 安全保障法制の整備については、現在、昨年の七月の閣議決定に基づいて与党で御議論をしていただいております。

 政府としては、法律案の提出に向けて作業中でございまして、現時点では、自衛隊が新たに求められることとなる具体的な任務や役割については確たることは申し上げる段階でございません。

 このため、新たな自衛隊を派遣することとなる地域や期間、また派遣する部隊の規模などについて何ら決まっていないことから、今お尋ねの件でございますが、お答えをすることは困難でございます。

宮本(徹)委員 当然そういう道に踏み出すことは許されないわけですけれども、財政にお構いなしに検討されているということですよ。

 もし海外に自衛隊を出していくことになれば、軍事費はますますふえていく、国民生活のための予算をさらに圧迫していくことは明白であります。昨年の閣議決定に基づいて海外で戦争する国づくりを進めれば、軍事費は、中期防の二十三兆九千七百億円をさらに大きく踏み越えていくことになります。

 二〇一五年度予算案、先ほどお話がありましたように、オスプレイ、水陸両用戦闘車を初め、本格的な海外展開能力を持つ軍隊のような装備を購入し、集団的自衛権行使を可能とする閣議決定を兵器の面、装備の面で進めるものとなっております。軍事費が過去最高になり、後年度負担が急増している大きな原因はここにあります。

 海外で戦争する国づくりを進めることは、我が国と世界の平和を脅かすだけでなく、財政状況をさらに深刻化し、社会保障や教育予算を一層圧迫することになります。

 先ほどお話もありましたけれども、麻生大臣が総理だったときは防衛費を削減いたしました。そして、麻生大臣が外務大臣だったとき、国会答弁の中でこういうこともおっしゃられておりました。戦後の、軍事費を抑えて、経済的繁栄を希求してきた政策は当たってきた、こういう議事録も残っております。

 麻生大臣、今こそ軍事予算の縮小を進めるべきではないでしょうか。

麻生国務大臣 たびたび申し上げますように、国家の安全保障というものは、自国だけで平和、平和と言っていれば平和が訪れるほど単純な世界ではありません。御存じのとおりです。したがいまして、その国を取り巻いております国際環境というものに影響されるということははっきりいたしております。

 昔、五年前、十年前と今の状況とを比較してみてください。極めて厳しいことになっておるという御自覚はおありになると存じます。

宮本(徹)委員 そういうことを言って軍事費をどんどん増大していくと、閣議決定である中期防だって超えていくことになるわけですよ。やはり軍拡と軍拡の悪循環という方向を断っていく外交努力こそ必要だというふうに私たちはかねがね申し上げているところであります。

 海外で戦争する国づくりを進める軍事費を削って社会保障と教育に回すべきだということを強く求めて、次の質問に移りたいというふうに思います。

 次に、子育て支援、とりわけ、この間の税制改正とかかわりがある問題について伺いたいというふうに思います。

 麻生大臣もきのうの所信表明で、三年目に入った安倍内閣の重要課題として、人口減少の克服に本格的に取り組む、子育て支援など日本の諸課題への対応を強力に推進する、こう述べられました。

 この四月から、子ども・子育て支援新制度の実施が予定されております。麻生大臣、この新制度で、過去の税制改正の影響で保育料が値上がりする人がたくさん出ます。

 現在、保育料の額というのは、前年度の所得税ないし住民税の額で決まっている、応能負担ということで決めているわけであります。

 子ども手当の拡充と引きかえに、所得税は二〇一一年分から、住民税は二〇一二年分から年少扶養控除が廃止されました。そして、所得税、住民税がその分ふえるということになりました。

 その際、保育料の問題について政府はどういう措置をとったのかということで、資料七ページ目をごらんください、当時、厚労省が自治体宛てに出した通知をつけておきました。

 年少扶養控除廃止で保育料などが上がらないようにということで、年少扶養控除があるものとみなして税額の再算定をもう一度して保育料を決めていく、こういうことを自治体に対して時の厚労省は求めました。

 この通知を受けて、ほとんどの自治体が、年少扶養控除があるものとみなして税額を再算定し直して、それに基づいて保育料を決めるということを二〇一四年まで続けてまいりました。この再算定をしなければ、子供が多い世帯ほど、年少扶養控除廃止による増税分が大きいので、保育料が大きく上がることになります。

 三年前、東京都内のごく一部の自治体がこの再算定を行わず、子供が四人いる家庭で年間二十万円も保育料が上がった、払えないという相談が私のところにも寄せられました。

 そこで、内閣府に聞きますが、四月からの子ども・子育て支援新制度では、引き続き税額の再算定を行うよう自治体に求めるんでしょうか。

中島政府参考人 来月から施行させていただきます子ども・子育て支援の新制度におけます保育料につきましては、実は、子ども・子育て会議におきまして自治体関係者の方から市町村の事務負担といったものが重いというお声もいただきまして、従来の旧税額を再計算させていただくという方法をそのままの形で踏襲することはいたしませんで、ただ、廃止前後で極力中立的なものとなるような形で設定をするということにしておるところでございます。

 具体的には、まず、モデル世帯とも言える子供お二人の世帯につきまして、年少扶養控除廃止前とおおむね同じ程度の負担になるように保育料の水準の設定をさせていただくということが一点。

 それから二点目は、市町村の御判断によりまして、現に入園しておられるお子様が卒園されるまでの間は、再計算を行っていただくことによって従来と同じ保育料としていただくことも可能だという経過措置を講じさせていただいております。

 そして、その場合は利用料負担が軽減されますので、給付費が膨らみます。その膨らむ給付費についても、所要の国庫負担をさせていただいて支援させていただく、そういう制度の仕組みとさせていただくことといたしております。

宮本(徹)委員 今説明がありましたように、今度の新しい制度では、今までやってきた年少扶養控除廃止前の税額を再算定することはやらないということであります。極力中立になるようにということのモデル世帯は、今お話がありましたように、二人の世帯ということになります。こうすると、子供が三人、四人という多子世帯は中立にならないわけですね。値上がりするわけですね。

 三人、四人とお子さんがいる世帯に対して中立になるように、自治体に対して求めていますか。

中島政府参考人 基本的には、市町村の御判断によって経過措置として再計算をしていただくという形の道もあるということを通知させていただいておりまして、市町村が御判断をいただくことになるという仕組みとしております。

 また、新制度におけます保育料負担につきましては、別の仕組みとして、三人のお子様が全員小学校就学前の場合には、三人目のお子様については、所得の多寡にかかわらず保育料を無料とするという措置にしておりますので、そうしたケースに該当する場合もあるのではないかと考えておるところでございます。

宮本(徹)委員 いろいろ言いますけれども、まず一つは、経過措置というのはごく一部に限られるわけですよ。それが終わったらみんな上がるという話じゃありませんか。(発言する者あり)いや、違わないです。土屋さんは余り口を挟まないでくださいよ。

 しかも、三人目から無料と言いますけれども、それは小学生に上がる前の三人目が無料という話でして、極めてまれなケースですよ。三人兄弟でも、上二人が小学生だと一円の減額もない。四人兄弟で、上三人が小学生なら保育料は大きく値上がりすることは明らかであります。

 実際、先ほどの説明の中身を、自治体向けに何を出しているのかというのを資料の最後のページに載せておきました。内閣府が出しているFAQで書いてありますよ。旧税額を再計算する扱いはどうなりますかということで、再計算を行うのではなくということで、行うなと事実上言うようなことを出しているわけであります。

 その結果、自治体がどうなっているのかというので、私、都内の二十三区、二十六市にアンケートを行わせていただきました。今開催中の議会で決める自治体もかなり多くあるんですけれども、既に新年度の保育料を決めた自治体ではどうなっているかといいますと、引き続き再算定を行うという自治体は二割強であります。新たに多子世帯の軽減策を拡充した自治体というのは一割強ということであります。

 実際、自治体の決定状況を見ても、三人、四人と子供がふえればふえるほど、所得税、住民税の年少扶養控除廃止の影響が今になって出てきて、保育料が上がるということになります。これは子育て支援に逆行するんじゃないでしょうか。

赤澤副大臣 私、今、金融担当の内閣府副大臣としてきょうこの委員会に出席させていただいておりますが、今の委員の御質問には、子ども・子育て担当の内閣府副大臣としてお答えをさせていただきます。

 子育て支援の充実という新制度の理念にある意味で逆行するのではないかというお話でありました。

 ただ、先ほど中島審議官からもお話をしましたとおり、利用者負担額の階層区分の設定に係る年少扶養控除等の廃止前の旧税額の取り扱いについては、制度の実施主体である市町村の判断により、旧税額を再計算して適用する経過措置を講ずることができるようにまずしております。

 加えて、四月から施行する子ども・子育て支援新制度は、消費税財源を活用して幼児教育、保育、子育て支援の質、量の充実を図ることとしており、一〇%への引き上げを延期する中でも、必要な量の拡充はもちろん、消費税率一〇%への引き上げを前提に実施を予定していた質の向上策を全て実施するために必要な予算を確保したところでありまして、私どもとしては、全体として子育て支援の充実を大きく前進させるものと認識をしております。

宮本(徹)委員 子育て支援に必要なことは全部やりますと言いますけれども、では、三人、四人とお子さんが多い世帯の保育料を上げるのは、子育て支援として必要なことなんですか。そんなことないですよ。全くおかしな話だというふうに思います。

 大体、こういう話はどこで決まったんですか、再算定を行わないというのは。

赤澤副大臣 子ども・子育て支援新制度における利用者負担額の算定方法は、制度の実施主体となる市町村の御意見もいただきながら、子ども・子育て会議で御議論をいただきました。

 その上で、市町村の事務負担等が、制度が変わるのにずっと経過措置ということだと大変重くなるということで、年少扶養控除等廃止前の旧税額を再計算する方法などにより行うのではなく、改正前後で極力中立的なものとなるよう、利用者負担額算定のための所得階層区分に用いる市町村民税所得割額を設定したところでございます。

宮本(徹)委員 子ども・子育て会議の議論で決まったということで、国会で決めたことでもなければ、閣議で決まったものでもないということであります。

 自治体の事務負担が多いということを言いますけれども、実際、今後も、経過措置じゃなくてずっと続けようという自治体もあるわけですよ。なぜかと聞きましたら、やはりそれは子育て支援に逆行するから、自分たちの自治体は経過措置じゃなくてずっとこれからもやりますよということをおっしゃっている自治体もあります。

 武蔵村山市では、二人の子供がいる世帯の保育料を中立にするという改定をした上で、三人以上子供がいる世帯について再算定を行う。こうやれば、今までに比べれば事務負担の量はぐっと減るわけですよ。(麻生国務大臣「それは自治の問題」と呼ぶ)

 自治の問題に対して、やるなというふうに、行わないことにするというふうなことを子ども・子育て会議がこうやって自治体宛てに通知を出しているから、私は指摘をしているわけであります。

 過去の国会会議録を見ましたけれども、当時の森まさこ少子化担当相の答弁でも、子ども・子育て支援新制度における利用者負担は現行の負担水準を基本とするというふうに答弁しているわけですよ。多子世帯ほど負担増になるというのは、この答弁に反しているのは明確じゃありませんか。

 再算定を引き続き行うなど、多子世帯の保育料が上がらないような手だてを自治体に今からでも求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤澤副大臣 御指摘ではございますが、少なくとも、私どもとしては、極力中立的になるように制度設計をした上で、多子世帯について、ふえるような場合については、事務の負担も考慮しながら、自治体の判断で経過措置を講じられる、その場合は国も応分の負担はきちっとおつき合いをするということを打ち出しているわけです。

 繰り返しになりますが、この子ども・子育て支援新制度に基づく事務は自治事務でございますので、経過措置を適用するか否かは、事務的負担の観点なども踏まえ、加えて、先生御指摘のような、新制度の円滑な実施を図る観点から、それぞれの状況に応じてなされた各市町村の判断を尊重することが適切であるというふうに考えております。

宮本(徹)委員 もう質問時間が来てしまったので、麻生大臣にも最後に見解を伺いたいというふうに思っていたんですけれども、子供が多いほど保育料は現在よりふえる、そういう仕組みにしようとしながら、消費税増税は子育て世帯の支援のためだというようなことを言うのはやめていただきたいということを強く申し上げて、私の質問を終わります。

古川委員長 以上で、大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

古川委員長 次に、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案及び古川元久君外三名提出、格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 所得税法等の一部を改正する法律案

    〔本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。

 政府は、デフレ脱却と経済再生、地方創生への取り組み、経済再生と財政健全化の両立、国境を越えた取引等に係る課税の国際的調和、震災からの復興支援などの観点から、国税に関し所要の施策を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明をさせていただきます。

 第一に、デフレ脱却と経済再生に向け、法人税につきましては、税率の引き下げ並びに欠損金繰越控除制度及び受取配当等益金不算入制度の見直し、住宅取得等の資金に係る贈与税の非課税措置の延長、拡充、非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の拡充等を行うことといたしております。

 第二に、地方創生に向け、地方創生に資する投資促進税制の創設、外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設等を行うことといたしております。

 第三に、経済再生と財政健全化を両立するため、消費税率引き上げの施行日の変更等を行うこととしております。

 第四に、国境を越えた取引等に係る課税の国際的調和を図るため、国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し、国外転出をする場合の有価証券等に係る譲渡所得等の特例の創設等を行うこととしております。

 第五に、震災からの復興を支援するため、福島で事業を再開するための投資費用を積み立てやすくするための準備金制度の創設等を行うこととしております。

 このほか、財産及び債務の明細書の見直し等を行うとともに、土地の売買等に係る登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようよろしくお願いを申し上げます。

古川委員長 次に、提出者古川元久君。

    ―――――――――――――

 格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案

    〔本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

古川(元)議員 ただいま議題となりました格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 少子高齢化、巨額の財政赤字という問題を抱える中、持続可能な社会保障制度の確立とそれを支える財源の確保という社会保障と税の一体改革の重要性、必要性は変わりありません。

 しかし、一体改革に際し国民と約束した社会保障の充実、安定化、議員定数削減はいまだ実現されていません。また、安倍政権の経済政策により、過度な円安、悪い物価上昇、実質賃金の低下、格差拡大がもたらされ、国民生活は悪化する一方です。そのため、多くの国民に負担増を納得して受け入れていただける環境ではなくなってしまいました。

 そうした状況を踏まえ、国民との約束を果たすとともに、格差是正と経済成長を両立させる観点から本法案を作成しました。

 以下、その概要を申し上げます。

 第一に、消費税率の一〇%への引き上げを平成二十九年四月に延期することとしています。また、税制抜本改革法の景気判断条項を維持するとともに、消費税率の引き上げまでの間に議員定数削減、行政改革を図るための必要な措置を講ずるものとしております。

 第二に、消費税の使途に対する国民の疑念を払拭するため、社会保障目的税であることをより明確化するとともに、予算の作成に当たっては、消費税率の引き上げによる歳入の増加分を財源として、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化のための施策に係る歳出以外の歳出を増加させることのないようにしなければならないものとしています。

 第三に、国民の勤労及び資産の形成の意欲に配慮しつつ、経済的格差の固定化の防止、税負担の公平性等の観点から、個人所得課税及び資産課税の改革について早急に検討を加え、その結果に基づき、必要な法制上の措置を講ずるものとしています。

 第四に、欠損金繰越控除の見直し、外形標準課税の拡大等を財源とするなど成長戦略に反する形での法人実効税率引き下げは行うべきではないとの考え方のもと、復興特別法人税前倒し廃止の効果も踏まえた上で、雇用及び国内投資の拡大の観点から、法人の実効税率の引き下げ、社会保険料に係る事業主の負担のあり方等について検討を行うものとしています。

 第五に、消費税の逆進性を緩和する観点から、給付つき税額控除の導入について検討を加えた上で、必要に応じ、複数税率等の施策の導入について検討を加え、その結果に基づき、消費税率一〇%引き上げまでに必要な法制上の措置等を講ずるものとします。

 第六に、医療、介護等に係る消費税の課税のあり方について、消費税率の一〇%への引き上げまでに検討を加え、その結果に基づき、速やかに必要な措置を講ずるものとしています。

 第七に、我が国の基幹産業、地方の生活の足を守る観点等から、平成二十八年三月三十一日までに、自動車取得税の廃止、自動車重量税の特例税率の廃止及び車体課税のさらなるグリーン化等を実施するため必要な措置を講ずるものとしています。その際には、都道府県及び市町村の財政状況に影響を及ぼすことのないよう適切な措置を講ずるものとしています。

 以上が、本法案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

古川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古川委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官岩渕豊君、金融庁総務企画局総括審議官三井秀範君、財務省主税局長佐藤慎一君、国税庁次長佐川宣寿君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神田憲次君。

神田委員 自民党の神田憲次でございます。

 このたびの通常国会では、財務金融委員会の理事に選任をいただきました。初めての理事ということでございまして、まだまだわからない点も多うございます。どうか、大臣、副大臣、政務官の先生方、そして委員長を初め委員の先生方におかれましては、温かく御指導いただきますようにお願いを申し上げます。

 また、このたびは質問の機会をいただき、深く感謝申し上げます。

 そして、本日は、所得税法改正案の質疑ということでございまして、麻生大臣、菅原副大臣に御臨席をいただいております。公務御多忙中の折、答弁に御対応いただきますことに改めて深く感謝申し上げます。

 さて、安倍総理、麻生大臣が、二〇一四年一月のダボス会議で法人実効税率の引き下げの可能性について述べられて以降、法人税改正の機運が盛り上がりました。法人税改正の問題は、税の問題であるだけでなく、日本企業のあるべき姿、そしてグローバル経済における日本の競争戦略、国の方向性を指し示すものであると思っております。

 安倍内閣は、アベノミクスで第三の矢として民間投資を喚起する成長戦略を掲げられておりますが、日本に対する海外からの直接投資は、GDPの規模から考えましても、諸外国に比べて著しく低調と言わざるを得ない状況であるかと存じます。直接投資をもっと呼び込むことができますならば、需給の両面から民間投資の喚起に資するということにもなると思います。

 そこで、法人税実効税率の引き下げでどの程度の効果があるのか。試算によってはばらつきがございますけれども、マクロ経済的には、法人税率が一ポイント下がればおおむね二、三%程度の投資の拡大が見込まれるという数値もございます。

 安倍内閣では、総理みずからが地球儀を俯瞰する外交に取り組まれており、トップセールスを推進され、海外投資を増大させるためにさまざまな政策を打ち出してこられました。しかしながら、シンガポールの一七・〇%に代表されるような、国家間の法人税率の引き下げ競争は大変激烈でございます。我が国としても、結局のところ、法人税率に手をつけない限り投資を大幅に拡大していくことが難しいという国際投資の現状があるように思われます。

 海外から魅力的な市場として投資を呼び込むには、市場の大きさや人材の優秀さ、安定した政治と制度、イノベーションを創出する高度な技術力などさまざまな要因の総合的な魅力によって投資がなされていくわけですが、大きな柱として法人税減税は否定できないと感じております。海外からの投資を促進するということだけではなく、また、高い法人実効税率が、日本の企業、特に製造業の拠点の海外移転の一因であること、これはもう明らかなものだと思います。

 そこで、このたびの所得税法改正で、普通法人税率及び所得年額が八百万円を超える中小法人の税率、本則部分が現行の二五・五%から二三・九%へと改正され、国と地方を合わせた法人実効税率を、現行三四・六二%から平成二十七年度には三二・一一%、二十八年度以降は三一・三三%とすることとしております。当初予想されていたよりも大きな税率の軽減でありまして、市場がサプライズとして期待感を持って受けとめていたのも記憶に新しいことだと存じます。

 一方で、我が国の全法人の約七割が欠損法人でありまして、企業自体が法人実効税率の引き下げの効果を本当に実感し得るのか、一部の法人だけに恩恵が行ってしまうのではないかという懸念もございます。

 そこで、質問をさせていただきます。

 菅原副大臣、安倍内閣におきまして、このたびの法人実効税率の引き下げの効果、どのように予想され、逆にまた期待をしておられますでしょうか。

菅原副大臣 神田先生におかれましては、二十年以上の税理士としての御経験を踏まえてのお話を今るる承りまして、大変感銘深いものを覚えております。

 御指摘の今般の法人税改革につきましては、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げることによって、一部の法人に税負担が偏っている状況を改善し、より広く負担を分かち合う構造とするものとなっております。

 具体的には、法人事業税の外形標準課税の拡大や欠損金の繰越控除の見直しなどを行うことによって、財源をしっかりと確保しつつ法人税の実効税率を引き下げる。先ほどお話があったように、二十七年度に二・五一%、さらに二十八年度に三・二九%引き下げることとしております。

 こうした改革によって、いわゆる稼ぐ力のある企業の税負担を軽減する、それによって企業の収益力の改善に向けた投資が行われるように、積極的に、そのことが継続的な賃金アップや下請企業の価格転嫁の円滑化といった取り組みにもつながる、このように考えているわけでございます。

 いずれにしても、国内外から投資を呼び込む、その大きな推進策としてこの法人税改革をしっかり進め、かつまた同時に財源も確保するという二兎を得る、このことが極めて重要なことだと思っております。

 以上でございます。

神田委員 貴重な答弁、まことにありがとうございました。

 日本の財政赤字が続く中で、税収減につながりかねない法人税率の引き下げがメディアからの批判を浴びせられたことも事実でございます。また、消費税率を引き上げて法人税率を下げるということですから、消費者泣かせとか大企業を優遇していると言われ誹謗中傷を受けることもまた事実なわけです。

 その状況下で、安倍総理、麻生大臣が力強いリーダーシップを発揮されまして法人実効税率の引き下げを決断されたこと、非常に勇気が必要であったのではないかと存じます。御英断に心から敬意を表したいと存じます。

 しかしながら、減税する以上は、財政規律の面から、その穴埋めとなる安定的な財源確保が必要です。

 次の質問に移りたいと思います。

 自公の与党税制改革では、法人実効税率は二十八年度以降の税制改正においても二〇%台まで引き下げることを目指して改革を継続し、プライマリーバランス黒字化目標との整合性を確保するために、制度改正を通じた課税ベース等の拡大等により、恒久財源をしっかり確保するとされました。

 このたびの改正案では、受取配当の益金不算入、欠損金繰越控除の見直し、それから租特の見直しをすることとしておりますが、今後さらに法人実効税率を引き下げていく中で、その財源確保をどのように行っていかれるのか、お教えいただければと存じます。

菅原副大臣 今御指摘ございましたように、景気回復のための法人税の減税を行っていくためにもその確たる財源が必要であるというお話でございましたが、全くもってそのとおりだと思っております。

 二十七年度の税制改正におきましても、神田先生のお話にあったように、法人事業税の外形標準課税の拡大、これは資本金一億円を超える大法人に当てはめるものでありまして、欠損金の繰越控除の控除制限の見直し、こういった見合いの財源を確保した上で減税に資するようにしていくこととなっております。

 そして、今後数年間で法人税実効税率を二〇%台に引き下げる、こういう目標も私たちは持っているわけでございまして、そのためには、今回の税制改正のみならず、来年度以降、これは自民党あるいは与党の税調でいろいろ御議論されるんだと思いますが、そうしたことを踏まえまして、さらなる税率の引き下げのための財源の確保に向けまして、例えば、大法人向けの法人事業税について外形標準課税のさらなる拡大や、租税特別措置の見直しの推進、こういったことを含めまして幅広く検討をするものと思っております。

 その上で、私どももそれに向けてまた協議をしていきたい、このように考えております。

神田委員 菅原副大臣、御答弁ありがとうございます。

 アベノミクスによる景気回復で、細かな財源の確保に頭を悩ます必要もないほど好景気となりましたら、本当にこれほど望むべきことはないですけれども、それに期待するだけではなくて、負担が広く薄く公正になされていきますようにお取り組みいただけたらと存じております。

 先ほど副大臣の方から御紹介いただきましたが、私は税理士でありましたし、二十七年余りですか、中小企業の方々と、経営の一役を担ったり、また、決算を組んだり、悩みの相談に乗ったりということで、実業の世界で活動してまいりました。

 先ほど申しましたとおり、全法人の約七割が欠損法人というお話をさせていただきましたけれども、親しい経営者仲間の皆様方とお話をしておりますと、その経営者の方々が大変心配しておみえになるのが、法人実効税率を二〇%台に引き下げること、そのかわりに課税ベースが拡大されてしまっては、結局、経営者というのはキャッシュフローということには非常に敏感に反応します、そこの課税ベースが拡大されたことによって、かえって税の負担がふえてしまうということを心配されておられます。

 税金ですから、広く薄くといいましても、今まで課税されていない法人が課税対象になるという状況を来してしまうということは負担が大きいというのが、本当のところ、経営者の思いだと思います。そのあたり、政府、財務省としてどのように把握をしておられるのか、また、どのようにお考えになっておられるのか、御教示いただければと存じます。

菅原副大臣 神田先生お話しのとおり、地元の中小企業の経営者と胸襟を開いて話をすればするほど、情報交換をすればするほど、さまざまな声があるのもそのとおりだと私も感じております。

 そうした中で、今般の法人税改革は、先ほどもお話し申し上げましたとおり、一部の黒字企業に税負担が偏っている状況を是正し、法人課税を広く負担を分かち合う構造へと改革するものであって、稼ぐ力のある企業のインセンティブになるようにしっかりと進めていきたいと考えております。

 二十七年度の税制改正におきましては、アベノミクスの効果を全国に広げていこうとしている中で、地域経済を支える中小企業への影響に配慮しまして、先ほども申し上げたとおり、資本金一億円超の大法人を中心に改革を行うこととしております。

 ちなみに、国税庁の企業標本調査によりますと、一億円超の企業というのが連結法人を含めると二万三千六十社あります。また、一億円以下の企業が二百五十万二千九百二十四社、これは二十四年度のデータでございますが、こういう状況になってございます。

 中小企業全体で考えますと、やはり七割以上が赤字法人であるという状況の中で、個別においてもさまざま見ていかなければいけない。

 他方、大企業については、例えば、改革の一環として欠損金の繰越控除の控除限度を引き下げることによって、欠損金を抱える企業にとっては一定の影響が出てくるわけでございますから、こうした激変緩和のために、二十九年度に今の八〇%を五〇%にということなんですが、そのインターバルとして、二十七年度、二十八年度には、一旦、所得の六五%の控除ということも定まっているわけでございまして、こうした過去の欠損金を抱える大法人においても、欠損金の繰り越しによる節税メリットに頼るのではなく、早期に収益力を高めて欠損金を逆に解消して、税率引き下げのメリットが享受できるように、そういう流れができれば、このように期待をしているわけでございます。

 いずれにしても、日本経済全体の再生ということが何よりも最優先だと思っております。

神田委員 御答弁ありがとうございました。

 安倍内閣の成長戦略の基本的な考え方は、民間経済の活力をできるだけ引き出す政策を打ち、そして、そのための環境を整備するものであると思います。そのために、農協改革に代表されるような岩盤規制改革に着手して、国際的な経済連携に取り組んできました。

 今回の法人税率の引き下げの実施が、民間活力を最大限に引き出し、そのサポートをするという安倍内閣の明確なメッセージとなりまして、成長戦略への強い意思を市場や企業に与えていく、こんなことを期待しておるわけでございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 今回の改正で、新たなビジネスに対応した税制改正が幾つかありました。中でも、インターネットの商取引に代表される国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税見直しは、国内と国外の事業者の公平性を確保する観点からも必要であると考えております。

 インターネットを通じて、音楽、書籍、映像、それからゲーム、パソコンソフト、データなど、さまざまなコンテンツが国境を越えて簡単に手に入る時代に、現在の制度では、同じ商品を購入しても、提供者が国内事業者であるのか海外事業者であるのかで消費税の課税、非課税が変わるというような、不公正な状態が続いているかと存じます。

 現行法では、サービスの提供を行う者の住所に判断基準を置くということとされておりますが、このたびの改正では、サービスの提供を受ける者ということに変更されまして、日本国に居住する法人や個人が海外事業者から購入する音楽のデータ等は今後は消費税が課税されるとのことで、不公平の是正になると期待されております。

 しかしながら、サービスの提供を行う者が海外事業者であるがゆえに、政府税制調査会の制度案にもありますように、国内税務署の執行管轄の及ばない国外に所在する事業者に適正な申告納税を促すことにはおのずと限界があると考えております。

 そこで、この課税の実効性について、どのように確保していくのか、どのようにお考えなのか、御教示いただきたいと存じます。

菅原副大臣 二十年、三十年前とは違って、国の内外でさまざまな事業体、企業、法人があって、まさに国境を越えた多国籍企業というものが大変な売り上げを伸ばし、利益を得ている今日だと思っております。

 こうした中で、お話がありましたように、例えば、電子書籍、音楽、広告、こういったものをインターネット等で電子商取引に基づいて配信した場合でも、いわばこのサービスの提供者の所在地に着目をして、そうでなければ消費税が課税されないという今の現行の状況があります。

 これを、サービスの提供を受ける側の所在地に着目して、今回、消費課税をしていくというような流れになっているわけでございまして、現行、我が国の納税義務を有する国外事業者、海外の事業者は、国内に事務所を有する場合を除き、国内の居住人を納税管理人に選任しなければならない、仮に正当な理由がなく申告を行わない場合は我が国の税法に基づく罰則が科される、こういったことになってございますが、これらは今般の改正によって納税義務を負う国外事業者にも適用されるということになってございます。

 これに加えまして、今般の改正に当たりましては、国外事業者向けの説明会などを開催いたしまして国外事業者への周知徹底を継続的に図ることや、また、国税当局におきまして、従来より、電子商取引を含む国際課税に取り組む専担部署、専任の部署を設置しておりまして、あらゆる情報を収集、活用し、納税義務を負う国外事業者の把握を図ることとなってございます。

 また、必要に応じまして、租税条約に基づく情報交換や徴収共助の要請を行うなど、外国当局とも密接な連携を図って適正な課税の確保に努めていきたい、このように思っております。

 また、経済産業省の方でも、この二月末までに、我が国の電子商取引を行う国外事業者約八十社に対しましてこうした資料を送付していることも申し添えたいと思います。

神田委員 五分ほど早いわけですけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。

 貴重なお時間を賜りまして、ありがとうございました。

古川委員長 次に、務台俊介君。

務台委員 北アルプスの麓の選挙区から参りました務台俊介です。

 安曇節の本拠でございまして、麻生先生も安曇節をよく御存じでございまして、本当に、こういう機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは所得税法等の一部改正法案の質問をさせていただきますが、税に関しては、自民党の税調、党税調の場で議論を練り上げてきて論点が相当出尽くしている、法律になった時点ではほっとしているというのが本当のところではないかと思います。

 そういう中で、きょうは、少しちょっと別の切り口で質問を組み立てさせていただいておりまして、ぜひ御教示をしっかり賜ればというふうに存じます。

 まず、法人税について伺いたいと思います。

 今回の国税の税制改正のメーンテーマの一つは、法人税の実効税率の引き下げ議論であったと存じます。経済のグローバル化が進展する中で我が国の国際競争力を発揮させるためには、諸外国並みの実効税率を目指すというのがその主張であったかと承知しております。

 課税ベースの拡大を前提に税率を国際水準に近づけるというのは、それなりに正しい考え方だというふうに私も考えます。

 一方で、長期的視点で見ると、我が国の実効税率が国際水準に追いつくと、追いつかれた国はさらなる引き下げに走るのではないか。先ほど神田委員からも同趣旨の話がございましたが、その結果、理屈の上では、法人税率は世界的に見ると限りなくゼロに近づいてしまうのではないか。

 私、昔、学生のころ、財政学の本を読みましたら、レース・ツー・ザ・ボトム、そういう言葉がございまして、租税競争が起きると限りなくゼロに近づくということだったかというふうに思います。こういう負のスパイラルに巻き込まれてしまうと、租税が成り立たなくなるのではないかというふうに懸念もしております。

 伺いたいのは、OECDに租税委員会というのがあると思います。そして、国連の場などでもそういう場があるのかもしれません。こうした租税回避についての議論がこれまでタックスハーモナイゼーションという言葉の中で行われてきたというふうに存じておりますが、国際租税パネルの中でこのような議論がどういう現状にあるのか、伺いたいと思います。

菅原副大臣 務台先生が税調等で闊達な御議論をしておりますのを大変まぶしく見ておりました。

 今、タックスハーモナイゼーションの論議についてでございますが、税率を含め、法人税制をどのように組み立てるかは、まさに基本的に各国の責任に属する事柄だと考えております。

 御指摘のように、まさにバナナのたたき売りのようにどんどんどんどん下がって、極端な税率引き下げ競争が既に生じているということも現実だと思います。

 しかし、国家の財政、国民生活を考えれば、その状況が決して望ましいものではないわけでございますから、各国が税率を極端に引き下げることによって財源を調達する機能が果たせなくなってしまうということを考えますと、現時点ではそこまでの状況に至っているとは考えませんが、問題意識として大変重要なことだと思って受けとめさせていただいております。

 その上で申し上げますと、近年、多国籍企業が税制のすき間を利用した節税対策によって税負担を軽減していることに、大変国際的な批判が高まっております。

 御指摘がありましたOECDの租税委員会、ここで、財務省の浅川国際局長が議長を務めておりますが、この問題について各国で協調、対応するために、るる議論を重ねております。

 G20の全面的な支持のもと、税源侵食と利益移転、いわゆるBEPS、ベース・エロージョン・アンド・プロフィット・シフティング、このプロジェクトの取り組みが段階的に今進められております。

 この取り組みは、各国の税率や税制の基本構造が異なることを前提とした上で、税源獲得を目指した税負担の軽減競争を避けるために、各国が協調して税制の調和を図ることを目的としているわけでございます。

 あわせて、このプロジェクトにおきましては、昨年九月に第一弾の報告書が報告をされておりまして、残された課題についても、ことしの九月並びに十二月、その検討結果を示すこととされております。

 この取り組みを我が国としても大変重視しておりまして、年末の取りまとめに向けて、国際会議の場でさらに議論を主導していきたいと思っております。

務台委員 御丁寧に御教示いただきまして、ありがとうございました。

 OECDの租税委員会で日本人が議長を務めているというその立場を活用して、ぜひ日本が主導的立場でこの議論をリードしていただきたいと思います。

 次の質問です。

 今回の法人税率引き下げによって企業収益力が高まり、その成果を継続的な賃上げに回すという政府の強い政治的意思があったかと承知しておりますが、実際、政府は、これを実現するためにどのような仕組み、制度的枠組みを用意されているのか、伺いたいと思います。

 私は、個人的には、法人税率引き下げの減税効果と、企業のトータルとしての賃金引き上げの実績を対比し、法人税率引き下げの効果がどのくらい賃金引き上げに結びついているのか、そういう資料を毎年毎年公表していくというようなことも有効ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

菅原副大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 今般の法人税改革は、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げることとしておりまして、稼ぐ力のある企業等の税負担を軽減すると同時に、これによって企業の収益改善に向けたインセンティブを高めていくものであります。

 また、企業が賃金アップをした場合、所得拡大促進税制の要件として、この緩和も進めていこう、このように考えております。

 さらに、政府といたしまして、法人税改革のほかに、コーポレートガバナンスの強化や政労使会議における連携にも取り組んでおりまして、これらのさまざまな取り組みが相まって、企業の意識や行動が変わり、収益力の拡大、賃金アップにつながり、かつまた、各国マーケットからも日本の市場あるいは日本の企業というものが大変評価をされていくのではないか。

 こうした、先生御指摘の法人税単独での効果の算出ということはなかなか難しいわけでございますが、今回の法人税改革を初めとする政府の取り組みによって企業の賃金アップにつながり、そしてまたそれをフォローしていく、やるだけやったではなく、そのタームは別として、きちっとそのフォローをして、検証して、それがどういうような効果をおさめていくのか、それによって今後どうするかということも考えていくことが非常に大事だと思っております。

務台委員 私は、法人税率引き下げの効果をしっかりと、緊張感を持って企業にも受けとめてほしいと思います。もし賃金引き上げに結びついていなくて内部留保が積み上がるようだと、もう一回、それを吸い上げるために法人税率を上げるんだくらいのメッセージが場合によっては伝わるということも大事ではないかというふうに思います。

 次の質問でございます。

 法人実効税率引き下げの受け皿の一つとなったのが、地方法人課税の外形標準化ではなかったかというふうに思います。

 外形標準課税は地方税である事業税における仕組みであり、この課税方式が拡大することにより自治体税収が安定化するということについては、自治体が高く評価しているところではないかというふうに思います。

 ところで、我が国には、地方税としての消費型付加価値税である地方消費税がございます。そして、加算型付加価値税としての事業税、外形標準課税。この付加価値税の代表的二大類型が我が国には存在する、そういう事態となっております。

 外形標準課税については、民主党の鷲尾委員からも赤字企業の観点からの懸念も示されましたが、こうした付加価値税が、加算型、消費型、二つ併存するということについて、諸外国にはこうした制度が併存する実態があるのか、そこら辺も含めての評価を、二之湯副大臣にわざわざお越しいただいておりますが、コメントいただきたいと思います。

二之湯副大臣 税の専門家である務台先生にまことに釈迦に説法でございますけれども、今回の外形標準課税は、景気の動向に左右されやすい法人課税に比べて税収は安定しており、これまでも地方団体からその拡大が非常に要望されておったわけでございます。したがって、今回の拡大案については、地方六団体から非常に高い評価をいただいていると私は承知しております。

 諸外国では、例えばEUにおいては付加価値税であるVAT、バリュー・アデッド・タックスがある一方、イタリアでは州生産活動税、フランスでは国土経済税が併存しているわけでございます。各国の税制は、それぞれの国や地域において、その実情において実施されるものと承知しております。

 今回の外形標準課税の拡大は、地方団体の行う道路などの社会資本の整備や福祉・教育サービスなどの受益を受ける法人の事業活動に課税する方法として、我が国の法人事業税の付加価値割を高く評価する海外の有識者の意見もあることも承知しております。

 以上でございます。

務台委員 私も副大臣と全く同じ認識でございまして、私、昔、地方消費税の導入時に総務省で課長補佐をしておりまして、それが実現できた際に、当時の政府税調の答申に、次は加算型付加価値税の可能性があるんだというふうに書いていただいた記憶がございまして、それが十数年たってこのような形で実現したことを本当に感慨深く思います。

 副大臣、ありがとうございました。

 次に、消費税について伺いたいと思います。

 消費税の一〇%への引き上げが二十九年四月まで延期されることになります。延期の議論の過程では、延期した場合に日本の国際的信認に傷がつくのではないかという主張がなされました。

 実際に延期によってそのような評価になっているのか、国債に対する評価を含めた、特に外国からの視点についてお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 意見は分かれておると思うんです。経済活動の段階的な回復を支えるのではないか、今の日本には延ばすのは適切、IMFの声でありますけれども、傍ら、OECDでは、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化目標の達成に向けた詳細かつ信頼できる財政健全化政策を示せ、こちらの方がもっと大事だ、これができなくなるだろうという点に関して指摘が出ておりますので、この点に関しましては評価は分かれているというのが、国際的な評価でいえばそういうお答えをすることになるんだと思います。

 いずれにしても、消費税を上げるということをちゃんと海外で約束してきたのが、一昨年の二月のG20の蔵相・中央銀行総裁会議だったと記憶します。

 あのころは、安倍内閣が始まったばかりで、円の独歩安をわんわん言われ、財政の不均衡をわんわん言われている時代でしたので、いや、うちは違う、うちは確実に消費税を上げます、来年から上げるからと言って、そのときもいろいろ、参議院で通るのかとかわんわんまた言われたんですが、うちはおたくらと違う、うちは民主主義が成熟しているので、うちは間違いなく、三党合意でこれはやると決めておりますので、やりますと。そんなことを俺たちに言うくらいだったら、自分たちのところの約束はどうしたというような話をして、以後半年間、全くそういったことは言われなくなった。事実、上がりましたので、続かなかった。

 次の一〇%の約束のときにはまた言われて、今回はできなかったものですから、これは正直、ことしの二月は逆に、話が違うじゃないかというような話になった部分がOECDの先ほど申し上げた説明であり、その他の先進国からも一部そういった声が出ましたけれども、IMFは正しかったという意見で、これは意見が分かれておりましたので、今一概に申し上げられません。

 いずれにしても、PBバランスの半減化というものは、ことし、予算が通りますとほぼそれが達成できることになりますので、やはり次の五年後の二〇二〇年度のPBのゼロというところに向かって我々としてはきちんとやっていくというのが、国際評価というものなりマーケットの信頼を得るために必要なことだろうと思っております。

務台委員 ありがとうございました。

 次の質問でございます。

 消費税の増税延期により、その税収を当て込んでいた社会保障給付の充実が延期になっているものがございます。一方で、引き上げが延期になっても実施することとした給付もあろうかと思います。この両方の仕分けの基準というものはどんなものか、教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 これはなかなか難しいところだったので、決してじゃんけんで決めたわけでも何でもないので、いろいろ審議をさせていただいたんですが、一〇%に上げるに伴います社会保障の充実の財源が一・八兆円だったものが一・三五兆円、一兆三千五百億円に減っておりますので、当然のこととして、対応する予定だったものに優先順位をつけないかぬということで、消費税一〇%の影響緩和につながる施策としては、税率を一〇%に引き上げた時点、平成二十九年四月に同時に実施させていただきますということの観点も踏まえた上で、その上で、子育て支援という御要望が非常に強かったと思いますので、五千億円。これは、地方と国と両方を突っ込んで、二十六年度分も含めてでありますが、五千億円。それから、医療、介護の提供体制の改革ということで同様に五千億円等々、これも二十六年度のもの、国、地方を含んだものですが、これは優先ということにさせていただきます。

 傍ら、足りない分は、低所得の高齢者等に対する年金の福祉的給付、五千円掛ける十二カ月、六万円というものやら、介護保険料軽減の一部というものにつきましては二十七年度での実施はとてもできませんので、二十九年の四月、消費税の一〇%への引き上げと同時にさせていただくというような形で優先順位をつけさせていただいております。

務台委員 ありがとうございます。

 次の質問でございますが、私も選挙区に戻ると、消費税の議論をするときに、往々にして反対する方の多くは、まさに社会保障の受益者であられる高齢者の皆様がその財源の消費税引き上げに反対しているというパラドックスがございます。それは、消費税増税分の使途が社会保障給付に充てられているんだということがしっかりと理解されていないことがその理由の一つだと思われます。

 政府の方から社会保障のマクロの財源構成については説明がなされることは多々あるんですが、一人一人、個々人の受益と負担の対応関係についての説明がなされたことは余りないというふうに思います。仮に、例えば社会保障の受給者ごとに、あなたはこれまでこれくらい社会保険料負担と税金を納めてきました、そしてあなたは受給額はこのくらいになっていますということを見れば、ああ、こんなにメリットを受けているんだというふうに思ってくれるのではないか。まあ思わない人もいると思いますが。

 そういう意味で、消費税を含めた負担の意義について、こういう情報の提供によってより深まるのではないかというふうに思われますが、こういうことに対応するお考えはおありなのか。財務省なのか内閣官房なのかちょっとわかりませんが、岩渕審議官がいらっしゃっておりますが、いかがでしょうか。

岩渕政府参考人 今回の社会保障と税の一体改革は、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すという観点から取り組むものでございまして、消費税率引き上げによる増収分は全額社会保障財源化し、社会保障の充実、安定化に充てることとしております。

 このうち、社会保障の充実でございますけれども、平成二十七年度予算では一・三五兆円を向けることになっておりまして、具体的には、先ほどお話もございました子ども・子育て支援制度の予定どおりの施行による量的拡充や質の改善、国民健康保険等の低所得者の保険料軽減措置のうちの五割軽減対象及び二割軽減対象の拡大、そして介護保険の一号保険料に関しまして、市町村民税非課税世帯のうち特に所得の低い方について、保険料基準額に対する割合の〇・五から〇・四五への引き下げなどを盛り込んでいるところでございます。

 そして、受益の数字でございますが、例えば介護保険料につきましては、年金収入八十万円以下の高齢者等約六百五十万人を対象といたしまして、一人当たり月約二百八十円の軽減になっているところでございます。また、社会保障の安定化につきましては、社会保障の持続可能性の確保、後代への負担のツケ回しの軽減といった観点から、意義があるものと考えております。

 こうした社会保障・税一体改革の意義や内容につきまして、国民の皆様の御理解をいただけるよう、今後とも丁寧に説明を重ねてまいりたいと存じます。

務台委員 ちょっとわかりにくかったんですが、やはり個々人ごとに、世代間会計ではないですけれども、累積の負担とこれまでの受給関係を明らかにした資料を出していく、そういうことを聞いたつもりなんですが、ぜひそういう観点の考え方も検討していただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなったので質問を幾つかはしょりますが、与党なんですが、格差の問題についてもちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 お手元に、ちょっと古い資料なんですが、各国の再分配前後の所得のジニ係数の国際比較という資料を出させていただきました。日本は二〇〇九年でちょっと古いんですが、これを見ると、主要先進国に比べて、日本は再分配前の所得の偏在は少ないということが言えます。ただ、スウェーデンよりは高い。一方で、再分配後、これは税、社会保障、その他給付を含めてなんですが、アメリカ、イギリスよりは再分配効果が大きいけれども、ドイツ、フランスよりは再分配効果が低いということ。多分、ドイツ、フランスは家族手当のようなものが大分充実しているので、それで再分配効果が高まっているんじゃないかというふうに推測します。

 これはちょっと古い数字なんですが、最近は、野村総研が二〇一三年の純金融資産保有額別の世帯数を調べて、一億円以上の純金融資産保有世帯が百万件を超えている、それが二年前と比べて二四%ふえているというような指標を出されておりますが、財務省の方でこういった所得格差の実態というのをどのように把握しているのか、お教えいただきたいと思います。

菅原副大臣 格差に関する捉え方はさまざまだと思いますが、格差が拡大しているかどうかについて、一概に申し上げることも非常に難しいわけでございます。

 例えば、今お話がありましたように、所得再分配前のジニ係数で見た所得格差につきましては、世界一のスピードで高齢化が進んでいますから、こうしたことも相まって、そうした影響もあって緩やかに拡大をしているという面もあると思います。

 他方、税や社会保障による再分配後の所得格差についてはおおむね横ばいで推移をしている、このように今認識をいたしております。

務台委員 ありがとうございます。

 格差是正という観点でつくられた税制かどうかは別として、今回、居住地国を移転する場合のキャピタルゲイン課税回避を防ぐ制度改正が創設されております。これは、キャピタルゲインを、海外移転により課税逃れすることを防ぐ税制として大変意義があると思います。

 税務執行が本当にできるのかどうか、ちょっと複雑な仕組みになっているので若干の懸念はあるんですが、この制度の機能、効果について、御認識をいただきたいと思います。

菅原副大臣 務台委員から御指摘がありました株式等のキャピタルゲインにつきましては、株式等の売却等によって実現した時点で納税者が居住する国におきまして課税することが原則となっております。これを利用しまして、巨額の含み益を有する株式を保有したまま出国したり、キャピタルゲインの非課税国において売却する、こういったこともあるわけでございまして、課税逃れを行うことが可能となっております。

 こうした中で、課税逃れを防止する観点から、主要国の多くが、国外転出時点の含み益を国外転出前の居住地国で課税することができるように今なってきているわけでございます。

 こうした中で、今回の改正においては、適正な課税の確保を図る観点から、財産債務調書を導入することとなってございます。この調書におきましては、保有する有価証券等の時価及び取得価額などの財産の詳細を記載することとなっていることから、この調書の適切な活用などによって本特例の適正な執行の確保に努めてまいりたい、このように考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 今回の制度改正はキャピタルゲインに対する対応でございますが、フローの所得についてどうかという論点が私はあると思います。

 今、私の友人も、その友人の友人がシンガポールへ行って日本の高い税率を逃れようとしている、こんなことを許していていいのかという話がディーラーの人から来たりして、おもしろいなと思うんですが、お手元に配付しているのが、米国の市民権課税という資料でございます。

 米国は、米国の市民権を持つ人が世界じゅうのどこに居住しても、米国内の税率と居住地税率との差額を追徴する仕組みというのがある。すごいなと。一万ドル以上、もちろん国外勤労所得が十万ドルぐらいある部分はそれを基礎控除みたいにするんですが、要は、どこに行っても課税逃れは許さぬぞという、安全保障でも、どこに行っても助けに行く、その気持ちが税にもあらわれているというふうに思います。こういう仕組み、本当にこんなのがあったのかなと思ったんです。二〇〇六年では四十三億ドルもの納税額に上っているということで、大変な効果を上げているんじゃないかというふうに思います。

 翻って日本なんですが、日本ではこういう仕組みはこれまで議論された形跡が余りないように思うんですが、こういう仕組みの検討はどうなっているのか、仮に我が国がこういうことを導入するとしたらどんな問題があるのか、お教えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカの市民権課税でございますが、先生の資料にございますように、南北戦争とかいうあたりから経緯がある、非常にアメリカ独自の経緯をたどってきた税制だということで、極めてアメリカ的な制度だということでございます。国際課税という観点から見ると、今、大きく我々が考えておりますグローバルスタンダードという点から見ると、やや例外的な位置づけかなというふうに私どもは考えております。

 他方、日本の場合でございますが、やはり国際的な二重課税を排除しながら自国の課税権を確保するという観点から、OECDなどで採用されております国際標準、モデル租税条約というものがございまして、その考え方に基づいて仕組みを講じております。

 具体的には、執行可能性という点に着目をいたしまして、居住者に対しては全世界所得課税を原則とする、非居住者につきましては国内源泉所得のみに課税するという形にしてございまして、これを租税条約によって担保するという流れになってございます。

 我が国の場合は、このような、各国が協調して共通のスタンダードを持っておりますので、それにのっとった形で課税原則を採用しているということで、アメリカとは違った形になっているということでございます。

 仮に日本がアメリカのような市民権課税を導入ということになりましたならば、やはり条約の相手国との個々の協議というものをしていき、租税条約を改正しないといけない、こういうことになりますので、アメリカが例外的な位置づけだということを考えますと、そうした理解が得られるかどうかという問題があるというふうに認識しているところでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 やや乱暴な仕組みであるなとは思いますが、仮にこのような仕組みが導入可能となれば、例えば格差を是正するために所得税の累進性を強める方策の議論がある場合に、金持ちが海外に逃げるのでこういう仕組みは無理ですということは言わなくて済む。そういう意味で防波堤になるんじゃないかと思いますので、中長期的な観点からでもいいので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 麻生大臣、どうでしょうか。

麻生国務大臣 所得の高いところでは結構、最近の話ではなくて昔から、クレジットカードというものが一般的に通用するようになったときから特に顕著になった。私はあれが一番大きなきっかけだったかなと思います。

 また、アメリカに長く行っている人たちに向かって、アメリカのいわゆる国税庁の人たちが、務台さん、あなたは去年、アメリカに百六十八日いらっしゃいましたねと、入国管理ですぐわかりますから。来年はもう一月いらっしゃいませんか、そうしたら、今あなたが日本で払っていらっしゃる税金はこれだけ、これは全部外に出ていますから、それをアメリカに移動させたら永住権を上げます、途端にあなたが納められる税金はウン百万円安くなりますよ、どうですと。主税局が国民になることを勧誘する、こういうセンスは日本の大蔵省には期待すべくもないです。こっちの方が高いから、来ませんよ。

 しかし、うちはそのかわり治安はいいですよ、空気はきれいですよ、飯はうまいですよといろいろなことは言いますけれども、それはほかの人は言うかもしれませんが、国税庁は、来たって、税金は高くなる、そういうふうに言っているわけですから。そうしたら、来ないんですよ。

 しかし、向こうはそれをやるぐらい、税を取るということに関しては物すごい勢いで、これは結構、クレジットカードがはやり始めたときからもう既に始まっておるんです。最近そういった傾向がさらに強くなってきているのかどうか、ちょっとそこまで詳しくないんですが。

 一番の問題は、どうやって海外に行っている人に公平に課税できるかというところが最後の一番問題点で、アメリカのように、軍隊も持っている、何も持っているというので、わっと行って出せと言えることに、なかなか我が国の場合にはそこまで手が回らぬということで、逆に公平性を欠くということになりはせぬかなというような感じが率直な実感です。

 いずれにしても、これは結構これから、BEPSの話が先ほどあっていましたけれども、BEPSの話を含めて、BEPSは日本が振り込んだ話ですから。たまたま日本が委員長をしていましたので、G7をバッキンガムシャーでやったときに、おととしの五月にあれは日本が振り込んだので、一斉に、まさか二年でこれだけできるとは思いませんでしたけれども、よくまあ、あそこまでまとまってきていますと。こういうのができ始めると、次にそういった話まで行くのかなという感じはいたします。

 いずれにしても、すごくインターナショナルに世の中がなってきていることは、日本も例外じゃありません。そう思います。

務台委員 ありがとうございました。

 これで終わります。

古川委員長 次に、中山展宏君。

中山(展)委員 自由民主党の中山展宏でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。委員長を初め理事そして委員の先生方に、心から御厚意に感謝申し上げます。

 私からは、NISA並びにジュニアNISA、そしてBEPS、税源侵食と利益移転について質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、マクロのお話と申しますか、巨視的なマクロの観点から、平成二十七年度の政府経済見通しについてお伺いをしたいと思います。

 二月に閣議決定された経済見通しでは、平成二十七年度、名目GDP成長率は二・七%、実質の方は一・五%のプラスであります。消費者物価も一・四%のプラス、そしてGDPデフレーターも一・二%と、上昇基調が見込まれております。

 第二次安倍政権は、今後十年間の平均で、名目三%、実質二%程度の経済成長を目標としておりますけれども、平成二十七年度の名目二・七%、実質一・五%の見込みは、この政権の目標の名目三%、実質二%に着実に近づいてきているように感じます。

 もちろん、地域や業種、経営規模や外需の取り込みによって、景気の跛行色というか、ばらつきや時間差はあることは存じておりますが、マクロの観点から、日本経済は成長軌道に乗って巡航速度をつくり始めてきていると私は考えるのですが、大臣の御評価はいかがか、御所感をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、中山先生から御指摘がありましたように、この安倍政権になりましてから、今言われた数字のように、例えば企業にとりまして一番でかいのは経常利益だと存じますが、経常利益がとにかく四半期ベースでは過去最高、十七兆六千億円行きましたし、また企業の倒産件数も、月当たりでいきますと、千件を割って七百件台までに落ちてきていると思います。

 いずれにしても、有効求人倍率が二十二年ぶりに高水準となるなど、実体経済において確実に好循環が生まれ始めつつある、私どももそう思っております。

 また、先日公表されました十―十二月のGDPの速報で、三四半期ぶりに実質GDPが前期比でプラス成長となっておりますので、経済の好循環を確立させていくためには、そういった指標が確実に上がってきているというのは、元気づけられるところだと思っております。

 さらにこれを確実的なものにしていくには、先ほど御質問があっておりましたけれども、企業の経常利益が上がっても、その上がった利益がどこに行くかというのが一番問題でありますので、そういった意味で、コーポレートガバナンスを強化させていただきます。その上で、ちゃんとその内部留保が賃金に、配当に、設備投資等々に回っていくというようなことをやっていただきたいということで、政労使会議というのも開催させていただきましたし、また成長志向にした法人税というものをやらせていただきつつあります。

 いずれにいたしましても、二〇一三年から二〇二二年度までの十年間の平均で名目三%、それから実質二%程度の経済成長を目指すという、いわゆる骨太の方針二〇一四を昨年の六月、閣議決定させていただいておりますけれども、こういったものを基本として、経済というものを確実に、急に行くことはないので、逆に急に行くと急に下がるので、確実にというところが一番大事だと思って、一歩一歩を確実にその方向に進めてまいりたいと考えております。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 さらに経済再生を確実にしていただき、成長軌道を確固としたものにすることが重要であると私も考えております。

 日本社会、経済における私たちの共通認識として、巨額の政府債務を抱えた中、人口減少社会が到来し、生産年齢人口は減少しながら、二〇二五年に超高齢化のピークを迎えるということがあると思います。このピークを挟んだこれからの二十年間をどのように乗り切っていくか、経済、財政そして社会保障においても最大の難問であろうと思います。

 巨額な債務管理をしながら当面人口減少が続く中、超高齢社会を賄っていく経済成長を果たしていかなければなりません。これはいわゆるナローパス、本当に狭い道を踏み外さないように、外的要因とも対峙しながら懸命に歩を進めていくしかないと思っております。

 そういう意味において、今般の法律案にあります、世界的なコミットメントにもなっておりますが、消費税を予定どおりに御負担をお願いすることもとても大事だと思いますし、また法人税を引き下げることも大事だと考えております。また、少ない生産人口で高い収益を生み出す、そのような産業のシーズを育んでいく研究開発投資を促すことは我が国の生命線でもあります。

 そこで、私からは、経済のエンジンを吹かしていく、経済成長に必要な成長マネーをどのように供給していくかということについてお尋ねしたいと思います。

 まず、個人金融資産についてであります。

 きょうも大臣に御答弁いただいておりますが、個人金融資産約一千六百兆円のうち、その八割は五十歳以上の方々、七割近くは六十歳以上の方々が保有しております。

 高齢者に偏在する金融資産、保有形態として預貯金が中心となっている現状についてどのようにお考えなのか。また、日本人は貯蓄は美徳というか、バブル期は多少違ったかもしれませんけれども、日本人のお金に関する意識また文化をどのように変えていくべきか。大臣の御見解を伺わせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 個人金融資産一千六百数十兆円というのは、多分アメリカに次いで世界で二番目に大きいと存じますが、その中で、現預金というキャッシュが八百六十兆円とかいうのは、これはどう考えても、資産の構成比率として現預金の比率が異常に高いと言っていいぐらい。半分以上が現預金というのは、ちょっと異常なんだと思います。

 いずれにいたしましても、このお金が成長に回って使われぬといかぬのであって、お金は決して眺めるものでもなければ積んでおくものでもありませんので、置物じゃないんだから、ちゃんと使わないかぬというのが、基本的にそこなんですよ。ずっと置いてあるという方が世の中にいっぱいいらっしゃるんですよ、実は数字から見ると、たんす預金を含めて。

 多分そうなっておりますので、この豊富な個人金融資産というものを成長分野に回っていかせるためにどうするかというので、今いろいろ手口というか、聞こえが悪いけれども、とにかく、何かそういったものを刺激することを考えないとだめというので、今、NISAと言われるものをつくらせていただいて、普及促進をやっているんです。

 また同時に、企業でも同じで、ためた金を使ってもらうためには、中にいる人で、この金はもっとこういったものに使われるべきだという社外の重役の意見が反映されるというようなことで、コーポレートガバナンスとかスチュワードシップ・コードとか、何か横文字、片仮名がいっぱいふえてきていますけれども、そういったものを図って、今後ともやりたいと思っておるんです。

 いずれにしても、大事なのは、個人のライフスタイルによって考え方が違うんだと思うんですけれども、資産の形成というのを見たときに、株なんというのは、やはりバブルのころにだまされたのがいっぱいいるんですよ、多分。それで痛い目に遭ったんですよ。だから、もう二度とやりたくない、株屋といったら危ない、そういったような感じになっている人というのは田舎ではすごく多いですよ。

 僕はおたくの田舎は知らぬけれども、私らのところでは、株だけはだめですと。株をやっているのと、ばくちをやっているのは、ほとんど区別がつかないような感じになっているのが実態ですから。私、証券会社に行くたびにこの話をするものだから、もういいかげんにしてくださいとよく言われるんですけれども、本当に痛い目に遭った人というのは世の中にいっぱいいらっしゃいますから、バブルのときに。

 それで、バブルがはじけたのが、一九八九年の十二月で三万八千九百円だった株が一挙に七千円まで数年間でおっこちていくんですから、資産が四分の一になったみたいな話ですから、それはみんな、痛い目に遭った人はいっぱいいらっしゃいますので、もう二度と嫌といって、じっとまだ、記憶のはっきりしていらっしゃる方がそこらはいらっしゃるんだと思いますので、なかなか、現金がどんどんどんどん積み上がって、ほかのものに行かない。

 土地と思うでしょうが、土地も九二年から下がりましたから。土地も、市街化地域で、坪百万円が坪十四万円とか十五万円になっていますから。

 そういった意味では、間違いなく動産も不動産も痛い目に遭ったということになると、多分、現預金ということになっている意識というのは、そう簡単に、この二十年ぐらいの話ですから、なかなか抜けぬというのが実態だと思いますので、私どもとしては、いろいろなインセンティブをということで今やらせていただいておりますけれども、こういったような方向にして好循環というのをつくり出すべく、いろいろ知恵を絞っていかないかぬなと思っております。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 私、株屋というか証券会社出身なものですから、責任が私にもあるなと思っております。

 ちなみに、私、入社したのがバブルがはじけた以降でして、債券を中心に売買をしておりまして、ずっと債券部におりました。債券は景気が悪くなると逆に価格が上がっていくものですから、ずっと日本の不景気を、景気が悪くなる中、それを数字にかえて、それで相場が上がっていくという、ちょっと株式の皆さんとは違う発想で、だからといって、不景気になるのがいいというか、そういう思いはありませんので、ぜひよろしくお願いします。

 そういう意味で、現行のNISAの見直しが図られることとなりました。

 菅原財務副大臣にお尋ねしたいと思います。

 現行のNISAの見直しの趣旨及び概要について、改めてお伺いさせてください。

菅原副大臣 中山先生におかれましては、証券会社で株も債券も両方見ておられたということで、大変心強く、今後とも御指導をお願いしたいと思っております。

 NISAにつきましては、昨年から始まりましたが、若年層を含む幅広い層への投資の裾野拡大といったことが期待をされておりまして、こうした世代におきましては、既にある資産を一括で投資するのではなく、月々の給与から将来に向けた投資を行う、こういったことを想定いたしております。また、一般的に、月々の積み立て投資は、投資時期の分散といった観点からも、投資のリスク分散にも役立つものと考えられます。

 こうした中で、当初、百万円掛けることの五年で五百万円までという非課税上限額であったわけでございますが、これを、先般、百二十万円に引き上げることによりまして、いわば一カ月十万円掛けることの十二カ月というわかりやすい数字となりまして、いわば積み立て投資を行う際の利便性を向上させて、また中長期的な投資を呼び込む、こうした効果があるものと考えられます。

 以上でございます。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 そこで、現行のNISAの利用状況についてお伺いしたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 NISAの口座開設数でございますが、昨年末で八百三十三万口座でございます。

 それから、NISA口座の買い付け金額でございます。昨年末の時点での数字はまだ集計中でございまして、若干古くなりますが、制度開始から半年間の六月末の時点では一兆五千億円強でございます。

 したがいまして、年末時点でございますが、このうち証券会社、主要な十社で見ますと、半年間で六千九百億円ぐらいでございます。これが年末ですと一兆四千億円になっているということから推測しますと、年末時点ではかなりの金額になっているのではないかと見積もっておるところでございます。

 以上でございます。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 口座の開設は八百万を超えていらっしゃる中で、これは単純に、平成二十六年一月から導入されて、一年間の非課税枠は一口座百万円でありますから、八百万の口座数を掛けると、最大八兆円の非課税枠があると思います。そのうち、多分利用額は今のところ二兆円ぐらいということで、四分の一御利用いただいている状況だと思います。

 例えば、きのうの日経新聞にも書かれておりましたけれども、これは金融機関の方々の努力も必要だと思いますが、口座を開設していただいてもなかなか利用が進まないのは、金融商品が多過ぎてなかなか説明ができないとか、またいわゆる金融リテラシー、投資初心者の方に口座をお願いしたところ、相場の上昇になかなか乗れなかったりとか、買う場面でなかなか意思が固まらなかったとか、そういったこともあろうかと思いますけれども、やはりNISAを通じて投資をしていただく、リスクマネーを供給してもらうというところを非常に丁寧に金融機関にも御説明いただかないといけないですが、これから、せっかく年間百二十万円に非課税枠を上げさせていただいた中で、この利用率を上げていく取り組みに関してどのようにお考えか、教えてください。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、口座の開設が八百万口座に対しまして、買い付けがあった口座数がおよそ四五%程度でございます。したがいまして、この利用をさらに高めていくということが大事だと私どもも考えております。

 確かに、先生御指摘のとおり、株式市場の動向に応じまして、あるいはそれ以外の要因によりましてかなり左右されるという面はございますが、利用率を高めるための取り組み、例えば広報活動を積極的に行うであるとか、それから投資への理解を含めました金融リテラシーの向上に向けた取り組み、こういったものを金融庁としても、あるいは業界や関係者と連携して進めてまいっているところでございます。

 また、商品がたくさんあるということでございますが、金融庁におきます総合的な監督指針の中におきましても、NISAの制度の趣旨に合った金融商品の提供について促していく、こういったことも取り組んでまいりたいと思っております。

 以上でございます。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 ぜひ現行NISAをさらに活用していただきたいと思うんですけれども、よく地元で、株価が上昇したけれども、家計とは、余りうちは関係ないわという方は非常に多くいらっしゃいます。それとともに、輸出企業や大企業と地域経済は余り、無縁じゃないの、なかなか波及効果はまだまだ来ないわという方、そういう方も多く聞かれます。

 確かに、実物経済と実体経済を通じて、景気を本当の意味で実体経済へ取り込むというのは難しい、時間的に少々時間がかかるんだと思います。ただ、投資によって、世界景気であったりとか、成長企業に投資をしていただいて、それを家計に取り込んでいくというのは非常に容易にできる話でありまして、ぜひNISAの活用によって、景況感の時間差、こういったタイムラグを、せっかくこういうNISAがありますから、地域においても家計においてもその時間差を埋めていただく一助になればと思っております。

 そこで、さらに、なかなか若年層の方とか投資未経験者の方が、現行のNISAでもちゅうちょされる方も多い中、ジュニアNISAが今度創設をされるということになりました。

 菅原財務副大臣にお伺いします。

 ジュニアNISAの創設について、趣旨と概要を改めて教えてください。

菅原副大臣 中山先生お話しのとおり、NISAは、広く国民に投資への関心を持ってもらい、長期的視点から資産形成を促すとともに、成長資金の供給拡大を図り、日本経済の成長につなげていくということを基本的な目的として、昨年の一月から導入されたわけであります。

 そして、今お話がありましたように、どうしても、現況、三十代以下の若い世代の利用というものが少のうございます。実態を見ると、NISA口座開設者の約一割となっている現状、これを、やはり投資の裾野の拡大をさらに進めていかなければなりません。

 そもそも、ジュニアNISA創設の狙いとして、今申し上げた若年層への投資の裾野拡大、あるいは、どうしても高齢者に偏在をしております膨大な金融資産を若年層に移転して成長資金につなぐ、そういう契機となるようにすること、また未成年者のひとり立ちまでの長期にわたる投資を促進する、あるいは世帯単位で見た非課税投資可能額の引き上げをする、こういったさまざまな目的がありまして、御案内のとおり、未成年者に年間八十万円までの非課税投資を可能とする、これがジュニアNISAであります。

 現行の贈与税の基礎控除は百十万円でございますから、当然その枠内でも非課税で運用できるわけでありまして、そうした中で、高齢世帯から若年、さらに若い世代へとこうした移転が可能となりますので、こうしたことの促進によってさらなる効果をつないでいきたい、このように考えております。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 これは一つの懸念として、ゼロ歳から口座を持てるわけでありまして、そのときに、もちろん、そのゼロ歳の子に投資教育、金融教育というのは難しいと思いますが、本当に投資家の裾野を広げていくために、現行のNISAでも若い世代の方が投資にまだちゅうちょされていらっしゃる、これだけいい枠組みでもちゅうちょしている状況の中で、やはり若年層のもう少し早い段階から金融教育をしていただくことが必要なんだと思います。

 そこで、金融庁にお尋ねをいたしますが、これもまた金融機関の御努力も非常に必要だと思いますけれども、若い方への金融教育にどのように取り組んでいくか、また証券会社初め金融機関がどのような取り組みをしているか、ぜひお教えいただきたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、各年代、若い年代も含めました方々の金融リテラシーの向上が大変重要だと思っておりまして、金融庁といたしましても、関係の諸団体、機関などと連携いたしまして、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人、さまざまな年代別、それから項目別に最低限身につけるべき金融リテラシーというものの内容を具体化、体系化しました金融リテラシー・マップというものを、これは金融庁だけでなくて、関係団体の方々と一緒に構成されています金融経済教育推進会議というものがございまして、こういう専門家の方々とも議論、検討しながらそういうマップをつくりまして、それをまたベースにしまして、各年齢層、例えば学生とかに対しましてモデル授業をやったりとか、あるいは講師を派遣して講義をしてみたりとか、こういったさまざまな取り組みをしております。こういった取り組みをさらに深めて、進めてまいりたいと思っております。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 あともう一つ、口座をお子さんの名義でつくる、結局、そのモデルケースとなる、今までは親世代だけで五百万、五百万、百万が五年で五百万、一千万の非課税枠だったものが、これから、お子さんが二人いらっしゃる家庭では二千万までということになろうかと思います。

 これは、親の、子供の名義を借りた家族のただ単なる資産形成に陥るんじゃないかという懸念もありますけれども、その点についてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、ジュニアNISAにつきましては、おじいさん、おばあさん、こういった高齢の方々の資産形成についてのお考えをお聞きしますと、子供のため、孫のためにお金を使いたい、こういった希望を持たれている方は多々あるようなことがアンケートなどで見てとれます。

 こうした善意の高齢者の方々のお気持ちも酌みまして、幼齢世代、小さい世代からの資産形成、こういったものに資するものとしてジュニアNISAの制度をお願いしているところでございますが、他方、親が例えば子供のジュニアNISAの口座を実質的に自分自身の非課税枠として乱用といいますか、利用することのないような措置も必要かと存じます。

 こうしたことから、例えば税法上の仕組みといたしましては、未成年者に一定の判断の能力が備わる十八歳までは非課税で払い出しができないような、こういった仕組みを講じるとともに、基本的には、子供自身、孫自身のための資産形成に資するような扱い方というのが実務で定着していくように私どもとしても指導ないし努力をしてまいりたいと思っております。

中山(展)委員 次の質問ですけれども、高齢者の金融資産を若年者に移転することに資するのかというお話に関してですが、先ほど菅原副大臣からもう御答弁をいただいたので、少し割愛させていただいて、次の質問です。

 今、NISAでキャピタルゲインの非課税についてお伺いさせていただきましたが、今度は、キャピタルゲインの含み益のクロスボーダーでの課税逃れについてお伺いをしたいと思います。

 菅原財務副大臣にお答えをいただきたいんですが、まず、国外転出する場合の譲渡所得課税の特例の創設の趣旨と概要を改めてお伺いさせてください。

菅原副大臣 株式等のキャピタルゲインにつきまして、株式等の売却等により実現した時点で納税者が居住する国において課税することが原則となっていることは、御案内のとおりでございます。

 これを利用しまして、巨額の含み益を有する株式を保有したまま出国し、キャピタルゲイン非課税国において売却することによって課税逃れを行うということが現在可能となっております。こうした課税逃れを防止する観点から、主要国の多くが、国外転出時点の含み益を国外転出前の居住地国で課税するというようなことになってきております。

 そこで、日本におきましても、主要国と足並みをそろえまして、巨額の含み益を有する株式等を保有して国外転出する者に対しまして、国外転出直前に対象資産を譲渡して、同時に買い戻したとみなして、その未実現のキャピタルゲインに課税する譲渡所得等の課税の特例を創設することとなってございます。

中山(展)委員 たびたび済みません。ありがとうございます。

 私は、課税逃れということとあわせて、高額の資産家の方、超富裕層、富裕層の方々自体が非課税国へ逃避してしまうというか、日本には富裕層がいなくなる、それによって格差が縮まったとか、そういうようなことになるのは残念だと思っておりますので、ぜひこの取り組みを進めていただきたいと思います。

 時間も少なくなりましたので、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 BEPS、税源侵食と利益移転についてでありますが、先ほど関係委員の方からも御質問がありましたので、最後、大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 この取り組みは、プロジェクト自体はOECD租税委員会で、先ほど大臣がおっしゃったように、議長は浅川財務省国際局長がお務めになられて、二〇一二年にプロジェクトを立ち上げられたということであります。日本がBEPSプロジェクトの議論をリードしていくべきと考えます。

 大臣の御決意を最後に伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 税源侵食、ベース・エロージョン、プロフィット・シフティング、略してBEPS、もう世界語になりつつありますけれども、これにつきましては、二年前の五月のG7、バッキンガムシャーで行われた蔵相・中央銀行総裁会議で日本から提案をして、ふざけているじゃないか、こんな話はといって、OECDの特に主要国のメンバー、中でもフランス、ドイツはばっとそれに飛びついて、たまたまOECDの租税委員会の委員長を、これは選挙で決まるんですけれども、日本から行った浅川というのがしておりましたものですから、その浅川が委員長になって、あれは始まりました。

 これは名立たる会社がこの対象になって、今、世界的に結構、日本でも配信されておりますいろいろなもの、グーグル初めアマゾン・ドット・コムがずらりその対象ですから。この本社がどこにあるかといえば、アメリカにあることになっているんですが、アメリカで税金を払っておらぬ。極めてふざけた税金しか払っておらぬわけです。こんなばかなことがあるかといって、結論は、払っている国はケイマン諸島だったりなんかするという話なんです。

 こういったことに対して、日本としては、これはどう考えてもおかしいということで、日本にもその会社は幾つもありますものですから、それをしつこく今やらせているんですけれども、先進国が税源を獲得するために自分の国の所得税、法人税を下げる。イギリスは今二〇%ぐらいだったと思いますが、そういったものを下げることによって他国の法人格を自分のところにとってきてやるという、法人税引き下げ競争みたいなことを先進国でやるような形になるというのは、これはどう考えても本筋としてはおかしいんじゃないかと。引き上げ競争というのもいかがなものかと思うけれども、引き下げ競争なんかに合わせてこっちがやっていたら話にならぬというような話をそのとき、振り込んだのが二年前なんです。

 それからどうにか、一応、BEPSの原案というものは、今、OECDで総会のところまで上がる一歩手前まで上げてきましたので、一年半でよくここまで来たなと正直思わないでもありませんけれども、間違いなくこれは、日本が議長をやっておりますので、日本がリードして事をここまで進めてきておりますので、これをきちっとした形でまとめ上げたいものだ、私どももそう思っております。

中山(展)委員 ありがとうございました。

古川委員長 次に、田野瀬太道君。

田野瀬委員 奈良県四区の田野瀬でございます。

 本日、最後の質問者ということで、委員の皆様方におかれましては、本当に長時間、お疲れの中、どうかあとしばらくおつき合いをいただきたいと存じます。

 大臣、副大臣、そして政府委員の皆様方も、どうかよろしくお願い申し上げたいと存じます。

 私は、内閣提出の法律案に関して数点御質問をさせていただきたいと存じます。

 平成二十七年度税制改正は、二〇%台への法人実効税率引き下げを目指した最初の年度となるわけでございまして、この法人実効税率の引き下げによりまして、企業の収益の拡大と、それによる賃金上昇、雇用の拡大に寄与し、経済の好循環を確かなものにするんだ、これは総理の御答弁や先ほどの麻生大臣の提案理由説明の中にもあったとおりでございます。

 デフレからの完全なる脱却に向けまして、攻めの姿勢で今般の税制をつくって、税制上の各種対応を盛り込んでおるわけでございまして、本改正案は、経済界であったり各界各層からおおむね高い評価が得られているものだと認識をさせていただいているところでございます。

 また、本税制改正案には、ふるさと納税の拡充等々、地方創生を推進するという観点からの税制も整備されておりまして、そういうところが注目をするところであるんだろうと考えております。なので、まず一点目は、その地方創生、なかんずく地方拠点強化税制につきまして御質問をさせていただきたいと存じます。

 これは、東京一極集中の是正や地方の拠点強化を目指しての新たな税制であるということでございます。とにかく、人、物、金が東京に集中しておるわけでございまして、きょうも都内の先生方はおられるわけでございますけれども、ぜひ東京からいろいろなものを地方に分散させたいというのがその趣旨でございます。

 地方の人口減少がとまりません。とにかく元気を出さないといけない。私の奈良県四区、選挙区は十九市町村あるんですけれども、そのほとんどが例の増田論文に言うところの消滅市町村に入っておるわけでございまして、何とかこの歯どめをかけないといけないということでございます。人口減少と地方の創生でございまして。

 ただ、この都市と地方の格差という問題は実は近年に始まったわけではございませんで、古くは田中角栄総理の日本列島改造論、あれは実は、この国の高速交通網を整備して、東京に集中している物と金と人を地方に分散しようじゃないかという発想でしたし、その次の田園都市構想もそうです。昔から、東京一極集中というのをどうにかなくしていきたい、国土の均衡ある発展というものを目指してということなんですけれども。

 今回は、画期的な税制が創設されるということで、この内容は、企業の本社機能等に関して東京圏から地方への移転または地方における拡充の取り組みを税制から支援するという、これは聞いたことのない、画期的な税制措置であると考えておるわけでございます。

 ここでお伺いさせていただくんですが、改めてですけれども、この税制の概要とその狙い、そして見込まれる効果、もしよかったら、初年度、これはいわゆる控除の税制でございますので税収は減になるんでしょうけれども、その後こんな感じでふえていく見込みであるとか、数字はひょっとしたら出てこないかもしれませんけれども、そのあたりをお伺いさせていただきたいと存じます。よろしくお願いします。

菅原副大臣 田野瀬委員におかれましては、地元奈良県で地方創生のために懸命に頑張っておられることを拝察申し上げます。

 安倍内閣の最重要課題であります地方創生、今るる御案内ありましたとおり、人口減少の克服、そして地方の創生に本格的に取り組んでいるところでございまして、各地域がそれぞれの特徴を生かして自律的でかつ持続的な社会を形成する、国土を形成するということを主眼といたしております。

 本税制もこうした観点を踏まえて創設したものでございまして、ただし、税制だけで問題が解決するわけではなくて、各地域における計画的、戦略的な企業誘致、こういった取り組みなどとあわせて、いわば効果的な支援となるようにすることが必要だと考えております。

 今般の税制改正におきましては、こうした観点を踏まえまして、地域再生法の中で、企業が計画を作成し、地方公共団体がこれを認定する枠組みを整備した上で、その法人の意思によって、本社機能を東京圏から地方に移転したり地方において拡充しようとする企業を対象に、本社等の建物に係る投資減税、あるいは、雇用がふえた場合、雇う人をふやした場合の税額控除の特例、こうしたものを設けることとしているものでございます。こうした税制をもって、きっかけとして地方や企業の取り組みがさらに進んでいくことを期待しているところでございます。

 具体的に言うと、投資減税については、東京二十三区から移転した場合には、二五%の特別償却、または七%の税額控除、二十九年度においては四%ということになってございますが、こうした投資減税、あるいは、雇用促進税制の特例として、地方拠点の雇用がふえた場合に、一人当たり初年度八十万円、二年から三年目は各三十万円、三年間の合計で最大で百四十万まで税額控除をする、こういう仕組みになってございます。

田野瀬委員 ありがとうございます。

 恐らく、私の調べた限りでは、初年度、やはり控除であったりとかしますので、税収が二十億円ほど下がるという見込みを出していらっしゃいますけれども、それ以上の、地方が元気になるという波及効果をぜひ求めて、この制度をしっかりと進めていっていただけたらなと。チープな言葉ですけれども、損して得とるように、我々もしっかりとこの制度を使って、地方創生に向かって頑張っていかせていただきたいと思うところでございます。

 先ほど副大臣からも御答弁いただきました制度の設計によりますと、移転型であったりとか拡充型、二つあるということで、その二つとも都道府県なり市町村が計画を立てるということとなっておりまして、ぜひ、これが成立いたしましたならば、県、市町村に向けての確かな御指導をお願いさせていただくと同時に、ちょっとこれは御要望なんですけれども、今回のこの制度によりますと、支援対象地域というものから省かれている地域がございます。それはどこかといいますと、東京圏と中部圏と近畿圏。都内から移転したときにこの税制が適用されるんですけれども、中部圏と近畿圏に移転してはその制度の対象にはならないということでございまして、これは、いわゆる首都圏整備法等で定められた地域がこの三大都市圏であるんだということでございます。

 東京一極集中を是正するという観点から、東京、首都圏は別といたしましても、制度がスタートいたしまして、PDCAで、どれぐらいの企業がどう使っていくか、どれぐらいの効果があらわれたかをぜひ追っかけてデータをとっていただきまして、今後、もしよろしかったら中部圏、近畿圏も対象地域に入れていただくということも、ぜひ御検討いただけたらありがたいと思っています。ちょうど我々が推進しておりますリニア中央新幹線というのも中部圏と近畿圏を通るわけでございまして、そういうことが企業移転のインセンティブにつながるものだと思っていますので、ぜひ今後の御検討の御課題にしていただけたらと存じます。

 次の質問に移らせていただきます。

 続いては、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設、これも新たな税制なわけでございますけれども、これについて御質問をさせていただきます。

 非常にこれはよい制度だ、私も、我が党も、与党みんなそう思っておりまして、まだスタートしていませんけれども、ぜひこの制度の継続と拡充を期待させていただくものでございます。

 この制度はどんなものかといいますと、親や祖父母が子や孫に対して結婚・子育て資金を拠出するわけでございます。そして、子、孫ごとに一千万円を非課税とする制度だということでございまして、いただいた子や孫は何に使えるかといいますと、結婚関係資金、出産関係資金、育児関係資金、そういうところに使用することができるわけでございます。

 もっと具体的に言いますと、例えば、結婚関係資金の中では、結婚式の挙式の費用に充ててみたりとか、新居に引っ越しするときの費用に充ててみたりとか、出産においては、出産そのものの費用、あとは産後ケアの費用であったりとか、もしくは不妊治療の治療費であったり、ベビーシッターを雇ったときの費用にも充てられるということで、かなり使い勝手が高い制度であるというふうに認識をさせていただいておるところでございます。

 ここで、ちょっと御意見をお伺いするんですが、この受け手、受贈者と申しますけれども、これは二十歳から五十歳までの制度だということで規定されております。この二十から五十、確かに、二十から五十の間に結婚します、そして出産します、子育てします。なので、出産資金と子育て資金と結婚資金に充てるようにしているわけなんですけれども、五十ということを鑑みますと、実は、その年代というのは、結婚、妊娠、出産、子育てを終えて社会に再度戻ることを期待された年代だということも言えるのではないのかな。四十、五十の年代ですね。

 ちなみに、私は今現在四十歳、子供が四人おります。(発言する者あり)ありがとうございます。長男が今十歳。一番下、四番目がゼロ歳。十歳になると、やはり大分子育ての手が離れます。私は今四十歳ですが、五十歳になったら一番下のゼロ歳が十歳になって、結構子育ての手が離れる。

 そういう私の体験談からも申しますのと同時に、あとは、折から総理もおっしゃっております女性活躍推進というものが叫ばれておるわけでございまして、女性だけじゃなくてもいいんです、男性もそうなんですけれども、再就職、それに向けた学び直し、短大とか大学とか専門学校、またキャリアアップ、いろいろな資格を取るキャリアアップの資金にもこれをぜひ使えるようにするとさらに効果が増すのではないのかなと考えておるんですけれども、御所見をお伺いします。よろしくお願いします。

菅原副大臣 田野瀬良太郎先生からどのような贈与を受けたかわかりませんが、お子さんが四人いらっしゃるということで、将来の人生設計や資産の移転も今から、四十歳で考えておられることに敬意を表したいと思います。

 その上で、教育資金に係る贈与税の非課税制度、これは、高齢者が潤沢な資産を保有する一方で、三十歳未満の若者、若年層が、大変資産が乏しい、子供の教育費にまとまった資金が必要で、経済的に厳しい状況にある、こういったことを踏まえまして、高齢者から若年者への資産の早期移転を促すことを目的として、平成二十五年度の税制改正で導入したものであります。

 御提案は、教育行政上、子供の教育だけでなく、壮年層の再就職に向けた学び直しやキャリアアップなどの生涯教育、こういったことも重要である、こういう問題意識であろうかと思います。

 そうした中で、一方で、この贈与税の非課税措置は格差の固定化につながるおそれがある、こういった議論もありまして、その適用対象の拡大には慎重な検討が必要と考えておりますが、いずれにしても、壮年層のキャリアアップあるいは子育て、さまざまな面におきまして、予算上、事業主に対する助成という形で現在手当てをしておりますが、そういった中でまた今後議論を深めていきたい、このように思っております。

田野瀬委員 副大臣、ありがとうございます。

 今申し上げました御提案は私個人の意見の域をまだ超えておりませんので。教育資金、上限一千五百万という非課税措置もございますし、今回新たに創設する結婚・子育て資金、二つの制度という切り口がございまして、今後、我が党におきましても女性活躍推進本部等々で議論を深めて、効果を見定めて、必要あらばぜひ次年度以降に要望してまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと存じます。

 続きましての御質問をさせていただきたいと存じます。

 前の質問二つは個別の法制度についての御質問でございましたが、ぜひここで大臣に、包括的な大所高所からの御意見をお伺いさせていただきたいと存じます。

 近年の税制改正の主な動向を見てみますと、例えば、平成二十四年度税制抜本改革においては、消費税率の段階的引き上げを決めたとともに、それに伴う低所得者対策と転嫁対策を規定させていただいておるわけでございまして、これはほかにもいっぱいあるわけで、ピックアップして、主なところだけ出させていただいております。

 第二次安倍内閣によりまして、平成二十五年度税制改正におきましては、所得税の最高税率の見直し、生産等設備投資促進税制というのを創設、所得拡大促進税制を創設。これは二十五年度でしておるわけでございます。

 続いて、平成二十六年度税制改正におきましては、また一つ創設しております。生産性向上設備投資促進税制ですね。二十五年度に創設いたしました所得拡大促進税制の拡充をいたしておるわけでございます。

 それで、本年度といいますか、二十七年度の改正におきましては、消費税率の引き上げ延期というのが大きなメーンになるテーマではあるんですけれども、法人税の改革と地方創生に絡む税制上の対応をうたった。

 近年の税制改革の流れを読み上げさせていただきました。

 ここ数年の税制改正のトピックス、今申し上げましたように、消費税ということ、これは大きなトピックスでございますので、これに関することが大きいですし、やはり、安倍政権、第二次安倍内閣になって、三本の矢をとにかく実行するんだ、成長戦略、いわゆる民間の活力を喚起するんだ、そういうことを誘導する税制上の対応に注力されているんだと言っても過言ではないと考えております。所得税、法人税、消費税、この三つが我が国の税収の七〇%を占めておるわけなんですけれども、それぞれが近年着実に増加いたしておるわけでございます。

 もう一つ言いますと、一般会計税収と歳出総額、折れ線グラフであらわしたいわゆるワニの口と言われる、歳出と収入があって、ばっと開いていっておったんですけれども、そのワニの口を何とか閉じたい閉じたいと思っていたんですけれども、そのワニの口のグラフにおきましても、その口を閉じる方向でここ数年は推移しているということが言えると思います。

 ぜひ、その観点から、近年の税制改正の狙いとその効果について総括的な御所見をお伺いさせていただきたいとともに、そのような近年の税制の背景の中における今年度、平成二十七年度の税制改正の狙いというものを総括的に大臣からお伺いさせていただきます。よろしくお願いします。

麻生国務大臣 これは結構話がでかいんですけれども、まず、先ほども何人かの方の御質問にもありましたように、設備投資に金が回らないということは、国内に雇用も生まれませんし、消費も起きないということでもあります。

 では、設備投資に回す金がないならともかく、金は間違いなくこの二年間でできてきているということになっておりますので、そういったものをやるためには、やはり償却、意味はわかると思いますが、一括償却、即時償却を認めます、ことしじゅうに一発でもできますよということになると、いきなりどんと利益の方を全部設備に回せるということになるので、消費とか設備投資の促進になるんじゃないですかというので、設備投資の促進税制というのをやらせていただいたんです。そういったものとか、消費拡大のために大企業に対して税額控除だとか、賃金を含めてそういったものを上げたときに関しては所得拡大促進税制という形で、前年度比何%以上上げたらその分はカットしますとか、そういったようなものをやらせていただいたんです。

 いずれにしても、そういったもののあれが両々相まって、結果として、少なくとも今年度の予算編成をやらせていただくに当たって、平成二十七年度の税収見積もりで予想が五十四兆円になっております。これは、安倍内閣で最初にやらせたときは四十二兆円だったと記憶しますので、三年で約十二兆円増収になったということになります。そのうちの半分が消費税の六兆円だろうと存じますので、残り六兆円は法人税とか所得税とかそういったようなもので上がってきたんだと思います。

 少なくとも、今の状況としては、今後とも賃金というものが、今年の春闘等々において、どれくらいの形で企業がそちらに回していってくれるかというのがまだよく見えてきてはいませんが、間違いなく昨年度よりは伸びるということを連合等々の予想やら何やらでいろいろみんな言っておられますので、そういったものが出てくると、私らとしては、賃金が上がった分が消費に回るということは、GDPの中に占めます消費の比率というのが六〇%を超えておりますので、そういったところでGDPが上がる。そういったようなものが全部上がっていきますと、形としては、少なくとも、日本の今考えておりますプライマリーバランスというものの分を、五年計画で今は二〇二〇年でやるんですけれども、最初の五年間で消費がそれ以上ふえると、ぼんと最初のところが上がりますので、後の伸び率が下げてもその分だけ生きる、そんな簡単じゃありませんけれども、生きるということになろうと思います。

 私どもとしては、少なくとも経済再生と財政の健全化の両立を図らねばなりませんので、そういったものを目的としておりますので、その点では、まずはデフレ不況からの脱却ですというところから、景気をよくするんですということで、法人税改革、住宅取得をローンを下げるとか、贈与税の非課税措置とか、NISAとかいろいろ言っておられましたけれども、そういったものを全部今やらせていただいているんです。単に税率を引き下げるだけではなくて、きちっと税収も上げないことにはやはり目的を達せられませんので、課税ベースの拡大という意味で、見合いの財源も確保するということも、これは忘れちゃならぬ大事なところだと思っております。

 私どもは消費税の引き上げを延期させていただいておりますけれども、それは、考えてみますと、社会保障やら何やらというものを、今後、この国が少子高齢化の人口構成になってきますので、その分をきちんと手当てができるという形にしておかない限りは、国家として、形としては非常にぐあいの悪いことになろうと思いますので、私どもとしては、確実に、税金は平成二十九年には上げさせていただきますということを申し上げて、これをやらせていただいております。

 今までのところ、私どもとしては、消費税の値上げにより思った以上に反動減が大きかった点と、もう一点は地域間格差というもの、今、奈良の例を引かれましたけれども。奈良の明日香村に限らず、いろいろ地域によってかなり人が住むのが難しくなってきたというんですかね、どういう表現がいいんだか知りませんけれども、私のところも、かつて炭鉱町でしたから、炭鉱がなくなった当時、人口が約三十何%減っております。えらい目に遭った時期がありますのでよくわかりますけれども、着実に減ってきているということになってきていますので、これは国全体のことも考えておきませんと。

 人口はやはり一億人ぐらいはないとというのが全体の絵として増田さんの本にも書いてあったと思いますが、あの中にも出てくるとおりなので、私どもとしては本当にいろいろなことを考えてやらないかぬのですけれども、まずは景気だということで、気分転換というところでは、間違いなく、人が何となく、ロストボールを探すみたいな顔をして、下を向いて歩いている雰囲気から、一応みんな顔が上がってくるところまでは、田野瀬先生、上がってきたんだと。

 私、二年前に比べてみんな顔が上がってきたな、それはそう思うんですけれども、さらに確実なものにするためには、やはり株というのは先行指標ですから、これは先に行くのが当たり前なのであって、先がよくなってきましたので後の実体経済はそこについてくる、そしてそれがインフレに見合った分だけの賞与というか賃金の上昇というようなものをカバーできるのがことし後半ぐらいから、そういったところになっていけるような形まで持っていければと思っておるんです。

 いずれにしても、今は非常に大事な時期だと思っておりますが、やはり、田野瀬先生、若い人たちの気分が大事なのであって、これは先行きだめだと若い人たちが思ったら話にならぬのであって、この中でどう考えても俺が一番年上みたいですからね、だから俺たちより何かしょぼんと下を向いたような顔をしてもらっちゃ困るのであって、もっと若い人の方が元気になってもらえるような世の中にしていかないかぬ、私どもとしてはそう思って、頑張りたいと思っております。

田野瀬委員 えらく包括的な御質問で、難しい御答弁、ありがとうございました。

 とにかく、やれることは何でもやる、消費を促す。勝負はことしの後半ぐらいに来るかもしれない、そのためにも今が大事。そして、数字にはあらわれませんけれども、マインド、いわゆる消費のマインドであったりとか景気のマインドであったりとか、そのあたりをどんどん喚起して、この国をデフレからとにかく脱却させるんだ。仁王立ちになって麻生大臣が頑張っていただいているのを、我々もしっかりと応援させていただけたらなと思っているところでございます。

 時間が参っております。最後の御質問でございます。

 とにかく、今の観点から、経済再生、デフレの脱却、税収を上げて歳入をふやし、そして歳出改革を通じて二〇二〇年のPB黒字化を目指すということでございまして、これは、G20等々、世界に向けての国際公約、我が国の公約だというふうに言えるわけでございます。

 経済は生き物だと午前中からの御答弁でもございましたけれども、とにかく二〇二〇年のPB黒字化に向けての大臣からの意気込みを最後にお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

麻生国務大臣 先ほどから二〇二〇年のプライマリーバランスの話がよく出されておりますし、よく予算委員会でも出るところではありますけれども、今から五年前に、当時何をしていましたかね、総務大臣か何かしていたんだと思いますが、そのころ、このプライマリーバランスという言葉が今から五年、もうちょっと前ですな、出た当時は、このプライマリーバランスという言葉は基礎的財政収支と正確には日本語では言うんですけれども、長過ぎるとかなんとかというので、いつの間にかPBというのが出た。当時はポケベルとプライベートブランドの区別も全くつかないような時代で、何だこれとかいって、随分議員から聞かれた記憶が私はそのころあるんですが。

 ぜひ、今はそれは定着しておるので、まずはプライマリーバランスを二〇二〇年度を目標にしてやらせていただこうと思っておりますけれども、これは、それでもういい、財政健全化されたかといえば、全然違うので。それは単に、利子というのを除いた話ですから。利子だけで、ことしでいきますれば十兆一千億円ぐらいの利子は外してのバランスなので、利子を含んだところで、基礎的じゃなくていわゆる本当のバランス、財政収支というものを目的にしていくような時代に、次の段階に上げていかないかぬ、ステップアップせないかぬということなんだと思います。

 私どもとしては、そういったようなことに行くのは今の段階では極めて厳しい状況になっておりますが、今の半分にするという話だって、五年前は絶対無理とかなんとか言われていたのが、やってみたらここまで来ましたので、そういった意味では、ちゃんとみんなで一生懸命やれば行くということなのであって、行くという気にならない限りは話になりませんから。私どもとしては、しゃにむにこれを行かせたいと思って、頑張りたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

田野瀬委員 大臣、ありがとうございました。

 以上で終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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